文教委員会 第39号
- 発言数
- 33 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1956/05/16
会議録
○佐藤委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の教科書法案、及び議員提出の教科書法案を一括議題とし、審査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。小林信一君。
○小林(信)委員 まず第一に、きのう与党側委員から逐条的に御質問がありまして、その際関連して御質問申し上げようと思ったのですが、時間がなかったので、ちょっと課長さんにお伺いいたします。四十八条の二項「教科書は、文部省令で定める場合その他正当な理由がある場合を除き、定価以外の価格で使用者に販売してはならない。」ここを御説明になったのですが、省令でどんなことを定めるかということにつきましては、教科書を古本屋で売るような場合、その他「正当な理由がある場合を除き、」というその正当な場合に対しましては、販売店が買う人と親類づき合いであるような場合には安くすることがで送る、こういうふうな御説明があったのですが、これをもう一度確認したいと思います。その通りでございますか。
○安達説明員 ただいまお話の通りでございます。ただ古本屋の場合は、古本屋が新本を売ってはいけないわけであります。古本として古本屋が売る場合は、定価外の価格でよろしいという意味であります。
○小林(信)委員 今までも実際問題として古本屋で新しい教科書を売ったということがございますか。
○安達説明員 そういう意味ではございませんが、正確にちょっと申しただけでございます。
○小林(信)委員 それから販売店が買う人間と親類であるから定価を安くしてもいい、これは果して妥当なことでございますかどうか。
○安達説明員 四十八条第二項の意味が、教科書の定価を乱して売るということを禁止するということで、その場合には定価より高く売るということもいけませんけれども、安く売ることも、それが不公正なリベートの問題とか、そういうことに関連いたしますので、定価外では、以下であってもいけない、こういう趣旨でございますから、そういう趣旨とのからみ合いにおきまして、そういう趣旨を乱さないで、しかもだれが見ても、それならばやむを得ないだろう、これをとがめるに及ばないというような場合に限っては、そういうものはその他正当な理由ということに考えてよかろうじゃないか、こういうように考えたわけでございます。
○小林(信)委員 その具体的に御説明願った問題についてですが、親類であれば安く売ってもいい。私はおそらくそういうことは実際上ないと思うのです。もし親類の子供が家が貧乏であって、どうしても教科書を安くしてやらなければならぬというような場合には、金をやっても教科書の値段は安くしないというのが大体慣例になっておるのじゃないかと思う。もしそういうことを許すとすれば、ある業者がある県でそれを取り扱うような場合に、これは私の出身県だから特別安くするというようなことも考えられないこともない、そういうようなことはあってはならないと思うのです。私はそれよりもきのうのお話を聞いておりますと、古本屋でもって古本を売る場合には値段は別でもよろしい、これは納得できたのですが、販売店で親類の子供には安く売ってもいいような場合があるから、それをこの条文に盛り込んだというふうな印象を受けたわけです。印象じゃない、その通りに聞いたわけですが、これだけの重大な法案の中に、そういうようなこまかいところまで微に入り細に入り非常に丁寧に取り扱われておる。親類の子供にまで安く売るという問題を法案が取り上げておるというふうに伺ったわけです。そこで次官にお伺いいたしますが、こういうふうに非常に小さいところまで気をつけた法案なんですが、今の条項から考えてもわかりますように、万一の場合を心配して非常に制約するとか、あるいは取締りをするとかいうような印象の非常に強い法律に私は伺っているわけです。教科書の問題につきましては、先ごろの公聴会でもいろいろ聞いたわけですが、今までのような不正があってはいけないとか、あるいは高い教科書ではいけない、しかしそれより大事なことは、現場の先生の教育に対する熱意を欠くようなことであってはいけないというようなことが盛んに言われたわけなんです。私たちもそう考えておりますが、この法律はそういう点を非常に軽率に取り扱って、取り締るとか、制約するとかいうようなところに非常に力を入れ過ぎたような感がするわけなんです。この点で次官に御意見をお伺いしたいと思う。 まず大きく分けますと、検定の部面と採択の部面の二つに分けて、それから今度はその間にあります供給というふうなことが取り扱われておるわけですが、検定の面を考えますと、まずこの取締りというふうな点をあげて参りますと、まず第一番に登録という問題でもって相当にこれは取り締っておる。それから従来は検定を受ける場合に、最初原稿を持っていった、その次は仮刷りを持っていった、その次に見本本を持っていったというふうな段階であるのを、直ちに見本本でもって検定を受けさせるようにしてある、あるいは検定の拒否をすることができる、あるいは検定の失効を宣することができる、あるいは指導書に対しましてもその訂正を要求する、あるいは検定したものの修正をさせることができる、あるいは業者のところへ立ち入り検査をすることがで覆る、非常にきつい取締りを行なっておるような形なんです。それから採択に参りますと、採択の面では、従来のように個々の学校で採択をするというようなことでなくて、採択地区を設定して、しかも採択するものは県教委とか、あるいは地方教育委員会とかいうふうなところで採択して——まあ校長の意見を聞くというふうなことがありますが、下部の声を聞くなんということが非常に少いわけなんです。これだけに採択の面でも、その機構なりあるいは手続なりを考えてみますと、こちらも非常に厳重になっているわけなんです。厳重であることはいいのですが、こうなって参りますと、これは取締法であって、教師の声を聞くとか、実際責任を持って教育をするというふうな人たちの熱意というものを、これは少しも沸かせない法案になっているのじゃないかと思うのですが、そういうことについては、次官はどういうふうにお考えになっていますか。
○竹尾政府委員 お答えを申し上げます。今小林委員のお説は、まことにごもっともな点がたくさんあろうと存じております。昨日も高村委員からいろいろその点を御指摘になられまして、かつ御注意をいただきましたが、考えようによりましたら、そういう点もあろうかと存じますので、実際の発行、採択、供給等々にあたりましては、御懸念のないように十分注意をしてやりたいと思っております。この法案を作りました趣旨は、御承知のように、よい教科書を安く供給いたしまして、かつ教師の教えることに対する意欲を失わせないように努力したい、こういうつもりでこの法案を作ったのでございますが、御指摘の点もまことにごもっともな点もたくさんございますので、それはただいま申し上げました通り、実施に当りまして十分注意をしてやっていきたいと思っております。なお具体的な詳しい点につきましては、政府委員から答弁をさせますから、御了承願います。
○緒方政府委員 ただいま御質問の御趣旨につきましては、今政務次官のお答えにございましたので、補足して申し上げることもございませんが、ただ具体的に御指摘になりました諸点について申し上げますと、これらにつきましては、要しまするに、ただいま政務次官のお話がございましたように、教科書はきわめて大きな公共性のあるものでありまして、次代国民の育成のために非常に大事なものでございますので、その検定、採択、発行、供給の全面にわたりまして正確、確実、適正を期する、また内容的にいいものを作っていくということを目的といたしているわけでございまして、その面からいたしまして、あるいは発行者に登録の制度を設けて、従来は全然野放しであったものを、公共性にかんがみまして若干の規制をそこに加える、あるいは検定の審査の方法等につきまして、従来省令で規定しておりました不備であった規定を充足いたしまして、正確を期すために……。
○小林(信)委員 途中ですが、そういうこまかいことについては私また聞いて参りますが、今次官にお聞きしたのは、非常に取り締るところが厳重であって、教師の熱意を沸かせるというような点がないんじゃないか、こういうところをお聞きしたのですが、今次官は、今後運営の上でどうこうするというふうなお話なんですが、次官が私の意見に非常に賛成をしてくれたようですが、賛成をしてくれても、この法案では私はそれが不可能だと思うのですが、運営の上でもって何か教師の熱意、現場の教師の気持というものを沸かせるような方法が生まれてくるかどうかをまず聞きたいのです。
○緒方政府委員 その規制が非常に強くなったということに対しまして、ただいま私申しかけておったわけでありますが、それはいい教科書を作るという要請からいたしまして、ある程度の規制をちゃんとしなければならぬということで、これを整備したわけであります。そこで教科書を使って教員が教育をしていくその教育活動は、まさにおっしゃいますように、教員の教育熱意によらなければならぬわけでありまして、これを減殺するという考え方は、この法律案としては一つも持っておりません。特に取り立てて申し上げますならば、この法律案の中にございますように、教科書の常設研究施設を作りまして、そこにいろいろ教科書以外の参考資料等も備えまして、そこで十分教科書についても研究をしてもらうという目的をもちまして、従来いろいろと批判のありました展示会制度にかえる意味もございますが、さらにそこで積極的に教科書研究の機会を与える設備を整えるという意味でかような規定を作っております。そのほかこれは教科書検定、採択、供給、発行の全面にわたって、その手続なりその機構なりを規定しておるわけでございます。規定しております点はきちっと機関を作るという点でございますから、今のお話は取り締るというお言葉でございますけれども、そういう気持じゃなく、きちんと厳正を期し、適正を期すために機構なり制度なりを確立するというつもりでございまして、決して教師の熱意を押えつけるとか阻害するというような目的と申しますか、そういう点はこの法律案としてはないつもりでございます。
○小林(信)委員 追い追いそういうことにこまかく入っていこうと思うのですが、まず第一番に取り上げられました教科書の研究施設、これを今強調されたのですけれども、この法案を見ますと、二十七条に大体幾つかということがある。これは一つの県にどれくらい置く予定であるか、常設するのですが、その費用はどこから出るのか、自分たちが今使っておる教科書があまりおもしろくない、研究した結果こういう教科書を使いたい、こういうふうなことがどうして進言できるか。それは二十四条で教育委員会が校長から聞くということがありますから、せめて道があるとすればそこにあるわけですが、まず第一番に研究施設を設置する数とか、そこの経費はどのくらいを予定しておるのか、どんなものを新設するのか、何か便宜的に使うのか、そういう点の御構想をお伺いいたします。
○緒方政府委員 この施設の責任はここにございますように、都道府県に持たしております。ただし最初設置いたしますために文部省で国の予算を計上いたしまして、これは総額三千万円を計上いたし、もう成立いたしました。これでもちまして各府県に補助をいたしまして設置をしてもらうことに考えております。数は文部省できめるわけではございません。各都道府県の判断によりまして必要数を作るわけでございますけれども、予算の基礎といたしましては大体六百くらいを予定いたしまして、三千万円を計上いたしたわけでございます。施設は学校とかそのほか関係の教育施設がございますので、そういう施設を利用して、図書類を購入してそこに展示をし、常に教員その他の採択関係者が集まって研究ができるようにしたい、かように考えております。
○小林(信)委員 そうすると大体一カ所五万円くらい補助金が出るわけですが、五万円の補助金をもらって何の施設ができるかということを一言いたいところなんです。そこでもって教師の熱意をわかせるような研究ができるというお考えのようですが、ほんとうにそういうことができますか。その五万円というところから考えて、五万円くらいの補助金では県でもって負担する額もわずかだと思うのです。これではおそらく今までのように十日間開催して、ああいう混雑した中で何らそこで研究することができない、ただ本の表紙を見るだけにすぎないという展示会的なものに終るのではないかと思うのですが、文部省としてはこれに対して相当に考慮があるのですか。
○緒方政府委員 施設は先ほど申し上げましたように、既存の施設を利用してやっていけると思いますから、補助金の内容といたしましても施設費は入れておりません。これは予算の算定の基礎としてでございますけれども、若干の設備、そこに展示する設備は必要であると思いまして、そのために相当額をさくようにいたしております。あとは教科書は現在毎年展示をいたしております教科書を各教育委員会で保存いたしておりますから、それを十分活用ができますし、今後出版されます教科書は教科書会社がそこに送って展示を求めることができることになっておりますから、教科書の費用はこの中では必要でないと思います。そのほかの参考の図書購入費等は若干この中から利用ができると考えます。
○小林(信)委員 既存の建物に依存をする、もちろん施設といっても建物という意味でなく、やはり研究するのでありますから、何かどこか必要でないかと思うのであります。そういうことを考えれば、ただこれだけで十分教師が教科書に対して研究をし、またよい教科書が出てくるような、そういう機会が与えられるというふうに私は考えられないわけであります。これも先ほど次官も言われましたように、今後の運営というようなことが問題になるわけで、私としてはこれではこの法案の全体からいって、現場の人たちが関与する道がない、その人たちに教科書というものに対する考え方をしっかり持っていただくような機会が与えられないというふうに考えるわけですが、それはそれとしておきまして、先ほど次官からこの法案を作るについて、よい教科書を安く、しかも教師の熱意を沸せるというふうに考慮されたと言われたのであります。その教師の問題はそこにおきまして、それでは安く供給のできるという点から、次官としてはどういうところを法案の中からあげて安くできると御判断になるか、伺いたいと思います。
○竹尾政府委員 この点につきましては先日もお答え申し上げたと思いますが、宣伝費その他を安くいたしますことと、それからこの改訂に制限をいたす、あるいは教科書の製造と申しますか、作成に当りまして印刷とかあるいは紙とか、そういうものをできるだけ安くいたしまして、総体的にその結果においては定価の安い教科書、製造と申しておりますが、そういう教科書を作っていきたいと考えておるのであります。なお詳しいことは局長から答弁させます。
○佐藤委員長 小林委員に申し上げます。清瀬文部大臣はあと十五分ほどで出席いたすとのことでございます。
○小林(信)委員 そこらは大臣にお聞きしても、次官にお聞きしても、局長にお聞きしても同じことだと思うので、御質問申し上げておるわけですが、今の宣伝費とか駐在員の費用とか、そういうものは今度はなくなる、確かにそうでございましょう。しかしこれは先日来本国会でもって開かれました行政監察委員会等でやはり問題になったところですが、私そのときにもお伺いをしたのです。また先刻の公聴会でも業者の方から発言があったのですが、そういうふうな経費というものは、割合本の値段へ加算されるものは少いのだそうです。一番問題になる、業者が非常に心配しているのは、地域が拡大して、県単位なんかになって、そこでもってある本が採用される、それが各府県に行われるというようなことになると、今の業者の設備ではそんな大量を引き受けることが不可能である。しかも大事なことは、そういうようなものが恒久的であればいい。ところがことしは採用されたけれども、二年後にはまた別のものが採用されて、せっかく設備を大きくしたけれども、今度は縮小しなければならない。小さい会社が急にたくさんに製本を引き受けるというふうなことになると、業者にとっては地域が拡大されるということは非常にその心配が多いわけなんです。単にそういうことでもって小さい業者がなくなって、大体ある程度の会社というものが残って、その会社が相当量を製本できるから単価が安くなるというふうな、こんな簡単な考えを文部省がされておったらとんでもないことだ。やはり地域は今までのように小さい方が、業者にとっては本を安くすることが可能であって、今度のような制度になったら危険が多いというような心配も持っておられました。それからこれは私特に行政監察委員会で質問したのですが、本が高くなるということは、今まで非常に先生に贈収賄が行われたとか、あるいはいろいろなそういう面での費用、こういうふうなものが本を高くした原因だと聞くがどうかと言ったら、業者は、そういうことはあまり大しなことはないのだ、やはり一番問題になるのは返本だ、こういう話なんです。この返本を一般の人に聞きますと、返本ほんということは今のような制度ではそんなにあり得ないはずだ、こういうふうに言っておるのですが、業者は返本を非常に強く言うのです。私も納得いかないから特に業者に聞きましたところ、文部省でもって各学校の来年度の希望数をまとめますね。それが出版会社の方に通告される、出版会社は自分のところの本がまず百万冊とすれば、大体その八割を見越して作るのだそうです。百必要だという場合にその八割を製本して、かつ余るのだそうです。それくらい文部省がとる統計というものはでたらめなものだそうで、信用できないのだそうです。これは文部省というか、それを通告するところが悪いのかしれませんが、とにかくでき上ってくる数学というものを相当低く見なければならないむだが出てくる。それでもなおかつ返本というものが多くなっておる。その返本を見込むから教科書というものが高くなる、こういうことまで言っておるのですが、今のお話を聞いておりますと、あまり問題になら広いところに量点が置かれておる。それでは今のような経過から考えてみて教科書は簡単に安くなるものではない。かえって今のように非常に広範囲に一つの会社の教科書が使われるような場合は、これはかえって問題が起きてきて、そのときには施設を完備する。今度は二、三年たつと需要者が非常に少くなって、施設を縮小しなければならぬという形になって、非常な不安が出てくるわけなんです。そういうことは勢い教科書の値段というものを非常に動揺させることにもなるわけです。こういう点につきましては、文部省ではどういうふうにお考えになっておるか。
○竹尾政府委員 先日の公聴会におきまして、これは水谷公述人かと記憶しておりますが、あの方の公述におきまして、私も非常に考えさせられるところがございまして、小林委員の今おっしゃられました採択等の面につきましては、やはり水谷さんの述べられたような理由によって、教科書の値段が高く、安くということより、非常に動揺しやすいというようなことはごもっともなお説だと私も拝聴いたしました。そこで採択地域の問題になりますが、この点につきましては、先日来しばしば御質問もございまして、非常に重要な点であろうかと存じております。そこで一県一地域では非常に広いのじゃないか、またそういうふうになりやすいのじゃないかというような、高津委員のお尋ねもございましたが、そのとき私は、これははっきりとは申し上げませんでしたけれども、一県一地域というものは、これは例外ととってもいいじゃないかと思いまして、やはり郡市単位ということを原則として認めて、ごく例外な場合には一県一地域というような考え方も起り得る、こういうふうに解釈いたしたいと思うのでございます。そこで小林委員の今御指摘のような、つまり不安も起り得ないとは保障し得ないのでございますので、その点も十分考えまして、そして教科書の定価に動揺を与えないように、なおかつこれを安きに保ち得るようなことを考えて参りたい。そのためには、これはもちろん主要な条件ではございませんが、今申し上げましたように駐在員に関する経費を省くとかあるいは宣伝費を省くということも、定価を安くするところの幾つかの条件に相なり得ることでございまして、そういうような条件を考えながら、なお採択地域等に対しても十分注意をいたして、しかもよい、安い教科書を供給して、なおかつ先生方の教育に対する熱意を高めて参りたい、こう考えておる次第でございます。なお足りないところは局長から補足させますから御了承願います。
○小林(信)委員 次官が一番精通されておりますから、局長さんにはまた別の問題をお聞きいたします。時間をあまりとって失礼いたしますが、まだまだその問題はそれだけでは解決できないので、もう一点その点で御質問申し上げます。 返本の問題ですが、この問題は次官はお答え下さらなかったのですが、これは非常に問題だと思うのです。今度この法案でさらに問題になるのは、文部省の方でも集計をして業者の方に知らせるけれども、業者の方も登録教科書供給業者ですが、そういうものも調査をする。その調査をするということにも問題があるのです。事前に調査をするということが、また従来のような不正行為を生むようなことになるかもしれませんが、とにかく供給業者が調査をして、それを出版会社の方に通告をする。統計をとることが二重になります。ところが教科書を高くする原因はまだある。これだけでは解消できないところがある。というのは統計というものがしっかり出ておれば、転任したとかあるいは災害にあったというところで教科書のない場合に、どれくらいのものが用意されればよいかということで、不要なものを持たずに教科書業者というものは不時の場合に対応できた。ところが今度は、法律でもってそういう場合を規定しているわけなんです。そういう場合には不足がないようにする。そうすると、今度は相当な責任を持って、業者はそういう予備品を用意しなければならない。統計というものは、確実に出ればよいのですが、文部省の統計は、今まで非常に信用できなかったわけです。こういう点からしても、教科書を安くすることはなかなかむずかしいのではないか。こういう法律が出れば出るだけ、業者に責任を負わせて、業者はそれをやはり教科書に加算していかなければならない。さらに業者として要望するところは、指導要領、これがしょっちゅう変るために、私たちは教科書を常に新しくしなければならない、そのために教科書を安くすることができないということがいわれておる。それから今までの教科書業者のやっておった点を見ますと、本を長く使わせないのです。ことしと来年ではわずかしか違わないけれども、本が修正されたという形で、新しく買わせるようにする。幾ら今までの父兄やあるいはわれわれが、なるべく兄さんの本が弟にも使えるようにと思っても、指導要領の転化、あるいは業者の売らんかなという商魂から、常に新しいものを買わなければならないようになっている。しかも今度はこういう採択地区がきまり、採択協議会がきまり、安定してくると、なお自分のところの教科書に自信を持って——一年に国語なら国語が採用されたとすると、六年間同じ系統という意味で必ず一つの会社のものが使われるだろう、そうしたら、その教科書がなるべく前年の古いものは使われないように、一部改正をして使わせるというような業者も、出ないとも限らないわけです。そういうことを考えれば、安くするということが、この教科書法案には非常に高くうたわれておるというのですが、私はどこにもそういうところが見つからず、かえってそういう点が今後高くなるようなことも放任されているようにも考えられるのですが、今の指導要領あるいは返本というような問題は、どういうふうに解決するか、あるいは業者が今までやったように、ことしと来年度でちょっとした一部を改正して、もう前の本は使わせないようにするということが食いとめられるか、お伺いいたします。
○竹尾政府委員 先ほどちょっとお答え漏れをして申しわけございませんが、返本の問題でございますが、返本は教科書のみならず、普通の本におきましても、どのくらい売れるかということを確実に見ることは、御承知のように非常にむずかしいので、これは出版界一般の傾向だ、こういう工合にもとればとれないこともなかろうかと存じます。教科書の場合におきましては、ただいま統計が非常にずさんであるというような御指摘もございましたが、はっきり何冊ということを押えることが、現実において非常にむずかしいので、ついそうした返本が多くなるという場合も従来あったと思います。その点につきましては、ただいま御指摘の二つの調査の方法によりまして、これはあべこべに返本を多くするとか、そういうような気持でやるわけではもちろんないのございまして、できるだけ需要の数もはっきり正確に押えてやりたいという一助のために考えられたとも見られる方法でございますが、その点十分注意をいたしまして、できるだけ業者に対しても、発行者に対しても、迷惑のかからないような処置を講じて参りたいと存じております。 それから指導要領の問題でございますが、これも一々ことし、来年というように何回も変るということは望ましくないことでございますので、そういう点もできるだけ注意をいたして変えないようにいたしまして、従来の教科書がよかったらその教科書をできるだけ長く使えるような方法も考えて参りたいと存じておりますが、なお足りない点は局長から御答弁させます。
○小林(信)委員 今の教科書を安くするという問題は、私にはどこにも安くするというふうな傾向が見られない、このままいけばかえって高くねる一方だ、極言すればそういう考えすら私には出てくるのですが、専門家である局長さんの方に安くする方法があるならば、御説明願いたい。
○緒方政府委員 ただいま次官の御答弁がございましたけれども、私なるべく条文に即して技術的にお答えしたいと思います。特に最後に三点あげられた点でありますが、確かに従来改訂がひんぱん過ぎるというお話がありました。これが価格を高くするもとにもなるし、あるいはまた古本使用ができなくなるということもあったかと存じます。それに対応いたしますためには、第七条の第二号をごらんいただきますと、検定に合格した図書でその検定の有効期間の残りの期間が二年をこえるものと、内容が同一かあるいは著しく類似したものは検定を行わない。この検定を行わないという制度の点につきまして少し注釈いたしますと、検定を受けて、検定の有効期間は六カ年でございますけれども、四年以上たたなければ改訂はできない、この趣旨をここに盛り込んだつもりであります。この点で実は改訂制限を行えたと考えます。 なお指導要領の変更につきましては、政務次官がお答え申し上げました通りでありますけれども、これは従来運用の点で私どもは若干反省しなければならぬ点があったかと存じますが、社会科の指導要領の改訂をいたしました際に、これは現場教育のための便益をはかりまして、なるべく早くどういうふうな方向に改訂を加えるかということを知らせるという意味で、中間報告をひんぱんにいたしました。それがそのまま教科書の改訂の方にはね返ったということであります。指導要領の改訂そのものはそうたびたびいたしたわけではありませんけれども、社会科につきましてはこのたび一回やっただけでございますけれども、そういう事情がありましたので、今後の取扱いにつきまして十分注意をして、ただいま御指摘のようなことがないように私ども努めたいと存じております。 なお需要数の点でありますが、これは従来御承知のように、臨時措措法におきましては、文部省が教育委員会を通じて調べたものを土台にして発行者に発行させる基準にしたわけであります。それによって発行を指示したわけであります。今度の法律におきましては三十九条で一応採択をいたしますから、都道府県の教育委員会あるいは市町村の教育委員会で採択後の一応の数がわかります。それを示して四十条で発行の指示をいたします。しかしながらおっしゃいます通りでございまして、この数はなかなか正確を期しがたいのでございますので、四十六条の規定を作りまして、そうして発行者と供給業者と契約をいたしましたあとで、その発行者の指示に基いて供給業者が精密に調べてそれを発行者に通知をする、それによって発行者は正確な発行ができるようにいたしたい、かような仕組みにこの法律ではいたしております。これはちょっと今お話がございましたけれども、採択のあとでございますから、採択の方の不公正をこのために呼び起すということは、この調査のためには起って参りません、この点は御了承を願いたいと思います。 それから価格を安くする問題につきましては、この法律にはうたっていない点もございますけれども、この法律ができまして、発行審議会にかけましていろいろと定価の認可基準を検討したいと思っております。法律には出てこない面におきましても各方面から検討いたしまして、たとえば運賃の問題もございまするし、それからそのほか用紙の問題とか色刷りの問題とかいろいろあると存じますけれども、各面から検討いたしまして適正妥当な——これは内容が悪くなってはいけません、質を保持しつつ、内容はますますよくしつつ、なおかつ価格はなるべく安くしていくという方向に努力しなければならないのではないかと考えております。 なお、宣伝費のうちに入るわけでございますけれども、従来献本の問題があるのでございます。これはやはり業者の相当な負担になっておると思います。特に教師用の指導書の献本等も含まれますので、私ども業者から話を聞きましても、これをやめるということになりますと、相当価格の点にも影響してくることと思っております。まあいろいろございますけれども、かような点を十分検討いたしまして、法律成立後はさらに適正な価格というものをきめるように努力をしたいと存じます。
○小林(信)委員 大体一応その筋は通っているようでございますが、先ほど申しましたような採択地域の問題というふうなことは、業者は非常に悩んでおるのですが、まあ次官の言うように、大体郡市単位程度になるだろう、こういうお話なんですが、しかし郡市単位になると大体どういう程度の会社の本が使われるかということはおのずからわかるわけで、こういう制度になればなるほど大量に同じ教科書が使われるようになるし、それが幾つかの会社の、今年はこの会社、来年は次の会社というふうな変転ということがあるために、施設、設備にしても、あるときにはそれが縮小されなければならぬということをバランスをとって教科書の値段が生まれると私は予想するわけなのです。そういう点からすれば、なかなか教科書を簡単に安くすることはできないのじゃないか、やはり法案そのものに根本的な大きな問題があるように思われるわけなのです。 そこで次官が最初述べられました、こういう考えでこの教科書を作ったという御意見を今大体伺ったわけですが、さらに先日の公聴会におきましてはいろいろな意見が出ておるわけです。これは文部省からは表明されなかったのですが、今それを申し上げまして、これに対する文部省のお考えをお尋ねいたしますが、まず第一番にこういう意見があるのです。この教科書法を制定した根本の考えは、文部省は従来地方に起ったいろいろ教育上の問題について、国会でもってよく責任が問われるけれども、文部省はこれに対して何ら施すすべがなかったんだ、責任ばかり問われて権限が与えられなかった、教科書の問題についてもしかりである、だから文部省の権限というものが及んでそして十分責任がとれるようにするということがこの法案を制定した根本のものであるとか、あるいはそうすべきだというふうな意見があった。それから日教組が教育の実権というものを握って、文部省というものには教育の実権が失われている、教科書なんかも日教組の方からいろいろな指令が出て、その指令に基いて特定の教科書だけが使われる、だからその日教組の対策のためにこういう法案がどうしても必要である。これは文部省がそういう考えであるとは言わなかったのですが、そうすべきであるというような意見でありました。それから偏向教科書、こういうふうなものが盛んにはびこるけれども、それを抑制するためにこの法律が生まれたんだ、こういう見解もありました。非常に不正行為が行われるから、その不正行為を除去して、教科書というものに対してもっと公明な考えが持ち得られるようにするためにこの法律の制定が考えられたんだ。それから、これは今問題にしましたからいいのですが、教科書が非常に高いから安くしなければいけないというような意見があったんです。だいぶ一般にもこの教科書法制定については今申し上げたようなことが流布されているのですが、これに対して文部省としてはどういう見解をお持ちになっておられるか、次官からお伺いしたいのです。
○竹尾政府委員 私どもがこの法案を作りました趣旨は、この法案にもうたってございますが、検定、採択、発行、供給等々に対する適正を期して、よい教科書を安く供給する、こういう趣旨に基いて法案を作成したことは御承知の通りでございます。 ただいま御指摘の第一番目の、文部大臣が教科書に関して問題の起りましたときに、責任だけ問われてこれに対する何らの措置も講ずることができない、こういうような意味から作ったんじゃないか、こういうお説もあったということでございますし、私もそういうことを拝聴しておりましたが、これは御承知の通りあくまでも教育は委員会制度によって行われている関係で、私ども文部省といたしましては適正な指導助言を徹底させる、こういう立場におきましては何らこれは変りがないのでございまして、責任ばかり問われたからこういう法案を作るのだというようなことは、ちょっと考え過ぎではないか、こういうふうに私どもは感じております。 それから第二番目の、日教組がほとんど教科書の採択をやっているから、これを押えるために云々、こういうような説もあったように記憶しておりますが、これは日教組という職員団体を目安にこの教科書を改訂していきたいというような、特に一つの定められた目標のもとに法案を作成したものではもちろんございませんので、その点もそうした意見に対してはそうでない、こうお答えすべきであると考えております。 それから第三番目の偏向教科書がはびこるからこれを押えなくちゃならぬ、こういうような御説もあったと思いますが、これは偏向という意味の本質的な問題にもなりますけれども、いずれにいたしましても、偏向それ自体ということは望ましいことではございませんから、そうした偏向教科書というものが従来もしあったとすれば、そういうものをできるだけなくしていきたいということがこの法案を作成した趣旨である、こういう工合に考えてよろしいかと存じております。 それから第四番目の不正行為云々ということでございますが、教科書につきまして不正行為ということが問題になるとすれば、これはもちろん好ましいことではございませんから、そういう点を直していくということは当然だ、こう考えておりますが、今の御指摘の四点につきましては、私どもは大体以上のような考え方を持っておる次第でございます。
○小林(信)委員 次官の日ごろの教育に対する御見解は、私たちも伺っておって非常に敬意を表しておるわけでございまして、そういう私が列挙しましたようなところからこの法案制定に当ってはいない、これは確かに次官の考えでもあると思うのです。非常に敬意を表さなければならぬわけですが、しかし法案そのものを見ますと、私はそういうふうにうかがわれてならないのです。「うれうべき教科書」というふうな題目で流されたパンフレット等を見ましても、そういうふうなことがこの法案について考えられるし、それから国定教科書がいいという父兄の声をも多分にこの中に織り込んであって、形はなるほど審議会等をもちまして文部大臣が直接いろいろな問題にはかかわりを持たないようにできておりますけれども、すべてこの引き締めいかんによっては、たといそれが民編でありましても、国家管理の形になることができるというような傾向がうかがわれてならないのでありまして、今のようなごりっぱな見解をお持ちになるならば、私はこの法案をそのまま了承できるものではない、次官にそれだけの良心がおありになるならば、この法案は了解できないのじゃないか、こうまで私は思うわけです。とにかく内容をこれから一応御質問申し上げますから、そういう点を考えていただきたいのですが、やはり教育行政は一労働団体がどうであるからとか、あるいは文部大臣が国会でもっていろいろ責任を問われるけれども、その問われる事柄について干渉することができないから云々というふうな問題で日本の教育行政はあってはならない。あくまでも不当な政治支配に属さないように、政治的な手段に使われないように文部大臣は守っていく、そこに教育行政の重点があるわけなんです。そういう考えでもってこの法案をお作りになったとするならば、私はこの法案に対して衷心から納得できないものがあると思うのです。これから私はそういう見解でもって、内容につきましてしばらく御質問を申し上げてみたいと思うのです。大臣がおいでになって、大臣の責任あるお答えを願いたいのですが、大臣の来るまで御質問を申し上げます。 いろいろ審議会を設けられますが、その審議会の委員の任命というふうなものが、まず大臣が任命する、何かそれが民主的に選ばれるような方法でも作られるならばいいのですが、それがないのです。それからこの審議会をいろいろ動かす場合に、みんな大臣が認めた場合とか大臣の要求する諮問とかいうふうなことで審議会が動いて、審議会そのものは発意して仕事をするということが割合に少いのです。教科書発行審議会にいたしましても、また教科書選定協議会にいたしましても、同じような形がとられておる。教科書選定協議会なんかも、これは大臣に報告するということになっておりますが、報告されてそれが不適当であればどうのこうのということはないのです。何ゆえ報告するのかわかりませんが、とにかく協議会を作るというときに、これは県の教育委員会が作るのでありまして、下部の先生方あるいは地教委というふうなものの意向がこれに入っているというようなことがない。まず組織される場合に大臣の任命、県教委の任命というふうな形でもって作られるし、今度は動く場合に、自分たちが発意をして検定拒否をするとかあるいは検定の執行をすることなしに、文部大臣がそういうことを発意しなければ動けないという形になっておるわけです。おそらくこれは決して民編国管ではない、非常に民主的に出ておる法律の運営形式だ、こう言うかもしれませんが、そういう一つ一つを考えてみても、これは非常に形だけであって、内容においては国家権力なりそのときの政治力なり政党の力というものが働き得られるようになっておる、こういう点につきまして先ほど申しましたような結論に達せざるを得ないわけなんですが、この点につきまして次官のお考えがございましたらお伺いします。
○竹尾政府委員 審議会につきましては今までもたびたび御意見を拝聴しておりますが、何と申しましてもこの審議会の性質が大臣の諮問機関であるというふうな一つの取りきめと申しましょうか、ワクがそこにありますので、諮問機関である以上はやはり大臣が諮問されて、それに答えをしていただくというような結果になろうかと存じます。しかし教育のことは小林委員とくと御承知のように、その地域社会の子供さんをよくその地域に適応するように育てていくということが教育基本法の精神でございますので、できるだけその精神にのっとりまして、審議会等もそういう線に沿うように進んで参りたい、こういう工合に考えておるのでございますが、諮問機関でありますので、その点は一つ諮問機関そのものの性格に照らしまして、御了承願える点は御了承をお願い申し上げたい次第であります。
○小林(信)委員 あくまでも大臣の諮問機関で、協力的な機関というようなものでなく、大臣が一切をやるのである、こういうふうに明白にされるならば、もうそれでけっこうでございます。やはりそれは民主的に世論を取り上げて仕事をするというのでなく、あくまでも諮問機関であるというならば、それでよろしゅうございます。 そこで、それでは検定の問題からしてお伺いいたしますが、まずその第六条、見本本の問題からお伺いいたします。どうして……。
○佐藤委員長 小林君、済みませんが、大臣がこられませんし、今時間のやりくりでしばらく休憩したいと思いますが、どうですか。
○小林(信)委員 私はこれから検定、採択というふうな先ほどの問題を条項的に申し上げたいと思うのですが、ここで切りにして、大臣がおいでになってから責任ある御答弁をお願いしたいと思うのです。それではここで保留して、大臣が来てから継続してやらしていただきます。
○佐藤委員長 午前の会議はこの程度といたします。 暫時休憩いたします。 午後零時二十一分休憩 ————◇—————