商工委員会 第48号
- 発言数
- 157 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1956/05/14
会議録
○神田委員長 これより会議を開きます。 繊維工業設備臨時措置法案を議題とし審査を進めます。質疑を継続いたします。質疑の通告がありますから順次これを許します。田中武夫君。
○田中(武)委員 この繊維工業設備臨時措置法案は、一昨年の秋ごろの情勢の上に立って繊維産業総合対策審議会の答申に基いて作られたものである、こういうことなのですが、前にもこれに似たような質問もあったかと思いますが、その後繊維業界なり繊維製品の価格等は昨年の秋からこちら相当変ってきておると思う。この法律案を見たときに、合理化のため、こう言われておりますが、全般を通じて受ける感じは、不況カルテルの強化だと思うのです。そこでそのように繊維業界の情勢が昨年秋よりか変ってき、むしろ値上りの傾向を示しているというときに、このような不況カルテルというか、カルテル強化ということが望ましいことかどうかということにも疑問を持っているわけですが、その点についてはどのようにお考えになっているのですか。
○小室政府委員 お尋ねの点はごもっともな点もございます。確かに繊維の業界の景況というものは、一昨年、特に昨年の四、五月ごろ操短勧告を開始いたしましたころと比べて、最近、一時的にではありますけれども綿糸布の価格も需給関係等から非常な高騰を示しまして、私どもも約一年間継続して参った操短勧告を撤廃いたしましたが、その関係で、実は最近数日かなり大幅な線糸布の価格の低落がございますけれども、こういうふうな状況の推移というものは、これは事実でございます。ただしこの法案によりますところの過剰設備の処理あるいは設備の新増設の許可制というものは、いわゆる不況カルテルの強化とか、そういうふうな考え方で立案したわけではございません。私どもは繊維製品の輸出の正常な発展をはかるために、国内的に需給調節の根本的な対策を講ずる、その一環といたしまして、設備の無秩序な新増設というものを押えていきたい。毎年々々需給関係をよく検討いたしまして、新増設を認めるべきものは積極的に認めていくが、そうでなくして、人気的に一時的に非常な乱設が行われるというようなことは押えていきたいということが許可制の眼目でございますし、また過剰設備の処理にいたしましても、これは昨年審議会で一応の需給計算をいたしまして、たとえば綿紡は百二十万錘過剰であるというような一応の計算は出しておりますが、これはまた法律が施行されました際に新しい審議会でもう一度需給の計算をいたすということは当然に考えておりますし、綿糸布の市況の変化あるいは輸出の状況その他の変化ということも十分考慮に入れた上で運用して参りたい、こういうふうに考えております。
○田中(武)委員 今局長は昨年の秋からこちらにかけて状況が変っておるということはお認めになったと思う。そうしますと、状況が変ったことをお認めになるならば、その状況の上で出してきたところのこの原案について、何らか状況の変化とともにこれを変えていく、こういうようなお考えはないかどうか、お伺いしたい。
○小室政府委員 この法案は経済五カ年計画に合せまして、繊維の需給の五カ年間の見通しを立てて、それに基いて過剰設備の処理なりあるいは新増設の許可の運用をして参るわけでありますが、その法案の運用の際に需給状況その他変化して参りましたいろいろな状況をしさいに検討して、これを十分その運用に反映していくということでもって十分ではなかろうか。一時的な市況の変化、これは好戦もいたしますし、また悪化もいたしますことは、今後とも繊維等については起ると思いますが、これはときどきにその状況を検討して参ればいいことであって、この法案自体を変えることは必要ないと思います。
○田中(武)委員 この法案の第一条を見ますと、「繊維製品の正常な輸出の発展に寄与するため、」とこの法律施行の目的がうたわれているわけなのです。しかしながら、よく検討しました場合に、昨年の状況の上に立って繊維産業総合対策審議会は結論を出して答申した。しかしその答申は、あくまで昨年秋の繊維の状況から出たものであって、輸出の正常な発展のためというようなことは、あとからつけられた言いわけ的な目的じゃないかと思うわけですが、なおもう一つその際に繊維産業だけのことを頭に置いて考えられて、そのよって来たるところの影響を受ける関連産業について何ら考慮が払われていなかったのじゃないか。あるいはそうじゃないというように御答弁なされているようでありますが、繊維の総合対策の審議会というならば、この繊維産業に関係のある、たとえば紡機製作に関係のあるところの経営者あるいはそれに関連のある労働者の代表等もなぜその審議会に入れなかったのであるかというようにわれわれは考えるわけです。それを入れていないということは、今われわれの質問に対しては、関連産業における影響等についても考えました、このようにお答えになっているが、実際にはそれらの、たとえば紡機の関係とか輸出の関係とかということはお考えになっていないのじゃないかと考えるのですか、いかがですか。
○小室政府委員 昨年の実績で申しますと、輸出の三割七分が繊維製品でありまして、外貨獲得の一番大きな柱が繊維製品であります。この繊維製品の輸出の振興は、今後量的に飛躍的に増加していくということはなかなか困難でもありますし、対外的にいろいろな反響を生むもとでもありますので、できるだけこの繊維品の輸出の過当な競争を排除していくということに輸出振興の一つの眼目を置いておるわけであります。その点から、繊維製品の正常な輸出の発展ということを法律の目的にいたしておるわけでございますが、この考え方は審議会設置の当初から、あるいはその前から一貫したものでございまして、決して法律ができてからあとでくっつけた理由ではございません。それから繊維産業総合対策審議会に紡織機のメーカーの代表が入ってないじゃないかというお話でありますが、むろん繊維産業の審議会でありますから、繊維製品の需給の計算なり、それに基いて繊維の対策をどうするかということに重点が置かれたのでありますけれども、同時にこれが紡織機に及ぼす影響というものは当初から考えておりまして、もし繊維機械業界の方に御希望があれば、私どもとしてはもちろん繊維の業界に比べて少数ではありますけれども、参考意見を述べていただく方として参加していただくつもりは持っておったのでありますが、ただ少数参加してもらっても、かえって全体の結論に巻き込まれて、あとで進退に困るというような御懸念もあったのではないかと思います。私どもとしては決して排除したわけではありませんけれども、結果的にはお入りにならなかったということになっております。 なおこういう措置をいたしますれば、繊維機械に相当影響があるということは、中小企業安定法の第二十九条の発動で織機等の設置制限をやりましたときにも相当そういうことを考慮もいたし、織機の更新促進の打ち合せなどもいたしたわけでありますから、そういう点を決して無視したというようなことはあり得ないし、事実無視いたしておりません。
○田中(武)委員 ただいまの御答弁によると、審議会を作った場合に、いわゆる紡機関係の経営者なりその労働者代表を入れなかったということについて、無視したわけじゃないと今お答えになっておるわけであります。しかし現実におきましては、紡績の方は繊維関係の経営者あるいはその協会の代表者あるいは労働組合も全繊同盟が入っておるわけであります。ところが実際には紡機関係の経営者なり労働者は入っていない。今局長は御希望があれば考えておったのだけれども、御希望もなかった、こういうようにおっしゃったわけであります。そうしますと、あの審議会設置の場合、これは希望によって入れるような方法をとられたのか、あるいはこちらからあなたとあなたというように指名なさったのか、あの人選はどのようにせられたのか、それをお伺いいたしたいと思います。
○小室政府委員 指名は役所の方でいたしたわけでありますが、その間において各業界の希望等を十分参酌したわけでございます。なお審議会には繊維機械の代表の方に入っていただきませんでしたけれども、繊維機械の方の協会その他には機会のあるごとに私どもの方から実際上の連絡はいたしております。
○田中(武)委員 繊維機械関係の方は入っていない、しかし十分連絡はとってある、こういうようなお答えです。最初のお答えによると、御希望があれば入れておったのだけれども、こういうことなんだが、今日かりにこれらの人、すなわち繊維機械の関係の業者あるいはその下請あるいはその労働者の代表がもう一ぺん入って、われわれの意見も聞いてもらいたい、こういうことであったら出される気持があるのかどうか。また先ほど局長は、入っていないけれども、逐次連絡はとって意見は聞いておるということでありましたか、それでは連絡をとられたときに、それらの業者あるいは経営者等はどういうような意見を述べられたか、お伺いをいたしたい。
○小室政府委員 繊維産業の審議会は実は二月一日に答申を了して解散しております。それに今から委員を追加することは事実上不可能でございます。しかしながらこの法律に基く審議会の方は、繊維の関係が多数になると思いますけれども、適当な繊維機械の関係の参加ということは私ども考慮しております。むろん、いやだと言うものに入っていただくというつもりはありませんけれども、適当な比率において、適当な形で参加していただくということは考えております。 それから繊維機械の協会等に行って私どもが法案の内容なり何なりを説明したときに、どういう反応があったかということでございますが、これは私どもからお答えすることも、かえってどうかと思います。それぞれの御意見をいろいろ伺っておって、私どもとして一つの印象を得ておりますけれども、それは別に公式に意見を伝ったわけでもなく、向うも公式にお答えになったわけではありませんから、迷惑を及ぼしてもいけませんから、それは差し控えさせていただきます。
○田中(武)委員 公式ではないけれども連絡した、その際に印象は受けている、こういうことですが、先日参考人としてこれらの関係者に来てもらったときに相当強い意見も吐かれておったと思います。またこういうようなことをするときに、われわれに何ら諮ってもらえなかった、あるいはわれわれの犠牲において一つの産業を合理化していくとか、あるいは一部の会社とか企業を隆盛にしていくということに大きな不満が吐かれておったと思います。そこでお伺いしたいのですが、印象を受けておる、こういうようなあいまいなことなんですが、その印象はどのような印象を受けられたか。それがこの答申なりあるいはこの法案作成に当って、どのように影響しておるのか、あるいはどのように考慮せられたか、お伺いいたします。
○小室政府委員 少しこまかいことになるかもしれませんか、この法律を立案する際に、きわめて高能率な新鋭機械を設置する際に、これは設備制限の対象外にいたした、そういう規定がございます。それからまた入れかえの場合には、これはよく形式的に許可制にかけることはありますが、実際上届出制というような形にいたしました。これらの点は実を申しますと、繊維機械のほとんどの関係の方々の御希望に応じて、まあいってみれば、仮の原案に修正を加えたわけであります。 それからその他の印象についてお話ししろということでありますが、私が迷惑を及ぼすといかぬ云々と申し上げたのは、ここで公式の立場で参考人の方がいろいろお話しになった、それと食い違ったことを私が申し上げると、またよけいな波乱にもなりますし、しいてそのことを申し上げたくないという意味であります。
○田中(武)委員 そうしますと、局長か非公式に連絡をした、この場合にいろいろと意見があったと思うのです。それによって受けられた印象と、先日ここでこれらの関係者が参考人として意見を述べたのは違った意見を述べておる、こういうように受け取れるのですが、そうなんですか。
○小室政府委員 おおむね同じような御意見でありますけれども、何といいますか、調子というか、私の受け取り方が多少違っておる点もあるだろうと思います。正直に申し上げてもあまりけんかにならぬ話でありますから、これは差し控えたいと思います。
○田中(武)委員 あなたが受け取られたのですから、受け取られるあなたの主観によって違うとは思います。しかしながら、全く違った意見が吐かれているとは考えられないわけです。もし全く違った意見でないとするならば、これらの繊維機械製作に関連するところの参考人は、全部あげてこの法案に対して反対の意見を述べております。同時にこの法案と並行してわれわれの立場、すなわち繊維機械関係者の救済というか、保護というか、この法律の施行によって受けるところの打撃について考慮してもらいたい、あるいは単独な立法をも要望する、こういうような御意見も強かったと思うのです。先日私、関連質問で重工業局長にもちょっとお伺いしたのですが、それらの意見に対して、この間もちょっと御答弁があったと思うのですが、具体的にこの法律の施行によって受けるところの繊維機械業者、あるいはそれに関連する労働当等の打撃を救うために、あるいは保護するために、どういうことを考えておられるか、両局長からお答え願いたいと思います。
○鈴木(義)政府委員 この法案に関連いたしまして、関連する紡機メーカーあるいは下請関係その他からいろいろな御意見が出ております。確かにいろいろこの法案によっての影響が非常に深刻であるということで、これに対するいろいろな御意見が出ております。われわれとしましても、それに対応して何らかの措置が必要であるということは、確かに認めております。そこでこの前御説明申し上げましたが、この対策は、実は安定法二十九条の織機の場合も同様でございまして、その当時やはりわれわれとしましては同じ問題に当面しまして、どうするかということで対策はやはり二つ、一つは設備の更新を大いに行うということと、第二は輸出の振興ということで、実は中小企業安定法第二十九条の織機の場合においても、やったわけであります。今回の場合におきましても、さらにこれと同様な考え方で、設備の更新を促進するということと、輸出を振興すること、こういう二つの対策を大きな対策として取り上げたわけであります。そこで設備の更新の問題につきましては、先般もお話し申し上げましたが、臨時紡織機更新打合会というのを通産次官主宰のもとに作りまして、ここで各繊維産業及び機械メーカー一緒に集まりまして、そこで計画的に設備更新を推進する、こういうことにいたしまして、第一回の会合を三月に開き、近く第二回の会合を開く、ここで具体的に今後の更新の計画を進めることになるわけであります。いかに更新を進めるか、こういう方策を審議し、推進する予定でございます。その中で先般問題になりました耐用年数を短縮する、こういう問題も大蔵省と折衝して、できるだけ努力したい、こういうふうに考えます。また資金問題についても、この前も御説明申し上げましたが、これについてもできるだけの対策を考えていきたい、こういうことであります。 それから輸出の振興については、これは輸出会議に諮りまして、大体今後の輸出目標をきめる。それによっていかに輸出を進めるか、市場開拓をするか、こういう問題といたしまして、特に今年度は輸出市場開拓調査及びアフター・サービスの実施ということで、ある程度の補助金を交付しよう、大体予定としては二千万円ということにいたしております。さようなことで、輸出振興及び設備更新という二面においてできるだけ努力いたしまして、機械メーカーの影響を緩和していきたい、こう考えております。
○田中(武)委員 ただいまの設備更新というのは、繊維機械メーカーの設備更新ですね。そうじゃないのですか、どちらです。
○鈴木(義)政府委員 ただいま申し上げました問題は繊維産業の設備の更新でございます。機械メーカーの設備の更新じゃございません。
○田中(武)委員 それでは繊維産業の設備の更新、合理化ということは、この法案と同じことだと思います。私の伺っているのは、それによって打撃を受けるところの繊維機械メーカーの救済の問題です。それに何か打合会を持ったということですが、この打合会は恒久的なものか一時的なものか、それともここに出てきたいろいろな関係者の出された意見なりによって、まとまれば、そのような対策を逐次行政措置あるいは立法措置として打たれるという気持なのか、どうです。
○鈴木(義)政府委員 この紡織機更新打合会は一応臨時のものでございます。当面の問題として進めるわけでございます。しかしながら考え方といたしましては、繊維産業の設備の更新についての問題をよく打合せし、それによって実施を大いに促進する、必要な対策は行政措置としてやっていく、こういうことであります。
○田中(武)委員 前から申し上げておりますように、この法律は繊維産業総合対策審議会の答申がもととなってできた。そうすると、今度これによって影響を受ける紡織機械のメーカーの方の更新打合会、こういうのを臨時的にでも持った。それならばこれのもとをなしたところの繊維産業総合対策審議会と同じような性格のものにこの機械メーカーの打合会を持っていって、そうしてそれらの会議によって出てくるところの結論を、やはりこれと同じような立場に立って法律化しあるいは行政措置を強硬にやっていくというような考えがあるかどうか、お伺いいたしたい。
○鈴木(義)政府委員 ただいま御説明申し上げました更新打合会のメンバーは、繊維産業側と機械メーカー側と、それに官庁側で繊維局と重工業局と両方入っておりまして、主宰は通産次官となっております。そこで、ねらいは主として今度の法案の実施に際しまして需要が減るということに対しまして、需要を喚起する意味で、更新時をはっきりさせていこう、それによって更新ができるだけ予定通り行われ、機械メーカーの注文がある程度内需として維持できる、こういう考え方のもとにこの打合会を開いたわけであります。従いまして、その打合会によってできた更新を促進するための方策でございましたら、それは今後これにつきまして行政措置なりその他にもよりまして実施していく、こういう考え方でございます。
○田中(武)委員 われわれがこの法律から受けている感じは、一つの産業、いわゆる関連産業の犠牲の上に立ってある産業なり、その産業の中のある企業なりが隆盛をしていく、救われていくということに一つの不合理を感じているわけです。そこで私の申し上げているのは、繊維産業の合理化のために繊維産業の関係者といいますか、繊維産業の経営者とかあるいは労働者代表で総合対策審議会というものを持たれて、そこで出た結論、答申に基いてこういう法律ができた。だから私が申し上げているのは繊維機械更新打合会というのは、私は今度は逆にそれによって打撃を受けるところの機械メーカーの立場に立って、それをどうしていくかという打合会である、こういうふうに受け取ったので申し上げたのです。どうもそうでもなさそうですが、私の申し上げているのは、今度はそれによって影響を受け、注文も来なくなる、あるいは倒産するであろう、あるいは首切りが行われるであろうと考えられるわけです。そういう産業の保護のための何か機関なり会合を持たれるような気持があるのかないのか、あるいはそれによって出てきた結論を、繊維産業総合対策委員会が出したのと同じようなウエートで扱われるような気持はないか、こういうことをお伺いいたしておるのであります。
○鈴木(義)政府委員 御質問の更新打合会におきましては、更新を主として議題といたしまして推進するわけでございます。 それから繊維機械工業全般を今後どうするかという問題でございますが、これは機械工業のうちの一部門でございまして、機械工業全体といたしまして、今後どうするかという問題は、従来それぞれ輸出振興とか、あるいは技術の振興、あるいは国産化というふうな問題でいろいろ政府として努力してきております。今度は別に機械工業の振興に関する法律も実は御審議いただくことになっております。それにおきましては、特に機械工業の中の立ちおくれている部門について大いに合理化するということで考えております。その中の問題といたしましては、当面繊維機械は出ておりません。ただし、これはどういうわけかと申しますと、繊維機械について当面の問題は、やはり何と申しましても需要の喚起である。そういうものに関連いたしましてどうしても輸出を伸ばし、国内の需要を確保していくという問題が一番大きい、こういうように考えております。しかしながら今度の問題といたしまして、かような需要開拓ができまして、さらに設備等を合理化しなければならぬというふうな問題が出ますれば、今申し上げました機械の方の法律の中において繊維機械を指定してこれを取り上げるということは可能でございます。これは今後の問題として研究いたします。しかし当面われわれとして重点を置いてやらなければならないのは、何と申しましてもこの需要の減少ということに対処して、国内の需要をできるだけ維持し、そして輸出を伸ばしていくための対策でございまして、繊維機械につきましては、そういうふうな意味合いの国内の更新需要を確保するという点で、打合会によってできるだけこれは維持していきたい、同時に、さらに輸出について強力な措置をとって伸ばしていきたい、こういうふうな考えであります。
○田中(武)委員 今おっしゃいました機械工業振興臨時措置法ですか、あの法案が本国会に出ておることは知っております。しかしそれは別な意味において出されておるのであって、私の申し上げているのは、この法律、すなわち繊維合理化の法律の実施に当って、直接直ちに影響を受けるであろうし、また徹底的な打撃を受けるかもしれない繊維機械メーカーなり、それに関連者に対してどのような措置を考えるか、こういうことなんです。さしあたってこういう措置を考えておるということを言っていただきたいのです。もしそれがなければ、先日私が申し上げたごとき、それが出て初めてこれと並行して審議ができると思う。一方にこの法律を通すならば徹底的な打撃を受けるであろうということがわかっておるのにかかわらず、同じ日本の産業であり、同じ日本の労働者であり、経営者である、その一方がよくなれば、一方が必ずこの法律によって徹底的な打撃を受けるということかわかっていて、われわれは通すことができない。それにはこの点がある、こういうような措置があるからとおっしゃるならば、また考えようがあるのです。その具体的な方法を一つ言っていただきたい、こう思うわけです。
○鈴木(義)政府委員 具体的な方法をはっきりせよということでございますが、先ほど来申し上げております通り、とにかくこの法案に関連しての繊維機械方面に対する影響の問題というものが、やはり前の中小企業安定法第二十九条の場合において、織機メーカーにおいて起りました事態と同じような事態でございまして、これに対する具体的方策といいますか、考え方は、何といいましてもやはり設備の更新を促進するということ、輸出の振興をやるということの二つでございます。それを具体的にどういうふうにして推進するかということにつきまして、先ほど来申し上げております設備更新の打合会を開き、それによって計画的に業界からの更新計画をとる、業界からとりました計画を推進するようにやっていきたいというのが、この更新打合会の目的でございます。それに関連しまして、先般来問題となっております繊維産業に使います繊維機械の償却の短縮という問題も取り上げたい、これは大蔵省と折衝いたしております。 さらに繊維産業の更新のための設備資金、あるいは織機について申しますと、これのための助成資金というようなものも従来考えられておりますが、これらも更新打合会においてできるだけ考えていきたい、こういうことでございます。 〔委員長退席、小平(久)委員長代理着席〕 それから輸出につきましては、昨年実は織機の場合にも政府から約一千万円ばかりの調査費を出しまして、実は織機のエジプトにおける展覧会に参加し、あるいは中南米、中近東の市場調査のための補助をいたしたわけであります。それにつきまして最近の世界の輸出事情というものがよくわかりまして、さらに特に今度はアフター・サービスに重点を置かなければならぬという事情もわかりましたので、今度の場合におきましては、さらにその金額も増額いたしまして二千万円、これをアフター・サービスの補助と、さらに海外市場の調査というふうに振り向けて、現在考えております輸出目標は、昨年の実績に比べまして大体九%くらい上の輸出目標を立ててこれに対して努力しました。ことに全体としては九%でございますが、輸出関係は昨年は人絹のプラントというようなものが含まれておりまして、紡機、織機についての輸出目標を昨年よりも大きく期待しているわけであります。かような面で両方とも国内の需要の、更新と輸出の振興ということでできるだけ影響を少くして、特に私どもが心配しておりますのは、今の法律施行前は現在臨時的の注文が非常にございまして、それが落ちる。ある時期になりますと自然に回復すると思いますが、その落ちる間をどうするかということでございます。それについてはできるだけ更新需要的なものを繰り上げるとか、あるいは輸出の振興に努力するということで影響を緩和していきたい、こういうことで先ほどの打合会も運用していきたい、こう考えている次第であります。
○田中(武)委員 先年中小企業安定法第二十九条の実施の場合にとった対策によって、こういうふうに言われておりますが、あの際機械メーカーに対しては事業の縮小とか、あるいは首切りがあったように思う。あれは小さな繊維関係の産業においても、帰休制度とか、あるいは若干の首切り等もあったと思う。そういうことが現実にあったということは御承知と思うのですが、それと同じ方法をとる。強化することによって若干緩和できるかどうか知りませんけれども、ということは、ある程度の機械メーカーに首切り、事業縮小があってもやむを得ない、こういうお考えなんですか。
○鈴木(義)政府委員 私どもといたしましては、できるだけそういうふうな影響のないように努力したい、こういうことでございます。中小企業安定法二十九条の場合も、さような努力をもっていたしたわけであります。しかし一面全体を通じての結果は、更新需要はわれわれの予想いたしました以上にいっております。ただ、実を申しますと、輸出が一昨年は非常にパキスタン等の需要が多うございまして伸びたのでありますが、昨年は輸出の関係で減ってきたというような事情で、綿織機については苦しい事態かございました。しかし人絹織機、毛織機につきましては輸出がふえ、実を申しますと生産は一昨年よりふえております。さような事態でございまして、われわれといたしましても御指摘のようなことを覚悟しているんじゃなしに、そういう影響をできるだけなくそうという努力を尽したいということでございます。
○田中(武)委員 ここで局長がそういうことの起ることを見越して、やりますとは言えないと思います。できるだけそういうことのないようにするというのがあたりまえのことである。しかし現に二十九条発動の場合はそういう事態が起きているわけです。それを知っておりながら、今回もそのときと同じような対策で臨むということは、やはりある程度機械メーカーの中にあって事業縮小なり首切りがあってもかまわない、こういうことの上でないと、そういうことは言えないと思う。そこで一昨日ですか、金曜日に私からも、また具体的に多賀谷委員からも資料を要求したと思うのですが、あの二十九条の発動のときに起った労働関係の影響とか、あるいはこの実施によって影響を受けるいわゆる企業の数、あるいはそれによって影響を受ける労働者等の数なんかを資料として出してもらいたいと思うのですが、それはできておりますか。
○鈴木(義)政府委員 安定法二十九条の場合の影響は、生産数字としては資料を用意するように準備しておりますが、労働関係の方は、労働統計を調べてみますと、労働は機械一本で出ておりまして、繊維産業という範疇で出ておりませんので、その点どういたそうかということで、適当な資料がないわけでございます。さように御了承願いたいと思います。
○田中(武)委員 それじゃこの法律の実施によって影響を受けるであろう関連産業のこのような資料もできませんか。全国にどの程度の繊維機械メーカーがあって、それに従事している常時の労働者が幾ら、臨時が幾ら。推定でもよろしいですが、それによって今までどれだけの年産なり月産があったか。これが実施の結果ある程度の期間は受注も減るだろうと思うのです。それによってどういうような労働情勢になるといったような推定はできませんか。五年先の繊維の需給状況を推定して、機械を、この機械は幾ら、この機械は幾らというようなことまで推定する能力のある当局が、これの実施によって直接影響を受ける産業の状況、あるいは労働者の状況が調査できないはずがないと思うのですが、いかがでしょうか。
○鈴木(義)政府委員 その点は、実はさきの計画につきましても、先般資料の御要求がございましたので、今準備しております。ただ具体的に、生産数量については大体どんなふうになるかということは考えられますけれども、労働関係はそれに対する転業問題あるいはほかの事業、そういうふうないろいろな問題も出て参りますので、なかなかむずかしいんじゃないか、こう考えております。それから当面の問題といたしましても、現在まで相当注文がございます。それで来年あるいは五年後ということは推定で一応できますが、さてことしの下期どうかということは、現在いろいろ業界からも繊維産業の方の注文状況も聞いておりますが、まだ完全にまとまっておりません。さようなわけで、具体的にどうなるかということはなかなかむずかしいことであります。輸出につきましては、大体本年度計画のうち上期がどの程度、下期がどの程度ということは見当はついておりますが、なかなか国内の需要は更新需要を中心にしてどのようになるかということにつきまして、今調査いたしておる次第であります。
○田中(武)委員 調査しておる、こういうことですが、推定でもけっこうですから、この実施によって、ことに影響を受ける繊維機械メーカーの状況及びそれによって起ってくる労働状況、こういうものを何でしたら労働省と御相談の上、至急出していただきたいと思う。できればそのときに労働省関係の人も来ていただいて、労働問題について若干の質問をしたいと考えておりますが、これは委員長の方にお願いしますが、その機会を与えていただきたい、このように思います。 それでは引き続きまして他の方面に移りたいと思います。この法律の実施に当っては、結局は三十一年以降ですか、繊維工業設備の審議会、これの答申というか、これの運営が大きな結果をもたらすと思う。先ほどからの御答弁によると、前にもこの中に労働者代表を入れる、こういうようなことも言っておられたと思うのですが、この委員の中に、前の総合対策審議会のときのようなメンバーでなく、機械メーカーの代表者あるいはそれに従事する労働者側の代表者も入れる用意があるのかどうかをお伺いしたい。
○小室政府委員 人数とか、あるいはどういう形でそういう方々に参加していただくかというようなことは、まだ具体的にきめておりませんけれども、常識的に考えて、そういう方々に参加していただいたらいいだろうというふうに考えております。
○田中(武)委員 さらにお伺いしますが、この前のようなメンバーでなく、この前には審議会の委員になれなかった、あなたのおっしゃるところでは希望がなかったから、こういうことですか、そうでなく、この法律の実施によって影響を受けるところの産業の代表者、あるいはそれに従事する労働者の代表等もぜひ入れていただく、こういうことを希望しているわけですが、それはいいんですね。
○小室政府委員 そういう意味でお答えいたしました。なお部会等も作って、いろいろ具体的な問題も審議して参りますので、そういう部会の運用というようなことも考えております。
○田中(武)委員 それではちょっと方面を変えまして、私の最初の質問に対しても、いわゆる繊維製品の需給の見通しの上に立って、あるいは繊維製品の需給の調整というようなことを言われたわけです。この法律はそういう上に立って考えられた、こういうことですが、その需給の関係についてどのように把握しておられるか、一つお伺いしたいと思うのです。たとえば輸出の関係を考えてみても、今後輸出の伸びがどのようになるか、どのように輸出が伸びていくかというようなことを、どのように把握せられたか。たとえば現在ではアメリカで若干日本の繊維製品の締め出しというようなことがありますが、これに対して外交的に、政治的に相当当局が努力することによって打開せられると思います。従ってアメリカとか、あるいはインドネシア等々積極的な政府の努力によって相当輸出が伸びると思います。それらについてどのように考えておられるのか。あるいはビルマとかパキスタンなどの委託加工の見通しをどのように推定せられたか。そういう両面の見通しの上に立って需給をどのように考えられたか伺いたいと思います。
○小室政府委員 繊維の需給見通しは経済五カ年計画に調子を合せまして、昭和三十二年度と三十五年度という二つの基準年度について、輸出、内需を推定いたしたわけでありますか、ただいまのお尋ねは、そういう長期的な輸出の見通しと当面の輸出の見通し、その両者かね合せたようなお尋ねであったかと思いますが、アメリカに対する輸出は、御承知のように輸出調整を実施しておりますが、これを綿布について申しますと、ただいまのところ、は諸般の事情、たとえば内地の綿布が高くなったということも一つでありましょう、また向うの流行の変化というようなことも一つでありますが、一億五千万ヤールという綿布の輸出調整の限度までは、ただいまの見通しではちょっと行きにくいような点があります。一方インドネシアの関係でございますが、これは賠償問題がフィリピンとの関係で片づきましたので、おそらくその次にはインドネシアとの関係がかなり早く解決するのではないかとは思いますが、その問題が解決するまでは、輸出入のバランスを大体合せていくような調整をとっておりますので、委託加工の問題を別にすればそれほど急増するかどうか、ちょっと見通しが困難でございます。それから委託加工についてはビルマとインドネシアと程度の差がありまするが、話し合いが現に進行中でございます。概して申しますると、いわゆる綿布については今後数量的にどれだけ伸びるかということについて審議会でも非常に議論がございまして、昭和三十五年度の予想で十一億五千万にするか、あるいは十二億幾ら、いろいろな議論があった末に、そういう将来の、インドネシアその他に対する増加というようなこともある程度見越して、十三億ヤールという数字を出したわけでありますが、昨年は十二億ヤールにちょっと達しておりません。ことしの見通しは十二億ヤール前後という感じがいたしますが、これも今後の情勢の推移にもよることでありますし、なかなか輸出の見通しということは、その年度だけでも立ちにくい、その先々の輸出の見通しも立ちにくいことでありますので、これは年々需給推算をいたします際に、年々輸出計画を立てていきたいと考えております。
○田中(武)委員 本法案には、先日加藤委員が質問したとき申しておったと思うんですが、こういうやり方は、通産大臣きょう見えておりませんが、通産大臣がいつも言われておるところの拡大均衡に反するんじゃないか、こういうような意味の質問もあったと思うんですが、今私のお尋ねしてるような、たとえばインドネシアとかアメリカに対しても、外交折衝を積極的にやることによって、相当の輸出の伸びがあるのじゃないかと思います。そういうことを考えた上での処置であるかどうか、こういうことですが、いわゆる外交折衝といいますか積極的に輸出を伸ばしていくという努力と相待ってなお考えられた結果であるのかどうか、お伺いしておるのであります。
○小室政府委員 当然そういうことを考慮に入れた上での推算でございますけれども、先ほど申しましたように、毎年々々世界情勢も変ります、国内情勢も変るわけでございますから、毎年需給推算、輸出の推算を立てていかなければならぬ、こういうように考えております。
○田中(武)委員 それじゃ次官にお伺いいたします。今申し上げているように、アメリカとかインドネシアその他に対して、積極的に外交折衝なり輸出について努力することによって相当伸びると思うのです。そういうようなことについて、大臣がおられませんので次官にお伺いするのですが、将来の見込みはどうなんでしょう。あるいはそういうことについての努力ということについてはどのように考えておられますか。
○川野政府委員 アメリカにおきましては輸出制限法等の法案が出ておりまして、わが国の繊維品等に制限を加えんといたしておりますことは御承知の通りであります。ゆえにできるだけこういう面を一つ緩和していただこう、それにはアメリカの世論を押えることが必要であるというようなことから、わが国内において自発的に調整を行なっておりますことは御承知の通りであります。こういうことを政府といたしましていたしておる半面、民間委員をアメリカにもやりまして、そして民間を通じてアメリカの世論を緩和いたしておる、こういうような現下の実情でございます。かようにいたしまして、できるだけアメリカの世論を緩和いたしまして、わが国の輸出貿易を盛んにしようということで、アメリカの世論の緩和に今努力をいたしておる最中でございます。従いましてこういう面から必ずやアメリカの世論を緩和いたしまして、わが国の貿易も漸次伸びていくのじゃなかろうか、かように考えておる次第でございます。
○田中(武)委員 この法案は結局需要に対して機械が余り過ぎておるから制限する、一品に言えばそうだと思う。それならそういうことをする前に需要がふえるように努めるということが大事だと思うのです。そこで今の貿易の問題等も一つの例になるわけですが、それをやらずして余っているから制限するということは、貿易その他また内需の問題についても積極性を欠いているのじゃないか。もっと言いかえるならば、繊維の輸出振興について伸ばすということを放棄して、いわる拡大均衡に反する縮小という態度が現われているのじゃないか。言いかえるならば自分たちの輸出に対する努力——たとえばアメリカに対する折衝の努力の足りないことをこういうことでごまかしていこうと考えておるのじゃないかとも考えられるのですが、いかがでしょうか。
○川野政府委員 先ほど来繊維局長からも申し述べたと存じまするが、経済五カ年計画の線に沿いまして需給関係等を勘案いたしまして、そうして今回の立案をいたした次第であります。経済五カ年計画の線は当然外国貿易を幾らぐらい見積るか、こういう点も勘案いたしまして、計画を立てたような次第でございます。従いまして輸出面におきましてもさらに今後ある程度の伸びというような点は、経済五カ年計画の線にも沿うておるわけで、その点も了承していただきたいと存じます。
○田中(武)委員 まあ輸出振興について積極的な努力は続けるのだ、またそういうことも見越しての上だ、こういうことでありますので、次に内需の方についてただしたいと思います。内需の問題につきましても、たとえば農村の景気の変動とか、あるいは大衆の購買力の向上というようなこと、あるいはまた製品の価格の低下といいますか、値段が安くなるとか、こういうことによって内需も変わってくると思うのですが、そういうようないわゆる大衆購売力の増加、あるいは農村景気の向上、あるいは価格、これらの問題についてどのように把握せられての結果か、お伺いいたします。
○小室政府委員 これは経済五カ年計画の方の計算によりましても、国民の消費購買力は年々順調に伸びていくという推算に立っております。この消費購買力の伸びに応じまして内需用の衣料も消費がふえるという計算で、これは昭和二十九年度に対して二割四分増を昭和三十年度に見ていると思います。それから産業活動の伸びも相当ございまして、これは五割以上だったと思いますが、この産業用の資材としての繊維製品の需要の伸びも見ております。もちろん年々景気も消費購買力も変動がございますから、そのときの需給の状況をよく計算いたしまして、決して過剰設備を早まってよけいに処理し過ぎるとか、あるいは新増設をやたらに押さえるということは考えておりません。年々の需給情勢に十分合せて、必要であれば秩序立った新増設を認めていきたい、こういうように考えております。
○田中(武)委員 五カ年間の繊維製品の価格をどのように押さえておられるか、横ばいとして考えられるのですか。その点についてはどのように価格を考えられておるか。
○小室政府委員 天然繊維については原料がある程度下るという計算で、これは何%か、資料があればすぐわかるのですが、そういう計算を織り込んでおります。概して繊維製品は値段が下るという計算で、それに基いて若干消費がふえるというようなことも考慮しております。
○田中(武)委員 そうすると繊維製品の値段が下ってくる、これに反して大衆の購買力が上ってくる、あるいは農村の方の景気もよくなってきて、今までより以上に衣料の需要がふえる、こういうことが考えられる。そうするならば最初言ったように、昨年の秋の状況と現在あるいはこれから将来相当状況が変ってくると思うのですが、そのような場合でもなおこのような法律を実施してやらなくちゃならぬような根拠が出てくるのでしょうか。
○小室政府委員 欧米各国の例を見ましても、消費購買力がある程度増加いたしますと、むしろ衣料品の消費の増加よりも、耐久消費財とかその他の消費の増加の方が多くなっておりまして、大体アメリカでも、英国、西独あたりでも、繊維製品の量的な消費はあまりふえておりません。消費購買力の増加に応じてはふえておりません。むろんある程度ふえております。また繊維製品の消費の内訳といたしましても、天然繊維よりもむしろ化繊がふえるとかあるいは合成繊維がふえるとか、そういう変動がございますから、天然繊維の一部等についてはもうこれ以上あまり設備をふやす必要はないというような事態が、当然日本のみならず各国においても起っております。
○田中(武)委員 いつかこの法案に関連して、局長はこれの実施によって大衆に迷惑を与えないというようなことを言われたと思いますが、やはり価格に大きな関係があると思う。少しばかりでき過ぎても、現在でも非常に高いと思うのですが、それを安く、より多く需要を満たすという方がいいじゃないかと思うのですが、この法律の実施と繊維製品の価格に及ぼす影響、それが大衆の消費生活にどのような関係を持つのか、一つお伺いいたしたい。
○小室政府委員 国民衣料を安く提供するということは、これは繊維政策の最大の眼目の一つでありますが、むろん一方においてただでさえ安売り競争の弊害の指摘されているわが国の繊維製品の輸出が、もう少し価格が維持され、あるいはあとうべくんば若干高くされるということも必要だと思います。競争を排除して輸出面で価格を維持するという要請と、安い衣料品を供給するという要請、これのバランスをとっていかなければならぬということであります。そういう考え方で設備の処理でもあるいは新増設の許可でも公正にやって参りたいと思いますが、それについては審議会に特に消費者代表、中立委員という人をできるだけ入れて、必要があれば設備の処理なり新増設の許可に際しても、多少需給にゆとりのある運用をして参りたい、こういうふうに考えておるわけです。
○田中(武)委員 先ほどから私が輸出の問題とか内需の問題とか価格の問題を承わっておるのは、結局この法律を作られる基礎が変ってくるのではないか。輸出のことについても今後の努力あるいは委託加工の問題、あるいは内需の問題についても大衆購買力あるいは価格の問題等々を再検討し、あるいはそれを積極的にやっていくということによって、相当この法律の基礎となるべき状況が変ってくるのではないか、このように思うからお伺いしておるのです。それについて当局の把握の仕方が少しはっきりしていないのではないか、このようにも思うのですが、もう一度はっきりと、今後の状況の再検討をなされるような必要はないものでしょうか、私はあると思うのですが、いかがですか。
○小室政府委員 毎年の輸出需要、内需全体のバランスを見まして、必要があるならば秩序ある新増設をやり、また必要があれば過剰設備の著しいものを処理していくということで、内需面でも輸出面でも有終の美がもたらされると私ども考えるのでありますが、なお最近確かに輸出の需要が一時的にふえたり、あるいは内需の方でも農村の景気等の問題でふえておるのではないかという推定もございます。しかし他方におきまして、かけ込みということでもあるかもしれませんが、生産設備の方もやはり相当ふえておりますので——輸出がふえると申しましても、ただいま十二億ヤール、十三億ヤールいっておる綿布が、戦前の二十億ヤール、二十五億ヤールというようなふえ方は当然考えられないのでありまして、やはり一億ヤール、二億ヤールくらいの動きはあるだろうと思います。それに応じての紡機を計算に入れましても、綿紡機については相当過剰であるということは明瞭でありまして、先ほど申した欧亜諸国の消費の趨勢等から見ましても、そう飛躍的にそういう部門が伸びるということは考えられない。ですから、大筋は、この法律の考え方は、十分通ると思うのでありまして、ただ年々の運用に際しては、おっしゃるような点をよく検討いたしまして、需給を逼迫させるようなことのないように、価格をつり上げることのないようにしていきたい、こういうふうに考えております。
○田中(武)委員 年々そういうふうにやっていく、こういうことなんですか、そういう措置をとったからといって、直ちにすぐ結果が現われるものでもないと思うし、現にこういう法律ができると、こういううわさだけで相当状況が変ってきておると思います。そういう点を考えた場合、私は状況が変ってくるならば、この法律をこのまま成立させる必要もないのではないかと思う。もう一度、基礎が変ってきておるのだから、その基礎の上に立って再検討をする必要があるのではないか、こういうような気持を多分に持っておるわけです。 それともう一つは、これは何回もここで論じられたことではございますが、この法律を実施することによって、果してもうかるといいますか、得をするのはどこか、こう考えた場合、当局の御答弁はいろいろと言われておりますが、これはやはり十大紡だけがいいことをして、他はよくないのではないか、十大紡績、大きな繊維産業の企業だけがよくなって、その他はよくならないのではないか、ことにこれによって機械メーカー等が大きな打撃を受ける、大きな労働問題が起ってくる、こう考えた場合に、どうもこの法律に私は釈然としない点がそういう点にあると思うのですが、どうですか。ざっくばらんに言って、そうでございますとあなたは言えないと思いますが、ほんとうのところ、確信を持ってそういうことはないと言えますか。
○小室政府委員 先ほど来申し上げておる通りに、年々の需給をよく推察いたしまして、決して需給を逼迫させない、そういう建前から新増設の必要があれば秩序ある新増設を認めていく、そういう建前でありますから、決してこれによって十大紡、あるいは広く紡績会社が利益を受けるというような結果にならないようにいたしたい、それは確信を持ってお答えいたします。
○田中(武)委員 ないようにいたしたいということですが、結果がそうなる、そう思うのですが、どうですか。これは単なる見解の相違で済む問題ではないと思いますが、いかがですか。
○小室政府委員 この前御説明したように、輸出関係の一時的な需要の増大等によって、最近綿糸市の価格が非常に高騰したことは事実でございます。そのために最近将来の需給の点に不安がありますけれども、踏み切って操短も撤廃したのでありますが、それ以来毎日のように相場が下っておりますけれども、実はこの操短撤廃のペースで計算して参りますと、秋口以降需給は相当緩和するであろうという感じを持っておりますし、いずれにしても、御心配のような十大紡と申しますか、あるいは紡績会社がもうけるというような法律の運用にはならないというふうに確信をしております。
○田中(武)委員 たとえば機械メーカーはしばらく別としても、同じ紡績業者の中でも中小といいますか、小さな業者は、これはかりにスフ紡に転換しようと思っても資金その他の関係でそう簡単に転換できない。そうするとやはり犠牲を強要せられる結果になると思いますが、どうですか。
○小室政府委員 今の中小紡が、現実のことを申しますと、資金面で転換ができないというようなことは私は概してないと思います。また中小企業金融公庫におきましても、別ワクでもって紡機の更新の融資とか、あるいは転換の融資とか、そういうことを考えるということも言っておりますし、最近の金融情勢は、そういうことは万なかろうかと存じます。また綿紡については今日も非常に過剰でありますし、今後も輸出が急激に増加する、あるいは内需が飛躍的に増加するということは考えられませんが、その他の繊維部門、合成繊維部門については今後新増設が飛躍的に増大するということも考えられる、そういう部門もあるわけでありまして、そうした部門の新増設までこの際全部ストップしてしまうという関係ではないのであります。その点も少し誇大に伝わっておると思いますから、この際一つ御了解をお願いしたいと思います。
○田中(武)委員 政府委員としての局長としては、われわれが言うたことにその通りになりますとは言えないと思います。しかし私はどう考えてみても、この法律の実施によって利益を受けるということは、妥当ではないかもしれませんが、そういう関係が出てくるのは、十大紡というか、そういったような大きな紡績会社だけであって、新紡、新々紡あるいは小さな会社または先ほどから問題にしております関連産業の機械メーカーだけは大きな打撃を受ける、私にはどうしてもそのように思えてならないのですが、これはいつまでやっておっても水掛論になると思いますが、私はそういう考えを今でも持っております。従ってこの法律に釈然としないところがそこにあるわけです。 しかしそれはそれとして、私はそういう気持をはっきり申し上げておいて次に移りたいと思いますが、先日ここで参考人の公述を聞いたわけですが、そのときに私聞いておって一、二、なるほどとは思いますが、こういう議論をされておりましたので、その点について一つただしてみたいと思います。 まず第一点として、ある参考人はこの法律をもって憲法違反である、こう言っておる。少し話は大きいかとも思いますが、その人の意見によると、憲法第二十二条は「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」こういうことになっておる。ところがこれが実施によって、いわゆる繊維関係のメーカー、ことにその下請等はやりたくてもその仕事ができなくなる、しかもやっておる仕事は別に公共の福祉に反するものではない。公共の福祉に反しないにかかわらず、結果的において自分がやりたいと思う仕事ができない。いわゆるこの法律の結果、職業選択の自由を奪われる、そういうことから憲法違反ではないか、こういう意見が出たのではないかと思いますが、その点について、立案者としては憲法との関係はどういうふうに考えておられますか。
○小室政府委員 実質的に設備の新増設を許可制にいたしますと、むしろ繊繊産業の営もうとする業者がそういうことができなくなる、そういう道がふさがれるのではなかろうか、それが職業選択の自由を侵すのではないかというような議論であったのではないかと思いますが、これは結局今の公共の福祉という問題でありまして、輸出産業の安定をはかり、輸出面で過剰な競争をできるだけなくして、国際収支の改善をはかる、そのために秩序ある新増設をやっていく、また著しく過剰の設備を処理していく、こういうことは公共の秩序、公共の福祉に合致する、こういう判断のもとにこの法律を提案したわけでありますし、また法制局もそういう考え方でこれを認めたわけでございます。
○田中(武)委員 ここで違憲論を戦わす気持はないのですが、それはそれとして、次に独占禁止法との関係についてお聞きしたい。これは相当考える必要があると僕は思うのですが、独占禁止法とこの法律との関係についてはどのように考えておられますか。
○坂根政府委員 独占禁止法との関係におきましては、先般来からここで御質疑があり、小室局長からも答えられておりますが、要するに繊維産業の改善と申しますか、合理化という建前で、政府が繊維産業界に対してその施設の合理化をするための共同行為を指示する、その指示する行為についてわれわれが協議を受けて適用除外をする、こういう建前になって私どもの方も協議を受けることになっております。
○田中(武)委員 ちょっとお伺いしますが、そうすると、公正取引委員会が協議を受ける、その協議を受けたことによって、あなた方が除外することによって法律違反にはならない、そういうことなんですか。
○坂根政府委員 そういう指示を受けてわれわれが協議をしまして、二十四条でしたか、それの適用除外になりましたものは独占禁止法からはずされていく、こう解釈しております。
○田中(武)委員 公正取引委員会が協議を受けて除外することを認めたから法律違反にならない、こういう論法になると言われたと思うのですが、そうなんですか。
○坂根政府委員 協議を受けることは、法律的には非常にむずかしい問題があると思いますが、協議がととのうかととのわないかにかかわらず、一応これははずれていくと思います。しかし協議を受けるということは、通産大臣の方においても十分認可の要件をお考えになって持ってこられると思いますから、事実上はずれていくんじゃないかと考えております。
○田中(武)委員 少しわかりにくいのですが、事実上はずれていくということをもう少し詳しく、関係条文などを示して御説明願いたい。
○坂根政府委員 これは法律的には、二十四条の共同行為を指示しなければならない、そしてこの二十四条と独占禁止法の関係は二十八条にありまして、「第二十四条第一項の規定による指示を受けた者がその指示に従ってする共同行為については、適用しない。」ということになっておりますから、その指示がありましたものについては適用されないのであります。ただし二十九条において「第二十四条第一項の規定による指示をしようとするときは、公正取引委員会に協議しなければならない。」とあるように、形式的にはこういうことになると思います。
○田中(武)委員 そうしますと、この法律の持つ本来の性格は、どうも独占禁止法違反のようなものである、しかしながらこの法律の中に独禁法除外の規定を入れたから独占法の違反にならない。こういうことになるのですか。
○坂根政府委員 法律的にはお説の通りと思います。ただしこの共同行為の指示がかなり詳細に書いてございますから、その詳細に書いている範囲以外のものでありますれば、これは独占禁止法の適用除外にならない。ここに施設の格納だとか、いろいろ書いてありますが、それ以外に、指示した以外に生産数量の制限をしたり、出荷の制限をしたら、これは直ちに独禁法がかかってくる、こう御解釈願いたいと思います。
○田中(武)委員 そうすると、この法律はある一面から言えば、独禁法を緩和するといいますか、独禁法除外の法律とも言えるわけですね。そういうことになるわけですね。
○坂根政府委員 この、繊維産業の設備を整理するという共同行為の通産大臣の指示は、それに関しては独禁法からはずれていく、こう御解釈願います。
○田中(武)委員 法律的にはどうもそういう解釈にならざるを得ないと思うのですが、そうするといよいよ疑問がふえてきたわけなんです。先ほどから私が言っているように、やはり関連産業の問題あるいは基礎が変ってきつつある。答申のときと事情が変っている。その中においてなおこれをやる必要があるのかということについてまだ疑問を持っております、ことに。この法律の実施に伴って起るところの繊維機械メーカーの労働状態等については、なお私伺いたい点もありますが、先ほど申しました資料等を見せていただき、また労働省の担当の方等にも一応来ていただいて、そこで労働問題等を掘り下げて伺いたい、こう考えております。きょうはこの程度でおきます。
○小平(久)委員長代理 多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 まず政務次官にお尋ねいたしますが、この法律を出された根本的な趣旨はどういうところにあるわけですか。これをお聞かせ願いたい。
○川野政府委員 法律の第一条に明示した通りでございます。 〔「名答」と呼ぶ者あり〕
○多賀谷委員 まさに御名答でございますが、しからばその第一条の趣旨をお聞きいたしたいのですが、この法律の主目的は、結局「正常な輸出の発展に寄与するため、」ということ、これが全部の目的でありますか。これ以外には書いてないようですが、結局「正常な輸出の発展に寄与するため、」こういうことと理解してよろしいのですか。
○小室政府委員 政務次官が第一条と申し上げたのは、やはり、策一条を最後まで読んでいただくという趣旨であると思いますが、「繊維製品の正常な輸出の発展に寄与するため、」最終的にいえば、「繊維工業の合理化を図ることを目的とする。」こういうことになると思います。
○多賀谷委員 その読み方は私は少し納得がいかないのですが、「繊維工業の合理化を図ること」というのは一つの手段であって、目的は「輸出の発展に寄与するため、」ということでしょう。
○小室政府委員 むずかしい法律論はやめにいたしましても、最大のねらいは輸出の正常な発展をはかるということです。
○多賀谷委員 こういうようないわば宣言的な規定によって法律の効果を生むわけじゃないのですから、何も法技術について言っているわけではないのですが、法案の趣旨そのものにどうもはっきりしない点がある。と申しますのは、この法案が出された最も大きな趣旨というのが輸出に関係があるのだ、こういうことなんですね。そうすると、設備が過剰であるから輸出に影響するという点が私は納得がいかないのですが、その点について御説明願いたい。
○小室政府委員 結局、輸出産業につきましては、国内の需給のアンバランスが著しい場合にはどうしても海外に対して不必要な安売りを実施することに相なります。むろんそういう需給のアンバランスがなくても、日本の繊維製品等については、どちらかというと輸出業者のむだな競争のために安売りになるおそれがありますけれども、国内における需給の不均衡が署しい場合には、どうしてもその傾向がさらに助長されることに相なりますので、ほかの手段で需給の調節をはかると同時に、生産設備についても調整を加えることが結局において輸出の正常な発展に寄与する、こういうふうに考えておるわけでございます。
○多賀谷委員 具体的に現在アメリカにおいて起っております日本製品の制限とか、あるいはガット加入の問題が提案理由の説明の際に入れられておりましたが、私は、国内の需給のアンバランスが不当なダンピングとなって輸出に現われて、それが刺激をして、あるいはガット加入の問題とか、あるいはまた日本製品の輸入の禁止、こういうところには現われてきていない、かように考えるのですが、具体的にそういうことが理由となって現われてきておりますか。
○小室政府委員 両者は必然的に関連していると思います。生産設備と当該国に対する輸出品、紡績設備と輸出品ですから、その間にいろいろ中間子がございますけれども、しかし必然的に関連している、こういうふうに考えております。
○多賀谷委員 私はどうも必然的に関連をしていないと思う。むしろ日本の繊維製品が安い、こういうところに向うの警戒があるのであって、その安い理由は何も日本の設備が過剰であるからというところに原因を発しているのではないと思うのですよ。結局日本の繊維製品の安いというのは、労賃が低い、テープ・レーバーに問題があるのである。向うの方もテープ・レーバーに非常に関心を持っておるのであって、私は日本の設備が非常に過剰であるというところに原因はないと思う。原因はむしろテープ・レーバーにあるのだ、かように考えるわけですが、一つ通産省としてはどう御判断になっておるか、政務次官から御答弁願いたい。
○川野政府委員 御説のごとく、賃金の安いという点も外国におけるわが国の繊維製品が安い、こういう原因であろうかと考えますが、しかし設備過剰のために非常に品物がたくさんできる、こういうような点も乱売をされる原因であろうと思う。また外国において繊維製品を非常に安く売る、こういうことになるのでなかろうか、かように考えておる次第であります。
○多賀谷委員 私は日本の設備が過剰であるから、国内の需給のバランスが破れて不当に輸出が行われて、そういうような事情になった、こういうことを一つ具体的に数字をあげて御説明願いたいと思います。どうも問題の本質が違う。ほかの意味でこの法案を出されるということなら私はわかるのですが、理由はこれ一本です。これが主目的です。それによって過剰な設備を制限するということは、日本の現在の状態においては出てきていないのじゃなかろうか、こういうように考える。むしろ原因はほかにあって、ほかに原因があるにもかかわらず、それによって日本のテープ・レーバーを糊塗せんとする政策である、こういうように私は考えるのですが、ことに繊維産業において、日本が非常に安く売れるというのは、日本はこれらの原料を生産しておるわけでもありませんし、むしろ原料はよそから買っているのですから、船賃もかかるし、当然原料は高い。その高い原料をもって安い製品を出しておるというのは、これは賃金以外にない。特に日本の繊維機械が非常に優秀だとも考えられない。問題は賃金にあるのであって、あなたの方でそういうことをお出しになるというのはどうも私はふに落ちないのですが、もう一回具体的に、とにかく日本の繊維製品が非常に警戒をされる、それは日本の設備が過剰である、ここに原因があるのだという点を一つお示し願いたい。
○小室政府委員 紡績設備が何錘過剰であるから綿製品が幾ら安くなっておるかという計算は、残念ながら数字的にはじき出せませんけれども、しかしながら生産設備が過剰であり、それによって過剰生産が出て参って、そうしてその過剰生産物を海外に無理やりにでも出そうというようなことの結果、値くずれがして、ただでさえ安い競争を非難されておる面が加重されるということは、これは常識的に御納得いただけることじゃなかろうかと思っております。
○多賀谷委員 派生的にそういう問題が起るということもあり得る、それは経済ですからあり得るのですが、問題の根本は過剰設備にあるのではなくてテープ・レーバーにある。それを言わずして過剰設備にその原因があるようなことをおっしゃるのは、どうも私はふに落ちない、こう申し上げておるわけです。それでもう一度御答弁を願いたいのですが、とにかく日本の繊維産業の労働者の賃金は最も低い層に当っておる。これはあなたの方の出された統計によって明らかですから、私は今それについてあまり数字をあげたくありませんが、要するに家具とか装飾品に次ぐ安い賃金であります。一般製造工業よりもずっと安く、すなわち女子労働者は三十年度において六千七百三十九円、こういうことがあなたの方の資料として出されておる。一般を含めると一万一千三百七十八円、こういうことです。そこでアメリカのをあなたの方は出されておりますが、あるいは年次が違うかもしれませんが、七万九千四百八十八円という数字を出されておる。ここに日本製品が売れるゆえんがあるのです。アメリカの方でも今度最低賃金の金額が変りまして、一時間七十五セントが一ドルになった。ですからそういうことにおいてさらに彼らは警戒心を深めてきたでしょうが、むしろ問題は最低賃金法でも作ればこの問題は解消する。ガット加入でも同じです。それをあなたの方が過剰設備に原因があるんだ、そしてこの法案は輸出の正常な発展のために出したのだ、こう言われる点はどうも私は理解できない。むしろ問題はほかにあるのじゃないですか。
○小室政府委員 繊維製品の安売りが、設備の過剰だけでもって行われておるというような説明はいたしませんけれども、これはまたほかの商社の不当な競争もございまして、また設備のみならず、他の面において需給の調節をする必要もあるかと思います。また大体において日本の繊維製品が安いということについて、私どもはチープ・レーバーというような言い方はしたくございませんけれども、日本の賃金水準が海外諸国の水準に比べて、相当低いという事実も手伝っておることは否定できません。いろいろな事情があると思いますけれども、やはり繊維製品の輸出の正常化のために、過剰設備を処理しあるいは新増設を秩序をもってやっていくことが必要であろう、こういうふうに考えておるわけであります。
○多賀谷委員 あなたの方の法案のその目的は、第一条に書かれておりますけれども、第一条はやはり御訂正になる必要があると思う。この法案は全部責任を輸出にかけておるのです。政務次官は私の質問に対して、それは第一条に書いてある、こういうように言われたけども、政務次官は果して第一条をよく熟読翫味したか疑問を持たざるを得ない。それほどこの法案は単純に輸出だけに結びついてお書きになっておる。また説明をされてきておる。この法案はそれだけの理由でなくていろいろな要素を含んでおる。要素を含んでおるなら含んでおるようにお書きになり、今まで議論をなされればいいのですが、とにかく輸出だ、そして外国が今こういうようないろいろ日本の製品に対する制限をしておるから、こういうことのみに転嫁をされておる。どうもこれについては疑問を感ずる。今首をかしげられておりますが、先ほどから田中委員の質問をずっと私は聞いておりましたが、やはりその一点に最終的には持っていかれておる。かように考えるわけです。そこで一体ほんとうの目的はどこにあるのか、あるいは目的が二つあってもけっこう、三つあってもけっこうですが、どこにあるのか、それをお聞かせ願いたい。
○小室政府委員 第一の目的は輸出の正常な発展でありますが、そのほかこの法律でねらっておりますことは、むだな投資が二重、三重に行われることを排除したいという気持もございます。それからまた特に過剰設備ということになると、紡績というよりも織機つまり中小の織布専業表の部門に過剰織機が一番顕著でありまして、これに対して、法律にはありませんけれども、予算でもって補助金を計上して、過剰織機を整理しようということを考えておりますが、中小企業対策ということも一つのねらいであります。しかしながら法律の最後的なねらいはいろいろなことを行いまして、輸出の正常な発展を期する、こういうところに帰着するわけでございます。
○多賀谷委員 これについてはまたあとからおいおい質問いたしますが、続いて私は、先ほど田中委員も質問しておりましたが、基礎的な条件であります繊維の需給の見通しについてお尋ねいたしたいと思うのであります。 経済五カ年計画によりますと、昭和三十九年度から三十五年度に行きますにつれて、一人当り二三・五%消費指数が伸びておる、全般の個人消費指数は三割伸びておる、こういうふうに経済企画庁でははじかれておるようです。そこで日本の個人の消費が伸びていくのと正比例に衣料の消費が伸びていくものであるかどうか、これをお聞かせ願いたい。時間があまりありませんから、私は先ほど御答弁になりましたその点をとらえて質問しておきたいと思います。それは欧米の例を言われまして、欧米では、必ずしも個人消費が伸びていく、いわゆる購買力が伸びていくということに対して衣料が正比例的に伸びていくとは限らない、こういうお話がありました。ところが私は日本の生活水準と欧米の生活水準とはかなり違うと思う。エンゲル係数あたりを見ましても、非常な差異をそこに発見することができますし、むしろ購買力が伸びていくに正比例して衣料が伸びていくということよりも、現在の状態では衣料の方がもう少し伸びるのではなかろうか、かように考えるわけです。それは食費の方は正比例的に伸びていかないことは事実である。だんだん消費水準が高くなるに従って食費の占める率は低くなって参りますから、これは確かである。そこでかなりの生活をしておりますと、必ずしも衣料費がそのまま正比例的に伸びるとか、あるいはそれ以上に伸びるとかいう判断はできないと私は思います。しかし日本の一般大衆の生活状態を見ますと、現在衣料にかなり重点が置かれておる。あるいは一応衣料のいろいろな整備が完了いたしますと、次のものに移るかもしれませんが、今の段階では、少くとも三十五年度までの見通しにおいては、衣料は個人の消費指数に正比例するよりも、さらにそれを越えた比率において伸びるのではなかろうか、こういうように私個人は判断するわけですが、それをどういうように御理解になるのかお聞かせ願いたい。
○小室政府委員 おっしゃる点はごもっともだと思います。欧米の先進国と申しますか、国柄の違います国の消費の傾向と、わが国とは多分に違ってくると思うのであります。ただいまの消費購買力の伸びと被服費に支払うお金の関係、これは昭和二十六年から二十九年までのわが国における実績、その相関関係の実績から函数を割り出しまして、そういう計算をしておりますので、むしろ今日からいえば、もっと衣料の不足した状態のお金の使い方なのでありますから、おそらく多賀谷先先の御心配の点はないので、むしろ私はこの数字よりも衣料消費が減るのではないかという感じすらいたしますが、これはまあよけいなことであります。
○多賀谷委員 どうもこの点は私も実は自信がない。というのは、とられている基礎数字が二十六年から二十九年までということでありますから、これはかなり需要が伸びている時期をとらえておる。ですから普通の状態でいきますと、私が今申しましたように、正比例よりも、むしろ少しオーバーして伸びていくという感じがいたしますが、とらえている基礎数字が、かなり大きなものをとらえられているということになりますと、私もあるいはそうであるかという気持を持つのであります。しかし、これはまだいろいろの要素を勘案して議論を進めていかなければなりませんので、一応今後の課題にしておいて次に進んでいきたいと思うのです。 戦後操短をされましたが、その操短をされた場合に果して生産量もそのように減っておるのかどうか、一つお聞かせ願いたい。
○小室政府委員 これはしろうと目で言いますと、一二%の操短を発表すれば前月に比して一二%減るとか、あるいは一六%にすると四%だけ生産が減るとか、こういうような感じがすると思いますが、昨年五月から操短を実施しました場合にも、実は操短を実施して三カ月くらいたちませんと本格的な減産ということは実現しておりません。また他方において、この紡錘の動かし方のスピード違反行為は別といたしまして、表向きに言っても、スピンドルの回転率その他によっても生産の状況が違います。また休みが多いか少いかによってもむろん違います。いろいろな要素がありまして、毎月々々の計算では一六%とか一二%とか八%とかいう減産には必ずしもなっていないかと思います。しかし大勢としては、むろん操短率の変化によって、生産の状況は左右されております。
○多賀谷委員 実は操短をしても必ずしも生産量にはあまり影響されていない、こういうこともある。あるいはまた、本年度におきましては、原綿にいたしましても、また毛にいたしましても、外貨の割当が非常に多いというようにも聞くわけです。またその通りの数字にもなっておる。そこでこの設備の制限をなさっても生産を押えなければ意味がないのじゃないか、この法案についてはこういう気持ちを持っておるのです。設備だけ制限すると間接的には確かに生産に影響があるでしょう。しかしながら紡績業界の状態というものは、まさに百鬼夜行の状態を呈しておる。そうしてわれ勝ちにという気持が確かにあるから、この法案が国会に提出されると、この設備について異常な発注が行われる。こういうような状態になってきておる。ですから私は生産を一つ押えなければ意味がないと思う。なぜ生産を押えないで設備だけをお押えになったか、これをお聞かせ願いたい。
○小室政府委員 従来行政権の発動として生産の調節をするために通産省は操短の勧告をして参りました。ごく最近撤廃いたしましたが、そのやり方はかなりの面にわたってやってきたわけであります。将来需給に大きな変動があって輸出の正常化その他のためにやむを得ない措置であれば、行政勧告としての操短もやはり考慮せざるを得ないと思います。もちろん今やめたばかりですぐ先のことを言うのはおかしな話でありますが、そういうことは考え得るということを申し上げます。
○多賀谷委員 従来の操短は生産量そのものを押えた、こういう行き方ですか。
○小室政府委員 これは量をぴたっと押えることはなかなか困難でありまして、紡錘に封緘をするとか、あるいは休日を一日か二日増すとかいうやり方、この両者のコンビネーションで操短を実施しております。
○多賀谷委員 なぜ量を制限することが困難であるのか、どうも私はしろうとでありますのでよく理解ができないのですが、いやしくも共同行為を認めてあるいは制限の勧告をするという場合に、量を押えないで、最終的なものを押えないで、たとえば設備の交換をしても二交代か三交代になればできる、さらにスピンドルの回転を早くすればできる、こういうことになれば、私はあまり意味をなさないと思う。なぜ最終的な生産量を押えないのか。この法案でも同じなのですが、それについてお聞かせを願いたい。
○小室政府委員 これは取り締り上の問題もございます。会社の数から言えば、紡績会社といっても百三十社ばかりございます。工場の数か言えばもっと多くなるわけでございますが、そういう末端までの取締りという問題もありますが、同時にまた、この紡績工場を経営していくというか、運転していく、操業していく立場も考えなければなりませんので、これは原綿の手当も二ケ月、三カ月前からやって、どういう糸をひくか、どういう操業にするか、人の配置その他計画的にやっていかなければ工場が運営できませんので、あまりぴちっと割り切った数量の生産を押しつけることは、これは現実に即さないという面もございます。いずれにしても今の封緘と体日制のかみ合せで、小数以下までぴたっと生産を押えることはできませんが、おおむね需給調節の目的は過去において果すことができたと思っております。
○多賀谷委員 しかし業界の状態が、たとえばこの法律が提案される、そうするとどんどん設備の発注をする、こういう状態では私はむずかしいと思うのですよ。百貨店が百貨店法案ができて設備を増す。この気持はわかる。というのは、百貨店と小売りは立場が違うのですから、幾ら自分が増したって、将来において自分が困ることはない。自分のところに火の粉が直接かかってくることはない。ところが繊維の場合は、結局は火の粉は自分のところにかかってくるのでしょう。あるいは、自分のところというけれども、自分がかぶらない、ほかの人がかぶるのです。こういう状況でしょう。だからこういう業界の状態では、最終生産を押えないで、設備だけ制限をされる——設備だけ制限をすれば最終生産は増さないような状態になるといえば別ですよ。これは交代制もあるし、あるいはまたスピンドルの回転も早くできる、こういう状態にある。それほどあなたの方でこういう法律が必要であるとお考えになるなら、なぜ設備の制限をやられるか。私はどうも現在の業界の状態を考えて、またあなたの方がこういう法律がぜひ必要だということを前提に置くならば、私は生産量の制限をすべきだ、かように考えるわけですが、もう一度御答弁願いたい。
○小室政府委員 むろんこの需給の調節の手段としては、生産数量の調節の方が直接的ではありますけれども、同時に過剰設備がたくさんございますと、これはどうしても生産も過剰になります。またそういうふうな傾向がどうしても生じて参ります。だから生産の面でも必要があれば調節をするし、また設備の面でもすでに過剰になっているものがさらにさらに過剰になるということは、これは産業の合理的な規模という面からいっても、はなはだおもしろくないことであり、二重投資、三重投資にもなりますし、また究極において輸出の正常化を妨げる、こういう意味で幾つかの手段の一つではございますが、非常に重要な手段として設備の規制ということを考えているわけであります。
○多賀谷委員 ちょっと問題を離れて公取にお尋ねいたします。先ほど田中委員の質問に対して、あなたの方は、二十四条の共同行為の指示というのは、本来ならば独禁法違反だ、しかしこの法律で独禁法は排除してこれをきめておるから、これは違反ではない、こういう御答弁がありましたが、従来政府がやっております操短という指示は、これは独禁法外の問題ですか、それとも、従来やっておる操短と、この二十四条はどういうような関連があり、違うのか、こういう点を一つお聞かせ願いたい。
○坂根政府委員 第一の、従来行政措置で勧告操短をやっておられます点は、一応行政当局から各社別に操短の率が勧告されまして、その結果やるものでございますから、いわゆる独禁法の共同行為としてとらえることははなはだむずかしいという点で、勧告操短は、非常にデリケートなことではございますが、一応独占禁止法から見てこれを違反としては取り上げてはおらない。それから第二の、今の法案におきます施設制限の共同行為は、これは先ほど申し上げましたように、本法案で通産大臣が相当内容を詳細に指示する。その指示したものを独占禁止法の適用から除外する、こういうことになろうかと思います。
○多賀谷委員 そうすると、従来の操短勧告は独禁法外の問題であるというのは、それは各社別に通産大臣の方から指示をしておるから、その各社間には共同行為は認められない、こういうところにあったわけですか。
○坂根政府委員 一応そういう工合にわれわれは取り扱っておるわけであります。
○多賀谷委員 どうもその点は、実質上は共同行為になり得るんですから、おかしいのですが、それではもう一つお尋ねいたします。政府がそういうことを勧告する、たとえば通産大臣がやる、そういう点で政府の施策だ、こういう点が独禁法の外に置く要素にはなっていないのですか。
○坂根政府委員 政府がそういうことをやるということは、今の独占禁止法では、対象が事業者でございますから、一応除かれるわけであります。しかし、通産大臣がそういう操短を勧告される場合には、今までは一応われわれと十分お打ち合せ願っておりますが、これはやはり対象の繊維業界の状況が実質的にかなりよくなっておるというときに、なおかつそういうことをやられるということにつきまして、法律形式自体ではとらえがたいかもしれませんが、独禁法の精神からいってかなり問題が出てくるのでありまして、先ほど繊維局長がはっきり、操短勧告を七月から撤廃するということを言われたのは、私どもは最も時宜に適した措置である、こう考えております。
○多賀谷委員 、どうもはっきりしないんですがね。政府が甲の会社に直接指示をしたから、これは各社間に共同行為が認められないから独禁法外であると言われるのか——それはどうもそうだという話ですけれども、もう一つは、政府が、要するに通産大臣が指示をした、だから政府の指示は、いかなる指示といえども、独禁法の外に置かれるのか、この点を聞いておるわけなんです。それが最初は、政府が各社ごとに指示をしたから、各社間の共同行為は認められないから外だ、こういうようにお話しになり、後には、政府の施策だからいいようなお話になっておるので、どうもはっきりしませんから、その点はっきりしていただきたい。
○坂根政府委員 法律形式的には、政府は各社別に、百三十社におのおの操短の指示をするということになりますれば、これは独禁法上の対象外になるのではないか、こう考えております。
○多賀谷委員 そうすると、政府が共同行為を指示した場合にはどうなるのか。
○坂根政府委員 共同行為を指示するということは、これは一応今の形式面ではあるいは除かれ得る余地が出てくるかもしれませんが、しかしこれはあくまで共同行為ということ自体は、客観的に、客体的に見ますと、業界の共同行為を政府が初めから指示するわけでありますから、これは一応私どもの方の何かスクリーンと言いますか、実体的にこれを一応協議をしていただいて、その結果出てくる反響なりをよく検討していただいて政府機関がおやりになる、こういうことになるのではないかと考えております。
○多賀谷委員 そういうことならばこの法律は要らぬですね。何も法律に書いて独禁法の外に置くといわなくても、通産大臣が共同行為を指示すればこの法律は私は要らないと思うのです、あなたの言うような論法ならばですよ。
○坂根政府委員 私が申し上げましたのは、一応この法律の中に盛ってあるような書き方において共同行為を指示する場合は除いてもらいたい、こういう意味でありまして、現在今まで行われておりました操短勧告というように各社別にやるということになれば、これは明らかに一応対象外、こういうような工合にお考え願いたい。
○多賀谷委員 従来の操短の指示、すなわち各社別の指示は法律外だ、こういう解釈ですからそれならそれでけっこうですが、今通産大臣が共同行為を勧告し指示した、これは独禁法違反ですか、それとも独禁法の外に置かれることになりますかと、こう聞いておる。
○坂根政府委員 一応政府の指示があっても、客体的に見てもしほんとうに共同行為がありますれば、一応私は問題になり得るのではないか、こう考えております。
○多賀谷委員 政府が共同行為を指示するという場合は、政府は法律違反の指示をした、こういうことになりますか。
○坂根政府委員 先ほど申し上げましたことが少し不明確でございましたが、政府が共同行為を指示するというのは、やはり単独の法規でもって除いてもらわないと私どもは困る、こういう建前でございます。
○多賀谷委員 政策的に聞いて、おるのではないので、私は解釈論として今まで聞いておったのですが、そういたしますと、結局この二十四条のような指示の仕方は、現行の独禁法では違反ではあるが、ここに法律を作って独禁法の外に置く、いわゆる独禁法を排除する、こういうことならばいい、こういうように理解してよろしいですか。
○坂根政府委員 そのように御理解していただいてけっこうだと思います。
○多賀谷委員 そういたしますと繊維局長にお尋ねをするのですが、それは先ほど繊維局長は、設備の制限の共同行為はこの法律に規定した。しかしそれによってもうまくいかない場合は、生産数量をあなたは制限をするように勧告したい、こういうお話をなさっておるのです。私はそのことについていささかびっくりした。この法律で設備の制限をすることを規定しなければ、通産大臣といえども独禁法違反の行政行為をすることになるのに、さらにそれよりも強い生産数量をあなたの方では制限するように、法律がなくして指示をする、こう言われるのはどうもおかしいではないですか、こういう気持を持ったのですかどうですか。
○小室政府委員 法律的にはただいま答弁のありました通り、百三十社に個々に指示すれば差しつかえないということでありますし、それから現実的には前後二回、いろいろ御批判はあるでしょうけれども、勧告操短を現実にやっておりまして、実績を上げておるわけであります。従って私どもはその方式を将来必要があれば、なるべく発動したくないが、発動を考えたい、こういうことであります。
○多賀谷委員 今までの操短は設備の休止とかあるいは休日あるいは労働時間、こういうものでやられた、こういうように先ほど聞いたわけですが、私は個々に勧告するといいましてもこれはかなりに大きな問題だろうと思うのです。この法律がすでにあって、さらに実質上はその法律よりもきつい制限をする場合に、政府の行政措置でできる、こういうことがどうも法律常識から言って考えられない。それをやられるならば、またそれをやるような状態ができると予想されるならば、なぜ生産数量の制限も一緒にお入れになっておらないのか、これをお聞かせ願いたい。
○小室政府委員 繊維産業総合対策審議会の中間答申には、操短勧告をこの法律の中に盛り込んだらどうかという趣旨が入っておりました。実は独禁法の改正という問題も、直ちにではありませんが将来の問題としていろいろ討議されておりますし、われわれこれは審議会にも参画しておりましたが、全繊同盟あたりからもそういう法制化はやめてほしい、こまかい理由は申しませんが、そういうようなお話もありました。公正取引委員会ともよく相談しまして、今回はこれは法律化しないことにいたしたわけであります。
○多賀谷委員 どうも操短を指示されても生産量はあまり減らない、なかなか効果が上らない場合もある。あるいは操短を指示しても必ずしもそれが適切でなくて、需要関係があったというような場合には、むしろ必ずしも操短通りにはいかないと思うのです。しかしこういう法律を作られる以上は、法律で規定するのですから、初めから脱法の余地のあるような法律を、あるいは実際うまくいかないかもしれぬ、いかない場合には最後に生産数量をやるんだ、こういうようなすでに予想されるような状態において法律を作られるというのは、どうも親切心といいますか、行政の徹底々を欠いておるという気持がするわけでおります。なぜ最終的な製品である生産数量をおやりにならないのか。生産数量が実際技術上不可能であるのか、あるいはなぜ設備だけ制限されて数量には及ばれないのか、この点を私しろうとですからもう少しお聞かせ願いたい。
○小室政府委員 ただいま申しましたように、私どもも設備の規制と相待って生産数量の調節のための操短勧告の法制的裏づけをいたそうかと考え、当初の原案には実は入っておったのであります。ただいま申しましたように独禁法の関係とか、あるいは労務者の関係とか、いろいろな点にも問題もありましたし、まあ今まで現実にやっておりますことをしいてこの際法律に書いて波乱を起すこともない、そういうようなことで公正取引委員会ともよく相談した上でこういうふうな法律の体裁にいたしたわけであります。これは議論の余地が十分あると思いますが、現実にはこれで十分運用して参っておりますので……。
○多賀谷委員 現実にこうして出てきたのでこれを審議するわけですが、その点はどうも納得いかないのです。独禁法の関係があると言われましても、私が公正取引委員からお聞きしましたところによると、法律によってそういうことを書かれれば独禁法の適用除外になる、こういう話ですから、私は独禁法には関係ないと思う。どこに一体原因があったのか私は理解に苦しむのですか、率直にどういう点がなかなか困難であってこういうことになったかお聞かせ願いたいと思う。
○小室政府委員 ただいま申し上げましたように、現実に操短勧告を実施中でもありましたし、それからまたそれが別段法律に抵触するというわけでもございませんでしたし、なるべく法律で規制する範囲はしぼった方がいい面もあるというふうに考えまして、繊維設備の規制だけにこの法律はとどめたわけでございます。
○多賀谷委員 いろいろな点を勘案してということだけはわかるのですが、そのいろいろな要素が一つも御説明にならないのでさっぱり理解ができないのです。これは私は何も意図があって言っておるんじゃないのです。なぜそういうようにおやりにならないのか、技術上困難であるのか、一体どういうところに難点があるのか、隘路があるのか、それを聞いているわけです。ですから、もう少し詳しくお聞かせ願いたいと思うのです。一体どうして生産数量の制限ができないのか。ほかの製品ならば、ほとんどそうでしょう、生産数量を押えていく。設備を押えるというのは、どちらかといえば珍しい方なんです。ですから、どうしてそういうことをなさっておられるのか、私はそれをお聞かせ願わなければ困るわけです。
○小室政府委員 今申し上げたように、現実の行政運用としては、設備の規制と、必要があれば操短勧告と併用していこう。ただ、これをなぜ法律に載せなかったのかというお話でしたが、これは当初の原案では、法律に載ようかと考えておったのですが、独禁法改正の将来の問題にも関係がありますし、各方面にいろいろ意見もありましたから、とりあえず最少限度に、この際法律化を必要とする、どうしても法律化しなければならぬ部分だけにしぼって提案した、こういうわけでございます。
○多賀谷委員 いやしくもこういう法律を出す場合に、設備の制限はこの法律でやる、しかし操短は併用していくのだというような法律の作り方は私はないと思うのです。今まで全然法律がないという場合ならばともかく、いやしくも法律を出して、これによってあなたのいわゆる輸出の正常なる発展をはかろうというときに、実際抜け穴のあるような設備の制限だけやって——設備の制限だけやって、これで事足れりとお考えになっておるならばまた別です、しかしながら操短も併用していこう、足りないところは行政処置でいこう、こういう補完的な意味でなくて、むしろ高度さから言うならば、実際は操短の方が設備制限よりも高度な制限になる、それを今度行政処置でやろう、こう言われるのですから、私はどうもこの点は納得いかないわけです。せっかく法律をお作りになるならば、なぜすっきりした法律を出さないのですか。
○小室政府委員 繊維の輸出貿易の正常な発展をはかるためには、むろん輸出取引の部面では輸出入取引法を運用いたすとか、その他いろいろな面で行政上の措置を講じていかなければならぬものがございまして、一つ法律ができれば、それに関連したことをみな盛り込めばいいじゃないかとおっしゃるのも、一つのお説でございますが、私どもも実はちょっとそういうことを考えかけたのであります。しかし、どうしてもそういうことをしなければならないということはない、やはり問題を設備の規制だけにしぼって法律は提案いたしますけれども、ほかの方面のいろいろな行政措置とあわせて現実の運用が万全が期せられればよいのではなかろうか、こういうふうに考えております。
○多賀谷委員 私はたとえば過当競争全般についていろいろな要素をここに入れなさい、こういうことを言っておるのではないのです。しかしながら、設備の制限というのは終局的には生産数量の制限である、こういうことははっきりわかっておる。これは関連のある問題で、直結している問題でしょう。ところが、設備を制限しても最終的な目的が達せられない場合が非常に考えられ得る。設備の制限をやったからといって、必ずしも正比例的に生産数量が減る、こういうことにはならないのが現実であり、これはあなた方もよく御存じである。それならば、なぜ生産数量の方をお押えにならないのか。ただ設備制限だけを法律に盛って——全然違うことならば私は盛れとは言いませんけれども、同じ直結することで、最終的には生産数量を制限するというのが目的なんですから、なぜ目的通り直截簡明な立法にされないのか、これをお聞かせ願いたいと言っておるのです。
○小室政府委員 現に繊維製品の需給状況から見まして明らかに過剰である設備が、さらに過剰になるということを防止する、あるいは新増設をいたす場合には、需給の計算にマッチしたような秩序のある新増設をはかっていきたい、こういうことがこの法律のねらいでございまして、むろん需給が非常な不均衡に陥った場合に、この法律の運用だけで足りない部分ができれば、生産数量の調節も例外的に考えなければならぬということでありますから、なるほど関連はありますけれども、この法律だけで運用する分も相当あるわけでございますから、どうぞ御了承を願いたいと思います。
○田中(武)委員 関連して……。今生産数量の制限の問題で多賀谷委員から質問があったわけであります。多賀谷委員が先ほどから言われておったように設備だけを制限しても、生産制限をやらなければ、結局は労働過重と労働強化というようなことも考えられるわけです。聞くところによると、この法案の最初の考え方は、設備と生産と価格、この三本立で、三方面からきめていかなければほんとうの合理化にならぬ、そういうことも考えられておられたかに聞いておるのですが、某方面からの横やり等もあって、設備制限だけになった、こういうようなことも聞いておるのですが、この間のいきさつを聞かせていただきたい。
○小室政府委員 別に横やりが入ってどうこうということはございませんが、直截にお答えいたしますれば、この勧告操短のことはしいて法律に盛り込む必要のない事項である、しいて盛り込む必要のないものを、何もいろいろ各方面に意見があるものを、それを押して入れる必要はない。たとえば全繊同盟からもこれを法制化していただきたくないという御注文がある、そのほかいろいろなところからいろいろな御注文があって、しいて要らないものを入れようとして波乱を起すということもつまらないのでありまして、別に横やりはどこからも入ったことはありません。
○田中(武)委員 ほんとうを考えれば三本立でなければほんとうの効果は上らないと思う。局長もそう考えられておると思う。横やりが入ったか入らないか知りませんが、全繊同盟等からもそういうことを入れてもらいたくない——これは全繊同盟か十大紡か知りませんが、あったと思う。そういうことについて局長はほんとうに合理化ということを考えられるなら、そういう三つの柱があって家は建つものだと思うのですが、その中の二本だけはずして、一本だけ残っておるわけであります。だから結果は関連産業であるところの紡機メーカー、機械メーカーに弾圧というか、犠牲を押しつけるという結果になるのじゃないか、こういうように考えておるわけであります。
○小室政府委員 生産数量の点は法律に盛り込まなくても、今申したように、行政上、実際上の運用によってやっていくわけでありますから、別に柱がはずれたというわけではありません。それからもう一つ、価格引き下げ勧告のことをおっしゃっておるのかもしれませんが、確かに原案には操短勧告と見合って入っておった時期もありますが、これも行政権の当然の発動としてやれるということで落したのであって、どうしても法律に入れなければならぬというものではないから落した、実際には通産省は必要があれば価格引き下げの勧告は今後とも出すつもりであります。
○加藤(清)委員 関連して……。私はこのことを繊維局長さんでなくて、大臣に聞こうと思っておりましたけれども、時間を節約してこの法案を早く通すためにここでついでに聞きます。繊維局長に承わりますが、本法案の目的は、繊維の価格が不安定である、生産が不安定である、それは設備が多いからだ、従ってこの設備を制限しよう、こういう趣旨のもとに行われているようでございますが、本法案がかりに通過いたしたといたしましても、当初の目的であるところの生産数量を少くするという目的は達成できないとかように考えるのですが、繊維局長としてはどうお考えでございましょうか。
○小室政府委員 私どもは現に過剰である設備がますます過剰になるような新増設は好ましくないと考えております。また需給計算に合った秩序のある新増設は認めていきたい、こういうことでありまして、今の生産数量云々というお話はちょっと私はっきり意味がとれなかったのですが、この法律を施行すると生産数量が少くならなければならぬようなお話でもあったようですが、そういうことは私ども考えておりませんが……。
○加藤(清)委員 過剰設備ということが生まれてきたのは、生産数量が多いからだというところから出てきておるのです。生産数量が多いから値段が浮動するんだ、生産数量が多いから海外にダンピングするんだということなんでしょう。そこで、生産数量が多いということがすべての悪材料になっている。その原因は設備が多いかちだ、だから設備を少くしましょう、こういうことじゃないのですか。そうでなければ、設備制限の必要がなくなってくる。
○小室政府委員 これは長期的な観点と短期的な観点とあると思いますが、ただいまのところは綿糸布も値段が少し上っておりますし、私どもは生産をできるだけふやしていったらいいという感じを持っております。しかしながら、むろん綿紡で申し上げれば、現状においてすでに設備は過剰であります。これは、昨年の百二十万錘過剰という計算がそのまま正しいかどうか、それから新増設された数字も加え、また新しい需給の計算もしてみたいと思いますけれども、いずれにしても現在ある八百二十五万錘、あるいはそれにプラス幾らかの紡錘では、フル稼働になるような状態は、私は需給上は一時的にはあるかもしれぬが、長期的にはないと思っております。そういう長期的な観点を主として設備の新増設を規制して参りたい、またはっきりと長期的に考えて過剰であるものは処理して参りたい、しかしその処理の結果、需給を短期的にも逼迫させるような処理の仕方はいたしたくない、こういうことを考えておるわけです。
○加藤(清)委員 私のピントに合せて下さいよ。私の聞いておるのとあなたの答弁は、少しずれております。この設備の制限法を出す理由は、設備が多いからだ、その設備が多いという原因は、生産過剰というところからきているのと違うのですか。だからこそ、輸出量だとか内需の量だとかいうものをいろいろ審議なさったはずです。あの審議会の答申を見てもそうでしょう。生産が多過ぎるのだ、その原因は何かといったら設備が多いからだ、だから設備を制限しましょう、こりいうことと違うのですか。違うなら違うでいいし、そうならそうでいい、ほかのことを聞いているのじゃないのです。
○小室政府委員 まあ一部分ほんとうで、一部分は必ずしもそうとは言い切れません。
○加藤(清)委員 それなら聞きますが、私はこの設備の制限をやられても、生産の数量は減らないと思うのです。そこを先ほど多賀谷さんは盛んに言っておられるのですが、生産が多いからついでのことに設備を制限しましょうというならば、それなら操短をやったって十分できるじゃないか、むしろ操短の方が高度じゃないかということなんです。それで私はそれに関連してお尋ねしているわけですが、設備が過剰だということは、生産が多いという理由でないとするなら、一体何があるのです。何のために、そんな設備過剰だということが言えるのですか。ふわふわとそういう声が聞えてきたから、それでそうだとお思いなさったのか、どういう意味で設備が過剰だと断定なさったのですか、その断定の基礎は一体何ですか。一つピントを合せて御答弁を願いたい。
○小室政府委員 需給計算をいたしますと、需給計算に見合う紡績設備の錘数というものはおのずから出て参ります。現に稼働しているかいないかは別といたしまして、はっきりと著しい過剰設備があると認められる部門もあるわけでありまして、その過剰設備の処理の仕方はいろいろありましょうけれども、何らか適切な処理を施した方がいいという考え方でございます。
○加藤(清)委員 そこのところをはっきりしておいてもらわぬと困るのですが、先ほど来多賀谷先生が盛んに言われますように、どんなに設備を制限しても稼働しておる時間をふやすことができる、それから同じ単位時間の能率を上げ下げすることができる、そうでしょう。そうなると、設備の制限をするという意義、そこから生ずる効果というものは非常に薄らいでくるということになるでしょう。生産が多い、だから設備の制限をするんだということであるならば、設備の制限と同時に、稼働の時間とかあるいは単位時間に上げる能率とか、これが大きなウエートになってくるわけなんです。またそれが休んでいるときに、他のものに転換していいか悪いかということが問題になってくる。他のものに転換をしていいということになれば、転換した先のものがふえてくるという勘定が出てくる。さてそれでせっかく設備の制限をしても、その効果が非常に心配だと私は思うのです。あなたは設備の制限さえしておけば効果は十二分に出てくる、ほかのことは何もやらぬと、これだけやれば出てくる、こう簡単にお思いでございましょうか。私はそこから生ずる効果というものは、生産数量の効果でなくて、機械屋が泣くという効果と、それからその機械屋が機械が売れなくなって倒産するという効果、あるいは紡績それ自体からいけば、単位時間によけい能率を上げさせる、あるいは八時間制をもっと余分に働かさせられるという、そういう効果だけが出てきて、所期の目的であるところの生産制限という効果はねらうことができない、過去の実績から見てさように考えますが、私の考え方は間違いですか。
○小室政府委員 この法律は、長期的に見て繊維産業の合理的な規模、適切な規模を確立するということを一つのねらいとしておるわけでありまして、その長期的な安定が確保されますれば、おそらく更新需要その他も活発になって参りまして、繊維機械工業の方も、繊維産業と並んで繁栄することに相なると私は思っております。 それから設備の規制をやれば十二分に何もかも目的が果せるかということでございますが、これはそうではございません。ほかの措置と相待って、ようやく過当競争が幾らかでも規制できるだろう、こういう考えでございます。
○多賀谷委員 どうも先ほどから関連質問をされておりますが、それを聞きましても、理解ができない。機械を売るわけではないのです。機械が多過ぎて、その機械がアメリカに入るから困るという話じゃないのです。これは繊維製品そのものが多い、こういうことを言っているのですが、どうも話がはっきりしないのです。と申しますのは、この法案で設備だけを制限して、最終製品を押えないという、法案としての技術から言いましても、これはきわめておかしなものである、かように考えるのです。それが設備だけぱっと押えておけば、絶対生産数量がふえていかない、正比例するんだ、それ以外は方法がないんだ、こういうことなら私は意味がわかるのですが、今話がされたように、労働時間を延ばしたり、あるいはスピンドルの回転数を増したり、こういうことが十分考えられる、それによって三分の一あるいは半分くらい数量が増し得るのですから設備だけをやって、少くとも法案としては事足れりという考え方がどうもおかしい。もしそれがうまくいかない場合には、操短の勧告も各社別にするんだということになれば、この設備の制限も各社別にされたらどうですか。そういうことを指示されたらいいんじゃないですか、何も法律を作らなくても……。
○小室政府委員 一応理屈はごもっともでありますけれども、紡績設備と申しましても、相互に転換可能でありますし、代替も可能でありまして、綿紡績だけでも百三十社に個々に指示するということも大へんでありますが、今の紡績設備全体ということになりますと、これはまた大へんな数になりますから、そういう技術的な見地から、そういうことも問題だと思いますけれども、特にこの際五カ年計画に照応して繊維の需給を長期的に見て、それに応じた合理的な規模の繊維工業を確立することによって、輸出の正常化をはかるというはっきりした線を打ち出すということの方が、やはり正しい行き方じゃなかろうというふうに考えて、この法律を出した次第でございます。
○多賀谷委員 設備については非常に技術上とらえにくい点があると言われるならば、法律によってこれを行なってもやはりとらえにくい点はとらえにくい。ですから法律によって、生産数量の方がとらえやすいのですから、当然生産数量を指示されるという方向が技術的にいってもあるいは監督行政の立場からいっても至当である、かように考えるわけです。それをなぜ設備にこだわっておられるのか、どうも解し得られないのですが、本日は委員長からも時間が来たというお話ですから、明日さらに質問をしてみたい、かように考えます。
○小平(久)委員長代理 本日はこの程度にとどめます。次回は明十五日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。 午後四時五十二分散会