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24回国会衆議院1956/04/17

公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第20号

発言数
92
登壇者
9
会派数
2
開催日
1956/04/17

会議録

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の公職選挙法の一部を改正する法律案、中村高一君外三名提出の政治資金規正法の一部を改正する法律案、中村高一君外四名提出の公職選挙法の一部を改正する法律案、以上三葉を一括議題といたします。  質疑を継続いたします。古川丈吉君。

古川丈吉自由民主党

○古川委員 政府委員にお伺いいたしますが、選挙制度調査会の性格について一言お伺いしたいと思います。選挙制度調査会というのは、総理府設置法という法律の根拠に基く委員会と思いまするが、この委員会は政府の諮問に応ずべきものであって、その結論は尊重しなければならないものでありますが、採用するとしないとは政府の任意であるべきである、また、場合によっては、結論が一つに出なくても、そういうことがあり得るのだ、こういう工合に解釈をいたしますが、その点はいかがでございますか。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 選挙制度調査会の設置の根拠は、総理府設置法の第十五条の規定によりまして存置されておるわけでございます。その第十五条の規定によりまして、設置の目的は「内閣総理大臣の諮問に応じて国会議員の選挙及び地方公共団体における選挙に関する制度について調査審議する」、このような目的を持っておるのでございます。それに基きまして、選挙制度調査会令によりまして、調査会の組織運営等が規定されておりますので、この性格は、総理府設置法第十五条の第一項の規定によりまして、内閣総理大臣の諮問に応じて調査審議することにあるのでございます。従いまして、その調査会において得ました結論の答申をされましたものにつきましては、内閣総理大臣はこれを尊重するということは当然のことであろうと思います。ただ、しかし、その答申の内容について、まるまるそれに従わなければならないかどうかということにつきましては、法律上は、諮問機関でありますので、政府といたしましては、その答申を参考にして政府の考え方をきめる、このような法律上の性格であろうと思います。

古川丈吉自由民主党

○古川委員 私もただいまの兼子部長のように解釈をいたしておったのでありまするが、この問題につきましては、御承知のように、本委員会で社会党の諸君から非常に意見があった。まず第一に、構成のメンバーが非常に不公平だ、こういうお話がありました。しかしながら、この前の委員会で私も申し上げました通りに、政党代表としては自由党、民主党おのおの二人ずつで、自民党で四人、しかも、社会党は非常に数が少いにもかかわらず、島上善五郎君、鈴木義男君、中村高一君、森三樹二君の四人の委員が出ておられた。こういう点から見ますと、社会党に不利だというよりも、むしろ社会党の方々が率からいうといいんだ、よけいに出ておるんだ、こういう解釈を私はいたすのであります。また委員会の審議の経過で非常に運営がまずかった、こういう議論がありましたけれども、私はこの速記録を拝見いたしますると、委員会としては十分の審議を尽されておるようであります。しかしながら、社会党の諸君は、この委員会の構成がいけないのだ、委員会の運営がまずいんだ、こういう議論を一方にされておられると同時に、また委員会の結果を尊重すべきであると言われる。答申したことの内容に対して非常に尊重の程度が少いのだと言われる。ここに明らかに社会党の諸君が言われるのに矛盾がある。委員会の構成並びに運用がけしからぬということ、しかもその議事の結果がほんとうの委員会の結論でないのだ、こういうような趣旨の議論を長々とされたのでありますが、そうおっしゃることと、そのきまったこと、いわゆる社会党の諸君の言う一方的にきまったことを尊重しろということとは、はなはだ矛盾がある。この点は一つ社会党の諸君にもよくお考えを願いたいと思うのであります。  それから、社会党の諸君には、政府提案を前提として、その補いとして社会党の公職選挙法の一部改正案を出されたわけでありますが、そのたびごとに、自民党並びに政府は永久政権をはかっておるのだ、こういうことを非常に攻撃されておるようでありますが、私は、この点について、いささか社会党の御意見を伺いたいのであります。永久政権というようなことは、社会党の諸君は間々口にされますけれども、われわれは決して永久政権というようなことは考えておりません。二大政党対立で自民党が政権を担当する。その次には社会党が担当すべきものである。ただ、現在の両党間の政策というものはあまりにかけ離れておるから、なるべく接近して、イギリスにおける二大政党のごとくなりたい、こういうことがわれわれの希望であります。そういう考え方を持っておりまするが、社会党の諸君は、一たん自民党の政権になりますと、なかなか政権はとれない、永久政権を作るようなものだ、ことに小選挙区制度はそれの裏づけだ、こういうような議論をされます。その中でも、佐竹委員のごときは、極端にその議論をこの間長々とせられたわけであります。しかし、小選挙区制をかりに今実施いたしまして、自民党が多数を占めるにいたしましても、その政策がまずいならば、これは必ず国民は次の選挙には社会党に投票するのであって、もしもその次にやはり自民党を支持するというならば、これは、自民党が悪い結果ではなくて、国民の方が自民党の政策を支持するものである。社会党が自民党の永久政権というようなことを言われるのは、天下の公党として一つ大いに反省しなければならぬと私は思う。あなた方はいつまでも野党でいる気持でおられるのか。少くとも、どんな区割りを作ろうとも、選挙には勝つだけの一つ自信を持ってもらわなければいかぬと思う。今までの議論をずっと聞いてみますと、社会党は少数党である、小選挙区制にすると社会党が減る、しかも政権はなかなか社会党にはこない、こういうようなお考えのようでありますけれども、社会党は、少くとも、天下の公党として、これは政党である限りは政権をとるということが目的でなければならない。それにもかかわらず、そういうような議論に終始されておる。選挙区の区割りの問題にいたしましても、あるいは、御承知のように、たびたび政府当局から御説明のありました通りに、四百七十七選挙区のうちで、三百六十区までは選挙制度調査会の案とそのままであります。その残りの百十何ぼというものは、政府当局の説明を聞きますると、なるほど調査会の案がまずかったと思われる点が多々あるわけであります。非常に選挙区の区割りの問題が攻撃されておりますけれども、私は、その数におきましては、問題の区というものは非常に少いと思う。これは、国民とともに、われわれ委員も十分認識しなくちゃならぬことだと思う。問題の選挙区というものは、あとの百十何区の中でもほんのわずかのものであります。しかも、その問題になっておることろは、一方では自民党のだれだれのためのものであるとおっしゃるけれども、その反面には、必ず社会党のだれだれが不利だということがつきまとっておるわけです。たとえば、静岡県の何区でありまするか、遠藤三郎君と勝間田君と——遠藤君のために作ったとおっしゃるけれども、これは一方においては勝間田君に対して不利だ、こういうことなんだ。こういう考え方でなくして、やはり将来の日本の選挙制度としてどうあるべきかという根本問題を私は考えなくちゃならぬ。たとい現在の個人には有利、不利でありましても、これは、選挙制度というものは将来的のものでありまするから、どんな選挙区であっても、社会党がやはり勝つだけの自信を持って、また勝つべき政策を立ててやらなくちゃいかぬ。その点は一つ社会党の諸君に大きなる反省を求めたいと思います。  それから、選挙区のことで申し上げましたので、非常に誤解を受けておる選挙区に、宮城県の一つの選挙区があります。この問題は、本会議でも、社会党の代表者として中村高一君が言われましたが、大石君のおやじさんの墓があるところであります。こういう話がありましたが、その点はまた新聞でもそれが報道され、朝日のごときは、石越村でございましたか、わざわざ地図を書いておるような状態である。しかしながら、この問題も、政府当局から話を聞いてみると、そういう関係がないようであります。その点はいま一度はっきりと政府当局に伺いまして、そのことを社会党もやはり認めているかどうかを、一つ、途中でございまするが、伺いたいと思います。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 まず第一に、選挙制度調査会の構成が公正であったかどうか、運営がまずかった点があったかどうか、結果の答申を尊重したかどうかというようなお尋ねでございましたが、選挙制度調査会の構成につきましては、これは委員を三十五人、臨時委員の定員を五人にいたしまして、実際任命がありましたのは三人でございますが、三十八人の委員会で、関係の国務大臣、これが三人、それから行政機関の職員で官房長官が一人、それ以外、学識経験者といたしまして、国会議員が、先ほどお尋ねにございましたように、当時まだ統一合同以前でございましたので、当時の自由党が二名、民主党が二名、それから左派が二名、右派が二名、緑風会が一名、合計、国会議員として、国会から学識経験者として九人の方々に委員に御就任願い、学者が五人、それから評論家と学識経験者十七人、そのような構成でできておるのでございます。決して、初めから、賛成とか不賛成とかいうような角度から、委員をお願いいたしたのではないのであります。  なお、この調査会は、先般の御質問にもございましたように、これは小選挙区制をとるかどうかという選挙区制全般から御論議をお願いしたわけでございます。  それから、運営につきましては、総会を昨年七月までに六回、小委員会を十二回、起草委員会は、最後に昨年の十二月に小委員会で具体的の区割りを起草委員にお願いしようということになりまして、起草委員会は前後十一回、さらに小委員会において修正がつきまして、それぞれ一名あての増員が行われましたので、そのときに起草委員会をさらに開いたのでありますが、そのような運営をたどりまして、総会におきましては、最後に御承知のごとく若干の混乱があったのでございますが、われわれといたしましては、選挙制度調査会としては、その目的とする内閣総理大臣の諮問に応じて調査御審議をいただいたもの、このように考えております。また、その結果の答申につきましては、小選挙区制をとる、それから選挙区の数と申しますか、議員定数を四百九十七人とするという原則につきましては、これは調査会の答申通りでございます。ただ、調査会の方におきましては、一人一区制を完全にとったのでございますが、政府案におきましては、御承知のごとく二十の二人区を設けております。これにつきましてはたびたび申し上げた通りでございます。  それ以外、選挙の公正確保に関する事項といたしましては、選挙制度調査会の答申の通り、政党中心の選挙に移行せしむるようにいたしております。なお、政党の公認制度につきまして、あるいはまた選挙に際しての政党の政治活動が選挙運動にわたってもいい——小選挙区制の採用からいたしまして、当然政党の政治活動と選挙運動の区分が非常に困難となりますので、政党の政治活動につきまして選挙運動にわたっていいという方針を、総会の答申の通り採用いたしております。それ以外につきましては、立会演説会につきましては、その後の政府の検討の結果、これは廃止をいたすということにいたしたのでございます。それから、投票所の増加、開票区をできるだけ広くする。これは町村合併等で一部この理想が実現されつつありますが、考え方といたしましては、今後投票所の増加というものをできるだけはかっていきたいというふうに考えております。  それから、政治資金規正の合理化につきましては、御承知のごとく第十九国会以来いろいろと論議された問題でございますが、政府といたしましては、いまだ成案を得るに至っておらないのでございます。あっせん収賄罪に関する答申につきましても、これは、技術的にはなはだむずかしく、いまだ成案を得るに至っておりません。それ以外のいわゆる連座制強化の問題でございますが、これは、調査会の答申におきましては、現在ついておりますおとりの免責規定を削ってしまうという答申でございますが、理論的に考えますと、非常にまれな場合でございますが、やはりおとりによる免責規定は置かなければならぬような事例があるのではないか。理論的に出納責任者、総括主宰者の無過失責任を候補者に負わせることはどうであろうかというような見地から、この連座制強化の世論にこたえるために、附帯公訴の制度によりまして、選挙犯罪に関する訴訟の促進をはかりますとともに、連座制の強化の方途を講じ……。(「法律を出しておらぬじゃないか」と呼ぶ者あり)法律はできるだけ早く成案を得て御提案をするという考え方でございます。  それから、選挙制度調査会の答申につきましては、根本精神はこれを十分尊重いたしました。ただ、よく議論されておりますのは、いわゆる区制の問題でございますが、これは、結果的に見ますと、たとえば町村合併の村を、調査会の答申におきましては、合併すべきであるという立場から、それを入れておりましたのを、その後の事態から見てはずすというような措置を講じました。その一つの村の動かし方によって選挙区は二つ動く。結果的にはそのような形になるのであります。  それ以外に、調査会の答申を政府案において変えました考え方の点は、たとえば、六大府県、神奈川県とか愛知県、それから兵庫県、このような府県において、大都市の人口がふえて、周辺の人口がそれほど——神奈川県などは逆に増加しておりますが、それから減らなくても、相対的に、県の定員を確保するという考え方のもとに、郡部の定数が減るという結果を調査会の答申においては来たしておるのでありますが、これは府県別に定数を確保するという精神からいって反しますので、市と郡部との間に、調整のいわゆる混合区と申しますか、そのようなものを設けまして、片方の増加と片方の減少を合せる、このような措置を講じておるのであります。さらに、人口の面からいいますと、調査会は、中小都市の人口が少しく大き過ぎましても、これはできるだけ、都市の一体を確保するという思想でおりますが、政府案におきましては、大きな人口のところはできるだけなくすという方針のもとに、沼津周辺の区と、それから兵庫県の西宮、芦屋の選挙区、これは兵庫県第六区、静岡県第五区でありますが、このようなものは二十六万から二十五万台に引き下げております。そのような同様な思想のもとに、政府案におきましては、人口にできるだけ重点を置いて処理いたしております。そのような関係から異同を来たしておるのであります。  それから、最後にお尋ねの、宮城県の石越村の関係が、ある委員の墓地に関係があるかないかという問題でございますが、一部新聞に報道されましたのは誤まりでありまして、石越村というのは王造郡の方に合併しなければならぬ。——駅付近の水道等の関係から、どうしても合併して隣の選挙区に入れるというような観点から、石越村を除きましたほかの関係町村で合併が進行しておりまして、石越村だけは合併から取り除いて隣の郡と合せなければならぬ、このような状態になっておりますものでありますから、政府案におきまして修正いたしたのであります。

鈴木義男日本社会党

○鈴木(義)委員 古川委員の御質問は、こまかい点を除いては、主として社会党に対する御質問でありますから要点をつかんでお答えをいたしておきます。  第一に、社会党は、この内閣の置いた選挙制度調査会は構成がけしからぬじゃないか、こういう主張をしておる、そしてそれが出す結論についても攻撃をしておる、それは矛盾しておるではないかという御質問でございますが、第一に、選挙制度のようなものを調査いたしまする場合には、もはや確信的に小選挙区を主張するような人はしばらく避けて、これを客観的に制度として調査研究をしておる学者のようなものを主として入れて構成することが、大切なことと思うのであります。しかるに、われわれから見ると、すでに三十八名のうち絶対多数である。つれは、最小限度に見て二十五名以上は、初めから小選挙区を熱心に主張し、かねてそういう議論を発表しておる人で、中にはそういう促進会というものをこしらえて運動しておる人も入っておるのでございまして、最初はそういう人を委員長にして一気呵成にやろうという形勢が見えたために、私どもは、少くともそういうあまりに熱心に実行運動に参加しておる人が委員長となってこの会議を指導することはよろしくないということで、中立的な人といっても結局賛成者でありますが、かえていただいたのであります。そういういきさつを持っておりまして、この委員会はどんなに長く調査をいたしましょうとも、出てくる結論は小選挙区をやるべしということにきまっておることは、遺憾ながら出発の日にわかっておったのであります。そこで、問題は、いい結論を出してくれればまだよろしいのである。ところで、私どもは、小選挙区というものはまだ日本には早いという議論でありましたけれども、かりに、この調査会において、最も公平な機械的あるいは数学的な基準に基いて、わが国を四百六十七ならば四百六十七、あるいは四百九十七ならば四百九十七にお分ちになるということであれば、これまた決して不都合な結論ではないとして、その点については攻撃はしなついもりであります。けれども、われわれから見て相当議論の余地がある。この委員会の結論というものは私は尊重いたします。政党的な影響を受けたというようなことは決して申し上げたくはありません。ただ委員諸君は選挙に経験のない方々ばかりであります。ことにこの五人の起草委員になられた方は、そこで悪意なくしてああいう結果になったと思いますが、たった一つの例をとってみましても、福島県におきまして郡山市というところ——郡山市を取り巻いておる安積郡という郡を切り離して、郡山市と離れておる田村郡と、ヒョウタンの先のような郡を結びつけて、これを一つの選挙区にしておるのであります。後にこの区割りについては一つ一つ詳しく検討をいたすつもりでありますから、ただいまは例として申し上げるのでありますが、福島県の場合で申しますならば、田村郡と石川郡というものは、昔から地理的に歴史的に一つの区画であって、小選挙区としては一つであったものであります。しかるに、どういう関係か、田村郡というものを郡山市というところに結びつけてみたり、今度は、政府案においては、安達郡という、安積郡を飛び越えて別な郡と結びつけたのでありますが、それも三ヵ村だけである。安達郡から非常に強い抗議がわれわれのところに届いております。こんなばかげた選挙区をこしらえられてはたまらない。石川郡とか岩瀬郡とかいうものをまた一つの選挙区にしておる。これは申し上げたくありませんが、ここはあの代議士の当選するところ、ここはあの代議士の当選するところというふうに予定されておるように見受けるのであります。この結論は、大体調査が進みましたならば、われわれに諮って総会の議に付して、そうして一つどういう基準を設けて——イギリスのバウンダリー・コミッションのごときは、ちゃんと、法律に近いもので、どういう基準で区割りをきめるということがきまっておるのであります。それに基いて、しかも政党に関係のない——衆議院議長だけは政治家でありますが、あとは純然たる技術家が四人任命され、そうしてその基準に基いて区割りをきめておるのであります。そういうものをきめてわれわれが御委任をしたならば、この起草小委員会がお作りになる案について文句を言おうとは思わないのであります。必ずこれは一つ小委員会におまかせするけれども、小委員会で小選挙区をとるべしという結論がもし出るような場合には、総会に報告をして、総会において、しからば小選挙区の区割りというものはどういう基準でやるべきかということをきめてほしい、こういうふうに注文をつけておいたのであります。しかるに、小委員会は、それをまかされるや、もはや小選挙区はきまった、今度は区割りをきめるのだといって、起草委員を選び出してしまって、そして熱海やいろいろなところへ行って区割りをこしらえたのであります。これは、私どもから言うと、はなはだしく軽率でもあり、僣越な行動であった、かように考えておるわけであります。しかも、その結論たるや、たとい良心的におやりになりましても、政治及び選挙に経験のない方方がありますから、この原案を出した者がだれであるかは、私ども若干疑いを持っておるのでありますけれども、とにかく悪意なくして妥当なる案ができなかったということは、これはやはりやむを得ないことだと思います。私どもがその点を攻撃することは少しも矛盾しておらない、こう信ずるわけであります。  それから、社会党は、この小選挙区法案は自由民主党の保守永久政権を目ざすものである、こういうふうに主張することは間違っておりはせぬか、こう言うのであります。永久という言葉はいろいろに使われるのでありまして、ここでは一つの形容詞として使っておるのでありますが、保守政権がここで五年あるいは十年わが国の政権の座を占めることは、わが国にとって非常な革命的な意味を持っておる、私どもはかように考えまするがゆえに、これは国家のために重大である。党利党略のために社会党は小選挙区に反対しておるのだ、こういうふうに一言目には仰せられるのでありますが、断じてそういう気持はありません。もしこれが真に国家のためによいものであるならば、しばらく不利益でも、私どもはがまんするだけの雅量を持っておるのであります。(「それはどうだかわからない」と呼ぶ者あり)どうかお聞き下さい。これは大事な点です。今世界の大勢をお考え下さいますならば、世界の三分の一は共産政権によって支配されておる。残っておる三分の一は社会主義政権が座についておる国々であります。そうして、イタリアでもフランスでも、共産党というものは合法政党としてりっぱに存在して、相当有力なる政党になっておる。皆さんは一体この選挙区法案を作った後にどういう結果が現われてくるかをお考えになりましたか。社会党が小さくなることは、まずしばらくがまんするとして、共産党は一人か二人出てくることができるか。おそらくは全滅でありましょう。共産党というものを全滅させることは、果して日本のためによいことであるかどうか、よく一つお考え願いたいと思うのであります。私は、戦時中百人をこえる共産党員諸君を法廷において弁護いたしましたるがゆえに、よくわかっておるのであります。当時は、わが国を改革する者は、直接行動、地下工作、暴力革命のほかにもはやないと信じ切って、みな命を的にしてやっておったのであります。しかるに、終戦に直面してポツダム宣言を受諾した結果、ともかくも民主政治がここに芽を吹いてきた。そうして議会で事がやれそうだ、実は不肖私もそう思って終戦後出てきた一人であります。ところが、この小選挙区案というものが通った場合を考えますると、おそらくは、ここで五年、あるいは長い目で見る人は十年と見ておるのですが、社会党が大きくなることはできまい。社会党が大きくならないことはどういう意味を日本に持つか。私はやがては大きくなると思うが、選挙制度調査会の皆さんがおっしゃった通り、鈴木君がまんしたまえ、しばらくは不利益だが、今に自由党などは絶対的小数党になる、三十三年間社会党内閣が続いておるスエーデンのようになるぞ、そこまで持っていけばいいのだからがまんしたまえ、こういうことを言いました。けれども、遺憾ながら……、(「それは永久政権じゃないか、前の話と矛盾する」と呼ぶ者あり)いや、お待ち下さい。ここ三年、三年、五年というものは、他にかえがたい日本にとっての大切な時代であります。ここでもはや健全な野党たる社会党が出ていかない、出ていっても絶対少数であって、四百名をこえるものが自由民主党の諸君であるということになりますれば、せっかくここで議会主義によって一つわが国の改革、革新的な政策を実行しようと念願した者は、みな背を向けるのであって、すでにそういう気分が促されつつあるのであります。(「実行できる政策というものはそんなものじゃない」と呼ぶ者あり)皆さんはそうお考えでありましょうが、選挙にしばらくは絶対に勝てないとわかりますならば……。(「それは国民の判断だ」と呼ぶ者あり)  そこで、先ほどから、どんな選挙区をやっても、お前たち勝てるような政党になれということを古川君はおっしゃった。まことにけっこうな議論です。けれども、ああいうふうに馬のくら型にしてみたり、あるいはいろいろな選挙区をこしらえて、それでもなお勝てというのは、これは御無理というものであります。かりに、機械的にしても、たとえば私の選挙区である福島県について申し上げますならば、われわれはどの郡でも四割近い票をいただいている。その結果、今の選挙区でいきまする場合には、最高点またはその次の点で当選ができているのであります。ところが、もしこれを小さい選挙区にいたしますならば、どの郡でも絶対少数でありまして、そして市長、村長も、県会議員も、(「それは議論のゲリマンダーだ」と呼ぶ者あり)それからいろいろな役職についている村、町のボス諸君も、みんな自民党でありまして、こういう人を相手にして、そして買収ということを行わずに選挙をやる。一方では慢性的に買収をやっており、そして一方では公明な清い正しい選挙をやっておる。それで勝てるならば、むしろ奇跡であるといわざるを得ない。そこでどうしてもしばらくこれは社会党が逼塞をするということを考えなければならぬ。それが、日本の政治にようやく望みを嘱して、議会主義で一ついこうとしておりまする政党の成長を、ここ三年、五年——まず十年と見ている人が多いのでありますが、そういうことをやることは、再び陰惨な、地下にもぐるほかないという感想を与えるのでありまして、私は、日本国家のために、そういう制度をとることは許すことができない。わずかの間がまんしろと言うが、そのわずかの間がかけがえのないわずかの間であるがゆえに、死力を尽してこの成立を妨げたい、かように考えている次第でありまして、よくその点を一つ御了承願いたい。  そこで、いま一つのあなたのお問いの中に、社会党がどんな選挙区でも当選できる自信を持てというのでありますが、これから努力、開拓、啓蒙して、五年後、十年後には必ずどの選挙区でも勝って見せますが、しかし今出してきたたった一つの選挙区でも、万人が見て、こんな不公平なことがあるか、あまりにも利己主義的な区割りであるということでありましたならば、これは許すべきでないとともに、多数党であられる皆さんも、一つ自省、反省されなければならぬと考えるのであります。そういう選挙区の実例は幾らでも申し上げることができますが、それは区割りのときに申し上げることにいたしまして、どうかぜひその点は大政党の雅量を持って一つ反省をし自粛していただきたい、かように存ずる次第であります。

古川丈吉自由民主党

○古川委員 選挙制度調査会の構成の見方につきましては、私と鈴木さんとの見方が違います。また選挙制度調査会の起草委員の方々が、今鈴木さんからの話でも、事情のよくわからない方だ、こういうことでありますから、選挙制度調査会で答申されたその原案も、必ずしも適当でないということは、あなたもお認めと思います。その点よろしゅうございますか。

鈴木義男日本社会党

○鈴木(義)委員 いや認めたというわけにはいきません。

古川丈吉自由民主党

○古川委員 いや、あなたも、専門家じゃない、しろうとだ、だから選挙制度調査会で起草した人もわからない人が多いのだと、あなたは言われた。そうすると、その人々の答申というものは全面的に信用すべきものではない、こういうことだと私は思うのです。それでいいのですか。

鈴木義男日本社会党

○鈴木(義)委員 そうです。

古川丈吉自由民主党

○古川委員 それならば、政府が全面的に採用しなかったのは当然だと私は思います。この問題はこの程度にいたしておきましょう

鈴木義男日本社会党

○鈴木(義)委員 それで黙ってしまったのでは困る。それじゃだめです。質問をするがごとく、せざるがごとく、卑怯なやり方ですから……。基準をきめずにやったのがいかぬと私は言うのです。こういう基準で区割りをしよう、その基準に対して私どもが賛成をし承認をしたならば……。(「人口を基準にしてやっている」と呼ぶ者あり)人口の基準だけではありません。たとえば一人区にするとか、二人区の例外というものをわれわれは考えていなかったし、そういうことはできないのです。それが一番いけないのです。基準をきめずにやったのでは、必ずそこにわがままな姿意が入るのであり、委員諸君は悪意なくしてそれに乗ぜられるおそれがあった、こういうことを私は申すのです。どうかよく御了承願います。

古川丈吉自由民主党

○古川委員 基準を示されなかったということが唯一の根拠のようでございますが、七人の委員の方はそれぞれ常識のあるりっぱな方々であるから、公平にやられただけであって、基準を示されなくたって、必ずしもそれが不公平とは言えないと私は思います。  それから、永久政権の点で御質問申し上げましたが、私はまだ徹底しない。あなた方社会党の政策がいいならば、次の選挙で必ず勝てるはずなんです。負けるというのは、社会党の政策が悪いからです。きのうの公開討論会で岸幹事長が言っておる通りに、この選挙法が通りましても、すぐ選挙をやるわけではない。あなた方の政策を国民に徹底させるだけの時間の余裕がある。福島県の話をいつもあなた方は委員会で言っておられるようであります。福島県では社会党に四割の投票があるけれども、小選挙区にするとみな死んでしまう、こういう御議論のようであります。けれども、四割が五割五分になるように御努力されたらどうですか。それでなければ、いつまでたっても、自分たちの泣き言のようにしか聞えない。そういうようにしか考えられないわけであります。どうぞ、社会党は、天下の公党として、大政党として、それだけの大きな考え方でやってもらいたいと私は思います。それから、この委員会を通じて、この法案についての審議の経過を見ますと、社会党は、ただいま申しましたこの小選挙区によりますと、死票がたくさん出る、社会党が非常に減る、この二つの心配が先のようであって、小選挙区がよいか悪いかということはその次になっておるような感じを持つのであります。小選挙区制度そのものに対しては、政府当局からも説明がありました通りに、制度としてよいという意見がかなり強い。社会党の幹部の中にもそういう意見の方がたくさんあったことは、御承知の通りであります。今度この法案が出て、当初、社会党の諸君は小選挙区制に反対である、こういう工合に私たちは考えておったわけでありますが、きのうあたりの討論会を聞いておりますと、小選挙区制度は必ずしも反対じゃないのだ、ただ区割りの問題だというような印象を強く受けたわけであります。社会党の側としては、やはりあくまでも小選挙区制度に対しては反対なのか、その点がまず一つ。それから、委員会の経過で皆さん方の御意見を拝聴しておりますと、激減ということを非常におそれておられる。蝋山先生から、比例代表制度を加味しろ、そうすればある程度緩和するというような強い意見が出ているようであります。しかし、この問題につきましては、小選挙区制というものは、政府当局が説明をいたしております通りに、政策本位で争うのであって、比例代表制をそれに加味すると両制度の特徴を互いに発揮できなくなる。私たちは、むしろはっきりと、この小選挙区制により政策本位で争ったらよいという考えを持っているのでありますが、社会党の諸君は、現在もなお小選挙区制度そのものに反対だ、またそれに比例代表制を用いることがよいという意見なのか、その点をはっきりしていただきたい。

鈴木義男日本社会党

○鈴木(義)委員 第一の御質問は、社会党は四割から五割五分も取るようにしろという御希望のようでありますが、それに対してのお答えをしておく方がよいと思います。不肖私が初めて選挙に立ったときに、福島県全体で社会党の獲得した票は十一万票、第三回目になって約十八万票くらいになり、昨年の選挙で三十万票になりました。それに十年かかりました。社会党の主義、政策というようなものを農村地帯の皆さんに理解させるためには、これだけの時と、そうしてその間非常な努力を傾けておる次第であります。会津若松という保守的な町があります。あの町で私に最初与えて下さった票が百票、第二回の選挙に三百票、その次の選挙に千票となり、その次の選挙で三千票となり、昨年の選挙では、私だけでなく、社会党系の人に入れてくれた票が一万二千票、そのために自由党の有力なお方が落選になりまして、お気の毒に存じておりますが、最初百票から出発して一万二千票にこぎつけるのには、なみなみならぬ努力をして啓蒙運動を続けること十年であったのであります。どうかそこをよく御記憶願いたい。これから、われわれは、十年かかるならば、そうやってごらんに入れる自信を持っております。けれども、その間は、わが国にとって取り返しのつかない五年間であり、十年間であるということを先ほどから申し上げているのでありますから、よく一つお考えを願いたいのであります。  それから、死票が多くなる。これは、小選挙区制度の特徴であり、やむを得ない宿命的なものである。これは、選挙制度調査会でも、学者のお方方、評論家のお方々も、われわれを慰められるために仰せられたのである。ここが気の毒ではあるがよいところです。そこで勝敗がはっきりきまってしまうからよいのだ。それはわれわれも認めます。けれども、イギリスのように、二大政党ではほんとうに二人しか立たないということが約束されるならば、この死票もある程度がまんしてよいと思います。自由党が公認しなければ、すでに社会党の方に進歩的なお方でお入りになりたいと言っている方は喜んで大量に歓迎して入れて、自由党よりも社会党の方を大きくしたいと考えておりますが、それは別としても、とにかく必ず第二党、第三党ができます。そこで、三分の二まで死票になってしまうような結果が現われるのでありまして、投票した者は非常に失望するのであります。失望するだけでなく、もはや社会党に入れてもだめだということで、地すべり的に時の政権に入れるという情ない傾向を持っているのであります。そういう点を考えると、この死票が多いということが小選挙区制度の致命的欠陥でありますから、われわれはぜひこれを避けるように努力、しなければならぬ。蝋山君が出されたあれは、アメリカの学者が、人間が考えた選挙制度の中で一番進歩したものだと批評しておりますが、あのドント式比例代表制度を加味した選挙区制、たとえば福島県から七人の代議士を投票によってきめて、残った五人は、比例代表式に死票を数えて、三十万票の死票が出たならば、四人は社会党に与えるというふうに調節をしようというのが、蝋山君が提案した修正案であります。それを正式に出そうとしたというのに葬ってしまったので、私は、それだけでも、調査会は実に非合法な結論を出したとして抗議をせざるを得ないのであります。  それで、制度に反対であるかないかということは、政治家として論ずる場合には、今目前の日本というものを考慮に入れて言っておるのであります。永久に、学者として制度がよいか悪いかということを論じておるわけではないのでありますから、私は、今の日本で、このままの形で小選挙区制を採用することは時期尚早である。それだから反対である、こういうのでありまして、制度に反対なのか、区割りに反対なのかというような御質問は、的を逸しておると存ずるのであります。

古川丈吉自由民主党

○古川委員 ただいままでは、前提でなく、総括的なことをお伺いしたので、個々の質問についてはたくさんあるのでございまするが、時間が非常におそくなりましたので、本日はこの程度で質問を打ち切りたいと思います。あとはまた具体的に機会を見てお伺いすることにいたします。

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 この際暫時休憩いたします。     午後零時二十二分休憩      ————◇—————     午後二時二十八分開議

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。井堀繁雄君。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 さきにお尋ねをいたしました政治の公明化並びに民主化を指向するためには、その選挙それ自身が公明でなければならぬことは、前会以来すでに明らかになっておるところでありますが、その際一番私は選挙を冒涜するものが、選挙事犯の統計資料で明らかになりましたように、金銭、物品、情実などをもって相手の自由を取引するといったような、いわゆる選挙法にいう買収犯、その問題を解決することなくしては、いかに公明選挙運動を展開いたしましても、とうてい理想に達することはできない。これはあまりにも明白なことだと思うのであります。この点について、今回の選挙法改正においては、いずれの点から見ましても、これを解決する何らの措置を私どもは見出せないことを、非常に残念に思っておるわけでございます。この点について一、二前回もお尋ねいたしまして御回答を願っておるのでありますが、私どもは、この問題のよって起る根源につきましてやはり究明する必要があると思う。前回も触れましたように、選挙それ自身は選ばれる人と選ぶ人との両面があるわけでありますが、この場合、選ばれる方、すなわち候補者の立場からいたしますれば、勝負に必勝を期すということのために、勢いそこには手段を選ばないという弱点があるわけであります。この点を、選挙法は、一方には取締り、他方においては啓蒙宣伝等による二つの方法が一応考えられ、このことは長く叫ばれてきておりますけれども、今日容易にその効果をあげることができがたい現状にあるわけであります。そこで、今回の選挙法の改正の中で重大な点は、この個人の弱点を、組織なりあるいは党の介入でそれを改善することが意図されておるかに拝見をいたすのでありますが、この点に対して前回一、二お尋ねをいたしましたけれども、明快な御説明を伺うことができなかった。この点について、本日はやや具体的な資料をもってお尋ねをいたして参りたいと思うのであります。まず、そういう原則的な点について、今回の改正の中にどういうふうに考慮され、それがどういう効果を見通しておいでになるかについて、御返答をいただきたい。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 申し上げるまでもなく、買収の悪いことはだれも考えるところでございます。井堀委員も申された通り、これを取締りで締めていくか、または啓蒙開発でいくか、こういう二つの点がごいます。私どもといたしましては、小選挙区そのものが、取締りの上から申しましても、私の言う目は光り耳はきく、この意味におきまして、狭い範囲になりまするから、各人の用意もしかるべきものであり、取締りもよくなると思います。しかし、何よりも大切なることは、何としても、イギリスの制度などを見ましても、イギリス国民の習慣もありまするし、国民性もございますが、国民そのものが選挙に対しましてりっぱな成績をあげているのでございます。私は、こういう意味におきまして、啓蒙開発という点が最も重きを置くべき点だと思うのでございます。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 そこで、啓蒙開発の問題でありますが、今度の改正の中で、どういう方法をこの中に期待しておりますか。条文の中でもしその考え方が明らかになっておれば、お答え願います。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 法律の条文としては、その項目はございません。しからば、予算でもとって啓蒙開発運動をするか、こういう問題になりまするが、これは法律の通りましたあとにおいて十分考えたい。もちろん、政府が直接啓蒙運動をするというよりも、とかく間違いも起ってはいけませんので、党そのものがこの点につきましては啓蒙運動をしていくことを期待しておるのでございます。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 今回の改正法律案の条項にはそのことを考慮されていないということが明らかになり、さらに党の組織を通じてこのことを計画しておるというお答えでありますが、それはどういう方法であるかについて、お答えをいただきたいと思います。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 党の行動をどうするかということは、この場合の私の申し上げる問題ではございません。ただいま、私は、党においてかくのごとくすることを期待すると申し上げたのでございます。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 党に期待するということは、申すまでもなく政党の民主的な発展に期待するという意味だと思うのでありますが、この点に対するお答えをいただきたい。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 今回の小選挙区制度は、私が申し上げたように、かつての場合と違っておりまするので、国民によく政党政治、特に政党の確固たる発展ということを期待するために、小選挙区制度がいかに必要なものであり、国民はいかに考えてやったらいいかということを説くのが、むろん目的の第一の眼目であると思います。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 国民の方の側についてはあとでお尋ねをいたしますが、選ばれる方の側の候補者、ことに、今回の改正の意図するところは、個人から党の公認制確立に関する点を強調いたしておるようであります。党の公認制を確立することがその目的を達成するであろう方向を私は決して疑うものではない。これと今回の小選挙区との関係が重要であろうと思う。小選挙区制と現在の中選挙区の場合に、一体、党の組織が、どれだけ、選挙の公明化、政党の民主化の成長と並行して、そういう機能がどこに期待できるかについて、長官の見解を伺っておきたいと思います。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 申し上げるまでもなく、この小選挙区制度のもとにおいて、党の重要なる役割を占める問題は公認候補の問題であります。同時に、政策をいかに政党として選挙区内に浸潤させるかという問題であって、この二つの問題に力を置くべきものと思います。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 そこで、政党がその政策なり、主張、主義というものを有権者に日ごろから徹底せしめ、選挙の際集約的に投票の上に国民の期待を集中していくということは、何人も疑う余地のないことでありますが、その方法が、私どもの従来の経験やあるいは諸外国の事例などを調べますのに、これは機械的な論断は困難だと思うのであります。今すぐここで日本のようないろいろな客観的な諸条件をどう把握するかということによって、多少の相違はあると思います。そう現実把握に大きな開きがあろうとは私は思わぬわけでありますが、そういう前提でお伺いするわけであります。もし間違いがあれば、そういう点を指摘していただいてお答え願えれば、けっこうでありますが、現在われわれが日本の国民の政治に対する意識水準と申しますか、こういうものを一応前提にして考えます場合には、よほど政党それ自身が国民の信頼をかち得るような実質を明らかにしていかないと、政党の方から押しつけて党を信用せいという主張は、これはかなり無理な——無理というよりは、そういう押しつけは決して目的を達する役に立たない、のみならず反撥するおそれがある、こういうふうに私は見ておるのであります。そこで、具体的なお尋ねを一、二いたしますが、政党それ自身の——これは私は決して他党を言うのじゃありません。私の所属している政党をも含んででありますが、今日二大政党を指向する先がけとして、自民党と社会党の二つの政党の場合を限定して考えます。前回総理大臣にお尋ねをいたしまして御回答を得たことは、あなたも本案を説明するに当って強調いたしておりますことは、政局の安定。その政局の安定は、言うまでもなく二大政党の形においてという、この二本立の主張でありますが、現在の二大政党のうちで、総理は政策の近似性を一つ問題にしました。いま一つの問題は、イデオロギーを取り上げておりました。なるほど、政策の上において必ずしも相反するものとは私は思いません。その程度の問題に対する見解はあると思いますが、今日の二つの政党の政策の点で、あなたは、一体、近似性が認めがたいので、今日の二つの政党の形において二大政党の発展は期しがたいと思うのであるか、このままで十分であると思うか、イデオロギーの点についても一つあなたの所見を先に伺っておきたい。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 むろん政党そのものも生々発展するものでございます。現在の政党の把持しておるところの政策につきましても、常に研さんを怠らず、国民の信頼に沿うような、国の発展するような政策をともにともに進めていくことは、申し上げるまでもございません。それが、総理大臣の申された通りに、ともに近似性を得るに至るというのは、現在の状況におきまして、たとえば甲という政党の保守的なものを、もっと進歩性を持たすとか、あるいは乙という政党が理論に走って実行にうとい場合があるとしたならば、実行に進むようにするとか、こういうことによりまして、両方の政党の政策の近似性というものは次第に得られることと思うのでございます。私は、こういう意味において、現状においての問題はいろいろ離れている点がございますが、結局練磨されたるイギリスの国会における政党の運用のごとくに、両方が近似性を持って実行し得る進歩的な政策に進むことは、たとえば最近におけるイギリスの住宅問題等において見る通りであろうと思うのでございます、

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 イギリスの例が引き合いに出されましたが、政策の点で、イギリスの労働党と保守党、日本の社会党と自民党の関係を引き合いにするものと思うのでありますが、その前に、私のお尋ねしたことに対して、一つあなたの見解を率直に聞かしていただきたい。それは、現在の社会党の政策についても御研究なさっておいでになる。私どもも、自民党の政策について、印刷物ではありますが、拝見して、ある程度了承しておるつもりであります。この二つの党の政策の点について、イギリスの場合と日本の場合との二つをとって、あなたはどのように御判断なさっておりますか。あるいはイギリスと比較しなくてもけっこうでありますが、日本の二つの政党の政策の近似性について、将来は別ですが、現状においてはどのような御判断を下しておりますか。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 現状における批判につきましては、私は一個の党人としての考えを持っておりまするが、ここに、この選挙法に関連して、自由民主党が社会党とどういうふうに違っているかという、外交なり内治についての全面的の批判をすることは、私は差し控えたいと思うのでございます。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 強く要求しようとは思いませんが、これは、総理も、二大政党を指向するために、またこの選挙法の改正、ことに小選挙区を期待する建前では、二大政党を指向すると言い、その二大政党を架空のものに考えるということは、これは政治としてあり得ぬと思う。現存している二つの政党の政策の近似性を口にする限りにおいては、またこういう法案が二大政党の存在を前提とする限りにおいては、他党の政策を批判することはよくないと思う。そのことまで要求するのじゃありません。ただ、政策上全く相いれないものであるか、あるいはその近似性は、一体、現在において小選挙区を指向した場合に、今の二つの政党でその点がどういう関係を起してくるかということはきわめて重大だと思うので、提案者側としては、現在の社会党の政策と自民党の政策とは、現状において小選挙区制を採用することによって、何らの矛盾が起らないとお考えになるか、あるいはその矛盾はある程度他の方法によって適当な措置を必要とするということになるかは、非常に重要なことだと思いますので、何か私隠して引っぱり出すように疑われてはなりませんから、そういう意味でお尋ねしておるのです。近似性について、提案者側として、この法案に関係のあることでありますから、その点に対する率直なあなたの——あなたというよりも、政府の見解を承わっておきたい。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 二大政党がどうやって近づいていくかという問題につきましては、もちろん、次の政権をねらうべき野党といたしましては、国民に対しまして実行性のあるいろいろな問題を考えるでしょう。また、一方、政権を維持しようとする政党は、その政策におきまして、国民のために、また国家の発展につきまして、しかるべき政策を立てていくことと思います。そして、国民のために国家のために考えるならば、互いに実行性を帯び、互いに進歩性を帯びて、近似性を持ってくる傾向のあることは、いなめない事実であると思います。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 現在の二つの政党に対するはっきりした見解を、この際どうしても聞いておきたいと思います。現実にある二つの政党の政策の近似性につきましては、あなたも今お答えの中にちょっと触れられたのですが、二大政党を指向するということは、やはり、国民の自由な批判の中において、一つの政党が国民の信頼を失った場合には、これにかわって政局を担当していくというところに、交互に政権が交代しても国政の上に非常な変化を来たさない、激変しない、また激変があってはならぬという意味での政策の近似性が論ぜられると思うのです。ところが、現在の、相手方の現存しておる社会党の政策について接近しがたいものだというお考えであると、要するに本案の提案に対しての考え方をやはりはっきりしなければならぬ。それは相手に隠してかかるというお考えであれば、これはまた別なんです。この点をはっきりあなたの方としてはお答えいただかなければ、前提になっておりまするあなたの説明に、私はいろいろな疑いを差しはさむわけです。一つはっきりお答え願いたい。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 問題がいろいろ現実の問題に入って参りますが、私は、政治が議院内閣制をとる限りにおきまして、投票する国民の側から申しますれば、どっちの政党がいいかということは、どっちの政党の政策がいいかということによって判断が行われることと思います。現状におきましてもだいぶんな開きを持っておると思いますが、結局の判断はそこへいきまして、その判断におきまして、国民としては実行し得る進歩的なものをねらいとしていきますから、もちろんこれは政党としても考えなければならない。現状においてかりに違っておる点がありましても、その方向において二大政党の線は進んでいくものと、私は信じておるのでございます。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 あなたは答弁を非常にあいまいにされますが、これははっきりする必要があるのです。提案者側であるあなたが、ほかの言葉をもって言えば、何も永続政権をお考えになっておるはずはないと私は思って、お伺いしておるわけです。だとするならば、相手方の政党に政権が——あなたは国民に責任を転嫁されましたが、むろん決定は国民がするわけであります。そんなことはわかり切った話です。しかし、あなたがここで二大政党を指向すると言う以上、政策の問題に対して、他党はどうでもいいということではないと思います。相手方に干捗するのではなくて、切磋琢磨——これはお互いに接近し合うという言葉を総理は使っておられました。これは当然のことだと思います。だから、現在の社会党の政策では、とうてい政権を託することを相手方の政党としてはできないというお考えがあれば、これはやはりはっきりしておかなければならぬ。国民がそれを認めるか認めぬかということは、これはおのずから別の問題であります。だから、その点に対するあなたの見解を率直に聞かしてほしい。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 政策につきまして、今までの各国における議論を見ましても、たとえば経済政策において自由貿易主義と保護貿易主義があるとか、あるいはイギリスにおいて国有論と非国有論とあるというように、いろいろ考えが違っております。私の申し上げるのは、永久政権なんということはむろん考えちゃおりません。互いに国民に向い、また国家のためにする政策を考えていくのでございますから、それが、今まで、二大政党に参ならぬ前には、かつて似たような政党の間にも分れておりましたが、政策も調整いたしまして、最大公約数的に二つの政党にまとまったことは申し上げるまでもありません。その二つにまとまった政党が、国民のために、国家のために、いろいろなことを画策するのでございまして、互いに練磨してやっていく。たとえば、保護貿易と自由貿易の議論におきましても、イギリスにおいて二つの政党ができた過去の歴史を申し上げるまでもなく、また現在のアメリカの政党においてもこの点が現われておりますけれども、それは、結局、そのときの、その国民の、その国の発展につきまして、その時というものを中心として、いろいろな政策が出てくるものと考えるのでございます。固定的に何の問題はどうかということは、私は政策の生きていく道じゃないと思います。政策は生々発展するものと考えております。現状における社会党と自由民主党の考えをここに批判することは、私としては避けたいと思います。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 私ははなはだ不満に思うのであります。あなたはここに提案理由の説明をいたしておる。また、法案の内容は、小選挙区制を施行するということの大きな理由として、二大政党を指向する、それは、しかも、個人の対立ではなくて、政策の対立だと言っている。選挙になれば、当然相手方の政策を批判するにきまっておる。個人が批判する場合と違うのである。この場合は一応政党のそれぞれの政策を批判するという立場を前提としての提案である。その場合に、相手方の現存しておる政党——十年先にやるとか、三十年先に選挙法を実施するというのではない。この選挙法が通過すれば、必ず、次の総選挙には、この選挙法の上に立って戦いをするということが前提になっておることは、言うまでもない。その場合に、現在の社会党の政策——そう先のことまで言わなくても、今の政策について言うことを逃げることは、卑怯だと思う。それを私は何も無理に答えさせようとは言わぬ。それをあいまいにするなら、私は逆なことを聞きたい。答弁なさらないでけっこうです。それでは、今度の法案がいかに現実に即さないかということを、あなたがみずからここに答弁する結果になる。今の中選挙区、大選挙区、小選挙区は、長所、欠点はそれぞれあるわけであります。だからその長所が最も効果を発揮する時期がある。その客観的条件がそれにマッチするかいなかがある。これはどの場合だって同じことです。小選挙区は、どこの国に持っていっても、いつの時代においても、それが正しいという主張はだれもしないはずです。ある時代には中選挙区がいいかもしれない、ある時代には大選挙区がいいかもしれない、ある時代には小選挙区を用いる、こういう前提は現実の問題に当面しているわけでありますが、お答えにならなくてけっこうです。そうすると、相手方の政策の批判を中心にしてやるということのためにこの選挙法の改正がある。小選挙区制をねらうというのはそこにあるわけです。提案者自身が、相手方の政策に対して、しかも相手方の政党の代表者が質問をしておるのに、それに対する答弁に苦しむというようなことは、この法案の前提になりまする二大政党とは、一方の政党を否定しての考えであるか、ただ表面政策と政策の争いという形に小選挙区を結びつけて、実際は他に目的があるのだ。この二つに帰するのであって、もしそういう私の断定に不安をお持ちになりますならば、何を遠慮することがありますか。相手方の政党に対して近似性が認めがたいので、これは力でこうこうするという議論も生まれるかもしれません。あるいは切磋琢磨を選挙の中において行うという以上、これを明らかにする必要があるのですが、お答え願えなければけっこうであります。  そこで、次に私が伺いたいと思いますのは、あなたも不安があるからではないかと思いますけれども、従来中選挙区のこういう問題に対する特徴は、三人なり四人、五人といったような候補者が、一地域の有権者に、もちろん政策を掲げて争いはありましょうけれども、やはり人に対する問題、あるいは党の鋭い対立というものをある程度緩和するというところに、中選挙区の味が出ている。小選挙区はこれを否定しているわけです。政策本位、しかも現実には二つの政党が分れておる。こういうわかり切ったことがお答えいただけぬということは、私の疑いがますます深くなってくるので、疑ってはいけませんから聞いたのであります。  そこで、次にお尋ねをいたしますが、私は、今日の政党に対しては、国民はいろいろ疑惑を持っていると思うのであります。あなたは、提案理由の説明の中で、「わが国の政治において最も必要なことは、政局を安定せしめ、国民多数の支持を持つ政党を基盤とする政府が、責任をもって内外にわたる政策を遂行することにある」と言っている。私はその通りだと思うのです。そうでなければならぬと思うのであります。そこで、こういう表看板を打ち出した以上は、内容もこれとマッチしているかどうかをわれわれは吟味しなければならぬ。それで今お尋ねしたわけであります。これは、実は、だんだんとこれから私どもが内容についてお尋ねしていくことによって明らかになろうかと思いますが、今日あなたが言われるように、国民多数の支持を持つ政党ということは、ただ投票をかき集めるということではなくて、政策の是非を国民に批判してもらって、その政策のいいものに投票をもらう。それに近い案でなければならぬ。その理想とくっついたものでなければならぬことはいうまでもない。ところが、現在の政党が国民の信頼を得るかいなかという政策上の問題についてはお答えがいただけなかったので、次に進みます。政党の政策の次にくるものは、何といっても、政党をガラス張りの中で国民が批判の自由にできる状態に置いておかなければならないことは、言うまでもない。政策はある程度表に出せる。しかし、団体でありますから、その団体の運営に一番重要なことは、党を維持していくための経費の問題であります。このことをこの前ちょっとお尋ねをいたしまして、そのために資料を提供していただきました。あなたの方からお出しになりました資料について、ちょっとこの前お尋ねしたところ、まだお調べにならなかったようでありますが、きょうは調べができておるだろうと思いますから、お尋ねをいたします。前回にも申し上げましたように、ここには民主自由党、社会党、労農党、共産党、この四つの政党の政治資金規正法十二条の規定による届け出しの上から出た数字だけが出ておりますが、これは最も重要な部分だと思う。この数字の上から見ますると、実に大きな金額が第三者の寄付及び献金によっておるわけであります。その献金がどういう性質のものであるかということが、この規正法の十二条による届出を要求しておる精神であることは説明を要しない。そこで、その内容についてこの前は触れなかったのですが、資料がまだ届いてなかった。ここに、政治資金規正法改正参考資料ということで、国の補助金あるいは負担金、交付金などを受けておる会社その他の団体、また金融機関——これは政府の金融機関でありますが、それの直接保護を受けておる団体、会社、あるいは国が法律によって資金の全部または一部を出しておる会社、あるいは国から借入金あるいは利子の支払いに対する補償をしておる等々、ここに八つの国との利害関係が直接にある団体等を出しておるわけであります。これと両方あなたはごらんになったと思いますけれども、ここに政党に献金しております大口の会社、団体がこの両方に関係しております。もしあなたがこれをごらんでなければ、事務当局からお答えをいただいてもいい。この点に対する関連しておる団体がどのくらいあるか。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 政治資金規正法の改正参考資料というものをお手元にお配りしておりますが、このうち、三十六ページの五「国又は公共企業体と請負その他特別の利益を伴う契約を締結した会社その他の法人の例」、この(1)の「国と請負契約を締結したもの」というのは、請負の事実を調べますから問題ないのでありますが、四十四ページの(2)の「公共企業体と特別の利益を伴う契約を締結したと考えられるもの」、日本食堂とか帝国ホテルとか弘済会、日本交通公社、日本通運株式会社、一応私どもの調べといたしましてはこういうものをあげておりますが、これは、特別の利益を伴う契約を締結したかどうかという点につきましては、一応こういう資料をお手元に差し上げておりますが、なお、特別の利益を伴っているかどうかということについては、さらに個々具体的に検討を要する点がございますので、あらかじめその点を申し上げておきたいと思います。  それから、お尋ねの「政治資金規正法第十二条の規定により提出された昭和三十年における収支報告書の要旨」という印刷物につきまして、請負その他の会社で、現行法上特別の利益を伴うものがあるかないかという問題でございますが、十一ページの日本通運株式会社というのは、先ほど申し上げましたように、その契約におきまして特別の利益を伴っているかどうかということは、なお検討を要する点がございますが、一応こういうものが入っております。それから、十二ページの下から三番目の鹿島建設株式会社、これは防衛庁、農林省と請負契約をやっております。それから、十七ページの一番上の日立製作所、これは文部省、農林省と請負契約をやっております。それから、十八ページの第一物産株式会社、これは農林省と請負契約をやっております。それから、二十五ページの日本通運、これは先ほど申し上げた通りであります。それから、三十八ページの日立製作所、これは文部省、農林省と請負契約をやっております。それから、四十五ページの下から五番目の磐城セメント株式会社、これは農林省と請負契約をやっております。四十九ページの下から二番目の日立製作所、これは先ほど申し上げた通りでございます。以上でございます。     〔委員長退席、山村委員長代理着席〕

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 選挙部長は自分で出した資料をよく調べてない。まだどっさりあります。飯野海運の問題もありますが、一応こういう両方を突き合せてみますると、なるほど、それが直ちに法律上問題をかもすか、かもさぬかを私は今お尋ねしようとして言っておるのではないが、少くとも今ここにあげられておりまする八つの関係は、それぞれ国と経済的なつながりを持つことだけは疑いのないところであります。その経済的な関係も、間接ではなく、いずれも直接関係を持つ事柄に重点があるわけでありまして、これは、言うまでもなく、こういう団体なり会社から、あるいは政権を担当しておる政党、あるいは次に政権を担当する立場にある政党に——二大政党になれば当然そうであります。さらに、それが野党であっても、立法あるいは行政の監督、あるいはそれぞれの国会の機能を通じて、そういうものに利益を与えるような処置というものが避けがたいことは、言うまでもないわけであります。それを計画的にやるか意識的にやるかは別問題であります。あるいは無意識のうちに行なっても、あるいはそういうことを全然考えないでそういう行為をいたしましたにしても、それは、献金する方の側においてそういう意図があれば、今日法律的な言葉をもっていえば、贈賄、収賄の関係において、受ける方はそういうものに何らのあれがなくても、贈る方の側においてそういう意図があれば、これまた問題がある。それから、両方にそういう野心があったとするならば、これは許されざることであります。こういう関係がここに問題になってくるので、いずれの国の例も資料を出してもらいましたが、こういう問題に対して非常に潔癖であるところが、国民の政党に対する信頼をつなぎとめる一番大事なことではないか、日本の政党としてはこの点はよほど注意を要すべき点ではないか、このように私は考えておるのであります。この点に対する政府の見解を伺っておきたい。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 政治献金につきまして、政治資金規正法第十二条の規定によって提出されましたお手元の収支報告書の政治の寄付金は、政党の運営に対してそれぞれの団体あるいは個人から寄付がなされたものでありまして、これは、政治資金規正法第二十二条の規定によって寄付の制限を受けておらないもの、すなわち選挙法の第百九十九条の規定に該当しないもの、かように解しております。  それから、国民が、政治資金に対しまして、何と申しますか、政党は特定の目的を持つ政治上の寄付金を受けては、国民の政党に対する信頼が薄らぐではないか、というような御趣旨の御説と拝聴いたしたのでありますが、政治上の献金につきましては、やはり政党の衝に当る者は十分その辺に注意をして、国民から疑惑の目をもって見られることがないようにしなければならぬと考えております。政治資金規正法は資金を公開するという目的を持つわけでございますが、今後、国民の政治道徳の向上と申しますか、そういう点において政党の持つ責任というものは、非常に大きいものがあろうと考えております。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 これは、もちろん規正法の命ずるところによってそれぞれ処理されておりますから、違法行為があるかないかを私は聞いているのではありません。ただ、あなたは、今説明の中で、会社の名前が出ておりますけれども、個人の資格でと言っております。これは、個人の名前が書いてあるのも団体の名前が出ておるのもあるが、その点はどういうことになっておりますか。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 寄付者の名前でございますが、法人の場合と個人の場合とあるわけでございます。届出の実体によってそれぞれ報告書が作られておると思います。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 個人の場合は、これはまた考えはおのずから別だと思うのですが、こういう会社団体の名前で公然と寄付をしておることは間違いないということになっておるのです。政府の関係するそれぞれのもの——今あげられたのが幾つかありましたけれども、数の問題ではなくして、そういう事実があるということだけを確認しておきますが、そういう団体会社から多額の金を受け入れているということは、間違いのない事実なんです。そこで、それが現在の日本の法規に抵触するかしないかということよりは、今あなたがお認めになっている、そういう団体から多額の金を受け入れなければ党の運営ができないということ自体が、政党自身の悩みでありますが、そういう寄付を受けたり、あるいはしたりする関係であります。この関係は、団体の場合においては、すなわち会社なり法人ですが、株式でもけっこうです。その場合には、団体の性質にもよりますが、営利社団の場合においては、取締役とか重役を構成する執行権を持っておるものが株主の委任を受けてやる——その行為は商法上のものだと思うのですが、その会社の場合に一般に問題になるのは——これは法律的にいうのではありません。政治常識の上からいいまして、そういう会社というものはもちろん重役のものでもないわけです、法律的にはあるいは所有権は株主にあるかもしれませんけれども。しかも、この団体の中には、全く公的な性格を持つ団体がかなりある。私有財産ではない。そういう財産が政党に献金されるということは——法律上は許されるかもしれませんが、こういう資金というものが、党を運営する場合に、浄財として一体認められるかどうかという点に対して、太田長官のお考えを聞いておきたいと思います。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 問題は政治資金を公明に調達するということにあると思います。不公明なる調達は悪いと思います。アメリカのごときは、法人から寄付は一切受けてはならぬと、個人に限っておりますが、私は、その個人に限るという法構成の点は別といたしまして、公明なる資金の調達である限りにおきましては、差しつかえないものと信じております。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 あなたは今私の質問の先をお答えになったのですが、こういう団体会社で疑問のあるものから政治献金を受けないような法律構成をお考えになっておるかどうかを、お聞きいたします。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 結局、資金を受けるのに強制的に受けるかあるいは無理をするか、これは法律に反することでございましょう。そこで法律を破ってまで取るかということになりますが、この意味におきまして、無理に取らずに、浄財として取る場合には私は差しつかえないと思います。また強制的にある組合から取るというような問題も考えなければならぬ問題で、結局は、清い金が無理をせず支持する人から入るというように流れていくならば、差しつかえない、私はかように思っております。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 私があなたにお尋ねしましたのに対していろいろお答えいただきましたが、あなたは、公明な手続を経て取ればいいとか、あるいは強制しなければいいとか、清い金であればいいとかいうような御説明がありましたが、清くあるかないかということは、受ける方と出す方の側だけで判断されることではなくて、第三者の——特に、政党の場合においては、先ほど来論議してきているように、国民が審判をするのですから、強制したかしないかということは——強制ということは、暴力をもって強制することは何人も否定するのでありますが、利害をもって強制することは、なかなかそう簡単に判断できるものではない。たとえば、アメリカのごとく、あるいはその他二、三例がありますが、個人の金は一応浄財として許すケースを作っている。団体のものについては、あるいは会社のものについては、その判定がいろいろ問題を生むから、法律でこれを禁じている。あなたは、一方では政党の小選挙区における役割を強調しておられるわけであります。この問題に対してお考えがあるはずでございますので、この点に対してもう一ぺんお考えを聞かしていただきたい。これは、選挙部長にお答えいただくのは無理だと思いますので、太田長官からお答えいただきたいと思います。お答えできなければできなくてもいいのですよ。ただ、先の方でお尋ねするのですが、何かひっかけるようなことをしてはいけませんから聞いているのです。こういう二つの資料をあなた方から出してもらったのですから、こういう資料による金が入っていることは明らかになった。疑問の点が明らかになった。こういうものを今後認めていくか、排除していくかという考え方を聞いているわけです。このままでいくというお考えならば、お考えでけっこうです。排除するならばするで、今やらなくても将来考えるならば考える、それでもけっこうです。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 公明なる調達方法ならば私は何ら差しつかえないと思います。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 あなたはこれに対する答弁を避けていらっしゃる。公明であるかないかということか聞いているのではありません。現在のこういう事実をこのまま続けられるかどうか、あるいはこういうものをやめようというのか、その点を聞いているのです。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 俗に玉を抱いて罪ありという言葉がございますが、玉そのものには罪はないのでございます。これの集め方において問題が起ったり、あるいは使い方において問題が起るので、金そのものが公明であるならば、一向差しつかえないと私は思っております。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 あなたは現状のままを肯定されての御答弁だと思います。不幸にして私は考え方が違っているわけであります。そこで、明日総理が御出席になりますから、総理からお答えをいただけるかと思いますが、今後この法案を私ども審議を長く続けていくために必要でありますから、お尋ねいたします。  四月十五日の朝日新聞の「記者席」という囲い欄の中に、大阪における総理大臣の関西財界人との懇談会の席上における発言の一部が記事になっております。読んでみますと、「鳩山首相がまず『われわれは大阪財界の”半脅迫的”要求で保守合同をしたのだから、みなさんは私を助ける義務がある』とあいさつすれば、岸幹事長もこれを受けて『保守合同を要望された財界から党資金を寄金していただき、その代り党の方から党の政調会報を差し上げて、結びつきを強めてゆきたい』と一席。」云々と書いてある。これは記者の解説でしょうが、「党への寄金が義務だといわんばかり」こう書いてある。これはあなたもすぐ判断できると思う。公然と総理がこういう財界人の会合で発言されているということは、ちょうど、あなたが、この状態をお認めになる、さらにこれに結局拍車をかけていくという意味に私は解することができると思うが、こう解釈していいですか。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 新聞の記事につきましては、私も読みましたが、その責任は私はとりません。総理が言われた意味は、申すまでもなく、この二大政党ができるという経過におきまして、経済団体等が、ぜひこれは作ってくれなければいかぬ、しかもその裏には、常に言われておることは、政局の安定のためにと言われたのでございます。従って、第一段において、総理が財界の方々が非常に頼んだというような意味を使ったのは、私は差しつかえないと思います。しかし、受けたというところの金がかりにあるとするならば、また受けんとするところの金があるならば、政策のために、国民のために、国家の発展のために使うということは、これまた一向差しつかえないことであろうと思います。総裁及び幹事長が現実においてどういうことを言われたかを私は存じませんが、今までの経過においてかようなことを言ったといっても、私は、差しつかえないし、またそこから浄財が入ることも差しつかえないと思います。われら政党人としては、この得た資金を、ほんとうに公明な方法において、政策のために、政党の発展のために使うのは差しつかえない、私はこう思っております。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 明確な御答弁をいただきまして、お尋ねするのに大へん便利だと思います。財界人の集まりでありますから、その対象がどういうグループであるかは説明を要しないと思う。こういう形が認められてきますと、日本の今の政党のあり方、また遠い将来ではありませんが、近い将来においても、こういう状態で党の資金がまかなわれていく、またまかなわれていかなければ政党の存立がいろいろな意味で困難だ、こういうことが想定できるわけであります。そういたしますと、選挙法の中で私どもが期待しております政党とは——そういう財界人でありますから言うまでもない。さっきここでずっと並べてきたようにはっきりしてきた。特に、国民の間では、これは日本の政策上の問題にも発展してくるわけでありますが、私は、浄財を受けるということに対して、何も反対したり疑いを差しはさんでおるのではありません。ただ、それが浄財であるか、あるいは利権に結びつくか、あるいは、もっと強い言葉で言いますと、汚職、涜職の温床になるのではないか、こういう問題は、私の想像ではなく、かつての汚職事件やあるいは政治上世間からいろいろな非難を受けるそのよって起る原因は、こういうところに原因している、こういう心配をしておるわけです。公明にこういうふうに届出がなされてくるものは、私は氷山の一角だと思う。表に出てくること、公然とやれるくらいのものは、法律を見ても、あるいは世間の目も、このくらいなら許すだろうということであります。しかし、あなたは選挙法の取扱いの立場に立っておるから一番よくわかると思います。先日検事にお尋ねしまして、次に聞こうと思ったのですが、そのまま失念してしまいましたが、元来選挙法の取締りの中でそれぞれの当事者の見解を聞きますと、戸別訪問は法律には違反しない、しても微罪だ、しかし、買収犯を摘発し、あるいはこれを検挙していくためには、戸別訪問のような形式犯のものに手をつけていかなければ、容易にそういう買収犯を把握することができないというのが、大体通り相場です。これと同じ意味において、私は、法律がこれを認めておるから、こういう財閥の献金を待つだけではなく、あなたも半ば肯定したように、一国の総理ともあろう者が、そういう席で、保守合同に事寄せて、あるいはそのあとすぐ幹事長が受けて、その献金を要望するごときは、非常に見下げ果てた日本の姿を露呈するものだと思う。だから、こういう資金というものがそういう形で要求されるようになりますと、これは、言うまでもなく、その政党なりその政権というものは——今日こういう団体の性格について多くを論じようとはしませんが、社団法人——なお、社団法人の中に営利社団、公益社団がありますが、大部分は営利社団、営利追求です。でありますから、営利追求を目的とする団体が、たといその金額は少額であろうとも、その金を出すときには、個人ではなく団体として出す場合は、団体の目的である営利追求のために、言いかえれば、一連の投資としてこれは行うというのが普通なんです。こういうような金を、向うが自発的に出してくれるという形を、あなたはさっき答弁しておりましたけれども、その形式はどうであろうと、そういうような金が今日も認められてくるならば、私は、二大政党——特におそろしいのは、小選挙区と中選挙区の関係において——私は、さっきから言っているように、ことごとくくそみそに否定をするのではありません。小選挙区の長所もわれわれは認めます。しかし、おそるべき短所はやはり指摘していかなければならない。こういう政党が、こういうところから莫大な資金を得、またその資金を露骨に求めているという現状において、その政党が相手方の政策がだんだんできなくなるような選挙法をこの際提案する。政策を持って勇気を持って戦えという自信もなければ、その政党の運営の資金が、浄財々々と口に言いながら、こういうところに足がかりを置いておるというような姿、こういう場をこの際作って危険がないと、あなたはお考えでありますか。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 先ほどのお話で、総理大臣が金を強要したというようなことは、私は肯定いたしません。ただ財界が保守合同を望んだということの事実を申し上げたので、いわんやそのことが不浄財であるということについて、私は何も申し上げず、また考えてもおりません。全体、政治資金につきまして保守系の方々と革新系の方々の考えがだいぶ違っておることは、一昨年のあの五党会談以来いろいろな点があげられております。ここに政治資金規正法の改正要綱としてわれわれの調べたところにおきましては、たとえば、選挙に関しない場合には、国または公共団体と請負その他の特別の利益を伴う契約の当事者の会社その他の法人から受けるのはどうかという問題について、自由党は寄付を受けてよろしいと主張し、改進党及び社会党左派、右派は寄付を受けてならぬとの説が出ております。これに対しまして、職業従業団体の寄付金につきましては、これをとめたがいいというのが保守系の議論であり、そんなことをとめる必要がないというのが社会党関係の革新政党の方々で、はっきりしておるのでございます。問題は、労働組合が出そうと、財界が出そうと、その金の美しさが問題でございまして、またそれを取る方法が問題である。強要してはいけない、あるいは不浄財であってはいけない、ひもつきのものであってはいけないという点が問題になるのでございまして、私が申し上げた金そのものに関係はないと思うのでございます。浄財ならばけっこうであろう。ただ、取る方法につきまして、政治資金規正法にどう取り入れるかということについて問題が分れましたために、今日まで至っておるのは、世間周知の事実でございます。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 あなたは非常にはっきり言い切られましたが、私が今あなたに申し上げたのは、それはどういう金でも、取るときの方法が正しければという、正しいとか清いとかいうような言い方は抽象的なことです。しかし、問題は、さっき以来私が例をあげているのは、政府と密接なつながりを持っている、経済関係を持っているという団体をあげているのです。もう一つ重大なことは、その団体が、営利社団すなわち株式とか合名とかいう営利社団は、その団体の目的は株主のために利潤追求をやる団体なのです。ですから、その本旨にもとるような金は使わないというのが前提なのです。一種の投資なのです。どういう場合でもそれが建前なのです。それが回り回って株主を利益する、利潤を生んでくるというところに——もしそれが永久に損をしてしまうようなことを財団法人の代表者がやったら、これは背任です。これはもうわかり切ったことで、そういう団体が政党に莫大な寄金を出すときに、不用意であっていいというお考えをあなたが肯定されると思わなかったから、聞いたのです。いろいろ言い方を変えたようでありますが、この点は、私は、この法案にとって非常に重大な関係があるから、少しくどくお尋ねをしたわけです。それに対して、あなたは、さっきたまたま各党のそういう問題の取扱いに対する所見を引例されたようですけれども、これは、そういう金を私どもが今受けておるものを法律的にどうとかいうのでなくて、少くともそういう政党の現状である場合において、ソれがいきなり狭い地域において政党と政党が選挙を相争うような形に問題があるわけです。また、現実においては、そういう金が今日とられているという事実が明らかになる。それも当分やむを得ぬ。そういう姿の政党が今日の日本の場合に一体真正面切って狭い地域で選挙を争うというような形が問題なのであって、そういう問題は見解の相違とか立場の相違とかいうことではないから、私はお尋ねしているのです。だから、こういう考え方については、私は、この際明らかにしておく必要があると思うので、くどく聞いたわけです。御訂正なさらなければけっこうですけれども、御訂正なさるならば、一応御答弁願います。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 幾たびも申し上げました通り、私は浄財である限りにおいてはちっとも差しつかえない。選挙運動に関する場合は別な取締りがございますが、政治活動につきまして、浄財である限りにおいては、私は差しつかえないと思います。無理にとってはいけないということであります。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 一つことばかり繰り返しておるようでございますから、もうお尋ねはやめましょう。無理にとるか無理にとらないかということは何によって起るかということです。一方には選挙に勝たなければならぬのでしょう。今までは、個人との戦いであります場合においては、政党の責任は比較的軽いのです。小選挙区になって政党が表に出てくれば、その戦いに対する政党の立場というものが非常に尖鋭な姿をとってくることは、言うまでもないのです。そうすると、政党は、今後ますます資金を集めることに対して積極的な意欲を起してくることは常識なのです。現在われわれがこういうことをやかましく言うのは、今度の選挙法の改正の中において私どもが少からず懸念をいたしておりまするのは、そういう政党の内部における親分子分の関係とか、あるいは党首と陣笠というような関係が、この資金関係を通じて大きく作られてくるということは、私はいなめないと思う。これは、理屈で否定してみたところで、金集めの上手な大きな金を握っている人がその政党の中に勢力を持つということは、今後ますます露骨になってくることは見のがせない。現在でもそうなのです。こういう関係がさっきの新聞記事の中においてうかがわれるのです。国民は気がついております。あなたは、シカを追う者山を見ずで、この法案を通そうというためには何でもかんでも言うかもしれませんけれども、そうでなく、もっと真剣に考えなければならぬ事態だと私は思うのです。こういう関係というものを不問に付してしまいますると、問題は、あとはとにかく道義なんというのは道にくされてしまう。あなたは、多少こういう問題に対する理想も持っておれば、そういうものを全面的に生かせないまでも、ある程度生かしたいという意図があるのではないか。そうであれば、われわれとしては、法案に対して審議をする上においても、ここはあそこはということで、実はお尋ねを始めたわけです。それで、これが全く否定されてくれば、それを無理にあなたに肯定してもらおうとかなんとかいう考えはございません。(「社会党ももらっているじゃないか」と呼ぶ者あり)そういう点で私どもの一番懸念いたしますのは、これは現在でもきっとそうです。それは、うしろで言うように、社会党でももらったのだ。ここに出ておるようにこれは隠すことは何もない。ただ程度の差が非常にある。それから本質的に異なるものがある。そういうものを理解できる能力のある者とない者との相違があるわけで、それは要するに国民の判断が問題を決するのでありましょう。そこで、大切なことは、今後小選挙区になれば、政党はますますかかりがかかってくるということ、だから、総理は、財界人の前に苦しいことを言って、お気の毒だと思うのです。そういう点は、今後、選挙法が改正されて、もし小選挙区で争うということになりますと、きっとそういうことが起るかといえば、現在でもそうじゃないかと私は思う。必ずしも小選挙区に一つの政党が一致して賛成をするはずがない。また反対する方の政党もみな同じであるはずがないのです。政治を志す者の間には多少の開きはあるはずです。ここに良心的な、あるいは理想をどれだけ追求する意欲があるかないかがあるのであります。あなたや総理が言わんとしておるあるいはイデオロギーの問題、政策の近似性を論ずるものなど、こういうところに本質の問題があるのです。自分を清くしないで、政党それ自身をよくしないで、すなわち木を育てないで花を求め実を求めるということは、あり得ることじゃありません。基礎を築かなければならぬわけです。その政党の決定的な性格を左右させようとする資金の問題は、これはあなた方のところの政党でもそうです。あなたのような、りっぱな識見を持ち、政策に対して堪能な人でも、金をうんと持ってこなければ幹部にはしてもらえそうもないということは、これは言葉を飾る必要はありません。古川君だってヤジっているけれども……。

山村新治郎自由民主党

○山村委員長代理 井掘君に申し上げます。他党や国会の品位を傷つけないように、一つ発言に御注意を願います。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 そこで私のお尋ねいたしたいと思いますものは、こういう資金の問題について、私は政党の立場を小選挙区のような場合に求める際には、この点に対して、やはり提案者側として明らかにして、世論に問うという態度が望ましいと思って伺ってきたわけです。世論を無視すれば、これは別でありますけれども……。  そこで、お尋ねをいたしたいのは、私は、こういう問題についてお互いにまつ裸になって論議をし合って、その上に立って選挙区その他の方法論について結論を出していくという行き方が、今日の議会政治のあり方ではないかと信ずるのです。しかし、これはいろいろな立場がありましょうから、試みにこの問題に触れてみたわけであります。  もう一問この問題に触れさせてもらいたいと思いまするのは、あなたが、しきりに、この前のお尋ねのときには、このことがよくのみ込めておいでにならなかったからであるかもしれませんが、この政治資金規正法によって寄付をした者の中には、政党の政策やあるいは主義、主張に共鳴されて献金してきた者ということを言われたし、私もそのときはあまり深く追及いたしませんでした。そういうものが私はこの際の純真なというときの一つの条件になると思うのです。その政党の掲げております主義、主張、政策というものに共鳴をする。あるいはイデオロギーの場合もあるでしょう。たとえば、社会主義を志向する政党を育てたい。そういう自分のイデオロギーを政治的に達成させたい。しかし、自分はできぬが、その政党を通じてやらせたいといったような団体、個人があるわけです。こういうものが献金するということは望ましいことであって、あるいはむしろ助成すべきことであると思う。しかしながら、さっき言ったように、そういう主義、主張、政策というものについては没交渉で、むしろ利害関係、そろばん勘定で献金されたり、あるいはそういう寄付金が受けられるようなことになりますと、そういうものに対して今すぐぴしゃつとやめるやめぬという問題ではなくて、これは方法が大事なんです。この点に対してお尋ねして、この点は打ち切っていきたいと思います。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 金の出どころ等についての考え方が各国でも問題になっていることは、私が申し上げるまでもございません。小選挙区制度の見本といわれるイギリスにおいては、政治資金規正法はございません。また公表もしておりません。支部——エージェントというものが非常な力を持って選挙費用を作っております。しかし、イギリスにおきまして、労働党の資金が多いということをこの間の選挙において公表されて、私どもがびっくりしたのでございますが、そのイギリスにおいて、政治資金についての規正をしておるのは、労働組合に対する規正だけでございます。労働組合から出る金がどうであるというようなこと、あるいは一般財界から出る金がどうであるというようなことは、私はかりそめにも判断したくございません。清い金と思ってこれを見ておるのでございます。ただいま御指摘のような、最後に御質問になりました、悪い方法を使うというような意味において政治資金の集まるということには私はあなたと同じように反対したいと思うのでございます。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 これは私の質問の仕方がまずいからであろうとは思いますが、あなたの御答弁の中で、私のとり方か 百もしれませんが、一貫しないような感じがいたすのです。それは、さっき私は抽象論でなくして実例をあげたのです。政治資金規正法によって明らかにして出されたこの資料だけに基いても、相当大きな金額で、そういうものをこの際やめるということでなくして、この間も論議がありましたように、あなたの今回の選挙法によりますと、政党が従来に比較して相当大幅に選挙活動を展開してくる。その点については、意識的か無意識的かしれませんが、この法律に大きな抜け道があるわけです。でありますから、一方で選挙費用というものを法定で押えていきましても、政党が選挙活動をやる際においては、この法律には抵触してこないことになる。でありますから、この法案の通りに次の選挙が行われた場合には、政党の使用される金というものに非常に重大な関係を持ってくると思うので、今のようなことをお尋ねしてきたわけでありますが、しかし、そういうものは好ましくないというお答えがあり、あるいは現在やっているのは正しいからという前提かもしれません。正しくないまでも、法律的に違反にならないから仕方がないという意味かもしれませんが、それはどちらでもいい。どちらでもとり方があります。いずれにしても、現実にはこういう姿であるということは明らかになっておる。でありますから、ここに改正案の中で出てきまする政党が、この法律によると、選挙運動をどういう形で展開してくるかということを、われわれは十分論議をしていかなければならぬことになってくると思うのです。それで、私は、前置きが大へん長くなって恐縮でありますが、私は私なりに一つの判断ができたと思う。そうすると、今度の小選挙区における公認候補が問題になるわけでありますが、この公認をする際に、この法案の条文をちょっと読んでみても難解の点があるのであります。一つの政党に一名でありますから、一人だけ公認ができる。その場合に、今の選挙法によりますと、「政党その他の政治団体」、こういう規定がしてある。そうしますと、一つの政党の公認ということはわかりますが、その他の政治団体というのは一体どういう団体をこの場合にさすのか。これは事務当局でけっこうでありますが、伺いたい。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 この「政党その他の政治団体」の解釈の問題ございますが 公職選挙法の「政党その他の政治団体」の言葉は別段定義をいたしておりませんので、政治資金規正法第三条の規定においては、政党、協会その他の団体について定義が下されているのは、御承知の通りであります。そういたしますと、公職選挙法の方は、政党とその他の団体とは別段書き分けておりませんで、「政党その他の政治団体」と書いておるわけでございますが、別段それによって能力上の差別を設けておらぬわけです。しからば、その他の政治団体にいかなるものがあるかという問題でございますが、政治資金規正法の政党には、国会に議席を持つ政党、あるいは地方議会に議席を持つ政党、さらに総評政治連盟とかあるいは日教組政治連盟、こういうものも、政治資金規正法上はこの定義に該当いたしまして、政党になります。それから、協会その他の団体、たとえば労働組合が政治的の目的で一時活動をするというような場合には、この協会その他の団体になります。こういうわけでありますから、政党その他の政治団体で候補者を持つということになりますと、大部分は通俗的の意味の政党になるのじゃないかと思いますけれども、それ以外の、たとえば自由民主党とか社会党とか共産党とかいう本来の意味の政党以外の、あるいは総評政治連盟というふうなものも、従来の政党に所属しようと思えば、それでも差しつかえないわけです。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 どうもよくわかりにくいのですが、この法案改正によって二大政党を指向するということは、小選挙区による場合そういう点がある。そこでこの法律の中にあります政党ということだけでいいのじゃないか。その点から考えれば、二大政党指向というのですが、政党が二大政党になるか三大政党になるか、そんなことは、国民がきめるのでしょうから、だれも予定できません。しかし指向する方向が二大政党であることは明らかです。そうすると、一方は政党ということでよいのにもかかわらず、政治団体が出てきておる。今政治団体に対する説明を伺ったわけですが、協会あるいは政治活動を企図するその他のいろいろの団体、こういう意味らしい。この場合に政党の公認ということになれば疑義はない。しかし、何々政治連盟の推薦とか、言葉は違うのですけれども、全く政党の公認を受けないそういう団体から出てきた候補者というものは、この法律の解釈の中ではどうするであろうかということが起ってくる。そういう意味では、ここの政党及びその他の団体ということはどう解釈したらいいか、伺いたい。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 先ほども申し上げましたように、おそらくこの政党の政治活動の、いわゆる確認団体となる要件が、この案では五十人以上ということになっておりますし、さらにまた三月十四日に成立いたしましたさきの公職選挙法の改正で、所属候補者の計算が一人と改正されておりますので、今後におきましては、現実の問題としては本来の意味の政党だけになろうかと思います。ただ、現行法の二百一条の五の規定が政党その他の政治団体と書いてあるのでございまして、政党と書いてないわけでございます。それでそのままにしておる。いわば、現行法は政党と書きまして、政治資金規正法第三条第一項に規定する政党、こう書けば正確になろうか。そういう場合にも、なお本来の意味の政党、そのほかに総評政治連盟のような政党資金規正法上の政党が入ってくるわけでございますが、現在よりは正確になる。ただ、現行法は「政党その他の政治団体」で、そこで点を打っておらないのであります。一つのものに書いておるという技術的な関係から、従来通りにしておるわけであります。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 今ますますわからなくなってきたのですが、ここの条文を読みますと、とにかく五十人以上の候補者を持てば何々政党と言わなくてもいいのだ、政党連盟ということでもいいし、何々協会でもいいというふうにこれはとれる。こうとっていいか、それを一つ……。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 同一政党でございますが、五十人以上に達しますれば、それは政党になるわけであります。

森三樹二日本社会党

○森(三)委員 実は今井姫君の質問したところに関連するのですが、私先日からいろいろ研究したのですが、これは皆さんにも聞いていただきたいのです。政府提案の法律案の十一ページのところですが、これは一つ皆さんごらん願いたいと思います。十一ページの冒頭の「衆議院議員の選挙においては、政党その他の政治団体及び当該政党その他の政治団体に所属する者は、当該政党その他の政治団体が公認候補者を有する選挙区における当該公認候補者以外の候補者を推薦し、又は支持してはならない。」この規定に関して私お尋ねしたいのです。この「推薦し、又は支持してはならない。」ということは一体どの程度のことを言うのか。すなわち、推薦するということは、これは外部にその候補者の当選を得せしめる一切の行為だと私は思うのでありますが、そういう行為一切を禁止しておるものかどうか。そうしてまた、支持してはならないという支持ということは、これは外部的に関しないで内部的なものですね。自分で、私はあの人を一つ当選さしてやろうという内部的な意思だけのものであるか、それが外部に現われるものではないか、その区別を一つ詳細に説明してもらいたい。  それから、特に私が皆さんに御検討願いたいのは、この選挙法の規定では——何々をしてはならないという規定である以上は、大てい罰則がついているのです。ところが、この罰則があるかということをずいぶん私も調べてみましたが、罰則は全然ない。ところが、その次の第五のところでは、これは罰則がついているのです。一方罰則がついている規定と罰則のついてない規定を並例しておくということは、選挙法上の規定としては全く私は体裁をなさないと思うのです。こういうことをもし書いてあれば、ここに「してはならない」と書いてあるじゃないか、お前はそういうことをすると処罰されるのだというおどかし文句の種にも使われる危険性があると思う。私はむしろこういうことは規定から削除していただきたい。特に皆さんに御検討を願いたいと思うのは、この4という規定を削除していただきたい。これが処罰規定でなく単なる訓示規定であるというならば、私はこういうことを書く必要はないと思うのです。自分の選挙運動の公正な自由というものを非常に制限される規定である。いわゆる憲法にも抵触するおそれのある規定だと私は思うのです。どうしてこんな体裁の悪い立法をしたものか、はなはだ了解に苦しんでいるのです。一つ御説明を願いたいと思います。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 推薦と支持の行為の定義の問題でございますが、これは、政治資金規正法にも、政党の定義の中にその言葉を使っておるわけでございまして、推薦は、いわゆる公認候補者を定め、推薦状を発し、公職の候補者の推薦届出等をするほか、広く特定の候補者を推し進める、こういう行為を推薦といい、それから支持とは、特定の候補者の当選を希望しまたはその当選を実現しようとする行為をいう。大体このように解釈をいたしております。  それから、次は、提案いたしました改正案の二百一条の三の第四項になぜ罰則を付さないか、これは削除すべきではないか、このようなお尋ねでございまするが、この第四項は、衆議院議員の選挙の場合におきましては、政党その他の政治団体及び当該政党その他の政治団体に所属する者は、当該政党その他の政治団体が公認候補者を出しておる選挙区において、当該公認候補者以外の候補者を推薦し、または支持してはならない。これは、政党政治におきまして、公認制度を今回法律上の制度として確立をはかっておるわけでございますが、公認制度をとります以上、公認候補者を出しておる政党の所属員が他の候補者を推すということは、公認制度の破壊ではないか。本来いいますれば、これは政党法に書くべき政党の内部規律の規定と相なるわけでございますが、政党法ができず、政党の選挙に関する面だけの規定を、今回必要に応じて、公認制度を中心として規定いたしたわけでございますが、公認制度を規定いたします以上、政党の所属員は、その政党が公認候補者を出しておりますれば、その公認候補者に全幅の応援をしなければならぬ。これは当然であろうと思います。その場合に、他の政党の候補者を推薦したり支持してはならない、このように当然の規定を書いて、精神的規定といたしたのであります。罰則をかけるかどうかという問題でございますが、これは、政党の公認制度をとりまして、本来ならば政党の内部規律でいい問題でございますので、罰則をつけるには当らないではないかという意味から、精神規定にいたしたのでございます。

森三樹二日本社会党

○森(三)委員 精神規定にするということについて、私は精神規定をこの選挙法の中にたくさん盛り込むならば、これは非常に繁雑なものになると思うのです。こういうものは、現在でも、各党でもって、公認候補者以外の者あるいは他党の者を応援したような場合には、おのずから、統制の問題として、統制委員会等に付されて十分論議されるのですよ。そういう内部的のものをこの選挙法にわざわざ規定して、しかも規定する以上は何らか軽い罰金その他の処罰規定でもあるならばともかく、何ら処罰規定もない。一つの政治上のモラルというような形において、その精神規定をこの中に盛り込むなんということは、私は選挙法の規定を非常に混乱煩雑せしめると思うのです。ただ、これをずっと読んでいった者は、こういうことをやると処罰されるのかなという直感を受けるわけです。おそらく、選挙法に、選挙運動に関して、何々をしてはならないというところに、もしそれに違反した場合には、処罰規定のないというような条文はほとんどないのですよ。今回こういうようなまぎらわしい規定を何のために置かなければならぬか、それはおのずから政党の党内の党紀に違反する問題だから、党の規律によって解決をすればいいのであって、こういうまぎらわしい規定を置いて、しかも、ある場合においては、こういう規定があるから、お前はこれに違反すると処罰されるぞというおどかし文句になってしまう。これは、与党の諸君も了解して削除しないと、今後に非常に悪例を残すものだと私は思う。     〔山村委員長代理退席、委員長着席〕 私は先ほども小澤委員長にこのお話をした。こういう処罰規定のない選挙運動の規定をなぜここに入れるのか、こういうことは選挙法の解釈上非常に混乱せしめるものだということをお話ししたこともあるのですが、私はそういうものはぜひ削除すべきものだと思うのです。今後こういう規定をだんだんふやしていったらば、どの規定が処罰規定で、どの規定が処罰規定でないかという判断が非常に困難になると思う。これに対して、太田長官も一つ御良識をもって御答弁願いたいと思う。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 実はこの精神規定を作るにつきましては私もいろいろ悩んだのでございますが、現状における政党の規律の点等から見まして、罰則はないけれども、公認制度というものを今部長が言いましたように非常に重い意味をもっていたしましたので、それにそむかないように、それを盛り立てていくように、それが伸びていくようにするためには、かような規定が必要である。実は罰則なきことにつきましてだいぶ私どもも議論いたしたのですが、まず現状におきましてはかような規定でもっていこう。罰則のないことについては、森さんのおっしゃるように、私も非常にこの問題を取り上げたのでございます。現状というよりは、小選挙区制度というものの公認制度ということに非常に方を置いたものでございますから、それでこういう規定を置いたのでございます。

森三樹二日本社会党

○森(三)委員 太田長官の御答弁を聞いても、長官も悩んだ。そんなに悩んだものなら、こうしたところの罰則規定もつけないものなら、私は削除していただきたいと思うのです。置くならば、やはり厳密な意味において——置くことは非常に過酷だし、置くことは私は反対だが、置く以上は何らか軽い刑罰でもつけるものなら格別ですが、こういうような選挙運動に関するところの先例はないのです。何々してはならないという場合において、それに違反した場合に刑罰をかけないというような規定はほとんどないのです。これはやはり良心的に太田長官も削除されることが——悩んだ以上は、少しでも無事の民を処罰することのないように、つまり国民はそうしたところの刑罰法規に触れることがない方がよろしいのですから、進んでこれを削除して、各政党やその他の団体の自主性にまかすことが、私は良心的な立法だと思うのです。こういう統一した選挙法の罰則をつけるなら格別ですが、罰則もないような精神的な訓示規定を、政治道徳に関するような問題をここに取り上げて、そうしてこれを通すということは、実際私どもの良心が許さないと思うのです。これは一つ今後とも与党の諸君も十分御検討願いたいと思う  それならば、その次の5ですが、5の場合においては、今度は非常に範囲が広くなっている。「何人も、」という見出しになっておる。何人も公認候補者でない者が公認候補者であるごとくこれを誤認させるような事項を公けにしてはならない。それに対しては処罰規定があるのです。一方は処罰規定があるわけです。先ほど申しましたのは処罰規定がないのです。こういうようなちょっと同じような感じを受ける規定において、一方は処罰規定を設けておる、一方は処罰規定がないというような形のものは、これはむしろ整理して、今回の立法に際しては太田長官も非常に悩んだというのですから、悩んだ以上は、国民に一つの安心感を与えるというか、私はやはりこの際進んで撤回するような御検討をなさるべきだと思うのですが、5の場合においては明らかに処罰規定がある。もちろん、そのまぎらわしさにおいては、これは非常に問題だと思うのですが、5の場合に関しては、長官はどのようなお考えを持っていらっしゃるか、お尋ねしたいと思います。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 なおそのほかにも罰則なき場合の規定がございますが、それは今選挙部長から御説明申し上げます。現状の政党に対してこうした方がいいだろう、小選挙区制度を施行する際にはこうした方がいいだろうという考え方からでございます。森委員のお言葉の趣意はよく私も了解いたしました。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 ただいま大臣がお答え申し上げました現行法の百四十一条第三項の選挙運動用の自動車でございますが、「第一項の自動車は、乗用自動車又は小型貨物自動車(道路運送車両法第三条の規定に基き定められた小型自動車に該当する貨物自動車をいう)」、選挙運動の自動車は乗用車か小型貨物自動車に本則は限られておるのでありますが、この本則違反の行為に対しましては御承知のごとく罰則は付しておらない。選挙運動上のモラルでやっていこうということになっておりますことは、御承知の通りであります。第四項は、先ほど申し上げましたように、本来政党内部の規定でありまして、これを政党法という規定の一部として公職選挙法に規定をするというような関係もございまして、やはり実態から見て罰則を付すべきではない。これは森委員も御同説のようでございますが、そのようにいたしたのでございます。  それから、第五項はなぜ罰則を付したという問題でございますが、これは、公認制度をとりまして選挙運動をやります場合に、その公認制度を破壊すると申しますか、そのルールを破るというか、「その者が公認候補者であると誤認させるような事項を公にし、又は当該政党その他の政治団体に所属する者である旨を公にして選挙運動をしてはならない。」、これは、選挙運動でありますから、候補者また第三者も当然その運動をやる面に出てくるのでありまして、そのような行為の候補者だけを処罰するということでは足らないわけでございます。やはり、選挙運動の実態から見て、第三者運動員も活動するというわけでありますので、従って「何人も、」という範囲はそのように相なるわけでございます。それで、罰則を付しましたのは、先ほど申し上げました通り、公認制度を維持するという趣旨におきまして、どうしても罰則を付しておかなければこわれてしまうではないかということから、罰則を付したのでございます。

森三樹二日本社会党

○森(三)委員 今、兼子選挙部長は選挙用の自動車は乗用者あるいは小型トラックだ、しかし普通のトラックを使ってもいいというようなことに対しては、これは訓示的規定だと言われたのです。これは、たしか一昨年の選挙法の委員会だと思うのですが、本来小さな自動車にした方が経費は省かれるし、従来十五人の選挙運動員が乗ることができたんだが、それを六人に制限しましたから、必然的に自動車が小さくなった。しかし北海道のような雪の非常に多いところ、あるいは雨上りでもって泥濘の山坂を上り下りする場合には小型自動車ではできない場合があるだろう、そういう場合には事実認定の問題として置いていいじゃないか。その乗る人は十五人から六人に制限されたんでありますから、大型の自動車を使おうと小さなものを使おうと、乗る人間に対してはやはり制限があるのですから、それで特にその認定は運動する者にまかせて、そうしてトラックを使ってもいいようにしようではないかということで、訓示的規定にしたのですけれども、しかし、今回立法されたやつは、実質上の選挙運動ですから、あなたの例示されたのはつまりトラックの大きさの認定の問題でありまして、ただいま私が指摘しておるところのこの条文を抹殺したらいいではないかというものとは、おのずから実際は対象が違ってくると思うのですよ。ですから、あなたは、この4の場合の「推薦し、又は支持してはならない。」ということを、どういうふうに御解釈なさっておるか知らないが、われわれから言うと、明らかに選挙運動です。すなわち、人の意思に基くところの、外部的に意思を現わしたところの選挙運動ですよ。その選挙運動に対して、この一方について、4の場合には何ら処罰規定でない。訓示規定だといっておる。その次の、5の方は、何人もというのですから、この方は非常に広いのです。4の場合は非常に制限がありますよ、党とかその他の団体の所属者というのですから制限があります。5の場合はおそるべきものですよ。何人も、だれでもこのような公認候補者であることを誤認させるような行為をすれば処罰されるのですから、処罰の対象となる者は非常に多いのですよ。それならば、この5の場合においても訓示規定にしてもらいたい。やはり処罰の対象にすべきじゃないと私は思うのです。選挙をやってごらんなさい。おそらくこの5の問題においてその選挙違反の数が相当ふえると私は思うのですよ。これは実際酷ですよ。悪意でもってやる場合もありましようけれども、あるいは悪意でなく、たとえば、おれはもう必ず自民党の公認候補者になるんだから、一つそのつもりで君らもやってくれ、こういうようなことを選挙の前に宣伝してそう言うと、その話をある人間が聞いて、だれだれさんは今度は自民党の公認候補者になるんだ、間違いないよ、こういうようなことを宣伝して——選挙が始まる前は、お互いに公認になろうと思って、公認の競争というものは非常に激しくなるのですよ。たとえば、佐賀県の杉原荒太氏が、現職議員でありながら公認候補になれなかったのです。そうして光石という弁護士が公認されることになった。あのように公認争いというものは非常に激しくなってくるのでありますから、もう手一ぱい宣伝して、おれは公認候補者になるんだという宣伝をいたしますよ。それを伝え聞いた者が、あの人は公認候補になるんだ、公認候補者だ——この間私の選挙区の町に来てそういう話があった。間違いなく私は公認候補者になるんだということを言っておった。こういう宣伝を聞いた者がまた次から次へと言う場合があります。そういう人間がみんなひっかかってしまうんだ。これは私は実際おそるべき規定だと思うのです。結局、従来罪にならないでよかった人間を、この規定ができたために、莫大な選挙違反者を出す結果になってしまうのです。私は、願わくは、太田長官の常識をもって、この5の場合もこれは罰則を削るべきだと思うのです。とにかく、同じ並べたところの規定で、一方は罰則規定をなくし、一方は罰則規定を設けておくというような、こういうバランスのとれない規定とういうものは、立法上体裁もなさないし、また実際問題として、4の方は処罰されないのだ、5の方は処罰されるんだということで、なかなか区別がつかない。そのために、5に該当するという者は、何人もですから、一般の国民全体に適用される法律ですから、伝え聞いた人間がたくさん違反にかかるということは、私は非常にりつ然たる気持がします。太田長官がどうしてもこの規定を置くというならば、私はこれに対しても罰則規定を削ってほしいと思うのですが、一つ長官の誠意のある御答弁を願いたいと思います。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 この第五項の運用につきまして、罰則がついておるから、何人もと書いてある以上非常に広範に違反者が出るおそれはないだろうか、このような御心配でございますが、これは、公認というのは、政党の総裁その他あらかじめ届け出られた者の発行した公認証明書によってはっきりする問題でございます。でありますから、その候補者はもちろんのこと、またその候補者に従って運動をする方々も、自分の候補者が公認であるかないかということは十分わかるだろうと思います。従いまして、そのようなことを公けにしてこの第五項の違反が増発するという御心配はない。また、法律が通過いたしましたならば、われわれは十分こういう御心配の点については周知徹底に努力をいたしたいと考えます。

森三樹二日本社会党

○森(三)委員 そこが問題なんですよ。だれしも公認候補者になりたいのですからね。たとえば、一つの政党でもって、だれを公認候補にしようかといってきまらない場合がある。現に、われわれの政党においても、来たるべき参議院選挙において、地方区、全国区選択しておりますが、いまだにだれを公認するかきまらないところがあるのですよ。ところが、その候補者は、おれの方は公認候補になるのだ、また一方は自分の方が公認候補になるのだといって、自分の選挙区に行って盛んに宣伝している。従いまして、かりに選挙に入った場合においても、これがたとえば衆議院のようにいきなり抜き打ち解散で解散が行われたというような場合、この公認候補者というものは、選挙状態に入ってもきまらぬ場合が実際にはたくさん出てくるのですよ。必ずおれが公認候補になるのだといって宣伝するのは当りまえなのです。そこで、もちろん、あなたが言われたように、ここでもって公認証明書というものを与えられるのでありますから、その公認証明書を持たない者はもちろん公認候補じゃありません。ありませんけれども、やはり自分の選挙を有利にするために宣伝するんだから、自分を有利に導くためには、あらゆる問題、自分の肩書きとかその他経歴詐称の問題もありますが、自分は公認候補になるかならぬかということは選挙の決定的な条件でありますから、これを宣伝する。その宣伝を聞いた者が、あの人は公認候補者なんだということを他人に告げることは、公けにすることでありますから、処罰されるのですよ。これは選挙をやってごらんなさい。この問題で相当違反者が出ることは必至だと思うのですよ。これは十分御反省になって、この規定をどうしても置きたいとおっしゃるならば、やはり処罰規定というものは設けるべきではない、このように私は思うのでありますが、もう一回御答弁を願いたいと思います。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 重ねてのお尋ねでございますが、この二百一条の三の第五項の規定は、先ほど、公認候補者がきまらない場合に自分は公認候補者になるんだと言う、そういうケースがあるではないかというお話がございましたが、この第五項の規定の前半は「一の政党その他の政治団体が公認候補者を有する選挙区における」、こう書いてあるのでございまして、甲という選挙区においてAという公認候補者がある場合に、Bという候補者が、自分は公認候補者であるかのごとき運動をしては公認制度をこわす、そのような見地から規定をいたしておるのでございます。でありますから、公認候補者が最近の政情で選挙が始まってもなかなかきまらない場合があるじゃないかという御心配の点は、ないと思います。  それから、さらに、罰則を付せずに置くべきではないかということに対しましては、先ほども申し上げましたように、この後段に書いてありますように、公認候補者がある場合に、自分を公認候補者だと、いわば詐術を用いるようなやり方で選挙運動をすることはフェアでないという思想で書いておるのでございまして、このような場合には罰則を付しまして選挙の秩序の維持に当る、このような考え方でございます。

森三樹二日本社会党

○森(三)委員 兼子選挙部長の御答弁を聞きましても、これはやはり徹底していないのですよ。たとえば古川丈吉という公認候補者が一人きまった。この場合一人一区なら問題ないかもしれませんけれども、二人区の場合にはどうなります。おそらく、二人区の場合には、これは、保守党の方でも革新でも。二人区の場合は、一人が公認になっておる、もう一人を公認にするかしないかという問題が起きておるときには、必ずこの問題が起きてくるのですよ。古川君だけを公認してどういうわけでおれを公認しないのだ、古川君ばかりが公認候補じゃないんだ、おれも公認候補だというような問題が必ず起きる。しかも、参議院の選挙区になりますと、現在でもその問題でもめているのですから、こういうような規定を置くならば、これもやはり罰則を削除しなければいけない。やってごらんなさい、おそらくこのためにたくさんの選挙違反者が出ますから。従来も公認候補者でない者が、おれは公認候補になるのだ、公認候補になるのだと言っておる。そう言って選挙運動をやりながら、公認を本部に要求してとる場合が実際においてあります。古川丈吉ばかりを公認候補にしてはけしからぬ、おれも公認候補にしてくれといって、二人区の場合、選挙運動をやっておりながら、もう一人の、古川君以外の者が公認候補になる場合がある。そういうような実際無事の民を処罰するような規定というものは、あなた方が今度政党の選挙運動を認めたこういう問題にからんで、十分御反省にならなければいけないと思うのです。どうしてもあなた方がこの規定を置くというならば、この処罰規定を一つとらなければいけない、このように私は考えておるわけです。  それから、関連でありますが、もう一つだけお尋ねしたいのは、今度はいわゆる政党の選挙運動が認められるわけでありますが、これは、先ほど井堀委員も言われましたように、非常に政党の政治運動というものが活発になって、これに莫大な金がかかるわけです。私はいつも思うことでありますが、自民党の候補者も社会党の候補者も、あるいは自民党という政党も社会党という政党も、同じだけの費用をもって選挙を戦うならまことに公平でありましょうが、一方は何億という金を集め、一方は非常に少い金で、しかもその莫大な金をもって今度は政治活動を始める。その政治活動の中には選挙運動をやってもいいという規定がここに入っている。しかも、自治庁長官の言われる通り、この政治活動と選挙運動との限界というものはほとんどうにだれしも今度はわからない。これは実際注意しないとお互いが選挙違反にかかるのだ。自分たちがお互いに選挙違反にかかって、そんなはずじゃなかったと言ってもおそいのです。今度の法律の中では、政治活動と選挙運動の限界というものは全く紙一重だ。私に言わせれば、チャンポンになっている。ほとんどこれはチャンポンになっている。たとえば、各町村において支部の発会式があった、そこでもって折詰めに二合ビンなら三合ビンが出た、支部の発会式であるから、非常に支部の発会を祝ったような会合をした、ところがそれは選挙運動期間中ですから、たとえばそこに、支部長になる人が候補者だったとするならば、支部長がきて、私が今度立候補しているからよろしく頼むと言えば、もちろん違反の問題も起きましょうが、もし私が立候補している、よろしく頼むと言わなくても、そこには弁当から二合ビンまで出ているとするならば、非常におそるべきところの違反が起きてくる。違反が起きるような問題をここに仕組んであると思う。しかも、政治活動と選挙運動というものは全く混合してわからない。選挙運動期間中にいわゆる政治活動が行われ、そうして政談演説というものが行われるのですから、ここに非常にまぎらわしいものが起きると同時に、それに伴って、費用というものが非常に膨大な——私どもは、選挙の公営の徹底をしなければ政界の浄化はできないということを、いつも強く主張しているのです。そこで、この選挙公営の最も典型的な、しかも国民大衆にアピールするところの立会演説会というものをつぶしてしまって、金のかからない立会演説会をつぶしてしまって、今度は政党活動という、支部発会式に名をかりて——先般の鳥取県の参議院の補欠選挙においては、朝日新聞に、支部発会式に名をかりて酒を飲んだことが県民のそしりを買って、ついに自民党が敗れたというようなことが書いてあるように、こういう事態が非常に起きてくるのですから、いわゆる政治活動というものと選挙運動というものが、このように選挙期間中に行われるということに、大きな問題があると思う。従いまして、私から言わしめるならば、この選挙期間中におけるところの政治活動というものに対しては、やはり一定の金額、法定費用というものを設けなければいかぬと思う。いわゆる候補者が使うところの選挙費用については、法定費用というものは定められておるけれども、政党の使うところの選挙期間中に行う政治活動、すなわち選挙運動というものに対しては、何ら法定費用の制限はございませんでしょう。これでは選挙の粛正も選挙費用の節減もできないと私は思うのです。選挙期間中における政党の政治活動に対しても、当然選挙費用の制限を置かなければ大へんなことになると思うのです。これに対して誠意ある御答弁を一つ願いたいと思うのです。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 先ほど来の第一の問題につきましては、公認制度を支持するための意味におきまして、支持、推薦と、党名を述べるという場合の二つを分けたのは、この程度の差を考えて罰則と罰則のないものをつけたのでございますが、二つとも公認制度を支持するという趣旨から出たのであります。むろん、いろいろな場合の例をあげられましたから、私も拝聴いたしましたが、結局するところ、公認制度をどういうふうに見るかという点にあると思います。第二の政党の政治運動についてのことですが、非常に広い範囲に——政党の選挙運動がどういう範囲で認められておるか、こういう問題でございますが、確認団体は規定されたものに限りまして、次に申し述べるような政治活動は選挙運動にわたってよろしい。その場合は六つありまして、一つは自動車、これは従来通りでございます。ポスターが二千枚、千枚増加いたしました。大ポスターは新設されました。看板に近いものであります。四番目はビラでありまして、これは従来通りでございます。はがきが五千枚、これは新たに加えられたものであります。六番目に放送が新設されたのでございます。政党の経費といたしましては若干増加いたしますが、そう大したことない。確認政党は平等でありますから、法定費用からはずれても差しつかえないことになると私は思っております。

森三樹二日本社会党

○森(三)委員 いわゆる選挙費用の節減ということは、われわれの多年唱えてきたところであり、選挙公営もわれわれが多年唱えてきたところです。ところが、先ほども申し上げたように、立会演説会という選挙公営の最も典型的なものをなくしてしまって、それのかわりに、政党の政治活動という名のもとに、今度は選挙期間中に選挙運動をやるわけですから、新たにその費用というものは一体だれが出すのですか。その費用というものは、先ほど井堀委員が言われたように、財界からかき集めた金をみんなに分配する金もありましょう。あるいはまた候補者がそれを負担せざるを得ない場合もあるでありましょう。結局実質上の選挙費用というものがそれだけ増大するのです。そこに問題があるのです。一方には、兼子選挙部長は、法定費用が六十万円になったと言って得々としているが、それは期間を二十五日から二十日にしたから当りまえなんだ。私からいえば、区域が狭くなったのだから、この間も言ったように、四十万円程度にしなければならないと思うのです。ところが、あなたは、得々として、七十五万円程度の選挙費用が六十万円になったから、選挙費用が軽減されたと言っておるけれども、一方には政党の政治活動という選挙運動が行われるのですから、これに要する費用というものは莫大なものだ。おまけに、政党が支部発会式をやってもかまわない。支部の者りがみんな集まって支部の発会式をやって酒を飲もう——鳥取県の補欠選挙のように、お互いに酒食をそこでもって使ってもかまわないというようなことになれば、非常に危険な選挙運動、そうして選挙費用を節減したというのは、その目的はこの政党の政治活動による選挙運動によって全く破れてしまったものだ。ということは、なるほど、太田長官が読んだところの、ポスターとか、はがきとか、ちょうちんとかいうものは金はかからない。これはあなた方が一番おわかりだと思うのですが、選挙費用でもって金がかかるのは、結局人間が歩く——宿泊だとかあるいはその他の汽車賃とか、そういうような人間が歩く、人間の活動、運動員の活動に実際は金がかかるのです。弁当を出すとか、宿泊したとか、遠方からきた汽車賃を出すとか、そういうことに金がかかるのです。だから、政治活動によるところの選挙運動というものは莫大な費用がかかると思うのです。従いまして、これに対して費用は一回幾らとか、あるいはまた全体としてその選挙運動期間を通じて十万円なら十万円を上回ってはならないとか、当然制限をしなければ、その政治活動によるところの選挙運動は、人間その他の制限は何もないのですから……。ところが、実際のわれわれのやるところの選挙運動というものは、さきには十五人の運動員がトラックの上に乗っておったものが、今度は、費用を節減するために、あの小型自動車の上に乗る者を、候補者、運転手を入れて六人に制限しているのです。なぜ六人に制限したかというと、十五人の者がお互いに昼飯を食った、晩飯を食ったということで、費用がかかるというので、お互いに節減をした。ところが、今度は、政党のいわゆる選挙活動になりますと、人間の制限は何もない。そうなりますと、金のある者が、たくさんの人をどんどん動かして、実に、私は、その費用という問題について、結局選挙界は腐敗しなければならないおそれがあると思うのです。これについて太田長官はどう思われますか。もちろん費用も制限をしない、それから政治活動をする人間の数も、あなたは制限なさらないのでしょう。幾ら人を動員してもいい、金は幾ら使ってもいいというのだったら、大へんなことです。だから、表面はわれわれの選挙運動というものは法定費用で縛られているけれども、その裏面では、いわゆる政党の政治活動に名をかりた選挙運動によって、何ら制限をされない莫大な金と人員とを使って、おそらく選挙運動が行われ、しかも取締りは十分行えない、こういう選挙運動を認めてどうするのですか。これに対して一つ太田長官並びに兼子さんの誠意ある答弁を求めてやまない。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 従来の選挙におきましても、政党の政治活動が選挙に効果がある、間接的には選挙運動と申しますか、そういう作用を果しておったのじゃないか。政治活動でありましても、選挙の際における政治活動というものは、法律上は選挙活動とは違いますが、実質上の効果は、やはりその政党の政策の宣伝によって特定の政党がプラスになるということになろうかと思います。今回は、小選挙区制の採用によって、それがさらに因果関係が密接になりますので、それが選挙運動にわたっても差しつかえない、このように規定をいたしたのでございます。従いまして、従来の政治活動は、選挙運動と違って、法定費用からはずしておったのでございますが、今回のその選挙運動にわたってもよろしいというのは、先ほど大臣が答弁されましたように、方法を限って、確認団体に関してのみそれは認められる行為でありますので、これは各党平等に法定費用からはずす、このような考え方をとっておるのでございます。  また、従来は政党がいろいろたくさんあったわけでございますが、今後は、二大政党で、おそらく先ほど申し上げた——それ以外の政党も活動されるかもしれませんが、公認候補者というような制度の関係から、主たる活動が本来の政党に限ってくるのではなかろうか。そういたしますと、その経費の面におきましても大体同じようではないか。ただ、理論的に申しますと、確認団体に認められました候補がふえた面だけ政治活動の費用がふえるということは、理論的にはいえると思います。

山田長司日本社会党

○山田委員 先ほどの井堀委員の質問に関連して、お尋ね申し上げるわけです。五十名の候補者を擁立できないところは政治団体と認めないという規定がありますが、この小選挙区法によりますと、候補者を二十名ないし三十名しか擁立できないような場合が必ずあると思うのです。しかも、これが、かなりの党員を持っていながら、できない場合がありますが、そういう場合においては、完全に言論の統制をする法律となってしまう危険があると思うのです。そういう点で、言論の統制にならないような方法を大臣はどうお考えになるか。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 現在におきまして二十五名という制限がございます。これを五十名にしたという程度の差と申してよろしいかと思いますが、議員の数もふえますし、候補者の場合も考えまして、大体この程度でいいのではないかというので、五十名といたしたわけでございまして、今までの二十五名というのが五十名になったのでございます。

山田長司日本社会党

○山田委員 中選挙区の場合においては、辛うじて——たとえば、現在の労農党のような場合においても、完全に一つの主義、主張を持っておる政党でありながら、それが小選挙区になってしまうことによって、一つの存立意義をなくしてしまうので、私はこの統制によって立場を失ってしまうと思うのです。こういう場合において、完全に言論の抑圧をしてしまう形が生まれてくると思いますが、これは明らかに憲法の結社の自由を無視してしまう法律になると思う。そういう一体憲法をじゅうりんしてもあえて差しつかえないような法をこしらえ上げていいかどうか、これです、問題は。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 今までの小さい団体が仕事ができないのではないか、言論の抑圧ではないかというお言葉でありますが、政治活動そのものを制限するのではなくて、りっぱな政党が将来できることはもちろん差しつかえないのでございます。ただ、選挙運動につきましての確認団体としての制限が、この法律に設けられたにすぎないのであります。

山田長司日本社会党

○山田委員 どんな主張を持っておる政党も、最初から大きな団体を作り得る組織はないと思うのです。そういう場合に、五十名を擁立するということになりますと、最初からかなり大きな団体でなければだめだという規定を設けてしまうことになるのであって、少くとも、たとい三人か五人の候補者しか立てることはできないとしても、その言っておる主張が既成の政党よりもまさっていないと言うことは、一体どこに根拠があるかということになる。そういう点は、かりに五人や十人の公認候補者しか立てられないとしても、りっぱな政治団体として候補者を立てられるような法律が設けられなければならぬと思うが、そういう点、この規定によっては全然擁立ができない状態になるのではないか。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 現在におきましても二十五人という制限がございます。これを五十人にしたという程度の問題でございまして、この新制度のもとにおいて議員の数がふえたなどの関係を考えつつ、二十五人を五十人に上げたのにすぎないのであります。従来の規定でも、今山田委員が言われましたような五人とか六人という問題がそこに出るのでございますが、現在におきましても二十五人という範囲におきましての制限はあるのでございます。これをただ五十人という程度を上げた問題でございます。

山田長司日本社会党

○山田委員 あなたの考え方でいきますと、それは二大政党を大いに助長していくという考え方でやられる点においては間違いないかもしれぬけれども、それでは憲法に保障せられる結社の自由というものは認めない結果になる危険があるのです。ここに言論の自由が抑圧されると思うが、もう一ぺんその点をお答え願いたい。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 もし憲法に違反するというならば、現在の二十五人のもとにおいてもその問題は起ることと思います。今回の小選挙区制度を作ったのは、その程度を二十五人から五十人に上げたにすぎないのでございます。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 先ほど御答弁で明らかになりましたように、政党とその他の政治団体という二つの名称を用いておるわけであります。そうしてさらに、条文の中では、それに所属する候補者の数を五十人以上という限度を設けて、これを確認団体という扱いをしておるわけであります。ここまではきわめて明確になったわけでございます。そこで、今度の法律の眼目ともいうべき政党の性格なり、その政党が選挙運動に臨む際の範囲、またその選挙運動との関係というものは、きわめて明確にしておかなければならぬことは申すまでもないのであります。ところが、政党とその他の政治団体というものは、先ほどの御説明で明らかになりましたように、今日まだ政党法の存在しない日本の現状におきましては、法律的にいえば全く任意団体であります。ところが、その他の団体として、労働組合の政治活動をする際におけるところの団体、あるいは協会というものもあげられましたが、この場合には、他の結社法に基いて——たとえば、労働組合の場合においては、労働組合法という法人格を持ったものである。協会もまた法人格を持ったものもあるでありましょうし、あるいは任意団体もあるかと思う。こういうものもこの際一つの選挙活動を行う団体として確認することは、今後のいろいろな問題に関係してきますから、明らかにしたいのであります。そこで、この問題はあらゆる点に関係してきますが、私は費用の問題に限定してお尋ねしておるのでありますから、きょうは一番はっきり出てきた点だけを一つあげておきましょう。  たとえば、小選挙区という原則論をかなり強調しておるが、小選挙区論に二人区があるなどということは、この前も太田長官から御答弁がありましたように、全く矛盾しておる。例外の例外として考えるなら別でありますが、こういう点においてすぐここに関係が起ってくるわけです。たとえば、これが、小選挙区という原則がそのまま貫かれておれば、政党にしても、その他の団体にしても、選挙活動に入る際に——ここの条文によりますと、「一選挙区につき当該選挙区における公認候補者の数に十を乗じて得た数に相当する回数及び外に全国を通じて」云々とあります。これが一人一区ならこういうめんどうなことは要らない。十回でいいわけです。ところが、二人区の場合の十回は二十回になります。これは論理的にも実際的にも重大な結論が出てくる。こういう問題もございますので、全体についてもう少しく原則論をお尋ねいたしておきたいと思います。  それから、団体ですが、政党については一応常識がありますから別問題として、その政党と全く同じ価値においてこの法律がその他政治団体を扱っておるという点に即してお尋ねをいたしたいと思いますけれども、そちらの方でもいろいろ御検討いただくごとにして、この次に譲りたいと思います  そこで、私のお尋ねした第一の政策の近似性という点については、明確な御答弁をいただけなかった。もちろん他党の政策に言及することを避けられたと思うのでありますが、これは非常に残念に思います。二大政党を指向する際、しかも、現実の選挙を控えて、相手方の政党に対する提案者側の明確な意見が聞かれなかったということは、私は政策をもって争うという態度に対して非常な疑いを持つに至りました。またいずれ他の委員からもお尋ねがあると思いますから、こういう点、一つ十分お考えいただいて、明確を期せられることが必要になるのじゃないか。また、必要と感じられなければ、私は重大な論理の矛盾を指摘しなければならぬと思うので、その節またこの問題はお尋ねしたいと思います。  第二の資金調達の問題は、申すまでもなく、二大政党を指向し小選挙区制を指向する場合においても決定的な条件になってくる。この資金調達のルールに対しても、不明朗な感じを私は強くいたしました。非常に残念に思っておるわけでありますが、特に、この問題につきましては、この後にお尋ねするものと非常に深い関連を持っております。その原則についてある程度明らかになりましたので、この問題を中心にしてお尋ねを進めていきたいと思っております。  本日は、時間の都合で、この程度で保留しておきます。

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 次会は明十八日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十八分散会

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