公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第30号
- 発言数
- 46 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1956/05/11
会議録
○小澤委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、中村高一君外三名提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案、中村高一君外四名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、以上三案を一括議題に供します。 質疑を継続いたします。滝井義高君。
○滝井委員 公職選挙法のこの一部の改正をする法律の審議がきわめて重大な段階に入ったことは、すでに太田長官も御存じの通りでございます。先般来議長のごあっせんによりまして、委員会は十二日までに上げたい、国会の秩序を保たなければならぬというようなことと同時に、区割りとこの条文とを分離するといういわば分離論というものが出てきたわけでございます。この委員会は、太田長官も御存じのように、われわれがもらった資料によりますと、何かもう五十数時間やったということになっております。この五十数時間の審議の過程において、太田長官がるる述べられたこの法案に対する精神、長官自身の信というようなものはきわめて強かったということを、私たちはえりを正して聞いて参りました。今日の段階において政府みずからが全責任を持って出しましたこの公職選挙法、いわば日本の議会政治の方向と性格とを変えるといわれるこの法案が、一つの大きな重大な転機に直面をいたしておるのでありますが、これに対する太田長官の所感と申しますか、所信と申しますか、これをまず私はお伺いをいたしておきたいと思うのです。太田長官としては、今まで五十数時間にわたってこの委員会でとった態度というものを、依然としてこの事態の中においてもなお貫かれていく所存なのか、それとも、ここで今までの一切の主張というものを撤回させられて、百八十度の転換をせられていくつもりなのか、この点を、あとの質問の都合もございますから、まずお伺いしておきたいと思います。
○太田国務大臣 議長あっせんによる二カ条及び口頭によるお言葉の次第は、私も党幹部から承わりました。もちろん、国会の議事がなめらかに進むということは、たれしも期待することであろうと思います。政府といたしましては、総理大臣も申されました通り、私も申しました通り、よく国会の御意見も聞き、しかる後に政府の態度をきめたい、この点においては変ったことはございません。
○滝井委員 大臣も御存じのように、今の政治は政党政治でございます。少くとも、法案を出す過程においては、十分政府、与党の意向をくんで出されたことは、大臣も御存じの通りです。しかも、この公職選挙法の改正案が出るについては、昨年以来選挙制度調査会が十分に審議を尽したものでございます。しかし、その選挙制度調査会が審議を尽したものも、これが十分であったか不十分であったかという見方の相違はいろいろありますが、一応十分だということを、私は百歩を譲って認めたいと思います。十分に審議を尽したものである。しかし、それは神ならぬ身の作ったものであるので、その検討を加えたものに政府、与党としてはさらに検討を加えて、これならば政党政治の建前から与党も内閣も責任を持って出し得るものであるということでお出しになったものが、今回出ておるあの公職選挙法の改正案であったはずなんです。これは、責任内閣の建前における担任大臣として、太田長官がこの委員会においてるるお述べになったことは、もう明白なんです。それが大臣として今の段階になってそれをもし翻されようとするならば、大臣は、長い政党人でございますから、いさぎよく辞表を出して、天下に大臣の今までの不明を謝さなければならぬと私は思う。その点に対する明白な大臣の所見を、少くとも大臣が政党人であるという自信と自覚と責任とをお持ちならば、私はこの機会に表明していただきたいと思いますが、その点はどうですか。
○太田国務大臣 ただいま申し上げました通りに、政府としての建前は法案を出すときにすでに決定しておりまするし、修正等が出ましたときにおいては、その修正の経過を見て措置する、これが当然な責任内閣の態度であろうと私は思います。
○滝井委員 今までの国会の慣例から見まして大臣にお尋ねします。私はまだ与党の修正案というものを正式にはいただいておりませんが、新聞に出たものが与党の案であるらしく思うのでございます。そうしますと、ああいう修正案というものは過去において先例がないのです。いわゆる換骨奪胎なんです。いわゆる修正の先例というものはありますけれども、何と申しますか、法案の主たる条文というものが全く骨抜きにされてしまって、残っておるものは軟体動物のからだみたいな工合になったというようなものは、過去においてはないのです。しかもこれは政党政治なんですから、野党が修正をするというようなものならばともかく、あなた方と十分話し合って数カ月かかってできたものが今の段階で修正になろうとするならば、今までのあなたのこの委員会で五十数時間にわたってお述べになったその信念とは非常に大きく違っておると私は思う。だから、大臣が政党人の中から選ばれており、しかも責任政治の建前の大臣であるとするならば、当然これは辞表を出すか、あるいはあなたの主張を貫かなければならない。これが政党政治の建前たと私は思う。もしそれができないならば、あなたは、政党政治を守るために、私は不明であったということを天下に謝さなければならぬ。それともあなたの信念を貫くか、道は二つしかない。だから、あなたの信念を貫くのか、それともあるいは天下に謝罪するか、そのいずれを選ぶか、この二つのうちどちらを選ふかということです。
○太田国務大臣 問題は修正の程度にもよります。同時に、本案の精神は小選挙区制度そのものにあるのでございまして、その小選挙区制度そのものに傷がつくような場合にはもちろん考えなければなりませんが、その他の点についてのことは、修正案をよく見まして、また参議院における態度をよく見まして決定するというのが、私どもの当然の態度であろうと私は思うのであります。
○滝井委員 大臣は、修正案を見まして、あるいは参議院の状態を見ましてと申しますが、それはどうですか、修正案を見てから態度を決定するのですか、どちらですか。
○太田国務大臣 小選挙区制度そのものの本体に触れる場合においては、私はもちろん責任をとらなければなりません。そうでなくても、すべての法案について私はもちろん責任を感じておりますけれども、この法案がいかなる処理の過程を経るかということは国会の過程においてきまることである、かように申し上げる次第でございます。
○滝井委員 大臣は小選挙区制度の本体を見るというが、しからば、大臣の小選挙区制というものは、法文にどういうことが盛られたならば小選挙区制の本体を貫くということの御認識を持っているか。私はこの点一つ明白にしていただきたい。
○太田国務大臣 小選挙区制度の実体は、厳格なる意味で一人一区制でございます。しかし、これを緩和いたしまして二人区を設けたことは、再々私が申し上げた通りでございます。
○滝井委員 そうしますと、大臣の言う小選挙区制の本体というか、実体というものは、例外としての二人区はとにかく、一人一区というその建前が法案に出ない限りにおいては、それは小選挙区制の建前を貫くものでない、従って、一人一区ということが法文に出ない場合には、大臣としては必ず責任をとる、こう理解して差しつかえありませんか。
○太田国務大臣 小選挙区制度というものの表現の仕方につきましては、いろいろな問題があるでございましょう。ただ、正確に言う場合には、厳正な一人一区というのが小選挙区制度の定義であると思います。しかし、あるいは答申案におけるような意味において、これは小選挙区制度の実体を備えるものではないか、こういうような問題になると、実体論をとらえて小選挙区制度の本質を考えるのが当然であろうと思います。私は、表現の方法として一番簡明なる方法は一人一区制である、かように申し上げたのでございます。だから、これを原則としてとか、原則とは何ぞや、例外がないのかというような問題になって参るのでございますが、この点は私はゆとりを取って申し上げましたので、言葉として一人一区制が小選挙区制度の表現方法として正確なるものであるということは、これは申し上げるまでもありません。法案の中に盛られたその内容をもちまして、小選挙制度の実体を見る必要があろうかと思うのであります。
○滝井委員 質問の要点をはずさぬように御答弁願いたいと思いますが、そうしますと、小選挙区制を認められる表現が、いわば修正案か何か出ましょうが、その中に盛られておれば、これは大臣は責任をとる必要はない、しかしそうでない場合には当然責任をとる、こう了解して差しつかえないかということを御質問申し上げている。その点を明白にしていただきたいのです。
○太田国務大臣 小選挙区制度をとらない場合におきましては、当然私の問題が起ることは言うまでもありません。
○滝井委員 当然そうなくてはならぬと私は考えております。そこで、これは事務当局の御答弁でもかまいませんが、大臣から御答弁いただければなおけっこうだと思います。小選挙区制の表現——法案の中に小選挙区制の表現という言葉を今大臣もお使いになったが、小選挙区制の表現ということで考え得ることは、どういうことを考えたならば小選挙区制を表現する案になるのか、自治庁で考えられるところを一つ教えていただきたいと思います。
○早川政府委員 小選挙区制という文句でいかなくても、たとえば別表で一人一区ということで、現在の修正されない案であれば、これは小選挙区とはっきりわかります。また、法律の前文なり、あるいは法解釈上小選挙区でなければ通用しないような法文がある場合がございます。技術的にはどうかという問題は私は存じませんが、そういう場合も含めまして、全体としてこれは小選挙区だということがはっきりわかれば、その法案が小選挙区制を前提にしたものであるということがわかるかと思うのであります。
○滝井委員 大体大臣の責任がはっきりしましたので、そのくらいにして、具体的な質問に入りたいと思います。今まで関連質問でいろいろお尋ねしておったのですが、その関連質問の中でなお私自身が明白でなかった二、三の点について、お尋ねをしておきたいと思います。 まず、繰り上げ当選の問題についてでございます。大臣は、今回の改正においては繰り上げ当選は認めない、それはどうしてかというと、こういう一人一区を建前とする限りにおいては反対党が当選をしてくる、これは工合が悪いのだ、こういう御答弁があった。従って、ただ同点である場合にのみ繰り上げを認めるということになったわけでございます。二人区の場合にも反対党が上ってくる場合が出てくるわけです。自民党と社会党が当選しておりまして、そうして今度は次点に社会党がありまして、最高点の自民党の人が何かの事故で失格をした、こういうときには、二人区でも第二位の社会党と三位の社会党が同点である場合には上ってくるわけです。こういう場合の解釈はどういう工合に解明をせられますか。
○太田国務大臣 選挙部長から答弁させまして、私が補足いたします。
○兼子政府委員 二人区の場合はおっしゃる通りでありまして、これは例外の場合であります。大正八年の小選挙区制の法制、明治の小選挙区制の法制におきまして同様な規定をいたしておりますので、今回もその方針に従ったものでございます。
○滝井委員 原則は、反対党が上るから繰り上げ当選はやらないのだ、いわゆる同点の場合でくじで敗れた人のみだ、こういうことになっておりましたが、今までの政府の出した案では、二人区の場合は少くとも二十ある。今後の改正ではどうなるかわかりませんが、二十ある場合で一番多い場合は、二十区に例外が出ることもあり得るわけです。非常に特殊の場合です。こういうことは、むしろ衆議院だけに同点の繰り上げを認めて、同じ公職選挙法にあるところの知事や市町村長というものは、やはり三カ月の繰り上げ当選の権利が出る。こういうように、同じ公選の方法の中にいろいろな違ったものが出るということは、やはり非常に混迷に陥れられることになる。二人区のそういう例外を認めるとするならば、やはり繰り上げ当選を今まで通りに認めたって、ちっとも政党政治の建前をくずすことにならぬと思う。それをどうしてくじ引きに敗れた人のみしか認められなくなるのか、その理論がどうしても出てこない。大正八年か明治なんかに認めておったとしても、現在は現在でいいのじゃないかと思う。どうしてそうこだわって、くじ引きをして敗れた同点だけの場合に限らなければならぬか、筋が通らぬ。もう少し筋を通して説明してもらいたい。
○兼子政府委員 この繰り上げ補充の問題は、理論的には二つの考え方があると思うのでございます。先ほど申し上げましたように、前回の大正八年なりあるいは明治二十二年の法制におきまして、同様な問題を考えた上で措置をされておる。このように解釈をいたしまして、今回同じ原則を採用いたしたのでございます。お話の中に出ました知事や市町村長は、これも同点者だけ繰り上げ当選が認められることになっております。 なお、立ちました機会に、昨日竹谷委員の関連質問がありまして、帝国地方行政学会発行の「選挙関係実例判例集」というものを自治庁で知っているかどうかというお尋ねがございましたが、これは、その書物の表紙に書いてございますように、自治庁の選挙部で編集をいたしております。そのうちの五百五十ページの一に、百九十九条の二の規定、「公職の候補者等の寄附の禁止」の規定に関しまして御質問がございましたが、この質疑集には、「当該選挙に関し、」ということにつきまして、(一)として、「現に公職にある者に関しては次回に行われるべき当該公職の選挙をいう。従ってその選挙が特定されていることを要しない。」、(二)として、「候補者又は候補者となろうとする者については選挙が特定されていることを必要とする。」、このように質疑の回答をいたしております。この趣旨は、第百九十九条の二の第一項の規定におきまして、「公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)」、このような規定になっておりまして、公職の候補者、公職の候補者となろうとする者と、現に公職にある者、三つのカテゴリーが考えられるわけでございます。 これにつきましてさらに見解を申し上げます。第百九十九条二の第一項の規定によりますれば、公職にある者は、公職の候補者となろうとするものであろうが、またそうでなかろうが、すべて次回の選挙に立候補しようとしている者とみなしておるのでございます。二番目に、同条第一項と第二項とを総合的に考えまして、公職にある者は、どの選挙ということを考える余地はなく、現在の公職の選挙の選挙区において通常一般の社交の程度を越えて寄付をすることを禁止されておるのでございますが、公職の候補者となろうとする者は、選挙が特定し、かつ選挙区も特定した場合において、初めて寄付禁止の問題が起ってくるものと解すべきであろう。このように解釈をいたしております。これは、当時のこの条文の立法の経過から見て、われわれはこのように解釈をいたしたのであります。
○滝井委員 今のような繰り上げ当選の一つの精神というものにどうも矛盾がある。いま一つ同じような矛盾がこの選挙費用の中に出てくる。それは、今度は小選挙区という建前をとりますと、選挙区が非常に小さくなってくる。それに伴って運動期間を五日間短縮いたしました。同時に、法定選挙費用を、有権者一人当り七円を六円に引き下げた。その結果一人について十五万円程度今までの選挙費用よりか少くなる、こういうことになっておりますが、その場合に、法定の選挙費用を二人区の場合をとって考えてみますと、これは当然有権者の数をそこの定員で割ることになりますから、六円あるいは今までの七円をかけるとしますと、たとえば一人一区のときで八万人の有権者があったとするならば、四十八万円が選挙費用になるわけですね。そうすると、二人区の場合は、そこに十六万の有権者があった場合に、二人区ですから、有権者の数を二で割ると八万で、やはり四十八万円になる。そうすると、一人一区のときの一人の候補者の選挙費用と二人区の場合の選挙費用が同じなんですね。そうしますと、二人区の場合は面積が広くて人口が多いわけなんですが、一人区の場合と二人区の場合と選挙費用が同じだという矛盾が出てくるのです。これは、選挙の建前からいうと、候補者にとっては機会が均等でなくてはならぬという建前がくずれてくる。この矛盾というものはどういう工合に御説明いただけますか。
○兼子政府委員 法定費用の立て方の問題でございますが、二人区の場合は、現行の五人区、四人区、三人区というものと同じでございます。有権者をその定数によって割りまして、それで単価をかける。その場合に、しからば今度の一人区の場合にどう規定すべきかという問題になろうかと思いますが、これは、原則として、一人区の大体の費用と申しますか、それを考えまして、今般有権者一人当り六円という数字を出したのでございますが、この総額におきまして六十万円と計算しております。この六十万円が中選挙区の場合とふえるか減るかという見方の問題でございますが、選挙区が、従来の五人区が一人区になれば、これは五分の一には減らないということは、大体どなたも御首肯になろうと思います。それからどこまでそれが減るのかという問題でございますが、非常にその辺は理論的には結論が出しにくい。従来の選挙においても、五人の方々がそれぞれ地盤を割ってやっておりますれば、五つの選挙区に割った場合と同じという仮定も成り立つわけであります。従いまして、今回法定費用の定め方におきましても、有権者が八万の選挙区とそれから有権者が十六万の選挙区ということを例におあげになりましたが、十六万の場合は、半分に割りますと八万の有権者になる、しかも面積は倍になるじゃないか、大きいではないかということですが、それは一見御指摘のごとく不均衡は起りますが、現行の中選挙区におきましても、大きい面積のところと小さい面積のところとあるわけでございます。これは法定費用の定め方の問題から起ってくる問題でありまして、今度の二人区における十六万の有権者でありますが、設例の場合に、八万の有権者に対して有効な運動をすればいいんじゃないかということも言えるのであります。面積は大きくなりましても、(「インチキを言うな」「そんなばかなことがあるか」と呼ぶ者あり)その効果におきましてそういうことが考えられるわけであります。これはいろいろとり方によりまして御議論があろうかと思いますが、われわれの考え方は、一人区におきましても二人区におきましても、その効果等から見て同じ方式を採用いたしたのでございます。
○滝井委員 それは算術の答弁ならそれでいいかもしれません。しかし、われわれが選挙運動なり政治活動をやるというのは、それぞれ政党の政策なり候補者の政見を全選挙民に普及徹底をすることが目的なんです。そして支持を得、国会に出てこよう、こういう目的でやっておるわけであります。ところが、あなたの言うように、それは一人区の場合八万あれば当選するのだから、二人区も八万あればいい、だから八万人に運動したらいいじゃないかというような、そういう機械的な論議じゃ当選しないですよ。これは、今のような事務当局の答弁は事務当局の答弁でよろしいが、大臣の答弁を一つ求めたい。今言ったように、三人区ということになれば、常識論としては、一応倍の十六万あったとしますと、これは二で割るのですから、一人区の場合と同じ選挙費用で、広い、人口密度の多いところで運動をしなければならぬことになる。選挙費用が同じになってしまう。これは大きな矛盾なんです。これをどうするか。今のような算術の割り算じゃ納得できない。一つ大臣の政治的な御答弁と、この矛盾を一体どうして納得させていくかという答弁をいただかなければならぬと思います。
○太田国務大臣 一人一区を標準として七円を六円というような数字を出したことは、申し上げる通りでありますが、ただいま、選挙部長が、十六万あるときでも八万でいいと言ったことは、少し言い過ぎだと思います。その標準のもとにおいての金の見積りでございますが、中選挙区下においても、今選挙部長の言った通り、平均でもってやったにすぎないので、二人区の場合におきましても、今仰せになったような矛盾の点があるように見えますけれども、一人区を標準として定めたということと、中選挙区下においても平準をとっていったということ等をお考え下されば、選挙部長の御答弁で御了解いただけると思います。ただ、十六万のところを八万と言ったのは、それは選挙部長の言い誤まりでございますから、私から訂正いたします。
○滝井委員 大臣、これは算術計算では政策の普及徹底というものはなかなかできない。だから、これは何もそう一人区の原則を貫く必要はない。二人区という例外を認めたのですから、選挙費用も例外を認められたらいい。それをなぜ認められぬかということです。だから例外を、修正もあるようですから、これをお認めになってもちっとも差しつかえないじゃありませんか。
○早川政府委員 確かに多少のアンバランスというものが出てきますが、現行法におきます、たとえば有権者をある定員で割って、それに幾らとかけるという方式をそのまま採用したのでありまして、二人区になれば一人区より確実に二倍になるというような算術計算が選挙費用の上に出れば、それはお説のように改めるのもいいのですが、その間の判定が非常にむずかしいものですから、現行法におきましても、有権者を三名で割ったり五名で割ったりいたしまして半分かける、こういう方式をとらざるを得なかったのでございまして、その点は技術の上で非常にむずかしいという点を一つ御了解願いまして、現行法にならったという点を御了承願いたいと思います。
○竹谷委員 関連して。私が昨日公職選挙法の第百九十九条の二の規定について質問したことに関しまして、ただいま選挙部長から答弁がありまして、当該選挙とは何ぞやという問題について回答があったのでありますが、なお具体的に確かめておきたいのは、現職の衆議院議員なりあるいは参議院議員なりその他の選挙による公職者が、その選挙区内に対しまして、一般に次の選挙にも立候補せられると予想せられるその人が、社交の程度を越える寄付をなした場合には、第百九十九条の二に違反をし、従って二百四十九条の二の「第百九十九条の二の規定に違反して寄付をした者は、一年以下の禁錮又は一万五千円以下の罰金に処する。」この罰則に触れる、このように自治庁は公権的な解釈を下している、こういうふうに断定してよろしいかどうか。もう一点は、この質問はどこで自治庁に対してなされ、そしていつ回答されたものであるか。この二点をお伺いいたします。
○兼子政府委員 第百九十九条の二の条文の現職の議員の寄付につきまして、重ねて御質問がございましたが、これは、おっしゃるように、その通りに寄付をいたしますれば、通常社交の程度を越える寄付は、選挙に関する寄付といたしまして罰則がかかるものと解釈をいたしております。なお、通常一般の社交の程度を越えるかどうかということは、認定にむずかしい問題があろうかと思いますが、法律上の考え方といたしましては、ただいま申し上げたように解釈をいたしております。 なお、このような見解をいつ表明したかという問題でございますが、これは昨年の全儀のときに質問がございまして、答えましたものを文書にいたした次第でございます。
○滝井委員 どうも、今の法定費用の問題については、政府の方の御答弁はなかなか苦しいようでございます。今までの中選挙区の問題と今度の一人一区の場合とは、どうもやはり少し違うと思うのです。そこで、これは追及してもなかなか明白な答弁が得られそうもありませんので、次にもう一つ私のわからぬところをお尋ねしたい。 それは二百一条の三の四項の問題でございますが、「衆議院議員の選挙においては、政党その他の政治団体及び当該政党その他の政治団体に所属する者は、当該政党その他の政治団体が公認候補者を有する選挙区における当該公認候補者以外の候補者を推薦し、又は支持してはならない。」こういう項ですね。まず第一に私のわからないのは、「当該政党その他の政治団体に所属する者」、これは訓示規定でございますが、「所属する者」という、その「所属する者」の認定——選挙運動のさ中に、お前は何々政党の所属者という認定を一体どうしてやるかということです。なるほど私たちは党員証というものを持っております。ところが、これはわれわれの党のことを言ってはなはだ恥かしゅうございますが、大会があるときになりますと、ぴしっと党員というものははっきりしてきます。ところが、普通になりますと、いつの間にかおれは脱党したとか、あるいはおれは政党をやめたという人もあるわけです。これは社会党にもあるだろうし、自民党さんにもあると思う。おい、お前はほんとうに党員かと言われると、なるほど私たちはこうして党員証を持っておりますが、だれもかれも持っておるわけにはいかない。そこで、自治庁なり太田長官なりは、この「所属する者」を一体どうして認定せられるか、これを一つ明確にお示し願いたい。
○早川政府委員 御案内のように、党員の登録を政治資金規正法でも規定しておりませんので、第三者からの認定が非常に困難でございます。従って、この法律におきましては、本人に対する訓示規定にいたしまして、罰則を設けなかったのでございます。
○滝井委員 そうしますと、認定することが困難だ、認定できないということをお認めになったわけですね。そうしますと、そういう認定することができないようなものをここに書いたって、何も意義がないじゃないですか。太田長官はそういう認定することのできないものをどうしてお書きになったのですか。
○太田国務大臣 ただいま政務次官が申しました通り、訓示規定でございまして、そうすることが、この小選挙区制度においてほかの方を支持したりしないようにという意味でできたのでございます。
○滝井委員 どうもこれはおそれ入った御答弁でございます。まず、きわめて大事な、今後少くとも近代的な政党の組織化をはかり、二大政党を金科玉条に掲げた大臣のお言葉としては、どうもここにわざわざ法律を出して、それに「所属する者」といってうたっておきながら、その「所属する者」は私にはわかりませんということはナンセンスです。それはナンセンスだとすると、しからば、その次の行に「公認候補者を有する選挙区における当該公認候補者以外の候補者を推薦し、又は支持してはならない。」とこう書いておるが、大体支持という限界はどういうものなんですか。支持というものはどういうことが支持なんだ。たとえば私が一票入れることも支持なんだ。私が、だれかにあれは自民党さんだ、しかし人間はよろしいからあの人を一つ君に推薦する。これも推薦ですよ。大体推薦と支持というもをのあなた方が法律に書くからには、もっと明白にしてもらわなければわからない。だから、推薦、支持の具体的な限界を一つ明白にしていただきたい。これは政党人としての太田長官、わからぬならわからぬでけっこうですから、一つ明確に示していただきたい。
○早川政府委員 本法におきまして「支持」と書いておりますのは、政治資金規正法に書いておりまする「支持」という解釈と同じでございまして、推薦よりも少し程度の軽い応援という意味でございます。
○滝井委員 私はその政治資金規正法に書いておりまする「支持」という意味がよくわからないのでありますが、政治資金規正法に書いておる「支持」とはどういうものですか、それを一つお答え願いたい。
○兼子政府委員 政治資金規正法第三条に政党と協会その他の団体の規定がございますが、その中に「支持」とかあるいは「推薦」、このような言葉を使っております。この解釈は、「支持」と申しますのは、その政党、団体等の主義、政策等に賛成をして、それを推進するために行為に現わす行動を支持と、このように解釈をいたしております。それから「推薦」というのは、候補者を推薦してやはり外部的にその支持が現われることが要件であろうと思います。この第三条の規定において「推薦」、「支持」という言葉を使っておりますので、選挙法の方におきましても、そのように「支持」という言葉を使っておるのでございます。
○滝井委員 今、「支持」というものは、主義、政策に賛成をして候補者を推薦する行為だ、それから「推薦」というのは候補者を外部に向って推薦する、現わすということだ、こういうでございますが、まずその「所属する者」、そのもとが幽霊のようにわからぬのに、支持やら推薦というものがどうしてつかめますか。あなた方は所属する者を把握することができぬのでしょう。所属する者を把握することができぬなら、だれでもよいのですか、どこの太郎兵衛でも次郎兵衛でも支持あるいは推薦したらいかぬということになるのですか。ところが、あなたの方は、支持または推薦してはならぬものは少くとも政治団体やら政党に所属する者だという限定がある。限定のもとが幽霊のようにわからぬで、支持やら推薦の行為だけがわかるはずがない。本末転倒です。これは理論的にいってそうです。あなた方は、今言うように、もとの把握をすることができないというならば、幾らそこに支持や推薦の行為が現われても、これはナンセンスですよ。太田長官、そうでしょう。これは大事なところなんです。あなたは政党政治家なんだから、将来の政党政治の発展を願うためにこの条文をお入れになった。そうすると、お入れになったあなたが、ここに明白な答弁をしなければならない。事務当局は算術的な答弁でよいのですけれども、あなたには政治的な御答弁を一つ求めたい。
○太田国務大臣 ただいまの問題につきまして繰り返し申しましたように、政党の発展のために、また政党政治というものを、主として今回の選挙法を改めるということで、訓示的の意味——大体におきましてそういうことをしてはいかぬというのが訓示的な意味でございますので、私はその意味におきましては必要なる規定であると考えておるのでございます。
○滝井委員 訓示規定とおっしゃったが、作文ならそう書いてもよろしいのです。しかし、少くとも法律に書くからには、やはりそれが法律的な効果を持ち得る条文でなければならぬと思うのです。そういう所属する者がはっきりしない。しかも、その所属する者が行う行為というものは、政治資金規正法における支持あるいは推薦と同じだという御定義をいただいたのです。ところが、もとがはっきりしないのに、そういうものを書いたってナンセンスです。ですから、もっとこれは責任ある御答弁を大臣にしていただかないと、今のような御答弁では、この法文から、大臣の言うようにとても二大政党もできなければ何もできてこないでしょう。
○太田国務大臣 訓示的規定はこれのみではありませんので、ことに戦後における立法においてはたくさんの例を見出すことができるのでございます。私は、この意味におきまして、この訓示規定が効果あることを認めておるのでございます。
○滝井委員 それなら、選挙法にたくさん訓示規定があると言われますが、今度の二百一条の三の規定の関係では訓示規定はあります。しかし、この四項ほど明確を欠く訓示規定は、私はほかに例はないと思うのです。何かほかにそんな規定があれば、大臣お示し願いたいと思う。
○早川政府委員 滝井委員は少し誤解されております。政党に所属しておるかおらぬか、これは本人は明確に知っているのです。その本人に対する訓示規定でございまして、法律上何ら不明確な規定ではございません。
○滝井委員 だけれども、これはやはり第三者がわからなければ、その者が所属しておるかどうかということは意義がないのですよ。推薦したり支持したりするのですから、少くとも社会党を支持して下さい、自由民主党を支持して下さいと言うからには、私自身が社会党員であり、早川さんが自民党員であるときにおいてこそ、初めてその意義というものが非常に大きくなるのでしょう。これは、私は、同じ政党人として、あの人と一緒に政党生活をやった、非常にいいから私はあの人のためにお金を出しましょう、こういうことで具体的に現われてくる。それはまた、第三者も、シンパか何かはっきりした関係があればこそやるのです。ところが、それが所属するものであるということも何もはっきりしないということでは、法律の根底がくずれてきますよ。だから、その点少くともこういう法文を書くからには、党籍か何かを具体的にはっきり把握するものを、訓示規定のほかに何かもう一つ作らなければいけませんよ。そういうものをあなた方がやらずに政党法というような大事なものを抜かしておるところに、こういういわば法文の上の思想の分裂が起ってくるのです。私はこれ以上はあまり言いたくありません。だから、これは、公職選挙法をこういう工合に改正する前に、やはりこの際日本の二大政党というものがすっきりした形でできる姿を作ることが先なんですよ。そして二大政党がはっきりできてから、二大政党を守るために小選挙区制に突入していくことが筋なんです。あなた方がそういうものを作らずに、先に小選挙区で二大政党を作ろうとするところに、一つの矛盾が出てきている。私はまあこれ以上は申しません。
○小澤委員長 この際暫時休憩いたします。午後零時二分休憩 ————◇————— 〔休憩後は開会に至らなかった〕