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24回国会衆議院1956/03/01

大蔵委員会 第12号

発言数
86
登壇者
8
会派数
3
開催日
1956/03/01

会議録

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 これより会議を開きます。  まず理事の補欠選任について、お諮りいたします。去る二月二十八日、理事の石村英雄君が一たん委員を辞任いたしたことがありますので、理事が一名欠員となっております。この際理事の補欠選任を行いたいと存じますが、その方法は、先例によりまして、委員長において御指名いたすことに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 御異議なしと認めます。それでは委員長におきましては、石村英雄君を再び理事に御指名いたします。     —————————————

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 次に、去る二月二十四日当委員会に審査を付託されました金融制度調査会設置法案及び昨二月二十九日付託されました厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案並びに船員保険特別会計法の一部を改正する法律案を一括議題として、審査に入ります。まず政府側より順次提案理由の説明を聴取いたします。大蔵政務次官山手滿男君。

山手滿男自由民主党大蔵政務次官

○山手政府委員 ただいま議題となりました金融制度調査会設置法案外二法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  最初に金融制度調査会設置法案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。  御承知の通り、昨年来の金融情勢は、資金の需給状況が緩和し、貸出金利の低下を見、市中銀行の日本銀行依存の状態も改まるなど、正常化の進展を見た一面、種々新しい問題も現われて参りました。政府といたしましては、これまでも金融制度の改善について検討を続けて参ったのでありますが、この際、金融制度の改善のために、広く各方面の権威者の御意見を承わりたいと考えまして、ここに大蔵省の附属機関として、金融制度調査会を設置することとし、この法律案を提出することといたしたのであります。  以下、簡単にこの法律案の内容を申し上げます。  第一に、調査会の任務といたしましては、ただいま申しました通り、調査会は大蔵大臣の諮問に応じて、金融制度の改善に関する重要事項を調査審議するとともに、これに関して、必要と認める事項を大蔵大臣に建議することになっております。  第二に、調査会の組織につきましては、委員には、金融または産業に関して深い知識と経験を有する方及び学識経験のある方々を予定し、その人数を二十人以内といたしております。このほか特別の事項を調査審議するために必要があると思われますときは、当該特別事項に関して深い知識と経験を有する方を臨時委員とすることができることとなっております。さらに、調査の万全を期するために、調査会が必要と認める場合には、関係行政機関の職員の出席を求めて意見を聞くことができる規定をも設けておる次第でございます。  次に厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。  政府管掌健康保険は、医療保険の中核をなすものでありますが、近年収支の均衡を失し、その運営の基盤を脅かあれている状況でありますので、その運営を正常化し、その健全な発進をはかるため、一部負担金の範囲の拡張、標準報酬の改訂等根本的対策を講ずるとともに、国庫においても、予算の範囲内において、当該事業の執行に要する費用の一部を補助することとし、別途健康保険法の一部を改正する法律案について御審議を願うことになっておりますが、右の措置に伴いまして、厚生保険特別会計の健康勘定の歳入に一般会計からの受入金という事項を加えようとするものでございます。  次に、第二十二回国会における厚生保険特別会計法の一部改正により昭和三十年度以降七カ年度間、毎年度、一般会計から十億円を限度として、厚生保険特別会計健康勘定へ繰り入れることとなっておったのでありますが、その三十一年度以降分は、借入金の償還財源として繰り入れられるものでありまして、その借入金の返済を昭和三十二年度以降に繰り延べることとしたことに伴いまして、一般会計からの繰入金も昭和三十二年度以降に繰り延べることにいたしたいと存じまして、その規定の改正をはかっているのでございます。  次に、健康保険事業、日雇い労働者健康保険事業及び厚生年金保険事業の業務取扱いに関し必要な経費に充てるため、健康勘定、日雇い健康勘定及び年金勘定の各積立金のうち、業務勘定から組み入れた金額を限度として、予算の定める金額を業務勘定へ繰り入れることができることとするため、所要の規定を設けようとするものであります。  最後に、船員保険特別会計法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。  船員保険事業のうち療養給付等の部門におきましては、政府管掌健康保険と同様、近年その収支の均衡を失する状況にありますので、その運営を正常化し、その健全な発達をはかるため、医療費の一部負担制の採用、保険料率の引き上げ等根本的対策を講ずるとともに、国庫においても、船員法の規定による災害補償に相当する保険給付を除く療養費給付等の部門について補助する措置を講ずることとし、別途船員保険法の一部を改正する法律案について御審議を願うことになっておりますが、右の措置に伴いまして、船員保険特別会計法の一般会計からの受入金の精算規定等について所要の改正を行おうとするものでございます。  なお、第二十二司会における船員保険特別会計法の一部改正により、昭和三十年度以降六カ年度間、毎年度、一般会計から二千五百万円を限度として、船員保険特別会計へ繰り入れることとなっておったのでありますが、健康保険の例に準じ、昭和三十一年度以降分は、昭和三十二年度以降に繰り延べることにいたしたいと存じまして、その規定の改正をはかっているのであります。  以上金融制度調査会設置法案外二法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 これにて提案理由の説明は終りました。これら三法律案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。     —————————————

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 次に、所得税法の一部を改正する法律案外税関係五法律案を一括議題として質疑を続行いたします。石野久男君。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 税制関係についての質問をいたします。ことしの予算で税の問題を考えますると、予算収入の九〇%がほとんど税金になっていると思います。専売益金を含んだこの九〇%の税収入というものは、非常に高いものになっておると思います。昭和九、十、十一年の間に比較いたしますと、三十一年度の税収は、その当時の約七百八十二倍になっておると思います。歳入総額が当時の四百四十九倍、こういうところから見ると、税収は異常な膨張であって、国民の負担は非常にきついものがあるというふうに考えております。主税局長はそういう点についてどういうふうなお考えでしょうか。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 過去数年間、御承知のように何回か減税はやって参りましたが、現在の税負担が相当に重いものであるということは、われわれも同じように考えております。昭和九—十一年に比し税負担がどうなっているか、われわれの方の数字を簡単に申し上げますと、九—十一年の平均は、国税だけでありますと八・五%、地方税まで入れますと一二・九%、それが去年の状態でございますと、国税だけでは二一・八、地方税まで入れますと、配付申し上げた数字では一九・四となっておりますが、多少変りまして一九・五、全体といたしまして五割方上っているわけでございます。現状からいたしましてなかなかまだ負担が重い。ただ歳出の規模と国民所得との関係から考えてみますと、それほど変っておりませんが、当時は御承知の通り、相当公債財源によったというところにこうした問題が大きく出てくるわけでございます。現状におきまして、赤字公債めいたものを発行して歳出を左かなうということは、どうしても国民経済を健全に発達させていくゆえんではございませんので、やむを得ず税収にたよらざるを得ない事情にあるわけであります。将来におきましては、国民所得の増加をはかるとともに、財政規模をできるだけ押えることによりまして、何とかして国民の税負担を軽減していく方向に、われわれとしてもこの上とも努力いたすべきものであると考えております。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 当時は公債にたよっていたものが非常にあったが、それと比較して、今日はその公債政策をとっていないから非常に税負担が多くなっているのだ、これをなるべく低いものにしていきたいという局長の話は、その通りだろうと思います。そこで問題は、その今の税が非常に国民に対して苛酷であるから低くしていこうという方法は、それならばどういうふうにされるかという問題が出てくるわけです。そういう問題についての構想を示してもらいたい。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 われわれといたしましては、国民所得がふえて参ります、そうすれば現行の税制のままで進めば、当然それだけ租税収入はふえていくわけでございます。特に現在のような税制になっておりますと、所得税のごときにおきましては、国民所得がたとえば一割増した場合の所得税収入の増加というのは、必ずしも一割でなくて、それ以上になる、こういったような問題もあるわけでありまして、こういった点をまずもって改正していけば、少くとも所得のふえたのに比べて、現在の税制でもって負担がふえるのに比べれば、はるかに負担も少くて済む、こういう問題も一つはあろうと思います。ただ負担全体の面からいいますと、結局国民所得のふえた割合だけ税収入がふえていくということになりますれば、この負担割合は変らないわけでございますから、一面歳出の方におきまして、できるだけこれを小さなワクで、しかも同時にこれをできるだけ有効に使っていただくということに、予算を組む場合などにおきまして努力を重ねまして、歳出規模をできるだけそうした意味において圧縮することによりまして、それの見合いである歳入の面を少くて済むように持っていくということを考えていくべきじゃないか、かように考えております。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 できるだけ歳出の面を小さくして有効に使っていくようにしていきたい、それからいま一つ重大だと思いますことは、所得が一〇%ふえた場合でも、税収はそれ以上に上るという今までの経験がある、こういうことなんです。私はここに問題があるような気がします。これは所得の増加というものに対してのものの見方と、税収のあげ方との間の食い違いからきているのだろうと私は思うのですが、それはどういう意味で、所得が一〇%上ったという推定に対して、税収がそれ以上に上るという理由が出てくるのだろうか。あなた方が今までやった経験から、どこにそういう理由があるのか、説明してもらいたい。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 一番端的に出ますのは所得税でございます。これは、御承知のように、一つの時点をとって考えてみました場合に、所得が月二万円の程度の所得者であれば、今度の改正が通りますと、給与所得者で夫婦子三人の場合は、全然税金がかからない。ところが、それがたとえば倍の四万円になっていけば、これは相当の負担になってくる、こういったような関係がありまして、一つの時点をとって、二万円の給与所得者と四万円の給与所得者を比べてみますと、所得からいえば倍、半分でございますが、税負担からいいますと、片方はゼロであり、片方は相当の負担を負っている、こういったようなことがあるわけでございます。これは一つの時点をとっての話ですが、それが時間的に変りまして、従来国民所得の平均が二万円であった。平均的なものとして、たとえば二万円の人があった。その人がたとえば三万円の給与をとるということになって参りますと、所得の方は五割増加なんですが、税負担の方は五割といったようなふえ方ではない。それが集まり集まって税収といたしましても、やはり片方が一割ふえたからといって、必ずしも一側でなくて、一割以上の増加がある。こういったような問題がまずあるのではないか、かように考えております。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 これは見方の相違があると思うのですが、私の考えでは、一人の人間をある一時点でつかまえるという考え方だけでは、税収と国民所得の問題の解決はできないと思う。むしろ国民所得の中における各階層別における所得がどうなっておるかということが、非常に重要だろうと思うのです。私は、三十一年度の国民所得が相当程度ふえるということを聞いておる。またあなた方の出しておる資料の中にもそれが出ておるのだが、三十一年度の所得の増加を、各階層別に大体、どういうふうにふえるように見ておるか、それを示してもらいたい。少くとも法人と勤労者、農民、中小企業者くらいの割でよろしいですから、それをはっきり説明してもらいたい。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 各階層別にどうふえるかという数字は、実は今ちょっと手元に持っておりませんが、一応まず給与所得について申しますれば、従来納税義務者になっていなかった者が浮び上ってくる数字、その中には、雇用の増加も入ってくるわけでありますが、給与所得については、人員において三十年度に比べて二%、給与の額において四・三%、こういう増加を見込んでおります。それから申告所得税の関係におきましては、営業におきましては、生産関係でもって前年に比べて七・三%、物価の関係はやや下りぎみというふうに見まして、九八に見ておりますが、これでも総合指数を出しますと一〇五・二という数字になっております。それから農業関係は、生産は九〇・四、これは三十年が異常な農作であったというところからこうした減になっております。物価関係で九八・二、両方の相乗積におりまして八八・八、これは本年は平年作に見ておる関係からこうした減になっておるわけであります。その他の事業におきましては、生産関係で一〇四・七、物価関係で九九・七、総合で一〇四・四。それから事業所得以外の分におきましては、生産関係の増加によって一〇一・七、物価関係で一〇三、総合で一〇四・七、申告所得税総体の関係におきまして、生産関係で一〇一・五、物価関係で九九・三、総合で一〇〇・八といったような関係に見ております。  それから法人税の関係でありますが、法人税の関係におきましては、一応われわれの方は調査課所管の大きな法人と税務署所管の小さな法人と分けております。これは前年二十九年の十二月から三十年十一月までの申告税額をもとにしたその数字に対しましての今後の見通しでございますが、調査課所管分でございますと生産関係で一一一・六、物価が九九・八、相乗関係で一一一・四、しかし所得率の向上による調整というものを一応考えております。それをさらに加味いたしますと一一四・七、税務署所管におきましては、生産が一一二・七、物価が九八・五、相乗積が一一一、所得率向上による調整が一〇三、総合で一一四・三、両方を総合したところでは、生産が一二・九、物価が九九・五、その相乗積が二一・三、所得率向上による調整が一〇三、総合で二四・六、大体こういうような格好におきまして一応課税所得がふえていくというように考えております。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 私の聞きましたところとはだいぶ方向が違うようですが、それでも大体の傾向はわかります。この国民所得の件については、あとで審議庁の方からこまかく聞きたいと思います。  問題は、どのように見ようとも、ことしの増収予定の五百十八億という額をどのようにしてうまく徴収できるかという点に、私たちはやはり疑義があるわけです。昭和三十年度の大体の税収推定額は、当局から出ておる資料を見ると、大体七千八百五十億くらいだというふうにいわれておる。これに対して、この五百十八億という増加は大体六・五%くらいになる。しかし三十一年度の国民所得の増加率は昨年度に比較して三・七%の増加です。今のいろいろと所得の増加と税収の増加とは若干の時点における問題点や何かで違いがあるにしても、この三・七%の国民所得の増加率に対して、六・五%のいわゆる税収推定額の増加率というものは激しい差がある。こういうように見るのなら、これをどういうようにして徴収するつもりであるか、これを一つ主税局長に聞きたい。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 五百十八億の関係は、本来の補正の関係で多少直りましたので、これをまず一応考えの基礎として申し上げたいと思います。本年の予算は七千七百四十八億でございますが、補正でその数字が直りまして七千九百八億、こういう数字になっております。従いまして五百十八億という増加額は、補正後の数字に比べますと三百五十八億、九千九百万円という数字は含まってございますが、三百五十八億、こういう数字になっております。それで国民所得の方の数字は三・八、まあ四%近くでございますが、これは、補正前に大体こういう数字を見まして、きまっている数字でございます。今の税収の関係は、補正後に比べますと四・四%の増加になっております。われわれとしましては、国民所得の方の数字もわれわれの方と十分連絡をとりながらやっておりますが、国民所得の増加の場合と税収の増加の場合とは、これはいろんな面で食い違う面がございます。たとえば同じ所得がふえて参りましても、課税最低限以下の所得がふえるような場合、あるいは農家の所得などは割合にそういうのに近いのでございますが、そういった面でふえるか、あるいは会社の方の所得でふえるか、そういった関係で、所得のふえる場所がどういうところでふえるかということをやはりこまかく見て参りませんと、税収計算の場合におきましては的確な数字が出ないわけでございます。われわれはその方を各種勘案いたしまして一応の歳入を見積っておりますが、今申しましたように、補正後の数字から申しますと、国民所得の方の数字は三・八、四%程度、税収の方は四・四%程度、それほど大きな開きにもなっておらないものと、かように考えております。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 所得の増加と、それから税徴収の問題点についての考え方には若干の開きがあるように思います。これはいろいろ問題があるわけだが、しかし少くともことしの税徴収の問題は、政府が税制改革案として出しておる所得税の若干の改正点があるにもかかわらず、税が非常に低額所得者に集中的に現われてくるだろうというわれわれは危険を非常に強く持つわけです。こういう問題で、少くともやはり先ほどから言っておるように、税が国民に対して過酷なものであるということは、たとえば全銀協あたりで出しておるところの資料を見ても、エンゲル係数などを中へ入れて参りますると、非常に強いものがあると思います。これは全銀協で出しております資料などを見ると、昭和九年、十年くらいの大体実質的な税負担率というのを二一・五%と見ておる。これに対して三十一年度の見込みが四五・四%という数字を出しております。だからどういうような説明をしても、こういうような事実は、実際にやはり国民の生活の上に過酷なものになっているというふうに考えられるし、ことしのたとえば所得税の勤労所得税に対しての控除を二〇%、最高額八万円というふうに直したというような事実があっても、その後の期日変更等を加えて、実質的に一七・五%として最高七万円にしておる。ここからくる勤労所得についての軽減というものは、案外政府が宣伝しておるようなものではないし、むしろやはりそのことが、面接税を軽減して間接税へ移行する形が強く出てきている。政府の方針から見ると、その点では非常に狂いが出てくるのじゃないか。われわれの見通しでは、政府の見ておるところの勤労所得者に対する税負担率というものは、負担率が大体一九・四%と先ほど言いましたが、その一九・四という数字は、むしろ勤労者に対しては少くともそれの五割方がふえて、約二七・八%になるのでなかろうかというふうに見るのです。こういう点で、先ほど私が聞きました階層別の所得と、それから税の負担率の比率というものの何がはっきりやはり示される必要があるように思います。政府の方では、大体総体的にこういうように一九・幾つというものを出しておるけれども、これを給与所得者や農民や、あるいは中小企業者、大法人等、それらに分けて、負担率がどういう形で出ておるかということの調べがあったら一つ出して下さい。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 全銀協で実質負担をどういうふうに計算しているのか、これを私まだよく見ておりませんので何ともお答えがしかねると思います。今度勤労所得税の控除引き上げを七月からやらなければならなかったということにつきましては、かつて当委員会でも御説明申し上げたと思いますが、今回の改正におきましては、昨年度の減税が平年度化することによりまして、それによる減収が三百億ある。減収というのは、他面ある意味において、国民の方の面から見ればそれだけ負担が軽減されているわけでございますが、そういう数字がございますので、自然増収の一部を減税に充てるということは遺憾ながらなし得なかった。今年としましては、臨時税制調査会の答申にもございましたが、やむを得ざる手段ではございますが、片方でもって砂糖関税などを上げることによりまして税収をかせぎまして、それによって勤労所得者控除を上げる、こういう手段をとらざるを得なかったのであります。いわば間接税を増徴することによりまして、直接税の負担の中で特に負担が重いと思われる分を直すということに考えざるを得なかったわけでございますが、ただ退職引当金の制限の問題でありますとか、交際費課税の問題でありますとか、いずれも本年としましても平年度としての収入が入らないわけでございますので、やむを得ず半年減税という態度をとらざるを得なかったのでございます。しかし税制というのは、御承知のように、ある意味において相当長い期間の目で見ていただかなければならぬ問題でございますので、明年度以降におきましては、それはもうはっきり平年度化するわけでございますので、そういった点を考えますと、別に二万円までの給与所得者に七月以降においては税がかからなくなるということが偽わりの看板であるということも言いかねるのではないか、かように思っております。各所得の種類、階層に応じてどういう負担になっているかという点につきましては、ちょっと手元に資料もございませんし、今お答えするわけには参りません。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 各階層別の税の負担率の問題については、これはあとで資料をもらいたい、出せますか。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 ちょっとどういう御趣旨のものか、われわれの方もよくわからないのですが、一応何と申しますか、たとえば十万円の階層でございますれば、どれくらいの税負担になっているかといったような点につきましては、これは一応税法の理論計算的なものは出ます。ただこれの出ますのは所得税だけでございまして、あるいはぜいぜいそれに加わる市町村民税、そういったものまでは出ますが、間接税などの関係になりますと、一体その階層の人がどれだけの間接税を負担するかという点になりますと、実はわれわれとしましても、それはやはり無理に推定して出せば出ないことはない、それは言えましょうが、しかしきわめて客観的な——推定以上に出ませんので、われわれの方としまして、主税局の調査という意味で御提出申し上げられる程度の自信のあるものは出しかねる。結局所得税の負担がどうなっているかという程度のところです。それでも出せとおっしゃるなら、その程度のものなら出ますが、たとえばここにある地方税まで入れた一九・五といった問題になりますと、この中には酒の税金も入っておりますし、たばこの益金も入っております。あるいは通行税、登録税、印紙税、そういったものまで入っておる。そういったものが各階層にどのような負担になっているかということになりますと、これは非常に遺憾ではありますが、ちょっと出しかねるのじゃないか、かように考えておるのであります。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 各階層別における税の負担率の間逆については、直接税の方はわかるけれども間接税は出しかねる、その意図は大体よくわかります。しかしわれわれにとって一番大事なことは、政府が盛んに税が軽減された、軽減されたという場合に、国民の生活はそれにもかかわらず窮乏しているということなんです。政府としては直接税だけではなくて、国家の収入になる間接税、直接税全体を含めて国税の問題が国民にどのように及ぶかということを、政治の結論として出すべきだと思う。だからそういう観点から、確実なものは出なくても、それに近寄るような数字を出す努力はしなくちゃいけない。またそれをしないで主税局が間接税をとるというのはもってのほかだと私は思います。間接税を一応予算の中に計算するということの意味は、そういうことも含めて、果して国民に対する政治がよくなっているかどうかということも、常に主税当局としては考えているだろうし、大蔵当局もそれを考えなくちゃいけない、政府の方針はそうでなければならない。私が聞きたいのは、正確なものがなければなくてもよろしい。とにかくあなた方の経験と調査の力量によって、一応とにかくその間接税が国民にどういう形でどういう階層に及んでいるかという数字を、われわれの参考資料として出される責任があるのじゃないか、そういう意味なんで、直接税の問題はわれわれ資料をもらっている。だから、間接税がどういう形で現われているかという資料がほしい。そこで私は、そのことを要求すると同時に、いま一つ局長に聞いておきたいのですが、ことしの勤労所得税は非常に軽くなっていくのだということを盛んに宣伝しておるが、それじゃ実際に勤労者の税負担というものは、間接税と直接税とを含んで果して軽くなったのだと言い切れるかどうか。それについての主税局長の考えはどうであるか、その点をはっきり説明してもらいたい。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 給与所得者だけの面からいえば、少くともそういうことは申し上げられるのじゃないかと思っております。今度の給与所得控除の引き上げの見返りになっております分は、一つは退職給与引当金の問題です。これは、いわば非課税積立金をある程度制限しよう、従来資本蓄積に重点を置きまして、相当大幅な引当金を認めていたのでございますが、あまりそれが大幅に過ぎるのもどうであろうかという観点で、これを制限して、そこから得た財源を給与所得の方に回したわけでございますから、その意味からしますと、法人の方の負担の面が、ある程度引当金を積み立て得るものが一応制限をされて、その分が給与所行の方に回った。この面は、法人の負担において給与所得の減税ができたということが言えるのじゃないか。交際費の面においても、現在五百万円以上の法人について適用していますが、そういった面における一応の制限を片方でもって考えながら、給与所得の方を軽減した、こういった面でこれもそう言い得るのじゃないか。ただ砂糖の関税の問題になりますと、これは多少違ってくる。砂糖関税の問題におきましては、砂糖の値上りによって給与所得が軽減された、それじゃどっちがどうかわからぬじゃないか、こういう考え方ができると思います。ただ本年の砂糖関税に関する限りにおきましては、昨年から砂糖の特殊利潤の問題がいろいろ出ておりまして、それが今度の関税に変ったわけでございます。従って標準の取り方でございまして、やはり砂糖関税がある程度負担がふえたということは、所得税の負担軽減を当然相殺すべきものだと思っております。しかし一応昨年大体七十五、六円が標準になっていたということをもし前提とすることが許されるならば、大体今度砂糖関税をとりましても七十五、六円ということをねらいにしておりますので——これは前提の問題でありますから、必ずしもその分はすぐ負担軽減だというのは、これはちょっと早計だと思いますが、一応そういう事情にあるということも言い得るのじゃないか。その意味におきまして、全体として自然増収を減税に当てておりませんから、あまり大きなことを私は言えないと思っておりますし、言うつもりもございませが、法人の負担というものにおいて相当の減税がなされたということだけは、程度の問題は別でございますが、一応は言えると思っております。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 自然増収を減税に引き当ててないから大きいことは言えないけれども、しかしとにかく法人の負担において一般の勤労所得者、あるいはその他の層の税が相対的には軽くなっていくんだ、こういうようなお話です。しかし、それはやはり見方の相違があるのと、法人税に対するものの考え方で非常に違いが出てくると思います。ことに今年は、先ほど申したように三百五十八億という数字を増徴するわけです。この増徴が非常に困難であろうと思うことは、たとえば先ほどの法案の説明でも、政務次官は、日本の経済は非常に正常化してきておる、よくなってきておるんだと言う。しかし事実はそうじゃない。むしろ非常に苦しい面が各所に出てきておるのです。たとえば昨日の新聞などを見ましても、東京の不渡り手形の増勢については実にひどいものがある。昨年の二月に比較して、今年の同月比は一万八千七百八十二枚も上回るような新事実が出ておるし、その内容をずっと見てくると、一件が五万円くらいのものが全体の五七・三%を占めておるという実情である。それに今年の不渡りの増加の特徴は、従来のように何べんか不渡りを出したものじゃなくて、手形交換所で初めて不渡りを出しておるものが非常に多くなってきておるという実情です。だから、政府の見ておるような今年の日本の経済界の動き方というようなものとは非常に実態は違うと思う。むしろわれわれがしばしば言っておるように、好況は大企業中心の好況であって、中小企業者やあるいはその他の層においては、非常に不況をかこっておるという実情だと思います。そうすると、この税収の問題などについても、大企業を中心にもっと大きな税収が行われるのであれば非常にけっこうだが、事実はそうじゃない。むしろ中小企業を収奪する形での税収になっておると私は思うのです。それは、そういう方面に対して過酷なものにならないと言い切れる面があるかどうか、そういう点について一つ主税局長から説明してもらいたい。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 経済全体の動きとしましては、われわれは、今お話しのように、中小企業を中心とした面におきまして、相当不況で悩んでおる方のあることも存じ上げておりますが、同時に、経済全体といっては語弊があるかもしれませんが、少くともお話しのような大企業を中心とした面においては、大体法人税が中心でございますが、その場合においては、今年の三月決算、それから今年の九月決算、これが三十一年度の税収に一番大きな影響を持つわけでございます。三月決算におきましては、大体もう勝負がつきかかっておりますが、これは、昨年の九月決算が相当よかったのですが、これよりも四、五%くらいいいのじゃないかという見通しを持っております。九月決算になりますと、ちょっと先のことになりますが、特に三月決算よりも悪くなるということも言いかねますので、われわれは大体横ばいに見ていく、こういったようなところで現在の収入を出しておりますが、法人税におきましては大体従来の、これは二十九年十二月から三十年十一月までの申告税額だけについてみますと、千六百四十四億の中で千二百十五億までが調査課所管、この中には、考えようによっては中も入っておりますが、相当大きなところで大体占めておるといったようなことを考えて参りますと、大きなところで相当の収入が期待できれば、小さな納税者の方にそう過酷な徴税とか、そういうことは一切考える必要なしにかなりの税収が期待できるのじゃないか、かように考えております。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 税金が大法人の方からたくさんとれるというような見通しがすべてのものを解決するように言われるけれども、事実はそうではなくて、むしろこの巧妙な税体系の中では、中小企業者が非常にいじめられていくだろうとわれわれは考えておる。これは、こまかいものの見方をすれば、理屈のつけ方はいろいろあると思いますけれども、とにかくわれわれはそう見る。そこで、ことしは税収を確保するのに相当程度徴税強化をやるというふうにわれわれは聞いているわけです。このことは、すでに大蔵大臣もそういうふうに言っておるし、それからまた皆さんの当局から出ているいろいろな資料を見ても、そういうことが言えると思います。ことに租税の滞納処分とか、あるいは民事上の強制執行との二重差し押えの問題等を考えますと、これは好況面からくる税収というよりも、むしろ非常に不況をかこっておるといわれる中小企業者に対する税収を大きく期待しなければ、ことしの税の増徴はできないのじゃないかというふうに政府は見ておるのじゃないか、またわれわれは、そういうような立場からこういうものが出てきておるのじゃないかというふうに考えるのですが、そうじゃないですか。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 私どもは、従来の徴税のやり方に対しまして、本年度特に過酷な徴税のやり方をするというようなことは実は毛頭考えておりません。徴収率につきましてある程度それが上ることを考えておりますが、そのような点につきましては、実績が相当向上を見せておりますし、何と申しましても、経済が平常化してくるにつれまして徴収の成績も上ってきておりますので、そういった面を中心にしながら、やはり無理のないところでもって徴収の成績もどんどん上げていく、こういうことは考えておりますが、そこに過酷にわたるような云々ということは考えておりません。なお御指摘になりました滞納処分と強制執行との二重差し押えの問題、これはいずれ早晩法案を御提出申し上げるつもりでありますが、これは別に徴税を過酷にするとかなんとかいう趣旨のものでは全然ございません。結局従来とかく非難がございましたのは、一度滞納処分をしてしまいますと、二重差し押えができない。従って、それによって私債権者の権利が非常に侵害されるといいますか、保護のされ方がどうも十分でない。従って滞納処分によって一ぺん差し押えて、それが便々差し押えのままの姿であることによって私債権者の権利が保護されない、これはぜひ何とか直すべきである、多年弁護士会などの要望もございましたので、法務省とも十分相談しまして、そういった意味においての制度をこの際直していきたい、こういう意味のものでございまして、徴税強化とかなんとかいう面を中心にして考えたものではないということを御了承願いたいと思います。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 徴税強化の方法については、まだ当局は考えているようにわれわれは聞いているのです。たとえば、今まで青色申告のめんどうを見ておったのを、ことしからやめるというようなことを聞いておる、そういう問題は、あとで国税庁の方が来たときに私は聞きたいと思います。  ことしの税の中で、特に所得税の問題については、先ほど来いろいろな説明がありますけれども、実際には、勤労者の所得税は、直接税の方で非常に軽く見せながら、実は間接税の方でだんだん上げてくる。結局は、税負担の面ではちっとも軽くならないのだという実情が出ているとわれわれは思うのです。その相対的な問題は、税の負担率の点に現われてきていると思うのです。こういう点で、私はやはり特に大法人に対して徴税をすることが非常に大事なんだ、こういうように考える。先般予算の審議の際に社会党から出したいわゆる税の徴収について、法人に対する免税等特別措置をやめて、そこから数百億の税を出せということを言ったのは、われわれもその通り考えるわけです。当局としては、法人に対する免税所得額に対して、ことしの徴収をする上で何とか考えるという意図は全然ないのかどうか、これらについて将来どういうふうに考えていくのか、その点について一つ……。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 現在租税特別措置というような名前で各種の措置がなされております。それは幾つかの形がありまして、税を負け切りにしておるものもありますれば、あるいは、たとえば償却を初期においてたくさん見る、初期においてはそれだけ税負担が軽くなりますが、あとの償却がそれだけ少くなるわけでございまして、あとの方で税金がたくさん徴収される、こういったような種類のものなどいろいろございます。ただ租税特別措置にはそれぞれその理由があり、日本経済の発展のためには、どうしてもやはり資本の蓄積が必要だ、そういった面からもいろいろ考えられまして、できている措置でございます。しかしいろいろな批判もございますので、明年度の税制改正におきましては、一ぺん全面的に見直してみようじゃないか、こういう気持は十分持っております。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 全面的に見直してみようというのは、とにかくその免除をしていることを一応もとへ戻して、それはもうなくするというような意味ですか。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 全面的に見直してみようということの意味は、全然なくするという意味ではなくて、それぞれの措置について検討してみて、残すべきものは残し、やめるべきものはやめ、同時にそのような制度を制限するものは制限する、一体それだけの必要がどの程度あり、どの程度は行き過ぎだ、そういうものがあるかないか、これをよく見てみたい、こういう意味でございます。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 今その免税特別措置を受けている所得額は、当局の推定では全部でどのくらいあるのですか。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 特別措置による減収額といわれておりますのは、いろいろな種類のものがございます。全体でかなりな数字になりますが、一応その中には、たとえば概算所得控除でありますとか、生命保険料控除でありますとか、あるいは診療報酬課税の特別措置、こういうものも入っているわけでございます。御質問になっておりますのは、おそらく法人税を中心としての意味じゃないかというふうに考えておりますが、その分は、総額としましては、本年の提案で退職引当金の制限制度を縮減しておりますので、これを通過させていただくということを前提として申し上げますならば、一応平年度で四百六十一億、これが法人関係のもの全部であります。その中には輸出の関係の特例でありますとか、あるいは重要物産免税とか、価格変動準備金とか、退職引当金とか、そういうものを一応全部見込んだ数字でございます。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 今のは所得額ですか、それとも税の額ですか。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 これは税額でございます。ただ免税と言い切れるものとも言い切れないと思います。と申しますのは、たとえば先ほども言いましたように、早期に償却を認めるというのは、その償却が許される期は税金が減りますが、あとの期になりますと償却額がそれだけ少くなって参りますから、税金もそれだけ余分に入ってくる、いわば課税が猶予されるといったような種類のものがこの中には多分に入ってきております。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 税額じゃなくて、それの免税所得額にしますとどのくらいになりますか。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 法人税は、御承知のように比例税率でありまして、三割五分の軽減の税率はありますが、大部分は四割の税率になっておりますから、これを四〇%で割れば大体の数字が出るわけでございますが、所得額として千百五十億というくらいな数字になります。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 いずれにしても、この問題は先ほど局長からも話のあったように、来年度というよりも、すぐにでもこれは課税の正当な位置に置くべきだというように私は考えます。ことに政府の方では、ことしの日本の経済は非常に正常化している、資本蓄積も、正常化という意味では一応できているということを言っているわけです。しかるに片方では、先ほど言うように中小企業者は不渡りをたくさん出している、それどころじゃない失業が増大していく、こういう実情の中で、片方だけはそういうふうな免税の特典をいつまでも与えておるということはよくない。われわれは、今局長が言ったようなものは、一日も早くその免税の特典を排除して正当な位置に置いて、そして一般の低額所得者に対する税の負担が軽くなるようにしてもらいたい、こういうふうにわれわれは考えるわけです。とにかく私たちの税の問題に対する考え方としては、先ほど来言っているように、日本の財政収入の中では、直接税はもう頭打ちしておって、しかもその点では、政府は、だんだん間接税へ移行してきているというふうにしなければならないんだという状態に置かれている、こういうふうに見ておるわけなんですが、その点もう一度最後に確認しておきますが、当局としては大体そういうふうな考え方でおりますか。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 初めにちょっと申し上げておきますが、これは石野委員とわれわれと多少見方が違うかもしれませんが、われわれは、経済がだんだん正常化の方向に進んでいけばいくほど、そうした特別措置は順々に整理していっていいんじゃないか、経済が正常な状態になるまでには、そこに相当の資本蓄積も必要ですから、そういう状態であれば、むしろこういったものは残されてもいいんじゃないか、遺憾ながらちょっと逆な考え方を持っております。  それから税負担全体を軽減したいという気持は、われわれも十分持っております。同時に現在の税負担につきましては、特に直接税の負担が重いという批判が相当大きくあるわけでございます。従いまして、さらにそういった批判についてもいろいろ検討してみる余地はあろうと思いますが、全体としましては、間接税の負担を増しても直接税の負担を軽減する方向に考えていっていいんじゃないだろうかといった気持は持っております。さらにその全体をどうしていくかということについては、十分検討してみたいと考えております。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 間接税を増徴させるという形では、当然物価を高めていくし、インフレの傾向を助長していくというふうにわれわれは考える。今インフレなき拡大経済ということを盛んに言っている政府の考え方からすれば、その点も非常に困難であろう、こういうふうにわれわれは一応好意的に見るわけなんだが、そういう点についてはどういうようなお考えですか。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 間接税を増徴すれば物価が上っていく、一般論としては一応そういう問題もあろうと思いますが、しかし、具体的にどういう間接税をどうした場合に物価が上っていくかといった点、さらに物事は内容的に検討していく必要があるんじゃないかといったような各種の面から考えまして、できるだけ悪い影響の少いような方法、あるいは悪い影響のないような方向によって、間接税を増すことによって直接税を軽減することができないだろうか、こういった面について、さらに検討を重ねてみたいと考えておるわけでございます。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 中央の公式的な理論ではそうだけれども、実際にはそういくものじゃないのだというような話ですけれども、われわれの見るところでは、やはり直接税を減らしていって間接税をふやすという形は、中央、地方、国税から地方税を両方通じて当然何らかの形でとられなければならぬ財政上の問題だろうと思います。そうなって間接税がふえていけば、どういう形かで物価が上ってくる、もう現にその傾向は強く出てきておって、地方などではバスの値上りがあるとか、あるいは水道料金が上ってくるとか、いろいろな問題が各所にいろいろな形で出てきておると思います。そういうことから、われわれとしては来年度あたりその間接税をどの程度ふやすかということについて非常に興味を持っておる。あなた方が財政の規模を来年度どういうふうに持っていくかということについて、私たちは直接税と間接税との関係の問題点はもう限度に来ているのじゃないかというふうに見るのだが、財政全般から見る税収の立場で、間接税と直接税とのものの考え方を局長はどういうように考えておりますか。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 そういう点は、われわれはまだ結論的なものは出しておりません。来年の問題で多少時間的な余裕もございますから、さらに慎重に検討していくべきだ。それで、御承知のように直接税を一番中心にして税体系を作っているのが、アメリカの制度であります。それからイギリスになりますと、やはり直接税を中心にしてはおりますが、多事分にウエートは間接税の方にも行っている、直接税の方が大体五〇%ちょっとくらい、それでフランスとか西ドイツになりますと、売上税とか取引高税とかいうものを相当やっておりますがゆえに、直接税の負担はずっと少くて、多分にそちらの方に税収を依存している、こういったような各国の事例、幾つかいろいろな型があるわけでございまして、もちろん日本としましては、日本の現在の段階における経済の状態といったようなものを中心としてものを考えてみなければなりませんが、そうした各国の事例なども十分参照しまして、いい税制としてはどういうものを作っていくべきかという点について、今後さらに検討を続けていきたい、かように考えております。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 研究するということだけじゃなしに、今差し迫った問題として——もう税制の改正を来年やるのだし、またその考え方を皆さん持っているわけだ。そこで、税制の問題についての直接税と間接税とを、歳入の中でどういうふうな位置づけをさせていこうかという今の考え方を私は聞いている。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 先ほども申し上げましたが、現在税負担が非常に重い、それも特に直接税において負担が重いという声がある。御承知でありましょうが、昭和九—十一年時分は、直接税の占めるウエートは、現在に比べますとはるかに小さかったといったような問題もあるわけでございまして、そうした歴史の縦の面から見ましてもそういった面がある。それから各国の事例を横の面から見ましても、幾つかの直接税をうんと取っている国もあれば、必ずしもそうでない国もある。そういったような一面を見まして、一体現在の段階において日本としてはどういう税制が一番いいだろうかということを検討してみたい。とにかく、片方でもって直接税の負担が重いという声があります、それを軽くするためには、どうしても間接税にいかざるを得ないわけですから、そういうところにいくのがいいのか悪いのかという点について十分検討してみる必要があるのじゃないか、われわれは、遺憾ながら本年は、大体御提案申し上げている程度の改正しかできないと考えておりますが、結局明年度以降の問題になりますので、明年度の税制改正に際してどういう態度をとるべきかという点については、まだ多少時間もございますし、臨時税制調査会で現在検討を進めておりますので、その意見を聞きまして政府としての最終の腹をきめるべきじゃないか、かように考えているわけです。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 局長は、財政の大綱については大蔵大臣の指示を受けなくてはできないから、今まで答弁ができないのかどうか知りませんが、私は、少くとも主税局長は、税の取り上げ方については研究しているどころではなくて、大体の方針がなければ改正の要綱などというものは出てこない。だから、相当その問題についての腹がまえがあるものと思っておる。むしろ一番悩みにしているのは、直接税はあまり取れないし、間接税を上げれば、とにかく物価は上ってくる、インフレの傾向が出るくる、どうしても昭和十一、二年ごろのように、公債をある程度考えなければ税の経減ということはできないというところにいっているのじゃないか。大体局長はそういう考え方を持っておるものだと思うが、どうですか。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 われわれが結論を出していないということは、まだいろいろな問題が山積しておるから、それをどういうふうに解決すべきかという点について悩んでいるという、それもこれはおっしゃる通りだと思います。公債政策をとるということになりますれば、これは間接税で物価が上るとおっしゃいますが、それ以上に公債の問題が、やはり物価を上げる種になるわけでございまして、公債にいったからといって、それで問題が解決するものではない。公債の発行で果して税負担を軽減でき、しかもそれが経済の正常化をちっとも妨げないというなら問題は簡単でございまして、公債に依存する方向に向えば、おのずから物価の問題にも影響するのではないか。これは、われわれとしては全然とりたくないと思っておりますから、各種の角度から、どういうかっこうで税負担を軽減すべきかという面について、われわれは検討を加えているわけであります。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 だから、そこで公債を発行すれば、いろいろな問題が残るから、公債を発行したくないとすれば、あとは直接税と間接税以外にないわけです。それについて、あなたはこれからあとどういう方向に持っていくかということを聞いているわけです。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 方向としては、重ねて申し上げるようでありますが、現在の税負担が重いという声、特に直接税の負担が重いという声が高うございますから、その批判を十分聞いて、できれば直接税の負担を軽減する方向を中心に考えていきたい。ただ、そうしますと、結局間接税をふやすか、あるいは自然増収をできるだけ直接税の軽減に充てるか、問題はその二つしかないわけです。自然増収の分を直接税の負担軽減に充てるということになれば、これは程度の問題としましては、そう大きな程度は早急には期待できないわけです。従って税体系として、現在の体系が大体いいのだということになれば、多少時間がかかりましょうが、その自然増収をできるだけ軽減に充てるという方向に進んでいくべきでありましょうし、あるいはこの際税体系を相当変えて、間接税を増すことによって、なおかつ直接税の負担を軽減するという方向に踏み切れば、直接税の負担の軽減はあわせてできる。どちらにしましても、われわれが考えておりますスケジュールでは、三十二年の問題だというように考えておりますから、どういう方向に持っていくかということについては、もう少しわれわれとしては慎重に検討してみたい、こういう現在の段階でございます。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 とにかく二つの方向にまたをかけながら巧妙な答弁をされるわけだが、私の理解するところでは、とにかく直接税を減らすために、間接税の問題がどうしても早晩主税局としても考えなければならぬ問題として残っている点がある。その問題を今度はどういうふうにして解決していくかという問題で、今当局としては定見がないというように見ておきます。問題は自然増収です。自然増収という問題は、実は税の立て方なり、あるいはそれの運ばせ方の中で出てくる根拠としては、何かそこに資料調整の上で違いがあるから出てきているのだと思うのです。この資料が十分に整っていないために、そういう自然増収というものが出てくるのだろうと思うが、その点については、自然増収の出る一番大きな根源はどこにあるのですか。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 自然増収という言葉は、御承知のように二色に使われております。一つは、昭和三十年なら三十年の税収入に比べて昭和三十一年の税収入がふえていくといった場合、この増加分を一応自然増収という言葉で呼んでおります。しかし今のお話を伺いますと、それはそうじゃなくて、予算と決算の面に現われた違いの増加額、これも自然増収と呼んでおりますが、このあとの方の自然増収の面を御指摘になっておるのじゃないかと思います。われわれの方といたしましては、できるだけ税収額の見積りに際しまして、的確を期するつもりでやっておりますが、何分にもわれわれが予算を組みますのは、たとえば三十一年度の予算でございますれば、おそくも三十年の十一月から十二月くらいまでの資料をもとにして、そこで大体の見通しをつけなければ予算が組めないわけでございます。そうすると、その先一年ないし一年三、四カ月といいますか、一年半近くの年月があるわけでございまして、われわれとしましては、できるだけ的確な数字をつかむことを努力しておるわけでございますが、やはりその間におきまして、われわれが考えた以上に、あるいは会社の利益が上る場合もありましょうし、大体ベース・アップはもうやらない、あるいは昇給率もこれくらいだと考えておる場合におきましても、その昇給率が案外われわれの考えておる場合よりも多かった場合もありましょうし、そういういろいろな問題が重なるものでございますから、そこにある程度の差が出るわけでございます。われわれもできるだけ的確な予算を組むことに努力しておりますが、どうもある程度の差額がそこに出る、増の出ることもあれば減の出ることもあり得ると思います。それはちょっとやむを得ないのじゃないか。八千億という数字の中で、百五、六十億といったような数字のものでございますので、われわれもそういうことのないようにあらゆる努力をしておりますけれども、どうもやむを得ないものと考えておりますが、その辺の事情は御了承願いたいと思うのであります。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 経企から調整部長がおいでになっておられるそうですから、国民所得の問題で、各階層別における所得を、昭和三十一年度はどういうふうに見ておるか、その階層別というのは、大体勤労者、農民、中小企業者、法人というような形でお答え願いたい。

小山雄二総理府事務官(経済企画庁調整部長)

○小山政府委員 国民所得の問題でございますが、三十一年度は六兆九千七百十億で、租税負担率を申しますと、国税二二・八%という数字になります。それを、しからばどういう層から積み上げられてそうなるかという問題でございますが、ただいまお配りしました資料は、商工委員会の要求で出した資料でございますが、勤労所得は三兆四千六百三十億、三十年度に比べましては六%ちょっと伸びております。それから全体の総額に対する割合も、構成比も三十年度に比べましてややふえております。勤労所得の内部につきましては、いろいろなでこぼこがございまして、ことに農業関係等は、来年度は平作を前提としていろいろ考えておりますので、こういうところは伸びが少い、製造業その他は生産の伸び等に比例して伸びておりますが、そういうでこぼこはございますが、勤労所得全体としてはそういう伸びを示しております。個人業主所得でございますが、これは総額二兆五千九百億、これは前年度に比べますとやや減っております。この減りの大部分は、今申しました農業関係を、三十年度が非常に豊作であったのを、三十一年度は平年作と見ております影響が大部分の原因でございまして、伸びも少くなっておりますとともに、全体に対する構成比も少くなっております。個人賃貸利子所得は三千四百二十億でございまして、これは資本蓄積その他の問題もございして、相当の伸びを示しております。法人所得は、そこにございますように六千二百億、これも生産の伸び等に応じまして七・三%伸びまして、構成比もやや上って参っておるのでございます。官業所得以下は大した分量でございませんので、略しますが、全体の階層別と申しますか、所得が生まれる源泉別の構成は、お配りした資料のような格好になっております。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 こういう国民所得の伸びを基準として課税が行われるわけですし、ことに三十一年度の六兆九千七百十億という予算の中における法人所得の六千二百億という数字の中で、先ほど言いました特免の額というのは大体約千百億くらいになるわけですか。これは局長に伺います。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 多少積み上げの基礎が違うものですから、必ずしもはっきりしない面があるわけです。基礎のデータが実は違うわけでございます。われわれの方は、課税の実績を中心にしまして、そして一応所得の伸びを見て計算しているわけでございます。従って課税の実績の中には、今申しましたような各種の特別措置による減収はすでに見込み済みになっております。従って理屈から言えば、一応経企の方でやっております所得になっている分は、当然所得になって入っておる。私の方は負担の軽減をされるものは減収として見ている。こういうわけのものでございますから、基礎データからちょっと違っておりますので、できるだけその間調整をしまして、お互いの離反がないようには努めておりますが、細部の問題になりますと、やはりそうした意味においては、ある程度の違いが出てくるのもやむを得ないのじゃないか、かように考えております。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 国民所得の査定をなさる企画庁の方の見方ですが、これは私たちから見ると、いろいろ資料を集めてやっているのでしょうが、結局どうも最近の見方では、いつもむしろ予算の規模を中心として国民所得が上ったり下ったりするのじゃないかというような傾向を見るのですけれども、そういう点はどうなんですか。

小山雄二総理府事務官(経済企画庁調整部長)

○小山政府委員 そういうことはないつもりでございます。今法人所得の問題が問題になっておるようでございますが、法人所得の計算の方法を簡単に申し上げますと、法人にもいろいろございますので、大体五百万円を中心としまして上と下に分けまして、それからそれぞれ三十年度に対する伸びを、生産の伸びと物価の変動を見まして、生産の伸びは、鉱工業、農業、それぞれの法人の中の業種別によって違いますが、その伸びをとり、それから物価は、大法人の方は卸売物価指数の伸びを見ます。小さな法人の方は、卸売物価指数と消費者物価の平均の指数をとりまして、それでその伸びをとりまして、それをかけまして総体を出す、こういう所得の見方をいたしておるわけでございます。これはもちろん他の委員会でもお話がありまして、こういう所得の見方とか、あるいは総生産の見方というものは、大体少いのではないかという御議論が確かにあるのでございますが、これも先ほどもちょっと主税局長からお話しがありましたように、大体十月、十一月ごろまでのデータを基礎といたしまして、ことに私どもの方では五カ年計画という問題がありますので、五カ年計画の先をにらみまして、両方勘案してこの計算をやるわけでございますが、データが年度一ぱいとれないということのために、そういうずれができるのでございます。ことに積み上げ計算をやりますと、多少低目々々になるということは、事務的に、従来の経験からいいますと、ないきらいがないわけでもないのでありますが、予算その他とにらみ合わせてみると、むしろこれはこれとして考えて、そうしてむしろ大観的には、所得の伸び等をめどにおいて、予算規模はきめられると考えております。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 一つだけ最後に局長にお尋ねしますが、農業所得の面では、ことしは平年作に見ておるというようなことと、もう一つは農業所得に対する課税の方式がことし変るわけです。その農業所得に対する課税の方式を変えたあと出る税の徴収の増減の比は、大体どういう程度になるのですか。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 これは三十一年度ではなくて、昭和三十年分からでございますが、従来石当り標準率といいまして、一石当りで大体所得が幾らという標準率を作って課税をしておりましたのを、御承知のように、供出米の割当がなくなりましたために、石当り標準率で仕事ができなくなりましたので、反当り標準率といいますか、これは村ごとに、あるいは部落ごとに上田、中田、下田というようなものを考えまして、そうしてこの程度であったら一反当りで大体どれくらいな所得になるか、こういうことで、反当り標準率を使って所得額をきめるという方向に移行したわけでございますが、これはもっぱら技術的な関係から出ておるものでございまして、石当り標準率を反当り標準率に変えることによりまして、そこに税の上から負担が増加するとかなんとかということのないように、国税庁としましても十分注意いたしまして、かなり慎重な扱いをして、関係の協同組合でありますとか、あるいは村役場の人たちでありますとか、そういう方々の意見も十分しんしゃくしてきめるということで現在進行しております。今年は、昨年の異常な豊作にもかかわらず、米価は一応そのまま据え置きになりますので、相当の所得の増加があり、従って所得税の増加もあると思っておりますが、それは、どこまでもそうした豊作から出てくる問題でありまして、石当り標準率が反当り標準率に変ったということによる分の増ということのないように、われわれは執行で十分に注意はいたしております。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 今石当り課税から反当りに変えても、いろいろな不備のないようにという意図はわかりました。そこで、ことしは昨年の豊作の結果として、税収はどのくらい一昨年より多くなるのですか。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 一昨年と比較するよりも、昨年の予算と比較した方がよいと思っております。昨年の予算は、平年作で一応ものを考えまして、大体税収といたしまして七十億円程度を予定しておりました。現在の見通しでございますと、それが百十億から百十五、六億くらいになるのじゃないか。まだ的確な下から積み上げた数字を持っているわけではございませんが、一応われわれが、各種の資料を集めまして計算したところでは、大体その程度の課税でございます。収入としましては、その一部しか入らないこともありますので、四十億程度の増収というように考えております。

石野久男小会派クラブ

○石野委員 反当り課税方式に変えます場合の弊害は、どうしてもやはり税務署の一方的な査定の仕方が強く出てくるところに問題があろうかと思います。それを同時に、それを中心として不当課税が出てくるだろうとわれわれは考えるわけです。だから、先ほど局長からいろいろその問題についてのお心配りはするのだというお話がありましたが、特に私どもは、そういう点への関心を深めておるので、これは十分注意してもらわなければならない。われわれは、この問題についてあと十分討議しなければならないと思いますが、一応私は、きょうの質問はこれで終ります。

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 次に石山權作君。

石山權作日本社会党

○石山委員 私、主税局長に関税の問題をちょっとお伺いしたいのですが、御承知のように日本は大へん外国から物資を買い、それを加工して輸出しておるというふうにやっている国でございます。皆さんの方で関税率を設定される場合、どういうことを構想に入れて率を設定されるかをお伺いしたい。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 基本的な考えという御質問でございますので、かなり抽象的なお答えにならざるを得ないと思いますが、現在の日本の関税は、かりに一口にいえば、保護関税的な色彩の相当濃厚なものだが、それだけとは私は言い切れないと思っております。今度砂糖関税を引き上げましたのは、保護関税というよりも、多分に財政関税的なものでございますが、しかし一般的に関税率をきめております場合においては、多分に保護関税的な意図を持っている。従いまして、国内で生産されるものについては、外国との競争におきまして、それがある程度関税で保護しませんでしたらば国内産業として成立できないものにつきましては、相当の関税を課するということで国内産業を育成していきたい。ただ御承知のように、一面日本はやはり輸出で生きていかなければならぬ国である。そういうことになりますと、各国との関係からいたしまして、いわば自給自足的な経済でやっていけるといった考え方のもとに、あまりにこの関税障壁を高くするということになりますれば、また日本から輸出する品物につきまして、相手国でも関税障壁を高くするという事態が当然出てきますので、やはり貿易の自由化という方向で、日本としてもある程度ものを考えていかなければならぬ。そこにいわば相矛盾する二つの、要請があるわけでございますが、しかし、そういった二つの矛盾した要請の中に立ちながら、個々の具体的な事例を見まして、日本としてはある程度どうしても保護していかなければならないというものにつきましては、相当の高率の関税もやむを得ない。ただその場合においても考えられておりますのは、素材的な、あるいは原料的なものにつきましては、何と申しましても関税としても比較的低い。それから消費物資的なものにつきましては、物によりますが、相当の高級品、ぜいたく品というものにつきましては、ある程度の高い関税にしていく、これは各国が同じような方向に進んでおりますので、そういった方向でものを考えながら現在の関税定率は定められている、かように考えております。

石山權作日本社会党

○石山委員 相矛盾する二つの考え方ということは、結局国内産の物価安定ということで、これを特に強く要望しているのは、私は農林関係だと考えております。しかし私は、この場合農林関係だけを考えて、日本の国全般の財政を大蔵省は考えてはいかぬのではないかということを力説したい。特にこの前の本委員会でも、強く私たちの方の井上委員から詳細に論ぜられた砂糖の問題を一つとらまえてみましても、非常に矛盾を感じております。これが澱粉とかの何かの安定策のために利用されて、食管法の中に入れて会計をつかさどるということは、決して日本経済の場合正しいいき方ではないような気がしでならないのでありますが、大蔵当局ではどう考えていますか。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 その点につきましては、いろいろな御議論があるわけでございます。砂糖の関税の例が出ましたが、それについて申し上げますれば、日本でも多少ビード・シュガーはできておりますが、この産業はもちろんのこと、さらに砂糖と代替するあめの原料である澱粉は、砂糖が外国から非常に安く入ってくれば、非常に産業としては成り立たなくなるが、これが関税が高ければ成り立ちやすくなる。しかし、これはある意味において国民全体の負担において澱粉工業を成り立たせるということにも、考え方によってはならぬわけでもないので、おのずからそこに一つの限界があろうと思っております。澱粉工業も一つの相当な工業でありますし、さらにその背後には原料を供給する農民の利益もあるわけであります。これは全然そうした人たちの存在、存立を無視していいというのも行き過ぎでございましょう。同時に高くさえあればいいのだといった考え方も、われわれとしてはとるべきではない。結局澱粉工業、あるいはカンショの栽培が成り立ち得る限度において、同時に関税もそれと見合いながら一応の率をきめていくべきではないか、かように考えております。

石山權作日本社会党

○石山委員 国内産業を何も否定するものでもないし、どんな小さなものでも育成していかなければならぬというのが、わが社会党の本来の立場でございます。砂糖が例にとられているわけでございますが、砂糖のような場合、だれが見ても不当だと思われるような超過利潤が出たわけでございます。あなたのおっしゃるいろいろな、行政的の措置によって一方的に律することはできないということはよくわかりますが、この超過利潤のとらまえ方が、行政のうま味でもあるし、政治の温情だと思う。しかしあの砂糖の問題を見てみますと、行政のうま味というものはちっとも感じられないで、行政そのものが汚職を生むような操作をされておる。きょう農林省の方がおいでになっていると思いますから、一つお聞きしたいのでございますが、去年、われわれが不当だと思われるような利潤が六十億以上あるんだ、こういうふうに解釈していたわけなんですが、最近聞きますと、だんだん減ってしまって、どうも雪解けのだるまみたいなものでして、形が何もなくなってきた。前は頭と胴との境目があったのですが、これが今になると、頭も胴もみな小さくなって、のっぺらぽうになってしまった、こういう現象はどこから起きてきたか、一つ説明していただきたいのです。

桑原信雄農林技官(食糧庁業務第二部長

○桑原説明員 食糧庁の方からこれをながめておりますと、昨年の例の砂糖法案が成立いたしませんで、そのあと八月二日に新しい内閣の構想がきめられまして、七十六円を基準として差益を徴収して参るということで、一つの仕組みを作りまして計算いたしたわけでございますから、それに基きまして出て参りましたものが、まだ二月、三月が済みませんけれども、おそらく十八億程度と考えられます。それを織り込みまして、一応寄付ということで合計三十億ということで話がつきましたので、私たちの方で見ておりますと、これが妥当なところではないかというふうなながめ方をいたしております。結局もっと差益が出ませんでしたということは、値段があまり高くなくて、その後は割合に落ちついて進んで参ったということになろうかと思っております。

石山權作日本社会党

○石山委員 そうしますと、業者とお約束した分は幾らでございましょう。

樋詰誠明通商産業事務官(通商局次長)

○樋詰説明員 今農林省の桑原部長から大体概要を申し上げたのでございますが、もう少し補足的に申し上げますと、昨年の当初砂糖の差益といたしまして、年間六十三億を国庫へ受け入れるということで予算が組まれておった、これは御承知の通りであります。大体そのときは、今農林省からも御説明がありましたように、七十六円というものを一応基準にいたしまして、そうして年間九十五万トンの割当ということをまた片方のベースにして一応の計算がなされたわけであります。ところが御承知のように、昨年の十日以降非常に砂糖の値段が下って参りました。十月半ばから下りまして、十一月には平均して六十八円九十四銭、十二月には七十三円四十八銭、一月も同じく七十三円四十八銭、二月になりまして七十四円八銭ということで、これは当初われわれが考えておりましたのと比べて、非常に後半下っておるわけであります。その下りました一番大きな原因は、これも御承知だと思いますが、九月の末から十月の初めにかけまして、一時原糖が国内で枯渇したというようなことがありましたために、非常に九十何円というような気違い相場を現出したこともあった。そのために、政府といたしまして十万トン追加いたしまして、百五万トンの輸入をしようという公表をいたしたわけでございますが、その十万トンの追加以後、今申し上げましたように非常に価格が下って参りました。一トンは御承知のように千六百六十斤であります。一円下れば千六百六十円下る。月に十万トン入るとすれば、一円で一億六千万円、二円違えば三億二千万円程度は当然減って参るわけであります。そういうことから考えますと、八月二日に予定いたしました通りの計算方法をやっていきますと、今桑原部長が申しましたように、十数億という程度しか入らないのではないか、しかも七月以前のものは、法律が通ったらそれで出しましょうといったような一種の条件付のものであったわけでありまして、それは別に金額も何も約束しなかったわけでありますが、これはたびたびこの大蔵委員会でも論議になりまして、石橋通産大臣からも、これはあくまでも過剰利潤を自発的に寄付していただくので、これは税法によらずに、強制的にとるわけにはいかぬということを申し上げてきたのでありますが、そういう関係で、われわれとしては、一時的に過剰利益が出たことは確かである、しかも、これは一たん出すと言った以上は、金額は言わなかったけれども出していただくのは当然であろうというふうに考えたわけでありますが、たまたま補正予算を組むに際しまして、業界の方から、総額三十億までは寄付しましょうという自発的な意見がございました。しかも八月二日以後の分では、その半額にしかならぬということになりまして、これは過去の分についても自発的に出すという当初の約束を守るだろうというふうに考えられまして、金額的にも無理やりに強制的にとるわけにもいきませんので、その数字だけとにかく自発的なものをお受けしようかということで、関係各省全部そのつもりでいるわけであります。

石山權作日本社会党

○石山委員 いつも過ぎてしまったとか、やむを得なかったということで物事が済んでしまえば、私は大へんいいものだと思うのですけれども、国民一般に与える印象からして、特に税金の問題などは、滞納が非常に多く、その滞納を取り立てるために非常な労力を費しているような場合、こういうふうな現象は決していいことだと思っていませんし、皆さん方高級官吏が大へん腕がいいというふうに考えられない。まことに不手ぎわな、あと味の悪い行政的な措置だと思います。特に当然法律的にそれが吸収されてこそ、税の公平ということがわれわれにはわかるのだが、それがなされないで、行政的な措置にゆだねてしまう。そうしたら、どんなばかでも、どんなやつでも、だれでもうんと商売をやってもうけることができることになる。特に製糖会社などは、大企業であるし、何も政府が恩恵をかける必要のないような場合にもかかわらず、当初予定された六十三億が三十億になり、それがまたぞろ十八億というふうな格好に下っていくということは、私はどっかに盲点があったと考えます。この盲点が、普通いわれているところの汚職につながるとかなんとかいううわさになって飛ぶのは、当然であるだろうし、民主自由党の政治資金になったろう。特にあの法案を流した自由党のところに相当流れていっただろう。選挙もあったし、そういう評判があるということは、私はこういうやり方に対しては国民の声として当然だと思います。そういうことをなからしめていくのが、私は税の性質だと思う。税というものは、だれが見ても公平に、誤まりのない、だれが見てもなるほどと思われる立場において率がかけられ、徴収がされてこそ、私は国民がみんな喜ぶと思うのですが、砂糖の場合には、残念ながらそういうことができなかった。私非常に残念に思うし、皆さんにも、今後の行改措置に対しては強い反省を求めたいと思います。  そこで、もう一ぺん関税問題に関してですが、こういうことがある、こういうことがあればこそ、私は言うのです。いつも私は、あなた方に対して、大蔵官僚は冷酷だと言いますが、その前提は、日本の経済全般を考える場合には片寄ってはいかぬということ、だからある面からみれば、冷酷にも見えましょう。しかし、私は大蔵官僚はそれをやり遂げてこそ正しいと思うのです。今度の場合でも、私お伺いしたいのは、関税でとることと消費税でとる場合の相違というのは、皆さんはどこできめられたか、これをお聞きしたい。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 関税でとる場合と消費税でとる場合、これはあらためて石島委員に申し上げなくても、一応大きな違いが幾つかございます。第一の違いは、関税であれば、輸入される砂糖にしかかからない。消費税であれば、少くとも従来のやり方を踏襲せられる限り、これは国内のビート・シュガー、あるいは国内の黒糖にもかかる、こういった問題が一つ大きくございます。それから、これは多少技術的な問題になりますが、関税であれば、保税地域から引き取るときにすぐ税金を払ってもらわなければならぬ。消費税であれば、今度改正法案を提出申し上げておりますその法案によりましても、たとえば二月中に庫出しした分の消費税を三月末日に払う。関税の方が、いわばある程度前払い的な関係になるわけでございます。それで、これは金繰りだけの問題といえば問題ですが、われわれの方としまして、どちらかといえば前の方の点に相当重点を置いております。あとの方の点も、砂糖会社の金繰りのことを全然考えないわけではございません、それで、やはり現在の状態から見ますれば、ビート・シュガーにおいては、まだコストが相当高うございまして、御承知のように食管で買い上げざるを得ない。また現状であれば、この程度の関税で食管買い上げをやらなくても済むというほどまでいっておりませんが、しかし何と申しましても、ビート・シュガーが相当高くなっている。あるいは国内の黒糖にいたしましても、やはり消費税ということになれば、国内黒糖の消費税というものはちょっと上げきれませんから、おそらく現在の四百円を据え置かざるを得ない。しかし輸入黒糖について見れば、これは相当やはり負担をかけても、国内の黒糖という面から見ましてコストがだいぶ違うようでございますから、むしろやった方がいいくらいじゃないか。そういうような点を彼此考えますと、どうも消費税でやるよりも、この際としては関税でやった方がいいじゃないか。ただ関税になりますと、たとえば外国との関係でどうだろうか、ガットとの関係でどうだろうかといういろいろな御議論があったのでございます。この点につきましては、われわれの方も、かねてそういうこともあろうということを考えまして、ガットとの関係におきましては、砂糖に関する限りにおいては各国とも何ら約束しておりませんし、また現在砂糖を日本が主として輸入しております相手国というのは、ガットに加入していない国というような点もございまして——ガットに加入しないといいますか、日本との関係においては、ガット関係を結んでいない国でありますから、この程度の関税引き上げをしましても、国際的に悪い影響を与えることもあるまい。まあ各種の角度から考えまして、この際としては関税でやった方がいいんじゃないか、こういう結論を出したわけでございます。

石山權作日本社会党

○石山委員 私も、主税局長の考え方には大体賛成でございます。特に申し上げたい点は、石油、砂糖のような大量な輸入の場合は、量をまず第一に関税で押えてみる。そのことが全般をまず第一に律すると私は思います。ことに石油と砂糖業者は、われわれ常に法人税を口にしていますが、これは大企業でございまして、相当利益が上っております。ですから、関税においてわれわれは一つの数字をつかみ、必ず製造した場合には皆さんのお知りにならない歩増しがあるのでございますから、この歩増しが消費税で取られれば、大体誤まりのない課税方法になるのではないか、こう思いますので、私はこれからの税の考え方として、こういうふうな大量に輸入するものに対しては、関税で大幅な税の収入をはかることが妥当だ、その上で消費税でもう一ぺん再捕促する、こういうことが正確に法人の税をとることの一助になるのではないかというふうに考えております、この大蔵省と通産省と農林省のものの考え方の相違、たとえばきのうでしたか、おとといでしたか合同委員会などでも、大豆の問題が非常の論議されたようでございますが、ここで一つ政務で次官もおいになりますから、高い政治の視野において、物事を考えていただきたい。大豆の場合でも、国内生産よりも輸入する数量の方が多いようでございます。そうしますと、一般の国民の現状からすれば、安いものを入れてもらって安く使用する、こういうのが一般論として成り立つ。しかし、その立場丸々においてのその業種の育成ということも当然考えられる。皆さんの方では、このかね合いを今どこに置いて処理なさろうとしていられるか。特に大豆の場合などについて、大蔵政務次官としての御意見を聞きたい。もう一つは、米に対する場合、これも一つお聞かせ願いたいと思うわけです。

山手滿男自由民主党大蔵政務次官

○山手政府委員 先般の大蔵農林連合委員会におきまして、大豆の問題についていろいろ御議論がございました。私どもも、あの当時予算の編成期を控えて、いろいろ真剣に省内でも議論いたした問題でございましたけれども、先般申し上げましたように、輸入方式をどういうふうな方向にきめるかというふうな二、三の点が固まらなかったような関係もございまして、結局ああいう結論を出したわけでございますが、農林委員会の方の皆さんの非常な御要望もありますので、国内の生産者、国内産の大豆をもう少し何とか保護するような措置も積極的に考えた方がよかろうというふうな議論も相当強くその後起きて参っておりまして、与党と相談することにいたしまして、至急にそういうものをもっと掘り下げて検討しょう、こういうことで、今研究をさらに重ねさすように処置をとったわけでございまして、そのうちに、こういう問題につきましても、輸入方式そのほかいろいろのものを総合して結論を出すことになると思いますから、御了承願いたいと思います。

石山權作日本社会党

○石山委員 この砂糖の問題などとからんで、米の問題も私あなたにお聞きしたということは、やはり食管法のことを大蔵省としてどういうふうに考えているか。これはなぜかというと、河野さんは、どうしても食管へ砂糖の益金を繰り入れるような考え方で、それで操作していく、こういうことを強調しておられるものですから、われわれはこの食管法に対しては、前前からの経緯を考えて、非常なある種の疑義も持っているし、不信の目をもって見ているわけですから、それをお聞きしたがった。

山手滿男自由民主党大蔵政務次官

○山手政府委員 砂糖を食管へ入れて取り扱いたいとか、いろいろ議論もありますし、問題になったことも事実でございますが、御承知のように、食管で扱っておりまする米とか麦、そういうふうなものは、輸入価格と内地の生産者価格との間に相当の開きもありますし、やり方によりますと、相当な赤字を年々出していくおそれもございます。そういうことで、ただ不用意に砂糖の取扱いを食管でやるというふうなことになりますと、赤字が出れば、砂糖なら比較的安易に一種の差金を取って、そうして赤字を埋めていくというふうな手がとられる危険がないこともない。そういうふうなことをいろいろ考えまして、大蔵省としては、砂糖を食管で扱うというようなことはできるだけ避けるような方法でいきたい、そういうふうに考えております。

石山權作日本社会党

○石山委員 米に対する二重価格制度をどういうふうに見ていられるかと、いうこともあわせて答弁願いたいと思います。

山手滿男自由民主党大蔵政務次官

○山手政府委員 今日の段階におきましては、管理費そのほかいろいろやむを得ない経費も相当かかることでございますし、片方内地の生産者、農民を保護する必要もございますし、消費者の立場もまた考えなければいかぬという矛盾した要素がございますので、今日のような形で、できるだけ食管には年々赤字を出さないような努力を重ねていかなければいけませんけれども、今日の段階では、まだまだ手数もかかります。倉庫の関係やいろいろな関係で、御承知のように、経費もかかりますので、二重価格制を維持していくことはやむを得ない、そういう方法をとるのもやむを得ないであろう、こういうふうに考えておる次第であります。

石山權作日本社会党

○石山委員 お話を聞いていますと、数字をいじっていられる大蔵省の次官からとしては、私は筋が何本も出ているような印象を受けてなりません。これは、もちろん私はあなたの答弁が下手だという意味じゃございませんよ。あなたたちの持っている政策が大体そんなものだということを言いたいのだ。いわゆる欺瞞じゃないけれども、非常に矛盾をたくさん含んでいるというのが、現在持っている皆さんの政策じゃないのか。逆に言うと、日本の今の経済の状態はそういうところにあるというのも事実でございますけれども、それを容認したような形で数字をいじっていられると、出てきた数字は、私たちとしてはまことに困るわけなんです。ということは、簡単に言うと、上に厚くして下に薄いというような、法人税とか源泉課税というようなことも私は言えるのじゃないかと思います。特に法人のような場合には、資本の蓄積ということを皆さんしょっちゅう言っていられるのですが、それとか、民生の安定とか、ときどき皆さんの御意見を聞いていると、非常に疑問に思う場合があるわけなんです。資本の蓄積というのは、ずっと天井の上に蓄積されるもので、民生の安定というものは、ちっぽけな新生活運動の中に行われる民生の安定、こういうふうに思われてなりません。資本の蓄積について主税目長にお聞きしたいのですが、あなたは、資本の蓄積は今何をやられますか、現ナマの蓄積を考えておられるのですか、それとも工場その他の設備の蓄積が日本の今の経済の場合必要と考えているかということを、一つお聞かせ願いたい。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 まあ資本と言えば、必ずしも工場の設備だけが資本じゃない。やはりそこに資産的に見ましても、流動資産的なものが当然考えられますし、それから同町に、また現在の企業でよくいわれておりますものは、どうも借金でもって非常にまかなってきている、従ってもう少し自己資本による分を増加しなければならぬ、こういったこともいわれているわけでございまして、もちろん現在の段階におきましても、かなり過剰設備をかかえているところもございますが、同時に設備の増加、あるいは少くとも設備の近代化といった意味において、物的に設備を改善していく、拡張じゃなくて改善の面もありますが、これも物的な面においてのやはり資本の蓄積、これも必要だという面も企業によってはずいぶんあるのではないかと思います。同時に、また一般的に言えば、先ほど言いましたように、借金によって事業をやっているというのは、どうも企業として不安定だから、もっと自己資本による要素を大きくしていきたい。物的の方を考えているのか、それともそうしたあとの面、抽象的な面を考えているのか、こう問い詰められますと、一がいに私は言い切れないと思いますが、両者の面がやはりあわせ考えられていかなければならない。工場設備も、これ以上設備としては必要のないという会社におきましても、やはり経営を合理化していただき、利潤を蓄積の方に回していただくことによって、従来借金でやっていた分を順次自己資本に変えていく、こういう方の努力は、やはり会社としては当然やっていくべきであり、またわれわれとしてぜひそうあってほしい、こういう問題じゃないかと考えております。

石山權作日本社会党

○石山委員 私は、日本の今の場合、非常に資本が蓄積されたということを申し上げたいのであります。というのは、これは外国の経済雑誌でも指摘されたのでありますが、今のような状態でいきますと、一九五八年と言いますから、もう二年たつと大へんな設備過剰のものが出てくる。今大ていの会社は、御承知のように、鉄鋼初め設備を拡充しております。計備を拡充しておりながら、貯金がふえていっている。こういう現象は、私は大企業家は相当現ナマも持っているし、いろいろなことが言い得るのではないか。日銀の状態を調べてみますと、政府与党でも考えている例の資金調整とか、あるいは民間では資金がだぶついている。こういうことを考えますと、資本の蓄積、企業の健全化のみに大蔵省あたりは目を注いで、そこに非常に安い税金をかけている、減免規定を設けている。しかるに源泉課税は、それに比較すると、減税とはいいながらも、目に見えないほどの恩典しかないのではないか。  そのうち、私は特に大蔵省の主税局長に考えていただきたいのは、交際費はもっと大きく見てもいい要素があるのではないか、資本の蓄積の過程においてはやむを得ないというわけで、いろいろなものの特例を出しておられるけれども、今のような時代になっても、あの一番たくさん交際費を使ったときの例をとりまして、それも全部でない、七割とか、その中の右が多かったらとるとか、左が多かったら課税するとか、そんなことをしないで、交際費くらいびしっとかけて、収入がない、収入がないと言っておられるなら、それを予備費くらいに入れて、弾力のある予算の組み方はできなかったか。

渡邊喜久造大蔵事務官(主税局長)

○渡邊政府委員 交際費と一がいにいいましても、これは石山委員よく御存じのように、いろいろな種類のものが実はあるわけであります。われわれの方としまして、一応交際費という名前でつかんでおりますのは、厳格な意味の狭義の交際費よりも、どうせ問題になりますのは、お客を招待して飲み食いする金、あるいはその送り迎えの自動車賃とか、年末の贈答関係とか、そういうものが中心じゃないかというので、実はかなり広く網をかけておったのでございます。従いまして企業の面から見ますれば、販路を拡張していく上におきましては、やはり相当のつき合いも必要だ、ある意味において必要欠くべからざるものと言い得る部分もあるのではないかというふうにわれわれは考えております。そういった意味において現在二十八年度の七割、片方売り上げとか取引額を見ますと、二十八年に比べればかなり全体が伸びてきておるわけでございます。従いまして、交際費を何に比例して考えていくべかといった点など、われわれずいぶん検討してみたのでございますが、やはり売上金額とか取引金額といったようなものと比例をとっていくのが、割合一つの目安のように思いますが、そういったものを考えていきますと、売上金額、取引金額というものは相当ふえておるわけでございますから、率そのものは二十八年の七割というふうに固定されおりましてもその意味においては、やはり相当の節約が税法上要請されておるということは言い得るのではないか。ただ今度七割の率を変えませんでしたのは、筋としては七割よりも六割がいいのではないかということをさらに検討して参るべきものだと思いますけれども、何と申しましても、やはりある程度必要なものはそこにあるのでありますから、それを全然ゼロにしろということも無理なことでございます。ただこの七割ということは、七割までの節減はぜひやっていただきたいという面から、従来は、七割をこえる部分は半額だけ損金に算入しないというのを、今度は全額算入しないということをやっておるわけでありまして、交際費は、交際費という名前からいきますと、そんなものは全部要らないじゃないかといったような一応の印象を受けないでもございませんが、会社の経営その他を見て参りますと、やはりある程度はどうしても必要なものもある。しかし、そんなに大きな額を交際費で出すのはおかしいではないか、そこに節約する余地もあるんじゃないか、それを節約することによって企業の利潤をふやし、それで蓄積をふやしていただきたい、こういったような考え方があるわけでありまして、見方によっては、まだ不十分だという御批判もあるかもしれませんが、われわれとしては、この際としてはこの程度で考えていったらいいのではないかと考えております。

石山權作日本社会党

○石山委員 私、ほんとうは少しあなたとやりとりしたいのですが、やりとりする時間がないので、聞きっぱなしのような格好ではなはだ不本意でございますが、この資本の蓄積と法人税の問題に関しましては、われわれも少しは分析もしましたので、これは何も勝つとか負けるとかいう意味ではなく、こういう考え方もあるということを聞いていただいて、この次の皆さんの考えの中に入れてもらいたいというのが、われわれの任務だと思っているのですが、残念ながら、きょうはそれができないようでございますから、一つ、これは政務次官にお聞きしたいのですが、例の定期取引の問題がだいぶ論議されております、日の目を見るような見ないような立場にあるようですが、それに対して一つ省の態度をお知らせ願いたいと思います。

山手滿男自由民主党大蔵政務次官

○山手政府委員 資本蓄積のお話がございましたが、これは相対的な問題でございまして、今お話しのように、一時終戦後の日本の経済界の実情から考えてみますと、確かに今日は非常に貸本の蓄積ができた、こう考えております。ただしかし今日の日本の経済情勢から見まして、どうしても貿易も今後大いにやっていかなければなりませんし、国際的な非常な輸出競争等にも立ち向っていく以外には方法がないのでありますから、世界各国、特に戦勝国そのほかが猛烈な輸出競争に乗り出してきておる状況からして、日本の企業体が、今日のような資本の構成状況であってよろしいかどうか、いろいろそういうふうなことを考えてみますと、決して今日の段階で満足すべきものじゃないと思う。国家のために、大いに資本蓄積をさらに奨励もし、助長していくように仕向けていかなければならぬのじゃなかろうか、こういうようなことを考えている次第であります。  それから今お尋ねのありました定期取引の問題でございますが、これは、皆さん新聞そのほかですでに御承知をいただいておりますように、与党の中にも、ぜひ定期取引をやるように、今国会中に大蔵省で成案を得て、御審議を願うようにしないかという御意見もございます。しかし大蔵省は、そういう御意見もあったものでございますから、これを取り上げて種々慎重に検討をいたしておりますけれども、まだ具体的にこうするという結論にまでは至っておりません。終戦後、御承知のような三原則が連合軍によって示されまして、今日の取引所制度が確立をされておりまして、清算取引を新たに認めるということになりますと、今日の制度をいわば根本的に改正をするとでもいうべき態勢に持ち込むことになりますので、これはまだまだ慎重に考慮をし、慎重に検討をしていく方がよろしかろう。特に各界にいろいろな影響もございますから、できれば、大蔵省としては、調査会でも設けて、その調査会で各方面の意見をよくお聞きした上で、やるのかやらぬのか、そういうことについても慎重な結論を出さざるを得まい、こういう態度で今日臨んでおるわけでございますが、まだ最終的な結論にまで至っておりません。

石山權作日本社会党

○石山委員 私、こういう問題が行政の一番中心をなす問題だと思う。なぜかというと、この案が出ることによって、私は非常な利益を得る人たちがおると思うのです。つまり証券界などの場合ですよ。与える影響が非常に広範である。私は慎重にやるのもけっこうだけれども、行政的には、大蔵省としては、現実の段階ではやるべきでないということを打ち出さなければ、私は行政措置の誤まりだと思う。そうでなければ、ここでぶらぶらしていれば、これが経済界に与える影響、そのことによって利益を得る分子がたくさんおります。そのことによって欠損する分子もあるいは出てくるかもしれません。ですから、こういうふうな特に投機のような、いわゆる株式相場に非常に微妙な影響を与えるようなこの問題を、慎重に慎重になどといってやるようなやらないような格好を見せておくということは、私は決して正常な行政手段ではないと思います。ですから、取り急いで、現実における限りはという一つの判断は、私は当然下さるべき問題だと思います。そうして、このやるべきはいつかということは、調査会で慎重にやってもけっこうだと思いますけれども、現在の日本の政治状態、経済状態の場合においては、今の場合は、これはやるべきでないというくらいの腹がまえはつけなければならないのではないか。わが党は、こういうふうな投機的な要素をたくさん帯びている取引に対しては、現段階においては決してやるべきでないという強い意思を持っておることを、一つあわせて考えていただきたいと思います。  私の質問は、きょうはこれで終ります。

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。     午後一時七分散会

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