内閣委員会 第40号
- 発言数
- 203 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1956/04/26
会議録
○山本委員長 これより会議を開きます。 国防会議の構成等に関する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。通告がありますので、順次これを許します。飛鳥田君。
○飛鳥田委員 まず防衛分担金の問題について大蔵大臣に伺いたいと思います。あらためて申し上げるまでもなく、防衛分担金は行政協定に基きまして米駐留軍の駐留経費のうち、基本的な経費、派生的な経費、この二つの後者について日米が折半してこれを負担するということに相なりました。この原則を定められましたのは、池田勇人大蔵大臣、岡崎外務大臣の時代であります。この折半原則によって定まりました金額は、初年度において五百五十八億であったのであります。その後次第にこの金額は変化をいたして参りましたが、その変化の様相はと申しますと、折半した日本側分担金の中で日本の防衛努力として支払った分だけは軽減をしてもらうという形で変化が生じて参ったのでありまして、従って原則的には折半原則というのはいささかも変更をいたしておりません。もしそうだといたしますならば、日本側が今後どのくらいの金額を防衛分担金として支出していくべきか。本年度の三百億というのが妥当かどうかということは、相手方、米軍の支出いたしております防衛分担金の十分なる把握の上に立たなければならないことは歴然といたしております。半分ずつ出し合おうというのに相手が幾ら出しているのかわからないで、こちらだけ三百億とか、五百五十八億であってはならないことは当然でありましょう。そこで実は先般大蔵大臣もお忙しいと存じまして、事務に明るい方においでをいただき、いろいろ防衛分担金について伺ったのでありますが、まずその中で私が驚きましたことは、この防衛分担金の支出手続について、日米合同委員会の取りきめができ上っている。この取りきめによりますと、米軍はドル支出については、ドル勘定債務負担行為明細表というのを日本政府に提出して、ドル分の支出明細を日本側政府に通告をする、こういう約束ができ上っております。また円勘定についても、もっと詳細に支払い明細表並びに支出行為負担明細表と二本建の明細表を提出することになっておるのであります。これを大蔵省が十分把握をしておられるならば、決して防衛分担金の使途についてあいまいな部分は出てこなかったと考えます。ところが現実には、ドル勘定債務負担行為明細表というのは、昭和二十七年度一ぱいしか日本政府に提出せられておらない。円勘定支出明細表、円勘定債務負担行為明細表は、昭和二十八年の第一・四半期までしか提出をせられておらないという事実を大蔵省の方が確認をなさいました。一体こんなにやりっぱなしなことで、政府はその責任をどうおとりになるのか。これは大蔵大臣にまず劈頭に伺いたいと思います。事務官の方の御説明によりますと、アメリカの会計法が変ったから仕方がないという御説明がありました。そういう御説明があるいはこの後にあるかもしれませんが、あらかじめお断わりいたしておきます、日本とアメリカとの間に日本合同委員会の手続の中で、経理規程として明確に定められたものを、一方の国の国内法の改変によってなおざりにするなどということはできないはずであります。もし条約ないしは協定というものが、一方の国の国内法の改変を理由にして、勝手に破棄し、勝手にこれを踏みにじることができるとするならば、これは全世界的に重大な問題であります。そのような説明をもってもし政府が御満足なさるとするならば、それこそアメリカに対する隷属的な態度だといわないわけに参りません。どうぞそのようなあいまいな、しかも隷属的な態度でなく、なぜ昭和二十七年度までしかドル勘定についての明細表をとっておらないのか。昭和二十八年度第一・四半期までしか円勘定の明細表をとっておらないのか、この点についてまず御説明をいただきたいと思います。
○一萬田国務大臣 お答えします。仰せのように昭和二十八年にアメリカの会計法が変りまして、お説のようなことになっております。従いまして、前のように支出負担行為の段階でドルが幾ら、円が幾らというような報告をとることはできなくなりました。しかしこれにかえて、ただいま政府としては適当な把握の新しい手続きを考えたい。同時に行政協定合同委員会の議事録関係部分の改訂を行うように考えておりますが、その間におきましては、駐留軍がここにおる場合に要するであろうところの費用の大体の見込み、これを毎月とるようにいたしまして、十分駐留軍が全体としてどういう費用を使っているかということを把握することに努めておるわけであります。
○飛鳥田委員 私はあらかじめお断わりをいたしました。米国の国内法の改変ということで、国と国との約束を破ることができるのですか。そしてまたそれをあなたは仕方がないとおっしゃるのですか。そんな不見識なことを、どのように考えましても、一萬田さんがおっしゃるはずはないと私は確信をいたしておりました。それなら、何のために日米合同委員会で経理手続などというものをきめるのですか。アメリカの法律が変ったから、会計法が変ったからできないなどというような、そんな空文めいたものを何で日米合同委員会の経理手続の中でおきめになるのですか。そんな不見識なことでどうするのですか。国民の税金を三百億も出しているのですよ。本年度は三百億ですが、初年度においては五百五十八億出しております。こうしたものにちゃんと見合う分だけ、アメリカが完全に日本駐留の派生的な経費として支出しているかどうかということを、これを把握することは大蔵大臣の任務です。それをアメリカの会計法が変った。だから仕方がないとおっしゃるのならば、あらためてあなたにお伺いします。あなたの国籍はどこですか。
○一萬田国務大臣 お答えします。これはアメリカの支払い官が、アメリカの国内法の改正によりまして、従来とっておりました手続がとれなくなったという事実なのでありますから、従いまして、こういう国内法が変ったことに基いて、さらに日米の関係をどういうふうにこれを調整していくかということは、当然に私もやらなくちゃならぬと考えております。その間におきまして先ほど申しましたように、米軍の駐留に要する費用というものを毎月あらかじめ把握して、全体として、ただいま申しましたように、日本側が不利にならない、できれば有利にやっていく、かように考えているわけであります。
○飛鳥田委員 もし米国側の会計法が変ったことでできなくなったということをあなたがおっしゃるのならば、なぜ二十七年度から現在までこれを便々とほうっておおきになるのですか。二十八年、二十九年、三十年度と三年間もこれを不明確のままにほうっておおきになるという理由はないと思いますが、もちろんこの三年間全部にあなたの責任があるとは申しません。あなたが大臣に就任をなさって以後の問題でありますが、なぜ三年間もこういう不明確なままに放置しておおきになるのか。一体予算に計上せられました金は、日本国民の金ですよ。この国民の金が正当な形で支出せられているかどうかを、大蔵大臣は少くとも正しく把握する義務がある。ところがこれをあなたの前任者を通じて三年間もほうっておく。アメリカの会計手続が変ったから仕方がない、相手方ができないんだとおっしゃるのならば、なぜその会計手続が変った直後において、敏速にこのことについての御処置をとられなかったのか。こういう基礎的な作業なしに防衛分担金削減の交渉をいたしますなどということは、から手形ですよ。なぜ敏速な手続をとらなかったか。その点について御説明をいただきましょう。
○一萬田国務大臣 申すまでもありません。大蔵大臣といたしましては、そういう点を明確にいたすことを主張いたしているのでありますが、これは外国と協定を変える外交交渉になっているのでありまして、日米合同委員会でも、この点を取り上げて折衝を続けていると私は思います。ただ大蔵大臣としては、その間におきまして、先ほど申しましたような措置によりまして、十分駐留軍の費用は把握できる、かような状況にあったのであります。なお今後、先ほど申しましたように、条約上の変更については外交交渉によって実現をはかっていきたい、かように考えているわけであります。
○飛鳥田委員 大蔵大臣は、そういうことについては十分注意をして正確に把握する努力をしてきた、こうおっしゃいました。同時に先ほどの御答弁で私実はがっかりいたしました。と申しますのは、今後経理手続を変えていくように努力をする、そういう準備をしているというお話でありますが、実は三月八日――先般私が防衛分担金についての質問を大蔵省の方に申し上げて以後約十日ばかりの後、すなわち三月八日に新しい経理手続の取りきめができているじゃありませんか。できているのを御存じないで、これからそれをいたしますなどということ、こういう不見識なことは、少し横道のことですが、よしていただきたい。 そこで、それでは今大蔵大臣がみごとにたんかを切られましたように、防衛分担金の支出については、十分なる把握をするように努力をしておる、そして把握をしている、こうおつしゃったのでありますからお伺いをいたします。先般大蔵省の方の御説明の中に、防衛分担金のうちのアメリカのドル支出は昭和二十八年度において二億二千万ドルから二億五千万ドルくらいである、二十九年度において一億八千万ドルから二億万ドルぐらいである、三十年度において一億六千万ドルから一億八千万ドルぐらいであると御説明になりました。今大蔵大臣は、正確に把握をしているとおっしゃった。きっとそれが結果であろうと思います。正確に把握するとおっしゃる言葉の下から三千万ドルの差があります。昭和二十八年度において一億二千万ドルから二億五千万ドルぐらいの間、アメリカが支出をしていると言っています。三千万ドルというのは実に大きなお金ですよ。こんな大幅な把握が正確な把握とあなたおっしゃれますか。少くとも経済の専門家であられるあなたに、私はお伺いいたします。正確に把握をするとおっしゃったその言葉の下から、大蔵省が説明をしておられる幅は昭和二十八年度において一億二千万ドルから二億五千万ドルぐらいの間アメリカ軍は防衛支出金を出しております。三千万ドルも幅があります。これが正確な把握でしょうか。経済家としてのあなたにお伺いをいたします。
○森永政府委員 私から……。
○飛鳥田委員 これは大蔵大臣に伺っております。
○森永政府委員 まず事務的にお答えいたしまして、あとで大臣から……。 ただいま御質問のございました全般の問題についてまず補足的に申し上げたいと思います。御承知のように、米軍の日本における支出は、米軍本来の予算による米軍の支出、それに日本が分担いたしておりまする分担金による支出、この両方から出ておるわけでございます。ただいまお話がございましたように、日本が国民の税金によって分担いたしておりまする分担金、これにつきましては、毎四半期に支出実績の報告もとっておるわけでございまして、それが何に使われておるかということは、報告によりまして、逐次つまびらかにせられておるわけでございます。この報告内容につきまして、もし不審の点などがございまする場合には、監査等の道も開かれておるわけでございまして、一度そういった意味での監査を行なったこともございます。――ただいま毎四半期と申し上げましたが、これは毎月の誤まりでございます。要するに、国民のとうとい税負担によって分担いたしておりますものにつきましては、毎月報告をとって、その使途をつまびらかにいたしておるということを、これは御存じの問題でございますが、補足的にまず申し上げておきたいと存ずるわけでございます。 この日本側の分担に関連して、米軍がどのくらい分担しておるか、これもわれわれとしては当然関心がある問題でございまして、先ほど来御指摘がございましたように、(飛鳥田委員「関心じゃない、義務ですよ。」と呼ぶ)公式議事録によりまして、米軍から支出負担行為の実績をとることになっておったのでございますが、それがなぜ完全に履行されていなかったか。この点は先ほど大臣からもお話がございましたが、途中で米軍の会計手続が変りまして、支出負担行為の段階では、円資金によるかドル資金によるかという決定がなされなくなったわけでございます。しからばその決定はいつなされるか、これは支払いのときに初めてドルによる支払いか円による支払いかということがきめられるわけでございまして、その意味でいわば支出負担行為の段階での区分が、不可能と申しますか、できなくなったわけでございまして、その後これにかわる手続をどうするかということで、いろいろ検討し相談もいたしておりました結果、先ほどお示しがございましたように、手続を変えまして、ドルを含めた全体の支出実績について、使途別に報告をとるということで、従って今日では円資金の分については、毎月報告が参ります。そのほかに、ドルの分につきましても、どういうものが幾ら支払われておるということが報告がくるようになっておるわけでございまして、これによりまして、若干空白な期間がございましたが、今後は完全に米軍の支出も含めましたものにつきまして、全貌が把握できるようになったわけでございます。 そこで最後に、ただいま御指摘の点でございます。たとえば二十八年度において二億二千万ないし二億五千万、三千万ドルも差があるじゃないか、これでは正確じゃないじゃないかというお尋ねでございましたが、これは先ほど申し上げましたように、ドル支出の実績ないしは支出負担行為の実績につきまして、報告をとれないような状態になっておりましたために、推定で参るより仕方ないわけであったのでございます。その推定をいたしますにつきましては、日本銀行の合衆国軍合同支出官のドル勘定の受払い報告書を調べまして、それによって総額を把握し、その中から米軍のドル支出のうち、朝鮮あるいは沖縄の特需にどのくらい払われたか、軍事援助物資の買付代金等に幾ら支払われたか、こういうものは駐留経費に入らないわけでございますので、そういうことを推定いたしまして、それを差し引いて、プロパーな駐留軍経費がどのくらいかということを推定せざるを得なかった次第でございまして、従いまして朝鮮、沖縄の特需その他につきましては的確な資料がございませんので、その方は推定によらざるを得ないことからして、全体の駐留軍プロパーの経費がどのくらいかということもやはり推定によらざるを得なかったわけでございまして、それによりまして二千万ドルないし五千万ドルといったような範囲で申し上げざるを得なかったような次第であります。御了承いただきたいと存じます。今後の分につきましては、先般の協定によりまして、ドル支出の実績が全貌が把握できることになりましたので、もう少しはっきりしたものがわかるわけでございます。どうぞ御了承をいただきたいと存じます。
○飛鳥田委員 今の主計局長さんの御説明は御説明としてわかりました。それならなぜ正確に把握をしておる、努力をしておるなどというたんかを切られるのか。僕はこれは大臣に伺いたいと思います。実にずさんきわまりない把握しかしていない。実にずさんきわまりない把握しかいたしておりません。しかもそれも当っておるか当っていないかわかりません、まことに申しわけありませんと言わるべき筋合いだと私は思うのですが、いかがでしょうか。
○一萬田国務大臣 アメリカの駐留軍のここにおける費用について、先ほどから繰り返しお話がありました通りに、ドル勘定の支出負担行為の段階で、ドルの通知がない結果、やはり若干推定を用いなければならないので、先ほどお示しのように、金額に何から何というふうになる、これは私はやむを得ないと思います。ただお話のように、私どもの考える重点は、日本側の負担する分担金が折半原則に基いて、先方がこちらで実際使っておるものが、多いか少いかというのを判断するのに十分な資料であり得るかと、こういう点を考えておるわけであります。なお私の言葉の正確ということでありますが、これについて私ここで必ずしも言葉の上で固執するわけではありませんが、今ほど申しましたように、いろいろなことがありますので、見ようによっては必ずしも正確でないともいえるかもしれません。しかし円については正確に把握しております。ドル等についてなお正確に把握するということを一つ考えていきたいと考えております。なお私の言葉のうちで、防衛分担金の折半負担の原則というものはないのでありまして、ただそういうふうな考え方で出発をしたという意味で申し上げたことを御了承願います。
○飛鳥田委員 日本側とこれに見合う米軍の支出する防衛分担金とが、比べてみて日本に不利益でない程度ならばいいというお話でしたが、しかし事態を正確に把握しないで比べてみることは不可泥のはずです。その一つの事例をあげてみましても、今経理局長が言われたような朝鮮向けの特需、沖縄向けの特需、台湾向けの特需というようなものは、数字的にある程度われわれでも計算できます。ところがいわゆる飛行機修理、車両の修理などというものに至っては、果して駐留軍の維持のために支出せられたものであるかどうかはなはだあいまいになって参ります。あらためて申し上げるまでもありませんが、米軍は空軍をここに極東空軍として置いております。そうしてこれは日本の守りにだけ使っているわけではありません。至るところに駐在させておるのでありますが、この飛行機やエンジンのオーバーホールというようなものは、一体日本駐留のための経費とはいい得ないのでありまして、これを分けるための方法をあなた方ははっきり知っておられるかどうか伺いたいと思います。もしそれがおわかりのようでしたら一つお教えをいただきたい。ところがこの飛行機修理、車両修理というものは、実に大きな金額に相なっております。車両修理という形で米軍が支出する金額のうち、大部分は今まで朝鮮向けの車両修理でありました。これが実際は防衛分担金から出ている。朝鮮における車両修理が米側支出の防衛分担金の中から出ていると疑わしめる事実はたくさんある。こいつをどうやってお分けになるのか、大蔵大臣がおわかりにならなければ主計局長でけっこうでございますから正確にお教え願いたい。
○森永政府委員 防衛分担金とただいまおっしゃいましたが、米軍の自分の支出という意味だろうと思います。それが何に使われておるか。これは今までの経過におきましては、日本銀行のドル勘定の向うの状況と、特需その他駐留軍本来の経費と思われないものとの両者から推定せざるを得なかったわけでありまして、従って経費の正確なる内容の把握には若干欠けるところがあったわけであります。ただいまお話がございました車両の修理、飛行機の修理等につきましても、従って厳密な意味では多少の疑問があるような場合もあったかと存ずるのであります。従いましてそういう状態では困るというので、先般の協定によりまして、支出実績について米側の支出につきましてもその内容を報告をとる。これによりましてはっきりいたすわけでございます。今まで申し上げておりまする、たとえば二十八年度について二億二千ないし二億五千というような言い方をしておりますのも、このような点があったからでございまして、そういうことを避ける意味におきまして先般の新たな協定の意味が非常に重要であるというふうに考えるわけでございます。そういうあいまいなものをできるだけ除くということでこの推定はいたしておりますが、最後まで除き切れないものもあるかという意味で、二、三年前のアローアンスを置いた数を申し上げておきましたことを御了承いただきたいと思います。
○飛鳥田委員 私が防衛分担金と申し上げたのは、正確にいえば米軍預金振り込み勘定のことであります。この中で防衛分担金とその他のものとがすべてごっちゃになっているということを私は先ほどから申し上げているのでありますが、たとえば建設工事という項目があります。ところが建設工事の問題について工事場所の明確になっているものが非常に少い。三十年度だけでも二月、四月、六月を除外して一千四百九十六万六千ドルの金が支出せられておりますが、このうち工事初所の明確でない建設工事がたくさんあります。これがみな米軍の預金振り込み勘定から支出せられておって、しかもこれが防衛分担金とごっちゃになっているというおそれを非常に感じます。ところが実際調べてみますと、おそらくこれは沖縄・朝鮮あるいは硫黄島、こういうところにおける建設工事ではないかと考えられるのでありますが、こんなものについても、大蔵省の方では正確に分類する基準を持っているのかどうか。朝鮮の建設工事の分までこちらの防衛分担金として計上をせられてはたまらないのであります。こういう点についても厳格な調査をしていらっしゃるかどうか、伺いたいと思います。
○森永政府委員 まず申し上げたいのは、円による分担金、これはあくまでも明細な使途別に報告をとっております。それにつきましては、それが他の目的に使われているということはないと考えております。ドルで負担をいたしているのがどのくらいあるかという場合に、日銀のドル勘定の中から駐留経費でないものを差っ引かなければならぬということは、先ほど申し上げた通りであります。その差っ引くデータといたしまして私どもが使用いたしておりますのは、別に特需関係等の関係から資料がありますので、それを大蔵省の為替局であるとかあるいは他の各省の関係部局で検討いたしまして、特需の額を計算し、それをこのドル全体の受払い金額の中から差っ引くということをいたしているわけであります。私どもといたしましては、為替局その他の関係当局によるこの特需の計算、これは一応的確なものであるというふうな前提で作業いたしておるのでございますが、先ほど来申し上げておりますように、全然狂いがないかと申しますと、今までのところは若干の違いも起り得たわけでございますので、その点を今後改めようということで考えているわけでございます。
○飛鳥田委員 言葉じりをつかまえるのはいやですが、若干のということで三千万ドルも食い違いがあるとすれば、ずいぶん日本もお金持のように思います。こういう場合に若干のという言葉を使っていいかどうか、私やはり皆さん方に考えていただきたいと思います。そこで今建設工事のことを申し上げましたから、ついでに空軍基地建設の問題を考えてみますと、特需契約、サービスの部に空軍基地建設の賞用というのが非常に多く含まれております。これは一体防衛分担金に含まれるものでしょうか、米駐留軍の維持費と考うべきものかどうか、この点についてあなた方の御計算ではどちらに入っておりますか。
○森永政府委員 ただいま御引用になりましたその報告、私案は拝見いたしておりませんので、そのお示しのものが入っているか入っていないかという具体論がなかなかむずかしいのでございますが、建前の議論として考えますと、空軍の基地の改修維持費にいたしましても、小規模のものでございますれば、これはやはり駐留経費の中に算入せられるべきものであると存じますが、ただいまお尋ねのものがどういう性質のものであるか、その点明確にいたしませんので、具体的に的確にお答えすることができないことをお許しいただきたいと思います。
○飛鳥田委員 空軍の基地建設の費用です。
○森永政府委員 お手元にございしますその資料を拝見した上でないと、はっきり申し上げられないのでございますが建前の原則論として申し上げますと、このドル勘定の中に一応入っておるわけでございまして、その中から朝鮮、沖縄であるとか、軍事援助物資の買付代金であるとか、そういった駐留経費に相当しないものを差っ引くときに、どの範囲のものを控除するかということになるわけでございます。具体的に控除いたしましたものの中に、ただいまお話のものが入って控除されているかどうか、これは現実に計算したものでないとちょっとわかりかねますので、抽象論でお許しを願います。
○飛鳥田委員 それではとりあえず一つ例を出しましょう。通商産業省企業局特需課で出しております特需調査というのであります。それの一九五五年の十一月十四日号を見ますと、建設工事関係というところに空軍関係、こうなって四十万二千ドルの西松建設に対する注文、こういうものを初めとして、合計六十万四千ドルが出ておりますが、これはどっちに入っておりますか。私たちはこの空軍の基地建設というものは維持費ではない、これは当然防衛分担金の中に組み入れるべきものではないと考えておりますが、しかし先日お示しの数字を逆に計算してみますと、どうしてもこういうものを入れなければ、お示しの数字は出てこないわけであります。実際どういう計算で町会の御答弁をいただいたのか、この点についてお一示しをいただきたい。
○森永政府委員 四十万ドルというような比較的少額のものはおそらく入っておる、と申しますのは、この駐留経費の中に入れて、つまり駐留経費以外のものとして控除する項目に入れないで計算をいたしておるものと存じますが、計算をいたしました者にもう一度確かめてみないと、はっきりしたことは申し上げられないのを遺憾に存じます。
○飛鳥田委員 けっこうです。もうここでこまかい話を一々突き合わしておっても、時間のかかるばかりですから……。実は先般大蔵省の御説明をいただきましてから、どうもこの計算はおかしい、こう考えまして、実は何日も何日もそろばんを握って私自身が逆算をしてみました。そういたしましたところ、二十九年度において、あなた方は一億八千万ドルから二億ドルの防衛分担金をアメリカは支出しておると言っております。ところが私の計算ではどうしても八千八百八十三万ドルにしかならないのであります。これが昭和二十九年度で、それから三十年度一億一千五百万ドルにしか私の計算ではならないのであります。いずれこの点については詳細数字を突き合せて検討する機会をお与えをいただきたいと思いますが、しかし少くとも、私たちのように資料を十分持っていない、その資料の範囲内で計算をしてみても、こういう数字が出てくるのでありまして、一億八千万ドル使っていると、こうあなた方は言っているけれども、実際は約八千八百万ドルしか使っていないとすれば、これはあなた方が防衛分担金においてはるかにアメリカ軍よりも多くのものを支出していると考えざるを得ないわけです。こういうことのないようにあなた方は経理手続を三月八日に変えた、こういうふうに言っておられますが、今度変えた経理手続というものがまた実にわかりにくい、しかも不明確なもののように思うのであります。そこでこの問題について一、二伺っておきます。 第一に、この三月八日の取りきめについては全文発表をされましたか。この点についての御答弁を最初に伺いましょう。
○森永政府委員 発表いたしておりません。
○飛鳥田委員 それじゃ本日これを発表していただけますか。経理手続を発表していただけますか。
○森永政府委員 ただいまの点につきましては、関係当局とも十分相談いたしました上でお答えいたしたいと存じます。外交上の出係もございますので、外務省とも十分相談しなければならぬと思います。
○飛鳥田委員 しかしこれは日米合同委員会の中でお互いに合意が成立して、しかもそれの関するところはわれわれ国民の金に関する経理手紙でありますから、これを発表するのには何の差しつかえもないと思います。
○森永政府委員 できるだけ御希望に沿うようにいたしたいと存じますが、その点につきましては外務省当局と十分相談いたしました上で確定的なことをお答えいたしとう存じます。
○飛鳥田委員 実は私ここが一番本日伺いたい重点なわけです。と申しますのは、先ほど来何回も言っておりますように、また大蔵省の方も暗黙にお認めになっているように、防衛分担金の米側支出に対する把握というものは、実にずさんきわまりないものである。これと見合ってわが国が三百億あるいは五百五十八億という大金を出してきたのでありますから、これをどのように把握するかということは実に重要な政治的な問題であります。しかもこの問題は将来防衛努力が認められるに従って漸減をするという声明を、これは船田さんもなさっていらっしゃるのでありまして、今後防衛六カ年計画を遂行いたして参ります場合において非常に重要な問題であります。従ってこの点について正確ないろいろなお話を伺いたいと思いましたが、今度新しく取りきめられた経理手続が三月八日にでき上ったということは今お認めいただきましたが、これは正式発表していない、こういうことであります。発表するかしないかは今後にするこういうお話であります。そうなりますと私はこの三月八日の取りきめの不明確な部分、あるいはこれに対するいろいろな質疑を正式にはできないことになります。発表のないものをまさか私がここで聞くわけに参らないでありましょう。どうぞ一つ委員長のお計らいで、この問題については、発表をなすった上で私の質疑を続行させていただくようにお願いをしたいと思います。資料の提出といたしまして、私はここで正式にこの経理手続の御提出をお願いし、それが提出をしていただきました後にこの質疑を、けさせていただくつもりです。この問題は国防会議の運営にとって実に重大なものを含んでおると思いますので、そのようなお取り計らいをいただきたいと思います。いかがでしょうか。
○山本委員長 飛鳥田委員の申し出に対しては、なるたけすみやかに善処せらるるよう委員長より申し出をいたしますから、さよう御了承願います。
○飛鳥田委員 出していただいた後に私の質問を続行させていただけますか。
○山本委員長 多分さよう、取り計らいができると存じます。
○飛鳥田委員 多分ということでは、実にこれは残念ですが、私も困惑をいたします。どうぞ一つ、もし問題でありましたら、ここで理事会でもお開きをいただいておきめをいただけば、私は了承いたします。
○山本委員長 後刻理事会を開いて確答いたします。 次に受田君。 〔飛鳥田委員「それでは次会にその 問題について質疑をさせていただ きます。」と呼ぶ〕
○受田委員 私は防衛庁に御質問申し上げたいのでありまするが、それは、一昨日及び昨日、私から当局の回答を求めておりました例の中古エンジンの取扱いに関する防衛庁の御回答を求めたいと思います。この問題は、部分的に決算の問題として決算委員会でも取り上げられておりまするが、私は国防の全般から見た兵器に関する重要なる疑点として、この内閣委員会において十分究明しなければ、われわれが国防会議法案を審議する責任を果されない、かように考えまして、きょうは今から決算委員会の審査とは別の意味においてしばらく御質問を申し上げまするので、的確な御答弁を願いたい。なお当局の御答弁で釈然と上ない向きがあるならば、制服の方にはなるべくわれわれは政治優先の意味で御出席を願わないということに御協力をいたしておるのでありますが、御答弁の次第によりましては、直接技術の責任ある人、特に技術者でなければわからない、内局の皆さんではわからない点については必要により、内局でない、技術者である制服の方に御出席いただく場合がありまするので、この点も御了承願いたいと思います。 先般から問題にされておりまする米パッカード会社製のマリン・エンジンの取りつけをした高速救命艇が、すでに誕生していることを了承しているのでありまするが、さらに引き続き今後この同じマリン・エンジンを用いて昭和三十年度に計画されているところの高速救命艇その他の実情を御報告願いたいと思います。
○船田国務大臣 まず概要だけを私から申し上げます。それは十万円で払い下げたものが千二百五十万円で買い上げられたということ、それだけをとって御批評しなれば、いろいろ御議論はあると思います。事実につきましては、後に経理局長その他関係の事務当局から詳細に御説明を申し上げることにいたしますが、概要は、昭和二十六年三月、極東空軍の持っておりましたパッカード・マリン・エンジンその他を二百ドル、すなわち七万二千円が放出するということになりまして、それが競争入札の結果、一基十万幾らということで払い下げをされたということがございます。その後業者の間に転々をいたしておりましたが、防衛庁で予算をとりまして、高速救命艇の建造にかかりましたのは昭和二十九年度でございまして、そのほかにいろいろ研究をいたしましたが、価格の点、それから要求する性能を備えておる点、それらを勘案いたしました結果、このエンジンを使うことが最も安く適当である、こういうことでこの買い上げをするということになったのでございまして、その払い下げと買い上げとの間には何ら特殊の因果関係も何もございません。ただ価格について適当であるかどうかということにつきましては、防衛庁といたしましては、当時買い上げについて財務局の意見も聞きまして、そうして千二百数十万円ということが適当な価格であるといたしまして契約をいたしたわけでございまして、その間何ら不正不当というものは認められないのでございます。これが概要でございますが、その詳細につきましては経理局長その他から御説明させることにいたします。私は責任大臣といたしまして、その間に何らの不正不当を認むるものではございません。
○北島政府委員 ご質問ございましたパッカード・マリン・エンジンは、最高千五百馬力、毎分の回転二千五百回、防衛庁で購入いたしましたのは、昭和二十九年度におきまして建造いたしました高速救命艇二隻及び昭和三十年度計画の高速救命艇一隻に各二基ずつ備えつける予定でもってこれを購入いたし、現に二十九年度の分はこれを竣工いたした次第でございます。高速救命艇と申しますと、これは御存じであるかと存じますが、海上において飛行機が不時着または墜落いたしました場合、搭乗員を急速に救うための用途を持っておるものでございまして、きわめて高速なる性能が要求されておるわけでございます。 ところで問題のパッカード・マリン・エンジンでございますが、これは当初昭和二十六年の三月八日及び四月十二日の二回にわたりまして、米軍の立川基地より当時の東京通産局に対しまして、QM物資として放出されたものでございます。これを東京通産局におきましては、一般競争入札によりまして払い下げたのでございます。入札によりまして株式会社松庫商店が、一台当り十万五百円でもってこれを入札いたしております。その当時の状況といたしましては、もちろん四十ノットのスピードを出すような、こういうきわめて高性能な舶用エンジンを使用すべき船舶は、当時日本にはございません。またそれを作るような手もなかったわけでございますので、これは推定ではございますが、潜在価値あるとはいえ当時の経済的価値としましては、ほとんどスクラップに若干プラスした程度の値段でもって入札されたのではなかろうか、こういうふうに考えております。もちろんこの放出されましたエンジンにつきましては、その当時におきましては、部分品等にそれぞれ欠けた点もあるようでございます。その後この松庫商店から転売されまして、防衛庁がこれを購入いたしましたときにおきましては、所有者は間組でございまして、間組は二十二台のパッカードエンジン、ただそのうち二台のホールスコット・エンジンがありますが、これを三友産業株式会社より購入いたしております。そのときの購入価格は、二十二台で一億四千七百万円になっておりまして、当時の契約の状況、これは民間の契約でございますが、私どもこれを調達いたします場合に、間組がいかなる値段で買ったかということも非常に重要な参考になりますので、十分注意いたしたのでありますが、どうしてこういう高値になったかという点につきましては、聞くところによりますれば、当時間組と三友産業との間に話が進でおりましたときには、ガソリン・エンジンということではなくて、それは伏せられておりまして、むしろディーゼル・エンジンというふうに当初取引になっておったようであります。ディーゼル・エンジンでございますと、ガソリン・エンジンと違いまして、工事現場におきまして、これを使用して発電することができるわけであります。これは聞いたところでございますが、おそらく間組としましては、当初はディーゼル・エンジンと思いまして、二十二台を一億七千四百万円という値段で当時交渉しておりましたが、ところが最後の契約の段階になりまして、これはディーゼル・エンジンではなくて実はガソリンエンジンということがはっきりいたしております。そこで三友産業との間に多少いざこざがあったようでございましたが、当初間組は手金を打っておったものの、結局一億七千四百万円というのを一億四千七百万円に値引きさせて契約いたしております。間組はこれを買いましたものの、やはり防衛庁との交渉に際しましては、技術的責任及びアフターサービスという点からいたしまして、これを富士重工業に転売をいたした、こういう経路に相なっております。防衛庁におきましては、昭和二十九年度予算におきまして、高速救命艇二隻を海上自衛隊において建造するという予算を要求いたしまして、成立を見たわけであります。 当初海上幕僚監部におきまして、種種米国の実際使用している例及び民間の文献等によりまして研究を進めたのであります。きわめて高速度の救命艇を建造いたします場合におきまして、この性能を満足せしめるものとしては、当時パッカード・エンジンと、それからホールスコット・エンジン、この二つしかないという結論に達したのであります。ところが両者を比較いたしますと、ホールスコット・エンジンと申します方は、パッカード・エンジンに比べまして、馬力は約半分以下、しかも重量におきましては三百キログラム程度重いのであります。そこで最も海上自衛隊の要求しております高速救命艇の性能を満足せしめるものとしては、パッカード・エンジンが最上だということになったのであります。そこで二十八年の秋、暮れごろから、実は米軍の顧問団を通じまして、米軍からこれを入手いたしたいということを申し入れておりました。二十九年の月になりまして、極東海軍司令部から、パッカード・エンジンは現在製造を中止しておるし、ストック品は米軍の需要に必要であるという理由によりまして、米軍を通じての入手ができないことになりました。 ところが昭和二十九年の四月に至りまして、間組とその代理人でありますところの富士重工業――当時は富士工業でありましたが、富富士工業が自衛隊に参りまして、自衛隊で建造を計画しておる高速救命艇に採用してもらいたいという申し出があったのであります。そこで当時海上幕僚監部の技術者が、直接富士工業の三鷹工場と田無の試運転上におきまして、この分解と試運転に立ち会ったのであります。その結果の判定によりまして、この品物は、当時におきましては、わずかに数百時間しかまだ使用しておらない、ほとんど新品同様なものであるという結論に達し、きわめて高速救命艇には適当なる品物であるということになったのであります。そこで昭和二十九年六月の末に、海上幕僚監部におきまして、この高速救命艇にはパッカード・エンジンをつけたいということで、長官の決裁を二十九年の八月七日に受けまして、その後調達実施本部に調達要求をいたし、調達実施本部におきまして調達した次第でございます。 調達実施本部におきまては、まずこれを当時の関東財務局に評価を依頼いたしました。財務局におきましては、旧海軍の持っておりましたエンジンその他につきましての払い下げの経験もございますので、一応公けに評価すべき官庁としては、適正であるということで、関東財務局に評価を依頼いたしましたが、その結果公文書によりまして、一基当り千三百六十五万円という回答を得ました。それから調達実施本部におきましては、さらに問題のパッカード・マリン・エンジンとほぼ同性能を有しておりますものを作っておるのがイタリアにございます。イタリアにインタという会社がございまして、これが大体パッカード・マリン・エンヂンと同様の性能を持つエンジンを作っております。その価格を調べましたところ、これは関税を除きましても、約千九百万円に近い価格という判定になりました。ところが一方当初東京通産局から払い下げました値段が十万五千円ということも調達実施本部においてはこれを十分承知いたしておりますので、防衛庁におきましては可急的低廉に購入すべく、富士工業と交渉いたしたわけであります。富士工業の当初の申し出価格は、一台千七百四十二万五千円であります。ところが防衛庁におきましては、ただいまの関東財務局長の評価、及びさらに間組につきまして実際に帳簿検査をいたしまして、間組はこれをいかなる値段で買ったかということを調査し、さらに間組が完全にこれを組み立てますために買入いたしましたところの部分品、あるいは試運転の費用等を一切がっさい調べましたところ、間組におきましては、総額におきまして一億六千二百万円程度の金を支出いたしております。そういうことが判明いたしまして、これを一台当りで――いろいろ見方もございますが、――割ってみますと、千三百二十数万円程度であるということになりました。そこで調達実施本部におきましては極力以上の資料を参考といたしまして、ネゴシエートいたしました結果、千二百五十万円という値段でもって商議が整ったわけでございます。防衛庁におきましては本件の購入につきましてはただいま申しましたような程度でありまして、これを慎重に検討いたしております。
○山本委員長 簡潔に願います。
○北島政府委員 また昨年の会計検査院の検査に際しましても、本件につきまして十分慎重なる御検査があったのでありますが、これは何ら不当事項として御批難にはならなかった次第であります。 以上をもって簡単に御説明を終ります。
○受田委員 私はぜひお尋ねしておきたいことは、今後引き続きこの残されたエンジン買い上げて、防衛庁が空幕、海幕等に高速救命艇を作ろうとする計画があるかどうかを私はまず確かめておきたいのです。
○北島政府委員 昭和三十一年度におきまして、海上幕僚監部におきまして、高速救命艇一隻、航空幕僚監部におきまして二隻を購入する計画を立てまして、すでに予算に盛られております。
○受田委員 その高速救命艇二隻に備えつけるエンジンは、今問題のエンジンを引き続き購入する予定でありますか。
○増原政府委員 三十年度で購入をいたす予定の三隻に、どのエンジンを装着するかはまだ決定をいたしませんで、長官の決裁を得る段階に至っておりせん。
○受田委員 今長官の決裁を得る段階でないというておられまするが、現に空幕の幹部は、このエンジンは非常にいいエンジンだからというので、艦船課長のところなどへは、これをおれの方でももらいたいのだといって申し出ようとしているとか、技術者の間においてははっきりとこのパッカード・エンジンを引き続き残された分を買い上げしようという計画が進められておるとわれわれは了解せざるを得ないのであるが、いかがでありますか。
○増原政府委員 ただいま申し上げました通りでございまして、まだ決定をいたしておりません。
○受田委員 この高速救命艇にエンジンを備えつけるとするならば、イタリアの今北島さんから申されたような千九百万円もかかるようなエンジンを買うよりは、やはり残されたエンジンを買うのが妥当であるという計画が進められるということは、常識として考えられますけれども、この点空幕の幹部も海幕の方に行って、非常にいいエンジンであるといってほめて、うちの方でもこれを使いたいのだというているような現状を、われわれは見のがすわけにはいかないのでありますが、予定通りこのエンジンを利用するという一部に計画のあることは見のがせないと思いまするが、いかがですか。
○増原政府委員 まだ係の技術者がどういうふうなことを申しておるかも、これを決定するという形において意見をまだ聴取する段階に至っておりません、これを使うということに絶対にならないとまだ申し上げておるわけではございません。決定に至っておらないということを申し上げておるわけでございます。
○受田委員 しからば決定に至らない、決裁をいただく段階ではないが、準備は進めておる、こういうことになると思いますけれども……。
○増原政府委員 そういうふうに申し上げたつもりはございません。そういうことを係の者が言うておると仰せられましたが、そういうこともまだ決裁を受けるという手続の段階としては聞いておらないということでありまして、決定をいたしておりません。
○受田委員 この問題は……。(「決算委員会でやれ」と呼びその他発言する者多し)決算じゃない。新しいこれからの計画じゃないか。これからの計画を聞いているのだ。これからの計画は決算委員会でやっていない。委員長発言の停止をされたい。これは重大な問題だ。
○山本委員長 お静かに願います。どうぞ御質問を御継続願います。
○受田委員 私は防衛庁の技術者の方方が真剣に考えている問題である、このエンジンは非常にりっぱであると語り合っておる、そういう問題を技術者そのものから十分声を聞かないと、これは内局の方々だけではどうも承服できない問題が、まず一つ今起ったわけです。 次に一つお尋ねしますが、このエンジンの取り上げられた当時の防衛庁の責任者はだれか、間組、富士重工のいかなる責任者と最初に正式の会談をされたかということをまずお尋ね申し上げたい。
○北島政府委員 昭和二十九年の四月ころ間組の経理課長と富士工業の三鷹工場長が海上幕僚監部の、当時の第二幕僚監部の技術部長に採用方を申し出ております。
○受田委員 その申し出をされたことに対して現地調査に行かれた責任者は何という技術官か。その最初に行かれた場所はどこであるか。
○北島政府委員 二回に分れて調査をいたしております。第一回は富士工業の三鷹工場におきましてこのエンジンの分解状況の調査が行われました際に、志賀、入栄、山下という三人の技術者が視察いたしました。第二回目は同じ富士工業の田無の試運転場におきまして、このエンジンの試運転が行われた際に、技術部長以下四名が立ち会っております。
○山本委員長 外務大臣が見えておりますから、どうぞ外務大臣に御質問を願います。
○受田委員 もう一つだけお尋ねして外務大臣にかわりますが、最初の防衛庁の職員の中で、新橋の汐留十六号倉庫に見に行かれた方はないかどうか。ここを一つお確かめ申し上げたい。
○北島政府委員 ただいまのお尋ねにつきましては、私そういう事実がありましたかどうか存じておりません。
○受田委員 この問題は引き続き重大な発展をいたしまするので、ここで一応外務大臣が来ておられるから外務大臣にちょっと質問をさしていただくことにしましょう。 それで私ちょっと今のことを取りやめてあなたに御質問申し上げますが、私は最近の諸外国の新聞、世論を詳細に調査したところ、日本の再軍備計画が強行されつつあることに対して、アジの諸国家が痛烈な批判を加えております。まずビルマのラングーン・ディリーという新聞におきましては、結局こういうことが書いてある。これは去年の九月三日でありまするけれども、「日本の過去の侵略からみて、日本は好戦国であると思われる。米国はこの事実を知り、ソ連及び中共の攻撃の際、その進出を阻止するよう、うまく日本を再軍備させているのだ。」「日本は、第二次大戦以外は負けたことのない国である。もし、日本が思うままに軍備すれば、日本がアジアに火をつける恐れもある。」これがラングーン・デイリーのものであります。(「赤新聞だ」と呼ぶ者あり)赤新聞でない。次はインドネシアのハリアン・ウムムというこれも中立系の新聞であります。赤新聞じゃありません。これの最近の報道によると、日本の軍備の今後の態度によってアジア諸国の態度を決定しなければならぬ段階であるということが書いてある。さらに天津大公報、これは中共でありまするけれども、これなどはもう痛烈な批判を加えておる。こう考えますると、ビルマ、インドネシア、香港その他中共等の新聞も、一斉にアジアの諸国が日本の再軍備強行を非常に憂慮しているというこの世論を無視できないと思うのでありまするが、外務大臣は第一、国防会議を作っていくことは、日本の自衛力を増強する、すなわち再軍備を進める意味になると思うかどうかということと、それに関連してアジアの諸国家における影響力をどう考えるかということを、外相の立場から御答弁願いたいのであります。
○重光国務大臣 ごく簡潔にお答えをいたします。日本の自衛軍備の増強につきましていろいろ外国において批判のあることもずいぶん報告に接しております。東南アジア方面において、お話のようななにがあったということは、一々報告を受けておるということは、はっきり記憶をいたしておりませんが、大体においてこういうことでございます。東南アジアでもいろいろ新聞の種類がありますが、大体共産系の新聞は日本の自衛軍備の増強について非常に悪意に解釈をいたしております。しかしながらその他の新聞は日本の独立の完成については、一般的に同情を持って頼りにしておる論調が多いように観測をいたしております。しかしながらむろん共産系の新聞の論調であっても、十分に注意をいたさなければなりません。そこでさような議論に対しては、日本の自衛軍備というものは、あくまで自衛の見地からやっておるのであるというようなことを十分に了解させることに努めておるわけでございます。
○受田委員 国防会議を作るということは、日本の自衛力を増強するという意味には解釈しないかどうか。
○重光国務大臣 国防会議を作るということは、これは自衛軍備の当然のことでございますから、あまり問題にされていないように承知をしております。
○受田委員 あなたはきわめて落ちついておられますが、アメリカの命令でどしどし軍備することは非常に危険であるということを、アジア諸国の中立系の新聞が申し述べておる。この点におきまして、アメリカの要請によるということをはっきりうたっておるのだが、こういう点において国防会議を作るということも、当然アメリカの要請によるという意味の世論が書き立てられておる。こう考えるときに、あなたは、当然のことであって、国防会議を作ることは何ら自衛力を増強する意味でもないのだ、当りまえのことだとおっしゃられることは、はなはだ矛盾があると思うのでありますが、御見解をもう一度確かめておきたい。
○重光国務大臣 国防会議をこしらえるということは、日本自身が判断をしてこしらえるのであります。そのことについてはアメリカ側から要請されたわけではむろんないのであります。それは自然にわかるでありましょうし、またわからせなければならぬと思ってやっておるわけでございます。
○受田委員 あなたはこういう立場にある方であることを御自身で御自覚願いたいのであります。今度の国防会議の法案では、あなたは内閣法第九条の規定によりあらかじめ指定された国務大臣と私は了承しておるのです。従ってあなたは総理大臣が、今鳩山さんがああいうおからだであるから、いつどういう事態が起るかもしれないときに総理が事故があるときはあなたが総理の職務を執行される方であることも御承知の通りだと思う。そうなるならば、あなたはいつこの国防会議の議長となり、また出動の可否を決定する最高責任者になられるかという事態が起るかもしれない立場にあることを御自覚いただくと思うのです。その意味において国防会議の最高責任者であるあなたが、おとといのこの委員会で私がころいうことをお尋ねしたところ、これに対して、はっきり速記録に出ておりまするが、船田さが敵基地を爆撃し得る場合がある、例として航空機に乗っていく場合がある、ということは二月一十七日の速記録に出ておる。その際に航空機に乗って海外に出ていき、敵の領空に入る場合は海外に兵を派すると了解してよろしいかと言ったら、その通りとはっきり答弁しておられますが、そういう海外派兵は認められておるとあなたははっきり答弁しておる。そういうあなたが今度国防会議の最高責任者になられる公算がある程度あるわけです。これははなはだ危険千万である。この国防会議そのもののこういう重大な法案を通されることは、結局はあなた方の立場をもってすれば、自衛力を増強し、平和を願っている諸外国に、日本は大東亜戦争に負けた以外には負けたことのない好戦国である、戦争を好む国であるという印象を深めるほか何ものもないと私は考えるのです。こういうことに対しまして、あなた御自身この国防会議の最高背任者となられる公算のある方でありますから、敵基地も爆撃できるという政府の見解をもってアジアの諸国家に脅威を与える心配はないかを、もう一度御答弁をお願いいたします。
○重光国務大臣 お示しの通り、国防会議につきまして、もし私が列するならば、列する者の責任の重大なことは非常に感ずるわけでございます。その通りであります。 そこで御質問に一つ一つお答えいたしますが、飛行機が海の外に行くからこれは海外に行くのではないかと言われたから、海外に行くのだと申しました。これは私は今もその通りであると考えております。しかし、海外派兵の考え方をお前は持っておるか、とこう言われることに対しては、私は海外派兵の考え方というものは、今日の日本の状態において、また法規において、そういうことは考えておらぬ、また問題になったことはない。今は日本は自衛軍備を充実することに専念をしておるので海外のことまで手が届かぬ。そんなことは日本人も考えておらぬし、米国も予期しておらぬ、こういうことを私は申し上げた。そこでその点はお答えをしたと思います。 しかし非常に大きな問題を今言われました。それは日本が過去のことなどにもかんがみて、東南アジアその他において再び侵略をするようなことの疑惑を受けぬようにしなければならぬという大きなお気持は、これは私もその通りに考えます。ぜひ一つそういう工合にやらなければならぬ、自衛権の何というか、増強は決してそういう意味のものでないということも十分に了解をしてもらわなければならぬ、こう考えております。その点は私は少しも御趣旨に反対するものではございません。
○受田委員 あなたは非常な信念を持ってアジアの国々に対する疑惑を一掃するために努めたい、外務大臣として平和外交を推進する主体になりたいというお気持があるわけです。ところがあなたが内閣法に指定される総理の職務執行者となられる公算が非常に重大なときに、必要な場合には敵の基地までも襲うていいんだという考えを持たれるような船田さんのような方が、強力に国防会議において主張した場合に、あなたは総理大臣の職務執行権をもって、船田さんのような好戦大臣を罷免することができるかどうか、この点一つ総理の職務を執行される場合には、外務大臣は総理職務執行の際において国務大臣を罷免する権限があなたにあると思うが、内閣法の第九条に指定する国務大臣として、そういう努力をしようという気持があるかどうかをお伺いいたしたい。
○重光国務大臣 自衛権の行使は私は最小限度にとどむべきである、こう常に申しております。しかし自衛権の行使をしてはならぬということは、それからは出てこないのであります。その点においておそらく、たとい国会において私を総理に御指名をいただいても、さような意味である以上は、そのことを発言された国務大臣を罷免することはできないと考えます。
○受田委員 国務大臣の罷免ができないというような弱虫の総理大臣職務執行者がおられるということは、はなはだ私は心もとないと思うのであります。決意を持ってやってもらいたい。 では次の質問者もありますのでもう一つ……。アジアの国々との平和を維持する上に非常に影響のある問題が、新たに一つ発生しておるんです。それはインドのチャンドラ・ボース、かつて終戦の翌々日台湾で航空機事故でなくなったと報道されているチャンドラ・ボースの実際のにいさんなどが、このチャンドラ・ボースのなくなった遺骸及びそのとき大量の宝石を持っておったが、日本における処理状況に非常な疑義があるというので、近く四月末に日本へ訪れてくるという。インドにおいてはチャンドラ・ボースの地位は、現在のネール首相と匹敵するほどの信頼されているこの人の、なくなった当時のてんまつを確かめに日本へ来るということでありまするが、これは目印友好関係における重大な問題として外務省は十分心得ておられるかどうか、外務大臣の御答弁を願いたい。
○重光国務大臣 十分、心得ております。参りましたならば従来のいろいろな疑惑が晴れるように、十分的確な資料を提供いたして協力をいたしたいと考えております。
○受田委員 このチャンドラ・ボースの実況その他の責任者が、日本へ訪れてこようとする目的は何であるか、これに対して外務省が入手しておられるいろいろな情報等を、あわせて御答弁を願いたいと思います。
○重光国務大臣 この調査団を派遣するということは、昨年十月末に正式に東京におられるインドの大使から私、に申し入れがございました。それはチャンドラ・ボースの最後の状況を十分に調査をしたいということでございました。それはよくわかっております。
○受田委員 いつごろ日本へ来る手続がしてあるか、そうして日本へ来てからどういうところを調べたいという要求があるか、お示し願いたい。
○重光国務大臣 日本に到着するのは五月の三、四日ごろといってきております。それから講義をするのでございますから、どういう人に会うとか、どういうところへ行きたいとかいうことは、その上で向うから申し出があるはずでございます。またその前に大使館から連絡があるはずでございますから、十分にそれはやりたいと考えております。
○受田委員 元軍人で高倉という人がすでに相当の調査をしておることを発表しておられるのでありますが、日本政府としてはチャンドラ・ボース氏一行の死亡のてんまつ及び宝石の行方等について、チャンドラ・ボースの肉身の皆さんやインドの高官たちが、こちらへ調べに来る必要はないのだというような政府筋の意見もあるようでありますが、さような事実はありませんか。
○重光国務大臣 そういう事実はありません。調査をしたいとかしたくないとかいうのは、先方の意向によって動くことになっておりますから、先方が認許したいというのでありますれば十分に資料を提出いたしたいと思います。
○受田委員 それじゃ私は質問を終ります。
○山本委員長 石橋君。
○石橋(政)委員 外務大臣は昨年わざわざアメリカにお行きになりまして、ダレスさんと胸襟を開いていろいろ話し合いをし、あるいは約束をされておられるようでございますが、その会議の内容を見ますと、ほとんどが防衛問題に尽きているのじゃないかという気がするわけでございます。そこでまず最初にお伺いいたしたいのでございますが、アメリカに行きます前に担当大臣である船田さんと十分に御連絡、御相談ができておったと考えますが、その点間違いございませんでしょうか。
○重光国務大臣 私が渡米しましたときには、まだ船田長官は閣内におられなかったと記憶いたしております。
○石橋(政)委員 船田さんと言ったのは砂田さんでございます。
○重光国務大臣 砂田長官が防衛庁長官でございました。防衛の問題については十分に打ち合せをいたしたのでございます。
○石橋(政)委員 会談の内容をわれわれは詳しくうかがい知ることができませんし、今それをあらためて重光さんからここで御報告願う時間的な余裕もないようでございます。与党の方が非常にあせっておりますので、やむを得ませんので、会談後に発表されました協同声明をもとにいたしまして、いろいろとお尋ねしてみたいと思うわけでございますが、まず第一番目にダレス国務長官と外務大臣は大規模な戦争の急迫した危険は、当分遠のいているが、国際情勢、特に極東においては不安定の要素が依然として残っており、平和の明るい見通しを維持するためには、自由世界の結束が引き続き必要であるとの見解に同意した、このように情勢を分析されておられるようでございますが、特に私お尋ねしておきたいことは、急迫した危険は当分ないようだけれども、極東においては不安定の要素が依然として残っておるというふうに両者の意見が一致されておる。そうしますと、この不安定の要素というのは、いかなるものを具体的に指摘されておられるものであるか。これは非常に防衛問題を論議する上から大切な問題でございますので、ぜひお伺いしておきたい。
○重光国務大臣 私が渡米したのは昨年の八月末でございました。そのときはちょうど第一次のゼネヴァ会議がすんだときで、非常に世界の情勢の緊張が緩和したように感ぜられておりました。しかしながらこれは表面上のことであるというのが、大体の識者の観察でございました。そこで世界的な戦争は当分避けらるようであるという観察になったわけでございますが、しかしやはり底流は非常に危険ないろいろ困難がある。極東においては台湾海峡の問題などが毎日新聞種になっておりました。さようなこともありまして、形勢は決して安定をしておるものではないということになるわけでございます。
○石橋(政)委員 当時の具体的な例として、台湾問題を一つおあげになったわけでございますが、その点で私納得いくわけでございますが、現在においては、しからば情勢の変化がありまして、極東における不安定の要素というものはないということになるかと思います。最近外相がおっしゃったような台湾問題ということも別に取りざたされてもおらないようでございます。この点情勢の変化があって、極東において不安定の要素が依然として残っておるということは、現在においてはないというふうにお考えになっておられますかどうか。
○重光国務大臣 これはそう断定はできないと思います。それでは今台湾海峡の問題が昨年のように緊張しておるか。これはやや緊張が緩和したようでございます。しかしながらそれでも台湾における国民政府の人々、またアメリカの人々等は、決してこれは安心してはならぬ状態である、かように見ております。このようなわけでありますから、一般の形勢といたしましては、緊張が続いておると見なければ触りません。ただ将来この緊張を緩和すべく努力しなければならぬ。この緊張があるという事実を認めなければ、努力の力も起りません。そこで緊張の事実は、客観的に見て、これはある、今日国際間においてまだ存在をしておるんだ、続いておるんだ、こういうふうに見ることが、私は世界の一般常識になっておる、こう思います。
○石橋(政)委員 昨年外相がアメリカに行ったころは、盛んに台湾問題というようなものが大きくクローズ・アップされておった。そういう現象をとらえて不安定の要素というふうにおっしゃったのかと思えば、やはりそうじゃない。結局そういう現象面に現われてくることが問題ではなくして、やはり重光さんなりあるいはアメリカのダレスさんなりの頭の底には、中共といったものに対する不信感というものが根強く横たわっておるのではないか。従って台湾問題というようなものは、ほんに表面上の問題であって、そういうものがあろうとなかろうと、どうしても中共あたりを信用することはできないんだ、こういう情勢分析の上に立って諸般の対策が立てられているとしか考えられないのでございますが、そのように理解してようございましょうか。
○重光国務大臣 私は中共を信ずる、信じないというような非常にばく然とした問題について考えているわけではないのでありますが、中共が信じ得るものであるかないかという厳命は、そのほかの問題として世界に相当議論のある問題であります。そして多数の人が信用を持っておらぬということも事実でございます。しかし私は中共との関係は、そういうふうはことにのみとらわれずに実際的に考えることが必要だと思っているのでございます。
○石橋(政)委員 それはちょっと私納得いたしかねるのです。昨年あなたとダレスさんがこのような声明を出されておったその当時は、台湾問題という明らかに具体的な現象があった。あったから、ああいうごたごたが起きる以上、不安定の安泰ありと判断されるあなた方のそういう判断に一応私納得できるわけなんですが、現在は少くとも現象面にそういうトラブルは現われておりません。朝鮮におきましても台湾におきましても、さして急迫したそういう具体的な問題が起きてきておらぬ。それでもなおかつあなたは当時の考えを改めようとなさっていない以上、表面上に具体的な問題が起きようと起きまいと、やはり根本に流れている一つの考えというものがあるとしか判断できないじゃございませんか。そうでないとするならば、去年は台湾問題があったから不安定の要素があると考えた。今年は何があるから不安定の要素があるというふうに、端的な御指摘がなされなくてはならないじゃないかと思いますが、いかがでございますか。
○重光国務大臣 台湾海峡の形勢は、去年よりも緩和をいたしていると私は思います。しかしながら根本的に何らこれは緩和の状況になっておりませんことも事実であります。しかしそれはそれといたしまして、国際関係は一つの現象によって判断しなければならない、そういう簡単なものじゃないと私は思う。これはすべての要素を考慮に入れて慎重に判断をしなければいかぬ。それは世界の常識として、今日まだ非常に世界の緊張が続いている、こう認めるのも、その一つ一つの現象をとらえて言うのではなくして、全体の問題としてそう世界の常識が判断しているのであります。今緊張が緩和した、緩和したと言って非常に宣伝を事としているのは、共産党方面からくる平和攻勢ばかりであります。それも一つの意味を持つことでありますけれども、その平和攻勢は一つの考え方をもってやっているのでありますから、それにとらわれるというと大へんな観測の誤まりをする、こういうことになります。私はごく客観的に国際情勢は見なければならぬと考えております。
○石橋(政)委員 私が申し上げているように、具体的に表面に事件があろうとなかろうと外務大臣の考えの奥に流れているものには変化がない。これはまた去年今年を通じての問題ではなくして、過去一貫して流れておるあなたのものの見方であろう、このように思うわけであります。もう少しさかのぼってみますと、日米安全保障条約の前文におきましてもこれと類似の表現があります。それは「無責任な軍国主義がまだ世界から駆逐されていないので、前記の状態にある日本国には危険がある。」こういう表現の仕方でございます。これもやはり同じような観念を持っておると思うのでありますが、当時この日本安全保障条約が締結されました二十七年の七月当時、一体無責任な軍国主義がいまだ世界から駆逐されていないというのはどういう状態を御指摘になっておられたのであるか。そうしてまたそのような状態がしからば現在なお続いておるとお考えになっているのであるかどうか。この点についての明快な御答弁を一つお願いしたいと思います。
○重光国務大臣 この安保条約は、そのときに安保条約ができたときの国際情勢をうたっておるのだろうと、こう考えます。またそうでなければならぬのでありますが、国際情勢が時とともに変化を見るということもこれは争われぬことでございます。しかしながら今日において先ほど申す通りに平和攻勢は一方の方からありますけれども、それは平和をもって攻勢をするという言葉によっても現われておる通りであります。緊張はまだ現存しておるわけであります。そうでありますから国際間における緊張が存在しておる間はそれに対処する方策を各国はとらなければならぬ。日本もその必要があるということは当然のことのように考えるのであります。
○石橋(政)委員 先ほどの共同声明の表現よりはこの安全保障条約の表現の方がより具体的に述べられておるわけなんです。共同声明の場合は共同になお不安定な要素があるという、こういう表現の仕方である。ところがこの安全保障条約の場合には無責任な軍国主義がいまだ世界から駆逐されていないのでと、当時のこの無責任な軍国主義というものが一体どこの国でどういう形で現存しておってどういう形で日本に影響を及ぼすというように判断されたのであるかということを、これは一つ明快に御説明願っておきたいと思うのです。われわれもこれがほんとうにこの表現の通りであるとするならばちょっと考えてみる必要もあるかと思いますので、当時の状態をつぶさに御説明願いたいということをまず第一に申し上げたわけであります。
○重光国務大臣 私が安保条約の当時において局に当っておったわけではございませんから、責任を持ってそれを解明するということは果して資格を持っておるかどうかわかりません。しかしながらこれは一九五一年でございます。戦争が済んだのが四五年、戦争が済んで五・六年後の世界の形勢はきわめて緊迫感を持った状態であったということはこれは私が御説明するまでもないことだと思います。それをここに端的に現わしているのだ、こう私は了解しておるのであります。
○石橋(政)委員 重光さんがこの条約の締結に当られた直接の責任者でないことは十分に私知っております。しかしながらこの条約はすでに死文化したものじゃございません。現在効力を持って、ばりばり効力を発揮しておるなまの現役の条約なんです。だからこれに対してあなたが正確な分析と判断とを下すのは、これは外務大臣として絶対に必要不可欠のものであろうと思う。これは同じく防衛の直接の責任を担当しておられる船田長官も同じだろうと私は思う。だから一つごまかしな上に御説明を願いたいわけですが、無責任な軍国主義がまだ世界から駆逐されていないということは、結局第二次世界大戦を起す原因を作った日独伊枢軸側・これは連合国軍は軍国主義国といって烙印を押しておった。この枢軸諸国のいわゆる軍国主義と呼ばれるものがまだ残存しておるというふうな表現の仕方なのであるか、それともそれは連合国軍の鉄槌によってすでについえ去っておるけれども、それにかわって新しき軍国主義が終戦後において頭を出してきた、それが引き続いてあるというふうな表現なのであるかどうか。その程度のことは日本とアメリカで締結されておる条約の前文にしたためられておる条文である以上、文章である以上、われわれが納得のいくような説明が当然できると思いますので、外務大臣、そして防衛庁長官の懇切なる御説明を一つお願いいたしたいと思います。
○重光国務大臣 私はこの条約は、条約締結当時の情勢において締結者がそういうふうに観測をいたしたのでございますからそれに譲っていいと思います。しかしあなたが今言われる通り、これはまだ生きておるのだから、その後情勢の変化があってもやはり同じように見るかということは私は非常な意味があると思います。その通りだと思います。私は、でありますから今日においても国際情勢というものの緊張は続いておるのだ――言葉はあるいは違った表現を用いなければならぬかもしれませんが、それは、続いておるのだこの条約というものは今日まだ効力を持ってわれわれも実行しておるわけでありますから、さように国際情勢は変化はあるけれどもまだ緊張は続いておるのだ、こう私どもは見ておるわけでございます。
○山本委員長 石橋さんにお願い申し上げますが、午後一時から本会議が定刻に開かれ、重光外務大臣の日比賠償に関する中間報告があるそうでありますから、結論をお急ぎ願います。
○石橋(政)委員 結論は急がれませんが、一応区切りをつけることはできると思います。少くとも日本が国防会議を今から作って国防の基本方針をきめよう、防衛の計画を策定しよう、こういうふうな時期に差しあたってきておるわけなんです。そこで私たちはやはりいろんな情勢を克明に分析していかなければ国をあやまるというふうに考えておる。これは国会議員としても当然の責務であるし、特に外務大臣や防衛庁長官、これは十分なる分析がなされておらなければならないと思う。特にこの日米安全保障条約というものが現在日本の防衛のかなめになっておることは御承知の通りです。しからばこの日米安全保障条約というものはどういう前提の上に締結されておるかといえば、一つには日本が裸にされておるということ、いわゆる戦後敗戦によって日本が武装を完全に解除されてまっ裸になっておるということ、そしてもう一つには、この無責任な軍国主義がいまだ世界から駆逐されておらないということ、この二つの前提条件の上に立って日本とアメリカがこういう防衛条約を結んでおるのです。だからこの二つに変化がくれば当然われわれの防衛に対する考え方、対策というものは変ってこなくちゃならぬはずです。そうでしょう。それほど大切な問題なんです。だから一つには裸になっておると申し上げました。その前提は、相当程度の水準に達する防衛体制というものが確立されておるということは、重光さんがダレスさんに説明されておる通り、裸でなくなっておる。あなたはもう去年のことでお忘れになったかもしれませんけれども、外務大臣は日本の防衛力が現在相当の水準に達したことを指摘し、日本の能力の範囲内において防衛力激増の政策が引き続き進められることについて、かたい決意を表明したと述べておられる。結局日本が敗戦によって裸にされたことは、情勢の変化がすでにあるわけです。裸でなくなって、相当高い水準の防衛体制というものが確立されておる。もう一つの無責任な軍国主義がいまだ世界から駆逐されていないのでという情勢については、しからばどういう変化があったかということをつぶさに検討することが、今後の日本の防衛体制を確立するために一番大切な要件だとあなたはお考えになりませんか。当然考えておられると思う。そこで、これを誤まりなからしめるために、十分にわれわれに判断の材料を出していただく意味において、国民に納得してもらって防衛意識をあなたたちは高めなければならぬ責任があるのでしょう、あなた方の立場が、当時はどうであった、現在はどうだということを明確に国民に説明する義務が当然あると思う。だから、当時の無責任な軍国主義がいまだ世界から駆逐されていなかったというのは、具体的にはどういうことを指摘しておったのか、そうして今はこれがどういうふうに変化しておるのかということを、一つごまかしなしに、外務大臣と防衛庁長官からここに御説明を願いたいと思う。それが明快に答弁が得られれば、一応ここで留保して、あとの質問は本会議散会後にやることに何ら差しつかえございません。
○重光国務大臣 その点は私が繰り返して申し上げておる通りでございます。今日の国際情勢は、私はそのつどの外交演説においても、その国際情勢の判断をはっきり、申し上げております。私が緊張は続いておると言うと、野党の方々は、それは間違いである、今はもう平和はすべて回復したのだから、防衛力などは要らぬじゃないかというふうな質問を私にせられる。私はそうは考えておらぬ、こう申し上げておるのでございます。戦争後四、五年のときの国際情勢、これは東南アジアの情勢もありましたし、あるいは朝鮮の戦争もございました。いろいろな関係で非常に緊張いたしておった。それを端的に安保条約の前文に表わしておるのだと私は思います。またそれは非常に危ないことでございました。今日はその当時よりも緩和はいたしておることは事実でございますが、なお十分に備えあることを必要とするのでございます。そこで、自衛力は十分やらなければいかぬ、日本もやる決意があるので、いやしくも独立国である以上は、自衛力を十分持たぬような国はほんとうの独立国じゃないのだ、われわれはあくまでも独立精神でやるのだということを、私は渡米したときに十分向うに印象づけたのであります。それは私はそういうふうに考えておるのでございます。
○石橋(政)委員 共同声明で言われておるような不安定な要素という表現であれば、Aという勢力とBという勢力があって、この間に不安定な要素がかもし出される何かが起きてくるということで、やや抽象的な表現なんだ。ところがこの日米安全保障条約の場合の表現はそういう表現ではない。そういうあいまいな表現ではない。何度も読んでおりますように、無責任な軍国主義がいまだ世界から駆逐されていないのでという明快な表現が使われておる。一体この無責任な軍国主義というものはどういうものかということを説明できないはずはないじゃないか。あなたはその当時と今と情勢の変化がないとおっしゃる。緊張緩和は、表面はともあれ底流においてなされていないと言われる。われわれはそれはそれなりに理解する、あなたの見方として理解する。しからばなおさらのこと、この無責任な軍国主義というものが世界から駆逐されておらないということは、どういうことを意味するのかということが、もっと端的に説明されていいじゃないですか。それがないとちょっと安会満保障条約の意義というものも十分に理解できませんし、今後の防衛体制確立のためのわれわれの研究にも、また十分なる材料が提供されないということになると思いますので、一つ明快に答弁して下さい。
○重光国務大臣 私は外交の責任者として、過去においてずいぶん前に締結された条約の文句について、ある特定の国はどうであるというふうに、国の名前までもあげてそれを解釈することは私としては謹慎をいたすべきことと思います。私はその当時に国際情勢が緊張をして、当時の当局はこう見たのである、こういうことで十分説明がつく、こう思います。
○石橋(政)委員 それでは船田さんの答弁も一応お聞きいたしておきましょう。
○船田国務大臣 国際情勢の見方につきましては、しばしば申し上げておりますように、総理大臣及び外務大臣が本会員、各委員会等において申し述べられておりますことを私はその通りと考えます。従いまして今日全く手放しで何ら自行力を持たずにいいという国際情勢になっておらぬということを私は言うのでありまして、自衛力は必要である、かように考えております。
○山本委員長 暫時休憩いたします。 午後零時五十六分休憩 ――――◇――――― 午後三時三十九分会議
○山本委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。 国防会議の構成等に関する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。石橋君。
○石橋(政)委員 午前中に引き続きまして、重光外務大臣にお尋ねしたいところでございますが、参議院の方に出ておられるということでございますので、その点は一応留保いたしまして、昨日来懸案になっております、行政協定二十四条の解釈を中心にいたしましたいろいろの問題について、般田長官にお尋ねをいたしたいと思います。 行政協定の三十四条の解釈につきまして、もし外国の敵対行為が行われました場合に、日本の自衛隊は一体どうするのか、日本に駐留いたしております米軍との関係はどういうことになるのかということが問題点でございますが長官は、外国の敵対行為があった場合には、まず最初に米軍と協議するんだ、そのあとに共同措置をとるのだということを再三繰り返しておっしゃっておるわけでございますけれども、この条文の解釈からいきまして、どうしても私そのようにとれないわけであります。皆さん方にもよく理解していただく意味で読んでみたいと思うのでございますが、行政協定の二十四条によりますと、「日本区域において敵対行為又は敵対行為の急迫した脅威が生じた場合には、日本国政府及び合衆国政府は、日本区域の防衛のため必要な共同措置を執り、且つ、安全保障条約第一条の目的を遂行するため、直ちに協議しなければならない。」となっております。結局共同措置をとるということがまず最初に打ち出されてきておる。そうしてそのあとに直ちに協議しなければならないということが続いておる。そうしますと、この文脈から推してみましても、共同措置をとるということが先であって、そうしてその後に協議をするという形が続くというふうにわれわれは理解するわけなんです。もう一歩護って考えたとしましても、同時にこれをやる――片一方では直ちに手を打って、そうして片一方では協議をするという並列の形で行われるというふうにしか解釈できないと、私たち思うわけなんです。事実敵対行為あるいはまたよく使われます急迫不正の侵害があったというふうな場合に、確かにその方が筋が通るような気がするわけなんです。どっと敵が来た、協議をするということよりも、やはり手を打つということが先になるような気がするわけなんです。そうして協議ということがその後に行われるか、並列して行われるということの方が筋が通る。われわれの解釈の方が正しいと思うのでございますが、昨晩からいろいろ御研究なさったことと思いますので、一つそこのところを納得のいくように御説明をお願いいたしたいと思います。
○船田国務大臣 ただいま石橋委員の御質問になられた点につきましては、従来本委員会その他の機会におきまして、私及びその他の政府責任者からも答弁申し上げておることでございますが、ここにもう二度繰り返してはっきり申し上げておきたいと存じます。 日本の区域に攻撃が加えられた、すなわち侵略が起った、こういう場合におきましては、行政協定二十四条の規定によりまして、いかなる共同措置をとるか、またそれによりまして、安保条約第一条の目的を達成するためにいかなる処置をしなければならぬかということにつきまして、日本政府とアメリカ政府との間において直ちに協議をしなければならぬことになっております。その協議の結果、日本といたしましては、日本の自衛隊は軍法及び国内法規に従いまして、この侵略に対し、攻撃に対し、最も有効適切なる手段を講ずる、こういうことになると存じます。さような場合におきましては、同時に国連に提訴をするというようなことももちろん行われることと存ずるのでございまして、行政協定二十四条の解釈におきましては、ただいま石橋委員が仰せられたように、共同の措置をまずとり、しかる後に協議をするのでなくして、いかなる共同措置をとるか、安保条約第一条の目的を達成するためにいかにするかということを、日本政府とアメリカ政府との間においてます協議をする、こういうことになるのでございまして、そういうような二十四条の解釈を政府はいたしておるわけでございます。
○石橋(政)委員 自説を変えておられないようでございますが、この条文を正しく読みこなす場合に、あなたがおっしゃっておるような解釈は私出てこないと思う。どう考えても出てこないのではないか。そういう意味ならば、まず協議をして、その後共同措置をとるというふうになぜ一般の、だれでも日本人ならわかるような文体でここに掲げられていないのか、その点に大きな疑問を持つわけなんです。これがこじつけでないということのために、私先ほど申し上げた、敵対行為のおそれのある場合、敵対行為の急迫した脅威が生じた場合こういう場合には、ゆっくり協議をし、相決する余裕がございましょう。しかしその前の方の敵対行為があった場合、果してゆっくりと相談しておるひまがあるわけでございましょうか。その点いかがでございましょう。
○船田国務大臣 この二十四条には、協議をしなければならないとあるのでありまして、まず協議をする。日本区域におきましてただいまご指摘のような侵略が起りましたときには、日本政府とアメリカ政府との間において協議をするということがまず第一にやらなければならぬことになっておるわけでございます。
○石橋(政)委員 どうしても私納得いきません。文章の方からいきましても、実際の面からいきましても、納得いかない。文章の方も先ほどから言っておるように、必要な共同措置をとり、かつ協議しなければならないとなっておるし、実際面におきましても、そんなゆっくり相談しておるような、協議をしておるようなゆとりというものはないのではないか。少くとも急迫した状態でこういうことが起きてくるのではないか。その場合に協議をする、協議がととのわなければ実際行動には移さないのだということでは、ちょっと納得いかないわけです。現に安全保障条約の第一条の方を読んでみますと、日本の国内に騒乱が起きた、いわば間接侵略というようなものが発生した場合には、日本政府の明示の要請に基いて米軍は動くことになっております。ところが直接侵略の形で日本が脅威にさらされた場合には、日本政府の明示の需要というものは必要としないような形になってきておる。そうしますと、敵が日本の安全を脅かしてきた、そのときは直ちに米軍はこの安全保障条約によって立ち上るわけでございましょう。その点いかがですか。
○船田国務大臣 この二十四条は、ただいまご指摘のように、日本の区域にな侵略が行われた、攻撃が加えられた、こういうときのことを規定しておるのでありまして、そのときに日本政府とアメリカ政府との間において、いかなる共同措置をとるかということについて協議をするのでございます。この文章をごらん下されましても、これがもし石橋委員のようなことで、まず共同措置をとって、それから協議をするということであるならば、この書き方は、おそらく法制局で使う文例から申しましても、「必要な共同措置を執り」というところで点を打たないで、もし打つといたしますれば、その次に「及び」という字を使っておるのが普通の文例でございます。この文章をごらんになればおわかりの通りに、「必要な共同措置を執り、且つ、」というところでまた点を打っております。そうして「安全保障条約第一条の目的を遂行するため、」こうあるのでございますから、「直ちに協議しなければならない。」ということは、その二つのことを含んでそれを協議する、こういうことに解釈するのが私は正当であると思う。これはなるほど日本文でそういうふうに句読点を置いてお読みになれば、あるいはそういう御疑念があるかもしれませんけれども、今までの文章の文例から申しまして、それはきわめて明瞭であると私は思います。
○石橋(政)委員 二十四条につきましては、私も自説を変えるものではございません。そういうおかしな日本語は――もしそういう意味に使われておるとすれば、これは不満です。少くともだれでもとれるような形に書き換えるべきだと私は思う。しかしあなたはそれあくまで強弁されるし、私も自説を譲らない。それでこの点では一応争いを保留して、私は問題を安全保障条約第一条に移しているわけです。安全保障条約の第一条によれば、間接侵略が行われた場合には、日本政府が何とかして下さい、助けて下さいと言わない限り、米駐留軍は動かない。しかし直接侵略という形のもの、結局外部から日本が安全を脅かされたというような状態の場合には、別に日本政府の明示の要請を必要としないで、直ちに駐留軍は発動することができるというふうになっておるように思うのですが、その点いかがでしょうか。
○船田国務大臣 それがすなわち二十四条によりまして、いかなる共同措置をとるか、安全保障条約第一条によって日本の区域の防衛についていかにするかということについて、日本政府とアメリカ政府との間に協議をしなければならぬ、こういうことになっておるのでありまして、いかなる場合におきましても協議ということが先でございます。
○石橋(政)委員 そうなんです。そこで私が疑問をますます深めると言っているわけなんです。それで今の第1条の条文だけに戻って、明快な御答弁をお願いしたいと思うのです。この第一条の条文、これも皆さん方の参考のために読み上げてもいいのですが、「この軍隊は、」――軍隊というのは日本におけるアメリカの駐留軍です。「この軍隊は、極東における国際の平和と安全の維持に寄与し、並びに、一又は二以上の外部の国による教唆又は干渉によって引き起された日本国における大規模の内乱及び騒じょうを鎮圧するため日本国政府の明示の要請に応じて与えられる援助を含めて、外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために使用することができる。」と書いてあります。この条文を私すなおに読みますと、間接侵略、すなわち一または二以上の外国の煽動、その干渉によって、いわゆる内乱、騒擾というものが起きたときには、日本政府が米駐留軍に何とかして下さいと明示の要請を行う、その結果駐留軍は始めて動くという形が打ち出されておると思うのです。ところが直接侵略の場合には、そのまま動けるような条文になっておるじゃございませんか。だから私はこれを受けてできる二十四条も、協議よりも先に共同措置というようなことがいくのじゃないかという気がしてしょうがないわけなんです。そこで第一条の解釈、これだけで一つ御説明を願いたい。私が読んでおる通りでございますかどうか。
○船田国務大臣 条文をお読み上げになりましたが、それはその通りでございます。安全条約の第一条につきましては、今お読み上げになった通りでございます。
○石橋(政)委員 それでややはっきりしてきたと思うのです。日米安全保障条約の第一条によりますと、間接侵略の場合には、日本政府が結局要請という形、これは協議という形が伴うかどうかは別といたしまして、何しろ日本政府が頼まなければ米軍は動かない。しかし直接侵略があった場合には、別に日本政府が助けてくれと言わなくても、米軍はさっと行動を移す。そうでしょう。もう行動をとっているのですよ。そこへ持ってきて、協議の方が先だというのは、ちょっとふに落ちないような気がするわけですが、いかがでしょう。
○船田国務大臣 それが二十四条の問題でございまして、日本区域において侵略が行われたとしいう場合においては、いかなる共同措置をとるか、安保条約第一条の目的をいかにして達成するかということにつきまして、日本政府とアメリカ政府との間に直ちに協議をしなければならぬ、こういう規定があるわけでございます。
○石橋(政)委員 そうしますと、外部から侵略行為があった場合には、結局日本政府との相談が成立しない限り、自衛隊が動かないのはもちろんのこと、米軍も動かないというようなことになるわけでございますか。
○船田国務大臣 いかなる場合におきましても、侵略が行われたときには、協議を先にしなければならぬということになるわけでございます。
○石橋(政)委員 それでは、なぜ間接侵略の場合だけ、日本政府の明示の要請に基くとして、直接侵略の場合には、その点について何ら触れないというような形をわざわざとられたわけでございましょうか。ちょっと成文上私おかしいような気がするわけですが、その点何か別に意味でもあるのですか。
○船田国務大臣 直接侵略の場合においては、日本の区域において一または二以上のよその勢力がそこに攻撃を加えてくる、こういうことでございます。しかし間接侵略の場合におきましては今お読み上げになったような情勢のもとにおきまして、そしてそれが日本の、いわゆる内乱として起ってくるのでありまして、従ってその判断につきましては、日本政府がそれを判断いたしまして、これはどうしてもアメリカの協力を得なければならぬ、こういう必要を感じたときにアメリカ政府に要望する、こういうことになるのでありますから、そこに直接侵略の場合と間接侵略の場合と響き分けているのは当然であると私は存じます。石橋(政)委員 それでは、私が盛んに主張しておりますように、この条文だけ読んでおりますと、直ちに行動に移せる共同措置がとれるというふうに解釈できるおそれもあるわけなんです。これが絶対にないという保証はどういう形でなされているか、それではその点を一つ最後にお尋ねいたしておきましよう。
○船田国務大臣 これはアメリカ政府の持っております成文によりますと、その点はきわめて明瞭になっているのでございます。英文の方を見ますれば、今御懸念のような点は全然なくなっております。
○石橋(政)委員 これが安全保障条約のように、少くともわれわれが反対しようとどうあろうとも、一応形式的に国会の承認を得た条約の形であるならば、まだ私はいいと思います。しかし行政協定です。わざわざ行政協定に問題を移している。ここに一つは問題がある。それからもう一つは、英文の方が間違いないように書いてあるからとおっしゃいますけれども、御承知の通りこの行政協定は、日本語も英語もともに成文として扱われているわけです。そうしますと絶対的な保証にはならないと私は思う。それは向うさんの方のことであって、われわれの側では国会で承認をしておらないし、文体自体はこういうあいまいになっているということでは、私はこれは保証にならないと思う。あなたがずっと防衛庁長官であり、鳩山さんがずっと内閣総理大臣であり、そして絶対にやらないとここで答弁され、そういう事態がずっと続くならまだともかくとして、そういうことばかりは言えないわけですから、私は、英文の方が間違いのない文章になっておるからということでは、ちょっと承認しかねるわけでございますけれども、この点もう少し安心のいくように、何か証拠をあげて、根拠をあげて保障していただくわけにはいかぬでしょうか。
○船田国務大臣 この二十四条の読み方につきまして、今石橋委員は非常に私どもの読み上げておりまする、また解釈をいたしておりまするものと違った解釈をとっておられるのでありますが、そこに私は間違いがあると思います。この文章の書き方は、法制局で使っておりまする用語例からもうしますると、くどいようでございますが、もう一度申し上げますと、「日本区域の防衛のため必要な共同措置を執り、且つ、安全保障条約第一条の目的を遂行するため、直ちに協議しなければならない。」というのでありまして、協議しなければならぬ事項がここに二つ重なっておるわけでございます。もしこれを石橋委員のおっしゃられるような解釈をするといたしますれば、この文章を「安全保障条約第一条の目的を遂行するため、」その上に「且つ」がありますが、その「且つ」という字を「及び」とかえたならば、それは石橋委員のおっしゃられるような解釈になると思うのです。これは法制局の用語例といたしましてこういう言葉を使っております。日本語というものは大体において少しあいまいなように見えるところがありますけれども、しかしこの文章は他の法律の文章や何かと比較いたしまして、石橋委員のおっしゃられるように解釈するということの方が私は無理だと思います。
○飛鳥田委員 関連して。今法制局の用語例ということを盛んに強調されますが、法制局の用語例というのは日本国民全体に納得をされたものではありません。少くとも日本人が通常使う日本語の用例が標準にならなければならないはずです。もしそうだとするならばこまかいことですが、「日本区域の防衛のため必要な共同措置を執り、」というところに点があるべきではないと思うのです。そこに点がある以上は、ここで文章は一段落をとっている、こう考えないわけにいかないと思います。もし船田さんのような解釈をするならば「共同措置を執り、」というところの点を除いて、「且つ」と言って「且つ」の下に点があるべきだこういうことになると私は思うのであります。さらにもう一つの疑問は、それならば何も「共同措置を執り、」という言葉を特にあげる必要はない。「その安全保障条約第一条の目的を遂行するため、直ちに協議しなければならない。」と書けばよろしいのであって、共同措置をとることそれ自体は、その安全保障条約第一条の目的の中に含まれているはずです。従ってあなたのおっしゃるような解釈をすると、内容的に同じものが二つ並んでいく、こういう問題が出て参りますし、日本語の用語例から言っても、あなたのおっしゃる解釈は正しくない、むしろ石橋君のように解釈をされるべきだと思いますが、この点いかがでしょうか。
○船田国務大臣 それは普通の日本語としてお読みになったときに、これは明々白々であるとまでは私は断言できませんけれども、今までの用語例及びこの文章をごらん下されば、今お読みになった「日本区域の防衛のため必要な共同措置を執り、」で点が打ってあります。またその下の「且つ、」というところにも打ってありますが、同時に「その安全保障条約第一条の目的を遂行するため」とあるそこにもまた点が打ってある。これは要するに、この日本区域の防衛のため必要な共同措置をとり、その安全保障条約第一条の目的を遂行するために、協議をしなければならぬ、こういう趣旨でございます。しかもこの解釈につきまして政府が責任を持って申し上げておるのでございまして、日米で共同の措置を先にとって、それから協議をするものでないということは、ここに明言してはばからないというのでございますから、それを御信用下さるようにお願いいたしたいと思います。
○石橋(政)委員 それでは問題を次の疑問点に移したいと思います。それはきのうから問題になっておるわけでございますが、自衛隊法第七十六条の防衛出動に関連してでございます。国会の承認ということが常に問題になっておるわけです。結局自衛隊を出動させるというような、重大な問題については、国会の承認を必要とするのであるから、これは誤まりないんだ、一応乱用される懸念はないんだということが再三繰り返されておるわけでございますけれども、この条文を読んでみました場合に、「外部からの武力攻撃のおそれのある場合」こういう場合には確かに国会の承認を得ることは易々たるものであろうと私は考える。しかし実際に外部からの武力攻撃があった場合に私は果して国会の承認を得るいとまがあるものであるかどうかという点に多大の危惧を持っております。少くとも日本の自衛隊が自衛権の発動という形で動き出す場合には、これは急迫不正の侵害があったという場合に限ると私は了解いたしております。そういう急迫した形の中で必ず国会の承認を得るいとまがあるという確信をあなたはお持ちになられるかどうか私はこの点も国家のために非常に心配でございますので、あらためてお尋ねをいたしておきたいと思います。
○船田国務大臣 この問題につきましても、先般来政府としては責任を持って答弁申し上げておりますようにどこまでも原則に従ってやって参るようにいたしたいと考えております。すなわち国会の承認を得るというこの原則をどこまでも守っていくということにいたしたいと思います。
○石橋(政)委員 原則を守っていかれるという心がまえは、これは絶対に必要なんです。しかし実際問題として、そのいとまがあるだろうか。私は常にただし書きが適用されるような気がしてしょうがない。おそれのある場合には、それは国会の承認を必ず得られるかもしれないけれども、実際に武力攻撃を受けた場合に、国会の承認を得るんだとあなたはおっしゃるけれども、心がまえとしてそういうことを言われるのは当然であります。しかし実際問題として何か一まつの不安をぬぐい去ることが私としてはできないわけでございます。特にもし今後戦争状態というふうなものが発生する場合には、これはゆっくりとそういう相談事をやっているようないとまがあるというふうには私としては考えられない。そこでお尋ねしたわけでございますが、この点についても御心配がないということでございます。 それではもう一つ、八十八条との関連についてお尋ねをしておきたいと思うのでございます。八十八条の防衛出動時の武力行使、これは七十六条の防衛出動が行われて、その防衛出動したあとの自衛隊の武力行使について規定しているわけでございますが、結局、おそれがあるからといって、国会の承認を得て、出ていった自衛隊でも、この武力行使は必然的にできることになると思うのですが、この点間違いないでしょうか。
○船田国務大臣 防衛出動は、武力攻撃のおそれある場合にも命ずることができることは、今御指摘の通りでございます。しかし現実の武力行使は、現実の武力攻撃に対して行うものでございます。現実の武力攻撃がなければ武力行使はいたしません。
○石橋(政)委員 それはわかります。国会に承認を得るそのときに、現実に武力行使があったという場合には、これは何はともあれ承認を得られる可能性はうんと私は大きいと思います。しかし武力攻撃のおそれのある場合というのでは、非常に判断に苦しむ。なぜかというと、往々にしてわれわれはもちろん、国民も正当な判断を下し得ないような状況を作って、樺太に空挺隊が集結しているのだとか、いろいろなことが言われましょう。しかし国会議員といえども、特に一般国民としては、そういう政府からの説明による情勢というものを把握できない立場にある。しかしながら政府が武力攻撃のおそれがあるからといって、出動を承認してくれといってきたときに、やむを得ないといって承認をした。ところが出かけていった自衛隊は、向うから武力行使があったからということで、武力行使をやることが実際はできる。しかし国民ははっきりそれを見ておるわけにはいかぬわけであります。国会にいたしましても、許してしまっておる。自衛隊は武力行使があったからといってやっている。戦争行為を始めた。そのとき直ちにほんとうに向うから武力行使があったかどうかという判断はできません。後日は正当な判断を下すことができるかもしれませんが、少くともそのときには判断を下すことはできない。現にここに過去の軍人さんで専門家がおられますけれども、満洲事変以来そういう例は多々あったと、私は思う。少くともそういうおそれのあるこういう条文では、私非常に不信感をぬぐい去ることができないわけでございますが、その点の保障はどういうような形で与えられておりますか。
○船田国務大臣 ただいま御懸念のような点は、終戦前でございましたならばあるいはあるかもしれませんが、この民主化された今日におきまして、さような問題は起らないと存じます。すなわち政府はいわゆる自衛の名にかりて戦争をするとか、あるいは海外派兵をするとか、あるいは予防戦争をするとかいうようなことは全く考えておりません。従いまして防衛出動につきましては、七十六条及び武力の行使につきましては八十八条という規定がございまして、その規定の原則に従って、やむを得ない場合に自衛権を行使するのでございますから、ただいま御懸念のような点は全くないと存じます。
○石橋(政)委員 この間保科委員の御発言の中でもあったと思うのです。シビル・コントロールというのは、何も防衛庁長官を文民にしたり、あるいは内局をみんな文官にしたりすることだけじゃない。あなたは日本は民主主義の国になったのだから、そういう懸念はないという非常に安易なことを言っておられますけれども、懸念がないということだけで事を済ましておる。そこに私は油断ができると思う。少くともそういうすきが絶対に起きないような手が十分尽くされておって、初めてそれだけのたんかが切れると私は思う。しかしそういうことをやろうと思えばできるじゃありませんか。現にささいなことのようでございますけれども、私ずいぶん前に、二月でしたか大村の海上自衛隊の航空基地設定の問題について、制服どもがどういう暴言を吐いておるかということを、一例をあげて申し上げたはずです。少くともこの防衛庁で作られた計画というものと異なった説明を、現地において制服がやっておる。それで私は内閣委員会の速記録を送ってやって、絶対に心配いらない。大臣が国会の委員会でこういうふうに答弁をしておるのだから、これを信頼してよろしいといって、市会にもそれから利害関係者にも私は通知してやった。ところが制服は何と言ったと思いますか。飛行機のことは飛行機乗り以外にわかるもんですか。大臣や局長が何と言ったって、制服が一番よく知っておりますよ、ということを大言壮語しておる。これはほんのささいな問題かもしれないけれども、こういう考えが発展してそうして将来において過去のあやまちを再び犯すおそれも出てくる。あなたはそのときにもそういうことがあるかどうか調べて御報告しますと言ったきり、まだ報告がないのですけれども、実際に国会で大臣と北島経理局長が説明されたことと全く違う説明が地元においてなされたということは、新聞の報道でもはっきりしておりますし、私最近帰って関係者に聞いたところでもはっきりしておるのです。これは片意地はって虚勢として言ったかもしれません。自分が言ったことを正当化するために虚勢を張って言ったかもしれないけれども、かりに一般国民大衆に説明する際にそういう重大な発言をしておる制服がおるということ、このような考え方が発展していって国を誤まらしめることになる。だからそういうことを絶対にさせないように、法律的にも機構の面でも十分な手が打たれなくちゃならないと思う。国防会議の設置もこの精神にのっとって私は作られなくちゃならないのだ、このように考えておるのです。あなたは心配がいらないとおっしゃるけれども、そういう心配がないというような安易な気持を持たれる前に、そういうおそれもあるとすれど、そういうおそれの全然ないように、何とか法律上にも機構の上にも改めていくべき点は改めなければならぬ、そういうことこそ私は望ましいのです。私はそういう意味でお尋ねをしておりますので、再度お答えを願います。
○船田国務大臣 今御懸念のようなことがないようにするために、防衛出動につきましても国家の最高機関である国会の承認を得るということが書いてあるわけでございまして、政治優先ということはどこまでも守っていかなければならぬし、守り得る機構になっておるわけでございます。
○山本委員長 石橋君、外務大臣が見えましたから、外務大臣に対する御質疑を願います。なお、質問者にお願いをいたしますが、外務大臣は農林水産委員会と外務委員会との合同審査会に出席中を無理に三十分ほどの出席を願っておりますので、時間に制約がありますから、質問はどうぞ簡潔にお願いを申し上げます。
○石橋(政)委員 あっち飛びこっち飛びなかなかむずかしいのでございますが、それでは外務大臣に質問を継続いたしたいと思います。午前中にもお尋ねしたのでございますが、まだ最終的な御答弁が得られなかったので、ちょっと復習の意味も兼ねてその点軽くお尋ねしておきたいと思います。船田長官は日本の国防基本方針というものをこの間の委員会において御説明になりました。結局国力、国情に応じて最小限度の自衛体制を整備することだ、その体制一が確立するまでは日米共同の自衛体制を固めていく、こういう御説明がございました。これは現在の鳩山内閣の政府の国防基本方針として一応了解するわけでございますが、しからばこの自衛体刑がいつになったら整備されるのか、アメリカとの共同体制がいつまで続くのかということは、やはり十分にわれわれとしても知っておきたいというふうに考えるわけでございますけれどもこの日米共同の防衛体制というものは、何度も申しておりますように、日米安全保障条約によってなされておるわけであります。ところがこの日米安全保障条約というものは、一つには日本が敗戦によって武装を解除された、まっ裸にされたということの条件の上に立って締結されておる。それからもう一つは、無責任な軍国主義がまだ世界から駆逐されないという情勢下において締結されておる。この二つの前提条件の上に立って、今の安全保障条約というものが締結されておるわけなんです。従ってこの二つの条件に異同があれば、当然この安保条約にも異同を生じてくるのが、私正しいのじゃないかというように考えて御質問をいたしたわけです。ところが裸になった武装を解除されたという点につきましては、外務大臣がはっきりと共同声明の中でお認めになっておる。これは午前中にも申し上げましたように日本の防衛力が現在相当の水準に達したことを指摘し、日本の能力の範囲内において防衛力激増の政策が引き続き進められることについて、かたい決意を表明した、これは重光外務大臣がダレスさんにおそらくかたい決意を表明したということなんでしょう。はっきりともう完全な裸の状態にはないということは、あなたもお認めになっておられる。そこで片一方の、結局無責任な軍国主義が世界から駆逐されたかどうかという点について、ここでお伺いしておかなくちゃならないと思って午前中お尋ねしたわけでございますけれども、明快な答弁が得られなかった。しかし少くともあなた方は防衛力漸増じゃなしに――この外務省仮訳の言葉をかりるならば、防衛力激増の政策と書いてある。こういう防衛力漸増の政策を必要とする理由を克明に日本国民に説明してこそ、初めて自衛意識、防衛意識というものも向上すると私は思う。そうしますと、国際情勢というものが十分に国会を通じ国民に対して説明されなくちゃならないと思いますが、果して現在なお安保条約が締結されたときと同じような無責任な軍国主義がまだ現存しておるというふうにお考えになるかどうか、一つ明快なる答弁をお願いいたします。
○重光国務大臣 国防の根底についての御質問でございました。御質問のうちにありました点を拝借して、私はお答えします。 それは二つの点でございます。私が渡米したときにも米側に対して、日本の防衛は相当進んでおる――言葉はあるいはあなたの方がお持ちでしょうが、進んでおる、しかしなお一層努力をしよう、こういうふうに申した。それで日本の防衛力も相当進んでおるから、もうそれでいいじゃないか、これは簡単に申し上げれば、私は外国に向って、日本の防衛力がまだ全然裸だというような気持はございません。外国に対しては、われわれも相当やっておるのだ、こういうことは言わなければならぬと思って言っておるのでございます。しかしながら、日本の防衛が十分でないということも言っておりますし、それは今日はっきりしておるのでありますから、十分にしなければならぬ。そこで御指摘の第一の要素がまだ備わっていない、こういうことに相なります。日本の独立を完成してわれわれが十分に独立国家としてやるということは、当然やらなければならぬことだと考えます。 それから第二の点は、これは国際関係です。国際関係が全然国防の必要のないような事態になれば、その第二の要素はなくなるわけであります。しかし国防はどうしても十分にしなければならぬ、安保条約も作らなければならぬという状況がそのときにあったのでありまして、その国際関係の緊張した状態を安保条約の前文で表わしておると私は思います。国際関係の緊張はその後どうであったかというと、国際関係の変化はございました。しかし度合いは違いましょうけれども、今日なお緊張は存しておるということは、午前中に御説明した通りに私は考えております。従いまして、御指摘の第二の理由も今日解消いたしておらぬ、こういうことに私は判断をしておるのであります。
○石橋(政)委員 午前中にこの日米共同声明が発せられました昨年の八月末から九月一日にかけてこのときの情勢は一応お伺いしたわけなんです。そうしてまたそのときの情勢は、この共同声明によりますと、極東地域において不安定の要素が依然として残っておるというふうな表現が使われておる。これは具体的にはどういうことをおさしになったのですかという私の質問に対して、台湾問題その他若干トラブルがあった、これをさしておるのだという御説明がございました。私それを了承したわけなんです。確かにあの当時台湾問題などが盛んに新聞紙上にも報道されておりましたし、何かしらあわただしい空気があの辺にみなぎっておったということを私は認めておるわけなんです。ところがこの不安定の要素が依然として残っておったという程度の表現でないものが安保条約に使われておる。安保条約の方はもう少し具体的な表現が使われておるわけなんです。この共同声明と同じようなことであればそうまで私ここでお伺いする必要はないかもしれませんけれども、何度も申し上げるように「無責任な軍国主義がまだ世界から駆逐されていないので、」とはっきり明快に情勢を分析されておるのです。そこで私は、この際責任な軍国主義とはいかなる勢力であるかということをどうしても知りたい。あなたは当時安保条約を作った直接の責任者じゃありません。しかし安保条約という条約が現存して、なまのままぴちぴちと生きておるりっぱな条約である以上、当面の責任者としてあなたは当時の状況を明確につかんでおられる必要があるのではないかと思う。この無責任な軍国主義というものは一体何だろうか。第二次世界大戦後われわれが一般に軍国主義という言葉を品にする場合には、結局第二次世界大戦の際の枢軸側をさしておる。日独伊これを軍国主義という言葉で表現しておったと思う。そこで無責任な軍国主義がいまだ世界から駆逐されておらないということは、こういう枢軸諸国のいわゆる残存勢力をさして言ったのだろうか、それとも終戦後新たに興ってきたそれとは別なものをさしておるのだろうか、当時の情勢はどうなんだろうか。私どうしてもここで明快に御答弁願いたい。これはあまりにも明快に書いてある。あなたが避けようとどうであろうと、日本が現に拘束を受けておる条約の前又に明らかに「無責任な軍国主義がまだ世界から駆逐されていないので、」とある以上、これがどういう情勢であったのだということを今ここで御説明なさること、いわゆる安保条約締結の前提条件となった当時の情勢を御説明になることは私当該責任者として当然外務大臣の義務ではなかろうかと思ってお伺いしておるわけでございますので、一つ再度御答弁願いたいと思います。どうしても御答弁にならないとするならば、結局こういったものが現にある、そうしてまたこれはどこの国だということをはっきり言えるのだけれども、まあ諸般の情勢から言わないというのか、それとも全く情勢が変化してこういうものがなくなったというのか、そのどちらであるかということ、これだけは一つ説明していただきたいと思います。
○重光国務大臣 今日、数年前に締結せられた条約の前文にこうあるから――無責任な軍国主義を持っておる国とありますかどうか、それがどの国であるということを言うのは私は当をていないと先ほど申し上げました。(「言えないのか」「無責任な協定じゃないか」と呼び、その他発言する者あり)そんなことは、今の協定じゃない。しかしながらその協定をこしらえたときにおいてそういう情勢があったと思って、その見解のもとにこの協定ができておったのである、すなわちそれがために国際的に緊張があって安保条約をこしらえる必要があったのだ、こう当事者が見た言葉に疑いを入れる余地がない、こう申し上げておきました。しかしそのときにどういう状態があったか、これは年代によって一々どういう事変があったということを申し上げてもよろしゅうございますが、たとえば東アにおきましては朝鮮の問題もあった。それから東南アジア方面において非常な戦争が行われておった、それから仏印方面の状態もあったのでございます。それが条約の表現によって無責任なる軍国的な勢力があった、こう表現をされたわけでありますから、それを認めていい、こう考えます。
○石橋(政)委員 それでは今の問題についての結論的な質問をいたしたいと思うわけですが、結局無責任な軍国主義というものがあるにもかかわらず、これに対応する日本は何らの備えも持たないから日米安全保障条約を結ぶ、こういうことであったわけですね。これは前段に明らかにうたわれておる。結局締結の前提条件というものになっておって、国民に安保条約締結の必要性を説明する上にも非常に大切な要素になっておると思うのです。ところがこの条件が現在においてはやや進行して、大臣のお話ですと情勢の面ではそう移動はない、表面的には平和攻勢だ何だあるいは台湾問題にしても朝鮮問題にしても表面から姿を没しておるけれども、底流をなしているものについては当時と今とはそう変りがないというふうに考える。しかしこれに対する備えの面を見ると日本も当時のような無抵抗の状態ではない、相当水準の防衛力を持つ段階にきておる、こういうふうに解釈してようございますか。
○重光国務大臣 私の説明は私の言葉によって察していただきたいです。私はまだ緊張は存在しておる、そうして日本の防衛力も十分でない、こう申し上げたのでございます。
○石橋(政)委員 十分でないということはわかりました。しかしこの安保条約を作った当時、これは武装が解除されておる無抵抗の状態であったが、今はそうじゃない、相当程度の水準まで達しておることは事実だ、それが完全なものでないにしても相当程度の水準に達しておることは、あなたは共同声明でもお認めになっているわけですからその点については間違いございませんね。
○重光国務大臣 私はお話の通りに考えております。その後日本も非常に努力をいたしましてある程度のところまできておりますけれども、まだはなはだ不満足な状態である、こう申し上げておるのでございます。
○石橋(政)委員 そこで問題を移しますが、あなたが相当程度の水準に達した、しかし完全じゃないという相当程度の防衛力というものは一体どの程度のものか。結局ダレスさんに対して外務大臣は日本の防衛当局によって最近策定された防衛増強に関する計画を説明したとありますがそのあなたが判断を下してダレスさんに御説明になったときの防衛計画というものはどの程度のものであったわけでございましょうか。その点御説明願います。
○重光国務大臣 その問題は私はほかの委員会でたびたび説明をいたしましたが、本委員会でももう御説明をいたしたと思います。私は米国に参りまして、安保条約は非常に重要でございますので、どうしても米国との関係を十分な了解のもとに置くということが必要でございます。それに対しましては日本の国防当局も十分考えておる。その計画というのは、そのときの船田長官の意見を聞きまして、大体今の大まかなことは地上兵力十八万でございまましたか、そういうようなことも考えておるのだ。そこで大いにやるつもりであるからアメリカも日本に十分信頼をされるべきだ、日本に十分まかしていいじゃないかというような意味で私は話をいたしたのでございます。それは日本の防衛の決意を述べるためにそれを言ったのでございます。
○石橋(政)委員 単に決意を述べるという程度のものではなくて、やはり外務大臣の腹にはもう少し先の見通しがあったように、この共同声明から判断するわけなんです。それは何かと申しますと、船田長官が御説明になりました国防の基本方針の第一段階から第二段階への切りかえ、結局アメリカの援助を受ける段階を第一段階といたします。アメリカとの共同防衛ということを第一段階として第二段階を自主防衛ということにいたしますならば、この第一段階から第二段階への切りかえというものに伴って、安保条約そのものもこの切りかえに対応する形に改訂しょうという意図がやはりあったものと解釈するわけです。共同声明を読んでみましてもそういうふうに解釈できるわけですが、その点いかがでございましょう。
○重光国務大臣 これも私はもうずいぶん御説明申しました通りに、安保条約などは実は改訂したいと私は申しておる。それはしかし今のことではございません。先ほどあなたの指摘されたような二つの条件がだんだん満たされてきたときに、もう必要がないというときになったら改訂してもよかろうかと考えます。しかしそこに行くのには日本自体の自衛体制というものを十分固めていくだけの決意があってしかるべきだと思います。またその用意がなければなりません。用意があるがそれはいつどこまでいくかということは自分は言えぬけれども、その決意を十分持って進んでおるのだという意味で、そこに表示されておるのでございます。
○石橋(政)委員 これは当時非常に問題になりました海外派兵の問題ともからんでくるわけですが、その点時間もございませんから私触れることは避けたいと思います。結局外務大臣は、日本が自主防衛を確立するということが西太平洋の安全に寄与することになるのだというふうな弁明をされておったようでございますが、それはともかくとしまして、より相互性の強い条約に変えることが適当であろうということも同意されたという共同声明がなされております。そうしますと、より相互性の強い条約というのは、今の安保条約は片務的であり過ぎるから双務的なものに改めるということだろうと思いますけれども、実際大臣といたしましてどの程度に相互性の強い条約をお考えになっておられたのか、その点を御説明願いたいと思います。
○重光国務大臣 私はその意味はこうであるということを、これもずいぶん繰り返して申し上げました。今の何は、日本の防衛体制は日本にとってはちょっと片手落ちの点があります。日本の国防を外国と一緒になって負担する、こういうようなことになっております。しかも外国がむしろ負担してお るというようなことになっております。それで外国が国防をやってくれるから日本は防衛分担金を出さなければならぬ、これはどうも私にとっては非常に不満足であります。そうでありますから、日本の防衛をやるのに少くとも日本も肩を並べていくようにしたい、こう考えました。それで防衛分担金分までもだんだん減らしていこうし、それからまた日本の自衛力が進んでいけばアメリカの防衛負担というものも、たとえば軍隊なども少くしてもらいたい、こう考えておりまして、それだからそういうようなことを申しておるわけである。これはアメリカ側には少しも誤解はございません。そういうことで一ついきたいと思って帰って参りまして、いろいろやりまして、防衛分担会の軽減等をも努力して、それについては相当実益があった、成績を上げたと私は考えておる次第でございます。
○石橋(政)委員 相互性の強いという意味は、私そういうふうには解釈できないんじゃないかと思う。結局今の条約をそのままにしておいて、米軍はだんだん帰ってもらう、防衛分担金は減らしてもらうということ、それが相互性が強くなるというふうにはちょっと理解できないわけです。片務的なものを双務的なものにするということは今の場合、日本はアメリカに守ってもらうばかりで、アメリカには何も寄与するものがない。だから今度はこれを相互性の強いものにするということになると、アメリカに守ってもらう日本の利益というものだけじゃつまらぬ。アメリカの利益にも何か奉仕するような形のものが、ギヴ・アンド・テークでなされなくちゃ、相互性の強いものといえない、こういうふうに一般ではとるのが、私妥当な、適切な解釈じゃないかと思うのですが、そういう意味じゃないとするならば、どの程度の相互性のものか、その限度を一つお示し願いたいと思います。
○重光国務大臣 その点は私は遠き将来においてそういうような拡大した意味の相互性ということも、それは考える時期がくるかもしれぬ。しかしながらそれは今の問題でなく、今は日本は一体自分で自分の国を守るだけの用意がない。それを完成をしよう、こういうのでありますから、今日の状態においては、その意味において日本の国防を完成する意味において、双方負担を相互的に、できるだけ平等にしていこう、こういうことに考えるのが当然だと私は思います。そういう意味でそれを使い、向うもそういう意味に了解して、その後その線に沿うて仕事を進めてきたわけでございます。
○山本委員長 石橋君に御相談いたします。なおあなたの方の同僚に一、二関連質問もあるようだし、合同審査の方から、外務大臣を返してもらいたいという要求が強いですから、このへんでいかがでありましょうか。
○石橋(政)委員 あと二点に限定してやりますから……。
○山本委員長 一問にして下さい。
○石橋(政)委員 あまりしり切れトンボになりますから、二問にして下さい。 この共同声明によりますと、外務大臣がお示しになった防衛庁試案の防衛計画、これは「東京における日米防衛関係に関する継続的な協議の過程において検討され、かつ、戦略上の要請に照して随次再検討されるべきことに意見が一致した。」とある。今御質問いたしましたより相互性の強い条約に変えるという問題、これもまた東京において防衛問題について日米両国代表の間で協議が行われること、云々というふうに声明されております。特にこの後段の部分につきましては、当時新聞情報で盛んに混合軍事委員会の設置というふうな見出しで報道されておりましたし、外務省の試案あるいは外務大臣の試案というようなものが、この構成については述べられておったようでございますが、その後すでに一年近くになろうとしておるのに、とんとこの声明の結果が実を結んだふうには私聞いておらないのでございますけれども、これは声明のしっぱなしというので、しり切れトンボになっておるものかどうか。そうでないとするならば、具体的にどういう形で今後作業を進めようとなさっておるのかどうか。一つ質問の時間を限定されておりますので、再質問しないで済むように、明快に御答弁願いたい。
○重光国務大臣 明快にお答えをいたします。これは双方の軍事当局において常に意見を交換をしておるわけでございます。それによってこの問題を解決して進んでおることをお答えいたします。 〔「さっぱりわからない」と呼ぶ者 あり〕
○石橋(政)委員 今こちらからも発言があったように、さっぱりわかりません。約束した以上私も守ります。 もう一つ共同声明の中で戦犯釈放の問題について触れられております。ところが最近の新聞報道によりますと、これは四月二十五日の読売新聞でございますが、「BC級の釈放遅らす荒木元大将らの発言」という重大な報道がなされております。この中にわれわれが看過できないのは、荒木さんとか鈴木さんとか橋本欣五郎さんとかいう軍人はとにかく、この内閣の有力メンバーである清瀬文部大臣の発言というものが、BC級戦犯の釈放に非常に悪い影響を与えているがごとき発言がなされているわけである。これは何を物語っているかと申しますと、憲法調査会法案審議の最中に清瀬さんは、大東亜戦争が侵略戦争であったということはもちろんお認めにならないし、これが逆に聖戦であった。このためにアジア各国に独立をかち得たところもたくさんあるんだというような、まことにもってわれわれが聞いてもけしからぬような発言をなされている。あなたは過去の苦い経験から、戦犯の人を一日も早く釈放されようとしても、閣内でそういう発言をされることによって足を引っぱるということは、重大な問題だと思うのですが、この点についてどのような情報をキャッチしておられますか。それに対してどのような対策をお立てになっておりますか。これを最後に質問して、私の質問を終りたいと思います。
○重光国務大臣 私は戦犯はむしろ戦争の犠牲者だと実は考えております。そしてこれは一日も早く家庭に帰すように努力をいたしたい。実は渡米したときもずいぶんそれをやったわけでございます。大体目鼻がついたとは思っておりますけれども、まだいまだに残っている人がございます。これは早く帰すようにしなければなりません。一生懸命にやっております。従いまして、それに障害になるようなことがありましたならば、私としてはずいぶん遺憾なことでございます。しかしながら今言われたような、この戦争がどういう意味であるかということを閣内で言われた人があるかもしれませんが、しかしそれは戦犯の問題にすぐ障害になったとは、私は今日までそういう情報は得ておりませんが、いずれにいたしましても、そういうような問題は言論を慎しむべきだと私は考えます。その点は御趣旨に同感の意を表します。
○西村(力)委員 さっきと今の石橋委員の質問に対する外務大臣の答弁によって、日本の国は、国際情勢あるいは東南アジアの情勢、ことに台湾海峡の問題、朝鮮戦争の問題等によって相当危なかった。現在もその危険は去っていない、こういう御答弁でありましたし、また過日ダレスが日本に参りましたときにも、あなたも最後のときわずかの時間お会いになられたのですが、今度、ダレスはアメリカに帰られまして、日本の要路者との会見は実に満足すべきものであった、こういうので非常に喜んでいるわけである。これはダレスさんが日本に来て最も強調したことは、われわれは聞かなくてもわかっている。それはソ連が何という微笑外交をしようとも、あるいは共産党大会でどういう政策をとろうとも、本質は変らないのであって、侵略の脅威というものは、あくまでも存続するのである、われわれは自由国家の権威を守るために、あくまでもわれわれの体制を整えなければならぬ、こういうことを口をきわめて皆様に訴えたはずです。そういうダレスの発言に対する日本の政府当局の反応が、彼をして帰国の喜びの言葉として言わせておるはずなのでございます。それでありますから、安保条約の目標になる軍国主義の勢力、あるいは日本が自衛力を増強する場合の対象となる軍事勢力、日本を侵略するであろうと予想される軍事勢力、そういうものはまことに明瞭になってきたと思う。それは朝鮮戦争、台湾海峡のときに日本が危なかった、その危ないことは現在も存続しておる。こういうことから言って、はっきりと日本の対象とする軍事勢力というものの存在は、われわれはここで米ソの勢力である、こう外務大臣も腹の中では考えておる、こういう工合に受け取っているわけです。さようにわれわれが解釈しておることを、外務大臣は承認されるか、その点をお伺いいたします。――それでは無言で承認したことに認めたいと思います。そうなりますと、きのう鳩山総理が私の質問に対して、日本に対する侵略の危険はなかった、現在もない、こう答弁しておるのです。ところが外務大臣の答弁は、朝鮮戦争、台湾海峡の危機というものは、日本に非常に危険な状態をかもし出した、そういうことが現在も存続する、こう言っているのですから、そこに大きな食い違いがある。これはまことに困ったことですから、近い機会にもう一度鳩山総理大臣に来ていただいて、その間の事情を明確にしていただかねばならぬ。私たちは自衛力の増強あるいは国防会議法案を審議する場合に、力の均衡によって平和を保つという理論を持っておる限りにおいて、日本の自衛力増強の対象となる勢力の所在をどう考えるかということを、明確にしなければならぬと思う。ところが総理大臣、外務大臣の答弁は明らかにそこに食い違いがある。それでありますから、委員長においては近く総理の出席をぜひ実現していただきたいと思います。それは理事会に諮って、後日ぜひ実現してもらいたい。 次に外務大臣にお尋ねしたいのは、シリアに対する武器輸出の問題に対しまして、私は疑義を持っておるのです。外務省はむしろ積極的に武器輸出を承認しようという動きが強かった。こういうわけですが、私どもいろいろ思いをめぐらしてみますと、アメリカもアラブ諸国の恨みを買うと困るので、日本にかわりに輸出させよう、こういうふうに思ったとすれば、イスラエルに与えるのが当りまえである。それをシリアの方に与えるのは、アメリカの立場と違うということになる。こういうことを聞くのは、国防会議の目標の中に、防御産業の基本的構想に関する件が需要問題になっている。だからそういうことをこの国防会議でやる場合に、このシリアに対する武器輸出というような事情について、外務大臣もやはり将来とも日本の防衛産業について予想しておるかどうか。やはり日本の防衛産業というものが、自衛隊の増強方針とかそういうものでまかなえないとするならば、東南アジアに対する武器輸出というようなことを考えて、防衛産業を大いにやらなければならぬ、そういう考え方から、このシリアに対する武器輸出について、外務省が積極的になったのかどうか。その間の事情について、一つお答えを願いたいと思います。
○重光国務大臣 それでは簡単に答えさせていただきます。私は自衛軍の増強の意味から言っても、防衛産業ということは非常に重要問題であるとは考えます。しかしながら、それと武器の輸出という問題は、おのずからまた違った見地に立たなければならぬと考えます。シリア方面における情勢、中近東の情勢は非常に重大であることは、御承知の通りでございます。そうでありますから、この方面に対する武器の輸出は慎重にやらなければならぬ。また慎重に考えなければならぬ、こういうことを繰り返し申しておるわけであります。外務省はさような方針をもって進んでおることを申し上げます。
○山本委員長 関連質問ですから、その辺で御了承願います。 〔「まだある」と呼び、その他発言 する者多し〕
○山本委員長 大坪君。
○大坪委員 ……。 〔「委員長不信任だ」と呼び、その 他発言する者、離席する者多く、 議場騒然、聴取不能〕
○山本委員長 大坪君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山本委員長 起立多数。よって…… (発言する者、離席する者多く、議場騒然、聴取不能) ―――――――――――――
○山本委員長 ただいま茜ケ久保君より私の不信任動議が提出されました。よってこの席を江崎真澄君に護ります。 〔委員長退席、江崎委員長代理着 席〕
○江崎委員長代理 御着席を願います。案員外の方は、後方にお下り願います。 指名によりまして、私が委員長の職務を行います。 委員の方は御着席を願います。委員外の方は、もうちょっとお下り願います。どうぞお下り願います。どうぞお下りを願います。 これより委員長不信任動議について議事を進めます。 〔「委員長、ちょっとその前に」と 呼ぶ者あり〕
○江崎委員長代理 この際提出者の趣旨弁明を求めます。茜ケ久保君。――茜ケ久保君、発言を求めます。宣言をいたしました。
○茜ケ久保委員 私は日本社会党を代表いたしまして、内閣委員長山本粂吉氏の不信任案の理由を申し述べます。 その前に私はただいまの山本委員長が、私が不信任を出しまして、不信任案の動議が提出されましたにもかかわらず、同時に質疑の打ち切りを宣告されました。これは明らかに私どもは違反であると存じます。従いまして、私はこの不信任案の審議をいたします前に、まず先ほど山本粂吉委員長が宣言されました質疑打ち切りの動議、これを一つ私は撤回していただいて――それを私はしていただきたい。従いまして、一つ委員長代理の江崎理事から、この山本委員長が宣言されました質疑打ち切りの動議の採決の違法について処置を願いたい。これについて私は説明する前に、この質疑打ち切りの動議の無効を私は出さなければならぬ。
○江崎委員長代理 今の御意見は、不信任案が先議でありますから、不信任案について、ただいま御指名いたしましたように、議事を進められんことを望みます。
○茜ケ久保委員 不信任案が出された委員長が、不信任案の動議が出たあとで質疑の打ち切りをされたことは、これは違法だと思うのであります。その点……。
○江崎委員長代理 不信任案が先議であります。また委員長代理は不信任案のみをここで議することになっておりまするので御了承を願います。 〔「理事会、々々々」と呼ぶ者あり〕
○江崎委員長代理 趣旨弁明を求めます。 〔「休憩々々」「理事会だ」と呼ぶ者あり〕
○江崎委員長代理 発言を許しております。すでに発言を宣言いたしております。 〔受田委員「これは、今の議事の取扱いが委員長において違法であったということが、ここで提出されているのだから、不信任案の取扱いについて、違法の取扱いをどうするかということについても理事会を開くことを先にやれ」と呼ぶ〕
○江崎委員長代理 委員長代理はその権限はない。 〔「休憩して理事会を開け」と呼ぶ者あり〕
○江崎委員長代理 すでに不信任案を宣言しました。議題といたしております。だから不信任案について議事を進めていただいてそのほかに意見がありましたら、不信任案のあとについて議事を進めます。 〔「暫時休憩にしろ「不信任案を片づけなければ何もやれないよ」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
○江崎委員長代理 委員外の人はあっちへ行っておって下さい。不信任案の議事にもう入っております。ちょっと速記をやめて。 〔速記中止〕
○江崎委員長代理 速記を始めて。 委員諸君の着席を求めます。――委員諸君の着席を求めます。――不信任案を済まして、それから今の問題を理事会を開いて協力しよう。 〔「暫時休憩しろ」「不信任案をとにかく先にやろうじゃないか」と呼び、その他発言する者多し〕
○江崎委員長代理 茜ケ久保君、趣旨弁明を続けられんことを望みます。 〔「委員でない者下れ」と呼び、その他発言する者多し〕
○江崎委員長代理 委員外の方はお下り願います。 〔「このままの姿で、委員長はここにすわっておってもらいます。理事だけで一つ相談をさせて下さい」「非公式な理事会なんかだめだ」と呼び、その他発言する者多し〕
○江崎委員長代理 このままの姿で話し合いをしよう、双方に言い分がありますから。 〔「だめだ休憩をしなければ」「それは非公式だろう」「いつやるかわからぬ」と呼ぶ者あり〕
○江崎委員長代理 このままの姿で…。 〔「休憩せよ」「休憩する必要はないじゃないか」「理事会を開くのに休憩せぬでやれるか」「こんなことを ておるより休憩した方が早い」と呼び、その他発言する者多し〕
○江崎委員長代理 委員外の方はお下り願います。――委員外の方はお下りを願います。 〔「一応休憩の手続をとって話し合おうじゃないか」と呼ぶ者あり〕
○江崎委員長代理 このままの姿でお話し下さい。このままの姿でお話し願います。 〔「休憩をやれ」と呼び、その他発言する者多し〕
○江崎委員長代理 理事の方でお話し合いを進めて下さい。このままで話し合いができるのですから、話し合いを願います。 〔「このままでいい」「休憩をやれ」と呼び、その他発言する者多し〕
○江崎委員長代理 君のところの理事が賛成しているじゃないか。――君のところの理事が承諾しているのですから……。 〔「発言する者、離席する者多く、議場騒然」〕
○江崎委員長代理 静粛に願います。――委員の方は御着席を願います。 (「休憩々々」と呼ぶ者あり)着席願います。着席々々。――このままの状態で理事の方はお話し合いを願います。――ただいま茜ケ久保君の発言中でありますから、このままの状況でお話し合いを願います。 〔「このままで話し合いができるのだから、このままで話し合いをしようじゃないか。」「休憩々々」と呼びその他発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
○江崎委員長代理 着席を求めます。――着席して下さい。委員外の方はお下りを願います。後方にお下りを願います。それから報道の諸君もちょっと下ってくれませんか。――委員の方は全員御着席を願います。 〔「不信任案が先に出ている」「採決してない」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
○江崎委員長代理 委員の方は御着席を願います。委員外の方はうしろにお下り下さい。 〔「委員外の連中がこんなに来ているから混乱しているんだ。」「何を言うか、なまいき言うな。」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
○江崎委員長代理 御静粛に願います。 〔発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
○江崎委員長代理 ちょっと委員長席から降壇を願います。 ちょっと便所へ参りますので、宮沢胤勇君に委員長席を譲ります。 〔江崎委員長代理退席、宮澤委員長代理着席〕 〔「代理が代理を選ぶというのは議事規則にないぞ。」と呼び、その他発言する者、離席する者多し〕 〔宮澤委員長代理退席、江崎委員長代理着席〕
○江崎委員長代理 しばらく保科理事に委員長席を譲ります。 〔江崎委員長代理退席、保科委員長代理着席〕 〔「委員長、こんな議事の運営があるか」と呼ぶ者あり〕
○保科委員長代理 今協議しています。 〔保科委員長代理退席、江崎委員長代理着席〕
○江崎委員長代理 茜ケ久保君に申し上げます。趣旨弁明を継続して下さい。
○茜ケ久保委員 私は先ほど委員長の不信任案を提出いたしまして日本社会党を代表して委員長不信任の理由の御説明を申し上げるために立ちましたけれども、質疑打ち切りについて疑義を感じましたのでその点の動議を提出いたしましたところ非常に混乱をいたしまして今に至りましたが、あらためて山本内閣委員長の不信任の理由の説明を申し上げます。 私どもは今国会の劈頭山本委員長の就任を迎えまして、以来今日まで内閣委員会において憲法調査会あるいは防衛庁設置法その他今回の国防会議法等、重要な法案の審議に当って参りました。私は個人的には山本委員長の議事運営にひそかに敬意と信頼を持っておったことは、私は決して申し上げることにやぶさかではありません。ただ私が非常に遺憾に存じますことは、私ども野党ですら敬意と尊敬を持っておる山本委員長を助けるべき与党の委員諸君が、議場の多数の威力にものをいわせながら、私ども野党の真摯な、しかも国民の代表としての衷心からの質問に対し、ときどき横合いから非常な圧力を加え、真剣であるべき、しかも国民が非常に注視をしている大きな問題、憲法調査会あるいは国防会議、防衛問題、あらゆる問題を私どもはほんとうに真剣に国を憂え、国民の幸福を考えながら質疑応答を続ける過程で、いつでも与党のそういった多数の威力による妨害がたびたび起ったのであります。特に先月二十二日夜のあの憲法調査会のいわゆる多数暴力的な行為による質疑の切ち切り等に至りましては、全く私どもはこれに表する言葉を知りません。国民が内心憤激を感じ、日本の将来を憂える問題でありながらあのような終末を告げることは、全く国会の審議権を無視し、国民の代表である代議士諸君の審議権を、多数の暴力によってこれを抑圧する言語道断なる処置と思わざるを得ないのであります。こういうことを私どもが尊敬する山本委員長が制止し、与党の野望を押えて真に国民の前に真剣なる討議の場面を広く展開することをし得なかったことは、残念ながら私どもは国会議員として、野党として、山本委員長の措置に対して大きなる不信と不満を持たざるを得ぬのであります。しかもそのあくる二十三日の早朝に至りまして、常日ごろ与党の諸君は私どもが何回となく呼びかけをかけ、あらゆる誘いをかげながらも二十名の定員中わずか数名しか来ないことが多い。常に私どもは言っておる、与党の諸君が委員会における審議権を放棄したのではないかということを言っておる。そういう状態であって私ども野党は常に十名をそろえていつもこの議場にその審議のまじめさを証明しておるのでありますが、残念ながら与党の諸君はそのように非常に怠慢である。こういう際に二十三日には私どもを呼び出しながら、わずか数分において一方的に、われわれ社会党の議員のだれもいないところで、あの重大な憲法調査会法案を可決してしまった。これなどは全く私どもは、私どもが言ういわゆる保守永久政権を作り上げるための一つの予行演習的なものであったと思う。(笑声、拍手)まことに私は遺憾千万にたえません。果せるかな、国民大衆は憤然としてあの問題に大きな批判を加えておる。さすがに与党の諸君もあれには参ったと見えて、あとから委員長並びに担当大臣であった清瀬文部大臣は、心からかどうか知りませんが、頭を下げました。これは明らかに与党の横暴を証明したと思うのであります。さらに引き続いて本国防会議法案の審議に当りましても、私どもはいたずらに時日をかすだけが能とは考えておりません。ただ私どもはいわゆる再軍備反対、戦争反対、こういった立場から、しかも国民的な立場から世界の大勢をながめ、そしてまた世界のこの平和への動きをながめながら日本の処すべき方途に対し、全く同僚十名の議員諸君は真剣にしてしかもそれぞれ膨大な資料を整え、あらゆる点から検討を進めまして、私どもは国民とともに、この国防会議の将来に大きな関心と重大な意図を持って参ったのであります。幸いにして今日までやや順調に参ったかに見えましたが、遺憾ながら本日は野党の質問中に――しかもわれわれ社会党もこれを一週間、十日延ばすというような意図もなければ、やはり与党の諸君のこの審議に協力して、やや一応のめどのついた切り上げの時期等も話し合いをし、考えもしておったにもかわらず、それを承知しておりながら与党の諸君は、本日突如として、野党の議員の質問中にもかかわらず、質疑打ち切りの動議を提案することは、全く言語道断であります。私はこういった与党諸君の多数の横暴というようなことは、国民の名において、国民の代表である国会の審議権の上から、私はどうしても納得ができません。了承することはできないのであります。こういったことを山本委員長が取り上げて、いわゆる質疑打ち切りを強行されたことに対しては、いかに個人的には尊敬し、いかに今までの長い審議過程において山本委員長の名委員長ぶりを心から敬服しておったにもかかわらず、こういったことに対しては憤然として国民的な憤激を覚えざるを得ないのであります。こういったことがここに山本委員長を不信任せざるを得ない理由であります。 私は個人的には山本委員長に全く気の毒にたえません。気の毒にたえませんけれども、ここに並みいる与党の委員諸君の多数横暴の実態、これと一体をなした山本委員長を、私は涙をのんで馬謖を切るの気持をもちまして、ここに不信任案を提出した次第であります。何とぞ満場の諸君の御賛成を得たいと思います。(拍手)
○江崎委員長代理 これより討論に入ります。討論の通告がありまするので、これを許します。高橋等君。
○高橋(等)委員 ただいま茜ケ久保君から山本委員長の不信任案の提案理由の苦しい説明がありましたが、私は自由民主党を代表いたしまして本動議に対しまして反対の討論をいたします。 どういうわけか茜ケ久保さんは委員長の不信任案の提案をなさりながら、委員長代理がその提案理由の発言を求めたにもかかわりませず、延々四時間にわたってその提案の理由の説明をなされず、多数の社会党の方々が本議場を独占せられまして、議事の進行を妨害せられたということは、まことに私の遺憾にたえないところであります。 この国防会議設置法案は前国会においても四十二日間論議が尽されておる。今国会になりますと、憲法調査会法案で国防問題に対しましてほとんど一カ月くらいの間論議が尽されており、また提案から本日まで本法案は五十六日を経過いたしておる。こういうように非常に長い時間をかけて審議を続けたのでございます。そして本日あたりになりますと、どうも質問なさる方でも幾分種切れで苦しいような点が多々見受けられ、息切れが見受けられたのであります。そこでまあこの辺が常識からいいまして本法案を打ち切る――しかも本内閣委員会においては多数の重要法案をまだ抱えておるんだから、ちょうどいい時期だという判断をわれわれとしてはいたした。 山本委員長に対して不信任案を提出されておりますが、茜ケ久保委員は山本委員長に対して敬意と信頼とを寄せる、こういうことをおっしゃっておられる。私は本委員会理事といたしまして、この委員長がもちろんこうした案件についての審議を慎重に時間をかけて近められる態度は了承いたしますけれども、重要条件が山積している本委員会としても、今まで申し上げた審議の過程、日数から見ましても、事ごとに野党の要求をいれまして、次から次へと審議日数を延ばしてこられた、これに対しましては、むしろ社会党よりもわれわれの方が不信任の案を出してもいいくらいに考えて不満を持った。これくらい公平に過ぎるほど公平に野党の発言を許してきた委員長に対しまして、本日適当な機会に議事の打ち切りをいたしたにかかわらず、これが不信任をなされるということはまことに私、は物事が反対である、社会党はむしろ感謝をされてしかる、べきじゃないかと思うのであります。ことに不信任案をお出しになるということは、これは議事引き延ばしの常套手段にほかならない、いろいろ御説明になりましたが、われわれは提案理由を納得することができません。ただいま申し上げましたような理由からいたしまして、私は山本委員長に対しまする不信任動議に対しましては絶対に反対いたすものであります。
○江崎委員長代理 西村力弥君。
○西村(力)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっておりまする山本内閣常任委員長に対する不信任案に賛成の演説を行います。 ただいま茜ケ久保君からお話がありました通り、山本委員長はさすがに御年輩、経験は豊富でありまして、まことに公平なる運営であったがごとく最初思っておりました。しかし非の打ちどころのないような委員長という姿は結局それだけに悪質であったと思います。その正体は重要なる憲法調査会法案あるいは国防会議法案等の審議過程において露骨に現われて参ったのであります。 われわれが委員長を不信任する第一点の理由としましては、去る、何月か日は忘れましたが、 仏調査会法案が上程になりまして、鳩山総理が十三委員室に参りましたそのときにおいて、鳩山総理は御自分の都合で委員長のあるいは委員会の許可を得ずに一人で退席した、そのことに対して委員長は何ら措置をとらなかった。私はその点委員長としては重大なる落度であると思う。なぜかならば、とにかく独立した国会にわれわれの要求によって出席した鳩山総理が、こちらの許可を得ずに自由に行動ができるというようなことは明らかに国会軽視なのであります。そういう委員会をないがしろにせられたその場に当って、委員長は何ら適切なる処置をとらなかった。国会の権威を失墜するもはなはだしいと私はその一点をまず委員長不信任の賛成の理由とするものであります。 しかもこのたびの国防会議法案になりまして、なまなましい本日の問題もございます。それは飛鳥田委員が防衛支出金の明確なる経理を追及し、なおその点は不明確でありますので、再度この点に関して質問を続けるように委員長に要求いたしましたところ、委員長はそれを承認せられました。はっきりとそれを承認せられておって、その措置をとらずに、ただ与党の強引なる押し切りに負けてこのような事態を招来したということは、これは明らかに食言であり、不信行為である、こういうことが本日現われておるのです。これが不信任賛成の第二の理由。 第三の理由として私が考える点は、憲法調査会法案に当りましても、今回の国防会議法案に当りましても、その必要性あるいはそのことがいかに日本の国の将来に対して、国民の生活に対して影響するかという点に対して、十分に納得させられない。先ほどからあるいはきのうから、日本が安保条約を結んで無責任なる軍国主義というものを排除するのだ、こういう工合に無責任なる軍国主義の存在ということを条約上はっきり認めておきながら、それはこれだというふうに、政府はいかなるわれわれの追及にあっても断言をしない、こういうようなことはとうてい国民の納得することではない。また無責任なる軍国主義は何であるかということも言わずして、しかもその侵略の危険というものは存在するのだというのだから、結局政府の立場は空から隕石が降ってくる危険があるから軍備を持たなければならぬ。隕石の落下を危機と感じて軍備を持たなければならぬというような間抜けた理由でもって、国民を無理に納得させようとしておる。われわれはとうていそれは納得できない。そういうようなこちらの聞かんとする、国民の考えを代表して聞きたださんとすること、それが十分に説明されて、反対は反対、賛成は賛成、こうなるのだという、こういうところまで議事というものは持っていかなければならぬ。それは委員会の仕事である。不明なる点が少しでも存在する過程においてこの審議を打ち切るというようなことは、委員長としての無礼を証明するものであります。こういうような最後のどたんばにいくとあなたはどうも腰がふらふらする、判断が混迷しておる。こういう点を私は不信任賛成の第三の点とするものであります。 第四点、第五点、第六点と数え上げれば切りがないのでございますけれども、まずこのくらい申し上げれば、ちとわれわれの不信任の理由も皆様の納得をいただけるのではないかと思うのです。 以上をもって私は賛成の討論を終る次第であります。(拍手)
○江崎委員長代理 これにて討論は終局いたしました。 これより委員長不信任動議について採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○江崎委員長代理 起立少数。よって委員長不信任動議は否決せられました。(拍手) 委員長の復席を求めます。 〔江崎委員長代理退席、委員長着 席〕
○山本委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。 午後九時五分散会