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24回国会参議院1956/05/30

外務委員会 第17号

発言数
46
登壇者
9
会派数
3
開催日
1956/05/30

会議録

梶原茂嘉緑風会

○委員長(梶原茂嘉君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。石黒忠篤君、佐藤尚武君、山本米治君がそれぞれ辞任されまして佐藤尚武君、土田國太郎君、津島壽一君がそれぞれ選任されました。     —————————————

梶原茂嘉緑風会

○委員長(梶原茂嘉君) 日本国とフィリピン共和国との間の賠償協定の批准について承認を求めるの件を議題といたします。本件について御質疑のおありの方は順次御発言をお願いいたします。

津島壽一自由民主党

○津島壽一君 高碕長官に簡単なことですがお伺いしたいと思います。フィリピンの国会は、もう今閉会中になって、日本の国会のこの協定の承認を待って開会して承認の手続をとる、こういうふうに了解してよろしいのですか。それらについてマニラにおいて国会承認の時期とか順序というか、そういうことで何かお話し合いになったことがありますか。ちょっとそれを、向うでの了解というか、それがございましたら伺いたいと思います。

高碕達之助自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(高碕達之助君) 先方の国会は日本と同じく五月の十七日が期限でありまして、調印をされたのは九日でありましたから、なるべく日本の承認も得ることにしたいから、まずもってあなたの方の国会で承認を得てくれぬか、ということを相当強くこちらから要望したのであります。向うでもいろいろ考えられた結果、フィリピンの方の国会といたしますと、大統領の権限で即刻開かれる、こういうような工合に承わったのであります。それで向うの方ではやはりこれは日本が承認されたというときに並行してやりたい、それについては今申し上げた通り先方の国会が非常に簡単に召集できるから必ずやる、日本の国会で承認できてからやる、こういうことと了解をとっておるわけであります。

津島壽一自由民主党

○津島壽一君 そうすれば日本の国会でこれを承認をしなければ向うがそれに先だってはやらぬ、向う側の国会の承認、それをやらない、こういうお話だったわけですね。それを向うが言っておった、こういうお話ですか。

高碕達之助自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(高碕達之助君) その通りでございます。

小滝彬自由民主党

○小滝彬君 今のに関連してお尋ねしたいんですが、こういう公式の会場で聞くべきことではないかもしれんませが、上院がこれを批准するということになるだろうと思うのですけれども、大体ラウレルあたりの非常な努力によって、レクトあたりも全部賛成するというような雲行きに変りつつあるようですが、一部の代表は全権に任命されたけれども署名に加わることを拒否したというような新聞報道もありましたので、その辺あるいはもしも差しつかえあれば速記をとめてでもいいですからお知らせを願いたいと思います。

高碕達之助自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(高碕達之助君) 大体先方の委員は十四人だったのでございますが、そのうち上院議員であるタニアダが出席もなかったのです。出席せなかったということは、やはり反対の意見を初めから抱いておったのであります。そこで全権団として出席せなかった、従って、この何といいますか、賠償協定には調印しなかったわけなんであります。これはおそらくは相当最後まで反対されるであろうと思っておりますが、もう一人上院の外交委員長であるデルガドという方ですが、この方は条件つきで承認されておったようであります。ちょうど私ども向うにおります間にいろいろ話し合った結果、私の観察ではもう条件なんというようなことはやめて、これは無条件で十分承認するつもりだ、こういうことになっておりますから、大体上院でも全会一致でこれを承認されるということは少し無理かと存じますが、ラウレル、これは徹頭徹尾非常に日本に好意を持つている。また有力な方でありますが、この方が中心になっていただいております。レクトさんもまたこれについても賛成されることだと私は存じておりますから、日本が国会の承認を得られますれば問題なく承認し得られると私は存じております。

小滝彬自由民主党

○小滝彬君 一点だけ。これは技術的な点かもしれませんが、例の二千万ドルについては消費物資の中の加工賃で払うというようなことになっておりますが、それに対しては羽生さんあたりからいろいろ議論が出るかと思いますけれども、私個人の見方から言えば、結局現金賠償じゃないかというようなことを、言う人もあるかもしれませんが、そんなことを言えば一部生産財でも政府としては現金で払わなければならない、そういうような見方は、過酷じゃないか。むしろあれでかえって日本品の広告にもなり、一方日本は義務としてこれをやるのだけれども、同時に日本品を買えばそれだけの対内的の手当ができるというふうなことで、日本品に対する制限緩和というような点に役立つ。効果がありはしないかというふうに見ているんですが、高碕さんは経済通として、一体今後の影響はどうお考えになっているか一つ御説明を願いたいと思います。

高碕達之助自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(高碕達之助君) 昨年の五月ネリ全権がこちらに参りますときには、二千万ドルに相当するペソ貨を現金で払えということは強硬に主張しておったのでありますが、これは私は絶対にできないということを最後まで突っぱっておったのであります。私の考えでは、資本財であろうとあるいは日本の生産品をフィリピンに持っていって、フィリピン政府がこれを賠償として受け取って、そしてそれをフィリピンの民間に払い下げてしまえばペソ貨を得られることだから、何もそういうことを主張しなくてもいいではないかということを私は交渉の経過においてたびたび主張しておったところでありますが、その結果いろいろ話合いがつきまして、結局日本としては現金でこれを、円ではもちろん払わなければならない。これはほかの資本財に対しましても役務に対しても、全部現金で払うことでありますから、これはフィリピンに現金を送付するわけではありませんし、従いまして日本はこれは役務で払うということに相なっておりますが、フィリピン側はこれを現金に換算いたしますからこれを現金で受け取る。こういう結論になったのでありますが、その詳細のことにつきましては、政府委員からテクニックのことになりますから御説明申し上げますが、日本の経済に影響する範囲におきましてはいずれもちっとも変りはないと信じております。ただ全体の日本の経済として正常貿易が阻止されるということにつきましては、これはできるだけ避けなければならんということはもちろんでございます。これは日本の生産財を送り役務を送る。今日は解決されました、この先方はペソというこの現金賠償として問題になっておりました二千万ドルの問題につきましては、これは影響するところはちっとも変らないと考えております。なお詳細のことは政府委員からお答え申し上げます。

中川融外務省アジア局長

○政府委員(中川融君) ただいま高碕長官から御説明申しましたことについて若干補足的に御説明申し上げますが、このいわゆる二千万ドルの加工役務の賠償のやり方でありますが、これは先方とはっきり話し合いましたところといたしましては、お手元にお配りいたしております付属交換公文に書いてあることだけであります。すなわち最初の五年間年四百万ドルずつ加工役務による賠償をする、それは日本から通常フィリピンに積み出される生産物について、そのうちの加工役務に相当する分を賠償に支払うということが書いてあるだけであります。それだけがきまったわけであります。それを具体的にどういう方法でやるかということにつきましては、その公文にも書いてございますが、今後両国政府間で協議してきめるということになっております。従って両国間に設置されます合同委員会で年次賠償計画を毎年きめるわけでありますが、年次賠償計画をきめます際に具体的なやり方もきめていきたいと考えております。しかし大体われわれが考えておりますこの構想といたしましては、これは正確に話し合った結果ではございませんが、大体こうなるだろうと思うところといたしましては、毎年年次賠償計画をきめます際に、最初の五年間の間は四百万ドル分だけは加工役務に相当するものとして一応イヤーマークするわけでありますが、その分にきましてはこの年にどういう品物を大体どのくらいこの加工役務に充てるか、ということの計画を相互間に打ち合せておきまして、その打ち合せました範囲内のものについて先方から注文がありました際に、加工役務の賠償をやるということになると思うのであります。またそのおのおのの品物についてやはり加工役務に充てられるもののパーセンテージというものが、それぞれ違うということになろうかと考えております。ものによりましては加工役務に相当する分が相当大きい部分を占めるものもあろうし、あるいは比較的少いものもあろうかと思います。それらのこともその合同委員会でおのおの具体的にきめていきたい。しかし結果的に見まして加工役務に相当するものが年四百万ドルに達するように、その計画を編むということになると思うのであります。この加工役務に充てられるものにつきましては、日本政府がその分だけは賠償勘定から円で日本の製造業者に払うわけであります。その分はフィリピン側の需要者といたしましては、日本に送金して決済する必要はないのでありまして、その分だけはフィリピンの最終需要者がフィリピン政府にペソ貨で納めるということになります。従ってフィリピン政府はその分だけはそのペソ貨が入るのでありまして、そのペソ貨をフィリピン政府は自分の適当とする方法によってこれを使用するということになるわけであります。  以上簡単でございますが補足的に御説明申し上げました。

小滝彬自由民主党

○小滝彬君 ビルマに対してもああいう資本財ではなかなかスムーズにいかないので一部消費物資を出そう、向うから非常に強い要請もあったので、そういうやり方を考えておられるようです、これは一体今までのところどの程度に消費物資が加わることになッているか、政府委員からでも答弁していただきたい。

高碕達之助自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(高碕達之助君) 最初ネリと交渉いたしておりまして以来今日まで、フィリピン側は消費物資をあの賠償目的の中に入れてもらっては困るということは、先方から非常に強く要望しておったわけでありまして、少くともこれは資本財あるいは生産財としてフィリピンの産業復興に役立つものでなければならん、一ぺんに右から左になくなる消費物資はもらうのは困る、こういう考えでおったわけでありますが、これはあるいは今後フィリピンの経済状態においてビルマと同様に、あるいはある一部分を消費財にするということを言ってくるかもしれませんが、ただいまのところそういう申出はありません。従ってこっちは消費物資をもってこれを払うというような考え方をしておらなかったのであります。

小滝彬自由民主党

○小滝彬君 私がお伺いしでいるのは、ビルマの今の例では実際行なっているところはどうなっているか、中川君でも御承知だったら。

中川融外務省アジア局長

○政府委員(中川融君) ビルマの場合には、御承知のように賠償協定自体には、日本の生産物という規定になっておりまして、資本財とか消費財ということは協定自体には出てこないのでありますが、協定いたしました際の大体の話し合いといたしまして、原則として消費財を含まない、ごく例外的な場合だけ消費財を考えてもいいという程度になっておるわけであります。最近と申しますか、約半年ほど前からでありますが、ビルマ側は消費財をほしいということを言ってきておるのでありまして、日本といたしましては消費財は通常貿易に悪影響ありということから、原則としてこれに反対してきておるのでありますが、いかにもビルマの国内経済情勢からみて消費財が払底しておるというようなことから価格が非常に上る、いろいろ民主上支障があるというようないかにも気の毒な事情もございます。また日本から消費財を通常貿易ではなかなか買い得ない向うの外貨事情等もあるようであります。日本としても厳格に消費財を少しも出さないということも少し行き過ぎではなかろうか。将来日本の通常貿易をむしろこれによって増大せしめる契機となるというような品物については、しかも金額におきましてそう大きなものでないならば、消費財を若干出してもいいのではねいかということも考えまして、関係各省間で、政府部内で目下慎重研究いたしております。しかしながら現在までのところは試験的に硫安を約手トンほど出したことがあるだけでありまして、それ以外に向うがたとえばカン詰類、あるいはGIシート、その他いわゆる消費財と考えられるもの、要求が来ております分については目下検討中でございます。まだ結論が出ておりませんが、大体の考え方としてはただいま申し上げたような考え方で処理したいと考えております。

小滝彬自由民主党

○小滝彬君 これは高碕長官にお伺いしたいのですが、今の原則的に資本財を投じて将来の購買力を増せば、日本との通商も拡大するという考え方は私賛成なんですけれども、しかしそれは厳重に考えなければならん問題かどうか、私は経済的に見て多少疑問の点もありはしないかと思うのです。消費財をある程度賠償物資の中へ入れた場合は、それだけ相手国のアヴェイラブルな外貨が増すわけです。そうすれば日本品に対する親しみも沸いて、このアヴェイラブルな外貨を使って日本品を輸入する効果もねらい得るのではないか。しかりとすれば、ある場合には、私は今フィリピンの問題というわけではないのですが、そういうことを考えても必ずしも日本の経済にとって非常に不利であるというように一がいに言えないと思うのですが、高碕さんのお考えはいかがですか。

高碕達之助自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(高碕達之助君) この消費財にいたしましても賠償として払います場合には、まず私は第一に考えなければならん問題は、この消費財の中でどの程度のものが日本の外貨負担になるかということをまず考えなければならない。今日ビルマからかりに要求しておる綿糸布を出すということでありますれば、これは少くとも外貨負担が四〇%ぐらいあるということになりますから、これは相当問題だと思います。かりにカン詰類というものになって参りますると、イワシのカン詰もほしい、サンマもほしいということになれば、これは九五%までは国産品でありますから、外貨負担というものは五%以下だろう、こう思っておりますが、そういうもので新しき販路が開かれる、今までほかのところから入ってきていたものが、かりにフィリピンといたしますればアメリカから入ってきておったもののかわりに、今度日本が新しい販路を開くということになりますれば、私は日本の経済といたしまして、かりに賠償の対象として消費物資を要求されても、外貨負担の著しく大きくならぬ、また従前の正常貿易を阻止しない新商品であって、新しい販路を開拓するということになれば、これは積極的に渡すべきものと存じておるわけであります。

小滝彬自由民主党

○小滝彬君 私も、大体そういうような考え方で御質問申し上げておりますが、最後に一つ、これも経済関係のことでお伺いしたいと思うのは、向うはビルマと同じように賠償使節団で来る、こっちは個々に契約するということになれば、日本の従来のわれわれの苦しんできた経過を見ればわかるように、相当売り込みがあって相互間に非常な血の出るような競争をしてきた、これに対しては適当な措置を政府では考えておるというようなことも新聞などには見えたのですが、しかしこれは相手方の方もあるいはそういうことを非常に神経質になっているかもしれないが、長官としては大体どういう構想を、これは石橋さんの分野かもしれないのですが、お考えになっているか、一つお伺いしたいと思います。

高碕達之助自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(高碕達之助君) これはフィリピン側でも非常に心配しておったのでありまして、フィリピン側の心配は日本に行って物を買う場合に、日本政府がこれを故意に政策を講じて、業者がカルテルを作って値の高いものを売りつけられるということになれば、賠償の金額が減ったと同様になる、こういうようなことを懸念しておられたようであります。私どもがまた逆に考えておりますことは、日本の商社が不当な競争をして、当然取るべき値段をそれ以下の値段で出したということであれば、これは賠償の価格がそれだけふえたという結果になるわけでありますから、これはきわめて公正にやっていかなければならぬ。この実行については今後先方の使節団が参りますから、お互いによく協議して実行方法を考えたいと思っておるわけなのであります。  すでに御承知のごとく、沈船引き揚げの問題につきましても、日本側におきましては過去において不当な競争をして、でき得ない値段をもって入札に参加した人があって、日本の信用を害するというようなこともあるものでありますから、当然私は日本政府としても行政措置をもってこれを指導していくということにしなければならぬと思っております。現在の先方との申し合せによりますると、日本政府は先方に対して日本のメーカーを推薦することはできることになっております。それで推薦したものだけから買わなければならぬという規定はございません。先方はそのほかのメーカーにも当ることができるわけでありますけれども、その点は両国政府間で先方の相手方をきめますれば、これとよく話し合いをつけて、そうして誠心誠意やっていきたいと思っておりますが、なかなかこの問題は中にいろいろな商人が入り、スキャンダルが起るだろうということは先方でも非常に心配しておったのでありますが、私ども同様にこれは心配しておるわけでありまして、との点につきましてはそういうようなことのないような方法を講じていきたいと思っております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 条約の実態に即した問題は、いずれ外務大臣や条約局長たちが出席されたときにお尋ねしたいと思いますが、しかしこれは実質的には高碕長官、それからアジア局長等で進められたものと思いますので、一つお尋ねいたしますが、実は私どもごく少数で先日藤山愛一郎氏に来てもらっていろいろフィリピンに関する詳しい話を聞かせてもらいまして非常に参考になりました。もしお差しつかえなければ、フィリピンの政治情勢、そういうものについて速記をとめてでもけっこうですが、高碕長官やアジア局長の見られたフィリピンの政情というものを一つ聞かせていただきたいと思いますが、いかがですか。

高碕達之助自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(高碕達之助君) 私どもは東南アジアの各国に対しましては、政局が安定するということを非常に希望をしておるわけであります。どうも政局の不安がある、こういう感でおりましたが、行って私の見たところだけを申し上げるわけでありますが、きわめてしろうとでございますから、そのおつもりでお聞き願いたいと思います。私はフィリピンの政局は安定しておる、こう存じておるわけであります。ただ私が感じで非常に違っておった点が一つあります。昨年バンドン会議に参りましたときには、フィリピンの考え方は相当対米依存の空気が強いように思いましたが、今日参りますというと、民族主義が徹底したのかどうか、それは原因は存じませんのですが、非常に独立というか、民族意識に燃えでお互いに東洋は東洋で手を握ろう、そういった空気が濃厚になっており、従いましてアメリカに対する反感と申しますか、そういうふうな空気は相当に強くあると、私どもは端的にそう考えました。あちらに参ります前には、相当アメリカの資本も入れ、足りないところは日本の資本で補ってフィリピンの賠償をよくやっていきたい、こんなふうに思っておったのであります。ところが今度はそういったことを言えば、非常に悪感を持って迎えられるというような感じがしたのでございます。私がフィリピンを観察いたしまして従前の考えと、今度参りましての考えに大へんな違いがあったことを、私はここではっきり白状するわけであります。そういうことでございまして、政局全体のことにつきましてはきわめてしろうとでありますから、何とも申し上げかねますけれども、私は現状においては安定しておる、こう存じておるわけであります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 日本の東南アジア諸国に対する経済協力の関係は、ビルマとは賠償協定ができ、それから今フィリピンとこれが行われようとしており、近くまた、インドネシアともできるわけでありますが、そういう賠償協定を通じて一国々々やっていくのか、それとも先般国際金融公社の案件を審議すす際にも問題になった点ですが、日本は東南アジア諸国との経済協力はどういう形でやるのか、最近国連では未開発地域の援助計画を一本にしようという案も出ておるわけであります。日本として最近の新聞の報道では、高碕さんなんかはどうかしりませんけれども、対比賠償を中心として、日本とフィリピンとアメリカと三国で何か金融機関を作るというような構想も出ており、フィリピンは、その事のよしあしはまたいずれ後刻私の感想を申し述べたいと思いますけれども、それは別として、一国々々そういうふうにばらばらにやっていいのか、東南アジア全体との協力関係について何かもっと一貫した方針というものを持っておられるか、その辺のところはどうでありましょうか。国連でさえもう一つ何か一本の新しい開発計画を持つた基本構想を今討議して、今まさにそれは結実しようとしている段階にきておると思うのですが、日本としては一体どういう態度で東南アジア全体の経済協力を確立しようとするのか、何かお考えはないのですか。ときどき何か断片的には新聞にいろいろな報道が出るのですが、高碕さんは一体どういうふうにお考えになっているのか、承わりたい。

高碕達之助自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(高碕達之助君) 私は日本の経済の基礎を強固にするために、どうしても日本は経済の許す範囲において対外的の投資をして、それによって日本の人口問題の解決、あるいは経済問題の解決をせなければならない、こう根本に思っております。というわけは、戦争前におきまして、日本が満州、朝鮮、台湾等において投資しておった金額は莫大なものがあるわけでございまして、この投資に伴って事業が行われ、それによって日本経済をある程度支えていかれたということは事実でありますが、これが根本において誤まりであったというととは御承知の通りであります。侵略的の意図があったというととは誤まりであったのでありますから、これは大いに慎しまなければならない。けれども、侵略的の意図なく、純経済で相手国の経済をよく開発し、そうして相手国の国民の生活を向上せしめて、同時に日本も相ともに進んでいくというふうにやっていくということは、日本の経済を立てる上において一つの国策として進まなければならないことと存ずるわけであります。しかしこれは日本としての考えでございますが、こういうことは得てすると、相手方の感情を非常に刺激するわけであります。いわんや過去において日本が侵略をやったという事実があるのでありますから、この点につきましては中南米はそういうことはありません、またアフリカもそんなことはありませんが、東南アジアにおいては、相当この点については神経過敏に相手国が考えておるときでありますから、今こういうふうであれとか、ああいうふうであれとかいうことは、日本側がイニシアチブをとるということは非常に危険があると存ずるわけであります。つきましては、いろいろな構想を各方面で練っております。又私どもも経済企画庁として練っておるのでありますが、これは相手の意向をよく聞いてその上に考えるべきことだと存じまして、今これを発表する時期でない。特に先般来もちょっとした問題でフィリピンの賠償問題がからんで、今羽生さんのおっしゃったことでアメリカの資本と日本の資本とが一緒になってフィリピンを開発しようという、こういうふうな構想があるということが伝えられた点が、フィリピン側では非常に悪感情を持って、困るというふうなことも言っておる事実もあるわけでございますから、こういうふうな点は相手の意向をよく聞いて、そうしてこれに進んでいくべきだと思います。また日本といたしますれば、幸いに相手方の意見が一致いたしますれば、日本の方ではこれは一本で一つでやっていくということにすれば、仕事をする上において楽だということを言うておりますが、理想とすればこれは日本側は一本でいくことに考えたいと思っておりますが、相手方のあることでありますので、相手方の意向によってこれは個々別々に考えていかなければならぬ場合もあるかと想像いたしておるわけでございます。要するに相手の意向をよく聞いて、お互いのほんとうの理解のもとに相手をよく理解し合っていける方法を見つけていくことが一番大事だと思っております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 この今長官の御答弁の中にあった、日本の過去の侵略主義というものから、なおかつアジア諸国の疑惑が必ずしも消えていないので、下手な計画の発表はかえって協力関係を阻害するおそれがあるというお話でありましたが、私はその点についてはいずれ外務大臣がきたときに私の見解を述べたいと思っておりますが、この機会に一口所見を述べて、同時に長官の御感想を聞いておきたいと思うのですが、私は大体日本がほんとうに平和主義に徹底して、そういう施策を国内的にも国際的にも行なっておるならば、そんな経済協力に関する計画が発表されても、アジア諸国がそんなことに疑いを持つということはいささかもない、あり得るはずがない。ところが、日本がその侵略の思い出がまだ消え去らないで、ある意味においては新たなる時期に、この日本の国内態勢を見るならば、再び昔の時代を思い起させるようなことを、自衛に名をかりて平然とやっている。でありますから、そういうことから今お話のような結論が出てくるので、そういうことさえなくて、少くとも日本が戦後に置かれた国際的な情勢、あるいは国内的な条件、あるいは国民感情等から見ても、あくまでも日本が国際的な平和関係に重点を置いて、国民生活の安定にすべての施策を集中して、それ一本でいくということがもっとはっきりしておれば、東南アジアに対する経済協力のことが、どういう形で計画が発表されても、それによってアジア諸国が日本に疑いを持つということは寸毫もないと私は思う。だから、私はここで今自衛力論争なんかやる意思はさらさらありませんが、少くともそういう自衛を論ずる場合においても、私はずっと先日来参議院の本会議のときにおいて、いろいろの方の御議論、あるいは委員会における御議論を承わっておって、むしろ反省の足りないのはその時代の人たち、かつて罪を犯した人たちの中にむしろ反省すべきものが依然として残っている、私はそれを非常に強く感じました、先日来。だからそういう形で、しかもその中で東南アジア協力が論ぜられるから問題が起るので、ほんとうにそんなことを全然考えておらないということが、日本の国の態勢として明らかになった場合には、どんな経済協力の計画案が発表されましても、それによってアジア諸国が日本に疑いを持つということはもう全然あり得ない。しかも私は、今後日本がいろいろな低開発地域の開発に協力したり、あるいはアジア諸国との経済協力をやっていく場合に、一々そういうことで昔の夢を思い起させるようなことと関連させられることは、非常に不利だと思う。だからそういう意味からいっても、日本が今後、今のフィリピンに続いてインドネシアとやる場合においても、特にインドネシアとの場合はそうだと思う。日本の平和的な外交というものが徹底的な前提条件になって、その上で初めて賠償問題ということがきめられていかなければ、これは全然問題の解決にはならないと思うわけです。  これは質問というよりも意見でありますが。

高碕達之助自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(高碕達之助君) 私はただいまのご意見には全く賛成でございます。それでそういうところに、相手国に疑惑を起こさしめるような日本の政策は根本的にもっと考えていかなければならぬ、そう考えております。これは、はっきりいたしておきますことは、今日、中南米においてもアフリカにおきましても、こういうような心配は全然ないと思っております。目的が純経済で、われわれの計画でやっている以上は何らそこに問題はないと思っております。ただ、先ほど申しましたように、東南アジアについては、過去の日本の犯した罪、罪悪というものが頭にこびりついている。これは日本人自身もとらなければならぬが、相手方もそれをとってもらように方策をとり、政策をとっていくことは、日本として非常に必要なことだと思っております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 次の問題も私高崎長官にお尋ねし、さらに日をあらためて外務大臣にお尋ねするつもりでおりますが、一体賠償ということの考え方ですね、これは私、議論になりますけれど、太平洋戦争で関係諸国に与えた破壊的な行為、それから各国人民に与えた犠牲、そういうものに対するわれわれの償いというものが賠償だと思うのです。ところが、それがまあ変な議論になりますが、社会党としては、今度の賠償協定には必ずしも種々の理由から賛成できない点があるわけですが、そのことはいずれ後刻申し上げることといたしまして、しかし私は、この賠償なんかを通じまして各国と親善関係が強化されることを心から期待しておる一人であります。一人でありますが、私は日本の政府がほんとうに考えてもらわなければならないことは、過去の反省が足りなくて、何億万ドルやったから問題が解決した、それはもっと値切らなければまずいと、しかし相手がむずかしいから今度は八万ドル、しかし実質的には五億五千万ドルで、あとの二億五千万ドルは経済協力というような形でうまく何とかやったのだと、こういう議論では私は問題の解決にはならないと思うのです。これは一応表面は片づいております。しかしほんとうにまだインドネシアとも将来問題があるし、その他の国ともいろいろ関係が残るわけだし、私は今申し上げたことが前提条件だと思うのです。かつてのわれわれの侵した行為に対する新しい心からなる反省と、新しい出発、これが前提条件だと思うのです。しかしそのことはほとんどこの何と言いますか不問に付されて、そうしてただ賠償をちょっとすればそれで問題は解決したのだ、それはなるべく値切らなければならぬ、私どもが安くと言いますか、なるべくこの賠償額を低くしてもらいたいというのは他に理由があるのでありますが、私は、今まで政府のとってきた道がそういう意味で、もしあるならば、つまり私が今申し上げたように、金額の問題さえ解決すれば、それで賠償ということは問題がすべて解決したという考え方は、とらざることであります。そういうことである限りたとえ賠償協定ができても、次の経済協力というような場合に、ただいま長官の言われたような問題が出てくる。そういう意味においてこれは長官に申し上げるのにどうかと思いますが、私はこれは総理大臣なり外務大臣に、ほんとうに日本の国の過去の行為についての反省と、新しい日本の行き方についての基本的な立場といもうのが確立されない限り、このほんとうの意味の償いとか賠償とかいうものの解決にはならない。特に私は、インドネシアは、破壊に対する賠償という考え方は非常に少いと見ております。これはモラルを中心に考えておる民族だということをよく聞いておりますし、そういう場合なおさらだと私は思います。そういう意味で、私は条約の内容についてはいずれだんだん承わって参りますけれども、基本的な前提というものを政府がほんとうに確認をして、そこから問題のスタートをしていかないと真の解決にはならないという気がするのですが、いかがですか。

高碕達之助自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(高碕達之助君) その点は私全く同感、でございまして、この賠償を払うということは、戦争中相手方に与えた損害に対して、心からなるおわびをもってその与えた損害をいかに回復するかということがレパレーションの意味だと、こう思うわけであります。しからばこれは、これを回復し得るものとし得ないものとがある。これは一番大きな問題は、私フィリピンに参りまして申し上げたことがありますが、自分の夫を失い、自分のむすこを失い、自分の親を失った人たちに対して、これはいかほどお金を持ってかかっても、これは賠償できない問題です。これは心をもってこの賠償に当らなければならない。この気分をわれわれは失うことができないというのが第一点でございますが、しからば賠償の金額はどうしてきめるかということでございますが、これは日本の経済復興、日本の経済が耐え得るという限度において、私はこれは出すべきものだと。でいかに約束しても、この実行のできないような大きな額はこれはできないわけでありますから、それでその日本経済がこれを払っていき得る限度はどのくらいに置くかということによって、全体の賠償を考えていかなければならぬと、こう思っておるわけであります。従いまして、今日ビルマに対しましても、またフィリピンに対しましても、賠償の協定というものはこれはできたのでありますけれども、これは賠償は解決したわけでも何でもありません。第一歩に入ったわけでありますから、今後この実施につきましては、私はただいま申し上げましたこの考え方をもって国民全体はこれに当っていただきたいと、政府ももちろんその方針で当っていかなければならぬと、こう存じておるわけであります。

津島壽一自由民主党

○津島壽一君 これは資料を要求するのですが、この賠償協定でまず初年度でございますが、第一年度二千五百万ドル賠償、それから借款の方は二億五千万ドルのその二十年、二十分の一というのが初年度だろうと思うのです。それで初年度だけでいいのですが、沈船引き揚げで、すでに六百何十万ドル支払っておるわけですから、沈船引き揚げは初年度の支払いと見るから、約二千五百万ドルから六百何十万ドル引いたものが負担になると思うのです。そこでこの条約が、まあ協定がいつ実施になるか、会計年度の繰りがおのずからありますから、日本の会計年度の初年度、つまり三十一年度では賠償のためにどのくらいな歳出というか、国家のいわゆる歳出上の負担があるかということですね、それはどういうふうになるか、初期を何月にとるかということによっておのずから違いますが、これは仮定でいいのです。  それから主としてこの借款関係は輸出入銀行からの資金によるというふうに考えられる。その他の銀行等も書いてありますが、現実にはそうだろうと思います。で、輸出入銀行の三十一年度のつまり政府資金の貸付というか融資、それがこの協定の初年度の実施において、協定の所定のようなまあ貸付というか、融資を行うとしたならば、どのくらいな資金が要るか、しかしてそれは現在の輸出入銀行に対してきめられたる本年度の融資においてまかない得るものであるか、またそれを増加する必要があるか、これは大蔵大臣の問題ですけれども、正確にそういったような計算をしたものを表でいただけばはっきりすると思うのです。質問の方はあとにして資料の要求をいたします。

酒井俊彦経済企画庁長官官房長

○政府委員(酒井俊彦君) ただいまの御要求の資料は大蔵省とも連絡して、即刻作って御配付することにいたします。ただ今お話のございました第一年度の賠償の件でございますが、お話がありましたように、二千五百万ドルのうちからすでに沈船引き揚げのために支払いましたもの、及び初年度に沈船引き揚げに所要する金額、これは第一年度の二千五百万ドル分から引かれるわけでございます。なおしからばそのあとの金はどのくらいかかるかということは、これは先方から賠償ミッションが参りましてどういう契約をするか、ものによりましては契約をしてから納期が半年、一年かかるものもございます。納めた時に金は払いますので、具体的な個々の契約を見ないと、どのくらいかかるかということははっきりしないのでございます。一応私の記憶では、大体予算的には七十億見当のものが入っておったと思います。もちろん第一年度はその予算で十分まかなわれるであろうと考えております。  それから輸出入銀行の方もお話のように、相当部分がやはり経済協力の金は輸出入銀行がパーティシペイションで出ていくと思いますが、これも交換公文に書いてございますように、そのときにおいてアヴェイラブルなファンドの範囲内で経済協力をやるということが書いてございますので、これはまあ初年度どのくらいできるかわかりませんけれども、お金のある範囲内で、経済協力をやっていくための金を輸出入銀行がまかなえばよろしい、かような格好になると思います。御要求の資料はすぐ連絡いたしまして提出いたします。

津島壽一自由民主党

○津島壽一君 今の資料には、現在の三十一年度の予算で賠償のために支払うべき予算額ですね、もうすでに国会を通過したその金額で、ビルマ等に払うべきものを除いて、フィリピンの賠償協定実施の上においてその金がどのくらい振り向けられ得るか、充当し得るかと、そうなると、まあ具体的になるとこれは予算委員の問題かもしれませんが、現在の予算において、この初年度、初年度という意味は、十カ月になるか九カ月になるかは別として、三十一年度までに支払いが起り得るその金額をまかない得る限度ですね、現在の予算においてどのぐらいあるかというようなことについての見通しですね。ただし、今の酒井政府委員のおっしゃったように、契約いかんによっては支払いが二年度の方に回る、契約だけ作って実際上の支出はないという場合もあり得ると思うのです。しかし、そこまで想像してやるケースはむずかしいですから、初年度のものは初年度で支払いが起るという前提で、この協定に出たなりの金額を想定していくということでもかまわぬじゃないかと思うんです。まあそれが一番大きい最大限ですから、それ以上にはならぬから、起らぬのですから。しかし、支払いが二年度にわたるから、初年度に支払いが起らぬということもありますが、これは今後の契約がどうできるかという問題にかかっておりますから、契約のいかんによってはこの所定の金額までいき得るわけですから、だからまあそれはいろいろな政府の推測は除外して、協定に現われたところの初年度分の日本の三十一年度分ということで資料をつけ加えていただきたいということを要求いたします。

鶴見祐輔自由民主党

○鶴見祐輔君 おくれて参りましたが、今のこの賠償協定の問題で、経済の問題ですが、高碕君もこの間ちょっとお話になっておったようですが、フィリピンとの関係が感情上に非常によくなったと、大へんけっこうなことだと存じます。そこでアジア局長がおいでになっておりますから、私はこの賠償協定ができた後のあと始末の問題についてこの機会に伺っておきたい。私が初めてフィリピンへ参りましたのは今から四十一年前で、それからたびたびフィリピンの方には太平洋会議やその他のことでお会いしておりましたが、あの時分はフィリピンと日本との関係というものは非常によかった。今度の戦争の結果、日本がフィリピンに一番憎まれておる。これで賠償協定ができて、貿易の問題が非常に大きく取り上げられて参っておりますが、その裏打ちになるのは、ここにも書いてありますように、日本とフィリピンとの間の友好関係、今度の戦争の結果いろいろの問題でフィリピンの人の感情を非常に害してしまった。その傷というものがいえない限りは、財政上あるいは経済上の問題だけではフィリピンの問題はよくならないと思うのです。これは非常にいい機会です。フィリピンの独立心を満足させ、またフィリピンの経済上の欠陥を充足するという意味において第一歩を印したのですから、これから恒久的な関係において日本とフィリピンとの友好関係を完全のものに仕上げるためには、あとの文化的、あるいは国民感情的の裏打ちができなければ画竜点睛を欠くので、ただ金を日本が出すということだけでは意味をなさないと思うのですが、それでこれに続いておそらくは文化交流のいろいろな計画もお持ちになっておるだろうと思うのです。日本と中国とはまだ何らの外交上の取りきめもないのに、友好関係は非常に進んでおります。政府がどういう手段をおとりになっても、これは友好関係は非常な速力で進んでおる。でありまするから、これは逆になってきておる。これは東南アジアと日本との関係は経済問題が今表に出ておりますけれども、日本の品物を売って金をもうけようという考えでは成功しないと思う。一口に申し上げれば、東南アジアからずっと広がってアラビア民族に対して、民族主義、ナショナリズムに対する向上、アスピレイションというものに対して、日本人がなまいきな考えを持たないで、同じ立場で協力するという精神で友好関係、文化関係を樹立するというところまでいかなければ、金もうけをしようというような考えではできないと思うのですが、そこでこの協定のあとでいろいろな友好関係を樹立する意味のお話し合いがあったと思うのですが、またいろいろな御計画があったと思うのですが、それらについてお伺いしたい。

高碕達之助自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(高碕達之助君) 賠償協定に参りまして、八日に着きまして、十一日に帰る予定でありましたのですが、特にそういう問題のために二日間私延期さしてもらったのであります。きわめて短期間でありましたが、その間におきましてできるだけの人々に会ったのであります。たとえば元フィリピンの独立運動をやったアギナルド将軍、これは八十七歳の高齢をもってなおかつ、かくしゃくとしておる人であります。フィリピンの初代の日本大使のマレンショ未亡人、そのほか日本にも参っておりますバルガス及び経済人の人たちと会っていろいろと話したのでありますが、これは私どもの想像いたしております以上に日本に対する親しみを根本的に持っておるととは、今鶴見委員のおっしゃった通りであります。これは、この戦争のためにわれわれの想像しないほどのひどい残虐行為が行われておったということによって、日本に対する感情は非常に悪化しておった。それが今日おくればせながらぼつぼつ回復しておったのですが、今度の賠償協定の成立と同時に非常なよい感情に向いておるのでありまして、これは単純に賠償ということによって協定ができましたけれども、これは第一歩に入ったところでありまして、これから実行に入るわけであります。先ほど御答弁申し上げましたように、誠心誠意をもってこの賠償の実施に当っていくと、その方針はフィリピンのためによくなるということに主眼をおいてわれわれは考えていくと同時に、これは経済問題でありますが、同時に文化の交流、あるいは運動選手の交流とか、いろいろな点につきまして各方面からいろいろな申し出があったようでありますから、これは今後十分両国の間の提携を完全にしていきたいと、こういうふうに考えております。

鶴見祐輔自由民主党

○鶴見祐輔君 アジア局長から何か具体的な将来の構想について伺えますか。

中川融外務省アジア局長

○政府委員(中川融君) この賠償協定の成立を契機といたしまして、日比間は、先方の大統領の談話にもありました通り、画期的な一つのエポックを作りまして、これからいわば日比親交関係に入っていく段階になると思うのであります。それの一番もとになるものは、何と申しましても経済上の相互相補う関係にあるということが一番実質的な基礎ではありましょうが、しかしその上にやはり精神的にも相互の親近感、つながり、兄弟の関係にあるというような感じが今後は濃厚になってくると思うのであります。これは高碕長官が言われました通り、先方の識者、朝野を問わず、またその階級の上下を問わず、先方の人たちがいずれも一致してそういうように言っておるところでありまして、今後非常に日比間は親善関係を増すと思うのでありますが、この下地は実はすでに今まで数年間、三、四年間に、おもむろにではありますが、またあまり目立たないのではありますが、出てきておるのであります。その一番よい現われはやはりスポーツ選手の交流であったと思います。賠償問題が非常にむずかしくなったときでも、日本からあるいはベースボールでありますとか、あるいは庭球でありますとか、あるいはゴルフの選手とか、水泳の選手とかが参りまして、向うからも参っておりますし、このスポーツにつきましては、ほんとうに政治的な関係を忘れまして、非常に双方がゼントルマンライクに、しかも親近感を持って交わったのであります。そのほか青年学生の会合というようなものもやはり行われておったのでありまして、これらはすでに目立たないような格好で素地はできてきておったのでありますが、今回の政治的な問題の解決とともに、これが全面的な親近関係になると考えております。今後は日本にありますフィリピン協会、村田省蔵さんが会長をしておられますフィリピン協会も、非常に積極的に今後は活躍される機会が来るわけであります。近くフィリピン協会からも、村田会長を初めとして向うへ親善使節団を出したいということを言っておられます。またそういう機会をとらえまして、先方にもフィリピン協会に対応するような親睦団体を作りたいという企てもあるようであります。また今回、高碕長官が行かれまして、先方のマグサイサイ大統領にぜひ日本に来てもらいたいということを言われたのでありますが、向うは、一つ鳩山首相まずおいで願いたいということを先方は言っておるのであります。こういうことで、政府要人の交歓往来ということも今後は非常に盛んになると思います。また貿易協定あるいは友好通商航海条約の交渉はすぐ始まるのでありますが、それと相前後して、できれば文化協定というようなものも結ぶようにしてゆきたいと思っております。  また、今回の賠償協定実施の一環といたしまして、先方からの留学生、あるいは日本からの先方に対する留学生、交換教授、こういう問題が起ってくるのであります。また、先方から日本に対して研修生を大ぜい派遣いたしまして、日本の工業技術を学ばせるということも当然起ってくるのでありまして、こういういろいろの機会をとらえまして、日比間の親善関係をますます飛躍的に増大する、かように考えております。

鶴見祐輔自由民主党

○鶴見祐輔君 けっこうであります。ただ私は、ちょっとこの機会にお願いをしておきたいのですが、それは深刻な問題です。日清戦争のあとで、日本に当時の清国から留学生が三名ないし五名来た。日本は非常に世話しました。帰って何になったか、大体反日感情を持って帰った。アメリカが義和団の金を返して、シナのいわゆる二十四郡の秀才を呼んだ。そうしてどういう感情を持って帰ったか。学問だけではない。親米感情を持って帰った。ことに私は日本が反省がなければならぬと思うのであります。今お話のように、ただ技術的な形式的な日比の文化交流をやってみましても、日本民族の方で日本を愛するという感じを持って帰すような心がまえができていなければ、幾ら物質的に世話したって、学問を教えたって、反日になって帰ります。そこで、日本の反省の具体的な方法としては、アメリカ人がなぜ中国人を親米にして帰したかというと、朝野をあげて、ほんとうに自分の家庭にまで呼び入れるくらいの同情があった。日本はみんな下宿屋に置いて帰したから、ああいうことになった。これはやはり外務省が先達になって、人間関係が樹立されなければ私はだめだ。法律上や経済上や条約上で言っても何にもならない。今までのように、東南アジアをばかにするようなことをやったのでは、実を結ばないと思いますから、私は、ここで一つ画期的な、今まで後進国と考えた、入間をばかにしないという感情を頭においてやっていただきたいことを切にお願いいたします。

中川融外務省アジア局長

○政府委員(中川融君) ただいま、鶴見委員の御指摘になられましたところ、全くわれわれも痛感しておるところでありまして、先方から、東南アジアの各国から留学生、研修生等がこちらへ参りました際に、これの受け入れ態勢、ことに心がまえというものをぜひ今後しっかりと作ってゆきたいと考えております。従来もそういう趣旨で、われわれとしても徴力を尽しておるのでありますが、まだまだ、たとえば留学生にいたしましても、せっかく政府の補助金で作りました機関に入れて、これを世話しておりましても、そとでいろいろやはり問題が起る、あるいはストライキまで起るというような事態もあるのでありまして、これはほんのちょっとした実は考え次第で、ある程度問題は解決するのでありますが、それもいろいろ今までのところはなかなか意にまかせなかったような状況もあるのでありまして、これらの点につきましては、さらにできるだけの努力をして、ほんとうに気持よく、かつ親日感を持って気持よく暮せるようにしたいと考えております。

津島壽一自由民主党

○津島壽一君 ちょっと関連しておりますから、高碕長官にお願いしたいのですが、ただいまのお話で、両国、東南アジア諸国との親善関係において、文化、特にスポーツの貢献したところが非常に多いということを私は知っておるわけでありまして、フィリピンの場合も、昔のエルサルデ外相以下が皆スポーツ好きで、これと私話して、両国の賠償問題は、心と心との間につながりができなければ、議論してもだめだろうというのは同感なんです。そこでスポーツの、向うの庭球とか水泳の者を呼んだわけでございます。向うは呼び返す、毎年向うは呼んでくれる。こちらもそれに、何というか、お返しをしなければいかぬわけですね。それを言うのですが、その問題は外貨でございます。われわれは日本で円の金を作って、やろうとしても、これは一昨年あたりは外貨が非常に窮屈でございましたから、事情は相違するのですが、外貨の問題で縛られて、結局そういうことがゆかない。インドからもずいぶん、ほかのパキスタンとかその他からも招待を受けて参ります。お返しする場合の外貨の問題、こちらが招待するその場合に、どうもこれは無理もないの、で、私はそれを非難するわけじゃありません。そういう方針がいいとなりますね。何億ドルの金を払うから効果がどうかということを、同僚委員の方からもおっしゃるくらいでありまして、わずかな金でございます。数千ドルの金さえあればどんなに大きな効果をもたらすか、現にここにおいでになる佐藤先生はインドネシア協会の会長であられる。去年も独立十周年の記念式典がある。何をやろうかというと、スポーツ選手を送る、庭球選手を送った。わずかな金です。しかも外貨を取るのにいろいろ苦労をして、出発前までどうなるかというような事態が、これは私が庭球選手であったために世話したのですが、佐藤さんも非常に御苦労なすったと思います。わずかな金です。そういうことではなかなかおつき合いができない。むしろこっちから積極的に、こちらの者が行くときにはこちらの金で行く。向うを呼ぶのはこちらの金にするというくらいな方針をお立てになって、これはスポーツに限りません。ほかの文化についても同様ですね。現実の問題はそういうことがあるのです。そこできょうの、今の鶴見委員のお話は非常にいいきっかけであったと思うのでございまして、最近にも、フィリピンから選手をよこそう、水泳とかテニス、インヴァィトしてくれと書いてきた。しかし、向うは金を払いましょうと言ってくるわけです。向うのエルサルデが金を払うから、日本は金がないだろうからという意味じゃないだろうと思いますが、スポーツの会長はマグサイサイです。先ほど長官がおっしゃったバルガスが体育協会の会長です。そういうようなわけで、政治の中心におる人は皆世話をしておるので、そうして日本は十分にこれをお返しすることさえも困難であるというのが現状です。それでありますから、過去のことを言ってもしようがありませんが、たまたま今そういった問題が出て、中川局長が大いにやるのだとおっしゃった。そういうことならば、その方面にちゃんとできるだけのことをして、きまりの悪いような思いをしないようにすることが、これは私は大事なことであろうと思うのですが、長官はどうお考えですか。私は、これはこの委員会で言うまいと思ったのですが、偶然にそういう問題が出ましたから、現実の問題としてそういうことになっておるわけなんです。でありますから、一つそういう御方針ならば、その裏づけのそういう問題が解決しなければならぬと思う。そとで、小さい問題だと思ったのですが、一つそういう御方針ならば、それに即応するちゃんとした裏づけのあれをしていただくということでなければ、必ず日比親善とか東南アジアとの提携とおっしゃっても物が動きません。これについて長官の御所見を承わっておきたいと思います。

高碕達之助自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(高碕達之助君) 従前、大蔵省といたしますれば、外貨事情の悪化するということについては非常に心配しておる結果、できるだけむだな外貨を使わないようにしたい、こういう方針でやっておったわけなんでありますが、まだこの方針は、むだなものをセーブするという考えでいくのは当然だと思っておりますけれども、ただいまお話のような問題になりますと、これはむだなどころか、非常にやらなければならぬ問題でありますから、こういうことをするがためにいろいろ心配をして、輸出を増進し、外貨事情もよくしようと、こういうわけであります。その点はよく考慮いたしまして、わずかの金で非常な効果があがることでありますし、またこうすることが一番必要だと存じております。そういう点につきましては、私ども及ばずながら十分努力いたしたいと考えております。

鶴見祐輔自由民主党

○鶴見祐輔君 今、ちょうど津島委員はこちらから出すお話でしたが、私は具体的なことをたくさん知っておる。それでお伺いしておるのですが、具体的なことは申しません。今、中川局長は留学生交換、それから研修正が来るというお話でしたが、この世話を日本の方はしてないのですよ。アメリカがしているのです。それはなぜかというと、受け入れ態勢がないのです。ですから、せっかくこちらに来た人が非常に不愉快な思いをして帰っておる。それがいけないと思うのです。今現職の大臣であったり次官である日本の人は、一つも世話をしてないのです。手が届かないのです。これは、八億ドルの金を出して死に金になってはつまらないと思うのです。ただ八億ドルの金を出して、日比賠償解決だといって世間に出して、事情を知らない方はこれでよくなったと思うが、そうじゃないのです。他から来る人がみんな不愉快な感じを持って自分の国に帰る。むしろアメリカから帰った人の方が、その国とアメリカの関係がよくなってきておる。日本は悪くなっている。日本とシナの三十年、四十年来のことを考えてごらんなさい。日本にいい感じを持ってない。ですから、これはどうしても外務省が率先しておやりになって、向うから来る人の世話を整えなければ……金じゃないのです。金と愛情が一緒に行かなければ、私はこれは死金になるということを心配するから、これは一言苦言を呈しておきます。どうぞこれは十分にお考えいただきたい。

佐藤尚武緑風会

○佐藤尚武君 先ほど津島委員から、インドネシアに庭球の選手を送った件につきまして、外貨の問題でいろいろ苦しまれたというお話がございました。私もインドネシア関係の仕事をしておりまするその関係からしまして、ずいぶん困った者の一人であったのでありますが、従いまして、津島委員の言われました外貨問題に関しましては、私は全面的にこれに賛意を表して、そうして政府がそれこそほんとうに——事スポーツに関する問題ではありまするけれども、これは国際的な大きな意義を持つスポーツなんでありまするからして、そういう点で政府においてぜひ考慮を払われるようにお願いしたいと思うのであります。留学生の問題は、今高碕長官からも言及されまして、留学生の問題につきましても同様の話でございましたが、これはぜひ一つ政府においてほんとうに慎重に考えていただきたいと思うのであります。  日比賠償の問題につきましては、私はこれは全面的に賛成をする一員でありまして、一億、二億の金を余計払うとか払わないとかいう問題ではなくして、日比間にほんとうに友好的な国交の回復をもたらすこれが一つの画期的な段階になるという、その点に私は非常に重きを置くものであります。日比賠償の行き詰っておった時代にも、この委員会で問題が取り上げられましたときに、一両回私からも、これは金の問題じゃないということを申し上げて、政府の注意を喚起したこともあったわけであります。それがこうやって締結に至ったのでありまするからして、私は政府の努力を感謝するとともに、全面的にこれに賛成を表するものであります。  ただ一つ、高碕長官の御意見を伺っておきたいと思うことは、この協定によりますると、賠償に充てるべき生産財は、フィリピン側が直接に日本の業者と交渉をして、そうしてフィリピン側が必要なものを調達させるというふうになっているように解釈しておりますが、まあそれがフィリピン側の希望でそういうふうになったということならば、それでもけっこうだと思います。しかし、直接に業者と交渉して、できるだけ中間に業者を入れないという点、それはそれだけに効果のある問題だとは思いまするけれども、業者の間で自然非常な競争が起きて、そうしてその結果、フィリピンに対しては品質の点で劣ったものを納めるというようなことになりがちではないかということを私は恐れるのであります。この問題については、先ほど小滝委員から質問があったそうでありまするけれども、ちょうどその際、私はまだこの委員会に出ておらなかったために、私の申しますることは、あるいは小滝委員のすでに言われたことと重複するかもしれませんけれども、私はそういう点で非常な大きな心配を持っているものであります。もし日本の生産財が劣等な品質のものであって、それがあちらに納入されたということになりまするというと、長い間には、日本の製品に対しまする信用というものががた落ちになってしまいはしないか、従ってフィリピン側の失望を買い、日本商品に対しての信用が落ちてしまうという、そういう日本にとりましても非常に好ましくない結果に陥らぬとも限らないという点を心配するわけであります。現にこのビルマとの賠償におきましても、日本の生産財の納入方法はやはりフィリピン賠償と同じ形になっておるのでありまするが、すでに私どもの耳にも何回となく、日本業者の間の競争は激甚で、そのために、われわれのまさに排撃したいと思うような結果をもたらしておるということを聞かされて参ったのであります。詳細な情報は私ども持ちませんけれども、すでにビルマの間にも、現実の問題としてそういう好ましからぬ結果が起きているとしたら、これは日比問題にとっても、政府としてよくお考えにならなければならぬ点じやなかろうかと思うのであります。もしあちらの注文が政府の指定する何らかの一つのまとまった機関を通じて、その注文が発せられるということであり、政府が公正にその製作を業者の間に分配するというようなことであるならば、そういった点の懸念は多分になくなるのかと思いまするけれども、協定がそういう建前になっていない以上は、それは望めません。しからば、今申し上げましたようなそういったような弊害をどういう手段でもってできるだけ除くことができるかという問題が残るわけだと思うのであります。そういう点についての高碕長官の御意見を伺えれば仕合せだと思いますが、もっともこの点は、こういう問題は長官の管轄のもとではなくて、あるいは通産大臣の方の管轄に属するのかもしれませんけれども、しかし、日比賠償を締結された当の責任者であられるし、また政府の重要な役割を占めておられる長官でありまするからして、この際伺っておきたいと思います。

高碕達之助自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(高碕達之助君) 先ほど小滝委員から御質問があったのであります。これは私は非常にむずかしい問題だと思って、心悩ましておる一つなんであります。現在の協定といたしますると、先方から賠償使節団が来る。これは一本で来るわけであります。それが日本に全権を持って来るわけであります。その全権と日本の政府との折衝の結果、何を賠償の目的にするかということは、そのつどお互いに協議されていくものであります。日本政府といたしましては、賠償使節団に対してメーカーを推薦することができることになっておるのであります。しかし、推薦した者だけでなく、賠償使節団は任意にほかの人からも買うことができる、こういうことになっております。直接買い入れ、こういうふうなことになっておるわけであります。そこで、フィリピン側で心配しておることは、日本側が勝手にカルテルを作って、高いものを売りつけるだろうということを心配しておる。けれども、私どもの方とすれば、日本側とすれば、日本側が不当なる競争をしやった結果、不当な値段で納められるということになれば、それだけ賠償の金額を増したと同じことになりますし、のみならず、一番おそれていることは、佐藤委員の御心配になっておる通り、価格を競争した結果、必然的に品物が悪いものになる。悪いものになってしまえば、これを先方で運転するということになれば、何かトラブルが起る。その結果、日本商品に対する不信を買うのみならず、この賠償そのものに対する不信を買うという結果に相なりまするから、この点はよほど考えていかなければならぬと思います。そこで、私どもが考えておりますことは、行政措置といたしまして、通産省におきまして、賠償を納付する者についてのある一つの組合のようなものでも組織して、それでお互いにそういうふうな弊害のないようにしたら、こう存じておるわけでございますが、一方こういうこともあるのですね。大きな企業——政府がやるような大きな企業は賠償の目的になることはもちろんでありますけれども、この間フィリピン政府の意向といたしますれば、中小企業も賠償の目的として持ってきて、それをフィリピンの中小企業に払い下げてやらしたい、こういう話もあったんであります。で、そういうふうな場合に相なりまするというと、日本のある一つのまとまった中小企業の企業体の資本財をそのまま持っていくというふうなことが実行されることが相当あるだろうと思っておるわけであります。そういった場合には、私は、業者とフィリピンの代表部とが直接話をするということは原則になっておりますが、場合によると、あるいは信用のある日本の商社を中に入れてやらなければならぬようなこともあるだろうと思っております。特に、経済協力として例の二億五千万ドルのあの範囲においていきます、あの方につきましては、大企業は大企業者自身が直接自分の人も送り、また交渉するだろうと思っておりますけれども、なかなか中小企業で、たとえば小さなマッチの工場があった、マッチの工場主は日本において、余った設備もなくて、何の仕事もなくて困っておるという人があったとすれば、それを向うに持っていけば、すぐさっそく使えるわけでありますが、そういった場合には、中小企業者自身が先方に行って交渉することもできなければ、またそういう調査もできないと、こういうふうなことになる。これをまとめるというととは、なかなか困難な点がありまするから、そういう場合は、今日有力なる、そして信用のある商社を中に入れて話をさしたらよくはないだろうか、こう思っております。賠償の問題につきましては、直接向うの使節団が話をするというふうなことになっておるわけでありますが、まあこの点は、ケース・バイ・ケースによって非常にいろいろな問題が起ってくるだろうと思いまして、よく通産省の方と打ち合せまして、完全に履行するように行政措置を講じていきたいと、こう思っておる次第であります。

佐藤尚武緑風会

○佐藤尚武君 私どもの懸念しておりました問題は、まさに政府側においても非常に注意を払っておる点であるということが、今高碕長官の御説明でよくわかりまして、またぜひそうでなければならぬと思っておったのでありますが、またこれに関連して、政府としてとるべき手段も、今の御説明によりまして、種々講ぜられておるということもわかりました。私どもとして大いにそれを高く評価して、政府の善処をこの上とも私お願いしたいと思うのであります。  このついでにお伺いしたいと思うことは、これは中川局長からでけっこうでございますが、ビルマとの間に何かそういったような問題で、不愉快なトラブルを起したというような実例に関して、政府のほうに情報がはいっておりますかどうですか、そういう点について御説明があれば伺いたいと思います。

中川融外務省アジア局長

○政府委員(中川融君) ビルマとの賠償実施に当りまして、ただいま佐藤委員の御指摘になられましたようなフィリピンと同じ方式がビルマについてすでに採用されて行われておるわけでありますが、その際に、われわれが聞いておりますところで、一つビルマ側から文句と申しますか、困るというような話のありましたのは、日本の業者が結託をいたしまして、どうも自由競争をやらない。普通の自由競争でやるよりは高い値で入札をする。こういう、何と申しますか、ビルマ側が文句を言っておるという事態が一回あったのであります。ビルマ側から日本政府に、自分のほうで日本の業者と直接話をしてみるが、どの業者も同じ値を言う、高い値を言う、どうも何かやっているらしい。政府がもしそういうことをさしておるのだとすると、はなはだけしからんという苦情がたしか一回あったのを聞いております。昨年中でありますが、そういう話を聞いたことがあります。それを調べてみますと、そういう事実はないのでありまして、日本側が、政府が指導してそういうことをやらしておるという事実は全くなかったのでありまして、業者間がいろいろ情報の交換等はやっておるようでありますが、そういう事実はなかったのであります。日本側としては、むしろ業者に対してあんまりそういう業者が話し合いして、ビルマ側に不信の念を抱かせるようなことはやめたらどうかと、今とは反対の指導をしたわけでありますが、そういう事態を一ぺん私記憶しております。それ以外には、ビルマ側も大体今のやり方に満足いたしまして、日本政府の誠意と申しますかについては、信頼して話を進めておるように見ております。

佐藤尚武緑風会

○佐藤尚武君 そうしまするというと、むしろ日本の業者が組合をこしらえて、不当に高い値段でもってビルマ側に売りつけるというような点で、ビルマ側の不満が表明されたということと今伺いましたが、私にとりましては非常に意外なことで、日本の業者がそういうようにまとまろうとは私は考えていなかった。もし値段をつり上げんがために組合を組織して、ビルマ側に当ったというととならば、これは今、中川局長の言われたように、日本側としても好ましくないやり方だと思うのでありますが、事実そういうことはなかったという話であります。私どもの懸念しておることは、その反対であって、日本の業者たちが業者の間で品物を納めんがために非常な競争を起し、従って値段を下げて、不当に安い値段でもって向うに納める、従って品質も低下する、そういう点にあるわけでありますが、そういう点で、今までビルマ側でもって、安かったけれども、たいへん物が悪くて困ったというような、そういう小言はなかったのですか、どうでしょうか。

中川融外務省アジア局長

○政府委員(中川融君) 今まで、そういう先方からの不平と申しますか、そういうことを聞いたことはございません。

梶原茂嘉緑風会

○委員長(梶原茂嘉君) 午前の審議はこの程度にしまして、暫時休憩をいたします。    午後零時十九分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕

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