法務委員会 第14号
- 発言数
- 32 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1956/03/05
会議録
○高橋委員長 これより法務委員会を開会いたします。 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、まず政府当局より提案理由の説明を聴取いたします。松原法務政務次官。
○松原政府委員 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案について、提案の理由を説明いたします。 この法律案は、最近における市町村の廃置分合等に伴い、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律に所要の改正を加えようとするものであります。以下簡単に今回の改正の要点を申し上げます。 第一は簡易裁判所の名称の変更であります。すなわち、簡易裁判所の名称は、その大部分が所在地の市町村の名称を冠しております関係上、市町村の廃置分合またはその名称変更に伴い、簡易裁判所の名称もまたこれを改める必要がありますので、福岡県宇島市か設置され同市の名称が豊前市と変更されたことに伴い、八屋簡易裁判所の名称を豊前簡易裁判所と改める等、合計七簡易被判所の名称を変更しようとするものであります。 第二は簡易裁判所の管轄区域の変更であります。すなわち、裁判所の管轄区域は、行政区画またはこれに準ずべき区域を基準として定められております関係上、市町村の廃置分合等に伴い、関係簡易裁判所の管轄区域に変更を加える必要がありますので、埼玉県北足立郡吹上町の設置に伴い、熊谷簡易裁判所の管轄に属する同県北埼玉郡旧下忍村の区域を大宮簡易裁判所の管轄に変更するのをはじめといたしまして、合計十四の簡易裁判所の管轄区域を変更しようとするものであります。 第三は下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の別表の整理であります。すなわち、市町村の廃置分合、名称変更等に伴い、同法の別表第四表及び第五表について当然必要とされる整理を行おうとするものであります。 なお、以上説明いたしました簡易裁判所の名称及び管轄区域の変更につきましては、いずれも、地元市町村、関係官公署、弁護士会等の意見を十分しんしゃくし、最高裁判所とも協議の上決定したものであります。 以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
○高橋委員長 次に本案の補足説明を求めます。位野木調査課長。
○位野木政府委員 この法案の内容の大略につきましては、ただいま提案理由の中で述べられておりますが、なお若干補足いたします。 この法案は、前国会の改正以後の最近約一年間に行われました市町村の廃置分合に伴いまして必要とされる裁判所の名称、管轄区域等についての改正を行おうというものであります。 第一点の簡易裁判所の名称の変更の点でありますが、これにつきましては大体二つの類型がございまして、第一の類型は、市町村の所在地の廃置分合に直接伴いまして簡易裁判所の名称を変更しようとするものであります。それは、福岡県の八屋簡易裁判所、これを豊前簡易裁判所に改めるというのが第一であります。その次に、佐賀県の六角簡易裁判所の名称を、白石町が生まれたので、それに伴いまして白石簡易裁判所という名称に改めました。それから、長崎県の佐須奈という簡易裁判所、これも、その村が廃止されまして上県という町が置かれましたことに伴いまして、その名称を上県簡易裁判所に改めようとするものであります。第二のタイプといたしましては、これも市町村の廃置分合に間接に伴うのでありますが、昨年の改正によりまして名称の変更がありまして、神奈川県の中野簡易裁判所というのが津久井簡易裁判所というふうに名称が改まりましたが、今までその神奈川県の中野簡易裁判所と区別する必要のために東京の中野にあります簡易裁判所に東京中野簡易裁判所というふうに中野の上に東京という字をつけ加えておったのを、区別する必要がなくなりましたので、東京という字を取ったらどうかという地元の要望がございまして、東京中野簡易裁判所を中野簡易裁判所に改めるというのが第二のタイプの最初のものであります。同じような原因で、静岡三島簡易裁判所を三島簡易裁判所に改め、愛知瀬戸簡易裁判所を瀬戸簡易裁判所に改め、山口県の深川簡易裁判所が昨年長門簡易裁判所に改正になりましたので、北海道の石狩深川簡易裁判所の名称を深川簡易裁判所に改めるというふうにいたそうというのであります。これが第一の簡易裁判所の名称の変更の点であります。第二の簡易裁判所の管轄区域の変更でありますが、これにつきましては、お手元にお配りいたしました資料のその二に内容が記載されております。これは七件ございまして、いずれも地元市町村、裁判所、検察庁、関係弁護士会等について異議がございません。 それから、第三点は別表の整理でございますが、これについては特に御説明するまでのこともございません。 簡単でございますが、以上で御説明を終ります。
○高橋委員長 次に、本案について最高裁判所当局より説明いたしたき旨の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 御異議なければ、さよう取り計らいます。海部総務課長。
○海部最高裁判所説明員 ただいま位野木調査課長から御説明がございましたので、最高裁判所といたしましても特に申し上げることもございませんが、最高裁判所におきましは、簡易裁判所の名称の変更及び管轄区域の変更につきましては、いずれも関係地方裁判所の意見を聞きまして、またこれを通じて地元市町村、関係官公署、弁護士会等の意見を聞いて、これを十分しんしゃくした上法務省に対して意見を述べておるわけであります。本法案の内容につきましても、ただいま位木野課長の説明で尽きておりますので、最高裁判所といたしましては特に内容について付加するところはございません、よろしく御審議を願います。
○高橋委員長 以上をもって本案に対する関係当局の説明は終りました。 これより質疑に入れます。質疑の通告がありますので、これを許します。吉田賢一君。
○吉田(賢)委員 一、二点最高裁当局にお伺いいたしますが、この法案によりまして簡易裁判所の管轄区域が相当拡大もしくは縮小されておるようであります。そこで、これが裁判事務、地方行政事務の実施につきましてどういう影響があるか、第一点は予算の執行の面においてどういうような影響があるか、たとえば兵庫県の有馬郡の長尾村を廃止したため、三田簡裁から神戸の簡裁への管轄を移しております。そういたしますと、長尾村の裁判事務量は全部神戸の簡裁に移転することになりますが、その場合神戸簡裁の事務量の増大が予想され、三田の簡裁の事務量の減少が予想されますが、これに対する予算執行上の準備があらかじめなされておるかどうか、三十一年度予算にそれを織り込んでおるのかどうか、これは全体の問題として伺いたい。
○海部最高裁判所説明員 管轄区域の変更によりまして増減いたします事件の種類、量は、お手元の参考資料その二にございます通り、ごく僅少なものでございまして、これによりまして、特に定員をふやして予算的措置を講じなければならぬということはございません。
○吉田(賢)委員 それでは、予算執行上の措置として、やはり簡裁の場合は地方裁判所で予算の配分をする上に相当考慮されることになるかと思いますが、その点については、あらかじめ御準備はできておるのですか、いかがでございましょうか。
○海部最高裁判所説明員 ただいまも申し上げました通り、事件数はほとんど変りませんで、ごく僅少でございますから、その点について予算の配賦の面において増減するということは予想いたしておりません。
○吉田(賢)委員 資料その二の何ページに事件の増減量とその説明があるのですか。
○海部最高裁判所説明員 十三ページの一番右の(一)というところが管轄区域を変更した場合の事件の増減の基礎となる二十八年度、二十九年度の数字であります。
○吉田(賢)委員 そうしますと、一例をあげれば、三田の簡裁の二十八年度は、民事は訴訟も調停も一件もなし、刑事が訴訟、略式その他十件、二十九年度が、前者が一件、後者が十一件です。そこで、その事件が全部神戸の簡裁に移動するということになりますが、こういう場合に末端の予算もしくは物資の配分につきまして相当考慮されることが必要であろうと思うのです。たとえば、最近私どもは川口簡裁の例の裁判官訴追事件の経験に徴してみますると、やはり事件量の増大というものが物資、労力等に相当影響して、物資、予算等が適正であるかないかということが事件の処理の上に非常に影響することを見まするので、従って、このような場合に、例をとって申せば、神戸の市外の三田から電車に一時間乗って、さらにその上電車かバスかで神戸まで来られる長尾村全体の住民のことを思いますと、たとえば略式の通知を通達しないで葉書で呼び出すということになりましたならば、国民の受ける迷惑はまことに重大なものがあるわけであります。そういったような場合に、略式が十一件、従って葉書が十一枚だから五十五円でいいという式の頭でいきますと、これは事務処理の上で適当でないと思う。あなたは実情を御存じかどうか知らぬが、長尾村から神戸まで通うといたしますならば、おそらく電車等の運賃が百五十円はかかると思います。そういうことも思いあわせまして、末端の事務が適切に的確にとり行われるようにするために、末端に至るまで予算の考慮が十分に払わるべきことが当然だと思う。事件の数が少いからといってそういう考慮をしないということは、最高裁として考慮が足りないと思うのでありますが、いかがお考えになっておりますか。これは一例をあげたに過ぎないんですよ。全国にはもっと不便な地域があるかもしれない。
○海部最高裁判所説明員 ただいまの神戸の例でございますけれども、神戸の三田の関係は、旧長尾村を三田の簡易裁判所の方に返すのがこの法案の目的でございますので、御質問の場合には適切な例ではないのではないかと思いますけれども、一般的な問題として、ただいまの御趣旨は最高裁判所の方でも考えたいと思います。
○吉田(賢)委員 そうすると、私の指摘したことが誤っておったことになるのですか、これは神戸に編入をいたしました長尾村の管轄を神戸の簡裁の管轄に属せしむるという趣旨ではないのですか。
○海部最高裁判所説明員 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の第三条の第一項及び第二項の区域変更の規定によりまして三田簡易裁判所の管轄から神戸の簡易裁判所の管轄に一応変更になりました有馬郡旧長尾村の区域を、地元住民らの要望によりまして、三田簡易裁判所の管轄に変更いたすということでございます。
○吉田(賢)委員 戻すということですか。
○海部最高裁判所説明員 そうでございます。
○吉田(賢)委員 そうすると、この場合は逆な例になりましたが、その次に、参考資料の一の四十七ページの今度は山崎から兵庫の龍野へ移しておる場合ですが、これは山崎簡裁の旧三河村の区域は龍野簡裁の管轄に属するということになっておりますが、そうすると、これも龍野の管轄にした方が、今の長尾村と同じように便利になる場合ですか。
○海部最高裁判所説明員 今の御質問の場合は法律上当然変更になったものでございます。
○吉田(賢)委員 私が聞くのは、法律上当然変更になったとかならぬとか、そういうことを聞くのではないのですよ。とにかく、ある町村が合併したことによって他の町村の管轄裁判所にその土地の管轄が移った場合に、その事務量が裁判所においてふえたり減ったりすることがあるときには、それは反面住民の利害も考慮しながら、事務量の増減に従って予算的過誤なき措置をとってもらわなければいくまいというのがお尋ねの趣旨なのであります。それで、たまたま一、二例をあげたのでありますが、神戸の場合は、かえって長尾村から陳情があったので元のように三田へ戻したということであるならば、これはやはり例は逆であったけれども不便なことが陳情に現われたわけであります。でありますので、予算的に最高裁で特別に措置をなさる必要はないと思いますけれども、全国の各地裁に対して、予算の末端への配賦ないしは物資の配分につきましては、これらの事件の増減ににらみ合せて過誤なきを期してもらいたいというのが私の趣旨なのであります。そういう手配は私は最高裁としてしておかなければならぬと思う。そうしないと、たとえば、事務が十件くらいふえたからといって、薪炭料をよけいほしいというようなことは裁判官として言いにくいだろう。あるいはまた、減ったからといって薪炭料を減らすということもなかなかしにくいだろうと思う。しかし、そういう辺はやはり事務の増減に応じて適切に予算の配賦の措置を最高裁において、また行政の方においては法務省におきましてもそれぞれと注意をさるべきがいいのじゃないかと思うのであります、法案の趣旨に賛否をする議論ではないのでありますが、運営の上におきましてあやまちなきを期してもらいたいと思うので聞くのであります。だから、法律上当然入ったとか入らぬとか、そんなことを聞いておるのではないのであります。
○海部最高裁判所説明員 御質問の趣旨はよくわかっております。御質問の趣旨のように最高裁判所といたしましてあらかじめ配慮することか親切な十分なやり方であるとは思います。ただ、管轄が変更になりましても、ただいま申し上げました通りに、事務量の移転が、きわめて微量のために、そこまで特にあらかじめ措置を講じてはおりませんが、その点につきましては、あらかじめ予算的措置を講じておく方がベターであることは申すまでもないことでございます。
○吉田(賢)委員 私は、あなたの方が簡裁から上級の裁判所を通じていろいろと事件の統計報告、事務の増減について報告をとっておられることを存じております。これは何のためせられるかというと、やはり反面は予算に関係があると思う。何も、これなるがゆえに裁判所予算の項目に増減を講ずべきだ、そういうことを聞いておるのではないのです。そうではなしに、運営におきまして考慮せねばいくまい、やはり事件が少量でもふえればふえただけの措置は講じなければいけません。何十件ふえたのだからそれくらいのことはのんでおれ、何十件減ったのだからそれくらいのところで予算の執行上何も影響がない、そんな不合理な考え方をいたしましたら、予算及び司法行政、裁判の上に影響してくるものと思います。やはり、最高裁の立場としては、親切だとかなんとかいう感情の問題ではないのでありまして、適正に裁判が行われ、司法行政事務を行う上におきましてそこまで深い周密な考慮を払うということが当然であろうと私は思うのであります。だから、そんなことはこれまでは考えておらぬというのであれば、今日から考え直したらいいのであります。これまでそんなことをしておらないんだというのならば、今日はあらためて検討なさった方がいいと思う。そうしてこれが実施の上におきまして運営遺憾なきを期するという配慮が私は必要であろうと思うのであります。だから、あなたはその責任者であるかないか知らぬけれども、最高裁にお帰りなって、これは経理局関係であろうと思うから、はっきりとした方針を立てて、裁判所にそれぞれ通達なり何なりをせられんことを御希望申し上げておきますが、そういうことをしていただけますか。なお、この点につきましては、法務省におきましてもやはり御配慮願わねばならぬものと思いますが、いかがですか。
○海部最高裁判所説明員 御趣旨よくわかりましたので、よく検討いたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
○松原政府委員 御趣旨はまことにごもっともと思います。そういうところに手落ちのないように、親切にはからうように取り計らわせます。
○高橋委員長 ちょっと私から海部総務課長にお尋ねするのですが、今吉田委員のおっしゃったのは、われわれも非常に心配するところで、たとえば、定員の問題にしても、あるいはまたその他一般の予算の問題にしても、もっと根本的に検討して、この上にもっていってこれだけの事件が増加したのだからまだこのままで差しつかえないのであるとか、あるいは、限度が来ておる上にもっていって少しでも事件がふえれば、定員の点なりその他一般の予算を考えなければならぬという面もあるかもしれないですから、そういうところで、ただ増減が僅少であるからどういう措置も講ずる必要ないんだという簡単なものじゃないと思うのです。だから、次の委員会までにそういうことをよく御検討下さって、委員会で説明していただくようにした方がいいと思いますが、それができますかどうですか。
○海部最高裁判所説明員 御質問の趣旨は、事件の増減は、どのくらいふえてどのくらい減るか、そのために定員をふやさなければならぬか、あるいはまた予算をふやさなければならぬか、そういう関係から実は管轄異動の場合に事件の増減はどうなるかということは調べておるわけであります。そうして、もしそのために定員をふやさなければならぬ、予算を特にふやさなければならぬという場合には、やはり手は打つつもりではおります。
○高橋委員長 その打つつもりでいらっしゃるということが納得できるような説明があればいいのですが、ただ増減が僅少だからほうっておけばいいのだというのでは心配だというのが吉田委員の趣旨なのですよ。というのは、ものには限度というものがあるから、今までよりもごくわずかなものでも増加することによって予算措置なり人員の措置を配慮しなければならないときもあるし、あるいは、まだその限度に達しないものであれば今まで通りでもいい場合もあるでしょうが、そこをはっきりと納得のいくような説明がほしい、こういう趣旨と思うのです。われわれも同じような気持を持っておるのです。そこで、数字はこれだけしかふえぬからほうっておけばいいというようなものでないということを十分御検討願って、はっきりしていただいた方がいいと思うのですが、それをしていただけるかどうか、そこをお尋ねしておるのです。
○海部最高裁判所説明員 いたします。
○高橋委員長 他に御質疑はございませんか。 なければ、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午前十一時二十九分散会