P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
24回国会衆議院1956/06/01

社会労働委員会 第51号

発言数
225
登壇者
10
会派数
2
開催日
1956/06/01

会議録

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 これより会議を開きます。  この際閉会中審査の件についてお諮りいたします。当委員会といたしましては、閉会中も委員会の審査の必要があると存じますので、その活動の円滑を期するため、閉会中審査の申し入れをいたしたいと存じまするが、その手続等に関しましてはすべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 御異議ほしと認め、そのように決します。  なお、ただいま申し入れることに決しました閉会中の審査事項が当委員会に付託されましたならば、現在当委員会に設置されております薬価基準等に関する小委員会を閉会中もなお引き続き設置することとし、あわせて閉会中同小委員会に欠員を生じました場合における補欠選任に関しましては、委員長より指名すること二面一任を願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 御異議なしと認め、  そのように決します。     —————————————

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 次に委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。ただいまの閉会中審査事項が当委員会に付託になりました後、調査の必要上現地に委員を派遣し、その実情を調査する必要を生じました場合には、すべて委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 御異議なしと認め、そのように決します。     —————————————

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 本日の請願日程全部を一括議題といたします。  本委員会に付託されました請願は、すべて請願審査小委員会の審査に付しましたので、この際請願審査小委員長より報告を聴取いたします。野澤清人君。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 五月三十一日の請願審査小委員会における審査の結果を御報告いたします。  請願総件数は六百九十四件でありまして、厚生及び労働両省の総務課長出席の上、慎重に審査いたしました結果、本日の請願の日程中第一二、第一四、第一五、第二二、第二七より第二九まで、第三一より第三四まで、第六一より第六三まで、第八〇より第八九まで、第一〇七、第一〇九より第一一六まで、第一二一より第一二三まで、第一三〇、第一三一、第一三九、第一五〇より第一五四まで、第一六〇、第一六一、第一六九、第一八九、第一九三より第一九八まで、第二〇三より第二一四まで、第二四一より第二四八まで、第二五一、第二五二、第二五五より第二五八まで、第二七六より第二九〇まで、第二九二、第二九五、第三〇四より第三二三まで、第三三〇より第三四三まで、第三八一、第三八七より第四〇二まで、第四三三から第四三五まで、第四四〇から第四七〇まで、第四七三、第四七四、第四九四、第四九七、第四九八、第五〇〇、第五〇三より第五一〇まで、第五二〇、第五二八・第五二九、第五三四より第五四一まで、第五四九、第五五一、第五五二・第五五四より第五六一まで、第五六八、第五七〇より第五七二まで、第五七四、第五七五、第五七七より第六〇一まで、第六〇三より第六〇六まで、第六一〇より第六一二まで、第六一四より第六二一まで、第六二三より第六二六まで第六三五より第六三七まで、第六三九、第六四〇、第六四二、第六四六より第六五〇まで、第六五二より第六五六まで、第六五九より第六九一までの以上三百十七件は、その趣旨妥当なるものと認め、採択の上、内閣に送付すべきものと決定いたしました。  なお、ただいま当委員会に付託になっております法案と関連のある請願等につきましては、結論を得ておりません。  以上御報告申し上げます。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 以上で報告は終りました。ただいまの報告について御発言はありませんか。——なければ採決いたします。ただいまの小委員長の報告の通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  次にただいま採択の上内閣に送付すべきものと決しました請願に関する委員会の報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  なおただいまお手元に配付いたしました陳情書が本委員会に参考送付されておりますので一応お知らせ申し上げておきます。     —————————————

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 次に食品衛生に関し粉ミルク中毒事件について調査を進めます。本件に関し参考人の方々が出席されておりますが、この際参考人の方々に一言申し上げます。  本日は御多用中御出席下さいましてありがとう存じました。最初その後の経過について説明をしていただきたいと存じます。後刻委員よりの質疑にお答え願いたいと存じます。ただ議事の整理上説明をしていただく時間は約十五分程度にお願いいたしたいと存じます。  なお念のために申し上げておきますが、参考人の方が発言なさいます際は委員長の許可を得なければなりませんし、参考人の方々は委員の方々に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、以上お含みおきを願いたいと存じます。  それではまず荻原参考人にお願いいたします。荻原君。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 昨年八月に当社の徳島工場で起りました粉乳の中毒事件につきましてその後の経過をお話し申し上げたいと思います。  患者の総数は全国で一万二千二百一名ございまして、内不幸なくなられた方が百二十五名に及びました。かかる大事件を起しましたのはまことに申しわけないと存じております。その解決につきまして一日も早く罹災された方がなおるように当社といたしましては全幅の努力をいたしておりまして、各府県の医師会あるいは府県衛生部あるいは保健所等の御協力によりまして全面的に努力をいたして参ったのでございますが、幸いにして各方面の多大な御援助によりまして、現在におきましては九八%が完全に治癒をいたしております。  なお後遺症の問題につきましてかなりの御心配が各方面にございますので、これまた厚生省の各府県への御通達によりまして、現在各府県で後遺症についての精密検診の実施中でございます。この方法は第一次といたしまして保健所等においてほとんど全部の罹災された赤ちゃんを検診いたしておりましたが、この申し込みは大体府県におきまして五、六〇%の被災された赤ちゃんが第一次検診を受けております。この中から特に後遺症の心配ありと思われる赤ちゃんに対しまして、さらに上級の総合病院でレントゲンとかあるいは心電図とかいうようなこまかいいろいろの検査をしていただくことになっております。この数は府県によってまちまちでございますけれども、第一次検診の一割程度の方が受けることになっておるようでございます。これもまた各方面の権威あるお医者さんにお聞きしますと、後遺症はほとんどないではないかというような御意見が大多数のようでございます。かくしまして大体治療方面におきましては最後の手が打たれつつあるのでございます。当社といたしましてはこの対策といたしまして、治療費の全額、それからつき添い費は入院者一日四百五十円、通院者一日百五十円というように支出いたしました。なお補償の問題につきましては五人委員会の御意見によりまして、なくなられた方には合計二十五万円の弔慰金、入院者に対しましては一万二千円、通院患者に対しましては一万円の見舞金をお贈りいたした次第でございます。なお一周忌に当りまして、なくなられた方に対して、回向料といたしまして金三万円をお贈りいたしました。この事件が起りまして全国の被災者の一部の方に被災者同盟が結成されておりましたが、この方との長時日にわたりまする御折衝の結果、去る五月二日に円満に解決がいたされまして、これらの補償の問題につきまして九八%の方が補償金を御受領になりました。  以上が今回の事件の大略でございます。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 以上で説明は終りました。発言の通告がありますのでこれを許します。中川俊思君。

中川俊思自由民主党

○中川委員 私質問をする前に楠本君が来ているのですから、厚生省のその後の措置を一つ聞いたらどうです。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 森永事件のその後の当局といたしましての措置につきましてお答えを申し上げます。私どもが最も関心を持っておりましたのは患者の点でございましたが、現在までこれらの患者の措置につきましては逐次府県から週報をとりましてその状況を把握いたしておった次第でございます。現在におきましてはただいま参考人からも話がありましたように、厚生省といたしましてはさらに現在なお入院または治療をしている患者、及び本人が不安に思う被災者の方々は権威ある医師の精密な健康診断を受けて、その結果に基いてそれぞれ治療を続ける者は治療を続ける、さらに適切な措置を講ずべき者は講ずるという対策をとりまして、目下これを各府県にわたって実施中でございます。なおこれらの患者のうち後遺症の問題につきましては、これは将来に残る問題でございますのできわめて重要と存じまして、特に後遺症問題についていろいろ精密な検査をいたしておる次第でございます。幸いに現在までのところは、専門家の意見といたしまして、後遺症と認むべきものは今のところは発見されておらないということで、私ども大へん安心をいたしておる次第でございます。  一方現在なお二百数十名の患者が入院または外来治療を受けておりますが、これらの者は精密検診の結果は必ずしも砒素中毒に関係のあるものとはいえない者でございまして、この点も私どもは安心をいたした次第でございますが、ただ私どもといたしましては、森永に対しましては、これらの患者が、現在治療を受けておる者が必ずしも砒素に直接の原因がないといたしましても、この治療費、入院費等は好意を持つて支出するように指示をいたしております。一方健康診断に要します経費等につきましても、これは旅費等をも含めて森永側が全額負担するように指示をいたしている次第でございます。  さらに、私どもが最も苦慮いたしましたのは、患者同盟との問題でございましたが、これも患者同盟側と森永側との交渉の結果、円満に話し合いがつきまして、先月の二日にお互いに声明書を発表いたしまして、患者同盟は解散をいたした次第でございます。従いまして私どもといたしましては、はなはだ監督不行き届からまことに世間に対して申しわけのない事態をかもしましたが、その後幸いにも円満に解決する方向に向っております。  また一方後遺症等につきましても、今のところは心配がないという状況で、不幸中の幸いであったという感じでおる次第でございます。

中川俊思自由民主党

○中川委員 森永さんにお尋ねしますが、あなたは森永乳業の社長さんでいらっしゃる。対社会的と申しますか、外部に対する責任並びに社内に対する責任は、あなたが全部負って対処しておられるのかどうか、との点をお伺いいたします。

森永太平森永乳業株式会社常務取締役社長

○森永参考人 お答え申し上げます。今回の事件は被災者の方々にはもとより、社会的……。

中川俊思自由民主党

○中川委員 私の質問に対する答弁を願います。

森永太平森永乳業株式会社常務取締役社長

○森永参考人 かしこまりました。私曲どもの会社といたしましていろいろ傍系会社がございますが、各社に代表取締役を置きまして、その代表取締がそれぞれその社の全責任を負って事業を経営しておりまして、私が製菓会社の代表取締をしておりましたものですから、乳業会社は従来通り代表取締の大野代表取締役が、一切の責任を持ってやって参りました。

中川俊思自由民主党

○中川委員 そうすると、森永乳業に関しましては、あなたは社会的にもまた対内的にも何も責任はないわけでありますか。

森永太平森永乳業株式会社常務取締役社長

○森永参考人 責任がないとは申しませんが、代表取締として対外的に現在まで事件を処理して参りました。

中川俊思自由民主党

○中川委員 ないとは申しませんがとおっしゃると、若干はあるということの意見でございますか、それとも代表取締役の大野さんが全部の責任を負って、あなたには責任はない、こういうことですか。あるかないかをはっきり一つ御明示願いたい。

森永太平森永乳業株式会社常務取締役社長

○森永参考人 対社会的には、私と大野専務と二人とも責任を負うつもりでございます。

中川俊思自由民主党

○中川委員 わかりました。そうするとあなたは責任がないというわけではないわけですね。先般大野さんがここにおいでになりました際に、この点につきまして社長には責任はないということを明言されましたので、実は今お聞きをしたわけでございます。  それから荻原さんにお尋ねしますが、あなたは東大の小児科か何かに砒素の中毒患者に対する血液の検査を御依頼になったことがございますか。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 ございません。

中川俊思自由民主党

○中川委員 厚生省はこの点御存じですか。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 承知をいたしておりません。

中川俊思自由民主党

○中川委員 これは一つ荻原さんも、それから厚生省も知っていないのならやむを得ませんが、私の調査したところによりますと、荻原さん自身が東大の小児科に対して砒素の中毒患者に対する血液検査の御依頼をなさったように私は承知しておる。あの砒素の中毒の最もはなはだしかった関西には、御案内の通り血液の権威者があまりいないのです。そこで東大から血液の専門家を調査のために関西に派遣しておる事実がございます。これは私の承知したところによりますと、森永さんの方からこのことを依頼されたということでございますが、そういう事実は全然ないのでございましょうか、重ねてお伺いをしたいのでございます。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 血液の検査をお願いしたことはございません。

中川俊思自由民主党

○中川委員 他に何か御依頼なさったことでもございますか。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 昨年八月の事件の直後に、実際のいろいろの調査をお願いしたことはございます。

中川俊思自由民主党

○中川委員 調査を御依頼なさったといたしますれば、あるいは私の聞き間違いかもしれませんが、東大の方で大事なことでありますから血液の検査もしたのかと私は思いますが、その調査の結果がなたの方にもたらされておるのでございますか。もたらされておるとしますれば、成績表といいますか調査表といいますか、そういうものを、御依頼なさったのでありますから、当然東大の方からあなたの方にそれに対する御返事があったと思いますが、その点はいかがでございましょう。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 小児科の病気につきまして、こちらの方は専門家でもございませんので、特に私どもがこの治療対策にどういうことを今後やっていったらいいかということについて、いろいろなお願いしたわけでございます。それにつきまして特に書類というようなものはいただいておりません。

中川俊思自由民主党

○中川委員 書類はあるいは東大から来なかったかもしれませんが、御調査を御依頼になりましてから、東大から全然返事がないのでございますか。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 治療についてどういうことをやったらいいかというような、専門的ないろいろなお話につきましては、やはりその点こちらも専門家ではございませんので、調査に行かれた先生方が直接被害地のやはり小児科の先生方と話し合っていろいろやったというようなことについてお話がございました。

中川俊思自由民主党

○中川委員 口頭でですね。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 はあ。それもこちらは専門家でございませんので、特に専門的に申し上げることはございません。

中川俊思自由民主党

○中川委員 実はこの問題は、先ほど森永さんからもまた荻原さんからもまた厚生省からもお話ございました通り、表向きは解決を見ておるのでございまして、今さらこの問題を本委員会で取り上げることはどうかということも実は論議の的になったのでございますが、しかし考えますとなかな大きな社会的な問題を包蔵しておる。たとえば今私が指摘いたしました、東大で血液の検査をやった結果というものはまことにおそるべき結果が現われております。この砒素の中毒によりまして赤血球、白血球を作るところのいわゆる骨髄組織というものを侵されておる。ちょうどビキニ患者と同じ現象を呈しておるように思われる。現にこういう患者がおる。病院におる間はなかなか病院の中ですべて完全看護が行われております関係上何でもないようなのでございますが、一旦退院いたしますといろいろな症状が勃発をしておる事例がたくさんあるのでございます。私はごく最近にこの問題を調査いたしておりますので、御希望ならばそういう点を指摘してもよろしいでありますが、これはあなたの方でも十分調べておられるだろうと思いますのでよけいなことは申しませんが、とにかくそういう点が非常に多いのです。そこでこの問題につままして本委員会は、表向き解決しておることは承知しておりますけれども取り上げたわけであります。心臓の運動を電気的にグラフにとるいわゆる心電図を見ますと、平常の子供と異なって非常な異常を呈しておるという事例もはっきり現われておるのでございます。こういうような点もまた患者の中には失明するのじゃないかというような点もあるのです。厚生省の話を聞いてみましても、またあなた方の方の先ほどからお話を聞いてみましても全力を尽したものは患者の全快であるということだけで、これでもって、ことに被災者同盟との間に解決がついたからもうこれでこの問題は一応解決済みだというような意思があなた方にもあるし、また厚生当局にもある。この点私が特に関心を持ちますのはそういう問題ではないのでございます。一体森永さんはこの問題について社会的にどういう責任をおとりになって、そうして社内におきましてはこの問題に最も関心というか関係をお持ちになっておる生産部長の荻原さん並びにこの生産に当った方々は、社内においてどういうふうな信賞必罰の処置がとられたのであるかどうか。この点をお伺いいたしたいのでございます。これは社長から一つお伺いしたい。

森永太平森永乳業株式会社常務取締役社長

○森永参考人 私ども後遺症につきましては先ほど荻原から申し上げましたように精密検査を行なって、できる限り万全を尽して、もしむ不幸にして後遺症のようなことがあればどこまでも私どもにおいて万全を尽して参りたい、かように考えております。  なお社内のことにつきましては、私もこの事件の勃発当初から責任を感じ、辞任ということも考えておりましたが、幸いに去る五月完全に解決いたしましたので、去る五月三十日の総会において辞任をいたしたような次第でございまして、今回は専任の社長を置きまして、今後再びこのようなことがないように人事の刷新もいたし、また設備も一段と改善いたしまして良品を生産するように万全を尽しております。

中川俊思自由民主党

○中川委員 社内の問題でございますからこの点は私どもあまり深入りをしたくはありません。そこで荻原さんにお尋ねしたいのでございますが、いろいろ会社を経営していらっしゃいますと、次々と新しい製品をお作りになり、また研究をなさるだろうと思う。そういう場合に御社では新しい製品を作ってそれにいろいろな添加物を加える場合に、あなたの独断でおやりに触るのでございましょうか。それとも何か生産会議とかあるいは製品会議とかいうような会議でもお持ちになって、その会議の決定に基いておやりになるのでございましょうか。その点をお伺いしたい。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 技術関係のことは技術部というものがございまして、その技術部の仕事は技術部長が担当いたしております。技術部の中に研究課というものがございまして、新しい仕事についてはこの研究課が担当をいたしまして仕事を進めて参るのでございますが、大きな問題につきましては各工場の製造担当者技術会議がございまして、一方にはこれを部長会議にかけまして決定するようにしております。

中川俊思自由民主党

○中川委員 そうだろうと思うのでございますが、そういたしますとその技術会議なり部長会議におかけになって御決定になるのだと思うのでございますが、そういう席には代表取締役とか社長とかいうものは御出席になるでございましょうか。あるいは代表取締役か社長には会議の結果をただ報告なさるだけでございましょうか。その点どういうふうになっておりますか。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 部長会議には代表取締役が出席するのが例でございますが、もし出席がない場合にはあとで報告するようにいたしております。

中川俊思自由民主党

○中川委員 先般荻原さん御出席にならなかったのでございますが、大野さんが御出席になりました際に私が、あなたの方の会社では一九五三年十二月にお作りになったベーターのミルクにサッカリンをお入れになっておるが御承知ですかと話しましたところが、それは私は知らない、技術家がやっておることだから知らないということをここで明言されておるのでございます。あのサッカリンをお入れになりました件についてようやく今日資料を御提出になったようでございますが、サッカリンをお入れになったときにはあなたは当時技術部を担当しておられたようでございますが、代表取締役には報告をなさらなかったのでございましょうか。あなたの独断。おやりになったのでございましょうか。この点お伺いしたい。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 これは私が聞いたのでございますが、代表取締役に報告するほどのものでないと思いましたので報告いたしませんでした。

中川俊思自由民主党

○中川委員 どうして報告する必要がないというあなたのお考えですか。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 試験的に短期間やるつもりでおりましたから……。

中川俊思自由民主党

○中川委員 試験的に短期間おやりになるという、まことに驚き入った言葉を聞くのですが、試験的におやりになった製品を販売なさったとはどういうわけなんですか。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 試験的と申し上げますのは、並骨髄のドライ・ミルクとこのベーター・ドライ・ミルクとの違いは甘さの違でございまして、製品を切りかえるときは、会社としては、非常に重大な関頭に立つわけでございます。赤ん坊の飲みつきが悪いというような場合が、甘さの変化で起り得るものですから、その切りかえ時期だけ、小児科のお医者さんがごく普通にやるように、飲みにくい薬には少量のサッカリンを入れまして、飲みやすいようにしてやると同じような考え方で、その切りかえの時期の短時日の間これでもって補いたい、こういうふうに考えたのでございます。

中川俊思自由民主党

○中川委員 あなたの社では、そういうふうな試験的におやりになる場合には、そうすると技術部の独断でおやりになるのであって、そういうような点については社長とかあるいは代表取締役には一々御報告はなさらないことになっておるのでございますか。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 重要問題についてのみ、報告をいたしております。

中川俊思自由民主党

○中川委員 重要問題の程度なんですが、私は非常な重要問題だと思うのです。しかも赤ん坊のただ一つの栄養食であるこの粉ミルクに、栄養価値の寸毫もないサッカリンをお入れになる、きわめて重要な問題だと思うのですが、社長はこの点についてどうお考えになるか、御存じなかったのでございますか。

森永太平森永乳業株式会社常務取締役社長

○森永参考人 存じませんでした。

中川俊思自由民主党

○中川委員 先般私がこの問題を指摘いたしましたときに、あなたの方の代表取締役の大野さんも知らなかったとおっしゃる、あなたも知らないとおっしゃる。ところが厚生省もその当時は知らないと言うのです。その後私は資料の提出を求めておりましたところが、なかなかお出し願えなかったのでございますが、ここに本日五月二十九日付で配付を受けたのでございますが、あなたの方でお作りになったということは、これで明瞭なんでございますけれども、現在の社長の心境は、この問題に対してどういう御心境でございますか、当りまえのことをやったんだというお考えでございましょうか、それとも知らなかったのでから、自分はやむを得ぬというような態度でございましょうか。社長の心境を後日のために承わっておきたいと思います。

森永太平森永乳業株式会社常務取締役社長

○森永参考人 乳業の技術上の問題は私は全然わかりませんし、代表取締役が一切のことを運営しておりましたので、私全然存じませんでした。まことに申しわけないと存じております。

中川俊思自由民主党

○中川委員 社長にお伺いいたしましたのは、先ほど社長がここでお述べになりましたように、代表取締役と責任は対社会的に分担をすべきものであるという御明言がございましたから、この点を今お伺いしているわけでございます。  それから荻原さんにお尋ねいたしますが、あなたの方で全国からいろいろ牛乳をお買いになります。その際に中和剤と申しますか、緩衝剤をお使いになるわけでございますが、そういう点につきましても、先ほどお述べになりましたような技術会議であるとか、あるいは技術部長会議だとかいうようなものにだけかけて、すぐお使いになって、製品としてお出しになるのでございましょうか。それともそういうものを使う場合には、十分研究の上さらに一般に市販する前に、市販する前といいますか、いよいよ製造に着手するというときに、社長なり代表取締役なり、いわゆる重役会議といいますか、そういう面の了解を得ておやりになるのか、この点を重ねてお伺いしておきたいのです。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 重要な技術問題につきましては今申し上げました関係機関にかけて、それの承認を得た上、十分研究の上やることにいたしております。

中川俊思自由民主党

○中川委員 そこで私はお伺いしたいのですが、第二燐酸ソーダの中に砒素たくない。信じたくないが、そういうことまで言われておるのだから、厚生省はこういう問題が起った場合には断固たる処置をとって、責任の帰趨を明らかにしておかなければいかぬということがわれわれの当初の主張であったのだけれどもが、厚生省は今も言う五人委員会、七人委員会にまかしっぱなしにして、何らそれに対する責任らしいものはとっていないじゃないか。それでもって食品衛生の監督の責めを一体果し得たと思うのですか。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 私どもは徳島工場に限らず他の工場につきましても事件勃発後、直ちに係官を派遣するなりあるいは府県を督励いたしまして厳重に実態を調査し、また指摘しました。その結果は特に衛生上支障のあるというような点もありませんでしたので、他の工場については格別な措置をとらなかった次第でございます。

中川俊思自由民主党

○中川委員 これ以上言ってみたところで意味がありませんから私は話題を転じますが、荻原さんにお尋ねしますが、あなたの会社では二等牛乳を非常にたくさん買って一等牛乳の買入れが比較的少いということを私は聞いておりますが、この点どうですか。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 世間の普通一般の数字と大体同じだろうと思っております。

中川俊思自由民主党

○中川委員 先般資料を出していただきましたのを見ましても、粉乳が製品になって出ておるのと、それから牛乳の買入れ量とを比較してみますと、そこにちょっと矛盾しておるものを感ずるように私は思うのです。つまり今申しましたように二等牛乳の買入れは非常に多いけれども、御承知の通り私申し上げるまでもなく二等牛乳はあまりいい牛乳でない。これに中和剤を入れて粉乳にできるのでございます。粉乳は相当あなたの方で出しておられるが、一等牛乳の買入れは比較的少いように感じたのですがそういうことはございませんか。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 二等牛乳は普通の会社ではバターに多く作られます。私の方の会社は原料用の大カン煉乳に作っておりますので、バターの数字と二等牛乳の数字をお比べになりますと、他の会社と違ってくると思います。

中川俊思自由民主党

○中川委員 代表取締役としての大野さんのお述べになりました点と、ただいま荻原さんのお述べになりました点との間にかなり相違の点があるように考えられます。私はこの点一応質問を保留しておきまして後日にいたします。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 八田貞義君。

八田貞義自由民主党

○八田委員 サッカリンの問題と過酸化水素の使用の問題について中川委員から質問がございましたので、関連して二、三の問題について質問をいたしたいと思います。まず厚生省の方から御答弁を願いたいと存じますが、ドライミルクというものは省令第五十二号で加糖粉乳に入るものかあるいは調整粉乳の中に入る製品か、いわゆるサッカリンの入った、問題となったドライ・ミルクなんですが、省令五十二号の加糖粉乳に入るのかあるいはまた調整粉乳の中に入るのか、これを一つお伺いいたしたい。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 調整粉乳に属するものと考えます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そうしますと調整粉乳の成分規格というものが出ておるはずなんでありますが、サッカリンをなぜ入れたか、成分規格を変えてまでサッカリンを入れたかどうかにつきまして荻原さんの御答弁を願いたいと思います。成分規格を変えてサッカリンを入れたかどうか伺いたい。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 変えてございません。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そうするとサッカリンをなぜ入れられたか、その理由をお聞かせ願いたい。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 先ほどもお答えいたしましたように今度のべーター・ドライ・ミルクは普通のドライミルクと比べますと甘味が少いのでございます。しかし砂糖を乳糖に取りかえたので、内容的にはすぐれたものになるわけでございますが、甘味が少くなりますので、その間に製品を切りかえる時期に、サッカリンを少しずつ入れて、そうして切りかえをしやすくする。赤ん坊が飲みつきがいいようにするという考え方で入れたのでございまして、特に表示いたしませんでしたのは、重要な添加物でなかったので表示いたしませんでした。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そうすると今の答弁をお聞きしますると、蔗糖を減らしてベーター乳糖にした。ベーター乳糖は甘味が少いので食餌転換のためにサッカリンを加えたのである。さらにまた牛乳成分の乳固型分については何ら変化がない、こういうふうに了承してよろしゅうございますか。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 そういうように考えております。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そこで楠本さんにお聞きいたしたいのでありますがサッカリンは、添加物として量的に制限のある添加物と量的に制限のない添加物とあるわけですが、今のサッカリンは量的に制限のある添加物と考えられますかどうか、その点をはっきりとおっしゃっていただきたい。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 現在私どもはサッカリンは量的に制限のない添加物と考えております。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そうしますと、これは誤解を招く点でありまするから、さらにもう一つお聞かせ願いたいと思うのですが、添加物の中でサッカリン、ズルチシとか調味料あるいは着色料、着香料、膨脹剤こういったものは、量的に制限がない、こういうふうに了承してよろしいのでございますね。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 現在食品衛生法におきましては、添加物を許可された範囲におきましては、必ずしも量的に規制はしてございませんが、しかし実質的には、添加物にもそういうふうに種類が多いために、著しく多量に添加いたしますと、好ましくない結果になるといろものもあることは当然でございます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 私が楠本さんにお聞きしているのは、もう少しはっきり区分分けしてお知らせ願いたいと思います。誤解を生じやすいので、私申し上げたいのですが、添加物の中で、合成調味料のうちのサッカリン、ズルチン、合成着色料のうちのタール色素全部、合成着香料の全部、合成漂白料のうち過酸化水素、合成膨脹剤の原料全部、チューインガム基礎剤の酢酸ビニール樹脂、ヂブチールフタレート、合成殺菌剤のうちのニトロフラゾーンは食品に添加する場合に、別に量的に規定がないというふうに私は了解しておるのでありますが、いかがですか。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 御指摘の通りでございます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そうしますと、このサッカリン問題について考えなければならぬことは、調整粉乳としての成分規格において何ら抵触するところがない。乳固形分というものがきめられておって、それにおいて何ら変化がなければ、食餌転換を容易にするためにサッカリンを加えたのであるというように了解すれば法違反と考えないのでありますか、いかがでありますか。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 サッカリンの添加につきましては、違法行為とは私どもも考えておりません。

八田貞義自由民主党

○八田委員 時間がありませんからそれくらいにしまして、それから過酸化水素の問題について少し森永にお聞きいたしたいと思うのです。  そこで過酸化水素を入れたということでありますが、MFミルク事件との関連においていろいろ御説明願いたいと思うのであります。問題となった徳島工場の所在地をお知らせ願いたい。これは荻原さんにお願いしたい。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 徳島の郊外に当りまして、石井町にあります。自動車で約四十分くらいのところです。

八田貞義自由民主党

○八田委員 その徳島工場において、一体どれくらい牛乳加工をされておるか、また乳製品の種類をお知らせ願いたい。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 時期によって違いますが、最近の数字でございますか。

八田貞義自由民主党

○八田委員 いわゆる過酸化水素を入れた当時の牛乳の加工量です。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 牛乳の量は、夏と冬と大へん違います。冬季には大体日量にいたしまして百五十石程度、夏季には八十石程度でございます。その牛乳で粉ミルク、原料用の大カン煉乳、バター等を製造しております。たくない。信じたくないが、そういうことまで言われておるのだから、厚生省はこういう問題が起った場合には断固たる処置をとって、責任の帰趨を明らかにしておかなければいかぬということがわれわれの当初の主張であったのだけれどもが、厚生省は今も言う五人委員会、七人委員会にまかしっぱなしにして、何らそれに対する責任らしいものはとっていないじゃないか。それでもって食品衛生の監督の責めを一体果し得たと思うのですか。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 私どもは徳島工場に限らず他の工場につきましても事件勃発後、直ちに係官を派遣するなりあるいは府県を督励いたしまして厳重に実態を調査し、また指摘しました。その結果は特に衛生上支障のあるというような点もありませんでしたので、他の工場については格別な措置をとらなかった次第でございます。

中川俊思自由民主党

○中川委員 これ以上言ってみたところで意味がありませんから私は話題を転じますが、荻原さんにお尋ねしますが、あなたの会社では二等牛乳を非常にたくさん買って一等牛乳の買入れが比較的少いということを私は聞いておりますが、この点どうですか。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 世間の普通一般の数字と大体同じだろうと思っております。

中川俊思自由民主党

○中川委員 先般資料を出していただきましたのを見ましても、粉乳が製品になって出ておるのと、それから牛乳の買入れ量とを比較してみますと、そこにちょっと矛盾しておるものを感ずるように私は思うのです。つまり今申しましたように二等牛乳の買入れは非常に多いけれども、御承知の通り私申し上げるまでもなく二等牛乳はあまりいい牛乳でない。これに中和剤を入れて粉乳にできるのでございます。粉乳は相当あなたの方で出しておられるが、一等牛乳の買入れは比較的少いように感じたのですがそういうことはございませんか。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 二等牛乳は普通の会社ではバターに多く作られます。私の方の会社は原料用の大カン煉乳に作っておりますので、バターの数字と二等牛乳の数字をお比べになりますと、他の会社と違ってくると思います。

中川俊思自由民主党

○中川委員 代表取締役としての大野さんのお述べになりました点と、ただいま荻原さんのお述べになりました点との間にかなり相違の点があるように考えられます。私はこの点一応質問を保留しておきまして後日にいたします。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 八田貞義君。

八田貞義自由民主党

○八田委員 サッカリンの問題と過酸化水素の使用の問題について中川委員から質問がございましたので、関連して二、三の問題について質問をいたしたいと思います。まず厚生省の方から御答弁を願いたいと存じますが、ドライミルクというものは省令第五十二号で加糖粉乳に入るものかあるいは調整粉乳の中に入る製品か、いわゆるサッカリンの入った、問題となったドライ・ミルクなんですが、省令五十二号の加糖粉乳に入るのかあるいはまた調整粉乳の中に入るのか、これを一つお伺いいたしたい。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 調整粉乳に属するものと考えます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そうしますと調整粉乳の成分規格というものが出ておるはずなんでありますが、サッカリンをなぜ入れたか、成分規格を変えてまでサッカリンを入れたかどうかにつきまして荻原さんの御答弁を願いたいと思います。成分規格を変えてサッカリンを入れたかどうか伺いたい。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 変えてございません。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そうするとサッカリンをなぜ入れられたか、その理由をお聞かせ願いたい。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 先ほどもお答えいたしましたように今度のべーター・ドライ・ミルクは普通のドライミルクと比べますと甘味が少いのでございます。しかし砂糖を乳糖に取りかえたので、内容的にはすぐれたものになるわけでございますが、甘味が少くなりますので、その間に製品を切りかえる時期に、サッカリンを少しずつ入れて、そうして切りかえをしやすくする。赤ん坊が飲みつきがいいようにするという考え方で入れたのでございまして、特に表示いたしませんでしたのは、重要な添加物でなかったので表示いたしませんでした。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そうすると今の答弁をお聞きしますると、蔗糖を減らしてベーター乳糖にした。ベーター乳糖は甘味が少いので食餌転換のためにサッカリンを加えたのである。さらにまた牛乳成分の乳固型分については何ら変化がない、こういうふうに了承してよろしゅうございますか。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 そういうように考えております。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そこで楠本さんにお聞きいたしたいのでありますがサッカリンは、添加物として量的に制限のある添加物と量的に制限のない添加物とあるわけですが、今のサッカリンは量的に制限のある添加物と考えられますかどうか、その点をはっきりとおっしゃっていただきたい。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 現在私どもはサッカリンは量的に制限のない添加物と考えております。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そうしますと、これは誤解を招く点でありまするから、さらにもう一つお聞かせ願いたいと思うのですが、添加物の中でサッカリン、ズルチシとか調味料あるいは着色料、着香料、膨脹剤こういったものは、量的に制限がない、こういうふうに了承してよろしいのでございますね。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 現在食品衛生法におきましては、添加物を許可された範囲におきましては、必ずしも量的に規制はしてございませんが、しかし実質的には、添加物にもそういうふうに種類が多いために、著しく多量に添加いたしますと、好ましくない結果になるというものもあることは当然でございます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 私が楠本さんにお聞きしているのは、もう少しはっきり区分分けしてお知らせ願いたいと思います。誤解を生じやすいので、私申し上げたいのですが、添加物の中で、合成調味料のうちのサッカリン、ズルチン、合成着色料のうちのタール色素全部、合成着香料の全部、合成漂白料のうち過酸化水素、合成膨脹剤の原料全部、チューインガム基礎剤の酢酸ビニール樹脂、ヂブチールフタレート、合成殺菌剤のうちのニトロフラゾーンは食品に添加する場合に、別に量的に規定がないというふうに私は了解しておるのでありますが、いかがですか。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 御指摘の通りでございます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そうしますと、このサッカリン問題について考えなければならぬことは、調整粉乳としての成分規格において何ら抵触するところがない。乳固形分というものがきめられておって、それにおいて何ら変化がなければ、食餌転換を容易にするためにサッカリンを加えたのであるというように了解すれば法違反と考えないのでありますか、いかがでありますか。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 サッカリンの添加につきましては、違法行為とは私どもも考えておりません。

八田貞義自由民主党

○八田委員 時間がありませんからそれくらいにしまして、それから過酸化水素の問題について少し森永にお聞きいたしたいと思うのです。  そこで過酸化水素を入れたということでありますが、MFミルク事件との関連においていろいろ御説明願いたいと思うのであります。問題となった徳島工場の所在地をお知らせ願いたい。これは荻原さんにお願いしたい。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 徳島の郊外に当りまして、石井町にあります。自動車で約四十分くらいのところです。

八田貞義自由民主党

○八田委員 その徳島工場において、一体どれくらい牛乳加工をされておるか、また乳製品の種類をお知らせ願いたい。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 時期によって違いますが、最近の数字でございますか。

八田貞義自由民主党

○八田委員 いわゆる過酸化水素を入れた当時の牛乳の加工量です。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 牛乳の量は、夏と冬と大へん違います。冬季には大体日量にいたしまして百五十石程度、夏季には八十石程度でございます。その牛乳で粉ミルク、原料用の大カン煉乳、バター等を製造しております。

八田貞義自由民主党

○八田委員 夏と冬によって牛乳の加工量が違う。そうしますと、森永として徳島には市乳工場を持っておられるかどうか、市乳工場を持っておられるならば、その所在地をお知らせ願いたい。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 徳島市内に一日に五石くらい処理をいたします小さな市乳のミルク・プラントがございます。しかしその原料につきましては、工場と関係なく自分で集めて作っております。

八田貞義自由民主党

○八田委員 それをもう少しはっきり願いたいのですが、市乳工場の原料乳を市乳工場まで運んでくる場合に、どれくらい時間がかかる場所から市乳の原料を集めるか、これをお知らせ願いたい。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 大体工場の周辺ですから、三十分ないし一時間くらいの範囲のものを運んでおります。

八田貞義自由民主党

○八田委員 市乳としては非常に短かい時間で工場の方に持ってこられる。そうしますと、ここで私お伺いしたいのですが、徳島の乳製品工場におきましては、一日百五十石くらい生産するとしますと、一体百五十石の乳製品の原料乳を徳島県下だけから集められておるのかどうか。これをお知らせ願いたい。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 徳島県と香川県の両県でございます。割合は大体六割が徳島県、四割が香川県というような程度でございます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そうしますと、香川県から徳島工場に持ってくるまでに時間が相当かかると思うのでありますが、香川県下で牛乳をお集めになった場合、それをお持ちになると思うのですが、集乳所は何カ所ぐらいお持ちになって、さらにまた集乳所の当時の設備等についてお知らせ願いたい。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 香川県内の当社の集乳所は三カ所ございます。昭和二十九年の当時におきましては、機械的な冷却機を持ったのが一カ所で、他は簡単な冷却装置でやっております。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そうすると、過酸化水素を入れられた当時は、集乳の設備は、冷凍機において非常に不完全であった、こういうことをお認めになるのでございますね。いかがですか。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 二十九年の当時まだ不完全だったと考えております。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そうしますと、不完全であった場合に、過酸化水素を入れられたのでしょうが、不完全な集乳所から運んでくるので、過酸化水素を入れたのだ、こういうふうにお考えになった動機ですね。動機と申しますと、非常に話が大きくなりますから、はっきり御答弁を願えないと思うのでありますが、一体外見上過酸化水素を入れなければならぬとお考えになるような色度、あるいは細菌数、そういったごとについてお知らせ願いたいと思います。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 過酸化水素はイタリアを初めヨーロッパの諸国で法的にも許されたところがございますし、過酸化水素自体は数時間のうちに全然水と酸素に変ってしまいまして痕跡が残らない、こういうようなもので、細菌の一時的の殺菌効果がございます。無毒であるということも学界でも証明をされておりますので、これを使用したことでございます。

植村武一自由民主党

○植村委員 関連して。ちょっと楠本さんに伺いたいと思う。今のオキシフルの問題ですが、荻原参考人のお話は全面的にとれを肯定なさいますか。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 先ほどもお答えを申し上げましたように、過酸化水素は食品衛生法におきましては、漂白剤としてのみ食品に添加することが許されておりますので、原料乳にこれを他の目的で使用いたしたとすれば、これは違法行為だ、かように考えております。

植村武一自由民主党

○植村委員 先ほどあなたの御答弁の中にこういうことがあったのです。製造過程においてオキシフルを混ずるときには多少意味が違う、こういうふうなお答えだったのですが、これをもう一度ちょっとお答え願いたい。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 私はなはだ失礼でございましたが、現在の法的な建前を申し上げたわけでございます。つまり現在生乳には何ものも入れてはならないということに相なっております。従ってたとい漂白剤として許された過酸化水素であっても、これを使用するととは違法であるということを申し上げました。ところが製造工程に入りますと、これはたとえますれば第二燐酸ソーダを入れても違法でないように、すでに製造工程において必要とされるものであるならば、毒なものは困りますけれども、有害でない限りこれは認められております。従って製造工程で過酸化水素を使いますことは、現行法の建前では違法行為とは言えない、こういうことを申し上げたわけでございます。

植村武一自由民主党

○植村委員 それでは局方にあるものだったら乳製品には何をまぜても差しつかえない、こういうことになるのですね。牛乳には一切異物を入れてはならぬが、乳製品には何を入れても差しつかえない、局方にある限りにおいては。こういうことなんですね。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 この点は、従来さような見解をとっておりましたが、森永事件等にかんがみまして、最近省令の一部を改正いたしまして、局方または厚生大臣の承認を得たもののみを使うことにいたしております、従いまして、現行法におきましても局方のものであるならば、乳製品においては使って差しつかえないことになっております。

植村武一自由民主党

○植村委員 同じことなのですね。結局局方にあるもの、厚生大臣の許可を得たものは何でもいいのですね。そういうことになりますね。同じことですね。  それでちょっと伺いますが、そういう考え方で、衆議院にはかかっていませんが、食品衛生法の改正をお出しになっているのですか。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 従来食品衛生法におきましては添加物の使用過程が、加工または保存等の目的のためにといたしておりまして、さらに製造工程にまでも立ち入って規制するということにつきましてはいささか疑義を生じておりますので、この点をはっきりしょうというのが今回の法律改正の一つの目的でもございました。  なお先ほどのお答えに、もう少しく誤解のないようにつけ加えさせていただきたいと存じます。局方に定められたものは乳製品においては何を使ってもいいことになっておりますが、一方過酸化水素につきましては漂白剤としてのみ許されておりますので、他の使用目的であれば違法であるということを申し上げたわけでございます。

中川俊思自由民主党

○中川委員 先ほど八田君の質問に対して厚生省も、それから森永さんの方も、サッカリンを使ったことは差しつかえないような御答弁があった。森永さんは、赤ん坊の食餌転換をさすので甘みを増すためにこれは使ったのだ、こういうことであった。そうしますと、現在はその甘みはどういうふうになっておるのですか。やはり食餌転換さすために甘みを増すためにお使いになつたのならば、今でもお使いになってもいいはずですが、今お使いになっていないのはどういうわけですか。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 ただいま書類で御報告を申し上げました通り、食餌転換時期に、心配いたしましたので少量の添加をいたしましたが、これは全数量の四分の一にそれを試みてみまして、世評を聞いておりましたが、変りがないものですからそれだけで、今から四年前の発売当初だけで、あとは全然そういうものを使っていないわけです。

中川俊思自由民主党

○中川委員 もう一点。どうも私は、食餌転換のために甘みを増すのでお使いになるのなら、現在もお使いになってもいいのじゃないかと思う。それをどういう根拠に基いておやめになったかということに、非常な疑念を抱く。これは私がそんなことを言わなくても、専門家であるあなた方は御承知なんですが、森永がサッカリンを使ったということに対しての非常な非難におびえておやめになったのであって、別に食餌転換に甘みをサッカリンで増さなくても差しつかえないというふうになったからおやめになったのじゃないと私は考えておる。それから楠本君の先ほどのお話で、今も植村君から御質問があったが、こういうような過酸化水素にいたしましても、サッカリンにしましても、少量の、害にならないもので、それが非常な支障を来たさないものであるならば使ってもいいというようなことが御答弁にあったと思うのですが、これは重大な問題だと私は思う。ことにそういう添加物はカンの表に表示しなければならないはずです。サッカリンにしてもカンの表に表示してございません。これは明らかに世間をごまかすための一つの手段としか考えられない。そういうような点から考えて、食品衛生の監督の立場にある厚生省が、今あなたが答弁するような態度で臨んでおるから、こういう問題が起る。そうして問題が起ったあとは、いつ、でもどろなわ式にあわてるの、あって、今日までの厚生省のやり方を見てみますと、そういう点が多い。でありまするから、楠本君のただいまの御答弁は非常に重大な問題だと思います。私は関連質問でございますから、御迷惑でありますので留保しておきまするが、この点は十分に考慮の余地があると私は考えておる。八田君もただいまいろいろ質問をしておりまするが、昨年の九月十日の質問のとき八田君は、冒頭に、乳児の中毒は世界始まって以来の大事件であるということを質問をするに当って述べておられる。速記がございます。これだけの大問題であった。今楠本君の御答弁を聞くと、こういう問題が起るのもむべなるかなという感じがいたします。そういう態度で厚生省が今日まで臨んでおりますために、何でもかんでも世間の目をごまかしてもうかりさえすればいいという商業道徳も何もない悪商人が各地にはびこるという結果になるのではないかということを私ども心配いたしましたから、この問題を取り上げたのでございます。関連質問でありますから、私はこの点について答弁を求めようとはいたしませんけれども、一応この点を後日のために申しておきます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 それで先ほど荻原さんから答弁があったのでありますが、香川県の集乳所から集乳した原料乳というものが非常に外観が悪いということで漂白剤として過酸化水素を使うことを考えた、こういうような答弁があったのでありますが、その場合使った過酸化水素の種類をお示し願いたいと思います。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 食用の過酸化水素を三%稀釈として使いました。ちょっと申し上げますが、三%か二%かはっきりいたしませんが、稀釈としてそのくらい使いました。

八田貞義自由民主党

○八田委員 それから先ほどの答弁の中に過酸化水素はすぐに消失してしまう、こういうことをおっしゃったのでありますが、一体過酸化水素が無害であるというような学界の意見があるか。さらにまた酵素などによって過酸化水素は簡単に消失する、こうおっしゃたのでありますけれども、これは学界の意見であって、森永では果してそれを実質的に裏づけられておるかどうか。裏づけられたならば、一体どういう方法によって過酸化水素が消失したか、その科学的な検査方法についてお知らせ願いたい。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 検査は香川県の集乳所で今の処置をとりました。牛乳が工場に到着いたしますと過酸化水素の量を検定いたしまして、その検定がゼロであるということの試験をして、それがゼロであるかいないかを検査いたしまして、それが大部分ゼロになっているということが証明されております。  検査方法につきましては、私存じておりません。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そうすると、荻原さんは実地にやっておらぬからわからぬとおっしゃるのですか。徳島工場においては消失したかどうかということをちゃんと科学的に検討して消失したのだ、こういうふうにお考えになっておるのか。ただやらぬで学問的には消失するのだ、こういうふうにお考えになってそのまま実行されておったか。これは非常に重要な問題だと私は思う。一体どういうような方法によって消失したかどうかということをお調べになったか。荻原さんは少くとも当時重要な責任の地位にあったと思うので、どういう方法でおやりになったか、全然お知りにならぬかどうか、一応お知らせを願いたい。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 実際に検査をいたしまして、ゼロであるという証明をしたわけであります。

八田貞義自由民主党

○八田委員 実際は十分な科学的試験方法でやったが、自分はそれを知らなかった、こういうふうな御答弁と了承してよろうしゅうございますか。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 その通りでございます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 楠本部長にお聞きをしたいのですが、過酸化水素がなくなったかどうかということを現在一体どういう方法によってやっておるか。というのは、今日牛乳に過酸化水素を使うというのは、これは先ほどもお話がありましたようにイタリアとかアメリカにおいてもやっておるわけです。しかしわが国においてははんぺん、かまぼこなどに盛んに使っておる。その場合に、これはもちろん不安定なものですから、なくなってしまうことはわかるのですが、実際に投じたならば必ず実験をしておかなければならぬ、その実験の方法について厚生省はどういう指示を与えられておるか。こういう実験方法によって消失をはっきりしておけ、こういうような御指示があると思うのですが、一体どういうような御指示をなさっておられるか。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 私どもがサッカリン、過酸化水素の使用を漂白剤として許可いたしますときに、いろいろ調べてございますが、後ほどその経過並びに検査方法等につきましては資料をもってお答えさせていただきと存じます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 それではあまり意地悪く質問するのはやめますが、そこで荻原さんにもう一つお聞きしたいのですが、一体過酸化水素を使用された期間と一なぜ使用期間をお尋ねするかというと、先ほど中川委員からもちょっと話があったのですが、過酸化水素の使用期間と今度の問題のいわゆる第二燐酸ソーダを入れて中毒事件を起した、これと関係するかどうか、これを一つお知らせ願いたい。この点は私も誤解のないように了解いたしたいと思いますので、過酸化水素の使用期間と中毒事件とは、期間的に関係があるかどうか、なければ使用期間を明示願いたい。   〔委員長退席、中川委員長代理着席〕

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 過酸化水素を使用した期間は、昭和二十九年五月六日から十月七日に至る期間でございまして、今度問題になったのは昭和三十年の四月から八月でございますので、これとの関連はないわけでございます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そこで厚生省の方から御説明願いたいのですが、この過酸化水素の使用問題について、漂白剤として使った場合には何ら法違反にならないのだというのですが、しからば過酸化水素を牛乳に投じた場合、法違反と考えられる根拠を一つ法文についてお知らせ願いたい。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 現在法的には、生乳にはいかなるものも混入してはならないということに相なっております。従ってたとい漂白剤として認められたものであっても生乳にはこれを使ってはならないということでございます。従いまして、生乳に使ったということになれば、これは明らかに違法だという見解を持っております。

八田貞義自由民主党

○八田委員 食品衛生法なら食品衛生法の第何条にどういうことが規定されておるか、また省令で言うならばというふうに分けて御答弁願いたい。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 これは過酸化水素を漂白剤として認められておるのは、食−品衛生法第六条に認められております。次に生乳に何ものも混入してはならないということは、牛乳省令の別表の四の(1)に規定してあります。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そうしますと別表四の「乳等の製造又は保存の方法に関するその他の基準」これでございますね。これは(1)と(2)に分けられておって、(1)には「乳には、他物を混入しないこと。」(2)には「乳製品には防腐剤を使用しないこと。」こういうふうになっておる。そうすると先ほど楠本部長から生乳には絶対に何でも加えてならぬのだ、この意味はよくわかるのでありますが、生乳というのはいわゆる市乳をさしての御答弁でございますね、どうなんですか。——そうしますと問題の森永で過酸化水素を入れた牛乳が市乳であるかどうかにつきましては、今までの質問によって加工乳の原料である、こういうふうに私了承するのでありますが、いかがでございますか。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 私どもいろいろ調査しました結果は、過酸化水素を入れました集乳所から送られますものは、いずれも乳製品の原料であった、かように考えております。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そうしますと別表四の(2)に「乳製品には防腐剤を使用しないこと。」と書いてありますが、過酸化水素は防腐剤の概念に入るかどうか、こういうことになってくるわけですが、楠本部長の御見解をお伺いしたい。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 現在私どもは過酸化水素は防腐的な目的で使用すべきものではなくて、むしろ漂白剤として使用すべきものだ、かように考えております。従いましてたとい乳製品の製造過程において使われたといたしましても、これはあくまで漂白剤としてのみ許されておる、かように考えます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 もちろん合成漂白料として過酸化水素が許されておるわけでありますが、これが森永にあっては、少くとも漂白剤以外に殺菌作用がある、こういうような考えで使われていたわけです。そうしますと殺菌力があればこれは防腐剤の中に入ってくるわけです。ただ問題は、今日まであげられておる防腐剤というのは、必ず残物が残る。残物が残らない化学的薬品となるとそう探してないわけです。ところがこの過酸化水素というのは、先ほどの答弁にありましたように非常に不安定である。従ってどんどん逃げてしまう。しかも殺菌力がある。殺菌力があるというのは一体どういうふうにして殺菌力があるのか、それを御説明願いたい。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 殺菌力につきましては、過酸化水素が分解の過程におきまして酸素を発生することによって殺菌力が一時的にあるものと存じます。しかしながらこれはあくまでも一時的の殺菌効果でございまして、保存目的等を持っております殺菌剤、防腐剤としては必ずしも適当のものと考えておりません。従って現在のところは、われわれといたしましては、これを漂白剤としてのみ許可をいたしておる次第でございます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そこで過酸化水素が生細胞の中にあるかどうかという問題です。たとえば唾液の中に過酸化水素があるかどうか、皮膚面に過酸化水素があるかどうか、こういう問題になってくるのでありますが、無害度と関連させまして、人体内に過酸化水素があるかどうか、それについてお知らせ願いたい。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 はなはだ技術者として恥かしい話でございますが、人体内の過酸化水素の存在については、必ずしもはっきり存じておりませんが、若干は唾液その他にあるのではないか、かように考えられます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 人体の皮膚とかあるいは唾液の中、あるいは生細胞の中にも、過酸化水素は検出できるわけです。その点をお考えになれば有害とは考えられないのであります。従って有害としても過酸化水素を証明したという研究報告むないわけです。そこで過酸化水素を無害である、しかも容易に消失しやすい、人体に対して全然無害な過酸化水素が少量によって殺菌力を持ち、漂白剤としても力を持つということは、わが国の酪農進展の上において十分考慮していかなければならぬと思うのであります。というのは、すでに楠本部長も御承知のように、ドイツが第一次大戦中において、インドから牛乳を運ぶ場合にこの過酸化水素を使っておるのであります。また現にイタリアにおいてこの過酸化水素を使っておるのであります。ところがわが食品衛生法においては、これを殺菌用として使っちゃいかぬ、こういうふうになっておるのでありまするけれども、私は今日の日本の分散酪農の形態を考えてみますと、過酸化水素を牛乳の中に加えていくということは、今後の食糧行政の上にとって一つの課題である、むしろこの際あなた方が過酸化水素の使用に対して、法文に照らしてあいまいな態度をとらないで、むしろはっきりとして、今後過酸化水素を日本の酪農形態進展のために使うのだ、そのための努力を今後やっていきたいというお考えがあるかどうか。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 ただいまの御指摘は、全く私どもも同感でございまして、何分にも日本の酪農の形態が分散飼育であり、特に都市にかなり遠方から運ばれるということで、この牛乳の質の保持をいたしますことにつきましては、かねていろいろ研究をいたしております。現在は主として集乳所に冷却施設を設けさせるとか、あるいは冷蔵車で運搬せしめるとか、あるいはできるだけ運搬時間を短かくするとか、いろいろなことを実行しておりますが、さらにただいまの御指摘の点は、外国にも例のあることでございますので、慎重に研究をいたしてみたいと存じております。

八田貞義自由民主党

○八田委員 時間がないそうですから、私厚生当局に希望をいたしまして終るのでありますかが、過酸化水素によるところの牛乳の殺菌に関する文献が相当たくさんある。並びに過酸化水素を牛乳の中に使うという特許などから考えてみまして、将来その方法の標準を定め、乳質保持に関する新方法としてその表示を積極的に明示することが適当であると私は考える。時間がございませんので、これを私の最後の希望として述べておきます。

植村武一自由民主党

○植村委員 関連して。楠本さんに伺いますが、牛乳には他物を混入してはならぬ、そして乳製品には先ほどの御答弁によったら局方であれば何を使用しても差しつかえない、こういう考え方ですが、これは一体どういう根拠からさようなお考えになるのですか、伺いたい。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 何を使ってもいいということを申し上げましたのは、これはおのずから食品衛生法第六条等におきまして、添加物の範囲が規制されております。従いまして禁止されました化学的合成品は使用のできないことは当然でございます。ただ添加物として使います際に、許可されたものであるならば何を使ってもいいということを申し上げた次第でございます。  なお乳製品は全部全乳だけが必ずしもいいとするわけではございませんので、場合によりましてはかえって砂糖を入れるなりあるいは他の適当な栄養素を入れるなりいたしまして、使いやすい形にいたすことが最も合理的な場合もございます。従いまして乳製品には、生乳と違いまして、許されたものであるならば何を使ってもいい、こういう考え方でございます。

植村武一自由民主党

○植村委員 そういうお話だったら牛乳にも砂糖なり何なり入れてもいいじゃありませんか。飲みやすいようにするのだったら同じ理屈ではないですか。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 もちろん牛乳に他の成分を加えて販売することは許されております。ただしこれは乳飲料の範疇になるのが現在の建前でございます。

植村武一自由民主党

○植村委員 牛乳も乳製品の中の粉乳も練乳もともに赤ん坊の主食なんです。しかも森永さんで起したこの大事件は、その中の牛乳に他物を混入してはならぬという原則を乳製品に適用されておったらこんな悲惨事は起らなかったと思う。しかるにこういう悲惨事が起ったというのは、牛乳なら他物を混入してはねらぬのに、乳製品には他物を混入せしめたからこんなことになった。原因は添加物とか安定剤とかこういうものなんです。それにこりずに、またこれを無制限に認めていこうという厚生当局の考え方は根本的に間違っていると思う。いかがでしょう。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 無制限に認めるということでございませんので、許された範囲におきましては添加剤として使うことを認められている、かようなことでございます。なおその他砂糖なり他の栄養素なりを使いますときには、必ずその割合等について厚生大臣の承認を得ることになっております。ただ添加物に限っては個々に承認をとらずに、一括して本法におきまして添加物のうち支障のないものはそれぞれ添加物として使用が認められている、かようなことでございます。

植村武一自由民主党

○植村委員 それではちょっと伺いますが、乳製品には防腐剤を入れてはならぬ、こうなるのですね。これは何がためにこういう規制をなさるか。たとえばバターやチーズには防腐剤が入っているじゃありませんか。しかも先ほどおっしやるところによったら、厚生大臣が承認をしたら何を入れてもさしっかえないのだ、こういう考え方なんでしょう。そうしたら同じ乳製品の中にバターやチーズに防腐剤が入っているのに、わざわざこの練乳と粉乳にだけ禁止をするというのは、一体どういう論拠なんですか。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 乳製品特に調整粉乳等につきましては、これは主として乳児の主食でもございます。従いまして添加物たる防腐剤はもちろん害がないといたしましても、必ずしも望ましい姿のものではございません。従って現在は乳製品にはこれを許可しないことにいたしております。なおもう一つは、防腐剤を認めますと、製カンなりカンの洗い方、あるいはカンに詰めますときにややもいたしますと防腐剤にたよりまして、粗雑に流れやすいという懸念もございますので、乳児の保育上きわめて重要な食品であるという意味から防腐剤は使わないという方針をとっている次第でございます。

植村武一自由民主党

○植村委員 それでは伺いますが、サッカリンをまぜられたことは間違いない。しかもこれは法律によるのじゃないとおっしやる。これは望ましいことですか、望ましくないことですか。これは法律的な見解とは別個に、乳児の保健衛生上望ましいことであるとお考えになりますか。望ましくないとお考えになりますか。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 サッカリンは使用目的から考えましてきわめて重要な意味を持っているものと思います。たとえば砂糖のかわりにサッカリンを使うというようなことは望ましくないと存じます。しかしこの場合は乳糖の甘味を補う意味で使ったということでございます。またサッカリンはすでに無害であることも認められているむのでございます。また一方、食品衛生法でもその使用が認められているものでありますので、特に私どもはこれは積極的にすすめるべきことでもなく、またそうかといってこれを拒否すべきものでもない、かように考えている次第でございます。ただしそれにはあくまで厚生大臣の承認を得ました成分規格が厳重に守られているという条件はもちろんでございます。

植村武一自由民主党

○植村委員 乳糖の甘味を補うためにまぜるなら差しつかえないが、そうじゃなかったら好ましくない。乳糖の甘味を増すために蔗糖を混ぜたらどうなるか。なおいいということになるのですか。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 小児科方面の一般的な意見等を総合いたしますと、砂糖あるいは蔗糖に比べまして、乳糖がより赤ん坊の保健上優秀であるということは決定的な意見のようでございます。従って砂糖あるいは滋養糖等のかわりに乳糖を使うことは好ましいことと思っております。

植村武一自由民主党

○植村委員 私の質問をちょっとはずれているのですが、乳糖は甘味が少い。それがためにサッカリンを用いることはやむを得ないということであるが、しかしこれは好ましいことでないというお話なんです。それなら乳糖プラス・サッカリンというものを蔗糖に置きかえたら、その製品はいいということにお考えになるのでしょうね。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 これはただいまお答え申し上げましたように、砂糖を使いますよりも、たといサッカリンで甘味を補ったとしても、乳糖を使う方が赤ん坊の保育上すぐれておるということは言えると思います。砂糖よりも乳糖の方が異常醗酵等を起さずに優秀である、かように考えております。

植村武一自由民主党

○植村委員 まだおかしいのです。乳糖のよさはこれはわかりますよ。しかし甘味が足りないからサッカリンをまぜることはやむを得ない、こうおっしゃるのでしょう。ところが、乳糖にサッカリンのかわりに甘味を増すために蔗糖を入れたらなお製品が上等になるんじゃないですかということを聞いておるのです。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 これはおそらく成分規格が、たとえば乳固型分七〇%とかあるいはカロリー源としての砂糖ないし乳糖何%というようなことにきめられておりますので、おそらくまぜ合すことが困難ではないか、その組成の関係から不可能ではないか、かように考えております。

植村武一自由民主党

○植村委員 それではサッカリンは表示されていなかったのですね。それで差しつかえないのですか。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 サッカリンの表示につきましては、これは食品衛生法の省令におきまして、ジュースとかあるいはその他品物を規定いたしまして表示を義務づけております。この趣旨といたしますところは砂糖のかわりにサッカリンを使いましたようなものは栄養価値がございませんので、それを表示させる意味でカン詰とかあるいはジュースとかいったものに表示を義務づけております。ところが牛乳の場合にはサッカリンにつきましては何ら表示的には規制してございませんので、従って先ほどお答え申し上げました通りにこの点では違法ではないということを申し上げたわけでございます。

植村武一自由民主党

○植村委員 今後もそれではサッカリンをまぜた場合には表示しなくてもいい、こういうふうな方針をおとりになるのですか。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 サッカリンの使用につきましては薬事法等においても認められておるところでございまして、この場合にもサッカリンについてはたとえば滋養糖等にはサッカリンを入れる場合もございます。また薬品で特に砂糖を好ましくないと思われる薬品に甘味をつける場合にサッカリンを使う場合もしばしばあることでございますが、これらの場合につきましても特に表示規定はつけてございません。従って私どもも使用目的から考えまして、必ずしもサッカリンの表示を必要とはしないと考えますが、しかしこれらの点につきましてはなお慎重に検討をいたしたいと考えます。

植村武一自由民主党

○植村委員 私はジュースなんかにでもサッカリンの表示をしているのに乳製品にサッカリンの表示をとるという根拠が私はどうしてもないと思うのです。当然これは表示をさすべきじゃないか。消費者の人々にそのことを認識さすべきだと私は思う。私は特にこれを表示する必要がないとかあるとかいう問題でないと思うのだがどうでしょう。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 ただいまもお答え申し上げました通り、ジュース、カン諸等に砂糖を使わずに砂糖がわりにサッカリンで甘味をつけたということはその品質に重大な影響を来します。しかしながらこの乳糖の甘味を補うという場合にはもともとそれらの品質は厚生大臣の定めましたそれぞれの成分規格がございますから、それに合っている限りは別に私どもとしては可もなし不可もなしという態度で臨んでいるわけでございます。しかしながらこれらの点につきましてはなお慎重に検討をいたしたいということを申し上げている次第でございます。

中川俊思自由民主党

○中川委員長代理 吉川兼光君。

吉川兼光日本社会党

○吉川(兼)委員 私は一つ参考人の方にお尋ねしたいのですが、冒頭一言申し上げておきたいことは、私、実はこの国会は健康を害してもう数カ月ほとんど会議には出ておらぬのです。ところがきょうは森永ミルクの問題がかかるというので、自分のことを申し上げて恐縮ですが、病中を押してここへ出てきたのであります。ところが午後に予定の議事がありまして、私に与えられた時間があまりないのです。そこできわめてわずかな時間、若干のことをお伺いするわけでございますが、きょうのこの質問で私の質問が終るのではないということを申し上げておきたいと思います。私は次の国会からは、この問題をもっと広く深く取り上げまして、あるいは参考人の方にもまた来ていただくようなことがあるかもしれない。私の質問は留保事項があるということをあらかじめ御了承おきいただきたいと思うのであります。  そこで順序としまして、最初にお伺いしたいのは、これは一つ楠本部長から伺っておきたいのですが、この森永ミルクの中毒によりまするところの全国の乳児の罹災者の動態といいますか、おそらくどなたかから質問があったかしれませんから、お答えになった分は時間を省く意味でお答えいただかなくてよろしいです。後ほど速記録を読みます。  それからもう一点は、現在その完全治療に向いまして、どういうようなことが行われておるか。これは政府の方のやっておること、また森永の方でやっておること等を簡潔でよろしいですからちょっとお伺いしておきたいと思います。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 多数の罹災者のうちいまだ入院治療をいたしております者が二十七名、通院いたしておりますものが六百二十七名に及んでおります。しかしながらこれらの患者は必ずしも直接砒素中毒に原因する患者ではなく、むしろ他の原因で病気になった者が大部分でございます。しかしながら私どもといたしましてはこれらの点についてはあえてそう厳格に判断せずに治療を継続するようにしたいと考えております。それから一方私どもは、現在これらの患者並びに後遺症の問題が心配されます。一方すでに全快いたしました患者でございましても、かなり不安の方もあろうかと存じます。従ってこれらの方々に対しましては、目下各府県に通牒をいたしまして、それぞれ権威ある機関で総合的な健康診断をいたしまして、その結果後遺症の有無あるいはもし心配があるとすればその解明というようなことに努めておる次第でございまして、目下各府県におきまして精密な健康診断がそれぞれ進められております。しかしながらこれらはもちろんその経費は、旅費をも含めて森永側が負担するように指示をいたしております。

吉川兼光日本社会党

○吉川(兼)委員 現実は負担しておるのですか。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 現実に負担をいたしております。

吉川兼光日本社会党

○吉川(兼)委員 ただいまのお話の中に必ずしも砒素を原因としないと思われるような病人に対してもあまりやかましいことを言わず治療をさしておる、こういうことを言っておりますが、それはどうも私はおかしいと思うのです。森永ミルクの罹災者に対する話を私は聞いておるのであって、森永ミルクによりますところの、いわゆる砒素中毒でないかもしれないということを、こういう公開の席上ではっきり言い得るような、そういう患者に向ってどうしてそういうことをなさるのですか。その原因を究明しなくて、それを原因としない者に対してまで何のために森永がそういうことをやり、また厚生省がそういう指示をしておるかということを伺いたい。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 その検診をいたしました専門家の総合的意見によりますと、現在治療を受けておる者は、そのほとんど大部分が砒素に関係がないということを言っております。しかしながら私どもといたしましては、かねて森永側に対しましては、直接的な原因でなくても、間接的にいろいろな支障を起した者に対しては・これは直接原因で病気になった者に準じて始末をするように言っております。ところが果してそれが間接的な原因であったかあるいは全然砒素に原因がなかったかということになりますと、これは場合によりますと専門家の総合判断によりましてもなかなか困難な点がございます。従ってどうも全然ないか、あるいは、たとえば砒素中毒のために体力が衰えておって、そのために別な病気になったという者を一体どう考えるかということは、これは被災者同盟とも私ども話し合いをいたしておりましたときにいつも問題になった点でございます。従って私どもといたしましては、体力の衰えているためになったとか、つまり間接的な原因と考えられます場合には、それを幅を広く解釈して治療を続けるように考えておる次第でございます。

吉川兼光日本社会党

○吉川(兼)委員 今の直接的、間接的というの、でやや了とする面が答弁に見えるのでありますけれども、あなたは最初はそういう間接、直接という言葉を使わないで、ただ森永の砒素に原因しねいと思われるものもあるけれどもやっておるということ、これはどうも私は答弁の体をなしておらないと思うのであります。われわれは素人でありますから、あまり専門的なことのお尋ねはできませんが、間接的にでも、この砒素を一つの原因にして、それで健康状態が悪くなったり、非常に体質が弱くなったりして、後の病気が出てくる、後遺症というのでしょうか、そういう疑いのあるものであるならば私はわかるのですが、それがどうもはっきりしなくて、こういう公式な質問に対する応答の中に、間接、直接という言葉を使わずして、砒素には関係のないようなものにまでもやっているということは、これは私は空耳汁になっていないと思うから、御注意の意味で申し上げたのであります。そうしますと、その検診について、その後のいろいろな要求があるのだろうと思うのですが、その検診に対してはどういうふうな処置をとっておるのでございますか。検診の申し出あるいは申し出がなくても検診をするということについて……・。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 これら検診の希望者及び現在の患者等につきましては保健所に連絡いたしまして、そこで被災者である証明を受けまして、その証明をもちまして、あらかじめ各府県が各医療機関等と相談をいたしまして定めてございます総合的な診療施設、県にある総合的な診療施設へ参りまして、そこで総合的に精密な健康診断を受けるということに相なっております。

吉川兼光日本社会党

○吉川(兼)委員 後遺症ということになりますと、われわれしろうとがちょっと読んだものによって判断いたしてみましても、それぞれ患者によりまして時間的な較差があるのではないかと思うのですが、相当何年もたってから出てくるようなものもあるのではないかと思います。そこでそういう時間的な経過があって、一時はいいと思っておりましても、どうもその後よくないような状態が出てきた、こういうような場合に、その間に何カ月か、あるいはことによると一年も二年もというような間を置いて検診を求めるような事態も起らないとは保障できないと思いますが、そういうような場合にどうなるのですか。ただ漫然と保健所に行って証明書をもらってそうして検診を求めるというようなことになるのか、あるいはその患者に対して、いつでも保健所に行って一つの権利として検診をしてもらえるような、手帳というか、あるいは伝票というか、そういうものでも用意してあるのか。いわゆるカルテの類ですが、そういうことをやっておるのか、ただそのときそのときにいつ行ってもいいのか。極端に言えば、三年、五年たって行っても保健所がそれをちゃんと証明してくれるのか、そういう帳簿が保健所あるいは厚生省、どこかにあるのか、そういうこと等について少し詳しく聞きたいと思います。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 私どもは、との作業は一応当分の間と規定してございますが、と申しますのは、一応もうそろそろ全部完了と思いますが、これらの健康診断が完了いたしました結果、それをさらに私どもの立場で精細に判断し、あるいは現在の医療対策に対しては専門家をもって委員会が組織してございます、従って委員会にも諮って一応実情を正確に把握した後それらの問題は考えたいと思います。従って現在は当分の間ということでその作業を進めておる次第でございます。

吉川兼光日本社会党

○吉川(兼)委員 また委員会が出てきたようですが、それはどういう委員会か伺いたいのです。と申しますのは、この前の五人委員会というものに対しては、私は少くともまだ相当の疑義を持っておるのです。五人委員会については、この前多賀谷君であるとかいろいろな人がら議論があったようでありまするから、時間のないところで五人委員会の議論はしたくありませんが、ああいうような、われわれから見ますると必ずしも当を得ておらぬというような疑いの差しはさまれる余地のあります委員会が出てきて、たとえば被害者同盟と森永との間の話なども、私どもの仄聞しておるところによりますと、五人委員会の出した妙な結論が相当のウェートをもって問題を無理じいに解決に導いたきらいもあるように私ども思っておりますが、今あなたの言います委員会というのは、この問題のために作った委員会であるのか、それともこの種の問題の起った場合に、厚生省当局として諮問するためにかねてからある委員会であるのか、その委員会の性格と名称をお伺いしたい。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 委員会と申し上げましたが、これは当初から最高の治療を行う、それにはできるだけ専門家、つまり小児科のその方面の専門家あるいは経験者等を網羅いたしまして、できるだけ最高の治療を実施するという建前で、事実上名前は設けませんけれども、お願いをいたしまして、いろいろ御意見を聞いて参っております。それをさして申し上げておるわけでございまして、従ってさような専門家にさらに今回の精密検診の結果を総合いたしまして御判断を願って、それによって善処いたしたい、かようなことを考えております。

吉川兼光日本社会党

○吉川(兼)委員 ちょっと専門家のお名前と資格を知らせて下さい。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 九州大学の小児科教授、岡山大学の小児科教授、大阪の西沢教授、京都大学の小児科教授及び東京では第一国立病院の栗山博士、その他専門家をもってお話し合いを願っております。

吉川兼光日本社会党

○吉川(兼)委員 それは後ほど文書で一ぺん詳しくお知らせいただきたいと思います。  それでは一つ社長の森永さんにお伺いしたいのですが、あなたはあなたの社長をしております会社が、このような世界的にも珍しい中毒事件を起しておりまするについて、責任を当然お感じになっておると思うのでございますが、その責任はどういうふうなものだと御解釈になっておるのか、またそれを具体的にどういう形で、その責任を感ずることを表現されるおつもりであるか、そういうことを一つ伺いたい。

森永太平森永乳業株式会社常務取締役社長

○森永参考人 この事件の勃発いたしました当初、直ちに私は責めをとる決意を持っておりましたが、私どもの会社は傍系会社が五つございまして、代表取締というものがそれぞれの会社を担当いたしておりましたので、この事件処理に当りましては、乳業会社の大野代表取締役が事件処理に当っておりました。しかし社長の責めにありましたので、当然、先ほどもお答え申し上げたのでありますが、私も責任を痛感いたしまして、病気にかかっておられる方々が一日も早く完全になおるように万全を尽して治療の面に当る、またおなくなりになった赤ちゃん方には、心から御弔慰申し上げたい、かように考えております。また今後の問題におきましては、ただいま準備中でございますが、公益財団を作りまして、そして母子の衛生、あるいは育児の栄養というようなことを十分研究して、少しでも社会のためにお尽し申し上げて、この償いにしたい、かように考えております。そして去る五月二日に、全国患者同盟と円満解決が、できましたので、私も去る五月三十日、一昨日の総会におきまして、辞任をいたしたような次第であります。

吉川兼光日本社会党

○吉川(兼)委員 あなたは、この問題が起ってからほぼ一年に近いのでありますが、その間に罹災者のところを回るとか、あるいは少くともいろいろな、たとえば徳島工場あたりにお出かけになって、その辺のことを調べるとか、そういうような具体的な動きをされておるのでありましたら、それをちょっと伺いたいのです。

森永太平森永乳業株式会社常務取締役社長

○森永参考人 あの事件の起きました当初、ただいま申し上げましたように、私の担当しております製菓会社も一時ほとんど営業停止の状態に入り、混乱に陥りましたので、社を離れることができなくなりました。ただ心のうちにひたすら謹慎いたしておった次第でございますが、その後患者同盟の方方といろいろと折衝がございましたので、私はただ製菓会社の立場として、乳業会社の方に協力はしておりましたが、いまだ患者のお見舞にも上りませず、申しわけなく存じておりますが、今日に及びました次第であります。

吉川兼光日本社会党

○吉川(兼)委員 あなたは盛んに製菓会社、製菓会社とおっしゃいますが、きょうここにおいでになりました資格を見ますると、森永乳業の常務取締役社長でございますね。それで私は製菓会社の社長としてのあなたのお動きを、別に伺う必要はないのでありまして、少くともあなたは、なるほど代表取締役は別にもおるようでありますが、あなたは少くとむ森永という名前によって示されるごとく、事実上のシンボルのような存在ではないかと思うのですが、私はなぜそういうことを聞くかと申しますと、実はこの事件が起って間もなく、千葉県で出ている新聞、あるいは東京の新聞の千葉版であったかもしれませんが、それに房州の方の牛を飼っております酪農関係の人たちの談話が出ておりまして、森永の社長の森永太平氏はこのたびの乳児中毒事件で責任を感じてみずから自動車を廃してげたをはいて——げたをはいてというのはどういう意味かよくわかりませんが、げたをはいて会社に出ている。こういう責任を感じている森永社長によって代表されている森永乳業が、思わざることからこういう砒素中毒事件を起しているのはまことに気の毒だから、われわれは酪農業者の建前から森永に大いに同情して協力を惜しまないというような記事が出たことがあります。もしあなたが見たければ、どこかにあるはずですから、探してごらんに入れてもいいのですが、あなたの方に乳を納める農民の間においては、それほどあなたが責任を感じているという宣伝がいち早く行き届いております。しかるにこういう事件が起って、あなたがその患者の間なり、いろいろ問題の起ったところをお回りになった事実があるかと申しますと、製菓会社の方が忙しくて全然回っておらないと言われる。どうも私はあの新聞記事を思い出して、その新聞記事を通じてあなたの人柄を想像しておったのと、この事件が起ってからのあなたの動きというものとがどうもぴったり来ない。これは私ひとりの感じかもしれませんが、そういう感じが私にはしてならないのです。この問題は、私はもう冒頭に、あなたの方の大野さんでありますか、七海さんでありますか、ああいう方がお見えになったときにも申し上げたつもりであります。少くとも私どもの考え方では、ビキニの灰以上の事件だと思っている。ビキニの灰の事件では厚生省もひっくり返るような大騒ぎをしたようでありましたが、これは人間の死ぬ数が多い少いということでないかもしれない、そういうことだけが標準になるのではないかもしれないけれども、あれは結局一人なくなったにとどまっている。その他いろいろ後遺症のごときものはあるようですけれども、あなたの方は何しろ全国的に大へんな乳児をこの事件で殺しているのです。これは簡単に比較することはできない問題と思いますけれども、そういう事件を起しておきながら、べんべんとして、あなた自身は東京から、この問題に関しては一歩も出ておらない。そして何か自動車を廃止した——自家用車を廃止してもほかの自動車も利用できましょうし、また利用しておってもかまわないのですが、そういうことが関係のない農民のところに喧伝されておってそうして患者の方には具体的な動きは一つもない。どうも私はあなたのこの問題に対する責任感というものは、あなたが先刻来おっしゃっておられる言葉通り受け取れない気がしてならないのです。あなたが会社の社長か重役を五月三十一日限りでおやめになったとかならないとかいうことは、これは社内の問題であって、私はそういうことは別にあなたの責任を表明することにはならぬと思う。むしろ考え方によりますれば、社長にがんばっておってこれから先も当然出てくるでありましょうところの罹災者に対するところの後遺症の問題、補償の問題、そういうことに対してあなたは社長の立場から十分に御努力をすべきものであるという考え方もできるのであって、あなたがおやめになったこと自体は、少しもこの問題に対する誠意とは考えられない。会社の事情でおやめになったのはけっこうですが、おやめになったから、あなたはこの問題と縁が切れた、責任がないと考えておるかどうか、その辺をちょっと伺いたい。

森永太平森永乳業株式会社常務取締役社長

○森永参考人 決して私は森永の乳業会社の社長をやめたからこの問題に対して今後責任がないというのではなく、ただいま申し上げましたように、会社といたしましては公益財団法人を作りまして、できる限りこの後遺症の問題等につきましても今後誠意をもって尽して参りたい、かように考えております。

吉川兼光日本社会党

○吉川(兼)委員 時間が大へんないようでございますから——五月二日でしたか、被災者同盟との間に円満な解決ができたとおっしゃったが、その際の解決の条件といいますか、そこで取りきめたことを一つ伺っておきたいと思います。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 五月二日に円満に解決したと申しますのは、従来のいろいろな補償をいたしましたこと並びに精密検診に対して当社が最後まで責任を持っていくということで解決をいたしたのであります。

吉川兼光日本社会党

○吉川(兼)委員 それだけですか、まだあるでしょう。全部言ってもらいたいのです。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 実は七海常務が折衝に当っておりましたので、詳しいことは存じておらないのでございます。

吉川兼光日本社会党

○吉川(兼)委員 きょうあなた方はこの森永ミルクの中毒事件の参考人で来られておる。そうして五月二日に円満に解決したということを社長みずから言われておりまして、その解決の条件を詳しく御存じにならぬというのは、どうも私には誠意のほどが疑われるのです。そう複雑な条件ではないように思います。私も実はある程度聞き及んでおるわけですが、それを確認する意味でお伺いしておるのです。どうしてそんな一つか二つかだけを話して、あとは話されないのですか。何か話されないような妙な取引でもあるのですか。そうでなければ御存じの筋を全部申すべきじゃないかと思います。社長でもそちらの荻原さんでもけっこうですから、もう少し詳しく言って下さい。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 治療費につきましては全額負担。それから入院費あるいは通院費については、それぞれ四百五十円、百五十円を支払う。それから補償といたしまして二十五万円の弔慰金をお出ししたのであります。これはなくなった赤ちゃんに対して二十五万円の弔慰金。それから入院患者に対して一万二千円、通院患者に対しては一万円の見舞金を贈りました。そのほかなくなられた赤ちゃんに対しては、一周忌の香華料として金三万円を差し上げました。なおそのほかには、お話の後遺症の問題について一番御心配なさっておりますので、一斉検診を厚生省の御指示によって全国的に行なっておりますが、これに関する諸費用。それからなお後遺症がはっきり認められた場合には、これの治療費を当社が負担する、こういうことにお答えをいたしております。

吉川兼光日本社会党

○吉川(兼)委員 どうも私はあなたの参考人としての誠実さを疑いまするし、またけしからぬと思います。あなたは参考人として、私が最初に質問したときには、それ以上詳しく知らぬと言って、重ねて聞けば今の程度はお話になるようですが、そういうふうにこちらが何回も聞かなければ話をしていただけないということになりますると、成規の方法でちゃんと宣誓をして、そうしてあなたにほんとうのことを言ってもらうという方法によってお越し願うような手続をとらなければならぬです。きょうは参考人でございますからそれほどの束縛はないのでありますが、限られた時間で、われわれも忙しいのでありますから、二度も三度も手間をかけないで、知っておるだけは言ってもらいたいと思います。それだけですか、まだあると思いますが。それではあなたが直接その衝に当っておられなければ詳しく御存じにならぬかもしれぬので、直接当っている方に照会されて一つもっと詳しいことを文書で後ほどお出しいただきたいと思います。これは被災者同盟の方がたびたび私どものところに来られまして、話を伺った点もあります。それから印刷物に書いてあったこと等もございまするし、この問題を認識する上において、私どもはそのときの話を全部承知しておきたいと思いますから、重ねてお願いいたします。  それから森永社長さんの方にもう一ぺんお伺いしますが、被災者同盟との間に五月二日に解決されたとおっしやいますが、それだけでこの問題は、森永に対する補償その他の交渉は全部済んだとお考えになっておるのでありまするか、被災者同盟が代表した者は被災者の全部ではなかったように思います。それが大部分であったことは間違いありませんが、またここにそういう要求などが出てこないとも保しがたいのでありますが、そういうことに対する御用意があるかどうか。これは社長さんから一つ伺いたい。

森永太平森永乳業株式会社常務取締役社長

○森永参考人 全国被災者同盟の大部分とは調印が済みまして解決はしたと一存じております。ただ聞きますると、岡山の同盟の方が幾つかに分れて、そのうちの一部が提訴をしておるというような報告を受けておりますが、これに対しましては、まことに私ども御理解をいただけないのが残念でございますが、ただいま海野先生と相談中でございまするので、いずれ解決するではないかと存じております。

吉川兼光日本社会党

○吉川(兼)委員 それではもう一つお伺いしておきたいのですが、徳島の工場のこの方面の責任者と、それから本社からもどなたか検察庁に調べられたように思いますが、あれは今どういう状況になっておるかということ、これは荻原さんからでけっこうですから、伺いたい。

荻原昌次森永乳業株式会社常務取締役生産部長

○荻原参考人 当寺の工場長の大岡それから製造課長の小山が過失傷害致死の容疑で起訴を受けております。現在徳島の裁判所で裁判が進行中でございます。

吉川兼光日本社会党

○吉川(兼)委員 それからこれは厚生省の方にお聞きしておきたいのですが、先刻の患者の動態の御説明で、入院患者二十七名、通院患者六百二十七名ですか、そういうお話がありましたが、最初に出ました罹災者、特に死亡者百人以上をこえる、あのときからどういう経過をたどってこういう数に落ちついたかということを後ほど文章で一つお知らせをいただきたい。  それでは私はこの程度で終ります。

中川俊思自由民主党

○中川委員長代理 大橋武夫君。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 私は厚生省に伺いたいのですが、昨年の秋に厚生省でいわゆる五人委員会なるものによって、森永乳業に対しまして補償の金額を勧告されたことがあります。その当時、厚生省ではその勧告した金額はきわめて妥当である、こう言われておるが、私はその妥当の根拠が疑わしいので、もっと十分に研究をした上でお答えを願いたい、こう言ってあったのですが、その後お答えがございませんから、この機会に一つお答えを、ただきたい。  私の質問の要旨は、交通事故によって失われた生命に対する当時の一般的な損害金に比べまして、あなた方が森永乳業に対して勧告されました損害の金額というものは著しく少額である。そもそも今度の事件というのは、これは食品の中毒なんであって、食品の中毒などということは容易ならぬことであります。これは昔から人を殺すのしも、頭からぶんなぐって殺すよりも毒殺というやつはもっと悪質と言われておる。つまり相手の信頼を裏切るという点において、このくらい悪質なる過失殺人というものは私はないと思う。それに対するものと洞爺丸その他の交通事故が同じだととうてい言えない。私どもは洞爺丸その他の交通事故に対して政府のとられた損害の金額に比べまして、厚生大臣が森永に勧告せられました金額というものは著しく不当ではないか、ふつり合いではないか、こういうことを申し上げたのですが、その当時あなたの方ではなお調査の上お答えする、こういうことであったから、この機会に一つはっきりお答えをいただきたい。あなたがお答えできなければ大臣からお答えいただきたい。

楠本正康公衆衛生局環境衛生部長

○楠本政府委員 これはきわめてむずかしい問題でございまして、(大橋(武)委員「むずかしいから半年も待っておったのだよ、半年間何をしておったか」と呼ぶ)私から必ずしも御満足いただける御答弁ができないかと存じますが、私どもといたしましては、さっそく五人委員会の委員の方々にこの根拠、あるいは考え方自体を聞いた次第でございます。これらを総合してみますと、つまりこれは一応過失責任があるかどうかということは他日に残されておるので、過失責任が明らかになった場合はまた別といたしまして、現在徳義上の責任という点から考えると、かよう血補償の範囲で妥当である。なおその場合に最も重点を置かなければならぬことは、むしろ経済的補償よりも治療費の万全ということである、(大橋(武)委員「死んだ人に治療費というのはどういうことなんだ、私は死んだ人の問題を言っておる、死んだ人の治療費なんてものはあり得ない」と呼ぶ一というようなことでございまして、私どももやはり現在のところは妥当なものと思っております。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 ただいまの局長の答弁の中で重大な点がございましたから、この点を指摘しておきます。すなわち厚生大臣が指示されたところの損害金というものは、一応過失の責任が不明確な今日において道徳上の責任額としてあの程度が妥当である、こういう標準で指示されたわけである。将来過失の責任が明確になった場合においては、それに対してさらに厚生大臣がその過失の程度を認定した上で増額の勧告をされるものと私は心得るのであるが、あなたは一体そういうことをはっきりお考えになっておるのですか。今のあなたのおっしゃったのはそうなんですよ。今のところは過失の責任がまだ明瞭でない、なるほど今関係者は起訴されて、裁判中でありまして、まだ刑事責任が明確になっておらぬ、そこでこの際においては森永乳業において責任があるかないか法律上明確でないから一応道徳上の責任としてこの程度でよかろう、こういうことについて厚生大臣は勧告されたのだ、だからあの金額が妥当だと思うと今あなたはおっしゃった。そうすると、これが将来有罪として罰金その他の処分があった場合においては厚生大臣は、明らかに重大な法律上の責任に基いて当然何がしか増額を勧告されるものと私は理解せざるを得ない。この点を一つはっきり申し上げまして、私の質問を打ち切りたいと思います。お答えには及びません。ただいまのお答えで私は十分満足しておりますから……。(笑声)これを実行していただきたい。厚生省全体の、政府の責任として、その際においては森永に重ねて勧告をして、そうしてはっきり不足の分を追加さしていただきたい、これをはっきり申し上げておきます。

中川俊思自由民主党

○中川委員長代理 以上で質問は終りました。本件はまことに重大でございますから、本委員会におきましては、さらに理事会なり、あるいは閣議の意見を聴取いたしまして善処をいたすつもりでございます。参考人の方には長時間にわたり御苦労様でございました。  午後二時半まで休憩いたします。    午後一時二十八分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会に至らなかった〕      ————◇—————

国会会議録検索システムで原文を見る ↗