社会労働委員会 第12号
- 発言数
- 66 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1956/03/05
会議録
○佐々木委員長 これより会議を開きます。 この際お諮りいたします。理事八木一男君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐々木委員長 御異議なしと認め、辞任を許可することに決しました。 つきましては理事に欠員が生じましたので、その補欠選任を行わねばなりません。選挙の手続を省略し、委員長より指名するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐々木委員長 御異議なしと認め、理事に岡良一君を指名いたします。 —————————————
○佐々木委員長 内閣提出、健康保険法等の一部を改正する法律案、厚生年金保険法の一部を改正する法律案及び船員保険法の一部を改正する法律案の三件を一括議題とし、質疑に入ります。発言の通告がありますので順次これを許可いたします。中村三之丞君。
○中村(三)委員 私は去る二月十五日の委員会におきまして、一省の大臣並びに事務当局が一つの法律案をお出しになる場合は、その政治的、社会的情勢を考えていかなければ障害にぶつかるということを申し、二年前の繊維消費税の例を引きまして一つの勧告をいたしたのであります。それはこの際一部負担の拡大案を引っ込められたらどうか、また新医療費体系は目下中央社会保険協議会に諮問されておるが、なお各方面、ことに医師会、学会等の意見を聞く意味においてこれを撤回し、かすに審議の時間をおとりになるという方法が最も賢明ではないかという意味を申し上げたのであります。しかるに政府は自信あってのことか、この改正法律案をお出しになり、さらに目下新医療費体系は諮問中であるようでございます。しかるに私の申しました社会的、政治的情勢は少しも緩和の兆を見ておりません。中央地方を通ずる医師の団体は最後の決意を示して、こういう法律案、新医療費体系が実行の端緒を示した場合は総辞退の決意をする、こういうことを言っておる。これはおそらく示威運動でもなければ、また一時の考えでもあるまいと思う。全国の医者の諸君が真に自己の生活、自己の立場を深刻に考え、最後の決意をしておられるものと私は判断するのであります。もし総辞退のようなことになりますならば、社会保障制度の大きな柱である健康保険の制度は、一時その運用を停止するの事態になるといわざるを得ません。 そこで厚生大臣は、まずこの新医療費体系に対してもっと慎重にするために、方法として一応撤回する、そして私の申します各方面の意見を聞いて、これをもっと摩擦のないようにやっていく、そういうお考えをお持ちですか。医薬分業法は実施も迫っておるから、この際いかなる障害を排しても、いかなる反対があろうとも、これを断行するというお考えであるか、これを伺っておきたいのであります。
○小林国務大臣 中村さんの御意見につきまして、私の今日の考え方をお答えいたしたいと思います。 四月一日から実施されようといたしております、いわゆる医薬分業の問題に関連をいたしまして、厚生省といたしましては、かねて、新医療費体系を発表いたしましたことは御承知の通りでありますが、この新医療費体系につきましては、今中村さんからお説の通りに、いろいろの議論が全国的にもさまよっておることは私もよく承知いたしております。しかしこの新医療費体系の問題につきましては、私が衆参両院の当該委員会におきましても、たびたび申し上げておりますように、最初から新医療費体系並びに新しい点数を実施するということは、これは関係者にとりましては画期的な問題でございますから、厚生省がいいと思っておりましても、あるいははたから見ればいろいろな弊があると思うのでありまして、この点につきましては、私どもは今日まで関係団体あるいは関係者各位の意見を十分聴取いたしまして、厚生省が作業いたしました新点数表において欠くるところがあれば、これを訂正するにやぶさかではないという態度で今日まで参っておるわけであります。今日、御承知のように、医療協議会におきましても審議中でございますし、また四月一日のいわゆる医薬分業を実施する時期というものも、今日相当切迫をいたしております。これにつきましても、前もって周知方の必要もあると思います。私はこの問題につきましては慎重に考慮いたしまして、今日までに私がお目にかかりました関係者の人々は、ほとんど千人にも達しておると思っております。いろいろの意見も承知いたしております。またこれに対する省内の意見につきましても、私はいろいろ検討いたしております。いずれにいたしましても、この問題は医薬分業を実施する上におきまして大きな問題でございますので、私といたしましては、できるだけ早く慎重に考慮いたしまして、最後の決定をいたしたいと思っております。
○中村(三)委員 私の漏れ承わるところによりますと、中央社会保険医療協議会においては、その審議はなかなか進んでおらないようであります。これは故意に延ばしておるのではありますまい。重大な問題でございますから、慎重に審議をしておられるものと私は見るのであります。そこで医薬分業法と可分であるか不可分であるか、その論議は別といたしましても、現在の新医療費体系を——かりに医薬分業を四月一日にやらなければならぬといたしましても、これがもっと延期されて、完全なものとされ、各方面もこれに異議ないという態度をおとりになってからでも差しつかえないじゃないかと思う。これを医薬分業と結びつけられるということは当局のお考えもあると思いますけれども、これを切り離してもっと慎重審議をして、摩擦のないようにしても私は差しつかえないのではないかと思うのであります。この点につきまして、慎重に考えると厚生大臣はおっしゃっておりまするが、慎重におやりになるということは私は悪いとは申しませんが、この社会情勢、政治情勢というものをよく見てお考えを願わないと、慎重に慎重にといってそういう非常事態ができました場合には、厚生大臣は医師の総辞退による健康保険事業運用の障害に対する責任を負わなければならないようになるのではありませんか。この点はよくお考えになって厚生大臣が適切なる処置をおとりになることを、われわれ与党として切に望まざるを得ないのです。 次に、私は先般の質問におきまして、健康保険の赤字は、いろいろの原因もあるけれども、保険行政に見通しが誤まった点もある、錯誤もある、その結果は、厚生保険特別会計の健康勘定における不均衡が出てきたのである、この点は将来大いに反省してもらわなければならないということを申し上げたのであります。私は標準報酬の引き上げはやむを得ないと思います。これによって数億の財源を得られることは、やむを得ないと思うのでありますが、さてこれを引き上げてみたところで、その標準報酬の報酬月額の実態調査というものが十分でなかったならば、これはまたぞろ赤字を生ずるに至る、アンバランスを生ずるに至る。そこで私は会計検査院の昭和二十九年度決算検査報告の百二十九ページを援用いたします。これによりますると、昭和二十九年度健康勘定の損益計算によると、差引四十億二千七百余万円の損失となっておるが、なお、貸借対照表において資産に計上された保険料の未収金中今後の処理いかんによっては不納欠損となるおそれのあるものが十一億一千七百余万円あるというのであります。多額の不納欠損を示しております。これは保険料の徴収に関して、適用事業所に対する報酬月額の実態調査が不十分であるため保険料の徴収不足を来たしているものが少くないと、会計検査院は断定をいたしております。また、保険料の収納が適切に行われないため、収納未済額が三十五億九千九百余万円、うち二十九年度分十八億一千四百余万円の多額に上り、そのうち不納欠損となるおそれあるもの前記の通り十一億一千七百余万円あるというふうに出ておるのであります。そこで私どもは決して故意に保険行政の上に錯誤があったということを申すのじゃない。会計検査院みずからその事実を指摘しておるのであります。厚生大臣は、この報酬月額の実態調査が不十分であったという過去の事例はこれはお認めにならなければならない。お認めになりますか。そうしてそれを認めた上で今度法律案でこの標準報酬引き上げをしてもらった場合は、予定の七億でございますか、この数字を上げるために実態調査について具体的に十分な方法を講ずるということをここで示してもらいたい。
○小林国務大臣 今の中村さんのお示しになりました会計検査院の調査報告、これは単に健保であるばかりでなしに、あらゆる面におきましてこういう情勢にあります徴収というものは、多少の滞納が年々累積してくるということはあり得ると私は思います。ただ健康保険におきましても、歳入というものに対しましては収納率は大体九二%、あとの八%はやはり来年に滞納が行われる、しかし滞納がいつまでも滞納になるのではなぐ、やはり前年の滞納がその翌年とれる、あるいは前々年の滞納がその翌年とれるというように順繰りになっておるのであります。いずれにいたしましても、こういうふうに大衆を相手に徴収しておるような会計におきましては、多少の滞納が次々と回ってくるということはあり得ることだと思います。
○中村(三)委員 この滞納と申しますか、収納率があまりよくない、不納欠損が十一億もあるということをあなたは遺憾であるとお考えになりませんか、当然だと思われますか。
○小林国務大臣 中村さんのおっしゃる通りに、そういう数字が出るということははなはだ遺憾でありますけれども、しかし事業の性質上そういうことはあり得ることだと存じております。
○中村(三)委員 遺憾であるとおっしゃらなければならないのですが、現に厚生省の弁明書に遺憾であると頭を下げている。悪い点ならば遺憾であるとおっしゃればいい。なるほど租税にも滞納がございます。それはあなたに聞く問題じゃない、大蔵大臣に聞く問題です。あなたは厚生大臣でいらっしゃいますから、この問題を取り上げたのである。過去にそういう点のあったことは遺憾である、今度標準報酬を引き上げてもらった場合は、実態調査に万遺憾なきを期したい、こういうふうに言っていただかなければ、私どももこの法案の審議をスムーズに考えることはできません。そこで、こういう検査院の報告があって、事実不十分であると言われますから、事務当局はこの報酬月額の実態調査を十分にするに、今後いかなる具体法案をお持ちであるか、これをここでおっしゃることが、この健康保険改正法律案にある標準報酬引き上げ問題と私は関係してくると思うのです。これを一つ具体的に示していただきたい。
○高田(正)政府委員 中村先生御指摘のように、標準報酬の実態を的確に把握いたしますことは大へん必要なことでございます。実は過去においてもこの点ずいぶん努力をして参っておるわけでございます。ことに本年度等においては、それぞれの事業所に対して、実地にそこへ参りまして、賃金台帳をひっくり返しましたり、あるいは税務資料との突き合せをいたしましたり、いろいろ努力をして参っているのでございます。しかし人手の関係その他で十分に参りませんので、実は来年度以降におきましては、若干の増員をお願いいたしまして、約三百名程度でございますが、常時この事業所等を巡回いたしまして、さようなことを専門にいたす職員を増員いたしたい、かように考えている次第でございます。これが昔にもありました制度でございまして、これがまた実現をいたしますならば、ただいま御指摘の標準報酬の適正な把握ということに相当に寄与いたすものと私どもは期待をいたしているのでございます。なお収納率の点でございますが、大臣がお答えになりましたように、本年度までは実態が平均して大体九一・五%程度に相なっております。これを分折いたしますと、現年度の保険料の収納率は大体九五・五%程度に至っております。ただ問題は過年度の保険料の徴収でございまして、これは先ほど大臣が仰せになりましたように、政府管掌の健康保険の適用事業所は、御存じのように中小零細企業が多いものでございますから、その事業所が消滅をいたしましたり、どこへ行ったかわからなくなるというふうなこと等もございまして、これが十分の成績を上げておらないために、平均いたしますと、過年度も含めて九一・五%程度の成績に相なっておるわけでございます。来年度はこの面においても勉強をいたしたいという予定で、現年度を九六・五%という収納率を見込んでおります。それで平均をいたしまして、九二%程度の収納率を上げたい、かように存じているわけでございます。 なお過年度の保険料の取り立てに関しましては、従来強制執行を行いましたような場合に、保険料の先取特権の順位が、実は非常に下の方にございまして、せっかく強制執行の手続き等をいたしましても、ほかのものにみな持っていかれるというような非常に情ない状態でございましたので、今回の法律案の改正では、先取特権の順位を少し上げていただくような改正も含んでおります。かようなことも過年度の収納率の上昇につきまして寄与するものと存じます。なおさらに法人が合併をいたしましたり、さような場合にも、その合併された法人に対して保険料の過年度分を取り立てる権能等を今回の法律案の改正でお願いを申し上げているようなわけでございます。かようなこととも相待ちまして、私どもの行政努力によりまして御指摘のようなことが少しでも解消いたしますように努力をいたしたいと考えている次第でございます。
○中村(三)委員 その努力が大へん健康保険の事業運営に必要なんです。赤字を少くしていく。赤字が何十億あるといって、不納欠損十億といってもこれは通じませんと私は思います。この点特に努力をしていただく。それに関連して、一つ生活保護費の問題があります。生活保護費の最近の情勢は、統計によりますと、医療扶助というものが非常に多くなっている。これは最近における生活保護費の種類別における一つの特色なんです。これはおそらく結核なんというようなものと思われますが、そこで問題はこの生活保護法による公的扶助が適正ではないという事実がある。すなわちみだりに給付しているというのもあるようです。専門家は乱給という言葉を使っておられる。同時に給付しなければならぬものがもらっておらない。漏れている。漏給という言葉を専門家は使っておられるのである。つまり健康保険に乱診乱療の問題がある。生活保護費に乱給漏給の問題がある。どうもむずかしい言葉で私どもも一ぺんに覚えられないのですけれども、こういう問題は解決しないと、またぞろ健康保険における赤字はやっと減ったが、生活保護費における赤字がまた出てきて、現に会計検査院の調査課から出された文書を見ましても生活保護費が二億の赤字を出している。医療費の国が負担しなければならないものの繰り延べられているのが八億あるということをいっている。こういう生活保護費に対する状態に対して、事務当局はどういうふうに対策を講じられますか。そうせぬとまたぞろ問題が起ってくる。その現状と、それからそういうようなことのないようにどうするかという、ことに乱給漏給をどうしてなくするようにするか、こういうことをここで私はあわせてお伺いいたしておきたい。
○中山(マ)委員 関連して。今生活保護費の問題が取り上げられたのでございますが、今度もし一部負担が政府がおっしゃる通りに行われるとすれば二十三億の赤字は解消する、こういう建前でもってこれを提案していらっしゃるようでございますが、今生活保護の問題で二億あるいは八億の繰り延べがあるというお話もございましたが、私も思い出しますのは、厚生省におりましたときにいわゆる民生委員は半分は婦人にしてもらいたいということを申し出まして、次官通牒でもってそういうことを流していただいたことがあるのでございますが、私はその後いろいろ生活保護の問題を見ておりますと、どうも納得のいかない点がこの問題で多々出てきておるのでございます。この間引き揚げのいわゆる留守家族の援護を三年間延長するというあの法案がここで問題になりまして、これはおかげさまで通過いたしたのでございますが、そのときにいわゆる第三国人に対して生活保護関係で非常に残酷なことをしておるというような御発言が社会党側からあったのでございますが、婦人民生委員とこれと関連して考えますと、今全国に第三国人というものがどれくらいおって、これに対する生活保護はどれくらいあるのか、またどういうふうな方式でその人たちの生活扶助の調査が徹底しておるか。非常に乱暴なことをして気の毒な目にあわしているという御発言がある、片方におきましては、私が地方から聞きました点では、相当な収入があってもらわないでもいい第三国人に対して相当の生活扶助が出ている、いわゆるこれは乱給でございましょう。片方におきましては、もらわなければならない邦人たちが、過去の時代に相当な生活をしておったためにそういうものをもらうのは恥かしいという点でよう申し出ない、いわゆる漏給というのでございます。そういうもののあるということを聞かされておりますが、こういう点でどういう御調査を当局ではやっていらっしゃるのか、まずそれだけ聞かしていただきたいと同時に、また外国の例を一つ聞きたいのであります。第三国人に対して生活保護をしております国がどれくらいあるものでございますか、それも一つ聞かしていただいて参考にいたしたいと思います。私が言わんとするところは、二十三億円というものとどういうにらみ合せになるかということなのでございます。
○安田(巖)政府委員 中村先生の御質問にまずお答えいたしますが、これは全く先生の仰せの通りでございまして、生活保護は、これは国民の最低生活を保障するという点で乱給もあっていけず、漏給もあっていけないわけでございます。私どもいろいろ努力はいたしておりますが、やはり人のやることでございますので、若干の乱給あるいは漏給があるかと思いますが、そういうことのないように実はせっかく努力をいたしておるわけであります。ただいま赤字があって支払いが繰り延べになっているじゃないかというふうなお話がございましたが、これはこの国会で補正予算を通していただきまして、二十三億五千六百万円ほど三十年度の保護費につけ加えられましたので、この点は全部解消いたしております。 なお仰せの通り生活保護の内訳で申しますと、生活扶助、つまり生活費の扶助の方は大体もう横ばいでございまして、それほどの高下がないのでございます。ところがただ医療費の扶助だけがだんだんと増加の傾向にありまして、そのおもなるものはやはり結核でありますとか、精神病でありますとか、そういったような入院費の増大ということがあげられるかと思うのでございます。目下のところ月に大体十八億から二十億、これは季節的な多少の変動がございますけれども、医療扶助の費用というものは十八億から二十億くらいになっております。いろいろ申し上げましたけれども、今後とも乱給、漏給のないように努力をして参りたいと思っております。 それから中山先生の御質問の民生委員の問題でございますが、これは私どもも婦人の方にたくさんなっていただくことを希望いたしております。しかしこれを法律や規則でもって、民生委員の何割は婦人委員でなければならないときめるわけにもいきませんので、そういうような通知は出しておりますが、現在のところ全体で十二万五千人の民生委員の中で、二割五分が婦人の民生委員であります。しかしこれも戦前に比べますと、はるかに多い数字でございまして、いろいろ先生方の御努力によりまして、まただんだんふえることを希望いたしておる次第であります。 それから朝鮮人の方の保護の問題でございますが、これは現在朝鮮人で保護を受けておりますのが十三万七千二百一人でございます。現在朝鮮人の登録人員が五十七万千百六十八人でございますので、二四%に当っております。御参考までに日本人の保護率はどうかと申しますと、大体千人で二十二人でございますから、ちょうど十倍の率になっております。この一カ月間における保護費が大体二億一千万円でございますから、保護費の月額のうちで五、六%を占めておるということになるわけであります。これは外国ではどうかというお話でございますが、日本におきましても出入国管理令によりますと、生活の困窮者であるとか、あるいは犯罪を犯したというような者は送還できることになっておるのでありますから、大体外国ではそういう場合には送還するということになっております。しかし御承知のように、今のような日韓両国の関係でございまして、そういったことがまだできないような状況でございますので、私どもといたしましては、法律の根拠はございませんけれども、日本人に準じた取扱いを生活保護法でやっておるのであります。なおこの問題について乱給が相当あるのじゃないかというお話でございましたが、私どももそう考えております。これは最近もいろいろ調査をいたしておりますけれども、従来は、終戦後のああいうふうな状況がずっと続いて参りまして、ともするとそういう部落地帯に対する立ち入り調査をいたしますのが円滑に行われなかったうらみがございまして、今回やってみましたが、やりましたところは二割なり、三割なりは打ち切れるのじゃないかという結果が出ております。 以上でございます。
○中山(マ)委員 もう一点。御答弁を聞いておりましたが、月に二億ということになりますと、はっきり年に二十四億ということになるように思うのでございますが、私が先ほど婦人民生委員の問題をこれにつけて申し上げましたことは、一方の方から民生の安定ということについて御婦人方にお世話をしてもらわなければならない、ここでは申せませんけれども、そういうようなことがあってこういう申し入れをしたのでございますけれども、十分の調査ができない、上げないでも済むような人たちにまでも与えられておるという理由と婦人民生委員とをくっつけて申し上げたのです。私の思っておることは大体お察しいただけると思うのでございますが、ほんとうに与えるべき人にいっておるか、いかないかというその調査の点でございます。それは十分調査をした上で民生委員がやっていて下さるのか、あるいは軽い気持でもってやっていらっしゃるのか、あるいはそうしなければならないような状況に追い込まれてやっていらっしゃるのかということが私の知りたい問題でございまして、この辺をしっかり調べて、もらわぬでもいい人にやらないようにいたしましたならば、この二十三億という健保の赤字は、一般の人たちに負担をかけないでも、けっこう皆さん厚生省においても御心配なしに、楽に、これから出てくるお金でもってやれば済んでしまう、こういうような考えも浮んで参りますので、実はこの問題をお尋ねしておるわけでございます。十分な調査をして、実際気の毒だからこれはやらなければならぬというところでやっていらっしゃるのか、あるいは調査不十分という点があることを、私は近畿の問題についてはちょっと聞き込んだことがございますので、こういうことをお尋ねをするわけでございます。
○安田(巖)政府委員 健保の二十三億の赤字とどういう関係か私よくわからないのでございますが、いずれにいたしましても先ほど中村先生からもお話がございましたように漏給乱給があってはよくないことでございまして、十分調査をいたしまして支給をするとしうやり方をいたしたいと思います。実情を申しますと、生活保護の実施の事務というのは福祉事務所の責任になっているわけでございまして、民生委員はそれに対して一種の補助機関的な立場に立っておるわけでございます。で保護申請をいたしまして保護を開始するという申請主義をとってはおりますけれども、しかし民生委員さんは自分の担当いたしております地域内の社会調査をするという義務がございますので、自分が住んでいる近辺にそういう人があるかないかということを絶えず自分でつまびらかにしておく責任があるわけでございまして、そういう方々と十分連絡をとりまして、今お話がありましたように漏れることのないように、同時にまたむだな使い方があるようでございましたならば、もういかなる力が加わって参りましてもそれに対して敢然と打ち切るなら打ち切るという措置をとる、こういう気持でやっておる次第でございまして、今後とも一そう努力いたすつもりでございます。
○岡本委員 今の生活保護法と結核あるいは精神病との問題に関連いたしまして、私も一つお伺いいたしたいと思います。 大体従来政府は、たとえば結核予防法、これは国民の結核をなくするためにやるのだという考えから、こういう結核予防法という非常にいい法律を作っております。あるいはまた精神病が非常に多い、だからこの精神病対策として精神衛生法を作る、これも非常にいい法律であります。看板だけは非常にいい看板をおかけになっている。ところが看板はかけるけれども、中身はからっぽなんです。つまりそれに対する財政的な裏づけがない。財政的な裏づけがないから、勢い結核予防法によるところの入院患者にいたしましても、あるいは精神衛生法に伴うところの入院患者にいたしましても、財政的な裏づけはみんな健康保険におんぶする、あるいは生活保護法におんぶする。そのためによその、建前の違った別な法律が行なっておるところの財政を大きく圧迫しておる。ことに精神衛生法についてはそれに伴う財的裏づけというものが、全くゼロであるとは申しませんけれども、私は非常に乏しいと思うのです。従来精神病患者が一人出たら軒が傾くと言われた。精神病患者というものよ非常に長期の入院を要するために、中産階級以下の家庭でありますと、精神病が一人出たらどこの家だって生活が非常に窮迫するのです。だから勢い精神病が出た場合は、それを収容するのは国のあたたかい手によって行わなければならないと思います。そういうふうな点において、精神衛生法をお作りになるときにそういうことを頭の中に入れてお作りになったのかどうか。これは当時厚生大臣はそのいすにおられなかったと思いますが、どなたか関係のよく御存じの方に一つお答え願いたいと思います。
○小沢説明員 実は本日公衆衛生局長も担当の課長も来ておりませんので、私前任が公衆衛生局の庶務課長でございますから、便宜お答えさしていただきたいと思います。 精神衛生対策につきましては昨年から非常な進展を見ておるのでございまして、その点予算審議を通じまして先生方十分御了承いただけるものと思うのでございますが、特に患者の保護につきましては精神衛生法で措置入院という制度を設けまして、これが行われた場合には必ず全額公費で出すという道をとっておるのでございます。もちろんその半額は国費、半額は地方費でございますが、とにかく措置入院の対象になる精神病患者につきましては全額公費をもって支出いたしておるのでございます。もちろんこの措置入院というものには一定の医学上の条件がございますのは御承知の通りでございます。そういう条件に当てはまらないような精神病患者の医療費の問題は、やはり現在のそれぞれの法の適用によりまして行なっておるわけでございます。なお各病院の回転率をいろいろ検討していただくとわかるのでございますが、もちろん中には非常に長期な者もおるのでございますけれども、総体的に精神病院における入院患者の回転率は最近はむしろ結核よりもいいような状況を示しておるのでございます。 なお精神衛生法を作りますときに財政的な裏づけその他についての十分な見通しをつけるべきじゃなかったかという点、ごもっともなお考えでございますが、御承知の通り精神衛生法は二十六年でございましたか、衆参両院の国会議員の方々がいろいろと検討されました結果、旧精神病者監護法あるいは精神病院法というものを全部廃止されまして、新しい精神衛生法という近代的立法を議員立法でお作りいただいたのでございます。その後これの施行につきまして私ども一生懸命にいろいろ予算的な措置を努力いたしまして、逐年改善をいたしておるような次第でございます。なお確かに患者保護の点につきましてまだまだ十分とは申せないことはお説の通りでございます。できるだけ努力をしておるつもりでございますが、なお今後とも政府としても努めなければならぬ、かように考えております。
○岡本委員 大臣にお尋ねというよりもこれからの方針としてお聞き取り願っておきたいのでありますが、現在ただいまもお聞きの通り、ある病気の形以上といいますか、特に公衆に迷惑を与えるような形の精神病は、これは知事の命令でもって強制措置で入院させるというふうな制度になっておる。ところでそれに対する措置費が、入院の費用が非常に少いのです。また地方財政が窮乏でありますから、半々の負担であるとすると、各都道府県での財政の都合もあるでしょうけれども、これは結核予防法とちょうど同じだと思うのです、結核予防法も国の金はあっても地方の方に財政が窮乏しておるから、公費負担しないのです、同じことが精神病にも言える。とにかく精神病の場合にも、相当はっきりした精神病者であり、夜中にうろうろしてみたり、あるいはいたずらをして困る、家族は困っている、だから何とか入院させたい、入院させるのには金がないというわけです。ところでそれを一つ入院さしてもらえないだろうかというので申請いたします。ところが精神衛生鑑定医がそれを診察いたしまして、強制措置の必要があるという認定をなかなか下さないのです。だから精神病者が入院もできないで——ベッドが足りないということも一つの理由ですが、ベッドが足りないだけじゃなしに、経済的な理由で入院できないで放置されておる精神病者がちまたに相当多数おるのです。ところで精神衛生法という法律ができて、精神病患者はできるだけ迷惑——迷惑にもいろいろ程度があるのです。人を殺すというような迷惑もあれば、あるいは子供にいたずらをするというような迷惑もあれば、あるいはまた公衆に非常に不愉快な感じを与える、あるいはまたいつ何をしでかすかわからぬという不安を与える、こういうふうな迷惑もあるのです。またいつ何どき精神病者は火遊びをして火をつけたり、自分が火をつけるつもりでなしに火をつけることがないとも限らない。そういうような気の毒な病人さんはできるだけ入院させなければならないのだが、経済的な理由で入院させられない。財政的な裏づけがないために、強制入院というものは何割か、申請の一割か二割くらいでしょう。私はそう思う。私が知っている限りにおいては、申請したって、それじゃ公費で入院させてやろうというふうになったのは私は知らないのです。それほど精神衛生法に対する財政的な裏づけというものは非常に乏しいのです。一体、今年は大体何名くらい入院できるような要求をされ、そこで大蔵省からはそれに対して何割の予算的な何があったのか、一つ承わらしていただきたいと思います。
○小林国務大臣 岡本さんの精神病患者に対しまする問題はごもっともな点が多々あると思います。ことに私はこの法案が国会の要求によってできました法案でありますだけに、この問題につきましてはヒロポンの患者等に対する問題とあわせまして、今後十分やって参りたいと思っております。なおその他の問題につきましては事務当局から答弁をいたします。
○小沢説明員 私案は離れましてからだいぶ日がたちますので、来年度予算の詳しいことは、担当でございませんのでわかりませんが、措置入院の患者は、全ベッド数に関連しますけれども、一割とかいうふうな少数ではなかったと思うのでありまして、その点あとでまた担当課長に連絡いたしまして、お答えするようにいたします。
○岡本委員 それではその問題はあとでまた聞かしていただくことにしまして……。
○佐々木委員長 岡本君に申し上げますが、中村委員の質問に関連の質問だったと私は記憶しております。中村委員が済んでからにして下さい。
○岡本委員 それでは保留しておきましてあとで御質問いたします。
○中村(三)委員 私が生活保護法の運用を見て、大へん医療扶助が多いということを申しましたわけは、学者の研究を見ましても、貧乏人——はこういう言葉はざっくばらんな言葉ですが、貧乏人は病気になりやすいということなんです。これが今生活保護法による医療扶助が多いという証拠なんです。すなわち収入の少い、一万か二万で食べなければならない人たちにはかえって病気が多いという事実がある。だから一部負担は反対という論拠を、私はここから一つ引っ張り出してきたのです。 そこで一部負担問題に入りますが、二十三億五千万円というのは、政府も三十億円出す、標準報酬の引き上げで六億何千万円出す、その他の行政政策によって何億か出して、そして二十三億円というのは割り当てられたのですか。それとも積算の基礎があって、あるいは被保険者の生活、その負担能力、こういうものをお考えになって大体二十三億五千万円というところが妥当である、こういうふうになったのですか、一つその数字的内容を当局者から承わりたいのです。
○高田(正)政府委員 私ども一部負担の制度を考えます際には単なる赤字補填という意味で考えたのではございませんで、健保の健全なる発達をはかって参りますには、将来ともこの制度が必要であるという観点から実は考えたのでございます。二十三億の数字的な根拠と申しますのは、さような一部負担を課しまする場合に、正当なる受診率を抑制をしたり患者に非常な負担をかけるというふうなことであってはなりませんので、おのずからその程度なり方法なりというものに制約があると存ずるのであります。さようなことを考慮におきまして、御提案申し上げているような一部負担の方法なり程度なりであれば、今私が申し上げたような弊害もあるまいというふうな考え方の上に立ちましてはじき出した数字でございます。従いましてむしろ金額というよりは方法の方が先に立っておるというふうに申し上げた方がいいのではないかと存じます。
○中村(三)委員 だから二十三億五千万円というのは一種の腰だめなんです。根拠が簿いのではないかと思うのですが、ことに大臣の御説明によりますと、健康保険の健全なる発達をはかるため、医療の給付を受けるものに対する一部負担の範囲を広げるというのですが、これは逆じゃないですか。(「その通り」)どうも私どもにはこの説明がわからないのです。一部負担は健康保険の健全なる発達をはかるためとありますが、ここを一つ大臣から御答弁を承わりたい。
○小林国務大臣 御承知のように健康保険といたしましては、その時代におきまする十分にしてしかも必要な医療を患者に施すということが建前でございまして、御承知のように現代の医薬の進歩というものは非常に急速でございまして、疾病の治療の面におきましても、非常な進歩発達をいたしております。抗生物質の新しい医療品が次々と出て参っておるような状態でございまして、中村さんも御承知のように二十八年におきましては、これらの新薬が採用となりました。また療養給付期間も、二年から三年に延長いたし、また二十八年におきましては、不合理な点数を改正をいたすというようなことでございまして、最近被保険者の数も非常に増大をいたしておりまして、医療機関も年々その数が増加いたしております。保健医等におきましても毎年六千人程度の保健医の指定の増加もいたしておる、また一方政府管掌の健康保険は現在全国に約二十三万ぐらいあるのでありまして、これらの政府管掌の事業量というものは御承知のように従業員も二十人から二十一人という平均の従業員でありまして、まことに事業といたしましては非常に小さいものばかりでございます。従いまして他の組合管掌のような事業に比べますと、その平均の報酬の上昇いたします率がきわめて少いのであります。従いまして保険財政といたしましては、保際料の収入のふえ方が、年々増高いたしております医療費のふえ方に比較いたしますと 非常にアンバランスになっておるのであります。それで、私はこういう健康保険がかつての保険の内容と比べまして、今日のようにその時代におきます十分にして必要な医療内容のもとにやっていくという時代におきまして、数年前あるいはその以前から比べますと、健康保険そのものの内容が非常に進歩向上いたしております。また今後も技術の進歩あるいは医療技術の進歩によりまして、もっともっと高度の医療内容になる趨勢でございます。こういう状態のもとにおきまして、御承知のように、二十九年度におきましては四十億の赤字が出、またそのほかに保留いたしておきました予備金も十数億を使いました。三十年度におきましては御承知のように、六十億の赤字が出ておる。本年三十一年度におきましては六十六億の赤字が予想されておる。こういう状態でございまして、従来の二十九年度、三十年度と合せました百億の赤字につきましては、御承知のように、暫定的処置といたしまして借入金でもってまかない、また料率を千分の五上げまして、従来の赤字というものは暫定的処置といたしまして借入金までして解決する。こういうような状態になっております。この観点に立ちまして、私どもといたしましては、年々累増いたしてきております赤字をいかにして解決するか。これにはやはり三通りの問題が考えられるのであります。従来のようにやはり赤字を借金によって埋めていくか、あるいは一部に唱えられておりますような全額国庫負担によってこれをまかなっていくか、あるいは私どもが考えておりますように国庫からもこれを補助さす、また一部被保険者に負担をしていただく、また標準報酬等級も引き上げをいたしまして、この六十六億円余の赤字を解決するか、こう三つの問題になっておりますが、この問題につきましてはいろいろの御議論もあると思います。しかし私は今日のこの国家財政等も検討いたしますと、これをそっくり全額国庫負担でやるということはなかなかできないし、また一方におきましては、社会保険の適用を受けていない方々が国民のうちには三千万人もいる。これらの方々はいずれも税金は税金としてとられながら、医療につきましては自費でやっておられる方々でございます。こういう状態から考えまして、健康保険そのものが今日のように相当進歩向上いたし、また将来とも進歩向上いたすべき状況にございますから、私は国庫からも補助をして、また被保険者からも一部負担をしていただきますばかりでなしに、標準報酬等級も上げて、そうして健康保険そのものを、いわゆる社会保障の確立、また健康保険そのものの内容を向上すると同時に、この赤字財政というものを軌道に乗せまして、そうしてやることが、要するに被保険者のためにもなることじゃないか、こういうことも考えまして、今日のようにわれわれといたしましては改正案として皆さんに御審議を願っておるわけであります。
○中村(三)委員 厚生大臣よりいろいろ御説明を承わりましたが、私は要するにこういうふうに変えていただきたい。健康保険の健全なる発達をはかるため療養の給付を受ける者に対する一部負担の範囲はこれを広げざるものとする、これでなければいけない。そこで、この二十三億五千万円、四十三条の八、これは一、二、三とあるのですが、これを一つたとえば入院のときの負担が何人で幾らというふうに、この一、二、三の内訳を示していただきたい。これは私どもにとっては重要ですから、金額もあわせて示していただきたい。
○高田(正)政府委員 初診の場合の一負部担は法律に書いてありまするように、「五十円以下ニ於テ厚生大臣ガ定ムル額」ということになっておりまするが、これは私どもといたしましては、いわゆる現行通り甲地五十円、乙地四十六円になりますが、その通りに定めるつもりでございまするので、財政効果としてはゼロでございます。何にもございません。それで、外来の場合でございますが、投薬または注射のない初診以外の日一日につき十円というので三億五千四百万円ほどの財政効果を見ております。それから二番目といたしまして、投薬または注射のあった再診の日一日につき三十円、これで十六億六千六百万円の財政効果を見ております。それから歯科診療のうち補綴その他厚生大臣の定めるとこういうことになっておりまするが、これは義歯、金属冠及び架工歯、これが補綴の中でございまして、そのほかにインレーを考えております。そういうものの行われた日一日につき三十円でございますので、これで五千八百万円ほどの財政効果を見ております。それから入院でございますが、入院一日につき三十円、これは法律案にございまするように六カ月に限っております。従いまして来年度といたしましては、二億七千三百万円の財政効果を見ております。以上合計をいたしますると、二十三億五千一百万円ということに相なるわけでございます。これはいずれも五月一日を施行期日と考えておりまするので、十カ月分の財政効果しか三十一年度は上らない次第でございます。 なお、この法律案の付則のところに経過規定がございまするが、たとえば入院につきましては、この施行の日前に入院しておる人たち、すなわち今日入院しておる人たちもそれに含みますが、そういうふうな方々からは一部負担はとらない、こういうふうなこを経過措置として考えておりまするので、初年度といたしましては今申し上げましたような財政効果に相なる次第でございます。
○中村(三)委員 今の御説明によりまして、金額的には実に残酷なものもある。結核で入院しておるのは、六カ月間でありますけれども、わずか二億円の金であります。こういうものをとっていじめなければならぬ理由は僕はないと思うのであります。そこでこれらの二十三億円の一部負担を対象とせられる勤労者一人について、この一部負担のために家計においてどれだけの負担が増すかという数字ですね、これを一つ示していただきたい。われわれはこの一部負担と家計の関係を見る必要があると思うのです。
○小林国務大臣 今の中村さんの御質問の計算といいますか、これは非常にむずかしい問題だろうと思っております。私どもがこの問題につきまして推算をいたしている点を申し上げますと、一般外来の場合につきましては平均一人当り一カ年二百十七円、歯科の場合におきましては百二十七円、入院の場合におきましては千五百二十二円と推算をいたしております。
○中村(三)委員 今の厚生大臣のお示しになった数字は、会社の社長なんかから見れば、一見して何でもないように言う人があるかもしれませんが、この健康保険が対象とする中小企業の勤労者は現金が一番困っておる。これは私どもまだ少し調べが足りませんが、上層階級の生活では千円というものは楽かもしれませんけれども、こういう健康保険の対象になっておる多数の勤労者は、百円が困る場合がある、二十円が困る場合がある。私はこれはもう少し考えていただかなければならぬと思う。だからこれが実質賃金の低下という議論も出てくるのです。これらの階級に属する人たち、つまり一万か二万程度の人たちは調べてみると病人が一番多い。貧乏だから病人になるという悲しむべき事実がある。同時にこういう人たちは手元になかなか現金がない。こういう現在の日本における家計の状態をお考え願わなければいけない。厚生大臣の御説明では、健康保険制度、社会保障制度に関する理想をずいぶんお述べになっておる。私も部分的には大いに同感の点がございますが、社会保障制度、健康保険というものと同時に国民の所得が確保されなければいけない。また勤労者の賃金制度というものが確保されていかなければならない。また雇用が完全でなければならない。こういうものによってこそこの社会保障制度の理想が達せられるのだと思う。そこでそういう点につきまして、ともかく一部負担というものは社会保障制度を決して前進させるものじゃない。これはだれが見たって常識だと思うのです。だからこういう条項は削った方がいいと思う。次は七十条でありますが、法の七十条ノ三には国庫ハ第七十条ニ現定スル費用ノ外予算ノ範囲内ニ於テ政府ノ管掌セル健康保険事業ノ執行ニ要スル費用ノ一部ヲ補助ス」となっておりますが、これは厚生大臣初め局長諸君の努力せられた結果だと思う。これは大へんいいことです。この条文がなければ私どもは議員提出案でやろうと思っておった。しかしこれが出ておるということに対しましては小林厚生大臣に敬意を表します。が、問題は——事務費はもう七十条にあるのです。この「予算ノ範囲内ニ於テ政府ノ管掌スル健康保険事業ノ執行ニ要スル費用ノ一部ヲ補助ス」というのですが、これは給付額に対する何%というわけじゃないのですね。これはどういう意味ですか。
○小林国務大臣 この問題は私どもと大蔵省との間に党も介在いたしまして最後に決定をした問題でございますが、今中村さんのおっしゃったように、大体医療費というものを基準として考えることが適当と認めますが、まず三十一年度におきましては、保険財政の収支とにらみ合せいたしまして今年は三十億円ということにいたしたのでありますが、次年度あるいはその次の年度等におきましては、やはりそのときの保険財政の収支全般を総括的ににらみ合せいたしまして国庫がこれを補助する、こういうことになると思います。
○中村(三)委員 大蔵大臣は、この間本会議において野澤君の質問に対して赤字の補てんじゃないのだと言っておられましたが、しかし、ことしは三十億で、これは補給金——厳格にいって国庫負担とはいえないのですね。なぜならば、来年どうなるかわからないのです。大蔵省の都合、主計局の都合によってどうなるかわからない。しかし今のお話を聞いておりますと、厚生大臣は少くとも毎年三十億程度はこれによって補給してもらう、赤字じゃないが補給してもらう、こういうふうに大体目安をつけておられるのですか、またそういうお話し合いでございますか。
○小林国務大臣 国が補助するという問題につきましては、厚生省では私と政務次官と次官、大蔵省におきましても大蔵大臣、政務次官、次官が出まして、党の最高幹部もタッチいたしましていろいろ意見の交換をいたしたのであります。その結果社会保障の確立の見地から国家が補助する、こういう結論になりましてやったものでありますから、従いまして私は国庫の補助というものは健康保険の続く限り引き続きやっていくべきものだ、こういうように考えておるのでございます。
○中村(三)委員 そこまでおっしゃるなら法律に義務費として当然出さなければならぬ、出すべきじゃないでしょうか。それでなければ健康保険の健全な発展をなすことはできない。健康保険事業の執行に要する費用の一部を補助する——何だか蒸溜水を飲んでいるみたいです。もう少しうまいものを飲ましてもらいたいですね。これはどうなんですか。
○小林国務大臣 私は、今も中村さんがお読みになったように、国が補助するということになっておるのでありますから、法文上ではいろいろのことがございますけれども、健康保険のある限りは、引き続いて補助することになります。(「予算委員会の大蔵大臣の答弁とは違う」と呼ぶ者あり)
○中村(三)委員 これは多少議論になりますけれども、それじゃ不安なのです。財源をどういうふうにくれるか。たとえばこれがために目的税を起して、その分はこれにやるというなら話はわかる。そうでなければ、義務支出にして、ここにはっきり書いてもらわなければならぬ。この点は、この条文をお書きになった努力にいささか敬意を表しますけれども、ここになってくると、私どもははなはだ満足ではない。この点において、われわれは修正をしたってかまわない。こういういい点は大いに厚生省を援助しているのでございますけれども、悪い点は絶対に反対する、こういうことはもっと大蔵省にがんばって義務支出になさる御意思はございませんか。
○小林国務大臣 今の補助という問題につきまして、いろいろあったのであります。要するに、国保の問題も、補助という言葉を結局使ったのでありますが、国家が負担することは、間違いないところであります。
○中村(三)委員 せめて定額とか定率という文句を書くように、大蔵省と一つお話し合いをなすったら、私どもは非常に満足です。私は満足ではないが、健康保険事業というものは、大へん円滑に運営されると思うのです。それはそれといたしまして、この法律案を見てみますと、お医者さんに対する官僚統制がますます強化されておるという感じがする。たとえば指定制であるとか、立ち入り検査の問題、それから審査機構の統制の問題、これがおそらく問題になるのであろうと私は思うのです。厚生大臣にお伺いいたしますが、あなたは医者というものを、厚生省の一つのワクの中にがんじがらめにして、動きのとれないように指令する、そして悪いものはどんどんやめさしてしまう、こういったお考えがあるのじゃないかと私どもは思うのでありますが、どういうふうにお考えになりますか。
○小林国務大臣 今、中村さんのおっしゃったような考えは、毛頭持っておりません。
○八田委員 関連して。ただいま中村委員から、今度の改正法案につきまして、大臣の所信をただされましたが、大臣は、医者を金縛りにするのじゃない、こういうように非常に抽象的にお答えになりましたが、大臣は一体この法文を逐条的に審査なすった上の今のお答えでありますか。逐条的な詳細につきましては後刻に譲りますが、これを概括的に見ましても、ただいま中村委員が質問されましたように、改正案の保険医弾圧策と申しますか、そういうものは三つに集約されると思うのでございます。まず第一が、医療機関の期限付指定及び保険医登録の二重制であります。二番目といたしましては、検査、監査の明文化であります。三番目は審査機構の官僚化でございます。こういったものにつきまして内容をしさいに検討して参りますと、この改正案というものは、改正ではなくて改悪であります。しかもこれらの政府提出案は、あたかもかつての治安維持法に匹敵するものであります。保険医の治安維持法と解釈しなければならぬ。さらにまた厚生省の役人は、これによって特高的な指揮権を発動するというふうに考えなければならぬのでありますが、大臣は一体この改正案の法文をしさいに検討された上での答弁であるかどうか。もう一回はっきりと答弁していただきたい。
○小林国務大臣 八田さんのおっしゃったように、私もこの法案を出すにつきましては、もちろん目を通しておるのであります。ただ、今中村さん並びに八田さんのおっしゃった機関指定の問題あるいは監査の問題その他につきまして、いろいろ御意見があったようでありますが、そういう問題につきまして、私どもが出しましたものも、先ほど中村さんのおっしゃったようた意味で出したものではないのでありますから、そういう点につきましては、私どもの提案いたしました事情につきましても、一応十分にお聞き取りを願っておきたいと思うのであります。 機関指定の問題につきましても、やはり私どもの考えといたしましては、従来保険医は個人指定であったのであります。保険医の指定につきましては、一ぺん登録しておけばずっと永久に保険医としてやっていける、機関という問題は、病院にいたしましても、診療所にいたしましても、従来被保険者というものは病院または診療所において診療を受けておるものでありますから、やはり従来の保険医個人の指定とともに、そのいいところを取り入れまして、そうして機関を指定する、こういうことにいたしたのであります。
○中村(三)委員 こういうふうな医者や医療に対する官僚統制を強化せられるということは、事務当局が医者の自由に干渉するということである。これは社会保障制度の原則を破っておると私は信じておる。(「その通り」)ことに医師の職業上における独立と判断は、あくまで尊重しなければいかぬ。そうでないと、官僚統制を強化せられればせられるほど、萎縮診療になってしまう。私どももお医者さんのことについて注意したり研究したりしておりますが、どういうことになるか。どうしても萎縮診療になる。これはゆゆしき問題です。かくして日本の優秀な医師はなくなり、受診率は低下します。健康保険の意義は、社会保障制度の意義はもうなくなるというおそれありと申しても、私は過ぎた言葉ではなかろうと思う。だから医師は改悪だといって騒ぎ出して——と言っては語弊がございますが、非常な運動をしておられる。無理はないと思う。私は医者ではございませんが、政党政治家として公平に見た場合は、これはちと行き過ぎだと思う。なるほど審査検査を健康保険においてせられるということは、従来もあるのでございますから、私どもはそれはけっこうと思いますが、従来通りでいいじゃありませんか。何のわけでこういうふうにやられるか、おそらく私は悪く察するのかもしれませんが、医者が健康保険医を辞限する。そうすると厚生省は、この法律案を通して二重指定制度を断行して、全国の医者をずたずたにするのではないかとさえ、私どもは考えるのです。もしこんなことをなすったら、これは大へんなことです。全国の医者は全部健康保険から後退をする。そこで重大問題になってくる。それが今日の私どもの憂える問題なんです。私どもは、だから法案をお出しになる場合には、政治的社会的情勢をお考えにならなければならぬ。この医者の問題、診療の問題は、おそらく総評が取り上げて春季攻勢の一つの戦線にしているのではないかと私は思うが、よく政治的情勢を考える必要がお互いにあると思います。これはわれわれ与党も一つ考えようじゃありませんか。この点を考えなければ、われわれは政党政治、二大政党の確立ができないと思うのです。いい点はとればいいのです。そこで最後に一言念を押してお伺いいたしますが、新医療費体系は撤回せられるか、そして練り直すか、それをお伺いしておきます。イエス、ノーを言っていただきたい。慎重とかいうことは、あなたが慎重なことはよくわかりますから、撤回する意思があるかないか、そしてもう一ぺん練り直すか、これを最後に一つお答え願いたい。
○小林国務大臣 重大な問題と存じますので、先ほど中村さんにお答え申し上げました通り、慎重に考慮をいたします。
○中村(三)委員 慎重にということをおっしゃるうちに、事態はますます悪化する。どうか慎重に過ぎて腰を抜かさぬように希望しておきます。
○八田委員 今中村委員から萎縮診療という言葉が出たのでありまするが、大臣はその萎縮診療の内容についてどういうことをお考えになっているか。このような制度を打ち出した場合に、萎縮診療になるということは、だれでも言っていることなんですが、大臣は一体この萎縮診療ということについて、どういうことを事務官から聞いておられますか。萎縮診療の内容を大臣は的確に握っておられるかどうか、これをお聞きしたいのです。私がかく申し上げますのは、現在の保険医収入というのは、一件当り平均を申しますと、東大の入院外の場合は一件当り平均百八点であります。私立医科大学の場合には七十点であります。一般開業保険医の場合には五十五点であります。ですから東大の入院外患者に対しまして、今日一般開業医の一件当りの平均は半分です。それがこの制度を立てるならば、さらに五十五点以下になってくる。大臣は一体東大の入院外の一件当りの点数と今日の一般の開業医の五十五点を比較してみまして、この半分にしかならない診療内容ということに対して、どうお考えになりますか。さらにまたこの以下になって参るのですよ。これを萎縮診療というのであります。大臣いかがですか。この点ちょっと大臣の認識がないと考えられまするので、大臣にお伺いいたしたいのであります。
○小林国務大臣 八田さんのおっしゃった萎縮診療という問題につきまして、はなはだ何ですが、もう少し内容をおっしゃって下さい。
○八田委員 萎縮診療と申しますのは、現在東大の入院外患者の場合は、一件当り点数が百八点です。ところが一般開業医の場合はその半分の五十五点にしかなっていないのです。半分の診療しかやっていない。東大の方はその倍になっている。それがこの制度を打ち出すことによってさらにさらに下回ってくるということが考えられるのであります。それを萎縮診療と称し、国民医療の後退であると私は申すのであります。
○高田(正)政府委員 八田先生の萎縮診療というのは、おそらくなすべき医療をなさないというふうな意味でお使いになっているだろうと想像します。東大の外来の平均が何点になるか、百八点という仰せでございますが、それから一般開業が五十五点という仰せでございますが、この数字が正しいかどうか、今資料がございませんのでわかりませんけれども、おそらく相当な開きがあると思います。しかし一件当り点数が低いからといって、萎縮診療ということはどうして言えるのでございましょうか。これは平均してむずかしい病人が行くところの医療機関は高くなりますし、そうでない医療機関は一件当りの点数は低くなるのが当りまえでございます。点数を比較して、ただ点数が低いから萎縮診療だという仰せでは、私萎縮診療の意味がよくわからなくなるのでありますが、いかがでございましょうか。
○八田委員 局長は非常に認識不足であります。というのは、私の言うのは、先ほどからあなた方は保険財政の健全化をねらうために正しい受診を抑制しないと言う。ところが正しいとか正しくないということは、あなたわかりますか。しかもまたこの健康保険の場合には、相手は中小企業者です。先ほどあなた方盛んに言っておられますように、非常に生活に困る人である。現金を持っていない。こういう人に対して、あなた方が一部負担制ということは打ち出すことによって、お医者さんのところに金がないので行けないというようなことになってくる。これが受診抑制になる。そうしてまた今日の開業医の方が、東大の入院外患者の場合と比較してみると半分である。しかもまた機関指定二年というようなワクが設けられている。監査、検査が明文化されて強化されている。これでもって——ほんとうをいうなら五十五点では少いのですよ、東大の件数にまで上げなければならぬのですよ。それが今日こういったことに制度を打ち出していることによって、これをだんだん下げていく。だから私は国民医療の後退である。こういう意味を言っているんです。
○高田(正)政府委員 改正法律案として御審議をお願いしております医療機関の諸般の関連の規定がございますが、これは私ども決して一件当りの点数を下げようというようなつもりで、かような改正を意図しておるわけではございません。なおこの大学病院等につきましては、今日、八田先生もよく御存じのように、保険医ということにいたしませんで、保険者の指定するものという関連で、今日は運用いたしております。しかし改正法律案が成立いたしました際におきましては、大学病院等におきましても、一般の保険医療機関と同様の扱いをする予定でこの法律案は立案されております。さようなこと等も御参考に御審議をわずらわしたいと思いまするが、繰り返して申し上げますように、一件当りの点数を下げる目的をもってかような改正をいたすつもりでは毛頭ございません。
○八田委員 時間がないようですから簡単にもう一点伺いますが、受診制限の制度ではない、これはもちろん当然である。そんなことをお考えになっていたのではとんでもないことである。そこであなた方は決して受診制限の制度を打ち立てないんだということをはっきり言っておられますけれども、私はこの改正案を拝見しまして、受診制限に一番大きな影響を持っておるのは、官給領収明細書と申しますか、これであろうと思う。この法律案の何に従ってそういうものをお考えになったか。四十三条ノ九の「前五項ニ定ムルモノノ外保険医療機関又ハ保険薬局ノ療養ノ給付ニ関スル費用ノ請求ニ関シテ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム」この条項に従ってあなた方は官給領収明細書というものをお考えになったのかどうか、この点をはっきりしてもらいたい。
○高田(正)政府委員 今御質問の、俗にいわれております官給請求書、正確に申し上げますと保険者が発行する請求書という意味でございますが、それは実は私ども実施をいたすつもりでいろいろ検討いたしております。それの根拠規定は現行法にもございますし、改正法にもございます。今御引用になりました四十三条ノ九の第六項でございますか、これは診療報酬の請求に関する手続の関係で、これも一つの根拠規定になりますが、別の条文に、この被保険者が保険医療機関について療養の給付を受ける場合の手続の規定が命令に委任してございますので、そちらの方にも根拠があるわけでございます。なおこれは現行法にも同じような根拠がございます。従って、法律の根拠は今のようなことでございますが、私どもといたしましてはなぜこれをやろうというつもりになっておりますかというと、社会保険審議会等におきましても、現在の療養の給付のやり方につきまして、保険者、被保険者、事業主、医療機関、基金というものがバラバラに運用されておるので、そこに関連づけるような何らかの方策をとれという意見の具申もございます。さようなことを考えまして、七人委員会で答申をしておりますような、いわゆる保険者交付方式の官給請求明細書というものを考えておるわけでございますが、これの実施の具体的な方法につきましては、今御指摘のように受診の抑制というようなことになりましたり、あるいはまた医師に対して非常な御迷惑がかかるというふうなことになりましては、所期の目的を達成する以外にいろいろな弊害が出て参りますので、その弊害をできるだけ少くして所期の目的を達成するにはどういう方法でやったらいいかということを目下研究中でございます。従いまして、いまだその方法を具体的にいたしておりませんけれども、これは実際に事務に当り、あるいは現場の事情を知っている者の意見を十分に聞きまして何らか適当な方法を考えたい、かようなつもりでおる次第であります。
○八田委員 官給明細書のようなものを発行することは差しつかえないという現行法の規定があるとおっしゃったのですが、現行法の第何条ですか。
○高田(正)政府委員 現行法の四十三条ノ二に、これは御存じのようにいわゆる療養の給付で看護、移送を除いたものでございますが、「前条第一項第一号乃至第四号ノ給付ヲ受ケントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ保険医及保険薬剤師並ニ保険者ノ指定スル者ノ中自己ノ選定シタル者ニ就キ之ヲ受クルモノトス」ここにこの命令で委任された手続の根拠規定があるわけでございます。従いまして現行法でやるといたしますれば、この根拠規定に基いてやる次第でございます。
○佐々木委員長 岡良一君。
○岡委員 資料の御提出をお願いいたします。第一の資料は、新しい医療費体系と、これに基いて作られんとしている改正点数表でございます。なぜこれを要求するかと申しますと、昨年の春の参議院の厚生委員会におきまして、満場一致で、医薬分業に伴う新医療費体系を提出すべきであるということを政府に要求いたしたのであります。その結果、昨年九月、衆参両院にこれが提示されまして、約三週間にわたるわれわれの熱心な検討の上、これは被保険者にも、医療担当者にも、また国民医療全体のためにも、矛盾も、また不合理もきわめて多いということから、返上いたしまして、医薬分業を一年三カ月延期いたしました討論においては、速記録にも明らかなように、重ねて政府としては慎重考慮の上、新しき納得し得る医療費の体系と点数改正表を提出すべきものであるということをわれわれは強く政府に要望いたしてあります。従いまして、これを御提出にならない、あるいは一片の行政措置をもって実施されるということになれば昨年来引き続いている国会の審議権というものを政府は全く無視するものといわなければならないのであって、常識から考えても当然これは御提出あってしかるべきものと思います。特に健康保険法の改正がいずれにしろ実施されるということに相なりますならば、被保険者に近代医学の進歩に伴う適正な医療というものが与えられなければならぬことは当然でありまして、これと不可分の関係にある医療報酬の適正化ということは、われわれ健康保険に大きな関心を持ち、国民に責任を持つ者の立場からも、当然審議の対象といたさなければ、この健康保険法の審議は十分に尽し得ないということに相なるのでありますから、二点の理由から、国会の従来の審議の経過にかんがみ、国会の審議権を尊重する立場において、政府としては当然義務として新しき医療費体系と、これに基く改正点数表の御提出をお願いいたします。 次には政府の御提出いただいておる資料の中で、各国における被保険者の一部負担が、それぞれパーセンテージをもって示されておりまするが、これだけでは資料としてはきわめて不十分であります。あるいはドイツにおいて、フランスにおいて、イギリスにおいて、それぞれ最低賃金制が実施されておりまするが、どのような最低賃金が設定されておるかということをも、あわせて御提出を願いたい。 それからなお社会保険審議会あるいは社会保障制度審議会も、政府が今般御提出になりましたこの健康保険法等の一部を改正する法律案には、それぞれ重大なる意見を付して答申をいたしておるのでありまするからして、この答申もあわせて御提出願いたい。 それからなお、先般この委員会で政府の方に要求をいたしておきましたが、私どもはやり医療報酬の適正化これと医療内容の適正化は不可分の関係にあるという立場において、新しき点数の改正表と同時に、一点単価そのものについても、これは昨年一昨年のいわゆる新医療費体系の討議の過程において、一点単価そのものが不当に低いということが、政府の資料によって明らかになっております。それで一体現在の一点単価というものがいかなる積算の基礎において積み立てられたものであるかということ、かつまた昭和二十七年の三月、政府が実施された医療実施面調査の結果として出てきた各診療所、病院等における収支の関係、そこにおいて如実に現行一点単価は低いということが数字の上に出ておったのでありまするが、どれだけそれが低く押えられておったかという数字を御提出を願いたい。私どもも用意はしておりますが、あらためて御提出を願いたい。 以上の資料をぜひとも御提出いただいて、その上で私どももこの法案に対する審議の遺憾なきを期したいと思いまするので、ぜひとも御用意を願いたい。
○小林国務大臣 岡さんの資料の提出の御要求がありましたのに関連いたしまして、ちょっと私から申し上げておきたいと思います。新医療費体系と健康保険の運営というものは、これは全然別個のものとわれわれは考えております。どのような医療費の体系でありましても、健康保険は健康保険として運営されていくべきものであります。それからこの前の委員会においても申し述べておきましたが、新医療費体系というものは、これは医療費のあり方でございまして、先般、昨年の十二月かと考えますが、お手元にお配りしてありまする新点数表の説明の中に十分に表われているものだと考えておりますから、それは一つあらかじめ御了解願いたいと思います。
○岡委員 私が要求いたしまするのも、新点数表は資料としていただきましたので、この席上あらためて政府の方から御説明を願いたいということであります。なお同時につけ加えて申し上げまするが、あれは新きし点数の敗正表であって、新医療費体系というものではない。しかしながらわれわれは過去一カ年有余の間にも、新医療費体系に大きな関心を注ぎ、かつまたこれを返還いたさざるを得ない立場にたったのは、点数改正の基礎となる医療費体系そのものに大きな矛盾と不合理を発見したからであります。これは衆参両院を通じて討論においても、明らかに各党の代表が指摘しておるのでありまするから、政府としては義務として御提出さるべきが当然である。同時に、どういう論拠から不可分、可分と言われるかはわかりませんが、事実上いかなる形においてであれ、健康保険制度というものを実施してごらんなさい。近代医学の水準に伴う良心的な医療が被保険者に与えられなければならないことは当然である。従って良心的な診療をするためには、医師に与えられる医療報酬というものは、当然われわれ、良心的な診療を与えるための不可分な前提として、これを審議の対象にしなければならないと思う。そういう意味において、これが御提出にならないということであるならば、われわれが審議する重要な素材を政府が拒否するというならば、われわれはこの法案について根本的に考え直さなければならぬ。そういう点をあらためて申し上げまして、ぜひともこの席上において、先般提出された改正点数表だけではない、点数表の基礎となる医療費体系、原則的な体系というものをお示しになり、この席上においてはっきりと御説明を願わなければならぬ。なければならないことをはっきり御答弁願わなければならぬ。この点あわせて要求いたします。
○長谷川(保)委員 私も資料を要求いたしたいのであります。先ほど岡君のおっしゃいました百四ページの各国医療保険における一部負担、この表を拝見いたしまして、非常に一方的な資料を出して、これらの国々が一部負担をやってるんだから、一部負担は当然だということを思い込ませようとしておるように考えられるのであります。これは私非常に残念だと思います。 私はこれらの西欧諸国のほかに、いわゆる東欧諸国、ソ連、朝鮮民主主義人民共和国、中華人民共和国、ポーランド、オーストリア、チェコスロヴァキア、ユーゴー等々の国々の、やはりこの種のものをお出しいただきたい。 そうしてそれを出すに当りまして、たとえば中華人民共和国におきます労働保険をいたします前提が、御承知のように発病後六カ月は全然無料で医者にかかれるということになっておるのであります。こういうふうに労働保険をかけます前の前提のものもございますから、それをあわせてお出しいただきたい。 あるいは朝鮮民主主義人民共和国のごとく、全然無料というのがあります。何年かかろうとも無料というのがあります。そういうところの、これは保険とは違いますが、保険ではありませんが、医療保障としては全然無料であります。こういうものもお調べを願ってここにお出し願いたいのであります。 それに付け加えまして同時に、ここに書かれました西欧諸国及びただいま申し上げました東欧諸国と申しますか、そういう関係の諸国のエンゲル係数をお調べを願いたいのであります。 それからさらに、これらの国々の保険におきます保険料率及び被保険者の負担率をお調べを願いたい。 それからさらに、これは少し無理かもしれませんが、無理でなければけっこうでありますが、できましたならばこれらの国々の国民の罹病率と申しますか罹患率と申しますか、罹病率及びそれに対します受診率と申しますか、それをあわせてお調べいただきたい。 それからさらに、これらの国々の結核の状況を知りたいのであります。少くとも結核の死亡率をお調べいただきたいのであります。 さらに今度は方向を変えますが、この日本の社会保険の大きな問題は、申すまでもなく、結核であることは明らかであります。従って結核に関します日本のいろいろの資料を出していただきたいのであります。 まず第一に、最近の全国の全病院の結核病床つまり結核の入院患者の状況を知りたいのであります。病床と、入院しております利用率の関係を知りたいのであります。 第二には、各国立療養所別の空床数を知りたいのであります。 それから第三に、府県別の結核予防法の公費負担の利用額と申しますか、最近の年度の、わかっておりまする公費負担額及びその内容つまり種類別、どういうものに使ってるかという内訳を知りたいのであります。 それから第四に、先般私の質問に公衆衛生局長から話がありまして、公衆衛生局の方で結核患者で入院ができなかった理由を調べておるということでありますが、このお調べになった結果を知らしていただきたいと思います。 第五に、最近入院して参ります患者もしくは外来患者等でわかります限りの耐性菌の状況をお調べいただきたいのであります。 それから第六には各府県別の最近の結核死亡者の状況を知らせていただきたい。 第七に、同じく各府県別の結核患者数、これは推定よりほか仕方がないと思うのでありますが、それをお調べいただきたいのであります。 それから第八に、最近の推定でけっこうでございますが、日本では結核のための医療費を一体どれだけ使っておるか、売薬等も含めまして大体の推定額を教えていただきたい。 これらの問題が健康保険の赤字と大きく結んで参りますから、大へんたくさんで恐縮でございますが、そういうことをお調べいただいて知らせていただきたいのであります。
○堂森委員 さっき両君が申されました資料のほかに、たとえば各国の疾病保険における一部負担が書いてございますが、これだけでは一方的な資料だと思うのです。と申しますのは、各国における社会保障費の全予算額に対するパーセンテージを示さないと、一部負担をやっているから日本でもやってもいいという理屈にはならぬと思う。各国がこれだけ出しているからお前たちも出せという理論のようでございますが、各国がどれだけの予算を使っているかによって納得が違ってくると思います。従って最近の各国における社会保障費の総予算における。パーセンテージ、これをお示し願いたいと思います。以上でございます。
○井堀委員 前回の健康保険改正案に対する審議の際にあらかじめ要求はいたしておきましたが、今日まだ配付されております資料の中には拝見することはできません。今回の健康保険法の改正の最も重要な理由の一つにあげられております保険経済の赤字の問題を論議いたしまするために欠くことのできない基礎資料は、標準報酬を算定いたしまする報酬実額でありますが、それが明らかにされなかったのであります。でありますから、前回も赤字の最も大きな理由の一つであります標準報酬の実態を明らかにすることができなかった、でありますから少くとも準備が不足であるということを当時川崎厚生大臣は認められまして、次回には必ず準備をして提出するという約束をなさっておるわけであります。きっとこのことは事務引き継ぎの際に小林厚生大臣ははっきりお聞きになったことと思うのでありますが、この資料をぜひすみやかに御提出を願いたい。もう一度申し上げます、標準報酬の正確な実態を知るためにその基礎資料になりますものは報酬実額であります。すなわち報酬実額というものがどういう数字になっておるかということを明らかにする義務があり、われわれがこの法案を審議するためにぜひ義務づけられてきますのでこの数字を明らかにしていただきたい。その上で保険の赤字の根本原因の一つとして追及していかなければならぬと思うのであります。この点ぜひすみやかに御提出になるよう重ねてお願いしておきます。
○佐々木委員長 午前中はこの程度にとどめて、午後二時半まで休憩いたします。 午後一時十五分休憩 ————◇————— 〔休憩後は開会に至らなかった〕