商工委員会貿易振興に関する小委員会 第2号
- 発言数
- 58 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1956/02/24
会議録
○永井小委員長 これより会議を開きます。 本日は、繊維製品の輸出並びに日中貿易に関する問題について、御出席の参考人各位より御意見を伺うことにいたします。 御出席の参考人は、日本綿糸布輸出組合専務理事小杉真君、播州織工業協同組合専務理事藤原衛君、天竜社織物工業協同組合理事長大石文一郎君、日本綿スフ織物工業連合会専務理事野沢久雄君及び日中輸出入組合専務理事高見重義君、以上五名の方々であります。 参考人の方々には御多用中のところ本小委員会に御出席下さいまして厚く御礼申し上げます。商工委員会におきましては、本問題について昨年末以来しばしば質疑が行われたのでありますが、なお今国会におきましては本小委員会が設置されましたので、引き続き政府の説明を聴取するとともに、関係業界の方々の御意見を承わり、調査検討を進めたいと存じます。特に繊維製品の対米輸出の問題につきましては、アメリカの状況並びにこれに対するわが国の自粛措置が業界に与える影響は深刻なるものがあると存じます。この際業界におられ、日夜努力しておられる参考人各位から、率直な御意見を承わりたいと存じます。 なおこの際、関係当局に対する要望なり、あるいは関係諸法令で改善、改正等の御要望でもありますれば、あわせてお伺いし、将来の参考に資したいと存じます。御意見御開陳の時間は別に制限いたすわけではありませんが、お一人おおむね十分程度とし、その順序は勝手ながら小委員長におまかせを願いいたいと存じます。なお御意見御発表の後、小委員の側から種々質疑もあろうかと存じますので、お含みの上お願いいたします。 それでは最初に小杉真君よりお願いいたします。小杉参考人。
○小杉参考人 私は、主として、アメリカ側が日本の綿製品の輸入について制限の運動を始めましたこと、あるいはアメリカの国会がやはり開会中でございますが、それに際しまして向う側がどのような審議の状態を続けているかということを、概略申し上げたいと思います。 朝鮮動乱のあと紡績業が非常に不振に陥りましたのは世界各国共通の現象でございまして、どの国の綿紡績業も、一九五〇年、すなわち昭和二十五年を頂点にいたしまして、昭和二十七年にはどん底の不況に陥っております。アメリカもこの例外ではございませんで、朝鮮戦争終焉とともに非常な不況に陥って、二十七年にはそのどん底になった。自乗他の産業は徐々に回復の徴候を示してきたのでありますけれども、紡績業についてはそれを抜け切ることができなかった。それについてはいろいろな事情もございますが、まず第一にあげられますのは、アメリカの紡績業は、他の石油採掘あるいは自動車工業、それらと違いまして、非常に多数の企業から成り立っている、しかも小規模の工場が多いという関係で、綿業全体として見ました場合には、日本の約二倍、生産量としても世界最大の域に達する生産力を持ちながら、不況を脱するについては非常に不自由な態勢になっておること、これが根本の原因でございます。そのほか化繊の進出によって主として工業資材の分野で製品の販路を侵食されているというようなことがある。もっと根本的には、アメリカの政府による価格維持政策のために米綿が非常に高い。アメリカ産の綿花の価格が高い。その関係で、非常に価格を引き下げることができにくい。そういうことのために、なかなか不況を脱することができなかった。ところがそのときに日本からかなりまとまった綿布の輸入がございました。これが二十九年の秋です。折からアメリカの政府は、日本をガットに加入させるについて日本に対する関税譲許をいかにするかということを研究中であったのでありますけれども、不況を脱し切れないところに、相当量まとまった日本の綿布がきたために、なおさらの打撃を受けるということをおそれて、この上税率の引き下げということは、非常に反対だということを表明したわけであります。しかしながら政府は、それにもかかわらずガットの加入に際しまして、日本品に対する輸入税率の引き下げを行なったわけであります。その中には、綿製品あるいは綿布が含まっていたわけであります。 ところでアメリカの紡績業者としては、こういう考え方なんです。政府は貿易の自由化、あるいは国際的の自由競争ということを言うけれども、アメリカの政府は、アメリカの紡績業に綿花の自由選択買いを許さない。御承知のように、アメリカでは一千万俵を越える綿花の生産がある。従ってその価格を維持するために、諸外国からの綿花の輸入を禁止しておる。これは割当制がございまして、特殊な綿だけの輸入を認める立場にあります。従って原料の買付について、選択制を持たない。ところが日本は、原料の綿花の買付について選択制を持っておるので、理論的には世界いずれの国からでも安い綿を買い得る、そういう立場にある。アメリカの場合は、制度的にアメリカの綿しか使えない制約がある。それから第二には、アメリカの場合には、労銀の決定について法的な制限がある。いわゆる最低賃金制というものがあって、自由に経営者は労銀の決定ができない。ことに本年の三月一日からは、一時間一ドルという最低賃金制になります。実際には一ドル二、三十セントというのが現状でございます。そういうことで、日本の場合には、必ずしも最低賃金制というものは数値によってきまっていない。ところが原料である綿花と労銀を合計いたしますと、商品の価格構成上八四%を占めている。八四%を占めるものについて、選択制のない商品について国際競争というものは成り立ち得ない。従って日本からの綿布輸入を制限すべきであるという理論的な立場で、政府に対して要請をしているわけであります。これに対してアメリカの政府は、いわゆる貿易自由化という根本的な政策を進める関係で、日本に対してクォータ制の設定あるいは税率の引き上げということを拒否しておる。しかしながら今度の国会には、すでに綿布、綿製品に直接関係のあるものだけにいたしましても、五つ、六つの制限法案が出ております。 〔小委員長退席、帆足小委員長代理着席〕 それからそのほかに、業界は業界で税率引き上げのために、いわゆる既存の法律によって行政的な引き上げができるようにするということを趣旨に、関税委員会その他に陳情、要請を行なっています。現在のところ特に活発な動きをしているのは、別珍に対して現在の輸入税率を引き上げる、つまり昨年のガット加入に際して、日本に対して譲許せられた税率を、それ以前の状態に戻すか、あるいはアメリカの同種の製品と同じ価格でもって輸入制の適用をするか、あるいは量的な制限をするか、この三つのどれか一つを考えてくれという要請を行なっております。これの公聴会は、六月の十九日にワシントンで行われますが、事実調査の段階では、やや日本側に不利なような情報炉ございます。 それから一般綿布につきましては、アメリカの紡績協会から昨年の暮れに、やはり税率の引き上げあるいはクォータ制の設定ということを主にいたしました要請を、農務長官に対して行いました。しかしこれは農務省が正式に拒否をいたしましたので、新しく立法措置をとるような動きがあらためて出ております。 大体アメリカ側ではそういう動きをしているわけでありますが、日本側のわれわれ輸出業者、関係の紡績業者、あるいはいわゆる機業家、あるいは染色加工業者、いろいろの方々といろいろ協議を重ねた結果、昨年の夏からは、一部の商品については規格の制限をいたしまして、量的な縮小ということをねらうほか、優良のものに限って輸出するという制度をとるとともに、本年の一月一日からは、輸出業者の関係としては割当制を行なって、本年としては大体一億五千万平方ヤール以内に、アメリカ向けの輸出を自制するという態勢に入っております。これは御承知のように、アメリカの綿布の生産は約一年に百億ヤードでございますので、日本から一億ないし一億五千万入りましても、全体の量からいいますと一%あるいは一%半くらいにしかならないのではありますけれども、実際今日アメリカに出ます綿布の種類は、二、三の品種に集中しておりますので、その関係上、アメリカのそれに対応する産業に対しては、かなりな影響が起るというふうに見られるおそれがありますので、なるべく品種の多様化をはかり、それから一時に多量に殺倒しないということを目的として考えているわけであります。 大体現在の状況はそんなことでございます。
○帆足小委員長代理 それでは質疑応答は後ほど一括してお願いすることにいたしまして、参考人の御説明を続けていただきますが、次は藤原衛参考人にお願いします。
○藤原参考人 私、今回対米輸出制限によって最も大きな影響をこうむりましたところの、播州織産地の代表でございます。今から私どもの意見を述べさせていただきます。 戦前わが国の輸出綿布は、年間二十七億平方ヤールありましたものが、戦後は、一昨年の十二億七千万ヤールを最高として半減いたしております。これは戦前の農業国が工業国に変り、しかもその最初に手をつけるのが衣料にするところの綿布であることは、いずれの国とも共通した事実でございます。 かくのごとく後進国が進出した関係上、戦前の市場は今日の市場ではなく、戦前に輸出した下級品は、これら後進国の自給にゆだね、われわれは好むと好まざるとにかかわらず高級品に進み、みずからその市場を開拓すべき運命に立ち至りました。これは紡績生産の綿糸が逐年細番手に移行し、また輸出の相手国が低所得国から高所得国へと変遷しつつあります事実は統計によって明瞭であり、またわが国の加工貿易の目的から見ましても当然の帰結でございます。 申すまでもなくアメリカは世界における最も高所得国であり、われわれには一番大きな期待をかけ得る市場でございます。特に私ども播州の業者にとりましては、戦前数年に及ぶ苦心の結果、ダマスク、テーブル・クロスをもってニューヨーク市場を開拓し、今や欧州各国をもしのぐ確固たる基盤を獲得しておりますが、今回問題のギンガムも昭和二十七年ごろ、戦後最大の不況時に痛切に高級品への品種転換の必要を自覚いたしまして、自乗採算を度外視して染色並びに製織設備の改善、技術の研さん、さらにまた従業員の訓練等、全く血のにじむような努力と犠牲によってようやく成功したという、まことに重要な市場でございます。 〔帆足小委員長代理退席、小委員長着席〕 かつまたギンガムのごとき先染織物は大企業の紡績兼営業者ではとうてい生産できない煩雑な手数と技術を必要としまして、われわれ零細業者にのみ残された唯一の分野であります。従って米国のような大量生産方式の市場に対しては、前述いたしましたダマスク、テーブル・クロスとともに最も将来を嘱望し得るものでございます。 昨年来米国国会に提出されました日本綿製品の輸入制限問題を契機といたしまして、われわれ業者におきましてもせっかく自粛し、粗悪品の生産を禁じ、あるいはまた調整組合の運営によって生産の制限を行い、ダンピングによる過当競争を戒めておる次第でございますが、その輸出数量は、現在米国の綿製品の総計年間百八億ヤール、そのうちの八億ヤールが先染織物でございますが、その約一割に相当するものが私どもの生産しておるものでございます。これは先ほど小杉さんもおっしゃいました通り、米国製品の全数量の大体一%そこそこのものでございます。 次に、今回の対米輸出措置によりまして私ども業者の受けました影響について申し上げます。前に申し上げました通り、対米輸出は多年宿望の市場でありましたがために、設備の合理化、近代化等には相当無理な金融によって生産態勢を整備しておるのでございます。しかもそれも多くはわれわれの生産が紡績の賃織であります関係上、その系列の紡績からの慫慂によったものが多いのでございます。 米国における日本綿製品に対する風評、すなわち輸入制限等の抑制措置がとられるかもしれぬとする動きは昨年の六、七月以来のことで、昨年末当局において輸出制限措置がとられるまで相当久しき期間がありました。ためにかえって輸出商社における先物契約の締結に拍車をかけました。従ってこれら先物契約を行なったところの商社並びに紡績は生産設備の拡充をわれわれ賃織業者に慫慂する結果となり、昨年末におきましては月産一千万ヤールを突破する態勢が整いまして、先物契約の約八、九千万ヤールに及んでいる状況でございます。しかるに今回三十一年度輸出数量を一億五千万ヤールに規制すると同時に、ギンガムも輸出数量を事実上七千万ヤールと押えられましたがために、今日におきましては本年の六月以降の操業は全く予想できぬ状況でございます。従って将来に対する不安の雲行きから、賃織工賃の引き下げはすでに行われました。なお不安の情勢を口実にして、賃織契約をますます有利に押しつけんとするところの紡績商社もありまして、われわれ業界は全くの苦境に追い込まれている現状でございます。 なお結論といたしまして、わが国輸出綿布炉戦前の品種とは一変して高級化し、数量による貿易よりも高度の、加工貿易を必要とすることは前に述べました通りでございますが、せっかく進出に成功したアメリカ市場もその数量を制限せられ、しかもその突然の措置によって受ける莫大なる損失が全部何ら責任なきわれわれ零細なる賃織業者にしわ寄せせられますることは、私どもの最も遺憾にたえないところでございます。 今回の問題にいたしましても、昨年夏、ごろ当局において今日のこの状況に対して大体の趨勢を察知されて、商社の無計画なる契約を禁止するような措置が実施されておりましたならば、おそらく今日のような私どもの深刻なる悔いはなかったと思うのでございます。
○加藤(清)小委員 ちょっと議事進行について。今だんだん承わっておりますと非常にけっこうなお話であり、またその深刻な程度は委員の皆さんのみならず、通産省の繊維局それ自体が知っておいてもらわないと困る問題が多いと思う。大体繊維局というものは、十大紡の会議にはよく出る。繊維会館にはしょっちゅうお参りするのだが、こういう実際の末端の人の苦しみというものをよく知らない面が多いと思うのです。そこでこういういいお話のあるときくらいは、忙しいだろうが、せめて繊政課長くらいはここへ来てもらって、よくお耳の穴をほじくって聞いてもらう必要があると思います。至急その手配をお願いしたいと思います。
○永井小委員長 ただいま加藤君から政府当局の関係局課長に出てもらいたいというお話がありましたが、もっと、ものことと思いますからそのように取り計らうことにいたします。 次に大石上又一郎君。
○大石参考人 私は別珍、コールテンの代表の大石と申します。 先ほど二人の方から説明いたされましたように、アメリカへの輸出制限につきまして一番やり玉に上っておるのが別珍、コールテンであります。この一つの品種がアメリカの関税委員会へ提訴されて、六月十九日ですか、公聴会を開いて輸入を制限するというまっ先にやり玉に上っておるのであります。これがためにアメリカ向けの別珍が制限されますと、これが全般の市況に影響いたしまして、昨年の十二月ごろから非常な不況に陥りまして、現在大体三割か三割五分くらいの減産をしておりまして、中には全休しなければいけないという工場がありまして、このまましばらく推移いたしますと、ある程度の倒産工場を見るということでありますが、この生産組織の状態は嘆かわしいほどこまかい零細企業でありまして、全国一府五県にわたって千二百名の織物業者が従事しておるのです。これの七割五分くらいが静岡県でありますが、工場は中小企業とはいいましても一番小さい零細企業であります。そして昨年の全生産高が大体五千万ヤールといっておりますが、そのうち輸出が二千万、その二千万の中の七百万が昨年アメリカへ輸内された量であります。ただヤードで言いますと七百万でありますが、アメリカ向けの別珍は——これは専門的になりますが、織物が高級か下級かということは一インチ間の綿糸の打ち込み本数で一番よく表わすのですが、アメリカ向けは高級品であって、一インチ間の打ち込みから換算しますと、一般の別珍、コールテンの二倍半に当る、こういう計算ができまして、私ども業者の工賃のかせぎからいってもやはり二倍半に当る、こういうことになりますと、全生産量の大体三割、それから輸出の二千万ヤールに対するアメリカ向けの高級品の七百万ヤールは五割五分に当るものであって、輸出別珍、コールテンといいますと、それが全部ストップしたわけではありませんが、今のような情勢では大体致命的な影響を受けるのであります。アメリカの生産事情は、別珍製造会社が三社あるわけでありますが、その三社のうちのおもな生産業者が関税委員会へ提訴して、日本の別珍、コールテンの輸入制限をしようということらしいのであります。私ども小さな業者の代表でありますが、別珍、コールテンという一般綿布と違った特殊織物、パイル織物でありまして、=毛という工程があるのでありますが、それが機械化されないので手工業でやっております。これにたくさんの人が従事しておるので、人の多い賃をかせぐ織物としては時代おくれの感じはいたしますが、まあ適当じゃないかという考えで従事しておるのでありますが、これに一番多く失業者が出て、最近浜松でこの業者の決起大会が催されたのでありますが、やはり問題がアメリカでありますので、内地では何とも手の下しようがないということであります。伝えられるところによりますと、アメリカの製造業者は制限しようとしておっても、輸入業者、それからなお輸入業者の次の段階の地方の商業者は制限に反対しておる、こういうことを聞いておるのであります。今問題になっておる中国貿易にしましても、その他の国の貿易にしましても大体バーターという形式でやっております。買っただけは売れるといったようなことであります。これはもっともなことでありますが、アメリカは、向うから綿花を大量に買って、そしてわずかの綿布を出すのにすぐ問題になって制限される。まあアメリカという国との貿易は政策面の取引がありますので、自由貿易とは異なりますけれども、綿花と綿布の輸入輸出のバーターということは、これはもう常識的に認めるところであります。軍需品とか原子炉とかいうものは自由貿易じゃなくて政策的な取引でありますが、綿花と綿布を見合すということは当然のことであって、これからいけば七百万くらいの別珍、コールテンの輸入が問題になるというはずはないと考えておるのでありますが、ぜひ一つこういう点を国会の方から力をつけて打開を願いたい、こう考えておるのであります。 なおこの対策としては、アメリカでどうしても制限されることを避け得られない場合は、中国貿易へ特段の考慮を願いたいと考えております。ちょうど昨年の十月、日本実業団貿易の使節が出ました。私はあの中へ加わって中国へ行ってきましたが、向うはだいぶ別珍、コールテンを使っておりまして、そのときも最初の試験的な取引ができました。それから引き続いて相当量出ておりますが、中国の貿易をはばんでおるものはやはり同類バーターで、現在活発には出ておりませんが、アメリカに制限されるのだったらやむを得ずそのはけ品を中国に求めるように努力したい、こう考えておるのであります。対米問題はわずかな数量でありますので、ぜひ打開に力づけをお願いしたい。 きょうここへ参考人としてお呼び出し願ったことを感謝いたしておる次第でございます。
○永井小委員長 次に野沢久雄君。
○野沢参考人 今まで対米綿製品等の輸出につきまして、主たる製品でございます別珍あるいはその他のことにつきまして産地の方から直接御報告申し上げた次第であります。それらを含めまして日本の綿織物の対米輸出と関連いたしまして、全体の日本綿製品の生産状況、特に綿スフ織物繊維業者の業態の内容、これらについてお話を申し上げていきたいと思います。 現在われわれ織繊業者と申しますか、いわゆる機屋でございますが、機屋で作っておりますものがどのような形で輸出をされているかということでございます。大体機屋の業態の内容は、御承知のように戦前は自分の計算で糸を買って、自分の計算で輸出市場に販売をしていたという形態が主として行われておったのでございます。戦後いろいろ業態の編成がありまして、現在では、そのような自主的な営業をしておる業者が比較的少くなりました。端的に申しますと、機屋というものの力が非常に弱くなりまして、関連業者であります紡績業者あるいは輸出商社の支配下において仕事をするということの現状に追い込まれたのでございます。でございますが、いかような形であっても、自分の工場で自分の創意工夫において製品を作っていることは、戦前も現在も変りございません。最近二、三年の数字を申し上げますと、大体二十八年ごろの全体の日本の綿織物の輸出が九億若干の数字でありますが、この中で、いわゆる機屋が作って出したと思われる数字が約半数以上ございます。五三%ぐらいになろうかと思います。この数字は今申し上げましたように、輸出する場合に機屋が実際作って売った数字とかあるいは紡績が一貫作業で作ったという数字の統計のけじめが非常にとりにくい。と申しますのは、機屋が原料と申しますか、生地を作るわけでございまして、その後にさらし加工であるとかあるいはいろいろな加工段階を経まして、輸出商社の手に渡りますので、輸出商社の手に渡ったところでは部分的にはどこの製品であるということがわかりにくいことになっておりますので、相当推定が入っておりますが、それにいたしましても、半数以上のものが機屋の零細業者が作った製品が輸出されております。昨年度の実績から申し上げますると、ただいま申し上げました推定からいきますと、全輸出織物の中で六三%程度はこの零細な機屋が作った製品が輸出されているのです。現にそれらの工場が動いたものが輸出されているということに相なっておるわけでございます。今申し上げましたのが、全世界に対する輸出の数字でございますが、この傾向が今問題になっております対米関係のもの、アメリカ輸出関係のものについて考えてみますと、そのパーセンテージがより高くなって参ります。昨年度の輸出実績から推定いたしますと、全体としては六〇%程度でございますが、対米向けのものだけについて見ますと、七割四分くらいがこういう弱小業者の作った製品が輸出されているのだ。先ほどからお話し申し上げておりますような播州の先染め製品であるとか、あるいは別珍製品というふうなものは半分手工業的な製品でございます。従って、いわゆる大紡績業者がマス・プロで作れる品物ではございません。この製品を作りますには、どうしてもこの中小機業の業態を動かしていかなければ、この製品はできないのだ。しかもそれらの製品が、先ほど藤原参考人からも申し上げましたように、世界の綿製品の需要というものが次第に高級化している。反面複雑な製品になってきている。従って、むしろばたを織るようなことで、どんどんマス・プロをしていくという品物ではなくなりつつある。どうしてもいろいろの手を加えて工夫をこらしていろいろなものを作っていかなければだれも買ってくれないのだ。従って、それらのものを輸出するためには、どうしてもこの中小機業者を生かして使っていかなければ今後の輸出対策というものができないということをこの数字の上ではっきり御認識ができるのじゃなかろうかと思います。以上は機屋で作っている品物がどのような製品をどういうふうな程度に作っているかということを大体申し上げたのでございますが、さらにこの数字を日本の全体の輸出量のパーセンテージから推定してみますると、われわれが聞いている数字では、日本の綿製品の全輸出量に対する比率は約二割弱ということであります。一割六、七分が全日本の輸出量に対する綿織物の輸出金額であるというふうに聞いておりますが、それらの数字から考えてみますると、この小さな機屋が作っていた製品が、全日本の輸出量の約一割程度の金額に相当するということが言い得るのじゃなかろうかと思います。 話をちょっと変えまして、しからばわれわれの業態が今どういうふうな内容になっているかということを御参考のために申し上げておきますと、いわゆる綿織物、スフ織物機屋というものは現在日本に約一万七千工場ございます。それでその一万七千工場が約三十五万台の設備を持っております。平均いたしまして、一人約二十台くらいの設備で稼働している、こういう現状でございます。それが今問題になっております別珍あるいは先染め関係はどういうふうになっているかということを申し上げますと、この別珍先染め等の製品は今申し上げましたように、非常に手数がかかる、マス、プロができない品物であるということのために、平均よりもさらにその規模が弱小な零細業者が多いということが言えるのでございます。別珍について申し上げますと、今別珍を作っている工場は約千百工場ございます。この千百工場で何台の設備を動かしているかと申しますと、一万八千台くらいのものを動かしております。このアベレージをとりますと、一工場十六台に足りない、大体こういう規模でございます。先染めについて申し上げますと、工場は約四千工場でございます。この設備台数が約五万台、従いまして、平均一工場の設備というものは十三台程度になってしまう。中小機業と申しますか、零細工場が今申し上げましたような、全日本の輸出の一割に相当する輸出製品を作っているというのが現在のわれわれの業界の内容でございます。それで最近米国の問題が出て参りまして、いろいろ各産地から申し上げましたような影響が出ておるのでございますが、端的にわれわれの側から申しますと、輸出価格であるとか、あるいはまたアメリカの現地相場、これは直接われわれの方には関係がないのでございますから、はっきりしたことはわかりにくいのでございますが、数量はだんだん向うの規制によって減っている。数量が減っただけ加工賃の方でふえてくれれば、零細な機屋も何とか飯を食っていけるということでございますが、現在の状況はそれに全く相反する状況でございます。数量は減っていく、加工賃は下っていく。これは申し上げるまでもなく、今申し上げました非常に多くの弱い業者の集団でございますので、数量が減っていきますると、逆にその数量を獲得するための過当競争が当然ここへ出て参ります。従って数量が減って値段が上るのでなくて、数量が減って加工賃が減っていく。こういう現象が現われてくるわけです。今の先染め製品、ギンガム製品で申しましても、このギンガム製品——今このギンガムと申しますのは四十番の糸を使いまして幅を四十七インチくらいに仕上げる織物でございますが、われわれの方で考えておりまする適正加工賃は、ヤール当り三十円くらいはどうしても要るのじゃなかろうかというふうに考えておるのでございまするが、とても三十円というものはいただいておりません。よかったときでも去年あたり二十三、四円いただいておったのでございまするが、それが現在では十八、九円きりいただいてない。数量は昨年より何割も減って、しかも加工賃がそのように安くなっている。さらに別珍等について申し上げますると、平別珍でございますが、大体五十五円くらいの加工賃をもらえば、まあ機械の償却くらい少しはできるだろうという加工賃でございます。この加工賃を現在では三十円ちょっときりいただいておりません。昨年は割方別珍の輸出も多かったのでございまして、景気もよかったのでございまするために、大体五十五、六円のいわゆる適正加工賃をいただいておったのでございます。この昨年来のいろいろな問題の発生以来、逐次加工賃が下ってきました。現在では三十円から三十二、三円、適正加工賃の六割くらいの加工賃きりもらっていない。この結果はどういうふなところから原因してくるか。今申し上げましたようなわれわれ機屋自体の内部構造、内部組織、その機構等による過当競争、これも非常に大きなファクターになっていることは当然でございまするが、またこのような輸出の規制と申しますか、貿易の一つの行政方針、これらの設定の場合に、今申し上げましたような輸出産業の実態を把握されたいろいろな施策が、伴って行われなかったのではなかろうかということをわれわれは考えざるを得ない。われわれのやっている輸出に対する貢献度、その重要性、これらのものをもっとよく認識されて、一つは中小企業対策という面からもお考え願いまして考えていただいたならば、このような苦しい仕事をせぬでも経営できる方法があるのじゃなかろうかということを痛切に考えている次第でございます。今後の打開策としては、今別珍の方から申し上げておきましたような市場の新規開拓の問題、これらのものも当然あろうかと思います。また反面中小企業に対する国としてのいろいろな考え方、具体的に申し上げますると昨年来実施しておりまする例の中小企業安定法の実施の問題、さらには将来の問題でございまするが、今国会において御審議願いまする例の過剰設備に対する関連法案、これらの問題につきましても、この中小企業が十分生き得る道を御研究願いまして、御指導あらんことを切にお願いいたしまして終ります。
○永井小委員長 参考人の方々にお願いいたしますが、陣述された内容及び繊維関係についての必要資料を整備いたしまして、全委員に渡るように、一つ部数をまとめて本委員会に出していただければ大へん仕合せだと思います。今の統計や何か、一つ御整頓をお願いいたします。 次に高見重義君。
○高見参考人 繊維輸出に関する問題について私も参考人としてお招きになっていたと思うのでありますが、先ほどの委員長のお話によりますと日中問題、貿易問題というような話でありますので、私が関係しております新発足の組合の大体の性格なり今後の日中問題、貿易問題をごく概略申し上げたいと思うのであります。 この組合は中国の国営貿易に対処いたしまして、日本も極力自由貿易というものを調整していく必要がある、すなわち各商社が勝手に商売をされて、中国に対しまして安く売り、また高く買わされるというような弊害を除去するために、窓口一本というようなこの組合ができたわけでありまして、この組合はすなわち各商社の取り扱われるごころの商品の品種とか数量とか、あるいは価格とか、あるいは決済条件とか、いろいろな取引条件の調整をはかっていくというのが目的でありまして、かたがたこの方法によりましてできるだけ日本側といたしましては高く売り、安く買う、中国の国営貿易に対しましてこちらはそういうような心構えで極力いこうではないかというような趣旨であります。かようにいたしましてできるだけ拡大貿易をやっていく。従来のような縮小ということを飛躍いたしまして、極力拡大貿易を促進していくということと、さらにもう一つ大きな問題は、自由主義圏貿易はいわゆる弱肉強食と申しますか、自由主義のために優勝劣敗ということがやむを得ないのでありまするが、対共産圏の貿易は極力日本の中小企業を生かしていく、すなわちあまりに極端な優勝劣敗というものはできるだけ避けていくというのがねらいでありまして、こういうような観点からこの組合が実は結成されたような次第であります。現在組合員は百七十社あるのでありまして、これは日本全国一円、そして中国の国営貿易機関でありますところの十五の公司に対応いたしまして、日本側は十四の部会というものを作っております。すなわち輸出の方におきましては七つの部会——これを具体的に申し上げますると、農林水産物輸出部会、重機械金属輸出部会、軽機械器具輸出部会、繊維輸出部会、化学肥料輸出部会、さらに化学薬品輸出部会、最後は雑品輸出部会、この七つの大別した品種別の部会を作っております。それから輸入の方におきましては、米の輸入部会、塩の輸入部会、大豆の輸入部会、農林水産物輸入部会、石炭鉄鉱石輸入部会、さらに工作物輸入部会、最後に雑品輸入部会、この七つの輸入部会、計十四の部会がそれぞれ中国の十五の各貿易公司に当りまして、おのおのその所属商品を取引するというような建前になっておるのであります。現在までのところ、この組合の運営はまだ発足まぎわでありますのでその方針通りにはなかなかいかないのでありますが、さしあたり先般九月に田島団長一行が契約されましたいわゆる田島議定書というものの残務整理、かたがた今後のこの第四次貿易協定に対するいろいろ準備態勢を今整えておるのでありまして、田島議定書の方は大体できるものは一応出尽しております。ただ特需問題とか、いわゆるココム製品とかというものにつきましてはなかなか問題が複雑でありますので、われわれ組合の力ではできがたいという大きな盲点があるのでありますが、この点につきましても国際貿易促進協会並びに議員の先輩方にお願い申、し上げまして、これが解決に実は努力している次第であります。第四次議定書につきましてはいろいろの観点から批判もあり、また御意見もあると思いますので、われわれといたしましてはなかなか申し上げにくいのでありますが、いずれにいたしましてもこの日中貿易の拡大、そしてあわせて先ほど申しましたような趣旨によりまして、極力この組合はその運営を飛躍的に強化していきたいというつもりであります。 以上をもちまして終ります。
○永井小委員長 これをもって参考人の御意見の御開陳は終りました。 質疑に入ります。通告がありますからこれを許します。なおこの際小委員外の商工委員の方々の御発言も随時これを許すことにいたしたいと存じますので、御了承を願います。質疑はできるだけ簡潔にして、できるだけ深く、広く進めていただきたいと存じますので、そのようにお願いたしたいと存じます。 なお参考人の方で発言を求められる場合は、小委員長に発言を求めて御起立を願いたいと存じます。 それでは通告がありますから、通告順に発言を許します。阿左美君。
○阿左美小委員 輸出課長さんはお見えになっておりますか。
○永井小委員長 繊維局繊維輸出課長が見えて陥ります。
○阿左美小委員 ただいまいろいろ参考人から現状についての御意見をつぶさに承わりまして、私はもはやこれは業者の手においてこの問題は解決はしない。これはどうしても政策輸出である。これはどうも政府に附いての手段によらざれば、この問題を解決するということはでき得ないと信ずるのでございます。わが国の繊維製品が今まではコスト高であって、外国市場に競争はできないというようなことを多年言われておったのでございますが、現在では技術も非常に優秀である。価格も国際価格を下回っておる。つまり相手国が輸出を制限するということは、すでに国際的にわが国の製品が勝っておるということを物語っておることと思うのでございます。こういうような優秀なる製品は、経済の常道によりましてよい品を安く売りますれば、これは世界いずれの国においても市場はあるはずであります。それを制限されるということは、これは業者の手においてはもはやどうすることもできない。これは国の一つの政策のもとにいかなければならないということを深く痛感をいたした次第でございます。こういうような問題は政府において解決すべきだと思うのであります。わが国の現在のこの繊維製品は中小企業の唯一の事業でございまして、ことにわが国のは、非常に手工業に対しましては経験もありますし、非常に訓練をされておりますので、もしこういうような輸出が制限されるということになりますと、この播州のギンガム、また別珍というようなものは確かにこれは機械的の工業ではないのでありまして、すべて手工業の技術的の事業でございます。こういうような事業は現在の中小企業といたしまして、ことに繊維事業としては、わが国としてはたっとい事業でございまして、とかく中小企業のうちの繊維業は、大商社とかあるいは大メカーとかというようなものの犠牲が全部末端の中小企業に負わされているということは、ただいま参考人からも申されましたが、その通りだと思います。そういうようなことを悪じいにしいられるということは、国の施策の誤まりではないか、こういうふうにも考えます。私は、本日のこの参考人のすべての御意見は確かに現実を物語っておるのでございまして、これは政府におきまして直ちに取り入れられまして、すべて諸外国に対するところの政策に対して大いに努力をいたさなければならぬと思うのでありますが、この点に対しまして輸出課長の大城さんに一つ私お尋ねするわですが、現在どういうようなことを相手国に対して政府はなしておるか、また見通しはどうであるかということをお伺いする次第であります。
○大城説明員 ただいまの御質問でございますが、政府といたしましては単純な考え方でなるべく制限をやるというような考えではありませんので、アメリカの今回の問題が起りました際に、先ほど参考人からもあるいは申されたかと思いますが、特に向うの理由としますプリント・クロースとギンガムというものが、向うの産業と競合いたしますので一番問題になっていたわけでございます。その関係でそのプリント・クロース、それから申し忘れましたが別珍と今のギンガムについては特別の調節をしなければならないということは、これは単に政府が考えたのみでありませんし、これは業界からアメリカへ視察に参られた方もそういう感じを調査の結果得て帰られたわけでございます。そういったわけでその三品目の調整を特に考えていたわけでありますが、しかし一般に今申されましたように、特にギンカム、別珍というようなものが中小企業に制限の結果がしわ寄せされるということは、通産省のわれわれとしてもよくわかっていたわけでありまして、そういった点を特に見まして、アメリカの輸入制限というものが、われわれの立場から見まするとはなはだ理の通らないものである。日本としてはアメリカからすでに多大の輸入をいたしております。輸出はその三分の一にも当るかというような状況でありまして、その日本の理のあるところは通産省から外務省を通じまして現地の大使館、領事館から向うの政府にももちろん伝えてございますが、ただ今回の向うの輸入制限の運動というものが、製造者の組合とかあるいは労働組合とか、そういったようなものの運動でありまして、それが議会の方に反映いたしまして、輸入制限の法律を出すというような政治運動になった関係がございまして、直接こちらから向うに対して交渉する相手が、つかみどころのないようなところでありまして、従って直接向うの運動を取り下げてくれというような交渉が、進むにつれて非常に困難があることはいたしかたがないところでありますが、単に今申しました、向うの政府にいろいろなことを申し入れるのみならず、現在政府も協力いたしまして、アメリカの一般大衆に訴えるようなある種の運動を今やっておるのでございます。それにつきましては業界からも代表が参りまして、向うのその運動のやり方についてこちら側の希望も出し、向うの運動が円滑にいくように、向うにおいて調節しております。もちろんこれにつきましては出先の大使館、領事館、それから海外貿易振興会のトレード・センター、日本の商工会議所もこれに協力して、輸入制限の運動をなるべく押えるようにやっております。その面において通産省といたしましても、うしろからこれを指導をし、あるいは援助をするといった事情でございます。
○阿左美小委員 私は、業者の意見はまことにごもっともな意見でございまして、単に輸出課長さんにのみお願いをいたしたところが、これはどうにもならぬと思うのでございます。これは通産省、外務省協力いたしまして、現地に対する運動をもう少し積極的にやる必要があるのではないか。そういたしますれば、何らかの道も自然開けるし、解決する問題と思うのでございますが、参考人からも申しました通り、播州のギンガムのごときものは先染めでございまして、聞くところによりますれば、注文を受けたものまでも破棄されるというようなことになりますれば、業者の損失は莫大なのでございます。こういうようなことをやられましては、中小企業としてはもちろん立っていけないのでございますから、こういうような面に対しては、政策的に何らかの道を立てていただかなければ、業者は立っていかれないのであります。どうか今後大いにこういうような問題に対しては政府は取り上げていただきまして、相手国に対する強い要望と解決を希望いたしまして、私の意見を終ることといたします。
○永井小委員長 加藤清二君。
○加藤(清)小委員 私の意見も、ただいまの阿左美同僚委員の意見とほとんど同じでございます。由来政府は輸出振興を品になさいます。その場合に、輸出に阻害になるものは、日本の製品が粗悪にしてコストが高いからだ、その原因は工賃が高いからだ、こういうふうに公式論をおっしゃいます。ところが事繊維に関しましては、この公式論は絶対に当てはまらないのでございます。製品がよろしくて、コストが安すぎるので、今日のこの問題が起きているのではないか。それなるがゆえに、アメリカも日本の業界の進出をおそれ、イギリスも日本の業界の進出をおそれるがゆえに、アメリカは輸入制限に出ようとするし、イギリスのランカシャーを中心とした勢いは、ガット加入に対して三十五条の適用をしようという挙に出ておるではないか、こう思われるのでございまするが、この日本の繊維製品が品質がよく、コストが安いという原因が一体どこにあるかということを、果して繊維局はお考えになったことがあるかないか。もしあったとするならば、一体それはどこにあると曲考えになるか。それをどう是正しようとしていらっしゃるか。しかしこれは輸出課長さんには無理な質問だと思う。私は大臣にこのことを再三お尋ねもし、施策の手の打ち方も要請してきたわけなのでございまするが、輸出課長としての御意見をこの際第一番に承わっておきたいと存じます。私の考えましたところ、私の見ましたところでは、これは決して紡績は損しているわけではない。輸入面とこれに加える工賃と紡績から出ますところの三品市場における糸値、このそろばんをはじいてみれば、決して損はしていない。特に毛においてしかりと言えますけれども、きょうは綿のことが主体のようでございまするので、綿といえども二十番手で七万円台であれば、十分そろばんははじける、私はこう見ている。ところがこれが機場へ渡り、最終仕上げ部門へ行き、やがて第二次加工へ渡りまして、いよいよ輸出ということになりますると、ほかの国との比較において、糸値の比較と製品の比較とに附いては大きな相違がございます。糸値の場合は、よその諸外国の紡績と比較した場合に、そんなに下っておりません。ところが製品になりますと、ぐっと下ってくる。一体この原因はどこにあるか。それゆえに紡績と貿易商社の間における加工業者は、常にこの曲かげで苦しんでおる。この苦しみ方を称して原料高の製品安と言う、自転車操業とも言う。これが強制的に参っておりまするので、系列の中に入らないと生きていかれないという現実を出来させておるのであります。これはやがてそこに働かれる中小企業、そのまた下請の零細企業、そこに働く女工さんたちをして、大紡績の工賃とこんなに大きな相違を来たし、女工哀史は依然としてここに残っておる。これが現実なんです。私はそう分析して陥るのでございます。もし間違いであるとおっしゃるならば、否定されるところの材料をここへ提出していただきたい。もし私の言うことが事実であると認定なさるならば、これに対する施策は果して今まで通りでよろしゅうございますか、いかがなものでございましょう。手放しでけっこうでございましょうか。これを近ごろ行われるところの設備制限だけで解決しようなどとはおこがましさもはなはだしいと言わざるを得ないのでございます。これについてどう考えていらっしゃるか。 次に、今申し上げておりますることは、だんだんの今までの業界の代表の方々の切なるお訴えによって裏づけられて齢ると思いまするが、もう一つこのたびどうしても考えなければならないことは、国内的にそのようにしわ寄せされておるところの中小企業が、アメリカに対する輸出制限のおかげによって、これに一そう拍車をかけられておる、追い打ちをかけられておるということでございます。ギンガム初め別珍、コールテンその他あまたのものがございますが、それが総体の輸出の五五%とかあるいは自己生産の半分を断ち切られたということになりますると、この業界は自然に消滅せざるを得ないという状況に追い込まれるわけでございます。今でさえも承わればせいぜい大きくても二十台、少いところは十二、三台平均だという話だ。この機場を持った方々が半分制限されたら果して今までの経済単位が保てるか保てないか。輸出が制限されれば、あるいは生産が制限されれば、自然に需要と供給の関係で値上りがこなければならないのに、逆に値下りがくるという原因がここにあると私は思うのです。なぜかならば、設備台数、生産能力というものを保っていこうとする場合においては、どうしても注文取りの競争が行われる。生きていかなければならないのです。そうなりますると、仲間同士が出血を知りつつやむなく商社にたたかれていかなければならない、こういうことでございまするが、これを設備制限ということだけでもって解決できることとお考えございましょうか。この点は政策面から繊政課長に尋ねたいのでありますが、この点とくと御考慮をいただいておかないと、次に行われまする繊維産業安定対策をいかに行なってみたって、これは絵にかいたもちになりそうでございます。
○大城説明員 ただいまの御質問は三つあると思いますが、第一の、日本の特に綿布がなぜ安いかという御質問でありまするが、これはもちろん外国から比較いたしますと労賃が安いとか、それから積極面には日本の設備が戦後のものであって非常に優秀であるという点がございまするが、その他リンク制というものがございます。紡績が出ますときにある程度の二重価格というもの・がありまして、この点が海外からの非難の的となっておるのでありますが、そういったような点もございます。しかし一番の点は何と申しましても、輸出課長としての返答でよろしいということでございますから、その面から申し上げますと、日本におきましては貿易商社が非常に多数でありまして、海外に対して非常に競争が激甚でございます。そのために高く売れる場合にも、往々にして安値のオファーをするという点が、輸出価格という面から見ますると一番の大きい原因だと思います。それにつきまして私どもといたしましては、なるべく輸出面においての、安値売りを防止するような対策を立て、また業界の指導もその点に重点を置いておるのであります。御承知のように輸出入取引法というものができまして、あれによりまして業者の協定によって輸出の秩序を正し、そして価格も自然安定させ、かつ利潤もなるべくたくさん取るようにというふうなことも、輸出入取引法の活用によってできると思っております。またその意味において輸出入取引法は政府としてもなるべく活用して、業界がうまく協調して、なるべく高く、しかも安定した値段で売る、こういうふうに持っていくように指導しておるのでございます。 第二の問題は、原料高の製品安という点でございまするが、これはまことにおっしゃる通りでありまして、私としても絶対否定いたしませんし、また何人も否定し得ないところだと思いますが、たとえばスフ綿なんかも高くて売れない。ところがスフ織物になりますと、けっこう外国と競争し輸出できるというような点は最もいい例であります。今例にとられました綿糸から綿布、それから二次製品、こういう階段をもって加工度が加わるに従って日本の品物が海外と比較して安いということは、もちろん日本の労働賃金が外国より安いということもありまするが、しかし同時にまた、これは先ほど申しましたと同じような、いわゆる輸出に対する競争が激しいということで、自然そのしわ寄せが力関係で弱い面に及ぶ。たとえばせんだって一番問題になりましたブラウスなどの例をとりましても、最初は非常に高かったわけでありますが、これがだんだん安くなってきた、というのは、高く売れるものをだんだん安くしてきたのであります。それは何かと申しますと、みな競争してなるべく商売を多くとろう、すなわち競争が激甚であるから自然窓口の面から安くなる。そうしますとそれがだんだんかえって安くなる。こういう状況であります。現在でもたとえばギンガムを作る機屋の関係などより、さらにボタンをつけるとかネームを入れるというような工賃なども、私ども聞いて、実は驚くほど安いような実情だそうでありますが、これなども要するにすべては競争からきているわけであります。従って私どもとしては、対米の制限の場合などでなくしても、一般になるべく競争を少くするというような方向に持っていきたい。すなわちなるべく協調して輸出するように指導する。そういう方針で参っておるのであります。 それから第三の対米等につきましてギンガムの輸出を制限すると被害は自然機屋にくるということでありますが、先ほど申しましたように、キンガムが一応制限されるようになったというりことは、アメリカの産業と競合するから特にギンガムというものが浮び上ってきたわけであります。これは輸出の実績から見ますと、本年の対米輸出は一応制限するといっておりますけれども、昨年の輸出は億三千八百万でございますが、そのうち一インドネシアに出ておるのが相当ありまして、アメリカに出ましたのは正味一億一千力くらいだろうと思います。そうしますと、ことしきめた一億五千万というものは、昨年の、輸出実績から見ますと、ほとんど三割近くも上のものであります。そういう面から見ますと、実は制限でないわけであります。ところがまたギンガムも昨年は五千万前後だったと思いますが、それを本年は大体七千万ということに一応きめたわけであります。これは輸出のトータルから見ますとそういうことになるのであります。制限というのは何かと申しますと、昨年ギンガムが向うの需要に乗りましてこちらの設備がだんだん大きくなってきたわけであります。そうしまして九月、十月ごろから一カ月の対米輸出量が五百万とか六百万というふうになった。従ってそのペースをとつてみますと。本年の七千万、これは確定はいたしておりませんが七千万というものは削減だ、制限だ、こういうことになるわけであります。私どもは今から振り返ってみますと、昨年アメリカの需要がある、注文があるというのに乗っかって設備を増強したという点に実は問題があったわけであります。その点は通産省といたしましてアメリカのこの事態を見て、あまり設備を増強しないようにうまく行政指導をすればよかったわけであります。もちろんそういうことがあっても、そういった指導はなし得たかどうかということはわかりませんが、これは過去のことなのであります。そういったわけで、私どもといたしましては対米の輸出調整というものはやむを得ざるものでありまして、これは単に制限のための制限ではありません。もしアメリカの運動を日本の自制によりましてある程度押えることができるならば、アメリカという国は人口も大きくありますし、将来需要の増加という可能性も非常に大きな大切なマーケットでありますから、今後はだんだんにふやしていくことができるではないか、こういうふうに思っているわけなのであります。 それからさっきの値下りの点でありますが、これは今のように昨年の後半からの設備増強とかんがみまするときに、今輸出がギンガムの一番の市場であるアメリカにおいて制限されるということになりますと、値下りになるという点はごもっともでありまして、その点におきましては、おっしゃる通りその設備の制限だけでは解決できないという点もあるでしょう。この点輸出課といたしましては、別な方面でいわゆるその企業に対する対策といたしまして、対米の制限と一応切り離して何らかの対策を考究中と思っておりますし、私もそのように希望してい次第であります。
○大石参考人 中小機業の問題については、ただいま加藤先生の御意見の通りで、私ども年中紡績との関係を見ますと、三百六十五日、糸高、われわれの作った布安に苦しんでおります。そうして系列に入りましても、商社、紡属との工賃の交渉はただごきげんをとる以外に何ら対抗の方法がない、こういうことでございまして、これをよく考えてみますと、生産を調節る場合に、今の私どもに与えられた法律は中小企業安定法がありますけれども、商社、紡績、織り屋、この群れを見ますと、紡績は全国で百三十社、商社はただいま日中貿易の組合員が百二十とかいいましたが、百社から五、六百社という数であります。そこにいくと織り屋は一万七千という数がある。もう一万七千ということになると、業者というよりも大衆でありまして、商社、紡績を指導するように自覚で指導するといった行き方でも、百や百五十の数だったらいくと思います。その通り紡績の今の操短を見ましても、あの糸高でわれわれ苦しんでおりますが一割二分なら二分の操短を実施するといえば、月産十九力という綿布のコリ数が十七万コリに減るというのですぐ効果は現われておりますが、私ども中小企業安定法で相当強く業者に組合の幹部として指導も監督もしても、一万七千という大衆ともいえる業者では、容易に監督ができないので生産がなかなか減らないのであります。今後生産過剰に対する法律につきましてはそれぞれ業態に合った法律を出してもらいたい。紡績、商社、織り屋この三つを指導取り締っていくについては、同じような法律では——だんなと町の市井の小市民といったような人を同じように向けていくには一つの法律ではだめなのです。私どもの仲間は一工場八台か十台持っていまして、労働者でもあれば経営者でもある、こういう中小機業群を取り締り監督していくに適当な法律を出してもらいたい。これ以外にはないと考えておりますので、ぜひ一つこういう安定法にしても中小機業の群れに合った行き方を考えてみなければいかぬ、こう思っております。
○加藤(清)小委員 同僚委員もずいぶん質問があるようでございますので、要点をかいつまんでお尋ねいたします。ただいまの大石さんの御意見ごもっともでありますので、法律の審議に当っては十分業態の、実態を把握して審議してみたい、かように考えておるわけであります。 そこであともう三点でありますが、その第一は日本の商品が品質がよくて価格が安いということ、それから生産設備ないしは生産の数量が多いということ、この問題は一体だれのおかげで、何が原因でそうなったかということを一応振り返ってみますると、安いということはこれは中小企業みずからがおのれの商品を安くしていったという向きも、それはなきにしもあらずであります炉、これは商社にたたかれるからこれでは損するけれどもやむを得ぬ、やむを得ぬということで、やむなく生きんがためにだんだん安くしていった。結局これは商社がたたくというところに安くなる最後的な原因があるのじゃないか、おのれみずからそんなに安くしょう、これ以上工賃を切って売ろうなんということを、機場でも、最終仕上げの染め場のところでも考えているような人は一人もいない、高く売りたい、高く売りたいと考えておる。けれどもたたかれるからやむを得ず安く売る、こういうことなんです。それから今度は数量でございますが、まず設備の数量、これはふえたからいけないとか、多いからいけないとかいう話を聞くのでありますが、これはしかしおかしな話で、たとえば今のギンガムをとりましても、 コールテン、別珍をとりましても、向うに安売りするからどんどん売れていく、品物は中小機業の方々が一生懸命になって作った品物だからどんどん売れる。売れるから、さあ今度はこういうものがこれだけ売れるから、一つこれだけ注文するので、君のところは借金、質に置いても、銀行から借りてでも何とかして設備をふやせと言われるものだから、しかたなしにふやしていくのだ、何も向う見ずに買ってくれる相手もないのに、中小機業が設備をふやしたのではないのです。そう考えていきますると、安売り、それからそれに一そう拍車をかけるところの設備が多いということ、この相関関係ではあるけれども、とにかく原因は中小機業おのれみずからではなくて、商社にある。大きくその原因が商社にある。この商社の問題はやがて輸出課長に関連してくるわけなので、商社指導ということをよほど懇切丁寧におやりにならないというと、これはどのように設備を制限したって永久にこのことは絶えない、こう思われるわけでございます。これについて所見を承わりたい。 それからもう一つアメリカが日本の商品を禁止しようとしている原因、あるいは制限しようとしている原因、それが安くて品物がよいというこちら側の原因と、今度は向う側に大きな原因があるということを、あなたは特に政府側は認識してもらわないと困る。その内訳を詳細に申し上げる時間がございませんので、簡単に項目別に言いますと、第一にこれはアメリカの綿業政策の失敗なんです。コットン・フアーマーを助けるために、高く綿花を紡績に買わせている。これが第一の原因なんです。だから日本の安い商品とは競争ができない。それからもう一つはほかの厚地の布=のようにマス・プロでできるものでしたら、これは問題じゃないでございましょうけれども、少くとも文化とともに進みつつあるこの繊維、それは手工業を一そう今後要請してくる。この手工業はアメリカの賃金高によって必然規制されてくる。それでコストが高くつく。これと日本の安い商品とは競争ができないということなんです。ここに大きな原因の二つが、波打ちぎわの向う側にあるということを考えてみなければならぬと思うわけでございます。さてそうなりますと、これを交渉するに当って態度が変ってくるわけです。原因がこちら側にあるというのと、向うにあるというのでは、交渉の態度が変ってくる。やむを得ない、制限のための制限ではございません、こうおっしゃるけれども、これは向うのことなんです。ところで、向うだけをもう一つ分析してみると、反対者は同業者だけなんです。自由経済学者は日本商品を制限することは、これはアメリカ国民にとって不幸なことになると言っておる。すなわち品質がよくて、コストの安いものをアメリカ国民に与えることは、アメリカ国民に与えられる恩恵である、従ってこれを制限することは、その恩恵を削減することである、これはアメリカ国民にとっては不幸なことである、このように述べている。きのうの繊維局長もこの発表を知ってか知らずか、わざとこれを向うの状況説明の中に入れていない。おかしいのです。もう一つ言えば、可燃性繊維のときもそうでございましたが、向うのエージェント、日本の商品を扱っているところの商社、これは制限されることを歓迎していない。従って日本政府ではもうちょっとPR運動をよくやって、そして政府のみならず、商工会議所等を動員して、向うで日本の商品がもっと売れていくように努力することが輸出課長の責任ではないか。輸出課長は繊政課長やその他の方と同じような考えでおって下さっては輸出は伸びない。あなたは、特に繊維の輸出振興の最高責任者であるわけたから、こういう点をよく勘案されて、輸出振興に一そうの努力をしていただきたい、こう思うわけでございます。その他お聞きしたいことはあまたありますけれども、これは時間の関係上別の機会にでもお尋ねいたします。
○大城説明員 最初の御質問の商社指導の点でありますが、これは先ほどちょっと触れましたように、私どもといたしましては、なるべく高く売ろうという方面に指導していることは申し上げた通りであります。たとえば価格の審査もやっておりますが、これ自体もなかなか守りがたい。これは商社の方であの手この手を考えるわけなんでありまして、そういった点のみでは、やっていけないということで先ほど申し上げましたように、なるべく業者で協定をやりまして、高く売るようにやっていく、こういうふうに指導しておるわけであります。例をとりますと、たとえばアラウスなんかでありますと、アメリカでは同じ品物が大体二ドル見当でございます。それを日本はなぜ九十八パーセントで売っているかとうい点も競争が激しいからそうなったわけであります。それから手袋なんかも非常に安く売っている例があります。それからピロ・ケースというものも非常に安く売っている。これはみな競争してやっているからであります。そういう面で、もちろん自由貿易を制限するという方向に持って参ることはできないのでありますが、商売に参加するものがなるべく協調して、場合によっては相談し合って売っていくというふうに指導しておるわけであります。 それから第二点の問題は、PR運動のことであろうと思います。これは先ほども申しましたように、私ども通産省といたしましては、外務省を通じ、向うの政府にはもちろん日本の意のあるところは十分伝えておるわけであります。従って向うの政府はアメリカの制限運動、特に議会に提案されております法律に対しては、反対の態度を表明しておるわけであります。大統領しかり、ダレス国務長官しかり、またせんだって向うで日本の繊維製品輸入制限法案の公聴会におきまして、農務次官補は日本の繊維製品に対する輸入制限は反対であるという政府の見解を公式に表明しておる次第であります。その他につきましては、先ほども触れましたように、大使館、領事館はもちろんのこと、商工会議所、ジェトロの出先といったものと、みなが協調いたしまして、PR運動をすでに開始いたしておるわけであります。この点は日本において対米PRをやるぞということを発表し、あるいは大々的にこれをやっておるということを申しますことは、かえって向うにそれが伝わりますと、手のうちをあかすようなことになるわけでありまして、その関係で国内においては、派手に申し上げていないわけでありますけれども、米国においてはすでに開始しておるのであります。
○永井小委員長 質疑については、できるだけ参考人を中心にお願いします。次に松尾トシ子君。
○松尾小委員 私はこの際高見参考人に二点お伺いいたしたいと思います。先ほどの御説明にもございましたように、高見さんは自由貿易を調整上ていく必要があるので、商品別とか、価格、数量、支払い協定などをよく調整してやっていきたいとおっしゃいました。この意味から私は一、二点お尋ねをするのですが、第一にお尋ねしたいことは制限物資に対するあなたの組合の態度についてお伺いしたいと思います。ただいまの御説明によりましても、調整はしながらも拡大貿易に持っていくのだとおっしゃいました。また組合の定款の中を拝見いたしましても、貿易の促進をはかるとうたつておりますが、一体この際専務理事としてのあなたは、制限品目の緩和とか撤廃とかいうことを促進する御意思があるのかどうか。またそれが制限をされっぱなしで、はいはいと受けていたのでは定款にうたってある輸出の促進、貿易の振興というわけには参らないと思う。これには何か具体的の措置についてのお考えがあると思うので、この際これをお答え願いたいと思います。
○高見参考人 ただいまの御質問はまことに痛いところをつかれておるのでありまして、私どもは説明し得る限りのことだけは御説明申し上げたいと思います。制限物資の問題につきましては、もともと国際貿易促進協会とか、あるいは今ここにおられます帆足さんの関係している議連、この大先輩の方方が、極力この解除に大わらわになって御活動になっておられます。組合もそれに歩調を合せて一応の活動をいたしておるのでありますが、何分組合の性格が相当政府の行政指導ということと、またその活動が定款並びに改正輸出入取引法によって、制限されているという点がありますので、自分の思うような活動ができないということをはっきり申し上げていいのじゃないかと思います。しかしこれをできるだけ線に乗せたいと思いまして、実は三つの方法があるのでありまするが、この国際的なココムの問題、それからまたもう一つは国内政策上、国際的なココムにひっかからない物資でもやはり輸出禁止というような物資があるのでありまして、われわれ組合といたしましてはできるだけ第二の方の問題の解除方を推進しておるようなわけでありまして、いわゆる特認申請という形で今これが打開に努力しております。ただ国際的ココムの問題になりますると、相当影響あるいは反響が大きいと思いますので、どの辺までわれわれが活動していいかということは、なかなかわれわれといたしましては判断しかねますので、そういう点をむしろわれわれの方で教えていただきたい、こう考えるのであります。それから自由な取引を調整しながら拡大貿易に持っていくかということは、これは別に価格とかあるいは数量とかを調整しましても、貿易の促進はできるのでありまして、たとえて申しますると、第一次、第二次、第三次協定で盛り上げられました品目でありまするが、こういう品目もまだまだ増加する必要がありますし、また増加し得るという自信も持っております。と申しますのは、戦前日中間で相当大幅な貿易をやっていた。それがこの議定書によって比較的狭められた範囲の貿易になっておるのでありまするが、今全国の各業者ともどしどしこの品目をふやしていくことに熱心になっております。ただ問題は先ほど申しましたように、この国内政策に基く輸出の禁止品目があるのでありまして、これもわれわれの限界点がありますので、極力議員諸公の中で一つ排除していただきたい、こういうことをむしろこちらの方からお願い申し上げたいと思うのであります。現在の日中貿易は、昨年におきましては輸出三千万ドル、輸入七千万ドルで、一億ドルの線まで進んできたわけでありまするが、私は、必ず近いうちに二、三億ドルの線までになるのではないかと考えております。
○松尾小委員 ただいまの御説明で、御活動になる範囲が非常に制限されていてやりにくい、こういうことは私たちもよくわかります。そしてまたこの御説明の中に、禁止品目を排除していく努力を傾ける、こういうことはまことに大いにやっていただく必要がありますが、特認申請の問題についてちょっとあなたの御意見を伺いたいのです。あなたは何でも私の聞く範囲では、この特認申請というものに名をかりて、何でも組合を通さなければだめだというようなことを強く主張していらっしやるそうですが、一体輸出入組合としてはそういう権限がおありになるのかどうか。その辺を一つつまびらかにしていただきたい。業者としましては、この問題で相当にはっきりした意見を伺うことがこれからの輸出入に対する安心感が得られはせぬか。あまり芳ばしいうわさを聞いていないのですが、一つ伺いたいと思います。
○高見参考人 この特認問題でありますが、組合が発足しますまでは特認はほとんど許可されていなかったのであります。しかし従来と何ら異ならない、特色のない組合が従来のような形式で仕事をしましても、結局屋上屋を架するということで無意味じゃないかということもわれわれは非常に心配しておりまして、従来中日貿易会とかその他の業者の方々でなかなか許可を得なかった問題をこの組合ではまっ先に取り上げたのであります。そうしてわれわれは陰になりひなたになりして、あまり実害のないような特認問題を強力に許可解決されたらいいじゃないかということを非常に進言いたしておるのでありますが、ただ政府といたしましては従来の関係がありまして、今まで業者に許可しなかったものを何だか組合ができたために許可しなければならぬということを言われると、ふがいないという点があるのであります。それでやはり政府としては、業者に直接許可上なかったものを、何かの方便でやれば許可し得る一つの妥協点というわけじゃないのでありますが、筋が通らないということもあり得ますので、それでわれわれは組合を通してやれば相当効果があるということをつかみまして、それでできるだけ組合を通しておやりになる方がよいじゃないかということを申し上げたのでありまして、むしろわれわれは逆にお礼を言っていただきたいと思うのであります。従来もほとんどできなかった特認をこの組合ができましたために相当今進捗しておるということをはっきり申し上げておきます。
○松尾小委員 そうすると権限はないんだけれども、非常にあっせんをする、こういうわけですね。
○高見参考人 そうです。
○松尾小委員 ここに一つの実例があったように承わったのですけれども、カシミヤの輸入業者の団体に組合の推薦がないとパスポートをおろしてやらない、こういうようなことがあったそうですけれども、この間の事情を一つ明らかにしていただきたい。
○高見参考人 いろいろ雑音が入りますので非常に迷惑するわけでありますが、どうも努力がかえって不努力になったり、汚名を着せられるということはまことにわれわれ組合員の非常に不徳のいたすところで申しわけないのでありますが、カシミヤの輸入業者の渡航問題につきましては、最初外務省に実はカシミヤの業者の団体が代表を派して申請されたのでありますが、外務省といたされましては、この申請の決定を大体通産省に諮問されるとわれわれは考える、またそういう工合に聞いております。通産省はやはり自分の配下の組会というものを無視することができないので、いろいろ意見を聞かれるわけでありまして、われわれは組合の意見に従って通産省に具申する、何もノーとかイエスとか絶対言わないはずであります。組合には各部会というものがありまして、繊維なら繊維部会というものがありまして、この会員の総意を尊重しておりまして、この方方の意見を総合しまして通産省に具申しておる、ですからこれは単なる参考意見として通産省はおとりになったと思っておりますので、要は通産省あるいは外務省の決定事項となると考えております。カシミヤの問題にしましても組合がノーと言えば外務省もノーと言うというようなことは絶対ないのでありまして、どうもそういう点は私たちとしましては非常に心外と思っておりますが、やはりそういう雑音があるということはいたし方ないのであります。どうかそういう点を十分御了解願いたいと思います。
○松尾小委員 どうもあなたも活動しにくい点もあるし、政府に相当遠慮もしていかなくちゃならない点もいろいろあるとおっしゃられますけれども、一つ組合の専務理事として、貿易発展ということにこの定款にうたってあるように御努力を願わないと工合口が悪い、またその他の問題でも、ひんぱんに非難の声があるように聞いておりますから、よく御留意を願いまして、先ほど確かな御説明をいただきましたように、権限はないけれども、大いに日本の貿易、輸出入の伸展をはかっていくということに一つお力添えいただきたいと思います。 第二点でお尋ねいたしたいのは、先ほどちょっと御説明にございましたけれども、あなたの組合の機帳についてでございます。さっきは輸出輸入の調整をはかる必要があるやに承わったのですけれども、一体この調整をなさる場合に、輸出と輸入を見合って調整をするおつもりなのか、この一点。また輸出入の部類、これは通関統計できめるのか、あるいは通産省の認定統計できめるのか、それともあなたの組合自身が特別の措置をとって決定なさるのか、その辺をちょっと明らかにしていただきたい。
○高見参考人 この輸出入の調整と申しますと言葉は簡単でありまするが、実行はなかなかむずかしい問題でありまして、なかなか一言では説明しがたいのでありますが、この日中貿易はもともと政府の方針によりまして個別バーター方式を従来とっております。すなわちある商社が中国へ出さんとすればいわゆるこれに見返る物を輸入しなければならぬという規定になっておるのであります。その点でなかなか見返りがない。見返りができる方もありますが、特に中小業者になりまするとなかなか見返りの物がない。入れる方は入れたけれども出す方は非常に困難する。これは一商社がやらなければならぬということになっておりますので、そういう点でも組合に賄いて探してあげる、そういうことを実はやっておるのであります。 それから通関統計かあるいは通産省認定かということでありまするが、現在のところまだ組合はそういう調整に対する決定権はない。ただあっせんとかいう程度でございまして、現在は通産省がすべてを握っております。従って許可問題におきましても、また個別バーターの条件につきましても、全部通産省がやっておりますので、その間に立も回りましてわれわれが取引業者のいわゆる仲介あっせんということをやっておる状態であります。
○松尾小委員 御説明でよくわかりました。しかしながら権限のないところでお働きになるのでは、効果も上げなくちゃならないのでときどき行き過ぎというような格好にならぬとも限りませんから、その点も大いに留意していただきたいと思います。 それからその次に、問題の日中貿易協定についてちょっとお尋ねしたいのですけれども、昨年締結されました第三次日中貿易協定は組合側といたしましては御支持なさるのかどうか、明確にお答え願いたい。
○高見参考人 第三次協定を御支持という意味が、承認するのか賛成するのかなかなか意味が私はわかりかねるのでありますが、第三次協定にはいわゆる貿易の実質面も加わっておりますし、また政治的な意味も相当入っております。この組合が関与するというのは貿易の実質面のみでありまして、そういう政治的なあるいは外交的な面はタッチしないことに私はいたしております。個人の意見を申せと言われますが、これはなかなかむずかしい問題でありまして、その点はかんべんしていただきたい。ただ貿易上の実質面につきましてはわれわれは極力その線に沿っていきたい、こう考えておるだけであります。
○松尾小委員 ではもうちょっとこまかく申し上げますと、いわゆる第三次日中貿易協定において未解決の問題が三点ですけれども、政府の指示とか保証とかあるいは通商代表部の相互設置に関する問題、それから国家的銀行の支払い協定、この三点についてどういうお考えをお持ちになるかということをお聞きしたいと思います。
○高見参考人 その点は組合としては今ちょっと申し上げかねます。やはり先ほど申しましたように、これはやはり相当政治的な意味が含まれておりますから、専務理事として申し上げると非常に波紋が大きいと考えておりますので、しばらく差し控えさしていただきたいと思います。
○松尾小委員 それでは、今度第三次が終って第四次という構想がこの四月から始まるとか聞いておりますけれども、この場合に、組合は協定の交渉に当る資格といいますか、交渉に当るのかどうか。またどういう資格でこの交渉に当っていくのか、お考えがありましたら一つお示しを願いたいと思います。
○高見参考人 第四次協定につきましては、組合としてはまだ態度がきまっていない。ただ大先輩であります国際貿易促進協会とかあるいは議連の万の御協力と御指導のもとに活動していきたいと考えておりますので、どういう資格でやるとか、あるいはどういう気持であるかというその点私としましてはちょっとまだこれも申し上げがたいのであります。どうかしばらくかんべんしていただきたいと思います。
○松尾小委員 そうしますと、これ以上聞いても、またこの際はとおっしゃられるのでしょうけれども、もう一点。いずれ何かの形で交渉に当られることと思うのです。その場合に制限物資に対しての問題はどういうふうに処理していくおつもりであるか、その点も一つお願いしたいのです。
○高見参考人 制限物資の問題につきましては、国際的な波紋が相当広いと思いますので、われわれが簡単に申し上げましても果して実効が上るかどうか。ただ非常に希望しているということだけは申し上げておきたい。ただどの程度まで活動するかということも、あまり外部的にここまでやっていいじゃないか、いやまだこの辺で押えた方がいいじゃないか、いろいろ意見もありますので、そういう点を参考にいたしまして局面打開につきましても猛進したい、こう考えております。
○松尾小委員 そういたしますと、どうも今の段階では答弁があいまい以外にできませんという格好ですけれども、もし交渉に入りまして中国側が制限物資のない協定を拒否する場合には、お宅の組合としてはどういう態度をおとりになるか。結ぶのか結ばないのか。それから協定の第三次と同じように支払い問題ですが、これも協定条項の中に入れるおつもりであるかどうか、この点だけは一つお願いいたします。
○高見参考人 組合はその性格上何も協定を自分でやらなければならぬとか、やっちゃいかぬ一とかいうものではないのでありまして、やはりこれはわれわれといたしましてはある程度政府の行政指導に待たなければならない。あるいはまた議連とか国際貿易の方でいろいろと御考慮なされておりますが何分にもこの組合の性格といたしまして、政府のある程度の行政指導を受けなければなりませんので、今私はここではっきりどうのこうのと言うことはむずかしいということだけは申し上げていいと思います。支払い協定の問題でも、個人的な意見はありまするが、組合といたしましてまだ態度はきまっていませんということを申し上げておきます。
○松尾小委員 政府の行政指導を受けるということはよくわかりますけれども、このりっぱな組合の活動というものをみな期待しているのですから、一つ近いうちにその態度をはっきりとおきめになっていただきたいと思います。また折を見て御発表を願いたいと存じます。
○永井小委員長 参考人各位には昼の時間も経過して大へん恐縮なのですけれども、あと帆足さんの質問がありますので御勉強を願いたい。帆足君。
○帆足小委員 ただいま松尾議員から、だいぶちくりちくりと御質問があったようですが、私は高見さんとは古い友だちでありますので、どうもあまり強い質問も友情からできませんし、また尊敬すべき業界の先輩でもありますのでむしろ今後のことに役に立つようにという見地から二、三御質問もし、要望もついでにしておきたいと思います。 第一には輸出入組合は官庁と民間業界とのちょうつがいのような仕事をなさるわけですから、そこに一つの制約もあり、また問題によってはいろいろ雑言もおのずから起る御苦労な仕事だと思っております。しかし性格上業界の代表としてお働きになるおつもりか、または通産省の役人の出店としてお働きになるおつもりか。お心構えのほどを伺っておけば、今後おつき合いをするのにもこっちにも手加減がありますし、また業界の方もそれを承わっておく方がよかろうと思いますので、その点をまず一つ……。
○高見参考人 形式的には出先機関と思うのでありますが、私は業界の代表として働きたい、こう申し上げたいと思います。
○帆足小委員 さすがに高見さんだけあって、そういうふうに腹がきまっておれば慶祝の至りであります。これは政府の税金で立っている団体ではないと思います。業者の賦課金寄付金、=出金で組合はまかなっておりますから、これは業界の機関である。その業界の機関が全体として活動を公正合理的に、公益的にやるために、法的規制を国会がこれに与えた。従いまして時の官庁とまた円滑にやるように、いろいろなお仕事がある。性格的にはやはり業界の機関だと思うのです。従いまして、業者の意見を主、役所の意見は従、しかし役所の意見も、上手に円滑におやりになる。それが円滑にいくことが非常にむずかしいようなときには、幸いに超党派的に自民党それから革新党両方の議員が四百名も日中貿易議員連盟には入っているわけで、これは超党派的な機関ですから、議員連盟などともときどき話し合って、皆さんのお力になるようにすれば、——貿易をふやすという仕事は、党派を越えた、島国の国民的要求ですから、安心して一つ議員連盟とも連絡をよくしていただきたいと思います。 それから第二に、去年の十月、実業視察団が参りましたときに、中国進出品公司の総裁であり、中国国際貿易委員会の有力なメンバーである盧緒章と業界の首脳部が話し合った。その盧緒章のそのときの言葉が、中国の立場を非常によく説明しておるのです。盧緒章さんは、ちょっと見たところクマのような感じで、あまり商売人らしくない感じなんです。ですから私、慮緒章さん、少し話のわからぬ人かなと実は思っていましたけれども、この二十分にわたる会見記の、いろいろ中国側の立場を懇切に説明した虜緒章さんの文章を読みまして、大体話がわかると思いました。それは、甲乙丙などという物資に分けている理由、中国が今建設を当面の優先的任務にして、いる事情、しかしそれと並んで間歇的にやはり丙類の民需がふえてくる、あるときとだえたように見えても決して心配しないでけっこうです、たとえば中国における自転車工業は非常に発達している、都会における自転車の需要は満たすところまできているけれども、数億に上る農村の需要を満たすなどということはとうてい及びもつかぬことであるから、いづれまた間歇温泉が吹き出すように、日本の自転車の供給をお願いすることは今後どんどん増加するからという説明なども、私どもが非常によく納得できるような説明をしておりますが、この文章を輸出入組合の首脳部の方は熟読翫味なさっておられるかどうか、ちょっと伺っておきたいと思います。
○高見参考人 その文書は発表してはならぬというわけで、発表しておりませんが、実は十分読ましていただきまして、大体向うさんの意向もはっきりとわかったような気がいたしております。極力あの線を参考にして善処したい、こう思っております。
○帆足小委員 これは高見さんはお読みになっていると思いますが、ほかの、特に南郷会長はお年寄りの方ですから、膨大な書物を読むわけにいきませんから、一つ事務局の方で赤じるしでも引いて、要点だけは読んでいただきたいと思うのです。というのは、これまで南郷さんの御演説などちょいちょい伺いますと、まだ多少高見さんたちに輔弼の責任が十分ないのではあるまいかと思われるような、時代感覚のずれたお話などがありまして、議員連盟でもときどきそのことが座談の合間に出たりして、心配しているようですから、ぜひこういう五つ、六つの重要な文献に目を通していただくことが、貿易推進上役に立つように思います。 第三にお尋ねいたしたいのは、甲乙丙という分類がありますが、甲というのは現在不幸にしてほとんど輸出が禁止されている品目ですけれども、かりに全部輸出禁止が解かれましても、中国側としてはやたらに口紅ばかりたくさん入れるとか、中国六億の民が腹一ぱい食べるほどナマコのほしたのを入れることはできない。口紅は祭の夜だけくらいに当分してもらう、ナマコは国慶節の日だけ食べるくらいに節約してあとの外貨資金はやはりなるべく建設資材を重点的に入れたい、こういう意味で言うている面もあるのです。通産省当局の高文の誠験を通ったばかりのお役人は、甲乙丙を与党のごきげんをとる意味もあって、大へんきらうようですけれども、私は建設過程の国で、甲乙丙と物資を分けて、甲に重点を置くということも当然のこととしてやはり理解する必要があるのではないかと思う。日本でも明治御維新のころ、大久保利通が殖産興業に全力を注ごうとしたときに、やはりこういう思想を持っておって、機械類の輸入を生糸の代金で優先的にせねばならぬ、日本でも明治の元勲がこういうことを言っておるのです。建設過程の国ではどうしてもそういう過程をとります。これは単に中国だけでなく、最近インドその他の国でもそういう傾向がありますから、これは一つ輸出入組合としてよく理解なさって、どうも甲乙丙なんということを言うてきておるのはなまいきだ、現在できるのは乙と丙だけだから、ナマコでも都腰巻でも買いやがれというような、そういう態度を示すと、どうも隣の国に好かれぬのではないか。やはり貿易は恋愛のようなもので、自分ばかりいばってはいけない。相手に好かれるということが大事なことだと思う。とにかく理屈を抜きにして相手に好かれる、そうしてそれがわが身に害がない限りは、できるだけ相手様の気持を理解するということが必要だと思います。輸出入組合は創立早々多少お役所の息が強過ぎたために、いなかざむらい、葉隠れざむらいのように少しかたい感じを与えたのが、いろいろなところに雑音となって伝わっておるように思いますから、もう少し業界らしく、やわらかくなっていただくように、中国の建設の過程というものに同情を持つことが必要であると思う。イデオロギーは違いますけれども、犬ネコ同然であった中国人が、人間になろうとする努力を今示しつつあるということは、財界の巨頭の村田さんでも、その一点だけは感銘した、こう申しておるような新中国の様相ですから、これに対する理解と同情がなければ、中国側も交渉相手として選ばないと思うのです。この点について一つ御感想をお聞かせ願いたい。
○高見参考人 帆足先生から大へん意義深い御忠告並びに御指導をいただきまして、私非常に感謝上、あらためてまた帆足さんのおっしゃる御意見には非常に賛意を表する次第であります。建設途上の国家建設は、日本でも過去にはっきり示しておりますように、相当な苦難にぶつかる。特に物資の面におきましては、いわゆる物動計画と申しますか、相当制約された物資を最も効果的に活用しなければならぬというので、中国側の甲乙丙という分類ができたと思うのであります。この点におきましては、われわれは非常な同情を持って善処していく。なるほど一部の民間業者その他におきましては全部これをフラットするというような意見もあるのでありますが、私自身といたしましては、十分向うさんの御意向をくんでいる。ただこのカテゴリーの包含する品種は、多少われわれの方に不向きな点もあるのでありまして、そういうものはできるだけこれを変えていきたいと考えております。帆足さんの関係しておられます議連の方におかれてもできるだけそういう線でわれわれの組合の真意をくんでいただいて御協力していただきたい、こう思います。
○帆足小委員 ただいまの御答弁で私も満足でありますが、確かに甲乙丙の分類については、今度は日本側からいえば多少修正してもらいたい点もあるのです。これは互恵平等で、中国側だけのために貿易はあるのではなくて、日本側のため、中国側のため、五分々々の権利であるわけですから、こういう点は今度は日本の側から見て、甲乙丙を修正してくれないかというようなことは合理的に交渉していただくと非常にいいと思います。それは同感であります。 それからココムの打破については、先ほど高見君が言われた通りに、むしろ国会の活動に待つという御意向でありますし、またこれは輸出入組合が業界の機関とすれば、やはりココム打破の希望は強く常に出す必要がある。しかし公けの機関でありますから多少は物事をあまり強く言えない場合もありましょうけれども、輸出入組合だから政府が許可したワク内でしかものも言わず、行動もせぬというのでなくて、業界の要望であり、それが国際上の均衡から見て正しいことは、やはりそういうふうな方向に要望するくらいのことは私は必要じゃないかと思いますが、現状のところ中国との関係はどうなっておりますか。あいさつ状を出しまして向うから手紙がくるようになりましたか、電報でもくるようになりましたか。私も実はその点心配しているのですが、ちょっとそのことをお伺いしたい。
○高見参考人 このあいさつ状は二千通、いわゆる中国の関係各機関に出しました。北は満州から南は南支に至るまで出しましたが、航空便にいたしましたのは大体北京本部とか、ごく枢要な地域しか出しておりませんので、あとはみな船便で出しております。航空便で出しましたのにつきましてはまだ返事は参っておりません。どういうわけかわからないのであります。ただこれは組合の設立の趣旨と要旨を書き、それから国際貿易の村田さんと、山本さんの紹介状も、これは華語に翻訳いたしまして出してあるような次第であります。その紹介状にも、できるだけ協会本をかわいがると同じように、この組合もかわいがっていただきたい、相寄り相助けて、この協会と組合とはこれから日中貿易に尽すのだというようなことが書いてあったと思いますが、そういうような実情で、まだお返事がきておらないのであります。帆足さんの万におかれましても、できるだけそういう点を御援助願いたい。何分生まれたばかりです、赤ん坊でございますので、中国側の真意も那辺にあるや非常に不明確でむしろ先輩の帆足さんからお願いしていただきまして、大いに力を注いでもらいたいということをお願い申したいのです。
○帆足小委員 そうしますと、まだ手紙の返事も電報のやり取りもございませんか。
○高見参考人 今電報はあいさつという意味で、契約の書類などはやはり国際貿易促進協会でやっております。従って組合の大衆との取引の発足はまだしていないのであります。
○帆足小委員 高見さんから今私どもの努力も評価していただくように御懇篤な言葉がありましたが、もう少し早くそれをおっしゃっていただけば、一そう好都合だったと思います。私は輸出入組合というものの評価については、中国側はやはり中国側として非常に慎重であると思います。しかし私は輸出入組合が政府からも公認された機関として、すなわち多少は国の国策もとり入れた機関として正式に中国と話し合いの関係を持とうというのでございますから、私は当然中国は輸出入組合とやがて話し合いをするような関係を持つに至るであろうということを期待します上、またきょうのような高見さんの率直なお話を伺えば、おそらく同僚議員たちも輸出入組合に対してもっと深い理解を持つようになると思いますから、私どもも喜んでお口添えをして、そうして業界の一番まとまった機関として、また国の実業界の要求を反映した機関として正式な関係が早く開始されますように御協力いたしたいと思っております。しかしそのためには輸出入組合というものが別に急進的な立場を持つ必要はごうもございません。日本の経済界のありのままの姿を反映すればよいのですけれども、原爆、水爆の荒い時代にかかわらず隣邦と平和にやっていく。日本の利益のためにもなるが、隣りの国のまた苦しみも理解して、相互に平等の立場でいたわり合っていくという情がなければ私は通用しないと思うのです。先般私の同僚議員がやはりインドへ参りまして、インドの下の方の実業家でありません、上の方の、ネール首相などに近い実業家の人たちからも懇々とそのことを言われまして、もう少上品質のいい視察団を、中国だけにやらずにインドにやったらどうか、インドによい人をよこしてくれないかと言われた。そこで私は、中国問題は高見さんたちの御努力によってこれから軌道に乗るとすればアフリカとか中央アジアとかにこれから出かけていきたいと実は思っているわけで、そういうことも業界の皆様に御相談しようと思っているので。もっと若い、理解のある感覚でもって東南アジア諸国を理解することが必要だ。私はビルマのいなかを歩いておりましたときに、軒下にぼんやり立っているおばあさんの姿を見たとき、子供のときに母をなくして、おばあさんに手を引かれてお大師めぐりをしたころのことなど思い出して、私はなつかしくて、齢ばあさんと叫びかけたいような衝動に打たれました。コロンボの町であまり赤ちゃんがまつげが長くて目が黒くてかわいかったので、抱いておりますと、ある領事さんから、君、一流の政治家が黒んぼの赤ちゃんなんか抱いてらい病でもうつったらどうするか、こう私に言いましたが、らい病がうつろうが、折癬がうつろうが、ほんとうに君、この子はかわいいじゃないかと私は答えましたが、インドやインドネシア、コロンボに参りましたときにも、青年団の青年少女たち炉たくさん私など迎えに来まして、そして懇親会を開きました。僕たちが行くとこういうような大歓迎をされるのです。これは一体どこからきているかというと、結局ヒューマニズム以後の政治家、ヒューマニズムを通過した実業家というものが私は今後必要なのではないかと思うのです。これはつまらぬことのようで、実は東南アジアの長い間苦しんできた人たちと新しい関係を結ぶ上に私は非常に必要なことだと思いますので、この一点に輸出入組合が思いをいたすならば、すべての問題は私はだんだん解けていくのでないかと思います。 最後に、組合というものがありますと、とにかくおれの組合を通過しなければお前は何事もできぬぞという態勢を示したがる。これは私も経済団体に二十年もいましたから。そういう一種のセクショナリズムを持っておるのであります。が、しかし先ほど高見さんの言われたように、組合というものはやはり不偏不党のあっせん役でございますから、自分のところへくればできるだけお手伝いする、しかし自分のところに縁故が多少薄くても、よいことならばどんどんおやり下さい、しかしなるべく耳に入れておいていただけば一そう円滑にいきます。特認申請の問題などでも、すべての組合を通過せねばならぬかどうか、多少疑問の点もあると思いますが、また組合という一つの関門にかかって、いろいろ四の五のこねくられることはいやだという感覚も品目によっては多少あると思うのです。そういうところは緩急よろしきを得て、スマートにおやりになればみな組合を慕うてくるようになると思いますが、組合が挾き門で、ここへこなければお前らあとでひどい目にあうぞというような雑音が伝わるような運用はまずいと思うのです。旅券の問題に至ってはさらのことでありまして、最近外務省は責任のがれのために、旅券を渡す渡さぬをまず通産省に相談します。やがては、厄介だから輸出入組合に相談するようになる点もあるのではないか。しかし旅券法の規定によりますと、通産省の賛成とか輸出入組合の賛成なんということは旅券法に書いてないのです。旅券法は、行きたいと思えばどこでも行けるのです。私はきょうひょっとアフリカの黒ん坊の娘に恋心を感じたら、外貨さえ手に入れば、すぐ行くことができるのであって、だれの許可も必要でない。これは政府が違反行為をしている。生命財産に異状があるというあの文章は、北極探検やヒマラヤ山探検が盛んになった今日、まことにこっけいなことになっている。辞命財産に異状があるなら、北極探検に行けないはずです。北京に行くのに、生命財産に異状があるなんといって禁止したあれは、法律違反として実は裁判所で却下されているのです。それでしかられて、こてんこてんに外務省がやっつけられている。これは私は天下に謝罪すべきだと思う。根拠なきでたらめの言葉をもって——大体外務省が僕らの生命財産をそう心配する必要はない。生命財産の心配は、自分が心配するし、自分の女房がするし、自分の友達がしますから、外務省が何も心配してくれる必要はない。ところが行かせたくないばかりに、そういうへ理屈をつけているから、裁判所によってやっつけられてしまう。こういうことなんです。 残ったのは国益阻害ですが、これも野党と与党と、あるときには与党が国益だと思ったことを野党は国益阻害だと思う。たとえば重光さんがワシントンに行くことは、われわれは国益阻害の最たるものだと思う。またわれわれがモスコーに行って大談判すると、与党は、あるいはあれは国益阻害じゃなかろうかと思うが、そういうような政権の相違によって意見が分れるようなことは、国益阻害とか何とかいわないのです。法律上の国益阻害とは、超党派的に国民的常識から見て国を害する行為、それを国益阻害というのです。これがもう法律上の常識で、その常識がわからなければ、それは高文をカンニングで通ったような人であって、にせ大学生に違いない。こういうことはわかり切っているのです。そのわかり切ったことが現在行われていない。そこに苦しい事情があるから、われわれもそれを了として、近ごろそういうことでは政府攻撃はあまりしないのです。だから政府もありがたいと思って、ほどほどにおやりになればいいものを、ときどき分不相応にわれわれに食いついてくる。こういう事情ですから、輸出入組合の旅券の問題なども、これは大体政府が悪いのです。ですから実際に観光またはまじめな要件で旅行する人に対しては、組合もあっせんするか、その他の機関があっせんしてもいいし、どこが独占というようなことではないのであって、すなおに許可せねばならぬものであるというようなことも、よく良識をもって御理解されておって御協力下さいますならば、一同大へん喜ぶことと思います。 御質問よりも要望の方が多くなりまして、まことに恐縮でございますが、今後とも皆さんよろしくお願いいたします。
○永井小委員長 参考人の各位には、御多用のところ、昼食抜きで長時間にわたりまして、種々貴重な御意見をお述べいただきましたことを、心から厚くお礼を申し上げる次第であります。 本日はこの程度にとどめまして、明日は午前十時から開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時十四分散会