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24回国会衆議院1956/02/07

農林水産委員会 第3号

発言数
8
登壇者
4
会派数
1
開催日
1956/02/07

会議録

村松久義自由民主党

○村松委員長 これより会議を開きます。  農林水産の重要施策に関して、農林大臣より説明を承わります。河野農林大臣。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 今国会に提出いたしました予算案、それから今後提出して参ります法律案につきまして、皆様方の御審議と御協力をいただきますに当りまして、予算案の編成及び法律案の制定の基本となりました農林水産行政に対する私の基本的な考えを申し上げ、施策の概要を御説明いたしたいと存じます。  御承知のごとく世界の農業生産事情は近年著しく好転して参り、一部には生産の過剰すら伝えられる状況であります。従いまして、わが国農政としては、この世界事情に対処して、農家の経営及び経済を安定せしめることに主眼を置くべきものと考えるのであります。明年度における農林予算及び施策はこの見地に立一、て次のような諸点に重点を置いている次第であります。  まず第一に実施いたして参りたいと考えておりますことは、下からの盛り上る力によって農山漁村の総合的な振興をはかるための対策を強力に講ずるごとであります。すなわち、土地条件の整備、経営の多角化、技術の改良等により、世界の農林水産業に十分伍していける態勢を確立し、農山漁家の経済及び経営の安定をはかる可能性は、わが国の農林水産業に十分あると確信するものでありますが、わが国の農林漁業のようにその経営の規模が零細である場合には、個々の農山漁民の力だけでは発展の可能性はおのずから限界かあり、従って、一定のまとまった経済位で農山漁民が協同して活動することが必要であります。また従来の補助政策のように、個々ばらばらのきらいがある上からの天下り的な形では、総日性に欠け、かつ、農山漁民自身の主体性や創意の裏打ちがないという欠陥があります。従いまして、農山漁村の総合的な振興を耕種のほか、畜産、養蚕、林産、水産をも含め、適地適産の推進に重点を置いて、将来農山漁村の生産と生活を背負って立つ青年を中心とする農山漁民の下から盛り上がる力によって推進することが必要であり、このような観点に立って、私はその助成と指導を一つ強力に進めて参りたいと存ずるのであります。これが、私が新たに実施して参りたいと考えている新農村建設の基本的な構想でございます。  次に、技術水準の向上とその徹底した普及をはかるための諸対策を実現して参りたいと存じます。すなわち、農林水産業の生産性の向上が技術水準の高良化を基礎とすることは論を待たないのでありますが、最近の科学技術の急速な進歩に伴い、農林水産業における試験研究の重要性はいよいよ高まりつつあるのであります。従いまして、試験研究機関の拡充整備については格段の意を注ぐとともに、特に新たに農林水産技術会議ともいうべきものを農林省に設置して科学的試験研究の総合的な推進力たらしめ、試験研究機関相互の緊密な有機的連繋の強化をはかり得るがごとき態勢を整備して参りたいと存じます。また試験研究事業費を増額いたしたいと存じております。さらに試験研究と技術の指導普及事業の結びつきを強化し、技術普及の徹底をはかりたいと考えます。  特に畜産につきましては、昨年来設立を見た畜産会を中心とする指導を本格的に実施することとし、また水産につきましては、養殖の技術及び漁船機関または機械の取扱い指導のための専門技術員を増員する等の措置を講ずることといたしたいと存じます。  さらに、農業改良事業の効率的な推進と、農家の自主的かつ共同的な経営改善を助長するため、新たに農業改良基金の制度を新設いたしたいと存ずるのであります。本制度は、新しい農業技術の導入を奨励するために従来直接農家を対象として交付されていた補助事業のうち、その技術がある程度の普及度を示し補助金交付の対象とする理由が稀薄となってきている反面、なお若干の技術上の危険が残り、直ちに一般営農資金による農家の自主的な実施にゆだねる段階には達しない農業改良事業に対して、都道府県が無利子の資金の貸付を行うもので、補助事業と並んでもう一つの新しい奨励制度を確立いたそうとするものであるとともに、農業経営の改善上必要な農業施設に対して農業協同組合系統資金の余裕金を融資した場合に、その債務の保証を行うための基金を設置することといたし、これに対して国が助成をしようというものでございます。本制度が、改良普及活動の強化と相待ちまして、その成果を一層上げることと信ずる次第であります。  さらに第三に、以上の諸対策とともに、基本的な施策として農林水産業の生産基盤を強化し、資源の有効利用を促進するための対策を効率的に講じ、米麦を初め畜水産物をも含めた食糧の総合的自給度の向上をはかり、かつ農山漁家の経済を安定させて参りたいと存じます。  すなわち、土地改良事業につきましては、従来通り重点施策として実施する方針でありまして、特に国内の予算、資金のみならず、余剰農産物見返円資金、世界銀行借款その他の有利な外国資金を広範に動員いたしますとともに、予算及び資金の投資効果を高めるよう重点的効率的な事業施行を期したいと考えております。また開拓事業につきましては、乳牛の導入等を積極的に行い、営農資金の拡充をはかりまして、入植者の経営が一般農家の水準以下となることのないような方向においてこれを実施して参りたいと存じます。また耕種農業と不離の関係にある畜産につきまして、機械による草地改良事業を引き続き行いますとともに、適格地域に対するジャージー種乳牛の導入施設を拡大して参り、さらに水産関係といたしましては、第二十二国会において承認を得ました漁港整備計画の実現を推進する一方、老朽化した漁船の更新及び装備の改善、新漁場への進出のため一部漁船の大型化を行うこととし、これに必要な財政金融措置を講じて参るとともに、対馬暖流の総合調査その他近海の資源調査の努め、さらにインド洋、太平洋における新漁場を開発するための対策を実施して参りたいと存じます。さらに林野関係といたしましては、水源林造林及び人工造林の拡充、奥地未利用林の積極的開発、治山事業等につき、その経済性に十分考慮を払いつつさらにこれを推進して参る所存であります。なお、従来市町村有林野のみに実施して参った官行造林を、林業政策上市町村有林野と類似の意義と性格を有するいわゆる部落有林野と水源地帯の一部私有林に対しても行うこととし、このため公有林野官行造林法の改正法律案を今国会に提出いたしたいと存じております。  第四に、農林水産物の価格対策、流通改善対策並びに生産資材対策をさらに強力に実施して参りたいと存じます。  まず価格対策につきましては、米麦の消費者価格の水準については、消費者家計の安定をはかるよう、また生産者価格の水準については、コストの切り下げ、生産性の向上等のため必要な措置を積極的に講じて参ることをあわせ行い、現下の経済情勢に適応した価格対策を実施して参る方針をとる所存であります。なお、三十一年度から国民食生活に密接な関係のある砂糖につきまして価格安定の施策を講じたいと存じますが、これは、ます業者の自主的調整に待ち、これによってもなお価格の安定を期し得ない場合には、政府の買い入れ売り渡しの操作によって安定せしめようとするものであります。  次に流通改善対策は、農林水産業における生産性の向上と相待って、低位な所得を改善するため最も重要な対策でありますとともに、消費者に対しても緊要なことでありますので、青果物、魚類等の流通改善に関し、まず中央卸売市場の改革に着手して参りたいと考えます。このため、大正十二年制定の現行中央卸売市場法につき、類似市場に関する適当な規制、卸売人、仲買人、買出人等についての資格、数、取引方法等の改善、主務大臣の指導監督権限の整備等を内容とする改正法案を提出いたす予定であります。  次に畜産物につきまして、家畜取引の改善により、取引の公正と生産農民の利益の確保をはかるために、模範家畜市場を育成いたしますほか、枝肉市場に対する融資措置を講じ、肉類の消費の拡大をはかるために、食肉加工施設の改善に対する低利資金の供給措置を講じて参りたいと考えておるのであります。さらに水産物につきましては、国内消費の増大に努めるほか、市場の整備、出荷共同施設の育成、輸送施設の改善等によって流通の改善をはかって参りたいと存ずるのであります。  次に生産資材対策は、国際競争にたえ得るような農林水産業の自立のための最も有力な積杆であると考えますので、肥料、飼料、農薬、農機具、漁業用燃油、漁網等の供給の確保、価格の低廉化、流通の合理化の方策をさらに検討し推進して参りたいと存じます。すなわち、まず肥料行政の基本は、農家の必要とする肥料を適期に十分な量を供給するよう需給の調整をはかるとともに、極力廉価にするため価格の安定を期するにあるのでありますが、本年の春肥につきましても、国内生産肥料については輸出との調整を慎重にいたし、内需に不安が生ずることのないよう万全の措置を講じ、また輸入カリ及び燐鉱石については、内需の動向を勘案して、必要な輸入量増大のため外貨予算上適切な措置をとっておるのであります。さらに肥料価格の点につきましては、国内生産の合理化を促進して生産費の切り下げを行い、より廉価に肥料を供給するごとく努め、輸入関係肥料については、外航運賃の上昇のため価格上昇の要因が発生しているのであるが、輸入態勢の整備、国内における生産流通の合理化をはかることによって、農家の購入価格を高騰させぬよう価格抑制の措置に努力いたしておる次第でございます。  次に飼料につきましては、自給飼料の確保のほか、海外の低庶な飼料用穀類の輸入を増加いたしましたので、家畜、畜産物価格を左右する飼料需給事情は、きわめて安定して参ったのでありますが、今後も自給飼料の普及確保をはかりますとともに、飼料需給安定法の運用につきましても、その差損を食糧管理特別会計において補填することを考慮しておりますので、飼料価格の安定は確保できるものと考える次第でございます。なお、政府手持飼料の更新をはかり、経済的な需給調整力を維持するため、必要な場合には国内飼料と交換または買いかえを行う措置を準備している次第でございます。最後に漁業用資材対策といたしましては、漁業用燃油については、その所用量の確保と価格の引き下げに努力するとともに、系統団体による共同購入組織の育成をはかることとし、漁網については、良質な合成繊維漁網の普及とその価格の引き下げのために金融その他必要な措置を講じて参りたい所存であります。  第五に、農林水産物の輸出振興について特段の努力をいたしたいと存じます。  すなわち輸出農林水産物は、外貨取得率がきわめて高く、しかもドル圏に市場を有し、輸出品としての適格を十分に備えているものでありまして、三十一年度においては、前年に比しおおむね一割増加を目途とし、その振興に努め、わが国経済自立達成のための輸出増進に資したいと考えているのであります。  このため、日本輸出農林水産物振興会等関係団体の機能強化をはかり、輸出規格の適正化等その生産出荷の指導を強化し、また輸出保険、金融等の改善を行い、繭及び生糸の価格の安定及び品質の改善にっき所要の施策を講ずるほか、ニューヨークにおける生糸の海外消費宣伝のための事務所の経費は従来通り確保するほか、新たにマグロ、サケ、マス、茶等についての海外需要増進のための国際施設に対する助成等に要する経費を予算案に計上した次第でございます。  第六に、農業災害補償制度を改正し、農林漁業金融の活用をはかり、農業団体制度の整備強化を実現して参りたいと存じます。  すなわち、まず農業災害補償制度につきましては、そり運営の実態にかんがみ、農作物共済に関し、たとえば農家単位共済の実施、低災害地等についての加入の自由、共済掛金の予納制、共済金支払の被災に応じた適正確実化、損害評価方法の整備厳正化、共済事業を行う団体に対する監督強化等の諸問題につき、検討を進めておる次第でありまして、でき得れば今国会において改正案の御審議をわずらわしたいと考えております。  次に、農林漁業金融につきましては、まず公庫資金の融通につき、三十一年度は前年度に比し三十億円を増額、二百九十億円の融資を行うこととしてその強化をはかりますとともに、農林中央金庫等の組合系統金融につきましては、昨年度の豊作によりその資金量も著しく増加を見ましたので、これを農林水産業振興に活用いたすとともに、その貸出金利の低下等合理化について指導を行なっているのでありますが、今後一そうその融資活動を活発化して農林漁業の生産力の発展を促進し得るよう検討をいたす所存であります。  次に、農業団体制度の育成強化は、農政の基本的事項であります。従いまして、現行関係諸団体の形態と諸機能を調整して、各職分に応じて関係団体が系統的に強化されますよう念願してを調整して、各職分に応じて関係団体が系統的に強化されますよう念願しておる次第で、これについて鋭意研究中でございますが、成案を得ますれば、適当な時期に農業団体制度の改善をはかり、要すれば関係法律案を今国会に提出いたしたいと考えておるのであります。またその重要な部分として、農業協同組合の振興をはかるため、すでに整備促進をはかりつつある経済事業連合会等につきましては、今後整備期間を短縮して経営健全化の促進を期しますほか、さらに新たに全国約三千三百に及ぶ不振農業協同組合の経営の刷新、振興をはかることにいたし、都道府県に農業協同組合振興委員会を設けて、弱小組合の合併促進、指導員の駐在、借入金に対する利子補給の措置を行う等に要する経費を予算案に計上いたしますとともに、必要な法律案を今国会に提出いたす予定であります。  最後に、食糧管理制度につきましては、その基盤をなす諸情勢に相当の変化が生じておりますが、同時にこれは国民経済上きわめて重要な問題でありますので、将来の方向を十分見定めまして現実に即して措置して参りたいと存じます。  まず米穀の管理につきましては、三十一年度も事前売り渡し申し込み制は継続して参る考えであります。三十年産米は、集荷団体の活動に加えて豊作に恵まれ、予定以上の集荷をすることができたのでありますが、三十年度の経験にかんがみ、申し込み時期等に所要の改善を加えたいと存じます。配給の面におきましては、生産県と消費県の均衡化をはかり、希望配給制度の活用と外米及び麦の操作によって安定をはかっていくことといたします。  次に、麦の管理につきましては、最近の麦の需給事情は、国際的な供給増加、輸入価格の値下り、消費の増加等により、直接統制を撤廃いたしました当時とは相当に異なっておりますので、特に原麦の政府売り渡し価格の適正化に留意して参る所存であります。  簡単でございますが、以上農林施策の概要を御説明申し上げた次第でございます。

村松久義自由民主党

○村松委員長 質疑は後日適当な機会にこれをいたすことにいたしまして、次に昭和三十一年度農林関係予算の概要の説明を聞きます。平川事務次官。

平川守農林事務次官

○平川説明員 昭和三十一年度農林関係予算案についてその概要を御説明申し上げます。  本予算案は、別途昭和三十一年度においてとるべき施策の概要として農林大臣より御説明いたしました通り、農山漁家の経営及び経済を安定せしめることを主眼として、農林水産業における生産者の積極的な意欲と科学技術の向上を基調とし、従来の生産増強対策をさらに効率的に実施して農林水産業の生産性を向上するとともに、特に農林畜水産物の価格安定、流通改善及び農林漁業経営の多角化等の施策を進めることをその重点といたし編成いたしたのであります。  まず一般会計における農林関係予算案の総体について申し上げます。  農林省所管合計といたしましては、八百八億四千八百万円となっております。これに総理府所管の農林関係公共事業費六十七億八百万円及び労働省所管の農林関係公共事業費二億円を加えました農林関係予算合計は八百七十億五千六百万円となりまして、前年度九百四十一億四千五百万円に対し六十三億八千九百万円の減となっております。  かように関係予算におきまして減額を見ましたのは、災害復旧事業費において三十一億八千四百万円の減、農業保険費において赤字補填金繰り入れの減少等による三十四億一千九百万円の減、災害営農資金利子補給補助金において四億七百万円の減等計約七十億円の減少があったためで、これは災害等の減少に伴い予算面におきましても実質上の減少要因があったためであります。従ってこれらを除けば農林関係予算は実質的には前年度の規模を上回ったものと見ることができるのであります。次に主要経費について簡単な説明を申し上げたいと存じます。  まず第一に新農村建設総合対策費についてであります。  この対策におきましては、農山漁民、特に青年の自主的活動を基調とし、立地に応じ土地条件の整備、経営の多角化、技術の改良、各種共同施設の充実等、適地通産に重点を置いた農山漁村の振興に必要な総合対策を強力に推進するため、市町村の樹立する振興計画に基き、年次を追ってその達成をはかることとし、昭和三十一年度においては農用地交換整備事業、水稲早植え等、適地適産奨励施設、農山漁村興共同施設等の特別助成事業を行うため十四億五千九百万円を計上いたしておりますが、これとあわせその他の一般助成事業、農業改良基金制度についてもこの趣旨にのっとって運用いたしますほか、農林漁業金融公庫の融資についても特に十五億円の貸付金を予定し、その遂行をはかることといたしております。  第二に試験研究機構の整備強化に要する経費について申し上げます。農林水産関係の試験研究において国及び都道府県の占める地位の重要性にかんがみ、昭和三十一年度においては、特に各試験研究機関の緊密な連係をはかり、その活動を積極的にするため、農林水産技術会議とも言うべきものを設置することとし、特別に試験研究費一億円、試験研究施設整備費一億五千万円、原子力利用研究費五千六百万円、計三億六百万円を新規計上して各研究項目の緊要度に応じ関係試験研究機関の総合的運営と所要施設の充実整備をはかる等の措置を講じて参る所存でありまして、その他の農林関係各試験研究機関の経費二十六億九千四百万円、都道府県試験研究事業の補助費二億一千七百万円、民間試験研究に対する助成九千五百万円と相待って農林関係試験研究事業の特段の強化を期しておるのであります。なおこれに関連いたしまして農林水産業における技術改良普及事業の強化をはかるため二十四億二千四百万円を計上いたしております。  第三に輸出振興について申し上げます。農林水産物の輸出振興がわが国農林水産業の発展上はもとより、貿易収支上も重要な意義を持つことにかんがみ、特に生糸については昭和二十九年度来実施しております中央蚕糸協会による生糸の海外需要増進事業を昭和三十一年度においても引き続き実施する等、農林水産物の輸出振興措置を講ずることとし、所要経費七千三百万円を計上いたしておりますほか、新たにマグロ、サケ等の海外需要を喚起するため通産省に特に所要経費一億円を計上いたし、農林省においてその運用に当ることといたしております。  第四に耕種改善による農作物の増産対策に要する経費について説明申し上げます。  まず第一に農業改良基金の創設についてであります。わが国農業はその経営規模が零細で、所得水準も低く、他産業部門に比べ生産力発展の自主的契機に乏しいため、国の強力な財政的支援を必要とすることは言うまでもないところであります。農業改良のための奨励的補助金についても、新技術の導入を円滑にするためには、その必要性、重要性はいささかも変りませんが、一定の補助期間を経過し、普及の度合いその他の理由によって補助金の必要な段階を過ぎても、なお奨励の必要のあるものについては、農業者の自主的な営農改善意欲の向上をはかりつつこの種の事業を促進することを適当と考え、これらに対しては無利子の奨励資金の貸付を行うこととし、また農業改良上必要な施設等の導入を容易にするため、これに必要な系統資金について債務の保証を行うことにより、積極的に系統資金を活用することといたし、これらに要する経費として九億二千五百万円を新たに計上し、農業改良普及事業の強化と相待って農業経営の安定と農業生産力の増強をはかる方針であります。  次に農産物種子対策につきましては、米麦、大豆、トウモロコシ、肥飼料作物、菜種、菜豆、エンドウについて原々種圃、原種圃、採種圃を必要に応じ設置するほか、災害対策用農産物種子の予備貯蔵を引き続き実施することとし、これがため四億二千二百万円を計上いたしたのであります。なお従来補助により実施して参りました水稲健苗育成施設及び西南暖地等における水田生産力増強施設の奨励は、新農村建設総合対策による場合を除きこれを農業改良基金による貸付金により実施することといたしております。  次に土壌対策につきましては、低位生産地の調査費として五千三百万円を計上し、今般農業改良基金の貸付金により実施することといたしております酸性土壌改良及び秋落ち水田改良事業とあわせて低位生産地の解消に努めて参りたいと考えております。また、畑地帯、特殊土壌地帯及び北海道にはトラクター等による土層改良を実施することとし、所要経費七千八百万円を計上いたしております。  次に植物防疫事業につきましては、農薬備蓄制度と相待って病害虫発生予察、防除組織の整備、特に市町村における防除機具の整備に努めることとし、四億七千五百万円を計上しております。  以上のほか、耕種改善事業としては、特殊農作物及び園芸農作物の生産確保改善の経費として三千百万円を計上しております。  第五に食糧増産対策費についてであります。土地改良、開拓事業等の農地の拡張改良による食糧増産経費は関係予算としましては、二百四十七億二千万円を計上しております。なお、財政投融資計画中において余剰農産物見返り資金より農業関係費として八十八億円が予定されておりますが、このうち約四十七億円を農業開発に充当する予定であり、また世界銀行から農業開発のための資金をも別途考慮しております。なお外資導入関係事業に伴う国庫負担額は、前述の予算額のうち十一億七千二百万円を計上しております。また農林漁業金融公庫による非補助土地改良事業に対する融資を五十五億円と大幅に増額いたし、融資による食糧増産事業の拡大をはかっております。  土地改良事業費は関係予算においては農業機械整備費を含め百二十億一千九百万円を計上しております。そのうち国営灌漑排水事業は五十五億四千百万円、都道府県営灌漑排水事業は三十一億三千六百万円、団体営灌漑排水事業は十五億四千九百万円でいずれも、前年度に比し若干の減額を見ているのでありますが、継続事業の早期完了をはかる等重点的に配分し、事業実施はできるだけ効率的に行うように努めて、食糧増産の基本施設造成の確保を行いたいと考えておるのであります。特に三十一年度におきまして温水施設、老朽ため池、農地保全事業等の経費につきましては若干の増額を考慮いたしておりますほか、外資導入により引き続き愛知用水事業等の促進をはかる予定であります。  次に耕地整備事業費につきましては暗渠排水、客土、区画整理、農道、索道等、従来の事業を実施することとし、町要経費二十一億一千百万円を計上しております。  開拓事業につきましては、七十一億九千七百万円を計上しております。このうち開墾建設事業として三十九億一千五百万円、干拓建設事業として二十四億四千八百万円、計画費として三億二千百万円、開拓事業費補助として四億九千百万円を計上いたしております。  開拓に伴う新規入植戸数は、機械開墾地区を含め五千戸を予定いたしております。入植助成のためには以上の開拓事業費のほかに、住宅、開墾作業、土壌改良のため、開拓実施費として二十二億一千九百万円を計上いたしております。  以上のほかに外資導入による開拓事業地区として、上北、根釧の両地区の機械開墾による大規模開拓を引き続き促進することとし、所要経費六億四百万円を計上して、昭和三十一年度において地元増反のほか、百八十六戸の入植を予定しております。なお開拓事業に関連いたしまして開祐者に対し、営農資金及び役畜乳牛導入資金として十七億一千五百万円を開拓者資金融通特別会計で貸し付けることとなっておりますほか、上北、根釧地区の入植者に対しては、別途余剰農産物資金をこの会計を通じ一億七千四百万円を貸し付ける予定であります。さらに開拓者の短期資金融通の円滑化をはかるため、開拓者融資保証協会に対し、前年度の五千万円に加えて昭和三十一年度においても五千万円の出資を計上いたしております。  以上の一般的な食糧増産対策経費のほか、鉱害復旧事業といたしまして八億三千万円、災害関連事業といたしまして六億八千百万円を計上いたし、これらの事業の促進をはかることといたしております。  なお、一般公共事業の及びがたい農山村の小団地を開発するため、小団地開発整備事業を促進することとし、三億四千六百万円を計上いたしております。  第六に農業保険費についてであります。  農業災害補償制度につきましては、かねてからその制度改正につき研究を続けておりますが、昭和三十一年度予算案においてはとりあえず、現行制度に即しつつ、農業災害補償制度の運営に必要な経費を計上いたしたのでありますが、その総額は、百十一億六千六百万円でありまして、前年度に比し三十四億一千九百万円の減少をみておるのであります。このうち特別会計繰入額については、まず前年度においては必要であった同特別会計再保険金支払財源不足補てん金二十八億円が昭和三十一年度においては計上を必要としなくなっておりますのと、さらに共済掛金の国庫負担については、水陸稲の平均反当共済金額の減少があり、その他麦価、繭価、家畜の掛金率の低下等が見込まれますので、八十六億八千六百万円をもってまかない得るものと考えこれを計上した次第であります。  その他の経費としましては二十四億八千万円を計上しておりますが、これにより都道府県による農業共済団体の指導監督を強化し、その運営の適正化をはかることとしましたほか、合併農業共済組合に対する特別助成、農作物の損害評価事務の強化等の新事業を実施することとするとともに掛金予納制度についても一措置を講ずる方針であります。  第七に農林漁業関係団体等の経費について説明申し上げます。まず農業委員会関係につきましては、全国農業会議所、都道府県農業会議に対する事業活動促進に必要な助成費を前年と同様一億一千万円計上しておりますが、市町村農業委員会費補助につきましては食糧制度の改変、農業総合計画の推進、農地関係事務等を実情に即して行うこととし、職員三分の二人分の事務に相当するもののみを負担し、残余の職員一人と三分の一人分は地方財源計画に組み入れることといたしており、町村合併による委員会数の減少をも考慮して九億七千万円を計上し、その他代表者会議費等を含め、総額において十一億一千二百万円を計上しております。  次に農業協同組合中央会の事業活動促進補助のため、六千万円、農林漁業組合の検査指導のため、一億三千四百万円を計上いたしその監督に遺憾なきを期しております。  また農林漁業協同組合再建整備法に基く再建整備組合の増資奨励金に充てるため、同法による最終年次である昭和三十年第四・四半期分三千万円、連合会整備促進事業費五億三千万円を計上いたし、その再建整備を促進するとともに、不振農協の整備強化対策として各都道府県に振興対策委員会を設けてその振興対策を講ずることとし、とりあえず昭和三十一年度においては組合債務に対する利子補給、長期駐在員の配置、合併の促進等指導の強化を行うこととし、これらに要する経費一億一千三百万円を新規に計上しております。  第八といたしまして、農林水産物、並びに生産資材の流通改善及び価格安定に関する経費について説明申し上げます。  農林漁業経営の安定と所得の確保をはかりますためには、農林水産物等の価格安定、生産費の低下をはかることが何よりも急務であることは言うまでもないところであります。  まず化学肥料につきましては、一般会計におきまして臨時肥料需給安定法に基く需給調整のための肥料保管措置による欠損補てんの経費及び肥料市況調査等の経費として一億七百万円を計上しております。  農薬につきましても前年に引き続き全国及び都道府県において保管を行うこととし、所要経費一億二千七百万円を計上しております。  購入飼料につきましては、食糧管理特別会計において海外の市況調査費として百万円を計上いたしましたほか、同会計におきまして輸入飼料の売買操作により需給及び価格の安定をはかることといたしております。  生鮮食品流通改善の対策といたしましては生鮮食料品の取引を公正にし、生産者及び消費者の利益を増進するため中央卸売市場等の監督を強化することとし、またその施設の新増設の助成として融資等の措置を講じて参りたいと考えるものであります。  乳製品につきましても廉価な製品の供給と消費の拡大をはかるため前年に引き続き国内産脱脂粉乳の学童給食への利用を奨励することとし、この購入費補助として一千八百万円を計上いたし、この面からも消費の促進に資したいと存じております。  第九に畜産振興の経費につき説明申し上げます。  まず家畜の導入及び改良増殖についてでありますが、四億四千二百万円を計上いたし、従前に引き続き府県に対する種畜購入補助を実施いたしますほか、集約酪農地域継続二地区につき六百頭、新規に世界銀行資金により千九百頭のジャージー種乳牛を導入することといたしております。また、有畜農家創設資金利子補給に必要な経費として二億七千六百万円を計上しております。  次に自給飼料対策でありますが、まず牧野改良対策として草地改良に一億九千四百万円、牧野改良センター二カ所の増設のために三千六百万円、北海道の乾草調整施設費補助として三百万円を計上いたし、牧野改良事業の機械化を急速に推進することといたしましたほか、自給飼料増産のため飼料自給経営施設補助として一千五百万円、飼料作物採種圃等の経費一千五百万円を計上いたしております。  また、畜産技術の振興をはかるため畜産技術振興補助として三千三百万円を計上いたしておりますが、これにより中央及び地方における畜産団体による経営診断事業の実施をはかりたいと考えております。  なお、畜舎、サイロ等の畜産経営の基幹となるべき施設の導入については、農林漁業金融公庫融資によるもののほか、新たに創設された農業改良基金による債務保証によって系統資金の活用をはかるごとといたしたのであります。  第十といたしまして、蚕糸業の振興に要する経費について説明申し上げます。  生糸の輸出増進事業及び蚕糸の技術改良につきましては先に申し述べた通りでありますが、これと相待って、国内における原料繭の合理的増産と生産費低減の措置として、従来の経営改善特別措置指導施設費補助として六千三百万円、桑園改植の展示のための桑園能率増進施設に対する補助として五千三百万円を計上いたしておりますが、このほか今般創設される農業改良基金制度に基く貸付金により老朽桑園の改植を促進することとしております。  なお、生糸の品質改善対策の一環として新たに蚕品種の再調査、繭検定所に対する繭粒選別機の設置、練減及びラウヂネスの調査等に要する経費八百万円を計上しております。  第十一といたしまして休業振興のための経費について説明申し上げます。  まず山林公共事業費につきましては、治山事業に四十二億七千六百万円、造林事業に二十九億七千万円、林道事業に十六億八千四百万円を計上いたしております。  また、造林事業については上述のほか。国有林野事業特別会計におきまして公有林野の官行造林事業として八億七千百万円を引き続き実施することとしております。  一般民有林対策としましては、林業関係の技術改良については先に申し述べた通りでありますが、森林計画に三億九千三百万円、樹苗養成及び毬果採取等優良種苗確保のため八千九百万円、保安林整備計画実施に一千四百万円、森林病害虫防除に一億三千一百万円、有益鳥獣増殖に六百万円を計上いたし、森林資源の維持培養に努力いたす所存であります。  第十二といたしまして水産業の振興の経費にっき説明申し上げます。  水産業の振興のためには、沿岸及び沖合いにおける資源が枯渇の傾向を示しつつある現状にかんがみまして、従来の水産増殖事業を継続するほか、海外漁場への発展、新漁場の開発に特段の努力を払うことといたしておりますほか、別途新農村建設総合対策の一環として、沿岸漁村振興総合施設助成事業を実施し、沿岸漁村の振興をはかることといたしております。  水産資源の増殖につきましては、一億九千万円を計上いたし、前年に引き続き内水面における種苗生産及び放流施設、貝類増殖、浅海増殖を実施いたす方針であります。新漁場開発につきましては、沖合漁場について五百万円、インド洋におけるマグロ資源開発のため三千二百万円、ブラジル沖合いにおける開発調査のために新規に一千三百万円を計上いたしておりますほか、海洋調査関係経費として五千五百万円を計上しております。また水産資源保護のための漁業調整及び取締り関係につきましては、北洋漁業、太平洋及び東支那海における以西底びき網漁業、捕鯨業等の国際漁業関係に三億三百万円、沿岸沖合い内水面関係一億二千六百万円を計上いたしておりますほか、新たに沖合い漁業取締り船及び調貸船各一隻の新規建造を行うこととしております。  次に、漁港施設の拡充につきましては、既着工地区の早期完成をはかることに重点を置き、二十四億一千七百万円を計上し、漁港修築事業の促進を期しております。  第十三といたしまして、農地、林野、漁港関係の災害復旧費について申し上げます。  農地及び農業公共施設の災害復旧費に九十八億一千四百万円治山施設及び林道の災害復旧に四億七千百万円、漁港の災害復旧に十五億九百万円、合計百十七億九千五百万円を計上いたしましたが、前年に比し三十一億八千万円の減少となっております。これは災害が逐次減少したためでありまして、これによりまして、昭和三十一年度におきまして二十七年以前の災害につきましては残事業量のほとんどを完了し、二十八年災害につきましては総事業量の七五%、二十九年災害につきましては同じく七〇%、三十年災害につきましては同じく六五%まで完了いたすことを目途としております。  第十四には、農林漁業における財政投融資と営農資金等の利子補給関係費について申し上げます。  まず農林漁業金融公庫でありますが、産業投資特別会計よりの出資十億円、資金運用部からの借入金百四十五億円及び簡易生命保険及び郵便年金特別会計からの借入金五十五億円に、回収金八十億円を加えて、二百九十億円の原資計画により、従来に引き続き、土地改良、林業、漁業、塩業、共同利用施設及び自作農維持創設等に対する融資を行うほか、新農村建設のため特別の融資を行うことといたしております。  特別会計による農林省関係の政府融資ないし融資保証の制度としましては、開拓者資金融通及び中小漁業融資保証保険の両特別会計があることは御承知の通りでありますが、開拓者資金融通特別会計の融資予定額としては、さきに述べました通り十八億八千九百万円を計上いたし、また中小漁業融資保証保険特別会計においては今般一億円の繰り入れを行うこととし、年間百億円の保証を予定しております。  このほか今後の予算措置により直接活用される系統資金量は、農業改良基金制度により十八億二千一百万円、開拓者資金保証協会出資五千万円により、従来の資金量に加えて、三億円、有畜農家創設資金利子補給により十二億三千九百万円が予定されております。  一般会計による利子補給金といたしましては・昭和二十八年及び二十九年発生災害の被害農家に対する営農資金利子補給、十勝沖地震による農業施設災害復旧資金に対する利子補給並びに水産関係のルース台風、十勝沖地震、カムチャッカ沖地震等による漁業災害及び昭和二十九年及三十年発生災害に対する復旧資金の利子補給等を含めて、十四億五千万円を計上いたしましたほか、有畜農家創設資金利子補給につきましてはさきに述べた通りでございます。  引き続いて昭和三十一年度の農林関係特別会計予算について説明申し上げます。  第一に食糧管理特別会計につき申し上げます。  この会計の歳入、歳出は、ともに八千七百四十六億九千五百万円となっております。米穀及び麦類の管理制度につきましては、制度の急変を避け、さしあたり普通外米の消費を自由にする等の所要の改善を行うこととし、本特別会計における昭和三十年度までの損失は同年度において処理し、昭和三十一年度においては厳に収支の均衡を確保することとしております。  昭和三十一年産米の集荷数量は三十年度当初予算とおおむね同量の二千三百五十万石と予定し、配給日数については、全国的に均衡化することに努め、普通外米については、現行の消費規正を撤廃する方針であります。  国内産麦については、ほぼ三十年度買い入れ実績程度の百二十五万トンの買い上げを予定しております。  食糧の輸入につきましては、配給外米の品質の向上に留意することといたし、米麦ともにその数量は内地食糧の不足を補う限度にとどめ、米百十一万トン、麦三百八万トンを予定しております。  生産者価格について申し上げますと、三十一年産米の政府買い入れ価格につきましては、三十年産米の政府買い入れ価格算定に準拠した方式により、三十一年産麦につきましては、現行の政府買い入れ価格算定方式により算定いたしたのであります。  また消費者価格及び政府売り渡し価格につきましては、内地米は、現行価格に据え置くことといたし、普通外米は、内地米との格差を適正化し、内麦については、消費者価格水準の実勢を考慮して、それぞれ改訂する方針であります。  食生活改善のための学童給食用小麦の廉価払い下げに伴う損失補てん金として、十五億四千万円を一般会計より受け入れることといたしております。  米麦以外の農産物等につきましても、前年に引き続き、澱粉、テンサイ糖、カンショなま切りぼし、菜種、飼料の買い入れ費を計上し、農産物及び飼料等の価格の安定及び農家所得の確保をはかる措置を講じたいと考えております。  輸入砂糖につきましては、砂糖の価格安定について別途関係業界の自主的調整措置を講ずることといたしておりますが、なお価格の安定を期し得ない場合におきましては、本会計において所要数量の買い入れ及び売り渡しを行い得るよう措置する方針であります。  第二に農業共済再保険特別会計について申し上げます。  この会計の各勘定を通じまして、歳入、歳出はともに百七十六億七千四百万円となっております。このうち、まず基金勘定につきましては、三十年度末において農業勘定の剰余金を本勘定に受け入れることが見込まれますの上で、その歳入歳出はともに二十八億九千七百万円を計上しております。  次に農業勘定でありますが、三十一年度予算では、前年度の予算に比べまして、三十年度引き受け実績を基礎として算定した結果、水陸稲の平均反当共済金額の減少があり、麦価、繭価の値下りにより、共済掛金の国庫負担額は減少を来たし、また二十九年度の風水害、冷害によります再保険金支払い財源の不足補てん分として三十年度に計上された二十八億円は当然不要となっております。この結果八十一億二十二百万円を一般会計より受け入れることといたしております。  次に家畜勘定につきましては、三十一年度は死亡廃用共済と疾病傷害共済との一元化により掛金の料率も引き下げられますので、共済掛金の国庫負担欲は減少し、四億八千九百万円を一般会計より受け入れることといたしております。  第三に森林火災保険特別会計につきましては、前年度同様の事業を実施することとし、歳入歳出ともに四億二千万円を予定いたしております。  第四に漁船再保険特別会計につき申し上げます。  まず普通勘定につきましては、歳入歳出ともに十三億三千七百万円と前年に比し増加をいたしておりますが、これは本制度の普及による加入漁船数の増加によるものでありまして、このため国庫負担分二億三千五百万円を一般会計より受け入れすることにいたしました。  特殊保険勘定は、歳入歳出ともに四億二千万円を計上いたして再保険金の支払いに充てることといたしておりますが、歳入の一部として資金運用部よりの借入金八千五百万円を予定しております。また給与保険勘定につきましては、特殊保険と同様の考えのもとに、保険事故が発生した場合の再保険金の財源として資金運用部より五千万円の借り入れを予定し、歳入歳出ともも千九百万円を計上いたしております。  第五に自作農創設特別措置特別会計につき申し上げます。この会計の歳入歳出は十四億五千九百万円でありまして、土地の買収につきましては既墾地四千町歩、未墾地一万三千二百町歩、牧野千五百町歩を、またその売り渡しにつきましては、既墾地五千五百町歩、未墾地四万九千町歩、牧野四千五百町歩を予定いたしております。  第六に開拓者資金融通特別会計につき申し上げます。  この会計の歳入歳出は二十三億六千百万円でございます。  まず営農資金につきましては、二十九年、三十年の入植者を含め、これらに対し営農資金及び共同施設資金として九億五千二百万円を貸し付けることといたしております。この中には、経営規模の実績が従来の予定の規模を越える状態にあるものと判明した二十九年入植者についての融資の増加を考慮いたしております。  また営農不振の地区に対しましては、その振興対策として資金の貸付八千万円を予定し、さらに累年の災害を受けた入植者に対し実質的な負担軽減をはかるため、農機具、家畜等の営農改善資金三億三千七百万円の貸付を行うことといたしております。開拓者が営農上必要とする乳牛三千七百頭、役畜四千頭を導入するため、家畜導入資金として三億四千七百万円を計上し、既入植者の安定をはかることといたしました。  これらの資金の調達は償還金と借入金によりこれをまかなうこととし、十億円を資金運用部より借り入れるほか、機械開墾地区分については、余剰農産物特別会計より一億七千四百万円を借り入れることといたしております。  第七に国有林野事業特別会計につき申し上げます。  この会計の歳入歳出は四百九億五百万円であります。本会計においては、木材の需給計画に基く国有林よりの供給量はこれを確保し得るよう措置することとし、北海道の風倒木についてはその妥当と認められる範囲において急速に処分を行うよう計画いたしたのであります。林道及び造林経費についてはおおむね前年度通りとし、また治山のための民有林買い上げについては、最近の木材価格値下りによる本会計の経理状況にかんがみ従来の三分の二程度に押え、これに伴う治山施設の施行もこれに応じ縮小をいたしたのであります。また公有林野宮行造林については、特に造林の拡大をはかるため計画通りの実施を確保することとしたのであります。  以上の結果本会計の収支は十億円の不足を来たすこととなるので、これは資金運用部に預け入れてある剰余金を取りくずして、これに充当することといたしたのであります。  第八に糸価安定特別会計につきましては、歳入歳出ともて六十四億二千四百万円を予定いたしております。  糸価の異常なる変動を調整するための最低価格による生糸の買上量を一万四千五百俵とし、また輸出適格生糸につき保管会社が買い入れ保管した生糸についても特別買い入れ五十俵を予定し、また繭価の維持のため養蚕団体をして共同保管を行わしめることとし、これについても保管数量百万貫を予定し、これらに要する経費については、前年度剰余金三十四億六百万円のほか、糸価安定特別会計法の運用により三十億円を限度とする借入金を活用することといたす方針であります。  第九に、最後に中小漁業融資保証保険特別会計について申し上げます。この会計は昭和二十七年度五億円の基金で発足いたしましたが、この保証実績も昭和二十九年以降漸増の傾向にあり、その保険金支払いも今後増加が予想せられ、この基金に不足を来たすおそれがありますので、さしあたり三十一年度一億円を一般会計より受け入れ、歳入歳出ともに六億二千八百万円を予定いたしております。  以上が農林関係一般会計予算案及び特別会計予算案の概要でありますが、農林関係予算の中で比較的に重要な地位を占める補助金につきまして申し上げますと、公共事業関係で三百四十三億六千五百万円、公共事業以外の一般経費で百六十億二千三百万円、計五百三億八千八百万円の補助金を計上いたしておりますが、前年度に比し公共事業費において四十億七千百万円の減、公共事業費以外の一般経費において二億七千百万円の増となり、差引三十八億円の減少となっておりますが、これは公共事業費における災害復日事業費の大幅な減少が主因をなしておるのであります。この結果農林関係補助金に伴う地方公共団体の負担額は、公共事業費において約百十五億円、公共事業以外の一般経費において約五十五億円、計約百七十億円と前年に比し約三十七億円の減少を見ております。昭和三十一年度におきましては、地方財政逼迫の状況にかんがみ、特に地方補助職員の給与費の補助額の是正、公共土木事業中山林漁港についての補助率の引き上げ等、地方負担の軽減に努力をいたした次第であります。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

村松久義自由民主党

○村松委員長 ただいまの予算説明に対する質疑は、先ほどの農林大臣の御説明に対する質疑と関連せしめて後日適当な機会にこれをいたすことといたします。     —————————————

村松久義自由民主党

○村松委員長 次いで熊野川流域の森林事情等に関し、派遣委員の調査の御報告を願います。吉川久衛君。

吉川久衛自由民主党

○吉川(久)委員 熊野川流域における森林資源の開発及び維持培養等に関する実情調査について御報告申し上げます。  本調査団は、私、淡谷委員、石田委員等の派遣委員のほかに、中馬委員、本名委員、原委員、井谷委員、伊瀬委員、田中委員、芳賀委員も自ら進んで御参加になりましたが、そのほかになお、川俣清音君あるいは現地において仲川房次郎君並びに前田正男君の御参加をもいただき、また調査室より喜田調査員、菅原調査主事が随行いたしました。さらに政府側よりは大石政務次官、奥原林政部長及び山崎林道課長等が同行いたした次第であります。  一行は去る一月二十日東京を出発いたし、二十一日朝奈良市に到着、県庁において熊野川流域森林開発計画について政府側から同計画の説明を受けまするとともに、県及び地元民の意見を聴取し、質疑を行なった後、記者会見をして現地調査に出発したのであります。奈良盆地を南下、八木町にて畝傍三山を左右に見て東進し、製材工場の散在する榛原町から再び南下、このあたりから山道にかかり、吉野川の源にかかるといわゆる吉野林業地帯で、古来わが国民有林経営の粋といわれた吉野杉の美林の中を走りまして、小川村にて下車、この一帯はみがき丸太の特産地であり、生産、加工について視察を行いました。当日は吉野川をさかのぼり、予定地柏木にて宿泊いたしました。  翌二十二日柏木を出発、吉野川と別れ、伯母嶽峠において車をおり、開発対象地区との比較のため吉野川流域の林相を見渡したのでありますが、われわれは雲の中にいたため全く見通しがっきませんでした。トンネルを通り、上北山村となり、開発対象地区に入ったのでありますが、環境は全く一変し、今までの杉の美林とは異なり、モミ、ツガあるいは広葉樹が多く、全く千古斧鉞を入れぬ原好林という林相を呈しておるのであります。私たちはここから熊野川の上流である北山川に沿う山また山を切り開いた名ばかりの二級国道東熊野街道を走り、視察をしたのでありますが、平地はまれで、従ってたんぼもなく、部落は散在して住民の生活のすべてが山に依存しており、住民の始祖は源平の末族、あるいは南朝の後胤が身を寄せたといわれ、全く陸の孤島であります。途中上北山村役場、下北山村寺垣内小学校において林業の現況及び開発陳情を聴取しました。  小口橋にて三重県に入ったのでありますが、山は依然としてけわしく、かつ雄大であり、山腹を走る自動車は千尋の渓谷に沿って右曲し、あるいは左折し、しはしばわれわれの肝胆を寒からしめたのであります。相ケ谷にて八丁坂路線について、地元民の陳情説明を受け、夕刻熊野市木の本町に出ました。直ちに校舎において県側及び地元民の意見と熱心なる陳情を受け、質疑を行なった後、当地に宿泊いたしました。  翌二十三日は海岸線に沿い南下し、熊野川河口に至り、地元民から熊野川路線についての陳情説明を聴取し、続いて和歌山一県に入り、新宮市において地元の熱心なる陳情を受けました。少想後新宮営林署において懇談し、自動車で勝浦町まで来て、汽車にて夕刻白浜に到着いたし、同地において県側及び地元民の意見及び陳情を聴取しました。  翌二十四日早朝より大石政務次官を交えて調査団各委員から今日までの調査結果について懇談いたし、九時半の汽車にて出発、大阪において記者会見をしてから大阪営林局の懇談会に臨み、同日の夜行で二十五日帰京いたしました。  以上調査行動の概要を御説明申上げましたが、今回のコースは熊野川流域の一部である北山川沿いでありまして、十津川方面は日程の関係上調査ができませんでした。  この熊野川流域森林開発一計画は、御承知の通り昭和二十六年十二月国土総合開発法に基いて特定地域に指定せられ、開発計画が進められていたのでありますが、政府においては今回四国地方における剣山森林開発計画とともに三十一年度から六カ年計画をもって実施しようとするものでありまして、これが資金源は単年度十億円として、六十億円を余剰農産物資金融通特別会計より値入れを予定し、借り入れ条件は年利四分、償還期限は四十年を予定し、三十二年度以降においても、これと同一条件の資金の借り入れによるものとし、借入金の償還は、国において補助金を、受益地を持つ県においては負担金を、地元受益者は分担金を持つことにいたしております。  その事業計画はの林道の開設と造林であり、熊野地区においては林道事業は四十一路線、二百九十キロ、事業費三十六億四千万円、造林事業七千八百町歩、六億八千八百万円であり、剣山地区において、林道事業十九路線、百四十キロ、十一億六千万円、造林事業三千町歩、二億一千四百万円を予定いたし、一応の計画が樹立されているのであります。  なお熊野地区の総面積は二十四万一千七百町歩であり、本事業による開発対象林分及びその蓄積は、全森林面積が国有林六千一百町歩、民有林二十一万三千五百町歩、計二十一万九千六百町歩に対し、民有林一万一千五百町歩であり、用材林二千六百九十八万八千石、内訳は針葉樹七六%、広葉樹二四%、薪炭林一千二百四十二万五千石、計三千九百四十一万二千石であります。  本地区は、本邦屈指の高温多雨湿地帯であり、地形においても地質においても林業に最も恵まれ、吉野林業地帯とは分水嶺をもって南接し、またほとんどが民有林であります。従って地元県及び地元民の本計画に対する熱意は非常なものであります。これを新宮市長のあいさつを借りると「奥地森林の開発に着目され、わが吉野、熊野公園地域内、東は大台ケ原、西は高野山……三千の霊峯にも千古斧鉞の入らざる森林の包蔵、其の間幾百の渓谷、皆電源ならざる物なし、斯る国宝あり、開発おそしと待ち居るのである、……芳南の森林は十津川、北山水渓の住民生活の源泉であり権利である。この資源の開発は他に非ず、国道の開通、これに継ぐ林道の開墾にあるのみ、……これ老生の言にあらず、熊野三山の神意であり、神に口なし、吾人の口をもって陳情せしめる神の声であります。」云々とありました。  次に各県における意見及び陳情でありまするが、第一には開発方式であります。  奈良、三重両県においては、政府において一応の決定を見ております公団方式については積極的なる反対ということではないが、いずれも森林開発特別会計を新たに設けて、県が国から委託を受けて実施させてもらいたいという意見が強かったのであります。その理由としては、公団方式で施行する場合は、不安定な余剰農産物見返り円資金が唯一の原資であるため、長期に及ぶ本事業の完成に疑義を持ち、借り入れができなくなったときに、工事が中断されるおそれがあり、また資金の償還が円滑に行われがたいことであり、これに反し特別会計を設け実施する場合は、見返り円資金が得られなくなったときにおいても公共事業費で、もちろん国有林野事業特別会計からの繰り入れによる資金も含むのであるが、工事の遂行が円滑かつ迅速に完成される見込みが強いこと、また地方の協力を得る点、あるいは県の負担金、地元受益者の分担金等の徴収償還にしても、県が施行の主体性を持った場合には容易にできること、あるいは特殊機関を必要としないため間接的諸経費の節約ができること等が挙げられました。  第二には、三重県、和歌山県において、この開発地区に隣接している地域の開発について、対象区域を拡大して計画に入れてもらうか、あるいは当開発の関連工事として実施してもらいたい、また奥地未利用林を開発するための幹線林道に限定することなく産業開発的の意味を十分持ってほしいとする点の強い陳情であります。しかし一方、同一県内において木材の集産地として、他に林道を作られると、そちらに木材が集められ、既設業者として困るという理由で対象区域の拡大に反対の陳情もあったのであります。  以上の問題について、調査団としてもしばしば会合して意見を交換したのでありますが、開発方式については今後の検討によりすみやかに一応の結論を出したいとのことであり、また本計画は国家的見地からぜひ昭和三十一年度から着手したいということは各委員の一致した御意見でありました。なお、去る一日におきましても派遣委員の懇談会を開き、主として開発方式について意見を交換いたしたのでありますが、政府が予定している公団方式の場合、あるいは新たに森林開発特別会計を設ける場合の二方式についてはいずれも一長一短があり、またこの開発形態として林道のみとし、造林を一応切り離す場合においては、その期間が短縮される等の点から当然開発方式の考え方にも影響する等の関係から、各委員の熱心なる協議が続けられましたが、判然たる結論を得るまでには至らなかったのであります。しかしながら、事業進行上予想される具体的な諸問題や資金回収等をめぐって、官庁の性格、官庁や公団と地元との関係、あるいは関係県の間、または同一県内における調整等々を検討した結果はなお種々の考究すべき余地を残すが、大体この程度の研究では政府が予定している方式がやや妥当性を持つのではないかとの意向のごとく見えた次第であります。  右御報告を申し上げます。

村松久義自由民主党

○村松委員長 御苦労さまでございました。本日はこれにて散会いたします。   午後二時五十一分散会

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