決算委員会 第8号
- 発言数
- 68 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1956/02/22
会議録
○上林委員長 これより会議を開きます。 昭和二十九年度歳入歳出決算を議題とし審査を進めます。 毎年度決算が会計検査院に送付されるや、未収金、予算経理、工事物件、役務あるいは補助金等について不当なりとして指摘され、あるいは是正される件数は膨大な件数があるのでありますが、しかもなお跡を断たず、昭和二十九年度決算につきましても、決算報告に記述された件数というものは二千二百四十六件の多きに上り、昭和二十八年度決算における二千二百三十二件をなお上回っている状況でありまして、これが金額も七十三億四千四百余万円の巨額に及んでいるのであります。しかもこれはなお氷山の一角にすぎないとさえ存ぜられるのであります。国民の租税をおもな財源とする国及び政府関係機関等の会計において、このように不当な経理の多いことは、当委員会としましてもまことに遺憾に存ずる次第であります。過般も主婦連合会等より委員長あてに、予算の獲得の熱心な勢いに比べて国費の使用方途あるいはその締めくくりに怠慢が感じられる。決算委員会においては平常より監視を厳重にし、また不正使用責任者に対しては厳罰をもって臨まれるよう考慮されたいという熱烈な要望書が参っておる次第です。国費の不正使用に対する国民の憤激と、そしてこの処理に対する関心は非常なものがあると存ずるのであります。本日は特に鳩山内閣総理大臣の出席を求め、これらの点につきまして総括的な質疑を行うことといたします。なお発言時間等は、理事会の申し合せの趣旨を尊重して御質問願いたいと存じます。また総理大臣の時間の関係もありますので、質問は総理に対する質疑にしぼってお願い申し上げます。なお理事会の申し合せもありますので、鳩山総理大臣は自席より着席のまま答弁されてけっこうです。 それでは順次質疑を許します。山本正一君。
○山本(正)委員 決算に表われて参りまする批難事項を、いかにして改善するかということにつきまして総理の御意見を伺いたいと思うのであります。 ただいま委員長からもお話がありましたように、決算的批難事項というものは相当数多く発生しておるのでございます。ただいま国会におきましては、三十一年度予算の編成にそれぞれ努力を続けておるのでございますが、申すまでもなく政治の実体は予算でございます。しかしこの予算が一たび編成、改定されまして、その先いかようにこれが執行されておるものであるか、またその執行の結果が果して期待するごとき効果を上げておるものであるかどうか。要するにこの予算執行の指導監督というものが実に政治の内容であり、実体をなすものと思うのでございます。従いましてこの予算の執行が非常に紊乱をいたしまして はなはだしき年度におきましては五百億に近い不用額が生れる。不正行為、不当行為等の金額が数百億に及ぶというような事例さえございまして、これではいかようにこの予算編成に丹精を尽しましても、重要政策の遂行というものはそれによってゆがんで参ります。ついには予算の性格をも変貌するというようなおそれさえあり得ると思うのでございます。そこでここに申し上げます批難事項は、御案内のことと存じますが、事柄の性格、形態において三つに区分をしておるのでございます。 第一は、不正事項でございまするが、これは故意を伴うものでございまして、多くは横領、詐欺等の司法処分の対象になるべきケースでございます。これは近年の状況はおおむね三、四十件、金額にいたしまして一億前後ということでございます。 批難事項の内容、実体をなしますものは不当事項でございます。故意は伴わぬけれども、非常なる怠慢である、あるいは非常なる過失に基きまして国家に損失を与えておるというのがこの不当事項として扱うケースでございます。これは年々千数百件に及び、金額にして実に膨大なるものを数えておることは、委員長が先ほど申し上げた通りでございます。 もう一つは是正を要すべき事項でございまして、これは実態に不正、不当等のことはございませんけれども、扱う手続、形式において財政法等の形式に反しておるものでございます。中には会計検査院において是正を要するべきものと指摘されておりましても、行政執行者の実情を考えまするというと相当了とすべきものもあるのでございまするが、しかしこれは単に形式上の問題でなくして、こういう形式上の欠陥というものが軽視され、看過されていくところに順次これが不当事項に発展をいたし、ついには不正事項に及ぶおそれのある温床でございまするので、これらも相当是正を要するものとして重視しなければならないケースであると思うのでございます。 それで概括的に申し上げますが、各省、各庁の中でこの批難事項の最も多いものはどういうところであるか。これは第一に農林、次いで建設、運輸それから防衛庁、そういうふうな順序になっておるのでございます。批難事項が最も少いもの、成績のいいものから申しますと、法務省が第一であり、文部省が第二でございます。ところが総理に特に御留意を願いたいと存じますることは、近年、非常に成績のよろしかった文部省の中の国立大学についに批難事項が非常に多く発生するような現状でございます。これは特に注目すべき事柄であろうと思います。具体的に申しますると、国立の東京教育大学、東京農工大学あるいは一橋大学というふうな伝統を持ち、世人の信頼をつないでおりました国立大学に、こういう事項が起きて参りました。これは非常に憂慮すべき傾向であろうと思うのでございます。件数の多い農林、運輸、建設、これは補助金等の関係がございまして、多くはその末端の地方行政の方面に批難事項の起きておる実情がありますので、本省全部の批難事項ではございませんが、私は個々のケースについて総理の御意見を伺おうとはいたしませんが、御参考までに一、二実際の事例を申し上げておきたいと思うのであります。 本省関係におきまする批難事項の最も御留意を願いたいと思いまするものは、以前の保安庁、現在の防衛庁の関係に多いのでございます。たとえば二十八年、これは保安庁の時代でございまするが、自衛隊の使いますジープの購入に当りまして、はなはだしく処置の怠慢のために、市価よりも高価なものを買いまして、これが二億八千万円市価よりもよけいに払ったというケースでございます。あるいは火薬を買い入れるのに当りまして、その品物の検査が怠慢なために点火しない火薬を千四百九十万円買っておるのでございます。現実には必要でない品物を買いました等のものを総計いたしまして、二十八年度において三億九千万円予算を乱費しておるのでございます。さらに二十九年の防衛庁になりましてから、全然必要のない冬服及びその生地等を二億八千万円購入いたしまして、なけなしの国費を使いまして、それらの品物は倉庫にほこりまみれになっておるのであります。要らないということが明瞭にわかっておるものを買い入れたのでございます。さらに安全保障費の使い方において非常なる欠陥、怠慢と申しましても、これは見方によりましては怠慢では済まされない、常識的にはおそらくこれは故意が伴うのではなかろうかと思われるほどの怠慢でございます。たとえばいつ工事に着手できるか全然見通しのつかないようなものへ、たとえば民間の鹿島建設その他数社に対しまして六億九千万円前払金で現金を渡しておるのでございます。工事は年度内にもちろん着工もできませんし、竣工もできません。さらに電電公社に五億三千万円、年度末ぎりぎりのときにわずか一週間か十日の間にこれらの六億なり五億の予算消化ができないことは常識上明らかであります。にもかかわらずこれを総計いたしまして十二億二千万円渡しておるのでございます。予算分取り主義の弊害とでも申しますか、ともかくとっておけばどうにかなるであろうというふうな典型的な弊害がこういうふうに現われておるのであります。はなはだ遺憾だと思うのでございます。 もう一つ国有財産管理の面につきまして批難事項は非常に多いのでございますが、そのうちの一つの例は、瀬戸内海の浅瀬に沈没いたしました旧海軍の「梨」の問題でございます。これは漁業組合が魚巣に利用しようという目的で、国家は三百五十四万円で払い下げたのでございます。その後これがいろいろ不純なるブローカーの介在、活躍によりまして、引き揚げをいたし、若干の補修を加えまして、驚くべし三億八千万円で国家に売り渡そうというところまで進みまして、その実施の直前にこれが決算委員会の問題になりまして、ついて払い下げ契約を解除して、現物を国家へ返納するという結論にはなったのでございまするが、国有財産管理といたしましてはまことに怠慢きわまるケースでございます。 さらに政府機関の関係でございまするが、特に国鉄等には従来もいろいろ世人の非難を受けましたケースは数多くございまするが、数名の係の者が書類に判を押しましたその書類が、ふとんの五百九十枚の洗たくの代金が五百九十万円であった。つまり一枚のふとんの洗たく代が一万円である、こういうふうなむちゃな支出伝票に五人も八人もの人間が判をついて現金が払われておる。これは純然たる刑事問題でございまするが、今日なおその責任者が明確になっておりません。まことに驚くべき怠慢ぶりでございます。 こういう事柄でございまして、どうかしてこういう事態をこの際一つ思い切って改善、刷新しなければならない。一体どうしてこういう事故が年々相次いで起るのであろうか。特にここ数年来の傾向を見ますると、発生の件数においては幾分かふえる傾向を持っております。内容におきましては逐次悪質化しておる傾向さえ見受けられるのでございます。私ども決算を数年担任いたしまして思いますることは、これは一般の行政執行者の国に対する責任観念が幾分か乱れておるのではないか。さらにまた各省、各庁の最高責任者のこの予算執行に対する事前の指導、進行中の監督に少し手抜かりがあるのではないか、これがまず第一に痛感されるのでございます。それでさらに会計検査院の検査を充実をしたいということも考えられるのでございます。現在の会計検査院の持っておる能力は最高限にふるわれておるのではないかと思われまするが、いかんせんこの機能が貧弱でございます。そういうところにも一半の原因があろうかと思われるのでございます。たとえば会計検査院の昭和三十年度の検査の旅費でございまするが、これがわずかに四千七百五十七万二千円、事故が非常に増加の傾向にありますので、会計検査の充実をいたしたいという考えから、昭和三十一年度は相当これを請求したようでございまするが、わずかに五百万円弱この旅費の増額が認められた。二千七百万というものは、この旅費の予算を削減されておる。こういうことで複雑なる事業あるいは重要なる事業の現地検査が意のごとくいかないというようなところにも、批難事項発生の原困の一半があるように思われるのでございます。 さらに批難事項の責任者に対しまして、どういう処分をしておるのであるか。この処分は非常に不徹底でございます。しいて申しまするならば、これらの批難事項の責任者に対しまする今までの状況を見ますると、処分をしないということが原則であるように見受けられるのでございます。これは一つの実例でございまするが、農林省における二十八年の不当事項というものは九百四十八件でございます。この中で処分を受けましたものは、減給が一件、戒告が二件、合計三件でございます。事故件数九百四十八件に対する処分件数三件というものは、三百十六分の一の処分のパーセンテージということでございます。これは原則的にもう処分しないということ、処分をするものは例外であると申しても過言ではないと思うのでございます。しかもその処分の程度でございますが、減給は一カ月の三十分の一給料を減ずるということでございますから、具体的には一日分の給料を減ずるということでございます。驚くべし、昭和二十八年の保安庁で行なった処分の最高の程度がこの程度のものでございます。こういうところからもどうも責任観念の徹底が欠けておるのではないか、こういう実情でございまするから、総理はこの際従来のような御方針に一段と思いを注いでいただきまして、それぞれの省の改善刷新の実を上げられるように、特に御考慮を願いたいと思うのであります。 ただ一つつけ加えて申し上げたいと存じますことは、信賞必罰を厳に励行これるということは、この際必要と思いまするが、今までに批難事項の多い一面において、行政執行者の中には非常に工夫をこらし、非常に努力をしし、効果的な予算の執行ということにかなり功績を上げておる人も少くなかりうと思うのであります。政府はどうぞそういうような事実、そういうようは人を広く世に紹介いたし、そうして昇給にせよあるいは進級にせよ、それらの人に十分報いるところをもってして、そうして一般の行政責任者がそういうような人、そういうようなことを目標にし、模範にして改善刷新の一翼をになわれるように御考慮を願いたいと思うのでございます。
○鳩山国務大臣 山本君から個々についていろいろのお話があり、委員長からも概括論のお話を承わりまして、私もこの綱紀粛正の問題は非常な重大な政務の一つだと考えております。どうしてこういうような事件の起きないようにするかというような事柄については、いろいろなやり方があるとは思いますけれども、ただいまは簡単に私の考え方だけを申し上げておきたいと思います。 行政機構の整備をするということが必要である。なお公務員制度の改正等も考究しなくてはなりません。会計検査院諸制度の整備、各省各庁における内部の監査あるいは監督機構の充実強化等についても、さらに研究をいたさなくてはならないと思います。なお最後に山本君が言われました信賞必罰論、すなわち勤務成績を勘案して表彰も研究すべきではないかというようなお話もありましたが、これもしごくごもっともと思います。詳細な事柄については各省大臣から説明をしてもらいます。
○上林委員長 次に吉田賢一君に御質問を願います。
○吉田(賢)委員 きょうは与野党の立場を離れまして、日本の財政執行上現われまするあらゆる乱脈をともに憂うるという立場におきまして、総理の御所見を伺いたいのであります。私はあなたの御健康のことも考慮いたしまして、できるだけ簡単にお尋ねいたしまするから、あなたの方からはなるべく詳しお述べ下さったら大へんけっこうと思います。 第一に伺いたいことは、申し上げるまでもなくあなたは内閣の首長といたしまして国全体の行政の最高の責任機関の中心におられます。そこで一兆円をこえる年々の予算が決算に現われまして、やはり少くとも百億円をこえる批難金額が会計検査院で指摘されております。こういった面を当委員会で一々あげておりますると、政府提出の検査報告書を通じてみましても、非常な各省庁の予算の乱費ぶりはわれわれの目をおおうものがあるのであります。今山本さんが二、三例をおあげになりましたけれども、これはほんの二、三の例にすぎません。ここにありまする六百二十五ページにわたりまする検査院の報告書の中にあります一つ一つをとって、ほんとうにかみしめて考えてみましても、私どもは予算執行の乱脈ぶりに驚くのであります。そこであなたにお伺いしますが、事こまかいことは御承知ではないか存じませんけれども、大体におきまして各省庁の近年における予算の乱費の実情ないしは政府関係機関の予算とか財政資金の乱用の実情については、例を多くあげません、私はこの際差し控えまするが、大体の乱費、乱脈の実情については御了承のことと思いますが、いかがでございますか。
○鳩山国務大臣 具体的の詳細は事柄については存じない点もありますけれども、大体において予算執行者の責任の重大なることを考えております。
○吉田(賢)委員 たとえば防衛庁の二十九年度の需品の調達の実情についてみましても、三百十八億使っておるのであります。ところが会計検査院が指摘したものを集計いたしますると、四億三千一百万円が不当行為である、こういうことになるのであります。総理府所管の一庁におきまして四億数千万円の不当購入が行われておるのであります。こういうようなことでございまするので、この金額の面あるいは乱費の実情、よって来たるところ、またその結果もしくはその現状、こういったものにつきましては、一つ一つは御承知でないか存じませんけれども、おそらくは周囲におる練達の方々があなたの耳にこれを入れておると思うのであります。検査院の報告書は一般の歳出歳入決算書に添付しまして政府が提出されたものでございまするが、閣議におきましてもこれらの予算の不当使用、不正使用というようなことは問題にならぬのでございましょうか。
○鳩山国務大臣 そういうような話はありまして、各閣僚に対して注意は発しております。
○吉田(賢)委員 そういうような話というのじゃわれわれ国民の代表としてははなはだ納得いたしかねるのでございます。政府はすでは数千件の不当事項をみずから認定いたしまして、国会に審議を求めておるのでございます。従ってあなたのお立場といたしましては、これを改善するにしても、ないしは根絶する対策を立てるにいたしましても、この事実について少くとも重要なことについてはことごとく閣議の重大な課題にせられなければならぬ。数十億円ないしは数百億円が不当とか不正とかいわれて、それで国民の血税が人のふところに入ってしまったり、あるいは飲食に使われてしまったり、どこかへ幽霊経費に流れてしまったりというようなことで、しかもこれが重大な閣議事項にならないということで、一体どうして予算の正しい適正な執行ができるのであろうか。私はこの点深く憂うるのでございまするが、総理はどうお考えになりますか。
○鳩山国務大臣 政治の重大なる問題でありますから、いかにしてそういうような綱紀粛正ができ得るかということについてはよく相談をしております。それから行政機構の整備をいかにするか、公務員制度の改正をいかにするか、会計諸制度の整備をどうするかというようなことを相談をしておる次第であります。
○吉田(賢)委員 今の御説によりますと、概してよって来たるところは、国費乱費の原因をなすところは制度の欠陥にあるかのごとき御説でございますが、果してそういうお考えを持っておいでになるのでございましょうか。ここにあげられております幾多の不当、不正の事例を見ましても、たとえば今安全保障費の点についきまして同僚山本議員からお述べになりました。これは横浜の岸根地区の問題でございます。われわれも現地を見て参りました。これは大蔵省、建設省あるいは電電公社などもみんな参画いたしまして、約七億円の金を前金払いしておるのであります。前途使用見込みのないような土地に対しまして、そういう金を払っておるのであります。でありまするから、これは一概に制度の欠陥とし、行政機構の改革によるのみでは解決し得ないものであろうと思うのであります。官吏の腐敗、政府の綱紀紊乱ということがより重大な原因をなすというふうにはお考えになりませんか。
○鳩山国務大臣 そういうようなことはむろん考えております。それについては大蔵大臣から、いかなる方法をとってこの粛正に熱心なる努力を払っておるかということをお聞き下さらんことを望みます。
○吉田(賢)委員 あるいは大蔵大臣の責任かもわかりません。あるいは他省の大臣の責任かもわからぬ、当委員会においていろいろと究明したところによりますと、一事務官、局長だけの責任で終らぬような事態が判明したのであります。しからばこれらは制度の欠陥もあり、あるいは官吏の腐敗もあり、さらにひいては主任大臣の行政事務の指揮監督がよろしきを得なかった、それが適当でなかった、行き届かなかった、こういうことにも原因があるのではないかと思いますが、それはいかがでございますか。
○鳩山国務大臣 お考えの通りと私は考えます。
○吉田(賢)委員 さらに伺いたいのは、これらのよって来たるところについて、とかく世間におきましては、あるいは国会議員あるいは民間人が陳情、饗応などをすることがその原因をなすというようなことさえ世上流布されることがあるのであります。そういったことも直接、間接国費乱費の原因をなすというようなことは総理としてお考えになりますかいなや、いかがでございますか。
○鳩山国務大臣 こういうような事件の起るのはいろいろの原因が加わるものと思いますが、個々の事件について私はよくは承知しておりません。
○吉田(賢)委員 第一国会から今日までの会計検査院の報告書を通覧しますると、毎年ページ数が増大するのでございます。去年は五百ページ、今年は六百ページというふうに増大していきます。そして手が足りない、金が足りない、洗えば幾らでもある。中には未整理の分をやむなく千分の五だけ一応摘出して、あとは捨てておく、こういう実情であります。こういうことを年々歳々繰り返しておるということは、天候のごとく雨は降るものというようなお考えがありはしますまいか、これは社会的にも多くの原因があって不可避の現象である、こういうこともお考えになりませんでしょうか。
○鳩山国務大臣 この綱紀粛正はどうしてもその目的を達成しなくてはならないと思います。そのことを不可抗力だとは思っておりません。
○吉田(賢)委員 すでに不可抗力にあらず、不可避の現象にあらずということになりますれば、制度の欠陥も是正しなければいけませんし、あるいは官吏の腐敗の粛正もしなければいかぬし、断固綱紀の粛正をはからなければいけませんし、主管の行政の主任大臣の監督、指揮というものもよろしきを得なければいかぬ。さらにこういうことの結論として、一体これはだれが責任を負うのでしょうか。税金を納めた国民に責任があるのでしょうか。それとも関係行政府の責任であるのでしょうか。それともこれを監督する国会の責任であるのですか。いずれに責任があるというふうに総理はお考えになりますか。
○鳩山国務大臣 行政の監督は政府の責任にあると考えます。
○吉田(賢)委員 予算執行の行政上の責任政府にあり、政府の首脳部は内閣にあり、内閣の首班はいうまでもなく総理であります。しかる以上はやはりこれらの問題につきましては、あなたは全責任をもって善処せられなければならぬと思います。あなたのお言葉によるならば、これらのこの不当と批難されましたところの莫大な財政の乱脈につきましては、全国民に対して政治的に全責任を負わなければならぬと思います。重ねてその点を申し上げまして、一つあなたの御所信を伺いたい。しからばいかなる覚悟をもってこれに臨まれようとするのか、これは単に机上の問答で終らすべき問題ではございません。手に汗を握って血税の行方を探究せんとしておるのが国民の今日の実情であります。毎日親子心中、一家心中が伝えられておる悲惨な社会の実情を思いますときに、われわれは数十億、数百億円の金が、政府の責任下において乱費せられておるということを思いますると、その行政の首脳部でありますあなたは、一体どういつた信念と心持ちをもってこれに対処せられようとするのでありますか。
○鳩山国務大臣 こういうような綱紀の粛正はぜひやり遂げねばならない、これは私の責任であると考えております。
○吉田(賢)委員 あなたの責任で綱紀を粛正しなければならぬとおっしゃるが、あなたの内閣においてさきのごとき乱費が継続されておる。あなたも一昨年十二月に御就任になって以来第三次内閣を組織せられたのであります。三次目でありますけれども、依然として跡を断たぬのであります。でありますので、これに対しましては相当な決意をもって臨んでもらわなければなりません。すでにあなたは政治責任を負うべきことを申されておる、しからばいかにしてこれに対処せられるか。第一に伺わなければならぬことは、一体今日までこの数百億の国費を乱費した役人に対しまして、なぜもっと強い追及をせられないのか。また末輩の事務官を首にしてそこらの路傍に迷わすような目にあわせて、なぜ上層部が責任を負わぬのですか。上部が責任を負わずしてこういった跡が断てますか。それは百年河清を待つという言葉と同じであります。どうしてもやはり責任者が責任を負わなければならぬ。責任者は上部であります。最高はあなたに帰する。だから上層部にその責任がありということになりましたならば、それは全体の末端は粛然としてこれにならって従ってくるでしょうが、てんとして恥じるところがない。人ごとのように思っておる。たとえば幾多の大臣その他の政府委員も見ますけれども、以後注意します、慎重にやりますと、ここで陳弁して、みんな紋切り型でございます。幾多のことがみんなそういった言葉であります。これは言葉だけなんであります。身をもってこの責任を負うということは言葉じゃないはずであります。内閣の責任の最高のものは、最後のものは総辞職であることは憲法が明示しております。そこまで私は言おうとしませんけれども、ほんとうにこれに対して責任を負うという以上は、これはやはり上層部が担当の責任を負ってもらわなければいかぬ。そもそも一体検査院に七十三億円の不当、不正ありというふうに指摘せられて、だれ一人上層部に責任者が出ないということでどうして政治の綱紀が粛正されるのでありますか。どうして一体数百万の行政官吏を率いていくことができますか。これに対するあなたのほんとうに確固とした信念による御答弁を求めたいのであります。
○鳩山国務大臣 私はあなたと全く同感であります。
○吉田(賢)委員 しからば具体的にどうなされますか。これをもちまして私の質疑を終りますが、どうなされようとされますか。
○鳩山国務大臣 信賞必罰のことは、さっき山本君の質問に答えました通りに、よく事件を調べて、信賞必罰の原則は厳守していきたいと思っております。
○上林委員長 次に田中彰治君に質疑を許します。なお理事会の申し合せの時間も経過しておりますので、その点も考慮の上で質疑をお願いいたします。田中君。
○田中(彰)委員 本日鳩山総理大臣がこの決算委員会に気軽に臨まれたことについて、私は国家のために非常に喜んでおります。われわれは決算委員会に約三年席を置いて今日までいろいろな問題をただしてきましたが、前吉田総理大臣のごときは、いかなる方法をもって呼び出しても決算委員会に一回も顔を出されなかった。しかるに今度委員長からの申し出で総理大臣にその出席の御意見を聞くや、すぐに行ってその話を聞いて、自分が責任ある処置をとらなくちゃならない、こういう御答弁をいただいて、今日出席されたことについては、私たちは非常に満足しておるのであります。 しかし会計検査院から出ますこの不当事項につきましては、根本的に改めなければこれは絶対によくならない、直らない、こう私は考えております。その一つの例といたしまして、予算委員会においては予算を分配する際に、予算だけの分配にあらず、あらゆる行政問題、政治問題がそこに論じられて、そうしてこの予算の分配についてもあらゆる検討、論議がされるのであります。そうしてそれがそれだけでおさまらないときには、院外からその専門家を公聴会などに呼んでいろいろな検討をした上でこの予算が分配されます。これはこの予算が国民の大切な血税であるからそういう工合に重要視されるのだと私は思っております。しかるに予算委員会が済んでその分配が決定するや、その多額の予算がどの役所においてどういう工合に有効に使われたのか、どういう工合に不正に使われたのか、どんなことになっておるのかということを、確かめ、これを検討するこの決算委員会には、大臣初め役所の野部あるいは総理大臣などにおかれてはこれを非常に軽視されております。私は予算委員会よりもむしろ決算委員会の方が重要じゃないか、こう考えております。一会社におきましても、予算を分けるごと、予算を編成することは簡単でございますが、その予算をどういう工合に使ったか、どういう工合に有効に使われたか、むだがあったかこいうことの検討はなお重要視されております。しかるに国会においてはこれが反対だ。こういうような点を総理大臣はどうか認識されまして、今後予算委員会におきまして予算を分配する際には、少くとも決算委員長とか決算委員とかを予算委員会に呼んで、この役所ではこの予算をどういう工合に使ったか、あの役所ではこれをどうしたかというような点を聞かれて、それを参考にされて予算を分配されてこそ、初めてこの不当事項というものは少くなるのだ、こういう工合に私は考えております。この点についてぜひとも一つ総理大臣に、御考慮でなくて、英断でこういうような処置を鳩山内閣のときにやっていただきたい、こう和はお願いいたします。 いま一つ、総理大臣のようにどこの委員会にでもたやすくこうやって出ていただくことはけっこうでありますが、ほかの委員会は別といたしまして、決算委員会というものは政党政派を超越して国民の血税の行方をただすところでございます。それでありますから、これは政治的の策謀などがあってはならない。ところがこの委員会にもときどきそういうような傾向が現われてくる。たとえば一つの例に申し上げます。これは釈迦に説法であるかもしれませんが、今後総理大臣がいろいろな委員会に行かれて——わが党も三百人以上の党員を持っておるのでありますから、党員の中にあるいは不当なことがあるかもしれない。そういう場合は、党員であっても何であってもかまわない、党紀委員会にかけて、それが不当であれば徹底的に処分されたしいいと思う。そういうような点から、あるいは政治的策謀に総理が乗られて、そして万一のことがあって間違われては困るから、私がちょっと御参考に申し上げておきます。 昭和三十一年の二月十七日の新聞でございます。総理大臣が出席された参議院の決算で、委員長が、日本開発銀行が自民党のある議員のむすこの会社に融資し、一銭も返していないのにさらに三千万円の融資を受けておるような例を摘発された。そこで私たちはこの問題について取り調べました。ところが、ここに会計検査院長もおられますが、これはどういう批難事項であるかというと、この決算報告書によると、この金を借りた会社が利益が上っているにもかかわらず、元利金の支払いが遅延しているからこれを指摘したのであります。そこでこの利益が上っておるのかおらないのかということで、会計検査院の係の人を調べてみますと、彼はこういうことを言っておる。佐藤という事務官であります。それは開発銀行から金を借りるときの申込書に利益が上っておるように書いてあったから、それを根拠としてこれを批難事項にしたのであって、開発銀行へ行って調べたのでもなければ、その会社へ行って調べたのでもないという、こういうようないいかげんな批難事項をあげておる。そうしてしかも三千万円の金を借りておらない。これを調べてみますと、その会社は石原産業というものが持っておったが、これがつぶれてしまった。一つの島にあった鉱業所でありますが、これが工員全部がそこでいすわりをし、電気の線はみなとられてしまう、海底ケーブルの線もとられてしまって治安が維持できないから、長崎県の知事がある者に頼んでこの会社を引き受けさせた。そこで子の会社は前に復金から社宅を建てるのにたくさんの金を借りておったが、その社宅が焼けたりつぶれたりしておったというようなことは言わないで、その会社がその借金を引き受けてやった。やったところが成績が上ってきたから二千五百万円の金を開発銀行から借りた。ところがこの会社と姉妹的になっている振興鉱業開発株式会社にこれを保証させた。そしてその保証で二千五百万円の金を借りた。ところがこの金が遅延をしております。そしてこの会社に災害があり、あるいはまたこの保証した会社がつぶれたため、炭鉱界が非常に不況になったために、手形を九千五百万円不渡りにしてしまった。そこでこの金は遅延しているのですが、開発銀行に申しわけないというので——この保証した振興鉱業開発株式会社の財産は、興銀に千三百万円、それから税務署に四百万円、これが不当なものがあったので、これを支払いせなければならない。そこでこの会社がそれを全部払って、開発銀行に二番に入っておった担保を一番にしてやった。それでも足りないというので、また三千万円にひとしい担保を出して三千万円を設定させ、そして開発銀行の担保内容をよくしたという例にしかすぎないのであります。こういうものを政争の具に使っておるようなところもある。こういうようなときは総理大臣がよくこれをお調べになって、その人たちが再びこういうところで発言できないようにぴしっとやるくらいの研究を総理大臣もされた方がいいと思う。いま一つ私は総理の前で会計検査院長に申し上げるのだが、こういうことを調べないで批難事項にあげるというようなことは、私はよくないと思う。いま一つあなたの方で、造船疑獄、鉄道などを調べたときに、あまり目に余るようなものがあったが、そういうようなものは上っておらぬで、わずか二千五百万かそこらのものがあげられておる。そういうものをあげていないからどうしたんだということで調べたところが、三十三万八千円ばかりのものを、ある大きな批難事項の方で、会計検査院が酒を飲んでおるというような事項が私のところに上ってきている。そこで総理大臣の前だが、会計検査院長が、もしおれはそんな者の仲間に入って一ぺんも酒を飲んでいない、会計検査院の中にそういうことをした者がないというのならば、ここにちょうど法務省の人がおられるから、すぐそこに上っている人たちを調べて、その場所、金額、その相手を全部あげて私がここに指摘したとしたら、会計検査院長はこれに対して一体どういう責任をとられるか、総理の前で御答弁願いたい。
○東谷会計検査院長 ただいま田中さんからの御質問でございまするが、開発銀行の関係の批難事項が批難事項として一件掲げてございます。これは二二四六に掲げあるのでございまして、福岡の支店で二十九年の九月に振興飛島鉱業株式会社に二千五百万円を貸しておるのであります。この事実を実地に検査をいたしてみますると、開発銀行に出しております書類を調べて、それを念査してみますると、既往の貸付金があって、しかもそれが思うように入っていない。そうしてこの振興飛島の収支関係を銀行に出しておりますのを調べてみますと相当に利益が上っておる。それなのに既往のが入っていない。そこへ新たに二千五百万円の融資を申し込んだのでありますから、かような場合に、かような書類に基きまして融資をするということは差し控えたらどうだろうかというのがこの案件なのであります。ただいま田中さんから、それは内容がだいぶ違っているというようなお話がありましたが、私が今まで聞いたところによりますと、会社に出された書類、会社といいますか、開発銀行にある書類によっての念査の結果はその通りであります。他の書類によっての調査は、今お話を拝聴いたしましたので、私どももさらに調べてみたいと思っております。 なお後段の点におきまして、ほかの案件があって検査報告に掲げるべきものがあるのに、会計検査院の職員が供応を受けているような案件は除いてあるというように拝聴したのでありますが、もし何がし何がしが供応を受けているのではないかという事実があがったらどうするのだということでありますが、その事実がもしあがりましたときはそれに対して善処いたしたいと思います。
○田中(彰)委員 あなたがそういうことをおっしゃるからいけない。飛島は開発銀行から金を借りたことがない。前の会社が借りておってつぶれたやつを振興に引き受けさせて、振興はそれを引き受けてやって、成績が上ったから初めて二千五百万円借りたのであって、前に借りたのはほかの人だ。年限も違うからそういう点をよくお調べになって、今利益が上っているかいないか、炭鉱を調べてもあるいは開発銀行をお調べになってもいいのを、申請書に出してあった、そういうものを調べただけでそれを取り上げて政争の具に供されているのはとんでもないことだ。もう少しお調べ下さい。私も決算委員長をやった男だから、いいかげんなことは申しません。 次にもし会計検査院がこういう工合にして飲んでおったら、あなたは責任を負うと言われたでしょう。間違いありませんね。あなたも入っておるのですよ。私の方で検察庁、裁判所の調べたものを持ってこの次の決算委員会に臨みますから、そのときは善処なさい。これで終りです。
○上林委員長 内閣総理大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
○鳩山国務大臣 田中君のお話の中に、私に対してのお話がありましたが、私どもの方では十分注意をして検査をいたします。
○上林委員長 それでは一人一問に限って関連質問を許したいと思いますが、御異議ありませんか。
○山本(正)委員 僕は異議があります。党を代表した理事会で協定してそれが簡単にじゅうりんされるということは、将来の理事会の決定に影響を及ぼすから同意できない。
○上林委員長 関連質問として与野党一人一問ずつなら御了承願えますか。
○山本(正)委員 僕は同意できない。
○田中(彰)委員 理事会できめたのだから、山本委員が同意できないというのは当然だけれども、政治はそんなものでもないし、委員会は国民のためにやっておるのだから、一間ずつ両方で五分程度で……。
○上林委員長 山本君、了承願えませんか。——それは速記をやめて。 〔速記中止〕
○山本委員 速記を始めて。あまり長時間にわたった場合は私が発言を制限しますから、それを了承の上、与野党一人ずつ一問だけ関連質問を許すことにいたします。山田長司君。
○山田委員 私が総理にお伺いいたしたいことは、最近地方の人たちの生活がこの政治のためにますます困窮に陥りつつあると思うのです。それで末端の税務署員は二千円か三千円の税の滞りがあっても、これが徹底的な取り立て方をしているにかかわらず、一千万円以上の滞納会社が百八十三社、三千万円以上の会社が三十一社、五千万円以上の会社が二十四社とあります。しかも当決算委員会は管財局長に何回となくこれらの会社の名前を明らかにしろと追及をしております。しかるにこれらの会社は一割五分から一割八分くらいの配当までしているにかかわらず、会社の名前を明らかにしておりません。一体どういう点でこういう会社の名前を明らかにせずにおるのか、さらにこういう大きな全国的な整理の処理をやっておるときに、こういう問題について総理は一体どういう所信をお持ちになっておられるか、これを伺いたいのです。どうぞ一つ明快な御答弁を願いたいと思います。
○鳩山国務大臣 私はその問題についてはよく存じませんが、とにかくできるだけ調査いたしまして間違いのないようにいたしたいと考えております。詳しいことは大蔵大臣からお聞き取りを願います。
○上林委員長 次に生田委員に発言を許します。
○生田委員 私は山本委員の質問で大体尽きておると思うのですが、ただ一つ、単に綱紀粛正という観点からではなく、わが国の政治の面で直し得る最も大きい問題がありまするので、それをお尋ねいたしまして、総理によく御了得を願って善処していただきたいと思います。それは農業共済組合の問題でございます。農業共済組合には、たとえば昭和二十八年度にいたしますと事務費の補助金が約二十億、それから農業の災害の保険金が百八十億、合計二百億ほどの金が出ておるわけでございますが、その金を組合が受け取りまするのには、その共済組合の組合員が賦課金を出していなければその金はもらえないことに法律の建前でなっておるわけでございますが、ところが昭和二十八年度に二百億ほどの金が政府から出ましたけれども、それがどのように使われておるかということを会計検査院の方で調べた御報告によりますと、大体八県百二十九カ町村についてお調べになっておるのですが、その八割前後はきわめて不当な受領をして、不当な金の使い工合をしているわけです。それはどういうことかと申しますと、そのほとんどの組合は組合員から掛金を徴収せずにおるわけでして、従って災害のない年はほとんどがその掛金は未収でございます。災害のありました年に災害保険金によって組合員の掛金をかけてみたり、または農業協同組合の出資金に充ててみたり、あるいは後年度の組合員の掛金に充当するためにこれをためておいてみたり、また中には組合長の個人の金として銀行に預金をして、何かに使うために温存しておるというような状態であります。これを報告書の事例で見ますると、はなはだ残念な話ですが、私の県にも、徳崎県那賀郡のある組合は共済金を組合員に全く支払わなかったとして百四十四万円が出ておりますし、また愛媛県の組合ほか十七組合が六千七百万円の金を組合員に払っておりません。それからまた災害が起きましたときにはその災害の水増しをするのですが、たとえば兵庫県のある組合は三倍も四倍もの水増しをして、実際に三倍の金をもらってその金を不当に支出をしておる。また愛媛県のある組合は、二十八年度に組合員から徴収したといっておりまする掛金三十四万幾らはすべて保険金の中から支払っておる状態です。これは八県百二十九カ町村を調べたのでございますけれども、ほとんど全国的にその比率を推し広げていっても差しつかえないと思います。そこで問題は、農業共済保険制度は、わが国の農村の社会保障制度の徹底したものであるというお考えで、その政策の上ではわれわれ大いに賛成しておるものです。そうしてその制度が法律でできておるのですが、その制度、法律の中で、ほとんど全国の八割もの組合が、そのように金を不当に使っておるということになりますと、これはゆゆしい問題であります。そうして二十八年度にこの問題は出て参りましたけれども、二十九年度におきましても、三十年度におきましても、この状態は全国においてはほとんど改善されておりません。私が最近に私の国へ帰りまして農業共済組合の幹部の連中と懇談いたしましたときに、そのほとんどすべての組合がそのようにしておるということをみずから是認をしておりました。そうしてどうすることもできない問題で、組合員の掛金を徴収することはわれわれの実力をもってしては不可能だということを訴えておるのです。それではこの問題は制度の罪なのか、あるいは手段がむずかしいのか、もともとの考え方が悪いのかということになりますと、これは政策の問題でございます。そこで農業共済保険制度というものをこのままで推し進めていきますならば、毎年々々そのようなことが行われる、これをこのままでおいていきますということは政治の恥辱ではないか、政府の恥辱でもありますし、またわれわれ国会がこのことを知悉しておりましても、これに手をつけないというのは、これは国会自体の立法権からいいましても国会の恥辱にもなる、そういうように思われるのですが、単に綱紀粛正というばかりでなしに、政策の面から是正していかなければならない問題がございますので、こういう問題を政府の方でお取り上げになって検討していただかなければ相ならないかと考えるのですが、総理大臣は主管の閣僚に命じられましてこの点をよく精査していただいて、そうして法律を改廃する、あるいは制度を改善することによって免れる問題は、綱紀粛正とはまた別の観点でしていただかなければならないと思うのですが、お考えのほどをお示し願いたいと思うのであります。
○鳩山国務大臣 よく調査をいたしまして、悪い点は直ちに修正をするように努力をいたします。
○上林委員長 これにて本日の総理大臣に対する質疑は、申し合せの時間が変りましたので、この程度にいたしたいと思います。総理大臣、退出されてけっこうでございます。それでは質疑を続行いたします。
○一萬田国務大臣 ただいまの御質疑のことはよく調査をいたします。今お話によれば一割以上も配当しておってしかも滞納しておるということであれば、これをよく厳重に調べていきたいと思います。
○山田委員 ただいま大蔵大臣は調査がしていないと言われていますが、実は国税庁の調査課では、すでにこの調査をしております。昨年やめられた大蔵省の管財局長の窪谷氏に対しましては、本席でこの問題については質問をしておりますので、その後調査はできておるわけなんです。それで資料に基いて私は言っているのですが、非常に多額に上る金額が、二十四社の場合は一社が大体二億五千万も滞納しているのですけれども、これが未徴収であるにもかかわらず、大蔵大臣が知らずにおるというようなずさんなことで、あなたは税の徴収は一体完全にできると思っているのですか。この点について調べていないというのはどういうわけですか。
○一萬田国務大臣 国税庁長官を呼びまして、なおよく理由をただしてみよう、こういうことであります。
○山田委員 私はさらに大蔵大臣にお願いをいたしますが、大体この大会社なるがゆえに、前の窪谷管財局長は、利益の配当はしているけれども、名前を明らかにすることができないということで、いかなるわけでこれを明らかにすることができないのだということを詰問したわけなんですが、そのときにも会社の名前を明らかにしておりません。大蔵大臣はこの場合、会社の名前を明らかかにするかしないか、明らかにしてもらいたい。
○一萬田国務大臣 そういう点も、私は滞納がいかに考えてもおかしいじゃないかというような意味合いで滞納している場合は、何も発表しても私はいいと思います。ただしかし滞納の理由はいろいろありましょう。またそれを発表した結果がどういうふうになるのか、そういう点経済的にも考慮をめぐらさなくてはなりませんから、そういう点は十分国税庁長官に事情を聞きましてその上で発表するかしないかを考えていきたいと考えております。
○山田委員 ただいま大蔵大臣の答弁を聞いておりますと、何となくあいまいで、会社の名前を明らかにする意思がないようですけれども、ないといっていいのですか、明らかにするのですか。
○一萬田国務大臣 何もあいまいじゃありません。ただよく事情を聞いて、その上で何でもものことをするのですから、よく事情をただした上ですることは、決してあいまいではないと私は思う。
○山田委員 どういう理由の場合に、あなたは発表しないようにするつもりですか。
○一萬田国務大臣 それは発表することが、私の考えでは一般に社会的に考えて適当でないと思ったとき、それで何も個人の利益を庇護するというようなことは考えておりません。社会的に悪影響を及ぼすというような場合は考えなければならぬ。
○山田委員 どういう場合が悪影響を及ぼすものとあなたは認定されるのか。大体一割五分も一割八分も利益を配当している会社が、悪影響を及ぼす理由なんというものは、私には理解できないのですが、そういう点はどうお考えですか。
○一萬田国務大臣 滞納の理由をよく聞いてみよう、その滞納理由いかんによってはこれは発表してもよい。私は実を言うと、大蔵当局としては政治的にものを考えずに、かりに税ということを考えれば、当然発表して、私は滞納した者はずっと一覧表を作っていいくらいに考えておるのですが、しかし政治ということになってくると、単に税を取るばかりでもいけない。そういうことをすることによって、一般社会にいかなる影響を与えるかということは、やり考慮しなくてはならぬ。そういふうなかね合いで考えてみようというのでございます。
○山田委員 一割五分ないし一割七分も配当している会社の名前は、私が言っているのではなくて、当時の管財局長が言っているのです。一体何のために、配当している会社が脱税しておっても、これが社会的に及ぼす影響はどうの、こうのとあなたは言われるのです。何のために配当までしている会社の税金を取らずに置くのです。脱税をしているのをあなたは認めるのですか。
○一萬田国務大臣 一割七分の配当をしておる会社が滞納しておるということは、実は私いろいろとまたお叱りを受けるかもしれませんが、その報告にも接していないのです。ですから管財局長あるいはまた国税庁長官を呼んで、何がゆえにそういうものを報告しないかとただして、その理由をもよく聞いてみよう、こういうことでございます。
○山田委員 納めずにおく以上はどの会社も事情を持たない会社はないと思うのです。その場合あなたは社会的影響を及ぼす会社がある場合にはこれは発表しないと言われるが、それでは社会的影響の少い部門の三千万円とか一千万円とかいう滞納の場合は発表する意思がありますか。
○一萬田国務大臣 それは同じ滞納にしましても、私の考えているところは、これは専門家はまた違うかもしれません、いろいろ理由があると思います。真にやむを得ないような理由で滞納を余儀なくされているものもありましょう、また悪質でしないのもあると私は思うのであります。そういう場合に真に余儀ない事情から滞納をしておる、かりに何千万円の滞納をしたにしても、それをぼこぼこ発表すると、これは銀行の融資もとまるでしょう。その会社の信用状況は全然なくなる。そうすると、取れるであろう税金も取れなくなる。これは私は徴税の技術の上からもやはり考慮を払ってみなくちゃならぬと思うのであります。そういう諸般の理由をよく研究した上で、それから考えようということであります。何も私はこれはそう一日、二日をやかましく言われぬでも、よく研究してみよう、こういうわけであります。
○山田委員 あなたは一日、二日のようにお考えになっておられますが、そうじゃない。この問題は何年という間懸案になっているのだ。だから私は強く聞くわけなんですが、今の大臣の答弁ではさっぱりこれは今後も発表する意思がなさそうです。一体、一般商店の場合、一般人民の場合においては三千円か五千円でも、名誉毀損をするような事態が幾らでもたくさん税務当局においてなされているのだ。だから私は尋ねるのです。あなたはほんとうに発表する意思はないのですか、どうなんです。
○一萬田国務大臣 私は今まで答弁で何も発表しないとは言っていないのであります。そういう理由を明らかにして、そうして考えよう、こういうのです。そこで発表するかせぬかということは、よく理由をただした上で、発表するかせぬかの基準的なことは、これは社会的に影響がいいか悪いか、あるいは今言うたようにそれが悪意でもない、会社は大きいかもしれぬけれども、余儀ない理由で滞納を余儀なくされているということを、ぼこぼここれを発表しますと、いかにも爽快のような気もしますけれども、取るべき税金も取れぬ、そのためにまた破滅する。そうしてまたそこに失業者が出まして、多くの人がまた路頭に迷う。これはあなたの言うようなそう簡単なものじゃありませんですよ。
○山田委員 大臣の答弁を聞いていますと、どうも発表しないように了解させるような仕方でありますが、やはりこういう問題は明らかにしないと、私はまじめに税金を納める人がばかを見るような世の中を、大臣みずから奨励するような形を作っちゃならぬと思うのです。そういう点で大臣にもう一ぺんよく慎重にお考えの上明らかにしていただきたいということです。もう一つどういうことをお尋ねしたいかというと、私は次に外郭団体の問題についてあなたに尋ねたい。なぜ外郭団体の問題を尋ねたいかというと、私がざっと調べた範囲で二百億近い金か各省から出ていると思うのです、私はなぜそういうことを申し上げるかというと、農林省には百九十九の外郭団体があります。運輸省には百五十九の外郭団体があります。あるいは建設省、文部省、通産省等数えあげますると、おそらくこの状態では三千くらい外郭団体があるに相違ないと思います。その外郭団体の中の一、二を話しますと、たとえば三千万円の金を年々出しておりまする運輸省の建物の中におりまする調査局というものがあります。だれが見ましても、運輸省の中にある調査局でありますから、運輸省のものと思いますが、全然運輸省のものじゃありません。そういうところへ三千万円金が出ています。そのほか運輸省だけの関係のいろいろな外郭団体に、あるところには百五十万、あるところには二百五十万、あるところには百万というような工合にたくさん出ているのですが、大蔵大臣は一体予算を組まれるときに、こういう問題についてどういうお考えで処理をなされておるか、参考に伺っておきます。
○一萬田国務大臣 私の考えは外郭団体はそれぞれ一応そういうものが発生する理由があって発生したと思うのでありますが、しかしおもしろくない外郭団体もまたあると思います。従いまして、できればなるべく外郭団体は私はやめたいのです。なるべくやめたい、そういう方針で望んでおるのであります。
○上林委員長 吉田賢一君。なお大蔵大臣は今打ち合せましたところ、予算委員会の方で時間が来ておるそうでありますから、次の機会に来る約束をしておりますからそれを一つ十分……。
○吉田(賢)委員 私の大蔵大臣への質疑は次の機会に譲ります。 ただ今の山田委員からの御発言につきまして、外郭団体の問題は非常に重大なことであると思いますので、委員長から政府に向って、今あげました各省の外郭団体——何が外郭団体かという定義の問題がありますけれども、それは一応省におまかせするから、外郭団体なるものの名前とかあるいは構成、それから省との関係、そういうものを全部一覧表にして委員会へ出すようにおはからい願います。
○上林委員長 それは出していただけますね。了承いたしました。 —————————————
○上林委員長 それでは日程によりまして、政府関係機関の収支(日本開発銀行の神通川電源開発融資)に関する件につきまして調査を進めます。 本日は参考人より実情を聴取するのでありますが、前回の委員会におきまして決定いたしておりました北陸電力社長山田昌作君が、病気のため出席できかねる旨診断書を添え、同副社長山本善次君を出席いたさせておりますが、この取扱いにつきまして、理事会では、委員会において決定した参考人について単なる診断書のみにては参考人の変更は認めかねるということでありましたので、本日は参考人より実情を聴取することは延期いたすこととし、関係当局に対して質問することといたしたいと存じます。出席者を申し上げます。通産省公益事業局長川上為治君、鉱政課長磯野太郎君、建設省河川局次長淺村議君が出席しております。御質疑はございませんか。——御質疑がないようでありますから、本日はこの程度にとどめます。 これにて散会いたします。 午後二時四十七分散会