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24回国会衆議院1956/03/31

社会労働委員会 第28号

発言数
74
登壇者
11
会派数
3
開催日
1956/03/31

会議録

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 これより会議を開きます。  まず付き添い婦制度に関する件について発言を求められておりますので、これを許します。長谷川保君。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 付き添い婦の問題については、当委員会としても前国会以来非常に重要視いたしまして、たびたびここで御協議を願い、質疑応答がされたのでありますが、その後の成果についても、私どもは事が直接患者に関する問題であり、また付き添い婦自身の問題でもあり、貧しい付き添い婦の問題でもありますので、非常に心配している。ことにそのいかんによりましては、重症者のごときは直ちに生命に関する問題でありますので、私どもとしては引き続き注意をし、時間の許す限り各療養所を実際に拝見をして参ったのでありますが、私どもとしては、前国会において当委員会あるいは参議院の委員会において決議しましたような線が打ち出されておらないということを見まして、非常に心配をいたしているのであります。一昨日私どもはわずかのひまを盗みまして、四人ばかり同僚の議員が東京療養所を実地拝見をいたしました。ちょうど折から厚生省の方でも技官をお二人出張させて調査をしておられたのであります。私どもはわずかの時間でありましたので、その方たちとは会いませんでしたが、その調査の結果がどういうことであったか、医務局長の方へすでに御報告がきていると思いますから、御報告を承わりたいのであります。

曽根田長宗厚生技官(医務局長)

○曽根田政府委員 御承知のように新しい看護体制を立てていきますことは、各療養所ともいろいろと準備を進めて参っておったのであります。中に十分この準備が進みません、あるいはどういうふうに立てかえていったらよろしいかというようなことを迷っている施設も若干はございました。これについては私どもの医務出張所、あるいはできますれば、私どものところから直接に係官が参りまして、どういうところに困難があるか、隘路があるかというようなことを検討して、具体的に解決の道を切り開いていく、こういう方法をとっておったのであります。ただい、ま御指摘のございました東京療養所等は非常に大きい施設でもあり、それから、前からいろいろ伝統と申しますか、その病院の特別な事情もございますので、なかなか簡単に案が立たないでいるということは聞いておったわけであります。なるべくこの所自体に考えてもらって、その次には私どもの関東信越医務出張所から指導をさせまして、そしてどうもうまくいかないというような場合に、私どもの方から出かけていく。もちろんそのほかに随時係官を派遣して見させるということはしておりましたけれども、系統的に具体的な指導ということはまだ手をつけておらなかったのであります。いよいよ時期も迫って参りましたので、具体的にどういうところが困難なのかというようなことを視察もし、またそれについていろいろ相談をいたすために、係官を派遣いたした次第であります。実のことを申しますと、東京療養所は非常に準備が遅滞いたしておりまして、ことに係官が行って帰って来ました報告、その詳細なものはまだ私もよく聞いておらぬのでありますが、大ざっぱなことを申しますと非常に準備が不十分である。勤務の態勢につきましてもさようでございますし、また物的な設備についても非常に不備の点がまだ多々ある。それからかてて加えまして、新しく配置いたしました常勤労務者の採用につきましても、いかような人たちを採用するかという大体の方針は立てたようでありますけれども、具体的にその人たちを求める、たとえば新しい看護婦あるいは準看護婦の資格獲得者、かような人たちを採用したいというようなことにつきましては、ただいますがちょうど卒業期、国家試験あるいは都道府県知事の行います試験の行われる時期に当っているものですから、そういうようなことで若干採用が遅ればせぬかというような状況でございまして、東京療養所のごときは年度が変ったからといって直ちに新しい態勢に完全に切りかえるということは困難ではなかろうか、というような報告は受けております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 時間がないので簡単にお伺いしておきたいと思うのでありますが、あそこへ行って調べてみますと、全くこの切りかえには苦慮をしております。厚生省の方からだいぶおしかりがあったというので、所長は非常に——厚生省の方で落第生というようにおっしゃたらしく、しきりに落第落第という言葉を使っておりましたが、しかし私どもの見るところでは、なにあそこだけじゃなくてほとんど全部がそうなんだ、私の見た限りにおきましては全部そうだといって差しつかえないくらいでありまして、東京療養所などは一千五十人という定員のところに、何とかしてそれでも厚生省のいうようにやつていこうと思って、今九百四十人に患者の入院数を減らして、つまり百十人も減らしておる。東京療養所は御承知のように清瀬病院とともに、また東京では中野の療養所とともに、日本全体の、ことに結核の外科治療の本山ともいうべきところである。ここはいつでも満床でなければならないところであります。ほかは空床になりましてもここだけはいつでも満床であるというところであります。それが今日切りかえのために万やむを得ないから、一千五十人という定員の入院数を九百四十人に減らして、百十人減らしておる。それでなおとうてい切りかえが困難であるというような事情でありまして、今日また二十六人が入りまして、あと十人また常勤が入るそうでありますが、これでつき添い婦をごくわずか、三十何名か切ったわけでありますが、それでなおこの四月一日からはさらに今内科病棟におりまする五十六名のつき添い婦を切るというわけであります。今までのところですでに——婦長と会って聞いてみたのでありますが、婦長は所長さんにしかられるからとしぎりに遠慮をしておりましたが、所長も立ち合わせまして、私どもは実情を知りたいのだ、何も常動に切りかえてはいかぬともいわない、ただ問題はそういうことによって患者が非常な困ったことになって、そして重態になるとか死ぬとかいうことのないように、また看護婦その他が過労になって倒れるというようなことのないように、こういうように私どもは考えておるのであって、どうしなければならぬという考え方で私どもは来ているのではないのだから、実情を言いなさい、それでやっていけるものならけっこうだし、やっていけなければやっていけないと言ってもらわなければ、実際の国民の医療ができなくなるのだから、遠慮なく言ってもらいたい、こういって、二つの寮の看護婦に集まってもらって、所長にも立ち会ってもらって、所長からもぜひ遠慮なく言うようにという言葉を添えてもらって実情を聞いたのでありますけれども、婦長はもうどうにもなりません、婦長の言葉をそのまま申し上げますと、どうにも患者さんの方から文句が出て、もう夜も私は眠れません、忙しさに殺されそうです、と言うておられる。何とかそれでも努力してやっていけるのじゃないか、それとも現在のではとても少いのかといったら、少いというどころではありません、少いというぐらいではありません、看護婦はもう食事の時間もない、ことに重症病棟でありますために、食時の時間に一緒に患者に食事を与えなければならぬ、それが今まではっき添い婦がおりまして、たとえば呼吸困難の重症の患者というものにつきましては、一時間もかかってどうやら食事をとらせる、これが全然できない。患者の方からこれはまた別に私の方に話がありましたが、十分くらいで食事をしろという、どうにもとれないのだというような話でございました。こまかい数字等もここに控えて参りましたから申し上げてもよろしいのでありますが、私どもの言わんとするところは何とかこれを無理をしないでやってもらいたいということでございます。従って結論を申し上げますと、厚生省が常勤労務者にかえようとするのはけっこうであります。かえようと努力していかれるのはけっこうでありますが、さきにここで決議しておりますように無理をしないで、当分の間二本でいってもらいたい、つき添い婦と二本建てでいってもらいたい。そして上の方からきつくいうのではなくて、所長、看護婦、患者等の意見を十分聞いて、無理をしないでいってもらいたい。そうしないと今のように重症患者で、呼吸困難で一時間くらいかかって御飯を食べなければならぬというものを十分くらいで切り上げさせなければならない。従ってこれらの人たちは食事をとることができない。これはほんとうに重症患者を看護したものでなければこの実情はわかりません。これは申し上げたように、自分自身も十年の余も重症患者につき添って、夜も寝ずに看護してきた経験から、重症患者の実態についてはここにおられるどなたにも負けないくらい知っている。あえぎあえぎ御飯を食べる、ふくまして上げなければならぬ。これを自分でとれというのは不可能であります。でありますからどうしてもお養いをしてやらなければならぬ。そうなりますとやはり内科の重症病棟等におきましては相当の手数が要るのであります。ことにああいうような国立療養所というような大きな施設では、どうしても副食物、主食もそうでありますけれども、これは一律になってしまいます。多様性をもっていろいろなものを作ってあげる、本人の好みに応じて作ってあげることができなくなります。ここが今までのつき添い婦制度の非常にいいところでありまして、これは理屈ではない。本人が食べられないと言ったら食べられないのでありますから、それを食べられるように、本人の嗜好に従って作ってやって、わずかずつでもとらせる、そして栄食と安静を積み上げて何とか闘病の力を積み上げていく。そして勝たせる。今日化学療法も手術もできないような内科の重症病者がいるのであります。ことに前から長く入っております者の中にはそういうのが多いのであります。これがわずかのことでもって倒れてしまうのであります。わずかなことでもこれは死んでしまうのであります。それを殺さないために、何とか治癒に持っていくために、ほんとうに親身になって食事から何から一切——ことにこの種の人は大がいひどく汗をかきます、この汗をどうやって上手にふいてやるか、寝巻をどうやってかえてやるかというようなことは、ほんとうにこれは渾身の努力が必要なのであります。こういうわけでありますから、私が今日社会局長及び医務局長においでを願って切にここに申し入れをしお願いしたいということは、どこからこの実情を見まして、どうしても二本建でいってもらわなければならない。そうしないと、ここにもいろいろ患者の言い分が書いてございますが、必ず犠牲者が出ます。犠牲者が出ましても、これは当局の方への療食所からの報告はもちろん、どうお調べになっても報告をお取りになっても、そのために死んだとはいいますまい。重症のために自然の転帰だというようにいうでしょう。しかし生きるか死ぬかは、ごく重症になりますとほんとうに紙一重なのであります。それで私は前前から個室を出してはいけない、安静を積み上げて力を養わせるのだ、またほんとうに食べられないものを食べれるように、少しでも一口でも食べさせるという努力をしていかなければこの人たちは死んでしまう、こういうことで私は前からやかましく言っているわけであります。どうかこれを三本建にしてもらいたい。何としても、厚生省の今までの予定とかあるいは方針とか予算とかいうことでなしに、最後の生命の問題でありますから、どうしても二本建でいくという点を今日明瞭にしていただきたい、こういうことで私はきょうお願いしているわけであります。何とかそういう方法がとれないものか、一つ伺いたいのであります。ついでに、時間がありませんから今のことは社会局長にもお願いするわけでありますが、この前三月十四日の当委員会で私の、四月以降も看護券を出すのか出さないのか局長の御意向を伺っておきたいという質問に対しまして安田局長から、基準があって常時監視を要するとか、あるいは手術後に特別な事情があるとかいう場合に一つの基準がございますので、その基準に従ってやって参りたいと思うのであります、というお答えをいただいております。それでこのことはもちろん四月以降も出すというようにとれるのでありますけれども、私がこの際重症に息も絶え絶えにあえいでおります諸君のためにきよう特に安田局長においでを願いましたのは、どうかこれを明確にきょう、四月以降でもこういうような事情があれば出しますということを言っていただき、またこの前にお願いしたことでありますが、ただ出すということではなしにほんとうに予算の面でもお考えいただき、実際にどうしてもそういうような場合やむを得なければ看護券を四月以降でも出していいということを全国の都道府県にはっきりと通知を出してもらう、そういう処置をしてもらいたいと思うのであります。両局長の明確な御答弁をお願いする次第であります。

曽根田長宗厚生技官(医務局長)

○曽根田政府委員 非常にデリケートな問題でございますので、言葉の問題というようなことにもなってくるかと思うのでありますが、長谷川先生のただいま言われました御注意と申しますか、御警告と申しますか、これは私どもすなおにまたありがたく拝聴いたしておりまして、なるべくその趣旨に沿って動かしていきたい、こういうふうに考えるのでありますが、いわゆる二重の制度というようなお言葉につきましては、これは言葉だけになりますと多少表現が変ってくるかと思うのでありまして、私どもなるべく所の職員ができるだけのお世話をする——お話ございました通りに、飯を食べるのにも非常に困難をする、あるいは嗜好も非常に個別的になっておる、こういうような点を注意いたしまして、入所者に画一的な献立でいくというようなことでなしに、できますならば、ちょうど私どもが高等学校におりましたときにいわゆる代替菜というものをとっておりました通り、どちらの方の菜を選択するかというようなこと、あるいは特殊な患者に対しましては特別食を出すというようなことを現実に実施しておるところもございます。しかし東療はこの点におきましてはむしろおくれているところなのでありまして、最近はA食、B食という二重の献立だけは始めたようでありまして、この点は患者にも非常に喜ばれているそうでありますが、できますならばさらに進んで特別食というようなものも作らなければならぬ、現に帰ってきました技官の報告によりましても、とにかく患者のところに持っていっても患者がこれをきらうわけではないけれども、たとえばお魚ならばそれをむしって骨を取るというようなことに非常に困難をしておる、こういうようなものは食事自身としまして簡単にホークかさじでもって食べられるようなところまで調理して持ってくるべきだ、かように思っておるわけでありますが、長くなって恐縮でございますから簡単に申しますれば、かような点について御注意になりましたようにできるだけ所の職員で十分な看護をして差し上げるということをあくまでも建前といたしたいと思います。ただそれに対して今日の人員でもって足りるかどうかということに御懸念を持たれるのだと思うのでございますが、私どももこの職員をできるだけ指導し、訓練をして参らなければならぬのであります。また切りかえの際には十分手が行き届かない、あるいは患者をあちらに動かし、こちらに動かしというようなときに空床が一時出るというようなこともあるかと思うのでありますけれども、かような事態をできるだけ早く切り抜けまして正常の状態に持っていって、さらにいろいろな足りない部分があるということに対しましては私どもできるだけまた措置を講じたい。そうしてそれにつきましては、御承知のように明年度予算で若干の増員の措置も講じてございますが、これをできるだけフルに動かしてみる、あるいは御承知のように施設によりましては空床の自然に生じておりますところもございますので、かようなところの人員の再配置をまた考えるとかいうこと、かようにしても追いつきませんような施設とか場合、あるいは個々の患者の特殊な事情、こういうようなものによりましては私どもも社会局の方に相談をしまして特別な措置を講じたい、こういうように思っておるのでありまして、私どもできるだけ患者さんに御迷惑をかけないように万全の措置を講じたい、かように考えておる次第であります。

安田巖厚生事務官(社会局長)

○安田(巖)政府委員 ただいま医務局長からお話をいたしました通りでございまして、療養所の個々の事情によって個々に判断をいたして参りたいと思いますけれども、二本建を認めるかどうかというお話につきましては、二本建でなくてやはり看護体制が切りかえられていきましたところにおいては、その切りかえに応じてわれわれは生活保護のつき添い制度を運用していきたいという考え方でございまして、さらに詳しく申し上げますと、現在の個々のつき添い制度から療養所自体のつき添い制度に移って参りますから、その移って参りますことが完了いたしておりますものも現在あるように聞いております。私どもが医務局から承わったところによりますと、そういうことで非常に円滑にいきまた成績も上って患者も喜んでおるところもあるようなよしでございますので、そういうところでは問題はないと思っております。それから移り変りのなお過渡的な現象としてまだ若干欠陥があるというようなところにつきましては、それは個々の療養所につきまして、またさらに病棟につきましていろいろ医務局と相談をしてきめていきたい、こういうように思っております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 今お話の療養所の職員をできるだけ使っていくということはけっこうだと思うのです。ところが現状は、私どもの見た限りにおきましては、どこへ参りましても定員が足りないということを一様に言っております。そこでやはりつき添い婦制度は御承知のように職員の定員の中に入っていないわけでありまして、そこに非常に伸縮性、柔軟性があるわけであります。これは今になって見てやはり相当いい制度だと思うのです、なるほど当局の方では組合等がなかなか元気よくやっておりましたから使いにくいところがあったと思いますけれども、やはりいい制度だと思います。私は今の社会局長のお話のように個々の療養所によって、個々の病棟によって考えていこうというお話、ごもっともと思います。これはやはり実情を——この間厚生省の方で浩風園のことをだいぶほめられておりましたから、私はひまを見て二、三日のうちに行って参りたいと思っております。新潟療養所の方は大体私の方で見通しがついております。今患者も喜んでおるところもあるというお話がございました。先般来厚生大臣からもあり、あるいは厚生次官からもありました。そのときにはリンゴの話が出たのでありまして、今までならリンゴをつき添い婦さんにもやらなければならなかったのだけれだも、今度は常勤さんだからやらなくてもいいといお話が出ましたが、私はそればかりでなしに、確かに今まではつき添い婦をつけてもらえなかったいわば自費もしくは少しからだのいい人人、こういう人々も常勤さんになったので、やってもらえるようになった、こういう意味ではあまり重篤でない患者さんあるいは自費の患者さん、こういう人々は喜んでおる面があると思うのです。これは確かに喜んでおると思うのです。けれども肝心なのはそういう人ではなくて、やはり重篤な患者なのであります。その重篤な患者に手が抜けたのではどうにもならない。今ここで東京療養所の重症者が書いたものがありますから、少し読んでみます。こういう事情も重篤な者に出てくるのだということをお考えをいただきたい。御参考に読んでみます。これは東療の南五寮の重症室の人の書いたものであります。こんな時間に便器を使うと看護婦さんが大へんではないかとがまんしていたら、食事と便器が一緒になってしまった。ちょうど来ていた奥さんが、家で食事をしているとき、主人が何を食べているだろうかと心配です。きょうなどもおはぎがきらいなので、私がこなかったら何も食べないのではないでしょうかというように言っております。今A・B食を作るというようなお話がございましたが、重症者というものはそんなものではないのです。重症者というのは、もうほんとうに一さじの飯が食べられた、おかゆが食べられる食べられないというどん底に追い込まれているのです。ですからA・B食だの、それをたといここの食堂ほど作りましても、食べられないときは食べられないのです。そのときにはほんとうに、たとえば小さいときにお母さんが作ってくれたものを思い出して、そのものを食べたい、あの味であのものを食べたいというようなことを考え、それを作ってもらえれば一口食べられるというようなことになっているのです。ですから、A・B食だの何を作るということで、重症者は看護はできないのです。もしどうしても常動をやるならば、むしろそういうように三人なら三人、五人なら五人に対して専門にそういう食事を作って、それだけきりでやってあげられるというようなものを作らなければだめだと思います。これも南三寮の重症患者一同の文章でありますが、「重症患者は精神的にも疲れ切っていて常に心のよりどころを求めています。精神面の看護が一番大事なのですが、健康人にはなかなか重症患者の微妙な気持が理解できないと思います。どうか看護婦さんは重症患者が想像も及ばないような精神状態にあるということを念頭に置いて看護して下さい。重症患者が看護婦さんの顔色をうかがわねばならないような看護は絶対にしないで下さい。ですからいついかなる場合でもふきげんな、つっけんどんな態度は慎んで、何でもはいはいとやさしく受け答え、さとすべきことはいたわりの気持をもって話されるようにして下さい。常勤制だとか完全看護だとかいうのは重症患者以外の患者の看護のことであって、重症患者には一対何人というものではだめです。つき添い看護以外には通用しないのだということをはっきり認識していただきたいし、すべての問題の起りはここにあるのです。」まあいろいろありますが、「そしてこれは同一人の看護人が最小限一ヵ月連続ついていただかなければ意味がない。十分御検討願います。」またこれは九寮のやはり重患の方のでありますけれども、「私の場合はほとんど食欲がなくて、毎食出る給食もほとんどそのままでは食べられません。それも高価なもの、ぜいたくなものを食べたいというのではありません。重症になると日々からだの調子が違うので、その都度そのときのからだの調子で、このように加工すれば何とかのどを通るということで、つき添い婦さんにいろいろ加工してもらい、やっとのどを通し、その日その日生き長らえているのです。用便、寝汗のための清拭、着物の交換、洗たく等も一日に二、三回も繰り返す日がたびたびです。とにかくつき添い婦さんがなくなれば、何が困難ということはなく、身動きならない重症にはどうしても一対一のつき添い看護か、それにかわる看護人がいなければたちまち淘汰されてしまう。」つまり死んでしまうということなんです。「長期病床の重症者は手術もできず、化学療法も効果が現われず、ただただ、その日その日の看護の安静療養の積み重なりを期待し、それだけを希望とし、たよりにして生きているのです。今の私はつき添いさんに生かされているのです。どうかなんとかして一対一のつき添い看護が今後も受けられるようお願いをいたします。」これは決して作りごとではなくて、私ども重症者の看護をしてきた者にとりましてはほんとうにこのままなんです。どうかこの際こういうような重症の患者を死に追いやるようなことはしないで何とか、せめて三カ月でもいい、期限を切ってもいいから、今の常勤制とともに、常勤制を進めるいろいろな準備をしていくそれとともに、何とかやはり二本建にしてつき添いの制度を残してやっていただく、その間に順次患者の方もある程度なれていくでしょう、病院の方もなれてくるでしょう、職員の方もなれてくるでしょうから、どうか三ヵ月でもいいから、この全国の、ことに内科の重症者及び手術後の患者に対しましてはそれをゆるめてやってもらいたい。どうか機械的に考えないでゆるめてやって、二本建にやってもらいたい。そうしなければそれらの人々は死んでしまうのだから、どうかそのようなことをしないで、ぜひともこれを二本建にしてゆるめてやってもらいたい。もう僕はむしろここでお願いをする、厚生省の当局にお願いをするから、何とかこれを二本建にしてやって一つ助けてやってもらいたい。がんこに考えないで、今までのいきさつにとらわれないで、何とか考えてやってもらいたい。それで、私どもももちろん当局の方針に、あくまでそれをおやりになるというならばそれに相応するように、患者にも病院当局にも職員にも、われわれの方からも行くたびに沿うように注意をします。けれども、どうかこういう重症患者を死に追いやらないように、当分の間移り変りをしていく間三ヵ月ぐらい期限を切ってみてやっていただいて、その上でさらにまた実情に応じてこの人々を殺さないように考えていくというように、この際一つぜひとも明確に、四月からもう二本建にしてやっていく、こういうように尽力していただきたい。全国の患者が多分、きょうのこの私の皆さんにお願いしているこの結果を、おそらく速記録を取り寄せてむさぼり読むでしょう。どうかこの際あなたの方で、その点をやっていこうということを、御無理かもわかりませんけれども明言してもらいたい。もう一度一つぜひとも明言してもらいたいと思うのです。

曽根田長宗厚生技官(医務局長)

○曽根田政府委員 大体御趣旨のところはよく私どもも拝聴できるのでありますが、それに対しまして私どもの考え方を申し上げるといたしますと、また同じことを申し上げるようなことになると思うのでありますが、先生から具体的な例を引かれていろいろかような心配をしておる人たちもあるということは、確かに私もあると思うのであります。しかし逆に、はなはだ相済まぬのでありますけれども、私もここに患者の声を持ってきておりますのでちょっとお聞きを願いたいと思うのであります。これはやはり完全看護と申しますか、新しい看護体制に移ったところのある患者の手記でありますが、「私は完全看護体制になって手術を受けた者です。手術病棟へ行く前から、完全看護とはいっても看護婦さん二十五名、補助看護婦さん四名では、決して患者の要求もしくはわがままを認めてくれないのであろう、また手が足りないので苦しめられるのであろうと、政府の予算をうらみながら手術を受けました。だが、私の考えは根本からくずされたのです。看護婦さんの数は少くとも、ぴちぴちと実にやさしく看護してくれ、苦しい、腕が痛いと言えばすぐそばにきてさすってくれ、苦しいでしょうね、もう少し、がんばるのよと力強く励ましてくれる。また疲れたからだではあっても、病室を訪れ励ましながら、健康的な笑いで私どもを精神的に救ってくれる。食事の面にしても実にやさしく看護婦さんはやってくれた」云々とございます。「食欲がなくても、看護婦さんの愛情で作ったおぜんに盛られた色とりどりの料理を見ると、食べてみようという気が起るのです。そして時間のあるときは、いつも婦長さんが食事中に回ってこられ、患者の顔をながめながら、よく食べてくれましたねと、実にうれしそうな顔をしてくれる。数は少くとも患者の気持を理解しようと努めてくれ、気を配ってくれる看護婦さんの愛情がこのときほど美しく感じたことはありません。そのとき受けた愛情が、今でも強く心に生き続けているのです。私は初めから終りまで、看護婦さんのいい点ばかり考えてきた。だが二十五名の看護婦さんの中には、個人的感情かもしれないが、好もしく思わぬ人もいることは認めるが、ぴちぴちと働いてくれる看護婦さんの数には、影の薄い存在であった。最後にこれから手術を受けようとなさる皆さん、手術病棟は、私どもが頭で考えているほど悪くはありません。どうかがんばって手術を受けて下さい。」こういうようなことを言っている患者もあるのでございます。先生のおっしゃいましたことを、私決して反発するようなつもりはございません。しかもこれを書きましたのは患者の自治会の新聞でありまして、こんなことを申してはおかしいかもしれませんが、健康保険法改悪反対ということもどんどん書いてある新聞なのであります。こういうような点で私ども今のようにいろいろ施設を見、患者さんについて見ますならば、二重制度でいくというようなことを必ずしも申し上げずとも、先ほど来申し上げておるように、新しい制度の欠陥は私どもも重々心していかねばならぬということは、心に銘じておりますので、そういうような事態の起らないように、私どもも渾身の努力を払い、また社会局の方ともよく連絡をとって参りたいと考えておりますので、何分御了承をお願いし、またいろいろとお気づきの点は御注意をいただきたいと思っております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 もう一つ。そういうような療養所が私の知っている限りで全国に三つくらいあります。ただし私の知っているのは、国立療養所ではありません。ただいまのお話が国立療養所であるとすれば、まことにけっこうなことです。私もほんとうに喜びにたえません。今のをあとで拝見したいと思うのでありますけれども、伺っておりますと、完全看護、補助看護婦四人ということであります。だから完全看護と常勤労務のつき添いの問題とはまた別です。つき添いの問題をそれが論じておるとすれば、ちょつと言葉が変だと思うのでありますけれども、いずれにいたしましても、国立療養所でもしそういうところがあれば、大へんけっこうなことなので、私も拝見に参りたいと思います。そしてこれを厚生省ではぜひ表彰されるとよろしい。けれども、そういうような病院で私の知っている限りは、私立のものには全部で三つほどあります。しかし国立病院ではいまだかつて私は見たことがない。もしそういうことがありましたならば、当然のことであります。けれども、国立療養所としては大へんりっぱなことです。ぜひそれは表彰してやっていただきたい。しかしながらいずれにいたしましても、私が見てきた限りの療養所におきましては、今日そういうところは一つもない。私もがんこで、そちらもがんこで、なかなか二本建にするということをおっしゃいませんけれども、これはぜひとも先ほど来申しておりますように、二本建にするようにしてもらいたい。局長の方で困難であれば、ぜひとも大臣の方で全局長とも御相談の上で、しばらく、三月でもいいからこの制度を二本建にしていって、そうして各療養所、患者、看護婦の声を聞きながら、順次また皆さんが考えているような線に持っていっていただくようにぜひとも御尽力をいただきたい。私のお約束しました時間が切れましたから、これ以上申しませんが、何とかそういう御考慮をわずらわしたいと思うのであります。最後に厚生大臣から何とか患者を喜ばせる御意見を言うていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

小林英三自由民主党厚生大臣

○小林国務大臣 今の御意見でございますが、初めてこういうふうに切りかえました場合におきましては、やはり古い制度から新しい制度に移ります場合には、多少そういうようなこともあり得ると思うのであります。しかし私は今お読み上げになりましたような事情も十分拝聴もいたしまして、一応この新しい看護体制は十分な看護をいたしたいという趣旨からいたしたのでございますから、その上で、この間も申し上げましたように、十分な手が届かぬというような場合にはまた別に考えたいと存じております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 もう一つ最後に……。先ほども申しておりますように、これは今日行われている事実なんです。私ども東療に参りまして調べた事実であります。ですから、今進行しつつある事実なんです。それで皆さんの今までの御計画では決してやり得ないということが事実に現われておりますから、今お願いをしているのでありまして、これをやってみてから、いけなければ直すということでなしに、今行われている事実でございますから、できないということが、ここにわかっている。婦長はもうどうにもならぬ、殺されてしまいそうだというように言っているわけでありまして、それが事実でありますから、この点を一つお考えになっていただいて、どうか今までの方針ということをがんこに守られないで、やはり事実に即して一応方針を変えて、一人の国民も殺さないようにしていくようにお考えを願いたい。これ以上お願いをいたしましても、多分満足な御答弁をいただくことは困難だと思いますが、こういう重大な問題でございますから、厚生当局がさらに事実を直ちに調査せられて、明四月一日から切りかえになることになっておるのでありますから、それをどうか延期せられるように最後にお願いをいたします。もしこれが行われて、そのために悲しい転帰をするような事実が起って参りますれば——もしお変えにならなければ、私は断固戦います。お変えにならなければ、人道のために一切をかけて厚生省と戦います。どうかそういうことのないように、ぜひともこの際そういう悲しい転帰をさせることがないように御尽力をいただきたい。切に心からお願いする次第であります。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 中原健次君。

中原健次小会派クラブ

○中原委員 ただいまの問題に関連しまして一、二点だけ伺っておきたいと思います。  さきの延期決定でつき添い婦の制度に対する措置の問題については、いわゆる文字通り善処せられるであろうと考えておりました。ところが最近の実情を伺いますと、まことに意外な措置がなされているように見受けられるわけでありますが、そのことについての議論をするためにお尋ねするわけではない。さしずめ問題になりますのは、患者自身がつき添い婦を廃止されることに伴いまして経験しておるいろいろな心配、不安といいますか、     〔委員長退席、野澤委員長代理着席〕 従って看護内容の避けられない低下を経験する立場から、病者自身が、いろいろ今度のこの措置に対して不平を漏らしておるという実態なんです。ところが先ほど局長の御発表では、そうではないという患者の声もあるということを申しておられる。そこで、そういう声もあるし、反対の声もあるということになってくるとすると、一体全般としてはどちらの声の方が多いのか、そういう考慮をなさったことがあるかどうか。なるほどある一局地では今度の新しい制度の方がよさそうであるという感じを持つ人がかりにあったといたしましても、それが患者の全般の経験ではない。そうすると、非常にこれを不満としておる患者が、しかもたくさんあるということになって参りますと、そのことについてのいろいろな研究なり考慮なりが当然起っておるはずだと考えまするが、それについて当局の御見解を伺ってみたい。

曽根田長宗厚生技官(医務局長)

○曽根田政府委員 ただいまの御質問につきまして、十分な資料は持っておらぬのでありまして、きわめて断片的なものでございます。私ども患者の世論調査というようなものを全体的にやるというわけにも今までのところ参りませんでしたので、さような性質のものではないのでありますが、先ほど長谷川先生もおっしゃいましたように、むしろ大部分の患者さんについては、私どもとしては、所で看護の責任を持つということを実施いたしましたところでは、歓迎いたしておるというふうに見ておるのであります。と申しましても、それは今までつき添いのついていた者は、ごくわずかの者しかついておらぬのだから、それは大部分の者が喜ぶのはあたりまえだというふうに言ってしまえばそれきりでございますけれども、所で責任を持つということに対しまして、決して所全体の患者さんとしては、これは当然かもしれませんが、むしろ賛成しておられる。そうなりますと、外科病棟とか、あるいは重症病棟とかいうようなところでどうかということなのでありますが、これも初めに、何と申しますか、いろいろ患者さんは心配されますから、やってみないときには大へんな心配を持たれると思うのでございますが、実施してしまったあとでいろいろ調べた一、二の施設がございますが、ここに一つある療養所で調べましたのが来ております。いろいろこまかくなっておりますけれども、この重症病棟、特に男子の重症病棟で調べました結果、新しい制度にしてどうも不便だということを言っていた者が二十五人、それから非常に都合がよくなった、ありがたいというふうに言っている人が三十六人、同じ療養所で女子について同じように調べました結果は、多少不便だということを言った人が八人、よりよくなった、便利になったということを言っている人が十三人というようなのが出ております。先ほど長谷川先生に対する御答弁のときに申しました療養所、あるいは今私が申しました療養所、かようなところは、かつて当委員会でいいと思う施設を名前をあげてみろというふうにいわれました施設とは、全部また別であります。それから先ほどのものと今申し上げましたところの療養所も別でございます。こういうような状況から、私ども必ずしも患者さん方は反対ばかりしておられるというのでなしに、かなり歓迎しておられる方も相当にあるというふうに私どもは見ておるのでありますが、先生方の御判断におまかせせねばならぬと思っております。

中原健次小会派クラブ

○中原委員 そこで大切なことは、新しい看護体制が気にいらない、あるいは非常に不安である、かずかずの経験の中からいわば反対の気配が出ているというときに、その反対の気配の出ている実態をあやまちなくつかむということが、新しい看護体制を取り上げるための前提条件になるんじゃないか、従ってそのことをまずもっと御調査になる必要があるんじゃないか。むしろほんとう言えば、あったのではないかということです。そのことが最初十分考慮せられて、その結果として、こういうわけだからまず経験をしてみろ、その経験の結果おそらく喜ぶに違いない、こういう説明がその上から出てくるのがいいんじゃないか。つまりしゃにむに押しつけるというきらいが実はあったのじゃないかというふうに私どもは感じられてならぬのです。  なおもう一つは、つき添い婦に対する病人の心理としてこういう心理があるのではないか。つまり親に甘えるといいますか、わがままを言う、そういう、心理が病人にはあるんです。しかも病人のそういう心理は、病気をなおすためにこれを正しく取り上げていけば非常に役立つことになる。言いかえれば、病人にわがままを言わせる、甘えさせる、安心させる、信頼させる、そういう関係がやはりつき添い婦に対する患者の心理になっていると思うのです。従ってそれを今直ちに取り去るという措置が、そういう長い間の慣習からきた心理を何とか解決するために容易なことになるかどうかということなんです。これは非常に大事だと思う。従ってつき添い婦に対する患者の心理、こういうものを十分つかんで、それを今度の新しい看護体制の中に、いわば看護婦さんの今後の看護の中にそういうものが取り入れられるようにやはり備えて工夫していくということが同時に要るんじゃないか、私はそんなふうに感ずるのです。そこで私はつき添い婦というものが、今のところでは何だか非常に悪いものででもあるかのように取り上げられている、そういう気配を感ずるわけです。従ってその点についての関係をどうごらんになっておいでになるか、御説明を承わってみたい。

曽根田長宗厚生技官(医務局長)

○曽根田政府委員 前段にお述べになりました御意見につきましては、大体私どももさように考えておるのでありまして、患者は非常に精神的に不安を持っておりますので、その不安を解消できるようにいろいろと説明をいたしまして、そうして患者さんのある程度の了解を得て、少くとも大多数の患者さんの了解を得てこの新しい制度に切りかえていく、そうしてその結果がどうであったかということを患者さんたちにも知ってもらいながら、この制度をだんだんと固めていき、また足りないところを補っていく、改良して参る、こういうふうに進むというのが私どもの考え方でございます。今までの例で見ますと、先ほどの患者もございましたが、一人の患者さんではございませんで、自治会なら自治会というようなものの意見としても、初めはよくわからなかったので反対したけれども、やってみると、確かにいい点はある。ただ決して完全とは言えないので、さらにどういう点を改善してもらいたいというようになってきているのが、ほとんどすべての療養所の状況になっておるわけであります。  それから先生はあとで、つき添い婦制度というものは悪いものだというような考え方を持っているんじゃないかというようなお話がございましたが、私どもはっき添い婦さんが悪いというようなことは、毛頭考えてはおらぬのであります。しかし制度としてはやはり療養所なり病院なりが、患者さんのお世話万般を責任を持ってやるということが建前である。そうでありませんと、患者さんの診療あるいは看護をいたしますことに抜けることができたり、あるいは重複が生じたり、こういうようなことで病院、療養所で全責任を持った場合よりもより不合理である、こういうように考えておるわけであります。しかしこれはもちろんつき添い婦という人たち、ことにその家族的なお世話をするというような意味においての妙味はある。あるいはまた先ほど長谷川先生もおっしゃいましたように、病院の仕事が忙しくなったり、あるいはひまになったりするというようなことに対する一つの弾力性のある制度としては捨てがたいんじゃないかというような妙味は、私どももある程度あると思うのであります。これはまた病院の運営の仕方にも響いてくると思うのでありますが、ただその妙味のある、むしろ一つの本格の制度を補うべき機構が、補うという点ではなしに、むしろ本格的なものの部分まで入り込んでくるというようなことになっては、弊害を生ずる、こういうように考えておる次第であります。

中原健次小会派クラブ

○中原委員 もちろん新しい看護の体制というものは、いわゆる科学的な基礎の上に立ってお考えになった措置でありましょうから、私はそれは必ずしも悪いということではない。しかしその新しい看護体制の中ではまたくみ出せない、いわゆる看護の味とでもいいますか、そういうものが依然として病人には大切である。従って病気を早くなおそうとする立場に立つからには、そのことを相当重く見なくちゃならぬ。看護の味という妙な言葉を使いましたが、そういう言葉で大体くみ取れるように思うのです。従ってそれを新しい看護体制の中にだんだん組み入れていくことのできるようになるためには、相当長い時間がかかる。経験が要るわけです。ただ経験を積み重ねた中で、そういうものがだんだん体得されていくではありましょう。そこで私はこういう切りかえの瞬間における重要な判断の資料に、その点がなると思う。そのことを軽く見て、さっと切りかえをやろうとしておる気配に見えますが、それではその味というものをその期間中に失わしめてしまうということになるのじゃないかと考えるわけなんです。ですから、その点は御考慮になっておいでになるのかどうか、

曽根田長宗厚生技官(医務局長)

○曽根田政府委員 御注意の点は、私どももかねがね考えておる点でありまして、新しい看護婦がただ純技術的な点のみに走って、精神的な面、親切さというようなものに欠けるところがあってはならぬ、こういうように私どもも考えて指導いたして参っておるのでありますが、なお御注意のございました点は、今後十分過去の看護体制の妙味を、味を取り入れて参りたい、こういうように考えておる次第でございます。

中原健次小会派クラブ

○中原委員 そこで、まず看護婦の立場を考えますと、看護婦は医療機関に直属した、いわば医療機関の側にそのまま結びついた役割を持っておるということです。それからつき添い婦の仕事をして参ります立場からいえば、もちろん医療機関と無関係ではありませんけれども、まず何はさておいても患者の側についておる。患者の気持の中に入っておる。そこに多少、私は対立があると言うんじゃありませんが、ただ自分の仕事の立場がおのずからあるんじゃないか。従ってそういうことを渾然一つのものに融和していくということが大事なんです。そのためにはやはり長い間の慣習からきた一つの傾向として出ておることですから、時間がかかる。これを一つのものに渾然と融和していくということにするために、今度の措置というものが考えられていかなければならぬ。従ってつき添い婦という側の人々の措置について今とっておいでになるようなやり方は、妥当性を欠くことになるんじゃないかと考えるんですが、この点についていかがでありましょうか。

曽根田長宗厚生技官(医務局長)

○曽根田政府委員 つき添い婦というものは病院で必要というふうには私どもあまり考えておらぬのでありまして、大体看護婦あるいはその補助者という人たちが病院の職員としておればよろしい。それに対しまして家庭での病人の看護のために依頼される、こういうことはもちろんあり得ることでありまして、私どもは、病院としては病院の職員でもってお世話をするということが建前です。そのことはっき添い婦という職域がなくなるということではないと考えております。

中原健次小会派クラブ

○中原委員 これは非常に微妙な点なんです。いわゆるつき添い婦の立場というのは、もちろん病院の一つの職掌としてあるわけでありますけれども、しかしながら、その立場は常に病人を優先とする立場にある。妙な表現になりますが、そう思うんです。ところが病院という機関の勤務者という立場で考えますと、必ずしもそこが渾然一つになりがたい場合がある。たとえば医者をまず第一に考えるという場合が出て参ります。そういう、ある意味では対立に似たような感じになるんです。これはきわめて微妙なことを言ってるんです。たとえばお医者の仕事ならば、患者の仕事をうっちゃっても先にすぐに走るきらいが出てくるんですよ、病院の中では。それがっき添い婦の立場に立ちますと、そうでなくして、病人の側にまず最初につく、病人の用事に最初につく、こういうような部分が出てくるわけです。人間と人間との交流関係ですから、そういうことがあり得るんです。そこで私は、病院の一従業員に違いないといたしましても、その職掌の立場というものがやはりそういう分類になってくるものであるということの理解、これが要ると思うんです。ちょっとわかりにくいかもしれませんが、それはあなたが病院に入られぬからわからぬのです。入院すればわかる。患者になればわかります。これはあるんです。何も対立物だと言っているわけじゃないです。対立物であってはいかぬので、もちろん渾然一つだけれども、そこに微妙な病人心理があるわけです。そこを巧みにくみ入れることのできる看護体制が要るんです。それがだんだん看護を成熟させる中で渾然一つになっていくという条件が出てくるわけです。そこへいくために時間がかかる、いろいろな訓練が要る。言葉や単なる説明では解決しようもないことなんですが、そういう点をまず考えるべきである。従ってそうであるならば今回の看護体制の切りかえに際しては、やはりその両者の関係を考慮しながら扱うていくということになって参らねばならぬ。そうなりますと今のような従来のつき添い婦をどんどん追い出していくというやり方は、私が今申し上げたような意味にむしろ対立するような感じがしてくる。だからこの扱いを、二重制というんですか、二つのものを取り入れながらだんだんと前進させていくということならば、これは障害が起らぬと思うのです。今のようなお取り扱い方のような手ぎわではそういう障害が起ってくるんじゃないか。わかりませんかしら、それについて承わりたい。

曽根田長宗厚生技官(医務局長)

○曽根田政府委員 先生のお気持は何やら私にもわかるような気がいたすのであります。確かに今まで病院の看護婦とか職員であるつき添い婦が患者のお世話をいたしますときに、何となしに形式的なそらぞらしさを感じさせるというようなおそれがあるということは私どもも考えるのであります。しかしこれは決して正しい病院の職員のあり方ではない、こういうように思っておるのでありまして、患者さんたちに親身になってお世話をする、これは医者であっても同様だと思うのであります。今までもさような方向に持ってきておったと思うのでありますが、今後も一そうその努力をいたして参りたい、こういうように考えております。

中原健次小会派クラブ

○中原委員 先日の局長の答弁に現状では低下は認めるという言葉があったと思う。記録をごらんになればあるんです。それは確かにそうなんです。確かに切りかえの瞬間には看護内容が低下する。低下している間は病人にがまんしろということになる。しかし低下せしめてはならないのです。低下せしめないためにはやはりそのことを考慮に入れた切りかえの措置が必要だ、ここなんです。これは非常に重大なんです。速記録をごらんになればわかります。あなたはそう言って低下があることを認めていらっしゃる、認めていらっしゃるというより、あるのがほんとうなんです。しかし低下がやむを得ないのではない、低下せしめてはならぬ。低下せしめぬためには、補充させるためには、私が今申し上げたことを考慮に入れた切りかえの措置が要るんじゃないか。今の切りかえのお取扱い方はまさにそれに逆行しておることになる。これはあなたが片意地に面子を考えておいでになるかもしれぬけれども、そういうことであってはならぬ。これは一局長の面子じゃいけない。一大臣、当局の面子であっては困る。そうじゃなしにやはり両者の立場にすべてを立たしめることがよりあなたの面子をみがき上げることになる、そのことが大事だと思う。そこで今の切りかえの措置が反省を要する。反省を必要とするからには暫定的な措置として、つき添い婦に対する扱い方については、もう少し将来のつき添い婦の功績を生かす扱い方に改めなければならぬ、私はそう思うのです。これについてもぜひとも御一考を願いたい。たとえばどうしても何がしというつき添い婦をつけてほしいという病人に対しましては、やはりその病人の意向をいれるという扱い方が当然要るんじゃないか。もう切りかえるんだから要らないという考え方じゃなしに、その患者の要望を生かすことができるような措置が要るんじゃないかと思うのです。  もう時間もないようですから、いま一つ、これは別の話ですが、退職を迫られた従来のつき添い婦の人たちの行き場所の問題です、いわゆる離職後の措置の問題、これがはなはだ不親切になっておるように思います。従来長い間病人の看護のために尽してくれたそのつき添い婦の人の離職後の行方、このことについてどういうふうにお考えになっておるか、あわせてお伺いしたい。

曽根田長宗厚生技官(医務局長)

○曽根田政府委員 前にもいろいろと御報告申し上げた通りでございまして、できるだけ所内に採用いたす、所内に採用のできません方々は他の職をあっせんする、また自分でお見つけになる方もあり、あるいは派出看護婦会、つき添い婦会から来ておる方はそちらにお帰りになる。また別の病院の患者におつきになる。あるいはきわめて老齢あるいは病気を持っておった方々で家にお帰りになることがなかなか困難であるという方々にはそういう施設に収容する方法を考える、その他社会福祉、生活保護あるいは母子福祉関係、かような施設をあっせんいたすということが適当な方にはさようなお世話をいたすというようなことをいたしておる次第であります。

中原健次小会派クラブ

○中原委員 いろいろ聞きたいのですけれども、時間がございませんから、終りますが、しかしせっかくりっぱな御答弁を承わりましたけれども、実際はそうなっておるかどうか、実際はやはりその措置のために失業状態が起って、その失業状態が見るに忍びないような悲惨な状態になっておるということがあるのではないか、これは責任のある、ないの議論ではない、やはり政府が今まで関連した関係ある事業場の話であります。事業場というのは適当でありませんが、そういう仕事場の話でありますから、その仕事場で働いておる人に対する政府の新しい措置が与えた一つの失業災害であります、そういうものはやはりただ単にその場のがれの扱いであってはならない、少くともあとを十分考えることがやはり政府の道義的な仕事だと思います。これはかなり重要だと思います。その重要だと思うことをさも簡単に片づけて、言いわけさえつけばよいという扱いでははなはだ困る。従ってそういう切りかえのどさくさの瞬間に起る犠牲者に対しては、少くとも政府につながりあることだけにその措置はりっぱであってもらいたい、そこまで手が届いておったのかというくらいにやってもらわなければならぬ。そう考えるのであります。いずれ次から次にそういう失業状態が起ってくればいろいろなことが起りましょうし、また患者の立場からいえば看護の味に対して依然としてあこがれがありますから、従って問題はこれからいろいろ起ってくるであろうと考えられますが、そういう不満不平というような問題の起ることのないような措置、これはぜひとも十分御配慮願わなければならぬ。従って単に政府の立場、面子ということだけで事を片づけるということが万々あってはならぬ、こう考えます。従って今後の措置に対する一応の御決意をお伺いして私の質問を終ります。

曽根田長宗厚生技官(医務局長)

○曽根田政府委員 今までもできるだけ関係職員を督励して参ったのでありますが、今後も十分努めたいと考えます。

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 次に内閣提出の健康保険法等の一部を改正する法律案、厚生年金保険法の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案を一括議題とし、審査を進めます。質疑を続行いたします。滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 昨日保険医並びに保険医療機関の世に言う二重指定の問題についていろいろ質疑を続行したわけでございますが、納得のいかない多くの点があったのでございます。そこで昨日の質問を続行することになるわけでありますが、昨日来の政府の御答弁を聞いてもどうも納得がいかない。もし与党が修正案を作るならば、まず斧鉞を加えるところはここなんです。そこで保険医の指導に関する問題でございます。今回の法律の改正を見てみますと、四十三条の七には、「保険医療機関及保険薬局ハ療養ノ給付二関シ、保険医及保険薬剤師ハ健康保険ノ診療又ハ調剤ニ関シ厚生大臣又ハ都道府県知事ノ指導ヲ受クベシ」こうなっておるが、どういう点で指導を受けるのか手放しなんです。何でも厚生大臣あるいは都道府県知事の指導を受けなければならぬ。今までの法律では命令の定めるところという一定の基準があったのです。今度はそういうものがないのです。これは一体どういうことなのか。私は先般も申し上げましたが、現在厚生省の立法というものは官僚統制を非常に強くしておる。その具体的な例は、厚生省はすでに参議院に社会福祉事業法の一部を改正する法律案を出しておるが、これが非常に官僚的であるということで撤回しておる。こういう一連の立法の流れというものは、いわばたがのゆるんだ絶対多数を利用して、この際官僚政治をやろうとする意図が明らかに見えてきているのです。これは与党がぼやぼやしておるからこういうことになっておるのかもしれません。これは少し暴言のようでありますが、与党の諸君にもっと気をつけていただかなければならぬ点なんです。これにおいてもそういう点が現われてきている。氷山の一角なんです。これは今までと違うが、これを一つ御説明願いたい。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 お答えいたします。指導に関する規定は従来もございましたので、それと同じような規定をこちらに持ってきたわけでございますが、これにつきましては、別に従来とかわったことは考えておりません。四十三条の十四で「指導ニ関スル大綱ヲ定メントスルトキハ中央社会保険医療協議会ニ諮問スルモノトス」こうなっておりまして、中央社会保険医療協議会から御答申をいただきました指導要綱がございますので、その要綱に基いて従来通りこの指導を行なって参るつもりでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、指導については一応命令の定むるところ、こういう規定はないが、四十三条の十四で指導については必ず中央社会保険医療協議会に諮問をして、少くとも高圧的な指導ではなくて、民主的な指導をやっていくべきだ、こう確認して差しつかえありませんか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 その通りでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 次は四十三条の九でございますが、今までは点数等は医療協議会に諮っておったわけです。ところが今度の法律は厚生大臣の定むるところによりこれを算定する、こういうことになっておるわけです。これはどういうことですか。これもあなた方はやはり今まで通り中央社会保険医療協議会に諮ってやられる所存なのか。この条項を見ますと、「厚生大臣ノ定ムル所ニ依リ之ヲ算定スル」こうなっておるのです。この点を一つ御説明願いたいと思います。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 お答えをいたします。これも従来と何ら変っておりません。従来の規定で申しますと、四十三条の六の第二項でございますかに規定がございまして、何ら変っておりません。もちろんこの四十三条の十四、先ほど私が引用しました協議会に対する諮問の事柄の中に、「第四十三条ノ九第二項ノ規定ニ依ル定」これが今の診療報酬についての点数表でございます。ここにはっきりと法律上明記してございまして、従来の取扱いと何ら変りがございません。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 指導及び点数等は今までと変らないという御確認を得たので次に進みます。  そうしますと四十三条の十五でございますか、弁明の機会を与えることになっておったと思いますが、この弁明の機会を与えるというときには、「予メ書面ヲ以テ弁明ヲ為スベキ日時、場所及其ノ事由ヲ通知スベシ」こういうことになっておるわけなんです。この弁明の機会を与えるということは、今までにおいては多分監査要綱であったと思うのです。それをわざわざ法律でこういうように書いてきたのですが、この弁明の機会というのは大体地方の社会保険医療協議会に出て与えるのですか、それとも日時、場所、その事由というようなものを通知することにはなっておりますが、これはどういうところでやらせるのですか、一対一で当該官吏とその療養担当者との間でやるのですか。それは公けの場所でやらしてもらわなければ困ると思うのですが、それはどこでやらせるのですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 お答えをいたします。従来は監査要綱の中に、今滝井先生御指摘のように、それと同じ趣旨のことが書いてあったわけでございますが、しかし他の法律等においても、こういうものが法律の条文の中に書かれまして、そういう保障をいたしておるものが相当ありますので、今回は法律の条文の中に入れたわけでございます。  それからどういう場所でやるかという御質問でございますが、私どもとしましては、医療協議会でこれを聞いていただくということが一般的に申して一番適当であろう、そういうふうな運用方針を持っておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 もしあなた方がそういう御方針ならば、これはやはり当然医療協議会でやるように法文に明記すべきだと思うのです。これではどこでやるかわからない。一方的にあなた方が拡張解釈をして、当該官吏と担当者と二人だけで話し合った、それで弁明を聞いたんだ、こういうことになるおそれがあるわけなんです。あなた方がそういう善意をお持ちならば、その善意というものを法律にはやはり現わした方がいい、こういう奥歯にもののはさまったようなやり方、すなわち今までは監査要綱という陰のものできめておったものを、こうして堂々と表面に出してこられるからには、当然その弁明をする場所は、民主的な医療協議会というものがあるのですから、そこでやるように書くべきだと思うのですが、そういう気持があるならばどうしてこれは書かなかったのですか。

館林宣夫厚生技官(保険局医療課長)

○館林説明員 現在でも監査の要綱にございますように、あらかじめ知事から書面で被監査医に通知いたしまして、監査医が書面をもって弁明書を出しまして、その書面を医療協議会の席上で読み上げまして、それを参考にして委員が行政処分の取扱いについて協議することに大部分はなっておるわけでございまして、この弁明の機会がそのようにして書面をもって提出される場合もございますし、また本人の希望によって、医療協議会の席上に出てきて弁明をするという場合もあるわけでございますので、その方法については場合によって異なる場合があるということを考えまして、このように規定をした次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そういう意図があれば、ぜひ明白に法文に書いていただく方がしろうとわかりがするわけです。法律に親しまない被保険者や療養担当者に関係のあることですから、法律はできるだけやさしく、わかりやすく、法律の専門家が見てもわからぬような法律というものは、書かない方が立法技術としてもよかろうと思う。医療機関あるいは保険医の二重指定の問題はどうもこの答弁では必ずしも納得いたしませんが、時間の関係がありますから次に監査の問題に少し入りたいと思います。  今度は監査と申しますか、指導と申しますか、そういう点が非常に官僚化したということがこの法律でいわれております。今までの監査要綱でやっておられて、どういう点で具体的に支障があったのか、こういう点で非常な支障があったからこういう立法をやらなければならなかった、こういうことになるだろうと思う。今までも順当に監査ができておったはずです。あなたの方の二十八年六月二十五日に出した監査要綱を持っておりますが、実に至れり尽せりです。この監査要綱を見ても、これだけあればできないことはないと思うのです。これで今まできわめて民主的に行なっておった療養担当者の監査要綱というものがあるにもかかわらず、なぜわざわざこの法律を作らなければならなかったか、その作らなければならなかった具体的な理由があれば、こういう隘路があったからこういうような立法にしてこなければならなかったのだという納得のいく一つ御説明が願いたいと思う。

館林宣夫厚生技官(保険局医療課長)

○館林説明員 従来でも監査要綱に基きまして監査が行われておったわけでございますが、監査の根拠となります法律が明確を欠いておったわけでございます。手段といたしましては、診療録その他の書類を検査する九条の二を運用いたして診療録の検査はいたしておったのでございますが、監査そのものは必ずしも法文に明確化されておったわけではないのでございます。療養の担当の規定を守らなかった場合に、指定の取り消しをするという要綱から、療養の担当を守っておるかいなかの調査をするための行政手段として監査が行われておったわけでございまして、そのような点を明確化する意味におきまして、今回監査の条項を作ったわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 今の答弁どうもはっきりわからないのですが、九条の二は「厚生大臣又ハ都道府県知事保険給付ニ関シ必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ当該官吏吏員ヲシテ診療録其ノ他ノ帳簿書類ヲ検査セシムルコトヲ得」、こう書いてあるわけです。従って命令の定むるところに従ってどういう工合に帳簿書類を調べるかということについては、あなた方が自由にできるわけです。この命令の定むるところによってできたのがおそらくこの監査要綱だと思うのです。それで自由にできるわけです。その上になぜいろいろ立ち入り検査をして、しかもその検査に対して言うことをきかないときはお家断絶にする、こういうような罪人以上の扱いをしなければならぬかという理由については、今のあなたの御答弁では納得がいかない。こういう監査要綱がなければいいのですよ。これは現実に動いておる、生きておるのですから、これをこのまま生かしておくとすれば平地に波乱を起す必要はない、寝た子を起す必要はない。聞くところによると何かこれは共産党対策だということがいわれておる。もしこれが事実だとするならば、これは実に医療機関の、いわゆる善意なる日本の医療に協力しようとする者、この社会保障の中に、治安対策というものを持ち込んでくる悪い試みなんです。もしそういう意図が少しでもあるとするなら、これは断固として排撃しなければならぬと思う。私は九条の二でこれはあなた方やれぬことはないと思う。やれると思う。それは少数の悪い人があるいはおるかもしれません。しかし少数の人のために善意の十万の療養担当者の反撃を食うような立法というものは、現在の日本の社会保障の段階ではやるべきではないと思う。それは医療が国営か何かに移行しておる段階ならばそういうことはあるいはできるかもしれません。しかしこれは自由企業ですよ。自由企業でこれほどまでに縛り上げた職業というものはないはずです。従って九条の二で、具体的にどういう点とどういう点ができなかったという点を一つわかりやすく、しろうとに納得のいくような御説明をしていただきたいと思います。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 お答えいたします。現在は監査の規定が実に不明確でございまして、先ほど医療課長が御説明いたしましたように、九条の二に基いてやっておるわけでございます。この九条の二にございます「命令ノ定ムル所ニ依リ」というのは、これは監査要綱のことではございません。行く場合には身分を示す証明書を携えて行けとかなんとかいう今回法律の中に書き込みましたような手続的なものをこの命令で定めるわけでございます。それで今御指摘の監査要綱というのは、全くの行政上の内規的なものでございまして、これは医療機関の方に対してこの監査要綱でもって権限を行政官庁が持つというふうな性格のものでは全くないわけでございます。従いまして従来の九条の二は、昔の古い法律でございまして、かような不明確なことになっておるのでございますが、この新しい法律におきましては、かようにいろいろな検査をする、監査をするといふなう場う合には、明確に法律に規定をいたしておきませんと——医療機関等の権利義務と申しますか、さようなことに非常に関係のある規定でございまするので、いいかげんな規定をいたしますよりは、詳細に法律で規定をいたしていくというのが最近の立法例の全部とっております行き方でございます。さような意味合におきまして、四十三条の十という規定を起したわけでございます。繰り返して申し上げますが、監査要綱があるから、別に法律の規定は要らないではないかという仰せでございますけれども、しかし監査要綱というものは何ら法律的な力を持つものではございません。これは単なる行政上の内規的なものでございます。しかし四十三条の十という法律的な根拠を明確にはいたしましたけれども、われわれの監査の実施のやり方としましては、従来の監査要綱に沿ってやっていくということについては変りはございません。すなわちその監査要綱は滝井先生も御存じだと思いますが、四十三条の十が働きますのは、この監査要綱にありますように、不正の疑いがはっきりしておるもの、そうしてその場合には、過去ニヵ月分の診医請求書等を実際に調査をいたしまして、しかも、できるだけ見てもらった患者の方にも伺いまして、これはどうもおかしいというものだけについて都道府県の医師会と連絡いたしまして、ほとんど全部医師会と立ち合いのもとに監査をいたしておるような次第でございます。従いまして四十三条の十が法律上明確に監査を規定いたしておるからと申して、別に善良な医師にまでかようなことをいたすというわけのものではございません。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 あなたの方ではそいう御答弁をなさいますけれども、四十三条の十は御存じのように、厚生大臣または都道府県知事が必要ありと認めるときなんです。必要があるかないかということについての基準は何もない。あなた方が一方的に必要だと思えばいつでもやれる。今までの監査要綱に基いてやる、こうおっしゃるが、それならば四十三条の十に、現在の監査要綱に書いてあるように、診療内容に不正または不当があったことを疑うに足りる理由があって監査を行う必要があると認めるとき、という工合に限定して書いてくるならば、そういう疑いは起らないのですよ。ところが一方的に「必要アリト認ムルトキハ」ということになれば無条件です。あなた方が必要と認めるときはいつでもやれる。だからここに不正または不当があったという何か条件が出てくれば、われわれも異議がない。そういう点について、この条項というものがきわめて官僚的であり監査が官僚的に行われて、あなた方の権限が拡大する、こういう疑いが世の中に彌漫してきておる。こういう点は幾ら抗弁してもどうにもならない。しかも今の御答弁の中で、こういう法文を書いてもこれと同じようにやるのだとおっしゃっておるが、それならば、これと同じことをこの法律の中に再現してきたらよろしい。「弁明ノ機会」なんかはこの通りに再現してきておる。それならば監査のところも「弁明ノ機会」と同じように、四十三条の十にそういう必要があると認める条件をつけたらよいと思います。そういう点について、どうもこの立法というものはあなた方自身、この保険の監督者に都合のよいような形で出てきておるということは、こういうことから断定せざるを得ない。しかもこの次の四十三条の六には、「保険医療機関ニ於テ診療ニ従事スル保険医又ハ保険薬局ニ於テ調剤ニ従事スル保険薬剤師ハ命令ノ定ムル所ニ依リ健康保険ノ診療又ハ調剤ニ当ルベシ」こういうふうになっている。これについてもやはり命令の定めるところによって一方的に規制をしておる。それでは一体具体的にいかなる内容の命令で定めるものを作ろうとするのであるか、そういう点については一方的に政令にゆだねられておる。だから法律に具体的に詳細に書かなければならないとおっしゃるならば、当然その命令の片鱗を法律の中に表わしてこなければならぬ。監査をするときと同じように帳簿検査をやるのだ、立ち入り検査をやるのだという具体的の内容を少くとも表わしてこなければ、これはこういうことになると、おそらく制限診療を招来するだろうという疑いがここから起ってくる。この二つの点をもっと明確にわかりやすく御説明願いたいと思います。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 四十三条の十に、「必要アリト認ムルトキハ」と書いてありますのは、現行の規定におきましても、単に「必要アリト認ムルトキハ」と書いてあるだけでありまして、それをそのまま持ってきたわけでございます。法律の条文の上に、嫌疑があるときとかなんとかいうことを書きますことは、かえって法律技術上いかがかと私どもは思量いたすわけでございます。  それから四十三条の六に、保険医、保険薬剤師等が「命令ノ定ムル所ニ依リ健康保険ノ診療又ハ調剤二当ルベシ」とありますが、この「命令ノ定ムル所ニ依リ」というのは「従来の規定も同様にさようになっておりまして、これはいわゆる療養担当規程でございます。これは実にこまかくいろいろなことを書くわけでございますから命令に譲った、こういうことでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 九条の二には「必要アリト認ムルトキ」とあるけれども、前のときには、必要ありとするときはどういう場合かということを命令できびっているが、今度はきびっていないのです。九条の二には、一般的に「必要アリト認ムルトキ」とあるだけなんです。それから今の四十三条の六の方の「命令ノ定ムル所ニ依リ」というのは、これはおそらく各種の治療指針といいますか、療養担当規程と申しますか、そういうものだと思うのです。こういうものについても、やはりある程度法律にどういう点を規定するのだという少くとも条項的なものは——これだけのものを、あなた方の権限を強化するときには実に明細にやったのですから、こういう命令の定むるところもやはりちょっぴりと出さなければいけませんよ。そういうことをしないと—あなた方は一方的に、保険財政が苦しくなったといえば締め上げるし、よくなったといえば野放図に見通しを誤まって、二十八年に行なったように、結核の抗生物質をやるとか、あるいは被保険者の数を見誤まるというような醜態を演ずるのです。自分たちの都合のいいときにはあくまで広げるけれども、療養担当者や被保険者の場合には、「命令ノ定ムル所」とか、「必要アリト認ムルトキ」とかいうふうにきわめて抽象的に書いてくる。こういうことはいけない。だから法律が均衡を保とうとするならば、あなた方が取締りをするものを詳細具体的に書いたと同じように、やはりこれについても、長くなってけっこうでありますから、一つ詳細具体的に「命令ノ定ムル所」とか、「必要アリト認ムルトキ」とかいうものを書くべきだと思うのです。もしそれが詳細具体的に書かれないとするならば、少くともその条項だけは、氷山の一角ぐらいは現わしておかないと、これでは全くわからない。命令の定むるところによって、あなた方が勝手に保険経済につれて治療指針やあるいはいろいろなものを作られた日には、これは明らかに制限診療になってしまう。一つこういう点をもっと明白に御答弁を願い、明白に納得のいくようにしてもらわないと困るのです。  この条項を読んでみると、あなた方の権限を拡大することだけは非常に詳細、具体的に書いてある。しかしこういう点になるときわめて不親切で、「命令ノ定ムル所」とか、「必要アリ」とかと濁しておる。こういう点はおそらくあなた方も具体的に御答弁できないでしょう。書いてあるけれども、きわめて抽象的で、もっとわかりやすくしてくれないと、私らにはわからない。なぜもとのように必要ありとするときは命令で定むると、きちんと書くことができないのか。たとえば命令の定むるところによって治療指針などを規定するというふうに、なぜ具体的に書けないかということです。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 お答えをいたします。「従来の九条の二には「必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ」と書いてあるのに、今度の四十三条の十では、なぜその「命令ノ定ムル所ニ依リ」というのを削ったかという仰せでございますが、従来の九条の二の命令と申しますのは、健康保険法施行規則——省令であったと思いますが、施行規則の六条の二に、「法第九条ノ二ノ規定ニ依リ診療録ノ検査ヲ為ス場合ニ於テハ当該官吏吏員ハ様式第二号ノ二こ依ル証票ヲ携帯スベシ」こういうことがきめてあるだけでございます。従ってこういう趣旨のことは、今回のあの原案におきましては法律の中に書いてしまったのです。従ってこの命令は不要であるから削っただけにすぎません。  それから療養担当規程の問題でございますが、これは、従来の規定では厚生大臣の定むるところというて、告示でやっておったわけでございます。今回はその告示を命令というふうに引き上げて、告示よりは重い扱いにしたということでございます。その内容を法律に書いたらいいじゃないかという仰せでございますが、これは滝井先生もよく御存じのように、保険医とか歯科医師、薬剤師とあるわけでございますが、療養担当規程というものには非常に詳細にいろいろなことが書いてあるわけでございまして、これだけこまかい法規集におきましても、四ページ、五ページ、六ページと、何ページにもわたって、詳細にきめてあるようなわけでございます。従いまして、こういうようなこまかいことは法律の根拠に基いて命令で定める。従来は告示であったけれども、それをより重くして、命令で定める。しかもこれを定めます場合には、中央医療協議会の諮問を経て定めるということになっておるのでございまして、私どもとしましては、従来の規定よりはいずれも、命令に書いてありましたものを法律に書きましたり、あるいは告示で済んでおったものを命令に引き上げましたり、より民主的な改正をいたしておるわけでございます。従って、滝井先生の御指摘のように、別に自分たちの都合のいいところはすべてこの法律に書かないで、命令に譲るというふうな意図で法律案を整備しておるのではないことは、御了承をいただきたいと存じます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 まあ、こういう人間の生命にかかわる問題は、少しは手間がかかっても——あなた方は、告示を命令に引き上げたと言いますけれども、幾ら引き上げたって、やはりそれはあなた方の手のうちにあるのであって、これはちっとも国会なんかが干渉できないところにあるのです。また療養担当者なり被保険者の干渉できないところにある。だからそれは幾ら引き上げられたって同じことなんです。そこで私は、やはりこういう問題の多いものをあまり命令とかあるいは告示とかいうものにゆだねてはいけないと思う。小選挙区法の別表をごらんなさい。三ページ、五ページどころじゃない。何十ページという別表がちゃんと公職選挙法のあれについておる。だから私はこの機会に大臣にお願いしたい。どうですか、薬価基準と点数表を健康保険法の別表としておつけになる御意思はございませんか。あなたは非常に御苦心されたようですが、暫定案等も厚生省では作り切れない。他の人に作ってもらわなければできない。こういう姿なんです。私たちは当然薬価基準と点数表は別表でつけるべきだと思う。薬価基準というものは経済の変動によって変るし、点数もちょいちょい変えなければならぬ。国会はしょっちゅう開かれておる。臨時国会もあります。通常国会だって一カ月、二カ月延ばすことは再々です。あらゆる日本の国民所得に重大な影響を及ぼすような、三千五、六百億になんなんとする医療費の問題を決定するのでございますから、従って当然私は別表でつけるべきだと思う。これは何も支障はありません。役人の権限を不当に拡大しておる現在の状態ではいけません。国会は国権の最高機関でございますから、これは当然国会で決定して、やらなければいけません。そうしなければ、製薬業にさえも手をつけることはできません。一薬務局にまかしておったんでは、製薬業に対して手をつけることもできないし、あるいはあなた方が言われるように、保険者の団体とかあるいは医師の団体等から不当な圧力が加えられて、どうにもならない。国会になったらそんなことはありません。だからこれはすべからく別表にして次の国会に出してもらわなければならぬと思うのですが、どうですか。

小林英三自由民主党厚生大臣

○小林国務大臣 今の滝井さんの御質問でございますが、薬価基準というものは、今御発言がありましたように年に三回も変っていくことでございますから、やはりこの法律の外に置くことが適当であると認めます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 国会は一年に二回も三回も開かれる。通常国会は十二月にあります。臨時国会はその間にある。通常国会はやはり一月から五、六月までは開かれる。今度もおそらく六月三日までくらい延ばされるでしょうが、半年くらいは開かれっぱなしなんです。いつでも審議ができる。一ヵ月かニヵ月おくれたってそう保険経済に影響はない、過去の例で……。今出た薬価基準もずいぶん前に出たのですけれども、部分的に変ることもあるが、しょっちゅう使っておる薬はそうめつたに変らない。これは三十年の八月に出たものを今われわれは使っておりますが、この中の部分的な修正があっただけです。全面的な改正はありません。これは大臣がそう言われても、大臣よりも私の方がくろうとです。これを使ってやっておるのです。できないことはない。いわんや点数においては昭和二十六年の暫定単価でやっているのです。今度できた暫定案だっておそらく一年半から二年くらいいくでしょう。そうなりますと選挙法の別表と同じようにつけておっていいのです。ちっとも悪くない。だからわれわれは国会の権限として大臣にお願いしたい。大臣も国会議員ですから……。医療協議会でもんでもんでもみ散らすよりここでやった方が早い。きちっと世論の帰趨を見きわめて国会で決定していくのです。あの膨大な健康保険だけでも二千八百億、これを一般の三千万の未組織の国民を入れれば三千五百億、四千億をこえます。これを決定する問題ですから当然お役人だけでやっては大へんなんです。これは一つもう一回大臣御答弁願いたい。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 薬価基準は年に三回調査をいたしまして、大調査は一回でございますが、年に三回調査をいたします。繰り返しお答えを申し上げておりますように、実際の薬の取引価格を調査して、その結果で薬価基準を改正いたすのであります。今お持ちの薬価基準はその後本年の二月一日付で改正になっております。さような性格のものでございますので、これを一々国会で御審議をいただくような性格のものではないであろうと私は考えます。公職選挙法の別表の問題のお話もございましたが、これは国の最高機関を構成される国会議員の選挙の区画でございまして、それはめんどうなことは非常にめんどうでございましょうけれども、これとは根本的に性格を異にするもの、かように考えておる次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 あなたの方が三ページもあってめんどうだとおっしゃるから、めんどうな別表さえもがこうしてやられておるという例を引いただけのことであって、点数はどうしますか。これは変える必要がない。一年か二年に一回ずつ変えたらいい。大臣点数はどうですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 お答えいたします。点数表につきましてもちょいちょい改正をいたしております。従いまして私どもといたしましては、今の建前のままでよろしいもの、かように自分たちでは考えまして、今のような法律案を御提案申し上げておるわけでございます。将来の問題といたしましては私ども検討をいたしてみたいと存じております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 薬価基準の問題は、理事会でいずれ調査委員会を設けるかどうかという点も諮っていただく約束ができておりますので、その際にいずれにしても検討しなければならぬ重大な問題だと思います。これは厚生省にまかしておっても、厚生省だけで薬価基準あるいは点数表については無力であるということを今回の暫定案が明白に示しましたから、一つ国会が乗り出すべきであるとわれわれは考えます。  そこで次に移りますが、次は継続給付の問題です。今まで六カ月で継続給付の資格を得たものを今回一年に延長した。二億五千万円程度の予算節約をやることになるわけです。きわめて無情な政策でございます。これも弱い者、貧しい者を救う厚生省の政策としてはきわめて拙劣な政策でございます。そこで大臣にお尋ねするのですが、一体六ヵ月で打ち切られたあとの哀れな層はどうして大臣お救いになるのですか。これは多く結核患者でございますが、これは生活保護といっても、たんすからラジオから売ってしまわなければ生活保護にはかかれません。社会保障を前進せしめると鳩山内閣は公約されたのですが、ほうり出されてしまうこれらの結核患者をどうしてお救いになりますか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 お答えいたします。継続給付の受給資格の要件として、従来六ヵ月間被保険者であった者で足りたわけでございますが、それを一カ年に延べましたゆえんは、先生もよく御存じのように、継続給付というのは、被保険者の資格を失ってからも従前と同じように給付を受けられるということでございます。従いまして、自分はもう保険料は納めておらない、かつて自分が納めたということによって現在の他の人の保険料でもって自分の療養をしてもらうということになるわけでございます。従いまして被保険者の資格をすでに喪失をしておるような方々であるから、もちろんこれを自由に継続給付をすることが好ましいかもしれませんけれども、一方においては現在の被保険者の立場というものも考えなければなりません。さようなわけで、せめて一カ年間くらい過去に継続して、被保険者であって保険料を納めた者という程度にまでこれをしぼることが、むしろ現在の被保険者の立場と継続給付を受ける方々の立場の両方をにらみ合せて妥当な措置であろう、かような意味合いにおきまして、私どもといたしましてはこの改正を御提案申し上げたわけでございます。  継続給付が打ち切られて、そのあと療養できない者はどうするかという御質問でございまするが、これは一般の保険に加入をしておられない方々と同様に、その資格が認定されれば生活保護法の医療扶助で参ることが建前でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 保険局長の答弁ならそれでよろしいのでございます。私は日本の社会保障政策全般の観点から大臣に実はお尋ねをしておる。保険経済を預かっておる保険局長の答弁ならそれで満点です。今までは少くとも六カ月で、結核ならば三年見てもらえた。今度は一年でなければ見てもらえないのであります。そのおっぽり出された人は生活保護でやると言われるが、そうはしゃくし定木にできない。これは前に論議済みです。今度は一般論として、日本の社会保障政策を前進せしめるという観点から、小林厚生大臣の立場からいうならば、そういう人は一体どうするんだということになる。今までならば六カ月で何人か知りませんが救われておった。ところが今度一年になれば相当の人たちが脱落する。これは今から脱落する例は展開しますが、社会保障を前進せしめるという公約をしておる鳩山内閣の厚生大臣としてはどうされるのかということなんです。この点は三親等で打ち切られるところの、今まで生計を同じくしておったところの—たとえば私が里親だとします、私が里親で、みなしごを預かっておった。この子供は、今までならば健康保険の被保険者の家族になっておった。今度はこれがほうり出される。こういう人たちは一体どうして救うかということです。今まで社会保障政策のワクの中に入っておった人を、あなた方はつまみ出すことになる。既得権を持った人たちをつまみ出すからには、つまみ出された人に対する対策があってこそ、つまみ出しは可能である。そういう対策ができてからつまみ出すのが、血があり涙がある厚生行政だと思う。だからつまみ出された人たちに対する対策が、厚生大臣にはあると思う。保険局長としては、つまみ出すのは、保険経済を守る上から当然でしょう。しかし今度は厚生行政一般の立場から考えた場合に、大臣はどうするかということです。継続給付と三親等に限ることによって、社会保障のワクからはみ出す人はどうするか、これを厚生大臣から御答弁を願いたい。

小林英三自由民主党厚生大臣

○小林国務大臣 今の継続給付の問題でありますが、健康保険自体といたしましては、今健康保険局長から説明したことは妥当であると思います。これによってお困りになった方につきましては、やはり生活保護等において救済することが妥当であると考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それでは答弁にならないのです。現在既得権を持って、被保険者の扶養家族にあるそのみなしご、こういう人たちをつまみ出されるのですから、そうすると、その人は大臣は生活保護というけれども、生活保護にはかかれないのです。これはやはりその里親が金を出して、自費で治療しなければならないのです。これを社会保障の前進というならば、鳩山内閣の社会保障の前進というものは、われわれの常識とははるかにかけ離れた常識になってしまう。あなたの答弁は、結局生活保護に持っていくより仕方がないということらしいのです。それならば、保険局長の今の答弁は保険局長としてはよろしいけれども、今度は社会局長にそれでよろしいかというと、社会局長は、この前は、それはできません、医療扶助をやるためには医療扶助をやるものさしがございますから、だめでございますと言っている。そうすると、そういう人たちは進退きわまる。自費患者に転落する。これはどうもきわめて不満な御答弁でございますから、もう少しお考えをいただかなければなりません。  そこで、この継続給付によって脱落するであろうところの被保険者——六カ月を一年に延ばすことによってどの程度の者が恩典に浴さなくなるか、これは過去の実績からわかるはずです。二億五千万円というお金が出ているはずですから、人数はわかると思いますが、これをまず御説明願いたい。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 お答えいたします。ただいまの継続給付の資格期間を延長したために、どれだけの人間の数の減少になるかという御質問でございますが、これは私ども資料を持っておりますけれども、ただいま私は手元に持っておりませんので、適当なときにお答えを申し上げたいと存じます。  なお、その前の御質問に関連いたしまして、若干補足をさせていただきたいと思いますが、被扶養者の範囲が今回定められた、それから継続給付の受給資格要件がきつくなったということで、既得権を持っておる者までつまみ出すという仰せでございましたが、これは経過措置がございまして、既得権者につきましては引き続き保護をいたすようなことにいたしております。ちょっと申し落しましたので、つけ加えさせていただきます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そこで調達庁にお尋ねしたいのですが、現在この健康保険法で継続給付の資格が六カ月から一年に延期をされる立法が出ておることは御存じだと思いますが、これによって駐留軍の労務者の受ける影響、これを一つ御説明を願いたい。

新田一雄総理府事務官(調達庁労務部労務厚生課長)

○新田説明員 お答え申し上げます。五十五条の該当者の数でございますが、昨年一月より十二月までの一年間の新規該当者数は、被保険者と被扶養者とをまぜまして、一万二百四十四名でございます。昨年十二月末現在の該当者数は七千五百二十五名でございまして、過去の割合から申し上げますと、一年未満の該当者数は大体その一割程度と考えられます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 今まで六ヵ月で資格を得ておった人は、被保険者と被扶養者とを合せて昨年一カ年が一万二百四十四人ということですね。そうすると、これが一年になることによって、この一万二百四十四人の中から何人が継続給付の資格を失うかということが大事なところです。それを一つ御説明を願いたい。

新田一雄総理府事務官(調達庁労務部労務厚生課長)

○新田説明員 昨年度の新規発生数は一万二百四十四名でございますが、これは短期の療養者も入っておりまして、常に変動しております。先ほど申し上げましたように、十二月末現在の数というものは七千五百二十五名でございまして、五十五条該当者総数でございます。それの一割程度、大体七百五十名が一年未満の方の数と考えられます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それは少いのじゃないでしょうか。ちょっと勘違いをされておるのじゃないかと思うのです。それは一応患者だけに限るわけではないのでして、あなたの方には現在季節労務者が非常にたくさん入っております。たとえば基地から基地にどんどん移っていくのに、あれは職をつないでおりません。たとえば福岡なら福岡の基地に勤めます。そこが空軍が移動になりますと、今度は呉なら呉に行って勤めますと、前とつながらないのです。ですから福岡は七ヵ月勤めておると、七カ月で切られて、今度は呉はやり直しです、駐留軍の勤務の状態はこういう工合になっております。そうしますと、一年に引き上げることによって非常に多くの資格の喪失者が出てくる、実情を調べてみると、七ヵ月くらいで大がい移動しておる、みな首になるという形が多い。そうしますと、この継続給付を六カ月から一年に延ばすことによって、一番影響を受けるのはだれかというと、駐留軍の労務者諸君です。これに対する対策というものをあなたの方は厚生省とお話し合いになりましたか。現在駐留軍労務の問題というものはきわめて重要で、少くとも社会労働委員会においては重要な問題になっております。その重要な問題になっておる駐留軍労務者諸君の健康保険の継続給付の資格というものを奪おうとする法律が今度出ておるのであります。この点については厚生省と十分お話し合いになって御了承になったものだと思うのですが、お話し合いになったかどうかお聞きしたい。

新田一雄総理府事務官(調達庁労務部労務厚生課長)

○新田説明員 先ほど滝井先生のおっしゃいました被保険者数からしますと、相当な該当者が出ると存じますが、私今しっかりした数を把握しておりませんのでお答えいたしかねますが、大体従来の患者発生数のうちで御説明申し上げた次第でございます。  ただいま御質問の厚生省との話し合いの点でございますが、これは健康保険組合として動いておると存じますので、まだ調達庁としては厚生省とお話し合いしたことはございません。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 これは大臣にお尋ねしますが、大臣はこんな重要な法案をお出しになるについて一番影響を受ける調達庁に何ら御相談になっていないというのは重大問題だと思うのです。実情を御説明しますと、この五十五条の発生数は、私の調べたところでは駐留軍関係で三十年一月から十二月までに七千百六十人あるのです。また同じく駐留軍関係で三十年一月から十二月までに新たに被保険者になった者は三万三千三百二十二名、ところが昨年一カ年で被保険者の資格を喪失した者が四万六千七百七十八人あるのです。しかもこのうち一年未満の者が一万三千四百三十三人あるのです。これだけ多くの一年未満の者があるのに、これらの人たちは全く健康保険の恩典に浴せない、保険料はかけたらかけつぱなし、こういうことは許されないのです。もしこういう立法をやるとするならば、こういう特殊な職業である駐留軍労務者というただし書きを当然ここに入れなければならぬ。しかも、こういう人を救うために私は任意の継続被保険者というものを認めるかと思ったら、それまでもあなた方は認めていない。もうあと三カ月すれば一年の資格を得るから、私は一つ三ヵ月だけ保険料をかけさせて下さいというような人に対しては、私は温情を施すのが政治の姿であり、厚生行政の姿であると思うのです。しかるにあなた方は、任意の継続被保険者も除外しておる。全く血も涙もない政策なんです。大臣はこの駐留軍関係について何らお知りにならなかったのならお知りにならなかったとおっしゃって下されば、何らかの形で、ここで修正できなければ参議院ででも修正してもらわなければ仕方がないと思うのです。この点は御相談になっておるはずだと思いましたが、なっていないのですか。私はわざわざこの問題について陳情に行ったのですが、これは法の盲点なんです。一万三千も一年未満でどんどん職場を移動する、今駐留軍は七ヵ月で移動してしまうのです。これは何も自分が好きこのんでやるのではなくて、政府の防衛政策、あなた方の金科玉条であるいわゆる自衛力の増強政策の一環としてこういう事態が起ってきている。だからこれは政府の責任なんです。厚生大臣はこれをどうしますか。あなた方はあくまで、そういうものはやむを得ぬじゃないかといって知らぬ顔をして進まれますか。それともこの際政府みずからがこの法案の五十五条関係を御修正になって、駐留軍の労務者については除外例を設けて下さるか、この点一つ大臣の御答弁をお願いします。

小林英三自由民主党厚生大臣

○小林国務大臣 経過もございますから、局長から答弁いたさせます。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 お答えいたします。雇用の実態、労働の実態と申しますものは、いろいろ業種によって千差万別でございまして、一々それらの実態の違うものについて、特別にその組合と話し合いをして法律の改正を企画いたすということはなかなか困難でございます。私どもといたしましては健康保険組合を代表されまする健康保険組合連合会の団体でありますとか、さような全国的な団体の方々といろいろ御連絡を申し上げ、また社会保険審議会等にこの駐留軍労務者の組合の代表者も審議会の委員の一人として御出席でございますので、それらの方々と正規の機関で御相談を申し上げて、法律の立案をいたした次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 調達庁にお尋ねしますが、そうしますと、厚生省は知らぬとおっしゃっていますが、あなたの方はあなたの方で責任を持ってその分の療養の経費はやってくれますか。これは重大な問題ですよ。厚生省は知らぬとつっぱねている、あなたの方がやって下されば、われわれはこれで黙って引き下ります。どうですか、あなたの方でやっていただけますか。あなたが御答弁できなければ、調達庁長官を呼びます。

新田一雄総理府事務官(調達庁労務部労務厚生課長)

○新田説明員 調達庁の立場といたしましては、健康保険法に定めてあります保険料の負担、これは事業主といたしまして払うことはできますが、他の負担につきましては調達庁としてはお支払いすることができないわけであります。負担することは不可能と存じます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 課長さんにお尋ねしますが、あなたの方の調達庁のいわゆる駐留軍の健康保険関係で、組合員の方もあなたの方もお互いが納得して、組合会で千分の五十の保険料を千分の五十八に引き上げるということを去年の四月に議決した。ところが当時は川崎君が厚生大臣で、すぐに許すようなことを言っていたが、なかなか駐留軍の了解ができずに許されなかった。あなたの方は、厚生省がやられたらそのまま従いますというけれども、去年は従わなかった、こういう実例もあるのです。あれは一体どうしたことですか。組合と調達庁の代表とが、四月一日から保険料を上げる、こういう決定をした。そして厚生大臣は許すといったが、アメリカがそれを納得しなかった。そうしてあなた方はその責任をずるずると延ばしてしまった。厚生省がそのときにはやれといったけれどもやらなかったのです。だから今度厚生省がやれといっても、あなた方はやらなくてもいいのですよ。去年のときの関係もある。だから国で引き受けてやらなければ——駐留軍の労務者は今さえ仕事がない。その上アメリカ軍の意思によって、いつでも首を切られていく、今七ヵ月で移動する人が一番多い。だから六ヵ月の継続給付であるならば、資格を得ることができて、この人たちは全部助かる。ところが一年になると、七カ月で首切られる連中は全然だめです。だから今申しますように、一万三千有余の諸君はだめなんです。ですから、それらの諸君が病気になった場合に、継続給付は繰り上げてやる、こういうことならいいのです。その御答弁ができなければ、私は次会に防衛庁の長官に一つ来てもらって、御答弁を願わなければなりません。

新田一雄総理府事務官(調達庁労務部労務厚生課長)

○新田説明員 ただいまの御質問の点につきましては、厚生課長として御答弁いたしかねます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 では課長さんは御答弁できないそうですから、次会に一つ防衛庁長官を呼んでいただきたい。  そこで厚生大臣にお尋ねします。実は駐留軍労務者の健康保険組合は、あなたの方の厚生省に四月一日に認可をしてくれということをお願いしたのですが、あなた方は認可をしなかった。ずるずると引っぱって、十月一日認可をした。そのためにこの健康保険組合は一億五千万円の赤字が出ました。これは日本国の政府を代表する厚生大臣がアメリカ政府の意向を聞かなければならなかったがゆえに、四月から十月まで認可をおくらしたために赤字が出た。当然この赤字については認可をおくらした厚生省に責任がある、日本政府に責任があると思うのですが、この一億五千万円の赤字は一体厚生大臣どうしてくれますか。

小林英三自由民主党厚生大臣

○小林国務大臣 前任者時代からの問題でございますから、保険局長から一応経過について答弁をさせます。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 お答えをいたします。駐留軍労務者の健康保険組合の保険料率の引き上げにつきましては、私も途中からこの問題にタッチいたしたわけでございますが、今滝井先生御指摘のように、いろいろな経緯がございました。それで今の御質問の要点は、厚生大臣はなぜ、組合会で事業主側と被保険者側と相談をして決定をした料率の引き上げを直ちに認可しなかったかという御質問でございます。これはさような申請はございましたけれども、その金が確実にその組合に納入されるという見通しがつかなかった。その場合に認可をすれば、料率の引き上げはしたけれども、調達庁の方から事業主側として保険料の納入が行われるという見通しがつかなかった。従ってさような歳入欠陥を明らかに来たすような見通しの料率の引き上げは、厚生省といたしましてはちょっと認可をいたしかねた。従ってそれを確実にいたすために、日本政府の内部においても関係官庁がいろいろと連絡をいたしまして、これは調達庁がもちろんその主でございますが、別に大蔵省なり、あるいは外務省と連絡をいたしまして、さらに政府が一本になって米軍当局と折衝いたしました。その見通しがつきましてから認可をいたしたようなわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 高田さんはその当時保険局長でなかったと思うのですが、あなたは御事情をよく知らないから、今のような答弁がぬけぬけとできるのです。当時は川崎君はすぐ許可すると言った。私は言質を取っている。すぐに許可すると言って、できなかったのです。川崎君はこの委員会で大見得を切って、できなくて、そうしてそのうちに国会が閉会になって、十月一日にしかできなかった。その間の空白というものは、組合は金を出すと言った。全くこれは政府の意向によって金が出なかった。政府がそれだけ弱腰だった。だからこの一億五千万円の赤字というものは何らかの形で政府が解決してやらなければ組合は大へんなんです。しかも継続給付というものは今言ったように打ち切られる。継続給付というものが、一年に引き上げられて、それで打ち切られていくということになれば、駐留軍労務者の健康保険というものは全くどうにもならぬことになってしまう。踏んだりけったり。だからこれは今も調達庁の課長さんでは御答弁ができかねると言っております。私はこの問題でこれ以上追及したくありませんが、健康保険組合だって監督権限はあなたの方にあるのです。そういうことで責任は組合にないのです。この赤字の出た原因はあなた方にある。この点について政府部内で話をしていただくということ。それから継続給付についても非常に多くのものが駐留軍労務者の中から出ているにもかかわらず、厚生省と調達庁の間に話し合いも行われずにこういう立法をやっている。こういう点についてもやはり話し合っていただかなければいけない。そうしますれば監督権はあなた方の方にある。しかもそれらの人たちは今まで政府なり駐留軍の政策によってどんどん首を切られていくのです。そういう無辜の大衆というものが保険資格を失っていくということになれば、何らかそこに救済するものをあなた方は持たなければならぬということになる。そういうものもないということになれば、あまりにこれは片手落ちの立法だと思う。この二点については次会にやります。きょうはこれでやめよということでありますから、この二点だけ一つ次会に答弁をしていただきたい。本日はこれでやめます。     午後一時十六分散会

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