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24回国会衆議院1956/10/12

商工委員会日本経済の総合的施策並びに国土総合開発に関する小委員会 第4号

発言数
45
登壇者
7
会派数
2
開催日
1956/10/12

会議録

笹本一雄自由民主党

○笹本小委員長 これより会議を開きます。経済自立計画と最近の経済動向に関して調査を進めます。最近のわが国の経済基盤は著しく拡大して参りました。これがために生産の伸びは経済自立五カ年計画策定当時に比して著しく伸張を示し、ことに鉱工業生産は驚くべき生産実績を上げており、上半期の平均生産桁数は大幅に上昇する見込みであるといわれております。しかしながら他面これらの異常な生産の伸びは経済態勢に不均衡を生じ、なかんずく基礎産業の一部すなわち鉄鋼部門、電力部門、輸送部門等の自給力不足は、産業界にかなり深刻な影響を及ぼしており、これが経済の拡大を阻止する結果となることを懸念されている現状であります。政府におきましても関係各省間の連結を密にし、鋭意打開に努めているようでありまするが、経済企画庁としては最近の経済動向の変化をいかに考えているか、将来の発展はどうなるか、また従来の経済自立計画にど織り込んでいくか、その見通し及び対策についてまず説明を求めたいと思います。

小出榮一経済企画庁調整部長

○小出説明員 最近の経済動向についてまず御説明を申し上げまして、引き続いて計画部長から、五カ年計画との対比をいたしながら、最近の問題について御説明をしていただくことになっております。私から最初に、お手元に配付してあります資料の中で「最近の経済動向について」という横書きの文章のものがございます。それからこれの付表として一枚刷りの「主要経済指標という表がございます。この二つに即しまして、読みながら御説明をいたしたいと思います。「最近の経済動向について」という資料は、本年度の四月から最近の九月まで、大体本年度の上半期の経済動向がそれぞれのおもな指標についてどういう状況になっているかということを、客観的な事実に基きまして一応ながめてみたものでございます。「最近の経済動向について、四月−九月の実績をもとに最近の経済動向をみると、輸出が昨三十年度に引続き高水準を持続しているうえ、昨年度下期から増勢に転じた設備投資が最近では二十八年度当時の活況をしのぐいきおいを示し、加え消費支出の着実なる増加もみられるため、鉱工業生産は逐月増加を続け、雇用情勢にも好転の模様がみとめられる。一方本年度の米作は、二年連続豊の見込が濃厚となりつつあり、全般的にみて本年度経済は、昨年度をさらに上廻る発展が期待される状況である。」一口に申しますればこういうようなことでありまして、鉱工業生産も、農林生産も、雇用関係も、それから設備投資というような面、全般的に見まして、大体見通しがよろしいという状況であります。「しかしこのような経済拡大にともない、今春いらい原材料を中心に輸入は急増をみせており、このため七月には国際収支が一年二ケ月ぶりで赤字に転じた。また昨年いらい緩慢を続けてきた金融市況もこのところ小締り状態に推移し鉄鋼など一部商品の高騰を反映して卸売物価もジリ高を示している。」まあ大体見通しはいいわけでありますけれども、輸入が非常にふえておりまして、国際収支も多少従来のような黒字というわけにはいかなくなってきた。金融市況もやや小締り状態である。物価の面におきましては、御承知のように鉄鋼などが非常に上ってきているというような問題があるわけであります。次に付表として「主要経済指標」という一枚刷りの表がございます。この表は上から順番に貿易関係、輸出、輸入の数字、それから機械受注の状況、建築着工というふうな、つまり設備投資、の関係、それから石貨店の売り上げ、鉱工業生産、出荷、在庫というような生産販売活動の状況、それから国鉄貨物の輸送状況、財政資金対民間収支なり、銀行の貸出し、預金というような金融関係の趨勢、それから卸売、消費者の物価関係、最後に雇用、失業、賃金というふうな関係のそれぞれの指標について四月から九月までの月別の実績を申しまして、それを平均したものが(A)という欄にございます。これに対してその右の(B)という欄に昨年同期の平均を出しました。さらにその右の(C)という欄に前年度の年間の平均を出しました。そして昨年同期と今年との比較がA/Bでありまして、それから昨年年間と本年四−九月との比較A/C、こういうふうな状況になっております。それで文章の方に戻っていただきまして二ページでございますが、これらの指標それぞれについて分析して申し上げますと、まず第一に輸出及び特需でございます。輸出及び特需は為替ベースで三十年度には対前年度比三一%増となり、三十年度におきましてすでに三割輸出は増加したのでありますが、三十一年度に入りましてからも依然として好調を続けておりまして、四−九月の実績は前年同期を二割五分上回っております。月平均にしまして毎月平均二億三百万ドルという輸出でありまして、これを年率にしますと二十四億四千万ドルという水準になっております。それから特需の方も初めはだんだん減ってくるだろう、当初漸減を予想されました特需の受け取りも大体固定化の傾向が見られ、四−九月の平均では五千万ドルというふうに前年同期を六%上回りまして年率にしますと六億ドルというふうに、大体二−九年度以降、特需は五億致十万ドルというところで固定化の水準になっております。  次は投資及び消費の状況でございますが、今年度に入りまして以来の内需の増加は著しいわけでありまして、海外市場への輸出の関係も非常に好調であります。国内の内需の増加も非常に著しいのでありまして、これを設備投資の動向について見ますと、その一つの目安となっております民需向けの海運を除きました機械の受注額、これは経済企画庁で調査しております機械受注額、これを計画造船を除きました数字で見ますと、四−七月の実績は月平均二百二十億円というふうに前年同期の二・六倍を示し、三十年度の平均に対しましても約八割増しの水準になっております。この機械受注調査におきまして、特に最近の七月におきましては受注高が七月だけで六百六十三億円という数字でありまして、これを前月に比べても二割の増加、昨年の七月に比べますと、実に三・三倍という数字になっております。こういうふうに設備の機械受注額が非常にふえている。ちなみに本年三月東京商工会議所調べによる「設備投資需要の趨勢」、対象は大中小企業合せまして約千三百社でありますが、これによりますれば、三十一年度設備投資額は三十年度の一六・三%増し見込みとなっております。また六月の通産省調べ、これは対象が大企業中心でありまして、九百七十八社でございますが、これによりますれば、三十年度の投資額は三千五百八億円に対しまして、今年度は四千七百五十八億円、大体三五・六%増加する、こういう見込みになっておりまして、これらのそれぞれの資料に基さましても 大体設備投資の動向が増加の傾向にあることが著しいわけであります。建築活動もこのところ活況を呈しまして、四−七月の着工統計にりますと、住宅が前年同期に比べ三一%増、それから非住宅で一五%というふうに増加しております。七月だけで見ますと、着工の総数が前年同期の四割以上ふえておるという状況でございます。こういうふうに建築投資も非常に盛んであるということでございます。  それから消費関係でございますが、消費水準を前年の同期と比べますと、都市は四−七月平均で一割増し、農村は四−六月平均で四%増でございまして四−六月平均を総合しますと都市、農村総合して八%増ということになっております。一方百貨店の売上高も、これも売場面積が盛んに拡張されました関係もございますが、大体四−八月の実績は昨年同期の二割二分増しというような傾向になっておるのでございます。以上が投資、消費の状況でございます。  第三に鉱工業生産及び在庫、輸送の関係でございます。こういうふうに輸出も盛んであり、内需も活発であるという内外需要の増加を反映いたしまして、三十一年度に入りましてから鉱工業生産も非常に活発を示しております。八月までの平均の鉱工業生産指数は、昭和九年ないし十一年を一〇〇としてみました場合に、二一五・四というふうに前年同期を二割上回っております。三十年度の平均に対しましても一五%高という水準でございます。七月の鉱工業生産指数は二三〇・六という戦後最高のものになっております。特に投資活動が非常に活発化しておりますので、金属とか機械などのいわゆる耐久財関係の産業の増加が非常に著しいのでございます。  こういうふうに生産の苦しい増加とともに、出荷もまた非常に好調を示しておりまして、生産者の製品在庫というものは最近になって少しふえてきておりますけれども、四−八月の平均の製品在庫指数は昨年よりも一一%低いのでありまして、この間に生産が非常にふえておるということを考えますと、いわゆる在庫率というものは非常に低い水準にあるということになります。  一方原材料在庫の方は、生産の増加に伴いまして原材料手当が非常に活発になってきておりますために、非常に増加しておりまして四−八月の平均の原材料在庫指数は前年同期よりも二割ふえておるという状況でございます。特に輸入分の在庫率が、後に申しますように輸入が非常にふえておりまして、最近非常に輸入原材料が回復しておる。これは三十年度において生産が非常に伸びましたために、輸入原材料の手当が間に合わなかった。これをその在庫補充をするというような意味もございまして、輸入原材料が非常に増加しております。  ところがこういうふうに生産、出荷が非常に活発であります反面におきまして、御承知の遜り輸送関係が非常に逼迫して参りまして、特に国鉄の貨物輸送が逼迫しておりますが、その貨物輸送自体の伸びも相当ございまして、四−九月の国鉄貨物輸送量は前年同期を九%上回っております。これは例年大体四月から二、三カ月は非常に貨物輸送の閑散時であるはずでございますが、それが三十年の十月ないし十二月というピークのときに匹敵するだけの輸送量にすでになっております。今後さらに輸送逼迫が懸念されるわけであります。駅頭在荷も九月半ばには百三十万トンになっておりまして三十年のピークである十一月には百一万トンでありましたので、それをすでに九月半ばに上回っておるという状況でありまして、こういう点が後述いたしますような問題点になるわけであります。大体生産流動、輸送関係はそういうふうでございます。  第四は農業生産でございます。先般農林省から発表されました三十一年産の方類の推定実収高は、作況指数では平年作を上回りましたが、作付面積が減りましたために、実収高は二千九百二十万石、昨年よりも若干下回っております。その反面菜種の作付面積が大幅にふえまして、推定実収高は二百六十四万石、昨年の一四%ふえております。戦前戦後の最高でございます。繭も春蚕は霜害ということで、昨年をかなり下回るという予熱でございましたが、夏秋蚕は昨年を上回る見込みであります。それから米でございますが、これは先般発表されました九月十五日現在の第二回の作柄概況調査によりますと、作況指数は水稲一〇六、陸稲八七、作付面積は昨年よりも二万五千町歩ふえまして、収穫の試算は七千九十八万石というふうに昨年の七千九百万石には及びませんが、これに次ぐ、七千万石を突破する豊作であるということでございます。  次は、第五が国際収支でございますが、先ほど申しました輸出特需の受け取りに対しまして、輸入の関係はどうなっておるかと申しますと、これはもちろん豊作のために食糧輸入は減っておりますけれども、鉱工業生産が非常に活発でありますので、先ほど申しましたように、原材料の輸入が非常にふえまして、為替べースで見ますと四−九月の月平均は二億九百万ドルという状況でございまして、前年同期を三一%も上回っております。八月の実績は——これは、八月というのは大体季節的に輸入が減少する時期であるにもかかわりませず、前月よりも千三百万ドルほどふえまし八月の実績が二億八千九百万ドルという戦後最高の輸入を示しております。それからなお通関実績でも四−九月平均は二億七千二百万ドルと、前年同期をやはり三割以上上回っております、しかしながら前述しましたように、輸出が非常に高い水準を持続しておりまして、特需の受け取りも大体好調でありますので、国際収支バランスではどうであったかと申しますと、七月にはまあ昨年五月以来一年二カ月ぶりで一度赤字に転じましたけれども、八月は大体収支とんとんに戻りまして九月には再び黒字に転じました。四−九月を通算いたします。と、一億三千万ドルの黒字、前年同期は二億三千万ドルの黒字でございましたが、それよりやや下回っておりますが、一応の黒字であります。年間を通しまして、それでは国際収支の見込みはどうであるかということをついでに申し上げますと、年間を通じまして、先般下半期の外貨予算を編成しましたときの基礎になっております国際収支の考え方は、一応輸出が二十四億六千万ドル、特需の受け取りが五億五千万ドル、それから貿易外の収入が一億四千万ドル、合計いたしまして受け取りが三十二億五千万ドルということでございます。これに対しまして支払いの方は、輸入が二十八億四千万ドル、それから貿易外の支出が五億二千万ドル、合計いたしまして支払いが三十三億六千万ドル、これはいわゆる実質の収支でございます。従って実質収支バランスとしましては一億一千万ドルの赤字ということになりますが、ユーザンスとかそういうふうな関係を織り込みました形式収支におきましては三千百万ドルほどの黒字だという計算になる予定でございます。  次に六、財政金融でございますが、財政資金の対民間収支は四−九月でもって四百三十七億円の揚超でございます。これは前年同期には千百十七億円の払い超でございましたので、差し引きますと千五百五十四億円だけ財政資金の引き揚げが多かったということでございます。その原因は何であるかと申しますと、外為会計が二十九年七月以来払い超を続けてきたのでありますが、輸入の増加とかユーザンスの決済が、ふえたということによりまして五−八月間揚超に転じたということに加えまして、景気がよかったために一般会計の租税収入とか専売収入が非常に好調でございましたし、また特別会計におきましても、国鉄とか電電公社の収入が増加したという関係で、財政資金の引き揚げが非常に多くなったということでございます。  このような財政収支の揚超によりまして、金融機関の資金繰りが苦しくなりました反面におきまして前に申しましたように、設備投資が非常に活発でありましてまた原材料輸入が増加し、商取引が拡大したということで、五月以降銀行の貸し出しが非常にふえまして、貸し出し増加が預金増加をかなり上回るという状況になりました。金融市況はコール市場を中心に小締り状態に推移するようになったのであります。先ほど申しました設備投資が非常にふえまして銀行の設備投資資金の貸し出しが、七月で見ますと三百三十七億円というふうに、前年同期を七八%も上回っておるという状況でございます。大体貸し出し先の産業といたしましては、繊維関係、石油精製、一般機械、建設業、百貨店というふうな方面がおもでございまして基礎産業的な電力とか、海運とか、鉄鋼とかいうようなところは、大体自己資金ないしは社債等を中心に資金手当をしておるというような状況でございます。  次に物価でございますが、最近の卸売物価は、アメリカの鉄鋼スト後の鉄くず価格の値上りなどを反映する鉄鋼価格の高騰、住宅建築の活況などを背景とする木材価格の強調、電力用炭の需要増や生産活動の活発化に伴う石炭価祐のジリ高傾向など、一部基礎財物価の騰貴が目立っている反面におきまして生産能力の増加によりまして過剰供給ぎみとなってきた綿糸、スフ、生糸などの繊維数を初めといたしまして、セメント、家庭用電気器具類、揮発油というような消費財を中心とする一部商品価格は軟調傾向が見られまして全般的に基調としては持ち合いながらも、鉄鋼、木材などの値上りが著しいために、総合指数ではジリ高傾向が続いております。即発物価は七月には前月よりも二・六%上りました。八月にも二・五%上りました。九月半ばの指数としましては、朝鮮動乱勃発直前を一〇〇といたしまして一七〇・九まで卸売物価が上っております。その原因は主としてここにありますように、鉄鍋とか木材とかいうものの基礎財の値上りであります。鉄鋼価格の値上りにつきましては、先般下期の外貨予算におきまして五十万トンの鋼材輸入、上期七十万トンと合せまして年間百二十万トンの鋼材輸入をするというような措置もとられましたし、またアメリカからのスクラップの輸入が当初の百二十万トンに対しまして百八十万トンまで見通しがつきまして、生産が非常にふえるということで、結局供給力が増加いたします関係上、需給関係が楽になる見通しでございます。従っておそらく第四・四半期くらいになりますと、この鉄鋼の異常な値上りというものは鎮静してくるのではないかというふうに考えられております。  以上が卸売物価でございますが、消費者物価の方は、豊作で食糧価格が下った、また被服費も下った、しかしながら住居費が上ったというようなこともございまして、全般的には大体弱含みで推移しておるというような状況でございます。  次に八の雇用、賃金でございますが、労働力調査によりまする就業者数は、四−七月平均で前年同期に比べまして八十六万人と、約二%増加いたしました。農林業では三十八万人減少しましたが、非農林業で百二十四万人増加しております。七月だけの就業者数を見ますと、七月の就業者が四千三日七十二万人でありまして、前年に比べまして百三十四万人ふえております。しかも非農林業において百五十万人ふえまして、非農林業で二千五百十九万人という状況でございます。しかもこの就業者の増加というものを内容的に見ますと、自己営業主あるいは家族従業者というようなものが減少しまして普通の企業いわゆる雇用者の関係が大幅にふえております。四−七月平均で前年同期に比べまして九・五%増という状況でございまして、景気の上昇を反映しまして就業状態が非常に改善されてきたということを物語っております。また昨年度までは中小企業の方では雇用がふえるけれども、大企業はほとんどふえなかったという関係が、従来停滞的でありました毎月勤労統計の製造業常用雇用指数——これは規模三十人以上の事務所の常用労働者の雇用指数でありますので、従って比較的中から上の企業であります。これが大体四−七月平均で前年同期の四・二%増というふうに、大中小おしなべて雇用状態が改善されておる、こういうことでございます。このように雇用情勢が改憲されてきました結果、失業情勢も好転しまして、労働力調査によります完全失業者次は本年三月の百六万人というものを頂点にいたしまして毎月減少を続けまして、四−七月平均で六十二万人、前年同期よりも七万人減少しました。賃金は無気の上昇、生産性の向上に伴いましてやはり上昇しておりまして、毎勤統計によります全産業平均を見ます、四−七月平均では前年同期の約一割を示しております。消費者物価の安定と相待ちまして、最近の都市消費水準の上昇の背景になっております。なお夏期手当が支給されました六、七月を除きました四、五月平均で比較してみますと、昨年同期の七・八%だけ上っておる、こういう状況でございます。  以上が各指標につきましての本年の上半期、最近までの実績を基礎にしました経済動向でございまして、先ほども申しましたように鉄鋼の問題、それからなお石炭の価格の問題も今後かなり注目すべきものであろうと思います。また後ほど計画部長からもお話があると思いますが、電力の需用が非常にふえまして、これに対して電力の供給が追いつかないというふうな多少隘路的な面が出ておりますが、中でも輸送の問題が非常に隘路になっておりましてこれにつきましては先般来関係省が協議いたしまして、最近の機会に運輸省を中心として各省間の輸送連絡協議会というようなものを設置いたしまして、ここで地帯間の貨車の融通その他につきまして、産業別に農産物あるいは水産物というふうな季節的な大量輸送期を控えましてこれと石炭とか木材というふうな定量的に運ばなければならぬ重要物資との調整をどういうふうにするかというようなことを、この十一月の最盛期を控えて調整をはかっていきたいというふうな段取りを進めておる状況でございます。  大へん急いで申し上げましておわかりにくかったと思いますが、一応私の説明を終りまして、あと引き続きまして計画部長から五カ年計画と対比してどういうふうな状況になっておるということについてお話をお願いしたいと思います。

大來佐武郎総理府事務官(経済企画庁計画部長)

○大來説明員 お手元に参っております資料の中で、主用経済指標の成長率という一枚の紙があるかと存じます。この表について最近の経済の動きと五年計画及び過去の実績とを対比して概略御説明申し上げます。  経済の発展、成長というのはやはり過去の趨勢を将来に伸ばして見ていくということと、それから将来に予想されるいろいろな事態から判断しなければならないわけでございますが、やはり長期の問題になりますと、短期の動きとかなりまた違う面がありますので、必ずしも最近の経済のブームというものであまりに過大な将来を予測するということも危険かと思うのであります。それにしましても、このいろいろな資料を御説明申し上げますけれども、この二年ぐらいの動きから見ますと、五年計画の目標がやや低きに過ぎるんではないかということが一般的には言えるように思うのでございます。私どもの方としましては、できるだけ過去のデータから諸外国の例、それからいろいろな指標の関連というものを目下検討いたしまして、将来もし計画自体を直す必要がある場合に、よりベターな作業ができるような準備と研究を今やっておる段階でございます。  この表について申し上げます。と、一番上が国民所得でありまして、これは物価の変動を差し引いた実質額、リアル・タームの国民所得の増加の率であります。これは対前年増加をずっと見て参りますと、ここにありますように戦後三十年までは割合に復興過程の影響も高いわけでありますが、二十九年度のように幾分不況であるという場合百には、ここに四・四%というふうに割合伸びが低くなっております。五年計画の目標は御承知のようにこの一番右の欄にございますように、六年間で三四%、年率五%という増加になっておりますので、過去百五年の実績から見ると、半分程度ということになっておるのであります。三十一年度はブランクになっておりますが、これはまだ非常に暫定的な推定でございますが、一〇・五%程度、これは三十年度に近い伸びが予想されております。五年計画に二十九年をスタートにして六年間でありますから、三十、三十一年で一割強の国民所得の伸びがあったということは、この五年計画で申しますと六年間の四年分を二年間でやってしまうという程度の経済発展が現在起っておるということになるわけでございます。  消費支出、総生産、これはほぼ国民所得に比例いたします。少し年によって動きがございますが……。  それから鉱工業生産の欄をごらん願いますと、これがやはり各年相当動いてはおりますが、五年間を見ますと平均して一六・九%、ちょうど五年間に二〇・一%というように、鉱工業生産はちょうど倍になっております。五年計画では五三・七%の増加を六年間に予定しておりまして、年率七・四になるわけでありますが、実績はかなり高い。三十一年度はもちろんまだわからないのでございますが、四月から八月までの実績を前年同期に比べますと、これは先ほど調整部長から御説明しました表にも出ておるわけでありますが、二〇・一%、つまり三十一年の三十年に対する増加率は四月−八月で二〇・一%、これは年度にすればもう少し下がる、一六・七%になるんじゃないかと予想されておりますので四−八月では約二割前後上回ってお参ります。これは過去の実績から申しましても相当高い増加でございます。たとえば二十九年度はわずか三・四%しかふえなかったわけでございますから、今年の現在の増加率は非常に高いわけでございます。その中でも部門別が問題と思うのでございますが、この過去の五年間を見ますと、化学工業の二八二というのが非常に伸びております。これは五年計画でも高い増加率を予想しておるわけであります。それから金属の二〇七・九、そのほか食品、印刷物等も伸びておりますが、これは三十一年度を見ますと少しまた変って参りまして、このブランクの中で、四−八月の前年同期に比べてでございますが、金属の二二・六%というような伸びであります。機械は三八・二%というような伸びであります。消費財の方はそれほどことしは伸びておりません。これで見ますと五年計画でねらいました化学、機械、金属というものの伸び率は平均の伸びより高い。この右側の数字でごらんになりますと出ておりますが、それは質的には実績も大体そう動いておるのでありますが、ただその伸びがいかにも早い。過去二年をとれば、予想よりも倍ぐらいのスピードで伸びておるということになるわけであります。これらを見ると大体において経済規模の拡大のテンポとマッチし、比一例して全体として一回り大きくなっておるということになるかと思います。  次に農林水産がここに出ておりませんが、ちょっと数字を落しましたが、二十五年から三十年の間の五年間の伸びの実績が、二十五年に対する三十年が一三三・六となっております。つまり五年間に三割三分六厘農林水産業が伸びた。年率にしますと五・九%、これは五年計画の伸びは、二十九年に対して三十五年が一二〇・五、年率三・二%という経済目標になっておりますので、やはり農林水産も今までのところ、過去の実績が計画目標より大分上回っております。ただ三十年度が非常に高かった、一年間で農林水産が一六%ふえております。これはやはり少し割引しなければいけないのではないかと考えております。  次に国内の貨物輸送量でありますが、国鉄の輸送量はブランクのところは、先ほど調整部長からお話のありましたように一〇九%ということでありまして、つまり国鉄輸送量の対前年増加率というものは、ここにありますように非常に変動がありまして、二十六年には二割近くふえております。二十七年には六%減っておる。次に四%ふえて次にまた一%減っておる、三十年には二%余りふえて、三十一年の上半期、四−九月の実績は九%アップになっておるということでございまして、鉄道の輸送力は、過去四年間はほとんど動きがなかった。ことし一割近く伸びておるということになる、こういうことであります。これはここにございます他の輸送機関に軟移していったということが、相当影響しておるわけであります。私鉄、トラック、内航汽船、機帆船、こういう輸送手段につきましては、統計が非常に整備されておりませんで、最近の動きがつかみにくいのでありますが、私鉄の三十一年四−六月を前年同期に比べますと、割合は一二・一一%アップとなっております。それからトラックは四月のデータしかありませんが、七%アップ、内航汽船がやはり四月で六%アップ、機帆船が二六%アップ、これは前年同期に比べてでございます。つまりなぜ国鉄が非常に今苦しくなってきたかと申しますと、一つには全体の輸送要請がふえたこともございますが、内航汽船が昨年は一六%も輸送量がふえておるのですが、ことしは六%、これは海外の海運市況がいいものですから、相当ボロな船もフィリピンとかその他の航海に出て参ります。外航の方に出て参りまして、内航の方がだいぶお留守になっておる。そのために鉄道に負担がかかるというような、各輸送機関の間の問題もだいぶあるようでございます。まあこれは五年計画の目標では、この国鉄の輸送量は一六・五%、年率にして二・六%と見ておりましたのですが、ことしを含めて考えますとだいぶ低い。もちろんこの二十六年から三十年までの間には、二十六年に十九・四という大きな伸びがありますので、年率にして三・四%でございます。ただここで一つ、少し専門的になりますのですが、この数字に出ていない問題点としまして、国鉄の輸送の足が伸びておる。つまり同じ品物を運ぶ距離が長くなっておりまして、これが五年間に約一割足が伸びております。つまり輸送負担としては一一八%にプラス一割、実費的にはかかってきておる。距離が延びておる。この点が実は五年計画で足の伸びというものを十分盛り込んでおらなかった点がございますので、幾分輸送力の伸びの過小評価になったきらいがあるわけでございます。  次にエネルギーでありますが、電力はここにありますように、過去五年間は年率九・四%という伸びで出て参りましたが、この五年計画ではこれを六%に見ておりますところが今年、このブランクの三十一年度のところでございますが、四−八月の実績を前年同月に比べますと一七%アップというわけで、これを過去五年間の数字を見ていただきましても、こういう年は今までなかったわけであります。ある意味では異常な伸びが起っておる、こういう伸びが毎年続くということはあり得ないわけでございますが、それでもやはり五年計画の六%というのはやはり低きに過ぎたのではないかということが言えそうでございます。しかしこれは電気だけが低かったのではなくて、この全体の伸びが予想より倍のスピードでいっておる。それが電気にも出ておるということでありまして、その指数相互間の問題ではなくて、むしろ全体の経済の伸びの問題と見られるわけでございます。  それから石炭はやはり一進一退の実績であります。過去五年間に、年に二・八%増加という程度でございます。ところがこれがやはりこの四−八月で見ますと、一四・四%となっておるということで、非常にことしは伸びております。従って石炭がやはり一つのネック——もしも現在のような生産の好調が続きますと、石炭の不足という問題が出てくる危険性はあるわけであります。しかしこれはその下の石油の輸入いかんにかかっておりますから、そういう情勢になれば石油をもう少し輸入をふやすということで、これは電力と違いまして、石炭の場合は割合に輸入で対処できる可能性が大きい。石油の方はここにございますように、五年間に五五六・九%という大きな、五倍半に伸びておるわけであります。これを増加率にしますと、四割くらいになるわけであります。しかしこれも初めの方の伸びが大きいわけでありまして、最近になりますと、たとえば二十九年は二・四%しかふえておりません。これは不況の影響、重油の輸入規制、国際収支の混乱から来た点もございます。このことしになっての四—八月の実績でございますが、この空欄のところで二三・〇%、大体三十年度と同じような率で石油の消費の増加が起っております。これは長期的に見て石炭と石油の消費量の関係は、もっと今後研究を要する問題だと考えております。  その次に輸出、それから輸入でございます。輸出の伸びの年率平均は、ちょっと計算違いがございます。大体年率約二割、特需を含んでも、約一割ということになるので、これは一四・六%になっておりますのを、一七・一と御訂正願いたいのであります。これは五年計画では年率八・七、これも非常に景気がいいわけでありますが、過去の実績、これをほかの国に比べてみますと、同じ昭和二十五年から三十年に至る五年間のドイツの輸出の伸びが二五四%、日本は二二七%であります。それからイタリアが同じ期間に一六〇%の伸び、六割の伸びになっております。まあドイツよりは少し下回るけれども、イタリアよりは高い。世界で有数な回復率を示しておりますが、もともと出発点が低いわけでありますから、今後はそう高い率を持続するということはむずかしくなるのじゃないかと考えられます。この輸出の四−九月、本年度上半期の実績、やはり空欄のところでございますが、これは二四・五となっております。ちょうど輸出は二十九、三十、三十一の三年間で倍になりまして、非常に大きな伸びでございます。その前の二年はあまりふえなかったのでありますが、二十八年以降で倍になっておる。それから、これは特需を含んだ場合どうかという計算をしてみたのでありますが、ほぼ輸出の伸びと似たようなものになっておる。特需を輸出に含めて考えてみた場合でありますが、しかしこれは五年計画では特需が消滅すると見ておりますので、その伸びがここにございますように、割合に低くなるので、この点ではやはり特需があまり減らないということが予想よりだいぶ違ってきております。それから、輸入がここにございますように割合に伸びが低いのでありますが、ことしに入りましてから輸入が非常に伸びておるので、やはりブランクのところが三一・四%というような大きな伸びをしております。この輸入はいわゆる在庫変動がございまして、波を打つわけであります。三年置きに一回くらいぐっと輸入が伸びるということでありますので、来年はまあ伸びは割合に少いと思いますが、ことしは非常に高い伸びを示しております。これで大体現在の経済の伸びの状態が、過去の長期的な動き、それから五年計画の目標に比べてどういうところにあるかということを概略申し上げたわけでございます。まあ私どもとして、この年率五%の経済規模の拡大というのが一応計画ではあげられております。それがおそらく今のような年一〇%という伸びは、今後ずっと継続するということは考え得ないわけでございますが、五%という見積りもこの数字にごらんになりますように、やや低きに過ぎる面がある。これは、実際の伸びはその間にどこかにあるのじゃないかと考えるのでありますが、そういう点をいろいろ各国の例その他の条件と比較検討しておるところでございます。なお戦前この数十年間、明治以来今度の大戦前までの約六十年間の平均の経済規模の拡大、成長率、これを一橋の先生方が計算しておられますが、それは大体四%強ということになっております。従って五%でも戦前の長期的な伸びからいえばやや大き目に見てあるのであります。しかし戦後は世界各国ともこの伸びが戦前に比べて大きくなっております。これは不況がないというような影響もありますので、ややこれ下り上回ることになるんじゃないかという感じがいたすわけであります。  大体以上の通りでございます。

笹本一雄自由民主党

○笹本小委員長 それではこれより質疑に入ります。質疑の通告がありますから、順次これを許します。宇田耕一君。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○宇田小委員 この主要経済指標の成長率の中で、化学とか金属関係を見ると、二、三の数字五カ年計画の年率と非常に違うのですが、その違う原因はどういうふうに見ておられるのですか。

大來佐武郎総理府事務官(経済企画庁計画部長)

○大來説明員 実は二五−三〇年の年率の複利計算のやり方をちょっと数字を間違えまして、はなはだ恐縮でございますが、御訂正願えれば幸いであります。この国民所得、価人消費、総生座はよろしいのでありますが、その下の鉱工業生産が一六・九とありますが一四・六、それから鉱業マイニングの方が三・六、それから工業一八・八というのが一六・四、食品一二・二が一七・二、繊維一四・九が二三・三、印刷が二八・六が二一・一、化学三〇・四が二一・四、ゴム皮革六・二が七・三、製材木製品五・三が六・四、窯業九・一が一〇・一、金属一七・九が一五・三、機械一四・七が一三・二で、複利計算をちょっと間違えまして大へん恐縮でございます。それから輸送量の中のトラックの一四・三というのが一二・九でございます。それから先ほど申しました輸出の一四・六というのが一七・一、特需を含めまして一七・二、輸入が一一・九とありますのが一四・〇、こういうことで大へん不手ぎわでございますが、それでその数字の違いが出ました。こういうことでよろしゅうございますか。

笹本一雄自由民主党

○笹本小委員長 訂正したやつをもう一ぺん資料を出し面してくれませんか。

大來佐武郎総理府事務官(経済企画庁計画部長)

○大來説明員 刷り直して……。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○宇田小委員 それで成長率が非常に大きく五カ年計画と数字が違ったことに対する見解を伺いたい。

大來佐武郎総理府事務官(経済企画庁計画部長)

○大來説明員 これは一五−三〇年は実績でございまして、そのあとは計画になっておりますのですが、計画を立てますときには、今までは戦争で工業生産がほとんどとまってしまった。それから回復する過程でございますので、割合早く伸びてくる。しかし今後はもう戦後ではないということで、新たな能力の追加がなければふえていかない。だから今後の伸びは、従来に比べて幾分低くなるだろうという想定のもとに五年計画が、組まれておりますので、実績に比べましてかなり各産業とも低く出ております。そういうことでよろしゅうございますか。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○宇田小委員 そうすると、今のお話の中で輸送とか、重要なエネルギーとか、そういうものについての国内の需要の変化が、五カ年計百画の年率から見た基本線と違った数字が出てくるという原因は何ですか。当初考えたいろいろの条件と多くの変った新しい条件は見当らないという見解でございますか。

大來佐武郎総理府事務官(経済企画庁計画部長)

○大來説明員 まあ計画ができました当時に比べまして非常に狂っておりますことは、輸出が予想以上に伸びましたという条件が変りました。それが国内経済全部に波及して、大きな輸入、大きな生産というような形になっておるものと思います。もう一つ予想と少し狂いました点は、農業生産が非常な豊作で、一年に一六%も伸びるというようなことが起りまして、平年作と見ておったのが違います。まあ、五年計画には毎年の計画がございませんで、五年先の目標だけしか掲げておりません。その到達する筋道は、過去の実績からごらんになっても見られますように、波を打って動くものでございますから、一年だけとって、非常に狂っておる、あるいは大体合ったというような判断をするのも少し危険ではないかと思っております。ですからことし非常に多くても、あるいは来年、再来年にだいぶ伸びの少い年もあるかもしれないわけです。そういうことは十分起り得るわけでございますので、全体を、五年を通じて見なければならないと思います。ただそれにしましても、最初に申しましたように六年のうち、四年分を最初の二年でほぼいっておる。これは実績できておりますので、そういう点ではやはり計画が三十五年度の目標としましても、やや小さ過ぎたように思われます。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○宇田小委員 その計画が違ったと思われるものの根本の原因はどこにあるのですか。

大來佐武郎総理府事務官(経済企画庁計画部長)

○大來説明員 今の輸出の伸びの見通しが割合に渋かったと申しますか、割合悲観的というか、控え目に見ておったわけでございます。この点につきましては、昨年の夏、この計画作成のときにいろいろ委員会、経済審議会にもお諮りしおったのでありますが、委員さん方の意向としては、この五カ年計画の輸出目標は少し欲ばり過ぎているんじゃないかという意見が非常に強うございました。国民所得の伸び五%というのも、大き過ぎるんじゃないかという意見が非常に強かったのでございますが、一年ばかりの間に非常に事態の方が先に参りまして、これはやはり日本の経済というのは、相当海外の景気活動、情勢に影響されますので、外の経済の伸びというものを、もう少し考慮に入れるべきだったかと思うのでございますが、しかし、大体大きく狂って参りましたのは、外の条件がよくて輸出が伸びた、それが国内経済に波及して全体がふくれ上った。そう申してよろしいかと思います。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○宇田小委員 そうすると、今の説明は、海外景気に対する見通しが違ったと、こういうふうに受け取れたんですが、海外景気の見通しの誤まったと思われる点は、おもにどういう点ですか。

大來佐武郎総理府事務官(経済企画庁計画部長)

○大來説明員 大体昨年の世界貿易が、一年間で総額としまして八%伸びまして、鉱業生産が世界全体の指数として約一割伸びたのであります。これは戦前などに比べれば非常な伸びであります。戦後は割合に高いのでありますが、五年間平均しますと、鉱工業生産が年率で五%、世界の貿易の拡大の率が五・八%くらいになっておりますので、それに比べて去年の世界経済の膨張が大きかった。それが輸出国である日本に響いて参りまして世界の経済規模の拡大以上に日本の輸出が伸びた。日本の輸出が伸びた条件は、実は一般に考えられていたよりも、日本の経済力のポテンシャルというか、潜勢力というものがかなり大きなものであって、世界の経済規模が拡大していくときに、日本がそれを相当上回る勢いで伸びる力を持っていた。その点の見方も、つまり自分の力をやや過小評価しておったという一面もあるのではないかと存じます。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○宇田小委員 私の聞きたい点は、日本の経済力の大小というよりも、むしろ世界経済の動向に対する見通しが狂ってきた原因をどういうふうに分析なさるかという点を聞きたい。昨年の世界の貿易規模が約八%大きくなったのを、あなたの方は一体どこに原因があったと考えているのか、その点を聞きたいのです。

大來佐武郎総理府事務官(経済企画庁計画部長)

○大來説明員 なかなか判断はむずかしいのでありますが、一昨年は大体アメリカの経済が、景気の後退、リセッションの段階でありますので、あまり経済が伸びない、横ばいであったのでございます。それに対してヨーロッパ経済はかなり顕著な伸びを示した。つまりアメリカの景気後退をヨーロッパが打ち消した形で、世界経済はやや拡大したのでありますが、昨年になりますと、アメリカも停滞を脱して上昇をし、ヨーロッパも相からず上昇を続ける。そうすると両方の上昇が加わりまして、大きな伸びを示したように見られます。一九四九年当時でございますと、アメリカの景気後退がヨーロッパに伝染いたしまして、ヨーロッパも不況を見たのでありますが、五四年にはそう参りませんでした。五五年にはその両者が重なったというところに、予想以上の大きな伸びが出た原因があるように思うのでございます。なお先ほど申しましたように、私どもも毎年のでこぼこというものについては、どうも非常に短期的な要因がいろいろ働きまして今度のスエズなどもどういうふうな影響を持つか、私どもはまだはっきりはつかめないのでございますが、長期計画としてはなるべく長期の傾向としてつかんでいきたいというふうに考えております。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○宇田小委員 長期の傾向をとらえていく、それはよくわかりますが、非常にアブノーマルな実際の動きが起ってきた場合に、それに対して長期の計画が非常に訂正を加えなければならないような数字であったということは、見通しがどこかに誤謬があったといわざるを得ない。そういう誤謬の出るような数字を何ぼ並べても、国の目安にはならないと思うのでありますが、なるべく長期に見たものと現実とが合うようにする。この合わない点についてはどういう点が合わないか、これを専門的な立場から聞かしていただきたい。それでたとえば世界的な貿易規模が八%も上ってくるというのは、かなりわれわれの経験にない数字ですが、それらは非常な突発的な奇現象であるから、これは軽く扱っておけという結果にはなかなかならないと思います。そうすると、この非常に規模の拡大された重要な点がどの点にあるかということは、非常にたくさんの点があってよく的確には言えないということはよくわかります。それで戦争経済から離れて平和経済に入ってきたときに、こういうふうな現象というものは、われわれが国内の政治の内部で見た場合には、完全雇用政策というか、あるいは失業者をなくするというか、要するに国内におけるところの社会政策を行うために、われわれは経済規模の拡大をはからなければならないという点が一つある。ヨーロッパ諸国は大体政治の中心が社会主義的な形態を持ったような国が多くて、われわれの見ておるところでは、経済規模の拡大は、雇用政策を押しつけられるような各国の実情でそうしておるのではないかと思う。そうしてその国々に輸入する物資の動きを見ても、雇用量拡大のために輸入が大きくなっておるのではないかと思われる。そこに貿易拡大の世界的な新しい現象が起きておるのではないか、こういうふうに思われる点もあります。そういうふうに自分たちの見ておる点とあなた方のごらんになっておる点とがどこが違うか、それを聞かしていただきたい。この委員会でどういう判断を下すかはよくわかりませんが、平和は続くであろうという考えのもとに、各国の貿易の質的内容というものは、やはり雇用量の拡大の方向に思いをいたすという貿易計画を立てておる。各国の五カ年計画その他を見ても、東南アジア諸国でも、大体そういう傾向がありますね。最近ではソビエトが非常に新しい貿易政策を立てて、そうして共産主義国家グループ全体の力で民主主義諸国家群に新しい経済政策を掲げておる。中共の貿易を見ても、生産資材であるとか、建設資材に対する需要が非常に多くなっておる。これが民主主義国家グループにおいては新しい発展になると思う。その点は、共産主義側の内部の変化に対するこちら側の的確なる分析が足りなかったのではないかと私は思う。その点で企画庁の五カ年計画の数字が実情と合わなかった原因はどこにあるか、これを聞きたい、そうして来たるべき年度に対するわれわれの考え方というものが、自分たちの考え方と非常に違った点があるかどうかということを、役所の立場から聞かしてもらいたい。そういう点について一つ御意見を聞かしていただきたい。

大來佐武郎総理府事務官(経済企画庁計画部長)

○大來説明員 今幾つか重要な点を御指摘になったわけでございますが、確かに今いろいろお話になりましたような基礎的な条件の変化というものが、世界の経済の中にあるように存じます。たとえば戦前は景気の変動がございまして、山あり谷ありで、その結果として労働力が非常に遊ふ、遊ぶだけ経済の成長は足踏みし、後退するということでございますから、戦後この景気の波動が非常に少くなったということ自体だけで、経済の拡大率が戦前よりある程度高くなったということになっておるように見られます。  それから雇用の問題でございますが、これは確かに完全雇用政策というものが大体西欧諸国で成功しておるんじゃないか、むしろ今ではそれが行き過ぎになりまして、人手が足りないというようなところにきておるんじゃないか。昨年非常に経済規模が拡大しました原因といたしましては、一番大きな面は耐久消財費の増加、これはやはり雇用が完全雇用であり、かつ所得水準が上ったために、自動車とか、いろいろそういうものの消費が非常にふえてきた、それから住宅、つまり耐久消費財と住宅が去年のヨーロッパ経済の拡大の非常に大きな原因になっておったように見られるわけであります。こういう面で、つまりあまり軍事的な面でなくして、消費的といいますか、平和的な面で経済を拡大する要因が出てきておるという点がやはり非常に注目されると存じます。  それから東西貿易の拡大がやはり一つの刺激になったのではないかというお話でありました。これも確かにその面はあると思いますが、ただ現在世界の貿易が総額として八百億ドル、これは共産圏との貿易は入っておりません。それから共産圏と非共産圏の間の貿易が、ちょっと今はっきり覚えておりませんが、二十数億ドルかと思いました。それが昨年は前年に比べてたしか二割くらいふえておるかと思うのであります。つまりこの非共産圏の貿易総額約八百億ドル、この貿易と共産圏の貿易というのは約二十億ドルとしまして、二・五%くらい、四十分の一ということで、それが二、三割ふえても減っても世界貿易全体に対する影響はそう大きなものではないように思うのであります。もちろん日本のように非常に中共と近いところはややその影響が大きく出るかと思いますが、全体としてみますれば特定の国、特定の品目については相当の影響があると存じますが、世界全体の景気ということからいけば、今のところはそれほど大きな要素ではないように考えております。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○宇田小委員 もう一つは、最近のスエズ問題の日本経済とか貿易に及ぼす影響はどういうふうに考えておりますか。

大來佐武郎総理府事務官(経済企画庁計画部長)

○大來説明員 実はこれは役所の調査部でいろいろ研究しておりますので、そちらの方から……。

小出榮一総理府事務官(経済企画庁調整部長)

○小出説明員 スエズの問題は、御承知のように現在の情勢としましては問題が国連に持ち込まれまして、英仏といたしましてはまあ正面からの外交攻勢という形で問題が取り上げられておるわけでございます。この問題は今後の見通しとしましては、局地的な戦争というところまで発展するかどうかということに関しては非常に疑問視されておりますが、一方非常に緊張した外交問題として、問題の解決が相当長期化するであろうということが、大体スエズ問題それ自体の今後の発展に対する見通しとして、一応前提として考えられておる常識であるように思います。そこで、そういうふうにスエズの問題が長期化するということによりましてそれが日本の経済にどういう影響になってくるかということにつきましても、その場合に、たとえば英仏の船がスエズ運河を通過しないで、全部希望峰回りになるかどうかというふうな前提の置き方によって非常に変って参りますけれども、今日までの動きを見ておりますと、まだ全体の基調としましては日本の貿易なり海運にとりましては、どちらかといえば好材料と申しますか、強気の材料ということにはなっておりますけれども、そのために運賃なりあるいは貿易の趨勢の上におきまして、非常に大きな変動を与えるというところまでには至っておりませんし、また今後も大体そういうふうな大きな影響を与えるところまではいかないじゃないか。しかし基調としましては大体強気の材料になるのではないかという程度に判断いたしております。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○宇田小委員 そうしますと、先ほどの成長率の中で、たとえば石油関係とか、向うのトラブルによって起る影響が特殊商品に出てくることがあると思われる。それでやはり年間計画なりにしても、一応計画とか景気の予想の中で特殊商品について影響が非常に大きいのではないかと思われる点があると思います。それに対してやはり計画というものは、来たるべき年度の計画はこれはもっと変えなければならぬ現象がある。先ほど説明の最近の景気の動向という中に、たとえば鉄鋼に対する見通しだけ見ても、スクラップが入るからかなり好転の見通しであるということを伺ったのですが、この見通しについてもやはりスエズの問題が進展されない限りは、船腹の獲得が容易でないということになると、鋼材を四十万トンばかり輸入しようといわれ、あるいはその他の物資を入れるといっても、予算と計画は立ちますけれども、実際問題として品物はこの関係で船腹が足りなくなって入ってこないという結果になるじゃないかと思われるのです。そうなると最近の経済動向についての見通しは、これはその点で先ほどの説明通り受け取っていいかどうか疑問があると思います。この点については先ほどの経済動向についてのお話の中には当然含んでおりますか。

小出榮一総理府事務官(経済企画庁調整部長)

○小出説明員 ただいま御指摘のスエズの動向が日本経済に及ぼす影響、最近の経済動向について先ほど私が説明しました中に織り込んであるかどうかという点について、それからもう一つ主要経済指標の成長率、これについては、先ほど計画部長が申しましたようにスエズ問題は特に織り込んでいない過去の実績との比較でございます。それから最近の経済動向についてという資料は、先ほど申しましたように四月−九月という、どちらかと申しますればうしろ向きの資料でございまして、本年の上半期の実績はどうであるかということを概観したわけでございます。従いましてただいま宇田先生が御指摘の、これをベースにして今年度の経済があと下半期どうなるか、それにつながります来年度の経済の見通しはどうかという問題は、実は別個に考えておるわけでございます。従って先ほども御指摘がありました五カ年計画の成長率とただいままでとは非常に違ってきております。これは長期的に見る場合と短期的に見る場合と両方ありますが、短期的の計画は御承知のように毎年経済計画を作って三十年度経済計画、三十一年度経済計画と二つできましたが、来年度についてもできますれば予算編成の前提条件としての経済計画というところまで持っていきたいということで作業をいたしております。従ってこの作業が完成しますのはおそらくこの年末近くになるかと思いますが、そのころまでにはさらにスエズの情勢等もはっきりしてくるのではないかということで、できるだけそういう情勢も織り込みまして、来年度の計画の作成の資料にしたい、かように考えております。

笹本一雄自由民主党

○笹本小委員長 内田常雄君。

内田常雄自由民主党

○内田小委員 本日は委員長のおはからいで、最近の経済動向について数字について総合的に知り得る機会をお与え下さったことをまずお礼を申し上げます。調整部長並びに計画部長のお話で大へん裨益をいたしたのでございますが、二、三簡単にお伺いをいたします。  最近の日本経済の動向というものは、輸出も輸入も生産も、はたまた雇用も活気を帯びて参ってきておるということは、私は非常にいいことだと思いますが、その一面警戒を要する面もあると思います。現に鉄なり輸送なり動力面の隘路が目立ってきたというのも、その一つであろうと思いますけれども、日本の経済というものは国際経済につながっておるものでありまするが、外国経済とのつながり上かような好況というものの継続性なり——長いことは別といたしましても、ごく近い将来の見通しというものをどう思ったらいいかというようなことの御判断を一つ伺いたい。  それからその次は、国内の経済の活況につきまして、これは明年度予算編成期にも入るわけでありますが、経済企画庁としては、これに対する考え方としてどういう考えを持っていったらいいか。単に鉄が足りないから五十万トン追加輸入をはかる、あるいは電力が不足であれば若干の工事の繰り上げをするとか、あるいは自家発電の動員をするとか、輸送については輸送協議会を設けるといったような対処策はもちろん必要でありましょうが、そういう点ばかりでなしに、最初にお尋ねをいたしました国際経済なんかの動向とも関連をしてどういう工合に諸般の政策を樹立するように指導されるかということをお伺いをいたしたいのです。ことに金融の面なんかでは、政府の引き揚げが上半期においては予想以上に大きかった。昨年に比べると、千何百億の引き揚げ関係が逆転をしておる。これはむろん下半期に入りまして政府資金の放出が、ことに供米代金その他の関係で多くなりましょうが、しかし今までのところ一方においては銀行の貸し出しが非常に多くなってきておる。これに対しては日本銀行あたりがしばしばいろいろの警告を与えておるわけでありますが、経済の規模が拡大していくのに、金融のベースについて単に昔と同じような手で締めていくとかなんとかいうことだけでやっていけばいいのかどうか。ことに予算編成なんかに関連してどういう指導を経済企画庁としてされるか、こういうようなことをお聞きいたしたい。  それから第三点は、これは簡単なことでありますが、宇田君からもお話があった鉄の緊急輸入五十万トンの問題でありますが、鉄については始終そういう問題がある。昨年もそういうような問題が起りまして、一部の品種の鉄鋼については輸出規制をされた。今やっておるかどうか知りませんが、さようなことを昨年はやったのであります。その際私どもは世間といいますか、国民の声を聞きますと、国内で足りないものは輸出規制をするのはいいが、輸出規制をしながら一方において国際市場からどんどん輸入すべきだ、輸出規制を下手にすると、それだけ将来の市場を失うことになる。何かそこに市場のつなぎをはかるべきであって、むしろ一時的には輸入を旺盛にして下手な輸出規制をすべきでないという議論が昨年かなり活発であったと思いますが、この鉄を例にとりましても、もし鉄の需給が今後さらに逼迫するようなことになると、やはりまた輸出規制を始めるとか、あるいは今やっているなら、それを強化するというようなことをなさるつもりであるか、これについては昨年当局の御意向をただしましたところが、これは公式の席上ではないのでありますが、輸出規制をするものと輸入するものとの品種が違うのだ、従って輸入をしようと思っても、日本でほしい物は世界市場がなかなか逼迫しておって輸入ができないのだというような話を述べておられましたが、今度は政府自身が五十万トンを輸入して需給を緩和せられるというようなことを言っておられるのでありますが、この辺昨年度の事情と鉄については変ったのでありましょうか、ついでに第三の点としてお伺いをいたしたい。

小出榮一総理府事務官(経済企画庁調整部長)

○小出説明員 大体三点について御質問があったと思いますが、一つは海外経済来年度の動向、海外景気をどういうふうに見るか、それに関連もあるわけでございますが、来年度の予算編成に対する態度と申しますか、考え方はどういうふうにあるべきか、それから第三は鉄の問題でございますが、最初の二つの問題は非常にむずかしい問題でございまして、ことに最初の海外経済の動向に関しましては、先ほど宇田先生からも御指摘がありましたように、私どもとしましては、できるだけそういった国内の問題ももちろん、また海外の有効需要なり景気の変動の測定ということに関して、もう少し何丁か突っ込んだ科学的な資料がほしいということを——実はそういうことに関連する予算の要求も企画庁として来年度いたしたいと思って、これは別にお願いしたいと思っておるところでございます。大体の考え方といたしましては、スエズ問題が非常に急激な変化を来たさないで、大体今までのような調子で長期化していくということを前提といたしますれば、海外経済の基調といたしましては、そう大きな変動はないのではないかというふうに考えております。従ってそういうようなことを前提にいたしまして日本経済を振り返ってみました場合に、来年度の予算編成の前提になります経済の動向が問題でございますが、これにつきましては、先ほどちょっと大來君からもお話がありましたように、三十年度と三十一年度、この二年続けまして国民所得の伸びが一割以上になっておる、非常に大きな伸びでございます。こういうふうな大きな成長率というものが二年も続いたあとでありまして、おそらく来年度においてはこれほど大きな伸びというものは期待できがたいのではないか。従いまして全体の経済の基調というものは大体それほど不調というふうにはならないかと思いますけれども、従来ほどの伸びというものは全般的に、輸出の面におきましても、また内需の面におきましても、それほどの過大の期待を持つということはできないのではないか、かように考えられるのであります。ごく大ざっぱなところでございますが、こういうふうな考え方を前提にいたしまして来年度予算というようなものを考えてみますと、やはり経済の基調においては従来のものとそう変化はない。しかし結局適正な形において日本経済が健全な成長を遂げていく、インフレにもならず、デフレにもならず、そういう大きな波動を起さないで健全に成長していくためには、やはり財政も健全であるべきであるというのが基本的な線ではないか。従って財政規模の不必要な拡大ということについては十分これは配意しなければならないのではないか、かように考えます。従って一方において自然増収その他の財源がございますけれども、これらはやはり勤労所得税を中心とします減税というような面にむしろ振り向けていくという点が基調ではないか。そういたしまして、一方財政投融資の面におきましては、むしろその質的な是正と申しますか、ほんとうに日本経済の、先ほど申しました健全な、適正な成長をやっていくための基盤になるような面に重脈的に財政投資を行なっていく。さらに先ほどちょっと御指摘になりました金融の問題、確かに現在設備投資の動向というものは非常に注目せられるところでありますけれども、この設備投資が従来のような調子で伸びていくかどうかということにつきましても疑問でございますし、また金融機関の貸し出しの態度につきましてもいろいろ問題はあろうかと思いますが、そうかといって金融制度の根幹に触れるような規制と申しますか、そういうことを人為的に行うということはかなりいろいろの面において逆の弊害を生ずるおそれもございますので、やはり正常な金融の形における通常という線でもっていきたいと、かように考えているわけであります。予算編成につきましては、まだいろいろ基礎的なデータ等もそろっておりません時期でありまして、先ほど内田先生もおっしゃいましたように、第三・四半期の政府資金の散超期、これに入りましお現在においてもう少し第三・四半期の動向、今の金融機関の動向等も見比して、それから結論を出した方がい品のではないか、かように考えているわけであります。従って私が申しましたことは、非常に重要な問題でありますだけに、私個人の意見と申しますか、経済企画庁として、また最終的な案というふうにお聞きとり願いますと、かえっていろいろ問題がありますので、そういう意味でございます。それから最後の鉄の問題でございますが、これは先ほど申しましたように、外貨予算の面におきましては上期七十万トンに加えて、さらに五十万トン輸入公表をいたしまして年間百二十万トンという輸入でございます。一方輸出の面におきましては内需が非常に旺盛でありますために、輸出は非常に伸びませんで、輸出も大体百二十万トンくらいになりはしないかというような状況でございます。従って鉄鋼の価格を押えます方法としては、結局需給面で操作するということになりますと、御指摘のように輸入をふやすかあるいは輸出もとめるかという両方になるわけでありますが、輸出の面におきましては、先ほど申しましたように自然に輸出が伸びないという状況でありまして、大体通産省等の見通しにおきましても、年度間に入着するものは四十万トンくらいがありますけれども、とにかくここに輸入公表をいたしまして相当の鋼材が入ってくるということになります。またスクラップの点におきましては、アメリカからの輸入でございますので、スエズとはあまり関連がないというこで、需給面では大体第四・四半期に入りますころには、楽になるのではないか、従って輸出をとめるということも一つの方法でございますけれども、これは過去において一度そういう措置をとった経験から見ましても、結局先ほどお話のようにマーケットの維持というような面から申しましても、今日の段階においては輸出を禁止するという措置はむしろとるべきではないのではないか、かように考えております。

内田常雄自由民主党

○内田小委員 調整部長のお話ごもっとものようでありますが、常識論のようでありまして、はなはだ示唆に富まない御意見で不満足であります。せっかく経済審議庁が企画庁に昨年なったのであります。どうか一つうしろ向きの経済統計ばかりを発表して、先のことはあまりわからぬ、成り行きまかせだということで、経済回顧庁、経済統計庁にもう一ペん成り下らないように勉強をお願いいたします。  最後にもう一点伺いたいことは、この書きものの中にもあるのですが、これは非常によくなった、ことに毎月勤労統計の製造業常用雇用指数というものが非常に上ったということで、私ども愁眉を開くのであります。さらにまた一面におきましては、賃金なんかも景気の上昇と生産性向上に伴って上昇しておる。これもまことにいいことでありまして、今後日本の産業の発展、国民生活の向上ということは、勤労者とともに向上する以外に道がないのであります。ところが世上伝えられるところに上りますと、勤労者の大きな団体である総評というものが、生産性向上運動にはまっこうから反対だということをきめられた。また特定の政党がそれを支持せざるを得ないというような立場にもあるようであります。この発表によりますと、まことにそれはおかしい話であります。諸君は政府の公務員でありまして、どの政党にも属しない経済企画庁の職員でありますが、そこをどう思われるか。やはり生産性を相当向上として、現に委員長のごときも生産性向上の研究に行っておられて帰ってきたばかりで、御意見もあるでありましょうが、生産性を向上して、そして輸出の伸張をはからなければ日本経済全体が立たない。その結果が少しも雇用の低下にもなっておらないし、賃金はむしろ引き上げられていることでありますから、音を強くしたのでありますが、その辺忌憚のない御意見を簡単に一つわれわれ一同にお開かせ願いたい。

小出榮一総理府事務官(経済企画庁調整部長)

○小出説明員 生産性向上の問題につきましては、私ども総評その他の御主張につきましては、新聞等で拝見しておるわけでありますが、生産性向上そのものを否定するかどうかということにつきましては、これは私どもとしましては、やはり日本経済の発展、ことに海外経済とのつながり、国際競争の中で最も苦しい立場にあります日本といたしましては、どうしても生産性向上という面は強力に推進すべきである、かように考えております。ただ現在の生産性向上運動のやり方その他について悪い点があれば、これは十分に内容を検討いたしまして訂正すべき面もあろうか上思います。生産性向上そのものを否定する立場ではなかろう、かように考えます。賃金との関係につきましては、生産性向上の割合と賃金の上昇率とはぴったり一致しているかどうかという点につきましては、いろいろ問題もあろうかと思いますけれども、賃金も比較的上昇しているというような現実でございます。お答えにならないかもしれませんが、以上申し上げます。

笹本一雄自由民主党

○笹本小委員長 次に田中武夫君。

田中武夫日本社会党

○田中(武)小委員長 先ほど調整部長の御説明を聞きながら、ちょっと数字を書いてみたんですが、昨年を一〇〇として本年の上半期を見た場合に、投資の分では一一六・三、消費の面では都市が一一〇、農村が一〇四、物価の面では大体一〇〇を下回っている。雇用の面では一〇九・五、賃金では一〇七・八、こういう数字が、これは説明を聞きながら書いたのですから、若干違っているかわかりませんが、現われてくるのですが、こういう数字の上に立って部長は物価は下回り、そうして賃金は上っている、従って国民生活は安定である、こういったようなはなはだうれしい報告をしておられるのですが、前に経済白書を出されたときに、もはや戦後ではないというような立場から、いかにもうれしい報告がなされている。ところが私、考えまして、どうも役所というところはきれいことが好きで、どうも臭いものにはふたをしていく、こういうような面があるのではないか、このように考えますので、一、二の点をお伺いいたしたいと思います。たとえば今申し上げましたように、投資が一一六・三、賃金が一〇七・八、こういうことで、国民所得の分配の上から見て、それが果して妥当な数字としてあがっているかどうか、先ほど内田委員からも生産性向上についての御意見もあったようですが、なるほど労働者は、この生産性向上運動が労働者を搾取して労働強化をもたらしてその結果が資本の蓄積へ持っていく資本家のための生産性向上運動であるというところから、疑惑を持ってながめているわけです。そういう点から見まして、こういう数字から見ました場合の賃金の問題と、資本の蓄積ということについて、どのようなことが傾向として現われているか。第二点といたしましては、雇用の面においても九・五%上回っている。そうして失業者が減っている。こういうことになるのですが、新しく学校を卒業する人の、このごろいわゆる就職戦線が始まっておりますが、こういう面から見ましても、依然として就職難が伝えられている。またこの説明の中にもありましたが、自営業種あるいは家族従業者はいずれも減少し、こういうふうにうたっている面から見ましても、自営業種が減っておるというような点は、いわゆる中小企業が倒産をしているのじゃないか、こういうようにも見られると思いますが、そういうような点から見ましたいわゆる雇用の面はどういうようになっているか。  それから第三点として、たとえば物価の面ですが、物価の面もこれは下回っていることを示しておる、こういうことなんです。一面農業面においても、米が豊作で生産量が上っておる、こういわれておりながら、今度配給制度が変るという点から、結局は高いものを買わされていく、こういうことになろうと思います。従って物価は下回りつつあるというが、果して生活必需物資がどういうような経過をたどっておるか、こういう点について御説明を願いたい。  それから第四点は消費の面ですが、消費の面でも都市では一一〇、それから農村では一〇四、いわゆる一〇%ないし四%上回っておるというが、この上回った線は、果して生活必需品において上回っておるのか、ぜいたく品といいますか、奢侈品、そういった面で上回っているのか、そういう点を一つ御説明願いたいと思います。  次に第五点の賃金ですが、賃金でも七・八%上っておるということですが、これは経済白書のときにもよくいわれたと思うのですが、なるほど全般的な賃金を見た場合はそういう傾向を示しておるかもしれない。しかし日の当る大企業と、日の当らないところの企業、あるいは大企業と中小企業、あるいは同じ企業内にあっても、上層部と一般労働者、こういう点がどのように変っておるか。賃金の平均は上っておるが、上っているのは大企業、しかも日の当る企業の労働者が上っておる、そうでないところは上っていない、あるいは同じ企業においても、うんと上っているのは課長、部長といったような上層部が上っておって、一般の労働者は上っていない、こういうふうにも思われるが、そういったような傾向について。もう一つは、賃金はただ数字だけではきめられない。ということは、労働時間との関係であります。先ほどの生産性向上運動にも関連がありますが、そういうことからくる労働強化、時間外労働の強制、そういったような面から、八時間働いて幾らと、十時間働いて幾らとは違うわけですが、この賃金の七・八%上っておるという点は、労働時間とはどのような関係を持っているか、こういう点をお伺いしたいと思います。

小出榮一総理府事務官(経済企画庁調整部長)

○小出説明員 いろいろお尋ねをいただいたわけでありますが、最初御指摘になりましたいろいろの指標の、たとえば投資の増高でありますとか、あるいは生産指数の上昇でありますとか、そういうようないろいろな経済活動の指数に対しまして、賃金の上昇率が低いのではないか、そういうような関係をどういうふうに考えるかということでありますが、これらの点につきましては、もちろんいろいろの見方があろうかと思います。先ほどもちょっと申しましたように、生産性向上の指数と賃金の上昇率との比較におきましては、なお賃金の上昇率が低いというような関係になっております。全体として見ました指標といたしまして、全体の傾向として大体経済の基調が好調である、こういうふうに申し上げたわけであります。もちろん、御指摘のように、これをしさいに分析しますれば、これは経済白書におきましても一部指摘してあるわけでございますけれども、中にはなお暗い面と申しますか、そういう面もありまして、今後の経済政策によってそういう点は是正していかなければならぬ、かように考えております。  それから失業統計の中で大体失業者が減ってきているけれども、一方においてたとえば自営業種等が減ってきているのは、中小零細企業の倒産等があるのではないかというようなお話でございましたが、大体従来の雇用関係の構成が、先ほど申しましたように家族従業員であるとか、あるいは自営業種というような形で、何と申しますか、不完全な就業という形になっておりましたものが、今度は通常の企業の常用の雇用者として完全な就業という形で転換してきているというようなかっこうになってきております。自営業種につきましては、減少という言葉は使ってありますが、数字の上ではほとんど横ばいでありまして、むしろ減っておりますのは、家族従業員の方が減っております。その結果がそういうものが通常の雇用者という形におきまして転換してきているというようなかっこうでございまして従って全般としてはやはり雇用情勢としては好転しているのではないか、かように考えます。  それから物価の関係におきまして、先ほど申しましたように、上っているものと下っているものとがございますが、消費者物価の面につきましては、先ほど申しましたように全般として横ばいでございまして、ことに生活必需物資的な食糧、これは御承知のようにやみ米の値段も下っておりまして、全体として食糧価格は低落している。それから被服の関係でございますが、この被服費もやはり下ってきております。ただ上っているのは建築材等の値上り等もございますが、住居の関係のいろいろな費用が上っているというようなことで、全般としてならしてみますと、弱含みの横ばいというような格好になっております。従って特に消費者物価の中で生活必需物資が非常に上ってきているという例はないように思います。米の配給制度の改革の問題を御指摘になりましたが、これにつきましてはいろいろの見方もあろうかと思いますが、要するにこれは希望配給価格というものなり、その数量の調整によりましてむしろ現実の取引されております市場価格というものに大体さや寄せされているというような格好になっておりまして特に影響の大きい労務加配等につきましては、今後は職場配給というような形で、特に一番従来から数量の大きかった炭鉱の坑内夫等につきましては、希望配給価格の面におきましても、また数量の面につきましても大幅な調整措置がとってあるわけでございまして従来通りというわけには参らないかと思いますけれども、ほとんどその影響を抹殺できる程度まで調整をしてあるつもりでございます。  それから消費水準の上昇の内訳でございますが、これはやはり先ほど申しましたように、食糧関係におきましては大体横ばい、それから被服関係につきましては昨年よりは多少ふえております。それから雑費関係、これは住居費の関係がふえている、こういうような内容になっております。  それから賃金の上昇率の内訳につきましては、ちょっと今ここに手持ちの資料がございませんので、もし御必要であれば、企業形態別に分けまして後刻御提示いたしたい、かように考えま

田中武夫日本社会党

○田中(武)小委員 それじゃ資料の点から申し上げます。業種別と、それから私の申し上げているのは、むしろただ結果的に賃金が上っているということでなく、その賃金の構成といいますか、何時間働いてどうだといったような面を見たいと思います。幾ら賃金が上ったといっても、労働時間がふえて上っているというのならば、一がいにいいとは言えないと思います。そういう点が知りたい。それから同じ企業内において最低最高がどのように変っているか、そういうような点が知りたい。そういう資料がありましたら……。  それから先ほどの御答弁によりまして、あるいはこれ以上お伺いするのは無理かと思いますけれども、私が第一点としてお伺いいたしておりますのは、投資と賃金との関係において、今いわゆる結果がこうであったからというような御説明であったかと思うのですが、私の申し上げているのは、生産性向上運動等とも関連して言われておるのですが、結局資本の蓄積の犠牲に労働者がなっておるのではないか、こういう面から見て賃金とそれから投資その他資本の蓄積との関係についてはどうか、こう申し上げているわけです。それから物価の面について、食糧の面においては横ばいないし下っておる、こういうことですが、新しく米の配給制度が変ることによって現実に私は上っていくのじゃないかと思う。なるほどやみ米は下っておるかもしれぬ。しかしながら事を論ずるときに、やみ米というものが下っておるからというだけでは済まないと思う。一般に言われておるのは、米が多くとれて豊作であるのに問い米を買わなくちゃならぬ。いわゆる配給制度の変更によって今までの希望配給ですか、この量がふえてくるということは、結局政府からやみ米を買わされておる、こういうことになるのじゃないかと思う。それから雇用の面において、いわゆる零細企業における家族の従業者が今度は完全な形の雇用に変る、こういうことになるのですが、こういう者の雇用の形態は、ほとんどが臨時工制度ということになっております。いわゆる常用といいますか常雇いの者に対して臨時工がぐんぐんふえておるということが、一つの労働問題であり、社会問題であると思う。あなたの言われておるところの完全な形というのは、果たして、どのような形における雇用関係を言われておるのか。ふえておるのは不定定な形における臨時工がふえておると思うが、いわゆる常用の人に対する臨時工の歩合は、昨年と本年とはどう変っておりますか。

小出榮一総理府事務官(経済企画庁調整部長)

○小出説明員 先ほど御要求の資料の中で、業種別の賃金構成につきましては、ちよっと今手元にございませんので、いずれ調製いたしまして御提示いたしたいと思います。労働時間の関係につきましては、ただいま資料を調査いたしました結果、大体三十年度に対しましての最近までの指標で見ますると、労働時間の増加は大体二%ないし三%増加しております。これに対しまして質金の上昇率は、大体八%でございます。従いまして、労働時間の増加よりも賃金の上昇率は上回っておる、こういうような結果になっております。それから雇用の内容につきましての完全なというような意味は、これは先ほどの経済動向の中に示しておりまする数字は、毎月勤労統計の中に出ておるものでございます。従って三十人以上の規模のもので、常時雇用しておりますものの統計でございます。従いまして比較的安定したと申しまするか、継続して雇われておる形のものであります。そして臨時工とそれ以外の者との比率につきましては、ちょっと今資料がございませんが、常用の分だけで申しますれば、三十一年の七月と昨年の七月と比べますると、その指数の総数におきまして三・四%だけ増加しておる、こういうような状況でございます。それから投資と雇用との関係でございますが、これは経済の正常な発展ということになりますと、結局やはり資本蓄積というものがあって初めてその上に経済の拡大なり発展があるわけで、従ってそれがまた雇用の増加に役立っていくと、こういうよう循環になるわけであります。具体的なお答えにならないかと思いますけれども、考え方としてはそういうふうに思っております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)小委員 投資と賃金との関係ですが、言われたように、資本の蓄積によってそれがまた雇用になり、賃金になってくる、これはわかる。私の申し上げているのは、労働者を押えてより以上の資本の蓄積というような面が現われていないか、こういう点を伺っておるわけです。ある程度は必要だと思う。しかしそのバランスがどうであるか、こういうことを伺っているわけです。国民の総所得に対する資本の蓄積といわれる面と、いわゆる賃金の面との関係は正常であるかどうか、こういう点について。それから雇用の面の話ですが、今常時雇われておる格好の者がふえておるのだ、こういうことですが、常時雇われという者の中に問題があるわけです。特に私は一般の今日の製造工場を見ました場合に、従来のいわゆる従業員という格好の採用はほとんどやっていない。二カ月ごとの新しい期間をきめて更新をしていくという格好の臨時工が採用になっておるわけです。しかしこれも二カ月してやめさすというのではなく、それを更新していくことから見まして、常時雇われるという格好になるだろうと思います。ところがこれが臨時工ということにおいて、いわゆる臨時工ならざる臨時工がふえておるという点が問題だと思う。あなたの言われておる常時雇われておるというのは、こういう臨時工ならざる臨時工を指さしておるのじゃないかと思いますが、あなたが常時と言うのは、今までのほんとうに期間を定めないところの雇用形態でふえておるのかどうか、私は期間を定めないところの雇用形態においては、そんなにふえていないと思う。

小出榮一総理府事務官(経済企画庁調整部長)

○小出説明員 最初の投資と雇用の関係でございますが、これはその時々の情勢にもよりますけれども、全体として見ますれば、比較的長期の形で見なくちゃならぬ、中には景気変動というような要素もありますでしょうし、従いまして長期的に見まして先ほど御指摘になりましたように、労働者の犠牲において一方が伸びるというようなことになるかどうかということの判断は、やはり景気変動等の要素もございますので、長期的に見なければならぬのじゃないか、かように考えております。従ってわれわれとしましては、現在そういう御指摘のような傾向になっておるというふうに、必ずしも言えないのじゃないか、そのように考えております。それから臨時工との関係でございますが、これは今ここに正確な資料はございませんけれども、業種別に非常に違っておりまして、臨時あるいは日雇いというべきものの製造における五月ないし七月の平均を前年同期に比べてみますと、たとえば家具あるいは装備品といったような関係の産業におきましては、増加率が一八%、一方において常用雇用も伸びておる。それから皮革の関係で一五%くらい伸びているというふうに、常用雇用でも伸び、また臨時工でも伸びておるというような業種がかなり多いようでございます。業種別につきましては、業種によって非常に較差がございますので、二、三の統計によりますとそういう数字になっております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)小委員 賃金と資本の蓄積という問題についてはいろいろ観点が違うと思いますので、きょうはこの程度にしておきまして、雇用の問題ですが、なるほど私の知っている範囲においても工場の従業員はふえておる傾向にある。ところがほんとうの期間を定めない、従来の格好における従業員といいますか、俗に社員とか工員とかいわれている人々はむしろ減りつつある。新たに補充する者は全部が期間の定めある従業員で、これにはいろいろ格好があります。耐用工と称する者あり、定期工と称する者あり、あるいは社外工と称する者がある。しかしながらこれらのすべてが日々雇いという意味じゃない〇一カ月なり二カ月の期間を定めて雇用しておいて、更新していくという格好、見方によっては帯用なんです。しかしこれが問題になっている。ほとんどの工場においては、だんだん従来の格好における従業員、期間の定めなき者のパーセンテージが減りつつある。一方臨時工といわれている形態の雇用関係の人がふえつつある。むしろ後者の形態の人が前者の形態の者より多い職場がある。こういうところが多くできているわけです。しかしながらこの期間の定めある従業員も見方によれば常用なのです。あなたのおっしゃっているのはこういう格好のものも常用に入れておられるのじゃないかと思うのですが、それはどうなのでしょうか。

小出榮一総理府事務官(経済企画庁調整部長)

○小出説明員 常用という中にはただいまお話になりましたようなものは入っていない計算になっております。確かに最近までの傾向を申しますれば、臨時工はふえてきております。しかしながら今お話にもございましたように、どうも臨時工のままではいかぬということ、これはむしろ企業に対する要求が組合側等からも相当ございましてたとえば造船業などの例におきましては、最近臨時工から全部本工と申しますか、ほんとうの常川工に直せという要求がございまして、企業の方におきましても結局、そうしないと工員の確保ができないというような状況になってきておる例がございます。従って今後と申しますか、最近の傾向といたしましては、漸次常用化に向っていく傾向にあると承知しております。先ほど申しました常用雇用数が伸びておる業種に臨時工も多いというのは、確かにお話のように、まず臨時工でかかえておいて結果によって常用工に直していくというものが多かったのでありますが、最近の情勢としましては、むしろ常用化していかないと、工員の確保ができないというような業種も現実に出てきておりまして、今後はそういう情勢に変っていくのではないか、かように見ております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)小委員 なるほど従来の臨時工が本雇いといいますか、定期工に変りつつあることは事実です。これは今言われたように、あらゆる労働組合が現在取り上げております。従って会社は自分の意思、あるいは意思に基かなくてもある程度は本工に直していくのは事実です。しかしながら新たに採用している者は、ほとんどが定期工の格好でなく臨時工という格好で採用しておるのです。今造船の話が出ておりましたが、これは少し資料が間違っているのじゃないかと思うのです。私は神戸であって三菱、川崎の造船所を控えておりますが、ふえておるのは全部社外工です。社外工がものすごくふえているという状態なのです。この形態をもう一度資料を調べていただきたいと思います。

笹本一雄自由民主党

○笹本小委員長 菅太郎君。

菅太郎自由民主党

○菅小委員 さっきの御説明によりますと、五カ年計画の三十年、三十一年の実績を見ると、いろいろな項目について計画の数字をはるかに、驚くべき誤差をもって超過しております。すでに三十年、三十一年がこうなりつつありますが、こういう状態が来年も続きますと、すでに計画の半ばに達するのであります。そもそも計画の根本の建前でありすが、最初に六カ年の計画を定められまして毎年々々こういうように大きな誤差ができた場合に、一体この五カ年計画の全体の最終目標を最後までこのまま持続なすって、年昨年度の計画だけを適当に立てていかれますか、あるいはある時期がきますと五カ年計画の最終目標全体を変えていかれますか、その点をお聞きしたいと思います。

大來佐武郎総理府事務官(経済企画庁計画部長)

○大來説明員 実はこの問題私ども事務的にも内部でいろいろ議論しておる問題であります。一つにはまた政府の大きな政策としてもその取扱い方を将来御検討願わなければならなぬ問題だと思っておるのでありますが、一つにはこの計画がいわゆる自由主義経済というか、自由企業制度というか、おもな経済活動の決定が個々の企業の手にございますので、計画と申しましてもやはり予測的な要素が入ってくるのではないかと存じます。もちろん共産国の計画でも、たとえば五カ年計画を四年繰り上げ遂行ということを言っておりますが、これはそれだけ非常に成績が上ったということになるので、その筆法からいえば、日本の五年計画は半分の期間で遂行ということになるわけでありますが、あれもやはり繰り上げ遂行という形で計画と実績の食い違いをならしておるというふうに見られるかと思います。ほかの国でもいろいろのやり方がございまして計画を五年やって、次にまた第二次というのが普通のやり方でありますが、最近計画を毎年ずらしてやるべきではないかという意見も国によっては出ております。これはアメリカの例のコルム博士などがやっておりますナショナル・プランニング・アソシエーションというのが最近勧告を出しておるのでありますが、アメリカ政府は単に大統領経済諮問委員会で今の経済情勢の分析を報告するだけでなくて、将来五年ないし六年にわたる予測を立てて長期の予測見通しに基いてそれを翌年度の予算案と一緒に提出して、それに基いて現在の政策を検討していくという長期の目標を毎年出すべきである、つまり一年ずつずらして六年計画というようなものを出していくというような勧告をいたしておりまして、アメリカの経済学者その他にかなりそういう意向の人が多いのであります。それから国によってはやはりそういう毎年ずらして長期の計画をやっていくというところがあるようであります。これは私どもの方としてはこういう計画をどういうふうに将来直していくかという手続はまだはっきり考えがまとまっておらないのでありますが、日本の場合といたしまして五年たって次に第二次五年計画というようなやり方は、日本の経済の実情に必ずしも合わないのじゃないか、計画を終るある年度前にまた次の先を見通す計画を立てていく、そういう行き方が必要になるのじゃないかと内部では考えておるわけであります。今の段階では私どもとしましては先ほど最初に申し上げましたように、いろいろ基礎データを固める仕事をやっておりましてかりに来年直す必要があればそのときはよりよい計画にできるような準備を進めたい、こういう問題はこれは世界的にも各国でだいぶ行われております計画技術、予測技術というような問題については、いろいろ学者の研究もございますし、政府がやっておる仕事もございまして何度かやっておるうちに、回を重ねるに従ってよりたよりになる将来の計画というものができる、そうしなければいけないと思っております。戦後の日本で正式にできました計画は今回が最初でありまして、私どもも、いろいろその計画自体の方法論なり実績等の照らし合せなどやっておりまして、今後改訂を要する点も幾つか考えられておるわけでございますが、ただこういうふうに計画ございますと、その実績と狂うといこと、実績と狂えば全く意味がないかと申しますと、私どもはそうではないと考えておりますので、数字的にいりいろな経済の資料をはじいてみる、それがもし狂ったらどこからその狂いが出てきたか、あるいはその狂った原因に予測のやり方がまずかったのか、本件のとり方がまずかったのか、あるいは判断に誤りがあったのか、あるい日本の経済に見落しておったようないろいろな要素があるのか、そういうことを常に具体的に検討する非常に重要な手がかりになるのではないかと思うのでございます。たとえばいろいろいいことがたくさんあって、どれもこれもやらなければならない、文句で言っている限りにおいては何でもできように見えますけれども、数字に全部入れてみますと、どの程度できるかできないかということがかなりはっきりして参ります。そういった意味で、経済計画の意味がいろいろあるように考えておるのでございます。この予測と申しますか、見通しが、最近の情勢でだいぶ狂っております。これは幸いいい方に狂ったのでよろしいのでございますが、一つは、こういう情勢が今後三十五年まで継続すれば一番よろしいのでございますが、どうもやはり少し問題があるのではないかという気がいたします。それでもう少し長い目で見る必要があると存じますが、しかし先ほど申しましたように、それにしましてももう少し到達した水準からいって、五カ年計画の目標が全般的にやや低過ぎるということはどうも否定できないと思います。私どもの方も、できるだけ近年もし改訂いたします場合の役に立つような勉強を今のうちにしておこうということでやっておる次第でございます。

菅太郎自由民主党

○菅小委員 ただいまの問題は非常に重要であると考える次第であります。私どもが政治に携わっておりまして日本のいろいろな経済に関する政策を考えなければならぬ立場にありますときに、将来の経済の見通しについての資料をもらったり、あるい場はその結論を教えてもらったりしますのは、どうしても経済企画庁にたよるほかないのであります。皆さんが最高の権威者であります。さきに内田君も申しましたように、ややもすればうしろ向きの経済企画庁になってはならぬのでありまして、そういう意味におきまして経済の立案も今アメリカの何とかいうお話がございましたが、毎年々々改訂して、それから先五年なら五年、十年なら十年の見通しを出したものを絶えず持つとか、あるいはこういうふうに五カ年計画というものが実際に実施をやってみればすでに態勢としてはもはや根本的にずれがある、傾向としてそういうことが否定できぬと思います。そこで相当のずれができるということがわかっておれば、思い切ってこの五カ年計画全体を改訂してしまうとか何かの措置を講じて、絶えず日本経済の先五年なら五年の見通しを持ってもらうことが非常に必要ではないかと私どもは考える次第であります。今までいろいろお話がございましたから、いろいろ御苦心のほどはよくわかりますが、この点について今後も大いに御考究を願いたいのであります。  この五カ年計画を根本的に改訂することは、あるいは大きな政治問題かもしれませんが、私はこの段階にくれば、もはやその準備に着手して、少くも来年あたりはそういうことを断行せねばならぬのではないかという気がいたします。あまりずれが大き過ぎます。日本の経済計画を立てる上においては、貿易立国の関係上、世界の経済の動向の見通しが非常に重要であると思いますが、果してこの輸出の好況、世界の経済の躍進というものが単なるアブノーマルなものであって、一時的なものであるかどうか、あるいは将来若干波はありましょうけれども、多少下り波に立っても、この大きな動向はそう変らぬものであるかどうか、こういう点について、質問というよりも希望になりますけれども、根本的な研究をぜひ一つお願いしたいのであります。  大体五カ年計画をお作りになりますときの、いわゆる自立五カ年計画、戦後の復興から自立に向って収支のバランスが大体合えばいい、そういう意味から思えば、規模の比較的小さいものでありましたが、しかし今日はもはや世界情勢との関連において根本的に立案の態勢を変えなければならぬのではないかと思う次第であります。一体今日のこの世界経済の大きな動向を見る上において、おそらく二十九年ごろの見方とはだいぶ変ったものがなければならぬと少くとも思う次第であります。共産圏における社会主義建設というものは、もはや動かすことのできない非常に大きな速度をもって巨大なる建設をやっておるし、それから欧米先進諸国の資本主義も、私が申し上げるまでもなく、大体において近代的脱皮を終えまして相当社会主義的長所も取り入れておりますので、妙な景気の変動でくずれる時期があるということはほとんど考えられない。ことに大衆購買力の維持とか、雇用の増大とかに非常に力を入れておりますので、大体において多少の波はありながらも、引き続き上り坂の姿勢を今後とるのではないかと思いますし、さらにもっと考えなければならぬことは、数十年前でしたら考え及ばないことが、東南アジアからアフリカ、これらの地帯における新興国家では非常な経済建設に向っておるし、これから文化の開明もあり、生活の上昇もありますので、これらの点における一つの経済の繁栄がようやく今から日程に上ろうとしておる。それからラテン・アメリカ方面の経済の途展も見るべきものがあります。かつてはソ連や中共などでは考えられないような、一つの大きなあそこにおける独特の経済の進展があるわけでありますから、こういうものを全部ひっくるめて見ると、世界経済の伸びというものは、われわれが二十九年ごろに考えたものよりは違う様相を呈しつつあるのではないか。いわんや原子力の活用の問題、オートメーションの普及、それから化学工業の非常な進展などによりましていわゆる第三次産業革命というものも日程に上りつつある。極端な言葉で少し激し過ぎるかもしれませんが、これから世界全体が歴史的な経済の躍進の時期に入るのじゃないかと思います。これを、うっかり古い時代の景気の変動の波などを頭に置いて考えると、とんでもないことになるのではないかと思うのであります。そういう意味におきまして、果してこの二、三年における状態が、単なるアブノーマルのものであるかどうか、そうではなしに、大きな世界の経済の歴史的な躍進といいますか、第三次産業革命の日程に入ったのではないか、こう思います。私どもは、こういう様相をよく見て、日本の輸出体系なども、輸出の趨勢なども、あるいは今日異常と思われるような状態が多少下降線をたどるにしても、大勢としてはずっと持続をされるのではないかということを考えるわけであります。私は、こういう意味において、経済企画庁が前向ききの姿勢をとっていろいろ策定をせられ、そうしてわれわれ政治の上に一つの重要な資料を提供するという意味においては、こういう大きな世界史的な意味の御判断をぜひ取り入れていただきたい。今万一の五カ年計画の改訂に備えて準備をお始めになったと聞きまして、私はそう思うのでありますが、できますならば、さういう大きく世界経済を達観し得るような民間人とか、専門家もお集め願いまして、そうしてただ現実の過去の、あるいは目前のこまかな数字ばかりにとらわれずに、よく大観をした上での御策定を願いたい、こういうふうに考える次第でございます。これはあえて御答弁を要しませんが、われわれが今日党としての経済政策を立てる上におきましても、実は悩み抜いておる点でございます。そういう点についても皆さん方から非常に有力なる御所見を伺い得ますれば、非常に幸いだと思いますので、そういう希望を申し添えておきます。

笹本一雄自由民主党

○笹本小委員長 それでは私より経済企画庁に対しまして一言要望いたしておきます。先ほど来種々説明並びに質疑応答中にもありました基礎産業部門、ことに鉄鋼、電力需給の問題、輸送力の問題につきましては、当面のまことに緊急な案件でありますので、それは特に今調整部長も話されておりましたが、もう十二月を控えて最も重大な輸送問題であります。特に石炭の輸送問題については運輸省その他と協議をして今目下鋭意研究中とのお話でございましたが、この点につきましては近く商工委員会においてもあらためて調査を進められる予定のようでありますが、経済企画庁としてはこれらの総合調整官庁でありますので、十分検討の上、すみやかに実行できるような適切なる処置をとられることを要望いたします。  本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後一時十一分散会

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