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24回国会衆議院1956/07/12

外務委員会内閣委員会法務委員会連合審査会 第1号

発言数
51
登壇者
15
会派数
2
開催日
1956/07/12

会議録

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 これより外務委員会、内閣委員会、法務一委員会連合審査会を開会いたします。  僣越でありますが、慣例によりまして、私が委員長の職務を行いますからさよう御了承願います。  まず本日は沖繩の土地接収問題等につきまして、参考人の各位より御意見を聴取することといたします。  本日御出席の方々は、沖繩社会大衆党委員長、沖繩立法院議員安里積千代君、沖繩立法院議員知念朝功君及び真和志市長翁長助静君の五名であります。  議事を始めるに当りまして、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は御多用のところ、特に当連合審査会のために御出席下さいましてまことにありがとうございました。  本日の議事の順序について申し上げますと、まず参考人各位からおのおの御意見を開陳していただき、その後に委員から質疑がある予定であります。御意見の開陳は、特に制限する必要もないと思いますが、大体二、三十分程度にとどめていただけば幸いだと思います。  念のために申し上げますが、衆議院規則の定めるところによりまして、発言はそのつど委員長の許可を受けることになっておりますので御了承願います。また発言の内容は、意見を聞こうとする案件の範囲を越えないようにしていただきたいと存じます。  なお参考人は委員に対しましては質疑をすることができないことになっておりますので、もうすでに御承知のこととは思いますが、あらかじめ御了承おきを願います。  それではこれより参考人の御意見を聴取することといたします。まず安里積千代君より御意見を承わります。

安里積千代沖繩立法院議員沖繩社会大衆党委員長

○安里参考人 沖繩の軍用地問題につきまして国会が私たち参考人として開いていただきますることを心から厚く感謝申し上げる次第であります。具体的ないろいろな問題につきましては、他の方からも申し上げると思いまするので、基本的な問題につきまして申し上げておきたいと思います。御承知の通り、今回のプライス勧告によりまして沖繩の問題が日本のあらゆる方々の非常な関心の的となったわけでありますが、ただプライス勧告一つだけをとらえてみまして、これから沖繩の問題を見ますることは、まだ真実の姿を握ることに遠いだろうと思います。そこで一応プライス勧告の起りますまでの経過につきまして、若干申し上げたいと思うのであります。しかしあくまでもプライス勧告を中心にいたしまして申し上げたいと思います。  プライス勧告は、形の上におきましては非常に行き届いた報告になっておるのであります。と申しますのは、沖繩の軍用地問題を論ずるに当りまして、何がゆえにアメリカが沖繩の土地を長期にわたって使用しなければならないかということの国際法的な立場あるいは事実上の立場に対するところの弁明がなされておるわけであります。すなわち軍用地を使用するところの根本的な権利関係というものが確立しない限り、その上に立てられた軍用地使用ということが合法化づけられないかりだと思うのであります。そこでプライス勧告におきまして、この点を三つり段階において分けておるのであります。第一は、沖繩におる理由は、一つは軍事占領である。もとよりこれは講和条約発効前のことであります。次には平和条約と申しております。その次にありまするのが対日平和条約とその付随する取りきめに関連する米国政府の施策、こういうことが盛られておるわけであります。私たちは占領当時アメリカが沖繩に軍事的な施設をするということは、戦時国際法上あるいはこれはあり得ることである。ただしその範囲につきましては若干異議があるのでありまするが、これは本日触れないことにいたします。問題は平和条約、すなわちその平和条約の第三条であります。第三条によりまして、アメリカを唯一の施設権者とする信託統治を提案して可決されるまでは、アメリカが司法、行政、立法の権利を有する。この権利からアメリカが沖繩には長く駐留する権利があるという建前をとっているわけであります。これにつきましては、われわれといたしましてはさらに疑義を持っている次第であります。その次にこの平和条約に伴うところの米国政府の政策ということになっているわけでありまして、これを裏づけするために奄美大島が返還された場合に、ダレス国務長官の沖繩は極東の緊張化が続く限り現状を保持するという声明があり、さらに一九五四年の大統領の年頭教書におきまして、沖繩を無期限に保持するという声明がこれを裏づけているわけであります。そこでわれわれ沖繩の人々といたしましては、平和条約第三条に対する国際法的な疑義の点はまずおきましてその次に平和条約に伴うところの取りきめに関するアメリカの政策とありまするところからいたしまして非常な疑問を持ったのであります。と申しますのは、ここにはっきりと初めてアメリカの政策、しかも条約に関連する取りきめとありまする関係から、平和条約第三条のほかに沖繩に関係して何らかの秘密協定がなされておったのではないかというところの疑問であります。  それからいま一つは、大島が返還された場合におきましてやはりダレス声明によって沖繩は極東の緊張化が続く限りある期間保持すると言っております。その反面から大島返還に伴う際に沖繩の措置に関して日本との間に何らかの取りきめがなかったであろうかという二つの疑問であります。これは先日外務大臣にお会いしましたときに、そういう秘密協定はないというお話を承わったのでありますが、私は国会におきましてこの点をいま一度明らかにしていただきたいことを願うものであります。  次にその平和条約の第三条、すなわち司法、行政、立法の権利を有するという権利から、アメリカが沖繩に対して軍事基地を無期限に保持するところの権能が生まれてくるかどうかというところのことに対して、私たちは疑問を持っているわけであります。私たちが疑問を持っているばかりではなくて、アメリカ民政府が講和条約発効後におきまして沖繩の土地を使って軍事的な設備のために使うことに対しまして、アメリカの政策が布令、布告となって現われるのでありますが、それに基いてみますならば、明らかにアメリカ自体がこれに対して確信と申しますか、を持っていなかったということを私たちは感ずるのであります。アメリカがどこまでも民主主義の国であり、財産権を尊重する国であるといたしますならば、当然人民の権利、特に所有権に関係するところの問題に対しまして権能を行うといたしますならば、必ずそこには合理的な道を見出さなければならないという立場であります。それでアメリカといたしましては、これに対しましてこういう措置をとっておるのであります。司法、行政、立法の権利を持っているがゆえに、直接人民の土地をどうにもしてもいいという考えを当初は持っておられなかった。それはまず第一に琉球政府、これは行政主席、軍が任命しておるものでありますが、この任命主席と土地の所有者との間に自由な任意の賃貸借契約がなされる。そうして行政主席が賃貸借契約をして、これをさらにアメリカの代行機関に対してまた貸しをするという形式をとっておるのであります。このことは明らかにアメリカがどういう根拠に基いて平和条約発効後において土地を合理的な基礎において使おうかと苦心された表われであるのであります。ところがその内容を見まするならば、二十年間の契約を前提にいたしておりまして、また土地の賃料も至って少くて、坪当りB円で一円八十一銭というような状況であったのであります。また行政主席そのものも軍から任命せられた代行機関たるところの性格を持っておるものである。これが人民との間に契約をして、そしてさらに自己を任命したところの機関との間に契約をするということ自体もおかしいのであります。それで沖繩の住民はこの契約をしない、契約を拒否したのであります。そこで次に出ましたのが、しからば土地収用令によっていわゆる公共のため必要なる土地は強権によって収用するという市会が出されたのでございます。そしてこの市会の内容というものは公用、公共のために収用するという、そのことについては何ら異議はない。アメリカが一方的にきめたところの賃料額に対して異議がある場合にこれを委員会に訴願することができるというだけの規定でありまして、この訴願委員もアメリカの軍人が二人、シヴィリアンが一人で構成しておるところの委員会であります。そしてこの委員会でなされたところの決定が最終の決定であるという一方的なものであったわけであります。われわれといたしましては、当時立法院といたしましても土地の所有権をアメリカが強制的に収用するということは、少くとも日本が潜在主権を持っておる限りにおいて日本の領土権に関係があるものである、アメリカの個人が沖繩の個人との間に売買契約がなされるという話でありましたが、外国人と個人とは可能ではあるけれども、アメリカの政府が沖繩人個人の土地を取るということになりまするならば、裏から返しますならば、沖繩の地域内にアメリカの領土ができてくるということなので、個人の場合とは意味が違うのだというふうに私たちは考えておるのであります。  先回の外務委員会におきまして、条約局長からのお話の中には、個人の売買契約を中心に、所有権の取得を中心にしての御説明があったのでありますが、われわれといたしましては個人が買う場合と政府自体が個人の沖繩の土地を強制的に取り上げるという問題は、領土権にも関係するものであり、またかような一方的な措置については住民の権利を強圧するものであるということで、これも異議を表しまして、この強制的な法をとりやめるという決議もしたのでありますが、アメリカはこれに応じなかったのでございます。  かようにいたしまして抵抗いたしたのでありますので、次に起りましたのが一九五四年の三月でございました。アメリカの議会におきまして沖繩の土地問題を解決するために一括的に買い上げるという問題が——その前に問題がございました。一九五三年の十二月と覚えておりますが、布告二六号というものによりましてアメリカが従来使っておるところの土地に対して沖繩の人々は地料を取っておる、だから暗黙のうちに地主との間には契約ができたんだ、今度はこういう説をとってきたのであります。そうしてその際に沖繩にアメリカが駐留することは琉球列島の福祉と防衛のためである、そのために土地を無期限に使用する必要がある、そして今まで契約するために努力してきたけれども、これは成功しなかった、しかしながら賃料の一部は受け取っておるがゆえに暗黙のうちの契約ができたから使用権が生じた、こういう建前の布告が出たわけであります。これに対しましても、住民といたしましては、反対し続けてきたのでありまするが、最後に、先ほど申し上げましたように、アメリカ議会において土地を買い上げるということが議に上ったのであります。そしていよいよ土地を買い上げるということになりますならば、ますます悪い状況でありますので、これに対して強く反対をしましたが、土地を買い上げるのじゃない、地料を一括払いすることによって使用権を得るのだというふうに変って参ったのであります。それも終局的には無期限に土地を使用する、一括払いによる土地の所有権の取得ということは、やはり永久に土地を失わしめるもとであるということで、われわれといたしましてはこれに反対をいたしまして、いわゆる四原則なるものを打ち立てまして、アメリカにまで代表を送りまして交渉したのであります。それが一年後に公けにされておりますようなプライス報告案となって現われてきておるのであります。  この経過から明らかでありますように、沖繩の人々は講和条約発効前はもちろんのこと、発効後今日に至りますまで、アメリカの軍用地問題に対しましては、地料の問題並びに接収地域の問題、それによって起ってくるところのあらゆる社会悪、こういったものを考慮しまするとともに、すなわち一面におきましては生活権を守り財産権を守るという立場と、一面におきましてはたとい行政的に切り離されておりましても、潜在的な主権——今領土主権はアメリカにない、日本にあるのだ、だからして日本の国土を売り渡すというようなことはわれわれはやらない。こういう切実な建前から、今回は敢然と立ちまして、アメリカのこれ以上の土地の接収並びに安い地代でもって取っておりまするところのこの問題を、もっと引き上げなければならない。一括払いによって実質的に使用権を取るというようなことに対しまして極力反対をし、また付随的にアメリカの与えたところの損害その他の問題については、完全な補償をしなければならないというふうに参っておるのであります。  そこでこの問題がこうして大きくなったのでありますが、われわれといたしましてはこの要求は最低限の要求であるのでございます。すでに勧告書でも明らかでありまするので、数字的な問題を申し上げることは差し控えるのでありまするが、これ以上土地を取られますることは非常な苦痛であります。苦痛であるばかりでなくして沖繩の人々に死の宣告をいたすようなものと考えるので、あります。また従来強制的に接収いたしましたところの実例を見まするならば、どこまでも武力を用い、そうして土地を守ろうとするところの人々の土地を強制的に取り上げて、ブルドーザを使い、あるいは兵隊を使いして取り上げておるものであります。そういうことがさらに来ることが予想せられるものでありまして何とかして食いとめたいと考えておるのでございます。そこで私たちは政府に対しまして、日本八千万の方々に対しましてわれわれの八十万沖繩の住民の力だけではできない、どこまでも日本国民であるところの八千万の同胞もともに立ち上ってもらわなければならない。また人民の信託のもとに政治をしていらっしゃるところの政府の方々が立ち上ってもらわなければならない。なぜならば私たちは現在やはりアメリカの実力下にある。その実力下にありまして外交権も何もないわけであります。日本政府以外におきましてはわれわれのたよるところの、われわれのために保護してくれるところの、利益を守ってくれる政府はあり得ないからであります。そういう意味におきまして私たちは強く訴えておるのであります。  ただここで私は強く申し上げておきたいことは、今までいろいろなお話も承わったのでありますが、単に沖繩の経済的な問題が解決できればいのだというような考え方がどこかにあるような気がいたしておるのでございます。なるほど四原則の中には経済的な部面があるわけであります。その経済的部面は当然人権の問題に影響いたしております。生きるための当然の主張としての叫びがございます。しかしこれは一つの問題でありまして、もう一つの問題は、われわれは今度の戦争におきまして国土を守る第一線として犠牲になった。あそこには十六万五千の霊が眠っておるのである。ただむだに死んだわけでは決してないはずである。この国を守るために死んでいったところの方々、またわれわれも国を守るために戦ってきたところと沖繩を、私たちのこの時代において、アメリカが無期限に使用することによって祖国に帰るところの希望も失わしめ、ひいては日本領土にも影響あるというようなことにわれわれさしたくない。国土を守ろう、みずからの土地を守ろう、そうしてみずからの生活を守ろう、こういう基本的な線に立っておるのであります。従いまして、日本の同胞の方々、政府といたされましては、一面に日本人であるという立場からの国民保護権というものを行使せられることがある半面におきまして、領土権者としての立場からの保護があり得るのじゃないかということを私たちは強く考えております。プライス勧告の中には、沖繩がアメリカの土地になって復興もしたということも言われております。なるほど月に見ゆる姿というものは戦前と比べものにならないような姿にあるのであります。しかし私たちは復興というものは人間らしい生活を送る状態が復興であると考えておるのであります。単にはなやかな一部の姿の中に復興があるとは考えておらないのであります。また祖国政府から切り離されておることによりまして、いろいろな人権的な保護を求め得る道もないのであります。いわばアメリカの民主主義のもとにおきまして、私たちはある程度自由を与えられておるのであります。またある程度食べさせられておるかもしれません。しかしながら、例をとりますならば、それは私は牢獄の中における安定であると言いたいのであります。牢獄の中においては失業の苦しみはありません。食うに心配はありません。しかしながら彼らには自由はないわけであります。沖繩の人々には、まず今のところ食うに食物はあるかもしれません。しかし失業の悩みはつきまとっております。また人権の守られなければならぬところのものも無視せられておるのであります。そういう不安な状態からいうならば、むしろ牢獄の中の方が失業の憂いもなく、食うに心配もないということになります。しかし、しゃばと牢獄と違うところは、やはり厳として自由を束縛しておるところの高いへいがあるという一つに尽きております。沖繩の中にある、祖国と切り離されたこのへいというものが取り払われない限り、われわれに真の自由はない、真の人間らしい復興、人間らしい生活を送ることはできない、こういうふうに私たちは考えております。ここで申し上げるのも何でございますが、インドのガンジーが申しましたように、最悪の自治であっても最良の外国支配にまさると言ったのでありますが、私たちたといアメリカのもとにおきましていかに豊かになりましょうとも、これは外国の支配のもとでありまして、こういう中に人間らしい民族としての生きる道があるはずがございません。どこまでも祖国に帰るということが正しい姿である。また、アメリカといたしましても、軍事基地を使う上におきましては、何も八十万のわずかな弱い人々、力のない者を赤子の手をねじるような姿でもって軍事基地を使ってもらいたくない。それは正しくないと思う。どこまでも、日本の国土であるならば、独立国のアメリカと独立国の日本という対等の立場に立っての話し合いによってなされることが正しいのであって、抵抗のできないところの、おとなしいところの、武器もない、力もない、たった八十万の人々だから御しやすいというような考えでもって基地を作るということは、決して自由国家の一員としてあるべきことでない、こういうふうに考えておる次第でございます。この点におきまして、私たちは政府の方々に強くお願いをいたしまして、どうぞこの問題解決のために、政府が責任を持って当っていただくように要請するために上っている次第でございます。ありがとうございました。(拍手)

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 次に知念朝功君にお願いします。

知念朝功沖繩立法院議員無所属

○知念参考人 沖繩の土地問題に関しまして、安里参考人がすでに基本的な点について御説明があり、しかもこの基地問題から派生して、われわれ沖繩の人間は将来どうならなければいけないかというような点についてまで御意見の陳述がありまして、軍用地の問題につきましてはほぼ尽していると考えるのでありますが、なお若干私の方からも御意見を申し述べたいと思うのであります。  これは新聞報道等においてもすでに御承知の通りでありましょうし、その他の経路によってもすでに御承知のことと存ずるのでありますが、現在アメリカの軍隊が沖繩において使用いたしておりますところの土地は、沖繩の面積の約一二・三%を使っておるのであります。面積にいたしまして四万エーカーであります。一二・三%くらいの土地なら大して使っていないではないかというふうにお考えになる向きがあるかもしれないのでございますが、全面積の一二・三%というのは、これはおもに沖繩の人々が従来最も密集して、そうして最も豊かな生活を営んでおったところの中部及び南部に集中しておるのであります。すなわち一二・三%という数から見まするとさほどの割合にはなっていないのですが、実際はこの一二・三%の面積が最も沖繩の人々が稠密して使用しておった土地に集中しておるのであります。すなわち中部の平野、南部の平野、農耕地に適しておる点、その他市街地に適しておる点に軍用地が集中しておるということをお考え願わないと、はなはだ少い割合しかアメリカ軍が使っていないというふうに錯覚せられて、沖繩人の土地の使用に対する不便とか不自由というのはそう大きくないように誤解されるおそれがありますので、軍用地が非常に住民の生活の中心地帯において接収されておるということをまず御理解願いたいと思うのでございます。  さらにプライス勧告は、私たちが長く反対し続けてきたところの新規の軍用地接収を、軍事目的が優先するから、絶対最小限にはとどめるが、新規接収することはやむを得ないということを述べておるのであります。約一万二千エーカーの個人有地、さらに三万エーカー近い公有地、国有地等が将来の接収に予定せられておりまして、これらの地域がさらに接収せられますと、ほぼ沖繩全島の面積の四分の一、二五%の面積に達するのであります。すべてこれらの土地がとられますと、これらの土地を使用しておった人の経済的な生活は、たちまち破壊せられますし、アメリカとしては十分なる補償をすればそれで事は済むと考えておるようですが、土地の所有者の気持は決してそれだけでは解決できないのであります。  それから従前の土地の接収に対する補償の点から見ましても、土地を失った人々の将来の生活を十分に補償し、維持させるに足る額を支給するかどうかということは、はなはだ疑われるのであります。先ほども安里参考人から御説明がありましたように、まずアメリカ合衆国は個々の土地所有者と琉球政府と契約させてそうして琉球政府を代表する行政主席から賃借権を転得するというやり方をしようとしてこれが失敗し、ぜひ必要とする新しい土地に対する接収は、土地収用令をもって接収しようと考えておるのであります。この収用令に関しましては、安里さんも話されました通りに、決していやおうは言わせない、ただ土地の接収に対するアメリカの補償の額については異議を申し立てる権利を所有者のために保留してあるのでありますが、この接収それ自体については反対する権利を土地所有者には与えていないのであります。かるがゆえに将来かかる四十万エーカー近くの土地が接収せられ、住民の土地所有者の生活が破壊せられ、それに対して抵抗しようにも一方的に収用令という強権をもって収用してしまう、ここに沖繩人の、なかんずく土地所有者の絶望的な気持と不安がひそんでおるのでございます。これは従来の日本の法規あるいは沖繩におきまして、制定せられております土地収用法等によりますれば、いろいろな手段によって土地所有者の権利が擁護せられておるのでありますが、この収用令は単に金額についてのみ異議を差しはさむことができるのみであって、その収用が妥当であるか適正であるか云々等については、沖繩人は一言も差しはさむことができないのであります。かかる日本で申しますれば違憲的な立法の規定によりまして、住民の権利が侵害せられることは火を見るよりも明らかであります。さらに先ほども安里参考人からお話がありましたように、従来使っておった土地でも任意の契約は土地所有者は結ばれないのでありまして、アメリカは一方的に暗黙の契約ができておるので、すでにお前たちの土地は自分が使っておるし、君たちも若干使用料を受け取っておるのであるから、契約は黙示のうちに成立しておるのだというようなはなはだ一方的な押しつけがましい法規をみずから定めて、みずからの利益をはかっておるのであります。今度の問題におきまして、プライス委員会が勧告しました問題の中で、特にフィータイトル、永代所有権をアメリカが取得するということが、沖繩人の土地を愛する心、なお日本への施政権返還を希望する心をはなはだしく刺激しまして、私たちはこの土地の地料の一括払い並びに新規接収というものに強く反対してきたのであります。土地の接収によって土地の所有者がどれほど苦しむべき状況に、陥っているかという具体的な点につきましてはあとの参考人にお願いいたすといたしまして、私がここで強く申し上げたい点が二つございます。  それは、対日平和条約がサンフランシスコにおいてサインせられ、国会において批准せられましたときに、私たち八十万の沖繩の人間は国会にわれわれの代表者を持っていなかったということであります。すなわち、私たちはみずからの意思を国会において表示する機会が全然与えられないままに、当時の国会によって条約が締結せられ、効力を発生するようなことになってきたのであります。すなわち、沖繩は日本の国会によって独立をあがなう代償として捨てられたということを私たちは強く申し上げたいのであります。そういう点からいたしましても、日本国民があるいは日本国政府が、われわれ沖繩に対しましてはかなりのあるいは絶対的な責任を持たなければならないのじゃないかと信ずるのであります。これは沖繩の人間全体の意見でありまして、一体全体あの条約が結ばれたときにわれわれはどういう発言の機会を与えられたかということを、常に繰り返して申しているのであります。  さらにいま一つ申し上げたいのは、対日講和条約の第三条の解釈に当りまして、ダレス国務長官も当時、日本は沖繩に対して潜在主権を持っているということを言っているのでありまして、当時の日本国におきましても、沖繩を完全に日本から分離させる、日本の領土たらしめないということに対して非常な努力を払いまして、潜在主権というものを確保したというように承わっているのであります。しからばこの潜在主権というのは何のために確保しておいたかということについて私は深い関心を払っているわけであります。将来沖繩がただ日本に返ってくるときのためにとっておこうとか、何かセンチメンタルな、感傷的な意味で残された潜在主権ではないと信ずるのであります。たとえば沖繩が現在のような困難な問題にぶつかるときに、この潜在主権は真の効力を最も発揮して効果あらしめるときじゃないかと信ずるのであります。  最後にお願いいたしたいことがございます。これはもちろん国会としてもお考えのようでございますが、どうか現地に調査団を派遣していただきたい。日本国の政府がアメリカと交渉いたしますにしても、実際に自分の目で見、自分の耳で聞いてきたものをもって交渉に当らないと、結局お前たちが出した資料、お前たちが言うことはすべて伝聞である、直接的な入手の方法をとっていないじゃないかと言われればそれでおしまい。結局自分の手で作成し、自分の目で見てきたものをもってアメリカに交渉しなければ、ほんとうの腰の据えようがなかろうと思うのであります。そういう点からしましても、どうか実地に現地につかれまして十分なる調査をなされ、日本国政府としましてもアメリカに交渉されると言っておられるのでありますから、その交渉をして真に力あらしめるためには、その支えとなるべき現実の直接的な御調査をお願いいたしたい次第でございます。  はなはだ訥弁でつまらないことを申し上げましたが、私の意見の開陳をこれで終ることにいたします。ありがとうございました。(拍手)

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 次に翁長助静君にお願いします。

翁長助静沖繩真和志市長

○翁長参考人 両参考人に続きまして、私行政方面に携わっております関係上、具体的な問題について皆様に申し上げたいと存じます。  その前に私が強く皆様に思い起していただきたいことは、終戦直後から約二カ年間はおそらく全沖繩が占領せられ、いわゆる解放せられぬ、すべてワク内に、金網内におったと言ってもようございます。軍用地内にわれわれの住居が営まれておるといったような格好であったのが、次第々々に落ちつくにつれまして住民地区として形式的にも内容的にも解放せられましてやがてはすべての人たちがかつて自分の生活を営んだ部落に町に思う存分の生活が営まれることを希望して現在までやってきたのでありますけれども、御承知の通り、依然として四万二千エーカーは軍用地として接収せられたままで放置せられておるわけであります。しかも、それでもなお非常な困窮が続けられておるにかかわらず、さらに四万に近い面積が新規接収せられようとする事態に立ち至っておるのであります。そういう意味におきまして、現在の状況を申し上げますと、全沖繩の一二%以上が軍用地に直接使用せられておりますが、一二%と申しましても全体的な統計でございまして、市町村別に見た場合には、戦前における市町村の面積の六〇%ないし九三%が軍用地になっておるところが十ヵ市町村にまたがっております。特に北谷村のごときは九三%も接収基地として使用せられておりまして、一万人以上の村民がわずか戦前の七%に近いところに住居をかまえておる現況になっておるわけであります。私のところも那覇に接続する市でございますが、そういう都市地域さえ二一%が軍の住宅地域として使用せられております。そういった状況で、六〇%以上接収せられたところが十カ市町村以上もあるといった場合に、そういうところの市町村民はなお広いところへ行けばいいじゃないかとアメリカ側なんかはよく話すのでありますが、御承知の通り数百年来自分の村に住んでいる人たちは、そこに親類縁者がおりまして相助け合って生活を営んでおる、これは戦前から現在に至るまでその通りでございます。隣村に行ってさえ自分の生活は立てにくいというのがずっと農村生活をしてきた人たちの普通の形であります。しかし、沖繩本島内でありますならばまだ何とかそこに生きる道も出るわけでありますが、今申し上げましたように、全島的には一二%以上であり、よその村に行きましても適当なる農耕地がありません。それでそれについて申し上げますと、戦前におきまして五反八畝という平均農耕地を持っておった沖繩の農民が、現在は三反五畝という状況になっております。戦前においてさえ農耕地が不足で盛んに南米や内南洋方面に続々と移民が行われておりましたのに、三反五畝に減った農耕地の中から幾ら友人同士でありましても農耕地を立ち退かされた人たちに分け与えることは不可能な状態に置かれております。そこで自然と市関係のサービス業あるいは兵隊の洗たくものを取り扱うことによって十数名の連中が生活を営む、あるいは部隊内の雑草を切る仕事に従事する、あるいは技術方面に素養のある若い連中は軍の自動車修理部に入って働く、あるいはタイプ方面に女の子が雇われていくといったようなことで、どうやら軍関係の仕事で最小限度の生活を維持しておるわけであります。それでもなお軍用地のために土地を失った純粋の農耕者は困っておるのでありますが、特に私が強調して申し上げたいのは、戦前篤農家であった者ほど困っております。いわゆる農業不熱心で農業をやってみたりあるいは都市地区に出て何か工場なんかで働いてみたりといった融通性のあることを戦前においてやっておった人たちは、こういった情勢には割合世渡り関係でなれておるようでありますが、農業をすることに精一ぱいで、すっかり頭を農業に打ち込んで純粋なる篤農家として表彰を受けたような人たちは、何十年とたんぼであるいは畑で上に取っ組んでおった関係で、こういったような軍用地によって六割以上も接収せられた場合には、農事にひまがあっても他の仕事についていけない、そういう知恵才覚も回らないというようなことで、数千坪あるいは中には一万数千坪の土地を持っておった篤農家はかえってみじめな生活をしておるというようなことがはっきり申し上げられるのであります。  そこで現在でもすでに沖繩の土地の八分の一が失われておるにかかわりませず、さらにもう八分の一を取りまして基地を拡張しようという計画があることをわれわれは聞きまして非常に心配をしておるところであります。ところでこれは確定的ではないと言っておりますけれども、従来の軍のやった経過を振り返りました場合には、これはほとんど確定に近いとわれわれは考えております。従来も大体強制測量をいたしましたら図面の作成が行われ、ディストリクト・エンジニア方面とのいろいろの工事上の打ち合せが済んでから、各市町村役場に、あるいは琉球政府に、正式な連絡があるといったような過去の状況から想像いたしました場合には、現在の新規接収の計画予定というものをそのままにしておくと、これは必ず実現するというような見通しをしておるわけでございます。新規接収せられました場合に約二千八百七十二戸が立ちのかなければならなくなりますし、人口にして一万三千八百人になるわれわれの調査であります。確定はいたしませんけれども、さっき申しましたようなふうにして行われるならば、三千戸近い農家と一万三千八百人以上の人口の人たちが、さらにまた現環況下のような困窮した状態の中にほうり出されるということが予想せられまして、非常に心配をいたしております。  さらにそういったようなことから、かりにこれが強行せられました場合には、伊江島で強制立ちのきをせられました住民、伊佐浜からよその村に強制的に居住を移された人たちがすでに混迷の生活であえいでおります。幾らか政府からの援助らしいものもありますけれども、それも生活を維持するのには足りませんで、非常に困窮しておるのであります。これはわずか合計いたしまして二百人そこらの人たちの問題でありますが、さらに新しく三千戸に近い人たちがほうり出された場合には、行き詰まった職域のこともありますし、問題になりました伊江の真謝部落とか伊佐浜部落以上の困窮が新しく立ちのかれる人たちには与えられるということがおそれられるわけであります。  すでに失業者の数も次第にふえております。軍労務の数も七万であったものが現在は五万そこそこになりまして、減少の一途をたどり、しかも毎年八千名の労働力が自然にふえつつあります。また他の職業も、底の浅い、それから範囲の狭い八十万人を基盤とする経済組織内でありますので、ある一定の限度にいきますと、自然と仕事もまた減りこそすれ、ふえてくるようなことはありません。さらに海外移民のごときもわずかボリビアに五、六百名送ったぐらいで、正式なる移民送出ということはとまっておるような状況であります。呼び寄せ移民などがブラジルあたりに幾らか行きますけれども、それもこういった行き詰まった状況を緩和するというところまではいっていないわけであります。  こういったようないろいろな状況から考えました場合に、現在でさえ軍用地の問題で非常に因っておるのに、また新しく接収が行われた場合にはいよいよその困窮は限度に達する、こうわれわれは考えております。しかもさっきの委員からもいろいろお話がありましたように、必ずしも経済的な問題のみではありませんで、これが学童に及ぼす影響、教育界に及ぼす影響、社会的な不安状態、一年に一ぺんくらいしか殺人罪がなかったといわれた沖繩に、今では毎月のように殺人的な、あるいは殺人に近い暴力行為が行われておる。これは沖繩人にもそういう悪影響が及んでおるのでありますが、こういったような社会不安がより深刻に現われてくるのではないかと思っております。それでこういったような社会不安あるいは教育的にも悪影響を及ぼすことによって、次第に人心が頽廃してくる。その人心頽廃のわれわれが最も恐れておるものは、今の小学校の子供やあるいは中学校の子供たちの間から次第に祖国日本といったような考え方が薄くなって、いわゆる祖国を喪失する、あるいはときには民族そのものをも忘れてしまうというようなことに、次第になっていきはせぬか、こういうことを教育界を初め、各文化階層の方たちも憂慮しておるのであります。  われわれはこの際基地の問題を中心といたしまして、沖繩の文化方面、教育方面などからも特にこの問題を取り上げまして日本の同胞に訴え、しかも国会並びに政府のお方々の御理解ある御指導によりまして、今回を期といたしまする沖繩の最も重大なる危機を切り抜けることによって、民族的にもまた国民としてもりっぱな成長をさせていただきたいことをお願い申し上げまして、開陳を終りたいと思います。(拍手)

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 これにて参考人各位の意見の開陳は終りましたので、参考人に対する質疑を許しますが、一人二、三分程度にしていただきたいと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 政府当局にお尋ねしたいのですが、その前に一つだけ参考人にお尋ねしたいのです。実は土地取り上げのときの契約状態が、先ほどの御説明によると、特に講和状態になりましてからあとはごまかし的な沖繩政府を作って、その政府と沖繩人との間に賃貸借契約を結ばして、それを転用する、こういうテクニックを考えたわけですが、それに住民が応じなかったために、土地収用——われわれの考えでは、相互主義によりましてアメリカの国内のアメリカ人に対する土地収用の場合と同様に、日本の国内における土地収用法に匹敵すべき法律によって、しかもその手続等もそれによるべきだと思うのですが、今伺いますと沖繩におきましては——これは私の考えではおそらくはアメリカ側はそれを軍令に委任をしておる形式をとって、その法源は土地収用法によっておるのだという説明をしておるだろうと思うのですが、事実を伺いますと、ほとんど脅迫に、近い状態で独自の契約が成立しておるというふうな押しつけ解釈をしておるようであって、この契約の成立の法的根拠については私ども非常に疑問を持っております。  そこでお尋ねいたしたいのは、その契約を向うは永代地権という言葉を使っておりますが、それに対して異議を申し立てた場合に、さきに言った処理委員会みたいなものがあって、二人の軍人と一人のシビリアンによって処理しておる、それが最終決定であるというようなことですが、それに対してはもう異議申し立ての機会は与えられていない、またはそういうことに対して国会が違った決定をしても、司政官が拒否権をもって国会の決議を否認してしまう。それから政府主席でございますが、それが交渉いたしましてもおそらくは事実上これを拒否されてしまっておるような状態だと思うのですが、それらのことを少し具体的に聞きたいのです。というのは、異議申し立てが多くのケースについて行われておるかどうか、裁判所の判決であるならば、必ず法的な根拠を持った判決文がなければならぬのですが、それは一体公示されておるかどうか。そして沖繩県人はそれによって契約が合法的に成立したものと理解しておられるのであるかどうであるか、その点を一点だけ伺っておきたいと思います。

安里積千代沖繩立法院議員沖繩社会大衆党委員長

○安里参考人 ただいまお話しの収用の点は、訴願委員会に対して訴願をする分はアメリカが新しく収用する土地じゃありません。すでに前から、占領当時から使っておるところの土地について暗黙の契約ができたものである。従って軍が決定しておる金額で、それで満足であるものは取りなさい、一〇〇%支払う、不服なものは訴願をしてその場合は七五%は支払うということにされております。で、ほとんどの人々が訴願をしたのでありますが、今私の手元にある資料で三万八千百三千五件、訴願審理をいたしておったのであります。これに対しましてプライス勧告が出ましてから間もなくでありましたが、平均三倍程度の賃料の値上げというものが訴願委員会におきまして採決されたということが報ぜられておりますが、土地によってはそれ以上のものもありますし以下のものもあります。平均して三倍の程度に上ったというふうにいわれております。それからこれは今まで任意に使っておったものでありまして、収用したものに対しては、土地収用に対する別個の訴願をするという格好であります。

床次徳二自由民主党

○床次委員 参考人のどなたでもよろしゅうございますが、簡単に御答弁いただきたいし、なおあとから書類で追加してもらって説明をいただきたいと思います。それは現在の島民の生活状態がどの程度であるかという点であります。この生活程度が低い、生活権が侵害されているということにつきましては、十分推察はできるのでありますが、どの程度低いかということについて多少具体的な資料をいただきたいと思うのであります。政府から配付されました資料の中におきましては、生活水準の数字が、戦前に比べまして戦後は相当落ちているのではないか思うのであります。その様子がわかれば一つ聞かせていただきたい。また戦前におきましても内地とは行政法上相当特殊な取扱いをせざるを得ないような状態にあったのでありますが、今日になりますとますます開きが大きくなっているのではないかと思うのであります。その点に対して、御意見を伺いたい。  なおこの南方連絡事務局配付の資料に米軍使用の労務者賃金というものが出ておりまして、日本本土の出身者と比べますと最高は三分の一、最低におきましてはさらにひどい差額がついているのであります。これは能率というものを無視してかように低いものかどうかという点について御意見を伺っておきたい。  第三点は、生活確保という問題につきましてはなかなかむずかしい問題だと思うのであります。たとい補償が十分でありましても、今までのような補償では生活確保ができないのでありますが、現地側では生活確保に対するいろいろの御希望を持っておられるだろうと思いますが、具体的な御意見がありますならば、この機会に聞かしていただければ非常に幸いであります。

安里積千代沖繩立法院議員沖繩社会大衆党委員長

○安里参考人 詳しいいろいろの資料は、あとでお上げしたいと思いますが、今の農家の、特に軍用地主の関係を調査したものの数字をちょっと申し上げますと、一カ月の収入平均が、三十四ドル十一セントであります。沖繩の農家世帯は平均いたしまして月に六十七ドルの収入を上げておりますが、軍川地にとられました関係の農家が三十四ドル十一セントということになっているのであります。そうして結局軍用地主の世帯につきましていろいろ調査してみました場合に、その二八%がもう潜在失業または完全失業の状態になっております。そしてその中でも三八%は一年に一回以上職を変えている格好になっております。これは単に一時的な日雇いといったような状況にある関係でございましょう。恒久的な仕事に転向することはできない。その三八%は一年内に一回以上職が変っているという状況であります。それから大体沖繩の場合におきまして一家の生計を維持しまする点は、B円で約七千円ということが普通で、今の調査の上から現われているのでありますが、これらの農家の人々がとうていその金額に及ばないことは、この数字で明らかであります。またアメリカといたしましても、農業主体であったということはよくわかっておりますが、これを工業に転向させようというところの政策を持っておられるようでありますが、具体的にこれがどう現われてくるか、また工業に転換し得る可能性というものは沖繩の場合におきましては、従来六、七十%が農家経済であった関係と、現在の経済がすべて培地経済である関係から、単なる工業に転換するということは、なかなか言うべくして行いがたいものではないかと思います。  なお詳細のことはあとで資料でお手元にお上げしたいと思います。

高瀬傳自由民主党

○高瀬委員 私は実は沖繩問題のことについては詳しくは知りませんが、三年ばかり前、内閣委員として沖繩に恩給法を適用いたしましたときに沖繩へ参りました。現地の実情は多少存じておるつもりであります。膨大な土地が軍用に供せられ、はなはだしいのは、たとえば伍長か軍曹くらいのアメリカの軍人が独立家屋に住んでおる。そのために沖繩の土地が非常に不当に使用されておる現状も見て参りました。これはその当時すでにアメリカの国会の連中が参りまして、当時の司令官に対して非常に不当であるということを警告している事実もあるわけであります。ただここで私は特においての代表のお三方に伺いたいことは、このプライス勧告を見ますと、約十一項目ばかりのレコメンデーションがございます。その中で私が読んでみまして、非常に好意的な部分が大部分なのであります。そういうことを申しますと非常に変でありますが、この勧告のうち、第一の項目のフィー・タイトルという問題があります。これは先ほど中川君から個人的に伺いますと、英米法による非常に強い所有権を主張している、いわゆる完全な土地の所有権だということのような意味だというお話でありますが、このフィー・タイトルの形で、土地を無期限に取得するのが妥当である、しかしその際に非常に合理的な値段でこれを買収すべきであるというような意味のことが書いてあります。それから第七番目のレコメンデーションの中に、これから追加して土地をアメリカの軍隊が獲得する場合においては、その地積というものはできるだけ最小限度にしようということが書いてあるわけであります。これは第七番目のレコメンデーションの中に書いてあります。従って沖繩の諸君の主張いたしております四原則、買収の形をとる土地料一括支払い反対、適正地代、米軍による損害補償、新規土地接収反対、この四項目に対して沖繩の方々は絶対に反対のお気持であるという点はよくわかりますけれども適正地代ということについても、このレコメンデーションの中にはかなり触れておるようであります。それから米軍による損害補償ということは、この点も多少あろうと思います。

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 高瀬さん、参考人に対する質問をやって下さい。

高瀬傳自由民主党

○高瀬委員 そうです。それから新規上地接収絶対反対ということになりますと、おそらく、このプライス勧告から見まして、沖繩の皆さんと正面衝突、デッド・ロックに乗り上げちゃうと思うのです。ですから、この四原則に対してあくまで主張されて、どういう方法でこれを実現されるのか、そういう点についてのお気持を一つ私は伺いたい、こういうわけであります。

知念朝功沖繩立法院議員無所属

○知念参考人 お答えいたします。ただいまの御質疑でありますが、私たちの主張する点とプライス勧告とはその内容において特に新規の接収及び賃借料の一括的な支払い、すなわち無期限に使用する土地に関してはその令価格を一括して支払うという、この二点においては正面から衝突しておるのであります。私たちこうして日本に参っております者も、また沖繩におきまして沖繩人として政治の責任の衝に当っている人も、すべてが、この四原則を貫徹しなければならない。これを守ることができなければ、われわれは住民に対して責任を負うてその職を退くというふうに決定いたしておりますので、正面衝突の場合は、結局規定の方針に従ってひとまずわれわれは職を辞すということにならなければならないと考えておるわけであります。それ以外にこの点についてただいま、そんならばあとどうするかという点について発言することを私たちは控えたいと思うのであります。

高岡大輔自由民主党

○高岡委員 ちょっとお伺いしますが、この四原則のうちの第四でありますが、不用の土地というのはゴルフ場の十万坪とかいろいろございましょうけれども、皆さんが大体これは不用だとお認めになります地積とでも言いましょうか、どれくらいを考えていらっしゃいましょうか、その点一つ。  それからもう一つは、四原則のうちの一つなんでありますが、その補償問題であります。これは平和条約第十九条によることになるのでありましょうが、この補償については当然アメリカが支払わなくちゃいけないというような解釈も成り立つかと思います。けれども、皆さんが四原則をおきめになりますときは、内容的にどういうふうなお考えであったのでありましょうか、その点お伺いいたします。

安里積千代沖繩立法院議員沖繩社会大衆党委員長

○安里参考人 不用土地がどの程度あるかということは、軍用地内に私ども入ることもできなければ、測量することもできません関係から何ともお答え申し上げることができませんが、しかしながらわれわれから見ますならば広大なゴルフ場なぞというものも直接軍のために必要あるなどとは考えられぬのであります。それからまた宿舎のごときものも、ただいま御質問がありました通り、まことに狭い沖繩の土地に広い地域に一戸建のうちを建てておる。しかもブロックの丈夫なうちを建てておるという状況でありまして、こういったぜいたくな使い方をしておることは非常な誤まりであると考えておりまして、これらのものを二階、三階というふうな建物にいたしますならば、狭い沖繩の土地を十分利用できるんじゃないかというふうに考えております。この点東京にありまするアメリカの兵舎も見たのでありますが、ああいったような式に、またあれ以上にブロックの堅固な建物でありますので、縮めて十分沖繩の人々の土地を不当に侵さない措置が、もしアメリカがほんとうに沖繩のためを思うのであったならばあるべきじゃないか考えております。一万二千エーカーの新しい接収地に予定されている土地が、やはり大きな村の大部分を失うようなところでありますが、私たちの考えといたしましては、アメリカが現在使っておるところの、今言ったような宿舎のぜいたくさ、あるいは実際上手をつけてないというようなところを活用することによりまして、一万二千エーカーなんという土地は新たに接収しなくても可能である、それはアメリカの考え方だけでできるのじゃないかというふうに考えるのでありますが、ただいかほどの土地があるかということにつきましては何ともお答え申し上げられませんが、相当むだがあるということだけははっきり申し上げることができると思うのであります。  補償の問題でありますが、一応アメリカの民政府はわれわれに対しましては、平和条約十九条によって日本はその請求権を放棄したから、沖繩の人に対してもアメリカは責任はないのだというようなことを言っておるのであります。私といたしましては、日本の国民に対しまする日本政府の場合と沖繩の場合とけ異にするものがあるのじゃないかということも一応考えております。と申しますのは、日本政府がアメリカに対しましてあの条約によって放棄したということは、政府が国民に対して賠償する義務のあることを前提として考えておるのであります。従って日本といたしまして、日本国民に対して賠償するというようなことも考えられますが沖繩の場合におきましては行政権が及んでおらないし、また日本国政府にかわって行政権を持っているのはアメリカである。一方においては日本国の持っておった権力を持っておるわけでありますから、日本国政府が国民に対して持っておるところの責任をアメリカ政府が負担すべきじゃないかという論も出てくるのでありますが、アメリカが払わないと言ってる以上は、私たちはやはり日本国民たる立場において日本に対して請求しなければならない建前でありますが、政府といたしましては外交権を持っておりません。だから正式な立場において日本政府に対して要求するというようなことができませんで、今民間団体の力に政府が若干助力を与えまして、そういった補償がなされるようにということを願っております。アメリカにも請求すべきでありますが、アメリカがこれを断わっておるのでありますから、日本以外に持って行きどころはありません。アメリカも断わり日本も断わっちゃったら、われわれはどこにも持って行きどころがないのであります。両天びんかけておるようでありますが、どちらかへ持っていけるようにお願いしたいと考えております。

古屋貞雄日本社会党

○古屋委員 一つだけお伺いします。翁長さんの報告によりますと、戦前に十万戸の住宅のあったものが、戦争によって破壊されて三千戸しか残っていない。かような状況でありますから、家を奪われることは非常に住民生活に重要な関係を持つわけであります。しかるに自由労連の諸君の調査報告を拝見いたしますと、伊江島の土地を収用する場合に、賃料だけに対する異議しか言えない。従ってこれに反対した者については、現に居住している家の土地を接収するために、ブルドーザーを持ってきて強制的にこれをすくい起した事実がある。従って居住者は住むに家がなく、天幕に追いやられたというような事実の報告がございまして、ただいま承わりますと、新たに接収する場合におきましては、五百戸以上の居住地が接収される予定地になる、かような報告を承わりましたが、もしもこれが前と同じような強制収用でございますと、重要な人権問題が起きるのであります。従いまして、私どもは現在どういうようになっているか、具体的事実についての御説明を承わりたいと思うのですが、伊江島の居住住宅の接収のときの具体的な状況、どういう工合にやられて、どのくらいの家族がどういう生活状態に追いやられて、どうなっておるかということをもう少し一つだけ具体的な御報告を承わりたいと思う。自由労連の諸君の報告書によりますと、伊江島の問題についてはこういうことが書いてあるのです。「十三戸の強制破壊作業に着手した。ブルドーザーが出動して家屋や貯水タンクを破壊したが、このときの惨状はひどいものであった。十三戸の人たちは天幕を与えられ、政府から支給された食糧で飢えをしのいだ。この土地は井戸がなく、このために雨水をためて飲んでいた。住民の陳情で政府からは水を補給し、生活保護法による生活扶助をすることになったが、それは一人一日二十円にしかならず、かろうじて生活を維持するという程度のものであった。」こういうような報告がありますけれども、こういう事実があったのかどうか、ありましたら具体的に御説明を承わって参考にしたいと思います。

安里積千代沖繩立法院議員沖繩社会大衆党委員長

○安里参考人 伊江島の接収の場合におきましては、ただいまおっしゃったような事実があったということを申し上げておきます。なおその当時の具体的な状況につきましては、立法院が調査に参ったことがあるのでありますが、その当時のとりました記録によりましても、当日の朝ブルドーザーで壁をこわされ、家をこわされ、豚小屋を焼かれ、そして米兵が家をこわしている間、私たちは道に立ってぼう然とながめていたといったような陳述、ちょうど長男六歳がはしかで寝ていたが、家の取りこわし作業が始まったものだから子供を抱いて外に出た。子供は軍が病院に連れていった。軍と一緒に自分の家をこわした人はない。ただ取りこわし作業で家財をつぶされてはいけないから、自分で運び出した者はある。取りこわし作業は機械だけでなく、兵隊が屋根の上に上ってやった。家の屋根の部分をブルドーザーでひっくり返し、豚小屋もブルドーザーで引き倒した。それから一人の人は家を焼くというので、あのいとこは、かやはここでは貴重なものであるから焼かしてはならない。焼かせるならば自分がもらおうと言ってさく外に出した。豚小屋はみんな焼かれてしまった。それから私は二万八千百円をもらったが、最低は二間半に三間の家で二万九百五十円であった。こういったような状況でありましてまたある者におきましては床と住居も豚小屋もブルドーザーでひっくり返した。豚小屋の飼料は一本も運ばれていない。いろいろな問題がありますが、要するに強制的に武力でもって接収をされた。そのためにしばらくの間テント小屋に住まいしなければならなかった。それからその後もさく内に入ることが許されずして、自分たちの耕作した耕作物がさく内にありますが、これを取りに入ってつかまって軍事裁判に回されて処刑されたというような実例もありますし、その後この人人は、こじきと申しますか、全島を回って住民の喜捨によって生きたというような実情もあります。そのこまかい数字的な問題はまたあとでお届けいたしますが、そういう気の毒な実情があるというたとを申し上げておきたいと思います。

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 それでは外務大臣が所用のために四時半には出かけなくてはならぬそうでありますので、すぐ質疑に移りたいと思います。政府に対する質疑は、内閣委員、法務委員、外務委員の順番で交互にお許しすることにいたします。一人十五分くらいにおとどめ願いたいのですが、もっと簡単にできたら、できるだけ簡単にしていただきたいと思います。床次徳次君。

床次徳二自由民主党

○床次委員 私は将来の審議の参考のために特に政府の御所信を伺いたいと思います。これは外務大臣の所管でないかもしれませんが、関連しておりますからお聞きする次第であります。それは講和条約発効前の米軍の土地使用に対する補償の問題であります。これはアメリカ側の立場から申しますと、米国の下院軍事委員会におきましては、マーカット少将は、この問題は講和条約において日本は米国に対する国民の戦時賠償要求権をすべて放棄している。従って沖繩における平和条約発効前の土地使用に対しては、米国に補償を要求する何ら法的根拠を持っていないということは、アメリカ側としては主張しているのであります。従って間接的にはわが国においてこれに対する補償の義務があるかどうかということを研究しなければならぬわけであります。内地の立場から申し上げますと、一応昭和二十年の勅令六百三十五号というのがありまして占領軍の使用あるいは収用によりまして生じましたところの損失に対しては補償する建前をもって、内地側においては取り扱っておるのでありますが、沖繩の場合におきましては、 この点が明瞭になっておりません。従って政府としてはいろいろ御研究になっておられると思いますが、この点はどういうふうなお考えでありますか、大体の方針を、調査の結果おわかりでありますれば伺いたいと思うのであります。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田説明員 法律問題でございますので、私からまずお答えいたします。ただいま御指摘のマーカット少将の有している見解、これは実は日本政府当局といたしましては必ずしもそれに同意いたしておらないのでございます。と申しますのは、ただいま沖繩の代表からもお話がありましたように、請求権の原因発生者たる米軍はまだ向うにいる、それから請求権を有する沖繩住民は、現実に米軍の施政権下にあるという特殊の関係がまだ続いているわけでございます。従いましてよその地でその場限りで、ジープにひき殺されたとかなんとかいう請求権とはまるで違っているわけであります。特殊状態が現に続いている、そうして沖繩住民の福祉は責任を持つ米軍がそこにいるわけでありますから、まず第一次的には、もし住民が困るならば、当然米軍の責任において何らか考慮しなければならないという関係が、まだ現に続いているわけであります。そこで先例を見ますと、奄美大島が返りましたときは、平和条約第十九条で処理するとは書いてございません。これは別の規定を設けたのでありますが、将来沖繩が返りましたときは、やはり平和条約第十九条だけで機械的に処理するということには私はならないと思う。その際に、彼我の有する請求権全般の問題の一環といたしまして考慮すべき問題だろう、そういうように考えておるわけでございます。

床次徳二自由民主党

○床次委員 ただいま局長の御答弁でありますが、この問題を解決することに対しましては、今後アメリカとの関係において相当折衝の余地があるということは明らかだと思う。日本側の責任だとあらば、われわれといたしましてもできるだけのことをなすべきことは、同胞の立場から当然であります。しかしアメリカ側に責任が残っておりまするならば、できるだけアメリカ側に責任を果させることは、当然われわれとしてもなすべきことじゃないかと思っております。この点に対してわれわれもさらに研究を続けたいのでありますが、政府におかれましても十分に努力されて、その交渉の経過というものをわれわれの方にも御連絡をいただきたい、一応本日はこの点だけを要望しておきます。

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 猪俣浩三君。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 私は質問書を作りまして政府の方には出してあるんです。それは十五項目にわたっているんですが、委員長から十五分だとか二十分だとかいうようなことで、ほとんど質問ができないわけです。そこで飛び飛びになるかもしれませんが、第一に、沖繩住民には日本の国籍法が適用されておりますので、日本国民であることは疑いない。日本国民であり、しかもそこに潜在主権があることも疑いないことでありまするならば、この二つを結合いたしまして、沖繩住民に対し、日本の国の外交保護権があることも明白だと思います。これは私は二十四国会のときに外務大臣に御質問した問題である。そのときの答弁はあいまいでありましたが、外務大臣のこの点に対しまする確たるお答えをいただきたいと思います。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 そういう場合にこれを外交保護権というかどうかということは、国際法の問題として確定はしていないと思うのであります。しかしながらいやしくも日本民族であり日本国民である。また日本の持っておる潜在主権の領土に関係することである以上は、外交上十分にこれに対して保護、支援を加えるということは当然のことでございます。その見地に立って、沖繩住民の生活、福祉に関する問題、要請については、十分実現するように努力を続けておる次第でございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 どうも大臣の答弁は法律問題を避けられるような心持——これは外務大臣としてアメリカ国に折衝なさる際に、跡から法律問題でかかっていくということは、われわれもそういうことが適当だとは考えておりません。ですから外務大臣がアメリカに対する態度としては、そういう法律問題で押しまくるということは、私ども望むところではありませんけれども、内におきまして確たる信念を持たないというと、外交問題がやはり貫徹できないと思う。そこで、あなたはこれは国際法上きまっておらぬようなことを言いますれども、われわれの調べた範囲においては、条約に特別の規定のない限り、その国の国籍法の適用されている住民には、外交保護権があることがほとんど通説であります。通説でないのは日本の外務大臣だけである。ことに閣僚のうちの牧野法務大臣はそういう見解を持っておられる。かような学者の通説においても、国籍法が適用せられ、しかも潜在主権というものが潜在しておるとするならば、これはいわゆる外交保護権がある。ただアメリカの施政権との間においての調和の問題として、それが平生は発動しない。しかしながらある条件のもとにおいては発動する保護権という原権はあるはずだと思う。それが一体ないというと、日本政府がこれからアメリカといろいろ折衝なさる際の腹ができないことになると思う。そこであなたに腹をきめていただきたいのです。  もう一度お伺いしますが、私どもは外交交渉としてかような法律問題で対処せよという意味ではありません。ただあなたの信念あるいは現内閣の信心として閣僚の、しかも法務大臣がそういう信念を持っておられるとするならば、しかも学者の通説もそこにあるとするならば、これはさような態度を内外に声明なさった方がいいんじゃなかろうか、アメリカに交渉するにも便利じゃなかろうかと思う。再度お伺いいたします。一体沖繩住民は日本の国籍法が行われている住民であります。ただその施政権の範囲において日本の主権はいわゆる潜在主権となっているでございましょう。これは次に私は質問いたします。アメリカの施政権といえども無制限なものではないはずである、そのアメリカの権利の乱用に及ぶような場合においては、日本は当然この潜在的にあります権限に基く主張が生まれてくるはずだと思う。それでいわゆるアメリカの権利乱用というようなことを頭に置いて考えた場合に、われわれが保護権がないというと、交渉の余地がなくなると思う。この潜在的に主権があることはアメリカも認めていることである。それと、日本の国籍法が適用されておる。この二つを結合いたしますと、いわゆる根本的に日本国は沖繩住民に対していわゆる外交保護権というものがあるのだという結論がどうしても出てくると思うのです。ですから、それに対して再度あなたの御信念を承わります。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 むろん外交上において、自分の国の国籍を有している者に対する保護の責任も権利もございます。それは私は当然のことであると思います。それであるから、それに対してあらゆる保護の実績を上げよう、こう考えているわけでございます。これは国際法の問題として考える場合において、日本の国籍を持っている者が外国にいる場合において保護する。現に沖繩人もどこでも日本の手の届く限りにおいて実際保護して、国内はむろんのこと、国外においても保護しているのであります。しかしながら沖繩の領土において保護する手段が、法律上ないのでございます。沖繩の領土において日本はすべての統治に関する権利を放棄しているのでありますから、これを行使することはできません。それを行使することができるとして、それは権利であると見るべきかどうかということは、私は国際法で検討すべき問題だと思います。しかしながらこれは日本国民である以上は、それに対して不当な取扱いを受ける、こう考えている以上は、十分に日本は米国に対して要請をし保護する、これを権利といえば、権利は当然あり得る。その限りにおいて保護権はあり得るわけです。だから、それでもって交渉しているわけであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あなたの説明はあまりめんどうなんだ。われわれの質問は、一体保護権があるかどうか。外交保護権というものは、国際法上も一定の概念のある概念である。あなたが、権利があるのは当然だとおっしゃるなら、あるのだと一言言って下されば、それで何もややこしい質問をしないでいいのです。これを妙ちくりんに答弁なさるから、わけがわからぬ。そこで今のあなたの説明では、この沖繩住民に対しては日本の外交保護法るのだと僕らは承わりました。それならそれでいいわけです。なお重ねてこの点につきまして法務大臣の確信を伺いたいと思います。

牧野良三自由民主党法務大臣

○牧野国務大臣 質問者の言われる通りに、保護権はあると思います。この点については外務大臣も同意見でございます。御安心を願います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 次に外務大臣になおお尋ねいたしますが、アメリカは立法、司法、行政の統治権を持っております。さっきのあなたの答弁では、統治権と外交保護権とごっちゃにしたような御答弁である。それは統治権はアメリカが持っておる。ですから、その点別に私どもが不審がるわけじゃない。ただ、このアメリカの施政権、統治権というものが近代の法概念に照らして無制限であるものか。たとえば極端に言うならば、沖繩の住民をみな射殺するというようなことが統治権から当然やり得ることであるか。私どもの近代の法概念といたしましては、これは一定の制限がある。その制限を越しますと権利の乱用になる。なおまたその根拠といたしまして、たとい日本がまだ国際連合に加盟いたしておらぬといたしましても平和条約の第三条によれば、信託統治をアメリカは最初考えて第三条をきめたようだ。しからばこの信託統治に関する国連憲章の精神というようなものは、やはりアメリカのこの統治権施行については十分に参酌すべきであり、いわゆる権利の乱用になるかならぬかの一つのラインを引く問題だと私は思うのです。この国連憲章の第七十三条、七十四条及び七十六条は、一体アメリカが沖繩に統治権を行使する意味においてこれは全然参考にならぬものであろうか。いま一つついでに申しますが、いわゆる国連憲章の人権宣言、これは万国の個人々々の国民に全部適用のある大宣言だと思いますが、その人権に関する世界宣言というものが、やはりアメリカの沖繩住民に対する施政権の一つのワクとして考えられないものだろうか。この点です。私、再度繰り返しますが、日本は国際連合に入っておりませんが、国際連合のこの精神、第七十三条、七十四条、七十六条というような精神、及び人権に関する世界宣言のこの精神、これがいわゆるアメリカの施政権の一種の権利乱用のワクとして、考えられないだろうか。この精神にそむくような統治作用をいたしましたならば、いかにわれわれは統治権の移譲をいたしておりましても、それは権利の乱用であって、それに対してわが国の外交保護権を当然発動すべきである。われわれが平和条約において権利の移譲をアメリカにしましたのも、無制限無軌道に統治権を与えたのじゃなかろうと思う。近代法の精神に基くかかる世界的な条約の精神に基いて、いわゆる善良な管理者の注意をもって沖繩住民を統治してもらいたいという、そういう文字に書かれざるいわゆる自然法的な条件によってこの統治権の移譲がなされたとわれわれは思うのです。それが近代的の解釈だと私は思うのです。その世界人権宣言、国連憲章の各条章の精神に全くそむいたような、こういう人権じゅうりんに相当するような、権利の侵害に相当するようなことをアメリカの政府がやったとするならば、わが国本来の外交保護権の発動に基いて堂々とアメリカ政府に抗議ができる筋合いじゃなかろうか、その点についの御意見を承わりたいと思います。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 御質問の点は、沖繩は委任統治に入っていない、しかしながら委任統治の条項はいずれも統治の標準として参考にすべきではないか、それに反したならばこれに対して異議を申し立てることができはしないか、こういうことに帰着すると思います。私はこれはできると思います。そうしてそれがために十分の保護をすべきだ、こう考えております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 だいぶはっきりして参りました。これは私どもがアメリカに対しても堂々と主張していいことだと存じます。いわゆる近代の法理念からいたしましても、諸般の条規からいたしましても、無制限なる統治権の使用は許されないはずである。そうするとそれは権利の乱用になる。それを日本政府がお認めになって、そうしてこの見地に立って交渉していただきたいのであります。  なお、私はたくさんあるのですが、時間がありませんので、これは法務大臣にちょっとお尋ねいたしますが、世界人権宣言というのは、今法をつかさどる者の最も重大な焦点でありますが、世界人権宣言というものは、沖繩住民とはどういう関連があるとお考えになりますか、お答え願いたい。

牧野良三自由民主党法務大臣

○牧野国務大臣 人権宣言は当然沖繩にもその精神は行われなければならないと思います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 なお外務大臣に、お急ぎのようでありますから先に私はお尋ねいたしますが、今土地収用の問題は米国の民政府市会一〇九号の土地収用令によって強制収用されております。ところがその買収価格あるいは使用価格が非常に低廉であるということが、沖繩住民の不平の一つの大きな問題であります。根本的には土地を取り上げられることが、反対のようでありますが、取り上げられるといたしましても、実に償いにならない、生活できないような使用賃を払っておる。これは午前中も法務委員会において詳しく聞いたのであります。これに対しまして沖繩の立法院は一九五四年四月三十日にこの軍用地処理に関する請願というものを満場一致で決議いたしております。これに対しまして、当時の琉球列島米国民政府の副長官でありますオグデンが、それから半年もたった一九五四年十一月になってから返事をしておるのです。その返事の中には、合衆国が取得し使用する私有地に対する適正補償とみなされる額は、合衆国で土地が取得されるときに合衆国自由国民が要求する場合と同様の考慮により、また同様の手続のもとに決定されるということを声明しておる。ところが現地の人のあれを開きますと全く違っておるのです。しかし一国の最高の責任者である沖繩の副長官がその名において、これも琉球政府の立法院の議長に対して公式のこういう声明をなされておる。その声明が違っておるとなるとはなはだおかしいのですが、こういうことに対して沖繩の人たちがたびたび政府に対して訴えておるのですが、このオグデン声明なるものを根拠として何か交渉なさったことがあるのでしょうか。合衆国自由国民が要求する場合と同様な考慮を払い、また同様な手続で決定しているんだ、こういう答弁をしておる。それと現地の報告とはまるっきり違っておるのですが、一体これについてその矛盾を指摘なさったことがあるかないか、それを一つお尋ねします。

中川融外務事務官(アジア局長)

○中川説明員 この問題につきましては、一昨年以来アメリカ側としばしば交渉しておるのであります。現地の住民の方からいろいろのお話を聞きまして、いかにもごもっともであると考えまして、そういう材料をもとにいたしましてアメリカ側の反省を求めてきておるのであります。従って今御指摘のような点は、十分先方にこちらの考え方を説明して、日本としては折衝を続けてきておるわけでございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 今事務当局が、ただやっておるというような説明、二、三年前からやっておるなら何か返事があったはずだ。大体どういう交渉をなさったか知らぬが、あっせんするなんていうことを最初大臣はおっしゃっておった。まるで第三者みたいな立場であっせんするなんていうことを言っておる。外交保護権があるかないかわからぬような、そんな頭であっせんするなんていうことを言っていらっしゃるとすると、この交渉をどういうふうにやったのか。アメリカはそういう正当な自分自身の声明を実行しないようなことですから、これは十分に日本政府としては抗議ができるはずだと思う。それに対して一体アメリカはどういう回答をしておりますか、お答え願いたい。

中川融外務事務官(アジア局長)

○中川説明員 この交渉は日本政府がやりますと同時に、現地でも非常に強い力をもってアメリカ軍当局に当ってきておられると思うのであります。その結果が、昨年アメリカの議会に法案が出ました際に、アメリカの国会におきまして現地の方々の代表の御意見を聞いて、これは急速に措置すべきでない、よく現地の状況を調べた上で措置すべきであるということになりまして、そのために調査団が派遣されたのであります。それがプライス調査団でありまして、その調査団の報告が最近公表されたわけでありますが、その内容は はなはだ不満な点はあるのでありますが、同時に先ほどからも御指摘があったように、相当改善された面もあるのであります。たとえばどういうような補償をするかという補償の算定の根拠というものにつきましては、今までアメリカ軍がやっていたやり方は適当でないというような判断もしておるのでありまして、従って効果は全然なかったというわけではないのでありますが、遺憾ながらまだ完全にはほど遠いのでありまして、その意味で今日さらに熱烈な交渉をしなければならぬと考えておる次第であります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 大体このオグデンの声明は、アメリカにおけると同じようなことをやっておる、こんなものは一目でわかることです。なぜならば一体この土地取り上げに対しまする使用料に反対して、これは米国民政府収用委員会等にかけるのだそうですが、しかしアメリカ内地では裁判問題になるだろうと思う。日本の内地でも土地収用に反対するものは裁判を受けることができる。一体沖繩住民は裁判を受けることができるかどうか、土地のみならずその他のあらゆる損害賠償についても裁判というものを受けることができるか。行政的な委員会というのじゃなしに、アメリカ人民と同じように取り扱えというのなら、一体裁判を受けることができるのであろうかどうか、その実情はどうなっておりますか。

石井通則総理府事務官(南方連絡事務局長)

○石井説明員 土地収用令の中には御承知のように訴願の委員会がございます。これの裁定によりまして土地の価格については決定されるわけでございますが、その訴願の委員会は準司法機関及び広く裁判所としての権限を行い、かっこれが最終的なものとされておりますので、アメリカの本国に訴訟を提起することはできないと考えております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 こんなことは一見して明瞭なことで、オグデン声明はこれはうそを言っておる、実行しておらぬ、裁判機関にかけておらぬのです、そんな委員会なんというもので処理されておる。こういうことはもっと厳重に追及すべきじゃないか。  なおこれは大臣に一つお尋ねいたしますが、この沖繩問題についてアメリカ政府に御交渉なさっても、この沖繩住民の血をはくような思いで要求しておる四原則、こういうものが通らない、どうしても彼らは彼らの要求を貫くというようなことになりました場合において、日本は沖繩住民に対して外交保護権がある、あるいは領土高権を持っておる、潜在主権を持っておるということを根拠といたしまして、国連の人権委員会なりあるいは国際司法裁判所なりに提訴することができると思いますが、それが法制上できるかどうか、及びできるとすればそれを提訴する最後には決意があるのかどうか、これを承わりたいと思います。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 さような結果を見た場合においてこれを国際司法裁判所に出すとか国連機関に訴えるとかということについては、十分考究をしてみる考えでございます。しかしその法律関係、訴えることができるかできぬかという御質問に対しては、条約局長からお答えいたします。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田説明員 純法律論といたしましては、たとえば平和条約第三条、立法、司法、行政のすべてをアメリカに行使させることを認めたその条項は、あまりに大原則で、あまりに抽象的でございまして、それに関連してこの具体的の紛争というポイントが直接この条文から出て参らないのであります。条約の解釈に関しまして紛争の起る場合に、従来国際司法裁判所に提起された点を見ますと、これは具体的のきちっとした条文がありましてそれについての解釈問題、つまり紛争点が直接条約のこまかい規定と結びついておるときに提起されておるのが例でございまして、このような大原則を三くだり半で書かれたものについて提訴された例は、ない次第でございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 国連へ訴えることができますかどうか、国連憲章の六十八条の手続を経て訴えることができるかどうか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田説明員 国連憲章の関係におきましては、信託統治にもしなりますとすれば、これは信託統治理事会の問題として提訴できるわけでございます。しかしそれ以外の場合に提訴するとなりますと、これはもう少し事態が険悪になりまして、国際の平和及び安全に直ちに影響するというような差し迫った事態になりませんと、従来の例では国連に提起できないという先例になっております。

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 外務大臣は所用のために退席されますから……。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 外務大臣に御意見を聞きますが、今のようなことを国連憲章のどこに書いてありますか。あなたの勝手な解釈じゃないか。そんなことは紛争があったら理事会の承認を得ればできるはずだ。六十八条はそういうようになっているはずだ。そしてこれは非常に差し迫っていると思うのだ。それに対して一体どうなっておるか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 お答えします。さようなことに相なりました場合において、国連憲章の趣旨に基いて国連に訴えるということは政治的にでき得ると思いますから、それは十分考慮するつもりでございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 さような場合においてというのですが、さような場合がわからぬのですが、この四原則、つまり沖繩住民の血をはくような思いの四原則というものが、貫徹できないような場合においては、国連に訴える用意がある、かように承わってよろしいか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 そのときの情勢を見てやるという意味でございます。それはその場合に考えます。

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 それでは外務大臣の都合で本日はこの程度にしまして、明日午後二時から本連合審査会を再開いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十一分散会

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