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24回国会衆議院1956/05/19

社会労働委員会 第47号

発言数
82
登壇者
6
会派数
2
開催日
1956/05/19

会議録

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長代理 これより会議を開きます。  都合により委員長が不在でありますので、私が委員長の職を勤めます。  長谷川保君外一名提出の美容師法案を議題とし、質疑に入ります。発言の通告がありますので、これを許します。野澤清人君。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 提案者にお尋ねを申し上げたいんですが、因縁づきのこの美容師法を単独立法で御提案なされましたが、提案になられます動機、並びに理由としてはどういうふうなお考えでお出しになったか、この点をできるだけ詳細に御説明を願いたいと思います。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 お答え申し上げます。美容師の単行法を作ってくれということは、全美容師業界からの要望でございまして、御承知のように今日本で大きな美容師の団体は三つあるわけでありまして、いわゆる美総連といわれておりますものと、日美といわれておりますものと、それから美容師行政連盟といわれておりますものとあるわけでございますが、この三団体とも、単行法を作ってほしいということを非常に要望して参りました。そのいきさつにつきましては、すでに野澤委員も御承知のことでございますけれども、一つには、美容業の内容が急速に進出発展してきたと申しますか、そういうような傾向がありまして、たとえば全身美容というようなことも、最近はほとんど各府県に行われており、そのほか美容業界の発展は、理容業と一緒の法律でやるのが無理だということになって参った。それから、これは私あるいは言うべき筋でないかもしれませんけれども、お互い委員の間でありますので率直に申し上げますと、どうも理容業界の方が、業界の性質からと申しましょうか、過去の歴史からと申しましょうか、ある意味では力が強い。それに美容業界の方はとかく圧力を受けるような形になっておりまして、そのためにも美容業界としましては、ぜひとも単行法を作ってほしい、これはここ数年来急速に高まって参りました美容業界の要望てございます。そういうようなことで、まず美容師法という単行法を作りまして、理容師法、美容師法と分けて、この業界の発展のために処理しようというようになって参ったのであります。大体のところ美容師法を作りますいきさつというものは、そういうようなわけでございます。  なお業界が今申しましたように三つの団体に分れておりまして、それぞれの立場の利害もございまして、なかなか法案を一つにすることが困難でございます。団体が一つになってこの法案を通過するためのいろいろな措置ができるようにと努力もして参ったのでありますけれども、残念ながら今日のところ、まだこの三つの団体が全く一つになるという立場はございませんけれども、この法案は、できるだけ三つの団体の意向をくみまして、一つの立場をとらせるようにというので努力して作ったものであります。以上でございます。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 私、冒頭に因縁づきの法案だということを申し上げたことは、今提案者の御説明で、単行法を立案するまでについての経過として、全業界からの要望によってという表現がありまして、端的に三団体を指摘されておるようでありますが、この法律ぐらい、法制下してから後改正をした法律はおそらくないと思うのです。わずかの期間のうちに七回も八回も改正しなければならぬ。こういう建前から、少くとも業者の考え方というものが、三団体なら三団体が全部意見が一致して要請されたものならばともかくも、一団体あるいは二団体が要求したことについてのポイントをつかむ、こういうことでいきますと、またぞろ改正直後において反対運動が起きる、あるいは改正意見が出る、こういうことで、再三再四こうした問題については、党の立場からも、あるいはその立場を離れてからも、長谷川さんと私とは、過去数カ月間にわたってお話し合いもして参りました。できることならば、全体の意向をまとめてというような考え方で今日まで参ったのでありますが、不幸にして、まだその機の熟しないうちにあなた方の方から提案された。そこでこの単行法を作るということについては、先ほどの御説明にあった通り、理容と分離するという根本理念が、技術的に美容業というものは異なっいる、また本質的な技術の状態、営業の状態からも格段の差があるということは、おそらく常識的に判断がつくわけでありますけれども、この際にこれを軽率といいますか、軽々に取り扱うということは、将来に相当禍根が残るんじゃないか。たとえば三団体のうちの一団体が希望するものをある政党が強く支持した、こういうことのために、他の二団体がある政党にまたおんぶしなければならぬ、こういうふうな——少くとも業界の指導あるいはまた今後の育成というような面から考えてみましても、そうした団体に対する育成の仕方が単に業界の立場、技術的な伸張の度合いというようなものを考慮しての行き方ならばいざ知らず、感情的なものがこの間には相当含まれているんじゃないか。しかもその帰結するところは、単行法を作りたいということについては全く一致していると思うのです。ただ手続上、一団体が大きくこれを業者に宣伝する、他の団体はこれに対して故意に反対しなければならぬ、こういう状態のままでこの立法を強行されるということは、全く立法府としての権威にも関係するものでありますので、こうした点について、長谷川さんの方の立場といたしましては、あくまでもこれを強行される御意思であるのか、あるいは何らか機の熟するまで慎重に審議していってもよろしいというお考えなのか。一応これを前提としてきょうの審議を続けていきたいと思うのですが、ぜひその辺のところをお聞かせ願いたいと思います。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 お答え申し上げます。この美容師法を作りたいという業界の意向は、先ほど申し上げましたように、今国会においてだけ起ってきたものではございません。この立案の経緯から申しますと、実は前国会におきましてぜひとも提案をしてほしいという強い要望がございました。私どもといたしましては、できるだけ業界の平和な正常な発展のためにと考えまして、今日まですでに長い間、約半年以上も両者の調停をできるだけしてきたわけでございます。しかしながら私どもといたしましては、もう二つの国会にまたがりまして起案をして参りました関係上、一応やはりこの際法案として出しておく必要があるのではないか、こういうことで、ある団体の強く要望いたしました点の重要なもののうち、またほかの団体が反対いたしまする二つの点があったわけでありますが、その一つの点の方はひっこめるということを承諾させまして、そうして両者の調和をはかりたいというので努力して参ったのであります。今日ここに残っておりまする三つの団体のうちで争点となっておりまするものは、ほとんど一つだけと見てよろしいのでございます。この点は第四条の第二項の二でございまして、「厚生大臣の指定した美容師養成施設において厚生省令で定める期間以上美容師たるに必要な知識を修得し、かつ、美容所において三年以上美容の業の補助的業務に従事した者」別な言葉で申し上げますと、美容師の資格を得まするための国で定めました美容師試験を受けまする資格、受験のための要件でありますが、それは今までは御承知のように通信、夜間、昼間、昼間が一年、夜間が一年四カ月、通信が二年、こういう期間の学校教育を受けるわけでありますが、その教育を受けた後に、一年間のいわゆるインターンといわれております実地修練をしてから、美容師試験を受験をするということになっておったわけでありますが、それとともにやはり同じく学校を出るのではありますけれども、御承知のように美容業は実技というものに非常に重きが置かれる。私も実際の学校の教育をずいぶんあちこち見て回ったのでありますが、いわゆる私たちが学校という観念で考えるには相当程度が低いのであります。実際はやはりこの業態の特質といたしまして実技を重んずる。そこで今まで通り学校は出るのでありますけれども、学校を出てから一年間のインターンをするという制度とあわせて、実際の美容師業界の実態に即しまするように、「美容所において三年以上美容の業の補助的業務」——この点につきましては今までしばしば解せられておりましたような掃除をするとか布を洗うとかいうようなことでなくて、美容師の監督指導指示のままに美容業のある一部について実技をやっていくということでありますけれども、そういうことを三年間やりますればその三年の間に学校を出ますれば、美容師の資格ができる。今までの学校を出てから後の一年のインターンにかわるに、三年間美容所で修練をしている間に学校を出ればいい、こういうことの方が実態に即しておる、こういうふうに思いますので、今までの制度を残すとともに新たにこういう制度を設ける、この点だけが最後に残った争点なのであります。私は美容師業の実情を調査して歩きまして、やはりこれは必要である。ことに私どもが心配いたしまする貧しい、学資の十分にない通信教育を受けておるという人々、これはこの前理容師美容師法ができますときにいろいろ心配いたしまして、貧しい者たちのために通信教育という制度を作ったわけでありますが、その後実際やってみますと、今日全国で六千人ばかり通信教育を受けておる者がありますけれども、私どもが最初に心配いたしました山の奥とか、あるいは山村、農村等の交通の不便なところにありまする美容師あるいは理容師の人の子弟がどうしても学校に通わなければならぬということでは実際困るではないかということで通信教育制度を作ったのでありますけれども、実際やってみますと、ただいま六千人の通信教育を受けておる者のうち九五%が実は美容所に働いているいわゆるお弟子さんであった、こういう実情がはっきりしてきましたので、やはりこれらの人々の便宜ということを考えて参りますと、やはりこういう制度は作った方がいいじゃないか。私はどちらの団体に味方をするというのでもありませんけれども、実情をあっちこっち調べて歩きました結果、やはりこういうことが至当である。申すまでもなく私どもは業界の要望あるいは業界の圧力等によっていささかも立法をあっちこっちするものではありません。ただ業界の平和な正常な発展ということは望みますけれども、同時に私どもとしましての良識に従って、立法府にあります。る者の良心に従って事を処していかなければならぬ、こういうことを考えて参りますと、やはりそういうような貧しい、美容師になりたいという志望者のためには、こういう制度を置く方がいいじゃないか。これは決して無理なものではない。この点は今反対しておりまする諸君は、たとえば学校の業者であるとか、あるいはその他いろいろな勢力関係等々の事情によって反対なさっておるように私は推測するのでありますけれども、必ずしも学校業者の肩を持つわけにも参らぬ、全体を見て合理的だと思われる線を出したいというわけで、こういう線は私はやっていいじゃないか、こういうことでこれを取り入れたのであります。  ただいまお話のように、強行するかどうかという点でございますが、私も決して単に強行しようとは思っておりません。が、今申しましたように前国会からの美容業界からの要望でございまして、前国会から法制局の方に私ども参りましてやって参りました法案でございますので、そうずるずるにいつまでもおいておくわけのものでもない、こう考えまして、できますならば今国会においてこれを成立させたい、こういうことで野澤委員も御承知のように、私どもはこれを単に社会党だけで出そうなんということはみじんも考えておりません。これはできるならば各党共同提案で出したい。今日までに数カ月を協調のために費してきたのは野澤委員御承知の通りでございます。社会党でこれをやろうとか、あるいは自民党でこれをやらなければならぬということは私はみじんも考えておりません。あくまでこの業界の平和な正常な発展のためにやりたいと思っております。以上お答え申し上げます。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 経過については長谷川君も私もよく承知しているわけでありますが、ただ過般の国会からの引き続いての要望であったので、単独法について一応手がけなければならぬ、いつまでも放任するわけにいかぬという良識ある議員の立場ということも私はよく了解がつくわけであります。そこで今度の法律の内容の審議に入る前提としまして、しつこいようですが、一、二点さらにお尋ねしたいのですが、理容、美容の法律が一本になっておって工合の悪いという点を、提案者はどのように了解されていますか。簡単でけっこうですから……。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 お答えいたします。先ほども申し上げたのでありますが、業態の内容がだんだん変ってきた。ことに先ほど申し上げましたように、著しい違いが出てきたのは、全身美容というような新しい仕事が、相当急速に全国に広まっていくというようなことも出て参りました。その他いろいろ消毒の器具の問題あるいは設備の問題等、いろいろ違ってきております。それから先ほど申し上げましたように、やれり理容師の団体と美容師の団体とが、内容が違っております関係もあり、今までも一つの形でやってきておりますけれども、やはり力関係がありまして、美容師は美容師としての団体を確立して、美容師法でやっていきたい、そして自分たちの業界の発展のためにやりたい、こういう考え方も無理からぬことだと私は思うのであります。そういうような事情からであります。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 第一には、全身美容等、技術の内容が広範になり、また消毒その他についての器具等も相違があるからという点は、一応私にも了承できるわけであります。そこで第二の要素としては、理容業界の方の力が強くて、絶えず強力な圧力を加えられる、こういうふうな御見解でありますが、提案者としましては、第一の技術的な、あるいは営業内容等の相違と、それから理容団体、美容団体との力の均衡の問題と、この二つを並べた際に、今回この法律を改正しようという動機には、どちらを強くお考えになったのか、この点をお伺いします。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 どちらを強くという関係もありませんが、まあ主たるものは業界の正常なよき発展ということでございますから、双方とも考えましたけれども、ことに第一の点は強く考えたのであります。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 そこで美容業界の発展というようなこと、あるいは環境衛生の立場からこれを育成しなければならぬという強い一般の要望並びに国会としての正常な、良識ある議員の立場としての考え方も、全くあなたのお考えで間違いないと思います。ただ、正常な業界の発展ということを目標にしていきますと、何と申しても、たとい身分法にもせよ、法律を新たに分離するという段階になってきますと、業者の全体が納得してこれに追随しなければ何にもならない。特に保健衛生あるいは環境衛生というような面から、強く社会的な問題に取り上げられていっておりますこの理容、美容の問題につきまして、この法律が改正されるたびごとに叫ばれたことは、昔のようにいわゆる職人気風であっては何にもならない、少くとも生理解剖等ぐらいまで知っておって、身体に傷害を加えないように、あるいは伝染病等の温床にならないように、あらゆる角度から質的向上をもはからなければならぬというので、この身分法に付帯しまして、技術屋の養成規定等も設けられたように私記憶いたしております。従って今回の立法の目的が、単に技術的な面で理容と美容とを分離するという考え方が八分通りであるというならば、これは別でありますけれども、そうではなしに、大体業界の正常な発展という面から、やはり組合の強化あるいは団体の強化というようなことまで考えてこの提案をされたとしますと、少くとも手続上に拙速をとうとび過ぎたのではないか、こういう感じがいたします。ことに二の法案の盲点である三カ所、四カ所等の問題点につきましても、長谷川さんも私もその渦中に入って話し合いもいたしました。いよいよ最後の段階にいって、たった一点妥協ができない、もう一日か二日お待ちになれば、おそらくまとまった問題だと思う。ところが、あなた自身の立場はわかりますが、社会党自体の立場としては、もうこれ以上譲れぬということで御提案になったように仄聞いたしております。従ってこの立法というものは、実際に理容と美容の法律を分離することが主体なのか、またその分離に乗じて諸要点を改正したいというのが目的なのか、この点についても率直な御意見を伺いたいと思います。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 御承知のように、今国会は、今日においては、延長されましたけれども、延長をされるかされないかは、実はそのときまで確たることはわかりませんでした。それで私どもといたしましては、先ほど来申し上げておりますように、本法案立案の経緯に照らしまして、もし万一にも延長ができないということになりますと、これは全然おぼつかなくなってしまう。一応党の国会対策委員会あるいは政策審議会等を経てきておる法案でありますので、そういうことになりましては大へん困る立場になりますので、野澤委員御承知のように、野澤委員の方でその当時最後にお示しになりました案につきましては、私どもも賛成である、ただ何分にももう日がない、最後のときにきておりますので、それを法制局に持っていって相談をしておることができないから、もし自民党さんの方でそういう御要望であれば、私の方で修正をいれるにやぶさかでないということで、一応会期が切迫して参りましたので、先般御承知のように提案したわけであります。私の方としましては、今申しましたように、業界の分離ということも美容業の発展のために必要じゃないかとも考えておるわけでありますが、どれが第一、どれが第二というように考える筋のものではなくて、ただ業界の正常な発展ということは基本的な考え方でありまして、それに沿った方法をとっていけばよろしい、こういうように考えておるわけであります。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 お互いに気持がわかっておって質問しておるのですから、ポイントをつかむのもなかなか容易じゃないのですが、あなたの方とすれば、理容、美容は分離したいという気持の上において、会期も切迫したからということで提案された。こうなってきますと、いわゆる民意を暢達した立法措置でなしに、むしろ立法技術の——党と党との対立のごとく一般に誤解されやすい。しかもこれを守るべき業者というものは二つの筋道でもって対立しなければならぬ、こういういき方でありますと、せっかくの親心もかえって業者自体に迷惑を及ぼすのじゃないか、こういうふうな感じ方が私自身いたすのであります。そこで提案者といたしましては、面子とかあるいは従来の行きがかりというものを捨てて、国会議員が全部一緒になれるというような考え方よりも、業者全体をまとめ上げて、業者全体の声としてこの法律に反映させる、こういういき方をとられる方が将来のために業者自体の大きな利益になるのじゃないか、ここでたった一点の問題で対立したままこの法律が成立するようなことがありますと、そのしこりは将来に残ってくるのではないか、こう私自身考えるのでありますが、提案者としてこの点どんなふうにお考えでございますか。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 ごもっともな御説であると思うのであります。ただ御承知のように、今対立をして、最後まで残りました一点の争点があるわけでありますが、これはそこまで私がここで言うことがいいかどうかわかりませんけれども、率直に申しまして、今対立しております団体のおもなものは、いわゆる美容師行政連盟という業者の団体、もちろんこの中にも学校を経営しておる業者もございますが、主として業者の団体であります。それと、学校業を主としておる諸君が中心になっておる、いわゆる美総連という団体がおもに対立しておるわけであります。対立点はどこにあるかというと、御承知のように学校業を主としておる諸君にしてみますと、三年も補助的業務をしておる間に学校を出ればいいということでありまして、こういうことになってくると、通信教育が非常にふえるのではないか、こういうことをおそれておるようであります。実を申しますと、最初この法案を作ってくれということを業者が非常に要望いたしました理由の一つは、今まで申し上げておりませんけれども、当時の学校教育の相当悪らつな営利主義というものに対して、業者がこれは非常に困るという点があったのであります。その後厚生省の方でもいろいろお考えになって、それらについては相当程度の規制が行われておるようで、これはけっこうだと思いますが、そういう点があったわけであります。しかし営利的に学校を経営しております人々、これは今日も相当にもうかるのであります。従って厚生省の方には、雨後のタケノコのように学校設立の願いがきておるわけであります。この諸君は、自分たちの営利的な立場というものを少しでも阻害されたくないという考え方で、一方業者の方としてみれば、今通信教育等を受けておる約五千数百人の、いわゆるお弟子さんと申しますか、その美容所に働きながら勉強しておる娘さんたちの費用というものは、大体貧しい方たちでありますから、結局は業者がその学費を負担しなければならぬ。それを、不当なものと考えられるようなものを負担させられるのは困る、何とかできるだけそういうことのないように、こう考えるところに対立の点があると思うのであります。この点は、先ほども申しましたように、厚生省でも相当お考えになっていただいて、順次規制の道をたどられておるようでありまして、だいぶんよくなっておるようではありますけれども、なお実情を調べてみますと、いろいろそこに利害の対立があるわけであります。私は何と申しましても、こういうような問題は、先ほど野澤委員も申されましたように、もろちん公衆衛生、環境衛生の向上というような点を十分考えながら、やはり業者を主体にして考えてあげる、あるいは業者のところで働いている娘さんたちを主体にして考えてあげるということが必要じゃないか、公衆衛生、環境衛生とともにそれを考えてあげることが必要じゃないか。それを、いわば学校の営利ということを主体にはやはり考えたい方がいい。もちろん学校の発展ということも大事でありますけれども、やはり中心は業界の発展ということを中心にして考えなければならないというように考えるのでありまして、そういういきさつからいたしまして、今の利害問題からする対立が最後まで残っております。これは、われわれはあらゆる努力をいたしましたけれども、やはり最後までこの対立が残っているところに、その最後の一点があるわけであります。これも私は理論的に考えていけば、そう対立すべきものではないと思いますけれども、どうもそこに最後のこだわりができたわけであります。そういうわけでございまして、私も業界の発展ということを望む点において、野澤委員と全く同感でありますが、以上のようないきさつから、提案して参ったわけであります。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 大体審議に入る前の前提として、二、三お尋ねいたしましたところ、さすがは長谷川委員でありまして、良識あるお考えの下に、全く私と同感だということは、おそらくあらゆる面から、なるべく無理押しはしたくないのだ、こういうお気持が多分にあられると思います。そこで今度の法の基本になっております点について、いろいろこれは業者間においても話がありましたが、特に指摘されますのは、三年間のいわゆる補助的業務という問題でありまして、通俗の言葉で言えば、三年間のいわゆる徒弟制度を復活するんだというふうに、一般に考えられがちであります。この点については、長谷川さん自身が徒弟制度でない、要するに補助的業務を行うのだというお考えで、たびたび御意見等も聞いておりますので、私自身としては、ある程度までわかっておるわけでありますけれども、今の御説明の業界の発展ということを基本にして考えていきたい、また貧しい者を中心にして、貧しい者のために、この考え方をしてみたんだ、こういう御説明であります。そこで立法府として、一応基本的な問題点を指摘し、これに対する対処の仕方も考えなければならぬと思うのであります。たとえば、現行法でもって、通信課程というものが新たに過般設けられた、この通信教育というものを、学校の昼間課程や夜間課程と同一に施行した、その結果が学校教育の弊害として、営利追求主義に堕する傾向がある、これはもっともだと思うのです。そういう面についての理解の仕方、感覚の寄せ方でありますが、私は少くともこの通信課程というものを中心にした学校教育の不遜な態度、あるいは営利追求主義というものについては、国会がこれに関与するよりも、当事者でありますところの厚生省当局が、行政持導面あるいは環境衛生、技術の練摩というような面から、これは監督を強化すべきである。これは一々立法府で取り上げて、そのつどお互いの主観を土台にして、法を改正するということは妥当でない。けれどもこの点を御説明願えば、ちょうど単独立法をする際であるから、こういう弊害も除きたいという御説明がおそらく出ると思いますが、そうした営利追求主義というものが、今度の法律を改正する基本的な要件にならないじゃないか。もちろんこの徒弟制度というものを廃止しようというて、昭和二十七年から二十八年の初め、多分十五国会だと思いましたが、論議された当時には、急進的に教育制度を改正するということは、時宜に適しないという主張を私もいたしました。少くとも漸進主義で、貧しい家庭の者、あるいは山間僻地から出ていって教育を受けなければならぬ者、こうした者のために、ある程度まで補助的業務という立場も温存すべきだということを主張いたしました。その当時にあなた方の、現在の社会党の前身でありました当時でも、またその当時の委員であられた長谷川さん自体としても、要するにこれは徒弟という一つのワクの中における人間の労働の搾取形態だ、どんなことがあっても、これは正常に戻すべきだ、しかも学校一本やりでいかなければならぬと、非常に学校教育というものを強く指摘されて、現行法の三つの教育課程が生まれたわけであります。この経過については、提案者自体としてもよく御了承だと思うのです。ところが、今回はからずもその当時の考えを百八十度転換されて、貧しい者の味方として徒弟制度を復活しなければならぬ、これにはいろいろの理由があります。今御説明にあったように、学校教育が営利主義に堕しているとか、あるいは貧しい家庭の者が実際にどうしようもないのだ。切々たる事情を聞きますと、かつて三年前に私が皆さんと論争したときの立場が全く正反対に変ったような形で、その立場も私にはよくわかるわけであります。しかしながら今回の三団体、美容行政連盟とか、美総連とか全美連とかいうような方々の意見を聞いておりますと、この徒弟制度の復活に対しては全く相反した対立した考え方が中心になっている。こういうことを経過的に調べてみますと、結局、徒弟制度の復活という言葉が妥当である、ないは別としても、補助的業務という美名のもとにややもすれば美容業者の手元に弟子入りをした者が長い間継続して勤務する者が少くなっている。従って美容業者としては、一応美容師を志した者は免状をとるまでがんばりますが、比較的年令の若い、しかも結婚の適齢期にありますものですから、動きやすい。こういうことから業者自体としても不工合である。こういう内部的な事情から徒弟をくぎづけにする一つの政策として、陳情もされ、主張されてきているのじゃないか。これが全体どという断言は、かえって語弊があるかとも思いますが、一貫した三カ年間の徒弟制度自体にそうした含みが多分にあるように思われるのであります。従って立法の精神と、それからこれを運用いたします厚生省当局並びに業者の立場というものを、単に業者ばかりの立場から考えるということも、立法府としては行き過ぎじゃないか。こういうことから、再三再四、三団体にも御相談を申し上げ、また陳情の内容等も聞いたのでありますが、全くこの美容、理容の業態ぐらい因縁つきの業態はありませんで、これは率直に言うて、われわれは悪くこそ言え、ほめられた団体じゃない。法律を作って当年たつと、必ず陳情がやってくる。しかも美容の方なんかにしますと、女の方までまじって、ほとんど議員会館に占拠されるというほど、猛烈な陳情にくる。そして、その陳情の内容が大きな広い視野から業態全体の将来を考えていくのならよろしいが、派閥的な抗争であり、しかもまた、これだけの法律ができておりながら三つも四つも団体ができている。こういう現況に処してそれらの言い分を一々聞かなければならぬということは、立法府の立場としては全く迷惑し、こくだと思うのです。少くともこの委員会において美容法を成立せしめるということであるならば、必要やむを得ざる事態の発生するまでは、もう陳情改正は行わないのだ、そこまで強い腹をきめてかからぬと、これは何べん改正しても何もならぬ。特に問題点になっています徒弟制度の復活に対しては、学連の反対だとか、学校経営者が全面的に反対しているとか、あるいは全業者が打って一丸となって要望している、こういうのではなしに、ばく然とした、単にかんむりをかぶりまして、これが行政連だ、これが美総連だ、あるいはこれが全美だということで、しかも今回などは学運に加盟している人の顔は見えますが、学連自体は動いておらない。こういう格好でありますので、もし学校教育なり通信課程なりに対して強い指摘をして、これを審議する。しかも立法化された暁には、半年とたたぬうちにまた学連あたりが学校教育を基本にした一つの陳情隊が押しかけて来る。何べん繰り返しても、これはシーソー・ゲームでありますから、やりきれまいと思うのであります。従って私としてはいろいな角度から御批判はありましょうが、少くともこの身分法を制定した以上は、厚生省が全責任を負うてやっていかなければならぬ監督の立場にありますし、またきめられた法律をひとしく順奉するという立場からは還境衛生という面から大いに業者も協力してもらわなければならぬ。こういうので軽々にこれを単に要望であるからというて改正するということは少し行き過ぎではないか。もっと時間をかけて業者自体の反省も促し、また三団体自体が一本化する、そうしてもう今後はわがままを言わぬという段階まで行くならよろしいが、民主政治の弊害といいますか陳情政治の弊害といいますか、このくらい国会議員が業者に動かされる法律はないと思うのであります。従ってせっかくの良識ある長谷川先生がこういうことで単に一部の業者の要望によって法案を提出されるということはまことに不可解千万でありまして、同僚としては私は非常に惜しむものでありますが、この際厚生当局の意見を聞きたいと思うのですが、いろいろ指摘されましたように学校教育の経済問題あるいは営利追求の状態等に対してどの程度まで監督をしておられるのか。また昭和二十七年か八年の法律改正のときに強く打ち出されたことは、少くとも従来の理容、美容の学校教育というものは組合を主体にして発展強化せしむべきだという意向が相当強く反映されていたと思う。従ってこれに対しても必要があるならば厚生当局も力をかして、資金等の導入についてもめんどう見ようじゃないかという意向が強く反映されていたと思う。その後私的ないわゆるプライベートの学校の設立がたくさんできているのか、あるいは組合立の公的な学校の教育機関が設立されているのか。この点についてはっきり御見解を承わりたいと存じます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 ただいま野澤委員のお話の中に徒弟制度の復活というふうにこの四条の2の二をお話があったのでありますが、これは野澤委員十分御承知のことでありますけれども、誤解がもし起るといけないので一言申し上げておきたいと思うのでありますが、これは徒弟制度の復活というふうにいわゆる反対をしております団体の諸君がしきりに言っているのでありますけれども、別に徒弟制度の復活ではないのであります。これは先ほど申し上げましたようにどちらも同じように一応学校の教育をするのであります。学校の教育をいたしまして、ただいま申し上げた例を申し上げますと、たとえば今までの制度でございますと通信教育を二年受けるわけです。今度の新しく加えます制度でも二年の教育を受ける。問題は二年を経た後に一年間のいわゆる実習すなわちインターンをするのであるか、それともまた三年間いる間に二年の通信教育を受ければいいのであるか、この二本立てにするわけであります。別に徒弟制度の復活ではないのであります。私も若いころにいろいろ勉強のかたわらいわゆる職人生活というものをしたことがありますけれども、やはりこういうような手の先の技術というものは、私自分自身の体験から申し上げましても、普通三年ぐらいしないと一人前にならない。ほとんど全部の仕事がそういうものである。そういうわけで今日の学校教育の実態を私がずっと見て回りまして、あの学校教育の昼間の一年あるいは夜間の二年というものの中の実習教育というのは、これはたとえば一人前の美容師になるにはきわめて不十分だ、そこに今のインターン制度があるのだと思います。ところがたとえば今までの制度で通信教育を経たのちに一年のインターンということになりますと、たとえば美容院におらなくても、農業をしておっても、百姓をしておって通信教育を受けた、そののち一年のインターンをした、これでももし頭のいい手先の器用な娘であるということになれば一応試験はパスするということになりますが、実際問題としてこれは業者の意見をいろいろ聞いてみますと、ほんとうはものにならぬのだ、こういうのです。そればかりじゃありません。今日の試験制度自体にやはり限界が、ございまして、たとえば試験では相当多数の者を短時間に試験をするという立場からいたしまして、大体実習は何が出るかということは三、四種類きまっておる、それだけ習っていけばいいということで、やはり試験をパスする、こういうふうな状況になってきておる。そういうことから考えますると、徒弟制度というものの復活は私どもは反対でありまして、徒弟制度の悪い点は、申し上げるまでもなくこれは奴隷的な労働をしいられる、つまり安いほんのあてがい扶持の小づかい、あるいは時間制限のなき労働、その他いろいろ身分的にも奴隷的な労働が出てくるというところに非常な問題があるわけでありますが、私は技術を身につけるということはやはり三年ぐらいは実習の時がなければほんとうに身にはつかない、これが実情であると思うのです。そういう立場から申しまして、今の制度を廃止して、一度に変えようというのではなしに、今の制度も置きながら同時に実態に即したこういう方法を一つ加えてやっていく、こういうことでいった方が実際にこれは業界の発展にいいのじゃないか、合理的じゃないかこういう考え方でございまして——決して徒弟制度の復活を言っているのではありません。これは反対着たちがしきりにそういう悪評をまいておりますけれども、そういう意味ではないのであります。そのことを御承知置きを願いたいと思うのであります。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 お答え申し上げます。先ほど来御指摘の通り、現在数多い養成施設のうちには、しばしば営利主義に流れ、教育の実の伴わないものが多々ございます。この点が私は今回の法改正の一つの原因とも見られるのではないかと考えております。なお私どもは、現在学校を卒業しない限りは美容師になる道がふされがれておる実情にかんがみまして、できるだけ学校の整備をはかることについては従来とも力を尽して参っております。現在多少行き過ぎとも思われます程度に現行法の範囲内においてできる限りの監督をいたしておりますが、たとえば学校の授業料その他は一定の規制をいたしております。また学校でモデルとして実習用に使います対象に対する料金、あるいはその対象にも制限を加えております。また一般的監督を強化いたしまして、各府県において随時学校の経営内容の強化等もさせておる次第でございます。なお昨年はある一校についてあまり経営内容が不合理でございましたので、一罰百戒の趣旨から厚生大臣指定の取り消し処分をいたしております。しかしながら何と申しましても現在限られた一定の理容師美容師法の範囲内における監督でございますので、いまだ十分な効果なおさめておりませんが、この点は今後特に力を尽しまして、いやしくも営利主義の学校、ことに理容姉、美容師になろうとしているようなか弱い人たちが搾取の対象にならぬように、今後も十分な監督を尽して参りたい、かように考えております。  さらに第二点の、これら教育施設につきましては、私どもも現在組合立を基盤としていきたいと考えております。しかしながら現在は何分にも法律の建前もございまして、若干私立等もふえつつある傾向でございますが、基本的な方針は、これはぜひ模範的な施政を、組合の経営によって養成施設を完備していきたいというのが基本的な考え方ございます。第三点にお話のございました、現在学校の設立希望者は先ほど長谷川先生のお話がありましたように、まことに雨後のタケノコの感がございますが、これと申しますのも裏を返せば学校の経営というものは相当な利潤が伴うということを裏づけておる事実によるものと考えられるのであります。現在すでに百六十校余りございますが、さらに私の手元に目下五十数校が設立の認可を申請しておる現状でございます。ところがこれら養成施設は決して教養科目の学校ではございません。もっぱら職業教育をいたす所でございますので、余りに数が多くなりますとかえって需給の関係等からいいまして弊害を伴いますことは申すまでもございません。従ってこれら職業教育の観点に立ちまして、これらの学校を一定数に制限することが私は必要だと考えております。しかしながら現在の法律の範囲におきましては、申請のあるものをゆえなく拒否することはできない現状でもありますので、この点は目下いろいろ検討いたしておりますが、さしあたり施設の基準を引き上げまして乱立を防止すること、あるいは年間収支の計画等を厳密に精査いたしまして、一方授業料その他の収入に一定の制限を加えていくこと、あるいは現在の法律の範囲におきましてさらに監督規定を強化すること等を考えておりますが、しかしながらこれといえども基準に合い、しかも経営方法あるいはその他が所定の要件を備えますればどうしても認可せざるを得ない現状でありますので、この点は今後研究をしてみなければならぬ問題だと思っております。  なお私どもは及ばずながらかような方針に基きまして、逐次学校の内容を整備していくことが最も急務であると考えておりますが、先ほど来いろいろ御批判がございましたが、美容師の業が今後の婦人の一つの新しい文化的な職域として大いに発展していくことは当然望ましいことだ、かように考えておる次第でございます。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 時間がだいぶ経過しましたので、もう一ぺん厚生当局の方に簡単にお尋ねいたします。この教科課程で、昼間課程、夜間課程、通信課程、この三課程に就学している者は年間どのくらいありますか、おわかりになりませんか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 現在養成施設に勉学をいたしております者は、美容を除きまして理容だけで昼間課程で約一万人、夜間課程で約三千六百人、次に通信課程でございます者が八千七百人程度でございますが、美容師は現在大体七千人程度が昼間及び夜間の課程におる。さらに五千人程度が通信課程の対象になっておる、かように記憶をいたしております。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 長谷川さんの方にお尋ねしたいのですが、今度の三年間の補助的業務というこの条文から解釈していきますと、昼間、夜間、通信課程におけるものの実務の実態と就業年限とにきわめて不合理な点が生まれてくるように考えられますが、これらについてはやはり多少不合理があるというようにお考えでございますか。それともこれで機会均等であり、完全なものであるというようにお考えでございますか。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 御承知のように今美容学校の方の教育は、厚生省令によりまして昼間が一年、夜間が一年四カ月、通信課程が二年、こういうことにきめられておるわけであります。今度三年のものが出て参りましても、私は別に不合理はないというように思うのです。あるようなふうにいろいろ言うのでありますけれども、よくなったという点はありましても、悪くなるという点はないと思います。たとえば反対をしております業者の一部には、通信教育を例にとってみますと、あるお店に従業員として入ってきた子供がある。それが中学校を卒業して入って参りますから、大体四月に入ってくる。そうすると業者の方では、すぐ学校へというわけには必ずしもいかないというような点からいたしまして、半年後の募集の学校に入れるようになるというようなことからいたしまして、今までのでいくと結局それから学校へ入って二年、出てから一年のインターンがある、それにまだ学校へ行く前のものを加えると三年半になるじゃないか、あるいは四年になるじゃないか、今度のでいくと三年の間にそれができるようになる、少し変じゃないかというようなお説もあったのでありますけれども、これは決して不合理ではない、より合理的になったのでありまして、何ら不合理はございません。  それから夜間の方が一年四カ月という省令になっておりますが、一年半を実際はやっておるというような点からいたしまして、夜間一年半行って、それからあと一年のインターンがある、それで二年半になる、これもまた学校へ行く前に一年なりやっておる、そうするとこれが長くなるのじゃないかというような話もあったのでありますが、それは何も制度自体の不合理ではないのでありまして、私は何ら不合理はないと思う。もちろん昼間一年、夜間一年四カ月あるいは通信二年ということが不合理であるかどうかということは別問題でございますけれども、一応今日の段階におきましては、厚生省令で定めておりますこの就学期間というものは、私はほぼこれでいいのじゃないか、こういうふうに考えております。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 重ねて、あなた自体のお考えが実際不合理はないというお考えだと了解いたします。業者はおのおのの立場でいろいろな見解がありますので、発議者として変りがないというお考えのように私は了解をいたしたわけであります。そこで補助的業務というものの内容を規制しないで、インターンとこれを同格に扱うことがいいか悪いか、また学校教育という一つの教科課程というものを設けた趣旨は、あくまでもこれを基本にして技術屋を養成しようという基本的な考え方が一貫して打ち出されたわけで、それがインターンという制度と全然別個に補助的業務というものが現われてきますと、むしろこれは逆戻りをするような感じがいたします。そこでこれは法文上の整理の仕方でありまして、将来どうせこういう点についてはお話し合いもしなければならぬと思うが、補助的業務を即インターンと同格に二つの道筋をいくか、少くとも補助的業務というものがインターンに変るべきものであって、インターンとみなすかというところにこの学校教育制度の基本的な問題が現われてくると思うのです。この点に対して、これは経過的な感情問題や団体の対立的な問題でなしに、長谷川君自体の良識ある御見解を率直に承わりたいと思います。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 私は実際の学校の実習教育をずっと見て回ったのでありますが、昼間、夜間の学校へ参りますと、実習で同僚の学生の頭を結ったり、あるいはまたピン・カールをしたり、あるいはこてを当てたりというようにいろいろやっておるのであります。これはそう言うと、大へん失礼ですけれども、どうもあちこちの学校へ行って聞いてみますと、案外業者の組合の組合立の学校には割合に熟練しました実技の先生がおります。つまり業者が先生になっておるわけです。ところが営利的な学校へ参りますと、必ずしもそうでございません。いろいろ聞いてみますと、まだその学校を卒業して幾らもたたないというような人たちが先生をしておるというのがむしろ多いのであります。もちろんその上にはしっかりした先生がいらっしゃると思いますけれども、いずれにしてもそれらの者が監督をして同僚の頭にいろいろパーマの薬を塗ったりしておるわけであります。そればかりではありません。また実際におきましては、ちょっと見てなかなか許しがたいものがあるのでございます。それは、いわゆる実習をするための店を開いておるのでありますが、この店は法令によりますれば、生活保護の要保護者等を対象にするようになっておるように私は記憶しておるのでありますが、必ずしもそうばかりではありません。むしろ低料金でもって実際は営業しておるのであります。そういう形が行われまして、そこにむしろわれわれとしては寒心すべきものがあるというものさえ私は見るのであります。それで一方三年間補助的業務をする、これは先ほども申し上げましたように、今まで補助的業務というものは、厚生省当局のお考えではお掃除をするとか、あるいは布きれを洗うとか、そういうような業務をさしておられたかのように私は記憶しておるのでありますけれども、これは、補助的業務ではなくて、むしろ雑用でありまして、実際は先ほど来申しております、私の方で申しますと、通信教育を受けております約六千人のうちの九五%というものが美容所で補助的業務をしておるのであります。実際の補助的業務をしておるのは何かというと、そこの美容所の美容師のさしずを受けていろいろ実際に美容の補助的業務をしておるのでございます。これは、美容所というものが、もしいろいろな失敗をしまして、たとえば、ときに伝えられました悪い薬を使ったためにまるはげになってしまったというようなこと、これは極端な例でありますけれども、何にいたしましても技術が悪いということになればお客さんはそこに来ないのでありますから、美容所の経営者は自分の利害問題でありますので、全責任を持ってこれを指導し、指図をして補助的業務をさせると思うのであります。でありますから私はこの法律を立案するに当りましては、補助的業務というのはやはり責任ある免許を受けました美容師がそこにおって指図をし、指示をし、そうしてこの仕事をやれ、あの仕事をやれといって監督をしてやるのであれば補助的業務と言えるのだ、こういうように解釈をいたしておるのであります。そういう人がいなくて、免許のない者がやるとなれば、この法律にもございますけれども、五千円の罰金というような罰則があるわけでございますし、また場合によっては営業所の閉鎖ということが行われるわけでございます。これはもうその美容所の経営者は自分の利害問題、その店の消長にかかる問題でありますから、全責任を持って当然監督をし、指示をし、指図をして、その補助的業務をさせるということになります。こういうことでありますから、学校の実態を見て参りますと、学校の中でもうすでに最初から同僚の頭をひねくっているわけである、こういうことでございますから、あるいはまたさらにただいま野澤先生が申されましたような低料金のもぐりの、実際にわれわれ見て違法行為だと思われますようなことをしているところもなきにしもあらずでございまして、こういう点を考えますと、私はこういうような三年間の補助的業務をさせる美容所の経営者、いわゆる美容師の先生、先生という名前で呼ばれているようでありますが、美容師がちゃんと指図をしてそうして自分の店の消長に関する責任を持ってやっている方が、むしろよりあるいはある程度合理的にいくかもしれない、こういうように考えるのであります。こういうような事情からいたして、私は三年の実技を習っている間に二年の学校あるいは一年四カ月の学校を終るという制度は、より一歩前進したものである、こういうふうに考えるのであります。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 御説ごもっともでありますが、ただ長谷川君の頭を一つ整理してもらいたいことは、美容師養成施設というものの教育課程とそれから現実の問題とが錯綜しているのじゃないか。少くともこれだけの技術者を養成するために学校の教育課程というものを設けて、しかも厚生省が年限まで指定をして教育をするという以上は、教育の目的なり理想がなければならぬのではないか。その理想というものはやはり学科、いわゆる教科課目を徹底して教えると同時に、技術の練磨もさせなければならない。その練磨の方法をどうするかということがこの法律の中の一部分の目的ではないか、それを達成するために単に派生的な現実の問題を指摘して、現在学校に見に行ったらこうだ、聞いてみたらこうだということの論拠でもって、さらにこれをもっと前進したものだというように解釈するということは、たとい客観性があるにもせよごれはあまりにも現実主義である。そうでなしに一つの理想は理想として強く打ち出すべきではないか、そしてその間の緩衝地帯をどう助成するかということにわれわれは頭を使うべきである。この点に関してはここであなたと私と議論しても始まりません。要はこれだけの法案を提案された責任者として、一応たんかを切ってしまったのだからもうどうにもしょうがないのだという考えでなしに、ほんとうに業者の立場ということをお考えになるならば、もう一歩下っていただいて再検討してもらうことが必要じゃないかと思う。  同時にまた、最後に厚生省に一点だけお尋ねしておきますが、先ほど部長のお話によりますと、普通の教科課程と違って職業教育だ、望ましいことは一定数に制限してこの学校教育というものを押えていきたいのだ、けれども現在の法律の建前ではそれもできないから、施設の基準を引き上げるとか、あるいは年間の収支の、バランスに制限を加えるとか、非常に堅実な指導面というものを今後強化されていくように承知いたしたのであります。たとえばこれが事実であるとすれば、今の長谷川さんのおっしやられるように、現実に即した補助的業務の教育と、また貧しい家庭の子弟を、通信課程においてできるだけ低廉で技術者として養成したいという目的と、多少矛盾が起きるのじゃないか、なぜならば公的な教育機関でありますならば、厚生省の言うことも聞きましょうが、ある程度まで営利を目的として設立した学校だといいますと、施設の基準が引き上げられて相当の費用がかかる、その半面年間の収支のバランスまで厚生省から制肘を受ける、こういう段階になってきますと、ゴム風船と同じようにどっか突つかれればどこへか出ていかなければならぬ、こういう経済上の矛盾と、企業経営の撞着といいますか、そうした面とが重なり合って、法律そのものが現実に即した下の部分を広げていく、ゆるやかにするというようなことから拮抗作用を起し、かえって悪くなっていくのじゃないかという感じがいたします。そこで総括してこれは環境衛生部長にお尋ねするのですが、現在業者のきわめて複雑な状態にありますときに、こうした内容を持った法律の改正が、直接の責任官庁として厚生当局では好ましい立法であるか、あるいはまたもうしばらくこれは自重して、時間をかけてもよろしいから慎重に審議してほしいというお考えであるか、率直に一つ御意見を承わりたいと思います。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 率直にお答えを申し上げます。第一は単行法の問題でございますが、私どもも理容と美容とを分離することについては別に異議はございません。ただ先ほど長谷川先生のお話では、現在全身美容等に発展して形が理容の内容と著しく変ったというお話でございますが、それならば法律の内容についても何らか変ったことが書かれなければ意味がないものと考えます。ところが現在の美容師法案を拝見いたしますと、単に理容師美容師法をそのまま二つに分けたというだけでありまして、内容については何ら変ったところが見出されないのでございます。従って私どもといたしましては先ほど前提を申し上げましたように、近い将来にさらに美容が発展をいたしまして、内容が理容とは全く変った規定を必要とするときになったら、私はこの理容と美容とを当然分離すべきものだ、かように考えておりますが、現在の段階においてはいまだその時期ではないのじゃないかという感じがいたします。  次に、先ほど来いろいろ御批判がございました三年間の徒弟制度をどうするかということでございます。これらにつきましてはもちろん私どもの心配されます点は、何かしらそのうちに学校に入れてやるからということをつり言葉にして、いつまでも徒弟として金縛りにするのじゃないかというような心配がございます。しかしこれらは別といたしまして、私どもはこの養成制度というものはそう軽々に変更すべきものではない。これを変更いたしますことは今何万人にも達しますこの方面の希望者に相当な動揺を与えるんじゃないか、不安を与えるんじゃないかという感じがいたしまして、この点は慎重に考えて、養成の基本制度というようなものはできれば軽々に変えるべきものでないという見解を持っております。ただこの場合先ほど御質問にお答えを申し上げましたように、なぜこの問題がいつも出てくるかというと、これは長谷川先生からも率直にお話がありましたように、これは業界の一つの勢力の争いだと私は考えております。勢力の争いに巻き込まれて法律をいじくると、また今度は別な勢力が力を持つとまたそこで法律改正の問題が起る。いつも業界は不安にさらされまして、決してそれは業界の発展をもたらすものではない、かえって業界を混乱に導くだけだというような感じがいたします点につきましては、野澤先生の御指摘と全く同感でございます。しかしながらやはり私どもとしても反省すべき点はございます。先ほど来申し上げておるように、私どもは養成制度、特に学校の整備については監督その他を厳重にいたしまして意を用いて参っておりますが、なお十分でないと存じております。先ほど長谷川先生から御指摘がありましたように、実習に名をかりモデルに名をかりて営業を行う、こんな利益の上がる商売はございません。そんなところにやはり大きな今後の問題点が残されております。これも現在は法規の上では相当に厳格に規制をいたしておりますが、数多いうちでなかなか監督が十分にいかないというような点もございます。また学校の内容につきましてもこれは全く長谷川先生の御指摘になりましたように、教育とは名ばかりであって、ほとんど実の伴わないというものも数は多いように承知をいたしております。かようなことで、しかも一方は学校を出なければ理容師美容師になれないという仕組みになっておるところに、根本的な問題があると思う。従って私どもは今後いかなる努力をいたしましても、この学校の整備しかもこの営利主義を打破して、ほんとうに業界将来のためにりっぱな後進を作っていくというすぐれた養成施設のみにしなければ、これは解決はつかぬものだ。その点につきましては、むしろ今後私どもも努力いたしますが、何とぞ先生方からも十分な御指導をいただきまして、場合によったらこの方面こそ法律改正の必要もあるんじゃないかとさえ実は考えておるわけでございまして、従いましてはなはだ率直な言葉を申し上げましたが、結論としてはさようなことでございますので、この点はもう少し慎重に、学校の整備あるいは通信教育をもっとりっぱに育成するというような基本的な方針に立って御考慮をいただきたいというのが私どもの率直な気持でございます。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長代理 どうですかもう大分時間が迫りましたしあと滝井君が質問したいと言っておりますし、なおずいぶん時間も迫りましたから今後の質疑応答は、要点に触れて簡潔にお願いいたします。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 さすがは名部長で、私の質問を上手に承諾したようでまたはずされまして五分々々です。そこで長谷川さんにお願いしておきますが、せっかく長谷川さん、赤松さんの御提案で二十一名もの署名をとって提出された法律ですから、社会党の面子もこれで立ったと思うのです。ただし大社会党が一団体の要請だけで動くということもどうかと思いますので、どうか三団体全部ひっくるめて一本にしてこの公平な施策のもとに立法府は良識ある行動を起すというように御整理を願えれば大へんけっこうだと思います。これは希望意見として申し上げまして私の質問を終ります。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長代理 滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 野澤さんからいろいろ御質問があったようでございますので、私席をはずしておったのであるいは質問をしておったかと思いますが、重複しておってもお答え願いたいと思います。  まず第一に、現在の美容師さんの数を教えていただきたいと思います。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 およそ十万程度かと記憶いたしております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと養成の施設、学校教育法四十七条に規定するもので、厚生大臣の指定した美容師養成施設というのがあるはずですが、今野澤さんの質問を通じて、美容師の学校が非常に乱立をされるというような意味の御答弁がありましたが、洋裁学院や美容師学校等でなかなかの産をなす人もおるようでございますが、厚生大臣が指定をしたそれらの養成施設は過去においてどれくらいありますか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 多くは理容美容を併設いたしておりまして、美容だけを単独にやっておりますものはきわめて少い現状でございますが、現在理容美容を併設しておりますものが八十五校、その他、数はちょっと記憶にございませんが、美容だけを実施しておりますものが数十校あるかと存じておりまして、いずれにいたしましても百校余りと記憶をいたしております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうするとさいぜん野澤さんの質問で理容師の養成所で勉強中の者が昼間が一万で夜間が三千六百人、通信が八千七百人、それから美容が、学校関係が七千人で、通信が五千人とおっしゃいましたね。これと今の学校との関係、これは百校余りの中に今言いました総数が入っておる、こういうことなんですか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 御指摘の通りでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 今の御答弁で大体数の把握ができたんですが、美容師の数が大体十万ぐらいだというきわめて不正確な答弁がありましたが、この理容師美容師法の五条で都道府県には理容師名簿及び美容師名簿というようなものがあって、それぞれその免許を得た理容師美容師は登録しなければならぬことになっておるわけですね。これで大体正確な数の把握はできておると思うのですか。要するに登録等は順当にいっておるのかどうかということを伺いたいのであります。     〔大坪委員長代理退席委員長着席〕

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 登録は順調に参っております。いずれこまかい資料は後ほど資料として御提出を申し上げたいと存じます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 厚生省はさきに健康保険法の改正に当って医師が保険医の指定を受けると、登録に期限を切ったわけですね。こういう思想が厚生省に流れておるわけなんですか。そういう場合にこういう環境衛生関係の七業種と申しますか、そういうものについても将来登録で期限を切るというような意思でもおありになるのか伺いたい。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 現在身分法として登録をいたしておりますのは、環境衛生関係では理容美容でございますが、これらのものにつきまして登録に期限を設ける意思はございません。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 実はそこらあたり私は厚生省の内部的な省議をいろいろきめる場合に、薬剤師や医師や歯科医師というものに登録の期限をつけた。今後保険医でなければみんな食っていけないのです。そういうものにつけておきながら、一方においてはそういう同じ衛生関係を扱うものには野放しである。私は基本的にはつけることには反対なんです。反対であるが少くとも立法する上においては、一貫した厚生省の意思、省議というようなものはどの業種においても、同じような性格のものはやはり同じような立法の形態をとるのか、立法の技裁的な理論からいっても当然だと思うのです。そういう点で、私はあれは反対なのですが、そういうことについては楠本さんあたりのお考えはどうですか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 医師、薬剤師等の問題については、私ここで責任あるお答えは申し上げられませんが、理容、美容のごとき身分法におきましては、これはもちろん学問、技術の進歩もございますが、むしろ内容は、熟練による技術の向上ということが大きな使命だと思います。従いまして、ただいま申し上げましたように、登録期限はない、かように考えておる次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 熟練による技術の向上は、やはり医師にしても歯科医師にしても薬剤師にしても本質的にみな同じなのです。それで片方には登録というものに期限をつけ、片方にはつけなくていいという理論的な根拠が、何か厚生省の中で見出せますか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 ただいまもお答え申し上げました通り、医師、薬剤師等の点については私ここで何とも申し上げられません。ただ、自分の所管いたしておりますこの技術につきましては、もちろん学問、技術の進歩もございましょうが、それよりもむしろ熟練を主とするという点から、期限を定める必要がないと申し上げているわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 登録のその期間という点を言っているのです。これは登録といっても、継続するものですから、二年たてばまた登録すれば、登録はまだできる、こういうことなんです。ところが、医師、歯科医師、薬剤師には、保険医になるのに登録の期限を付したのに、同じ厚生省の中で、同じような衛生関係の仕事を扱う——これは衛生関係といっても非常に広義の衛生関係ですが、人体を扱うことについては同じなんです。そういうものに、一方についてはこういうふうに指定をしてやっている。しかし一方はそんなことはないんだ。しかも熟練の関係は同じなんです。そしてあなたもさいぜん御答弁になったように、施設というものが貧弱なものじゃいかぬ、だんだん向上せしめていかなければならぬ、学校ももっとりっぱに整備しなければならぬ、こうおっしゃることは、これはただその技術が高度であるか、ただ生命を直接扱うか、片一方は頭の毛をいじるか、あるいはつめやからだをいじるかということで、これは同じなんです。ところが医学の中でも、美容医師に属する整形術というものは、これは同じなんです。プラスチックを鼻の中に入れてやるということと、まゆの形や目の格好を美容的によくしてやるということと、本質的には何ら変らないのですよ。そこらの限界にいくと、美容師の美容と医学の整形手術とどこが違うか。これはちょうどにじの赤、だいだい、黄色ですか、そういうものの移行形と変らないのです。私はそういうところを言いたい。だからこういう点は、やはり厚生省の中でこういう業態について討議をするときには、あなたは、私は環境衛生の方であって医務局のことは知りませんとは言わせられないのです。あなたがそうのがれれば、大臣にここにきてもらって言いさえすればいいのですが、しかし少くとも省議でそういうものをきめてやっているわけです。そういうときにはやはり、あなた方の立場の環境衛生関係の理容、美容という問題、それよりかあるいは見方によってはもっと高度の技術かもしれません。しかし技術が高度であるかどうかということは、これはパーマネントの技術だって実にむずかしいところはあるはずです。だから、そういう点でどうも明白でないようでございますので、やはりこういう点は将来十分研究しなければならぬ問題が出てくると私は思う。というのは、整形外科で非常に美容的な要素が出てきておるという、こういう点から私は実はそういうことを言うわけなんです。  その次は、その理容師なり美容師の組織の問題についてでございます。十四条の三で、理容師や美容師は理容師会あるいは美容師会を作ることになっておりますが、これは強制的に加入させる団体ではないのですね。おそらく任意に作ることになるだろうと思うのです。そうしますと、全国で十万の美容師さんがおられるということでございますが、どの程度のものが組織されておるのですか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 この点は団体の数も、大きなものは先ほど来お話しになっております三団体でありますが、その他まだ地方的にもたくさんの団体がございます。従いましてこの組織化の現状というものは十分に把握ができない状況でございます。なお数団体に一人で加入しておるというような者もあるようでございまして、組織化の現状はまことに不整然な姿であることだけはお答えができると存じます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それはどうも行政を扱う厚生省としては、私ははなはだ遺憾な言葉だと思うのです。と申しますのは、理容、美容の職業にはきわめて多くの衛生的な義務を課しておるわけなんです。そうすると、なるほど個々の理容所、美容所については保健所が指導監督をしていくでしょう。しかし現在の日本の保健所の行政の状態から見て、そういうところに一々行ってやるだけの機構と人員を持たないのです。そうしますと、必然的に業者の自主的組織によって、衛生上の問題を守っていく以外にはないと思うのです。そのために十四条の三におそらく、「技術の向上及び施設の改善を図り、会員の指導及び連絡に資すること」、こういうことに法律は入れておると私は思うのですよ。むしろ保健所というものは十四条の三に初めて、理容師会、美容師会というものを作ったら保健所長に届け出るということで、そこには保健所長がぐっと出てくる役目よりは、会の自主的な役割が法文の上にも出てきているのです。こういう点から考えると、これはあなたの方で今十万くらいの会員があり、登録が明白であるということになれば、やはり全国的なこの組織がどういう状態になっておるかということをある程度把握をしておらなければならぬと思うのです。そうでなければ、この理容、美容に関する行政というものは、これははなはだ失礼な言い分だが、うまくいっていないと断定せざるを得ないのです。そういう断定になると、さいぜんあなたが御答弁になりました、この法律は時期的に言うても単独立法をするのには時期尚早だとおっしゃるその結論が出てこないのですよ。末端をよく把握せずして、そうして今の理容、美容の法律でよろしい、単独法を作らなくてよろしいなんていう理論は出てこない。むしろそういう工合に、理容、美容というふうに一緒になっているところに、あなた方がそれをぴったりと把握する能力がないから、この際理容、美容という二つのものを明白にして、はっきりこれを把握するような形にする方がいい、そういう理論にもなってくる。この法律によって見ますと「二以上の理容師会又は美容師会は、連合会を組織することができる。」ことになっておる。そこで、大体こういう連合会は幾らあるのかということなんです。小さい組織はともかくとして、連合会というものが全国的に幾らあるのか、これはおわかりですか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 ただいま末端を把握していない証拠だというお話がございましたが、私どもは末端の個々の業務の実態、営業内容、あるいは施設の内容等につきましては、十分に把握をいたしておるつもりでおります。ただ相手の団体がきわめて不整然な姿でありますために、把握をしてみようにもできないのが美容界の現状でございます。そのことを申し上げた次第でございます。 なお、前後いたしますが、第一点に御指摘のございました団体を民主的に育てて、その自主的な活動、自主的な反省、そのようなものによって行政力の足らざるところを補っていくという考え方については、全く同感でございますが、聞くところによりますと、目下野澤先生等が中心になって、さような民主的な一つの団体の力によってある程度問題を解決していくという方向に研究をされておられるとも聞いておりますが、これらの点につきましては今後も全くさような方針で進みたいと存じております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 現在厚生大臣に設立の届出を出しておる団体はどのくらいあるのですか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 四団体でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 大体四団体が厚生大臣に届出を出している、こういうことがはっきりしてきたのですが、その厚生大臣に届け出た四団体というものは、おそらく省令の定めるところによって届出をしておると思うのです。その省令で届出したからには、大臣はやはりそれに対して具体的な監督、御指導助言をなさっておると思うのですが、そういうことは何もなさっていないのですか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 これは他の団体と多少趣きが違いまして、四団体は、なるはど形の上では届出させておりますか、果してしからば地方に組織を持つ、おるかというと、必ずしもそうでない、ただどこかに事務所だけがあるというような団体もあるやに聞いております。従ってこの実態そのものは把握しておりますが、組織そのものとししは把握のしてみようがない場合が多いのであります。従ってたとえば一つの指導方針等を業界を通じて徹底させるという場合には、きわめて困難な実情にございます。しかしながら私どもといたしましては、できるだけ業界の組織を通じて間違いなきを期していきたいということにつきましては、従来とも努力をいたしておる次第であります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうも私はそこがわからないのです。少くとも連合会というものは二つ以上の県にまたがっておるか、あるいはその他の連合会というものがあるのですが一その他の連合会というものがどういうものか私にはよくわからぬのですが、一つの県の中で二つの団体が一緒になったのをその他の連合会というのじゃないかと思うのですが、とにかく二つ以上の県にまたがる連合会というからには、その県の中における会員が集まって理容師会あるいは美容師会というものを作っておるはずだと思うのです。従ってあなたのおっしゃるように、どうも末端は何が何だかわからぬ、幽霊みたいなものだということになると、省令によって届出するときには、やはり省令には——私よくその省令を見ていないのでわからないのですが、やはり届出の様式なり条件がなければ、そう厚生大臣も設立の届出を受理するはずもないと思うのですが、省令によって受理した団体というのはそんなものなのですか。そういう無責任な行政では私は楠本さんの責任は重大だと思うのです。そういうことで日本の環境衛生が守れるのだったら大間違いだと思うのです。その点もっと明白にしないと——四団体あるのだ、しからばあなたの方が届出を受理した四団体の実態がどうなっておるかと言うと、実態は末端はどうもはっきりしません。こういうことでは、これはどうも法律にわざわざ書いておるのに権威のないことおびただしいと思うのです。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 先ほど来お答え申し上げておりますように、たとえば四団体ございましても、それならその末端の府県組織はどうなっておるかというと、府県組織はそれとは全く別に一本にまとまっている県も何かあるらしい——あるらしいではまたおしかりを受けますけれども、現にございます。そんなことで何が何かわからぬというのがこの団体で、把握をしてみたくても、してみようがないというのがこの団体の実態だと思います。さようなことがないように、今後私どもといたしましてはできるだけ一つこれを組織化していくことが必要と思っております。それにいたしましても、たとえば先ほど来もいろいろ御意見が出ておりますように、法改正等につきましても、できるだけみんながまとまって、一つの納得した姿でいくことがやがてこのきわめて混乱した業界を組織化していく上に役立つのじゃないか、かように考える次第であります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 将来のことは将来のこととして、現実の問題を論議をせずして将来の目標は定まらぬのですから、現実をやはり明白に把握しなければいかないです。現実の把握ができていなくて、将来こうします、ああしますと言ったってだめなんです。だから私は現実を先にお聞きしておるのです。そこで、省令の定めるところによって設立の届出をするというその省令の定めるところというのはどういうのですか。どういう場合に設立を受け付けるのですか。あなたの方は、幽霊みたいな何もわからぬものを、美容師会を作りました、私は会長でございます、こういって私が届け出れば受け付けてくれるのですか。会員は一人もおるかおらぬかわからぬ、ただ私が名簿に五百人ばかりの名を連ねてきて、私は連合会の会長になりましたと言って届け出れば受け付けるのですか。そういうことではないと思う。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 現在のところは、出てくれば受付はいたします。しかしながらもっと露骨に申し上げますと、その内容と実態とが著しく違う場合もあるわけでございまして、あるいはまた二団体以上ならば連合会ということになりますので、単に、きわめて部分的なごく一部の二団体が連合会の形で届け出ておるものもございます。なおたびたびのお話でございますが、われわれはさような現状をむしろよく把握しておるから把握ができない、こういうことになるのではないかと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 現状を把握しておるから把握ができないということだそうでございますが、さいぜん三団体ということをおっしゃいましたね。厚生大臣の方に届出をしておるのは四団体だ。これは、その四団体の中には三団体が入っておるのですか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 入っております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうすると、届け出ておる四団体のうち一つの団体というのは——今美容師会はなかなか勢力争いが多くて何が何かわからぬというような意味の御答弁があったのですが、四つ届け出ておって、三つは法律の改正その他で動いておる。一つは眠っておるのですか。一つは何という団体ですか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 国際美容何やらと申しましたが、これは、聞きましたら、こういうことであります。ああいう政治抗争には興味はない、むしろ一つのりっぱな美容師会というものを地道に育てればいいのだ、こういっておる。うたい文句はまこにけっこうなことを言っております。従ってこういった政治活動には一切興味はないという由でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 まあ政治活動には興味のない国際美容何とかというのがその一つだそうでございますが、それならば、政治活動に興味のない国際美容と政治活動に興味を持っておる他の三団体、それらの、厚生大臣に届出をしておる美容師の団体というものは、仕事は何かしておるだろうと思うのですが、一体どんな仕事をしておりますか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 これは講習会を実施しましたり、あるいは団体によったら連合会で養成施設を持っているところもございます。あるいは親睦的な機能を主としてやっておるものもございます。団体によってそれぞれ仕事は違っております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それぞれ団体は講習会をやったり養成施設を持って同業の後継的な人を養成する、あるいは親睦的ということでございますが、それらの団体は、同時にたとえばお互いに話し合って適正な料金をきめたり、あるいは、少くとも美容業というものは辺陬のいなかにはそう普及しておるものではない、やはり近代的な消費的大都市に集中しておると思うのです。そうしますと、距離の問題とかいうような問題をやはり組合で当然この技術の向上や施設の改善をはかるというこり法律の十四条の二の目的を達成するためには、やはりそういう話し合いをやらなければ、なかなか施設の改善等ができにくい形が出てくる。業者の中で料金の、ダンピング等をやるものがあっても困るわけですが、そういうことも同時に話し合っておりますか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 実は前国会におきまして、さような料金ダンピング等の問題も出まして、この席上で私は適正な料金の範囲を指導するということを申し上げた次第でございます。その後いろいろ業界と相談いたしまして適正な範囲というものを見出したいと私ども考えておりますが、業界の話し合いというようなことは、とてもたくさんありますので、なかなかまとまらず、従って適正料金の指導すべき幅というものについては、いまだ意見がまとまっておりません。従って私どもさようなものを実施いたしておりません。従って業界においてはもちろん適正料金の幅というようなものを一応指導する段階ではないと思っております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうも楠本さんの答弁は首尾一貫しないのです。というのは、適正な料金の範囲の指導を業界と相談をしてやりたいというが、業界そのもりが幽霊のようにわからないのでしょ。それを相談したって、さいぜんの御答弁ではできるはずがない。業界というものは良識あり、厚生大臣に届け、おる団体は相当力のある団体だ、実は法文を読んでおぼろげながらそういり認識をもって答弁をしていただくつもりだった。ところがあなたの御答弁は全くそうじゃなくて、何が何だかわからぬのだ。団体はあるけれども、末端はどうなっているのかわからぬという御答弁だった。そんなわからぬ団体に料金の適正などを相談したって、どうにもならぬことになるのじゃないでしょうか。そうしますと、政府は、これらの団体が国民生活にきわめて重要な影響力を持つものであるとするならば、すみやかに議員立法とかなんとかいうことじゃなくて——議員立法でやると、また党利党略といわれ、環境衛生に関する七つの業種を法律できめたり何かすることは、独禁法にも違反しまずそういう七つの業種をやらなければならぬ前に、それよりもさらに人間の生命に関係する医師、歯科医師、薬剤師の団体もできていない。それなのに特定郵便局長をやったり、七業種をやると笑われるのです。この法律では、あなた方自身が末端の把握ができないということに一なっている。だからそれならば政府みずからが次の通常国会に美容師法なり理容師法なりを改正して、全部の業者が箪食壷漿して迎えるような、鼓腹撃壌して迎えるような形をきちんと作ったらどうですか。また議員立法なんかやっていると、必ずやられます。今、長谷川さんの議員立法が、良心的にやっていてさえも、あなた自身は時期尚早だというし、こちらはまあまあもう一歩しりぞいて考えたいとおっしゃっている。ところが自民党から出せば、また社会党からやられることはさまっている。だから政府みずからが客観的な情勢をよく考えて、この際一つ単独立法でなくても、理容師、美容師法を——ほんとうにあるべき美容師の姿が出てくれば文句はないと思う。そういう点で、どうですか、これは楠本さんの方で進んでやるという御意思はありませんか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 業界の組織を整然といたしまして、その組織の力によって民主的、自主的に自粛する意味で、それぞれの問題を解決していくという基本的な考え方につきましては、私は全く同感でございます。従って今後そのような方向にできるだけ力を尽くして参りたいと考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 業界の組織を整然化する、そしてその上に立ってりっぱな美容師会を作りたいとおっしゃるのですが、それは政府の方で早急におやりになる意思があるでしょうね。そういうことであれば……。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 事実今党の方でもいろいろ御研究になっておることを聞いております。ただ政党内閣でございますので、私どもとしては特に党、政府を分離して考えるということはきわめて困難ではないかと存じます。私どもはいかなる場合でも、正しい判断のもとに批判をし、御協力をすればいいのじゃないかと考えておる次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それは私もその通りでございます。しかし技術上の問題や資料を提供するというのは、やはり専門的に仕事に携わっておる中心的なあなたの環境衛生部あたりがやらなければ、これはなかなかできないものなんです。政党内閣といっても、今の日本の自民党の政調会にしても、社会党の政調会にしても貧弱なものです。法律一つ満足に作れないのが現在の偽わりなき姿です。率直に申し上げて、やはり一法制局なりあなた方の知識というものを十分吸収しなければ立法ができないというのが現在の日本の政治の姿である。これは情ない姿です。というのは、それぞれの政党の政務調査会は優秀なスタッフがそろっていないのです。そこで当然これは自民党から出されることも、私は議員立法でいいと思うのです。しかしそういうことでなしに、現実にこの法律がどうにもならないということになれば、政府提案というのが、法律の建前でいえば今までの日本の慣例からいうと、ほとんど原則的なものになって、議員立法よりか、政府提案の立法というものは国会でも非常に有力な形で通っていっておるわけです。また予算を伴うような法律というものは作ってはいかぬと国会法等の改正でも非常に制限をつけてきておるような現状です。そういう点から考えても、何も自民党がやっておるからといって遠慮する必要はないので、あなた方の正しい姿で、これを内閣提出にして出せばちっともかまわぬ。実際に厚生省が省議できめて大臣が出すということになれば、政党内閣ですから大臣を通じて党とまた話し合いもできるわけです。そういう点で、私は組織は組織でけっこうです。ただ問題は、美容師の単独の立法というものを時期が早いとかなんとかおっしゃったけれども、実際に社会党も出し、また自民党さんの方は何か党の方の都合があって、出すような出さぬような格好でありました。初めはわれわれは出すと思っておったのですが、急激に百八十度の転換をして、何か変な法律になりつつあるようでございます。あれはあれで組織であって、相当違うところもあるのです。そういう点で何か政府の方で美容師法の単独立法を出すという意思はありませんか。今のように幽霊みたいになかなか把握しにくい、環境衛生の十分なる進展をはかる上にこれは必ずしもりっぱなものでないということが今の答弁ではっきりしてきた。そうしますと、行政の責任者としてのあなたとして、これを時期尚早だとかなんとかおっしゃったですけれども、正直なところ、やはりやりたいのか、それとも時期が早くて、何かそういう組織に関する法律でも出てからおやりになるというのか、そこらあたりを一つ明白にしていただきたい。というのは、現在すでにわれわれは現実の問題として法律を出しておるのですから、この法律に対する態度をきめなければならぬ。そこで政府の直接の行政の責任者としてのあなたの方の態度を一応聞いておきたいと思います。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 業界を組織化することにつきましては、先ほどもお答え申しましたように、全く同感でございます。従ってこれはたとえば理容、美容その他の業界を総合的に組織化するか、あるいは美容というような一つの業態を切り離して、それぞれで組織化の方向に進むか、これはいずれといたしましても、組織化することについては、これは私といたしましては行政実施上きわめて適切な措置と考えまして、今後もその方向に努力をいたしたいと存じております。  次に美容師単独法を出すかという問題でございますが、これは先ほどもお答え申し上げました通り、私どもがもし政府提案でこれを出すというならば、もう少し理容師法と美容師法とを分けるべき内容の差というものを求めて出したいというのが率直な気持でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それは内容の問題は、当然日進月歩の学問の進展に即応した美容理容のための法律を作らなければならぬと思うのですが、政府として美容師法の単独立法を出す意思があるのかどうかということをお尋ねしているわけです。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 近い将来、全身美容というようなものが大いに発展いたしまして、その姿が少くとも理容と大きく離れた時代、または取締り上現在の法律だけでは不便である、つまり全身美容等に伴って取締りの必然性が近い将来に生まれて参りますれば、そのとさに美容師単独法を出したいという考え方でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 きわめて遠い将来の御答便のようでございますが、それ以上追求いたしません。  そこで最後に技術的な問題をちょっと尋ねておきたいと思うのですが、美容、理容を総合的にやるか、あるいは美容、理容と分けて単独の組織を作るかというような点について、ちょっと技術的に尋ねておきたいのです。それはこういった団体を全国的に一本のものに法律で規制して作って、その場合に会員は強制入会させる、こういう立法が可能ですか、現在の憲法のもとで。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 現在の法律は一本でありますが、理容界、美容界というものは全く別になっております。そこで問題は強制加入の団体を作るか、これはきわめて問題でございまして、現在は弁護士会だけが強制加入になっております。しかしその他のものについて、何ら強制加入の団体はございません。私ども事務当局がこれをとやかく言う筋合いではございませんが、やはり現段階においては強制的にある一方の団体に必ず加入するということは行き過ぎではないかと思っております。従ってむしろいい団体ができて、お互いに自治的な納得、反省によって一つになっていくという自然な姿が望ましいのではないか、かように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 私がお尋ねしているのは、行き過ぎとか何とかいう意味のことでないのです。政治は時に力であることがあり得るのですね。法律的に司、能ならば、力でそういう立法も作り得るというのが現在の日本の姿です。そうでしょう、憲法九条の解釈でも、初めわれわれが理解したときには、軍隊なんか持てない、自衛軍も持てないというのが、いつの間にか力でそれが持てるように解釈された。それと同じように現在の憲法のもとにおいては、正当な解釈では、たとえば理容だけでけっこうですが、強制加入をするような法律を作り得るのか作り得ないのかということをお聞きしているのです。これは専門的にあなたがおやりになったので、われわれも将来薬剤師法なり歯科医師法なり医師法なりの問題を考えるときに、当然これはすぐ問題になってくる問題なんです。そこでこの機会に、このような衛生関係を扱う業務ですから、お聞きしておくわけです。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 憲法論になりますと、私とうていその任でございません。従ってここで責任ある御答弁を申し上げることはできませんが、ただ私がかような団体を監督いたしておりまして、今まで承知しております範囲では、弁護士会だけが強制加入になっております。従って理容師会においてもやればできないことはないだろうとは常識的に考えますが、しかしこれは前段に申し上げましたように、私責任をもってお答えを申し上げる立場でございません。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 弁護士会も、東京弁護士会とか、いろいろ分れているのではないですか、全国一つの弁護士の会になってしまっていますか、御承知ならちょっと教えていただきたい。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 これは弁護士会に加入しなければ弁護士を業とすることができないように規定されていると記憶しております。従って団体は一つでなくて、二つかあるように聞いております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 実は私はそこをお聞きしたかったのです。団体が二つか三つあるという点。そうしますと、たとえば強制加入という形をとっても、現在の理容界や美容界の状態を考える場合に、三つ団体があった。そうすると団体を三つ作ってそれにみな加入すれば一本にはなり得ないことになるわけです。私の尋ねるのは、一本の全国的なものをきちっと作って、それに強制的に加入させることが、現在の日本の憲法のもとにおいてできるかどうかということを実はお尋ねしているのです。それが二つか三つあって、どれでも自由に加入しろということならば強制加入ということについても、非常に幅ができて、気持も楽になってくるのですね。ところが一つのものしか作らない  で、その一つのものに加入しなければならぬということになると、これはなかなか幅が狭くなる。そういうことを実はお尋ねしているのです。一つ作って、それに強制的に全部加入しなければならぬ、こういうことは今の憲法のもとで許されているのかどうか、そういう点、御研究になったことはありませんか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 後ほど一つ専門家等の意見を聞きまして、お答えをいたしたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それからその次には、そういうような団体、一応弁護士会のような団体ができたといたしましょうか、その場合にその団体が料金を、少くともその所属すを会員全部については統制をしてしまう。たとえば理髪ならば、一回百三十円でなくてはならぬ、それ以外の料金を取ってはいかぬ、それをこえたり安くした者は処罰、除名、こういう料金の規制と申しましょうか、あるいは距離——ふろ屋さんなんか、県の条例か何かで、福岡県なら三百メートルぐらいだったと思いますが、これがしょっちゅう問題になって、私は県会議員の当時、浴場審議会というものはいつももめる審議会であったことを記憶しております。こういう料金とか距離の適正化というか規制というか、そういうことをそういう団体でやることは、立法的に見て、たとえば独占禁止法の除外とかいうようなことが可能かどうか、これは一つの業態がそういうことになれば、すべての業態にそういう例が私は出てくると思う。現在、これは資本主義のもとにおける自由企業ですから、たとえば小売店だけでも全部がして、たとえば紙一枚十円でなければ売ることはできぬ、こういうことも非常に極端論ですけれども可能になってくるわけですね。そういうことが可能かどうかということとともに、現在美容あたりの料金のきめ方は、一体どうしてきめているか、これをあわせて御説明願いたいと思う。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 組合が料金規制を行いますことは、法律で定めれば可能だと存じます。現在中小企業安定法においてはこれを定めております。ただこれはおそらく、たとえば百五十円というふうに一本に縛らず、ある一定の幅ないし範囲で押えざるを得ないものだと思っております。なお二の場合に注意しなければならぬことは、料金をむやみに上げて国民生活を圧迫するような結果になってはなりませんので、これは相当な行政上の監督あるいはその他いろいろな条件が必要だとは存じます。その条件さえうまく反映されますならば可能でもあり、かつまことに好ましいことでもあろうかと存じます。  なお現在の理容、美容等の料金につきましては、以前はこれを物価統制令によりまして、統制料金を実施いたしておりましたが、その後統制を撤廃いたしております。従って現在は全く自由料金でございます。ただ組合等におきましては、寄り寄り仲間であまりひどいダンピング、あるいはあまり著しい高価なことがないような話し合いをいたしておるようでございますが、しかしながら何分にもこれは技術を主とした仕事でもあります。また一方、最近は第三国人等の故意なる、ダンピング等が行われております関係で、必ずしも適正料金というものが施行されておらぬのが現状でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ある程度料金の幅を持たしておけば、法律で料金の規制は可能だという御答弁がございました。そうしますと、業界の健全な発展をはかり、技術の向上をもたらし、同時に組織を作っていくためには、何も新しい法律を作らなくても、あなたの今の論理に従えば、現在の法律の中で、その幅と規制とをやれば、これは業界の組織と、それから技術の向上等もできるような姿が出てくるんじゃないだろうか、その点はどうお考えになりますか。今の御答弁はどうもそういう感じがしたのでございますが、その点ちょっと御見解を承わっておきたいと思います。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 現在自主的な、民主的な統制を必要とするという考え方に立つ場合には、それは必ずしも理容、美容だけに限りません、映画館もあろうし、あるいは公衆浴場もありましょう、従ってそれらの基本的な考え方を個々の法律で解決するか、あるいはこれを一括して別個な総合法で解決するかということについては、これは全く立法技術上の問題でございまして、どちらでも成り立つ意見だと存じます。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十三分散会

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