社会労働委員会 第11号
- 発言数
- 13 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1956/03/03
会議録
○佐々木委員長 これより会議を始めます。 この際理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。去る二月二十五日に赤松勇君、同月二十八日に岡良一君がそれぞれ委員を辞任されましたので、それに伴いまして理事の欠員を生じましたので、その補欠選任を行いたいと存じます。 選挙の手続を省略し、委員長より指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐々木委員長 御異議なしと認め、理事に滝井義高君及び八木一男君を指名いたします。
○佐々木委員長 内閣提出の健康保険法等の一部を改正する法律案、厚生年金保険法の一部を改正する法律案及び船員保険法の一部を改正する法律案の三法案を一括議題とし審査に入ります。 趣旨の説明を聴取いたします。小林厚生大臣。
○小林国務大臣 ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案、厚生年金保険法の一部を改正する法律案並びに船員保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明いたします。 まず健康保険法等の一部を改正する法律案でございますが、健康保険制度は、昭和二年実施以来、今日まで約三十年間労働者の疾病負傷時における生活の保障を行う制度として親しまれて参りまして、今や我国の社会保障制度の一大支柱をなす制度として、その給付内容も逐年充実を重ね、特に近年においては、日々に進歩する近代医学の成果をそのつど取り入れ、必要とされる適正なる医療を実施して今日に及んでおりますが、その結果、医療費は逐年増属し、特に賃金水準の低い中小企業を対象とした政府管掌健康保険においては、昭和二十八年末に至り給付費がついに保険料収入を上回るに至り、保険経済はきわめて困難なる事態に立ち至ったのであります。この情勢に対処して政府は昭和二十九年秋以来、被保険者の報酬の実態把握、不正請求、不正受給の排除、保険料収納率の向上等の各種行政措置を講じ、財政の健全化をはかる一方、昭和三十年度予算の編成に際しましては、前年度四十億円、当年度六十億円の収入不足見込みに対し、七十億円の政府資金融資をはかり、向後七年間毎年十億円あて一般会計の負担において返済するものとしたほか保険料率を千分の五引き上げて二十五億円の増収を行い、収支の均衡をはかって参ったのでありますが、引き続く医療費の増高の結果は、昭和三十一年度におきましては再び六十六億円余の収入不足を生ずる見込みとなったのであります。近代医学の進歩と国民の衛生思想の普及に伴い、医療費が年々増加いたしますることは、やむを得ざることではありますが、保険財政におきましては、問題はこの医療費をいかにしてまかなうかということになって参るわけであります。健康保険の仕組みの中において、この医療費の増高をまかなうに足る保険料収入が確保できるならば問題は簡単でありますが、今日の情勢といたしましては、すでに昨年におきまして保険料率は現行法で認められている最高限度まで引き上げられておるのでありまして、これを再びさらに引き上げるということは、現実には、ほとんど不可能と考えられるのであります。それゆえ健康保険事業の恒久的かつ健全な発展を期するためには、この際本制度の根本的な改革が必要とされるのであります。このような見地から、政府は社会保険審議会並びに社会保障制度審議会の答申を慎重に検討するとともに、医療保障に関する与党の方針にのっとって、今回の改正案を立案いたしたのでありますが、まず、第一に、社会保障制度の確立を促進する意味において、政府管掌健康保険事業の発達をはかるため、国庫より財政援助を行うことを法律上明文化し、昭和三十一年度におきましては三十億円を一般会計より受け入れることといたしたのであります。第二に、将来にわたって健康保険の健全なる発達をはかるため、療養の給付を受ける者に対する一部負担金の範囲を広げ、これによって昭和三十一年度において約二十三億五千万円の給付費の節減をはかったのであります。さらに標準報酬等級区分の改訂、行政諸対策の強化等を行うことといたし、これらの諸措置によりまして収支の均衡をはかることといたしたのであります。 なお一方におきまして保険機構の整備をはかるため、保険医、保険薬剤師制度を改め、我国の医療の実態に応じた機関指定方式を採用することといたし、また、社会保険診療報酬支払い基金における診療報酬請求書の審査につきましてその公平正確を期するため審査機構を整備いたすこととしたのであります。 以上申し述べましたように、これら諸改革は単に健康保険の財政対策というような狭い意味のものではなく、社会保障制度特に全国民を対象とする医療保障制度の完全実施を前提としつつその一環として実施するものでありまして、我国の医療保障制度が今後急速に健全に発達して参る上において一転期を画すべきものと考えております。 この法律案は右の趣旨に基き提案いたしたのでありますが、なおそのほか改正を機会に、従来から問題のありました点について制度の不備を是正し、その他制度の合理化をはかるために若干の改正をもあわせて行わんといたしております。 次に改正案の内容を要約いたしますと、 第一に国庫は予算の範囲内において政府管掌健康保険事業の執行に要する費用の一部を補助するものとすること。第二に標準報酬等級区分を最低四千円から最高五万二千円の二十四等級とすること。第三に療養の給付を受ける者の負担すべき一部負担金の範囲を拡張すること。第四に保険医療制度について個人指定方式の長所をとり入れた機関指定方式を採用すること。第五に継続給付受給資格期間を一年に延長すること。第六に不正受給者に対して損失を補てんさせる措置を講ずること。第七に被扶養者の範囲を明確化すること。第八に厚生大臣または都道府県知事の検査に関する規定を整備すること。第九に社会保険診療報酬支払基金における診療報酬請求書の審査機構を整備すること等であります。 以上がこの法律案を提案いたしました理由であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。 次に厚生年金保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。 この法律案は厚生年金保険の標準報酬の最低を引き上げるとともに現行の厚生年金保険法の施行前に被保険者の資格を喪失した女子に対する脱退手当金の支給条件を緩和し、あわせて規定の整備を行いますことを内容としているものであります。 すなわち、改正点の第一は、健康保険法の改正と歩調を合せて、標準報酬の最低を現行の月額三千円から月額四千円に引き上げることであります。これによって、厚生年金保険と健康保険に関する事業主その他関係者の事務は簡素化される結果となると存じます。 その第二は、現行の厚生年金保険法の施行前に被保険者の資格を喪失した女子の一部に対しても脱退手当金を支給し得るような規定を設けようとするものであります。すなわち同様の事情にある男子に対しましては現行の厚生年金保険法により支給できるようになっておりますので、これと均衡をとりまして、女子に対しても脱退手当金を支給し得る根拠規定を設けようとするものであります。 その第三は、規定の整備を行うことであります。現行の厚生年金保険法は、その施行より一年十カ月になりますが、この間の経過を検討いたしますに、多少規定の明確を欠く面がありますので、これを明らかにし、解釈上の問題が起ることを避けますため、所要の規定の整備を行うものであります。 以上が、この法律案を提案いたしました理由であります。 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。 次に船員保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。 船員保険制度は船員の疾病、老齢、死亡、失業等の各部門にわたる総合的社会保険として、海上労働者の福祉の向上のために重大な役割を果してきたものでありまして、この制度は、我が国海運業及び水産業の発展のためにも重要な基盤となっているものであります。 ところで最近数年来医療費等の支出増加のため、その医療給付部門におきまして収支の不均衡を生じましたので、これに対処するため標準報酬の適正把握、保険料収納率の向上、不正受給の排除等各種の行政措置を講じて参ったのでありますが、給付費の支出は増加の一途をたどり、財政の実情は、依然として深刻なものがあったのであります。 このため、昭和三十年度においては、赤字処理のための応急的対策として保険料率の引き上げ、標準報酬等級の改訂、給付の適正化等を含む法律改正案を第二十二回国会に提出するとともに、健康保険と同様に既往の赤字を補てんするため、一般会計より一億五千万円を六年間にわたって分割繰り入れするの措置を講じたのであります一が、法律改正案は審議未了となり、その結果昭和三十年度末においては、約一億九千万円程度の赤字を生ずる見込みとなり、また、昭和三十一年度には、このまま推移すれば約四億円程度の財源不足を生ずるものと見込まれるに至ったのであります。しかもこの赤字は、昭和三十一年度における疾病保険給付費の約十四%に相当し、被保険者一人当りにして約二千二百円余となりますので、その保険財政に及ぼす影響はまことに深刻でありまして、一時的弥縫的な対策をもってしては、この危機を克服することができない事態となっているのであります。このような見地から、政府は社会保険審議会並びに社会保障制度審議会の答申を慎重に検討して現行制度の不備を是正しその合理化を行うため本法の改正を今国会に提案することといたしたのであります。 次に改正案の内容の要点について説明しますと、 第一に国庫は予算の範囲内において、船員法の災害補償に相当する給付に要する費用を除き、船員保険の執行に要する費用の一部を補助するものとする旨の規定を設けることでありまして、その結果昭和三十一年度においては一億円を一般会計より補助することといたしております。 第二に、将来にわたって船員保険の健全な発達を確保するため、新たに一部負担の制度を設けることであります。その実施内容につきましては、船員保険の特殊事情を十分考慮して初診の際に定額を被保険者が保険医療機関に支払うこととし、船員法に規定する災害補償に相当する療養の給付につきましては、船主が補てんの責に任ずることといたしたいのであります。 第三に、保険料率につきましては、失業保険の適用を受けるものについては千分の五、失業保険の適用を受けないものについては千分の七を引き上げんとするものであります。 以上のほか、第四に標準報酬等級の区分を改め、最低を五千円とすること。 第五に、報酬が歩合によって支払われる場合の報酬月領の算定方法を改め、前年度における実績を基準として算定するものとすること。 第六に、職務外傷病に対する資格喪失後における療養の給付等につき原則として一年につき三月の資格期間を設けること。 第七に、独身入院者の職務外の事由による傷病手当金の支給額を百分の五十とすることのほか、健康保険法の改正に準じ被扶養者の範囲の明確化、保険医療制度の整備等各般の改正を行わんとするものであります。 以上が、この法律案を提案する理由並びに法律案の要旨であります。 何とぞ慎重審議の上、すみやかに、御可決あらんことをお願い申し上げます。
○佐々木委員長 以上で説明は終りました。本三法案に対する質疑その他につきましては後日に譲ることといたします。 —————————————
○佐々木委員長 次に岡良一君外十二名提出の健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし審査に入ります。 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。滝井義高君。
○滝井委員 このたび提出いたしました健康保険法等の一部を改正する法律案について提案の理由を申し上げたいと存じます。 御承知のごとく、健康保険制度は昭和二年実施以来今日に至るまで三十年にわたって発展を続け、社会保障制度の中核として国民の医療保障、国民生活の安定に大きな役割を果してきているのであります。現在健康保険は、国家の基幹産業を中心に、労働人口の大半に適用され、国が直接管理している政府管掌健康保険には五百十二万、組合管掌のそれには三百五十万の労働者が加入し、扶養家族を加えて実に二千五百万に達せんとしているのであります。しかもその保険給付に要する費用は、すべて事業主と被保険者の醵出する保険料によってまかなわれており、国は今日までのところ事業運営のための事務費のみを負担しているにすぎないのであります。しかしながら社会保障制度の一環として、強制加入の建前のもとに国がみずから管理に当っている制度である以上、国が社会保障に対する責任を分担する意味において、保険の本体である給付費について国庫負担を行うことは当然であり、特に制度そのものが崩壊せんとしている今日においては、その危機を未然に防ぎとめ、医療保障の一そうの推進をはかるために格段の財政的配慮が必要であると考えられるのであります。 健康保険等については、その給付費の二割以上を国庫負担すべしとの声は関係各団体の年来の世論でありました。ところが治療医学の進歩や、利用度の向上とともに、医療給付費は逐年急速に増大をいたしまして、そのため健保を初め各種の医療保険財政は深刻なる危機に見舞われるに至りました。たとえば政府管掌健康保険の医療給付費は、昭和二十六年度において百三十七億円余、これが昭和二十九年度には三百五十億円余、昭和三十年度には約四百二億円、昭和三十一年度には四百四十二億円余と急ピッチで増大し、その結果昭和二十九年度には五十九億円余、昭和三十年度には約九十億円、昭和三十一年度には六十六億円の赤字が見込まれるに至ったのであります。 健康保険制度は各種社会保険のうちでも最も長い歴史と伝統を有し、実にわが国社会保障制度の根幹というべきものであります。しかも現行健康保険の保険料率は世界的にもきわめて高率なものであり、従って保険料率を引き上げる余地も乏しく、さりとて旧態に逆行して患者の一部負担を強行することも適当ではないと信じます。すなわちこの際保険給付費については当然相当程度の国庫負担をなすべき旨を明らかにする必要があろうと信じて所要の改正を試みたのであります。 すなわち健康保険については、原則として保険給付の百分の二十を国庫負担とし、船員保険についても同様趣旨の改正をいたしました。百分の二十といたしました趣旨は、逐年の保険財政の実情とともに、すでに国民健康保険においてこれが実施を見ているところであり、かつまた医療給付費の四割が結核療養費であるところよりその半額程度を国の負担といたすことを妥当といたした次第であります。何とぞ慎重御審議の上御可決あらんことを切望いたす次第であります。
○佐々木委員長 以上で説明は終りました。本案に対する質疑その他については後日に譲ることといたします。
○滝井委員 議事進行についてちょっと発言させていただきたいと思います。それは、健康保険法の実施は五月一日からでございます。御存じのように、四月一日から医薬分業が実施をせられます。医薬分業が実施をせられることになりますれば——十九国会以来私たちが審議をいたしておりました医療費体系は医薬分業と不可分の関係にあることはすでに再三にわたって大臣が予算委員会においても参議院においても御言明の通りであります。従って四月一日から医薬分業を実施するとするならば、医薬分業の歴史的な過程から考えて、当然十九国会以来問題となっておりました医療費体系というものが出されなければなりません。少くとも医療費体系というものが出てこなければ、医薬分業というものが実施できないという重大な事態にも直面すると思うのでございます。そこで私は、政府はすみやかに健康保険法の審議中に医療費体系を出すことを要望いたして、議事進行の発言を終りたいと思います。
○小林国務大臣 ただいまお話しの新医療費体系というものは、これは医療費のあり方でございまして、従いまして新医療費体系というものは、先般お配りいたしました点数表の中にその考え方が含まれているものと私どもは考えております。
○滝井委員 もしそういう御趣旨であれば本日同時に御説明を願わなければならぬと思うのですが、私は出ていなかったので、実はきょうの理事会ではそういうことを問題にしなかったわけです。それは先般当委員会で大臣からいつでもお出しできますから出します、こういう御発言があった。私たちが今いただいているのは新医療費体系に基く健康保険及び船員保険の点数表なのです。そこで私たちはその新医療費体系に基くという、その基いた新医療費体系を実は出していただきたい。これは国会の昭和二十九年の意思なんです。その国会の意思を無視せられて、大臣の方で勝手にあれは点数表だ、こう言われることになると、これは重大問題なんです。その点私は大臣に誤解があると思われますので、この点を一つ、もし医療費体系がなければないという御言明をいただければけっこうだと思うのです。あればこれをきょう御説明願いたい。あれが医療体系だとおっしゃれば、その説明はもう資料をいただいてありますから同時にしていただかなければならない。あるいはそれはこの次の理事会のあとにしてもらってもかまわぬと思うのですが、その点もう少し明白にしておいていただかないと、これは重大な関係があるのです。
○小林国務大臣 私は今申し上げましたように、新医療費体系というのは、御承知のように、技術と品物を分けて考える問題でございまして、医療費のあり方を示すものでございます。従いまして新医療費体系というものに関しまする問題は、先般お配りしておりまする点数表の説明の中に含まれておる、こういうふうに考えております。
○佐々木委員長 次会は明後五日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後二時二十二分散会