商工委員会日本経済の総合的施策並びに国土総合開発に関する小委員会 第3号
- 発言数
- 7 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1956/03/17
会議録
○笹本小委員 これより会議を開きます。 前会に引き続き、日本経済の総合的基本施策に関し調査を進めます。 この際、小委員長より、先般来の調査検討の結果に基きまして、経済自立五カ年計画自体に包蔵しているところの種々なる困難性、すなわち計画の具体化方策あるいは現実的経済計画の作成方法等の本質的重要課題について問題を提起するとともに、これに対する企画庁当局の所信を承わりたいと存じます。 すなわち経済自立五カ年計画は、わが国経済を一応総合的計画化に体系づけたことは、画期的事業であると考えるのであります。しかし前会の企画庁の説明及び質疑応答によって明らかのように、このままでは現実と遊離した机上計画に終るおそれがあり、この計画をさらに具体的実行性のあるものにするためには、まず資金計画の整備と実行、すなわち関連産業の資金需要をも含めて精密に検討された計画資金をいかにして確保し調達するかが要諦であると思うのであります。 他方、この経済自立五カ年計画は、いわゆるコルム方式によって推計した経済発展の系数を上から各部門に割り振る形をとったので、ややもすると現実の経済発展と同調しないきらいがあると思われるので、逆に部門別計画を立て、下から積み上げる方式によって再検討する必要があるのではないかと考えるのであります。またわが国経済は貿易依存度がすこぶる大きく、国際政局の動向、世界景気の変動、通貨の交換性、関税、後進国の開発、共産圏貿易等に影響される度合いが強いのでありまするが、長期経済計画の前提として掲げられた条件は妥当なものであろうか、すなわちこの条件を大幅にはずした形で試算を行う必要があるのではないか。その他公共事業のあり方、雇用問題、計画推進のための施策等、さらに検討を要する問題が多いと考えるのであります。経済企画庁はこの計画に具体的実現性を持たせるため、これらの諸問題について今後いかなる態度方針をもって研究施策を行なっていくのでありますか、詳細にこれが説明を聴取いたしたいと存じます。
○上野説明員 委員長からただいま御質問の点に対しまして、現在企画庁で考えておりますことを申し上げてみたいと考えております。便宜上お手元に五カ年計画の推進についてという刷りものを配付してございます。ただいまの委員長の御質問に完全にお答えしておらぬかもしれませんが、御指摘の問題はこの中に大体触れておるように思いますので、これに即してお答えを申し上げたいと思います。 御案内のように五カ年計画は、自由資本主義国において試みられましたこの種の計画のものとしましては、一番整っておるものとわれわれは思っておるのでありますが、しかし何分にも自由経済体制というものを基礎にして、こういう考え方を実行するというものに使うには、まだまだ不十分な点が多多ございます。そこで、それらの不十分な点を今後一そう掘り下げまして、それを整備して、実施面の具体的な施策に役立つようにしたいという気持を強く持っておるのでございます。 そういった意味で、今後どういうことを考えておるかと申しますと、まず第一番目には、部門別計画の掘り下げという問題でございます。この問題は、すでに今までの御検討の際にも申し上げましたように、五カ年計画におきましては、一応部門別の計画というのはあるにはあるのでございますが、その部門別計画の中身は実に不完全な——不完全なと申しますか、まだ検討不十分な点があるのであります。そのために、この問題が事業活動や金融に対して目標を与えるとか、あるいは政府の政策を具体的に指導するといったような観点から見ますと、現在五カ年計画で織り込んでおる需給計画というだけでは、実は不十分なのでありまして、もう一つこの需給計画と相並んで、設備の計画、投資計画とでもいうか、その問題をもう少し具体的にしなければ、今申し上げたようなことに使えないわけでございます。 設備計画は、同時にまたその裏側であります資金計画を意味しておるのでございまして、先ほど委員長からも御指摘の資金計画が十分ないではないかという御質問があったように思いますが、実はこの資金計画も、その前にもう一つ部門別な設備計画というものを掘り下げていきませんと、的確な資金計画ができない、こういう関係に立つわけでございます。そういう面から申しましても、この部門別計画をさらに一そう掘り下げる必要があるように思っております。この作業はできるだけ早くやりまして、具体的な政策の指針に使いたい、かように考えております。 それから二番目には、中小企業の取扱いの問題でございますが、この問題もすでにこの委員会でも御研究を願ったわけでございますが、どうも中小企業の問題も、雇用の面から五カ年計画におきましては非常に重視をいたしておりまして、中小企業の健全な発達に非常に大きな期待をかけておるのでございます。しかし、それでは具体的に一体どういうふうに中小企業の問題が五カ年計画と結びついておるのかということになりますと、どうもやはり抽象的な感じがするわけでございまして、もう少しそれを掘り下げまして、具体的なものにいたしたい。しかもその掘り下げの方向は、ただ中小企業対策というふうな大づかみな問題の取り上げ方をしますと、幾らやってみましてもなかなか具体化しない。あくまでも抽象論にとどまるということになりがちでありますので、今後の作業の大体のねらいといたしましては、中小企業の実態を部門別、形態別につかまえて、その部門別、形態別に即応するような対策を一つ作ってみたい、こういうふうなのが、問題の取り上げ方の一つの着眼点でございます。従いましてさょうな作業の結果出てくる諸対策は、すでに既存の対策で事足りるものもあるいはあるかもしれませんが、実はこの中小企業対策は、少し純経済的な視野からもう一歩飛躍しました一つのものを作り出さなければいかぬのではなかろうか、さような心組みでこの中小企業の問題の検討に入りたいと思っております。 それから第三番目には雇用問題でございますが、雇用問題は、今度の五カ年計画はとにかく一つの重大な看板になっておりますので、どうも看板に偽わりがあるような計画では、これは計画を立てた意味をなしませんわけで、雇用問題は今度の計画策定に当っても一番重点を置いて研究した点でございます。しかし何分にも日本の雇用問題というものは、非常に複雑かつ深刻でありまして、現在までの研究の程度をもってしても決して十分であるとは申せません。ことに潜在失業の問題、あるいは労働力率の問題、そういうふうなことを考えますと、今まで五カ年計画でタッチした程度のタッチの仕方ではまだ不十分であるということを、われわれは痛感しておる次第でございます。さようなわけで、今後の作業の大体の目のつけどころは、就業の構造を少し的確につかんでみたい。それから労働力率の問題の検討を進めてみたい。コルム方式におきましては、労働力率というものが、作業をやります上に重要な一つの道具になっておるのでありますが、その重要な道具である労働力率に対する突っ込みがまだどうも十分であるとは申せません。現にこの数字は毎月々々非常に不安定に浮動いたしております。そういう非常に不安定な労働力率を基礎にしていろいろな作業をしますと、基礎そのものが非常に不安定になりはせぬかというふうなことも言えるわけでありますので、かたがたもって労働力率をいま少し掘り下げて研究をしてみたいと考えております。 それから四番目には国際経済と五カ年計画とのつながりの問題でございますが、この五カ年計画も、もちろん作業の当初におきまして国際経済のことを無視したわけではございません。国際経済とのつながりのことには関心は持っていたのでございますが、何分にも国際経済は日本の力をもってしては左右しがたい社会でありますので、そういうものの変化を一々克明にこの五カ年計画に反映させるということは、非常にむずかしい問題なのであります。そこで、国際経済の動きについてごく大ざっぱな前提を置きまして、その前提の上で五カ年計画の作業をいたした次第でございます。しかしその大ざっぱな前提を置きました国際経済の動向は、実はそういうふうな軽い扱いでは済まされないわけでありまして、俗にアメリカの経済がかぜを引けばヨーロッパがくしゃみをするといわれるくらい、国際経済と特定の国の経済とが緊密なつながりを持っておるわけでありますので、そういう前提を置いた上で作業をしたのだからというだけでもって満足しておるわけには参りません。国際経済の動きに即応して日本の経済計画の運営をはかって参る必要があるわけでございます。そこで国際経済の取り上げ方の目のつけどころといたしましては、とにかく景気変動的なものと長期的な国際経済の動きと、両方が世界経済の動きにあるわけでありますが、ごく短期の景気変動の現象は、とうていこういう長期計画で一々追いかけるわけには参りませんが、せめていま一つの長期的な世界経済の動向だけは、何とかして五カ年計画と結びつけるような方法を考えてみたい。幸い最近東南アジアの諸国あるいはその他の後進諸国におきましては、どの国も、程度の差こそありますが、いろいろ長期計画というものを立てております。それらの各国の長期計画と日本の長期計画というものを何とかして結びつける方法を考えたいというのが、この四番目の問題でございます。具体的にはどういうことになるか、作業をしてみないと的確なことは申し上げかねるのでありますが、もちろんインドの五カ年計画がどうなっておるから日本の五カ年計画はどうしなければならぬというふうに、数字的にぴしゃっと合う、つまり各国の長期計画を国際的に結びつけるというふうなことは、これは現在の段階では時期尚早だと思います。かつて日本が物動をこしらえましたときには、満州国の物動とシナの物動とは、日本の物動と一本になって、非常に大きなスケールの計画を立てたことがあるのでございますが、今そういうふうな程度にまで日本の経済長期計画と東南アジアなりそのほかの国の長期計画とを結びつけることは、とても今日においては思いも及ばぬことでございますけれども、しかし大体、インドは五カ年計画でどういう方向に産業を持っていこうとしているか、ビルマはビルマの五カ年計画でビルマの産業経済をどういうふうに持っていこうとしているかというふうなことにつきましては、やはりかなり的確な情報によりまして、その動向を把握したい。その把握した動向に基きまして、場合によりますれば、あるいはこの五カ年計画の改訂ということも問題になってきましょうし、あるいはまた改訂しないまでも、外国の長期計画に合いますために、海外投資を積極的にやるとか、あるいはその他の経済提携の方策を強力に押し進めるというような政策の基礎を、そういうものから生み出して参りたい、こういうふうに考ええております。 それから五番目は地域的な計画の問題でございますが、五カ年計画は当初から地域計画というものをほとんど考えておりません。日本経済全体として経済の循環がどうなるか、経済の構造がどういうようになるか、そういうようなことを検討した計画でありまして、日本の国内における、北海道がどうなるとか、あるいは東北地区がどうなるとか、あるいは関東方面がどうなるというふうに、地域ごとの立ち入った検討はいたしていないのでありますが、最近だんだん地域ごとの開発計画というのが問題になっておりまして、それは比較的おくれておる地域を開発するという意味と、いま一つは工業の立地条件を整備する、そういう両様の面から地域の開発計画ということが当面問題になっております。そこでこれを何か五カ年計画の線に乗せながらこの地域別計画をどういうふうに立てるか、方法論としてはこれが非常にむずかしい問題でありますが、とにかく問題としては勇敢に一つ取り上げることにしようというのが、この五番目の問題でございます。 そのほかに先ほど委員長から御指摘のありましたコルム方式の問題の検討でありますが、これは非常に理論的な問題でありまして、このコルム方式だけでこういう長期計画を立てるのに十分かどうかという点は、いろいろな議論が立てられるのでございますが、とにかくごく大ざっぱに言って、先ほど委員長から話がありましたように、労働人口に生産性をかけまして総生産を割り出して、それをこまかく中身を割り振っていったというような、上からずっと演繹的に作業をいたしておるのでございますが、実はこの作業はそういう面ではコルム方式でありますけれども、それを補完するのにやはり積み上げ作業で検証をいたしておるのでございます。つまり帰納的なそういう積み上げ作業でテストもいたしておりますので、現在の日本の五カ年計画が純粋にコルム方式であるとは言い切れないので、これはコルム方式と積み上げ方式とがミックスしたような格好になっております。しかし問題はそのコルム方式と積み上げ方式とのかみ合せのテクニックがきわめて非論理的と申しますか、うまくいっておらぬというところに問題があることと、それから積み上げの方の検討のやり方が、またちょっと方法論的にもいろいろな難点を持っております。さようなことで、コルム方式全体を、今企画庁としてこれを葬り去るというようなことは考えておりません。むしろこのコルム方式を補強するのに、いろいろな他の方法を併用いたしまして、このコルム方式の足らざるところをそれで補いたいというようなつもりで、方法論の検討もいたすことにしております。非常にかいつまんで申し上げたわけでありますが、仕事の内容は今私が言葉で申し上げましたように、決して簡単なものではないのでございまして、一つ一つの問題が、いずれもおそらくこの種の計画としては世界でも類のないくらい難事業であろうと思います。学問的にはこういうものを扱ういろいろなことも研究されておるのでありますが、これが実際、政策の場までこれを持ち上げるということは大へんな難事業でありまして、これができるかどうかということについては率直に申しましてわれわれもかなりな不安を持っております。しかしどうしても五カ年計画にものを言わせようというのには、今申し上げましたようなむずかしい問題とも勇敢に取り組んでみる価値が十分にあるわけでありますので、大体われわれもできるだけ早く今申し上げましたような問題を掘り下げて参りたい、ものによりましては非常に長い期間研究にかかるものもあろうかと思いますし、また案外早く作業ができるものもあろうかと思いますが、これも逐次順序よく取り運びまして、何とか五カ年計画を一そういいものにしたい、かように考えております。
○笹本小委員長 政府当局の説明は終りました。質疑の通告がありますからこれを許します。秋田大助君。
○秋田小委員 ただいま上野説明員の御説明を承わりまして、五カ年計画推進に関するいろいろのやり方について了承をいたすものでございますが、若干の希望とお尋ねをいたしてみたいと思います。大へんけっこうな方針で、文字の上には比較的簡単に記述されておりますが、その裏には非常な御努力があり、非常な難事業に取っ組まれておられる皆様方の御苦心は十分推察に余りあるものがございます。非常に表面的はなやかでないお仕事、縁の下の力持ち的なお仕事であり、まことに皆様の御労苦に対しては御同情申し上げますが、ただいま上野さんのお言葉にもありましたが、どうぞ国家再建のために一段の御努力をお願いいたしておきます。全体を通じて演繹的な作業のチェックと申しますか、妥当性の検討のために、これまた非常に難事業でございますが、どうぞ具体的な積み上げ作業の方も十分今後御努力を願いたいということが全般的に感ぜられます。なお四の国際的観点からの計画の検討の部につきまして、過般の委員会において同僚菅委員からもお話がありまして、私も多少申し上げたと記憶いたしておりますが、輸出入貿易の計画におきまして、品目別にまた地域別に一つ具体的に大体の計画を積み上げられる、これまた非常に難作業でございますが、この点も一つごめんどうでございましょうが、怠りなくやっていただきたいと思います。 なおこの五カ年計画の目標達成の裏をなすものは、申すまでもなく経済の拡大均衡にあるのでありますが、それがためには輸出入貿易を盛んにしなければならぬ、それがためにはわが国の産業の合理化を行わなければならぬということは申すまでもございませんが、この合理化を進めて、よい安い品を作るという一般的基礎をなすものは、やはり資金の問題があずかって力があると思います。そこで資金の豊富であることの必要であることは申すまでもありませんが、同時に資金の質ということが問題になります。大体やはり低金利ということが必要であろうと思います。近時わが国の金融情勢が低金利の趨勢に向っていることは皆様御承知の通りであって、まことにけっこうであると思いますが、この方面に関して企画庁はどういうことを考えておられるか、一般的なお考え方、並びに施策について特にお伺いいたしたいのであります。それは社債市場の再開等が間近に実施されるということを伝えられておりますが、やはり金融機関の資金コストをもっと下げなければいかぬ、それがためには金融機関に預け入れしております預金利息の引き下げということまで、どうしても進んでこなければならぬと思います。また五カ年計画推進のためには、財政資金の豊富ということが相当要求されて参りますが、預金利息の課税免除というような点から、御承知の通り近時郵便貯金なりあるいは簡保の資金というものが、非常に資金が豊富でない、成績が上ってないというような面もございます。こういう点から考えましても、一般金融機関の資金コストを引き下げ、すなわち預金利息を引き下げるという施策を、私は政府としてとらなければならぬだろと思うのであります。この金融機関の預金利息のことについては、たしか来年の三月で改訂の時期がくるということも聞いておりますが、来年度の予算編成とも関連をいたしまして、これは相当重要な問題であろうと思います。もちろんこれは大蔵省の主管に属しますが、五カ年計画の推進の一つの大きな前提条件として、この問題についてどういうふうにお考えになるか、またどういう施策をとらすべきものであるとお考えになっているか、企画庁の御意見を伺いたいと思います。
○上野説明員 金利政策のことでありますが、これは大蔵省所管のことでありますので、あまり立ち入ったことはわれわれ申し上げかねるのでありますが、この五カ年計画そのものは、非常に金融の正常化ということを強調いたしております。そのために、この金融正常化の阻害になるようないろいろな事柄に対しては、できるだけそれを差し控えまして、現在の態勢が打ちこわされることのないように、すなわち金に対する需給関係に非常に逼迫感がこないように、それがいわゆるバランスを非常にとうとんでいる国民経済政策の大体の考え方でありまして、そういう意味では、現在の情勢は非常に五カ年計画の基本的なものの考え方と平仄が合っているようにわれわれは考えておりまして、今低金利を妨げるような積極的な要因として御指摘になりました経営の合理化でありますとか、あるいは預金利子の引き下げの問題であるとか、そういうふうな問題につきましては、これは非常に政策が具体的なことになりますので、企画庁として今やるべきであるとかないとか、そういうことはちょっと申し上げかねるのでありますが、少くともこの合理化による経費の節減、それによる資金コストの引き下げということは当然やるべきことであり、おそらく大蔵省もそういう面の指導は積極的にやっておると思います。 それから預金利子の免除の延長の問題でございますが、これも大蔵省所管事項でありまして、私は積極的な御答弁はで逆ないのでありますが、私が何か聞いておるところによりますと、三十一年度に預金する分につきましては何か特別の措置をとるような配慮がされておるというように聞いております。しかしこの問題につきましては、主管でありませんので、差し出がましい品はちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
○秋田小委員 事が主として大蔵省主管の問題であり、経済界一般に非常な大きな影響のある問題だけに、慎重な態度で御答弁されておることは了承いたしますが、同時にこれは五カ年計画推進の大きな基礎をなすものでございますので、もちろん十分お考えになっておられると思いますが、一つ大蔵省側にも大胆に企画庁側のお考えを披瀝されまして、大蔵当局をむしろ指導するくらいの意気込みでかかっていただくことを特に希望いたしておきます。
○笹本小委員長 それでは他に質疑がございませんから本日はこの程度にして、次会は公報をもってお知らせいたします。 それではこれで散会いたします。 午後零時二十三分散会