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24回国会衆議院1956/02/22

商工委員会重化学工業に関する小委員会 第1号

発言数
5
登壇者
3
会派数
1
開催日
1956/02/22

会議録

小平久雄自由民主党

○小平小委員長 これより重化学工業に関する小委員会を開会いたします。  本小委員会の調査方法につきましては、さきに小委員打合会で御協議願ったのでありますが、まず本日は重化学工業の現況並びに対策につきまして、重工業局長、軽工業局長よりそれぞれ説明を聴取することとし、次回の小委員会から、当面の個々の重要問題を順次取り上げまして、調査検討をすることにいたします。  それではまず軽工業局長吉岡政府委員

吉岡千代三通商産業事務官(軽工業局長)

○吉岡政府委員 化学工業の関係は、御承知のように有機、無機あるいは肥料、窯業というふう北、きわめて広範多岐にわたっておりますので、本日はそのうち特に最近問題となり、各方面の関心を集めております有機合成関係の石油化学、並びにこれに関連いたしまして合成樹脂、カーバイド、タールというような関係を中心に申し上げまして、また機会を見まして、その他の点について逐次御説明を申し上げたいと思います。  化学工業全体といたしましても、御承知のように五カ年計画におきます毎年の生産の伸びと申しますか、上昇率は、八・何%かになっておりまして、あらゆる工業を通じて最高の伸張率を示しております。一般に化学工業は非常にまだ青年期の工業であり、今後非常な発展が期待できるといわれておりますが、特にわが国におきましては、いろいろな関係からこの発展がおくれておりますので、今後大いにこれが育成発展に努力いたしますと同時に、大きな期待を持っておる次第でございます。  石油化学の問題につきましては、最近いろいろな関係で報道も行われており、また先般、東洋経済新報社の主催で、これに関する座談会がございまして比較的わかりやすい形において、いろいろな問題を取り上げておるように思いましたので、事務局の方を通じまして、商工委員の各位に御配付しておきましたので、おひまのときにごらんをいただきたいと思います。石油化学は、御承知のように、アメリカにおきましては、一九二〇年ごろに起り、戦争中合成ゴムその他の増産という形において非常な発展を遂げたのでありますが、戦後におきましても、一般の軍需産業のように後退するということでなくして、ますます積極的な発展を遂げまして、現在におきましては、アメリカにおいては、全化学製品のうち、金額にいたしますと、約五〇%以上が石油科学製品が占められておる。数量でみますると、現在は約三割でございますが、これも数年後にはおそらく五割以上に達するであろう。この場合、わが国の石油資源との関連におきまして、日本でこういうことをやると石油の輸入量が非常にふえるのではないかという御意見がときどき伺われるのでございますが、アメリカにおきましてもただいま申し上げましたように全化学製品の五割を占めておりましても、これに対する油の消費量から見ますると、約二%足らずであるというような程度でございます。また日本におけるこれの計画につきましては、後ほど申し上げますが、これによつで相当額の製品の生産が期待できる場合におきましても、石油の消費最にいたしますと大体一%程度である。しかもそのうち大部分は石油精製の過程から必然的に発生する廃ガスの利用である。そういう関係から、必ずしも石油資源と直接の関連を持たないということは、国内に石油資源を持っておりませんヨーロッパ諸国においても、それぞれ最近これを非常に取り上げておるという点からも明らかであると思うのでございます。  石油化学の企業化が成立いたすためには、基本的の条件といたしまして生産面の条件と需要面の条件が必要である。こう考えます。石油化学工業は、その性質上、これを企業化いたしますと、相当大きな経済単位にならざるを得ない。そこでこの主要製品と申しますと、御承知のようにナイロンその他の合成繊維の原料、あるいは合成樹脂の原料、合成ゴム原料、それから化学薬品を溶かしますいろいろな溶剤、こういうものでございますが、このおもなる需要部門である合成繊維、合成樹脂というようなものが、きわめて最近において顕著な発展を示したことは、ここで申し上げるまでもないと思います。従って需要面の条件が、わが国において石油化学の企業化を成立させるだけの時期が、きわめて最近においてその時期に立ち登った、こういうことが一つ言えると思います。  それから次に生産面の条件と申しますのは、先ほど申し上げましたように、石油化学の方式としては廃ガスの利用と、それから原油なり灯、軽、重液を分解していくという両方の方法があるわけでございますが、いろいろな関係から、わが国においては廃ガスの利用にまず重点を置くべきであるということになっております。この場合の廃ガスと申しますのは石油精製はもちろん従来からわが国においてもやっておったわけでございますが、従来やっておりましたようないわゆる常圧蒸留、特にわが国のようにアラビア原油を中心といたしまする常圧蒸留におきましては、この石油化学のための原料となるように有効なガスはほとんど発生しないわけであります。最近に至って御承知のように、ハイオクタン、価の高いガソリンの生産をいたしますために、接触分解装置とか、あるいは改質装置というような近代的な精製設備が、この一両年来逐次完成を見つつあるわけでございます。従ってその精製設備の関係、それから原料として石油化学の生産に適するガスの発生というような条件が、これもきわめて最近において整って参った、もちろん相当規模の大きいものでなければなりません。従いまして今申し上げましたように、需要面と生産面の条件がきわめて最近に整って参った、こういうことがわが国において石油化学の企業化を具体的に取り上げ得る基本的な条件であると思います。  なお、そのほかに経営的と申しますか、企業の立場から申しますと、御承知のように石油精製とか化学工業というものは、最近内外の経済界の活況のうちで、事業としていわゆる最も日の当る分野にある。従いまして石油精製会社におきましても、あるいは化学工業会社におきましても、石油化学に関する研究は数年来学界その他の協力を得まして進んでおったわけでありますが、最近に至って企業の、つまり会社の立場としてもこれを具体化に移すだけの自信と実力を持つに至った、こういうことも実際問題としては大きな理由としてあげ得ると思います。  そこで今申しましたような基本条件が整って参りましたので、一方衆議院におきましても、一昨年有機合成化学工業の振興に関する御決議がございまして、その中で石油化学の振興をはかるべきであるというような御趣旨もございました。いろいろの点から、昭和三十年度においていよいよ具体的にこれを取り上げる、こういうことにいたしたわけであります。その際の順序といたしましては、まず需要面におきまして、先ほど申しましたような相当大きな経済単位を必要とする企業でございますので、今後四、五年先の需要想定をいたしまして、これによって計画を調整する。それからさらに新しい技術でございますので、技術上の点につきましては、関係の学界、業界等の専門家約二十名をもちまして、石油化学に関する技術懇談会というものを結成いたしまして、ここでいろいろの問題について技術士の点を結論をお出しいただきまして、これを技術士のよりどころに心たしておるわけでございます。  それで三十年度から企業化するということで、各社の計画が、その間技術の導入その他の面で非常に進行いたしまして、現在のところ石油の関係において、三社、それから化学工業を中心とする会社において三社、合計六社の計画が進行しておるわけであります。それでこれによる経済上のメリットと申しますか、経済効果を考えてみますと、現在この種の製品で、三十年度で申しますと、大体年間一千万ドルの原料あるいは製品の輸入をいたしております。しかしこれが今後における合成繊維、合成樹脂の発展から想定いたしますと、五カ年後には大体五千万ドル程度の輸入を必要とするであろうという見通しが立つわけでございます。これに対しまして、ただいまわれわれの考えております企業化の推進によりまして、放任しておけば五千万ドルに達するであろうと思われます。要輸入量のうち、その約八割、四千万ドル程度は国産化できる、外貨の節約の面においてその程度の大きな経済効果が期待できるわけでございます。もちろんこのほかに合成繊維とか、合成樹脂の積極的の輸出振興ということも考えられるわけでありますが、消極面で直接の外貨節約額を見ましても、その程度の効果が考えられる。それから価格の面におきましては、これももちろん製品によって異なるわけでございますが、大体昨年省議決定いたしました石油化学工業の育成対策におきましても、国際価格をねらっていくということにいたしておりまして、現在の国内の市価からいたしますと、ものによって違いますが、平均いたしまして二、三〇%程度、品物によりましては約半額近いコストの切り下げが期待できるということも、大きな経済効果であると思います。これら六社の企業化の進捗状況につきましては、お手元の「石油化学企業化計画の処理に関する件」という書類の三枚目に掲げてございますが、大ざっぱに申し上げまして六社のうち石油会社系統の三社の計画は、ことしの終りごろから来年の初めごろに製品を出すことができるであろうと考えます。それから残りの三社は、いずれも相当規模の大きいものでございますが、このうち一社は三十二年の大体秋から末ごろになるであろう。それから最後に四日市の燃料廠の土地の貸し下げを受けまして、昭和石油の精製装置から出るガス等を原料とする三菱・シェルの計画、これは精油所の建設を伴います関係上、三十三年、再来年の秋ごろになるであろう、大体その程度に現在予想いたしております。それによる石油化学製品の需給関係につきましては、最後の表に品目別に一覧表にして記載いたしておるわけでございますが、そこでごらんをいただきますように、下の方の昭和三十年度推定需要量、これに対しまして昭和三十四年度の想定需要量というものは、大体二、三倍から多いものは五倍程度の需要想定をいたしておるわけであります。その程度の想定をいたしましても、ほぼこの六社の計画でバランスがとれる、ただ一番左のページにございますベンゾール——ナイロンの原料である石炭酸を作りますためのベンゾールの点におきまして相当の不足が予想される。その他の個々の品目につきましては、多少の過不足はございますが、下の注に書いてございますように、相互に融通性を持っておるものが多いわけでございまして、まず全体としては需給のバランスがとれておるということが言い得ると思います。そこで大体こういう経過で現在進行しておるわけでございますが、この企業が非常に将来性のあるものであるということで、各方面でさらに新規の計画が現在練られつつあるわけでございます。まだ具体的のものとしてはないわけでございますが、やはりこういう状態に現在至りました以上、今後の新規計画については相当これを慎重に、処理する必要があるであろう、このことは以前に化学工業の小委員会においてもそういう御意見が多数でありたかと思います。そこでただいまの資料の初めにございます「石油化学企業化計画の処理に関する件」というのを一昨日通産省において省議決定をいたしたわけでございます。この要点はそこに書いてございますように、近い将来すなわち今後四、五カ年後までの石油化学製品の需要量は、現在計画している品目につきましては大体この既定の六社でもって充足し得ると考えられる。従って今後の新規計画については、当分の間特に慎重にこれを処理することとしたいというのが第一点でございます。それから第二点といたしましては、なぜそのように新規の計画が次々に出てくるかと申しますと、今計画を出さないと将来非常に不利な扱いを受けるのではないかという心配が中心になっていることが認められるわけでございますので、その点につきましては、第二項として将来需要量が増大するとか、あるいは新しい品目について企業化の必要が生じました場合には、技術の内容とか、資源の活用、企業の合理化というような経済効果は基準として育成対象を決定推進するものとして、既定計画すなわち先に着手しておったというところと新規のところということによって区別をしないという点を第二点として、方針としてきめたわけでございます。これによりましてもちろん今後製品需要量も相当まだまだ伸びていくことが考えられますし、当分絶対認めないということも言い切れないわけでございますが、需要量とにらみ合せて慎重にこれを処理するということにいたしたいと思います。  それからただいま申し上げましたように、大体有機化学関係のおもなる製品については、石油化学企業化によってこれを充足し得ると思うのでありますが、先ほど申し上げましたように、ベンゾールの関係においては非常にまだ不足をしている。それから合成樹脂のうちの塩化ビニールとか、あるいは合成繊維の中のビニロン、これの原料になりますカーバイド、これも石油化学の面においては現在企業化の計画がないわけでございます。これらの点を考えまして、お手元に差し上げてございます「カーバイド工業およびタール工業の育成対策」というのを近く省議で決定いたしたいと考えます。この要点はそこに記載してありますように、カーバイドにつきましてはただいま申し上げました塩化ビニールとか、ビニロン、それからそのほかカーバイドとして直接市販しております溶接等の需要も最近非常にふえてきている。またこれから作ります石灰窒素の需要も今後相当ふえることが予想される。そういうことでカーバイドの増産を大いにはかる必要がある。これに対する問題点といたしましては、一つは御承知のようにカーバイドは、従来主として余剰電力の消費を中心として企業化されており、そのような関係から操業度が非常に低いのであります。年間平均いたしますと、四割程度の操業をしている。これを六割程度に引き上げ得れば、あまり新規の設備を増設しなくてもある程度需要がまかなえるわけでございます。しかし一面におきまして、今後電源開発の進捗によって電力の総供給量はふえるのでありますが、しかしそれに伴って余剰電力もふえてくる。従ってカーバイド部門としてはもちろん常時電力をなるべく安く大量にほしいわけでございますが、余剰電力の消化という点もやはり考えなければならぬ。従いまして、現在のところでは現状の四割程度を五二、三%程度までの操業に引き上げることとしたい。それでありますと、なお若干の設備能力の不足が考えられますので、これについては設備の新増設を推進する方策を講じたい。  それからいま一点は、コークスの値段の問題でございます。これはカーバイドに限らず、硫安につきましてもコークスを主原料の一つとするわけでございますが、このコークスは大体ガス会社から供給されておるわけであります。従来はガス料金をなるべく引き上げたくないというような価格政策をとつておりました関係上、戦前の価格に比較いたしますと、ガス会社のガスの料金は約二百倍そこそこになっておるのに対しまして、コークスの値段は六百数十倍に達しておる。もちろんガス料金は家庭生活にも大いに関係のあるところでございますから、なるべく抑制することが好ましいと思いますが、われわれの気持を申し上げますと、今までのようにガス料金のしわをコークスに寄せておるというようなことでは、結局石炭系の化学工業というものは発展しない。そういうことになりますと、ただいま申し上げましたようなカーバイドからいく製品につきましても、石油系のものをねらっていくというようなおそれもあるわけでございます。従って今後のガス会社のそういう原価の割掛につきましては、このカーバイド工業等の立場も考えて適当な措置をとるようにしたいということを、ただいま公益事業局と打ち合せをいたしております。  それからタール工業につきましては、昨年の石炭化学の懇談会におきましても、石炭化学の育成対象として最も大きくまた具体性のあるものとして特にこれを推進する。また設備の合理化によりまして、ベンゾールの回収率を引き上げるということが要求せられております。タールの方は、御承知のように富士、八幡、鋼管あるいは東京瓦斯、大西瓦斯というような大企業を主体にいたしておりますので、これは国としてタール工業なりベンゾールの増産がこういう関係で需給関係からもぜひとも必要であるという趣旨を明確にしていただければ、あとは社内の処理で十分御期待に沿えるということを言っておりまして、ただいまそれぞれおもな会社におきましては、増産に関する具体計画を検討しておるという状況でございます。  以上が大体当面特にいろいろな意味で注目せられております石油化学、カーバイド、タール関係でございます。  それから合成樹脂につきましては、これも五カ年計画によりまして、今後五カ年間に大体現在の二倍程度の発展をするであろう。特に塩化ビニールとかあるいは石油化字の企業化によりますポリエチレン、ポリスチレンというような全量輸入に仰いでおりました樹脂も、次々と国産化され発展するであろうということは、われわれ身の回りのものを見ましても、プラスチックの発達によって十分御了承願えると思います。ただこれも当初は身の回りの容器でありますとか消費財を中心にいたしておったのでありますが、最近はたとえば塩化ビニールにつきましては、水道管に各都市において採用せられておる、あるいは農業用の温床に使います農業用のフィルム、これによって苗の育成を早め、また霜等による被害を保護するということで、農村方面におきましてもほとんど一般に現在普遍化しつつあることは御承知の通りであります。さらに将来におきましては、おそらく今までのゴムとか皮、金属類というような需要部門に急速度の発展を遂げるであろうということが予想されるわけであります。  以上が大体有機合成関係を中心にいたしまして、きわめて大ざっぱでございましたが最近の状況を御説明申し上げた次第でございます。

小平久雄自由民主党

○小平小委員長 次に重工業局長より説明を聴取いたします。  鈴木政府委員。

鈴木義雄通商産業事務官(重工業局長)

○鈴木(義)政府委員 それでは重工業関係の問題点につきまして御説明申し上げたいと存じますが、大体五項目に分けて説明させていただきたいと思います。第一は鉄鋼の需給と今後の問題点、第二番目は機械の輸出振興対策、第三番目は機械工業の振興対策、第四番目は自動車工業の問題、第五番目は防衛生産の問題、こういうふうに申し上げさせていただきたいと思います。  最初に鉄鋼の問題でございますが、まず鉄鋼についての需給の大体を申し上げますと、お手元にございます資料の第二表、第三表に大体現状が出ております。昭和三十年度の鉄鋼は世界的の鉄鋼の好況に恵まれまして、日本の輸出も伸び、鉄鋼の生産も相当上って参ったわけでございます。第三表でごらんになりますと、二十九年度の実績が鋼材で五百七十万トン、それに対しまし三二十年度の予想でございますが、鋼材で六百八十六万トン、そういうふうな数字になっております。また輸出もこれに伴いまして相当伸びております。昨年は秋に一時国内の鉄鋼の需給の混乱を防ぐために、一部の品種について輸出の停止をいたしましたが、それにもかかわりませず、鉄鋼としての輸出は相当伸びたわけでございます。昭和三十年度の問題は、何といいましても鉄鋼の問題はスクラップ、特に原料関係にいろいろ問題がございましたので、これに対しましてはスクラップの緊急輸入、あるいは銑鉄輸入とか、そういうふうな対策に手を打ってきて今日に至っておるわけであります。昭和三十一年度今後の生産計画をどう見ておるか、この点につきましては現在検討中でありまして、まだ確定いたしておりませんが、できるだけ鉄鋼の現在の需要に応じ、また輸出も伸ばすというつもりでございます。年産を普通鋼材にいたしまして大体七百二、三十万トンに持っていきたいというように計画いたしておるわけであります。  次に鉄鋼の価格の問題について申し上げさせていただきたいと思います。鉄鋼の価格も、昨年の世界的な鉄鋼の好影響を受けて相当引き上げが行われて参ったわけであります。御承知の通り昨年の一九五五年の世界における鉄鋼の生産は、鋼塊で二億六千八百万トン、ちょうど前年に対しまして二〇%の増加を示しております。このような脅威的な増加のために世界的に製鉄原料関係の価格の値上りも行われ、また船腹確保困難のために海上運賃も高騰しておる、こういうわけで、アメリカを初めイギリス、西独、ベルギー等の各国におきましても鉄鋼の値上げが行われました。そのような事情に応じまして、日本の鉄鋼価格も相当の引き上げがこの一年間行われただけであります。昨年は中期以降特に海上運賃等の高騰もありますし、原料が輸入によっております鉄鋼といたしましては、相当コストの増高を見まして、またくず鉄等の価格の高勝がございました関係で、特に最近この二月以降三、四月の銑鉄あるいは輸入の鋼材についてはある程度の値上げが行われたわけであります。しかしながら、これを国際的に比較してみますと、日本の現在の鉄鋼の国内価格のレベルは、ヨーロッパのベルギーとかドイツであるとかフランスであるとか、そういった国の国内価格のほぼ中庸の価格に該当しておりまして、特に非常に日本の鉄鋼の使用者が不利というわけではないのであります。鉄鋼の価格については、何といいましても価格の安定をはかるということが最も大事と考えられておりますので、通産省といたしましてもまた業界といたしましても、できるだけ現在の価格の長期の維持ということを目途として最善の努力をいたしたい、こう考えておるわけであります。特に現在におきましては、鉄鋼の価格と最も関係の深い供給の面につきましては先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、最近におきましてもスクラップの緊急輸入をはかり、あるいは銑鉄の輸入をはかり、さらに三十一年度におきましては銑鉄を大幅に増産し、またこれによって鋼材の生産も相当引き上げよう、こういうふうな努力をしておるわけであります。大体銑鉄も、この表にございますように、昨三十年度は高炉銑は五百二十二万トンとなっておりますが、今年度は五百七、八十万トンの銑鉄を作りたい、こういうような計画になっておるわけであります。  以上が大体鉄鋼の現在及び今後一年間の需給、価格の問題でございますが、さらに長期の計画といたしましては、お手元の資料の経済六カ年計画における鉄鋼計画というところにございます通り、今後の鉄鋼の計画をどう見るかという問題があるわけであります。鉄鋼につきましては、第一次合理化計画といたしましてこの数年間納千百億の資本の投資を行なってきまして、設備の近代化が行われております。その結果、お手元の資料の今の経済六カ年計画の前の表でございますが、投資効果として高炉コークス比推移、あるいは平炉燃料原単位推移に現われておりますのでごらんの通り、昭和二十五、六年には鉄鋼の一トン当り九百キロ以上使っておりましたコークスが、現在では大体七百キロ前後になっておる、こういうふうな技術の進歩を示しておるわけであります。  また次のページの平炉の燃料原単位推移にいたしましても、かつては二百万キロカロリーあるいは百九十万キロカロリーというふうなものが、現在では百十万キロカロリーというふうな単位まで合理化が行われた、こういう状況でございます。さらに現在では第二次の合理化計画といたしましてこの表にもありますが、各社の計画が推進されておりまして、このうちには世界銀行等の融資を仰いでいるものもあるわけでございます。  今後の計画は先ほど申し上げました表にございますが、昭和三十五年度におきましては、この表でごらんになるとおしまいの欄にありますが、普通鋼鋼材で七百六十五万トン、半製品を入れますと七百八十万トン、こういう目標になっております。また銑鉄の目標は六百七十二万トンということになっております。いかにしてこういう目的を遂行すべきかという具体的な計画が今後の問題となるわけでございまして、原料鉄鉱資源の開発、ことに東南ア地区における開発の問題とか、あるいは輸送に関連して、鉱石の専用船の建造の問題とか、あるいは港湾の問題であるとか、こういったふうな問題、さらにこれらの原料を使いまして溶鉱炉、高炉を建設するというような問題、あるいはスクラップ等の節約を考えて、転炉の建設あるいは将来の大型の平炉の建設、こういうふうないろいろの問題を含んでおるわけであります。またこれに対する資金画をどうするかというふうないろいろな問題を持っておるわけでございます。大体以上が鉄鋼における現在及び将来の問題のごく概略でございまして、これにつきましてまたさらに別な機会なりに御質問によりまして詳細にお答え申し上げたい思います。  次は第二番一日としまして、機械輸出振興の問題でございます。お手元の表のおしまいから二番目でございますが、機械輸出承認統計という表がございます。これが機械輸出の大体の現況を示しておるわけであります。最近プラントもの等を中心にして日本の機械の輸出は相当伸びてきておりますが、ごらんの通り昭和二十八年度におきましては約二億ドルの輸出が行われております。これは機械の輸出承認の額をもととしております。二十九年度は上期と下期を合せますと、三億三千万ドルの輸出を示しております。三十年度はここでごらんになりますとおわかりの通り、認証額から申し上げますと、相当造船関係が伸びておりまして、五億五千三百万ドルというふうな認証額が四月から十月までの間に出ておるわけであります。かようにして機械の輸出は相当伸びておりますが、さらに諸外国との競争に応じて伸ばすためには、いろいろな輸出振興対策が今後において必要なわけであります。ことにわが国の機械輸出は日なお浅いので、積極的な市場開拓、あるいは輸出態勢の整備というようなことが必要であることは言うまでもないことでございます。  そこで現在政府としてとっております対策を申し上げますと、一つは従来重機械室と申すものがございまして、これを中心にプラント輸出の奨励をやってきたわけでございますが、昨年の九月にこの重機械室を改組いたしまして、日本輸出プラント技術協会というものを設立しまして、三十一年度におきましてはさらにこの協会の事業を強化し、主要事業であるコンサルタント業務を拡大することを考えております。これに対しまして大体一億八千万円程度の予算の補助を考えておるわけであります。また重機械以外に軽機械についても輸出の市場開拓の必要が大いにありますので、これにつきましては、昨年ビルマに農機具のサービス・センターを作ることを予算的に措置したわけでございますが、さらに新しい年度におきましては、このビルマの施設をさらに強化するとともに、新しくセイロンに同様の施設を設けるように準備を進めることを考えております。そのほか電気機械においてはアフター・サービスを拡充するため、パキスタンに一カ所農機具に似たようなサービス・ショップ、これも予算的に考慮しておるわけでございます。かようなことでいろいろと機械の輸出振興の措置を講じておりますが、さらにこれについては諸外国とも、ことに東南ア地区あるいは中南米地区におきましてま、ヨーロッパ各国その他いろいろ競争がある関係上、日本としてはさらにこういった施設については大きな手を打たなければならないというところに今後の問題があるわけであります。これが第二番目の機械の輸出振興対策です。  それから第三番目は機械工業それ自体の振興対策であります。機械工業は輸出を中心として今後大いに伸びなければならないわけでございますが、機械工業それ自体について基盤を確立することが最も必要でございまして、これについて通産省としましては強力な手を打ちたい、こう考えておるわけでございます。日本の現在の機械工業は、戦争中軍需工業として相当発達しました関係で、戦後長い問いばらの道を歩いてきたという状況でございまして、ほかの産業に比べますと一般的に大きな立ちおくれを示しております。大体ほかの産業、たとえば先ほど申し上げました鉄鋼業のごときは、戦前の最高レベルをもはや越えておる現況でございますが、機械工業は昭和十二、三年ごろのレベルに比べますとある程度上っておりますけれども、戦争中の最高レベルから見ますと五、六〇%というのが現況でございまして、これをさらに伸ばす必要がございます。また輸出につきましても、先ほど相当伸びておるということを申し上げましたが、これにしましても戦前は世界において輸出額だけから見ますと、世界の機械輸出国の六、七位であった。ところがこの一、二年前までは大体十一位だった、こういうふうな状況であります。さらにこれをもっと伸ばす必要があるわけでございます。そこで日本の機械工業はどういうところに問題があるかと申しますと、まず第一は設備の問題でありまして、非常に設備が悪い。これは戦後苦しんだ結果新しい投資も比較的行われず、古いままの設備である、非常に設備が古い、こういうことが第一の特色であります。それから第二は、機械工業は同機械でいろいろなものが作られます関係上、何でも屋でありまして、専門化が非常におくれている。こういうふうな点が第二の特色といわれております。また第三は設備にも関係ございますが、一般にいって技術が諸外国に比べてはるかに劣っている。ものによっては違いますけれども、そういうふうなことが大いに現われている。それから第四番目としましては機械工業全般の中でも、特にその基礎的な部門あるいは部品部門というところが相当立ちおくれを示している。基礎的部門と申しますと、工作機械とか工具とかそういう部門です。また部品部門と申しますと、これはいろいろございますが、共通的なネジとか歯車とかあるいは自動車の部品であるとかあるいはミシンに使っている部品とか、いろいろ範囲はございますが、いずれにいたしましても基礎的部門あるいは部品部門、機械の付属部品部門というところが非常に立ちおくれを示している、こういうことでございまして、これに対して何らかの手を打ち、これを強化し、伸ばし、それによって日本の機械工業の基礎固めをする必要があるわけでございます。この点につきましては目下検討中でございまして、近々本国会に機械工業の振興に関する法案を提出する見込みでございます。今考えております内容を簡単に申し上げますと、必要とする機械工業につきまして、法律に基き合理化審議会を作り、そこで審議をしていただきまして、各機械ごとに将来の合理化計画を作る、その合理化計画には設備の更新であるとか、設備の近代化であるとか、そういうふうなことをはっきりするとともに、機械をいかにして専門生産に持っていくかというふうな問題とか、技術の向上をはかり技術のレベルをどういうふうに持っていくかというふうな問題を審議してきめるわけでございます。それに基きまして、設備の更新とか近代化の問題につきましては、目下大蔵省と相談しておりますが、開銀によります特別の融資方法を考えまして、条件も非常によいというふうな金融の方法によって、設備の近代化をはかっていくということが実行方法の一つでございます。それからその次は専門製作あるいは専門製作の前提として、規格の統一とか短絡の単純化ということを行う必要がありますので、そういう点を考慮しまして、とかく対象となる業種について、独禁法の例外として必要なカルテルができるようなことを法律的に盛り込んでございます。以上のような点をもちまして大いに機械工業を伸ばしていこうという考え方でございまして、これはごく近いうちに本国会に提案される見込みでございますので、その際十分御審議を願いたい、こう考えておるわけでございます。  それから次は機械工業の中でもいろいろございますが、特に自動車工業の問題について申し上げさせていただきたいと思います。これは昨年来衆議院、参議院の商工委員会におきましても、特別の委員会におきまして、いろいろ御審議願った問題でございます。日本の自動車工業は、トラックにつきましては昭和十年ごろに製造が起ったわけでございまして、今日においては相当優秀なものもでき、諸外国に劣らず、トラック、バスあるいはディーゼル車というものは伸びております。先ほどの資料にもあると思いますが、昨年の輸出認証額から見ますと、四月から十二月までは千四百万ドル程度の輸出をしております。かようなわけで、これは国際的に相当競争できるレベルになった、こう申してよろしいと思います。しかしながら乗用車の方は戦後しばらくの間は禁止されておりまして、ごくこの数年の間に生産が開始されたわけでありまして、これを早く世界のレベルに持っていくということが最も必要なわけでございます。そこで乗用車につきましては、従来の日本の技術を大いに活用するとともに、他方外国からの技術の援助を受ける、現在かような計画が進められております。御承知の通り、国産車としましてはトヨタ、日産、そういった会社がやっておりますほかに、イギリスからの一社、それからフランスからの一社、それぞれ外国と技術を提携いたしまして現在国産化を進めておるわけでございまして、現在の国産化の程度は大体五〇%、さようにいたしまして来年中にはできるだけこれも国産化の実を上げるという方向に進んでおるわけでございます。これにつきまして自動車工業の今後の問題につきましてはいろいろ問題があるわけでございまして、しばしば商工委員会等で御議論がございました通り、現在のままの各社の形がいいかどうかという点についても御議論があったわけでございますが、われわれとしましては、しばらく現在の状況において競争し、お互いの切瑳琢磨によって技術の向上をはかり、優秀な自動車のできることを願いつつ状況を見ている、こういうお話を申し上げでおったわけでございます。一方自動車の部品あるいは材料につきましては、やはりこれは何と申しましても規格の統一とか単純化ということが必要でございまして、これについては現在それぞれ関係の技術団体において強力に研究が進められでおります。また部品工場の専門化ということも一つの課題でございます。これも先ほどの機械工業の振興法律というふうなことの中において、こういう問題を取り上げて、大いに部品工場の専門化ということをやっていきたい、こういうふうに考えております。  原材料につきましても、規格の統一をやると同時に、鉄鋼メーカーとの連携を密にしで、所要のいい品質の材料の入手ということについて、研究を進めておるわけでございます。  それから自動車につきましては、国民車——国民車という名前がいいかどうかわかりませんが、こういうふうな考え方がございます。これはよく国民車という名前をもって言われでおりますが、非常に廉価な、たとえば現在の値段で申しますと、二十五万円くらいで売れ、四人乗りで相当安いというふうな車が日本にでき、それが販売されることになれば、相当自動車の需要も開拓され、普及もされる、こういうふうなことは、非常に今後の発展に望ましいのではないか、こういう考え方があるわけであります。この点につきましては、通産省としましては、目下いろいろ業界の意見等も聞いて研究しておる段階でございまして、今日これについてどうこうするという結論についでは、まだ結論を得ておらない状況でございます。  次に第五番目の問題として、防衛生産の問題でございます。これについてごく簡単に申し上げます。防衛産業につきましては、航空機と武器が問題でございますが、大体どんな状況かと申しますと、日本の航空機武器の生産は、昭和二十七年四月から再発足しまして主として、米軍の特需によって育成されたわけでございます。その間の実績は、二十七年が一億八千万円、二十八年が約七十五億円、二十九年が百二十一億円、三十年が一月から九月が七十七億円、こういう状況でございます。そこで航空機関係は、当初は極東空軍の発注にかかっております。プロぺラ、機体の修理等が主体であったわけでありますが、漸次防衛庁の需要も増加するし、また高級なジェット機械等の修理等も行えるようになったわけであります。そこで最近に至りまして、昨年米国との協力によりまして、新しく日本においてジェット機の生産を開始する運びになったのでございまして、今後大いに航空機の生産については、生産態勢の準備が進められておるわけでございます。それにつきまして、今後いかに航空機の助成等を考えていくかというふうな問題がございます。さらに航空機の部品工業等をどういうふうな形で育成していくか、これに対する資金確保をどうするかというような問題があるわけでございます。  次に武器の問題でございますが、武器の生産は、御承知の通り、米極東軍の発注により、主として銃砲弾を中心として行われて参りました。従来は一年に六千五百万ドルの注文があったわけでございますが、最近では昨年来非常に特需が減ってくる、これについて兵器産業をどういうふうにして維持していくかという問題が、大きな問題であったわけでございまして、実は通産省といたしましても、防衛庁と連絡して、兵器産業の維持対策について、いろいろ予算措置等も研究いたしたわけでございますが、これは結論を得るに至らなかったわけでございます。  大体さようなことが今後の防衛産業についての問題でございますが、なお兵器等につきましては、一部の兵器につきまして、防衛庁の需要に基き、漸次試作研究等の段階を経て、生産分野というようなものが確立されていくような状況になつでおります。これもこういった新しく防衛庁から需要のある部面につきましては、資金の問題とか、設備の問題とか、技術の問題とか、こういうものもあるわけでございます。  大体以上簡単に少し早く申し上げたかと存じますが、重工業関係の問題といたしまして、五つの点を申し上げまして私の説明を終る次第でございます。

小平久雄自由民主党

○小平小委員長 ただいまの御説明に対しまして、何か概括的な御質疑があれば、この際許したいと思います。——それでは本日はこの程度にいたしまして散会いたします。     午後三時五分散会

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