外務委員会 第11号
- 発言数
- 90 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1956/05/15
会議録
○委員長(山川良一君) ただいまから外務委員会を開会いたします。委員の異動について報告いたします。去る十日付をもって重宗雄三君が辞任され、その補欠として津島壽一君が委員になられ、十一日付をもって菊田七平君が辞任され、その補欠として郡砧一君が委員になられました。 —————————————
○委員長(山川良一君) 次に連合審査会の件をお諮りいたします。 農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、去る二月二十人目農林水産委員会から連合審査会を開会されたき旨申し入れが参っております。本委員会といたしましては、本院規則第三十六条に基き、本件につき農林水産委員会と連合審査会を開会することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山川良一君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたしました。なお日時につきましては農林水産委員長と協議して決定いたしたいと存じますので、委員長に御一任願います。 —————————————
○委員長(山川良一君) 次に国際情勢等に関する調査を議題といたします。外務大臣から発言を求められておりますので、これを許可することにいたします。
○国務大臣(重光葵君) 日ソ漁業交渉の経過について要点だけを御報告をいたします。この経過については、これまでのことは衆議院の外務委員会には報告をいたしておきましたから、大体御承知のことと思います。そこでごく初めの方は要点だけにとどめた方がかえってお聞きやすいかと思いますから、そういたします。 この交渉は四月二十七日にわが代表がモスコーに着いて後、翌日の四月二十八日にもらすでにソ連側とは接触を保ってきたのでございます。それから二十九日には、第一回の総会、フル・ミーティングが開かれました。そうしてその総会で、漁業協定、海難救助協定、二つの協定案を日本側から提出をいたしたのでございまして、五月三日には第二回の総会が開かれまして、それと同時に漁業協定と海難救助協定に関する二つの委員会が仕事を始めております。五月四日にも五月五日にも同様に仕事が進んでおりますから、五月五日に第三回の総会がございまして、この第三回の総会でソ連側は漁業協定、海難救助協定のソ連側の案を付属書とともに提出して、そうしてその主張を明らかにしたのでございます。きょうにして交渉は進んで参りまして、五月八日には河野代表がイシコフソ連側代表とまた接触をいたして、話し合いをして交渉を進めて参ったのでございます。その際にソ連側から、かような協定をするのは戦争状態を終結して国交の回復が必要でないかというようなことを言い出しまして、そこでソ連側の意向がそういうことであるということがわかってきたのでございます。しかし、条約、協定文については交渉を進めて参りまして、条約の適用水域の決定方法とか、適用水域に対して出漁する船に対する許可証を発給することの問題とか、さようなことについて話し合いは進めていかれたのでございます。五月九日に至りまして、正午から二時間にわたって河野代表とブルガーニン首相との会見が行われました。これは新聞で御承知の通りでございまして、これについても衆議院の外務委員会で私はお話をいたしておきました。その会見におきまして、ソ連首相ブルガーニン氏は、漁業、海難の両協定を今締結するということには少しも異存はないけれども、その協定の効力を発生せしめるためには国交の回復を必要とする。その国交の回復は、ロンドンにおける交渉の方式によってもよければ、また西ドイツのやったアデナウアー方式と称せらるるものによってもよろしい。国交を正常化するのでなければ、この協定の効力を発生せしめ得ないというソ連側の意見が述べられ、そうしていろいろ懇談をいたした後に、どういうそれではふうにして暫定協定を締結するか。今漁期の迫っている本年の出漁に対して取りきめをしなければならめ状況になっているというので、そのことについては河野代表とイシコフソ連側代表との間に協議をするとしたらばいいではないか、ということになったと報告が参っております。五月九日であります。それから五月九日に、他方漁業条約や海難協定条約にはどんどん条文の整理等が行われて、さらに五月十一日には両条約の署名に際してどういう発表をすべきかというようなことまでも、話し合いは進んで参りました。五月十二日になりましては、十二日のうちに署名を終えるという、署名をしてしまおうじゃないかということの打ち合せすらできたのでございます。しかるに十二日の夜おそく、とあります、署名直前に至って、ソ連側は、本年度の日本側漁獲量を六万五千トンにする、制限区域内で六万五千トンにするという話し合いが前日に了解に達している。しかし、それは漁業に関する条約、漁業条約が発効するのでなければ認め得ないという主張を強調して、漁業条約が発効しなければ、本年度の日本側漁獲量を六万五千トンにするということは認められない、こういうのであります。漁業に関する条約が発効するというのは、御承知の通り、先ほど御説明いたした通りに、国交回復を条件としているわけでございます。そこでわが方代表から、これはとうてい受け入れることのできない条件であると言って、強くソ連側の再考を要請したのでございます。要請しましたところが、先方のイシコフ代表は、それではブルガーニン首相と協議をしなければならぬので、日曜をおいて十四日に御返事をするから、それまで出発を延期されたいという回答をして、ここで十四日の先方の返事を待つことに相なりました。その返事がどういうものであったかという内容の的確なことは、報告をまだ受けておりませんが、しかし今朝得た公報によりますと、こう書いてあります。本年度出漁に関する暫定取りきめについて話まとまり、今夜調印の予定、こういう電報がきておりますから、おそらくわが方の強く撤回を主張した、ソ連の十二日に持ち出した、本年度の日本側漁獲量六万五千トンについては、漁業に関する条約が発効するのでなければ認め得ないという点は、日本側の満足するように変更されたものと思われます。そのために話し合いまとまりと、こういう電信がきておると考えます。まだ調印をいたしたという公電には接しておりませんが、予定の通りに調印ができたものと、こう思われます。これが今日までの経過でございます。 以上御報告を申し上げます。
○委員長(山川良一君) それでは国際情勢等に関して、外務大臣に質疑のおありの方は、順次御質疑を願います。
○羽生三七君 経過は今外務大臣から大要を承わりましたし、また新聞、ラジオ等を通じて大体のことは承知をいたしておるのでありますが、ただ一、二点お尋ねしたいことは、前々から私どもとしては、日ソ間の漁業問題を解決するためには、本格的な日ソ国交回復を必要とするであろうし、それがまあ前提条件になるであろうということを申してきたわけであります。私どもあえて先見の明を誇るわけでも何でもありませんが、その通りな成り行きを示しております。そこで今度この漁業協定が、多分今ごろ、本日調印をされておるでありましょうが、それは非常にけっこうなことだと思います。しかし私は、内容的にいってかなり不手ぎわがあると思う。しかし、詳細がわからないのに今それをことあげしても仕方がありませんから、事態が明らかになるまでかれこれは申しませんが、ただ一つここで明らかにしていただきたいことは、七月末までにソ連と平和条約の交渉を再開するということに日本が同意して、それが条件となって前から問題になった条約発効のときに漁業協定が効力を発生するというのを、協定調印のときに効力発生になるようソ連が妥協してきたのでありますが、しかし、従来の経過に徴して、そう簡単にソ連が私は妥協するはずはないと思うのです。というのは、それでは協定に調印をした、効力は発生する。しかしロンドン交渉にしろ、あるいはアデナウアー方式にしろ、これはきょうあすの問題ではない。先にゆきます。ところがその正規の交渉が始まったときに領土問題等でひっかかって、また再び中絶または決裂することがないという保障はどこにもない。そうだとすると協定だけは認めたが、実質上の日ソ間の国交は再開に至らないということもあり得るので、通俗的な言葉でよくいわれておる食い逃げというやつです、あり得るのでありますから、おそらく河野代表が、日本側としてアデナウアー方式にしろ、あるいは正規の平和条約方式にしろ、いずれにしても領土問題等について、ある種の了解を与えて、そして最終決定の日取りはきめた、そこまできめたかどうか知りませんが、とにかく何とかいたしましょうということで、そういう含みがなくて、この協定調印の日に効力を生ずるというような合意ができるはずはないと思います。これは従来の経過に徴して明らかであろうと思う。でありますから、私はそのことは決して悪いとは言いません。悪いとは申されぬ、私はそういうことになる道行きであるし、また非常にけっこうなことと思いますが、しかしこういう重大な問題があいまいにされたままで、無条件的に協定が行われるとは思いませんので、この種の問題について政府に何らかの報告があったか。かりに報告がなくとも外務大臣としてはどういう御判断をなさるか。私が今申したようなことが筋道ではないかと思うのですが、いかがでありましょうか、まずこの点をお伺いいたします。
○国務大臣(重光葵君) ちょっと、協定調印のときに合意が成立するという、何のことですか、どの問題ですか、協定調印のときにあなたは合意が成立すると。
○羽生三七君 漁業問題の解決の実質的な効力ですね、それは協定調印のときが効力を発生する日ですよ。ところが最初はそうでなしに、本格的な講和条約が結ばれるときに、つまり本協定は条約発効のときに効力を発生するといわれたものが、今度は協定調印のときになったでしょう、そうじゃないですか。
○国務大臣(重光葵君) そんなことは私は言わない、どういう……、何かそこにあるのですか。
○羽生三七君 いや、大臣の御報告はどうか知りませんが、そういうものじゃないですか、どうですか。
○国務大臣(重光葵君) 暫定協定ですか。
○羽生三七君 暫定協定ですよ、暫定協定の効力の発生するときですよ。
○国務大臣(重光葵君) ああわかりました。それじゃ。それはまあ今日申し上げることは事態を明らかにするために申し上げておるので、私は意見は保留します。すべて意見は申しておるわけじゃございません。 そこで今の問題ですね、問題は漁業協定というものがあるわけです、できるわけですね、魚族保護に関することを目的として。それから海難救助のこの二つの協定がありまして、その二つの協定がどういうふうに政治問題とひっかかっているかということをまず明らかにします。それは漁業協定では第八条、海難救助の協定では第七条に同じことが書いてあります。それはこういうことであります。これらの条約は、日本国とソビエト社会主義共和国連邦、すなわち日本国とソ連との間の平和条約の発効、平和条約の効力発生の日です、日または外交関係の回復の日に効力を生ずるとこう書いてあります。そういうことでありますから、この二つの協定の効力が発生する時期は、日ソの間に平和状態が回復されるときに効力が発生するということになっております。たとえば平和条約をロンドン方式で交渉するということにすれば、平和条約ができて、その平和条約がたとえば日本側においては国会の批准を得て効力を発生して、ソ連との間に批准交換をするということに規定がありますならば、その規定に従って交換をしたときから効力を発する。それまでには漁業条約も、海難救助の協定も効力を発生しないということがここに規定になっております。これはまあ明らかであります。 そこで問題は十二日に何が問題になったかというと、本年のつまり出漁が問題になったことは明らかであります。本年出漁するのはもうどんどんやっているわけです。時間がない。それがもしソ連の側の言うように漁業条約が効力を発生したときに効力が発生するということになったらちょっといつのことかわからない。ことしの出漁期には間に合わないから、そんな話をしに来たんじゃないということで、本年の出漁は別の問題である、別の問題であるから、これは本年の出漁はできるように一つ話し合いをしてもらいたいというのがわが方の立場であったに違いないのです。これは詳細の報告は得ておりませんけれども、それに違いないのです。そうであるから、さようなことでなくして、今すぐことしの出漁ができるようにしてもらいたい。こういうことでもみ合った結果、それならばできるようにしようということで話し合いがついたと思われます。どういう文句で話し合いがついたかということは報告に接しておりませんから、これは申し上げることはできませんけれども、話がまとまってこれを調印するというのでありますから、ことしの出漁はできるように、六万五千トンの漁獲ができるようにソ連もそこは譲歩したものと判断するよりほかにしようがございません。そういうことでそれはできたものである。そこでさような取りきめも漁業条約が発効しなければできるわけがないじゃないかという、これはお見通し、御議論でございます。それはそういう見通しも非常にある意味で正確であったのでございます。ソ連がそういう工合にしてそういう条件を要求してきたわけでありますから。しかしながらこれはもう初めから国交調整なんぞ持ち出すのは、これは自分らがたびたびそういうことを言っているので、先見の明を誇るわけじゃないけれどもその通りだ、こう言われます。私もそれはそういうことで、しかしながらソ連がどういうことを持ち出すであろうか、漁業協定をし、その他の協定、たとえば抑留者の送還をするのは、国交回復の後でなければ送還ができぬという、ソ連が強硬な態度をとっている、これはソ連の態度を想像するということはあまり困難ではございません。これは私どもも非常にソ連の態度というものは厳重であることを、ロンドン交渉の経過においても、また一般の判断においてもこれは当然しておるのでありまして、問題はそういうことに対して、それを見通しておったんだと言って今それを言うということよりも、一体ソ連のそういう要求に対して、日本側はこの際どういうふうな決定をするかということが今、日本側の差し迫ってやらなければならんことであると思うのでございます。そういう点については、むろん政府としては慎重な検討を経て決定をいたすつもりでございますが、これは今日の問題でなく、近き将来の問題でございますからそれはそれに譲りまして、今日の事態は明らかにせしめる必要がございますから、私は間違いのないと思うことを今申し上げたわけであります。
○羽生三七君 いずれにしましても、詳細はこの条約の成文等ができてきてからお尋ねするのが筋でありますから、こまかいことは何も申しません。ただもう一言繰り返して申しますが、私のお尋ねしたことは、こういう話し合いが成立したことは、単にいつロンドン交渉を再開するというような形ではなしに、アデナウアー方式でやるとか、あるいは最終的には領土問題についてある種の了解を与えるとか、そういうことなくしてそう簡単に、最後に、一度暗礁に乗り上げたものがもとに戻るはずはないと思うから、相当ある種の重大な口約を与えたと思うのですが、そういうことについては御存じないかどうかをお尋ねしているのです。
○国務大臣(重光葵君) そういう点につきましては、これはむろん重要なことでございますから、私は私の持っておる公けの報告に基いて、何と申しますか、全部申し上げているわけでございます。従いまして、さようなことを今私として推測し得る材料はございません。
○羽生三七君 このことはこれ以上申し上げません。あとは事務的なことを一点だけお伺いしたいと思いますが、この協定は海難救助協定とそれから漁業協定、この二本立てですが、二つとも協定というようなものか、それとも条約というようになっておるのか、その辺はどうですか。
○国務大臣(重光葵君) 漁業取りきめの方は条約の形であります。条約という文句を使っております。海難救助の方は協定ということになっております。実質は何も変りはありません。 ちょっと私は一言さっきの説明につけ加えておきたいと思います。この海難救助の協定の第七条に、漁業条約の第八条と同じ趣旨の条文があると先ほど申し上げましたが、すなわち両方の国の間の平和条約の効力の発生の日、または外交関係の回復の日に効力を生じ、とこういうことがあるということを先ほど申し述べましたが、私は衆議院の外務委員会で報告するときには、もう海難協定はちょうどでき上ったといって報告を受けたときでした。そのときにはこう書いてございました。平和条約の効力の発生の日に効力を発生する、とあって、または外交関係の回復の日、という字はございませんでした。それでそういう報告をしておきましたが、そのときには、河野、ブルガーニン会談のときには、ロンドン方式か、または棚上げ方式かという話があったのだから、どちらでも意味しているのだろうというようなことを想像して付け加えてはおきましたが、ところが今度は最終的に得た報告によれば、漁業条約における文句と同じことになっております。はっきりと同じことになっております。それですから今日においては、つまり両方いずれかの方式によって国交回復をしたのちに効力を発生する、こういうことについては同様であることを申し上げます。
○羽生三七君 もう一点、そうするとあれですか、漁業協定第八条、海難救助協定第七条に関連する今の政治問題というものは御説明通りだというと、条約発効するまではこの当面の暫定的な漁業協定も効力がないということになるわけですか。
○国務大臣(重光葵君) いやそれは少し羽生さん、あなたは誤解されているのですが。
○羽生三七君 いやそれは大臣、第八条と第七条はそのまま生きているのですか。そうするとあとはどういうことになるのですか、もう一度御説明願いたい。
○国務大臣(重光葵君) ですからきわめて何は明瞭ですよ。二つの条約ができた、この二つの条約の効力発生はおのおの八条及び七条によって国交回復、すなわち国交回復ができたあとじゃなければ効力が発生しないと書いてある。だからそれははっきりしているわけです。それは今十二日からすったもんだした暫定、ことしの出漁の問題とは関係ないわけです。それでおわかりでしょう。
○羽生三七君 そうすると本年の出漁の問題は紳士的な紳士協定で……。
○国務大臣(重光葵君) そうと御了解になって差しつかえないと私は思います。紳士協定がどういう形になってできたか別として、これは本年の出漁はできるのだ、六万五千トンはとれるのだ、こう了解されて私は間違いないと思います。話し合いがついたというのはそこであって……。
○羽生三七君 もう一点だけ。その紳士協定の六万五千トン、三千二百五十万尾ですね。これはやはり何か条文の中に入っているのですか。附属文書とか何にもなしに……。
○国務大臣(重光葵君) いやそれは何も別に、暫定協定々々々々というふうにいつの間にかなってきましたが、それが果して条文の形になっておるかどうか、交換公文の形になっているか、共同声明の形になっておるかそれはわかりませんが、取りきめには違いない、それができているのだと思います。
○須藤五郎君 今度の日ソ漁業協定に関して、先日いろいろな危機に面したときに河野さん初め政府は、ソビエトが突如として政治的な要求を出してきたからああいうことになったので、今度成立に至ったのはその政治的な要求を撤回したからだ。こういうふうに言っておりますが、これはどういうことを言っているのであるか、外務大臣に伺います。
○国務大臣(重光葵君) その点については先ほどはっきりと御説明した通りでございます。あれをあの通りに御承知になっていただきたい。
○須藤五郎君 もう一ぺん外務大臣説明して下さい。
○国務大臣(重光葵君) それは十二日になって、本年の出漁についても漁業協定が発効しなければその出漁に対する合意は効力を発生しない、というソ連側の申し出があった。そうすると本年の漁業はできないということに、合意の上ではできないということに結局なる。そこでわが代表は、これは承諾することはできぬといって強くソ連側の反省を求めた。それに対してイシコフ代表はブルガーニン首相と相談をして、十四日に回答をしようということで、十四日に回答をしてきたわけであります。それによって話し合いがついて、本年の出漁については従来通りの話し合いによって出漁ができるようになった。こういうふうな経過になっております。
○須藤五郎君 いかにも政府の言い方は、ソビエトが無理難題を言っているというふうに思わせるようなことが多いと思うのでありますが、そのソビエトの要求というのは、それは最初からわかっておったのであって、大体河野代表がソビエトへ出かけるときからそのこともちゃんとわかっており、そうしてそういう四月の十日にソビエトから日本の申し出に対する回答がきたときに、すでにその回答の中にそういうことは読み取られておったのではないだろうか。それを受諾して実は日本の代表は出かけたのであるが、それをことさらに日本側が政治的意図を持ってですね、自分の要求だけ押し通そうというふうにソビエトの回答をゆがめていったように思う。むしろ、政治的意図をもって一方的にものを解決しよう、という考えを持っておったのは日本ではないか、と思うのでありますが。
○国務大臣(重光葵君) 非常に日本を非難されて(笑声)そうしてソビエトを擁護される御意見の発表がございました。この漁業の問題及び海難救助の問題について双方とも交渉をしよう、話し合いをしようということになってこの交渉が始まったのでございます。そこでですな、そういう問題に関して交渉によってすべて意見の交換が行われ、そうして交渉の妥結を見るという順序になることは、これは当然のことであるし、またそういうことが目的でこの交渉が始められたものと了解をいたしております。そこでこの交渉においてですな、本年の漁業が双方の合意の上で漁業が制限区域においてもできると、ソ連側の一方的にこしらえた区域においても、やっぱり合意の上で漁業ができるというふうにこれは持っていかなければ、漁業協定をこしらえるとか何とかいっても無意義なことになります。無意義というのは、本年の漁業は差し迫ってもこれは合意の上ではできぬということになれば、いかにも残念でございます。双方が合意をして漁業をできるようにするという、その努力をすることは当然のことでございます。そこでソ連としては、ソ連の考え方をですな、この交渉において言い、日本は日本の考え方を言うことは、私としてはそれはしごく当然のことのように考えます。そこでソ連もその合意に達して本年の出漁はできるようになった。合意の上でできるようになったということは、私はこれは非常にけっこうなことのように考えます。決してソ連側を誹謗するとか何とかいう考えを少しも持っておりません。ソ連側も十分主張をして、しかし日本側の受け入れられない主張を撤回してくれたことは、これは非常に私は多としなければならぬと考えております。そうして合意ができたのでございますから、これはけっこうなことだと思います。
○須藤五郎君 あなたたちに、ソビエトがこれを撤回してくれたということは非常に好意的だといって、感謝する念があれば、それで話し合いがついていくと思うのだが、それを一方的にソビエトが強引にやっておるというふうに、あなたたちが従来国民に思わそうとしておるところに、私は話し合いの精神に欠けたものがあると思うから、この点を言っておるのだが、今度のソビエトの態度というものは、一貫して昨年のローマ、ジュネーヴ会議、あの精神にのっとってやっておると僕は思う。ところがあなたは重大な責任がありながらこの間のローマ、ジュネーヴ会議の内容に対して質問したときに、何ら知らないと答えておる。実に僕は驚いた答えだと思ったのでありますが、そのような重大な会議に対して何ら知識を持たないで、あなたは河野さんが出発するときにどういうふうな指示を与えてどういうふうにこれを持っていこうという考えをもっておったか。ソビエトは一貫してローマ、ジュネーヴのあの会議の精神によってずっとやろうという方針を今日も少しも変えない。あなたは最高責任者でありながらその会議のことを一向知らなかったということは、驚くべきことだと思いますが、どうですか。
○国務大臣(重光葵君) 私はそれらの問題についてはすでに御答弁をいたした通りでございます。ジェネバの何を知らないというようなことを言ったか言わないか、実は今記憶にございませんから、これは調べて……(須藤五郎君「冗談じゃないはっきり知らない。」と述ぶ)しかしながら日ソの交渉をうまくやることが、円滑にやることが重要であるという際に、私の方からそういうような今言われたようなことの御意見を常に吐かれることは、それ自身が果して日ソの交渉を円滑にするかどうか疑わしめるような御意見の発表のように思う。(須藤五郎君「ばか言っちゃいかんよ、でたらめ言っちゃいかんよ」と述ぶ)私が今日説明しておることは事実を事実として説明しておるのであって、それ以上にはわたらなかったことを重ねて申し上げておきます。
○須藤五郎君 僕たちは、日ソの交渉をすべて話し合いによってやっていきなさい、今度の会議には必ずローマ、ジュネーヴの精神の上でソビエトは話をするにきまっておるから、日本もその精神に従って話し合いをしなさい、円滑にまとめなさい、こういうのが私たちの主張です。ところがその精神の根本になっておるところのローマ、ジュネーヴ会議のことすらあなたは知らないとこの間答えておる。かような無責任な外務大臣は、どういう指導をしてこれをやろうとしておったのか、そういう点を私たちは言う。私たちこそほんとうに話し合いによってすべて問題を円滑に処理なさいと私たちは言っておる。あなたはそういう精神に欠けておるという点を私は指摘しておる。今度幸いにソビエトが友好的な精神でこれを解決してくれたから、今度の漁業問題も解決したが、あなたたちの立場でやったら解決するところじゃない、変なことになってしまうおそれがあったから私たちは言っておる。それを何ら反省することなく、そのようなことを言っておるのでは、これはもう全くあきれ果てたものと言わなくてはならないと思うのです。とにかく今度、こういう結果になって、幸いにソビエトの好意によってこういう結果がきたから、これは大へんいいことだと思うのです。これで国交回復の端緒もできたと思うのですが、ここで私は質問したいのは、この国交回復の再開を七月末日ときめたという点はどういうところにあるのか、その点を伺いたい。このような問題は、七月末日なんということは必要ないのです。即刻始めたらいいことなんです。だから、ソビエトが国交を回復すると同時にを条件とするならば、即刻この会議は進めるべきもので、七月末日まで放っておく必要はない。ここに、あなたたちの精神に理解のいかない点があるので、ちょっとこの点お聞きしたい。どうですか。
○国務大臣(重光葵君) あなたの理解のいかない点は、私の方から申し上げたいのでございます。(須藤五郎君「言ってごらんなさい」と述ぶ)しかし、そういうことを言っておってもしようがないですから、七月三十一日までに国交に関する交渉を開きたいということに交渉の経過がなっておると、こういうことは、これは事実を申し上げておるのであります。それがいいか悪いかということは、今日は私は申し上げられないのでございます。そういうことを正確な資料に基いて報告をいたしておるわけでございます。
○須藤五郎君 七月末日としたことは、国内問題であるごとく河野さんが言っておる。いわゆる参議院選があったりなんかするということをこの理由として、七月末日ということをあげておるようですが、これは理由にならないと思うのです、僕は。国交回復交渉を再開するのは直ちにやったらいいことで、国民がそれを希望しておるのであるならば、七月末日などという日にちを切る必要はない、即刻開始すべきものだと私は思うのです。それから、こういうふうに七月末日ときめたこの中には、もうとにかく暫定協定で、ことしの点きえとってしまえば、あとはもうどうでもいいのだという政府の従来やってきた無責任な態度がここに現われておるのではないだろうか。すなわち七月末日から国交の回復の交渉を再開するが、また以前のように不成立に終るようなところに、とにかく日本政府としては持っていくつもりがあるのではないだろうか。魚さえとってしまえばあとはもうどうでもいいのだという気持が、この七月末日ときめた中にあるのではないかということを私は言っておる。どうです。政府は必ず七月末にやって、今度は国交回復を妥結させようというほんとうに誠意をもって、この七月末日ということをきめたのであるかどうか。
○委員長(山川良一君) 須藤君、質問ですか。どうしてきめたのかという、
○須藤五郎君 そうです。そういう誠意をもってきめたかどうかということのです。
○国務大臣(重光葵君) 私は、モスコーにおける交渉の経過を説明しておるのです。その交渉の経過においてそういうことになっておるということを説明をいたしたのであります。それが将来どう取り扱われるか、またはどういうふうな決定を政府がするかということは将来のことでございます。今日は申し上げられません。
○須藤五郎君 それじゃ七月末日に再開はするが、その結果がどうなるかまだわからん、そういうぼやっとしたものなんですか。それとも、今度再開した暁には必ず成功させよう、そのために、ロンドン方式をとるか、アデナウアー方式をとるかということにかかるだろうと思うのですが、どちらの方式をとるにしろ、今度は必ず成功させよう、そういう誠意を持っているのかどうか、先のことはわからんという、そういう無責任な態度じゃなく、そこを一つ伺いたい。(「議事進行」と呼ぶ者あり)まだ質問がある。
○国務大臣(重光葵君) 今御説明いたした通りであります。 〔小滝彬君「議事進行」と述ぶ〕
○羽生三七君 須藤さんの質問に関連して、私あと一問したいのですが、これだけよろしゅうございますか。(「どうぞ」と呼ぶ者あり)実は、この条約が出てきた場合には、今国会の承認をもちろん得るのでありますか。
○国務大臣(重光葵君) うん、うん。
○羽生三七君 そうすると、今国会の承認を得るというと、とにかくまあ二国間で重要な条約について、国交回復はとにかくとして、一応の合意ができるわけですね。それを破棄するなんということは、私は、これは今の須藤君の質問に関連してですが、あり得ないことだと思うので、この漁業条約に調印をし、これを国会が承認をすることは、同時に国交再開を意味する。そうしなければ大国間の信義に反する、私はこう思いますが、そういうことになるんじゃないですか、またそうなりうべきじゃないですか。
○国務大臣(重光葵君) この条約を日本が承認する場合においては、承認すると決定をいたした場合においては、それによって手続がとられなければなりません。政府がそう決定をすれば、手続がとられなければなりません。その手続はまた、国会の承認を得なければならないことを含めておると思うのであります。そうして国会がどういうふうに考えられるかということは、私何も申し上げることはむろんできませんし、また差し控えなければなりません。政府の決定を申し上げる時期ではございませんし、お話の通りに、かような何が、政府代表によって調印のところまで運んでおるということが重要な意義を持っているということは、これはむろんのことであろうと考えます。まあ御議論の点は、将来十分伺うことにしようじゃありませんか。
○小滝彬君 議事進行。(「待ちなさい」と呼ぶ者あり)今御説明ありましたし、まだ十分の報告も来ていないようですから、一応羽生さんの質問に対してもお答えがあったし、須藤君からいろいろ意見の開陳もあったのですが、十分な資料がないとすれば、大体きょうはこのくろいにして、日ソ交渉のもう少し詳細な報告があってから、さらに質問を続行することにしたらいかがでしょう。
○委員長(山川良一君) ちょっと須藤君、先ほど大臣から、まだ詳細な報告もないし、いきさつ等もわからないから、その事実についてのお答えはするけれども、意見を求められても、それは返事いたしかねるという発言があった、それは同感だろうと思う。そうすると、事実についてもう少しはっきりさしておきたいということがあれば一つ質問していただくことにして、どうであるかという意見を求める方は、一つ内容がはっきりしてからと、そういうことにして……。
○須藤五郎君 意見だといえば、これは意見になるかもわからんが、このような重大な約束をしておいて、今度七月末から始まる国交再開に対して、誠心誠意当るという用意があるのかと尋ねるのに、誠心誠意やるという答えがどうしてできないか。先のことはわからんというような、そんなぼやけた答えではいけないですよ。
○羽生三七君 須藤さん、重要なことがある。今の私の質問に対して外務大臣は、この条約は今国会にといったと ころが、そうだとおっしゃったが、今ちょっと、ここでプライベートにささやいたところでは、今国会というのは、第二十四国会とは限らないというお話があったので、これは私非常に重要だと思いますが、これはどういうことになるんでしょうかね。
○国務大臣(重光葵君) 御質問の点が私にははっきりしませんでした。こういう御質問の点だと思ったのです。国会にかけるのかかけないのかという御質問だと思いました。国会にかけるつもりであるということをお答えしたのでございます。
○須藤五郎君 とにかく漁業問題を初めあらゆる問題で、ソビエトと日本との交渉に関して非常に不明朗な点の出ておることは、私は特に外務大臣の責任だと思う。外務大臣が世界情勢の把握に非常にあやまちを犯し、ソビエトの合理的な措置に対する判断をあやまち、こういう混乱を来たしておる。これは僕は、外務大臣の政治的責任を追及すべき段階でないかと思うのですが、外務大臣はあくまでも頬かむりで今後やっていくつもりかどうなのか、その点を一点伺っておきたいと思います。
○国務大臣(重光葵君) むろん外交のことに関しましては、外務大臣の責任でやっていることは当然でございます。いろいろ御意見の差はありましょう。しかし、国際情勢その他に対する私の見込みは違っておったというふうに、いかにも断定的なことを言われるけれども、私はそういう点においては違っていないと思う。今回の漁業交渉にしたって、いろいろ難関もあるということは、初めから私は申し上げてきたつもりであります。しかし、これは難関を突破しなければならぬことは当然です。
○須藤五郎君 ロンドン交渉の失敗だって、あなたの責任じゃないですか。
○羽生三七君 最後に一点だけ伺います。 先ほど外務大臣は、問題が明らかにならないのに、かれこれいろいろ意見をいわれても因るとおっしゃいましたが、これはある程度わかります。条約の協定文の内容すら、全文が必ずしも確たるものでない際に、委員会でかれこれいうのもどうかと思います。しかし私は、外交の最高責任者たる外務大臣が、出先の河野代表がどういう話をしたかよくわからぬからということで、すべて避けておられますが、むしろ積極的に訓令を発して、こういう方針でやりなさいというくらいな気魄がなくて、日本外交というものはできるはずがないと思う。しかも今、妥結が大体できるというお話があって、しかも妥結できるならば、当然今国会にかかるだろうと思うと、それは国会という意味で、何も今国会ではないという。一体本年限りの暫定取りきめで、あとは本協定はどうなるのかという重大な問題にぶつかると思う。しかし本日、この委員会でこれ以上かれこれ申す筋もないと思うから、日を改めて、もっと事態を明らかにした上で根本的なお尋ねをいたしたいと思っております。
○国務大臣(重光葵君) お答えします。私は何も、詳細にわからないから、それに隠れてどうしようというようなことは申し上げたことも、そういう気持を表わしたこともないはずです。私は、自分の得た公けの資料に基いて、なるべく正確に詳細に国会にこれを諮ることが私の義務だと思って、それをやっておるわけでありまして、それについて、まだこれでは足らぬ、これでは足らぬと、何か隠したことがあるのじゃないかというような意味のことであるならば、私は受けつけるわけにはいきません。私は、もう詳細的確に資料をそのつど出しております。それからまた、協定が調印になった上で、それがすべて集まれば、これはもうでき得るだけすみやかにこれを国会にも出し、国会に出すということは、皆さん方のよく研究のできるように一つ取り計らいたいと思うのみならず、一般の国民にも知らせる方法をとりたいと思う。その上で議論を伺いたいと、こう申しておるのであります。
○羽生三七君 私は、何もこまかいことを掘ろうというのではないのです。問題は、政府の中で意見が二つに分れておるので、ことごとく日本外交が損をしておる。足踏みをしたり、遠回りをしておる。だから、こういう事態を明らかにしていき、そしてなるべく国が一本の立場になって、しかも強力な外交を推進できるようにと思って、いろいろ言っておるので、こまかく言って、あげ足をとる意思はありません。
○須藤五郎君 重光外相に伺いますが、七月末に始まる日ソ交渉に際して、ロンドン方式を固執されるのか、それともアデナウアー方式でやろうと考えておるのか、その辺いかがですか。
○国務大臣(重光葵君) 意見をまだ決定をいたしておりませんので、そういうことを申し上げる段階に達しておりません。
○小滝彬君 先ほど委員会に諮っていただきたいと言いましたけれども、もうこれで須藤君の質問も終ったようでありますから、それは諮ってもらわなくてもけっこうだと思います。私どもは、お互いに良識をもって、なるべく発言の制限なんかはしないで、自由にやっていただきたいと思って、われわれは遠慮しておったわけであります。私は、そのときどきの段階において大いに質問をやってもらうのはいいが、今日のような状況で、同じような質問が出るというと、各会派に時間を割り当てなければならぬということになるので、その辺を一つ委員長において適当に取り計らっていただきたいと思います。
○委員長(山川良一君) ただいま小瀧君から御意見がありましたように、まだ本件につきましても御質問のある方が多いかと思いますが、もう少し内容、経過等が詳細になりました上で、重ねて本委員会で検討することにいたしまして、本日の国際情勢等の調査につきましては、この程度で終りにいたしたいと存じます。さよう御了承願います。 —————————————
○委員長(山川良一君) それでは、次に国際金融公社への加盟について承認を求めるの件を議題といたします。 本件に対し御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
○羽生三七君 それでは、国際金融公社に関して、先日お尋ねした残りを二、三お尋ねしたいと思います。 それは、最近の米ソ両国の対外援助計画を見ますと、それぞれ異なった持ち味が出ておると思います。特に最近になりまして、NATOの理事会なんかでも、やはり軍事力一本の対外援助よりも、むしろ経済力にウエートをおいた方がいいじゃないかというような意見もあり、さらにまた、国際連合におきましても、国連を通じて基金制度を設けて、対外援助をやった方がいいということで、この問題も現在進行しておると思う。ですから、米ソ両国の二大陣営が、それぞれ異なったような対外援助をやって、かえって世界の緊張を高めておるということよりも、国連一本にまとめて対外援助をやるということの方がいいようにも思われるのでありますが、そういう大局的の点はともかくとして、アジア全体に関する日本の対外援助計画といいますか、投資計画といいますか、開発計画というか、そういうものは一体どういうふうであるべきとお考えになるのか、この点に関して日本政府のまとまつたお考えがあったら承わりたい。
○国務大臣(重光葵君) その御展開になった御議論、非常に私は大きな点であり、かつまた、日本としては非常に重要視しなければならぬ点だと考えます。日比賠償はようやく結末を告げたのでございますが、さようなことも、非常にそういう大きな問題に対する一つの布石となることを希望いたしておるわけでございます。 どういう案があるかというふうな具体的な案については、こういうふうな案でいこうというはっきりしたことをまだ申し上げることのできないことを遺憾とします。いろいろな考え方があるようでございますが、しかし、この問題について、根本はまず、日本において日本自身がどういうことをなすべきか、またなし得るかということから出発しなければならないように存じます。いろいろな方面で実際的の検討をやっておるようでございますが、民間の検討も十分歓迎して、その結果を参考にいたしたいと思って、いろいろ研究をいたしています。政府筋はむろんのことでございます。さようなことを御答弁申し上げるのであります。
○羽生三七君 いずれ、きょうはもう時間も切迫しておるようですから、私は、日比賠償等は十分機会がありますから、そのときに譲りまして、あと私は、大臣以外の政府委員に御質問します。
○佐藤尚武君 この国際金融公社協定に関連して、若干政府の態度を質問したいと思います。今、羽生委員からその問題について触れられた点があったように伺います。というのは、こういうような低開発地域に対する援助は、国連一本にまとめてやる方がいいんじゃないかというような御意見であったと伺いましたが、私自身も、全くそういう同じような考え方を持っておるものであります。今回のこの国際金融公社協定を見まするというと、その説明書にもありまする通りに、昭和二十九年に、アメリカ政府はこの問題に対して賛意を表したということから急速に発展をして、今度の協定を見るに至ったということでありまして、とにかく世界の一番大きな資本を供給し得るアメリカが賛成をして、そうして金融公社ができたとしますならば、それは私は大へんにいいことであり、また将来の仕事の上にもかなりの、相当保証がなされておるものと見るわけであります。ところが、他の報道によりまするというと、同じアメリカ政府自体でもって、国連を通じての低開発地域に対する援助をあまり賛成しないという報道も入っているので、私たちは大いに迷うのであります。また、そういう異なった意見がアメリカ政府内で行われているというようなことが事実であるとすれば、はなはだしくそれを遺憾に思うものであります。もっともこれは、他国政府の態度をかれこれ批判するということは、これは穏当ではないので、私はその点についてあまり触れたくないのでありまするが、国連を通じての援助をもっと増大しなければならぬということは、つい最近アメリカの国連代表、ロッジ代表ですか、それによって提唱されたということが新聞に報道されております。これは私、非常に意義のある意見だと思って読んだのでありますが、それによるというと、これまでのアメリカの対外援助というものは、国連以外で行われている方がずっと多い。そうして国連を通じておる援助はきわめて少いということを指摘しておりまするし、同時にまたロッジ代表は、今後のアメリカの方針としては、国連を通じてそういう援助をするのが一番望ましいことであるということを、強くワシントンでもって言っておるように見えるのであります。私は、そのロッジ代表の意見なるものがどれほど高くワシントンで評価されておるか、これは存じませんが、そういう問題について、政府として何か重要な報道をお持ちになっておるかどうかということをまずお聞きしたいと思いますが、この国連を通じての援助問題に関しましては、最近また別な方面から大いにこれを推奨しておる向きがあることを承知しました。それは、この五月十一日に終ったユーゴースラビア大統領とフランスの首相とのパリにおける会談のあとで発表されたコミュニケによりまするというと、「フランス、ユーゴー両国は、未開発地域に対する国際的援助は、世界各国が国連のワク内で努力して果すべき基本的責任であると考える。ユーゴー政府は、国連に世界経済開発機関を創設しようとするフランスの計画に共感をもって注目した。」ということが書いてあるのでありますが、これらは、今申し上げましたアメリカのロッジ代表の意見と全くその軌を一にするものと見なければならないのでありますが、そうかと思いまするというと、今度はまた別の方面で、国連のらち外で援助機関をこしらえようという意見が、しかもまた、有力な意見がアメリカ方面から伝わってきて、それは、この三月の二十日ごろに日本を通ってボンベイに行きました米国大統領の財政顧問エリック・ジョンストンという人でございますが、それがボンベイのロータリー・クラブでもって発表した意見、三月二十八日ということでありますが、その意見によりますというと、アメリカが中心となって、エーシア・ディヴェロップメント・コーポレーションというものを作りたい。その資本金は十億ドルとして、たしかその半額はアメリカでもって負担したいというような意見、そうして、これでもってその低開発地域の何を援助しようと、企業の発展、発達に寄与しようというような意見らしく新聞の報道で見ておりますが、片一方では国際金融公社を初め、国連のワク内でもって低開発地域のため援助しようと言っておきながら、同じアメリカのそういった有力な、たとえば大統領の財政顧問というような人がまた別個の考えを持って、しかもそれは、国連を通じての援助よりは、もっともっと大きな資金を注ぎ込んでやろうというような計画を持っているということは、これでもってわかるのです、その上に、このエリック・ジョンストンが日本を通った時に、これは、私は新聞で読んだので、御本人に会って突きとめたわけではありませんが、わが大蔵大臣、一萬田大蔵大臣がこのジョンストンに会い、そうしてその計画に対して表明しておられたような報道が新聞に出ておったのであります。一体こういうことはどういうようなことになっているのか、われわれとしては、このジョンストンの計画のごときものを、すべて国連のワク内でやったものならば非常にすっきりしたものになるし、また援助を受ける国にとりましても、国連のワク内、つまり国連の旗じるしのもとに援助を受けるということであれば、安心して受けることができる。つまり大国の資本のひもつきということがなければ、また資本投下による重圧を感じるという心配もなければ、よしんば資本の大部分がアメリカの資本であっても、国連の旗じるしのもとに投下されるということであれば、それはもうすでにアメリカの資本ではなくなるのであります。また労力をいずれ提供することになるでありましょう。技術援助もやるでありましょうが、それはすべて国連の旗じるしのものにやれば、よしんば労力を、たとえば日本から行くとしても、その日本の労力ではなくなるというような、非常なこの特殊な事態が生まれてくるわけでありまして、従って、援助を受ける国それ自身も、私は、資本的な援助なり、あるいは技術、労力の援助なりを受け入れやすいことになるだろうと思います。でありますからして、今申し上げました通りに、エリック・ジョンストンなどの計画も、国連のワクの中に入れるようにするのがほんとうじゃないかというふうに感ずるのであります。そういう点に関しまして、日本政府としては一体どういうようなお考えを持っておられるか、私自身は、もう数年前からこのことは、自分では微力ながら提唱しておるのですけれども、これから東南アジア方面に対して、何とか日本が進出していかなければならない、いい意味において進出していかなければならない日本としましては、こういう問題は非常に重要な関係を持つ問題だと思いますがゆえに、私は、あえてこの機会に外務大臣にその点お尋ねしたいと思います。御説明のできます限りお願いいたします。
○国務大臣(重光葵君) 今お話の点は、アメリカが他国を援助する方法についてのことに結局なると思います。米国の対外援助は、御承知の通り、戦争終結以来行われておったのでありまして、これは大体国連外で行われておることも御存じの通りであります。ヨーロッパにおいても、アジアにおいてもです。これはまだ、国連を通じてそういう方面のことをやるという考え方、また方法が十分に熟してきていなかったためにも原因を持つものと考えます。そこで、将来世界の平和機構である、またその中心である国連がさような経済方面について、ますます役に立つという事態になることは、これは争われないことでございます。そこで私は、米国において、国連を通じて経済援助をやるということに対する反対論があるということはあまり知りません。知りませんが、おそらくその反対論が——反対論というよりも、従来のように、やはり個々別々に他国に対していろいろ話し合いをしてやろうというのが手っ取り早く援助ができるのだという考え方も動いておることも多分にあると思います。まあさような考え方もあると思いますが、しかし米国も、国際連合を通じて対外経済援助をやるということについて、私は米国において反対のあることを存じておりません。さような傾向にますます進んでいくように、今日私は、幾多の報告を通じて印象を受けております。私はそうなるだろうと思います。また、国際連合が平和の機関、世界平和の機関として、この中には米国も入っておるし、またソ連も入っておるというような関係もございますから、できるならば、一つ日本もその中に入っていって、一つその国際連合の機関の作用も果すことが適当であるだろうと、こう考えております。ただ、具体的の問題になりましては、すべて国際連合を通じてやらなければならぬという規則を作ってしまうわけにも参るまいかと思います。その個々別々の問題において、また相手方によっていろいろ話し合いをする機会が必要であろうかと思います。しかし一般的に考えて、国際連合を通じて対外経済援助も進めていくべきであるということは、アメリカにおいても異存がないように承知をいたしております。また、受け入れる方面においても、そういう考え方が漸次濃厚になってきているということも否定することはできぬと、こういうふうに考えております。
○佐藤尚武君 日本がこれから南方方面に経済的に進出するということは、これはどうしても必要なことと思うのでありまするが、とかく今までのいきさつからしまして、日本が南下していくというと、もうすぐ侵略的な意図でも持っておるかのように痛くない腹を探られるというようなわけで、その点、日本としては大いに不利益な立場に立たせられておるわけであります。従いまして、今申し上げましたように、国際連合のワク内でもって日本も経済援助、技術援助あるいは労力の援助をすることができるということになれば、その点は心配がなくて日本はやれるわけでありまするからして、これは日本としましても大きな注意をもって、またあらゆる機会にそういう方向に世界を向けていくように、日本も努力しなければならぬ問題であると思うのであります。今申し上げましたロッジ代表の意見は、ソビエトが最近中近東なりあるいは東南アジアなりに経済的に進出してきたと、あるいは膨大な援助の手を伸ばしてきたということに対して、アメリカとしても今までのようなやり方ではいけない、これに対抗していくためには、多角的な援助の方法を考えなければならぬ、それには国連を通ずるということが一番有意義なのであるというような、そういうソビエトと対抗する形での意見らしく簡単な新聞報道では読めるのでありますけれども、他の報道によりますれば、またある方面では、そういうような国連の援助を計画するならば、ソビエト自体もまたそのグループの中に入れて、そして米ソの競合なしにやるようにしたならば、世界平和のために最も好ましいことではないかというような意見さえも近ごろは出てきておるようなわけでありますが、いずれにしましても日本としましては、政府も民間ももっともっとこういう点に注意を払って、そして繰り返すようでありまするけれども、あらゆる機会にそういう方向に世界の考え方を向けていくべく日本としても努力をする必要があるだろうと、そういうふうに思うんです。これは御答弁を求める意味ではございませんが、私の意見を申し述べまして、政府の御参考に供したくもあり、また政府においてそういうような方針をとられるように要望したいと思います。
○国務大臣(重光葵君) 御趣旨はよく承わりました。
○羽生三七君 条文について二、三お伺いいたしますが、第六条の第二項に、本公社は法人格を有し云々とありますが、この法人格とはどこの法律によるのか、加盟国は自動的にこれを国内法上の法人格として扱うのかどうなのか、この点お伺いいたします。
○政府委員(下田武三君) この点に関しましては、これはいわゆる条約法人と申しますか、そういう国際的の法人でございます。それで、そういう条約法人ができますと、加盟国の国内におきましては、やはりある程度の権利能力を持ち、また裁判所に出るという訴訟能力を持つというそういう国内的の効果を、条約によって発生するわけでございます。
○羽生三七君 だから、この公社に何か問題が起った場合には、それはどうなるんですか、日本の法律に従うのか、今お話のようなことで加盟国全体に共通するものとして取り扱われるのか、その辺はどうですか。
○政府委員(下田武三君) 国内で訴訟が起りました場合には、司法上の紛争が起りました場合には、それぞれ各加盟国内の法律によりまして裁判を受けるということに相なるわけであります。ただし、この協定自体で規定いたしましたことは、その通り行われるという関係に相なります。
○羽生三七君 この国際金融公社の出発点は、南米とアメリカとの政治的取引に端を発しておるということはしばしば言われておることですが、そういうものから出発した国際金融公社が、アジアに対する積極的な援助というものをほんとうに期待できるとお考えになりますか、これは歴史的過程から見てです。
○政府委員(湯川盛夫君) この公社がカラカスの反共宣言に源を発しておるという御意見の方がございますが、その点は、事実は、カラカスの一九五四年の三月に開かれました第十回米州会議で、政治、経済、文化等に関する米州諸国間の共通問題が審議されたことは事実でございますが、他方、公社の設立提案というのは、一九五一年に米国国際経済開発諮問委員会によってなされたものであって、それが国連によって取り上げられて、世界銀行で具体的な案を作るということになって発展したものでありまして、沿革的にはカラカスの宣言とは関係はございません。
○羽生三七君 この公社の主要な目的が、低開発地域の開発ということをうたっておるわけですが、具体的に低開発地域とはどこの国を指すのか、それからそういう場合に、日本はどういう範疇に入るのか、これはどうでございますか。
○政府委員(湯川盛夫君) 低開発地域の定義につきましては、国際的に確立したものはございません。従って、これはまあ常識的にケース・バイ・ケースにきめられることとなるわけでございます。日本が低開発地域に入るか、これについては、今までの国際会議でいろいろ議論ざれた通念から見ますと、日本はいわゆる低開発国と先進国との中間に位するように考えられます。ある場合には低開発国に対する援助をするような立場にもあり、またある場合には援助を受けるというふうな場合もございます。
○羽生三七君 先日もちょっとお尋ねしたように、この提案理由の中にある、「わが国は、公社に加盟することにより、経済開発のための国際的投資の分野に参加協力することになり、他面、公社が投資を行いますと、これと協調する形でわが国の民間資本の海外進出も促進され、云々」とある部分ですが、実際問題として私はなかなかこの投資は期待するほどのものではないと思うし、かりにそれがありましても、実質的にはアメリカの技術、アメリカの製品、そういうものが中心になるので、わが国自身が間接的にこれと協調して利益を得る云々というのは、私は期待に反するのではないかと思うので、むしろその点で言うならば、日本の直接投資といいますか、相手国との協力関係を確立することの方が、わが国のためになるというように私は考えられるのですが、政府の御見解はいかがでありますか。
○政府委員(湯川盛夫君) これは、この加盟国、特に低開発国における生産的企業に対して融資をするわけでございますが、日本の企業が日本で何か事業をする場合にも融資を受けるということは、まあ、ないことだということはないのでありますが、適当な条件を備えれば、あるのでありますが、主として実際は、日本の企業が低開発国で事業をする場合に、ここから融資を受けるという機会は相当に多くあると思います。
○羽生三七君 それはちょっと私の質問を誤解されておるのですがね。私は日本に対する公社からの融資を言っておるのではないので、公社が低開発地域に融資する場合に、それとの関連で間接的に、わが国の製品やその他のものが——技術が、伸張の機会を持つというのが提案理由にあるのですよ。しかし実際には、私はそれはアメリカの製品や技術は行っても、日本のものは、間接にしろ直接にしろ、そういうものはあまりなかろう、だから日本が独自でむしろアジア諸国と提携を強化することの方が、わが国の利益になるのではないかということを言っておるのです。
○政府委員(湯川盛夫君) この公社の協定にもございますが、公社が融資した資金が、いずれか特定の国の領域内で費消されるという条件を課してはならないということになっておりますので、アメリカの品物でやれ、こういった条件をつけることは融資の際にできないことでございます。たとえば東南アジア地域等で、民間資本だけではどうしても資金が足りなくて興すことができないといったような生産的企業に対して、この公社ができますと協調融資をするわけでございますから、そうすれば自然そういった特に東南アジア地域等においては、日本のいろいろな資材、技術というものが、新しく興る企業に伴って、進出する機会が多々あると思います。
○羽生三七君 もう一点だけ。この協定に、ソ連等が加入しておらぬことは別として、カンボディア等の旧仏印関係諸国ですね。これは加盟をしておらないようですが、これは利益代表国としてフランスがなるのか、あるいは、まだ独立後日が浅くて、そういう用意が整わないのか、その辺はいかがでございますか。
○政府委員(下田武三君) カンボディア初め旧仏印三国は、世界銀行ができましたときに、まだ独立いたしておらなかったわけでございます。そこで、この協定の加盟国になりますのは、世界銀行の加盟国と範囲が一致いたしておりますので、従って、この協定には仏印三国は当初入っていないわけでございます。しかしフランスが母国であったからといって、フランスが旧仏印三国の利益を代表して、この協定の当事国になるということも、またできない関係になっております。
○委員長(山川良一君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(山川良一君) 速記を始めて。 それでは、ほかに御発言もないようでございますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山川良一君) 御異議ないと認めます。 それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山川良一君) 御異議ないと認めます。 それではこれより採決に入ります。国際金融公社への加盟について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(山川良一君) 多数でございます。よって本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。 なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条によって議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例によりましてこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山川良一君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたしました。 それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本件を承認された方は順次御署名を願います。 多数意見者署名 小滝 彬 大谷 瑩潤 黒川 武雄 野村吉三郎 佐藤 尚武
○委員長(山川良一君) それでは本日はこれで閉会いたします。 午後零時五十八分散会 —————・—————