農林水産委員会 第30号
- 発言数
- 69 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1956/04/17
会議録
○村松委員長 これより会議を開きます。 この際、先般の委員会において芳賀委員より要求のあり、ました、馬の輸入問題についての調査報告を求めます。大石政務次官。
○大石(武)政府委員 先般の芳賀委員の御質問に対しまして、その調査の結果を御報告申し上げます。 昨年の十月ごろ永田雅一氏がアメリカから帰られまして、そのあと同氏の秘書の木村武千代さんから競馬会の井上業務部長に対しまして、米国でサラブレッド三頭の購入予約をしてきましたので、輸入商を紹介してくれないかとの依頼がございました。そこで井上業務部長は、トロッター輸入の業務を取り扱っております藤井商店主の藤井治氏を木村武千代氏に紹介いたしました。その結果、藤井商店では、サラブレッド三頭の追加輸入につきましては、トロッター協会及び競馬会に相談いたしました。と申しますのは、競馬会はトロッター協会よりトロッター種輸入を委託されておりますので、両方に相談いたしましたところが、トロッター協会では、トロッターの輸入に支障がなければ、余裕分をサラブレッド輸入に回すことも差しつかえないという意見であり、また競馬会におきましても、わが国の産馬改良の上から見ても、余裕分をサラブレッド輸入に回すことは差しつかえないという意見でございましたので、そこで藤井商店では農林省の担当官に相談いたしました。農林省といたしましては、外貨予算の事情もあり、いろいろと検討していたところでありますが、たまたまトロッターが当初の計画よりも安く買えるという話がございましたので、トロッター輸入と同一条件でその余裕分をサラブレッド三頭に使用させることにしてよろしいという結論に達しましたので、藤井商店並びに競馬会にそのことを口頭で了解を与えたのでございます。その結果三頭は輸入されたわけでございます。すななわち、このサラブレッド三頭は二カ年能力検定のために競走に疾走させて、あとは種畜として使用させるという条件をつけてこれを許可したわけでございます。 以上が報告の内容でございます。
○村松委員長 ただいまの御報告に対して質疑の申し出があります。これを許します。神田大作君。
○神田(大)委員 時間がありませんから簡単に御質問申し上げますが、今の、政務次官が調査したといって報告されたことは、われわれが要求しておる調査の主眼点をはずしてあると思う。というりのは、われわれは、サラブレッド三頭の申請はどこで行なったのか、だれがやったのかということを要求しておるわけですが、それに答えていないと思うのです。
○大石(武)政府委員 それは畜産局長にお答えいたさせます。
○渡部(伍)政府委員 ただいま政務次官から御報告いたしましたように、永田雅一氏が、輸入をしたい、こういことが発端になっておるのであります。
○神田(大)委員 これは、農林大臣である河野一郎氏が自分と関係のあるサラブレッドの輸入に対しまして、一体だれの申請によって外貨の割当をやったかということなんです。そういう点ははっきりしていないと思うのですが、政務次官、どうですか。
○大石(武)政府委員 畜産局長から御答弁申し上げます。
○渡部(伍)政府委員 ただいま申し上げましたように、永田氏がサラ三頭をアメリカで見つけてきておるから外貨はないか、こういうことが発端になっておるのであります。
○神田(大)委員 私の言っていることをよく聞いて、はっきり答弁して下さいよ。一体だれの名前で外貨の割当の申請をしてあるかということをはっきり言って下さい。
○渡部(伍)政府委員 これは、その前から話がありますように、外貨の申請は藤井商店がやっておるわけであります。形式的、法律的にはそうなっておる。そのもとの、いわゆる実需者がだれかという問題になると、実需者としては、先ほど申し上げましたように永田氏ということになっておるわけであります。
○神田(大)委員 まことにどうも筋の通らない答弁を君はしておると思うのですが、実需者が永田雅一だという。それは一頭は永田雅一が実需者だとしていいでしょうが、それはいろいろ疑義がありますよ。法律的に非常に疑義があります。河野一郎の名義で持っている馬は、一体実需者はだれですか。河野一郎じゃありませんか、どうですか。
○渡部(伍)政府委員 これは、内部関係はいろいろあるわけであります。このサラ三頭を見つけてきた、だから輸入したいといってきたのは永田氏であります。そのうちの二頭は河野一郎氏に頼まれた、こういうふうな内容になっておるわけであります。そこのところへ出てきたのは、あくまでもサラ三頭をアメリカで見つけてきたということで、永田氏が外貨予算はないか、こういうことからきておるのであります。
○神田(大)委員 種馬であるとすれば、種馬としての設備や何かを永田氏は持っていなくてはならぬわけです。たとい永田氏にしましても、あるいは河野一郎氏にしましても、大体そういう条件が備わっていない者に外貨割当ができるわけはありませんよ。またあなたは永田雅一が申請したと言いますが、その申請書は永田雅一になっておりますか。
○渡部(伍)政府委員 これは先ほど政務次官から御説明申し上げましたように、書類上の扱いになっておりませんで、口頭の扱いになっているわけであります。そこの点は、前々から私どもが申し上げておりますように書類上の不備があるのであります。
○神田(大)委員 外貨の割当申請を口頭でやるというような法律が一体どこにありますか。申請書というものはちゃんと形式があって、それに基いて申請するのですよ。それを口頭で申請するという規則はどこにありますか。その規則を一つ教えて下さい。
○渡部(伍)政府委員 これは先ほど申し上げましたように、外貨の申請の裏づけとなる実需者の発注書というものが、本筋はトロッターの発注書になっているわけであります。その残りを余裕があったら使ってもいいということになっておりますので、口頭で了解を与えたのであります。従いましてこれは書類の不備である、遺憾であるということを申し上げておるのであります。
○神田(大)委員 トロッターの申請書はなるほどあります。しかしサラブレッド——種馬とあなた方は言っておりますけれども、種馬としてのサラブレッドの申請書はないでしょう。その点をはっきりして下さい。
○渡部(伍)政府委員 たびたび繰り返して申し上げますように、これは全部口頭になっているのであります。これは先般来質疑応答で繰り返しておりますように、為替の許可がホース、馬ということになっておりますので、便宜の手段をとったのであります。
○神田(大)委員 申請書が口頭だということは間違っておるということをあなたはお認めになりますね。その点をはっきりして下さい。
○渡部(伍)政府委員 これは全然空の ところに口頭でやるということはできません。しかしこの件は、トロッターの輸入の余裕金を使う、プラス・アルフアーだということで、その分だけは口頭になっているのであります。この点は、形式的にいえばやはり手続の不備ということをいわざるを得ないことを認めます。
○神田(大)委員 プラス・アルフアーだかプラス何だか知りませんが、申請書というものは、サラブレッドはサラブレッド、トロッターはトロッターとちゃんと書くのが申請書です。それを申請書がないのに、途中でトロッターの申請書の中にサラブレッドを入れるということそれ自体が間違っていると思うのですが、この点どう思いますか。
○渡部(伍)政府委員 先般来御説明申し上げておりますように、法律的にはいわゆる間違いということにはならないのですけれども、行政上は、手続上うまくないといわざるを得ぬと思います。
○神田(大)委員 畜産局長は、間違っているのではないが、うまくないというわけですね。 きょうはゆっくり質問する時間がありませんし、通産大臣もおりませんから、その質問は保留いたしまして、この次質問しましょう。
○村松委員長 この際暫時休憩いたします。 正午休憩 ————◇————— 午後零時九分開議
○村松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 日ソ漁業交渉について河野国務大臣より発言を求められておりますのでこの際これを許します国務大臣河野一郎君。
○河野国務大臣 今回日ソ漁業交渉をソ連側から応諾いたして参りましたので、先般政府から、代表してこの交渉に当るようにという御命令を受けたのでございます。御承知の通り、国内の北洋出漁の問題が非常に切迫いたしております際に、ソ連側からこれが漁獲制限等について発言があり、このまま推移いたしますことは、両国将来のために不測の問題が起るやもはかり知れませんので、わが国といたしましては、かねてマリク駐英ソ連大使に対して、この問題について十分意思の疎通をはかり、何らか了解を得たいということを申し出いたしてあったのでございます。それに対してソ連側から、漁業交渉の基本的な問題について会議を開くとともに、当面の問題についてもよく考慮したいから全権団を派遣するように、話し合いをいたそうじゃないかということでありたのでございまして、政府としては今回の処置に出たのでございますが、平和条約が御承知のような状態に相なっておりまする際に、この問題が両国の間に円満なる了解を得るということはなかなか困難であると思うのでございますけれども、さればと申して、事情はかくのごとき現状にありますので、十分ソ連側の了解と納得の上に円満に妥結いたしたいと思っておる次第でございます。何分私のような微力なものでございますので、よくその任を果し得るやいなやを非常に気づかっておるのでございますが、幸いに当委員会はこの問題については十分検討され、また深い御理解を持っておいでの方々でございますので、一段の御協力を賜わりたいことを特にお願いを申し上げたい次第でございます。一言ごあいさつ申し上げる次第でございます。(拍手)
○村松委員長 ただいまの大臣の発言に対する質疑の通告がありますので、これを許します。淡谷悠藏君。
○淡谷委員 大臣のごあいさつに接しましたが、率直に申し上げまして、今回の大臣の訪ソにつきましては、私どもとしては非常な不安と不満を感ずるものでございます。大臣御自身はっきりおわかりの通り、今河野一郎という人物には国内の非常に濃い疑惑の色がかかっております。しかも当委員会においてあなたがまだ問題の競馬馬につきまして十分なる回答を与えてない、私自身の質問も保留のままあなたはソ連に旅行される。国内において絶対の信頼をかち得ない者が果して他国の信頼をかち得るかどうか、まことに不安に思うのであります。のみならず、あなたの属する自民党内部においてすら、あなたの権限に対して非常に強い制約を加えて出発されるというようなことがございまするが、なおさらこうなりますると、このむずかしい交渉が成立を危ぶまれる。何か制約がございますかどうか、あなたの今度の権限がどのような権限であるか。この席上におきましてはっきり言明を願いたいと思うのであります。
○河野国務大臣 ただいまごあいさつを申し上げた通りでございます。
○淡谷委員 今の大臣のあいさつでは、あなたの資格についてわれわれははっきりした認識を持つわけに参りません。あなたはどの範囲でこの交渉を取りきめるだけの権限を許されておるか。全権として行かれるのか、単なる漁業使節として行かれるのか、その点明快なるあなたの御言明を私は要求いたします。
○河野国務大臣 ただいまごあいさつ申し上げました通りに、漁業問題を円満に打開するために、政府の代表としてソ連に参るわけでございます。
○淡谷委員 漁業問題さえ円満に解決いたしましたら、あとはどのような取りきめをしましてもよろしいのでございますか。基本的な外交問題につきましても、あるいは日ソの国交調整に関するさまざまな取りきめに関しましても、あなたは全権を付与されて出かけるのだ、こう了解してよろしいかどうか。
○河野国務大臣 私はただいまごあいさつを申し上げました通りでございます。
○淡谷委員 この際になっても大臣のいたずらにとうかいするような答弁では私は満足できません。今のあいさつでは納得ができないから、もっとはっきり、責任あるこの委員会で、しかもわれわれに非常に関係のあります。また国民が非常に注意しておりますこの北洋漁業の問題について、あなたがどの程度の権限を与えられて出向かれるのか、その点をはっきりしておきたい。私は、競馬馬同様に、この問題でもあなたがごまかし的な態度で行かれるならば、とうていこんな問題の解決はできない、こう思うのであります。ごまかさずにはっきり答えてもらいたい。
○河野国務大臣 ごまかすとかごまかさぬとかいうことはございません。漁業の問題の交渉に行くのでございまして、相手方のあることでございますから、今事前にそれについてとやかく申すことは適当でないと思います。
○淡谷委員 相手方があるから私は特にあなたにお聞きしたい。ソ連が果して他の問題と切り離しまして漁業の問題だけであなたの要求にこたえるような、また十分に国民が納得し得るような、そのような事態であるとあなたは御認識の上に、この疑惑の中から行かれるのかどうか、あなたの御所信を伺いたい。
○河野国務大臣 今申し上げますように、何分向うに行ってみませんければ、こちらからソ連の方に申し出いたしました、当面の漁業問題について話し合いたいという申し出でについて、先方から返事が参ったのであります。それについて私は、政府から行って交渉してこいという命令で行くのでありますから、その命令の範囲内において処理する、こういうつもりであります。
○芳賀委員 ちょっと関連。ただいまの淡谷委員の質問に関連いたしましてただ一点お尋ねしたいのは、河野さんがいかなる資格で、いかなる自信を持って行かれるかということなんです。交渉はもちろん相手があるのですが、相手をして信じさせるに足るだけの資格と明確な任務を持って行かなければ、これは相手がそれに応諾しないと思うのです。われわれ一番疑問になる点は、なぜあなたが全権としてその任務を持って行くことができないのかということです。もちろん交渉をやる場合においては事務的な折衝、あるいはそれにあわせて政治的な折衝を行わなければ交渉の妥結というものは期待することができないと思うのです。その場合にことさらあなたは全権でない資格でしか行けないというところに多大な問題があると思う。そういうことではあなたは自信を持って十分なる活躍ができないと思う。われわれはこの漁業問題の速急な解決を期待するものでありますが、それをやるためには政府の代表としてあなたが十分に活動するに足るだけの責任と任務を持って行かなければ、これは十分の成果は上らないと思うのです。なぜあなたは全権の資格で行けないか、その点を明確にされたらどうですか。
○河野国務大臣 ソ連に私が参りますのは、今申し上げました通りに漁業の協定をしようということで行くのでございます。そういうことで、これは外務当局にお尋ねいただく方が適当と思いますが、全権という資格を持って行くことが適当であるかどうかということについてもいろいろ研究をされたようであります。しかし私は総じて申し上げますれば、政府を代表して、この漁業の交渉については一切の責任を持って当るつもりでございます。
○芳賀委員 その点あなたはお気の毒にもいろいろな制約を受けておるのです。いわゆるくつわをはめられて出かけなければならぬという点は非常に気の毒に考えておる。この交渉をやる場合、やはり日ソ間における国交の調整というものに全く触れないで問題を進めるということは不可能だと思うのです。ところがあなたは、国交調整の問題に対しては一切触れてはならぬというくつわをはめさせられておるわけです。だから国交の調整を離れて漁業協定の事務的な暫定協定を結ぶという、その範疇において仕事をやるということで行かれるわけでありますが、これに対する期待というものはわれわれは全然持てないわけなのです。ですから、そういうような資格にあなたがならぬでなぜモスクワにいかなければならぬという点を、この際明確にされたらどうですか。これは単に自民党の政策上の問題ではないのです。日本の国の、しかも漁業問題の今後の根本的な問題を解決するために出かけられるのであるからして、そういう点に対する明確な答弁をなさる必要があると思う。いかがですか。
○村松委員長 この一問であとは理事会の内容通り進めたいと思います。
○河野国務大臣 いろいろお話でございますが、私はこの漁業交渉の日ソの間における経緯から見まして、わが方から当面の漁業問題の打開について交渉いたしたいという申し入れをいたしたわけであります。それについてソ連の方から、その交渉に応じようという返事が参りましたので、その交渉をやりますわけでありますので、その点は一つ御了解を願いたいと思います。
○村松委員長 なお私から申し上げたいと思いますが、国務大臣は儀礼上ごあいさつを申し上げておるのでありまするので、それに対する御質疑も儀礼的に一つお願いしたいというのが私の気持でございます。これは大体理事会においてもそういう空気があったわけでありますから、どうか一つさような点をお考え願いたいと思います。
○淡谷委員 ただいま委員長から、儀礼的なあいさつであるから儀礼的な質問をしろということでございますが、はっきり儀礼的にということでお尋ねいたしますが、今の大臣の御答弁で、今の資格で行かれてこの難問題を解決できる御自信をお待ちになっていられると存じ上げますが、その点はいかがでございますか。
○河野国務大臣 その点につきましては、相手のあることでありますから、今ここでお答えはいたしかねますけれども、私の資格が全権であるとか代表であるとかいうことで制約を受けるとは考えておりません。
○淡谷委員 まことにけっこうな御決意でございます。国民はこの問題が即時解決することを待っておりまするし、同時にあなたが許可されました五百隻の独航船がもう仕込みを完了して、出漁を待期しておるのであります。万一この事態が打開されませんと非常に困った問題もはね返って、許可をされた政府自体に賠償等の要求もあると思いまするが、そういう点も十分に御認識の上お出かけになると考えます。その点はどうでございますか。
○河野国務大臣 そういう点を十分考慮いたしますから出かけるのでございます。この北洋出漁の問題が御承知の通り非常に緊迫いたしまして、しかも非常に重大な問題でございます。これをこのままにいたしますことは非常に不安定でございますし、国家のためにも非常にとらざるところでございますので、ソ連の十分なる理解を得るために最善の努力を尽したいということにほかならないのでございまして、いろいろ御注意もございましたし、またいろいろ御意見もございましたが、それらの点につきましては、十分注意をいたしまして最善を尽すつもりでございますが、先ほども申し上げました通り、何分非常に困難な問題でもあり、相手もなかなか困難に考えられます。しかも時が、従来漁業交渉を継続いたしましたときと違いまして、御心配になりますような全面的な和平交渉が未解決になっておるときでございますので、一段とむずかしかろうということは想像いたしますけれども、何分今日のわが国の国内の現状から見て最善を尽す必要があると考えて、努力をいたすつもりでございます。
○淡谷委員 大臣のただいまの御答弁で私さらにあなたの今度の抱負について——大臣はもうはっきりお考えにはなっておるだろうと思いまするが、この北洋漁業の乱獲の問題につきましては、当委員会においてもしばしば問題になったはずでございます。その問題を押し切って、昨年あなたが大臣になられてから新しく五船団西カムチャッカにふえておる。日魯漁業を中心といたしますこの新しい船団が今度の漁獲制限の一番大きな関係を持つ漁区でございます。これは大臣としてもなかなか等閑視できない事態だろうと思う。同時にまた母船を持たない独航船の漁区につきましても、今度新しく許可制を作ったような非常に重要な国内的な問題もはらんでおります。その点について大臣はおそらく背水の陣をしいていかれることだろうとは思いますけれども、一つこの北洋漁業につきましても、国民が疑惑の目を持って見ております大きな水産会社のためにだけ交渉をされないように、漁民全般の利益を十分に考えてやっていただきたい。さらに大臣に対して私ははっきり申し上げておきたいのは、世間では、あなたが馬を飛行機に乗りかえて最後にはサケに乗って帰るだろうといっている人もあります。けれどもけっこうです。サケに乗って帰ればけっこうでございまするけれども、何も得るところなく帰られるのでございましたら、あなたが今はっきり言明されました点に対する重大な責任が生じてくると思いまするので、その点も十分考えられまして、きょうは儀礼的にやれという委員長のきびしい御注意がございまするから、私の儀礼的質問はこれで終ります。
○河野国務大臣 ただいまの御発言中乱獲という言葉がありましたけれども、わが国においては乱獲の事実はございません。わが国は決して鮭鱒を乱獲さした覚えはないのであります。この点については十分先方の理解を得る必要があるというふうに考えておるのでございまして、これは将来折衝いたします上におきましても、これは十分御検討いただきますればおわかりの通り、決してわれわれの方は乱獲と考えていないのでございますから、どうかその点は一つ御了解願います。
○淡谷委員 私儀礼的な質問で終ろうと思っておったのでございまするが、乱獲問題を大臣がお出しになるならば、私はさらに質問をいたします。一体乱獲である乱獲でないということは、おそらくこれから折衝の過程で明らかになるだろうと思う。けさのある新聞を見ますると、ソ連側が乱獲をしているのだということが麗々しく出ておりまするが、あれは大臣御承知ございましょうか。大臣が儀礼的なあいさつを踏み越えてお答えになっておりまするから私もいささか踏み越えてお尋ねいたします。
○河野国務大臣 新聞にあった記事は読んでおります。読んでおりますが、あれはソ連の雑誌が書いたのを新聞が掲載しておるというのでありまして、それを私がソ連側が乱獲であるとか日本側が乱獲であるとかないとかいうようなことを私の意見として申したのではございません。
○淡谷委員 さらに数量的の乱獲がないとしても、漁獲の方法等について自制すべき点が全然ないということをあなたは公言されますか。漁獲その他の方法において、魚族の保護の上から若干遺憾な点があるという点はお認めになりますかどうか。
○河野国務大臣 わが方の従来とって参りました態度については、私は遺憾な点はないと思っております。しかしこれは国際的な問題でございまするから、たとえばオットセイ条約を締結するにいたしましても、その他のたとえば日米加三国の条約にいたしましても、相手方の主張も取り入れこちらの主張も十分主張してきめなければなりませんから、これは決定する相手方のあることでございまするから、その決定は決定として考えなければなりませんけれども、われわれがとってきましたものが乱獲とは考えておりません。
○村松委員長 中村時雄君。
○中村(時)委員 私は河野国務大臣が、今般ソ連に漁業の問題に関して行かれるということに対しては、その御苦労に心から敬意を表します。それで私はその問題に関しまして五点お尋ねをしたいのでありますが、そのうちで第一点は、私は国務大臣としてソ連に行かれる前に、農林大臣としての責任の問題であります。ただいまも芳賀委員から、以前サラブレッドの入手の報告を受ける、また報告をするということをおっしゃった。ところが今般は国務大臣としてなられたものですから、農林大臣としての権限はない。その当初におきましては、農林大臣として個人河野一郎が行なった行為に対してその調査もし、報告をするという理由であったと私は思う。そこでその報告をただいま政務次官にさしたのでありますが、当然前週において農林大臣が出ていらっしゃって、こういう状態になり得るという見通しがあったときでありますから、当然その報告をし、そして忌憚のない、気持のいい立ち方をしていただきたかったということを一言申しておきたい。これに対して農林大臣はどういうふうなお考えを持っていらっしゃるか。
○河野国務大臣 芳賀さんにそういうお約束をいたしましたが、事情御承知の通り非常に前後取り込んでおりましたので、ついおくれました。この点はまことに相済まぬと考えております。
○中村(時)委員 第二点は、先ほど淡谷委員からもお話がありましたが、代表で行かれるか、あるいは全権で行かれるか、これは非常に重要な問題であります。ということは、たとえば新聞紙上を見てみますと、重光さんは河野代表は国交回復問題には何らの権限はない。ということは一定のワクの中におるのだというふうに裏面からは解釈がされるわけです。ところが一方、大阪において鳩山首相は国交回復問題のにおいくらいは河野さんがかいでくるであろうという、ある程度の、かすかな期待を持っておる。日ソ交渉がこういうような状態のときに、何らかそこに一つのきずなを作っていきたいという希望があるのじやないか。ところが河野さんの話を聞いておりますと、代表でいいんだとおっしゃる。ところが代表になった場合においては、少くとも政府の訓令を仰ぐということがその原則となっている。全権で行かれた場合には、調印の権限があるわけです。そこで、私がなぜこれが重要な問題かと言いますと、現実にアリューシャン海域の船団は四月二十八日ごろに出港し、五月末には制限区域といわれておる中に突入するであろうと推察される。しかも西カムチャッカ海域の七船団は五月の十五日に出港の予定であります。そうするとこの交渉が五月の中旬までに大体の見通しがつかないと、いろいろな問題がそこに現われてくるわけなのであります。たとえば政府の訓令を仰ぐとか、いろいろな行為がその中で附帯的にでき上ってきた場合には、当然ここに現実の問題としては制限区域内における問題が大きくクローズ・アップされてくる。事前にこれを食いとめなければならぬというのがあなたの立場であろうと思う。そこであなたは代表ではあるけれども、その権限をあなたは持っていらっしゃるかどうか、それをお聞きいたしたいのであります。
○河野国務大臣 これは先ほどのあいさつには申し上げませんでしたが、大体五月の十五、六日ごろまでにこちらに帰って参りたいと私は考えております。従ってこれらの出漁、もしくは今お話のような点が起ったときには、一ペんこちらに帰って参るという予定をいたしておるのであります。それまでに適当にソ連側の意向を確かめ、十分話し合ってこっちに帰ってきたいというつもりでおります。今お話の点もいろいろあるかもしれませんが、ただ先ほども申し上げました通りに、国交の開けていない国と国との間には、和平条約の場合には全権というものはあり得るけれども、そうでない場合には、全権はあり得る、あり得ぬというようなことがあるそうであります。私ははっきりしたことは申し上げかねますけれども、それらの点等がありまして、今の点についてはいろいろ相談もし、考えもしたのでございますけれども、いろいろの点がありまして、実は政府を代表してソ連側と交渉をしたらよかろうというので、代表ということで行くことになったのでございます。今お話のようにやかましく申されますと、いろいろ議論があるかもしれません。しかし何分日ソの関係は御承知のような間柄でありますので、この点を十分懇談の機会を持ってやるということが一番適当であろうということで参るのでございます。また必要とあって、全権が行く必要があり、もしくは全権として話さなければならぬ必要が起れば、そのときに私は政府の方に全権の請訓をして全権ということにしていただくか、もしくは他に適当な全権が行くかということになるだろうと思いますが、さしあたっては、今申し上げます通りに、漁業問題について交渉をしたいという申し出をこちらからしたわけでございます。それについて先方から応諾するという返事が来ましたので、漁業の問題についてこちらから話をするというふうに考えておるのでございますから、その点はさよう御承知をいただきたいと思います。
○中村(時)委員 全権の問題の定義は、今言ったように、いろいろ解釈の仕方があるだろうと思うだからこの問題に関しては私はここでお尋ねはいたしませんけれども、今言った代表としてそういうふうな問題が起ったときには、日本に帰ってきて相談をしてということの時期の問題があるわけであります。その時期というものが、先ほど言ったように、大体五月の中旬ごろに一応の方向が考えられるだろうと思う。そこで五月の中旬といいますと、帰って一応の腹がまえをかまえてまた行き直すというふうなことよりも、あなた自身がそれだけの権限をもらって、そうして解決の方向をつけられるという方向を私たちは希望するわけであります。またそれに期待をするわけであります。だからそういうふうにあなた方も努力をされて、そういう一つの力を持って出ていかれんことを期待するわけですが、河野さんのお考え方を一つ……。
○河野国務大臣 私は今申し上げましたように、予定を……。 〔発言する者多し〕
○村松委員長 静粛に願います——静粛に願います。
○河野国務大臣 初めから予定を、十五日までに帰る、交渉日数は大体二週間ということに私はきめて参ります。そうしてソ連と総括的な交渉をいたしまして、私はこちらに帰る。あとの事務的な折衝は、あとに残した者にやらせますけれども、総括的に私は二週間の交渉予定をもって、その間に十分話し合ってこちらに帰ってくる、こういう予定で行くわけでございますから、その点御了承願います。
○中村(時)委員 この問題が起ったのは、御存じのように元ソ連の代表部のドムニッキー氏の見解がいろいろの問題をここに惹起してきたわけでありますが、その中で最も大きな問題になったのは、サケ、マスの乱獲という名目をつけて公海自由の原則に反する行為を云々しておるわけであります。そこで私たちは、このサケ、マスの乱獲という問題が、戦前においては現在よりもはるかに上回りまして、たとえば平均して一億七千万尾、そういうふうにとっておったわけであります。だから実際に乱獲として私たちは定義を下すわけにはいかないと思う。そういう面に関し、あるいはまた乱獲ということをもって漁獲制限を行うというようなことに対しては、おそらく大きな問題があろうと思う。たとえばソ連の地区内における漁獲方法の問題、であるとか、あるいは森林伐採による産卵地区の、どういいますか、非常におくれていく問題であるとか、そういう裏面的な問題もあろうと思う。そこでそういうことを十分御調査をし、そうしてお考え方を持っていらっしゃると思うが、なおかつその乱獲でないという一つのあなたの考え方をここで発表していただきたいと思います。
○村松委員長 中村君、この際御注意申し上げますが、事外交の問題でもありますし、交渉の内容にわたるようなことは、この際なるべく御発言願わないようにいたしたいと思います。
○河野国務大臣 今の点はいろいろ御意見もございましょうけれども、それらの点につきましては十分調査をいたしまして、わが方として主張すべき点は十分主張して参りたいと思います。
○中村(時)委員 それでは最後に一点お聞きしたいのは、漁業協定が最後には必ず問題になってくると思う。漁業協定が問題になった場合に、たとえば魚族資源の保護であるとか、船団数の問題であるとか、いろいろな具体的な問題が現われてくると思いますが、河野農林大臣はどういうお考えをこの協定に対してお持ちになっていらっしゃるか。
○河野国務大臣 これは今ちょっとお答えしかねます。
○村松委員長 この際暫時休憩いたします。 午後零時四十一分休憩 ————◇————— 〔休憩後は開会に至らなかった〕