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24回国会衆議院1956/05/11

社会労働委員会 第43号

発言数
89
登壇者
22
会派数
2
開催日
1956/05/11

会議録

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 これより会議を開きます。まず日程に追加して長谷川保君ほか一名提出の美容師法案を議題とし審査を進めます。まず提案者より趣旨の説明を聴取いたします。長谷川保君。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 最近の美容業界の著しい進歩発展は、従来の理容師美容師法によって、理容業とともに一括処理することは、種々の不便を生じ、斯業の発展を妨げる状況となりましたので、 一、美容師法を制定して、理容業と別に処理すること。 一、美容師試験の受験資格を従来の資格要件にあわせて、新たに、厚生大臣の指定した美容師養成施設において、厚生省令で定める期間以上美容師たるに必要な知識を修得し、かつ、美容所において三年以上美容の業の補助的業務に従事した者も受験資格あるものとして、実技の修練を必須とする美容業の実情に沿うこととし、  一、美容所の従業者はすべて年一回行政庁が行う健康診断を受けなければならないこと。  一、美容師または美容所の開設者の組織する会またはその連合会は、美容の業務にかかわる技術の向上及び施設の改善をはかり、美容師の養成に関する事業を行い、並びに会員の指導及び連絡に資することができる旨を法律に明記し、  その他所要の改正をすることといたしたのであります。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことを願い上げます。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 以上で説明は終りました。本案に対する質疑その他につきましては、後日に譲ることといたします。     ―――――――――――――

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 駐留軍労務者の労働問題に関する件につき調査を進めます。  本件に関しまして参考人の方々が出席されておりますので、意見を聴取することといたします。  この際参考人の方々に一言申し上げます。本日は御多忙中御出席下さいまして、ありがとうございます。最初経過について説明をしていただき、後刻委員よりの質疑にお答え願いたいと存じます。ただ議事の整理上説明をしていただく時間は約十五分程度にお願いいたします。  なお念のために申し上げますが、参考人の方が発言なさいます際は、委員長の許可を得なければなりませんし、参考人の方は委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますから、以上、お含みおきを願います。  なお委員諸君にお願いいたしますが、発言者が多数ありますので、一人二十分程度にお願いしたいと存じますから御了承願います。  それではまず河野参考人にお願いいたします。河野君。

河野義信広島県副知事

○河野参考人 私は広島県の副知事をしております河野であります。ちょうど県会が開会中でございますので、大原知事が出席できませんので、かわって参った次第でございまして、その点御了承いただきたいと思います。  本日はわざわざ本委員会にお招きいただきまして、地元の意見を御聴取いただきますことは、地元といたしましてまことにありがたく感謝にたえない次第でございます。今回呉に根拠を持ちます国連軍の総引き揚げに当りまして、本年末までに約八千名の労務者が解雇されるわけでございまして、今日まですでに国連軍関係の失業者のみで約二千六百名、その他失業者を加えますと一万二千名、これを合計いたしますと三十一年末ごろには呉市において約二万名という大量の失業者を出すという、きわめて重大な事態を生ずるわけでございます。県市といたしましては、今日このことのあることをすでに予期いたしまして、昭和二十八年の八月に、県市地元関係機関をもちまして、知事を会長とする国連軍引揚対策協議会を設置いたしまして、国有財産の返還に伴う活用による企業の誘致、離職者の就業対策等について種々対策を講じて参ったのでございます。失業対策事業にいたしましても、昭和三十年度におきましては、県といたしまして、一般公共事業、特別失対事業、緊急就労対策事業等で、呉地区に対しまして約二億五千万円の事業を実施いたしまして、緊急就労の対策を実施いたし、また企業誘致につきましては、過去数年の間に尼ケ崎製鉄、日亜製鋼、呉造船、東洋パルプ等の大企業の誘致を実現いたしまして、現在約八千余名の従業員を使用している状態に立ち至っておるわけでございまして、地元といたしましても、今日まであらゆる努力を続けてきておるのでございます。しかしながら今回国連軍総引き揚げによります一時に八千名という大量の失業者が出て参りますので、この対策と、今後の呉市がどのようにして立ち直るかという問題につきましては、事がきわめて重大でございまして、県や市によって容易に解決し得る問題ではないというわけでございます。先ほども申しましたように、呉市だけでも三十一年末までには約二万名の失業者が出て参りますし、呉と経済圏を同じくしております広島市におきましても、現在一万二千名の失業者を持っている状態でございます。また呉市付近の農村におきましては、御承知のように段々畑で、山の上まで耕作いたしておるのでございますが、それでも一戸当りわずかに二反四、五畝というような状態でございまして、現状においてこれら多くの失業者を吸収していく余地はないという状態にあるわけでございます。従ってこの国連軍の問題に関連いたしまして、ぜひとも国で何とか責任をもって対処してもらえるのが当然ではないかというふうな考え方を根本的には持っているような状況でございます。  県といたしましては、国連軍が引き揚げるということがわかりますや、国連軍引揚対策本部を設置いたしまして、副知事を本部長としまして、専属の事務局長以下職員を置き、また県議会におきましても対策特別委員会が設置されまして、これが対策を講じているわけでございます。  対策といたしましては、ただ単に二万名の失業対策ということだけでなく、根本に、呉市の再建をどうするかという問題にかかっておるのでございまして、この点につきましては、終戦以来の広島県の産業のおい立ちが、御承知のごとく終戦前は広島及び呉が、広島が陸軍、呉が海軍という根拠地になっており、これに関連する軍需産業の繁栄によりまして維持して参ったのでございますが、御承知のごとく終戦によりまして呉及び広島の軍は崩壊いたしますし、これに関連する軍需産業は全滅するという状態でございますし、しかも広島市は原爆で、呉はまた異常な戦災を受けて、いまだ平和産業も十分に回復し得ないという状態にありますので、県といたしましては、昭和二十六年生産県構想なるものを樹立いたしまして、産業基盤を確立すべく県政のあらゆる施策をこれに集中して参っておるわけでございまして、特に広島、呉地帯の鉱工業整備計画なるものを立てまして、極力これが実現に努めておるような状態でございます。しかしこの点は先ほども申し上げましたように、今日のような事態に立ち至りますと、とうてい県、市の力だけではどうにもならないというのが実情でございまして、対策の重点といたしましては、お手元に資料を差し上げておるわけでございますが、その要点といたしましては、今後呉市は産業都市、工業都市として旧海軍の遺産というべき旧海軍施設の活用をはかって、積極的に企業誘致をはかり、産業を興さなければならないのでございまして、これがために国有財産の転用について国の特別の措置をしていただかなければならないという基本的な考えに立って、次の六つの事項を国に要望しておるわけでございます。  その一つは、産業の発展による経済力の培養によって、直接間接の雇用機会の増大をはかれるように対策の基本方針を確立していただきたい。二としましては、転換施設の利用については防衛庁施設は現在の必要限度にとどめ、産業の発展のためにあとら限り有効に利用するように考慮願いたい。三としましては、国有財産の処理については企業の進出を容易にするために、財産の貸与または払い下げ価格等について特別の措置を講じていただきたい。四としましては、産業の立地条件整備の事業を優先して施行し、事業費及び吸収労働量を勘案して事業計画を樹立していただきたい。五として、離職者対策については、当面失業対策事業の実施によって緊急就労をはかるとともに、職業補導、職業紹介の措置を強化して一般産業への就業、他地域への移動、その他各種建設事業の施行によって再就職の道を講ずるほか、離職者が組織する企業組合の育成等、当面必要とする措置を講じていただきたい。六としまして、市の財政対策についてはこの際根本的に立て直しを考究し、旧海軍助成金等国有財産を対象とする新たなる財源を付与し、さらに県、市のきわめて逼迫した財政事情からして、先に申し上げました実施後に伴う財政需要について国において特別の予算措置を講じていただきたいということでございます。国におかれましても十分なる御理解をいただきまして、政府におかれては内閣に特需等対策連絡会議を設置せられ、また政党におかれましてもそれぞれの特別委員会か設置せられまして、現地の実情をお調べ願い、また政府におかれては先般関係各省よりなる現地調査団を派遣していただき、これに基いてさらに四月二十四日にはこの対策について閣議了解事項を出されて、具体的に一つ一つ対策を講じていただいておりますことは、地元といたしましてまことに感謝にたえないところでございます。県といたしましてもきわめて逼迫した財政事情のもとにあるわけでございまして、できるだけの努力を払わなければならないと考えているのでございますが、県の財政事情は、昭和二十九年度におきまして赤字を六億三千万円出しました。昭和三十年度においても同程度の赤字を持っており、また災害等公共事業の増加に伴いまして、県の起債額は年々増加いたし、三十年度末におきましては総額が八十四億余万円に達しております。これが償還費は年々増加いたしまして、昭和二十九年度は約五億四千万円でありましたのが、三十年度におきましては七億五千万円となり、本年度におきましては十一億一千余万円に達したのでございます。三十一年度におきましては、ただいま申し上げますように元利償還が十一億一千余万円で、新しく起債の借り入れ見込みは六億一千万円というふうな状態にまで達して参っておるわけでございまして、従って一般公共事業につきましても、前年に比しまして三十一年度は大幅に削減せざるを得ない状態にあるのでございますが、その中で呉地区に対しましては、失対事業を含めて少くとも二億四、五千万円程度の事業を実施する予定にあるわけでございまして、これが財源の捻出につきましても、目下真剣な検討を加えて苦慮しておる実情でございます。それかと申しまして、他の地区の公共事業をさらに極限いたしまして、呉地区周辺に集めるということももちろんできないような状態でございますし、全体といたしまして、これ以上の公共事業の実施は、国において特別の財政措置を願わない限りどうにもならないというのが県財政の偽わらざる実態でございます。また呉市におきましても同様でございまして、県と同じように苦しい財政状態にあえいでおるわけでございます。目下県、市といたしましては、財政再建整備のための対策を日夜考究いたしておるような事情でございます。つきましては、政府におかれてこの点特別の財政措置を講じていただくように重ねてお願いを申し上げるわけでございます。  なお、このたび特別事業をいろいろ考慮いただきつつあるわけでございますが、これは産業が復興いたしまして失業者を本格的に吸収するまでの一つのつなぎであり、また産業立地条件の整備にすぎないのでございまして、産業の振興に今後格別の御配慮をいただきますとともに、この産業の復興がおくれますならば、何度も特別事業を考えるという状態になりはせぬかと思っておる次第でございます。特に明年度以降におきましては、いよいよ切実深一刻さを増してくると考えられますので、三十二年度予算において特別な財源措置並びにこれに伴う立法措置あるいは産業立地の整備のための鉱工業地帯整備法案等の立法措置等についても特段の御配慮をいただきたいと思う次第でございます。  なお、具体的な問題につきましては呉市長よりも御説明があると存じますが、時間もございませんので、御質問にお答えさせていただくようにいたしたいと存じます。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 次に松本参考人にお願いいたします。

松本賢一呉市長

○松本参考人 私呉市長の松木と申すものでございます。本日は地元の事情を御聴取いただきますために、わざわざこの委員会にお呼び出しをいただきまして、その機会を与えていただきましたことを厚くお礼申し上げます。  ただいま副知事から各般の問題にわたりましていろいろと御説明をいたされましたので、時間の関係もございますので、私は各般の問題に触れることを避けまして、主として失業対策事業を中心といたしまして、重点的に御説明なりお願いなり申し上げたいと存ずる次第であります。  呉市は現在約一万二千名内外の失業者をかかえておりまして、いわゆる失業モデル都市といわれておるのでありますが、呉市における失業対策事業は昭和二十三年開始いたしまして以来、逐年増加の傾向をたどりまして、その事業ワクは昨昭和三十年度には遂に二千五百を突破いたしまして、県営のものを合せますと、三千五百なっておるのであります。従ってこれが呉市の財政に及ぼします影響もまことに大きく、その事業費は最近の二、三年間におきましては、大体年間二億五千万から八千万というような金額になっておりまして、歳出総額が十四、五億円でございますので、これに対しまして二〇%内外の多額を示しておるのでありまして、市費負担の比重は、全国的に見まして平均比重の約四倍程度になっており、おそらく全国の都市中で第一位であるのではないか考えておるのであります。こういうことが最大の原因となりまして、市の財政の赤字は、二十九年度決算におきまして一億七千万円、三十年度決算におきましては二億五、六千万円の赤字が予想せられるのであります。一方失対事業のための起債も逐年増加いたしまして、その元利償還額は、本年度において約四千万円となり、これまた赤字の重大な原因となっておるのであります。かかる財政状態にかんがみまして、三十年度には私ども市役所吏員の一割整理を断行いたしますとともに、物件費を五割削減し、出張旅費等は極度に切り詰めるといったような思い切った措置をとりまして、三十一年度からはさらに一部は減俸、大部分の者は昇給ストップというような非常手段まで強行いたしておるのでございますが、それでもなおかつ単年度に数千万円の赤字が予想せられるような状態なのであります。  このようなところへ今回の国連軍総引き揚げによる大量失業が起りましたわけで、私どもこれを第二の終戦と呼んでおりますが、そう呼びましても過言ではないと思っておる次第であります。国連軍関係の失業者は昨年以来現在までにすでに二千六百余名、さらに今年中に司令部の発表によって解雇を予想されますものは七千六百余名でございまして、結局本年度末ごろには、呉市における失業者は従来の一万二千名を合せますと、二万名をこえるというような状態が予測せられるのでありまして、今かりに家族を四名と見ましても、約八万名が失業世帯になりまして、呉市全人口が二十万でございますから、その約四割が失業世帯ということになるわけでございます。また町の中小業者の中には国連軍に依存しておったものが多数ありまして、これらの収入減は年間三十億と見積られておるのでありまして、このような非帯時状態とでも言うべきものをいかにして立て直すかということは、根本的には結局あの膨大な旧海軍の軍用施設というものを活用いたしまして産業の育成をはかり、呉市のいわゆる新しい町作りをするということが最も肝要であると考えるのでありますが、それと同時に緊急な失業対策を講ずることが絶対に必要となるわけでございます。これらの諸対策について、去る四月二十四日に閣議了解事項として、「呉地区国連軍引揚に伴う対策について」というものが決定されたのでございます。これによって具体的な諸対策が立てられることになった次第でありますが、この線に沿いまして内閣を初め関係各省及び自民党における特別委員会の異常なる御協力によりまして、すでに防衛庁の御利用になる区域もほぼ決定いたしまして、また旧軍用財産を産業に活用するための処理方法について、大蔵省の特別措置も概要示されたわけでございます。  一方緊急的な対策につきましても、同様関係方面の御理解と御推進によりまして、本年度内に失業者を新たに約一千名吸収するための特別事業といたしまして、道路、港湾等の損傷を回復する事業、あるいは産業立地条件整備のための工業用水の拡充、あるいは災害復旧、防止、その他公共事業等を合せて総計六億四千万円に上る事業を実施するための予算がほぼ決定されまして、これによりまして三十年度事業に比較し、一日平均約一千名の雇用増加か見込まれる次第なのであります。しかしながらこの四億六千万円の事業を行いますためには、水道関係の起債一億三千七百万円を別といたしましても、県におきまして九千万円、市にお気まして五千万円、合計約一億四千万円の地元負担を伴っておるようになっておるのであります。ところが県におかれましてもそうでございますが、呉市におきましても、先ほど申し上げましたような財政事情でございますので、五千万円というような多額の負担には、とうていたえられないのでありまして、この負担をいかに考えていただくかが、これらの事業を行うことができるかできぬかの境い目となっておるわけであります。もちろん今大蔵省並びに自治庁におかれまして、この点をいかにするかについて、大へん御心配をいただいておるのでございますが、まだ結論に至っておりません。この点が解決いたしませんと、事業は施行不可能となるような事態に追い込まれるのではないかと心配しておるのでございます。四月の閣議了解事項の中にも、「必要となる財政上その他の措置については、特段の考慮を払い、」というようなことが織り込まれておりますので、その点を皆様方特に御留意いただきまして、どうしてもこれらの事業を遂行できますよう、特別な御配慮をお願いいたしたいと思うのでございます。  次に申し上げたいと存じますのは、本年度におきましては、失業いたします人々も失業保険等がございまして、土木事業等へ就労する者も割合に少く、今申し上げましたように一日平均約一千名くらいが新規に見込まれる程度でございますが、来年度になりますとその数は急激に増加するものと予想されるのであります。つまり最も深刻な失業状態が来年度に招来される事態になるのでございます。ゆえに私どもは来年度の対策に実は今から苦慮しておるわけでありまして、これに対処いたしますためには、この際どうしてもはっきりと一本の道を開いておかねばならぬと思うのでございます。その一本の道とはほかでもございませんが、全額国庫補助による失業対策事業並びに特別失業対策事業の道でございます。もちろん呉市におきましては、今年度行いますような損傷回復とかあるいは産業立地の整備のための事業、そういうような事業も継続して行う必要があるのでございますが、これらのみではとうてい三千も五千もの就労をはかることは不可能と思われますので、ぜひとも今申したような一本の道を開いておく必要があると考えるのであります。実はこの点につきまして、すでに労働省におかれましては、今日私どもの遭遇しておりますような事態を十分予想せられまして、去る一月の今年度の予算原案におきましては、全国的に見て失業者の多発地域に対しましては、全額国庫負担の道を開くように予算要求をいたされましたにもかかわらず、予算査定の過程におきまして惜しくも落されてしまったという事実があると聞いておるのでございます。そして結局結果におきましては、一般失対事業において五分の四の国補が最高限度となり、特別の失対におきましては、補助率はかの公共事業並みということになったのでございます。これでは労働省のせっかくの親心が実を結ばなかったわけでありまして、私どもまことに残念に思っておる次第であります。しかも特殊な地域へ全額国庫補助をするということは、予算の額から見ますと、一兆円の膨大な国家予算の中の僅々数億円にすぎないのでございまして、このほんのちょっとしたさじ加減で、私ども貧困な都市は失対事業の遂行に常に悩まされ、失業市民は常に生活不安におののいておるわけでございます。で、この際皆様方委員会のお力によりまして、少くとも来年度予算においては、ぜひとも特殊地域に対しましては、全額国補の道が開けますよう特段の御配慮をいただきたいと思う次第でございます。もし万一来年度においてもこの一本の道が開かれぬといたしましたならば、私どもは多数の失業者を見殺しにせざるを得ないような事情となりまして、重大な社会不安も予想せられるのでありまして、その責任はとうてい一地方自治体の負担し得ないところでございます。どらかこの事情をよくよく御賢察の上、この一本の道をお開き下さいまして、一日も早く多数の失業者に一応の安心感をお与え下さいますよう、切にお願い申し上げる次第でございます。  なお申し上げたいことも多々ございますが、時間も経過いたしましたのでこの辺で打ち切らせていただきますが、なお御質問等がございましたらお答えいたしたいと思います。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 次に小松参考人にお願いいたします。

小松喬一郎関西駐留軍労働組合委員長

○小松参考人 関西駐留軍労働組合の中央執行委員長の小松でございます。公述に入る前に組合の自己紹介をします。  関西駐留軍労働組合は駐留軍労働者をもって組織する全国組合でありまして、その組織の範囲は神奈川県、滋賀県、京都府、鳥取県、島根県、熊本県、この一府五県にまたがっております。  ただいまから公述に入ります。駐留軍の基地で働いておる労働者の中で、国がこれを雇用しておる労働者は間接雇用の労働者と呼ばれておりますが、この間接雇用の労働者の現在までの失業の状態と、われわれ駐留軍従業員の立場を御説明いたします。  昭和二十七年以降自衛隊の増強に伴いまして、これに間接直接に起因いたしまして、軍の引き揚げ、部隊の縮小、作業量の減少、予算の削減、このような理由で毎年二万名以上の駐留軍労働者が整理をされております。三十一年の一月から現在五月までの間に、すでに七千二百二十二名の整理が行われております。さらに現在予想される部隊の引き揚げは、九州の大分・熊本地区の五百八空挺部隊がこの六月に本国に引き揚げますので、ここで約二千名の駐留軍の労働者が七月末で整理になるということが確定しているような状態であります。このような大量の失業者が過去現在に至って続出しておりますが、この傾向は部隊の引き揚げの急速な実施によりまして、これが加速度的に増加するということは、これは国会の皆様のすでに御承知のことだと考えるわけであります。これらの多量の失業者が解雇されて民間労働市場に提供される状態を申しますと、はなはだ簡単であります。これは国の雇用する労働者でございますが、国家公務員でございませぬために、三十日予告さえ与えれば随時解雇ができる。国家公務員法の七十五条の保障がございません。簡単に整理ができる状態でございます。また退職時の条件を申し上げますと、退職手当はきわめて劣悪でありまして、国家公務員に比べまして非常に率的に悪い。さらに恩給であるとか、あるいは待命制度であるとかあるいは年金といったような退職後の身分の保障と申しますか、生活の保障に資する何ものもないような状態でございます。このような状態で整理をされておる関係で、これは調達庁の統計で出ておりますが、この三十年の一月から八月までに一万五千百四十七名の解雇者が出ておりますが、これの就職状態は四千六十七名でございまして、これは大体二七・五%というような数字があがっておるわけであります。  それで同じく国で雇用するところの駐留軍労働者というものはどんなような状態で今まで雇用されてきたかというような沿革的な事情を申し上げますと、すでに諸先生方も御存じの通りに、あの終戦の年におきまして占領軍に対する労務確保が非常に困難なときに、各町々の隣組からかり出して、半ば徴発的にこれが雇用されてきたような実情でありまして、昭和二十五年のあの朝鮮動乱のときにおきましては、超人的な労働過重をやらされてきまして、さらに講和発効の昭和二十七年に至りまして、いわゆる日本政府が結んでおりますところの安全保障条約に基く行政協定上の国の義務を果すところの労務者としてさらに雇用を継続して現在に立ち至っておるわけであります。そうしてこの労働者諸君が今またやはり自衛隊の増強という政府の方針に基いて整理をせられるわけであります。しかしながらこれの退職後の保障と申しますと、先ほど申し述べましたように、就職率が示す通りにはなはだ遺憾なものがございまして、失業は潜在化しておるような状態でございます。こういうような状態にわれわれは対処いたしまして、これは歴代の政府に対して、この駐留軍労働者に対するところの失業対策は、量的に多いからというようなことだけでなくて、質的にやはり国の責任であるからということを強く叫んできたわけでございますが、幸いにして現在の政府におきまして、一般の失業対策と兼ねて特別の失業対策を持つということで、二月の三日と、それから四月の二十三日に閣議了解がされておるわけであります。これは駐留軍労働者の失業対策に対するところの一歩前進であるというふうに、われわれは率直に認めております。しかしながら、この閣議決定事項はいまだ具体化されておりませんので、具体的な事項に立ち至りますと、非常な支障を来たしております。そこで、われわれは現在失業者の団体が集まって企業組合等をこしらえ、あるいは自家営業等を営もうとしてやっているみずからの失業対策にどのような支障があるかということを、時間がございませんが、簡単に具体的な例をあげて申し上げたいと存じます。  まず融資の問題でございます。先ほど退職条件の中で申し忘れましたが、駐留軍労働者の平均年令は四十才でございまして、この勤続年数は平均して六年から八年というのが一番多い層を占めております。従って、終戦当時のあの三十代あるいは二十代の壮年時代あるいは青春時代と申しますか、非常に働き盛りをこの駐留軍労働の中に没頭してしまって、今非常に不遇な状態に閉ざされたということになっておりますので、民間に就職するという問題もございますが、それよりもまず資金の融資を得て商売をやる、事業をやるというのが、われわれの大きな眼目になっております。この閣議決定の中で、融資については便ならしめるような配慮がなされるというふうにいっておりますが、いまだ具体的に地方に対しては出ておりません。すなわち国民金融公庫等の資金ワクの問題にいたしましても、われわれの当った範囲においてはほとんど逼塞しておりまして、このワクを増大するか、別ワクを設置するかというようなことがなければ、とうてい需要に応じ得ないという状態でございますし、また中小企業等金融公庫あるいは商工組合中央金庫等の貸付状態においても、やはり貸付ワクの問題よりも貸付の条件が非常にむずかしくて、担保であるとか、あるいは保証人であるとか、あるいは新規需要であるので、将来の事業の見通しであるとか、これは貸す方においては当然のことでございますが、われわれ非常に老齢であって、しかも経験のない連中が借りる場合には、非常にこれはむずかしい状態にぶつかっておりますので、こういう金融の問題については、国家がこれを保証するというような、いわゆる保証協会等に対する国家の保証というような観点でこの問題を措置されないならば、結局において利用ができないという形になるのでございます。こういう融資の問題が一点ございます。  なおさらに、これはかなり具体的な問題になりますが、現在駐留軍労働者の中で筋肉労働者について最も多いと言われておりますのは自動車関係の労働者でございますが、現在自動車運転手は一万六千人ほど働いておりますが、これらの諸君は先ほど申しましたように、年令がすでに四十代を越えておりますので、民間会社へ就職ができないというような状態でございまして、これらはやはり退職の当時もらいました退職資金を出し合いまして企業組合等をこしらえて、とにかく自家営業を行おうという形で、京都においては大体小型二十台くらいの車両を目途として自動車の営業免許を申請しようとしておりますが、この問題については、やはり六大都市においては非常にむずかしい状態にぶつかっておりまして、交通事故の頻発であるとか、あるいは業者の共倒れであるとか、いろいろな理由で運送協議会等がこれに対して援助を与えない、許可をしないというような状態で、結局自動車関係労働者は自分で自営業を行うか、あるいは民間会社に雇われるかという二点で、どちらかを選ばなければならぬという立場に置かれながらも、どちらもできないという状態にあるのでございます。過般運輸省の自動車局長の方から通牒が流れておりますが、この問題についても陸運局等においては十分な措置が現在までとられておりません。  それから、国有財産の問題がございますが、この閣議決定の中で、現在軍の使っている施設あるいは機械器具等で現在遊休であるものについては極力利用するように努力するというふうに、しかもそのことによって利用者の便宜をはかるということが載っておりますが、必ずしもこの点について積極的なしかも迅速な措置がとられておりません。具体的な例を申し上げますと、大津市に軍が使っておりました大津水耕農場という農場がございまして、これは大体四十五町歩にわたるところの広範な農地でございまして、これを終戦当時の費用で二億四千万の巨費を投じて、東洋一を誇るところの清浄野菜つまり化学肥料を使ってやるところの農場をこしらえておりますが、この農場が一月七日に閉鎖になったわけでございます。それでここで働いておった元の従業員が百人十名ばかり整理になりましたが、これらの人たちが退職金等を出し合って、とにかく軍が現在農耕をやめているので、この間だけでも使わしてほしいというところの申し入れを軍側にしておりますが、これは現在拒否されております。しかもこの点につきましては精密な計画を樹立いたしまして、滋賀県知事の副申をつけまして現在中央の政府官庁に提出してございますが、これについてはいまだこの施設の全面的な返還については断わられておりますが、一部利用できる土地の返還についてわれわれは強く軍側に交渉をして、この遊休施設の利用について十分閣議決定の線に沿ってほしいという申し入れをしておりますが、この点が依然としていまだ進んでおらない状態であります。そうこうしているうちに、ここで整理になりました労働者諸君はすでに退職金なり失業保険なりの期間が切れまして離散するのおそれがあると同時に、軍側がこの農地を転用してほかの施設に利用するというような形をとりますと、せっかく現在の日本の食生活の改善その他に非常に役立つところのこういう大きな水耕農場が、全然あと使いものにならないよらな状態に置かれて、その後に初めて返還があったといったところでこの利用が非常に困難だというような状態に至りますので、現状確保と同時に、一時的な利用についても十分な努力を政府としてお願いしたいと考えるわけであります。  なおこの問題に関連がございますが、遊休施設並びに機械器具の問題でございますが、現在各地で整理が行われておりまして、その中では土木工作機械だとか、あるいは自動車の修理だとかそういうような技術関係の労働者が相当整理になっているわけです。これらの諸君が、結局軍側が現在使っておらないところの機械器具、ブルドーザーだとかあるいはグレーダーというようなものを利用して土木の仕事がしたい、というような形で軍側に申し入れをしておりますが、これが軍側としてはなかなか許可をしないというような状態であります。軍側のいわく、こういう工作機械等は中央の軍側の市場で売っている、中央市場でたくさん売っているのだからそこで一つ買ったらどうだ、というような示唆がございますので、その点について中央市場に申し出まして、このブルドーザーだとかグレーダーだとかあるいはダンプ・トラックというような土木関係の工作機械を手に入れようといたしましても、現在日本の通産省のとっております政策と申しますか方針によってスクラップでなければこれが手に入らない。われわれは非常に技術を持っておりますので、こういう故障品をたくさん、五台なら五台買いまして、それの部品を取りかえあるいは修理をいたしまして、それを二台なり三台なりにして完全なものにして使う、再生をはかるということでやっておりますが、通産省の方におきましてはこれはもうタイヤからエンジンから全部スクラップにしなければ民間に払い下げることができないのだというような制度をとっております。これはいろいろ機械の種類によって違いがあるだろうと考えますけれども、やはり国内のこういう重車両関係の生産を擁護するというか保護するという立場をとっているように聞いておりますが、やはりわれわれといたしましては、現在利用さすものは、駐留軍関係の失業者なら駐留軍関係の器材なり資材なりを特別の便宜をもって利用できる、そうして失業対策に資するという形が考えられなければほかにこれを持っていくところがないわけで、そういう点でも特に特定のものに対して特定の台数に限って再生を認めるというような方向で、通産省の方におかれても一つ御努力が願いたいというふうに考えるわけであります。  なお自衛隊への吸収の問題でございますが、閣議決定の中には自衛隊に吸収するという事項がございますけれども、先ほども申し上げましたように駐留軍労務者は非常に高年令でございまして、年令の点で制限がございます。そこでこの年令制限を緩和してもらうということと、給与条件についてある程度のしんしゃくをしていただかなければ、四級職だとか五級職だとか六級職だとかいうような給与の職級は、新制高校を出たりあるいは大学を卒業した、いわゆるこれから社会に立っていこうという諸君に相当する給料であって、四十代の男が親子三人も四人もおって生活できるような給与ではないわけである。こういう点についても十分な御努力が一つお願いしたいというふうに考えるわけであります。  なお熊本地区におきましては、先ほども申し上げましたようにこの七月を期して全部整理になるわけです。あそこの部隊は全部引き揚げまして、そのあとに自衛隊が入ってくるわけでありますが、この自衛隊が入った場合に、自衛隊内におけるところの残飯の払い下げであるとか、あるいは売店の権利であるとか、あるいは食堂の経営の権利、くつの修理、洗たく、そういうような隊内におけるところの出入り商人と申しますか、そういうような権利の獲得については、この事態によって失業する諸君に対しては十分の考慮、配慮がなされまして、こういうような縁故関係のある方面での就職なり、あるいは生業が立てられなければ、大言壮語いたしましても、失業対策がなかなかむずかしいわけであります。そういう点につきまして、この地区の従業員諸君が企業組合等をこしらえまして、知事を通じて強く自衛隊の方に交渉いたしておりますので、この点についてはいまだ結論が出ていないという報告がございましたが、そういう点についても十分の配慮が願いたいというふうに考えるのであります。  それから一番最後に国有財産の払い下げまたは貸与の問題でございますが、これは先ほども大津の水耕農場の例を申し上げましたけれども、この問題につきましても、われわれは地方の財務局なりあるいは大蔵省とも若干交渉をしておりますけれども、問題になりますのはやはり競争入札であるとか、あるいは額の点について、今までつぎ込んだところの資金というものといわゆる時価というものとの相殺関係、簡単に申しますと非常に高くつくということと、それから競争入札しなければ手に入らないというような点におきましては、やはりこの点は随意契約にするなり、あるいはその土地なり財産の所在地であるところの都道府県に委託管理をさせて、それからわれわれが転貸借を受けるといったような形のいわゆる法律化と申しますか、立法措置がなされなければ、この閣議決定事項は具体化されないのじゃないかというふうに、われわれの実際の経験からいたしまして申し上げる次第であります。  そこで先ほど国連軍関係の問題についていろいろ参考人の方々からお話がありましたが、非常にいいモデル・ケースでございますので、国連軍の方が、国有財産の問題につきましても、有償の問題にいたしましても、はっきりできますと、これが一般のその他の駐留軍関係の失業者にも適用されるわけでありますから、この点について、国連軍関係の失業対策、特に国有財産の問題、有償の問題については御努力を願いたいというふうに考えるわけであります。  非常に長時間を要しましたが、われわれ現地におきまして、実際失業者の中に入って血と汗でわれわれが何とか生きていこうというふうに考えてやった結果がこういう形で現われておりますので、どらか国会におかれましても十分御参考にされて、この駐留軍労働者の国家的な特別の失業対策についての御努力をお願いいたしたい、十五万の労働者にかわりまして皆さん方にお願いする次第であります。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 以上で説明は終りました。  発言の通告がありますのでこれを許します。中川俊思君。

中川俊思自由民主党

○中川委員 ただいま議題になっております本件は、すでに参議院の社会労働委員会におきましても、去る四月二十八日でございますか取り上げられておる問題でありますし、さらにまた私どもの所属いたしております自由民主党におきましても、石田君が委員長、私が副委員長でこの問題については取っ組んでおるのであります。また承わるところによりますと、社会党におきましても同様の対策委員会を設けられて、駐留軍引き揚げに伴う諸施策についてはかねがね御検討願っておるということを承知いたしておるのでございますが、なお内閣におきましても特需等対策連絡会議を設けられて、ここにおいでになっております各省の方々の御協力を願っておることも、私どもよく承知をいたしておるのでございます。本日は私は質問というよりか、むしろ今日まで私どもの主張して参りました点、なお皆様方にいろいろお力を拝借しておる点について重ねてここでお願いを申し上げ、この問題解決の完璧に御協力を願いたいという考えのもとに発言の通告をしたわけでございます。  駐留軍は全国に散らばっておりまして、何も呉ばかりじゃございません。しかし御案内の通り呉におりますのは国連軍でございまして、全国のほとんど九九%は呉におる。その国連軍が一朝にして引き揚げるという事態になりまして、先ほど広島県の知事さんや呉の市長ざんからの御発言によりますと、今年末までに八千人近い失業者が生ずる、さらに今日までの既失業者を見ますと一万二千人、合計二万人という失業者が生ずるという、まことに憂慮すべき事態でございます。東京や大阪で二万人というのは大した数ではないかもしれませんが、呉は先ほど来市長さんのお話にもあります通り、人口わずかに二十万でございます。一世帯五人家族といたしますと、二万世帯というものは約十万人の者をかかえておる結果になるのでございますから、これは呉にとりましては非常に重大な問題でございます。私は、これを放任しておきますと、失業保険のある間はどうやらこうやら文句を言わないで食っておるかしれませんが、失業保険が切れるような事態になった場合にはあるいは暴動でも起きやしないかというくらい、実は極端な考えかしりませんが憂慮をいたしておる一人でございます。従って政府におかれましても、これらの点につきましては十分お考えはいただいておるのでございますが、何でも終戦後の傾向を見ますと、地方財政が逼迫したというので、どこの県もどこの市も、補助金をくれ、助けてくれということばかりであるから、そういうことを聞かれることについてはもう皆さん方の耳にはタコができておるだろうと思う。従って呉の問題もまたかというような気持がないでもないのじゃないかと思うのでございますが、しかし私はこの問題はちょっと今までのケースと違うのではないかという考えを持っておるのでございます。こういう問題につきまして、内閣、政府与党並びに野党とも一致した行動をとっておると、いう例は、私はきわめてまれではないかと思うのでございます。それくらい大きな問題だと考えますので、一つこの上とも特段の御配慮をお願いいたしたいと思うのでございます。先ほども申し上げます通り質問ということではございませんが、一、二の点について、今まですでに皆様方とはたびたびお目にかかって御意見も承わり、また私どもの党としての考えも申し上げておるのでございますから、かた苦しいことは抜きにいたしまして、ざっくばらんに一つお話し合いというような意味でお聞きを願い、また重ねて御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。  まず第一点は失業対策の問題でございますが、ただいま申し述べますような状態でございまして、今年末になりますと呉には二万人からの失業者が山るわけでございます。三十一年度の予算編成に当りまして、労働省におきましては、こういうような特定地域に対しましては全額国庫負担の失業対策の処置を大蔵省に要求されたのでございますが、大蔵省はこれをお認めにならなかった。大蔵省としてはいろいろなお考えがあったことは申すまでもございませんが、しかし三十二年度の予算についてはぜひともこの点を一つ計上していただきたいと思う。これについて一つ大蔵省の御意見を承わりたいと思うのであります。

小熊孝次大蔵事務官(主計官)

○小熊説明員 お答えいたします。失業対策費の問題でございますが、失業対策費につきましても、やはりその事業効果と申しますものが地元に残るわけでございますので、われわれの考え方から申しますと、これは全額国庫負担でやるということは、他の補助金等との権衡もございましてなかなかむずかしいわけでございます。三十一年度につきましては御承知のように国会で御審議願いまして成立いたしました予算におきましても、失業多発地帯におきましては一定の部分につきまして高率補助というような制度を考えまして、それを予算に盛り込んであるわけでございます。それによりまして、呉市の問題につきましても相当財政的には負担が軽減されるものと、このように考えておる次第でございます。三十二年度はどうなるか、こういう問題でございますが、われわれとしては全額国庫負担というものは非常にむずかしい、このように考えておる次第でございますが、いろいろ検討いたしまして、失業対策というものが、そういう失業者の多発地帯におきましても円滑に運営できるようにいろいろ検討してみたい、このように考えておる次第でございます。

中川俊思自由民主党

○中川委員 今小熊さんからのお話のように、今年度は、失業対策につきましては、これまでと違いまして五分の四という高額補助の道を開いていただいたのでございます。しかしこういう呉市のような特定の地域におきましては、その五分の四の補助金をいただいてもなおかつ失業者の救済ができない、こういう実情なのです。これは理屈じゃなく実際がそうなのです。そういう場合に、依然として、できなくてもどうも他の補助金との関係上やむを得ないというのでこれを放任しておかれるということは、重大なる事態を招来する原因になるのではないかと考えますので、この点につきましても一つさらに御検討を願いたいと思うのであります。  それから三十一年度におきましてこうした特殊地域に対しましては交付税で十分に補ってやるべきだと思うのでありまして、御承知の通り去る四月六日衆議院の地方行政委員会、引き続いて行われました四月十日の衆議院の本会議におきまして、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案に対する附帯決議が行われておるのでございますが、これらに対しまして自治庁としてはどういうふうなお考えをお持ちになっておるのか、自治庁の方がお見えになりましたら御所見を承わりたいと思うのであります。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 中川君に申しますが、自治庁はまだ来ておりません。

中川俊思自由民主党

○中川委員 それでは大蔵省……。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 この問題はあと回しにしてくれませんか。

中川俊思自由民主党

○中川委員 呉市は現在失業対策におきまして毎年一億円近いものを負担いたしておるのでございますが、一体特別交付税でどのくらい見るつもりであるのか――これも自治庁がしなければわからない…。大蔵省、自治庁に対する質問が主であるが、大蔵省、自治庁はどうしたのですか。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 今連絡してすぐ呼びますから……。

中川俊思自由民主党

○中川委員 それでは議題を変えまして、文部省の方に、ちょっとお尋ねというかお願いをしたいと思います。  かねて問題になっております広島大学の医学部の移転の問題でございます。これは稻田さんとはたびたびお目にかかって、この問題についてはお願いもし、また私どもの意見も述べておるのでございますが、呉市としてはまことに重大な問題なのです。ことに広島大学は国立として内容を整備する見地から一個所に集めたいという大学当局並びに文部省の意向は、わからないことはございません。しかしながら、先般稲田さんは呉の実地を御視察下さったことと存じますから、十分おわかりと存じますが、広島と呉市とはきわめて至近の距離にございまして、自動車で飛んで行けば三十分そこそこで行けるのであります。そういう例は、東京におきましても、大学においては医学部を三十分、一時間の距離のところに置いておる例はたくさんございます。決してやってやれないことはないだろうと思う。一つところに寄ればいいということも考えられないことはございませんが、やってやれないこともないと思う。特にお考えをいただきたいことは、呉は医科大学を設置いたしますときに非常に大きな犠牲を払っております。犠牲を払っておると同時に、呉市といたしましては、この大学を呉市の熱意をもってどうかしてりっぱなものに育て上げたい、こういう気持を持ってこの問題と実は取っ組んでおるのでございます。それがたまたま今般三十一年度の予算におきまして移転費用が若干計上されたというので、地元では実は大騒ぎをしておる。承わるところによりますれば、今まで広島の県庁がありましたところへ移転の希望らしいのですが、あれは御承知の通り元の軍の倉庫だったのです。倉庫と言うとあなたには意見があるのだが、実は倉庫みたいなものなのです。ここに副知事さんがおられるが、なぜそれなら広島県は、先ほど来述べられておるように、財政不如意にもかかわらず十億円も出して新庁舎を建築されたかというと、今までのこの、軍の倉庫か何か知らぬが、建物は、土地がきわめて湿気が多い。通風、採光が悪い。不健康なことは、あそこへおいでになった方ならだれでもわかる。そういうところにおるにたえないというので、広島県のような財政不如意の県においてすら莫大な金を出して庁舎を建てざるを得なかったのです。そこへ病院を持っていくというのです。病人だから少しぐらいがまんせいといえばそういうこともいえないことはないかもしれませんが、しかしこれはもっと大きな人道問題でございまして、病院というものは、御承知の通り通風採光のいいところ、ぜいたくかもしれませんが、景色のいいところ、空気のいいところを選んで建築しておりますことは、稲田さんも十分御承知の通りなのです。その最も悪条件で、県庁ですら普通の事務もとれないというところへ病院を移転させる。しかも私が聞くところによりますと、広島市自体といたしましても、県庁のあとへ病院を持ってこられることについてはあまり歓迎をしていないのでございます。この点については、あなたは首をひねっておられるから、私と意見が違うのかもしれないが、とにかくそういうことを私はるる聞いておる。それをどういうわけであそこへどうしても移転をされなければならないか。それなら呉に適当なところがないかというと、あるのです。これは先般あなたがごらんになりました海軍病院なんか、私は十分に利用できると思う。広島におかけになる莫大な金を呉におかけになりますれば、できるのでございますが、この点は局長はどうしてもあなたの自説を固持して、あくまでも移転をしなければいけないというお気持であるかどうか、重ねてお伺いいたします。

稻田清助文部事務官(大学学術局長)

○稻田政府委員 お答え申し上げます。ただいまの点につきましては、中川先生からかねがね御教示をいただいておりますし、また熱心に御勧告もいただいておるわけでございます。なぜ呉から広島に移らなければならぬかという点につきましては、毎々いろいろ申し上げておりますように、現在呉におきまする医科大学であった、今日国立の医学部の施設でございます。今まで呉市が非常に力を入れられ、また維持してこられたわけでございますが、何と申しましても、基礎と臨床とかなり距離が隔たっております。また病院が三カ所に分れておる。いろいろな施設及び相関関係等を考えましたときに、将来これを大学に置くような新しい計画の医学部といたしますのには、相当手をかけたり、移転をしなければならぬ、こういう状況であったのであります。そこに移管のお申し入れが広島県の御当局からございまして、私どもといたしましては、従来あります大学におきましてもいろいろな施設が散在しておりますのを、いろいろな機会にさまざまな工夫をもって集中して参ってきておるときであります。また従来維持しております大学の施設を充実するのにもなかなか手が回りかねているような状況でありまして、そのままではなかなか移管に応じがたかったのでありますけれども、当時県庁において移転の計画があって、その跡地及びあとの施設を利用し得るという見込みが立ったのであります。これを利用することによりまして、医学部がすっぽり一つの地域、建物に基礎も臨床もまとまるし、他の学部との相関関係も緊密になるという計画が成り立ちますので、われわれといたしましては移管の計画を立て、国会の御承認も受けたような次第で、その後今日に及んできておるわけであります。中川先生の御心配いただきますように、県庁の跡地の建物と申しますのは、全く新たに計画を立てて近代的な学部あるいは病院建築をいたします場合と比べましては、ずいぶん不十分な点はございまするけれども、ここに至るまでに、建築の専門家なり、私どもの方におられまする医学視学委員会の医学関係の専門家にも二、三度にわたり御視察を願い、いろいろ模様がえ、あるいは使用方途による使用区分等を考えました場合には、必ず衛生的な心配等はなく、基礎あるいは臨床の病院あるいは教室計画として成り立ち得ることを考えましたので、今日まで計画を進めて参ってきておるわけであります。今日呉の事情はいろいろ承わりまして、私どもといたしましてもまことに心にかかる事情等もございますけれども、私どもがこの医学部を医学部として考えますときに、やはり教育、研究の機関として、どうすれば最も効率を発揮するかという観点に立って考えなければならぬかと存ずるのであります。その点につきましていろいろまたお教えを受けまして呉の軍病院の跡等も研究いたしたのでありますが、いろいろ規模、構造、あるいは位置その他の関係におきましてなお既定の計画を変更するという結論を出すに至っていない状態で今日ありますことを御了承いただきたいと存じております。

中川俊思自由民主党

○中川委員 一旦主張されるとなかなか簡単にお変えになることはできないでしょうが、国連軍が引き揚げましてその施設を活用しなければならないことは申し上げるまでもありません。また同時に、国家といたしましても極力国費の節約をしなければならない。さらに加えて、ただいま問題になっております呉市の窮乏を何とかしてやらなければならないというのが、今国をあげて――国をあげてと言うと大げさでございますが、政府各機関におきましても、また自民党におきましても、社会党におきましても、この問題と取っ組んでいるのです。どうかこういう点を十分にお考えを願いたいと思う。広島にかけられるそれだけの金を呉におかけになるならば、呉市としても大いに助かるし、また呉なるがゆえに広島にかけるだけの金をかけても設備が整わないということは考えられないと思うのでございます。  なおここで一言私は稲田さんに御再考を願う意味でお話を申し上げたいと思いますが、この問題につきましては清瀬文部大臣に私どもしばしばお目にかかりました。清瀬さんはこういうことを明言されております。この大学を呉から広島に移転するということについては、広島県出身の衆参両院議員各位の意向その他いろいろな意向がまとまらざる限りは、文部省としては絶対にこれは動かさないから、どうかそういう点については安心してもらいたい。なおそういうふうに自分は考えているし、また自分もそういうふうにするつもりでいるから、できるだけその意見を早く統括してもらいたいということも清瀬文部大臣は明瞭に答えておられますから、従って私どもは抜き打ち的にさようなことはされないだろうということは十分承知いたしておりますが、現在どういう段階で文部省ではこれに対処しておられるのか、御所見を承わりたいのであります。

稻田清助文部事務官(大学学術局長)

○稻田政府委員 現在どういう段階かというお話でございますが、既定計画に基きます予算は、すでに御協賛をいただきまして用意いたしているわけであります。県庁が移されました跡につきましては、まだ修理なり改造という計画は立てておりませんけれども、それらの点については管財当局その他と今後御相談申し上げるというような現在の状況にあるわけでございます。

中川俊思自由民主党

○中川委員 この問題は私ただいま申し上げました通りでありますから、どうか大臣の言明をくつがえさないように十分にお考えの上善処願いたいと思います。

前田榮之助日本社会党

○前田(榮)委員 関連して稻田局長にお尋ね申し上げますが、その前に河野副知事にちょっと簡単に御発言いただきたいのは、あの県庁を移転するときには、湿潤の地であって、年々病人が出て、事務がはかどらないからということを県民に公表されて県庁の移転を決定されたと思うのですが、その病人が出て困ったということは、うそであったか、ほんとうであったか、ここでまず第一にその事情を聞きたい。

河野義信広島県副知事

○河野参考人 御承知のようにあの建物でございまして、健康的にはよくございません。それで結核等につきましても、他に比較いたしますと、かなり数字的に多いように考えられます。ただこういう点があることだけは御了承いただきたい。県があの建物を……。

前田榮之助日本社会党

○前田(榮)委員 それだけでいい。  稻田局長にお尋ねいたしますが、この問題がこんなに大きく問題になったのだから、国連軍に対する国の行為といいますか、こういうことから起る地方財政の打撃あるいは失業等による地方の国民の生活不安を国が処置しなければならぬ。ほかの民間産業等の問題とは違った性格できておる。従って、こういう困った際にちょうど大学を移転することは、大なり小なり呉市のいろいろなことに打撃を与える、いわゆる追い打ちをやったような格好に結果はなるのです。国立学校でなければ私は何も言いません。国立学校である限りは、やはり呉に大きい打撃を与えるということはわかり切っておりながら、少々の管理上の便宜だとかなんとかいうことだけではいかぬと思います。  それからあの土地はたんぼで湿潤の土地なんです。今の大学のある所は埋立地なんですから、そういう土地の性質はすっかり変っておるのです。そういうようなことで、十分に化学的な試験をしたとか、あるいは県庁と移転のときに話し合ったとかいうことだが、それは国に移管をしてもらおうと思いますれば、県はどんな条件でもつけますよ。そんなことで今の問題に十分の考慮を入れないなどということは、私は国立学校としてやるべきではないと思う。清瀬文部大臣が地方の事情を十分考えて、委員諸君の意見をまとめてくれと言われるのはここのところなんです。私は森戸学長にも、くだらぬことを言いなさんなよとずいぶん勧告しましたが、森戸学長は私に、これ以上はよう申しませんと言っておるのです。あなたは呉の海軍病院をごらんになっただろうと思いますが、もちろん海軍病院だけで大学の病院がよろしいとか、あるいは医学部が完成するとは思っておりません。やはりあの地域一市に学校を建てなければ、講堂、教室寺もなければ、医科大学としては用をなさないことは十分わかっておる。ただ理学部やその他の関係等の総合研究等の問題が盛んに強く主張されておるようでありますが、これは森戸さんも私はいろいろ懇談を遂げて、いろいろな意見を聞きました。しかしながら、中川君も言われておるように、三十分どころじゃない、二十五分か、もっと発達すれば二十分くらいで飛んでいかれるところなんです。東京都の中にはもっと遠いところは幾らもあるじゃないですか。このくらいの文明の利器を利用することを考えずに、こんなに呉市が非常に困離な立場になっておるものを見殺しにするなどというようなことは、文部省ができるのですか。このくらいのことだけは考えられていいと私は思うのです。これはあなたに注文するのは無理かもわからぬのですが、もちろん文部大臣にはもっと考えてもらわなければならぬ。あなたはあなたで、いろいろな審議会やいろいろなものとの話の関係とか、事務機関等々の関係で、なかなか返事はできぬと思いますが、一つ大臣とも、あるいは次官ともよく相談されて、ほんとうにこういう地方の事情も十分考えて、学校は学校のための学校ではない、国民の学校であり、国民生活に必要な研究機関である、こういう建前を十分に考えてやってもらいたいと思いますが、一つ大臣等ともよく相談してやろうということをしていただけるかどうか、その点だけをお聞かせ願いたいと思います。

稻田清助文部事務官(大学学術局長)

○稻田政府委員 今日ここでお答え申し上げるにつきましては、大臣の御指示を得てお答え申し上げております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 ちょっと関連して、その件について官房副長官にお尋ねいたします。  この医科大学が医学部となって広島に行くということは、本来文部行政の固有の問題であります。ところが今問題になっておりますのは、文部行政固有の問題としてこれが解決でき得ない。すなわち、全く失業の町と化しました呉市においては、ほとんど産業らしい産業がない。ですから、こういう学校があり、さらにはその病院があることによって若干の店が潤って、それに従事しているという人もある。あるいは学生が下宿をしているという場合もあるでしょう。ですから、こういう場合にはこれを取り上げることになってしまう。しかも今の情勢はどうかというと、二万人からの失業者が出んとしている。これは文部行政固有の問題としてまかすべきじゃないと私は思う。この問題は、普通の学校誘致だとか学校を新築するという問題とは違う要素を含んでいるのだが、総理府では一体こういう問題をどういうふうに扱われておるか、さらにどういう御所見を持っておられるか、これをお聞かせ願いたい。

田中榮一内閣官房副長官

○田中(榮)政府委員 ただいまの、呉にあります医科大学を広島に移転するという問題につきましては、これは、現在文部省におきまして、純然たる教育上の見地からこの問題を取り上げて解決いたしております。医科大学を広島に移転いたしますことによって、学校によって生活をしておった関係業者の方々の失業問題ということももとより当然起きるかと考えておりますが、呉市に関しましては、御承知のように、国連軍の引き揚げに伴う二万人の失職者が将来出るであろうという問題がありまして、政府といたしましては、単なる国連軍引き揚げに伴う対策ということ以外に、呉市そのものの救済といいますか、呉市が財政的に非常に弱化されつつあるという問題について、いかにして呉市の財政を救済するかを考えているのであります。つきましては、これらの国連軍によって生活してきた人たち、また今の学校等によって生活しておったような中小企業というようなものに対しましても、何とかこれを復活させねばならない、更生させねばならないという観点からいたしまして、現在呉市に存在しているいろいろな国有財産がございまするが、こうしたものをできるだけ他の部面に転用活用することによりまして、それに失業労働者等を収容する、あるいはまたそれによって中小企業等が更生する、そういう道もあると考えておりますので、そうしたことによって呉市全体の財政の弱体化を救助しよう、こういうような大きな方針を立てて現在いろいろな施策をめぐらしているわけでございます。現在の大学の移転によりまして、これによって生活しておった方々の若干の生活の道が断たれるということはなるほど起るかもしれません。しかしそうした場合におきましても、呉市全体の中小企業をどういうふうに更生させるかというような面でまたこれを取り上げて十分に検討していったらどうであろうか、さように私は考えておるのでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 きわめて消極的なお話ですけれども、今から新しく作るという問題につきましても、これは大へんな問題です。三百も四百も一千も雇用量を有するような工場の誘致ということはなかなか困難です。ですから、わずかでも雇用量を持つものを――現存すでに雇用量を持ってその産業が行われている。これを、だんだん失業者がふえるという時期に持っていく必要はないと思う。これは私立学校ならばともかくも、いやしくも国立の大学の問題ですから、これは国の所管ですよ。国の所管ですから、あるいは教育行政百年のためにこれは忍ぶべきだという議論もあるかもしれません。私は教育行政についてとやかくは申しませんけれども、しかし延期をする方法だってある。呉市が更生をし、再建ができた後に、あるいは医学部の問題は純然たる教育行政の立場から御検討をなさってもけっこうだ。しかし今の八千人からさらに追加をして二万人からの失業者が出んとしておる。これは純然たる駐留軍労務者だけが二万人ですから、これによって商業を営んでいた人、こういう人を合せますと、私はこれは莫大な人数になると思う。呉市は全く失業者ばかりだ、こういう状態になることも考えられるのです。わずかでも雇用量がなくなっていく政策は、国の政策としては慎しむべきである。少くとも時期的にはそういう問題は延期をして、今後の問題に移すべきである、こういうように考えるのです。それをやるのは総理府しかありませんよ。これは文部省としては、文部行政固有の見地から検討をされるでしょう。ですから総理府としては、全般の行政を勘案して、これについての断を下していただきたい、かように私は考えるのですか、もう一度御答弁を願いたい。

田中榮一内閣官房副長官

○田中(榮)政府委員 なるほど全体かり考えますとさような御議論も立つと考えておりますが、しかし問題は、やはり教育上の必要によって移転をせわばならないという問題になっておりすすので、失業の問題がありといたしましたならば、やはり別途な考えからいたしましてこの問題を取り上げて検討せねばならない、かように考えておるわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 ほかに質問がいろいろありますから、ごく簡単に申し上げておきますが、私は官房副長官がそういう消極的な考えではだめだと思う。今日本経済において一番重大なのは、これは雇用ですよ。いわゆる終戦後の第二次経済政策ともいうべき三十一年度から始まる経済の問題は、これは雇用の問題です。雇用を中心に日本の経済をどう動かすかという問題でなくちゃならぬ。今後これが必要な問題です。ですから私は、おいおい質問をしていきますが、英国あたりでは国がただで土地を提供して、そうして建物まで建てて貸し付けて、新しい町作りをやっておる。ですから、現在すでに幸いにして国有財産を持っておるこういう土地において、いまだにその国有財産の払い下げの価格の問題が論議をされておるというようなおくれた行政はないと思う。そこで私は、今雇用があるんだから、その雇用をわざわざ少くする方策を立てなくてもいいんじゃないか、こう言っておるのです。そういう問題があるならそういう問題があるとして、とにかく呉市が再建をされて失業者が少くなる、そうして正常な状態に返ったときにそういう問題をお考えになってもけっこうだ、こう言っておるのです。それをやるのは、やはり文部省にそういうことを言うよりも、総理府として全般的な政策の上に立ってこれを勘案されるのが当然だろう、こういうように考えるわけですが、一つ御考慮をお願いいたしたい。

中川俊思自由民主党

○中川委員 稻田さん、今の問題ですが、今社会党の前田君並びに多賀谷君から重ねて関連の御質問があったんですが、政府当局のお考えもわかります。わかりますが、今多賀谷君の言われたような延期の方法もあると思う。呉市もいつまでもこういう状態を続けておるべきではありません。また国としてもそんなことがいつまでも続いちゃ困る。ですからその点をなおお考えを願いたいし、それから同時に、私は決しておどかす意味じゃありませんが、これをもし強行されますと問題が起きますよ。はっきり私は明言いたしておきます。ここでそのくらい呉市は重大な事態に立ち至っておるのですから、この点一つ十分にお考えをいただいて、御善処をお願いいたします。  それから自治庁の方がお見えになったし、なお大蔵省の方がおいでになって――先ほどから大臣を呼べとかなんとか言っておるが、実際あなた方が一番中心になってやっておられるのですから、一つあなた方に特にお願いをしておくわけでございます。呉市が毎年一億円からの失業対策費を負担しておりますことは御承知の通りでございます。しかるにこの呉市の特別交付税を見ますと、二十一年度におきましてわずかに一千万円、それから三十年度には二千七百万円となっておるのでございますが、これらは失業対策事業だけに使われておるのではなくて、駐留軍に要する費用や災害による特別支出等も含めてのことでございます。こんな金では、正直申し上げて何にもできないといってもいいくらいな状態なんです。そこで、先ほど私ちょっと触れましたが、四月の十日の衆議院の本会議におきましても、また参議院におきましてもこれは議決されておりますが、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案の附帯決議でございます。ああいう附帯決議が行われたわけなんです。どうか一つ、こうした特殊地域に対しましても、そうした交付税等について十分にお考えいただきたいということをお願い申し上げたい。  それからこれも大蔵省並びに自治庁に重ねてお願いをしなければならぬのでございますが、御承知の通り今年度は、先般来大蔵省におきまして特別事業の道を開いていただいておるわけでございます。ところがこれには、先ほど来副知事さんや市長さんからお話のございました通りに、地元の負担が相当あるわけなんです。これはむろんその地元の負担を一銭もなくして、全額国でやれということもまことに虫のいい話でございますし、ふざけたことを言うなということも考えられる。考えられますが、実際呉市としては、広島県としては、地元負担ができないんじゃないかと思うのです。こんなことを言うと、副知事さんや市長さんを前にしておだてるようでございますが、私多少広島県の実情、呉市の実情を承知いたしておりますので、申し上げるのですが、地元負担は、大蔵省でお出しになっておるような一億四千万円ですか、こういう負担はなかなか困難じゃないかと思う。広島県に九千万円、さらに呉市に五千万円という負担は困難じゃないかと思うのです。しかし私はこの際市長さん、さらに副知事さんもお願いをしておくのでございますが、できるだけ一つ地元も経費を節約して、負担をしなければならぬという熱意だけは持っていただいて、できるかけの御出費はしていただくということもまたお考えをいただかなければならぬことだと思うのです。そういうわけでございますから、国といたしましても、今大蔵省でそれぞれさらに御検討願っておると思いますが、どうか一つ地元負担は極力最小限にとどめていただく、こういうことについてさらに格段の御努力をお願いいたしたいと思うのでございます。時間がございませんのに勝手なことばかり言うようですが、一つお許しを願いたいと思う。どうですか、これは何といっても大蔵省の所管ですが、こういう呉市のようなところに対しましては、従来の平和回復善後処理費というような特別の処理費の道を大蔵省では現在考えておるかどうかということなんですが、その点どうなんです。

鹿野義夫大蔵事務官(主計官)

○鹿野説明員 ただいまの呉市の問題につきましては、目下検討中でございますが、従来平和回復善後処理費、今は名前を変えて賠償等債務処理費ということにしておりますが、その関係で、国連軍がいためました道路の修復あるいは港湾関係の軍港道路をこわしたり、岸壁といいますか、護岸をこわしたり、あるいはいろいろながらくたを入れて埋め立てたり、あるいは農業関係り水路等をつぶしたりいたしまして、地元としては相当の損害をこうむっているわけでございます。それの復旧に対する仕事につきましては、前の平和回復善後処理費、現在では賠償等債務処理費で相当の仕事をして回復していきたいということを考えております。従来もそういう関係につきましては、安全保障諸費あるいは平和回復処理費で、呉市についても相当の仕事をやってきておりましたが、この際特に重ねて予算的な措置を講じていきたいと考えております。

中川俊思自由民主党

○中川委員 このたび大蔵省が非常な御熱意のもとに、呉市の対策事業の査定案なるものをお作りいただいたことにつきましては、私ども党内におきまして対策委員会を持っておる者としましては、まことに感謝をしておるわけでございますが、ただいま申し上げます通り、これには一億数千万円という地元の負担がついておるわけでございます。これは今申し上げます通りの実情でございますので、地元負担ということはなかなか容易ではございませんので、さらにこの点についてもお考えをいただいて、最大限の御出費をお願いいたしたいと思うのであります。それから国有財産の処理につきまして、ちょっとお尋ねをいたしたいと思うのでございます。辻さんがおいでになっておりますが、戦後におきまする国有財産処理というものは、まことにずさんきわまる。これは辻さんに申し上げても、あなただけの責任じゃないわけでありますが、実は最近驚いておる事例があるのであります。これは呉市の問題でなく、広島の問題なんですが、広島におきましては、戦前官庁が持っておりましたいわゆる官庁の土地、建物なんかが建っておる土地が七万七千坪だった。ところが戦後これを見ますと、三十五万坪に飛躍しておる。まことに驚くべき実情でございます。しかも国有財産を官庁に払い下げたり、あるいは無償提供される場合には、使用目的というものを大蔵省の方ではちゃんと十分に検討されるだろうと私は思う。一体野球場を作ったり、テニス・コートを作ったり、バレーのコートを作ったりするようなことでも、大蔵省は、官庁に対しては無償で国有財産を提供されておるのですか、どうですか、ちょっと承わりたいと思います。

辻克蔵大蔵事務官(管財局国有財産第二課長)

○辻説明員 中川委員のお尋ねに対しまして、簡単にお答え申し上げたいと思います。官庁がその公用の目的に使います土地、建物等につきましては、法律の規定に基きまして、一般会計の間でございますれば、無償で所管がえをするわけでございます。特別会計の間では、有償で所管がえをするわけでございます。ただいまお尋ねの事例につきましては、数字的にはただいま検討する資料を持っておりませんが、建前といたしましては、今御批判がありましたようなことはないのでございまして、官庁として必要な規模のものを厳重に査定をいたしまして、その面積に限りまして所管がえをするという方針をとっておるわけでございます。

中川俊思自由民主党

○中川委員 そうだろうと思います。公用の目的に使う以外には、そういうようなことに大事な国有財産を無償で提供されることはないだろうと思うのでございます。ところがあにはからんや、実際においてそういう事例が幾多あるのでございます。それで私は先般も管財局長にお目にかかって、国有財産に対する再検討をしてもらいたい、こういうことを要求をいたしておいたのでございますが、広島なんかはそういう事例が非常に多い、もうほとんど官庁でもって野球場、テニス・コート、バレー・コートを持っていないのは少い。先般も私がある局に参りまして、局長の部屋に入りますと、たくさん優勝旗が飾ってあるから、一体これは何ですかといって聞きますと、うちは野球が非常に強い、らちの野球チームは有名なんだ、そこで野球場を持っていないので、野球場を近く作ろうと思っておるのだ、こういうことを言っておるくらい、広島におきましても、官庁が野球場を持つのは当りまえぐらいな考えを持っておる事例がございます。辻さん、この点は十分に再検討をしてお調べを願いたいと思います。  本論に入りますが、一体国有財産を新しく借ります場合における使用料、これが前使っておる使用料と非常な開きがあるように思うのですが、これは一体どういう理由でそういう措置を講じられておるのでありますか。

辻克蔵大蔵事務官(管財局国有財産第二課長)

○辻説明員 ただいまお尋ねの点でございますが、国有財産を貸し付けます場合に、新規に貸し付けます場合と、継続して貸し付けております場合の貸付料につきまして、金額がどうなっておるかというお尋ねだと思うのでございます。従来数年前から継続して貸し付けておりますものにつきましては、中川委員も御承知のことと思いますが、二十六年ごろから、その使用料に対しまして二十七年度は全国的にたとえば二倍を最高とする、それからそれ以後は一・五倍を最高とするという工合に、一応の基準を毎年きめてきたのでございます。従いましてその基準に従いまして一もちろんその基準通りやるほかに、十分その物件の構造であるとか、あるいは規模であるとか、各般の立地条件その他を勘案いたしまして、利用効率等の点を十分勘案しておるわけでありますが、そういう計算をしておるわけでございます。新規に貸し付ける場合には、土地につきましては百分の四とか、あるいは建物につきましては百分の七というような一応の料率を用いますので、その間に若干の差異が生ずるということは結果的には生ずるわけでありますが、ただいまも申し上げましたように、継続貸付の場合におきまして、あるいは新規貸付の場合におきまして、当該物件のいろいろな利用面の事情を十分しんしゃくすることによりまして、その差というものはできるだけ僅少になるように指導していきたい、こう考えておる次第であります。

中川俊思自由民主党

○中川委員 この国有財産の貸付につきましては、評価が高いとかあるいは土地の評価が高いとかいら非難が非常に多いのであります。大蔵省当局でもそういう不平はしょっちゆう聞かれておるだろうと存じますが、ただいま問題になっております呉市といたしましては、莫大な失業者を吸収する意味から、新たな企業誘致を考えなければならないのであります。ここに失業対策に少々金を出してもらいましたところで、これは生活保護と同じようなものでありまして、恒久対策ではございません。従って恒久対策といたしましては、どうしても企業誘致を根幹としなければならないのでございますが、その企業を新たに誘致をいたします上につきましては、ただいま問題になっておるところの土地の評価であるとかあるいは貸付料、建物の貸付料であるとかいうことが必ず問題になるのでありまして、どうかそういう見地からも格段のお考えを願いたいと思うのでございます。私どもはできるだけ皆さん方の行政的な御手腕におまかせをして、そうしてうまくやっていただくことを期待いたしておるのでございます。軍転法もありまするし、その他いろいろな法律改正等も企図していただきたい。われわれといたしましては、こういう問題についてとても役所にまかしておってはしようがないから、早く議員立法をやれという声が方々からございます。しかし私どもはなるべく議員立法の道を避けたい、そういうことは私どもとしてなるべくすべきでない、というと少し語弊があるかしれませんが、なるべくしない方がいい、こういう見地から皆さんの行政手腕にお願いをいたしておるわけでございますから、どらか一つこれらの呉市の問題につきましては、格段の御配慮をお願いしたいと思うのでございます。  それから通産省の方がおいでになっておりますので、もう一点通産省の方にお願いかたがた御意見を承わりたいと思うのでございますが、ただいまも申し上げます通り、呉市は以上のような実情でございまするので、どうしても恒久対策としては企業誘致をしなければならないのでございますが、しかしこれを地元業者にまかしておきましてもなかなか容易ではございません。地元の者が少々運動をしてみたところでなかなか――それは地元だから、地元へたくさん工場がきてくれれば固定資産税も取れるから、地元として言うのは当然だというくらいに考えられてなかなか企業は簡単にみこしを上げてくれないのでございます。通産省は一体こういう問題に対してどういう道を考えておられるのか、経団連であるとかその他有力団体に話しかけて現地を視察さすとか、あるいはこれらのあっせんにもある程度期待するとか、何らかの方法を講じていただきたいと思うのでございますが、通産省といたしましてはどういうお考えをお持ちでございますか、御所見をお伺いいたしたいと思うわけでございます。

荒居辰雄通商産業事務官(企業局特需課長)

○荒居説明員 今の中川先生の御質問にお答え申します。通産省といたしましてはできるだけ早く有力な企業を呉に誘致いたしまして、失業問題を未然に防ぎたいということを考えまして努力をいたして参った次第でございますが、何分防衛庁の方でお使いになる土地との関連その他がございまして、今までわれわれとしてはどの土地に対して企業誘致を推進してよいか、その点が必ずしも明確でなかったわけでございます。従いまして具体的な措置としてこれを考えます場合におきまして、は、ややちゅうちょせざるを得なかったというのが今までの実情でございます。ところが幸い内閣の特需等対策連絡会議におきまして、田中副官房長官を初めといたしまして種々御検討下さいました結果、ようやく防衛庁との使用区分というものが明確になって参りました現段階におきましては、早急にこれが企業誘致の手を打ちたい、こういうふうに考えておる次第でございます。われわれのただいま考えております対策といたしましては、特需等対策連箱会議の下部機構といたしまして、企業誘致に関する特別委員会というようなものを設置していただくように副官房長官の方にお願いをいたしまして、その委員会の中に関係官庁の者が参加いたしますと同時に、民間企業の方々ないしは民間の有力関係団体の方々、そういう方々に参加していただきまして、種々具体案をそこで検討していただきますと同時に、なおそういう方々にも現地を視察していただくとか、その他の手を講じまして、できるだけ早く具体化をさすように今後努力を続けたい、こういう所存であります。

中川俊思自由民主党

○中川委員 ありがとうございました。どらか一つそういうお考えのもとにぜひとも御努力をお願いしたいと思うのであります。  防衛庁の方がおいでになっておりますが、先般来いろいろ御無理を申し上げまして、幸いにしてただいま特需課長からもお話がありました通り、防衛庁におきましては、昔の海軍時代を夢見て、膨大な昔の海軍の施設をことごとく防衛庁で取りたい、こういうような考えをお持ちになっているのじゃないかというので、実は私どもは非常に心配をいたしておったのでございますか、先般来自民党の委員会にもおいでをいただきまして私どもからもお願いをし、また呉市当局からも県からもお願いをいたしました結果、防衛庁におきましても決してそういう気持でない、こういうことが私どもも了承できたので、なおただいま通産省の特需課長からのお話にもあります通り、この問題が解決をいたしました以上は、防衛庁がお使いになります点がはっきりいたしました以上は、どらか一つ企業誘致につきまして通産省初め各省の格段の御努力をお願いいたしたいと思うのであります。  なおこの際田中副官房長官にお礼かたがたお願いを申し上げたいと思うのでございます。内閣に特需等対策連絡会議を設けていただきまして、この呉市の問題については格段の御配慮をいただいておりますことを、私ども自民党の委員会といたしましてはまことに感謝をいたしておる次第でございます。どらか先ほど来まことに勝手なお願いばかりして恐縮に存じますが、呉市の実情をこの上とも御勘案いただきまして、恒急対策としての企業誘致の問題につきましても、今後、新たな事態でございますので、格段の御配慮をお願いしたいと思うのであります。以上をもって私の質問を終ります。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 前田榮之助君。

前田榮之助日本社会党

○前田(榮)委員 大へん時間も経過したようでございますし、中川委員の御質問と重複するようなことになってはいかぬと思いますので、簡単に質問を申し上げますから、お答えの方も要領よく時間を取らないようにお答えを願いたいと思うのであります。  まず第一に田中副官房長官にお尋ねいたしたいのですが、実は私はきょうは根本官房長官、大蔵大臣、労働大臣等にも来てもらって、ほんとうの内閣としての腹を聞きたかったのであります、なお今からでも出てこられれば聞きたいのでありますが、そのおつもりでお答えを願いたいと思うのであります。大へん田中さんにはこの問題で非常にお世話になっており、私は心から感謝を申す次第であります。ただ大へんお世話になっておるのでありますが、一応閣議決定、了解事項等、いろいろなことがきめられております。きめられておりますけれども、これには立法処置を必要とするもの、あるいはまた新しく予算を必要とするもの、また行政上の問題といたしましても、十分各省の下部機構へ浸透せしめなければならないものというようなこと等があるのでありますが、この問題について新しく立法処置を必要とし、それの計画というようなものがありますか。まだまだ研究をしてこれをしようという考えで、そういうもの等も研究中であるというのでありますか、この点まず第一にお答えを願いたい。

田中榮一内閣官房副長官

○田中(榮)政府委員 駐留軍または国連軍引き揚げに伴うところの失業対策につきましては、ただいま内閣官房の中に特需等対策連絡会議を設けまして、われわれまことに微力でございまするが、全力を尽してこれに努力をいたしておる次第でございます。そこで現在までいろいろ私どもがやった経験で従来の法律、予算内において十分にその目的を達成しないものがやはり相当ございます。これらにつきましては今後、もし法律を改正いたさねばならぬような場合におきましては法律の改正をいたしますし、また将来予算処置を講ずる必要がある場合におきましては、もとより予算処置を講ずる考えでございます。それからさらにまた下部浸透のことでございますが、現在私どもがいつも会合いたしておりまするのは下部の機関の方々が非常に多いのでございまして、実際に計画を執行しておられる機関の方々だけが集まってやっておりますので、下部浸透は十分にできておるものと考えております。それから上部の方に対しましても私どもは閣議にも陪席いたしまして、ときに閣議の席上で本問題が取り上げられましたときには、横合いから御助言も申し上げておりまするので、また次官会議等におきましても、十分にこの点を徹底させておりますので、まず各省に対する浸透の点につきましては十分ではないといたしましてもまずまず浸透しておるものと私は確信をいたしております。しかしそう申しましてもまだ十分浸透しない点があろうかと存じますのでこれらの点についてはさらに努力をいたしたいと考えております。

前田榮之助日本社会党

○前田(榮)委員 下部の浸透についてきょうは関西駐留軍労働組合の小松君がおいでになって、その公述の中にもありましたが、まだ田中さんちょうどおでになる前だったと思いますが何かやはり企業組合を作る。運転手が多いから自動車営業を行おうとする、そうするとこの出願をいたしましても、これは陸運局の関係で陸運局は陸運関係の法律もありまするし、それから交通安全のいろんな関係や何かで駐留軍労務者だから特別に認可をしてやろうという取扱いをしようという考えを持っておらぬ。それは現実に出願した山形におきましても広島の方におきましても各地でそうなっておる。これは全然浸透しておらぬ実情であります。それからこれらを行うのにいわゆる資本が必要だ、退職金を少々出した程度では追っつくわけがない。どうしたところで商工中金かあるいはその他の金融機関に頼らなければならない。ところがこれだって現在の制度の中で、これが貸してくれるめどがあるかどうか。こういうことでは奨励をしこれを育成するようなことをおきめになっても現実には何もなっておらぬ。これが現状なんです。これをどうされるのか。労働組合から、きようの公述の中にはっきり出ておる。私はこれはきょう聞いたばかりでなしに、従来からたびたび地方からも聞かされておるし、いろいろな陳情も受けておる。何か実際具体的にこれが実現しなければ、閣議で了解しようが、何か御相談をなさったところで、それは三文にもならないのです。こういうことはただ企業組合だけでなしにいろいろな問題に出てこようと思いますが、内閣におっていろいろと相談して、協議して決定された事項の実現について、これらのこと等は今後どうされようとされるか、この御意見を承わりたい。

田中榮一内閣官房副長官

○田中(榮)政府委員 せんだって参議院の社会労働委員会におきましても、やはり同様な御意見を拝聴いたしました。従来もその点につきましても十分配慮をしておるものと考えておりまするが、大へんいい御意見でございますので、さっそく一つ何とか具体的な方法を講じましてさらに徹底するように一つ考えたいと思いますから、御了承願いたいと思います。

前田榮之助日本社会党

○前田(榮)委員 次に企業組合の関係ですが、これは大蔵省の国有財産の関係になろうと思いますが、やはり従来事業場の関係で、国有財産を利用するのが一番やさしいことになって、どうもこういう方へたよるらしい傾向が現実にあるわけであります。そこで国有財産の今の制度、国有財産法やその他の法律の中では簡単に、これは一つの特殊法人に対することであって、無償で貸し付けるあるいは特別な価格で払い下げるとかいうことは困難だと私は考えます。でありますからもしやるといたしますならば、特別立法をするかまたはこの国有財産の管理を一応市、県こういうものに、特別な委託管理というようなことでやらせて、市や県がその責任において企業組合等の育成のために利用するようなことにするか、何らか特別な措置をとらないと、これは効果が上らないと思うのでありますが、それについて国有財産の関係で、特別な立法が必要になってくるかどうか、現在の制度の中でそういうこと等についてどういう措置をしたらよろしいと考えられるか、この点一つお聞かせ願いたいと思います。

辻克蔵大蔵事務官(管財局国有財産第二課長)

○辻説明員 ただいまお話の離職者の吸収を目的としまして、呉地区の国有財産を全面的に活用するという点につきまして、われわれいろいろなことを考えているわけでございます。まず旧軍港市転換法その他国有財産特別措置法等の規定によりまして、地方公共団体に譲与できるものは譲与いたすことにいたしたいと考えております。また減額をして譲渡できるものは譲渡したい、こういうふうに考えておるわけでございます。これらの措置によりまして、できるだけその方面の御要望にこたえたいと思っておるのでありますが、企業組合の点につきましては、実はどういう実態の組合ができるかという、具体的な内容がまだ固まらないわけでございます。いやしくも国有財産を将来比較的長い期間にわたって利用するということになりますと、資力、信用、その他基礎のしっかりしたものでないとなかなか、これは当座のことではなくて将来相当期間にわたることでございますので、できるだけその辺は十分検討していかなければならぬ、こういうふうに考えているわけでございます。現在のところ企業組合に対しまして無償で譲渡をするというようなことは、もちろんできないわけでございますが、現行法の範囲内で、たとえば市に対しまして委託管理をさせるというような方法等もあわせて考えていきたい、かように考えているわけでございます。

前田榮之助日本社会党

○前田(榮)委員 次に労働省関係で、ちょっとお尋ね申し上げますが、問題は失業対策が非常に重大な問題になってきておるのであります。大へん御心配をかけておりますが、これについて私は前議会のときにも、議員提出案で全額国庫負担の道を開くべきであるこういう考えで、一応案だけを作って、提出して前議会にちょっと頭を出して、今議会に出そうと考えましたところが、そういうことについては予算審議の際に、そう地方に不利な状態にしないから、こういうお話であったために、その実行に移っておらないのであります。われわれが考えておる全額国庫負担と申し上げるのは、もちろん全部の失対事業を全額国庫負担にしようというのではない。呉市のような非常に失業率の多い、それから財政需要額の非常に困難な、一定線の上を越えたものに対しての全額国庫負担を考えておるわけであります。今大蔵省の御意見の中に、地元の利用効果の点も事業の上で考えられるので、地元負担はどうしても幾分かしてもらうのが適当だということであります。当然すべきものはしなければならぬ。しかしこれは限度があるのでありまして、その限度を越えた場合にどうするか。今日限度を越えた状態になっておるから、この問題がこういう大きい問題になっておる。従ってこれはやはり立法処置によって、呉は人口二十万のところ一〇%の二万人の失業者が出ておるというようなべらぼうなことで、そしてこれの失業対策を行うのに、地方財政が赤字のために十分行われないような結果になる。これは失業対策ばかりではない。ほかの財政関係からももちろんきておるから、労働省はそれはおれのところばかりじゃないとおっしゃるかもしれませんけれども、しかし関連は持っておるのでありまして、ここでどうしても全額国庫負担の立法処置が必要だと私は思いますが、この処置が必要と考えられるか。もしそうでないとするならば、それと同じような処置がどうしたらできるか、またどういうふうにしてしようと考えられておるか、この点一つお聞かせ願いたいと思います。

武藤常介自由民主党労働政務次官

○武藤政府委員 ただいまの前田委員さんの御質問にお答えいたします。地元負担が特別の町村では非常に困難である。これに対しまして、全額国庫負担ということが再々委員会の議にも上って参りますが、今にわかに全額国庫負担ということも、いろいろな関係から困難の状態にあるのではないかと考えます。しからばといって、呉市のような特殊な場合に対してはどういうふうにするかということが非常に重要な問題なのでありますが、やはり労働省といたしましては、現在の制度下において何とかそれに近いような方途を、いわゆる行政措置等によりまして講ずることがいいのではないかと考えてやっております。公共事業などもありますが、また先ほどお話がありましたように、賠償等処理費、これは全額国庫が負担して、そして全額公共事業と同じような仕事ができるという点から参りますと、大体全額負担に近いような状態に接近して参ります。しかしこれにつきましても、また全額負担ということにも参りませんので、それらの不足分に対しては特別交付税の方を何とか措置をとる。御承知のように特別交付税も三十年度は失業者一人に対して県としては五千六百二十九円、市としては九千百六十七円でありましたが、本年は両方一緒にしまして一万五千九百十四円というふうになりましたので、この点からも相当補填できようと思いますし、それでもなおどうしても合わないところは起債によりましてこれらを補らような方途を講じたらばどうかと考えるのであります。また一般失業対策事業につきましては、本年は資材費の単価を増額しました。また補助率も上げました。それで特殊な地区に対しましては五分の三のところを五分の四にいたします。かれこれいたしますと、呉に対しましては、かりに昨年と同額に負担するとしますと、昨年より大体三億三千七百万円の余分が出て参ります。これらは失業者の救済事業にも充てることができましょう。しかしそれにしても地元がどうしても足らぬ。やはり地元が負担せざるを得ない。こういうことに対しましては、ただいま申し上げましたような特別交付税または起債の方途によりまして、何とか全額負担に近いような程度にまでおっつけてこの問題を解決したい。政府といたしましても今度の問題は非常に重大な問題と考えまして、去る三月以来各省から専門委員を派遣いたしまして実際調査をいたしております。かようなことでありますので、政府といたしましても、また労働省といたしましても、万全の策を講ずるためにただいま努力中でございます。

前田榮之助日本社会党

○前田(榮)委員 なお一そう本問題について十分な御施策をお願いを申し上げておきます。  次に大蔵省、自治庁の方にお尋ね申し上げます。これは中川委員からも御質問が出たのでありますが、過般国会において国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案審議のときに、旧軍港市を代表いたしまして、衆議院におきましては横須賀の梅津市長が参考人になって、これらの事情について、駐留軍の使用しておる国有財産については課税と同じ交付金を出せということになっております。これは三公社の固定資産税と同じ性質のものだという問題が出まして、その結果といたしまして衆参両院ともに附帯決議を付してこれが議決を見ておるのであります。この附帯決議を見たことは、すでに予算は通過をいたしておって、新しく必要なものに対する予算の議決ができないという関係等からみて、やむを得ざる処置としての附帯決議であったのであります。従ってこの附帯決議の中には来年度の予算処置の要求、それから今年度の予算内におけるところの交付に対して考慮を払う点、この二つになっておるのであります。従って本年度におきましてはいわゆる交付金、特別交付税交付金等に考慮を加えるということになるのではないかと私は想像いたしておるのであります。そうしないと、この軍港地呉ばかりではありませんが、国有財産を大きくかかえておるものは、固定資産税が取られないということから起る財政困難というものは、御承知のごとく想像以上なのであります。このことが今度の失業問題とからみましてなお一そう地方困窮に拍車をかける結果になっている。これがすなわち国連軍というら、国家の必要により、国家の行為に基いた結果であるということから、これを政府は深刻に考えてもらわなければならぬ、また現在考えられておると思う。ただ考えただけではいけないのであって、それをいかに実現さすか、すなわち三十一年度は現在の予算でどれだけ切り盛りして、そうして交付金の形においてこれらの土地を何とか救済の道を講じることができるか、こういうことに相なるのでありますが、これについて本年度はすでに決定いたしておりますが、来年度の予算が、決定した予算の中でどういうように考えられて、どのくらいの処置をほんとうに具体的にとっていけるか、こういうことは事務官だけではわからぬかもわかりませんけれども、もし今即答ができなければ、自治庁は自治庁長官、大蔵省は大蔵大臣とも十分御相談の上でもよろしゅうございますから、御答弁願いたいと思うのですが、さしあたり今の意見に対しての御所見をお伺い申し上げたい。

小熊孝次大蔵事務官(主計官)

○小熊説明員 ただいま地方財政の担当主計官が参っておりませんので、その点よく伝えまして、検討するようにいたしたいと思います。

柴田護総理府事務官(自治庁財政部財政課長)

○柴田説明員 附帯決議の問題は、税法の問題でございまして、実は私の所管ではございませんが、そこに盛られておりますのは、私が承知しております限りでは、国有資産等所在市町村交付金の範囲を広めるというのが一点、もう一つは、現在は呉市等におきましては特別固定資産税というものをたしか課しておったと思いますが、それと国有資産等所在市町村交付金との関連で財政に激変を来たす、それを何とか本年度始末をしろということじゃなかったかと私は承知しております。第一点の問題につきましては、私たちは税制全般の問題、財政制度全般の問題を考えておりますので、なお国税、地方税を通ずる税制改正等にも関連をいたしまして十分慎重に検討いたしました上で善処いたしたい、かように考えております。  第二の問題につきましては、普通交付税の算定の際に、呉市等の場合をかりに例にとって申し上げますと、そういうものは租税が徴収できないものとして実は基準財政収入額は算定して参っておるわけでございます。従ってその膨大な国連軍の資産、あるいは国連軍の使用しております資産等があります場合等について、それを課税できるものとして交付税は算定いたされておりませんので、その点についての配慮は今までもできている。なお国連軍の存在いたしますことによるいろいろな意味におきまする財政需要についても、特別交付税については一定のワクがありますから、ワクの範囲でしか見られませんけれども、その範囲では従来とも見て参った。なお今の法定外普通税との関連におきまして激変が生ずる分につきましては、一定の限度はございますけれども、できるだけ御趣旨に沿ったような配分を考慮していかなければならぬことじゃないかというふうに考えております。

前田榮之助日本社会党

○前田(榮)委員 最後です。今御答弁を承わりまして、税制全般の問題に関することや、制度の改正等を要する問題は私も了承いたします。一つ違っている点は、衆議院における決議の中の一、二となっておりますが、一は「アメリカ合衆国の軍隊及び国際連合の軍隊が使用する固定資産並に旧軍港施設所在の市町村に対し、政府は国から当該固定資産税に対する交付金相当額を交付する等の措置を講ずること。」となっているのでありますが、この「措置を講ずること」としてあるのは、これは三十二年度の際においては予算にこれを組み、そういう交付税等を考えよという意味も含んでおりますけれども、三十一年度においては交付金相当額を交付する等の措置――相当額といいますと一つの限度があると思いますが、何らかそこに措置を講じてもらいたい、講じなければならぬ性質のものだということが、この附帯決議の中には含まれていると私は考えている。私はそういうように当時の委員会等の報告を聞いているわけでありますが、それをここで論議しようと思いませんけれども、お帰りになって長官等とも御相談の上で、三十一年度においてすでに何とかしなければならぬ性質のものが、それをやるならば、続いては防衛庁が使っている国有財産やいろいろなものにも関連があるから、一応この原案で通さなければならぬということでこの附帯決議になっているわけなんで、それらのことも十分御考慮、御相談の上で、三十一年度においても何らかの手かげんといいますか、何とか処置を講じていただくようにお願い申し上げまして私の質問を終ります。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 岡本隆一君。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 午前中の中川委員の牛歩質問で私の質問の時間を制約されて、非常に残念でございますが、重点的に質問をいたしますから、政府委員の方は二十分ほどしんぼうしていただきたいと思います。  この自衛隊の増強と、それから米軍ないし国連軍の撤退とが、これからは入れかわりになっていく。それがまた今の自民党の政策の一つであります。従って、そういう予定された事項に対して、入れかわりになる限りにおいては、それに計画性を持たして、そして出てくるところの失業者をうまく失業状態に置かないような施策をとる責任か政府としてあると思う。ところが今ではそういうふうな形がとられていない。国連軍ないしは米軍が帰れば、どかどかと失業者が出てきて、それを何こか処置していくというふうに、行き当たりばったりのやり方のようにしか思えないのでありますけれども、それをこれから先はほんとうに本腰を入れて計画的にやっていくというふうな対策をお講じになるのかならないのかということを、労働省、それから防衛庁両方から御意見を承わりたいと思います。

武藤常介自由民主党労働政務次官

○武藤政府委員 ただいまの御質問でありますが、政府といたしましても、そうしたことは計画にあげましても、実際の問題になりますとなかなか差し迫ったことになるようなことが多いのでありますが、しかし今後はこういうことが次々と起って参ることと存じますので、できるだけ計画を立てて、労働省といたしましてはこの失業対策に万全を期したいと考えておる次第でございます。

加藤陽三防衛庁参事官(人事局長)

○加藤政府委員 お答え申し上げます。米軍ないしは国連軍が撤退しまして施設が返還されますと、そのあと自衛隊が使う場合が多いのでありますが、ただ何と申しましても、雇用する人員が米軍ないしは国連軍の場合と自衛隊の場合とは非常に違うのでございます。呉の例で申し上げますと、昨年われわれの方で退職いたしました一般職員というものは約百名であります。三十一年度におきましても数十名増加する程度でございまして、先ほど呉の市長さん、副知事がおっしゃったような多人数の失業者に対しましては、とても問題にならない数字でございます。そのわれわれの範囲内におきましては、極力ただいま武藤政務次官もお述べになりましたような御趣旨で自衛隊の方でも考えて参りたいと考えております。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 たとえば最近熊本であるとか鳥取であるとかいうところの米軍が撤退するというので――その時期はまだわからないので、米軍の方も機密事項になっておるのかもしれませんけれども、とにかくそういうふうな名目でもって、機密のゆえをもっていつ失業状態になるかわからないというふうな不安の状態のままで駐留軍労務者が今雇用されているわけです。そういうことでやはりその人たちの気持は非常に動揺していると思うのです。そういうことはできるだけ早く明らかにされることを要求して、またそれに対する対策を早くから立てていくというふうなことをやってもらわなければ因ると思います。呉の場合なんかでも、非常に大量であるだけに、またそれが比較的早くからわかっているだけに、こうして早期に問題にできると思うのです。しかしながら、これが無通告に一カ月ないし二カ月の予告期間を置いてぽんぽん首を切られていくというらうなことになっていくと、これはやはり全国的な大きな問題だと思うのです。だから米軍の撤退と日本の自衛隊の増強とをにらみ合せて、どれだけ計画的に撤退させていくか、あるいは日本はどれだけ増強するから、どういうふうな雇用の状態が出てくるかというようなことについて、お互いに米軍と日本軍との間に話し合いというものがなければならないし、またそれを要求しなければならないと思うのです。それを要求をようしないような腰の弱いことでは困ると思うのです。そういう点について防衛庁の見解をもう一度承わりたいと思います。

加藤陽三防衛庁参事官(人事局長)

○加藤政府委員 米軍との折衝は直接私の仕事ではございませんので、正確なことは申し上げられませんけれども、お話のようなことは、防衛庁としてできれば、やりたいと考えておることは間違いないと思います。ただ米軍は米軍としての事情もございまして、必ずしもわれわれの希望する通りにはいかないような事情もあるようでございますけれども、われわれといたしましても、正確に撤退の時期がわかればそれに対して単に労務の問題のみならず、いろいろな点において都合がいいのでありますから、そういうことを希望しておることは間違いございません。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 そこでもう一度人事局長にお伺いしたいと思うのですが、駐留軍労務者を自衛隊に吸収される場合に、今申されたような数が非常に少いのです。数が少いということの中に、一つは採用条件が非常にきびしい、また若い人しか入れないというような点において、実際上新たに人を雇用されて、その解雇された失業者の中からは雇用はしないというふうな現象があちこちに出ていると思うのです。たとえばほかの官庁でありますと、あくまでもずっと引き続き雇用関係が続くわけです。そういう場合になると、やはり相当の高齢に達するまでは引き続き雇用していくわけです。ところが突然同じように政府が雇用しているものが、こういう特殊の事情によって雇用を中断されるというような場合に、それをいい機会に若い人に乗りかえるというようなことは、ちょっと考え方が卑しいのではないか、卑しいというとちょっと誤弊があるかもしれませんが、やはりそういう場合には、できるだけしんぼうして、年令的に高齢の人を使っていく、年をとっておるから間に合わないという肉体的な条件もあろうかと思います。しかしながらそこには給与の面も加わっておると思います。やはり家族の多い人ですとどうしても高給を出さなければならぬということで、できるだけ安いものを使っていこうというような考え方があるのではないかと思います。予算において縛られておるということもあるでしょうが、しかしながらやはり特殊な事情に基いて出てくる失業者であるから、できる限りそれを吸収するという点を考えてもらわなければ困ると思います。舞鶴の例を見ましても、私はあなたに一度陳情に行ったことがあると思いますが、実際吸収されておる率が非常に少い。確か二〇%か三〇%に満たないと思います。そういう不親切なことでは困ると思います。出てきた失業者は、労働省の方はやれ、おれの方はおれの方で予算のワクは別だ、こういう不親切な態度では困ると思いますが、今後はどうされますか。今後は失業者の立場というものをもっと考慮に入れてやっていただけるのか、今後もやはり今までのようなお茶を濁す程度でやっていかれるのか、その辺一つあなたのお考えを承わりたいと思います。

加藤陽三防衛庁参事官(人事局長)

○加藤政府委員 駐留軍の労務者の吸収の問題でございますが、これは施設の返還の話が始まりますと、調達庁、労働省のみならず地元の方からも非常に御熱心な御要望がございまして、私どももそういう関係の方々と絶えず連絡をとってやっておるわけでございます。ただ先ほど給与の問題についてお話がございましたが、駐留軍労務者であった方で今では自衛隊の方に入っている方が相当ございます。そういう方方は、当時においては不利な条件であったでありましょうけれども、駐留軍に雇用されていては長く続かぬから早く自衛隊の方にかわりたいということで、われわれの方の規格通りの給与で入っておる方が相当あります。こういう方々との均衡ということも考えなければならないと思います。大体において予算のとり方が、仕事に応じての級別をきめております。たとえば電気工なら電気工は何級くらい、ボイラー工ならボイラー工では何級くらい、こういうふうにきめておりますから、あまりかけ離れたことはなかなかできがたいのでございます。私どもといたしましても、施設が返りました場合には、その施設におきまして現在までボイラー工とか大工とかそういうようなことをやっていた方に来ていただく方が便利でございますから、できるだけそういう方を期待するのでございますが、今申しましたような定員の関係、給与の関係というようなことで行き悩んでおるのが多いというのが実情でございます。  舞鶴の場合は、今お話がありましたが、資料を調べましたところ約七割が駐留軍労務者であったわけでございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 私の今もらっておる資料ではもっと低いのです。これはあとでまた御説明願いたいと思いますが、こういうような失業の問題については、今呉の問題について見た印象では特別な失対の事業を起すとか、あるいは地方自治体でもって雇用の道を講ずるというような救済の道と、もう一つは、やはりそれぞれの離職者が自立して自分で生計を営んでいかせるようにしていくという道と二つあると思います。労働省としては雇用を開く道に一生懸命になっておられるわけですが、しかしながら自立して生活をやらしていくという点については、その他の官庁の非常に積極的な協力というものがなくてはこれはできないと思います。そこで、今官房副長官から、この問題については各省との連絡を密にして一生懸命やっていきたいというふうな御答弁があったように私聞き取ったのでありますが、そういう精神のもとで一つこれからそれぞれの役所の方からお答えをいただきたいと思うのであります。  今管財局の課長さんから、企業組合を作って、国有財産を貸してやるのに、基礎がしっかりしてないと困る、ひょろひょろのものじゃうっかり貸せないのだ、いやしくも国有財産だから、よほど基礎がしっかりしてなければ貸せない、こういうふうな御答弁がございましたけれども、失業者が寄ってこれから作ろうというふうな企業組合に、もとより信用などというものはあろうはずがないのです。これはもうひょろひょろにきまっておるのです。そのひょろひょろにきまっておるところの組合に対して、やはり閣議了解事項では、その組合の育成をやるということをうたい、また国有財産の施設の貸与をするということをうたってあるのでありますが、それはひょろひょろということを前提条件にすればこそ育成するというのであり、育成するというのであればこそ、そこに財産の貸与とか金融とかいう問題が出てくると思うのです。これは関連した問題でありますから、銀行局長にも聞いておいていただかなければならぬと思うのですが、融資の問題にしても、あるいは財産の貸与にいたしましても、やはりひょろひょろであればこそ、それを育成するという意味において国が力づけてやるのです。そうすると、今の御答弁とだいぶ食い違いがあるようになると思うのです。だからそのようなお考えの上に立って自立を促進しようなどといっても、それじゃ自立できっこないと思うのです。こういう特殊のケースについては、特別の温情をもって、ひょろひょろであろうとも、どこまでもめんどうを見ていってやるというような心がまえを持って、これからその処理に当っていただけるのかどうかという点について、銀行局長と管財局長の両方から御答弁いただきたい。それぞれの代理の方でもかまいません。

辻克蔵大蔵事務官(管財局国有財産第二課長)

○辻説明員 今岡本先生からのお話でございますが、私どもが申し上げました点は、一般論といたしまして、国有財産の処理をはかります場合に、やはり相当長い期間のことを考えなければならないということを申し上げたのであります。従いましてそういう面から申し上げますと、その利用される団体のいろいろな資力であるとか、信用であるとか、あるいはひいては経済基礎であるとかいうようなことを検討しなければならないということを申し上げたわけでございます。しかしまた現実の問題といたしまして、離職者を吸収するということが非常に大事な段階になっておるということも強い要請でございますので、この二つの考え方と申しますか、二つの要請をどういうふうに調整していくかというところに、現実の問題としてはなかなかむずかしい問題があると考えるわけでございます。考え方といたしましては、あれを貸し付けます場合に、いろいろな利用効率とかなんとかいうものを十分にしんしゃくいたしましても、若干あるいは相当額の使用料ということも考えなければなりません。その使用料を払っていただくかどうかというようなことも、助ける場合の一つの考慮になるのじゃないか、こういうことから申し上げた次第でございまして、その点はよろしく御了承願いたいと思います。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 きのうから要求してあるのですが、銀行局長は来ておりませんか。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 要求してあるのですけれども、やむを得ない用事だそうで見えておりません。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 それではしょうがない。  今の御答弁は聞き取りにくくて了解しにくかったのですが、前に大津の水耕農園のことで陳情に参ったと思うのですが、あれはどうなっていますか。

辻克蔵大蔵事務官(管財局国有財産第二課長)

○辻説明員 滋賀県大津市に所在しております水耕農園の問題の御質問でございますが、本施設はただいま提供中の施設のように存じております。お話の御趣旨は二点でございまして、できるだけすみやかにこれが返還を受けるということと、返還を受けた暁におきまして、現在の離職者の方を中心とした方が使えるようにするということでございますが、岡本先生からのいろいろのお話も承わりまして、関係方面の方とも今話し合いをいたしております。また現に近畿財務局でも、たとえば滋賀県であるとか、あるいはその他関係方面と意見の調整をはかっておりまして、その調整を待って処理することにいたしたいと思う次第でございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 あの水耕農場は、現実に今ほっぽらかされているわけです。そうして一部は米軍が運動場にして使っているわけなんですが、そういうふうに米軍としてもう要らなくなってしまっているというふうなところはできるだけ早く返してもらって、日本でそれを有効に使うようにするように御努力を願わなければならないと思うのです。  ところで、この水耕農場の問題にいたしましても、その施設をそのまま使えば、そこに働いていた人はそのまま水耕農場を経営して、蔬菜の栽培をやって生きていける。ところがおっぽり出されて、その施設は遊んでおり、何ら有効に使われておらないということでありますと、その人らは四散しててんでんばらばら、ほんとうの失業者になってしまわなければならないと思うのです。ところで、その施設を使って企業組合を作って、それで自分らの自立の道を開いていきたいといって、みな結束して今そのままで待機しているのですが、一月七日に首になって、そのままもう半年に近くなると思うのです。それを今折衝中だ、どうなるかわからないというようなことであるが、退職金も使ってしまい、運転していくための資金すらもうなくなっている。そうすると、結局は完全な失業者になってしまうというようなことになるわけなんです。役所もそれぞれ仕事でお忙しいと思うけれども、こういうふうな問題は生きている人間を対象にしているのです。そうしてその人たちは、現実にもう危険が見えており、食えない状態がそこに迫ってきているのです。だから、そういう人たちのあすへの不安をなくすためにも、一日でも半日でも早くそういうことをきめてもらいたい。いけないならばいけないで、それも早くきまらなければ、その人たちだって道を立てるのに困ると思うのであります。こういうふうな事務の処理については、できるだけてきぱきとやっていただきたいが、一体見込みがあるのかないのか。あるとすれば、それを一日も早く実施できるように持っていって、手持ちの資金を食いつぶしてしまわないうちに出発できるようなあたたかい御配慮がなければならないと思うのでありますが、その点についてどういうふうな御配慮をしていただけるのか、先ほどちょっと聞きとりにくかったので、あわせて御答弁を願いたい。

辻克蔵大蔵事務官(管財局国有財産第二課長)

○辻説明員 先ほども申し上げましたように、本件につきましては、各方面の意見の調整を目下急いでいる次第でございます。中央におきましても、防衛庁その他でお使いになる意向を確かめるとか、あるいはその他の関係方面との調整をはかっておりますし、地方におきましても、地元の地方公共団体その他の意見を聞いているわけでございますが、一、二他からも転用の希望があるようなことを言っておりますので、その方面との調整をはかる必要があるというようなことで、できるだけ早く処理をはかりたい、かように考えておる次第でございますので、御了承いただきたいと思います。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 今度は自動車局長にお伺いしたいと思うのであります。この駐留軍労務者の中には自動車関係の人が相当多いのであります。先ほどの小松さんの説明にもございました通り、自動車の修理及び運転の経験者が相当多い。こういう人たちが全国の至るところで組合を作ってタクシー事業をやりたい、こういうふうな希望を持って各地で申請をしておると思うのです。ところがそれに対して一向格別のお取り計らいがない模様です。何ぼ閣議でどんなことをきめてもらっても、末端の施策の中にそれが生きてこなければ何にもならない。それで京都でも現実に一月の中ごろにそういう組合を作りまして申請中なんです。ところが陸運局はそれをちっとも相手にしないのです。これはどういうことなんでしょう。閣議了解事項というものはやはりあなたの方に通達があり、あなたの方から陸運局の事務所の方に通達を回していただいているのでしょうか。それともどこか途中でそれが消えてなくなっているのでしょうか、その辺の事情を一つ承わりたいと思います。

山内公猷運輸事務官(自動車局長)

○山内政府委員 初めに閣議了解事項が陸運局長に伝わっておるかどうかという点からお答え申し上げたいと思います。私どもの方といたしましては、閣議了解が成立いたしましてから、直ちに各陸運局長に文書をもって通達いたしております。ただいまお話のように、その件がなかなか困難な事情等につきまして簡単に御説明いたしまして御了解を得たいと思うのでございます。先ほど参考人の方々からの供述もございましたが、大体駐留軍労務者の方が私の方の関係の仕事をやるとおっしゃるのはハイヤー、タクシーの事業が多いわけでございます。その場合に申請書をお出しになったところもありますが、ほとんど申請書をまだお出しになっていないところが大部分ではないかというふうに考えます。と申しますのは、申請書を出す場合には、車庫でありますとか、あるいは資本でございますとか、そういうものを確定いたしまして事業計画を出します。ところがそれが免許になるかどうかという前にそういう手が打てないというので、とにかく免許してくれるなら出すというようなお話がありますが、御承知の通り免許事業は、一件々々につきましてあるいは聴聞会をやりますとか、あるいは公聴会をやりますとか、陸運局長だけが自由裁量でやる建前になっておりません。道路運送法の第六条四号の要件を満たすかどうかということは、現在の法律では民主的な手続をとってやって参りますために、陸運局長が免許するかどうかというお話がありましても、行政官といたしまして申請書の出ない前にそういうことをやることができない事情がございますので、私どもといたしましては、その場合に、たとえば企業組合をお作りになりまして、十分に銀行あるいは金融公庫から金が借りられる、あるいは車庫はこういう状態において手に入る見込みがあるというならば、そういう書類によって受け付けてもいいではないかという点は、われわれも陸運局長に直接に話しておるところであります。ただその場合に非常に問題になりますのは、先ほどもお話がありましたように、現在ハイタク事業といいますものは、御承知の通り中小企業に属する事業が大半でありまして、東京などでも相当問題が起きておるのでありますが、過剰の状態のところが非常に多いわけであります。それでその点の免許が御要望の通りなかなかいかない状態になっております。たとえば非常に密接な関係もございますので、呉地区について御説明いたしますと、全国的に見まして、現在居住されている方二千人について一両くらいの割にハイタク事業の全国の分布がなっております。ところがこの進駐軍のおられるところは特殊事情がありまして、その割合が相当高いのでございます。呉地区について申しますと、それが大体千人について一両くらいの割にございまして、まあ新しい企業を始められるという御要望はよくわかるのでありますが、われわれの方の仕事の関係から申しますと、呉地区のハイタク事業者というものは、大体通常の状態からいきますと、がたっと需要量が減って参りましたものですから、既存の業者そのものの営業が相当困難になってきておるということで、だいぶわれわれの方にも陳情がありまして、その点からも相当われわれの方では苦慮いたしておる次第でございます。また整備事業にいたしましても、これは御承知のように自由企業でありまして、どなたでも始められるわけでございます。その中に認証というものがございますが、これは御承知のように、認証といいますのは、法律上の要件を備えれば、役所はそれを自由裁量で却下するというわけにはいかないわけであります。法律上の条件を備えれば必ず認証しなければならない。その条件は相当客観的に書いてあるものであります。これをお始めになることは可能なのでありますが、呉地区においても今言いましたような特殊事情で相当業者が多いのであります。その点からも、新しい仕事を始められましても、それによって十分に採算をとることがなかなか困難ではないか。われわれといたしましては閣議了解事項を十分に体しておりまして、陸運局長にもお話しておりますが、ただ心配いたしますのは、その貴重な退職金をつぎ込んで事業を始められるわけでありますが、その場合に果して成業の見込みがあるかどうかという問題も相当考慮してみなければなりません。これがひいては申請される方にも親切な行政ではないかというように考えられますので、その辺は現地の陸運局長も十分考えてやっておると思います。現実には京都の場合には申請書が出されたと思いますが、ほかの地区の場合には初めに行政官庁が免許をするという言を得て、それによって銀行その他との話し合いをつけようというような点も多いものでありますから、その点で、なかなか手続その他でまだ十分にいかない点もあるかと思いますので、そういう点は企業を始められる方々も十分にお調べになった上でやっていただいた方がよいのじゃないか。われわれの方としても問題の起りました現地の局長には私自身電話をかけまして、地方の状況はこういう状況であるし、現地の代表者が申した話もこうである、その場合には政府においてこういう施策をとるので、ほかの一般の免許と違って、労務者の方の退職金をなげうつわけにはいかないので、それについて何か表示があれば、免許するしないにかかわらず受け付けて審査の対象にすべきである、またそれについては現地の局長が権限を持っておりますので、命令はできませんが、そういうような要請に基きまして電話をかける場合には私自身がかけておるわけであります。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 タクシーにいたしましても、貨物の運搬の免許にいたしましても、これについては相当批判もあると思います。いろいろの審議会をやらなければなりませんのでなかなか免許が下りない、こういうような今の運営のやり方において、既存の業者、ことに大きな資本を持ち、たくさんの車を持ってやっておる大きな業者が猛運動をやって、そうして新しく首を突っ込んでくる新しい競争者の出てくるのを防ぐというようなことを相当猛烈にやっておるというような話も聞くのです。既存の業者が車をどんどんふやしてやっておるのです。既存の業者が車をふやすのはそのままにしておいて、気の毒な境涯の中から自分たちで自立して生きていきたいという必死の望みをその申請の中に託して、自分たちのもらった退職金を全部ぶち込んで組合を作って一生懸命やっていきたいと努力しておる人たちを押えつけている。しかもタクシーはどんどん現実にふえており、既存の業者がどんどん大きくなっているのです。こういうような現実というものをあなた方はどう見ておられるのか。もしもたくさん車がふえたら共倒れになるとか、交通事故が起って危ないというのだったら、既存の業者が車をふやすということも、あなた方は抑制をしなければならぬと思うのです。そうしてそういうふうな上に立って新しい営業免許を与えることができないと言われるなら、私はお話がわかると思うのです。ところが片っ方だけは押えておいて、資力のない、これから何とか生きていきたいというものは押えておいて、そうして既存の業者が車をふやそうということについてはある程度寛大であるということは、これは話をそのままいただきかねますし、そういうことでは、この閣議の了解事項というものは全く死文になると思うのです。閣議の了解事項をほんとうに生かそうというなら、そこまで強い方針を出していただいて、これから車はふやさない。ふやすとすれば、これから新しく自立更生していこうとする人のために認可するというような方針をとっていただかなければならぬと思うのですが、それについての御見解をもう一度伺いたい。

山内公猷運輸事務官(自動車局長)

○山内政府委員 新規事業を許しておる地区もあります。しかし全国的に言いまして、先ほど言いましたように、ほとんど飽和状態でございます。ほとんどと申しますのは、例外的にまだ余裕のあるところもあるという意味でございます。そこで運輸行政といたしましては、たとえば東京なら東京というところを例にとって御説明申し上げますと、大体この四、五年前から一万二千五百両という数字は全然変っておりません。ずっとそのまま押えてきております。それから大体六大都市におきましては、そういうようにほとんど増車の許可というものもいたしておりません。地方的にもそういった過剰の状態になりますと、そういう協議会に諮問いたしまして、増車の措置を全部ストップしておるところが大部分でございます。その点、大業者の増車は認めて、新しいそういうものは押えておるという点は少いのじゃないか。たとえば呉地区の状況を御参考のために申し上げますと、昭和二十八年の三月には九業者で百七十一両の車を持って運営しておったわけであります。それが昭和三十一年三月三十一日では、二十七業者で百八十九両の経営をいたしておりますので、大体二十八年以降ふえましたのを考えますと、ほとんどの新しい業者がわずかの車を持ちまして免許になっておるということは、数字的にも言えるわけでございます。ちょうど車のふえました数が十八両となっておりますが、その辺ぴたっと一致しております。どういう業者がふえたかということは、こまかい業者別の数字を持っておりませんからはっきりいたさないわけであります。と申しますのは、そういったような御批判が、終戦後進駐軍のおりました当時までありまして、当時は相当両数の車両を持たなければ許可をしないという方針を、進駐軍の命令でとって参りました。それはいけないんじゃないかという話で、だんだん少い業者にも免許するようになったわけであります。しかし進駐軍の言いますのも理論の根拠のないものでもないわけであります。自動車企業と申しますのは、大体最低リミットで二、三十両の車を持ちませんと、営業体系をなすのはむずかしいのでありまして、その点では企業経営の本格的なあり方から考えますと、そういう理論も成り立つわけでありますが、しかし日本のような国でそういう大きな両数を免許の基準にするということも相当問題がありますので、いなかにおきましては、一両、二両ということでも免許をしてきた例が相当あるわけであります。ただいまのお話のように大企業者だけに増車を認めたものでないという点は、この呉地区の例からも推察されるのではないか、かように御了承を願いたいと思います。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 全国的に車はふえてないというお説でございますけれども、私は年々ふえていると思うのです。私は数字を持っていませんが、これはふえておると思うのです。それからまた現実に日本の人口はふえていくのだし、だんだん文化の程度は高まるのです。これは日本の経済の復興と一緒に、さらにまた人口の増大と一緒に、あるいは文化の程度が高まりますのと一緒に、タクシーの需要というものはふえていくと思うのです。だから車はもっとふやしていただけばいいと思う。そうして車をふやしていただく場合には、やはりこういうふう失業対策として申請してきた者に優先的に免許を与えるという方針をとっていただきたいと思うのですが、そういう方針をとっていただけるでしょうか、どうでしょうか。あるいは、ふやさずに、このます押えておくんだ、そうしてまた同時に絶対に車の数をふやさないのか、まか申請は許可しないのか、あるいは少々は現在の数よりもふやしてもいいのなら、そのふやす分については、失業対策として申請してきた者に免許を与えたいというような方針をこれからおとりになるかどうか、その辺について一つお伺いしたい。

山内公猷運輸事務官(自動車局長)

○山内政府委員 もちろん需給の状態といいますのは人口の状態によって動いて参るわけでありますが、われわれの見るところでは、現在の六大都市におきましては、交通上の保安の関係もありまして、これ以上にふやすことはちょっと困難ではないか、現在でももう少し減らさなければならぬ状態であります。と申しますのは、空車回送と言いまして、だれも乗せないで走り回っている距離が非常に多いものでありますから、そういう点を十分行政的には見合いまして、需要に伴って動いていくということは言えるわけでございますが、少くとも現在では、ふやすということは行政的に見ても妥当ではないように考えられるわけであります。その場合に、たとえばこういう閣議了解の点を考慮すべきではないか、これはもちろんでございます。その意味でわれわれも、もちろんほかの法律上の要請もございますが、こういう点を配慮して免許の審査に当るようにという通牒を発してあるわけでございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 空車の何が多いから、たとえば東京都内ではこれ以上ふやすことはできないというようなお考えの樺様ですが、なるほど繁華街ではそうなんです。ところがもう周辺部に行くとなかなかタクシーを待っていてもこない。私京都に住んでおりますが、現に京都の場合だって、私の所ですと流しのタクシーが通ってくれない。しかもタクシーを利用したい人はたくさんいるんだけれども、市の周辺部になるとそれは通らない。ところが戦前はあったのです。だから車はそれだけまだ少いのです。現実において需要よりも少いのです。だからあなたの、今よりふやすことはできないというお考えは、これはどうもそのまま仰せごもっともというふうに考えるわけにはいかぬのです。だからそういうふうな点、特に失業対策として、駐留軍の労務者その他、自動車経験者等の失業対策として、自立してやっていきたいという人のためには一つ営業免許をしてやろうというふうな強い線を出していただくことを要望しておきたいと思います。安定局長には、こういうふうな意見があるということを十分御了解の上、自動車局長に強硬な談判をこれからやっていただくようにお願いしておきたいと思います。  さらに企業局長にお尋ねいたしたいと思うのです。先ほど小松参考人のお話の中に、駐留軍が使っておった土建用のいろいろなブルドーザーであるとか道路修理機あるいはクレーンとかいうようなものの払い下げがある、それを使って事業をやりたいと思うんだが、スクラップにするのでなかったらいかぬということで払い下げてもらってないというような説明があったように思うのですが、現実に私の近くの大久保に部隊がありまして、そこでもって特殊のそういう機具を修理する技能者がたくさんおる。今度それが一斉にそのまま解雇されるわけなんです。そういう人たちが寄って、そういう機械を修理して、できるならば国内の土建業者に――相模原とかそこらにはたくさんごろころ居眠って、スクラップ扱いされた機械で修理すれば間に合うものが何されておるのを、全国的に、ある程度修理してそれを使えるようにして販売するとか、あるいはそれを使って土木とか建築とかいう事業を営みたいという要望が出ているように思うのですが、こういう人たちが作る企業組合に対してそれを払い下げるというふうな便宜は講じられないものですか、お伺いしたいのです。

荒居辰雄通商産業事務官(企業局特需課長)

○荒居説明員 ただいまの岡本先生の御質問にお答えいたします。企業局長ちょっとほかの委員会に出ておりますので、私特需課長でありますが、代って答弁させていただきます。駐留軍の払い下げの物資に関しましては、実は一昨年の十月ごろに協定ができまして、米軍との間に払い下げについて、日本側とアメリカ側と合意した条件のもとにおいて払い下げるという協定ができた次第でございます。国連軍に関しましても、ほぼ同断の状況のもとに運営されておる次第でございます。何分払い下げ物資と申しますと、いわゆるくずでありまして、このくずの内容は実は万般のものにわたっておりまして、実に複雑多岐にわたっております。その中にはそのまま日本の国に払い下げを認めるということにいたしますと、いろいろ日本の国の経済に悪影響を及ぼすと思われるものがございます。そういうものにつきましては、日本政府といたしましては条件をつけまして、そしてこういう条件のもとに払い下げてもらいたいというような申し入れをいたし、それを米側も了解いたしましてやっておる次第でございます。昨年あたりの状況をながめてみますと、実はドラムカンあたりで例にとって申しますと、約年間二十五万本ほど払い下げられたような状況でございます。日本の月産が大体五万本程度でありまして、約半年分くらいの需要に当るわけであります。かかる多量の物資をそのまま日本の国内に放出して参りますと、これは関係業者が困りますのみならず、関係業者の倒産ひいては別の面における失業問題を起すということで、これは非常に問題だということで、今ではそういうものについては、ある一部のものにつきまして、スクラップかないしは輸出ということを条件付にしておる次第でございます。今それでそういうような政策を全般的にとっておりまして、呉の場合に、もしこれを自由に許すということになりますと米側が承知しないだろう。英豪軍と米側とこれは取扱い方針が違うじゃないか。われわれは不当な損害を受けるではないかということで承知しないだろうということもございまして、われわれは慎重に実はその点については考慮しなければならぬ、こういうふうに考えております。ただわれわれの内閣の方で行なっております特需連絡会議の決議もございますので、失業対策の問題については、できるだけ手を打たねばならぬということについては万々承知いたしておるつもりでざいますので、その点につきまして先ほどの建設機械も大体同様の態勢にあるわけでございますが、そういうものにつきましても何か特殊な対策があり得るだろうかということを目下慎重に検討を続けておる次第でございます。実ば具体的な申請が出て参りましたら、それを検討させていただきたいということを申しておるのでございますが、まだ具体的に申請の出てきたケースといたしましては、例の呉のランドリーの問題、洗濯機械の問題と、それから呉重工という会社の問題とが、そういう例外措置として特に申請が呉の問題としてはございますが、ほかの問題につきましては、今のところあまりわれわれは聞き及んでいない次第でございます。そういう意味におきまして申請がございましたら、関係の部課とも十分相談をいたしましてできるだけ善処いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 進駐軍のそういう物資をどんどん国内に放出すると、国の産業が困るというふうな御意見、なるほどどんどん建築用の建設機械を放出すると小松製作所は困るだろう。従って小松製作所の労働者も困るじゃないかという御意見、あるいはある程度ごもっともな点でありますが、しかしながら日本の今の建設事業というものは、非常に機械がおくれているためにはかどらない。日本の復興というものをもっと安く、またすみやかにやらせるためには、私は日本の建設事業の機械化というものが必要だと思う。そういう意味においては、たまたま米軍からそういりようなものを放出されたときは、できるだけそれを安く有効に建設業者の間に回して、それによって日本のこの災害に荒されきった国土の復興をはかるということが私は必要だと思うのです。もっけの幸いとして、そういうものを利用して日本の復興をはからなければならないのに、それを全部スクラップにしてしまっておるというような、こんなもったいない話はないと思うのです。これは場合によったら防衛庁の中古エンジン事件以上のもったいない物資の取扱いのやり方だと思うのです。もしもそれならばただでも建設業者に渡して、それでもって日本の災害の復興の促進をはかるというような施策を講ずべきであるのに、あなたの方のお考えは、まるで日本の商工業方面だけから考えた施策だけをとっておられるというようにしか思えないのであります。日本の国の産業の復興、あわせて国土の復興というものを考えていったときに、そういう点に相当な量の建設機械というものは適切有効に使われるべきものだということを特にこの機会に私はあなたの再考を要望したいと思うのです。それについて一度にそれじゃたくさん放出して、なるほどそういう機械をこれから日本で作っていこうとしておる業者の事業の発展を阻害するというような点については、ある程度の考慮をしなければならないかとも思うのですが、それについては、そういうものを買えるような相当の財源的な力を持った者には払い下げない。非常に貧弱な、そういうものを買って建設事業をやるような力を持たない者にだけ回してやるというような特殊なワクを考えて、それの払い下げは行わるべきだと思うのですが、一つ御再考をお願いしたいと思います。  なお特に駐留軍労務者が今度そういう機械を使って――優秀な修理能力を持っておるのですから、そういう人たちの技能を生かすというような意味においても、そういう機械が民間にたくさん出れば、そういう修理業もまた成立して、それが一つの失業対策にでもなれば、またそういう人たちがそういう機械を安く払い下げてもらって、それを修理して自分たちが使って建設事業をやっていこうというふうな、みずからが立ち上ろうとする希望に対しては、これはある程度格段の御配慮があるべきだと思うのですが、それについてもう一度御見解を承わりたい。

日高準之介通商産業事務官(重工業局重工業課長)

○日高説明員 ただいまお話の点はまことにごもっともでございますが、ただいま特需課長から御説明いたしましたように、スクラップにして払い下げを受けております自動車あたりについては、そういうふうな扱いになっているようでありますが、ただ全体といたしまして、中にはただいまお話の通り、国内の生産業に対して致命的な影響を与えませんように、一定の量を限りましてやるというふうな例もございます。ただ建設機械というようなものになりますと、その需要の見通しでございますとか、それの運営についての資力とか、その点、運営後の状況について非常にむずかしい条件が考えられる。従って私どもといたしましても、そういう個々の場合を十分検討いたしまして、これから善処いたしたいと考えております。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 時間がおそくなりますので、これで打ち切りたいと思うのですが、せっかく閣議了解事項を作っていただいて、各省非常に広い範囲のいろいろな施策を考えていただいたのでありますから、ことにただいま融資の面について徳永企業局長にお伺いしたいと思ったのですが、おられないということでありますから、安定局長におかれまして、あなたは担当の一番の扇のかなめの職におられるのでございますから、特に私が今までいろいろ御質問申し上げたことについて、それぞれの関係の官庁とよく連絡をして、強硬な意見の具申をやっていただきまして、万全な策をとっていただくようにお願いいたしまして、これで質問を終ります。     ―――――――――――――

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 次に、社会保障等に関する件につき調査を進めます。  本件につきまして、参考人が出席されておりますので、まず状況等について説明を聴取することにいたします。比嘉一雄君。

比嘉一雄琉球海外協会理事

○比嘉参考人 沖縄におりますところの十五万人の外地引揚者を代表いたしまして、このたび母国に陳情に参った比嘉一雄というものでございます。  では御参考のためにお話申し上げたいと思います。先生方には政務御多端の折にもかかわらず、われわれのために貴重なる時間をさいていだだきましたことに対し、全沖縄住民にかわって衷心より感謝申し上げるものであります。まずあらかじめ申し上げておきますことは、大東亜戦争という事業に失敗した父親のためにアメリカに身売りされた子が、はるばる南方から御相談に来ておるというお気持で、私の訴えをお聞き取りいただければ幸いだと思うのであります。では第一に為替管理法の改正について、第二に沖縄在住の外地引揚者に対する特別援護措置について、この二点はいずれも戦後外地から引き揚げてきた沖縄在住の人たちに関する問題でありますが、第三点として最後に申し上げたいことは、沖縄全住民の重大関心事である人口問題の解決として、御相談願いたいのであります。実は諸先生方が沖縄に対しかくも深い関心をお持ちになって、こういう機会を作っていただこうとは予期しておりませんでしたので、数字的資料を持ち合していないことはまことに残念にたえませんが、いずれ沖縄に帰ってから文書にして送って差し上げることにいたしまして、今日はさしあたり沖縄の現実を大まかに申し上げて、三問題をお願いする理由といたしたいと思いますので、さよう御了承願いたいと思うのであります。  第一の問題の為替管理法の件については、すでに御承知の方もおられるかと存じますが、これは終戦直後われわれが外地から引き揚げて参りました折持ち帰りましたところの郵便貯金、銀行預金及び現金は、一人当り千円を渡して、残りは全部政府から取り上げられて強制封鎖されておるのであります。本土におきましては四年前の五月に軍事郵便貯金特別処理法という法律が設けられましたので、現金はいまだ補償されるに至っておりませんが、預貯金通帳の分は逐次返還されておるのであります。ところが沖縄の場合は外地扱いになって、為替管理法という法律にひっかかっていまだに返還を受けていないのであります。これをこのままほうっておきますと、やがて補償措置を講じられんとする在外資産の暫定補償措置あるいはその他の問題にも大影響を及ぼすおそれがありますので、沖縄に対しては為替管理法は適用しないとか、あるいは北緯二十七度以南の沖縄住民には適用しないというふうに法律の改正をしていただきたいと懇願してやまないのであります。  第二点の、沖縄在住の外地引揚者に対して何ゆえ特別援護策を講じていただかなければならないかという理由でありますが、これは本土におられる外地引揚者と沖縄にいる外地引揚者は全く事情を異にしているからであります。本土の場合は、終戦直後から政府におきましても引揚援護法という法律が設けられると同時に、政府に援護局があって、十分とはいえないまでも常にあたたかい手が差し伸べられておる上に、銀行に引揚証明書を持って行けば、無担保で成業資金として借りられるということは、本土におられる外地引揚者の特典と申さなければならないのであります。その上引揚援護会という民間団体や、その他個人的にも同情を寄せられておることは申すまでもないことであります。ところが沖縄におきましては、そういった法律もなければ、その上全住民が戦災者であるために、民間団体であろうと、個人であろうと、だれ一人引揚者に同情を寄せるゆとりがないのであります。これだけ申し上げても、本土におられる引揚者からすれば、沖縄に引き揚げた兄弟の生活状況がいかに悲惨なものであるかがよくおわかりになると思うのであります。さらに申し上げますならば、本土の方々は負けて裸で引き揚げ、自分の家や財産はないにしても、親戚縁者には家や財産が残っておるのであります。広島や長崎の場合にいたしましても、それはわずかに都市地区だけで、沖縄はほとんど全般的に人命と財産を犠牲にした上に土地まで奪われておるというこの事実は、全国民御承知の通りであります。なおその上、世界広しといえども国籍のない民族が沖縄人以外にないのであります。人間として国籍のないということほどつらいことはなく、またみじめなものはないのであります。このつらさ、このみじめさは、沖縄人以外のだれが知るでありましょう。全国の皆様にお察しいただければ幸いであります。しかし沖縄の人たちのこのつらさ、このみじめさは母国日本の再建に偉大なるプラスであることは、認識を新たにしてもらわなければならないと思うのであります。沖縄が今日の存在を持つことによって、母国のドル獲得に最大の貢献をしているという事実も争えないのであります。生活必需品の一切が本土依存であるため、日本にとって沖縄は国際貿易上実に第二の地位を占めているのであります。日本政府が立ち上るまで、そしてアメリカが日本政府にまかして引き揚げるまで、沖縄こそは日本にとって重要なるドル箱になり得るでありましょう。よって私は、父よ身売りをしている子に愛の手を伸ばせと強く訴えるのであります。  次は自立による政府維持と経済力の貧弱でありますが、皆様御承知のように戦前は県庁があり、日本政府の補助政策によってすべてが守られていたのであります。ところが今日はわずか八十三万の住民の力で政府を維持しなければならないことは、日本から行政が分離された結果にほかならないのであります。なお大東亜戦争の決戦場であり、その上、南洋群島やフィリピンからの引揚者が多いために、子供四、五人をかかえて困っている戦争未亡人や、戦争のためにむすこや嫁を失って四、五人の孫を育てるのに苦しんでおる六、七十才以上の老人家庭がはなはだしく多いということも、他県に比較してその例を見ないのは争えない事実であります。というわけで、復興状況も都市地区はびっくりするほどきれいになっていますが、それもほんの表面上のみで、全島的にはいまだかわらぶきが約五%、カヤぶきが五〇%、トタンぶきが一五%で、終戦直後軍の幕舎を払い下げて天幕で作った指を触れると穴があくというテント小屋が約三〇%という現状であります。しかもこのような貧弱な住居を脅かす台風という悪魔は情容赦もなく毎年数回に及んで襲来いたすのであります。かかる実例はおそらく沖縄を除いては全国どこにもなかろうと思うのであります。従って都市地区は別として、いなかにおいてはほとんどがサツマイモとみそ汁のみを常食にしているという実情なのであります。もう一つ本土への出入が自由にできないということも大きな悩みでありまして、子が親のもとに自由に出入りできないという矛盾した法律が世界のどこにあるでありましょうか。こういうことも、本土の皆様の人間愛の力によって一日も早く解決していただかんことを切望してやまないものであります。  最後に人口問題についてでありますが、昔から沖縄という島は三十万の収容力しかないと云われておりながら、戦前は六十万、現在は八十三万というら現状であり、毎年二万以上の増加をみているのであります。戦前の六十万は無理をすれば収容できたかもしれませんが、今日は人口が増加した上に、農耕に有利な土地はほとんど軍使用地に接収されているということをお考え下さって、御同情と最高度の御力添えを賜わりますようお願い申し上げる次第であります。現在軍工事があるからという人もおりますが、軍工事はあってもアメリカは人種差別がはなはだしく、白人第一主義、黒人第二、フィリピン、支那人第三、本土から行った技術者第四、沖縄人第五という低賃金でこき使われて、実にみじめなものであります。しかし低賃金でも多少仕事があるからいいというものの、あと二カ年もたち、軍工事がなくなったとき、これらの人間がどうなるかと心配せざるを得ないのであります。もしこのままほうっておくとしたら、やがては生活苦から自殺する者あるいは強盗殺人罪がふえるということは火を見るよりも明らかであります。よって人口問題の解決策としまして海外移民の送り出しを早急に実現させていただきたいことも重ねて懇願するものであります。幸い最近の新聞によりますとことしからカンボジアに移民送出の門戸が開かれることであり、従ってその他の方面にも続々実現を見るでありましょう。何とぞ沖縄もそのワクに入れていただいて、同等に移民割当の恩典に浴させてもらいたいのであります。  結論といたしまして過去の移民の要望である外地引揚者の特別援護並びに在外資産の補償を早急に解決していただきますことはとりもなおさず将来の移民問題の促進に大なる役割を演ずるものであると確信いたしますので、その点特に御考慮願う次第であります。なお私が今申し上げましただけでなくて、その裏にいろいろたくさんの重大問題があることをお察し願いたいのであります。  以上申し上げて諸問題解決の促進方を折り入って御願いして私の話を終ることにいたします。弱輩の意見を御聞き取りいただきますれば小生無上の光栄に存ずる次第であります。まことにありがとうございました。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 以上で説明は終りました。この際政府の発言があれば御発言を願います。山下厚生政務次官。

山下春江自由民主党厚生政務次官

○山下(春)政府委員 ただいま沖縄の比嘉参考人から沖縄の現状をるる承わりまして、私どもも大東亜戦争に際しまして、沖縄が非常に大きな犠牲を受けられたことをよく承知いたしておりますので、沖縄の遺族援護あるいはその他の問題につきまして、今日までもできるだけ援護の手を差し伸べて参りました。遠隔の地でございますので、事務その他のことが十分とは申されないのでございますが、ただいまお聞きいたしました点等につきましても今後あらゆる努力を傾けまして、沖縄の皆様方の御要望に沿うように努力いたす所存でございますから、どらか沖縄にお帰りになりましたら、私どもの意のあるところをお伝え願いたいと存ずるわけでございます。

比嘉一雄琉球海外協会理事

○比嘉参考人 山下先生からいろいろありがたいお言葉をいただきまして、ここまで陳情に参りまして意を強うした次第であります。しかしながらこの機会に私が訴えましたその動機を了とせられまして、きっそくこの問題に手をつけていただきたいことをお願いするものであります。それでもしできますならば、この問題をきっかけにこの社会労働委員会の委員長始め全委員が交代々々で沖縄の現地を見ていただいて、早急にこの問題を実現していただきたいことをお願いして私の話を終ることにいたします。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 比嘉参考人には遠路非常に御苦労さんでございました。どうもありがとうございました。     ―――――――――――――

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 この際お諮りいたします。公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案について参考人を招致し、その審査を進めたいと存じます。が、参考人の選定及び手続等に関しましては委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  次会は明十二日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後二時十七分散会

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