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24回国会衆議院1955/12/23

社会労働委員会 第1号

発言数
118
登壇者
9
会派数
2
開催日
1955/12/23

会議録

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。今国会における委員会の活動を円滑ならしめるため、国政調査の承認要求をいたしたいと存じます。調査する事項といたしましては、社会保障制度、医療、公衆衛生、婦人・児童福祉及び人口問題に関する事項、労使関係、労働基準及び失業対策に関する事項、以上の二項目とし、これらの実情を調査し対策を樹立することを目的といたしまして、小委員会の設置、関係各方面よりの説明聴取及び資料の要求等の方法による国政調査の承認要求をいたすこととし、文書の作成等に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 御異議なしと認め、そのように決します。     —————————————

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 お諮りいたします。ただいま決定いたしました国政調査承認要求が議長より承認されました場合、委員派遣を行いたいと存じますが、その手続等に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  暫時休憩いたします。     午前十時五十七分休憩      ————◇—————     午後二時八分開議

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  社会保障制度、医療制度及び公衆衛生に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますので順次これを許可いたします。植村武一君。     〔委員長退席、大橋委員長代理着席〕

植村武一自由民主党

○植村委員 議会が始まりますと請願がたくさん出て参りまして、応接にいとまなきような状態でありますが、その請願のうちでも、切々胸を打つような請願も相当あるのであります。その一例としてこれを取り上げて大臣の御所見を伺いたいと思うのでありますが、大臣が遅れるようでありますので、ぼつぼつ話を進めて、お見えになったら大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。  ことしの四月五日に受理されております同和問題に関する請願というのがあるのでございます。その請願の要旨は局長さん御存じないかもしれませんから読み上げますが、「本請願の要旨は、人間は等しく生れながらにして平等であるべきであり、このことは新憲法によっても明らかに保証されているところである。しかるに数世紀にわたるわが国封建社会の弊風は今なお人の下に人を作り、一部の人々に対し差別的事象の現存することは断じて許し難い事実である。ついては同和対策に関する審議機関を設置すること、衆参両院に同和対策特別委員会を設置すること、厚生省に同和対策部(局)を設置し、同和国策の具体化を図ること、同和教育を推進し国民啓もう運動を展開すること等を実施されたいというのである。」これが請願の要旨であります。この請願は当委員会におきましては採択をいたしました。しこうして内閣に送付いたしたはずでありますが、送付された厚生省としてどういう感じを持たれ、これをどうしようというお考えでありますか、まず伺っておきたいと思います。

安田巖厚生事務官(社会局長)

○安田説明員 御質問の同和対策でございますが、お話の通りに古い因習によりましていまだにそういう差別の事象がありますことはまことに残念なことでございます。政府の方針といたしましては、今も御指摘がございましたように新しい憲法が制定になりましてから、この憲法の一つの特徴といたしまして基本的人権というものを尊重する。すべて人権尊重ということをもとにした憲法でございますので、今さらそういうものを特別な対策として扱うということはいかがかということでやってきておったわけでございます。しかしその後いろいろと各地で問題も起りますし、厚生省で昔からそういった仕事につきましての窓口のようなことをいたしておった関係で、昭和二十九年からこれに要する予算を組んだわけでございます。それは隣保館を作っていこうということでございまして、その金が昭和二十九年度に約一千数百万円でございます。それから三十年も同様に一千数百万円が組まれたわけでございます。明三十一年度予算といたしましてはそういう隣保館のほかに共同浴場というものの設置の必要が非常に説かれております。またやってみて成績もいいようであますので、それもあわせて補助を要求したいと思って、せっかく大蔵省と折衝いたしているような次第であります。こういう考え方は、同和問題につきましては各省各庁でもってそれぞれ自分の仕事について権限を持っておりますので、そういう各省の仕事の中でそういった問題をできるだけ解決していっていただくようなことを考える。厚生省といたしましては厚生省の仕事の範囲の中でそういったようなことをやりたいというのがこの予算の趣旨であったと思います。そこで先ほどのお話の請願でございますが、審議機関にいたしましては厚生省の内部にはそういった協議会を設けまして、各省の人を集めました連絡協議会を実は現在作っているわけでございます。それから民間の方々が同和問題の対策協議会を作っておられまして、そちらとも実は連結いたしております。そういったような問題の必要性は認めながらも、しかしながら今請願の要旨にありましたように特別の審議会をこの際政府に設けるかどうかということ、それからこれは国会のことでございますので国会自身でおきめになることでございますが、国会が特別委員会を設けるかどうかというようなこと、あるいは厚生省の内部機構の問題といたしまして同和対策局というようなものを設ける必要があるかどうかということにつきましては、なお考慮の余地があるのじゃないかというように考えて実は現在まで参っている次第でございます。

植村武一自由民主党

○植村委員 それでは伺いますが、同和問題というものは新憲法になってからだんだん解決の曙光を見出しつつあるというふうにお考えになっておりますか。それを伺っておきたい。

安田巖厚生事務官(社会局長)

○安田説明員 ものの考え方といたしましては確かに私はそういう点ではよくなっているのではないかという気がいたすのでありますが、しかし御指摘のように各地になおそういった問題につきましていろいろと事件が起きておりますことも事実でございまして、一そうそういう点について各省協力していただかなければならぬと思っております。

植村武一自由民主党

○植村委員 表面の形は差別的言辞を弄する者も減りましたろうし、そういうふうに見えますが、しかし実は私は変っておらない、むしろ一般人は敬遠主義をとって、そのためにかえって同和問題の解決、心からなる同和ということについては次第に遠ざかっているのじゃないかというふうにも考えるのでありますが、どうお考えになりますか。

安田巖厚生事務官(社会局長)

○安田説明員 いろいろ見方があると思いますけれども、これも社会一般の考え方としてはとにかく戦前と戦後におきましては人間を尊重するという考え方については私はやはり特段の進歩があったというふうに考えるのでありますが、これは一般的な考え方でございまして、特殊な場合にそういう形でそういう考え方がまだ行き渡っていないような事柄があるかということにつきましてはまたいろいろ御意見があるかと思います。こういう問題に対するやり方といたしましても、たとえば昔内務省のありましたころには、昭和十一年からでございますけれども、十カ年計画でもって地区の改善事業というものをやったわけでございます。これはやはりそういった差別の事象をなくするためにはやはり環境を改善していく、そしてそういう差別をされないような環境を作っていくということが大事だという考え方でやってきたわけでありまして、現在も各地にそういった仕事が残っているのでございます。しかしそういうふうに昔は内務省が——これは私の考えでございますけれども、土木にいたしましてもあるいは地方の改善の仕事にいたしましても衛生にいたしましても全部一本で持っておりましたから、そこでそういった一つの省に限られたわけでありますが、今日はいろいろと仕事も分化いたしておりますし、そういった各省別々の仕事の中でそういう問題を解決していくという考え方もまた一つの考え方である。たとえば建設省等において住宅建築をいたします場合にも、そういった地区に特に鉄筋コンクリートのアパートを建てるというようなこともいたしているようであります。決して私ども十分とは思わないのでありますけれども、できるだけ私どもの仕事の範囲内でもってそういった点につきまして改善をいたして参りたいと思います。

植村武一自由民主党

○植村委員 今局長のお話に出ましたこの問題の解決はもちろん一般人の啓蒙も必要でありますが、同時に差別されない生活環境を作り出すということは、やはり政治の施策としてやらなければならね。そういう点においてきょうまで非常に欠けている面がある。ことに同和地区の方は非常に純情であります。政府としてこれだけの力をわれわれ地区のために入れてもらっているんだ、こういう一つの誇りを持って彼らは立ち上る。こういうことは絶対的に必要だと私は思うのです。  ところでこの請願にも出ておりますように、今承わりますと、一年間に全国でわずか千数百万円の金で、しかも隣保館だけを作って、それでやっていけ、こういう形が出ておるのでございますが、これではいかにも九牛の一毛にも足りない予算である。生活環境をよくするということは、当然予算が伴うべき問題であります。今お話にありましたように、戦前内務省で社会局が総合的な施策をやった。これで非常に力が出たんだが、今ばらばらになっておるから、その力が出ないというお話、私は結論としてはそうだと思うのです。しかしながら生活課の一隅で仕事をやって、年間これだけの大きな問題を千万円で何年間に解決しようというようなことを考えることそれ自体が、むしろ同和問題に対して認識がないんだ、また政府に解決する熱意が乏しいんだ、こう言われても仕方がないと私は思うのでありますが、これはどうでしょう。

安田巖厚生事務官(社会局長)

○安田説明員 この問題は私どもの厚生省だけでなくて、文部省にいたしましても、あるいは建設省にいたしましても、その他の各般の省が仕事に当っておるわけでありまして、私ど一つの事務官といたしまして、私どものワク内の仕事について考えているわけであります。今申しましたのは、厚生省といたしましてやっておる仕事だけを申し上げたのでありまして、そのほか先ほどちょっとございましたけれども、建設省でもそういうことについて金をつぎ込んでおられる、それで文部省でもそういった教育方面について意を配っていただいておりますが、いずれの問題にいたしましても、予算はどうせ少いのでございますから、必ずしもこの問題に限らず、御満足のいくような仕事が全部できておるというわけではないのであります。ただ今の特別の機関を作るという問題でございますが、土木対策局ができたならば、仕事が非常にうまくいくということもございます。昔内務省の社会局でやっておりました場合にも、必ずしもそういう大きな機構でやっておったわけでもないのでございます。その問題と今の仕事の内容とは関連はございますけれども、そう密接不可分だというふうにも実は考えていないのであります。いずれにいたしましても、私ども力の足りないことは重々承知いたしておりますけれども、生活課あるいは社会局といたしまして、こういう問題について今後も一つ十分努力いたしたい。なお予算等の計上にいたしましても、一昨年よりは昨年、昨年よりはことしというふうに少しでも向上させていきたいというふうに努めておる次第でございます。

植村武一自由民主党

○植村委員 この同和地区には御承知の通り文部省に関係ある点もあります。また厚生省には私は一番関係が多いと思うのでありますが、厚生省で特に力を入れておるヒロポンの防止、これらは一体どこで一番多いかというと同和地区なんです。それからこれは文部省の問題でありますが、長欠児童の問題、どこが一番多いかというとやはり同和地区なんです。そういうようなことを考えると、これは総合的な施策を用いないと、長欠児童は文部省だ、厚生省の方はヒロポンだ、こういうような考え方では私はほんとうの同和地区の改善というものはできないと思う。先ほどお話の隣保館を作る、これはまことにけっこうです。ところが建物はお作りになりましたが、一体あの運営は現在どうしておりましょうか、それを伺いたい。

安田巖厚生事務官(社会局長)

○安田説明員 これは私の方で半分だけ国庫補助をいたしますと、市が大体経営の主体になりますから、市がその半分を出すのであります。所によりましては府県がそれに若干のものを加えて負担をいたしておる場合もございます。そうして市の施設といたしまして市の職員を置いて経営をいたしております。その点はこの予算で作りました隣保館については運営が円滑にいっておると私どもは考えております。私自身も実は行って二、三カ所見て参りましたけれども、非常に喜ばれております。隣保館を作りまして、さらにそこに保育所を作るとか、あるいは眼科だけの簡単な医療機関を作るとか、あるいは図書室を作るとか、あるいはそこが集会所になりますとかいうようなことで、たとえば保育所にするにいたしましては、児童局の方で保育所の方の金がそこに行っておりますから、そういった一つの生活改善なり、あるいは生活を少しでもよくしていくというような意味のセンターになっておるということで、もし少い予算を有効に使うのにはどうしたらよいかといいますと、今のような考え方でやっていくのが比較的いいのではないかというふうに考えております。なおほかに浴場の問題はこれを経営いたしましていい浴場ができますれば、割に安い料金でやって参りますし、なおまたそう赤字というものもなさそうでございますので、戦前にもそういうことがありました例を思い出しまして、実は今年はそういうものを要求いたしております。

植村武一自由民主党

○植村委員 この隣保館の経営というものを市町村の職員でやらしておる、こういうお話でありますが、私はその考え方が根本的に違うのであります。先ほど申し上げましたような生活環境を向上せしめるには、この隣保館を中心としてそのセンターとしてやるべきだというお説には同感でありますが、その運営の面では私は少くとも隣保館の主事といいますか、館長といいますか、そういうものを国で置いて、しかもその館長となり、主事となる人は同和問題に対するエキスパートをここに置いて、そして四六時中各家庭を訪問してでもこの生活環境の向上、長欠児童の対策、ヒロポン中毒の対策というものに挺身するような人を置かなければ、隣保館を完全に運営したとは言えないと私は思う。建物だけ建てて、あとは市町村でやっていけとか、あとは地元で適当にやれというようなことではほんとうの目的は達せられないと私は思う。これはぜひとも私はあなたに要望しておきますが、将来私が今申し上げたような人をここに置いて運営をする、これが当然だと思うのでありますが、それはいかがでしょうか。

安田巖厚生事務官(社会局長)

○安田説明員 これは施設を作りましたときに、施設を設けました目的が達せられるかどうかということは、確かにそこを運営しております人の問題でございまして、人によって大へん成果が違うということは全く同感でございます。そういう意味で今でも市町村におきましては、大てい同和問題に理解のある人を置いておると信じておりますけれども、これを市でやらせますということは、こういうものはえてしてその地元に全部まかせますときに、第一人件費なんかで行き詰まりまして、すぐうまくいかない。植村先生のお話は、それを地元のものに全部まかせるというのではなくて、むしろ国の職員を置いたらというお話だろうと思います。しかしこれは今の地方自治制度の考え方というものは、そういった場合の人というものをやはり国の職員にしないという大体考え方でございますので、そういった地方自治制度の本来の考え方と、それから今の植村先生からおっしゃいましたようなその仕事自体からくる要求とがそこにぶつかるわけでございます。そういう問題も一つ研究してみたいと思います。

植村武一自由民主党

○植村委員 先ほど私が最初に申し上げたように、同和対策というものを国策として取り入れるべし、こういうのが私の考え方で、市町村とかその地区の自治にまかすということではどうしても成果が上らない、こういうことで申し上げておるわけなんでありますが、同時にこの地区で一番今困っておるのは医療機関です。少くともこの隣保館のうちに医療機関——簡単でもよろしいが診療所を置く、医者を置く、それによって公衆衛生の面も担当せしめる、こういうことはぜひ必要なことであると思いますが、この問題に対してどうお考えになりますか。

安田巖厚生事務官(社会局長)

○安田説明員 お話のように、概して申し上げますならば、やはり衛生関係の環境というものが非常に悪いのでありまして種々病気等が発生いたすわけであります。そこに診療所を設けますということは私どもも賛成でございまして、そういうふうに診療所を設けてあるところがたくさんございます。しかしそこで全部の医療をやるという、そこまでいかなくても、たとえばことに目の悪い人がそこにたくさんおるようでありますけれども、そういったような簡単な診療を夜間やりますとか、あるいは外部から来て夜間だけでもいろいろな簡単な診療をやっていただくということがいいのではないか、そういうふうな考え方でやっておるわけであります。

植村武一自由民主党

○植村委員 これは御承知かどうか知りませんが、同和地区に今医療機関が不足しておるということに目をつけておるのが、現在の共産党なんであります。各部落ごとにその診療所を置いて、診療を通して共産主義の宣伝活動をやっている。こういう面から考えて、もし政府が御存じないのだったら私が今申し上げるような医療機関を至急に置くべし、もし知っていらしてこのまま放置されるということなら、政府としてはなはだ怠慢である、私はかように思うのでありますので、特にその点を申し上げておきます。内務省の社会局が同和問題の解決のために努力していた当時は、先ほどもあなたのお話のありましたように、地区整理ということを勇敢にやっているのでございます。先ほどのお話では、建設省でも不良住宅地区は手をつけておるということでありますが、もしつけておるのだったらどこでやっておりますか。寡聞にして私はそんな話を聞かないのでありますが。と同時にこの不良住宅だけを作りかえるというのではなくて先ほどのお話のように地区全体をどうするか、こういうことも考える。あるいはこれを集団的住宅にするのか、分散的にこれを解決するのかというようなことも私は考慮すべきだと思いますが、これをどういうふうにお考えでしょうか。

安田巖厚生事務官(社会局長)

○安田説明員 住宅は建設省の住宅行政の中でいろいろ、公営住宅を建てます場合に鉄筋のアパートなどを建てておるところがございます。これはたとえば広島の市におきましても、やはり二十四戸建のアパートが部落のまん中に建っております。それから公団の区画整理をいたしまして、戦争中に京都なんかでやっていましたことですけれども、大きな道路を中へ通すというようなことをいたしますと、非常に環境がよくなります。自然地区の人たちの心がまえも違ってくるということで、確かに私は効果があると思います。そういうことも一般的な都市計画なり区画整理の中へ入っているわけでございます。ただこの問題は、たとえば奈良県なんかの例を私聞いておるのでありますけれども、やはり従来住宅地でない山の傾斜地でありますとか、あるいは荒地等にだんだん住宅が建ってくると思うのでありますが、そういうところは公道でもないし県道でもないということになって、そういった場合の地区の整理ということを県なりあるいは市町村なりが自分でやらなければならないという場合に、いろいろ財政的に困難があるという話を聞いておるのであります。確かに御指摘のような問題がいろいろあることは事実でございます。

植村武一自由民主党

○植村委員 あとは一つ大臣に御所見を伺いたいと思いますが、私がさきに申し上げたように、さしあたりの問題としては隣保館の館長を国において置くこと、医療機関を置くこと、さらに地区整理、不良住宅の改善を早急にやれるように一つ総合的な考え方を同和対策として、政府にお持ちいただきたいということを希望いたしておきます。  次に、これも大臣か政務次官に伺いたいのですが、お見えになりませんので、局長に伺っておきますが、大臣の最初のごあいさつの中にも特にうたわれておりましたのは、母子福祉対策というものをわざわざごあいさつの中に織り込まれた。大臣は参議院の社会労働委員長であり、政務次官はまた衆議院の社会労働委員であった当時、この母子福祉資金の貸付に対しては非常な御努力のあった方であります。従って私は大臣なり政務次官に伺っておきたいと思ったのでありますが、またお見えになりましたらあらためて聞きたいと思います。特別国会で母子福祉資金の貸付の法律の一部を改正いたしましたが、このときにだいぶ漏れておる点があるのであります。たとえば就学資金のうちでも高等学校の就学資金をどうするかということが一つ。または貸付を受けた者が万一死んだ場合にはこの貸付金を減免するという措置のないことが一つ。また国民健康保険のない地区に住んでいる母子家庭の最も困っているのは医療問題であります。これらの問題は一体どういうふうに来年度の予算で解決しようとなされておるか、これをまず伺いたいと思います。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田説明員 母子福祉資金の貸付に関しまする問題につきましては、当委員会において非常な御熱意を傾注されまして、その結果母子家庭が非常な光明を得るに至りましたことは衆目の見るところでございますし、さきに就学資金の貸付につきまして、大学の分につきましては、お話のように二千円から三千円以内ということに引き上げられましたけれども、高等学校分につきましては七百円ということに据え置きになっております。これにつきましては母子福祉大会等においても、きわめて熱烈なる引き上げの要望もあった点でございますが、私どもといたしましては、かかる事情にかんがみまして、三十一年度の予算要求として、一件七百円から千円に上げてもらいたいという要求を出し、せっかく努力中でございます。  次に、本人に特別な事故がありました場合におきます減免の規定等につきましては、これは直接的には予算と関係がないと考えられますし、これらの法律上の措置につきましては、できるだけ早く設けるという趣旨をもちまして研究をいたしておる次第でございます。  それから、その次の医療の問題でございますが、これは他方におきまして国民健康保険の急速なる拡充ということを厚生省としても進める意図をもちまして予算等も要求をいたしておりますので、その方でできるだけ不足がないようにやっていきたいという考えでございます。根本的にいえば国民全部に国民健康保険が行われるという姿であってこそ、初めて解決できると思いますけれども、さしあたっての問題といたしましては、今申し上げましたような方向で解決に努力して参りたい、かように考えておる次第でございます。

植村武一自由民主党

○植村委員 来年度予算については格段の御努力中と承わりましたが、この問題は従来の御主張から考えて、おそらく大臣も政務次官も非常に熱心であると私は信じております。またあらねばならぬと思うのであります。従ってこの問題の解決にはぜひ一つ渾身の努力を払っていただきたいということを要望いたしておきます。  その次に母子福祉のためには御承知の貸付金の法律一本なんでありますが、母子家庭を守るためには、あるいは就職の問題とか、あるいは税金の問題とか、いろいろ各省にわたる問題があると思うのでありますが、一つこれを総合法としておきめになるお気持がないので、ございましょうか、それを伺っておきたいと思います。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田説明員 ただいまお話がありましたように、大臣及び政務次官におきましては、母子福祉の問題について非常に関心と熱意をもって当られ、私どもも鞭撻いただいておりますことをこの際申し上げておきたいと思います。  今お話の母子福祉に関します事柄は、あるいは就職の問題でありますとか、あるいは税金の問題でありますとか、あるいは農地の問題でありますとか、きわめて広範な分野にわたることでございますし、そういう点からいたしましても、先般の母子福祉大会におきましても、母子福祉の総合法を設けられたいという要望が非常に強かったりでございます。これはたとえば生活保護なんかもその対象とするお考えのように承わったのでございます。それで私たち事務をあずかっている者でございますから、そういう観点から見まして結局そういう声が非常に強く叫ばれるゆえんのものは、現状では母子の福祉がいろいろ欠陥にさえぎられて制度的にも不十分であるし、これが充実されていない、そういう現状に対する不満と、それをもっと引き上げたいという非常に強い要望の一つの表現と見なければならぬと思のでございます。そういう意味におきましてこれらの各般にわたる一つ一つの問題を十分の熱意を傾けて解決に努力をしなければならないことは、これは言うまでもないことでございますし、私どももその線に沿って微力ながら努力をいたしておる次第でございます。同時にこれが一つの法律ということになりますと、現在ありますそれぞれの体系として成り立っているものから、ものと次第によりましては、いわば端的に表現すれば、もぎ取るような格好になる面も出てくるのじゃないかと思うのでございます。そういたしますと、これをまとめるという方面に絶大なるエネルギーを注がなければならない面も出てくるんじゃないかと思うのでございます。そういう観点からいたしまして、当面の急とするところは、やはり実質的に母子福祉の一つ一つの問題なり施策なりというものが推進をされるということが、一番肝心の点であろうと思いますので、むしろ当面の問題としてはその方に主力を置いて、そうして総合の問題を考える、そういうふうな考え方の方が実際的ではなかろうかと、率直に申し上げまして、かように考えておるのでございます。いずれにいたしましても母子福祉の問題は当面きわめて重要な問題でありますし、解決をしなければならない面が多々ございますので、これらの問題の解決、福祉の増進には、先ほどお話がありましたように渾身の力を傾注をして参りたいと、かように考えておる次第でございます。

植村武一自由民主党

○植村委員 この間どなたか触れられましたが、母子福祉資金の貸付は半額が国費で半額は県費負担となっておりますが、地方財政がだんだん赤字になってくると、受け入れ態勢がどうもうまくいかない、政府の思っておるように末端では貸付金が円滑にいかない面がある、こういうふうに私どもも考えておりますが、これは何とかして政府のパーセンテージを少しでも上げて、地方財政の負担を軽くして問題の解決に努力なさるということが必要じゃないかと思うのですが、いかがでございましょう。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田説明員 ただいま御指摘の点は、母子福祉資金貸付に関する法律の観点からいたしましても、また母子福祉全体の立場からいたしましても最も重要なる問題の一つであると考えるのでございます。     〔大橋(武)委員長代理退席、委員長着席〕 ただいまお話のように率直に申し上げまして、現在政府が五億の金を年に用意をいたしておりますけれども、二十九年度においては一億以上もそれが余るような状態でございます。ことしは懸命にこれが消化に努力しておりますけれども、残念ながら全部を消化するということは端的な見通しとしては困難ではないか、かような見方をしておるのであります。  一方しからば母子福祉資金の貸付についての要望が少いのかと申しますと、これは実は非常に多い現状でございます。潜在的な要求というものは非常にこれは多いと思いますけれども、現実に顕在的な申し入れ自体について見ましても、二十八年度においてはその約五〇%、二十九年度においては約六〇%を満たしておる状態にすぎないのでございまして、一方においては貸付の申し込みに対して応ぜられない、一方においては政府の金が余っているという、きわめて矛盾をした状況にあるのでございます。この矛盾の原因は、先ほど御指摘のように、国が五割、地方が五割、その辺にある。ほかにもいろいろ考えられるかもしれませんけれども、その辺に原因があるということはどうしても考えざるを得ない問題でございまして、これは今後の問題として、これが改善の方途を十分考えなければ、せっかくのこのりっぱな制度というものが、仏を作って魂を入れないような格好になってしまうおそれもあると思いますので、これらの問題の解決については、今後さらに御鞭撻、御援助をいただきまして、解決に邁進いたしたいと考えております。

植村武一自由民主党

○植村委員 次に、環境衛生部長さんでもけっこうですが、過日の委員会で、野澤委員の質問に対して、通常国会で食品衛生法を改正する意思があることを大臣がお述べになっておりましたが、具体的にいいますと、どういう点をどういうふうに改正しようとされておるか、これを一つ伺っておきたいと思います。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本説明員 従来のいろいろな運営上の経験にかんがみ、さらに一方は、最近食品というものが非常に複雑な形態をとるものが多くなっておりますので、最初にきわめて技術的な問題でございますが、添加物——牛乳その他いろいろなものを添加することが最近広く行われております。従いまして、添加物をすべて規制いたす方法について私どもは研究をいたしております。なおこの場合、かような添加物につきましても、さらにその製造の根本にまでもさかのぼりまして、これを規制していきたいというのが一つの趣旨でございます。  それから第二点といたしましては、従来化学的合成品あるいは化学的物質というものが、御案内の通り、色素その他としていろいろ使われておりますが、これらのものの定義あるいは取締りの方法が必ずしもはっきりいたしておらなかった例もありますので、今後はこれら化学的合成品あるいは化学的物質の定義を明らかにいたしますとともに、それに間違いのない規制を加えていきたいと考えております。  第三は、従来食品にいろいろな物質を使っておりますが、この場合、もちろん、たとえば日本薬局方あるいは試薬というようなものを使ってくれれば間違いないわけでございますが、しかし必ずしもさようなものだけを使うことは許されませんので、今後特に薬品類につきましては、食品用という一つの項目を起しまして、つまり従来の工業用並びに局方及び試薬という範囲のほかに、さらに食品用という一つのカテゴリーを作りまして、間違いなきを期していきたいと存じております。  第四番目は、従来いろいろ問題になっておりました露天営業その他の形態を実情に即してこれを規制していくように、営業面から押える方向を研究いたしております。なお改正といたしましては全面的に改正を行いまして、できるだけ早い機会に御批判を仰ぎたい、かように考えておる次第でございます。

植村武一自由民主党

○植村委員 もう少し具体的に伺います。森永事件でもああいうことになったのは、工業用の第二燐酸ソーダを使った責任は当然森永にあるのですが、使ってもいいような法律というものは現在の法の不備だ、これはいなむことができぬ。今日までの厚生省の考え方は、牛乳そのものに対しては非常に厳格な規制をやっている。ところが乳製品以下の食品に対してはきわめて簡単で、しかも使用されておる目的は牛乳より以上に乳製品、特に練乳、粉乳というものは子供に使われておる。私は過日の協議会でもちょっと申し上げておりましたように、牛乳と同じ考え方で練乳も粉乳も対処されたらあんな間違いは私は起らなかったと思う。乳には他物を混入してはならない、この大原則を牛乳だけじゃなくて練乳にも粉乳にも一つ守っていただきたいということを、協議会でもちょっと触れたのでありますが、この問題に対してはどういうふうにお考えになりますか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本説明員 まことに御指摘の通りでございまして、従来牛乳に対しては他物の混入を絶対禁止しておるにもかかわらず、乳製品その他に対しましては一部のもののみ厚生大臣の許可を受けて使うことといたし、必ずしもそこに規制がなかったわけでございます。この点に関しましては、まことに従来の法の一つの盲点というような感じを強く受けておりました。まことに遺憾に存じております。かような点は今回の法改正によりまして、ただいま御指摘のように、今後は乳製品に対する一切の添加物等につきましては品目を規制し、しかも必ず食品用と表示されたもののみを使っていくようにいたしたいと考えております。ただ一言、これはお言葉を返すようでありますが、乳製品のようなものは、やはり砂糖以外にもいろいろ栄養素を入れて比較的使いやすい形にすることが各国の例でもあります。また日本の現状から申しましても、調整粉乳というようなものが小児科方面からも歓迎されております関係もございますので、今後乳製品につきましては、合理的でしかもきわめて効果的なものである限り添加物は認めていきたい方針で進んでおります。

植村武一自由民主党

○植村委員 添加物を入れなければならぬ原因はどこにあるのでしょう。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本説明員 これは乳児を育てます場合に、その月齢等から考えましても、糖分の多いものを要する場合もございますし、あるいはビタミン類というようなものも特に多く必要とするというようなことも考えられますので、調整粉乳というようなものにつきましては今後もただいま申しましたような方針で進んで参りたい、かように考えておる次第でございます。

植村武一自由民主党

○植村委員 牛乳は御承知の通り栄養分が比較的完全にそろっておる食品であることは御承知の通りでありますが、そこへ何か加えるということは、このごろの商業道徳といいますか、少し法にゆるみがあるとそれを利用してより多くもうけたい、より多く販売するためにはどうすべきかというようなことを考えている。そういう点を法を改正する場合にはよほど考慮なさらぬと再び森永事件を繰り返し得る素地を作ると私は考えておる。たとえば牛乳の問題でもそうでしょう。かんじんの牛乳は牛乳と呼ばないのでしょう。これはどうなんですか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本説明員 はなはだ失礼を申し上げました。私調整粉乳の点をお答え申し上げました。しかしながらただいま御指摘のございました牛乳、つまり市乳につきましては御承知の通り現在メーカーがもっぱら商業政策の観点から、ビタミン入りとかホモ牛乳とかいうようなことに相なっておりますのをまことに残念に思っております。しかも現在は、これもおっしゃるように特別なこれらの操作を加えたものは乳飲料の範囲でありまして、牛乳ではございません。この点も取締り上まことに片手落ちの点でございますので、この点に関しましてはできるだけ早い機会に、場合によりましては法の改正を待たずに省令、政令等を改正いたしまして、かように市乳に他物を混入して叩売するというようなことは差し控えたいと今研究をいたしておる次第でございます。

植村武一自由民主党

○植村委員 特に省令で伺いたいのですが、牛乳という言葉を使わずになぜ市乳という言葉を使っておるのですか。この根拠がどうも私はわからない、なぜ牛乳という言葉を使ったらいけないのか、そうして牛乳にあらざるものを牛乳として堂々と広告をし販売させておる、一体これはどういうことなんでしょう。私はどう考えてもこれはわからない。もう一つ言っておきますが、おそらくはこの委員諸君のうちでも市乳とは何ぞや、こう言われたら市乳とはどういうものかということを知っていらっしゃる方は私はないと思うのだが、これはここの委員会でもそうなんだから、一般大衆は市乳とは何ぞやといったら知っている者は一人もないですよ。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本説明員 お答え申し上げますが、この点もまことに御指摘の通りでございまして、私どもは慣例上市乳と言っておりますが、かような役所だけにしか通用しない言葉はできるだけ今後は避けて、もっとわかりやすい言葉に改むべきものと考えまして、今後は牛乳なら牛乳あるいは乳なら乳というふうにはっきりさせて参りたいと存じております。この点も今後省令改正等の機会に必ずもっとわかりやすい言葉に改めていきたい、かように考えております。

植村武一自由民主党

○植村委員 それからこのごろビタミン入りとかパンビタン入りとかいう広告が出ている。これは入れると市乳じゃないのでしょう、市乳じゃないという意味は牛乳じゃないのでしょう。それだのに牛乳でないものを牛乳として販売する。私はこれは非常に危険だと思うのです。これはおそらく乳飲料として取締りされていると思いますが、その点はどうなんですか。ことに乳飲料になれば牛乳としての成分規格を備えなくてもよろしい。たとえばもう一つ露骨にちょっと誇張すれば、水を倍まぜても三倍まぜてもいたし方ございません。こういうことでしょう。これはどうでしょう。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本説明員 まことにお恥かしい話でありますが、御指摘の通りで、ございまして、現在は一般に市販されております牛乳には他物が混入してありますために仰せのように乳飲料であります。従って乳飲料として取締りを受けているわけでございますので、きわめて厳格な意味を申しますれば、御指摘のような点が言えるわけであります。そこで先ほどお答えをいたしましたようにできるだけ早い機会に、場合によっては法律の改正を待たずにこの点を明らかにして参りたい、かように考えております。つまり乳製品、乳飲料及び牛乳の区別をはっきりいたしまして、牛乳は牛乳として何ものも入れずに新しいりっぱな牛乳を市販されることにいたしたい、かように考えている次第でございます。

植村武一自由民主党

○植村委員 もう一つ伺っておきます。このごろ発酵乳というものをたくさん売り出しております。この発酵乳の原液の製造は許可制度だと私は思う。ところでこれの成分規格がございますかございませんか、これをまず伺っておきます。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本説明員 どうもまことに申しかねますが、これも御指摘の通りでございまして、現在原料とされる牛乳は一つの取締りを受けております。しかしこれを発酵いたした、最後にできた商品については、現在のところ食品衛生法の一般的な取締りは受けておりますが、特に成分規格等は定めてありませんためにその方の規制はございません、ただしこれは食品衛生法においてただいま申しますように総括的な監督を受け、従って営業許可だけは現在厳としてとっているわけであります。

植村武一自由民主党

○植村委員 この原液の製造は許可制度であるが、各都市で売っている希釈した発酵乳というものがあるということは御存じでしょうな。これは私は許可制度でないと思う。許可制度ではなし、成分規格はなし、そうしてそのほかの牛乳に準じた取締り規定は何もない、どんなところで原液を薄めても差しつかえない、どんな方法でやっても差しつかえない、こういうことがきわめて危険だと思う。これに対してはどうお考えでありますか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本説明員 現在私どもが発酵乳と言っておりますものは、大体牛乳を発酵させた程度のものを言っているわけでございます、しかしながらただいま申し上げましたように成分規格等がございませんので、必ずしもその定義がはっきりいたしておりません、一方ただいまお話のございました薄めたような市販に出ておりますいわゆる乳飲料的なものは、一応私どもはこれを発酵乳の範疇に入れて考えておりません。従って自由にこれが販売できるということになっております。なぜそうかと申しますと、この程度のものだと他にもいろいろ操作を加えました飲料が販売いたされておるからでございますが、しかしながらかような点につきましては今後十分に研究をいたしまして、必要があればまた改むべきは改めて参りたい、こう考えておる次第でございます。

植村武一自由民主党

○植村委員 私厚生当局を決して責めているわけじゃない。この法律を作られた当時の考え方では、おそらくは現在のようなことにはなるまいと考えられておったと思う。ところがあなた方のお考えよりも、営業者の考え方の方が先に走るので、抜け道があったらすぐそこにつけ入っていくというのが残念ながら現実です。だからおそまきでもそれに準じた取締りをやっていかなければならないということになるのですが、今部長さんのお話を伺ってちょっと変に思ったのです。何と言われたのですか。希釈して販売しているものは牛乳に準じたものじゃない、一般飲料だというふうに言われたのですか。ちょっと聞き漏らしたのですが。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本説明員 発酵乳を著しく薄めました一つの飲料というような形のものは発酵乳ではないというふうに扱って参っております。しかしこれは現在の扱いでございまして、今後なお研究いたしましてこの扱い等につきましては改むべきは積極的に改めて参りたいということをお答え申し上げたわけでございます。

植村武一自由民主党

○植村委員 それではもう一つ具体的に言います。これは名前は言いませんが、発酵乳といいますと昔はヨーグルトくらいなものだった。このごろはいろいろな乳酸菌製剤というもののメーカーができておる。そこで作ったものを今度はカンに入れてそれを販売者に渡す。販売者はそれを買ってくる。そうして許可制度は要らないのだから、自分のうちでこういうものを売りますといって府県当局に届け出さえすればよろしい。そこでびん詰めする前にその原液を何倍かに希釈して、そこでサッカリンを入れ、ズルチンを入れて味を甘くうまく作り上げて、子供の口に合うようにしてそれを販売しているのです。それはどうするのですか。すこぶるこれは危険じゃないですか。これは子供を対象にしているのです。戦前はこれは牛乳以上の成分がある、牛乳の上にビタミンB1からB6まであるのだというような宣伝をどんどんして、子供は喜んでそれを飲みます。牛乳を子供が飲む。練乳も粉乳も子供が飲む。そうしてそういうような危険な発酵乳も子供が飲む。やはり子供を対象とするような飲料に対してはもっと一貫した頭を働かすべきだ。これをほっておいてごらんなさい。きっと問題になります。現に私の国では一人中毒者が出た。どうですか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本説明員 この点は率直に申し上げまして、先ほどお答え申し上げましたように、御指摘の点まことにごもっともでございまして、私の方におきましては目下これを研究いたしております。改むべきは改めたいと考えております。ただお言葉を返すようでございますが、現在日本では御承知のように脱脂乳の適当な利用方法というものが比較的乏しいわけでございます。従ってバターの値段も高くなるし、また一方他に費消もされる。従って脱脂乳を何か合理的に使う方法というものは一方で進めていかなければならないものであります。そんなことをかれこれ考え合わせまして進んでおるわけでございます。しかし今後さらによく実情を調べまして、最近雨後のタケノコのようにそのようなものが出ておりますので、これらに関しましては相当の規制を加える必要があるということはここではっきりお答えをいたしておきたいと存じます。

植村武一自由民主党

○植村委員 もう一点で終ります。部長さんは今脱脂乳の利用のためにさようなことを奨励しておるというふうに聞えたのですが、そうですか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本説明員 奨励という意味ではありませんが、脱脂乳を適当に利用する方法の一つとしては発酵乳というようなものもその範疇にありますので、さような点から見ると、今後重要なる一つの食品である。こういう意味のことを申し上げたわけであります。

植村武一自由民主党

○植村委員 学童には脱脂乳をやっておるのですよ、アメリカから入れた脱脂乳を使っておる。脱脂乳は脱脂乳として大いにこれはそのまま飲料するような態勢に持っていってしかるべきだ。私は何も発酵乳にすることが悪いというのじゃない。発酵乳にして、その希釈してから後の状態が悪いというのです。それが危険だということを申し上げているのです。特に法律改正のときにはそういう点もよく御研究いただきたいということを申し上げるわけであります。時間がおそくなりましたから、これで私は終ります。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 大橋君。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 時間がありませんので簡単に御質問いたしたいと思います。  前国会におきまして、当委員会で、森永粉乳の中毒事件の補償について厚生当局が俗に言う五人委員会なるものをそのあっせんによって成立させられた。こうした問題についてここまで厚生省が立ち入るということはややその権限を逸脱した越権的の行為じゃないかということを私は申したのでございますが、それについてこの機会に重ねて政府の責任ある御答弁を要求いたします。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 ただいま大橋先生から森永の粉乳中毒事件の補償に関しましてのいわゆる五人委員会のできましたいきさつにつきましては、休会中に開かれました協議会においても御報告申し上げたことでございますが、その森永の事件が起りまして、さしあたって私どもが注意をいたしましたことは、医療問題がいかに行われるかということでございます。ところが患者の医療につきましては森永が全責任を持ってやるという申し出がございましたので、それに従いまして私どもといたしましては地方当局に指示をして、その線に沿ってやっておったわけでございます。ただ患者の見舞あるいは死亡者に対しまする弔慰金等につきましては、私どもは最初からそういう問題は当事者間できめるべきものであるというふうなことを考えて進んでおったわけでございます。しかし当事者間でなかなかその話が順調に進まないというような状態でありまして、患者代表の方からも私どもの方に見えまして、森永が誠意をもってこのことに当るように森永に指示をしてほしいという要望がございました。ごもっともなことでございまして、森永の方といたしましても、自分の方で何とかやらなければならぬと思うけれども、現在のところどうしていいかわからない、とにかく患者の医療について今全力を尽しておるというような話でございます。いわゆる患者あるいは死者の両親の方からもこういう要望がある、その点十分誠意をもって当るようにというふうに森永の方には私どもとしては指示をしておいたわけでございます。そのうちに森永の方といたしましては何か具体的な案を……。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 時間がないので、私の質問に対して簡明率直にお答えをいただきたいと思う。いきさつ等はすでに承知をいたしております。私が伺っておるのは、厚生当局は当然の権限でこういうことをなすったようには思われない。果してこういうことをすることが厚生省の権限であるかどうかということについての責任ある御答弁をいただきたいということでございます。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 厚生省の権限に基いていたした行為ではございません。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 そうするとこれは厚生省が頼んでやったのですか。それとも法律的には、森永に頼まれて委員会がこういう裁定をしたと見るべきですか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 厚生省が五人の方々に、中正な御意見をお出しいただきたいということをお願いしたわけでございます。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 そうすると厚生省は、権限がないけれども参考にまあ言ってみろ、こういって頼んだわけですか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 その表現でございますが、権限に基いたものではございませんが、中正な意見をお出しいただきたいということでございます。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 そうすると厚生省は、これで出てきた意見は中正なりという前提のもとにこういう人々に頼まれた、こう見ていいのですか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 その人選の当初から、中正な意見を出していただけるというような方々を人選いたしましたので、厚生省といたしましては中正な意見を出していただけるものと期待してお願いしたわけでございます。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 現実にすでに意見書が出ておりますが、この意見書は公正妥当なものであるということを厚生当局は責任を持って天下に断言できる、こういうわけですか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 非常にむずかしい問題でございますが、この結果を出していただくまでの経過につきましては、きわめて中正にお取り扱いいただいたというふうに私ども承わっておるのでございます。結果が中正であるかどうかということにつきましては、私ども中正に出していただいたというふうに考えております。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 そうすると厚生省は責任を持って、この内容は今日の社会の実情から見て公正妥当なりというふうに主張されるわけですね。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 内容につきましては、たとえば出ておりますいろいろな数字等につきまして、厚生省はそれをいいとか悪いとか言うような立場にはないというふうに考えております。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 そうすると内容についてはいいとも悪いとも言えない、これは必ずしも公正妥当なものだということをはっきり言うことはできない、こういうふうに承わってよろしゅうございますね。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 妥当でないというふうに私どもが申し上げるわけにも参らないと思いますが、先般も大臣が参議院の委員会で、これについてはいろいろ積極的に御意見を申し上げることは差し控えなければならぬと思うけれども、いろいろ御批判もあるけれども自分としてはまあまあ妥当なところじゃないかというふうに考えている、という御発言がございました。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 今公正妥当と考えておるということをおっしゃった。そうすると厚生省はその言葉について全責任を持つわけですね。天下に対してこの数字は公正妥当だと言うのですね。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 まあまあ妥当だというふうに思うというようなお答えでございました。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 それなら伺いますが、この委員会の費用は日本乳製品協会で負担することになっておる。一体こういう当事者間に争いのある場合において、金を要求されておるところの森永乳業を主たる構成分子としておる日本乳製品協会でこの委員会の費用を負担するという経過をもって、果して公正妥当な解決が得られたというふうに一般的に考え得るでございましょうか。私は厚生当局の常識をまず疑わざるを得ない。もしこれが公正妥当だと言われるならば、そして手続的には少くとも公正妥当であったと言われるならば、その常識を疑わざる得ない。争いのある当事者の一方の費用によって決定されたものが、社会的に公平に見て公正妥当だということが、今日社会常識上許されるかどうか、まずこれを伺いたい。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 その点は先生の御指摘の通りだと存じます。この調査に要しました費用が協会から出ておるということにつきまして、そういう御批判を受けることはごもっともだと存じます。また一般の人たちがそういうふうな御意見をお持ちになるおそれは十分あると存じます。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 そうすれば、その点においてこの委員会の意見書なるものの公正妥当の根拠はくずれ去っておると言わざるを得ない。これはそういう結論になると思います。この点についてはまたあとで伺うとしてこの内容の金額は厚生大臣は公正妥当と思うと言っておられますが、この金額は死者に対してはまず一応十五万円が妥当である、そしていろいろな情勢を加味して十万円を加算して二十五万円にしておる。ところが従来政府のやりました実績を調べてみますと、紫雲丸の事件においては、大体乳幼児に対しては一応一人二十万円が妥当であり、これにいろいろな情勢を加味して十万円を加算して三十万円にした。そうすると紫雲丸の場合は二十万円が相当だと思っておる。ところが今回の場合には政府は十五万円が相当だと思っておられる。なぜ五万円減ったのか。同じ政府が考えることでありながら、乳幼児の補償金額の基礎が五万円減ってきておるということはどういう根拠で減っておるのか。しかもなお厚生大臣はこれを公正妥当だと言われるのかどうか、さらにはっきり承わりたい。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。その前に先ほどの、費用が乳製品協会から出ておるということで一般世人が中正と考えないじゃないかという御指摘、ごもっともだと存じます。私どももその費用の点につきましてはいろいろ苦慮したわけでございまして、行政費として考えるかどうかということも一応検討したのでございますが、そういう筋ではないということで、ただいま大橋先生の御指摘のような点がございましたが、五人の方々の御人格、社会的な地位というような点を十分信頼いたしまして、そういう心配のないような結果を出していただけるものと信じて進んでおるわけでございます。この点一言つけ加えさしていただきたいと存じます。  それからただいまの内容の点につきましては、非常にデリケートな問題を含んでおりまして、こういう御意見をお出しいただきましたことにつきまして、直接その衝に当っておられました山崎先生から意見を聞いておりました関係部長からお答えいたしたいと思います。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 政府委員ですか。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 大橋君に申し上げます。この前は政府委員になっておりましたが、継続しないものですから現在は政府委員になっておりません。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 それでは拒否いたします。——今申し上げましたごとく、政府は紫雲丸の事件について、乳幼児に対する賠償額は三十万円を相当と認めておる。これに対して今回の森永の乳幼児問題においては二十五万円が相当である、こういう結論を出し、そうしてこれを支持しておられる。今山口局長は山崎さんから直接説明を聞いたから云々ということを言われましたが、私の今お聞きしておるのは、山崎委員の意見の内容を説明してもらおうというのじゃない。あなたがこれは厚生大臣が公正妥当なるものであると大体考えておられると言うから、あなた方がこの二十五万円が公正妥当なりと考えておられるその根拠を伺いたい。そこで私は厚生省の役所としての見解を伺いたいので、山崎君個人の見解あるいは五人委員会の意見を伺おうというのじゃない。あなた方がこの山崎君の二十五万円は不当であると言われるなら伺う必要はないが、これを公正妥当だと言われるのだから、あなた方が公正妥当だと言う根拠を伺いたい。先には紫雲丸事件の乳幼児を三十万円をもって公正妥当なりとせられておるのに、今回森永の乳幼児は二十五万円をもって妥当なりとせられる根拠、これを一つ伺いたい。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 これは私どもの考えを申せというふうな大橋先生のお言葉でございます。私ども大臣以下まあまあ妥当じゃないかというふうに考えておりますという点につきましては、こういう数字が出ましたいきさつをいろいろ伺って、まあそういうふうに一応考えているわけでございます。と申しますのは、これは刑事上の責任、補償の問題はもちろん別でございますが、道徳上の補償の問題につきましては、ここにも書いてございますように、今まで医療にいろいろ使われました費用、そういうものもひっくるめて一応考えるということでこの辺の数字が——そういうものは数字としてここに表われてきておりませんので、そういうものもひっくるめますとまあまあ一応のあれじゃないかというふうに考えるわけでございます。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 そんなでたらめを言わずに、説明がつかなければ説明がつかないでいいのです。あなた方がこれを説明できっこないですよ。実際紫雲丸で三十万円を妥当としたのに、森永では二十五万円が妥当だという理由を説明しろと言ったって、これはあなた方の力で幾らやったって無理だ。おそらく山崎君がここへ来られたって無理でしよう。ことに紫雲丸というのは御承知の通り一つの船です。旅行に際して船に乗る場合には保険がつくくらいのものなんで、船には危険が伴うというのは昔からきまっている。その際においても三十万円を妥当と政府は認めておる。ところが牛乳を飲むのに保険などというものはついておりません。これは牛乳を飲んで死ぬなどということはとうてい考えられない状態にあるからなのだ。従って保険までつけて覚悟をし、昔ならば水杯をして船に乗った場合においても三十万円の賠償をしようというのに、絶対安全保証つきのミルクを飲んで死んだ場合に、それよりも五万円少い金額が妥当だということを幾らあなた方が説明しようと思ったってこれは説明のつくものじゃありません。どう思いますか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 ただいま大橋先生の御指摘ごもっともだと存じます。そのケース、ケースによって判断するというふうに考えなければならないと思うのでございますが、数字的にどうしてこういうふうになるかという説明をしろとおっしゃられますと……。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 そんな説明をしろというのじゃない。公正妥当だという根拠を説明しなさい。紫雲丸が三十万円、森永が二十五万円で、この森永の二十五万円が公正妥当だという根拠を説明してくれ、これが質問の要点なのです。なぜ紫雲丸より安くなければならぬか。私は紫雲丸よりは高くなければならぬということを言ったのです。それに対してあなた方の方は紫雲丸よりも安い数字を出して、これは公正妥当なりと言っておられるからして、そこでなぜその公正妥当が紫雲丸よりも安いのか。森永の場合、あなた方は公正妥当なんだ、こう言われる。私は紫雲丸は船のことなんだから、これは交通事故というものもあり得る。その場合でさえ三十万円なんだから、森永がそれよりもびた一文でも安いということは絶対に考えられない。当然紫雲丸よりも高い賠償をしなければならぬじゃないか、こういうことを言っておるのです。だから療養費が幾らかかったなんとかいう問題じゃない。紫雲丸と森永とどっちが高いのが常識かというあなた方の常識を聞いているのです。はっきり答えていただきたい。答えられなければ答えないでよろしい。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 どうもその比較、私もただいまその答えを申し上げかねます。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 その答えができない以上は、この数字が公正妥当なんだということは一切言わぬようにしていただきたい。  それから次にもう一つ伺いたい点は、患者に対しては全部一人一万円ずつということになっておりますが、この患者のうちには相当なる重症者もある。これがために半年、一年、いわゆる成長のおくれと申しますか、それがために発育がおくれておる者もあります。この乳幼児の時代における発育のおくれということがその乳幼児の一生を通じてどれだけの結果を来たすかということは、すでにあなた方はよく御存じだと思う。そういう重大なる結果を招いた者もあるいは単に二、三日おなかをこわした者も一律に一万円でよろしいという、この結論が果して公正妥当なる結論と言えるでしょうか、この点についてもお答えをいただきたい。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 ただいまの点ごもっともなことでございますが、一つの点は、これはまた先ほどもお答え申し上げまして、そういうことを考えたらどうかという御指摘がございましたが、長くかかっております者はその間にいろいろな費用を払い、また一日、通院は百五十円、入院は四百二十円払っております。そういうものも考えに入れてのことだと思うのでありますが、もう一つはただいま大橋先生御指摘の乳幼児時代のいろいろな障害が将来大きな影響を及ぼすということはお説の通りでございます。その点を後遺症と考えるかどうかということは、これは問題だと思います。後遺症の問題については当然いろいろ考えていかなければならぬと存じますが、ただいま御指摘のようなあとにいろいろな障害が——これは症状としてではなしに、発育上乳児にいろいろな障害が起り得るということも当然考えなければならぬと存じます。そういう点につきましては私どももある程度考えなければならぬじゃないかというふうに、これは私個人の考えでございますが、そういうふうに思います。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 そうすると山口局長はこの一万円ずつ出すのはどう考えても公正妥当でないということをはっきり明言されました。あとはその死亡者に対する弔慰金も紫雲丸と比較してこれはどうもおかしいということをいっておられる。そうするとすでにいきさつからいっても公正妥当とはいえない、経費を一方的に負担するということではこれは公正妥当とはいえないし、また出てきている結果についても——これは二十五万円と一万にですよ、この二十五万円もあなたは公正妥当ではない、また一万円も公正妥当ではない、こう言っておられながら、何ゆえに厚生省は大体においてこれは公正妥当であるなんということをぬけぬけというのですか。そういうことによって今現に争いのある森永と患者同盟の双方の交渉に、特に患者同盟に対して不利な影響を与えるということは、あなた方よく考えなければいかぬ。一体そういうことで厚生省の立場として正しいかどうか。私はこの問題についてはもう少し——今予算その他で忙しいでしょうから大臣等とお打ち合せの時間がないかもしれませんが、ゆっくり休み中に根本問題について御検討になりましてただいま私の申し上げたことは速記に残っておりますから、速記をお調べの上で根本的に御検討をなさいまして、次の機会において厚生省は、この五人委員会の意見というものについては権威を認めないのなら認めない、あるいは認めるなら認めると、一つはっきりしていただきたいと思うのであります。このことによって社会一般に非常なショックを与えておりまするし、また患者同盟の交渉に対して非常な不利益を現に与えつつあるのでありますから、これに対して厚生省は適当な是正の措置をお講じになることを切に希望いたしまして、今日の質問を終ります。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 ただいま御指摘の点十分検討いたしまして態度をきめたいと存じております。ただ先ほど申し上げました紫雲丸事件と本事件との比較について十分お答えできませんことを非常に申しわけなく思っております。また一万円の問題については、相当長くかかった者につきましては医療費が相当入っておりますので、それを含めますとある程度の妥当性は考えられるのじゃないかということを私申し上げたのでありまして、ただ後々の問題についてはこれは十分考えなければならぬのじゃないかということであります。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 吉川兼光君。

吉川兼光日本社会党

○吉川(兼)委員 私は大橋君の質問を中途から聞きましたので、多少重複するかもしれませんが、今日もまた時間の余裕がないとのことゆえいずれ休会明けの委員会でこの問題は徹底的に論じなければならぬと思いますし、あとの質問者のことも考えましてほんの一言、二言質問いたします。  五人委員会の意見書なるものは、私どもも拝見いたしました。なかなか長文にわたり、その配列などには御苦心のあとが見えまするけれども、しかし、率直に申し上げまして、これはどうも中正ではないように考えられます。非常に巧妙な言い回しがなされていますけれども、どうも、何だかこう森永のために弁ずるという面がところどころに隠れたり現われたりいたしておると思われるのであります、当局はこれを果して公正なものと考えているかどうか、まずその御見解を聞きたい。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 先ほども大橋先生の御質問にお答え申し上げたところでございますが、この意見書が中正であるかどうか、そういうふうに政府は考えるかどうかというお尋ねと存じます。その点につきましては、これができ上りました経緯につきましては、先般も御説明申し上げましたように、私どもの方でどこにも相談せずに厚生省で五人の方が中正な御意見を出していただけるものとして、お選びしたわけでございまして、そしてお願い申し上げた。最初から中正な意見を出していただくようにというふうにお願いして進んでいただいているわけでございます。それで出ました結論につきまして、妥当かどうかというような御意見もございますが、その御審議に——これは私どもは五人の方々から御要求がなければ出なかったのでございますから、細部にわたってはわからないのでございますが、少くとも私どもの承知いたしております範囲内では、きわめて中正的なお取扱い、いろいろ資料も各方面から公平にお取りになってお調べをいただいたというふうに考えておりますので、その取り扱われましたプロセスにつきましては、中正にお取り扱いいただいているというふうに私どもは考えております。

吉川兼光日本社会党

○吉川(兼)委員 私はここではそのようなプロセスとか経緯といったものは伺っていないのです。ここに出て来ております意見書、これを、中正な意見と政府は認めておるかどうかということだけお答え願えればよろしいのですどうかもう一ぺん。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 中正にお出しいただいたというふうに考えております。

吉川兼光日本社会党

○吉川(兼)委員 だから私は質問をしなければならないのだが、はっきり申しますがこの意見書は中正でも何でもないと私は思うのです。そもそも五人委員会というものが中正な意見を出すような構成ではないと私は見ております。多分大橋君から質問があったことと思いますが、元来、厚生省の仕事の中にこういうことまでしなければならぬという法的な根拠はない、せんだっての休会中に開かれた懇談会の際にも、私は森永ミルクの補償問題についてはたといあっせんのごときものであっても公衆衛生局の容喙する範囲ではないじゃないかということを山口局長にお尋ねしておいたのですが、どういうわけか、公衆衛生局はこれに興味というか熱意というか、そういうものを持っておられてとうとうこういうこと、しなくてもいいこと、またはしてはならないことをしでかしてしまったのです。第一あなた方がこういうことのあっせんに乗り出すということが間違っております。いわば最初のボタンをかけ違えたのだからどこまでいっても理屈が合わなくなるのでして、合理的なところに到達するわけはない、私はそう思っております。この意見書は法律上の責任の面には触れない、いわゆる社会通念とか道徳とかそういう面からの問題のみに限ってといっておりながら、盛んに裁判の判例のごときものを並べ立てたり、また資料の集め方についても被災者側の意見はほとんど尊重されておりません。たとえば、意見書の中に引用してある被災者から受け取ったという書状にしても、十四ページの「B、被災者側の要求と意向」と書いてあるところに「森永の措置に対し満足しているのが著しく多い。中には森永の措置に対し感謝の意を表しているものもある。」と記してありますが、これはわずかに三百五十三通についてのことにすぎません。——山口局長の発表によると、今日の被災者の数というものは一万一千八百九十一となっていますが、この数字に対する三百五十三人というのは、わずかに三%にしか当りません。この三%かそこいらの少数からの手紙、これは悪く考えれば、集めようとすれば作為的にも集め得る程度のものですが、そういうものがここでは麗々しく取り上げられ、森永の処置に対して満足している者が著しく多いとか感謝しているとか、いうのは何たることでしょう。全部が全部そうであっても三百五十三通という数は、そのウェートにおいて問題にはならぬものと思います。これは一例ですが、こういうものが方々にあるようであります。この意見書の紙の切り工合等から推して考えますと、これは新聞社などで何万、何十万と大規模に刷ったのではないかと思われますが、これを被災者の間はもちろん、何も知らぬ国民の間にもばらまいて、そうして、森永事件の例にも何にもならないものを、どこどこの事件では補償は幾ら幾らで済んだというような、まぎらわしい判例などをたくさん並べ立てることによって、さらにまた意見書の至るところに森永は誠心誠意で事に当っている云々と数え立てることによって、一は森永の処置を合理化せんとし、一は地方にいて自覚の足りない罹災者が、これはとても別途に請求してもこれ以上はもらえないかもしれないというような錯覚に陥りやすいような、ある種の企図をもっているとも、これはとれぬこともない書き方のようであります。この五人委員会については、いずれ休会明けの委員会に、なるべく五人委員会の委員の方々にお出でいただき、この点を明確にしていただかなければならぬことになるであろうと考えておりますが、ただ、五人委員会の設置に当っては政府当局が一役を買っているかのように見えることが非常に遺憾であります、私は最初から政府には注意を喚起し、こういう民間相互の補償関係には深入りすべきではないと、繰り返し繰り返し申しておいたのです。この意見書はおそらく弁護士あたりが書いたものでしょう、というのは、森永のためとしか思われないようなことをいろいろと書いていながら、しかし、大事なところになりますとちゃんと抜け穴を作っておられる。その点、実に見事なできばえとは思いますが、これが果して中正公正な意見であるとあなた方は本当に信じておられるかどうか、念のためにもう一ぺん聞いておきたい。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 いろいろ御指摘の点でございますが、森永にとって有利なものばかりを多く取り上げておるというような御指摘でございましたけれども、これはいろいろお考えになる方で御意見があると思うのでございます。私どもは、またプロセスを申し上げることになるのでございますが、その間の途中の取り運びなどから考えまして、中正に出したものだというふうに考えておるわけであります。

吉川兼光日本社会党

○吉川(兼)委員 そういうふうに局長に開き直られると、私はもう少しさかのぼって議論をしなければならなくなると思うのです。ところで、局長は先刻大橋君に対する答えには、必ずしも中正であるとは信じないというふうに答えたのではなかったかと思いますが、答弁は一貫しておりましょうか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 中正に出されたかどうかというお尋ねと、それから金額が妥当であるかどうかというお尋ねの二つでございましたが、中正にお取扱いいただいたという点については、私どもはそういうふうに考えているわけでございます。それから金額については、いろいろ御意見がございましたが、御質問にお答えできなかった点もあるかと思います。

吉川兼光日本社会党

○吉川(兼)委員 局長のこの意見書は中正であるといい切る私に対する御答弁は、大橋君への御答弁とは違うようですが、私の聞き違いもあり得るので、いずれ速記を見た上のことにするほかはありません。この意見書の中には被災者関係の資料らしい資料は、きわめて少いようですが、五人委員会の被災者に対する調査の状況がおわかりでしたら、事のついでですから、ここでお述べいただきたい。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 被災者の方から直接書面が五人の先生方に参ったということを承わっております。それともう一つは、被災者の代表に会われていろいろお話を十分聞かれたというふうに伺っているわけでございます。

吉川兼光日本社会党

○吉川(兼)委員 この意見書に引例しておりまするものを見ましても、被災者側についての調査は、かつて被災者から出したところの出版物を単に転載しているに過ぎず、それもこまかくは出ておりません。そしていたずらに他を顧みるとでもいうか、乳幼児事件として一見類似しているようではあるが、実は似ても似つかぬ、あるいは最近起った鉄道事故とか、船の事故とか、またはジフテリア予防の間違い事件とかをことさらに引例しております。しかし、全体としてこの意見書の読後感は私にはどうしても中正とは考えられませんが、まあこれはあなたと私の見解の違いだからいたし方はありません。  ただ、この際に繰り返しても申しておかねばならないことは、大体、被災者代表の方では最初から五人委員会を全然認めないという態度であるのに、当局はそれを無視して森永の賛成の意見だけを聞いて一方的に五人委員会の設置をあっせんし、森永はその五人委員会に対して、委員会で出した結論には全面的に従いますというような一札を入れている。これでは全くのなれ合いとしか思われないではありませんか。五人委員会がほんとうに中正な意見を出す機関であるとするなら何もその結論に森永が従おうと従うまいと、そんなことは問題じゃないはずではありませんか。森永とか被災者とかいうものに関係なく、その両者またはそのいずれかが認めようと認めまいと、そういうことにはかかわりなく意見を述べようというのならばわかります、要するに、社会通念上から考えてみても、森永がよほど安心するような委員会の構成でなければ、森永としてそんな一札を入れるはずがないじゃありませんか。これは、きわめて常識的な考えであると私は思うのです。このように五人委員会のそもそもの起ったもとが中正でないと思われるから、私だけでなく、国民の間に疑惑が解けないわけと思います。それにしても、五人委員会はこの問題にまるっきりしろうとの人々のようですが、わずかの期間にこれだけの意見書を作り上げるということは非常な努力を要することでありましょう。努力に対しては敬意を払います。五人の委員の方々の顔触れを見ましても、いずれも社会的にりっぱな方達でありますが、やはり五人委員会の法的な根拠等について、深く検討することなくただ政府からの依頼、または政府のあっせんというので、お引受けになったのではないかとも考えられるのです。この場合、厚生行政の限界を逸脱して、こんな民間の民事事件に乗り出した厚生当局の責任は重大であることは、私ばかりでなく与党の大橋君なども強調しているところと思います。最初のボタンをかけ違った当局の所論は、どうも片寄っていて本来あるべき姿の中正を欠いていると私は思うのであります。実は五人委員会の結果が新聞に発表された日に本委員会において私どもはこの意見書を中心にして究明を行うつもりでおったのでありますが、ちょっとした手違いのためその日の本委員会は流れてしまった。つまり私どもは肝心かなめなときに国会において、この意見書を取り上げて質問することができなかったのである。しかしここまで時期が延びて来た以上は、もはや数日を争うことでもないので、再開する通常国会においてはあらためて五人の委員の方たちにも登場してもらって究明したいことは、前にも述べたとおりであります。本日の委員会における政府の御答弁には私は承服することはできないことをここに明らかにしておいて、一切は次の機会に譲り、本日の質問は打ちきります。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 八田貞義君。

八田貞義自由民主党

○八田委員 森永の問題について質問をいたします。私はこの問題につきましての国民の真の願いは、こういうような事件が二度と起らぬことであり、起らないようにしてくれということが国民の真の願いであろうと考えまして、この問題につきまして九月の初めにおきまして第二回の協議会においてこの事件の食中毒史上におけるところの意義、それから刑事責任の所在、この刑事責任の所在は二つに分けまして、患者に対する責任、それから薬を作った人々の製薬の責任というふうに分けます。さらにまた乳質の改善向上、四番目には製品の国家検査というような四つに分けてこの問題を検討して参りたい。  今日この五人委員会の報告につきましては私まだ十分検討いたしておらないのでありますが、この結論のところに、本問題に対しまして道徳上の責任、習俗上の責任、法律上の責任というふうに三段階に分れまして補償問題を検討されております。ただその結論にはまだ法律上の問題はわかっておらぬので、この補償は習俗上の責任、道徳上の責任について補償問題を考えるというふうに書いてあります。従って将来法律上の責任がはっきりした場合に賠償の問題が起ってくるというふうに書いてあります。これに対しまして今日補償金額の多い少い、あるいはこの五人委員会の性格等についていろいろと問題になっておりまするが、法律上の責任が明らかになった場合、さらにこの金額はふえてくるという見通しでございますか、その点厚生当局としての先の見通しをお伺いいたしたいのであります。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 森永自体に法律上の責任ありということなりますれば、これは五人の方々はどういうふうにお考えになるかわかりませんが、私の感じといたしましては、補償額がふえるのではないか、そういうふうに考えております。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そこで、私が今日までいろいろと調査検討しました結果、法律上の責任はいわゆる薬を作った人にあるということが明確になってきつつあるのであります。本問題につきましては薬務局長の答弁を要求しておったのでありまするけれども、ただいま薬務局長から、きのう話し合った点についてさらに検討して処置をとりたいということでありますので、ここではその質問を省略します。ただ問題は、初めこの問題の毒物が国立衛生試験所の分析の結果では、砒酸ソーダ、第三燐酸ソーダ、第二燐酸ソーダ、バナジウム、鉄、銅などの混合物であって、特定の化学名を付することができないというふうなことであったのでありまするが、その後東大の木村研究室におきましてエキス線による結晶解析の結果、森永の粉ミルク中毒事件の原因となった大阪の松野製薬製造のいわゆる問題の薬品というものは、第二燐酸ソーダとは似ても似つかない別物であることがわかったのです。これについては朝日新聞その他の新聞で三十年十二月四日の朝刊に報道されておりまするが、それによりますと、この問題の物質というものは燐酸ナトリウム、砒酸、弗素などの元素から成る化合物で、分子式も明らかにされておりまするが、名前は第三燐酸ナトリウム、弗化ナトリウム、砒酸ナトリウムの複塩で、めったにない砒素化合物だということであります。これまでの検査では弗素が分析されておらず、なお不明の点が残されていたわけでありまするが、この検査では従来行なっていた化学分析のほかにノレルコ、すなわちエキス線で結晶を調べる装置でありますが、精密なエキス線の感照度を便ってやった分析の結果は、これまであいまいであった点も正確にわかって参りました。しかもこの薬品を入れた容器には第二燐酸ソーダというレッテルが張ってあったということであります。そうして砒素の含有物は六か七%に達しておったというのであります。薬局方の付表にあるところの毒物の限界は、砒素の含有量は〇・〇六%、劇薬の限界は〇・〇三%以上であるから、これと対比してみますると問題の薬品は猛毒に類するものであります。ところが先回の薬務局長の見解では、混合物であるから毒物及び劇物取締法の第二条の別表第一に規定されておるところの「砒素、その化合物及びこれらのいずれかを含有する製剤」には該当しないというような答弁があったのであります。ところが東大の木村研究室によりまして明らかに砒素化合物であることがわかりましたので、これが該当するというふうになって参ったわけであります。そうしますると、明らかにこの毒物は、毒物及び劇物取締法に該当するということになれば、今後この問題の毒物が法の趣旨に反して横流れするようなことがあってはならぬということになるのであります。これらの点につきましても、昨日薬務局長の意見を徴したのでありますが、まだその点の調査のことについては未着手のようであり、この点につきましても公衆衛生局長から薬務局長に連絡されまして、これの流出防止について特段の努力を払われるようにお願いいたしたいのであります。  それで公衆衛生局長がおられますので次の質問をいたしたいのでありますが、この五人委員会の報告に触れないような点について申し上げてみたいと思うのであります。森永工場は本年の四月、すなわち中毒事件を起した粉ミルクに初めて第二燐酸ソーダを使ったかどうか。工業用を使ったと厚生省で説明しておりましたけれども、一体そうであるかどうか、工業用を使ったのかどうか。さらに容器に工業用との表示があったかどうか。また新聞紙上を見ますると、問題の第二燐酸ソーダというのには色が着色してあって、明らかに有毒物とわかるようなことがあったというが、果してそうであるか。色の濃淡で有毒無毒というものが実際に識別できるかどうか。さらにまた森永以外の会社では第二燐酸ソーダまたはこれと同系統の薬品を使っていないかどうか。また使っているとしまして、その都度砒素の検査をしているかどうか、この点について御答弁をお願いいたしたいのであります。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 お尋ねの第一点、いつから森永の徳島工場で第二燐酸ソーダを使っていたかということでございますが、これは昭和二十八年四月十五日に第一回を購入して使っております。繁雑に流れるかも存じませんが、日にちを申し上げますと、昭和二十八年四月十五日、次が九月二十八日、次が十月二十九日、昭和二十九年、六月四日、十一月十日、十一月二十日、十二月三十一日、それから本年の四月十日、五月十日、六月八日、七月三十日、そういうふうな調査成績になっております。  それから、今回問題になりましたいわゆる第二燐酸ソーダの表示の問題でございますが、これは第二燐酸ソーダ何々製薬というふうに書いてあっただけでございまして、別に工業用というような表示はしてございません。ただ私ども最初にこれが工業用であるというふうに考えましたのは、大きな木箱にばらで燐酸ソーダが入れてございまして、非常に大ざっぱな取扱いをいたしておりました。普通試薬あるいは局方の製品の取扱いのようでございませんでしたので、工業用の第二燐酸ソーダであるというふうに考えたわけでございます。しかしその後調査いたしてみましたところ、森永としては試薬一級品として購入しておったということでございます。  それから外見上一見してわかるかどうかという問題でございますが、これは八田委員御専門であられますので申し上げるまでもないことかと存ずるのでございますが、この現品だけを取り出してみますと、私のような始終このことに携わっておらないような者にはちょっと見分けがつかないようであります。普通の第二燐酸ソーダと今回のいわゆる第二燐酸ソーダと両方同時に同じ場所へ出して比較してみますと見分けがつき得るというようなものでございます。  それから他の会社について同様のものを使っておったかどうかということですが、私どもの調査いたしました範囲内では、他の会社では第二燐酸ソーダは使っておりません。また類似のものも使っていたというような報告は得ていないのでございます。森永の徳島工場におきましては、第二燐酸ソーダを本年の四月から使っております。それはたしか十キロずつだったかと存じますが、あるいは少し違っておるかもしれません。ビニールの袋に包みまして、それをまた大きな箱に入れて購入しておった。購入先は徳島とは違うのでございますが、表示はその際試薬一級品という表示がしてある、そういうものを使用しておったという報告を得ております。

八田貞義自由民主党

○八田委員 私は森永以外の会社で第二燐酸ソーダを使っておったかどうかということを伺ったのです。さらにまた比べてみると、色がはっきり違っておると言われておりますけれども、色の問題はいわゆる精製法の問題でありまして、水分をたくさんにして精製をした場合と、燃料等を殺して水分を非常に少くしたという場合では、色のつけ方が違ってくるのであります。ですから色によって有毒か無毒かということの判断はできないのであります。  そこでさらにもう一つ伺いたいのは、粉ミルクのカードをやわらかくし、消化を助けるために、あるいは特色を出すために、よく乳業会社ではメター燐酸ソーダを使用することがあり得ます。この点について課査をしたことがありませんかどうか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 他の会社の点についてでございますが、他の会社につきましては、現在まで調査いたしましたところでは、同様のものを使ったという報告は得てないということを先ほどお答え申し上げたのであります。  それから着色だけで有毒か無毒かを見分けることはできないということは御指摘の通りでございます。  第三のメター燐酸ソーダを製造上、条件をよくするために使っておるかどうか、あるいは使うことがあるかどうかということにつきましては、申しわけないのでありますが、私ども調査いたしておりません。第二燐酸ソーダにつきましては、そういう方法をとるということは現にございますが、メター燐酸ソーダにつきましては、私どもはそういうところの調査はいたしておりません。

八田貞義自由民主党

○八田委員 この点もどうか御調査を願いたいのでございます。  それから行政処分の問題についてお伺いいたしたいのでありますが、森永徳島工場に三カ月の営業停止を命じた理由ですが、それをもう一回はっきりとおっしゃっていただきたい。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 行政処分につきましていろいろ考えたのでございますが、普通営業許可は施設に対して許可をするわけでございます。その施設が悪いときには営業停止あるいは営業許可の取り消しをするわけでございますが、今回の森永の徳島工場につきましてはたびたび説明申し上げておりますように、施設そのものではなくして、取扱いそのものが悪かったということになったのでございます。従いまして施設についての営業許可の取り消しとか、あるいは停止処分というようなことは考えない、ただその取扱いが悪かったためにどういう行政処分をするかということを考えました。一応森永乳業というその管理者の取扱いが悪うございましたので、こういう事態を引き起したという点から考えましてその森永という営業者に対して営業停止処分をやったわけでございます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 前のお話では食品衛生法第四条の何号でしたかに抵触するということで営業停止処分をやったように聞きましたが……。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 御指摘の通り行政処分をいたしました根拠は食品衛生法の第四条違反で、従いまして同法第二十二条に基きまして営業停止処分をしたわけでございます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そこで疑義が起ってくるのでありますけれども、まだ公判が済んでいないのですが、違反であると断定できるかどうか、現に地検では今お示しになりましたような条項では起訴していないというふうに承知いたしておりますが、一体どうですか。決定前に営業停止を命ずる必要性はすでになくなったのではないかというふうに考えられますが、この点局長の御見解をお聞きいたします。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 食品衛生法第四条におきまして人体に有害なものを製造してはならないというふうになっておりますので、その結果から見まして有害なものが製造されてこういうふうな状態を起したということで、第四条違反になるというふうに私ども解釈いたしましてそうして県当局におきましても第四条違反によって告発したという報告を受けているわけでございます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 それは私の知っているのとはだいぶ違うように思いますが、徳島地検の起訴しているのは、ほかの名目ではありませんか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 検察当局は刑事事件として取り扱っているわけでございますが、私ども行政的に取り扱いましたのは、食品衛生法違反ということでやっているわけでございます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 その点について深く追及するのはやめまするけれども、公判上まだ違反と断定できない状態に置かれているわけです。しかも公判では食品衛生法の第四条によって起訴はいたしておらぬのであります。ですから、公判によって違反という事実がまだ出てきておりません。しかもそれによって起訴もしていないということになりますと、この行政処分のあり方について局長としてお考え置きを願いたいと思います。  それからもう一つお伺いいたとたいのは、問題の毒物の入っていた粉ミルクのカンがどれくらい押収されて、現在どこに納めてあるか、さらにまたその押収された粉ミルクは全部問題の毒物が入っているかどうか、その点についての調査がおありになると思うのですが、お知らせ願いたい。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 ただいまのお尋ねにお答え申し上げます前に、さっきの処分の問題でございますが、行政処分と司法処分とはやはりその扱い方が違ってくると思うのでございます。行政処分はとりあえず、同じような事態が続けて少くとも起らないように処置をとるということで、行政処分をしたわけでございまして、さっき八田委員の御指摘の通り、司法処分については現在検察庁において審理中でございますが、それによりましてどういう判決が下されますか、下されますれば、それに従わなければならないと存じているのでございますが、とりあえず営業停止をいたしましたのは、同じような事故が再び続いて繰り返されては困るというわけで行政処分をしたわけでございます。  それから現在都道府県に回収保管しておりますドライ・ミルクは五十八万百十五カンでございまして、これは全国各地の倉庫に保管してございますので、今どことどことの倉庫にというふうにはっきり私ここで御報告いたしかねますが、分散して保管してございます。  それからその中に全部砒素が含まれているかどうかということにつきましては、先ほど御報告申し上げました、あるいはまた先般来御報告申し上げておりましたが、六月八日に購入いたしました第二燐酸ソーダの中には砒素が含まれておりません。これは通常のルートで入った第二燐酸ソーダを用いておりますので、それを使用いたしました粉ミルク、すなわち七月ごろに製造されましたものについては、今まで検査いたしましたものでは、砒素が含まれておらないわけでございますが、それの最後的な仕訳は全部終了いたしておりません。

八田貞義自由民主党

○八田委員 毒物が入っているかもしれないから、まだ調査中ということですか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口説明員 日にちをずっと系列的に調べまして、どこからどこまでが入らないということがわかりますまでは、一応全部毒のあるものとしてやっております。これはもう少しよく調査してからでないとわかりません。

八田貞義自由民主党

○八田委員 先ほど司法上の処分と行政上の処分と分けて御説明がございましたけれども、食品衛生法の第四条違反というのは少しく局長の今の御答弁とは違った趣旨のものでございます。この点については十分に、お帰りになってからでけっこうでございますが、第四条の問題についてよくごらん下さいまして、御検討をお願いいたしたいと思います。  そこで厚生省におきまして収集したカンの処分につきまして某課長が海の中へ捨ててしまうというようなことを言っておられたようですが、この処分方法につきましては、そういった簡単なことで処分されるということはわが日本の経済事情から考えて重大問題でございます。その点につきましてもよく御検討下さいまして、処分方法についてある方法をお考えになったならば、必すこの委員会におきましても御報告願いたい。ただカンをあけて海の中へ捨てるというようなことは暴言にひとしいことでございますから、その点処分方法に関して私希望を述べておきます。私の質問は打ち切ります。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十五分散会

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