外務委員会 第47号
- 発言数
- 114 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1956/05/22
会議録
○前尾委員長 これより会議を開きます。 日本国とフィリピン共和国との間の賠償協定の批准について承認を求めるの件を議題といたします。 質疑を許します。石坂繁君。
○石坂委員 本協定が成立いたしますまで、関係当局の長い間の御努力をはなはだ多とするものであります。つきましては私はこの協定に関しまして、外務大臣、高碕大臣等にお伺いいたす点もあるのでありますが、大臣御出席の都合もありますので、とりあえず協定の条文につきまして、概略局長にお伺いいたしたいと思います。 逐条的にお伺いいたしますが、まず第三条であります。この第三条によりますと、日本からフィリピンに対して賠償として供与される役務及び生産物に対しまして、附属書に九十四項目が掲げられておりますが、この附属書に掲げられておるうちからフィリピン政府は自由に選択する権利を持っており、日本政府はこれを無条件に合意しなければならないのかどうか。条文によりますと両政府が合意するということになっておりますが、これは日本政府はフィリピンの選択物件に対しましては、拒否する権利が保留されてあるのかどうか、まずこれを伺っておきます。
○中川(融)政府委員 ただいま御質問のありました第三条の日本から賠償として供与される役務及び生産物の個々の具体的なものについて、これがどういうようにきめられるかという点でございます。これは第三条に書いてありますようにフィリピン共和国政府がまず要請するのでありますが、その要請につきまして両政府が合意するということになっておるのであります。従ってフィリピン政府の要請がありましても、それを検討いたしました結果、日本側としてこの品物は困るというものがあれば、これは合意の際にこれを対象といたしまして、日本側が同意したもののみが賠償の中に繰り入れられるわけであります。その実際のやり方といたしましては、第四条に書いてあります年度実施計画、これに盛り込んだ場合に初めてこれが供与されるわけでありますので、その実施計画に入らないものは、たといフィリピン側が要請しても、これが供与されないことになるわけでございます。
○石坂委員 ただいま実施計画の話がありましたが、この実施計画は第四条にうたってあります。そこで第四条によりますと、第一年度の実施計画は、この協定の効力発生のときから六十日以内に決定するということになっておりますが、この六十日というのは変更のできない絶対的の条件であるか、これ以上延期することについて、双方の黙示的の了解があるかどうかということについて伺っておきます。
○中川(融)政府委員 第四条二項にきめてありますように、第一年度の実施計画は、本協定効力発生の日から六十日以内に決定するものとするとなっておるのであります。これはすでに一年前日本に専門家団というものがフィリピンから参りまして、日本の各省の専門家との間に、フィリピンで賠償が片づいた場合には、こういうものがほしいというような品物についていろいろ検討したことがありますので、大体においてフィリピン側がどんなものを欲しておるか、なお日本側としてはその中でどのようなものは技術的に出し得ないか、どのようなものは技術的に出し得るか、その場合に価格は大体幾らぐらいになるだろうかという点について、約一年間に詳細に検討したことがあるのであります。従いましてビルマの場合とは若干事情が異なりまして、相当に事前の準備のいろいろ調査をしておりますので、その実施計画は六十日以内に十分できる、かように考えております。現にフィリピン側におきましてはこの実施計画を作るために、日本に調査団、専門家の使節団を派遣したいということで、人選まで進めまして準備をいたしております。本協定が幸いにして国会の承認を得れば、その専門家調査団がフィリピンからさっそくやってくる段階になっておりまして、この協定にうたってあります通り、六十日以内にはこの実施計画ができるもの、かように考えております。
○石坂委員 ただいまの御答弁で実施計画につきましては、昨年度に専門家会議が開かれて相当詳細に検討いたした、こういう話であります。その一九五五年の専門家会議のことは協定附属の交換公文、——この資料の二十七ページでありますが、このうちにも専門家会議において検討された計画だということが出ておるようであります。この専門家会議で討議された内容を承知いたしたいのでありますが、これはその概要なり、その会議の内容を資料としてお出し願えますかどうか。
○中川(融)政府委員 専門家会議自体は実は非公開の会議として行われまして、その結論につきましてもこれを公表しないことと実はなっております。その主たる理由は、各品目につきましてその当時における価格を大体予定いたしまして、この程度の価格でできるという見積りをしてあります。従ってその価格が事前に漏れますと、今後の入札その他の都合上、不都合を生ずるというようなことがありますので非公開といたしておりますが、専門家会議の大体の骨子につきましては、資料といたしましてさっそく公表して差しつかえない限度のものを御配付いたしたい、さっそくその手続をとることといたします。
○石坂委員 ただいまの専門家会議のことは、御答弁の通りにお差しつかえない限度で、資料として御配付願います。 次は第五条でありますが、この賠償物件に対する契約案は日本政府の認証を受けることになっております。そこで日本政府の認証後の実施は、フィリピン政府の使節団と日本国民またはその支配する日本国法人との間に直接契約が締結される、こうなっておりますが、これはやはりビルマ賠償の方式と同じ方式になりますかどうですか。
○中川(融)政府委員 具体的な賠償の提供に当りまして、日本政府が中間に介在することなく、直接フィリピンの政府機関が日本の業者との間に契約を結ぶという、いわゆる面接方式をとりましたことはビルマの場合と同じであります。またその賠償契約というものについて日本政府がある段階において認証をする、それによって日本政府の支払い義務が生ずるという点も、ビルマの場合と同じでございますが、若干違います点は、日本政府の認証という段階を、ビルマの場合には、契約ができました直後にこの契約の提示を受けまして、要するに契約ができましたあとで日本政府が認証するということになっておりますが、フィリピンの場合は、契約ができます直前に日本政府に提示いたしまして、日本政府がまず認証し、日本政府の認証した契約に基いて、フィリピン政府が日本の業者との間に契約を最終的に締結する。締結しましたあとでさっそくこのコピーを日本政府に送ってくるという、これだけの違いがビルマとの間にはあるのであります。
○石坂委員 第五条第四項、すなわち賠償契約なしで行うことができる役務及び生産物の供与ということが出ております。この範囲は一体どういうふうなことになるのか、お伺いします。
○中川(融)政府委員 原則として日本の賠償として提供いたします役務及び生産物は、賠償契約によって行うのであります。すなわち直接フィリピン政府が日本の業者との間に契約をして行うのでありますが、事の性質上日本の業者と直接契約を結ぶことが適当でないものがあるのであります。たとえばフィリピン政府からの要望によりまして、日本が現地に調査団を派遣して、フィリピンの経済の開発についてのいろいろの調査を行うというようなことがあるといたしますと、その調査団は、やはり政府が肝いりいたしましてこれを編成して、日本政府の責任において派遣するということが必要となると思うのであります。その場合には、日本政府が直接フィリピン政府との間に話をきめる、従って経費も日本政府が直接支払うという、賠償契約、民間業者との契約でなしに、日本政府が直接いわばその役務を提供するという形にした方がいい場合があるのであります。さような場合は、この賠償契約によらないで役務の供与ということになるわけであります。 第二の例といたしまして、たとえば現在沈船引き揚げというのが行われておりますが、この沈船引き揚げは日本政府が中に入りまして、日本政府の責任において役務を提供しておるのでありますが、沈船引き揚げがさらに今後も引き続いて行われるという場合におきまして、状況によりましては、今の形をそのまま踏襲して、日本政府が自己の責任において日本の業者と契約を行う。そうして必要な金を払う。フィリピン政府にはその反射といたしまして、役務がそのまま提供されるという形のことをやることも考えられるのであります。さような場合には第四項の賠償契約によらざる賠償の提供ということが行われるわけでございます。
○石坂委員 第七条第二項の規定に「使節団の日本国における事務所は、東京及び(又は)」という表現になっております。そこでお伺いしたいのは、東京及びその他に予定されておる場所があるか。あるいは東京でなしに、「又は」で別に設けられる予定ですか。
○中川(融)政府委員 使節団は日本に設置されるわけでありますが、事務所をどこに置くかということについてはまだ取りきめていないのであります。これはおそらく東京にまず置かれることは当然であると思うのであります。純理論からいえば今後きめられることでありますので、「東京及び(又は)両政府間で合意することがある他の場所」ということにしてあるのでありますが、東京に置かれることはまず間違いないと考えております。しかしながら必ずしも東京のみとは限らないのであります。必要によりましては、あるいは大阪とか、東京以外の地にも事務所、つまりこれは支所のようなことになると思いますが、支所のようなものを設けることも考えられるわけであります。いずれにせよ政府の合意によってきめることになっております。
○石坂委員 第七条第三項以下は、使節団に対する外交上の特権及び免除に関する規定がうたわれているようであります。ビルマの場合は、ビルマ賠償ミッションの設置に関する一九五五年十月十八日付の交換公文で、ミッションに対する特権の付与が規定されておりますが、これと比較いたしますと、著しくフィリピンの方が強い権利が付与されているようであります。ことに第三項において非常に強く不可侵権をフィリピンのミッションに対して与えられているのは、特別の理由があってのことかどうか。
○中川(融)政府委員 フィリピンの賠償使節団が日本に設置されます場合に、それに対してどのような特権を与えるかという問題につきましては、フィリピンとの間の折衝においていろいろの経緯があったのでありますが、われわれがまず第一に考えましたところは、使節団の特権というものは、ビルマの場合には、ただいま石坂委員のおのお説の通り、交換公文でこれを規定しておるのでありますが、これは日本とビルマ間の賠償協定が非常に簡単にできている関係上、使節団等が設置されるやいなやということも、賠償協定を作りましたときにははっきりしたものがなかったのでありますが、これを実際の必要から交換公文で規定いたしたのであります。事の内容から申しますと、やはり特権を与える問題でありますので、今回はできるだけこれを協定の中に織り込みたい、協定ではっきり根拠をきめておきたいということを考えております。これは法律上の見地からできるだけ正確を期したいということでありますが、そういうことを考えまして、その次には、この特権の内容はビルマの場合とできるだけ同じものにしたい、ビルマ以上には出ないものにしたいと考えたのであります。結果的に申しますと、第一の目的、つまり協定に織り込むということはその通りになったのであります。また第二の目的、すなわちビルマの場合と同じ程度のものに限定したいという点も目的を達したのであります。このビルマの場合と若干ただいま御指摘のように規定上差異があるように見えておりますが、これは規定を詳細にしたからにほかならないのであります。たとえば不可侵権ということか三項に書いてありますが、これはビルマの場合において使節団の職員品に外交特権を認めました以上、その事務所も不可侵であるということは当然の結論としてなってくるわけであります。この点をフィリピンの場合は将来の誤解を避けるために詳細に書いたというにほかならないのであります。実際上ビルマの場合においても事務所は不可侵の取扱いを受けておりまして、それらの法律上の関係を明確にしたということであります。なおその他の点につきましても、ビルマに認めておりますものと大体同一の特権及び免除を認めたということになっております。多少この表現の上で違いますところは、裁判管轄につきまして、フィリピンの場合は使節団それ自体が裁判管轄に服するという書き方ではなくて、使節団の法務部長の職にある者は裁判管轄に服する。その裁判の結果は使節団自体を拘束するという回りくどい書き方をしておりますが、これは実際においてはビルマの場合と同じことになるのであります。ビルマの場合以上の特権を特に認めておるという事情はないのであります。
○石坂委員 ただいまの表現の方法が違うが内容においては違わない、こういうふうな御説明でありますけれども、いずれにしても表現はかなり違っておるのであります。ことに第三項の不可侵権というものは、本協定には明らかにうたってありますけれども、ビルマの協定にはそれがありません。これは著しい相違だと私は考えております。しかるに先ほど私が引用いたしましたビルマ賠償ミッションの設置に関する交換公文の第六項によりますと、「日本国政府は、将来日本国に設置されることのある同性質の使節団に与えられることのある特権及び免除を使節団に対して与えるため、必要な措置を執る。」、こういう規定になっておりますから、もしこの際ビルマの方からフィリピン同様の不可侵権等の記載を要求いたした場合においては、日本はそれに応じなければならぬことになりはしませんか。
○中川(融)政府委員 賠償使節田につきまして、ビルマの場合もフィリピンの場合もこれは全く同じような仕事をする同じような機関であります。従いましてその関に取扱い上の差異がもしありと仮定すれば、一方に与えたものは他方に与えることは当然であります。しかしながらただいま御説明申し上げました通り、日本政府の扱いは両名に差異はないのでありまして、従ってただいま御指摘になりましたビルマに関する交換公文の第六項が発動いたしまして、従来ビルマに与えていたかった特権をビルマの使節団に今後与えるということが出てくるということは、事実問題としてはあり得ないと思うのであります。観念的に申せばこの六項はもちろんさような事実がありと仮定すれば適用されることは当然でありますが、事実問題としてはさようなことは実際上ない、かように考えております。
○石坂委員 使節団に対する待遇の問題で、裁判管特権の問題でありますが、ビルマの場合は交換公文第七項で、「日本国の裁判所の管轄権に服さなければならない」こう明瞭に書いてあります。ところが本協定第七条第七項によりますと「受けることができるものとする。」こういう表現になっておるのです。局長の答弁では、言葉は違っても内容は結局同じだ、こういう趣旨のようでありますけれども、日本語の表現は明らかに違っております。ビルマの場合は服さなければならない、フィリピンの場合は裁判を受けることができる、こういうふうなことになっておりますが、同様のものなら同様の表現であってもいいわけでありますけれども、特に違った表現をしていることには、この裁判管轄権に服す服さないは、フィリピンには向うの自由にまかせたのではないか、こういう少くとも法理解釈上の誤解を受けるのですが、この点について御説明願いたい。
○中川(融)政府委員 ただいま御指摘になりました第七項の点でございますが、フィリピンの協定におきまして「使節団の法務部長の職にある者は、訴え、又は訴えられることができる」となっております。この訴えることができる方は使節団の法務部長が訴えることができるわけでありまして、従って訴えなくてもいいわけであります。訴えられることができる方は、これは使節団の法務部長の職にある者は第三者から訴えられました場合には、その訴えに応じたければいけないのでありまして、「訴えられることができる」という表現は、はなはだ妙な書き方でありますが、要するにこれは単に法務部長の職にある者の権限を、定めたのではないのでありまして、一般第三者にもこの権限は与えてある規定であります。日本の当事者はもし使節団を訴えたいと思うときは、使節団の法務部長の職にある者を相手といたしまして裁判を提起すればいいのであります。それで「訴えられることができる」という規定が発動いたしまして、使節団の法務部長の職にある者は、その裁判を受けて立たなくてはならないのであります。従いましてこれはフィリピン側に選択権を与えたのではないのでありまして、使節団の法務部長の職にある者は、日本の裁判管轄に服することを規定しておるのであります。同じ趣旨の規定でございます。
○石坂委員 第九条第三項によりまして、この協定に基く役務または生産物の供与に関連してフィリピンにわが国の技術者、役務による技術者が滞在することになるわけでありますが、このフィリピン滞在中のそれらの日本人の身分上の取扱いはどうなるのか。当然一般外国人同様の待遇を受けるものと思いますが、この点はどうなりますか。従来平和条約締結前の今日までの沈船引き揚げ作業等による技術者、労務者の身分は、一般外国人としての待遇は受けていなかったと私はかように考えるのでありますが、本協定発効後は一切さような制約が除かれて、すべて一般外国人同様の待遇を受けることになるだろうと思いますが、この点は果してどうなりますか。相互主義で律せられることになるかどうかお聞きしたいと思います。
○中川(融)政府委員 賠償の供与に関連いたしまして、日本の国民がフィリピンに参ります場合、これが一般外国人と同じ待遇を受けるということは当然でありまして、これは何も賠償のために行く人に限らず、日本人全部、今後向うに行く人が一般外国人に対すると同じ待遇を受けるわけであります。これは平和条約が発効いたしますれば当然のことであるのであります。しかしながら九条の第三項及び四項は、むしろ一般外国人の待遇よりもさらに厚い待遇を規定しておるのでありまして、フィリピン側からむしろ積極的に所要の便宜を与えられる。また税等を課さないという保護措置を規定しておるのであります。従いまして一般外国人よりもむしろ厚い保護的な措置、待遇を受けるというふうに御了承願いたいと思うのであります。
○石坂委員 同条第一五項の賠償物資の再輸出を禁じた規定がありますが、これを設けた理由はどういう理由ですか。
○中川(融)政府委員 賠償を実施するに当りまして日本といたしましては、この賠償の実施によりまして、日本の通常の交易が阻害されるということはぜひ避けたいということが関心事であるわけであります。賠償として品物をフィリピンに送り出した場合に、その品物がフィリピンで特に需要されるものであれば——これは特に第三条の規定からフィリピンのいろいろな事業必要なものというふうに規定してあるわけであります。フィリピンに必要とされるものであることが前提でありまして、これがもしかりにフィリピンからさらに第三国に再輸出されるということになりますと、たとえば同じ日本の品物がフィリピンからさらにタイに輸出されるということになりますと、日本のタイ国に対する通常輸出がそれだけ減ってくるおそれがあるわけであります。従って賠償物件は第三国に再輸出してはならない、日本が同意する場合以外は再輸出してはたらないというのが一つの原則でありまして、同じ趣旨の規定はビルマ協定にもあるのであります。
○石坂委員 第十条に合同委員会の規定がありますが、これは執行権または決定権を持っておるのかどうか、あるいは単なる勧告機関であって、拘束力はないということになるのか。もっとも交換公文資料の二十三ページの(1)には、「第十条の合同委員会の勧告に基いて」という規定がありますから、単に勧告するだけのように見えますけれども、その点を念のために伺っておきます。
○中川(融)政府委員 第十条で規定しております合同委員会は、この協定の実施に関する事項について勧告を行う権限を有する機関となっておるのであります。従いまして、合同委員への決定ないし協議の結果のみでは有効ではないのでありまして、その協議の結果に基きまして両国政府が合意する場合に、初めてそれが最終的に成り立つわけであります。
○石坂委員 ただいまの第十条の合同委員会と、第十三条に規定してある仲裁委員というのがありますが、この両者の職務権限があるいは競合するような場合が出てくるのではないかと思うのです。その点についてはどういうふうな御見解を持っておられますか。
○中川(融)政府委員 普通、協定の実施に関する事項につきましては、両国政府間で協議を要することは、この第十条の合同委員会でまず協議をすることになろうかと思うのであります。協議いたしました結果、合同委員会で話がきまれば、それが合同委員会の一致した意見といたしまして、両国政府にそれぞれ答申されるわけでありまして、その場合に、両国政府の意見は合同委員会の勧告通りにきまると予想してまず差しつかえないと思うのであります。しかしながら合同委員会でも話がきまらないという場合があり得るわけでありまして、そのような場合の規定を第十二条に書いてあるわけであります。合同委員会でも話がきまらぬ場合には、両国政府が直接外交上の経路を通じて、その解釈あるいは実施に関する紛争を解決しなければならないわけであります。外交上の経路を通じても解決しない場合には、初めて十二条の二項に規定してあります仲裁委員の裁定に付するという段階になるわけでございます。
○石坂委員 交換公文等について二、三お伺いいたしたいと思うのです。実施組品に関する交換公文の支払のところで賠償勘定というものが設けられることになっております。これはすでに銀行団等で競争が行われておるようにも伝えられておりますが、これを政府はどう調整されるのか。この勘定は一行であるが、多数であるか。
○中川(融)政府委員 実施細目品に関する交換公文のIIの支払の第一項に、賠償勘定を日本のいずれかの外国為替公認銀行に開設するというようになっておるのであります。この日本国のいずれかの外国為替公認銀行というのは、これは日本文では単数か複数か明瞭でございませんが、英文の方でごらんいただきますと、この点は単数になっておるのであります。従って一行をフィリピンの使節団が選びまして、そのフィリピンの使節団が選びました公認銀行にフィリピン政府名義の勘定が開設されますので、その勘定に日本政府が必要な支払いを払い込むことになるわけであります。これは一行がありますが、しかしこの同じ第一項の後段、最後のところにおきまして、「使節団は、必要と認めたときは、同じ目的のための追加の外国為替公認銀行を指定することができる。」とございまして、必ずしも一行に限らず、使節団の都合によりましては、さらに追加の指定をすることができることになっておるのであります。どのような外国為替公認銀行を選ぶかということは、日本の外国為替公認銀行はたしか十三行あるはずでございまして、その間に競争も激甚であろうかと思いますが、これは実は日本側でこれにいろいろ調整を加えるという筋合いのものではなく、フィリピン政府の選ぶものに日本は金を支払うという仕組みになっておるのであります。フィリピン側が最も適当と思う銀行を選んだ場合に、日本側はそれをそのまま認めるということになる次第でございます。
○石坂委員 本年度の契約はいつから開始される予定であるか。まだ協定が承認を得ておりませんから、その点明確に言えないかもしれませんが、お伺いいたしておきます。
○中川(融)政府委員 御承知のように、賠償協定の第四条第二項におきまして、「第一年度の実施計画は、この協定の効力発生の日から六十日以内に決定するものとする。」ということになっております。もし幸いにしてこの協定が国会の御承認を得ますれば、それから六十日以内にはまず実施計画がきまるわけであります。その実施計画に基きまして契約を締結し、それを日本政府に提示して参りますれば、日本政府はそれに対して認証を与えることになるわけであります。従ってすべて順調に進行いたしますれば、そう遠からざる期間内に、現実の問題として契約が行われるのではないかというふうに考えております。
○石坂委員 使節団に対する費用は、細目に関する交換公文のIIの支払の第四項に書いてある通り支払われることになると思いますが、これが負担は五億五千万ドルのうちになるか、それに加わらないのか。
○中川(融)政府委員 賠償として支払います経費は、すべて五億五千万ドルのうちになるのでございます。
○石坂委員 最後にこれは字句の問題ですけれども、参考の経済開発借款に関する日本国政府とフィリピン共和国政府との間の交換公文の1、2には「民間商社又は自民」という言葉を使ってありますが、3には「民間商社相互間の契約」ということになっておりまして「又は国民」という言葉は抜けているのです。なお実施細目に関する交換公文にも「国民又は法人」が賠償契約をやる当事者になるということになっております。ただ前に指摘しました経済開発に関する交換公文の3だけに、日比両国の民間商社相互間の契約をやるということになっているのが私は了解できないのですが、「国民」という言葉がどうして3にだけ抜けているのですか、それを御説明願いたいと思います。
○中川(融)政府委員 これはいわゆる借款が通常行われますのは民間商社間でありますが、例外的に商社と言うことのできないような国民個人から提供されるということもあり得るかと考えまして、正確を期する意味で、「民間商社又は国民」という字句をずっと使っております。ところが第三項では、両政府がいたします容易化及び促進の措置というのは何であるかということを規定したわけでありまして、その容易化及び促進の措置というものは、現に日本国政府がフィリピンと日本との間の民間借款について行われておるような措置をさすにほかならないということを、この第三項の第二段において規定したわけであります。現実に行われておりますのは、いずれも日本の民間商社から先方の民間商社に提供されているものだけでありまして、日本の一個人から提供されているというものはないのであります。従って、ここには「民間商社」という字句を使ったのであります。これは現実がそうなっておるからであります。将来の問題といたしまして、正確を期する意味で「国民」という字句を特に入れて規定しておるのであります。その点で三項の規定のやり方が一項、二項とちょっと違っております。そういう事情よるものであります。
○石坂委員 局長に対する私の質疑はこれで終りましたが、重光、高碕両大臣に対する質疑は留保さしていただきます。
○前尾委員長 大橋忠一君。
○大橋(忠)委員 ほんのちょっとしたことを二点ばかりお伺いいたします。私は北満鉄道の買収交渉をやったことがあります。そのときに非常に困ったことが一つあった。それは、わが方から一億四千万円という大金を支払いました。それでソ連が日本で物を買い付けたのです。その際に、日本の商社が争って売りつけようとしたがために、値段を非常に安くした。また向うはそこがつけ口なんです。今度もフィリピンの使節団が日本で計画に従って物資を買い付けるということになるようですが、その場合の買付の方法、これは自由に、使節団が適当と考えるいかなる方法でもよろしい、つまり業者を競争させて、なるたけ安くたたいて貰うこともできるというようなことになっておりますかどうですか。その点をお伺いいたします。
○中川(融)政府委員 お説のように、賠償実施に当りまして、日本の業者が相互に競争します結果、不当に安い値で賠償の品物が提供されるということになるのは非常に因るわけであります。この点について何らかの措置を講じたいというのが、ビルマ賠償のときからの政府の考えであったわけであります。ところが、これについて一番いい方法は、日本政府が直接日本の業者と契約を結んで、そうして向うにそれを提供するというやり方でありますが、これをやりますと、今度は日本の政府の承認した価格、あるいは採用した価格というものが高過ぎるというようなことで、先方の政府との間に紛争が絶えないおそれがあるのであります。これはすでに沈船引揚協定の際にその実例があって、先方の誤解を解くだけに一年かかったわけであります。従って、これは双方の利害得失を考えてみれば、やはり直接向うの政府が日本の業者と契約を結ぶというやり方をとるほかあるまいということに結論がなったのでありまして、その趣旨で今回の協定もいわゆる一概方式を採用しておるわけであります。しかし書がら、日本の業界にもよい業者と悪い業者といいますか、質のよくない業者とかあるわけであります。日本の政府には相当それらの事情がわかっておりますが、先方の政府の人にはなかなかそれがわからないということも考えられます。それで、一種の好意的な措置といたしまして、日本政府が、こういう業者の人たちと契約を結べば大体間違いない、信用もできるというような意味合いの推薦制度をビルマのときにも採用したのであります。今度のフィリピンの場合にもその制度を依然踏襲して採用しているのでありまして、日本政府は相手国政府に対しまして、業者を推薦することができるということになっておるのであります。しかしながら、この推薦は決して限定的な意味ではないのでありまして、推薦を限定いたしますと、先方の政府は、推薦したものとの契約の結果については、日本政府が責任を負うべきであるという議論をすぐ展開して参ります。それをまた日本政府としてどこまでも責任はとり得ないのでありますから、推薦は制限的なものではなく、推薦しないものと契約を結ぶことも自由であるけれども、好意的な措置として推薦制度をとる。この制度はすぐにはなかなか効果を発揮しないかもしれません。というのは、先方の政府も日本政府の言うことをそのまま信用するということにはいかないのでありまして、かえって推薦しないものと契約を締結したいというような考え方を起すかもしれませんが、長い目で見ればやはり推薦したものの中から選んで契約をすれば、結果的にはその方が確かで間違いなくてよいということがおのずからわかると思うのでありまして、そうなれば、この推薦制度というものが効果を発揮しまして、日本側の不当な競争あるいは不適当な業者が介在して、いろいろひっかき回すということを将来の問題として防ぎ得るのではないかと考えております。しかし、現実問題として、この競争を皆無にするということは、なかなかむずかしいのでありまして、ある程度の指導以外適当な措置はどうもないように考えられます。
○大橋(忠)委員 そんなことはないでしょうが、非常に悪質な業者がおって、たとえばわいろを向うの使節に使って、そうして量は相当あっても素質の悪いものを売りつけるというようなことが起った場合、法律上向うは不可侵権を持っておる関係上、日本としてはどういう責任を持つようになりますか。裁判問題なんかになり得るかどうかという点はどうですか。
○中川(融)政府委員 収賄、贈賄の関係がもしかりに起きたとすれば、それはフィリピンの政府機関と日本の業者との間の関係であります。従って、日本政府が法律的あるいは行政的にこれに関与して是正措置をとるということにはむしろならないで、フィリピンなりあるいはビルマなりの政府が直接監督いたしまして、そのような悪い、つまり自分の国の利益を害する政府機関の職員員になるわけでありますから、そういう者を解職なり免職なり更迭なりの措置をとるということになると思うのであります。この点に関しまして、今回フィリピンに参りまして向うの状況を見てみますと、いわゆるスキャンダルが起るということを非常に警戒いたしております。従って、ここに送られます使節団の人選あるいは監督につきましては、最も厳重にしなければならないという点は、向うの非常に注意しておるごとでありまして、ビルマの場合にも、御承知のようにビルマの政府は非常に清廉をモットーとしておる政府でありますから、汚職等については非常に厳重でありまして、大臣といえども即日免職されるというのが実情でありますので、監督は厳重であると思いますが、フィリピンの場合におきましても、新聞その他の世論の監視の目が非常に鋭いわけでありますから、そのような事態はまず起らない。起ってもすぐに是正されるというふうに考えております。なお日本の法制から申しましても、贈賄いたします日本の業者については取り締ることはできることになります。
○大橋(忠)委員 いろいろな弊害が百出するだろうと思うのです。そこで大体計画にあるような資本財を取り扱うオーナラブルな業者に何か組合を作らせて、そうして公正妥当な値段でいい品物を売るというようなふうに指導したらどうか。やはり賠償によって向うに出ていく品物も日本の一つの商品でありまして、これは日本の信用にもかかわる。どうです、これは全部というわけには参らぬにしても、オーナラブルなものだけでも、また非常に多量の物資が向うにいく、その業者だけでもいいから組合を作らせて、そうしてあまり不当な競争にならないように、しかも公正妥当で品質のいい品物を供与し得るようなことを合同委員会等できめて、そうして原則としてその組合にやらせていくというようにしたらどうかと思うのですが、その点はどんなものでしょう。
○中川(融)政府委員 ある程度の行政指導ということは必要であると思います。今も通産当局等において、ある程度の行政指導はしておるのであります。賠償供与のための組合を業者間に作らすということになりますと、なかなか相手国の了解をとるのが相当むずかしいだろうと思います。これは相手国としては、業者間に談合が行われて、自由競争が行われないということを非常に心配して警戒しておりますので、そこらの点はまだ時期的に少し早いのではないかと思われますが、結局は優良な業者間から公正な価格で賠償物資を調達するということが、長い目で相手国の利益になるということは当然でありまして、長い目をもって見ますれば、何らかそういうような措置と申しますか、日本側においてもそういうような措置をとって、質の悪い業者をいわば排斥する措置をとるということについて、相手国の理解がだんだん増してくるのではないか、こういうように期待いたしております。御趣旨の点はごもっともでありますので、その御趣旨を体しながら適切な方途を考えていきたいと考えております。
○大橋(忠)委員 これはただ単にフィリピンのみならず、ビルマも現にやっておられる。さらにインドネシアもやるということになると、やはり相当大量なものを扱うことになる。これはむしろ統一的にそういうことを考える。しかも向うの方が、談合によって不当に高い値段で売りつけるのではないということを信じさせるような方法が私はあるだろうと思う。これを一つ御研究を願いたい、こう思うのです。それからその次に役務を向うへ提供する場合に、この契約もやはり物資の場合と同様に、使節団がこの計画に基いて適当な人を物色して、その人と契約をする、こういうかっこうになるのですか、どうですか。
○中川(融)政府委員 役務の提供も原則としてただいま御質問になったような方法で、直接使節団がその役務を提供する人たちと契約を結んで行うこと になるのでありますが、ただ役務になりますと、いろいろの種類のものがありますので、あるいは例外の方の賠償契約によらない政府の入る間接方式というものも相当出てくるのではないかと考えます。役務の中でたとえば留学生の世話をするとか、向うの研修牛をこっちで世話するということになりますと、おそらく政府を通じてのことになりはしないかというふうにも考えられます。
○大橋(忠)委員 これはやはりこちらで推薦をするのですか。やはり向うの要請によって……。
○中川(融)政府委員 向うから要請があれば推薦いたします。現実の問題としては大部分日本側で何かいい人を見つけてくれというふうな注文がきて、それによってこちらで物色して推薦するという形が大部分になっておるよう でございます。
○大橋(忠)委員 これもやはり物資の 場合と同じに不当な運動をして、そうして日本の信用を害するようなものが向うへ行くということになっては私は困ると思うのです。これは私は物質の 場合よりなお容易だろうと思うのですが、これはやはり日本の推薦権というものを私はもう少し強めて、向うの同意を取りつけて、やはり間違いのない人間が向うへ行って、そうして日本人の技術家なり、あるいは日本人全体の名誉を毀損したり、悪い印象を与えないようにすることをさらに考えていただく必要があるだろうと思うのです。これもビルマの場合、あるいは来たるべきインドネシアの場合も含めて、総合的に一つ日本の東南アジアに対する信用を落さないように、その数は少くてもこれらの人の向うにおける行動というものの影響は大きいのですから、これがひいて日本の東南アジアに対する発展の実は基礎になるわけで、非常な大事でありますから、これは向うのためのみならず、日本のためにもぜひ優良な、人格的にも向うの人に好かれ、尊敬されるような人をぜひ送っていただきたい。従ってこれは日本の方で責任をのがれるために向うのやりたいままにほうっておいて取り返しのつかぬようになっては、私はこれは大へんな損害だろうと思うのであります。よほど日本の方で力を入れて、進んで向うとの親善関係に寄与するていの人をぜひ出さなければならぬと思う。非常に大事な点であると思うのです。この点を一つ御考慮を願いたい。 それからついでに申し上げますが、貿易問題であります。この協定によると、要するに旧交が回復すれば、次いで貿易協定とか、あるいは支払協定のようなものについて、適当な改訂を加えることにフィリピン側も同意しておるのでありますが、具体的にまだ書面の上には表わせぬが、大体どういうふうに貿易協定などを改訂するか、具体的の話し合いというものは、まだないのですか。この点が私は日本国民として、あるいは業界としても一番注目しておるところだろうと思いますが、内輪の話し合いがもしあったならば、大体どんなような意向を向うは持っており、どんなような改訂ができる見込みであるかという点について一応尋ねたい。
○中川(融)政府委員 第一点、すなわち今後日本から役務として人を出す場合に、よい人を選んで出すべきであるという点、全く御同感であります。ぜひそういうふうにしたい。そのためには推薦制度というものを、役務については品物の場合よりはさらにもっと強度に活用したいとわれわれも考えております。合同委員会におきまして現実の協議が行われます段階になったならば、ぜひそのような方法でいきたいと考えております。 第二点の貿易を今後どのようにして拡大するかという点につきまして、具体的な話し合いは実はまだ行われておりません。方針といたしましてこの賠償協定、さらに平和条約の発効、これに引き続いてすぐに貿易を拡大均衡化させる方途について両国間で協議しようということの方針はすでにきまっております。その一つの方法といたしまして現存の貿易協定を改訂するとか、また通商航海条約をあらためて作るとか、この二つのやり方もきまっております。しかしながらどのような内容をそれに盛り込むかということにつきましては、日本側といたしましても各関係省が集まりましていろいろ研究いたしております。しかしながらまだこれでやろうというところの最終案がきまったという段階にはなっていないのであります。これはぜひ急速に政府としての具体案を早くきめたいと考えております。 なお先方との非公式な話し合いでありますが、話し合いの段階におきまして現在行われております日本に対する差別的な待遇、たとえばある種類の品物は輸入禁止になっておる、また入国その他についての差別的な待遇、あるいは合弁事業を設置することについても日本についてはまだ認められておりませんが、このような一切の差別的な待遇は平和条約発効とともになくなるということにつきましては、先方も当然であるといって同意しておるのであります。従ってまずとりあえずそのような従来の差別的な取扱いはなくなる、さらに貿易協定、通商航海条約等の締結によりまして、積極的に日本の貿易を進めていく方策を講じたい、かように考えておるのであります。
○大橋(忠)委員 ベル・アクトというものがなくなれば、アメリカの物価が非常に高い、従って安い日本の品物がとってかわるということは容易に想像ができると思うのでありますが、ベル・アクトなるものが今後——あれは有効期間は何年ですか。
○中川(融)政府委員 一九七四年ですから十八年くらいです。
○大橋(忠)委員 だいぶ先のことであるのですが、このベル・アクトと離れてほかに貿易を増進せしめるというような方法が何か考えられるでしょうか。われわれから見るとベル・アクトが存在する限り、ちょっとむずかしいように思うのですが、これをそのままにしておいて、その他において日比間の貿易を促進するという方法はちょっと考えられないようなのですが、そういう具体的のことも考え得るのですかどうですか、その点を……。
○中川(融)政府委員 ベル・アクトは一九七四年まであと十八年間続くわけでありますが、しかしながら同じ内容で十八年間続くのではないのでありまして、ここ三年間は一般第三国に対する関税の二割五分をアメリカの品物に下げる、第四年目から四、五、六とこの三年間はこれの五割になる、さらにその次の三年間は七割五分になる、さらにその後 つまり第十年目からは九割関税がかかるということになるのでありまして、大体十年間をもってアメリカに対する特恵関税はなくなるわけであります。従って十八年と申しましても結局は十年、しかもここ三年が一番アメリカに対する税が低いのでありまして、四年目からは五割、半分までは税がかかるということになるのであります。段階的にアメリカ側に対する競争力はどんどんふえていくわけでありまして、必ずしもベル・アクトそのものがある限りは、日本の貿易は伸びないということにはならないと思うのであります。なお現実の貿易業に当っておる人々の意見を聞いてみますと、日本の競争力というのは相当強い、従って日本の品物が入りさえすれば、アメリカとの差別間税等はさして苦にする必要はないということも言っておるのであります。これはもちろん日本の良質な品物が廉価に向うに供給されるということが前提でありますが、その前提にして可能な限り、関税上の差別待遇ということはそう気にする必要はないとのことであります。むしろ今まで日本に対する一つの障壁となっており ました、いろいろの第三国よりもさら に差別的な待遇を受けておる点、これ らの点を除去することと、さらにフィ リピン側として積極的に日本からの輸 入を認めしめる。従来は輸入について 許可しない場合が相当あったわけでありますが、これを許可させるというような行政上の扱いをさせることによりまして、日本の品物は相当輸出されるであろう、こういうふうに考えられます。なお御承知のようにフィリピンの産品ことに木材、鉄鉱石等につきましては、日本のみがいわば買っておるお得意でありますので、これらの品物を今後も引き続いて買う、あるいはさらに量を増して買うというようなことを約束するに当りまして、その引きかえに日本の品物を同量だけさらに輸入するということを約束せしめるとか、いろいろのやり方があると思うのであります。日本の対比輸出を増進することはそう困難はないのではないか、かように考えております。
○大橋(忠)委員 この際ついでに質問しておきますが、もう一つの懸念はビルマなどから文句がくるのじゃないか、これはもちろん全部インドネシアとの協定を結んだ最後だろうと存じます。そういう点について今まで何かそういうおそれのあるようなインディケーションというものが出ておりますかどうか、その点をちょっと……。
○中川(融)政府委員 ビルマから、今回のフィリピン協定等に関して、ビルマに対する賠償を再検討してもらいたいというような意思表示は、間接にも直接にも来ていないのであります。
○大橋(忠)委員 インドネシアとの交渉が東南アジア問題にとって一番重大問題だと国民は思っております。元来フィリピンをやってからインドネシアという思想が私は間違いだと思う。同時に一緒にやった方が私はむしろ有利のように思うのです。しかしながら政府はフィリピンをやって、フィリピンを基礎にしてインドネシアとやるというような方途に出てこられた。それでフィリピンが今度でき上ったのでありますが、フィリピンができ上った以上は、インドネシアの問題が最後に残る重大問題ですから、最近のインドネシアとの交渉の状況、今後の見通し、そういうものについてお差しつかえない程度で話していただきたいと思います。
○中川(融)政府委員 われわれといたしましても、インドネシアとの賠償を決してあと回しにしようという考えではなかったのでありますが、いろいろの事情から、あるいは先方の政情と申しますか、いろいろ政変があったりしたようなこと等から、結果的に見ますると、フィリピンが先になりまして、フィリピンとの協定を見ながら、インドネシアとの交渉を今後進めるという段階になったわけでありますが、インドネシアの方といたしましても、御承知のように三月初めに新アリ内閣ができまして、強力な政治的基盤の上に立っております、国会の絶対多数を占めた三つの党を基礎といたしまして、現内閣ができておりまして、この対日賠償をまず第一の外交案件として取り上げて、ぜひこれを解決したいという熱意に燃えておるようであります。従って今後インドネシアとの賠償というのは、相当急速度に展開するのではないかと考えるのでありますが、具体的な内容等につきましては、まだ先方からも申し入れがありません。むしろ先方の今の態度は、日本側から一つ新しい案を出してもらいたい。御承知のように、すでに三年前になりますが、当時の岡崎外相がインドネシアに行きました際に、一億二千五百万ドル程度の案を提示したことがあるのでありますが、それ以来日本側から何ら新しい提示はない。今度は一つ日本側から案を出してもらいたいというのが、ただいま先方の言っておるところであります。日本側といたしましても、その交渉を促進する意味合いから申しまして、何らかの案を先方との間に協議したいと考えておる段階でございます。 なお先方といたしましても、決して従来言われておりましたような何十億ドルというような大きな数字をこの際固執するつもりはない、現実的な段階で話し合いをしたいということを言っておるのでありまして、話し合いが始まりました暁には、できるだけすみやかに何らかの妥結を遂げたいと考えております。
○岡田委員 資料の要求をしたいのです。私の記憶に間違いがなければ、ことしの初めごろだったと思うのですが、外務省で対外債務の全体に対して総合的に検討するような準備が進められているというようなことを新聞報道で私記憶しているのですが、この対外債務の全体の関係について、一応資料として出していただきたい。と申しますのは、それと日比賠償との関係から、私少し検討してみたいと思いますので、これが第一点。 第二点は、フィリピンに日本の資本が進出して、両方の国の資本のいわゆる合弁会社といいますか、そういうものが鉱山その他の関係で相当できているようです。現在明らかになっている。そういう合弁会社のおもなるものだけでもけっこうですが、そういう形態等についても、概略でけっこうです、資料としてお出しいただきたい。その二つだけです。
○中川(融)政府委員 ただいまの資料、さっそく差し上げます。
○石坂委員 関連して。先ほど大橋委員の御質問のうちに、ビルマから何とか賠償の変更について申し入れがあったのではないか、こういう御質問がありまして、何も今日まで申し出はないという答弁であったわけです。去る五月二十日の日経に、ビルマから魚のカン詰、家庭用電機器具などの消費財を賠償品目の中に入れてもらいたい、こういう交渉を受けて、政府はそれを検討しているというような記事が出ておりますが、その点はどうです。
○中川(融)政府委員 ただいまの御指摘の新聞記事のような申し出はあったのであります。消費財に属するそのようなカン詰あるいはその他の小さな機械類のようなもの、そのようなものを賠償に入れてもらいたいという要求があるのでありまして、それについては、目下政府部内で検討中であります。
○前尾委員長 高岡大輔君。
○高岡委員 二、三点お伺いしたい。石坂委員、大橋委員で大体尽きたようでありますけれども、協定第八条の沈船引き揚げであります。沈船引き揚げは賠償全体から見て何パーセントくらいになりますか。
○中川(融)政府委員 大体一・二%くらいになるのであります。
○高岡委員 そういたしますと、非常に安いような気かするのでありますが、これはここにありますので、一九五三年三月十二日署名云々と書いてありますが、これが私よくわかりません のでお尋ねしたいのであります。この沈船引き妨げは、スクラップとしての計算をするのでありますか、それとも引き揚げたものを修理して、その修理を役務とそこへ加えてそれを賠償価格にするのか、どっちなのでありますか。物によってはもちろんどうにもならないで結局スクラップのものもございましょうし、また中には修理すれば使えるものもあるはずでありますが、そういう計算の上で今一・二%とおっしゃるのですか。
○中川(融)政府委員 沈船引き揚げにつきましての空洞は、その沈船引き揚げの作業をするために必要な経費の全部を計算しているのでありまして、スクラップの価格ではないのであります。スクラップの価格にいたしますと、これよりさらに半分くらいになってしまうのであります。フィリピン政府との協議によりまして、フィリピン政府としては、フィリピン海域に従来妨害物があるのは困るから、それを全部取ってもらいたいというので、普通の商業ベースでやればやれないような作業まで、沈船引き揚げ作業ではやっているのであります。なお掘り起して船体を全部取ってしまうというような作業をやっております。従ってその価格は、普通の商業ペースでスクラップを最終の目的としてやりますよりも相当高くついております。スクラップの価格ではなく、作業自体の所要経費を見積って、それを賠償から差し引くことになります。
○高岡委員 私の聞いた話でありますけれども、最初は何か干満のいわゆる平均水位といいますか、それから何メートル下ということで、そういう数字の出し方をしたら、ある地点では、軍艦がぐっと海底に突っ立っておって、ちょうどその水面から何メートルというと、軍艦を胴っ腹から切らなくちゃいけない。それを切って揚げるということにすると、中へささっているやつがそのまま残る。そうすれば、自然それに泥がついたりいろいろなことで障害になるが、さればといって、今度それを掘って揚げるには、非常な費用がかかるということで、日比の間でいろいろ話がこんがらかったというようなことを聞いているのですが、今の局長のお話によりますと、海底に沈んでいるものは、その深さのいかんにかかわらず、全部引き揚げてしまうという御答弁のような気がするのでありますが、そう変ったのでありますか。
○中川(融)政府委員 初め日比間で沈船引き揚げの協定をいたします際に、どの船をどの程度に引き揚げるかということについて、一船ずつ詳細に検討したわけであります。おそらくただいま高岡委員の御指摘のお話は、その最初のときにこの船をどうするかというようなときの問題ではなかったか、私も直接聞いておりませんので事情は知りませんが、そう思われます。しかし一たん各般についてこれを引き揚げるかどうか、また引き揚げる際にどのようなやり方で引き揚げるかということがきまった上は、その引き揚げのやり方等については変更はないものと考えます。そういう前提のもとに入札をいたしまして価格を見積らせてそれで契約を結んでおりますので、一たん契約を結んでから引き揚げのやり方等について変更があったようには聞いておりません。大体私の知っておりますところでは、マニラ湾にあります船は、原則として全部砂の中から掘り起して揚げる。ことに軍艦あたりにつきましては、中に火薬を積んでおるというような事情から、海底で爆破しないで、これを一たん浮揚いたしまして、浮揚後解体するという、非常に周到な措置をとっております。従ってその引き揚げ価格も通常の場合に比較して、相当割高になっているというような実情でございます。
○高岡委員 引き揚げました場合、初めフィリピンの方では、おれの方には非常に大きなドック等があるから全部やれるというようなことを言ったのですけれども、実際日本の専門家が行きますと、フィリピンでとても修理なんかできっこないということで、日本のドックまで引いてきて、日本で修理をするというような話もあったかのように聞いておるのでありますが、そういう点はこのたびの会議には出なかったのですか。
○中川(融)政府委員 今回マニラに私も参りましたので、その機会に沈船引き揚げの現状も見て参りました。結局フィリピン側は、当初の計画では、ある種類の船については、それを引き揚げてそのまま修理してさらに使いたいという気持があったわけでありますが、現実には引き揚げて修理して使えるような船は一つもないということで、全部スクラップになっております。従って日本まで引いてきて修理するというような問題も現実問題としては起っていないように考えられます。十年間で全部相当腐蝕いたしまして、ちょっと使いものにはならぬというのが実情のように見受けました。
○高岡委員 第九条第二項でありますが、これは日本とフィリピンとアメリカの共同開発金融機関のようなものでなさるつもりなのか、これはどういうふうになっておりますか。
○中川(融)政府委員 内地の新聞等に、日比米三国問で、何か共同でフィリピンの経済開発に協力する、賠償もその一環としてやるというような計画があるやに伝えられて出ておりますが、現実問題としてそのような話し合いは行われていないのでありまして、現在までのところ賠償は日比間だけで話し合いで提供する。提供したものはもちろんフィリピンの経済開発計画に使われるわけでありますが、使われる際に、アメリカとの間にどのような調整をやるというようなことは、将来の問題として残されております。将来の問題といたしましては、当然フィリピンの経済開発に当ってアメリカからもいろいろの援助が行われておるわけでございますから、日本の賠償というようなものと全部調整された一つの総合的な企画のもとに行われるということは当然であろうと患われますが、ただいまのところそういう段階にまで至っておりません。
○高岡委員 そうしますと、せっかくこちらから機械を持って行ったり役務賠償にしたりするのでありますが、向うの施設費というものは一体どこから出るのでありますか。それはフィリピン政府が出すのでありますか。フィリピン政府としてもそう金があろうはずはないのでありますが、結局今新聞に出ております日比米の開発機関というものがなければ、言葉をかえていえば、アメリカの金を借りなければせっかく日本から賠償として持って行った資本財にしろ役務というものが、宙に浮いてしまうような気がする。しかもそういうものを持って行きながら、フィリピンからいわせれば、何か自分の方で全部作ってしまったようなありがたみといいましょうか、好意的な感情が全然そこになくなってしまうような気がするのですが、最後まで、工場なら工場を作り上げるというところまで日本が賠償精神でいきませんと、ただ品物は送り届けた、こっちから技師が行っただけでは私は困ると思いますが、そういう話し合しは今度の会議で出なかったのですか。
○中川(融)政府委員 日本から賠償物件がいきました際に、その賠償物件を現地で備え付けてさらにこれを逆転する。そうして定業を興すためには現地資金が要ることは仰せの通りであります。この現地資金を、どうやって調達するかということについてのわれわれの質問に対しては、先方では、それは大丈夫、自分の方で政府の予算でめんどうを見るということを言い切っております。従ってそれ以上突っ込んで、一体ほんとうにあるのかというところまで聞くわけにもいかないので、その限度でとまっておりますが、現実の問題といたしましては、アメリカからICA等によって相当の援助が行われております。この援助のやり方も、結局アメリカのドルに見合うフィリピンのペソ貨をフィリピン政府の予算で同額を秋みまして、両方合せて計画を実施していくというのがそのやり方であります。日本の賠償のためにさらにまたフィリピン政府の予算を組んでやるということになりますと、フィリピン政府の支出する予算が相当多額になるわけであります。従ってどうしてもアメリカからの援助による開発計画、日本からの賠償物資による開発計画というものを調整いたしまして、要するに同じ計画に両方とも使うということになっていくのが当然であろうと思います。その方の機関といたしましては、フィリピンに経済計画委員会というのがありまして、ここで目下計画立案しておりますから、今後はその経済計画委員会で立案いたします国家経済開発五カ年計画にマッチして日本の賠償も使い、アメリカからの援助も使うということになるだろうと想像されるわけであります。それらのことはフィリピンといたしましても、まだ最終的な立案ができていない段階ではないかと考えられます。なお現地の資金が出てきます財源といたしまして、日本から持っていきます機械なり何なり民間に払い下げる分が、大体五割から六割は民間に払い下げると思いますが、民間に払い下げた場合にその対価としてペソ貨がフィリピン政府に入るわけであります。これらのペソ貨につきましては、一極の開発公庫のようなものを設けて、その公庫からこれを民間の業界に貸し付けてやろうということをフィリピンでは考えているようであります。従って民間に利用される分につきましては、民間に払い下げる対価のペソ貨でもって運転資金を供給するということを考えているようであります。政府の応接使います分について、政府の予算から果してどのように現地資金が出るかということは、われわれも興味を持っておりますが、あまり突っ込んでそこまで質問するわけにもいかず、そのままになっておりますが、これはフィリピンとしても相当重大な問題であろうと考えております。
○高岡委員 使節団が日本に来ますことはわかっておりますが、その権限の問題につきましては、先ほども石坂委員からいろいろ御質問がありましたから、私どうもふに落ちない点もありますが、一応それで了承いたします。それでフィリピンで今度は経済開発の企画委員会とでもいいますか、そういうものが非常な重大性を帯びてくるだろうと思いますが、これはフィリピンだけでするのでありますか。そこに日本がどういう権限といいましょうか、そういうことは別といたしましても、日本人がその計画の中に入らないと非常なそごを来たすことがあると思います。アフガニスタンの開発の場合には向うが出てきて注文する。向うだけで計画したものですから、さてこちらから注文通りの品物をやったにもかかわらず、なかなかそれが現地に適応しなかったということで、いつまでもモーターとかそういうものが雨ざらしになったという事実がありますが、これは内政干渉だ、こう向うが言えばこれは控えなければいけないかしれませんけれども、私は親切な意味において現地における、いわゆるフィリピン国内における経済開発企画委員とでもいいましょうか、そこへ日本の相当権威者がオブザーバーとかいろいろ形はどうでもいいのですけれども、そこに行って企画に参与することが、日本の賠償が完全に効を奏していくということになるのだ、こう思うのでありますが、そういう構想といいましょうか、話し合いはなかったのでありますか。同時にまたそういうことは今後考えられないことなのか、その点を一つお伺いしておきたい。
○中川(融)政府委員 日本からの賠償物件を百パーセント利用するためには、非常な計画性を要するということにつきましては、先方ももとより異存がない、同感しておるところでありまして、アメリカからの援助というものと総合的に企画するということは当然でありまして、現にフィリピンには私が先ほども申しました経済計画委員会というものがありまして、日本の経済企画庁のようなものでありますが、そこで真剣に開発五カ年計画というものを立案いたしております。今後その調整というものが、結局その委員会を中心として行われることになろうと思います。その際日本からもできるだけ経済開発に見識を持っている人が行かれ、いろいろ協力することもけっこうなことだと思うのであります。これらのことはあまり差し出がましくなるのもどうかと患われますので、あまり突き詰めた話はもちろんしてございません。しかし大体の空気として大いに計画性を持たしていかなければならぬ、そのためには日本もアメリカも大いに協力してやらなければいかぬということについては、考え方としては異存がない模様であります。しかし民族意識というものもありますので、あまり表立って論議することは差し控えねばいかぬかと思いますが、考え方としてはそういう考え方を持っておるようであります。今後われわれとしてもそういうことは、ほんとに賠償を生かす意味で、ぜひ必要だと思うわけでありますから、やはり相当慎重に進めないと反発する向きもあるかと思いますので、慎重に考えていきたいと思うわけであります。
○高岡委員 もちろんフィリピンの国民感情というものもございますし、そういう点はむしろほかの国よりも慎重に考えていかなくてはいけないとは思いますけれども、こちら側の今後の態度いかんによっては、私はそう向うを刺激したり、ないしは干渉するという気持を起させずに済むと思う。実際にその機械を知っておれば機械の使い方までわかるのです。それを今まで手がけなかった機械というものを、かりに紙の上でこういう機械だ、こうやれば動くのだと言うてみたところで、実際にはなかなかそうはいかないのでありまして、俗に言うかゆいところへ手の届くようにということは、どうしても機械を使った、いわゆる自分のものであった人が行って説明をし、ないしは企画をし、取りつけをするといいましょうか、一切のアドバイスをしていくことが百パーセント生きるゆえんだと思う。これは議論でも何でもございませんのですが、一つそういう点は十分今後も御配慮を願いたい。これは決してフィリピンだけのことでなくて、日本とフィリピンと両者がこれでよかったという結論を生ませますには、どうしてもそこまでの親切があってほしいのではないかという気がしますので、私の老婆心のような気持で要望申したいと思います。 最後にもう一点お伺いしますが、この十二条の「第三の仲裁委員」というものは、日本人でもなければフィリピン人でもないと解釈するのでありますか——これは大体アメリカ人を想定していらっしゃるのですか。
○中川(融)政府委員 ここに規定してあります通り、「第三の仲裁委員は、いずれか一方の国の国民であってはならない。」というのでありまして、第三国人であります。必ずしもアメリカ人というわけでもございませんが、そのときの事情に応じまして、適当な国の人を選定いたしまして、第三の仲裁委員にしたいと思います。
○高岡委員 大体どこの国の人を考えておりますか。私がそれを言いますのは、結局これが最後のところにくるのでありますが、この人がほんとうに厳正中立の人ならいいのですけれども、下手な国から下手な人を頼めば、日本は二対一で常に負けるという結論が、初めから人選によってわかるだろうと思うのです。だからこの点は今ここでとやかく申しませんけれども、相当大きな問題でありますし、このたびの日比賠償に対して疑義を持たれる方は、この点には相当重大関心を持たれるだろうと思いますので、政府の方においては十分そういう点を御配慮願いたいと思います。
○前尾委員長 それでは暫時休憩いたします。午後一時半より再開いたします。 午後零時六分休憩 ————◇————— 午後二時三十四分開議
○前尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を継続いたします。石坂繁君。
○石坂委員 午前にも申し上げましたが、本協定が成立いたしますまでに当局の長い間の多大の努力、なお高碕大臣初め全権各位が先般の地においでになりまして、いよいよ調印をお済ませになりました御労苦を、はなはだ多としておるものでございます。 先日高碕長官のお話のうちに、従来かの国の日本に対する感情が非常に悪かったのが、今回は非常によくなったということを伺いまして、私どもこの対日感情の好転を協定の成立とともに喜んでおるわけでありますが、この協定の成立並びにまたすでに成立いたしておるビルマ賠償等の結果、これがわが国の経済にどういう影響を及ぼすかという点について政府のお見通しを伺いたいのであります。従来賠償は戦争に対する損害の賠償というような観念であったようでありますが、最近は賠償による国際間の相互扶助、こういうような観念に変ったのであります。この賠償の結果はいずれ日比問の貿易の呼び水ともなりましょうし、あるいは世間賠償ブームというようなことがよく伝えられておりますが、賠償に対する相互扶助的なこの基本的な観念からいたしまして、ビルマ賠償及びフィリピン賠償のわが国将来の経済に及ぼす影響についての見通しを伺っておきたいと思います。
○高碕国務大臣 お答え申し上げます。ビルマの賠償は年額二千万ドル、またフィリピンの賠償は年額二千五百万ドル払っていくということは、日本の財政から申しまして相当大きな負担であります。これは、従前の国際賠償のように戦争に負けてそれだけ払うというのと異なっておりまして、今後支払いますものは、日本の役務あるいは日本で生産できたものをもって払う、それが直接賠償を受けた国の経済の発達に寄与するということが根本の原則になっておるわけでありますから、日本の国といたしましても、これを払うことによって手切れ金を払ったのではなく、今度は手付金というとちょっと語弊があるのでしょうけれども、結納金を払うというような考えでこちらから金を渡すわけであります。それに対してはその国が自然よくなるわけであります。よくなる結果、必ず日本にそのはね返りがくる、こういうように考えておるわけであります。
○石坂委員 結納の取りかわされたあとこれは正式のりっぱな結婚が出て参り、いい家庭ができて繁栄していく、こういう段取りを予想されておるだろうと思いますが、その点は大へんけっこうなことで、ぜひそうならなければならぬと思っております。それを具体的に経済問題からいえば、日比の貿易を盛んにすることによって両国の経済の発展、ひいては民生の向上ということにわれわれは持っていかなければならぬと思いますが、現在の日本とフィリピンとの貿易は、御承知の通りに日本の輸入超過であります。しかも今日の状態から将来を考えてみますと、フィリピンに対する輸出に対してもいろいろ隘路があるようであります。第一は日本から機械その他の物資をもって協力いたしましても、かの国の工業の水準というものがまだ大へん低いようであります。午前中中川局長の御答弁に、日本から持っていった事業に対するフィリピンの資力はICA等の援助が相当ある、こういうふうなお話がありましたが、なるほどICAのフィリピンに対する援助は、大体二億ドルぐらいだと私は承知しておりますが、それがまだ一億数千万ドル使い残しがある。それだけフィリピンの工業の水準は非常に低い、こういう状態にあるのが現状であります。しかも多くの人が論ぜられております通りに、例のベル・アクトの問題、これがどうしても日本とフィリピンとの貿易にも隘路となっておると思います。なおまた向うの輸入承認制度は、御承知の通りに輸入為替の割当はグローバル方式をとっておりますけれども、実際は向うの中央銀行のモネタリー・ボードの手かげんでやっておるというようなことを聞いておりますが、かような険路をいかにして打開して、この賠償問題と並んで行わるべき日本の対フィリピン輸出貿易を盛んにしていかれるお考えであるか、これについての具体的の方策を承わりたいと思います。
○高碕国務大臣 御承知の日比貿易は、戦前、これは昭和十二年ころの統計を見ましても、日本の輸出の方が多くて、米ドルに直して約三千万ドルと記憶いたしております。輸入の方は二千二百万ドルぐらいで、かえって少かったのであります。戦後特に昨年のごときを見ますと、日本の輸出は一月から十二月までで四千五百九十何万ドル、約四千六百万ドルになっております。それに対し日本の輸入の方は八千二百万ドルぐらいになっておる。日本の輸入の方が今非常にふえてきているわけであります。これは何を物話っているかと申しますと、戦後における日本の経済が、中共なりシベリヤなりその他に対する依存度よりも、日本の経済の発展にはフィリピンが非常に大きなフアクターを持ってきておるわけであります。たとえば日本の工業原料の鉄鉱石なり銅鉱あるいはラワン材という工合に、日本の経済がフィリピンに依存するところが非常に多くなってきたわけであります。よけい物を買うということはその国の経済を非常によくするのみならず、日本に対する感情もいいわけでありまして、今回私が参りまして日本に対する感情が最近非常によくなっておるということは、いろいろな理由がございますが、これは一つは例のバンドン会議における結果もありましょうが、根本的に日本がたくさん物を買っておるということであろうと思います。従いまして日本から物を貰うということ、つまり日本の輸出も逐次ふえてくるわけであります。アメリカのベル・アクトも御承知のように本年の一月から一般の輸入に対し二割五分の税金をかけることになっておりますし、かつフィリピン人身が——日本の品物がアメリカを経てきておるものもある。あるいは香港を経てきておるものもある。これは相当あるわけであります。こういうものは日比間の旧交が正常化すれば必ず直接日本から入る。入った結果その品物の値が安くなり、フィリピン人の生活にもゆとりができ、かつインフレーションも防止できるだろうということを期待しておるような実情でございます。そういうわけでございますから、今すぐベル・アクトと同じような工合に、アメリカと同じような情勢に協定を持っていくということは、これはむずかしく、あるいは不可能ではないかと私は存じております。が、そうしなくても、当然地理的に考えまして、原価から考えまして、私は、綿製品はもちろんのこと、機械製品等も十分入っていく余地があると思いますが、同時に日本の賠償の実行ができまして、相当の設備をあちらに持っていって、向うの方の工業が盛んになってくるということになれば、これに付随いたしまして日本の輸出が当然ふえてくる。今アメリカとの関係は、輸入の八割はアメリカから入っております。こういうわけでありますから、これはアメリカとの経済関係が非常に密接であるということを物語っておるわけでありますが、日本との間も、両国の感情が融和されて、そうして投資関係がふえてくるということになれば、私は当然増加していくべきものと考えております。
○石坂委員 フィリピンその他の熱帯地方では、綿製品の需要が非常に多いのであります。戦争前私の県の出身で、当時貴族院に出ておりましたが、古荘健次郎という人がマニラで金貨メリヤスという大きな工場をやっておりまして、向うで綿製品を相当作っておったのであります。現在フィリピンでは大統領令によりまして、日本の特殊綿製品の輸入を禁止しておるということを私は聞いておりますが、今回の賠償協定に際しまして、この特殊綿製品輸入禁止の廃止についての語等はどうなっておりましょうか。
○高碕国務大臣 その一々の問題については、私は大統領とよく話をする機会はなかったのでありますが、しかし全体的に、日本の特殊的な取扱いを受ける——日本の綿製品の中で染色して いるものを大統領令でとめておるというような例は、当然やめてくれるというようなことに話は進めておるわけであります。
○石坂委員 なお、この賠償協定の発効後日比貿易が盛んになって参りますと、当然アメリカの貿易にはさっそく影響すると思うのでありますが、その点から考えてみますと、日比貿易の拡大はアメリカとしては喜ばないのではないか、当然そういうことに想像されるのです。それで米国に対しましては、もちろん抜かりはないと思いますが、十分の手を打ってあるだろうと思いますがいかがでありますか。
○高碕国務大臣 日本に同情のあるアメリカの人たちは、ベル・アクトがああいう状態になっていれば、当然日本の初貿易はフィリピンに対しては減ってくる。これに対して、日本は入っていけと非常に強く言い、またわれわれをエンカリッジしてくれておるわけであります。しかしアメリカの本国といたしますと、事実米比貿易をやっておる連中からは必ず相当の反感を買うだろう、こう存じておるわけであります。それに対しては逐次方針を立てて交渉を進めていきたい。日本の輸出を増進するということは、日本の経済を独立する上において非常に必要であるということはよくわかっておるはずでありますから、そういう点に対しても十分折衝いたしたいと思っております。
○石坂委員 今日までの日本とフィリピンとの貿易は、昭和二十五年に総司令部とフィリピンとの間に結ばれた貿易協定だと思いますが、今日まで日本人の入国、居住、関税などの通商上の取扱いが非常に不利であった。この根本条件は当然改善されなければならないのでありますが、本協定と同時に調印さるべきサンフランシスコ平和条約の発効によりまして、わが国人の入国、在留邦人の国際法上の地位、またフィリピンにおいての日本国民の商業上の活動あるいは自由職業に従事するというような、この権利義務に対する条約はさっそく取り結ばなけばならぬと思います。すなわち通商航海条約等が取り結ばれなければならないと思いますが、この点は先般外務大臣の提案理由説明のうちにも、早期にかようなものを締結するというお話があったのであります。そこでこの賠償協定の託し合いのときに、通商航海条約についてのある程度の話し合いがすでにありましたかどうか、あるいは早期締結というお話でありますが、さっそくこの点を開始される意図であるかどうか。
○中川(融)政府委員 ただいま御指摘の点でありますが、賠償協定ができ、日比間に通商国交が再開いたしますれば、さっそく貿易の拡大均衡化の方途をお互いに協議しようということになっておるのでありまして、御承知の通り今回の賠償協定調印と同時に、両国の全権が共同宣言を発しまして、その中でその目的のために友好通商航海条約締結及び現行貿易協定の改訂の話をすぐにやろうということを宣言しておるのであります。その宣言の趣旨に基きまして、すぐにでもこの話し合いを開始したいということで、先方の専門員及び調査員というものが向うで待機しておるのでありまして、この協定が国会の御承認を得ますれば、さっそく向うから人が参りまして、東京においてその趣旨の話を開始するという段取りになっておる次第であります。
○石坂委員 その点はできるだけすみやかに交渉妥結を要望いたしたいのであります。 ところで第三条の附属書によりますと、いろいろの計画が九十四項目あげてあるようであります。そこでこれはもちろん一時にやることはできないわけでありますが、いろいろかの国の状況を考えてみますと、たとえば第二の電源開発諸計画のごとき、あるいは第三の鉱業資源開発諸計画のごとき、あるいは第五の運輸通信開発諸計画のごときものは、やはり向うでも急いでおる計画ではないかと思いますが、この附属書のうち、さしずめどういうところから動き出されるようなことになりましょうか、お伺いいたしたい。
○高碕国務大臣 この問題は先方から賠償使節団が参りましたら、両国の間でよく話し合いをしようということになっておりますから、私は非公式に先方の意見を尋ねてみたのでありますが、そのときに先方といたしましても、今日日本からもらう役務及び資本財を活用するのには相当大きな資本が要る、従ってできるだけその方面の資本の少いようなものから着手しよう、まずトランスポーテーション、運輸機関というようなものをなるべく早くやりたい、こういうふうなことを非公式に言っておったわけでありますが、これは非公式な話でございますか、その問題はこちらに賠償使節団が来てから十分協議したい、こう存じます。
○石坂委員 農業開発の計画がいろいろあげてあるようであります。が、フィリピンの農業については、まだ日本の水田農業等の技術をもっていたしますならば、非常に大きな改善の余地がある。向うの二毛作ないし二毛作半で反当六斗しか上げられない。永野さんの講演などを聞きますと、ある人のごときは蓬莱米で七倍くらいふやすことはやさしいと言っている。附属書にも農業水産開発諸計画というものが第一項にあげてあったと思いますが、フィリピンの農業開発計画は、元台湾の大学などで熱帯農業を研究した人は日本に相当あろうと思いますから、こういう人は絶好の適任者であろうと思います。なおダバオのマニラ麻の栽培が現在は非常に荒廃いたしておるということを聞いております。これは結局日本人でベンデット工事に行った人があそこに居ついてあのマニラ麻の栽培をやった。フィリピンの土着の人もずいぶんあそこで仕事をさせられておったというふうな状況であります。こういう一般の水田農業の改善なりあるいはダバオの麻栽培の復興事業等は、これまた非常に適切なことであろうと思いますし、さらにまた砂糖のプランテーション、こういうものにすみやかに着手してもらえば、普通の技術者のみならず、農業移民等も相当向うに送れるのじゃないかと思われるのでありまして、これらはできるだけすみやかに着手していただきたいという希望を私は持っておるのでありますが、政府としてどういうふうにお考えになっておりますか。
○高碕国務大臣 この問題は主としてフィリピン側の希望によって決すべきものだ、こう存じておりますが、私ごく短期間でございますが滞在中農林大臣等に会ってみますと、どうも米の栽培等は台湾と比較して非常に劣っている、これは日本の技術者に来てもらってよく指導してもらいたい。特にダバオにおける麻の栽培のごときは太田興業がやっておられた時代と全然比較にならぬ。生産額は三分の一になってしまった、こういうことを先方もよく知っておられまして、できるだけ早い機会にこういうものは日本から来てもらいたい。従いましてこういう方面の移民、もちろんこれは労働の移民というよりも、日本では労働者自体をりっぱなテクニシアンとして入れたい、こういう希望であります。
○石坂委員 農業の移民のみならず、これも含めたいろいろのテクニシアンが向うに行くと思いますが、この協定成立についていろいろ新聞等で散見いたしますことは、その日本の技術家なり専門家に対して、入国についての制限的希望をいろいろ述べておる人があるようであります。たとえば戦争中向うで非常に悪い印象を与えた人を向うが好まないのは当然のことであります。私も新聞記事で幾つか散見いたしまして、なるほどもっともな感情だと思っておるわけであります。そこでこの多くの技術家等が向うに参るにつきましても、それらの点は十分に配慮すべき問題だと思いますが、その辺の人選をどういうふうにやられるお考えでありましょうか。
○高碕国務大臣 これは戦前において日本人は約五千人おったそうでございますが、現在フィリピンにいる外国人は、中国人が政府の統計では十五万、実際は三十万と称しておりますが、こういう種類の労働者がどんどん入ってくるということは、労働条件を悪くするからこれを阻止したいというのが今日のフィリピンの方針であります。ところが実際問題といたしまして、私ども非常に喜ばしい現状だと思っておりましたことは、沈船引き揚げに行っております約五百人ばかりの人、これは労働者だという感じを持っておりましたが、実際仕事をやっている状況を見ますと、こういうふうな仕事はとてもフィリピン人ではできない、ということは、あれはわずか二カ年の契約で行って、七万トンのスクラップを揚げるというのを、一年の間に五万トン揚げてしまって、あと二万トンを一年で揚げるというわけでありますけれども、二万トン以上どんどん揚げてくるというふうな事情で、その働いている状態を見ると、これはとてもフィリピン人ではできないということがよくわかり、日本に対する感情も非常にいいわけなのであります。今後の移民の問題等につきましてもそういう点をよく考慮いたしまして、ほんとうに働く人、いわゆる一旗組でない人々がどしどし行ってもらうということになれば、先方はよく受け入れてくれるだろう、こう存じておりますから、その選定は十分誤まらないようにしていきたいと思っております。
○石坂委員 フィリピンのみならず、東南アジアに対する経済開発、これは現政府の大きな方針の一つだと、思います。従しまして、これら東南アジア全地域に対しましての総合的な投費機関ないしは開発機関というものがいろいろ伝えられておるようであります。先般ジョンストン氏が参りました直後に、あるいは高碕構想あるいは一萬田構想というものが伝えられ、最近はまた石橋構想というものが伝えられております。なお最近わが党でも外交調査会で海外投資機関の設置の要綱はできておりますが、これらのものを統合整理しましての一つの線を押し出すことはごく必要だと思いますが、長官、経済企画庁等におきまして、この総合的な開発機関についての具体的の構想ができておればお漏らし願いたい。
○高碕国務大臣 この問題は相手のあることであって、よほどめんどうな問題でありますので、アメリカのジョンストンが来て、こうやれというふうなことを言えば、これはアメリカのひもつきを好まない相手方はいい感じを持たない。私は最近驚いたことがあります。フィリピン側のごときはアメリカのひもつきを非常にきらっておる。こういうことはなかったと思っておったのですが、そういうような現象があるようであります。またビルマ等はどういう感情を持っておるか、またインドネシア等はどういう感情を持っておるか、こういうことをわれわれが考えて、それでこちらの方針をきめなければならぬと思っております。いろいろな案は経済企画庁におきましても練っておるわけでありますが、これは相手方の方針をよく聞いて、相手方のイニシアチブによって日本の方針をきめていかなければならぬ、こういう意味でありますから、できればこれを一本の機関にして、一つの方針でやっていきたいということをわれわれは希望しておるわけでございます。場合によると、相手国のいかんによっては、それぞれ別々の方針を持っていかなければならぬ、こういうようなことも考慮しなければならぬと存じておりまして、今日は各方面の意見を検討いたしまして、今いろいろな案ができておりますけれども、まだこれをまとまった案として発表する時期でないですから、さよう御了承願いたいと思います。
○石坂委員 最後に、賠償と国民の覚悟といいますか、これはぜひ必要なことと思いますが、先日、十七日の本会議で社会党の森島守人君の質問に対しまして、大蔵大臣は今日まで確定した対外債務の総額については一応御説明になっております。私はその点は承知していますが、なお先ほど対外債務の資料として岡田君が要求されておりますので、いずれこれは御発表になると思うのですが、相当の金額になる。いずれはインドネシアの賠償も、当然のことではありますが、やらなければならぬ。この間の大蔵大臣の説明で、年間支払額は合評八千五百万ドル、こういう説明になっておるようであります。相当多額の金額になっておる。ところで、今日の日本の現状は申し上げるまでもないことであります。この狭い国に八千九百万の人間を擁しておる、これが立っていくためには、どうしてもこれは貿易に待たなければならぬ、あるいは海外移民ということに得たなければならぬ。いずれにいたしましても、かようなことによりまして、日本の経済自立をはかる、その前提としてはどうしてもこれは賠償を済まさなければならぬ。賠償というものは、高碕長官のお話の通りでありまして、ただ手切れ金というのでなしに、ほんとうに賠償国と被賠償国との間に相互扶助というようなことで、長官の共同声明にも「友好、互敬及び共通の理解」という言葉がありますが、大へんにけっこうなことであります。ぜひそうなっていきたいと思っておりますが、外に向いましてはこういう精神で参りまして、同時に今度は国内に向いましても、これはなまやさしいことでないのでありますから、相当覚悟を要さなければならぬ。ところがうっかりいたしますと、反対せんとする人は、十年、二十年の将来に、われわれの子孫に少からざる負担をかけるような約束をするのじゃないか、こういうことで、攻撃を今までも聞いたことでありますが、今後必ずそういう攻撃は出てくると思います。従いまして、ややもするとそういう言葉によって国民が迷わされることになる。一体私は終戦のときに臥薪嘗胆ということをぜひ言いたかった。ところが臥薪嘗胆ということを青いますと、直ちにかたき討ちみたいなことになるようですから、あのときは大へんに遠慮して言わなかったようでありますけれども、実際日本が負けて、その敗戦の中から日本を盛んにしますというのには、どうしても国民に臥薪嘗胆の気持があってしかるべきである。今まで少し甘やかし過ぎてきた。これは決して鳩山内閣の責任だとは思いませんが、戦争後十年間私は少し安易になれてきているのだと思います。この際鳩山内閣によって多くの賠償を、これは当然急がなければならぬことでありますけれども、取りきめなければならぬようになった。これは日本興隆のための土台固めとして当然のことであります。従いまして、賠償の意味——この際賠償することが、すなわち日本の経済自立、日本再建の基礎的条件であるというようなことについて国民の理解を深からしめ、同時に、品民がこの際覚悟を新たにするというようなことに私は指導していくべきだと思いますが、これについて政府の深厚なる御考慮と御方針のほどを承わって、私の質問を終りたいと思います。
○高碕国務大臣 お説のごとく、今回締結されましたフィリピンの賠償におきましても、五億五千万ドルということは、一口に言えば簡単でありますが、日本金に直せば千九百八十億円ということであります。それを二十年間に払うということは、一億の人口といたしまして、一年に一人当り百円ずつの負担をする、こういうことに相なっております。そのほかビルマ、そのほか今後締結されんとするインドネシア、あるいはガリオア資金だとかの負債を総計いたしますと、大蔵大臣がお答えしましたごとく、今日においても年額八千五百万ドル、そのほかのものを入れますと、かれこれ一億ドルというものを年額払っていかなければならぬ、これは大へん大きな負担だと思いますので、その負担を負っていくところに、われわれは過去においてあやまちがあったということをよく自覚せなければならぬ。もしまたそういうあやまちをすれば、またこの負担をしなければならぬのだということをよく国民全体に自覚していただいて、お互いの汗と血をもってこれを補っていくという覚悟をまず第一に国民はしていただかなければなりません。その結果において、過去の長い長い歴史を見ましても、賠償を受けた国はつぶれていることがありましょうけれども、着実に、そうして真実に、誠実にこの賠償を長期にわたってなした国は、必ず滅びていないという実情もあるわけでありますから、そのことを一つよく国民諸君に御自覚願って、そうしてこうすることによって国が生きるということに相なるように政府は進めていきたい、こう存じております。
○石坂委員 ぜひそうしていただきたいと思います。今日の国民の状態は、遺憾ながら政府がさように考えておられることとあまりに開きがある。安易になれ過ぎたような面が多分に見受けられるのであります。国民指導という点もこれは決して容易ではないと思いますけれども、一段の御努力をお願い申し上げます。
○前尾委員長 高岡大輔君。
○高岡委員 第五条の第四項でありますが、賠償契約をしないでやることができると書いてありますが、これはどういう意味なのですか。その前の方には「賠償としての役務及び生産物の供与は、」と書いて、それが賠償契約をしないでやるというのですから、これはどういうことになるのですか。
○中川(融)政府委員 この第五条におきまして賠償契約と称しておりますものは、この第二項に定義がございますが、いわゆる直接方式によりまして、フィリピンの政府機関が日本の業者と直接取引をいたします契約を結んで、そして日本政府の認証を得たもの、これを賠償契約と言っておるのであります。単に賠償を実施するための契約という普通名詞として使っておるのではなくて、そういう特殊の契約を賠償契約と称しております。以下この協定で賠償契約と言いますのは、みなこの特殊の形の、賠償のための契約を賠償契約と言っております。従ってここの第四項で「貯債契約なしで行うことができる。」という意味は、この直接の取引によるこの形式によらずに、いわばそれ以外のもの、すなわち日本政府が中に入りまして、日本政府の責任で日本の業者との問に契約を結んで役務を先方に提供する、そしてその経費は日本政府が直接払う、こういう形のものもあり得るということをこの第四項で規定しておるのであります。具体的に申しますと、現在すでに行われておる沈船引き揚げでありますが、この沈船引き揚げは、この協定の規定に当てはめてみますと、第二項に言う賠償契約の形によらずして、日本政府が直接日本の業者と契約を結んで実施しております。従って今やっております沈船引き揚げのようなものが行われれば、これはこの第四項に基く賠償契約たしで行なった賠償の供与ということになるわけであります。それ以外にも、たとえば日本から先方の要求に応じまして、賠償として調査団をフィリピンに派遣いたしまして、いろいろ資源の調査を行うというようなことをもしやったと仮定いたしますと、その調査団は総合的に政府が編成いたしまして、これを政府の責任によって派遣するということになりますから、おそらくこの第四項により、賠償契約によらざる役務の提供ということになるわけであります。
○高岡委員 その点はわかりましたが、先ほど石坂委員がいろいろと御質問なすっていらしたようでありますが、私は本会議の関係で出席しませんので、あるいはダブるかもしれませんが、第九条の第二項でありますが、「実施計画に含まれていない資材、需品及び設備は、フィリピン共和国政府が提供する」これは午前中も私、中川局長にお伺いしたのでありますが、そのときの局長のお話では、先様が出すとおっしゃるので、それ以上どうも聞いてみるわけにもいかなかったという意味の御答弁があったのであります。私はどうもフィリピンを少し卑下するような言葉になるかもしれませんが、果してそれだけの用意があるかどうかということは、一応考えてみられるのじゃないか、こう思うのであります。それで石坂委員がおっしゃいましたように、これはまた新聞等にもありますように、日比米の経済開発金融機関といいましょうか、さっきいろいろな名前を石坂委員はおっしゃっておられましたけれども、こういうものを日本政府としてお考えになっていらっしゃるのかどうか。私は金の面もそうでありますけれど、この附属書を見ますと、非常に広範なものであります。これを一つ一つ全部完成していくということは容易ならざることなのでありまして、かりにある一つの工場の機械を持っていくにしましても、それの据付は一体だれがするか。この据付いかんによっては、機械が百パーセントには動きません。高碕長官はその点は非常な権威者でいらっしゃいますから、十分おわかりだろうと思うのでありますが、据付のいかんによって非常に違って参ります。ことに発電所の機械等になりますと、これを縦にするか横にするかによって、能率が非常に違って参ります。そういったようなことは、こういうことにあまり経験のないフィリピン人に全部まかせるのか、それとも日本がそうした総合企画をします場合に、日本が好意的ないわゆる助言といいましょうか、参与するといいましょうか、向うにそれぞれできております経済企画委員会に、日本が加わって意見を述べるようなことになっていますのかどうか。別に相手の国民感情を害してまでも云々という意味ではございませんけれども、日本の役務並びに資材が完全に向うに、英語で言うと、アプリシェートされるためには、どうしても日本がこれに加わらなくちゃいけないのじゃないかという気がするのでありますけれども、そういう話し合いが会議を通じてございましたかどうか、全権から承わりたいと思います。
○高碕国務大臣 最初折衝をいたしました当時は、相当感情が対立しておりました。日本側でこっちの要求する資本財だけ出せばいいじゃないか、こういうふうな言葉のやりとりがあったのでございます。今回参りましていろいろ話を聞いてみ、また実際こっちから持っていくものを有効に活用してもらわなければ、賠償の目的が達しないのだから、それにはあなたの方は資金があるだろうか、あるいはその受け入れの技術があるだろうかということをよく立ち入って相談してみますと、できるだけそういうものは援助してもらいたい、こういうことでありますので、特にこの日本の設備で日本で作ったものは、日本の技術者が行って、据付し、試運転をし、場合によれば当分の間はこれに従事させなければならぬ、こういうことは先方でもよくわかっていっておるわけでありますから、もちろんその場合には、日本の技術者は役務賠償として賠償の中に入る、こういうふうなことで、進んでいきたい、こう存じます。
○高岡委員 それならば一応据付が終りましたあとで、今度はアフター・サービスまで入るのかどうか。もう据え付けてしまえばオーライといいましょうか、それで終りという話し合いでありますか。これは実はあまりしつこいことをお伺いするようでありますけれども、日本が東南アジアにおいて欧米と比較にならないことは、アフター・サービスが足りない点が一番大きな欠点であります。もちろん日本の技術者の言葉が達者でないということ、不十分だということと、このアフター・サービスができないということが、少くとも東南アジアに対する日本の経済外交の進出をはばむ大きなネックであります。従いましてこのアフター・サービスというものを何か今後の話し合いといいましょうか、これを進めていきます上において、このアフター・サービスを十分取り入れていかなければならない、かように考えるのであります。こういうことについての話し合いが会議中ございましたかどうか、この点もお伺いしておきます。
○高碕国務大臣 この会議中に、それを公然の話ではありませんが、全部非公式の話といたしまして、今後の運転につきましては、どうしてもやはり日本人が来てやってもらわなければならぬ。これは据付なり試運転なりには役務賠償としていきましょうが、それが済んでも、相当の期間は役務賠償として日本人におってもらいたいというような希望はもちろんありますから、これは順次期間を延長していきたい、こう存じております。また経済提携の問題におきましても、先方では日本人が経済の経営に参加するということについては、現在においては許されていないわけでありますが、実際問題といたしますと、日本が機械を持っていき、これに対する技術を提供する、そうしてやった場合に、当然日本人が最後まで経営に当らなければならぬということは、相当覚悟しているようでありますから、その問題は、実情に即して今後は問題を解決していきたい、こう存じております。
○高岡委員 ただいまのアフター・サービスというものは、これは賠償のうちに加えるわけには参らぬかとも思うのでありますけれども、これは私はいろいろこの附属書の施設をやっていきますについて、こういうことは順次話し合いでやっていかなければいけない、そうすることが、結局向うにせっかく日本が賠償として払った施設が百パーセントに動きますと同時に、日本人がアフター・サービスするということは、結局日本の機械が次々と部分品が入ることになるのでありまして、それがその後における日比の貿易になってくると私は思う。こういう意味から、親切と、もう一つは、日本のふところ勘定という両面からして、これはぜひアフター・サービスというものは、今後長く続けなければいけないのではないかという気がしますので、この点を一つ十分御配慮を願いたいと思うのであります。 それから先ほど申し上げました経済開発の資金等につきましては、これはもちろん先ほど長官がおっしゃいましたように、東南アジアとは言いながら、それぞれの国々によってみんな国民感情が違っております。中にはアメリカを歓迎する国もありますし、中には中共を歓迎する国さえあります。従って、たとえて言いますと、先日日本に来られまして、非常に日本びいきだといって、日本が上を下への騒ぎをしたカンボジアでありましても、中共からも今度は借款をするというのが、最近の新聞にあるようでありまして、そう甘く見るわけにも参りませんし、いろいろの感情等がございますので、それは長官のおっしゃる通りでありますけれども、私はフィリピンに対しましては、これはフィリピンとアメリカとの感情には、多少このごろはそこを来たしているような面があるやに見受けられます。非常に悪口を言っている者は、親米の最後はフィリピンだと思ったら、どうやら日本が親米の最後だということを言っているところもあるようでありますが、いずれにしましても、私はもう少し日本がこの賠償を完結します上においては、日本としてはアメリカといろいろと今日までのいきさつもあるのでありますから、そういう面について、日本はアメリカに対して、フィリピンがアメリカに対する感情の上に何かありましても、日本がむしろそれをかばうとでもいいましょうか、仲へ入るというか、仲裁するというか、そうした仲を取り持つような気持、日本がこのことに関する限りはそういう気持で、どうしても私は日本とフィリピンだけの経済力ではだめなのでありますので、さらに一段とその点の御配慮を一つ願わなければならない、かように考えるのであります。 それから次にお伺いしたいことは、逆戻りしますけれども、この使節団が非常な権限を持っている、特権を持っているようであります。午前中の話では、ビルマの使節団とちっとも違わないのだというような御答弁もあり、石坂委員はいろいろと法文的解釈から質問され、それから大橋委員はかつての満鉄買収のときの苦心談を盛んにやっておられましたが、この点には中川アジア局長の御答弁では、非常に向うでも真剣にこの点を取り上げているから、万そうしたスキャンダルが出るようなことはなかろうという御答弁でございましたけれども、他国の方の話を私があえて言うわけではございませんけれども、これは十分気をつけなければならない点があるのではないかということを懸念するのであります。そういう意味から言いまして、そういう使節団の間に何かスキャンダルが起きると言いましても、相手は日本人であります。従って日本の業者というものも、よほど日本政府としては、監督しなければいけない。いかに使節団が清廉潔白と言いましょうか、まじめにやりましても、日本の商人が、言葉が悪いかもしれませんけれども、誘惑した場合には、やはりフィリピン人といえどもこれはなま身でございますから、時には誘惑に負ける場合があります。すなわち、日本の各業者が非常ないろいろなお互い同士の逆宣伝をし合います。一つの例を言いますと、これはかつての例でありますけれども、インドのハイダラバードに電線売り込みの際に、日本のれっきとした一流の電線会社が、お互いに古い電線を持ち込みまして、あの会社はすぐこういういうふうにこわれるのだというような悪口の言い合いをやっていたことがあります。たまたま私がそこの総理に会いましたときに総理が、夕飯をそのときにごちそうになったのでありますが、両社の会社の電線を私に見せまして、両方ともこういう電線だが、一体どっちがいいのだ、という奇妙な質問をされて、困ったことさえあるのであります。私はそういうことが非常に出るのじゃないかという気がしますので、日本の業者といいましょうか、実業家を監督するという点を、どこまで日本政府として考えていらっしゃいますか、これは十分取締りというか、監督をしていただかなければならぬ。 それから続いて申し上げますが、ここに肥料会社等がございますけれども、合成肥料になってきますと、土質によって非常に違って参ります。ただこれが金もうけ主義の肥料会社でありますと、これはとんだ結果が生まれまして、日本の肥料というものはだめだというようなことが起きないとも限りません。そういたしますと、同じ肥料会社を作りますにも、その土質によって、合成でありますればなおさらのこと、また合成でない単肥にしましても、その田畑にくれます場合の反当の肥料分についてだいぶ違って参ります。そうしたところまで指導しませんと、せっかく日本の好意というものがあだになるといいましょうか、将来非常に悪い影響になってきやしないだろうかと思うのでありまして、まず日本の業者に対して、この賠償に関する限りどうやって政府は対処されますかというのが一点。 それからもう一つは、フィリピンに出します工場の選択は一体だれがするのか。もしもフィリピン使節団でありますれば、これはあまり知識がないのでありますから、とかく日本の業者の運動に支配される危険があるのじゃないか。その場合には、いかにまじめでありましても、いかに正確を期しよ うといたしましても、そこにスキャンダルが起きるすきが出てきやしないか。そういうことがかりに引き続いて出て参りますと、せっかく大きな面では、大所高所ではまじめに真剣にやっておりましても、わずかなそういう一、二の例から全体がくずれてくるような場合もあり得るというようなことから、そういう場合の向うへ行って施設をしますそういう人の選定を一体だれがするのか、あるいは放任するのか、それとも向うの使節団だけにまかせるのか、多少具体的で恐縮でありますが、それらの点についてお伺いしたいと思います。
○高碕国務大臣 まず第一のフィリピンの賠償を有効適切にやるために、資本を米国との間にやるということにつきまして、私は全く同感でございます。日本が中に入り、ひとり米国といわず、コロンボ援助同等との間にも連絡をとって、できるだけ日本の賠償物資を有効に使えるように資本を注ぎ込むということに骨を折ることは必要だと思います。 第二に、使節団のことにつきましては、先方の心ある人は非常にこの点を心配しておりました。人格識見のある人をやりたいと思うが、仕事のわかる人は何だか人格上心配の点もあるし、人格の高い人は仕事がわからないというふうな点があるから、よほど自分たちも心配しておる、これについては日本側もできるだけ誠心誠意努力してくれ、こういう話がありまして、私どももこれは先方が心配することと同様に、今お話のごとく、日本側においてもいろいろ心配する問題がありまして、現にフィリピンに対しましても、あの沈船引き揚げの問題のときにおきましても、できるだけ安い値段をもって競争して、他に迷惑をかけたこともあったと思いますから、かりに先方から使節団が来て機械を見るにいたしましても、正当な値段でやる人よりも、不当に安いものを出す人がある。おそらくはそういうこともあるだろうというふうな懸念にたえないわけでありますから、できるだけ日本側は、この契約によりまして、使節団と交渉する人を推薦するということになっておりますが、これは推薦しても受けない場合もあるでしょうけれども、それはできるだけその推薦に応ずるというような話もしておるわけであります。そういう点から考えますと、結局は賠償を払ったのであるから、フィリピンはフィリピンのものだというふうな考えだけでやっていってはいけないので、日本の国の政府の仕事の一部分をやるというくらいの親切な心を持って、時、場所また場合によりまして検討していきたい、こう思っております。
○北澤委員 ただいまの御質問に関連して、二点だけちょっとお伺いしたいのですが、第一点は、先ほど高岡委員からも御指摘があったのでありますが、せっかく賠償を払って日本から機械類をやりましても、結局その運転資金がないと非常に困るわけでありまして、かつていわゆる中間賠償で日本からフィリピンへ機械を持っていったものは、ほとんどさびついてまっかになったままほうってある。こういう状況ではせっかく賠償を持っていっても、その目的に合わぬわけであります。結局問題は、日本から賠償をやりましても、それを生かして使う運転資金というか、そういう資金が十分にないと、日本が賠償を払ったほんとうの目的を達しないわけでありまして、この賠償としてもらったものを生かすための資金計画は、一体どういうことになっておりますか、その点を伺いたい。 もう一点は、先ほども御指摘があったのでありますが、日本の業者の問題であります。日本の業者は、世界中至るところのマーケットにおいていわゆる出血競争をしておる。実際の値段より以上に安く売って、競争しておる。そこで今度のフィリピンの場合につきましても、こういうふうなことがあっては、日本の負担はますますふえる一方なのであります。今度の賠償協定によりますと、いわゆる面接賠償方式と申しますか、フィリピンの政府が直接に日本の業者と契約参ることになっておりますが、ここで日本の業者がお互いに出血競争して、値段を下げる競争をして、実際の値段よりもっと安く品物を納めるということになると、実質的には五億五千万ドルはもっとふえるということになるわけでありますから、そういう日本の業者が出血競争して、フィリピン政府との間に賠償契約を結ぶということのないように、もちろん政府においてもいろいろお考えでありましょうが、それについてどういうような具体的な方法を考えておるか、その二点だけを伺いたいと思います。
○高碕国務大臣 日本の賠償を資本財で持っていった場合に、これを完全に動かすには、非常に大きな資金が要るということは、逐次先方もよくわかってきておりますから、それについては先ほどお答えいたしました通り、どうしてもフィリピンだけの資本ではいけない。外国の資金を得るということについては、日本もこれに協力するというだけの親切味を持っていきたいと思っておるわけであります。先般の話し合いにおきましても、できるだけ資金の要らないものを先にやってくれ、こういうわけでありますが、これもなかなかそうはいかないのでありまして、そのときに応じて先方ともよく相談し合ってやっていきたいと考えております。 第二の問題につきましては、これは先方としては、日本側がまた談合し合って、高いものを売りつけるだろう、それで外国のものよりも品質が悪くて、結局値の高いものを押しつけられやしないか、こういうことになっては困るということも心配しておるのでありますが、私はそれは逆だ、日本は競争し過ぎて値を安くして——値を安くしたものを永久にやれるかというと、そうではなくて、結局品物が悪くなって、悪いものをやれば結局フィリピンに悪い結果をもたらすから、適正な値段でもってやらなければならぬ、これはいかなる価格が適正であるかということはよく協議し合おうじゃないかということを言っておるのであります。これはまだ一々具体的にこうやる、ああやるということは考えておりませんが、フィリピンの使節団が来てみた結果によって、また政府自身におきましてもこの使節団と話し合った結果、ある程度の賠償のものについては、フィリピンの意向をよく聞いて、よく相談した上で、ある程度の統制を加える必要があると存じております。
○前尾委員長 ほかに質疑ありませんか。——なければ、本日はこれにて散会します。 次会は公報をもってお知らせいたします。 午後三時三十七分散会