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24回国会衆議院1956/10/19

文教委員会 第51号

発言数
66
登壇者
8
会派数
1
開催日
1956/10/19

会議録

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤委員長 これより会議を開きます。  本日は学校教育、参宮線の修学旅行列車事故に関する調査を進めます。なお本日の委員会は、本件についてのみに調査を限定することになっておりますので御了承願います。  それではまず日本国有鉄道石井常務理事より説明を聴取いたします。石井常務理事。

石井昭正日本国有鉄道常務理事

○石井説明員 このたび参宮線に起りました事故によりまして、多数の死傷者を出しました。またその中には修学旅行中の先生並びに生徒さんが多数含まれておりました。まことに申しわけのない事件を発生いたしまして深くおわびを申し上げます。不幸にして遭難されました方々の霊を弔い、かつ御遺族に厚く弔意を表しますとともに、この席をかりまして委員の皆様に深くおわびの言葉を述べさせていただきたいと存じます。  この事故はすでに内容は新聞等で御承知のことかと思いますが、一応内容を述べさせていただきます。当日名古屋発鳥羽行の二四三列車という快速列車が亀山駅を十一分おくれて出発いたしました。この列車は上りのこれも二四六列車という快速列車と、タイヤ面上では松阪駅で行き違いをすることになっておるのでございますが、この列車がおくれております関係上、天王寺管理局からの運転指令をいたしまして、松阪駅の手前の六軒駅にて行き違いをするように手配をしたのであります。六軒駅におきましては、上り下り両列車とも停車させて行き違いをさす手配をとっておったようでございますが、この下り二四三列車の手配をいたさずに進入して参ったようでございます。そのために安全側線を機関車が突破いたしまして転落いたしました。この機関車の次についておりました第一両目の客車が横転をいたしまして、これが上り線をふさいでしまったわけでございます。そのときに間髪を入れずに上り列車が入って参って、その機関車がこの第一両目の客車の上にのし上げて多数の死傷者を出したというてんまつに至ったのであります。  事故の原因につきましては、ただいま責任のあると思われる機関士、機関助手が検察当局の手で取調べを受けております。私どもの方でこれらの人々を十分調査する機会を持ちませんので、はっきりしたことは申し上げかねるのでございますが、諸般の情勢状況等を調査いたしました現在の段階におきましては、上り列車の乗務員がおそらく信号を見なかったか、誤認したかということになるのではないかと見ております。  被害を受けられました方々の総数は、あるいはお手元に差上げております資料と若干相違いたしておるかもしれませんが、ごく最近のただいままでの数字でございますが、死者三十九名でございます。このうち坂戸高校関係の方々が二十六名。それからあとは地元の方々でございます。そのうち地元の部外関係の方々が八名、職員三名、それから職員家族一名、機関助手が一名ということになっております。重傷を受けられた方々は全部で十一人でございます。このうち坂戸高校関係の方が五人、一般の地元の被害を受けられた方が四人、上り列車の機関助手、この二人が重傷を受けております。それから軽傷でございますが、入院をせられました方々が十二人でございます。そのうち坂戸高校関係の方が七人、土浦女高関係の方が四人、地元の一般の方が一人、それからこれはもう正確な数字はちょっとつかみにくいのでございますが、軽傷で簡単な手当だけを受けられた方々、これが今までのところわかっておりますのが坂戸関係で四人、土浦関係で十八人、地元の方方で十人、合計三十二人、従いましてすべてを合せますと九十四人でございます。その中でも大へんお気の毒の至りでございますのは坂戸高校の方でありまして、御一行五十八名のうち約半ばの二十六人の方々が不幸にしてなくなられ、また重傷の方も五人を数えていらっしゃるわけであります。土浦女高の関係は一行五十人でございますが、これは直ちにその日のうちに鳥羽におもむかれて昨日朝帰郷せられたのでございますが、これらの方々は比較的程度が軽くて、これは不幸中の幸いであります。ただいまのところは昨日入院されました三人の方も退院せられてお宅へお帰りになったというふうに聞いております。これは全部、先ほど申しました横転転覆して上り線をふさいで、そこへ上り列車の機関車が乗り上げました一両目に乗っていらっしゃった方々ばかりでございます。ちょうど坂戸関係の御一行が全部その一両目の前半の方へ集中しておったわけであります。土浦高女関係の方々はうしろの方へ乗っておられたようでございます。ちゃうど前の方へお乗り合せになりました坂戸高校の一行の方に特に大きな死傷者を出しまして、まことにお気の毒の至りでございます。  坂戸高校関係の方々に対しましては、昨日の朝までに現地で荼毘に付しまして、御遺族の方々と御一緒に特別列車で武蔵高萩駅へお送り申し上げました。昨日学校で合同のお通夜をされまして、本日ただいま学校において学校葬を合同でされております。重傷軽傷で現地にいまだに残っておられます方はまだ八名現地の病院に御入院中でございます。  以上のようなまことに申しわけのない事故を発生いたしまして、何ともおわびの申しようもないのでございます。私ども事件の重大なることに反省をいたしまして、今後こういう事故が再び起らないように懸命の努力をいたしまして、輸送の安全を期し、これら不幸の方々の御遺霊に対しましておわびをいたしたい、かように考えております。  なお御遺族に対しまするいろいろの補償その他の問題につきましては、よく御遺族の御納得もいき、また学校当局の方の御意向も十分に拝聴いたしまして、国鉄といたしましてできるだけのことを講じて御満足を得るように努めたい、かように考えておる次第でございます。  はなはだ簡単でありますが、事件のあらましを申し上げた次第であります。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤委員長 なお、ただいま出席中の石井常務理事を初め、運輸省の權田鉄道監督局長、文部省緒方初中局長が出席されておりますが、清瀬文部大臣は閣議の終ったあとで出席されますので御了承願います。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。辻原弘市君。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 今回起りました参宮線事故の問題は、特に運輸当局も安全週間を呼号しておったやさきに、そのさなかに起った重大な事故だけにわれわれとしても全く皮肉なできごとにあぜんといたしたのでありますが、この突然の事故に遭遇されました方々に対しては全く申すべき言葉もないと思います  過般来からの新聞に出ております遺族の方々の嘆きと、また特に安全を重視しなければならない国鉄当局が、こうしたほとんど国鉄の責めに帰せられるような原因でこの大事故を起したことについての非常な憤激をるる述べております記事を拝見いたしました。全くわれわれも同感でありまして、本日当委員会を開きましてわれわれもこの問題について徹底的に究明をいたしたいと考えておるのであります。その席上に国鉄総裁、運輸大臣が御出席ないということはまことに遺憾千万であります。少くとも今回の事件に対して率直に国民に誠意を持っておわび申し上げる最も適当な機会を私どもは国鉄当局に与えたと考えておるのでありますが、この点あらかじめ私は御出席のない総裁並びに運輸大臣に対してきわめて不満の意を表明しておきたいと思います。  今回の事故は、今も石井理事から簡単な報告がありました中にもうかがえるように、私どもも今日までの情報から総合いたしますると、これはほとんど国鉄当局の責任に期する、この一言に尽きておると思うのであります。さりといたしますれば、この大事故を起した責任を、国鉄並びに運輸当局においてはどのような形でおとりなさろうとしておるのか、まず、私はこの点を石井理事並びに運輸省の当局から承わっておきたいと思います。

石井昭正日本国有鉄道常務理事

○石井説明員 総裁は本日ただいまちようど行われております校葬に参列しておりますので、この席にまかり出ることができなかったことを深くおわびいたします。  責任につきましては御説のように全く国鉄の責任であると考えております。この責任をいかなる形で明らかにするかという点につきましては、いろいろの責任、いわゆる実際仕事に当つた者の責任、監督上の責任並びに国鉄の全体、いわゆる最高の指導方針の責任、いろいろ段階があるかと思います。各種態様に応じまして適当な機会によく調査並びに審議をいたしまして明らかにするつもりでおります。ただいまのところまだ事故の善後措置に没頭いたしておりまして、その点について明瞭なお答えのできませんことを深くおわび申し上げる次第でございます。

權田良彦運輸事務官(鉄道監督局長)

○權田説明員 このたび起りました事故につきましては、私どもといたしましてもまことに痛恨哀悼のきわみを感じておりまして、はなはだ残念に存じております。御指摘の通り運輸交通が安全を第一とするべきであることはもとよりでございまして、運輸省といたしましても常にその基本政策の第一に安全を企図し、さらにまた今回警察方面とも連絡をいたし、交通安全旬間に入りますやさきにこの事故が起りましたことは遺憾千万でございます。これが原因につきましてはただいま国鉄当局から御説明がございました通り、目下調査中でございまして、この原因の判明を待ってそれぞれしかるべく善処をいたしたい。特に今後再びこのような事故の起りませんように各般にわたり諸般の対策に万遺憾なきを期したいと存じておる次第でございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 えてしてこうした事故に対する責任を追及いたしますると、原因の究明を待ってそれぞれ関係者の処罰をやるということに重点が置かれておるように、私は今までのこうした事故の経過から見て考えておるのでありますが、ただいまのお言葉を聞きましても、調査の結果を待って、それぞれ各級機関にわたる関係者、責任者の処分をいたしたいというふうに受け取れたのであります。そのことも、もちろんこうした大事故に対する一つの大きな方法ではあろうと思います。しかしながらすでに現在この事故の跡始末に入っておるのでありまして、その過程において当然明らかにしていかなければならぬ責任をとる方法があると思う。この点にただいま触れられませんでしたので、私は具体的に一つ承わりたいと思います。  まず、当面早急にやらなければならぬ問題は、何と言いましても、なくなられた方々、並びにその遺族に対する、慰謝の方法であろうと思います。これはかつての洞爺丸事件、または紫雲丸の事件等の経過を考えてみましても、紫雲丸の補償の問題が片づきましたのは一カ年経た後であります。洞爺丸に至っては、二年たちまするが、今日に至ってもいまだに結審を見ておらないためか、その補償の方法がとられていない。そのためにこの洞爺丸事件についても、遺族の方々には新たな問題が最近発生しつつある。こうした結果から見ましても、その慰謝の方法を講ずるにあまりにもおそきに失するうらみがあると私は思うので、特に今回の事故については従来の事故より以上に事態は明白であります。すべては国鉄の責任であります。直ちにこの慰謝の方法を講ずべきであると思うが、その点についてすでに具体的な段階に入っておるかどうか、この点を明らかにしていただきたい。

石井昭正日本国有鉄道常務理事

○石井説明員 御遺族に対する慰謝の点につきましては、現地におきまして総裁と御遺族の代表の方々と会見の際にいろいろただいまお話の御趣旨の御要望がございまして、総裁もまことに御趣旨に沿うように懸命に努力するという答弁をなすっておるのでございます。私どもも今回の事故については、いずれにいたしましても、御指摘のように私ども国鉄の責任であることについては明白でございます。できるだけ早く御満足を得るように御慰謝を申し上げたいという気持でございます。何分にも昨日御遺骨が帰られて、本日合同葬ということで、お宅へもまだ御遺骨がお帰りになっておらない、本日の午後お帰りになると思うのでございます。そこでお弔いをなさいますので、それまでは私どもとしても、厚く弔意を表する諸般の方法を講じて参っております。それが済み次第直ちにいろいろと御相談申し上げて、できるだけ御満足を得るように努力いたしたいと思っております。ただ何と申しましても、法律的な手続その他が若干かかります関係上、一両日をもって簡単に事が完了するというわけに参りかねる性質のものであることを御了承願います。私どもとしては三週間ないし一月以内には済ませたいというつもりで、総動員をしてやるつもりでございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 もちろんなくなられた方方に対して、その尊い命を金でもって償うということそれ自体、私はほんとうは何ら御慰謝の方法には当らないと思うのでありまするけれども、しかし発生いたしました今日にしては、結局その方法はそうした形において償うことがやはりこれは最善の方法であろうと思う。今三週間ないし一カ月間において必ずその方法をとりたいという言明があったわけでありますが、私は今回の事故に関する限りそれにしてもまだおそきに失するのではないかと思うのであります。法規あるいは調査、こういった関係からどうしても最小限度その程度の日子がかかるとすれば、やむを得ませんから、ぜひ一つその範囲内において十分遺族の方々とも話し合いの上で満足のいかれるような慰謝の方法を講じていただきたいと思います。  さらにその講じ方でありますが、どうも事故発生の当時はこうした弔慰の方法あるいは慰謝の方法についていろいろ論議がされ、新聞紙上等にも具体的に出るのでありますが、時日が経過いたしますると、その内容が非常にあいまいになってきて、われわれも知る機会が少いのであります。今お考えになっている慰謝の方法、内容というのはどういう形に考えられているか。今度の遭難者、犠牲者の方々を見まするに、まず修学旅行の高等学校の生徒がいる、それから特別な任務に服して引率をされておった教員、先生がいらつしやる、それから一般の方々がいる、それから当の列車の業務に服しておった職員の方々がいる、こういうふうに、いろいろの方々が遭難者の中に入っているわけであるが、これらについてどういう形で取り扱われるのか、また金額的にこれを考えると、どの程度のものを考慮せられているのか、検討せられているならば、その経過でけつこうでありますから、御答弁を願いたいと思います。

石井昭正日本国有鉄道常務理事

○石井説明員 私どもできるだけの御弔慰の方法を講じたいと考えておりますが、これは金額的にはやはり御遺族の方々の御意向あるいは学校御当局の御意向等もございます。また地元にはいろいろの代表の方々の御意向もございます。この際私どもはこう考えているというようなことは別に私どもございません。ただ今までのところは前例その他を調査している程度でございます。かえって御遺族の方々に御迷惑をおかけすることになるかとも思いますので、御容赦を願いたいと思うのでございます。ただ私ども基本的な考え方といたしましては、従来いろいろの計算方法あるいはいろいろの考え方というものが出ておりますが、それらにつきましてはできるだけ最高の考え方をして参りたい、こういう考えでございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 今はっきり言えないということでありますので、それ以上お尋ねいたしましてもこの点はむだであろうかと思いまするが、従来の前例とおっしゃる。しかし従来の前例を見ますると、私は遺族の方々が十分満足のいけるような方法はおとりなすっていないように思う。もう一つは、今まで数々の事故がありましたが、これだけの大きな惨事、しかも国鉄の運営、運転、こういうものの上に立って注意をすれば事足りる。その中で起した事故というのは私はそう多く前例はないと思う。従ってそういう意味から申しても、今回は前例とかあるいは従来の計算方法とかいうものをこの際一擲してでも最大、最高の慰藉の方法を講ずることが、一つの責任を明らかにする意味にもなるであろうし、もう一つの意味は、とかく国鉄経営ないしは予算上の関係とかいうことで、いわば出す金を減じられるのでありますが、私はそのむずかしい出しにくい金を出すことによって、そのこと自体がすでに綱紀の粛正、こういうことにも相なると思う。そういう意味からして、今お話のような、まあ従来の例に徹して慰藉の方法を講ずるというようなことではなくして、この事件については特別な慰藉方法を講ずることが私はきわめて至当であろうと思う。これはどういうふうに考えられるか、いま一度私は答弁を促したい。

石井昭正日本国有鉄道常務理事

○石井説明員 私申し上げましたのは、ただ従来の例によってやるということに申し上げたのではございません。ただ従来の例を調査しておるという段階を申し上げただけでございまして、ただいまの先生のお言葉まことにごもっともでございます。お言葉の御趣旨をよく総裁にも伝達いたしまして、御趣旨に沿うように万全の努力をいたしたいと思います。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 次に、この間の新聞を見ますると、遺族の方々の御要望として、つき添いの先生ないしは一般の方方は生徒とは別個に特別な考慮を払つてもらいたい、こういうような希望が載つかっておりました。これについてどうお考えになっているか。これは洞爺丸事件のときでありましたか、われわれも当委員会において生徒児童に対する慰藉と、それから一般の方々に対する慰藉と当時考え方として分けておられたように思ったので、この点は一応社会的な地位、立場から申せば、理屈はあるのでありますけれども、しかしながらまた一面人命という立場に立って考えてみれば、あながちそういうふうなランクづけということも至当でないという考えもあって、いろいろ文部当局に対して、この点の考え方をただしたのでありますが、国鉄当局としてはどういうふうに考えられておるか、お伺いいたします。

石井昭正日本国有鉄道常務理事

○石井説明員 不幸御遭難されました先生に対して特別な考え方をするかどうかというお尋ねでありますが、現地におきまして総裁が学校の御当局者、遺族の方々ともお会いになされましたときに、学校当局の方々あるいはPTAの方々から、特にその点について、強い御要望があったようでございます。総裁もその点についてはいろいろと御考慮申し上げたいというふうに御答弁申し上げているやに聞いておりますが、今回の場合におきましては、学校当局の御意向というものを十分参酌したいと考える次第でございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 次に先ほどの状況報告の中で、事故の直接原因は、下り二四三列車の機関士が信号を無視したことにある、こういうふうにお述べをなすつていらつしやる。新聞の報ずるところによりますと、現地で取調べを受けておる三人の機関士の方々もそれをお認めになったようであります。すべての調査が完了いたしておりませんので、われわれとしても最終的にどうだこうだという意見を持ち合すわけにはいきませんけれども、しかしながらしろうと考えに考えてみましても、それが直接の原因ではありましょうが、その直接の原因を起すいわゆる遠因、近因というものが他により重大な問題として提起されているのではないかというふうに考えるわけです。そこで問題は、ここでは私はその点の質問を申し上げるのが主題ではございませんので、簡略に申し上げますが、十一分おくれて列車が六軒駅ですれ違う、それに対しては天管局から何らかの指示が行っておる、受けられた駅ではどう処置をしたか、あるいはタブレットを渡したか、この間にもいわゆる運転系統あるいは指揮系統、こういうものに遺憾の点がなかったのかどうか、あるいは全体をつかさどるいわゆる運転の指揮命令系統というものが、安全筆という考え方において全般的な責任をとっておったか、こういうところにも問題があると思う。従ってただ単に信号がだいだい色に変っておったのを無視して飛ばしたのだ、それに上りがぶつかったのだ、こういったような簡単な結論では私はおそらくないと思います。調査委員会も設けられておることでありますから、総合的な事故の原因は究明されるだろうと思いますけれども、そういったことのないように一つわれわれもそういう点について——ただ単にこういう一つの運転の全責任というものが一人、二人の機関士の責めに、また機関士の腕に、機関士の肉体に課せられておるとするならば、この文明時代にこれはまことに不安定なものであります、全く不安全なものであります。少くとも人間でありますから、どういうような肉体的条件に置かれているのかもわからない、どういったような環境にその機関士があるかもわからない、そういうことを救うべき科学的方法がとられていなければ、これは国鉄の安全運行とは申されません。従って事故の原因究明というものは、そういった直接原因と同時に、それを起した系統、こういうものに重点を置いて徹底的な調査をせられるように私は望んでおきたいと思うのでありますが、それらについてどういうふうに考えられておりますか。

石井昭正日本国有鉄道常務理事

○石井説明員 事故の原因につきましては、私どもも九九%と申しますか、絶対にそうであろうということについての判断はいたしておりません。何分にも先ほど申し上げましたように、まだ司法当局の手にゆだねられておりますので、はっきりした断定を申し上げることはお許しを願いたいと思います。なおそれ以外にいわゆる事故のバック・グラウンドになるようなこと、その他について十分な検討をせよというお言葉まことにごもっともでございます。私どもも単に機関士が見誤ったかどうかというだけを調査するというようなことではなしに、かような事故がどうして発生する結果になつたかといういろいろのバック・グラウンドについて十分綿密な調査をいたしまして、あらゆる方面に対策を講じて参りたいと存じております。また今お話のございましたように、他の機械的な方法によって信号その他の安全を確保するという方法につきましては、これは従来の鉄道の運転の建前は、ずっとどの国におきましても、乗務員が信号を確認して取り扱うことを建前として参っております。この原則は変えるわけにはいきませんが、ただそれをいろいろな形で警告を発するとかというようなことは、最近技術の進歩とともに、ことに通信機関の発達とともに改善されて参っておるようでございます。国鉄におきましても数年前よりその研究に着手し、一部は実施に移しておりますのもございます。これにつきましては今後ますますそういう設備の拡充をはかって参りたい、かように考えておる次第であります。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 なお交通の今後の安全を期するためにいろいろ運輸当局、国鉄当局に申し上げたいこともあるのでありますが、大臣も出られておりませんし、なお他の同僚諸君の質問もありますので、一応私の質問を中止いたしまして、文部当局にはあとで大臣が見えられてから質問いたしたいと思います。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤委員長 山口丈太郎君。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 私は専門的ないろいろの機構その他の問題については、後日運輸委員会が開かれると思いますから、それに譲ることにいたしまして、二、三御質問申し上げておきます。  今度またまた国鉄が、いたいけな児童、生徒の旅行先におきまして大へんな不祥事故を起しておりますことについては、私はこれらの犠牲者の家族に対しても心から御同情申し上げるものであります。そこで同じ鉄道に長らく従業したものとして非常に遺憾に思いますことは、この鉄道事故は、今石井常務から申されたところによりますと、ただいま司直の手でこれが解明せられつつあるので言明する時期ではない、従ってそれを差し控えたい、こういうことであります。私はこのお言葉は非常に遺憾に思います。この事故は、鉄道に従事する者として考えます場合には、だれが何と申しましょうとも完全な過失事故であります。それを今ここで遺憾の意を表しておられながら、石井常務自身が言明できないというのは、私は非常に納得できないことでありますが、一体どうお考えになっておりますか、あなたの考え方の根本をお聞かせ願いたいと思います。

石井昭正日本国有鉄道常務理事

○石井説明員 私は鉄道の過失事故であるということははっきり申し上げ、またその点について遺憾の意とおわびとを申し上げたのでございます。ただ事故が具体的にどういうことでどういう工合にして起ったかという詳細な点につきましては、これはただいま当該責任者が司法当局の手にあって、私どもの方で調査できないという立場にありますので、その点のはっきりした断定だけは御了承願いたい、こう申し上げたので、決して責任をのがれるというようなことはございません。どうぞ一つ御了承願います。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 具体的な結論は別としても、完全にこれは国鉄側の過失事故なりという基本をお認めになれば、私はそれで十分だと存じます。そのあとは言われるようにそれぞれ関係の取調べの任に当る当局にまかせていいもりだと思うのであります。そこで私はさらに御質問を申し上げますが、そういうふうに完全にこれは国鉄の鉄道事故である、過失事故である、これをお認めになれば、次にくるものは何といってもこの補償の問題が一番重要な問題であります。そこで私はさらにその補償の問題をなぜすみやかに行うべきであるかということを主張するかといえば、今申したように基本原則をお認めになった。そうすれば、ややもすると国鉄は今までの事故におきましても、その慰安の措置あるいは遺族の補償等が迅速に行われていないのです。たとえば紫雲丸事件にいたしましても、あるいは洞爺丸の事件にいたしましても、今日なおいろいろと問題を残しており、しかもその補償は行われておらぬ、解決しておらぬ、こういう状態であります。このようにはっきりしておるものに対しては、やはり迅速適切にその慰安の措置を講ぜられることが私は国鉄の信頼を増すゆえんではないかと思いますが、その方針を一つ承わりたい。

石井昭正日本国有鉄道常務理事

○石井説明員 山口先生のお言葉の通り迅速に処置をいたしたいと思っております。そのつもりで督励をいたします。また紫雲丸につきましても、大体私どもの方では一カ月ないし二カ月でお話がついたものと記憶いたしております。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 その場合に今の辻原委員の質問に対して非常に言葉を濁しておられます。それは従来の慣例によって補償したい、こういうように言われておりますが、その従来の慣例とは、これはここにも出ておりますが、ホフマン式などというような公式的なといいますか、機械的な計算によってただ通り一ぺんの補償を行う、こういうことでは私はやはり国鉄のこのような完全責任の場合には適切ではないと思う。従ってそういうような従来の慣例をもってなおこの補償を行うつもりであるかどうか。そういうことなら私は非常に不満足なものと思いますが、どうでしょう。

石井昭正日本国有鉄道常務理事

○石井説明員 従来の前例にのっとってやるのではございません。ただ従来の前例も私どもといたしましてはいろいろ調査いたしまして、これは一つの参考とする。しかしただいまお話のございましたように、私どもの方の完全な責任でございます。両先生のおっしゃることもよくわかりますので、総裁にも御趣旨をよく連絡して善処いたしたいと考えております。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 私は非常に急いで補償の問題と責任の所在について一応言及いたしましたが、従来の慣例は参考としてやるにすぎないということでありますから、その言葉の通り結論を得られるように希望いたします。  そこで私はこのたびの事故でますます国鉄に対する安全感といいますか、一般社会信用というものを非常に失墜しておると思いますので、それを取り除くためにも、私は鉄道従業員の立場からもこの問題をある程度本委員会において御質問申し上げて明らかにしたい、こう考えるわけです。まずその一つは、この事故は二四三列車が亀山駅において十一分おくれて出発しておる、ここに原因があると私は思います。このおくれた列車のダイヤを取り戻すために、あるいは他の列車にその時間のおくれの影響を与えないために機宜の措置としてダイヤの変更が行われておるという点であります。これは、新聞の報ずるところによりますと、天王寺の管理局では、常時離合指定駅として松阪の駅が指定されているようであります。それを変更して六軒駅で離合するようにした。もちろん列車の時間のおくれを他の列車に及ぼさないために適宜の措置をとることはこれはあり得ることだと思いますけれども、しかしわずか十分や五分のおくれというものは、そう大きく列車全体の運行に影響するとは考えられない。国鉄は一体こういうような重要なダイヤの変更に対しては、だれが責任を持って指令をしておるのか、その指令系統を明らかにしてもらいたい。

石井昭正日本国有鉄道常務理事

○石井説明員 お説の通り、この問題の列車は松阪駅でダイヤ上は行き違いをすることになっておりましたのを、六軒駅に変更いたしたのであります。この指令は管理局の運転司令がおりまして、それから指令することになっております。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 運転指令がその最高責任者であると解していいのですか。それは国鉄ではどういう身分にありますか。

石井昭正日本国有鉄道常務理事

○石井説明員 それは管理局長の代理者としての資格を持って指令をいたしております。従って、形式的に申しますれば、管理局長の命令でございます。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 そういたしますと、やはりその責任は管理局長にある、その指令を代行したものである、そうすれば、その代行者の指令を受けた現場は、一体だれが責任を持っておりますか。

石井昭正日本国有鉄道常務理事

○石井説明員 これは駅でございますれば駅長でございます。いわゆる当務駅長と申しまして、駅長が助役と交代で出勤いたしておりますときは、この場合の当務に当りました助役になるわけでございます。これは駅長というふうに総称してお考えになってもけつこうだと思います。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 そういたしますと、この列車は松阪駅で離合するのですから、ここで停車をするわけですが、その離合駅の前の停車駅でもちろんこの指令は伝達されておると思いますけれども、その駅の責任者は一体だれですか、駅長ですか、それとも、そうではなくて、ホーム助役か、あるいはどなたがそれを伝えたのですか。

石井昭正日本国有鉄道常務理事

○石井説明員 御質問は、この二四三列車の乗務員に六軒駅で停車すべき旨一をだれが伝えたか、こういうことでございますか。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 六軒駅では伝えられないわけですから、その前の停車駅は一体どこであって、だれが伝えたかということです。

石井昭正日本国有鉄道常務理事

○石井説明員 その前の停車駅は津でございます。津でだれが伝えたかということでございますが、この行き違い変更の通知は乗務員にはいたしておりません。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 私はそこに重大な過失があると思うのです。ダイヤの変更をやっておいて乗務員にその変更の旨を徹底させない。こんな危ない列車には乗れません。そういうことをやっておるからこういう事故があると思うのです。ダイヤの変更はあくまでも乗務員に徹底させるということが必要であります。たとえば私の方で事故で単線運転をやる、こういう場合に、その列車の運行に関しては、その乗務員にダイヤ変更の旨を徹底させると同時にそういうような異常状態にあります場合には移動監督を乗車せしめて誘導させる、このくらい完全な措置をとらなければならぬと思うのです。しかるにそれを行なっていないということは重大な過失がある。そういうようなことで国鉄は平常の業務を運営されているとすれば、これはもってのほかであるというふうに思うのですが、どうでしよう。運輸省当局の監督者の責任として、權田鉄道監督局長、大へんな責任だと思いますが、あなたも運輸省の監督者の立場としてそういう放任な行為をやっているのですか。

石井昭正日本国有鉄道常務理事

○石井説明員 通過列車を臨時停車せしめる場合の運転の取扱いにつきましては、いろいろな方法かあるわけでございますが、これは過去におきましてもいろいろ検討もいたしております。御案内のように、たとえば急行列車のごとく相当長い距離を無停車で走っております列車もございます。これに通告をいたさなければ行き違い変更ができないということになりますと、必ず途中で急行列車の臨時停車をしなければならないということに相なるわけでございます。そういうことをいたしまして、さらにこの通告があった場合のみ進入を許すということは、これはそうでない、通告がなかった場合には必ず停車場の手前で一ぺんとめなければならぬということもあります。通告があったかなかったかということを判然といたしますためには、口頭等では非常に不分明でございまして、従いまして逆に通告がなければ飛ばしていいのだという先入主で運転されるということの危険性も相当ございます。それらを勘案いたしまして、現在の運転規程におきましては、通過列車を臨時停車せしめる場合には信号機によって停止を命じまして、必ず上下とも停止させるという手配をとっているわけでございます。これはただいままでの国鉄の運転規程の原則はそういうふうになっておりまして、現在もその方法でやつているわけでございます。

權田良彦運輸事務官(鉄道監督局長)

○權田説明員 日本国有鉄道の運転に関しましては、その運転規則というもので私の方は運輸省令としてこれを規定しておりまして、その取扱いにかかります細則につきましては、ただいま御指摘の問題は、運転取扱い心得の問題でございまして、これは国鉄部内の達でありますが、この報告を受けている状態でございます、私どもの方の日本国有鉄道の運転に対します規則上は、ただいまの問題は運転取扱い心得の問題でございますが、今石井常務理事からも説明がありましたように、信号第一ということで、信号確認ということにおいてその運転の保安を期する建前にいたしているのでございます。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 両当局ともにこれは専門的に見ればきわめて機械的であり、放任的です。そんなことで列車の安全を期するわけには参りません。私もここに運転取扱い心得をちゃんと持っておりますが、この持っている規則にすらこれは従われておらぬ。いわんや人間のやることです。従ってこのような重大なことを徹底させて——その徹底を欠くということになりますと、一方においてこの二四三列車は非常に時間がおくれておる。そこで平常の停車駅は松阪駅であるから松阪駅を利用する、これが先入観としてその乗務員の頭にこびりついておる。時間がおくれておる、だからそこへ一刻も早く到着しなければならぬ、こういうことだけが先入観にある。そこで、おくれておるのだから前途は完全だという考えで、信号を無視しておる。そして安全側線の方に向けて、危険信号が出ているにもかかわらず、通過して乗り上げてしまった。こういうことが事故の原因だと考える。乗務員にすらそういう不徹底なことであるとすると、一体松阪駅でおりるという旅客はどういうふうに扱われますか、勝手に列車の停車駅だけは変更しておく。ところが、乗務員にすらこのような不徹底でありますから、旅客に対してももちろん不徹底であります。そういうようなことで運行されたのでは、国鉄のダイヤのために旅客までが大きな犠牲を払うということになる。これは一体どういうふうに取り扱われておるのですか、一つ詳細を御説明願いたい。

石井昭正日本国有鉄道常務理事

○石井説明員 ダイヤ面上松阪駅で停車して上り下りが交換いたします。そういう停車駅につきましては旅客の乗降の取扱いをいたしております。臨時に停車いたします駅につきましては、旅客の乗降の取扱いをいたしておりません。従いまして二四三列車が六軒駅に臨時停車いたしましても、次の松阪駅でも規定通り停車いたしまして旅客の乗降を取り扱うのでございまして、この点は旅客に対して御迷惑のかかることはない、かように考えておる次第でございます。  また行き違い変更につきましては、最近のように列車回数が非常にふえて参りましたときにはたびたび行われることでございまして、あまり異例ではないのでございます。現に同じ列車が同じような状態で三日ほど前には六軒駅で行き違い変更をしておるという事例もございます。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 六軒駅で離合しておる事例もあるということでありますけれども、その事例があるということがこの事故を防止するということとは関連性はないと私は思います。現在起った事故そのものが現実の問題だと私は考えるわけです。従って重大なる欠陥は、今石井常務も言われますように、ダイヤを変更しておいて、しかもその乗務員に対してその変更の状態を完全に徹底さしておらない。ここに一つの大きな事故の原因があるというふうに解するのでありまして、これは厳にそういうことのないようにしてもらいたい。ただ駅で役職のある者がいすに腰をかけて、そうしてあごで人を便っていれば、それで列車は満足に動くものであり、旅客の生命財産は安全である、規程さえ出しつぱなしにしておけばそれでいいのだ、こういうような機械的な考えではとうていこういう重大な生命財産を保持する、交通を安全にするということはできないと思います。こういう点は再三にわたって運輸委員会においても論議せられて、すでに運輸省に対しても国鉄当局に対しても何回も何回も警告を発しているはずです。しかるにまだそれが改善されていないということははなはだ遺憾です。  次に私が尋ねたいのは、こういうような状態で機関士が錯覚を起して、そして信号を無視して通過速度をもって六軒駅へ入ってくる、こういうような入駅状態は、駅の勤務責任者がもう少し真剣に考えておれば、専門家としては当然察知できるものである。そこでやはり駅勤務者も列車の誘導の責任は当然負うべきである。しかるにそれがなされないということになれば、駅の最高責任者も大へんな責任があると私は思います。こういうような場合に常に国鉄はどういう指導方法をなすっておられるか、一つ十分にこれも説明していただきたい。

石井昭正日本国有鉄道常務理事

○石井説明員 ただいま非常に専門的な御指摘がございましたが、この点についてももちろん私ども先生と同じような疑問を持って究明をいたしておるわけでありますが、御承知のように参宮線の各駅、特に問題の六軒駅も非常に有効長が長い停車場でございまして、三百五十四メートルもあるのでございます。従いましてこのときの六軒駅の当務駅長はタブレットを取るべくホームの一番端の方に出ておったのでございまするが、この際に普通列車が通過速度で入って参りましてもそれから常用制動をかけて十分所定の停車位置にとまれるほど長い線路であったのでございまして、その点かえって有効長は短かかった方があるいは警戒措置はとれたのではないかというような感じも一いたしておりまするが、六軒駅の当務駅長の措置を不十分だと責めることができるかどうか、まだ断定は申し上げられない。調べましたところはただいま申し上げたような状況でございます。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 私は今の答弁から見ますと、この処置は遺憾に思います。これは常に国鉄の現場指導なるものが、通り一ぺんのいわゆる機械的な指導に終っていて、実質的な指導が欠けておるということが言えると思います。こういうような三百五十四メートルもあるということになりますれば、これは専門になりますけれども、大体六十キロ、その速度に対する非常制動の場合も常用制動の場合でもあまり変りありませんが、大体普通速度の三倍、これが列車の停車最大限の距離であります。そういたしますると、この通過速度、入駅速度がどの程度にあったかは私はいまだつまびらかでありませんが、少くともその通過駅に対する速度でありまするから、従って多少速度を落しておるということも、幾ら先を急いでも言い得ると思う。そういう場合に、この列車は最大限に見積っても百五十メートルないし百八十メートル以内には必ず停車しなければなりません。しかるにそれを三百五十四メートルも突破して、そうして脱線するというがごとき乱暴な入駅をしておる。それならば駅務者は異常運転をしておるものとして最大の努力を払って乗務員に注意を喚起すべく責任ある処置を当然とらなければならぬ。しかるに運転士は運転士だ、おれは駅だ、だから列車がどうあろうともおれはただ駅の旅客を扱い、列車を発車させればそれで責任は済むのだ、こういうような機械的な執務ぶりをやっておるから、従ってこういう事故が起きると私は思う。これは運転心得等を出しつぱなしにしておいて、それで事が済む問題ではない。社会的にもそういうことでは済まされないだけではなく、そういうような措置では私は安心して国鉄に乗っているわけに参らぬと思う。これは将来どういうふうに改善するお考えですか。この際一つ明らかにしていただきたいと思います。

石井昭正日本国有鉄道常務理事

○石井説明員 ただいまの山口先生の御見解につきましては、私どもも十分調査をいたしております。しかしながら目下のところ、山口先生のおつしやったように駅側が漫然たる仕事をしていたというふうには考えられないのでございますが、なおよく御指示のある通り調査いたしたいと存じます。なおこれらの点にかんがみまして、今般、運転事故防止対策に関する委員会を設置いたしまして、運転規定の問題等につきましても根本的に取り上げて検討をいたす、それだけではございませんで、もちろん従事員の指導、訓練その他各般の分野にわたりましてこのような事故を再びあらしめないように努力をいたすつもりでございます。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 専門的にわたりますことは、——まあこれは専門的なことばかりですけれども、一応この辺にして後日に譲りますが、さらに私は遭難者の救出作業の遺憾の点について一つ御質問いたしたいと思います。  十六日の毎日新聞の所載によりますると、事故の発生いたしましたのは十五日の午後六時二十分である。そしてこういう事故発生の場合には、まず生存者の救出ということが一番最初に行われるということは当然であります。けれどもこの所載によりますると死体の搬出作業は十六日の午前過ぎから始められた、こういうふうになっております。しかも四台の機関車がこの二四三列車の客車の上にめり込んでおる悲惨な姿を朝日に受けながら救出作業が行われておる。そしてわずかの間隙を縫って、警官並びに鉄道職員が困難を排して死体の搬出作業を始めた、こういうふうに書かれております。私が不思議に思いますのは、この十五日の午後六時二十分から翌日の午前五時まで約十一時間もの長い時間を経過しておりますが、何ゆえに死体搬出作業をかくも手間取らしたかということであります。この長い時間の間にはあるいは早期に救出をすれば助かった、こういうあきらめの切れないものがあろうと思うし、ただあきらめ切れないというだけではなくて、助かる者があったのではないか、こういうように考えるわけであります。この間の事情は一体どうであったか。これは子供を持つ親として考えるただ感情的だけのものではございません。一般社会も、これについてはこういう報道があり、これが事実だとすれば非常に国鉄は冷たい考えを持っている、冷たいやり方だ、こういうように見ていると考えるのでありますが、一体この状態はどうであったか、一つ納得のいくようにその搬出に手間取った状況を御説明願いたいと思います。

水野正元日本国有鉄道参事(運転局保安課長)

○水野説明員 ちょっと救出までの経過を御説明いたします。この事故が起りましたのは十八時二十二分でございまして、それからすぐ操縦車を持っていって車両を片づけなければならないという連絡が参りました。そのとき操縦車は稲沢と吹田にあったわけでありますが、これは六十トンのロコモティヴの操縦車でございます。その報告を受けましたのが大体十九時半ごろになっております。それから操縦車の者の呼び出しをかけまして、蒸気を起すために石炭に火をつけるというようなことをいたしまして、稲沢を出ましたのが二十二時でございます。そうして現地に到着いたしましたのが翌日の午前二時であります。そのときにすでに御承知のように二四三列車は一両二両と脱線しております。現場の一両目の客車にたどりつくのにはその前をのけてからでなければ入れないという状態でありまして、それをのけてたどりついたのが午前四時であります。四時前後から上り二四六列車の機関車のテンダーとエンジンを引き上げにがかったわけであります。そうしてそれまでにその下に死体が十五体ほどあったのでありますが、その発見が四時過ぎになった、こういうことであります。それでもう一台、吹田から参りましたのは翌日の午前六時に着いております。これは二台一緒に使えないので、そのまま前の駅でとまっておった、こういう状態でございます。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 操縦車の出動にやむなく時間を費したというような御説明でありますが、私はさらにお尋ねいたします。操縦車の出動を待たなければ全然その死体を確認できない状態にあったのか、あるいは操縦車が出動しなくとも外部から見て救出はできなくても、そのうちの若干名は確認し得るような状態にあったのかどうか、そういう死体のあった状況を一つお話し願いたい。

水野正元日本国有鉄道参事(運転局保安課長)

○水野説明員 これは私も事故がありました当日すぐ本省にかけつけましてずっと刻々の報告を聞いております。それで最初は死体が五体という報告もございましたが、夜中の十二時ごろになりましたときに、十四体という報告があってそれでしばらくその状態が続いております。そうして翌朝の四時ごろになりまして、今からテンダーを引き上げロープでつり上げるという報告が参りましたときに、その下にまだ十五体くらいありそうだという報告を受けました。それで大体その操縦車で上げる前にわかっておったのは、全部一応救出した、そうしてそのときには十四体ということで、大体それくらいで終りそうだという報告を受けておりましたので、おそらくこれを引き上げてから初めてその下に十五体あったということがわかったようでございます。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 私がどうも納得できないのは、新聞の報道によりますと一応負傷者を収容した後にも、まだその列車の中にはうめき声も聞えておるという、実に悲惨な状態にある、こういう報道がされております。そういったうめき声が聞えておるということになりますれば、必ずその下に生きていたのではないか。そうすれば、ただその機械だけにたよっているというだけでなくて、やはり現場の人も当然最善を尽して搬出、救済に当るべきではなかったか、そういう点についてこれは子を持つ親としてたまらないような気持がすると思うのであります。今聞きますと、どうもそういう点でまだほんとうに死力を尽してもやるというような措置がとられないで、ただ右往左往しておったのじゃないか、こういうふうにもとれるわけでありますけれども、そういうことはなかったのですか、どうも私はあきらめ切れないと思いますが、これはどうですか、もう少しその点についてお伺いしたいと思います。

水野正元日本国有鉄道参事(運転局保安課長)

○水野説明員 これは先ほど申しましたように、十四体の遺体は見つけまして、すぐ収容いたしましたが、まだ発見されなかった十五体につきましては、先日現地に行きました者の話を聞きますと、ちようど二四三列車が脱線しましたときに、客車が立ち上った。そうして立ち上ってどさんと下に落ちた。そのときはまだ横になっていなかったようであります。そうしてそのときに、生徒はあわてて出ようとしてデッキの方にずっと行った。その行つたとたんに上り列車が来て上にのし上った。それでデッキのところに十五体の遺体というものが大部分あった。機関車がのしかかって、テンダーとエンジンがのしかかって蒸気が吹いた。それで非常に悲惨な状態でなくなっておった、こういうことでございますので、ほんとうにデッキのところにその十五体というものが大部分固まっておった、こういうような状態でございます。それでその当時鉄道職員もすぐ救援に出ております。それから機関区、客貨車区からも出ておりまして、手で扱えるジャッキでもってできるだけの持ち上げはやっております。ただ御承知の通り非常に複雑な状態に折り重なったものでございますので、普通のジャッキではこのテンダーなりエンジンを持ち上げることは、この場合どうしてもできなかった、こういうふうに承知しております。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 次に私は申し上げたいのですが、今回の事件は、これはもう先ほど石井常務も認められたように、完全なる鉄道事故でございまして、事故そのものについては、絶対に鉄道従業員としても、あるいはその運行に当る責任者としても、この責任というものに対しては私は絶対に言いわけはできないと思います。国鉄事故というものは、当然こういうものを運行しておれば起ります。けれどもこのしばしば惹起せられる国鉄の不祥事故については——私は本日はその事故の起きる原因あるいは国鉄機構の欠陥等については言及いたしません。しかし問題は、これら犠牲者に対する適時適切なる慰安と補償の処置であります。国鉄は今までにも、私は今申しましたが、洞爺丸等の事故につきましても、今日まだ補償の問題が解決されておらない。また陸上においても今まででも八高線において大きな事故を起しておる。この事故よりなおさらに大きな事故を起しておる。これらの事故というものをすべて考えてみますと、これは全く乗客がダイヤの犠牲になっておる。平常ダイヤにするために危険をも無視して列車の運行等も行なっておる。いえば乗客はダイヤの犠牲にたびたび供されておると言ってもこれは過言でありません。紫雲丸事件にいたしましても、原因を尋ねればやはりダイヤの正常なる維持にあります。あるいはまた洞爺丸の事件にいたしましても、これは間接的にはダイヤの維持にある。また船体保全の犠牲に乗客は供せられておる。私はこの洞爺丸の事件についても納得のできない点がたくさんあります。それは後日に譲るといたしますけれども、そういうように全く国鉄に乗るというと、乗った瞬間ダイヤのために人命が犠牲にされても何も言えない。極端に申せばこういうような状態にあると私は思う。ただ十一分の列車の遅延があった。それも二四三列車の十一分の遅延を二四六列車に及ぼしてはいかぬ、このためにこういう大きな犠牲をしいられた、しかもそのようにダイヤを机の上で変更して指令を一ぺんしておけばよいということで、乗務員にはその徹底を欠いておる。これは何としても、何と言われようとも、国鉄がその運営上の一大欠陥をここにさらけ出したものと言わなければならぬと思う。そうしてその一大欠陥のために、このいたいけな多くの生徒が犠牲になったものだと考えますと、私ははなはだ遺憾にたえません。もっと国鉄の皆さんは真剣にこれを考えてもらいたい。国鉄当局はこのような大犠牲を払っておる、それを通り一ぺんの善後処置を講じますとか、通り一ぺんの措置をとりますということではおさまらないと思いますが、これらについてさらに一つここではっきりした言明を承わって、今後の事故防止対策というものをどう指導されるつもりか、両者から一つお答えを願いたい。

權田良彦運輸事務官(鉄道監督局長)

○權田説明員 先ほど申し上げましたように、運輸省といたしましても、この原因につきましては調査の結果をもちまして十分問題をきわめ、それぞれの点につきまして今後の対策に万全を期したいと存じておる次第でございます。将来についてはなお先ほど申し上げましたように種々広範にわたって調査中でございますので、至急判明次第運輸省としても適切な対策を講じたいと存じております。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 もう一つお尋ねいたしますが、遺族補償の問題についても、運輸省は何らか国鉄に対してその解決の促進をはかるための勧告もしくは助言、協力をする意思があるか、一つ承わっておきたい。

權田良彦運輸事務官(鉄道監督局長)

○權田説明員 御遺族の御慰謝、補償に関しましても、日本国有鉄道をして最善の措置をとらしむべく運輸省として努めたいと存じております。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 今度の国鉄の事故は二つの意味において国民が非常に憂いを持っておるものと思います。その一つは先ほど来同僚によって質問がされましたように、原因が不可抗力と認めがたいという点に、国民の疑いが集中されておるようであります。ことにその犠牲者の家族や関係者それぞれの感想が新聞に報道されておりますが、それは異口同音に、どうも今回の鉄道事故については、天災ややむを得ざる事故というようには考えられない。この点が述べられておりまするし、一般の識者も遺憾の意を表しておるところでありますが、今の質疑応答の中でもやや明かになったようですが、私どもはこの問題を一日も早く国民に、しかも国営事業でありまするので明確にする義務があると思うのであります。もちろん真相は、それぞれの関係を経て調査をされなければ正確な結論は得られないといたしましても、輪郭だけはもっと正確に、迅速に発表する必要があると思うのであります。いま一つの問題は、今回の犠牲者がわずか五十八人の修学旅行の学童のうちの半数がその犠牲者で、二十六人もが惨死しているというような事柄は、これは今後の修学旅行として、こういう国鉄事故のみに限りませんが、いろいろな事故に対する集団的な一つの行動というものに対して、やはりいろいろなことが教えられるのじゃないかと思うのです。この点につきましては文部省の見解も伺つておきたいと思いまするが、今経過の片鱗がちょっと現われているようであります。私の詳しく知りたいと思うのはこの二つの点でありまして、第一の問題については詳細をきわめることは困難であろうと思いまするけれども、最も明らかにされておりまする点は、亀山駅で十一分遅延したというこの事実を処置するにあやまちを起したということだけは明らかになっておるわけでありまするから、こういう事態が、原因がはっきりしておる以上におきましては、ある程度その事故の収拾策に  ついて明快な見解というものを出して、失敗は失敗として今後の処置を明確にする必要があると思うのです。こういう点についてはもっとわかりやすく大胆に、国民の前に事実を紹介するように努めるべきじゃないかと思うのです。この点について私どもはもっと具体的な事柄を知りたいと思っておりましたが、ここに得た運転事故特報第二報だけによりましても、どうも納得のできない点がだんだんと強く出てきたのです。亀山駅で十一分遅延したというそれをどういう工合に処理したらいいかということについては、しろうと自身でもすぐ判断がつくような場合があるわけです。こういうような間違いが今後も起るであろうということを懸念いたしますると、国鉄に対する信頼というものは根底からくずれてくると思うのです。こういうことろ、今後こういう方法で絶対に心配をかけないということをすぐ明らかにすることが必要だと思う。何かそのことがそれぞれの機関を経て、明確に責任の所在が明らかにならなければというような法律的な手続とは違って、国民の常識に訴える行き方というものは迅速にすべきだと思う。この辺に対する今までの当局の発表はきわめてあいまいで、それが理由があれば別でありますが、こういう点を私はこの機会を通じて国民の前に明確に知らせる必要があるので、そういう意味で御答弁をいただきたいと思います。  それから立ったついでで、時間の関係がありますからもう一つ御答弁をいただきたいと思いますのは、先ほども答弁の中でちょっとうかがえたのでありますが、なぜこんなに児童の犠牲者を多数出したかということの経過がまだ明らかにされておりません。しかし今聞きますると、児童がデッキに集団して、しかもそれが機関車のすぐ近くで蒸気に吹かれて死んだというような、まことに集団行動をやる者にとりましてはあまりにも不幸が重なり合つたできごとでありますが、こういう事柄というものは、私どもは今後いろいろな機会にそういう不幸を排除するための、団体行動のための一つの指導というものが必要になってくると思う。もちろんこういうような事故が頻繁に起ろうとは思いませんが、たとえばこれは一例でありますけれども、せんだってのアメリカの航空機の事故で報道されておりまするように、やはり事故に対してはある程度集団訓練あるいはそういうものに対する一通りの臨機の措置というものはあるべきだと思います。しかもこれが天災のように予測できないのではなくて、十一分おくれたという事実に対して、その乗っておる乗客に対してはすぐそれぞれの指導がやはり必要なのは、何も衝突するということを予測しなくても、特に臨機の措置を必要とする事態があればそれぞれの乗務員と当局との間にも適切な措置が考えられるべきではないか、そういうようなことは全然考えられぬものであるかどうか。またかなりろうばいしておるようでありまするから、そういうろうばいした経過などについても、もっと団体行動の場合におけるそれぞれの措置というものがあるのではないか。こういうものに対して今回の事故を通じて国民の前に率直に報道するものはし、また対策を必要とするものがあれば、そういうことを明確にすることが大切ではないかと思う。この二つについて私どもは事実を詳細に知ることができませんので、この措置は報道機関だけ、あるいは新聞報道やラジオ報道を通じて判断いたしましても疑いが深まる一方で、こういう事柄は私は今後国鉄経営の上からいっても、あるいは国の責任において運営される信用上の問題からいっても、もっと明確に、そして率直に国民の理解のできるような公表を行うべきではないか。この機会は非常によい機会でありますから、この二点についてできるだけ詳しく、しかも明確に御答弁を願いたい。それがすぐ国民の前に報道されるよい機会だと思いますので、その二点だけ一つ伺っておきます。

水野正元日本国有鉄道参事(運転局保安課長)

○水野説明員 今御指摘になりました事故の原因をできるだけ早く発表せよということにつきましては、私帰りまして常務理事、総裁、副総裁によく報告いたしまして、できるだけ早い機会にこの原因を発表いたすべく努力いたしたいと思っております。今回の事故におきましては、一応現在の国鉄できめております規定上におきましては駅の方には何ら落度はなかったように考えております。機関士は信号を見て運転するように定められておるにもかかわらず、機関士がその確認をおろそかにしたというところが原因のように現在までのところでは考えております。ただ今いろいろお話がありましたように、現在の運転規程をもう一度再検討いたしまして、今回の事故によって改むべき点がございましたら早急に改めたい、こういうふうに存じております。  それから二番目のお一話でございますが、この事故を想定してではなくしても、列車のおくれ等はお客さんにもいろいろな御都合もございますので、車掌をしてできるだけ連絡させるようにしておりますし、まだ十分でないところは今後そのように指導いたしたいと思います。また一たん今回のような大きな事故でなくても、何か事故があった場合のお客さんの誘導についても、できるだけ職員の訓練なりそれに対する指示なりをいたしたいと思っております。

權田良彦運輸事務官(鉄道監督局長)

○權田説明員 簡単にお答え申し上げます。ただいまの仰せはまことにごもっともでございまして、私どもも一日も早くこの真相をきわめ、これに基いていろいろと今後対策を立てまして、再びかかる事故が起きないように努力いたしたいと存じております。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 今度の原因についてきわめてはっきり出ておりますものは、今の御答弁でも、機関車の操縦者が信号を無視したというふうにはっきり言えるといたしますならば、これは私はきわめて重大だと思うのであります。しかしそうでないといたしましても、そうであるといたしましても、信号無視というようなことでもし事実がはっきりいたしますならば、一人の機関士ではなく、何人かの助手もいることであるますし、しかしこのことが事実だといたしますならば、これはこの前の飛行機事故に比べまして、対蹠的な極端な事例にならってくると思うのです。人命をあずかる機関車の運転士が信号を無視するというようなことは、常識としてあるべきことじゃないと思うのです。こういう点についてもし問題があるといたしますならば——これはひとり今度の事故だけではないと思うのです。御案内のように自動車その他の交通機関に対しても信号の問題はもう絶対になっておる。私はそこを伺ったのでありますが、そうであるとするならば、なおさら責任の所在をもっと具体的に表明されるべきだと思う。きょうの新聞によりますと、総裁は国鉄の最高責任者にこの責めがあることをみずから認めておりますが、りっぱな態度だと思うのであります。しかし個人が責任をとることは最も大事なことでありますけれども、責任のとり方というものは、やめればいいのではなく、その原因を究明して国民に納得してもらう、納得のできないものであるならば、それをどうするかということが大切なことだと思うのです。機関士の信号無視だということがもしここではっきり言えるといたしますならば、その責任のとり方は私はすぐあると思う。そんなにちゆうちよすることはないと思う。何もそれを罰することが処分ではありません。国鉄の機関車を運転する人々の全体の常識の問題になる。一体そういう指導をし、そういう規程の中で動いておるとするならば、国鉄全体が危なくて仕方がない。これは国民にとっては重大だ。そういうようなきわめて明確な答えが出るならば、そういうものに対する具体的な措置というものは、これから委員会にかけて協議するというような事柄ではないのじゃないか。色盲でない限りは信号を見誤ることもないと思う。居眠りしていない限りは信号を無視するはずはないと思う。あまりにも国民にはそういうようなことが納得できないことだと思うのです。あまり極端でありますので私自身がどうも納得がいかぬわけです。そういうことが明らかになったら、もっと早く国民の前に正直に訴えて——全体の機関士の問題になるわけであります。国鉄の経営方針の根本的な問題になるのです。そういう意味できょうの御答弁は私にとりましては非常に意外であったとともに、そういう問題なら即刻に処置をとるべきことをこの際監督機関である政府も国鉄当局も率直な意思表明をすべきだと思う。私は時間がありませんからあまりお聞きいたしません。また明日運輸委員会も開かれるそうでありますから、そういう機会にこういう問題はもっと具体的に国民の前に納得できるような責任の所在を公表すべきだと思います。きょうは責任者でないようでありますから、あなたは総裁なり運輸大臣なりに、こういう明確な事柄をもっと大胆に打ち出して、そうして措置を具体的に国会にも明らかにさるべきことを申し伝えていただきたいと思います。委員長にも明日の運輸委員会に連絡されて、それらの事実については具体的な事例をあげて、監督者あるいは当局の責任を明確にするように要望しておきます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤委員長 今の井堀君のお話はよく伝えて、明日の運輸委員会で……。最後に辻原弘市君、文部当局にお願いいたします。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 時間がありませんので、第一類第六号文教委員会議録第五十一号昭和三十一年十月十九日細部は後日の委員会に譲るといたしまして、簡単に三点だけお尋ねしておきます。それは今回起った事故もまたぞろ最大の被害者は修学旅行団であります。この上り下り列車を合せまして、坂戸高校、土浦第一高校、名古屋の小学校の児童、三つの修学旅行団が被害の渦中に入っているのであります。もちろん先刻からのわれわれの見解、また国鉄当局の見解からいたしましても、今度の事故は旅行団の責任ではありません。そのことは明らかでありますけれども、しかしながら頻発する旅行団体の交通事故からわれわれとしては何らか考えさせられる点かある。先般紫雲丸事件が起った当時も、私どもはそのことを強調して、再びこういう修学旅行団が集団的に事故を受けることのないように、そのための指導の的確性ということを強く文部当局に要請をいたしておったのであります。今事故が起りまして、あるいはおそきに失するようでありますけれども、この秋はまさに修学旅行のシーズンであります。そういう点から私は何らかの指導がなされておらなければならぬと思うが、この点についてどういった具体的な指導をしていたのか、またあの紫雲丸の事件を契機として、われわれも要望し、文部当局も積極的に修学旅行の取扱いというものに対する結論を見出すために審議会を構成したことを記憶しておりますが、その後遺憾ながらその審議会においてどういうような具体的結論が出たかということの詳細な報告を受けていないのでありますが、この秋季の旅行に当ってどういった結論から指導されたのか、この点をまず承わってみたいと思います。

緒方信一文部事務官(初等中等教育局長)

○緒方説明員 修学旅行を適正に安全に行いますために、文部省といたしましては、お話のように昨年特に紫雲丸の事故等もございましたので、その直後修学旅行研究協議会というものを文部省に作りまして、これには教育関係者のみならず交通関係、あるいはそのほかの関係各省、それからのPTA代表、こういった人たちに集まっていただきまして、各方面かち総合的に研究いたしました。その研究の結果につきましては、私は一度この文教委員会に御報告いたしたように記憶しておりますが、その結果に基きまして、文部省といたしましては通達を教育委員会に対して出しております。これは内容を申し上げますといろいろございますけれども、要するに修学旅行はまず教育的観点から教育計画の一環として行わなければならぬ、この原則はございますけれども、それにいたしましても安全に行わなければならぬという点がございますけれども、その観点から指導方針を出しまして通達を出しております。なおそれと同時に、この研究協議会のそのあとにおきましても、文部省あるいは運輸当局、あるいは国鉄等とさらに協議をいたしまして、いつも問題になりますのは、輸送がある時期に非常に固まって輻湊する、そういうことが事故のもとにもなるし、あるいは保管の適正に行われない原因になりますので、漸次輸送の適正化をはかるということにつきましても、実はいろいろと御協議をして、ある点につきましては実施もいたしてきたわけであります。なおまた文部省といたしましては修学旅行の手引書を作りまして、これは相当詳しいものでありますが、ここに私持ってきておりますけれども、これを作りまして地方の指導の手がかりに出しております。要するにただいま申しましたように安全に行われることが第一でございますので、その点につきましては十分に心いたしまして教育委員会に対しまして指導をいたしております。まあ、そのほか修学旅行が適正に行われるためには目的地をどういうところに選ぶか、なるべく教育的観点から選ばなければならぬ。何と申しますか、行楽のような気持でやってはいかぬとか、それからまた父兄負担の点もございますし、それから児童生徒の健康というようなこともございますので、日程等を非常に無理してはいかぬというようなことも相当具体的に通達を出しまして、これによって指導していくというような次第でございます。この今申しました手引書をこの秋のシーズンに間に合うように出しております。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 その修学旅行の結論に基いた指導については、通達をこの次の委員会に一つお示しを願いたい。それともう一つは、おそらく現地に人を派遣されて今度のこの修学旅行についての計画、それから現地の事情等も文部当局としては調査なさっていられると思いますから、その点についても次回の委員会に一つ報告を求めたいと思います。次に、これは先ほど国鉄に御質問いたしました補償の問題でありますがこの補償の問題について私は二つあると思うのです。一つは、国鉄に要請いたしました当面の補償の問題、いま一つは、生徒児童に関する限り、これは今回の事故のみならず、最近バスの転落事故等々相当量修学旅行だけでもこうした災害が突発しております。紫雲丸事件のときからわれわれとしてはこういった生徒児童に対する恒常的な災害の補償策というものを、当然修学旅行に出す父兄の関心でもなければならぬし、同時にまた国においてもこうした補償を恒久的に講じておく必要があるのではないかという意見で、文部当局にただした。修学旅行を含んでこの災害補償の問題についてはすでにそれぞれの県では安全会、それ以前には災害補助組合という形で発足しておるようでありますけれども、しかしその運営を見てみますと、父兄の寄付とかあるいは篤志家の寄付とかいうような形で、非常に消極的な運営をやっている建前から、そのことによって大きな実績をあげておるようには見受けられない。文部省といたしましては、先般の委員会でも災害補助組合が法規に抵触するおそれがあるということで、安全会に切りかえて、その指導をやる、こういうお話だったのですが、最近その安全会についてどういうような指導をしているのか。もう一つは、安全会というのは、これは任意の団体であって何ら国家的な裏づけ補償もない。それでは十分なる活動もできまいと思うのです。われわれはそうした観点から、ただいま継続審議になっております児童災害補償法案というものを提出しておりますが、これには文部省は従来その趣旨は賛成ではあるがというような程度で、積極的な意思表示を行なっていないのであります。私はまたぞろ起ったこの事故を考えますときに、今後そういうことは好ましくないけれども、しかしながら今のような実情からいきますれば、また不測の事態が突発しないとも限らない。同じことを幾回も繰り返すよりも、やはりそういうような補償方法もあらかじめ講じておくということが私は適切な施策であると思いまするので、この機会に、文部当局としては一つ積極的にこの災害補償の問題に取り組んでいただきたいと思うのです。今までの域を脱しないと言われるか、一歩突つ込んでこうした補償に対する法的措置、財政措置、こういうものを踏み切るお考えがあるかどうか、この点を補償の問題で二番目に承わっておきたい。  それから最後に、一般的な今度の補償の問題でありますが、国鉄当局からはっきりしたお答えがまだ出ないと思いますが、一般人と生徒に対する補償については、これは私の受ける印象ではやはり差等をつけられるようなことでありますが、文部当局としてはこの点についてはどう考えておるのか。以上三点を補償の問題について一つお答えを願いたいと思います。

緒方信一文部事務官(初等中等教育局長)

○緒方説明員 第一のお尋ねは安全会の運営ということであると思いますが、御指摘のように地方におきまして自発的に任意に団体を作りまして、学校の活動の安全を期すると同時に、万一事故が起った場合にはそれに対しまして、これは補償とは言えませんけれども見舞金を出すといったようなことをやっております。しかしこれはまだ広い一般的な傾向になっておるとは言えません。現実に安全会を作りましてやっておりますところは、今の私の記憶では、県としましては大分県、それから島根県が前からやっておりましたのを切りかえたはずでございます。これは共済制度的にやっておりましたのを運営会に切りかえたように記憶しております。その程度でありますけれども、これは今度起りましたような事故、と申しますよりも今お話もございましたけれども、一般に日常の学校教育の課程において、学校管理下に起りました障害あるいは病気等につきまして共済的にやっていきたいという気持が強いわけであります。この運営は私は今後文部省としまして、これはぜひ作れといったような工合に奨励する気持はございません。ただ父兄の側、学校の側でそういう熱意があってやる向きにつきましては、適正な運営が期せられるように十分指導していきたい、かように考えております。御承知のようにこの前島根でやっておりましたような方式につきまして、保険業法との関係もありましたが、あやまってそういう法律にひつかかるような運営が行われてはいけませんので、その点につきましては十分指導を加えていきたいと思っております。  それから一般的な補償制度につきまして、お話の通り議員立法で今継続審議になっておりまするが、これに対しましては、私ども従来この制度を考えまずためには、災害が起りました実態というものをよほど厳密に調査いたしませんと、制度として立てるには非常にむずかしい問題だと存じておりますので、前々からお話しておりますように、本年度は年間いつぱいに精密な調査をいたしまして、その調査の結果、これにつきましてはさらに検討を進めたい、かように考えております。従いまして今日の段階におきましては、私がお答えできることは前に申しました通り、その後継続審議になっておりますので、これは別に審議がございましょうけれども、十分調査を進めた上で決定する、かような段階になっております。  それから今回の問題につきましては、先ほど来国鉄あるいは運輸当局からお話がありました通り、今その責任を当局で十分検討され、考えておられるようでございますが、私としましても十分な補償が行われますように、事務的の連絡もし、申し入れしておるような次第でございます。ただ今子供と大人の区別がどうであるかというお話でございますけれども、これも私どもとしまして今見解として申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。具体的に問題がきまるわけでございますので、まだ国鉄の方のお考えが十分きまっていない今の段階におきまして、私の方だけの見解を申し上げるということは差し控えさせていただきたいと思います。ただ教師の問題でございますが、これは今度はなくなりました先生あるいは重傷を受けました先生、これは御承知のように教育大学の付属の高等学校の先生でございまして、国家公務員でございます。従いましてその面におきましても、文部省としましても、国家公務員の公務災害補償という点につきましてなお十分考えて参りたいと思います。  なおついででございますけれども、従来文部省が指導しました中には、不慮の事態に対します適宜な処置、集団訓練ということも十分うたい込んであるわけでございまして、昨年の紫雲丸以後におきましては、各地の教育委員会におきましてもあるいは学校におきましても、この安全な旅行をするという観点につきましては非常な訓練が進んでおると私は思っております。今度の事故につきまして、先ほどちょっと井堀さんのお話がございましたけれども、これは三人の先生のうち二人は死に一人は重傷を負うという非常に悲惨な結果になっておりますが、おそらくあの場合機関車の次に乗っておりまして、デッキに出たという先ほどのお話がございますけれども、倒れましたので、教師としてはいち早く車外に出られるように——向うから汽車が乗りかかるということは予想しませんから、そういう適宜な指導をしたに違いないと私は信じております。このたびの事故につきましては、先ほど来お話しのように、学校側の修学旅行計画につきましては私は手落ちはないものと考えております。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 どうも文部当局の話を聞いておりますと、これは悪い表現でありますが、頻発する事故で事故ずれがしてしまって、さっぱり熱意と申しますか、これに対して積極的にあらゆる問題を解決していごうという熱意がうかがえないのを私は非常に残念に思います。安全会は、地方がやろうとすればそれは認めていく程度だ、災害補償の立法については一つ調査を待って考えたい、この程度では私どもは満足できないから、しばしばこうした事故が発生するたびに強調しているわけです。安全会は、立法措置がとれるまでこれを全国的に及ぼしていきたいと、この前に大臣も言明された。ところが一向にそれが進んでおらないということは、それ自体熱意を持っていない証拠です。それから、紫雲丸事件が発生してから今日までどれだけの時間がたちますか。調査といって、われわれの方では全国的な災害に対するある程度の調査をもうすでに持っております。文部省自体においてそれらの調査が、これだけの時間かかってもできないということはあり得ないはずなんです。また事故の統計というものは本年度に限ったものじゃありません。古くさかのぼって統計をとれば一応の概数は出るものです。そういうものを基礎としてやろうとすれば態度がきめられる。きめないということは、それ自体私は熱意がないと言わざるを得ないのです。きょうは大臣が出ておりませんので、局長のあなたとしては的確には申されないと思うけれども、そういう不誠意な、熱意のないことでは、とうてい児童の安全を国家的な保障の上においてやっていこうということはできません。一体その点はどうです。

緒方信一文部事務官(初等中等教育局長)

○緒方説明員 今のお話は、私のお答えしました趣旨と違います。かような非常な事態に対します補償ということじゃないのでございまして、今の安全会といたしましても、あるいは災害補償の中心としまするねらいは、平常の学校教育活動の過程におきまして起ります学校管理下の事故について指導し、あるいはそれに対しまして共済的に救済をしていく、こういう考え方に基くものでございますから、こういう非常の事故というものが起らぬように指導することこそ本筋の対策であろうと存じます。これにつきましては、文部省はもとより、あるいは国鉄等におきましても、こういう事故が絶対二度とないように、その対策をこそ確立すべきものだと存じております。それと別の問題としまして、学校の管理下におきまする事故をどういうふうにして補償していくかという問題は、やはり制度として立てるにつきましては、十分精密に検討すべきであるということを私は今申し上げたわけであります。学校管理下の事故ということでございますから、それをどういうふうに持っていくかということは、やはり実績をとり、調べた上でその基礎の上に立てなければならぬ、かように私は申し上げておるわけでございまして、今日の事故につきましては、事故ずれがしておるというようなことは絶対にございません。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 誤解を生んだらいかぬのではっきり言っておきますが、災害補償安全会は、あなたの見解のように修学旅行を除外してやろうということは考えておりません。われわれの法案をごらんなさい。学校の管理下、学校の管理下と言われるが、修学旅行は明らかに学校教育の管理下において行われておる。しかもその中で事故発生の危険率の最も高いのは修学旅行である。あるいは野外の教育活動である。そういうものを含んで、それ自体確率が高いから早期にこういった恒久的な災害補償立法を行う必要があるという趣旨なんです。それをあなたは修学旅行その他の校外活動を切り離して、学校管理下だけの場合に問題を求められるところにあなたの認識の誤まりがある。そういう点は一つ払拭していただきたい。この点は誤解を生じて、どうもあなた方の見解はそういうふうにとらわれておる。われわれはこうした最近頻発する修学旅行の事故にかんがみて、特にその必要を強調しておる。この点は局長のはなはだしい認識の誤まりだと思う。この問題は時間もありませんので次回の委員会に譲りますけれども、そういう観点で一つ積極的にやっていただきたいということを最後に希望いたします。調査は調査でおやりになることはけつこうでありますが、万年調査ということでは一向に積極的な手を打ってないということを極言してもやむを得ないと思います。一応終ります。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤委員長 時間の都合もありますので、本日はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十六分散会

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