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24回国会衆議院1956/05/07

公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第28号

発言数
30
登壇者
6
会派数
2
開催日
1956/05/07

会議録

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、中村高一君外三名提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案、中村高一君外四名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、以上三案を一括議題といたします。  質疑を継続いたします。鈴木義男君。

鈴木義男日本社会党

○鈴木(義)委員 私は、この選挙区制の問題と密接不可分の関係にあり、むしろ私どもは区制改正の前提になるものと考えておる買収の絶滅、それからその一つの実現手段としての連座制の強化、こういう問題について政府の御所見をただしたいと存ずるのでありまするが、その質問に入りまする前に、太田長官は、現内閣におけるほとんど唯一のインテリであり、近代的感覚を持っておられる政治家であり、学者でもあられるのでありまするから、もっと根本的な問題の一、二についてお尋ねをいたして、それから、その問題に入りたいと存ずるのであります。  この選挙制度を改正することは、二大政党を作り、政局を安定させるにあるのだ、こういうことをよく申すのでありまするが、長官も同じお考えを持っておられるかと存じます。現在自由民主党は二百九十九名、社会党が百五十四名で、ほぼ二大政党対立の形を持っておるのであります。このまま今の選挙制度でいったといたしましても、数字的な変化はありましょうが、おそらく、しばらくは二大政党対立はくずれないと思うのであります。しかるに、急いで、ことに国会で選挙法を改正しなければならないという理由がどこにあるのでありまし上うか。念のため承わりたい。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 鈴木委員の前のお言葉で、私に対して申されたことは、まことに恐縮に存じます。  第二に、御質問になりましたことは、政局安定のための二大政党、しかも現在二大政党はできておるのではないか、このまま次の選挙があっても、少しの差はあっても大した差はないのではないか、二大政党はこれでいいではないかというように私は承わりましたが、問題はそこにあると思います。幸いにと一言っていいのでございましょう、社会党が一つになりまして、こちらの方も一つになったわけでございます。ところが、今までの選挙の結果や経過を見ますると、どうも、選挙区におきまして、同じ党派の中で個人的な争いがあったことはいなめない事実だと思います。今日の二大政党になったならば、今までの選挙にあったそういうことがなくなるかと申しますと、勢い、今の選挙法のもとでは、どうしても二人、三人の人が出て争うということが起り得ることは、想像してもいいことだと思います。それが政治上いいことであるかどうかということは別問題になりますが、そういう意味におきまして、建前を政党を主としてやっていく。実は少し行き過ぎた言葉かも存じませんが、両党ともまとまったと申しますものの、まだいろいろお互いに——今もがっちりしておるとしても、もっとがっちりしたものにしようという建前から申しますれば、やはり政策というもの——これも大体の建前は一緒でございますが、それを本位にいたしまして、個人の点を次に考えるか、もしくは個人の点を考えずに、政党という立場から候補者も選ぶとかいうような方法にしたらどうか。それが、選挙法におきまして、従来の選挙でやったら、やはりそこへ戻るのじゃないかというのが、私の一番心配する点でございます。

鈴木義男日本社会党

○鈴木(義)委員 小選挙区制をしいた場合に起り得る二つの心配すべきことは、今、長官はいわゆる同士打ちを避けたいと言われたが、同士打ちだけは避けられましょう。けれども、公認されない保守党の人で立候補するものが続々きびすを接することは、私断言してはばからない。そうすると、これは形は同士打ちではありませんけれども、実質は同士打ちに相違ない。もし相当数非公認が出てくれば、これは急にまた復党させるとか入党させるとかいうことをなさるかもしれませんが、そういうことをしないならば、保守第二党を作る、そうしてここに保守党の分裂を来たすということは、私は予言しておいて間違いないと思うのであります。それについて長官に答えを求めても、おそらくお答えはむずかしいと思いまするから、それは略します。  いま一つ起る現象は、革新勢力たる社会党が激減するということであります。それはやり方によりましょうが、しかし幾らどういうやり方をやっても、今のままでやるといたしますれば、激減を来たす。これは公平に第三者が見て、だれでもが疑わない。社会党は、必ず啓蒙運動をなし、地盤を十分に組織化することによって、やがては保守党を破るときが来ることを信じて疑いませんが、その期間が問題です。三年か五年か十年か、その間に日本の国にとってどういう変化が起るか、それを私は一番心配いたしておるのであります。その意味において、たとい保守党の大臣であられましても、政治家として、日本の前途を憂うる者として、よくお考えを願いますとともに、御答弁を承わりたいのであります。ある人は、なに社会党などは小さくなった方がいい、どんどん憲法改正をして、一つもとの体制に戻していくのだという、これは私は非常に危険な考え方であると思っておる。せっかくわが国が民主化されて、これから一つ明朗な政治が行われようかというときに、かっての暴力革命を思うと——私は戦時中そういう人をたくさん知っておりましたが、暗たんたるものであった。それがようやく明朗に、議会の舞台を王台にして政争がやれるということで、現に私なども出てきた一人でありますが、これができなくなる。また当分はだめだ、それじゃ一つ暴力革命を思うか、こういった傾向がすでにほの見えつつあるのでありますから、非常に憂うるのであります。これは決して社会党のため、一党一派のために、利己的な動機から憂うるのじゃない、私は、国家のためになるなら、社会党は小さくなっても辞せないだけの雅量を持っております。しかし、二大政党が切瑳琢磨するところに、日本の前途は開けていくのだと考えております。それで、世界の大勢を見れば、今まさに最もその点から見て大事な段階にきておる。インドのような国ですらも、御承知のように、社会主義をもって立国の基礎として、着々これをやっていこうということを宣言もし、実行もいたしておる。日本だけは、保守永久政権とは申しませんが、当分保守党の天下であって、革新勢力が政権をとる見込みがないということになれば、いかがでありましょう。どうかその点について、一つの党派を離れて、長官のお考えを承わりたい。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 私も鈴木委員と同じように、国家の前途及び政党の前途を非常に心配しておるのであります。第一にお話になりました二大政党でいっても、選に漏れた者が立ていくじゃないか、こういう点も私も考えないではございません。また、反対党を押えつけるためにやる案じゃないかというお言葉もよく聞く言葉でございます。これは、今までの政党でかりに悪かったところがあるとして、その悪かったままで伸ばしていけば、お言葉のような問題が起ると思います。たとえば、ここで候補者を選ぶにいたしましても、党がりっぱな考えを持っていけば、その問題は起らないと思います。おそらく、選に漏れたいい人があった場合に、鈴木委員のおっしゃるような、特に国家のために御心配の問題が起るだろうと思います。それから、二大政党を、片一方を圧迫して独占のような形をとることは、私は決して考えておりません。イギリスにおきましても、御案内の通り、ロイド・ジョージが自由党を作ったが、だれが今日十人足らずの党になることをあの当時考えたでしょうか。私は、戦争中ロイド・ジョージ自身の行動やあのときのことを考えると、今日実に感慨無量の感がいたします。これは、党のやり方が悪かったのだろうと思います。従って、両党とも切磋琢磨して、自党をほんとうにいいものにしよう、こういう気持で動きますときにおいてのみ、将来に対する、また現在を改めてよくしていこうという気持がなかったならば、今日の二大政党、明日の二大政党たることを約束することは、私はできないとさえ考えております。また同時に、虚心たんかいに、お互いが将来これから先りっぱな二大政党を仕上げていく。現在は仕上げるということより、まだ直す点が多いと私は思っております。従って、私の考え方は、野党たる立場にある政党も、常に国民に政治を約束し、政策を約束して、いつ政変が起っても、次の政党はこうやるんだということがはっきりわかったときに、初めてうまく政変もやっていけるんじゃないかというので、私自身といたしまして、一党だけでいい、一党独裁でいいなんということは、毛頭この議論からも考えておりません。答申の中にも、私から申し上げるまでもなく、個人本位はやめて、政党本位にしなければいかぬ、しかも、締めくくりに、連座制やいろいろなことも言っておりますが、第五項目の将来に対する考えとして、啓蒙開発をしなければならぬという、今鈴木委員のおっしゃったような言葉がやはり入っておるのであります。私は、ただ現在のままにおいて、また過去にあった悪い点を伸ばしていくようなことがございましたならば、これは決して日本の政党の発展のためにならないと考えております。

鈴木義男日本社会党

○鈴木(義)委員 私の問いに対して、正確なお答えになっておりませんが、やむを得ません。つまり、この数年間というものは、非常に大切なときである。この間に、革新勢力が激減しておることは、日本のために不幸じゃないか、こういう点をお尋ねいたしたのであります。われわれは共産主義者でも何でもないのでありますが、しかし、共産党というものも一つの合法政党である。そうして、世界を支配しておる一つの主義であります。こういうものは、小選挙区になったならば、おそらく辛うじて一人出てくるとか二人出てくるということはあろうが、多数出てこられるとは思えない。少くとも国会の壇上から共産主義者の言葉が聞かれなくなる。先般他の人に質問したところが、共産主義者などは、一人も出てこない方がいい、あんなものはなくなってしまう方が日本国家のためだと、実に乱暴なお答えである。これはわれわれも、国民がみな満足して、共産主義などに共鳴しないような国になることを希望し、そうなって出てこないならけっこうである。そうでなくて、かえって堂々とこの公けの席で意見を吐露する機会を失うということは、地下に追いやることになりまして、それはやはり暴力革命に一つの導火線を与えることになる。妙に、地下にくぐると、一つの神秘的な魅力を持たせることになる。よほどその点は考えなければならぬことであると思うのでありまして、そういう制度を今、即時に日本にしくことは、革新勢力の激減と相待って、共産主義も一つの革新勢力でありますから、お考えを願わなければならぬと思うのであります。おそらくは、その点について、長官は私の納得し得るようなお答えがないと思いますから、しいて答弁を求めずに、本論に入ることにいたします。  そこで、この選挙区制というものは、将来起り得るあらゆる政党が、二大政党といったって、それをわれわれが希望しても、五十名以上の候補者を持てば政党としてのあれができますし、五十人持たなくても、選挙法上の特権を持たないだけのことで、やれるのでありますから、やはり相当いろいろな政党が起ってくると思うのでありますが、その上で、公正に相撲をとるべき土俵であります。制定のときの個人の利害得失、現在議員をやっている者の利害得失なんということを考えるべきではないと思いますが、いかがでありますか。面積と地理と人口とに着目して、できるなら機械的に、数字的に分割してきめるべきものだと思うのでありますが、その点いかがでありますか。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 私は、結論からいって、お言葉通りと思います。今までの区制に対する批判も、甲の何がし、乙の何がしというものに対する区割りにつきましての議論がずいぶんあります。社会党の出されたという御案に対する批判を見ましても、そういうことがあります。おそらく鈴木委員のお考えと迷った点だろうと思いますが、私もその意味におきまして、客観的という言葉を使いますし、今申しました人口とか地勢とかそういうものを主にしてやらなければならぬ、何の何がしということは、政党の今日の問題でございますが、私はそういう意味におきましては、どこまでも客観的に、しかも非常にむずかしい問題で、線を引くということは幾何学上の線でございますから、いろいろな引き方があるでございましょう。その意につきましてのことはあるが、考え方としては、人間関係よりも、人口とか、地勢とか、経済状況あるいは行政沿革というようなものを総合的に考えて、決定すべしというように信じております。

鈴木義男日本社会党

○鈴木(義)委員 もしそういうことをお考えになっているとすれば、今お出しになっているこの区割りというものが理想的な案でないということは、おそらく長官自身も認められるところであろうと思うのであります。現に、私の県の安達郡の一町二カ村のごときはこまかいことを承わるのではなく、原則だけでよろしいのでありますが、安積郡、田村郡という郡にくっつけられた。これは非常に不自然な地割りの仕方でありまして、そこに住まっている選挙民は、こういうむちゃなことをやるのなら、自分たちは、ひとり衆議院議員の選挙といわない、あらゆる選挙に投票しない、棄権するということを宣言いたしているのであります。それは、自由民主党の諸君が、大挙して東京に陳情に来られた。そうして、この区割りを改めてもらいたいという。たった一つの例をあげてもそういうものがある。ですから、虚心たんかいに——星島二郎議員ですらも、皆さんがこの区割りに納得がいかぬと言うなら、一つ出直して、もっと公正な、自由民主党でもなく、社会党でもない第三者にゆだねてやり直してもよいが、いかがでしょうかということを、本会議の壇上から仰せられた。ああいう人が自民党の中にいる。また釜谷議長も、あんまりいい案ではないということを、下関で語られた。岸幹事長も、山口の方では、直してもいいということを語られた。してみれば、これは決してわれわれだけが言うのではなくて、あなた方の中にも、そういう御意見を持った人がいるのでありますから、一つ虚心たんかいに出直す、練り直す、こういうお考えがないかどうかをいま一度承わりたい。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 安積郡のところの問題は、実は一番苦心して、どうしたらいいかということで悩んだ一つの問題でございます。私はいろいろな御意見も新聞で見、また国会の議論も聞きました。たとえてみれば、小澤委員長のところを引き合いに出された議論を見ましても、こちらの案では横へ行こうというのでございますが、社会党の御案と称せられるものを見ると、縦になっております。まるで十字架になっております。そのことは、私の批評でなくて、週刊朝日に出ている批評そのままを申し上げたのでございますが、かように線の引き方が非常にむずかしいのでございます。私はそういう意味において、国会が筆を加える場合にも謹厳な態度をもって引かなければならぬ、しかも政府案というものも、甲と乙といろいろあった中でここへ来たのでありますから、私は無理にどうこうというのではございません。世論も聞き、国会の御意向も聞き、しかも国会は衆議院において第一に御意見がきまり、それから参議院の御意見もきまって、直す場合にはきん然として、謙虚なる態度をもってそれに応じなければならぬ、こういうふうに考えている次第でございます。

鈴木義男日本社会党

○鈴木(義)委員 社会党の案については、別に機会があれば申し上げますが、決してわれわれがこしらえたものではなくて、むしろ事務当局に委任して作ったものであり、自民党のように意見を徴してこしらえた案というものではないことを御了承願っておきたい。  そこで、この区割りは公正であるということで、何か新聞紙上等の伝うるところによれば、衆議院では絶対いかぬ、衆議院ではどうしてもこのまま押し通す、参議院に行ってから直してもらうのだという、これは真実であるかどうか、一体これは妙なやり方であると思うのでありまして、衆議院において、衆議院議員の選挙法をかりに衆議院の両党で話し合って作ることができないで、衆議院が公正な第三者に委託してやったというなら、これは理由が立ちますが、衆議院でできないから参議院にまかせるということは、参議院もやはり自由民主党と社会党との対立であります。ただ一つ違うところは、緑風会という少数キャスチング・ボートを持っておる団体がおるということです。この団体に、衆議院の運命にも関する区割り案の修正を委託するような形になる、それに重大な発言権を持たせるような慣習を作ることは、枚して、妥当であると長官はお感じになっておるかどうか。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 私が修正の機会として申し上げましたのは、政府が衆議院でやる場合、参議院でやる場合、衆議院が国会において修正する場合、参議院が国会において修正する場合と、四つの場合があろうと思います。政府がと申しましたのは、衆議院で修正がある、また参議院で修正がある、政府が国会の意思として、これをどうするかというときになったならば、それはきん然としてそれに応じなければならぬ、かように申し上げましたので、政府として今ここで修正案を出すという段階にきておるということを申し上げたのでございます。もちろん衆議院の組織に関する問題でございまして、衆議院の修正ということがありましたならば、ほんとうにえりを正しゅうして、その姿を見なければならぬ。私は、その意味におきまして、修正をする形と方式とにつきまして、区別をして申し上げた次第でございます。決して衆議院を軽んずるとか、参議院を先にするとか、そういう意味で申し上げたのではございません。そこのところはよく御了解を願います。

鈴木義男日本社会党

○鈴木(義)委員 それでは、長官の意見は、決して参議院に頼むなどという気持ではない、衆議院が直す場合には、えりを正しゅうして受ける、こういうことを承わって、大いに意を強うするわけでございますから、これは一つ後々のために、十分記憶に残しておきたいと思うのであります。  そこで、本論に入りまして、連座制、買収の取締り、公営強化等の一連の問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、これは、区制の改正と密接不可分の関係があるというよりは、選挙を明朗にし、正しい世論の反映を持ち来たらすためには、これをまずやらなければならぬ、これさえよくいっておれば、実は区割りなどはどうでも、正しい世論の反映が出てくるのであります。ゆえに、われわれは、御承知のように、一連の法律を提出しておるわけでありますが、政府の方でも、連座制のある意味における強化ということに手をつけておられるけれども、われわれから見てはなはだ不十分と思うのであります。これに関連して一つ政府の所見を承わって参りたいと思うのであります。そこで、何といっても、選挙を不明朗にする最大の原因は、外的な誘因に動かされる投票、その最たるものが利益誘導と買収であります。これを一つ絶滅してやれば、ある意味でこれが絶滅できるという保証が立つならば、小選挙区を即時に実施しても、日本のためにそう憂うべきことではないとさえ考えておるのであります。しかし、これが果してできるかということは大問題であります。わが国においては、至難のことに属すると思うのであります。そこで、その一つの方法としては、検挙を一そう厳正にし、厳密にして、いやしくも一つも漏らさないようにする。これは警察と検察の問題でありまするから、長官に聞いても仕方ないと思いますので、折りがありましたら、大麻国務大臣あるいは牧野法務大臣等に承わりたいと思います。この一つの方法は、候補者を連座せしめる、当選者を連座せしめて、その当選を失わせること、この方法しかないと思うのであります。これは、長官といえども、おそらくそういうふうにやることは賛成であろうと思うのでありますが、念のため承わってから、また質問をいたします。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 鈴木委員のお考えと私と少し違った点をまず申し上げたいのでございます。私も罰則その他によりまして、選挙界をりっぱなものにしなければならぬ、こういう点は賛成でございまするが、小選挙区制というものと別に、それだけやればいいという考えは私は持っておりません。その点が違っているように思います。大選挙区制度のもとにおきまして、厳格なる罰則その他のなわ張りがあり、またそれ以上に、国民が啓発、啓蒙されまして、悪いことをしないようになれば、大選挙区制度のもとにおきましては何が起るかといえば、やはり小党分立になるのではないかと思います。私は、罰則の強化あるいは選挙界の革正ということには賛成をいたしますけれども、小選挙区制度というものとつないで考えている点が、鈴木委員と少し考え方が違う点だろうと思います。その点は、私としては、はっきりとしておかなければならぬ、こういうふうに考えております。

鈴木義男日本社会党

○鈴木(義)委員 私は、現在の選挙制度のもとにおいても、これはもっと強くやらなければならぬことだと考えております。いわんや小選挙区をやるならば、絶対不可欠の条件であると考えております。小選挙区をやろうとするならば、これをやらずにやったならば大へんなことが起るぞということを申し上げるわけなのであります。  そこで、まず国会議員などのいろいろ選挙に関連して、金のかかることがあるわけでありまするが、その大きな部分を占めているものの一つとして、下級議員の——下級議員というのは、知事、府県会議員、市町村会議員、市町村長等の選挙でありますが、こういう選挙に出すところの陣中見舞、手当、みんな親分の国会議員のところへもらいに来る。私はちゃんとみな実績をつかんでおりますから、決して虚構のことなど申すのではありません。もらいに来るのは、これはもうかなり密接な親分子分の関係でありますが、来なくてもみな選挙が始まると陣中見舞というものを配るのが、保守政党における慣例のようにお見受けするのであります。こういうことは、一つの買収とは決して申しませんけれども、やはり選挙運動の一つの準備行為であって、よいことであるか、あまり好ましくないことであるか、長官のお考えを承わりたい。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 もちろん、いいこととは思いません。

鈴木義男日本社会党

○鈴木(義)委員 いいこととは思わぬが、やむを得ないということがちゃんと言葉の中に現われておりますが、実はわれわれもこれはやらぬで済むようにしなければ、議員諸君の負担が大へんだ。どうしてもそれをやらなければならぬといえば、無理な金でも工面しなければならぬ、だんだん後に申し上げる不浄の金を手にする、政界の腐敗のもとになるのでありますから、これはやめなければならぬことである、たたやめろと言葉で言ってはだめであるから、法制上やれないようにするほかない、かように私などは考えているのであります。一体私は法律家ですけれども、何でもかんでも処罰をしたり、検挙をしたりすれば、世の中がよくなるなどとは考えておりません。また実際そういうことでやることは末の末であって、恥ずべきことである。今までわれわれはできるだけ道徳的自粛自戒に待つことにして、そういうことはしたくないということで、がまんにがまんをしてきておるつもりでありますけれども、われわれたけがそれをやらぬで、一方ではそれを大っぴらにやる者がある以上は、それをだまっておれば、これば公正なフェア・プレーではないのであります。どうしてもやはり両方ともやれないようにするというほかに道がないと考えますから、この機会に、選挙制度を一つ改めるならば、抜本的にいろいろな面を研究して、改めていくことがよいことじゃないか、あにひとり区制のみならんや、こういうのがわれわれの考え方であります。それで今の陣中見舞の問題もお尋ねをいたすわけであります。  それから、地方的な利益の誘導をやる。停車場を改築してやるとか、あの道路を直してやる、あの港湾を築いてやる、ダムを持ってきてやる、鉄道を敷いてやる、補助金を取ってやる、こういうことは、みな一つの利益誘導であると考えるのでありますが、いかがでありましょう。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 利益誘導になるかどうかは、これは法律問題でございますが、私は終戦後における日本全国の姿を見まして、今まで官僚と申しますか、中央の力がずいぶん地方をしいたげた事実があるように思います。私はいなか育ちでございますが、いろいろ聞いてみれば、あるいは鉄道にあるいは港湾にという声そのものさえも、今まで出なかったのでございます。代議士がその声を知るということは、私は悪いことじゃないと思います。また一定の国家財政の中で、許される範囲で鉄道を敷くことを皆さんが議論なすってやるということは、必要だと思います。一個半個の官吏が、ここに鉄道を敷けばいいというのは、ニコライ二世がシベリア鉄道を作ったと同じような私は横暴だとさえ思うのであります。従って、知ることは私はいいと思うのです。また国政に移すということもいいと思います。裏があっちゃいかぬというのは、おそらく鈴木委員の言われる言葉だろうと思います。私はそういう意味において、今鈴木委員の言われたことを言おうと思って待っていたところでありますが、法律家が法律というものを慾意するのではないというお言葉を聞きました。実は本会議における演説も克明に私は二度読みまして、どうもわれわれと意見が違う。法律によってすべてをやっていこう——私は法律が詳しくございませんし、どうも選挙界の革正という問題は、法律もむろん必要とは思いますが、初めは私は鈴木委員のお考えは法律第一だと考えたのです。これは私の違いだということが、きょうわかりました。こういう意味から申しまして、私は法律が公平にいくのには、法律でなければならぬという建前も賛成いたします。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 関連して。ただいま鈴木委員から政府の見解をただしたわけであります。特にわが国の現状から見ましたときに、こういう小選挙区法がもし施行されるといたしますと、非常に連座制の強化というものがその裏打ちとならない限り、政府の言うようなこの法案を通じての大きな柱を二つ立てようということも実現が不可能だ、こう思うわけであります。その点に関しまして、今も論議されました検挙の迅速化とか、あるいは連座制の強化に関連しての陣中見舞に対する考え方、ないしは最後には地方的な利益誘導等に関して至当な質疑が行われましたが、これに対する社会党側から二つの法案が提出されておりますので、これを、中村さんから、社会党の立場に立って、その法案を通じての連座制強化を一応四つの点に分けて御説明をいただきたい、こう思います。

中村高一日本社会党

○中村高一君 今社会党の提案いたしました選挙粛正を目的といたしましまする改正案について御質問があったのでございますが、政府で今度小選挙区に関する法案を提出いたしまして、最も重要であるといわれまする点について依然として抜け穴が非常に多いのは、まことにわれわれは遺憾だと思っておるのでありまして、小選挙区制を実施しなくとも、現在の選挙法でも、もっと選挙法を厳重にして、そうして国民の選挙公正をもう少し確保できるような訓練をいたしていかなければならないということが、われわれ社会党の常に考えておるところでありまして、われわれは、選挙を行います場合にも、党の候補者に対しても、厳重に、保守党とは違う覚悟をもって戦ってくれよ、保守党の方でどういう選挙違反をやっても、社会党では、かりに頂けることがあっても、正しい選挙をやれということを、常にわれわれの選挙方針といたしておるのであります。それでありますから、選挙の結果をごらんになればわかりまする通り、(「うそばかり言ってる」と呼び、その他発言する者あり)一体選挙の犯罪の数をごらんになればわかる通り、私たちは常にそういう熱意を持っておりますから、保守党に比べてははるかに選挙違反が少いということは、私たちが選挙を身をもて公正にやろうという趣旨なのであります。そういう意味からいたしまして、今度政府から提案されておりまする選挙法の改正の中で、なぜ一体連座制の強化についてもっと厳重な規定を置かないのか。ことに、政府では、最も関係の深い内閣の選挙制度調査会の答申の中にも、もし選挙運動の総括主事者あるいは出納責任者が買収等の罪に処せられた場合には、直ちに当選人の当選を無効とせよという精神があるのにもかかわらず、ほおかぶりをして全然改正もしようとしないで、ただそういう場合があったならば検事が附帯をして控訴を出せなんという全くなまぬるいことでありまして、選挙制度の調査会の答申を全く無視しておるのが今度の政府案でありまして、われわれとしてはまことに残念だと思っておるのであります。これはおそらく世論だと私たちは考えておりまして、保守党の諸君の中でもまじめな選挙をやっておられる尊敬すべき多数の方々がおられるのでありまして、これらの諸君は、おそらく連座制の強化などを幾らされても何とも思わない、われわれと同調してもらえるのだと思っておるのであります。そこで、われわれは、連座制の強化については、イギリスの選挙制度などを私たちも参考にいたしまして、どうしても、これは、当選人が違反したことはもちろんでありますが、選挙の総括主宰者であるとか、あるいは出納責任者のような選挙の中心になっている人が違反を起して、それで候補者は関係がないなどということは全くばかばかしいことでありまして、これは、イギリスがやっておりますように、もし、そういう選挙の中心になっている人が、退学違反を起しまして、そうして有罪になった場合には、裁判所から議長に向ってこういう選挙犯罪によって有罪になったという通知があれば、それでもうその人は当選を無効とされるという、まことに胸のすくようなすっきりした規定をもってイギリスは選挙を行なっておりまして、今日あれだけのりっぱな選挙制度の確定を見ておるのでありまするが、日本などでは、総括主宰者があるいは出納責任者が処罰されましても当選人には関係のないことというような、もし関係があるとするならば裁判を起せなどという無理なことを要求いたしておるのでありまして、全くこういう点については世論が一致しておるところでありますから、こういう点については厳重にわれわれはしなければならぬと思っておるのでありまして、総括主宰者であるとか出納責任者というようなものは、候補者と一体をなして、運命をともにして選挙をやってきておるのであります。それが違反を起して、そうして当選人は、おれは選挙違反を意思を通じてやったものではないというようなことで、いつものがれられるというばかなことはないと思っておりますので、私の方の今度提出いたしました改正案の中には、そういう場合には、もう有無を言わせず失格するという厳重な規定を置きまして、そうして選挙に立候補する人は、最も公正な正しい気持で選挙運動をせなければならないという規定を置いたのは、そういう私たちの趣旨からであります。  もう一つわれわれが厳重に加えましたことは、総括主宰者及び出納責任者以外の者でありましても、第三者であっても、これが候補者と意思を通じてなしたことが明らかである場合においては、これも失格をするという規定をここに盛ったのであります。今日最も選挙違反の多いのは第三者の選挙違反でありますが、これらは、大ていは候補者と関係がないということで逃げられてしまっておるのが実情であります。おそらく、多数の選挙犯罪が裁判されておりますけれども、これらの人ばもう初めから必得ておりまして、つかまったならば候補者に迷惑をかけてはならぬということから、その金の出所などについてはなかなか言わないのであります。また言うてもどこかで鎖が切れるようになっておりまして、候補者から金の出たことはこんりんざい言わない。場合によったならば一カ月でも二カ月でも黙秘権を行使して、この金はどこから出たかわからぬという頑強な運動者がたくさん出ておるのでありますからして、こういう者に対しましても、これだけでは当然失格させるということは多少問題があると存じまするので、これだけは裁判によって当選人の当選を無効とするという区別をつけたのでありまするけれども、それでもしかし、われわれは、第三者の違反をこのまま黙視することはできないということから、今度の規定の中に置いたのであります。  概略だけを申し上げまして、また質問がありましたら、詳しいことはお答え申し上げたいと存じます。

早川崇自由民主党自治政務次官

○早川政府委員 中村委員の御答弁に関連いたしまして、非常に誤まりがございますので、私の方で政府案に対する誤解を解かしていただきたいと思います。  第一点は、このたびの連座制の日本の法律が英国よりもはるかに軽い規定だというのでありますが、これは根本的に誤まりであります。英国の連座制は広範な免責規定を設けておりまして、候補者が十分な選任、監督をいたしまするならば、それが証明できれば、当然候補者は失脚をいたさないのでございます。また、当該犯罪が重要性のない場合、代理人あるいはまた選挙事務長が罰金なんかになりましても、これまた連座の規定には当らないで無効にならないのでございます。  もう一つ、英国の場合では、はっきり届け出の代理人、事務長となっておりまするが、日本の場合には会計責任者は届け出になっております。従って、その点は同じでありますが、総括主宰者という解釈の判例は、届け出の事務長という概念ではなくなっておるのです。共同謀議をいたしました場合には、三人、四人共同謀議した人が総括主宰者であると判定される判例になっておりまして、そういう意味におきましても、より広範な総括主宰者という概念になるわけでございます。従って、民主主義の法律におきましては、無過失責任——候補者が全然関係がない、十分監督をしたにもかかわらず、なおかつこれを罰するという法律は、英国においてもないのでございまして、これが一八八三年、一八五四年、ずっと英国が現在の日本よりも腐敗しておった現状においても、なおかつ、英国は、個人の人権を重んじまして、このような場合には免責規定を設けております。にもかかわらず、日本ばすでに選任、監督をいたしましても当然罰せられるのでございまして、こういった規定は、むろんフランスにおきまして、イタリアにおきまして、また西ドイツにおきましても——連座という概念が非常に全体主義的な封建的な概念でございまするから、私は連座という言葉を使うのはいやでございます。共同責任の規定だと言いたいのですが、不用意に、封建的な全体主義的な、子供が悪いことをすれば親にかかるというような概念の流れを強化しろということを学者諸君があらゆる機会に言われるのは、私は非常に遺憾に思っておるのでありますが、そういう次第でございますから、われわれといたしましては、ただ連座制の附帯訴訟だけをこのたび認めよう。なぜならば、先ほど中村委員の言われましたように、当選無効になっても、さらに免責規定というものの関係で裁判を引き延ばされる、こういうことになってはいかぬので、検事の附帯訴訟というものを認めまして、同時に失格することができるというように改めた次第でございまして、そういう意味におきまして、私は、連座規定の強化というものは限界に来ておる、これをいたずらに拡張しろという考え方は、民主主義、個人の人権を重んずる憲法下におきまして、これはかなり憲法問題だろうと思います。従って、すでに日本の場合には、興独仏伊等のデモクラシーの国から比べると格段の強い規定でございまするので、そういう点で世の中の連座制を強化しろという意見の誤解を解きたいと思うのであります。  もう一点、政府案では、第三者がしたこと、しかも候補者が意を通じてやった場合に罰せられないと申しまするが、現行法のもとにおきましても、第三者に対して候補者がお金をやる、また意思を通じて違反行為をやらせるという場合がありますれば、これは当然選挙法で罰せられるわけであります。ただ、不特定多数の第三者のやったことによって、連座制ということで当然失格ということは、これまた大へんな問題でありまして、われわれといたしましては、決して罰則強化という点では人後に落ちるものではなく賛成でありまするが、ただ連座制を強化しろという点は非常に行き過ぎではなかろうか、かように私は考えておりまするので、この機会にわれわれの見解を申し述べておきます。

鈴木義男日本社会党

○鈴木(義)委員 先ほど太田長官が法律万能論者でないことを初めて知ったと言われたが、私は意外に思ったのであります。法の極は害の極ということわざがあるくらいで、あまり法を作ると、しまいには自分がそれでくびられて死んでしまうということがあるのでありますから、それくらいのことはよく知っておるのであります。法は法なきを期すであって、最後は無政府が一番いい。われわれはそういう世界を望みつつ戦っておるつもりでありますが、ただ、選挙という、こういう問題になって、普通やるなら何でもないことでも、長官が、今、鉄道をしいてやるのも港湾を修築してやるのもいいことじゃないか——それはいいことであるに違いない。われわれはそのために代義士になっているのだから、やってやるのはいいが、これを選挙と結びつけ、お礼をもらったりやったりすることがあるからよろしくないというので、普通観察して、いい行為を、選挙に関してはこれを悪い行為と忍足しなければならないのじゃないかというので、私はこれから一連のいろいろな現象をお尋ねするのでありますから、選挙に関してそういうことが行われないようにしようじゃないかというお気持があるならば、そういう観点のもとにお答えを願いたいのであります。  先ほどの、補助金を取ってきてやる。——たとえば、私はこういう例を知っておる。県会議員と国会議員がタイアップして、そしてある工事に補助金をたんまりと取ってやった。そうすると、国庫補助でありますから、県会議員としての権限の中にはない。だが、今度は、請負者と交渉をして、お前にやらせてやろう。ある県では前金とあと金というのがありまして、請負を頼みにいくと、まず県会議員さんに前金というのを出さなければならない。そうでなければ絶対世話をしてもらえない。それから成功したならば、あと金というのを一割とか五分とかをもらうことになっておる。そこで、あまりひどいから、一つやったらよかろうということで、ある検事が勇敢にやったところが、すぽっと逃げられてしまった。というのは国庫補助を県会議員が世話をしてやったところで、決して職務に関する収賄にも何にもならない。あるいは背任とか、そういうことにもならない。代議士がやれば背任でもあり、収賄にもなります。そこで県会議員が相当もらったのであるが、遺憾ながら最高検察庁まで伺いを立てても、どうも法律からいうと、やはりこれは処罰することは無理だというので、久しく勾留されたが、まあ御苦労であった、帰ってくれというようなことで、帰されたのであります。こういうのは、法律的に見れば、県会議員が国庫補助について奔走してお礼をもらっても、やはりそれは罪にならぬとと思います。しかし、よいことか、好ましくないことかといったら、三才の児童でもわかると思うのであります。しかし、相当そういうことが広く行われておる。そうしてその金は何に使われたかということを探していくと、ちゃんと選挙に使われておることがわかるのであります。その人からいっても、おれは別にこれでもって自己の享楽のためにやったのじゃなくて、選手のために使ったのだと言って、何か選挙のために使うことは正しきために使うように考えておる。出道が悪くても、それはあまり悪いとは思わない。また使い道が悪くても、悪いとは思わない。この意識を直す方法はないかというので、われわれは苦心しておるわけであります。長官もその点についてはおそらく同感だろうと思うのでありますが、どうでございましょうか。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 私は、法律にそむいていいなんということは毛頭考えておりません。私は法律を詳しく存じませんが、現行法でも触れておるようなことは悪いと思います。職務に関し、財物を収受する場合があったら、それは収賄罪に当然なるのであります。また、選挙に関して間違いが起ったら、やはり罰則を受けるのは当然であります。ただ、鈴木委員のお考えは、それじゃたまらぬから、さらにそれを強化しようというお言葉かと承わっております。

鈴木義男日本社会党

○鈴木(義)委員 つまり情において忍びないのでありますけれども、どうしてもこれは法律で規制しなければ、こういう禍根を断つことができない、こう思うので苦心しておるわけであります。われわれも、今後連座制を強化していった場合、どの範囲まで入れていくかということについては苦心しておるわけでありまして、最後には裁判所で判断すべき問題でありますし、法律で全部網羅することばむずかしいが、この国会でこういうことが論議になったということは、非常に参考になることでありまして、十分これは論議を尽しておくべきことと考えるから、申し上げておるわけであります。  それから、あらゆる機会に、あらゆる行為に寄付をするのであります。これは私も寄付いたします。中にはいやいやながらするのもありまするし、好んで、進んでやるのもありまするが、しかしわれわれの寄付は知れたものです。ところが、いろいろな、鎮守のお祭があっても寄付をするし、何々の慰労会があるとか、ピクニックがあるとか、碁の会、将棋の会などがあって、賞状を出してくれ、賞品を出してくれ、あるいはスポーツの会があるから一つ寄付をしてくれ。青年団の会があるから寄付してくれ。何々の運動会があるから寄付してくれ。おそらく、国会議員諸君は——府県会議員諸君もそうでありまするが、これには大いに閉口しておると思うのであります。実際それをよくやる人とやらない人とを同じ地盤に立てて競争さしたら、やはりやっておる人が勝つのである。遺憾ながら日本の民度の程度というものはその程度でありますから、やはりそういうことは選挙に関してはやれないようにすることがよいことであり、やむを得ないことであると思うのでありますが、その点はいかがでありましょうか。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 もちろんそういうわずらわしさがないことはけっこうと思います。ただ、法律論になって、それが選挙にどう影響があるかということは、私の解釈論はできませんが、法律で禁止したならば、それがそのままできるかどうかということが、鈴木委員の御主張であったと思います。こういう点につきますと、選挙に関して悪いことはそれはとめる方がけっこうと思います。けれども、どういう範囲にどこまでいくのか。私は、実は、はがきを年末に出さないということでも、相当効果があったと思います。あれは議員同士の申し合せでございますが、金も助かるし、けっこうだったと思います。法律でこれを先にやるということがどうか。そうなると、法律論になりまして、法律でやっていくか、お互いの心で締めていくか。法律になりますと、これをお調べになる場合に、今連座制に関して政務次官が言ったように、やはり一方に人権というものもございますから、その点法律の段階においてはお考え願わなければならぬ問題だと思うが、お互いが直すか、法律でいくか、ここに限界があるのじゃないか、かように思うのであります。私は、いいことはいい、悪いことは悪いと、端的にそう思うよりほかないのであります。

鈴木義男日本社会党

○鈴木(義)委員 それはぜひそう願いたい。国会においてそういうことがよく論議されて、そして、どういうことがよいことで、どういうことが悪いことであるかということが明らかになっているというだけでも、これは非常によいことでありまして、これは法律問題であるとともに事実問題でありますから、かりに法律で、いろいろな場合、みな選挙に関してやったということが証明されたら失格の原因になるときめておいても、それが実際そうでないなら、最後は裁判所がきめることであります。裁判所に対して反証をあげて、選挙のためでない、社交上自分がやむを得ない関係があったからやったのだということが証明されれば、それは除かれるのでありますから、われわれは、そういう意味において、一つこの際十分この買収類似の行為——私は、これを買収とはっきり言わない、買収類似の行為、こう言っている。そういうものを一応選挙界からなくすることについて、真剣に考えるべきである。イギリスの法律を私は拝見しておりますが、イギリスではやはり微に入り細をうがって規制しております。しかし実際使われたことがない。今世紀に入ってから、一九二三年に買収犯はただ一件しかなかった。そういう国において、それでも、法律としてはあんなに詳しく、あらゆる場合を網羅しているのである。わが国においては何万という違反者があり、それがつかまる者は九牛の一毛だというのでありますから、これは驚くべきことである。よほどこれは考えなければならぬ問題であると思うのであります。  そこで、この選挙に関連してわれわれが一番考えなければならぬのは、供応、接待でありして、十人人が集まると酒が届く。青年団の集会である、農業協同組合の集会である、道路普請の慰労会である、骨休めの会である、忘年会である、いろいろなところに酒が届く。それがみんな選挙に関係がある人である。国会議員か、府県会成員か、市町村長か、市町村会議員かである。こういうことが広く行われていることは、おそらく、長官などは、理想的選挙をやっておって、そういうことは知らないと仰せられるかもしれませんが、私なども自分では理想的選挙をやっているつもりだが、始終目に入って困る。私が街頭演説をやっているところに、二十くらいの純心な青年がきて悪口を言ってヤジっている。その青年は酒を飲んで赤い顔をしている。それで、私は、実に嘆かわしいことだ、私が非常に理想的なことを言っているのに対して、これをあざけるようなことを言って、まるで六十のじいさんが言うようなことを言っている、どうしたのたと聞いたところが、反対派のある人から、きょうは青年団の会合で一ぱいおごられて、その帰りがけにちょうど私の街頭演説会にぶつかったから、それでやったのだ。そういう動機もわかったのでありますが、これなどは直接相手からごちそうになってきて反対派をヤジる。ところが実際はこちら側の人であります。私も名前を知っておるような青年であるのでありますが、そういうことが公然と行われておる。何とかこういうことを一つなくしたいものだというのが、私どもの念願なのであります。政府もこれに協力される雅量がおありになると思うのでありますが、たとえば、ある県では、ある候補者が鉱山を持っておったために、鉱山を見せると称して、バスを用意して、大選挙区でありますから、いろいろな郡からずっと山の上に連れてきて、そうして山を見せてお昼をごちそうして帰す。延べ人員にしておそらく一万に近い者を二年間に運んだでありましょう。こんなのは一体何に触れるかというと、何にも触れない。しかし、その人は、一度立候補し、また立候補せんとしておることはあまりにも明らかである。そうして実際当選もしました。そのあとまで言うとわかりますから略しておきますが、とにかくそういうのは私は正しいフェア・プレーではないと思う。金があれば何をやってもいいようであるけれども、そういうことはやはりやってはいけないということにしたいと思う。それから、ある知事選挙のときに、ずっと全県下の市町村会議員に朝飯会というものをやっておごった例がある。会費は五十円か百月とったのでありますが、実際行ってみれば、五百円とかそれ以上のごちそうが出るのであります。一ぱい飲んで大いに愉快やっている。それがやはり地固めで、その幹部の人が言ったのだから間違いない。一千万円ほどかかりましたと言っていたが、法定費用は七十万円くらいなものである。そういうことをやはり何とかしてやめさせる方法はないかということは、政治家として考えるべき問題だと私は思うが、いかがですか。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 だれしも金がそんなにあるわけではございませんから、金の安い選挙を望むことは当然だろうと思います。私といたしましては、法律ということよりも、これは少し私の方が道徳的に重きを置いておるかもしれませんが、今回の答申案の中の第五項目の一番力を入れた啓蒙宣伝、しかもそれは政党自体がやらなければいけない、こういうように感じております。法律を作っておけばいいという事柄は、たとえばイギリスにはずいぶんどろぼうも強姦もあるようですが、タイムスのごときは何十年来一回も出ない。しかし、事実あるらしい。また事実あるといっております。そういう点を見ると、法律を作っておいて行わないというやり方もございましょうが、——私は、選挙というものはだれでも出られる、そうして選挙が正しく公平に行われるという意味においては、鈴木委員のお考えと同じであります。ただ、やるのに法律でいいかどうか、こういうところに違いがある、かように思います。

鈴木義男日本社会党

○鈴木(義)委員 それはイギリスももとはやはり腐敗していたのです。腐敗したから、何とかこの腐敗をやめさせようといって、今あるようなやかましい法律を作ったわけです。今では、その法律は死んでしまって、なくてもいいくらいになったのでありますが、要らない法律を作ったわけではない。昔は必要な法律を作ったのであるが、今は実用がなくなった。日本はこれからイギリスの五十年も前のことをやるほかないじゃないかというのが、私の心配しておるところなんです。政党の運動になって啓蒙宣伝でいくからいいというが、保守党の発会式に行ってみるとみんなびん詰と折詰が出る。それで別に会費を払うのでもなさそう。(「みなは言い過ぎだ」と呼ぶ者あり)みなは言い過ぎであれば取り消します。これは一部分は払う。政党自身がそういうことをやるのではどうも困る。賞伝としてあまり感心できない。絶対にそういうことはないようにし、各自が持ち寄って発会式を行うような習慣をつけるためには、長官の言う道徳的自粛でいけるものでありましょうか。いけるなら幸いでありますが、どうでありますか。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 これは手段の問題でございまして、法律を作ってそれに主力を置いていくというお考え方もありますが、私はやはり主力は啓蒙宣伝が一番問題じゃないかと思う。現行法においても、やろうと思えばやれることがずいぶんあろうと思います。選挙というものはやはり時とともに進んでおりまして、昔より悪くなったという点もあるが、言論等において戦っていく点においては進んでおる点があります。私はやはり選挙をする者また投票する者の心からいく問題じゃないかと思う。法律を置いたからといって、別に鈴木委員の言われるような結果になる、そこまでは考えておらないのでありまして、法律を作ることが悪いということよりも、結果はどっちが得られるかという点から考えますと、私は啓蒙ということが最も主力を置きたい点ではないか、かように考えます。

鈴木義男日本社会党

○鈴木(義)委員 それは法律を作るだけでできるものではありません。それは幾ら作ったってだめです。私どもが、現行法で、あそこでやっておるからつかまえろと言っても、警察官はつかまえないのです。私と一結に宿屋に泊って立会演説をやって歩いておるある候補者が、町の有志を集めて、これも百円くらいの会費をとるらしいが、千円くらいのごちそうを演説が終ってから盛んにしておる。それを警察につかまえろ、現にあそこで町の有志が大いに飲んでやっておる、ああいう候補者は現行犯だ。いや、それはどうもちょっと何ですからかんべんして下さい。だから現行犯だってつかまえない。いわんや、前にあったようなことは、よほどけなげな者でなければつかまえない。そこで問題は検挙が可能なりやいなや、真に日本の警察権がやるかという問題になってきますが、それはまた別にお尋ねしたいと思っておりますので別にして、一般論としてわれわれこの際考えて、法律でもってこれをやらないようにすることがいいか悪いか、やるべきであるかどうかということを問題にしておることを御了承願いたい。  私午後から参議院の参考人になっておりますから、午後は別の人に譲りまして、明日続いて質問します。

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 暫時休憩いたします。     午後零時八分休憩      ————◇————— 〔休憩後は開会に至らなかった〕

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