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24回国会衆議院1956/11/10

社会労働委員会 第55号

発言数
57
登壇者
7
会派数
2
開催日
1956/11/10

会議録

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 これより会議を開きます。  まず社会保障制度、医療及び公衆衛生に関する件について発言を求められておりますので、順次これを許可いたします。滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 二十四国会が終了いたしましてから、社会労働委員会の開催を、日本社会党といたしましては再三にわたって要求をいたして参りましたが、本日まで開催することができなかったことを非常に遺憾に思うわけです。御存じのように、二十四国会の末期に、国会の非常な混乱が起りまして、鳩山内閣が重要政策として掲げておりました健康保険法の一部を改正する法律案は、ついに流産のうき目を見たわけであります。その後健康保険に対する政府の態度が、あれだけかねや大鼓で騒いでおった政府がその後鳴りを静めておる。非常にこれは奇異に感ずるんです。一体二十四国会までの健康保険の情勢と流産後における健康保険の情勢とはどういう工合に変ってきたのか。いわばその後の健康保険の運営の状況とでも申しますか、約六十七億の赤字が出るといって非常に騒いでおったのですが、その後それがどういう状態になっておるのか、まず総括的に要約して大臣から御説明を願いたいと思います。

小林英三自由民主党厚生大臣

○小林国務大臣 ただいま滝井さんから御意見のありましたように、われわれといたしましては、三十一年度におきまする保険料収入の見通し、あるいは過去におきまするいろいろな実績から考えまして、健康保険財政を軌道に乗せるべきであるといたしまして、御承知のように当時健康保険の改正案を提案したのでありますが、残念ながら審議未了になりまして、御承知のようにただいままでの状況におきましては、八月の現在におきまして、大体われわれが予期しておりましたよりも、保険料収入がやや増加して参っておるようであります。この問題は、最近非常に経済界が活発でありまするために、今まで休業しておりましたような工場が復活して参り、あるいは今まで振わなかった工場も、従業員をどんどん増員して参るというような、いわゆる被保険者が相当数ふえておりまするために、こういうような結果になっていると思っております。まぜ年度末までの見通しということにつきましては今後も検討を要すると思いますが、ただいままでの状況におきましては大体十二、三億くらいな赤字が、——われわれが予想しておりました赤字よりも今日の状況におきましては、そういう程度になっておるのであります。しかし健康保険財政の健全なる対策を講じ、これを軌道に乗せますためには、今年度におきまするただいままでの状況だけを判断してやるということはどうかと思いますので、十分この点につきましては慎重に検討をいたしておるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 六十七億程度の赤字が出るという予想のもとに健康保険法の相当大幅な修正を企図いたしたのでございますが、その後の経済界の情勢あるいは保険料収入の増加等のために、十二億ないし十三億の赤字しか出ないという、健康保険にとってはきわめて慶賀すべき状態になってきたということでございます。そうしますと、少しさかのぼって聞きたいのですが、二十九年度の決算は大体明白になっておるはずだと思いますが、二十九年度の決算では大体どれくらいのはっきりとした赤字が出たか。それから三十年度の決算は、もう三十一年度も十一月になっておりますので、三十一年度の決算もおよその見通しがつくだろうと思うのです。従って二十九年度の決算、三十年度の決算見込みを同時に御説明願いたい。これは事務当局でかまいません。

小林英三自由民主党厚生大臣

○小林国務大臣 ただいま私が御答弁申し上げましたことにつきまして、滝井さんはちょっとお聞き違いになったと思いますから訂正申し上げたいと思います。  私が申し上げました十二、三億円違うということは、赤字が十二、三億円に減ったということを申し上げたのではないのでありまして、つまりそれだけの増収が見込まれておるから、三十一年度全体におきます赤字がそれだけ減る傾向にあるということを申し上げたのであります。  なお後段の決算その他につきましては、保険局長から答弁さした方が適当と思いますからさようにいたしたいと思います。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田説明員 二十九年度の決算じりは、三千四百万円ばかりの黒という決算をいたしておりますが、しかしこれは決算上の問題でありまして、当該年度といたしましては、未払いが三十九億円翌年度に送っておりまするし、それから別に十八億円の積立金をくずしております。従いまして決算上といたしましては三千四百万円の黒でございますが、今のような事情から、実際の問題といたしましては、未払いあるいは積立金の受け入れというふうな問題を考慮して考えなければならぬということになるわけでございます。  それから三十年度の決算じりは、四億二千万円の黒という決算になっております。これも御承知のように、十億の国庫の一般会計の繰入金と別に、六十億の借金——これは返済をいたしません借金と、この七十億円の援助を得まして、収支がとんとんになるということで出発をいたしたわけでございます。それがとんとんにならないで、四億ほどの黒になった、言葉をかえて申しますれば、七十億円程度の赤を見込んでおりましたものが、六十六億円程度に減った。実際上の問題としては、さように御理解をいただけばよろしいかと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 二十九年、三十年度の情勢から見まして、健康保険会計は私たちは非常に心配をしておったところが、全貌としては、好転をしておるという傾向が出てきておるようでございます。そうしますと、二十九年、三十年はわかりましたので、現実の三十一年度をもう少し聞いてみたいんですが、それは今大臣の御答弁によりますると、十二、三億というのは、赤字見込みが、十二、三億減少することになるという、こういう解釈だということでございます。そうしますと、当初約六十七億の赤字が出るというととは、二十四国会で、健康保険法の一部を改正する法律案の全審議の過程を通じて宣伝された数字なんです。ところが、それが十二ないし十三億現実に減るということは、この数字は二十九年あるいは三十年の実績から考えて、幾分過小評価ではないかという感じがするのですが、もし現実までに一これはいつか知りませんが、十月末までに十二ないし十三億だとしても、二月とすれば、なお余すところ五カ月ぐらいあるわけですが、その全過程、いわゆる三十一年度末までを見通したとするならば、六十七億といわれておったその赤字はどの程度まで切り詰められると厚生省は現段階では推定ずるか。これはもうすでに過去の実績で療養給費の伸びというものは大体わかってきておる。病気の一番多いのは梅雨季から初夏の候にかけて、八月から九月にかけてなんです。今からずっと減っていくんです。それで来年の一月、二月になると、肺炎や百日せきが出て少しふえるかと思いますが、大体十月末になれば年間の傾向というものはわかってくるはずなんです。従って本年度における厚生省としての六十七億の当初見ておった赤字がどの程度に圧縮できるかという点を一つここで明白にしていただきと思います。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田説明員 年度の途中でございまするので、本年度の正確な見通しをつげますることは非常に困難でございます。今先生仰せのように、大体医療費というものは、夏場をピークとしまして冬場になりますと下って参るのでございますが、それは毎年そういう傾向を大体たどっておりまするので——それであるからといって夏場が過ぎたからもう大体確実な見通しがつくであろうというわけには参らないかと存じます。それで先ほど大臣が十二、三億程度とおっしゃいましたのは、これもこういう状況で推移するならば、年度末にいってその程度ぐらいが圧縮できるのではないかというふうなおつもりで申されたわけでございまして、今日までのところでそれだけの好転があったというふうな御説明ではなかったのでございます。しかしその大臣のお言葉も全く見通しによるものでございまして、年度末に果してそういうことに相なりまするかどうか、これはなかなか医療保険というふうなものの特殊性から申しまして、正確には今日推定をいたしかねるものであります。まあ大体の見当で年度末においてその程度ではあるまいか、こういうふうなお気持の御説明であるわけでございます。さようなわけ合いでございまするので、今直ちに年度末、年間の、大体私どもが当初予想をいたしました六十六億数千万円というものが一体どの程度になるかという数字をただいまの段階で確信を持ってお答えを申し上げることは非常に至難な問題であろうかと存じます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 大体六十七億程度の赤字というものが、厚生省の見通しとしては大ざっぱに見て一応十二、三億くらいの赤字の減少になるだろう、こういうことになりますと、今度は詳細に予備費その他を聞いてみなければならないことになりますが、そういうこまかいことはやめにしまして、三十一年度末になお五十五億の赤字が出る、こういう常識論になるわけですね。五十五億程度のものが赤字になるとすれば——健康保険法では、当月治療の分は翌々月末までに支払わなければならぬという建前に一応なっておるわけですね。そうしますと現在の支払い状況は遅延をしておるのか、あるいは正常な状態で支払われておるのか。遅延をしておるならば、一体どの程度の支払い遅延が行われておるのか。これを一つ御説明願いたい。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田説明員 いろいろ努力をいたしておりますけれども、先ほど来申しましたけれども、事態は年度当初予想したものより若干の好転の徴はございますが、やはり赤字ということになりますので、支払い遅延をいたしつつございます。七月分までの診療報酬を今日払っておるわけでございますが、大まかに申し上げますと、全国の府県の中で三十七府県ばかりが翌々月末までに支払いを完了しておりませんで、その次の月の七日ごろから二十日ごろまでくらいに完了をいたしておる、多くの部分の府県が一週間ないし三週間程度の支払い遅延の状況を示しておる、こういうことが現在の状況でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 この秋の臨時国会になりますと、年末手当の問題が非常に重大な政治問題になるし、年末手当は同時に補正予算要求の問題ともなって、政治的に現われてくるわけなのですが、一般の病院、診療所においても、年度末になれば当然医療従業員に対してボーナスやその他を支払わなければならぬことになるわけです。少くとも一週間から三週間遅れておるということになりますと、十月分の支払いが十二月末までには終らない情勢が出てくるのです。これでは医療の運営の上に非常に大きな支障を来たすと思う。これに対して、十月までの支払いが少くとも十二月末までに完了するような、健康保険の会計として特別な手をお打ちになる何か具体案をお持ちかどうか、全然ないのか、この点を一つ明白にしていただきたいと思います。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田説明員 私どもも実は当惑いたしておるわけでございます。従いまして、できるだけ早い機会に健康保険財政の再建をはかるような措置を講じてこの問題にも対処いたしたい、かように考えておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 健康保険財政の再建をはかる措置をとって支払い遅延を防ぐということでございますが、これは厚生大臣にお尋ねしなければならぬが、大臣は昭和三十一年度の年度末に見通される五十五億の赤字を解消する具体的な措置をどういうようにしておとりになる所存でありますか、これを一つ御説明願いたい。

小林英三自由民主党厚生大臣

○小林国務大臣 今滝井さんのお尋ねの点につきましては、われわれも非常に憂慮、心配をし、考慮をいたしておるところでございまして、できるだけ早く健康保険財政を軌道に乗せますために一部改正案を出したい、こういうふうに考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 一部改正案を提出いたしたいということでございますが、すでに国会は十二日から始まります。会期は三週間だということをすでに与党から強く申し出があっております。そうしますと、この国会は日ソ共同宣言等重要な批准を要する案件も出てくるし、あるいは財界等の強い要望のあるスト規制法というようなものも当社会労働委員会にかかってくるという情勢にあります。その中で、二十四国会であんなに大きくもんだ健康保険が、さらにスト規制法のかかるこの委員会に出てくるということを考えてみますと、これはなかなかスムーズに通るという情勢ではないと思います。(「社会党はおとなしくしろ」と呼ぶ者あり)そこで私はこの際大臣に所見をお伺いしたいのは、今社会党一つおとなしくしろということですが、おとなしくして、お互いにスト規制法なり共同宣言案をじっくり審議するためには、一つ厚生省が率先をして、予算としてはすでに三十億通っておるのですから、あの三十億を使う道をお考えになれば一番賢明なりです。あの三十億を使う道として、厚生保険特別会計あるいは健康保険法一部改正というものをきわめて簡単に一行か二行——あんな膨大な健康保険法の一部改正じゃなくて、厚生保険特別会計法の改正か健康保険法の附則かなんかにちょっと三十億だけをとる法案をお出しになれば、これは与党野党一致して衆議院が一日参議院が一日で二日、本会議を入れても四日あれば通ってしまう。これによって健康保険会計はお家安泰であり、大臣の名声は天下に晴々たるものがあることになるのです。何も無理をする必要はない。そうして、これはあとでお尋ねしますが、すでに社会保障制度審議会も勧告案を出しました。また大臣のところにできておる医療保障委員の座長談話というのが八月の二十五日にも出ました。あれらのものは、厚生省が二十四国会で出して今回また出そうとする案とは全く違った健康保険法の抜本塞源的な改正を要望しておる勧告案であり、座長談話なのです。そういう点から考えると、この際大臣は大乗的な見地に立って三十億だけをとるというお考えで一つ法案を出して、この国会をすらすらと通すお考えはございませんか。

小林英三自由民主党厚生大臣

○小林国務大臣 滝井さんのお説でございますが、私どもといたしましては当初健康保険法の改正案を提案いたしましたときにたびたび国会におきましても申し上げましたよう0に、国からも相当の補助虚を出し、また被保険者からも一部負担をしてもらって、そうして保険財政を健全なものに持っていきたいという所信は今日も変っていないのであります。従いまして、私が先ほど申し上げましたように、できるだけ早くこれらの健康保険法の改正案を国会に提案をいたしまして、今滝井さんのおっしゃるように、社会党の皆さんにも十分にこれを御審議願いまするならば、私は短期間の臨時国会といえどもこれは通らぬわけでもないだろうというふうに考えておるような次第であります。もちろんこの臨時国会は非常に短期間を予想されておりまするし、一方におきましてはいろいろな客観的の情勢もわれわれよく承知をいたしております。この問題につきましては、厚生省といたしましてはぜひこの臨時国会に提案をいたしたいという念願を持っておるのでありますが、いろいろ国会の見通しあるいはこれを出すといたしましてもどういう内容について出すかというような問題もありますので、これは与党とも十分に検討いたしまして、できるだけ近いうちに出したい、こういうふうに私は考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 一部改正の法律案をこの国会に出したい——これは出すとなっていないので、出したいという願望なのですが、その大臣が出したいと念願をしておる案を与党と相談をせられるそうでありますが、具体的にはしからばどういう案を大臣はお出しになる所存でございますか。五十五億と見込まれるこの赤字を解消するためには、具体的にはどういう案を厚生省としてこの国会にお出しになる所存なのか、それを一つ御説明願いたい。

小林英三自由民主党厚生大臣

○小林国務大臣 御承知のように健保の改正案は、前任者時代からいたしまして、すでに国会におきましては二回も流産をいたしておるわけであります。従いまして、できるだけ早い機会にこれを出したいということにつきましては、われわれ厚生省自体としても十分に検討いたし、また与党とも十分に検討いたしまして慎重にやって参りたい、ただいまのところはそう申し上げるよりほかはないと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、厚生省としては、この健康保険の財政再建のための健康保険法一部改正に関する具体案は、現在まだ暗中模索というところですか。

小林英三自由民主党厚生大臣

○小林国務大臣 暗中模索という言葉で申し上げることはどうかと思いますが、とにかく私どもといたしましても慎重を期してこの問題の検討をいたしておるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 まあ慎重を期して、腹の中には一応の案ができておるとこら推定をいたします。そうしますと、国会に法律案を出す前には、大臣なり内閣にそれらの法案を諮問する機関があります。社会保険審議会あるいは内閣にある社会保障制度審議会、これらに当然御諮問をなさらなければならぬと思うのです。諮問をすれば一日や二日では通らない。重要な健康保険の赤字再建の問題でありますから、利害相錯綜すると思うのです。へまをしておると、ことだけで臨時国会の三週間は終ってしまう。その点はどうですか。そういう社会保険審議会や社会保障制度審議会におかけにならないのですか。

小林英三自由民主党厚生大臣

○小林国務大臣 お尋ねの件につきましては、私どもが十分に検討いたしまして成案ができました際、その内容いかんによりまして考慮いたしたいと考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 内容いかんによって考慮せられるというととでございますが、諮問機関は、都合のいいときには都合よく使うし、都合の悪いときにはそっぽを向くということでは工合が悪いと思いますので、一つ慎重にこれらのものはお使いになるようにお願いいたします。  そうしますと、いよいよ健康保険の改正案をお出しになるということでございますが、先般、八日でございますか社会保障制度審議会から医療保障制度に関する勧告案が出ました。それから、大臣のところに医療保障委員という五人の委員をお作りになっております。私は、その勧告案やその他の内容は今日はお尋ねいたしません。問題は、健康保険の今度大臣がお出しになりたいと念願をいたしておりますその案と勧告案あるいは厚生省にお作りになっている医療保障委員の座長の談話、あるいはいろいろあそこから出ておりますが、ああいうものとの関係は一体どうなるのですか。

小林英三自由民主党厚生大臣

○小林国務大臣 社会保障制度審議会の勧告案は、昨日、総理大臣に正式に答申されますと同時に私の方にも正式に持っておいでになったわけであります。私はちょうど時間の行き違いでお目にかかれなかったわけでありますが、この社会保障制度審議会のそれらの問題につきましても、私といたしましては十分に検討いたしたいと思っておりますけれども、まだ内容は十分検討いたしておりません。これから十分に検討いたしたいと思っております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 まだ大臣検討されていないということでございますが、内容については私は御質問をする意思はございません。問題はその出てきた勧告案とあるいは、大臣の方でお作りになっている医療保障の五人の委員会と、今度大臣がこの国会へ提出せられようとしておる健康保険法の一部改正との関係はどうするのかということなんです。もう勧告なんというものは聞きっぱなしで、そういうものまたな上げしておいてよろしい、われはわが道を行くということで、健康保険法の改正をずんずんやられるのか、それともその勧告案まで十分考慮して今度の国会へ出す案をお作りになるのか、それを私はお尋ねしておるのです。

小林英三自由民主党厚生大臣

○小林国務大臣 私が先ほどお答え申し上げましたのは、それらの御意見につきまして私どもの提案しようとする今回の問題につきまして、取り上げるべきであるというようなことが出ました場合におきましては、十分に検討いたしまして、私どもの態度を決定いたしたいと思っておる次第であります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、医療保障比のための五人の委員会や、あるいは今回出ました社会保障制度審議会の勧告案というものは、今回の臨時国会に提出を念願しておる健康保険法の一部改正案の中には、当然検討して、いいものがあれば取り入れる、こう理解して差しつかえありませんね。

小林英三自由民主党厚生大臣

○小林国務大臣 これはやはりすべての問題につきまして——かりに社会保障審議会の答申案というものが、現在の国情に照らしまして直ちに取り上げるべきものであるかどうか、あるいは将来の問題に譲るべきであるかどうか、いろいろな問題があると思います。私が先ほどお答えいたしましたのは、そういうような意味も含めまして十分それらの意見も尊重して、検討して参りたい、こういうことをお答えした次第であります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 検討してやられるそうでございますからそれ以上追及いたしません。そうすると今度は少し問題の角度を変えまして、大臣も御存じのように現在臨時税制調査会というものができて、鳩山内閣の三大公約の一つである税制の根本的な改革ということにのっとって一千億減税を打ち出しております。その一千億の減税の中で、税の自無増収によって五百億、間接税によって二百五十億、租税特別措置によって二百五十億、こういう減税の方針を確認しておるようでございます。そうしますとこの租税特別措置の二百五十億の減税の財源として充てられた中に、二十九年の十二月に国会で認められた社会保険診療報酬に対する所得計算の特例という法律があるのです。この法律によれば、社会保険診療報酬の所得の計算というものは、経費を七二%に見まして、診療報酬の二割八分だけが課税の対象となっておるのです。これはおそらく大臣も御存じだと思いますが、昭和二十六年の十一円五十銭なり十二円五十銭という甲地区あるいは乙地区の単価というものが、これは暫定単価である。これは安い。従ってある程度税制の上で恩典的な特例を認める必要があるということで実はできたものなんです。ところがこれが臨時税制調査会でやり玉に上げたばかりでなくして、現実に租税特別措置法というのは大企業の恩典を削除するために初め租税特別措置法というものをやり玉に上げておったのですが、最近の大蔵省内部の動きあるいは臨時税制調査会の直接税部会等の動きの状態を見てみると、大会社等あるいは大企業等の抵抗が非常に強いために次第に内容がすり変えられてきておる、主として大衆に対して与えておった租税特別措置法上の恩典存置削減され削除されようとする傾向がある、大企業のものは残す、そうして大衆的なものはこれはやめていこら、こういう傾向がある、たとえば農林関係の米作所得の課税の特例というものは、もうやめてしまおう、あるいは社会保険の関係のこの診療報酬の所得計算の特例もやめる、あるいは中小企業育成のための概算所得控除もやめようというような、こういう傾向が出てきておる、この傾向の中で特に当委員会で問題にしなければならぬのは、社会保障制度拡充のために必要だとして作った社会保険診療報酬に対する所得計算の特例なんです。これに対して何かすでに大蔵省の主税局なりあるいは臨時税制調査会というものは広く宣伝をして非常に力強い動きを示しておる、社会保障の担当者厚生省というものは、一体これに対して具体的にどういう手を打っておるのか、また打とうとしておるのか、これを一つ御説明願いたいと思います。

小林英三自由民主党厚生大臣

○小林国務大臣 ただいま滝井さんからお話のありましたいわゆる所得税に対しまする二人%という問題につきましては、私も当時国会におきまして、医療担当者に対しましてああいうふうな措置をとったということの経過はよく存じ上げておるのでありまして、今日まで医療担当者の諸君も私どものところへ参りまして、あの問題は現状維持でやってもらいたいという御意見も相当聞いております。私の立場といたしましても、あの問題は現状維持でやって参りたい、またそういうふうな主張をあらゆる機会において申し述べたい、こういう考え方を持っております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そういう考え方を大臣、あらゆる機会に申し述べたいと言っても、すでに着々と作業は進んでしまっておるのです。これは、作業がどんどん進んでおって、二百五十億の減税の財源として租税特別措置法がきまってしまってはもはや手おくれなんです。すでに来年度予算の編成の具体的な作業段階というものは、大蔵省では着々進んでおる。おそらく十二月の初めごろには、税制調査会の最終結論も出てくるであろうし、大蔵省の主税局の腹も固まる、こういうときなんです。それをただ大臣が至るところでそう言うということではなくして、厚生省として一つどうですか、これは厚生大臣としては、もし社会保険に関する診療報酬の特例がはずされるということになるならば、厚生行政をやっていけないのだという勇気を持って天下に声明を発して日本の社会保険の混乱を防止する必要があると思う。健康保険の赤字の問題というものと、この租税特別措置の特例というものとは表裏一体の関係にあるのです。大臣が赤字の問題に忙殺をされておるときに、一方において二八%というものが削除されてしまうということになれば、これはもう赤字どころの騒ぎではなくなる。必然的にこれは一点単価の問題その他に及ぶことは、これは明らかです。私は実はこの問題は大蔵大臣も呼びまして当委員会で二度三度と取り上げておる。一向にその問題は進展しないままにきておって、ついにまた租税特別措置が問題になるという事態になっておるのですが、それは向井大蔵大臣当時からすみやかに課税と並行して一点単価の問題を決定するのだといっておる。一点単価の問題を決定するまでは暫定的にやるということを決定しておる。ところがそういう関係当局の話し合いがあったにもかかわらず、大蔵省なり臨時税制調査会ではどんどん進んでいっておるということは、全く厚生省が無視されておるということなのです。従って大臣はこの際思い切って、天下に租税特別措置というものは、社会保険診療報酬に関する限りは存続するのだということを、あなたの信念として、厚生省の省議として、一つここで御言明になる御意思があるかどうか、これを一つ私はお聞きしておきたいのです。

小林英三自由民主党厚生大臣

○小林国務大臣 租税措置法の問題につきまして、先ほど滝井さんの御質問に対して申し上げましたが、あらゆる機会においてこれを推進しているというととは、滝井さんが先ほどからるる私どもに御質問願いましたような意味をも含めておることを御了承願いたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員大臣 腹の中で思っておったり、何人かの人に大臣がお話になっておるということでは、もはや事態は解決できないととろにまで進んできつつあるのです。これは相手がどんどんもう発表しておる。昨日私たちは実は日本社会党として、大蔵省に申し入れをいたしました。その申入書を今ここに持っております。米作の所得に関する特例、それから社会保険診療報酬に関する特例、それから概算控除、これらの三つのものは絶対に廃止してはならぬ、存続しなければならぬという申し入れを大蔵大臣に対してやった。私はまだ寡聞にして、厚生省が省議できめて、天下に公表したということを聞かない。この際これはやはり重要なことでございますので、これをまだやっていなければ、省議ででも決定してやる御意思があるかどうか。それを一つこの際明白にしてもらわなければならない。

小林英三自由民主党厚生大臣

○小林国務大臣 今滝井さんから、社会党におきましても党議できめられて云々というお話もありましたが、この問題は実は与党の中におきましても、相当強くそういうことを主張しております。また厚生省といたしましても、すでに大蔵省に今お聞きのような問題ももう申し込んでおります。私は先ほどからあらゆる機会においてということを申し上げましたが、そういう点も十分含んでおるということを御了承願いたいと思います。

山下春江自由民主党厚生政務次官

○山下説明員 大臣から仰せの通りでありますが、補足させていただきます。この問題はとっくに取り上げまして、省議を決定いたし、省議の結論を正式に大蔵省、税制調査会に申し出てございますし、与党の減税措置に対する租税特別委員会にも、厚生省のまとまった意見を申し入れてありまして、その特別委員会におきましても、その問題は取り上げないということの——これは最終的結論ではございませんでした。まだ非常に早い期間でございましたので、最終的ではございませんが、社会保障に対する感覚から取り上げないということの御回答をいただいておりますので、与党といたしましても、この問題は取り上げる意思はないものと確信をいたしております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 臨時税制調査会にもそういう申し入れをしたり、また与党としても取り上げる御意思がないということでございます。当然厚生省としてはもちろん、与党にもそういう御意思の決定をしてもらうことが必要だと思いますが、何よりもやはり一萬田大蔵大臣にその御意思がないということを明白にしてもらわなければ困る。と申しますのは、すでに昭和二十六年十二月七日の閣議了解事項として、社会保険診療報酬の単価に関する件、単価及び点数については、根本的にこれを検討し、これが適正をはかるということを閣議了解事項できめて、さらにそれを受けまして、二十八年の二月十三日には、向井大蔵大臣から、当時の内閣総理大臣は吉田茂さんでありますが、社会保険診療報酬に対する課税取扱いに関する件として、社会保険診療報酬については関係各省においてすみやかに根本的な検討を加えるものとする。なおこの場合、要すれば臨時医療保険審議会その他の民間の公正な意見を徴するものとするということで、大蔵大臣がみずから内閣総理大臣の吉田茂さんにこういうことを文書にして差し出しているわけです。当然これは社会保険診療報酬に関連をして税の特別措置を受けてきているわけです。それを大蔵省が今になって、この社会保険診療報酬だけを一番先にやり玉にあげるということは、大蔵省自身が厚生省に対して、いわば関係各省といえば一番密接な関係各省は厚生省なんですが、この点信義、誠実の原則を欠いている。従って与党の言質をとる前に、まず大蔵大臣から言質をとらなければならぬ。そらして大蔵大臣がこれはもうやらないんだということになれば、税制の問題は一応そうしておいて、その後に初めて今度は根本的な単価なり点数の問題というものに審議を移していく。そらして関係各省でその結論が出たならば、その上で税をどうするかということが当然のことなんです。ところがまだ根本的な検討の終らないうちに税だけが進むということは、これは明らかに厚生省を無視する大蔵省の態度だと思うのです。いずれこれは臨時国会が始まりましたら、大蔵省を呼んで質問をいたしたいと思いますが、今年の四月四日の当社会労働委員会においても、大蔵大臣は大橋武夫委員の質問に対して、これは健康保険の赤字の問題が解消すれば、すみやかに単価の問題も解消するのだと言明されたが、その根本的な単価の問題の検討をやらぬうちに——おそらく厚生省はやってはいないと思う。単価問題はこういたしますということを寡聞にして私は聞かない。そのときに税金だけのアドバルーンをぐんぐん上げていくということは、全国の療養担当者に対しては非常に衝撃を与え、そのためにどのくらい日本の治療というものが混乱の傾向に導かれつつあるかということは、厚生省も御存じだと思うのです。従ってもし山下政務次官の御説明のように、絶対に租税特別措置法における社会保険の特例というものをはずさないという省議を決定されているならば、私はそういう声明を聞いておりませんから、一つきょうは記者クラブででも御発表になり、同時に大蔵大臣と与党に強硬に申し入れたということも御発表を願いたいと思うのです。そうしないと、厚生省は何をしているのかということは、世間にはわかっていません。今初めて私なんかも聞いたのですが、この点についてはそういう御答弁がありましたので、これを天下に周知徹底せしめて、厚生省としては療養担当者を安心せしめ、一意専心療養の担当に当るくらいの声明を出していいと思うのですが、そういうことはできますか。

小林英三自由民主党厚生大臣

○小林国務大臣 滝井さんの租税特別措置法に対しまする御意見は、先ほどからよく承知をいたしておりまするし、またわれわれといたしましても、この問題に対しては強く推進をしているわけであります。たとえば日本医師会の最高幹部等につきましても私どもの趣旨をよく徹底させていることでもありますので、どうかその点は発表するとかしないとかいうことは別にいたしまして、私どもの意のあるところを十分に御了承願いたいと思います。

山下春江自由民主党厚生政務次官

○山下説明員 今大臣の御答弁の通りでございますが、なお補足いたしますれば、実はまだ政府の取り上げる段階になっておりません。調査会が答申をいたしまして、それから初めて大蔵省でもその議になるわけでございますので、滝井先生御心配のようなところまではまだ進んでおりませんし、その調査会には厚生省の省議が十分徹底いたしておりますから、その点は先生御心配のないような措置をいたすつもりでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうぞよろしくお願いします。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 長谷川君。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 今の滝井委員の質問に関連してでございますけれども、六月に健康保険法の一部改正法案が御承知のような事情でもって国会を通らないことになった。患者の一部負担をするということについては全国の労働組合が反対であります。社会党も反対であります。また当時の有力な新聞も、そういうことはしない方がいいという社説をみな掲げておったのであります。従って一部負担をするというような改正法案を今後お出しになるということは、このことをまた繰り返すにすぎないのであります。従ってそういうような意味の改正法案をもしお考えになっておるとするならばとんでもない話でありまして、私はもちろんそれ以外の方法をお考えになるべきだと思うのです。先ほどの滝井委員の質問に対する局長及び大臣のお答えを聞いておりますと、まず局長があれ以来今日まで非常な努力をしてきたというお話でもります。当時だれもが考えておりました、当然厚生省としましても考えましたことは、このままでおけば十二月には支払いができないというピンチがくるだろうということで、これはもうだれでもが一致して考えていたことであります。従いまして局長が非常に努力をしてきた、当然でありますけれども、先ほど来の質問応答を聞いておりますと、何ら努力がされておらないように思う。一体どういう具体的な御努力をなさったのであるかということを伺いたい。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田説明員 私どもといたしましては、いろいろな法律が流産になりましたので、法改正をしなくてもわれわれの手でできるあらゆる努力をいたしております。これを抽象的に申し上げてみまするならば、一つにおきましては収入をできるだけ上げていくという方向の努力でございます。一つには支出の方をできるだけ適正にしていくという努力でございます。それらの具体的なものにつきましては非常にいろいろたくさんございますけれども、おもなるものをあげてみまするならば、標準報酬の適正な把握に努める、あるいは収納率の上昇に努めるというふうなことでございます。なおまたこの支出を少しでも適正にいたしていくという面におきましては、あるいは基金で支払いを了しましたいわゆるレセプト、それが保険官署に回って参りましてかり、それにつきましてさらに保険官署において十分な調査をいたしまして、これらを誤りのあります場合は正すというふうなこととか、あるいは被扶養者の認定というようなものを従来事業主で行なっておりましたようなものを保険者の認定ということにいたしまして適正を期するとか、いろいろやっておるわけでございます。さらに主としてこれは標準報酬の適正化あるいは収納率の向上という方に関係があるわけでございますが、たしか九月からであったかと存じますが、実地に事業場等を回りまして実際の調査をいたしまして、諸般のむだを省くあるいは標準報酬を適正に把握するというふうな点に努力をいたすために、約三百名ほどの調査専門の職員を増していただきまして、それらのことによりましてもただいま申し上げたようなことにつきまして全般的に努力をいたしているわけでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 そういうようなことをしても、との当初の六十七億円の赤字というものは埋まるはずがないということはだれでも考えるところであります。もちろんただいまお話のようなことをそれぞれなさることは当然であると思うのでありますけれども、しかしそれをやっても、初めからとの大きな赤字が埋まるはずはないという考え方は、当時だれでも考えることであります。従いまして非常に御努力の末に十二、三億というものが浮び上ってきたといたしましても、事実ととに今日当局のお考えもやはり五十億の赤字か浮いてくるという線が出てきているわけです。だからほんとうに誠意のあるやり方であるなら、もっと手を打たなければならなかったと私は思います。手を打つ少くとも準備は十分なさなくてはならぬ。先ほど大臣がこの一節改正法案を今度の臨時国会に出すとおっしゃったけれども、それは今の質側応答の途中でそう言わざるを得ないから言っただけのことで、事実そんなことが今できるはずはない。滝井君のおっしゃったような、そういう筋のものはできましょうけれども、しかし厚生省がいよいよ出すとすれば、先ほどお話の通りちゃんと諮問機関に諮問をしなければならぬという線が出てくるのであります。そういうことでなくて、しかも患者の一部負担というものが出てくれば、これはまた大騒動になるのであります。絶対にできるものではない。おそらく諮問機関に聞いている間に臨時国会が終ってしまうことは、滝井君の言った通りであります。だから、質問応答でそう言わざるを得なかったでありましょうけれども、滝井君から発言があったような三十億の金を生かすという意味での一部改正ということであれば、あるいはわれわれの方も諮問機関の方に努力してもらうように話もするということでできるかもしれませんが、そのほかの意味の改正であればそれは時間的に間に合いっこありません。でありますから、もっとやはりほかの手を十分に打つべきではなかったか。今お話のようなことは、やっても十二、三億円しか出てくる見込みがないということは今のお話で十分明らかなのです。だからここで、あのときに医師会が反対をしたから医師会が勝手に苦しんでもざまあ見ろというような考え方でなしに、やはり政府管掌で政府が責任を持ってやる保険でありますから、問題が解決するように御努力を願わなければならぬ。国会の意思は国会の意思としてはっきりしたわけでありますから、現実に解決できるように効果ある方針をとってもらわなければならぬ。その点がとれていないじゃないかと私は伺っているわけですけれども、大臣は御用があるそうでありますし、井堀君の質問もありますので、私はこれらにつきましては臨時国会においてまた御質問申し上げることにいたします。ありがとうございました。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 井堀繁雄君。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 さきに厚生大臣の発言も加えられてさらに大きく取り上げられました健康保険の改正の中で、われわれも前回の国会以来強く要望しますし、政府にも強く警告を発しております被保険者の範囲の拡大であります。すなわち零細企業、五人未満の事業場の労働者が医療保険の恩典からはずされていることを保険によって救済する必要があることは、あまりにも明白なことであります。この点についてかなり明確な厚生省の態度が表明されております。単なる思いつきでないことは、記事の内容できわめて明白であります。ただこの点について多少私は危惧の念を感じますので、次の国会に入る以前に一応厚生省の所見をお尋ねして準備をいたしていきたいと思っているのです。それは先ほど来質疑がありましたように、また前国会でも健康保険の赤字に悩んでおる実態をあまりにわれわれよく知っておるわけですが、一方にはこういう赤字対策についても的確な方針がまだ明確にされておりません。一方は切実な国民の声であり、医療保険の当然の使命としてこういう範囲の拡大をしなければならぬという重大な問題に当面している厚生省としては、かなり大胆な表現であるとすら思ってあの記事を読んだわけであります。こういう点で、この機会に、あの新聞記事から受け取れるように、果して五人未満の零細事業場に保険の範囲を拡大される具体的な用意があってああいうことの公表をされたのであるか、単なる宣伝をねらったのであるか、率直に一つ厚生大臣の意見を伺っておきたいと思います。

小林英三自由民主党厚生大臣

○小林国務大臣 今の井堀さんの御質問は、五人未満のものをどうするかという問題につきまして新聞記事云々という話がございましたが、私の方といたしましては、たとえば医療保険委員の中間報告も私に答申がございましたし、なかなかこの問題は、われわれが常に国会におきましても申し上げておりますように、昭和三十五年国民皆保険を実施するまでの間におきまして、五人未満の零細企業の被保険者というものを健保でやるか、あるいは国保でやるか。今私どもの考え方としては、これは国保でやる方がいいのじゃないか。それだけの特別の健康保険を作ることはいろいろな問題がございますけれども、要するにこの問題は十分に検討いたしまして将来取り扱いたい、こう思っております。

山下春江自由民主党厚生政務次官

○山下説明員 補足さしていただきます。滝井先生あるいは長谷川先生、井堀先生、いずれも御質問の要旨は同じところがねらいでございますが、私はこの社会保障制度審議会の答申を見ましても、老齢年金あるいはその他の母子福祉等の重要な社会保障上の問題があるけれども、特に医療保障、いわゆる国民のひとしく受けることのできる権利、機会均等という意味からいって医療保障をまず取り上げたという答申の精神とわれわれ全く同じでございまして、その点から申しまして、国民皆保険、特に最も恵まれない五人未満の事業場の労働者の医療を保障するという考え方は、もうとっくに厚生省はこれに取っ組んでおるわけでございますが、その前提といたしまして、最もこのことに御理解の深い社会党の皆様としては、国民の医療保障の中核をなしておるいわゆる健康保険というものの解決がまず第一着でなければならないということには、御異論がないと思います。そういう意味におきまして、あの審議未了になりましてから今日までの経過を、われわれも非常に心痛をいたしながら、その経過が何とかよくなるようにと努力を続けて参りましたが、しょせんはやはり健康保険の法律というものが審議未了になりっぱなしでおくということは、これは何としても次の段階に一足踏み出すのに非常にじゃまになると思います。どうしてもこの問題だけはきわめて近い時間に解決をいたしまして次の段階に出なければならないと思うのであります。そういう意味におきまして、厚生省がただこの質疑応答で希望しているだけでなく、心の底から念願いたしておりますことは、このことに最も御理解の深い社会党の皆様方の絶大な御協力によって、きわめて短時日に、この臨時国会中に健康保険法が通過いたしますように御協力を願って、そうして共同いたしまして次の段階の大問題と取っ組むことが最もとるべき手段であろうと思いますので、どらか一ついろいろ御議論がありましても——医師会の方も、その後二十四国会の議論というものが皆様方の医療保障に対する考え方を真に前進さしておられるようでございまして、厚生省の考え方に対しては医師会においても以前と違いまして非常に御協力振りが発揮されておるところから見まして、私は社会党の皆様方の御協力さえあればきわめて短かい時間に通過するものと考えておりますので、そのようにして次の御質問のような段階に発足さしていただだきたいと思います。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 私のお尋ねしていることに対する御答弁がないように伺うのであります。私のお尋ねしておりますのは、これは大臣の談話の出ておりました記事でありますから、いずれの新聞もかなり大きく取り上げておったのは御存じの通りであります。健康保険の医療皆保険という考え方はもうとっくに過ぎて、健康保険の改正の中で考えられる部分、すなわちこれは説明をしないでもおわかりと思いますが、御答弁が食い違っておりましたから、これを是正する意味で事実をもう少し検討してみたい。それは現在の健康保険の目的が何であるかはあまりに明瞭であります。一番恩典を要求されておりますものは、雇用労働者の中でも、最も労働条件の低い、収入の低い零細企業の労働者である。すなわち五人未満の小規模の事業場の労働者がこの保険からはずされておるということは、あまりにも大きな不合理であるということは、たびたび論議されておりまして、何人もこれを否定しなかったのであります。その中で、たまたまその把握が困難だというような御答弁が事務当局からありまして、その矛盾をまたわれわれは明らかにしたわけであります。一方政府は、同じ行政事務であります徴税関係においては、零細企業の事業場の労働者も、完全に勤労所得が把握されて税が徴収されておるという事実は、否定ができないのであります。徴収する面においては義務を強制する面においては、きびしく公正に取り立てられるが、社会保障の当然の恩典を公平に受けられるべきものがはずされておるということは法の盲点であるということは、当時明らかにされたところであります。でありますからこそ、厚生省が今回新聞に公表されたのは、零細事業場の労働者にその恩典を与えようという考え方のもとにあの記事が出たものと私は想像しておったのでありますが、今大臣の御答弁、次官の御答弁を伺っておりますと、非常に食い違った御答弁でありましたが、私はもう一言づけ加えさしてもらいたいことは、最近の雇用の傾向であります。統計が示しておりますところによりますと、昭和二十九年から三十年の間に雇用が増大しております。しかも十六万六千五百三十三人の雇用が増大したと政府の統計はこれを明らかにしておるのであります。ところがその雇用の内容が重要である。どういうところに雇用が増大しておるかということを統計の中で取り上げてみますると、百人以上の事業場、百人以下十人までの事業場、九人未満の事業場というふうに三つに大きく分けてみまして、その十六万六千五百三十三人のうち十二万五千百五十七人が十人未満の事業場であります。パーセントでいきますと、その増加率の七五・九%がこの零細事業場に雇用が拡大しておるのでありますから、要するに今日雇用の拡大の吸収面の一番大きいところは零細事業場であるということはあまりにも顕著であります。こういろ点から考えましても、今日の医療の全国民にその恩典を与えようという、社会保障制度の精神から一般を救おうとする考え方の前に、今山下次官も言われたように、まず健康保険それ自身を正常なものに置きかえるといろ段階があるわけであります。厚生省はこの問題については最も忠実でなければならぬことは申すまでもありません。これは前国会でもわれわれがじゅんじゅんと事実をあげて警告いたした通りであります。でありまするから、どうしても健康保険の改正というからにはこの幅を拡大して健康保険の体系をまず確立する、画龍点睛を欠いておりまする健康保険の弱点を補強するということは、少くとも健康保険の何たるかを理解する者の異論のないはずであります。こういう意味で私は厚生省が新聞にあれだけの公表をされ、また準備があったと思うのでありますが、そういう零細事業場の被保険者にまず医療の恩典を与える。すなわちまず医療保険健康保険のワクの中にこれを抱き込むということが皆さんの間に——そうでないというのでありますならば、あの新聞記事は大へんなインチキです。私どもはあの記事を見まして、厚生省の熱意を非常に喜んでおりました。非常に困難な経営の中からこういうものに積極的な意図を持っておるということは、さすがに日本の厚生行政を担当する人たちはまじめな考え方を持っておるというふうに非常にあれを歓迎して期待を持って読んだものと思うのであります。これは私一人ではないと思います。社会党であろうと自民党でありましょうとも、そういう要するに党のイデオロギーや政策の相違点ではないのでありまして、これは健康保険の精神を理解するものの同一の結論でなければならぬと私は思ったからであります。こういう意味で要するに大臣のこれに対する国民に対する正確な態度を明らかにする義務があると思いますから、その答弁の機会を与えるつもりで質問をいたしたのであります。ところが今の御答弁によりますると、非常に食い違った御答弁で、私の質問が簡単でありましたからのみ込めないで御答弁があったのかと思いますので多少時間をとりましたけれども、以上申し上げれば正確な御答弁がいただけると思います。あの新聞記事は単なる宣伝を意図したものであるのか、あるいはまじめに零細企業の恵まれない労働者のために健康保険を改めようという熱意に燃えての、また準備があってのあの公表であったか。非常に重要なことでありますのでこの際明確な所信を伺っておかないと、われわれ今後の健康保険に対する態度を判断する上に非常に重要であります。そういう意味でお尋ねをしたのでありますから、大臣御答弁の用意がなければ局長さんでもけっこうであります。厚生省の態度を明らかにしていただきた

小林英三自由民主党厚生大臣

○小林国務大臣 五人未満の事業場におきまする被保険者をできるだけ早く社会保険の恩典に浴さそうという熱意は、私どもは常に持っております。ただ先ほど厚生省あるいは私の名前か何かで発表したというような御質問がありましたから私は申し上げたのでありますが、私といたしましてはそういう熱意を持ってできるだけ近い将来にそういうことにいたすべく努力はいたしおりますけれども、今井堀さんのおっしゃったような新聞発表を私どもはまだしていないのであります。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 もうかなり時間が経過しておりますから大臣はお忘れになったかもしれない。私心新聞をここに持っておりませんが、厚生省の方は御存じだ。各社ともかなり大きく扱った記事であります。大臣はよく記憶に残っていないようでありますが、きっと省議を経てあの事実は発表になったものと私は想像されるのであります。まずあの事実について当該局長に一つ伺っておきたい。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田説明員 私も井堀先生の御質問を聞いておりまして、さような発表をいたしましたこともございませんし、またいたす段階でもない。しかも私も大てい新聞を読んでおるのでございますが、失業保険を五人未満に適用する云々という労働省所管の関係の記事につきましては、私記憶が十分あるのでございますが、健康保険に五人未満を——現在の健康保険を拡大してそれを吸収するとかいうようなことにつきまして厚生省がある結論に到達したというふうな性格の記事につきましては、私も実は今心当り、覚えがないのであります。新聞のことはいずれにいたしましても、結局この問題につきましては大臣が先ほど申されましたように、私といたしましては国民皆保険の問題の中で重要な問題の一つといたしまして五人未満の問題を考えております。従いましてこれに十分取っ組む熱意を持っておるのでございます。ただこれをどういうふうに扱っていくかということにつきましては、まず第一番には井堀先生も御指摘のごとく実態を把握するということが非常に先決の問題でございますので、実態把握についてまじめな努力をいたしております。これはさきの国会でも御答弁申し上げた通りでございまして、私といたしましてはまずこの実態把握に十分な努力をいたしておるのでございます。社会保障制度審議会の御答申の中にもかような問題についてもお触れになっておるようでございます。私どもは一方におきまして実態を把握する努力をいたしまするとともに、それらの御答申あるいは目下御検討をいただいておりまする医療保障制度審議会の結論等をまちまして、これらを総合的に判断をいたしましていずれかの結論を出したい、かように考えておるような段階でございす。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 新聞記事をここに持ち合せておりませんし、私の多少の勘違いもあるかと思うのでありますが、そうおっしゃられると、厚生省の正式な発表でないかもしれぬ。しかし、あの記事を通じて受けます国民の印象というもりは、医療の均霑を受けたいという一番切実な、しかも当然な立場に置かれて、健康保険からはずされておる五人末満の零細事業場の問題が、一番先に上ってくるというふうに考える点においては、異論がないと私どもは思っておるのであります。そういう意味で、まあそれは国民保険でやるか、健康保険でやるかということはありますけれども、くろうとの勘では、健康保険を拡大しないでこれを国民保険や特別な保険を作るということになりますと、技術的にも、理論的にも非常な矛盾が起ってくると思うのであります。これは何といっても、やはり健康保険の改正に考えるべきものだと私は思うわけであります。この点を明らかにしておきたいと思います。もし五人未満の事業場の人々に保険の恩典を与えるということになれば、健康保険の改正でいくのが妥当なのか、あるいは他の道を選ぶべきものであるかということについて、厚生当局の意見がございまするならば、この際伺っておきたいと思います。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田説明員 この点につきましても、私ども最終的な結論には私ども到達をいたしておりません。私まだ答申をよく読んでおりませんので、社会保障制度審議会の御答申も十分にここで御披露するわけにいきませんけれども、社会保障制度審議会におきましても相当御議論のあったところであると思います。しかしいずれにいたしましても、現在の政府管掌の健康保険のシステムにそのままこれを全部包含していくということにつきましては、社会保障制度審議会等におきましても、それは無理ではないかというふうな御意見が強かったように私は伺っております。しかしそれが無理かどうかというようなことなども含めまして検討いたしたい、かように私どもは考えておるわけでございます。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 多少私の新聞記事に対する解釈上行き過ぎがあったと思うのでありますが、しかし今局長からも御答弁がありましたように、当然これは健康保険法の改正の際にまっ先に取り上げなければならぬ問題であろうと思うので、前回もわれわれは強く要望もし、警告もしておきました。この点についてはそれぞれ御調査が行われておると思うのです。私もほかの方面から資料を手に入れておりますが、五人未満の事業場の実態調査なども行なっておるようでありますが、そういう資料と、さらにその構想を一日も早く作られ、われわれの前に明らかにするようにこの機会に希望いたしておきたいと思います。  同時に注意いたしたいことは、その記事とは別であったかもしれませんけれども、社会保障制度審議会もしくは社会保険審議会等でこの問題は当然論議されると思うのであります。何か特別のワクを健康保険の中で設けることも考えられるのでありますけれども、もしそういうことになりますと、二重、三重に差別を受けることになるのであって、それは憲法の精神である国民のすべてに法律は平等であるべきものが不平等を一番端的に現わす結果になって、法律思想上に悪影響を与える。むしろ健康保険の精神からいうならば、比較的恵まれた者が恵まれない者のために相互扶助的な力を発揮すべきところに私は社会保険の本質があると思う。こういう意味で、やはり零細事業場の労働者が健康保険法の恩典からはずされるということは、健康保険それ自身がかたわであるということをわれわれは自覚すべきである、こういう点を強く責任当局に要望いたしておきたいと思う。そういうことで、もしあなたの方で御調査が進んでおりますならば、途中でもけっこうです、そういう資料を議員に配付されまして、やはりともに勉強することにいたしたい。先ほど申し上げましたように、特に零細事業場は非常に不利である。そして今ほかの面で問題になっておりましたように、労働賃金の格差というものが、大きい事業場は比較的正常化しつつあるのに、零細事業場はますます混乱に陥りつつある。こういう事実もありますから、そういう点で社会保険をあずかる者として、よほど積極的な意欲を持って努力を傾け、こういう問題の解決を事前に行なって、今度もし健康保険法の改正を意図するような場合がありましたら、この点に対しては特段の御注意を願いたい。その御努力を期待してやまない次第であります。  それからもう一つ、これはもう皆さんお気づきかと思いますが、今度の臨時国会召集の目的にもありますように、日ソの国交が平和的に調整されるということは、日本民族にとっては非常に大きな喜びであると思うのであります。そういう時期の到来いたしました日本に、まだ多くの傷痍軍人がおり、私は毎日省線電車の中で見受けるのですが、傷痍軍人がああいうふうに人の情にすがらなければ医療も受けられないという悲惨な実態を見ておるのであります。それがどれほど事実に合ったものかどうかは私よく知りませんが、厚生省がああいう一番直接の戦争の犠牲者が人の目に触れるところでいろいろな援護を受けなければならぬ実情を放任しておることは非常な恥だと思うし、一番先にああいう問題の解決を急がなければならぬものだと思うのであります。毎日目に触れますので私ども良心にたえかねておるわけであります。厚生省としてはこの問題に対してどういう御処置をおとわになるか、ああいう状態が放棄されておるのはやむを得ぬことであるかどうか、そういう点に対する山下政務次官の御答弁をお願いいたします。

山下春江自由民主党厚生政務次官

○山下説明員 前段の五人未満の事業場の労働者に対する保険の問題につきましては、井堀先生のおっしゃるところではこれを健康保険に入れないということは不平等になるおそれがあるというお考えのようでありますが、私はそれはあべこべだと思うのであります。社会保障制度審議会で第二種健康保険というような構想があるようでございますが、それは御承知のように零細企業の給料は大企業に比べまして非常に恵まれておらない。標準報酬等も健康保険の標準報酬を当てはめるととが困難でありましょう。今大体三百万という数字、被扶養者を入れれば一千万、こういう者をただいまの健康保険に当てはめたのでは保険料等がとても耐えていけないというところから特別に考えろというととは、それはむしろ国庫補助等を増額してということでございまして、あるいは賃金も同一企業に対しては最低賃金制なども論議されなければならない問題が起ってこようかと思われます。そういうことで格差をつけて低くするのでなく、むしろ格差を上げなければならないために、現在健康保険のワクでは少し無理ではないかという議論が焦点でございまして、決してダウンすることではないのでございますから、その点は御了承を願いたいと思います。  それから今の傷痍軍人につきましては、一部に十年以上自分の意思に反して抑留された引揚者の方々等をも含めて強制雇用を法制化したらどらかという御議論もありますけれども、現在就職率の面から見ましてもなかなか——私労働省からちょっと聞いたので違うかもしれませんが、一般の方々が大体三三%、引揚者の方々が五三%くらいということで、引揚者の方に対しては積極的にやっておる。それで戦争犠牲者の方に対しても雇用奨励週間というようなものもこしらえておりまして、特に便宜をはかってくれておるようでございます。しかしながら何しろ今のところきわめていい状態には雇用の状態がないものですから、ああいう姿があると思います。それならばあの方々が援護のワクからはずれておるかといえば、大体厚生省で持っております資料の中ではあの街頭に立っておる方で援護のワクからはずれておる方は一人もないと申し上げて差しつかえないのであります。何とかあれをなくしたいということに特段に熱意を傾けておりますけれども、ちょっと職業化した点がございまして、なかなか言う通りにしていただけない。家も与え、それから援護のワクも、あの方たちはみんな特別恩給がくる方たちでございますから、そう低い率ではないのにかかわらずやめていただけないというのが現状でございます。ああいう姿を街頭で出していただかないようにするために、われわれの熱意の足らなさがあれば熱意を倍加いたしましてそういうことのないように努力していきたいと思いますが、何か援護の点で手が抜かっておるのではないかということなら、私どもの方でも熱意を持ってお一人お一人調べまして、大体援護から漏れておる方々はないのでございますが、しかしないからといって捨てておく意思はなく、できるだけ努力をいたしまして、ああいう姿をなくしたいと思っております。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 第一の私のお尋ねに、また私の意見に御答弁をいただいて、ありがたく思います。ただ私は今の山下次官のせっかくの御答弁をそのままいただけないことを残念に思う。山下次官は、零細事業場の恵まれない、低労働条件のもとにある人々のための特別の優遇を意味する特別の補助金だというお答えがございました。健康保険よりは多くの補助金を与えた、要するに保護の厚い保険だというふうなお答えがあった。そういう意味でありまするならば、私どもは何をか言わんやであります。ぜひそういうふうにと願っておるのでありますが、残念なことはそれをそのまま受け取れないという事実であります。それは健康保険に対する改正の際にも論議が行われまして、もし私どもが責任の座につきまするならば、すぐやれること、またやらなければならぬこと、それは健康保険の赤字の原因が明らかになるならば、医療給付の政府補助金の増額ということは、もろ社会保険審議会においても、社会保障制度審議会においても明らかに意思表示されておるように、補助金を増額すれば問題はある程度解決するわけなんです。そういうことに誠意を示さない政府が特段の優遇、保護政策をとれようなどとは、私は信じたくても事実はそうさせないのであります。しかし山下次官の政治力をもってすればあるいはできるかもしれません。しかしむずかしいことだとわれわれは思いまするので、そういう乗り越えた行き方よりは、やはり段階的に、はずされたものをもとへ戻していく正常な姿において、その上に保護を与えていくというのが、やり方としては正しいのではないか、私はこう思って実は要望申し上げたのでありまして、それ以上のお答えをいただいて非常に満足に思っております。まあ政治力の問題は別にいたしまして、ぜひ一日も早くそういう法案が生まれるように御努力いただきたい。  それから傷癖軍人の問題でありますが、私も多少この前調べております。また私は保護のやり方についても、もう一度厚生省にお答えをいただきたいこともございますので、それは係の方へ申し出てあります。まあ次官といたしましては、ああいう扱い方は事務的にはある程度行き届いておりましても、ああいう人々はとにかくほかの犠牲と違いまして、最大のものを捧げたわけです。戦争のためにかたわになり、その就職の機会を与えるといいましても、今日のような労働市場の悪い中においては優遇されようはずがありません。そういう非常な悪条件の中に生存していかなければならぬという事実は、日本の現状からいえば私は十分な保護ができないという一方の悩みと、その悩みをどう解消していくかということは、厚生行政にとっては非常に重大な手心でなければならぬ。厚生省の政務を担当される方としてはこういう点にもう一段と工夫をこらして、ああいう人たちが街頭に出ないようにくさいものにふたをしろというやり方は、私は好ましくないと思う。そういう必要を物質的に満たすだけのものができなければならぬ。やはり保護政策というものが厚生行政の中にあるはずだと思うので、こういう点に対する特段の御配慮を要望して私の質問を終りたいと思います。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 これにて質疑は終了いたしました。  閉会中の委員会開会につきましては、いろいろ手違い等もございまして、今日までおくれましたことを深くおわび申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。   午後零時四十五分散会

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