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24回国会衆議院1956/04/03

公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第12号

発言数
105
登壇者
15
会派数
2
開催日
1956/04/03

会議録

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 これより会議を開きます。  前会に引き続き、内閣提出の公職選挙法の一部を改正する法律案、中村高一君外三名提出の政治資金規正法の一部を改正する法律案、中村高一君外四名提出の公職選挙法の一部を改正する法律案、以上三案を一括議題といたします。  質疑を継続いたします。島上善五郎君。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 本論に入ります前に、どうしてももう少し質問しておかなければならぬ。これは、恐縮でございますが、政府の御説明によりますると、選挙制度調査会の答申に基礎を置いておるということでございますから、その基礎を明確にしておくということは、本論に入る前にどうしても必要だと思う。そこでもう少し納得するまで質問したいわけです。というのは、前回の委員会で私もう少し質問したかったのですが、本会議の関係でしり切れトンボになったような形なので、どうしてもきょうその継続をしたいわけです。  前回の委員会において、太田国務大臣は、私の質問に対して、このように答弁しております。「私は、あの委員会の運営が会議規則によっており、その議決が多数決であり、正常なるものであり、従って有効なる答申であると思っております。その点につきましては寸分の疑いも抱いておりません。」こう、きわめてはっきりとお答えになっておる。そこで私は伺いたいのです。選挙制度調査会の最後の二回の総会の記録はあとで配られましたけれども、これに目を通してみて、第一に、私どもこの総会の運営が不十分であったと考えられる点は、三月十日の総会においては、肝心な矢部起草委員長が欠席しておる。そうして、委員の質問に対して、委員長の代理が答弁されましたけれども、これはきわめて不十分な答弁である。それで、この大事な総会に起草委員長が欠席するということは困るということが委員から強く要望されたわけです。ところが、一日置いて、あくる日の十二日、すなわち結論を出したといわれる総会ですが、その総会には、今度は次田小委員長が欠席しておる。起草委員会なり小委員会の報告を基礎として審議すべき総会において、前の日は起草委員長が欠席しておる。二度目には次田小委員長が欠席しておる。そうして、記録を見てもわかりますように、決して質疑が十分になされたとはいえない。それから、小委員会の速記録を見てみましても、十二回にわたる小委員会を開いておりますが、起草委員会を設置しましたのは第八回の小委員会、そうしてその間に起草委員会が数カ月間開かれたわけでありますが、その起草委員会の記録はどこにもない。これは配付もされてない。起草委員会の経過は、起草委員長から口頭できわめて簡単に報告されたのみであります。そして、九回、十回、十一回、十二回の小委員会で一体その起草委員長の報告について十分に審議したかどうかということを記録を調べてみましたが、これまた、特に問題の多い選挙区割りについては、ほんのわずかの質疑及び審議しかしてない状況です。この前も私指摘いたしましたが、総会においては、会長は、特に、この選挙制度調査会の運営については十分慎重にやりたい、小委員会から中間報告をときどき受けて、総会で十分審議したい、こういうことも会の運営に際して諮っております。それから、これまた会長の発言ですが、小委員会の結果を総会で承わって、総会でまた十分に練って成案を作りたい。これは私は当然の話だと思うのです。ところが、総会に対する中間報告というものをなされていないし、三月十日初めて報告をして、その十日の日に結論を出そうというふうな動きが非常に強かった。ついに、これは、質疑半ばで、あまりにも問題の核心に触れていなかったので、十日には出しませんでしたが、十二日に、この前指摘したように、きわめて混乱のうちに結論を出したと言っている。この記録を調べてみましても、どう考えてもこれは十分な審議だとは言えない。諮問した当時の自治庁長官であった川島委員の答弁によりますと、この問題は非常に重要な問題であるから、慎重に審議してもらいたい、期日については特に政府側は特別の注文をつけない、十分に審議してほしい、こういうことを答弁しておる。これは、問題が問題だけに、私は当然だと思うのです。しかるに、今私が言ったように、この審議が十分になされていないということは明白なのです。少くとも良識ある者なら明白なのです。政府の都合によって三月十二日までに答申を出さなければならない、あるいは十三日に答申を出さなければならない、政府の方ではあるいはそう考えたかもしれませんけれども、選挙制度調査会としては、三月十二日の午後六時に答申を出さなければならないという制約はないはずなのです。しかるに、今指摘したように、きわめて不十分な審議のうち、しかも混乱のうちに、何を議題にしたのか、だれとだれが賛成して多数であったのかということが不明確なうちに、採決したと称している。こういうような採決の仕方が、この大問題を取り扱う選挙制度調査会として適当であるかどうか、不十分であるかどうかということは、私は良識を持っている者ならば、大して疑義のないところだと思う。ですから、太田長官も、私の質問の前の方においては、当時の委員会が——総会のことですが——混乱をきわめたことはまことに残念なことに私も思っている、こういう答弁をしておる。しかるに、前会の答弁の最後には、私がさっき読み上げましたように、きわめてきっぱりと、会議規則にのっとり、正常な運営であった、こう言い放っておる。私は太田長官に対して重ねて伺いますが、会議のあのような運営が、選挙制度を根本的に変更する大問題を取り上げる選挙制度調査会の運営として、政府が当初答弁しておるように、慎重を期し、十分審議を尽したものであるかどうか、審議に遺憾がなかったかどうかという点について、重ねて太田長官に伺います。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 島上委員にお答え申し上げます。  この前申し上げました通り、最後の会議に混乱が起りましたことは、私言うまでもなく遺憾に存じます。私が申し上げましたのは、会議規則により過半数によったということが有効であるという意味を申し上げたのであります。  今日の御質問のうち、起草委員長が留守で代理したこと、それから小委員長が留守で代理したことのお話がございましたが、これは、会長がその代理者を認めてやったことと思いますので、別に私としての意見は申し上げる段でないと思います。  また、起草委員会の速記がない、こういうお言葉ですが、速記をとらぬようにしたということも、記録の中にあったように——これははっきり記憶がありませんが、あったように記憶いたします。地方制度調査会においても速記はとらないのでございます。これがいい悪いは別として、事実の話でございます。  それから、中間報告をすべしということは、会長も報告の問題と関係してその必要を認められ、今島上委員のおっしゃったように、総会に中間報告というようなものを出していただく。「総会と小委員会との連絡をとっておきたいと思います。」と会長が七月二十六日の総会で申しております。しかるに、それが開かれなかったという事実のことに対してでございますが、これは島上委員も御出席になりました三月十日の会議でございますが、小林委員が言われているように、「総会に中間報告あるいは連絡しろというような発言は一度もなかったように思っております。」これは小委員会のお方でございます。「これは親切に御注意下されば、あるいはそういうふうに行われたかもしれないと私は考えます。」これが小林委員の言うことで、それに対して、島上委員から「次田小委員長の回答がない。」というので、次田委員が立って言われるのに、「先ほど小林委員から述べられました通りに、小委員会の内部でも、一つ中間報告をしてみようじゃないかという御意見は一度も出なかったということを申し上げておきます。」私としてはこの二つの記録を見るだけでございまして、いずれは会長のもとにおける運営でございまするので、私からとやかく申すべき段でないことは、御了解を願いたいと存じ上げます。

鈴木義男日本社会党

○鈴木(義)委員 関連質問。ただいまの太田長官の御答弁は納得がいかないのでありますが、この中間報告をするべきかいなかということは、一応小委員会で決定することかもしれませんが、大体独断的に事を運ばれてはいけないから、小委員会に付議する前の総会において、私どもは、必要があったならば中間報告をして、さらに進めてもらいたいということを注文しておいたわけであります。それは会長も了承しておった。そこで、小委員会が十二回も開かれて、半カ年にわたってやりまして、大体小選挙区を採用するということをきめた場合に、どういう選挙区割りをやるかというようなことについては、小委員会の中にまたさらに起草委員会というものをこしらえたのでありますから、非常に事重大なんです。その起草委員会もどこまでの権限を委任されているのか、またああいう形の区割りを作ることが委託されていることであるかどうか、たとい委託されていると独断的にお考えになりましても、一応総会に諮って、総会でそういうふうにお願いしますということになったときに、初めて着手されてよい仕事であったと思うのであります。ほとんどが独断で進行していることは非常に遺憾に思うのでありますが、そこで、いよいよ中間報告をする必要がないとお考えになったのは小委員会の考え方であって、三月十日に初めて総会に小委員会の結論を御報告になったのでありますから、これは重大である。大体区割りまで委任したつもりはないというような意見を、私を初め他の委員からも申し上げたわけでありまするが、委任したかしないかは別問題としても、あれだけ重大なことでありますから、もっと回数をかけて審議をすることが当りまえではなかろうか。それが結果において中間報告になったと私どもは思うのです。そのときに総会のほかに発言する機会がなかったのでありますから、総会において十分にこの小委員会の案というものを批判をし、修正し、いろいろ意見を述べようと思って待ちかまえておったのに、しゃにむに、十日の日に報告をして、それを承認しようという態度であった。それはあまりにひどいではないかというので、さらに続行せよということを私どもが迫った結果、通常一週間とか十日とか置いてやるのが当りまえでありまするのに、それじゃあさってやろう、そのあさっての三月十二日にはしゃにむに結論に持っていってしまおう、たといどんなに反対をしようが、そんなことはかまわない、すべて押し切ってしまおうという態度でやったことが明らかなのでありまして、その意味において、私どもは、調査会が正常な運営をやっておらない、ある一つの結論というか、希望を持っておって、それを実現するために、冷静で、公平で、かつ慎重な審議を怠ったという非難は免れないと信じておるのであります。ゆえに、いま一度、その点について、自治庁長官として遺憾の点はなかったかどうかということを確かめておきたいのであります。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 会議の経過につきましては御意見のような点もあろうかと思います。しかし、会そのものが、会長にまかされて規則のもとに運営されておりますので、私といたしましては、それ以上会長の行動をどうこうと言うことはできませんのです。ただ、お言葉のような御意見もいろいろあるかと思いますが、その点について、私は、先ほどから速記録を読みまして、中間報告に対する小林委員と次田小委員長との話を申し上げたのにすぎないのでございます。

鈴木義男日本社会党

○鈴木(義)委員 自治庁長官としてその点について責任が持てないということであれば、私どもは、選挙制度調査会のそれぞれの責任者に十分お尋ねをし、是正すべきものは是正して参りたいと存じますから、その点を留保いたしておきます。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 私も、自治庁長官が選挙制度調査会の運営の責任者でないことは、初めから承知してやっております。ですから、この点がどうも明確を欠くようですから、今鈴木委員が言われたように、あとで選挙制度調査会のしかるべき人を参考人として呼んで伺いたいと思っております。それを、理事会で選考して、参考人として呼ぶことをおきめ願うことを要求しておきます。  もう一点だけ長官に伺っておきたいのは、この選挙制度調査会の審議がいかに不十分であったかということは、いろいろな点から立証されるのです。ただいまの御答弁によりますと、起草委員会は記録をとらない、とらないにはとらない理由があったとこう解釈されるような御答弁ですが、記録をとらないとすれば、なおさらのこと、起草委員長は、小委員会に報告する際にも、総会に報告する際にも、責任をもって詳細に報告し、詳細に答弁をする、これが必要であろうと思います。ところが、それがなされていないということが、まず第一に審議が十分になされていないということを立証している。そのために、小委員会に報告した後、第十回の小委員会——九回の小委員会は二月二十日ですが、この九回の小委員会に初めて起草委員会の報告がなされた。しかもこれはきわめて簡単な報告です。とうてい、その場では、委員諸君は十分に目を通して質疑をするという余裕がなかった。そこで、九回の小委員会は、ただ起草委員長の報告を聞いた程度で、ほとんど質問がない。第十回の小委員会で、森委員から札幌市における区割りの不備な点が指摘されまして、その指摘された点が正しいということを全委員が認めて修正しております。これでもっても、起草委員会の区割りが十分なものでないということがわかると思うのです。その上、今言ったように報告が十分なされていない、小委員会においても審議が十分なされていないというふうに判断せざるを得ない。さらに、三月十日の総会において、小委員にあらざるわれわれが初めて報告を聞いてすぐ気がつきましたことは、府県ごとのアンバランス、人口と議員のアンバランスです。これをわれわれが指摘いたしましたら、三月十二日のその次の総会において、青森県と佐賀県の二県を修正したことは、皆さん御承知の通りであります。こういうふうに、ちょっとこまかく目を通せば、至るところに不備があり、欠陥があるというような問題、それを、御承知のように、三月十二日の総会においては、まだ全区割りに関する質問をだれもしていない。それなのに、質疑討論を打ち切るというような動議を出して、最も問題の多い、世間から批判の的になっておる区割りについて全然質疑を許さぬ、こういう審議は、どう考えても慎重を期した十分な審議とは言われない。私は、長官は会運営の責任者でないので、その責任者の立場から答弁をしろということは申しませんけれども、太田長官も委員の一人として来ておったし、その他政府の関係者諸君もやはり委員として来ておった。その政府の委員諸君は——私どもはちゃんと定刻に行って一生懸命質問しているのに、政府の委員諸君は、採決要員のような格好で、失礼な言葉ですが、夕方ぞろぞろとやってきて、きわめてふまじめな態度である。こういうような運営をしておる。私は、この前読み上げたので、きょうはあえて読み上げませんけれども、三月十二日の総会の最後の状況などは、すぐそばにおる速記者が聞き取れない。聴取不能なんです。相当広い会場なんですから、遠くの方にいる委員など聞えるはずがない。どこで多数であるということを確認したか。(「騒いだのは島上善五郎ではないか」と呼ぶ者あり)これは君に質問しておるのではないから黙っておれ。——私としては、会長があまりにも常識はずれの運営をしようとするから、会長の不信任案を出した。不信任案を出したならば、規則にないから会長が何でもきめてもいいというものではないのですから、そのためにこそ、議事の運営その他については相談しようということで、運営委員会を設けておるのですから、自分の不信任案を出された以上は、当然、一たん休憩して、運営委員会に諮ってやるべきものであります。あの運営のやり方を見ておると、三月十二日の午後六時にはどうでも結論を出さなければならないというように押しつけられておる、拘束されておるといったような感じが強い。三月十二日の六時が八時になったところで、あるいは翌日の十三日の五時になったところで、重要問題だから慎重を期したとしたならば、そのためにしかられるという筋合いのものではなかろうと思う。そうすべきものである。それを、あのような聴取不能の状態で、蝋山政道の修正意見を採決いたしますといったようなことで、こういうような運営が正常な運営である。——有効、無効ということについてはまた議論があろうと思いますが、少くとも重要問題を取り扱う選挙制度調査会の運営としては正常な運営ではない。会議の運営については経験もあり、良識を持っておられる太田長官の考えとしては、当然あの運営自体は正常ならざるものであったと、委員の一人として率直にお認めになるのが当然ではないかと思う。それを私伺っている。委員の一人としてこれがきわめて正常なスムースな運営である、こうお考えになるのかどうか。これは、委員の一人としてその採決に加わったと称しているのですから、責任があるはずなんです。その太田長官にお考えを承わりたい。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 この別表を作りますことは非常にむずかしいことでございまして、社会党の方が御指摘になったように、札幌に間違いがありました。それからまた、いろいろな御意見の結果、佐賀と青森を加えました。私どもは委員会の労を多としてこの答申を見たのでございますが、私どもとしてみれば、やはり答申案そのものに私どもの見た、こう直したらどうかというような点が政府案となった。それで、委員会案というものに対して、もっと慎重にやらなければならぬというお言葉の意味はよくわかります。しかし、会議の運営は、私の責任のがれという意味で申し上げるのでなく、また私の責任でないと島上委員もおっしゃったのでございますが、運営そのものについて、最終日に混乱が出たということはまことに遺憾なことであって、正常的なものでなかったと思いますが、しかし有効、無効という問題につきましては、私は、たびたび申し上げるように、有効であるという判断をしておるのでございます。  また、先ほどのお言葉に、佐賀及び青森に増員を行なったのは、総会ではございませんので、小委員会でございました。なお、先ほど第一の御質問のときにお言葉がございましたが、矢部君が起草委員長で欠席いたしましたのは、前々から約束でありました大学の講義の関係で、やむを得ない事情であったわけです。また、次田小委員長が総会を休まれましたのは、次田君のお兄さんがなくなられた御不幸の関係で、郷里へ帰ったのであります。その事情は私聞いておりましたから、ここに御報告を申し上げておきます。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 ただ一つ今の御答弁に間違いがあるから、事実をはっきりしておきます。佐賀及び青森は小委員会だと申されますが、これは、三月十日の総会で私どもが指摘して、それで三月十二日の総会においてこれを変更した。ですから、小委員会でやったとしても、総会で指摘され発見されたことは事実であります。私はその総会と総会との間に小委員会を開いたという事実を聞いていませんから、これは総会で修正したものと解釈していますが、いずれにしましても、初めて報告された総会において指摘された。その欠陥が指摘されて修正したことは事実なんです。いずれにしても、この大事な答申をなすべき選挙制度調査会の運営が正常でなかった、遺憾であったということは、今太田長官も認められた。  そこで、私は、今度は当の運営の衝に当った諸君、並びに委員であった諸君で公正な人々数名を参考人としておいでを願って、もう少しこの点を伺いたいと思います。その点を留保します。人選は理事会でおきめを願って、なお、私は本問題についてたくさんの質問したい事項がありますので、それも留保いたしまして、本日の私の質問はこれで終ります。

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 竹谷源太郎君。

竹谷源太郎日本社会党

○竹谷委員 ただいま本委員会において審議いたしておりまする社会党提案の公職選挙法の一部を改正する法律案並びに政府提出の公職選挙法の一部を改正する法律案をずっと読んでいきますうちに、政府提出法律案の中には、この二十四国会においてすでに相当全面的に選挙法の改正が行われ、三月十四日に衆議院から修正の上回付された改正案を参議院において可決をいたしまして、十五日からその法律が施行になっておる。この本国会においてすでに改正された部分あるいは同一問題、同一事項、同一条文について再び改正せんとする内容を多分に政府提出の法律案は持っているように見受けられるのでありますが、その再改正をなさんとする条文、あるいは、条文が違っておりましても、内容もしくは事項の同一であるものがあれば、それを一つここに示していただきたい。これは、政府の方と社会党の方の提案者双方にお尋ねいたします。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 ただいまのお尋ねは一事不再議の原則に関係したことかと思いますが、先般の参議院関係を主といたしました選挙と、現在の中選挙区のもとにおける問題に筆を入れた、こういうのが先般の法案でございまして、今回の法案は、小選挙区制度という、目的も趣旨も違ったものを出したのでございます。第何条と何条が前の項目と関係があるかということは、すぐ事務当局から申し上げますが、私の考えでは、同じ条文がありましても、前の場合は参議院選挙及び中選挙区の衆議院選挙における関係のものでございまして、今回の小選挙区のもとにおける問題とは、条文が同じでありましても趣旨、目的において違っておる、従って一事不再議には触れない、こういうように申し上げておきます。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 まず五十四ページでございますが、三十四条第六項第一号、選挙期日の告示の問題でございます。二番目は、百二十八ページ、百四十四条第一項第一号でございます。選挙運動用のポスター。それから三番目は、百三十五ページ、百五十一条第二項でございます。経歴放送の回数でございます。四番目は、百四十七ページ、第百六十四条の二の第七項でございます。演説会場外の立て札、看板の使用の問題でございます。五番目は、百七十九ページ、第二百一条の三でございます。次は、百八十ページ、第二百一条の五でございます。表現を改めております。次は、百八十四ページ、第二百一条の七、及び百八十五ページ、第二百一条の八。次は、百八十六ページ、第二百一条の十。次は、二百十一ページ、二百三十五条の二でございます。次は、二百二十八ページ、第二百五十二条の二でございます。政治活動の規制違反の問題。以上でございます。

鈴木義男日本社会党

○鈴木(義)委員 社会党の方につきましては、今ちょっと調査中であります。あとでお答えします。御了承願います。演説の回数等について、確かに一事不再議に触れるものがあると存じます。

竹谷源太郎日本社会党

○竹谷委員 ただいま事務当局の方から各条項について再改正をなさんとするものをおあげになりましたが、その数は十以上になると思うのです。かなり膨大なる公職選挙法の全般にわたっていろいろと再改正の法律案でございまするが、なかなかこれはめんどうでございまして、その各条項について、旧法はどうであるか、現行法はどうであるか、改正せんとするものはどういう内容を持つものであるか、これを詳しくお尋ねをいたしたいのでありますが、最初の私の質問に対しまして、太田国務大臣からいろいろとこの問題に関して理論的な御答弁がありましたが、まだ私はそこまではお尋ねしていないので、一体、この政府案は、今国会において一たび改正された条文にどういうような改正を加えんとするか、その内容をお聞きした上で次の質問に移りたい、こう考えるわけでございまして、つきましては、その内容を承知いたしたいので、この各条項についてとくとわかるように——選挙法の規定はなかなか技術的で、しかもむずかしい。それが、選挙執行に当って、一歩誤れば、あるいは選挙違反、当選人の当選無効、選挙無効というような問題も起しますので、重大でございますから、各条項について詳しく御説明をお願いしたいと思います。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 ただいま申し上げました各条項について御説明をいたしたいと思います。  第一は、第三十四条第六項第一号の選挙期日の告示の問題でございますが、これは、三月十五日に公布施行になりました公職選挙法の改正によりまして、第六項の第一号は、従前の第一項の条文は「参議院議員の選挙にあっては、少くとも三十日前に」というのであったわけでありますが、それが、先般の改正で、参議院の選挙運動期間が二十五日に短縮されました関係上、「衆議院議員、参議院議員及び都道府県知事の選挙にあっては、少くとも二十五日前に」、このような改正が行われておったのでございます。三月の前回の改正では、衆議院議員の選挙につきましては、運動期間の実質の問題には触れておらないのでございます。ただ、条文の字句の整理の上で、その第一号がいじられただけであります。実質につきましては、何ら従前と異なったところもないわけであります。それが、今般の改正で、期間の短縮をはかる、そういうわけであります。  二番目の百四十四条第一項第一号、この百四十四条の前回の改正におきましては、昨年の選挙の実績から見まして、衆議院議員につきましては告知用ポスターだけでございまして、そのポスターの記載が非常に制限をされておる、これは、運動の自由の面から見ましても、またそのような実態から見ても無理があるのではないか、このようなことからいたしまして、告知用ポスターを全廃いたしまして、選挙運動用ポスターに切りかえたわけでございます。そのような改正が前回行われたのでございますが、今回は、枚数につきまして、前回一応運動用ポスターが五千枚になりましたのを、今回小選挙区制の実施に伴って枚数を三千枚に改正せんとするものであります。これは実質的改正でございます。  次は、第百五十一条の第二項でございますが、これは、前回の改正以前の条文は、「前項の放送の回数は、選挙の期日前二十日から選挙の期日の前日までの間において、公職の候補者一人について概ね十回とする。」このような規定でありましたのを、お手元の改正条文のごとく改正になったわけでございます。「前項の放送の回数は、公職の候補者一人について、衆議院議員の選挙にあっては概ね十回、その他の選挙にあっては概ね五回とする。」このような改正が行われたわけでございますが、それを、今回、衆議院議員の選挙につきましても、他の選挙と同様に取り扱うことといたしまして、小選挙区制の実施に伴う改正といたしまして、従前十回でありましたものを五回とする、このような改正でございます。  次は、第百六十四条の二の第七項でございますが、これは、従前の規定は、「第一項の個人演説会につき選挙運動のために使用する文書図画は、演説会場外においては、第七項の」——第七項というのはポスターでございます。「演説会告知用のポスター、第百四十三条第一項第四号((演説会場における文書図画の掲示))の規定により使用することができるちょうちん(一箇に限る。)及び同条同項第五号((選挙運動用ポスター))のポスターの外、掲示することができない。」このような百六十四条の二の、従前は第十項の規定であったわけでございますが、それを、前回の改正におきまして、個人演説会告知用のポスターの七項から九項までを削りました関係で、従前の十項が七項に繰り上げになったわけでございます。それで、その中の「第七項の演説会告知用のポスター、」という字句が前回の修正で削られておる。それを、前回は告知用のポスターの廃止に伴って単なる繰り上げを行なったのでありますが、今度の改正は、衆議院議員の選挙の場合に限って、ポスター、ちょうちん以外の立て札、看板についても、個人演説会の会場の外においてその使用を認めようとする、そのような改正をいたさんとするものであります。  次は、二百一条の三ごございますが、これは、従前の規定は、ポスターの特例として、衆議院議員の選挙の場合にあっては告知用のポスターが五千枚という規定がございましたのを、前回告知用のポスターの制度を廃止いたしました関係で、削除いたしたものであります。今回は、このあきましたところに新たに規定を設けまして、小選挙区制の実施に伴う公認候補者に関する規定を設けんとするものであります。  次に、二百一条の五は、前回は、「衆議院議員の総選挙においては、政党その他の政治団体は、その政治活動のうち、政談演説会及び街頭政談演説の開催並びに宣伝告知のための自動車の使用、ポスターの掲示及びビラ(これに類する文書図画を含む。以下同じ。)の頒布については、その選挙運動期間中及び選挙の当日に限り、これをすることができない。但し、全国を通じて二十五人以上の所属候補者を有する政党その他の政治団体が、左の各号に掲げる政治活動につき、当該各号の規定によりする場合は、この限りでない。」という規定でありましたのを、前回の改正におきましてこの規定の立て方を変えまして、衆議院議員の総選挙においてはという規定の仕方をとりまして、「政党その他の政治団体は、その政治活動のうち、政談演説会及び街頭政談演説の開催、ポスターの掲示及びビラの頒布並びに宣伝告知のための自動車の使用については、」そこに「衆議院議員の総選挙の選挙運動の期間中及び選挙の当日に限り、これをすることができない。」そういうふうに規定建前を変えたわけであります。政党の政治活動の方を頭に出しまして、これこれの政党の政治活動は衆議院議員の総選挙の選挙運動の期間中及び選挙の当日に限り何々をすることができない、このような規定の趣旨に変えたのであります。それを、今回の改正は、小選挙区制の実施に伴って、従来の個人本位の選挙を政党本位に改めることといたしまして、政党の政治活動について、第一に、本法の政治活動をなし得る政党の所属候補者数を、従前の二十五名を五十名に引き上げたこと、第二に、政治活動の手段として、通常はがきを一候補者について五千枚認め、立候補者数の政党の規模に応じて二回より十一回までの放送を認め、ほかに政党のポスター一候補者について二千枚を認めることとし、なお、宣伝告知の自動車は従来認められていましたが、新たに船舶及び拡声機の使用を確認団体のみに認めることといたしたのであります。  次は、二百一条の七でございますが、二百一条の七及び二百一条の八の規定は、二百一条の五及び三百一条の六の規定の改正に伴う形式的の整理でございます。  次は、二百一条の十でございますが、これは衆議院議員の選挙における政治活動の態様の規定でございまして、新しく小選挙区制の実施に伴って新たな観点から規定するものでございます。  それから、二百三十五条の二及び二百五十二条の二は、前者は新聞等が選挙の公正を害する罪でございますが、これは両者とも今回も条文の整理でございます。  以上でございます。

竹谷源太郎日本社会党

○竹谷委員 二百一条の六は関係ございませんか。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 二百一条の六の規定につきましては、今回の改正は参議院議員の選挙に実質的に影響を及ぼさないというための整理でございます。

竹谷源太郎日本社会党

○竹谷委員 しかし、文句その他は変っておる点がありますね。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 その通りでございます。

竹谷源太郎日本社会党

○竹谷委員 今、選挙部長から、各条項について、旧法、現行法並びに改正案の三点の相違のあらましについてお聞きしたのでありまするが、条文の数だけでも十二ヵ条にわたって、しかも、それが候補者の選挙運動あるいは政党の政治活動その他に関しまして、きわめて重要な影響のある選挙法の規定でございます。こうなりますと、前の第二十二国会におきまして、参議院の緑風会の提案によりまして、選挙法の改正案が参議院の議員提出で審議をせられ、それが本院に回って参りまして継続審議になっておりましたが、衆議院においては、それに対して一、二修正を加えて参議院に回付をしたわけでございます。それが三月の初めであったと思うのでありますが、その後、参議院において、いろいろと慎重審議の結果、衆議院の修正点をのむということで、三月十四日の参議院本会議において可決を見、そうして三月十五日から公布になったわけでございます。しかるに、今回の政府提案は三月十九日でございます。この間四日後でございますが、同一会期中に、しかもこのように近接した期間に、広範な十二ヵ条にもわたる重要な規定について再改正をするということは、先ほど太田国務大臣が一事不再議ということを申されましたが、どうも一事不再議の原則に反しているのではないか。きわめてその疑いが濃厚でございます。しかるに、先ほどは一事不再議の原則には反しないというように思うという太田長官の御答弁がありましたが、これはふに落ちません。このように、十二ヵ条にもわたって、あるいは条文の形式においても同じ条文、しかもその内容を実質的に再び変更しようというのでございまして、これは一事不再議の原則というものに反するとわれわれは断ぜざるを得ないのでありますが、太田国務大臣のお考えをお尋ねしたいのであります。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 先ほども申し上げました通り、同じ法文を直すにいたしましても、法案の趣旨、目的が、先に出した場合は、参議参議員の選挙を主としておりますし、またその中は中選挙区の現行制度についての修正で、三月十五日に公布されております。今回のは小選挙区という新しい制度につきまして条項を改めたのでございまするから、前のとは趣旨、目的において違っておる、私はそう解釈しております。むろん、一事不再議の原則は非常に大きな問題でありまして、私としては、前憲法にはあった、今度の憲法にはないけれども、この点に触れてはいかぬと厳に戒めつつ、この法律案を提出した次第でございます。

山村新治郎自由民主党

○山村委員 関連して。ただいま、社会党の竹谷君から、今回の改正法案のうち、一事不再議の原則に反するのじゃないかという点についての御質疑があったようでございまするが、その質問のうち、社会党それ自身の提出法案のうちで、果して先般の三月改正の点と触れるものありやいなやという点について、社会党御自身から御質問のあったことに対して、残念ながら、鈴木義男さんから、あとで調べて答弁する、今のところは答弁ができないというようなお答えであったのですが、これはあまりにも無責任過ぎると思います。一体、社会党提案の選挙法の改正については、前回の改正と重複する点がありやいなやを、一応社会党からもお聞かせ願いたいと思います。

中村高一日本社会党

○中村(高)委員 一事不再議に社会党の案がなるかというきわめて重要な御質問でありまして、これは、政府案と同じようりに、一事不再議の問題についてはわれわれも非常に疑点があると思っておるのでありまして、太田長官のただいまのお答えによりましても、政府案としてもこれはいわゆる憲法上の一事不再議の原則に該当するかどうかということについては、まだ議論が十分に尽されておらないし、解決もされておらない問題だと私は思うのでありますが、政府案がわれわれの解釈する上において一事不再議であるとしますならば、社会党の提案したものの中にもやはり同じような点が含まれておると私は思うのであります。そういう点においても、われわれは、政府案は一事不再議でありますから……。(発言する者多し)ちょっと静粛にして下さい、これは重大でありますから。——私たちも後にどういう点であるかということは申し上げますけれども、政府案が提出されましたときに、なぜ私たちがこういう案を出したかといいますと、あの答申案にあります選挙公正確保に関する、たとえば連座の規定でありますとか、あるいは政治資金というような問題に対して、政府案はほとんど触れておらぬのであります。そこで、われわれは、政府案も、答申案に答申されたことであって、政府案として当然出さなければならない規定がたくさん抜けておりますので、それを補充するというような意味で、われわれはこの社会党の法律案を提出いたしておるのでありますから、そういう点では、私は政府案が一事不再議に該当する、社会党もそういう意味においては私たちもやはり該当を免れないと思うのであります。そういう意味において、政府案が撤回をされますならば、社会党も撤回をすることはやむを得ないことだと思うのであります。(「どっちが先に出したんだ」と呼び、その他発言する者多し)  そこで、形式上の議論としては、一つも重なったものはないのです。一つも重なったものはないのでありますけれども、ただ問題は、立会演説会について一つだけ、これは参議院から提出されたものにも立会演説会についての改正案がある、われわれの方にも改正案が出ておるのであります。これ以外は一つも重なっておりません。立会演説会の開催についてだけは、参議院の方から提出されましたものには、現行の立会演説会の中から、やむを得ない場合だけは、これを除外するという規定が出ておるのであります。これはどういうことかといいますと、天災その他の事項によりまして立会演説会を開催することが非常に困難な事情の場合は、中止をするということにいたしまして、立会演説会は行わないという除外規定が、さきに通りました参議院の改正案では出ておるのでありますが、社会党では、この立会演説会を、現行法は回数をなるべく多くするように努力すると書かれておるのでありますのを、社会党ではこれを三十回を基準とする、それ以上はでき得るならば現行法のように回数を多くするが、少くとも三十回はやるということになっておりますし、広い意味において立会演説会の問題について議論が重なっておりますから、そういう点からいきますならば、この百五十三条の第四項については、あるいはこれは一事不再議に該当すると思うのでありますが、われわれは、いろいろ研究した結果、もしこれが一事不再議に該当するということでありますならば、いつでもこの条項だけを撤回いたしまして、該当しないようにする用意はありますけれども、その他の点についてはいずれも内容が全部異なっております。  それだけお答えいたします。

山村新治郎自由民主党

○山村委員 御答弁によりますと、どうしても一事不再議に該当するということを御自身が肯定されているように私どもは聞き及んだ次第であります。現に立会演説会の問題では重複しておるということを、はっきりとそこで答弁されておるのです。  なお、私の調べたところによりますと、百四十三条のポスターの問題も該当しているのではないかと思いますが、この点は自治庁の見解はどうでございますか。事務当局にお伺いいたします。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 お答えいたします。  社会党の御提案にかかる公職選挙法一部改正案におきまして一事不再議に該当する条項がありはしないかという問題でございますが、「第百四十二条第一項第一号中「一万枚」を「二万枚」に改め、同項第二号中「一万五千枚」を「二万枚」に改める。」というのは、百四十二条第一項第二号で全国区と地方区を改正いたしておりまするが……。われわれのいただいております資料はちょっと古く、その後正誤で御訂正になっているそうでございます。今申し上げておりますのは……。

山村新治郎自由民主党

○山村委員 いずれにいたしましても、中村君の御答弁にありましたように、もしも一事不再議に該当しておるならばこれを引き下げると言われておりますが、十分該当していることは肯定されているのです。  私の記憶するところによりますと、中村君は、本会議の演説におきまして、この法案が一事不再議に該当しているのではないかということを質問されたはずです。また、社会党の代表質問として、ここで竹谷君も質問されているのです。政府といたしましては、要するに小選挙区に基盤を置いたというところに大きな趣旨の違いがあるから、これは該当しないと答弁をされておりますが、この是非は別といたしましても、政府提案の一事不再議を難詰された社会党自身が、その提出の法律案の中に一事不再議を犯しているということは、あまりに無責任過ぎるのではないかと思うのです。その点については今まで何ら調査もされていなかったのですか。ここでもって指摘をされて初めて気がついたのでございますか。あまりにも無責任であると思いますが、提案者といたしまして中村君の答弁を求めます。

中村高一日本社会党

○中村(高)委員 これは、政府案が出ますることがわかって、その点の欠点を補充する意味でこういうものを私たちは出したのでありまするが、一事不再議になるかどうかということについての議論については大いに疑いがあるし、もし私たちはこれが一事不再議に該当するならば、政府案というものはこれどころの問題ではなくして、われわれの方は一つの条項だけでありますけれども、これがもし該当するならば、政府案はほとんど全部が一事不再議に該当するのでありますから、もし該当するということであれば、われわれは撤回をするから、そのかわり、それの十倍も二十倍も該当しておる政府案は当然撤回されなければならぬと、私たちは考えております。

山村新治郎自由民主党

○山村委員 無責任な答弁でございまして、政府案は、政府としてははっきりと小選挙区を前提としておるから、一事不再議の原則に反しないのだという答弁をされております。社会党は、この法案の改正は現行の選挙区を前提とするということを、はっきりうたわれておると、提案理由において説明されておるのです。その社会党自身が、政府を責めるために自分だけはどんな悪いことをしてもいいんだというような議論は、これは少し国民に納得されない議論じゃないかと思うのでございます。たとい選挙法を粉砕せんとするところのあなた方の御熱意の余りとはいいながら、これは少し無責任な提案であったのじゃないかと私は思います。私は、この委員会において、社会党の無責任を国民の前にわびるべきじゃないかと思うのです。しかし、本問題は後日政治資金規正法並びに社会党のこの法案の質疑の際に私も再び重ねて質問をいたしまするが、一応、きょうの委員会におきましては、社会党提案の選挙法の改正に一大誤まりありということを一つあなたからはっきり認められて、私の質問を終ります。

中村高一日本社会党

○中村(高)委員 これは政府が答弁するような意味でありまするならば、全然一事不再議にはならないのです。政府が言うように、形式の上において違うならば全部違うのだとしまするならば、私たちの方はほとんど該当しないのでありまするけれども、われわれは、法案の内容において重なるようなものを提出することがいけないという、そういう原則論からいたしまするならば、われわれの方も該当する。だから政府案もわれわれの方も両方とも撤回をするということであれば、これは理屈が通る。しかしこれは少しも矛盾しておるのじゃない。それは、両方とも該当するならば、両方とも撤回するがいいのであって、それは日本の国会の上において当然だとわれわれは思っております。

山村新治郎自由民主党

○山村委員 実に無責任な答弁を聞いて、私たちは実はびっくりしたのです。政府の法案が該当しないならば私どもの方も該当しませんということは、あなた自身政府の法案が該当しないということを認められておるのですか。一体、社会党を代表して、中村君が、また竹谷君が、本会議並びに委員会において、政府の法案は一事不再議に該当するということを難詰されておって、今回政府の法案が該当しないのならばおれの方も該当しないんだということは、あまりにもいわゆる耳をおうて鈴を盗むというたぐいがこれだと私はいわざるを得ない。ずうずうしいと思うのです。よろしく、社会党は、これは社会党としての黒星だ、社会党の失敗だったということを率直に認めなさい。政府の案について誤まりであるやいなやは、今後の委員会の審議によってちゃんとはっきりするでしょうから、ここで社会党は誤まりだったということを率直に提案者の一人として認めなさい。

中村高一日本社会党

○中村(高)委員 われわれは、今私が申し上げましたような立会演説会の開催については疑問の点があるから、場合によるならばこの条項を削ることも、われわれは自由にできるのですから、この点につきましては、ただ一つだけあるいは一事不再議に該当するような点があるから、率直に申し上げて、いつでもこの点は削除しても、その他の点については問題ないということを申し上げておるのであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 さいぜん、太田長官から、政府案は、前回の改正は、主として参議院の選挙を中心に改正し、しかも当時においては衆議院というものは中選挙区制である、今回は衆議院の選挙を中心にして改正をする、しかも今度は小選挙区制になるんだ、こういう御説明がありまして、そういう理由から一事不再議にはならないのだ、こういうことでございます。そこで、問題は、一事不再議の限界というものをどこに置くかということです。公職選挙法というこの法律自体については、明らかに、これは、何と政府が強弁されようと、一事不再議になっておることは事実でございます。少くとも、一事不再議というものは、あることを可決または否決されて、そうしてしかも一たんけりがついた以上は、その会期中にはそういうものは出さない、こういうことなのであります。これは常識的にそうです。そうしますと、大体政府は一事不再議の限界というものをどこに置いておくか。政府の出しておりまする今回の公職選挙法の一部改正というものは、ものさしがはっきりしてこなければ、単なるあれは抽象的な小選挙区であった、あるいは中選挙区であった、あるいは参議院の選挙であった、衆議院の選挙であったということでは、公職選挙法そのものから見るとそうはいかないのです。だから、その一事不再議の限界を一体どこに置くかという公式な政府の見解というものを、一つまずお承わりしなければならぬと思うのです。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 法律の名前が同じであるならば、それを直す場合に一事不再議になるか、こういう問題につきましては、新憲法下の国会におきまして幾たびもその例があるのでございます。実例は御参考までにお示しすることもできます。同じ法律の名前で同じ期間内に変えたということはあるのでございます。もちろん、新憲法下においては、旧憲法下と違いまして、法文がございませんので、いわゆる条理判断と申しますか、理詰めでこれを解決しつつ、前の国会においてもその前の国会におきましても起った問題は、趣旨、目的が違うならば、同じ法律の中で変えてもよい。はなはだしいのは三回変えた例もございます。そういう意味におきまして、趣旨、目的が違う。——私は最初から申し上げました通り、三月十五日に発効いたしました今議会において成立したものは、その趣旨、目的において違っておる、今回のものとは違っておる、かように申した次第でございます。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 議事進行、非常に重大な問題が出てきたと思うのであります。こういうのは、与党の間にも一事不再議の問題について大きな疑いを持っております発言が行われたのであります。これはきわめて重大であります。政府並びに社会党両案のいずれにも一事不再議の疑いがあるということについては、ただいま与党側は社会党案に対してその疑いを明らかにただそうとされた。社会党はこれを認めておられるのであります。ところが、同様の意味において、同じ問題を処理しなければならぬ委員会におきまして、かような重大な内容に、しかも民主主義のルールを守らなければならないこの委員会にいたしましては、かかる疑問の多い問題を審議するということは穏当でないと思うので、直ちに休憩をされまして、その取扱いについて十分討議されんことを要望する次第であります。委員長のお取り計らいをお願いいたします。

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 井堀君、これはどうですか。今質問中で、今すぐ結論が出るわけではないから……。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 これは重大な問題だから……。

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 重大は重大として、質問中の重大であって、これを今決定するという意味ではないから、一つ便宜審議を続けて下さい。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 委員長のお言葉でございますが、御案内のように、今山村君の質問は、ただ単なる疑いをただすというのではないのだ。社会党の一事不再議の疑いのある点について撤回を要求しておる、こういう意味の質問でありますから、事柄は重大なんです。また、これに対して、提案者側は、もしその疑いがあるならば、その項においては撤回もあえて辞さないという答弁をしておるのであります。そうであるとするならば、同じ性質のものを、一方においては一事不再議の矛盾を認められて、他方のものについてはこれを否定するというような扱い方は、とうてい正しい論理をもって討議することは困難であると私には思われるのであります。こういう問題については、委員会をスムーズに進行していくために、ぜひしかるべく協議をして、そうして行うべきではないか、かように考えますので、その取扱い方を休憩の間に処理されることを希望いたします。

山村新治郎自由民主党

○山村委員 井堀君から議事進行についての御発言がありまして、その御発言のうちに、どうやら社会党の案は撤回してもよろしいような御発言があったのであります。その問題はあと回しにせられるといたしましても、この質問はたまたま竹谷さんの質問に関連いたしましての質問でありますからして、肝心の竹谷さんがお待ちかねでございまするから、まだ時間もございまするし、竹谷さんの質問を続けられんことを希望いたします。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 今重ねて山村委員からの発言は、私の希望いたしておりまする委員長にこの会議の扱い方に対する決意を伺っておるように、今も繰り返されまして、社会党の提案の一部に一事不再議の疑いがあるということについて、撤回の意思があるかいなかを強調されておるわけであります。かようなことは、提案者一人が答弁できるものではありません。提案者もこの点については協議をして答弁をしなければならぬ事態だと思いますので、休憩されるよう取り計らっていただきたいと思います。

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 山村委員の質問の趣旨は、社会党の法案を撤回しろという要求の動議ではないと思うのであります。たまたま質問中に中村君の意思を聞いたのであって、撤回の動議を提出しているのではないと思いますから、後日この問題を理事会で相談することは了承いたしますが、もう少し質問してもらって、間もなく休憩ですから、そのときに相談することにしましょう。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 こういう本質的なものが出た場合には、やはり明らかにして協議をしていかなければ、そのまま会議が進むものではないと思います。これは、質問を続ける上に本質的なものが現われておるのでありますから、そういう場合は、どうしても直ちに協議して行うべきではないか。それが、二大政党の場合における議事の扱い方としては、穏当な行き方と考えますから、そういう良識に基いて議事を運営されんことを希望いたします。

森三樹二日本社会党

○森(三)委員 これは与党も野党もなく、こうしたところの問題は、お互いに、国会の権威のために、将来われわれがあやまちを犯してはいけない。われわれは、政府の提案しているところのこの法案に対してもまたわが党の法案に対してもあなた方で疑義があるというのであるから、こうした雑然とした中において質疑を続行しないで、やはり理事会を開いて、小澤委員長みずからこれが一事不再議の原則に反するかどうかということを十分御検討願わなければならぬと思う。与党も野党もない。これは将来のためにやはりお互いに先例を研究して、将来あやまちを犯さないことを私らはこの際やらなければいかぬと思うのです。こういう疑義を残しておいて、そのまま審議を続行することはできないので、理事会を開いて十分検討しなければならぬと思う。将来のために、あなた方の一方的な考え方ではいかない。

山村新治郎自由民主党

○山村委員 たまたま、私の発言に関連いたしまして、社会党の諸君から、決して議事の引き延ばしではないでございましょうが、この委員会を休憩しろというようなお話が出ております。私は一応これが一事不再議に該当するかしないかということを質問しただけでございますから、決して社会党に対する要求あるいは政府に対する要求等を申し上げたわけではございません。従って、この私の発言に関連して委員会が休憩になるということは、非常に意味のないことでございますから、続いて竹谷さんの質問を続けられまして、適当な時間が来ましたならば、休憩されんことを望みます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 今、山村委員から、この問題で休憩あるいは理事会に入ることは不賛成だ、こういう御意見があったのですが、単なる質疑が行われたのではない。社会党のこの案に対して撤回を求め、しかも天下に謝罪をせよと要求したわけなんです。速記録をよく調べたらわかる。三回も、大きな声で、とにかく天下に謝罪すべきだ、こういうことを言った。もしわが党のこの案を撤回して天下に謝罪をしなければならぬものであるなら、同時に、政府の提案に関しても、同じことを私どもは要求しなければならない。そのことが解決しないうちに、単なる質疑をせよと言われては、この委員会の運営が正しく民主的にいかない。この点から、その言葉だけに関して一応のピリオドを打つための理事会を早期に開いて、そのあとで休憩を解いていただいてもけっこうですから、そういう一方的な要求に対してけりをつけてもらいたい、こういうわけであります。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 ただいま一事不再議の問題の審議中ではございますが、この問題は重大な問題でありますので、十分討議をいたしたいと思うのであります。ちょうど時間も昼食時間でありますので、休憩をなされまして、休憩後、また委員会で、あるいは理事会を開くなり、協議せられんことを要望いたします。

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 井堀君の要望もありますし、時間も正午でありますから、食事のため暫時休憩いたします。     午後零時十二分休憩      ————◇—————     午後一時四十三分開議

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。竹谷源太郎君。

竹谷源太郎日本社会党

○竹谷委員 午前中の質疑におきまして、太田国務大臣から、これはたしか滝井委員の質問に対する答弁であったと思いますが、一事を再議した例が過去の国会においても二、三ある、こういう御答弁でございましたが、その一事を再議した例をあげていただきたいと思います。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 私の申し上げたのは、一時不再議の原則にそむかないという例で一事を再議したという意味でございます。ちょうど法制局の人が来ておりますから、その実例を御説明申し上げます。

山内一夫法制局参事官(長官総務室主幹)

○山内説明員 これは法制局で調べました例がお手元に参っておるかとも思いますが、新憲法になりまして、第一回国会から二十二国会まで調べましたところ、第一回国会におきましては、地方税法の同一条項のうちのしかも特定条項の改正につきまして、二度議決が行われたことがございます。これは、地方税法の第四十五条の三の第一項にありますところの、百二十円という金額が明示されておるのであります。これは当時の府県民税の賦課総額の算定基準になりまするところの金額なのでございますが、これを第一国会におきまして百八十円と一回改めまして、そのあとすぐ二百四十円に改めておるのであります。百八十円の例は昭和二十二年法律百五十六号になって現われております。次の二百四十円にいたしましたのは、昭和二十二年法律百八十号になって現われておるのでございます。それから、その地方税法の同じく六十五条第一項中に、八十円というのがございます。これが、先ほど申し上げましたように、百五十六号、百八十号と両度の改正を受けまして、八十円が百二十円になりまして、次いで百六十円になっております。それから、これは市町村民税の賦課総額の算定基準になっておるところの金額であります。それを受けまして、これは八十五条の四のうち百二十円、八十円、百二十円、三百円というのが、それぞれ百八十円、百二十円、百八十円、二百円になり、さらに次いで、二百四十円、百六十円、二百四十円、四百円というふうになっております。これはむしろ四十五条の三と六十五条の条文の改正に伴う準用規定でございますので、これは手当をいたしたわけでありまするが、地方税法の改正につきまして、第一国会におきましては再度の議決が行われております。  それから、第二国会におきましては、復興金融公庫法というのが当時ございました。これの改正がやはり二度行われております。これは第三条と第四条第一項に五百五十億円という金額がございますが、これが最初七百億円になりましたものが、すぐ次に九百億円になっておるのであります。これは、最初の方は昭和二十三年法律七号、二度目の方は昭和二十三年法律二十四号によって改正されております。この復興金融公庫の七百億円というのは資本金額及び政府の出資額を再度改めた例でございます。  それから、第二国会からやや飛びまして、第七国会におきましては、あの政府職員の新給与実施に関する法律の有効期限の一年延長を内容といたしました同法の一部を改正する法律案が内閣から提出されまして、衆議院では可決されたのであります。可決されましたのは、昭和二十五年三月三十日でございますが、衆議院では翌日に修正議決がなされたのであります。衆議院でこれを三分の二で再議決をいたそうとされたのでありまするが、その三分の二の再議決が成り立ちませんので、この政府職員の新給与実施に関する法律というのは昭和二十五年三月三十一日に一たん失効いたしたのであります。しかし、翌四月一日に至りまして、議員の発表によりまして、一般職の職員の給与に関する法律案が提出されまして、同日衆議院におきましても参議院におきましても可決されて、法律となったのでございます。この一般職の職員の給与に関する法律案、それから成立いたさないところの政府職員の新給与実施に関する法律の一部を改正する法律案も、ともに昭和二十五年四月以降の政府職員に対する給与の支払いに関しまして根拠と基準を設けようとするものであった点におきましては、同じ趣旨であったわけであります。そのために、衆議院の議院運営委員会におきましては、一事不再議の原則に抵触するかどうかという議論がなされたのでありますが、議院運営委員会においては、衆議院の事務総長から、この両者の法案を比較いたした場合に、題名を初めといたしまして、本則及び附則中の一部条項に相違があるというふうに述べられまして、結局一事不再議の適用がないものとして取り扱われたわけでございます。  それから、第十三回国会におきましては、最初に国家行政組織法の同一条項中の、しかも特定事項の改正につきまして三度の議決が行われているのであります。当時の国家行政組織法には第二十四条の二という規定がございまして、この規定は、各府省、当時は総理府と法務府、それから各省、経済安定本部、この三つの種類の組織につきまして、その内部の官房及び局に部を設けるという期間を暫定的に定めておったわけであります。第二十四条の二はそういうことを定めておったわけであります。その暫定の期間が五月三十一日というふうになっておったのでありますが、それが最初は六月二十日と改正されました。これは昭和二十七年法律百五十九号で改正されたわけでありますが、次にその六月三十日となったものが七月三十一日に直りまして、それが昭和二十七年法律二百二十一号でそうなりました。さらに三度目にそれを「当分の間」と改めたわけでございます。結局そういった、内部の官房なり局なりに部を置くことができるという期間は、当分の間置くことができるというふうに、最後は直ったわけでありますが、そういった事項が同じ国会において三度改正がなされておるわけでございます。  それから、同じ第十三回国会におきましては、行政機関職員定員法について、そういった再三の議決が行われておるのであります。これは、行政機関職員定員法というのは、第二条第一項の表と表がありまして、この表で各府省の定員をずっときめておるのであります。そのうち、例を申しますと、文部省の項に六万二千五百二十八人という数字が上っておったのでありますが、それを六万二千五百八十八人に、さらに六万二千六百二十一人に改めてあります。それから、その表の中に運輸省の項というのがございますが、これはこの項の中に最初一万三千六百回十五人という人数が上っておったのでありますが、それが一万三千八百二十九人、次いで一万三千八百十七人、次いで一万七千六百三十九人というふうに、三度議決がなされております。  それから、もう一つ、十三回国会におきましては、海上警備隊の給与等に関する法律案が、両議院で可決され、法律となりましたが、この法律案は、別に両議院の議決によって制定されましたところの保安庁法によって廃止されておるのであります。  それから、第十九回国会におきましても、行政機関職員定員法の第二条第一項の表の農林省の項における数字が、両度の改正を受けております。  昨年の第二十二国会におきましては、補助金等の臨時特例等に関する法律について同様の例がございます。補助金等の臨時特例等に関する法律の附則第十項には、昭和三十年三月三十一日という日にちが上っておりましたが、これが最初昭和三十年五月三十一日、次に昭和三十年六月三十日、次いで昭和三十一年三月三十一日というふうに、三度の改正を受けたのでございます。補助金等の臨時特例等に関する法律の有効期間は、当初昭和三十年三月三十一日までとなっておったのでありますが、昭和三十年度の予算は、四月及び五月につきましては暫定予算として成立する見込みでありましたので、まずその延長をはかりますために、同法の有効期間を昭和三十年五月三十一日までといたしたのでございます。これは昭和三十年法律第六号による改正でそうなったわけであります。次に、六月以降につきましては、本予算が成立するという見込みで、この法律の有効期間を昭和三十一年三月三十一日、つまり今年の三月三十一日までとしたい、こういう同法の一部改正案が政府から提出されたのでありますが、予算の審議がおくれまして、六月についてもまた暫定予算となる見込みでありましたので、別に議員から発議がございまして、同法の有効期間を昭和三十年六月三十日までとする法律案が提出されまして、昭和三十年法律第十三号として一たん成立いたしたのであります。その際、衆議院の補助金等の整理等に関する特別委員会におきまして、この法律の有効期間を一たん昭和三十年六月三十日までとしたならば、七月以降に本予算が成立する見込みとなりました場合に、この法律の有効期間を昭和三十一年三月三十一日までとするという内容の一部改正案を審議することは、一事不再議の原則に反するではないかという点が論議されたのでありますが、この法律の有効期間を昭和三十年六月三十日までとすることは、六月における暫定予算と見合う関係においていたすのでありますし、その後昭和三十一年三月三十一日までとすることは、本予算の成立に見合う関係においていたすのでありますから、一事不再議の原則の適用はないという説明が行われたのであります。現に、その後本予算の成立が見込まれることになりまして、七月以降は本予算の成立が見込まれることになりましたのに伴いまして、最初政府から提出された法律案はちょっとした修正をいたしまして、そして昭和三十年法律第三十号として成立いたしまして、結局、その補助金等の臨時特例等に関する法律案は、昭和三十一年三月三十一日まで有効といたすということになったわけであります。  法制局で調べました例は、以上申し上げた通りでございます。

竹谷源太郎日本社会党

○竹谷委員 ただいま、法制局の説明員から、第一国会以来第二十二国会に至る間に同一の問題について再議された六つの例をあげられたようであります。そのうちで、第七回国会における政府職員の新給与実施に関する法律、これは、新憲法による衆議院優越の規定によりまして、修正された法案が参議院から衆議院に回ってきたものを、三分の二の多数は得られないで不成立ということで、必ずしも否決せられたのでもない、可決せられたのでもない、まだきまらないというような状態であるようでもありまするし、それからまた、最後の補助金等の臨時特例の問題は、これは暫定予算と見合うもので、別々の法律であるような感じもする。それぞれ理由があったようでありまするが、しかしながら、その他の問題について、第一国会の府県民税の賦課総額の算定の基礎になる金額が二回にわたって改正されたということにつきましては、これは同じ内容、同じ事項であり、どうも一事不再議の原則に反するやの疑いもあるのですが、法制局としては一体一事不再議の原則に反すると考えないか、反しないとすればどういう理由で反しないか、お尋ねしたい。

山内一夫法制局参事官(長官総務室主幹)

○山内説明員 私どもといたしましては、地方税法の改正が両度にわたりましたのは、四十五条の三、第一項について例を申し上げますれば、一たんその項のうちの百二十円を百八十円といたしました。それを二百四十円といたしましたのは、当時の財政経済の事情の変化があったというふうに考えておりまして、やはり一事不再議の原則には反しないように思っておるのでございます。

竹谷源太郎日本社会党

○竹谷委員 府県民税賦総額の基礎となる金額を百二十円、百八十円、二百四十円と、最後には当初の倍になる税額に激増をさしている。これは、実質的に内容が非常に違う、一事不再議の原則に反するように思われたのだが、しかしながら、これは経済財政事情の激変に伴うという事情もあるので、一事再議にはならないというのでありまするが、一体、その事情の激変、条件の異常なる相違という場合に、それでは一事不再議になる、そうでなければ一事不再議の原則に反する、こういうふうにお考えであるかどうか。

山内一夫法制局参事官(長官総務室主幹)

○山内説明員 ある法案を審議いたすにつきましては、当然その背後の事情というものとの見合いにおいて、国会では御審議になると思うわけでありますが、客観的な事情が変りますれば、同じ内容の事項を二度お取り上げになることは、一事不再議の原則には違反しないように思っておるわけでございます。ただ、一事不再議の原則に違反するかどうかということは、客観的な事情の変化だけでなく、やはり法案の趣旨目的の相違ということからいって、一事不再議の原則に違反しないという場合もあるように思っておるわけでございます。

竹谷源太郎日本社会党

○竹谷委員 同じ問題でも、その背景となること、条件が違えば必ずしも一事再議にならない、あるいは趣旨目的というようなあいまいもことした詭弁を弄すれば、いかようにものがれ道のあるような一事不再議の原則によって国会の運営がなされるということになると、国民は朝礼暮改の法案等に応接のいとまがないということになるので、これは、どうしても、民主主義を確立し、国会というものに権威あらしめ、その議決、意思というものが牢固たるもので、国民はこれに満腔の心服をして従うということでなければ、法の権威は保たれないわけでありますので、そのような目的、趣旨、背景、条件、環境、そのようなものを持ち出して、これをやたらに曲解するようになりますならば、国会の議決の権威は地に落ちることとなるのでありますが。今の法制局の説明、答弁では非常に不満足である。一つ、国務大臣、政府の最大責任者の一人である太田国務大臣の御意見をお伺いいたしたい。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 お言葉の通り、一事不再議の原則をおろそかに適用することはできないと思います。理筋の立ったやり方でなければ、行うべきでないと思っております。今回の法案につきましては、再度申し上げるように、小選挙区制度をやっていきたい、こういう意味で作られたものであることを、重ねて申し上げておきます。

竹谷源太郎日本社会党

○竹谷委員 第一回国会の府県民税総額の基礎となった数字の非常な相違、これは、実は、その当時の物価指数等を調べてみますと、消費者物価指数は——第一国会は昭和二十二年の五月二十日に召集せられまして、同年の十二月九日に閉会となっておる。七カ月という長い国会であったわけでございまして、この七カ月の間に、しからば物価指数はどんなに変化しておるかといいますと、昭和二十三年の平均の指数を一〇〇といたしますと、その一年前の昭和二十二年の六月には五六であって、十二月には七八・八、約八〇で、七、八割も消費者物価指数——これは住宅費や何かまで入れて、電灯とかなんとか、全部の消費者物価指数を加えた数字においても、五六が七九というふうに、非常なインフレのさなかでございました。その当時の東京の小売物価指数をも見ますと、これははなはだしい。指数のとり方は違いまして、大正三年の四月を一〇〇といたしまして、昭和二十二年の六月には五六七九・六という指数であったものが、二十三年の一月、十二月より一カ月ずれておりますが、七カ月期間がたった間の指数は、五六七九・六が、一四九四七・三、約三倍も東京の小売物価指数が高くなっておる。こういう状態でございまして、小売物価指数が三倍にもなり、消費者物価指数もまた七、八割も高騰しておるのでありますから、地方財政の運営上、どうしても地方財政需要を満たす必要があるという、非常なインフレの条件下における事情であったので、これは一事不再議に反しないところの非常な事情の社会的、経済的、政治的激変でございますから、これは、同じ事項でありましても、問題が同一事項の問題とは言えない。従って、同一性がないから一事不再議にはならないという議論にならば、われわれも承服できるのでありますけれども、その他ずっといろいろと例がありまするが、中にはどうもそういうりっぱな理由のつかない改正もこの六回の間には行われておる。これは、日本が占領下にあり、またその後の社会的、政治的混乱や、財政経済の非常に困難な事情にありました当時でありますので、しかも国会も七カ月、八カ月、九カ月というふうに続くような時代でありまして、いろいろ事情もあったので、なお、その時代には、問題の困難性を克服するために、国会としてもおよそ満場一致でこれは議決された事項と思うのでございます。そういう特殊な事情下にあったのでございますが、今や日本の政治、経済、社会上の秩序も確立せられて参りまして、やはりこの国会運営の大原則の一つであるべき一事不再議の原則というものは確立されなければならない。必ずしも、過去の六回の例をもって、どんなことを三べんも四へんも改正をし直しても、同一国会中に改正してもいいという結論は生まれて参らないと思うのでございます。  こういう観点からいたしますと、どうも今回提案せられました政府案というものは、先ほど自治庁の事務当局から御説明のありましたように、十二カ条にもわたって再改正を行わんとするものでございまして、院議を無視するもはなはだしきものといわなければならぬ。その理由は、小選挙区制度というけれども、これは、個々に当ると、その理屈は通りません。一部そういう事情の激変というようなものに該当し得るとあなた方は主張なさる面もあろうけれども、該当しない面もある。こういうふうなものを出してくるということは、社会党に対しまして、お前の方にもあるじゃないかと言うのでございまするが、われわれの方のは、選挙制度調査会におけるきわめて適切妥当な、選挙制度につきましてこうあらなければならないという——これは区制の問題ではありません。選挙の公正確保に関する事項について、五つの事項を必ずこれはやる必要があるということを述べておる。そういう特殊な世論の要請等に従うところのものであります。しかも、その内容というものはほとんど問題にならないものでございまして、それを一事不再議に反するという山村君の意見でございます。これが反するくらいならば、全面的に政府案というものは一事不再議の原則を踏みにじるものだといわなければねらぬ。つきましては、どういう理由で一事不再議に反しないかということを、先ほど述べられた十二カ条の各条項について、一つ太田長官と、それを事務的に補足をして事務当局から御説明を願って、われわれをして納得せしめない限り、どうもこの提案は、国会の議決を無視するところの、国会を冒涜する提案だと思うのでありまして、十分の御説明をお願いしたいのであります。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 先ほど、物価の変動という客観的事実によって一事不再議の原則に反しないというお言葉でございました。その前に、法制局の説明員の言葉の中にありました通り、客観的情勢もむろん一つの要素でありましょうが、趣旨、目的等において違っている場合においては、これを条理上一事不再議の原則に反しないというお言葉がございました。私の申し上げるのはそれでございまして、小選挙区制度というのは中選挙区制度と本質において異なるものでございますによって、この制度を、現在の中選挙区制度のもとにおける法律に対し、新たに小選挙区制度における法律を出した次第でございます。  各条項のいかんにつきましては、選挙部長から御説明申し上げさせます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 関連して。今の法制局の説明員の方から、六回にわたる例の御説明になったのでございます。ところが、その六回のうちで、少くとも第七国会の分についても一事不再議の疑問が起っております。それから二十二国会の補助金臨時特例に関する法律についても疑問が起っておるのでございます。特に二十二国会における補助金の臨時特例に関する法律の場合については、やはりこれはわが党の井手君から問題にしまして、これはわれわれとしては納得をしていない。当時はこれは多数の力で押し切っていった。当時は民主党と自由党というものがあった。そういうような、これは、そのときの自由党のいろいろのかけ引きで、こういうこま切れのものを政府の方で出させられておったのです。初め政府は一貫して一年分をずっと出してくるつもりであった。ところが、暫定予算の成立の関係で、まず四月、五月を出し、そうしてその次には残りの十カ月を出してくることであったのだが、当時松野頼三君が松村文部大臣等をつるし上げまして、どうにもならなくなった。そうして今度また一カ月を出してきた。そうして最後には松村文部大臣が陳謝するかどうかということでケリがつきまして、われわれ社会党もこれは一事不再議であるということを極力主張したが、多数で押し切ってこれは何ら理論的には解決していない。なるほど、民主主義の世の中でございますから、多数で解決することはいいかもしれません。しかし、論理の通らないことを多数で通すということは、これはいけないことなんです。だから論理を通さなければいけない。そうしてみますと、あとのものは、これは、経済的な関係か、あるいは給料の関係、定員の関係というきわめて単純な状態、たとえば第一回なんかインフレーションの関係なんですね。こういう一事不再議ということは学者の間で理論的に——たとえば非常にインフレーションが高進した。今まで一円で買えたものが百円でなければ買えないということになると、たとえば国家公務員なんかは給料を変えてやらなければ食っていけない。こういう点は大いに今回の公職選挙法の一部改正と本質的に違っている。そうすると、もし、法制局の方で、今のような、いわゆるインフレーションというような客観的な経済の情勢あるいは給料、定員の問題という、こういう単純なものをもって一事不再議のものさしとしておるということなら、それを言うてるならば、私らは大して議論はないと思う。ところが今度のものは非常に違う。今、太田長官は、客観的な情勢の変化のほかに、趣旨、目的が変ればそれも入る、こういう御説明をいたしました。しかし、今までの過去の例で、趣旨、目的が違ってした例があるかどうか、それを一つ御説明願いたい。

山内一夫法制局参事官(長官総務室主幹)

○山内説明員 一事不再議の原則を、客観情勢と法案の趣旨、目的が違うというふうに、違うということを二点に分けまして、どちらの場合にも一事不再議の原則に当らない、つまり客観情勢が変った場合においても一事不再議の原則に当てはまらない、また法案の趣旨、目的が変りましても一事不再議の原則に当らない、かように二つの要素を分離してそれぞれ考えているわけではございませんので、たとえて申しますれば、地方税法の改正におきまして、四十五条の三の第一項の百二十円を百八十円に改め、それを次いで二百四十円に改めたという場合におきまして、この法案の趣旨というものはあくまで百二十円であり、百八十円であり、二百四十円であると思うのであります。それでありますから、その場合におきまして、客観的な情勢が変ったことと、その法案の趣旨、目的とを両方考え合せまして、一たん百八十円にして次に二百四十円にしたということが、一事不再議の原則に当らないというわけでございまして、法案はすでに内容自体が変っておるわけでございます。今そういうような例があるかというお尋ねでございましたが、たとえば、先ほどお述べになりましたところの給与の問題におきましても、法案の内容は変っておりますということは、むろんその法案の内容が遂げようとしておるところの趣旨、目的は変るわけでございますから、趣旨、目的と客観情勢は表裏一体として考えるべきだというように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 今のような御説明ではだれも納得しない。わからぬ。で、私は、太田長官が、客観的な情勢の変化というものもある、それは今の御説明の通りだ。しかしそのほかに趣旨、目的が変る場合もある、こういうものさしを二本引かれてしまったのです。そうしますと、あなたの方は、客観的な情勢が変り、趣旨、目的が変ると申しますけれども、こういう場合は、今までの地方税法の場合はみんなが納得しているのです。一事不再議の問題は起っていない。ところが、その後の七国会や二十二国会では明らかにこの問題が起ってきておる。起ってきておるが、二十二国会の場合はそれを多数で押し切っていった。しかもそれは理論的に納得をしていない。だから、法制局というものは、政策論を言うのではなくして、客観的な一つの基準というものを作るのが法制局の役割なんです。国会の中でこういう法理的な論争が起ったならば、それに対してどういう客観的な基準を作るかということが法制局の任務でなくちゃならぬ。その法制局が、政府が少くとも二つの基準でございますと言った場合に、それに符節を合せるごとく、今度は二つを一緒にするような政策論的な答弁をするものじゃない。やはり、法制局というものは、純然たる法理論に立って、一切の政策論を超越して純理論を述べていただけばよいのです。だから、私は、実際に趣旨、目的が変ったような実例があるかないかをお尋ねしている。なかったら、ないとおっしゃればいいんです。

山内一夫法制局参事官(長官総務室主幹)

○山内説明員 先ほど申し上げましたように、第七国会の例は、これは法案の内容が変っておりますから、その間の期間におきまして事情に変更がないようでありますから、趣旨、目的は変っている、こういうふうに思うわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 当時においてもそれはやはり問題になってきておるわけです。少くとも七国会と二十二国会と二回で問題になるならば、あなた方、法制局としては、当然一事不再議の基準というものをはっきり出してこなければならぬ。だから、この七国会のものが趣旨、目的が変ったなら変ったでよろしいですが、しからば、あなたの方は、一事不再議の限界を、どういう限界を越えれば一事不再議になるし、どういう限界までは一事不再議にならないという、その限界を一つここで明確にお示し願いたい。

早川崇自由民主党自治政務次官

○早川政府委員 政府といたしましては、一事不再議の原則を法律的な国会のルールと考えておりまして、同じことを、事情が異ならないにもかかわらず、再議決をするとかあるいは反対をするとかいうことは、国会の運営上混乱を持ち来たしますので、それはいけない。これを一事不再議の原則と考えております。従って、機械的に、同一の問題について議決があったから、あと絶対に再び審議できないというものではないのでございまして、前の議決が行われるに至った事情をあわせ考え、後の案件が前の議決とは全く違った趣旨、目的あるいは客観的な事態のもとで提案されることは、一事不再議の原則には抵触いたさない。これが政府の見解でございます。特に、今回は、御承知のように、公職選挙法の参議院提案は前の国会からの継続審議でございまして、特に参議院選挙を目当てにしておったということ、また、その間においては二大政党が成立をいたしまして、衆議院選挙におきましても小選挙区採用という、革命的とまでいわれる大変革をなそうとする次第でございますから、それに関連をいたしまして、若干の同じ法規を形式上再審議することは当然のことでありまして、一事不再議の原則には抵触しないものと考えておる次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 客観的に情勢が変化しておるというけれども、これはわれわれの見るところでは絶対に情勢は変化していない。それは見解の相違になる。だから客観的な情勢だけの変化ならば、われわれは見解の相違だということで片づけるからよろしい。問題はその目的、内容を変えなければならない理由はない。一事不再議というものは、これは、常識論でいえば、あることを可決する、あるいは否決する、そういうことが一つの国会で再三にわたって行われるということは非常に無意味なことである、そういうことから、そういう原則が一つの慣例的なことになって現在やられておるわけです。そうしますと、ほんの一カ月くらい前に通っていった法律のあとを追うがごとくに、十一項目の多きにわたって同じ項目に修正を加えていくということになれば、これは明らかにわれわれの頭自身か混乱してくることになる。従って、これは、今のようなことでは議決そのものの確定力というものが無意味になってくる。あるいはその法律が一回も施行されておらない、実施されておらない——それも参議院の選挙の後にあなた方が出してくるならば、これは話がわかる。ところが参議院の選挙は一回も行なっていない。この法律は生々躍動していない。ただ一つの形式的な形として法律になっただけである。一回も実施をしない法律を変えるとは何事だという論議は、よく国会で行われることなんです。そうしますと、あなた方の今のような論理は全く通らない。これが一回参議院の選挙で行われたあとであなた方が持ってくるのなら、これは話がわかる。今の早川次官の御説明では納得がいかない。われわれが本国会で議決したものの確定力というものを、私たちは一回見なければならない。確定力を見ていくためには、それを一ぺん実施をして、そうして合理的であるか不合理であるかということを見なければねらない。小選挙区制はあなた方が力で作ろうというまだ架空のものなんです。その架空のものをもってやるというところに問題がある。しかも、それは客観情勢の変化ではない。主観的なあなた方の情勢の変化ということで作ろうとしておるところに問題がある。何も、日本の客観情勢というものは、あなた方があの法案を参議院で通したときと今とはちっとも変っていない。依然として鳩山内閣は二百九十七名か八名の絶対多数の上に安定をしておる。しかも国会では日々法案が順当に通っていっておる。だから今の早川さんの御説明では納得がいかない。私は法制局に御答弁を求めて、限界をあなた方は一体どこに引くかということです。あなた方は一事不再議のものを六つあげた。その六つあげた限界というものがなければ、これをもってこういう例がございますと言ったって、それはただ例としてあげただけであって、それが確実に一事不再議の原則に合致した例であるかどうかということは、われわれは納得がいかない。だから、純法律的な立場から、こういう限界までは一事不再議でよろしいという、その限界を明白にして下さい。

山内一夫法制局参事官(長官総務室主幹)

○山内説明員 第一国会の例で申し上げますと、先ほどお述べになりましたように、四十五条の例の金額を百八十円にいたしたわけでございます。百八十円といたしたときの議決は、一定のそのときにおける経済情勢からしまして百八十円が適当である、こういう国会の御意思であったわけであります。ところが、それが二百四十円に次にいたしたわけでありますが、これは、その当時百八十円と議決いたしましたときの経済情勢と変った条件のもとにおいては二百四十円にする、そういうふうに、経済情勢が変った場合において、あくまで百八十円にするという国会の御意思ではないわけでありますから、これをその後二百四十円にいたすことは一事不再議の原則に違反いたさないわけでございます。  それから、趣旨、目的について申し上げますれば、ある特定の法案の特定の条項が修正を受けましても、それが甲の目的から修正を受けた場合と乙の目的から修正を受けた場合は、甲の目的との関連においてはある条文の文言はこうであるべきだ、こういう意思の確定を一たん国会でされましても、乙の目的からする当否を問題にされていない場合におきましては、乙の目的においてその条項を御審議されることは、私は一事不再議の原則には該当しないというふうに考えておるのでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、法制局も、抽象的な文句でものさしを作れば——あなたの方は、初めは客観情勢の変化、こういうことだけを一つあげておったが、その後太田長官の方から目的、趣旨が変るという一つの原則を加えたのです。二つになってしまったんだ。それでそのほかにものさしはありませんか。

山内一夫法制局参事官(長官総務室主幹)

○山内説明員 それだけだと思っております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、この補助金等の臨時特例等に関する法律はどちらになるのです。

山内一夫法制局参事官(長官総務室主幹)

○山内説明員 補助金等の臨時特例等に関する法律につきましては、六月三十日といたしますのは、六月まで暫定予算となるという、そういう客観的な事情において六月三十日とされたわけであります。そのときの事情でございます。それをその後昭和三十一年三月三十一日といたしましたのは、七月以降本予算が成立する、こういう情勢に到達したからそうなさったのだろう、こういうふうに考えております。ですから事情が変化いたしたのだと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 事情の変化の方に当るのですか、客観情勢の変化……。——そういうことはありませんよ。ほんとうは、政府は、初め四月、五月の暫定予算を出してきて、そしてその次には十カ月分出してきたでしょう。ところが、それでは工合が悪くなってしまった。なぜならば、四月、五月の暫定予算のほかに六月の暫定予算を出さなければならないことになってしまった。そうして政府は初め十カ月分を出してきた。ところがそれではだめになったので、多分あれは議員立法ではなかったかと記憶している。一カ月分は議員立法になっておったはずです。そうしますと、あなた方の言うような客観情勢の変化でもなければ、趣旨、目的が違ったものでもない。力だったのです。力関係だった。補助金のはこのものさしが当てはまらない。こういう場合があるから、私は今あなたに申すのです。やはり、法制局がしっかりしておらないと、時の政治勢力に左右されて、ほんとうの法律の解釈ができない。だから、こんな一事不再議の問題で国会がもめるということは、あなた方法制局が怠慢なんですよ。少くともやはり一事不再議の原則に対する限界点というものを出しておかなければならない。それを出していないところにこういう問題が起る。それが過去に起っていないときに初めてこれが起ったならば、われわれは法制局を追及いたしません。しかしながら、もうすでに再三にわたってこういう問題が起っておるにもかかわらず、それであなた方がのほほん——と言うと語弊がありますが、そのときそのときの政府の都合のいいような、何と申しますか、そのあとに付していっておりさえすればお家安泰だという、こういう考え方があるからいけない。補助金等の臨時特例等に関する法律の場合には、実際に客観情勢の変化もなければ趣旨、目的も変っていないのですよ。議員立法なんです。多分床次さんだったと私は記憶している、私はその委員におったのですから。そうしてわが党の井手君がこれを問題にしたけれども、当時自由党と民主党が妥協してこの法案を無理に通した。そういうことなんです。これは決して客観情勢の変化でも何でもない。力です。力で、一事不再議というものを、これは無理に作っていった。これは、あなた方の今言う客観情勢の変化でもなければ、趣旨、目的の変ったものでも何でもない。法律そのものは何にもない。これはもう一つ力の原則を入れますか。それならよろしい。力の原則を入れると法制局がおっしゃれば、それで私らは何も言うことはありません。

山内一夫法制局参事官(長官総務室主幹)

○山内説明員 一事不再議の原則の場合、力の原則ということはあり得ない。要するに、六月の暫定予算に見合う関係で、先ほど申しました補助金等の臨時特例等に関する法律が六月三十日になりましたのは、たしか五月の末だったと思いますが、五月の末に至りまして、五月中に本予算が成立しない、六月は暫定予算になるという見込みになりましたので、当時の議員の方が、そういう情勢に基いて、一たん六月三十日に有効期間をされたのでございます。それで、その次に、前に出しました法案は六月三十日からことしの三月三十一日までにするという政府案がそのまま残っておったわけでございますが、それの審議に当りましては、先ほどの五月の末に議員の方から発議されましたところの法案は、要するに、五月の末におきまして六月は暫定予算となるという、そういう客観的な情勢において御審議された、こういうふうに私どもは了解しております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうも今の答弁では了解できません。とにかく客観情勢の変化は何もなかった。政府はとにかく出してきたのだから、それで通せば通った。ところが、当時は政府は比較的多数で力がなかったのです。今そこに当時の大蔵次官の、いかにその当時困ったかという藤枝先生がおいでになります。幸い証人でおいでになった。藤枝先生実際困ったのです。これは力関係でやられてしまった。われわれは、それは明らかに一事不再議だということをずいぶん問題にしました。問題にしましたけれども、最後に自民が妥協しまして押し通してしまった。だから、二十二国会のものをあなたが今ここで幾ら客観情勢の変化だとかあるいは趣旨、目的が違ったとか言ったって、私は当時の現場におるのです。藤枝先生もおいでになる。それはこれ以上私は追及しませんが、やはりこの点についてはもう少し法制局も考えて、そしてその限界線を少くとも法制局の長官と十分討議をせられまして、次回の委員会までには法制局の正式の見解を出していただくことを要望いたして、一応これで私の質問は留保いたしたいと思います。

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 竹谷源太郎君。

竹谷源太郎日本社会党

○竹谷委員 先ほどの答弁を……。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 今回提案いたしました公職選挙法の一部改正につきまして一事不再議に触れるおそれのある条項については、先ほど御説明をいたしたのでありますが、これにつきましては、私どもの見解は、先ほど大臣から答弁いたしました通り、前回の改正は主として参議院議員選挙に関する改正でありまして、今回の改正は衆議院議員選挙につきまして小選挙区制採用に伴うものであります。従いまして、条項につきまして再度これをいじるということがありましても、事柄は全く別のことに属するのでございます。そのような見解に立ちまして、一事不再議には抵触しないと考えております。

竹谷源太郎日本社会党

○竹谷委員 各条項いずれも一事不再議の原則に反しないという抽象論でありますが、私はその抽象論を聞いておるのではない。それは、太田大臣からも一般的な政治的な答弁がありましたが、私が事務当局に要求をするのは、各条項についてそれぞれ先ほど来問題になる条件の激変があるか、情勢の激変があるか、あるいはどこの趣旨どこの目的が違うのか、各条項について、それぞれその理由を聞いておるわけであります。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 各条項につきましては、それぞれ、先ほど申し上げました通り、小選挙区制実施に伴って必要な改正であるということでございます。

竹谷源太郎日本社会党

○竹谷委員 そこで、各条項を説明してもらいたい。今いろいろ後の方でヤジっておりまするが、これは非常に重要でございまして、しかも、法律が二つ、それから案が一つと、三つあるのでありまするから、専門にこうした法律の立案や研究に当っている事務当局から、各条項についてそれぞれ説明をしてもらいたい。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 先ほど各条項については御説明申し上げたのでありますが、まず第一に第三十四条第六項第一号の改正でございますが、これは選挙期日の告示の関係でございます。これは衆議院議員の選挙につきましては前回のは字句の整理でありまして、今回初めて改正をしようとするものでありますから、一事不再議の原則には抵触いたさない、かように判断をいたします。  第二に、第百四十四条第一項第一号は選挙運動用ポスターでございますが、これは、前回の改正で告知用ポスターを廃止した結果、形式的にこれが運動用ポスターが五千枚になったわけであります。それを今回小選挙区制実施に伴って三千枚に改正するというものでありまして、これは趣旨、目的が小選挙区採用ということによって違っておるわけであります。  次の第百五十一条第二項は経歴放送の回数でございますが、今回は衆議院議員の選挙についても他の選挙と同様に五回とする。従前は十回だった。従前の改正が、ほかの、衆議院議員以外の規定をいじったものでありまして、これは一事不再議の規定に抵触をいたさない、かように考えます。一事でないということでございます。  四番目は、第百六十四条の二の第七項は、演説会場外の立て札、看板のことでございますが、今回の改正は、衆議院議員の選挙の場合に限り、小選挙区制の実施に伴って、ポスター、ちょうちん以外の立て札、看板についても、個人演説会の会場外においてその使用を認めようという改正でございます。これは告知用ポスターの廃止に伴って前回単なる条文の整理をしたものでありまして、これは同一事ではない、このように考えております。  次の第二百一条の三は、前回はこれは削除いたしまして、今回条文のナンバーだけは同じでありますが、全然別な衆議院議員選挙における公認候補者の規定を新たに設けようとするものであります。これは小選挙区制実施に伴って必要な制度であります。  次の第二百一条の五は、政党の政治活動につきまして、前回の修正は、先ほども申し上げましたように、規定の立て方を変えたわけでございますが、今回の改正は、小選挙区制実施に伴って、政党の政治活動を新たな見地から規定をするものでありまして、これは一事ではない、かように考えております。  次の第二百一条の七及び二百一条の八は、二百一条の五及び二百一条の六の規定の改正に伴う形式的のものでありますから、これは一事不再議に抵触いたさない。  次は、第二百一条の十でございますが、衆議院議員の選挙における政治活動の態様でありまして、これは、小選挙区制実施に伴って必要なものとして、新たに規定したものであります。一事ではございません。  それから、次の第二百三十五条の二及び第二百五十二条の二は、新聞等が選挙の公正を害する罪と、政治活動の規制違反に関するものでありますが、これは、条文の整理でありまして、一事に該当しない、かように考えております。

竹谷源太郎日本社会党

○竹谷委員 今一応のきわめてばくとした説明がありましたが、第二番目の第百四十四条第一項第一号のポスターの数の問題でありますが、これは、何も、小選挙区制を採用したからといって、枚数を減らす必要はごうもない。選挙制度調査会の答申にも、できるだけ選挙民の政治意識を高め、公正な選挙運動は奨励をして、悪い選挙運動はやらせないようにということを要望しておるのでありまして、そういう趣旨からも、こうしたフェア・プレーのポスターなどを制限するということは、小選挙区制と中選挙区制の違いだと皆さんが言うところの趣旨と関係はない。もしこれを、小選挙区制実施ということに伴う当然のことであって、再議に反しないという理論は、全く成り立たないと思うのです。  第三番目の経歴放送の条項でありまするが、おもなる公職選挙についてはおおむね十回ということであったものを、参議院の法案で出てきたものは、衆議院議員はおおむね十回、その他五回、この場合衆議院議員の方は前の通りおおむね十回であって改正はされていないのだ、それを今度の改正案ではおおむね五回と改めるのであって、同一事項の再議にはならないと言いますけれども、しかし、同一事項ということは、内容そのものに具体的にぴったりと一分一厘違わないものだけが同一ではない。同一事項に関するものも、一事不再議の条件に関するものも、やはり一事不再議の適用を受けるということは、いろいろな学説の一致しておるところでありまして、これはこの事項一ヵ条の問題、一項目にすぎない。これを改正するのであって、一事不再議にならないという議論は成り立たない。また、内容的に見ましても、一体、この小選挙区制を採用したからといって、経歴放送を減らす理由は全くない。前通り十回でよろしい。それで、すでに改正された法律においては、小選挙区制案というものを自民党の方では研究し、政府の方でもその立案に当っていることは万々承知で、参議院における可決より前にでもあるいは政府が提案されるかもしれないという情勢下にあって、しかも、なお衆議院に関しては十回であるものを五回に減ずるというようなことをするのは、これは条件の変更でも情勢化でもない。従いまして、これは明らかに同一事項の再議だ、こういわざるを得ないのでございます。その他、小選挙区制に伴う当然のことである、こういうことを言っておりますが、そういうことを言うならば、先ほど経済事情の激変という問題がありましたが、物価指数が百から百一になっても、それではいろいろの税の金額を変えてもいい、そういうことを再議してもよろしいという理屈が出てくるのであって、それに類するような理由で、それ以外の文書等の頒布の問題や、あるいは個人演説会の会場の外にポスター、ちょうちんそれ以外のものでも張ってよろしいというようなことで、これはなんら、小選挙区であろうと、中選挙区であろうと、相違はない。個人演説会の前に宣伝のようなことをやることについていいか悪いか。これは中選挙区が小選挙区に変ったからといって、当然情勢なりあるいは趣旨、目的が違うということには該当しない。  それから、また、最後の二百三十五条の二、二百五十二条の二は、条文の整理だと言っておりますけれども、実質内容とともに字句もまた法律そのものなのであって、こういうことを理由なくして改変するということは、これまた一事不再議の原則に反する。  このようにいろいろと疑問の多いものであって、こういう法案を通すために、力をもって、しゃにむに国会の最も厳粛に守らなければならない一事不再議の原則というものをじゅうりんするという悪例をここに作らんとすることは、まことに遺憾である。これは非常に政府としては責任があると思う。過去六回における前例を述べておりますけれども、それらの問題とは全然違った実質的な重要性のある法案であります。過去六回のものは、金額あるいは官庁の人員、暫定予算の編成、次にまた暫定予算というような事情もありまして、これ自体一事不再議の原則には反しないものであって、これらは前例にならない。これとは内容的に実質的に違う。先ほど、早川政務次官が、日本の政治上の大革命であるとおっしゃったが、そういう大革命を起すような重大法案です。三月十五日にできた法律があって、それから三月十九日に提案して、四日しかその間に期間が置かれていない。事情の変更、情勢の変化もあり得ない。しかも、小選挙区法というものが選挙制度調査会においてすでに答申され、政府において、自民党においてそれぞれ案を練って、今にもその法案が提案されんとするときに、衆議院並びに参議院においては、三月十五日から施行になった法律を十分頭に置いて審議に当っておるのでありまして、趣旨、目的その他は承知しておる、情勢の変化もない、こういう事情から見て、われわれはどうしても納得ができない。太田さんは、学者でありまして、学問的良心、真理の探究につきましては人後に落ちない方であると思う。ただ一時の政治的情勢によって、しゃにむにこうした無理な解釈をして国会運営のルールの上において最も尊重されなければならない一事不再議の原則というものをじゅうりんする内容を持つとわれわれが信ずるこの点に関しまして、一体、内容的に、今選挙部長が言うように、小選挙区制というものの施行に伴う当然の変更であって、これは同一事項ではない、従って再議にはならない、こういうように真実あなたは信じて、天地に恥じないかどうか、一つ伺いたい。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 いろいろなお言葉傾聴いたしました。私は、選挙部長からも御説明申し上げました通り、たとえばポスターをなぜ減らしたかという問題ですが、これは、地域が少くなり、かえって今よりも重点的によけい有権者の目に触れ、耳に入る場合が多かろうと思います。従って、経費の点ももちろん最後に法案を作るときには考えたのでございますが、さらに今回は政党の力による選挙運動というものが新たに加わりましたので、有権者には十二分に小選挙区制度による候補者の理解と政策の判断とを与える機会があるがゆえに、かようにしたことと思うのでございます。また、三月十五日に行われたときに、すでにもう事情はわかっておったじゃないかというお言葉でございますが、これはもちろん関連性があるとまでは申しませんけれども、今回の選挙法は、次の選挙から行うのでございまして、すぐ行うところの参議院の選挙とはまず関係がないと申し上げていいと思います。政府が鳩山総理大臣の施政方針演説において選挙法の改正をうたったのは、一月の末でございます。それから委員会の答申を待って作りましたので、作為的にどうこうしたというようなことはございません。私としては、良心に訴えてこの制度がよいと信じましたために、出したような次第でございます。いろいろな御忠告は私は傾聴いたしました。

竹谷源太郎日本社会党

○竹谷委員 小選挙区がいいか悪いかは、これはお互いの見解の問題でありまして、その点私は尋ねもしておらない。ただこうしたことが同一問題の再議ということにならないかというお尋ねをしておるのであって、それが、国会のルールを守る上において、大臣は、国会議員の一員として、また政府の一員として、一体このような政治の都合によって法律を朝令暮改するということが政治上妥当であるかどうか、これをあなたにお尋ねいたしておるのでございます。  なお、小選挙区制採用によって選挙が変ったようにおっしゃいますが、これはとんでもないことである。しかし、二人以上は、広範な言葉を用いれば大選挙区であり、一人一区は小選挙区であろうと思う。ところで、今回提案されている小選挙区制と称する法案は、二十も二人区、多数選挙区を含んでおるのであって、これは純然たる小選挙区制とも言えない。こういうところにありましては、しからば、なぜ、ポスターをふやしたり、あるいはその他区域が広くなったことによって生ずるいろいろなことを考えないか。一律に全部一人一区にするにはこうしなければならぬということでは、筋が通らない。多人数選出の選挙区もあるのであって、だから五十歩百歩なのです。これは、少しばかりの程度の相違を理由にして、事情が激変したということを口実にして、一事不再議の原則を破るものだといわなければならぬ。この点に関していかにお考えになるか、重ねてお尋ねをいたしたいのであります。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 厳格なる小選挙区制度は一人一区でございます。しかし、小選挙区制の関係についての委員会の答申の中にも、二人区を設くることもあるべしと申されております。また、民間におきましてのあるいは小選挙区促進会、また現に参議院における緑風会におきましても、こういう二人区を作っております。少いに越したことはございません。その通りと私は思いますが、イギリスにおきましても、二人区がしばらくの間あって、つい数年前に純粋な一人一区になった次第でございます。現状におきまして、調査会案を見たところ、二人区にする方がもっと合理的であると思ったところに手を加えたのでございまして、作為的にやったわけではございません。

古川丈吉自由民主党

○古川委員 関連して。一事不再議の問題につきましては、先ほどから非常に議論されておるようでありますが、太田長官並びに早川政務次官、また法制局の政府説明員から承わりまして、私どもは十分納得了解いたしておるわけであります。いろいろな理由を言われましたけれども、少くとも、今度の改正は、小選挙区制をしくというような特別な目的、趣旨が違う。これだけの理由で私は十分だと考えております。ただいま竹谷君が質問を継続しておるようでありますが、関連質問で滝井君から質問があり、その他の方から質問がありまして、法制局から次の機会に政府の根本的な考え方を答弁するということになっておりますから、この問題は私はこれ以上議論する必要はない、こう考えるのであります。それよりも、社会党の諸君が、一事不再議の原刷に反する、こういうことで政府当局に質問をされておるようでありますが、私どもは、社会党の諸君が、しからば同じく公職選挙法の一部を改正する法律案を提出されて、提出者中村高一外四名、賛成者阿部五郎外百四十名となっておりますが、今日ここに出ておられる社会党の諸君は、ここに入っておるのか入っておらないのか、それを一つ中村高一君にお伺いいたしたい。

中村高一日本社会党

○中村(高)委員 これは社会党全委員賛成者になっておるのであります。

古川丈吉自由民主党

○古川委員 そういたしますと、社会党の諸君は、政府提案の法律案に対しては一事不再議の原則に反するじゃないかと言うけれども、私たちは、ただいま申し上げましたように、政府の案は小選挙区にすることを前提とする目的、趣旨の違ったものでありますから、これは不再議の原則には反しないけれども、社会党のは、現行の中選挙区制の制度をそのままとして、しかもこの改正案を出される趣旨は、どういう趣旨で、どういう気持で、また一事不再議の原則に反するとして質問された考え方とどういう関係があるのか、これを一つ伺いたいのであります。

中村高一日本社会党

○中村(高)委員 社会党で提案をいたしましたのは、さきに選挙制度調査会で問題になりました答申があるのでありますが、この答申の中にも、あるいは議論の中にも、選挙の公正確保をしなければ、小選挙区制を実施することは非常に危険であるということからして、もし小選挙区制を提案するような場合には、選挙の公正確保に関するいろいろの条項が付帯せられまして、その条項を政府が提案する場合に取り上げなければならないのだということが議論をされておるのであります。ところが、政府で今回提案をされました法律案を見ますと、大部分は小選挙区の区割りに関する問題でありまして、あとの選挙の公正確保に関しましては、きわめてこれを軽視し、ほとんど問題にいたしておらぬという、非常な大きな欠点があるのであります。これは、あの内閣の選挙制度調査会におきましても、小選挙区制を支持いたしておりまする学者諸君でさえも、小選挙区制を実施する場合には、厳重な規定を作って、そうして小選挙区制の実施をしなければならないと言う。その付帯の条項を見ますと、たとえば連座制の強化というのがありますが、政府案によりますと、ほとんど連座制の強化などはなくて、ただ検察官が附帯訴訟を起すということだけであります。これは、従来も選挙の訴訟というものが非常に長引きまして、実際において選挙違反をした者があっても、これが失格をするような場合がほとんどないのでありまして、ひどいのになると、前々回の選挙違反が裁判をされる、二つも三つも前の裁判が行われるというようなことでありまして、それでは全く選挙法の趣旨に反するということから、そういう点を入れなければならないというのにかかわらず、政府案には残念ながら出ておらないのであります。従って、私たちとしては、もし小選挙区制などが実施をされて、今までのように選挙違反が続出して、選挙が終りますと、また運動員だけが処罰をされて、肝心かなめの候補者は、少しも検挙されないばかりでなく、うまく当選をして、大臣などになるというような実に悪例がございまして、われわれ議員としてもまことにざんきにたえないような事件がたくさんあるのであります。それが顧みられずして、運動員だけが処罰をされて、候補者は少しもこれに連座をしないで得々としておる、これを許しているというような選挙法であったのでは、選挙法の趣旨に反するのでありますから、もし選挙法を改正するということでありますならば、まずこういう点について重点を置かれなければ、私は選挙法の改正の趣旨に反すると思う。それを、政府案によりますと、そういうところはほおかぶりをして、党利党略の区割りなどに熱を上げまして、今日社会の非常な批判を受けるというような状況でありますから、われわれとしては、そういう本末を転倒するような選挙法の改正はいけないのだということから、社会党の改正案を提出いたしておるのであります。  従って、その要点の二、三を、御質問でございますからお答え申し上げますが、たとえば、連座制の問題に関しまして、今古川君からどういう点から提案したのだというのでありますから、一番重要な点を申し上げますと、今度は、候補者が違反をした場合はもちろんでございますけれども、そのほかに、選挙の総括主宰をいたした者、あるいは支出の責任者、これらの者にもし悪質な違反が起りましたときには、候補者が当然失格をするのでありまして、社会党の案は、その点においては、選挙違反でもしようという者には実に苛酷にできておりますけれども、公正な選挙を行う者にとりましては何らの心配のない規定でありまして、この点については、前回の国会にも参議院の市川房枝女史その他から提案をせられまして、審議もいたしたのでありましたが、審議未了になったのですけれども、その後、これらの批判を見ますと、いずれも候補者が当然失格をすることにして——今までのようにわざわざ裁判を起して失格をさせるというようなことは、いたずらに引っぱられてしまって目的を達することができないのであります。それでありますから、社会党といたしましては、総括主宰者であるとか、あるいは支出の責任者などが違反を起しましたときには、候補者は、訴訟を要せずして当然失格をするというふうに、きわめて明確に割り切っておるのでありますが、違反などを起す心配のない方は、きん然としてこれには御賛同を願えることだと思っておるのであります。  その次は、きわめて重要な点でありますから、もう少し御説明を許していただきたいのでありますが、中途半端でありまして、半分だけ説明して、あとの半分を省略いたしますと、私の答弁がまた速記録などに載りましてあいまいになりますから、もう少し明確にいたしておくのは、今度のは、第三者の選挙犯罪によるものも、これもあらためて連座の中に入れたというところに、この法律案の大きな特徴があると思うのであります。今まで、総括主宰者であるとか支出の責任者が行いましたことによって連座をするということは、連座の議論の上からたびたび行われておりまして、問題のないところであります。ところが、総括主宰者でもないし、支出の責任者でもなくて、運動員であって選挙違反を起す者がたくさんあるのであります。ある候補者のごときは、この前の選挙のときも、百名に近い運動員が検挙をされております。中には、地方の議会の議員を多数含みまして、そうしてこれらの諸君が第三者の選挙違反として審理をされましたが……。 (発言する者あり)これは古川君の質問が非常に重大なところでありますので、それで答えておるのですが、本会議が始まっておれば、それでは答弁は保留しておきまして、次会にまた答弁をいたすことにいたします。

古川丈吉自由民主党

○古川委員 まだ答弁はそれで済んでいないのですから、継続してやってもらいたい。

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 中村君、一応簡単に答弁を切りをつけて下さい。それで休憩いたします。

中村高一日本社会党

○中村(高)委員 それでは、答弁の、連座のところだけ切りをつけまして、あとはまた次回に御質問を受けて御答弁申し上げます。  第三者の選挙違反の場合が、今までの選挙法の中から、いつも連座から除外をされておったのでありますけれども、これは非常に大きな欠点でありまして、先ほど説明を申し上げましたときに例を申し上げましたが、たとえば百名近い運動員が違反をやって、それでも候補者が何にも関係ないということでは、選挙の取締りなどというものは意味のないものだと私は思うのであります。これは、もう、多数の運動員が検挙されますときには、それをも問題にするということが当然でありますけれども、しかし、中には全然候補者と意思を通じないというような人もあるのでありますから、多数の者が違反をしたから、全部それが候補者に及ぶというようなことは問題だと思うのでありますから、今度社会党で問題にいたしておりますのは、候補者と意思を通じておるというようなことが明らかになりましたときには、どうしても、これは、総括主宰者であるとか支出の責任者と同様に、厳重に扱うべきものだというところに目的があるのでありまするが、しかし、この場合も、総括主宰者であるとか支出責任者と同じように当然失格をさせるということでは、これはどうも酷に失するのではないかということから、この場合だけは、高等裁判所に訴訟を提起して、当選人を被告として相手どって訴訟を起せということにいたしておるのであります。この点が第三者の選挙違反に基く連座の違う点でありまして、こういう三つの連座を規定いたして、万一自分の選挙に違反が出ましたときには、候補者として当然責任を負って議員にはなれないというところに自粛を求めまして、お互いに選挙の公正を保ちたいということが、改正案を提出いたしました趣旨の一部でございます。  連座のことはこの程度で、あとは保留をいたします。

古川丈吉自由民主党

○古川委員 一言だけ……。私は社会党が政府提案の法律案とは別個に出されたものという解釈のもとに質問をいたしましたところが、あにはからんや、政府提案の法律が不十分であるからその補いに出したのだ、こういうような御答弁がありましたが、そう解釈してよろしゅうございますか。

中村高一日本社会党

○中村(高)委員 提案をいたしましたのは独自の立場であるけれども、提案した動機は、あまりに政府案というものが一方的で、区割りなんかばかりに熱を上げた法案であって、欠点があるから、これはわれわれとして……。

古川丈吉自由民主党

○古川委員 よくわかりました。ただいまの御答弁では、政府の案が非常に不備であるからという動機で出した、こう解釈をいたします。

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 この際暫時休憩いたします。     午後三時二十三分休憩      ————◇—————     午後四時二十二分開議

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。竹谷源太郎君。

竹谷源太郎日本社会党

○竹谷委員 けさほど来、太田国務大臣並びに法制局の当局に対しまして、一事不再議の原則の問題についていろいろとお尋ねをし、また他の委員から関連の御質問がありまして、いろいろ審議をしたのでありまするが、どうもこの一事不再議というものの適用せられる範囲等についてあいまいもことして、政府の答弁は明確を欠いておるのでございます。法制局の言うところによると、客観的情勢の変化あるいは目的、趣旨が違えば、同一問題につきましてもその同一性がなくなって、一事不再議ということには該当しなくなる。しかし、その限界点はきわめて不明確で、われわれはその答弁では納得ができないのでございます。ことに、今回提案になりました政府の公職選挙法の一部改正法案の要点となっておりまする中選挙区を含めた小選挙区、こうした選挙区を実施するということが選挙法の他の規定について同一事ではないという、まことに変更を加えるような御答弁があったのでありまするが、太田国務大臣は、この中選挙区を含んだ小選挙区制度というものによって、選挙法の他の規定が同一性が違ってくるのだという御見解のようである。そうすると、これは一体客観的情勢の変化に該当するのか、目的が違ってきたのか、あるいは趣旨が違ってきたのか、そのいずれに該当するのか、御見解を承わりたいと思います。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 今三つの点をあげられましたが、小選挙区制度は、現在の制度と目的においても趣旨においても違っておると信じます。

竹谷源太郎日本社会党

○竹谷委員 目的においても趣旨においても違う。その中に自治庁長官は選挙制度調査会の意見を尊重して二人区を入れたということを言っておりますが、その尊重せられたという選挙制度調査会の答申のうちで、きわめて重要な半分を占める選挙の公正確保に関する事項については全然尊重さておらない。これは全くの詭弁であって、自分の都合のよいところだけは利用して尊重したと称し、都合の悪いところはこれを全然顧みない、こういう態度でございまして、この点は別の機会にまたお尋ねをしなければならぬと思うのでございまするが、先ほど、自治庁の事務当局から、十二ヵ条の各条文にわたって、小選挙区制の結果その再改正をいたしましても、それは同一事項ではなくなるという答弁がありましたけれども、たとえば、そのうちの政党の政治活動の関係で、参議院では所属候補者二十五名以上の政治団体の政治活動は認めるというふうに改正をしたばかりである。その条項について改正したものを、今回の政府提案では、五十名以上でなければならない、このようにうたってある。これは、どうも、中選挙区であるかあるいは小選挙区であるかによって、所属候補者もしくは公認候補者の数は二十五名を五十名に倍加しなければならぬと、必然的に、それが趣旨、目的が激変の結果当然変えなければならぬということにはなってこない。それからまた、先ほども指摘をいたしましたが、ポスターの問題あるいは個人演説会場の場外における掲示、ポスターの貼付等の問題について、先般の改正と変った規定をしておりまするが、これらについても、何らこれを変更する当然の理由はないのでございます。小選挙区制をとったからといって、選挙事務、選挙運動あるいは選挙に関する各般の規定を、十ぱ一からげに、どれもこれも、同一性を失ったのだから、再改正をしてもそれは一事不再議の原則には反しないのだ、こういう一見解のように受け取られる。一体、太田国務大臣は、別表が変ったという事態だけで、その他の選挙法の規定を、先般改正したばかりの同一条項について、その内容も文句もあるいは条文も変更しても差しつかえない、小選挙区なるがゆえに、あなた方が言う当然の因果関係として、同一事項ではなくなると思われるどんな規定をも改正しても差しつかえがないと思うのか。それとも、小選挙区を採用するがゆえに、目的、趣旨が違うと今おっしゃいましたが、そのゆえに再改正することもあえて差しつかえない、こういうふうにお考えになるか。当然にどうしても事情の激変で変らなければならぬ強い因果関係のあるものだけにとどむべきか、その因果関係もない改正の理由もないものを改正することも可能であるかどうか、お尋ねいたしたいと思います。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 今回政府の提案いたしました小選挙区制は、いわば大きな柱を二つ持っていると思います。一つは区制の区割りが変ったということでございます。もう一つは政治活動及び政党の選挙運動というものを強く認めた点でございます。答申を尊重しないというお言葉がありましたが、選挙の公正につきまして五項目あるうち、第一は、政党による小選挙区制を設くべし。これは入れましたが、国民に啓発すべしということはこれからの問題であります。三つ残った問題は、選挙の公営、連座制及び政治資金の問題でございます。公営制度は、おそらく各国にないほど今の日本の公営制度は進んでおると思います。この材料もいずれお目にかけたいと存じ上げます。どの国よりも日本の公営制度は進んでおると思います。連座制度につきましては、残っておる問題とわれわれの考える附帯訴訟の問題を入れました。政治資金の問題につきましては、かねがねからの各党の問題もあり、かつ労働組合等の寄付金の関係等もございまして、政党法を作るときまで見送らなければならぬことになったことも、かねがね申し上げたところでございます。かような意味におきまして、今度の法律案は、小選挙区制度のために必要と認むる限度においてやりましたので、この目的、趣旨のためにやったのでございます。決して一事不再議の原則にそむくことはない、こう考えております。

竹谷源太郎日本社会党

○竹谷委員 少し他の事項にわたりますが、今、選挙制度調査会の選挙の公正確保に関する答申のうち、各項目について簡単な御説明がありました。これにつきましては、内容の問題に入りますれば、いろいろ委員の間から質疑等が出ることとは思いまするが、一体尊重したとおっしやいますけれども、公営の拡充は各国よりも進んでおる——それは進んでおる点もあると思います。進んだよいものは今後大いに伸ばしていくべきものだと思う。選挙の公営のうち、最も効果的であり、また政党政治の発達の上から、また政党は政策をもって争うべしとする、太田長官が常日ごろ言っております点から言いましても、この立会演説会ほど有効な公営方法はないとわれわれ確信いたしております。これは、昭和二十三年の七月に、選挙運動等の臨時措置に関する法律によって初めて取り上げられた。実は私もそのとき選挙法の特別委員の一人でございまして、私は、宮城県でございますが、宮城県の公民館連盟の主催をもちまして、県下数十カ所にわたって各党の立会演説会をやった。ところが、個人の演説会では五十名や百名しか集まらないところでも、まっ昼間開催いたしましても千人前後の人が集まる。だんだん評判になりまして、二千人、三千人となり、非常に国民の政治意識の高揚、また各政党の政策宣伝の上に効果尽大であった。そういう例がありましたので、私これを提議いたしましたところ、当時の保守党の二大政党の諸君もきん然とこれに賛成をいたしまして、選挙公営の有力な手段として、義務的公営立会演説会という制度を採用いたしまして、自来八、九年になるのでございますが、この公営の立会演説会は一そう盛んになり、また選挙民も大なる期待を持って、きわめて短かい時間で一まとめに各政党の意見を聞き、ことに候補者みずからの人物なり、識見なり、その人を通じてその政党の政策をまのあたり見聞をして、買収供応その他の情実因縁の選挙運動に支配されるよりも、自己の直接まのあたり体験したものによって良心的な判断をして投票するということになりますから、選挙の公明化の上に役立つところきわめて大きい。このような有効なる選挙運動であり、また公営として最も望ましいものを、今回、選挙制度調査会においては、一そう公営を拡充しろという答申、しかも小選挙区制を採用する場合には必ずそれをやれと注文をつけておる。この大切な公営選挙の立会演説会というものを削ってしまうというような点は、これは、小選挙区制そのものが、理論的にはいろいろありましょうが、日本の現状から見ても反対が非常に多い。これ以上に、この問題は、どうも、選挙区と合せて、一方運動の方面から見て非常な改悪であって、選挙制度調査会の意見の尊重とは全く逆行をいたしておるのでございます。  この点は、きょうは時間もありませんから、内容に入ってからお尋ねいたしたいと思いますが、一体、太田さんは、われわれ若い時分に、よく経済講演をラジオでやって、なかなか明快な弁舌をふるわれまして、よく傾聴したものです。尊敬すべき学者であり、インテリです。こういう人は、選挙のときには、大いに政策をもって反対党と戦えばよろしい。在来の選挙運動の機会を滅却するような今回の政府提案というものは、どういうものであるか、われわれははなはだ不可解でございます。近代の発達したる裁判におきましては、公開弁論主義がその基本をなしておる。あらゆる証拠をできるだけまのあたり見聞をして、裁判官をして真実に近い心証を得させるという趣旨である。選挙民はわれわれ政治家にとりましては最高の裁判官である。その裁判官の自由心証を最も確実に得らるべき機会を奪ってしまう。これは、選挙区改悪と同じように、選挙法に対する非常な改悪であり、選挙民はいたく失望をいたしておるのでございますが、このようなことをあえてしておきながら、一方において公営拡充というようなことをおっしゃいますが、全く支離滅裂でございます。こうした論法で、一事不再議の原則に反するような事項を、平気でここでまた再改正をなさるというような現状でございまして、これは、いろいろ理屈を述べましたり、詭弁を弄し、あるいは遁辞を設け、あるいは小選挙区制採用の趣旨、目的上改正したというようなことで、どうもらちがあきません。これにつきましては、先ほど、滝井君は、法制局の意見も十分まとめて答弁をしろという要求をいたしておりますが、いろいろ質問を重ねても、のれんに腕押しであり、あるいは水かけ論のきらいがあって、まことに時間の空費もはなはだしい。一つきわめて率直に御答弁を願って、あやまちがあるならば、一事不再議の原則を厳守せられて、政府においてはこの問題を十分に考慮する意向がないかどうか、太田長官の御意見を承わりたいのであります。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 竹谷委員は、この法案を退ける考えがあるか、また材料として立会演説の例を引かれて、政府の案は小選挙区のために何でこういうことをしたかという理由をお尋ねになりましたが、私から申しますれば、小選挙区制になればこそ、立会演説をやめたのであります。私も言論で生きてきた人間で、現在の中選挙区下においては言論は非常に効果があります。立会演説も効果がございます。しかし、約四分の一に選挙区域が縮まった今日におきまして、その狭い区域における選挙運動が、ことに政党の選挙運動が加わって参りますので、有権者各位が候補者の声を聞くのには十分なる手当がとられております。立会演説をするということは、中選挙区下においては大いに効果があったが、小選挙区下においてはということは、私どもの新たに考えた問題であります。従って、イギリスなどにおきましても、イギリスの小選挙区はこれはおそらく世界の見本であると思いますが、一切立会演説会をやっておらない、こういう事実も私の申し上げたいところでございます。従って、一事不再議の原則につきまして、小選挙区という大きな目的、趣旨のもとに法案ができているのであります。これを撤回する考えはございません。

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 次回は明四日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十一分散会

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