外務委員会 第60号
- 発言数
- 115 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1956/07/23
会議録
○前尾委員長 これより会議を開きます。 国際情勢等、特に日ソ交渉に関する件について質疑を許します。風見章君。
○風見委員 官房長官はまだ来ていないのですね。
○前尾委員長 まだ来ていませんが、要求しております。
○風見委員 来ますか。
○前尾委員長 ちょっと開いてみます。
○風見委員 最初に一つ言っておきたいことは、今日のこの委員会が日ソ国交回復交渉に関する問題のために開かれたのであって、しかも全権出発を前にして、政府の所信をただす意味においての開会でありますから、この事の重大さにかんがみて、われわれは鳩山総理大臣の出席を要求しておいたし、また事の重大さにかんがみれば、総理大臣としては当然出席しなければならぬはずと思うし、われわれはそこでそれを要求したのであるが、しかるに総理大臣は出席がない。はなはだ遺憾であります。よしや政府自身が何かの都合品で総理にみずから答弁させたくないという事情があるにしても、総理大臣としては一応ここに出席して、副総理としての重光君の発言を総理大臣として確認する意味の一言のあいさつくらいはあってしかるべきと思う。しかるにこのことすらないということは、問題の重大さにかんがみて、政府としては責任を全うするゆえんでない。このことにおいて最初に政府の注意を呼び起しておきたい。従って重光外務大臣には、副総理として政府を代表して答弁することを要求します。今や日ソ国交回復に関する交渉を成り立たすか、それとも成り立たせずにおくか、この問題は重大な分れ道に差しかかってきた、こう私どもは考えます。従って事柄はきわめて重大でありますから、幾たびかこの委員会において問答され、それらと重複する点があるかもしれませんが、日本社会党を代表して、あらためて質問を試み、政府所の所信を確かめ直しておきたいのであります。 まず指摘しておきたいのは、昨年来の日ソ国交回復に関するロンドン交渉と行き詰まらせた壁は、結局南千島にからむ領土問題であるということは、まぎれもない事実として政府も認めるだろうと思う。そうでないならば答弁してほしいが、そうであるならば答弁する必要なしに私の話を進めます。
○前尾委員長 外務大臣。――答弁がないようですが……。
○松本(七)委員 議事進行。今総理大臣の出席のことについてお話がございましたが、実はわが党の戸叶委員から先般の理事会で、この外務委員会を二十日と二十一日と両日開くことを要求した。それは無理だというので、二十三日に開こう、そのかわり外務大臣と総理大臣ともに出席するという確約があったはすなんだ。それができない場合には、重光外務大臣が全権として日本を離れる以前に必ず総理大臣は出席させる、こういう決定が理事会の申し合せとして速記録にもちゃんと載っているわけです。ですからもしきょうどうしても出席ができないならば、あした中にでも委員会を再度開いて、総理大臣の出席を求めなければならない。その努力が委員長として私は不十分だと思う。従って委員長の明快な御答弁をここでお願いすると同時に、一体きょう出席されるのか、あるいはあした再開して総理の出席を求むるのか、そり確答をこの委員会継続中に早くもらうように、委員長の再度の努力を願いたい。
○前尾委員長 これは政府と違いますから、要求はできますが、確答すると言われても……(松本(七)委員「委員長の方針を聞いている」と呼ぶ)委員会としては、また私としては、政府に十分要求しております。まだ出られぬのは非常に遺憾に思いますが、なお努力を続けます。(松本(七)委員「返事は何時ころくるのです」と呼ぶ)今交渉中ですから、返事は……。 〔「根本はどうした」と呼ぶ者あり〕
○前尾委員長 官房長官はもうじき来るそうです。どうぞ質疑を続けて下さい。
○風見委員 ロンドンにおける松本全権を主体とする交渉で打ち当った壁が何であるかについては、ただいま私が言ったことを政府も承認された。そこでその行き詰りを余儀なくせしめたところの壁に思いをいたすと、政府としては、ここに交渉再開に当っては、全権出先前に国論の統一をはかるために万全の手段を尽すというのが、当然の責任であり、義務であったと思うのであります。すなわち、具体的には、臨時出会を開いて、政府と与党、野党との間十分に論議を尽して国論の統一をはかるという工夫をすることが第一に必要であったと言わなければならない。なぜなら、ロンドン交渉を一年余の長きにわたりてケリをつけるわけにいかなかったのは、せんじ詰めていけば、その壁をどうするかについての考え方が与党内にあってすら分裂していて、それがために政府は方針を一つとして問題の解決にかかれなかったからではないのか。そうでないとは言わせない。全権選考のいきさつ、党内の動き等々、これらの事実が証明しているではないか。だから臨時国会召集を拒んだのは、政府としては義務を怠り、責任をないがしろにしたもので、まことに遺憾千万である。しかし今日の場合なぜそうしたかをここで責め立ててみたところで、間に合うことでもないから、それには遺憾の思いを述べるだけにしておくが、そうであるだけに今日この委員会の開会は、意義すこぶる深く、かつ大きいことを認めなければならない。というのは、政府はこの委員会において国民に向って、政府の方針とするところをはっきりさせる義務と責任とを負担するからである。このことを断わっておいて私の話を進めるのだが、繰り返して述べた壁の処置については、重光全権も松本全権も互いに協力して、決裂を避けることに万全の工夫を傾けつつ、必ずやこの壁を片ずけて妥結の道を切り開くというかたき決意であることをわれわれは信じたい。またその決意があったればこそ、進んで全権の大役を引き受けられたことと思う、われわれはこのことについて、重光君に副総理としての立場から政府を代表する意味において所信を明らかにしてもらいたい。 なお一言これを尋ねるに当ってつけ加えておきますが、壁の片づけ方については、両全権とも外交界のヴェテランでありますから、国際社会の良識が許す範囲において、必ずや適切妥当なる方策を発見し、これを実現するに手落ちのあろうはずもあるまいと信じます。従ってそういうことについて一々ここで取り上げて法文をつけたり、もしくはただすようなことはしませんが、ただ以上述べた点、すなわち、妥結は必ず期するという決意を確かめておきたい。その決意のほどが確認できれは今からでも国論統一の道はおのずから開ける、こう信じますからこの点を尋ねるわけなのです。
○重光国務大臣 お答えいたします。この重要な交渉――日ソ間の国交を正常化することを目的とするこの交渉の重要なことは申すまでもございません、これに対して、目的を達するために私は今日全力を注いでこの交渉に当るつもりであります。ぜひともその目的は達したい、こう考えております。
○風見委員 政府を代表して今重光副総理から公けにこの席においてただいまの決意を述べられたことにわれわれ社会党としても満足します。おそらく大多数の国民も同様であるに違いない。私が政府に確かめたかったのはただこれだけなのです。 ただここで一言だけあとつけ加えることを許されたい。思うに今日国民がひとしく願い、望むところの一つは、国際的な国情の安定であると信じます。同町にアジアの平和と世界の平和とにつながる西太平洋地域の平和の確保である。それなしには日本の国際的地位の安定は考えられない。そして、それを求むるには日ソ同国交回復が欠くべからざる条件の一つであることも申すまでもない。この意味において日ソ国交回復は早からんことが望ましい。引き延ばすことによっては、国家にとっても国民にとっても何の利益もありはしない。かつ、これに成功することこそ、わが国のいわゆる自主独歩外交への第一歩でもある、思えば、ほとんどまる十年前、あの米艦ミズーリ号上、無条件降伏という民族最大の悲劇を約束する条約に外務大臣として署名することを余儀なくされた重光君であります。その重光君が今この平和条約締結交渉のためにモスクワにおもむくということは、同君にとっても、さだめて感慨の多いことでありましょう。送るわれわれにしましても同様であります。同時にまた重光君としては、この仕事を仕上げることによって、あの思い出すだに心を暗くする民族の悲劇に最後の幕をおろすわけになるのであるから、重光君としてもこの事に当るには心おのずからはすむものがあることだろうと想像します。また松本全権としては、過去の苦労の収穫がここに期待されるのであって、われわれは両全権が健康に心せられ、十分所期の目的を達成して、無事帰任せられることを心から析ってやまないのであります。両君旅程の平安を祈って私の発言を終ります。
○前尾委員長 北澤直吉君。
○北澤委員 日ソの交渉が、日本の運命を左右する最も重大な外交案件でありますことは、今さら申し上げるまでもないのであります。今回重光外務大臣が、一死国難におもむく重大な決意をもって日ソ交渉の全権をお引き受けになりましたことにつきましては、私どもまことに感慨無量でありまして、ぜひ電光、松本両全権の御成功を衷心より祈ってやまないものであります。 両全権を送るに当りまして、二、三点要望申し上げたいのでございますが、その第一点は、今回の交渉に当りましては、従来外務大臣がたびたびお述べになっておりますように、すでにきまった党議の線、党議の測定方法を貫徹するという御決意のもとにこの交渉に臨まれたいのであります。御承知のように昨年の秋、保守合同が実現されました際に、新保守党の緊急政策として、日ソ交渉に関する方針がはっきりと天下に明示されたのであります。すなわち平和条約の締結を目途としてこの交渉をする、それからまた抑留邦人は即吟完全にこれを帰還せしめる、また最も重大な問題になっておりまする領土問題については、歯舞、色丹、南千島を無条件に返還せしめ、その他の領土の帰属は、関係国間において国際的に決定する、こういったことが昨年の保守合同の際に新保守党の日ソ交渉に関する根本方針として天下に表明されておるわけであります。もちろん今回の交渉についてはいろいろ困難な問題があろうと思うのでありますが、両全権におかれましては、この既定の党議の線をどこまでも貫徹するという御決意でお臨みになってもらいたいと思うのでありますが、この点を確かめておきたいと思います。
○重光国務大臣 私は交渉に臨むに当りましては、一に政府の決定した方針に従いたいと考えます。それを主張して目的を達したいと考えております。かつまた私も自民党の党員でありまして、政府は与党によってできた政府でございますから、与党の方針はすなわち交渉の方針でなければならぬと考えます。私はその実現に全力を尽していきたいと思います。この与党の方針も国交の正常化を目的とした方針でございます。さように心得て参るつもりでございます。
○北澤委員 今回の交渉は日ソ間の単独交渉であります。要するに日ソ間の相対の交渉でございます。私どもの考えによりますと、御承知のようにソ連の方では、自分は戦争に勝ったんだ、日本は戦争に負けたんだ、こういうふうな態度をとっておりますが、今度の交渉を考えてみますと、ソ連の方ではたくさんの切り札を持っておる。あるいは今度の交渉がまとまらなければ、抑留邦人は帰さない、北洋の漁業もさせない、日本の国際連合加盟にも反対だ、こういうようなたくさんのいろいろな切り札を持って今度の交渉に臨むわけであります。わが方はこれに対してそういう切り札を持っておりません。従ってこの日ソの直接交渉だけでは、日本の立場というものは、何と申しますか、決して強い立場ではないと私は思います、私は今回の日ソ単独交渉の成功することを心から念願するわけでありますが、今申しましたように、今度の交渉に対するソ連の地位、日本の地位というものは非常に開きがあるわけであります。どうしても今度の交渉で日本の主張が通らないという場合には、国際会議にこの問題を持っていく以外には手はないと思うのであります、御承知のように領土問題については、日本は桑港条約におきまして一応権利、権原は放棄しておりますが、千島、南樺太その他のこういう領土を最終的にどこに帰属させるかということについては講和条約に何ら規定はありません。こういうこれら関係の領土の最終的な帰属は、将来関係国の間できめるということになっております。漁業問題もそうであります。北太平洋の漁業は日本とソ連だけできめてもだめであります。アメリカ、カナダ、これが全部会議を開いてきめなければほんとうの目的を達し得ないのであります。こういうようなわけでありまして、今回の日ソ交渉におきまして日本の希望が達成せられればけっこうでありますが、それができないという場合には、私どもはこれを国際会議に移して、この関係国とともにその場において日本の主張を十分に主張し、日本の、正しい主張は世界の世論に訴え、国民にも訴えて、日本内外の強力なる世論のバックのもとにやるのでなければ日ソの交渉はそう簡単に参らぬ、こういう点を心配するわけでありますが、外務大臣は、今回のこの交渉が円満に妥結しない場合に国際会議を提唱するお考えがあるかどうか、この点を伺っておきたいのであります。
○重光国務大臣 有益なる御意見を伺ったわけでございます。私が申し得ることは、交渉に当りましてはわが立場をむろん主張しなければなりません。全力を尽して交渉に当りたいと考えております。その結果によってこれを最後にどう決定するかということを考えなければなりません。今日はただ御意見を伺うことにとどめて、私からお答えすることは差し控えたいと存じます。
○北澤委員 もう一点だけ申し上げて私の質問を終ります。第三点は、この日ソ交渉に関しまして、日本の内外に対する啓発工作と申しますか、パブリック・リレーションと申しますか、この点であります。日本の内外の強力な世論のバックのもとにこの交渉を進めるためには、やはりある程度交渉の内容、一体ソ連がどういうことを主張しておるか、日本はこれに対してどう主張しておるか、こういう内容につきましてもある程度これを世間に発表して、内は国民の納得を求め、外は世界の世論に訴えて、なるほど日本の主張が正しいのだ、こういうふうな世界の世論をバックにしなければならぬということは先ほど申し上げた通りであります。ただ従来の日ソの交渉の経過を見ておりますと、どうもこのパブリック・リレーションの点が非常に欠けておる。一つ例を申し上げますと、ロンドン交渉に関連して、イギリスのロンドン・タイムズですか、新聞などの報道を見ますと、日本は敗戦国であるにもかかわらず、敗戦国の地位を忘れて強がりの主張をしている、こういうふうなことを言っている。これはまことに日本の政府の日ソ交渉に対する啓発工作が不十分であるということを明らかに物語っておるわけであります。日本は片この点について非常に苦い経験があります。日露戦争のあとポーツマスの講和会議がありました。あのとき日本の方では小村外務大臣が参り、ソ連の方ではウイッテ全権が参りましたが、ソ連全権らがアメリカの新聞その他に対する世論工作をやったがために、アメリカの世論がロシヤの全権に好意的な態度をとったということで、日本の全権は交渉上非常に不利益をこうむった、これが厳然たる事実であることは、外務大臣御承知の通りであります。 こういう点を考えましても、今回の日ソ交渉に際しまして、日本は国内の世論工作だけではなく、世界に向って日本の主張は正しいのだということ、そういう点についてできるだけの努力をして、世界の世論の強力な支持を受けて、その上でやらなければソ連との交渉というものはなかなかそう簡単には参らぬこと、これは外務大臣御承知の通りであります。そういうふうな面も考えまして、今回の日ソ交渉におきましては、もちろん外交上でありますから非常な秘密もあるでありましょうが、差しつかえない限り、最大限度に交渉の内容について、わが方の主張、相手方の主張、こういうものをできるだけ世間に発表をして、そうして国民の納得を得、国内の世論の支持を得、また外国の世論の支持を受けてこの交渉に臨まれ、日本の立場を強くしてこの交渉に当られんことを心から私は希望するわけでありますが、この点について外務大臣のお考えを承わりたいと思います。
○重光国務大臣 お話の趣旨は私全然御同感でございます。できるだけそういうふうに努めて、参りたいと思います。
○前尾委員長 松本七郎君。
○松本(七)委員 私は風見委員の質問に関連して、二、三御質問したいと思います。さっき風見委員から、この日ソ交渉については米国の干渉があるのではないかというお言葉があったのですが、これは明確な外務大臣の答弁はなかったようでございますけれども、この点についてどのようにお考えでしょうか。何らか米国から干渉がましいことを言ってくる可能性があるか、あるいは現に来ておるか。
○重光国務大臣 さような御質問を受けた覚え、記憶はございません。ございませんが、新たな御質問としてお答えいたします。さようなことに全然ございません。そういう事実、またそういう見込みも私は持っておりませんことをはっきり申し上げます。
○松本(七)委員 露骨の干渉はないにしても、これはいろいろな間接的な意見表示だとかそういうものは今後あるいは起り得るのではないかと考えますので、その点を風見委員も触れられたのだと思いますが、新聞で見るところによりますと、最近前吉田首相が外務大臣に対する書簡の形でもって、強硬な意見を発表されておるようでございまするが、この大切な日ソ交渉をこれから始めようという場合に、いやしくも外交界の長老であり、しかも前首相で、ある吉田さんがあのような意見を述べられるということは、これはいろいろな方面に非常に大きな影響があると思います。その点についての詳しい御質問は本日は差し控えまするが、外務大臣は全権としてあの吉田さんの考えは正しいと思われるかどうか、この点を伺っておきたい。
○重光国務大臣 私は今日まで吉田前総理大臣から何ら手紙も書きものも受け取っておりません。ただし吉田総理の意見として直接間接片りんは伺っておりますが、その中には有益な意見もございます。しかし私は何人も意見は十分に今日まで聞く態度を持って聞いて参ったのでございます。その意味において、外交界の長老の意見も聞く機会があったわけであります。それに対する私の批評は今日差し控えたいと思います。
○松本(七)委員 私どもが案じます中心点は、外務大臣がしばしば言われるように、交渉に臨む方針は既定方針で臨む、しかも決裂は回避する、こういう点にしぼられてくると思う。言葉の上から見ますると、既定方針で臨むということは、結局今までのロンドン交渉をなお継続するという内容だろうと思う。こうなると、今までの方針がロンドン交渉で行き悩んでデッド・ロックに乗り上げて中断されたのですから、さらに既定方針で臨むということになると、また再度デッド・ロックに乗り上げる可能性が十分あるわけです。しかもなお外務大臣として決裂は回避する、こういうことを言われるのですから、言葉の上から言うと、どうしてもそこに矛盾があるわけですが、もしこの矛盾を解決しようとするならば、既定方針に何らか弾力性ある態度に――これは厳密に言えば変更ですが、しかし少くとも弾力性を持たせなければこの決裂を回避することは私はできないのではないか、こういう意味で、鳩山総理が先般来混合方式でいくということを新聞に発表されたことは、この弾力性を持たせるという意味で、非常に意味があったと思う。それに対して重光外務大臣は、総理大臣のあの言葉はたわごとである、こういう批評をされておる。こういう態度であると、私は再度デッド・ロックに乗り上げるのではないかとおそれるのでございまするが、今日全権として臨まれる重光外務大臣は、あの当時鳩山総理大臣が混合方式という意見を発表された当時と少しも変らない意見なのか、あるいは何らか弾力性ある態度で今度は臨んで決裂を回避しようという決意を持っておられるのか、その点をお伺いしておきたい。
○重光国務大臣 私は先ほどお答えをいたしました通りでございます。日本側の立場は十分に主張して交渉を進めたい、こう考えます。そうしてこの交渉の目的としておるのは日ソの国交の正常化でございます。これは何とかして目的を達したい、こういう考え方で一ぱいでございます。そこで全力を尽してこの交渉を成功に導きたい、こう申し上げておるわけでございます。その意味で御了承を願います。
○松本(七)委員 最後に松本全権に一点だけお見通しを伺っておきたいのですが、松本さんは、ロンドン交渉が行き詰まってから東京に帰ってこられて、今後はもっと高いレベルの話し合いが必要だ、こういうことを言われたのですが、当時のお言葉の通りに結果はなってきたのです。外務大臣みずからが全権として乗り出す、先方もシェピーロフ外相みずからが全権になるというようなことで、ハイ・レベルになってきたわけでございますが、今日の諸般の情勢から、今度はこれが妥結になる可能性は十分あるか、前全権としてロンドン交渉で長く苦労されて向うの主張なり、あるいは最近の世界情勢等に直接タッチされてこられた松本全権のお見通しを一言伺っておきたい。
○松本説明員 ただいま松本君の御質問でございますが、私はかねて意図しておりましたように、いわゆるハイ・レベルの交渉が今度行われることになりましたのは、私といたしましてまことに喜ばしいのであります。その見通しがどうかということにつきましては、私はこの際これが非常な成功をおさめますことを心から期待しておりますけれども、この見通しについて、この際申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
○前尾委員長 植原悦二郎君。
○植原委員 世間で申されますように、今度の日ソ両国の交渉はある意味においてわが国の運命を賭する重大なものであると思っております。それゆえにこの重大なる使命を帯びられて今度全権の職務を遂行される重光外務大臣に対しては、その御労苦を推察するとともに、この全権の任をお引き受けになったことに対しては心からの敬意を表するものであります。実は今日のようなときに私はあえて質問するような考えがありませんでしたけれども、国論の趨勢を考えましたり、いろいろいたすと、何といたしても一言お尋ねしなければならないことがあって、やむを得ず立ったわけであります。国論の趨勢、大勢としてはあらゆる歎難を突破して、日ソの交渉が妥結されることを国民大多数は希望しておると思います。その御観測においては一点の疑問はないと思いますが、いろいろ雑音があります。この雑音がややもすると国論の統一を乱すおそれのあることを私はこの際において非常に心配するものであります。それゆえに私があえて立ちまして、この際に一言お尋ねしておかなければならないと思いましたことは、前総理大臣吉田茂氏の公開の書簡であります。これが吉田茂氏が外務大臣に個人として出しました書信ならば、その内容が何であろうとも、私はあえてここにくちばしをはさむ必要はないのであります。だけれどもこれが公開の書簡として天下に公けにされた以上は、これに対する疑義があればお尋ねいたさなければならないのであります。私は前総理大臣とも多年の親友であります。また外務大臣ともその通りでありますが、この両者の間に行われた私信でありますならば、どんなことがあっても私はかれこれ申しません。だけれども分けにされたものは、これは一外務大臣に対する書簡でないのでありますから、ここに私はそれに対して、国家国民のため、なおさら世界の平和のため、極東の平和のために一言お尋ねしておかなければならないのであります。このことを御了承下すってお答えを願いたいのであります。 前吉田総理の戦争終結当時のソ連に対する批評は、私は全面的に受け入れるものであります。ただ私がどうしても納得のできない一つの項があります。それはこういうことであります。「政府は対米親善はわが外交の基調なりとしばしば公言、標傍する反面に、日ソ国交回復は現内閣の重大政策の一なりと誇称して親ソ的意図をしばしば表明するは自由国家群の信頼をつなぐゆえんにあらず。これ米極東軍司令部及び連合軍司令部をハワイもしくは朝鮮に移駐を招来せるゆえんにあらざるか。」と、この問題であります。これは私から言えば聞き捨てならないことだと思います。私の考える範囲において、日本が、よしですよ、鳩山総理の――ここに吉田前総理が独断的に言うておるごとく親ソ関係を打ち立てようとするたとい意図があるといたしましても、米国はそれがために日本に干渉したり、もしくは米国の極東軍を日本からハワイに移転せしめたり、国連軍を朝鮮に移転するような策動にいずるものでは断じてないと私は信じております。アメリカは日本の外交に対して干渉するようなことはない。日米親善がわが国の外交の基調であること、わが国はどこでも自由国家と手を連ねていく国家であることは、アメリカの朝野がよく承知しておることであります。日ソはほとんど境を連ねておる国であります。御承知の通り英国はソ連と外交関係を打ち立てておる、フランスもその通り、ヨーロッパに存在する以上は、自由国家であろうともその隣接の国家と親しくすることが、平和を維持するゆえんであることについては疑いありません。日本が真に極東の平和を考慮するならば、戦争済んで十年たって戦争のときにソ連がいかなる態度をとったか、 あるいは戦争で抑留者を、ある意味からいえば人質にあるのを、これを作画のごとくにしておるというようなことをいつまでも角立って、両国の関係を疎隔しておることが平和を希望するゆえんでないと私は信じておる。それゆえに今度の日本政府が日ソの間の国交を回復しようとする努力は、自由を愛し、太平洋の平和を愛するアメリカといたしましては、それは当然あり得ることであると信じても、そういうことを日本がするならば、そのしっぺい返しに極東軍を日本から他へ移駐をするなどということは、米国で思いもよらざることであると思います。前総理の口からかようなことを申されることは、日本の国民に多大の疑惑を抱かしめるのみならず、ややもすれば国論の不統一を招くばかりでなく、これがために日本はアメリカのひもつきだというような感じを与えて、日米間の関係を悪くすることはあっても、よくする気づかいはないと私は信じておるのであります。これに対して私はここに前吉田総理が心配されるようなことは全然ないと信じますが、外務大臣はいかにお考えになるか、多分私と御同感だろうと思いますが、念のためにお尋ねしておきます。
○重光国務大臣 先ほどお答えいたしました通りに、吉田前総理大臣の書簡なるものは、私は今日ただいままで受け取っておりません。何かの手はずでそれが発表されたのでしょうが、今のような御議論が起きてきます。(植原委員「全部の新聞に出ております」と呼ぶ)それは私は何も関知するところではありません。しかし私も新聞で拝見しました。非常に御意見は有益な御意見もあるように拝見いたしました。さらにまた今これに対して忌憚のない御批評がございました。この御批評も私はきわめて有益に拝聴いたしました。さようなことを材料にいたしまして、頭に持って私は交渉に最善を尽し、あらゆる努力をしてみたい、そして目的を達してみたい、こう考えておる次第でございます。
○植原委員 私は、外務大臣のお考えはそうだろうと思いますけれども、この書簡がややもすると、前総理大臣ということで、公開の書簡として全部の新聞に掲載されておりますがゆえに、これが日本国民に影響するところをおそれるがゆえに、かくお尋ねしたわけであります、のみならずこの場合に米国は、日本がソ連と平和回復しようとする交渉をするからといって、それがために日本に駐留しているところの米国の極東軍や国際軍を日本から他へ移すというようなことを、米国は断じてしない。米国の国策としてこれをすることはこれは当りまえである、われわれがかれこれ言うところではありませんが、日本が日ソの親善関係を希望するからといって、そのしっぺい返しにするがごとくにこの記事が出ているから、そこに大きな疑問があることを私は申し上げておくのであります。 もう、一つここに最後に「この際に当り」――これは外務大臣のことですが 「閣下みずから日ソ交渉の衝に当らる、国家全局の利害を念として慎重事に処し、案件を日ソ単独交渉より旧連合国をいざなう国際会議に移行付議せしむるよう努力せられんことを要望す」と、こういうのであります。これは外務大臣に望む公開の興言葉であります。ただいま北澤君は旧国際連合に択捉、国後の問題を移して、突き当った壁を取り除いてはどうだというようなお話もありましたが、私は一体だれが旧国際連合を招集するのか、応じなければどうするのか。現在において日本は国連にも入っておらぬ。国連に入っているならば国連に訴えてということもありましょうが、国連に入るのを考えましても、日ソの国交の回復は最も緊急事、あることは、日本会国民おそらく承知していることであると思います。にもかかわらず前総理大臣がかようなことを言われて、旧国際連合に移せといったって、その連合はありません。この日本との交戦国のすべてでありましょうが、サンフランシスコに集まったような人でありましょうが、これを集めたいといって、だれが集める、いやだといえば集める方法はない。のみならずそういう問題を国際裁判であるとか、あるいは国連とかいうのなら、日本が国連に入った後ならできることでありましょうが、外務大臣もし、総理大臣もした吉田茂氏、私の懇意な友人でありますが、この重大な時期において公開状としてかようなことを言うことは、実に私は遺憾千万であります。何としてもこの問題をここに正して、天下にこれを明らかにして、政府はこういう考えを持っておらない、外務大臣もその通り、こういうことはこの日ソの交渉を困難な立場に置くばかりでなく、ややもすれば日米関係を悪くするものだということの疑問をはっきり解くように、この際にしなければならないと思います。こういうことをはっきりいたさなければならないので、この際に私は、国を思い、この町村の重大性を考え、この交渉が世界平和のために妥結せられんことを希望して、このお尋ねをする次第であります。
○重光国務大臣 十分御意見を拝聴いたしておきます。
○前尾委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 重光全権並びに松本さんたち、大へんこのたびは御苦労さまでございます。どうぞ御成功を私ども祈っております。 私はきょう引き揚げの問題だけに限りまして、二点だけお伺いしてみたいと思います。土曜日の日に引揚委員会が開かれまして、そこで重光全権をお呼びして、今度の交渉に当っての引き揚げ問題等について質問をしたり、また激励をしたり、また心がまえを伺いたい、こういう全員の意見でございましたけれども、委員長が重光全権はお忙しくて出られないというので、それではきょうの委員会で一応発言をしておくということで、私は発言さしていただくわけでございます。そのときに引揚委員会で決議をいたしましたが、その決議はちょうど金曜日のお昼から行われました引揚完遂の大会におきまして決議せられた線に沿うての決議でございまして、それはまず第一に、一日も早く在ソ同胞が帰れるようにしてほしい、ことにマリク名簿以外の人もいるはずだから、そういう人も帰してほしいということが第一点であり、第二点は行方不明になった人や、死亡者の調査というようなものも十分にやってもらいたいということであり、もう一つは遺骨、遺品等を返してもらうようにしてほしい、こういう決議をいたしまして、おそらく重光さんのお手元に届いたと思いますけれども、いかがでございましょうか、これをお伺いしたい。 それから時間がないので続けてもう一つ伺いますが、そこで全国から集まりました留守家族の人たちの喪主といたしましては、何が何でも今度は帰してほしい、こういうことであり、さらにこの間引き揚げてこられましたハバロフスクからの引揚者の方の意見を聞きましても、今までの委員会での陳述と少し変っておりましたことは、ハバロフスクにいる人すべてがもう今度の日ソ交渉に期待している、こういうことをはっきりと言われました。そういう意味からもぜひとも成功していただきたいと思うわけです。そこで留守家族の人の代表が一言われましたことは、何とかして引き揚げを完遂させるということを何らかの形で条約の中に織り込んでもらえまいか、こういうようなことを考えている人が多いのでございますが、この点はどうお考えになりますか、お伺いしたいと思います。私どもといたしましたならば、交渉が妥結すれば当然約束通り全部帰してもらえるとは思いますけれども、留守家族の人の身になってみますと、やはりはっきりとそういうことが書かれ打ち出された方がいいようでございますので、この点についてどうお考えになるか、伺いたいと思います。
○重光国務大臣 過日の留守家族大会には、私も実は万障繰り合わせて出席をいたしました。そうしてそのときにはっきりと申し述べておきました。留守家族の御要望はほんとうにごもっともである、私もその実現に、向ってあらゆる努力をしてみよう、またしてみなければならぬのであります。その心組みで交渉に、当るということをはっきりと私は申しておいたのであります。戦争犠牲者の救済をやることが一日もゆるがせにすることはできぬというのは、私はたびたびそういう信念を表示してきたのでございまして、これに変りは少しもないのであります。どうぞ以上で御了承を願います。
○戸叶委員 今心がまえのほどは伺いましたし、これまでもそういうふうなお気持でいらっしゃったことは了承いたしますけれども、ただ留守家族の人が望んでおりますことは、もしも条約の中に交渉が妥結すると即時帰還ということがうたわれないにしても、何らかの覚書か何かでそういうふうなことをはっきりと書いたものにしてほしいというようなことを望んでおられるのですが、この点についてはいかがでございましょうか。
○重光国務大臣 その点についても今申した通りでございます。留守家族の御要望は十分に承知いたしております。
○戸叶委員 そのように計らっていただけると安心しましたが、実は留守家灰の人たちが官房長官にお会いいたしましたときに、おそらく条約等に織り込むこともむずかしかろう、何か覚書のようなものを残すことがむずかしいような発言をせられたように私了承いたしましたもの、ですから、この点を非常に心配いたしましたが、今の全権のお言葉で安心いたしました。 そこでもう一点お伺いいたしたいのは、何しろソ連は非常に広い国でございまして、戦争後長くたっておりますから、死亡者のことや行方不明のことを調査するといっても、これは非常にむずかしいことだと思います。しかしこの留守家族の身になってみますと、そういうこともやはり知りたい。そこで日本とソ連とから成る合同委員会というようなものを今後作るように申し入れてほしいということも、要望の一つでございました。この点申し入れていただけるかどうかを伺いたいと思います。
○重光国務大臣 その件も、前の件とともに私は今お約束する等のことはいたすことはできません。全力を尽してみたいと思います。
○戸叶委員 私これだけで、引き揚げの問題だけにいたしますが、先ほど松本理事から発言がありましたが、官房長官の出席を要求しておりましたけれども、しばらくしたら来るという委員長の御答弁でございましたが、しばらくとおっしゃってからもう一時間と二十五分たっておりますけれども、どの程度のしばらくであるか、委員長に伺いたいと思います。
○前尾委員長 もうすぐ来るという連絡がありました。
○戸叶委員 連絡があって一時間と二十五分たっているのですけれども、大体いつごろでありますか。
○前尾委員長 出てくるという話です。もうじき来ると思います。さっき、もう十分ほどしたら来るという話だったのです。 岡田春夫君。
○岡田委員 まず委員長に伺っておかなければならないのですが、ただいま根本官房長官の出席の問題について戸叶さんからもお話があったように、きょうは鳩山総理が出席することになっておった。ところが鳩山総理が出席しないから、その事情を聞くために根本官房長官の出席を求めた。ところが根本官庁長官も出席しない。一体これはどういう事情であるのか。もう十分たったら出ますとかなんとか言って、もう一時間たっている。委員会が済んでから出席しても話にならない。こういう政府の態度は、委員長としてどう思われますか、国会を軽視しておると思われませんか。この点はどうですか、まずこの点を伺っておきたい。
○前尾委員長 それは確かに遺憾の点ですが、さっき、半ごろだったと思いますが、もう十分たったら来る、こういうことなんで、さらに連絡しましょう。
○岡田委員 国会を軽視しているという点についてはあなたは大体お認めになっておるとするならば、厳重に警告を発して、この委員会の終るまでにせめて根本官房長官だけでも出席させる方法を講じられるお考えはありますか、どうなんですか。
○前尾委員長 盛んに請求するほかにないので、請求しているのですから、終るまでに必ず来ると思います。
○岡田委員 それでは委員長にこれはあらためて念のために申し上げておきますが、国会は正式に政府委員を出席させる要求の権限がある、しかもこれに対して出席しなければならない政府の義務がある、こういう関係は明らかになっている。こういう点を念頭に置かれて交渉されているのですか、どうなんですか。あなた自身は政府じゃないはずです。
○前尾委員長 それは交渉していますよ。
○岡田委員 それではこのあとの委員会においてできるだけすみやかに出席されるという考えに立って私は質問を進めたいと思います。 私も実はせっかくモスクワにおいでになる重光並びに松本両全権に対して二、三の点で伺いたい点もあるのでありますが、あと社会党から原爆問題あるいは沖繩問題等で御質問があるそうですから、きょうは簡単に一、二の点だけをお伺いいたしたいと思います。 先ほどからだいぶ問題になっているように、今度のモスクワにおける交渉というのは、大体妥結するための交渉と考えるべきではないか、ロンドンで松本全主権が交渉されてきたのは、両国間における意見の相違についていろいろ議論を戦わして、その間においての意見の相違は、領土問題を除いて大半の問題は意見の一致を見たとするならば、今度のモスクワ交渉というのは、妥結をするために大体交渉に行かれるという決意で行かれるのであろうと私は考える。そこの点をなぜ私はこのように言うかというと、重光さんは、閣内において、あるいは自民党内部においては、慎重派という点で今まで特異な立場に立ってこられたわけであります。そういう点からいって、慎重派である電光さんが行かれると、どうかするとこの妥結のための交渉がぶちこわされるのじゃないかという心配が実は一部にあるわけであります。しかも先ほど植原われわれの先輩からいろいろ質問されたわけでありますが、自民党の内部においても、吉田書簡を出した、あのような、幾らかわれわれから見ると常識というものを疑うような意見を持っている人もあるわけでありますから、この点は、交渉に当ってあなた自身があくまで、万難を排しても、妥結のために努力をするという点をはっきりと決意をされて交渉に臨まれるのであろうと思いますが、そこで伺いたい点は、今度の交渉においては、いかなる方法を講じても、あなた自身の決意としては、万難を排して妥結にまで持ち込みたいとお考えになっているのかどうか、この点を、くどいようでありますが、念のために重ねて伺っておきたいという点が第一点であります。 第二の点は、交渉の過程においていろいろな経過もあろうと思います。この経過を通じて、自由民主党の党内においては、先ほど申し上げたようないろいろな、意見もあるわけでありますから、あなたのせっかくの御努力によって妥結の点に、至ろうとするときに、党内の一部においてくだらない意見、別な反対意見があった場合においても、あなた自身が交渉の経過を通じて、これは党内の異論を排しても妥結をするという決意をもって交渉されるかどうか、自由民主党の党内の一部の異論を排してでも交渉されるというお気があるのかどうか、この点の決意を伺っておきたいと思います。 以上二つの点についてまず第一に伺いたいと思います。
○重光国務大臣 その点を先ほどからるる御答弁いたしている通りでございます。私はこの重大な交渉に全力を注いで、最も慎重に対処したい、こう考えております。
○岡田委員 それから吉田書簡の問題についてもう一度伺っておきたいと思いますが、あなたは、先ほど見た限りにおいて、吉田書簡にも有益な点はある、あるいはまたそれを非難される意見についても有益な点があるというような、どちらも有益であるというようなこういう態度が、私は電光外交が今まで動揺してきた原因であると思う。悪い点は悪いとはっきりあなた自身が断定をされるべきであると思う。たとえば今度の吉田書簡の中で最も大きな問題になっている点はこういう点です。私は新聞をここに持っておりますが、大体日ソの国交回復の交渉を行うことは不可解なことである、このように劈頭に言っているじゃありませんか。日ソの国交回復を行うことは不可解であるというようなことについても、あなた自身は有益だとお考えになっているのですかどうなんですか。自民党の方針というものは国交回復の交渉を行うことに反対であるという意見なのでありますか。国交回復をやるというのが自民党の基本的な態度でありませんか。吉田前総理が言っているこの不可解であるということについては、重光全権はどのようにお考えになるか。この点だけでも御意見を承わっておきたいと思います。
○重光国務大臣 私は長く総理の地位にあった人の意見が公開されるということは、いずれの場合においても有益であると考えます。これらに対する御批評も伺いました。私はそれも十分に承わったのであります。しかしこれらに対するはっきりした私の見解は、いずれ交渉を通じてお耳に入れることがあると考えますから そのときまでお待ち下さい。
○岡田委員 それは早く言わなければいけないと私は思います。済んでしまってから言ったって話になりません。ですからその態度をすみやかに明らかにされることを希望いたします。 最後の点は領土の問題であります。未解決の領土の問題でありますが、領土の所属問題というのは両国間の取りきめによって決定することが私は原則だと思う。国際会議の決定に待つというような方式は、今度の交渉を通じても法的な根拠は私はないと考えるのであるが、実際問題として両国間の取りきめ以外の問題として、国際会議によって領土問題の帰属をきめるという法的な根拠があるとするならば、この点について外務大臣の御意見を承わっておきたいと思います。
○重光国務大臣 その点に今深く入ることを避けましょう。利害関係で国際問題を解決しなければならないことはわかり切っておる話である。どれが利害関係国であるかということはまた別の問題です、しかしそれはしばらく別問題として、さようなこともおそらく交渉の題目になることだと思います。わが方の立場も十分に一つ主張してみたいと思います。
○前尾委員長 大橋忠一君。
○大橋(忠)委員 私は日ソの国交がいつまでもこの状態であり得るわけのものじゃない、従って一日も早く正常化をはかるべきであるとは思いますが、ただ一つだけソ連の態度についてはなはだ解せない点がある。これから国交を正常化をして両国が親善関係を続けていく上において、日本が力をもってねじ伏せられるような、そして無理やり正常化に持っていくというような、こういう形は私ははなはだ好ましくないと思うのであります。日本を力をもってねじ伏せて無理やりに正常化に持っていくというような格好で正常化に成功しても、力のない日本だからあるいは涙をのんで泣き寝入りというようなことにならざるを得ないかもしれませんが、それでは深い恨みを外には出なくても心の中に持っておって、私はろくな国交というものは回復できないと思っているのであります。しかももうすでに戦争が終ってから十一年もたった今日、負けた勝ったのでこの取りきめはやるべきものじゃない。やはり日本を独立国として認めて、両国対等の資格でもって堂々と交渉して正常化に進むべきものである。これに関連いたしまして一つだけ私ははなはだ理解しがたい点は、この間河野代表がブルガーニン首相と会ったときに、日本は勝ったからロシヤから樺太を取った、しかし今度はロシヤが勝ったから千島と樺太を取るのだ、こういうことを育ったということであります。これはすこぶる率直な言ではありますが、しかしながらよく考えてみると、これは帝国主義であります。しかも古い型の原始帝国主義ともいうべき帝国主義であります、マルクス・レーニズムの根本原理は帝国主義反対、植民地主義反対であるということは言うまでもありません。樺太、千島を取ったのはスターリンであります。スターリンがヤルタ会談で千島と樺太を日本から取った、この歴史のページというものは、おそらく世界史においても例を見ないほどのブラッケストなマキャベリズムと帝国主義を暴露したものであります。このスターリンの行き過ぎを是正するのが、フルシチョフとブルガーニンの新しい集団指導の原理であると私は思う、その新しいマルクス・レーニズムの本態に帰って、そしてこの帝国主義反対、植民地解放を叫ぶ現政権の代表者が、負けたからしようがないじゃないか、勝ったから、取るんだということは、これはスターリンの暴露したる赤い帝国主義を裏書きするものでありまして、これは植民地反対を叫んで今なお闘争を続けているアジア、アフリカの有色民族に非常な失望を与えると同町に、わが日本国民にもはなはだ抜きがたいところの疑惑と失望を与えるものであると私は思うのであります。私は松本全権にお伺いするのでありますが、おそらくこの点について松本全権からマリク全権に突っ込まれたに相違ないと思うのでありますが、この点については向うはどういう返答をしておりましたか。また重光全権に対してお尋ねいたしますが、この点を私はおめず憶せず堂々と正面から対決をしてソ連の代表に向って主張し、そして向うの明快なる釈明を求めるところからこの領土問題の交渉を始められたい。大西洋憲章とかカイロ、ポツダムの宣言なんかは別といたしましても、ソ連の建国精神にこれは反するものである。世界的規模においてアメリカを向うに回して平和共存を唱えておる今のソ連政権として、かくのごとき原始帝国主義を支持するというような態度に出るというこの矛盾をまっ先について、領土問題の糸口を切るべきものである、こういうふうに私は思っておるのでありますが、重光代表はこの点についてどういうお考えをもっておられるか、私は松本、重光両全権にこの一点だけをお尋ねいたします。
○重光国務大臣 漁業交渉のときに、モスクワでさようなことを聞かされたということは私は承知いたしておりません、なおいろいろ御訓令の御趣旨は、私も十分に心得て参りたいと存じます。
○松本説明員 ただいまの大橋君の御質問の点は、 マリク全権は私に対して一度も申したことはございません、
○大橋(忠)委員 こちらでそういうことを主張されたかどうか、向うはどういうことを答えておったか。その点を突っ込まれたでしょう。
○松本説明員 日露戦争云々のことは、マリク全権はいまだかつて私に申したことはございません。
○大橋(忠)委員 日露戦争じゃない。今言ったマルクス・レーニズムに違反しているじゃないか。君らの反対しておる帝国主義じゃないか。この点を突っ込まれたでしょう。
○松本説明員 私は向うが言いませんから、そういうことを申したことはございません。
○大橋(忠)委員 そこを突っ込まないとだめですよ。その点を一つ大いに突っ込んでいただきたいというのが私の希望なのです。
○前尾委員長 あと三人の方、一人五分以内にお願いします。そうして日ソ交渉の問題ではなしに……。森島守人君。簡単にお願いします。
○森島委員 ただいま日ソ交渉の問題について、非常に重要な質問応答があったわけでございますが、この問題にも劣らない程度において、私は原水爆の実験の禁止等の問題は、世界の平和に至大な影響を及ぼすものと存じておるのでございます。ことに最近十六日のソ連最高会議における外相の発言、イーデン英国総理大臣の発言等とも関連いたしまして、国際政局の全般にわたって私は質問を行わんとした。五分間ではとてもこの重大な問題をやることはできませんが、幸いに明日総理大臣の出席を得まして委員会を開くことに御決定になっているようでございますから、私の質問はその際に留保いたします。
○前尾委員長 田中稔男君。
○田中(稔)委員 私もあしたやります。
○前尾委員長 それでは田中織之進君。
○田中(織)委員 私は沖繩の問題について、重光外務大臣のモスクワヘの出発の前にぜひお尋ねをしておきたいと思うのであります。きわめて簡潔にお伺いをいたしますから、率直なお答えを願いたいと思います。 まず第一にお伺いいたしたいのは、これは結論的な私の質問でありますが、去る十三日の沖繩問題に関する外務、内閣、法務の連合審査会において、私から外務大臣に、モスクワへ全権として出発せられる前に、沖繩問題について少くとも現地の人たちが今後希望が打てるようなアメリカとの折衝の糸口だけでもつけておいていただきたいということをお願いいたしたのであります。一昨晩沖繩から参っておりました四人の代表もそれぞれ帰島いたしたようでございますが、私の希望――これはまた国民の希望でもあろうと私は思うのでありますが、少くとも沖繩問題については、外務大臣としても非常に心配をしておられることと思うのでありますが、明後日モスクワへ出発を前にいたしまして、この問題についてその後何らか希望が持てる交渉がアメリカ側との間に持たれたかどうか、その点について外務大臣の率直なる御答弁をわずらわしたい。
○重光国務大臣 沖繩問題の御心配、私も全然同じ心配を持っております。そこで私は、出発します前に、アメリカ側とは十分接触をして最善を尽さなければならぬのであります。実はたびたびもう米国の大使館側とそのことについて話を進めて参りました。私の今日得ておる印象によりますれば、米国側も、この問題はきわめて熱心に、軍当局も、何らかの沖繩住民の納得を得られるように最善の努力をしてみようという気持にあふれておることが私には看取せられたのであります。そうでありますから、希望が持たれるかと、こういうことになりますと、私は希望は持たれるのだ、こういうふうに思っております。しかしそれたからといってすべて満足すべき点にまで達しておるとは決して私は申しません。今後の努力も非常にこれにかかっておるわけであります。なお明日一日はまだございますから、私もさらにこの問題について努力を続けていきたい、実は今いろいろやっておるわけでございます。
○田中(織)委員 まだ明日残っておるわけであるから、なおその点について、大臣の、最後のと申しますか、モスクワへ行かれる曲の、その意味における最後の御努力を願いたいと思うのでありますが、問題は私やはりこの沖繩の問題については、新たに接収する土地の地域を少くするとか、あるいは借り上げの条件を改善するとか、そういうふうな経済条件に関する部分的な改善の問題では、決して沖繩の現地はおきりとしたやはり約束というか――少くとも、現地の人たちが一たん沖繩へ戻りまして、あらためてまたこちらへ出てくることになるのではないかと思うのでありますが、やはり対沖繩問題のアメリカとの折衡の根本問題は、前回の委員会でも私が申し上げましたように、やはり施政権のすみやかなる日本への返還ということに基いて行われなければならないと思うのであります。 そこで、これは前回もお伺いをいたしまして、国会の決議は伝えはいたしましたということの答弁をいただいておりまするが、重ねてこの際伺っておきたいのでありますが、二十四国会の末期最終日であったと記憶いたすのでありますが、国会が、衆議院が全会一致をもっていたしました沖繩の施政権返還の決議に対しまして――もちろんこの前の委員会では、その決議はアメリカ側へ国会でこういう決議がなされたということの伝達はなされたように向っておるのでありますが、それに基いての交渉が具体的にどういうようになされたか、あるいは国会の決議を先方に伝達をいたしましたときに、向う側の回答がどういうような回答であったか、この問題は、私やはり沖繩問題の根本的な解決のためには、これをぜひとも実現させなければならぬと思うのでありますが、この点については二十四国会の決議を何日にアメリカ政府に伝達をいたし、それに対するアメリカ政府の回答が具体的にどういうような回答であったかという点を重ねてお伺いをいたしておきたいと思います。
○重光国務大臣 その点は同じ質問が外務委員会でごさいました。多分あなたからではなかったかと思うのでありますが、十分に御説明を申し上げましたし私はその説明の中で、国会の決議をそのまま伝達したのだということは申しておりません。むろん伝達もいたしました。伝達する機会に、日本国民の希望をるる述べて、そして交渉の基礎にしたわけであります。しかしその交渉はずいぶんたびたび、あらゆる機会と申してもいいくらいに、たとえば私が渡米したときとか、またダレス長官が来たときとかに、絶えず日本側の希望を申し述べておいた、こういうことも説明をいたしました。しかし交渉の内容の日付その他は発表はできませんと、こう申し上げておきました。以上でございます。
○田中(織)委員 もう一点、この前の委員会でお伺いをいたしたのは私でありますが、この種の沖繩問題の根本解決は、やはり施政権の返還というところまで進まなければ、これは解決しない問題である。そういう意味で、今も大臣は、いつ向うに申し出をして、そのときの返事がどうであったというような具体的な内容をお述べになることができないといたしますれば、これはやむを得ないことでありますが、私はやはりこの前のときにも申し上げましたように、われわれは、この施政権の返還を求めるためには、サンフランシスコ条約の第三条の改訂という方向をとらなければならないのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。しかしこの点については従来外務省のとっております態度は、奄美大島の返還の場合のように、やはり施政権の返還という形で講和条約の第三条を実質的に改訂するような方向をとればいいのだ、むしろそれの方が、沖繩問題に関する限り対アメリカとの交渉だけで事実上第三条が改訂されるというような実質的な効果が得られるのだ、こういう見解をとっておられることは、それはそれでいいから、ぜひともこの問題を前面に押し出していただきたいという意味で本日も重ねて申し上げたのでありますが、どうか一つこの基本的な線で沖繩問題の対米交渉を進めていただきたい。 それからもう一つ私最後にお伺いをいたしたいのは、先般アメリカ極東軍司令部のハワイ移駐の問題、それから国連軍司令部の韓国への移駐の問題が、まだ相当期間があるようでありますが、アメリカ政府の方針が発表せられたことが報道せられておるのであります。これに対する外務省の田中情報文化局長の公式な談話によりますと、日本政府にもその旨の通告があったということを述べられておるのでありますが、私は極東軍司令部のハワイ移駐、それから国連軍司令部の韓国への移転、この機会がやはり沖繩問題解決の一つの大きな契機になるのではないかというふうに考えるのであります。あるいは問題は、そうではなくて、逆なことも考えられます。極東軍司令部のハワイ移駐の結果、あるいは国連軍司令部の韓国への移転というようなことが、軍事的には沖繩の永久占領を意味するのだという見方もなされないことはないという見解もございますけれども、私は表面的に考えますれば、これは同時に在日米駐留軍の日本からの撤退の問題にも、すぐには関連を持たないにいたしましても、勢いやはり日本政府としてはそういう方向へこれをもってアメリカとの間の折衝を続けるべき問題であります。同時に、その場合に沖繩の人たちが一番心配をいたしておりますいわゆる軍事的に沖繩がアメリカによって永久占領せられるというような事態をなくする一つの機会であろうと私は思うのでありますが、外務大臣といたしまして、国連軍司令部の韓国移転と極東軍司令部のハワイへの引き揚げの問題を契機にいたしまして、沖繩の軍事的な占領を解いてもらうということについて、アメリカとの交渉をやられる考えを今日持っておられるかどうか、この点をお伺いして私の質問を終りたいと思います。
○重光国務大臣 御高説は十分に検討いたして判断をいたしたいと思います。その上でこの問題に善処しなければならぬように考えます。以上お答え申し上げます。
○前尾委員長 それでは重光外務大臣は所用のため退席されますが、なお根本官房長が出席をする予定ですから、しばらくそのままでお待ち願います。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○前尾委員長 速記を始めて下さい。 官房長官に対する質疑を許します。松本七郎君。
○松本(七)委員 日ソ交渉再開について、私どもは非常に事が重大であるので当然これは臨時国会を開いて、そして政府の方針あるいはわれわれが考ええておる意見を忌憚なく交換し、そしてこれを国民全体によく事情を知らせ、交渉に乗り込むというのが当然の政府の責任ではないか。こういう建前からこの重大な問題で臨時国会を開く要求をしておったの、ですが、結局それに応じられないで、それにかわるものとして本日こうして委員会が開かれたわけです。そこできわめて重大な委員会でございますので、私どもとしては戸叶里子議員から特に二十日と二十一日と三日連続して開会することを理事会において要求したわけです。ところがそれも都合がつかないということで、それならば、本日の二十三日には開こうということになりまして、その席に鳩山総理大臣みずから出席していただく、もしそれができない場合にはやむを得ませんから、重光全権が日本を出発される前に必ず総理は出席する。こういう約束になっておるわけです。そこで官房長官にお伺いしたいのは、このような大切な問題を目前に控えて、何ゆえに臨時国会を開いてこの論議を公開の席で明らかに展開することを避けられたのか、政府の考えなり理由をまず御答弁願いたい。
○根本説明員 お答え申し上げます。日ソ交渉に関しましては、すでに過ぐる二十四国会におきまして十分論議が尽されまして、政府の所信は明確にいたしております。なおこの日ソ交渉の全権といたしまして、当の責任者である重光外務大臣がみずから当るということになりまして、態勢も整っておるわけでございます。しかも政府、与党の方針は従前と変りなくやっておるわけでございますので、従いましてこの日ソ交渉の問題を議題として今直ちに政府としては国会を開く考えを持っていないということを、議運においても明確に申し述べておる次第でございます。本日当委員会におきまして、副総理であり、かつ外務大臣である全権重光氏が本日委曲を尽して御質問に対してお答えしたことと存じます。従いまして、それが政府の統一した意見でございますので、これをもって政府としては日ソ交渉に当る政府の態度を明確にいたしたつもりでございます。
○松本(七)委員 われわれとして官房長官の御答弁にはなはだ不満な点は、二十四国会で論議を尽した、これはそちらから日われればそのつもりでおるのでしょうけれども、私どもから言わせれば論議を尽さぬのです。足りないのです。ですからその必要を認めればこそ臨時国会の開会の要求をしておるわけですが、われわれの考え方なり立場というものを全然無視しておる。私どもは論議の必要ありと認めるからこそ、国会の開会を要求しておるのに対して、論議を尽したから必要ないと認めるとは何ということですか。そういうことでは通りません。それは政府の独善であり、独断であって、私どもが必要ありとして要求しておるならば、これに応ずるのが当然の責務ではないでしょうか。その点はどうですか。
○根本説明員 成規の手続をもって要請されたことにつきましては、憲法上の条項に従って通常国会前に開くことは当然でございます。しかし臨時国会召集の時期については政府の全責任をもって決定いたしたいと思っておるのでありますが、先ほど申し上げたような理由によりまして、今直ちに臨時国会を開くという方針はとっていないということを申し上げたのであります。
○松本(七)委員 それでは交渉が始まって、その交渉過程中にでも国会を開くというおつもりですか。いつごろ開かれるのか。交渉が終らなければ開かないというのか、その点はどうですか。
○根本説明員 今から交渉が終らなければ開かないとか、終ってからやるというところまで結論を出しておりません。これは諸般の情勢を勘案の上、政府が責任をもって決定いたすべきものと考えておる次第であります。
○松本(七)委員 それからさっき既定方針であるからその必要がないと言われておるのですが、これは二十四国会でも私どもはしばしば鳩山総理大臣の出席を要求した。御承知のように、さっきも外務大臣に私は質問したのですが、鳩山総理大臣は、新聞その他ではいろいろな発言をされておる。今度は混合方式でやるということも言われる。これは世間で大きな問題にしておる。これに対して重光さんも、これはたわごとであるとか、問題にならないとか、依然として既定方針でいくのだとか、こういうちぐはぐな発言というものがしばしばあるわけです。ですから既定方針でいくと言われても、その間の総理の発言と外務大臣の発言の中にはいろいろ食い違いもあるわけです。そういうところも明らかにする必要を認めるからこそ国会の開会を、要求しておる。それに応じられない理由は納得できませんが、そういう理由を突っぱられる以上は、これ以上私は申し上げませんが、どうしてもこれは総理大臣は出席される義務があると思うのです。そこで本日はとうとう時間の関係で出席できませんでしたが、私どもは先ほど理事会を開いて、この前から戸叶議員からの要求で、議事録にも残っておりますように、全権が出発される以前に鳩山総理の出席を求めるという決定になっておりますので、先ほどの理事会でも、明日再度外務委員会を開いて総理大臣の出席を求めるということになったわけでございます。この点について出席の確約をしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。もしできなければ、交渉中でも何でも、私どもはどうしても外務委員会の開会と総理の出席を再三要求は続けるつもりでございますが、わざわざそういう理事会の申し合せもあったために、先ほどからいろいろな問題で発言の希望者がたくさんございましたが、それを留保してあしたに延ばしておるわけです。ですからあした出席できるかどうか、その御答弁を明確にお願いしたい。
○根本説明員 委員会に対する総理の出席の問題は、いろいろ実は前からございましたが、政府、与党との打ち合せによりまして、国会対策においてこれはきめられまして、われわれの方に要請して参っておるのでございます。ところが今回の日ソ交渉に関する当委員会の御要求はあったようでございますけれども、与党といたしましても、重光全権が外務大臣であり、かつ副総理の立場において政府の日ソ交渉に臨む統一意見――これは総理の御意見も全部総合したところの意見でございますので、これによって政府の態度を明らかにするということになりましたので、従って明日総理は御出席になる予定はいたしておりません。本日も副総理という立場において総合的にお答え申し上げて、政府の統一した意見を申し上げた次第でございます。
○松本(七)委員 それでは、今日の憲法その他の規定によって、総理大臣は非常に権限な持っており、幾ら副総理が全権に出たからといって、それを総括するのは依然として総理大臣である。それじゃ留守中はだれが外務大臣の役をやるのですか。
○根本説明員 留守中の外務大臣については、明日の閣議においてこれをきめたいと思っておりますが、まだ今きまっておりません。
○松本(七)委員 外務大臣を留守中だれがやるかは別問題としても、この重要な問題で総理が総理として出席するのは当然だと思う。従ってそういう観点から外務委員会の理事会でもその決定をすでにしておるのですから、方針を反省され、再検討されて、総理大臣が出席できるように、一つ今から段取りをさっそくしていただきたいと思います。
○田中(稔)委員 政府が日ソ交渉に関して、しきりに国論への統一を云々しておるのでありますが、国論の統一のためには、与野党が会しまして十分論議を尽すことが必要である。そのためにこそ、わが党その他野党は臨時国会の開会を要求したのでありますが、今の御答弁によりますと、政府はその意がない。ところが日ソの交渉は、私はそう長くはかからない、そうして政府はいわゆる規定方針に基いて交渉に臨みましても、おそらく領土問題を中心にして、すぐこれはデッド・ロックに乗り上げると思う。その場合に、重光全権としましては重大な請訓を本国政府に要請するという段取りになろうと私は思うのであります。その請訓に対して一体どういう態度をきめるかということ、これで交渉がまとまるか、決裂するかがきまるわけです。しかもその時期も、先ほど申しましたようにそう長いことはないと思う。ロンドンの交渉も半年以上ありましたし、その後いろいろな経緯もありまして、御承知の通り、もうあらかた話は済んで、最後の領土問題だけが残っておる。そういうふうな重大な請訓が出先の全権から参りました場合に、閣議も開き、与党もいろいろな御相談はありましょうが、その場合に、ほんとうに国論を統一する必要を政府がみずから感ずるならば、やはりその時期にこそ臨時国会を開いて、野党の意向も十分聞くということをしなければならぬと私は思うのであります。そういう際に立ち至って臨時国会を開く考えがあるかどうか、これは将来のことといえば将来のことでありますが、今日、国会は閉会中でありますが、この機会に政府のお考えを聞いておきたいと思うのです。
○根本説明員 日ソ交渉を再開いたしまして、その結果どうなるか今から予断することは、なかなか困難な問題だと思います。従いまして今あなたの言われるように、直ちにデッド・ロックに乗り上げるかどうかということを、交渉前に政府が予測しておるということは――万般の状況を憂慮の上に交渉するわけでございますから、その中で全権としてはいろいろ考えていることではございましょうけれども、デッド・ロックに乗り上げるかどうかという前提のもとに、それをまた契機として国会を開くかどうかということは、その事態になって初めて考慮さるべきことと存ずる次第であります。 なお、交渉の経過によりましてまたどういうような請訓が来るかもわかりませんし、その場合政府はどういうふうな態度をとるかということは、今から予測してここで申し上げることは困難な状況だと存じます。
○田中(稔)委員 そういう御答弁だろうと考えたのでありますが、最後に一つ御要望申し上げておきます。 政府のやる手を見ておりますと、全く下手な将棋さしのように、先は全然読めない、王様がせっちん詰めになってもまだ手があるのではないかと考えている、こういう態度でありますが、私が考える通りに、既定方針でいきますと、どうせこれは間もなくデッド・ロックに乗り上げる、そしてその場合に請訓を求める、こういうことになると思うのです。私は必ずそうなると思いますが、今度は臨時国会を開かなかったが、その場合には必ず臨時国会を開いて、与党野党の論議を十分尽して、政府みずからおっしゃる、つまり国論の統一をもって臨むというようにお運び願いたい、このことを一つ要望しておきます。
○田中(織)委員 官房長官に端的に伺いますが、きょうの委員会で総理大臣の出席を要求いたしましたことは、官房長官として総理にお伝えになったのかどうか。理事会の決定に基いて委員長としては、本日の委員会への出席要求をいたしておるはずなのです。先ほど委員長のお話では、官房長官は留守でありましたが、どなたか副長官を通じてその点が総理に伝達をされているはずでありますが、責任者として本日の委員会への出席要求を正式に総理に伝達されているかどうか、この点をお答え願いたい。
○根本説明員 実は私、ちょっと旅行しておりまして、帰ったところ、委員会の方で本委員会を開催するに当って、総理、外務大臣全権の出席を求められておるということを聞きまし・たが、これはわが党の国会対策委員長の方で直接社会党の方と折衝の上、私の留守中に総理の力にも連絡して、そうしてこの問題を処理するということになっておるということを聞いております。なおきょうになりまして、私の留守中に松本副長官に与党の方からそういう話がありましたが、この点は従来もそうでございましたが、総理の委員会出席については、当該委員会の与党の方と国会対策において協議の上、そうして議がまとまったときに、私の方に国会対策委員長の方から申し出て、それから手続をとるということになっております。従って私のところはきょうまで、総理が出席するように私が手配せよというような伝達はございません。
○田中(織)委員 それは私は重大な問題だと思うのです。閉会中といえども、正規に開かれる委員会、しかも本日の委員会はいわば当面臨時国会にもかわるべき重大な委員会なのです。その委員会へ国会側から正式に出席を要求いたしたものを、たとい与党の国会対策委員会であろうと、それは出るべきだ出るべきでないというような決定はできないはずなのです。これは当然やはり内閣の責任において、出席ができない場合には、出席できないということを明確にいたすべきなんです。与党の国会対策委員長の中村梅吉君とは、私も土曜日に勝間田対策委員長の委嘱を受けまして交渉いたしております。外務委員会の理事会の申し出とも関連があるから、なお委員会としてもよく相談をしていただきたいということでございましたので、前尾委員長にも私、電話でありましたが交渉申し上げて、それは理事会の申し出に従って手続をとっておる、こういう委員長からの御返事であったわけであります。それにもかかわらず、私は本日の委員会へ出ない理由については、これは納得できません。その点から見て、先ほどの理事会で、本日総理大臣の出席がこの状況であればない、その場合には、全権の出発前に明日われわれは委員会を開いて総理の出席を願う、こういうことを先ほどの理事会で決定をいたしておるのであります。その意味で明日の委員今には総理大臣にぜひ御出席をしていただかなければならないと思うのでありますが、明日総理大臣の本委員会へ御出席ができるように、官房長官として総理に連絡をとっていただきたいのでありますが、その点はいかがですか。
○根本説明員 先ほど冒頭でお答え申し上げたように、日ソ交渉に臨むに当っての政府の方針はきまっておりまして、これに基いて重光外務大臣が全権としてみずから当られる。この全権の方針も明確に本日いたしておるわけでございますので、従ってそのために、総理が出なければただせないというお気持はわかりますけれども、政府としては、日ソ交渉に当っての政府の見解はすべて表示しておるわけでございますから、従ってこれによって国民も政府がいかなる考えをもって臨むかということは明らかにしたというふうに解釈いたしております。
○田中(織)委員 その点はおのずから別問題なのです。国会の委員会として正式に総理の出席を要求いたしておるのであります。それだけから、総理が健康上事情が許さないとか、やむを得ない渉外関係があるとか、こういう事情ならわかりますけれども、それ以外の事情は――重光副総理兼外務大臣が出ているから日ソ交渉の方針が明らかになっておると思うから出ないというようなことは、総理が出席しない理由にはなりません。これは根本君も国会議員として国会の立場というものは十分おわかりのはずです。従って明日われわれは委員会を開くことに先ほどの理事会で決定をいたしておるのです。総理が明日出られないということについては、何かそういう特別の理由が予見されれば、おのずから明日の委員会の開会についても、われわれは考慮しなければならぬわけでありますが、そうでない限りにおいては、明日は総理に外務委員会に出席していただかなければならぬ。国会からの要求ですから、総理には義務があるのです。それは与党といえども変更できない。その意味から見て明日委員会へ総理に出席をしていただきたいと思いますが、今から総理のそういう事情で出られない、どうしてもやむを得ない事情であるかどうかという点は、われわれが判断でさるわけでありますから、その意味から見て、今官房長官がお述べになったような理由では、出席を拒否する理由にはなりません。当然これは総理大臣としては国会の出席要求に対して応じなければならぬ義務があるのでありますから、明日その義務を果される状態にあるかどうか、官房長官が知り得る範囲の御答弁を願いたいと思います。もしその事情が予見することができないということになれば、明日出席することをあなたはここに官房長官として確約されることが当然のあなたの義務である。それ以外の理由はわれわれとしては聞くことはできない。明日出席せられることについて、官房長官として特別に総理からそういう事情を聞いていなければ出席さしていただかなければならないのでありますが、その点についての重ねての御答弁をわずらわすわけであります。
○根本説明員 本日もまだ総理と連絡しておりませんからわかりませんが、今夕にはおそらく東京にお帰りになると思いますから、よく総理に相談してみまして――そうでなければ、今のところ私何とも申しかねるのであります。
○岡田委員 これは再三くどいことになりますが、まず第一点に伺いたいのは、 きょう官房長官に出席を要求したのは十時四十分です。ところがその以降あなたはあと三十分たったら来る、十分たったら来る、あるいはもう五分して来る、新聞記者に会っているからとかいろいろなことを言って、出てきたのは十二時五十分、二時間おくれておる。こういう問題があったさなかに、あなたはおられなかったけれども、ここの委員会では鳩山総理も出席しないし、根本官房長官も出ないというのは、この政府というのは国会を軽視しているのではないか。軽視していることは明らかになっているじゃないかという点を私は聞いた。そしたら委員長はそういう点においては大体において同感であるから、厳重に政府に対して申し渡します、こういう意味の答弁をされたように私は記憶しておるのたが、あなた自身は国会を軽視しているのですか、どうなんですか。この点。しかも軽視して出てこなかったのか。それが軽視しないで出てこなかったのならば、きょうはどういういきさつで出てこなかったのですか、しかもあなた自身出てこられてさっきから私がここで発言しておったように、二時間もおくれて出てきたならば、委員会に対しておくれて来てはなはだ済まなかったという一言くらいはあっていいと思う。官房長官の意見としてはそういうことなくして、平然として、国会なんかどうでもいいんだ、おれは用事があるから適当な時期に出ればいいのだという気持でまず第一に松本君の質問に対して答えておるというような態度であるとするならば、これは明らかに国会を無視しておる。言葉の上では軽視しないと言っても、明らかにあなた自身の態度は、客観的に国会を軽視していると言わざるを得ないじゃありませんか、きょうのいきさつは一体どうなんです。そして大体この国会に対してはどういうようなお考えを持っているのですか、この点からまず伺っていきたいと思います。
○根本説明員 国会は国の最高機関でありまして、従いましてこれを軽視するなどということは、私は考えたことは毛頭ございません。本日の連絡は、十時半ごろでございましたか、総理の出席について要求されている、従ってこれに関連して私に出席を求められてきている、こういう連絡を秘書課の方から受けました。ちょうど記者会見が行われているときでございましたか、なおそのときに、本日の委員会の問題については、政府与党と社会党の方と、それからさらに委員会の理事の方と今連絡しているので、そのためにしばらく休憩にすることになったということで、あらためてまた私の方に連絡があるという点が、また私の方にきたのであります。(岡田委員「どこからきたのです、われわれそういう点は全然知らないが……」と呼ぶ)私が聞いているのはそういうことでございます。そうしてお昼の会見が終ったところ、農林大臣がちょっと用事があって参りまして、それから私がこららに参ったのでありますが、今日までの経緯が十分わかっていないだろうから、一つここに臨むに当って与党の国会会対策の方にちょっと寄ってくれ、そこで寄って参った、こういう経緯でございます。決して私は国会を軽視するなどは毛頭考えていないところであり
○岡田委員 ただいまの答弁を聞くと、委員会としても問題になることがあるので、委員長並びに事務当局に聞いておきたい。根本官房長官の意見をもってするならば、暫時休憩をすることになっているから、出席する必要がないことになっている。委員長は根本官房長官へそういうことを事務当局に通告さしたのですか。そういうことで、何か事務当局が政府の御用機関であるかのごとき態度をとっているとするならば、われわれ問題としなければならない。国会自体がそういう国会自身の権限を放棄して、政府の御用機関のような態度をとるならば、われわれは徹底的に究明しなければならないから、ただいま根本官房長官の言った経緯については、委員長が責任をもってお調べ願いたい。今おわかりにならなくてもけっこうです。明日の委員会の劈頭、において、どういういきさつによってそういう休憩というような通告が委員会からあったのか――委員会からあったのだろうと思う。そういう通告が委員会からあったならあったでけっこうです。そういう点をもう一度根本官房長官にも確認をしておかなければならないし、そういう経緯について、委員長は明日までにお調べを願いたい。
○前尾委員長 むしろ私の方から休憩してでも待っているからと言ったことはある。それ以外にはないですよ。
○岡田委員 それじゃ根本官房長官は、それを聞き違えておられたのですか。あなた自身はどのようにお聞きになったか知らぬが、委員会は休んでおらないで、あなたを待っておった。その間にどういう聞き違いをされたか知らない、あるいはどういう報告があったか知らないが、あなた自身は出てこられなかった。この二時間の間に出てこられなかったについて、あなたは現在どういう心境でおられるのですか。聞き違えて、そういう報告があったからかまわないという考えですか。この二時間――重光外務大臣が帰ってからも約一時間、われわれはこうやって待っている。あなた自身われわれを待たしたことについては、どういう御心境ですか、あらためて伺っておきます。
○根本説明員 私直接電話を聞いたのでないから、あるいは祕書官の伝達に誤まりがあったかもしれませんけれども、委員会の方が休憩になっているからという祕書官からの連絡を私が受けたことは事実でございます。なおまた今すでに外務大臣に対して質疑が行われておりましてそのあとで、私の方にくるだろうという情報も入ったのでありまして、さらに先ほど申したように、与党の国会対策委員長の方から、委員会に臨むに当って今までの経緯がわからないとかえって迷惑させてはいけないからちょっと寄ってくれ、それであそこへ五、六分立ち寄ったということも事実でございます。こういう事情で、ございますが、私が今委員会におけるところの状況を熟知していないために、私を大へん待っておるのにかかわらずおくれたという結果になりましたことはまことに遺憾にたえません。しかし私は他意があって決して拒否するとかなんとかいうことでなく、私の方の連絡が不十分であったためにおくれたということについては遺憾の意を表する次第でございます。
○岡田委員 あなたは語るに落ちているじゃありませんか。休憩中であるから出なくてもいいと言っておきながら、その間に重光外務大臣の質疑応答が行われておるから云々ということを言っておるじゃありませんか。委員会が休憩して、重光外務大臣にわれわれどうやって質問するのですか。委員会をやっているから重光外務大臣に質問をやっているのですよ、休憩をしているというのはあなたの逃げ口上にすぎないじゃありませんか。今速記録がはっきり残っておりますから、こういう事実をあなた自身はっきりお調べなさいよ。こういう事実がありながら、あなた自身は休憩しているから出なくてもいいのだというのは、それこそまさに詭弁だと言わざるを得ません。
○根本説明員 あなたはそういうふうにとられますが、私が言いましたのは、十時半ごろ、私に連絡してから間もなくこの取扱いについて与党の国会対策委員会と与党の理事との間で話をするから、その間休憩になるはずだ、こういう連絡を受けたことは事実です。その後十二時過ぎ、記者会見が終ってから、今外務大臣に対する質疑が行われておるという状況を聞いた。そういういきさつです。従いまして、私は幾ら健忘症でありましても、今言ったことをつじつまを合せるためにそういうことを言ったのではなく、そこに時間的経緯における変化があったことは事実でございます、決して私は逃げ口上するために明敏なあなたをごまかすほど心臓も強くなければ、そういう意図も全然ございません。
○岡田委員 最後に伺っておきます。国会を軽視しないとあなたが言われるならば、なぜ明日鳩山総理を出席させられないか。国会の正式の要求があって国会に出席する政府側の義務があるではないか。あなたは御存じの通りだ。そういう義務があるのに、あなた自身は出席させませんというような考え方で、その理由としては、日ソ交渉の問題については政府の見解が一致しているから、重光外務大臣に言わしてもそれは同じだ、鳩山総理がわざわざ出る必要がない、こういう意味の御答弁なのです。しかしあしたわれわれが出席を要求しているのは、日ソ交渉だけではありませんよ。あなた自身きょうの公報をごらんになったでしょう。公報に何と書いてあるか。国政調査の件に関しと出いてあるじやないか。外交方針全般についてわれわれは聞くのですよ。何も日ソ交渉の問題だけなら出なくていいということで、たとえば百歩を譲ってあなたの言う通りにしたって、ほかの問題について鳩山総理が出席をしないという拒否する理由があるのですか。きょうだってなぜ出席しないのか。きょうは公報に基けば国政調査の件で出ているじゃないか。それを出席しないというのは国会の軽視じゃないか。ここであなたにはっきり伺っておきたいのは、総理大臣といえども国会の委員会の要求によれば出席しなければならない義務があるという点をはっきりあなたはお認めになるかどうかという点が第一点。 第二点は、特別のからだの事情とかなんとかいう問題があるならいざ知らず――そういう点について出られないならば明日出られないとお語いただくのも一つの方法でありましょうが、それ以外の理由をもって、日ソ交渉の問題については重光外務大臣が報告をするから、それだけで十分であるという意味で出席ができないというのならば、それにはどういう法的な根拠があるのか。 第三点は、日ソ交渉の問題についても、鳩山総理が今日出られないならば、明日の委員会においては重光外務大臣の再度の出席を要求するということを理事会で話している。それならば、鳩山総理が明日出られないならば、あなたの論理をもってするならば重光外務大臣が同じ意見を持っているというのだからもう一度重光さんをお出しなさい。このどちらかをおやりになるかどうか、この三つの点をまずお答えいただきたい。
○根本説明員 先ほど申しましたように、総理の御都合はまだ聞いておりませんから、本日お帰りの後打ち合せをしたい、こう御返答するより方法がないと思います。
○岡田委員 それでは明日の問題はどうなんですか。鳩山さんが出られない場合は重光さんを出すのですか、その点を伺っておる。あなた自身は国会議員であるから、国会法、憲法を守るのは当りまえでしょう。そうなら、御都合を伺うだけではなくて、明日はできるだけ出すように努力をいたしますという答弁をするのが当りまえじゃありませんか。民主主義の国会と政府の関係から言うならば、官房長官の態度としては、総理大臣の意見を伺ってどちらかきめますなんて、そういうことを私は聞いているのじゃないですよ。明日は国会にできるだけ出るように努力をいたしますというなら、まだあなた自身はいわゆる独善じゃありませんし、国会を軽視してないのだということはわかるけれども、単にメッセンジャー・ボーイみたいに鳩山総理大臣に何と言うか聞いてみましょう、そんなつまらないことならよしてもらった方がいいですよ。だから、もう一度伺っておきますが、鳩山総理が明日出られないなら重光さんを出しますか。それからまた、明日鳩山総理を出すようにあなた自身は国会法の規定に基いて努力をされる考えはあるのですかどうですか。
○根本説明員 先ほどお答えした通りでございますが、せっかくの御質問ですから申し上げますけれども、総理が出るか出られないか、あるいはまたその出られない場合に重光さんを出すか出さぬかという御質問でございますが、これは本日よく協議した上お答えいたしたいと思います。
○岡田委員 国会法の義務は。
○根本説明員 国会法の義務というのは、要求されてその成規の手続をとられた場合に、それに対して政府がどういう都合で、出るか出られないかということを正式に委員長に報告することをもって政府の責任が明らかになると思います。
○岡田委員 私は再三言っても同じことだからよしますけれども、ともかくもあなた自身だってわれわれと同じように国会議員の立場として――いつまでも与党の立場にあるわけでもないし、いつまでも官房長官の立場にあるわけでもない、われわれのたった一つの基準というのは、何といっても現在きめられている憲法あるいは国会法に基いて、われわれの権能を国会を通じて果していくこと、それは国民から負託された義務だと思う。そういう義務に基いて、国会の運営あるいは政府の運営を果していくことが、われわれの任務でなければならないと思う。そういう点で、何も強いことばかり私は申し上げるわけではありませんが、こういう重大な日ソ交渉の問題にしても重光外務大臣の答えだけで十分だとは言えません。それ以外の問題についても鳩山総理みずからが陣頭に立って、国民にこの間の経緯を報告するのが総理大臣の義務じゃないかと思う。そういう意味でも、一つせっかく官房長官としても国会法並びに憲法の規定に基いて、国会の円滑なる運営が果し得るように御尽力をお願いしたいことを希望いたしまして、私の質問を終っておきます。
○前尾委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後一時十九分散会