外務委員会 第44号
- 発言数
- 198 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1956/05/16
会議録
○前尾委員長 これより会議を開きます。 防衛目的のためにする特許権及び技術上の知識の交流を容易にするための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定及び議定書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。 質疑を許します。松本七郎君。
○松本(七)委員 技術協定につきましては、すでに石坂委員から相当具体的な質問がございましたので、多少重複する点もございますが、お許しを願って、質問を進めたいと思います。 まず最初に、これはだいぶ以前から、問題になっておったのですが、技術協定には原子兵器関係は一切含まない、こういうことが言われておったわけです。その通り今回の協定にも含まれてはおらないわけですが、内閣委員会における外務大臣の御答弁でしたか、原子兵器の持ち込みの問題がたしか受田委員から出されたと思うのです。そのときに外務大臣は原子兵器については将来そのときに考えるのだという御答弁をたしかされたと思う。そこでこの機会に私は防衛庁長官の原子兵器に対する考え方を伺っておきたいのですが、将来とも一切原子兵器に関する技術の協定などは日本は絶対に結ばないというお考えなのでしょうか。それとも外務大臣が原子兵器持ち込みについてはやはり将来そのときに考える、万一戦争の危機になった場合にはそのときに考えるのだということを言われたと同じように、原子兵器関係の技術協定についても絶対に考慮しないというのではなしに、やはり将来考慮する含みを残しておられる考え方をされておるのか、この点をまず伺っておきたい。
○船田国務大臣 自衛隊を増強する上におきまして原子兵器を持ち込むというようなことは考えておりません。ただ外務大臣がさきに答弁されたのは、日本の国土防衛について米軍側が持ち込むという問題についてお答え申し上げたのだと存じますが、防衛庁といたしましては原子兵器を持つということを考えてはおりません。
○松本(七)委員 そうなると私どもの考えでは、単に原子兵器であるがゆえに必要がないというのではなく、私どもは世界の情勢から今日本が軍備というものを増強する必要ががないのだという観点をとっておるわけなのです。もしも軍備を増強して国防体制を固める必要があるという根本的な立場に立つとするならば、日進月歩の兵器の発達の今日、なるべく優秀な兵器でもって防衛体制を作らなければならぬという結論が出ると思う。そういう立場をとる限りは、原子兵器時代において絶対に原子兵器は使わないのだ、こういう立場をとるとそこに矛盾が出てきはしないかと思うのです。(「誘導尋問はよせよ」と呼ぶ者あり)誘導尋問じゃない、当りまえのことじゃないか。あなたは、原子兵器を堂々ともち込めと言ったじゃないか。そういう体制を作ることが国際情勢から必要がないという立場に立てば、原子兵器ばかりではない、普通の兵器だって持つ必要はないと思う。ましてや原子兵器は世界じゅうで禁止してもらいたいという結論が出てくる。けれどももしも自衛のためには軍備が必要であるという立場に立つ限りは、日進月歩の武器の発達のときにおくれた武器ばかりで、アメリカの中古の武器ばかりで防衛体制を作るなんということはナンセンスなのだ、そこに、矛盾がありはしないかと思うのですが、いかがでございましょう。
○船田国務大臣 わが国の防衛体制を整備するために原水爆を持つというようなことは考えておりません。
○松本(七)委員 現在考えておらないのは、憲法その他の関係からできないのでやむを得ず考えないのだ、もし憲法で公然と再軍備を許されるようになった場合に、おそらくできるだけ――極端に言えば攻撃は最良の防御なりとまで言われるほどなのです。過去においてはそれが現に行われたのですから、防衛を担当する責任者としては、ぜひ最高の水準の防衛上の武器を整備して体制を整えなければ武器は果せないという論が、憲法が改正された暁は必ず出てくると私は思う。そういう場合にも、たとい憲法を改正して軍隊を持てるようにした場合でも、原子兵器というものは世界の平和を維持するどころか、かえって戦中の危険があるから、世界で、どういうふうに原子兵器が発達しても、日本だけは絶対に持たないという考えで今大臣は答弁されておるのかどうか、その点をもう一度御答弁願いたい。
○船田国務大臣 私は世界の各国が戦争手段として原水爆を持つというようなことのないように念願いたします。わが自衛隊の増強のために原水爆を持つというようなことは考えておりません。
○松本(七)委員 ただいまの防衛長官の御答弁非常に重要な御答弁であるわけですが、それならば私どもの現在考えておることとおそらく意見が一致するだろうと思いますが、そういう考えに立つならば、やはり世界じゅうが原子兵器というものの使用を禁止し、製造を中止し、これをなくすことが、日本の立場からは望ましいという結論が出てくると思うのです。いかがですか。
○船田国務大臣 私は世界の各国が原水爆を使用するというような事態の起らないように希望いたしております。
○松本(七)委員 そういう原子兵器を一切使用も禁止するというような状態を早く実現するために、私は日本もいろいろな努力をする余地があると思う。その一つは特に日本の立場からいって、沿海州からわずか一千キロくらいですから、今の大陸間誘導弾兵器というようなものが非常な勢いで発達する、現にアメリカではこの大陸間誘導弾兵器あたりは、特に長距離においてはソビエトの方がずっとすぐれておる、アメリカはおくれておるじゃないかということがしきりに論議されておるような状態なのですね。そういうときに私どもは今原子兵器を日本には持ちたくない、世界じゅうからこういうものはなくしたいという希望ではなしに、これを実現するための具体的な一つの手段として、私はアメリカと日本が、日本には原子兵器を持ち込まないという協定をすみやかに結ぶべきだと思うし、また今の防衛庁長官の考え方の根拠に立つならば、当然そういうことがなされなければならないと考えるのですが、この日米間の協定を結ぶことについては、自衛上の立場からいかにお考えになりますか。
○船田国務大臣 アメリカが日本の防衛のために原子兵器を持ち込むということにつきましては、日本政府のあらかじめの同意がなければやらぬことに両者の間において話し合いができておりますから、それに従っていきたいと思います。世界のすべての国が原水爆を持たないようになる、そういうものは絶対に使わないようになるということにつきましては、私は強い希望を持ち、またわが方といたしましてはそれに努力すべきであると考えております。
○松本(七)委員 その努力の具体的な現われとして、日米間の協定で日本には原子爆弾を貯蔵ももちろんしないし原子兵器を持ち込まない、なぜ持ち込みということを言うかといえば、今は貯蔵して長い間置いておかなくても、よその基地からちょっと日本に持ってきて、それからまた日本を基地にしてこれを使用するということがわけなくできるのですね。それでなぜこういう協定をやっておく方が日本の安全のためになるかと申しますと、御承知のように台湾ではまだいろいろ紛争が続いておるわけです。日本にアメリカ軍がおる限りは、万一台湾水域その他でごたごたが起った場合に、アメリカとしてはおそらく原子兵器を日本に持ち込んで、そして使用するという事態がないとは保障できないのです。そういうときにあわてて、日本だけは原子兵器の洗礼をうけることはごめんだ、あるいは日本に持ち込んでもらっては困るというようなことを言ってみても始まらない。ですからこれはあらかじめはっきりした協定を結んで、日本にはそういうものを持ち込まないということを保障しておく必要があると思う。もしこれをやらなければ、あなたの言われる立場と矛盾してくる。そういう事態になって、それから考える。実際にはもう間に合わないというような事態になります。もしも今日本の防衛上――アメリカ軍が日本を防衛する立場ということを言われましたが、日本の防衛上アメリカが原子兵器が必要だと判断した場合には、これを許すのだというならば、先ほど言われた根本的な前提というものはくずれると思います。やはり防衛庁長官も防衛上仕方がない、やらなければならない場合には、原子兵器の持ち込みはやむなし、そういう立場に立つことになる。そうなると、やがては自分のところでも製造した方がいいという結果がここに生まれる可能性があるのです。ですから、私はこの点をはっきり先ほどから聞いておるのですが、そこに今の御答弁では、私は矛盾があると思うのですが、いかがでございますか。
○船田国務大臣 アメリカの日本に駐留いたしております軍隊は、これは日本の国土の防衛に日本と協力して当ってもらっておるのでございまして、その米駐留軍が原水爆を持ってくるというようなことにつきましては、あらかじめ日本の同意がなければ、それはやれない、こういうことになっております。従いましてただいま松本委員のおっしゃった、そういう御心配になるようなことはなかろうと存じます。
○松本(七)委員 これは日本の防衛だからと言われますけれども、台湾海域でもってごたごたが起った場合に、日本にはまだ原爆などはかりに持ち込まれておらないとします。けれどもそういうごたごたが起って、日本にはこの原爆の基地というものができた。アメリカから言っての敵国側がそういう判断をして、これをこのまま放置しておけば、いついかなるときにアメリカが日本を原爆基地として使用するかわからない、そういう情勢判断をした場合には、やはりその基地をたたかなければならぬという事態になると思う。そういう被害を日本がこうむるおそれがあるのでありますから、それを防ぐためにも、私は今防衛庁長官が説明されておるような立場を堅持する限りは、その保障として、アメリカがいかなる場合にも日本には原爆を持ち込まないという取りきめを、私はやっておくべきだと思うのでございますが、いかがですか。
○船田国務大臣 従来日米間において話し合っておりますことで、十分保障は得られておると思います。すなわち原水爆を日本の国土に持ってくるということは、日本政府の同意なしにはアメリカはいたしません。そういうことになっておりますので、それで私は十分保障が得られておると考えます。ただいま松木委員の仰せられるようなことは、これはおそらく原水爆をもってする第三次世界大戦ということを予想されなければ、そういう事態にはならないのでございましょうが、今国際情勢について、これは総理及び外務大臣もしばしば申されておりますように、原水爆をもってするような第三次世界大戦というものは、今日あるいは近い将来に起るとは予想いたしておりません。従いまして先ほど来答弁申し上げておることでおわかり下さることと存じますが、原水爆を日本に持ってくるということはないと考えております。
○松本(七)委員 そうすると、原水爆以外の武器によるところの紛争は、十分起り得るという考え方ですか。
○船田国務大臣 この問題も総理大臣、外務大臣からしばしば答弁申し上げておりますように、第三次世界大戦というような大きなものは起らぬでございましょうが、しかし近東の状況、あるいは東アの情勢等を見ましても、部分戦争なりあるいは冷戦が全く終息してしまったといって、安心するわけには参りませんので、従って独立国になりました日本といたしましては、最小限度の自衛体制を整備するということは、これは必要である、かように考えておる次第でございます。
○松本(七)委員 朝鮮の動乱の場合でも、マッカーサーは原爆を使用しようという計画があったくらいなのです。これは部分的なものでも、原爆のおそれがないなどと言っておったら、とんでもないことになると思うのです。そういう点は必ず今後問題になると思いますが、今の御答弁以上にわたっても、議論になりますから、その問題はこの程度にしておきたいと思います。 そこでこの協定の問題なのですが、私はアメリカとの協定が果して協定通りに忠実になされていないどうかという問題を、この際外務局に御答弁をお願いすることになるかと思いますが、根本的には日米行政協定について問題点が私のところに最近方々から持ってこられるのです。その一つの問題は、駐留軍労務者の問題です。これは大橋忠一さんがよく言われる。自分はほんとうの親米家だ。親米家だから憂慮するのだが、あまり日本の政府がアメリカに対して軟弱というか、腰が弱いために、かえって日本人の反米感情というものが強くなっている、こういうことをいろいろな事例をもって言われるわけですが、私もこれはかねがね感じている。たとえばアメリカ軍の身近にいる人ほど、アメリカのやり方に非常に強い反感を持っている。駐留軍関係で働いている労務者は、その一つです。例をあげれば数限りないほどありますが、たとえばコックがキャベツの切り方が大きかったといって解雇された事実がある。それに対して労務者側から文句をつけると、いや三年前にハムをつまみ食いしたとか、そういうことを言って解雇されている事実がたくさんあるのです。それを問題にしますと、これはもちろん行政協定三条の基地管理の問題施設の管理――これは労務管理はしない、人事にはわた らないということは、この国へ会でもしばしば答弁があった通りでございますが、それが現になされているのです。ですから日米行政協定をたてにして、アメリカはいつもうやむやに葬っているのです。この管理権に基いて自分の方はやっていりのだというようなことをしょっちゅう言っている。そうすると、地方では、県庁あたりで折衝する場合に、結局アメリカにまるめられて、それが徹底的に論議されておらない。末端でもってそれを論議しようとしても、その上の方であいまいに葬られているということが、今日の実情なのです。ですから、こういう際はやはり外務当局が――労働省、調達庁が折衝するでございましょうけれども、それにただまかせたいで、やはり日米行政協定という根本の土台に立った立場から、もっとアメリカに強くこういう点を折衝し、交渉する必要があると思うのですが、今までこういうことに努力されたかどうか。されたならば、その例と、それからそのアメリカ側からの回答、アメリカ側の考え方というようなものをこの際明らかにしていただきたい。
○下田政府委員 御指摘の問題は欧米局長の所管でございまして、私詳しい実務にタッチいたしておりませんので、御満足のいくような御説明ができるかどうかわかりませんが、確かに仰せのような事態で、日本のみならず、同じ英語国民であるイギリスにおきましても、米軍がおりますために、いろいろな問題が言っているのは事実でございます。日本の場合におきましても、遺憾ながらいろいろな問題が起きておりますが、しかしこれは協定が悪いのではなくて、結局は協定を実施する末端の衝に当る人の問題であると思うのでございます。そこで地方に配属せられておる米平の下級将校あるいは下士官、若い経験の足らない者もおりますし、また思慮の足らない者もおるでございましょう。そのためにいろいろな問題が起っておりますけれども、しかしこれは、結局は常に東京におきまする日米合同委員会におきまして向う側あるいは日本側から取り上げまして、中央で上級の将校のものわかりのいい者と話をすれば、大体解決をいたしておるわけでございます。その例をあげろ、こういうことでございますが、私適切な例をただいま存じておりませんけれども、しかしそういうことを解決するのが日米合同委員会の使命でございますから、その合同委員会ではもう定期的には毎週一回、必要があれば定期以外の会合も開きまして、日常そういう事態を解決することに努力いたしておるわけでございます。
○松本(七)委員 この問題はいずれまた内灘問題なんかのときに、一緒に関係者に来ていただいて詳しくお尋ねします。 今、合同合同委員会などで上の方のものわかりのいい者の間では話がついておる言われましても、ものわかりのいい者と話がついても、それが具体的に末端に浸透しなければ何にもならない。被害を受けるのは日本の労務者なのですから、それが完全に守られるような処置をアメリカの首脳部から末端に徹底させるように、一つ外務省は今後一段の努力をしていただきたいと思うのですが、この点お約束できますでしょうか。
○下田政府委員 その点は末端によく徹底するように常に申しておるのでございますけれども、今後もその方向で努力することはもちろんでございます。
○松本(七)委員 それは中央で徹底しておるつもりであっても、たとえば合同委会に持ち出し、アメリカの方はそれを了承した、徹底させましょう、こうなっても、それが果して徹底されたかどうか、なかなか日本政府としては確かめる方法がないと思うのです。ですからこれは末端の方からいうと、県庁なら県庁を通じてそういうことを問題にしても、合同委員会ではどうも解決したらしいといっても、それが末端にまで来ない、いつもどっかでひっかかるのですね。もしも合同委員会で解決した場合、末端の方までそれか徹底しない場合には、今後いかような努力をするのが一番いいか、県庁を通じてやっても、らちがあかないような場合には、直接外務省にそういう事例をどんどん持ち上げてくるほかないと私は思うのです。そういう場合に外務省としては、ああいうふうに了解がついておるにかかわらず末端では少しも浸透しておらない、事態が解決されておらないということを、そのつど今後は米国の首脳部に対して追及をしていただきたいと思うのですが、そういう方向についての御努力だけは一つお約束しておいていただきたい。
○下田政府委員 ある問題が中央で解決を見ますと、それを米軍内部におきまして木地柄に徹底させる措置はとっておりまして、それが徹底いたしましたらば同様の紛議は起らないのが普通でございます。まれには徹底さしたにもかかわらず起ることもあり得ますけれども、それはむしろ例外でありまして、大体中央で取りきめたことは、日本側はもちろん地方の当局に迅速をし、また向うもすみやかに軍の末端機関に通達をいたしておりますので、同種の問題で二度紛争が起ることは少いのでございます。今後も、なおその方向で努力いたしたいと思います。
○松本(七)委員 それは後ほどいろいろ事例をまた出して一つ御答弁願うことにいたします。 そこで防衛協定ですが、前回石坂委員から御質問があった御答弁で、まだはっきりしないのは「防衛生産」の範囲です。これがやはり石坂委員から質問されたのですがどうもはっきりしないのですが、もう少し防衛生産というものの範囲を明確にしておかないと、だんだんこれが拡張されて、もうありとあらゆる生産部門が防御生産のカテゴリーの中に入ってしまうという関係がございますので、もう二度防衛生産の範囲を明確に御答弁を願いたい。
○下田政府委員 この協定におきましては「防衛生産」という言葉の意義が問題になる条項はないのでございまして、ごく常識的な意味におきまして、防衛上に役立つようなものを生産することを防衛生産というておるわけなのであります。別に特に防衛生産の意義を厳密に規定してかからないとわからないという規定ではないように存じております。
○穗積委員 ちょっと議事進行で発言をお願いいたします。実ははなはだ遺憾なことでございますが、私どもの党の方では船田防衛庁長官に対する不信任案を提出したわけです。それが正式な、手続を完了いたしまして受け付けられておりますから、その問題がいずれかに決定するまで、船田長官に対するわが党の質問を続行することは合理性を欠きますから、大へん遺憾ですが、船田長官に対する質問はその問題が解決するまで留保させていただきたい。そして与党の諸君から、長官に対する質問がございましたらおやりになることは、私は委員長のお取り計らいをあえて拘束はいたしません。お含みの上でお取り計らいを願いたい。
○前尾委員長 質疑を続行して下さい。
○松本(七)委員 これは将来のことを私は言っておるのであって、防衛生産というものが明確にされておらないということは、結局それでは防衛生産の範囲は拡張もできればまた縮小もできる、あなたのいつもの論議をもってすれば、拡張もできれば縮小もできるということになるわけですが、そういうことなのですか。
○下田政府委員 この協定は形式的には相互的に平等の建前で規定されておりますけれども、実際には日本側が、米国から技術の情報を提供してもらうことが多いのは申すまでもないことでございます。そこでアメリカ側が、ある技術の情報を日本にくれるというときに、いやこの情報を使おうとする目的はどうも防衛とは関係がないように思う、だからこの情報は上げられないということを言うような場合には、これは防衛生産というものの範囲が問題になるだろうと思います。しかし常識的に、日本人はこの情報はこういう目的に使うのであって、たとえば車両なら軍用車両の軸に使うのだというようなことを示せば、これは防衛生産ではない、いやあるといって日米間に論争を起すようなことはまず予想せられないのではないか。そうでありますとすると、防衛生産の範囲いかんということを厳密規定してかかるということは、あまり大して重要性のない問題ではないかと存じておるのでございます。
○松本(七)委員 それから-第八条に「技術士の知識」ということが定義されておるのですが、どうもこれまた不明確なのです。日本にはこれに対する権利義務を制定した法律というものがあるのでしょうか。それからまた日本には日本の法律で技術士の知識というものをどのようにして保護しておるのでしょうか。
○下田政府委員 「技術上の知識」というのはごく普通の用語でございますが、この協定でいう場合にはどういう意味であるということは、これは先ほどの「防衛生産」という言葉とは違いまして、非常に意義のあることでございます。この協定の大きな目的の一つは、技術の情報を提供するけれども、それに伴ってその知識の所有者の私の権利は保護されなければならないというところにあるのでございまして、すでにこの技術上の知識の保護が目的であるといたしますならば、保護の対象となる知識は厳格に限定いたさなければならないわけでございます。 そこでそういう目的からここでこのような定義をいたしたのでありまして、第一には、知識の所有者あるいはその知識と特殊な関係のある者、つまり共同で発明に携わったとかいうような、そういうごく少数の人がその者に限って知っておる知識であることが、保護を受けるために必要な第一の要件である。そうしてそれがだれでも知り得る状態になっていない、つまり「一般に入手することができない」と表現いたしておりますけれども、それが公知になっていないということが、この知識が保護される第二の要件であります。従いまして通常常識的に使っております「技術上の知識」という言葉よりも非常に狭く規定いたしておるような次第でございます。
○松本(七)委員 日本の国内法には技術上の知識を保護を保護しているような法律はございませんか。
○下田政府委員 特許庁から御説明があるかと思いますけれども、技術上の知識であって法律上の保護を受けるものは、御承知の特許権あるいは実用新案権というように、特許法で、保護されるものの範囲またその保護の仕方がきまっておるわけでございます。
○松本(七)委員 米国から貸与されておる兵器、装備のうちに、防衛目的のためにする特許権及び技術上の知識に該当するものがございますか。
○麻生説明員 御承知のようにF86とかT33Aの航空機の生産につきましては、向うと航空機の協定を結んでやっておるわけでありますが、その関係で、たとえばノース・アメリカン関係の技術上の知識が日本の三菱にきているという事実はあり得るわけです。現にあるわけであります。
○松本(七)委員 そうすると、それらは秘密保護法によって公表されずにあるわけですか。
○麻生説明員 いわゆる秘密保護法の対象となるようなもの、はっきり申しますと、国防上の必要から秘密を必要とされているような技術上の知識はまだ現在のところきていないように聞いております。向うのノース・アメリカンならノース・アメリカンが技術上の知識そのものとして、秘密に保持していきたいというそういう秘密が流れてきておることはあるわけであります。
○松本(七)委員 そうすると秘密保護法の対象になっているというものはないのですか。
○麻生説明員 それは現在のところはありません。あることも予想はされるのでありますが、現在のところまだ参ってはおらないように、聞いています。
○松本(七)委員 この協定の骨子は、防衛目的のためにする特許権及び技術上の知識に該当する武器、装備の貸与を容易にするというものか、それともそれらのものを国内で作成するために必要だというのか、いずれです。
○下田政府委員 ただいまおっしゃいましたことの後者の方でございます。
○松本(七)委員 次はアメリカの国内法のことですが、防衛を目的とする特許及び技術上の知識が取り入れられている兵器それから装備の特許権は私人にあるように思われますが、アメリカ政府が買い上げて、そして政府のものとなっているものはございませんか。
○下田政府委員 米国におきましては、私人が発明いたしました技術情報で、国防上の必要から秘密にする必要があると認めましたものは、米国政府の手に一手に集中しております。そういうアメリカの国内法があるわけでございます。
○松本(七)委員 防衛上必要ものは全部例外なしに国に集中されておるのですか。
○下田政府委員 米国の法律の基準から申しまして、セキュリティの見地から政府に集中する必要のあると認められるものだけです。所有権は必ずしも政府が買い上げるわけではございませんが、政府が使用権を獲得する意味におきまして、政府の手に集中いたしておるわけでございます。
○松本(七)委員 そうすると、アメリカにも秘密の特許というものはあるわけですか。
○下田政府委員 米国は、戦前日本にございましたような秘密特許の制度は持っておらないのでございまして、特許権を与える前の段階において政府の手に集めてしまう。つまり、私人が特許の出願をいたしますと、その出願の対象となった発明なり知識なりが、防衛上政府の、手に集める必要があると認めましたものは抑えておくわけであります。特許公報にももちろん発表いたしませんし、また特許権を与えることもいたしませんで、ただ押えておく、秘密に保持しておくという状態に置くわけでございます。
○松本(七)委員 そうすると、日本におけるそういった関係法令はどういうものでしょうか。
○竹村説明員 特許庁の方からお答え申し上げます。御承知のように戦時中まで、正確に申しますと二十三年まで秘密特許という制度があったわけでございます。二十三年からこれを廃止いたしまして、現在は特許法に関しまして秘密という行き方がとられておりません。戦前の秘密特許と称せられておりましたのは、特許権を現実に付与いたしまして、しかもこれを公表しなかったということでございます。アメリカで、やっております秘密の保持の方法といたしましては、ただいま条約局長からお話があった通りでございます。出願のままで保留をせられておるわけでございます。そうして一定の時期が参りましたときに、これを公開して特許権を与える、こういう制度にアメリカではなっておるようでございます。それで現在といたしましては、アメリカと類似の制度は、日本の特許の面におきましては持っておらないわけでございます。従いまして、この協定の関係上議定書の中へ入れまして御審議を願っておる、こういうようなわけでございます。
○松本(七)委員 たとえばF86だとかT33、こういったジェット機の国内生産で、F86に対しては一機につき五千七百ドルですか、それからT33に対しては二千五百ドル、こんなとほうもない高額な特許料を払っておるわけですね。現在F86だとかT33の秘密に属する特許で、公表されておらないものがあるのですか。
○小山政府委員 今御指摘のようにT33が一機当り二千五百ドル、F86は五千七百五十ドル、これはわが国の製造業者の三菱なり川崎が、ノース・アメリカンなりロッキードに対して払っておる秘密指導料、特許料その他を含めた全部に対する対価、ロイアルティとして会社が会社に対して払っております。その中にはいろいろ特許その他もございますが、秘密のものは今のところございません。 ちょっと申し添えますが国防上秘密のものはございません。
○松本(七)委員 そうすると国防上はないけれども、やはり秘密に属する特許と、それから公表されておらない特許と公表されておる特計があるわけですね。
○小山政府委員 結局さっき技術上の知識等で問題になりましたように、会社としては秘密にしたい、だから金を出してロイアルティを払うわけですが、そういう意味では秘密なのですが、国防上秘密の区分にしたものはない。向うが国防上秘密の区分にしておるものは目下ございません。
○松本(七)委員 だから秘密の出所はともかくとして、会社として秘密にしたいと思う特許と、それから秘密でない特許に対して、両方に特許料を払っておるわけですか。
○小山政府委員 その通りでございます。
○竹村説明員 特許の面をちょっと申し上げますが、この技術上の知識と申しますのは、ただいまお話のあった通りでございます。それで特許といいますものは、御承知の通り初めから公知になってないもの、つまり一番新規なものであって、公けになっていないもの、これに権利を付与するという建前になっておるわけでございまして、その意味では特許庁の公表に至るまでは、これは一応秘密の扱いになっております。従いまして、特許庁職員も秘密の保持の義務がその範囲ではあるのです。ただしこれは個人の権利を擁護してやるという意味でそういう建前になっているのでございますので、国防上の問題とはもちろん関係はございません。ただそれが特許になった場合には、これは公開されてしまいますので、ここにいわゆるこの技術上の知識という概念には当らなくなるわけでございます。一般の特許権になってし、まうわけであります。それで向うからのロイアルティを払って日本がやっているものは、ノー・ハウあるいは特許権というものの対価が入っているのでありまして、その特許権というものは公けになったものだ、こういう現状でございます。
○松本(七)委員 そうするとF86、T33には何カ所の特許を含んでおりますか。
○小山政府委員 これは今資料がございませんので、ちょっとわかりかねますが、相当たくさんの特許なりそれから技術指導がございます。
○松本(七)委員 その資料を一つ……。
○小山政府委員 私実は最近かわりまして詳しく存じなかっのでありますが、その点数というものは、数万点ぐらいの事項があるそうです。小さな部品から何から全部でございますから、おそらく整理がつかないだろうと思います。
○松本(七)委員 いや、それだから大ざっぱにいってどのくらいの数があるかということを聞いているのです。数万というのは大したものですね。そこでこのF86、T33というのは全部国内生産なのですか、それとも組み立てだけやるのか、あるいは部分的に国内生産で他の組み立てをやるのか、そのやり方を……。
○小山政府委員 これは国内生産に逐次持っていくという方針でやっておりまして、その段階は、初めは総組み立てといいますか、全部の部品を持ってきまして、メージャー・アッセンブリー・ノックダウン、それからその次の段階は、サブ・アッセンブリー・ノックダウン、その次はディナール・アッセンブリー、部品をだんだん国産しまして、それを組み立てていく、こういうような段階を経て国産化へいくことになっております。大ざっぱに申しますと、F86、T33の一次と二次の協定がございますが、これを通じまして、エンジン、装備、操法、こういうものは非常にむずかしい、いわば官給的のような資材でございますが、そういうものを除きまして、大体六〇%程度を国産化するという計画でやっておりますが、その国産化するものは、金属、非金属の材料、それからハード・ウェア、ボルト、ネジとかバルブとかそういう種類それから帰納部品、脚とか車輪とかそういう種類のもの、そういうものを総合して、六〇%程度国産化する、こういう段階です。
○松本(七)委員 それから四月十七日の読売新聞の夕刊だと思うのですが、ジェット機の第二次生産計画というものが報道されております。それを一つ説明していただきたい。
○小山政府委員 T33ジェット機とF86ジェット機、これにつきましては一次と二次の協定をいたしまして、今御指摘の協定は二次の協定でございますが、この同これに関する、取りきめをやったわけでございます。T33の方は二次分といたしまして八十三機、それからF86の方は百十機、これは三十三年六月までに、先ほど申しましたように、主要部品その他を向うに負担してもらいまして、こちらは部品の国産化を進めつつ、その面はこちらが負担いたしまして、両方の力でそえだけを生産して進めていく、こういう計画になっております。
○松本(七)委員 その第一次取りきめ協定文を資料として至急出していただきたい。
○小山政府委員 これも非常に長いものでございますが、要旨をまとめまして、提出いたします。
○岡田委員 関連して伺いますが、これは第一次発注の協定のときにも私感じたのですが、第一次のこのジェット飛行機の生産について協定を結んだ場合に、国会の承認をなぜ得るための手続をしておられないのか。技術協定の場合には国会の承認を求めておりながら、ジェット機の生産については国会の承認を求めないという理由について御答弁を願いたい。
○下田政府委員 これは、防衛庁といたされまして、当然法律上与えられました調達のための権限を行使されたものでございまして、また対外的に見ますと、いわゆるMSA協定、両国政府の合意するところに従って援助が与えられるというその下の細目取りきめになるわけでございまして、あらためて実施納品につきまして国会の御承認を求める必要はないという従来の関係に相なっております。また予算的に見ますと、これは予算として防衛庁の債務負担行為として国会の承認を得ておりますので、その点からも何ら国会の御承認を求める必要はない、そういう関係になります。
○岡田委員 そうすると、技術協定とMSAとの関係は、これはあとでいろいろ御質問しようと思っておったのですが、この点はどうなのですか。全然別個なものですか。
○下田政府委員 全然別個なものでございます。今度の技術協定は技術を提供するということに関する協定では全然ありませんで、他の原因、つまりMSA協定ならMSA協定のワクを通じて技術上の知識が提供された場合に、その保護をどうするか、その取扱いをどうするかというその面だけを規定したものでございます。
○岡田委員 それからジェット機の生産に関して、これは協定の中に当然秘密保持の条項があるのではないかと思うのでありますが、この点はどうなりますか。この秘密保持が、防衛庁のいろいろ行政措置としてのみでなく、そういう秘密保持自身が国民の権利義務を拘束する、とになるのではないかという点が一点と、予算措置をすでに防衛庁がとっておるからといっても、その協定自身に予算措置を伴うようなものは、そういう協定は国会の承認を得なければならないという、これは国会法並びに財政法その他の法律上の規定があるはずですから、予算それ自体は国会の承認はすでにとっておったにしても、それに関連する協定は当然国会の承認を得なければならない、このように解釈すべきだと思いますが、この点はどういうようになりますか。
○下田政府委員 国庫の負担を伴う全然新たな協定なり、取りきめなりができます場合には、当然その協定または取りきめにつきましては、国会の御承認を得べきでございます。ただ、すでに締結され、すでに国会の御承認を経ました協定の実施細目として、それに伴って国庫負担を必要とする場合には、予算といたしまして国会の御承認を経るだけをもって足りまして、実施細目の一々について国会の御承認を経るということは必要ないというのが、従来の取扱いになっております。
○岡田委員 これはちょっと条約局長に伺っておかなければならないのでありますが、MSAに基く予算措置というものならば、それは確かにそういうことは話が通ると思うのでありますが、それに基いてはいるが、ジェット機の生産という新たなる事項に基いた予算の措置がとられた。とするならば、納品協定の一部とはいいながらも、そのこと自体が財政上の新たなる措置を講じた限りにおいて、そのことについての協定の取りきめは、国会の承認を行なければならないと私は思いますが、この法解釈の問題についてもう二度念のために伺っておきたい。こういうことはおそらく今後もどんどん出てくると思いますので、厳密な御解釈を伺っておきたい。
○下田政府委員 御承知の通り、MSA協定は、同協定に基いて供与される援助を具体的に規定もいたしませず、また制限もいたしておらないのでございますので、飛行機もタンクも艦船も、いかなる兵器もMSA協定を通じてもらい得ることになっております。もしMSA協定が特定の兵器だけについての援助協定でございましたら仰せの通りになると思います。その点は、一般的に装備、資材の供給に関する協定でございますので、差しつかえないのではないかと考えております。
○松本(七)委員 今MSAとの関係が出ましたが、なるほどこれは形式的には何ら関係はないと思いますけれども、やはりアメリカの政策としては見のがすことのできない関係があると私は思う。 そこで一つ伺いたいのは、軽火器はともかくとして、軽火器を除く他の装備、兵器には、大体どれにも幾らかの特許部分があると思う。これを日本の国内で生産する場合に、莫大な特許料を払わなければならない。同時にこの秘密という影がここにつきまとってくることになると思うのですが、どうですか。
○下田政府委員 この秘密は、先ほどから御説明がありましたように、国防上の秘密、つまりこの条約で申しますと、防衛秘密保護法の対象となる秘密と、そうではなくして、その知識なり発明なりの所有者の私権を保護するために、暴露してはならないという意味の秘密と、二つあるわけでございます。そこでMSA協定から申しますと、両方の意味の秘密を包有する技術の提供が可能なわけでございます。ただいまのところは、先ほど防衛庁から御説明のありましたように、国防上の意味における秘密を含んだ援助というものは来ておらないわけでございます。ただ、それは来ておらないのは当然でございましてMSA協定第四条で、私権の保護ができるような取りきめを結ぶことを予見されておりまして、その予見されてところに従いまして、今回御審議を願っております技術協定ができるわけでございまして、これができて初めて私権の保護の意味における秘密の情報を日本は入手し得るわけになるのでございます。そこで今後は、この協定が国会の御承認を得て発効しますと、アメリカも私権の保護が完全であるという安心感を持って、秘密の情報を日本に提供してくれるということに相なるわけであります。
○松本(七)委員 いずれにしても、現在さっき御答弁があったように、秘密の内容なり、いかようにそれを規定するかは別として、会社が秘密にした方がいいという場合には特許料を払うわけですね。今後もそうやってそれが発展してくると、一方にはアメリカが旧式な、もう使いものにならないような余剰兵器を払い下げて、そしてMSA協定というものでこれを強制する形になって、その結果事実上の従属化が出てくる。それとともに技術的なそういう特許料というもので、一方では古いものを払い下げながら特許料は巻き上げる、事実上はそういう関係になるのですね。ですから直接MSAと関係なくても、そういった総合的なアメリカのやり方というものに、早い話がエジプトなどもずいぶん憤慨して今日のようなああいう状態になってきたと思う。ですからそういう点を考えると、日本かこういう状態で日米間に技術協定を結んで、果して日本にどれだけの利益があるかということについてどうも私どもも納得できない。この前も大橋忠一君がこんな古いものばかりもらって一体何になるのだ、こんな協定はない方がいいじゃないかということをしきりに声を大にして叫んでおられたのですが、その点がどうも納得できない。
○下田政府委員 ただいまお話の角度から見ました木協定の利益は、まさに今までは割合に陳腐なものの援助しか可能でなかったのでありますが、この協定を結びまして技術の所有者に対する保護が保障されますと、斬新な進んだ知識がくるように初めて相なるわけであります。もう一ついい点は、この協定の第五条に規定してあるのでありますが、政府の所有の技術情報というものはただでくれるという規定があるのであります。そこで政府が所有し、または使用権を持っておるものは、先ほど御説明いたしましたように、防衛上の見地から秘密にしておく必要のあるものは政府の手におさめられておるのであります。それはすなわち進んだ兵器でございます。その進んだ技術であり、防衛上の見地から秘密にされておるところの、アメリカ政府が所有し、または使用権を持っておるものがただでくるということに相なるわけでありますから、従来の陳腐な、古びたものでなくて、初めてこれによって新しい進んだ知識が入手できるということになります。御指摘の角度から見ました利点はその点にあるわけでございます。
○松本(七)委員 防衛庁にお伺いしたいのですが、今下田条約局長はこれができれば斬新なものがくると言ったが、今日の状態では斬新なものというと結局原子兵器ということになってくる。だから私はさっきから防衛庁長官にこの根本的な点を聞いておるのであります。今ほんとうに斬新な防衛上の技術を身につけ、そして生産をやろうといえば、原子兵器に目をつぶって私はできないと思う。どうですか、この点防衛上の立場からいかようにお考えになりますか。
○林(一)政府委員 今松木委員の御質問は、斬新ものは原子兵器だというようなお話ですが、そういうわけではないのであります。原子兵器というものは、先ほど長官がお答え申し上げましたように、装備する考えはないのであります。斬新なものとして考えられるのはまだたくさんおるのであります。たとえばソーナー関係とかあるいは射撃指揮装置とか、最近エレクトロニクスというのですか、電子兵器がたくさんあるのです。そういうものが考えられるのであります。もちろんどういうものが入るかということは、今後アメリカとの話し合いで決まるわけであります。具体的にはわかっておりませんが、斬新なものはたくさんあります。
○松本(七)委員 もちろん原子兵器以外に斬新なものはたくさんあるでしょう。けれども総合的に防衛ということに結びついて考える場合に、原子兵器と切り離して軍与力を充実するということが、今後世界的に可能であるかどうかということを、全体的な立場からいかようにお考えになりますか。憲法とかそういう基本的な問題を離れて、全く軍事的な立場から、あるいは防衛上の立場から、今後原子兵器をいうものと切り離してこれが考えられるかどうか。
○林(一)政府委員 原子兵器と切り離して十分考えられると思います。
○松本(七)委員 今、日本ではF86、T33がどのくらい生産されているのですか。それから一機当りの生産費は。
○小山政府委員 T33の方は第一次の分が七機ほどできております。防衛庁が飛行試験その他を終えまして検査をして受け取りましたのが三機だと思います。F86の方はまだできておりません。今の段取りでは第一機が十月ころできる予定になっております。 生産費問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように、製造の段階によってだんだん国産化をして参りますから、向うから供与受けるものの分量が逐次変って少くなっていくわけでございますし、また向うの供与を受けるものの原価の計算が正確にできにくいわけなのです。現物であるものをくれたり、新しいものを買い上げたりするわけでありますから、そのコストとの関係がどうもはっきりいたしませんが、T33の方は大体一機当り六千五百万、F86の方は一億四千百万、こういう見当であります。
○松本(七)委員 それからF86、T33の性能はどうなんです。
○小山政府委員 F86でございますが、乗員は一人、全長十一メートル、幅も十一メートル、端数がございますがそのくらい。自重は全装備いたしまして約八トンばかり。最高速力は九百六十八キロ、巡航速力は七百三十四キロ、その他諸点がございますが、おもなことはそんな点でございます。 T33の方でございますが、乗員は二人、これは練習機でございますから教官も乗ります。全長、幅も大体十一メートル、自重が全装備で、七トン余り、最高速力が八百九十五キロ、巡航速力七百五十五キロ、大体こういう性能でございます。よくF86等は少し古いのじゃないかという議論もございまして、事実アメリカあたりではその後のF100とかなんとかいうのができておりまして、それを正式に採用しつつあるようでございますが、欧州国におきましてはまだF86が第一線機ということになって活躍しておるのが実情でございます。
○松本(七)委員 これはアメリカではすでに旧式になったので、新しいのは作っておるでしょうが、従来のものは作っていないということですが、そうですか。
○小山政府委員 T33は作っておると思います。これは練習用でございます。F86の方はF100を正式に採用してF86の方は生産をやめているようでございます。今申しました日本で国内生産しておりますのはF86Fというのであります。
○松本(七)委員 向うではすでにそういふうに旧式になってしまっておるものに対して、五十七百ドルも特許料を支払わなければならぬというのはどうもわからぬのですが、結局こういう古いものを最後に日本のようなところに持ち込むことによって、できるだけしぼろうというような意図が露骨に現われていると思うのです。これは議論になりますから先に進みますが、アメリカのMSA法で貸与または贈与される兵器、装備の部分品はどうするのですか。これは無料で貸与またはくれるのですか、あるいは有料で買い上げるとか借りるとか、その区別はどうなっておりますか。
○小山政府委員 MSA関係のMDAPの方で向うから供与を受けます武器その他につきましては、通常十カ月ないし十八カ月くらいの部品その他はつけてくれます。T33、F86の国内生産の問題につきましては、向うからくれるものにつきましては、一年分の補修部品その他取りかえ部品は含めまして供与を受ける、そういう純然たる供与も航空機の国内上帝も大体そういうようにやっております。その先のことはやはり逐次国内生産に進んでいかなければいかぬことになりますので、今回御審議を願っております協定その他も、そういう技術を開発して国内で引き続いて生産ができるようにするために、個人の権利の問題とか秘密保持の問題を解決して、そういう生産体制が逐次できていくようにするために、これは必要な協定だとわれわれは考えております。
○松本(七)委員 そうすると十カ月ないし一年後は、もしも日本国内の生産が間に合わないような場合にはどうなのですか、買うということになりますか。
○小山政府委員 先ほど申しましたのは、一つの兵器を供与されるについてのつけたりみたいなもので、そういう方式でこのものは十カ月分、八カ月分の補給だ、こう来るのですが、その後のことにつきましても足りないものは別途毎年計画を立てまして、供与を求めておりますから、その供与の中に国内生産の間に合わないものは供与を頼む、あるいは場合によっては向うが供与ができないといった場合には別途輸入するとか、そういう方法でまかなっていくという考えでございます。
○松本(七)委員 それらを国内で生産する際に、今度はまた特許料というものが問題になってくるだろうと思いますがどうでしょう。
○小山政府委員 補修部品その他といいましても、いろいろなものがあるわけでございまして、すべてのものに特許あるいはノー・ハウがついておるとも限りませんので、そういうことがなくてできるものもたくさんございますが、そういうものにひっかかるもの、は、やはりこの協定等を背景としまして、特許料その他を払ってそれを入手するということになろうかと思います。
○松本(七)委員 第一条に規定されております秘密情報というのはどういうことを言うのですか。防衛上の秘密保持の要件に反してはならないということは、たとえばアメリカから秘密の情報を得る場合には、アメリカの言う要件に反してはならないという意味でしょう。秘密の情報というのが明示されるのですか、そこのところの関係がちょっと不明確ですが。
○下田政府委員 秘密の情報と申しますのは、秘密というのは英語でクラシファイドと申しておりますが、アメリカの場合には何がクラシファイドのものであるかということは、アメリカの法律によってきまっております。そこで「防衛上の秘密保持の要件に反してはならず、」アメリカとしましては、アメリカの法律によっていろいろ定められたところに反して日本側によこしてはならないということになりますし、また受ける方の日本側といたしますと、やはり防衛秘密保護法等の法律上の定めがございますので、それに反して受領しまたは使用してはならないということに相なるわけであります。
○松本(七)委員 さっき問題になったアメリカでは秘密の特許権が私人に属しておって、それが防衛上必要なのは国家に集中されておるということだったのですが、アメリカにおいては秘密の特許権が侵害された場合には、どういう処置をしておるのでしょうか。
○竹村説明員 アメリカの法制から察しますと、アメリカでは出願がございました場合に、それは国防上の秘密のものだということになりますれば、それに対しまして権利の付与を留保しているわけでございます。従いまして権利侵害ということが特許法上の問題としては出てこない、こういうことになっております。
○松本(七)委員 そうすると秘密の特許というものについては、日本の特許庁に報告されるのでしょうか。
○竹村説明員 三条の関係になって参りますけれども、アメリカ政府から日本政府に――具体的に言えば防衛庁だと思いますけれども、提供されましたものが向うで出願になっておる、そして出願になっておりますが権利にはなっていいという関係になっております。従いましてそれが一本に出願になって参ります場合には、アメリカの方から特許庁の方にこれは向うではペンディングになっているものだということを知らせてくる、こういうことになっております。
○松本(七)委員 第三条に「類似の取扱を受けるもの」とあるのですが、類似とは何ですか。
○竹村説明員 この三条自身が類似ということをばく然といたしておりますので、実はその内容を議定書の中に書いてございますが、この類似といいますのは、先ほどアメリカの制度につきまして御説明がございましたように、出願がありました場合にはこれを公表しない、そして審査が途中でとまっているといいますか、そういうぺンディングの状況にあるわけでございます、そしてこれが一年間、さらにこの状態を更新できるということになっておるわけでございます。従いましてこの三条で秘密の類似の取扱いをしなければならないといいますのは、アメリカから提供されました技術であって、それが向うで出願になっておるもの、そしてただいま申し上げましたような状態にあるものにつきましては、日本がそれを特許庁におきまして、公表しない、こういうことになって参ります。それを類似の取扱いと申します。
○松本(七)委員 そうすると結局アメリカの特許法と同じ措置をとるというわけですね。
○竹村説明員 同じ措置とは書いてございませんが、大体類似の措置ということでございまして、少くとも根本の趣旨はそこにあるわけでございますので、一応そういうふうに考えております。アメリカの特許法に現われておりますところから申しますと、さらに非常にきついような条件がついておるわけでございます。ただこの「類似」の解釈といたしましては、アメリカのままやるということになりますと、いろいろ影響があるかと思いまして、それでただいま言いました一番集約されました報告をしない、それで特許権は、もちろんペンディングになっている、与えられていないという状況で、そういう趣旨で議定書に織り込んだわけであります。アメリカの特許法上の取扱いと同じことを要求はいたしておりません。
○松本(七)委員 わが国の特許法における秘密事項とさっき御説明があったのですが、あの関係からいうと、技術協定を結んだあとは日本の特許法の改正は必要ではないのですか。
○竹村説明員 現在の特許法の規定から申しますと、出願がありました場合にはこれを審査する。その審査におきまして、拒絶か、あるいは拒絶の方向へいくものと登録の方へいくものと出てくるわけであります。その場合に、登録されるべき方向へいくものにつきましては、出願公告をする。そしてあと異議申し立てという手続があり、登録という段階になってくるわけでございます。ところでただいま申し上げましたような類似の取扱いをしようということになりますれば、その手続がそのまま進んでは工合が悪いことになります。従いまして、これは法律事項になってくるわけでありますが、前回にも御質問があったと思いますが、その内容につきまして、この協定の中へ織り込みまして御審議をいただき、それが通りますれば特許法の一般の手続に対しまして、アメリカから与えられた特定のものにつきまして例外規定ができる。これは三条の議定書でその内容を盛ってあるわけでございます。
○松本(七)委員 そういう協定だけであるいは条約だけで、国内法を縛るというわけにはいかないと思う。やはり特許法を改正しなければならないのじゃないですか。
○竹村説明員 この点につきましては、特許法にもちろん明文がございますし、それから一般の法律解釈といたしましても、国会で御審議いただきますところの条約につきまして書かれておりますことは、法律と同様の効果を持つということになっております。 なお特許法自身には、いろいろ国際的な協定その他が多い関係で、特にその旨の明文は特許法に置いておるわけでございますから、一般的にもそういう解釈になっておるわけであります。 従いまして、この協定が成立いたしました場合には、その限りにおきまして、特許法の一部が改正になる。現在三十三条に「特許ニ関シ条約又ハ之ニ準スヘキモノニ別段ノ規定アルトキハ其ノ規定ニ従フ」という規定がございまして、これによりまして、いろいろの特許に関する条約、協定が締結されておるわけであります。
○松本(七)委員 提供国で秘密にされておるような特許と同じ発明がわが国でできて特許が出願された場合には、政府はこれをどう処置するのですか。
○竹村説明員 まずその時期から申し上げなければなりませんが、この三条に該当するアメリカの出願が先にありました場合に、そのあとがそれ以外の人が出願をして参った、こういう場合にその内容が全く同一のものでありますれば、このあとのものは後願の扱いを受ける、これは一般の特許法の扱いを受けて参るわけであります。そしてその順序が逆になっておりますれば、つまり日本人の出願が早くて、アメリカから提供されたものにつきますアメリカ人の出願がおそければ、もちろん特許は日本人のものに与えられる、こういうことになります。
○松本(七)委員 そうすると、日本の発明者が特許願いをやったら、もうすでにこれはできておるというので許可されないという場合、あるいはそういうことを予想して出願を断念して、こういう技術を発明したのだといって自分から進んでこれを公表する場合がある。そういう場合には秘密保護法でこれが罰せられるというようへ事態になりますか。
○林(一)政府委員 今のお話は、アメリカで発明したものと同じ内容のものを日本でそれと全然無関係に発明した、そしてそれを自分の発明として他人に漏らした、公表したという場合は秘密保護法に該当いたしません。
○松本(七)委員 それじゃ、全然アメリカの秘密と知って公表したのと、それから全くそういうことと関係たしに、自分が発明して出願してもだめだろうというので公表したのと、その区別をどこでしますか。それを判断するのはどこですか。
○林(一)政府委員 結局公けになったかどうかということ、要するに関係、無関係の点は、そういうものを漏洩した場合、それを米国の発明と全然無関係に日本で発明したかどうかということは、あらゆる資料を集めまして認定をすることになるのであります。
○松本(七)委員 どこで認定するのですか。
○林(一)政府委員 犯罪の構成要件の問題でありますから、第一次的には捜査当局、最終的には裁判所が決定することになるわけであります。
○松本(七)委員 政府当局の方では、これはどうもアメリカの秘密を盗んで公表したくさいと思い、本人はそんなことは全然知らないで、全くそれとは無関係に自分が発明して公表したという場合に、それを捜査するといってもがえんじないことができると思うが、それを強制してその資料を押収し調査するというのですか。
○林(一)政府委員 アメリカの発明と関係なく発明したかどうかということは、いろいろの資料で認定できると思います。それは検察当局が第一次にこれを調査するということになると思います。
○岡田委員 ただいまの問題の関連ですが、それはちょっとおかしい。そういう資料があるかどうかということを判断するためには、秘六密保護法の基準に基いてそれは判断するのですか。そういう意味の御答弁であるように私は理解したのですが、そういう意味ですか。
○林(一)政府委員 秘密保護法の漏洩罪に該当するかどうかという前提のもとにやろうと思っております。
○岡田委員 先ほどの御答弁を伺っていると、日本の国民が独自な創意工夫によって何らかの発明をした。それが偶然アメリカのいわゆる秘密としてきめられているものに該当したという場合に、常に日本の国民は秘密保護法における、容疑者としての態度で、あなたの先ほど言われたように捜査当局においてそのような取扱いを受ける。このような不当な立場に日本の国民が常に置かれる。創意工夫をすることによってそのような立場に置かれるのだと解釈せざるを得ないのですが、そういう意味でございましょうか。
○林(一)政府委員 たとえば先ほど申しましたように、米国で発明したものとたまたま同一のものを日本で発明した。その発明した方が公表した。その場合、アメリカの防衛秘密の内容と同一なものとしてこれを他に公表したということになりますと、これはもちろん別問題ですが、この場合はその行為が自分の発明したものであって、全然防衛秘密と同一のものということでなく、自分の発明として漏らしたのだとすれば、これは関係がないわけであります。従って犯罪は成立しないわけであります。
○岡田委員 その犯罪が成立するかどうかは、裁判所の最終的な判決によるのですからね。あなたの先ほど言われておるのは、それが犯罪としての容疑があるかどうかということが問題になっている。具体的にいうと、容疑者として収監もできるわけです。身柄の拘束もできる。そういう意味での容疑者としての扱いを日本の国民に対してするのかということを伺っているので、その点が肝要なのです。そういう容疑者であるような扱い方を一体だれができるのです。しかも日本の国民が独自で工夫発明したものを、外国の特許というか、特許庁には知らされてくるだろうが、国民に対して知らされてない、いわゆる特許法の公開主義というのを これによってくつがえしてしまおうとしているようなのですか、そういう点が全然わからないで、全く善意の第三者であるところの日本の創意、工夫を持った発明者が、そういう秘密保護法の対象としての、容疑者としての扱いを受けるのですか、どうですかということを伺っているのです。犯罪の構成というのは、最終判決によって決定されるのですが……。
○林(一)政府委員 今のような、漏らした場合、もともとこれは犯意はないし、従って容疑者として扱うわけではないのです。
○松本(七)委員 一応先に進んで一通りやってからまた繰り返して聞かなければならぬことがたくさんあると思います。 次は第四条「私有の技術士の知識」ですが、私有の技術士の知識に対して法律で保護しておる規定があるのでしょうか。
○下田政府委員 これは普通の民法、商法の一般法が保護規定になると思います。
○松本(七)委員 特許権なら特許法によって規制されるのですが、ばく然たる技術上の知識に対する保護規定というものは、どういうふうになるのですか。政府は補償する場合には何を根拠にしてやるのですか。大体知識というのはそのものにだけ知悉している知識だとか、一般人に入手することができない知識というものは一体何をさすのか。具体的に一つ述べていただきたい。創案した結果だったらこれは特許に入れればよいのです。
○下田政府委員 第四条は「私有の技術上の知識」と申しておりまして、特許権になる前の段階の知識でございます。そこでそんな非常に広い範囲についての保護規定でございますので、先ほど申し上げましたように、第八条で非常にしぼっておるわけであります。
○松本(七)委員 現在までに技術上の知識というのがアメリカから指定されたものがあったのですか。
○下田政府委員 これは別に防衛秘密保護法にいいますような秘密なりとしての指定はないわけでございます。
○松本(七)委員 どうもこういうばく然とした事項を条約の中へ挿入するというのはおかしいと思うのですが、紛争が生じた場合、おそらくこれは日本 がアメリカの都合のよいように押しつけられるのだと思うのですが、どうも条約の中の協定文の中に入れるのは少しあいまいなようた気がするのですが、そんなことはないのですか。
○下田政府委員 第四条の目的は、技術上の知識の所有者の利益を保護する規定でございまして、何が技術上の知識であるかという範囲をきめることを目的といたしておりません。そこでここに書いてありますように(a)と(b)の二つの場合、つまり一度政府を通じて提供された場合、(b)は直接その個人が相手国の政府の要請によって提供した場合、それぞれの場合における補償の問題を書いたわけであります。その補償の責任がどう処理されるかという点に、第四条の規定の主眼があるわけであります。
○松本(七)委員 大臣も見えましたので、技術協定についての質問はここで一応打ち切っておいて、また次会に引き続きやるごとにします。一般情勢として日ソの問題にすぐ入ってもらいたい。 ―――――――――――――
○前尾委員長 それでは国際情勢等に関する件について質疑を許します。穗積七郎君。
○穗積委員 外務大臣にお尋ねいたしますが、今まで河野代表がやっておりました日ソ漁業交渉は仮定の上に立っていろいろ意見を述べたり、意見を聞いたりしておったのですが、いよいよ最終的なる調印も完了されたようでございますが、そこでこの問題に対して緊急にお尋ねいたしたいが、その前に外務省からその後の確定いたしました、または判明いたしました情報について、正確な御報告を一般的に伺っておきたいと思います。
○重光国務大臣 それでは前会に御報告いたした後の状況をお話いたします。前会は五月十二日までのことをお話をしたと記憶しております。五月十 二日に署名を終るという打ち合せをするところまで進捗した、こういうことをお話しておきました。それに違いないと思います。 そこで六月十二日に漁業協定と海難救助の協定に署名をするように準備を進めて参りましたところが、同日の夜、署名直前に至ってソ連側は、十一日、つまり前日に双方の間で了解に達した本年度の日本側漁獲量六万五千トンをとることは、漁業に対する条約が効力を発するのでなければ認め得ないとの主張をにわかに強調したために、わが代表からそういうことでは困るからというので強くソ側の再考を促したところ、イシコフ代表はそれではブルガーニン首相と協議しなければならぬから、協議をして十四日に返事をする、それまでお待ちを願いたい、こういうことでわが代表はモスクワ出発を一両日延期をすることに決定をした、こういうことが十二日の状況でございます。 それからいよいよその返事が十四日にソ連側から参りまして、その結果話し合いがついて、そして暫定的の取りきめが成立した、こういうことを言って参りました。それが十四日のことでございます。その結果といたしまして漁業、海難救助両協定に署名を了したという報告が昨夜参っております。
○穗積委員 質問に入ります前に、今の一般報告の中で今年度の漁撈に対する方法についての話し合いの具体的な内容はわかりませんか。わかりましたらそれも最初に報告をしておいていただきたい。
○重光国務大臣 その具体的の文書がどういう文書になっておるかということについては、まだ電信が到着いたしておりません。到着の上はこれはすぐ発表できることだと考えております。
○穗積委員 いつ参りますか。
○重光国務大臣 それは私は約束はできませんが、もうすぐ来るだろうと思います。
○穗積委員 それでは河野全権が帰る前にわかりますね。
○重光国務大臣 それはむろんそうです。
○穗積委員 それではちょっとお尋ねいたしますが、この前も私が申し上げましたように、いよいよ調印を完了いたしました漁業協定なるものは、実はあえて言うならば国交回復の交渉の予約協定のようなものでございます。そういたしますと、今まで特に政府の部内、特にあなたによって代表される意見、南千島の領土の復活を前提条件としてでなければ、国交回復はしないという意見に対して、いささか食い違いを生じてきている。あえて言うならば、重光方式と河野代表の考え方の間にずれがあるということは明瞭でございます。そこでこの事実を前にいたしまして重光外務大臣、外務省は、国交回復の交渉について一体どういう態度をもってお臨みになるつもりであるか、そのことについてまずお尋ねいたします。
○重光国務大臣 国交回復、正常化の交渉は、御承知の通りロンドンでこれまでやっておりました。政府は政府の方針によってやっておりました。その方式は今日まで変ってはおりません。おりませんが、お話の通りに新しい事態がここに発生したということは、これは認めざるを得ません。そうでありますからその方針を新しい事態にどういう工合に合せていくか、適合さしていくかということは、これから検討しなければなりません。その検討をいたしました上で政府の考えがきまったならば、その考えによって外交を運営していくつもりでございます。
○穗積委員 他に質問者もあると思いますから、私はきょうは簡潔にしておきたいと思いますが、そこで重光外務大臣にお尋ねいたしたいのは、この国交回復予約の漁業協定の調印にあなたとして賛成された以上は、国交回復交渉を早期に再開される態度と認めていいと思うが、その場合に内容について二つお尋ねいたします。一つは今まで南千島の領土権が事前にわが国に返還されなければ、国交回復の妥結はしないという態度をとっておられましたが、これは根本的にもう一ぺん再検討をしなければならない情勢になってきたと思いますが、それに対する重光外務大臣のお考えを伺っておきたい。これが一点。 第二点は、今度国交回復いたしますための形式についてでございますが、これはいわゆるアデナウアー方式と平和条約妥結方式と二つあると思います。それについて向う側はどちらでも差しつかえないという考え方をわが方に提示いたしておりますが、外務省はこの場合に一体いずれをもって妥結に当られるつもりであるか。その国交回復の方式についてこの際お尋ねいたしておきたい。これが第二問でございます。逐次お答えをいただきたいと思います。
○重光国務大臣 先ほど申しました通り、これから新事態に適合する方法について考えなければなりません。検討をしなければなりません。その検討は政府としては十分慎重に検討する考えでございます。検討をいたしました上で今の問題については私の意見をお答えすることができると考えます。
○穗積委員 御答弁がはなはだ不明確で不満足でございますから、もう一ぺんお尋ねし直しをしなければならないわけですが、すなわちこういうことです。南千片の領土権が最終的にわが方に返還されなければ、国交回復はしないという態度については、これはこの情勢のもとにおいても最後まであくまで日報されるつもりであるのか。必ずしもそれに固執されないで、新たなる情勢の上に立って、新たなる検討を加えて、いずれかに決定して臨みたいと思っておられるのか。そのいずれであるかということを聞いておるわけでございます。 それからもう一つは国交回復の形式については、アデナウアー方式かまたは平和条約方式か、いずれかを政府はまだきめてはおらぬ、いずれかを検討した上で、どちらともまだ政府は固執しておらぬという意味に今の御答弁は伺ってよろしいのでございますか。もう一度明確にしておいていただきたいと思います。まず領土の問題からお願いいたします。
○重光国務大臣 そういうことではございません。私ども申し上げますのは、従来でも領土問題については日本としては日本の主張がある。その主張はあくまでもしていかなければならぬという態度をとって参りました。それは交渉の結果どうなるかということは予測することはできません。これはまた予測してやるならば交渉じゃありませんから、主張だけは主張する、そういう態度でやってきておりますが、それが従来の態度でございます。その態度と、とって参りました方針は従来通りにまだ変っておらない。しかしながら政府は新しい事態が出たということは認めなければなりません。その新しい事態によって、これに従来の方針をどういうふうに適合さしていくかということを検討しなければなりません。検討をしないのにアデナウアー方式だとかなんとかいうのは申すわけには参りません。その検討をした上で私はお答えをすることができるだろう、こう言っておるわけであります。だからそのときは私は十分お答えをいたしたい、こう言えております。
○穗積委員 私の言うのはこういうことなのですよ。大臣率直にお聞き下さい。今までも、なお今後も南千島の領土権を主張することは変りはない、それはわかっております。わかっておるか、今までの方式というのは相手のあることであるけれども、われわれの南千島返還の要求を相手がいれない場合には、国交は回復しないのだという態度をとっておったことは明瞭なのです。そのことを私は聞いておるのです。それをあくまでも固執されて、南千島がこちらへ返らないならば、交渉を再開しても妥結はしないつもりであるという従来の態度を、最後まで固執されるつもりであるかどうか、そうではなくて、それに対しては相手の考え方または情勢の変化によって、根本的に再検討しても差しつかえないかという、いずれであるかということを私は聞いておるのですから、もう少し前へ進んだ、従来より一歩前進した御答弁をいただきたいと思うのです。アデナウアー方式か平和条約方式かということについては、それは検討した上、話し合った上で、いずれかにしてよろしいということは、これはあえて追及いたしませんが、前の問題については南千島が返らなければ国交回復はしないのだ、主張は主張してみるが、相手の出ようや周囲の情勢により不可能であるならば、その問題は考慮するということであるのか、いずれであるかということを聞いておるのですから、それに対してはもっと明確な御答弁をいただかなければ、今までと何ら前進しておらないわけですから、くどいようですが一点伺っておきたいと思います。
○重光国務大臣 私もお願いしたい。どうぞ私の言ことも率直にお聞きを願いたいと思うのであります。私はお答えできることはお答えします。私は何もそれを忌避するものでも何でもございません。これは重大なことでございます。しかし今までの方針が、領土問題についての日本の主張が通らなければ何もかもやらないのだ、こういうことは私は言い過ぎだと思う。私は領土問題についてはあくまでも日本の態度を主張する、こう言っておる。私は主張すべきだと思う。しかしそれは将来どんなことがあっても主張するという意味であるかどうか、これは別問題です。私は今申す通りに、今日政府としましては新しい事態が発生したということは、これは認めなければならぬ。そこで従来の領土問題はあくまで主張して、日本の態度を堅持していく、こういうことが一体どういうことになるのかということは、これは検討してみる必要があると思いますが、その検討をしたしで私ははっきりして、新たな日本の主張はこういうことにすべきだ、こういうことを申し上げ得ると思うのであります。それまで私はそのことに対する考えをここに公けに表示することは待っていただきたい、こう思うのであります。
○穗積委員 この前の私の質問に対するあなたのお答え、きょうのお答えを通じて、あなたの今までの方針からするならば、非常に苦しい立場でおることを了解いたします。しかし二回の御答弁によって、私どもは、南千島が返らなければ絶対に国交は回復しないのだというかたくたな態度については、根本的に再検討する用意がある、そ八だけの余裕はあるという意味に理解いたします。またそうあるべきだと思いますから、その点についてはあまりとらわれないで、相手の出方を見、国際情勢を見て、そうしてこの問題については弾力性のある態度を持って、とにかく国交を早く解決する方向へ努力されることを私は要望いたして、その問題については打ち切っておきます。 最後に一点お尋ねいたしたいのは、いよいよこの漁業協定が調印をされましたが、これは当然批准を与える前に国会の承認を必要とすべき性質のものであるということは明瞭であります。そのときにこの協定を今国会に提出をされて、議会の承認をお求めになるつもりであるかどうか、そのことを一点最後に伺っておきたいと思います。
○重光国務大臣 私はこの協定は国会に出して御承認をお求めなければならなぬという日本の立場をはっきりすることが必要であると思いました。それで向うには交渉のときにはっきりそういうことを申し入れております。従いまして国会に提出して承認を求める、こういう手続を経るつもりでおります。(穗積委員、「今会期中に提出されますか。」と呼ぶ)本会期中にということは、参議院でも質問が出ました。出ましたけれども、私としては国会に対してなるべく早く手続をして出したいという意向を表示する以上に、本国会にどうするということははっきり今お約束することはできません。しかしでき得るだけ早く手続をいたしまして、そうしてやりたいという考えを持っております。
○穗積委員 これはもう漁期も迫っておりしますし、急を喫する問題ですから、もし今国会中に審議が終らないならば、この今回を延長するなり、あるいは臨時国会を緊急な事態として召集して、早急にこの問題について審議を完了すべきであると思いますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますね。
○重光国務大臣 それらのことについて今お約束を申すことは私はまだできません。十分に一つそのことについても相談すべきところに相談をいたして、御返答申し上げることにいたします。
○前尾委員長 松本七郎君。
○松本(七)委員 現在国民が一番心配 しながら注目している点は、今穗積委員からもちょっと指摘されたのですが、領土問題、南千島の問題、これは 確かに外務大臣は主張するところは主張するのだ、これは繰り返し繰り返し言っておられたけれども、現在国民が心配しているのは、結局早く国交回復ができて、そうしてそれによって抑留者も帰ってくる、漁業問題も解決する、こういうところに関心がしぼられてきていると思うのです。そこで主張の仕方はいろいろ方法があると思います。そこを大臣も言われているのだろうと思いしますが、国民の側から見れば、あの自民党の政策としては、南千島を含めて領土問題は解決するのだ、これがあたかも絶対的な国交回復の条件であるがごとくに、国民は大部分が、私は理解していると思う。大臣はなるほど主張するところは主張するのだ、こう含みを持って言われておりますが、自民党の政策として出ておりますのには、領土問題は南十島を含めたもので解決する、それが解決できなければ国交回復をしないのだ、こういう主張が確かにあるのです。政策として打ち出されている。それは政策ですから、このどんどん変ってくる国際情勢に対処して、情勢の変化に応じて変えていく必要もあると思います。けれども今心配しているのは、大臣はそのような含みのある態度でもってなるべく早く国交回復をしようとする意図が見えますからいいんですけれども、自民党の中には、今日新聞でも報道されておりますように、相当この問題については慎重にやるべきだ、南千島を絶対に確保する以外は国交回復するべからずという強い意見もあるやに報道されているわけです。そこでそういう意見があるかどうかは、大臣に御答弁をお願いするのは、今時期ではないと思いますから、それは御答弁なさる必要はないと思いますけれども、大臣の今後定められる方向で党内をまとめて、そうして、この問題に対処される御自信があるかどうか、私はこれは非常に重要な点だと思うのです。と申しますのは、結局それは方式は何であれ、ロンドン交渉の長い間の交渉によって明らかになったように、南千島というものはソビエト側は絶対に謙らないと言っている。今日の河野さんの会談でも、それが明らかになったように報道されているわけです。ですからあるいは大臣も将来のことは、わからないのだ、こう言われるかもわかりませんけれども、その前に現在南千島を固執したのでは、結局国交回復はできなくなって、漁業条約もまた効力が発生しないという事態になりますので、この点の御自信のほどをここで御披瀝願わないと、私ども今後事態を検討する上に、これは非常に大きな要素になりますので、ぜひその点の御答弁をお伺いしたいと思います。
○重光国務大臣 私は今日は、これは前回も申し述べました通りに、モスクワにおける交渉の結果どういう事態になっておるのか、またどういう経緯になっておるのかということは、具体的に明確なる資料を、国会はむろんのこと、一般に出す義務が今私にあるし、また今そうする段階であると実は考えておる、こういうことを申し上げました。それはどういうことを意味するかというと、これはおわかりの通りに、正確な資料に基いて――意見はその次に順序として拝聴したいと思うのであります。これについては同じ材料でも正確であることが必要である。その正確な材料に基いての意見は私はいろいろあり得ると思います。おそらくあなた方の意見とわれわれ、自民党側の意見とは差があるかもしれない。私はそれはかまわないと思う。一つ十分に意見を戦かわしていただく。しかし私の所信を申し上げれば、その上で帰着するところがあると私は確信しておる。これはすべてどなたでも、国家の将来をどうすべきであるかということを考えられて、その点から議論をされるに違いはございません。しかる上は、議論について色合いがあっても、結局は私は方向は一致するように考えます。そこで、そういう順序を経てはっきりと政府は国民の代表として意見を定めることができる、こう考えておるので、私はその点においても寸毫も疑いをいれないのでございます。私は条約文などについて発表のできる最も近い時期にはすべてこれを出して、国民の批判、特にあなたの十分な批判、正確な材料に基いて意見を出し得るように私は取り計らいます。その上で一つ十分御議論をしていただいて、そうして帰結するところに国家として進むべきだと私は考えております。その道を見出すべく最善の努力をすれば必ずそういうようにできる、私はこう考えております。 それから過去のことについて、私は何も領土権の主張ということを軽はずみに主張しておるわけじゃない。あくまで通そうと思ってやっておる。それはそれに違いはございません。しかしながら私は、領土権の主張が通らなければ何もかも御破算にするのだというような意味のことは、申したことはございません。これはまた私としてそういうことを言うべきじゃありません。私は領土権の日本の主張はあくまでも堅持して主張するがいいと思います。それからソ連はこれを譲ることはない、こう言われます。私はソ連としてもこれは譲らないということを言うのは当然のことだと思います。いやしくもそういう方針で交渉に臨んでおる以上は、その主張を千分に堅持するということは、日本側も同様であるし、ソ連側も同様であると思います。それだからソ連側は譲る意思がないから、日本側が早く譲れという意見は私は出るはずがないと思います。これは戦かわしてみなければならぬ。しかし私は情勢の変化ということを申したこともございます。これは変化する事態を十分に見きわめて、そうして進んでいかなければならぬ、こう思うのであります。それを今申しておるわけでありますが、しかしそれだからといって、私は日本の主張を放棄するがいいということをここで申し上げておるわけではないことは、むろん御承知のことだと思います。そういう考え方を持って進んでおりますから、どうぞそういう大きな意味において一つ御協力を切に私はお願いしたい、こう思うのであります。自民党の議論は私もよく知っております。知っておりますけれども、それは当然のことであります。それについてよく意見を戦かわせられて、そうして行くべきところに行くのがよかろう、私はこういうふうに考えております。
○松本(七)委員 この問題は、いずれ正式にはっきりしてから、具体的になおいろいろなやり方については今後御質問もし意見も申し上げますが、政治的に大事な点を三点ばかり伺っておきたい。それはさっき外務大臣の御報告にもありましたように、本年の暫定措置も協定発効の時期に効力を発生するという向うの意図であったけれども、これは結局向うが譲歩して暫定措置は調印と同事に発効するのだ、こういうふうな言葉がありました。これはそういうふうな結果になったからいいようなものの、ソビエト側としては、本年の暫定措置もやはり本協定の発効と同じ時期だということを一たんは持ち出したのですから、やはりそういうことを希望しているのだろうと思う。そうなるとやはり政治的にはそういう点を考慮して日本の政府はやるべきだ。法的な効力は、もう暫定措置はすぐやれる、漁業もできるということですけれども、向うはやはりそれを希望しているのですから、今後やはり漁業を円満にやり、そうして、日ソの関係を円満に近めていくためには、やはりなるべく早く国交回復というものをやれるように努力されるのが、私は当然政治的に道義的に必要なことだと思う。そうなると鳩山総理大臣は七月の八日までにはやると言ったというようなことが報道されておりますが、なるべく早くやるか、少しゆっくりやるかということも、やはり今後やる方式にも私は関係してくると思うのです。そういう意味で一番早くやれるのは、どのくらいの時期を予想されておるでしょうか。そんなことはまだ全然見当もつかないという御意見ならばそれでもいいですけれども、いかがですか。
○重光国務大臣 今言われましたことは、私の言葉を繰り返して言われたわけであります。つまり漁業条約の効力の発生のときに、暫定取りきめの効力が発効するのだ、それまでは効力は認められない、こういったがために、日本側と意見が相いれないことになって、日本側は強く反省を求めた、こう申しました。その通りでございます。そこで漁業条約が効力を発生するのは、国交の回復後ということになっておるから、お話の通りにソ連側は今年の漁業もこの国交回復をしてからにしてもらわなければ困る、こういうことを一たん言い出してきたことは、ここにはっきりいたしております。しかしそれについて話し合いがついて調印をしたということになっております。それはどういうこと意味するかといいますと、私はそういう文字が報告にあるわけではありませんけれども、ことしの漁期はもう始まっております。しかしてこれは間もなく済みます。その漁獲を円満にやるためには、すぐ今国交調整をやるということは、それはやり方によってはできぬこともないでしょう。そこでアデナウアー方式ということも出るわけでしょう。しかしそういうことでは日本の国論をまとめるわけにはいかぬということはわかり切っておる話であります。ですからそういう無理なことを言ってもできぬじゃないか、そういう不可能なことを言わぬように引っ込めてもらいたいといって強く要請したのに間違いはないと思います。そこで、ソ連側も、さような不可能に近い問題を提起することは適当でないと考えて、これは相談の結果撤回したのであると思います。どういうことで話し合いがついたということは、まだ暫定協定の文書がはっきりしないから申されませんけれども、そういうことだろうと思います。それならば今お話の、ソ連はそういう意向を打っておるのだからそれも考えなければならぬじゃないか、それはその通りであります。しかしそれだからソ連の言う通りにやらなければならぬという議論もまた出ない。これは将来考えなければならぬという点はその通りであります。そうしてうわさだけでは困りますし、党派だけの問題ではございませんから、世論もそういうようなことを十分考慮に入れて、これから正確な資料に基いて御議論をしていただきたい。そこで外務省は知っておる限りのものを発表しておるわけであります。この議論も急ぎはいたします。私が日ソ交渉が始って以来繰り返し繰り返し申しておることは何であるかというと、日ソの国交正常化をはかるということは、平和のためになるべくすみやかに実現したいということであります。しかしながらそれがためには日本の主張は十分にしなければいかぬ、あくまで日本の主張もしなければならぬ、その方針でいっておることを申し上げてきておるのであります。そういうわけでありますから、この問題については十分に議論を尽していけば、私は必ずいくべきところがあるように考えるのでありますから、そういうことを先ほど申したわけでございます。
○松本(七)委員 それで理論的にいうと、本来なら国交回復ができてそれから漁業協定ができるというのが順序です。けれども日ソのロンドン交渉その他いろいろのいきさつがあってこういう事態になった。しかし理論的にいえばやはりそうなのですから、ソビエト側が漁期である八月十日過ぎてから国交回復ができるなんというのではおかしいと思うのは当りまえだと思う。ですからやはり日本としても少くとも八月十日までには、何が何でもそれ以上に延びるようなことがないように、国交回復を実現するという決意を大臣はお持ちであろうと思うのですが、その決意があるかどうかということが一つ。 それからもう一つ、国交回復というのは日本の今後の外交ばかりではない、すべての面にわたって非常に大きな意義があると私は思うのですが、交渉中は別として、いよいよ国交回復の最後の妥結をするという場合に、この前鳩山総理大臣は自分でモスクワなりどこにでも行ってもいいというようなことを言われたことがある。あのときに当委員会でも外務大臣にそのことをわが党の委員から伺いました。ところが外務大臣から、必要があればそういうことも考えられるという御答弁があったのであります。この漁業問題が解決し、今後旧交回復がいよいよ実現しようとするときは、からだの不自由な総理大臣にほお気の毒ではございますけれども、私は総理みずからがモスクワにでも乗り出して、最後の締めくくりをされることが非常に意義のあることであると思うのであります。ソビエト側でも、いろいろ情報の伝えるところによりますと、先般ブルガーニン、フルシチョフがロンドンに行きましたとき、セロフという国家保安委員会の議長がジェット機で行きました。あれはTU104型ですか、このジェット機を鳩山総理がもしモスクワに来るならば差し向けてもいいということを言っておるそうであります。そのくらいの熱意があるのだろうと思います。そういうわけで一つこの機会に、私は鳩山総理大臣みずから乗り出されることを、外務大臣からも極力勧めていただく方がいいのではないかと思うのですが、それに対する御意見もこの機会に述べていただきたいと思います。
○重光国務大臣 そういう点については御意見を十分に伺っておくことにいたします。ただいま一つの点の、この暫定取りきめをやる前に国交回復をやるのが順序ではないかという意味のお話でありました。私はそうは思いません。この暫定協定というのは公海における漁獲のことを話し合いをするのであって、それは国交の調整とは何も関係がなくてやれると私は思う。それから漁業協定にしたところが、こういう専門的の協定をするのにはいろいろ例もございますが、それは国交の調整と必ずしも関係があると断言をすることはできません。 〔委員長退席、石坂委員長代理着席〕 それは関係がないという建前で始めました。しかしこれは国々の考え方は国々によって立てらるべきでありまして、ソ連の方は国交調整が先に必要でもる、こう主張してきたことはこれまた事実であります。その点ちょっと申し上げます。
○石坂委員長代理 田中稔男君。
○田中(稔)委員 二、三大臣にお尋ねしたいと思います。大臣の憂国の至情というようなものは、私どもも共感するところでありまして、私どももそういう気持です。ただ不幸にして意見が非常に違う。 そこで私は、今度の漁業問題と関連して日ソの国交回復の問題、これが最初鳩山吉相あるいはその側近の御意見では、領土問題はあと回しにしてとにかく国交の回復をはかろう、それから領土問題につきましては、歯舞、色丹で大体妥結をして、自余の領土につきましてはこれを将来に保留する、大体こういうふうな御意見であったと思うのであります。ところが自民党の内部のいろいろな意見があり、外務大臣はその自民党の中の強硬派といいますか、そういう方面の意見をむしろ代表されて、南千島まではどうしても返してもらいたいというようなことを交渉の中途から強硬に主張された。こういうふうなことになりまして、ロンドン交渉は無期休会というような形になったわけであります。ところが今日の段階におきましては、アデナウアー方式をとるという話もあります。与党の中にそういう意見もありましょうが、大体平和条約でいきたいという御意見の方が強いようであります。その場合にはやはり歯舞、色丹で一応妥結するより仕方がないというような御意見が多いようでありまして、おそらくそういうことになると予想される。そういうふうになりました場合には、私は外務大臣の重大な責任問題が発生すると思う。私どもから見れば、むしろ首相が客観的に正しい交渉方式をお考えになっておったのに、外務大臣がそれに むしろ異議を唱えたというようなことで、日ソの国交回復がおくれた。従ってまた漁業交渉においても非常に不利な結果に追い込まれた。こうなりますならば国益を阻害するというような結果になったわけでありまして、外務大臣の重大な責任問題だと私は思いますが、それについてはどういうふうにお考えになりますか、御答弁願います。
○重光国務大臣 政府のきめました方針に従って外交を運用することが、私の役務であり責任であると思いますがそうして参りました。その政府のきめた方針は、もう国会に対しても繰り返し申し述べておるのでありまして、それに対しては国会の御承認を得たと確信しております。それによってやってきておるのでございます。 それから自民党の話がございましたが、自民党は自民党としての政策をきめております。私も党員としてむろんこれに賛成をしております。その自民党の決定した政策については、これは政府の方針ではございませんが、私も一党員として、それによって動いてきておるわけでございます。これが政策の運用であり、交渉の仕方はそういう工合にしてきておるわけでございます。それについて私はなはだ不敏の責めは免れません。しかし政府の方針を私は逸脱し、もしくは変更したことはございません。それを運用して参ったのでございます。
○田中(稔)委員 今の御答弁は私は不満足であります。過去のことはともかくとして、今後の日ソ交渉に当りまして、大臣は総理のお考えと違った立場をとられるようなことがあるかないか、これはあってならないことだと思います。実は国論はなるべくなら一つにまとめたいが、それもよかなかまとまらない。しかし国論はまとまらなくとも、少くとも閣内の意見がまとまらないと、国民は方途に迷うと私は思うのであります。今私が申しましたように、過去においては明らかに総理と外相との間には、日ソ交渉についての意見の資格がある。しかし過去は問わない。今後鳩山首相、これは内閣の首班でありますから、その鳩山総理の大体お考えになります方向に対しまして、外相も同調なさるお考えかどうか、あるいは自民党の内部のいろいろな御意見に立って、むしろ総理のお考えとは遣った方向をみずから打ち出そうというようにお考えになるかどうか、これは今後にとって非常に重要なことでありますから、その辺のことをお尋ねしておきたい。
○重光国務大臣 そういう点を特に御質問ですから、お答えをいたします。 過去において、国会において、特に社会党方面から繰り返し繰り返し、お前の考えと総理の考えは違うじゃないかということを、いろいろ新聞記事等を引用して質問がございました。私も総理もこれに対してははっきりとお答えをして、食い違いはないのだ、政府のきめた方針によってやるのだということを申し上げておきましたが、それについては十分に御納得を得なかったようにも見えました。今日もまた、はっきり違っておるじゃないか、こう言われます。私はこれに対して御返事を申すのは、同じ鳩山総理の主宰の政府のもとにあって相談をして決定をしてやっていくのでありまして、少しも違っておることはない、こう申し上げます。それは、自民党の内部においても、自民党総裁は今日は鳩山総理でございます。自民党すなわち鳩山総理、これの意見が違っておるとは私は思いません。しいて違っておる違っておると言われるのは、違っておることを希望されなくても、それを非常に直面したい、これは党派間の関係としてあり得ることだと思います。そういう立場ならこれはやむを得ません。しかしながらこれは違いません。自民党のすべての問題について、やっぱり個人としていろいろ気持が違っておることはございましょう。しかしさようなことは私は当然のことであって、それは政策をはっきりきめる場合においては、みんな解消してその政策に帰一しなければならないことだと考えております。従いまして政府部内はむろんのこと、これを支持する与党の考えも、そういう工合にならなければならぬように考えます。それのみではございません。私は国家の大きな外交問題などについては、国家的にやっぱり考えが一致するということがぜひ必要だと考えます。それがためにいろいろな立場々々による気持はありましょうけれども、結局は結論において一致するように私は努力をいたしたいと思うのであります。それがために材料も出し、議論もしていただきたい、こう申しておるのでございます。さようにして一致した国家の行動をとりたい。そうしていかなければ、ほんとうに大きな国家的の力が出ないように感じます。これはこの問題に限らずでございますが、大きな問題はすべてそうで、私はそれを希望しておるわけでございます。そこでその気持の点で、どこが違っておる、ここが違っておるということは、それはたとえば自民党の中に強硬派があるとか、どういう派があるとか言われますが、それも気持の違いはありましょう。しかしながら必ずそれは結論においと一致していくことと思います。またそうしなければならないと思います。私はそういう考え方をもって、過去においても現在においてもやっておるわけでございます。
○田中(稔)委員 今の国論をなるべくまとめたいという御希望であります。が、私も同感であります。そして単に同感を表明するだけじゃなく、現在までわが党は、日ソの国交回復については、鳩山内閣の方針を支持してきたのであります。むしろ鞭撻してきたのであります。鳩山内閣というのはずいぶん反動的な性格を持った内閣である。だから鳩山内閣を何からかにまでわれわれは支持はしません。しかしながら事日ソの国交回復のごとく、日本の外交の一つの転機を作るこの重大な問題については、ほんとに無条件と言っていいくらいこれをわれわれは支持してきた。わが党の委員長も鳩山総理したびたび公式、非公式に会って、プッシュしてきたことは外相御承知の通りであります。しかしその場合は大体鳩山総理のお考えであって、重光外相のお考えではない。どうも重光外相は、鳩山総理のお考えとは違ったお考えを持っておられるようである。だから、わが党が支持する鳩山外交をむしろ阻害するというのは、これはわが党でなく、政府の閣僚であるあなたであったわけであります。だからあなたは国論の統一を希望されますが、それはむしろ顧みて他を言うことであって、一つ閣内の統一をやってもらいたい。その場合、問題はあなたにあると思う。そういうことを私はこの際強く希望しておきます。 その次に一つお尋ねしたいのは、今度河野首相がモスクワから日本に直行しないで、アメリカを回って帰ってくる。これは私は重大なことだと思うのです。漁期はもう今始まっておるというのはお話の通りなのです。しかも制限水域への入漁というものも時期が刻々と迫っておる。そういう際に、電報や何かでは十分なことはわかりませんから、御本人が帰ってき、そうしていろいろな資料を示して、交渉の経過を詳細に閣内においても報告をし、国会に対しても報告をし、国会を通じて国民にも報告をするというのが、今度の河野代表の責任だと私は思う。ところが日本に直行しないで、何の理由あってかアメリカを回って、アメリカ政府の関係者ともいろいろ話をして帰ってくるということでありますが、一体そういうことは外務大臣がお認めになったことでありますか。そういうふうな何か訓令でもお出しになったのでありましょうか、一つその辺のことをお尋ねしたい。
○重光国務大臣 北太平洋の漁獲の問題につきましては、今回は日ソの間に話し合いをいたしたのであります。この問題について、従来の関係から、御承知の通り、米国もまたカナダもいろいろ漁業問題、漁獲の問題について関係を持っておることは御承知の通りでございます。条約上の関係がどうなっておるかということを、私は今的確に申し上げられません、これは調べなければなりません。御承知の通りに、最近までワシントンにおいていろいろ漁獲の問題について国際会議が開かれておったような状況でございます。それでございますから、それに関連をして、今回の日ソ漁獲の問題がどういう関連を持つかということについては、十分説明もし、納得をしてもらわなければならぬ点もございます。そこで、そういうことをするために、カナダ、アメリカ――カナダは松平政府代表がカナダから参ったのでありますから、連絡はつきます。そこで河野代表はアメリカを経由して帰りたい、こういうことを言って参りました。あまり時間がかからない、ごく短時間でございますから、それを許可いたしたわけでございます。
○田中(稔)委員 もう一度はっきり聞いておきます。外務大臣からの訓令に基いて回っておいでになるのですか。
○重光国務大臣 いや、それは河野代表のそういう希望を許可したわけでございます。
○田中(稔)委員 岡田君もおりますから、私はいろいろ聞きたいけれどもこの辺で端折りますが、最後に、ごく最近ソ連が百二十万の兵力をこれから一年の間に削減するということを発表しております。昨年は六十四万削減いたしました。国際軍縮会議はなかなか妥結に到達いたしません。その場合に、何かソ連が平和に関心がないのだ、軍縮に関心がないのだ、こういうふうに西欧陣営では非難しておりますが、しかし客観的な事実は逆でありまして、ソ連の方がどんどんみずから軍縮の実をあげておるのであります。日本の現在の保守派の政府は、アメリカの注文に基いて再軍備をしておる。それは、要するに、ソ連が日本に侵略するとい うことを口実にしておるのであります。ソ連がこういうふうにどんどん軍縮をやって、平和的な意向を実践に表わしておるときに、外務大臣はこのソ連の行動についどういうふうな御感想をお持ちになっておるか、この際一ついい機会でありますから、お尋ねしておきたいと思います。
○重光国務大臣 私もソ連がそういう決定をしたということを新聞の報道によって存じております。私は、これは一つのいいソ連の政策だと、こう考えております
○石坂委員長代理 岡田春夫君。
○岡田委員 多くの委員諸君からいろいろ詳細に御質問がありましたので、私は重腹を避けたいと思います。 まず先ほどの御答弁で聞きのがし得ない点が一点ある。それは、本年度の暫定取りきめあるいは暫定協定といいますか、この協定は国交回復とは全然関 係のないことだという意味の御答弁があったように私は聞いております。それで大臣にお伺いしたいのですが、本年度の暫定取りきめというものは、漁業協定と条約上においては不可分の関係で起草され、調印されたものとわれわれは考えておりますし、また河野代表がモスクワに参りましたのも、何と言っても本年一度の暫定協定を取りまとめるのが主目的で行ったはずです。その主目的で行って、話し合いの結果として、漁業協定の問題ができて、この漁業協定の問題の中に国交回復の問題が出ている限りにおいては、当然これは不可分の問題だと言わざるを得ないのであります。そういう点について、あなたは全然無関係がないのだという御答弁でありますが、それでは、全然関係がないという御答弁は、いかなる根拠に立つであなたはお考えになっているのですか。われわれから見る限りにおいては、どういう解釈をして、漁業協定を通じて二つのものが不可分に結びつけられておるということを見ざるを得ないわけであります。それにもかかわらず、ことさらに関係がないかのごとく言って、あなた自身がいまだにそういう格好で国論の不統一の代表的役割をしているというのは、われわれ心外にたえないと思いますが、関係のあることは関係があるとはっきりお話しなさったらいかがと思いますので、この 一点をまず伺います。
○重光国務大臣 私は、その点に対しては、先ほどの松本君への答弁の通りです。関係がないとも何とも言いはしない。(岡田委員「さっきはっきり言っているじゃないか。」と呼ぶ)さっき、言いはしない。(岡田委員「速記録を見てごらんなさい。みな聞いているじゃないか。」と呼ぶ)私は、松本君の質問に対して、関係がないとは決して言わない。そういうようなことは今後考慮しなければならない、しかしながら向うが申し出したこの文句はあるいは撤回したか、それともそういうようなことによって話し合いがついたと思うということを申し上げた。関係がないと言ったことは一つもありません。そういう事実に反するようなことを言っちゃ困る。
○岡田委員 この点は重大ですから、あとで速記録を調べた上で、明らかにいたします。 第二の点は、私はよくそういう点を大臣の御答弁で伺うから、私は申し上げているのですが、この前の委員へ会で、あなた自身に私は念を押したじゃありませんか。この漁業協定並びに海難救助協定の発効は、国交回復の日である、国交回復のときであるという意味になっておるではありませんかと私は聞いた。そうしたらあなたはそのとき速記録をお調べ下さい、はっきりそうじゃないと言った。漁業協定の文章の中に、国交回復ではなくして、平和条約を締結したときである、こう書いてあるのに、君は何を違うことを、うのか、こう言ったじゃありませんか。事実はどうですか、私の言った通りじゃありませんか。国交回復の日というのははっきり入っているじゃありませんか。あなたは速記録をお調べになって、はっきり間違っておったのなら、あらためて御訂正になったらどうですか。国交回復と平和条約をことさらに結びつけて、あなたはロンドンの交渉方式だけをとろうとする、すなわち鳩山総理の考え方と違う考え方をとろうとする結果が、このような形になって現われているじゃありませんか。しかしも調印の中にはアデナウアー方式を含めた国交回復の方式が取り入れられているじゃありませんか。あなた自身の方針がここにおいてはっきり変ったというのならば変ったと改められたらいいと思うし、これはこの前の速記録にはっきり残っておりますからお調べ下さい、間違っているのなら訂正をなすったらよろしいと思う。
○重光国務大臣 その点ははっきり申し上げます。あれは何日の委員会でしたか、十二日の土曜日でしたか、その土曜一日までに得ておる情報によってはっきりと申し上げたのです。それは、そのときまでに妥結をした海難救助の条約第七条において、日本国とソビエト社会主義共和国連邦との間の平和条約の発効の日に効力を生ずるということになっておったのでございます。しかしそのときに私は、五月五日の河野・ブルガーニンの話し合いがあったときに、平和条約の発効の日か、もしくはロンドン方式か、アデナウアー方式によってやらなければいかぬとブルガーニンの方から意見の表示があったということを申し上げておいた。ところが条約文にはそうでなかったのです。しかるにその後ソ連側からそこを訂正して参りまして、漁業条約にはこう書いてあります。日本国とソビエト社会主義共和国連邦との間の平和条約の効力発生の日、または外交関係の回復の日に効力を生ずるということになっております。そして海難救助協定もその通り訂正をして参っております。私はその後に参議院の外務委員会に出ましたときに、衆議院の外務委員会でこう説明したけれども、それはその後にこうなっているのだとはっきり参議院の外務委員会では説明をしておきました。外務委員会が重なるものですから、私は訂正が徹底しておったと思っておりました。そういう状態でございます。その点については、私は新聞記者に対する談話においても発表いたしておきました。でありますから、国交回復のときということに条約上はなっているということをあらためて一つ御了解を願います。そうなっております。
○岡田委員 大体私の申し上げた通りに御訂正になったものと解釈をしたいと思います。参議院の外務委員会で訂正されたのですから、ただいまの御答弁は、衆議院における御訂正であると私は理解いたします。 次にもう一つ大きな問題があるのですが、きょう河野代表はパリに到着いたしました。そのときの新聞記者団会見でも発表されているのですが、おそらく公電としてあなたの方に入っているはずです。日本とソビエトは国交を回復するようになるならば、その場合において国連加盟について、ぜひソビエト側の御協力を願いたいという申し入れに対して、ソビエト側はそれを全面的に支持するいう態度を正式に表明したということが伝えられておりますが、この点についてはどのようになっておりますか、お伺いいたしたいと思います。
○重光国務大臣 国連加盟の問題は、モスクワにおける漁業交渉には出ませんでした。少くともそういう報告は得ておりません。しかしながら国連加盟は、以来ニューヨークにおいてもその他の土地においても、関係各国に対して日本の希望は十分に徹底しておるわけでございます。ソ連もよく承知をいたしておるわけでございます。ソ連は国交回復はその前提であるというあいさつをしょっちゅうしているのであります。それによって判断ができると思います。
○岡田委員 またあとで御訂正にならなくてはならぬ場合ができるかもしれません、念を押しておきます。 きょうのパリの記者会見において、明らかに日本の国交回復がされるような場合においては、当然国連加盟についても協力願いたいということに対して、これを全面的に支持するという河野代表の発表があったわけです。あなたの方は、そういう事実はないとお話しになった。漁業に関係がないからそいう事実はないとお話しになっておりますが、そうではなくて、ブルガーニン首相との会見においてその話があったのでありますから、当然これはあったものとしてあなたはお認めにならなくてはならぬと思うのであります。こういう事実があるならばなおさら国交の回復をしなければならないと私は思うのです。国連の加盟のためにもなおさら国交回復を急ぐ必要があろうと思うのですが、こういう観点からいっても、ぜひとも御努力を願わなければならぬと思います。 次に、先ほど田中稔男君からの質問に関連して、河野代表がアメリカ、松平大使がカナダを回ったということに関連して、あるいは近いうちに太平洋の漁業問題についてアメリカ、カナダ、ソビエト、日本の四ヵ国の漁業会議を開かなければならないようになってくるのではないかと私は考えておる。こういう点についてはむしろ日本側からこの三カ国に呼びかけてでも漁業会議を開いて、日本の漁獲の問題について討議する必要に迫られていると私は考えるのでありますが、この点外務大臣はどのようにお考えになりますか。 それと関連して、日本とアメリカ、カナダの漁業協定というのは、日ソ漁業協定よりもっと過酷なものであることはおわかりの通りであります。なぜならば、西経百七十五度の線以東は漁船は一隻も入ってはいけないということになっております。こういうそれこそ公海上の制限を侵害するような漁業協定、吉田内閣のときにいい気になって調印してきまってしまっている。これを改訂しなければならない。日ソ漁業協定でこれほど日本側の主張を言わなければならない立場であるとするならば、日米加の漁業協定を改訂するような努力をされるお考えがあるのかどうか。 第一点は、四カ国の漁業会議をおやりになる意思があるかどうか。ほかから提案があった場合には、それに日本は参加すりおつもりがあるかどうか。そして日米加漁業協定を改訂する意思があるかどうか、この三点をお伺いいたしたいと思います。
○重光国務大臣 いろいろ非常にきびしいところにお話が向うよりでありしす。私ははっきりしておきます。さっき私の発言をここで訂正をしたことに了解されるとおっしゃいましたが、そうじゃございません。私の発言は前の通りでございます。前の通りでございますが、その後にソ連側が案を変えてきて、その変えたものを日本側が承諾したという、その事実を報告したわけでございます。 第二の、日米加条約の点は、私はそういうようなことも十分注意して検討しなければならぬと思います。しかし、まだそこまでは参っておりません。 それから、さらにまた言葉の点でございます。今、国連問題についてそういうことがモスクワで起っていない、私はそれは公電について申し上げたのです。そういう報告を得ていないということを申し上げたのでございます。しかし、それはパリで河野代表がどういうことを言われたかということを否認する意味ではございません。それは河野代表に聞かなければわかりません。私はそういうことを申し上げておらぬ。またそういうことは、私の考えでは、ソ連の従来の考え方によってよくわかることでございますから、それを今さらその問題についてモスクワで取り上げられたものでないとは思いますが、公電を入手しておりません。それを申し上げたのでございます。お前またあとから訂正しなければならぬようになるじゃないか、こう言われるから、先ほどのやつも私は訂正をしたのではございません、追加的に報告をしたことである。今の国連の問題もそういう公電によって申し上げておることを申し上げておきます。あまり誤解があっては困る。またひどい目にあわされちゃこっちも困るから……。
○岡田委員 それから日米加ソの漁業会議の問題、この提案があった場合にどうしますか、こちらから提案もしますかということを聞いているのです。
○重光国務大臣 提案をする用意は今はございません。ございませんけれども、十分そういうようなことも考えなければ――魚をとるのですから、いろいろ交渉もしなければならぬのは当然のことです。
○岡田委員 もうこれで終りますが、先ほどの御答弁で最初のところがきわめておかしいと思う。あなたは参議院のとぎには訂正したのたけれども、衆議院の外務委員会では訂正しないとおっしゃるのですか。追加をしたと言ったって、別のことと違うなら訂正というのは当りまえじゃありませんか。だから前のことと違っているなら訂正とおっしゃったらいいじゃありませんか。それを訂正と言わないで何と言うのですか。それが一つ。それから、あとから直せ直せと言われたら云々とお話しになるけれども、パリで現実に河野代表が言っているのですから、その事実をお認めになったらいいじゃありませんか。日ソ交渉を早く妥結したならが日本も国連に加盟できるのだということは、河野代表もブルガーニン総理もお互いに合意に達したわけですよ。あなた自身に連絡がないのは、あるいはあなたを河野代表が信用していないから知らせないのかもしれないですよ。(重光国務大臣「むちゃなことを言わぬでもいいじゃないか。」と呼ぶ。)むちゃじゃないですよ。鳩山総理の方に連絡があって、重光外務大臣に連絡がないのかもしれませんよ。事実は事実としてお認めになったらい いじゃありませんか。
○重光国務大臣 そういうむずかしいことを言われるから私は先ほども言ったのです。参議院においても決して訂 正ということは――もし言ったならば言い過ぎです。訂正じゃないのです。そ のときまでは、こうであったけれども、その後に、こういう報告があったという ことを私は申し上げた。私はこういう重大な問題は、いわゆるアップ・ツー・デート、そのときまでのことについて虚心たんかいにここへ資料を出しておる。それをとっつかまえてあとから……。
○石坂委員長代理 森島守人君。
○森島委員 先ほどから伺っておりますと、安全操業に関することについ て、新聞では紳士協定ということを伝えておりますが、これも何らか文書になったものに河野さんが調印せられたのであるか、この点がはっきりいたしておりませんでございますから、一つ御答弁を願いたいと思います。
○重光国務大臣 私は、その点は、先ほど御説明した通りに、はっきりした報告がないということを申しておきましたことは、何か、やはり文書があるではないかと思います。そこで、もしそれがあれば――それはどういう御質問の趣旨かわかりませんが、もしあればすぐ遅滞なくこれは発表することに取り計らいたい、こう思っているわけでございます。
○森島委員 それは文書自体の正確なるテキストはまだ外務省へ来ていない、しかし何らかその内容を伝えるようなものでもあったのでございましょうか、その点も一つお伺いしたいのです。
○重光国務大臣 その点については、先ほども申した通りに、話し合いがついたということでございますから、話し合いがついたということについて、その話し合いのついたという内容を想像してみるのに、ソ連は、その効力の発生はやはり漁業協定と同じことだ、こう言っているのでありますから、それに対して撤回を求めたのでありますから、話し合いがついたという以上は、そういう種類の話し合いになっているのだろうと思います。それからまた内容として、少くとも想像ができることは、六万五千トンをとるということに対して、こういうソ連理の意向が表示された、こうあるのでありますから、六万五千トンをとるということについては合意がなければなりません。そういうことについて、合意は私は何かの形においてあると想像をしているのであります。そういう、正確なことはまた入手次第申し上げます。
○森島委員 これは松平大使もついていっているので、事務的な取扱いについては万遺漏がないと私は信じておるのですか、今までお話を聞いたところでは、日本の業者が最も重要視している、政府も当初は国交回復の問題なんかにわたって話してはいかぬのだ、主として今年度の問題に話し合いを限定するという方針であったので、その点から考えましても、安全操業の問題に対する河野全権の取扱いと申しますか、報告ぶりと申しますか、私はきわめて不親切であった、もっと親切に日本の国民に情報を即刻提供すべきものだ、こう思うのです。それは重光さんも私は御同感であろうと思う。私は、河野さんに外務省がなめられておった、こう申し上げても差しつかえないじゃないか、こういうふうに信じておったのでありまして、ちょっと私設ですからここで引用するのは控えたいのですが、法眼参事官があさって帰ってくるとか申しまして、法眼参事官がおそらくそのテキストを持ってくるのではなかろうかというお話もありましたが、これは事実でございますか。
○重光国務大臣 法眼参事官があさって帰ってくるということは私は知りません。むろん一切の書類を持って帰ってくるだろうと思います。 それから、できるだけ早くそういう問題を送ってくるということは当然のことでございます。外務省からも人が行っておるのでございますから、十分その点は抜かりなくやっていることだろうと思いますが、その的確な文面がまだ来ていないということを申し上げているのでございます。しかし、その内応を想像してみ、今までの電信の往復から見ると、そういう問題があるということ、これはどれだけとれるかということが一番大きな漁業者の何でありますから、そうしてすぐ安全に出かけ得るということが一番重要な点であります。そういうようなことはもう即刻国民に知らしておるわけでございます。そして、要領はできていると思いますが、さらにまた的確な文書がどういうことになっているか、形式的なことは入手次第に申し上げる、こう言っておるのであります。それからまた外務省に対して非常に御同情のないお言葉がございましたが、最近の何によりますと、実は私は向うでそうだろうと思います。ああいう会議があれば、実に事務がよけいになってみんなへとへとになるということはあなたも御存じの通り。ところが今度は、また特にひどかったらしい。そして徹夜々々で卒倒する者も出てきて、一会議終れば一日、二日は少くとも休養させてもらわなければ健康がどうしても保てぬというようなことまで言っ参っております。私はこれは想像にかたからぬことだと思います。そういうようなことをしてやっておるのでありますから、幾分かそこに電信がおくれる、これはどこでおくれておるのか、出すのがおくれておるとばかりは限らぬでございましょう。さようなわけで、内容はおよそ今申しておることで、すべてわかっておるわけでありますから、用は足りておるわけであります。
○森島委員 漁獲数量のほかに、ソ連側が一方的に設定しました制限地域をそのまま認めるとか、日本が自主的でなしにソ連に押されてこれに屈服する、と申しましては言葉が過ぎるかもしれませんが、これを容認しておるなんということは、私は李承晩ライン等の関係から重要な問題だと思うのでこれを特にお聞きしたわけですが、きょうはこれ以上やりません。 そのほかに、先ほどアデナウアー方式、それからロンドン方式ということについて御意見がありましたことはよくわかります。直ちに今意見を述べろと言いましても、述べるお立場でないことはよくわかりますが、私の考えでは、アデナウアー方式をとるといたしますと、ソ連が日本に譲渡の意思をすでに表示しておる歯舞、色丹をも含めて領土問題が全部たな上げになる結果になる、これは必然だと私は考える。そこで平和条約方式をとれば、少くとも歯舞、色丹は松本君が言っておる通り日本に返ってくることは確かである、日本側としては南千島を放棄せざるを得ないことになるものと私は信じておるのですが、これらの点につきましても、もし許すならばこの際御意見だけでも御発表願えたら非常に好都合だ、こういうふうに考えておるわけであります。
○重光国務大臣 私は今の御意見と申しますか、御観察、そういうようなことも十分考えなければならぬと思っております。そういうようなことを考える必要があるために十分慎重に政府の考え方をきめなければならぬ。それはしかし国交回復をどうするかという前提もございます。すべての問題について考慮します。それから今お話の通りうっかりすると歯舞、色丹も取り逃がすようなことがあってはならぬという御心配もございます。私はこれまでよく国会で伺ったのでございます。社会党の方々で、アデナウアー方式でやった方がいいじゃないかという議論を吐かれる方もあった。またこれに反して、領土は南樺太も千島もあくまでこれは返してもらうことを主張するのがわれわれの立場だと言って、非常にそれを力説された方もございました。私はこれは両方とも非常に有意義なことだと実は考えて伺っておったわけでございます。いわんやそういう問題について少しでも不利益になるような立場は、これはよほど考えなければならぬと思う。これは一般的の話ではなはだ恐縮ですが、どうぞ一つそういう点も十分御検討を願いたいと思います。
○森島委員 社会党の個人的意見――社会党の者から発言があった点について御議論がありましたが、社会党の方針としましては歯舞、色丹、南樺太、千島、全体にわたりまして、これは原則として小笠原、沖縄等の返還に関連して要求すべきだという立場をとっておったわけでございます。歯舞、色丹につきましては先方が話し合いに応じてこれを譲るということになれば、このまま認めてよろしいということを言っておったのであります。党の立場と個人的な意見とをお取り違えにならぬように私はお願いしたい。 もう一点、だから私もしばしばこの委員会で発言をしましたが、私は南千舟を放棄せざるを得ぬことになりはせぬかということを懸念いたしましたので、その際に処する道として、小笹原と沖縄との返還を条件として南千島の返還を要求するのも一つの方法ではないかと意見を述べたのです。それに対しては重光さんも考慮するとははっきりおっしゃいませんでしたが、考慮し得る点だというふうな御答弁をなさったと私は記憶しております。これらの点につきましても、できれば今後の交渉においてひっかかりだけでも作っておいていただくことが、日本の立場として有利ではないか、こういうふうに考えておりますので、御考慮に入れていただきたい、こう存じております。
○石坂委員長代理 この際参考人招致の件についてお諮りいたします。沖縄の土地接収の問題等について参考人を招致し、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石坂委員長代理 御異議なければさように決定いたします。 なお参考人の人選及び招致の日時等につきましては理事会に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石坂委員長代理 御異議なければさように決定いたします。 次会は公報をもってお知らせいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時八分散会