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24回国会衆議院1956/03/31

商工委員会中小企業に関する小委員会 第1号

発言数
3
登壇者
2
会派数
1
開催日
1956/03/31

会議録

中崎敏日本社会党

○中崎小委員長 これより会議を開きます。  中小企業対策に関して調査を進めます。  本日は第一回の小委員会でありますので、まず政府委員より、中小企業対策の現状と問題点につきまして、概略説明を聴取することにいたしまして、次会の小委員会より、当面の個々の重要問題を順次取り上げ、政府の施策をただすとともに、必要に応じ参考人より意見を聴取するなどの方法により、十分調査検討を加えることにいたしたいと思います。  それではまず中小企業庁長官佐久政府委員より説明を求めます。佐久政府委員。

佐久洋中小企業庁長官通商産業事務官

○佐久政府委員 中小企業の問題点はいろいろございますが、まず第一に概要を御説明申し上げまして、逐次問題点に移りたい、かように存じます。  一般の状況を申し上げますと、二十九年におきましては、中小企業は非常な危機に立ち至ったということを言われておりまして、現実にまたそういう様相を呈しておったのでありますが、三十年に入りますと、漸次その危機の様相も緩和されまして、三十年の後半からは非常に輸出も伸びを示し、同時に非常な豊津によりまして、農村の購買力も相当水準を高めた。こういうような関係から、経済活動は一般に非常に好況を呈したのであります。  この情勢は、当然中小企業の面におきましても輸出、特にその中でも対米輸出にかかる繊維とか雑貨等の中小企業の業種におきましては、その影響が相当顕著に出ておるのであります。そのほかの業種におきましても、二十九年に比べますと、相当の好転を示したように見られます。昭和三十年の中小企業動向調査によって見ますると、製造業のおもなもの四十七業種、七十五産地について調査をいたしたのでありますが、前年に引き続きまして好調のものが十三業種、十八産地、それから新たに好調に転じたものが十七業種、三十産地、前年度に引き続きまして依然として低調なものは十二業種、二十産地、新たに低調になったというものが五業種で、七産地、それから卸売業のおもなもの二十八業種をとって、四十九産地について調べてみますと、前年に引き続いて好調のものが六業種で、八産地、新たに好調に転じたものが十業種で、十五産地、前年に引き続きまして低調であるものが八業種の二十二産地、新たに低調になったものが四業種で、四産地、こういうような状況になっておるのであります。  以上のように好転はいたしたのでありますが、それは主として生産数量あるいは取扱い数量の増加によるものでありまして、単価の値上りとかあるいは取扱いマージンの幅の増加というものは、きわめて少い状況であります。と申しますよりも、むしろ数量的には非常に好調に見えるのでありますが、単価の競争が以前よりも激しくなってきたという問題が一つあるようであります。またその結果、競争が激甚になるという状況を呈しまして、国内及び貿易の両方の面において市況を不安定ならしめ、あるいは商取引、輸出取引の円滑を害し、あるいは経営の基礎を弱めていくというような状況がありますし、同時にまた取引の相手方に買いたたきをする機会を与えるというような現象が出て参りまして、今後こういう問題は相当警戒をしなければならぬ、また是正をしなくてはならぬ問題の一つだと思われます。この競争の情勢は、一般にまた中小企業の分野におきましても優劣の差をはっきりさせてきておりますし、取引の相手方の企業と金融機関両面から、企業の選別が進められておる。これも一つの問題であろうと思います。そういう結果、一面においては中小企業者が経営の堅実化を考え、経営の合理化、近代化の意欲を増しておるという点も、もちろんこれはあるわけであります。競争が激甚になった結果、最近におきましては貿易面で対米綿製品の輸出問題が相当論議されておりまするが、ミシンとか双眼鏡、陶磁器、合板といったものについて安値輸出防止を必要とするものが出ておりますし、国内におきましても繊維などについては設備、生産の制限を必要とするような状態になっております。これらにつきましては、いずれも中小企業安定法の適用が行われておるのでありますが、事態緩和の見通しは、今のところむしろ品種によりましては調整を強化する必要があるというような状態であります。ことに繊維産業につきましては設備制限を上歩進めまして、むしろ過剰設備の処理を抜本的に考えざるを得ないというような状態でございます。  商業部面におきましては、潜在失業者と申しますか、そういったものが小売部面へ相当流入をいたしまして、小売商の過剰問題と、同時に百貨店業者の設備の拡張との調整、そういう問題が至急解決されなくてはならぬように思われるわけであります。  過剰競争の問題はまた下請関係におきましても相当きびしい状態でありまして、親企業は下請企業者間の競争をむしろ利用いたしまして、取引関係を不当に壟断するという傾向があります。中小企業の利益を擁護して下請関係の正常化をはかる要がある、これも一つの問題であります。  企業の選別というのは、単に下請取引の関係だけでなしに、一般取引についても見られるところでありますが、金融機関との取引におきましては、銀行側の選別態度は依然として続けられておりますし、その結果また企業間の優劣の差が顕著になっておるということも憂うべき一つの問題であります。  以上申し上げましたようなことは、経済がだんだんと正常化されるに従って当然現われて参りまする現象であるとはいいながら、中小企業の問題としてはこういった問題が中心課題であると思われますし、問題はむしろ中小企業の上の方から下の方へ、零細企業へと移行していくこの零細企業対策をどうするかというような点に、問題が集中されてくるように思われます。  次に金融情勢についてちょっと申し上げますと、経済がだんだん正常化しまして、以前のように企業が金融に全く依存して自主性を制せられているというような傾向はだんだんと緩和して参っておりますが、その結果市中金融機関の資本繰りにも余裕が生じまして、昨年の半ば以降は中小企業金融にも相当の影響を与えて参っております。数字について見ますると、昭和二十九年の一月から七月、つまり上半期におきましては、中小企業の貸し出しはだんだんと縮小して参ったのであり十ますが八月以降の貸し出しが若干ふえたというような経過で二十九年を越したのであります。三十年におきましては五月以降貸し出しがだんだと増しまして、八月及び十月には大企業向けの貸し出しの縮小という顕著な変り方がありましたけれども、中小企業向けにつきましてはむしろ健全な伸び方を見せまして、三十年の四月から十一月の八カ月間におきましては一千十七億の貸し出し純増を見たのであります。かような結果、全国銀行の貸出残高に占める中小企業向け貸出残高の割合は、二十九年の九月末におきましては三三・九%でございましたが、三十年十二月末にはこれが三五・三%というふうに増加いたしまして、昭和二十八年の九月末は三六・九%でありましたが、だんだんとそれに近づいて参つたという現象であります。  また相互銀行、信用金庫あるいは信用組合につきましても、貸し出しは相当増加いたしまして、昭和二十九年の四月から十二月までの貸出純増が五百六十四億円でありましたが、三十年の四月から十一月においては八百三十二億円というふうに相当の増加を見ておるわけであります。  それからこの金融問題のほかに、中小企業の支払い問題として中小企業の金繰り状況を見まするに、工業部門の中小企業に対する支払いは、三十年度の第二・四半期におきましては現金の支払いと手形の支払いの比率が現金の方が四五・三%、手形支払いの方が五四・七%でありましたが、第三・四半期におきましては、それが四一・二%と五八・五万というふうに、手形支払いが増加して参っております。またその手形の期限も六十日未満というのがわずかにふえて、九十日の手形はむしろ減少、百二十日あるいはそれ以上というのが増加をしたというような結果を示しておりますので、支払い関係は総じて悪化の傾向がうかがわれるというふうに思われるのであります。これも一つの対策を要する問題であろうと思います。  以上が生産あるいは金融関係一般についての概要でありますが、今後の対策の方向といたしましては、もちろんこれは経済の好況を維持するということが基本的な問題であります。従いまして経済健全化の線を維持しながら、経済拡大をはかっていくということが中小企業対策の根本であることはもちろんであります。また協同組合組織によりまする中小企業者の組織化あるいは企業診断制度による中小企業者の合理化、近代化というものの推進、これらに対する国庫の補助という制度は従来もやっておりますし、今後もさらに相当の重要度を持ちまして続けていかなくちゃならぬ問題だと思います。従いましてこれらに要する人員の増加、あるいはその質の強化、あるいは予算の増加というような問題が並行して起ってくる問題であります。なおこの組織化の問題におきましては、先般来都道府県及び全国におきまして協同組合中央会というものが組織されまして、これが中核となって組織化の推進をはかるということに一そうの努力をしなくちゃならぬというふうに思われるわけであります。  中小企業の指導につきましては、三十一年度から新しく考えなくちゃならぬ問題があるのでありますが、それは中小企業対策炉従来は中小企業一般に対する対策として考えられて参ったのでありますが、最近のように中小企業内部の格差がだんだんと顕著になってくる事情もありますので、また指導の対象がきわめて区々で、業種別、規模別等の範囲をさらに細分して、それぞれに応ずるきめのこまかい指導を今後行わなくちゃならぬという必要があろうと思います。  業種別の指導につきましては、産地診断とかあるいは系列診断等を行なって参りましたが、さらに業種別総合診断というような方式を新たに加えまして、業種全体の合理的なあり方ということを今後やらなくちゃならぬというふうに思われるわけであります。また中小企業の経営体としての規模の問題でありますが、それも適正規模の問題のほかに、数において最も多数を占めております小規模あるいは零細企業者の保護指導ない上相談というような事務を、今後一そう充実する必要があろうと思います。またそれらに必要な調査機能の充実という必要もありますので、今年度におきまして、金額は多くはないのでありますが、とにかく一つの新しい予算措置を講ずることといたしておるのであります。なおこの金融問題につきましては、従来の政府関係の金融専門機関につきまして資金の増額をはかる必要があり、さらに信用保険制度につきましても、一そう零細企業保護という見地から、今後改善充実をはかる必要があるのではないかというふうに思われるわけであります。  問題は中小企業につきましては、何か一つの問題を解決すれば一切が済むというようなものではございませんので、以上いろいろな問題を提示いたしましたが、これらについては皆様の全幅のお力添えをお願いしたい、かように存ずる次第であります。

中崎敏日本社会党

○中崎小委員長 ただいまの説明に対し概括的な質疑があればこの際これを許します。別に質疑もないようでありますので、本日はこの程度にとどめます。  次会は公報をもってお知らせすることにいたしまして、これにて散会いたします。    午前十一時四分散会

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