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24回国会参議院1956/04/17

外務委員会 第8号

発言数
146
登壇者
10
会派数
4
開催日
1956/04/17

会議録

山川良一緑風会

○委員長(山川良一君) それではただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。去る十一日、最上英子君及び新谷寅三郎君が委員を辞任せられ、その補欠として鹿島守之助君及び小滝彬君がそれぞれ委員に戻られました。また、十三日、杉原荒太君が辞任され、その補欠として、加藤武徳君が委員になられましたが、翌十四日、加藤君が辞任され杉原君が委員に戻りました。     —————————————

山川良一緑風会

○委員長(山川良一君) それでは次に国際情勢等に関する調査を議題といたします。どなたか御発言のある方は。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 日ソ交渉の問題につきましてお伺いしたいのですが、この問題はすでに重光外務大臣に対してしばしばわれわれの考えも申し上げ、また大臣の御見解も承わっておるのですが、きょうは特に松本さんに御出席をわずらわしていろいろ承わりたいと思ったわけですが、最初に外務大臣にお尋ねいたしたいことは、この前ちょうど十日にマリク・ソ連代表から日本側に西大使を通じて話のあった際、お伺いしたことがありますが、事情が明らかでなかった問題が、きょうはある程度モスコー放送によってソ連側の考え方も示されてきたと思いますので、最初にその問題からお伺いしたいと思うのです。この前私がお伺いしたのは、一体今度日ソ間で話し合おうという漁業問題は、通商航海条約なんかと同列の、いわゆる二国間条約という性質のものか、それとも本年の出漁に関する暫定的な取りきめといいますか、話し合いかどちらであるか、ということをお伺いしたのでありますが、その当時はまだ事情が必ずしも明らかでなかったと思うのです。ところが昨日のモスコー放送によると、やはり漁業協定とはっきり言っておるし、その協定が成立した後に、いわゆる当面の問題たるサケ、マスの制限について検討しようと言っておるわけであります。そうであるとすると、わが方の見解といささか食い違うのではないかという感じがするのでありますが、政府は、このモスコー放送等についてどういうふうにお考えになっておりますか。まずこの点をお伺いいたしたい。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) モスコー放送なるものは、まだ私は十分検討の時間を持ちません。その余裕はございませんでした。しかし、そういうことを言っておるといたしましても、この問題につきましては、日本側のソ連に対して申し入れたことは、前回申し述べました通りに、魚族保護の問題、船舶救難、難破船の救済問題について日本側からソ連に交渉をしたい、こういうことを申し込んだのであります。その直接の原因は御説明を申し上げた通りに、公海におけるソ連のいろいろ制限措置に関連しておることは当然でございます。それは魚族の保護が趣旨であるということから出発したわけであります。そこで、そういう問題について交渉を国交調整の一般問題とは別にやってはどうかという申し入れに対して、それはやっても差しつかえない、またやろうということを同意してきたのでありますから、そういうことを中心にして交渉が行われる、こういうことに了解をしておるのでございます。  さて、そういう問題を中心にしてやる際において、ことし限りの暫定になるか、またそういう問題を中心として、いわゆる漁業問題一般の問題に交渉が進んでいくかということは、その状態を見なければ私はわからんと思います。日本側としては、今申し入れました事柄を中心にして漁業問題を交渉することは、これは差しつかえないように考えておるのでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それはこの前の御説明と大体同じなんですが、私は問題はやってみないとわからないということも、確かに一つの理由であろうと思うけれども、やってみなくてもある程度推測がつく問題がこれじゃないかと思うのです。というのは向うで言っておるのは当面の問題ではなしに、本格的な漁業協定が行われれば、そのあとにサケ・マスの制限問題について討議をしようと言っておる。検討しようと言っておる。ところが日本が言っておるのは、当面のサケ・マスの出漁制限についての問題を検討しようとしているから、彼我の間には相当の食い違いが私はあると思うのですが、そうだとすれば、私は非常にこれは難航すると思います。  もう一つこれに関連して承わりたいことは、モスクワ放送の中の一つですが、その放送の最後のところに、「ソ連政府は日本政府の回答を受理したのちに全権団を任命する。」こう言っておるのですが、日本から回答というとどういうことがまだ残っておるのですか。それはいかがですか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 私は全部回答したと思っております。つまりそういう交渉を開いてもいいという向うの同意がきたのでありますから、これに対し場所も指定し全権団も構成をしたわけであります。全部向うに通告をいたしておるのでございます。そこで交渉が始まり得ると思います。そこで交渉をそれではどういうことに導いていくかということに至りましては、これは交渉に臨んでみなければ私は予見することができんと思います。わが方としてはつまり公海における漁業の制限をしてもらいたくない、こういうところから出発したのでありますから、その問題から始めるわけであります。そこでソ連がどういうことを交渉の上に上せたいかということは、おおよそ初め申し込んだ問題を中心にしていかなければならん。魚族の保護の問題が中心でなければならん。一口に言えば、漁業の問題が中心でなければならんと思います。そこでその漁業の問題についてどれだけのことを漁業協定と向う側が考えておるのかということは、これは実際当ってみなければわかりません。従来のような漁業協定は必要がないのでございます。戦争前のやつはこれは御承知の通り全然基礎が違うのであります、これは主としてソ連の領海内の問題であります。今度はそうじゃございません。しかしながら領海、陸地まで影響するような問題が議題になり得るだろうと思います。それは専門家も行っておりますから、それによって話し合いが進むに従ってそれは明らかになると思います。ただ漁業にも、何にも関係のない全然ほかの問題がこの問題に出る。たとえばロンドンで議論された領土問題がまた出る。そういうことは向うも考えないし、こっちも考えておらないのであります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それはお話はよくわかりますが、私も今度の話し合いで本来の漁業問題からそれて、もう一度領土問題に話し合いが及んでくるというような筋合いのものでないということはよくわかります。それはわかるが、私のお尋ねしておるのは、やってみなければわからんと外務大臣はおっしゃいますが、しかしやっていった場合に好むか好まないかは別として、いわゆる通商航海条約なんかと同じような性質の二国間条約ですね、漁業本協定、そういうものをもし向うが求めた場合にはおやりになるお考えがあるのかないのか。外務大臣が希望するとかしないかは別です。そういうことは必要によってはやらにゃならんことがあるのかないのか、これは大事な問題だと思います。いかがです。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) それはさっき私が繰り返して申し上げる通りに交渉に臨まなければわからんと、こう申し上げたのは、一体どういうものを協定をしたいのかという内容がわからなければ、これはそれに対する考え方をきめるわけには参りません。しかしこちらの考え方は、公海における魚族保護の問題からきておる。これが中心になっておるのでありますから、つまり公海における漁獲の制限にも関係している問題、それから難破船も当然漁船がおもなる場合ですからやはり付属した問題であります。そういう問題をやろうと、こういうわけでありますから、それに関連した問題はそこに出てきて、そしてこういう内容を持っておる協定をすることが、こういう目的を達するゆえんだということになってくれば、これは私はそれに応じても差しつかえないとこう思うのです。しかしそれは今申し上げたように、これは交渉に臨まなければわからんということが漠然たる考え方だというふうに御批判があるかもしれんけれども、しかし実際それはどういうものを内容としているかは、向うが言ってきてこれはなるほどこれに関係があるということになれば、これは取り上げて差しつかえない問題だと思う。また取り上げなければならん問題だとこう思うのですね。しかしそれは今漁業協定というものがどういう漁業協定をするんだということは、研究はこちらもしなければなりません。こちらもしなければなりませんが、しかし交渉としては、その研究の中心は、今申した通り、交渉を開こうとするその目的が中心に少くともなって考えなければならん、こう思うのですね。それですからそれはあまりなんというか主義の問題として私は考えることよりも、実際問題としてよくそれに当ってみた方がいいように考えるのであります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そこで問題が進んでいかなければわからんということはわかりますが、進んで行った場合に、まあ内容がどういうことになるかわからんけれども、取りあえずなんらかの協定ができた、また必要によって取りきめをやらんならんと大臣がおっしゃるのですが、もしそうなると、そのこと自身は領土問題等、いわゆる日ソ間の平和条約ではないけれども、両国間の戦争状態の実質上の終結になるということになりませんか。つまり今話し合いをするということは、しかも河野氏を代表に送ってソ連へ派遣するということは、相手国を認めて話し合をやるということですよ。ですからすでにある意味においては戦争状態から終戦宣言のない平和状態に今や移行しつつある。従って漁業協定というものは、かりにできれば、内容はどういう性質のものになるかは別として、漁業協定ができれば、それは日ソ間に外交交渉が実質上始まったとみるべきでないでしょうかどうでしょうか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) それは私は、あなたはそれをどう解釈するかということは、これは解釈する人のまた考え方にもよると思うのですね。私はそれだから漁業に関する交渉をするから、これはソ連との国交を開いたのと同じだというわけには参らぬと思うのです。しかし、交渉を開く以上は、相手側があることを認めるということも、これは常識からいって当然のことでありますから、それはそれでいい。それをどう理論づけるかということは、これはまた私は別の問題に考えてよろしい問題だろうと思う。これは進めていくのには、いかにして日本の具体的の利益を擁護するかということが主でありますから、それによって進み得ると考えます。そこで、それでは漁業協定をこしらえたらソ連との間には国交の正常化ができたんだと、こういう議論は少し進んでおる、進み過ぎておる、飛躍といいますか、それはそういうふうに議論したい人はそういうふうに使うかもしれません。使うかもしれませんけれども、私はそれよりも何よりも、日本の利益を擁護するというものにはそれが捷径であると、こう考えて、実際的にものを取り上げていくべきことだと思って、実際進んでいるわけであります。それはオットセイ条約にソ連も入っていてまさに調印に達せんとしつつある。それだからソ連との国交が正常化したのだと、こう見るし、またそれに一歩も数歩も進めたんだという議論もまた人々の立場によってあるだろうかと思います。しかしながら、それは私は少し議論としては行き過ぎだと、こう見るべきじゃないかと思います。日ソ国交を正常化する場合には、りっぱな一つ平和条約をこしらえ上げて、そして、重要な問題、特に領土の問題なんかを解決していきたいという方針をとっておるわけでありますから、それをその通りに進めていきたいと、こう思うのであります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 私もやはりそれはちゃんとした筋は筋として通さなければいかぬと思います。何もそれで全部片づいたと申し上げるのではない。しかしそれはそれとして松本全権にお尋ねしたいことは、いや、松本全権の前に、もう一つ外務大臣にお尋ねしたいことは、そういうように考えたい人はそういう結論を出すとおっしゃいましたけれども、何も私好んでそういうことを申し上げておるわけではありません。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) それは当てたわけでも何でもありません。特にあなたとか何とかいうのではありません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 私の言うのは、ずっと政府の閣議なり与党の話し合いを見ておりますと、今度の河野さんがどういう資格で行くかは別として、どの問題に触れてはいかぬとか、これに限定すべきであるとか、みんなワクをはめてみておると、私はどっちが一体交渉を欲しているかがわからぬという印象を受けるのです。この前申し上げたように、私はあえて日本が何も卑屈である必要はさらにない。堂々と主張していいと思う。いいけれども、やはり問題にはちゃんと筋というものがあると思う。そういう場合に、今の政府の考え方というものは、何かこれはちょっと言い過ぎかもしれんけれども、場合によると、立場を異にして向うに何かを求めているやつを、場合によってはこっちが考えてもいいんだというような印象を与えるようなものが、閣議の決定になったり、与党の、全部じゃないでしょうが、一部の話し合いになつておる。だから、一体あんな形で河野氏が代表として行って話し合いができると思いますか、成功するとお考えになりますか、どうでありましょうか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) こういう問題について根本的の、端的に申し上げれば、日ソ国交回復について私は相当人人の考え方というものが、違った考え方があると、国会内でもこれは明らかにあると思う。そこでそれがいろいろな形において議論が闘かわされ、また新聞等においても報道されるということは、それは現在そういう状況になつておると思います。けれども、この問題に対する筋は私はきわめて明瞭だと思うのです、筋は。そうしてその筋を、政府はその通りに追うておるわけであります。それは日ソ交渉の全面的な交渉は、ああいう状態で、これは自然休会と申しますか、そういうことになっておるわけですけれども、それでは困るから、日本の実際実益を擁護することができないから、漁業の問題について、特にこれを別個の問題としてこれは話し合いをして、ソ連の魚族保護の問題についてどこまで日本が公海についてこれに協力し得るか、そういうことを発見して一つここに合意に達しよう。こういうわけでありますから私はこれほど明らかな筋はないと、こう思うのです。そこでその場合に、私はやっぱり目的を達するためには、漁業の問題、そういう交渉の議題となった双方とも異存のない問題を議論していって、それに関連する問題はこれは私は話をしておるのがいいと思います。その筋でいってそうして結論を得ればこれにこしたことはないと思います。しかし問題は、それじゃ困難であるかないかということになってくると、これは私は相当困難だと思います。相当困難であるとは、公海に対する一方的な処置はソ連はもう一応はとったわけでありますから、そうして日本側はこれに対して反対をする。そういう措置をとってもらいたくないという立場におりますから、これは私は相当話し合いは困難があると思います。あると思いますが、これを公海における魚族の保護というような見地にでき得るだけ集中して、双方とも考えて進んでいくならば、これは私は協定に達することが不可能じゃないと思います。早い話が、向うは二千五百万尾ですか、魚類を取ってもいいといって、こちらは従来とも一億尾以上の数を取っておったと、こう主張しておるのでありますから、乱獲という点においてはそれをどういう点で妥協し得るかということは、あるだろうと私は考えます。のみならずそれを永久の問題とせずして、ある意味の、やむを得なければ差し当っての問題だけは解決しようじゃないかというようなことにでもなってくれば、なおさら解決は容易になってきはせぬかと思うのであります。しかし、これは相手の考え方も十分見なければなりませんから、それを見つつ、私は実際的に処理していくことが一番の要点じゃないかと、こう考えてさっきの説明を繰り返すわけであります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 外務大臣にもう一つだけお尋ねして、あと松本全権にもう一問いたしたいと思いますが、お考えよくわかりましたが、これは希望的意見になるかもしれんけれども、交渉の過程で、漁業協定が内容的にはどうなるか、彼我の間の見解まだ必ずしも明瞭ではないから、内容的なものはまだわからないけれども、とにかく日本としてある程度満足すべきものができた場合には、またソ連がそれを許容するものがかりにあるとすれば、それは本格的な交渉を開くにいい役割を果すものであるし、またそういうことを期待されますか、いかがですか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 本格的協定というと。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 つまり、本来の日ソ交渉の自然休会を、もう一度元へ戻すような糸口として期待されますか、どうですか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 私は今それを期待いたしておりません。というのは、これはまあ早い話がそちらの方にいくのは、それは松本全権をわずらわすという建前になっておる、漁業の方はこちらの方の建前になっておるということから見て、一方をやるときに一方をやるというわけにはいきません。しかし私は今言われることはおそらく、漁業協定も満足にできるということは、日ソの関係じゃ一歩前進する意味じゃないか、気持の点から言って、という御意見じゃないかと思うのですが、私はそれはそう思います。これは決して後退ではないと思います。そういうことが先に進んで行く、それは私はいいことだと思います。いいことだと思いますが、それとこれは異なるというか、糸口と言われましたが、同じものにするということはこれは筋が違いますから、それはしない方がいいし、またそういうことでいろいろ何というか、筋でもつけようという気持がありますならば、私はそいつはただ利用されるだけで、それはむしろよくないことだと思います。しかしそういうことよりも堂々とこれは漁業問題で一つやっていく、一方の方は一方の方でまた時機がき、情勢が変ってきたらこれをやるのだ、これは一口に言えばごく明瞭な、かつまた何というか男らしくといいますか、そういう工合にして一つ進んでいった方が、むしろすべて向うに対してもまた国内の状況に対しても工合がいいと、実は考えておるのでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 外務大臣に対する質問はこの程度にいたしますが、今お話にあったように使い分け、まあ使い分けですね、うまくして、それで漁業協定が実質上とり結ばれるということは、非常に私は外務大臣の観測は甘いと思うのです。私はそんな使い分けはできない。やはり誠意がなければこの漁業問題すら解決は困難であろうと考えておりますが、これは意見でありますから、次に松本全権に一つだけ伺いたいと思います。  松本全権にお伺いいたしたいのは、これはこの前重光外務大臣にも申し上げましたが、先ほども触れましたように、この外交を考える場合に自国の立場を主張するに勇敢であることは、これは怯懦であっていいとは考えませんが、しかしわれわれのように全くしろうとの人間、外交には経験のない全くのしろうとの人間がよりどころとすることは、私は正確な情勢判断と常識だろうと思うのです。そういうもので私どもが今日本外交というものを見ておると、実際にこの世界の情勢というものが非常な速度で変りつつある。特にソ連を見た場合に、私どもはイデオロギーは全く別の問題として、ソ連自身が日本と国交回復を早くやらなければならないような条件は非常に少い、また同時にソ連の国際的地位は日々に強化されておる。ところが日本においては今問題になった漁業問題なり、あるいは抑留者の引揚問題なり貿易の拡大なり、たくさんな案件を持っていると思うのです。そういう場合に私たちが自国の力というものを正当に評価することに臆病であってはならぬと思うのです。私は自分の国は弱いのだから主張はこの程度でいいということは少しも申し上げる意思はない。これは日本国民としての矜持というものをお互いに持っているわけです。しかしそれとともに、今申し上げましたように客観的な情勢を正確に判断しなければならないと思うのですが、そういう立場から今日本の外交を見た場合に、私はさきほど申し上げましたように何か向うから求めてきたらこういうふうに考えてやってもいいというような、そういういささか本末を転倒したような考え方が、政府あるいは与党の中に、全部とは申し上げませんがありはしないか。こんなことで私は日ソの、あるいは日ソ以外の国もありますけれども、とりあえず日ソの国交正常化というものができるとはなかなか考えられない。とにかく世界の国際情勢の非常な進化、それから外交的には各国の機動性ですね、また今度の二十回ソ連共産党大会に示されたソ連の外交の転換、私はそれを全部容認するというわけじゃないが、そういうことからして世界が日に日に激動しているのに、あまりにも日本が旧態依然たる立場を取り過ぎているのじゃないか。慎重であるのはいいが、そのことによって結局に貿易においても損をして、あるいは国際的地位においても発言の機会を失い、なかなか日本が列強に伍して十分力を発揮し得るということが困難じゃないか。こういうことを感じるわけでありますが、松本全権がロンドンにおられて、しかも西欧の外交の主要な拠点におられて、世界の情勢をどういうふうに見ておられるか。そういう点から見て日本の外交をどういうようにお考えになっているか。重光外務大臣とそれに席を並べられてこんな質問をするのは、やぼと言えばやぼでありますが、しかし政策、事案という問題は別として、これはお気持の上で、日ソ交渉の内容に立ち入ったことは別問題として、これは私は重要な問題であると思うので松本全権の御所見をこの機会に承わりたいと思います。

松本俊一自由民主党

○説明員(松本俊一君) ただいまの御質問は、私といたしましては十分隔意のない意見は述べたいところでございますけれども、本日は私は実は重光外務大臣とともに説明員としてこの外務委員会に出ておりますので、私といたしましては、国際情勢なりまたこの日本の外交の行き方なりについて、個人的な意見はあるいは持っておるかもしれません。それをこの際開陳する理由はこれはないのじゃないかと思いますから、その点は一つ御了承を願いたいと思います。(「質問するのはやぼというわけか。」と呼ぶ者あり)  ただ私は一言、世界の情勢が非常な急テンポで変っておるということはこれは認めざるを得ないのでありまして、これは私は重光外務大臣ともこの間お話をいたしまして十分認めておられますし、そうしてまたこれに対して日本がどうしなければならないかということは、私はそう急いであわてて従前の方針を変える時期ではないと思います。私はむしろ少くも私の受け持ちました日ソ交渉に関する限り、ソ連側の態度は昨年の七月にすでに変っておるのでございまして、それ以後ずっとそれを続けて来ておるのでありますからして、あるいは一月の共産党大会なり、あるいは最近のソ連の動きであるとかは実は日ソ交渉には影響していないのであります。その点も私は考えていただきたいと思います。ソ連が非常な急テンポで変っておるから、日ソ交渉についても非常に甘い考え方をする方もありますし、非常に今度はむずかしくなったような見方をする方もありますが、私はどちらも実は私自身の見解としては実際に合致していないのじゃないかと思います。従ってただいまの現状といたしましては、しばらく事態を見きわめる方が日本の外交としては、日ソ外交としては適当であって、とにかく差しかかったサケ・マスの捕獲制限の措置に対して、幸いに先方が交渉に応じよう、漁業交渉に応じようと言ってきておるのでありますから、日本といたしましてはこれはその交渉に応じて日本側の見解を腹蔵なく相手に伝えて、それで相手の反省を求めるところは求め、また相手の態度を緩和させるところは緩和させるように、本年度の出漁は少くも円滑にいくように努力するのが目下の急務だと思います。私はその他のことはその後に考えておそくはない、かように思っております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 もう一点だけ簡単なことですが、今度の話し合いの過程で、漁業制限の公海の問題ですが、公海という考え方が抽象的に言う場合にはわかりますが、領土権と離れた公海とか、沿海というのですか沿岸というのですか、そういうことが実際にあるのかどうか。そうすると今度交渉なさる場合に、一体向うが言っておるのは、千島列島の沿海の漁獲制限というようなことになってきた場合に、私はこれは非常に、領土問題なり純粋の漁業問題ではあるが、しかしなかなか非常な関連性を持ってくるという気がするのですが、私はしろうとでよくわかりませんが、これはいかがでありましょうか、この点だけお伺いして質問を終ります。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 今の点は領海の問題に帰着すると思います。領海は領土権の及ぶところと普通考えられておるようであります。その領海は三海里であるということが、国際上の通念であるということになっておるわけであります。しかしながらそのなには必ずしもそれが国際法できまった問題だとされておらないところに、非常に日本としては遺憾なところがあるし、目的は異なっても、ある目的のためには相当領海の考え方を広げて考える向きもございます。これはただ、今問題になっている李ラインだとか、濠州海洋だなの問題だとかいうような問題以外にもありますし、それからソ連は私どもの経験によりましても、いつも問題としているのは領海を十二海里にしております。これが非常なソ連との従来の何十年にわたる問題であったのであります。日本は常に三海里を国際上の通念だと解釈いたしております。そこで漁業の問題でも、戦前の漁業協定においてもそれが非常な問題になって、日本は三海里以外は公海であるとして自由に日本の漁船が漁獲することができるところだと、こう解釈しております。ソ連は十二海里、そこに食い違いがございます。九海里の食い違いがある。これが非常に問題になったのであります。しかしながら実際としてはそうようなことは、適当に問題を起さないようにして処理してきたわけであります。今回でも十二海里と三海里ということになにしますというと、千島列島まで入れるということになりますと、そこに問題が非常に起ります。そういうところの調節が実際話し合いの上において、私は実際的に、これはこれをどっちが国際法上ほんとうであるかということで、それは国際司法裁判所にでも行って議論するということになれば、これは一つのあれができます。できますけれどもそれは向うが承諾しません。そこで問題を、議論をちょっと別において、実際的にどうして相互の利害を調節するかということにならなきゃならぬと思います。そういうことが私はいろいろ話頭に上るのじゃないかと考えております。これもしかし実際にやってみなけりゃわかりません。

佐藤尚武緑風会

○佐藤尚武君 私は今度の漁業交渉について、事態を明らかにするために簡単に外務大臣に御質問申し上げたいと思います。それは今朝の新聞で私はソ連の回答なるものを見ました。その回答の中に、先般漁業交渉を日本政府から申し込んできたというそのことがうたってある。日本政府から魚族の保護並びに難破船の救済という二点に対して申し入れがあったので、ソビエトはそれに関する交渉を承諾して、会議地をどこにするかということを申した。しかして魚族保護の問題は、日ソ両国間で話し合いができたあとで両国において交渉するつもりである、こういった意味の回答がけさの新聞に報道されたわけであります。どうも私にはよくわからないので、日本政府としては果して魚族保護ないしは難破船救済というその二点に限って今回の交渉を申し込まれたのかどうか。しこうしてまたソビエト側の回答によりますと、その日本政府から申し込んだという魚族保護の問題すらも、今回の話し合いができたあとでもって両国間で交渉しよう。そうなりますというと、ソビエトの考えていることは、単に難破船救済ということのみが残るようにその文面から見える。そんなことは日本政府の御意思ではなかろうと思うのです。一体、日本政府として最初会談を申し込まれたときに、一体どういうことをどういう点について会談をしたいということを申し込まれたのか。それを一つ御説明願いたいと思いまするし、それと本日発表された回答とはどういう関係になっておるのか。つまり魚族保護の問題はあと回しにしてもいいのか。それより先に日本政府としては単に二つの点に関してのみ会談を申し込まれたのか。そういう点について簡単に御説明を願いたいと思います。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) こちらから申し込んだのは、先ほど御説明をしました通りに、魚族保護の問題、難破船の救助の問題を中心にして交渉をしよう。それは魚族保護の問題は、公海における漁獲の問題に直接関係を持つということを向うも言っておるわけでありますから、その問題を取り上げております。それについて交渉することには異存はないのでございます。ただ今言われることは、向うの回答には、交渉するのは異存はない、交渉の場所についてはソ連政府は東京またはモスクワにおいて行われることが適当であると考えている。こう申してきたのでありますが、日本側はモスクワで、やることが適当であると判断してその返事をやったということも、御説明を終えたと私は思っております。ソ連政府はまたこういうことを言っております。ソ連政府のその場合の建前は、日本国との右協定——右協定というのは交渉したときの交渉の協定であります——が成立し、かつその実施の後、現在魚類資源保存の目的をもってとられつつあるもろもろの措置——とられつつあるもろもろの措置というのは、ソ連がとっておる措置——に関する問題を同政府において——同政府においてというのは、ソ連政府において——検討をするということが書いてあります。協定ができたときには、できたことに応じてソ連政府は、今までとった措置を検討してそれに応ずる措置をとる、こう書いてあります。これは私は、交渉の題目なり内容について向うが意思表示をしたというよりも、同政府においてそれを後に検討するのだということが書いてありますから、それはソ連政府のやることをここにうたったのであると、こう解釈しておるのでございます。またそれはそうでなければならぬように思います。それがいろいろもじられて新聞記事やなんぞになっておるように思うのでありますが、そう言って参っております。これはロシア文もございます。佐藤さんの御意見を十分伺いたい点でございますが、実はそう解釈するよりほかに解釈の方法がないし、そう書いてあるわけでありますから、そう解釈しております。

佐藤尚武緑風会

○佐藤尚武君 今御説明になりましたところによりますると、今朝私どもが読みました新聞の記事と少し違うように思うのであります。でありまするからして、この回答は一つ外務省の方からわれわれの参考資料として回していただきたいと思います。  それで重ねてお伺いしたいと思いますることは、今の外務大臣の御説明によってもうかがわれるのでありまするが、日本政府から魚族保護並びに難破船救済ということに関して話し合いをしたいという意味の申し入れをしたということであって、それに対してソビエト政府は承諾をしてきた、こういうことでありますが、その魚族保護ということの日本政府の意味は、今外務大臣が言われたごとく、漁獲高とかあるいは漁区、漁業制限の地区の広さの問題であるとか、そういうことを全部含めたそういったような意味での魚族保護、こういうことを日本政府は意図しておられたのであって、そうしてその点に関しての話し合いをソビエト政府も認めて、そうして今回のモスコー会談になったのだ。こういうことでありますか、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 私はそういうふうに解釈しておるのでございます。

佐藤尚武緑風会

○佐藤尚武君 向うもそしてそれを認めておるというのですか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 向うははっきり文書で来たのでありますから、文書で来た通り解釈しておるのであります。

佐藤尚武緑風会

○佐藤尚武君 ただ、今の魚族保護という問題についてのそのソビエト政府の回答が、どうも私にはっきりしないので、重ねてお伺いしたわけでありまするが、その点に関して誤解のないようにしておいていただきたいと思うのであります。  私は発言の機会を今与えられておりまするから、松本全権に一言質問してよろしゅうございますか。

山川良一緑風会

○委員長(山川良一君) 今の御返事は今のでいいですか。今の御質問の点はよろしゅうございますか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 今、説明員の注意によりますというと、モスクワ放送として新聞に出ておるのを検討してみたそうであります。ロシア語のやつを検討してみたところが、これに対するあるいは訳文が多少違っておるのじゃないか。私どもが得ておるものは、ソ連の回答文をそのまま発表した形になっておりますけれども、少し訳文が合わない点があるということを申しております。どうもこういうロシア語もずいぶん難解でございますから、十分検討いたさなければなりませんが、これをどう読んでみても、とられつつある諸措置に関する問題を同政府において検討する、こういうのでありますから、それはそういうように読むよりほかに私は道がないように考えます。こういうことはむろん十分に正確にしておかなければなりませんけれども、こちらの得ておる回答が、これが正文であって、これによって向うの意思を判断するよりほかに……。

佐藤尚武緑風会

○佐藤尚武君 その正文の回答なるものを、一つわれわれに参考資料としてお回しいただきたい。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) それは十分考えてみましょう。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 それから日本の、こちらから出した回答、それからソ連の回答全部、それからこっち側の文書、申し込みの文書。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) できるだけそういう工合にいたしたいと思います。

山川良一緑風会

○委員長(山川良一君) 今のは、政府の方からお回しするように大体話がつきましたから。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) お約束したわけじゃございません。それは十分検討します、やはり相手方のあることでございますから。

佐藤尚武緑風会

○佐藤尚武君 もちろん政府において差しつかえない限りお回し願いたい、こういうことでございます。  それでは松本全権に一言お伺いしたいと思うのでありますが、今回日ソ交渉がああいう段階にまで到達して、そうして全権は帰ってこられたということになっております。そうしてその際の御説明によりますると、今回の日ソ交渉の最も難関であり、かつ行き詰まった問題は南千島の帰属問題であるということであります。また私どももそういうふうに見ておるのでありますが、しかし新聞等で発表されたところによりますると、南千島の帰属問題に関連して、津軽海峡の航行権の問題が今なお取り上げられておる。と申しますることは、津軽海峡は日本海に面した国々の軍艦に限ってこれを通過させる、その他の国の軍艦の通過は認めないという約束を、日本政府からソビエト政府は取りつけようとしておるように解釈されるのでありますが、この日ソ交渉が最初昨年始まったその当初から、ソビエト政府の書きもので出したという条約案そのものは、われわれは見たこともないのでありますが、伝えられるところによりますると、その条約案の中に今の津軽海峡の問題があった。しかしながらこの津軽海峡の航行権を、そういったソビエト政府の申し出でたようなふうに制限をするということは、これは日本として絶対に承諾できない問題であるということは、これは言うまでもなく明白なことである。もしソビエトの注文通りに日本が承諾したとなりまするならば、日本海はまさにソビエトの湖になってしまうということで、そういうことはわれわれとしては断じて承諾できないことは明白なことであります。従ってこの日ソ交渉の当初から、そういったような日本の国防上絶対的にわれわれの承諾することのできない問題である、交渉の当初からこれを落してしまわなければならなかったのではないかと私は思うのであります。そういうことが依然条件としてくっついて回っているというような交渉であったならば、そのほかの問題はどういうふうに話し合いが全権と向うの全権との間にできたといたしましても、日本政府といたしましてはとうてい承諾することのできない問題であるということは明らかな問題であります。従って津軽海峡の航行権の問題などというものは、私は日本の全権として初めからこれはけってしまわるべきものであったし、またそうであったろうと私は想像しておったのでありまするが、あにはからんや、今回交渉が行き詰まってそうしてその行き詰まりの点はどういうところにあるかということを説明された中に、南千島の帰属問題、それに関連して依然津軽海峡の問題がくっついて回っている。こういったようなことでは、あたかも日本に南千島を放棄させるがための交換条件みたいに津軽海峡の問題を使われておる。この取引の具にでもソビエトはするかのごとき形で、津軽海峡の問題が依然つきまとっているということに至っては、私ははなはだこれは心外に思うのであります。あるいは私の得ております報道が間違った報道であり、津軽海峡の問題などは何もらち外の問題である。これは交渉の内容からもすでに落されている問題であるというのならば、これは私は何も非常な大きな心配をもって御質問を申し上げる必要もない問題でありますけれども、その点がはっきりしておりませんので、全権から一つお差しつかえない限りに御説明を願いたいと思うのであります。

松本俊一自由民主党

○説明員(松本俊一君) ただいまの佐藤さんの御質問はきわめて重要な問題であります。私も全然同感であります。佐藤さんの言われる通り交渉して参りました。これは交渉の内容に立ち至りますので、はなはだデリケートな問題でありまして、私から今どういう話を私とマリクがしたということは詳しく申し上げるわけにはいきませんけれども、ただいまの段階におきまして、問題はもうすでに日ソ交渉においては解決済みと御了解願って私は差しつかえないと思います。だからつまり交渉の最後に残っておりますのは領土権の問題だけと、あと字句の問題その他について残っておる問題がありますが、さよう御了解を願いたいと思います。

佐藤尚武緑風会

○佐藤尚武君 そういたしますると、新聞等においてあたかも津軽海峡の問題がまだ残っておるかのように書かれておったので、私は今の質問を申し上げたようなわけでありまするが、今の全権のお話では、その報道は真相をうがっていないので、津軽海峡の問題はすでに交渉の範囲から脱落しておるのだ、つまり解決済みと今全権が言われましたが、解決ということは、交渉の中には入っていないものだ、もう交渉の外に出てしまった問題であると、そして日ソ間の困難な問題は唯一の南千島の帰属問題ということに限られておるのだ、とこういうふうに今全権のお話は私は解釈するのでございますが。

松本俊一自由民主党

○説明員(松本俊一君) 私はそういうふうに御了解願って差しつかえないと思います。ただしその内容については私はこの際お話し申し上げることは、これは長年外交の御経験のある佐藤さんにはよく御了解と思いますが、私はこれはこうだからこうだということをこの際申し上げるわけにはいかないことを……。

佐藤尚武緑風会

○佐藤尚武君 内容の点について御質問申し上げる意思は一つも持っておりません。ただいまの全権の御説明で満足し、かつまた安心するものでございます。ありがとうございました。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 ちょっと松本全権にお伺いいたしますが、ロンドンにおける交渉の際に漁業の問題については、両方で大体意見なくまとまったということになっていたようですが、この漁業の問題については全然しこりなくある程度の了解に達しておったわけですか。

松本俊一自由民主党

○説明員(松本俊一君) 漁業の問題につきましては、私とマリクとの間の交渉では、私もマリクも漁業協定の内容に立ち至って交渉する権限は持っていないのであります。平和条約の一条として平和条約が効力発生ののち、漁業協定に関してすみやかに両国間に交渉を開始しようという一項が入っております。それからなおかつ進んで、平和条約が効力を発生して漁業条約ができない過渡的の期間がございます。その間もなるべく事を起さないように、両方で節度ある漁業の運営をやりたいという趣旨のことも入っております。そういう程度でございましていずれも平和条約発効後のことを書いてあるわけでございます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 そこで平和条約がまあ事実上だめになった。そこでソ連の方では漁獲制限という手に出てきたわけですけれども、日本側といたしましては思いがけないことで、かなり各方面に大きな衝撃を与え、政府も相当ろうばいしたように私たちには見られるのであります。それで直ちに政府としては漁業関係者の意向等もくみまして、ソ連側にサケ、マスの漁獲制限について話し合いをした、こういう申し出になったと思います。非常に政治的な問題であると私どもは見ておる。それ自体は漁業の問題だけれども、ソ連側が漁獲制限をやり出したこと等は、政治的な含みが非常に多いものである。そういたしますと、これは単に漁獲制限という漁業の技術上の問題としての解決ということは、私どもはこれは常識上考えられない。どうしても政治的な問題として取り上げなければならない。またそれでなければ解決できない。こういうふうに私らには思われるわけであります。  そこで外務大臣にお伺いしたいのは、先ほどのソ連側の回答文では、これは先ほど外務大臣がお読み上げになったものと、それから新聞に発表されたものとほぼ同じであります。新聞に出ておりますここにある切り抜きは若干短かくしてありますが、その中にあることは大体に一致しておる。これによりますと、なお協定が成立し実施されたのちに、現在ソ連政府がとっておる漁族資源保存の制限について検討する用意がある、こうなっておる。協定が成立し実施されたのちにとはっきり示されておるのです。のちにという言葉がある。この点についてはどうも私どもは、やはり一般的な漁業協定が成立するということが前提になりはしないか、こういうふうに思います。ところが政府が今度河野農相を代表としてお出しになる。その河野農相の資格等につきましては、これは全権ではなくて単なる政府代表、こういうことになっておりますし、さらに自民党の方でもいろいろと制限を付しておる。従ってこの一般漁業協定を結ぶ、それだけの力を与えられておらない。それだけの権限を付与されておらないように思うのです。そういたしますと、私はどうもこのソ連の回答から見て、困難というよりも、まず向うが目ざしておる一般漁業協定ができなければ、事実上サケ・マスの制限を撤廃させる問題はできないんじゃないかというふうに感じるのです。まずそこで外務大臣にお伺いしたいのは、河野農相の資格でございます。これは政府代表となっておりますが、その権限はどういう点についてあるのか、それをお伺いしたい。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 政府代表というのは外務公務員法の第何条かの二項にあります。何々の事柄について交渉する目的をもって派遣されるのが政府代表です。これは交渉権は持っておるのです。そこでものができ上って、これを調印するのは委任状を持たなければいけないのです。そういう場合においては第三項による全権委員というやつは、これは委任状を持った調印もできるものでございます。しかし交渉をして、そうして全権委任状は実はこれはもう何どきでも出し得るのでございます。だから交渉して、ものができればこれは全権委任状を出さなければならぬ。それはもういつでも出し得られるのであります。そうでありますから、交渉する権限を持っておるのが政府代表であります。これは交渉をする。そしてものができました上には全権委任状を出さなければならない。そういう順序になっております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 そこで次にお伺いしたいのは、河野農相はその交渉に当っていろいろな制限を付せられました。例えば日ソ交渉の一般的な問題についてやってはいけない、あるいは一般漁業協定について話し合いをしてはいけないとか、あるいはまたほかのいろいろなことで制限を付されておる。これはもちろん政府が正式にやったのではない。自民党の方でそういう制限を付したものと思うのですが、これではうまく進むべき話も進まない。向うさんでも、そういうふうに手足を縛られて口を半分封じられたような政府代表では、あまり相手にしないということも起ってきはせぬかと思うのですが、その点についてはどうお考えですか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 先ほど、ソ連は一般漁業協定ができたあとにでなければこういうことはやらない、とかいうことを言われたようですが、一般漁業協定というのはどういうことを意味しておるのですか。これは先ほど羽生さんとの間の質疑応答で尽したように思いますが、とにかくこちらの言ったことははっきりこう言っておるのです。でありますから、それに対して交渉をするということになっておりますのですから、そこでそういう問題について交渉をして、そしてここに取りきめができるかもしれません。取りきめができたあとにおいては、ソ連は今までとった処置をソ連政府において検討して、それに応じて変える。こういうことに了解をするよりほかにこの文章は私はないと思うのであります。それが、協定というのは何か一般漁業協定といって何か一つの大きな形式の、何というかきまった型の、きまった一般漁業協定があるように言われますが、それはこの文章には私は出てこないように思います。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 これはとにかく条約による漁業協定の問題だと思うのです。今政府が言っておられるのは、そういうものを結ばないで、ただ向うの一方的にした制限ですか、これを解除させる交渉をするんだということを盛んに自民党側の方でも言っておるし、それからまた政府の方でも制限撤回を求めるんだということを盛んに言って、二国間の正式の条約というようなものを結ぶんじゃないということを盛んに言っておるからお聞きするのです。なぜそういう宣伝をされるのか。それは非常に私ども理解に苦しむのです。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) その宣伝云々はちっと私には少し的はずれのように思う。私はそういう宣伝は政府はやったことはないのであります。政府の方としてはこういうことを申し入れた、その申し入れたのに対して、交渉に応ずるという何が来ておるのでありますから、それによって交渉をするつもりであります。それだからその問題について、先ほど申す通りに、関連した問題を処理しなければならぬことになるかもしれませんが、私は領海の問題なんぞはとうてい意見が合うまいと思いますから、これは先ほど申しました通りに、実際的にいろいろ考えなければならぬ点があるだろうと思います。そういうことは、それは向うが言ってくるだろうと思います。そういう協定が成立して、そうしてそれに応じてソ連が今までとった処置を、ソ連政府において検討するというのは、当然のことのように考えておるわけでございます。それがほかに何か意味がある、特別の意味があるものであるならば、これまた考えなければなりません。しかしそれは文字通りに解釈しております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 私がお伺いしておるのは、盛んに自民党側なり政府側なりが、まず制限を解除させるんだ、それだけなんだ、そのほかには、漁業協定を結ぶとか、それが次の何といいますか日ソ交渉の窓口になる、そういうことはやらないんだということを盛んに発表されておるから、私はそれに対して御質問申し上げた。あなたも自民党の党員であり政府の閣僚であるならば、そういうふうな発表等をなされておるのですから、これはやはりあなたもその責任の一半を負わなければならぬ。従って私はあなたにその問題をお伺いしたわけです。  それはそれとして、次にお伺いしたいのは、河野農相が向うへ行かれるのは二十一日ごろのようですが、そう長くは行っておられないということは河野農相も言っておりますし、それからまた政府の方でもそういうふうに河野農相を向うへ長く置くつもりはないと思うのですが、一体その交渉は早期に、たとえば二十日間とか一月くらいにまとまる見通しですか。もしそういうようなことがなかなかできないといたした場合には、河野農相は国へ引き揚げるといたしましたあとでは、松平カナダ大使が向うへ行かれますが、松平カナダ大使がこれに当られることになるのかどうか、その点をお伺いしたい。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 政府代表は二人を任命いたしておりますから、一方がいなくなれば、一方が当然これは代表の資格で事に当る、こういうわけでございます。今交渉を始めるときに当って、どれだけの期間があったらいいか、またどれだけの期間ではっきりできるかというような見込みは、私は一切申し上げかねます。私は交渉をやる場合に、いずれの場合でも、期限を切って予定を立て、また交渉をするということは、まあ特別の理由があるものは別といたしまして、普通の場合にそれは私はそういうことはやっちゃならん問題だと考えております。常に考えております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 普通の場合にはそうでしょう。ところが今度はサケ・マスの船団が出るのが、大体五月の中旬ごろになってるいわけです。従ってここ二十日か何かにやらんと、それまでに間に合わん。もし多少伸びてもそれは一週間とか二週間とかならいいでしょうけれども、これが二カ月三もカ月もかかる、あるいは半年もかかるということになれば、これは結局船団は非常な危険を冒して出かけるか、さもなければ出ないということになろうかと思うのです。従ってですね、これは期限を付さないというのは、この場合には当らないことになろうかと思います。私はどうも早くやるということもかなり困難ではないかと思うのですが、もしその船団が出かけることを予定されておるころまでに、この交渉がまとまらなかった場合に、一体政府はこの漁業の船団に対していかなる措置をおとりになるか。たとえばこれは交渉の上にいろいろ影響のある問題だ、従ってこれは出してはいけない、ソ連の引いた線の外でやるようにということを御指令になるのか、あるいは入ってどんどんやってもよろしいというふうにされるのか、あるいはまた何かほかの指示をされるのか、そこらはどういうふうにお考えになりますか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) その点は、今日私からはっきり申し上げることのできないことを非常に遺憾といたします。交渉がまさに始まらんとしておるのでありますから、さような場合にどうするかということは、交渉の推移もみなければならんと思います。従って今日交渉のできなかったことを予想して処置をするということも、考えていないということを申し上げます。それだけを申し上げます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 今そういう御返事で、これは私も政府から今はっきりどうしろということをお聞きするつもりではない、そういう問題があるということを私は指摘したかったのですが、私は、非常な困難がある、それでソ連側の政治的なねらいから見ても、これはもちろん日ソ交渉の糸口にする、あるいはまたなしくずしの国交回復に持っていこうとする意図があると、政府の方ではそれを拒むという形でいけば、これはなかなかまとまらんと思う。これと同じようなことがやはり戦犯者の問題にも関連をしてくるのではないか。交渉が事実上中絶した後において、戦犯者の問題というのは、国内におきまして非常な大きな問題になりました。そして留守家族の人たちが非常に心配をされて、すわり込み等をやったことは御承知の通りであります。ただいまのところはサケ・マスの問題のために、その方の問題は交渉を開始されておらんわけです。政府は前々からこの戦犯者の釈放、あるいは抑留者の返還等の問題は、日ソ国交回復と切り離してやるのだと、こういうことを盛んに言っておられたのですが、今後も切り離してやるという態度でおられるだろうと思いますが、このサケ・マスの問題のほかにその問題は何か別な方法で交渉をされるつもりですか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 抑留者の問題については、従来の方針を今日少しも変えておりません。あくまで人道問題として早くこれを帰してもらいたい、帰してもらうことが実現できるように努力をいたしております。さような方向で将来進みたいと考えております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 それはもう前から何べんも繰り返されていることで、私は最近この問題について何か交渉をお始めになるのかということをお伺いしている。それからまあ人道問題、人道問題とおっしゃいますけれども、その人道問題として片づかないで今まできた。今からさらに人道問題として片づけたいと言っても、現実に片づく問題じゃない。向うではこれは戦犯の問題として国内法でとにかく処理をして、そうして収容所に入れてある、ラーゲルに入れてある人たちなんです。従って向うとしても、やはりこれを釈放するには、一つの理由が要る。ただ人道上の問題として解決したいだけでは片づかん問題ですが、この点について、何か新しい観点から最近交渉される用意があるかどうか、ということをお伺いしているわけです。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 私は先ほどから申している通り、従来の方針に従ってやるということを繰り返して申し上げているのであります。新しい観点というのはどういうことでありますか、抑留者を帰すということは、ソ連側は国交が回復すれば帰してやると、こう言っているのでありますから、国交回復に対する条件、ソ連側の条件を日本側において受諾してですな、抑留者を帰せと、こういうような御議論にも伺えるわけであります。今は私は、そういう大局上の方針については、政府は従来の方針をそのまま遂行する、しかしそれだからといって、抑留者の問題について、これを軽視しているということではございません。何とかこれはあらゆる努力をしてやりたいということを繰り返し申しているわけであります。それで御意見として、抑留者を帰してもらうために、国交調整の問題も早く片づけておいたらよかろうという御意見であるならば、それは御意見として私は承わっておきます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 見解の相違だと言われればそれはそうですが、しかし今のあなた方のやり方では、これは戦犯の諸君の返還も、これはとうてい見込がないように思うし、私はサケ・マスの問題でも、これはこの問題だけ切り離して、しかも向うの制限だけ解除しろということでは、とうてい見込がない。今まで日ソ交渉の過程において、繰り返しておったことが、またもう一ぺんくるだけだと思う。これはあなたの方でそうでないと言われれば、今日のところではどっちかそれはわかりません。しかし私はそういう見通しを持っている。それであなたが日ソ交渉を今までやって、国民に失望を与えたと同じ失望を、もう一ぺん近いうちに与えるような予感が私にはする。これは別の問題ですから、あなたにお伺いしてもそうじゃないと言われるだけだから、これ以上お伺いしませんが、私にはそう思われる。  次に外務大臣にお伺いしたいことは、日比賠償の問題でございます。先に藤山愛一郎氏を特使として向うに送られたときには、政府におきましても近くまとまるんだ、大体話はついて今度はまとまるのだと、こういうことでまあ新聞等にも発表されておった、それから政府関係者の談話もそういうようなことがあった。ところが実際は行ってみるとかなりむずかしい問題があって、その結果藤山特使が帰ってこられた。で、今度いよいよ新たに政府代表として行かれるようでありますが、例の民間借款の問題が非常にむずかしい問題になっておったようです。で、政府の方ではこの民間借款についてはその保証をしないというようなことで、あくまでも民間の自発的なものとしてやらすというような態度できたために、向うと見解が違ってまとまらなかったと思う。政府は今度藤山代表を向うへ出されるについて、政府と自民党、それから藤山氏との間に方針がまとまったように聞いておりますし、またきょうの新聞にもそれが発表されておると思うのですが、この方針で大体フィリピン側とは下話がついて行かれるのか、それともこの民間借款の点において、まだなお向う側とこの方針に基いてさらに折衝を重ねるのか、そこのところはどうなんでしょうか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 第一には、一般的な日ソ交渉及び漁業問題について御批判がありました。御批判に対して私は一々お答えすることを避けますが、しかし今、日ソ交渉のある階段には来ましたけれども、まだこれから先を進めてやるわけであります。やる機会を今見ておるわけであります。漁業問題はこれからやるわけであります。これは困難は当然予想されます。しかし困難があるからといって、向うの言うことを何もかも聞かなければ、何もできぬのだからお前の責任だというふうなお言葉ではなかったけれども、そういうふうに聞えるのも、果してこれもどうかと思う。しかし私は困難である問題を、そんなに向うの言う通りにしなければならぬというような議論よりも、こちらの主張すべきは主張して一つやれるだけやってみょうじゃありませんか。私はそれを一つ強く希望いたしたいと思うのであります。そうした上でどうしても解決ができぬと、しかしこれだけのことはしなければならぬということになったら、そのときにはまたこれは冷静に考えなければならぬと思う。私はこういう問題についてそう極端な議論は、いかなる場合においてもこれは当局者としては口にすることを避けなければならないと思います。  それはそれといたしまして、しかし日比賠償の問題について、お尋ねがございました日比賠償について、今できるとかできぬとかいうようなことについて、一々新聞に宣伝をいたしたことはございません。私はそういう覚えはございません。しかしながら(「とにかく根本官房長官がしている」と呼ぶ者あり)それは私はちょっとほかの何を一々私に聞かれても困るので、しかしそれは連帯責任があるというお考えでしょうから、それはそれであえて必ずしも……、しかしそれは私はそういうことは対外関係に響きますから、きわめて注意を怠らぬつもりでございます。そうして、しかし日比賠償のごときはこれは全然できないのだということは、これは交渉の上に障害がありますから、私は常に楽観的な言葉でもって表示はいたしておりますが、しかしすぐできるとかどうとかいうことは、いまだかって私は言ったことはないつもりでございます。今後もそれはできるまでは言わないつもりでございます。また言う必要はないことでございます。そこで藤山特使が特使の資格において、向うで将来の通商、経済関係等について意思の疎通をはかるために、マニラにおいてフィリピンの政府側の人と意見の交換をいたしたのでありますが、むろん賠償問題が今交渉されつつあるのでありますから、それについていろいろ相談にもあずかっておることは当然でございます。その何でもっていろいろ意見をもって帰ってきたのでございます。しかしこの日比賠償は、実質的な問題は、詳細な問題にまで至るとは言いませんが、大体においてもう相互の意見の合致が内交渉によってできたということは御報告をいたしております。それに基いてこの本協定の草案を作る段取りになってきたのであります。しかしそれにしても、ほんとうに協定の草案を作る場合にいろいろと向う側も希望があり、こちらも希望があるということは、これはまた当然のことでございます。そこにおいて、双方の意見がものによっては食い違いを生ずるということも、これはあるわけでございます。またあっておるわけでございます。そこでそういう意見の調整をするポイントを討議をして、政府側と与党側との首脳も交えて意見の交換をしてみたのでございます。その結果、日本側の考え方が大体まとまって、それをもって今度藤山特使は政府代表ということにしまして、交渉の権限をもって向うでやると、向うには外務省の駐在機関もございますし、特にアジア局長を派遣してこれを協力してやらせておるわけでございますから、その方面においてはあまり手抜かりはないと存じます。これに藤山政府代表が直接政府の意向を聞いて、向うに行って草案を妥結することに努力するということに相なったわけでございます。今朝の新聞にということがございました。それが先ほども問題になりまして、私も実はそこまでまだ何でございますが、十分検討する余裕がございませんでしたが、しかしそれはとんでもないものが出ておるらしい、とんでもないものが出ておるらしいので、そいつはすっかり取り消しの手続はとっておきました。おきてましたので、これはさように御承知を願いたい。それがまた誤まり伝えられて交渉上に悪影響を及ぼすということになるというと、これは私も心外でございます。しかしそんなものは政府筋から出たものでないというこだけは十分突きとめました。さようなことでございますから、大体の政府の意向は、そういうわけでまとまった意向を藤山政府代表はもたらして、今度は向うへ今日出発するわけでございます。その上で交渉がどうなるかということは、だんだんきまるわけでございまするが、私は、だんだん妥結の方に向いていくのであるという、こういう一般的の感想は持っておりますが、いつこれが交渉が妥結するということをはっきり今日申し上げるまだ段階までには立ち至っておらないのでございます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 先ほど、日ソ漁業交渉の問題等について私が申し上げたのが大分かんにさわったらしいのですけれども、しかしかんにさわる前に、与党の中のいろいろな意見があるのをおまとめになってから、一つそういうことを言っていただきたいと思います。それはそれといたしまして、今お聞きしておりますというと、第一に、藤山愛一郎氏が先に特使として行かれたのは、賠償問題についてではなくて、通商の問題についてであったというようなお話でした。しかし、それと賠償の問題が絡んでおるので、この問題を持って帰ってこられた、こういうふうなお話だったと思うのですが、そういたしますと、賠償の問題は、向うの事務所長、それからアジア局長の方でおやりになり、通商の問題は藤山愛一郎氏がおやりになっておったが、今度は藤山氏が政府代表になって、賠償の問題についてもそれをおやりになるというふうになると思うのですが、そうでしょうか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 大体そうお考えいただいて間違いないと思います。しかし、賠償の問題といい、通商の問題といい、これはからみ合っておるのでありますから、そこで共通していろいろ相談したわけでございます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 それからもう二、三点お伺いしたいのですが、次に、今政府の方でもって、こういうものは発表したことはない。それでとんでもないものだと、こういうお話だったのですが、まず第一に、それじゃこういうふうに各新聞にもうほとんど同じ文句で全部出ておるのですが、どこから発表されたか、突きとめられたと言うのですが、どこからこういうものが出たかということを一つお示しを願いたい。それでないと、われわれこれを明らかに政府発表としか考えません。それを一つ、どこからかということを明らかにしていただきたい。  それから第二は、とんでもないものだということですが、このいわゆる藤山試案と称せられる内容のどこがとんでもないものか、この二点を一つ、とんでもないと言った以上は、とんでもないと言ったところを明らかにしていただきたい。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 私ははっきりお答えいたします。これから交渉しようというのであります。それが発表されたから、これはとんでもないことである。これはとんでもなくないと考える理由は一つもないと私は考えます。  それからこれは、どこからこういうものが出たかということですが、政府の方で、内閣官房の方で調べてみたそうで、ございます。調べてみたところが、政府側からは発表はないのである。しかし、いろいろな団体において、藤山特使自身も相当な説明をしたようだから、それが綴り合されて出たのじゃないかという推測を受けました。しかし、それにしても、それがいろいろな、形式までもそろえた案文であるようなふうに記載されておるということは、これは実は、私は心外であるのであります。その意味を私はとんでもないということで表示したつもりであります。なお、それ以上な調査もでき得るだけいたしてみて、またその結果について御報告することがありますならばいたします。さような状態でございます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 もう一点。藤山代表が向うでもって交渉をされておったのは、通商の問題だと聞きました。そうしますと、通商も今後の問題として両国間の貿易の増大の問題ですが、これは大体具体的な見通しがついたのか。これはもちろん、賠償の協定の成立と関連する問題ですが、大体その具体的なめどはついたのか、その点をお伺いしたい。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 今、その交渉の内容を詳細に申し上げるわけにはこれはいきません。差し控えなければなりませんが、その問題は、一般問題としてこういう工合に取り扱っております。賠償問題を解決すると、解決するというのは、結局双方の経済関係を密接にするということが一体双方の考え方の重要な点であるのであるから、経済関係を密接にするためには、貿易関係も増大しなければならぬという考え方は、これは日比賠償交渉の最初からあった考え方でございます。そしてそれは、こちらのみでなく、フィリピン側もそういうふうに考えて参っております。そこで、この内交渉等においても、そういう考え方がずっと続いてきておるのでございます。そこで、それじゃこの貿易をどうするとか、経済関係をどうするとかいうことを直接賠償の問題について取りきめをするというようなことは、これは少し議題をはずれておるので、それは直接の取りきめをしなくてもいいだろう。しかしながら、賠償が解決して、将来日比間の経済関係が密接になるということに双方意向が合致しておるのであるから、将来の貿易も増進するであろう、また増進さすべきであると、こういう考え方をはっきりと認めつつ、賠償交渉を進めておるわけでありますから、そういうことをはっきりさして、賠償交渉でも済みましたならば、直ちに貿易協定も一つ着手しなければならぬと思います。そういうようなことに了解を遂げつつ、今進めておる次第でございます。さようなふうに御了解を願いたいと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ちょっと議事進行について。先ほどのことにちょっと戻りますが、この漁業協定の場合二国間条約と、普通の条約の形式の二国間条約に相当しないというような協定というものがあるのかどうか。つまり、この日ソ間で漁業協定ができれば、それは私は、やはり正規の二国間の条約、たとえば通商航海条約のようなものにならなければ、その今ソ連の言った回答と全然合わない、合致しないと思います。外務大臣がそういうことについて何か、お考えなければ松本全権なり、それから政府委員で、一体その協定というものはどういうものがあるのか、これははっきりさせたい。これは非常に重大な問題だと思う。これはソ連の回答から見ても。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) どの点かよくわからぬが、その協定はむろん結ぶんですよ。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 協定を結べば、先ほど私が申し上げた通り、領土問題が片づかなくても国交回復になるのじゃないですか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) それは、先ほど申したような議論を繰り返すことになりますから……、それは協定を結ぶわけです。   〔須藤五郎君発言の許可を求む〕

山川良一緑風会

○委員長(山川良一君) 発言中だから。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 先ほど相当詳細に述べてお答えしたのでありますから……。これは何にしても、取りきめは結ばなければならぬ。そうでなければ約束にならぬのですから。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 大事なところだから……、そこで、協定をやれば、私たちが今まで外務委員会でやってきた場合には、協定というものは条約で、国会の承認を求める正規の取引行為ですよ。これは相手国を対象として認めない限り、そんなことは成立しませんよ、条約というものは。私は、先ほどのことを蒸し返すわけではないが、非常に重要な問題だと思う。ですから、これはあいまいにしておくことは非常にいけないと思うし、それから外務大臣が、問題にぶつかってみなければわからない、それはわかります、内容がどうなるか。しかし、かりにいろいろ中へ入ってみて、それじゃこれでよろしいということになって協定を結べば、やはりそれは相手国を認めたということになるじゃないか。だから、君は領土問題を踏みにじるじゃないかと、そんなことになりません。領土問題とは申さない。申さないが、重要な問題は、私たちは、ここで日ソ間に漁業協定が正規にできれば、相手国と取引に入ったということになると私は思う。これは非常に重大な問題ですから、内容的なことをいえば非常にお困りでしょうが、これは形式論ですから、これは明らかにしていただきたいと思います。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) その点においては、私は先ほど申しました通り、漁業のごときは、一種の特殊の事項、専門的な事項と申しますか、それを協定したから、それで相手国の承認があったのだということにはならぬという解釈をとっております。こういうことを申し上げたわけです。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それでは、逆に聞きます。相手国を認めない国と条約なり協定を結んだ歴史がありますか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) これは私は、国際法の専門家に調べさしてみれば、あると思います。あると思います。そういう点は、十分調査してお話しすることは異存はございません。あると思いますが、その一国の承認という問題は、これは、そう簡単に議論は片づかないと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 承認が悪ければ、なしくずし外交でも……。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) なしくずし外交でも、なしくずしで、どこで承認するかどうかという問題は、私はこれは非常に議論が起る問題で、そう簡単には言えない。

山川良一緑風会

○委員長(山川良一君) ちょっと大臣、今の問題は非常に重要な問題ですから、もう少し御検討されたらと思いますが。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) それは明らかです。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 今の点で関するのですが、今度河野農相が行かれて、今外務大臣の言われたように、何らかの二国間の協約ができた、条約ができたということになりますと、これは国会に承認を求められますか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) それは内容によります。承認を求めるべきものになれば、これは承認を求めます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 単なる行政措置じゃないじゃないですか、これは。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) だから内容によると申し上げた。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 いやしかしどうも……。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) そういうことを今ここで決定しなければならぬのでしょうか。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 決定しなければならぬということじゃない。明らかにしておいていただきたいと思う。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) そういうことは……。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 それがなければ、今言った日ソの国交正常化と申しますか、その問題についての意見も違いますし、私どもとしては、これはもちろん、政府がああやって、わざわざ河野農相を派して、漁業の問題について両国間の取りきめができた、これが両方の全権が署名したものは当然国会にかかると、こういうことになる。そういうようなことになれば、これは中国との間にできた漁業協定は、あれは政府同士のものではない。もちろんかかりませんけれども、今度のものは当然かかる。そうなってくると、一体相手が戦争状態にある国かどうかということをやっぱりここで議論しなければならぬ。それでお伺いしているわけです。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) これは、いかなる国際取りきめを議会に出して、議会の承認を求めるかということは、これはきまった問題でありますから、それによって、当然出すべきものは出して、御承認を得ることにいたします。しかし、それは、その協定ができた上で私はきめたいと思います。むろんそれを回避することはできることじゃありません。当然なことであります。そうして、そのときに十分一つ御議論を願って、その当否をきめられるということは、これは国会の権限であります。当然のことであります。しかし、政府としては、政府のやるべき職責がありますから、その職責に従ってこれはやるべきが当然であります。今それを、前もってどうするかということをはっきりここで申し上げるわけには参らないのも当然のことだろうと思います。しかし、そういうことであるから、これは一国の承認行為であるとか何とかいうことを今日からきめる必要がないのみならず、そういうふうに持っていきたいという議論と、また実際どうであるかという議論は、これはまた別問題であります。私どもは、そういう業務協定によって一国の承認が成立しないと、こういう考え方を持っております。オットセイ条約をやっても同じことであります。それからまた、漁業協定でも、ソ連が、もし今やっておる米国、カナダ等の間に中に入ってくれば、これもそういう関係になります。そういう考え方をもって、これは業務協定であるから、そういう国家の承認の問題とは関係がないという建前でやっておるのでございます。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 議事進行で……。委員長、今後のあれはどうなりますか。

山川良一緑風会

○委員長(山川良一君) 今日のですか。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 今日の。ずいぶんまだ質問がある。

山川良一緑風会

○委員長(山川良一君) 今日、あと須藤委員の質問が残っておる。なるべくならば、質問を終って済ましたいと思っているのですがね。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 私もある。だから午後やられますか。

山川良一緑風会

○委員長(山川良一君) 続けてどうです。

宮澤喜一自由民主党

○宮澤喜一君 今の羽生委員の御質問に関連して。私は決して専門家でございませんから、私の考えについて、外務大臣でなくても、これは外務省の政府委員の方でもお答えを願えればいいと思うのですが、問題になっているのは、国家の承認ということではなくて、これは私のしろうと考えですから、違っておるかもしれませんが、ソ連という国は日本を承認しておるので、しておるから交戦状態にあるのでありますから、国家の承認が問題になっておるのではなくて、交戦状態にある二つの国の間で、いろいろな意味での協定ができるかできないかということなんではないだろうか。そうしますと、非常に極端な例でありますけれども、たとえば捕虜を交換する協定というようなものが交戦国間で国際法上あり得るし、また現実にあるしいたしますから、ソ連という国は、法律的にも承認されておる。ただ交戦国間で協定が結べるかどうか。形式論的にはその問題だけなんで、それは明らかに幾らでも結べる。先例もあるということですから、法理論としてはこれで片づいておるのではないだろうかと思いますが、いかがですか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) そういうふうにも言えるように私も考えます。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 昨年の四月から五月にかけて、ローマにおきまして、漁業の専門家会議が開かれたと思うのでありますが、その節日本もオブザーバーとして出席して、資源保護の問題なり、いろいろな問題が討議されたと聞いておるわけですが、その内容をちょっと聞かしていただきたい。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) ローマの会議はございますが、その内容を今すぐお入り用でしょうか……。調査してすぐお知らせすることにいたします。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 あとで資料として、その内容を私たちに提出していただきたいと思うことが一つ。これは委員長からも要求していただきたいと思いますが、それと同時に、その会議の性格なんかに関しましては、外務大臣もよく把握していらっしゃると思いますから……。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 私はその会議は国際会議だと記憶しております。国際的の会議だと記憶しております。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 そうしてどういう性質の会議であったか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 魚族保護を中心とした問題だったと思っております。なおしかし的確なことを一つ調べます。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 的確なことをあとでお示しして下さることもけっこうで、ぜひお願いしたいと思いますが、その会議において、資源保護のためには、いろいろ各国が協力しなきゃならぬということ、それから特に紅ザケの乱獲の問題をソ同盟からすでにその会議に提案をしておるはずなんです。そうして日本もこの問題に関してよく検討するということを約束して帰っておるはずなんでありますが、その後日本政府はこれに関してどういう処置をとられたか伺っておきたい。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) その会議の結果に対して、十分日本側も調査等をしたと、こういうふうに私は今記憶に残っておりますけれども、これも調査をしてお知らせいたします。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 その後ジュネーヴの国際法委員会におきましても、領海の問題や、資源保護に関する問題がいろいろ討議されたと思っておるのでありますが、その内容を御存じでしたら、ちょっとお話していただきたいと思います。どうでしょうか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) ゼネバで領海の問題ですか。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 領海の問題、それからやはり資源保護の問題なんかに関して、いろいろ話があったということを聞いておるわけです。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 失礼ですが、いつの会議のことでしょうか。よくこれも……。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 昨年の五月です。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 昨年の五月ですか。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 はあ。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 私ははっきり記憶をいたしていないことをはなはだ遺憾に存じます。十分調査してお答えいたすことにいたします。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 そこで利害国でこの問題をいろいろ話し合われたわけでありますが、結論に達することができない場合ですね。利害国でお互いに漁獲を制限しましょうという話し合いがそのときになされたということになっておるわけですね。それで、要するにソビエトからの今度の漁獲制限の問題に関して話があった場合、日本政府はこういう会議が昨年ちゃんとなされて、それに対して日本も協力するということをちゃんと約束しておきながら、突如としてソビエトからああいう無理難題を吹きかけてきたごとき印象を国民に与えるような措置をとっておるのではないだろうか。もうすでに昨年国際会議においてそういうことをちゃんと善処するということを約束しておきながら、何んら日本政府はそれに対して誠意を見せていないのじゃないか、こういうように私たちは理解するわけでありますが、日本政府は昨年のこの国際会議の結果に対して、どういう措置をとられておったか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 今申し述べました通りに、十分それに対して的確なお答えを今ここですることができませんのを非常に遺憾とします。調査をして申し上げます。しかしこれだけは申し上げます。そういうようなことが国際会議の結果合意されたとするならば、そういうことに対して日本側としては、日本政府の、伝統的に申し上げれば、漠然と申し上げて失礼ですが、十分その結果については協力するように常に心がけておるのでありますから、私はこれは水産当局等において十分それをやっておると、こう私はここで一応申し上げなければならぬと思います。そこでそういう約束があるにもかかわらず、それを日本側がやらぬから、ソ連からああいうことがきたのである。つまりソ連の言い分が当然のことであるというふうに今すぐこれを承認するわけには参らないという建前は、これははっきり申し上げておかなければならぬと思いますし、いずれ十分の調査をいたしました上で……。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 私たちの考えは、昨年国際会議においてそういうような精神の話し合いがなされておった、であるから、今回のソビエトの申し出によって、あくまでもそのような精神を尊重して、そうして話し合いをすべきである。そして円満に妥結さす方向に日本の政府は努力すべきでないかという私たちの見解を持っておるのです。ですから、それを昨年話し合ってあるにもかかわらず、日本政府はそれを国民の前に隠して、いかにも突発的にソビエトから無理難題が降ってわいたごとく印象づけていることは、これは政府として誤まっておるのではないか。そういうことはすべきでない。それよりもやはり昨年の国際会議の精神をくんで、その方向でソビエトとの間にも話し合いをしていくべきでないか、こういう私たちは見解を持っておりますので、政府にそれを要望するわけなのです。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 御意見でございます。御意見でございますが、その御意見は実はその通りに考えております。そういうことには話し合いをして魚族保護について協力をしていきたいということで、今度は交渉が始まるわけでございます。ただ問題は、過去の国際会議においてどういうことが決議をされ、内容になっておったかということをよく検討して申し上げるということを言っておるのであります。それを、少くとも無視したりなんかする態度は、日本側としては決してとっていないということを私は確信しておることを申し上げて、お答えといたします。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 ところが実際において、漁獲のやり方において、昨年行われた国際会議の精神を踏みにじっておる結果が現われたから、ソビエトからああいう抗議がきたのであってですね、日本さへその国際会議の精神を尊重しておったら、そんなことはなかったのだろうと思うんですが、それはそれとして、今度は国際会議の精神を尊重する立場で、今後ソビエト政府との間に交渉して、円満に妥結されることを私たちは希望しておるということを述べておるわけです。  それから、このソビエトとの間に、領海の問題やいろいろなことで、非常に日本政府は強気のようなことを言っております。私たちが一昨年ヴィシンスキー外務次官にモスクワで会ったときに、この領海の問題というものは国際法だけで、きまっておるものではない。お互いの国の政府と政府との間の話し合いによって決定すべきものであって、ソビエトは十二海里説ですけれども、日本は三海里説だ。この交渉の過程で戦争になってしまったので話がとまってしまったので、この問題を解決するためにも、日本の政府とソビエト政府との間で話し合うことが必要である、そういう見解を述べておったと思うんです。まあ、ソビエトに対して、日本政府は強気でやっておりますが、私たち日本の漁業の問題を解決するのは、単にこれだけでなしに、先に日米加漁業協定において結ばれた、あの不当な協定を破棄あるいは改訂する必要があるんではないかと思うんでありますが、重光外務大臣はそれに対してどういうふうに考えていらっしゃいますか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 私もこの領海問題は、交渉の題目になり得ると、こう考えております。従来とも長い間この問題が日ソの間に懸案であったということも、これは事実であります。これは先ほど私からも説明した通りであります。さようなことが問題になっておるわけであります。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 もう一つ、あとの方の、後段に関することで、日米加漁業協定、北太平洋の……。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 日米加ですか。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 アメリカ、カナダと日本とのあの漁業協定ですね。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) それにソ連もオブザーバしとして入っておるわけでございますな。その日米加の魚族保護に……、北太平洋に対する交渉は今やっておるわけでございます。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 現在おそらくソビエトはあの協定の不当な点をやはり主張するであろうと思うんですよ。要するに領海の問題ですね、ああいうばかげた遠いところまでずっと線を引くというようなことですね、ああいうことは、私たちは不当だと思うんですが、それに対しまして、日本政府はどういうような考えを持っていらっしゃるかということを質問しているわけです。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 私は少し誤解がございました。政府委員をしてお答えさせましょう。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 そうでしょう。それでけっこうです。

木村四郎七外務事務官(公使)

○政府委員(木村四郎七君) 一昨年、三国間、米国と日本とカナダの間に漁業条約が締結されまして、その後、その条約の実施のために三国の委員が集まりまして、合同委員会を設けまして、その運営が年々行われておるわけであります。これにつきましては、関係をしない国の利害に影響を及ぼさないような十分な考慮も払われて、委員会が運営されておるわけであります。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 私の質問は、ソビエトとの間にとやかく小さいことで、領海の問題で、これほどやかましく言っているときにですね、アメリカやカナダに対しては非常な譲歩をしている、あの漁業協定はですね……。それはおかしいではないか。だからああいう協定は破棄すべきじゃないかと言っておるわけなんです。

木村四郎七外務事務官(公使)

○政府委員(木村四郎七君) それは、領海の問題とは私は別だと了解しております。いろいろ魚族の保護のために、そういう地域の制限といことはあるわけなんです。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 それならば、ソビエトとの間にも、魚族の保護の立場から、ソビエトの主張に従って話し合いをする態度をとるべきではないかと言うのです。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) それは私はそういう議論が起ってくると思います。あなたは今ソビエトの代表の立場に立って議論されておると私は思います。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 すぐあなたはそういうことを言うからだめですよ。あなたはアメリカの立場で……。そういうことになれば、アメリカとソビエトのけんかみたいになっちゃうのだから……。そうじゃない、お互いに日本人同士の立場で話し合わなければならない、そんなことを言っちゃだめだ。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) そういう議論が必ず私はソ連から出るだろうと思います。かりにそういう議論が出た場合において、日本の委員は、これは十分考究されて私はいい問題だと思います。しかしそれは交渉の内容に関することで、何が出てくるかわかりませんわ。そのときに、それがための代表ですから、その代表に一つやらして、あなたはまああまり交渉の題目は言わぬ方がいいでしょう。

須藤五郎無所属クラブ

○須藤五郎君 これは重光さん、私はあなたに助け舟を出すような形になるのですが、国交を回復していない国との間の政府間の協定が論議されたと思うのです。それは一つの理屈だと思うのです。同時に昨年は私は中国に行ったときに、中国の貿易部長がこういうことを話しておった、日本政府と中国政府との間に貿易協定をやろうじゃないかという話をした。ところが、日本の外務大臣は、中国と日本政府は国交が回復していないから、政府間の協定はできないと、こういう御意見なんですね、ところが中国の政府代表は言っている。そんなことはないのだ、国交が回復していない国との間においても、政府間の協定はあり得る。その証拠に、エジプトと中国はまだ国交は回復していないが、しかし政府間の貿易協定をやっている実例があるではないか、だから日本と中国との間に貿易協定のできない理由がないということを、中国側は主張している。あなたは、中国との間には国交が回復していないから、協定は結べないという御意見を述べていると同時に、今度は漁業問題ご日本政府に火がついてくると、その別言を翻して、ソビエトとの間には国交が回復していないときでも、漁業協定はできるのだというふうに、今度は変ってきているのです。ここが問題だと思うのです。だから国交を回復していなくても、協定は大いにやるのはよろしい、それは大きな一歩前進だ、だからソビエトと漁業協定をやると同時に、中国との間においても貿易協定を、政府との間においてやるべきじゃないかという私の意見なんです。どうですか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 非常に助け舟を出されたようですが、その舟も沈みかかっておるように思うのです。(笑声)私は先ほど申し上げた通りに、国と国との関係は、承認していなくても特殊の問題について、互いにそれが必要であると認めるならば、これは話し合いをしてもいいという考え方を持っているのです、従来とも。持っておりますが、中国に対してはそういう議論はいたしておりません。私は中国は遺憾ながら、今日中国は、もう日本は何が中国であるかということを承認をいたしております。ソ連はそういうことをはかいのであります。それで、中国は分れておる、これは遺憾な点であります。そこに一方に中国政府として承認をしているのもそのままにして、そして、他の、たとえ地域が大きくても、また力があったとしても、それに向ってこれが中国だとしてやることは、これはできぬと思う、こういうことを絶えず申し上げておるのであって、実際しかしそれでもですよ、それでも、そういう制約のある範囲において、実際の問題としていろいろ解決しなければならぬ問題があります。第一が人道問題、抑留者の送還などの問題について話し合いをしなければならぬ問題がある、何もそういう問題と関連して考えなくてもいいという考え方でこれはゼネバで交渉していることは御承知の通りであります。それでありますから、昨日はこう言い、明日はこう言うということではないのであります。私はそういうふうにその点を申し上げて、それでこの問題はソ連を承認していないから交渉ができぬという問題ではないと私は思う。その点だけはお話の点に一致するわけであります。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 非常に時間も長いようですから簡単に一、二点だけ伺いたいのですが、先ほど羽生君の質問に関連しての問題に限って伺いますが、やはり政府が希望しておられるのは、暫定的な安全操業の話し合いだけだと思う。だけどもソ連の方はこれは本格的という言葉がいいかどうか知りませんが、やはり漁業協定すなわち魚族の保存というような本格的な双方の主張を、資料も出し合って、その上で魚族の保護を目的とする漁業協定を作る、それができてからまあ当面の安全操業の問題なんかその範囲内で考えて行く、こういう腹であることは、これは明瞭であると思う。そこでこれに対応して今のお話を途中から伺っておったんですが、政府としては何らかの漁業に関する協定までは作るつもりだ、その内容は向うの出方次第だ、こういうような御答弁だと思う。しかしまあ見通しからいえば、いわゆる向うの希望しているような魚族の保存に関する協定までは、これはもう時期が逼迫しているけれども、やらなければならぬ場合があろう、そこまでは腹をきめておられると思う。そこで、大体そういったような内容の協定、たとえば日米カナダ三国間の協定のような内容を持った協定までやるのだということになれば、これは当然に今羽生君が質問されておったような問題すなわち少くとも戦争状態にある国の政府と政府との間の協定で、事実上交戦状態が法律的には少くともある間においてそういう協定を作るということは、これは事実上において戦争状態でないことを認めた国家間の協定になることは明瞭です。小くとも外務大臣が言われておるような単なる特定の業務に関する協定だから、法律上の交戦関係にある国と国との間柄でもできるのじゃないか、たとえば捕虜を交換するような一種の協定とか休戦協定とかと、そういうものとは全然性質が違う、これは一点の疑いもいれない、まあ言葉を返すようで、あげ足をとるようでなんですが、ただいまの須藤委員の質問に対しても、たとえば領海の問題等も交渉の題目になり得るように言っておられる、もしそうだとすれば、言うまでもなくこれも一種の領土に関する基本的な主張と主張とが、これは協定になるかどうかしらぬが、話し合いになる、これは本格的に少くとも両方が正式に任命して代表を送って、そうしてできる協定というものは、これはもう戦争状態を、黙示的ではあるけれども、正式にこれを否定する法律的の効果をもたらすところの協定であることは明瞭であると思う。そうなってくると、ここに問題があるのは、多分皆さんもその点を考えておられると思うのですが、従来政府のとってこられた方針からいえば、漁業協定なんかはむしろ平和条約の中にこれをうたっておくだけで、たとえばサンフランシスコ平和条約の中で魚族の保全に関する協定を作るということをうたっておる。そうして平和条約条項による国交回復後、別に漁業協定を結ぶ、これが従来の方式、その方式からいうと逆になるわけなんです。従って従来の平和条約によって懸案のおもなるものを解決しつつ平和条約をやって、それによって国交を正式に回復する、これはもうだれが見ても一等本格的な正しいやり方に違いないが、今日それがいろいろな関係でできなくて、ことに領土問題に関する主張の根本的対立でそういう方式は、今のところ政府が別の考えをしない限り行き詰まりだということ、たとえば本格的な漁業協定をやることによって漁業に関する協定ができるだけでなく、そのこと事態が別の形による国交回復になるのではないか、その効果を否定するわけにはいかない。私はそれだけで満足すべきだとは言いません、しかしそういう——羽生君がちょっと使われた言葉ですが——なしくずし方式的な国交の回復に、本格的の漁業協定をやれば、ならざるを得ない。それだけの腹を作っておやりになっておるかどうか。私はこれはポイントだと思う。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) それはもうたびたび私の意見は申し上げた通りでありますから、聰明なる委員諸君は十分御了得だと私は考えます。それはどういうことかと申しますと、繰り返して申し上げますれば、本格的の、本格的と申しますか、国交調整をやろうとする全面的の交渉はできなかった。だから当面の必要な問題をお互いにその必要に応じて交渉をする、こういうことをこっちが申し出て、向うが応じたのでありますから、それをやろう、こういうわけです。それがすぐ私は国交樹立といいますか、正式の正常化したものであるというふうに私は解釈はしておらぬ、こういうことを申し上げておるのであります。それは解釈すべきだという御議論は、そういうことはありましょう、またこれは純粋な法理論としても議論がありましょうし、また立場立場としての御議論としても御議論がありましょう、しかしそれをそう考えろ、こう言われても、そういうふうには考えておらぬのだ、こう申し上げることはでき得ると思います。そうしてやる、それならば漁業協定というものをこしらえぬのか、こう詰め寄られるけれども、当面の目的は、日本の漁業者はある程度の自制はしなければなりません、自制をして、そうして向うの満足する線まで来て、ここに協定ができるということならば、それで一つやりたい、こういうことで来ておるのでありますから、今暫定協定を結ぶんだ、今や本格的の漁業協定を結ぶんだと、私はそういうことをはっきり今きめるべき時期ではない、こう考えておるのであります。あるいは今カナダの北太平洋漁業協定がありますから、ソ連との間にいろいろ話をして、そこまでやって初めてこの問題が解決するというならば、私自身としてはそうやるべきだと考えます。しかしその結果は、それじゃソ連と国交の正常化があったのだ、こう解釈するかしないかは、それは法理論として大いに議論を戦かわせる必要がある場合には、それはするもよかろう。私はそれだからこれをなしくずしの政治論としては、それは日ソ関係において、日ソ漁業問題に関する限り一歩を進めておるわけでありますから、それは非常に意味を持つことと思います。しかしそれが直ちに日ソとの関係、国交の回復であるという、こういうことの結論は、私はすることができぬのであります。

松本俊一自由民主党

○説明員(松本俊一君) 今の曽祢委員の御質問について、私から外務大臣の御説明を補足して申し上げますが、私は結局法理論は、この際これは法律家によっていろいろな議論があると思いますけれども、しかしながら私とマリクとの交渉が、ただいまソ連が正式に表わしている意思だろうと思う。この国交正常化に関する意思ですね。これは私の個人の意見になりますけれども、国交が正常化したかどうかということは、私は両国の意思が合致した場合でなければ国交が正常化したことにならぬと思う。ただ国家の承認のような場合のように、これをばく然たる黙示的の戦争終了ということは、そういう議論もできるかもしれません。しかしながら今度は政府の方針に基きまして、私は正式の平和条約を締結することによって戦争終結をやる。しかもその第一条に日ソ間の戦争状態は、この条約が効力を生ずる日に終了する、こういう一条を入れることに両方で意思が合致しておるのでありまして、私はソ連といえどもこういう条項を私とマリクとの間にすでに了解済みである今日、漁業協定ができたからといって、それでもう戦争状態は全面的に終了したではないかという議論は、私はおそらくしないのではないか。私はあくまでこれは両方の意思が合致したときでなければできないので、これは国家の黙示的承認とか、事実上の承認とか、いろいろの国際法上の議論がありますが、戦争状態はまあ通常平和条約締結によって終結する。しかも両方の意思が合致したことですから、私はそういうふうに曽祢さんも了解していただいた方がいいのじゃないかと思うのですが、あまり国際法的の黙示的とか、デ・ファクトとかいうようなことは、この際おっしゃらない方がよろしいのではないか。これは私の個人的な意見かもわかりませんけれども、私がマリクと交渉したときのソ連側の意図は、つまり平和条約を締結して終了すると、はっきりしておるのですから、この私とマリクとの交渉が中断しておるからといって、その際できるかもわからない協定の性質をこの際あまり議論するということは、益のないことじゃないかと私自身は思うのであります。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 法律論としては確かに黙示的の承認になると思うのですがね、戦争状態終結……。大体それは漁業協定でできるその範囲内においては安全操業が国家の意思によって約束される以上は、ソ連の方から見ても、それは戦争状態があるなら拿捕できるということを捨てたことになる。問題は、戦争状態終結を平和条約第一条ではっきりうたう、これがベストでありましょう。別な形によると、まあ非常に政府がイレギュラーなやり方として戦争状態の終結を確認するような声明なり、宣言なり、協定なり作ることも考えられますけれども、いずれにしても、少くとも事実上は戦争状態を終結したことを確認する効果を確かに漁業協定というものは果している。少くとも公海における戦争状態の終結を意味することに効果を持っていることは否定できないと思います。そこで、そういう場合に、政府として正式にこれで戦争状態は終結してしまったことを認めると、国交回復ということで、いわゆる大使の交換だとかいうことになるので、そういう方面についてはまだ正式に国交を回復していないという立場をとろうと、こういうお考えではなかろうかと思うのです。しかしこれは私はもうこれ以上、時間の関係もありますから議論はいたしませんが、そういう協定がかりにできた場合に、これは内容によるから国会に承認を求めないかもしれないというお話があったけれども、これは私はこういう立場は外務省としては、外務大臣としてはちょっとおとりにならない方がいいのじゃないかと思います。と申しますのは、まず前提が、まあ交渉の結果、ことしの操業については日本側はこういう自制をしようということで、正式に政府間の代表による協定の調印とか何とかなしにやった場合には、これはどだい問題にならない、条約じゃないのですかう……。しかしわれわれが考えているように、まあソビエト側の公けに表明した出方から見ても、やはり本格的な漁業協定まで作ろう、で、政府もやむを得ない場合にはそこまでいってもいい。その結果本格的な漁業協定ができてくる。そうすれば、これは単に業務協定だから、これは国会の承認を求めなくてもいい、いわゆる行政協定的なものであるといった議論は、この議論は私は非常に乱暴じゃないか。それこそもしそういう前提に立てば、そんな重要な協定を国会に出さなかったというためしは、今までは新憲法のもとにおいてはない。だから本格的な協定ならば、当然国会の承認を求める条約であると、私はこう思うのですが、その点どうですか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 私も御議論を伺っておると、実はその通りだと思います。要するに問題は内容の問題で、それを国会に承認を求めなければならぬ協定ができると、当然これは求めなければならぬと思います。しかし話し合いが済んで、業務協定みたいなもので済むならば、これは必要はないとも考えるのです。しかしそれだから漁業協定とか、今、国会に提出するために漁業協定を作るのだと、こう言った方がお気に召すのかもしれませんが、それはそのときに議論しょうじゃありませんか。大いに一つ議論をしてみて……。これは空論に終るから、この議論はこのくらいの程度でよくはないでしょうか。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 まあこれは非常に根本的な議論になるのですけれども、それはまたあとでします。最後に一つ……。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 幾ら言ったって、またできたときには同じことを十倍もかかって議論しなければならぬのだから、少しはこれはやはり時間の倹約もしなければ……。(笑声)

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 最後に一点だけ伺いますが、実は引揚問題ですけれども、これは外務大臣も御承知のように、引揚団体の方は、単に慰問団をいわゆる現地に派遣するだけでなくて、どれだけの効果があるか別として、モスクワにぜひとも陳情する、モスクワに行って向うに訴えたいというのが引揚団体の意向だと思います。そういう点については私もきわめてもっともだと思う。本格的な国交調整をわれわれは早くやるべきだ、われわれの委員長が……、鳩山総理もさように言っておると思います。それはそれとして、当面のせっついた問題として、ただ単に現地の抑留所にただ慰問品を送る、あるいは慰問団を送るのでは、これはあまり意味がない。どうしてもこの際アッピールをするためにモスクワに陳情団を送る、こういうのが希望であると思うのです。これはまあもっともな気持だと思うのですが、これについてソビエトにお話になっておられると思いまするが、その経過並びにこれに対する政府のあと押し、支援の気持を伺いたい。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) その点は遺族団体とも実は非常な、何と申しますか真剣と申しますか、ある意味において悲壮な会見をいたしたのであります。そして何とかして遺族団体の気持に沿うような結果をもたらしたいと思って、今ソ連側にそういうことをそのまま申し継いでおります。そうしてその返事を待っておる状況であります。また督促しておるような状況でございます。これが今日の経過であります。それはロンドンで西大使が直接マリク大使と話をしている、これが一番いい方法だと思っております。

山川良一緑風会

○委員長(山川良一君) それではこの辺で委員会を散会いたします。    午後一時五十一分散会      —————・—————

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