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24回国会衆議院1956/05/11

法務委員会 第33号

発言数
170
登壇者
20
会派数
3
開催日
1956/05/11

会議録

高橋禎一自由民主党

○高橋委員長 これより法務委員会を開会いたします。  売春防止法案を議題といたします。  質疑に入ります前に、江口警視総監及び養老防犯部長を参考人といたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高橋禎一自由民主党

○高橋委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。  それでは質疑に入りますが、質疑は通告順に従ってこれを許します。猪俣浩三君。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 長戸政府委員に対しまして、事実問題についての本法の適用について二、三お尋ねいたします。きのう私の質問で、要するに新橋や赤坂の芸者の売淫行為などに対してはこの法案では捜査の手が伸びないような実情になっておりますが、これは大臣にお聞きしたがったのですけれども、おいでにならない。ちょうど松原次官がおいでになりましたから、松原さんに伺いますが、牧野法務大臣は、富士山と芸者ガールという珍説を発表されて、昔から芸者ガールは富士山とともに日本のうちでも一番美しいものと言われ、日本はもちろん外国にまで広く知られておるのであります、こう言うて、これはとうとい存在でありますから、私たちはそれを大切に、その育成に努めなければなりません、こう言うておるのであります。しかし、私どもの聞く実情は、芸者というものはほとんど大半売春行為をやっておる。ある一定の上層部の人たちの玩弄物になっておるということは、立証を要しない公知の事実である。ところが、牧野法務大臣は、こういう芸者を富士山とともに日本の国宝のようなことをおっしゃっておるが、これを国宝みたようにするには、芸者は芸でもって立つように徹底的に導かなければ、国宝なんかになりはしないと思う。現在、芸など全く知らぬで、売春を主としてやっておる芸者がたくさんいる。そこで、次官は牧野法務大臣の芸者育成論について一体どんなお考えを持っておるか。この芸者を芸者として芸そのものによって立たせるには、私はこういう者の売春なんかを取り締らなければいかぬと思う。ただそういうことばかりで売り出している芸者がたくさんいる。それが昔よりも近ごろはなおはなはだしくなって、昔は相当芸でもつ、売っている芸者があったのが、近ごろは、芸なんかはそっちのけで、顔さえちょっとよくてエロチックであればそれでいいという芸者が幅をきかしておる。   〔委員長退席、池田(清)委員長代理着席〕 こういうものを、牧野法務大臣の芸有育成論のようにほんとうに正しく育しるのには、やはり芸者の売淫なんかを取り締った方がいいと思いますが、松原さんはどうお考えになりますか。

松原一彦自由民主党法務政務次官

○松原政府委員 実は、その場合には誤解が伴っておるということを、牧野広務大臣からたびたび釈明を私は聞いしおります。それは、フランスやドイツ、イギリス等に行ったときに、そこで日本を紹介するガイド・ブックの中に富士山と芸者ガールの絵が入っておるというのであって、決して自分が二つを並べて讃美したわけではない、ただ世間にそう伝わっておるというふうな釈明をたびたび私は聞いております。それから、もちろん一切の芸者をあげて讃美するわけではない、自分が対象として言っておるのは真の芸者であって、東踊り等に出るところのあの至芸を持った人たちはほんとうに尊敬すべき人であって、これは芸術家である、それを言っておるのであって芸者のすべてをあげて讃美しておるものではない、こういうことであります。芸者はかくあるべしということで、芸を磨くべし、一芸一能によって立つべしということを言っておるのであって、これも私はまたたびたび聞いておりますが、それがつい座興からか何からかひどく伝わりまして、一切の芸者を讃美するかのように聞えますことは、すこぶる不穏当だと思います。ただし、日本にもそういうふうに芸をもって立つ、——昔からあった白拍子等も御承知の通りであります。裏面に何かもありましょう。ありますが、それは人間的行動であって、双方の合意が個人として金銭にかかわらず行われるというようなことまで取り締るわけにはいくまいと思う。従って、牧野法相の常に言っておる言葉はそういう意味であって、売春を奨励するとか是認するこかいうものでないということはどうぞ御了承を願っておきたいと思います。  なお、売春行為というものに対する取締りは周辺からやりますので、これを助長するような行動に関して目に余るようなものがある限り、私どもは、周辺から徐々にこれをば励行することによって、——今回の法律は周辺を取り締ることのできるようになっておりますので、その辺からの取締りを励行していきたいと考えておる次第でございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 牧野さんでなければよかったのですが、たまたま法務大臣という地位にあるのみならず、牧野氏自身の平素の行動というものが、あなた方は新聞記者が誤解したとおっしゃるけれども、誤解をせざるを得ないような過去に遊蕩的な生活をなさってきたのではないかと思われる。(笑声)新橋あたりに参りまして牧野さんというと神様です。(笑声)私は驚いたのですが、ある新橋の料理屋で牧野さんのうわさをしたところが、そこへおかみさんが出てきたら、私の友達は、こうびしっとやって、口をふさぐように指図をした。あとで何だと言ったら、いや、この辺へ来て牧野さんのことを言ったら、それはえらく白い目でにらまれるから、言わぬ方がいい、神様なんだから……。(笑声)そこで、この売春法などで芸者がその対象になるようなことに対しては、牧野さんが徹底的にさようなことをしないようにするということを言っておる際であるから、そんな話はしない方がよかろうと私に注意されたほどであります。その牧野さんが、たまたま芸者国宝論みたいな誤解を受けるようなことをおっしゃったので、私どもははなはだ遺憾なのです。これはしかし、あなたは牧野さんじゃないから、幾らあなたに言うてみてもわかりませんが、牧野さんがこういう新橋、赤坂でいつも言っていらっしゃる通り、芸者の売淫行為なんというものは取り締れないように相なっておる。私ども社会党の案には伝家の宝刀としてそれもやるぞという規定があるのでありますが、この政府案にはそれがない。私どもはそれがはなはだ遺憾だと思うのであります。  そこで、次にお尋ねいたしますが、ある女が自分でささやかな家を持って、そこで大っぴらに売春をやっておっても、それは取締りの対象にならないということになりますが、今、二人ないし三人の女が喫茶店を経営し、そうして、ちょうど今の吉原なんかのように、喫茶店と称してそこで実は売淫をやっておる。ほとんどこれは営業であります。そういうものは一体この法案で処罰できるかどうか。おそらくそういう形態になってくるのではないかと思います。二人か三人で喫茶店を設けたような形にして、そうしてやはり事実は売淫をやっておる、そういうものは一体取り締れるのかどうか、長戸さんからお答え願います。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 お尋ねの件につきましては、第五条の第三号で、「公衆の目にふれるような方法で客待ちをし、又は広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること。」、ことにこの後段に当る場合がかなりあるというふうに私は考えます。実際問題として、実態を究明するならば、そういう場合には単なる自前ではなくして他の者がこれに介在しておるという場合が多かろうと思いますので、場所の提供罪その他によってもある程度処罰し得る、かように考えます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 完全に処罰することは困難だという建前ならいいけれども、あなた方がそれで取締りができるものだと思うならば、非常に甘いと思います。今ほとんどその準備をやっているのではないかと思う。二人ないし三人で喫茶店を経営する、吉原でやっておるのと同じようなことをやる。そうして自分自身の肉体を売るのであるから、直接売淫したことになる。単純売春は処罰しないのであるから、処罰のしようがない。それがあなたの言うように五条に触れるならやられますが、彼らも研究しておりますから、触れないようにやるに違いない。だから、事実としては売淫した形になる。おそらくそういう形態になると思う。  それから、いま一つお尋ねいたします。実際上はそういう事情を知っておって、そういう喫茶店を経営するについて金を貸してくれというので金を貸す。そして、三人なり四人なりのたとえば吉原あたりで売春している者に今のおやじが金を貸す。そして、喫茶店あるいはその他の店、おでん、かん酒だけでもいいが、それをやって、しかし実際は売春をやる。こういう場合に、その貸した男は第九条で処罰できますか。私はそういう形になるのではないかと思います。今の吉原その他でやっている連中は、廃業したと称して、実際には女自身に金を貸したような形で彼らは金融業の方に回るのではないか。これに対してどうして処罰するか、それをお答え願いたい。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 こういうふうな法案が成立した暁におきましては、いろいろな脱法も考えられると思うのであります。それに対しましては、取締り当局としては、十分にその実態を究明する、その実態に即した取締りをしていくということになろうかと思います。その場合に、実態を究明して参りますれば、お話の第九条の前貸等の犯罪が成立することに相なるか、あるいは第十一条第二項の売春を行う場所を提供することを業とした者、あるいは十二条の売春をさせる業、ことにその後段の自己の指定する場所に居住させこれに売春をさせることを業とした、そういうふうなことによって処罰できるものがかなりあろう、かように考えております。われわれとしましてな、そういうふうな脱法者に対しては実態について究明して処置したい、かように考えます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 その実態の究明ということが不可能じゃないかと思うのです。たとえば第九条でも、未必の故意だけではいけないという解釈でしょう。そうしてみると、未必の故意だけではいけないとするならば、とてもその立証はできないと思う。いや、それはカフエー、喫茶店をやるというから金を出したのだ、しかし前身が前身だから万一にも変なことをやるとは思わなかったか、いや、多少はそういうことも考えたけれども、まあそんなことはやるまいと思った、こういうように言われれば、未必の故意さえ成立しない。のみならず、そういう金を貸し設備を貸した人を調べるのには、現に売春をやっている者、単純売春をやっている者を被疑者として調べなければ、その奥までは調べが行かないのじゃなかろうか、これが私のきのうから質問しているところなんですよ。ここにカフェーあるいは喫茶店を経営しておるその女たちが売春をやっておるということ、その資金をどこから借りてきたかというようなことを一体どうして調べるのか。その単純売春をやっておる女は被疑者ではありません。出頭を命じても、出ないでもよいわけです。これを徹底的に調べる方法がございません。被疑者でもないので、徹底的に調べるとすれば人権じゅうりんを起します。それらをせずして、その背後にある金を貸したような人間をどうして調べることができるか。だから、真に憎むべき者はその背後にあって搾取する者であり、それを処罰することが目的であることは間違いないし、それに重刑を課することは異論がございませんけれども、あわれむべき売春婦はあとう限りの軽罪にして保安処分の方に回すという方針をとるべきものだと思いますけれども、全然単純売春を処罰の対象にしない場合に、その奥にひそむものをどうして調べることができるか。今単純売春を処罰の対象にしておっても、なかなかそれを調べるのは容易じゃない。いわんや、それを処罰の対象にせずして、その背後に動いておるものを一体どうして捜査するか。その点については、実は法律はできたけれども処罰をすることが不可能の状態になってしまっておる。ことに、吉原のように集団的にある地区に限られたものが、全市に散娼となって、かえって旧に倍する繁栄を続けることになるのじゃないか、そういう疑いがあるのですが、この立案者はそれに対して一体いかなる所見をお持ちでありますか。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 この判例によりましても、たとえば、児童福祉法の三十四条とはいささか趣旨が違うのではございますが、女がその使っております者の居室を使用して淫行することを認識しながら、利得したい意図からこれを承認して、売淫によって得た対価を切半していた事実に照らすときには、その者は右の児童に淫行させた者と認むるのを相当とするというような判例もございますし、あるいは、そのつど直接に勧誘または強制こそしていないが、右売淫行為のために使用させる目的で部屋、調度等を提供してその便益をはかり、売淫行為をなさざるを得ないようにしむけて淫行をなすに至らしめた場合にも、その成立を認めておる同趣旨のものがかなりあるのであります。昨日も申し上げましたように、売春をさせるということは、法律上は私どもは希望ないし意欲を必要とすると思いますけれども、実際問題として、判例上かなり広い範囲においてこれが容認されておる、かように思います。そこで、ただいまお話のような場合には、やはり、自前のごとく見せかけても、利得の折半、あるいは四分六に分けるとか、そういうふうなことが行われざるを得ないというふうに考えますので、その実態から究明して取締りをしたい、かように思います。  ただ、売春行為それ自体を罰せずして売春の立証を得ることは困難ではないかというようなお話でございますが、これはごもっともでございますけれども、私どもとしましては、売春婦またはその相手方となった者等を参考人として任意取調べをすることによりまして傍証を固め、これによって業者その他売春環境を助長する者の取締りに当っていきたい、売春行為それ自体を罰すべきかいなかについては、確かに問題でございますので、今後にも検討を続けていきたい、かように思います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 実際問題としては、単純売春を処罰しないならば、なかなか犯罪の捜査はできないと私は思う。今言ったように、山分けであるか、四分六分であるか、そういうことがわかれば、今判例をあなた灘読まれたように、それは何カ条かに当てはめることができるが、その事実それ自体は、やはり売春行為をやる者をまず調べてかからなければ出てこない。ところが、今参考人として調べられると言うが、そこに私は人権じゅうりんになるおそれが多分に出てくると思うのです。被疑者ではない者を強制的に調べることはできません。強制的に調べずして、あばずれ女どもがすらすらと事を申し上げるということは想像できない。そうすると、その捜査というものはほとんどできないで、法律だけはできたが、ほんとうは何にもならないようなことになるのじゃなかろうかというふうに私どもは心配するのでありますが、これは今どこまで議論しても仕方がない。実績を見てまた考えるという御趣旨のようでありますから、これ以上は追及いたしませんが、警察当局も来ておりますから、私は聞いておいていただきたいと思う。必ずそういうふうになると思うのです。単純売春を処罰しないから、今の売春婦自身が店の経営者みたいになってやるに違いありません。そして、その背後には金を貸している者があるに違いない。しかし、それは、この九条が未必の故意だけでもだめだくらいにこの犯意というものを重視しておりますがゆえに、目的犯罪であるからそうなるかもしれませんが、ほとんど立証は困難だと思う。わが国の刑罰法令におきましては、どうも主観的要素にウエートを置き過ぎますために、弁護士としては便利ですけれども、なかなか犯意の立証が困難で、無罪になる傾向がある。ことに、売春というような問題につきまして、主観的要素に重点を置きますと、立証がなかなか困難になって、金を何のために貸したというようなことは容易じゃないことではないか。そこで、実際問題としては、この法律の大半が威力を失ってしまうのではなかろうかというふうに私どもは心配するのであります。その点、十二分に、今からも私はあらゆる方面から御検討を願いたいと思うのです。そういうふうなことになりますと、今の吉原とか鳩の町とかいうところに地域的に集団したものよりも悪いことが起ってきて、今度はお屋敷町の一画あるいは多数の住宅のしもたやにそういうものが公然として行われることになる危険がある。今より一そうその危険が大になるのであるから、私は、そのためにも、伝家の宝刀として、売春それ自体を、単純売春それ自体を処罰するのだという規定を置かなければ、その法網をくぐることが実にやすやすと相なって、今よりもより上そう悪くなるのじゃなかろうかということを実は心配するのでありますが、その点については、検察庁あるいは警察の関係におきましても十二分なる脱法行為についてのことを御研究願いたい。経済統制法令としては、いかなる名義をもってしても脱法行為を許さぬ規定があるのでありますが、どうも、この単純売春を処罰しないという原則からすると、脱法行為が無限にできている。私どもよりも十倍も二十倍も業者というものは利口で、その道についてはなかなか考え及ばぬ方法を考え出しますから、今私が設例としてあげたことだけでも処罰がなかなかできない。いわんや、彼らが自分の能力をあげてかかったならば・どういう脱法行為をやるかしれません。そういう脱法行為に対するところの処罰ができないことになる。ただ十二分なる御注意をしていただきたいということだけ申し上げて、この論点は……。

松原一彦自由民主党法務政務次官

○松原政府委員 猪俣さんの御心配は私どもも十二分に心配しておるのでございまして、売春を決していいと申すのではございません。売春は悪なりと国の意思をもって今度は宣言しておるのであります。売春は悪であります。その絶滅を期するのであります。ただし、それが刑罰の主体となると、立証に非常に困難なことがある。これはもう猪俣さんも御承知の通りであります。従って、売春を刑罰の対象とした場合に、いわゆる空文となるおそれが多分にある。現に、御承知の通りに、五十五の地方条例があって、売春そのものをば否認しておるものが二十五ある。しかも、その二十五のものばおそらく多分に空文になっておる。公々然と行われておる。そこに法の権威が失われておる。法には処分するとあるが、処分しておらぬじゃないかということになる。私どもは、法はどこまでも実行のできるものでありたいと思う。やみ行為取締りが今日空文になっておって、全く意味をなさなくなっておるように、売春取締りが全く意味をなさないものになっては困りますので、今回は、とらえられる限りのものを周辺からとらえていく、そういうふうにいたしておりますので、また、若い婦人たちを被害者と見て、これを救済することを目的として、刑罰を第二に置いておる。しかも、それでも進んで売春行為を行い、社会の風俗を乱し、人権の尊重すべきことを忘れて、みずから堕落するごとき者に対しましては、どこまでも取り締り得る周辺の事実をとらえようとしておるのでございます。その完璧を期するということにつきましては、きのうからも再三申し上げております通りに、私どもは、性道徳の向上、純潔教育の徹底、宗教的解決等の、国民としての、人間としての自覚と向上に待つほかない。従って、社会道徳がそこまで進んでいって、そういうものが存在の余地のないような国民の性格、空気、品位を作り上げることに、あらゆる今日の行政面はもちろん、教育界も宗教界も婦人方も一般社会も力を合せてこれを完成をするということでなければ、一片の法律をもってこの性秩序をば全うするということを期待はできないことを嘆くものであります。どうか、この法律が単純売春は処罰しないものだということのみを御高調なさらないことをお願いしたい。そんなことを高調せられて、単純売春は犯罪でないなどということをば大きな顔をして言われることを私はおそれるものであります。そうじゃない、それは悪い、罪である、——罪であるということを国が宣言をしておる。ただ、直ちに刑罰の対象になっておらぬ。救済の対象となっても刑罰の対象となり得ないところに悩みがある。このことは声を大にして私は申しておきたい。そういうことを恥かしくもなくのうのうとやるような者は社会におられないような空気を作り出さなくちゃならぬ。いわゆる羞恥心を失えば、人間じゃない。動物だ。ことに性の方面における羞恥を失った者は、これは人間じゃない。本来性行為は神聖であって男女の性交は神前の誓いから始まっておる。しかしながら、夫婦といえども、これをば白日のもとに露出すれば、わいせつなのです。悪魔です。魔道です。決して人とは認めません。だから、性行為というものはどこまでも隠微の間に行わるべきものであって、白日のもとにさらすべきものじゃない、商売にすべきものじゃないということをば、この際私は理念として全国民に徹底しておいてもらいたいと思う。この立法の精神はそこにあるということは、誤解のないようにお願いを申し上げたいのでございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あなたの趣旨はよくわかるのだが、あなたは法律家じゃないから妙なロジックをお使いになる。罪であるというが、この法律では単純売春は罪になっておらぬ。単純売春は罪であることを声を大にして言いたいというのだが、罪になっておらぬから今質問しておる。単純売春は自由行為になっておるのです。この法律では罪になっておらぬのです。ただ倫理的規定を置いただけなんです。国家はこれに対して処罰の対象としておらぬのです。法律自身が単純売春は罪にならぬかということを天下に明らかにしておる。そこに問題があると言う。あなたの論理は逆転しておる。罪になっておればいいのですよ。罪になっておらぬじゃないですか。だから、それが足りないところである、画龍点睛を欠くところであるという議論がそこから出てくるわけです。  それから、なお、地方条例が幾つかあるが実行できないというが、これは取締り当局が放任しておくからであります。やればやれるのです。放任しておったためなんです。ことに、東京都の吉原のごとき、特飲業者なるものを認めて、警視庁が中に入って、七、三とか四分六とか、その売春婦と経営者との間の報酬の比率までをきめておるじゃありませんか。これはこの前の二十二国会において明らかになった。まるでこれは黙認なんですよ。東京都条例があったって、それは黙認しちゃってその黙認するについてはいろいろの事情がありましょうから、それは責め立てませんが、みずから黙認しておきながら、法令があったってだめじゃないかと言うことは、本末転倒の議論であります。やらないのですよ。あなたは二十二国会のことを御存じないかもしれませんが、ちゃんと比率まできめているじゃないですか。だから、そんなことは理由にならない。のみならず、法はもちろん実行することを前提といたしますが、法というものは一つの規範であります。ある法律を作って一般大衆に示すことは、規範的の性質ということも十分あるわけなのです。たとえば、未成年者の飲酒あるいは喫煙、これを取り締っている法律でありますが、ほとんどこれも実行はされておりません。じゃ、こういうものは必要なかろうかといえば、そうじゃない。未成年者は飲酒あるいは喫煙してはならぬという法規範というものはこれによって確立しておるのです。それはそれだけの意味があるのです。いつでもそれは場合によっては適用できる。いつでもそれは適用できるが、むやみにそれを適用して、しからば片っ端から未成年者をこの法律違反者として検挙せいという意味じゃありません。しかし、やればやれるだけの体制というものがなければ、国家の意思というものがそこに表明されない。法というものは国家の意思の表示であります。それをいつでも適用できるだけの法規範を樹立しておく必要があるのじゃなかろうか、その意味において、単純売春でも、いつでも発動でき得るような体制をとっておく。といって、それは単純売春だから片っ端から皆監獄へぶち込めという意味じゃないのです。国家の意思表示としてそれを表明する必要があるのじゃなかろうか。国家の意思表示は法律の中に盛り込まなければならぬのです。あなたのように、天下に向って単純売春は罪であるということを言ってみたところが、この法律自身に罪ということは規定してないじゃありませんか。だから、実効を欠くというだけで、直ちに一切のさような規定は不必要だという議論は、法そのものの一般予防的な効用、法そのものの規範性というものを没却した議論になると思う。まあ、これは議論になりますので、ただこういう精神で運用していただきたいということを申しておきます。  なお、もう一点、具体的な事例といたしまして、渋谷の道玄坂あたりにも、新宿あたりにも多数あると思いますが、温泉マークのついている旅館、大体あれは皆連れ込み場所です。売春婦は皆そこへ入り込んで売淫をやっておる。これも天下公知の事実であります。あれは一体何条で取り締りますか。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 さかさクラゲとか温泉マークとか言われているもの、これにも種々あるかと思いますが、売春を行う場所を提供することを内容とするものにつきましては、第十一条の第二項、「売春を行う場所を提供することを業とした者」というのに当る場合が多い、かように考えます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 これも、実際問題としては、あの温泉マークでの売春行為なんというものは、単純売春を処罰しない以上はほとんどできないと思う。旅館の届出をして、あれは旅館なんです。そこへ夫婦と称して泊り込んできて、調べたところが夫婦じゃなかった。しかし、単純売春はそれ自体処罰されないのですから、いわんや、旅館あるいはホテルの届出をしておいて場所を貸したにすぎないものが、どうしてこの十一条に当てはまるのですか。一体どういう立証をすればなるのか、具体的にどうなりますか。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 現在警察当局のこういう場合の売春の場所の提供罪の取締り、そういうふうな場合におきましては、同じく温泉マークに行く場合におきましても、特定者の場合もございますし、人権の問題もあわせ考えて、実際の取締りといたしましては、かなりの期間をかけまして、一定の女子が異なる男子と出入りするという実態をつかんだ上で取り締る、この第十一条の一項、二項の取締りにおきましては、さような取締りをする、かように考えております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 私はもう一点お尋ねいたしたいが、自治庁の方、あるいは法制局の人、来ていますか。

池田清志自由民主党

○池田(清)委員長代理 法制局の野太第二部長が見えております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 これは法務省及び法制局のどちらでもよろしゅうございますが、詳しいことは同僚議員からまたお尋ねがありますから、私はただ一点お尋ねいたします。この勅令第九号、これは一体いつ廃止されることになるわけですか。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 勅令九号は昭和三十三年の四月一日から廃止される、かように考えます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると、あとの地方条例はいつまで効力があることになりますか。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 これまた昭和三十三年の三月三十一日までは生きておる、かように考えております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうしますと、地方条例と本法との関係ですが、地方自治法の第十四条を見ると、国の法令の範囲内においてのみ地方条例において刑罰を課することができるというようなことになっており、地方条例に刑罰的な規定を置けるかどうか、これは多少学者間に議論があるようですが、今最高裁判所の判例において地方条例に刑罰を置いてもよいということになっておるようですが、それはよいとして、ただ、地方自治法第十四条に、国の法令の範囲内においてのみ地方条例は効力を有することになっております。ところが、この地方条例は、今松原次官が言ったように、単純売春を処罰した。ところが、この法律は単純売春を罪としないのです。それ自体、消極的であるが、国の法律は単純売春というものを罪にしないという建前をとっておる。すると、この地方条例に単純売春を罪にするという規定がある場合においては、これが法令の範囲内における規定だということが言い得るかどうか。地方自治法第十四条の関係において私は疑問があると思う。この今回政府提案の売春防止法は、明確に単純売春は罪にしておらぬのです。国家の意思がそこに明らかに現われておる。そうすると、この法律に含まれましたる国家の意思、精神と違った地方条例というものの存在が効力があるのかないのか、その点についての御説明を法制局なりどなたかから伺いたい。

野木新一法制局第二部長

○野木政府委員 御指摘のような議論があるいは生ずるかもしれぬということをおそれまして、この法律におきましては、附則第四項、第五項におきまして、法律の明文をもってその点を解決することにいたしておるわけであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 これは一体こういうことで効力がありましょうかね。こういう規定を置いても、なおそこに問題があるんじゃないですか。私の聞いているのはそこなんだ。

野木新一法制局第二部長

○野木政府委員 この規定がありませんと、立案の趣旨は、売春関係の法的規制は一切この法律でやるのだ、それ以外の地方条例は許さないのだという趣旨に解するかもしれぬ。そうはいっても、第三条におきまして、単純売春は単に規範的に禁止しているのみで罰則規定はない。従って、罰則を規定した地方条例はなおこの法律に相反しない、生きておるのだというような議論も生じ、なかなかその点、結局最高裁判所まで行かなければはっきりしないというようなことになる危険もございます。事柄は罰則に関するものでありまするから、そういう問題があるのは法制上明らかにした方がよろしい、そのためのいわゆる経過規定でございますから、この法律におきましては附則第四項、第五項におきましてその点を明白にした趣旨でございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 私はまだその解釈については多少異論があるのです。憲法との解釈において、果して地方条例において単純売春を処罰している規定がこういう附則だけにおいて合憲的になるかどうか、多少私は異論があると思うのです。しかし、これは最高裁判所まで行かなければ決定できないということになるかもしれませんが、私は何かこの附則の四項、五項で今の問題が解決したようには見受けられないのですが、なおこれは同僚椎名議員等からも質問がありますので、その際にあらためてまたお伺いをいたします。

神近市子日本社会党

○神近委員 関連してお伺いしたいと思います。  先ほど、芸者さんの問題のときに、これは御答弁済みかもしれませんが、私ちょっと聞き漏らしましたので、長戸さんにちょっと確かめておきたいと思います。私どもは、芸者さんの話が出ましたときに、置屋、それから待合、そういうものは第十二条で規制できるというように考えておりました。それで、それが私の考え通りであるかということと  それから、第十二条は「人を自己の占有し、若しくは管理する場所又は自己の指定する場所に居住させ、これに売春をさせることを業とした者」とあるのですが、たとえば、私どもこの法律が通りましたあとで一番逃げ道と考えられるのは、今のコール・ガール制度でございます。これは、私のところに逃げ込んで来た二、三人の人がたちまち、まあある集団のアパート、部屋貸しの形式をとる有名なアパートですけれども、そこに入りまして、コール・ガールで電話一本でホテルに出張していた。そういう状態があるので、この場合私どもの一番考えなくちゃならないのはコール・ガール制度だと思います。このコール・ガール制度が、特殊のアパートあるいは分散させている住居に住まわせておいて、そうしてその連絡その他を電話一本ということにしてやらせる、こういうような特殊のアパート、それから居住さしている場所、このつながりをあなた方が発見することは困難だとは思いますけれども、今の場合はある程度公然とやっている。これは十二条で規制できるかどうかということ  その芸者置屋と待合と、それから今のコール・ガールの居住、その三点がこれで規制ができるかどうか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 第一点の御質問は、芸者にもさまざまあると思うのでございますが、それが売春をする限りにおきましては、あるいは売春をもっぱらするような芸者というものを置いておりますところは、第十二条によって規制されるというように考えております。  それから、コール・ガールの問題は、この第十二条は「これに売春をさせることを業とした者」とありまして、売春の場所を特定しておりませんからして、派出する場合も当然に含まれる、かように考えております。ことに、自分の占有し、あるいは管理する家、あるいは部屋に住まわせるばかりでなしに、分散いたしてアパート等に置くことも考えられる。いわゆるコール・ガールというものもあるわけでございますが、その点も考慮いたしまして、後段の「自己の指定する場所に居住させ」という点でそれを押えよう、こう考えております。

神近市子日本社会党

○神近委員 今申し上げた置屋と、それから待合というものは、料亭と売春の場所提供とが今きっちり結びついております。それを分離させなければならない。そこで、料亭は料亭としてというふうに私どもは感じているのですけれども、その点で、今の待合というものはどの条項で取り締るのですか。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 待合につきましても、性交が特定の相手方となされる限りにおきましては、この法律の関与する限りではないのでございますが、それが売春に当ります以上は、第十一条の第二項によりましておおむね処置し得ると考えております。

神近市子日本社会党

○神近委員 それから、これはちょっと特殊事項でありますけれども、奈良市が観光案内書を出しておりまして、それに、たとえば、待合とか集団売春街のあるところ何個所かを教える、それから花代が幾ら幾らであるということ、それから専有である場合の請花代とかいうようなものを観光案内書にちゃんと書いてございます。これが奈良とか京都地方では大へん問題になって、何度も何度も新聞種になっているようですけれども、ずいぶん珍しい観光案内書で、おまけにこれは市役所で出している。これは、第三者の広告でありましたら問題にならないのか、本人が広告したのでない場合は問題にならないのかということが一点。  それから、この前も長戸さんに伺って、私はどうしても納得していないのですが、温泉マークの場合、これはあれの広告だということはだれもかれも知っている。そして、あれが私どもには実にみっともなくて、日本国中どこに行っても温泉マークのないところはないということが、売春繁盛の一つのシンボルのようになっている。あれはそういう場所を提供いたしますという広告になるのかならないか。私どもの希望といたしましては、あの温泉マークというものは一ぺん取り下げていただきたいと思うのです。この広告の一つの対象になるのかならないのか、一つはっきりきめていただきたいと思います。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 第一の問題は、奈良の観光案内というものを拝見しておりませんからわかりませんけれども、それが売春に関する問題でございますれば、第六条の二項三号、周旋の目的でする広告に当る場合があろうと考えております。  それから、さかさクラゲ、または温泉マークというものにつきまして、これらの業態はさまざまあると思うのでございますが、それが特定の相手方の連れ込みのみのものでありますれば、この法律の範囲外でございます。しかしながら、ここにいう売春に当るというふうなものにつきましては、先ほど申し上げましたように、第十一条の第二項によりまして、場所を提供することを業とした者として処理し得ることになるわけでございます。第六条の広告にそれが当るかどうか、これは、現在の社会通念として、さかさクラゲなりあるいは温泉マークというものが売春勧誘のための広告であるというふうに見られ得るならば、それは積極的に解される次第でございますが、私は、このさかさクラゲなり温泉マークというものは、いろいろの趣旨で広い意味で使われておるのではないかというふうに考えておるわけでございます。

神近市子日本社会党

○神近委員 それはおそらく法務省だけのお考えだと思うのです。世間では、あるいは遊蕩的の男の人にお聞きになればよくわかると思いますが、あれはあれよりほかのさまざまのシンボルでは決してございません。その点ちょっと認識不足でおいでになりはしないか。ともかく、あれを一ぺんにおろすということは不可能であっても、温泉マークというか、さかさクラゲというか知りませんが、確かにあれは都会においては売春宿です。これはさまざまではございません。必ずあれがそうだということは、だれだって知っているのです。あなたが御存じないだけのことです。それで、私は、あれは何とかこの法律の範囲内で一ぺん消していただきたい。私ども、この法律の随伴的な現象としてぜひそうしていただかなくては、日本国中が売春国であるかのような印象を与えていると思うのです。私はこれで終ります。

松原一彦自由民主党法務政務次官

○松原政府委員 私も、最近にこの問題にぶつかったので、旅館にとまったりいろいろのところで機会あるごとに聞いておるのですが、温泉旅館などで聞きますと、女中の言うのには、ほんとうの夫婦は幾人も来ないというのです。大部分が連れ込みだというのです。それで、売春かというと、そうじゃないというのです。対償を取ってやってきているのじゃなくて、ほんとうのなれ合いなんだ、会社員とかその他学生などがずうずうしくやってくるというのです。この現象は性道徳の崩壊なんです。売春だけで片づく問題ではないのです。今あなたの言う、温泉マークですか、私はあまりよく知りませんけれども、やはりそういうふうに若い者同士が——金をもらいはせぬのです。これは外国にも非常に多いのです。私は外国旅行をしてその話を聞いてきたのですが、性道徳が崩壊して、金を取るのじゃない、遊戯なんです。性の遊戯、それがまことにらちもなく行われておる。この問題の解決は、やはり、私は繰り返しますが、法律の問題よりも、もう一つ深刻な、性道徳をもう一ぺん新たに立て直さなければならぬと思うのです。それは、あらゆる原因をきょう申すことはできませんけれども、温泉マークのうちの何%がいわゆる売春であって、何パーセントが合意の連れ込みか、それは私はわからぬのじゃないかと思う。その点については、警察当局もおいでになるが、それをどうして調べるか。これは正当なる夫婦であり、これは正当でない連れ込みであり、あるいはこれは売春であるというようなことの区別がつかないところに、これを法律として処断するのに非常に悩む。挙証ができない。決して私どもは単純売春をいいなどと思うことはないのであります。悪いにきまっておる。どうして挙証し、どうしてこれを刑罰の対象にするかというところに悩み抜いた結果が、一応ここに周辺を押えることにとどめて、さらに一歩前進する場合があるのであります。決してこれは終点ではない。あなたも委員として御承知の通り、一応今日はこれにしておいてさらになお研究しようということになっておるのでありましてその問題は、私今ここに立ったのは、あなた方のように純潔問題を非常に御心配になり、かつ性道徳に関する憂いを持っておいでなさる方々に、これは単なる売春問題じゃない、もっと深い底があるということをお考え下さいまして、この法案とともに、そこまて掘り下げて日本国民の根本の人格的な修養に関してお考えをいただきたいということから、思いつきのままを申し上げたわけです。

池田清志自由民主党

○池田(清)委員長代理 古屋貞雄君。

古屋貞雄日本社会党

○古屋委員 法務省の方に承わりたいのですが、さっき猪俣さんから質問したのですが、附則の四です。三条では、単純売春でも売春は悪いものだということを規定しておるのです。そうして、東京都条例の第二条によると、この単純売春を処罰しておるわけなんです。今の法務省当局の御答弁によりますと、立証が困難である、困難だから今はこの程度にしておくんだというような趣旨の御答弁でございましたが、現に、東京都条例あたりでは、これを罰するんだという規定があるものを、あえてここでなくして、これは罰さないぞということを宣言するのはどういう理由か、そこを承わりたい。私は、この今生まれようとする法律よりもさらに進んで単純売春でも条例で罰するという規定がありますることは、存続する方がいいと思うのですがね。しかし、それを無理に効力をなくするというならば、この法律を作った趣旨に矛盾してくるのじゃないか。罰する条例があるのに、罰さないぞということを宣言してしまう。これはむしろ私は存続させて地方条例をそのまま残しておいても弊害はないと思うのですが、どういう理由で積極的に、いけないぞ、効力はないぞ、こう言ってしまうのか。というのは、今でも都条例で、警察のやりようによっては処罰ができるわけです。非常に困難だということだけです。処罰するぞとある。処罰ができますよ。はっきり証明された場合には処罰ができるわけだ。はっきりと証明できれば処罰した方が本法の制定の趣旨に沿っていくのじゃないか。それを、四項では、逆に積極的に、全部効力はなくなってしまうんだ、単純売春は全部罰しないぞ、こういう宣言をするように思われるので、この四項をかえた趣旨とお考えを承わりたい。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 法令がある行為を処罰しない趣旨に解せられるというような場合には、その行為に対する条例の罰則は原則として無効である、こういう建前から、この附則はその意味を宣言的に規定したものでございます。先ほど猪俣委員から御質問のありましたのは、さらに進んで、そういう場合に三十三年の四月一日からは無効になることはわかるけれども、それならばその前も失効するのじゃないか、こういうふうな御質疑であったと思うのでありますが、その点については法制局の方から詳しい御説明があると思いますが、第三条の「何人も、売春をし、又はその相手方となってはならない。」という倫理規定のみを置いて、国の意思としてはここに売春行為それ自体は罰しないということを表現し、さらに、附則の第四項によりましてそういうふうに売春行為それ自体は罰しないのだけれども、昭和三十三年の三月三十一日まではなおそれに関連する条例は生かしておくというふうな国の意思もあわせて顕現されたものと解しておるわけでございます。

古屋貞雄日本社会党

○古屋委員 そうすると、地方条例と法律との関係、その点に疑義がだいぶあると思うのですが、もうちょっと詰めて申し上げますと、それでは、そういう条例を作ってはいけないぞという規定はないのですね。全国の各地方自治団体がこういう条例を、今東京都にあるように、作った場合どうなるんですか。そうすると矛盾が出てくる。これから作るやつには効力がある、今までのやつは効力がなくなるという矛盾する立法ができてもいいのか、この点いかがですか。三十二年三月二十一日で効力がなくなって、しかしてあとから全国の地方自治体がこれと同じ規定の条例を作った場合、作ることはいけないということはないわけですね。作ってはいけませんという禁止規定はありませんから、作り得るでしょう。そうすると、この四項はむしろむだになりはしませんか。

野木新一法制局第二部長

○野木政府委員 先ほど猪俣先生の御質問のときに、あるいは問題の核心をつかめないで答弁したのではないかと反省されますが、今の御質問で問題の中心が非常にはっきりしたように思います。御趣旨の点につきましては、私ども提案に関係いたした者といたしましては、一応この法律の本則だけから考えてみましても、本則の第一章総則及び第二章刑事処分及び第三章保護更生、この全体から総合してみまして、この法律案に盛られた国の意思といたしましては、いわゆる単純売春は道徳的に悪いということを宣言して禁止するが、罰はこれに課しない、罰を課するのは五条以下の罰則に盛った限度で売春関係は罰する、いわゆる単純売春は罰は課しないということが、第一章から第三章までに盛っておる趣旨だと存ずるわけであります。しかしながら、それに対しては、必ずしもそうではない、単純売春も地方条例で罰することができるんじゃないかという疑義が起ってもならない。その疑義をなくするために、地方条例では売春関係の条例を作ってはいけないと本則にはっきり書けば、それも一つの手でございましょう。しかし、それは荒々しいことでありますので、この附則の四項、五項に従来の条例との関係をうたっておけば、本文の趣旨とこれと合わさって、地方条例では将来も売春関係の条例は作れないということも、またこれによって反面から十分うたわれてくるのじゃないか。しかして、この法律の本則と附則と相待ってこの法律全体を見れば、今までのいわゆる売春関係地方条例は効力を失い、将来も地方条例で売春関係の新しい刑罰を作ることはできないということが非常にはっきりと出てくるのではないか、その方が立法措置としてはきれいではないかというように存じて、かように立案した次第でございます。

古屋貞雄日本社会党

○古屋委員 どうも、その説明を承わりますと、矛盾してくるんです。というのは、今までも、国の意思表示が行われないのに、必要があったから地方条例が出たんじゃないでしょうか。その必要が今でもある。もっとより以上必要が出てくる。そうして今この法律を作ろうとしている。一方、社会党案によりますと、これは処罰すべきだという議論を出てきている。これは全国における婦人団体の強い要望なんです。これを残すことによって何か弊害でもあるのでしょうか。弊害がなければ、残しておくことが私はいいと思うのです。この法律の趣旨に反する、内容が矛盾してくるということでもない。単純売春は悪いことだ、こうなれば、ただそれを処罰の対象にするかしないかというだけの問題です。この法律の目的は日本から売春行為をなくそうということが目的なんだ。なくそうということにお手伝いになるような既存の条例の効力をなくしてしまおうという。それにはこれにかわるべきよりよいものを持って来なければ、どうも私どもは納得できない。そうじゃないでしょうか。私はそう思う。今までの既存の条例の効力をなくするという附則を特につけるならば、それよわよりよいものが生まれてくるならば納得がいきます。生まれてこないのに、ただここで効力だけを失わせてしまう。これはむしろ残しておいた方が効果的ではないか。それがこの立法の趣旨に沿うものだと私は思う。今の御説明では、国の意思表示がこれではっきりなりますから、この法律の立法の趣旨から考えて、地方条例はもう作らないだろうということですが、これは推測であって、むしろ今まで必要があったから地方条例が生まれてきた。国が意思表示をする前に生まれてきたということは、地方の具体的な第一線において必要があったから生まれてきた。今後生まれる条件がたくさんある。こういうことになると、今の御説明では私はどうも納得いかないのです。これを存続することによってどういう弊害があるのでしょう。むしろ存続した方がいいんじゃないかと思うが、いかがですか。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 売春行為それ自体を処罰すべきかいなかは、たびたび申し上げますように、非常に問題でございますけれども、現段階におきましてな、一心立証の問題、それに伴う人権保障の問題等からいたしまして、現段階では処罰の対象とすべきでないという国の意思を表明しておるわけでございます。従いまして、そのことに関する限り事情は地方公共団体においても同様であると考えられるわけでありまして、その問題を地方に放任して、さらに条例を作らせるということは国の意思に矛盾する、かように私は考えておる次第でございます。

古屋貞雄日本社会党

○古屋委員 これは議論になりますが、残しておくことによって弊害があるのでしょうか。なければ残しておいた方が国民の要望にこたえられるように考えられるのですが、どうでしょう。残すことの弊害は何です。どうしても積極的にやめさせるのには何か弊害がなければならない。なければ残した方がいいと思うが、どうです。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 その点が割り切れますれば、国としてもこれを処罰するという考え方になるのではないかと思います。国として今後研究を重ねていきたい、かように考えます。

古屋貞雄日本社会党

○古屋委員 一応そこは議論に残しておきまして、これは、立法上から言っても、国でやられても地方ではやろう、国でやらなくても地方ではやっていこうということで作った条例ですから、これは地方にまかしておいていいと思うのです。矛盾しない。同じ目的のために二つの並行した法律があっても、条例があっても、私は少しも弊害はないと思う。そういう意味で残すべきものだと思うのです。弊害がなければ、これは残しておいた方がいいと思う。ということは、地方の自治団体において、地方警察などがこういう問題をはっきり処罰ができればなおけっこうです。この点どうですか。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 先ほど猪俣委員の仰せになりました、売春行為を処罰することによって売春助長行為の取締りを容易にし得るではないかというふうなお話もあるわけでございますけれども、種々の点を比較考量をいたしまして、現在においては処罰の対象としない。むしろ、それを現段階においてすることは、弊害と申しますと行き過ぎると思いますけれども、妥当でないものがある、こういうふうに考えられたわけでございます。そうといたしますれば、地方公共団体で売春行為を処罰の対象とすることもまた国と同じように妥当ならざるものがあるのじゃないかというふうに考えるわけであります。

古屋貞雄日本社会党

○古屋委員 私、もうやめます。どうも誤解されておるようですが、僕は、あっても弊害がなければ残しておいた方がいいのじゃないかと思う。ある以上は地方公共団体において取締りをやるでしょうから、まかせていいでしょう。これは今生まれんとする法律の趣旨に反するものでないと同時に、この法律運営にじゃまにならないと思う。これならばあった方がいいという考えなんです。考え方の問題なんです。政府の方では、それはそうでなく、もう必要ないんだとおっしゃられておるようですが、どこまで行ってもまとまりませんので、やめますが、私どもは、存続すべきものである、残しておいても弊害がないし、むしろその方がこの立法趣旨に合うのだということを表明いたしまして、私は質問を打ち切ります。

池田清志自由民主党

○池田(清)委員長代理 細田綱吉君、

細田綱吉日本社会党

○細田委員 私は、ただいま御審議中の売春問題ではございませんが、法務委員会として看過できない重大な問題と考えますので、警視総監にまず伺いたい。  去る五月八日の本院の決算委員会においてのことであります。防衛庁が御承知のように高速救命艇調達のために買い入れた中古のパッカード・マリーン・エンジン、これはもうすでに新聞でしばしば報道されておりますように、かりて米軍から贈与を受けたエンジンでございます。その当時は七万二千円で放出されたものを松庫商店に十万五百円で払い下げられ、それがさらに三友産業から間組を経過して、富士重工の名義までそこに入って、驚くなかれ一台当り一千二百五十万円で防衛庁に納入されたという事件で、決算委員会において証人を喚問して真相をただした事件でございます。ところが、その証人のうち、沢董君が、驚いたことには行方不明になってしまったということが各紙で報ぜられております。沢董君が決算委員会において証言の後に、廊下で、護国団青年部ですか、あるいは護国青年隊とかいう連中に取り囲まれておったということは、われわれその直後耳にしたことでございますが、各紙にあれだけ報道されておりますので、警視庁はこの問題をどういうふうに御調査になっているか、それを伺いたいと思います。

江口見登留警視総監

○江口参考人 中古エンジン問題の証人として喚問された沢某なる人が、八日から行方不明になった、それの真相はどうかというお尋ねであったように思いますので、警視庁として関与しました点について申し上げます。  実は、昨日上林決算委員長が私のところに見えまして、八日の午後から沢証人が行方不明になった、八日の事情をいろいろ考慮してみると、証言のあとで廊下で某右翼団体の者の数人に取り囲まれて何かなじられていた、従って、それを避けるために本人が逃げたのか、あるいはその後それらの者に監禁されておるのか、その事情はよくわからないが、とにかく本人の身辺にあるいは危険なことが起るかもしれぬから、十分捜査をしてもらいたいというお話をきのう承わったのでございます。さっそく本人の寄宿先等に連絡をとりまして、ただいま本人の行き先を調べておるのでございますが、ここに参りますまでには、どこにおるかまだその足跡がつかめないままでございます。一面、八日の午後二時か三時ごろに、警視庁の公安第二課というところに、間組の経理部長ですか、その方が見えまして、今国会で今申し上げたようなことがあったという訴えがございましたので、公安二課の係員が当院の警務部と連絡をとりながらこちらにやって参りました。ところが、もうすでに沢証人も某右翼団体と称する者もいなかった、それでそのまま警視庁に引き揚げたということをけさ私は報告を受けたのでございます。それ以上のことは今後の捜査に待ちたい、かように考えております。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 警視庁としては、護国青年隊とか、護国青年部というものの方を調べておりますか。それから、とりあえず本院へ警務部と連絡の上来てみたがいなかったと言うが、その後の足取りを調べられたか。この点を聞きたい。

江口見登留警視総監

○江口参考人 本人の足取りはもちろん調べておりませんし、その調べの進展状況いかんによりましては、さらにその取り巻いた連中というものにまで触れてみなければならぬかと、かように考えております。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 警視庁も筋が大体わかっておると私は思う。特に練達堪能な諸君の集まっておる警視庁においてはわかっておると思いますが、お見通しはいかがですか。

江口見登留警視総監

○江口参考人 一両日中には足取りがつかめるのではないか、かように考えております。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 決算委員会においてはひとり沢董君を喚問しただけではない。数人の人たちを喚問しているが、特に、七万五千円のマリーン・エンジンが一千二百五十万に、しかも、一台、二台ならずして六台も売られておるというような関係で、その間に砂田重政代議士、大野伴睦代議士の名前が出てから、がぜん右翼団体の活動が活発になったような気がする。御承知のように、国会は、国政審議の過程において最も民主的で最も開放的で、しかも最も自由に供述できなくてはならない。ところが、その帰りに行方不明だ。これは拉致されたか、あるいは危険を感じて身を隠したか知らないが、とにかく法治国にあるまじきことだ。これに対して警視総監はどういうようにお考えになっておるのか。こういうことだと、国会で自由に証人を呼んで各委員会で国政審議を十分やることができなくなる。これではゆゆしい問題であり、まさに民主主義政治も危機に直面しておる。この点は警視総監はどういうふうにお考えになっておるか。

江口見登留警視総監

○江口参考人 国会におい一証人として喚問された人が、院内において危害を受けるとか、そういうようなことがありましたのでは、これは国会の審議権から申しましても非常に重大な問題だと考えます。私どもといたしましては、こういう事件を契機といたしまして、それらの方々の身辺については、今後とも、管轄警察署にも申しまして、十分注意を払って参りたいと考えております。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 警察庁長官に伺いますが、従来の日本の軍、特に陸軍においては、右翼団体の巣くつとでもいうか、そういうような感が長年しておった。あるいは物的に精神的に援助したり、あるいはかなり機密費をそっちに流したりして、右翼団体の援護のまた参謀本部でもあったことは、おおうべからざる事実である。防衛庁が最近再び軍の編成にかかって、しかも御承知のような膨大な予算を使い出しますると、何と申しましょうか、蜜に集まるアリのごとくにまた右翼団体が防衛庁を取り巻いて昔日の暴威をふるわないという保証はできないと思うし、また、最近も、われわれのところでは、幾つもそういう連中が防衛庁へ出入りしているということを伺うのですが、右翼団体と防衛庁との動きと申しましょうか、最近の関連並びにこれに対する動きというようなものは、警察庁の方面においてはどういうふうにキャッチされておるか、一応伺いたい。

石井榮三警察庁長官

○石井(栄)政府委員 ただいま問題になっております五月八日の決算委員会の証人の問題に関連をして、いわゆる右翼団体の一つである護国団が果してどの程度関係があり、それがまた防衛庁とどういう関係があるものであるか、これは先ほど警視総監からもお答えしましたように、まず証人であられた沢氏自身の行方、身辺保護ということを急務とし、それにさらに関連をいたしまして、どういう伏在する問題があるか、十分われわれとしましては捜査すべきものは捜査をしたいというふうに考えていますが、ただいまお尋ねのいわゆる右翼団体と防衛庁がどういう関係であるかということにつきましては、私ども遺憾ながら詳しいデータを持っておらないので、ここで御満足のいくようなお答えのできないのははなはだ遺憾と存じますが、現在の防衛庁がかつての軍のような立場にあって右翼団体と深いつながりと申しますか悪因縁があるというようなことは、今日ただいまのところ私どもは確認して承知をしておらないのでありますが、今後そういうことにつきまして右翼団体がいわゆる犯罪を構成するような事案を惹起いたしますならば、これに対しましては十分警戒いたしまして、取締るべきものは取締るという態度をもって臨みたいと考えております。

細田綱吉日本社会党

○細田委員 沢董君の行方の問題は、先ほども申し上げましたように、全警察機能を動員すれば私はむずかしい問題じゃないと思う。沢君という人はブローカーですから、相当に広い交渉を持っておられると思いますけれども、とにかく、身辺に危険を感じてみずから逃避したか、右翼団体に拉致されておるか、これはいずれかだ。しかも、その右翼団体は現実に来ておる。護国青年隊ですか護国団の青年隊か知りませんが、そういう関係でしょう。間組は、これは土建業者ですから、決算委員会でも一部問題になりましたが、佐久間ダムを請負うについてかなりスキャンダルがわれわれの方に報ぜられておる。そういう問題をさらに進展されては因るというので、そういう方面か、とにかく捜査の限界というものはある程度まで狭められた問題だと思う。これは、さっきも申し上げましたように、国会の国政審議を間接に妨害する、威嚇するというようなことは、ゆゆしい問題だと思うので、この問題は一つ全警察の機能を動員して真相を明らかにされるように要望しておきます。  なおまた、警察庁長官の御答弁において、自衛隊と右翼団体との間のデータはないと言われるけれども、どうも、従来、国民に対してはなかなか目が行き届くが、官庁のスキャンダルに対してはある程度までぼんやりしているということは免れぬ事実であると思う。まあ警視庁あるいは警察庁において官庁という方は苦手かもしれませんが、これは実に大きい問題です。しかも、そこに食い込んでいる者があり、われわれ全国民の血と涙の血税をそういう方面に流して、一部団体のために使われるということは、これまたゆゆしい問題でありますので、今後とも、いかに官庁方面の問題が同僚間のことで苦手であったにしても、警察の立場からして十分に一つその間の粛正に乗り出していただきたい。いろいろ国会でも問題になっておりますが、官庁の問題は会計検査院の報告でもないとなかなか出てこないということで、もちろん最近の印刷局の局長の問題なんかはそうではなかったようでございますけれども、どうも官庁には警察方面の手が抜けておる点がございますので、最近の国会の国政審議の過程等も御考慮に入れて、一つ十分にこの方面もやっていただきたいと思う。われわれが自衛隊に出入りする右翼団体の問題を聞いてからもずいぶん久しきにわたるのに、警察庁長官がデータはございませんなんと言うばかなことはないと思うのです。そういうことは、遠慮しないで、一つ発表すべきものは発表し、調べるものは調べていただきたいということを強く要望しておきます。

石井榮三警察庁長官

○石井(栄)政府委員 官庁のいわゆるスキャンダル等につきましては、私どもも、もとより、くさいものにふたをするという気持は決して持っておりません。どこまでも厳正公平な取締りをする態度を堅持したいと思っております。今日まで、あるいはわれわれの努力が足りない点もあったかもしれませんが、今後誠意をもって十分に善処したいと思っておりますので、御了承願いたいと思います。

古屋貞雄日本社会党

○古屋委員 国会の国政調査の問題に関連して、実は私今日まで遠慮しておったのですが、国会内における議員の行動に関する問題について、重大なことですから、警視総監に明確に御答弁を願いたいと思うのです。  過ぐる五月一日の午後三時ごろのことですが、衆議院の正門において議員諸君があそこに入るのがごたごたした。これは、私の社会党の委員長を先頭にあそこに入ったのですが、少し誤解があってごたごたいたしました。そのことを私は責めるのじゃないのです。それが済みまして後に、正門から入って参りました中村時雄議員に対して、警備に来た予備隊か何か知りませんが、警察の方が暴言を吐いてけんかを売ったというので、中村君は全部の議員が国会に入ったあとに残って、その人間を確認いたしまして、顔がわかりましたのでそれを連れ出して、君、こういうことは反省した方がいいだろうという注意をした。ところが、それを全部否認しておりました。たまたま私もほかの用事があってそこに残っておりましたので、中村君の話が済んで後に、私はその予備隊の諸君のまん中に入って、名前だけははっきりしておいた方がいいだろうという要求をいたしました。そのとき、私をけった予備隊か警察官がいる。これは新聞記者も見ておるし、私の方の秘書二人も見ておる。私がその人間の胸ぐらをつかんではっきり確認しようとしたところが、二十人からの手でわっと押して、どこかに逃げてしまった。それで、そのときに、あとから反省をされて何とかあいさつがあるだろうと思って待っておったのですが、今日までないのです。この点は私黙ってほうっておこうと思いましたけれども、これは重大な問題で、私の問題じゃないのです。議員が院内において活動して、そうしてただいま申しましたような経過の問題について明確に確かめようといたしましたときに、議員を暴力をもってけ倒す、——私の左のももをけったことは事実です。現場において私がつかまえておるが、他の同僚の警察官が押しやって連れていった。こういう事実がある。この点について、たしかそのときの指揮官か何かから御相談があったと思いますが、あったかどうか。私はその人間を責めようとしない。相当気が立っておったので、若い者のやり過ぎであるから、私はその責任を問おうとはしないけれども、そういうことが今後行われるということになりますれば、これは重大な問題です。ただいま問題になっております沢君の問題のように、国政審議が十分できなくなるのと同じことで、議員そのものが院内においてけ飛ばされるということになりますと、重大な私は問題だと思うのです。この点、具体的に指揮官から報告があったかどうか、その人間がはっきりわかったかどうか。私は胸ぐらをつかんだのですが、つかんだやつをみんなが来て押し切って連れていった。その人間はわかっておるはずで、やった人も私をやったことを十分確認しておるはずであります。それは何でもないときのできごとなんですよ。入るとか入らせぬとかいう押し問答じゃない。済んだ三十分後ですよ。この点は重大な問題だと思うのです。今日まで私は、反省されて何とかごあいさつがあればと黙っておったのですが、たまたま今日そういうことが出ましたので申し上げるのですが、これを現認した者がたくさんある。新聞記者もある。この点について、何か警視総監の方にそういう報告があったかどうか。もしないとすれば、はっきりしておりますから、確認されてそれに対する処置をしていただきたいと思います。

江口見登留警視総監

○江口参考人 五月一日のメーデーの国会前を通りました路線の一番最後の梯団が国会に入ろうとして——その梯団は議員の秘書団が大部分だったそうです。デモに加わっていて、いきなり国会内に入られるということは、われわれ警戒に当っております者の予想外のことで、そういう予定にはなっていない。デモの条件は、そこからずっと横の下の方に降りていくということでございますから、従いまして、条件にないのに入るのは困るということで、一応阻止したということを聞いております。ところが、議員の秘書団だけでなくて、今お話があったような議員自身毛相当おられた。議員が国会に入るのを阻止するということはできないから、そこで門をあけて、入ってくる者とこれを阻止しようとした者との間に多少のいざこざがあった。その際に、足をけられたとか踏まれたとか、今古屋さんのお話では故意にももをけられたということでありますが、あるいはそういうことがあったかもしれませんが、そういう具体的な、だれがだれに対してどういう手に出たかという詳しい報告を受けておりません。そういうような段階を経まして、多少のトラブルがあった。警察官自身も鉄帽や警棒をとられておりますので、多少のいざこざがあったということは私聞いておりますが、古屋さんが今お話なさったようなことについては報告を受けておりません。幸いに議員さんの方でもこのことは不問にするということになったという話を聞きましたし、警視庁の方でも、警棒や帽子をとられたことに対して抗議するかどうかということにつきましても、いたずらに事を荒立ててもしようがないということを考えまして、私どもの方からも特にごあいさつに歩いていない次第でございます。

古屋貞雄日本社会党

○古屋委員 それは違いますよ。冗談じゃないですよ。何を言っているのですか。それは違いますよ。それは三十分もたってからのことで、全然違います。その問題とは別です。そんな問題じゃないのですよ。これは、中村君もおりますが、知っております。十人ばかりおって、帆足君もおったのです。二十分も三十分もたってから後のことなんですよ。そんなトラブルの問題じゃないのです。平静に復して、そして二十分もたってからの問題です。新聞記者たちも知っておる。(「報告が間違っているのだ」と呼ぶ者あり)報告が間違っているかどうか知りませんが、その指揮官が一つも報告していないのですか。そのトラブルのときには全然関係がないのです。二十分ですっかり平静になって、そして皆さんが全部入ったあとなんです。議員も秘書団も何も全部入ったあとなんです。ただ中村君と私と二、三の新聞記者があとに残って、ほかの話をしていたのです。これはみな院内に入ってからのことなんですよ。それを、だいぶ前のことで興奮しておったかもしれないけれども、わざわざけりにくる必要もない。重要なので私は申し上げている。お互い同士が和解したとか話が済んだということは前の話なんです。今の沢さんの問題がありましたから、重ねて申し上げるのですが、これは院内の問題だ。院内の国政を審議するわれわれの活動の自由の問題です。これは私のことだから申し上げたくないのですけれども、これは同僚諸君も確認し、新聞記者諸君も確認し、帆足さんも確認しておられる。これは調査せられてはっきり御答弁願いたいと思うのです。これについて上司に報告していないのですか。これは私は自分のことだからきょうまで黙っておりましたけれども、そのときに診断書を取るということは男げのないことだから、今日まで黙っておったのです。ところが、今、沢さんの問題が出て、こういうことが重なると、これは重大なる国会内部の審議に関する大きな問題でありますから、私は事重大に考えていただいた方がいいと思うのです。明確に調査されまして——これはやった本人はわかっているはずです。私は腕をつかまえたのですが、それを五人か六人すっと押して私の腕を振り離して行ったのですから、それで、上司の方に、君、はっきりあの人間を調べてもらいたい、こういうふうになっておりますから、よくお調べを願ってはっきりしていただきたいと思う。そうしないと、これは議運で大きな問題になります。そこまでやらなくても、あなたがはっきりしていただけばこれは片がつくのじゃないかと思うのです。十分に御詮議を願って、その責任を明らかにしていただきたい、こう思います。

江口見登留警視総監

○江口参考人 先ほど私がお話しました事件の二、三十分あとの事件だそうでございまして、その報告は実は私受けておりませんので、帰って十分調査をいたしまして、その真相を明らかにいたしたい、かように考える次第でございます。

世耕弘一自由民主党

○世耕委員 売春法以外のお話が出ましたから、私もその問題に関連して一応念のためにお尋ねしておきたいと思います。  実は、過般の本会議で、私は、——これは反対党であると思います。少しばかり余裕を置いてそういう言葉を使いますが、反対派の議員諸君からすねをけられた。そして貴重品を実は紛失した。しかもそれは本会議場内です。私は議長の命令によって投票場に行こうとしたが、それを妨害された。妨害ばかりではない。暴行を加えられた。もしそういうような問題、場内外の問題をとらえてこの委員会で論議なさるのだったら、私の問題も一つ取り上げていただきたい。そうして徹底的に糾明していただく、それがすなわち人権擁護であり、ほんとうの法の権威を維持するゆえんと思う。私は外の問題は二の次であると思う。私は公務執行を妨害された。これをどうするか。この点を一つ理事会で取り上げていただきたい。私は実は黙して語らなかった。けれども、たまたまそういう問題に触れてきましたから、そういう問題をお取り扱いになるものなら、私の分も一つやってもらいたい。これは私個人のことでありますが、御参考までに申し上げます。

池田清志自由民主党

○池田(清)委員長代理 世耕君に申し上げます。今の世耕君の御発言は、院内の秩序維持の問題でありまして、院内においてわれわれが協力してやるべきでございます。この委員会におきましては、いわゆる院の外との関係のことを今議題にされておったところです。院内のことは院内御当局で一つ実現するようにお互いに努力いたしましょう。  志賀君に申し上げます。破防法の関係の政府委員が見えておりませんから、顔ぶれのそろっておる範囲内において御質問願います。志賀義雄君。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 沢証人の問題のことに関連しておりますが、警察庁長官と警視総監に、今までのデータがおそろいにならなかったそうでありまして、今後は大いに努力すると言われますが、これは人権問題にも関連して参るのであります。今後当委員会あるいは他の委員会にこういうような問題に関してそういう調査の資料を提出される予定でございますか。調査の結果、それがなかったらなかった、あるならあるという報告をお出しになる、そういうお心組みでしょうか。その点を伺っておきたい。そうでないと、今後努力いたしますと言っても、会期でも終ったときに消えてなくなりますから、これは困ります。その点をもう一度はっきり約束しておいてもらいたい。

石井榮三警察庁長官

○石井(栄)政府委員 どういう資料を御要求になりますか、その内容によりまして、私どもの手で提出できますものは……。(志賀(義)委員「今細田さんの要求された資料です」と呼ぶ)それは提出いたしても差し支えないし、またそうすべきであろうと考えております。

江口見登留警視総監

○江口参考人 先ほど、細田さんでしたか、どうも官庁に対するそういう捜査が非常に手ぬるいということでございますが、それに関連したお尋ねでございますから、お答えいたします。私ども警視庁としまして官庁に対して手心を加えておるということは絶対にございません。印刷局の問題にしましても、通産省、農林省、東京都庁の問題にしましても、ずいぶん昨年からことしにかけて官庁の方に手が入っております。ですから、いかなる官庁でありましょうとも、そういう不正があります以上は司直の手が入るということは、これは当然でございます。志賀さんの方からのお尋ねもありましたが、もし不正事実がありますならば、これを摘発するにやぶさかでないつもりでおります。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 実は、これに関連して、破壊活動、これに関連して公安調査庁というものがありますが、そういうところでもこういう問題は本来調査すべき問題であると思います。きょうはその方の関係者が出ておりませんから、委員長の方でこの次そういう方のお呼び出しを願いたい、それだけをお願いいたしておきます。

世耕弘一自由民主党

○世耕委員 先ほど私の発言に対して、委員長は見当違いの答弁をなさっておるように思う。暴行事件があったのが院内のことだということを聞きました。古屋君の問題も院内のことだと私は聞いておる。本会議場ではなかったが、少くとも衆議院の場内において行われておる。これが院外であれば、全然ここの問題にすべきではない。警察と個人の交渉です。少くとも衆議院議員という肩書きを持って登院して公務を行う場合には、おのずから私は別だと思う。そうすると私の意見と一つになるわけであります。また、これは、社会的に考えてみますと、院内であれくらいのことをやったのだから、外でもこれくらいのことをやってもいいんだろうというような空気を現在作っています。それをどうするかということです。私のねらいはそこなんです。反省するのはお互いが反省しなければならぬ。一部の警察官や若い者の乱暴を責める前に、われわれが果して代議士としてりっぱな行動を行なっておるかどうかということを反省すべきではないか。だから、私は、なぐられても、けられても、そうして場内で公務の執行を妨害することをわれわれは反省すべきだと思う。なぐるような人は往々にして脱線するのです。だから、私はその点を特にお願いしたのであって、どうぞ、議長の権限と警察の権限を両方とも混同して申し上げたのじゃないということを御了解願います。

池田清志自由民主党

○池田(清)委員長代理 世耕君の御発言は、私ども議員同士が大いに反省すべきことでありまして、院内の秩序維持につきましては議長が全責任を持ってやっておりますから、発言の趣きは議長に伝えまして、院内の秩序維持に努力してもらうようにいたします。  午前中の議事はこの程度において終了いたします。午後は一時半に始めます。  しばらく休憩いたします。    午後零時四十一分休憩      ————◇—————    午後二時七分開議

高橋禎一自由民主党

○高橋委員長 午前に引き続き会議を開きます。  質疑を許します。世耕弘一君。

世耕弘一自由民主党

○世耕委員 私は、明日事務次官がおいでになるそうでありますから、昨日の続きの一端を松原政務次官にお尋ねし、文部関係で性教育の問題に二、三触れて、その程度で本日はとどめたいと思うのであります。  昨日、松原政務次官に、「太陽の季節」という小説、これは単行本でありますが、これと、谷崎潤一郎氏が中央公論の一月、五月、六月に書いたこの小説をお読みになったかということをお尋ねいたしましたところ、まだ読んでいないというお話でありました。お忙しいので、お読みになる時間がなかろうと思いますから、抜き読みして御参考にいたしたいと思う。あとでお目にかけていいと思いますが、こういうさし絵が載っているんです。これはお読みになりましたか。

松原一彦自由民主党法務政務次官

○松原政府委員 それは中央公論でしょう。それは読んだのです。

世耕弘一自由民主党

○世耕委員 お読みになったのなら、これから一つお尋ねしていきます。  この腹の上に老眼鏡が載っているのが絵になって現われているのです。どういう結果こういうふうになったかということは文章の前後をお読みになったらおわかりになる。私はこれは言いたくない。それくらいな記事であります。これが先ほど社会党の諸君からも御質問のあったことなんですが、風紀取締り並びに刑法の百七十五条のわいせつ罪に当てはまるのではないか、また軽犯罪法の一条の二十号にも抵触するのではないか、こういうふうに私は考える。ところが、きのう局長代理からのお話では、これは文学的価値論から出てくるのだから、うかつには手が出せない、こういうお話だった。これもごもっともだと私は思う。私はこの際文学価値のことを論じようとは思わないのだ。われわれが法律を作る場合には社会常識を基本とする。そういう場合に、この発表が果して妥当なりやいなや。なぜこういうことを深入りしてお尋ねするかと申しますれば、こういう点をはっきりしておかなければ、実際取締りの衝に当る人は手の下しようがないのです。そこで私は重ねてお尋ねするようなわけでありますが、幸いにして政務次官はお読みになったというから、お差しつかえのない範囲で御所感を承われれば、けっこうだと思います。

松原一彦自由民主党法務政務次官

○松原政府委員 昨日私は申し上げたつもりでございます。私も読みましたが、春画を文章にしたようなことは、たとい老大家の筆であろうとも好ましからぬものであるという感じを持ちますということを申し上げた。ただし、これが犯罪になるかどうかということにつきましては、私は実は法律上のしろうとでございまして、専門家の方の御意見に待つほかございません。私としては、昨日申し上げた通りに、好ましからざるものと今日も心得ております。

世耕弘一自由民主党

○世耕委員 私は松原さん自身に個人の資格でお尋ねしているわけじゃございません。政務次官としてお尋ねしたつもりであります。昨日この問題が取り上げられたのだから、きょうは専門家の意見を聞いて親切な御答弁があるだろうというふうに実際は私は期待していた。しかし、お忙しくてまだそこまで手が伸びていないのだと仰せられるなら、私はお聞きしようとは思いません。  それなら事務当局にお尋ねします。この刑法の条文と軽犯罪法はこの小説に適用されないのかどうかということも御研究になっておるか、あるいはなっておられないか。常識で判断ができる問題ではないか。これが判断できないようでは、今新たに作ろうという強力な法律は、私は作ることがすでにむだだと思う。社会に大きな波紋を投げるものだと申し上げたい。即答がもしお気がお進みにならなければ、御研究の上御回答になってけっこうだと思います。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 ただいま御即答はいたしかねます。われわれの方で、一般的に申し上げまして、わいせつ文書等の頒布その他によりまして検挙いたしておりますものは、昭和二十八年度におきまして千百二十三人、二十九年度において千四百三十三人でございます。芸術、文学のものでありましても、事わいせつに当るものについては、もとより犯罪として処置するということになるわけでございますが、本件については御即答をいたしかねます。

世耕弘一自由民主党

○世耕委員 くどいようですが、重ねてお尋ね申します。今度のこの問題は、今の御説明によると、すでに千件以上お取扱いになった後のできごとであるから、十分御研究もし、御用意もあることだと思う。突然の問題ではない。しからば、過去の取締りの御経験に基いて、この谷崎小説なるものについてはどう考えるか。将来のことはいざ知らず、過去のお取扱いになった事件に照らして、これは特に考慮を払わなくちゃならぬ問題であるが、私は決してあげ足をとろうとか責任を追及するとかなんとかいうのじゃないのでありまして、真剣にこの問題を了解したい。できたら、これを世論に訴えて、世論の正しい批判によってこの問題を片づけていきたいというのが私の念願なんです。どうか率直な御意見をもし承われれば非常に審議の上に便宜だ、かように考えております。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 昨日も申し上げましたように、文学に関するものといたしまして、私の記憶するところでは、ロレンスの「チャタレィ夫人の恋人」、ヘンリー・ミラーの「セクサス」、石坂洋次郎氏の「石中先生行状記」の一部、「川柳末摘花」のあるもの、こういうふうなものが問題になったかというふうに考えるわけでございますが、文学、芸術に関する問題につきましては、一般に与える性風俗維持の点ももとより重要でございますけれども、一面、思想表現の自由に関することでございますので、従来ともそういうものを検挙いたしますについては相当に検討の上事に当っておるような次第でございまして、先ほども申し上げましたように、本件についての犯罪成否については御即答いたしかねるというふうに申し上げます。

世耕弘一自由民主党

○世耕委員 これ以上お尋ねするのはどうかと思いますから、なるべく差し控えたいと思いますが、チャタレイのあの事件をどういうように御処理なさいましたか。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 これは、御存じのように、起訴いたしまして、最高裁判所の最終判決がまだないというように記憶しております。

世耕弘一自由民主党

○世耕委員 お取扱いになったチャタレイ事件は、起訴して、最高裁判所に移しておるというふうな今のお話でありますが、それと比較して今度の谷崎氏の小説はどう判断なさいますか。御判断になる前に、私が申し上げますれば、チャタレイよりももっと深刻だと思います。もっと露骨だということです。文学的価値ということについては私は批判する資格はないかもわかりませんけれども、文学的価値から見て、チャタレイ夫人のあの方が文学的価値が深いんじゃないか。むしろ、きのう松原政務次官がおっしゃったように、これは春画を文章に表わしたものだ。私は、むしろ、逆に言えば、春画を描いてその上へ説明を加えたものだ、りっぱな春画だと思う。こういうものを放置しておいて、——私は今ほかの方と話をしたのだが、汽車のかまをうんとたいておいて、汽車を走らせなければどうなる。きっと爆発しますよ。非常に人情の機微の重大な問題だと思う。私は、これをすぐ告発しろ、検挙しろ、そういうことを端的に申し上げるのではない。それほど軽率な態度で私はここで論じているのではございません。しかもこれは何十万部と売れているじゃないですか。なお、念のために申し上げますが、帰ってここをお読みになったなら、——今読むことだけはやめますけれども、妙なところをなめて、そうしたら近眼鏡を腹の上に落したのがこの絵じゃないですか。その説明をしているんじゃないですか。りっぱな春画ですよ。それも、いわゆる近代的な思想から見て、それほど取り立てて論議するのは間違いだというなら、それまでだと思う。それをここではっきりしてあげなければ、私は取締り当局がはっきりした態度で臨めないんじゃないかということなんです。だから、りっぱな法律が幾つも現にできていながら今日実行できないのはなぜかといえば、結局実施できないような法律をこしらえたということに原因しておる。それは社会の実情を無視した法律を作った結果であるということが言える。これをわれわれは二度繰り返したくないということです。  なお、今度は政務次官にお尋ねいたします。「太陽の季節」は読んでないということですから、急所々々だけをお読みいたします。まず、この広告の評の中には、沈滞の文壇に波紋を投じてときめく青春の凱歌をあげた芥川賞受賞の問題作、こういうので出ております。それから、伊藤整という人が評していわく、近代文壇に現われた新進作家で、その第一作から石原慎太郎君ほど問題を投じた人はいないと思う、作家石原君の出現は社会問題のような形を呈しておる、これなんです。社会問題を呈しておる。しかし、この人を作家として見れば問題は単純である、彼は日本の生きている放置された若さというものをほんとうに発見して描いたものである、それが真実に目をふさぐことになれている多くの人々にショックと自己発見へのきっかけを与えたものである、こういうふうに批評しております。これは純文学として取り扱うか社会問題としてこれを取り扱うかということに分れ目があると私は思うのですが、この批評は私は端的にして要を得ていると思う。この「太陽の季節」の主題の登場人物の中に女子大英文科のグループというものが一応浮んできております。青年層から言えばやや知識階級に属する連中なんです。これらの者の性の状況をここに描写しているとも思われる。「成る程英文科の女子学生達は互に勝手な外国名をつけて呼び合っている。彼女達の名は、エルザ、サリー、マリ、ミッチー」という名前で呼び合っているということが書き出しの中に出ている。世界共通の性の問題が、いろいろな方面につながりがあるということを申し上げたのは、こういうところにもすでに片りんを現わしていると思うのです。「彼は女が初めてなのを知った。サリーは泣いている。」というような書き出しが出ております。もう一つは、私はこれが果していいのか悪いのかということについて問題にしていきたいのは、自分の恋人といいますか、愛人を兄貴に五千円で売っているじゃありませんか。そうして、契約書を付して、この女には指一本も触れないという契約をした。それから、もう一つは、女性をすなわちおもちゃと思っているということなんです。性の問題はもう玩弄物と彼らは考えている。この作者は東京の官立の商科大学の大学院の生徒じゃなかったかと私は思う。あるいは記憶が間違っておるかもわかりません。しかも、その中で特に、この子は、いろいろな点で、むしろ性行為の火遊びからついに妊娠して、その手術の結果が思わしくなくて、胎児四カ月を腹に持ちながら掻爬手術が不成功で腹膜炎を起し死んでいる。けれども、実際を言うと、これは創作ではなくして現実を語っている。これは今の現状なんです。決していいかげんな小説ではないということがここに言えると思います。これも読みたくないのだが御参考までに読み上げてみましょう。「部屋の英子がこちらを向いた気配に、彼は勃起した陰茎を外から障子に突き立てた。障子は乾いた音をたてて破れ、それを見た英子は読んでいた本を力一杯障子にぶつけたのだ。本は見事、的に当って畳に落ちた。」と書かれている。これが何十万部と今販売されて、上級の中学生から高等学校の生徒は喜んで読んでいる。これも文学的価値としてそのまま放置していいでしょうか。刑法の存在、風紀取締り、わいせつ罪の取締りの法の目的は、私はどこにあったかということをまず尋ねてみたい。これは文学的価値ありとかりに評価するとすれば、われわれはこれから作らなければならぬ法律もよほど考えなくちゃならぬことになる。法律は社会の常識を取り入れた法律でなければ実施しても効をなさぬというのが私の法律に対する一つの見解です。誤まっておれば別でございますが……。  そこで、私が昨日委員長にお願いしたのは、この「太陽の季節」を書いたのは大学を卒業した二十五才か六才の青年である。青年の性に対する思想を代表した本がこの「太陽の季節」なのです。中央公論の方は、ことし七十一才になる老小説家の書いたいわゆるエロ文なのです。私はそう見ている。エロ文なんという言葉は適当じゃないかもしれぬけれども、エロに関係している、セックスに関係していることです。だから、これは、端的に言えば、二つの年令を代表した著者が偶然売春法を審議する時代に現われたのだから、この著者を本委員会に呼んで、果して社会に対するある一つの示唆を与える、性に対する新たなる見解を与えるためにしたのかどうかということを聞いていただく方が、役所でこれは文学的価値があるかないかというて御判断なさるよりも、御本人自身に聞くことが私はかえって一番近道だと思うので、ここへ参考人なり何かの形式で出てもらうことを実は要求したのです。神近市子君は、私が参考人を申請したのに対して、おそらく来ないだろうというようなことをおっしゃったが、私は来ないというような卑怯な人たちじゃないと思う。進んで来るであろうということを私は想像します。また来るべきなのです。いわゆる性に関する新しい見解と新しい主張がこの著作の上に現われたとするならば、せっかく国会においてその出席を求めたら、喜んで来べきだ、私はかように思う。それで要求したのです。不幸にして前回はいわゆる文芸人と称する人たちは病気、旅行その他のために出てこられなかったが、今度は私は出てきてくれるだろうと思う。それで要求したのであります。私のねらいは、そういうようなこの性の問題を根本的に掘り下げて、そうして、これならば実行しても納得することができる、また青年男女諸君も性に関する認識を十分深められるチャンスを得られるであろう、そういうものを求めたいがために実はおしゃべりを続けておるような次第であります。文部省の社会局長がお見えにならないようでありますから、御出席の政府委員に一つ今の問題の御回答を願いたいと思いますが、特に性教育を通して見た近代文壇の青年男女に対する影響というようなことをお聞きしておきたいと思います。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 私は文学については門外漢でございますが、文学はおそらくは現実の世界をリアリスティックに文学的に表現するということにあると思います。芸術ないし文学と称するものにつきましても、その全部または一部が刑法上わいせつに触れるというふうなことでありますれば、これは文学的な価値というようなものとは別に犯罪として処理するという態度はわれわれは持しておるのでございます。  それから、もう一つは、石原慎太郎氏の「太陽の季節」などに現われたところが、要するに現在の若い世代の性生活あるいは性行動というものをリアリスティックに表現されたものであろうから、そういう現実というものを考えずして本法案を論議することはできない、こういうふうなお考えではなかろうかと思うのでございます。戦後の道徳の頽廃、これは、いかなる国においても、ことに敗戦した国におきましては特に著しいようでありまして、わが国のみに限らないことではございますけれども、売春婦の実態等を見聞しておりますと、ことにパンパンと称する者、洋娼と称する者につきましては、転落の原因には、その間に強姦あるいは強制わいせつ等の犯罪がございませんでも、自由をはき違えたところの放縦なる性行動あるいは性生活というものがあるように考えるのでございます。そうした放縦な性生活なり性行動というものに対して、政府または社会がそういうことなからしめるようにしていくことが大事である。私どもは、この売春立法とともに、若い世代の正常なる、あるいは清潔なる性生活の育成指導ということについて、行政措置なりあるいは社会の啓蒙活動が必要である、かように考えておるのでございます。従って、そういうふうな現実に目をおおうことなく、むしろそういうことをなくす意味からも、その売春立法は必要である、かような考え方に立っておる次第でございます。

世耕弘一自由民主党

○世耕委員 それでは、さらにお尋ねいたしますが、刑法百七十五条で、「猥褻ノ文書、図画其他ノ物ヲ頒布若クハ販売シ又ハ公然之ヲ陳列シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ五千円以下ノ罰金」といわれておりますが、この「猥褻ノ文書、図画」というのはどういうふうな御見解でありますか。刑法百七十五条の条文解釈を聞きたい。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 「猥褻」と申しますのは、もとより、人に性的刺激を与え、羞恥嫌悪の情を催させるというふうなものというふうに考えます。「文書」は一般の書籍、雑誌その他でございますし、「図画」は一般の絵画または写真、そういうふうなものが当ると考えております。

世耕弘一自由民主党

○世耕委員 そうすると、この谷崎氏の小説は当てはまらないということに解釈していいかということであります。あなたは窮屈にお考えになっておられるようだが、私は軽い気持でお話し下さっていいのではないかと思います。文学的価値という問題であなたは逃げようとなさいますけれども、そうはいきません。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 先ほども申し上げましたように、文学と刑法のわいせつ罪とは、たといそれが文学でありましても、刑法のわいせつ罪に当るものはもちろんその犯罪として処理するのではございますけれども、それをもって直ちにわいせつであると即断し得るには名医たることが必要であると思いますが、私としては、事柄はやはり、文学に逃避するという意味でなしに、文学というものの思想表現の自由との関連において慎重にあらねばならぬという考えから、御即答を控えるという態度でございます。

世耕弘一自由民主党

○世耕委員 今のは主として谷崎氏の問題をとらえて言ったのですが、「太陽の季節」の問題はどうなんですか。これは文学的価値があるのかないのか。かようなものに対して芥川賞を与えること自体がすでに間違いであるという議論は、文壇の故老、権威者も論じておるところなんです。その際に当って、あなた方はどういうふうに判断をなさるか。これも私はしいてあなたから言質をいただこうというのではない。私は真相をつきたいという意味でお尋ねしておるのですから、差しつかえない範囲でお答えを願えればけっこうだと思います。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 この一般社会、ことに若い世代に与える影響といたしましては、文学等に現われるもののうち、問題になりますのは大体二つあるのじゃないかと思います。一つは、普通一般に考えられます性行動の直接的な描写というものが問題になろうかと思うのであります。これが非常に露骨になりますれば、そこにわいせつ罪の問題が考えられてくる、もう一つは、性行動の描写としてはさほどでないけれども、むしろ、人間としての正常なる性生活というのでなしに、非常にふしだらな、あるいは放縦な性生活を描く、まんじともえのように数人の者が性行動をするというふうなことを表現しておるもの、こういうようなものが問題となると思うのでございますが、われわれが今まで取り扱った事案におきまして、それが犯罪に触れるというものは、むしろ前段のものでございます。後段のものにつきましては、これはやはり特に文芸家の自粛自律というものが望ましい、あるいは社会人のそれに対する排撃によってそういうものを冒涜しないというふうなことが望ましい、かようにいつも考えておる次第でございます。

世耕弘一自由民主党

○世耕委員 少しやかましいようですから、休憩してくれませんか。

高橋禎一自由民主党

○高橋委員長 それでは暫時休憩することにいたします。    午後二時四十四分休憩      ————◇—————    午後二時五十五分開議

高橋禎一自由民主党

○高橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。世耕弘一君。

世耕弘一自由民主党

○世耕委員 再び谷崎文芸に戻るわけでありますが、さきの説明ではなお納得いきにくい点があるから、原文を二、三拾い読みしたらいいという注文がありましたので、急所だけ読みます。「彼女が睡リ込ンダ(若シクハ睡リ込ンダ風ヲシタ)ノヲ見定メテカラ、僕ハ最後ノ目的ヲ果タス行動ヲ開始シタ。今夜ハ僕ハ、妻ニ妨ゲラレル事ナク、」——というのは、奥さんをウィスキーか何か飲まして酔わしたあとの状況なんです。「僕ハ、妻ニ妨ゲラレル事ナク、既二十分二予備運動ヲ行ヒ、情慾ヲ掻キ立テタ後デアッタシ、異常ナ興奮ニフルヒ立ッテヰタ際デアッタカラ、自分デモ驚クホドノ行ヲ行フ事が出来タ。今夜ノ僕ハ自分ノ物が自分ノ物デナイヤウナ気ガシタ。イツモノ意気地ノナイ、イヂケタ僕デハナクテ、相当強カニ、彼女の淫乱ヲ征服出来ル僕デアッタ。僕ハ今後モ頻繁ニ彼女ヲ悪酔ヒサセルニ限ルト思ッタ。トコロデ彼女ハ、彼女ノ方モ数回ニ亘リ事ヲ済マシタニモ拘ラズナホ完全ニハ睡リカラ覚メテヰナイヤウニ見エタ。」、こういうようなことが出ておるのであります。それから、最後に女の急所をなめている間に、裸体にした、そのあお向けにした上に、へその上になるのですが、老眼鏡がはずれて落ちたために、家内は目を半眼にあいていた、こういうことが書いてある。これがしかも何十万部と出ているのです。それがしかもインテリと称する青年層に読まれている。これが谷崎文芸の一つでありますが、私は、芸術という問題を論ずる前に、近来の小説には芸術的価値があるのとないのとがあるだろうと思う。いわゆる雑文にひとしいもの、それも芸術とこれを評価する。また、小説と名のつくやつはみな芸術だ。大家が書いたんだから芸術だと盲目的に肯定するわけにいかぬと思う。いわゆる、ここをねらったら売れるだろうというような、時流にこびた低級な文士もあることをわれわれは認めざるを得ないと思う。さようなものをただ文芸の名において見のがすことが、果してわれわれの健全な社会生活、ことに経験の乏しい青年に本能にのみ生きるような生き方をそそるようなことは、断じて許すべきじゃない。私は特に所管の取締り当局としての責任者に十分この点を考えてみていただきたい。なおまた、かくのごとき性の問題に関しましては、売文的な行き方を望んでいる人もありますが、同時にまた、政治家としてこれで得票をかせごうという人もあります。こういう批評も世間には出ているのです。私は、そういうような問題じゃなくて、真にわれわれが若い人たちの将来を考え、性道徳の確立を考え、お互いにそういうような意味じゃなしに高い見地からこういう問題と取り組んでいかなくちゃならぬのじゃないか、こういうふうに考えて、他の人に御迷惑になるような長い時間をいただいているようなわけなんです。そこをお考えいただきたい。私は単に谷崎氏、石原氏の文学を目のかたきにするのじゃございません。もっと深いことを考えて、お互いに若い子供を持ち孫を持っている者の今後の行き方を思いましたときに、真剣に考えなぐちゃならぬと思うから、こう申し上げたのであります。  その他の点に関しましては、文部省の社会教育局長に明日おいでを願うことをお願いし、また事務次官が明日御出席下さるそうですから、私は他の方に質疑を譲り、一応これで終ります。

高橋禎一自由民主党

○高橋委員長 林君。

林博自由民主党

○林(博)委員 私は主として売春防止法の操作の面から刑事局長並びに警察関係の方にお尋ねいたしたいと思うのであります。  この法案はある意味において非常に画期的な法案であると私どもは考えておるのであります。それは、従来の取締りの面が、主として売春婦あるいは人身売買、あるいは児童福祉法等の未成年者に淫行をなさしめる行為等を中心にして行われてきたと考えるのであります。また、その考えるところも、社会党が御提案のように売春自体を悪と考える考え方に基いた取締り方針であったのではないかというふうにも考えられるのであります。この法案においては、特に単純売春を処罰しないで、なるほど売春を悪であるということは一応規定はしておりますけれども、その取締りの重点はむしろ売春を食いものにしていることが悪であるということに重点が置かれて立法がなされておるというふうに考えられるのであります。そこで、私どもは、この法案に対してかなり積極的に推進をする意見を持っており、またすみやかに通過することを希望しておる一人でありますが、何と申しましても、この法案の重点となっておるところは、あくまでも婦女の転落の防止あるいは基本的人権の保護ということが中心の課題となっておると考えるのであります。この目的からいたしますと、私は多少ここに矛盾する点があるのではないかというふうにも考えられますので、まずその点について第一にお尋ねいたしますが、この法案の第二条に、「この法律で「売春」とは、対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいう。」となっておりまして、売春の定義に婦女がということが入っておりません。従って、男子の売春ということも当然考えられておるように承わっておるのであります。この点は私は法規全体の精神から見て矛盾であると思う。婦女の転落防止あるいは基本的人権の保護ということを中心に考えるならば、この法案ではいわゆる風俗問題として性交類似行為等の取締りをしておらないのであるから、これをもっとすっきりした形で、婦女に限定すべきであると考えるのであります。この点を長戸刑事局長から伺いたいと思います。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 ただいまのお尋ね、ごもっともでございます。私どもといたしましても、中心たるものは売春婦、売春を行う女子でございますが、対策審議会の過程におきまして、最近における実情として、男子を主体とする売春というものがある、——これは俗に言う男娼ではございませんで、男子が女の人を相手として売春するものでございます。しかし、それに対しましては、あるいはこの法律で規制しないで他の法律なり条例に譲るというふうにも考えた次第でございますが、現行憲法上の観念からいたしまして、男女平等に扱う必要があるのではないかというような御意見もありまして、ここには特に売春には主体を制限しない、従って男女ともに主体たり得る、こういうことにいたしたのであります。しかしながら、男子につきましては、これを保護更生の対象とすることは現在妥当ではありませんので、保護更生の措置につきましては女子のみを対象とするという態度で臨んでおります。

林博自由民主党

○林(博)委員 法案の形としては、もっと目的を中心にすっきりした形でいくべきだと思うのでありますが、大して害もないことであると存じますので、それ以上の追及は避けます。  私は、この法案が、なるほどいわゆる売春婦の取締りを直接の対象としたものではなくして、これを食いものにする者を直接の取締りの対象の目的としたものであるという考え方に対しましては、全面的の賛意を表するものであります。ただ、問題は、業者に対する罰則に関する問題でございますが、私は、この業者に対する考え方というものは、従来においては、法規のいろいろな関係もございましょうが、非常に寛大に扱われておったというふうに考えるのであります。後ほどいろいろお聞きしてみるつもりでありますが、業者に対して体刑で臨んだという例は今まであまりなかったのではないかと考えられるのであります。これに対して、今回の十一条、十二条というような非常に重い刑をもって臨むことは、画期的な考え方に基くものであると考えまして、私どもも賛意を表するにやぶさかではありませんが、ただ、今まで出ました諸種の売春取締法あるいは今回社会党から提出になっておりまする法案等の罰則等を勘案いたしまして、今回の売春防止法の十一条、十二条の罰則は私は今までに例のない重いものであるというふうに考えております。それは、単に、法定刑が十二条では十年以下の懲役及び三十万円以下の罰金、十一条二項は七年以下の懲役及び三十万円以下の罰金、こういうふうに、法定刑が十年とか七年であるから重いと言うのでは私はないのでありまして、この二つの条文には前例にもなかったように懲役刑と罰金刑を併課しておることであります。社会党案におきましても、たしかこの十二条に該当するものは一年以上十年以下の懲役または五十万円以下の罰金というふうになっておる。またはということになっている。いわゆる罰金を選択すれば選択できるという建前に立っておる法規であると考えるのであります。ところが、本法十二条は、十年以下の懲役及び三十万円以下の罰金となっており、また、十一条の二項には、やはり七年以下の懲役及び三十万円以下の罰金となっておるのであります。そこに選択の余地がない。必ず懲役刑と罰金刑とを併課しなければならない、一緒にこれを課さなければならないという建前になっておるのであります。この点は、業者に対していかなる事情にもかかわらず全然罰金刑を課する余地がないという法案になっておると考えるのでありますが、こういう法案にした、こういう罰条にいたしました根拠は何であるか。これは、私から申し上げるまでもなく、懲役刑と罰金刑を必要的に併課するということは、刑法においても臓物故買に事例があるだけであって、他には、あるいは刑事局長代理は御存じかもしれませんが、私の知る限りではあまり見受けないように考えられるのであります。特に十一条二項、十二条につきまして必要的併課といたしました理論的な根拠を承わりたいと思います。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 法律に御堪能な林さんから重要な御質問があったわけでございますが、まず、第十二条につきまして十年以下の懲役についての長期を定めましたことにつきましては、さきごろ申し上げましたその他の法令との関係においてこれは処理いたしたのであります。次に、これを当然併課の形で持っていったというふうなことにつきましては、私どもの考え方として、ここに二年間の猶予期間を置きまして、転廃業を促進する、それによって三十三年三月三十一日までの間において業者というものを転廃業せしめる、あるいは転廃業していただくということを期待しておるわけであります。その時期が過ぎましてもなおかつこれを行う者に対しましては重刑をもって臨む。こういうふうなことが再び復活してくるということを押えなければならぬ。それに対しては国として相当強い決意をもってしなければ、従来の経過に徴すればまた同じことになるおそれがある。そういうふうな国の強い決意を表わす意味におきまして、まず十年という刑を盛ったわけであります。次に、三十万円以下の罰金というものを、「又は」として選択的にし、第十五条において情状により併課することにする、こういうふうな考え方が基にあるわけでございますけれども、十年という刑と三十万円という刑とがパラレルになるということは一面おかしな点もございますし、また、裁判等の関係で三十三年四月一日以後に行われるこの種犯罪が罰金をもって軽く処理されるというふうなことは、むしろ避くべきである、こういうふうな利得犯罪に対しては当然併課にして、これの絶滅を期する方がよい、かような考え方から併課をとったのでございまして、これは、ある意味におきましては、林委員のおっしゃるように、日本の法制として珍しい行き方をしたものと思っております。外国の立法例としましては、ニューヨーク州刑法二千四百六十条等におきましても、二年以上二十年以下の拘禁と五千ドル以下の罰金とを当然併課しておるというふうなこと、その他にも同様のことがございますが、それらを勘案してこのように定めた次第でございます。

林博自由民主党

○林(博)委員 私はこの併課は多少重過ぎると思うのです。他の法令との均衡と今刑事局長代理はおっしゃいましたが、必ずしも他の法令との均衡から併課は出てこないと思う。職業安定法にも人身売買は一年以上の懲役ということになっておりますけれども、特にそのほかのいかなる法令との均衡から十二条の併課が出てきたか、その点をちょっと伺っておきたい。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 この十年の方が他の均衡ということでございまして、併課は他の均衡というふうな問題ではございません。

林博自由民主党

○林(博)委員 私は、これは捜査当局の取締り方針を積極的に転換願う絶好の機会であると考えるのでありますが、ただいままでの取締り状況を私は必ずしもよく承知しておらないのであります。ただ、今までの取締り方針によりますと、どこかの女を連れてきてブローカーが女郎屋さんに世話したというふうな明らかな人身売買があったけれども、向うの親元は処罰されないで、特にブローカーは最低一年以上の刑をもって処断されておるように聞いておるのでありますが、ただ、売ったブローカーの方が一年以上の懲役刑をもって処罰されておるにもかかわらず、買った方はあまり体刑をもって処断されたという例は聞かないのであります。その点に関する今までの事例はどのようになっておりますか。実例が刑事局長の手元でわかっておると考えますが、御説明願いたいと思います。統計までは無理でしょうが、それらについて大体の見当でお話し願いたいと思います。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 御存じのように、現在までは、業者につきまして直接処罰できる規定として、条例中に業者処罰の規定がありますが、これは最高がたしか一年六カ月、それに罰金がついておったかと思うのでありますが、そういうふうな関係におきまして、実際上業者がそう重く罰せられなかったということが言えると思います。ただ、今までの取締りは、御存じのように、業者を処罰する場合におきましても、いろいろの事情から、これまでの経緯からしまして、そういうふうな条例では直接やらないで、むしろ職業安定法の違反なり、児童福祉法の違反というものがあり、あるいは営利誘拐というものがあった場合においてそれによって処罰するというような取締り方針を立てておりました結果、おっしゃったように、業者そのものにつきましては、営利誘拐あるいは周旋業者、そういうものよりは軽く処置されておるということは言い得るかと思うのでございます。  本年の一月から四月までのこの種犯罪について二年以上求刑言い渡しのあったものを見て参りますと、それらの中には十年というふうな重いものもございますが、これまた要するにあっせん的な行為をしたものとして処理しておる。大体において、二年以上のものとしては、二年、二年六カ月、三年、このような刑で処理されております。しかしながら、これは、要するに、今までの国の意思というものが判然としなかったというふうなときの現われでございましてこの法律においては、いわばそういうことを踏み切る意味において、特にこの種売春助長行為の処罰の刑をきめた、こういうふうな次第でございます。

林博自由民主党

○林(博)委員 この問題は、捜査当局としても転換をしなければならない重要な段階であると私は考えるのであります。社会党案において一年以上十年以下の懲役または五十万円以下の罰金ということになっておりますけれども、私がある経験者にこの罰則はどうだと聞いたら、そんな罰則は軽過ぎると、その経験者がおっしゃった。なぜ軽いのだと言ったら、一年以上の懲役というようなことはあまりにも業者に対して重過ぎるから、おそらく裁判官は五十万円以下の罰金の方ばかりにしてしまうだろう、こういうことをおっしゃったのであります。そこで、私は、社会党案のように、形の上では重いように見えて、実質上は軽くなるような刑罰には賛成できないのでありますけれども、しかしながら、それだからといって十年以下の懲役及び三十万円以下の罰金というように、罰金の選択の余地を全然なくしてしまうということは妥当でないと考える。ただ、一年以上ということを除いてしまって、単に十年以下の懲役または三十万円以下の罰金ということにしたならば、裁判所の裁量によって懲役にすべきものは懲役にし、罰金にすべきものは罰金にするというふうになると考えるのでありまして、私はそれの方が妥当であると考えるのでございます。いずれにいたしましても、捜査当局の今までのお考えでは、かりに人身売買の事実があった、あるいは児童福祉法の違反があったという場合においても、業者にはその罰則の適用に当って軽い刑罰を用いておる。それが今回の改正によりまして非常に重く処罰しなければならないことになるのでありますけれども、果してそこの頭の切りかえができるのであるかどうか、それだけの腹をきめてこの法案を提出されたのであるかどうか、刑事局長代理にまず承わりたい。  それから、いま一つは、取締りの方針あるいはその取締りの重点が今までとは全く変ってきて、業者が重点に置かれることとなると思いますし、もしこの法案がこのまま通りますならば、こういう重い処罰によって業者を処罰しなければならないというような結果になるのでありますが、それだけの御覚悟を持っておられるのかどうかということを警察関係の方に伺いたい。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもは、現在の法制下においてもある程度の処罰規定はあるのでございますけれども、それにいろいろの今までの経緯というものがありまして、一つの踏み切りができないことをはなはだ遺憾としておったのでございます。幸いにして本法案が成立、施行の暁には、これを踏み切りとして、本来の趣旨に立って、この十二条を最も主たるものとして取締りに乗り出したい、かように考えておる次第でございます。

石井榮三警察庁長官

○石井(栄)政府委員 本法案成立の暁におきましては、警察当局といたしましても厳正なる取締りを実施いたすつもりでございます。従来、とかく、法の不備と申しますか、多年の慣行等もありましてこの種問題に対する警察の取締りに必ずしも十分でなかった点があったことは、私どもも十分承知をいたしております。本法案成立の暁におきましては、立法の趣旨にかんがみましてこれを厳正に取締りをいたしまして、立法の精神に沿うように最善を尽したい、かように考えております。

林博自由民主党

○林(博)委員 話は多少前後いたしますが、この法案において単純売春を処罰しないということは、私は賛成なのであります。これは、法律技術上の問題と、それから法案の趣旨から言って賛成なのであります。それは、要するに、売春それ自体が悪であるというよりも、売春を食いものにすることが悪であるという考え方に立っておるのであります。むしろ売春婦だとかあるいは芸妓だとかいう者に対して、一部の方が見ておられるようにきわめて冷淡な態度をもって見るわけにいかない。私どもよく検察庁に参りますと、あそこでは部屋がきまっておりまして、婦人の方が下をうつむいて、手錠をはめられて、恥かしそうにただずんでおる姿に、いつも目をそむけて通る。このときはいつも一番暗い気持に打たれるのであります。そういう考え方からいたしますと、先ほど社会党の委員の方から、なるほど単純売春は悪であるけれども、これを処罰するのに、業者を処罰するための段階として、その手段として、単純売春もまた処罰しなければ、業者に対する捜査ができないじゃないかというようなお話があったが、私は、この売春取締法の考え方として、こんなに売春婦に対して冷たい考え方はないと思う。私は、売春婦は処罰すべきかすべきでないかということは、業者に対する処罰の技術上の問題を度外視して考えられるべき問題であると考えるのでありまして、かりに単純売春を処罰するというようなことになりますれば、社会党の案では三千円以下の罰金あるいは拘留となっており余して、とにかく三千円以下の罰金となっておりましたけれども、かりに三千円以下の罰金でも、逮捕して業者に対する関係を固めるためには、数日間勾留して調べなければならない。こういうふうに、社会の被害者としての基本的人権を侵害されている婦人を踏み台として、捜査の種として業者を処罰するというようなことは、法案の趣旨に対する本末転倒であるというふうに私は考えるのであります。それだけの意味からではございませんけれども、一応単純売春の処罰に私は反対しておるのでありますが、そういう考え方、つまり、ただいまの、売春婦を種として他の証拠を固めるという考え方に対して、捜査当局の御意見を承わりたい。私は、これはきわめて冷たい考え方であると思う。こういうところに人権の侵害があるのだと思う。口には売春婦に対してあたたかいことを言いながら、心の底に、売春婦を憎み、また酌婦を卑下している。そういう考え方が基本にあると考える。徹底的にこういう考え方を払拭しなければ、売春取締法の目的は達成されないと考えておりますが、それに対する捜査当局の御意見を承わりたい。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 たびたび申し上げますように、売春行為それ自体を罰すべきかいなかということにつきましては、世界観と申しますか、ものの考え方から、いろいろ御意見があろうと思うのでありますが、私どもといたしましては、それらの点について今後も十分検討して参りたい、かように考える次第でございます。業者を処罰するために売春婦の取調べというものを手段にするのではないか、そういうような考え方は間違っているのではないかというふうな御意見がありましたが、これは、手段にするというふうな考えではなくて、反射的に立証に役立つという意味において了解しておったわけでございます。それを立証の手段とすることのみから処罰するというふうな考え方がもしございますとすれば、それは本末転倒である、かように考えます。

林博自由民主党

○林(博)委員 この法案の実施が昭和三十三年四月一日になるが、それまでの過渡的な問題について一応捜査当局の御意見を承わりたいのであります。三十三年の四月一日からは業者に対しても厳格に取り締るということになっておるのでありますが、取締り当局といたしましては、現行法規のもとにおけるこれまでの取締りと、この法案が一応通過いたしました後施行に至るまでの間の取締りとにおいてその態勢に変化があるかどうか。たとえば、この法案には、客引きをしたりいろいろな表に現われるような行為で勧誘するような行為が禁止されているのでありますが、そういう点も、今まではおそらく取締りの徹底はしておらなかったと思うのであります。ところが、こういう法案が通りました結果、こういうような売春業者等の取締りの点に対しまして多少の変化が現われるものであるかどうか。これは、立案の過程におきましていろいろな意見が出ましたが、いわゆる業者に対する罰則と、その他の表面に現われた五条、六条といったようなものを分けて考えまして、直ちに施行できるものは施行したらいいじゃないかというようなお考えの方も経験者の中にはあった。ところが、この法案では一律に施行することになっているのでありますが、そういう関係から見ましても、取締りに対する態勢についても、この法案の施行前に多少変化があってもいいのではないかということも考えられるのでありますが、それに対する法務省並びに警察関係の方の御意見を承わりたい。

石井榮三警察庁長官

○石井(栄)政府委員 本法案の施行につきましては、お話しの通り、まず保護更生の施策を講じ、転廃業のための猶予期間を置き、しかる後に昭和三十三年四月一日から全面的にそれが施行されるという建前になっておるのであります。従いまして、警察当局といたしましては、まず保護更正等の行政施策が取締りに先行いたしまして、それによって問題の女子等の保護更生ができるだけ実効のあがることを期待し、また、業者につきましては、自主的に転廃業等の措置を進んでとられることを希望いたすのであります。同時に、警察といたしましては、現行法令に基きまして、あるいは地方条例に基きまして、可能なる限り取締りを強化して、昭和三十三年四月一日に新法が全面的に施行されるまでに、円滑な移行のできますように、逐次現行法のもとにおいて取締りを強化していく、こういう態度で臨みたいと思っております。

林博自由民主党

○林(博)委員 この売春婦の保護更生等につきましては他の委員からの御質問があるでございましょうが、ことに、本法が施行されますと、先ほども申し上げましたように、業者に対しては非常な厳罰になっておりまして、どうしても体刑と罰金刑と両方課されるというように、この法案が通りますれば厳格なる刑罰をもって転廃業をどうしても迫るというような建前になっておるのであります。従って、ただそういうことを刑罰をもって取り締るというだけでなく、特にそういうような法律をもって、国の方針として業者の転廃業を迫っておるのでありますから、そこに転廃業に対するあたたかい措置というものも考えられなければならないと考えるのでございますが、その点に関する当局の御意見を承わりたい。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 この業者その他の取締りにつきましては、ただいま石井長官から仰せのように、おおむね現状の取締り態度、そういうもので進んで参りまして、三十三年の三月三十一日に近づくにつれてそれを強化していく、それによって三十三年四月一日から円滑なるすべり出しができるようごしたい、かように考えておる次第でございます。業者が転廃業いたしますについては、業者に対する措置、この点については対策審議会でも検討中でございまして、やはりこれは現在でも違反ではございますけれども、その転廃業についてはやはりあたたかい心をもって臨む、そういう態度で進みたいと思っております。

林博自由民主党

○林(博)委員 最後に、これは政府案ではなく社会党案に関連したことなのでありますが、この社会党提出の法案と条例との関係でありますが、この社会党案がかりに施行された場合に、各府県の条例との関係が規定がないように思うのでありますが、これはどういう関係になるのか、その点をお聞きしたいと思います。

野木新一法制局第二部長

○野木政府委員 問題点は、たとえば単純売春を社会党の案ではたしか罰していたと思います。地方の条例では単純売春を罰しているものは相当あります。一点はっきりした点をとって申し上げますと、社会党の法案が両院を通過して法律になった場合は、地方の条例はその法律に反するというふうになって、地方条例はその点で黙っていても失効してしまう、そういうふうなことになると存ずる次第であります。

林博自由民主党

○林(博)委員 ただいま申しましたように、単純売春というような条項だけをとって考えればそういうことになるのであります。地方条例の中には常習売春を処罰したものもある。こういうような関係はどうなるか。また、個々のたとえば東京都条例の二条の二号に、「道路その他公の場所において、売春の目的をもって、立ちどまったり、うろついたり他人の身辺につきまとったりして相手方を誘った者は三千円以下の罰金又は拘留に処する。」ということになっておりまして、必ずしも社会党提案の売春法案と構成要件が一緒でない。ことに顕著なものとしては、ただいま申し上げましたような常習売春、これは社会党の提案の中には常習売春を処罰するという規定がない。そのような場合に、一体どういう考え方をもって措置したらいいか。社会党の諸君は果して各種の条例と対照された上でそういうことを考慮されておったのか。

野木新一法制局第二部長

○野木政府委員 社会党法案を具体的に一々検討して今お答え申し上げる余裕はございませんが、おそらく、大体の趣旨といたしましては、社会党法案でも、いわゆる売春並びにそれをめぐる問題、これを刑罰をもって抑制しようということは、おそらく国の事務として、国がやるという態度をその法案に盛ってある趣旨だと存じます。個々の条文ごとに一々精密に比べるということではなくて、法案全体の趣旨から判断して、おそらく、社会党法案によっても、趣旨としては、地方条例はその法案の趣旨に矛盾する限りは失効する、そういう趣旨だと存じます。果して矛盾するかどうかということは、はっきりしておる場合もあるし、場合によっては多少はっきりしない場合も——そういう点は具体的に検討しなければわかりませんが、趣旨としては、提案者に聞いてみないとはっきりしませんが、法律の常識として申しますと、そういうことになるのだろうと存ずる次第であります。

林博自由民主党

○林(博)委員 私はこれ以上追及いたしませんが、やはり、法律として実施されるには、一般住民がわかるような法律でなければいけない。各府県に条例が五十幾つもあって、そのうちのこの部分は適用されるか、あの部分は適用されるかということが、専門家にもわからないような法律の出し方では、一般住民がはなはだ迷惑だと思う。そういう点についてこれ以上申し上げませんが、なお、社会党の方々のこれに対する明確な御回答がありましたならば承わりたいし、また、今日御即答がないということならば、御研究の結果御回答願いたいと思います。

高橋禎一自由民主党

○高橋委員長 今日は政府案を中心に質疑することになっておりますから、社会党の方でも、その問題について質問があるとすれば、十分なる御説明があると思います。

林博自由民主党

○林(博)委員 今日は政府案が中心でありますから、この程度で質問を打ち切ります。

高橋禎一自由民主党

○高橋委員長 ちょっと申し上げますか、菊地委員と横井委員から関連質問の申し入れがあります。これもやはり通告順によってお許ししたいと思いますから、御了承願います。菊地養之輔君。

菊地養之輔日本社会党

○菊地委員 私はこの三日間の本案審議に携わって参ったのでありますが、ただ一つ疑問として考えておるところがあるのでございます。それは単純売春を処罰するかどうかという問題でございますが、これは、林君のように、非常に売春婦に同情して、顔を仰ぎ見ることもできないように感情的に同情しておる方もあるだろうし、あるいはまた、売春の法規をもって、これは犯罪であるという観念を与えることによって、法律の威赫によってその行為をさせない、いわゆる売春をさせない、未然に防止することができるという観点に立っての議論もあるだろうと私は思います。これはおのおの意見の違いでありますから、あえて私は林君の議論に反駁するものではございませんし、またそういう規定を置くことが正しいと主張するものではありません。正しいところは、将来当局側がこれを法規に盛るかどうか十分考えてやるというお答えがございましたから、これに満足するものでありますが、ただ、お聞きしたいのは、この法律を規定する理由であります。松原政務次官及び刑事局のお話を聞きますと、これは立証困難であるからだということを何回も右回も繰り返しておるのであります。こういう考え方でいわゆる罰す参るか罰しないかをきめるということが一体正しいかどうかということであります。これはひとり売春婦の問題のみではございません。その他の法律の場合でも、立証困難であるから処罰できないのだ、しないのだというようなことであったならば、大へんな問題であります。将来の立法措置の問題として、私は一言この点について質問申し上げねばならぬと思うのでございます。  立証困難は立証困難でありましょう。しかし、これは、立法技術の問題ではございません。捜査技術の問題である。いわゆる捜査官がそれを立証するための捜査の努力が非常に要る、費用がかかる、そういう問題だけで処罰をするしないを決定する問題ではないのであります。それは、制度として実現された場合に、その行為は処罰の対象にするかしないか、検事会議としてその重大性について考慮すべき問題である。立証困難であるから処罰しないのだという理由は成り立たぬと私は思います。しかも、松原政務次官のお話を聞きますと、自白をしても公判のときひっくり返った場合には無罪にしなければならぬ、こういうことでありますけれども、それは捜査が十分なされなかったからである。捜査を十分にすればそれはやれるのではないか。それをやらずして、この法律では立証困難であるという理由だけで単純売春を罰しないのだということは、将来に悪影響を及ぼします。そうでない別の観点から、今日においてはいわゆる単純売春を罰すべきではないのだ、日本の今日の現状から、あるいは売春をやる状態から判断して、今はそこに重点を置かず、これを食いものにする者に重点を置くのだということが強調されなければならない。立証の問題は、起訴するかしないかの場合に、検事会議、捜査官会議で問題にすべきである。捜査技術上困難だということで問題が何回も何回も繰り返されるということは間違いであるということを私は痛切に考えたのであります。この点に対する松原さんと刑事局の方の御所見を承わりたいのであります。

松原一彦自由民主党法務政務次官

○松原政府委員 お答え申し上げます。私は検察当局の会議に列してそういうことを聞きました。そうして、今日までの経過の上から見ましても、今日のように人権を尊重する時代に、性行為に対しての立証というものが非常に困難であって、これを行うことによって人権を侵害するおそれが多分にあり、捜査技術としても非常に困難であるということを聞いて、私、実際に当ったことはございませんが、まことにごもっともだと感じたのでございまして、そのことをお伝え申し上げたのでございますが、実を申し上げると、それよりも、もっと重きを置きたいことは、やはり婦人は被害者であるという立場から見てこれを保護するのであって、婦人は救済の対象ではあるが刑罰の対象ではないということでございます。言葉が足りなかったのでございますが、人権を尊重し、その被害者を救済するというところから、婦人に売淫行為があったとした場合に、その現場に踏み込んでいって証拠をとるというようなことが引き起す本人に対する人権の侵害のみならず、そういうことによって一般社会が脅かされるところの影響は非常に大きいと思います。旅館その他においてもそういうことが頻繁に行われれば大きな不安を引き起すであろうということを私は想像したのであります。そもそも、学者の書いたものその他を読みますと、性行為というものが果して犯罪であるかどうかということは非常に議論があるようであります。だれが被害者であり、だれが加害者であるか、任意の相互の合意の行為において、これが犯罪の対象となるということについては、いろいろ議論があるらしい。私も実は研究しておる者ではありませんが、そういうことを承わっておりますので、ただ、それが犯罪となる場合は、代償をとって不特定の人間に性を売りものにするというところでありますが、その売り買いがどうにも立証できないというところにも非常な難点があるのじゃないか。そこで、今日の段階として、答申案に従って政府の作りました案は、まず婦人を被害者とし、これを救済することを主体とするもので、人権を侵害し人間としての尊厳をそこなうところの行為を行う人々を罰することに重きを置く、これは今林氏も言われましたが、そういう点におきまして私どもはこの案を立てましたので、単に立証がむずかしいから、苦労が多くて厄介だからというだけのことではないということをどうぞ御了承を願いたい。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 ごもっともでございまして、われわれといたしましても、売春婦につきましては、違法性の面では彼の女たちは処罰に値するといたしましても、それに責任を課し処罰するには忍びざるものがあるいはあろうかと田ふうのであります。その他立証の問題等がございまして、現段階におきましては、売春行為それ自体については処罰の対象としない。これはもっぱら立法政策上の問題として考えておる次第でございます。将来において検討いたします。

菊地養之輔日本社会党

○菊地委員 お二人の答弁で真意はわかったのでありますけれども、大体すべての事件というものが立証困難であると思います。もちろん単純売春がその困難の一つであることは私ども認めるのであります。しかしながら、十分な陣容のもとに捜査をすれば、その証拠があがることは、ほかの犯罪の場合と同一だと思います。今までの松原政務次官や長戸さんの言われるように、立証困難であるということになりますと、これは、時代の変遷と性のモラルの発展によって、将来売春をする者を罰しなければならない時代が来るかもしれない。そういう場合に立証困難であるという理由で処罰の対象にならないというようなお考えを持っておられたのでは大へんであります。私どもは、いわゆる性のモラルを尊重する意味でこの法案に賛成するものであります。この点は十分に御理解を賜わりたいと思うのであります。  以上でございます。

松原一彦自由民主党法務政務次官

○松原政府委員 御趣旨はよく了解いたします。もしそういう立証の困難なものでも、推定というようなことで処罰することができるということになれば、これまた可能であろうと思います。社会党の方ではこれを処罰の対象にしておいでになりますから、いずれ御意見を承わって、われわれは御教示を得たいと思うのであります。

高橋禎一自由民主党

○高橋委員長 横井太郎君。

横井太郎自由民主党

○横井委員 私は業者のことについて一、二点お尋ねをいたします。  なるほど、業者も、こういう商売は悪いということは、もうほとんど観念をいたして参っておるように見受けるのでございます。ところで、今長戸政府委員のお話を聞いておりますと、この十一条で非常に重く罰するということは、昭和三十三年の三月三十一日以降においては、再びかような商売をいたさんようにするのだ、根絶をするんだ、そういう趣旨でございます。ごもっともだと思うのでございますが、再び、こういう商売をいたさんようにするには、業者の転廃業というものを十分に考えてやらなければ、また自然とこういう道に走る人もできてくると思うのでございます。従って、この際に転廃業に対しては十分一つ考えてやらなければならぬと思われるでございましょうが、今簡単に長戸政府委員からお話がございましたが、この機会に松原政務次官のお考えを承わりたいと思います。

松原一彦自由民主党法務政務次官

○松原政府委員 今度の法律の主目的は業者を根絶するということでございますから、昭和三十三年四月一日からはいわゆる赤線区域はなくなる。異常な決心を持ってここにかかっておるのでございまして、文化立法としては画期的なものだと思うのでございます。というて、私どもは、これが簡単にできるものとは思われません。全国に十七、八万を数えられる売春婦人たちのよりどころであるこの業務をば一挙になくするということの困難さは、先般のあの調布や、また九州の事実等によって見ても推定できるのでございます。従って、一日も早く保護更生の面を先行させて、婦人の転業をはかり、それをだんだん推し進めることによって、さらに一年後には業者の方々が何とか転廃業を行なって、こういう刑罰規定にだれ一人かかる者のないように希望いたしておりますので、先般来の売春対策審議会でも、家の利用あっせんその他、何とか転廃業のできるように努力工夫すべきであるということが課題になっております。いずれこの売春対策審議会は長く続くものでございまして、今日も保安処分その他についてなお宿題として審議いたしておりますので、その慎重なる御審議を待って、その御答申によって私どもも善処いたしたいと存じます。

横井太郎自由民主党

○横井委員 これはどうしても根絶はいたさなければなりませんが、私らは——私らはと言うと語弊がありますが、実は、私どもは、ある場合にはこれを奨励した時代があります。ことに、私が終戦直後ちょうど県会議員をやっておりました当時に、アメリカさんがやってくる、飢えて上陸してくるアメリカさんをいかにして防ぐかということは県政の一番重大問題でございまして、善良なる子女を犯されるその防波堤としては、どうしてもこの際遊郭というものを再建しなければいかぬというので、県知事初め県会議員というものはそれに専念をいたしたものでございます。とにもかくにも、その結果論から言うと、どうにか日本の婦女子が犯されることなくして過ぎた、こういう結果になっておりまして、その当時は、もう戦争でやめてしまった者まで引きずり出してきてやったものでございます。それから、県知事と県知事とが、これがいいか悪いかは別問題でございますが、女の奪い合いまでやったという実例まで私は知っておるわけでありまして、県知事と県知事が、いかにして遊郭を建設するかということが、実は終戦直後の課題でありました。そういうこともございまして、無理やりにそういう商売をやらした例もある。今日各県とも県条例がありますけれども、実際の取締りができなかったのは、少くとも終戦後におきましてはそういうことがあるので、取り締れなかったという点もございますが、そういうことを勘案いたしまして、先ほど林委員からも言われましたが、どうか一つ再びこういう商売を始めることのないように、転業ができるように特にお願いを申し上げます。

高橋禎一自由民主党

○高橋委員長 志賀義雄君。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 この売春防止法案はできるだけ今国会において成立させなければ、またお流れになっては困るのであります。この法案の第三条、「何人も、売春をし、又はその相手方となってはならない。」というのは、これは単なる禁止宣言で、罰則もございません。それならば第一の目的の前提として書くべきものであって、法的構成としては非常に不備でございます。しかし、それを今いじっていますと大へんでありますし、そういう点については第四条に人権の保護規定も入りましたから、触れないことにしまして、内容の点について若干の御質問をしたいと思います。  政府も参加した売春対策審議会は、四月九日に政府に案を上申しております。ところが、政府が衆議院に提出したのは五月二日になっておる。その間約一月ばかりあったのであります。もう会期もだいぶ迫って参りましたが、政府は果してこれをぜひともこの国会で通される決意を持っておられるのかどうか、そのために努力したのか、その点をまず政務次官から伺いたい。

松原一彦自由民主党法務政務次官

○松原政府委員 法務大臣からお答えするはずでございますが、実は、このお尋ねは、先般も参議院におきましてお二人の方から鳩山内閣総理大臣に御質問がございまして、内閣総理大臣はきっぱりと、党の意見もきまっておる、政府は責任を持って出した、本国会において成立することを期待いたしておると申しておりますから、どうぞお疑い下さいませんように、一日も早く衆議院の方で手を離していただいて参議院の方にお送りいただきたいと思います。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 安心ばかりはできませんけれども、今の言葉はしかと伺っておきます。ただ、その間に、業者の大量の陳情とかなんとか、そういうこともございますから、どうしても心配せざるを得ないわけでありますが、ただいま松原政務次官からはっきり言われたので、それはぜひともそうしていただきたいと思う。  そこで、この法案の施行期日でありますが、この施行期日が、審議会案では三十三年一月からになっております。これもややゆっくりしていると思いますが、それが、今度政府案では三十三年四月一日以降になっておる。予算の関係があるというふうに説明もありますけれども、これが今年度の予算ということならば問題でしょうけれども、再来年の予算になりますと、善は急げということわざがあるでしょう。どうして一月という審議会案を政府案は四月以降に直されたんですか。そこのところを御説明願いたい。

松原一彦自由民主党法務政務次官

○松原政府委員 別に他意はございません。私どもは刑罰を主体といたしておるのではないのでございます。この業態のなくなることを主体といたしておるのでございますから、まず更生保護を先行させて、その先行の間にこの業務が自然に消滅する期間を置きたいのであります。そして一年後にはこの業務がスムースに消滅しておるようにあらせたいのであります。その期間が三月ほど長くなりましたのは、別に他意があるのではなくして、保護更生の期間を一年、その間に徐々に業者の諸君にも転廃業をしてもらって、なるべく円満にこの法律案の趣旨が実現するように期待いたしておるだけで、三月くらいのところでございますから、そういうふうにお疑いにならないで、どうぞ御寛容を願いたい。一日も早くすることを希望いたしますが、長い問題でございます。革命のようなわけにはいきませんから、どうぞごゆっくりお願いいたします。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 革命は長期かつ困難な仕事でございますから、松原さんがその点で御心配なさることは御無用でございます。三月ではありますけれども、会計年度で申せば一年であることは、法務政務次官をお務めになるあなたがよもや御存じないことはないと思う。婦人団体が非常に心配いたしておりますことは、こうして延ばすにつれて抜け穴ができるのじゃないかということを心配しておるのであります。またその心配は当然な理由のあることであります。この法案を実施して、赤線地域、青線地域が旅館に転業した場合はどう対処するか。つまり、転業によって脱法する可能性についてどう考えるかという問題があります。これは、政府の逐条説明書によりますと、旅館法の一部を改善することも同時にあるということになっておるのですが、その点は法務省では考えておられますか。

松原一彦自由民主党法務政務次官

○松原政府委員 お答えしますが、その具体的なことは法務省では考えておりませんが、旅館法は御承知の通りに厚生省の所管であります。厚生省の方からも先般お答えがあっております。いずれ、いろいろな方面から、これは単に一片の法律でなく、行政措置をすべて総合して更生保護の道を講じ、一方には転廃業の道をも立てなくてはたらぬので、乏しい過去の実績から見ましても非常に困難であろうと思いますが、旅館法等におきましては部屋の大きさ等もあることでありますから、私詳しいことは知りませんけれども、一つ厚生省の方にお願いしたいと思います。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 厚生省じゃないのですよ。というのは、政府から提出された逐条説明書によると、第十一条第一項にこういうことが書いてあるのですよ。これはお読みになりましたな。「下宿・アパートを経営する者がその一室を貸与した後、その部屋で売春が行われることを知った場合、それだけでは、本項の罪にあたらないと考えておりますが、その後、これを理由に賃貸料の引上げをしたり、あるいは、容易にその部屋の返還を求めることができるのに賃貸期限後契約の更新をしたりするなど、実質的にみて新たな提供があったと認められるときにも、本項の罪が成立いたします。」、こうなっておる。そうなってくると、再来年の四月まで延ばしておいて、下宿、アパートに変った場合、そこで売春行為が行われていることが発見されても、それだけでは罪になりませんといえば、この立法の趣旨はどうなりますか。旅館業は厚生省でございますからそちらにお聞き下さいというわけには参りません。この点、どうなさいますか。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 その問題につきましては、もとより旅館業法等の改正なども検討しなければならないと思いますが、われわれの面におきましても、そのために第二項を置きまして、アパート、下宿等に女を置いて、初めはその者が売春をすることを知らなかったというふうな弁解をいたしましても、かなりの人数をそこに置き、それによって業態として認められるというふうな場合におきましては、その弁解を認めず、第二項によって七年以下の懲役等でもって処断したい、かような意味から規定いたしておるわけでございます。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 今長戸政府委員は第二項をあげて言われましたが、その第二項の説明にどうなっておるか。「旅館業等を営む者がたまたま売春の場所を提供したときは、その回数が多くても、前項の罪が成立するのは格別、本項にはあたりません。」、こういうことであります。それじゃどうなります。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 これは業態犯でございますからして、第二項は業態として認められる場合に特に重く罰するという趣旨でございます。従いまして、その解説の言葉の表現はやや妥当を欠くかもしれませんが、若干回数が多くなっただけでは二項に当らない。ただそれが業態としてなされたときにおいて二項に当るという趣旨を明らかにしたものでございます。これが、業者がいわゆる脱法として行う場合におきましては、おおむねこの二項によって処断し得る、かように考えた次第でございます。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 第一項、第二項に今のような逐条説明を政府がしておりますと、せっかくできた法律に、法務委員会で附帯決議を作って、これを本会議で通してやっていかなければ、これはもうこういう抜け穴がありますよという案内書をつけるようなものであります。政府から、こういうふうにやれば脱法はできますよ、こういうふうに教えることになる。こういう説明書をつけるべきじゃないのです。こういうふうにやれば業者が転業した場合にかかりませんよ、——これは売春業者の案内係みたいなことをやるじゃありませんか。そういうことはいけないのです。だから、こういう逐条説明書に対しては、こういうことをやらないということを政府の方から明言してもらいたい。そういう意思がありますかどうか。

松原一彦自由民主党法務政務次官

○松原政府委員 私は、そういうふうなお疑いを受けて技術的に御詰問になりますと、実は非常に苦しみますけれども、業者におもねって悪用利用の道をあけたなどというふうな御推定は一つお許し願いたい。われわれはどこまでも冷静に転廃業をなめらかにさせようといたしておりますが、それを形を変えてそこで再び営業させようなどという意思は毛頭も持っていないが、もし記述に誤まりがあり、考え方に誤謬がございましたならば、御注意願いとうございます。お受けいたしますから。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 御注意しているのですから、あなたは受けてくれなければ困る。だから、こういうことは、今後参議院を通るまでに、これは参議院の法務委員会でも問題になっておるようですから、今から並行審議でもよろしい、この点を除いてもらうようにわれわれはしてもらわなければ困る。  その次にも第十三条第二項について、「提供のときに営業資金となることを知っていなければ本条にあたりませんが、提供した資金が売春に関する営業に用いられていることを知った後、容易に回収できるのに手形の書き換え等をした場合には、新たな提供として処罰の対象になる」とあります。こういう説明書です。これは情を知って資金を貸した場合に罪になるということなんですが、こうなりますと、金融業者というものは、業者に貸した場合に、知りませんでしたと言えば罪にならないということになります。およそ金融業者が人に金を貸すのに、情を知らないで貸す者がありますか。相手の業態をよく調べて、それを何に使うかということをはっきりさせないで金を貸す者は一人もおりません。それなのに、情を知っていなかったと答弁すればそれで済むということになれば、これがまた抜け穴なのです。結局、せっかく世論に押されてこういう立法をやりながら、この逐条説明書では、こういうように次々に業者にこういう抜け穴を教え、金融業者にまたこういう抜け穴を教えることになる。政府委員方、どうです。金融業者というものは情を知らないで金を貸すとお考えになるかどうか。その点を松原さんお答えして下さい。これは良識の問題ですよ。技術の問題ではない。

長戸寛美刑事局長事務代理

○長戸政府委員 もとより、金を貸します場合には十分に事情を調査して貸すのが本来である、かように考えております。ただ、私どもがこの法解釈をいたす場合、全くの善意の場合というふうなことを考えまして逐条説明に書きましたので、脱法のためにわれわれがそういうふうに特に書いたというふうな意味ではございませんから、御了承を願います。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 ただいまの御答弁で、善意々々と言われるけれども、これは冷厳な金銭貸借の問題です。そういうようなことになってくると、みな善意々々と言えばそれで済むことになりますよ。だから、これは一つの抜け穴になっている。だから、こういう点で、私どもは、逐条説明書のついたものはいけませんから、こういう点はやはり法務委員会の方で今後除いていかなければ、せりかくの立法というものが抜け穴だらけになってしまうと思うのであります。先ほど松原法務次官は、業者の保護更生、正業につかしめる云々ということを言っておられましたが、三月二十二日の審議会では行政措置云々ということが出ておりますが、何か考えていることがあるのですか。行政措置としてどういうことをやるのですか。その点について御答弁を願いたい。業者を正業につかしめる措置については行政措置云々ということを、三月二十二日の措置に関する小委員会で言っております。

松原一彦自由民主党法務政務次官

○松原政府委員 対策審議会でこういうことは聞きましたが、まだ具体的の措置そのもの等は何も出ておりません。私はその席にはおりませんでしたが、そういう議題が出ておるということでございまして、ここに審議会の委員の方もおいでになりますが、具体的なものはまだないと心得ております。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 ところで、業者の方について、その転業についての協力ということを説明されますが、犠牲になった非常に気の毒な婦人たちということを先ほどからしきりに松原政務次官も言われるのでありますが、第十八条に、都道府県は収容保護するための施設を設置することができるとなっております。あなた方は御存じでしょうが、今日地方財政というものは大へんな赤字であります。設置することができるといっても、それができないと言えばそれまでです。それは作らなければならないということを国が援助してやらせることにするお考えがあるの知どうか。この点で、できるできるということだけですけれども、できなければ、赤字財政でしょうがないということになりますが、もう少し積極的に……。

山下春江自由民主党厚生政務次官

○山下(春)政府委員 ただいま志賀先生のお尋ねの点は、私ども保護更生の面を受け持ちます厚生省としては、法文の書き方としては一番いやなところでございます。実際は、この問題を処理いたしますためには、十分な保護更生施設を整えたいのは山々でございますけれども、現在の段階では、とりあえず予定されておる予算の範囲をことしは行いまして、地方自治体でできるところでそれを施設をしていただきましたことに対しては、政府も責任を持って補助するということにいたしましたのは、これでぶん投げておくというのではございません。積極的にやりたいのでございますが、財政上の問題がありまして、積極的に地方でやってくれたものには補助することができるといたしましたことは、私どもが予算の予定を本年度持っておらないからでございます。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 それは、できるということでなくて、作らなければならない、設置しなければならないということにして、規模の大小、設備の状態いかんは、府県の財政その他いろいろございましょう。その問題と混同してやられますと、結局この対策の方面がいいかげんになってしまう。おまけに、国の方では予算の範囲内で補助することができるとある。これも、一、二と同様に、補助しなければならない、こういうように規定した方がいいと思います。そうすれば、予算というものはどこからでも出ます。中古エンジンがあの通りの問題になっておるでしょう。七万二千円が一千二百五十万円になっておる時期ですよ、これはこちらで牢固たる決意をもってやれば予算はあります。中古エンジンを買ったのだけでも相当の施設はできますよ。そういう点、山下先生なども与党の議員として政府に対しておやりになったらよいだろうと思います。その点、おやりになりましたか。今後ともおやりになりますか。

山下春江自由民主党厚生政務次官

○山下(春)政府委員 御指摘までもなく、これは、この法案が出ますときに、厚生省といたしましては万全を期して出発いたしたいと思いました。しかしながら、すでに本年度の予算も決定いたしましたあとでございますし、この法案の日にちも、われわれが来年度において大いに予算をとることのできる三十二年の四月一日ということに規定されておりますことは、必ずとりますということを、これは暗黙のうちに私どもの決意をここに置いておるのでありまして、御心配なく、来年度は必ず皆様からおほめをいただくほどの予算をとる覚悟でございます。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 御決意は大へんけっこうでありますが、逐条説明で一々抜け穴があいておるようなことでありますから、あなたも御油断なさいますと一ぱい食わされますよ。もうことしの予算もきまったことと申されますが、政府には予備費もあることでありますから、あなたは厚生省の次官で、松原さんも法務省の次官です。どうか、これは一つ大いた両省協力して、今年内にも予備費からとるように私どもはお願いいたします。その点の御決意はいかがでしょうか。一緒にやるという御決意でございますか。

山下春江自由民主党厚生政務次官

○山下(春)政府委員 予備費もあると仰せられますが、私ども厚生省といたしましては、この法案が一日も早く成立することは望ましいけれども、しかし、この保護、更生という問題が一番大きな法の底に流れておる問題でございますので、この点では非常に努力をいたしまして、むしろ、私は、今三十一年度の予算で決定されたものだけで厚生省が保護、更生をやりますなどということで発足することを非常に遺憾に存じまして、政府といろいろ折衝いたしましたが、政府から必ず来年度の予算には希望をいれるということの確約をいただいておりますので、とりあえず本年度の予算において最高度の利用度をあげていって、この問題に対処したいということで発足いたした次第であります。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 大蔵大臣は、法律ができた場合には予算措置については考慮すると言っておるのであります。予備費も十億あると言われておるのです。どうか今後協力していただきたいと思います。  次の第十九条には、民生委員、児童委員、保護司、それから人権擁護委員は、婦人相談所及び婦人相談員に協力するものとするとなっておりますけれども、これは、昭和三十年九月二日の当時の売春問題対策協議会会長山崎佐氏の上申書にもあるように、公共職業安定所、——これは失業するから売春婦に転落することが多いことは御存じの通りです。この公共職業安定所、職業補導所、また生活保護司、都市福祉事務所に協力を求めた方がよろしいということが上申されております。これもこの際第十九条に入れて活用する方がいいのじゃありませんか。その点御答弁願いたいと思います。また、何かそれを省かれた理由があるのか。

山下春江自由民主党厚生政務次官

○山下(春)政府委員 この法律が施行されました暁におきましては、国の機関である出先機関といたしましては、当然行うべきことなので、規定してございませんでも、それは必ず行うものであるということの上に立ってやっておるのでございます。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 では、その点は了承いたしましたが、今国会に早く成立させたいし、次の国会からやはり法文化しておいた方がよろしいから、今すぐとは申さなくとも、その点を十分やって、事実上はすぐそれをやっていただきたいと思います。  それから、先ほど横井委員の方から、占領軍が来たときに売春婦の防波堤を築いて、それで日本の婦女子を守るために業者に貢献させた云々がありましたけれども、アメリカ軍は日本の売春婦を大きくしたことについて非常に大きい力になっております。まだ日本には基地がたくさんございます。これが日本人の社会に対して非常に悪影響を及ぼしておることは、政府でもよく御存じのところであります。そこで、特にこの点について基地などに対して重点的に——どうせ予算が足りないというのだから、やるならばそういうところから重点的にやられる意思があるかどうか。これはあと回しにしてほおかぶりするのか、政府はどっちの方針をとるのか、聞いておきたい。

山下春江自由民主党厚生政務次官

○山下(春)政府委員 現在持っております予算に対しましては、今御指摘のような場所、と申しますのは、やはり大きな都市の方が多いと思いますので、六大都市あるいは北海道、九州というような、比較的そういうことの影響が多いであろうと思うところを重点的に実施いたす予定にいたしております。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 私の質問はこれで終りますが、委員長の方でも、なるべく早くこれを成立させるために委員会を運営していただきたいと思いますが、とにかく、気がかりなのは、政府の出した売春防止法案の逐条説明書、これはどうしても抜け穴を指示したものとしか思えない。これを社会に発表してごらんなさい、政府がまるで客引きかポン引きみたいに考えられますよ。もしあなた方が撤回されなければ、私たちはこれを出版しても、こういうことを政府はやっていると宣伝しますよ。民主主義の世の中ですから、政府の無理の通らないことは、京都の五番町事件でも法務省は十分経験されたところであります。そういうこともありますから、これが出てごらんなさい、そしてこの法律が実施されるようになったときに、これがまた悪評の対象になりますよ。悪いことは申しません。政府の方ではこれを撤回された方がよろしい。撤回される意思があるかどうか、それを伺っておきたい。

松原一彦自由民主党法務政務次官

○松原政府委員 よく考慮いたします。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 では、これで終ります。

高橋禎一自由民主党

○高橋委員長 この際お諮りいたします。河野最高裁判所家庭局第一課長から出席発言を求められております。これを許可するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高橋禎一自由民主党

○高橋委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。  眞鍋儀十君。

眞鍋儀十自由民主党

○眞鍋委員 私も、この法案が今回の国会におきましてぜひ通過をして、多年の希望が満たされますように念願いたしておる一人であります。ただ、私がどうももの足りない感じがいたしますのは、もう少しよりいいものにして施行されることが望ましいと思うので、その建前から、政府の意見をただし、また答弁を求めてみようと考えております。  昨年の国会で問題になりました焦点として、どうも予算的措置が伴っていないので、政府が文教、保健、道義、社会秩序といったような総合的な観点に立って、政府の予算措置とともに次の国会で通過させるよう提出するようにという附帯決議がついておるわけでありますが、本案を検討いたしてみますと、どうも予算的措置においてきわめて欠けるものがあるように存ぜられるのでございます。そういう窮余の一策と申しましょうか、国はこの予算を措置づけることを退けて、主として都道府県に転嫁したような印象を与えるものでございますが、おそらく、この負担をするというような建前で、間接的には何割かを支出するので、政府の負担という表現を用いられるのかもしれないのでありますが、どうも、都道府県に転嫁するにしても、この表現はちっとまずいと思います。それは、二十条の費用支弁のところには、都道府県に対しては、支弁しなければならないと、こうはっきりうたってございます。ところが、国が負担するという段になりますと、二十二条に、「十分の八を負担するものとする。」と書いてあって、負担するというのに修飾語が入っておる。さらに、その三項には、「十分の八以内を補助することができる。」ということで、国の方はきわめて円満な言い回しをして、都道府県がこれを第一次負担することになっておるわけでありますが、どうせ国が十分の八なり何なりを負担するというような建前であれば、もっとはっきり国の負担だという建前を打ち出すことはどうしてできなかったのでございますか。その点をまずお伺いしておきたいと思います。

安田巖厚生事務官(社会局長)

○安田(巖)政府委員 保護更生の部分でいろいろ施設があるわけでございますが、まず第一に、その施設を国でやるべきか、あるいは地方庁でやるべきかという問題があるわけでございます。国でやるというような考え方もありましょうけれども、従来、こういうふうな種類の仕事は、実は都道府県を中心にしてやって参りました。また、都道府県といたしましては、同種の仕事をほかにもやっているわけでございますので、やはり、国が直接やりますよりは、都道府県にやらせる方か能率的である、こういうふうな考え方で、都道府県を主体にした施設の運営を考えたわけでございます。なお、この「負担する」というのは、これは、「設置しなければならない」ということに対応するものでございまして、もう一つの「補助することができる」は、保護収容施設の方が府県が「設置することができる」となっておりますために、そのような表現をとった次第でございます。

高橋禎一自由民主党

○高橋委員長 中山委員から簡単な関連質問があるそうですから、これを許します。中山マサ君

中山マサ自由民主党

○中山(マ)委員 私は厚生省にお尋ねいたしたいのでございますが、前国会におきまして、この次の国会には必ず政府が抜本的考えをもってこの問題を処理するということをお約束になっていらっしゃいますのを、固く信じておりました一人でございます。それに、厚生省の予算をずっと拝見しておりましたところが、当初におきましては、この売春婦の問題にからんで十四億二千八百五十二万円の予算を御予定になっておった。なるほどこれならば第一段階としては相当の仕事ができると思いまして、わが意を得たりと非常に喜んでおったものでございます。ところが、いよいよの段階になって参りましたところが、まことにお粗末な予算になってしまっておった。どういうわけで、政府は、こういう公約をしておった問題にからんだところの予算をかようなお粗末なものにしてしまったか、その経緯を一つ厚生省の政府委員から御説明いただきたいと思います。

安田巖厚生事務官(社会局長)

○安田(巖)政府委員 大へんごもっともな御質問でございまして、確かに昨年において三十一年度の予算を要求いたしました額は十四億数千万でございます。この予算を要求いたしましたときは、実はこの法案の内容もまだはっきりいたしておりませんでしたが、その後こういうふうに法案の内容がだんだんわかってくるようになりまして、とりあえず、昭和三十一年度におきましては、四千万円で重点的に、先ほど政務次官からも申しましたけれども、六大都市がありますところの府県と、それから北海道と福岡に婦人相談所、そのほかに四百六十八の婦人相談員を大きな都市に配置するという予算をとったわけでございます。今回御審議になっておりますところの売春防止法案が通過いたしますと、これは保護更生のことが昭和三十二年四月一日から施行されることでございますので、明年度はそれに従いまして必要な予算を要求いたしたいと考えている次第でございます。

中山マサ自由民主党

○中山(マ)委員 しかし、それは御説明をなすっていらっしゃるお方も、これはおかしな説明だということを御承知になっての上の御説明だということは、お顔を拝見しておりますれば、これはもう顔に書いてあって、いかに安田局長が正直な人か……。(笑声)私は安田局長を責めるのはまことにつらいのでございますけれども、一日日本全体の婦人層にあれほど固い公約をなすっておきながら、ああいうことをなすったことは、実は私はその当時野党でありましたけれども、与党に変って、これほど実に、責めたい気持をじっと今までがまんしておったのでございますが、この委員会もだんだん終わりに近づいて、これで終局になると思いますので、ここで一本釘をさしておきたいと私は思うのであります。野党ばかりのことを申し上げて、どうもいささか調子が悪いのでございますけれども、しかし、新聞なんかでも、薄れゆく鳩山内閣の公約というようなことを書かれるのは、こういうことをなされるからあります。私は、この点にかんがみて、こういうことをなさらないように、また、今こういう約束をしておきながらも、また先で、いや、十四億の予定でしたが、こんなことになりましたとおっしゃる日が来やしないかということを非常に憂慮にたえないのでございます。今日、御承知の通り、婦人というものは男性よりも数が多いのでございます。もし民主主義というものが多数政治であるということを御了承なさるのでしたら、その多数の者が要望していることをなさるべきであろうと思います。あの当時、第二次鳩山内閣で、私どもは野党でありましたが、いまこの法律を出しただけではどうにもならぬ、予算を取って出すのだとおっしゃったことを、私は忘れないのでございます。そのときそのときの逃げ口上でやっているだけということは、私も与党ながらも承知ができないわけでございまして、この点明確に一つ厚生省はお考えをいただきたいのであります。厚生省はまことに予算の面では蚊の涙ほどのものしかいただけない気の毒なところであるということは、私もそこにおりましてしみじみ考えましたけれども、あるいはひょっとしたら、厚生省はこの予算の問題をその当時は忘れて、健康保険に夢中になっていらっしゃったのだとさえ私はひがむのでございます。どうぞ、この後は言いわけ的なことは私どもは聞かれませんから、政務次官はすぐお変わりになるかもしれませんから、これは何年かごとに変わるのですから、それで、いつまでもいらっしゃるお方に私は固い確約をしていただきたいと思う。あなたには失礼な言い方ですけれども、私も一年四ヶ月で変わってしまったんです。変わると、もう責任がなくなるのですから、私は一つ生活保護のお方に確約を取っておきたいのでございます。

安田巖厚生事務官(社会局長)

○安田(巖)政府委員 中山先生、そのへんの御事情は実は一番よくご存じのことで、ちょうど保護更正のことも昭和三十三年四月一日からということになっております。それから、処罰の方の規定が昭和三十三年四月一日でございます。多少の猶予期間もございますので、今日ありますところの予算で極力やっていく。同時にまた、その模様を見まして、来年度の予算を十分とるように、一つ努力したいと思います。

高橋禎一自由民主党

○高橋委員長 眞鍋委員の質疑中でありますが、まだ相当時間がかかるそうなのでありますから、本日はこの程度にとどめまして、明日、午前十時理事会、十時半委員会を開会いたします。  これにて散会いたします。    午後四時三十九分散会

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