決算委員会 第36号
- 発言数
- 268 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1956/05/22
会議録
○上林委員長 これより会議を開きます。 お諮りいたすことがあります。先ほどの理事会で御相談願ったのでありますが、政府関係機関の収支(日本開発銀行の電源開発融資)に関する件につきまして調査のため、証人として北陸電力株式会社社長山田昌作君、同建設部長鵜飼孝造君及び林唯義君を喚問して証言を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上林委員長 御異議なしと認めます。よって規則第五十三条により、議長を経由して出頭を求めることといたします。なお日時の件は委員長に御一任願います。 —————————————
○上林委員長 次に歳入歳出の実況(パッカード・マリン・エンジンの払下げ及び購入等)に関する件について調査を進めます。 本日は、船田長官に対しまして、総括的な質疑を行うこととなっていたのでありますが、長官に対する質疑は午後に回し、午前中は政府当局に質疑を行うことといたします。質疑の通告がありますので、申し合せの順によってこれを許します。辻政信君。
○辻委員 この前の問題に関連しまして、まだ若干問いただしたいことがありますので、事務当局にお伺いしたいと思います。 まず第一に、魚雷艇にパッカード・エンジンを使わなかったのはどういうわけでありますか。これは増原次長から伺いたい。
○増原政府委員 第一線に出る魚雷艇としては、銃火をこうむった場合に引火しやすいガソリン・エンジンは適当でないということを主たる理由として、ディーゼル・エンジンを使おうということになりました。
○辻委員 それでは高速救命艇は第一線に使わない、後方であるから、そのような危険なガソリン・エンジンを使ってもいいという見解ですか。
○増原政府委員 高速救命艇は戦火をくぐるということを使用の常態といたしません。もとよりガソリンの引火ということは相当留意すべきものであるが、高速救命艇であるならばむしろ高速というところに重点を置いて、ガソリン・エンジンがよろしいというふうにきめたわけであります。
○辻委員 それじゃ、高速救命艇は戦争になったら安全な場所に隠しておくのですか。
○増原政府委員 高速救命艇の使用の状況は、主として航空事故等の搭乗員の救出を目的といたしますので、戦火の第一線に出るということが使用の原則ではなく、もとより絶対そういうところに出ないということは言えませんが、普通使う場所は戦火の第一線ではないということでございます。
○辻委員 近代戦で、魚雷艇が第一線に立ち、高速救命艇が安全な場所にあるというような観念は根本的に間違っておる。任務は違うけれども、同じ海面に活動する艦船は、敵の航空機に対しては第一線も後方もないのです。昔と違っております。海上で艦船がお互いにたまを撃ち合うのではないのです。空軍が来るのです。適の空軍が飛んでくれば第一線だろうが後方だろうが区別はない。海に浮いている船はみな銃撃を食らうのです。そうすれば、魚雷艇が危険であって高速救命艇は敵弾の危険性がないというのはとんでもない間違いです。太平洋戦争の末期においてどうでありますか。戦艦も商船も同じように銃撃を受け爆撃を受けておる。そうすれば、軍時という万一の戦争の状態のことを考えて作る海上自衛隊の持っておる艦船というものは、常に敵飛行機の銃撃に直面するのだという観念をお持ちにならぬと、いくさの役に立たない船を作ることになりますよ。そういう見地から見れば、魚雷艇にディーゼル・エンジンが適当であり、高速救命艇は後方だからガソリン・エンジンで何とかごまかせるなんという皆さんの考えは、近代戦から見ると根本的に間違っておる。高速救命艇を作って、一発のたまで発火するような危険きわまるエンジンをつけなければならぬ理由があるか、それを承わりたい。
○増原政府委員 これはやはり使用の原則的な問題として、そういうことを防衛関係の者、技術関係の者の意見をよく戦わせた末やったのであります。もちろん比較的な問題でありまして、仰せの通り大戦末期等は航空機の銃撃はいかなるものも受けたわけでありますが、比較的に申して一方は戦火をくぐることが多い、一方は戦火をくぐることが少いという比較の問題であります。高速救命艇としては高速であることの性能に重点を置くことがよろしいということをいろいろ研究論議の結果きめたということでございます。
○辻委員 その皆さんの研究論議というものが間違っておるのです。将来戦の様相を考えますと、海の上に浮んでおる船は軍用である限り、あるいは軍用でなくても、敵の飛行機の爆撃に対しては第一線と後方の区別がない。それは御承知の通りの状況です。そこでこのパッカード・エンジンは性能が高いけれども、ガソリン・エンジンなるがゆえにアメリカでは軍用に適しないというので製造を禁止をしておる。そういうしろものなんです。このエンジンは海上保安庁が平時勤務に使うというなら私は文句を言いませんよ。海軍が持っておる軍艦に匹敵するこの船に一発のたまで燃え上るような危険なものをなぜ取りつけたか、これは根本的に間違いないんです。燃料の節約からいっても、安全からいっても、ディーゼル・エンジンが根本なんです。そういうことになりますと、あなた方の中で論議があったということは、一部には良心的な者があったと思うんです。そしてこれに反対したからこそ論議があったわけなんです。その反対の一部を押し切って買わなければならぬというところに、これは悪意をもって想像すれば、工合が悪いんだが、何か政治的な運動があったから、目をつぶって買ったと言われても弁解の余地がない。軍用なるがゆえに——私はふだんの救命艇というなら文句は言わぬのです。皆さんの持っている船は、いつでもたまの下で働くのが建前なんです。それにもかかわらず、こういう危険なものを出すということはとんでもない、根本的なものの考え方が間違っておる。この点はどうですか。
○増原政府委員 米国で使いましたのは、戦争中は主として魚雷艇に使いました。そうして魚雷艇としては、戦後現在の訓練という段階において、多量のものを要しないということで、今製造中止になっておる。そうして高速救命艇は現在ももとより使っておるわけでございます。そうして私どもがこれを使うが、いいかどうかを研究いたしました場合の主たるあれは、魚雷艇の場合でございます。高速救命艇にこれを使用する場合については、多く論議があったことは私は聞いておりません。高速救命艇にパッカード・エンジンを使うことはすらすらときまりまして、もとより米国に供与を申し出る、あるいはパッカード・エンジン会社に引き合いをするというようなことをいたしてあれしたのでございまするが、高速救命艇としてこのパッカード・エンジンを使うということは、多くの論議をしたように私は聞いておりません。
○辻委員 アメリカが戦争中に魚雷艇にこのエンジンを使ったことは事実であります。私も知っております。しかしそれは日本の空軍かほとんど活動しておらなかった、だからほとんど危険がないのです。しかし将来戦に対しては使えないということは、さすがのアメリカもわかっておるでしょう。今から作る魚雷艇にはまさかパッカードのガソリン・エンジンは使う道理がありません。過去において使ったということは、将来も使うということじゃないのです。その議論はなり立たないわけです。 それじゃ話題を転じて他にお伺いしますが、今お作になった魚雷艇六隻が、新聞の報道によりますと、三菱重工のジェット・C・エンジンを取りつけたが、それが所望の力が出ないために実用にならないで、陸上にすわっておるということを新聞で見たのですが、事実はそうですか。
○増原政府委員 ジェット・C・エンジンは、御承知かと思いますが、二千馬力のディーゼル・エンジンでございます。これは横浜の三菱が戦争末期に、試作品ということがようございましょうが、一基を完成した。これを終戦になりまして米軍が見て、非常にいいもののようだというので、向うに持ち帰りまして、いろいろテストをし、いい点、悪い点等を試験の結果、データを出しまして、そういうものを横浜が逆輸入でデータをもらった。全体としては、こういう小型高馬力エンジンとしてはきわめて優秀なものである——エンジンのことは私よく存じませんので、その方はまた別に係から御説明をさせたいと思いまするが、ベンツ等と並んで世界で三つの一つに入る小型高馬力のものである。米国でも、全体としては非常に優秀なものができたというふうに申した。そのデータを逆輸入で三菱がまたもらったというものであります。当時のベンツその他のものを購入することが非常に困難な、ほとんどできがたいという状態でありまして、国産で優秀なエンジンができるということに着目をしまして、会社の技術者及びわが方の抜術者等でいろいろ検討、考慮をいたしました結果、第一基が完成した。そうして米国においてであるが、綿密な検査をして、十分いけるであろうということで、これを購入することをきめたわけでございます。そうしてこれを購入することをいたしまして、でき上りました品は、一隻に二基積むわけでありますが、最初の二基は地上百時間の試運転の際にはいい能率を発揮したが、第一号艇に積みまして試運転をしました場合に、カム・シャフトが折損したという問題が起きまして、これを返しまして、陸にまた上げて修理をした。いろいろ研究の結果若干の手直しその他をしまして、現在においては二千馬力という所望のものが出るというふうになっておるわけでございます。そうして艇とエンジンの関係でございますが、艇とエンジンの関係は、そういう手直し等をいたしまして、その場合に震動計等をドイツから買わなければならぬというようなことがあったりしまして、若干おくれました。そういうことで最後の竣工が今おくれておるということには相なっておりまするが、エンジンとしては、多少手直し等でおくれましたが、所望の馬力を出しておるということに相なっております。
○辻委員 何ノット出ますか。
○増原政府委員 二十八ノットを目標といたしておりまするが、現在までのところはまだ二十六ノット半であります。技術的な問題は他から申し上げるのがいいかと思いまするが、当初からプロペラを四つばかり予定をしまして、試験をして、その中で一番いいものをとろうということであります。最後の段階のものを取りつけて試験をするということで、所望の目標二十八ノットには大体そのものずばりか、それに近いものが出るのではないかという目算を今立てております。
○辻委員 私はそういうことを考えますと、多少速力は劣りましても、たまの下で最も安全なディーゼル・エンジンを、しかも国産で作って、そうしてガソリン・エンジンの危険なものにかえるべきじゃないかと思うんです、救命艇もまた快速艇も。これは皆さんほんとにお考えにならぬと、人命救助だから一ノットでも速いのがいいにきまっていますが、しかし四十ノット出るからいいが三十五ノットでは役に立たぬというものじゃない。むしろ人命救助の場所にいち早くかけつけて連絡するという手続の方が大事なんです、船のスピードよりも。そういうことを考えますと、こういう危険なものであり、またいわくつきのものであり、戦争においてはきわめて危険なエンジンを、これから作られる高速救命艇に予定されておったならば、大へんな間違いだと思います。この前の委員会で、長官に間組から買わないということを言明させようとしたが、善処をするという答えで、はっきりされておらない。あなたは事務の最高責任者として、これほど議論を沸かし、疑惑を与え、また軍事上の不利を冒して、将来依然として間組から六基を買うということを事務当局の最高責任者として考えておるか、あるいはそれをやめさして、国産のディーゼルに切りかえるという意見を長官に具申されるか、その気持を伺いたい。
○増原政府委員 間組の持っておりまするエンジンにつきましては、せんだって長官から申しましたように、このたびは最善を尽して米国から供与を得たいと思っておると長官が申しました。事務当局の意見も、長官の旨を受けて同様でございます。現在のところは、辻委員の仰せになりました高速救命艇にディーゼルをつけて、二十八ノット、三十ノットというふうな速力でよしとするか、やはりパッカード・エンジンで——これは米国から供与を受けるよう最善を尽すという前提でございまするが、それでいくかということについて、今ここで所見を申し上げかねまするが、私どもとして高速救命艇にパッカード・エンジンをつけましたのは、関係者、技術者その他防衛部関係等の意見を十分聞きまして検討をいたしましたので、御意見のあるところは十分研究はいたしたいと存じますが、本日ただいまお答えを申し上げることは差し控えたいと思います。
○辻委員 今あなたのおっしゃったこのエンジンはアメリカに発注、お願いするということはきょうの新聞にも出ております。これは読みましたが、もともとアメリカに頼んだけれどもなくて、ボロを買いあさったのでしょう。今さらアメリカに要求してくるものなら今までにだってもう来ているはずだ。来ないことはわかり切っている。製造中止なんです。古物以外にないのです。今さらアメリカに要求して国民の目をごまかそうといったってそうはいきませんよ。ことにあのエンジンに乗っている海上自衛隊の兵隊さんが言っておりますよ。あれを操縦しておる兵隊さんが、こういういわくつきのエンジンをつけられたんじゃわれわれは気持がめいってしまうということを兵隊さん自身が言っております。そういう士気の問題、ことにこの委員会で私が傾聴したのは社会党の小松委員の質問であります。命を的にして働く日本の青年がいわくつきのエンジンを与えられたのでは出ないのではないかということです。これは社会党の諸君の質問であっても、ほんとうに皆さんがその点は心をむなしゅうしてお考えにならなければいけませんよ。人間は生きものですから、感情を持っておる。国会でさんざんいじめ抜かれたこの古物のいわくつきのエンジンで海上自衛隊の士気の上る道理がない。こういうことから考えると、今さら四の五の言わずに、間組とのくされ縁を切ってしまいなさい。少々馬力が少くても、速力がおそくとも、国産のディーゼルをもって将来の補給も容易になるし、燃料も安上りになるし、危険に対しても大丈夫というものをあなた方が整備の中心にならないと、再びこの問題はこの次の国会に出て参ります。そこをとくと念を押しておきます。 次に問題を転じまして兵隊のはいておるくつの問題を二、三聞いてみたいと思う。責任者は、おりますか。
○上林委員長 武内調達実施本部長と石井契約部長も出席しております。
○辻委員 今防衛庁にくつを納めておる一番大きなメーカーは何という会社であって、どのくらい注文を受けておりますか。
○武内説明員 申し上げます。防衛庁に納入しておりますくつのメーカーは十一社ございますが、日本製靴株式会社、スタンダード靴製造株式会社、千代田機械靴株式会社、大塚製靴株式会社、旭成製靴株式会社、桜組工業所、アジア製靴株式会社、東邦工業株式会社、井上工業所、日会ゴム株式会社、子宝靴工業株式会社、以上であります。
○辻委員 その井上工業は何万足くらい発注しておりますか、一番多いはずです。
○武内説明員 各種のくつを納めておりますので、申し上げますと、半長靴……。申し上げます。三十年実績十万八千二百七十四足であります。
○辻委員 けっこうです。私の調査とあなたの数字とぴったり合っております。井上はおそらく十一社のうちで一番大口だろうと思います。その井上の工場をあなたは責任を持って現場を視察したことがありますか。
○武内説明員 私は参っておりません。
○辻委員 この工場の素性はわかっておりますか。
○武内説明員 大体存じております。
○辻委員 どういう会社ですか。
○武内説明員 この会社はもっぱら自衛隊のくつを製造しておる会社でございまして、注文が少いときには、ここの職工は農業をやっておるそうであります。それで自衛隊の注文が入りますと、それを集めましてくつを作る上いうところだそうでございます。
○辻委員 屯田兵工場ですね。注文がきたら百姓をやめてくつを作る。そうすると、そんなくつにいいものができる道理がないということがわかりますね。自衛隊の兵隊に聞いてごらんなさい。井上で作ったくつははき手がない。右と左とで大きさが違う。また一カ月たつと水が漏るというのです。落札は一千八百円で落札しておりますが、製品が悪いことは天下の定評です。井上社長は、元自由党の代議士なんですが、これは奈良の大ボスでありまして、無頼漢を集めて工場を経営しておる。ふだんはほとんど工場らしきものがないのです。あなた方に政治的圧力をかけて十万足注文をとると、百姓をかき集めてきて、そうして全く技術のない者を数だけそろえてきて、納める。これは御存じでしょう。それを知っておりながら、なぜこのような工場というものをあなた方は十万足という、指定商から取り消そうとしないのか。それをはっきり伺いたい。
○石井説明員 私の承知しております。ところでは、井上工業所は警察予備隊発足当時、すなわち当時皮革の需要が非常に逼迫いたしておりまして、一般の製靴業者では値段その他の関係でなかなかうまくいかない当時に、相当の実績をおさめておるものでございまして、その納品につきましてはいろいろな批評は聞くのでありますけれども、それぞれ検査には合格し、かつ部隊におきまする使用の実況も、漠然と言われるような状況というものが実証的には何ら上って参らないというところからいたしまして、現在のところ指名業者の一人に加えておる次第でございます。
○辻委員 そうすると工場に行かれて抜き打ち調査はされましたか、それとも納品検査をやられましたか。
○石井説明員 検査の実地状況といたしましては、検査官が工場へ参りまして、原料段階あるいは製造段階、なおでき上りましたものの検査を実施いたしております。
○辻委員 工場に行ったことがないんでしょう。あなた方は行ってもドスでおどされて検査できないんでしょう。もっと事実をあげましょうか。昭和三十年十月、大阪の防衛庁関係の検査官が奈良に出張しておりますが、非常におそれています。検査二課長の久保君が奈良に行ったはずですが、それも手に負えないで帰ってきたではないか。工場に入ることができない。奈良の税務署員も井戸に投げ込まれたのです。会計検査院では、三十一年三月九日、十日に井上工業所を見に行った事務官、大坪君と宮川君の二人が、これもおどされて検査ができない。その工場に立ち入ることができないで帰ってきております。あなた方はこういうことを御存じでしょう、それとも御存じないか。
○石井説明員 大阪出張所の職員は、それぞれ所定の検査日時に行きまして検査を実施しております。また検査二課長の久保一佐は昨年秋工場に行きまして経営系列が芳ばしくないところがありましたので、それぞれ注意を与えまして、会社は経営の方法、技術者の雇用、そのようなことについて約束いたしておる次第でございまして、追い帰された事実はないようにわれわれは承知しております。
○辻委員 それならそこへ行かれた人をここへ呼んでもらいましょう。私ははっきり事実を言うのです。あなた方に不確かな状況で申し上げるのではないのです。はっきり事実をつかまえて防衛庁のために申し上げておるのです。こういうことがある。郵政省にも納めております。運輸省の方にも鉄道関係のものを納めております。その検査官がこの暴力団に一週間軟禁をされた。そうして本省に連絡して、応援隊を得てようやく帰ってきておるという事実がある。これは御承知でしょう。
○石井説明員 存じません。
○上林委員長 今出張した人の出席要求がありましたが、名前はわかっておりますか。
○辻委員 わかっております。とにかくあなた方は存ぜぬと言われるけれども、あなた方の部下が井上工場に恐れをなして行かないことは明瞭な事実ですよ、それも否定しますかどうですか。石井説明員 検査業務に差しつかえる非常に不愉快なところであると考えいるかどうか存じませんが、検査業務が滞りなく行われていると考えます。
○辻委員 滞りなく終っておらない。引き抜き検査ができない。工場へ行かれて、鉄砲を持った自衛隊がごろつきのボスに短刀でおどされて検査ができない工場がある。法治国家において想像のつかないものが奈良県にある。日本の皮を作るメーカーは、井上には現金でないと現在売りませんよ。それは御承知でしょう。おそらくそれを知らないのは、調達実施本部がよほど勉強しておらない。勉強してないからわからない。私の集めた資料ではぴしゃっと名前まで出ておる。会計検査院の大坪、宮川両君がことしの三月九日、十日に井上へ行って、おどされてとうとう検査もやらずに帰ってきた事実がある。証人を呼んでごらんなさい。あなたの方の調達の第一線事務官も、井上といったらもう縮み上るのです。こういうものを何がゆえに防衛庁は指定商人から除外できないのか。そういうことをやるから——エンジンの問題といい、くつの問題といい、あなた方が正しい力で突進していけば、われわれは援護する。そういうボスや下らない政治的な関係にあなた方が良心的な行為を妨害されているからこそ、防衛庁にはいつまでたっても不正がやまないのです。われわれは全力をもって応援しますから、自信を持っておやりなさい。あなたはそう答えたけれども、おそらく井上へやったことはよくないということが、良心にはあるに違いない。顔に現われている。ほんとうですよ。僕は架空の問題をとらえて議論しているのじゃない。こういうところにメスを入れなければよくない。なぜメスが入らぬのですか。増原次長どうでしょう。
○増原政府委員 今おっしゃったようなことは、私はただいま承わるのが初耳でございます。そういう点はよく調査をいたします。
○辻委員 初めてということは、事務当局は増原次長にそういうことを報告しておらぬのですか、どうです。
○武内説明員 辻委員の御指摘になりましたように、井上というくつの製造所は普通のくつ屋とは確かに違います。しかしながら当方の登録の要件にも備わっております。また検査もして通っておりますが、検査は各官に相当厳重に指令してやっております。とかくの批評のあるのは御存じの通りであります。それで先般委員の御指摘になりましたように、特に久保課長を派遣しまして、会社に対して注意を与え、経営上の問題を指示さして参ったのであります。数カ月前だと思いますが、半長靴の検査に際しまして、いわゆる号文数を入れる場所が数ミリ違ったくつが相当出まして、それを検査官は不合格にするということで問題になったことがありまして、その社長が私のところに出て参りました。しかし見ますと、十文とか十文半の数字が一ミリくらい上下になっているものがありました。これを完全に合格にするまでには至っておりませんけれども、しかし完全にスペック通りになっているというわけでありませんので、私はその際に、今回は不合格にするまではないけれども、今後はこういうことがあったらば不合格にする場合があるからということで、社長から始末書をとりまして処置したわけであります。その際にもいろいろ普通の商取引をしている相手方と違いまして、いろいろ不愉快な言葉を聞くことがありますので、ここは商取引をするところです。政治は政治でおやり下さい。私はあなたと商取引をしているから、そういうようにして下さいということで、言葉はていねいにいたしましたが、私の方の意向は十分伝えて、今後につきましても注意していただくように私からも直接社長に申しております。
○辻委員 一体商人が物を納めるのに、防衛庁の主任者に無礼きわまる脅迫的な、あなた自身が認められるような言辞を吐く工場があるか。ほかのまじめな商社はあなた方にもみ手で頼みに来る。井上はあなた方に開き直って、ぶうぶう言ったらやっつけるぞというような態度で迫ってきているのです。始末書の一本や二本でへこたれるようなボスじゃない。こういう者から最大多数十万足を防衛庁は買っておるのです。しかもあなたが認めた通り、ふだんは百姓をやり、発注を受けたらくつの職工になるという屯田工場である。内容は設備も悪いし技術も悪い。自衛隊の兵隊に聞いてみると、井上製のくつをはくとどうも右と左と一緒になりません、それから一ヵ月で水が入りますと言うのです。それほど自衛隊の隊員たちは井上のくつというものに対して信頼を置いておらない。そういう工場に対してあなた方は何がゆえに十万足発注しなければならぬのですか。その事情をなぜ最高の楢原さんに言わないか。兵隊の身近に迫った問題です。僕は兵隊をつかまえて聞いてみた。そこまで調べてあなた方に反省を促しておるので、この場でごまかすのではないのですよ。それができないというところに防衛庁の経理の乱脈がある。いやしくも自衛隊の実施の最高責任者であるあなたに対して、井上という商売人がなまいきな態度でもって脅迫がましい言辞を弄する。これ自体からなぜこの本人を指名入札から削除できないか。そのできない理由があるならばはっきりここで述べなさい。
○武内説明員 実はやはり陸上幕僚監部の方から井上のくつが頼りないということを聞きますので、それでは具体的に一つ報告を下さいということで、陸幕を通じて各補給処等に資料を要求しております。ところが具体的にこういうわけでいかぬという、これを指名から落すまでのデータが出てこないというのが事務的な事情でありまして、そういうデータが出ますれば、将来の指定につきましては考えていきたい、こういうふうに考えております。
○辻委員 私さえわかるのですよ。兵隊も言っているのです。あの正直な単純な青年が、くつを見たときに、どうだい、どこで作ったくつだ。これは井上です。井上製のくつは右と左が合わぬで困るのです。一ゃ月たったら水が漏るのですよ。こういうくつをはきたくないけれどもしょうがないのです。私がつかまえたある一人の青年はこう言っているのです。それはあなた方の耳にも入っておるのです。入っておって取り消しできないというところに何かくされ縁がある。あるならあるとはっきり言いなさい。われわれ与党は与党の力でもってそういうものを排除してみせる。だれに遠慮するのか。兵隊が希望しないくつがあることはあなた自身認めておる。それをなぜ取り消しできないのですか。一般の商人はちょっと間違ったらすぐ取り消すじゃありませんか。小さなきずをとらえてあたな方がいじめておるではありませんか。井上なるがゆえになぜそれができないか、それをはっきり言いなさい。
○武内説明員 井上なるがゆえに排除できないというくされ縁は絶対ございません。ただわれわれのところで業者を選びます場合に、シビア過ぎますとまた区別し過ぎるという非難も起る。それで検査はすべての場合に合格をいたしております。それから入札をいたしますと、井上がそういうふうな屯田兵式でありますから、単価が安いというところで、現在会計法上の関係から申しますと、第一番札を選定しなければならないというような関係がありまして現在に至っております。
○辻委員 時間がないから簡単にしておきますが、井上が安いというのは一足について千円安いのです。そのかわり半分しか持たない。それがどうして実質的に安いか。それほどはっきりつかんでおるにかかわらず、あなた方は指名商からなぜ取り消すことができないのですか。これまで言ったらおわかりになるでしょう。増原次長、あなたの所見はどうです。僕の言っているのは間違いないでしょう。屯田兵工場です。それでも来年また十万足を発注するつもりですか。
○増原政府委員 これはいわゆる指名競争のあれであります、指名競争に入る。とにかくもちろん製品その他の検査をいたしまして、そういう資格が現在まであるということで入れておるわけであります。仰せの点はさらによく調査をいたしまして——指名の資格のないものを入れるという意思は毛頭ございません。十分調査の上、善処いたしたいと思います。
○辻委員 時間がないからこれ一問に切ります。今から調査する必要はないのです。事実はわかっておるのですよ。屯田兵工場なんです。ふだんは百姓をしておって注文を受けたらかき集めてくつを作るのです。そういうくつ屋にろくなのができないのはわかり切っているじゃありませんか、常識的に……。指名工場の資格がないという現実があるのです。調査してからじゃないのです。局長はなぜ一体それを報告せぬのか。今から調査して決断を迫るのじゃない。直ちにこれは指名商か取り消すべきものであると私は思います。時間がありませんからきょうはこの質問を打ち切っておきますが、またやりますよ。
○上林委員長 答弁は必要ないですか。
○辻委員 これで切っておきますが、あなたの方でもしやらなかったらもう一度やる。
○上林委員長 次に吉田賢一君、御質疑願います。
○吉田(賢)委員 ただいまの辻委員の御質問に関連しましてちょっと伺っておきます。さっき武内調本部長は、井上工業所社長の井上、社長の井上と言っておりましたが、あなたの方から提出された資料に上れば個人であります。個人の井上信貴男と違いますか。
○武内説明員 間違いました。訂正いたします。個人であります。
○吉田(賢)委員 名前もわかっているでしょう。
○武内説明員 井上信貴男であります。
○吉田(賢)委員 ただいまの御発言は、質疑応答ともに非常に重要な問題でございます。このくつの問題はかねてからいろんなうわさがあるので、この機会にやはり根本的にメスを入れて明らかにし、かついろいろと盲点になっているとをころ芟除しなければならぬと思います。かかる理由によりまして、井上工業所の代表者である井上信貴男、それから検査官でありました久保一佐、それから検査員の宮川、大坪、その方らに証人として当委員会に出ていただきまして、ありし事実を一つ述べていただきたいと思いますので、一つ委員長おはからいを願いたいと思います。ことにこの問題は大体におきまして調本部長も契約部長も肯定せられておるのであります。ただ事実の急所につきましてはぼけておりますので、うわさは雲ほど出ておるのであります。この機会に十分に究明することは、今後の調達の上においても非常に重要だと思いますから、ぜひそのようにおはからい願いたいと思います。
○上林委員長 ただいまの吉田委員の御発言につきましては、先例もございますので、理事会で諮りたいと思います。
○吉田(賢)委員 一つそれを至急におきめを願います。 それから二十八年度の例の魚雷艇、丙型駆潜艇六隻の問題でありますが、これは御承知の通りにただいま横須賀にも陸上であくびをしておりますし、また横浜におきましてもいまだ進水もしないで日立造船にあるわけであります。この問題もパッカード・エンジンの使用と関連いたしまして非常に重要な問題を含んでおりますので、私は一、二、十分に確めておきまして、これは午後長官にも質疑をするつもりであります。そこで伺いたいことは、一体次長の御説明はいろいろあったのでありまするけれども、すでに二十八年から建造計画を進めて、そうして昭和三十一年に及んで今なお引き渡しの時期が不確定であります。予定はあるようでありますけれども、不確定であります。現にあなたから機関は十分に改造は完了したかのような御発言がありましたけれども、私、事実機関を見て参りましたが、いまだ完了の域には達しておらぬのであります。現に工員がしきりに機関のあちらこちらをいろいろと手を入れておるのであります。こういう実情なんです。そこで一体これはあなたの方としては、どこがこの計画を立てたか、あるいは技術研究所が機関の計画を立てたのか、あるいは船体の計画を立てたのか、あるいは幕僚においてこれらの計画を立てたのか、一体そもそも個々の計画と総合計画というものはどこで立てたのか、その点を一つ事務的にはっきりしておいてもらいたい。
○小山政府委員 この魚雷艇につきましては、船体は防衛庁の技術研究所の方で設計をいたしました。機関の方は、このエンジンが終戦当時三菱ででき上りまして、これを米軍が実は持って帰りましていろいろ向うで研究しました、日本から持って行った技術の中では非常に優秀な一番二番という技術で、各方面に紹介されて向うも非常にほめているものでありますので……(吉田(賢)委員「その辺はもうだいぶ答弁があった」と呼ぶ)失礼いたしました。それでこれは三菱の技術をもとにして三菱で設計する……。
○吉田(賢)委員 何か訂正なさるそうですから……。
○辻委員 先ほどの発言をちょっと訂正しておきます。井上のくつは千円安いと言ったのですが、百円安いのです。一般は千九百円でやるでしょう。井上は千八百円でおろしておる、百円の差で耐用年数が半分しかない。こういうことなんです。
○吉田(賢)委員 そこで機関が世界的に優秀なものであった、あるいは技術研究所において設計をされたというんだが、この事故の実情をみてみますと、あるいはシャフトが折れましたり、あるいは機関の取りつけの脚部の個所、ベットのところに亀裂を生じた、こういうことになっておる。そこであなたの方は検収を二度もしておるはずであります。二度検収ということが適切な表現かどうかわかりませんけれども、ともかく二度検査をして、検収は実行しておるのであります。そこで検収をして後日事故が生ずるといるようなことは、これはやはり設計の誤りであったか、いずれにいたしましても防衛庁といたしましては、根本的に考え直さなければならぬ問題に私は当面しておると思うのです。そこで検収をしたというのが、実は十分に検収もしなかったのではないか、こういうことすら考えられる。あるいはまた設計がばらばらであって、船体と機関とのお互いの調和関連というようなことを考慮しなかったのかどうか、そういうこともあります。あるいはアルミニウム、木造船、鋼船などのいろいろな船体に一種の機関を備えつけるというような相互の適切なマッチができなかったというような関係もあるんじゃないだろうかというようなことも、いろいろわれわれもしろうとながら考える、技術者のいろいろな説明も総合してそんな感想を持つのであります。そこで検収をしたものがこういうふうになったということは、これは重大な問題です。一体防衛庁におきましてあらゆる物品の購入につきまして、絶えず検収するんだが、検収してあとで事故がもう続出しておるのです。ここに私は根本的に問題が横たわっておると思うのです。いいかげんの検収があったんじゃないか。設計がいいかげんで、従って検収もいいかげんになったのではないか、こういうことすら考えますが、その検収の事実、あとで事故が起ったこと、関連はどういうふうにお考えになっておりますか。
○増原政府委員 一応私から御説明申し上げまして、こまかい点は技術者かり申し上げます。第一号艇に積みまするものを二基検収いたしましたのは、何と申しまするか、技術的にいろいろ点検もするほかに百時間の運転をいたしまして、そして支障がないということで検収をいたしたのでございます。こういうものを検収しまする場合の十分な用意をもっていたした検収というふうに考えておるわけでございます。
○吉田(賢)委員 その点は時間の関係もありますからあとに譲ることにいたしまして、この船は二十八年から今日までなお受け渡しができないのであるけれども、しかしながら代金は相当支払っております。代金は船、エンジンともに合せましてただいままで一体何ほど支払っておることになっておりますか。及びエンジンにつきましては間もなくまた残金が支払われるように聞いておるのだが、その点はいかがですか。
○増原政府委員 このエンジン及び船体の支払いにつきましては、御承知かと思いますが、エンジンにつきましては契約をいたしましたときに半額、そうしてでき上って受け渡しをしますときに残りの半額ということで代金決済をいたしております。船体につきましては四回に分けまして、契約のときに四分の一、船台におきましてキールを置きましたときに四分の一、進水のときに四分の一、最後でき上って引き渡しを受けましたときに四分の一にいたしておるわけであります。
○吉田(賢)委員 ところが機械も積まずに進水するというようなことは、こんな小さな五十トンや六十トンの小舟では全く異例なことだと思うのです。これは一体どうしてそういうことをなさるのか。
○増原政府委員 エンジンの試験をいたしまして、初めは陸上運転では合格をしたのですが、船に積みましてからやはりカム軸が折損をするというようなことで、これを引き揚げましてまた手直しをした。これに応じましてあと作りつつありましたエンジンもその点を検討するということでおくれましたために、船の方に積み込めないものがあったわけであります。
○吉田(賢)委員 実はそうではなくて、だんだんとおくれてくるので、造船所に対しても金を早く払ってやらなければならぬという事情も伴っておるのではないかと思いますが、これはあとでもよろしゅうございます。そこでもう一つ、これはあとでお尋ねする資料として聞いておきたいのですが、あなたの方では別に二基を予備購入した事実はございましょうか。
○増原政府委員 お答えをいたします。初め買おうとしたそうでありまするが、途中で模様がえをしまして、予備までは購入いたしておりません。
○吉田(賢)委員 実はそうでなくして、購入をしてあとで契約を解除したんじゃないですか。それをはっきりしておいて下さい。相手の会社の方はそう言っていますよ。
○増原政府委員 申し間違いをいたしまして……。一度契約をしたものを解除いたしました。
○吉田(賢)委員 予備ではない、こういうものを購入するのはどういう予算によってやっているのですか。
○増原政府委員 船舶建造費中実行予算で買おうといたしたのであります。
○吉田(賢)委員 この種の魚雷艇は日本では初めてお作りなさるのです。あなたの方でもまた三菱においても戦後初めて作るものなんです。しかもでき上った十二基が、全部とは言いませんけれども、少くとも半数は今改造中である、そういったような事態が起っております。こういうものをいかに予算があるからといえ、予備機まで購入するということは一体どういうわけなんだろう。こういう予備品を購入することを大蔵省は承認でもしたのでしょうか。大蔵省へ向ってあなたの方は予備品二基購入するということはもちろん承認さしておると思うのですが、一体なぜそういうことをしたか。その辺どうも理解ができないのです。
○増原政府委員 エンジンとしては十二基でありまするので、普通の場合には若干の予備機をほしいということが、これを使いまする者の立場から通常でございますが、この場合は一応契約をいたしましたが、現在手直しをしておるような状態にかんがみましてこれの契約を解除したということでございます。
○吉田(賢)委員 私の伺いたいのは、およそこの予算を要求しまするときには必要な限度において御要求になるのは当然であると思っておる。まだ将来どうなるのかわからないような性能の機械、またあなたの方は試験的な製造もやった事実がない、こういうものを十二基作って、さらに予備機二基を作るというようなこと、そういうことは十算でもあり余っておるような場合にすることであります。予備機を全部とるならばさらに十二基をとるのが通常じゃないかと思う。十二基でなくとも一基だけ予備機を購入するということはどうも筋が通りにくい。やはりこれは金を使っておけというようなことでおやりになったのじゃないか、こう思う。大体大蔵省にしてもこの種のもの、将来どうなるかわからないようなものを予備機まで二基分予算をつけるということはおかしいと思うのです。またあなたの方も二基だけ予備機を購入するというのはおかしいと思うのです。ことに折る個所は一個所でないと思いまするし、そういういろんな角度から考えてみまして、どうも予備機二基を購入して途中で契約を解除する、どれもこれもふに落ちぬ。納得しがたい。それについては経理局長はどういうようにお考えになっておるか。
○北島政府委員 当初二十八年度計画造船の際に、現業といたしましては、やはり十二基程度装置いたしますればある程度の予備エンジンが必要ということで考えておったわけでありますが、予算上の制約がありまして計上できなかった。実行に当りまして各種船舶間のやりくりの関係から若干金額が出ましたので、たしかこれは大蔵省に支出負担行為実施計画につきまして承認を求めまして、そうして購入契約を締結いたしたのでございます。ただいま次長から御説明ございましたように、本体の十二基の方が先に入らないのに予備機を買うのはよろしくないということで契約を解除いたしまして、実際には購入いたしておらない次第でございます。
○吉田(賢)委員 ですから実際に購入しておらぬので、そういうそごを来たし、蹉趺をして模様がえしたことに問題があるのであります。慎重を欠いておるということなのです。もし予備機が二基ほんとうに必要であるということなら何も契約を解除する必要はないのであります。あなたの方も自信があるのでしょう。今増原次長もやがて引き取りができるような手直しが進みつつあるということをお話しになっておるのだから、何も解除する必要はないのじゃないですか。それはやはり計画がずさんであった一つの証左ですよ。この種の予備機まで買っておくというようなことは金があり余っておるときにすることなのですよ。ちょうどこれは年度末においてどんどんと金を使ってしまって乱費するのと同じことですよ。どうもこれはふに落ちない。 そこで次長に伺っておきます。これは二十八年の予算でおやりになっておる。その後国庫債務負担行為が伴って二十九年に予算化されて、若干その使い道があるというので便乗しておやりになっておられるのだろうと思うけれども、こんな小さな船ですよ。五十トンか六十トンのこんな小さなものは二十八年から予算を取って二十八年から建造計画をやって、今三十一年です。二十一年の秋になってまだ引き渡しが完了するやいなやはわからぬ、まだめどはつかぬ。一体こんなだらしない予算の執行状況というものがあるものでしょうか。これは私は長官に伺いたいと思ったのですが、あなたにも聞いておきます。こんな調子でやられたら、昔の例の臨時軍事費というのがありました。臨時軍事費というのは決算をしない軍事費であります。だらだらやってしまって決算をしない。何ぼでも使ってあとでつないでいくやつです。こういうような感がどうもいたします。この魚雷艇は、予算書をみると、二十八年からずっと継続しておって、三十一年にまだ引き渡しができない。こういうだらしのない予算の使い方はありますまい。これは全く予算の年度の原則というものをじゅうりんしている。それで国庫債務負担行為に押しつけて、つないでいっている。この予算の使い方を見まして、丙型駆潜艇六隻というものは、典型的な悪い予算の状況だと私は見てきたのであります。あなたどうお考えになっていますか。
○増原政府委員 予算の使用がだんだん延びておりますることは、まことに遺憾に存じております。二十八年度で予算をいただきましたものは、戦後の最小のものでありましたので、大きいもの、千六百トン、千トンを含めまして、いずれもだんだんと予定よりもおくれまして、ことしに入りまして大きいものもだんだん完成をして引き渡しを受けておるというふうな状況で、その点まことに遺憾に存じております。この船は小そうはございますが、技術的にはやはりなかなかむずかしいところがございまして、大小によって簡単にやれるというわけにも参らなかったものであります。御承知のようにエンジンのカム軸の折損等に手直し等がありまして、意外の遅延をいたしましたことは、まことに申しわけないと存じます。将来はかようなことのないように十分準備をして参る所存でございます。
○上林委員長 先ほどの理事会の申し合せの通り、午前中の質疑はこの程度にし、午後は一時二十分より再開して、船田防衛庁長官並びに事務当局に対する質疑を行います。 この際暫時休憩いたします。 午後零時二分休憩 ————◇————— 午後一時三十六分開議
○上林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 それではまず船田防衛序長官に対する総括的な質問を行います。質疑の通告がありますので、申し合せの順序によりまして順次これを許します。まず辻政信君に御発言を願います。
○辻委員 本委員会において問題になりました中古エンジンの問題を各種の角度から検討しますと、政府が米軍からQM物資として払い下げられた一台七万二千円のパッカード・エンジンを十万五百円で松庫商店に払い下げ、間組という悪質な商人と三友という幽霊会社を舞台とする悪質ブローカーにまんまと甘い汁を吸われ、政府が国民の税金で原価の百七十倍につり上げて買ったということに結論づけられたのであります。長官は不正不当はないとしばしば述べられましたが、この間にあってもうけたものは悪い商人とブローカーであり、損をしたものはまじめに税金を納めた国民であります。調達事務に不正はないと言われるが、なるほど偽造された間組の受領証や第一物産から出された架空の発注書を正しいものとの前提においては不正はなかろうが、事態を究明すればだまされたことは事実である。そのからくりを知りながら単に書類の形式だけを整えて調達したものとしたならば、役人とブローカーの共謀の疑いさえも見られる。それでも長官は部下の行為が不正不当にあらずと今でも信頼されておるかどうかを承わりたいのでございます。
○船田国務大臣 ただいま辻委員のおっしゃられましたように、このパッカード・マリン・エンジンをQM物資として通産局が払い下げをするときに一台十万五百円であったものが、四年後高速救命艇を海上自衛隊で建造するということになりまして、その機関として採用するに当りまして一基千二百五十万円で買い上げた。その時間的関係を無視してお考え下さればまことに今御指摘のように十万円で払い下げたものが百数十倍になったじゃないか、こういうことでございますが、それはまことに、それだけをお取り上げ下さればその通りでございます。しかしこれを買い上げるにつきましては、この委員会においてもしばしば御説明申し上げましたように、十分検討を加え、そうしてしかも原価計算その他適当な手段を慎重に講じました上において価額を決定いたしており、かつ関東財務局の専門家の意見も徴してこれを買い入れたということであります。しかも買い入れたものが値打のないものなら格別、相当な値打のあるものでございます。従ってその間におきまして私の及ぶ限りの調査研究をいたしました結果におきましては、防衛序の中にこの買い上げについての不正不当はないと信じております。しかしそれでもなおかつ御不審の点がございますならば、当委員会において十分御審議下さいまして、また刑事問題等がそこに介在するということでありますならば、あらゆる手段を講じていただきまして、その事実を究明していただくことが私はよかろうと存じます。ただしかしその他の問題等につきましても、防衛序の経費の支出について、かような少くとも疑いを持たれたということはまことに遺憾に存じますので、その点は当委員会における皆様方の御意見を十分尊重し、また私も部下を戒飭いたしまして、十分今後におきまして経費の支出については適正に、しかも国民の血税である一銭一厘たりとも効率的にこれを使うということに、最善の努力をいたして参りたいと存ずる次第でございます。
○辻委員 実実質的に、金額の面におきましてはそう大きな事件ではありませんが、私はそれよりもむしろ政治的な責任を追及したいと思うのであります。事件が報道されてから、多くの知らない国民からたくさんの手紙や電報が私の手元に寄せられて、それには激しい国民の怒りが訴えられております。その一例を御紹介申し上げますと、東京都から来ました未知の人でありますが、こういうはがきが来ております。「防衛庁中古エンジン問題は、国民の血税使用の点よりあくまで追究して下さい。無責任な使用をして恥じない防衛庁長官以下の言いわけは全く不可解だ。もしあんな言いわけが許されるならば、国民は税金不払い運動を起すでしょう。」こういう激しい怒りを訴えております。一通や二通じゃございません。電報ではどうか。「エンジンモンダイアクマデセキニンヲツキコクミンノギワクヲトカレタシ」こういうものが山積しておるのであります。これは単なる一例だけでございますが、この事件を知ったすべての人は、おそらく例外なしに以上のような怒りを押えておるのであります。憲法改正の論議をめぐって、ともすれば国民の自衛に対する疑惑があるときに、たまたま起ったこの事件は誇張されて悪意の宣伝にも使われ、税金不払い運動にまで拡大するおそれなしとしないのであります。一方またこの事件が自衛隊の内部の士気に悪い影響を及ぼした点は軽視できません。このエンジンを取りつけた快速艇の乗組員たちは、札つきのエンジンでは気がひけましてと述べております。のみならず陸上自衛隊員にまでひけ目を感じさせている。今までは税金虫と冷笑されたまじめな隊員たちが、近ごろは中古エンジンのあだなをつけられております。このように内外に与えた政治的責任はきわめて重大でありますが、長官は下僚の手続に間違いはないという弁解だけで、また時間的な開きがあるということだけで、跡始末がつくとお考えになるかどうか。
○船田国務大臣 私及び事務当局が、従来この問題について御説明申し上げておりますことに誤まりがあった、事実をことさらに隠したりあるいは間違って御説明を申したりというようなことがあり、あるいは不正不当の事実がはっきり出て参りますならば、私は決して責任を回避するものではございません。また部下の公務員のやり方に対し、ただいまおあげになりましたようなことが事実でありまして、そこに何らかの不正不当があるということでございましたならば、部下を戒節するのに決してやぶさかではございません。
○辻委員 それじゃ不当の点を指摘いたします。中古エンジンが年度末ぎりぎりに買われた点に不当があると私は信じます。この事件とは別ですが、昭和二十八年の三月の年度末には、ジープの買い入れ事件で倉敷フレーザー・モータース会社に不当の利益を与えております。また二十九年度の会計検査院が指摘した二十六件の不正事件の中で、十六件までがいずれも二月、三月の年度末であります。二十九年度末の繰越金が二百三十四億円に上り、四十九億円が不用額になっております。これらを見ると、予算の使用に当り、年度末までに繰越金を残さないように急いで使い果そうとする役人の無責任な態度が見られるのであります。弁解の余地がありません。使い切れない予算を防衛費に回すだけの余裕は国民にはないはずであります。防衛予算の編成に当って長官としてはまだまだそれを緊縮させる努力が必要であると考えられる一税金を無責任に浪費する役人の態度を根本的に改めさせることが長官の重大な行政責任であると考えますが、いかがですか。
○船田国務大臣 経費の支出を適正にし、しかも効率的にしなければならぬということにつきましては、ただいま辻委員の御指摘の通りでございます。しかし問題になっておりますパッカード・マリン・エンジンの採用につきましては、先ほど来申し上げておりますように、不正不当はないと私は信じております。ただいま御指摘になりました幾多の事項については、その問題とは別でございます。しかしながらただいま御指摘のように、もし不正がなくとも少くとも不当であるということでございますならば、その事実を十分究明いたしまして、そうしてそれぞれ責任を明らかにするようにいたしたいと存じます。 なお会計検査院の批難事項が多々ございました防衛庁の経費の使途につきまして、あるいは支出のやり方につきまして、不当として批難を受けたものもございます。しかしそのうちには、われわれが見まして、不正でも不当でもないというものもございます。しかし確かに不当と考えられるものもございます。それらに対しましては、少くとも昭和二十九年度の決算の批難事項については、それぞれ責任者の措置を講じた次第でありまして、今後におきましても、先ほど来申し上げておりますように、経費の支出については十分注意をし、部下を戒飭して、国民の血税が誤まり使われるというようなことのないように、厳重に戒飭を加えて参りたいと考えます。
○辻委員 それでは調達機構の構成においての不当なる点をさらに一つ御指摘いたします。海幕、空幕、陸幕等が物質を調弁するに当りまして、横の連携が全くとれておりません。不経済、不必要なものを買っていることがしばしば指摘されております。調達機構最大の欠点は、横の連絡が全くとれていないことでありまして、この間の調整をなすべきものが内局であるにかかわらず、これは専門的な知識がないために、陸海空幕の要求を適正に判断し、調整する能力を欠いております。このような欠陥を長官はお認めにならぬかどうか、もしお認めになるとすれば、将来いかに是正されるかをお伺いいたします。
○船田国務大臣 一昨年の七月防衛庁及び自衛隊が発足するに当りまして、調達機構、建設本部の機構等に改良を加えまして、現在これを実施しているわけでございます。その実施一年有余の間におきまして、この調達実施本部あるいは建設本部のやり方において、大体は当を得てやっておると私は信じておりますが、ただいま御指摘のようなことにつきましても十分反省は加えまして改善すべきものは今後十分改善をいたしまして誤まりのないように期して参りたいと考えている次第でございます。
○上林委員長 ちょっと御相談したいことがあります。ただいま本会議におきまして、技術協定の締結について承認を求める件がもうすぐ上程になりますので、船田長官の出席を求められております。その間若干休憩いたします。か、それとも事務当局に対する質疑を継続いたしますか。 〔「休憩々々」と呼ぶ者あり〕
○上林委員長 それでは長官の出席できるまで暫時休憩いたします。 午後一時五十一分休憩 ————◇————— 午後二時十九分開議
○上林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 それでは辻正信君、休憩前の残余の質疑を継続して下さい。
○辻委員 それでは次に人事についてお尋ねいたします。 練馬部隊の汚職が三年前の国会で取り上げられたときに、それに関連いたしまして、各種の不正事件が明るみに出ましたが、内閣委員会その他で究明されているまっ最中に、当時の中村装備局長が突然転職になっております。その後任として久保装備局長が着任しましたが、これがまた中古エンジン、冬服事件等の不正を究明中に突然国鉄に転任されておる。このような人事が、ともすればくさいものにふたをするような印象を世間に与えておることは、はなはだ遺憾であります。これのみならず、各省から防衛庁に転任をしたいわゆるシヴィリアンは二年内外で古巣に帰っておる。こんな状態で防衛庁の仕事が熱意を持って処理されるものとお考えになるかどうか。文権優位の原則はこのような人事によって実質的にくつがえる心配はないか、長官の所信を伺いたい。
○船田国務大臣 久保装備局長が最近転任をいたしましたことは事実でございますが、この事件と何らの関係はございません。ただ人事の刷新ということにつきましては常に十分注意をいたし、また今後におきましても人事の適正をはかりまして、防衛庁の任務の達成のために遺憾なきを期して参りたいと考えております。
○辻委員 私はこの問題は単に形式論で片づけようとするのではない。政治優位ということを貫くには、内局の文官出身がもう少し腰を据えて、そこに骨を埋める覚悟でまじめに軍事を研究されませんと、今のような状態ではできませんよ。北島局長も二年たったら帰るのでしょう。あるいは新しく来た小山局長も、そういう気持で現在の防衛庁のこの乱れた乱脈を根本的に是正できると思うかどうか。自分の全責任においてやるという気持がない限り、防衛庁へほかの省から役人が腰かけに入ってくることはやめた方がいい。それほど人材がおらぬわけではない。そうして文権優位ということを鼻にかけて、わかりもせぬくせにつまらぬことまで干渉する。こういう状態で天体どうしてまじめな防衛庁ができ上るか。そこのところをはっきりしてもらいたい。根本問題ですよ、長官。よほど御決意をなされぬと、文権優位はその人事によってくつがえされるということを私はおそれるのです。もとのような軍閥の実現を希望しているのではない。そうしてはならぬ。それには政治というものの権威がなければならない。その権威がないじゃありませんか。仕事がようやくわかると、さっさとあと足で砂をかけて古巣に帰ってしまう。そういうことでほんとうにこの防衛庁が健全に発達するとお考えになるかどうか。
○船田国務大臣 人事の刷新につきましては、先ほど申し上げましたように、今後におきましても十分留意をいたしまして、万全を期して参りたいと存じます。現在おります局長、参事官は決して腰かけに防衛庁に入っておるものではありません。みなそれぞれ最善の努力をいたし、また私はりっぱな下僚を持っておることを自信を持っておる次第でございます。
○辻委員 次に増原次長にお伺いします。この事件は、二十七年度夏ブローカーが政治家を通じて当時の保安庁に渡りをつけ、その直後にこのエンジンを使う快速艇の計画が作られ、それが二十八年の予算に計上せられて、解散のために二十九年度予算で初めて実現し、しかもその会計年度末に迫って買い上げられた事実に間違いはないのであります。この間防衛庁長官は、木村さんより大村さんになり、次いで杉原さんとなり、砂田さん、船田長官と五代かわっておりますが、増原次長は警察予備隊以来六カ年間終始一貫その責任の地位に立ったお方であります。事務上の最高責任者であります。そのほかにも防衛庁内における不正事件、特に経理の乱脈事件は一冊の単行本になるくらいあります。これが新しい国民の前途に暗い影を宿しておる。次長に不正があると私は考えません。またこの事件は現在調達関係者に手続上の不正はなかったようであります。ですが、架空の受領証をそのまま信じ、十万五百円の払い下げ原価を承知の上で、千二百五十万で政府が買い上げた点において、何としても妥当でない点があります。たしか第十九国会だと思いますが、時の与党たる自由党の平野義一君が、練馬事件その他の不正に関連しましてその責任を追及したときに、増原さんは、将来この種不正が起った場合には十分責任をとるとこの委員会においてはっきり言明されたはずであります。国民に疑惑を与え、隊員にみじめな思いをさせた中古エンジンは、単なる経理上の問題ではありません。きわめて重大な政治問題に発展しております。この際りっぱに責任をとられて、将来への戒めとするとともに、世間の疑惑を解かれるのが次長のとるべき態度であると考えますが、あなたの所信を承わりたい。
○増原政府委員 今すらすらとお述べになったことを聞いておりまして、私はこの決算委員で明らかになった事実と多少違うような感じを受けました。二十七年の七月ころにいわゆる高速救命艇はもとより考えられておりませんし、後に魚雷艇と称せられますものでも二十七年の七月ごろには計画を持っておりません。二十八年の夏ころに高速救命艇を海幕において——当時まだ海幕ではありませんが、後の海幕たるべきところで研究を始め、二十九年度予算で高速救命艇ができたというのが事実でございます。この事件全体を通しまして、当時の予算を執行し、調達を行います事情においては、当時としては尽すべき手を尽していると私は考えております。その間に不正不当という問題はないと私も考えております。 一般に何と申しまするか、十万円のものが千二百五十万円の価格で調達されたということについて国民が割り切れぬ考えを持っておるということは、当委員会の御論議を通じても私どももこれを認めているわけであります。これについては、長官からも申されましたように、将来の問題として高速救命艇に搭載すべきエンジンは最善を尽して米軍の供与に待とうという方針であります。そうした点で、十分遺憾のない措置を講ずるよう事務当局としても最善を期したいと考えております。
○辻委員 この事件は、昭和二十七年の夏にブローカーどもが暗躍をして、二十八年の予算には一たん計上されているんですよ。それが解散でだめになって、二十九年度で執行されている。私が追及しているのは、その問題よりも、大臣が五代もかわっている、そのときにあなたは六年間そのいすにおって、そうしてコケがはえ、ボウフラがわいているが、この現実に対して事務上の最高責任者としての政治的責任を感じないかどうかということをついているんです。この問題がどうのこうのというのじゃない。もっと大きな点からついている。 これほど述べてもわからないとするならば、最後に一言申し上げます。日露戦争の直後に、海軍にシーメンス事件が起きたことは御承知の通りであります。当時事件の渦中にあった人物は、軍艦をイギリスに発注して、シーメンス会社から数十万円の贈与を受けた沢崎海軍大佐と松本海軍中将であります。時の総理大臣山本権兵衛は全く事件の渦中には入っていない。しかし世論の非難と国民の怒りの前に、海軍の大御所である山本権兵衛さんは総理大臣をやめたのみならず、現役を退いたという事実があります。国務大臣という地位は、政治責任を重んずることを生命よりも重しとしなければなりません。単にこれを行政事務とか経理事務として私は追及しようとは思いません。増原次長に引責の決意がないなら、大臣の職権でこれをやめさせ、大臣御自身もまた政治責任をとって、外には国民に陳謝し、内には再び自衛隊内にこのような不正を起さない戒めとすることが、事件解決の根本と考えます。そういう意味で自由民主党の良心において長官の明確なる御決意を承わりたい。
○船田国務大臣 この問題につきましては、もしパッカード・マリン・エンジンを買い入れることにつきまして防衛庁の役人に不正不当がございまして、私が今まで御説明申し上げておることと違った事実が出ましたならば、私はそれに対して責任を感じ、十分責任をとるつもりでおります。
○辻委員 不当な点はたびたび申し上げております。年度末に急いで買ったということが不当であります。また調達機構において左右の連繁がとれていないという欠点もある。人事の問題についても不明朗な点がある。七万二千円ということを知りながら、その発注書の内容を検討せずに慎重を欠いて買ったという点にも不当があるのです。私は今の御答弁では満足できない。国務大臣の政治的責任ということをよくお考えになって、ことに増原次長は六年間の積ったあかをどうして清算をするのか、政治的な良心においてこの問題を処理されんことを望みまして、私の質問を終ります。答弁は要りまん。
○上林委員長 次に坂本泰良君、御発言を願います。
○坂本委員 私はこの際、長官に対して、本件中古エンジンについての刑事責任と政治上の責任についてお伺いいたしたいと思います。 本件の中古エンジンにつきまして、防衛庁当局の説明並びに証人、参考人の証言その他を総合いたしますと、この点だけははっきりとなっていると思います。第一に、米軍から一台七万二千円で払い下げられたこと、第二に、この七万二千円で払い下げられたものが、松庫商店に一台十万五百円で払い下げられたこと、さらにこの十万五百円が松庫商店から間組、これは形式上は三友産業になっておりますが、三友産業は破産会社であり、間組がこれをやったことは明瞭であります。これが一台五十万円になっておるのであります。それから飛躍いたしまして防衛庁の買い上げが千二百五十万円になっておるのであります。この五十万円から千二百五十万円になった経緯については、証人、参考人あるいは防衛庁の方方は、七千三百二十万の支出をしておるとか、あるいは一台九百二十万円を積算の基礎とした、こういうようないろいろの弁解がありまするが、何と申しましても一台五十万円が二年くらいで千二百五十万円になったのは事実であるのであります。そうしまして、防衛庁の弁解によるところの一億四千七百万円の領収書、これは支出をしていないのにこの一億四千七百万円の領収書を書いた、いわゆる偽造の領収書であるということがはっきりいたしたのであります。さらに間組が九百数十万円の積算の基礎にいたしたとして出しました、防衛庁に提出しました間組と第一通商の契約書は、一台九百二十万円になっておる。さらにこの第一通商と広造機株式会社との間の契約書は九百五十万円になっておるのであります。これを防衛庁の積算の基礎にいたしておるのであります。しかしながら、第一通商と広造機の契約書が偽造であるということははっきりいたしたのであります。広造機の原田参考人によれば、一台の修繕である。しかしながら、一台九百五十万円にして八台の注文書と注文請書を書いてくれというので、この証書ができておるのでありまして、これが偽造であるのであります。間組と第一通商の契約書について表面上偽造であるということは現われておりませんが、この第一通商と広造機の注文書並びに注文請書から推しますと、これもまた偽造であるということがはっきりいたしたのであります。すなわち、この一億四千七百万円の領収書と第一通商と間組の契約書、並びに第一通商と広造機の契約書、これは防衛庁が本件千二百五十万円に買い上げる重要なる基礎になっているのでありますが、これが偽造であるということがここに明瞭になったのであります。従って、証人、参考人いわゆる証人は偽証もしております。参考人はうそも申しているのでありますが、ただいま私が申し上げました事実だけはここにはっきりいたしておるのであります。そこで、この点について、私は刑事上の責任と政治上の責任についてお伺いいたしたいと存ずるのであります。 刑法二百四十七条、これは背任罪の規定でありますが、「他人ノ為メ其事務ヲ処理スル者自己若クハ第三者ノ利益ヲ図リ又ハ本人ニ損害ヲ加フル目的ヲ以テ其任務ニ背キタル行為ヲ為シ本人に財産上ノ損害ヲ加ヘタルトキハ五年以下ノ懲役又ハ千円以下の罰金」であります。この「他人ノ為メ其事務ヲ処理スル者」というのは、これは防衛庁当局であるのであります。「自己若クハ第三者ノ利益ヲ図り」、間組に莫大なる利益をはかっているのであります。国家、国民に損害を加える、その点からいたしまして、いわゆる本人に損害を与える事実はここに明瞭であると思うのであります。従って、防衛庁の責任者はその任務にそむき、わずか七万二千円の中古エンジンを千二百五十万円という大金で買ったのは、これは何としても国家公務員としてその任務にそむいたる行為であるといわなければならぬと思うのであります。そうしてこの買い上げた一台千二百五十万円という金は、これは国民であります。いわゆる本人は国民に当ります。血のにじむような税金を支出しました国民に損害を与えたもの、とかように考えるのであります。国家公務員法の九十六条に「すべて職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しはければならない。」こういうことがあるのであります。私は、いかに防衛庁が弁解されても、国家公務員法九十六条の任務にはそむいていると思うのであります。従って、一般個人の背任の行為の程度と国家公務員の背任行為の程度は——国家公務員法九十六条によって特に重く考えなければならぬと思うのであります。さらにこの中古エンジンはほかに売り先がないのであります。防衛庁が買い上げなければこれはもうスクラップであります。防衛庁だけがこの買い上げの資格があるわけであります。こういう点からいたしますと、防衛庁の責任者は刑法二百四十七条の背任罪に該当するものである、かように考えますが、長官は弁護士でもあられますが、いかに考えておられるか所見を承わりたい。
○船田国務大臣 お断わりしておきますが、私は弁護士じゃございません。わが国の会計法におきましては、大体物資の調達につきましては原価主義、時価主義をとっております。現在の時価を基準にいたしておるものでございます。従いまして、問題になっておりまするパッカード・マリン・エンジンを一台千二百五十万円で買い上げたことが不当な価格である、値打のないものを値打のあるがごとくにして買い上げて、しかもそのために国損を来たした、国家に非常に大きな損害を来たした、こういう事実がはっきりいたしまするならば、ただいま坂本委員のおあげになりましたような国家に対する背任罪ということがあるいは成立するかもしれません。しかしながら、この問題につきましては、先般来事務当局から詳細御説明申し上げ、また参考人、証人等をお呼び出しになりましてお調べになった結果、値打のないものを買い上げたのではないということはおわかり下さっておることと信じます。そして、しかもその間に防衛庁の職員が不正をやったとかあるいは不当な行為があった、こういう事実がない以上におきましては私はただいまおあげになりましたような刑法の責任というものはないものと存じます。しかしかような問題が大きく取り上げられまして、しかも世間に非常に大きな影響を与えたということに対しましては、私はまことに遺憾に存じます。従ってこの真相を決算委員の諸君によりまして十分究明していただきまして事実をはっきりさせて黒白を明らかにしていただくことが望ましい、かように考えておる次第でございます。しかしただいま御質問のありました背任罪が成立しはしないかということにつきましては、私はさようなものは成立しないというふうに考えます。
○坂本委員 この問題については証人も、ことに間組の二名の証人その他の者はブローカーにたくさんの金を出しておるというし、防衛庁当局は財務局に価格の問い合せをした、いろいろ弁解はありますが、これは決算委員会にこの問題が取り上げられましてからいろいろ打ち合せをしてこういうことをやっておるのでありまして、この公開の席上である決算委員会ではこれ以上の点は捜査機関じゃないから捜査も困難であると思うのであります。従いましてわれわれ社会党としましてはこの問題に重大なる関心を持ちまして、捜査の申告である告発その他の点も考慮いたしておるのでありまするから、この点はこれで終りまするが、少くともこの背任罪につきましては、これは権利の乱用説とかあるいは事務処理説とかあるいは背任説とかありまするが、背任説が通説であるのであります。いわゆる国民の信頼関係にある防衛庁の当局、国家公務員は、国家公務員法の九十六条にありまするように国民全体の奉仕者でなければならない。それを一千二百五十万という高い値段で買い上げる。しかも七万二千円、十万五百円の経路を調査して知りながら四百万円からつけて、結局その三倍の千二百五十万円に上らせた。ほんとうに国民の奉仕者であるならばそういうものは私は買うべきものではないと思うのであります。ここにこの背任説、国家公務員は国民の全体の奉仕者であるというこの信任関係の侵害である。この点は最も重要に考えまして、この問題についてはわれわれはさらに別な方法で刑事問題についての追及をいたすであろうということをここに申し上げまして、次に政治的の責任についてお伺いいたしたいのであります。 われわれ人民の生活はねぎ一わ、大根一本の値段でさえ血眼になって安く買おうとするほど苦しい生活をやっておるのである。しかるに一個七百万二千円で政府が払い下げたものを、わずか二年有余で一千二百五十万という高い値段で買い上げた、これはかりに刑事責任がないといたしましても放任すべきものではないと思うのであります。この点から考えますると国家公務員である防衛庁当局は果して国民全体の奉仕者でありましょうか、公共の利益のために勤務しておると言われるのでありましょうか、全力をあげて防衛庁の職務に専念したと言えるのでありましょうか、これはいかに弁解をいたしましても公務員たる職務を遂行したとは断じて言えないのであります。いろいろの弁解はありましょう、しかしながらその弁解よりもさらに国家公務員としての、国民の奉仕者としての職務を怠ったという点はこれは何としても弁解がつかないと思うのであります。従ってこの点におけるところの政治上の責任をいかに考えておられるか承わりたいと思います。
○船田国務大臣 この問題につきましても先ほども辻委員の御質問にお答え申し上げましたように、私どもは国家公務員といたしまして十分謙虚な気持で清浄潔白に事を処理していかなければならぬということを決して怠っておるものではございません。このパッカード・マリン・エンジンの買い上げの手続につきまして、あるいはその価格の評定につきましてもし不正不当というようなことがはっきりいたしますれば、私は決して責任を回避するものではございません。しかし従来本委員会を通じあるいはあらゆる機会において私及び事務当局から御説明申し上げておりまするように、この問題については不正不当はないのであります。私及び事務当局が説明いたしておりますことが間違ったという事実がはっきりいたしますれば、私は決して責任を回避するものではございません。
○坂本委員 これ以上われわれはこの決算委員会で事実を調査する、いわゆる検察当局が犯人を捜査するというようなことは不可能であります。しかしながらいかに長官が不正不当はないと言われても、これは不正不当であるということは国民が判断してくれると思うのであります。われわれはこの見地に立ちまして——何もこの審議が終ったからそうするわけじゃない、さらに私は鳩山総理大臣の政治上の責任も承わらなければならぬと思うのであります。また問題の中心である間組の社長は病気と称して証人としてここに出てこないのでありまして、われわれはまことに遺憾であるのであります。間組の社長が真に国民に対する良心がありましたならば、病を押してでも、この委員会でもし病に倒れてでも出てきまして、そうして委員の質問に対しては答えるべきであると存ずるのであります。かように遺憾の点がまだ多々あるのでありまして、われわれはこの問題について国民の代表者として、もっと刑事上の責任、さらに政治上の責任を追及しなければならないということを私は申し上げまして、質問を終ります。
○上林委員長 細田綱吉君。
○細田委員 長官は先ほど来本件については不当不法はないんだということをしきりに言われておるのですが、その中身を聞いてみると、不法がないからいいのだ、言いかえれば、法律違反の点がないからいいのだ、こういう点に尽きておる。なるほど先ほど坂本委員から指摘したような法律上のことはわかりません。あるいは背任は構成しないかもしれない、あるいはその他の刑事責任は出てこないかもしれない、しかし不当であることだけは天下何人もノーと言う人はない。ノーという人はひとり船田長官と増原次長だけだ、これは私はよく申し上げておきますよ。あなただけなのだ。官庁がなぜものを買い上げるときに入札を原則とするかといえば、言いかえれば、不当な支出なからしめることが眼目なのです。そしてその取引が公明であるということを裏づけるために競争入札ということを原則としているわけなのです。しかもこの機械は私が申し上げるまでもない、防衛庁しか必要がない。そしてあなたが不法不当でないということは、これをもしこしらえるならば、原価が三千万円でできるのだから、おれの方は一千二百五十万円で安く買っておるのだというところにあるのじゃないか、私はおそらくそうだと思う。それ以外にはあなたが不法不当なことはないと言われる根拠はないと思う。ところが坂本委員や他の委員が指摘するように、これは数年前に十万五百円で売った品物なんです。しかも国が売った品物なんです。なるほど途中ブローカーも入っているかもしれぬけれども、それではもうけ過ぎるのだ。われわれは国民の汗と血の税金をもって買うのだからという努力がされてしかるべきなんです。これをなさざる限りは、どういうふうに使っても刑事上の責任さえなければいいのだというのは三百代言的答弁である。これをあなたの方がおろそかにしていたことだけは事実でしょう。これは長官も認められるでしょう。なぜならば一億四千七百円の間組の領収書を、あなたの方は原価がこういうふうにかかっているのだ、途中のブローカーがこうかかっているのだと言っているけれども、その重要な一億四千七百万円の領収書——その三友の責任者はいないじゃないですか。少くとも原価を計算するために重要な資料として提出する。それは任意提出じゃない。そんなものは要らぬというのじゃつづっておるわけがない。あなたの方がちゃんとつづってある限りは、これはどう弁解しようとも、原価を計算する重要な資料としてしまってあったのでしょう。その重要な資料——一億四千七百万円で入手した経路が三友会社というどこにあるかわからぬ破産した会社なんだ。しかもその総務部長は総務部長でも何でもないでしょう。こういうところを見ても、いかに本件が不当な支出、少くとも違法でないにしても、不当な支出であるということだけはあなたも肯定せざるを得ないでしょう。この点の御意見はいかがですか。
○船田国務大臣 このパッカード・マリン・エンジンの買い入れにつきましては、調達実施本部長からもこの前詳細に御説明申し上げたことと存じますが、高速救命艇用としてパッカード・マリン・エンジンが最適のものであるということが決定をいたし、そしてそれはアメリカの供与を受けることができない、国内においてどうしても調達しなければならぬということがきまりましたのはおそらく昭和二十九年の夏のことでございます。従ってQM物資として極東空軍が昭和二十六年の三、四月のころに払い下げたときと全く事情は違っておると存じます。払い下げるときにはそれを何に使うか、あるいは使い道があるかないかということすらわからなかったから、QM物資として一台二百ドル、すなわち七万二千円、それを通産局が競争入札に付した結果、一台十万五百円という価格で落札をした者があったということなのであります。これを昭和二十九年度に高速救命艇を二隻持つということで予算が決定をいたし、そしてそのエンジンとしては、パッカード・マリン・エンジンが一番適当であるということで決定いたしましたのが、その夏のことでございますから、その払い下げの問題とこの買い上げの間においては何ら因果関係はない問題でございます。これを買い入れるにつきましては、これも今まで詳細に申し上げたように、原価計算をいたし、また関東財務局のそういうものを扱っております専門家の鑑定も受けましたり相当努力をいたし、その結果一台千二百五十万円で買い上げるということになったのでございまして、その価格が不当であるとは私は考えませんし、またその間における扱いについて何ら不正なことがあったとも、——私はあらゆる調査をいたしましたが、その不正という事実を認めることはできないのであります。しかしそれでもなおかつ当委員会において十分に御審議を願いまして、今後におきましても、もし私どもの説明を申し上げておることが間違っておる、そこに不正な事実があった、買い上げが不当な価格であったというような事実がはっきり出て参りますならば私は決してその責任を免れるものではございません。しかし今御説明申し上げましたことは、ことさらに隠しだてをしておることもございませんし、また間違ったことを申し上げておるのでもないのでありまして、この買い上げについてはその間に何ら不正不当はなかったということを私は責任をもって申し上げておる次第でございます。従ってこれについての責任を今とるかといわれますれば、私は責任をとる必要はない、かように考えておる次第であります。
○細田委員 私は自分の頭が狂っていなければあなたの頭が狂っておると思うのだ。十万五百円で買ったものをわずかに二、三年の間に千二百五十万円で買い上げて——これは不正は別問題です。それがあるかないか私は知りません。その買上げが不当でないということはどうなんです。あなたの言うのはどこまでも、パッカードの方に注文したら現在は作っていないけれども、買ったらそれは三千万円くらいのものだから、中古ではあるけれども千二百五十万円ならいい、これだけの根拠ではないのですか。しかしそれでは国民の税金を預かる者としては注意が足らないと思う。先ほども競争入札の点を申し上げましたが、品物が悪くては別ですけれども、少しでも安く買って、国民の税金を一文もむだにしないということがあなたたちの義務ですよ。数年前に十万五百円で国が払い下げたものだということがあなたたちにわかっておったのだから、この一台千二百五十万円の査定に対してはもっとあなたたちは真剣であっていいはずなんです。あなたのような考えで将来防衛庁の予算を組まれるならば、これは大へんなことだ。千数百億という金をそういうべらぼうな野放図なやり方で予算を使われたら国民はたまったものじゃありません。あなたの、この支出は不当でないという根拠はどういうところだかもう一度伺いたい。三、四年別に十万五百円で払い下げたものを千二百五十万円でまた国が再び買い上げるのは、だれが見てもこれ自身の数字じゃ不当でしょう。これはあなただってわかると思う。いかに幾何級数的にやったってそんなになりはしない。これはもちろんその途中のブローカー、あるいは業者に得をさしてはいかぬとか、あるいは損をかけろ、こういうわけじゃないけれども、あまりにもはなはだしいじゃないか。そういう査定をして少くとも新しいものを買ったら三千万円かかるかもしれぬ、あるいはほかから買ったら——香港の方では百万円で幾らでもあるといった。これはうそではないでしょう。しかしこれはあなたたち知らなかったにしても、できるだけ安く買うのが当然なんです。新しいものを買えば三千万かかるから、千二百五十万円ならこれはちっとも不当でない、そういう物の買い方をされるのでなく、もっと原価が幾らで、この人たちはこの程度ならもうけもまだあるんだというところで押えるというお気持はないのですか。この点私は長官の意見を聞きたい。
○船田国務大臣 私は今後の問題といたしまして、ただいま細田委員の御指摘になりましたような物の買い方、調達のために最も国費を効率的に、できるだけ安いいいものを入手するということに経理をしなければならぬということにつきましては、全然同感であります。そのつもりでやっております。しかしこの問題になりました現在の高速救命艇に備えつけたパッカード・マリン・エンジンの購入につきましては、しばしば御説明申し上げておるように、そこに何ら不正なり不当というものは、私は見出すことはできませんので、従って責任は負えないということを申し上げた次第でございます。御承知の通り、わが国の会計法におきましては、時価主義で買い入れることになっておりますので、このパッカード・マリン・エンジンを千二百五十万円というふうに評定いたしまするにつきましては、当時としてはあらゆる手段を講じ、また関東財務局の責任者の鑑定も参考にいたしまして、原価計算等も綿密にやりまして、そして買い上げたのでございまして、その当時同じような種類のものを買い入れるといたしますれば、イタリーのイソタの機械を買い入れなければならぬ。これは税抜きで一基千八百万円ということでございますから、それらをも勘案いたしまして、やはり千二百五十万円で、このパッカード・マリン・エンジンを買い入れることが最も適当である。しかもそれにつきましては、間組が持っておると申しましても、契約上の責任者は富士重工会社でありまして、そうして部品をそろえ、またアフター・ケアについても十分責任を負う、こういう十分な契約をしていたしたことでございまするから、国損を来たしておるということにもなりませんので、私は従って不当ではない、かように信ずる次第でございます。しかしたびたび申し上げておることでございますが、私どもの申し上げることがどうしても御納得がいかない。なおそこに不正、不当があるんだ、こういうことでございまするならば、十分この委員会においてそれを究明していただき、あるいは刑事問題でも何でもあらゆる手段を講じてこの事実を、真相を究明していただく。私はむしろそれを念願いたす次第でございます。
○上林委員長 細田君、関連質問ですから。質疑の通告者がまだ残っておりますから。
○細田委員 ここは検事局じゃないのです。検察庁じゃないんだから、あなたが悪かったら告訴でも何でもやってくれというのは、けしからん答弁だと思う。われわれは検事の役割をしているのではない。政治的に見てこの事実が当であるか不当であるかということを追及している。それをあなたが不正だったら告訴でも何でもというのは、私はけしからぬ答弁だと思う。そういうことじゃない。あなたの方で三、四年前に十万五百円で売ったものを、また一千二百五十万円で六台も買うということが、不当な事実とは思わぬか。あなたはこれは時価だ、こう言うけれども、時価というものは十人が十人違いますよ。このマリン・エンジンが防衛庁以外に買えないというものだったら、スクラップだ。時価なんて、見る人によって違う。買う人がなかったら新しくアメリカから買えばあるいは何千万円もするかもしれませんが、ほかに買う人がいない、しかも中古である、利用の方法がなかったらスクラップです。あなたの方が時価というのは、何か財務官の鑑定によってそう言われるのでしょうけれども、国の予算を使う人は、もっと慎重でなくちゃならぬということなんだ。それをあなたは不正があったらいつでも告訴しろ、そういうけつをまくった答弁はないと思う。先ほど辻委員がくつのことを質問しておりました。何だか聞いたことがあると思ったら、なるほど戦後私は中央物資活用委員としての当時に気がついた。井上信貴男という人は、戦後の隠退蔵物資摘発の当時、膨大な隠退蔵物資があった。しかもそれが奈良県においては摘発できない。警察官でもなんでも踏み込めない。暴力団でもってドスを突きつける、ピストルを突きつける。しかもそういう人からあなたの方はくつをこしらえさしている。しかも会計検査院が調べに行ったら、これもまたドスの前に脅かされて検査ができない。会計検査院が検査のできないようなものを注文するものじゃありませんよ。おれの方にはわいろをもらった者がないから、告発でもなんでもしろ、そういうばかな政治的な答弁というものはありませんよ。あなたはそれなら検事になったらいい。大臣としてわれわれは質問している。そういうかつて隠退蔵物資の前科のあるような人、しかも会計検査院が行ったら検査ができない、あるいはあなたの方の課長が行ったら、四日間拘禁されて、あなたの方で救出に行った。それでもなお取り消さないで、ほかのくつの半分も持たないような悪いくつを、わずか百円安いからといって十万足も買っているでしょう。そのためには——あるいはこういうことを言っちゃどうか知りませんが、自由民主党の方に一億や二億献金したって何でもない。(「じょうだんじゃない。そんなことはない。」と呼ぶ者あり)これはじょうだんとしても、あなたの方は、しておったら刑事問題なんだが、そういう前科者、そうして現在会計検査院を脅かして帰すような人に、あなたは十万足も注文しているでしょう。そういう事実がいけないということなんだ。あなたの方でわいろをもらっているからということじゃない。政治的に不当である、不法にあらずとも、不当な支出ではないかということを、あなたは長官としてすなおに認められたらどうか。これはあなたがなおかつ不当な支出でないと言うなら、あなたと私が東大にでも行って精神鑑定をして、どっちが狂っているか見なくちゃならぬ。だれが見たって不当であるにきまっている。井上信貴男なんというでっかい前科のある者に十万足も大口を注文しているというような支出の仕方は、当然不当なんだ。そういうことをすなおに認められたらいい。私は船田検事に質問しているんじゃない。防衛庁の船田長官に質問している。さらにあなたの御意見を伺います。
○船田国務大臣 経費の支出につきまして、国損をかけるというようなことのないように、最も効率的に、国民の血税であるということを十分自覚して経理をやっていかなければならぬということにつきましては、私は全面的にさように考えて、私就任以来そのことは特に下僚にも要望いたし、常に戒飭を加えつつある次第でございます。しかしこのパッカード・マリン・エンジンを高速救命艇に採用したその買い方について、不正不当があるかといえば、これはしばしば御説明申し上げておる通り不正、不当はございません。従ってもし私の申し上げておることが間違っておるというならば、その事実を証明していただけば私は十分責任をとります。決して私は責任を回避しようとしておるものではございません。しかし今後かような問題によって世間の疑惑を生ずることのないようには最善の努力をして参りたいと考えておる次第であります。
○上林委員長 次に吉田賢一君、御発言願います。
○吉田(賢)委員 パッカード・エンジンに入りまする前にちょっと一点お伺いしたいのであります。それは霞ケ浦の朝日燃料補給支処の例の穴あきタンクの問題であります。これは長官御承知かと思いまするが、戦時中に建設いたしました四十ばかりある地下タンクから高額なガソリンがどんどんと漏れてしまっておる、こういう事実なのであります。これによりましてどのくらいの油が出たか。私どもはまだはっきりいたしませんが、とにかく大切なガソリンがタンクから漏れて出てしまっているという事実なのであります。この事実はどういうふうに長官はおつかみになっておるか、一つ御説明願いたい。
○船田国務大臣 この問題については最近報告を受けましたが、私、実地を見ておるわけでもございませんし、真相をはっきりつかんでおりませんので、事務当局より御説明を申し上げることにいたしたいと思います。
○吉田(賢)委員 それではあなたに伺いますが、今防衛庁とそれからトキコ油機の間に、このガソリン・タンクの漏洩、従ってこの工事の溶接の不良等、経費問題で相当紛糾しているはずなのでありますが、そういうことを長官は御承知なんですか。これもやはり事務当局から御報告があったと思うんだが、その点どうでしょう。
○船田国務大臣 報告は受けておりますが、その結末についてはまだ聞いておりません。
○吉田(賢)委員 大体それはどれくらいの量が漏洩したのであるか。それから何ほどの金額をトキコ油機との間に賠償するについての紛糾があるのか。その辺について報告の要点だけを述べてもらいたい。
○船田国務大臣 漏洩、つまり漏れました油の量ははっきりしたことはわかりませんが、数トンと聞いております。それから請負業者の請求権について問題になっております金額は、約百三十数万円というふうに聞いております。
○吉田(賢)委員 この問題は、第一、四十ヵ所もありまするタンクにつきまして、おそらくは一ヵ所くらいの工事の検収しかしないで、ほかはほとんど無検査であなたの方が受け取っておるという事実があるのではないかと疑っておるのであります。しかしこれらにつきましては追って聞くことにいたしまして、きょうはマリン・エンジンの問題を中心に聞きたいと思います。ただしかしこれはひとり霞ケ浦だけの問題ではございません。高額なガソリンがあちらこちらで、あるいは変質したりあるいは航空機に故障を生じたりするような問題が起っているのであります。これは追って聞きます。いずれにしましても非常に重大な保管上の欠陥であるのか、あるいはこの種の工事の監督の欠陥であるのか存じませんけれども、はなはだしい紊乱と申し上げねばなりません。
○上林委員長 船田長官から発言を求められております。これを許します。船田国務大臣。
○船田国務大臣 ちょっと訂正したいと思います。先ほど漏れたガソリン数トンと申しましたのは、これは早来の方の問題でありまして、ただいま御質問のありました霞ケ浦ガソリン・タンクの問題は外部に油がにじみ出たという程度のものでございます。訂正いたしておきます。
○吉田(賢)委員 しかしあなたはそうおっしゃいますけれども、二十九年の八月ごろからこれはさらに別に工事をさせまして、千二百数十万円もかけて漏洩個所をいろいろと修理しておるという事実もあるのであります。にじみ出るというような簡単な問題ではないのであります。しかしこれを問答しておりましては時間をとりますから、私はきょうは割愛しておきます。 そこで問題は、本論に入りまして、あなたは前会以来しばしばこのパッカード・エンジンの購入につきまして、何ら批難さるべき事実はないということを強弁しておられます。そこで私はあなたに伺うのでありまするが、今東京の商工組合中央金庫におきましては、中央商工会社というところからその会社がホールスコットを——例のホールスコットであります。つまり米軍の放出いたしましたパッカードとともに松庫へ売りましたあのホールスコットであります。このホールスコットを中央商工会社が一基当り五十万円すなわち二十基千万円の購入資金を商工組合中央金庫から借り出すために、そうして借り出して、二十基を担保に入れて今商工組合中央金庫が持っておるのであります。担保にとりましたのは二十七年の十月の末であります。こういうような事実があるのであります。従って東京のまん中に政府関係の機関が二十基を千万円の担保に預かって持っておるという事実がある。こういう事実があるのであります。こういうような事実が広がって多数の商人はちょいちょいこれを見に来ているそうであります。現に倉庫にころがっているそうであります。こういう事実を何がゆえに参酌して価格決定をしなかったのか、購入に際してなぜ参酌しなかったのか、なるほどホールスコット・エンジンはパッカード・マリン・エンジンに比較しますと馬力は半減の六百五十馬力でありますから、何も最高の性能のものを買わねばならぬという理屈はなかろうと思うのであります。やはりホールスコットの価格につきましても、十分に調査して比較検討して、そうして購入するならば、適当な価格をきめるべきでないかと思う。何ゆえにこれを参酌し、これを調査し、これを価格評定の対象にもしなかったか、これらの点については長官どうお考えになりますか。
○船田国務大臣 調達の実情につきましては、それを扱います調達実施本部長より御説明申し上げさせます。
○吉田(賢)委員 私はなぜあなたにこういう点を伺うかと申しますと、それはこまかいことは実施本部長に伺ってもよろしゅうございます。けれどもやはりきょうはあなたといたしましては、しばしばの当委員会における問答によって現われたごとくに、相当購入の経過については御調査になっておるはずであります。また部下の報告も受けておられる、研究もしておられる、従ってこういうような重大な事実を見逃しておるということについてのあなたの御意見がなければならぬと思う。それで伺うのであります。どうお考えになりますか。
○船田国務大臣 パッカード・マリン・エンジンを購入するにつきまして、原価計算をし、あるいは他に適当なものはないかということを比較検討いたしました手続きにおきましては、私はあの当時といたしましては最善を尽したものと考えております。
○吉田(賢)委員 けれどもですよ、あの当時あの当時とおっしゃるけれども、事は二十七年に始まってあなた御自身もこの三月に二基購入しておられるのですよ。でありますから継続して売り込みの運動もある、反面継続してやはり購入の手続きはいろいろと考慮せられておられる。あなたの就任以後の問題なんです。東京の、まん中に政府関係機関がこんなに多量のものを持っておるということをしんしゃくしないということは重大な手落ちでないかと思う。これをどうお考えになりますか。あなたもやはり今の会計法規が原価計算主義だというようなこともお述べになっておるのです。そういうこともお述べになっていながら現在価格評定予定価格の決定につきまして東京のまん中に政府関係機関がこのような物資を保有しておるという事実を見のがしたということについては何らかの御意見がなければならぬ。それがあなたの前任者のことならいざ知らず、これは本年の三月ですからあなた御自身の就任後の問題なんです。これをどうお考えになりますか。
○船田国務大臣 購入について不正不当はないと存じます。
○吉田(賢)委員 それは答弁にならぬ。政府関係機関が持っておるこのような担保物を考慮しない、比較しないということについて長官たるものは何らかの御意見なり御感想がなければならぬと思う。これは率直に言って下さい。私は何もあなたにことさら感情を持ってものを言ったりあるいはことさらなる質問を設けてしようとするのではないのです。けれどもあなたの部下並びにあなた御自身の責任であるところのこの購入の事実に不当があったのかなかったのかということにつきましては、あなたの希望せられるがごとくあらゆる角度から厳密な検討を加えなければならぬのであります。この重大な比較検討すべき担保物が東京のまん中にあるのにこれを比較しない、これを考えない、考慮しないということはどういうものでありますか。これについてあなたは何らかの具体的なお考えなり御意見がなければならぬと思う。
○船田国務大臣 マリン・エンジンを買うにつきましては不正不当はなかったと信じます。
○吉田(賢)委員 マリン・エンジンを買うについて不正不当はなかったというそういう形式的な御答弁じゃなしに、そもそも中金がこういう担保を持っておったということを一体防衛庁は知らぬのですか。
○船田国務大臣 パッカード・マリン・エンジンを購入するにつきましてはあらゆる手を尽しましたが、あれが最も適当であるということで購入いたしたのでありまして、それにつきまして不正不当はないと私は信じます。
○吉田(賢)委員 それでは答弁していただきたいのですか、あなたは商工中金が担保にホールスコット二十基持っておるということを御承知であったのかなかったのかと聞くのです。あなたが御承知でなければあなたの部下は知らなかったのか。もしくはそういうことをあなたは報告を受けていないのか。そういうことは調査の対象にならなかったのか。今日まで御研究になったようだが、研究の対象にもならなかったのか。その点はどうなんです。
○船田国務大臣 私はホールスコットについてはただいま御指摘のような報告を受けておりません。
○吉田(賢)委員 これはまことに奇怪なまた重大な失態であります。やはりホールスコットの行方というものは一これは松庫が買うたことは明瞭な事実であります。また当初米軍放出以来の素性につきましては、契約部長も述べましたごとく十分に検討しておられるのです。ホールスコットの行方はどこにあるか。東京のまん中にある。二十七年からずっと中金は持っております。東京のまん中にころがっておるのであります。そういうことを調査するということは当然の注意であります。その注意を欠いておるということは重大なる失態でないでありましょうか。あなたがもし物を買うときに、類似のものが付近にある、しかもそれは官庁もしくは政府関係機関でありまするから一挙手一投足で相手の事情も聞けるのであります。売ろうとしておるのであります。商売人はしばしば現物を見に行っておるのであります。こういうものがあるのに注意しなかったということはまことに大きな失態であらねばならぬと思うのであります。そこであなたに続いて伺いますが、この間から調本御当局の御答弁によりますと一基四百万円の予定価格を立ててその買収方を交渉しておられる、こう言うのですが、四百万円という予定価格というのはどうして出るのです。あなたはこれらにつきまして、これも事務当局にというてお逃げにならずにお述べ願いたい。どういうところから四百万円と出てくるのですか。
○船田国務大臣 その調達の事情につきましては事務当局から説明いたさせます。
○吉田(賢)委員 調達のくだくだした事情を私は聞こうとするのではないのです。申し上げるまでもなく予決令によりまして予定価格を決定いたしまして、そうしてあなたの方は購入の手続をせなければなりません。予定価格の調書もできておるはずであります。あなたの方におきまして出しておる——三十年三月二十八日、すなわちあなたの就任以後です。この予定価格の調書によりますと、これは四基が五千百二十万円ということになっております。一基千二百八十万円、こういうことになっておる。この間の石井部長の答弁によりますと、四百万円はこれは腰だめの価格である、だからこれをベースにして話し合ったという意味でありましょう。四百万円自体もその意味はわからない。ましてや千二百八十万円というのはなおさらわからないのであります。そもそも不当がなかった、不正がなかったとおっしゃるのだけれども、具体的に予定価格というものをもっと精密に立てることが防衛庁の義務じゃありませんか。防衛庁がこんな重大な物資の購入に当りまして予定価格を算出いたしまするについて、根拠のない算出をするということはもってのほかなのです。四百万円の根拠は何ですか。ましてや千二百八十万円の根拠は何ですか。それについて長官あなたはどうお考えになっておりますか。あなたは買収の経緯につきまして詳しく知らないとおっしゃるかもわからないけれども、その後御調査になっておる。そして予算の支出につきましては、あなたはその長として責任者であります。この点につきまして何らかの御意見がなければならぬと思う。
○船田国務大臣 十分に原価計算をいたしまして一基予定価格千二百九十万円という数字を出しておるのでありまして、それは適当なものと私は信じております。
○吉田(賢)委員 一基千二百八十万円というのはあなたにお教えするのは失礼でありますけれども、要するにそれは三友の五千余万円、杉山の七百五十万円、大森トラクターの千三百数十万円、第一通商の沢名義による百万円、大体これ全部を中身とする数字なのですよ。七千数百万円が実質的に当然必要な経費として支出されております。そういう数字なのですよ。このうちわれわれが納得し得るものは松庫への一千六十万円のみなのであります。そのほかの三友につきましてはあらゆるものがブローカーの運動費なのです。杉山はもちろんです。大森トラクターにいたしましても、大森トラクターの社長の弟なる人から私に数回手紙がきました。新聞で見て驚いております。当時あの会社は三十万円くらいの経費があったら一カ月経営ができたそうであります。ところがその弟なる人の手紙によれば、その経費の支弁すら困っておって遅配々々になっておったという実情だったそうです。それが千三百数十万円取っておるのですよ。これらの数字を全部見た上でないと千二百八十万円というものは出てこないのですよ。実質的にほんとうに出すべきものというのは、それはしいて言うならば松庫の二十台について千六十万円、富士への支払い分一台について千百五十万円あるいは諸経費の十二万五千円、あるいはその他の富士が計算しております保有すべき部分品等の工具などが一台について二十八万数千円あるいは伊藤忠に支払いましたところの、これは二十基について千二百四十二万円、一基当り六十二万一千円、こういうようなものがしいて言えば計算されるのであります。もう一つさらにこれが倉庫料三百数十万円とかりに計算いたしましょう。あるいはあなたの方も出しておりますごとくに営業利益というものを間組あるいは富士重工にかりに計算するといたしましたならば、一割と見ていいだろうと思います。そのほか若干の金利というものにすぎないのであります。幾ら計算してはじいてみましても実質的な数字はそれ以上のものは出てこないのであります。それでなお四百万というのは高過ぎるのであります。その四百万円をまず予定価格として腰だめの価格とするというようなことは、およそ防衛庁として予算で物を買う態度じゃありません。縁日の商人が物を買う態度であります。ましてやこれら一切をのんで一基千二百八十万円の予定価格を調書に作ったと言うに至っては、私どもは何としても納得ができないのであります。あなたば形容詞を使って不当がありません。不正がありませんと言うのではなしに、私がさっき指摘しましたこの事実につきまして、購入の過程におきまして、こういう予定価格を算出いたしましたこの事実について、あなたははっきりと解明しなければいけません。あなたはどう御答弁なさるのか。
○船田国務大臣 快速救命艇で、しかもそれは時速四十ノット以上を出す非常な高速の快速救命艇に取りつけべきエンジンといたしましては、パッカード・マリン・エンジンが一番よろしい、しかしそれは米軍側に供与方をお願いしたところが供与ができない、こういうことで同じような性能を持っておりますイタリアのイソタのエンジンを交渉いたしますと、それは一基税抜きの千八百万円、こういうことでございますので、従ってこのパッカード・マリン・エンジン、多少古くなったといいますけれども、二、三百時間使ったというのは最も性能の発揮されるいいものでありますので、それを購入することにした。そして同種のものの価格を参考といたし、また原価計算をいたし、かつ当時の関東財務局の評価も受けまして、そうして一基千二百五十万円という価格の評定をいたしたのでございますから、従ってこれは不当な価格ではない、かように私は信ずるものでございます。
○吉田(賢)委員 あなたはそうおっしゃるけれども、日本におきましてあまり不当な暴利をとることは、売買の契約においては許されないのであります。それは御承知と思いますけれども、読んでお聞かせ申しますが、わが国には物価統制令というものが今日あるのであります。これは生きた法律ですよ。これの第十条によりますと、「何人ト雖モ暴利ト為ルベキ価格等ヲ得ベキ契約ヲ為シ又ハ暴利ト為ルベキ価格等ヲ受領スルコトヲ得ズ」また九条の二によりますと、「価格等ハ不当ニ高価ナル額ヲ以テ之ヲ契約シ、支払ヒ又ハ受領スルコトヲ得ズ」つまり双方とも、これは禁止してあるのであります。買う方も売る方も暴利となるべきことは禁止してある。第十一条のただし書きによりまして——十一条の前段は、営利を目的とするものの規定であります。ただし書きによりますと、「当該契約ヲ為スコトガ自己ノ業務ニ属スル者ニ付テハ」やはりこの条文が適用されるのであります。それは同法の三十四条によりまして「十年以下ノ懲役又八十万円以下ノ罰金」となりまして、現存する法律であります。ようござんすか。日本の法律は暴利を禁止しておるのであります。ですからあなたは主観的に、たとえば新聞に報じておったごとくに、石井部長が紙くずを売った、売った中に応挙の絵があって、その応挙の絵を高価に買ったって何が悪いんだ、こういうような説明が新聞に報道されておる。そういう考え方をもっていかれましたら、これはとんでもないことなんです。あなたのおっしゃる客観的な時価というのは、会計の法則によるところの客観的の時価というのは、そういう意味ではございますまい。これは第一、相手方に暴利を許さないというのがほんとうじゃないですか。いいですか。二十基について七千万円前後のものが不当不正に乱費されておる、運動費、遊興費、豪華な飲食費に使われておる。そういうようなものも一切のんでしまって、価格を評定することはいいのでしょうか。ほんとうにあなたの良心に訴えてみたいのです。あなたはきょうは答弁のために答弁することは許されませんぞ。あなたは答弁によって言いのがれによってこれを通過することは、ここは許されません。あなたの良心とあなたの良識とあなたの責任とにおいて、この点を判断してもらいたい。今例をあげました、新聞に報ずるような石井部長の言というようなことは一体許されますか。暴利を許されるということであったならば、物価統制令をじゅうりんすることであります。この物価統制令によっては、何人といえども暴利を許されない。そうして公務員といえども、国家公務員も地方公務員も、それからあなたの防衛庁の公務員も、全部入るのであります。これが通説であります。でありますので、この点から考えてみましたときには、この数千万円と七千万円前後というものは、松庫の千万円を引きましたならば、これは算入すべきものじゃございません。正当の支出じゃございません。正当の支出じゃないということは、るる述べ、幾多の証拠によってもう当委員会においては明らかになっておる。これをしもなおあなたは認めて、その前提に立って相当な時価を評定せんとするような態度は、全く理解に苦しむのであります。なるほどそれはイソタのものは千八百万円するのでありますから、これを千二百万円で買ったから安いではないか、そういう考え方だけでものをきめるべきではありません。価格の形式はそういうものではございません。こういうような価格形成については、申し上げるまでもなく、同種のものが内地にあるときには比較しなければいけません。千万円で二十基商工中金がとって倉庫にころがしておることも考えなければいけません。もちろん取得価格、中間の正常な価格、そういうものも計算しなければなりません。そういうもので価格は形成しなければいけません。一々こういうことを申し上げるのはどうかと思いますけれども、あまりあなたの言うことがわからぬ。こんな計算すべからざるものを計算するということは暴利じゃないですか。相手方は暴利ではありませんか。暴利は法律は禁止しているのですよ。少くとも法律の禁止を破って契約するという一ことは官吏は許されないのです。それでもあなたはなおイソタと比べれば安いといってほおかむりして不正不当なしと言いますか。私はあえてあなたの刑事責任を追究しよういうのではないのです。けれども少くとも国費はこういうふうに乱費されてはたまらぬという角度に立っているのですよ。そんなむちゃなことがありますか。浪費したところの七千万円をのまれるのでなければ、千二百数十万円という計算は出ないのであります。四百万円も出ません。こんな原価計算がありますか。あなたの方の原価計算については、特にそれぞれ規程を設けて、原価の監察官というものまでも設置しているのに、これはどうなんです。しっかりと答弁なさい。
○船田国務大臣 価格の形成につきまして、今吉田委員の仰せられたごとくにあらゆる事情を勘案して、そうして一銭でも安く物を調達するということは、これは公務員として心がけねばならぬということは私も承知いたしております。しかしこのパッカード・マリン・エンジンを購入するにつきまして、原価計算をし、また他の責任ある評価のできるものの評価も勘案をし、ことに同種の性能を持っているイソタの機械と比較いたしまして、そうして千二百五十万円という価格をきめたということは私は不当でない。これは私は決して良心を偽わっているわけでもなんでもございません。その裏面にどういう事情があったかということは、神様でない以上は、そう何から何まで今この委員会において御論議になりましたようなことを一切がっさい承知しておらなかったというこの事実はございましょう。しかしながら、その当時においてあらゆる手を尽し、そうして他の責任者の鑑定も受け、同種のものと比較いたし、それよりも幾らかでも安いということで千二百五十万円というものをきめたものでありまして、私はそれは不当な価格ではない、値打ちのないものではない、値打ちのあるものを買っているのでありますから、私はあれは決して不当ではない、かように考えております。
○吉田(賢)委員 これはあなたと意見が並行するのではないのであります。明らかにあなたの考え方が間違っているのであります。あなたに矛盾が多いのです。いいですか。参考にあなたの答弁を求める前に、一応調本部長に聞きますが、あなたが今年三月二十八日に作成したところの予定価格調書によると、材料代が千百万円となっております。材料代が千百万円というのはどういうのです、内容を説明して下さい。
○武内説明員 イソタのエンジンを買いますと千八百八十万円になります。その千八百八十万円を元にいたしまして、現在の経年の何を引きまして、それが四〇%減になります。そういたしますと千百数十万円になります。
○吉田(賢)委員 日本の字は、材料代といえば、読んで字のごとく材料でなければならない。工費といえば、やっぱり工賃でなければならない。直接経費といえば直接経費です。間接経費と違います。イソタのものと比較して四〇%を引いた材料代というのはどういう意味ですか、うその調書ですか。あなたが調書を出したでしょう、三月二十八日に……。
○武内説明員 それはイソタ・エンジンの客観的価値を評価したのであります。
○吉田(賢)委員 客観的価値の評価が材料代になるのですか。それはどういう意味でそういう字を使うのですか。答弁しなさい。
○武内説明員 これはこの前も御説明いたしましたように、千八百八十万というのは、イソタを買えば関税抜きでなります。ですから四〇%引いたものが千百数十万が材料代になります。それに重工の加工費を加えまして、それが百六十何万円、従って千二百九十万というのが予定価格になっております。
○吉田(賢)委員 そうじゃないのですよ。千二百九十万というのはどこにも出ていませんよ。そんなうその数字をおっしゃるな。出てやしませんよ。いいですか、内訳の材料代が千百万円というんですよ。その材料代をはっきりと御説明しなさい。本部長から答弁しなさい。責任を持って……。
○武内説明員 先ほど申し上げましたように、千八百……。
○吉田(賢)委員 先ほどのことを繰り返すことはやめておいて下さい。材料代というのは比較検討の算術じゃないでしょう。少くともこれは直接経費が四十三万二千何がし、直接経費というのは、やはりパッカード・マリン・エンジンについてでしょう。イソタのものじゃないでしょう。責任者、答弁して下さい。——ばかなことはないと言うんなら、長官答弁しなさい。何がばかなことはない。そんな乱暴な、ばかなことはないとは何に対しておっしゃっているんです。この委員会の発問に対しまして、長官は一体何という不謹慎なお言葉です。何をばかなことをとおっしゃったのです。それをはっきりして下さい。
○船田国務大臣 私は、委員の発言に対して何も言っておりません。
○吉田(賢)委員 少くともあなたの内部の批評じゃありますまい。委員の発言に対してばかなとは何をおっしゃっている。そんな不謹慎なことはありませんよ。一体何をおっしゃっているのです。もっと冷静にしなさいよ。
○船田国務大臣 私は吉田委員の発言に対して、何にも言っておりません。ここ次長と私語しておるのについて、一々そういうことをお取り上げになっておしかりになっても、私としては全くそれは当らないことでございまして、吉田委員の御発言に対して、何ら私は発言をいたしておりません。
○吉田(賢)委員 発問中にばかなことをというような発言をするものじゃありません。あなたの方では、予定価格の調書というものを作ったでしょう。本年三月二十八日に……。その調書の中に材料代というものがあるでしょう。材料代ということは、具体的にいえばパッカード・マリン・エンジンのことでしょう。何もイソタのことじゃないでしょう。比較検討の算術の数字じゃないでしょう。算術の数字を書くべきものじゃありますまい。これはどういうのですか。
○武内説明員 原価計算には、御承知のように材料費と工費、直接経費、一般管理費、こういうものがあるのでございます。この千二百九十万円の予定価格を作りましたのは、この材料費というのは、工費に対する材料の代という意味でありまして、この材料費というのは何から出したかと申せば、新たに作るエンジンじゃなくて、すでに作って置き古しになったエンジンでありますから、これのもとを何に求めたかと申せばイソタに求めた、こういう説明をいたしたのであります。 〔「それがおかしいじゃないか」と呼び、その他発言する者あり〕
○上林委員長 静粛に願います。
○吉田(賢)委員 そんなら武内部長に聞きますが、あなたは一体間組の三友に対する支出だとか、その他の七千数百万円の支出というものを全面的に認めるというような、そういう立場に立って計算しておられるのですか。
○武内説明員 これは前会にも御説明いたしましたように、われわれはこの千二百九十万円というものを予定価格にいたしました。この予定価格は、先ほど申し上げましたように、材料費はイソタの何をとり、さらに富士重工がそのほかに工費、直接経費、一般管理費を加えまして千二百九十万円ということを算出したのでありまして、それ以外に、たとえば関東財務局に対する照会あるいは間組の支払いというようなものを参考として調査をいたしたのでありまして、そのほかに、大体この種のエンジンは一馬力一万円、こういうのが一般常識でありますから、これらも考え合せまして、とにかく予定価格は千二百九十万円にきめまして、これはわれわれの買い得る最高である、従ってできるだけ安く買うというのはわれわれの任務でございますので、先ほど吉田委員の申されました四百万円というのを切り出しましたのは、三百五十万円というのは、一基当り間組の輸入しました部品が八十数万円、それから試運転でありますとかあるいはその他修理に二百六十万円ばかり支出しておりますから、これを加えますと三百四十万円、約三百五十万円になるわけであります。それから最初払い下げられた価格が十万五百円でかっておりますから、これが数年の間に転々いたしておりますと、あとの五十万円というものは腰だめで、三百五十万円に五十万円を加えて四百万円というところで折衝をいたしたのであります。従いまして、極力安く買うべく四百万円という金を出し、しかも三ヵ月間に数次にわたり折衝をいたしたのであります。しかしながらこの間北証人が証言せられましたごとく、最低値段は千三百五十万円ということでどうしてもそれ以下にいかなかったのであります。われわれはできるだけ安く買おうということは努力いたしたのでありますが、相手のあることでありまして、どうしてもこれを買わなければならぬということであればやむを得なかった、こういうことであります。もちろんわれわれとしては安く買いたいということに対しては、最善の努力をいたしたのであります。
○吉田(賢)委員 最善の努力という表現はともかく、事実におきましてはあなた自身も、商工中金が二十基千万円の担保を取っているということを知らぬのですか。
○武内説明員 存じません。
○吉田(賢)委員 東京のまん中におって、ホールスコットの行方くらい調査しなければならぬ。商売人はみな知っている。知らぬのは防衛庁だけです。商工中金は幾多の商売人と折衝しておりますよ。知らぬのは防衛庁だけですよ。そういうように四方へ注意しないというところにも、この問題の起った一つの原因がある。あなたは三百五十万円に五十万円ふえて四百万円相当と見たのが、千二百万円をこえるということは、その差額というものは、これは売主の暴利になるのじゃないですか。少くとも払うべからざるものを払うことになるのじゃないですか。正当な利潤、あるいは正当な営業費その他管理費等々ではないのです。やはりその中身を割っていけば、ブローカーのいろいろと湯水のように使ってしまった費用、家を建てたり豪遊した費用、やみからやみに献金した費用、そんなものがみな入っている。それをあなたは知らなんだと言うだろう。言うだろうけれども、幾ら考えても、あなたも今計算したごとく、計算して四百万円を出している。そんなら、四百万円の三倍に飛び上るというその中身は、その飛び上る差額というものは、やはり三友、杉山、大森その他等々へ、政治家のふところまでも流れ込んだ金が入っている。それは明らかなんです。そうしますとそれは、少くとも別の角度から見るならば、売主においては暴利を取っていることになります。取るべからざる利潤、取るべからざる代金ですよ、それを取ったことになるのですよ。暴利というものは許されるのですか。あなたはどうお考えになります。
○武内説明員 私の方で予定価格千二百九十万円を出しましたのは、これがわれわれが買い得る最高価格であるというふうに考えたわけであります。従ってこれは時価としては、千二百九十万円の価値があるということをわれわれは認めたわけであります。しかしながらこれは最高であって、極力安く買うということがわれわれの任務であります。それで四百万円ということを出し、しかも三ヵ月にわたって、約十回前後にわたって役所に来てもらって折衝をいたして、その結果が千二百五十万円ということに落ちついた、こういうことであります。
○上林委員長 吉田君、申し合せの時間が参りましたので……。
○吉田(賢)委員 長官に聞きますが、これの買い受けの過程におきまして、第一あなたの調本部長なども実物を見たのですか。それからまた、放出から今日までに至りまする経緯などについて知っておったと思うんだが、そういうことは売り主との間に十分に話し合ったのですか、その辺はどうお考えになっておるか。
○船田国務大臣 関係の技術者は現物を見ております。
○吉田(賢)委員 関係の技術者はともかくといたしまして、技術者は試運転にも立ち合ったりいたしておりますけれども、調本の部長は契約をする責任者なんです。部長あるいは副部長でありましょうが、責任者であるから、これらの人がそういう手順を踏んだか、それは踏んでおらぬ。技術者だけがそれをそうして調本の部長並びに副部長などいずれが直接の責任かわからぬが、いずれにしましても、調本自身がその責任において見もし、かつこの価格の流れた経緯等々について売り手と十分に折衝しなくちゃならぬはずであります。それもしておらぬ。武内さんに聞きますが、こういうような莫大な中間のわけのわからぬ金が中に含まれておるというようなことを、一体あなたは本気にとがむべきことでないというふうにお思いになっておるのだろうか、やはりこれはよくないというふうにお思いにならぬだろうか。あなたも御承知の通りに、予算執行の職務に関する法律によれば、これを執行しないことを上官にも言うことができます、拒否することができます。任命者に対して、その長官に対して責任を転嫁する法律までできておるのです。なぜ一体あなたは勇断をもって、しばしば述べられたごとくに、幕僚から要求されれば、自主的審査権もないのが調本の立場だというような御説明があった。まことにそれは哀れな立場だ。けれどもこういうような事態に対しましては、やはりもっと真実に適応したあなたの価格を打ち出して、そうして相手のわけのわからぬものに対しては、それを否認する態度でなければならぬと思う。上に対してなぜ拒否しないのです。拒否するという態度になぜ出ないのか。もしくはこの三月になって契約して、当委員会で問題になって、なお支払っておる。なぜ契約を解除しないのか。契約を解除すべきではないのですか。現にジェット・C・エンジンについては、三菱に対して契約を解除したではありませんか。要らぬものを二基買うて、契約を解除したではないですか。これも契約を解除すべきなんだ。解除もしない、拒否もしない、責任転嫁の手続もしないで漫然として買っておる。東京のまん中にあるホールスコットの調査もしないで、知らぬと言う。相手に対して価格形成の各般の事情について十分の折衝も遂げないというようことで、イソタと比べて値打ちがあったということでは、何としても委員会は納得できません。そんなべらぼうな原価計算の仕方はありませんぞ。防衛庁だけだ、そんなことは。それは石井部長がうまい言葉を使っておる、紙くずを売った中からお経が出た、そんなことはあなたの方だけ通用することです。真理ではありません。予算執行の職員としまして、まことに不謹真なことと申さなければならぬ。あなたはどうお考えになりますか。
○武内説明員 当方といたしましては、予定価格は千二百九十万円ということで盛ってあったわけですが、先方が千三百五十万円を主張してなかなか譲らなかった。そこでわれわれといたしましては、イソタを輸入しようといたしましたけれども、千八百五十万円ということで、これもやむを得ないということで、先方が千二百九十万円を越える価格を主張してやまなかったならば、あるいはこれは中止になったかと思います。しかしながらわれわれの予定価格の範囲内に入ってきたわけでありますから、そこで契約をいたしたわけであります。
○吉田(賢)委員 あなたはこれを暴利と思いませんか。
○武内説明員 暴利とは思いません。
○吉田(賢)委員 おかしい。そんなら聞きますが、あなたもいろいろと原価計算をしておられる。生産費その他の経費、そういうものに該当しないところの、当然計算の中に入ってこない、要素に入ってこないところの、いろいろな遊興費だとかブローカーとか、そういうようなものは不当な数字にならぬのですか。そんなものをとることは暴利じゃないのですか。
○武内説明員 これはあくまでもこの品物の客観的価値を評価いたしまして、その範囲内で購入をしたということであります。
○吉田(賢)委員 そういうことを聞くのじゃない。私の聞くのは、かりに百円で買うたものを、理由のないいろんな経費を見積って百万円に売ったような場合に、九十九万九千九百円は暴利となるのじゃないか、少くともその大半は暴利となる。暴利という観念は、あなたも常識上おわかりでしょう。今私が読み上げました物価統制令も暴利を禁止しておる。日本の法律は暴利を禁止しておる。あなたのそういう議論を突き進めていくならば、防衛庁は今後どんな乱暴な暴利をとってもこれを見のがしていくという結論になります。こんな危険なことはありません。暴利に対する考え方は全くない。暴利を商売人に許すのですか。暴利じゃないというですか。百歩譲って、かりに客観的価値があるといたしましても、暴利というものは、とるべからざる利益をとるということです。生産費、正当な利潤その他の含ましめるべからざる経費を計算に入れてとるものが暴利ですよ。暴利と思わぬのですか。暴利をとってもいいのですか。
○武内説明員 これは生産の注文をしたわけではないのでありまして、できた品物をなにしたわけでありますから、そのものが客観的価値の範囲内に入っておる——相手方がそういうことで主張して譲らなかったということもありますが、われわれの予定価格の範囲内で買うことができた、すなわちその価値は、われわれの考えたその以内で価格がおさまっておりますので、これは適当だと思います。
○吉田(賢)委員 最後に長官に伺っておきますが、あなたらの答弁は、事実を私の方が指摘すれば、それは知らないと言われる。そしてまた意見を求めましても、ただ主観的な判断による意見に終始しておる。まことにこれは私ども納得のできないことでございます。ホールスコットを全然考慮に入れなかったということは、重大な手落ちであると思わざるを得ない。予定価格算定の基礎というものは、全く矛盾撞着、筋が通っておりません。また相手に暴利を与えて、暴利にあらずというような乱暴な答弁ができておる。こういうようなことで、この購入が相当な購入であるというふうな判断はできない。かりに不正がないといたしましても、不当な事実があり、理由があるということは明瞭であると思う。あなたとしてはこれに関与した時間が短かいので、私はなるべくあなたには触れたくなかった。けれどもあなたは過去のこと一切をしいて正当化しようとしており、あなたが就任以後のことも何ら反省のない態度で答弁せられておる。そしてまた今述べておるところの調本の諸君の答弁の態度といい、全くこれは、どんなに商売人に乗ぜられても、防衛庁は唯々諾々として予算の執行をしていくということを、正当なりとしてものを言っておられる。こういうことは許すことはできません。そこであなたとしては、しばしばこれは当委員会においても辻委員からも質問があり、坂本委員からも質問がありました。これは防衛庁といたしましては相当責任をとってもらわねばいけません。あなた自身国民に謝する意味におきまして、しかるべくあなたの部下の責任を明らかにすることと、あなた御自身もみずから責任を明らかにすることは私は当然だろうと思う。あなたは口を開けば、不正不当があるならば責任をとると言う。不当があることはこれは常識で考えましてもわかる。きょうの議論をあなた聞いておられても、わからぬ。わからぬことはあなたの知らざりしことなんです。知らざりしことを私が指摘してお教え申し上げておる。筋を通してあなたに説明しておる。あなたはそれを納得しない。少くともこういうような不当な経理をやりまして、責任がないというようなごう然とした態度でむちゃな予算執行をやっていかれるということであるならば、やはりこの際ほんとに防衛庁の長官として責任をとってもらわなければいかぬと思う。どうお考えになりますか。
○船田国務大臣 防衛庁の会計経理につきまして十分注意をいたし、効率的に経費を使うことに心がけて参りますことはもちろんでございます。このパッカード・マリン・エンジンを買い上げたことにつきましては、先般来しばしば申し上げておりますように、その間不当不正なことはなかったと私は信じます。しかし、もしどうしてもそれで御納得がいかないということでございまするならば、当委員会において真相をさらに究明していただくことに対しまして、私は何ら反対をいたすものではございません。従って、私は今日の場合、この問題につきまして政治責任をとらなければならぬというふうには考えておりません。将来経理につきましては十分謙虚な気持をもって、公務員の服務の紀律を十分堅持いたして、一銭一厘たりともむだのないようにいたしていくということについては最善の努力をして参りたいと考えております。
○上林委員長 次に小松幹君、御発言願います。
○小松委員 本日は、防衛庁長官もただいまの本部長も、いささかこの問題に対して良心のない、居直りをしたような感じを受けるわけです。反省の色もなく挑戦的に居直りをしておる。ただいま本部長は、この問題は暴利でないと言われた。一体暴利というのはどういうときに言うのか、それを一つ聞きたい。
○武内説明員 私は、われわれのきめました予定価格というものは、客観的価値を判断してきめたのでありますから、その範囲が買ったのであるから必ずしも高い物を買ったというふうには考えておらぬ、こういう意味で申し上げたのであります。
○小松委員 私は高い物を買ったとか安い物を買ったということを尋ねておるのではない。私は買い付けから売り込みにかかる間の不当なる、常識をはずれた価格のはね上りが暴利だと思う。あなたの説明しておるのは時価相場です。時価の相場をあなた自身が設定して、それを釈明しておるだけです。このエンジンが暴利でないということを真正面から吉田委員に答えた。この件はあくまでもそう思っておるかどうか。
○武内説明員 私が暴利でないかどうかということに対して暴利でないと思うと申し上げたのは、先ほど御説明したような理由でございます。間組の経理関係も一応プレスいたしましたが、それに全面的に信を置いたということよりは、根拠は、先ほど申し上げましたように時価から出しました客観的価値であります。そういう意味で一つ御了解をいただきたい。
○小松委員 そういう意味ではないのです。あなたはこのパッカード・マリン・エンジンは暴利でない値段だ、こう言っている。政府機関が十万円そこそこで払い下げたものが一千万円にはね上った。そのことの中にも、単にはね上ったという金利だけを見たというならば別ですけれども、多くのブローカーが介在して表示した価格がふっかけて形成されているならば、払い下げの値段から売り込みの値段に至る間の利潤というものは大へん高くついていると私は思う。このことから暴利であるという観点に私は立っているのです。あなたはあくまでも暴利でないと言っている。このことを取り消さない以上私はいつまでも追及するつもりです。
○武内説明員 これは先ほども御説明いたしましたように、三ヵ月にわたりまして数回にわたって折衝いたしまして、その範囲でわれわれも極力安く買うことを交渉いたしました。その範囲内でわれわれも認める意味において何したものでありますから、暴利ではないというふうに考えております。
○小松委員 あなたが不当なる高価で買い入れたかどうかというのは別の問題です。このいわゆるパッカード・マリン・エンジンは非常に暴利をとったエンジンであるという断定に対して、あなたはそうでない、こう言っているのだから、暴利でないと断言したことについて、その言葉を撤回しなければ、あなたの反省は一つもない。今日まで幾たびか決算委員会に証人をあげて追及された点について、その証人の証言も認めなければ、反省もないという前提を持つわけです。この七万幾らの払い下げのエンジンを一千何百万円という額で同じ政府機関が買い上げたことが、業界の暴利でなかったと言い得るかどうか、この点です。
○武内説明員 不当に高い値段で買ったものではないという意味でお答えいたしたのでありまして、その意味におきまして暴利という言葉が当らなければ取り消します。
○小松委員 そういう言いのがれはならぬのです。私はこのことははっきり暴利であるという前提に立っている。その暴利ということをお認めにならないのかどうかということなんです。
○武内説明員 先ほどお答えしましたように、不当に高く買ったのでないという意味で吉田委員の御質問に対しましてお答えしたのでありまして、言葉が不適当でありますれば取り消していただきます。
○小松委員 暴利であるとまだお認めになりませんか。あなたが言葉を返すまで何十回でも追及します。
○武内説明員 不当に高く買ったのでないというふうに考えております。
○小松委員 それではその件は一つそこへ置いておいて、防衛庁がこれを買わないと判断したら価格はどうなりますか。
○武内説明員 これは仮定の事実でありますので、どうなったか私も判断がつきません。
○小松委員 あなたは私への答弁に仮定の事実だからといって、時価相場というものは仮定の事実ではありませんか。特にあなたはイソタのエンジンに対して四〇%か六〇%をかけて材料費をきめた。これは仮定ではないですか。想定ではないですか。あなたの計算においては想定を作り、仮定を作り、仮想を作って材料費をきめ、価格を決定して、私の答弁には想定だから、仮定だから答えられないと言われますが、もし防衛庁がこのエンジンを買わないときめたときには、このエンジンは価格が一体何ぼするか、はっきり言っていただきたい。
○武内説明員 防衛庁は現実に買ったのでありますから、買わなかった場合にどうなったかということは私には答えられない。
○小松委員 買ったからその責任を追及されているのです。買わなかったらこんな責任を追及されません。だから買った以上は、その買った責任を問われておる。十万円のエンジンが一千何百万円で買われたということの責任を追及されておるごとについて、不当の値段じゃない、こうおっしゃるけれども、もし、買うときに防衛庁が、それはいろいろな因縁故事があって問題がある、だから買わない、イソタのものを買うと庁議できめたならば、そのパッカード・マリン・エンジンは一体幾らの価格形成をするかということをあなたの頭脳で計算して下さい。買ったからしようがないというような居直ったことを言わないで計算しなさい。あなたもさっきイソタに幾らと計算したでしょう。吉田委員が材料費と聞いたら、イソタに何%かけたといって計算したでしょう。その式で一つ買わなかったという前提で値段を設定して下さいパッカード・マリン・エンジンの値段を買わなかったという前提で設定をして下さい。頭がいいのだからそのくらいのことはできるでしょう。
○武内説明員 非常にむずかしいことでございまして、われわれは買うという前提で計算をいたしたわけでございますから、これをもし買わなかった場合にはどうなるということは私は……。
○小松委員 あなたはそういう子供だましのようなことを言います。物は売り買いによって値段が違います。買いたい相場というのは、市場に行って魚を一匹買うにも、あれがほしい、これがほしいといったときには魚の値段はつり上る、五十円の魚が二百円もするようになる。タイ一匹が八百円もするようになる。買手がなくてだれも手を出さなかったら五十円のタイが、一円でもただでも肥やしにならぬといって値が下るはずなんです。売手、買手の時価相場というのはそういうものなんだ。あなたの時価相場は売手、買手の時価相場を考えていない。イソタにはねかけた算数相場だ。算数相場でお買いになったのなら、買わなかったという算数相場が出るはずです。その算数相場を出していただきたい。私はこれも何回も言いますよ。防衛庁が手を出さぬときの算数相場……。
○武内説明員 先ほど申し上げましたように、あるいはわれわれの方が買わないと言えば下るかもしれません。またほかの買い手が出ないとも限りません。従って私としては非常にお答えすることはむずかしいのであります。
○小松委員 このエンジンをあなたは実際に見ておるのですか、ちょっとお尋ねいたします。
○武内説明員 契約に当りましては契約課長が見ております。私は写真は見ましたけれども現物は見ておりません。
○小松委員 エンジンも見ないでおいて、それで算数相場で買うておる。そうして不当ではない、不当ではないと言っておる。われわれは実際エンジンを見ておる。このエンジンがどんな使いものになるか、防衛庁が買わなければこれはくず鉄にもなりませんよ。全くの廃品なんですよ。こんな二時間しか航続力はないし、しかも非常にガソリンをたくさん食っておる。防衛庁か何かで買わなければ普通の民間会社でこんなパッカード・マリン・エンジンという一間も長さのある、こんなもてあますようなエンジンを買うばかはありませんよ。だから防衛庁が買わないとすれば、これはほんとうの七万円以下のくず鉄になるものなんでしょう。その買手、売手の市場において無理に買おうとして自分で相場を作ったのだ、そうして適当なイソタ相場をつけて計算してやっておるのだから、逆に私は防衛庁が買わなかったときの時価相場を聞いておる。防衛庁長官も時価ということを言われた。時の値段と言われた。時の値段というのは売手買手が作るものなんです。防衛庁が買わなかったときの時価相場をさらに聞きます。計算して出して下さい。
○武内説明員 客観的価値としては、われわれは千二百九十万円というものを信じておりますが、しかし売手買手で最後にきまる価格というものは、われわれの場合は千二百五十万円できまったわけであります。従ってこれは客観的価値は千二百九十万というものがあると思いますけれども、防衛庁が買わない場合に、もしそこに商談ができたとしたら、それは幾らでできるかということは、私には答えられません。
○小松委員 あなたは答えられないというが、買うという積極性を出したときだけは値段の設定ができるわけですね。向うにいくときには値段の設定ができるが、引き下るときには値段の設定ができないということはどういうわけですか。それは算数でしょう。買うというときの算数と買わないというときの算数とは違うわけです。そこをあなたははっきり算数で出した。買うとすればイソタの何%の材料費ということで出てきた。買わないときは一体相場はどうなるか。算数で出してもよい、時価相場で出してもよい。あなたの明晰な頭脳で出してごらんなさい。買わないとすればどのくらいになるのか。
○武内説明員 そのものの客観的価値は、やはりわれわれは千二百九十万円相当が適当だろうと思いますけれども、われわれが買わない場合にどういう相場で取引されるかということについては……。
○小松委員 それでは松庫商店から買い取ったそれを四百万円か三百何十万円に一応腰だめにきめたというのは一体どういう値段なんですか。そういうことを計算したのはどういう意味の計算ですか。
○武内説明員 これは先ほども御説明いたしましたように、われわれの予定価格は千二百九十万円でございますが、これはわれわれが買い得る最高でございます。従って払い下げられたものでもありますから、極力安く買いたいということで、四百万円というのは、これは先ほど小松委員も仰せられましたごとく、これは腰だめでございますが、その根拠をしいて申し上げますならば、部品の輸入及び修理のために間組は三百五十万を支出しておるわけであります。あとの五十万というものはほんとうの腰だめ中の腰だめでございますが、十万円で取引されて、それが何年かたっておりますし、相当転転としておるだろうということが考えられたので切り出したわけでありまして、これは交渉の取引の場合における切り出し値でありまして、予定価格はあくまでも千二百九十万ということで……。
○小松委員 四百万円という切り出した値で、最高価格がこれだけで、その間の折衝は、売手と買手の折衝でしょう。買わないというときの気持に立って折衝はしませんでしたか。これを聞いておきたい。
○武内説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、なかなか向うは値段が強いものでありますから、一時はやめようか、それでイソタの価格も商社を通じて引き合いを出しましたところ千八百八十万円、しかも関税抜きである。関税を入れますと二千万円を越える、こういう実情でありましたので、また立ち返ってさらに三カ月ですか、期間をかけまして折衝した、こういうわけであります。
○小松委員 そこが、いわゆる買手と売手との間の交渉がここでごまかされて、そういうことが言い得るような——はっきり向うから乗せられておるのです。向うは架空な領収書を作って、架空な原価計算をして高く売り込もうという判断をしておるのです。一歩も引かないであなたたちをがんじがらめにして買わせよう買わせようとたくらんでおる。それにもってきて、売手と買手の市場で算数計算をした相場で出したから、そういう今日のような不当な価格が出てきた。 そこで私はまず最初の質問に返ります。不当な暴利によってこしらえられた価格で買い取ったのだという最初に戻って私は質問しますが、あなたは暴利がない、かように言ったのですが、この価格形成は暴利であるかないかをさらに聞きます。その言をはっきり撤回するならば別です。
○武内説明員 不当の高い値段で買ったということではないという意味で、暴利はないと申したのであります。それでなければ私は暴利という言葉を取り消します。
○小松委員 今取り消しましたが、これははっきり暴利なんです。それがほんとうに富士重工なり間組が自己の製品として工員を使って、その工賃なりあるいは鉄の材料代などから一千万円のものを作ったのならば幾ら高くても暴利とは言われない。ところが事や中間のブローカーから買うたのです。ブローカーのその原価は、少くとも七万か十万くらいの原価なんだ。その七万か十万の原価が一千万円にはね上ったというところには、はっきり価格形成上の暴利が客観的に形成されておる。間組が自分で資材を投じて作ったならば、あるいは暴利だとは言われないかもしれません。しかし元が元なんだ、はっきり暴利によって価格が形成されておる、これを好意的に言えば、防衛庁は知らないで買ったのだとも言い得るのです。知っておって買ったのですか、知らないで買ったのですか、その点をお伺いいたします。
○武内説明員 何を知ってとおっしゃいますか。
○小松委員 その七万円か十万円の価格が今日一千万円までになった、そういう価格の変動の元を知っておって買うたのか、知らないでこれに手をつけたのか、はっきりお伺いいたします。
○武内説明員 払い下げられました価格は、われわれが折衝いたしましたときには知っておりました。
○小松委員 そうすると、この価格は暴利であるという感覚が生れてくるはずですが、その点はどうなんです。常識的に考えて七万二千で払い下げて十万で松庫が売ったのか買ったのか知りませんが、それが一千万にはね上ってきた、その価格形成は暴利であるということか当然常識的に知られるものなんだ、知らなかったら別ですよ。知らなかったのならこれはどうにもならぬ。しかし知っておった以上は暴利であるというところに目を向けなかったのかどうか、その点をお伺いします。
○武内説明員 十万円が千二百五十万円になったという事実はございますが、それが果して暴利であるかどうかということにつきましては、われわれが客観的価値をはじき出しますにつきまして、先ほど御説明いたしましたように、千三百五十万というのは関東財務局の調べを中心にいたしましてはじきました価格で、その範囲内で極力安く買うということに努力をいたしたわけであります。
○小松委員 私の言っておるのは、それだけはね上ったものに対して、普通のわれわれの常識ではあまりにもひどい、あまりにも常識はずれた値踏みであるということで、ブローカーが入っておるか、入っておらないかは知らないとしても、あまりに高過ぎるのじゃないか、暴利ではないかということがだれの常識でも生れてくるのです。これはいかに数学を知らないあるいはイソタのエンジンも知らない意味な人間でも、あまりではないかということがわかるのです。そういう感じなり計算なりはさらさらなかったかということを聞いておるのです。
○武内説明員 これは私としても十万円が千二百五十万円というのは、非常に価格の差があることは感じがしたので、われわれはこの価格形成につきまして非常に慎重な措置をとったのであります。しかし間組なり富士重工は千七百四十万という値段を主張いたしまして譲らなかったのであります。最低三百五十万円というものを主張してさらに譲らなかったのであります。これは証人の証言でもわかるのであります。われわれはその価格の差があることを痛感しましたものですから、しかも払い下げた物品であるということもわかっておりますので、三ヵ月もかかって交渉し、関東財務局についても照会し、またイソタのエンジンの価格も調べ、それからメンターの二百二十馬力の航空エンジンが二百二十万円、一馬力一万円という時価等、一般的に言われておる値段を考えて、一千二百五十万円という値段を出しましたので、その辺は御了解いただきたいと思います。
○小松委員 これでははっきり暴利を容認して防衛庁が買ったという断定を私は持っておる。あなたはその実態を知っておる、暴利であることを認め、その事情も知っておる、そうしてこれを買っておるというところに問題がある。そこで増原次長にお尋ねしますが、私は沢証人の関係者から聞いたのですが、沢証人が築地の八千代亭に陣どって、多くのブローカー連中を集めて、今東京におられるが、山口県から参議院に出るという安倍源基氏を通じて、あなたにこの問題を話しかけたということを聞いておるが、あなたは安倍源基氏からこのことを聞いておるはずだが、事実かどうか。
○増原政府委員 安倍源基氏からこの問題について話を受けたことは記憶にはございません。ないと思います。
○小松委員 これは沢証人がここで言ったか言わないか知らないけれども、はっきり言っておるはずです。私はまた別なその八千代亭に巣くうておる人間からも、現実に沢証人の行動の一切を聞いておる。きょう安倍源基氏のところに行って、次長にそのことを要請することを訴えられておるということもある。あなたが知らないということはないと思いますが、再度尋ねます。
○増原政府委員 私はこのパッカード・エンジン売り込みのことで、安倍源基氏から話を受けたことは、記憶がございませんが、ないと思います。
○小松委員 ないと言えばそれ以上しようがないのですが、長官にお尋ねいたします。あなたはこのエンジンの問題が起ってから、それの関係者、装備局長とかあるいは次長とか、あるいは松崎さんとか山下さんとか、あなたの部下に対して詳細な調査なり、あるいはあなた自身の品からそれらの人に尋ねたかどうか。この問題の真相を究明したかどうか、そのことを長官にお尋ねします。
○船田国務大臣 この問題が起りましてから、数回庁内におきまして関係者を呼びまして、真相の究明をいたしております。
○小松委員 そのとき中村装備局長は逗子におられたのですか。あなたは知らなければだれか他の方からでもけっこうです。
○増原政府委員 いつのことでございますか。
○小松委員 昭和二十八年初頭です。
○増原政府委員 昭和二十八年ごろ、当時の保安庁に勤めておったわけであります。住居は何かその辺であったと記憶しておりますが、明確には存じません。
○小松委員 昭和二十八年三月の末、中村装備局長は北海道視察をした。その視察をして北海道から帰られた直後、その次の日か一日置いた次の日かに、ここに証人にきた沢は、東京の国際タクシーのタクシーを雇って、ウイスキー一グースを持って中村装備局長わを逗子の自宅に訪問して、この中古エンジンの売り込みを策しておる。このことを防衛庁長官は知っておるかどうか。
○船田国務大臣 その事実は全然存じません。
○小松委員 調査したことがあるというが、こういうようなことについて中村装備局長についてどの程度に調査しておるのか、それを聞きたい。
○増原政府委員 その具体的事実は聞いたことがないので確かめておりませんが、先般ここへ中村前装備局長が参考人として参りまして、沢証人でありますか、そういう者から金品等をもらうたことがあるかという御質問をどなたかされました際に、ありませんという答弁をされております。
○小松委員 笑い話ですけれども、ウイスキー一本持っていくわけにはいかないだろう、それで一ダースくらい持っていかなくちゃしょうがないというので、雇ったタクシーまで調べがついておる。そして逗子に行ったことがはっきりわかっておる。それは中村装備局長が北海道に視察に行った直後なんです。こういうことですから、一切の者に対して安倍源基氏から話があった、それは沢証人がはっきり言っているのです。それぞれの役所の人間にはみんな手を打っておるわけです。さらに、これはおそらく防衛庁長官は御存じないかもしれぬが、一応質問をしておきます。昭和二十八年のばかやろう解散のあったときに、沢証人は東京駅の駅頭において、鳩山自由党に当時所属しておった河野一郎に百万円を現金をもって渡しておるという事実を私は耳にしておる。そうしてその沢証人は、このいわゆる中古エンジンから派生した金を持って河野一郎氏に東京駅寺で、あわててやっと間に合った、もりほんとうに汽車に乗るきわきわで間に合って百万円を渡した、こういうことを八千代亭で言っておる。このことを船田長官は聞いておるかどうか。私もある方面から聞いたわけなんです。そういう事実をあなたは調べた過程において聞いたかどうか。
○船田国務大臣 ただいま小松委員のおっしゃるようなことは全然事実を聞いておりません。
○小松委員 私もつい最近そのことをあの築地八千代亭の中からばれた話として聞いておるのです。ここに一団のブローカーが巣くって、きょうは防衛庁のだれに行け、きょうはだれに行け、政治家はだれと手分けして、それぞれ内面的に運動して、このいわゆる中古エンジンの売り込みを策しておるという事実を聞いておるわけなんです。だから、今の河野一郎に渡した百万円は、東京駅頭において渡したということを情報として聞いておる。これは検察庁でもなければ、本人に聞いたわけでもないから、真偽のほどは私はわかりません。私の聞いた情報としてそれを聞いておるから、船旧長官にそういうことまで調べがついておるのかどうかということをお尋ねしたわけなんであります。そうしてこの中古エンジンの売り込みに対するあらゆる外部的な工作が手をかえ品をかえして、政治方面なり、直接防衛庁の高級幹部なり、あるいは幕僚なり、技術方面に繰り返され、繰り返されておるという事実は、幾たびもの証言からはっきりしている。知らぬは防衛庁だけとも言いこなすかもしれない。知っておって価格を算数的にきめておるのかもしれないけれども、おそらくこの事情を知っておると思う。そういう事情があって、防衛庁長官は不当じゃない、不当じゃないと言い切っておる。居直っておる。言い切っておることは同時に居直っておることと私は思う。私はこういう事実から見て、防衛庁の最高責任者として良心的に不当でないと言い切れるかどうか。山下技官は幾たびか沢証人あるいは菊岡ですか、こういう連中と銀座のキャバレーなり、あるいは料亭なりに行って宴をともにしておるという事実も出ておるわけです。あなたの部下からそういうことが出ておる以上は、これは防衛庁のお役人なり、あるいはそういう方々は、売り込み業者、ブローカーと一緒になって酒食をともにして平気でおっていいという規則があるのかどうか、その点、これは長官でなくても次長でもいいですが、どうですか。
○増原政府委員 この間参考人としてお呼び出しをいただいたときにも、山下参考人自身よりお答えをいたしたのでございます。山下が二回第一通商の人その他と食事をした。それはこのエンジンを買ってくれないかというふうな話のときではなくて、当初このエンジンがディーゼル・エンジンであるといわれたり、国産部品をつけて運転をしたらうまくなかったというふうな時代に、いろいろそのエンジンについての資料の問い合せをされた。どこかあそこの事務所でその問い合せに答えた。それがおそくなって食事をしたことが二度あったということを参考人として申し上げております。これはブローカーの売り込みという売り込みの問題に関連をしてではなかったということを参考人として申しております。
○小松委員 そんなことは私は常識的には信じられない。ブローカーは売り込みが仕事なんです。ブローカーというものは価格設定委員会に行くんじゃないのだ。売り込むために商売をしているのがブローカーなんだ。それがわざわざ来て会うのには、品ではそういうことは一応抜きにしても、売り込み以外の何ものでもないということは事実なんだ。しかも食事をしてもその支払いはブローカーが払っておる。そういうことは、商人なりあるいはブローカーなりのただ飯を食うてもいいという規約があるのですか。食事々々というが、どのような食事か知らないですが、そんなことは規約で許されているのですか。
○増原政府委員 もとより売り込み商談みたようなことに関しましてそういう供応を受けるということは、いかに簡単な食事であってもよくないと思います。このたびのことはよく調査しましたところ、そういう売り込み等に関連をしたことでないという、鑑定についての知識を提供するというようなことで、時間がちょうどそのときになったので食事をしたということでありますので、もとよりそういうことをしてはならぬことは十分戒飭をいたしておるわけでございます。
○上林委員長 小松君、どうでしょう、この程度で。
○小松委員 こういうようなことをぬけぬけと弁解されるあなたの常識を疑う。そんなことを言ったって実際のところ国民は承知しませんよ。 そこで私は最後に防衛庁長官に政治責任を一つ。居直らぬようにしていただきたい。何もそう言ったからといって——あなたが居直っても国民は承知するものじゃない。そこで私はあなたに側面的に聞いてみますが、あなたは学校経営者として教育にいささか関係のある方と承知いたしておりますが、教育に関係あり、また教育をしようとなさった経験のある方は、単なる事の正邪善悪というもの——追い詰められて責任をとるというよりも、そのことの及ぼす教育的な効果あるいはその影響力というものをしさいに考えまして、行政的にも政治的にも責任をとり、またとらせられているのが日本の現実であろうと私は思う。この点について、あなたも教育に経営者として御関係になった方として、今防衛庁長官という立場を離れて、こうした場合には将来の子供に影響する面から考えて責任を感じなかったかどうか。こういうような問題についてどうですか。
○船田国務大臣 このパッカード・マリン・エンジンをめぐっていろいろな疑念が世間にまき散らされたということにつきましては、まことに遺憾千万に存じます。また防衛庁といたしまして、大切な国費を使う上において多少なりとも会計検査院から御批難を受けたということにつきましては、私ははなはだ遺憾に存じまして、それぞれ責任を追及し、処分すべき者は処分をするという措置を講じ、大いに将来を戒めて、今後一銭一厘たりともむだのないように努力をして参らなければならぬと考え、またその努力をするつもりでございます。しかしながらこのパッカード・マリン・エンジンの問題につきましては、先般来御説明申し上げておりますように、どうも御非難になっておる点が私どもには納得がいきません。(「それはお前だけだ」と呼ぶ者あり)そこで、この真相を究明していただいて、私どももこの問題につきましては、もちろん十分内部的に調査研究をいたして、いやしくも不正、不当がありますればこれを剔決するに決してやぶさかではございません。しかしこの真相をはっきりせしめるということが、むしろ私の当面の政治責任であると存じますので、私はそのために努力をして参りたい、かように考えておる次第でございます。
○小松委員 あなたは今日パッカード・マリン・エンジンを買うに当って、あなた自体だけのいわゆる計算とか価格形成と事務的な範囲のみにおいてものを言われておる。私は少くともそのことだけであなたの責任は追及していません。あなたの責任を追及するという場面は、防衛庁自身の自分の心持、心事においてやったことでない、客観的に見て多くのブローカーが介在して価格をつり上げつり上げ、売り込みを策し、不当な値段、暴利を形成して売り込まれた、そのことの結果が出ておる以上は、これを受けて立った防衛庁として万遺憾なかったか。不当なる価格、暴利の上に乗っかったのじゃないかという御反省はないのか。そのことが一つ。 さらに少くとも防衛庁とは何をするところかという御反省の上に立たれなければならぬ。単なる通産省とか単なる鉄道あるいは建設省とかいうところと違って、防衛庁というのは一つの防衛の責任上、単なる技術やあるいは価格のみで作り上げることはむずかしいのではないか。防衛の責任というものをお考えになるならば、ある程度の精神的なもの——その間にもう少しピューリンタンな清らかさを持つだけの雅量がなければ防衛庁が全く調達庁になってしまうと私は思う。調達庁なり、調達に間違いなかったと言えばのっけに言いのがれができましょう。調達庁と防衛庁の違いは、あらゆる方面から防衛の責任を負うという立場を持たなければ、私は防衛庁の存在理由か成り立たないと思う。こういう二つの面から考えて、このことに対して御反省願いたい。こういう意味のことを言っているわけなんです。この二つの点についてあなたはどうお考えになりますか。
○船田国務大臣 私は反省をいたしておりますればこそ職にとどまって、この真相をはっきりさせて、そして二十万の自衛隊員にも安心をさせて、ただいま小松委員も御指摘のように、精神的にもしっかりした自衛隊を育成するということに努力して参りたいと考えておる次第であります。
○小松委員 この問題は保留をいたしておきます。政治責任の追及は保留をいたしておきますけれども、まだ大臣ははっきりこのパッカード・マリン・エンジン購入に伴う不当なる価格形成の間の事情に対して少しの責任も感じていないというような意味に私はとっておるのです。今の言葉は、責任を感じておる、感じておるからその職にとどまりたいんだ、とどまるべきだというように聞きましたが、私は職にとどまるとか、とどまらぬとか言っておるのじゃない。責任をお感じになっておるかどうかということをさらに聞きたいのです。
○船田国務大臣 この問題につきまして、世間にいろいろと御批評を受けたということはまことに遺憾に存じます。さればこそ私は職にとどまって、そしてこの間違いのないということを、この真相をはっきりさせまして、そして二十万の自衛隊員にも安心をさせ、そしてりっぱに国家のお役に立つ防衛態勢を整備するということに努力して参りたい。かように考えます。
○小松委員 そこは考え方の相違ですね。責任を感じておるということは一応了承いたしました。だから職にとどまることが責任のとり方か、あるいははっきり部内の改造を試み、あるいはその責任をみずからとることによって一段と飛躍した責任態勢がとれるのかということは別な問題だと思うのです。あなたはあくまでも居すわる、居直ることがこうした責任をとる意味だというように解されていますが、私はそうは考えていません。この問題は次にお預けにいたしまして、先ほど辻委員も申されましたし、私も先般申し上げましたが、あのシーメンス事件をやはり回顧してみなければならぬと思う。島田三郎が国会において、時の海軍大臣斎藤実に対して、きょうここで繰り返されたと同じような討論を繰り返されておる。そうしてついに、そのときの言葉で言えば国軍でしょう。今は国軍とは言わない——帝国海軍、こういう言葉を使っておる、帝国海軍のほんとうの再建をやらなければ、このことが国の内外なり国民なり、また日本の壮丁に与える影響は大きい。このままずるずると居直ってはとうてい帝国海軍の再建はできない。そうしてついに弾該決議案となって現われたのであります。山本権兵衛内閣はそれによって一切の責任をとり、時の海軍も全部責任をとっておりますが、当時の金でそれが二十万円、今だったら二千万円になる、今日は帝国海軍ではなくて自衛隊であります。その隊の成立なりあるいは指導精神はあるいは変るかもしれません。違うでしょう。しかしながらあなたたちが考えておるところの自衛隊なるもののほんとうの意味は一体どこにあるのかということを私は疑うのです。何のために自衛隊というものをこしらえたのか、先般私が申し上げたように、世界の軍備からすれば少くとも三流、四流の軍備、科学兵器しか持っておらない日本の自衛隊、しかも持っておる兵器というものはほとんどアメリカの中古以下の何年か前のいわゆる中古品の武器である、しかもその買いつけに当ってブローカーまで介在して暗躍して不当に値段をつり上げて買わされたような武器をもって一体何と自衛隊員に教育をしていくのか、どういう顔をして防衛庁長官は進軍ラッパを吹くのか、あるいは長官ラッパを吹かせるのかというその心境を問いたい。あなたが防衛庁に行けば歓迎のラッパを吹くそうですが、一体そのラッパはどういう気持で吹かせますか、あなたはどういう気持でそのラッパを聞きますか。その心境を聞きたい。
○船田国務大臣 現在の自衛隊は十分自衛隊の任務を自覚してだんだんりっぱな自衛隊に育成されつつあると存じます。ただいまの小松委員の御忠告は私はありがたく了承いたします。
○上林委員長 小松君大体申し合せの時間が参りましたからこの程度でどうですか。
○小松委員 大臣が居直っておりますから、私も居直るつもりです。あなたは責任を感ずるというところまでは一応気持だけは出した、しかしこの問題について、やはり不正はなかった、不当はなかったと言い切っておるから、私はこの問題に関してあくまでもあなたに国民の前に陳謝するだけの気持をはっきり出していただかなければ、この質問は打ち切れないところです。私たちは国民の素朴な気持、しかも国税を使って防衛庁費から出されておる不当なる価格だ、かように考えておる以上は、国民に陳謝する気持があるのか、さらにあなたは防衛庁に帰ってまたラッパを吹かせるのでしょうが、そのラッパはどういう気持のラッパかということをさらに聞きます。
○船田国務大臣 このパッカード・マリン・エンジンをめぐっていろいろと国民諸君の間に御批評を受けるようなことになりましたことは、先ほど来申し上げておるように私は非常に遺憾に存じます。さればこそ私はこの真相をはっきりさせるために今後も努力をし、また皆さん方にも十分真相を究明することをお願いをいたしておる次第でございます。
○小松委員 私はラッパの話が出ましたから話をラッパにしますが、そのラッパの中には、お前たちは一生懸命に自衛の精神を高めて、国民の先頭になって自衛の気持で努力せよというラッパでしょうか、お前たちの持っておるところの武器なりあるいはエンジンなりというものはこれはえせものだ、えせものだが気持だけはしっかりした気持でやれ、こういうようなラッパを吹いていいんでしょうか、どうなんでしょうか。言うことと自衛隊員に教えるその目的と、現に自衛隊に持たせておるもののいきさつとは、気持の上でずれておると思うのだ。そのずれた気持を、あなたは防衛庁に帰ってどういう形でラッパを吹こうとするのか、そのラッパの吹き方なんです。それを聞いているのです。
○船田国務大臣 自衛隊は十分自衛隊の任務を自覚いたしまして、そしてその任務達成のために日夜教育、訓練を続けておるわけでございまして、今後におきましても、その任務を十分達成し得るような自衛隊に育て上げることに私は努力をして参るつもりでございます。
○小松委員 私たちは、日本の自衛隊はアメリカの雇い兵だというふうに解釈をしておるけれども、あなたたちはそうでないで、やはり自衛隊の精神教育をしておるのであろうと私は考えておる。先ほど私は教育者の例を出したが、私がラッパを吹くという形に言ったのは、少くとも教育をするということを言っておる。あなたが防衛庁に帰って自衛隊の隊員に教育をするというときに、これほど国民の前に多くのブローカーの介在したエンジンを買い取って、なおかつ鉄面皮に不正不当はなかったから責任はとらぬでもいいというようなことを国会でのうのうと言って、今晩帰って防衛庁の中でどういうような指導方針で訓練なりをやるのか。あなたは防衛庁に帰れば防衛態勢を固める、戦術態勢を固めるだけでなくして、少くともその戦術態勢を効果あらしめるための教育をせねばならぬ。防衛庁というのは教育の面もあると思うのです。教育の面もあるところのあなたが、ここで壮丁の教育者としての立場をどう考えておるかということを聞きたいのです。そういう点についてさらに聞きます。
○船田国務大臣 先般来申し上げておることを繰り返すことになりますが、私といたしましてはこの真相をはっきりさせまして、そして自衛隊の諸君にも安心をするようにさせたい、かように考えておる次第でございます。
○小松委員 自衛隊に安心させるというのはどういうことなのですか。国会でいろいろ問題があったけれどもそれは間違いだ、そんなことはないのだから安心しろ、こういう意味なのですか、それをちょっと伺います。
○船田国務大臣 防衛庁及び自衛隊が不正不当のことをやっておったのではないということは、はっきりさせることが必要であると存じます。従いまして私といたしましては、当委員会においてそういうことがはっきりするように、この上ともあらゆる手段を講じていただくことを念願しておるわけでありまして、そういうことによって自衛隊の諸君が持っておりまする不安感を一掃したい、かように考えております。
○小松委員 国民の前にはまことにこの事件は遺憾であった、こうあなたは言って、防衛庁に帰ってからまた居直って不正不当はなかったんだから心配するな、安心しろ、こういうことをおっしゃろうというのですか、もう少しはっきりと言って下さい。
○船田国務大臣 私はこの事件があいまいになってしまうということは決してよくないと思います。もし不正不当がありまするならばそれに対して適当な措置を講ずることが必要である、かように存じます。しかし繰り返し申し上げておることでございますが、この具体的のパッカード・マリン・エンジンの購入については、私は不正不当というようなことはなかったと信じておるのであります。しかしなおそれでも御安心がいかない、私どもの説明申し上げておることにどうしても納得がいかぬということでございますならば、十分真相を究明することに御努力を願って差しつかえないし、またそうお願いする方がよかろう、かように考えております。
○小松委員 大てい今まで究明したはずなんです。しかもその価格なりそのいきさつなりは、不当なる暴利を取られているということは事実なんです。暴利を取ったではない、取られているという事実ははっきりしておる。このいわゆる厳然たる事実の前に対して、まだこれ以上究明ということはわれわれはもはや必要なし、これ以上はあなたたちに行政責任なり政治責任をとっていただく以外にない、かような結論を下しておるわけなんです。これに対してあくまでもあなたはまだ究明しろと言う。一体いつまで究明したらいいのですか、どういうことを意味しておるのですか。
○船田国務大臣 私はこの委員会にどうしろ、こうしろというような指図がましいことを申し上げておるのではございません。ただ私どもの説明申し上げておることが、遺憾ながら御納得がいかぬということでありますので、それならばその納得のいくような方法をとっていただくより仕方がない、かように考えておる次第でありまして、そういう意味におきまして十分真相を究明していただくことがよかろう。ことに先ほども背任の疑いがある、こういうふうなことでございますが、私どもは背任罪を形成するというようなことは全然考えておりません。さようなことはないと思いますけれども、しかしそういうようなことも十分御究明をいただきまして、そして事実背任罪の成立というようなものはないのだということがはっきりすることを、私は念願いたしておる次第であります。
○小松委員 私はこれを背任罪とか、あるいは法的に収賄罪、こういう意味において政治責任を追及しているのではない。今日まで予定されたパッカード・マリン・エンジン購入に伴ういわゆる暴利によって形成された価格をうのみにしておったという事実、しかもその間に多くの悪質なるブローカーの介在したものに手をつけたということは、防衛庁の物品購入、調達に一つの大きな汚点を残したということと、同時に自衛隊員なり国民なりに与える影響、国民が安心して日本の政治なり、あるいは防衛費等についての納得した気持の上に立たないという禍根を残した、そういう意味における政治責任を追及しておるわけなのです。それに対してあくまでもあなたは法的な意味においてこれを受けて居直ろうとしておる。私はずれがあると思う。何も私たちはあなたのことを納得する必要はない。むしろあなたたちの防衛庁の内部に対して責任を追及しておるのです。納得じゃないのです。何も防衛庁のあなたたちの言うことを納得する必要はない。むしろ私たちはあなたたちに追い打ちをかけておる。その追い打ちというのは三つの方面からある。先ほど坂本委員からの背任罪という法的なもので追及するということと、私は別な意味において自衛隊の教育の面、自信、安定感の上から汚点を残し、将来の教育において支障があるという点においても追及をゆるめない。さらにもう一つは国民のこうしたものに対する不当なる感情、激昂した感情から政治責任を追及しておる。この三つの面からあなたに政治責任を追及しておるのにもかかわらず、あなたは教育の面とさらに国民感情の面からのことはそしらぬふりをして、ただ背任罪はない、不正不当はないと言って法的な面のみにこだわっておるところに問題があると思う。この問題はさらに私は継続いたしますが、委員長が時間を早くということでありますから、きょうはこの辺で一応政治責任を追及しかけたということにとどめて、自後の機会にさらにこの問題の政治責任を追及するつもりであります。
○上林委員長 委員長の手元に通告のございました委員各位の質疑は終了いたしました。 本日はこの程度にて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。 午後五時五分散会