外務委員会農林水産委員会連合審査会 第1号
- 発言数
- 85 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1956/04/26
会議録
○前尾委員長 これより外務委員会農林水産委員会連合審査会を開会いたします。 僭越でございますが、慣例によりまして私が委員長を勤めますから、さよう御了承願いたいと思います。 千九百五十五年五月三十一日に東京で署名された農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定第三条を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。質疑を許します。各保田豊君。
○久保田(豊)委員 私は二、三の点について特に外務大臣と農林大臣に御質問いたしたいと思います。 第一に農林大臣に御質問をしたいのは、この余剰農産物の協定による、これを中心とするアメリカのいろいろの農産物並びにこれと連関を持ちまする外国食糧その他の農産物の輸入が、日本の農業にとってどういうような影響を及ぼしつつあるかという点について、政府はどのように認識をしてかかられておるかという点であります。もっと具体的に言いますと、なるほど現在はアメリカは非常にたくさんの余剰農産物を持って、これの始末に困っておる。従って、ある意味に考えてみますと、非常に有利な条件によって、日本におもなる市場を求めておる。その市場を拡大する意味におきまして特に日本は世界で一番よけいにこれを受け入れておる国であります。それで、単に経済的に見て有利だという点はわかります。しかし、そのことが実は日本の農業にとっては、非常に大きな破壊的な影響を及ぼしておることもいなめない。まず第一に今日の段階では、何といいましても外国の安い食糧がどしどし、しかも有利な条件で入ってくるのだから、日本の食糧の増産をしなくてもいいという空気が一般的にある。その結果は、端的に農業予算の削減ということになってはっきり現われている。ことしあたり見ましても、非常に大きな削減になって現われてきております。表面はなるほどことしは災害がないとか、あるいは共済の金が少くて済むとか、こう言っておりますが、たとえば日本の食糧増産の一番基本と思われる土地改良の事業等は、表面はほとんど前年と同じであります。しかしながらその実態はどうかというと、この余剰農産物の資金に連関を持って、外国農業の方にとられておりますために、約十億幾らというものがへっ込んでおる。たった十億ばかり減っても何でもないじゃないかと言いますが、これが末端にいきますとどういうことになっているかと言いますと、一例をとって申してみますれば、今日本の土地改良で一番大きな規模を持っているのは、新潟県の亀田地区であります。これは大体において一万五千町歩が土地改良をやっておる。ところが国営分はほとんどことし終ってしまったが、県営部分や団体営部分は多分に残っている。これをやらなければせっかく七億なり八億というものを今まで投資をしてやってきた土地改良が、支線なり、あるいは副支線ができないために、ほとんど効果をなさぬという状態です。しかもそれに対して相当の大きな資金が要るにもかかわらず、資金がどしどし削られてきておる。その結果はできないというふうな結果になっております。これを、今の状況ではまだ解決はつきませんが、かりに解決をつけたといたしましても、従来の補助がだんだん打ち切られて、日常部分が県営部分に落され、県営部分が団体営部分に落され、団体営部分が非補助部分に落されて、そうして借金ばかりふえるということになりまして、たとえば三十六年度では、たとい工事に必要な資金が完全に調達できたいたしましても、一反歩について、この新潟の亀田郷では約九千八百円ずつの償還金を支払わなければできないといういうような結果になってきております。こういうような方向へ至る面において、余剰農産物を中心とするいろいろののものが影響を及ぼしておるのであります。これは一例であります。日本の農業の構造も変ってきておる。しかもすべての構造が変ってきておるが、たとえば畜産にいたしましても、余剰農産物や世界銀行の資金と連関をいたしまして、畜産の奨励をしておるけれども、その行く先はまっ暗で、いつどうなるやらわからぬというような状況が至るところに出ておる。こういう犠牲をあえてして、しかも余剰農産物を入れるということになっておるのであります。どんなふうに否定しても現実にそうであります。ただ現在これがあまりはっきり現われておらないのは、例の食糧特別会計におきまして食糧のある程度の統制を維持されている、そうして外国の食糧でかせいだものを、内地の食料の価格維持にある程度使っておるというような関係においてのみ、これが表面化しないというだけであります。それも政府の政策では、食糧管理の方式をなしくずし的にだんだんこれを撤廃していこう。その基礎になっておるものはアメリカの余剰農産物であります。こういうものを積極的に入れるような態勢を政府はとっておる。その一番大きな窓口といいますか、一つのてこといたしまして、この協定をことしも結ぶのだと私どもは見ておる。こういうようなことで、特に本年度あたりは、米も御了知の通り未曽有の九千何百万石というものがとれておる。麦も、今のところ政府の見通しでは三十万石以上で、平年作以上になっておる。そうすると私どもは、ことしのように政府が四百二十万トンもの外国の食糧を入れる必要はないと思う。ないと思うにもかかわらず、いろいろの勘定もあるでしょうけれども、結局はアメリカの余剰農産物を中心として非常に多量の農産物を入れている 食糧を入れておるという結果になっておる。しかもこれが、政府が何と否定しようとも、なしくずしの食糧統制撤廃の一つの非常常に大きな基礎になつておる。こういう点について政府は地本的にどのような認識を持って、この余剰農産物の問題に対処しておられるか。ただ単にドルが要らない、そうして日本の円で買える、しかもその七五%——去年は七〇%だが、ことしは七五%が日本で借りられる。そうしてこれに長期の低利で借りられる。どうせ食糧は足らないからこれを入れた方がいいじゃないかというような、その場勘定の、目先だけの勘定でやられたのでは、日本の農業の基本的な方向というものは大きくずれてくるわけであります。こういう一点をどのように考えて——もっと端的に言いますならば、今の段階においてアメリカから余剰農産物を入れることがやむを得ないとするならば、これを入れておる間において日本農業をどのように発展させるかという基本的な方策が、予算の上にはっきり出てこなければならぬはずだと思う。この裏づけが何もない。むしろその逆であります。この点について基本的にどのようにお考えになっておるか、非常に抽象的な質問ですが、この点をお伺いしておきます。
○高碕国務大臣 ただいま御質問の点でございますが、余剰農産物を入れたからといって、決してこれによって日本の食糧増産計画というものを曲げるのではありません、日本の食糧増産は、どうしても五カ年間に米穀換算千三百万石を実行していきたい、この趣旨は曲げないのであります。いずれにいたしましても、現状におきまして日本の食糧か絶対的に足りないということは、事実であります。これはどうしても輸入に仰がなければならぬ。これはアメリカでは余剰でしょうが、日本にいたしますれば必要欠くべからざるものを入れる、こういう方針をとっておるわけでありまして、しかもこれによって入れましたその金の利用につきましても、できるだけ農産物の増産計画、特に長期に要しますところの土地改良あるいは愛知用水なりあるいは機械公団につきまして農産物の増産にある程度寄与するようにこの金を使いたい、こういうふうな考えでやっておるわけでございまして、決して根本的の日本の食糧増産計画をこれによって曲げるというようなことは断じて考えておりません。
○久保田(豊)委員 高碕さんは日本の食糧増産計画を根本的に曲げる考えは一つもないと言っておるのですが、予算の上ではっきりそう出ておるのであります。幾らあなたがそんな気持はないと言っても、現実の予算の上で、しかも農民が現実に受け取るものが今申しましたように途中まで計画が行って、金がなくて打ち切られる、打ち切られれば先に進まない、これを進めようとすれば金を借りてやるという方式で、最後のどたんばになると今申しましたように一反歩九千八百円の分担金を払うようになったら、日本の米作りはできないのであります。幾らあなたがそんなことはないと言いましても、現実がそう進んでおるのであります。いつもきまり文句で、そういうことは絶対ないということを河野さんも言われます、どなたも言われておるが、現実に政府の方針で、新農村計画で米や麦はもう作らぬでもよろしい、なるべく金のもうかりそうなものを作れということを口に出して、それに対して十五億近くの金を出しておるじゃありせまんか。しかもそれによって何を作っていいかという保証があるかというと、そんなことはわからぬ。今何を作りましてもちょっと作ればみな非常な過剰になりまして、しかもそれにはアメリカからこの協定に連関したいろいろな品物が入ってきて、これがちょろちょろやってみなたたかれておる、こういうのが今日の実情です。ですからあなたがおっしゃっておるそういうことは私どもは信用はできない。現実の予算面でも予算の実施面でもそうなっておるのであります。特に本年度のように米や麦が相当の豊作が予想されておるにもかかわらず、なぜこんなにたくさん入れる必要があるのか。米は御承知の通り九千七百万石もとれておる、政府の手に集まったのは予想以上集まっているかもしらぬけれども、民間にはまだたくさんある、麦も今のところの予想では、三千万石以上ということになっておる、なるほど需要もふえてはおりましょうけれども、やりようによっては四百二十万トンという農産物を人れなくてもいいにもかかわらず、アメリカの余剰農産物を中心としてそれの上積みの普通の輸入、これを中心として全体の食糧輸入というものが非常によけいになっている、こういうのが実情であります。この問題について盛んに今政府は麦をどうする、米をだんだんなしくずしに落としていこうという方策をとっておるのであります。今の高碕さんの御答弁では私どもにはどうも納得がいきません。しかしこれは幾らやってもおそらく単なる議論になろうと思いますから、もう少し具体的な問題を二、三お尋ねいたします。 そこで第一点にお伺いしたいのは、これの見返り円であります。ことしは七五%になりまして約百七十七億というものの見返り円があることになっております。そこでこの使途についてアメリカ側とこれを協議するということになっておりますが、これは何かのひもがついておるのじゃないかということを私どもは考える。第一に今申しましたように日本の農業にかなり大きな脅威と圧迫を加えつつやむを得ず入れる金であります。従って普通の常識から言えば、私どもはこの見返り円というものは、日本の農業の基本的開発のために当然使わるべきものだと考えます。しかるに昨年度は御承知の通りわずかに三十億愛知用水に使えということになっている、本年度は四十何億でございますか、それだけ使うということになっております。しかもそのほとんど大部分というのは、昨年度は御承知の通り電源開発、ことしも大きなものは電源開発であります。そしてそのほかに森林開発とかあるいは港湾とかテンサイ糖とか、あるいは中には、これには出ておりませんか、来年度あたりは河野さんの地盤の城ケ島へ夢のかけ橋を作る経費もこれから出るといううわさも飛んでおります。これはどうしても私どもはわからない。これは何かアメリカの方から、うわさによりますと日本の農業を発展させるためにこの見返り円を全面的に使ってはいけない。ほかの目的のために使えという大きなひもなり圧迫があるものとしか考えられないのであります。片方においては日本農業の基本的開発の資金がどしどし削られて少くなって困っておる。その方には使わずに、そのほかの方へどしどし使うというふうなことはどうしても私どもにはわからない。この点については協定できめるようになっておるようですか、何らかのこれに対して根本的な制約があるのかないのか。もしないとするならば、政府はこういう日本の農業の基本的な後退をやるようなことを片方でこの農産物によって強要しておりながら、しかも片方においては農業の開発資金が年々少くなって非常に困っておる。そのときになぜこの余剰農産物の見返り円を全面的に農業開発に使わないのか。ほかの方の目的により以上に使って、農業関係に使うことが非常に少い。しかも農業関係に使うといいましても、さっき言いましたように森林開発であるとか、あるいはテンサイ糖のあれ、あるいは東京湾の埋め立て、漁港、なるほど大きな意味では日本の第一次的原始産業を盛んにすることも必要でありましょうけれども、それよりもっと焦眉の問題は、基本的な米麦なり、日本農業の基本的なる開発の資金不足に悩んでおるところのこの方に全面的に当然使わるべききものと思うが、これを使わないで、アメリカから何らか日本農業の発展に使ってはいけないという要請があるとしかわれわれは考えないか、あるのかないのか。もし今まで政府が言うようにないとするならば、なぜ日本政府としてはアメリカに今年のような内容の見返り円資金の使用計画の相談をかけたか、この点をはっきり一つ御説明をいただきたい。一つは外務大臣、一つは高碕さんから。
○重光国務大臣 この協定の取りきめの交渉の経過から申し上げるのが私のなんでございます。この協定には、御承知のように余剰農産物の受け入れ、使用目的の大綱については合意をいたしております。これは向うとの協定で大綱だけについては合意をいたしております。これはやむを得ない当然のことでございます。しかしその大綱の範囲内においては、これを使用することについて完全に使用の自由を持っておることになっております。そこでひもつきということはないのでございますから、これは同じような説明を過失においていたしましたが、それを繰り返さざるを得ません。そういうことに相なっております。
○久保田(豊)委員 今の外相の御答弁で使用の大綱というのはどういうことなのですか。日本の農業の基本的な開発のために全面的に使って悪いという大綱でしょうか。あるいは単なるばく然とした経済開発のために使うというふうな大綱ですか。
○重光国務大臣 それは協定の内容になります。「借款の資金は、日本国政府が次の目的のために使用することが合意される。灌漑、排水、開拓及びこれらに関連する事業」といって、農地開発等にも十分余地があることに相なっておると思います。それが第一で、二、三、四、五とあります。これは全都申し上げるまでもございませんが、それで農産物の増産等については十分使用ができることに相なっておると考えております。
○久保田(豊)委員 それ、私どもも承知しておるのですが、その場合の開拓とか開墾とかあるいは畜産とかいうことは、今日本でやっておる大規模開墾といいますか、それに限られるのですか。それとも一般の土地改良なり一般の増産なり、一般の畜産政策に及ぼしていいものかどうか、ここに問題があるのであります。もう一歩具体的にいいますと、今日本の国内の農業政策では、これはまだあとに一つ問題がありますが、この見返り円の入りますいわゆる農業開発事業は、大規模な愛知用水とか、篠津地区とか、上北地区とか、根釧原野とか、こういうものであります。実はこういうものにアメリカのこの資金が回され、それだけでは足りないので、一般の土地改良なり、一般の農業開発のための資金が削られてそちらに持っていかれるから、ほかの万がだんだんいびつになっておるのが現状であります。そういう意味のひもつきでありますか。それとも、大規模であろうと一般であろうと、何でもよいから使えというのか。この点をお伺いいたしたい。
○重光国務大臣 その点は、日本側の自由に相なっておるわけでございます。だから、日本政府においてこれをはっきりどうするかということを考えてやればよいと思っております。
○久保田(豊)委員 それでは農林大臣にお伺いしますが、日本側としましては、今の見返り円をどうして一般の農業開発に使わないのですか。大規模開発ということだけに使いまして一般の農業開発の関係の資金なり予算は、実はこちらにだんだん吸い取られていく。将来において、ますますその危険が多いのであります。五カ年計画では千三百五十万石の食糧の増産をする、それは私どもも承知しています。第一年度のことしから、すでにそれはくずれておる、実行されておりません。しかもその実行されておらない一つの大きな原因は、大規模開発の方にアメリカの資本か人っておる、その方に一般のものが削られてきておるというのが現状であります。そのために一般の土地改良なり増産が非常に大きな犠牲になって、この見返り円か入った大規模土地開拓なり開発なりというものは行われておる、しかもこれは非常に不安定な今日の状態になっておるように私どもは見ております。今重光さんのお話では、そういう点については、何ら制限かないと言っておるか、われわれは国内的に見ますと、どうしてもこれは制限があると見ざるを得ないのでありますが、この点についての農林省としての見解はどうでありますか。もっとはっきり言いますと、この見返り円の、少くとも私どもははっきりいえば全額と言いたいが、全額をもしかりにやるとするならば、電源開発とかあるいは森林開発とかは、当然ほかの資金でまかなうべきものです。資本家からいえば、長期で安いものですし、まかり間違えば政府におっつけてしまえば、自分は知らぬ顔もできる金ですから、できるだけそういう金を使いたいというのはわかると思います。しかし電源開発なり何なりは、ざっくばらんにいえば、いつでも採算を立て得る事業であります。農業は、御承知の通りなかなか自己採算が立たないのです。これが日本の農業の一つの基本的な特徴です。こういう関係から見て、はっきりいって、ことし百七十七億ある資金は、当然全額を日本の農業開発に使うべきだ。その中で、一部は大規模に使い、一部は一般に使うというならば話はわかる。ところがそうじゃないのであります。こういう点について、今の重光さんのお話では、アメリカ側から何ら制肘はないと言うが、しかし日本の米麦を中心とする一般的な増産計出というものには使わない、使ってもらいたくないというような、条約上なり何なりのはっきしりた制約ではないにしても、そういう制約があるように私どもはどうも推測をされる。と申しますのは、今やっております大規模開墾というのは、必ずしも米麦を中心とした増産計画ではありません。むしろ米麦以外のものについての増産計画に主力か置かれておる。愛知用水にいたしましても、半分は畑地帯であります。半分はなるほど水田ですが、半分は畑地帯であります。あそこに米や麦を作ったのでは、金は返せません。また上北地区にいたしましても、あるいは根釧原野にいたしましても、あるいは将来開発する篠津地区にしましても、少くとも総合的な食糧には違いありませんが、米麦じゃない。畜産とかなんとか、ほかのものに重点を置いた開発計画です。その牛までもアメリカから入れてくるという段階ですから、そこに何らかのアメリカ側の制肘があるように思うのですが、ないとするならば、なせ日本政府としては、今のような見返り円の配分をアメリカ側に相談をかけたか。アメリカが何とも言わないというならば、日本側が相談をかけたに違いない。日本側が相談をかけたのなら、これを全面的に一般の農業開発に使うべきだと思うか、それをしなかった根本的な理由というのは、どこにあったかということを、はっきり御説明をいただきたい。
○高碕国務大臣 先刻外務大臣から御説明ありました通りに、この使用につきましては、大綱についてはアメリカとよく協議するということが条件になっておりますが、この細目につきましては日本側の自主でやる、こういうことになっておりますが、しからばこれはなせ全部農産物の増産、特に今久保川さんのお話によれば、米麦増産の方に使わないか、こういうような御質問でありますが、国家全体の経済から考えてみますと、農業の関係の方は低金利のものを農業に使いたい、こうおっしゃるのは当然でありますが、一方現在におきましてはだんだん電気料金は高くなる、これは一に電源開発におきまして高い金を使っておるから、電気料金が高くなる。電源開発会社のごとき政府が直接監督しております会社に対して、できるだけ低金利な金を借りるということは、国全体の経済から必要である。こういうような意味におきまして、電源開発等にも使うということになっておるわけであります。これは農業関係だけから見て論ずるわけにいかない。従って結論的に申しますと、大綱をきめますときには、これをどうしろ、この方面に幾らを使う、この方面に何%使うということはアメリカと話し合いをつけますが、細目につきましては全部自主的にやっておるわけであります。
○久保田(豊)委員 どうも私には説明が納得できない。それは国民経済全体から見て電源開発にも要るでしょう、要るものはうんとあります。しかしながらさっきから、言う通り、片方におきましては日本農業に非常に大きな犠牲を今しいつつあるのです。そうしてしかも、そのしわ寄せが余剰農産物を中心として日本の農業に来ておるのです。もし外国の食糧が来なくなって、農業が非常に後退した後のことを考えた場合には、どんなふうになるか。農業に犠牲をしいる余剰農産物の見返り円というものは、まず第一に日本の農業の特質から見ましても、農業の一般開発に入れるべきは当然であります。これはあなたのおっしゃるように、電源開発もほしいでしょう、どこでもほしいのであります。長期の安い金が使えるというならどこでもほしい、これは当然の話であります。しかも日本の農業は、今基本的な開発の資金が非常に足りなくて困っておるのであります。あなたの立てたいわゆる五カ年計画、二千三百何十億という金はことしから出ないではありませんか。もう初年度から五カ年計画なんてくずれております。来年はさらにくずれます。そういうふうにして、あなたのお立てになった計画さえもくずれて、資金不足に悩んでおる。もし日本独自でできるとするならば、何もあえて電源開発、特に年産性本部に十億五千万円やるというそんなばかな話はない、あれは当然資本家に出させればよい、自分たちがもうかることです、そのほかいろいろの点についいても同じようなことが言えると思う。それをあえてどうこうというのは理屈に合わない、農民としては少くともこれは納得ができません。それをなおあえて今のような配分をせられる。そうしてしかも去年とことしを比べてみますと、ますますこの金を資本家的な事業なり何なりの方に分取りをしようという傾向が非常に強いと思うのであります。これをだんだんやれば、おそらく今後数年続くでしょう。あなた方のお立てになった五カ年計画でも今後五カ年くらいは余剰農産物は引き続いて入れる計画になっておる、資金剛でははっきりそうなっておる。そういう点から見て、私はどうしても政府でもって考え直していただきたい、これはあげ足取りとか何とかいうことではなく、まじめな意味において考え直してもらいたいと思う。特にこの点についてアメリカ側から何かの制約があるなら、私はこんな余剰農産物なんというものは、その観点からいっても入れるべきじゃないと思うが、この点についてはどうお考えになりますか。
○高碕国務大臣 農産物を入れるこいうことは、直接間接に農民に影響するところが非常に多いということはお説の通りであります。そして直接影響するようなものはなるべく入れない、必要欠くべからざるものに限る、こういうような意味から、本年のごときも、昨年は米をとっておりましたが、米はとらないということにいたしますし、かつ農民に対して圧迫を加えない、むしろ農民のためにいいようにしようじゃないかというので、今年は特に久保山さんのお考えのごとく、畜産業を盛んならしめるために飼料をとるというようなことになりまして、できるだけ農民の圧迫にならず、農民のためになるというような方針をとってきたわけであります。またこの用途につきましても、昨年は直接農業の方には三十億でありましたが、今年は四十何億円にふやして、全体の金額は減っておりましたが、農業の方の割当はふやすとか、あるいは農業関係の森林とか漁港という方面にできるだけ金を回して、電源開発なんかの方は昨年と比べますとずっと減らしたというような方針でやっておりますから、決して久保山さんの方針を無視するわけではありません。できるだけ今後もそういう方針をとっていきたいと考えておりますから、御了承願いたいと思います。
○岡田委員 関連して伺いますが、高碕さんも急に農林大臣になられたので、あまり詳しく御存じないと思うけれども、条約上の面でこれは下田さんの方がいいかと思いますが、実は今久保田君が非常に御心配のいわゆるアメリカの農産物が日本の市場を撹乱するのじゃないか、市場ばかりでなしに農業生産も撹乱するのじゃないか、こういう点は実は協定の中に出ておるわけです。この協定の第四条三号に、「合衆国の農産物の新たな市場を両国の利益となるように発展させることを助長するため」こういうのがあります。そうすると、新たなる市場を日本の国内に作る。これによって農業生産に影響を受ける、こういうことが問題になって参ります。そこでこれを読むと、おそらく高碕さんあるいは外務大臣重光さんは、両国の利益になるようにといってるのだからいいじゃないかとお答えになるのだろうと思う。ところがそれはそうじゃない。アメリカの基本法の余剰農産物処理法、それに今申し上げた三号の出てくるところは百四条の(a)項なのです。そこには、「相互利益の原則に基いて合衆国の農産物に対する新市場を発展させること」。これから出ておるわけです。すなわちアメリカの余っている農産物を外国に出す、日本の国内にも出していく、こういうことをこれによって規定されておる。そこでこの相互利益というものは一体どういうものであるか、あるいはこの両国の利益のためにということはどういうことを意味しているかというような問題になる。するとこれは協定の前文にこのようにある。「同国の余剰農産物の販売及び日本国によるその購入から生ずる相互の利益を考慮し、」この同国というのはアメリカです。ここに相互の利益というのがあります。すなわちアメリカの方は、この農産物を売ることが利益なのです。従って、これによって市場を獲得することなのです。ところが日本の方は、その購入したものから出てくる金をほかのものに使うという点が日本側の利益なのです。こういう点が実は協定の前文として掲げられているわけであります。そうすると、先ほど申し上げた第四条の三号というのは、あくまでも日本側の利益というのはその金の使い刀が問題なのであります。しかしこの使い方というのは、三号に書いてあるように合衆国の農産物の新たなる市場というものが原則になってそれにじゃまにならない限りにおいて日本の利益を保障されている、このように条文の解釈をすべきが妥当であると私は考える。こういう点からいって、久保田君の御心配はまことにもっともだと思う。これは条文の解釈としても当然こういう趣旨になると思いますが、この点どうお考えになるかお伺いしたい。
○高碕国務大臣 今の岡田さんのお話ですが、これはものは考えようによりますが、向うの方は農産物をできるだけ売るようなことに使いたい、こっちはこっちの利益になるように考えたい。それではどういう点を利益と考えているか、こういうことになりますと、現在大阪におきましては見本市をやっておりますが、あそこでミルクをどう使うか、あるいはパンをどういうふうなパンにするか、こういうようなことをやっておるわけであります。そういうものの宣伝にこれを使っておるようでありますが、われわれといたしましては、現在の日本の食生活の改善ということは、どうしても日本は考えていかなければならぬ、米だけに依存するよりはできるだけパンにする、そしてそのパンをどういうパンにすればよく国民の嗜好に適するかということも考えていかなければならぬ、また酪農工業をもっと増やしまして、ミルクをもっとよけい使うということを考えなければならぬ、そういう方面に彼らの宣伝を使わずということは、彼らのためにもなるだろうし、また日本のためにもなる、こういう点をよく相談してやっておるわけであります。決して先方だけの利益のみに走らさないということは、こちらも十分注意してやりたいと存じておりますから、どうぞ御安心願いたいと思います。
○岡田委員 関連ですからこれで終りますが、しかし今の御答弁は私は不十分だと思う。新しい市場を発展させることを助長するためだということが原則なのです。この市場を作るために、両方が利益になるようにということです、その点が書かれておる。しかも今高碕さんは——私は個人的にはきわめて尊敬をしておる人ですが、今の御意見は語るに落ちたということを感じる。どうして語るに落ちたかというと、日本の食糧状況について、米麦でなくて、バターとかそういうものを使うような、いわゆる食生活の問題を考慮するために、そういう面においてこれが使えるようにということは、言葉をかえていうならば、少くとも米麦生産というものは、現在程度以上ふやさない。それはほかのものか入ってくるわけでありますから、ほかのものを入れてくるということを意味しておるのではないか。これは語るに落ちたことになるのではないか。米麦生産はふえなくてもよろしい、むしろ場合によっては減ってもよろしい。そうしてそれにかわってアメリカからバターとかそういうものを入れる考えで食生活を変えていくということならば、米麦生産について何らの保護助長の政策も考えておらないということを語るに落ちた、結果としてはそうお考えになっているのではないかと思いますが、それはどうですか。
○高碕国務大臣 それはそうでない、全然違う。それは米をなるべく減らして友にかえたいということでありますから、これは麦も入っておりますから、これは生産をふやすということでございます。また牛乳をふやすということにになって参りますと酪農を盛んにして、牛乳をもっと飲ます、そして日本の現在の食生活を改善して、日本の畜産業なり、それからパン食というものを奨励いたしたい、こう思っておるわけであります。
○久保田(豊)委員 どうも今の点は高碕さんにお聞きするのは無理な話で、あまり高碕さんに聞いてもいかがかと思いますが、今のは全く逆なんですよ。麦をどんどんふやすと言いますか、アメリカの麦がどんどん入ると、日本の麦は減産になるのです。そして百姓の立場からいうと、表作には米を作るが、裏作に作るものがだんだん引き合わなくて、できなくなってきているというのが実情なのです。そしてこれを畜産にかえれば、飼料は何かというとアメリカの麦、アメリカの飼料です。そして今度製品はどうかというと、脱脂粉乳や何かがちょろちょろ出てきて、これがでてくると、ちょうど堰をせいた中の水をだんだん政府がよそへ流しますから、日本の大資本の畜産支配と並んで牛乳なり、肉なりの値段はうんと押えられています。そして飼料的にはどうかというと、ほとんどアメリカ依存です。そういうことで今畜産全体がふらふらしておるのか実情です。全く日本の農業の自主性がなくなってしまいます。しかも麦は今日増産をしろと言ったって友の増産はできないような態勢になっておる。アメリカの麦の圧迫で、政府ももう麦は作らぬでよろしいと言っておる。そこに食糧庁の長官がおりますが、麦の値段はことしは落しております。しかもいいものは買うが、悪いものは要らないという態度です。政府から言えば無理はない。日本の麦を買ってもアメリカの麦と抱き合せでなければ売れない。九州で買った麦を北海道へ持っていって外麦と一緒に二割の抱き合せをしなければ日本の麦ははけないという実情です。そのために十八億幾らも運賃だけ損をしているじゃありませんか。日本の表作の米麦さえもが今こうなっておる。裏側になって、今度は裏作がほとんど成り立たなくなりましたらどうなるかということなのです。もっとはっきり言えば、一生懸命アメリカのえさや何かを土台にして——あなたはトウモロコシを入れたからいいなんて言っておりますが、これはどうなっているかというと、あなたの方の農林省の畜産計画では、飼料計画として日本の産麦並びに雑穀をえさとして七十二万トンも牛や馬に食わしているのですよ。市場へ出してもどこも買ってくれないから、仕方がないから食糧になるものを荒びきをして今牛に食わして、その牛乳を安く売っているという実情です。そういう計画をもっと大きくしょうというのじゃありませんか。これで日本の麦作か安定しますか。絶対に安定しませんよ。これは政府の計画をはっきり出しておるのです。ですから私は今の実情からいって、食糧が足りないのだからやむを得ないとしても、日本円で買える、しかも日本で見返り円が使える、この見返り円は——電源開発だってもっとほかから金を持ってこられるはずなのです。持ってこられないような電源開発だったら先々採算が合うはずはありません。ほかの事業だって同じでしょう。そういう意味において私は少くとも最低限のあれとしても、見返り円の大部分はこれを日本の普通の土地開発その他ばかりでなくてもよろしい、大規模開発も人ってもよろしいのでございますか、今のように大規模開発だけは使うが、ほかのやつは削って持ってくるというようなやり方でなく、この見返り円は、少くとも政府が五カ年なり何なりは余剰農産物を入れるという計画ならば、その間はこれだけのものを一般の農業開発並びに特に資金を大規模に要する大規模農業開発に使って、一般の農業開発が今のような困窮状態に陥らないようにすることが政府の当然の経済的な責任でもある。これをやらない限り、日本の農業を含んだ国民経済の発展なり安定はあり得ない、こういう点を本気にお考えになっていただきたい。ところがそれを幾らあなたの方でお考えになっても、アメリカの方で、今言ったようにアメリカの農産物の市場がへっこむのでは困る、だから日本のこれと競合するようなものはできるだけ押えるというような方針が今の条約上あるいは条文上はっきりいって、これの制約があるというならば、こんな余剰農産物は当然打ち切るべし、もっと自主的な立場において、少くとも農業を根幹とする日本の国民経済全体を考えた場合には、当然そうするのか政府としての正しい方針ではないか、この点を申し上げておるわけですが、いかかでしょう、御意見をお聞きしたい。
○高碕国務大臣 ただいまの御意見は、私は非常に尊重して承わったわけなのであります。しかし私もあんまり農林行政のことは詳しくないので、はっきりこれはこうだといってお答えすることができないことははなはだ残念でありますが、御意見は非常にごもっともだと思います。そういうふうなことにつきましてはよく考慮いたしたいと存じます。
○久保田(豊)委員 もう一点だけ私は重要な点をお伺いしたい。それは今見返り円の使途について、昨年は三十億、ことしは四十何億というものを農業関係に使うことになっておる。これは御承知の通り大規模開発に使われることになっておる。大体において世銀の借款というものがからみ合っています。この世銀の借款とこの見返り円との間には、条約の正文では何もないでしょう、何もないが、アメリカ側の意向として何らかの制約なり要請があったものかないものか。ないとするならば、何ゆえにこの見返り円が入ってくる大規模開発についてのみ世銀がタッチをしてきたか、いわゆる投資をしてきたかという点を、これはアメリカ側の要請でなければ日本側が何ゆえにこれをやったか。今までの説明ではこういうところから大きないわゆる大量の機械を入れるためにはこれが必要だということでありますが、それだけではどうしても納得のできない面が多々出ておるのでありますが、この点の二つの関係はどんなふうになっておるのか、御説明いただきたいと思います。
○高碕国務大臣 これは世界銀行の借入金と見返り円の使用につきましては何ら関係はないわけであります。ちっともありません。
○久保田(豊)委員 そうしますと、世銀の方からわずかな金を借りておるわけです。片方、愛知用水の方は三十六億ぐらいでしょう、機械開墾の方か十数億でしょう。ところが御承知の通り、愛知用水は、全体の総計額で資金が三百二十億ぐらい、機械開墾の方は篠津を入れるとすれば約百億ぐらい要るでしょう。その割にも及ばぬ金を世銀から借りて、そうして日本としてはこれを全体的に日本の資金でまかない得るのですか。この間にいわゆる見返り円というものは何らかの連関を持たない限り、私は、世銀は出すはずがないと思う、もし三百何億の金が要る、これを全部日本側が自主的に調達する。片方は百億というものが要る、これも自主的に調達する、こういうことで日本側からいうと、全体の農業資金というものは非常に少くなっております。その少くなっておる中でもってアメリカの世銀の息のかかったものだけが膨大になっておる。その結果は普通にいけば、われわれの一番心配するのは、これをそのままやって——世銀の方からやかましいことを言っておるようですが、これをやっていけばほかの方の一般の土地改良費資金なり何なりというものを削るよりほかに手はない。全体のワクが小さくなって、そのうち片方だけ大きくなるのですから、そうなる。そういうことが、現実に至るところに現われておる。さっき私は新潟県の亀田郷の例を申し上げました。時間があれば私は詳しく数字的な御説明をいたしますが、時間がありませんからいたしません。いずれにいたしましても、総額でもって三十二億、大体現在まで十七億くらいの資金の計画が最後の段階にいきまして、もう貸金が続かないというのではだめだ。借りてやれば一カ年に大体償還金だけで一反歩九千八百円くらい払わなければやれないのです。どんなところに行ったってこれはやれませんよ。こんな状態に片方は追い込まれておる。どうしても私はこの世銀の借款は、大規模農業開発なり、愛知用水、これと——余剰農産物の見返り円の使途についての公文や何かにはないかもしれませんけれども、何らかの連関があると見ざるを得ないのですが、これはアメリカ側から要請をされたのか、あるいは日本側がこれに何らかのスケジュールを出して、こうやりますという約束をしたのか、いずれにいたしましても何らの連関がないということは、現在の資金の入れ方から見ても、またこの内容から見ても私どもはそう考えられないが、もう一回この点の御答弁をはっきりいただきたい。
○高碕国務大臣 愛知用水にいたしましても、機械開墾にいたしましても、これは初めから世銀との借款を話しておったわけなのでありまして、そういう関係したまたま目的が一致したわけでありまして、これは必ずしも世銀の借款をした方面にのみ見返り円を使う、こういうような考え方は決していたしておりません。
○久保田(豊)委員 それではお伺いいたしますが、そうすると政府としては愛知用水なりあるいは機械開墾なり、大規模の開墾、これは見返り資金を幾ら充てるということは基本的にはきめていない。そうすると一般資金から充てるということを原則にするのですか。それともアメリカから何も言ってきていないが、日本政府としては大体においてこの見返り資金をこの大規模開墾には入れる、こういうことを日本側が自主的にきめてアメリカと話し合いをきめたものですか。この点はどうなのですか。
○高碕国務大臣 もちろんこれは日本側が自主的にきめたわけでありまして、世界銀行の場合は、見返り円を使います。前から進んでおった話でありますから、これとの関係はないわけなのであります。
○久保田(豊)委員 それではもう一点お伺いしますが、現在愛知出水も機械開墾もすでに公団はできた、できたけれどもほとんど何も仕事をしていない。その仕事をしていない原因は何です。私どもの聞いたところでは、世銀との間にやはり三百億なら三百億、百億なら百億の日本側の出資についての政府保証がないということと、これでは世銀としては判こが押せないというのでもたもたしているということが一つ。それからもう一つは、愛知川水については、要するに設計あるいは監督、こういうことが世銀側の指定をしますアメリカのエリック・フロアとかいう会社、これとの技術協定、この関係がまだ確立しないためにこの世銀との協定ができない、そのために愛知用水公団は開店休業、大規模開墾の方も公団だけではできたけれども、まだほとんど仕事には着手できないという状態である。この世銀との間の協定はできたのですかできないのですか。また何か今問題になっているか。特に愛知用水の場合においては、わずかに世銀の出すものが三十八億か幾らだ、片方におきましても十億近くである。あと三百何億なりあるいは百億近くの資金の保証がなければ、向うとしてはこれはなかなか簡単に最後の協定を成立させるわけにはいかないと思います。これについては政府としては何の金をそれに充てるつもりですか。河野さんにこの前聞きますと、余剰農産物の金を今は充てているけれども、先々はどうなるかわからぬという。およそでたらめだと思う。それじゃ一般の資金は充てられるかというと、充てるつもりですというだけで、必ず充てるということは言えない状態です。こういうふうにして余剰農産物の見返り円と世銀とが、アメリカの政府とどういう話し合いかあったかどうかしらぬが、結びついてからみ合って、しかも日本の事業は自主性を失われて一向に進まない。そして片方には——これはここで言うべきことではありませんけれども、機械化公団の方に今度は牛を扱わせたって、これはうまくいくはずかございません。そんなことまで法律改正をしている。これもおそらくアメリカ側の要請でしょう。しかも結論はどうかというと、ざっくばらんにいって愛知用水公団にいたしましても、あんな高い負担金は百姓は持てませんよ。水田地帯において大体反当にして二千七、八百円になるでしょう、畑作地帯において反当にして六千九十円というのが、政府の万の資料にちゃんと出ておる。われわれももらっております。片方の根釧地区や上北地区にいたしましても、あの償還計画は実行できません。政府がいろいろ資料を出しておりますが、これは実行できません。結局最後はそこへ全部のしわ寄せがいくということになる。これではどうにもならぬと思いますが、今のお話では私はよくわからないのであります。そうするならば、これは直接協定と関係がないかもしれませんけれども、現実には——この見返り資金と世銀の借款というものは、少くとも農業面に関する限りは密接にからみ合っていることは現実です。これに対して何ら関係がないということは、そう言ってみたところでそれだけでは納得ができない。今現実に世銀との借款で何が問題になっておるか、明確に一つお答えをいただきたいと思います。
○谷垣政府委員 ただいま御質問の愛知用水関係及び農地開発機械化公団関係でございますが、すでに愛知川水に関しましては久保田さんにも御存じかと思いますが、実施計画ではあるいは機械、機器の購入費でありますとか、その他一般管理に充当いたします費用等を使って、現地のいろいろな調査をいたしましたり、あるいは買収の準備をいたしましたりやっておるわけであります。これらに対しまして余剰農産物の特別会計からも金が出ておるわけでありますが、当初計画いたしました地区は事業が進捗いたしておりませんので、従いましてそれは三十一年の経費として使っていく、こういうことになっておるわけであります。大体当初予定いたしましたものよりも十三億程度のものが愛知用水関係では三十年度に使われずに、三十一年度の方に繰り越されまして使用される、こういう格好に相なっております。機械開発公団の方もすでに計画費その他経費を支出いたしまして工事をやっておるわけであります。本格的な工事に関しては、これは三十一年度から着工されるということで、現在やっておりますのは、それの実施的な面の実施計画あるいはそれの手ほどきとなりますような仕事、機械の購入、こういうような仕事が現在行われております。これに関しまして、約五億近い金だと思いますが、それらのものが三十一年度に繰り趣されまして、今度の見返り円と一緒になって使われる、こういう格好に相なっております。 それから先ほど御指摘になりました世銀と両公団の間の問題でございますが、これは世銀の万で、世銀から貸しましたその貸し金に対しての一種の保証と申しますか、つまり保証条件等につきまして問題がありまして、向うの当局者とこちらの方といろいろと相談をいたして参ったわけでございます。これは御存じの通りであります。大体事務的に一応の戦が出て参っておりますが、最終的なその面に関しましての契約はまだできておりません。これも御存じと思います。現在そういうような状況であるわけでありまして、これらの事業が三十一年度におきましては、それぞれ活発に仕事が行われるような態勢を現在整えておる、こういう状況でございます。
○久保田(豊)委員 どうも今の説明ではわかりません。そうすると、今世銀と両公団の問題になっておるのは、要するに責務保証の問題だけですか。そんな単純な単純な問題ではないと思う。債務保証だけではなくて、日本の負担すべき資金に対する政府保証でしょう。この問題が問題になっておりませんか。どうなんです。それと特に愛知用水については、エリック・フロアとかいう世銀の推薦をした技術会社、これとの技術提携の内容、つまりこれは大体において機械を入れる会社でしよう。それが設計あるいは監督そういうことについての条件が整わないというふうなことから、大体において問題がまだ未解決であるということ、単に三十八億ばかりの貸した金の債務保証が技術的にできないというようなことではない。問題が停滞してもう一年ですよ。高碕さんのお話を聞いても、世銀との交渉はその前からだ、こんなような話ならば、三年にも四年にもなるでしょう。もう三年以上になるでしょう。単にそれだけの問題で私は停滞しているものとは思わない。また世間もそうとっておりません。その点はどうなのです。
○谷垣政府委員 債務保証という言葉は少し使い方が悪かったかもしれませんが、それは先ほど久保田委員がおっしゃいましたように、それに対します日本側の事業資金等がどういうような裏づけがあるかというような問題も含めまして問題になっているのは、実であります。あるいはエリック・フロアの問題に関しましても同様であります。そういう点が問題になっております。
○久保田(豊)委員 その問題になっているのはどういう点が問題になっているのか、それを聞いているのです。問題になっているのはわれわれも承知しています。だからそういう点についてアメリカ側、世銀側かどう言っているのか。その中にこの余剰農産物の資金を入れろと言っているのか、あるいは余剰農産物の見返り資金を抜きにして、日本側がこの全体の事業資金の保証をしろと言っているのか、エリック・フロアの内容については何を向うが要求して、こっちは何が問題になっているのかということを聞いているのです。
○谷垣政府委員 それらの点につきましては、実は担当の局の方が今ちょっと来ておりませんので、はっきり申し上げかねますが、後ほど連絡いたしましてすぐ御報告したいと思います。
○久保田(豊)委員 私はまだこまかい点についていろいろお聞きしたい点がありますが、特に高碕さんにお願いをしたいのは、まあここでもってわれわれが反対だとかなんとかいうことを言うても、もうやっちゃったからということでしょう、ざっくばらんな話でいえば。しかしさっきから言いますように、日本農業に対しますこの余剰農産物なりなんなりの影響というものは、表面に出たほど単純ではありません。私は非常に深刻なものがあろうと思います。特に一応考えられます点は、かつて数十年前に欧州の農業がやはり日本の今のような状態に追い込められたことがあるわけです。つまり外国の植民地のオーストラリアあるいは南米や北米あたりの安い農産物が欧州の市場へどっと人ってきて、欧州の農業がほとんど行く道がなくなったという時代があったわけです。特に小麦作その他は全く成り立たなくなった時代があったわけです。しかしその時代には欧州の農業はまだ転換ができたのです。ところが日本の現状では、特にアメリカからいわゆる余剰農産物があらゆる形で入ってきております。それを中心にいたしまして——直接の協定ではないにしても、これは連関いたしましていろいろなものが入ってきておる。ミカンが少し調子がいいと思えば、御承知の通りコカコーラも入ってくる。そうするともうジュースはだめになって、あとは生食とカン詰だけだということになります。コカコーラがどんどん延びていけば、今の日本のミカンジュースはだめになります。だめにならないまでも、少くとも大きな影響をこうむる。大豆もそうだ。たばこもそうだ。畜産にいたしましてもほとんどアメリカに主導権を握られて、ふらふらな状態にならざるを得ないような基礎になっている。表面は別ですが。そういうところから私は政府が深刻に一つ考えていただきたいのは、今日本としては食糧が全体として足りない、また外貨の節約をしなければならぬというときですから、これは日本の円で買えて、しかも七五%なり七〇%なりが長期の安い資金で借りられるという条件は、必ずしも悪いことじゃないと思うが、そうであれば、私は少くともこの見返り円というものは、日本の農業の基本的な発展なり、将来外国と太刀打ちのできるような方向へ全般的に投じていく。しかもそれが今申しましたような大規模開墾というような形で、なるほど格好だけはりっぱなものができましょう。できましょうけれども、あれが一応でき上った際に、果してあの大規模開墾地帯やあるいは愛知用水地帯の農民が、この条件下で、農業経営がやっていけるかどうかといこうとは疑問です。私どもはやっていけなければいけないなりに、ざっくばらんに言えば、農民の立場から政府に対処するつもりです。それはいかに愛知用水のあの地帯といえども——一反歩について水田はたしか返済金が愛知用水公団に関するものだけでも二千五百九十円だと思います。畑作地帯は六千九百円、これは政府が昨年度われわれによこした資料です。私どもがあれを検討した場合にはもっとよけいになる。実際問題としてはもっとよけいになる。そういうものが日本の今の農業政策なり、農産物を中心とする価格政策の中で農民が払っていけないことは事実です。私どもはそういうときはそういうときなりの農民のこれに対処の仕方があろうと思います。が、少くとも私は、一般の農業開発も含めてこの資金は最低限全般的に農業に使ってもらいたい。そうしてこれに付属する必要な進んだ機械を入れることも必要でしょう。あの機械が全部日本でできないかというと、私は疑問だと思う。かなり高いといううわさもあります。しかも技術料その他が相当よけいとられるということは、電源開発等でもうすでに経験済みのことです。同じようなことがきわめて基礎の弱い農業の上におっかぶさるということでは、日本の農業の自主性というものは、ますますためになると思うのであります。そういう点で政府はこの見返り資金の使用等についてはしっかりした方針を立ててもらいたい。同時にこれについては、さっき岡田君がいろいろ指摘したようなアメリカの国内法の関係、それに基く条約上のいろいろの要請もありましょう。アメリカとしては日本が買ってやることがありがたいのです。日本だけが向うの恩恵を受けているわけではありません。アメリカとしては日本がこれだけのものを買ってやるということは、何よりもアメリカの資本家にとっても農民にとってもありがたい話です。恩恵であります。その恩恵をわれわれが日本の農業のために基本的に使うという態度くらいは、せめていかに資本家中心の日本の現在の政府といえども、この程度のことはお考えをいただきたい。ことしから来年に現われていくあの仕事この仕事といって、安い金で長期だといって、もう奪い合いじゃないですか。そうしてこれは先へいってどう使うかわからない、どう消えていくかわからないその尻ぬぐいだけは百姓にやらさせるような今の政策は、この点だけは基本的に改めていただきたいということを申し上げまして私の質問を終ります。
○高碕国務大臣 ただいまお説のごとく、日本の農業の根本政策というものは、単に経済問題をもって論ずるべきものではないと思います。いわんやこれが短期の目先の経済にとらわれて大局を誤まるということのないように、十分政府としては注意していきたいと思います。
○前尾委員長 高岡大輔君。
○高岡委員 ちょっと外務当局にお伺いしておきたいと思います。去年か第一次でことしが第二次でありますが、今後ともこれは続けていく見通しなのでありますが、その点をお伺いしたい。
○西山説明員 大臣からお答えをすべきでありますが、従来の交渉におきまして、円貨によりまして農産物を買い付けする協定につきましては、将来のことは米側と何ら話してはいない次第でございます。今後いかにすべきかという点につきましては、日本の農作物の作柄及び諸般の対外関係を考慮してきめるべき問題でありまして、まだ方針を決定していない次第でございます。
○高岡委員 これは日本の現在としては、この取り決めはやむを得ないと思うのでありますが、今のお話で明年度はどうなるかわからぬということになってきますと、話が、内容が非常に変わってくるわけでありますが、それはどういう意味でなのですか、もう一度お伺いしたいと思います。
○西山説明員 それは協定を結びますに当りまして、先ほどから御指摘になりましたようないろいろの問題も間接にはあるわけでありまして、全般の考慮をいたしまして、果して明年度に締結をいたしました場合に、日本全体としてプラスになるかどうかということを、具体的なそのときの条件において検討すべき問題であると考えております。
○高岡委員 そうしますと、これは企画庁長官であられます高碕さんに伺いたいと思いますが、かりに電源開発をしたとか、そういうところへ投資しておりますのが相当長く続くという見通しで投資しているとすれば、それが一方において来年度は、今度はいろいろな意味からこれをやめるということになってきますと、その投資は一体どうなるのでありますか。その辺の連絡はどういうふうになりますか、お聞きいたしたい。
○高碕国務大臣 経済の五カ年計画から申しますと、見返り資金は予算の中に入れずに組んでいるわけでございまして、かりに見返り資金が、来年やるとか、いろいろな情勢上また余剰農産物を受け取ったということになれば、それだけ仕事はある程度においては楽になる。しかしながら、一方において先ほど御指摘のごとく、これが影響するところも非常に多いわけであります。そういう点を考慮して予算を組んでいきたいと思いますが、ただいまのところ来年は余剰農産物を受け入れてこれだけの見返り資金を得るのだというふうなことは、全然考えずにやっております。
○高岡委員 そうしますと、これはもう大体ことしきりで打ち切りだという考え方で進んでいいのではないですか。といいますことは、もしこれが将来続くということになりますと、ここにいろいろと将来の問題について一つの日本としての希望といいますか——このものそれ自体を考えますと、必ずしも日本が平等的でないと私は思うのであります。たとえていいますと、アメリカの船舶法によりまして、この貨物は半分はアメリカ船で輸送するということになっております。ところがその運賃等は過般の委員会において明らかになったのでありますが、非常な差があります。約三割五分ないし四割の差があります。そういうことになりますと、ひとり日本だけでなく、このアメリカの余剰農産物を受けます諸外国も同様にそのような高い運賃で運んでいるということは、非常な負担であります。従ってそういう問題につきましても、将来これが続くことであれば、日本としてもこういう点を十分今後の外交折衝に移さなければいければいけない、こう思うのでありますが、もしもこれがことし限りだとすれば、現在の日本の国情とでもいいましょうか、諸般の情勢から見て、これはやむを得ないという気がしましょうけれども、これか将来に続くとしますと、たといこれがアメリカの国内法でありましても、船舶法に対しては日本は外交交渉によって十分今後検討をしていかなければならないという問題になってくるという意味から、将来ということを私は言うわけであります。さらに私が将来もこれが続くだろうという見通しで申しますならば、この問題を考えます場合に、まず日本として考えなければならぬことは、先ほど久保田委員がるるおっしゃったように、日本国内の農業というものとも一つは東南アジアにおける農産物というものも一応頭に置いて、この問題を考えなければいけない。といいますことは、日本は東南アジアに対して経済外交を進めていくとか、あるいは貿易を拡大するというようなことをいろいろ言い、またそのように業界といいましょうか民間も希望しております。しかしこの東南アジアとの貿易に際しましては、これもやむを得ずという言葉を使ったらいいかどうかわかりませんが、これと貿易をしますには、どうしても東南アジア諸国の農産物を対象に考えなければいけない。その農産物を対象として日本の機械その他雑貨類の輸出をはかろうとしますと、どうしてもアメリカから来る余剰農産物というものも、その面から一応の検討が必要となって参ります。こういう意味から私は将来の問題を聞くのでありますけれども、今おっしゃったように、将来ということがほとんどこの際論議の焦点にならないとすれば、これは話がまるでお茶飲み話にしかすぎないことになりますので、あえてこれは進めませんけれども、もしも将来これが続くものとしますれば、そういう諸般の点を十分考慮して、アメリカとの折衝を願いたいと思います。そういうことであれば、それ以上お聞きしません。 ちょっと二、三、こまかい点でありますけれどもお伺いしたいと思います。先ほどこれも久保田委員が長くおっしゃったのでありますが、今アメリカから贈与として粉乳が日本に相当来ております。これを高碕長官のおっしゃったように、日本人の食生活の改善という面からこの粉乳を学童の給食用に使っておりますけれども、学童としましてはこれを非常にきらっております。現に私の子供もまだ小学校の六年でありますが、子供の話を聞きましても、また学校のPTA総会等の場合でも、粉乳については相当いろいろの批判があります。私はこういうあまり子供の好まないものを使うよりも、一面日本の有畜農業を奨励する意味から申しましても、日本の農家で生産する牛乳を飲ませるように、粉乳を日本の有畜農業の力に振り向けていくような努力は、これは当然農林省としてなさらなければいけない問題だと思うのであります。これは先ほど久保田委員がおっしゃったのでありますけれども、その意味から一つ農林当局の御見解を承りたい。
○大石政府委員 お答え申し上げます。御承知のようにわが国では食糧は足りませんので、毎年数百万トン外国から輸入していい現状でございます。従いまして農林省におきましては、毎年国内の生産量その他需要供給の関係を十分に検討いたしまして、それによって外国から食糧を買い付けている現状でございます。この外国から食糧を買う場合におきましても、アメリカから輸入する場合と、それからアメリカ以外の国から入れる場合と分けまして、さらにアメリカから輸入する場合にも、通常の輸入と余剰農産物の輸入と、このように分けて勘案して輸入をいたすわけでございます。従いまして私どもはお説の通りに、東南アジアとの貿易というものは十分これを発達させる必要がございますので、それに支障のないような面において、十分に検討して余剰農産物の受け入れをするつもりでございます。さらに東南アジア地域における食糧のおもなもの、ことにわが国の輸入するものは米が大部分でございますが、余剰農産物の中には米は一切入っておりませんので、余剰農産物が東南アジア地域における日本による輸入を圧迫することにはならないと思うのであります。 それから粉乳の問題でございますが、これはいろいろのお説がありますが、私は一面医学の道も多少心得ておりますので、やはりこのような粉乳は好ききらいにかかわらず、これを好むように、これを奨励することが必要だと考えます。もちろんわが国における酪農を盛んにいたしまして十分な牛乳だとか、脂肪分、バターを国民に供給することは最も望ましいことでございます。当然将来はそのように発展させなければなりませんけれども、これは急にできる問題でございませんので、やはり経済的な面やいろいろな点から勘案いたしまして、アメリカから参ります粉乳はできるだけ子供たちに奨励をして、子供たちの体位の向上に資することが、一つの道でなかろうかと考えているわけであります。
○高岡委員 第一次と第二次の内容からしましても、今大石政務次官のおっしゃいましたことからして、政府当局がこのたび非常に御苦心されたということは多といたします。ちょっとお尋ねしたいことは、葉タバコは、だいぶ日本の大蔵省の専売局には貯蔵があるはずでありますが、それにもかかわらずまた今年輸入しております。しかも一方日本の山村地帯には葉タバコを栽培したい。山村でも適地でございますと、反当四万円から五万円くらいの収入になる。従って山村の農家ことに開拓農民は、こういう葉タバコの栽培というものに非常に意気込んでいる。こういう意味からいいましても、全般的にいいますれば、日本の今後の農業——いわゆる米作ということだけでなく、日本の今後の農業ということはもっと別ないろいろな意味が含まれておりますけれども、これは一々申し上げなくても御承知と思いますから、ただ単に今後の日本の農業という言葉で代表しますが、その今後の日本の農業を勘案して参りませんと、せっかく政府が努力され、日本の現状に対して対処されましても、結果は日本人が好まないような、あえて言いますれば、このために反米思想をあおるような結果にさえなるというような気がしますので、その点を一つ十分御配慮願いたいと思うのでございます。 最後にもう一点聞きたいのでありますが、この金が駐屯軍の住宅建設に充当されますけれども、法律的にその所有権は将来どうなるか、これをどう処理するか、その点を一つ条約局長にお伺いしたい。
○下田政府委員 御指摘の住宅は、米側の使用分のうちからアメリカ側が使うことを認められた金——第四条第一項の(1)に書いてあります金から出るわけでありますが、これの法律的の地位と申しますが、現在はアメリカの金で日本に建てる米軍の宿舎でございますが、これが将来米軍撤退の場合にどういうことになるかと言う点がお問い合せの点だろうと思います。その点につきましては、実はこの協定の結果である米軍の宿舎のみならず、占領中また占領後いろいろ力資金から建てられました米軍宿舎全体の問題の実は一環であるのでございますが、米軍も家までひっかついで帰るわけに参りませんので、必ず相当日本側の便宜を考慮して、好意的に考えてくれると思いますが、まだ撤退ということ自体が現実化しておりませんので、具体的な処置については米側とまだ何ら協議をいたしておらない次第でございます。
○前尾委員長 石田宥全君。
○石田(宥)委員 私は余剰農産物の受け入れに伴いまする日本農業に対する影響の点について、具体的にお伺いを申し上げたいと思うのでありますが、政府は余剰農産物を受け入れることによって、必ずしも日本農業に重圧を加えるものではないということを言っておられるのでありますけれども、現に昨年、三十年度は、わが国においては未曽有の大豊作でございまして、七十九百万石余の収穫を上げたと推定されておるのであります。また政府の買い上げも普通は二千三百五十万石程度の予定をいたしておったのでありますけれども、昨年度は三千五百五十万石というおそらく戦後いまだかってない買上量が予想されておるわけであります。しかるに外国米麦の輸入量は、このような豊作にもかかわらず、ほとんど前年度同様の量を輸入する計画になっておるわけでありまして、私は完全に余剰農産物の受け入れというものか中心になって、日本の食糧政策が左右されておるのではないか、こういうことを強く言わざるを得ないのであります。それがために、数字は省略いたしますけれども、通常の必要持越量は大体百万石程度でずっと来ておるのでありますが、今度は、このような今年度の計画によりますと、七百万石も上回りまして、八百万石程度の持ち越しとなる計算でございます。政府はそれがために、八百万石以上もの膨大な持越量を保有することによって、食管特別会計の中に膨大な金利それから倉敷料を払うのみならず、国民に対して古米の、若干質の低下した、結果において高い米を食わせなければならない。食管特別会計において極力財政負担を避けて、自まかないをするようにという基本針をおとりになるということでありますから、今申しました八百万石に及ぶ膨大な持越量に対する金利、倉敷料の負担というものが、そっくりそのまま食管特別会計の大きな赤字の要因になることは、申し上げるまでもないことであります。さらにまた、大麦の輸入のごときは、内麦よりももっと高い。そういうものをたくさん入れる。高いアメリカの麦を入れて、それを安く売って、さらに赤字を大きくする。そこで食管特別会計の赤字を出さないように、あるいは赤字を作らないようにというその努力の結果が、生産者米価の引き下げとなって、昨年は実効価格一万二百六十円であったものか、今度は予算米価といたしましては九十九百六十円ということで、二百五十六円もの値下げをするというような、これは予算でありますから、実際の米価は幾らにされるか、今後の問題でありますけれども、そういう状況に追いこまれておる。また一面においては、やはり消費者米価を何らかの機会をもって上げようとしておる。今日は参議院の選挙が目の前にかかっておったり、いろいろございますから、今のところは消費者米価は上げないと言っておるけれども、食管特別の会計の赤字は財政負担をしないということであれば、どうしても生産者米価を買いたたき、また消費者米価の値上げということ以外に道がない。そういたしますと、大体通常の持ち越し必要量は百万石程度で足りるものを、アメリカの余剰農産物を、昨年の豊作にもかかわらずほとんど同量の輸入をすることによって、日本の財政に及ぼす大きな影響というものは、これは否定することができない。食管特別会計の赤字を作らない。赤字は財政負担をしないということであれば、どうしても今申しますように、一方において生産者米価を買いたたき、他方においては消費者米価を値上げをするという結果になることを考えますとさきに、政府が何と強弁されようとも、やはりアメリカの余剰農産物の影響というものは、日本農業に対して大きな重圧になることに、否定することのできない事実であると思うのでありますが、そういり点について、これは特に高碕長官から所見を伺いたいと思います。
○高碕国務大臣 この問題につきましては、私は最近の状況等につきましてはよく存じませんので、食糧庁長官からお答え申し上げたいと思います。ごかんべんを願います。
○清井政府委員 ただいま御質問のありました点は、余剰農産物の問題と関連はございますが、日本の輸入する輸入食糧全体についての大きい御意見であったように伺ったのであります。米については、御承知の通り第二回の、今回御審議願います協定には入っていないのでありまして、問題となっておりますのは小麦、大麦の輸入でございます。米につきましてはただいま御指摘がございましたが、私ども需給計画を立てますときには、あくまでも国内生産量よりも、政府が幾ら買い入れるかということが、需給計画の基礎になることは御承知の通りであります。先般三十年産米につきましては、二千三百五十万石という一応の需給計画を立てたのでありますが、その後お話の通り三千五百万石になんなんとする買い入れがあったのであります。従いまして、いろいろ御批判もございますが、ただいまの基準配給のほかに、さらに希望配給等を二日ふやすということで、所定の計画よりふえた分につきましては、極力配給量をふやすということにいたして参ってきておるのであります、しかもなおかつ相当程度の持ち越しが本年十一月に予想されるわけであります。しかし私どもといたしましては、あくまでも生産量全体しかも政府がいかにして必要数量を獲得できるかという点から需給計画を立てておるのであります。従いまして、その観点から不足分を輸入することにいたしまして、米につきましては、ご存知の通り三十年産で百五十四万トン入れるはずでありましたが、本年は百十一万トン、三十三万トンばかり減っておるのであります。もっともこれは計画でございまして、今後の推移によりまして必要がございますれば、実施計画として輸入数量を減らすこともあり得るのであります。私ども、需給計画といたしましては、買い入れの数量と国内の需要数量とを勘定して不足量を輸入するということにしております。さらにその際におきましても、百四十四万トンの予定が百十万トンで三十三万トン米については減額いたしておるのであります。なおこれも今後の実績によりまして、実行計画によりまして必要がございますれば減額することも考えたいと考えておるのであります。 それから麦についてでございますが、特に大麦につきまして、国内の麦よりも高いものを買っているじゃないかということでございますが、まさしくただいまの状況では、国際的な観点からいたしますと、大麦は割合に高いのであります。これは小麦と違いまして国際商品ではございませんので、取引高が割合少い、しかも外国においてはえさとして取引されておるものが相当多いのでございまして、そういう意味におきまして、大麦の数量が少いという点もございます。また価格の点につきましても、割合割高になっておるということでございまして、私どもといたしましても、大麦の国内の需要の観点からいたしますれば、できるだけ国内の麦によってこれを補てんいたしまして、外国からの大麦の輸入をとめることにいたしたいのはやまやまでございますけれども、われわれ需給計画を担当いたす者といたしましては、やはり国内に大麦の需要がございまして、国内において取得し得るもので足りない場合は、どうしても入れざるを得ないということにならざるを得ないのであります。従って一方農政全般の問題といたしまして、国内の大麦の増産を極力いたしまして、しかもこれを民間で流通いたし、あるいは政府が買い入れをいたしまして、その足らない部分を政府が外国から輸入するということにいたすわけでありますが、今後国内増産の奨励をいたしまして、できるだけ高いものを買うということのないようにいたさなけれればならぬことはもちろんであります。ただいま需給計画の立場といたしまして、実務上、計算上どうしても需要がございますれば、国内でできないものは、外国から買い入れざるを得ないという実態であるのであります。今後の方向といたしましては、できるだけかかるものを多く輸入せざるように増産いたすことはむろんでありますが、現状といたしましては、ある程度のものは外国から輸入せざるを得ない実情にあるということを、十分ご了承願いたいと考える次第でございます。
○石田(宥)委員 私は輸入米麦の影響ということを申し上げたところ、今年は米がはずされておるという、全くその通りでありますが、しかし麦を入れましても米に影響することは明らかなので、どちらを入れても私は結果においては同じだと思う。なお一点伺いますが、これは昨年のことでありますけれども、指定外米、普通外米でアメリカ関係が特別に高い。三十年度にいたしますならば、台湾、中共、イタリア、スペイン、ウルグアイ、オーストラリア、エジプト等から人っておるのでありますけれども、その価格に比較いたしますと飛び離れて高い。これは御承知の通りであります。アメリカのカリフォルニア米は百八十六ドル、一番安いのはエジプトの一六〇・六ドル、平均で一七五・二ドルということであるにもかかわらず、アメリカは百八十六ドル、こういう高いものを相当に入れておられる。普通外米でもその通りであって、平均値よりも相当高い。これは本協定と別の問題であるけれども、よその国から買えばもっと良質で値段の安いものがあるにもかかわらず、なぜ一体アメリカの古い米を、しかも五〇%は世界一高いといわれる船賃を払って買わなければならないのか。これは本協定の別ワクとしてあるわけでありますが、なぜ一体アメリカのそういう品質の悪い、そして高い米を買わなければならないのですか。これは去年のことであるけれども、今後の問題でもあるので、一つお伺いしておきたい。
○清井政府委員 これは申すまでもないことでございますが、米については指定外米と普遍外米と分けた場合に、指定外米についても、普通外米についてもそれぞれ所要の数量を必要といたすことは御承知の通りでありまして、ただいま消費地において大体二日分の指定外米を配給し、五日分の普通外米を配給しております。従って同じ外米の需要量の中でも指定外米はこれくらい、普通外米はこれくらいという需要量があるわけであります。従って私どもとしては、大体日本の近在地でありますところの台湾、中共、イタリア、それからカリフォルニアというのを、これは大体内地米に近い品質でございますので、そこから指定外米として購入しておるわけであります。そしてカルフォルニア米は、大体普通の指定外米と同じ価格で買い入れをしたのであります。一部若干高値のものもあったわけでありますが、しかしこれは指定外米としての需要量とそれぞれの供給地における供給量との関係もありますので、これはアメリカからもある一定量のカルフォルニア米を買わなければならぬという需給上の立場から購入をしたのであります。普通外米についても、これはアメリカの南部米でありますが、これも一部高値のものがあったことは事実であります。しかしこれもビルマ、タイ等の供給数量を勘案いたしまして、普通外米を一部購入をいたしたいということになるわけであります。しかし御指摘の点も確かに一部あったのであります。私どもとしても実務上十分努力はしましたが、若干足りない分もありましたので、そういう点を勘案して、第二回からは米をはずしまして麦だけに限るということにしましたのも、これはそういう事実にかんがみてやったわけであります。そういうふうにその後われわれとしても今申し上げたようなことで、第二回からは米をはずし、また米を買う場合にも指定外米については、これはいわゆるグローバル方式をとりまして、一定の国から幾らということをせずに、一定の価格でどの国からも安いものを買う、こういうことにしておるわけでありまして、一定の国から高い外米を買うということは、昨年の暮れからやめておるわけでありますので、どうか御了承願いたいと存じます。
○石田(宥)委員 食糧庁長官はだいぶ詳しいご説明をなされたわけでありますが、私はそういうこまかいことを聞いておるのではない。外務大臣にお聞きしますが、今私が申しあげましたように、特にほかの国と品質を同じうする米であって、ほかから買えば安く買えるものを、特別にアメリカの高い米を買わなければならなかったようないかなる理由があったか、これを一つ承わっておきたい。
○重光国務大臣 私の承知しておるところは、大体今食糧庁長官の御説明した程度でございます。アメリカから特に高いものを買わなければならなかった事情は何にもございません。しかしながらアメリカの余剰農産物を輸入して、そうしてその見返り資金をも利用したいというこちらの希望もずいぶんあったのでございます。それらがすべて調整されて、バランスをとってアメリカの農産物を買い入れる、こういうことになったのでありますから、全面的に考慮、検討した上でこれが行われたわけでございます。
○石田(宥)委員 外務大臣にお伺いしますが、先ほど出ておられなかったのですが、日本の食糧政策というものは、日本独自の立場から必要な量だけを買う、こう言っておられるけれども、事実はアメリカの余剰農作物の受け入れを中心として、その他の日本の政策が左右されておるという実情があるのですよ。これは数字で申し上げますと、先ほども申しあげたのでありますけれども、昨年のように七千九百万石もの収穫があって、普通は二千三百五十万石程度の国内の買い上げが三千五百万石も国内で買い上っておる。前年度よりも千二百万石もよけい政府の買い上げができるというときに、前年度と同じような量の外国の麦——アメリカでは全部麦になりますけれども、外国の米麦を輸入する。そうするとその結果というものは、食管特別会計に特別に大きな赤字ができる。具体的に言うならば、金利の問題もあり倉敷の問題もある。あるいはまた日本の国内の大麦よりも高い大麦を買って、そうして安く売る。それで大きな赤字をこしらえる。その赤字のしわ寄せが生産農民に来たり、あるいは麦作農民に来たり、また消費者米価を上げなければならないというような結果になることは、日本が主となっての食糧政策でなくして、アメリカの余剰農産物を受け入れるということを前提としたところの食糧政策になっているのではないか。いかに強弁されてもそれは事実ですよ。こういう点を外務大臣としては、日本の農民生活とか農家経済というものを十分考慮されてこういう取りきめをやってもらわないと、これは大へんなことになるのです。一体外務大臣はこういう協定をされるに当って十分農林大臣と協議し、日本の農民の立場というものを考えられたかどうか、私どもははなはだ疑いなきを得ないのです。この点は影響するところ大きいのでありますから、十分一つ日本の農民の立場も考慮して今後取り扱ってもらわなければならないと思うのです。その点について外務大臣としての立場から率直な所見を伺っておきたいのです。
○重光国務大臣 これはもうきわめて明瞭なことでございまして、農業政策は日本自身によってきめられなければならぬと思っております。しかしその場合にそれに合致するような外国の農産物の輸入ということも、これまた必要の範囲内においては認めなければなりません。アメリカに対しては、いわんやアメリカのそういうことによって得る資金も利用しようという考え方があるのでございますから、それらをすべて検討してこれを決定するということは政府の仕事でございます。これらのことは外務大臣がすべて一人で決定し得るものでもございません。またすべきものでもございません。政府全体として十分にバランスをとって検討しなければならぬ、さようにしていくつもりでありまして、日本の農民の利益は最も尊重をし、考えなければならぬことであると常に思っておる次第でございます。
○石田(宥)委員 次にお伺いしたいことは、第二回の受け入れの総額は前回より減少いたしましたが、大麦、小麦はともにいずれも増加されております。それに飼料が追加されたわけであります。米が中止されたのは幸いでありますが、しかし日本側が欲しておりましたところの大豆及び綿実は先方から拒否された。先方はそれを拒否しておいて、酪農製品、ほしブドウ類を押しつけたかったらしい交渉のことが、新聞に伝わっておるのでありますが、一部酪農製品などについては、国内の乳業資本がなま乳を買いたたく手段とわれわれは考えておるのですが、酪農製品の輸入を強く希望しておるようであります。こういう状態でありますというと、将来やはりアメリカ側の要望である酪農製品を何らかの形でまた押つけようとしてくるのじゃないか、こう考えられるのでありますが、今までの交渉の経過等から見て、そういう心配がないかどうかお伺いします。
○西山説明員 酪農製品につきましては、日本の学校給食計画の充実を目的といたしまして贈与の話はありましたが、特にアメリカから押しつけられて今後製品を買うということは全然考えておりませんし、またアメリカ側も押しつけて日本に輸出をするという意向も持っていないことをお答えいたします。
○石田(宥)委員 次に昨年の五月署名されました協定の第三条では、わが国が贈与を受ける農産物は千二百万ドルをこえないところの小麦及び脱脂粉乳と三百万ドルをこえない綿花となっておりましたが、その後両国政府間で綿花に予定されていた三百万ドルを、小麦及び脱脂粉乳に振りかえることに意見の一致を見て、本年の二月、議定書の署名がなされたはずであります。これは今御意見によりますと贈与分は別であるがというお話でありますが、そういうことでやはり小麦と脱脂粉乳を多量に輸入いたしますことは、直接に今非常に困っておる麦作農民、それから酪農が今非常に参りかかっておる。乳業資本の独占的な支配のために、ことに夏場と冬場などで非常に価格の変動が激しい。そこに乳業資本がいろいろな支配をいたしておりますから、日本の酪農業というものに対して、直接非常に大きな打撃を与えるわけでありますが、そういう点についていかなる配慮をなされておりますか、これを一つ伺っておきたい。
○西山説明員 昨年の協定におきまして、千五百万ドルに相当する贈与、その内訳は小麦及び脱脂粉乳が千二百万ドル三百万ドルが、綿花ということになっておりましたが、自後の細目の交渉におきまして、アメリカ側は綿花の三百万ドル分に相当します学校児童用の服につきまして、三〇%は、その代金の充当を認めるけれども、残りの七〇%によります学校服は無償で配給をしてもらいたい、こういう政策的な希望が強かったわけでございまして、これに伴いまして、日本側としましては予算措置その他の経費を必要とする次第であります。しかるに日本の予算の面から言いますと、それに見合う無料で配給する予算の余地がなかったものでありますから、その点をめぐりまして、加工費の捻出について種々折衝を重ねたわけでありますが、結局話がつきませず、従いましていわば日本側から自主的に三百万ドルの分は、学校給食を充実する意味におきまして、小麦及び脱脂粉乳に切りかえ方を提案した次第でございまして、そのためにアメリカ側が特に酪農製品を日本に多量に押しつけるという意向を持っておるわけではございません。それから今般の贈与分で入手いたします酪農製品は、学校給食用の計画からいきますと一部でございまして、もちろんそれのみでは日本の昨年及び本年の予算に計上しております学校給食法に基く学校給食というものは、維持できないのでありまして、その他国内産の酪農製品ももちろん買わなければなりませんし、このために特にアメリカの要請によりまして、本件を入手する、あるいは酪農製品を多量に強制される、こういう点は毛頭ない次第でございます。
○石田(宥)委員 最後に、基本問題といたしまして、余剰農産物の受け入れが国内農業に与える影響について先ほど来いろいろ申し上げたわけであります。ことに先ほど久保田委員の御質疑もあったようでありますが、数年来の傾向といたしまして具体的に現われているのは、農林予算の削減、あるいは食糧増産経費の減少、それに米の統制撤廃の問題等が誘因となりますような結果と相なりまして、日本農政の転換の契機となるのではないかと、農村方面では非常な心配をしておるのであります。国内農家に対する影響を無視するような外務当局の態度は、まことに遺憾にたえないのでございまして、特に価格政策による国内農業の保護政策というものも、私どもはほぼ限界点に達しておると思うので、麦や米を単に値段の点だけで保護していこうというようなことは、やはり国際商品である建前から非常にむずかしいと思うのです。従ってその米麦のコストを引き下げる、要するに経営形態を改善し、それから生産構造というものをもっと近代的にしなければならない。それなしに、今後の日本農業を手放しにしておくわけには参りませんので、やはりこういう余剰農産物の受け入れというものと関連いたしまして、政府の中には、安い米や麦が外国から買えるならば、コストの高い土地改良などをやって、米麦の増産をはかる必要はないではないかという声も聞かれるのでありますが、それでは日本の農業というものは、だんだん国際情勢から立ちおくれをして、ついにみじめな状態に立ち至ることは明らかなのです。もちろんその見返り円の一部は、農業開発にも使われておるようでありますけれども、本質的にはアメリカはそれを存んでおらないわけです。この点については、今後の協議に当っては十分留意されまして、この余剰農産物の見返り円というものの多くの部分を、もっと土地改良その他の補助、開発方面に使うこともできるよう御配慮を要望いたしまして、私の質問を終ります。
○前尾委員長 淡谷悠蔵君。
○淡谷委員 重光大臣にお伺いいたしますが、余剰農産物という言葉でいわれておりますアメリカの農産物が、アメリカの国内で果してどれほどの余剰を生じておるのか。同時にまた、アメリカの農民が余剰農産物のために受ける経済的な損害、こういう点について大臣の所見を伺いたいと思います。
○重光国務大臣 説明員に説明させますから、どうぞあしからず。
○西山説明員 現在CCCが余剰農産物の処理のために支出されます権限を与えられておる全額の限度は百二十億ドルでございます。これは従来よりも相当大幅に増加しておるわけでございまして、その中で現実にどれくらいの支出が行われておるかと申しますと、約八十億ドルでございます。この八十億ドルの内訳は、商品金融公社が現実に公社のインベントリーとして買い上げしましたものと、それからそれ以前の融資をしたものと、両方を含んでおるわけでございます。
○淡谷委員 アメリカの農民に対する余剰農産物についての支払いは、日本などで受け取りました場合の価格がきまってから支払われますか、あるいはまた支払われる前に政府が立てかえ払いをしておりますのか、その辺の消息を明かにしていただきたい。
○西山説明員 米国政府が指定しました農産物につきましては、生産割当、販売割当を行なっておりまして、パリティ価格の九〇%をこえず、かつ八二・五%を下らない範囲で農産物に対して支持価格を与えているわけでございます。従いましてアメリカ政府の販売制限の政策に賛成する業者に対しましてはその支持価格を支払っておるわけでございまして、買い上げを希望する生産者に対しましては、CCCがそれを買い上げる。それから買い上げに至らずに、融資を希望する業者に対しては融資をいたしておるわけでございますが、日本がこの協定によりまして農産物を買います場合には、あるいはCCCの手持ちのものから買う場合もありますれば、普通のマーケットから買う場合もありまして、いずれにしてもよいわけになっておりましてアメリカの内部で政府が支持価格を現実に生産者に与える過程と、日本がアメリカから協定に基きまして購入する過程とは関連はないわけでございます。
○淡谷委員 ただいまの様式によりまして決定されました価格、特に昨年日本が余剰農産物として受け入れました小麦については、現実にアメリカの農民は、一トンどれくらいの支持価格をもって売っておるか、お伺いしたい。
○西山説明員 小麦につきましては一ブッシェル二ドル八セントと相なっております。
○淡谷委員 昨暁日本の商社がこの払い下げに参加したはずでございますが、どこの商社がどれくらいの値段で引き取りましたか、具体的に御答弁願いたい。
○清井政府委員 具体的にどこの商社がどの程度という数字は私は持っておりませんが、初めの予定が大体小麦につきましては単価六十六ドルということで計算をいたしておったのでありますが、余剰農産物による買い入れの実際の買い入れ平均はF〇Bで五十九ドル程度の平均価格になっております。大麦につきましても当初より下っておりますが、数量につきましては、御承知の通り大麦につきましては、五万九千トン、小麦につきましては三十八万トン程度を買っておるわけであります。商社別の数量というのはただいま持ち合せておりませんので、ちょっと判明しておりません。
○淡谷委員 昨年の水問題討論に当りましても私は特にこの点を強く御注意申し上げた次第であります。アメリカの余剰農産物を受け入れます商社の払い下げのさまざまな条件につきまして監督なりあるいは事務的な取扱いは食糧庁長官の責任であります。この払い下げの事務をやります役人というのは七人か八人しかないとはっきりと御答弁をいただいておる。その当面の責任者であるあなたが、どこの商社に払い下げられたのかわからぬという手はないと思うのです。あなたは具体的に払い下げ問題にタッチされたかどうかはっきりお伺いしたい。
○清井政府委員 ただいまの淡谷委員の御質問は私ちょっと誤解をしたのでございましょうか。御質問の趣旨は余剰農産物の小麦、大麦をアメリカから私どもが入札をして買っておるわけでありますが、入札に参加して落して実際上入れた商社がどこの商社であるか、またその商社の数は幾らであるかという御質問、もしそうであるといたしますと、またおしかりを受けるかもしれませんけれども、ただいま総数量はわかっておりますが、平均価格はただいま申した通りでありますが、どこの輸入商社が入札に参加して落したかということは、ちょっとただいま数字を持っておりませんので——調べればすぐわかるのでありますが、ただいま不勉強でちょっとわかりません。直ちには御答弁いたしかねる次第であります。
○淡谷委員 それではその問題については後日資料として御提出を願いたいと思います。私がこういう質問をいたしますのは、余剰農産物の買い入れに当りましては、日本の国内のインフレを助長しないという意味で、かなり高い価格で日本に売り渡されているようでございます。ところがアメリカの現地の農民は日本の買い入れ価格から見ますと、はるかに低い価格で売り渡しておる、こういう事実があるやに伺っておりますので、この間に輸入農産物をめぐりまして商社の間に、私はあえて役人とは申しませんが商社の間にこの払い下げをめぐりましていろいろなうわさも飛んでいる。日本の農民が非常な犠牲的な立場に立っております。この農産物輸入に関して少くともそういうことがあってはならぬということを私は強く御警告、申し上げました。一つこの点は資料によってはっきり御提出を願いたい。 そこでこれは大臣にぜひお答え願いたいと思いますが、一体余剰農産物の受け入れを何年ぐらい継続されるお考えか、アメリカ等の事情もございましょうから、向う何年くらいこの余剰農産物を受け入れるつもりであるか、その点の御答弁を願いたい。
○重光国務大臣 今日の方針では来年度以降も余剰農産物を購入するかどうかということは、そのときに考慮して決定するという考えを持っております。
○淡谷委員 この余剰農産物を受け入れました代金がさまざまな事業に投資されております。これは大臣御承知の通りこの事業が一年限りできまる事業はございません。特に農地開発等は三年あるいは四年、五年といったような長い継続の事業なのでありますが、余剰農産物が打ち切られました場合、果してこれらの事業はどうなりましょうか。こういう国内的な事情に外務大臣は若干御考慮を払われておるかお伺いしたい。あす知れない余剰農産物にたよりまして果して農民か失望するようなことはないかどうか。
○重光国務大臣 むろんその点も考慮に入れて、来年度以降も考慮して決定する、こういう意味でございます。
○淡谷委員 日本のインフレを防ぐという形からかなり高い市価で取引され、同時にアメリカ側はアメリカ自体の利益に反しないことを条件としております。この余剰農産物を原則においてあなたは入れた方がいいと思うか、できるだけ早くこの余剰農産物の受け入れは打ち切った方がいいと思われておるのか、その点の御所信はいかがでございますか。
○重光国務大臣 私はそういう余剰農産物の受け入れなんぞやらぬでもいいように早くなりたい、こう考えておると申し上げておるのであります。
○淡谷委員 一体そういたしますと、この余剰農産物を入れますのは、日本の需要によって入れるのか、あるいは見返り円資金がほしいために入れるのか、その直接の目的がわからなくなりますが、どっちなのです。日本の食糧が少いから入れるのか、あるいは見返り円資金の使用が目的で入れるのか、どちらなのですか。
○重光国務大臣 それらのすべての面を勘案して、日本の利益になると思ってこれをやっておるわけであります。
○淡谷委員 それじゃどうもおかしい。すべての条件を勘案して入れるなんという御答弁はわからない。少くとも余剰農産物の見返り円資金は、一日も早く外国の農産物に依存しなくて済むように、日本の農業を開発する方面に使う方がよろしいという観点で、われわれはこれにようやく従ってきたようなわけでありますが、その点で差しつかえございませんか。日本の農業の生産性を向上させ、日本の農業を開発する、こういう意味でこの余剰農産物の見返り円資金は使われるものである、かように承知してかまわないのでございましょうか。
○重光国務大臣 その点にも重きを置かなければならぬと、こう考えます。
○淡谷委員 そうしますと、この具体的な数字は変じゃありませんか。大体電源開発に相当以上使いまして——一体農地開発に幾ら使っておるとあなたは思っておられますか。昨年度の見返り円資金は、電源開発、農地開発、愛知用水等がどれくらいの数字になっておるか。大臣は一体この資料を見られておるのですか、あなたの口から直接に数字を聞きたい。
○重光国務大臣 私はその数字は実はたびたび見ました。見ましたけれども、今それじゃその数字がどうであったかということは正確には記憶をいたしておりません。しかしそれを見ましたときに、愛知用水——愛知用水も電源開発ですか、その方面に必ずしも関係のないことでないので、全体をよく説明を聞きますと、実にもっともなことであり、これはいいと思いまして私も賛成をして、この協定をやりました。さような状況でございます。
○淡谷委員 大臣とコンニャク問答してもしようがありませんから、もうさっきから石田委員も再三言っておるようでございますので、あえてこれ以上問答を続けようとは思いませんけれども、この配付されました資料によりますと、電源開発用として百五十七億余り、農地開発機械公団にはわずかに一億七千万円、愛知用水公団で六億三千万円、そういたしますと、私は日本の農民はかわいそうでたまらない。このために、現実的には非常に小麦の値下りが生じておる、あるいは牛乳などの思い切った値下りが始まっておるのであります。しかも一方においては、安い外国の食糧に依存して、日本の農業は要らないという風潮さえ出て参りましたのが最近の形でございまして、これは先ほど来石田委員からもくどくどと申し上げておるのであります。あなたは外務大臣でございますけれども、日本の外務大臣であることに変りはございませんから、どうかこういうふうな協定を結ばれる場合には、日本の国民がどのような影響を受けるか、はっきりした御認識の上でやっていただきたい、この希望を述べまして、私の質問を終えておきます。
○前尾委員長 ほかに御質疑はありませんか。——それではこれにて本連合審査会を散会いたします。 午後五時四十一分散会