大蔵委員会 第25号
- 発言数
- 70 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1956/04/03
会議録
○石村委員長代理 これより会議を開きます。 委員長に差しつかえがありますので、私が委員長の職務を行います。 閉鎖機関令の一部を改正する法律案、旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の整理に関する政令の一部を改正する法律案の何法律案を一括議題として決疑を続行いたします。横錢重吉君。
○横錢委員 前日に引き続いて若干御質問いたしたいと思います。殖産銀行の業務の場合は、当時朝鮮総督令においてその設立が認められ、運営が行われた、こういうふうにごく特殊な立場に立っておるものであるが、設立の場合には、日本が朝鮮の経営、朝鮮の産業開発、こういうような特殊な任務について、どうしても殖銀のようなものを作らなければいかぬという観点からこの銀行の経営を許した。従ってそれに基いて経営が行われたが、今度そういうような考え方がいかぬというので、終戦の結果閉鎖機関に指定をされたわけです。従ってこの責任というものは、株主そのものにあるのではなくして、実際には政府そのものにあるのではないか。株主の場合においては、通常業務の運営がうまくいかぬ、あるいはまた何らかの事故によって大損失をこうむつた、こういうような場合においては、その経営に対して株主が責任をとるべきものであるが、今度のような場合においては、法律によってストップを食つたのであるから、その責任というものは政府の方にあるのだ。従って株主の方にはこれらの問題に関して責任はない、こういうふうに考えられるが、この点に関してはいかがですか。
○正示政府委員 お答えを申し上げます。ただいまの横錢委員の御質問は、閉鎖機関に指定せられました朝鮮殖産銀行につきまして、この指定というものは敗戦によりまして連合国の占領を受け、在外活動に当りました朝鮮殖産銀行を閉鎖磯回として指定をされ、その結果解散という迎びに相なつたのでありますから、これは株主の責任というよりは国家の責任ではないか、こういう御趣旨かと思うのでございますが、責任論ということになりますると、これはいわゆる敗戦の責任ということになってくるわけでありまして、私は、この際指定をされ解散になつたことは連合国司合官の指合に基く措置であった、従ってこれは、戦争の結果としてそういうことになつたという点につきましては、横錢委員と何ら見解を異にするものではございません。ただその責任というこの責任の御趣旨が、どういう御趣旨でございましょうか、その辺はなお御質問をさらに伺ってみないとわかりませんですが、一応株主の意思でそういうことになつたのではないという点につきましては、ただいま申し上げましたように、これは戦争の結果として連合国司令官による措置として行われたものであるという点につきましては、前回の委員会におきまして、たしか大蔵大臣からもお答えをしたと思いますが、事実はその通りでございます。
○横錢委員 株主にこの場合における責任がないということは、今の答弁でわかったわけですが、これは当然そうであろうと思うのです。こういうような考え方でおるのであったならば、今後外地においての経営ということは、日本では成り立たぬと私は思うのです。日本が、もしも内地のみならず、外地の関係ができて、それらの方面にいろいろ国策をやる場合に、これらの運営が政府に責任があるにもかかわらず、これらがすべて本人たちの責任であるというような措置を結果においてとられたとしたならば、これは今後いろいろな問題が出てくる。そういうような観点からこれを見るときに、株主の立場というものを考えてみれば、これは全財産についての清算ということを主張したいというのがその声であろうと私は考えるのです。ところが、これもまた今度清算の段階になると、国内財産と国内の貢債とでこれを清算しようということにして、これが無理やりに清算を押しつけられてきておる。その結果は、今度株主の方には一銭も回らない、こういうようなものの考え方は少しく酷な考え方じゃないかと考えておるのですが、この点いかがですか。
○正示政府委員 御質問が責任論というところから、今回の閉鎖機関令の改正によりまして、まず内地払いとしましての一般債務とか殖産債券の弁済をすること等株主への分配の問題ということにお進みになつたのでございますが、ここは、先ほどの答えから当然今のような御趣旨には発展いたさないのしやないかというふうに、私案は前会の横鋒委員の御質問に対してもそういうことをお答え申したと思うのでありますが、考えております。すなわち敗戦に基く閉鎖機関の指定ということは、株主の責任とか、だれの責任とかいうことではない、これは、国としてそういう事態に立ち至りました結果としまして、連合国司令官の指令によって行なったことである、しかしこの場合の株主とか社債権者とか、これは日本国民であるのでありますが、私は、敗戦に対しましての責任ということは、これがどうであるというふうな区別をつけることは無理ではないかというふうに存じます。そこで、そのことから閉鎖機関令によるところの債務の弁済の順位というものを規定していくということは、これは閉鎖機関令の根本において、さような考え方をおとりになっていないのではないかというふうに存ずるのでございます。ただいまのお示しの点につきましては、第十九国会におきまして、預金及び送金につきまして内地居住者の分を払うということをお認めいただき、今回従業員の債務について未払いの――これは外地において払う分で、なお未払いの分を払うということをお認めいただくということを、まず第一に改正をいたそうとしておるのでございます。第二といたしましては、一般債務のうちで内地払いのもの、第三といたしまして、社債券で内地払いのもの、こういう順序でまず債務を払つていく、預金、送金、一般債務、社債券、これはだれの責任だからという問題では、ございませんので、この前も申し上げましたように閉鎖機関、すなわち具体的におあげになりました殖産銀行が営業中におきまして負いましたところの債務、さような順序において支払いをいたしまして、結局におきまして、閉鎖機関の在外資産等の問題になりますると、今度は別途対韓国の取りきめの問題になるわけでございまするが、最終的には、株主がこの機関についての株主としての権利を行使する、また義務を履行する、こういう関係に相なってくるのでございまして、その点は、戦争責任、敗戦に基く閉鎖機関の指定というふうな責任論からではございませんので、いわば会社清算の一般の原則、それを閉鎖機関という特殊の形態に当てはめまして妥当なる順序で支払つていく、こういうことにすぎないというふうにわれわれは存じておるわけであります。
○横錢委員 答弁がどうも中心をはずれておるのですが、敗戦責任をここで向うということを言うておるわけではなく、敗戦という思いがけない事態のために、一銀行が清算を命ぜられ、その結果というものは、かかって株主に犠牲がかぶさつてきておる、この状態は正常ではないではないか、こういうことを問うておるわけです。これがもしも普通の状態において破産を命じたり、あるいは業務下振に陥つたというのであるならば、これは全責任が株主の上にかかる。しかしながら、終戦あるいは閉鎖機関合、こういうようなものでストップを食つて、その結果が清算だ。しかも今度その清算の内容というものは、営業の大部分をやつておつた資産、こういうようなものは全然今回の問題に取り上げられない、これはあと回しなんだ、こういうようなことにして国内だけで清算を命ずる。なるほど、それは清算を命じた後においても株主の権利というものは残つておる。従って対韓請求権の中にも残つておるから、これらが取り得る段階になれば株主の手に渡るだろうということは、一応の理論としては立ってきても、この場合、この法律が通つて社債の清算が済んだならば、これはゼロになる。ゼロになつた結果、株主の手には権利だけが残つたという格好にはなるが、その残つた権利は、実は一銭にもならないのではないか、そういう公算が大きい。しかも、これはその当時においてすぐにでも清算をしたなら、ばともかくとして、戦後十年間株主に一丸を持たせながら今日まで引つ。はつてきて、そうして今日ようやく清算の段階にきたというときに、今度は実は一銭も渡らないのだということでは、ちょっと罪が深いのじゃないか。これも、しかも鮮銀の方は第二今会社が作られるという大体当てがついたこの場合日、こちらの方はつかない。今まで第二会社を作らせるということを大蔵省当局が現に指導してきておつて、今度の場合においては、実際問題として株主に対する支払いがゼロであるというところから、第二会社設立の希望というものも出ない。そうすると、これは一方的に株主に対してだけ具体的に犠牲がかかってきておる。こういうような犠牲のかけ方というものは、単に支払いの順序というものがこうこうだ、従って株主は犠牲になるのは当りまえだという冷酷むざんな考え方だけでこの問題を処置するということは、妥当を欠くのじゃないか、こう考えておりますが、いかがです。
○正示政府委員 お答え申し上げます。横錢委員の殖産銀行のみを対象にいたしましての実情について、こういう事態の場合、気の毒ではないかというふうなお気持は、私にも非常によくわかるのでございますが、しかし建前論、制度論といたしましてのお話でございますと、どうも閉鎖機関制度、この制度の根本の考え方とどうもお話とよく合わないのではないかというふうに実は感ぜられるのでございます。お話の御趣旨でございますと、まず第一に、預金を支払いましたときからそういう問題が実は起るわけでございまして、一つの考え方として、敗戦といういわば人為を絶した、だれの責任というふうなことを言うべきではなくて、国家全体の迎命から起つた事態でございまするから、一つ株主も預金債権者も社債権者も、その他一切の債権者も犠牲を平等にしようじゃないかというふうなことでやる考え方があったのではないか、どうしてそういう考え方をとらなかったかという立法論、制度論というものは、これはあるいは考え方としてはあり得るのかも存じません。しかしそういう考え方を実は閉鎖機関令はとつていないということが第一点でございます。 第二といたしまして、お話しの御趣旨でございますと、国内にもたくさん御承知のように閉鎖機関があるわけでございます。交易営団で、ございすとか、あるいは戦時金融金庫でございますとか、いろいろ戦時中の国家的な、国策的な活動をいたしました機関が閉鎖されておるわけでございますが、そういうものにつきまして、やはりお話しの御趣旨でございますと、それが閉鎖されたのはだれの責任、かれの責任という、経営的な責任の問題でなくて、国家の迎命がそこに至つたのであるから、これは一つ株主も社債権者も債権者も、みんな同じような犠牲を払わすようなことにすべきではなかったかというふうなことが、あるいは考えられるのかもしれませんが、今日までさような考え方はとつていないのでございまして、まず預金を払う、従業員債務を払う、一般債務を払う、社債を払うという、まずその法人が営業中に負いました借金を整理いたします。そうしてその結果、たまたま鮮銀、台銀のようになお残余財産が生じたものにつきましては、先般の委員会において御議論がございましたが、国民全般に帰属させるべきものは国に納付してもらう。そうしてなお残つたもので株主が第二会社を作る、こういうふうな順序になっておるのでございまして、たまたま殖産銀行の場合、今日の国内における残存財産が、社債の――国内支払いの社債でございますが、社債支弁の半分にも足りないという事態から、たまたま今日は株主に面接に分配がないということになりましても、これは制度がそういう建前でできておりまして、これを具体的に一つの機関に適用するとそういう事態になる。しかしそれは、どこまでもただいまお話しがございましたように、殖産銀行が、在外資産負債の整理という限りにおきましては、なお法人格をもって存続するわけでありまして、最終的に株主がどれだけの分配を受け得るかということは、今後にかかっておるわけでございます。そこのところは、たまたまそういう事態がある、これは、ほかの国内の閉鎖機関につきましても、あるものは債務を支払つて残存資産はない、あるものは債務を支払つてなお残存資産がある、いろいろまちまちでございまして、これはその会社々々の閉鎖せられましたときの資産、負債の関係から起つてくることで、ございまして、このに点につきましては、お気の毒だ、何とかそれらについてできるだけのことをしてあげたいというふうな気持は私もよくわかるのでございますが、制度といたしましては、今のような建前で法律をお作り願つておるわけでございまして、この点私といたしましては、建前としてはまことにやむを得ない次第でないか、かように考えております。
○横錢委員 今私の言っているのを、何か単純なる同情論のように問題を考えて、答弁をすりかえようとしておるのだが、私はその具体的な問題があるから、具体的な問題をつかまえて質問をしておるだけなのであつて、この問題の処理について、大蔵当局のとつている考え方が当を得ていない、また後に悪い例を残すだろう、こういうような考え方から質問を続けておる。その点は一つ誤解のないように願いたいと思う。 こういうような処置をすると、今後の問題について――今外地経営といったことがいろいろ誤解があったようですが、何も侵略によってのみ外地経営というものができるのではなくて、当然これは平和的な問題で、外地経営というものは今後も出てくるだろうと考える。この問題は、政府が国策としてこういうようなことを推進しておいた、この政府が国策としてやつたということも、あなた自身が認識しなければ、やはりこの問題は解決がつかぬと思う。殖産銀行というものは、勝手に作つた株式会社ではない。やはり政府が、朝鮮開発のためにこういうようなものを必要とするということから、朝鮮総督府令を作つて、その中に殖産銀行を作つて朝鮮の産業開発を行なつた。従ってその財源としては、国内で社債を募集する、そしてその投下は、朝鮮内の産業の発達のために投資される、こういうような構想のもとにやった。従って、これに基いて株主は設立をし、経営に当つたわけです。その間には国の考え方、国の政策というものは強く打ち出されておる。それが今度ストップをかけられるときには、また国の都合でストップをかけられる。これは閉鎖機関令そのもの自体が問題があるけれども、閉鎖機関令そのものは、見ようによっては、終戦に伴つたきわめて問題のある法律だと思う。そういうようなものによってかけられた犠牲が株主の上にだけかかってくる。社債の方では、確かに在外の方はあるいは切り捨てたというかもしれないが、国内を履行地としたものは、全部これを支払いをさせるということになると、それからとられてしまうのは、ほとんどは政府が中心でこの社債をとる、そうでしよう。そうすると、その犠牲というものは、株主には十年間待たして、今度は一銭も渡らない、こういう結果にしておいて、今後の問題を見たときに、こういうような解決の処理方法というものは、決して当を得たものではない、あと味の非常に悪いものだ。従ってこの間の犠牲というものは、平等に考えられなくちやいかぬ。払うべきところの預金であるとか、あるいはその従業員の解雇手当であるとか、そういうふうなものの優先の順序というものは、おのずからあろうとは思うけれども、その次にくるところの社債あるいは株主の問題、こういうものは平等に考えるべきだ。従業員の問題も、優先して支払うというけれども、これは従業員も相当の犠牲を払つておる。今日の金にするならば、相当多額のものでなければならないし、それからまた今払われるような少い金額であったなら、ば、当時においては価値があったけれども、今日においては価値が少い、そこで、これもまた犠牲を払つておる、こういうことになるのであるが、ともかくこの犠牲が平等でなかったならば、この問題の政治的な解決というものはできていない。ところが株主には、一方的に強くかかり過ぎておる、こういうふうに考えるが、この点いかがですか。
○正示政府委員 ただいま重ねて、国家的機能といいますか、国策的な仕事をやつておつたという点を強調されてのお話でございますが、先ほど私この在外活動機関として特にメンシヨンもいたしませんでしたが、たとえば満鉄のごとき、これが非常な国策的な機関であったことは明らかでございますが、満鉄を具体的に例にとつてみますと、この会社は、ああいうふうに非常にはなばなしくやつておりましたが、実は国内における残存資産は非常に少いのであります。従業員債務の支払いにも事欠くというふうな事態でございまして、この満鉄が一つの他の例かと思います。それから国内におきましては、先ほど例をあげましたが、交易営団とかあるいは戦時金融金庫、これは非常に国策的な仕事をやつておつたことは御承知の通りでございますが、これらもやはり債務の弁済ということによりまして、まずその方の弁済をやつておるわけであります。殖産銀行を具体的に対象として考えてみると、お話しのように残存資産は四億五千万円、国内支払いの殖産債券が十億というふうなことで、結局殖産債券の支払いは四割五分くらいしかできないじゃないか、あとはこの際株主にいくものがないじゃないかという点を御指摘でございますが、まず第一には、ほかにもそういう例は、もっとひどい例すらもあるということを申し上げたいのであります。それから殖産債券に限定してのお話でございますが、外地支払いの社債権を切り捨てたというふうなお話がございました。これは決して切り捨ててはおりません。ただこの際国内の債務として支払うものは、内地払いの社債券のみをまず払うということを法律においてお認めを願うということを申し上げておるのにすぎないのでありまして、決して外地払いの債権を切り捨てるというふうなことを考えておるわけでは、ございません。 また、殖産銀行の株主が何らの分け前をもらわないということは、非常に気の毒ではないかという点については、先ほども申し上げましたように、今日の段階におきまして、国内にある資産をもって債務を払うと、これは残りが四割五分しか払えないのでございますから、株主にいく余地は今日の段階ではございませんが、これは、将来在外資産負債の問題を整理することによりまして、最終的に株主の分配という問題にも発展をしていくのであるということを先ほども申し上げたわけであります。結局横銭先生と私、同じことを繰り返して御質問を受け、お答えを申し上げるのは、殖産銀行に限定をして話をしていくと、どうも株主にこの際何らいかない、国内資産に関する限りはいく余地がない、この事態は冷酷無比ではないか、こういうことにお話がつづまつてくるのでありまするが、一つの制度がたまたま殖産銀行に適用されると、そういうことになるわけでございまして、そこで制度と実情という点になりますと、これはいろいろの態様が、適用された結果出てくることは、先ほど申しましたように、まことにやむを得ないということでございます。 しからば、何にも考えられないかという点につきましては、これは、先般すでに特殊汗算の段階におきまして、過去の殖産銀行の役員をされたようなりつぱな方々が顧問として、ただいまこういう制度が成立しまして、社債権の弁済が行われ出したときに、その弁済に伴う運営上の問題をどう処理するかということでいろいろ御研究になっておるわけであります。これは制度の問題でございませんので、制度としては、先ほど来繰り、返して申し上げるような順序におきまして、債務の弁済を整然としてやっていくわけでございますが、その債務の弁済の過程におきまして、旧債権者と株主との中に立って、いろいろと実情に即してできる限りの措置を講ずべき役割をもって、三人の委員の方が御尽力になっておるわけであります。これは、制度としてどうするという問題ではないのでありまして、やはりこういう制度は、今日までの閉鎖機関令の基本的な建前というものを踏襲していく以外にはないわけでございますが、その建前の中におきまして、これをくずさないで、整然として債権債務の関係を整理しながら、なお実情に即したような解決をはかっていく道は、これらの方の御努力によりましてある程度成功するように、われわれとしても祈つておる次第でございます。
○横錢委員 今の考え方で制度が適用されると、ひどいことになるのもやむを得ない、こういう考え方ですが、制度を行う場合には、当然これを適用される団体があることを考えずに制度を作る者はない。今度の法案の改正でも、これを出すならばどういう団体がどういう結果になってくるかということをあらかじめ十分検討の上で、あなた方は出しておるわけです。従って、この制度が適用されたならばこうなる、これはやむを得ないということは、少しく考え方として冷酷な考え方であろう、こういうように私どもとしては考えて今質問したわけです。そこで、さらにこの問題を掘り下げていくというと、大蔵省も外務省も、殖銀が韓国殖産銀行に引き継いだ六億七千万ですか、この金額を故意に報告がない、あるいは未確認であるというふうに答弁されておるのです。しかしながら、この金額は整然と事務引き継ぎをされて、今日韓国の方に負債として載っておるわけなんです。この問題を故意に目をおおうて、今日清算を急がれようとすることは、やはり少しく妥当ではないであろう、こう考えるのですが、この点いかがでしよう。
○正示政府委員 韓国におきまして、旧朝鮮殖産銀行が新しい韓国の銀行にどういうふうに引き継がれておるか、また旧朝鮮殖産銀行、これがただいま閉鎖機関である朝鮮殖産銀行でございますが、その債権債務を韓国の新しい銀行がどういうふうに処理する方針であるかということについて、ただい吏お示しのがあったのでありますが、私どもも一つの情報として、向うの新しい銀行の債権債務のリストの中に、整理するようなことになっておるというふうな情報は入手しておるのであります。しかしながら、この点は未確認事項でございまして、御承知のように、対韓国の国交折衝は、今日幸いにしてその緒につく希望が非常にあるように伝えられておりますが、今までのところは、不幸にしてそういう具体的な内容をはっきりと確慰するような段階に至っておらないのは御承知の通りでございます。この点につきましては、外務当局がお見えでございますので、なお詳しくお話しを願えればけっこうかと思います。 そこで、私どもといたしましては、先般この委員会におきまして横錢委員から特に強く御指摘のありましたように、韓国の態度というものは、何と申しましょうか、それこそお話しのように冷酷無比な点があるわけでありまして、今後の外交折衝に非常に多くの難関があるのではないかと、むしろ憂慮にたえないのであります。しかしながら、相手はいかようなる主張をいたしましょとも、やはりわれわれとしては、普遍的な権利義務の関係というものは万国共通の一つの建前でございまから、この建前はどこままで主張すべきであるという考えをもちまして、先ほど来お答えを申し上げるように、国内におきまして、国内資産をもっていろいろと権利義務を清算いたしましたところで、それは何ら対韓国への請求権その他に影響があるものではない、こちらとしましては、どこまでも所有権を主張すべきものは所有権を主張するという態度で臨むことを繰り返し申し上げておるのであります。先ほど御指摘のような一つの情報も考慮に入れておりまするが、これをもって、われわれは対韓国の折衝の場合におきまして、今回のような措費をとることが、こちらとしての請求の立場を弱くするとかなんとかいうことは毛頭ございませんので、いわば単に一つの清見の過程におきまする整理にすぎないのでありまして、対韓国の請求権の関係は厳然としてそのまま残る、こういう建前をもって進めておる次第でございます。
○横錢委員 請求権は厳然として残るということ、これはその通りでございましょうし、またそうでなければはならぬと思うのです。ただ実際問題として、こういうような整然と整理をされ、かつ引き継がれたところの金額すらも当局として未確認である、情報程度だというようなことで、これを強硬に押す意見がないということに、今の答弁ではなるだろうと私は思う。従ってそういうようなことでなく、韓国に残したところの大部分の財産に関係のあるこの殖銀の清算ということは、最終的にはもう少し待つべきだ、今日韓会談が開かれて、しかも今まで困難であったところの抑留漁夫、あるいは大村収容所の問題が大体解決がついて軌道に乗つてくる、こういう段階になるというと、今度は韓国に残したいろいろな財産についても話し合いがすぐ展開をされるわけです。この話の展開の仕方いかんによっては、朝鮮に関係のある閉鎖機関の整理というものは、これは構想がおのずから変つてくるだろうと私は思うのです。それが、大体今の大蔵省の考え方では、これは請求権はあるが、実際はゼロだ、とれないものと、こういうふうに考えているのではないかという誤解を受ける。あなたの方ではそうじゃない、厳然と請求権は残つておると言うけれども、向うから見た場合に、おそらくそう考えるだろうし、それからまた国内においても、これは多分に疑問を持たれる。そういう疑問を持たれる方法を今急いで日韓会談開催の直前に行うことなく、これはもう少し時期を待って清算を延ばすべきではないか、こういうように考えるのですが、この点はどうですか。
○正示政府委員 御意見として一つの提案があったわけでございますが、この殖産債券の支払いを、韓国との取りきめができて、殖産銀行の在外資産負債につきまして韓国と話し合いがつき、最終的な処理ができるまで待ってはどうかという御趣旨かと思うのであります。こういう御議論でございますと、実は今まで預金を払い、従業員債務を払うというようなときに、やはりそういう考え方をとるべきじゃないかということも一つの考え方だ、あるいはそれは違うのだとおつしやいましても、一つの債権関係という意味においては同じではないかという点が、私としては第一におそれるわけであります。 それから第二といたしまして、なるほど株主は、この際国内資産の関係から、社債権者といえども四割五分にしか達しません、従って株主には直接分配はない。株主の御立場だけを中心に考えますと、みな待とうじゃないかということも株主の主張としてはあり得るかもしれませんが、これでは社債権者は困るわけであります。社債権者の多くは、御承知のように金融機関でございまして、この金融機関の中には、いわゆる封鎖預金の関係の跡仕末のついていないような金融機関もございます。これらの金融機関が殖産債券の支払いを受けますると、これを封鎖勘定に払い込みをいたしまして、いわゆる封鎖預金の支払いに充てるわけでございます。封鎖預金が打ち切られまして、まだ払われていないような気の毒な預金者もおるわけであります。そういう方もお預けを食らうわけでございます。あちら立てればこちらが立たずということになるわけでありまして、やはり預金を払い、従業員債務を払い、一般債務を払うということでございますれば、まず国内支払いの社債券を払って、そうして日韓交渉の一日も早い成功をわれわれは待つわけでございますが、その節なお社債の未払い、あるいは株主の分配ということにいくということも一つの方法であり、まさに閉鎖機関令が今日までたどって参りました過程というものは、実はそういう方向によって整理が進めてこられたのでございますから、この際一応そういう方向に進めていただく方がけっこうではないか。いたずらに今申し上げたような関係をたな上げいたしまして時日を遷延いたしますれば、これは何と申しましても経費等もかかることでございます、。お話の中に、そういう措置をとると、対韓国の請求権が弱くなるのじないかということがございましたが、これは私心外でございまして、国内におきまして社債権者に払ったからといって、閉鎖機関殖産銀行がお話しのように、株主はいまだ何らの分配も受けずして待っておるわけでございます。どうしてその請求権が弱くなることがございましょうか。私は、むしろそういうようにして秩序整然として支払をやつてこそ、将来対韓国への請求がまた論理的に進められていくものと、こういうように考えておるわけであります。
○横錢委員 今の意見では、急いで清算をしたいというような考え方のようだが、それならば、なぜ今日まで十年間待たしてきたか、今日まで十年間もこうして延ばしてきて、ここで清算を急がなければならないという理屈は出てこない。それが、たまたま日韓会談は、従来無期休会のような状態であったのが、今度はすこぶる希望の持たれるような状態になってきておる。従ってこの中で解決さるべき問題は、日本にとつては相当たくさんの問題があるわけです。その際には有利な条件を全部そろえて出ていくのが、これは会談に臨む態度だろうと思う。ところが、実際にこの改正法律を通用して清算を急ぐならば、具体的に殖銀の場合には、数字的には、ゼロになってしまう。数字をゼロにしてしまって、それでなおいろいろなものが残っておるのだ、請求権があるのだという考え方は、これは理論としては通っても、具体的な精算は終ってしまったというように誤解をされると思う。この考えが、私とあなたとの間に意見の食い違いがあると思うのですが、しかし対韓交渉に出ていくのにどっちの方が有利かということは、私は現状のままに置いて対韓交渉に臨んだ方がはるかに有利であると思う。今ここで社債の支払いを履行するならば、具体的には一銭もなくなるでしょう。一銭もなくなってしまってから、この機関はまだ清算団体である、朝鮮に多分の請求権を持っておるということを言うてみても、これは全く相手に対するところの迫力、あるいは請求権の実際的な効果、そういうものはなくなってきて弱い。従って、これはこの際延ばして、日韓会談の経過を見るべきである、こういうふうに考えておるわけです。
○正示政府委員 お話がだんだん進んで参りまして、御趣旨は残存資産があつて、たとえば朝鮮銀行のように新しい会社でもできれば、対韓国の折衝の場合に非常に発言力が強い。しかし殖産銀行の場合は、社債権者については、これは全部払うというふうにお話しでございますが、たびたび申しますように、十億くらいのものに対して四億五千万というのでありますから、四割五分しか払わないのであります。それにしても、そうして払えば、株主は何ら残存資産の分配を受けない、すなわち国内における資産がないような状態になる、そこで発言力が非常に弱くなるのではないかということに拝聴いたしたのでありますが、私は、さようなことではないと思うのでありましてたとえば朝鮮銀行にいたしましても、今回残余財産につきまして税金等を払う、なお残つたもので第二会社を作りますが、しかし朝鮮銀行といえば、古い銀行でありますが、その朝鮮銀行が、こういう特殊清算が一応終了いたしましても、引き当て財産の管理の目的の範囲内及び本邦内にある財産以外の財産に対する関係においては、なお法人格が存続するということは、閉鎖機関の引当財産の管理に関する政令というのがありまして、その第九条にはっきり明記されておるところであります。その関係は、残余財産があつて、第二会社を作るか、あるいは債務だけの弁済をして、株主はなお在内財産以外の財産の負債の整理ができるまで待つという関係にありましょうとも、何も実質的には変りはない。この第九条はまさにその通りで、いかなる会社につきましても、ただいま申し上げたような、引き当て財産の管理とか、あるいは本邦内にある財産以外の財産という関係におきまして存続いたすのでありますから、旧機関これの発言権というものは同じくある、私はこういう見解のもとにお答え申し上げておるわけであります。横錢委員も、すでに見解の相違かもしれないかとおつしやいますが、私は、こういうところこそ見解を異にせずしてやはり対韓国への折衝の場合におきましては、これらの機関は、いずれもその目的の範囲内においては、なお法人格をもって存続するのでございますから、それらの利害を強力に主張いたしまして、対韓国折衝に遺憾なきを期していくというのが、今後の取るべき措置ではないか、かように考えておるのでございます。
○横錢委員 この問題は、さらに答弁を検討して、質問を後日またいたしたいと思うのです。 それから次に、二十八年の七月二十四日に、やはりこの大蔵委員会で閉鎖機関令の問題が審隣されたときに、附帯決議がつけられた。このときの附帯決議は「本委員会は、事実上閉鎖機関を終止せしめるよう、ことに閉鎖機関の株主が会社設立案を具して申請したときで、当該閉鎖機関の実情に照らしその必要があると認められるものについては、政府においてただちに特殊清算人をその機関の旧関係者より選任し、新会社の設立を促進せしめる措置をとられるよう決議する。」こういうような附帯決議がついておるわけです。そこで、ここにありますような特殊清算人は、旧機関の関係者から出して整理をしろというようなことは、具体的にどういうように進められておりましたか、この結果についてお答えいただきたいと思います。
○正示政府委員 ただいま横錢委員のお読み上げになりました決議は、よく承知いたしております。その御決議の趣旨でできましたのが、具体的に申しますと、たとえば朝鮮銀行、台湾銀行のように、それぞれの機関について特殊清算人を選任いたしまして、その清算に当らしておるのが、まさに今お読み上げになりました御決議の趣旨に沿う措置でございます。どういうわけで台湾銀行、朝鮮銀行について行われたかと申しますと、これは御決議の趣旨からも明らかなように、これらの機関は、国内財産をもちまして国内において支払うべき債務を支払いますと、なお相当の残余が出ます。そこでこれをもちまして、国に帰属すべきもの、あるいは税として納付すべきもの、これらを納付していただきました上で、新会社の設立ということに取り述ぶわけでございますが、そういう会社設立等のこともございますので、特に特殊清算人をお願いをいたしておるわけであります。朝鮮殖産銀行につきましては、先ほど来お話しのようなことで、今日不幸にして社債券の一部を支払いますと、株主に残る財産は、国内においてはございませんので、従って新しい会社の設立ということも考えられません。そこで、しかしながら、この点につきまして何らかの措置を講じたかという点につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、特に相互清算人のところに旧殖産銀行の役員の方お三方をお願いをいたしまして顧問として、先ほどお話しをいたしましたような趣旨のごあっせん、御尽力をわずらわしておる次第であります。これは、特殊清算人にかわるものというと多少語弊がございましょうと思いますが、御決議の御趣旨にはある程度沿うて、特殊の状態でございますので、特に旧殖産銀行の内部的な事情等に明るい方を顧問として御活躍を願つておるわけであります。
○横錢委員 顧問というのは、具体的な推進者ではないのであつて、従って、この決議の中にあるような「特殊清算人をその機関の旧関係者より選任し、」ということには、そのまま当てはまつておらない。この清算の方式を見ておると、こういうような機関は株式会社であり、私有財産なんです。ところが大蔵省の考え方というものは、これを国有財産の管理方式と同じような考え方で、これは何もかも当局の考え方で指導する、当局の都合でこういうふうに命令をするというような考え方を持つておるのじキないか。これは、そういうように誤解をされてもやむを得ないところまで、清算人も大体大蔵省の都合のいい人、それから一々の出し入れについても大蔵省の指示ということで、ほとんど私有財産の特殊清算という考え方を出さずに、国有財産の整理というような考え方でこの問題に当つておるのじゃないか、少くともそういうような印象を受けるのだが、この点はいかがですか。
○正示政府委員 この閉鎖機関の私有財産を国の財産のようにしておる傾向はないかという御趣旨でございますか、さようなことは毛頭ございません。あくまでも株主、社債権者、預金偵権者というふうな民間の一般的な財産及びその債権債務の関係、これを民法及び尚法の一般民事法規によって律していくことができればいいわけでございますが、御承知のように特殊のいろいろの情がございますので、それでは清算ができない、そこでお定めを願つたのがこの閉鎖機関令であるわけでございます。この閉鎖機関令によりまして、一般の民間における財産及び償権債務を規律していくという、こういう関係でやつておるわけでございまして、ただ清算人が大蔵大臣の任命を受けて、公正な立場においてやつておるということはございますが、これを国の財産であるかのごとく考えて、役所の方でとやかく申しておることはどこまでもございません。一般の私有権の尊重の理念に徹してやっておるわけであります。
○横錢委員 それならば、旧関係者の中から出して、事情のわかつておる者でどしどしこの清算を進める、あるいはまた先日春日委員からも話のあった解雇手当の問題等も、朝鮮において二千万を送金する、それから内地におけるところの三千万を合せて五千万にして、この五千万円で解雇手当を支給する、こういうようないろいろな事情となりますと、これは指定日以前の確定した問題かどうかというところが、あなた方の方の論議の中心になるわけであります。ところが、こういうような当時においては、後においてこういうような整理をされるだろうとか、あるいは後にこういうような処分を受けるだろうというようなことは、これはだれもが想像がつかなかった。そうして突然の措置、あるいはまた敗戦という思いがけない混乱状態、こういうような中で措置をされたものが、幸いに五千万という金額があったということが、これはいろいろな中から確認をされるということになるのだが、この確認という問題も、内部におつた者だとはっきりとわかる。ところが外部の者がこれをした場合には、なかなか未確認であるとか、事情がわからぬとかいうようなことになって、どうも逃げられる可能性があるので、こういうような問題は、もっと清算の態度に対しても、この決議の中の趣旨にあるように、その旧機関の適当な関係者を出して進めるということが、一番手落ちのない完全な清算ができる、こういうふうに考えておるのですが、今の大蔵省の考え方というものは、そういう方向をとつていないのじゃないかという印象を受けるのです。この点について御答弁いただきたい。
○正示政府委員 先ほど来お話しのごさいました点で、ちょっとお答えを落したのでありますが、十年もかかっておるじゃないかという御質問が先ほどあつて、これに対してお答えしておりませんが、これは、やはり各閉鎖機関につきまして債権債務の調査、それから預金の支払いにいたしましても、何しろ外地からお引き揚げになつたような方々が預金者でございますので、その手続等に非常にひまがかかった、また債権の回収等に非常にひまがかかったというような事態でございまして、何もいたずらに引き延ばしたわけではございませんので、この点をます申し上げておきます。 それからただいま御質問の御趣旨は、大蔵省がもう少し実情のわかった方にやつてもらえば、たとえば従業員債務のごときも、もっと適切に処理ができるのじゃないかという御趣旨のよりでございますが、そういう趣旨で、特に三顧問の方にも御活躍を願いまして、大体先般来当委員会におきまして御説明申し上げましたいろいろの材料というものは、その顧問の方々から御提供になつたのが主でございます。ただこの際はっきり申し上げておきますが、実は、いわゆる解雇手当ということで、今顧問の方からお話しのある二十万円という送金の問題でございますが、これは、実は先般の委員会でも申し上げましたように、すでに成規の殖産銀行の規定による退職金というようなものは、支払いをいたしておるのであります。その後に、この旧重役の方から、朝鮮において重役会議でこういうことをきめたのだ、そしてまたそれに伴う送金も努力したのだというふうな申し出もあるわけでございます。そこで、この種の解雇手当と申しましょうか、こういうものは、いずれ資料をはっきり御提示を願つて、これを確認するわけでございますが、これは性質から言いますと、何も今回の法律改正によって初めて払い得るものではないのでありまして、それが国内において払うべきものということになりますと、いわゆる本業の国内払いの債務なのであります。問題は、今回の法律改正で、旧外地払いの退職金等の給与の債務で、まだ未払いのものがあるのではないかというふうなことから、それが動機になりまして、ただいまのようなものが出てくるのでありますから、これははっきりと御了解を願つておかなければなりませんが、今回の法律改正によって初めて払い得るものとは類を異にいたすのでありまして、もし成規の手続で重役会議の決定がありまして、これが国内において払うべきものということになっておりますれば、本来国内払いの債務なのでございますから、これを確認することによりまして、ただいまお示しのように、また先般春日委員から御質問のように、指定日以前に確定した国内払いの債務ということになりまして、当然払えということに相なってくるわけでございます。それらの点につきましては、私ども役所だけで一方的にとやかく申しておるわけではございませんので、当時の関係者の方々から十分資料の御提示を願つて決定をいたすようにしておるわけでございます。
○横錢委員 こういうような大量解雇の場合大量でなくて、これは全員解雇ですが、あるいはまた銀行等の都合によって解雇をするという場合、きめられたところの解雇手当よりも数倍するところの割増しをつけた解雇手当を支給するというのは、今日の日本の通例だろうと思うのです。従って、この間春日委員が指摘したような事情というものは、当然当時あったであろうと考えるわけですが、これは、この問題の改正には関係がないようでありますから、関係者との間で当時の事情についてただされて、支給をされるならばそれで済むことだ、こういうふうに考えるわけです。 さらにもう一つ承わりたいのは、預貯金の支払いに対して三分の二に切り下げて支払いをしておる、この問題については、当時における日本券と朝鮮券というものは、等価換算の原則の上に立って発行されていた、これが、どういうような理由で三分の二に切り下げて預貯金の払い出しをされたのか、この点を承わりたい。
○岩動説明員 外地預金の支払いにつきましては、本来外地預金は、外地において預金をいたし、外地において支払いを受ける、こういう約束のもとに生まれたものでございます。従いまして、今日これを本邦内において支払いをするということになりますと、当然変つた通貨で支払いをするということになりますので、そのときには、その為換算率をきめまして、それに従って支払いをするというのが原則になっておるわけであります。ところで外地預金を支払います場合に、中国の地域等におきましては、儲備券等の預金が行われておりまして、これは現在全く通用力のない通貨になっておるわけであります。従いまして、これを支払います場合には全く換算率の適用が出てこないわけでありますが、たとえばこの儲備券などにつきましては、その後の通貨改革等を勘案いたしまして、換算を出すというような実際的な手続をとらなければなりませんが、そういたしますと非常にわずかな、むしろ支払いをするための手数料にも足りないような金額しか出てこないというようなことになるわけであります。従いまして、われわれといたしましては、あまりにも引揚者に対して酷な結果になりますので、これを大体昭和二十一年引き掲げ当時の外地における物価と内地の物価との比較を一つの基準といたしまして、それに基いた支払いをするということで、これは一昨年換算率を法律をもってきめていただいたわけであります。朝鮮におきましても、朝鮮地域と内地におきましては完全に経済が遮断されまして、朝鮮銀行の通貨は韓国銀行に引き継がれて今日に至っておるわけであります。従いまして、これにつきましても、むしろ今日の韓国の銀行券等を勘案して支払うべきであろうかと思いますが、これも、今申しましたように非常に苛酷な結果しか出てこないということになりますので、政府といたしましては、これも大体昭和二十一年の上半期程度の物価を勘案いたしまして、一対一・五というような換算を法律でおきめいただいたわけであります。これは、在外公館等の借入金につきましても、同じような換算率を適用いたしたわけでありますが、特に外地預金については、新しくそれに準じた換算率で、ただいま横錢委員の申されたような率を法律できめておるわけであります。
○横錢委員 この換算率の問題については、これを全国の引揚者の団体が、政府のとつた態度を不当として公訴を起したら、その結果、政府がとつた態度は憲法二十九条の違反である、こういうような判決が、第一審ではあるがすでに出た、この問題に関しては、あなた方どういうふうに考えておりますか。
○岩動説明員 在外公館の借入金につきまして、朝鮮の場合におきましては、一対一で支払うべきが妥当であるというような判決が出たことは、私どもも聞いております。しかしながらこれにつきましては、政府といたしましては、なおよく検討の上、その判決に従うか、あるいは控訴いたしますか、目下慎重に検討中でございますが、少くとも外地預金の支払いにつきましては、これは全然別個の観点から、われわれは、十九国会においておきめいただきました換算率は適当なものであるというふうに考えております。これは、先ほども申し上げましたように、外地預金は、外地において支払いをするという約束のもとに行われたものでありまするが、在外公館の場合は、朝鮮において借りた場合に、内地において等価をもって支払うという特約があったがゆえに、これは一対一で支払うべきであるというような判決の要旨になっておるように聞いておるわけであります。従いまして外地預金の場合とは、全く別個の観点から判決が下されたもの、かように考えております。
○横錢委員 当時の朝鮮や満洲におけるところの日本券の運用というもの、あるいはまた日本政府と直接間接に関係のあったものの発行した銀行券、こういうものは全部同じように一対一で通用しておったわけです。従って朝鮮や満州等におけるところの預金の取扱いというものも、日本券でやったものもあれば、朝鮮券あるいは満州券でやったものもあるであって、この間を、今日になってこれが一対一・五である、あるいは等価換算ということは、判決が出ても、この問題と預金とは関係がないということは、少しく強弁に過ぎるのではないか。当時の国民としては、この問題に対して少しの疑念も持つていなかったわけです。もしこれが何かの理由によって、朝鮮券の個個というものは三分の三あるいは半分程度と、そのときの日本の国の考え方において扱われる、こういうふうに考えておつたならば、朝鮮銀行の発行した券というものは、日本券と同じようには通用しなかったであろうと思う。政府はそういうような措置はとつていなかった。これは、当然日本券と同じように交換をされる、そういうような建前をとつて強制的に通用させておつた。それが、こういうような事態になってからは、今度はこういう三分の三で、これが国会できめたのだから適当である、こういうような措興をとられたとしても、これは少しく妥当を欠いたところの方法ではないか。従って引揚者の団体が公訴をしたところの判決も、またこういうふうに、これは懸法違反であるとはっきりと出てきておる。もしこの問題も、公訴を行なつたならば同様に出てくるのではないか。従って、これは日本の法律が憲法違反を犯したということになってくるであろう、こういうふうにも考えられるわけです。この問題はきわめて重大な問題であるので、さらに御答弁をいただきたい。
○岩動説明員 ただいまのこの判決の要旨にも、終戦後朝鮮と日本内地との法律的、経済的関係が断絶した結果、朝鮮にあった日本銀行券及び朝鮮銀行券、日本通貨との実質価値が異なつた変動をしたであろうということは、容易に推察できるというような文言があるわけでございます。これが、先ほど来申し上げておりますように、朝鮮で預金をいたし、朝鮮で支払いをするという場合に、これを特に内地に持って来て支払う場合には、日本通貨と軌鮮地域内において流通しておった通貨との実質価値の変動がそこに考慮されて支払いが行われるということが、当然であろうと思います。繰り返して申し上げるようでございますが、在外公館借入金の場合には、判決の要旨といたしましては、たといそのような実質的な価値の変動があるとしても、借り入れをした当時において、日本において一対一の等価で支払いをするという特約があったから、その特約によって一対一で支払うべきである、かような判示になっておるようでございます。従いまして、外地預金の場合にはそのような特約はなくて、むしろ外地において支払いをするというのが外地預金の本来の姿でございますので、われわれといたしましては、ただいまの判決の趣旨からいきましても、国会でおきめいただいた換算率は妥当なものであると、かように考えております。従いまして、決して憲法違反でもない、かように信念いたしておるわけであります。
○横錢委員 等価支払いの特約があったから、これは一対一だと言われるけれども、預貯金をする場合において、これがどういうふうに扱われるかということは、当時として預金者は考えずに、みなこれを銀行に積んだものだと私は考えておるのです。その間にもしも今日のような措置というもの、あるいはまた貯金というものがどう扱われるかということに疑問を持つたならば、私はこういう問題は今日出なかったであろう、こう考えておるわけですが、少しく政府のとった考え方というものは、預金者に対してもこれまた犠牲を強要しておる。預金者の犠牲においてこの問題を処理しようとする、やはりこういうふうな点が出てきておるのではないか。当時における事情というもの、預金者の立場というもの、こういうものが正当に今日考えられずに、この問題が処置をされておるのではないか、こういうように考えるわけで、この点どうも納得することができない。 さらに、社債その他の問題についてもお伺いをしたいと思いますが、今日の答弁を見て、さらにまた質問をしたいと思いますので、本日は一応この程度で打ち切つて、明日また質問、いたしたいと思います。
○石村委員長代理 石野君。
○石野委員 ただいまの外地預金者の問題と、株主に帰属する財産問題との関連性は、非常に重要だと思うのです。ただいまのお話を聞いておりますると、やはり外地預貯金者に対する取扱い規定はそういうようになっておつたから、今のような換算率をきめたんだということ、それからまた、前の第十九国会ですか、そういうことがきめられておるからというような建前のお話でございました。しかしわれわれの感ずるところでは、そういう問題は、戦争を中心とするいろいろな事件の内容になっておるわけだと思うのです。ですから、われわれとしては、今その外地におけるところのそういう預貯金者に対する政府の取扱いの問題と、今日出ておるところの残余財産の処分に対する問題との関連性を、やはり当時のような考え方の中で処理しなければばらないのじゃないかというふうに考えます。そこで問題になるのは、そういう取扱いをした後に、今日残余財産の処分の規定については、特別納付金の問題、あるいは清算所得税の問題として、株主帰属財産の問題と、こういうように分れておるわけです。結論的に見ると、株主の帰属財産は、その当時の払い込み資本金に対して約三十一倍だとか、あるいはまた十三倍だとかいう率が出ております。こういう問題と、先ほど来取り扱つてきた問題との不均等性に対しては、政府はどういうようにお考えになっておるでしょう。それらについては何も不均等性はないかどうか、そういうことについての所見を聞きたい。
○岩動説明員 ただいまの預金の支払につきまする換算率の問題は、先ほど御答弁申し上げた通りであります。これはすべての債権債務の処理のの一つでございまして、預金に対する支払いは、そのような法律に定めらた換算率によって債務の弁済をいたしたわけでございます。その他それぞれの閉鎖機関の持っておりまする債務は、すでにそれぞれ弁済いたしておりますが、それぞれその適正な方法、適正な価値に基いて支払いをいたしたわけでございます。従いまして、そのような債務の弁済につきましては、預金者だけを特に有利にするというようなことは、一般的な債権債務の処理としては建前としてとるべきでない、むしろそれぞれ定められたやり方によって支払うのが最も適正な処理である、その結果、たまたまある機関につきましては相当の残余財産が出てくる、あるいはある機関についてはほとんどない、あるいはある機関については全く債務の弁済もできないというようないろいろな機関が出てくるわけでございます。ただいま御指摘になりました、株主に対して三十四倍とかあるいは十三倍とかいうような例があるという点につきましては、これは台湾銀行あるいは朝鮮銀行についてのお話かと思いますが、これもそれぞれ法律に従い、一般の経済原則に従つた債権債務の処理をいたしました結果残つた財産でありまして、これは株主の危険においてたまたま生じてきた財産でございます。従いまして、特に株主によけいいくから他の債権債務について特別な考慮を払うというようなことは、民商法の原則――閉鎖機関令も民商法の原則に基いた特例の法律でございますが、その前からいきまして適当ではないか、ように考えております。
○石野委員 偵権者、債務者に対するそういういろいろな問題と、それから株主の問題とは民商法の建前からして違うのだということと、今度の閉鎖機関が敗戦という事実の中から出てきている非常時の中の結果だということが、一つ問題の中にファクターとしてあると思うのです。そこで私は、この際政府に承わつておきたいのですが、株主に帰属すべき財産の問題点の取扱いについては、戦争で受けたいろいろの危険の負担率の公平、均等化というか、そういうものが一律になされなければならないのではないか、こういう考えなのです。ことに、殖産銀行とかなんかは別としまして、台湾銀行とか朝鮮銀行は発券機関であったということによって生じておるところの特殊な利益があると思うのです。そういう利益が帰属財産、残余財産の中の構成要素になっている場合、帰属財産の払い込み資本金に対する倍率の問題が過当に高い、非常に多いというような場合は、政府としてはこれをもっと引き下げてやるべきじゃないか、これは預貯金者というような債権者の立場とは違いますけれども、そういう人々もこの民商法の中で受けているような――妥当だとはいうけれども、しかし換算率がかりに三分の一だとか二だとかいうことになってくれば引き下げられているわけですから、そういう危険負担をしたのと同じような率で下げてやるべきじゃないか、こうわれわれは考えるわけです。そういう点について、特別納付税だとか換算率の問題が、今日のこの残余財産と当時の率の関係で非常に不均等性が出ているという問題については、当局はどうお考えになっておりますか。
○正示政府委員 先ほど岩動課長からお答え申し上げましたことに尽きると思いますが、たまたま朝鮮銀行と台湾銀行をおあげになりますと、株主に相当の残余財産が帰属する、殖産銀行をおとりになりますと、社債権者の方にある程度いくけれども、株主の方には帰属しない、こういう態様になっておるのでありまして、横錢委員からは殖産銀行を指摘され、今石野委員からは鮮銀、台銀を指摘される、そういうように一つの制度の結果が、適用の対象によりまして違つておるのであります。そこで、それらについて、今申し上げた民法、商法その他一般の会社の清算等に適用する通念的な規定に照らしまして、できるだけ妥当なところで最終的に結着をつける以外にないというのが私どもの考え方でありまして、その結果、今回の閉鎖機関令の一部改正案が実は提案せられたのであります。先般の当委員会におきまして、鮮銀、台銀の納付金についてはむしろ違憲論――こういうのは事後立法であり、違憲ではないかというような御議論もあったのでありますが、これは、今石野委員からお話しのように、通貨の発行という国家的な特権を行使した機関でございます。そこで、そういう機能に結びついた残余財産というところに着目をいたしまして、さようなものをすべて株主に帰属さすということでは、一般の通念からいってやはりおかしい、現に営業中におきましては、これらの機関においては、それぞれ国に納付するという制度があった、この制度を、一応残余財産過程におきましても生かすという考え方をもちまして、閉鎖機関令の中に所要の規定を設けていただくというのが、今日提案を申し上げた趣旨であります。この点、まさに石野委員の御趣旨に合致しておるのではないかと考えます。 なお、清算の過程におきまして、国税、地方税を納めていただくわけでございますが、これらは、それぞれ旧税法によりまして相当高率の課税になっておることも御承知の通りであります。鮮銀、台銀の株主の方々になお相当額の財産が帰属いたしますが、これは、ただいま申し上げたような一応妥当な調整を行いまして、その上で帰属することでございますので、大体今日まで国会において御論議を願つて制定されました閉鎖機関令の精神から申しまして、均衡のとれた結論に持ってきておるというのが私どもの見解でございます。
○石野委員 株主に帰属する財産の問題について、あるいはその観点の相違によっては違憲論も出てくることは、よく知っております。だけれども、私は、ただいまのような、特に鮮銀だとか台銀あたりの特殊性は一応この際でも十分考えないといけないという考え方です。それで、今正示局長からお話の、これは妥当だという見方については、いろいろ意見の相違があることですからいたし方ないと思いますが、問題は、これらの処理をしたあとで、なおここで一つの大きな問題点があるわけです。それは、朝鮮銀行にしても台湾銀行にしても新しい会社を作られる、すでにその問題については、さきに大臣からいろいろな説明があったのですが、特に私は、この機会にお聞きしておきたいのは、台湾銀行が作ろうとしております東司アジア向けの金融機関というようなものの構想といいしなすか、そういうものは大体どういうふうに指導しようとしておるのか、また皆さんのお考えはどういうふうであるかということを、この際一つお聞かせ願いたいと思います。
○正示政府委員 お答え申し上げます。たしか三月二十日の大蔵委員会におきまして、石野委員から大蔵大臣に御質問がございました。大蔵大臣は、まだ的確にお話を伺つてないというお答えを申し上げたのでありますが、実はその通りでございます。ただ私ども非公式に、この清算人の方から一つのアイデア的なものを御連絡はいただいておるのでありますが、これはまだ的確な具体案というものではございません。ただ台湾銀行は、御承知のようにかねて南方関係に非常に御縁の深い機関でもございましたので、東南アジアとの貿易その他通商関係の振興に寄与したいという非常な熱意に燃えておられるようでございます。それで、大体そういう貿易とか、あるいは投資等につきまして、そういう事業のプロモーターと申しましょうか、これらの事業は相当危険を伴う事業でありますので、これらの事業に対して一種のギャランティをするような機能を持った会社を作りたいということを構想としてお持ちのようであります。その具体的な内容は、実はまだ詳しく伺っておりません。またおそらく関係者の間におきましても、まだはっきり固まっていないというのが実情かと存じます。御承知のように朝鮮銀行の不動産銀行につきましてはこれは大蔵省の銀行局の認可事項になっておりますが、別途台湾銀行のこの構想は、どこの認可というものでもないと思うのでありまして、いずれ清算が進みました上で、株式会社の形で新しく設立されることになるわけでございます。もとより特殊清算の認可事項ではございます。従いまして、その際に私どもとしてはよく当局者のお考えを伺いまして、閉鎖機関令に定める適格性を備えた会社であるかどうかをよく審査をいたしまして、最終的な認可をいたすのでございますから、今日は、まだ今申し上げたようにはっきりした構想を持っておりませんので、これ以上のことは申しかねるわけでございます。 〔石村委員長代理退席、藤枝委員長代理着席〕
○藤枝委員長代理 次に石村英雄君。
○石村委員 私、実際のことをよく存じませんが、今度朝鮮銀行が株主に帰属する財産で新会社を作る、こういうことなんです。しかしこの閉鎖機関は、内地の債務、債権を整理して、特殊清算をして、そうして株主に帰属する資産があるということで、それによって新会社を作るということだと思うのですが、それは、特殊清算をして、内地に残った財産が株主に分配されるということになるのですか。一口に言えば新しい第二会社が、従来の、朝鮮銀行としますと朝鮮銀行の債権債務――内地の方は特殊清算でけりがつくでしょうが、外地の債権債務をやはり第二会社が引き継ぐという形で、その第二会社はできるのであるかどうか、この点をお尋ねいたします。
○正示政府委員 お答え申し上げます。最初にお話しのように、内地におけるいわゆる国内財産、これをもちまして内地において支弁すべき債務を支弁いたしたわけであります。その結果生じました残余財産を株主に分配することになるのでありますが、これを現金をもって分配するかわりに、新しい会社を作りまして、その会社の株をもって各株主が、分配にかわる何と申しましょうか、清算の結果を取得するということになるのでありまして、外地の関係、いわゆる在外資産負債の関係は、朝鮮銀行、台湾銀行ともに、外地払いの預貯金を払いまして残りを見ますと、いわゆる外地の資産と負債の関係は、資産が超過することに相なりまするので、負債が超過して資産不足の場合には、なお国内の資産をそれに引き当て留保するというのが閉鎖機関の建前でございますが、引き当て留保がありませんから、外地の関係は一応切り離しまして、国内の残余財産を新しい会社を設立するという形において株主に分配をする一種の分配でございます。従って、先ほど横錢委員にお答えを申し上げたように、在外資産負債の関係におきましては、なお朝鮮銀行、台湾銀行は法人格が存続するわけでございます。すなわちその持っております資産負債を新しい会社が引き継ぐということはないわけであります。 〔藤枝委員長代理退席、松原委員長着席〕
○石村委員 閉鎖機関令を見ますと、在外の資産負債について超過した分は、国内資産についてイヤマークしておくということになっておるのですが、せんだっての委員会で外務省の方の御答弁を聞いてみますと、朝鮮における状態はさつぱりわからない、こういう御答弁だったと思います。さつぱりわからないということになると、債権債務の超過額をイヤマークするといっても、わからぬということを前提としては、イヤマークしようがないのであります。朝鮮銀行におきましても、ただいまの御答弁だとそういうことはないということですが、実際はわからないのですから、やつてみると案外債務が多いのじゃないかということも理論的には考えられると思うのです。特に朝鮮銀行は銀行券を出しておったのですから、この銀行券というものは、なるほど正貨準備というようなものはなかったでしようが、一般的な銀行券としての債務は、朝鮮銀行にはあるはずだと思うのです。従って、これが将来清算せられた場合に、債務超過ということにかりになつたとすると、そのときの債務超過は、内地の資産に対しても請求権が当然発生してくると思う。そうすると、内地における一応特殊清算で余ったとして分配した財産に対して、朝鮮の方から請求せられるということになると、これは結局どういうことになるのですか、これは、政府においてそれに対する補償でもされるということになるのかどうか、この点をお伺いいたします。
○正示政府委員 ただいま御指摘の、先般の委員会における外務当局からのお答えの御引用でございますが、これは、今日の韓国におきまして朝鮮銀行なり殖産銀行なりの資産がどういう状況になっておるか、また新しく朝鮮銀行なり殖産銀行なりにかかわつて、これの後継者として新しく生まれました各機関において、その債権債務をどういうふうに処理しておるかというような実情について、今日こちらとしては承知をするすべがないということを申し上げた次第でございます。しかしながら、この終戦時におきまする朝鮮銀行なり、台湾銀行なり、あるいは殖産銀行なりの債権債務の関係はどうであったかということは、これは帳簿によって明らかでございます。そこで先ほど申し上げましたように、終戦時における状況を基礎に濃きまして、まず国内資産をもって支払うべき債務を支払つていくわけでございます。これを閉鎖機関令の改正によって、まず預貯金債務、従業員債務、一般国内支払い債務、社債というふうに順序立ててお支払いをいたすというふうにいたしておるわけであります。また在外資産につきましては、終戦時の帳簿によっても明確でございますので、またその中には、ただいま御指摘のように、通貨の発行額も明らかでございますから、これをも一応債務ということに、通貨債務という形で計上いたしまして、これに見合う在外資産というものと、にらみ合せをいたしておるわけであります。そうしまして、この終戦時の帳簿の分は、あくまでもこれを将来の対韓折衝において折衝の基礎にいたすわけでございます。これは明確でございますから、その帳簿を基礎にいたしまして、先ほどお答え申し上げましたように、在外資産と負債をにらみ合せましたところ、外地において本来支払うべかりしでありました預貯金債務を内地において支払つた結果、鮮銀、台銀はいずれも在外資産を超過するという結果に相なりました。従っていかなる事態になりましても、国内の残余財産を国に納付し、あるいは税を納め、その残余をもって新しい会社を作るということが、これは十分安全を見込んでそのようにしてよろしいということの見通しを立て得ましたので、今回一応特殊清算の過程を終了することに相なる山わけでございまして、それらに対しまして、ただ今日韓国政府がどういうふうにやつており、また韓国における実際の状況はどうなっておるかということは、これは知る由もないのでございますが、終戦時における実態というものは、帳簿によってはっきりつかんだ上で清算をしておるというのが実情でございます。
○石村委員 帳簿によってはっきりしておるということなんですが、帳簿によって簡単に清算するときの状況が確定するなら、清算で苦労するものはないと思う。いつも年度末にバランス・シートができて、ちゃんと帳簿には載つておるわけです。しかし実際に清算するということになると、必ずしも帳簿通りにはいくものではない。私の申し上げているのは、朝鮮銀行の実際のことはどうなろうとこうなろうと、しかし一般的にこういう清算をする場合には、そういうことも考えられる。従ってこの特殊清算というものは、朝鮮銀行全体の最終的な清算ではないわけなんです。中間段階の時期における、一種のそれこそ特殊清算にすぎないのだから、最後においてはどういう問題が起らないとも限らないと、これは理論的に考えれば予想される。従ってそれに対する、政府として事実上そんなことはないはずだでこれが処理されておるのか、それとも、そういう理論的に考えられる事態を予想しての処置も考えられておられるかどうかということをお尋ねするわけです。
○正示政府委員 お答えいたします。ただいま重ねての御質問で、御趣旨はよくわかったのであります。特殊清算が式は、まさにただいまお示しのような趣旨をお定め願っておると承知いたしております。すなわち一応のお答えを私申し上げましたように、在外資産と負債につきましての備えはいたすわけであります。いたしまして、十全であるということをわれわれとしては考えました上で、今回のような改正案をまたお願いをいたしておるのでありますが、しかし、実際お前たちが考えているように、今後の外交交渉なり、あるいは韓国における実態なりに即しての最終的な処理はいくかいかないかわからぬじゃないか、その場合の責任は一体どこにあるかということであろうと思うのでありますが、これは、私今の責任者の立場といたしましては、一つぜひとも対韓折衝におきまして、私どもが今日まで法律案の改正をお願いいたしましたときにその基礎になりましたデータ並びにそのデータをもとにいたしました清算方式というものが、そのままするすると最終的に結実しますように、現実になって参りますように、対韓折衝なりの今後の努力を期待いたすわけであります。しかし今後の対韓折衝というものは、これは国がやることで、ございまして、その結果いかんということはまた別の問題でございますが、今日私どもがこの法案の改正をお願いいたしております立場といたしましては、こういう前提で、今後の対韓取りきめということをいたすような場合におきまして、在外資産負債は、先ほども申し上げましたように十分資産が超過するということに見通しを立てておるわけでございますから、これは決して新会社の方に迷惑のかかることのないという想定でやつておる。また今後の交渉は、その想定のもとにこれをリアライズするように進めて参らなければならぬ、こういう趣旨でお答え申し上げたわけであります。
○石村委員 御趣旨はよくわかっておるのですが、しかし万一そういうことが起ったとき、さっきの答弁にありましたが、政府の責任をどうせられる方針であるかという点をお伺いするわけです。そのときには、政府が第二会社にかわつて払う、あるいは第二会社の方に請求するのだとかなんとか、その点まで一応考えとしては用意されて、こういう法律は出されるべきではないか、こう考えるわけです。何とかうまく対韓交渉をやるからいいでしようというのでは、あまり安易な考え方のように思うのですが、いかがですか。
○正示政府委員 重ねての御質問でございますが、これは、今日実は提案を申し上げております法律案の中には、そこまでの規定はむろんございません。ございません理由を先ほど来御説明申し上げておるのでありまして、これは、一応われわれの手元にあります材料によりまして、在外資産と負債をにらみ合せますと、第二会社の方に将来迷惑のかかるようなことは起り得ないという想定を一応つけておるわけであります。しからば、それは一つの想定である。むろんこれは根拠のないものではないのでありまして、しつかりした基礎に立っておるのでありますが、しかし相手のあることだから、その交渉がうまくいかなかった場合どうであるかという重ねての御疑問と拝承いたしております。これは、私はやはりその場合におきまする国の責任の問題になってくるのでございますから、国が債務を負担すということは、財政法の規定によりまして国会の議を受ける、あるいは予算外国庫負担の形式をもって国会の議を経なければならぬことは当然でございます。そういう事態を今のきころ予想はいたしておりませんが、国が全責任を持って折衝に当るのでございまするから、万一さような事態に相なりますれば、成規の手続をもって国としてのとるべき指置を定めるべきことに相なる、かようにお答え申す以外にはないと思います。
○石村委員 結局こういう法律をお出しになつたのは、いつまでも株主にしろ何にしろ資産があるはずなのに、それを分配させないで置いておくのも気の毒だということから、非常に無理な処置ではあるが、まあやつておこうということではないかと思うのですが、どうですか。
○正示政府委員 これは、ただいまの御賛同とは私ども相当違つております。今日やはり閉鎖機関の持っておりまする貴重な残余財産、これは相当な額になっておるわけでありまして、それが清算が結了いたしません限り、むろん預金というふうな形にはなっておりますが、新しい閉鎖機関の本来所期するような活動はしていないわけであります。あるものは、国に帰属いたしまして財政資金として活用される、あるものは、本来の閉鎖機関が残余財産をもってこういう仕事をしたいというふうな期待が、先ほど横錢委員からも御指摘のように、十年間もの、長い間これはあったわけでございます、。そこで、できる限りそういう本来のあるべきところに帰属さしたり、あるいは新しい活動をさせるということが、これは特殊清算をお定め願いました閉鎖機関令の御趣旨でもあろうかと思うのでありまして、多少危ないからどうこう、株主がかわいそうだからどうこうというふうなことではないのでありまして、先ほど横錢委員から御指摘のありました国会の附帯決議におきましても、まさに閉鎖機関の清算というものはどんどんできるだけ促進をいたして、特に新しい会社を設立するような分については、旧関係者のようなものを特殊清算人として選任をして清算を進めるようにということを、すでに国会においても決議としてお定めになっておるのであります。私は、今日われわれの出しました案は、まさにその国会の御決茂の御趣旨にも沿うた閉鎖機関に新しい息吹きを吹き返さしまして、日本の経済の再建に一役をになうという道を開くためにこそこういう改正をお願いしておると申し上げるのが、実際に合つておると思います。
○石村委員 しかし清算というものは、国内であろうが国外であろうが、一切の財産、債権、債務が確定して初めてできるのじゃないですか。最後に株主に帰属するものがあるかないかということは、国内、国外を問わず、一切がはっきりして初めてできるものではないかと思うのです。それを中間でやつて上まうということは、常識から言えば――趣旨は私の申した趣旨でないということですが、一応何とか早くしようということで、それはわかるのですが、しかし清算自体という観念から言うと、少し無理なことをやつておるということになるのじゃないですか。
○正示政府委員 先ほど横錢委員との問答におきましても、そういう感じがいたしたのでありますが、要するに在外活動をいたしたようなこれらの閉鎖機関につきまして、結局一切の外地の事態が判明をいたし、平和条約に定められた最終取りきめが成就いたしまして、ただいま御指摘のように、一切の債権、債務の処理をいたし、そうして最終的に株主に帰属せしめて初めて清算というものが結了するということは、これはむしろ一般商法による清算ということに相なろうかと思うのであります。そういう考え方で何もかも待ってやるという考え方も、なるほど一つの建的として考えられることは考えられると思います。しかし閉鎖機関令をこの国会において御改正を願い、あるいは今回改正をお願いしておる一連の考え方というものは、そういう一般原則によらないで、とにかく引揚者の方にまず預貯金を払う、これは、国内に財産のある機関においては、こういうやり方で預貯金を払う。それから従業員に対して未払いの在外債務を国内において払うという態勢にしよう、その他一般債務もそうしようというふうな考え方、これはまさに今申し上げた民曲法による一般清算方式に対して特殊な例外をお定め願うという趣旨でありまして、その考え方から、すでにそういう債務を払いますと、そこに特殊清算としては一応のピリオドが打たれる、その際に在外資産と負債に何らの備えをしておらないということになりますと、これは御指摘のように非常に問題かと思いますが、それについては、先ほど来申し上げたような備えを一応いたしまして、これでもって十分カバーがつくという前提をとりまして、そうして国内においてなお残余財産がある分について、今回のような新会社の設立ということをやつていこうという考え方であります。従ってこれは一般の民商法による清算に移行いたしますれば、お話のように事態の判明、特別取りきめの成就というまで待たざるを得ないということも一つの建前かと存じますが、さような建前ではなくて、特に閉鎖機関令をお定め願いまして、それによって今のようなやり方の清算を進めるという考え方、それから先ほど国会の決羨を申し上げましたが、そういう御法帆というふうなものの一連の考え方というものは、今のような清算を進めて、そうしてなお一方においては、在外資産、負債に関する限り、旧法人は存続するという建前をとることによりまして、一つの遮断をいたしまして、そうして新会社には伸び伸びと活動をしてもらうということも一つの建前として成り立ち得る、現にそれを早くしてやるようにということを国会としては御決議を願つておるのではないか、かように考える次第であります。
○石村委員 これが特殊な処理だということもわかりますが、しかし退職金の問題とか、預貯金を払うという問題と清算の最後に出てくる資産の株主への分配というものは、例外々々といっても少し性質が違うのじゃないか。従って最後になって資産がなくなるというこも、あるいは予想される。中間で分けてしまつたが、最後清算してみると、金は足りなかったというときの処置というものも法律ではやはり一応考えておくべきではないかというのが私の質問の趣旨なんです。途中で払つてしまつたが、あとで計算してみると足りないから、また取り戻すということになるおそれがありはしないか、そういう場合にはどうするという考え方くらいは、政府としては持っていらつしやらなければいけないのじゃないか。帳簿を見れば、資産の方が超過するはずだから大丈夫だ、こう言っても、これは一方的な話であつて、事実がその通りになるかならないか、これは非常にあいまいなものだと思うが、どうですか。
○正示政府委員 終戦時における会社の持つておりました権威ある資料によりますと、在外資産、負債をにらみ合せまして、その在外資産のうちから預貯金債務を払うということをお認めいただいて、これをどんどん支払つて参って、その結果在外資産と負債は、資産超過になる。そこで国内の残存財産について、納付金とか納税、あるいは株主に帰すべきもので新会社の設立とかいう運びに至る場合、それは一つの想定に基くものであるから、万一将来現実の事態に直面いたして、なお会社としては国内の資産に手をつけざるを得ないというふうになってくる場合に債える一つの立法措置というふうなことも、考えておくべきじゃないかという御意見のようでございますが、これは、いろいろの意味で、さようなことは今日実は私どもとしては予想いたしておらないのであります。これは対韓折衝の場合等におきましても、先ほど来お答え申し上げました民商法、あるいは一般の民事に関する諸法令の基礎をなしております通念から申しまして、この閉鎖機関令が一つの特別の立法になっておりますが、しかし一般通念は閉鎖機関令の中をも流れておるわけでございます。そういう通念に一従って清算を進めていく場合に、これと反したような事態の起ることを実は予想して立法するということは、あまりにも弱きに過ぎるのではないかというふうな感じがするのであります。そこで、これはどこまでもその一般通念に立脚いたしまして対韓折衝を進めることによって、さような事態の起らないようにするのが第一かと考えております。 そこで、さようなことのないようにするのが建前でありますが、万一の場合というふうなことにつきましては、先ほど申し上げましたように、これはその際あらためてやはり処置を請ずる問題になってくる。そこで、あくまでもはっきり申し上げられることは、この際閉鎖機関令によりまして新会社が設立に相なりますれば、この新会社自体にさような迷惑の及ぶことはないのでございますから、そこのところは私は区別をいたしまして、やはり閉鎖機関令という特殊の清算手続をお定めになって、これによって清算をいたすのでございますから、これによってできまする新会社というものは、既往の一応の清算を結了いたして、そこからでき上つた新しい機関として活動はできるということだけは申し上げて差しつかえない、かように考えるわけでございます。
○石村委員 新会社に全然影響がない、こういう御答弁ですが、新会社は、しかし朝鮮銀行の資産をもって新会社ができるということになると思うのです。私は法律のことは存じませんが、法律的にどうなるか、国際法の関係もあるかどうか知りませんが、朝鮮でもし清算の結果足りないということになって、内地の資産を分けたのを戻せ、こういう、要求が向うから出たときに、それは、法律的にそういう、要求は全然問題にならないことなんですか。
○正示政府委員 ただいま一つの仮定の御質問でございますが、将来韓国との折衝におきまして、朝鮮銀行なり殖産銀行なりの国内資産に対して朝鮮が何らかのクレームを突きつけてくるという場合ということにお話が及んだのでありますが、これは外務省からお答え願う方が適切かと存じますが、私どもの飛知いたしております限りにおきまして、朝鮮は、いわゆる接収という米軍の行為について独特の解釈をしておるかのごとき印象も受けております。そうしまして、将来朝鮮銀行なり殖産銀行なりの費産についてのクレームをどの範囲にするかということについては、いろいろと推測は可能でございます。しかしこれに対しましては、朝鮮の、今日の韓国の領土外にありますところの鮮銀、台銀の資産にまで朝鮮のクレームが及ぶということは、一般国際法の見地から申しまして、さような主張の成り立つわけはないということを考えております。またいわゆる接収ということにつきましては、これは国際法の通念といたしましてやはりそれによって所有権は微動だもされるものではないのであつて、単なる強制管理権を行使したにすぎない、こういう解釈も成り立つわけであります。従いまして、ただいまお示しの点につきましては、国際法的な見地から申しましても、さような要求がございましても、これはゆえなきものとしてこれに対処していく以外にはない、かような見解を持っております。
○石村委員 私は国際法なんてさつぱり知りませんからわかりませんが、朝鮮銀行というものが、内地の朝鮮銀行、それから朝鮮における朝鮮銀行という人格が辿つたものが二つあつての処置なら、それはそれで済むと思う、しかし内地、外地を問わず、一つの朝鮮銀行にすぎないはずなんです。接収は管理権の何だということになると、やはり内地にある費産も向うが当然手を伸ばしてくることは、一つ法人格のものだから当然及ぶもの、こう常識的には考えるわけです。何分非常的な事態の問題ですし、また国際法なんてむずかしいものですから、これは正示さんの御説明では、権威あるものとはどうも考えられぬですから、一つ外務省の権威ある御答弁を願いたい。
○森(治)政府委員 財産請求権の問題につきまして、ただいま御指摘がございましたように、過去におきまして、在日の財産にまで請求権を及ぼしてきた、韓国はそういう主張をやつたということは事実でございます。また日本側で、占領軍の行為というものが管理行為以上でないものでなければならないという主張をこれに対してやつたわけでございます。そこで、今度の交渉がもし再開されるということになりますと、この問題が当然議せられるわけでありますが、その結來については、まず交渉をやつてみなければわからない。しかしながら、国際法的な観点から、今度の日韓の間の問題ということをしばらく離れまして、純粋に理論的に申し述べますと、大体今までの行き万としましては、終戦の際にその財産に対する請求権というものは、その管轄内にある財産に対して及ぼすことが原則でございます。すでに平和条約十四条でも、その管轄内の財産についてのみこれが留置、清算処分をすることができるということが書いてございますので、理論的に申し上げますれば、その管轄内の財産についてそういう処分をするというのが、国際法の今までの原則ではなかったか、こういうふうに考える次第でございます。
○石村委員 朝鮮銀行とかなんとかいうものに対する債権債務の関係は、私法的なものではないかと思うのです。財産権の主張が国内に限ると言つても、これは、一つの朝鮮銀行というものが日本内地にもあろうし、あるいはアメリカにもあろうし、どこにもあるかもしれない。それで、朝鮮内におる人の朝鮮銀行に対する請求権は、朝鮮内にある資産にしか訂求はできない、こういう国際的にまたがつた会社などの債権債務の関係は、そういうことになるのですか。
○森(治)政府委員 私の申し上げました問題は、国と国との間の問題でございます。平和条約十四条も、御承知の通りに、国がどういう処分をするかという問題でございます。今度の韓国の問題にいたしましても、国家が請求権を行使するかどうかという点が問題になっておりますので、個人の請求権がどうなるかということは、応今の御答弁の中では私は触れておりません。
○石村委員 それで、個人の請求権はどうですか、明らかにしていただきたい。朝鮮において朝鮮銀行に債権を持っておる者が、その履行を要求してきたというときにどうなりますか。
○森(治)政府委員 これは、おそらく国家で請求権が両方で妥結いたしますれば、個人の請求権というものはそこで消滅するという形になるんじゃないかと思います。
○石村委員 そうすると、結局この問題は、対韓交渉の結果を待たなければ最終的な結論は出ない、こういうことになるわけでしょうか。
○森(治)政府委員 対韓交渉でどういう結論が出るかということは、私どもとしては現在申し上げられないのであります。従いまして、これをどういうふうに措置されるかということは、これは外務省の所管ではない、こういうふうに考えております。
○石村委員 だからこの朝鮮銀の問題は、結局日本と韓国、あるいは北鮮も関係があるかもしれませんが、それとの間の交渉の結果によらなければさつぱりわからぬということになるのじゃないかということを言っているのです。
○正示政府委員 お答え申し上げますが、今の石村委員の御質問は、今日の境目の韓国民と申しますか、韓国人の方が朝鮮銀行に預金をしておったとか、あるいは殖産銀行の債券を持っておつた場合に、その個人の債権債務の関係について、朝鮮における資産だけでなくて、国内の資産にまで及ぶのじゃないか、こういう御趣旨のように実は打聴いたしたのでありますが、これは、朝鮮銀行あるいは朝鮮殖産銀行という法人に対する債権は、この法人全体の資産にむろん及ぶわけであります。ただ、それがゆえに、先ほど来申し上げたように、そういう在外債権に対するカバーは、これは、朝鮮銀行、殖産銀行の立場から言うと債務でありますが、そういう在外債務に対するカバーを十分つけておるのであります。これは、終戦時におきます権威ある材料を基礎にいたしまして、これだけの在外債務を持っております、従って、その在外債務に見合う在外資産というものは、十分カバーをつけておりますということを繰り返し申し上げたわけであります。むろんその資産というものは、国内及び在外を通算いたしまして、先ほど申したように、在外資産と負債の関係をにらみ合せまして、もし資産が不足する場合は、国内資産をもって引き当てておるわけであります。ところが、たまたま鮮銀、台銀については、そういう必要は持っておりませんということを申し上げたのでありますが、そのほかのものについてはさようなことに相なります。従って、たとえば殖産銀行について、この際、在外債務でございますか、殖産債券の払いを、先ほど横錢委員から一つの提案として、この際延ばしちやどうかというお話しがございましたが、そういうような場合には、これは本来一つの在外債務でございまするから、そういう債務に対する引き当てをしなければなりません。そうしますると、今日まで四億五千万円の国内資算の残余が見込まれておりますが、この財産は引き当てに当てられるわけであります。すなわち株主に分配はできないわけであります。そういう手当をいたしまして、国内の財産の分配をしておるということを先ほど申し上げたのです。従って外務省御当局が、これは自分の方の問題じゃないとおっしゃるのは、その趣旨でございまして、そこは、大蔵省は責任を持ちまして、そういう在外資産と負債とにらみ合せてカバーをつけて、その上で国内の清算を進めておりますということをお答え申し上げております。
○石村委員 どうも私の言ってることと正示局長の答弁とは、前提が違つておると思うんです。正示局長は、しきりに権威ある帳簿とかなんとか言って、非常に信用を置いて、債務の超過ということは事実上ないという前提で、すべて御答弁なさつている。そういうことはあるいはあるかもしれない。しかし権威ある――あると言つたつて、いつかの東洋繊維のような問題があるでしよう。あの帳簿は、権威があると言っても、百パーセント信頼することはできない。私はそういう車事実問題は別として、理論的にこういうことも考えられるんじゃないかと思う。それを、全然あした太陽が出るか出ぬかわからぬじキないかというような御議論をしておるなら、それは私の言うのも無理かもしらぬが、しかしこういう債務超過ということも予想されないことではない。正示局長の信頼していらつしやる権威ある帳簿によると、そういうことはないかもしれないが、われわれの権威というものに対する解釈からいうと、必ずしも全然ありもしないことを予想してつてるわけではないのであります。そういうことは万々ないだろうが、あるいはあるかもしれないということも予想される。それに対する政府の考えはどうか。それは大蔵省が、貞任を持ってと、こう今正示さんがおっしゃったが、もしそういうことができた場合に、正示さんがお払いになるかというと、正示さんにそれほどの資産があるかないか、ということは、これはどうもあまり何ですがね。政府が払うのなら払うということをはっきりおっしゃっていただけば――それなら、政府が払うというのはけしからぬじゃないかという議論もそこに出てくると思うんですが、まあそこで明確に、大蔵省が責任を持ってと言われることは、万一の場合には政府が払うという趣旨なんですか、それとも正示さんが個人でお払いになるんですか。
○正示政府委員 お答え申し上げます。今大蔵省が責任を持ってと申し上げたのは、外務省が、その点は今のところ答えられないとおつしやいましたが、これは、大蔵省所管の答弁事項という意味で申し上げたのであります。 ただいま重ねて万一の場合という点でお話しがあったのでありますが、そういう万一の場合という仮定でお話しがございますれば、それはその際において成規の手続を進めなければならぬ、法律なり予算なり、予算外契約ということに相なって、国会の議を経ましてカバーをつけていくという跡始末をすることにならざるを得ないということは、先ほどお答えを申し上げたつもりでございます。しかし、そういうことは今日予想はできない、そういう予想のもとに、少くともこの法律の改正をお願いをしておるのではないということを、繰り返し申し上げておるわけであります。たとえば鮮銀を例にとつて考えますと、御承知の通り納付金も国にいただき、税金もいただくわけでありまして、そのあとで株主ということになっております。従ってそれだけのことをいたしますにつきましてまは、国としても十分終戦当時の資産、負債等につきまして、自信のある検討を遂げて納付金をいただいておるわけでございます。これが将来現地の実情が判明をいたしまして、私どもの予想に大きな狂いがあったということになつた場合はどうかと、重ねて御指摘を受ければ、先ほど申したお答えを申し上げる以外にはないのでありますが、大体においてさようなことはないということを、繰り返し申し上げる以外にはありません。 御参考までに、たとえば正金銀行につきまして、今日まで諸外国における正金銀行の資産について、終戦当時のデータを基礎にいたしまして一応の見遁しを立てて進んで参りましたが、これらで予想の狂つていることはないのでありまして、たとえばブラジルにおける状況、スイスにおける状況、その他いずれも終戦当時の資料を基礎にいたしまして、清算を進めて参つた結果、それぞれ国交が開かれますにつけまして、正金銀行に返還せらるべき資産は返つております。そうして正金は今日清算がどんどん進んでおることは御承知の通りでございます。 韓国との関係は、不幸にして今日なお正常な国交に向つておりませんが、これは先ほど来繰り返し申し上げるような、一つの民事商事等の法令を一貫するところの、万国共通の理念を基礎にいたしまして折衝を進めていく限り、私どもの今日までとつて参りました建前をくずす必要はないというのが、われわれの確信になっておるわけであります。またさような確信に基いてこそ、預貯金を払い、債務を払うという、今まで御承認をいただいたような特殊清算のことが行われておるのでありまして、さようなことと一連の関係において今回の改正をお願いをしておるというふうに御了承を賜わりたいと思います。
○石村委員 これ以上この問題の論議は私は進めませんが、ただもう一点はっきりさしておきたいのは、こういう処置をとつた結果、私がさっき予想したような、万一そういうことが起つ一たときに、この新会社あるいは株主には全然その請求は及ばないことに必ずなるという法律になっておるかどうか、その点をはっきりしておいていただきたい。
○正示政府委員 その通りでございます。
○石村委員 それでは問題を次に移しまして、例のこの間から春日君も問題にしておりました退職金の問題ですが、朝鮮殖産のことが非常に問題になっております。あの問題も、正示局長の御答弁のように、はっきりしたものがあれば、これは当然払われることになると思うのですが、しかし何分あの終戦時の混乱のときに起つたことですから、はっきりした資料といいましても、朝鮮にいる軍役と東京にいる重役とが一緒になって八月十五日に重役会を開くということは、あるいは不可能であったかとも思うわけであります。その場合に、電話あるいは何か特殊な方法で話し合つて、朝鮮から二千万円送り、内地の三千万円を充てて、計五千万円で退職金を払うという正式な決定――厳密な意味の正式な重役会ということにならないかもしれないが、何らかの形でそういうものが行われたならば、あのときの混乱時代ということを想定して、大蔵省はその重役会の決定というものについての見方がある程度ゆるやかにこれを見るということも、あの当時のことからいえば考えられるのではないかと思うのですが、大蔵省はその点について十分御配慮があるかないか、この点をお尋ねいたします。
○正示政府委員 お答え申し上げます。従業員の退職金あるいは解雇手当と申しますか、そういう性質の未払分があるというお話につきましては、先ほど横錢委員に対するお答えでも申し上げましたように、これは、本来は国内で払うべき債務ということに決定をしたという趣きを、口頭で伺つておるわけであります。そういたしますと、その金額等につきましては、私どもは一応二千万と伺つておりますが、そういう金額につきまして、この会社の権限を持つた機関の決定がありましたということになりますれば、これは当然指定日前の確定債務ということに相なります。私どもは、今日そういうお話を伺つておりますので、このお話を裏つけるような資料を書類としてお出しいただくことを期待いたしておりまして、また先ほど来お話し申し上げた旧朝鮮殖産銀行の顧問の方は、それを了承されまして、ただいまその資料の作成を進めておられるはずでございます。その場合に、当時の特殊事情から、この資料について、多少ゆるやかな見方をする気があるかないかというような御質問のようでございますが、これは、どこまでも公けの清算の基本法に基きましてやることでございますから、むろん公正でなければなりません。しかしながら、すでにりつ。はな三顧問、旧殖産銀行のそれぞれの要職にあられた責任ある方々がおっしゃっておられることでもございますので、今石村委員の御指摘のように、決してこれは虚構のことではないと私どもは信じておりまして、従いまして、そういう成規の手続によりまして、確認すべき材料の御提出を実は期待いたしてお待ちしておるわけであります。行政の問題でございますから、これを特にゆるやかにとかなんとかいうことをこの際申し上げることは、いかがかと存じますが、当時の事情に照らしまして、また責任ある方のお話でございますので、私としましては、よくその間の事情を伺いまして、問題を処理いたしたい、かように考えております。
○石村委員 ゆるやかという言葉を使つて非常に恐縮でございますが、ああいう時代ですから、形式的なことを要求せられるとあるいは無理ではないか、全然ありもしない虚構なことを言ってくるということは問題にならないと思うのです。こういう時代には、こういう話はこの程度の形で行われただろうということの大蔵省の常識で、一つ適正な措置を講ぜられるというお話ですから、私はこれでやめます。
○松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる六日金曜日午前十時から開会するこことして、これにて散会いたします。 午後一時二十三分散会