内閣委員会 第28号
- 発言数
- 239 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1956/03/28
会議録
○山本委員長 これより会議を開きます。 この際委員長より釈明をいたします。去る二十二日、二十三日の当委員会の運営に関しては種々遺憾の点がありました。今後はかかることのないように、お互いに十分の注意心を加えて円満なる運営を期したいと存じます。何とぞ委員各位の御協力をお願いいたします。(拍手) この際、去る二十二日の発言に関し清瀬国務大臣より釈明を求められております。これを許します。清瀬国務大臣。
○清瀬国務大臣 去る二十二日の当委員会における私の発言中、「委員会をすみやかに終って、本会議でやってみようじゃございまいませんか。」という点は不適当の言葉であり、委員各位に御迷惑をおかけいたしました。ここに取り消しをいたします。
○山本委員長 吉野国務大臣より発言を求められております。これを許します。吉野国務大臣。
○吉野国務大臣 このたび政府の都合によりまして憲法調査会の担当をすることのなりました。はたはだふなれで行き届かないと思いますが、どうかよろしくお願いをいたします。
○山本委員長 吉野国務大臣の発言に関連し、石橋君より発言を求められております。これを許します。石橋君。
○石橋(政)委員 それでは私から、新しく憲法担当の国務大臣になられた吉野さんにいろいろと御質問をいたしだいと思うわけでありますが、最初にちょっとお断わり申し上げておきたいのであります。それば従来憲法を担当いたしておりました清瀬国務大臣が、少しおしゃべりが過ぎてしくじられたようでありますが、だからといって後任のあなたが、今度はカタツムリのようにものを言わないというのじゃ、これまた審議が進みませんので、その点一つご遠慮なく所信を明快に御答合弁下さいますように冒頭お願い申し上げておきたいと思います。 われわれは現在の鳩山内閣――各閣僚も含まれ、あるいはまた自民党の皆さん方も合まれておると思うのでありますが、非常に重大な憲法違反の罪を犯しておるのじゃないかというふうに思っておるわけです。それは二つの面からなされておる。御承知のように憲法の第九十九条には、天皇、摂政はもちろんのこと、国務大臣、国会議員あるいは裁判官その他の公務員は憲法を順守する義務それから擁護する義務を負わされておるわけですが、これに反しておるのじゃないか。その一つは、盛んに現行憲法が押しつけられたものであるということを主張することによって、みずからこれを軽視するだけではなしに、国民にも軽視の風潮を、意識的にか無意識的にか生ぜしめておる。こういう点から私は第九十九条の違反をなしておるのじゃないかというふうに考えておるわけです。もう一つは、憲法を不当に拡張解釈するという態度であります。こういう二つの面から、鳩山内閣は重大なる憲法違反の罪を犯しておると思うのでおりますが、その第一番目の点について、あらためて私は新大臣に所信をお伺いしたいと思うわけであります。 今回憲法調査会法案なるものを出してきた。これはもちろん憲法改正を前提とした調査会なんでありますが、なぜこういうものを作る必要があるのかということに対しまして、今も申し上げましたように、盛んに現行憲法が占領軍によって押しつけられた憲法だからということを言っておられるのでありますが、この点が先ほど申したようにみずから憲法軽視をしておる、そうしてまた国民にも憲法軽視の風潮を生ぜしめておると私は思う。こういう言葉を軽々に用いるということは十分慎しまなくちゃならない、このように考えているわけでございますけれども、この点について、新たに憲法を担当された吉野大臣も同様の見解を持っておるものかどうか、最初にお尋ねをしてから私の質問を進めていきたい、このように思っております。
○吉野国務大臣 憲法を尊重しなければならぬということは、これを申すまでもないことでございます。ただお話になりました押しつけられたというのですか、それは私の考えでは、押しつけという言葉が適当かどうか存じませんが、やはり占領下でございまして、一種の心理的の圧迫を受けておったことだけは、私ども事実だろうと思います。そういうときにできた憲法でございますから、これをこの際検討したいということは、別に憲法を守るという条章には何ら触れておらないと私は考えております。
○石橋(政)委員 憲法は守るだけじゃなく大切にしなければならない、軽視してはならないと私は言っているわけです。しかし押しつけられたものだ、われわれが自分たちの手で作ったものじゃないんだ、ということを大切な地位にあるあなた方が言われることによって、国民がほんとうに大切な憲法だ、守らなくちゃならない憲法だと思うとお思いになるのですか。そういう意味で、あなた方が押しつけられた押しつけられたということは、国民に憲法を大切にするという気持を持たせるためには、マイナスにこそなれ決してプラスにならないということを私は申し上げているわけなんです。少くとも今の憲法を完全に押しつけられたものだと考えられる方々の頭というものは、憲法制定の当時に、何とかして明治憲法を改正せずに済むものなら済ませたい、君主のいわゆる天皇主権の原理を何とかして温存したいというふうに考えた人たちの頭につながっておるんだ、あるいは一体なのだ、こういうふうに私は申し上げたいわけなんです。それを押し進めて私お尋ねしたいと思うのでありますが、われわれのこの日本国馬憲法には何と書いてあるかと申しますと、憲法前文に御承知の通り、日本国憲法は、国民に主権があるということを宣言して、そのあとに国民が確定したのだということをはっきり書いてある。ところがあなたのは、今少し弱まった表現ではございましたけれども、この憲法調査会法案の提案理由の説明などははっきりしたものです。「真に国民の自由意志によるものにあらざることは否定しがたき事実であります。」こういうふうなことを言っておる。もしこれが事実であるとするならば、われわれのこの憲法は、前文の冒頭から虚偽の規定をしておるのか、私はこういわざるを得ない。そういう偽わりの文章によって始まった憲法を、しからばなぜわれわれは守らなくちゃならないのか、順守し擁護しなければならない義務を負うのか、それこそ矛盾じゃございませんか。憲法の前文に明らかに規定しておるところの、主権が国民にあることを宣言し、そうしてここにわれわれの手で確定するというこの表現すらも偽わりであるというのか、私はお尋ねしたいのです。
○吉野国務大臣 前文にあることが偽わりでおることも何とも私は考えておりのせん。また憲法制定の手続も何も間違ったことはないのです。ただ憲法を制定しました当時の事情が、何といいいますか重苦しい、とにかく占領下という心理の圧迫を受けておった時代にできたものだ、こういうことだけを申し上げておきます。
○石橋(政)委員 それでは、草案を作ったのが占領軍だ、あるいは憲法の改正を示唆したのが清涼軍だということではあっても、現行憲法はあくまで国民の自由に表明された意思の結果によって作られたものであるというふうに新大臣はお考えになっておるのかどうか、そこのところを明確にお答え願いたい。
○吉野国務大臣 憲法制定の手続については、私は何も間違ったことばないと思います。ただそのときの空気といいますか事情が、占領下であるというところに一種の重苦しい空気があった、こういうことを申し上げております。
○石橋(政)委員 占領下であるということを盛んにおっしゃいますけれども、占領軍の権威というものは一体どこに発しておるのか。これは御承知の通り、日本がポツダム宣言を受諾して、いわゆる降伏をしたというところにさかのぼらなくちゃならない。ポツダム宣言というものを受諾するときに、しからばどういう条件が付されておったか。御承知の通り八月の十日に日本政府がポツダム宣言を受け入れるという申し入れをした。これに対して、たしか十一日だったと思いますが、四カ国を代表してアメリカが回答書を寄せております。その回答書は二つの骨からなり立っておると思うのでありますが、第二にこのようなことが書いてある。「日本国ノ最終的ノ政治形態ハ「ポツダム」宣言ニ遵ヒ日本国国民ノ自由ニ表明スル意志ニ依リ決定セラルベキモノトス」このように書いてあります。そうしますと、占領軍はやはりこの条件というものを守らなくちやならない、このワクの中で、占領行政というものを推し進めたと思う。憲法を改正するということも、このワクに従えということを意味したものと私たちは考える。だから決してこれは押しつけではない、占領軍の立場からいえば義務を履行したにすぎない、これに抵抗したのが、先ほど申し上げたように、当時の反動勢力であり支配階級であったと私は言っている。この人たちは、ポツダム宣言は承認したものの、何とかこれを履行せずに済むことならば、憲法も、明治憲法をそのままにしておいて、運営をうまくやりさえすれば、ポツダム宣言を履行することば可能でございます。こういう考え方を表現しておる。だからなるべく憲法を改正しなくて済むならばしたくない、当時の天皇主権の原理というものをそのまま残したい、こういう考えを強く出してきた。だからこれがたたかれた。たたかれたから、こういう考えを持っておる人たちにとっては、占領軍が占領軍の権力をたてにして押しつけたのだというふうに考えるかもしれないけれども、少くとも日本を民主的に再建しようと考えておる人たちは、明治憲法をそのままにしておいて、絶対に日本の民主的再建はあり得ない、憲法を改正しなくちゃならないというふうに考えておった人たちにとっては、これは決して押しつけではなかった、こういうふうに私たちとしては見ておるわけなんです。そこで憲法の前文にも、先ほどから申し上げているように「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」と明確にいっている。手続は完全だ、こういうことをおっしゃっておりますけれども、手続というものを経たからといって、天皇種権が国民主権に変っておるというこのことは単なる改正じゃない。いわゆる権力が移動しておるということ、主権が移動しておるということは、これは一種の革命なんです。こういう大切なことをお見のがしになってはならないと思う。明治憲法のもとでは、われわれ国民は主権を持っておりませんでしか。現にわれわれは持っておるではありませんか。国民がこれを喜ばないということがありますか。国民は歓喜してこの新憲法を迎えた。いまだにこの憲法発布の日を国民の祝日として祝っておるじゃありませんか。ここでがたがた言っている人がおりますけれども、この人たち、国会議員も現行憲法の産物なんですよ。それがごたごた言うのはおかしい。そこでまず第一にお伺いしているのは、憲法の前文に、国民がこの憲法を確定したと言っているのは事実かどうか、これは間違いないか、偽わりかどうかということを一つ伺いたい。 もう一つは、もしこれが偽わりだというならば、占領軍はこのポツダム宣言に違反しておるというふうにあなた方はお考えになっておるのか、この二つについて、まずお伺いしたいと思います。
○吉野国務大臣 憲法書いてある通りでありまして、その点は間違いじゃないということは、先ほど申し上げたように、手続については何ら違法のことはないのであります。
○石橋(政)委員 それでは「真に国民の自由意思によるものにあらざることは否定しがたき事実であります。」という憲法調査会法案提案理由の説明は一体どういうことになるのですか。この方がうそだとあなたは明確にお考えになっておられますか。
○吉野国務大臣 適法な手続でやったことはその通りでありますが、ただその憲法を制定したその当時の事情が占領下であって、一種の心理的の圧迫を受けておった、そういう状態にあったのでありますから、という意味に私は解釈いたしております。
○石橋(政)委員 その点は私どもとしては理論的に非常におかしいと思うのですが、それだけやっておりますと、これは水かけ論になるおそれもありますので、私はさらにお尋ねを進めたいと思うのですが、あなた方のそういう考え方、そういう言動というものは、私は天皇も著しく傷つける、このように思っております。なぜかといいますと、御承知のように、この憲法制定に当りまして前後四回にわたって勅語とか上諭とかいうものが出されております。一部をここで御披露いたします……。(「今ごろ朕おもうになんて読むなよ。」と呼ぶ者あり)読みますからよく聞いて下さい。昭和二十一年の三月六日憲法改正、草案要綱というものが発表されたときに、勅語を内閣に賜わられております。今読むなという声もありましたけれども、よく言って聞かせますから聞いておって下さい。「朕、曩にポツダム宣言を受諾せるに伴い、日本国政治の最終の形態は日本国民の自由に表明したる意思に依り決定せらるべきものなるに顧み」云々と書いてあります。昭和二十一年六月二十日、今度憲法改正草案が衆議院の議に付せられたときにも勅書が賜わられておる。これには「国民の自由に表明した意思による憲法の全面的改正を意図し、ここに憲法第七十三条によって帝国憲法の改正案を帝国議会の議に付する」このようにおっしゃっている。それから十一月三日の上諭には同様「朕は、日本国民の総意に基いて、新日本建設の礎が定まるに至ったことを、深くよろこび、」それから同じ憲法公布記念式典、これは貴族院でやったのでありますが、そのときに賜わった勅語にも「自由に表明された国民の総意によって確定されたのである。」というふうに明記されている。そうしますとあなた方の論をもってなすならば、天皇が現行憲法は国民の自由に表明した意思によって作られたのだとおっしゃっているのもうそだ、これも占領車のいわゆる圧力によって国民に対して偽りの勅語を出したのだ、こういうふうにあなた方はお考えになっておるものかどうか。そういうことになりますと戦前、戦時にあっては軍閥、官僚にあやつられ、戦後にあってはみずからの地位の安泰をはからんがために占領軍の圧力に属しておる、こういうような誹謗を天皇に向けて放つのと何ら変りない、しかも今後は、鳩山総理にいたしましても天皇の地位を強化しないことはあり得ない、こういうふうなことを言っております。再び何者かが天皇の隠れみののもとにかつてのこういった支配階級と同じようなことをやろうとしておる、そういう声がああいうヤジにもなって現われておるのであります。少くともあなたはそういう表現を用いて天皇を傷つけてはならないと私は思う。そこでこの天皇の勅語とか上諭とか勅書とかいうふうなものは、やはり同様圧力がかかったものである、真実を述べたものではないというふうにお考えになっておるものかどうか、お伺いしたい。
○吉野国務大臣 たびたび申し上げました通り、憲法を制定しました当時の手続等のことについては、私は何も違法はないということを繰り返して申し上げたのであります。ただその当時の情勢が占領下ということは、これは何といっても心理的に圧迫を受けておるということだけは、どうも否定ができないのであります。その意味におきまして憲法問題というものを全般にわたって検討を加えるということは、私は何ら矛盾はしないというふうに考えております。
○石橋(政)委員 そういうことを言われるのは非常におかしいと思う。今度の憲法調査会法案の提案理由の説明に当ってどういうことを述べておられるかというと……。 〔発汗する者多し〕
○山本委員長 お静かに願います。
○石橋(政)委員 「この際新たなる国民的立場に立って現行日本国憲法に全面的検討を加えますことは、わが国独立の完成のためにも、はたまた再建日本将来の繁栄と国民福祉の向上のためにも、きわめて緊要なことであり、」このように述べている。結局独立を完成するために現行憲法を改正しなくてはならないのだ、そういう考え方の上に立っているわけなのです。そうするとあなたが今おっしゃっていることはここにおいてまた矛盾します。日本はまだ完全に独立していない、だから憲法を改正して独立を完成しよう、こうおっしゃっている。そうじゃございませんか。今の日本は完全に独立しておるとあなたはおっしゃいますか。私が同じような質問を提案者の山崎さんにいたしましたら、山崎さんも日本は完全に独立しておらないとおっしゃる。あなたは、どうですか、その点をお尋ねいたしましょう。
○吉野国務大臣 おっしゃる意味が法律的に完全に独立かとおっしゃる意味であれば、私はその通りと考えております。
○石橋(政)委員 それでは私の質問に対して提案者の山崎さんがお答えになっているのをちょっと読んでみましょう。「安全保障条約並びに日米行政協定によりまして、アメリカとの間に協定を結んでアメリカの力によって防衛の一端をになってもらう、あるいはまた経済的にはいろいろの援助を受けるという意味におきましては、日本は完全な独立という点におきましては欠ける点があるかと思うのであります。」こういうふうにおっしゃっている。法律的云々だけじゃない、政治的にも経済的にも日本は完全な独立状態にないということを、山崎さんは素直にお認めになっておる。あなたもこの点についてはお認めになりますか。
○吉野国務大臣 今御指摘になりました山崎さんの御発言は、つまり事実上今日本の財力から見て完全な国防もできませんし、また財政経済の上においてもアメリカから援助を受けている、そういう意味におきまして事実上いわゆる完全には一本立ちになっておらぬ、こういうことでございます。しかしそのことは何も圧迫を受けたのじゃなくて、こちらの自由意思によってやったのですから、法律的にいえばこれは完全な独立でございます。
○石橋(政)委員 まことに奇怪なことを承わります。しからば今の講和条約なるもの安全保障条約なるものは完全な独立をしてからできたものですか。これは憲法を作ったときと同じように、占領状態下において作られたものじゃありませんか。もし現行憲法を占領軍のワクの中で云々されたからと言われるならば、これまた同様に日本が自主的な判断を下すことができない、完全なる自主性を確保しない以前において作られたものなのです。その点の矛盾を私はお伺いいたします。
○吉野国務大臣 今の点は、安保条約にしても何にしても、憲法と同時に効力は発生したものだと思います。ただそれは、しかしながら条約というものもこちらが自由意思によって締結したのですから、私は別に独立というものには……。(「憲法と同時じゃないよ」と呼び、その他発言する者あり)今ちょっと私は間違いましたが、安保条約は――憲法は前に御指摘の通りできておりました。
○石橋(政)委員 しどろもどろで、私もよう聞きとれなかったのでございますが、憲法は占領軍の占領下の状態の中で作られたのだ、だから完全な国民の自由意思の表明はなされておらないと思うとおっしゃる。ところが講和条約の方は、占領中に作られたものであっても、これは完全な自主性を持っておるという理屈が一体どこから出てくるのだ、私はこう聞いているわけなんです。
○吉野国務大臣 講和条約はわが国の独立を達成するためにできてきたのだ、こういうふうに考えます。
○石橋(政)委員 憲法も講和条約も同じ条件下にできているのですよ。そうして日本を民主的な方向に再建させようという目的も私は同じだと思う。同じ条件下で、同じ目的でなされておる、いわゆる憲法と条約という二つのものの効力が、全然相反しておるということは、どうしても納得がいかない。皆さん方に了解のいくように一つ明確な御答弁が願いたい。
○吉野国務大臣 私どもは憲法を廃止するというのじゃない。憲法はそのままあるのですが、ただそれに検討を加えよう、こういうのです。
○石橋(政)委員 検討を加えて改正することは、これは必然なわけです。その点を私はお伺いしておるわけじゃない。現行憲法が占領下に作られた、だから何らかの有形、無形の圧力というものがあった、こういうふうにおっしゃるわけでしょう。講和条約も同様の条件下に作られておると申し上げておるわけです。占領下において作られている。その講和条約というものが、自由な意思の表明のもとになされたという理屈が、一体どこから出てくるか。少くとも形式的な法律的な独立を与えてやるからという名目のもとに、この方がよほど拘束を受けていますよ。それを講和条約の方は自由な意思が表明されているが、現行憲法の方は国民の自由な意志が表明されていないという理屈が、一体どこにあるか、明確に一つお答え願いたい。
○吉野国務大臣 講和条約の方は、これは独立を完成するために不可欠のものです。それですから、講和条約の方はそのときに受け入れざるを得ない、こういうふうに考えております。
○石橋(政)委員 どうも明確なお答えが得られない。少くとも日本は完全な独立の状態にないということは、すべてお認めになっておる。提案理由の中でも述べておるし、私の質問に対する提案者の答弁の中でも述べておる。そうしますと、今のような状態のまま新たに検討を加えようといったって、現行憲法の改正をなした当時と、それはウェートに多少の違いはございましょう。しかしながら大きなアメリカの支配力、影響力を受けておるという点においては、これは私は避けられないものを持っていると思う。少くともそういうことになりますと、その影響を受けてはおるけれども、より少く受けるような努力というものがなされるならば、まだ納得がいきます。確かに日本は完全な独立状態にない、アメリカは日本に対して影響力がある、支配力もある。これは幾らかでも薄らぐように持っていこうという努力をあなた方がなさっていれば、まだ寛容すべき点はあるわけなんです。しかしあなたたちのそういう努力が結果的に現われてきておらない、どういう点で現われてきておらないかといいますと、一番影響力を受ける内閣に憲法調査会を作ろう、これが私の指摘するところなんです。少くとも完全独立状態にないのだから、アメリカの支配力の一番及ばないところ、そうしてしかも国民の意思が最も自由に表明されるところに憲法調査会を作ろうという努力を皆さん方がなさっておるならば、それならば私もこれを認めます。それはもうウェートが違うのだという点で認めますけれども、そういう努力をなさらないで、内閣に憲法調査会を作ろうとするところに、私は問題があると申し上げておるわけなんです。アメリカのサゼスチョンを受けた、影響力を受けたということを取り上げて改正の検討をやろうというならば、今度はその一番あなたたちが指摘しておるところの、一番薄い方向で検討を加えようという努力をなぜなさらないのですか。国会に作るよりも内閣に作った方が影響力は少いとでもあなたたちはおっしゃるのですか。そういう理屈は何人が聞いてもこれは納得いたしませんよ。内閣よりも国会の方がまだまだアメリカの支配力、影響力は少くて済む。そうするとアメリカに押しつけられたのだ、自主性がないときの状態のもとに作られたのだという、それも単なる口実だ。そういうふうに突っ込まれても、今の態度から推して逃げ口上の余地がないじゃないですか。一体アメリカの支配力、影響力が国会よりも内閣の方に薄いという根拠でもあるのかどうか、私はお尋ねいたします。
○吉野国務大臣 別に内閣がそのアメリカの支配力が強いということは私は考えておりません。
○飛鳥田委員 関連。アメリカの関係から独立して、そうして憲法を自主的に作る、こういうことを前会、鳩山総理大臣も私に答弁をせられておりました。しかし今、石橋委員から御質問がありましたように、現在の段階をつぶさに考えていくならば、アメリカの影響なしに憲法改正などというものはできないのじゃないか、こういうふうにに私は思うのですが、この点もう一ぺん、石橋委員の質問とダブるかもしれませんが、お答えを願いたいと思います。
○吉野国務大臣 私はそうは考えておりません。
○飛鳥田委員 ところがあなた方の親分である鳩山一郎さんは、この関係を明確に答えておられるのであります。鳩山さんが自由党憲法調査会の第一回総会においてお述べになっておるところを読んでみますと、「また特にアメリカとの関係におきまして、どうも憲法を改正することが非常に必要だと考えるのであります。やはり日米の関係は出来るだけ緊密な友好関係に持って行きたいのでありまするが、その友好関係は今下り坂になっている、冷却の方に向っている、それをそうでなく、元の様にして行くためにも早い解決が必要な気がいたすのであります、これが憲法改正の迅速を欲する第三の理由であります。」まるで去っていく、だんなの愛情を求めるためにまゆ墨を濃く引くような態度であります。少くとも自民党の総理大臣が、アメリカとの関係において特に憲法改正をする必要がある、今や日米の関係は下り坂になっているのだから、その愛情を取り戻すためにも迅速にやらなければならぬ、こう言っているのであります。これが何でアメリカと無関係にやるのだ、こういうことになるのでありますか。私はあなた方がこの国会で述べられたのと同様に、はっきりとパンフレットにして私たちにまで配って下さったこの文書を信じないわけにいかないのでおります。すなわち今回の憲法改正というものは、アメリカさんの御趣旨に沿うために行うのだということを歴然と述べているのです。まさかこのパンフレットを否認はなさるまい。そうだとすれば、あなたがさっきから石橋君の質問に答えて、憲法改正は自主的にやるのだ、こういうお話でありますが、少くとも首尾一貫していない占領時代であるから心理的に圧迫をされておったというのならば、形式的な、あなた方のおっしゃる法律的な独立の段階に至った今の段階において、このようにこびを売るというのは一体どういう意味でしょうか。こういうこびを売っている文章を堂々と私たちにまで配っていただいて、ここでまたぬけぬけとうそを言う。こういうことがほんとうなんですか。これで日本の政治はいい方へ行くでしょうか。こういううそとしっぽをつかまれない答弁だけで、政治というものはいい方向に行くでしょうか。民族の独立というものはほんとうに達成できるでしょうか。この点伺いたいと思います。あなたのほんとうのお心持を伺いたいと思います。
○吉野国務大臣 ただいまお示しになりました鳩山総理の演説ですか、どういうときに、どういう意味でおっしゃったのか私はよく存じません。しかし今度の憲法調査会というものに対する私どもの考えは、決してアメリカのためにこびを売るとかなんとかいうことは考えておりません。
○飛鳥田委員 これは鳩山さんのことですからあなたに伺ったって仕方がありませんが、しかしおよそ政治家というものは、いつどこでもその言行の一致していなければならないことは、あなたも御同感だろうと思います。ところが、一方においてこのような言説を堂々と吐き、他方においてこの国会の中でそれと真反対なことを鳩山さん及びその閣僚のあなた方がおっしゃる。こんなことで世の中は通りませんよ。どういう意味でおっしゃったか知りませんがとおっしゃいましたが、今私が読み上げたのをお聞きをいただいただけでその意味は明白なはずです。どんなにだれが答弁しようと、ごまかそうと、この文章の意味は取り違えるはずはありません。もう一ぺん読んでお聞かせしましょう。「また特にアメリカとの関係におきまして、どうも憲法を改正することが非常に必要だと考えるのであります。」日米の「友好関係は今下り坂になっている、冷却の方に向っている、それをそうでなく、元の様にして行くためにも早い解決が必要な気がいたすのであります、これが憲法改正の迅速を欲する第三の理由であります。」これを取り違える人は、日本語のわかる人ならば、ないはずです。去っていく愛情を取り戻すようなこの媚態、これをもってなおかつ憲法を自主的に改訂するのだということをあなたはおっしゃれるのでしょうか。少くとも鳩山さんはこの内閣の首班であります。その首班がこういうふうに堂々とお述べになっている。その首班のもとで国務大臣をなすっていらっしゃるあなたがどのように答弁せられようと、この文句を否定はできないでしょう。また鳩山さんがこの「憲法と外交」というパンフレットを私たち議員に全部下すったということも、私はこう考えております。これは私の信念です、こういうことを私たちにお示しになったものだと思うのであります。これもまた政治家の行動として、一種の公約であります。この公約をあなたはうそだとおっしゃるのかどうか、もう一ぺん伺いたいと思います。
○吉野国務大臣 先ほどから申し上げましたように、うそとかほんとうとかいうことを私は申し上げるのではない。どういう含蓄でどういう場合におっしゃったかということは、私はつまびらかにしていない。ただ現在の政府の見解としては、アメリカにこびるという意味で憲法を再検討するということは考えてない、こういうことであります。
○飛鳥田委員 どういうところでどういう含蓄を持ってとおっしゃいましたから、もう一ぺん読み上げましょう。昭和二十九年三月十二日、首相官邸において、自由党憲法調査会第一回総会、午後一時より一時三十分まで、ここで鳩山一郎さんは、「会長のお話によりまして簡単にご挨拶を申し上げます。」と前置きをせられて述べておられるのであります。いやしくも一党の憲法調査会の中で責任を持ってお述べになり、しかもそれを党内に私するのはもったいないとお考えになって、社会党の僕らにまで下すったのですよ。これでどこでどういう意味でどういう含蓄を持ってお話しになったかは御了解をいただけたと思います。かかる立場において明確にこう行われている鳩山さんの説を、あなたはうそだとかほんとうだとか申し上げられません、というような逃げ言葉では済まないはずであります。あなたの総理です。何ならここで十分か十五分休憩してもけっこうです。お問い合せにいらしてもけっこうです。憲法調査会が自主的であるというあなた方のお申し出が、このように鳩山さんみずからの言葉によって裏切られているという事実を、もう一度あなたから御説明いただきたい。私たちは前からこの憲法改正論こそアメリカからの押しつけであり、アメリカからの御要求であるということをしばしば伺っているのであります。それをそうでないとは言わせません。この文句を読んでいただければわかるはずであります。どうぞもう一度。
○吉野国務大臣 何度申し上げても同じことなんですが、そのことがうそだとかほんとうだとかいうことを申し上げているのではないので、ただ総理のこの憲法調査会に対するお考えは、この委員会におきましてもたびたび表明せられているところだと私は考えております。それによって御承知を願ったらよろしいかと思います。
○飛鳥田委員 それでは前とあとでまた総理は見解を変えたという意味ですか。もっとも総理は見解を変えるのが非常にお得意です。在野時代には、自衛隊は違憲だと明確におっしゃっておって、一たび政権の座につかれますと、自衛隊法が国会を多数で通ったからこれは憲法違反でないと考えを変えた、こういうふうにおっしゃるのであります。君子豹変すといいますが、まさに鳩山さんは君子であります。この場合でもまた憲法に対して意見を変えたとおっしゃるのでしょうか。ちょっと横道にそれますが、この間私サンデー毎日の三月十八日を拝見いたしましたところ、鳩山さんの談話として、どうも政権をとってみると気持の悪いうそをつかなければならないのは残念だ、こう述べておられるのを見て御同情申し上げたのですが、今回もまたそれをやっていらっしゃるのでしょうか。それをもう一度伺わさせていただきたいと思います。
○吉野国務大臣 どうも総理がうそを言うとか言わないとか、あるいは変節したかどうかということを私が申し上げることは僭越だと思いますから差し控えます。
○飛鳥田委員 それではこの問題はもう水かけ論ですから、あなたにお願いをいたします。この委員会が終りましたあとで総理にお確かめをいただいて、ここに述べたことがほんとうかうそかということだけを、ほんとうに述べられたのかどうかということを、私に文書でけっこうですから答弁をしていただきたいと思います。関連質問ですからどうぞ一つ。
○石橋(政)委員 先ほど現行憲法が占領状態のワクの中で行われたので、国民の自由意思というものが自由に表明されてない、こういうふうにおっしゃっておる。ところが現在も、程度の差はあっても、やはりアメリカの影響力、支配力というものを大きく受けておるじゃないか。しかもその受けておる度合いというものは、国会よりも内閣の方が大きいじゃないか。その内閣に憲法調査会を作るなどということは、そういった当時の弊害といいますか、弱点といいますか、それをカバーしようという努力が現在行われておらないといわれてもしょうがないじゃないかと私申し上げたわけです。御承知の通り現在国内には七百数十の軍事基地が設けられております。しかも裁判管轄権というようなものをたてにとって、どちらかというと米国の駐留軍は占領当時と変らないような傍若無人の態度をあちこちでとっておるわけです。先日も私、鳩山さんにもあるいは倉石労働大臣にもお話したのでありますが、駐留軍二十万の労働者は全く基本的人権を踏みにじられておる。そういった具体的な例をもあげてお話いたしました。また経済的には日本の重要産業がアメリカ資本によってどんどん抑えられておる。こういう状態の中で、しかもアメリカの要請、要望というものを多分に加味した憲法改正というものが行われるということであれば、改正の検討を加える理由に米軍を持ち出してくること自体、私は矛盾しておるんじゃないか、さように考えるわけなんです。現在の憲法改正というもののあなた方の動きに対してアメリカが大きな希望と期待を寄せておるということは事実であります。その点についてはお認めになりますか。
○吉野国務大臣 別にこれはアメリカには無関係なことでございますから、アメリカがどういうふうに希望を持っておるかどうかということは、私にはわかりません。
○石橋(政)委員 あなたはほおかむりをして、アメリカとは無関係だというようなことをおっしゃろうとしておる。しからば私は明確にお答えを願いましょう。昨年の八月、副総理の重光さんが、何の用でか、のこのことアメリカに出かけて参りました。そうしてダレスさんと会談を重ね、九月一日にいわゆる日米共同声明というものが発せられております。この共同声明の内容の一部分をここに御披露申し上げましょう。「日本ができ得る限りすみやかに自国の防衛のための第一次的責任を引き受け、国際的平和と西太平洋における安全保障の維持に寄与し得るごとき条件を確立するため、協力基礎に立ってでき得る限り努力すべきことが同意された。さらに右のような諸条件が実現された場合には、現在の安全保障条約をより相互性の強い条約に変えることが適当であろうということも同意された。」このように明文に示されております。あなたは、今私が申し上げた、この相互に同意された点が現行憲法のもとで可能だというようにお考えになっておりますかどうか、お伺いいたします。
○吉野国務大臣 この点については、重光外務大臣からたびたび申し上げておることだと思います。私は一向差しつかえない、こう考えております。
○石橋(政)委員 これは異なことを承わる。電光さんが一生懸命弁明これ努めているのは、今私が申し上げた前後の項なんです。いいですか、「日本ができ得る限りすみやかに自国の防衛のための第一次的責任を引き受け、国際的平和と西太平洋における安全保障の維持に寄与し得るごとき条件を確立するため、協力基礎に立ってでき得る限り努力すべきことが同意された。」この点は、当然海外派兵を伴うじゃないかという大きな疑問に答えて、苦しい弁明に努めておったのです。日本が国内の防衛の第一次責任を負うことが即西太平洋地区の安全に寄与することになるんだと一生懸命弁解しておった。これは詭弁ではありますけれども、一応言いのがれとしてあるいは通る場所もあるかもしれない。しかし後段の方の、右のような条件が実現された場合には現在の安全保障条約より相互性の強い条約に変えることが適当である――これが現行憲法でできますか。重大な問題ですから、もう一度答弁を願います。
○吉野国務大臣 そのお言葉の相互性ということですが、相互性ということは、何も必ずしも日本がアメリカ側の意を迎えて援助するというふうに限った解釈じゃないと私は思います。
○石橋(政)委員 現在の安全保障条約は承知と思いますけれども、念のためお読み聞かせいたしましょう。前文並びに安全保障条約の第一条において明確にうたわれていることは、日本政府の明示の要請に応じて米軍が援助する。米軍は援助するばかり、日本は援助を受けるばかりの安全保障条約なんです。これを相互性の強い条約に変えるということは、日本が援助を受けるばかりじゃなしに、日本もアメリカを援助をするということでなくちゃ、相互性の強い条約ということは言えないんじゃないですか。少くとも現在の安全保障条約を、そういう相互性の強い、偏務的なものじゃなしに相互的なものに変えようということが重光さんから言われておることは、談話の内容として当時発表されておる。(「当然だ」と呼ぶ者あり)これは自民党の諸君の考え方からいけば当然でしょう。しかしそれが現行憲法でできますか。私はそれをお答え願っておるわけです。
○吉野国務大臣 今の重光さんのお話の、第一次的に完全に日本が防衛力というものを立てたというときには、今の安保条約というようなものの条件も内容は私は変ってくるだろうと思います。そういう意味でより強力と申しますか、相互というようなことが使われたものだ、こういうふうに考えております。
○石橋(政)委員 そうすると、今の安全保障条約は、日本が単に援助を受けるという度合いが強いんだ、これを相互性の強いものに変えるという場合には、一体具体的にどういうものに変えるということになるんですか。私は少くともアメリカから援助を受けるだけじゃなしに、アメリカに危急の事態が発生すれば日本も援助する、これが相互性だと思うのですが、そうじゃない相互性というのは一体どういうことなのか、一つとくとお教え願います。
○吉野国務大臣 そこまできますと、これは私よりも外務大臣がどういうことであるかということを申し上げることが適当だと思います。しかし今お話のように、そのことが必ずしもアメリカ側を援助するんだ、こういう意味には私は考えておりません。
○石橋(政)委員 あなたも鳩山内閣の閣僚なんです。しかし今度憲法を担当されて、憲法というものを常に頭に置いて物事を判断しなくちゃならない立場にある。そういう重大な地位におられる大臣だから、私はあえて質問をしておるわけなんです。私は先ほどから申しておるように、相互性の強い条約に変えるということは、これは保守党の諸君の立場からいえば当然かもしれない。しかし少くとも相互性の強い条約に変えるためには、現行憲法そのままにしておいてできるはずがないと考える。あなたはそれができるとおっしゃったのだから、できる根拠をお示し願いたい。どういうふうにすればできるのか、どういう範囲でやるならば、相互性の強いものであって、しかも憲法に抵触しないのか。できるとおっしゃった以上は、いまさら重光さんにどうのこうの言うのはおかしい。
○吉野国務大臣 その意味は、やはり現行憲法のワク内においての話だ、こういうふうに私は考えております。
○石橋(政)委員 現行憲法のワク内で相互性の強いものというのは一体どういうことなのですか。できっこないと思うから私にはわからない。そこのところを明確にお教え願いたい。
○吉野国務大臣 私の言い得ることは、とにかく防衛というものの力が自立すれば、現在の安保条約の内容も変るだろう、こういうことだけは申し上げることはできますけれども、ただ具体的にどういうふうにどうするかというようなことは将来の問題でございますから、私としては何とも申し上げかねます。
○石橋(政)委員 現在の安全保障条約並びに行政協定というものは、現行憲法の範囲内でとり得る最大の共同措置その他のものを規定していると私は思うのです。行政協定の二十四条でも「日本区域において敵対行為又は敵対行為の急迫した脅威が生じた場合には、日本国政府及び合衆国政府は、日本区域の防衛のため必要な共同措置を執り、」となっている。少くとも現行憲法のもとにおいてできる日本区域内における共同防衛の措置というものは、今すでにとれるようになっておるのですよ。これを改めようというからには、日本区域外にも日本が出て行ってアメリカの援助をするとか、そういうことでなければ改訂の意義をなさないではありませんか。少くとも現行憲法のワクの中でとり得る範囲ぎりぎりの共同措置というものは今の安保条約、行政協定でもとれるわけなんです。それを改訂しようということは、当然に現行憲法改正というものが前提にならなければならぬと私は思うのですが、その点もう一度明確にお教え願いたい。
○吉野国務大臣 私はたびたび申し上げますように、そうは考えておりません。
○石橋(政)委員 それでは現在の行政協定二十四条の「日本区域の防衛のため必要な共同措置を執り、」これ以上の相互性の強いものは一体どういうことなのか一つお答えを願います。
○吉野国務大臣 具体的にどういうことになるか私は申し上げかねるのでありますが、とにかく日本が防衛は自力でできるというときには、たとえば国内の治安まで外国に頼む必要はなくなるだろうと思います。そういう意味におきましても、現在の安保条約なり行政協定というものの内容は変るだろうということだけは申し上げることができるのです。
○石橋(政)委員 少くとも私の質問に対するお答えとしては私は納得いきません。重光外務大臣の考え方を聞かなければわからないということでございますので、しからばこの点は先ほどの飛鳥田さんの質問と同様に、重光さんなりあなたが必要と考える方の意見を聞いて、私が納得のいくように答弁を願いたいと思いますが、その点御確約できれば質問をさらに続けます。
○吉野国務大臣 御納得がいくかどうかということは、これはあなたの方の御解釈ですからちょっとわかりませんが、必要があれば外務大臣の所管に関することは、外務大臣が答弁することは適当だろうと考えております。
○受田委員 関連して。吉野国務大臣はソ連との間においては、法律的に完全な独立国の関係に立っているとお考えでしょうか。
○吉野国務大臣 そういう問題はこの委員会でどういう問題になったか存じませんが……。
○受田委員 そうではない、あなたにお聞きしておるのです。
○吉野国務大臣 とにかく、どういうことか知りませんが、私も戦争状態はまだ終結してないということだけは申し上げることはできるわけです。
○受田委員 法律的にですか。
○吉野国務大臣 法律的にです。
○受田委員 今吉野国務大臣は、日本は法律的に完全独立国と言明せられました。御記憶でしょう。
○吉野国務大臣 その通りでございます。
○受田委員 その通りと今おっしゃっておられる。法律的に日本は完全独立国であると言明され、ただいまの法律的にソ連とは戦争状態が続いておると言われておる。この点は非常な矛盾だと思いますが、いかがですか。
○吉野国務大臣 私は別に矛盾しておるとは考えておりません。
○受田委員 国際法的にはどうですか。
○吉野国務大臣 私は別に国際法的には、矛盾しているとは考えておりません。
○受田委員 吉野国務大臣は日本が法律的に完全独立国だという前提のもとに先ほどから見解を述べておられるようでありますが、日本と国際法的に戦争状態が続いた国もあるということになるならば、国際的に完全独立国と容認される道がないと考えるのです。従って特に日本が憲法を改正しなければならないという理由は、完全独立国になって後に発生するものであって、国連にも現在加盟していない現状であり、ソ連との間に完全独立国にされていないという国際的立場に立っている現状において、憲法を改正するということが正当であるかどうかをお伺いしたいのであります。
○吉野国務大臣 私は完全独立をしておるということと、どこかの国と戦争状態があるということとは全然関係のないことであって、私は別に矛盾を感じておりません。
○受田委員 あなたはどこかの国と戦争状態が続いている、しかしそれは完全独立とは何ら支障がないものであって、この点においては国際的に何ら拘束を受けないと国際法上の立場から言明できますか。
○吉野国務大臣 その通りでございます。
○受田委員 あなたのそういう御見解を強行されるならば、それに関連して、日本は国連にまだ加入していない、国際連合に加入するためには、日本の現状の兵力をもってしてこれが可能であると考えられますか。
○吉野国務大臣 私は別に国連に加入するについて、兵力がどれくらいなければならぬということは必要はないと思います。
○受田委員 国連に現状で加入できるとするならば、何であわてて憲法改正を意図する必要がありますか。この点は、兵力を増強するという政府の意図がないということ、戦争状態が続いているという批判、疑義が残されている現状において、急いで憲法改正をしなければならぬという意図を私たちは了承し得ないのであります。拙速をとうとぶよりはゆっくり検討を加えて、あなた方の御意図のあるところを将来において実現される方が、政治家としてとるべき道ではないかと思いますが、御見解はいかがでありますか。
○吉野国務大臣 お話の通り拙速でやるという気は少しもございません。慎重に十分時をかけてやりたいというのが政府の考えでございます。
○受田委員 今政府は憲法改正の世論調査をしておられるようであるが、この世論調査は、総理府で先般調査をされた結果では、根本長官の御発言によるならば、賛否は三〇数%ずつであって合計しても五〇数%だ。国民の四〇%以上は何ら関心を持っていない。結局憲法改正に賛意を表している者は二 ○数%であるという現状だ。それで私は憲法改正を意図する調査会法案のごときを考え、あるいは憲法改正の意図を国民の前に訴えようとする政府のあり方についての御見解を伺いたいのであります。
○吉野国務大臣 今のお話は憲法を改正する場合のお話であろうと思います。この調査会の方は、まだするかしないか、とにかく今の憲法の全般にわたって再検討を加えよう、こういうことでございますから……。
○受田委員 政府は憲法改正をするという方針を持っておられないのでありますか。
○吉野国務大臣 それは改正をしたいのです。しかしそれをやるについて慎重を期するために調査会を設けて、改正する必要があるか、改正する必要があるとすればどういう点を改正すべきものであるかということを十分調査した上で適当な措置をとるということであります。
○受田委員 あなたは憲法改正の方針を持っている、従ってその方針のもとに今回の法案を出されたという御見解である、この問題については憲法改正の意図を表明する政府の方針そのものが世論を無視したあり方であると私は断定せざるを得ない。政府自身の内部において調査された世論調査の結果は、二十数パーセントしか憲法改正の意図を持っていない。あとの七十数パーセントは関心を持たないかあるいは反対の意思がある、こういう段階で世論を尊重する民主主義の政治の上において憲法改正の方針を打ち出すことは、妥当かどうかを伺っておるのであります。
○吉野国務大臣 私は差しつかえない、こう考えております。
○受田委員 私は最初の質問に帰ります。それで結論にいたしますが、世論的にまだ憲法改正の意図が熟していない。国際的に日本は戦争状態の続いている国がある。国連に加入をしていない。こういう諸般の情勢の中で戦後十年つちかわれた現在の憲法に対してこれを基本的に改正しようという政府の方針は時期尚早であり、民主主義の本質を誤まるものであると私は考えるが、御見解を伺いたい。
○吉野国務大臣 私はそう考えておりません。
○石橋(政)委員 先ほども申し上げましたように、日本が完全な独立状態にないということはもう明らかな事実であります。そうしますとこの不完全独立の状態下において、独立完成のために憲法を改正あるいは検討を加える必要ありというならば、最もアメリカの影響力の少い部分に憲法調査会を作る努力が私はなされなくちゃならないと思う。そのためには内閣に置くよりも国会に置いた方が妥当ではないかと私たちは考えておるわけです。もう一つは法律的に解釈しましても国会に置くことが一番妥当である。しいて内閣に置くということは疑問の余地を残しておるということ、これはあなたも御承知の通りであります。御承知の通り憲法改正の発議権は国会にのみ存じておる。この点についてはすべての人の見解が一致しておるわけであります。しかしその発議を促すところの提案権は内閣にもあるということを主張されるのはあなたたちの立場でありますけれども、この点については疑義が残っておる。しからばそういう疑義のある方法をとらないで、完全に意見の一致しておる方法をとることこそ現在最も望ましいのではなかったかというのが私たちの考え方であります。一つにはアメリカの影響力、支配力を排するあるいは少くとも薄くするという努力はなされておらない。それから発議権、提案権に伴う疑義を残さないようにするという努力もとられておらない、こういう点について非常に不満に思うのでありますが、なぜそういう努力をなさらないのか、あなたはそれでもいいとお考えになるのか、この点についてそれではお答え願います。
○吉野国務大臣 発案権については学者の間にも二つの説があるということは私も承知しておりますが、政府は差しつかえないという見解をとっておる、その政府の見解については何ら疑義をさしはさまない、政府としてはそれでよろしい、こういう考えをとっております。
○山本委員長 石橋君に御注意いたします。すでに吉野国務大臣に対する質問時間は一時間以上になっております。本質問は法案に対する直接の質問ではありませんので、大体午前中で終了する予定でありますから、なるべく約束通りに終了するよう結論をお急ぎ願います。
○石橋(政)委員 承知しました。ただいま内閣においては疑義がない、全くもって一方的な見解を答弁されておりますけれども、私が言っておるのは、内閣がそういう主張をしているのはわかっておるのです。疑義が残っておるじゃありませんか。だからこそ少くとも国の基本法たる憲法を改正しようという、検討を加えようという、こういう重大な問題を処理する場合には、一点の疑義も残さないようになさるのが妥当じゃありませんか。先ほどから申し上げておるように、国会に置くならば一点の疑義も起きてきません。それをあえて自分たちの方だけは疑義がないからといって内閣に置くという態度は私は好ましくないと申し上げているわけです。その点について国会の方に置いた方がより望ましい状態であったというふうにあなたはお考えになりませんか。
○吉野国務大臣 ですからそういう説もあるということは私も申し上げておるわけですけれども、しかしどちらが数学的の多数かどうかは存じませんけれども、政府の見解を支持する学者も相当あるわけであります。それで私は差しつかえない、こういうふうに申し上げたわけであります。
○石橋(政)委員 委員長の注意がございましたので、その点については残念ながら一応質問をとどめましょう。 それでは最後に一点お承わりしておきたい点があるわけです。それは何かといいますと、私が二月二十三日に鳩山さんにお尋ねをいたしましたときに、鳩山さんはこういうことを言っておられます。「一体われわれは日本の国を作ってるというのに、基本的の権利ばかりを書きまして、義務の方は少しも書かないというのは、手落ちだろうと思います。やはり権利も主張し、義務も持つというような憲法の書き方が、適当な書き方だ」こういうことを言っておられますが、少くとも私は国民が作った国民主権を宣言した現行憲法の精神、基本的人権というものを鳩山さんはよく理解しておらないのではないかという疑問すらわいてくる。御承知の通り、憲法の九十九条にも天皇あるいは摂政、国会議員、国務大臣、裁判官を含む公務員、こういう人たちは憲法を順守し、擁護する義務を負うと書いてあるけれども、国民が負うとは書いておらない。しからば国民は順守擁護の義務を負わないか、そういう疑問を起す者はおらないわけです。自分たちが作った憲法を自分たちが大切にし、擁護していくのは当然のことなのだ。だからこそ九十九条に国民の義務というものは除いてある。この点についてまずあなたは同様なお考えであるかどうか、承わりたいと思います。
○吉野国務大臣 今のお話は、国民もまたそういうことを守る義務があるということを明文に書いたらよいかどうか、こういうお尋ねですか。
○石橋(政)委員 私は国民主権をうたっており、国民が確定した憲法の中へ、国民がこの憲法を守らなくちゃならないとか、擁護しなくちゃならないという義務をわざわざ書かなくても、あまりにも当然のことだから書いておらないというふうに解しておるが、あなたも同様な見解か、お伺いしたい。
○吉野国務大臣 そういうお考えは正当だと私は思います。
○石橋(政)委員 その点でも明白になっておりますように、国民が作ったものを国民が守るのは当然なのです。それからもう一つの考え方、権利というものには、少くとも公法上の権利というものには必然的に義務というものが伴っておるということ、これも鳩山さんはお忘れになっておるのではないかと思う。御承知の通り、憲法十二条に何と書いてあるか、この憲法で国民が持っておる自由と権利というものには三つの義務が付加されておる、これは当然ですが、不断の努力によって保持すべき義務、それから乱用してはならない義務、そしてまた公共の福祉のために利用する義務、基本的権利、自由にこういった義務が付加されておる。これは少くとも基本的人権、われわれの権利というものに当然に付随するものだと私たちは考えておる。そこへもってきて鳩山さんは、義務が足らぬ、義務が足らぬ、現行憲法は権利ばかり主張しておるが、その権利には必然的に義務の付随していることを、私は忘れておると思う。現行憲法には、明治憲法が規定しておった義務のうち、兵役の義勝を除けば全部うたわれております。これ以上に一体いかなる義務を必要としておるのか、私は鳩山さんにお伺いしようと思ったが、チャンスがなかったのです。憲法担当大臣になられたあなたは、鳩山さんのこの見解同様、もっと義務をたくさん、この憲法の中に織り込んでいく必要があるというふうにお考えになっておるのかどうか、その点をお伺いします。
○吉野国務大臣 憲法の条章というものを守る国民の義務があるということは、お話の通りだろうと思います。ただ、それだからというて、それを今度は明文にうたう必要があるかどうかということは、これはまたそういう説を唱える人もございましょう。そういう点なども、憲法調査会で私は検討を願ったらいいのではないかと考えております。
○石橋(政)委員 鳩山さんははっきり、義務の方は少しも書かないというのは手落ちだろうと言っているのです。一体こういう考え方というものは、非常におかしいと思う。私は、あなたも憲法担当大臣として、鳩山さんと同じように、義務を少しも書かないのはおかしいと思いますかということをお尋ねしているわけなのです。
○吉野国務大臣 私はそこまでは申し上げる必要はないと思います。ただ私が申し上げたいのは、そういう説も一方にあるわけですから、そういうことも憲法調査会でよく御検討を下さればいいと思います。
○石橋(政)委員 それでは憲法担当大臣になられた吉野さんは、現行憲法の義務規定というものについて、まだ足らぬというような考えは持っておらないというふうにお考えになっているのかどうか。
○吉野国務大臣 その結論を私は申し上げたのではなくて、そういうことを憲法調査会でよく御検討を願ったらよかろうということを申し上げたのであります。
○石橋(政)委員 少くともあなたは検討を加えねばならない、そういうふうに考えておられるお一人なのです。しかも直接担当の責任を負う国務大臣なのです。そのお方が、現行憲法を検討しようというからには、不備な点があると考えての上のことだと思う。そうすると、権利ばかり書いて義務を書かないというのはおかしいと鳩山さんは率直に言っている。あなたはおかしいと思わないかどうか。これくらいのことに答弁できないで、どうして憲法担当大臣が勤まりますか。おかしいと思うか思わないか、それだけでいいですから、一つ御答弁を願います。そうしたら私は質問をやめますから……。
○吉野国務大臣 私の申し上げましたのは、現行の憲法の規定にちゃんと今書いてある以外に、特に義務ということを書く必要があるかどうかということについては、書いた方がいいという意見の人もありますから、そういう問題は憲法調査会の方で御検討を願ったらよかろうということを、繰り返して申し上げておるわけであります。
○石橋(政)委員 吉野担当大臣は、そういう点については全くどうしたらいいかわかりません、そういうことなのですか。鳩山さんは権利ばかり書き過ぎて義務が書いてない、こういうふうにおっしゃっておる。あなたはそういう疑問すら持たない、そういうことなのですか。
○吉野国務大臣 疑問を持つとか持たぬとかいうことではなしに、私は今私自身の個人の結論をここで持っていないということを申し上げるのであります。
○石橋(政)委員 ここで述べることができないということを言うのは、私はおかしいと思う。あなたの憲法担当大臣としての考え方を私は聞いているわけであります。憲法担当大臣として、これくらいのことは聞いておかねばいかぬですよ。考えておかねばいかぬですよ。検討を加えようというからには、国民の権利義務というば、憲法の基本ではないですか。これをおいて一体何がありますか。その大切な条項について、担当大臣が義務が、一体少な過ぎるか、もっと義務条項をうたう必要があるか、現行憲法で十分であるとお考えになるのか、検討を加える必要があるかないか、そのくらいのことをここで言えないということはおかしい。あなたの御意見を聞いておるのですから……。
○吉野国務大臣 私の申し上げるのは、そういういろいろなことについていろいろな意見がございますから、全般にわたって憲法調査会で検討を願ったらよかろうということを言うので、私個人の意見をこれはこうだ、あれはこうだということをこの際述べることは、差し控えたいと思います。
○石橋(政)委員 やめようと思ったけれども、これではやめられませんよ。私はこの一点だけでやめようと思っておる。(「無理なことを言うな」と呼ぶ者あり)無理ではない。憲法の基本的な問題は国民の権利義務だ。その義務条項について、鳩山さんは、権利理ばかり書いて、義務の方は少しも書かないのは手落ちだろうと思うと言っておる。あなたは憲法担当国務大臣の資格でけっこうです。鳩山さんと同じような見解を持っておられるのか、それとも鳩山さんとはやや違う、義務条項を現行憲法以上にそうふやす必要がないというふうにお考えになっておるのか、それくらいの見解を持たずに憲法大臣が勤まるとは私は思わない。なぜ言えないのですか。私はそれでどうこうということではない。あなたの御意見をお伺いしておるわけなんです。
○吉野国務大臣 それですから、たびたび申し上げましたように、そういったような総理の見解もございますし、少くともこれは検討を要する問題であるということだけは申し上げられると思います。ただこれに対して私個人の結論というものを申し上げることは差し控えたい、こう思っております。
○石橋(政)委員 そういうことでは鳩山さんを呼んで聞かなければならぬことになります。私は別にことさらに来てもらおうとは思わない。あなたの答弁を聞いて満足しようと思っておる。そうでなければ、鳩山さんを呼んで、前にこう言っておるがと開き直って聞かなければならぬ。そういう手数をわずらわさずに、本委員会を円満裏に終るようにするために、一つ大臣にお願いしますよ。私は満足できません。
○吉野国務大臣 鳩山総理の見解は、速記録にある通りの見解だと思うのです。ただ私は、そういう意見でございますから、これは検討を要する問題であるということを申し上げたわけなんです。私がそれに対して個人的な結論を今ここで申し上げかねるということを申し上げておるのであります。
○石橋(政)委員 それでは検討を要するということは、やはり不満をお持ちになっておるというふうに了解してよろしゅうございますか。
○吉野国務大臣 それはやはり言葉通り、額面通りに一つ御了解願いたいと思うのです。ただ検討を要する問題であるということだけ私は申し上げます。それ以上にいろいろな含蓄をもって申し上げておるのではない。ただ率直に検討を要する問題であるということを申し上げておるわけであります。
○石橋(政)委員 少くとも先ほどから何度も申し上げておりますように、憲法の権利義務というこの大切な問題について、憲法担当国務大臣たる吉野さんに、定見がないというふうに解するか、あるいは鳩山さんと見解を異にするというふうに解するか、さっぱり私はわからない。わからないままに引き下りようがないではございませんか。少くともここのところをはっきりしてもらわなければならない。検討を加えなければならぬとおっしゃるから、検討を加える必要があるということは、すなわち不備な点があるというふうにお考えになっておるのかというと、そうでもなさそうだ。一体何のことでございますか。検討を加える必要があるということは、不満を持っておる、不備があるというふうにお考えになっておる、こういうふうにお考えになっておるのか。一つ私がやめることができるようにお願いいたします。
○吉野国務大臣 まあ私の言葉も足りないのかもしれませんが、ただ検討を要するというのは、検討に値する問題であるということだけを申し上げておきます。そのほかには何らの意味もございません。
○石橋(政)委員 それでは鳩山さんはもう少し強い表現をされている。義務の方を少しも書かないのは手落ちだとおっしゃっている。これは少し鳩山さんの言い過ぎだというようにあなたはお考えになるのですか。
○吉野国務大臣 そういう批評は私はこの際差し控えたいと思います。
○山本委員長 もう時間ですから、どうぞ結論を急いで下さい。
○石橋(政)委員 非常に不満足でございます。非常に大切な問題について、憲法担当大臣が明確な答弁をしない。しかも鳩山総理がここまで明確に述べておる点についても、これに必ずしも同意見でないようでございますが、こういった閣内の意見が不統一だというようなことについては、後日それでは私追究することにいたしまして、本日は皆様方のたっての要望もございますので、これで質問を終りたいと思います。
○受田委員 私はここで一議事進行の提案をいたしたいのでありますが、その議事進行に当りまして、一言だけ吉野さんにお確かめ申し上げておきたい点があります。前の清瀬国務大臣は現日本憲法はマッカーサーによって与えられた憲法であるという発言をされ、そうしてこれを国民の自由意思によって改めるべきであるということを言うておられるのでありますが、このマッカーサーによって与えられた憲法とあなた方のおっしゃっている現憲法は、これはマッカーサーによって与えられた憲法か、昭和二十一年十一月三日公布されたこの憲法は、そのときは極東委員会が権限を持っておった、二十一年二月以来極東委員会が権限を有するに至っておるのであるが、占領軍最高責任者である極東委員会が決定した憲法であるのか、これを確かめておきたいし、あなた御自身は依然としてマッカーサー憲法という清瀬前担当国務大臣と同様の見解を持っておられるかをお確かめ申し上げたい。
○吉野国務大臣 お話の点は占領のときでございますから、占領の諸機関がいろいろございます。今お話になりました極東委員会ですか、それも一つだろうと思いますが、それであの憲法を制定する憲法の原案ですか草案ですか指示ですね、指示を与えるについて、そういったような諸機関が、私は実際は知りませんが、関与をせられたということを想像するだけでございます。
○受田委員 マッカーサー憲法という考え方については、大臣としても一応は了承されますか。
○吉野国務大臣 そのおっしゃる意味がどういう意味でございますか。マッカーサーはその当時の占領軍の最高指揮者であって、そうしてこの憲法を作るについて非常に強力な指示を与えた、指導を与えたということは私も承知しております。そういう意味でおっしゃるのでございますか。
○受田委員 清灘さんと同様の見解ですか。
○吉野国務大臣 清瀬さんと同様かどうかは存じませんが、最高司令官として強力な指示と指導を与えた、こういうことは認めます。
○受田委員 私は与えられた憲法という前提のもとに憲法改正を意図せられているという政府の御意思に対して、それはマッカーサーによって与えられたのだという考え方――この憲法が公布せられたときはすでに極東委員会が最高決定機関であり、マッカーサーはその極東委員会の決定を実施する責任者であったという点において、最後までこれがマッカーサー個人の意思によってきまったというような考え方を持っておられることは、是正しなければならぬと思うのでございますが、清瀬さんの御意見に対して吉野さんは依然としてマッカーサー憲法であるという信念を貫かれるかどうか。
○吉野国務大臣 私はさっき申し上げました通り、そういう表現は使っていないのであります。マッカーサーは個人ではなくて最高司令官でございます。占領治下でございますから、占領諸機関がございましょう。その諸機関が憲法のことを日本政府に指示するなり、あるいは指導するについて関係はしておられたということを想像いたしますということを申し上げております。
○山本委員長 受田君、どうぞ議事進行に関する御発言を願います。
○受田委員 議事進行のご要望もありますが、この点につきまして先ほど来石橋君及び飛鳥田君から質問があり、吉野国務大臣が憲法担当国務大臣になられて初めてここで発言せられた御意思と、鳩山総理がしばしば国会において発言せられているその発言内容と、これが外交上の問題にも関連して種種双方の間に意見の食い違いがあることがきわめて明瞭にされている現段階において、吉野さんが憲法担当国務大臣となられてここで発言されたことと、鳩山総理がしばしば委員会等で発言されていることとどこに食い違いがあるのか、総理の真意の吉野憲法担当国務大臣の真意の相違については、鳩山総理大臣に御出席を願ってここで御見解を表明していただかないと――あなたを憲法担当国務大臣に任命されたのは鳩山さんだろうと思うが、その点はっきりしておきたい。
○吉野国務大臣 それは内閣の内部のことでございます。内閣の方でそういう仕事を手伝うことになったのであります。
○受田委員 非常にやさしくお手伝いをされるという謙虚なお気持の表明があったのですが、そういうことであったならばよけいに、ここで堂々と発言されたことが総理の真意と違っておれば、それはお手伝い、サーヴァントの役目は果せないと思う。この点はやはり鳩山総理に御出席を願って、その疑点を明らかにする必要があると思いますので、早急に総理の出席を要求いたします。
○山本委員長 暫時休憩いたします。午後は二時より再開いたします。 午後零昨四十七分休憩 ――――◇――――― 午後二時五十八分開議
○山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 厚生省設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。通告がありますのでこれを許します。受田君。
○受田委員 厚生大臣は、この前の私の質問に答えられまして、今回の法案改正の最重点でありまする未帰還調査部を内部部局へ改組するに当っての御見解を表明されたのでありますが、これに関連して、今回日ソ交渉に際して、直接引き揚げ促進のために御苦労下さった田邊引揚援護局長がお帰りになられて、この法案に直接関連のある残留者の帰還促進、未帰還者の調査究明という問題に一大進展を来たすであろうということをわれわれ期待しておるのですが、大臣は、田邊援護局長をして、この未帰還調査に当ってどういう努力をせしめようと用意されておるか、まず御所見をお伺いしたいのであります。
○小林国務大臣 日ソ交渉の過程におきましてソ連からの未帰還者のできるだけ現実な問題をつまびらかにいたしたいと存じまして、松本全権の随員としてかねて派遣いたしたのでありますが、私がまだ帰りましてつぶさに報告を得ておりませんので、至急報告を得てその上で善処いたしたいと思っております。
○受田委員 政府は未帰還調査部を今後どのように運営を考えておられるか。未帰還調査部というものは、帰還業務が完了した暁には、当然廃止さるべきものではありますけれども、今後の未帰還調査部を存置せしめる見通しをお伺い申し上げたいと思います。
○小山政府委員 今後の見通しでございますが、引き揚げ援護業務のうち一番最後まで残るものが、先ほどからお話になっておられます未帰還業務でございます。そういうような事情もございまので、たといごく最近の間にいろいろな情勢が好転いたしまして、引き揚げその他が促進されたといたしましても、未帰還調査業務はなお相当後まで残るものと考えております。
○受田委員 未帰還業務は相当長期にわたって残されるという見通しだそうでありますが、しからばこの間しばしば触れました職員の漸滅方針をお取りやめにならないというと、せっかく政府が企図せられておりまするところの未帰還業務を推進することに非常に支障が起りはしないか。だんだん人を少くして業務の能率を上げるということは非常にむずかしいのであって、人員を減少せしめないで、そして調査を徹底的に浸透せしめるという方針の方が、当局の御意思を徹底させるのには妥当ではないかと思うのでありますが、御所見を伺いたいと思います。
○小山政府委員 前回御説明を申し上げましたように、四カ年間にわたりまして人員は逐次減少さして参っておりますけれども、これが一通りここまでつきましたあとは、今度は横ばいになって相当程度、同じ程度の人間を持続していく必要があるというふうに考えております。なぜそういうふうな事情になるかと申し上げますと、現在までに状況の不明な人々についての調査は、いろいろの方法で確かめてはおりますけれども、なおきめ手となるものが十分につかみかねるというような事情で、確定しておらないものが非常に多いのでございます。こういう人々の最終的な決定のためには、短期間に非常に多くの人手を使いまして、調べてみましても、にわかに結論をきめるということはいろいろの事情からむずかしい。やはりかすにある程度の時目をもちまして、いろいろの方向から調査を続けていくというようなことが必要だというような事情のものが残っておりますので、一挙に人をふやして解決をするという方法ではなくして、ある程度の期間続けて調査をして結論を出す、こういうふうにやることが必要だという事情になっているのでございます。
○受田委員 当局の御意思はある程度了承する点があるのではありますが、未帰還者の今後の調査ということは非常に困難な事態に至っておるので、今までのようにスムーズに行かない。従ってその調査に当っても念には念を入れて、ただ一人であっても、その人の死亡処理をしようとするならば、あらゆる角度からの調査をやって資料を提供して結論をすべきであって、今までのように大量に短期間にその結論を出すこととは事情が異なっている。従って今後の未帰還調査というものは、業務内容がはなはだ困難な情勢の中において行われるという想定をするならば、今後の未帰還者の処理というものは、あなた方のがお考えになられるように簡単にいかないと私は思います。従って簡単にいかないこの処理をここで年次的に定員を減少せしめて、三十二年度まで逓減方式をとってできるだけ経費の節約をしようと企図しておられることは、未帰還調査の徹底な期することは逆な方向に行っているような印象を受けます。それをどうやったらいいかということになるのでありますが、あなた方のお考えになっておられる未帰還調査の業務内容を、ただ一人であっても徹底的に調査に当り、できれば全国からたくさんの消息を、多少でも知っている者は漏れなくこれを集めて、調べるというくらいの誠意を持っておやりになるという方針であるならば、この際人員を減らさぬで、現状の人口を最高度に利用して、留守家族をして絶対に厚生省に誠意が欠けているというような印象を与えぬような方針をおとりになる方がいいのではないですか。この点について首脳部の御見解をただしたいと思います。
○山下(春)政府委員 この問題は、ただいま未帰還調査部が非常に縮小されますことは、国際的には日本の引き揚げ問題はもう片づいたのではあるまいかというような印象を与えることは、はなはだよくないことでございますし、今受田委員の仰せられたように、全国の留守家族たちは、たった一枚のはがきでももらいますことによって、その日その日を悲喜こもごもするような、それこそ風におののいているような家庭でございますので、仰せのごとく一応こういう段階をとりましても、あとう限り業務になれた者は出血をいたさないように、他の方法でこういったような業務に携わってもらえるような努力を傾けていきたいと思っております。
○受田委員 その部内においての融通ということが事実上できますか。
○山下(春)政府委員 部内における融通ということは困難と存じますけれども、これは私ども別途に大蔵省あるいは与党に御相談申し上げまして、なるべく留守家族ばなりでなく、遺家族等に対しましても、あとう限り厚生省が万全を尽して、困難な段階に入りましたこういったような問題に対して、留守家族に不安を与えないような措置を講ずるために、予算等の考え方も相談をして、何とかいたしたいと今努力中でございます。
○受田委員 昭和、二十一年度における未帰還調査費用総計幾ばくで、しかもそれはどのくらいの人員を対象としているか、御報告願いたいのです。
○小山政府委員 ちょっと今手元に資料を持ち合わせておりませんので、直ちに取り調べまして御報告を申し上げます。
○受田委員 今回の厚生省設置法の改正案は、日ソ交渉においてまず引き揚げ促進がまつ先である、残留者の帰還を完了せしめて、しかる後に日ソ交渉の成規のルールに乗り込みたいという決意を持って、松本全権は努力されたと私は了解しております。従って今や世界注目の的である、海外になお残存している同胞を帰還せしめるということと、その人々の調査究明ということとは、これはわれわれ広く人類愛、同胞愛に生きる者、また戦争の処理をする責任にあるすべての人々の共通の責任であって、それが今回のこの厚生省設置法の改正案の主目的になっているということを考えると、この今回の厚生省設置法の改正案こそ人道の最大問題を解決する機関であるとも私は言えると思うのです。そういう大事な要素を持っている未帰還調査部の問題が、これの事務を担当する職員の逓減の方式となって現われているということは、われわれどうもそこに政府の意図するところを了解に苦しむのでありますが、いかがでしょう、厚生大臣、これは定員法の問題にも関連するのでありますが、この際田邊援護局長もお帰りになられて、未帰還者の調査究明は今後こそ徹底的に、しかも最大の努力を払って、動員できるあらゆる資料が収集された上において親切なる結論を出してあげようということになるならば、この際既定方針を改められて、職員の現存するものをそのまま認めるという方式にお切りかえされる御意思はありますまいか。国際的立場からこの未帰還調査問題が取り上げられておるという段階において、わずかの職員を減らして、しかも未帰還調査部を稲毛からこちらへ持ってくるというやり方を改めて、一つこの際練り直して構想をお立てになるという御意思はないでしょうか、御所見を伺いたいと思います。
○小林国務大臣 この前の当委員会におきましても、私から申し上げましたように、人数を減らしましても、従来の経験等によりまして、十分に努力すれば、私は未帰還調査の職務の遂行というものはできると考えておりまするし、また今後の人員配置等につきましても、減員はいたしましても、今総務係長、政務次官から申し上げましたように、極力それになれた人材をできるだけ採用いたしまして、そうして未帰還調査がお説のように完全に参りますようにいたしたいものと存じております。
○受田委員 私たちはいろいろな今資料を用意して、未帰還調査の困難なる段階であることを確認しているのでありますが、政府は一体国際情勢は別といたしまして、この未帰還者の調査究明に当って、今後現状における進行状況から、その調査究明において、一人一人の生存資料あるいは死亡資料を集めるために、年次計画的に現状においてどのくらいの准行を企図しておられるのでありましょうか、お尋ね申し上げます。
○小山政府委員 ただいま受田先生がおっしゃいました趣旨をちょっとつかみがねておりますので、あるいは申し上げることがピントがはずれることになるかもわかりませんが、その際はまたあらためておただしを願うことにいたしまして、現在の状況で、ここ一、二年の間に非常に調査が促進されるということは、これはいろいろの状況からかなり確実に推断できると思っております。しかしながらそれから先いつごろになったら終るかという点については、それは必ずしも短期間では事が済まぬ、相当長期間を考えなければならぬ、こんなふうに今のところ予想しております。
○受田委員 そうしますと、政府がわれわれの主張に同調せられましてできました法律の、すなわち今年七月末をもって生存していないことが確認されたものに対する措置を三年間延長するということは、今あなたのおっしゃったことと関連があるのかどうか、お尋ねしたい。
○山下(春)政府委員 ただいま受田先生のおっしゃった留守援護を三カ年間延長いたしましたということは、小山課長が申しましたように、今後は比較的早くその情勢がわかるのではあるまいかと予測いたしまして、三年間ととりあえずいたしたのでございます。三年間の間に必ず終息するということではございませんが、大体三年間くらいの間に処理いたしたいということは、今回田邊援護局長をロンドン交渉に行ってもらいましたゆえんのものも、従来の日ソ交渉の中に引き揚げ問題に対する専門家がおられませんでしたために、この調査究明の点について遺漏があってはならないというので行ってもらったのでございますが、それでこの引揚問題について正式に会談をされた。田邊援護局長は一万一千名の生死不明の方の名簿を携えて参りましたが、それを正式に向うへ手渡しいたしまして調査を依頼したところ、調査をするという確答を得ておるということを新聞記事で見ました。従いましてこれは一人々々その調査のあり次第報告を得られるものと確信をいたしております。そういう点から消息不明の方々に対する調査究明は、以前よりは非常に強い手がかりができたと考えられますので、少し早く調査ができるのではなかろうかと考えております。
○受田委員 政府は日ソ交渉がきわめて有利に展開されて、そして残存一万有余名の消息がきわめて期待のうちに明らかにされるというような段階を想定しておりますけれども、そういうことが想定されておったとしたならば、当然その調査究明に対する職員を減少せしめることは、日ソ交渉が有利に展開した場合における措置としては非常に問題点であると思いますが、いかがでしょうか。
○山下(春)政府委員 そういう段階を想定して減員するということは事態と逆行するではないかという仰せでございますが、今回の減員の中には、非常に若くて、配置転換をいたしますれば、その方の身分が保障されまして、将来が幸福になれる方々に対しましては、あのような処遇で置きますよりも、その方が御本人に非常にお仕合せな方に対しましては、配置転換をいたしまして、すでに職につかれた方が相当たくさんございます。残りました方々に対しましては、高齢の方やいろいろな方がございまして、一応こうした処置に出ましても、何らかの方法を講じて――今それはせっかく努力中でございますが、この調査究明の仕事になれておられる方々に、鋭意この仕事に当っていただけるような配慮をいたすべく努力中でございます。
○受田委員 今後日ソ交渉の段階において、今休戦状況でありますが、あるいは引揚問題を優先的に取り扱うというような希望的段階に達した場合には、一万有余名の残存舌のソ連地区の人々、あるいは中共等がこれにつけ加えられるとしたならば、五、六万の残存者の消息が一ぺんに明らかにされるというような事態が起る可能性があるわけである。そういうときにその調査究明に当って、十分どこで、どういう事情でなくなったということを一々調査究明をするためには、そういう事能が起った場合には、急速に人員をさらに臨時に雇用して調査に当るというのか、あるいはせっかく調査になれた熟練の人物を持つことができないのであるから、その熟練の人々を中心にして、比較的、長くかかってでもいいから、実体を明らかにされるが、時間はかかるんだという立場をとるのか。そういう外交上の事態の変化によって十分閑繁よろしきを得る態度をお持ちだと思いますが、これは大臣としていかなる御所見を持っておられるか、お伺いしたいのであります。
○山下(春)政府委員 六万、七万という調査究明を一時にやるようなことが起こった場合に困るではないかということでありますが、厚生省は、十年間あらゆる努力を傾けまして基礎資料を持っておりますので、それで今仰せのごとく人を滅すよりは、私今お答え申し上げましたが、その残りました人々も非常に訓練をしておる人たちでございますから、もちろんしろうとよりははるかに調査技術を持っておりますので、それを私は別途な方法で大蔵省等に頼みまして、何らかの方途をもって調査の措置に携われるような方法を構じたいと今努力中でございます。受田先生御心配のような、一ぺんにそういう調査資料が出てまごつきはせぬかということに対しては、現在の人員をもってまごつかないようにしておりますが、なお十分にするために、その減員される人々に対してもなお考えたいと考えておるのでございます。
○受田委員 山下政務次官が非常に熱心な御研究をされていることについて敬意を表しますが、今わずかな人員しか結果的には残っていない。たとえば三十年度の最後が五百二名、これが今度は三百一名に減るわけです。そういう二百名の貴重な力を持った人を急いで整理しなくても、これを待機せしめておいて、その人々にあらゆる角度から調査究明の資料を集めさせるとか、いろいろな他に道があるのであります。あとからこれを雇用するということは困難であるから、こういう国際的に世界じゅうが注視している引き揚げ問題の処理ができない段階では、日本政府は不親切だという印象を与えぬように、わずか二百人の整理をして厚生省の費用の節約をするよりは、まだまだけしからぬところに幾らも不要の国費を使っているところがあるのでありますから、そういう大事な力のある人を残しておくというような態度の方がいいのじゃないかと私特に御忠告を申し上げたいのです。
○山下(春)政府委員 その御忠告はありがたくお受けいたすのでございますが、先ほど私申し上げましたように、その中には、非常に若くて前途のある方々が、身分が不確定であるということを私はむしろ非常にお気の毒に考えまして、配置転換いたして、すでにりっぱな身分を保証されている方々が相当多数決定いたしておるのであります。そういうところから、その残りました経験者につきましては、私別途な努力をいたしまして、ぜひこの調査究明業務に携わっていただけるように努力をいたそうと考えておるのであります。
○受田委員 職員の人々をどこへ転換させるという問題を私は言っているのではない。若い将来ある人をよそへ転換させるのには十分手を尽しておるというのですけれども、この問題については次にお尋ねしようと思うのですが、非常に不用意で、職員で整理される人々が大へんに憤慨している事態がここに起っておる。後ほど説明しますが、そういうことは別として、少くとも未帰還調査部の職員は、十年間も調査究明に当った専門的な人々であるから、この人々だけは、どうか願わくは国際的に注目されている引き揚げ問題の処理されるまで、しかも未帰還者留守家族援護法には、今後三年間に政府の責任で調査究明がはっきりしない場合には、留守家族手当も出せぬという宣告もされておるというような、こういうときに職員を整理されないで、優秀な人物を存置して政府のきぜんたる誠意をお示しになることが妥当ではないかと私は考えておる。そういう点についてお尋ねしておるのです。
○山下(春)政府委員 お話はよく承わりましたが、私は受田委員と多分同じ気持で、今全力を傾けてその方々に仕事をなお続けさせていただけるような方法を講じている最中でございます。
○受田委員 そうしますと、もう二、三日で整理されるところの百九十九名の人々につき、有能な人は残ってもらうような御計画があるのでしょうか。
○山下(春)政府委員 切りかえは五月一日でございまして、二、三日中ではないのでございますが、それは今申されたようなそのお気持と同じ気持でやりたい。なお十年とおっしゃいましたが、大体は四年くらいの方が多いのでございますけれども、とにかく熟練しておられます。しかしながらもっと長い前途に対して一切の配慮をしないということは、私どもはそれよりもなお悪いことと思いまして、そういう方々に対しては、配置転換をいたしましてなお引き続き仕事をしていただけるような方法を鋭意考究中でございます。
○受田委員 しからばその鋭意考究中とは、定員法の改正のために政府が努力するという方の考究中ですか。
○山下(春)政府委員 そういうこともございましょうが、とりあえずはそういうことでなく考えております。
○受田委員 そうしますと、厚生省部内においては、定員法のワク外の職員をここに作る、たとえば常勤的性格を持つ非常勤職員にこれをかえていくとか、あるいは臨時待命制度のようなものに準ずる措置をとられるというような形で考えられるのかどうか、そういう取扱い方式を御説明いただきたいと思います。
○山下(春)政府委員 ただいま受田先生の御質問になっております方々は、定員でございませんで、臨時雇用に属する方々でございますので、定員法とは関係ない。そこで特別な配慮をいたさなければならないのでございまして、定員とはもともと関係のない方々でございます。
○受田委員 定員法の改正でわれわれは未帰還調査部の職員が漸滅してきたことを今確認しているわけでありまして、今私が申し上げているのは、定員法の中に示された人員は、昭和三十一年度に八百十一名、そのうちで未帰還調査部が三百一名、こうかえられた。この定員法に規定された職員の中で整理される対象になる人々について、今山下先生は何かの措置をとりたいというお気持ではなかったかと思ったのですが、臨時職員の方は、この定員法以外の現に雇用されていた人たちだからこれを問題にしていないので、定員法の法律に基く人員をどう御処理あそばされているかをお尋ねしたのでございます。
○小山政府委員 現在考えておりますことは、先般も申し上げましたように、さしあたり三十一年度につきましてはほぼ固まっております。それからいろいろ業務量その他を検討いたLました結果、非常に苦しい中ではありますけれども、一応これはやっていけるというような見通しが立っておりますので、これでやるように努めているわけであります。しかし先ほど来おっしゃっておられます通り、その後の情勢の変化等もあるわけでありますから、昭和三十一年度の状況におきまして、その後の計画的な減員をすることが非常に無理だという情勢になりましたならば、これは当然昭和三十二年度以降におきまして、もう一回定員法の問題を検討して八なければならぬ。これはちょうど舞鶴の引揚援護局が今年度から六十名落ちることになっておりましたのを、引き揚げの状況にかんがみまして、特にその分だけは落さないという措置を昭和三十一年度で講じてもらうように措置をしたわけでございますが、それと同じような考え方で、実情に合せて今後の問題を解決していく、こういうようにしたいということで検討しておるところでございます。
○受田委員 これはもう誠意のあるところはある程度わかりますが、定員の関係等はこのくらいにしておきます。 舞鶴引揚援護局のお話が今出たので、これをお尋ねしたいのでありますが、この間帰った帰還者は神戸でお迎えをされておるようなことなんで、舞鶴の援護局は今後どういうふうに運営しようとしておるのか、わずかしか残っていない残留者だという御想定であるならば、一応舞鶴援護局を近く廃止して――今年度はちゃんと規定されておるから別ですが、近く廃止して何らかの措置をとるという御意図があるのではないか、舞鶴引揚援護局の今後のあり方について大臣の御答弁を願いたいと思います。
○小林国務大臣 引揚の問題につきましては、一応総務課長から答弁いたさせます。
○小山政府委員 舞鶴引揚援護局は受田先生おっしゃいますように、引き揚げの状況から見まして、これを完全に閉じていいという状態にならぬ限り、これは閉鎖すべき性質のものでないというふうに考えておるのでござています。たといそのときどきの引き揚げの状況によりまして一時的に使わないということがあるといたしましても、あの引揚援護局があるということが、どれくらい異境にある人々にとって心強く感ぜられておるかわからぬというような話が伝えられておるような状況でございますので、いろいろの角度から見まして、もう閉じてよろしいというよう断定ができるときまでは当然残しておくべきものだというふうに、厚生省部内でも考えて、問題を処理しております。
○受田委員 それは当然そうあるべきでありますが、舞鶴援護局をいささか軽視される傾向が起りまして、あそこの職員が漸減されてきた。これは先ほど課長が仰せられたように六十名だけは食いとめたというお話でありますが、とにかくあそこをだんだんと片づけていこうという方針には間違いはない。しかし引き揚げ業務が最後まで処理されるまでは役所は残しておく、人間は減らしても残しておくのだという意思を表明されたのでありますが、しからば舞鶴援護局そのものは、今後最後の一人が帰るまででも誠意をもって残すというほどの意思であるか、あるいは適当な時期においてある程度の帰還が完了したときにはこれを転換させようという考えか、そのいずれであるか、一応の目標を伺ったのでおりますが、最後の一人まであの役所を残すほどの誠意を持っておるのか、どうか。
○山下(春)政府委員 対外的に外国に苦しんでおられる方々の心を心といたしますれば、あの役所が最後の一人まであそこにあるということは非常に大きな力強さだと思いますので、なるべくそういたしたいと思います。 それから先ほど神戸に着いたではないかというお話がございましたが、これはモロタイ島から引き揚げられました方でございまして、船の性質が違います、大阪港に入港いたしましたものを検疫のために神戸に回したのでございまして、純粋の引揚船と船の性質が違いますために、さような措置を便宜上とったのでございまして、決して舞鶴を軽視したわけではございません。
○受田委員 今後の引き揚げは、個々に五人、十人という少人数で帰ってこられることが予想されると思うのですが、そういう場合でも、またたとい一人でも向うから帰ってこられるというときには、これに対して援護局を開放して、その受け入れ体制を完璧ならしめるかということをもう一度念を押しておきたい。
○山下(春)政府委員 五人でも三人でも、今後は外務省あるいは運輸省等とも連絡をいたしまして、船の便宜を与えていただくようにいたしまして、その引揚船は必ず舞鶴に入港いたすように努力する覚悟でございます。
○受田委員 私が先ほどお話しいたしました、一年後に調査究明が明らかでないものに対し、気の毒な処理がされる――この現在の留守家族援護法に基いて三年以後において、その法律で遮断された人々の取扱いということがまた問題になってくると思う。これは一応三年間延長しましたけれども、その三年の間政府が全力を尽して調査究明に当るという目標を持っておる法律につきましては、一応うなずけるのでありますが、それ以後の暗黒時代に入った留守家族というものも一応目標としては考えておかたければならない。そういう三年後の調査究明による恩典に浴せざる人々をどう処理するかというその場合の政府の御所見を伺っておきたいと思います。
○小林国務大臣 三年間経過しまして完了いたさないときにおいては、やはりいろいろ状況を判断いたしまして、先般法律を改正いたしまして延ばしたように、ある程度の延長はすべきものだと思います。
○受田委員 新聞を拝見しますと、政府は日ソ交渉の渋滞によって、帰還問題に支障が起ったということになれば、留守家族に対して適当な国家補償的なものを用意したいということが出ておりましたが、これに対して厚生大臣は関与しておられますか、あるいはあなたは抜きにされた他の幹部で話し合いがされたのか、またこの問題についてあなたはいかようにお考えになっておられるか、お伺いしたいと思います。
○小林国務大臣 一両日前の新聞に出ておりました留守家族に対する取扱い、援護の問題等につきましては、これは政府におきまして目下検討中でございます。もちろん私もそれの御相談にあずかっております。
○受田委員 その取扱い方式として、留守家族の補償制度を確立したいというように大見出しで書いてありましたが、これの具体的な措置について、大臣は何か関与しておられるかどうか。
○小林国務大臣 まだ具体的な問題についてはきまっておりません。
○受田委員 それは今まで扱われなかった新しい方式のものを留守家族補償に持っていこうとしておるのでありましょうか。
○小林国務大臣 それらの問題につきまして目下検討中であります。
○受田委員 そうしますと、留守家族の補償を新たに考慮したいというようなことは、これは新聞の書き過ぎでありましたか。
○小林国務大臣 いずれの問題にいたしましてもそういう留守家族に対しまして考慮をいたしたいという目的のもとに、いろいろ問題を検討中でございます。
○受田委員 いろいろな問題を検討中というのは、現在の留守家族に対する、たとえば留守家族のための手当というようなもののほかに何かを考えるということでないと、この間から政府の首脳部、党の首脳部の懇談の、留守家族に対して特別の補償制度を考えたいということにはならぬと思うのであります。この点現行制度よりも新しいものをつけ加えるということをはっきり知ることができるような大見出しで新聞に書いてあったのでありますが、大臣としてはこれはどうですか。現行留守家族対策に対して、新しい補償的な性格のものを考えるという立場のものか、考慮でなくして、そういうものを一応考えておるのかどうか。たとえば今の見帰還者手当を額の上で増額するのか、あるいは新しい補償制度を作るのか。これは厚生大臣としてはきわめて大事な問題であって、新聞にあれほど大きく書かれてあるのに、あなたが御存じないということになったら、これはさっぱりたよりない話ですが、あなたはあの党の首脳部会談等において御相談にあずからなかったのかどうか、それもあわせてお伺いしたいと思います。
○山下(春)政府委員 新聞の記事は、私はどういうことか一向に存じませんけれども、こういう問題に対しまして、は、想像いたしますのに、厚生大臣が主にならないできまるはずのものではないと私は心得ております。日ソ交渉がいかようになりましょうとも、留守家族というものはソ連だけでございませんで、中共その他非常に多くの留守家族を持っておる厚生省といたしましては、均衡を欠く措置はただいますぐにはなかなかできにくいように考えております。けれどもソ連におけるいろいろな情勢もうすうすわかっておりますので、抑留者に対する援護、慰問というようなものは、最大限にやるべきものと心得まして、厚生省は今そのことにつきましては、従来よりもより以上の援護の手を差し伸べるべく用意をいたしておるところでございます。
○受田委員 私は山下厚生大臣にお尋ねしておるのではないのであります。これは国策の基本的問題であって、閣議その他党の首脳部会談に小林厚生大臣は関与しておられたかどうか。少くとも河野農林大臣まで出ているような集まりでその結論を出されたような新聞の書きぶりでありましたけれども、小林厚生大臣はこれに関しておられたかどうか、これを今お確かめ申し上げているのであります。今山下先生が厚生大臣にかわられて御説明になられたことは、これは山下さんが非常に御勉強されている証拠ではありますけれども、厚生大臣として答弁すべきことを山下さんは御答弁された。厚生大臣がここにおられないなら、これは山下政務次官によって答弁されるのはいいけれども、少くとも閣僚の会議に出てそういう話をしたかどうかということをお確かめ申し上げておるのであって、これは山下さんにはわからぬはずなんですから、厚生大臣がそういう対策を立てる首脳部の会談に出たなら出た、おれは出なかった、新聞の書き過ぎなら書き過ぎだとはっきり言っていただきたい。
○小林国務大臣 新聞に書いてありましたような具体的な問題については、関与いたしておりません。
○受田委員 具体的な問題には関与しておられないけれども、党の重要閣僚の集まりで、日ソ交渉の結果についての話し合いをされたようでありますが、当然引き揚げ問題に関係する援護の担当者であり、調査究明の担当者であられる厚生大臣はその席に入っておられたかどうか、お伺いします。
○小林国務大臣 今受田さんのお考えになっているような席には、私は出ておりません。
○受田委員 私は鳩山首相、河野農林大臣等が、日ソ交渉の停頓とともに、この留守家族に対する基本的な補償制度を考える政府の意見を話し合いしたという会議に、当然小林さんが出ていただかなければ、全国留守家族はどれだけ悲観されるかわからないと思う。今小林厚生大臣が出ておられなかったことは、祖国のために、世界人類永遠の平和のためにはなはだ残念この上ないと思うのです。私は願わくは、小林さんは厚生大臣として、少くとも留守家族の補償問題を討議するような重大な閣僚の幹部会には、みずから進んでお出になられて、日ソ交渉の停頓とともに、留守家族の問題をどうするのだとどなり込むくらいの決意を、あなたが持っていただくほどの偉大なる厚生大臣であられたいと願うのでおりますが、御見解を伺いたいのであります。
○小林国務大臣 受田さんのただいまの御高見は拝聴いたしておきます。
○受田委員 私が先ほど申し上げたように、今回の厚生省設置法の改正案には非常に大きな意義がある。この非常に重大な意義を果すために、私はこの委員会でかく申し上げておるのであって、日本の長い歴史を通じて、戦後十年間もまだ帰るざる人々を握っているような悲劇、これは今後またあり得べきことでもないのです。従ってこの歴史的な悲劇、世界的な悲劇の帰還者促進問題など、十分政府が熱情を持って考えていかなければならぬし、またそのためのあらゆる業務は、責任を持って遂行するという誠意を持っていただかなければならぬ。従って厚生大臣みずからこの問題の処理に当っていただいて、今後この問題の解決に、積極的な意欲をお示し願いたいと私重ねて御要望申し上げておきます。 最後に、時間もお急ぎのようでありますから、未帰還調査部の問題は一応終ることにしまして、第三の改正の要点でありますところの国立予防衛生研究所と国立衛生研究所についてお尋ねいたします。これはまた非常に重大で、この点今分厚生省は、健康保険医の総辞退というような事態にあって、厚生大臣は、その健康保険医の総辞退ということに対しては、断固たる措置をもって、総辞退はいさぎよくこれを受け入れろというので、医師とまっこうから対立しておられ、勇敢なる態度をもって今お臨みになっておられます。これは厚生省としては画期的な御決意であって、全国の健康保険医に対して、厚生省のしんの強いところをお示しいただいておると思うのであります。しかしこの問題は、当然社会労働委員会でも大臣がいろいろ質問を受けておられると思いますが、厚生省設置法に直接関係のある第三の改正要点にも、これは影響があるので申し上げるのですが、厚生省の国立病院、らい療養所その他結核療養所等の職員、厚生省のあらゆるところに勤務しておるところの職員組合の皆さんは、この健康保険医の総辞退に対する厚生大臣の非常に強硬な態度に対しては、これを避けるべきであるという言明をしておられるのです。この点につきまして、せっかく第三の改正要点を持っておられるこの予防衛生研究所と国立衛生研究所について、今回の改正意図をもっと具体的に御説明をいただきたいと思うのです。
○小山政府委員 これは大臣の提案理由説明に申し上げておきました通り、徹頭徹尾技術的な事務的な改正でございます。現在国立予防衛生研究所におきましても、国立衛生研究所におきましてもそれぞれその所管事務とされております薬品等の検査を行なっているのでありますが、この検査をします際に、標準品というのを作っておきまして、その標準品と比べることによって、検査検定の効果をあげるようにしているのでございます。ところが現在の設置法には標準品を作るということが、必ずしも明瞭に規定されておりませんので、今回の改正を機会に文理上それを明らかにするということが、今回の改正の内容及び意図でございます。
○受田委員 技術的な改正要点を御説明になられたのでおりますが、この国立予防衛生研究所の今までの沿革を拝見しておりますと、これは紆余曲折もあるわけなんです。これに対してもう一つ今薬品の検査検定等に関する根拠規定を明確にしようとする問題を取り上げたということでありましたが、こうした技術的な問題について検査検定ということが不用意に進められ、念が入らないためにかえっていろいろな弊害が発生してくる。こうした薬品の取扱い、特に検査、検定というものを非常に念を入れるということは、役所としては一番大事なことなんで、劇薬等の取扱いが至るところで問題にされているような段階で、この点はわれわれは、厚生省の意図するところは、そうした取扱いを厳正にしたいという意図に出ているという点においては同感を表したいと思うのです。 今委員長からも、この辺で質問をやめてはどうかというお達しがあったようでありますので、私はこれをもって一応厚生省に対する質問は終りたいと思います。
○山本委員長 これにて質疑は終了いたしました。これより討論に入りますが別に通告ありませんので、これを省略するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 なければさよう決します。 これより採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○山本委員長 起立総員よって本案は原案の通り可決いたしました。 なお本案に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 なければさよう決します。 ―――――――――――――
○山本委員長 次に恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題とし、提出者より提案理由の説明を求めます。千葉信君。 ―――――――――――――
○千葉参議院議員 ただいま議題となりました恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について、提案者を代表いたしまして、提案の趣旨を簡単に御説明申し上げます。 公務員の在職年に対する加算制度は昭和二十八年恩給法の一部を改正する法律によって原則として廃止されたのでありますが、改正前の恩給法第三十八条の四に規定する蒸気機関車の乗務員等のごとく、いわゆる不健康かつ危険な業務に従事する職員の加算制度については別途措置せられることになっておりましたので、それまでの間、これらの人々については従前の通り加算を認めることに恩給法法の改正を行なったのでありますが、昭和三十一年三月三十一日をもって、その期間が満了いたしますので、さらに一年その期間を延長して、これにかわる制度の決定を見るまで、移行による空白を補うための措置をいたそうとするのが本案の要旨であります。 何とぞすみやかに慎重御審議の上、御賛成あらんことをお願い申し上げます。
○山本委員長 これより質疑に入ります。高瀬君。
○高瀬委員 本案に対しては質疑並びに討論を省略いたしまして、直ちに採決せられんことを望みます。
○山本委員長 高瀬君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 なければ高瀬君の動議のごとく決します。 これより採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○山本委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決いたしました。 なお本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 なければさよう決します。 ―――――――――――――
○山本委員長 次に労働省設置法等の一部を改正する法律案を議題とし質疑を続行いたします。通告がありますのでこれを許します。受田君。
○受田委員 倉石労働大臣に御足労をいただいておりますので、今回の労働省設置法等の一部を改正する法律案につきまして、この問題に直接触れた面だけの質問を申し上げたいと思います。 今回の改正理由を御説明いただいたところによりますと、最も大きな改正要点は、労災補償部設置の点と伺うのであります。これは政府の御説明では、特に労働省の労働基準局の中にこれを設けて、従来の労災補償課というものを拡大強化したいという御意思のようでありますが、これとあわせて問題とされる点は、地方に従来ありましたところの労災保険の審査会の問題でありますが、労災保険の従来の審査会は、今回会をやめて審査官を置くという御意図になっておられるようでありますが、この関係を御説明願いたいと思うのです。すなわち労災補償部とそれから地方の労災保険審査会を審査官に切りかえることについて、何かの関連はないかという点であります。
○倉石国務大臣 お尋ねの点は何もございません。関係は持っておりませんです。
○受田委員 労災保険審査会をやめて、これを審査官に切りかえた理由を御説明願いたいと思います。
○倉石国務大臣 御承知のように、このたびすでに本院を通過いたしました労働保険審査官及び労働保険審査会法によりますと、従来最終的審査会は三者構成でありましたのを改めまして、審査官というものにいたしました。これは最終的な準司法的な立場を持っておりますので、今までの審査会の委員の人選よりも、さらに権威あらしめる方がいいと存じまして、御賛成を願いました。あのようにつまり労働大臣が推薦をいたしまして、そうして国家最高の機関である国会の承認を得て内閣総理大臣がこれを任命する。それで五名の審査官のうち二名は常設にいたしまして、絶えずこういう問題について検討をいたし得る、こういうふうな組織にいたしたわけであります。
○受田委員 各府県によりまして、その労災保険の請求数というようなものもまちまちであるのですが、そういうようなものの数と、それから審査官の数との関係はどういうふうにおとりになっておるのでしょうか。
○倉石国務大臣 政府委員の方から申し上げます。
○富樫(總)政府委員 労災保険に関する異議、不服の申し立ての件数は、おおむね一年間に三千件でございます。この三千件を従来は各府県の基準局におります審査官、約五十五人おりますが、その審査官だけの手で二千八百件、当時者も得心して解決されておりますので、残りの二百件が関係者がさらに不服であるということで、この審査会に上告してきておるのが従来の実情でございます。その二百件の扱いを仰せのように従来各府県の三者構成の審査会で審査しておったのでありますが、これが各府県の審査会によって同質の事件が違った決定を受ける場合が相当多いのでございます。それを統一する方法が現在全く欠けておるのでございます。そこでそれをどうしても統一しなければ、これは元来準司法的事件でございます。これを裁判所に持っていきますと大へんな手数になるのでございます。そこでそれを先ほど大臣が申し上げましたように、今回中央に審査会を設け、そこで決定をするのであります。しかしこの問にできるだけ労使の意見を民主的に尊重したい、こういうことで従来審査官が単独で処理しておるその段階に、労使の代表的――弁護士と申しますと何でございますが、弁護士的な力を依嘱して、その段階において参画していただくと同時に、中央におきましても労使の代表の方に弁護的意味において参画していただく、こういう考えでございます。
○受田委員 私は今取扱い件数についてお尋ねし、またそれに対してお答えがあったわけでありますが、この各府県別の請求決定の取扱い件数、これがばらばらであるので、各府県によって審査官の数を、非常に件数が多いところは多くし、少いところは少くするというところの配慮をお尋ねしておるわけであります。
○富樫(總)政府委員 ここに各府県別の資料を持ってきておりませんが、原則的に小さな県は審査官は一人でございますが、たとえば福岡県のごとき件数の多いところは四人配置するというふうに、事件の多寡によってできるだけ審査官の人員を平仄の合うように配置してあります。
○受田委員 しからば福岡あるいは山口とか北海道とか、件数の多いところは多くして、この件数にバランスをとった審査官を設けているということは、これはその地方の労災保険に対する実際の事務的な問題とは別に、そうした件数を中心にしてやっておられるのか、あるいはときには件数にかかわりなく、事務的な立場で配置しているところもあるのか、一人というところはこれは非常に軽量の事務のところということになり、二人のところはさらにそれよりふえているところというふうな、きわめて厳重なそうした件数と審査官の数とのバランスが考えてあるのですか。
○富樫(總)政府委員 これは原則的には、仕事の件数に応じて審査官を配置する、こういうことにいたしております。それで現在の審査官の人員と申しますのも、実は私の方の単なる内規できめておりますので、事件の件数の変動によりまして増配する弾力性は十分持たしてございます。
○受田委員 労災保険の審査会をやめて審査官を置くということに対して、政府に地方の業務を簡素化する、取扱いを簡素化して、担当者を整理して、費用を節約して、中央にできるだけ費用を回すように努力したいというような気持があるのか、ここをちょっとお尋ね申し上げておきたい。
○富樫(總)政府委員 経費の関係から申しますと、ここに数字を持ってきておりませんが、今回の新制度の方がよけい経費がかかるのでございます。新制度をとった趣旨はできるだけ的確、合理的に処理したい、こういう考え方でやっておるのであります。ただ単純に簡素化という考え方ではございません。むしろ考え方によりますと、従来千件のうち二千八百件が審査官単独で処理できたものが、今後は必ず労使の代表の意見も聞かなければならない、こういうことになりますので、その意味ではかえって事務的には手数がかかる。われわれの念願するのは合理的、的確にかつ民主的にやりたい、こういう意図のほかに何ものもないのでございます。
○受田委員 経費の点ではむしろこれをふやしたくらいだということでございますが、どのくらい大まかにしてふやしてありましょうか。
○村上(茂)政府委員 経費の点で申上げますと、ごく僅少でございますが、新たに設けます労働保険審査会の経費は三百九十六万円でございます。ただいま基準局長から申し上げました審査官につきましては、これは現在も審査官が置かれておりまして、所要経費は三十一年度は三十年度とほぼ同額でございます。ただ地方の審査会の関係、これは約百六十万円でございます。それが落ちるだけでございます。結果的に申し上げますと百六十万円減りまして、逆に三百九十六万円ふえるということでございますので、差引二百三十万円ほど増額という形に相なっております。
○受田委員 その経費のふえた分は、今局長が仰せられたような専務の念入りに行われる部面に充当するというふうに、結果的には考えられるべき筋のものかどうか。
○富樫(總)政府委員 合理的に、慎重に、かつ権威のある決定をするということのためにふえた、こういうことであります。
○受田委員 それではこの本案に入りますが、地方の各府県に行われている労災保険の審査に対して、今度中央における労災補償部の設置が、提案理由の御説明にあるごとく、非常に中央においては新しい事務がふえた。特に昨年国会を通ったけい肺及び外傷性せき髄障害に関する法律などができたために、ぜひこれを部にしなければならぬという御提案でありますが、この部にすることによって職員がどのくらいふえ、これに対してこれに伴う予算がどれだけ増額するか、これの数字を一応示していただきます。
○富樫(總)政府委員 この労災の仕事の充実につきましては、われわれいろいろ、できればあらゆる面において充実いたしたいのでございますが、今回は一課で扱っておったものを部にいたしまして、そうしてそのもとに課を二つ置くという人的構成の向上をはかるということに重点を置きます。従いまして経費の面からもうしますと、部長一人と課長一人がふえるわけであります。人員増の面はございません。
○受田委員 部長一人ということでありますが、これはこの法律にうたってあるような、第一条の六に三にあげてあるような仕事を担当することにもなるのでありますが、昨年のいわゆるけい肺法の審査のときにいろいろ議論されたのですけれども、たとえばここで一つ政府にお考え願いたいことは、いわゆるけい肺法に基づく給付や、負担金その他の徴収金の徴収事務というようなものは、でき得べくんば例のけい肺法にうたってある作業転換者、特に政府があっせんすべき立場にあるような人々に対して、職場を与えるというようなことも考慮してありましようか、どうでしょうか。
○富樫(總)政府委員 けい肺法が前国会において御審議の際にも、そういう御要望がございました。できるだけさよう取り計らいたいという考えでございますが、目下のところ、けい肺法の施行は全面的な健康診断を実施の過程にございます。具体的に要配置転換者というものが出ておりませんので、依然として今後の問題で、なお実際に出ましたら、御趣旨に沿うてできるだけいたしたいと考えております。
○受田委員 委員会も非常に急いでおりますから、あすに残してすぐやめますが、もう一つきょうお尋ねしたいのは、法律の施行期日が、附則の中に三十一年八月三十一日までと、こううたってある。これはどういうことで政令をこの日までに定めるということになっておるのか、日をここに定められた理由をお示し願いたい。
○富樫(總)政府委員 第一には、衛生研究所は、なお建築が進行中でございます。その進行に見合って開設する予定でございます。現在の見込みでは、衛生研究所は八月一日から開設する見込みでございます。それから労災部はいろいろな体制の切りかえの準備がございますが、なるべく早く実施したいというので、現在の見込みでは、七月一日から発足したい、こういうふうに考えておるのでございます。
○受田委員 きょうの質問を終ります。
○山本委員長 本日はこれにて散会いたします。明日は午前九時半より開会いたします。 午後四時十六分散会