公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第21号
- 発言数
- 237 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1956/04/18
会議録
○小澤委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、中村高一君外三名提出の政治資金規正法の一部を改正する法律案、中村高一君外四名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、以上三案を一括議題といたします。 質疑を継続いたします。井堀繁雄君。
○井堀委員 今度の小選挙区制度の実施に当って、最も重大な関係を持つ改正点としては、先日お尋ねをいたしました法案の条文の中においては、政治団体、「政党その他の政治団体」という「その他の政治団体」、このその他の政治団体は、ある場合においては、すなわちこの制限規定で言いますならば、全国で五十人以上の候補者を持ち得れば、それが、確認団体として、全く政党と同一の性質を選考運動においては持つことになる、こういうことが明らかになったのです。そういたしますと、今日政党それ自身の性格がそれによってむしろ律せられるということもあるし、また、逆に、従来の政党は、今日法律的に何らの規制も受けなければ、もちろん保護もないわけでありますから、こういう全く異質の二つの団体が一つの法規で規定された運動に関係し、しかも、その関係が、ある場合には法律で強く規制され、罰則規定等の適用を受ける問題が随所に出てくるわけであります。こういう関係は、今後の小選挙区制を実施した場合において、非常に複雑な、しかもいろいろの問題がかもし出されるおそれのあるところでありまして、さような関係からいたしまして、まず、私どもとしては、このその他の政治団体と政党との関係をもっとはっきりいたしたいと思います。そこで、そういう二つの団体のうち、政党については、たびたび論議されておりまする現実の二大政党といえば、自由民主党と日本社会党が現存しておるわけであります。これが、遠い将来は別として、近い機会を予定して、この選挙法が改正されようとしておるということも明らかになっておりますから、そういたしますと、二つの政党については明らかになりましたが、その他の団体をここにわざわざ明記したのは、今言う二つの政党以外に、これに類似する団体が予定されておるのかどうか。あるいは、そういうものを予定されていないとするならば、わざわざこういうその他の団体を確認団体としてここに規定しなければならなかった事情があるはずです。この点に対する見解を一つ明らかにしていただきたい。
○兼子政府委員 今回の改正案におきましても、政党その他の政治団体という表現を用いておるのでございますが、これは、現行法におきまして、第十四章の三「政党その他の政治団体の選挙における政治活動」、こういう章の見出しになっておりまして、それぞれ政党その他の政治団体という主語を使っておるわけでございます。この政党とはいかなるものかということは、昨日も申し上げましたように、公職選挙法には何ら規定しておりませんので、解釈といたしましては、政治資金規正法に政党の定義を下しておるわけであります。現行法におきましては、政党その他の政治団体と一つに書いておるのでございまして、政党とその他の政治団体に何らの区別をいたしておらないわけでございます。また、その政党の意味も、昨日申し上げましたように、通俗の意味のいわゆる二大政党とか三大政党とかいうものではなくして、総評政治連盟というような組織が従来ございましたが、こういうのも政治資金規正法上では政党に相なるわけであります。労働組合が一時政治上の目的で活動するというときには、その他の政治団体ということに該当するわけでございますが、公職選挙法は「政党その他の政治団体」として一本に書いておるわけでございまして、その間に何らの区分をいたしておらないわけでございます。従いまして、今回の改正案におきましても、そういう規定の立て方をそのまま継承しておるのでございまして、理屈を申し上げますれば、労働組合が、政治活動をして、一時にその所属候補者を五十人立てるということも、理屈の上ではあり得るわけでございますが、実際としてはそういうことはなく、本来の意味の政党だけに限られるのではないかということに考えるわけでございますが、法律の規定といたしましては、従来通り政党その他の政治団体という表現を用いているわけであります。もし、おっしゃるごとく、なぜ政党だけに限らないのかということにいたしますと、公職選挙法で政党の定義をいたしますれば、おっしゃる通りの表現ができるわけでございますが、そういたしますと、政治資金規正法の政党の概念と公職選挙法の政党の概念を同じにするか、あるいは社会学的意味におけるいわゆる本来の政党だけに定義をすべきか、いろいろその間に技術的の問題があるものでありますから、従来通りの表現にいたしたまでのことでございます。
○井堀委員 太田長官にお尋ねいたしますが、今の解釈で明らかになりましたように、こういう重大な選挙制度の大改革をやろうとする場合には、特に政党が選挙の一線にその活動を期待するこういう法案については、やはり政党法といったようなものが前提となって行わるべきものじゃないか。この点に対するお考えを一つ承わりたい。
○太田国務大臣 お言葉の通り今回も政党法を作っていこうという考えは、初め持ちましたのでございますが、そこまで、用意も整わず、いきませんでした。ただいま選挙部長の申しました通り、政治資金規正法において、政党とはと、たしか第三条第一項かにあったのでございますが、あの点を取り上げておるのでございます。政党法を作るとなれば、その組織あるいは運用、会計その他全面的に当っていかなければならないのでございます。政治資金規正法につきましても、もっと拡大したいとか、あるいは改めたいという問題がございましたときに、たとえば労働組合からの寄金というような問題もその中に入れたい、そうなると結局政党法でいかなければむずかしい、こういう考え方でございましたが、今回は小選挙区制度を行う上についての必要な限度において政党の取扱いをいたしましたので、政党法を作るというところまでいきませんでした。しかし、政党法を作るべきだという考え方は、井堀委員と同じように私は感じております。
○井堀委員 私は、今度の改正全体の関係からいって、政党法を並行して考えないと、実施の上に重大な混乱が起ると考えるのであります。まあ、政党法の必要については明らかになりましたが、これは時期的な問題があると思います。これが通過すればすぐ解散してやるということであれば、これは間に合わぬのですが、これは、他の、たとえば政治資金規正法の関係も出てきますし、その他二、三他の法律の関係事項もあるので、そういう点に対する改正の意思もあるようでございますが、どうでしょうか。次の選挙実施前に政党法について手をつける御意思があるかどうか。この点を伺っておきたい。
○太田国務大臣 ただいま申し上げました通り、広範な範囲にわたりますので、今回は、小選挙区制度の施行について、あるいは公認制度とか選挙運動とか、そういう必要な分だけにとどめました。次の場合におきましてこれを作るか。むろん用意もいたしたいと思いまするが、的確に作るという問題は、小選挙区制度を行うについての必要なものは今回織り込んだつもりでございまするから、十分用意をし、かつ五党の間でも問題になりました政治資金規正法などの関係も織り込みまして、作りたいと考えております。時期といたしましてなるべく早く作りたいということは申し上げられまするが、次の機会というようなことは、はっきりまだ用意もできておりませんので、これらのことも、でき得るならば、選挙制度調査会にも諮問いたしたいと、こう考えておる次第でございます。
○井堀委員 そういたしますと、この選挙法で二度選挙をやってみる、その結果にすると、こういうふうにおっしゃるのですか。
○太田国務大臣 もちろんその前に政党法ができればけっこうと思います。
○滝井委員 今の政治団体あるいは政党との関連もありますし、昨日の森委員の質問にも関連するのですが、それは、昨日、二百一条の三の5で、個人が、衆議院議員の選挙において、一つの政党その他の政治団体が公認候補者を有する選挙区において、当該公認候補者以外の候補者で当該政党その他の政治団体に所属する者のために、その者が公認候補者であると誤認させるような事項を公けにし、または当該政党その他の政治団体に所属する者である旨を公けにして、選挙運動をしてはならぬ、この違反者は多分三百四十四条で罰せられることになっておったのでございますが、その前の二百一条の三の4は訓示的な規定で、これは罰はない、こういうことございました。そこで、これは個人に関係することになると思うのです。ところが、その前の二百一条の三の2及び3の問題でございます。これはいわゆる政党に関係をする問題になってくると思いますが、もし、一つの政党が、一人一区の一つの選挙区で二人の公認候補を立てて、公認候補の証明書を与えた場合は、一体どうなるかということなんです。これは一体どういう工合になるものなのでしょうか。一つ大臣の御見解を承わりたいと思います。
○太田国務大臣 選挙部長から先に申し上げさせます。
○兼子政府委員 おそれ入りますが、第二項の関係ですね。
○滝井委員 二百一条の三の2と3はうらはらの関係にあると思う。というのは、「一の政党その他の政治団体の公認候補者となった者は、同一の選挙において、同時に他の政党その他の政治団体の公認候補者となってはならない。」ということは、同時に、その次の3の、公認証明書というものは、一つの政党は一枚しか発行できないということと、きわめて、うらはらと申しますか、密接な関係のある条文なんです。そこで、3の方で、一つの選挙区において、政党が、あるいはその他の政治団体でもいいのですが、二人の公認候補を立てて公認証明書を出したらどういうことになるかということなんです
○兼子政府委員 二百一条の三の規定におきまして、公認制度を規定いたしたのでありますが、原則として一人一区でございます。そうしますと、一人の定員のところで一人の公認候補者を立てている場合に、さらにまた公認候補者を出す。その場合にどうするかというお尋ね。
○滝井委員 公認を二人する場合どうなるのですか。
○兼子政府委員 定数以上の公認をした場合にどうするのかという問題でございますが、これは公認証明書が「本部の総裁、委員長その他これらに準ずる者で、予め自治庁長官に届け出」られた正規の公認証明書であるということが書類の上で確認をされました場合、受理いたしますその選挙長におきましては、その書類が正当であるかどうかという判定をまずいたしまして、先に公認候補者が出ているということになりますと、これは間違いではないか――法律的の問題でなく事務的の問題で恐縮でございますが、間違いではないかということを、御本人ばかりでなく党の方に御連絡いたしましてその確認をいたしたいと思います。その上で、いやそれは間違いじゃないんだ、二つ出したんだということになりますれば、これは、規定がございませんので、その場合には、非常に異例の場合として、定数以上の公認があったということで、これは受理せざるを得ないと思います。
○滝井委員 今の御説明のように、政党政治が確立をされても、その政党というものは、当然公認証明書は一枚でなくちゃならぬということに一人一区の場合はなっているわけなんですが、実際は、結果的には二枚出してもしようがないということになるわけですね。そうでしょう。それを一つ御確認を得ておきたいと思います。
○兼子政府委員 この二百一条の三の規定は、定数以内の公認があるということを前提として予想しているわけなんです。ただ、おっしゃるような異例の場合が万一ありました場合はどうするか。その場合には、候補者の方には罪はないのでありまして、政党の事務の間違いであるとか、何らかの事情がその間にあるのではないか。そういたしますと、候補者の立候補の意思を抑えるということは妥当ではございませんので、反射的と申しますか、これは立候補の受理をいたさなければならぬと解釈をいたします。
○滝井委員 そうしますと、今事務的なことをおっしゃいましたが、事務的な間違いがなくして、明らかにその党の総裁なり委員長が二枚お出しになっておれば、これはもう明らかにその政党の責任者である総裁あるいは委員長、あるいはその政党の構成員というものは、罰せられることなく、その選挙区においては二名を立てることができる、こういう確認を今得たものとして差しつかえございませんね。太田長官、そう解釈して差しつかえございませんか。
○太田国務大臣 差しつかえないと思います。
○滝井委員 その確認を得ました。 その次には、今度は二百一条の三の2になるわけでございます。そうしますと、今度は「政党その他の政治団体の公認候補者となった者は、同一の選挙において、同時に他の政党その他の政治団体の公認候補者となってはならない。」と書いてありますが、これは、もし今の3が許されるとするならば、当然Aという政党の公認候補者となり、同時にBというその他の政治団体の公認候補者となっても罰せられない、差しつかえない、こういうことになると確認して差しつかえありませんか。
○兼子政府委員 二百一条の三の第二項の新しい規定は、そのような場合に、一人の候補者がAの政党、Bの政党から二つの公認証明書を持ってきた場合をおっしゃっておるのでありますが、この第二項の規定によりまして一人の候補者は一つの政党の公認候補者だけであるという原則をうたっておりますので、これはそのような書類は受理をいたさないということになります。いずれか公認を受けた政党を一つにしぼるということになります。
○滝井委員 そうしますと、AとBの二つの政党の証明書を持ってきた場合には、あなたはどちらをおしぼりになりますか。
○兼子政府委員 それは、同時に二つの公認証明吾を持っていらっしゃった場合には、いずれか一つにしていただきたいということを候補者に選択していただくわけです。
○滝井委員 それをしなかった場合には、しからばどういうことになりますか。
○兼子政府委員 これは、先ほど申し上げましたように、私は両方の公認を受けているんだとあくまで候補者が言った場合には、それは受理をいたさない。
○滝井委員 受理をいたさないと言っても、どこにも受理をしてはならぬという規定はないはずだ。どこかにありますか。あれば御指摘を願いたい。
○兼子政府委員 二百一条の三の第二項は、「同時に他の政党その他の政治団体の公認候補者となってはならない。」このように規定しておるのでございまして、二つ持ってくれば、これは違法の届ということになりますから、受理いたしません。
○滝井委員 そうしますと、二百一条の三の3をごらんになると、「政党その他の政治団体は、一の選挙区において、選挙すべき議員の数を超える数の候補者(候補者となろうとする者を含む。)に公認証明書を発行してはならない。」と書いてあって発行してもよろしいことになる。そうしますと、政党の場合は二枚発行してもよい。しかし二項では同時に二つの政党の公認候補者となってはならないということで、あなたは受理しないと言われ、あとの場合は受理すると言う。矛盾するではありませんか。
○兼子政府委員 第三項の規定は、その行為者が政党でありまして、候補者には何らその間に責任がない。それは、受理をいたさなければ、候補者には実際の場合に非常に過酷になるのではないか。行為の主体は政党であります。第二項は候補者でございますので、第二項は受理をいたさない。
○滝井委員 それは、なるほど二項では公認候補者となっておりますが、その公認候補者に、その政治団体なり政党が、どうしても君を公認候補者にしなければいかぬのだと、政党の意思でその公認候補者を押しつけてくる。本人の意思以外にそういう場合があり得るわけです。そういう場合は、あなたの言うように、個人の意思でなくなってくるのです。その場合は一体どうなりますか。これは本人が来てそういう証言をする。私はあの政党から出たくはないけれども、その政党がどうしても君が出なければいかぬと言うものだから、私は二つもらってきました。私も断わるわけには参りません。私も票がほしいのだから、二つの政治団体から公認を受けるということになれば、私の当選は確実になりますから、私はどうもあの政党として出ざるを得ない。こういうことで、本人の意思にそぐわないけれども、政党がその本人に出すということはあり得る。たとえば、どうも野放しの選挙になればおれは落ちることは確実だ、しかし、どうも二つの政党がやれ、こう言うからやむを得ないのだ、こういうことで、本人の意思に反して出ることはあり得る。そうしますと、これは、二百一条の三の2においては、あなたの方は受け取らぬと言うけれども、何ら受け取ってはいかぬという規定はどこにもない。罰則も何もないはずです。これは一体どうなのですか。
○兼子政府委員 これは、先ほど来申し上げますように、第二項の場合、候補者が二つの公認証明書を持ってきた場合には、罰則を付しておりません。それから第三項は、これは一つの政党が二人の別の人を公認候補者に出した場合、これも罰則を付しておりません。これはやはり罰則を付さずに、第二項の場合は、公認の受理をしないということで処理ができるのではないか。それから第三項は、御本人でなく、政党の責任でありますので、これは罰則を付しておりません。それから第一項で、この公認候補者となろうとするものは、自分が本部の総裁その他これに準ずる者の証明書をもらうわけでございますから、自分がいやがってよその政党の総裁から公認証明書をもらうということは、これはあり得ないのではないか。第一項の規定からいきまして、これはやはり、本人が何々党の公認候補者となりたいという意思から、総裁がそれに対してあなたを公認候補者にしようという意思の合致があって、初めて公認証明書が発給されるものだ、かように解釈をいたしております。
○滝井委員 第三者推薦という声もありますが、第三者推薦の場合もあり得るし、それから、選挙というものは、それぞれの多くの人から推薦なり公認をされる方が有利なのです。だから、これは、二百一条の三の一項に書いておるように、ある政党あるいは政治団体の所属候補者となろうとする者ということは、だれでも、どこからでも受けたいことは明らかなのです。だからこそ、この前参議院で関連する選挙法の改正をやったときにも、井堀さんが民主主義の本質論と関連をして論議をしたところなのです。これは、あなた方がそうおっしゃっても、二つの政治団体の公認候補者としての証明書を持ってきたものを、あなた方が受理しないという根拠がどこかにありますか。これは罰を受けないのでありますが、もしあなた方が受理しないといえば、それは選挙妨害であると言われても仕方がない。その点をもう少し明白にしてもらいたい。
○兼子政府委員 第二項違反の届出でありますので、違法の文書は受理をいたすことができません。
○古川委員 私は今兼子部長の御答弁と滝井委員の質問とに関連して質問したいのでありますが、この兼子部長の第二項の解釈は適当だと思うけれども、第三項の解釈は適当ではないと思う。第二項の方は、個人が両政党のどちらかを選択するとおっしゃるけれども、第三項の場合においては、一つの政党が、この規定に違反して、一人の定員しかないところに二人の公認候補者を出した場合に、一たん受理した場合には、あとの候補者は拒絶すべきだ。そうすれば、滝井君の疑問も解消するし、この条文の趣旨にも大体合致する。一人しか定員がないのに、二人を公認する権限はない。私はそう解釈すべきが妥当だと思いますが、選挙部長いかがでございますか。
○兼子政府委員 お答えいたします。二百一条の三の第三項の解釈の問題でございますが、先に届出がありました立候補が果して有効であるかどうか、それからあとのものが無効であるかどうかということは、これは判定できないのでございまして、やはり政党の意思が二つ適法に証明書を出したということになりますれば、これは受理をいたさなければならぬと思います。
○古川委員 一たん最初に定員が一人しかないところに一人の公認候補者の証明書が出た場合には、その条件がそろっておるかどうかを一応調べて受理されたのだから、それは一応有効として、二度目に出てきた場合には、それを拒否するのが当然だ。どっちが正しいかわからないと言われるけれども、一応受理された限りにおいては、その届出が正確と認めて受理されたのだから、あとのものは拒否すべきだ。もし二度目のものを突っぱねた場合に、党の方があとの方が正しいと言うならば、前のものを引っ込めてから出すべきであって、前もあとも同格だというのはおかしい。これは党の問題に突っ返すべきだ。それでなければこの規定は何にもならない。
○兼子政府委員 二百一条の三の規定に違反した場合の解釈の問題でございますが、その届出は、一つ一つは有効であるという前提に立ちますれば、これはともに行為者は政党でございますので、立候補者にいわば責任がないということからいたしまして、これは受理をいたさざるを得ない、このように解釈をいたしております。
○古川委員 そうおっしゃるけれども、三項については、候補者個人の行為が善意だからというお話でありますが、三項は、政党そのものの行為がよくないのだから、私は、この規定を守らなければならない建前からすれば、あとに出された公認証明書は受理を拒絶できるはずだと思う。
○兼子政府委員 おっしゃるような場合には、政党内部の手続において前の候補者を取り消すというようなことが当然行われると思います。それが行われない場合、非常にまれな場合を考えますれば、いかにするかということになりますと、選挙長は書類の受理をいたさなければならない、こういうふうにお答えを申し上げておるわけでございます。
○滝井委員 今の二百一条の三の3については、私はそういう工合に二枚の公認証明書が出てもいい解釈だという確認をいたしております。ただ、問題は、二百一条の三の2の問題についても、どうもあなた方は受理をしないとおっしゃるけれども、受理しないという法的な根拠はないと思うのです。なぜ私がそういう主張をするかといいますと、政党というものについては罰ができない。しかし、個人については、そういう拒否をし、あるいは二百一条の三の5によって罰する、こういうことになっておる。なぜ政党についてはこういう場合に罰しないで、個人を罰するか、こういうことなんです。大体この理論的な構成はどこから来ておるかということなんです。 いま一つは、政治的な運動になると、政党も罰せられる。たとえば、政党その他の政治団体の政治活動の規正違反ということに相なりますと、その政党その他の政治団体の役職員及び構成員として、当該違反行為をしたものは、五千円以上十万円以下の罰金を付することになっておる。ところが、こういう選挙の一番大事な眼目になる公認の問題その他になると、これは政党はノー・タッチなのです。罰しない。ところが、今度個人が公認候補と間違えるような行為をしたら、罰せられてくるわけです。私は、その間の立法の理論的な構成というか、そういうものにどうも首尾一貫したものが欠けておる感じがするのです。この二つの点を御説明願いたいと思う。二百一条三の5で個人は最終的に罰せられるが、政党というものは罰せられない。それから、政治的な運動になると、政党はやはりその構成者あるいは代表者が罰せられるという形が出てきておるが、これはどういう関係になっておるのか。この二点について一つ御説明を願いたい。
○兼子政府委員 二百一条の三の第五項につきまして個人を罰しておるという問題でございますが、二百一条の三の第五項の規定は、公認候補者がある選挙区において、公認候補者以外の者が公認候補者であるような行動をとることによって選挙運動をする、そういう場合でございます。これはまさに公認制度を破壊する心のだ、選挙のルールに反する、このような趣旨から、これは罰則規定を設けております。それから、政党の政治活動において処罰を受ける。これは政党の政治活動のルールを確立いたしまして、これに違反をいたしますれば政党を処罰する。これはまあ普通の法律の観念だろうと思うのです。しからば、二百一条の三の第二項と第三項の違反の場合に、なぜ罰則をかけないのか、こういうあるいはお尋ねになろうかと思いますが、これは、公認制度におきまして、本来ならば政党法と申しますか、そちらの方の規定にすべきものを、これは選挙に関しまして、政党と選挙のちょうど結合点に関する規定を公認制度に関して設けたのでございます。従いまして、この第二項、公認候補者が同一の選挙区において他の政党の公認候補者となるということは、公認は、一つの政党は一人ということがこの法律の公認制度の根本でございますので、これに違反してはならないという規定を置いたのでございます。しかしながら、なぜこれに罰則をかけないかという問題は、これは政党のいわば内部、政党に関する規定でありまして、その個人に対して罰則をかけて制度の秩序を維持する、それだけの選挙法上の他のルールの違反というようなものとは趣きを異にしておるということからでございます。第三項も同様でございまして、これは、行為者が政党であって、候補者の方はいわばその間の事情を知らない場合があるかもしれません。そういうふうな関係で、政党が二重に公認候補者の証明書を発行した場合には、やはり罰則を付すべきでない、公認制度というものを徐々に育てていく、このような趣旨から罰則を付さずに置くわけであります。
○滝井委員 罰則を政党につけなかったのは政党内部の問題だということをおっしゃっておる。ところが、実際にこの二百一条の三の5でも、これは政党内部の問題なんです。「当該政党その他の政治団体に所属する者である旨を公にして」ということは、たとえば、社会党なら社会党、自民党なら自民党の党員である者がやることにおいてこういう問題が起ってくるわけなんですから、明らかにこれは政党内部の問題なんです。そうしますと、片一方はただ政党というものが出てきておるし、片一方は個人という形が出てきておるだけで、政党内部の問題である点においては本質は同じなんです。これは今の説明では私は納得がいかない。どちらも政党内部の問題なんです。
○兼子政府委員 二百一条の三の五項の規定は、これは、政党内部の規定でなく、選挙運動にわたる外部に関する規定でございます。公認候補者がある選挙区において公認候補者でない者が公認候補者であるかのごとき運動をすることによりまして、一般有権者は相当それに迷うことが考えられるわけであります。そういう関係から、これは罰則を付し、選挙運動のルールを確立する、このような趣旨で罰則を付しておるわけであります。
○滝井委員 総理が見えましたので、これはまたあとで一つ関連してやります。
○井堀委員 総理大臣は、からだの不自由なところを出席願いまして、まことに御苦労なことと存ずるのであります。この委員会がきょうまで連日熱心に公職選挙法の審査を続けて参りましたが、重大な点で、ぜひ、総理大臣として、また自民党の総裁として明確な見解を明らかにしていただかないと、本案の審議が進められない状態にあるわけであります。そういう点について一、二明確な御見解を伺っておきたいと思うのであります。 その一つは、小選挙区制度を断行するということは、申すまでもなく、選単制度の一大改革であるとともに、戦後における議会制度に対する重大な革命的措置であるとも断ずることができるのであります。こういう問題と取り組む際に一番私どもの懸念されますることは、時代は異なっております、社会的背景は大きく変化はしておりますけれども、わが国における大選挙区、中選挙区、小選挙区の三つの経験を通してみまして、小選挙区制に切りかえられた大正九年、大正十三年、すなわち原敬内閣と清浦内閣によって行われました二回のこの選挙を、なまなまとわれわれは経験しておるわけであります。この経験から見ましても、私どもは、小選挙区を断行した際のいろいろな理由は別といたしまして、大きく現われてきたものは、大がかりな悪質な買収が公然と行われたにもかかわらず、時の権力者は、与党のためにはひた隠しにして反対党に対してはかなり手きびしく摘発をやっておる。すなわち買収と選挙干渉とが小選挙区の際に大きく出てきておる。このことが、まず選挙民にも、あるいは選挙を戦う者はもちろんであるが、そういう疑いを払拭する措置が明確にされなければならぬと私は思うのであります。ところが、今までわれわれが審議を続けてきた過程におきましては、遺憾ながらこの問題に対して疑いをだんだん深くする一方でありまして、この疑いをわれわれが解消する答弁はいただいておらぬのであります。この点に対する総理の見解を伺おうとするのでありますが、いろいろな議論の仕方はあると思いますけれども、そういう問題は別にいたしまして、立場やあるいは利害関係というものを越えて、まじめに、日本の政党が国民の信頼を受け、そのまた政党も政策をもって争った選挙の結果が、すなわち代議士として国会を構成する人が国民の信託にこたえられる信頼をかち得た議員であって、その上に政府が存在するという形を作ることは、これは今日われわれにとって重大な使命であることは、言うまでもないのであります。こういう立場から、私はあなたに率直に一つお答えをいただきたいと思いますが、今日の場合、どう考えてみましても、小選挙区になりますと激しい競争が行われ、ことに今までわれわれが審議を続けてきたものだけをあげてみましても、まず第一に選挙資金の調達の問題でありますが、個人と政党の二つに分れます。すなわち、候補者となろうとする者が選挙費用をどうして調達するか、またその選挙費用はどのくらいかかるかという問題もありますが、今日の場合における選挙費用を個人が調達する場合においては、それがいずれも浄財でなければならぬことは申すまでもありませんが、われわれ貧乏人としては、高利貸から借りるか、もしくは知人縁者をたどって求めるという金額は知れたものであります。あるいは富める者としても、浄財は無尽蔵ではありません。また、政党の場合においても、今日の政党を維持する上において莫大な経費を必要とするのでありまして、特に、政府から出された資料に基いて、ごくその部分的なものだけをあげてみても、それぞれの政党が財界や個人から寄付金を受けたもの、届けられたものでも、今日二つの政党に例をとりますと、民自党は、八億二千万円という莫大な資金を、他から援助を受けておるわけであります。また受けなければやっていけないということであります。こういう状態で、一体、小選挙区を戦った際に、そういう買収事犯というようなものをどうして排除していくかという、何らの措置が講じられていないということが明らかになったわけであります。こういう冒険をあえてなさろうとするには、それぞれのお考えがあってだと思いますが、今まで太田長官その他の政府委員の問において論議を続けましたけれども、明らかになりません。この点に対する総理の所見を伺います。
○鳩山国務大臣 小選挙区と選挙干渉の関係について御質問がありましたが、選挙もだんだんときを経まして進歩して参りまして、選挙干渉というようなことは、かえって逆効果を引き起すのでありまして、小選挙区になったから選挙干渉はふえるというような懸念は私はないと考えております。 資金の調達についてお話がありましたが、資金の調達などについても、だんだん進歩して参りまして不正な資金の調達はできないことになっておりますから、別にこの点についても御心配になる必要はないと私は考えます。
○井堀委員 もちろん選挙干渉が大正九、十三年のような露骨なものがあるはずはありませんけれども、しかし、これは、あなたにお尋ねした前提があったように、露骨な干渉のかわりに、きわめて巧妙な干渉が行われてくるということは、神のわざではありませんから、選挙を戦う者の選挙法と取り組む場合に一番考えなければならないことである。理想通りにいくのであれば、何も取締りの規定は要らないのであります。選挙法に敢然たる取締り規定があるということは、残念なことであるけれども、そういう犯罪の起ることを予定せざるを得ないのである。理想を言うのではない。現実の戦いであります。でありますから、巧妙に行われてくるわけであります。だから、それを要するにどう排除していくかということが考えられなければならない。ただ単に干渉しない、圧迫しないと言うだけであって、あの当時だって、原敬内閣の記録を見ても、清浦内閣の国会の記録を拝見いたしましても、選挙の公明を期す、公正を期すと言っております。これは神がやるのではありません。しかも、政党がしのぎを削って次の政治権力を奪取するかしないかの戦いでありまして、熾烈をきわめることは必然であります。ですから、国民の許される正しい申し合せが選挙法の内容をなすことは明らかなんです。そのことは今度一つも出てきてないということです。そういう点に対する新しい革命的なことをやろうとすれば、やはり革命的な措置が必要なことは当然であります。これに対する具体的なお考えが法案の中に現われて、あるいは提案理由の説明の中を通じて相手方を納得させてこなければならぬのじゃないか、こういう点をお尋ねしておるのです。
○鳩山国務大臣 ただいまの御質疑に対しましては、現行法においても、そういうことは十分に考えてできているものと私は思います。
○井堀委員 それでは、具体的に一点お尋ねします。選挙干渉の問題については案がないのですが、次には選挙資金調達の問題であります。これは、きのう太田長官にちょっとお尋ねしましたが、御本人の問題ではないから、御答弁が願えなかったのであります。あなたが大阪の財界人と懇談を遂げられた席において、あなたは、今度の保守合同は財界人の強要に基いてというようなことを――冗談であろうと思いますけれども、そういう強い求めがあったことは間違いない。それに応じて作ったのであるから、しかるべき援助をあなたは希望しております。援助はいろいろありますが、そのあとを受けた岸幹事長が、資金の援助を要請しているということであります。選挙資金調達の上に一番大きい問題は、かつて造船汚職その他の疑獄事件の温床をなした政治献金をめぐってであります。特に造船汚職の問題は、まだ世の記憶から去っておりません。その造船汚職の筆頭であります飯野海運株式会社から、多大の献金を政党が受けております。これは届出をいたしている部分だけでありまして、こういう金は、太田長官によりますと、その得る方法さえ適当であれば、すなわち合法的でありさえすれば浄財であるかのごとく述べられております。こういう資金を当てにして、いわゆる個人の選挙から政党の選挙、こういう切りかえをなされ、革命的な選挙を行う際に、私ども国民から見れば、最も危険な汚職、涜職の温床を作るような資金を得なければ政党の維持のできない現状をそのままにしてこういう危険な小選挙区制法案をお通しになろうというあなたのお考えについて、明確な御答弁をいただきたい。
○鳩山国務大臣 私は、大阪の財界人に対しまして、資金の援助をしてもらいたいというようなことはおくびにも言いません。そんなことは言う必要はないのです。政府が国民に対して援助を求めるということは、政府の施策に対して同意をしてもらう、政府の施策が実行せられるように努力をしてもらいたいということで、諸君といえども常に言っている言葉じゃありませんか。国民に対して援助しろということは、自分の党派の主張が通るように協力してもらいたいということであります。それを常に金の方の心配をしてくれというようにとるのは、よほど間違った頭を持っていなければ、そういうことは……。 〔「何を言うか」と呼び、その他発言する者あり〕
○井堀委員 あなたはお門違いの御答弁をしておられます。私の申し上げたのは、この新聞記事が当てにならぬといえばそれまででありますが、朝日新聞の四月十五日のあなたに随行された記者の筆記であります。それによりますと、「われわれは大阪財界の半脅迫的要求で保守合同をしたのだから、みなさんは私を助ける義務がある」、こう述べて、そのあとに、「岸幹事長は、これを受けて「保守合同を要望された財界から党資金を寄金していただき、その代り党の方から党の政調会報を差し上げて結びつきを強めてゆきたい」、こう言っているのです。この新聞記事が全然事実無根であるとおっしゃられれば、あなたの今の御答弁はわれわれも一応了承しますが、まさか私は随行された新聞記者が無責任な放言を伝えておるものとは思わないのであります。この点はどうですか。
○鳩山国務大臣 私はもちろん言いませんが、岸君が言ったということも聞きません。
○井堀委員 これを否定されれば何をか言わんやでありますが、このことを私が申し上げるのは、ただ想像して言っておるのじゃありません。さっき言ったように、政治資金規正法によるところの、こういう政府から援助、寄付あるいは政府と直接契約を結ぶといったような、きわめて露骨な直接的利害関係を有する会社、団体から政治献金を受けるということについて、それを、届け出しの形において、できるだけそういうものを排除しようという法の精神であることは明らかでありますが、にもかかわらず、きのうの審議で、政府委員の説明によりましても、十七、八の関係昼頃の会社がここに報告されております。私の調べるところによれば、三十幾つかに上るのでありますが、その数は別といたしましてこういう関係の、すなわち政府の政策とうらはらになって反対給付をすぐ受ける――この団体は言うまでもなく営利会社であります。営利を目的とする会社でありますから、その会社から献金を受けて、その政府が一体どういう反対給付をしなければならぬかということは、あまりにも明白でありますから、そういうことが起きないように、選挙浄化の上にそういうものを禁止する法律を設けた国々もありますし、あるいは政治道徳としてそういうものを排斥をいたしております。こういう点について、あなたはこういう莫大な金を寄せ集めて現在やっておるわけであります。今後はもっとたくさん金がかかるわけでありますが、こういう金を受け取らないで、それでは一体どういう浄財で莫大な政党の資金をまかなおうとされておるか。あなたは、一党の総裁でありますから、それではこういう資金によらないとすればどういう資金があるか、浄財をどうして求めるかということを明らかにし、選挙法に対する疑いを解明する重要な義務があると思うのであります。
○鳩山国務大臣 資金の調達は公明にさえやっていけばいいと思っております。
○井堀委員 お答えができにくいようでありますが、これは申し上げておきますが、今日の自民党にいたしましても、その他の政党におきましても、程度の差はあると思いますが、政党の資金が、確実な方法によって、党の組織の中から、あるいは政策なり主義主張に対して全く共鳴されて、それ個人で浄財を党に献金したり寄付するということは、私は助長していかなければならぬことだと思うのであります。こういう営利会社から、しかも利害関係が政府の政策と密接な団体から金を取るようなことが許されておりますならば、この小選挙区法をやりますならば、必ずそういうところから金を集めてきて、それが法律にひっかからなければ、どういうことでもやるということが起きてくるに違いない。そのことによって、往年のときとは異なりまして、もっと激しい選挙の腐敗、堕落が現われてくるだろうと私は思いますし、その上に生まれてくる政府の汚職、涜職をみずから認めるような危険な傾向になることを、私どもはおそれているわけでありますが、これに対する御答弁ができぬようであります。 それでは、もう一つあなたにお尋ねをいたしまして、私の質問を終ろうと思いますが、先ほど選挙干渉のことを私が懸念いたしましたのは、これもあとの法案審議の中でだんだん明らかになってきておりますけれども、あなたに法案全体に対するこまかい点について御答弁を願おうとは思いませんが、今までの太田長官の答弁の中で明らかになっておりますことは、どうしても政党と政党との争いが激しくなる。と同時に、今度の法律の中にこれを公然と規定しているわけです。それはいい面もありますし悪い面もあります。その悪い面について一つ私どもの懸念しておりますことは、それは、民主主義の非常に発達した今日におきましては、今までのように、露骨な警察権力の介入や、あるいは司法権の弾圧が表向からくるようなことは、よも国民が許さぬと思いますから、そういう露骨なものがあろうとは私は想像しておりません。しかし、今日の行政機構なりあるいは地方制度の現状から推測いたします場合には、あんなにわれわれの強い反対があったにもかかわらず、時の政治権力というものによって警察の中央集権化が今日現われましたように、すなわち、具体的に申しますならば、あなたの閣僚のメンバーであります大麻氏が日本の警察の大元締めを握っているわけであり、また法務総裁には牧野氏がそれぞれ就任しておりますが、この際私の懸念いたしますのは、あなたの内閣の閣僚のうち、重光、牧野あるいは清瀬、河野、吉野、馬場、船田、大麻、太田、それにあなたもそうでありますが、かつては、これは戦犯についてはいろいろな見方、聞き方があろうと思いますけれども、一応時の民主主義革命を施行した際に、それに対立した立場として戦犯処分を受けた人々が復活されております。個人については私は尊敬はいたしておりますけれども、こういうような新しい民主主義の制度に対しては、一応反逆者の立場で処分されている。これは占領軍の処置でありますからといえばそれまででありますが、こういう立場の人たちが今日閣僚の大半を占めております。その政府の手によって選挙が行われるということでありますから、よほど身を潔癖にして、制度の上においてよほど国民に納得のできるような方法を講ずることが、私は、選挙を公明ならしめ、国民の信頼を受ける前提になるものではないかと思うのであります。でありますから、今度の選挙法の改正などについて選挙干渉は行うべきでないということをただあなたが言明したって、それは弁解になりません。組織の中に、制度の中に取り入れ、法案の中に出てこなければなりません。それが出ていない。それから、先ほど申し上げましたように、浄財の問題につきましても、この中には、パージといいましても二通りありまして、その一つの日本の戦争責任者として解体を命ぜられた財閥と強いつながりを持つ人々が加わっているということを、われわれは見のがしてはならないのであります。それと、先ほど申し上げた大阪財界人との話し合いを、国民はきっと心配していると思うのであります。こういう心配を解消せしめていくという措置が具体的にとられなければ、公明な選挙が行われるということにはならぬと思うのでありまして、この点に対するあなたの所信を伺って、私の質問を終ろうと思います。
○鳩山国務大臣 ただいまの御質問は、井堀さんは、旧内務省時代の警察と現在を混同されているように思います。現在におきましては、地方も中央も公安委員ができておりまして、公安委員によって処理して参るのでありますから、背のような選挙干渉というようなことは当然あり得ないのであります。 また、私が何だか民主主義に対して反逆者のようなことを言われましたけれども、最近におきまして最もひどかった選挙は推薦選挙でありまして、推薦制度の選挙であります。その推薦選挙に対しては、私は終始反対をしておりました。民主主義の選挙でなければならぬということは、当時から二度も変えたことがありません。
○井堀委員 一口申し上げておきたいと思いますが、私は、古い制度が復活してくるということはもちろん考えておりません。相当民度は伸びております。民主主義の制度は成長しております。極端なことは許されぬ。しかし、いささかも後退し、反動的なものになってはならぬということは大事なことなんです。あなたがさっき言うように、あなた御自身を私は責めていない。あなたは間違って戦犯に処せられたのかもしれない。あなたは自由主義者であるということを私も承知しておる。しかし、そのことが今日の時代に適応しておるかおらぬかということは、あなたの主観もありましょうが、国民の審判も受けなければならぬわけであります。このことを私は論究しておるのではありません。ただ国民の疑いがかかってきておるということを、やはりあなた自身としても、この内閣自身としても、また日本の政治を民主化しあるいは国民の支持を受けるためにも、そういう疑いを払拭することが、こういう選挙制度の改革の際に最も重要ではないかということを申し上げたわけです。これはまた、この中に牧野さんのような方もおりますし、いろいろの人がおりますから、個人的にはそれぞれのあれがあると思うのでありますけれども、一応そういう立場に置かれた人たちが警察権を握っておる。あなたは、警察が民主化された――民主化されたものを後退せしめたのは、あの激しい国会の乱闘騒ぎまで起して、一方の政党でこういうことを押し切ったことは間違いない。そういうふうに世論もあり、国会の中においても、警察制度が中央集権的な後退を来たしておるという見方で、反対をしておる。一方はこれを力で強引に押し切ったということは、残念ながら事実であります。こういうような警察制度自身が民主的なものから漸次後退を始めてきて、しかもその後退が議会において正常な姿において決定できなかった。このことは認めなければなりません。その結果において、あなたの拒揮命令のもとに置かれております大麻国務大臣が、国家公安委員の長であります。このこと自体は、あなたがどう弁解しようとしても、公安委員制度というものを後退せしめ、中央棄権的なものにしたという事実はいなめないのです。そういう警察権が今度の選挙に関係するのです。
○鳩山国務大臣 私はあなたのようには考えません。大麻君が命令でもってやれるような組織にはなっていないと思います。
○原(茂)委員 関連して。一点だけ今の答弁に関連してちょっとお伺いしておきますが、総理は今民主主義の反逆者ではないとおっしゃったわけです。組閣の当初におきましても、総理の一番大きな方針は、議会を通じて民主主義のルールを確立するというのが基本だった。ところが、最近の議会の運営の動向を見ると、非常に重要なところへくると、やはり与党の合同後の多数の力で、一方的に、正しい野党の意思を反映しないままに、議会のあらゆる問題を採決し、これを強行して押し切ろうとする、民主主義をじゅうりんする多数暴力によって、力によって押し切ろうとする傾向が顕著に出ている。こういう観点からすると、総理が民主主義の反逆者でないと言ったことも、当初は知らず、今日の段階においては、自民党の総裁として少しく反省を要する点があるのではないか、こう思うのです。この観点から、この小選挙区法に関連して、一つ重要な問題をお伺いしておきたいと思うのですが、一体、この小選挙区法の審議に当って、一応内閣が予定している法案を仕上げようとする時期があると思う。そこで、この重要な法案に関して、最初の提案の説明に、十分に審議を尽していわゆる議会を通じて大衆によくこの法案の重要性を訴えてそうして、二大政党の育成と政局の安定に資したいと総理は言ったわけです。こういうような観点からすると、今内閣が考えているこの法案を上げようとする時期と、それからこの法案の内容を当初の提案の説明通りに議会を通じて大衆によく訴えようとすることと、どちらが一体重要なのか、このことをまず先にお伺いしておきたいと思う。
○鳩山国務大臣 立場を異にしますると観測も違うかもしれませんが、政府並びに与党としては、十分な審議を尽して、そうしてやっていきたいという方針を堅持している次第であります。
○原(茂)委員 十分な審議を尽してこの法案の通過をはかりたい、こういうふうに御回答があったわけです。そこで、押してお伺いしておきたいのは、今日、この小選挙区法に関する審議は、ようやく昔でいうと第一読会の段階に入って、第二読会、逐条審議の段階に全然入っていない。要するに総括質問の予定されるもの六つのうちの二つがようやく終ろうとしておるだけで、総括質問の重要な問題に関しても、質問がまだ四つも残っている。これが終った後に、今さきの理事会で決定した公聴会等も終って、その後にいわゆる第二読会という逐条審議に入らなければ、十分な審議とはいえないと思うのですが、総理は一体どう思うかをお聞きしたい。
○鳩山国務大臣 私はそういうような審議を尽さないようなやり方をする委員長ではないと思って、おります。(拍手)
○原(茂)委員 明快な御答弁で、非常にいい回答をいただいたのでありまして、私どもも小澤委員長は満腔の敬意をもって信頼しているわけであります。しかも、与党の理事は非常にこの点の理解があると思うので、安心をしております。それでなければ逐条審議とはいえないし、この重要な、あらゆる政策に先行して最も重要だと総理の言うこの法案が十分に国民に了解されることはないと思う。ちょうど、きのうのような、文教委員長に対する中間報告を求めるの動議というような、ああいう形をとったり、あるいは逐条審議も終らないうちに質疑の打ち切りを策すようなことのないように、総裁として再度はっきりした言明をお伺いしておきたい。
○鳩山国務大臣 ただいまの答弁によって御了承願いたいと思います。
○小澤委員長 鈴木義男君。
○鈴木(義)委員 私は今日質問をする順序でありますが、いろいろこまかいことについて太田長官にお尋ねをするつもりでおりますが、幸い総理大臣が御出席でありますから、この際根本的な問題について総理大臣の所見をただしておきたいと存ずるのであります。 この区制を変えるということは、単なる技術的な問題でなくて、わが国政治の根本体制を変革する重大な問題であります。ゆえに、私は最高責任者たる総理に質問をいたすのであります。 総理は、口を開くと、政局安定のたに小選挙区をやるのだ、こう言っておるのでありまするが、現在の政局は、自由民主党が衆議院において二百九十九名、社会党百五十四名、小会派その他十名、とにかく二大政党が対立する形になっておりまするが、絶対多数であります。また、参議院においてもほぼ同様である。それで、これは十分に安定しておるとわれわれは信ずるのでありまして、これ以上多数を得ようというお考えは貧欲ではないかと思うのてありまするが、その点いかがでありましょうか。かりにどうしてももっと多くとりたいというお考えであるといたしましても、そう急ぐ必要はないと存ずるのであります。もっとゆっくり慎重におやりになって差しつかえないことと思うのでありまして、この国会で成立させなければならないという理由がないのではないか。その点の総理の御所信を承わりたいのであります。
○鳩山国務大臣 小選挙区制にした方が、二大政党の制度を維持し得るのに便宜だと思いますので、いい制度だと思っております。いい制度は、やっておいた方が安心であります。
○鈴木(義)委員 一体総理の考えておられる政局安定というのは、どういうことを意味するのでありますか。少くとも両院において三分の二以上の勢力を占めて憲法を改正したいというお考えがあるからでなかろうかと思うのでありまするが、その点いかがでありますか。
○鳩山国務大臣 憲法を改正するために小選挙区制を選んだわけではございません。小選挙区制は二大政党のあり方においては一番いい制度だと思いまして、小選挙区制をこの際やっていきたいと思ったのであります。
○鈴木(義)委員 しかし、総理は、公開の席上において、はっきりと一つ三分の二以上をとらせてくれという趣旨の演説をやっておられるのであります。まさかお忘れにはなるまいと思うのでありまするが、一月二十八日の共立講堂における演説会において、「決して、平和を守る憲法ではありません。(机を叩く)」と速記録に書いてある。よほど力を入れられたようであります。「この憲法が議会を通過するのはなかなか困難なことであります。三分の二以上の勢力をもっていなくては憲法は通過しないのでありますが、社会党も、今日の勢力はまだ微弱ではありますけれども、それでも憲法改正を妨害するだけの力はもっているのであります。もう少し保守勢力の人が熱心になって社会党の勢力をもう少し減殺するようにぜひ御尽力をお願いいたします。」傍若無人ではありませんか。社会党の勢力を減殺して、そうして一つ自由党をもっと大きくしてくれということを言われた。それは、利己的な、あまりに露骨な、一国の総理として不謹慎な発言と存ずるのでありますが、とにかく小選挙区を採用することによって野党の勢力を激減させようという意図のあることは、間違いがないと思うのでありますけれども、いかがでありますか。
○鳩山国務大臣 私は憲法改正をする必要があるということを申したのです。同時に、三分の二以上の勢力を持っていなければできないということを言った。これは、事実なんですから、間違いはないと思います。ただ、それを達成するために、小選挙区制にすることに同意をしてくれ、そういうことは申しておりません。
○鈴木(義)委員 総理は小選挙区を政局安定のために希望するということを述べられて、選挙制度調査会の開会劈頭のあいさつにおいてこう述べておられるのであります。「私は選挙法を改正して小選挙区制にするということは非常に必要なことだろうと思っておるのであります。」中略「日本の政局の安定ということも小選挙区制から始まるような気がするのであります。」中略「二大政党になれば小選挙区になれば二つの政党のどちらかが勝つということになりますから、「四年間続けば四年間というものは政局は安定するということは小選挙区制から当然な結論として出てくるような気がしているのであります。」この任期を長く持ちたいというお考えは別でありまするが、少くもそういう形においての政局安定というものは、二大政党だけでその他の政党を認めないという考え方から御出発をしておると思うのでありますが、いかがでありますか。
○鳩山国務大臣 二大政党のほかに少数党の第三党あるいは第四党がありまして、それが政府党になり、あるいは野党になるということになれば、政局は安定しない。これは鈴木君も認めるでしょう。それだから、そういうことを避けたいという趣旨のことを申し述べたのであります。少しも間違っていないじゃありませんか。
○鈴木(義)委員 総理と議論をしておると、与えられた時間があまり少いために、足りなくなりますから、がまんをして議論をせずに質問を続けます。 一事不再議についてお尋ねをいたしておきます。学者の説には不明瞭な点もありまするが、少くともこれは総理の政治家としての御所信を承わるのでありまして、法律技術的なお答えを求めようというのではありませんから、どうか法制局長官がお答えにならずに、総理からお答えを願いたいのでございますが、少くとも公職選挙法という同一法律について、ほぼ同様の点について同一会期中に改正法が通過し成立しておるのであります。また同一会期中にたたみかけてこれに改正を加えようとするのは、国家の存亡に関するような重大な理由がない限りは、立法権の自粛の原則に反するということにおいては一致しておるのであります。先日学者を呼んでその説も承わりましたが、ほぼその点は一致しておるのであります。一事不再議というものは、単に一度否決したものをまた出す、何べんもそういうことをやってはいけないというところから来ておるだけでなくて同じ国会の会期に同じような法律をいろいろ作りかえる、手を加えるということは弊害がありまするから、政治慣行としてできるだけそういうことをしないようにする、こういう趣旨から来ておると思うのであります。これは、法律に反しているかどうかということで裁判所に持っていって解決をしてもらう問題ではないと私は考えておる。ゆえに、自主的に立法府がみずからこれは解決すべき問題であると思うのでありまして、そういう意味において法案を出すことは自粛しなければならぬ。(「社会党はどうしたのだ」と呼ぶ者あり)社会党はもちろん提案をいたしておりまするが、これは、小選挙区のようなものを実施する場合には不可欠の一体として、いな、どうしてもやらなければならぬ前提として必要なる条件でありまするがゆえに、提案しておるのでありまするが、政府が撤回するというならば、われわれは考慮してもよろしいのであります。とにかく、そういう意味において、これは適当ならざる御提案ではないか、そうお考えになりませんか。
○鳩山国務大臣 政府は必要があると思いまして提案をしたのでありまして、一事不再議にはならないと思っております。 〔「総理大臣聞えない」と呼び、その他発言する者あり〕
○鈴木(義)委員 どうもここにおっても総理のお答えが聞えないのですか……。
○鳩山国務大臣 必要があると思って政府は提案いたしたのでありまして、一事不再議にはならないと思っております。
○鈴木(義)委員 それは答弁になっておらないと思いまするが、必要があれば出すのだ――必要があっても同じ法律案をたびたび出すことはよろしくないということを申し上げておるのであります。 今回の改正案によれば、一定数以上の候補者を持たない団体は、選挙法上政党としての権利、利益を認められないとともに、ある政党に所属している者は公認された以外の候補者を支持することが許されない、また特定の選挙運動をやると処罰されるということになっておるのであります。一年以下の禁固という重い刑罰に処せられるのであります。一体、こういうことは、法律上平等自由の権利を持っておる日本国民に対して課し得べき制約でありましょうか。憲法第十四条には、すべて国民は法のもとには平等であって――いろいろな関係がありまするが、ここは政治的関係だけでありまするから、政治的関係において差別されない、こう書いてあるのであります。この国民平等の大原則を侵すものとお考えになりませんか、伺います。
○鳩山国務大臣 公認制度は許された制度だと思います。憲法違反にはならぬと思います。公認制度が許されれば、そこまで規定する必要があると思います。
○鈴木(義)委員 それは政党内部の統制の問題であって、公認されないからといって、ある者が立候補して、きのうまで自由党に属しておったのであるから、自由党のような政見を述べて選挙運動をやる、それを手伝うというと一年以下の禁固になる、あるいは十万円以下の罰金になる、そういうことは一体正当な憲法を守るゆえんでありましょうか。よほどでなければ、日本国民は政治上の活動の自由を持っておるのである、これは有力な学者も違憲であるということを申しておるのであります。重ねてお尋ねをいたします。
○鳩山国務大臣 公認せられざる場合にその党を脱党して立候補することは自由なのですから……。
○鈴木(義)委員 脱党しなければならぬということはないのであって、脱党しないでやった者を政党が制裁を加えることは別ですが、国家が法律をもってこれに制裁を加えることは、私は行き過ぎであると考えるのであります。いやしくもその違憲の疑いがあると思われる法案を提案するということは、責任重大であります。一事不再議にせよ、この第十四条違反の問題にせよ、現行法上裁判所で判断をしてもらうわけにはいかないのであります。この三権分立の建前上、立法権の自粛自戒に待つほかはない。ゆえに提案者の責任が重大であるということを申すのでありまして、さらに慎重に一つ案を練り直すお考えがありませんか、お伺いをいたします。
○鳩山国務大臣 私はこの点については十分なる慎重を遂げたものと思っております。
○鈴木(義)委員 少しも慎重に考慮したあとがないのであります。 それから、小選挙区制の採用は、何らの偏見を用いずに、率直にいって、自由民主党が大をなし、社会党、労農党あるいは共産党等が激減するだろうということを総理はお認めになりますか。おそらくお認めになるであろうと思うのですが、いかがでありますか。
○鳩山国務大臣 選挙の結果を見なければ明答はできません。
○鈴木(義)委員 選挙の結果によって知ることは三才の童子でもわかることでありまして今選挙制度を改正する前にその点について考えなければならないから、申しておるのであります。一時的にもせよ、われわれを慰めるものを選挙制度調査会で申しました。社会党もがまんしなさい、そのうちに大きくなりますよ。そういうことはわれわれも信じまするが、その時間がどれだけであるか、その間にどういう影響をわが国の政治に及ぼすかということが重大でありますから、私はその問題を取り上げるわけでありまして、自由党が圧倒的多数をとり、社会党がもっと減りましても、真の意味において政局の安定になるとわれわれは考えない。総理はそうお考えになるか。わが国の政局の安定は、決して国会議員の数だけで決定し得るような簡単なものではありません。社会情勢、社会思潮、世界の情勢、国際動向から論ずべき大問題であります。自由民主党には、党利党略あるを知って、しばらく自分の党を離れて、大局からわが国の前途を達観するだけの先見の明ある具眼の士がないのでありましょうか。私の見るところでは、どうも現内閣の閣僚諸公は目先だけのポリティシャンが多い。いずれを見るも山家育ちで、時代の思潮も世界の大勢も眼中にないようであります。総理大臣だけは少しは世界の大勢をお考えになる人でないかと考えまするがゆえに、一つお尋ねをするのでありますが、そこにすわっておられる早川政務次官などは、非常に私は尊敬をしておるのであります。特に国民協同党の時代から政友でありますが、どうも、青年政治家として、通常の職業政治家とは類を異にした、時代の進運をリードする政治家と思っておった。時が来たならば一つ社会党の方へ招聘してわが国民主化の急先鋒になっていただこうと、ひそかに嘱目しておったのであります。しかるに、いかに自民党の忠実な番犬にならなければならないと申しましても、ゲリマンダリングの選挙区の説明をするのに、この郡とこの村とを結びつけたのはどういう理由かと尋ねたところ、盆踊りが共通であるからというお答えをなしたので、私はあいそが尽きたのであります。ここへきては、もはや政治家の答弁ではなくして、三百代言の答弁であります。ゆえに、私は、そういう物の見方でなく、一つ大局から世界と日本の大勢を考えてのお答えを希望するのであります。小選挙区制を採用することによって、保守党が現在よりさらにふくれ上り、社会党初め革新政党が著しく激減するということは、決してこれは社会党だけの党利党略のために言うのではありません。私は、理性の命ずるところであるならば、社会党に不利益な主張でも、それが国家のためになるならば、主張する勇気を持っているつもりであります。 そこで、日本の安定によいことと思うかということであります。この日本は十年前に敗戦によって何を得たか。すべてのものを失って、ほかには何も得たものはなかった。ただ一つ従来なかった自由と民主主義とを得たのであります。これをはぐくみ育ててきた十年間であった。民主主義が政治の上に現われてくる形態は議会主義であります。議会を通してわが国を民主主義的な文化国家にすることができるという望みを抱かせたのであります。この望みを抱いて、不肖私も議会に出てきた一人であります。その前までは、私を初め心ある人々は、議会を通してわが国をよい国に直そうなどと考える者は一人もなかったのであります。私は戦時中弁護士の仕事をしておったのでありまするが、共産党活動に従事して治安維持法に触れた者を弁護したこと百人以上に及ぶのであります。ゆえに、当時の時代思潮というものはよく了解しているつもりであります。当時、議会などというものは帝国主義、資本主義のかいらいにすぎない。一個大隊の兵隊がおるのに異ならないと見られていたのであります。わが国第一級の人物はみなとうとうとして地下にもぐって、暴力によって革命を達成する以外に、わが国民の不幸、わが国家体制の不合理を救う道はないと考えていたのであります。もちろん当時警察と軍部との張りめぐらした網の目はこまかくて、どんな細鱗ものがさなかったから、弾圧に倒れていったこれら革命の闘士は無数であるが、ついに事ならずして敗戦に接したのであります。今も私はこれらの人々の犠牲を思うと胸の痛みを感ずる。しかるに、新憲法の制定、ほんとうの意味の普通選挙の実施によって、多くの人々が議会主義に対する望みを新たにしたのであります。そうして社会党とその他の革新政党が、合せて十年の間に両院においてほぼ三分の一の勢力を占むるに至ったのであります。このままで行けば、二分の一の勢力となる日はそう遠くはないと思わせたのであります。しかるに、保守党は今やむざんにもその芽をまたつもうとしているのであります。 一方、世界の大勢をごらんなさい。ソビエト、中共を盟主とする共産主義の勢力は、その衛星国を含めて、思想的には世界の三分の一を完全に把握しているといわなければならない。しかも、フランスやイタリアのような自由主義国家においても、共産党は隠然たる一大勢力である。そして、ソビエトにおいて、従来のスターリン主義の陰惨な一面を、勇敢に自己批判して新しい民主主義へ再出発したことは、好感をもって迎えられて、共産国の実施面の美点長所とともにますますその追随者を多くしている事実である。もしそれ社会民主主義に至っては、イギリス、アメリカのような両大国を除いて、世界の大半はその麾下にあると言って過言ではない。インドのごとき眠れるシシの国ですら、社会主義をもって建国の指標としているのであります。私は、日本を除いての世界は、ここ数年の間に社会主義化に向って急速の進展をとるものと信ずるのであります。こういうときに、日本の国会にはしばらく社会主義入るべからずという立て札を立てることは、どういう意味を持つとお考えになりまするか。この二、三年ないし四、五年は実に大切なときであります。おそらくは取り返しのつかないときであります。しばらくこのままの形で社会党が進出を許されるならば、社会党は、好むと好まざるとにかかわらず、狭い意味の階級政党から脱皮して、広い意味の働く階級政党として、あるいは大衆政党、国民政党として成長をする可能性があることは、私は断言いたします。しかるに、その芽をつむものである。労働者は一時は共産主義ないしサンジカリズムの使徒となるものが多かったのでありまするが、ようやく議会主義に目ざめて穏健な道を歩み始めたのであります。しかし、これまた、議会主義に見切りをつけて、一方は保守ファッショ、他方はサンジカリズムないしは実力による破壊主義の方向に導くことは、火を見るよりも明らかであります。これはわが政局を真に安定せしめるゆえんであるか、わが国のためによい方向であるか、現内閣唯一の多少とも先の見える政治家と思われる総理大臣に良心的な所見を伺いたい。かく申す私も、小選挙区制の施行によって、再びあなた方と相まみえないかもしれないという悲壮な想定のもとにこれをお尋ねしておることを、とくと銘記されたいのであります。かりに提案の小選挙区制が採用されるとすれば、社会党はともかく、共産党は、おそらく、壊滅的打撃を受けて、一人、二人あるいは一人も出てくることはなくなると思われまするが、総理大臣の所見はいかがでありまするか。共産党が、一人、二人は別として、ほとんど出てこないということは、わが国の政治にとってプラスでありまするか、マイナスでありまするか、共産国においては言うまでもないが、その他の国々でも、共産党というものは、合法政党であり、相当の勢力として議会に発言権を持っておるのであります。そしてそれが暴力革命や地下工作の安全弁になっておるのであります。それが、わが国だけは、結果において地下に追いやることになるのであります。これが果して国策を誤まらないものということができるか。この革新勢力を激減せしめることについて、総理の良心的な所見を伺いたい。
○鳩山国務大臣 私は共産主義は民主主義には反するものと思っております。共産主義というものは、人間の自由も、人間の尊厳も認めない主義だと思っております。暴力と陰険と、それらによって弾圧する主義であります。これは決して人間の自由と人間の尊厳を尊重する主義だとは私は思いません。そういうような考えの人が議会に一人も出ないということを私は欲するのです。
○鈴木(義)委員 総理大臣の反動性がよくわかりました。共産党は一人も出てこない方がよいといっても、共産党はなくなるものではありませんから、議会に出てこなければどこかにおることになるのである。これは経国の大要を考える政治家としては、よくお考えにならなければならない問題であります。政治家は自分たちの立場さえよくなればよいというように考えるべきではないのである。それは党派あるを知って国家国民あることを知らざるものである。これくらい歴史の大局から見て危険思想はないのであります。常に歴史の審判を考えて善処しなければ、そういう政治家と党とによってリードされる国は亡びるのであります。 今やこの選挙法は悪名天下に高く、何人もこれが自由民主党の党利党略案であるということを信じて疑わないのであります。熱心にこの選挙制度調査会の審議に従事された矢部貞治君のごとき、私はこれは政府の御用じゃないかと思っておった。それくらい熱心に小選挙区を主張し、維持し、やっておった人であります。そして最後にこういうことを言うに至った。あの答申案を出した翌々日、これは非常にひどい言葉でもって、欺かれたということを申しております。「今からでもおそくない。政府与党はせめて調査会案を尊重せよ。それでもどうしても社会党と話がつかねば、国会提出を延ばすなり、あるいは案が通っても、相当の準備期間を設けてから実施することを考えたらどうか。とにかく党略案はいけない。党略で黙殺されたり利用されたりするためにわれわれが精出したのではないのだ。」、こういうふんまんの言葉を投げておるのであります。また御手洗辰雄氏のごときも、ほとんど政府委員のような形で、熱心に小選挙区制度を維持し、われわれに向って説明、釈明に当ったのでありますが、その人も、また、自分たちは利用された、欺かれたと言って憤激の言葉を述べておること、御承知の通り。あらゆる言論機関も同様に叫んでおります。しかもなおあえてこれをやろうとなさるのでありますか。 小選挙区制は、将来起り来たる、あらゆる政党がその上で公正に相撲をとるべき土俵であります。制定のときの個人の利害得失などを考うべきではない。面積と地理と人口とを案じて、機械的、数学的に分けるべきものであります。 過日、イギリスの政治家ハーバード・モリソン氏にお会いしたときに――あの人は、御承知のように、外務大臣としてバウンダリー・コミッション、選挙区画制定委員会というものを作って、それに任命した人であります。外務大臣も勤め、労働党の副党首であるあの人に、バウンダリー・コミッションというものはどういうことをやっているか、どう構成されているかということを伺ったところ、できるだけこれを政党から中立にさせて公平にやるため、党籍を離脱している衆議院議長を委員長とし、二人の法律家と二人の古き官吏をやめた人を委員として、そしてきわめて明朗な基準を設けて、その基準に従って機械的に選挙区というものを分けておるのである、あまりにも機械的であるために実際の選挙には不便なことがあるために、最初出した案に対して数カ所修正をしたところが、世論の痛烈なる批判にあってひどい目にあった、そこで、その次に、保守党の時代になってやはりこれを元へ戻す――この委員会は元へ戻るような案を作って提出したのだそうでありますが、それをそのまま国会の議に付して、一字一句も修正せず通しておるのが実情である。人についても決して取りかえるようなことはしない。これこそほんとうに公正な区制を作る道であると私は思うのであります。自由民主党も、社会党も、またその色彩ある者も。参加してはいけないと思う。無党無派の人をして作らしむべきものである。星島議員ですらも、本会議の席上で、もし諸君がこの案に不満だというならば、公正な第三者を頼んで一つやり直すということを提議してもいい、いかがですか、と言ったくらいである。そういう人も自民党の中にはおるのであります。 私は、調査会案もまた自治庁が原案作成に助力しておられるのではないかという意味において、厳正公正と言うことにちゅうちょするのでありますが、また善意にしてやったのかもしらぬが、非常に変な選挙区がたくさんあります。ゆえに、全く出直して、中立局外者にゆだねて、案を練り直す用意がないかということをお尋ねいたすのであります。
○鳩山国務大臣 ただいま鈴木君からモリソンのお話が出ましたが、モリソンも、やはり小選挙区がいい――あなたに対しても小選挙区の方がいいと言ったでしょう。やはり小選挙区は二大政党において当然な選挙法だということを、あなたにもお話ししたいと思いますが、どうですか。やはり小選挙区の方がいいということは、イギリス人は一般に考えているようです。モリソンもそう言ったのです、私に対しては。 それで、私は自分の疑問として今度の小党挙区案に二人選挙区というのがありますが、二人選挙区というのは、あなたの方でもあったことがあるかと聞いたら、選挙法を改正するときに、最初どうしても二人選挙区制ができるだろう、イギリスでも、僕はちょっとそれを聞きそこなったが、何十年間か二人選挙区制があった、現在はすべて一人選挙区になった、一人選挙区にするということが、二大政党においては、民主主義を採用していく上において、非常にいい制度だと自分は思う、と私には言っておりました。
○鈴木(義)委員 そういう点について詳しく申し上げたいのでありますが、時間が制限されておりますので、それについて討論はいたしませんが、確かにイギリスの選挙法のやり方はきわめて無党派、超党派的である。この点は学ぶべきであると思う。小選挙区制がいいか悪いかということについての学術上の意見としては、私も発表したことがありますが、そういうことと、今の日本のこの段階において小選挙区制をやることがいいか悪いかということとは別であります。よくお考え願いたい。 そこで、この段階で小選挙区制をやることは、先ほどから申すように政治上の大変革をもたらすので、総裁としても決して党派にとらわれずに――私も、その任にありまするときには、たとい自分の党派に不利益であっても、正しいと信ずることを行うことを念といたしました。どうか、総理大臣、太田長官等が単に一党一派の走狗となったという規範を歴史の上に残さないように、十分にお考えを願いたいのであります。現に、益谷議長のごときも、あまりよい選挙法案でないということを、酒を飲んで、という話でありますが、幾ら酒を飲んだって、本音を吐いたのであります。岸幹事長のごときも、修正は予定しておるということを漏らしてあとであわてて、衆議院でなくて、参議院の緑風会にもお頼みするというふうに訂正したのでありますが、何たる自主的な見解のないことでありましょう。衆議院の区割りの修正を参議院に求めんとするがごときは、卑怯であるばかりでなく、これは非常な弊害をもたらします。さらにかすに時をもって練り直す御意思はないか。これは私が切に御忠告申し上げるのであります。 われわれは一人一区の選挙制度には賛成はいたしかねまするが、もし自民党にして出直す雅量があるならば、少くとも中選挙区制に対しては大幅の修正に応ずる用意があるので、またあえて修正を提案してもよいと考えております。どうか虚心坦懐に話し合いに応ずるような雅量を示してもらいたいと思うのでありますが、一つこれを撤回して出直す意思がございませんかどうか、いま一度お伺いをいたします。
○鳩山国務大臣 単に問題は小選挙区の是非ではないのであります。小選挙区制がいいということは大体多数の論だと思います。ただ、問題は区制の問題ですから、それについては、あなた方とよく相談をして、適当な案ができることを望んでおります。撤回する意思はございません。直したいところを直して下さい。
○小澤委員長 滝井君、簡単に願います。約束の時間ですから……。
○滝井委員 関連して一、二問だけ総理にぜひお願いいたします。 今、いろいろ鈴木委員から御質問がございましたが、総理も御存じのように、現在小選挙区の法案が国会に上程せられたため、国会のあらゆる審議が渋滞をいたしております。政府は百六十数件の議案をお出しになりましたが、現在通ったものは六十数件しかございません。こういう事態はきわめて重大事だと私は思うのでございます。(「引き延ばしているからだ」と呼ぶ者あり)われわれは、決して引き延ばしているのではなく、真摯な態度でやっているわけです。 今、総理から、この区割り案については十分社会党と話し合って、そしてこれを修正することにやぶさかでないというお話がございましたが、その通り、ある程度紳士的に、寛大な精神をもって社会党とお話し合いになり、これを御修正になる意思があるかどうか、もう一回御確認を得ておきたいと思いますが、この点いかがですか。
○鳩山国務大臣 区制の修正につきましては、どうせ国会でおやりになることでして、それに対して制限をしようというような気分は持っておりません。
○滝井委員 区制の問題については制限はしない、話し合うという御意見でございました。それならば、第二に私が総理にお尋ね申し上げたい点は、御存じのように、参議院の今回の半数改選というものは通常選挙でございます。通常選挙になりますと、公職選挙法の三十二条によって「参議院議員の通常選挙は、議員の任期が終る日の前三十日以内に行う。」こうなっております。同時に、その二項においては、「前項の規定により通常選挙を行うべき期間が参議院開会中又は参議院閉会の日から三十日以内にかかる場合においては、通常選挙は、参議院閉会の日から三十一日以後三十五日以内に行う。」こういうことになっております。そういたしますと、今国会はちょうど五月十七日に終ることになります。従って、この三十二条の関係から申しますと、参議院の選挙というものは六月十七日ごろまでには大体行わなければならないというのが、常識的な論理として出てきますが、総理は、五月十七日を会期として、そのように参議院の会期をやられる御所存であるかどうか、参議院の会期を一体いつにされるのか、これを一つ率直に御表明していただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 政府としてはそれについては何も考えておりません。会期は国会がやはりきめられるものと思います。
○滝井委員 私は総理に会期をお尋ねしておるのではございません。参議院の選挙の期日をいつやるのかということをお尋ねしておるのであります。それは会期とも関係しますが、この通常選挙というものは公職選挙法できちっとやることにきまっておるわけです。しかも会期は五月十七日ということは一応はっきりしておる。その段階で参議院の選挙をいつ大体やるのか、私は参議院の選挙の日をお尋ねしておる。いつおやりになるのか。
○鳩山国務大臣 法律に従ってやるつもりでありまして、決して何も決定したことはありません、政府として。(「会期延長の意思があると談話で発表したではないか」と呼ぶ者あり)いや、あれは間違いです。
○滝井委員 法律の通りにおやりになるということになれば、一応五月十七日に会期は終りますから、従って六月の中旬ころには選挙が行われる。なぜ私はこういうことを言うかと申しますと、これはすでに参議院においては盛んに事前運動が行われている。しかも、この公職選挙法の改正、すなわち小選挙区に関連をして、当然政界の浄化をはかり、政治資金の規正をはかるとともに、われわれ連座制の強化等を今論議しておるときに、政府の態度がはっきりしないために、そういう取締りその他においてもあいまいもことならざるを得ない。この際政府は参議院選挙の期日をいつにするかということを明白にすることが、政界浄化に役立つ一番いい道だと私は思う。そのゆえにこれを尋ねる。しかも、それがはっきりしてくれば、同時に、こういう選挙区における区制の問題の話し合い等もその土俵の中ではっきり行われてくるので、議会の運営もまたスムーズにいくという、こういう一石二鳥の効果があるということなんです。この点私は御主張申し上げて、もう一回総理の明確なる御答弁を願いたいと思います。
○鳩山国務大臣 会期との関係で法律できまっていくわけですね。それで政府としてはそのときになってきめますので、今日は何もきまっていないのです。
○滝井委員 それをおきめになる意思を持たなければ、やはり国会というものは土俵がなくてはなりません。従って、これは、小選挙区の問題を話し合うについても、やはり一つの土俵というものが必要なんです。あるいは事前運動が盛んに行われている。これを終息せしめてほんとうに政界を浄化して、りっぱな参議院を作るためにも、やはり明白なものを打ち出しておくことが必要なんです。どうしますか。
○鳩山国務大臣 今、会期を延長するという気分を持っておりません、政府としては。国会が終ってから、法律によって選挙期日がきまる。
○滝井委員 今総理は会期は延長する御意思は持っていないということを明言いただきましたので、さよう了解いたします。これで終ります。
○小澤委員長 この際暫時休憩いたします。 午後零時四十五分休憩 ――――◇――――― 午後二時十五分開議
○小澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を継続いたします。井堀繁雄君。
○井堀委員 二百一条の五の政党とその他の政治団体の関係については、きわめて明らかな提案者側の意向が答弁によりまして確認することができたわけでありますが、そこで、さきに参議院から本院に回付されました選挙法改正の法案審議に当りまして、当時自民党から修正案が提出されたことは御案内の通りであります。その修正の重要な部分は、この二百一条の五に該当する部分が中心であります。すなわち、政治団体の政治活動に対する規制でありますが、ここで問題になりましたのは、政党以外のすなわち政治団体が、従来の選挙法によりますと、それぞれ候補者の数によっては制限はありましたけれども、すなわち二十五人以上の候補者をかかえておるものについては、法によってそれぞれの条件を付しておりますけれども、選挙活動が許されておったわけであります。それは、たとえば自動車の例をとりますと、従来の二百一条五の三のい、ろ、は、に、ほというような形で、たとえば二十五人以上百人未満の場合は三台、あるいは百人以上二百人未満の場合は五台、あるいは二百人以上三百人未満の場合は八台、三百人以上四百人未満の場合は十台、四百人以上の場合は十二台、こういうように、選挙運動に自動車を使用することに対するそれぞれの候補者の数に比例して、活動の限界が規定されてあります。またその他の運動についてもそういう配慮が行われておったのでありますが、それを、さきの自民党の修正案で、その団体が、一つの政党もしくは一つの政治団体の公認を受けることによって、他の団体と選挙活動をともにすることができないように修正をしてきたことは、その当時の論議の経過で明らかであります。今回は、さらにそれを、条文の上から言うと、わずかに二十五人の確認団体の規定を五十人に引き上げたというふうに、表から感じを受けるのでありますけれども、実質においては非常な変化をいたしておるのであって、この点に対する説明が今までありませんでした。この点を一つきょうは詳細に伺って、そうして順次疑問の点をただしていきたいと思う。これは非常に多く全体の条文と関連をいたしてくるのみならず、今後の選挙運動の基本的な条件を左右することになりますから、一つ詳細に順を追うて御説明をいただきたいと思います。
○兼子政府委員 お尋ねの第二百一条の五の政党の政治活動に関する規定の改正でございますが、二百一条の五の規定は、先般の、形式的には衆議院で提案いたしましたが、いわゆる参議院案とわれわれが呼んでおります三月十四日に成立いたしました公職選挙法の改正におきましては、第二百一条の五の規定の立て方を変えまして、「政党その他の政治団体は、その政治活動のうち、政談演説会及び街頭演説の開催、ポスターの掲示及びビラ(これに類する文書図画を含む。以下同じ。)の頒布並びに宣伝告知のための自動車の使用については、衆議院議員の総選挙の選挙運動の期間中及び選挙の当日に限り、これをすることができない。そのような立て方に変えたわけでございます。それで、お話のように衆議院の方で意見が出まして、政党の所属計算を「二以上の政党その他の政治団体の所属候補者として計算されることはできない。」という規定は、第四項に新しく先般の改正で入ったわけでございます。従いまして、第二項に持ってきまして、「当該政党その他の政治団体の所属候補者として計算されることについての本人の同意書を添え、」というような技術的な規定が、それに関連をして第二項に入って改正がされております。それ以外は、二百一条の五の「但し、」の次に「当該選挙において」という字句が入ったことと、それから第一項第四号のポスターの掲示について、「政策の普及宣伝用及び演説の告知用として」という字句が削られまして、本文の方に出たということ。それから、第一項第五号の「ビラの頒布については、」の下に「その開催する政談演説会の会場においてする頒布」、このように改正がされましたことは御承知の通りであります。それで、この先般の改正の二百一条の五の第四項の規定でございますが、これは、当時、御承知のごとく、公職の候補者が政党の政治活動をする場合に、従来はその政党の所属は自由でありました。従いまして、一人の候補者が二十あるいは三十以上の政党に所属されるというような事例もあったわけでございますが、いわゆる参議院案におきまして、この政党の所属を、一人の候補者は二つの政党までいい、このような原案で当初提案されて参ったのでありますが、その後、衆議院におきまして、これが計算は一つの政党に限るということに修正になりました。先ほど申し上げた通りに改正されたわけであります。今般の二百一条の五の改正は、その点につきましては、提案しております法律案の十一ページのおしまいから三行目から書いてございますが、『第一項本文中「及びビラ(これに類する文書図画を含む。以下同じ。)の頒布」を「、ビラ(これに類する文書図画を含む。以下同じ。)及び通常葉書の頒布、放送(日本放送協会及び一般放送事業者の放送設備による放送をいう。以下同じ。)」に改め、』これは、ビラの次に、政党の政治活動としての手段が通常はがき五千枚の頒布を認められたことと、新たに政党の政治活動を確認団体に限って大幅に認めるという趣旨から、通常はがきのほかに、いわゆる政策的な放送を認めるということから、放送が入って参りました。その関係でこの規定を改正する。それから「自動車」の下に、従来は自由でありました船舶及び拡声機を加えまして、その点をはっきりと規制をいたしたわけであります。それ以外には、先ほど御指摘のありました所属候補者を、従来は二十五人以上ありますれば確認団体となり得る資格があったわけでございますが、今回これを「引き続いて五十人」とし、「所属候補者」を「公認候補者」に改めるということが、今般の改正の主たる点でございます。この二十五人を五十人に引き上げましたにつきましては、たびたび大臣から御答弁がありましたように、これは程度の問題で、候補者も議員定数もふえ、実際におきまして五十人でも差しつかえないのではないかという趣旨から、二十五人を五十人に引き上げたものであります。従来不明確でありましたが、「引き続いて五十人」という規定を置きました関係で、それが五十人を割った場合というような点につきましては、二百一条の五の第四項を改めまして、この法律案の十五ページの五項に、新しく、そのような場合は「政令で特別の定をすることができる。」という規定を置いたわけでございます。それから、二百一条の五に、そのただし書きの分でございますが、「政治活動につき」の下に「その選挙運動の期間中、」を加えました。これは字句の整理で、そのように整理いたしたのでございます。 それから、二百一条の六は、通常選挙における政治活動の規制でございますが、これは、先般の改正におきましては、「政党その他の政治団体は、その政治活動のうち、政談演説会及び街頭政談演説の開催、ポスターの掲示及びビラの頒布並びに宣伝告知のための自動車の使用については、参議院議員の通常選挙の選挙運動の期間中及び選挙の当日に限り、これをすることができない。」そのように、二百一条の五の改正と同様な趣旨で、ポスターの掲示、ビラの頒布、宣伝告知のための自動車の使用というものを規定いたしたのでございます。ただし書きに「当該選挙において」という字句が入ったこと、それから一項第四号で、「政策の普及宣伝用及び演説の告知用として」という字句を削りまして本文に出しましたことは、二百一条の五と同様の趣旨でございます。それから、第五号の「ビラの頒布については、その開催する」という字句を入れようということも同様でございます。従いまして、第二項に行きまして、前条第二項から第三項までというのを、新しく第四項が加わりましたので、整理で第四項までというふうに準用規定の中身を改正いたしたのでございます。これにつきましては、今般の改正は、衆議院議員の総選挙という建前で規定をいたしておりますので、二百一条の六というものが骨子になります。それで、二百一条の六、通常選挙の規定は、十五ページの一番おしまいの行に書いてありますが、今回の改正で、「及びビラ」を「、ビラ及び通常葉書」に改めたこと、それから「同条第二項を次のように改める。」これは、従来の二百一条の六は二百一条の五の規定を準用しておりましたが、今度は二百一条の五は衆議院議員の総選挙について規定して、ほかの選挙につきましては二百一条の六の通常選挙の規定が根本となって、その規定を準用するという建前をとっておりますので、従来二百一条の五にありましたような規定を、今回新しく二百一条の六に、通常選挙の方に本則として規定をいたしまして、以下これを準用していく建前をとったのでございます。十六ページの二百一条の六の第二項、それから第三項の通知、第四項の所属計算というようなものは、従来二百一条の五にありましたものを、通常選挙を準用するという建前から、ここに新しく規定したものでございます。 以後の二百一条の七、それから二百一条の八というものは、従来は二百一条の五の衆議院選挙の総選挙の規定を準用いたしておりましたが、今回衆議院議員の総選挙は小選挙区制をとる、それから通常選挙、参議院の選挙は、従来と同様であるという建前からいたしまして、二百一条の七の衆議院及び参議院議員の補欠選挙及び再選挙の場合の規制でございますが、第一項は衆議院議員の選挙でありまして、衆議院議員の選挙に関する分は、「二十五人」とあるのは、「全国を通じて引き続いて五十人」、それから「又は同条第四項中「五十人」とあるのは」に改める。そのように整理をいたしまして、「自動車の台数」を「自動車の台数又は船舶の隻数及び同項第九号に規定する放送の回数」、そのような整理をいたしたのでございます。それから「所属候補者」を「小認候補者」に改める。これは衆議院議員の総選挙でございますから、その制度を適用するということであります。それから、自動車の「一台」を、自動車につきましては、「それぞれ一台又は一隻及び日本放送協会の放送設備により一回」ということに改めております。 それから、二百一条の八の規定の改正は、これは都道府県知事及び市長の選挙の場合の規制でありまして、従来は、二百一条の五を引いて、先ほど申し上げましたように、衆議院議員の総選挙の規定を引いておりましたのを、衆議院と参議院の選挙の建前を変えました関係上、今回は二百一条の六を引く。そうしませんと、今回は衆議院の選挙に関してのみ改正をするという建前が崩れますので、そのような整理をいたしたのでございます。二百一条の八の規定の内容は、そのような趣旨によって、都道府県知事及び市長の選挙の場合について、それぞれの字句の修正それから読みかえ規定を置いたわけでございます。 順序が少し逆でございますが、二百一条の九の次に、十九ページに行きまして二百一条の十、新しく衆議院議員の選挙における政治活動の態様の規定を設けまして、これは新しく規定を設けたわけでございますが、「二百一条の五第一項但書(第二百一条の七《衆議院議員及び参議院議員の再選挙及び補欠選挙の場合の規制》第一項」――と申しますのは、衆議院の再選挙と補欠選挙でございます。「第一項において準用する場合を含む。以下本章中同じ。)の規定により政治活動をすることができる政党その他の政治団体が当該政治活動のために使用することができる文書図面は、同条第一項第五号から第八号までに規定するものの外、左の各号に掲げる場合においては、当該各号に定めるところにより使用する立札、ちょうちん及び看板の類に限る。」二百一条の十は衆議院議員選挙の新しい規定でありまして、二百一条の五の「同条第一項第五号から第八号まで」の規定、これはこの提出法律案の十三ページにございますが、第五号は「ポスターの掲示については、一選挙区につき、ダブロイド型(長さ四十一センチメートル、巾二十八センチメートル)以内のもので、当該選挙区における公認候補者の数に二千を乗じて得た数に相当する枚数以内」、これは従前千枚でありましたのを二千枚に増加したものであります。それから第六号は「前号に規定によるポスターを除く外、政談演説会の開催中その会場において使用し、又は第三号の自動車若しくは船舶に取り付けて使用する縦二百七十三センチメートル、横七十三センチメートル以内のポスターの類」これは選挙運動の規定に関する百四十三条に匹敵するものであります。われわれはいわゆる大きなポスターと言っておりますが、看板に近いものでございます。それから七号は「ビラの頒布については、その開催する政談演説会の会場においてする頒布」これは従来と同様でありますが、三月十四日に「その開催する政談演説会」ということに改正されております。それから第八号は、通常はがき一選挙区について五千枚というように新たに規定いたしたものであります。それから「第一項第五号から第八号までに規定するものの外、左の各号に掲げる場合においては、当該各号に定めるところにより使用する立札、ちょうちん及び看板の類に限る。」その一号は「第二百一条の五第一項第一号の規定による政談演説会に使用する場合 当該演説会場において演説会の開催中に限ること。」これは百四十三条の第一項第四号と数を合せた規定でございます。百四十三条第一項第四号は個人の選挙運動の規定でございますが、「演説会の開催中及び街頭演説の場所においてその演説中使用するポスター、立札、ちょうちん及び看板の類」とございます。それから第二号は「第二百一条の五第一項第二号の規定による街頭政談演説に使用する場合 当該演説の場所において演説中に限ること。」これは百四十三条第一項第三号と同様なものでございます。それから第三号の規定は「第二百一条の五第一項第三号の規定による自動車又は船舶において使用する場合 当該自動車又は船舶に取り付けたものに限ること。」百四十三条第一項第二号の規定は候補者名しか記載できないのでありますが、政党の政治活動においては政策を書くのが手段でありますので、その記載内容は自由でありまして、それは百四十三条とは数が合わないことになっております。 第二項は「百四十三条第四項の規定は前項の規定による立札及び看板の類について、」準用の読みかえの規定を置いておるわけでございます。第百四十三条文書図画の掲示の第四項の規定、先ほど申しました「演説会の開催中及び街頭演説の場所においてその演説中使用するポスター、立札、ちょうちん及び看板の類」この「規定は前項の規定による立札及び看板の類について、同条第五項の規定」と申しますのは、「第一項の規定により掲示することができるちょうちんの類は、それぞれ一箇とし、その大きさは、高さ八十五センチメートル、直径四十五センチメートルを超えてはならない。」ちょうちんの数と規格をきめたものであります。その「ちょうちんの類について、第百四十七条《文書図画の撤去》第一項の規定は前項の規定による立札、ちょうちん及び看板の類について、それぞれ準用する。」政党の場合に準用するわけでございます。「この場合において、第百四十七条第一項中「第百四十三条《文書図画の掲示》、第百四十四条《ポスター数》若しくは第百四十五条《ポスターの掲示箇所》の規定に違反して掲示したものがあると認めるとき又は選挙運動の期間前若しくは期間中に掲示した文書図画で前条の規定に該当するものがあると認めるときは」とあるのは、「第二百一条の十《衆議院議員の選挙における政治活動の態様》第一項又は同条第二項において準用する第百四十三条《文書図画の掲示》第四項若しくは第五項の規定に違反するものがあると認めるときは」と読み替えるものとする。」それぞれ選挙における政党の政治活動につきまして準用の規定を置いているわけであります。 第三項は新しく規定したものでありまして、「第二百一条の五第一項第一号の規定による政談演説会は、第百六十六条各号に掲げる建物又は施設においては、開催することができない。」これは、政談演説会におきましても、特定の建物及び施設における演説の禁止を規定するという趣旨でございます。 四項は「第二百一条の五第一項第三号の規定による自動車及び船舶並びに同項第四号本文の規定による拡声機には、それぞれ自治庁長官の定めるところの表示をしなければならない。」 第五項は「第二百一条の五第一項第五号の規定による。ポスターには、その掲示しようとする箇所の所在する都道府県の選挙管理委員会の検印を受けなければならない。都道府県の選挙管理委員会が検印をする場合においては、衆議院議員の選挙区ごとに区分してしなければならない。」現行通りの規定でございます。 第六項は新しい規定でございます。「第二百一条の五第一項第八号の規定による通常葉書は、郵政省において政治活動用である旨の表示をしたものでなければならない。」これは、はがきが新しく認められましたものでありますから、新しい趣旨の規定を置いたわけであります、 第七項は条文の準用の規定でございます。これは、二百一条の五の第一項五号の小さい。ポスターと、六号の大きいポスターと申しますか、看板のような。ポスターの類について、ポスターの掲示責任者の氏名等の記載、ポスターの掲示個所、そういうものを準用する。その前の個人演説会の申し出、制限というようなもの、あるいは回数の確認、施設の名前の届け出というようなものは政談演説会に準用する。同様の趣旨で、政見放送につきましても、個人の政見放送の規定を政党の方に準用いたしております。以下同様な趣旨の規定でございます。 第八項は「政党その他の政治団体が第二百一条の五第一項各号の規定による政治活動を行う場合においては、第十三章に定める選挙運動の制限に関する規定にかかわらず、当該政治活動が当該政党その他の政治団体の公認候補者のための選挙運動となることを妨げない。」これが今回の改正の一つの柱でございまして従来の中選挙区制の選挙におきましても、政党の政治活動と候補者の選挙運動とは、区別が非常にしにくかったのであります。特定の候補者の支持になるかどうかということは、デリケートな問題があったわけでありますが、一応理論的に従来は割り切っておったわけであります。それが、いわゆる小選挙区になりますと、一つの政党は一人の候補者を立てるということになりますので、政党の支持イコール候補者の支持ということに相なるわけであります。でありますから、そういう選挙の実態を予想いたしますれば、政党の政治活動が選挙に際して選挙運動になることを妨げないということを一歩踏み切らざるを得ないというのが、今回の改正の一つの眼目であります。「第一項の規定による文書図画を使用して政治活動を行う場合及び第二百一条の十三但書の規定による連呼行為を行う場合も、また、同様とする。」この範囲において選挙運動となることが認められるわけであります。 それから、前へ戻りまして第二百一条の十、「衆議院議員の選挙における政治活動の態様」を新しい制度として規定いたしました関係で、十八ページに戻りまして、「第二百一条の十三を第二百一条の十四とし、第二百一条の十二第二号中「雑誌」の下に「並びに第二百一条の五第一項《総選挙における政治活動の規制》第五号から第八号までの規定によって使用するもの及び第二百一条の十《衆議院議員の選挙における政治活動の態様》の規定によって使相するもの」を加え、同条を第二百一条の十三とし、第二百一条の十一を第二百一条の十二とし、」条文の繰り下げを行い、それぞれ所要の整理をいたしておるのであります。 それから、従前の二百十条から二百十二条までは連座の規定でございますので、これは削除いたしております。 それから、二百十七条中――これは条文の整理でございます。 二百二十条も連座に関する訴訟提起の通知でございますので、これを削って整理をいたしております。 それから、二百三十五条の二第二号中――これは条文の整理でございます。 それから、二百四十四条に一号を加える。九号として「二百一条の三《衆議院議員の選挙における公認候補者》第五項の規定に違反して選挙運動をした者」、これは、たびたび御議論の出ました十五ページの二百一条の五の第五項の規定、十一ページの二百一条の三の第五百項の規定「何人も、衆議院議員の選挙においては、一の政党その他の政治団体が公認候補者を有する選挙区における当該公認候補者以外の候補者で当該政党その他の政治団体に所属するもののために、その者が公認候補者であると誤認させるような事項を公にし、又は当該政党その他の政治団体に所属する者である旨を公にして選挙運動をしてはならない。」という第五項の規定に違反して選挙の運動をした者は、二百四十四条の第九号として新たに罰則をかけ、一年以下の禁固または千円以上三万円以下の罰金ということにしたのであります。 それから、二百五十一条の二の次に二百五十一条の三といたしまして、「総括主宰者及び出納責任者の選挙犯罪に因る当選無効の訴訟」として、いわゆる附帯公訴の制度を設けたのでございます。「検察官は、第二百二十一条、第二百二十二条、第二百二十三条、第二百二十三条の二又は第二百四十七条の罪にあたる事件の被告人が選挙運動を総括主宰した者又は出納責任者であるため、前条の規定により当選人の当選を無効と認めるときは、公訴に附帯し、当選人を被告として訴訟を提起しなければならない。第二項で、この手続につきましては別に法律で定めるという規定を置きまして、手続が相当民訴、刑訴にわたって厄介なものでありますから、成案を得次第提案をする、このようにいたしたわけであります。 その次は、二百五十二条の二、政党の政治活動規制違反の条文の整理でございます。 それから「第二百五十二条の二第二項第一号から第三号までを次のように改める。」一号は新しい規定でございます。「第二百一条の十第二項において準用する第百四十七条《文書図面の撤去》第一項の規定による撤去の処分に従わなかったとき。」それから、第二号は「第二百一条の十第三項の規定又は同条第七百項において準用する第百六十四条の二第五項《個人演説会の回数の確認》の規定に違反して政談演説会を開催したとき。」第三号は「第二百一条の十第四項の規定に違反して自動車、船舶又は拡声機に表示をしなかったとき。」それから第四号は「第二百一条の十第五項の規定又は同条第七項において準用する第百四十四条第四項《ポスターの掲示責任者の氏名等の記載》若しくは第百四十五条《ポスターの掲示箇所》の規定に違反して第二百一条の五第一項第五号のポスター又は第六号に規定するポスターの類を掲示したとき。」それから第五号は「二百一条の十第七項において準用する第百四十七条の規定による撤去の処分に従わなかったとき。」いずれも、これは、政党の政治活動におきまして認められたその方法が前に規定いたしました規則に従わなかったときは、罰則をかける、このような規定でございます。それから、第六号から七号、八号までは、従前あった規定の順序を繰り下げたものでございます。 それから、二百五十四条中――これは条文の整理でございます。 それから、第二項の「前項の規定は、第二百五十一条の三第一項《総括主催者及び出納責任者の選挙犯罪に因る当選無効の訴訟》の規定による訴訟について当選を無効とする判決がその効力を生じた場合に準用する。」前項の規定と申しますのは、当選人等の処刑の通知でございます。二百五十一条の三第一項はいわゆる附帯訴訟の規定でございます。附帯訴訟の規定による訴訟について当選を無効とする判決が効力を生じました場合に、通知の規定を準用するということであります。 それから「第二百六十三条に次の一号を加える。」二百六十三条は「衆議院議員及び参議院議員の選挙に関する左に掲げる費用は、国庫の負担とする。」選挙管理費用の国庫負担の規定でございますが、この場合に、新しく制度として規定された、いわゆる政党の放送に要する費用を国庫で負担するという規定を入れたわけでございます。 第二百七十条の二の中の規定は、これは条文の整理であります。
○井堀委員 今広範にわたる条文上の関連並びに改正に伴う大きな変化が明らかになりましたが、ここで太田長官にお尋ねをいたしたいのです。これは今の説明で十分なように、今度の選挙法の改正は、ひとり衆議院の選挙だけでなくてそれが参議院の選挙にもどういう関係を持つかということは、今後の総選挙、参議院の選挙における政党とその他の政治団体が非常に輻湊し、て出てくるわけです。従来は、参議院の選挙と衆議院の選挙というものは、一つの選挙法で、この部分については問題が比較的明確に処理できた。今度は非常に困難になってくるわけです。今お聞きになって大臣もよくおわかりにならぬでしょうが、われわれも、聞いただけでは、なかなかのみ込めない部分が、気のついただけでもかなりあったのです。今選挙部長の説明によりますと、今の選挙法の全体に関係を持ってくる、こういう今度の改正であることは明らかなのであります。この点は一事不再議の問題とは非常に深い関係を持ってきまして、ここの点からいっても一事不再議は問題になってくるわけですが、それは別といたしまして、とんでもないところで一つ拾いものをいたしたのであります。 そこで、大臣に端的にお尋ねいたしますので、お答えいただきたいと思います。衆議院の選挙法の改正に伴って、すぐ参議院の一部改選が行われるわけです。参議院の改選に、前回、自民党の修正案に基いて、団体については今までは三以上でありますから、政党のほかに他の団体との関係を持つことができたわけです。今度は一つの団体ということで、他の一つの団体はどちらを選ぶかという自由があるだけなのです。政党を選ぶか、その団体を選ぶかという自由があるわけです。この点は参議院の点と今度の選挙とはちょっと変ってくるわけです。この際、同じ国会議員の選挙をやる場合に、そういう扱い方をして混乱が起るか起らぬかということについて、あなたの提案者側を代表しての政府の見解をただしておいて、それから次の質問に入りたい。今お聞きのように非常に混乱しております。
○太田国務大臣 ただいま選挙部長が御説明申し上げましたのは、衆議院議員の今回の小選挙区に伴うものでございまして、衆議院議員以外の選挙につきましては、政治活動は全く従来と同じであると私は申し上げたいと思うのでございます。
○井堀委員 これは重大だと思う。撰挙部長が今説明しただけでも、従来とは異なってきていることは事実です。それが、参議院の選挙には、今のあなたのあげられた部分だけでけっこうですが、全然関係を持たないと判断していいかどうか、一つ御答弁をお聞きしたい。
○兼子政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたように、今回提案いたしましたのは、衆議院の小選挙区制実施に伴う面について改正をいたしたものでございまして、二百一条の六の規定以下のこの条文の改正は、参議院の選挙、知事等の首長の選挙につきまして従来と変えないための整理をいたしておるのでございます。
○井堀委員 大事な点ですからもう一回確認をいたしておきたいと思います。参議院の選挙、それから地方の首長並びに府県会議員、あるいはこれは多少変ってくるかと思いますが、教育委員、その選挙はなくなるようですが、この種の公職の選挙法については、今回の改正され修正された部分は全然関係を持たないというふうに、はっきり確認していただけるかどうか。これはあなたからも大臣からもはっきり聞いておきます。
○兼子政府委員 関係ございません。
○太田国務大臣 同じ意見であります。
○井堀委員 これで一つはっきりいたしました。以上全部記録に残っておりますから、これがもし参議院の選挙その他の選挙で関連させられるようなことになりますと、きわめて重大だと思いますが、明らかになりました。 そこで、次にお尋ねをいたしたいのは、ここでいいまする政党とその他の確認団体の政治団体でありますが、この関係は、同じ国会議員の選挙の場合においても、一つは確認団体として全く政党と同じ扱いをここで受け、参議院の選挙の場合には別な扱いを受けるということが明らかになったわけです。そこで政党と同じ労働組合がここに問題になってくるのでありますが、前回の改正のときにも申し上げたように、今日政党法が存在しておりますと、そういう疑義や紛争が起った場合には、法律の関係において処理ができる。政党の場合には、任意団体でありますから、どんな党則を作ろうと、あるいは党の性格をどのように変更してこようと、これに対しては法律は何らの制限規制が設けられぬわけであるが、労働組合についてはあるいはその他の法人については、その法規に基いて一定の規制が加えられておる。こういう本質的に異なったものを、こっちの場合には同列に扱い、参議院の選挙の場合においては別に扱うことになってくるわけです。この関係についてどのようにお考えになっておるか、一つ御答弁願います。
○兼子政府委員 御質問の御趣旨がよくわからないのでございますが、法律は、いずれの場合にも、政党その他の団体というのは、公職選挙法の規定ではこれを一体に書いておるわけであります。これは午前中御説明申し上げた通りであります。
○井堀委員 そうではないのです。これは明らかになっておる。それでは次に一つ質問をしてあとで戻りましょう。前回この問題がこの委員会で審議された節に私は論議をしておりますし、あるいは太田長官は御存じないかもしれませんが、政府委員は十分御承知だと思いますから、申し上げない。ここに問題になりまするのは、政党の選挙活動と労働組合、ことに私は労働組合の問題をこの前取り上げた。これは、近代社会の一つの特徴として、労働者の場合においては、憲法におきましても、あるいは労働三法その他の法規においても、労働者の組織的人格が今日の社会構成の単位として重要な社会的役割を演じておることは、事実の上においても、論理の上においても、一つの大きな特徴であります。民主主義への大きな原則であります。この原則が憲法で宣言され、またこれを保護し規制を加えるための労働法規がありますことも、説明を要しないのであります。この場合に、選挙活動、政治運動についても、この原則は否定することはできぬわけです。このことは、この選挙法のもとにおけるその他の団体の政治活動を、選挙運動の際これこれだとこの選挙法が規定しておるということの考え方も、私は議論の余地がないと思うのでありますが、もし議論の余地があれば、その説明を承わらなければ次に進めませんが、この前のときにはこうはっきりしたのであります。ここでも、今あなたの午前中以来の説明で明らかになったように、これを二つとも一緒にしたということについては、いい悪いは論ずるのじゃありませんが、この選挙法すなわち衆議院の小選挙区を採用する際におけるというその限られたワクの中で、政党と労働組合が政治活動をするときには同じように扱うということは、もう何回も確認されたところであります。ところが実質は非常に違うのです。私は、この問題を明らかにしないで話をしたのではいけないと思いまするから、この点に触れてきたのでありますが、この前の論議の場合もこれは重要だったが、さらにまた重要になってきた。前回の場合の例で申し上げますと、前回の場合は、そういう近代社会における一つの労働者の組織的人格というものを政治運動の上に正常な姿に反映させていく、それが要するに民主主義を発展させる大きな社会的役割を評価したに違いないのです。そういうことが前提になって、労働者の団体である労働組合が法規の手続をとれば政治活動ができ、しかもまた一方においてはそのことを期待しておる。こういう運動を阻止するということがもし選挙法の改正の上においてあるならば、それは、憲法のいう労働者の基本的人権、また近代社会における一つの進歩をこの線で抑えることになるから、それはよくないのではないかという意味で、自民党の修正案に対する反対の一つにあげたわけであります。この点は、今回の場合には、もっと著しくなって出てくるわけです。これは今度は逆の形をとって出てくる。二つの場合――前の場合においては、否定的な考え方で修正が出てきた。前の場合は、一つの政党の公認候補であっても、その手続をすれば、すなわち二十五人以上の候補者を全国的に持ち得る。労働組合と仮定いたしますなら、労働組合が、カーを出したり、その他の選挙運動が自由にできた。その団体の数は一人の候補者に対して一団体とは限らなかった。この前の参議院の案では、政党と労働組合の二つにまたがることができた。それが、今度は、衆議院に来て、その労働団体の政治活動の面を事実上削る修正案が出た。すなわち、政党の公認候補者である以上は、他の労働団体の応援、こういう活動が受けられないという結果になる。これは非常な制限ではないかというので、われわれは反対をしたわけです。この経過がおわかりになっておれば、ここに起ってくる問題は、私は割合に明確になってくると思う。この点に対して、太田長官が、そのときの事情をどういうふうに御承知かわからないで、議論を進めることはどうかと思いますので、この点について御承知かどうか。御承知でないとすればもう一、二問この点について長官の意向をただしてみたいと思いますので、この点に対する御答弁を、願います。
○太田国務大臣 政党も労働組合も、公職選挙法の上におきましては同じ取扱いを受けるということは、お言葉の通りでございます。いずれも確認を受けなければ政治活動はできない、かように考えております。
○井堀委員 太田長官の場合はもっとはっきりして出てきたわけですが、そうすると、労働組合が全く政党と同じ立場において選挙活動ができる、こうお認めになってきたわけでありますから、一つの進歩だ。この前までの委員会におけるわれわれの論理の限界というものは、そこまで羽は伸ばしてなかった。政党と労働組合とを私どもは別個に考え、また現実にそうなんです。でありますから、これは、選挙運動の際において、政党の選挙運動が行われると同時に、労働者の組織的人格の形においてこれに参加ができるという考え方だった。しかし、観念的には今同列だという。こういうわけですから――ただ、しかし、実際上の問題としては、二つが同時にやれなくなってきておるのですから、どちらか一つ選ばなければならぬというところに制限があるわけです。しかし、論理的には、今太田長官が言明されたように、政党も労働組合もこの選挙法の上においては同じに扱うということは、きわめて私は重大な発言だと思う。もし、法の改正の点で、ここに規制されております二以上というのを、三以上と、もとの原案に戻ってくるとするなら、これは非常な発展になってくる。これは問題はそこに残しておいていいのでありますが、そういう進歩的なお考えであれば、これから私の疑問を解決する上に、非常に私からいえば有利だし、ものわかりがよくなってくると思いますから、そのつもりでお尋ねをいたしますが、今この法案の中で私どもの大きな疑問になっておりまするのは、もし労働組合が――これは仮定でありますけれども、この前に伺った総評とか全労会議とかいう全国的な有力な労働団体が日本にはございます。これは政治運動を否定しておりません。要するに選挙を肯定している労働団体であることは、労働組合の主義綱領で明らかである。そうすると、この総評にしても全労会議でもが、この条件はただ五十人以上の候補者を全国的に持ちさえすれば、それに何らの制限がない。ところが、党と同じような政治運動を展開した場合に、この選挙法は許すかもしれない。そうでなくても、現在の政府は、他の面においては労働組合の政治偏向を糾弾いたして、一体、労働組合が、政党と全く同じ性格において、しかも日本の最高機関である国会議員の選挙を行い得るという断定がなされるということは、これは重大なことなんです。私はよい悪いを論ずるのではありません。そういう考え方の上にこの選挙法が作られておるということになりますと、これは二大政党を指向するということよりは、もう一つ別な意味がここに出てくるわけです。ですから、こういうことは私ははっきりしてかかるべきだと思う。そういう事柄を踏み切らないで、団体の選挙活動に対する規制や、あるいはその範囲を法によって認定していこうということは危険だと思う。ことにこれは、技術的な面とは違いまして、政治政策の根本を決する近代的な要素の一つに対する大きな問題でありますから、太田長官にもう一度お答えをいただきたいと思います。仮定の事実には答えられぬといえばそれまででありますから、私は仮定は申し上げません。事実問題を申し上げます。参議院の選挙においては、必ず労働組合は――現在の参議院はごらんのように職能的性格を持っておる。衆議院とは異なります。また、全国的規模の選挙区が設けられておりまする意味においても、現在出ておりまする候補者のそれぞれが、あるいは職能的であり、あるいは各種の文化団体あるいは宗教団体、経済団体等の支持をあまねく受けて選挙活動が行われ、また当選してきておるわけでありますから、参議院の場合においては、もしこのような規定がはめられるとするならば、参議院の性格をくつがえしてくることになるわけです。これを衆議院で修正したので、非常に行き過ぎである、根本的な問題を理解しないで改正したのではないかという意味で、私は質疑を行なったのでありますが、残念ながら、そのとき提案者側の答弁は、私の質問に明確なお答えをいただかないうちに、ずるずるにあの問題はきまってしまった。しかし、今問題になっておりまするのは、この法律は、衆議院の選挙法として打ち出せば別であります。しかし、公職選挙法ですからね。あなた方は、さっき、衆議院の今度の選挙と他の公職選挙とは全然別に扱うということをおっしゃられた。私は、法律を専攻しておられるあなた方の答弁としては詭弁だと思う。そんなことはできるものじゃありませんよ。一つの法律として作られたものの中で関連性を持たせないわけにはいかぬのです。起るのです、必ず。たとえば、罰則規定なんかの問題が起ったときに、起ってくるのでありますが、今のところはもっと逐条審議をやり、またわれわれはこの問題についてはそれぞれ非常な疑いを持っておりますから、逐条審議をやる、その節一つ一つについてお答えをいただきます。でありますからここでは申し上げません。また答弁もいただきませんが、今申し上げたことでおわかりと思うのであります。 そこで、もとに戻ってきまするが、それでは、太田長官がさっき言明されたように、日本の労働組合と政党とだけに限って一つ問題をほぐしていきたい。少くとも、本案の提出の趣旨は、何回も繰り返され質問されて明らかにされたように、二大政党、政党です。ここには労働団体やあるいはその他の政治団体を対象にしてお考えになっていないということは、提案者側のるる説明になったところでありますし、この根本的な考え方をあいまいにしておいたのでは、小選挙区制などというものは、党利党略とか私利私欲とか、あるいは当面の糊塗的なやり方だといわれても、返す言葉はこの一点で私はないと思う。政党政治でいくという以上は、政党法を作ることが一番はっきりするのでありますけれども、政党法のない場合には、要するに、政党をはっきり確認して、法律というものが組み立てられてくるのでなければ、そもそも政治団体とごっちゃにしてやるということは、私はここに問題があると思う。まずこの点に対してもう一度はっきりした御答弁を願います。
○兼子政府委員 政党と労働組合と団体との問題でございますが、これは、午前中にも申し上げましたように、公職選挙法におきましては「政党その他の政治団体」という一つの表現を用いておるわけであります。その政党とはいかなるものかと申しますと、公職選挙法には定義はしてございません。政治資金規正法の第三条に政党の定義がしてありますので、その定義によるということになろうかと思います。そういたしますと、その政治資金規正法に規定する政党とはいかなるものかと申しますと、いわゆるわれわれが政党と言っておりますもののほかに、総評政治連盟というような労働団体の連合体と申しますか、性格上の議論はむずかしいと思いますが、それが、政治活動をする場合に、政治連盟というものを組織して従来活動をされておりますが、そういう団体もこれは政治資金規正法上は政党に該当するわけであります。従いまして、今回の公職選挙法の改正が二大政党の対立を考えて政党の制度というものを規定したのではないか、それならば、「政党その他の政治団体」という字句を用いずに、政党という定義をはっきりと出すべきではないか、このような御議論に拝聴いたしたのであります。この政党は、公職選挙法においては政党の定義をすればできないわけではないのでございますが、いわゆる政党法の規定の政党の定義というものを公職選挙法に規定するかどうかということを、われわれ考えたのでございます。従来公職選挙法は政党その他の政治団体という術語を使っております。それで、今後の動きにつきまして、二大政党の対立になりましても、そのような場合に、所属候補者を持つという団体は、やはりおのずからわれわれが普通考えておる政党に落ちつくのだろう、このような考え方を持っておるわけでございます。そのような趣旨で、「政党その他の政治団体」、従来の二百一条の五の術語そのままを収容いたしたわけでございます。
○井堀委員 私がお尋ねしておるのはそういうことではない。あなたは、術語なんか便宜主義で「その他の団体」ということをここに使ったようなことを言って、言いのがれしようとしている。そういうことはできません。太田長官もさっき仰せられたように、政党とその他の政治団体とは、ここでは全く同列に扱うということは、何回も繰り返された。しつこいほど私は聞いた。それを、あなたは、白を黒と言い含めようとするための前置きなら別です。それほど卑しい議論はなさらぬと思う。
○兼子政府委員 先ほど大臣から御答弁がありましたように、政党その他の政治団体――政党の定義というものは政治資金規正法に規定してあるわけでございます。従って、今回の法律で政党とその他の団体が公認候補者をそれぞれ五十人持つということになりますれば、その取扱いは同等でございます。
○井堀委員 あなたは重大なことをべらべらとおしゃべりになる。それはあなたの行政的な責任の限界はもうきまっておる。私の今お尋ねしているのはもっと重大なことなんです。これは、太田長官は、今、労働組合も政党もこの選挙法によっては、ということなんです。この選挙法というのは、さっきから何回も繰り返しておりますように、政治においては、あるいは憲法の言葉をかりて申し上げれば国の最高機関です。その最高機関を決定する選挙の基本的なものを定める。もっと重視して下さい。そのときに――もっとあれではいけませんから、具体的に例をあげてあなたの意見を求めたら、すぐくずれてくると思う。あなた方は今仮定で言っておりますけれども、この法律が通ればできるのです。労働組合が五十人の全国の候補者を持ってやればできるのです。この選挙運動に出てきた場合、政党と差別することはできませんよ。今太田長官の言明によりますと、選挙で同じに扱うということはできない。これはみな認める。これは重大ですぞ。そこで、労働組合がそういうことをやらぬだろうという常識が前提になっておるだろうと、私は善意に解釈しておるのです。しかしそういうことは危険なことです。なぜならば、日本の労働組合は、御存じのように、いずれの労働組合においても、労働組合の職分は、その規約の中においても、あるいは主張の上においても、政治活動を重視しておる。労働組合の職分の中に、経済闘争あるいは政治闘争を重要な職分に掲げ、また選挙活動については強い意思決定をしておることも明らかである。しかし、そこで、政党頼むに足らず、政党に不信を抱く労働組合ができてきてこの場合政党にかわって候補者を五十人あげて選挙を戦うということはあり得るのです。そのときのことを――いいですか、単なる仮定ではありませんよ。そういうことを労働組合がやった場合にどういう問題が起ってきますか。これは私は兼子選挙部長の答弁する事柄ではないと思う。それは、法律がどういう工合になっているという説明はいいのです。しかし、そういう政策の根底を否定するか認めるかということは、これは太田長官、あなたのあげ足をとるのではありませんから、悪ければ前言を翻してもかまいませんよ。あるいは修正しても……。それをどうこうするということについては、いろいろ考え方があると思う。お互い政党人にとって重大な問題であるけれども、それではもう少し角度を変えて申し上げましょう。私どもは――私も労働組合のメンバーの一人であります。また私も労働組合に対する一つの考え方、信念を持っておる。しかし、労働組合が、政党にかわって、かかる選挙を行うことは適当でないという考え方を私は持っておるのですよ。しかし、これは私の考え通りのものがあるわけではありません。そうでない考え方を持っておる人もおるのです。そういう団体が出てきますと、せっかく二大政党、政党の健全な民主党な発達を片一方に期待しながら、ほかの面から問題が吹き上げてくるのです。この点は、今までの選挙法においてはどこにも見ることができなかった。私は総理にお尋ねしようと思いましたけれども、時間の制約があって、このことは前置きがないと答弁がしにくい。これは一国の政治の方針を決定する上の原則だと私は思う。こういう重大な基本法の一つの中にあいまいにされておったんでは、民主主義の系列というものはくずれてしまう。この点はあまり事柄が重大でありますから、そうここで深追いするつもりはありませんから、ゆっくりお考えいただいて、この点については政府のお考え方を統合されて、御答弁あってもよろしゅうございます。
○太田国務大臣 先ほど、簡単でございますが、私の申し上げました通り、確認を受けまするならば政治活動はできます、受けなければできない、これだけのことで御了解願えることと思います。
○井堀委員 これはもう何回もお話がございましたが、決して私もただばく然と政党と労働組合を同列に扱うかということを聞いておるのではなくて五十人、ここにはそれだけの制限しかないと今あなたもはっきりされました。そこで、この問題につきましては、全体に影響してくる問題でありますし、いずれもっと他の面において関係が出てきますから、そのときにさらに明らかにしていきたい。しかし、ここでは、一応政府の意向として、太田長官は、五十人以上の候補者を持ち得ればそれで政党と全く同一な扱いをいたすという方針が明確になりましたから、この点はそういうふうに今日のところ確認をいたしておきます。 角度を一つ変えます。この場合に問題が二つに分れてくるのです。一つは、政党がそういう活動をやる場合にはそうであるが、今度これを逆に持ってきますと、労働組合は従来でなくても参議院の選挙の場合はやれるわけです。あるいはその他の公職の場合はやれるわけです。今度の場合にはそれを禁止したことになる。一人の候補者が二つの政党から公認され得るということは、常識としてはあり得ぬと思う。しかし、実際問題としては、いろいろそういうことが混線する要素は、日本の現状としてはないとは言いがたいのでありまして、この問題に備えていかなければ、法律というものは万全ではないのです。この点について論議があるのですが、これはまた各論の際に私はこの条文の不備をついていきたいと思います。そこで、労働組合は、従来あるいは参議院の選挙その他で選挙活動はやれたのでありますが、今度の場合はそこをシャット・アウトするのです。五十人以上の確認団体にならなければ選挙運動はやれない。これは重大なんです。ですから、同じ法律の中でその二つの思想が出てきたわけです。同じ公職選挙法の中で、参議院その他の選挙の場合においては、政党の公認候補者であって、それを支持する団体がこれを応援するということ、あるいは選挙活動をやるということについては禁止していないのです。ところが、同じ選挙法のワクの中において、今度の小選挙区による選挙の場合においては、その団体の、すなわち労働者の組織的な選挙活動を禁止したのです。これは重大です。この点について太田長官の見解を伺いたい。
○太田国務大臣 私は、程度と申しましたが、二十五人という制限が五十人になっただけでございまして、私は変っておらないと思います。
○井堀委員 さっきからお話していることを、太田長官はどういうおつもりで御答弁なさったか知りませんが、二十五人を五十人にしたというようなことは程度の問題です。それはその通りいいと思います。そうではないのです。さっきからお話ししておりますように、さっきのあなたの答弁がまたずれてくるわけです。程度の差と言っておりますが、数字は二十五と五十との差です。ところが、これは公職選挙法一本なんです。ですから、二十五人が五十人になるということは、この小選挙区を予定しております衆議院の総選挙だけに適用されるのではないのです。二十五人と五十人、これはどうなんですか。参議院その他の選挙のときには二十五人は生きていくのですか。
○兼子政府委員 参議院は現行通り十人であります。
○井堀委員 そうすると、これは、何ら、参議院の選挙その他の公職選挙については、現行法においては影響を受けないことは明らかになった。そうすると、ますますはっきりわかるように、参議院選挙のときには、労働組合が全国的に十人以上の候補者を持てば、そちらの方は確認団体ですからカーを出せる。ところが衆議院の方では五十人以上持たなければ確認団体にならない。同じ一つの労働組合を、片方の場合は確認団体として認め、片方は数で制限したとあなたは言われるが、数ではありません。こっちの場合は一つの政党か一つの労働組合を選ばなければならぬのです。非常な違いがある。こんなことは程度の差だなんて言いのけられる問題と異なる。この点に対する選挙部長の見解を聞いておきます。
○兼子政府委員 三月十四日に成立いたしました公職選挙法の改正によって、所属候補者は一つの政党にしか計算できないということに相なりましたので、従来とその点は違ってくるわけでございますが、参議院の選挙におきましては、百人の立候補者がありますれば、十人ずつ分ければ十の団体が活動できるわけであります。
○井堀委員 今の御答弁で、同じ労働組合を二つにこの法律は見ているということがはっきりしてきました。参議院の選挙のときには、今言う条件さえ当てはまれば選挙運動ができるのです。これは少し問題が具体的になり過ぎますが、今言う百人の候補者を持っている団体ならば、それぞれ分けて十人ずつにしたら、かなり大きな運動が、やるかやらぬかはわからないが、できる。衆議院の場合は、それをやろうとしてもできない。このことだけははっきりした。ですから、同じ団体である場合には、数の上で制限は設けられているけれども、本質的な制限をしているのではない。片方は本質的に政党としての立場をとらなければだめだ。政党という言葉を使っておりませんけれども、確認団体としての確認団体は二つに使い分けできるということだ。太田長官、そういう思想の分裂がこの法案の中にあっていいかどうか、許されるかどうか、お答え願いたい。
○早川政府委員 参議院選挙の場合に、労働組合だけが五十人の候補者が十人になったのではないのでありまして、その相違は、ほかの政党、たとえば社会党、自由民主党全部に通用する一つの選挙の規制でありまして、小選挙区の場合には、御案内のように一対一の公認制の小選挙区になっているから、別個の制限がしてある。これは、単に労働組合に限らず、政党及び団体全部に通用する選挙区の相違による相違でありますから、これによって労働組合だけが二重性格になったというのは当らないと思います。
○井堀委員 そういうことをお尋ねしているのでも何でもない。そんなことはわかり切っている。私は労働組合のことばかり言っておりますが、ここの場合労働組合ということを申し上げたのは、近代社会における一つの大きな特質なんですよ。これは御否定にならぬと思う。これを無視した政治行動というものは、あらゆる場合に否定できるものではない。早川さんのように、その点どうも度外視してお話をされれば、話はほかにいってしまいますよ。私は労働組合を例にとったわけではない。本質論として論議している。そういうことを聞いているのではない。今言うように、一つの法律の中における二つの思想があるということは明らかなんだ。こういう問題を解決しないで、次の問題に入ることは非常に危険だ。白いものを黒いといえば、今のような議論は別だけれども……。 それでは次に移りましょう。
○山田委員 関連して。ただいま、井堀委員の質問中、さらにきのう私が質問したことについて、どうも私は理解ができないので、長官に明快に御答弁願いたいと思うのです。それは、二十五人を五十人にして、五十人の候補者を立てられないものは政治団体と認めない、こう言っているが、どこをどうして二大政党にしようというのか意図がわからぬけれども、時代の要請によっては、非常に少数の人数しか立候補させることはできない場合があっても、時代に即応した正しい考え方を主張するものが出てこないということは、私はいえないと思うのです。そういう場合に、憲法の二十一条に規定のありますように、結社の自由が認められているにかかわらず、それが政治団体として認められない状態になってしまう危険がある。十二ページの、二十五人の候補者を五十人にしたという規定、この点がどうしても私は理解ができないのですが、二十五人を五十人にふやしたということだけじゃなくて、私は、もっと小人数の人たちが政治活動をする上においても、当然認めて差しつかえないと思うのです。こういう点について一つ明快な御答弁を願いたい。
○太田国務大臣 確認団体としての政治活動につきまして、従来二十五人という制限がございましたが、五十人にした程度の差であると私が申し上げた意味は、少しも変っておらないのでございます。決して一般的な政治活動を禁止するという意味ではございません。確認団体としての政治活動は、今まで二十五人でありましたのが、五十人になったものであります。
○山田委員 幾ら確認したといっても、政治的な活動のできない政治団体というものはあり得ないと私は思うのですよ。そういう点、どうも太田長官の言っていることが理解できないのですが、一体政治活動のできない政治団体なんというものはあり得ないと思うのですよ。
○早川政府委員 少し誤解があるようでございまするが、五十名以上の確認団体というのは、公職選挙法上の政党として特定の選挙活動ができるという意味でありまして、一般の政治運動は、むろん政治団体――候補者一人でも二人でも、また候補者がなくたって、政治結社の自由はあるのでありますから、その意味で、政治団体は別に候補者を五十人あるいは十人と参議院のように制限する必要はむろんないわけでありまして、これは、政治資金規正法の第三条に規定しているように、政策を実現しまた反対するとか、いろんな条件さえ備われば、これはもうりっぱな政党であり政治団体であると思うのでございます。
○山田委員 たとい立候補者数が少くても、何とかそれを育成する道というものは、当然私は法規の中に講ぜられていいと思うのです。そういう点が、どうもこういう状態でいいますと少いという感じがするのですが、この点なんです。
○早川政府委員 御案内のように、選挙の公正を期し、このたび特に二大政党を育成助長するという大きい目的がございますので、候補者を五十名立てるところまで、政治団体――Aという政治団体が力が出て参りますると、当然この選挙法上の特定の選挙運動ができる、こういうことになるわけでございまして、無制限に何でもそういう特典が与えられますと、選挙の公正、二大政党の育成という法律の趣旨から申してどうかというので、従来の二十五名を五十名にいたしたのでございまして、その点は決して憲法にいう政治団体というものを否定する思想ではないのでございます。
○山田委員 あなた方がお考えになっておられる二大政党の育成というものを、私はよく理解ができないのです。何で二大政党だけ育成しようと考えているのか。二大政党よりももっと正しい考え方を持っていることが時代の進展とともにあり得るということは考えられないというところに、おかしさがあると思う。必ずしも二大政党ばかりが正しい考え方をするということはあり得ないと思うのですよ。そういう点で、やはり小さい政党でも育成するというものの考え方が起ってこなければならぬはずです。この点について一つお答え願いたい。
○早川政府委員 御案内のように、議会の活動においても何名という交渉団体という考え方もございますように、現在の五百名近い候補者の場合に、五十名程度の候補者を立て得るというものを確認団体といたしまして、これを特に選挙運動の特例を認めていくという考えでありまして、一人立候補させたものでも同じようにしたらいいではないかという御趣旨も、むろんごもっともでございまするが、われわれといたしましては、ある程度の候補者を立て得る確認団体というものに特典を与えまして、小党分立と申しますか、政局の安定という、こういう公認制度の趣旨を貫きたい、こういう考えでございましてこの考えがいかぬと言われますと、別の考え方――山田委員の言われるようなこともむろん一つのお考えかと思いますが、趣旨におきましてわれわれはそう考えておるということであります。
○山田委員 もし、この制度を採用して、今の自民党が圧倒的な数をとり、お家騒動が起ってまた分裂でもしないかというようなことをあなた方お考えになりませんか。老婆心ではありますが、そういうことも考えられるが、その点はどうです。
○早川政府委員 今申されましたような考えは毛頭持っておりません。
○滝井委員 関連して。今の問題でございますが、これは二百一条の十の8との関連をやはり考えておかなければいかぬと思う。それは、御存じのように、この政党その他の政治団体が二百一条の五第一項各号の規定による政治活動を行う場合においては、第十三章に定める選挙運動の制限に関する規定というものが全然適用されないことになっておる。そうして、この場合においては、政治活動即政治運動、すなわちその公認候補者の政治活動と同じ形をとっていくという、こういう形になるわけなんです。この場合には、五十人以上を持っておる団体と、それから五十人以下の団体と、非常に大きな開きが出てくるということなんです。この点に今山田君の指摘した問題があると思うのです。そればかりではなくして、費用その他の点においても、不当に――不当にと言っていい。不当に、五十人以上のものは、自己の法定の選挙費用にプラスのその政党の活動というものがフルに使われてきて、いわば二倍の費用を使った以上の効果というものが出てくる可能性が出てくるということなんです。しかも、十三章に定める選挙運動の制限が全部なくなりますと、戸別訪問で政党が何々に入れてくれ、その候補者に入れてくれと言うことはできないにしても、これは、たとえば社会党なら社会党、自民党なら自民党の勢力を伸展しましょうということを言って回ってもいいということになることだと思う。しかも、連呼その他、ただし書きでございますけれども、これも自由にやってもいい、こういうことになるわけなんですね。こういう点から考えてみても非常に大きな差が出てくると思うのですが、この点に対する太田長官の考えを承わりたいのであります。さいぜん長官はどうもあまり変らないとおっしゃったけれども、非常に今度は変ってくるのですよ。
○太田国務大臣 政党の政治活動につきましては、あるいは演説でございますとか、あるいはポスターだとか、いろいろな点が、今までやったのに比べて、枚数がふえたとか、回数がふえたとかという程度にすぎないので、非常にふえるというようなことは思っておりません。相当に広がったことは事実でありますが、非常な変化をしたとまで申し上げる程度じゃないと思います。 それから、山田委員の申されました問題は、山田委員のお考えと、今政務次官の言った考えと大へん食い違いがございますので、私どもの考えは、今まで小党分立ということが政界において困った問題であると考えられたことは、この数年来の政治的事実であります。従って、その当時の世間の声といたしましても、この際に二大政党になったらよかろうという声があり、しかも、これを裏打ちするのには、私どもの信ずるところにおいて、小選挙区制度によるがよい、こういう意味から出たので、一人一党的もしくは大選挙区制によりまして各自の意見を出そうというお考えとは、今政務次官の言われた意味と大へんに違うのでございます。私どものこの法案を提出した理由というのは、先ほど言いました通りの政局安定という大きなねらいから出ているのでございまして、それがまた時代の要求である、かように考えたからでございます。
○滝井委員 私が申し上げるのは十三章に定める選挙運動の制限に関する規定というものは、少くともこの「二百一条の五第一項各号の規定による政治活動を」やる場合は全然制限がないわけなんですよ。「十三章に定める選挙運動の制限に関する規定にかかわらず、」これはやってもいいのです。従って、この場合は、政党の政治活動は、すなわちその区域における公認候補者の選挙運動とイコールなんです。これは政治活動即選挙運動になっても妨げないのです。二百一条の十の8というのはそういう規定なんです。だから、政治活動と選挙運動との区別は、この場合にはなくなってきてしまっておるということなんです。そうでしょう。
○兼子政府委員 二百一条の十の第八項の規定でございますが、これは、先ほど来申し上げますように、小選挙区制をとりますと、その政党の政治活動が選挙運動と区分が非常にしにくくなる。またかりに観念的に区分をいたしましても、その及ぼす効果と申しますか、これはやはり選挙運動と非常に密接な関係があるということからいたしまして、先ほど申し上げましたように、「選挙運動となることを妨げない。」このような規定を設けたわけです。なお、これにつきましては、第七項におきまして個人の選挙運動のそれぞれの制限の規定を準用いたしております。これは御承知の通りであります。それから、第八項のおしまいの方の連呼の規定による連呼行為もまた同様とする。これは二百一条の十三の規定によりまして「政談演説会の会場及び街頭政談演説の場所においてする場合」ということでございます。それから、ポスターや文書等の活動につきましては、その前の第七項の規定によりまして個人の選挙運動の規定をそれぞれ準用した。たとえば、演説会の回数とか、あるいは施設の名前を使うとか、それからポスターの掲示責任者の氏名等の記載、そういうような規定はそれぞれ準用いたしておるわけであります。撤去義務等も、ポスターの貼付の承諾それから撤去等の規定は、それぞれ準用をいたしておるわけでございます。
○滝井委員 たとえば、今の二百一条の中で連呼の例をとってみれば、政党その他政治団体がやる場合には、連呼というものは、たとえば社会党なら社会党、自民党なら自民党が、今から演説会をやるから聞きにきてくれ、こういうことにもなるわけなんです。ところが、この場合に、自民党なら自民党が、演説会をやるからということでなくして、滝井義高が演説会をやるからきてくれ、こういうことも可能なわけなんです。そういうことになるわけなんでしょう。
○兼子政府委員 連呼の態様でございますが、政談演説会それから街頭政談演説の場所において流すのでなく、その場所において、候補者が、ここの選挙区から出ておる候補者何の何がしをよろしく頼む、何の何がしをよろしく頼む、そういう連呼の仕方は差しつかえない、こういう意味です。
○滝井委員 だから、さいぜんから私が言うように、少くとも政党の政治活動とそれからその公認候補者の選挙運動とは非常に相似形、同じになってしまう、区別がつかなくなってしまうということは、今の御答弁でも確実なんです。そうしますと、今度は同時に戸別訪問というものを個人ならばやることができない。何人も戸別訪問をしてはいけない。ところが、政党が、わが党の政策を一つ支持して下さい、お願いをいたしますといって戸別に回ることは、これは差しつかえないことになる。それはなるわけでしょう、政党活動ですから。
○兼子政府委員 二百一条の十の第八項の規定で、ここにきめました「政党その他の政治団体が第二百一条の五第一項各号の規定による政治活動を行う場合においては、第十三章に定める選挙運動の制限に関する規定にかかわらず、当該政治活動が当該政党その他の政治団体の公認候補者のための選挙運動となることを妨げない。」こう書いてあるのでございまして、従って、この書いてないところのものは、反対解釈からいって非常に厳格になります。政党の戸別訪問などは、個人の選挙運動にわたってもいいものは、これは範囲が制限されておるわけであります。でありますから、それ以外の手段につきましては、非常に厳格なと申しますか、当然のこととして、戸別訪問なぞは禁止をされておるわけであります。
○滝井委員 そうしますと、これは二百一条の五の第一項の各号、ずいぶんたくさんあるわけなんですが、たくさんあるこれだけのことについて、私は、この解釈からいえば、これだけのことについてのみ、十三章に規定をしておるものはやってもよろしい、その分については公認候補者の選挙運動と政治団体あるいは政党の政治活動と同じだ、こういう解釈であると、私はそう読んだ。あなたはそういうことを御説明になったと思うのです。ところが、その場合に、あえて政党がどんどんやって回った、どんどんそういういわゆる戸別訪問的なことをやって回って、私なら私、滝井義高という候補者の名前は呼ばなかった、しかし日本社会党ということのみ言って回ったという場合には、これは、その党の責任者と申しますか、構成者と申しますか、そういう者が多分一年以下の禁固または千円以上ですか何か罰金に当る、こういうことになるのですか。
○兼子政府委員 そのような場合には、個々の戸別訪問をやった行為者を処罰することが普通だろうと思います。政党が、組織的に、ある候補者のために戸別訪問を政党自体が計画をしてやったという場合にどうなるか。それは、政党のその計画をした支部と申しますか、そこの責任者が処置をされる。それから、政党自体は、これは違法なことが政党自体を処罰するかどうかでなく、政党の代表者である、その行為をした、計画した者、これが処罰されることになっております。
○滝井委員 戸別訪問をして回ることが、今申しましたように、特定の候補者に対して投票を得せしむ、または得せしめない目的でやるということではなくして、戸別的に回って政策を浸透させていくのだ、こういうことになったときはどうなるかということなんです。
○兼子政府委員 先ほど申し上げましたように、第八項の解釈からしまして、従来ならば、現行法におきましても、政党の政策の趣旨の徹底のために戸別訪問をしたといっても、これはやはり、候補者が確認できれば、候補者のための戸別訪問ということに落ちつくことが多いと思いますが、小選挙区になりますれば、政党の政策普及のために戸別訪問をしたと申しましても、これは候補者の得票を得る目的ということが比較的容易につかみ得ると思います。そういたしますと、戸別訪問として、第八項の規定からいたしましても、選挙運動にわたっていいと書いてあるのは第八項の規定だけでありますから、当然に戸別訪問で処罰されると思います。
○滝井委員 そうしますと、その場合に、政党その他政治団体の政治活動の規制違反という項がありますね。この新旧対照表でいけば六十ページになるのですが、この場合のいわゆる罰則との関連はどうなるのですか。
○兼子政府委員 そのような場合には、政党の政治活動の違反ではなく、候補者の戸別訪問の百三十八条の違反です。
○滝井委員 問題は実はそこを言いたいのです。私も、実は、今この条文を読んで、わかって質問をしているわけですが、明らかに、二百一条の十の8というものは、これは一つの限界をきめて、そうして政治活動と公認候補者の選挙運動とがイコールの形をとっておりますが、今申しましたように、この新旧対照表の条文の中の政党その他政治団体の政治活動の規制違反というものがあるわけなんです。従って、その政党が明らかに政策を浸透させるためだという意図を持ってやったのに、無実の公認候補者が、それはその人を当選せしめるための、あるいは落選せしめるためのものであったなんて言われたら、迷惑しごくなんです。そういう解釈が出てくる。と申しますのは、なぜ私がそういうことを言うかというと、一つの選挙区において十回だけは政党が政談演説をやってよろしいというような、こういう規定の関連から考えても、政党は少くともその区においては相当自由な政治活動というものができることになっておるわけです。従って、自分の所属の候補者の選挙活動と政党の政治活動とが非常に重複をし、あるいは紙一重になってきておるという段階になると、今のあなたのようにぴしっと割り切って政党活動というものはそこの候補者の運動なりとして、その候補者なりその運動をした個人が罰せられるということになったら、これは大へんなことになると思うのです。(「具体的な場合のことを言え」と呼ぶ者あり)だから、その具体的な場合のことというのは、やはり一つの抽象的な基準というものを引いておいて、そのものさしではかっていくという、こういう立法の形がとられていなければならぬと思う。そういう点でどうも私はわからぬことがあるのです。
○早川政府委員 確認団体が特にほかの政治団体より有利な点は、これははっきりしているのです。演説会十回とか、葉書、ポスター、放送ということになっておるので、今の御質問は確認団体じゃない政治団体を通じての一般問題だと思うのです。たとえば、前の選挙で原水爆反対という署名運動をやりました。これは別に選挙違反にかからなかったのであります。ところが、原水爆反対、平和憲法擁護というような署名は、間接には革新陣営の候補者に利益を与える。今度小選挙区になりました場合に、いわゆる党の活動を強力にやる、その結果が候補者の利益になるという場合が必ず出てくると思うのです。しかし、それは確認団体だからどうというのではなくして、非確認団体であっても、そこには非確認団体の候補者が一人しかいなかったなら、当然同じような有利な影響があるわけでありまして、これが、具体的に、必要以上に政党の運動の範囲を越えて、あまりにも選挙運動という事態が出て参りましたならば、これは私は選挙違反の疑義になると思います。たとえば支部の結成をやる、そのときに供応する、あるいは支部結成のための供応ではないが、後援会の供応をやる、これは間接的には候補者になる。後援会といい、政治団体の発会式に酒食を提供したというのは、判例では罰せられております。今度支部の結成をやる、その場合に、よそから――むろん候補者から金が出て供応するなら、これは当然かかりますが、支部から出たという場合はどうするか、これも私は疑義があると思うのです。従ってそういう個々の事例によって判定さるべきものであって、特に確認団体、五十名以上の人がその点有利であるという議論は、御質問の場合には当らないと私は考えておるわけであります。
○滝井委員 今確認団体と非確認団体が出ましたが、たとえば私なら私が確認団体のA地区の候補者だといたします。そうしますと、この選挙法によっては、非確認団体、候補者を五十人以下しか持たない団体でも、実は私を候補者にいたしたのだが、公認候補はどうしても一つしかすることができない、一つの政治団体しか所属することができないということになるので、私は社会党だけをねらいます。そうしますと、今の非確認団体が、たまたま私と主義政策を同じくしておるので、そこで今度は今言ったような政策を浸透せしめるための個別的な訪問と申しますか、そういうことをやり得ることも可能なんです。そうしますと、これはなるほど関係はないのです。関係はないのですが、その場合は私が罰せられるのか、私がその非確認団体に頼んで私の戸別訪問をやらせたのではないのだから、私が罰せられるなら私は大へんな損になってしまう。(「具体的なことを言え」と呼ぶ者あり)こんな具体的な場合はない。そういう場合に、その団体――どれが処罰を受けなければならないかということです。これは、選挙違反にひっかけようとしても、私が頼んでいないから、善意の私を罰するわけにはいかない。ところが、非確認団体がどんどん戸別訪問をやることはかまわない。そういう場合は一体どうなるのですか。
○早川政府委員 その場合には、むろん無過失責任はその候補者は問われないわけですから、かかりません。
○滝井委員 そうしますと、今言ったような場合には候補者はかからないという御確認を得ましたので、これで私はよろしい。
○竹谷委員 私関連して御質問申し上げますが、そうしますと、確認を受けたる政党は、政談演説会が一区十回、それから全国五十回ですから、一区だけで五十回やってもよろしい。その演説会において、わが党のこの選挙区から出ておる何某候補者によろしくお願いします、さように弁士が推薦演説をすることは差しつかえありませんかどうか。
○早川政府委員 むろん差しつかえございません。
○竹谷委員 そうしますと、この法律の新しい改正案によりまして、政談演説会、それから数の制限のない街頭演説会、それから自動車あるいは拡声機等にはそれぞれ何某候補者を推薦するというポスターを張ってもよろしい、それからポスターを二千枚出す、そのポスターにその選挙区の候補者の名前を表示してもよろしいかどうか、それを伺います。
○早川政府委員 もちろんけっこうでございます。かまいません。
○竹谷委員 次は、ビラを政談演説会において頒布することができるとありますが、この法律案には数の制限がない。何百万枚その演説会場において配ってもよろしいかどうか、そのビラの中に、その地区から立候補しておる当該確認団体の公認する候補者の氏名を明記して推薦してもよろしいかどうか。
○早川政府委員 けっこうでございます。
○竹谷委員 次に、通常葉書を五千枚出せる。この通常葉書に、同じくその選挙区内有権者の数が七、八万から十万であろうと思いまするが、それらの人のうち五千枚だけはその選挙区に出せる。それに、やはり、今のポスターやビラと同じように、当該選挙区から立候補しておる候補者の名前を表示してもよろしいかどうか。
○早川政府委員 差しつかえございません。
○竹谷委員 そうしますると、選挙運動として候補者が行い得る言論、文書あるいは郵便物、そのような方法によりまして、全面的に政党が所属公認候補者のために大々的な選挙運動ができるということになる。そのほかに、先ほどの政務次官の御答弁では明確を欠いておるのであるが、その政党の本部から県連に、県連から支部にというふうに、政党の活動資金が多額に流れてくる。その金でもって支部結成の大会合が行われ、そこですばらしい饗宴、酒さかなの供応がなされた、そういう場合はあるいは選挙運動になる危険がある。ならない場合もあるわけです。しかし、これは、実際の選挙の場合に、実質的に非常な買収、供応ということになる。あとでこの問題についてはお尋ねをいたしまするが、あるいは本部から県連へ、県連から支部というふうに政治活動資金が流れてきて、それらが党員全般に政治活動のためだといって日当、旅費、宿泊費から手当、その他多額に配給になる。これも政党の政治活動だから、そのこと自体は選挙運動にはならないはずである。そういうふうな、選挙運動としてもまた政治活動としても広範多岐な、また物量は幾らでも投入のできる政治活動のもとに、確認を受けた団体に所属するある公認候補者は、猛烈な選挙運動を展開することができる。ところが、一面において確認を受けない団体もしくは無所属の候補者は、公職選挙法において非常に制約せられた、また費用においても制限を受けた選挙運動しかできないということになりますると、同じ衆議院議員の候補者が、確認団体の候補者である場合にはすばらしい優遇を受け、確認を受けない、あるいは無所属の候補者は、まるで問題にならない不自由な選挙活動しかできないということになる。これは非常な差別待遇にならざるを得ないと私は思う。この点差別待遇がないとおっしゃられるかどうか、これは平等である、差別はしていないとおっしゃるかどうか、太田長官の御答弁を伺います。
○早川政府委員 大臣の御答弁の前に、少し私としてお答えしたいと思いますことは、竹谷委員は、政党活動が選挙運動にわたる範囲が非常に大きくなるような御所見でありまするが、たびたび申し上げますように、確認団体が非確認団体より特に有利なのは、葉書とそれからトラック、これも四百人以上が十二台とか、しょっちゅうそこの選挙区におるわけではない、非常に限られた台数でありまして、街頭演説はそれでなければできないのであります。ビラもその場所でまかなければならないのであります。また葉書五千枚、ポスター二千枚、その範囲内におきましてはなるほど有利になりまするが、これはそう大きい金額に相当するものではございません。それ以外の政治活動は、これはあらゆる政治団体が平等に同じスタートでやり得るわけであり、従来もやっておったわけでございまして、これが露骨な党大会に名をかりた供応というふうな場合になれば、その場合の目的なり状況から判断いたしまして、あるいは選挙法の罪に問われる疑義が出てくる、こういうわけでありまして、決して確認団体が仰せられるように非常に有利になるというものではございません。限られた範囲のあれでございます。 しからば、一般の非確認団体と確認団体の公認候補との差別待遇はどうかという問題は、大臣から御答弁されるようでございます。
○太田国務大臣 今政務次官の言われたので御了解願えたと思いますが、結局、ビラを張ると言いましても、場所の制限があります。街頭演説をすると言いましても、自動車の上、船の上という制限がございます。非常に範囲が広くいくというのでなく、あるいは枚数あるいは回数に制限がございます。申し上げるまでもなく、これは答申案の精神も同様でございまして、ただ、答申案は二十五人のところを、われわれの方でこれを五十人という案にしたので、それ以外の点は選挙制度調査会の考えをとっておるのでございます。
○竹谷委員 早川政務次官は、確認を受けない政治団体も確認を受けた政治団体もあまり変りはないという御答弁であった。それは、法律の規定をよく読めば、全然違う答弁であることがわかる。すなわち、確認を受けない団体であれば一回、その他の団体は今度は十回できる。もう度数が十倍になっておる。ビラなどは数の制限は全然ないと申されたが、これは格段の違いでありまして、これは全然待遇が違うのです。特別待遇です。これは、あとで、私の受け持ちになりまして、政党の政治運動になりましたら、詳しくお尋ねをいたし、また見解を述べますが、ここでは、大臣は大した差別ではない、こういうことを言っております。これは憲法のことを直接お尋ねするのではないが、この法律はむろん憲法を順守しなければならぬのでありまするからお尋ねしておくのでありますが、憲法の第十四条には「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的肉係において、差別されない。」とある。これは絶対的の保障であって、このようなやむを得ない場合には差別を受けるのだという規定はない。絶対的な保障である。だからいささかの差別も国民は許さない。ところが、この選挙法という重要な法律においてこのような差別を候補者に設けるということは、憲法違反といわなければならぬ。こういう憲法の規定を無視してよろしい根拠はどこにあるか。多少差別があるということはあなた方も認めておる。われわれは甚大な差別があるということを主張するのであるが、かりに多少の差別であっても許されない。憲法第十四条によれば、除外例は認められていない。大臣の御見解を承わりたい。
○太田国務大臣 確認団体が二十五人でありますときにも、憲法十四条における違反になっておりません。程度において二十五人が五十人になったからといって、憲法違反になるという理屈は私には了解できないのでございます。
○竹谷委員 二十五人であるか五十人であるかは、あなたは数の相違にすぎないと言うけれども、われわれはこれは質的変化があるというんです。しかし、前に二十五人でも差しつかえないから、五十人でも差しつかえないのだ。前に二十五人のときに違反であっても、今は五十人であれば違反にならないとおっしゃるのですが、前の二十五人は別だ。五十人のこういう規定は憲法に違反しないかどうかを聞いている。
○太田国務大臣 二十五人でありましたときに制限されたる問題が憲法違反でない限りは、その質の点におきまして同様な解釈をしてよい、私はそう考えております。
○竹谷委員 現行法とそれから今度の改正法との場合がどうあろうとも、あなたはどう考えるか、あなたの信念を承わりたい。二十五人がよいとか悪いとかを聞いておるのではない。二十五人の場合でもあなたは適法であると考えるか。憲法違反でないと考えるか。数の問題ではなく、質的に違ってきている。二十五と五十の違いではない。今その議論はいたしませんが、とにかく二十五人であろうと五十人であろうと、これは憲法第十四条に違反をしないとお考えになっておるかどうか、それを聞きたい。
○太田国務大臣 一つの団体がこれこれのことをするということ、たとえば演説の回数ですとかあるいははがきにつきまして程度が違ってきましたが、やっていることは同じでございます。しかして、この団体が広くなったということでございますから、現状において憲法違反でない限りはやはり憲法違反でない、私はかように判断するものでございます。
○竹谷委員 それじゃ二十五人の時代はいかがですか。これは憲法違反でないか。国務大臣は憲法を率先して順守しなければならぬ義務が憲法に明定されておりますが、国務大臣としてしからば現行法は差しつかえないと考えるか。
○早川政府委員 憲法の規定は、公共の福祉なりそういういろいろな観点から基本的人権も若干制限されることを認めておるわけでございまして、そういう意味から申しますと、たとえば政治結社、立候補をある政党からしてはいかぬとか、あるいはかつての翼賛選挙とか、そういう基本的な権利の剥奪ではございません。むしろ、先ほど申し上げましたように、公認候補を認めて、政局安定、二大政党育成という目的のもとにおける制限でございます。合理的な範囲内における制限は憲法違反ではない、こういう考えを持っております。
○竹谷委員 私は大臣の答弁を要求するのでありますが、一応今早川さんから答弁がありましたから、早川さんにもう少しお尋ねしたい。実は第十四条は例外は認めていない。絶対的な規定です。今あなたが例に引かれたのは、第二十二条の「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由」というような場合、あるいは第十三条の「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」、このように、例外として公共の福祉に反しないという条件をつけております。これは、公共の福祉を積極的に増進するためのものではなく、反する場合にはやむを得ずやるというのです。その「公共の福祉に反しない限り」という除外例さえこの第十四条にはない。かりに第十三条や第二十二条のような、公共の福祉に反するからやむを得ず差別するのだとしましても、二大政党を作るということが公共の福祉に一体反するかといえば、そうではなく、これは積極的な公共の福祉の増進なんです。反しないということは増進を含み、また増進でない場合も含むのであって、積極的に公共の福祉が侵害せられる場合を防ぐための規定にすぎない。こういうようなものを類推して、もしかりに十四条に一応その点を適用しましても、それにもこれは該当しない。これは絶対的の規定である。かりに類推しても、あなた方の方の二大政党を作るために候補者に対して重大な差別待遇をやるなんということは、憲法違反でなければならぬ。もう一ぺん大臣の御答弁を要求します。
○太田国務大臣 現行法は議員立法でございまして、当時の国会で審議されて決定されたものでございます。私は、従って現行法が憲法の違反になるというようなことは考えておりません。その他の問題は政務次官からお話し申し上げます。
○早川政府委員 そういった基本的人権の制限が合理的であるか、ないかという問題は、具体的に決すべきものと考えます。このたびの公職選挙法改正の中に盛られました制限は、そういった意味で合理的に許される範囲内の制限だとわれわれは考えておるわけであります。
○竹谷委員 大臣の御答弁によれば、二十五人の場合、これは、国会の議員立法で作ったんだから、憲法違反じゃないとおっしゃられると、多数がとにかく国会で憲法違反の法律を作っても、みなそれが適法なんでしょうか。だから、今度の公職選挙法改正のことにつきましても、多数でもって暴力的にやっても、どんな憲法違反も合法化される、こういうお考えからそういう御答弁になるのかどうかを承わりたい。
○太田国務大臣 決してそういう意味ではございません。
○竹谷委員 そういう意味ではないと言っていながら、事実そういう論理になる。国会できめたんだからこれは憲法違反ではない。あなたに自主性のある見解というものはないのですか。あなたの意見を聞いている。国会の意見を聞いていない。
○太田国務大臣 もちろんそのときに暴力をもってやるとかいうことがあるならば問題でございますが、普通の形におきまして国会を通りましたことは、私はもう当然なことであると考えておるのでございます。
○竹谷委員 大臣は、どうも、暴力を用いなければ、多数で通りさえすれば、いかなる憲法じゅうりんもこれを認めるという発言と私は解釈してよろしゅうございますか。
○太田国務大臣 決してそういう意味で申したのではございません。
○井堀委員 先ほどお尋ねをして、ようやく御答弁も明確になりかけたところでございましたが、もう一度確認をいたしておきたいと思いまするのは、先ほどの政府委員の御答弁の中で、政党の定義についてであります。政党の定義は、今日一般法律の中では政治資金規正法の例をとられておりますが、このほかに、政党に対する法律によって定義を下したものがあるかないか。
○兼子政府委員 政治資金規正法以外に、政党の定義は見当らないと思います。
○井堀委員 そこで、ごめんどうですけれども、この規正法による政党の項を一つお読みいただきたい。
○兼子政府委員 政治資金規正法第三条第一項の規定「この法律において政党とは、政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、若しくはこれに反対し、又は公職の候補者を推薦し、支持し、若しくはこれに反対することを本来の目的とする団体をいう。」このように規定いたしております。
○井堀委員 今第三条の政党の定義が明らかになりました。これ以外には、いずれの法律においても政党の定義がないということも御言明でありまするから、これを一応この際基準にして、一切を判断して質疑を進めたいと思います。 そこで、この今読み上げられました「政党とは」という定義では、言うまでもなくこれは全体の政党を考えてこういう規定が行われたのであるかどうかについては、多少私も疑問を持ちますが、しかし他にそういう法律による定義がないとすれば、これによる以外にないと思いますが、これは、言うまでもなく、第一条にこの法律の目的が明らかになっておりますように、「政党、協会その他の団体等の政治活動の公明を図り、選挙の公正を確保し、以て民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする。」こうあるわけであります。でありますから、これは選挙に限定されたものでないことは言うまでもない。さらに、それが今問題になっております公職選挙法の中の衆議院の選挙に限っておるわけでないことも明らかである。こういう定義をもって政党をここに規定したというところに、問題が一つある。さらに、第三条の二項で、この政治資金規正法の中でいう「その他の団体」すなわちここでは確認団体として両方一緒に扱おうとしております。団体については法律はこういっております。「協会その他の団体とは、政党以外の団体で政治上の主義若しくは施策を支持し、若しくはこれに反対し、又は公職の候補者を推薦し、支持し、若しくはこれに反対する目的を有するものをいう。」この意味から申しますならば、どこにも相違を発見することができぬわけです。ところが、その他の団体というものの中に、先ほど私は労働組合を引例いたしましたが、これはもう厳然たる根拠法がありますことは説明を要しない。そういう法人格を持つ、しかもその目的は労働法その他によってきわめて明確な団体と、今申し上げるような政党または政党に類するような団体とは非常な違いがあるわけであります。それを一本にしたということは明らかになりまし そこで、お尋ねをいたしますが、この法律の団体の代表者について問題があります。たとえば、選挙違反を行なった場合、あるいは選挙法によって制限に反するとかいうような場合に、一方は法人なんです。法人であるものと法人格を持たないものとを一本の法律によって律するということの矛盾は、他の法律の場合と著しく相違すると私は思うのでありますが、この点に対するお考えを一つお聞きいたします。
○兼子政府委員 現行選挙法におきましては、法人と団体の代表者とそれからその中の行為者、その場合に両方を罰するという規定に相なっております。
○井堀委員 私がお尋ねしているのはそういうことではない。異質のものを一つの法律でどう罰するかということです。
○兼子政府委員 今度提案いたしました政党の政治活動の違反、それにつきましては政党の代表者を処罰することになります。その政党のポスターを本来の検印を受けずしてやった場合は、政党の代表者を処罰するということになります。それ以外の規定におきましては、やはり行為者を処罰するということになっております。
○井堀委員 私は、行為者を処罰するという限られた場合においては、比較的問題は少いと思います。しかし、この場合には、この法律は政党もその他の団体も一本にしていることは、くどいほど明らかだ、この法律の中では、いろいろな意味において団体に対する規制がある。これは一つ大臣の御答弁をわずらわしたいと私は思うのでありますが、法律技術の上において非常な困難を生ずる事柄なんです。こういうものに対して適当な御訂正をお考えになっておるかどうか。あるいはこのまま押しまくられるということになりますと、将来いろいろな障害が起ると思いますが、こういう点に対するお考えをお聞きいたします。
○早川政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、この法律では個人の行為自身を罰する規定もあります。また、政党自体がこの法律に違反した場合には、政党の法人格の代表が罰せられる。両方規定しておるのでございます。これは何も法律技術上不可能なごとでもないし、おかしいことでもないのであります。
○井堀委員 今の御答弁によりますと、法人と任意団体と全く同じに扱っていける場合といけない場合とを区別して考えなければならぬことは、いかなる立法例の中にも明らかな点であります。これを無理に御答弁願うことは苦しいことでありましょう。こういうことをお尋ねいたしますのは、あげ足をとろうというのはでない。ここに問題になりますのは、労働組合の場合において特に問題があるからであります。というのは、労働組合が、この法律の規定に基いて、あるいは政治資金規正法に基いて、政党と同じ政治活動もやれるという、ここの言葉でいえば確認団体となることはできるのです。できるけれども、それはその法人の中の一部の職分、任務に関する仕事なのでありまして、法人からいえば、何々営利株式会社でもいいのですが、そんことはあり得ぬことです。たとえば、ある繊維工場、それは定款にちゃんと規定してあるのですから、これは政党になろうといったってなれない団体です。それと同じ意味で、法人格をちゃんと法律で規定しておりますし、また、その法律に従って規約なり定款というものがその行動を限定しておるわけであります。労働組合においては、それが他の法人のように多目的を持っておるわけであります。これは経済活動と政治活動をそれぞれ法律も認めますれば、その団体の規約の中にも明示してあるのであります。従って、この法律によって政党としてのワクを与えたから、それを政党としての同一の質に変化させるということはできないのです。政党はできるのです。その他の団体の場合でありますならば、法的に制限、制約を受けていない場合においては、一応団体の自己意識としては別でありますけれども、法律的には問題になり得ない。そういうものをここで縛るということが、私は、この選挙法のことばかりを考えて、そういう大事な問題を見落しておる、善意に解せばこうなると思うのであります。こういうものに対する法案の修正、改正なり、適当な是正を長官は考慮されているかどうかについて、お尋ねをいたします。
○太田国務大臣 政治資金規正法の第三条に、政党とその以外のものとの本質が、文字の上にもはっきり現われていると思います。すなわち「この法律において政党とは、政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、若しくはこれに反対し、又は公職の候補者を推薦し、支持し、若しくはこれに反対することを本来の目的とする団体をいう。」ここに目的がはっきり書いてあります。しかるに、第二項において、協会その他の団体とは、これこれに反対する目的を有すると書いてありまして、ここに「本来」という字を入れたところに、この立法の趣旨があるように思います。そして、確認団体として運動する場合においての協会その他のものに権能を与えておるのでございまして、二つの区別はやはりはっきりしているのじゃないか、私はこう判断するのでございます。
○井堀委員 その解釈をとりますると、個々の場合においては一応確認団体になり得る資格をこの法律で認めておるけれども、実質的に労働組合は確認団体になり得ないという事実がここに起るわけです。なぜかといえば、本来の使命としてない団体が、一方政党に対しては本来の使命だというあなたの御説明のようになると、これは非常に重大なことでありますから、もう一度これに対するあなたのお考えを承わりたい。
○太田国務大臣 私の申しました政党は本来の目的がかようなものである、片一方の協会その他の団体はこれこれのことをし得る目的を有するというだけでございまして、政党とのかみ合いは、本来このことをするのと、普通の仕事を持ってこういうこともするのとの二つの差に、私は解釈するのであります。
○井堀委員 それで明らかになりました。ここでよし確認されたといたしましても、それが全く政党と同じものになり得ないということだけは明らかだ。それをなり得たものとして、この法律では一切のものを考えておるとこるに、非常に大きな矛盾がある。
○早川政府委員 労働組合法第二条第四項に、本来政治運動並びに社会運動をするものは労働組合から除外されるとあるわけであります。従って、労働組合が臨時的に一つの政治結社を作って選挙運動をやるという場合には、これは政党じゃなくてその他の団体というわけであります。ただし、公職選挙法上、これが五十人なり、参議院選挙で十人という候補者を擁した場合には、確認団体としていろいろな特典が今度の選挙法で認められる、こういうわけでありますから、労働組合と政党は、法律それ自体においても根本的に性格は違っておるのでございます。
○井堀委員 そうすると、労働組合は確認団体にはなれない、こうお答えができますか。
○早川政府委員 労働組合は本来主として政治運動をするのはいかぬとなっておるのですが、付随的に、選挙がある場合に五十名以上の候補者を立てて届出いたしますると、確認団体としての特権を与えられる。ただし、社会党と総評の政治連盟と二つの政党というわけにはいかないということは、衆議院で修正した通りでございまして、また、このたびの選挙法改正においても同じような規制があるわけであります。どちらかということは、これは法律できめた通りでございます。それ以外は何ら選挙法上差別がないということを御承認願いたいと思います。
○井堀委員 事柄は明確になりました。この選挙法の文章の中において、今までは労働団体が確認団体として事実上認められてきておったわけです。ただ五十人、二十五人という資格が満たされれば今までやってきた。今度は、この改正が行われてできなくなる。さっき言ったように、あなたは労働組合法をお読みになったらいい。それが本来の目的とする――政党と全く同じ活動をするという仮定がありますか。こういう関係からいきますと――それじゃ私の方からあまり問わないで、あなたの方の意見を聞きますが、法人格が全然別個で、規正法第三条二項の適用を受けたいというものが出てきたときには、これは認めざるを得ないでしょう。これはどうですか。
○早川政府委員 特に労働組合という名を総評政治連盟と変える必要はない。ただし、公認候補者を選んで選挙運動をやるとなりますと、政治資金規正法の届出はしなければならぬ。また政治資金規正法上のいろいろな制約を受ける。これはやむを得ないのでありまして、それが、選挙が済んでそういう政治目的はもう消えたということであれば、これはまた政治資金規正法の適用から除外される、こういうことになるだろうと思います。政党は本来政治活動を目標にいたしておりますから、選挙という問題を離れても、常に政治資金規正法の規正を受ける、一切の資金を届け出て公開しなければならぬ、こういうことになるではなかろうか、かように思うわけであります。
○井堀委員 それはその通りだと思う。そうすると、ここでもう一ぺん簡単にお尋ねしますと、労働組合は、政治資金規正法の問題は従来通りだから何も関係はない、その通りでよい。しかし、私がここで引例したのは、政党に対する定義がない。だから、この定義を用いたからそこに問題があるのです。労働組合というものは、ほかの法律によって明らかに性格が規定されているわけなんです。これはこの団体になり得るわけです。なり得るが、今度の公職選挙法の改正においては問題がある。この政治資金規正法については、今までもやってきたし、できることは問題がない。しかし、今日の場合におきましては、確認団体という条件はわずかに候補者の数によって、あとは従来通りのものでよいわけです。そうすると、二十五人が五十人になればこれで全く政党と同じ扱いをするということは、何べんも確認してきているわけですから蒸し返さぬ。そうしますと、この場合からいけば、労働組合がそのまま規正法に基いて届出をしてきたときには、これは政党と同じ扱いをするということになるでしょう。この点に対して……。
○兼子政府委員 労働組合が臨時に――組合本来は多目的を持っている。臨時に政治的目的で一定の所属候補者を持って選挙に臨むということになりまして、その一定数が法定の制限を満足いたしますれば、これは確認団体になり得るのです。
○井堀委員 ただそれだけの条件しかつけていない。政党の場合であれば、これは言うまでもない。二大政党を指向するという常識から言うて、あるいは立法の目的から言うて、数的制限が行われれば、労働団体の場合においては、団体自身何も数的な制約を受けるものでなくて、むしろ制約を加えることは労働法の精神にそむくのです。でありますから、これは今まで政治活動をやってきておるものに一方で制約を加えるという問題が発生するし、他方において事実上それを阻止するということになる。今度の改正が労働組合は確認団体になり得ないということを前提にしているなら、それはわかる。だから、もしそれだったら、法律改正を別にいたしまして、提案者のお考えを伺いましょう。この確認団体の中に労働組合を予定しておるかおらぬか。
○兼子政府委員 この政党その他の団体の中に労働組合が入っておるかどうかというお尋ねでございますが、法律解釈上は入り得るわけであります。ただ、たびたび申し上げましたごとく、本来の政党の所属候補者として公認する場合が多いと思いますので、その他の団体が所属候補者を持ち政治活動をする例は考えられないと思います。そのように考えております。
○井堀委員 それでは事務当局の見解はその程度でけっこうでありますが、発案者たる政府としては二大政党を指向するということをたびたび強調されておりますから、これは伺う余地がない。その場合に、労働組合がそういう姿で出てくるということをあらかじめ予定しておるのであるか、あるいは、法律には確認団体になるならばいいということが明らかになりましたが、そういうものは全く予定していないのであるか、その点をお伺いいたします。
○太田国務大臣 二大政党以外に、労働組合といわず、五十人以上の候補者を立てます場合があることを考えまして、この規定を設けたわけでございます。
○井堀委員 そういたしますと、二大政党を指向するということは全く装いであって、本質はそうでない、かように了解してよろしゅうございますか。
○太田国務大臣 二大政党を作り、かつこれを育成するための小選挙区制度でございまして私はほかの政党が出ようとするのをとめる意味ではない。確認団体としては五十人の制限をしたにすぎないのでございます。
○井堀委員 ここで問題になりますものは、いずれにいたしましても、労働組合の場合においては、二つの解釈が成り立つわけである。法律の条文の上からいけば、確認団体の条件さえそろえれば全く政党と同列に扱う。実際的には、この法律の通りにいけば、労働組合というものは政治資金規正法に基く手続は今までやってきしたからやれる。しかし、それがそのまま選挙運動に入れるというのが従来の規定だった。今度の場合は、それに全くシャット・アウトを食うのです。食わないで済むというお考えがあるならば、その点を一つ御説明をいただきたい。
○太田国務大臣 従来といえども二十五人の制限のもとに確認団体となり得、また確認団体としての力を持ったわけでございます。
○田中(織)委員 ただいま井堀委員からお尋ね申し上げている点に関連して、太田自治庁長官に伺いたいのですが、従来は確認団体二十三名という制限であったものを五十名にするということは、程度の差だと言われる意味はわかりますが、しかし、従来の確認団体がやる選挙時における活動、これは、従来の公職選挙法によりますと、きわめて限定されているのです。御承知のように、その選挙区で、選挙期間中に――衆議院の選挙の期間の場合には一回限りの政談演説会をやる、あるいは全国的に二十五人以上の候補者を持っている場合には、政治連盟の宣伝用のトラックが人数に応じて何台か出せる。この程度のことです。ところが、今度の改正案によりますると、そういうことではなくて、非常に広範なる選挙に関する活動ができるというところに、問題は、二十五名を五十名にしたとかいうような問題ではなくて、大きな基盤における変化というものが伴ってきていると思うのです。そういう意味で、ただ単に井堀君は労働組合の例を一つ取り上げておりますけれども、私は、それ以外にも、最近いろいろ中小企業者の団体であるとか、あるいは引揚者の団体であるとか、旧在郷軍人の団体であるとか、あるいは遺族会であるとか、こういうようないろいろな団体が、やはり今度の選挙を目当てにいたしまして、五十名以上の候補者を立てて、政治資金規正法による届出をいたして、確認団体として確認を受けて、選挙活動をやらないとは限らないと思うのです。そうなりますと、問題は、先ほど山田長司委員からも指摘いたしましたけれども、今日国会に議席を持っている――例を率直に申し上げれば、労農党だとか共産党だとかいうような、これはわれわれ社会党なり自民党と同じような一つの政党でありますけれども、全国的に何万、何十万かのやはり党員を持っている党なんです。ところが、そういうところでも、かりにこの法案が通れば、今度の選挙では、五十名以上の候補者を立てなければ確認団体とは認められない。実はこういう取扱いを受ける点が憲法の十四条によるところの差別ということになりはしないかという議論が一つできること。それから同時に、今言うように、わずかな候補者だけの団体であっても、党員が五十名なり百名しかいなくても、極端な場合その五十人の会員が全部公認候補として立候補する、政治資金規正法による届出をやるということであれば、それは、やはり、この法律によって政党その他の団体として五十名以上の候補者を立てれば、確認団体の資格をとって、第十三章の政党に関する広範なる選挙活動の規制を受けないところの政治活動がやられるということになるならば、これは私はきわめて重大な問題だと思う。単に現在おそらく五十名以上の候補者を立てるわれわれの社会党や自民党だけの問題ではなくて私は、これはきわめてわが国の政治の上に、それこそこの小選挙区制によって小党分立、小さい四、五十人の党の政治団体の続出を防ごうという趣旨と相反する結果になると思うのです。そういう点から見て、この点は、先ほどから法律の条文上からいえば、政党もその他の団体も、確認団体としては選挙時においてその活動については何らの差別はできないということは、これは法文の解釈上からいえば当然なことだ。もしそういう解釈を貫いていくとなりますと、私は非常に大きな問題が残ると思う。そこにやはり、政府側においても、あるいは与党の中においても、この小選挙区制を実施して従来と違った政党活動というものを認めるということになるならば、勢い、政党法というようなものを作って、これに規制を加えなければならないのじゃないかというような意見が与党内に出たということは、私は当然の帰結だろうと思うのです。そういう点に立って、根本的にこの問題についての考え方というものを変えていかなければ――二大政党の強化育成をやるのだという趣旨と違う結果が出ることが明らかに予見されるような事態に対しては、その考慮をしなければならぬのじゃないかと思うのですが、この点に対する自治庁長官の所見を伺っておきたいと思う。
○太田国務大臣 第一の、政治活動が非常に広くなったではないかというお言葉でございますが、再三私ども御説明申し上げます通り、今回の選挙法において政党等の政治団体の活動の範囲というものは、従来よりも程度はふえたものもございます。あるいは枚数をふやすとか演説の回数をふやす等はございますが、非常に広くなったという点は、法文の上にもどこにも出ておらないのでございます。 第二の問題として、党員の多少ということと、五十人の候補者を出すという問題とは、関連を持ちません。党員なくとも五十人の候補者を出せれば、この確認団体として認めていいと思います。 第三の、政党法を作るべしということは御賛成でございます。ただし、この際小選挙区制度をしくに当りまして、政党に関し公認制度あるいは運動等に関する限りはこの中に入れておりまするので、この小選挙区制度をしく目的には、政党法が全面的にできなくても実行上さしつかえない。もちろんお言葉のように政党法を早く作るべきものと思っております。
○田中(織)委員 自治庁長官の答弁は、第三点を除いて私はきわめて不満足です。それというのは、お答えになりました特に第一の点は、この改正案の二十四ページにございますように、「政党その他の政治団体が第二百一条の五第一項各号の規定による政治活動を行う場合においては、第十三章に定める選挙運動の制限に関する規定にかかわらず、当該政治活動が当該政党その他の政治団体の公認候補者のための選挙運動となることを妨げない。」ということで、これは、ただ単に従来の二十五名のいわゆる確認団体がやりました政党の選挙時における活動と、程度の差どころの問題ではなくなると思うのです。御承知のように、従来の衆議院選挙の場合における政党活動というのは、先ほど申しましたように、その選挙区における一回の政党主催の政談演説会、それと、全国的に二十五名に一台ずつの何台かの宣伝用のトラックを出せる。もちろんそれ以外に政策浸透等のポスターは張れます。いわばその三つであった、ところが、先ほどから滝井君等が申し上げておりますように、いわば政策浸透、自民党を支持して下さい、社会党を支持して下さいという意味における戸別訪問類似の行動もできれば、候補者の名前を入れたポスターをその政党が張ることも今度は許されてくるわけです。従って、これは、従来の選挙法によって認められた政党の選挙活動というものと、程度の差はなく、質的な大きな範囲を拡大したことになると思う。その点において自治庁長官の御答弁は私は納得できない。 それから、第二番目の、確認団体の党員が何名あるかということが確認団体の条件にはならないということは、それは法文上はその通りだと私は思う。ところが。その通りであることが私は問題だと言うのです。極端な例は、自治庁長官がお述べになりましたように、五十人の候補者、それだけしかその団体は構成メンバーがなくても、その五十人が全員そこで公認候補者として立候補するということであれば、お互いの政党のように全国に何十万、何百万の党員なりあるいは支持者を持つ、特に具体的にいえば、何十万かの党員を持って、現に国会に何百名かの議員を持って政党としていろいろ政策の立案から、それを実現するために大局的な見地に立って切瑳琢磨しておるそういう政党と、でき星の何か特定の目的のために結合したところの選挙目当ての団体とが、同じ確認団体として同等の取扱いを受けるような実質的な結果というものは、いわゆる二大政党の発展強化というようなことではなくて、結局幾つかの政治勢力が分化する結果をもたらすのであります。この点についての法文上の解釈は、あなた方がお答えになっておるような解釈をとらざるを得ないと思うのです。得ないと思うのですけれども、問題は、そこの根本的な点にさかのぼって考え直さなければならぬ重大な問題を含んでいやしないか、私は、すぐここでこの点についての長官の結論を伺おうとは申し上げておるわけではないのであります。しかし、少くともこの法案を国会で最終的な態度をきめるまでの間に、政府自体としてこれは考えなければ、提案説明に言われた二大政党の育成、政局の安定というようなことには、結果的にならないということを申し上げておる。この点について長官の重ねての御見解を伺いたいのであります。
○太田国務大臣 第一点につきまして、私の言った言葉は、党員がなくともと言いましたが、所属団体員でなければなりませんので、もしそういうふうに速記がありましたならば、その点は訂正申し上げておきます。 それから、政治活動と選挙運動とが、今回の場合におきましては非常に密接な関係になって参りました。その運動方法等につきまして私が程度の差と申し上げましたが、その点につきましては政府委員から詳しく御説明申し上げます。
○早川政府委員 田中委員にお答えいたしますが、このたびの改正で、なるほど前の選挙法と違いまして、確認団体は前の政治活動よりもはっきり選挙運動ということで、たとえば十回の演説会、はがきを五千枚、ビラを二千枚、ポスターを二千枚、それに何々候補を頼みますということを書いてもいいというように、はっきりそれだけはできるようになったわけでございまして、これは、たびたび申し上げましたように、確認団体のみに許しましたゆえんは、政党本位の選挙を助長する、二大政党というものを助長して政局全般の安定をはかる、こういう趣旨から出ておるのでございまして、その点は、そういう大目的のもとにおける差別でございますから、われわれは、先ほど申したように、憲法違反ではない、こういう解釈をとっておるわけであります。
○田中(織)委員 どうも、早川政務次官並びに太田自治庁長官の答弁は、私の申し上げようとする趣旨を理解されておらないように思います。私は関連でありますからこれで終りますが、幸い与党側の幹事長の岸信介氏も見えておりますから、政府並びに与党でよく考えていただきたいのは、ただいまも、早川政務次官が、二大政党の対立、これを育成強化するという建前で小選挙区制をとり、同時に政党の活動を大幅に広げることに、選挙時における政党活動というものを拡大することにしたのだ、その趣旨はその限りにおいてはそれでいい。それと同じ趣旨によって、われわれは、お互いに党を作って切瑳琢磨しておるのですから、私はそれでいいと思う。ところが、今度の法律で、政党以外の――これは労働組合もありましょう。それ以外にいろいろな職能団体というものが出てくると思う。その場合に、構成員が五十名以上あって、その五十名が全部公認候補になる場合においても、われわれの党と同じように、確認団体として広範な政治活動と選挙活動というものが認められるという点は、結局において、この二大政党の育成どころではなくて、きわめて不合理な結果を招来する。この点は一つは立案に当った二大政党の育成強化という点と矛盾する内容を含んでおる。もう一つの問題は、先ほどからわが党の山田委員なり竹谷委員等から盛んに指摘されておりますように、五十名という数に制限することは、それ以下の立候補者を立てて国政に参画しようとするところの政党に対する大きな一つの政治活動、選挙活動に対する制限という問題を含んでいる。片一方においては非常に幅広く認めるかと思えば、片一方においては、今日国会に何名かの議席を持っておる政党がおる。全面的に何万か何十万かの党員を私は持っておると思う。そういう党が、万が一今度の選挙に五十名以下の候補者しか立てられないというような場合には、それは、確認団体としての、この選挙法上の何らの特典が与えられないということは、不公平な結論が出てくる。こういう矛盾を、私は、やはり、この法案を最終的に衆議院としての態度を決定するまでの間に、これは、われわれ社会党だとか自民党だとかいう党の立場を離れて、日本の議会政治、政党政治というものを発展させるという見地からいたしまするならば、ここに、この根本的な問題について配慮を加えるべき問題を含んでおるのではないか。今これについてすぐどうかということの返事は伺うことは無理だと思いますが、私の申し上げている点を十分理解されれば、御考慮願うべき筋合いの問題だと思うのです。重ねてくどいようでありまするが、この点に対する自治庁長官の御所見をお伺いいたします。
○早川政府委員 御質問の趣旨は、単に五十名という公認候補を立てれば確認団体になるというのではなく、一歩進めて党員の数ということも考慮すべきじゃな、か、そうしなければ、たとえば党員の数は多いが、候補者は立てられないという政党に不公平ではないか、こういう御質問だと思うのでありまするが、これは、党員の数という制限までいきますると、私は、選挙法の改正というよりも、さらに一歩を進めまして政党法というところまで突き進めなければならないと思うのであります。今回は、選挙上立候補者ということで、確認か非確認かをきめていこう、こういう次第でありますので、御趣旨の線は、今後政党法というようなものがもし将来考慮せられるならば、あわせて考慮いたしたい、かように考えます。
○原(茂)委員 今の問題に関しては、きょうはもう時間がないそうですから、後日また続けて御質問したいと思いますが、先ほど総理大臣がここに来られて、私どもに重要な回答を寄せたまま帰っていったのです。そこで、大臣もこの考えに同感かどうか、一つお伺いしておきたいのです。さっき、総理は、われわれの質問に対して、終るまぎわに、あなた方と話し合いの上で、別表、いわゆる区画ですが、区制に関しては修正する用意がある、こういうことをはっきり答えられたわけですが、大臣もどの程度にかあるいはそういうお考えがあるか。当然総理がそういう回答があった以上は、大臣としてもそういうお考えがあるべきだと思いますが、いかがですか。
○太田国務大臣 私が総理大臣に直接聞いた言葉におきましては、国会が修正するということは、これは私の言う限りでない、こうおっしゃったと思います。それは当然なことであると思います。
○原(茂)委員 それは速記を見ればはっきりするのですが、そういうふうには絶対に言ってない。あなたはだれから聞いたのか知らぬけれども、早川さんもそこに一緒におられたのですが、そういうようなことをはっきり言ったのではない。絶対にない。そうではなく、要約して言うと、あなた方と話し合いによっては区画――区制ですが、区制を修正してもよいと考えています、こう答えておるわけです。これはもしあなたがほかのように聞いておるというならば、あすもう一度総理とあなたに来てもらって、総理にもう一度確認をしてから、回答をしていただかなければいけなくなりますが、ともかく今の大臣が聞いたということとはおよそ違いますから、一つ、この点に関しては、委員長、明日総理を呼んでもう一度確認をするという前提で――実は明日に質問を留保することはけっこうでありますが、大臣の言われたことはまるで違いますから、はっきりと一つ認識を持っていただきたい。
○早川政府委員 お答えいたしますが、私はそばで聞いておりましたが、総理の言われたのは、国会で話し合いで区画割りを修正されるということであれば、これはけっこうですというわけで、これは、当然、政府の責任者として国会で御修正になることは何らわれわれとしては差しつかえない、こういう意味でございます。誤解のないように……。
○原(茂)委員 今政務次官は誤解のないようにと言ったが、私の方でも誤解のないように一つしてもらいたい。それでは、明日総理を呼んで、もう一度この点の確認をしてから、大臣とお二人の間に食い違いがあるかどうかを確かめたい。
○井堀委員 団体の選挙活動についてはいろいろと長時間にわたって御回答をいただきましたので、大体了承ができたのでありますが、きわめて重大な点について一、二まだお尋ねをいたしたいことがございますが、時間の都合もありますので、一問だけお尋ねをしておきたいと思います。それは、先ほど来の質疑応答の中でだんだん疑問が重なって参りましたように、公職選挙法としてこの改正をやろうとするところに非常に複雑なものを感ずるのでありますが、この提案趣旨に盛られておりますように、また質疑応答の中で提案者側の意思が明らかになってきましたところを、私どもはこのように考えます。この際、こういう法案については、むしろ衆議院議員の選挙法といったような法案の出し方が適当ではないかと考えますが、提案者側としてこの点に対する配慮がなされたかどうか。
○太田国務大臣 端的に申しまして、衆議院議員選挙法とした方がよいと私は考えました。その点につきましていろいろ考えましたが、結局のところ抜き出していくということが非常に複雑な問題でございまするので、公職選挙法の中で小選挙区に関する衆議院選挙の問題だけを直していこう、こういう考え方に変ったのでございます。もちろん考え方としては別個にしてよい。少くとも衆議院という立場は大きいのでございますから、その考えは私は同じでございましたが、今回そういうふうにいたした次第であります。
○井堀委員 今長官から御答弁がありましたように、公職選挙法として改正をいたそうといたしますると、一事不再議のような問題も非常に大きく出て参ります。しかしこれを衆議院の選挙法という形でお考えになりますならば、私どもはもっと考え方も変えられると思うのでありまして、いずれ、本日は何でありますから、この点についてはまた引き続いてお尋ねをいたしたいと思います。
○小澤委員長 次会は明十九日午前十時より開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十八分散会