社会労働委員会 第27号
- 発言数
- 68 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1956/03/30
会議録
○佐々木委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の健康保険法等の一部を改正する法律案、厚生年金保険法の一部を改正する法律案及び船員保険法の一部を改正する法律案を一括議題とし、審査を進めます。質疑を続行いたします。滝井義高君。
○滝井委員 先日の質問で、大体一部負担の問題の一応の質問が終了しましたので、きょうは保険医と保険医療機関の問題に入りたいと思います。決して引き延ばしの質問ではなくして、きわめて秩序正しく御質問申し上げておりますので、一つぜひ明確に御答弁をお願いいたしたいと思います。その前に、調達庁の健康保険の係の方を呼んでおいていただきたいと思います。 まず、今度の健康保険法の改正では、先般私が保険医の登録と保険医療機関の指定の二重指定に関連して、四十三条を中心に憲法との関係をいろいろお尋ねをいたしたのでございますが、憲法との関連については、行政手続上の問題と刑事手続上の問題がきわめて均衡を失しておるという点については、なお政府当局の答弁にはどうも納得のいかない多くの問題があるわけです。そういう納得のいかないのに先に進むことはどうもきわめて不本意でございますが、審議に協力する意味において先に進みたいと思うのです。 それは、なぜこの保険医と保険医療機関の、世間で言われておる二重指定というものをやらなければならぬかという点でございます。今までは保険医になりたいと思えば、申請書を出せば、それでよろしい、これで同意書を添えれば保険医になれたわけです。今度わざわざ保険医の登録をやり、保険医療機関の指定をやる、こういうことになったのですが、一体その目的はどういうところにあるか。具体的にはそういうような二重指定というものが健康保険の進歩と合理化にどういう点で役立っておるか、この点を一つまず明白にしておいていただきたいと思います。
○高田(正)政府委員 お答えをいたします。従来の保険の医療組織の関係におきましては今滝井先生が御指摘のように、保険医個人を指定をいたしまして、その個人が責任を負って保険との関係を結んでおられたわけでございます。こういう建前になっておりました。ところが医療の実態というものをよく見まするときに、個人々々をつかまえて契約の相手方にいたすというよりは、医療機関をつかまえてそれを、保険の診療をお願いする契約の相手方とした方がより実態に即するという今日の実情でございます。まあ一例を申し上げてみますると、二人以上のお医者様が働いておられる医療機関というものは非常に病院、診療所を通じて数多くございます。さような場合に、私どもが診察を受けに参りましたときには、最初の日には甲のお医者様に見てもらい、次の日には乙のお医者様に見てもらうというふうなことも非常に多くあるわけでございます。なお入院をいたしましたような際におきましては、医師だけでなく看護婦とか給食の問題とか、あらゆる医療機関内の職員の手によって入院して治療をするということが行われるわけでございます。さような関係でございまするので、むしろ保険の診療をお願いする相手方としては、その姿をすなおにつかまえて、機関というものをつかまえた方がより合理的である。他の例をあげてみますると、たとえば機関におきましては、診療をなさるのは医師でございまするけれども、保険との関係において請求をいたすのは他の人がするというふうに、医師でない者が請求をいたすというふうな場合も非常に数多くあるわけでございます。そういうふうなことでありますので、機関というものをつかまえてやった方がより実態に即した姿になる。従って他の法律におきましても先生方よく御存じのように、生活保護法でも身体障害者福祉法でもあるいは結核予防法でも全部機関を相手方としてつかまえておるわけでございます。さような意味で機関を相手方としてつかまえるという制度をまず考えたわけでございます。ところが医療というものは、確かにそういう面もありまするけれども、なおまた個人を全然考えないで、抹殺をしてしまって、機関の指定一本にしてしまうということになりますると、実態に即せざる部分というものがある。従ってこれにつきましては、従来の指定というふうな制度ではなくして、ただ医師であればだれでも登録をするというふうな登録制度というものを残しまして、そうしてやはり個人の面におきましても、医療の実態から見て、やはりそこに個人というものを重んじたようなことに法律をいたしておいた方が医療の実態に即する、こういうふうな考え方から、従的に個人の登録というものを考えたわけでございます。 かくすることによりまして——保険診療だけではございません、医療がそうでございますが、より実態に即した法律の立て方になる、かように私どもは考えておるわけでございます。
○滝井委員 きわめて抽象論としては、今のような御説明もできると思います。しかし現実に動いておる医療の現場の実態からいうと、なかなか今のようなものは、非常に多くの不合理が出てくる。いずれあとで指摘しますが、不合理が出てくる。従ってこういう医療の現実の実態から不合理が出るがゆえに、保険医の諸君、いわゆるゼントルマンで良識の士といわれる十万以上をこえる療養担当者の諸君というものを、総辞退をしなければならぬというところに追い込んでおる一番のやはり焦点となるのは、この保険医の二重指定というところなのです。なぜ医療の現場からそういう声が起ってくるかと申しますと、二重指定というものは不当に保険医の職場を圧迫するのだという一つの観念が、二重指定というものの中に出てくるということなのです。しかも職場を圧迫するということが、具体的にどういう形で現われるかというと、すでにあなた方のお先棒をかついで声明をしておる健保連が、すでに定員制というものを打ち出してきた。これはいわば今まで法衣の下に隠れておったよろいが出たことを意味する。むしろあれは厚生省がそういう意図を持っておるのではないかというアドバルーンを健保連が上げたんではないかという疑いさえ——おそらくそういうことはないと思いますが、そういう疑いを持たしめたということなのです。だから、あなた方が次官通牒を出し、それに相呼応して五団体ですか、事業主の傾向の強い五団体が油を注ぐがごとくに今度は保険医の定員制というものの前ぶれ的な声明を出してきた。こういうことが、やはり大きな総辞退に油を注ぐ理由になってきておるわけです。いわば職場を不当に圧迫し、制限指定に持っていくのではないかという、あるいはそれは枯れ尾花であれば幸いなんです、しかしそういう疑いを、この二重指定というものが、いつか私も申しましたように、奇想天外な思想を持ち込んだために、こういう疑いを起したことは事実なんです。しかも、一面この二重指定というもののいま一つの疑いというのは、医師の都市集中を防ぐのではないかという懸念が出てきておるということなのです。現在の日本の文化、経済というものは、すべて都市集中なのです。ところが医療機関だけ都市集中を防ごうとするそのニュアンスがあるのではないかということ。なるほど医は仁術である。従っていかなるへんぴないなかでも行かなければならぬことは当然なんです。しかし、しからばいなかに行った場合に、子供の教育ができるかというと、なかなかそれもできない。そういう悩みもあるので、そうい悩みというものを同時に解決してやらなければならぬ。たとえば大学の教授などを見ると、若い間はみんな地方の大学に行きます。しかし子供がいよいよ高等学校なり大学なりに入る時期になってくると、みんな少しは悪い大学のプロフェッサーでもいいからというので、地方の官立大学のプロフェッサーたちがみな東京にやってきておるという現実は無視することができない。現在の日本の資本主義の文化、資本主義の経済の組織自体がそういう仕組になっているものを、医者だけをそういう統制的なワクの中にはめることは不可能なことなのです。ところがそういう疑いが二重指定の中にもこれは出てきておるということなのです。同時にこれはこの前に申しましたように、受診率の低下にもこれがつながり、保険医の数を制限していく……、これはすでに健保連も言っている。すでに東京においては、日本全国でいえば九百四、五十人の人口を一人で持っておるのだけれども、東京は五百四、五十人です。こういう点も不合理だ、だから医者を一つというような、こういう点が不当な——あなた方にそういう意図はないと私は信じますが、そういう疑いを持たれておる点だけは事実なんです。従って人間の生命を預かる医師が、すでにもうその行政を担当しこの法律を動かしていくあなた方自身に疑いを持ったということ、これは重大なことです。そこでその疑いを解く努力をしなければならないと思う。ところがその努力が具体的になされていないところに、実はこういう困難もあるわけです。そこで今私の申し上げましたように、保険医の二重指定というものは定員制への前ぶれではないのだということ、あるいは医師の都市集中を防ぐのではないということ、こういう点がもっと具体的に鮮明される必要がある、こういうことです。この点は大臣から御答弁をいただけば幸いだと思いますが、できなければ局長から……。
○高田(正)政府委員 お答えいたします。二重指定、二重指定と申されますけれども、実は先ほど私が御説明申し上げましたように、二重指定ではないのでありまして、従来の個人指定が機関指定に変ったということ。機関指定というのは、生活保護法やその他の法律においては、みなその建前をとっている、それは今日の医療の実態というものによってそういう立て方を変えただけであるということでございます。ただ個人の問題につきまして登録という制度を残しましたのは、この登録は決して機関の指定というようなこととは違いまして、従来の指定とは違いまして、ただ登録するだけでございます。これによって診療を担当してもらう、お願いいたしますという、保険との関係は生じないのでございます。これはただ登録をするということでございまして、しかもそれは医師であればだれでも登録するという建前でございます。これはいろいろ御質問に応じてお答えをして参りまするが、かようにしておいた方がむしろ医療機関のためにはいろいろ便宜な点があると私どもは考えているわけでございます。従いまして、この制度におきまして、私どもが意図しておりますところは、医師の働く職場を制限したり、さような意図は全然ないのでございまして、またさようなところもこの法律のどこからも出てこないものと、私どもは考えているわけでございます。 それから具体的な定員制の問題でございますが、確かに先般総辞退に関連いたしまして、健保連その他の関係団体が総辞退に対する自分たちの意見といたしまして声明を出しました中に、この際保険医の定員制を作れというようなことが載っておりました。しかしこれは、これらの団体の年来の主張でございまして、その主張を繰り返したにすぎないのでございます。私ども厚生省といたしましては、かような定員制などということを今日は絶対に考えておりません。なおまた医師の都市集中を防ぐようなことを考えているのではないかという御質問でございますが、さようなことは医療行政として別個の立場から検討さるべき問題でございまして、私どもとして保険の立場からさようなことを考えることは理論的にもおかしなことでございます。従いまして私どもとしては保険医の都市集中を防ぐとかあるいは地域制をこの際問題にするとかいうふうな意図は全然ございません。これらの点につきましては社会保険審議会におきましても診療担当者の立場を持っておられます関係の委員の方々からるる御質問がございまして、それにつきましては私が明確にお答えをいたしまして、それらの議事録に残っているようなわけでございます。私ども今御指摘の定員制あるいは医療機関分布の地域制というふうなことを意図して今回の医療機関の制度を立案したわけでは全然ないことを明確にお答え申し上げておきます。
○滝井委員 都市集中の問題は今のような御説明にもかかわらず、健保連等が申しておりますように、だんだん医師が都市に集中する。そうしますと都市集中の問題は別個の立場から論議すべきであると申しますけれども、日本の医療の問題は健康保険を中心にして論議する以外に現在論議のしようがないくらいに、健康保険というものが医療の中枢的な課題になっている。従って都市に医師が集中すれば受け持つ患者が少くなる、患者が少くなるとどうしてもそこに過剰診療が行われる。論理の飛躍かもしれませんが、こういう論理が行われる。従って食えない。少い患者では医師が食えなくなる。食えなくなるから水増しが行われ、過剰診療が行われるんだという論理が健保連等で行われているわけであります。こういう点などは現在の日本の医療制度自体の全般的な問題として急速に政府が考えなければならない問題なんです。いなかに行ってもやはり医者が食えないような姿、子供の教育もできないような姿というものは、やはり医療を中心にして考えるとともに、日本全体の国土計画と申しますか、そういう観点から考えなければならぬ問題なんだ。そういう点を抜きにして医療というものがぐんぐん先に進んでいるところに現在の日本の健康保険制度自体の大きな矛盾と悩みがあると私は見ております。そういう点をもう少し突っ込みたいのですが、時間の関係で先に進めます。 次には四十三条の三にありますところの医師が指定をされない、あなた方の立場からいう指定を拒む具体的な条件、これは一体どういうことかということなんです。指定を拒むときには、この前もここで諮問と議によるという二つの論議をやりました。そのときは法律上の字句の問題について論議しただけなんですが、具体的には「地方社会保険医療協議会ノ議ニ依ル」こういうことになっている。その指定を拒む条件ですね。いかなる条件があったときに、その地方社会保険医療協議会が指定を拒むことができるのか、これがまるっきりわからない。そういうようにまるっきりわからない状態において医療機関が保険機関になりたいといっても、これはそこの医療協議会の自由意思によってどうにでもなる。こういう形にしておりますところに特権が生ずる。地方社会保険医療協議会の委員の方にはおそらくそでの下がいって、どうかお願いします、こういうことになる。ところがここにぴちっとした条件さえきめておけば、その条件に当てはまる医療機関は大手を振って指定されることになる。だからこういうところにいわば官僚独善の弊が出てくるんです。だからこの法律に指定を拒むことのできる条件とはこういうものだとはっきりしておいて、それらについては地方社会保険医療協議会の議を経る、こういうことになっておれば問題はない。あなた方こういう点、この四十三条の三の立法をやるについてどういう具体的構想をお持ちになっておったのか、これを承わりたい。
○高田(正)政府委員 お答えいたします。指定をしたり、指定を拒否いたしたりいたす場合の条件につきましては、従来の規定にも滝井先生御存じのように、何も書いてございません。従来の規定というのは行政庁の単独行為であるか、あるいは契約と見るべきかという点が非常にいろいろと論議されておったのでございます。私ども今回の法律を立案いたしまする建前といたしましては、医療機関の指定ということはこれは明快に医療機関と行政庁の方との契約である、こういう建前をとってものをすべて考えておるわけでございます。なお従来の指定拒否の場合におきましてもこれが行政上の単独行為であるといたしますれば、なおさらにそこにはいろいろ条件が書いてあるべきでありますけれども、それにおきましても何らさような条件は書いてございません。ただ従来は医療協議会の諮問ということになっておったのでありますが、これは指定を拒むというような場合には、よりものを民主的に運営をいたしまするために特に医療協議会の議による、すなわち医療協議会がきめたことに反して行政庁が自分で別の行いをすることができないというように法律上きびしくしばったわけであります。なお実際の運用につきましはて私どもは医療機関のことを一番よく御存じであります診療担当者の団体の御推薦を得たいと思います。その御推薦を得て原案を作りまして医療協議会にかけて参りたい。かように運用を考えております。なおこれらの点につきましては通牒等でその趣旨を明らかにいたすつもりでおります。
○滝井委員 医療団体の御推薦を得るというけれども、現在の日本医師会は会員は強制加入ではない、自由加入である。従って保険医の中にも団体に加入していない保険医はたくさんおるわけであります。そういたしますと今のように推薦によって機関の指定をやるということになると、個人的な人は大へんなんです。しかも現在は医療機関の指定を受けなければその機関というものは、東京のような国民保険のできていないところは別ですが、国民健康保険の普及しておるところでは食っていけない。といたしますと、もしその指定を拒否された医療機関がその指定の拒否というものが不当である、こういう認定をしたときにはその医療機関はどういう方法で争えばよいのでありますか、争う方法を教えていただきたい。それから団体の推薦というが、団体に加入していない人は一体どうすればよいか。
○高田(正)政府委員 お答えいたします。医療機関の指定を拒否された場合は、それは今申し上げましたように、医療協議会の議によって拒否されるわけでありますが、これは契約でありますので、普通の民法上、私法上の契約でありますれば、契約の相手方が契約を結ばないからけしからぬという問題は起らないわけでございます。これは相手方が行政庁でございますので、今のように争う場合が起ってくるかと存じます。さような場合には、これは一般的に訴訟で争うということに相なると存じます。 なお診療担当者団体の推薦によって実際上の運用をいたしたいと私がお答えいたしましたことにつきまして、今日の診療担当者の団体は強制加入ではない。従ってそれに加入しておらない人は変なことになるじゃないかという御趣旨の御質問でございますが、ごもっともな御意見と存じます。従いまして私どもはさような会員以外の方につきましても、診療担当者団体の御意見は拝聴をいたしたいと思いますけれども、会員以外の方についてまで、その団体の御意見の通りに私ども行政庁が措置をするということは、これはいささか問題があろうと思うのでございます。ただ事実上の問題としまして、会員につきましてはそれぞれその団体の御推薦により、会員以外の方につきましては御意見を拝聴するという程度で実情に即した行政上の運用をいたしたい、かように考えておるわけでございます。 なおその場合におきまする診療担当者の団体と申しますのは、その行為をいたしますのが都道府県知事でございますから、従いまして都道府県単位の診療担当者の団体ということに相なるかと存じます。
○滝井委員 後段の答弁はそれで私了承できると思いますが、前段のその地方の社会保険医療協議会の議によって指定を拒まれたものは訴訟に持っていかなければならぬ、こういうことになりますと、これは指定を拒む具体的な条件というものを、やはりここで一応使うときには、拒むというあなた方のお考えだけでも書いておかないと、私は医療機関というものはきわめて不安だと思うのです。こういうところを隠蔽して法案を通そうとするところに保険医の定員制の問題が出てき、あなた一方に不当な疑いが起ってくるのです。だからこの機会に法律で書いておらなければ、こういう場合だということを一つ明白に速記にとどめておきたいと思うのです。そういう場合の具体的なところをぜひ一つお示ししておいていただきたいと思います。
○高田(正)政府委員 保険医療機関あるいは保険薬局の指定に当りまして、現行の医療法とか薬事法に規定されている以上の特別の基準というようなものは私ども今考えておりません。また現在保険医とか保険薬剤師の指定を受けておられる人の勤めておられる医療機関、薬局につきましては、特別に支障のない限りすべてこれらを指定して従来通り保険診療をお願いいたしたいと考えております。 ただ今後の指定に当りまして、つい数カ月前に指定を取り消されたような機関につきましては、安心して保険診療をお預けするわけには参りませんので、この地方社会保険医療協議会の議によりまして指定しないというふうな場合も出てくるかと思います。なおまたこれはどういう場合という具体的な事例をあげるわけには参りませんけれども、地方社会保険医療協議会の皆様の議によりまして、これが指定をすることがはなはだしく不適当というふうに議決されました場合も同様に指定をしないというふうなことが起り得ることは当然でございます。
○八田委員 今の滝井委員の質問に対しまして、医療機関の欠格条件というのは、医療法と薬事法以外のものについてはまだ具体的な考えがない、こういうようなお話なんですが、そうしますと四十三条の五をごらん願いたい。四十三条の五の第三項にございますが、「前二項ニ規定スルモノノ外保険医及保険薬剤師ノ登録ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム」と書いてございますが、この場合医療機関と保険医の登録に関しての欠格条件に関係したものと思わなければならぬのでありますが、しからば保険医の欠格条件以外の、あなたが今言われた欠格条件以外の「必要ナル事項」というものは、一体どういうことをお考えになっておられるか、これははっきりしておかなければならぬ。医療機関においてはこういったものがない。ところが登録医の場合にははっきりとこういった「必要ナル事項」というものがある。そうしますと医療機関においての欠格条件、登録医に対するところの欠格条件というものはおのずからいろいろとあなた方はお考えになっておるはずだと思う。単に医療法とか薬事法ということでなくて、それ以外に何か「必要ナル事項」があるはずだ、そうでなければこういう文句は出てこないはずでありますから、あなた方が今説明された欠格条件以外の「必要ナル事項」というものは、一体どういうのを言うのか。ただここで抽象的な概念的な答弁をされますと、この「必要ナル事項」というものが拡大解釈をされるおそれがある。
○高田(正)政府委員 今八田先生御指摘の四十三条の五の三項でございますが、これは医療機関の指定の方には全然関係のない規定でございます。これは保険医の登録の方だけに適用される規定でございます。しかもこの三項は別に法律でここにちゃんと欠格条項というものが書いてございまして、この欠格条項を広げたりすることは、これは命令ですることは法律上不可能でございます。ただこれは登録をする場合にはどういうふうな様式で、こういう申請をして下さいとかなんとかいう手続き規定をこの三項の委任によって命令できめるわけでございます。今御心配のように、登録をしない人を、欠格条項を広げたりなんかすることを命令でいたすことは、これは法律上不可能でございます。その点は御了承をいただきたいと思います。
○八田委員 あなたが言われた欠格条項というものは四十三条の五のところで、一項、二項でわかるのですが、ただ「前ニ項ニ規定スルモノノ外」ということを第三項に断わってあるわけですが、そしてさらに「登録ニ関シ必要ナル事項」、こういうふうになっておるものですから、一項、二項に規定された以外の欠格条件の「必要ナル事項」というものはどういうことを言うのかということを聞いておるのです。
○高田(正)政府委員 今お答えをいたしましたように、この三項というものは「登録ニ関シ必要ナル事項」と書いてございますけれども、二項に欠格条項は書いてございますが、こういうふうな欠格条項を命令で広げたりなんかすることは法律上不可能なのでございます。ただ申請とかいうことが書いてありますけれども、その申請は一体どういうふうな書式で申請したらいいのかというふうな点が法律だけではわかりませんので、その手続を書いた規定でございまして、これによりまして欠格条項を広げたりなんかするようなことは法律上不可能でございます。
○八田委員 そうしますと、滝井委員の質問に関連してなのでございますからあまり長く申しませんが、ただ四十三条の三には、登録の指定を拒む場合には医療協議会の議によるというふうになっております。ところが保険医の登録を拒む場合には何ら地方医療協議会の議を経なくても、都道府県知事の一方的な権限によって拒むことができる、非常に大きな権限が与えられておる。こういうふうに医療機関に対しては地方医療協議会の議を経なければならぬ。ところが保険医の登録を拒む場合にはただ都道府県知事の一方的な権限にまかされておる。ここに矛盾がございませんか。
○高田(正)政府委員 お答えいたします。保険医の登録に関しましては、四十三条の十四に地方医療協議会に諮問をするということが書いてございます。ここに保険医療機関に関する、あるいは保険医に関するいろいろな条文がたくさんございますけれども、その大部分の運用に当りましては、医療協議会に諮問をいたして運用をいたすのでございます。そのことに関しまして四十三条の十四で一括して書いたわけでございます。ところが機関の指定におきましては諮問でございませんで、特に議によるということに特別扱いがしてございますので、それで四十三条の三の医療機関指定のところに特に抜き出してこれだけのものを書いたわけでございます。それから個人の登録におきましては、だれでもやるということが登録という制度でございますので、登録というものはほんとうに登録するだけでございますから、これはだれでも登録するという建前のものでございます。従ってそれにつきまして登録しないような場合がある場合には、これは当然法律で欠格条項としてあげておかなければならぬ筋合いのものでございます。
○八田委員 もう一つ。四十三条の十四は指定を取り消したり、あるいは登録を取り消すような場合に諮問するのです。ところが四十三条の五の方はそうじゃないですよ。「登録ヲ取消サレ二年ヲ経過セザルモノナルトキハ」とこれははっきりと分れておるのではないですか。
○高田(正)政府委員 お答えいたします。これは私大へん間違っておりまして失礼をいたしました。四十三条の十四の方に諮問をいたしますのは、登録を取り消す場合には必ず諮問をしなければならない。それで登録します場合にはこれはもう欠格条項に触れなければだれでも登録をするわけでございますから、別に四十三条の方で諮問をする必要がない要件がちゃんと法律で明確にされておりますので、これに当らない人はだれでも登録をするということで、これははっきりしているわけでございますから、特に諮問機関に対する諮問は必要としない、こういう建前で今八田先生御指摘のように、四十三条の十四の方には書いてございません。
○滝井委員 今私四十三条の五を質問しようと思ったら八田君から質問していただいたので時間の節約になりましたが、そうしますと、結論的には四十三条の五の欠格条件は、具体的に申しますれば身体障害者、精神異常、ろうあ者、こういうような者、それから監査等によって取り消されて二年を経過していない、こういう者は当然登録されないことがあるわけなんですね。そのほかに、「登録ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム」、これはその欠格の条項を命令で広げるんじゃなくして、全く手続上の規定である、こういう御説明と了承して差しつかえありませんね。
○高田(正)政府委員 さようでございます。
○滝井委員 そうしますと、そこでちょっと問題になるのは、指定医療機関が取り消されますと、そこに勤めておる医師は勤務場所がなくなるわけです。これは結果的には登録は取り消されていないけれども登録を取り消されたと同じ結果になってしまう。これの救済方法はどう考えますか。どこかほかに仕事を探してさまよわなければならぬ。ところが、たとえば内科部長であったとする、そういうポストはきっとないですね。従ってたとえばAという医師が悪いことをしたためにその医療機関が取り消されたとすると、そのAという医師は責任者だからやむを得ないでしょう。しかしBという全く善意の治療をしておった医師は、指定医療機関が取り消されたがために路頭に迷わなければならぬ。これに対する救済を、こういう過酷な立法をやるんだから当然考えておいてもらわなければならぬ。それはお前が運悪くそこに勤めておったのでやむを得ないじゃないかということは工合が悪いと思うが、これに対する救済方法を何かお考えになっておりますか。
○高田(正)政府委員 お答えをいたします。今滝井先生の御指摘になりましたようなことが起りますので、私どもは機関指定一本でなくして個人の登録も残したわけでございます。今のようにAの医師がある機関の中で悪かったということによりまして、その機関全体を指定の取り消しをしなければならぬということになりましては困る。だからAの医師個人が悪くて他の方々には関係がないということでありますならば、これはそのAの医師だけの登録を取り消しまして、もちろん医療協議会に諮問をいたすわけでございますが、登録を取り消しまして、そのAの医師だけはそこに御勤務になっておっても一向差しつかえございませんけれども、保険診療だけはタッチをしていただかないようにするという措置を講じたい、かように思っておるわけでございます。
○滝井委員 そうじゃなくて、四十三条の十二を見ますと、明らかに保険医が悪いことをして保険医の登録を取り消したというような場合には、やはり医療機関が取り消されることになっておる。十六ページにあるのです。「当該保険医療機関ニ於テ診療ニ従事スル保険医又ハ当該保険薬局ニ於テ調剤ニ従事スル保険薬剤師が第四十三条ノ六第一項(第五十九条ノ二第七項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム次条ニ於テ之ニ同ジ)ノ規定ニ違反シタルトキ」こうなっておる。ただし監督しておればいいのですが、この場合も取り消される。従ってそこに勤めておる医師は全部路頭に迷う。一人だけじゃないのです。ここに私は医療機関を指定すべきではないと考える。それは私の主張なんです。私は医師の取り消しで足りると思う。Aという病院で一人の医師が悪いことをした、その人のためにAが全部取り消されたという場合には大へんだから、その場合には登録一本でいい。二重指定にする必要はない。院長が悪いことをすれば院長が首を切られるのである。院長が首を切られることによって、悪いことをした医者は同時にやめさせる。だから院長一人でよろしい。そうすると、院長が退いて保険医でなくなると、副院長が院長に上ってくることによって医療機関はそのままでいける、こういう形になってくると思う。そればかりではなくて、こういう場合がある。これは私は船員保険課長ともずいぶん議論したのですが、たとえば現在私なんかの経験でも一人の医師は一人の患者ばかりを見ない。病院に行くと、朝何百人という患者がやってきます。大きな病院では内科だけでも百人以上も来ます。そうしますと、きょうは私はAという患者をみる。ところがあすは高田さんなら高田さんがAという患者をまたみる。五人の医者がいれば五人の医者にAという患者のカルテは回されていくのです。そうすると、たまたま私なら私が診療上の過誤があったとしても、私がやったかどうかわからぬことがある。あるいは夜間の医師というものは内科の医師ばかりではない。眼科だったり、外科だったり、耳鼻科だったり、婦人科だったり、みな泊っている。まるきり関係のない医師が見て注射をする場合がある。たとえば自分の専門でない小児科の患者をみたときに、小児科の専門医ならば強心剤一本やってこれは大丈夫だと思っても、眼科の医師が自分の宿直のときにみると、解熱剤も打てば浣腸もやる。そうしますと、それは過剰診療になってその医師はばっさりやられてしまう。宿直といういわば職務柄のために、一人の子供を殺すまいとする親心が過剰診療までいったために、小児科の患者をみた眼科の医師が登録を取り消された。同時にこの医療機関は過剰診療のくせがあるといって医療機関も取り消されたならば、あと十人の医師が勤めておったならば、その十人の医師は路頭に迷わなければならぬことになる。だから、私は二重指定はナンセンスだと思う。病院なら病院の責任治療医というものをはっきりさせなければならぬ。だから、私は院長一人でよろしいと思う。こういう形をとっていけば責任がはっきりしてくる。そうしたら、院長をすぱっと首を切ったらいい。そうするとたとえば大学病院なんか困るとおっしゃるけれども、公的医療機関であろうと私的医療機関であろうと同じことなんです。あなた方は公的医療機関と私的医療機関と別にして考えるが、慶応大学の院長が悪いことをしたら、慶応大学の院長の首を切ったらいい。そうしますと、院長は辞職をし、同時に悪いことをした医師も辞職をしなければならない。慶応大学は大きいから、あなた方は慶応大学の医療機関の取り消しは大学の教育の必要上から困る、首を切ってはいけない、こうなるにきまっている。要するに一刀両断にやればいいけれども、あなた方は、国立病院が悪いことをしても国立病院の保険医の取り消しはしませんよ。あなた方がそこまでやるのなら、一番先にやり玉に上るのは、赤十字なんか一番先に上ります。公的医療機関ほど過剰診療が多い。私は戦争中から審査員をやっておりますから知っておりますが、公的医療機関には大学出たてのインターンなんかやっているのが来ているから、特に過剰診療をやるのであります。だから、請求する事務員は、どうして削って無審査で通すかということが大へんなんです。これを厳重に開業医と同じにやってごらんなさい。公的医療機関が一番先に指定医療機関の取り消しになりますよ。これは確実なんです。大学病院なんか一番先になりますよ。だから千葉医大なんて見てごらんなさい。声明を発した。こういう法律が通るならばこれは学問の冒涜である。制限診療によって日本の医学は停滞するという意味の声明を千葉医大が出している。こういうことに対しておそらく大学が一番先に指定医療機関を取り消されます。そういうふうに善意の第三者の医師に連座していくということをどうして救済するかということが一つと、いま一つは今度はそういう工合にして悪いことをして医療機関が取り消されますと、その付近の患者をどうして救済するかということなんです。そういう場合には厚生省が行ってその医療機関の直営でもしてくれればけっこうだと思いますが、そういう直営する意思があるかどうか。直営でもしなければだめなんです。新しく医者を連れてくるわけに参りませんから直営してもらわなければなりません。そういうところは考慮して取り消さぬようにすると言うけれども、それでは法律の前には万民は平等でなければならぬという平等の原則に矛盾してくる。この二点を一つ御説明願いたい。
○高田(正)政府委員 お答えいたします。今滝井先生がおあげになったように、一人の先生にみてもらうわけじゃない、宿直の先生にみてもらったりあれこれするというような医療の実態でありますから、私どもは機関をつかまえたわけです。ところが先ほど御指摘になりましたように一人の悪い者がおったためにその医療機関全体を取り消さなければならぬというようなことになりましては困りますから、個人の登録というものも残した。先生き従来通り個人をつかまえておけばいいじゃないかとおっしゃいますけれども、しかし従来のように医師個人をつかまえているのでは、機関の開設者の方針なりあるいはそれを受ける事務の者が不正請求をやりましたような場合にも、罪のないお医者様を保険医の登録を取り消さなければならぬということになる。保険医の登録を取り消してその人にごめいわくをかけなければなりません。しかも開設者なり病院経営者の方においてはまた次の医者を連れてきて従来と同じような経営方針で行く、これが防げない。こういうことでございますので私どもは機関をつかまえたわけでございます。
○滝井委員 それでは矛盾がやはり解決しない。今のような答弁では答弁にならない。だから請求書が出てきたら何回でも首にしてやったらいい。私はそう思う。医療機関を抹殺してしまったら、その地区の医療は厚生省が行って直営でやってくれればいいのです。その間は国家管理をしてくれればいい。そうしなければその地区の住民は医療を受けられない。そういうところだけ大目に見るといえば、法は不平等になる。だから私はそこの院長に責任を持たしたらいいと思う。たとえば厚生省でも同じでしょう、大臣が責任を持つのです。医療機関と行政庁とは違うとおっしゃいまずすれども、それはちっとも二重指定する必要はない。私はその点については今私の指摘いたしました矛盾についての明白な御答弁を得られないので、これ以上は時間のあれになりますから……。
○小島委員 関連して。今の答弁に関連してちょっと伺いたいが、厚生省としても一度悪いことをしたからすぐ首を切ってしまってその診療所を仕事ができないようにしてしまうという腹ではないのであって、少くとも一回とか二回注意してなおかつ従わないという、やむを得ざる場合にやるということであって、何も一回で首を切ってしまうという方針ではないと思いますが、どうでしょうか。
○高田(正)政府委員 お答えをいたします。それはもう当然なことでございまして、機関の場合におきましても個人の登録の場合におきましても、今小島先生が御質問になりましたように、ちょっと悪いことをしたからといってすぐこれをどうこうするというようなことは従来もいたしておりませんし、今後もいたすつもりはございません。
○八田委員 関連して。滝井委員の質問に関連して伺いたい。四十四条の四と四十三条の十二とは連座責任を負うと指定しているわけでありまして、今のような問題が起ってくるわけですが、そこで四十三条の四と四十三条の十二の連座責任に関する関連において質問いたしたいのでありますが、四十三条の十二の一号には、「相当ノ注意及監督ガ尽サレタルトキヲ除ク」というふうに書いてございます。これは具体的に何を材料にしてだれが判定するのかという疑問が出てくる。そうしますと四十三条の四には「命令ノ定ムル所ニ依リ診療又ハ調剤ニ当ラシムルノ外」と書いてありますが、ここには何らの限界も書いてないのです。そうしますと四十三条の四と四十三条の十二とは互いに連座制の規定によって関連する条文である、ですからむしろ私は四十三条の十二に「相当ノ注意及監督」というものが条文化されている以上、四十三条の四の「診療又ハ調剤ニ当ラシムル」というここにもやはり限界をはっきりと書いておく必要があると思う。そうしませんと片一方においては何ら限界が示されていない、片一方においては限界が示されている、こんなことでは連座制の規定が非常にあいまいもことなって、解釈する側によってまた監督する側によっても非常な矛盾が出てくると私は思う。一体この「相当ノ注意及監督」というものは具体的に何を材料にしてだれが判定するのか、この点について御説明を願いたい。
○高田(正)政府委員 お答えいたします。四十三条の四の方は担当規定でございまして、それぞれ個人の保険医の担当規定に基いてその保険医を保険診療に当らせるように、その機関に責任を負わしたわけでございます。それでこれはそういうふうにして下さいという規定でございまして、実際にこれが効果を発揮するといいますか問題になりますのは、今御指摘の四十三条の十二の方で問題になってくるわけです、何か悪いことをしたという場合ですね。その場合にはそこに書いてございますように、個人が悪いことをした場合にも機関が取り消せると一応言っておいて、しかし機関の方で相当な注意なり監督が行われておるときには機関には及ばない、ということを申しておるわけであります。それで相当な注意とか監督とかいうことはどういう基準できめるのかという仰せでございますが、これは民法の七百十五条にも使用者の責任を定めた規定がございまして、ここにもこれと同じような趣旨の書き方がしてあるのでございます。これは社会通念上ケース、ケースによって一々事情が違いますので、そのケース、ケースによってその場合にどういう監督が行われておるか、平素からどういうふうな注意がされておるかというケース・バイ・ケースでその事情を確かめて、そうして社会通念上これを判定するということ以外には、一々どういう場合はこう、こういう場合はああというふうに、あらゆるケースに通ずる一つの原則というものを文章に書くことはできないものと私は考えます。従いまして民法等でもこういうふうな「相当」というような言葉が使ってあるわけであります。
○八田委員 そうしますとその意味は私もわかったのですが、そうだとするならばこの四十三条の四にやはり限界をはっきりさせるような、相当の注意及び監督をなすのほかというふうに私は入れるべきだと思う。片方だけ相当の注意、監督という言葉を入れて、四十三条の四には何らの限界も示してない。これはあなたの今の説明でいきますと、やはり四十三条の四の方にも入れておかなければならぬ。診療または調剤に当らしむるため相当の注意、監督をなすのほかという言葉を入れなければ、第四十三条の四と四十三条の十二との連関はちょっと読んだだけでは私は納得がいかない。
○高田(正)政府委員 お答えをいたします。八田先生第四十三条の四をよくお読みいただきたいのでございますが、これは医療機関に対する義務を命じたものでございます。従って個人のそこに働いておる人に担当規定を守らせるほかということは、医療機関自体が個人の行為をすることはできません、だからこれはその個人に対して注意監督をして下さいという趣旨の規定でございます。医療機関に対する義務を課したわけでございますので、この規定は個人に対して義務を課しておるわけではないのであります。働いておる人に十分監督指導をしてその義務を守らして下さいという規定でございますから、別にここに注意、監督とかなんとかいう文章はこの規定の性質上要らないものと、かように私は解釈をいたすわけでございます。
○八田委員 そこが私とあなたの見解の相違といえば見解の相違になるかもわからぬけれども、やはり片方において限界をはっきりしておるならば、こちらの医療機関の方においても限界をはっきりするということは私は必要だと思う。これは連座責任の連関のある条文でございますよ。片方において限界を示し、片方においてはあなたが説明するような漠然たる条文にとどめておくということは、僕は非常に解釈の間違いを起しやすいと思う。むしろはっきりとしておいた方がいい。片方にそういう相当の注意とか監督という言葉を入れるならば、医療機関の方においてもただ調剤に当らしむるという漠然とした言葉で表現しないで、やはりそこにも相当の注意、監督ということを入れておく方が、責任の帰趨をはっきりさせると思うのです。
○高田(正)政府委員 お答えをいたします。連座規定、連座規定と仰せになりますけれども、四十三条の四は別に連座とかなんとかいうことがこれから起ってくるわけではないのです。連座というのはすなわち責任を連座するという意味でございまして、それはもっぱら四十三条の十二でございますか、そちらの方で問題が起ってくるわけです。ここでは個人の責任に帰すべきものであるか、機関全体の責任に帰すべきものであるかということを明確にいたしておるわけであります。四十三条の四の方は、機関に対して、あなたのところで働いておる人についてはその個人が守らなければならない義務をよく守らして下さるほか、あなた自身は機関が守るべき義務を守って下さいよというものでございまして、別に四十三条の十二の方に入っておるから四十三条の四の方にも入れておかなければならぬという筋合いのものではない、私はかように考えております。
○堂森委員 関連して。この二重指定の問題につきましては非常に重要なものがたくさんあると思うのです。そこでたとえば私の経験では、ある医師が死亡して未亡人が経営しておる、そして医師を雇っておる、ところがたまたま私が保険の審査員をいろいろしておりました当時、そういう未亡人の家庭でございますと、計算、請求を全部未亡人がやるわけです、そういう場合に非常に不正が多い、こういうことが私の狭い経験であったわけです。またある大病院では、医師あるいは院長は全然請求の点数とかそうしたものには関係ないわけなのです。ところが事務長あるいは病院の実権者が相当不正をやっておる、こういう例もたまたま経験したことでございます。そうしますと、二重指定で病院あるいは診療所の指定が取り消される、そういう場合に医師は何ら責任がない、こういう場合があると思います。つまり診療所あるいは病院は、積み重なった不正があった場合に当然これは指定が取り消される場合もあり得る。そういう場合に、その診療所あるいは病院は保険患者を扱えるのですか、どうなのです。
○高田(正)政府委員 お答えいたします。今堂森先生の御質問の御趣旨は、開設者が不正をやって、その医師は全然責任がないような場合に、病院なり診療所なりがその指定を取り消された場合には、その機関で保険診療が行われるかという御質問でございますが、それは行えません。そういうふうな場合に、従来のように個人をつかまえておりますと、開設者が悪いことをやっても、罪のないお医者様が責任を負われるわけですから、その人の保険医を取り消すよりほかに方法がなかった。請求でも何でもその保険医の責任において請求をされたような格好になっておる。建前がそうでございます。それでその医師は保険医の取り消しをされるわけでございます。そうしますと、このお医者様はそこで働けないだけでなく、どこへ参りましても保険診療はできないということになっておりました。ところがその診療所はそのまま残る、そうして次のお医者を連れてきて診療をする、こういうことになるわけです。ところがそれでは責任のない人が責任をかぶって、その人はどこへ行っても働けないという格好になってしまう。しかもその医療機関はいつまでも保険診療をやる。それでは困るので、この際その機関を保険のワクの中から外に出てもらおう、そして機関の指定を取り消します、しかしながら、そのお医者様はそこでは働けませんけれども、今度は前の場合とは違って、よそへ行けば幾らでも保険診療に従事できるので、そのお医者様には何らの傷はつかない、こういうふうな建前になるわけでございます。私どもは事柄は従来よりは合理的になる、かように考えておるわけであります。
○滝井委員 どうも私が質問しておると先が出てくるので、先をやらなければならぬことになるのですが、今の四十三条の十二で、当該保険医療機関または保険薬局において相当の注意及び監督が尽されたときを除く、こうなっておるわけです。一体だれがその監督をするかということになるわけですね。それは開設者なのですか、そういう義務を負うのは一体だれなのかということなのです。医療機関は法人でもなければ自然人でもない。一体だれなのですか。
○高田(正)政府委員 お答えをいたします。最高の責任者は開設者でございます。ただ内部的にその権限をたとえば管理者に委任しておるというような場合は、その委任を受けておる管理者がその監督責任を持っておられるわけでございます。
○滝井委員 それならばこういうわかりにくい文句でなくして開設者または管理者の注意と、こう書いたらどうですか。こういう人格もない保険医療機関とかなんとかいうことを書くとわからない。それがわからないことが一つと、いま一つは医療機関が療養を担当します。それから診療には保険薬剤師や保険医が従事することになる。大体療養の担当と診療に従事することは私は保険では一緒だと思うが、それがどう違うのですか、それを御説明願いたい。
○高田(正)政府委員 先生の御質問の趣旨がこちらでよくわかりませんので、大へん恐縮でございますが、もう一度。
○滝井委員 四十三条の四にありますが、保険医、保険薬剤師は診療または調剤に当る。医療機関は療養の給付を担当する。この療養の給付ということは、療養を担当することになるわけです。保険は診療がそのまま療養なのです。あなた方はこの「診療」と「療養」ということを使い分けているが、機関の場合は「療養」で、従事する保険医や保険薬剤師の場合は「診療」または「調剤」になっているが、どう違うかというのです。私はわからないのです。機関という——法律用語かもしれません。この前の毛利さんの話では蒸溜水のようなものなのです。その蒸溜水のようなものが「療養」という広い範囲のものを担当しておって、保険医という人格のあるれっきとした者が「診療」に当る、こうなっておるのです。蒸溜水の方が上手になっておるのです。これはどういうことかということです。
○高田(正)政府委員 お答えいたします。機関というものは一本にとらえておりますので、機関の方については総合的な意味で療養の給付を担当すべしという「療養の給付」という言葉を使ったわけでございます。それで前の方に医師、薬剤師というふうに個々につかんでおりますので、これはそれらの個人のなさる行為を「診療」と「調剤」に分けて書いたにすぎない、こういうことでございまして、言葉の使い方でございまして、特別に偉い、偉くないという区別をいたしたわけではございません。
○滝井委員 どうしてもそこらあたりが僕らわからぬです。療養の給付というのは保険医がやるのであって、蒸溜水がやるのではない。医者でない者が療養の給付をやったら、これは法律違反になるのです。どうもここらあたりがわからぬのです。考えれば考えるほどわからない。わからぬことば事実なのです。質問をするとあなた方もやはり戸惑うくらいのところでありますから、わからない。そこでわからぬところはわからぬで先へ進みましょう。与党のお方は修正するでしょうから。 次は指定医療機関をなぜ期間を二年にしなければならなかったかということです。これがまたわからない。しかも保険医の登録は期限はないのです。無期限なのです。機関は二年にしちゃっている。これがわからないのです。なぜ——悪いこともしないような保険医に一々二年々々とこうめんどうくさい、役人の人数をふやさなければならぬ、金のかかる仕事を貧乏な日本でふやす必要はない。それをふやせばふやすほど保険経済を赤字に追い込む。あなた方がこの法律を作ったということは、やはり保険経済を健全に発展せしめるために作ったと思う。悪いことをしない者は何年やらせておってもいいじゃないか。それをなぜ二年と区切らなければならぬかということです。その理由がわからない。それを一つ御説明願いたい。
○高田(正)政府委員 お答えいたします。私ども先ほど御説明をしましたように、保険医療機関の指定ということは契約と考えております。従いまして、契約には通常約定期間があるのが普通である、たださように考えて二年と考えたわけでございます。
○滝井委員 他の職業にこういうように期間を定めてやるものがあるかどうかということです。これは契約かどうかということについても、なおいろいろ疑問があるのです。あなた方は契約だとおっしゃっているが、七人委員会は必ずしも契約と断定していなかったと記憶しています。そこでこれは契約だからといって、この契約というものはきわめて形式的な契約なのです。むしろこれは契約だといって、保険医でなければ食えない姿が現在の日本の姿なのですから、それをこういうふうに二年にするところに、さいぜん私が御指摘申し上げたように、保険医の定員制の問題とからまってくる疑いが出てくるのです。これは前毛利さんもおっしゃっておりましたが、弁護士のようなものでも十年です。悪かったらいつでもその期間には首を切ることができるのですから、これは長いほどいいのです。長ければあなた方のそういう意図の疑われなくていいのです。だからその点はどうもおかしいということです。 それから、結核は療養期間が三年なんです。これは必ずしも一致しないかもしれません。しかしたまたま保険医になった医者に私が結核でかかった。そうしたら途中で医者が二年で切れちゃった。そして何かの間違いで登録の手続をしていなかった。あれは保険医じゃないといって、私はだめになる。そういうことも起り得るのです。いなかの保険医の中には、なかなか法律の知識もない人が多いので、登録の申請をしていなかったから、保険医でなくなった。保険医でなければ結核の申請はだめだ。こういうことにもなりかねない。だから私はこういう点はもっと——法律の改正には二つの面があります。内容の充実をする面と、運用をなめらかにする面とあるのです。今度はおそらく保険の運用をなめらかにするものだと思うのです。それなら、もう少し被保険者や療養担当者を考えた運用の面の規定をしてほしいと思うのです。これはこの前私が申し上げましたように、あなた方お役人がうまくいくことと、それから保険者がうまくいくこと以外には何もないのです。被保険者と療養担当者が便利になったという面はどこにもないのです。そういう改正です。だからこういう点は結核の関係等もありまして、どうしてもこれは二年にしなければならぬという理論的な根拠はないと思う。ただ、今の御説明では契約だから二年くらいだ、こういうきわめて腰だめ的な御説明があったのです。これをどうですか、政府はもっと長くする御意思はございませんか。
○高田(正)政府委員 お答えをいたします。弁護士は十年だというふうなお話がございましたが、これは私、弁護士の制度をよく知りませんけれども、弁護士がだれかと弁護の契約をするというふうな意味の十年ではなくして、弁護士の身分に関連したものだと思っています。従いまして、その方は、私どもの方は無期限でございます。 それから二年をもう少し長くする意図はないかという仰せでございますが、私どもとしましては、二年という期間は、個人をつかまえております場合には、個人にさような事情の変更はございませんけれども、機関の場合にはいろいろ事情の変更があると思いまするので、私どもとしましては、まず二年くらいが妥当であろう、かような認定をいたしておるわけでございます。御存じのように、薬事法等におきまして、薬局の登録でございまするとか、あるいは薬品の製造業の登録でございまするとか、さようなものはいずれも一年で更新をいたすという制度をとっております。まあ私は二年くらいが妥当であろう、こういう考え方のもとにこの法律案を立案しておりまするので、これをただいまのところ、より長くするというふうな意思は持っておりません。
○滝井委員 それによってお役人方がふえて、飯が食える道が開かれるでしょう。しかし国民の血税がそういうことでむだに使われることは、やはり行政簡素化の面からもわれわれは排除しなければならぬと思う。そういう面から考えても、この登録を長く延ばせば、それだけ事務が省けるのですから、そういう点からも——今事務の簡素化を盛んに鳩山内閣は唱えている。あなた方の省においても二割課がなくなってしまった。そういうことをやっているときに、事務をふやしていけば、また課をふやさなければならぬことになって、行政の簡素化にも逆行するうです。こういう点はもっとお考えになっておいていただかなければならぬと思う。 それから同じように、これは十ページの四十三条の五にあるのですが、二年を経過せざるときは都道府県知事は同項の登録を拒むことができるのですね。これもどうもおかしいのですね。期限を切ったという点については、その逆を言えば、いい点もあるかもしれません。しかしこれは切り捨てごめんということは、不正というような非常に広範囲な拡張解釈ができることで、保険医がやめさせられたり、医療機関が取消しになったりするのですね。それをこういうように一方的に、二年を経過しなければということでは、どうもこれも問題があると思う。おそらくあなた方は保険医の登録期間を二年としたので、連想的に二年というものがここに来たのだろうと思う。そのほかに何か根拠があればお示し願いたい。何かそこに根拠でもあるのですか。
○高田(正)政府委員 お答えいたします。医療機関の指定の期限を二年といたしましたことによりまして、人を増したりなんかすることは、全然考えておりません。 それから四十三条の五に二年とございますのは、これはこの規定をよくごらんいただきますれば御了解いただけると思いますが、最高二年ということでございまして、二年以下でもこれは登録を再びすることはできるわけでございます。こういう規定を置いておきませんと、行政庁が五年も六年もたった人に対しても登録を拒否するというようなことがあってはならないので、もう二年を経過したら、権利としてと申しますか、大手を振って登録してもらえるんだぞということだけは明らかにしたわけです。二年以下でもこれは登録はできるのでございます。さような意味合いの二年でございます。この二年とさっきの指定の二年とは全然私どもは関係づけては考えておりません。
○滝井委員 まあ犯罪か何かを犯した場合ならば、私はそれでいいと思うのです。ところがわずかの不正でもこれはやられる可能性がある。現実にやられている例もあるのです。そういう点で、二年ということになると、お役所というものはしゃくし定木に行きやすいものですから、みな二年になる可能性がある。そこでこういうものはむしろ政令か何かにゆだねて、これをもっと短くするような方向に持っていくべきだと思う。なぜならば、保険医の取消しをされたら医者は食うことはできないのですよ。悪いことをするやつは、これは私は切り捨てなければいかぬと思う。ところがそれは犯罪人ではない、ちょっとした悪いことをした人でもこれにはひっかかるのですから、そういう点でこれは考慮の余地がある。 そこでその次に移りますが、次に問題になってくるのは、たとえば健康保険の組合の病院、あるいは具体的に申し上げまするならば、大きな炭鉱の病院、こういうところの病院は現在一般の患者は見ておりません。今度の法律によりますと、当然これも指定医療機関になると思いますが、堂々と一般の患者も行って差しつかえないかどうか。
○高田(正)政府委員 お答えいたします。 従来の規定によりますと、いわゆる保険医でない、保険者の指定するものというのが非常に実は広くなっておったわけでございます。まず今先生がおあげになりましたような、事業主の病院でございますとか、あるいは健康保険組合の病院でございますとか、そういうふうなもののほかに、御存じの公立病院すなわち国立、都道府県立、それから市町村立、そういうふうな、勤務しておる方々が公務員法の取扱いを受けておるような病院でございますとか、いろいろ範囲が広がったわけでございます。ところが今回のこの四十三条の規定によりますと、これを一号に含めます。すなわち従来別扱いなっておりましたものも全部保険医療機関、保険薬局というふうにして、一般の開業の方々とほとんど全部同じような扱いに持ってきたわけであります。原則として、保険者の指定するものという従来の別扱い制度は残さぬことにいたしまして、一般に開放されておるものは全部この一号でいくということに、この法律の建前をいたしたわけでございます。ただ二号、三号を残しましたのは、これは特殊な、今御指摘のように、事業主の病院すなわち何々公社が自分の従業員の診療をなすために設けておる病院、あるいは三号は、これは何々会社でなくして、何々会社の健康保険組合が設けておる病院、こういうふうなものは建前上一般に開放をすることは本旨といたしておりませんので、これは別の扱いにする、こういうふうに実はいたしたわけでございます。しかしながら、これらの病院が一般の患者をも受けるか受けないかということについては、それぞれこれらの病院の経営方針なり、あるいは医療法、その他医療行政の面からいろいろ考慮さるべき問題でございまして、建前上は一般の方々を受けなくてもいい病院という建前になっておりまするので、二号、三号を残したわけでございます。大部分は一号に持っていったわけでございます。
○滝井委員 そうしますと、この四十三条を見ますと、「第一項第一号乃至第四号ノ給付ヲ受ケントスル者ハ」すなわち療養の給付を受ける者ですね。「命令ノ定ムル所ニ依リ左ニ掲グルモノノ中自己ノ選定スルモノニ就キ之ヲ受クルモノトス」というようなことから、たとえば私なら私が二号なり三号というものを選定して、たとえば三号の健康保険組合たる保険者の開設する病院に行って、私が保険証を出して受けることができる建前ではないのですか。そうではないのですか。そうだとしか読めないのですがね。
○小沢説明員 お答えいたします。この二号、三号というのは、その会社の経営する、先ほどの御例示の炭鉱の病院の場合に、特定の被保護者のための診療というものを行うような病院でなければいかぬわけでございまして、今先生のおっしゃったように、被保険者はこの三つのうちからどれでも自由に選択できるんだとおっしゃいますが、もしも二号、三号に該当するようなところに、それと全く無関係な私なら私が選定をして、診療を受ける場合に、そこがもしも第一号の指定を受けてないという場合には、これは療養の給付を、保険医療機関としての請求をしたり、あるいは給付を受けんとしたりするということができないわけでございます。従いまして、二号の中で特に一般的に開放されておるような、余力があって他の被保険者のためにも開放しておるようなところがありましたならば、それは当然一号の規定による保険医療機関としての指定を受けなければいけないことになるわけでございます。そういうことでございます。
○滝井委員 どうもちょっとわからぬですね。そうしますと、保険医療機関は三通りあるということになるわけですね。一号のものと二号、三号のものと。そういうことですか。
○小沢説明員 二号三号は保険医療機関ではないのでございまして、保険者の指定する病院または診療所であるということになるわけであります。それから三号は組合のいわゆる医局ということになるわけでございます。保険医療機関というのは、一号だけでございます。たとえばそういうように二号三号のようなところで、もしも一号の指定を受けなくても一般の人がどんどんそこに行って保険診療を受けられる、またそれに伴う保険の請求を許しますと、いわゆる一般の保険医療機関との関係からいって不合理が出て参りますので、その場合には必ず一号の保険医療機関の指定を受けまして、この健康保険法に基きます保険医療機関としての正しい一部負担の義務を負うということになるわけであります。
○滝井委員 そうしますと、「四十三条に次の一項を加える。」というところに「命令ノ定ムル所ニ依リ左ニ掲グルモノ中自己ノ選定スルモノニ就キ之ヲ受クルモノトス」と書いてあるから、選択の自由が与えられておるわけです。あなたのような御意見になると、一号のものでなければ、二号三号はだめだということになれば、選択の自由はないじゃありませんか。
○小沢説明員 ある病院が一の指定を受けており、ある病院が二号の指定を受けておる。そうすると、おっしゃることは、そのうちのいずれをも選択できるという自由があるように書いてあるのに、その場合に二の病院が一の指定を受けていない場合には選定できないじゃないか、従って本文に「左ニ掲グルモノノ中自己ノ選定スルモノ」とあるけれども、しかし自由ではないじゃないかというお尋ねだろうと思います。これは一号の中についてのどの病院を選ぶか、あるいはどの保険医療機関を選ぶかということの自由でございまして、もし先生のおっしゃるようなことを許しますと、たとえば事業主医局があった場合に、その付近の開業医の方が保険医療機関であるというような場合には、それに自由に行けるというようなことになり、しかも自由に選定される事業主医局というものは、保険医療機関でないために、保険医療機関が守らなければいかぬような担当規定、そういうワクから割に自由にできる、そういうものが同じような対等なことになっておりますと、一般の保険医療機関との関係で不公平になるだろう、こういうことで私どもとしては、一般に開放するものについては必ず一つの保険医療機関としての指定を受けるように考えたわけでございます。
○滝井委員 あなたは「左ニ掲グル」の左は、一号だけにかかって、二号三号は関係がないように言われるけれども、この条文はそうは読めませんよ。
○小沢説明員 おっしゃるように、本文では各号につきそのうちで自由にというふうに書いてございませんので、それは一号、二号、三号に該当するそれぞれの病院を自由に選べるようになっておりますが、たとえば二号の病院を選んだ、あるいは一号の病院を選んだというような場合に、二号の病院で、もしもそれが非開放性、いわゆる閉鎖性の、結局ある会社の診療所でその会社の人だけしか見てないというようなものを選ぶという場合には、その病院は当然特に指定を受けなければならぬわけであります。もしも一つの指定を受けてないとすれば、それは当然その会社の人たちのための病院でございまして、その他の人は見ないという医療法上許された病院でございますので、従ってそういうようなときには、選ぶことはできますけれども、それはいわゆる保険医療機関としての請求の対象にはならない、こういうことになるわけであります。
○滝井委員 もちろんこの条文は今のように御説明をいただけるけれども、法文の体裁からいってもちょっと私にはわかりかねる。そうしますと、健康保険組合の病院は、この条文から見ると保険医療機関ではないということになるわけですね。同じ社会保険を扱い、同じ健康保険法の管掌下にある病院が——一方単に普通の開業医か、あるいは公的医療機関に入らぬものも出てくるかもしれませんが、そういうものだけが保険医療機関であって、大事な三百五、六十万の人を扱う健康保険組合の病院が保険の医療機関でないなんということになると、ちょっとおかしくなるのです。しかも選択は自由にどこまでもしなければならぬ、そうなるからこそ、開業医と健康保険組合の直営診療所がだんだん離れていく形になってくる。私はどんな事業所の病院だって——特定の被保険者のための診療または調剤を行う病院というものがよくわからぬのですが、そういうものが保険医療機関でないということになったら一体何ですか。
○小沢説明員 ちょっと私の説明に誤解を与えるようなあれがありましたが、私なら私という被保険者が一、二、三号のそれぞれの医療機関を選ぶことができるわけでございますけれども、ただ二は当該保険者の指定したものでございますから、私という被保険者の所属する保険者の指定した病院でなければ、それが二号の病院として私が選び得ないわけであります。私は一号、二号、三号のそれぞれのものを選ぶことができますけれども、自己の所属する保険者の指定したものでなければ二に該当しないわけでございますので、その点はそのように御了承願います。
○滝井委員 そうなると大へんなんですよ。そうなると労務政策が保険医療に来るのです。今まで労務で保険証を握り、おれの指定した病院以外は行くことはできぬ、こう言った。そして患者は高田医院に行きたいと思っても保険者が指定していないから行けない。そうしてこれでいわゆる受診の制限をやった。今のあなたの御説明は当該保険者の指定したもの、こういう意味にとれますよ。
○高田(正)政府委員 お答えいたします。だいぶ誤解があるようで、説明もまずいせいだとも思いますが、十分誤解を解いていただきたいと思います。私なら私が何々健康保険組合の被保険者であったといたします。これは一号の一般的な病院、これは従来と違いまして大学病院でも、それから国立病院でも、公立病院でも一号の保険医療機関ということになるわけでございますが、そこへ行けるわけでございます。従いまして、先ほど健康保険組合が三百五十万の所属被保険者を持っておって云々という仰せでございましたけれども、健康保険組合の組合員といえども、健康保険組合自体が経営しております病院に行く場合よりは、むしろ一般の保険医療機関に行く方が多いわけでございます。それはちっとも拒否されておらないわけでございます。それで健康保険組合の経営する病院をなぜ別扱いにしたかといいますと、私どもとしては、あらゆる医療機関を従来と違って全部一号で同じような扱いにしていきたいという希望を持っておるわけでございます。ところが健康保険組合が経営しております病院というものは、法律上の立場が非常に違うわけでございます。これをもう少しわかりよく申しますと、健康保険組合というものは、被保険者に療養の給付をなすことを目的にしておるわけでございます。それでその給付をなすことを目的にしております健康保険組合が一つの病院を経営しておりますと、そこに行って見てもらった場合には料金の問題等は起らないわけでございます。自分の病院でございますので、自分の従業員の賃金だけを払っておきますれば、一般の他の病院にかかった人と同じように自分でそれだけの金をその病院に払って、自分がまた取るという関係になるわけです。ですから、そういう必要がない、だから法律上料金問題というような問題が起ってこないわけでございます。従ってそういうふうな法律上の立場が違いますので、そういうふうな取扱いをしたわけでございます。しかしながらその組合の設立しております病院といえども、他の被保険者を見ます場合には、これは当然他の組合からその病院の経営者である組合に料金を払わなければならぬという問題が起って参ります。従ってそういう場合には一号の医療機関としての指定を受けてもらわなければ他の組合の被保険者は見られない、こういう建前に相なっておるわけでございます。 要は、私どもの意図しておりますこの条文の改正といたしましては、一般に開放されておるもの、従来のように保険医以外の保険者の指定するものというものが非常に広範に認められておりましたものを、もう全部一号で平等の扱いにして参りたい、こういう意図で立案いたしまして、それらの、法律上そういうものとどうしても同じように扱うことのできない理屈のあるものだけを二号、三号に残したような格好にいたしておるわけでございます。
○滝井委員 あの説明は現実の問題を御説明したので、実は私よくわかるのです。組合が管掌しておる病院ならば、その組合に所属する労働者は組合の病院に——あなたは逆をおっしゃいましたが、そこに当然多く行くのです。そうして開業医になかなか行かない。なぜならば開業医に行くと、結果的には医療費が高くなって、組合の経済は悪くなるので、労務でぴちっと保険証も押えてしまって、なかなか出さない。こういう政策を労務政策の上からどの工場、鉱山でもとりがちです。とっておるとは断言しませんが、とりがちです。それはよくわかる。ところがその場合に、私が今お聞きしているのは、その組合の作っておる直営の病院というものは保険医療機関がどうかということを尋ねておる。この条文には、医療機関ではないということになるのです。それからいま一つは、この二号はどういうことか、これを一つ具体的に御説明を願いたい、こういうことなんです。二号、「特定ノ保険者ノ管掌スル被保険者ノ為ノ診療又ハ調剤ヲ行フ病院若ハ診療所又ハ薬局ニシテ当該保険者ノ指定シタルモノ」。たとえばこういうことかと思います。Aという人が経営をしておる炭鉱の病院、そこに今度は当該、というのはBということになるのですが、Bという別の人がそれを指定した。Bいう人がAというその炭鉱の病院に、一つおれの炭鉱は診療を委託しようということでやる、こういう意味なんですか。二号は、保険診療を委託するという形のものなんですか。二号はよくわからないのです。
○高田(正)政府委員 Aという会社の病院に対して、Bという会社の健康保険組合が診療の委託をするということも、この二号で読めるわけでございます。それから、滝井先生の仰せを全般的に拝聴いたしておりまして、このことを申し上げましたらばあるいは誤解が解けるのではないかというふうに私が考えますることは、二号、三号は保険医療機関という法律上の整理はいたしておりませんけれども、あとの方の条文におきまして、二号、三号の医療機関におきましても、保険医療機関と同じような義務とかなんとかというものはそれぞれ適当に受ける準用をされておる規定がございまので、二号、三号になったからといって、一号と別個に、保険医療機関にならぬからといって、野放図にこれが経営され、保険診療を行うというものでないことは、あとの方に準用がいたしてございまするので、申し上げておきたいと思います。
○滝井委員 そうしますと、今のようなAという会社の病院に、B会社の健康保険組合が診療を依願しますね。そうすると、これはBという会社の健康保険組合が一般の医療機関に診療を依頼した場合と結果的には同じなんです。変らない。そうしますと、当然A会社の病院というものは二号の保険医療機関でなくちゃならぬはずなんです。ところが、いろいろ準用するかもしれないけれども、それは保険医療機関という項目にはなっていない。一号には、以下薬局と称し、二号、三号はなっていない。それで準用されるとこうおっしゃいますけれども、健康保険組合というものは、今自己の組合員以外は、一般診療を現実においてはやっておるのです。普通の金を取るのです。慣行料金と申しますか、現金を取るのです。自由診療なんです。この法律の建前は、現実においてはこれは保険医療機関ではなくなってしまうのです。そうしますと、政府管掌とともに、日本の社会保障の一方の大きな柱をなす健康保険組合というものは、これは社会保障の中から埋没してしまう。消えてしまう。そうしてこちらだけがぐっと出る。こういうことなんです。一号だけが強く出てくる。こういう格好にならざるを得ないと思うのですが、どうもここらの法律の立て方がどう読んでみても私にはわからないのです。この条文を読めば読むほどわからない。Aという政府管掌の被保険者というものはどこでも行けるような格好になっておるんだが、実際には一号だけだ、こういうことなんです。現実には一号だけですね。だからおそらくその現実を書いたんだと思うんですが、それは法文からは読めないのです。だからここらあたりは、きょうぐずぐず言ってもしょうがありませんから、もう少し考えて、修正されるなら修正されるように、わかりやすくしていただきたいと思います。
○八田委員 関連して。今滝井委員から、二号、三号の問題についていろいろ疑問があると言われたが、実は私もこれには疑問がある。というのは、「命令ノ定ムル所ニ依リ左ニ掲グルモノノ中自己ノ選定スルモノニ就キ之ヲ受クルモノ」としますと、保険診療機関を限定されておるようなものですね。そうしますと、非保険医に受診したる場合、四十四条の規定に抵触するようになってくるわけですね。被保険者は一号、二号、三号の診療機関だけでみてもらえという限定的な条文に解釈されるわけです。それでは非保険医にみてもらった場合には一体どうするんだ。そうすると四十四条の規定と抵触するように考えられるのですが、その点どうですか。
○高田(正)政府委員 四十三条に一、二、三号と三つ規定がしてある。それでこれだけで、ほかにはかかれないというふうな規定に読めるという仰せでございます。それはまさしく、療養の給付を受けるには一号か二号か三号か、これだけで療養の給付が受けられるわけでございます。ところがこの範囲は従来とちっとも変っておりません。ただ変り方は、先ほどから私がたびたび申し上げておるように、従来は、保険者の指定するものということで、保険医以外の方がたくさんあったわけです。ところが今度はできるだけ全部、一般に開放されておるものは保険医療機関ということに、一般の開業医さんと同じ取扱いをしていこうということにいたしまして、法律上の立場が違うので、どうしても同じ扱いができないというものだけを二号、三号に残したわけでございます。だから全体の範囲は従来と違わない。ただ従来はこれだけが保険医の扱いを受けておって、これだけが保険医の扱いを受けていないというのを、今回は、こちらの方をなるべく狭くいたしまして、法律上地位が違うのでやむを得ないものだけにいたしまして、そうして全部保険医療機関という一本にいたした、一号に全部いたしたということでございます。しかもこの残った分につきましては、準用規定で、こちらのいろいろな負うべき義務をこれにも課しておる、こういうことなんです。 それから、今の八田先生の四十四条の療養費払いとの関係でございますが、これは何ら矛盾はいたしません。療養費払いというのは、こういうふな保険の療養を担当していただく医療機関に事情があってかかれなかった場合に、法律がこういう場合、ああいう場合と限定をしまして、療養費払いができるという規定があるわけでございます。従って、この保険医なり、「保険者ノ指定スル者」と、従来はそういうことになっておりましたが、それと従来の療養費払いの関係は、今回の四十三条の一号から三号までの医療機関とそうでない医療機関、すなわち四十四条との関係と何らそこに変更は加えられておりません。従いまして矛盾はございません。
○佐々木委員長 午前中はこの程度にとどめ、午後三時半まで休憩いたします。 午後一時三十一分休憩 ————◇————— 〔休憩後は開会に至らなかった〕