外務委員会 第23号
- 発言数
- 141 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1956/03/23
会議録
○前尾委員長 これより会議を開きます。 理事の辞任及び補欠選任の件についてお諮りいたします。 理事の福永一臣君が都合により理事の辞任を申し出られましたので、この際これを許可したいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○前尾委員長 御異議がなければさように決定いたします。 なおただいまの辞任に伴いまして、その補欠選任を行いたいと存じますが、これは委員長より指名することにいたしまして御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○前尾委員長 御異議がなければさように決定いたします。 高岡大輔君を理事に指名いたします。
○前尾委員長 オランダ国民のある種の私的請求権に関する問題の解決に関する日本国政府とオランダ王国政府との間の議定書の締結について承認を求めるの件、すべての種類の鉱山の坑内作業における女子の使用に関する条約(第四十五号)の批准について承認を求めるの件、有料職業紹介所に関する条約(千九百四十九年の改正条約)(第九十六号)の批准について承認を求めるの件を一括議題といたします。政府側より提案理由の説明を求めます。森下政務次官。 —————————————
○森下政府委員 ただいま議題となりましたオランダ国民のある種の私的請求権に関する問題の解決に関する日本国政府とオランダ王国政府との間の議定書の締結について承認を求めるの件について、提案理由を御説明いたします。 第二次世界大戦中、旧蘭印地域に在住し日本軍によって抑留されたオランダ国民は、食糧不足、悪居住条件、衛生及び文化施設の欠除等によって多大の苦痛をこうむり、その結果として多数の死亡者及び廃疾者を出したのでありますが、昭和二十六年九月のサンフランシスコ平和会議に際し、オランダ政府は、この問題を提起し、その結果わが国の吉田全権委員とオランダのスティッケル全権委員との間で書簡の交換を行い、右の被抑留者が受けた苦痛に対してわが方が好意ある自発的措置をとることあるべき旨を確認した後に、オランダ政府の平和条約調印が行われた経緯があります。 政府といたしましては、両国の伝統的友好関係にかんがみ、また、今後の日蘭協力関係を一そう強固にするため、このような苦痛を受けたオランダ国民に対する見舞金の支払いによって本件問題を円満に解決することとし、昭和二十八年十一月以来オランダ政府との間で具体的な交渉を行なってきたのであります。しかるところ、本年一月に至って、一千万ドル相当ポンドの見舞金を五年間に分割して支払うとの条件をもって本件問題を解決することに、両国政府当局の意見が一致いたしましたので、さらに右解決条件を規定すべき議定書の案文について先方と折衝を行いました結果、今般妥結を見るに至りました。よって去る三月十三日東京において重光外務大臣とロイヒリン・オランダ大使との間でこの議定書の署名を了した次第であります。 この議定書の締結によって戦後の日蘭間における最大の懸案が解決されるわけでありまして、今後両国の親善、協力関係の強化に資すること大なるものがあると確信いたします。 よって、ここにこの議定書の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたす次第であります。 さらに、ただいま議題となりました、すべての種類の鉱山の坑内作業における女子の使用に関する条約(第四十五号)及び有料職業紹介所に関する条約(千九百四十九年の改正条約)(第九十六号)について提案理由を御説明いたします。 すべての種類の鉱山の坑内作業における女子の使用に関する条約は、一九三五年に国際労働機関、すなわち、いわゆるILOの第十九回総会で採択された条約でありまして、この目的とするところは、鉱山における坑内作業が女子にとって風紀上及び生理上好ましくないので、これを原則として禁止しようとするものであります。この条約の内容は、わが国内法においてすでに規定されているところであります。 次に、有料職業紹介所に関する条約は、一九四九年にILOの第三十二総会で採択された条約でありまして、職業安定組織の構成に関する条約を補足するものであると同時に、一九三三年に作成されました有料職業紹介所に関する条約の全文改正条約であります。その目的とするところは、有料職業紹介所の運営にはいろいろの弊害が伴うので、これを廃止するかまたは権限のある機関の監督のもとに置こうとするものであります。この条約は、五部に分れており、その実質的規定は第二部と第三部でありますが、第二部と第主部とはこの条約の批准に当り、そのいずれかを選択して受諾することができることとなっております。この条約の内容は、わが国内法においてすでに規定されているところでありまして、政府といたしましては、この条約の批准に当り、わが国における現在の雇用慣習の特殊性等を考慮して、まず第三部を受諾しておき、将来諸条件の整備を待って第二部を受諾することが適当と認められる時期が参りましたならば、条約第二条2の規定に華さ、政府の権限をもって第二部を受諾する旨の通告を行いたいと考えております。 以上二条約の内容は、ただいま簡単に御説明申し上げました通りでありまして、いずれもわが国内法においてすでに規定せられているところであります。しかも、これら二条約を批准いたしますことは、わが国が公正な国際労働慣行を順守している実情を広く世界に知らせ、また将来もそれを維持していくことを国際的に約束いたしますことになり、ILO憲章の趣旨に沿った国際協力を進める点からいいましても、また、わが国の海外における信用を高める点から見ましても、きわめて時宜に適するものと認められます。 以上の点を了察せられ、御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望いたす次第でございます。
○前尾委員長 これにて提案理由の説明を終りました。ただいまの各件に対する質疑は次会に譲ることといたします。
○前尾委員長 国際金融公社への加盟について承認を求めるの件を議題といたします。質疑を許します。北澤直吉君。
○北澤委員 きょうは外務大臣が出席になっておりませんので、外務大臣に対する質問は留保しまして、事務当局に対しましてお尋ねをしたいと思います。 世界の後進国の開発問題は非常に大きな問題でございまして、後進国の経済の開発を実施して、そうして後進国の国民の生活程度を上げる、これが今日の世界の最も大きな問題であると思うのであります。この後進国の開発のために従来いろいろの機関ができておるわけであります。たとえば世界銀行がその一つ、それからまたイギリス連邦を中心としましていわゆるコロンボ・ブランの計画があります。またアメリカにおきましては、いわめるポイント・フォアの計画によりまして、この未開発地域に対する技術協力を着々と実施いたしておるわけであります。また国際連合を中心としまして未開発地域に対する技術協力もしておるような状態でありますが、何分にも今日の最も大事なこの未開発地域の問題につきまして、これらの機関では決して十分でないということは世界周知の事実であります。今回国際金融公社を作りまして、世界銀行と一体となって、この世界の後進国の開発をするという計画でありますが、これはまことに時宜を得た措置と思うのでありますが、私どもの考えではこれでは不十分である、こういうふうに思っておるのであります。 そこでこの問題についてお尋ねをしたいのでありますが、従来世界銀行が金を融資をする場合には、その融資を受ける企業の存在する国の政府の保証がなければ金を貸さぬ、こういうふうなことでありまして、なかなかその手続もむずかしいし、それからまた政府の保証ということでむずかしいのでありますが、今回のこの国際金融公社はそういう煩瑣な手続を省きまして、金を借りる国の保証がなくても貸せる、こういうふうになったわけでありまして、そういう面から申しますと、融資を受ける方から申しますと、世界銀行よりも便利になったと思うのでありますが、ここで特に伺いたいのは、この世界銀行とこの金融公社とが、特にどういう点で違っているのか、その相違の著しい点についてお伺いしたいと思います。
○湯川政府委員 金融公社と世界銀行との相違点がどういうところにあるかという御質問でございますが、この国際金融公社は加盟国、特に低開発地域の生産的民間企業の成長を助長して、その経済開発を促進することを目的とするものでありまして、その融資は民間資本との協調融資に限られております。そうしてその融資の対象は世界銀行よりも広範でありまして、融資の要件も世界銀行よりは緩和されておりまして、ただいま北澤委員のお話にもありましたように、政府保証を必要といたしません。低開発地開発のための投資の増加及び民間資本流入の促進は、世界銀行としてももとより目的とするところでありますが、世界銀行の融資が政府保証を要求し、また確定利付債券に限られるという性格上、必ずしも満足な成果を上げ得なかったのでありますが、この欠点を補うために考案されたのが国際金融公社であります。 そのほか銀行と公社との差異としましては、世界銀行は百億ドルの授権資本を有しておりますが、公社の資本は一億ドルであって、銀行の場合は加盟国は当初引受領の二%についてのみ金またはドルで払い込む義務があるのでありますが、公社の場合は当初から引受額全額を金またはドルで払い込まなければならない。しかしこれは銀行と公社はお互いに補完し合って、そうしてこの低開発地の開発に当るということになっております。
○北澤委員 この金融公社の構想は適当であると私は思うのでありますが、その資金壁ですね、この公社の授権資本は大体米ドルの一億ドルでありますが、この低開発地域の開発のために要する資金は非常に多いのであります。国際連合の専門家の調査によりますと、世界の低開発地域のために要する資金、外国から供給されなければならぬ資金は大体一年に百億ドルであります。ところがその中で従来大体一年に十億ドル見当の資本が外部から低開発地域に流入しておるというのが国際連合の報告でありますが、こういうふうな状態から申しますと、単に一億ドルの授権資本しか持たないこの金融公社というものでは、どうも十分な活動ができないのではないか、こう思うのであります。もっともこの公社は民間資本との協調融資を目的にしておる。従って民間資本の誘い水になる。従ってこの公社の資本は一億ドルであっても、この金融公社の水先案内によって民間資金がたくさん入るというふうになりますれば、この金融公社との協調融資の関係で民間からもたくさん入るということになればいいのでありますが、そういう意味でこの金融公社というのは、民間資本導入のほんとうの誘い水である、あるいはその水先案内の役をするものである、こういうふうな意味合いでこの資金量が少いのであるか、この点を一つ承わりたい。
○湯川政府委員 お説のようにこの公社の融資は民間投資との協調融資であります。その誘い水としての役割を果すというところに主眼があるわけでございますが、しかしまたこれがいよいよ動き出して、非常に能率を上げて活動していって、もっと資本が要るというような場合には、この協定にも増資の道が開かれております。そういったことで補われておるものと考えております。
○北澤委員 どうもいかにも資本が少いので、私はこういう小さな授権資本では、この公社は十分の活動はできないと思うのであります。一つの例を申しますと、今問題になっておりますエジプトのアスワン・ダムの開発でありますが、あれは英米両国が世界銀行を通じまして、あれを中心にして大体十二億ドルの資金をあそこへ投資をして、そうしてアスワン・ダムを完成してエジプトのあれをやる、こういうふうになっておる。そうするとアスワン・ダムだけでも十二億ドルの金が要る。こういうふうな状態にありまして、しかも一方最近ソ連が中近東なりあるいは東南アジア方面に対しまして、経済攻勢を積極的に展開をして、そうしていろいろこういう問題につきましてもいわゆるひものつかない投資をしようというふうな情勢になっております。この際におきまして、単に一億ドルくらいのこういう公社では、十分な働きはできないのではないか、こういうふうに思うのでありますが、この公社ができまして、今の政府の答弁では将来増資の道が開かれている、こういうのでありますが、私はこれはよほど増資をもっとたくさんしてやらないと、この低開発地域の現地の要請に応ずることができない、こういうふうに思うのでありますが、そういう点について将来の増資の見通しについて伺いたいと思います。
○湯川政府委員 お説のようにこの金融公社だけでは、この低開発地域の開発全部を引き受けるというようなことは、とうていできないのでありますが、しかし世界銀行もいろいろ活動しておることでありますし、コロンボ計画、ICAとかいろいろな機関があります。これもその一環として、世界銀行よりはもっとゆるい条件で投資をやろう、民間と協調投資をやろう、こういうことで発足したわけで、資本金は一億ドルでありますが、二、三年これで行なって、そしてその成績によって後に増資といったようなことをはかる、大体こういう考えでこの構想はできておるように思います。
○北澤委員 次に伺いたいのは、この金融公社を通じて低開発地域に資金を投ずるということと、それから日本がこの公社に加盟をすれば、日本におきまする私企業もこの金融公社から融資を受け得る、こういうふうな利点があると思うのでありますが、実際日本がこの金融公社に加盟した場合は、一体どういう利益が日本にあるか、それから日本はこれに対してどういう義務を負担するか、それに対して御説明を願います。
○湯川政府委員 日本はこの国際金融公社に加盟することによりまして、国際的な経済開発のための投資活動に協力参加することができます。他面、低開発地域、特にアジア、中南米に投資せられた企業に対して、生産財あるいは技術を輸出することができるであろうと思います。第三に協調融資に参加することによって、確実な海外投資の機会が得られるだろうと思います。低開発地域の開発が主たる目的ではありますが、しかし必ずしもこれは低開発地域に厳格に限るというわけではありませんで、目的といたしましては加盟国、特に低開発地域における生産的民間企業の成長を助長するとありますので、日本の場合も、適当な条件を備えた生産的民間企業に対しては、融資の機会もあり得るわけでございます。 義務としましては、一番大きな義務は、この引受額をは供出する、あとはこの公社の職員に対する待遇、普通の国際機関に伴ってあるような義務を負担することになります。
○北澤委員 日本における事業がこの金融公社から資金の融通を受ける場合を考えまして、世界銀行から受ける場合には、金利は大体四分二厘と思うのでありますが、この金融公社から受ける場合は利息は同じでありますか。
○湯川政府委員 この公社の場合、そういった確定した金利はまだきまっておりません。
○北澤委員 それからもう一点伺いたいのは、日本におきまして外資の導入をする場合におきましては、最近政府部内でもはっきりした方針は立ってないようでありますが、新聞報道なんかによりますと、いわゆるインパクト・ローンはいかぬ、外資を導入する場合においては、その資金によって物なり機械なりを買う場合にはいいのであるが、外国から資本を借りて、それを円にかえて、円資金の調達を目的とした外資の導入、いわゆるインパクト・ローンはいかぬ、こういうような意見が一時大蔵省あたりであったようであります。しかし最近はだんだん変ってきて、インパクト・ローンでも認めてもよろしいという、どうも政府の外資導入に対する考え方がふらふらしておって確定しておらぬ、私はこういうふうに思うのでありますが、まずその点について、日本の政府の外資導入に対する方針、特にインパクト・ローンに対する方針がどういうものであるかということを一つ伺いたい。
○佐々木説明員 ただいまお聞きになりましたインパクト・ローンの問題につきましては、はっきりこれを禁止しなければならないという原則に立っておるわけではありません。しかしながらこれを大いに歓迎するということもまた問題があろうかと思っておるわけであります。外貨で払わなければならない用途に充てられるのでありますれば、これはその借り入れが認められなければならないということは、みな見解の一致するところでございますが、国内の資金で調達すれば済むものを外資で調達するという点につきましては、将来に外貨の負担を残す問題でもありますので、その導入される事業、使われる目的等に照らして、十分慎重な検討を要する問題と考えております。従ってそのように個別的ケースにつきまして、具体的に慎重な検討を加えて可否を決定すべきものであると考えておる次第であります。
○北澤委員 私どもの考えでは、もちろん最近日本におきましても、国内におきまする資本の蓄積がだいぶ進んでおりますが、しかし今の状態におきましては、まだ日本は資本が不十分である。特に日本が東南アジア、中近東、中南米に大幅なインヴェストメントをするということになりますと、日本の資金母は少いと思うのであります。その点から考えますと、もし外国資本にして日本に入るものがあれば喜んで歓迎をして、そうして日本の資本の不足を補うと同時に、これを利用して海外に日本の投資をふやす、こういう方向に持っていかなければ、私は日本の経済五ヵ年計画というものはできないと思うのです。これでは絵にかいたもちのようなものであると思うのです。こういうような日本の資本の状況を考えますと、私は外国資本がもし日本に喜んで入ってくるならば歓迎して日本に入れたらどうかと思うのですが、どうも大蔵省の考え方は、その外資が機械とか物とか、そういう形で入るのならいいが、日本の国内の円資金の調達のためならいかぬというような、きわめて消極的な態度をとっておるように思うのですが、こういう点につきましてはもう一ぺん大蔵省は考え直す必要があるのじゃないか、もちろん大蔵省の方では円資金調達のための外資導入は、日本の国内のインフレを助長する、こういうような点を御心配になっておるようにも思うのですが、その点はそう心配されなくてもいいのではないか。特に日本の不足しておる資本を補うためにも、外国資本で入るものはどんどん入れて、そうして国内で使うなり、あるいはもっと海外に投資する、こういうように使ったらいいと思うのですが、そういう点について、もう一ぺん政府の外資導入に対する根本の考え方を一つ伺いたいと思います。
○佐々木説明員 あまり大方針をここで申し上げますには、私では荷が勝ち過ぎると思うのですが、外資の導入につきましては、外資法にきめられております通り、国際収支の改善に役立つか、基礎産業、重要産業の能率向上、合理化に役立つかというようなことで、まず焦点をしぼる建前にしております。委員の仰せになりましたように、資本が不足であるから外資をどんどん入れるかという問題につきましては、やはりその使われる用途について、厳重な、と申しますと少し語弊が出てくるかしれませんが、用途によってスクリーンにかけなければならないものと思っております。しかしながら国際収支の改善に役立ち、重要基礎産業の合理化、能率化に役立つような用途につきましては、それが外資を導入することによって、なおその合理化、能率の向上が促進されるものでありますならば、インパクト・ローンであるがゆえに一がいにこれを排撃するという態度をとらなくてもいいのではないかというのが私どもの省内の考えであります。ただ外資を借りるということが今は楽であっても、将来重い負担を残すわけであります。というのはたとえばイギリスが四十年の終りごろ借りました外資を、今国際収支の悪いときに返すのに非常に苦労しておるように思われるわけでございますが、そういうような事態を見ますと、借りるときにはよくても、返すときは非常に苦しいことがあるということを、やはりよく考えておかなければいかぬのではないかと思う次第であります。外資を借りることのメリットのはっきりしたところを見きわめて借りるべきではないだろうかと考える次第であります。
○北澤委員 どうもその外資の導入につきまして、最近日本の政府は少し冷淡になっておると私は思います。終戦以来日本は外資導入ということに非常に重点を置いておりました。もちろん終戦当時は日本は資本が不足したということで、外資の導入ということについて、非常に重点を置いて参ったのでありますが、最近少し国内の金融情勢がよくなったということから、どうも外資ということにつきまして、従来と違って少し消極的になってきていると私思うのであります。これについて私どもが邪推と言ってはおかしいのでありますが、外資を入れる場合におきまして、世界銀行から大体年四分二厘、それから普通アメリカの民間銀行から日本が入れる場合におきましては、大体年四分五厘の利息でありますが、日本の国内の利息水準は年七分ないし八分、従って外国銀行から借りる場合と日本の銀行から借りる場合とでは、利息が日本の銀行は倍かかるということで、日本の事業者などは、日本の国内銀行から借りるよりも、外国資本を借りた方が利息の負担が半分になるということで、外資を歓迎しておるように思うのであります。これに対しまして日本の国内銀行筋では、そういう利息の安い金がどんどん入られては、日本の銀行が立っていかれないということから、日本の金融界方面では、外貨導入に対しまして消極的な、むしろこれを抑制するような運動があると私は思うのであります。この点については事情はどうでありますか。
○佐々木説明員 私、調査が行き届いていないせいかもしれませんが、日本の銀行が営業をとられるがゆえに外資を借りることをじゃましているということは、聞いておりません。そういうことはないものと考えます。むしろ日本の銀行の場合においては、短期の貿易資金などを運転しますために、外銀から金を借りるようなファシリティが、どんどん与えられることが望ましいと考えているように思われます。
○北澤委員 私その点よくわからないのでありますが、今日日本で最も大事なことは、貿易の増大、輸出の振興であります。それで日本におけるコストの引き下げが最も大事である。コストの中で最も大きなものを占めるのは金利のコストで、年八分の資金を使う場合と年四分の資金を使う場合とでは、非常に違ってくる。従って日本の輸出貿易の増進という見地から見ましても、なるべく安いコストの資金を使わせるということが、大事なことだと思うのでありますが、どうも大蔵省あたりが、日本の金融業者の意向をくんでかどうか知らぬが、そういう安い資金を使わせることにつきまして少し冷淡じゃないか。そういう大きな日本の輸出振興、日本におけるコストの引き下げということから考えて、もっと安いコストの資金を入れさして使わせ、そうして品がよくて安いものを外国に輸出すれば、日本の輸出の振興になると思いますが、そういう点大蔵省の考え方は、少し消極的であると思うのでありますが、もう一ぺんこの点をお伺いしたいと思います。
○佐々木説明員 技術的なことを申し上げるのは、はなはだ恐縮なのでありますが、外銀から金を借りた方が安いのだという前提が、普通の場合にも通るものであるかということに、われわれは非常に疑問を持っております。よく御承知でありますように、金利の高い国に金利の安い国から金が入って参ります場合には、その金利差というものは、通常為替の先物相場の差で消えてしまうというのが、為替の理屈であろうと思います。今の為替の先物相場というものは、そういう金利差を調整するような相場になっておりません。そこで金利を外国から借りた方が安いという格好になっておりますが、私は為替の先物相場の立て方が変って、自然になってくれば、外国から金を借りた方が金利が安いという筋合いになるものでないと考えておりますので、今の先物相場が公定されていて、自然の状況から離れておるという時期に、金利が安いからといって外貨を借りるということについては、慎重に考えるべきではないかと思っておる次第であります。
○北澤委員 どうもその点よくわからないのでありますが、もっと日本の銀行が勉強して金利を下げて、年利四分なり五分なりに下げてもらえば非常にいいのでありますが、今のところまだ七分あるいは八分なのです。その点から申しますと、やはり私は日本の銀行を刺激して、もっと金利を下げさせるためにも、こういう外資の導入につきましてはもっと寛大なる処置をとって、日本の金融業者に勉強させることが必要ではないかと思うのであります。そういう点につきましては政府の方でもお考えがあると思いますが、そういう点についてもっとお考え下さって、日本の輸出振興、日本における生産コストの引き下げという大きな観点から、大いに考えてもらいたいと思うのであります。 それから次の問題に移るのでありますが、日本としましても、貿易の増進ということを考える場合におきましては、いろいろ方法はあると思いますが、一番大事なことは、日本の海外投資を増加する、そうして購買力を与えて、これによって日本の輸出を増進することではないかと思うのであります。最近アメリカなどでも、今年の初めのアイゼンハワー大統領の年頭教書を見ましても、大いに海外に対する投資を増加して、貿易を増進する、こういうふうな方針をうたっておるのでありますが、私は、貿易立国を基本とする日本におきましても、どうしても輸出貿易を増進するためには、やはり海外に投資をして、そうして海外の購買力をふやして、これによって日本の輸出をふやす、中南米、中近東あるいは東南アジア方面における海外投資をふやして、日本の輸出貿易の増進をはかることが必要であると思うのであります。 従来見ておりますと、日本の海外投資はまことに少いのであります。大蔵省からもらったこの資料によりますと、去年の十二月末現在で証券取得による海外投資がたった千四百八十六万ドル、それから貸付金債権が三百八十八万ドル、こういうことであります。日本における国内の資本蓄積の状況から考えますと、もっと海外投資ができると私は思うのであります。従来せいぜい千四百八十六万ドル見当というようなことでは、私は日本の輸出貿易の増加ということにつきましては、とても大きな期待は持てないと思うのでありますが、これはどういうふうなことでこういうふうに日本の海外投資が少かったのか、一つ伺ってみたいと思います。
○湯川政府委員 御承知のように、わが国の民間資本は、戦前の朝鮮、台湾、樺太、満州その他東南アジア各地域に進出しておりまして、これら地域の開発に非常に貢献しておったのでありますが、戦後においては国内の復興に忙殺されまして、著しく立ちおくれの状態にございます。最近ようやく進出のきざしを見せておりますが、今後国内経済が整備するに従って、一そう活発な進出を期待している次第であります。 なお賠償問題が懸案となっておる国につきましては、賠償問題が未解決であるということが、民間資本進出の大きな障害となっておることは事実でありまして、まず第一に賠償問題のすみやかな解決ということに大いに努力する必要があると思います。 なお今後さらに海外民間投資を助長するためには、あるいは新しい構想に基く投資会社あるいは輸出入銀行の開設とか、あるいは投資保険制度の確立整備、それから進んでは租税上の特別措置を講ずる、こういったこともあるいは必要かと思われますが、そういった点についても検討中でございます。 また対外的には、通商航海条約の締結を促進する、あるいは二重課税の防止協定を作る、こういったことも必要かと存じます。
○北澤委員 大蔵省に伺いたいのですが、今日本におきまして資本の蓄積は一年間大体どのくらいでありますか。去年あたりの見当でけっこうです。
○佐々木説明員 資本の蓄積の数字はちょっと思い出せませんけれども、設備投資に使われます金は、年間ほぼ八千億と記憶いたしております。
○北澤委員 私どもしろうとの考えかもしれませんが、国内における資本の蓄積の一側くらいは海外投資ができるのじゃないか、戦前日本の満州方面に対する投資などを見ますと、やはりそのくらいの率で日本は海外投資をしておったと思うのでありますが、もし先ほど申しました年間八千億の一割ということになると八品億です。そうしますと、もっと海外投資ができそうだと思うのであります。そういうわけで、海外投資があまり行われなかった理由は、一体どこにあるのですか。
○佐々木説明員 先ほどちょっと設備投資額を申し上げましたが、経済企画庁が計算いたしました民間資本形成は、三十年度の見込みで一兆二千五百七十億、三十一年度の目標は一兆三千六百六十億ということになっておるわけでございます。民間における資本の形成がこの程度行われておるにかかわらず、海外投資の実績が少いという点につきましては、まず何よりも国内において投資すべき必要が、まだかなり強いものがあるからだろうというふうに感じております。国内における設備の更新、近代化のために、なおたくさんの投資を要するものと考えられますほか、国外に投資をいたす問題につきましては、先ほど経済局長から御答弁がありました通り、外国における日本の企業活動というものに対して、自由なまたは安全な経営ができるような保証が、今のところ必ずしも与えられていない場合が多いように思われます。それは賠償の問題であるとか、先ほどお話がありましたように、通商航海条約の問題があり、なお一般的に日本の投資先と考えられております国の国内政治情勢ないしは経済的な不安というものが強いところから、為替管理についての見通しもまたきかないというような、いろいろな障害がありますために、今までのところ、実績は御指摘の通りの数字にとどまらざるを得なかったと考える次第でございます。
○北澤委員 もちろんそういうように東南アジアにしましても、中近東にしましても、現地の政治情勢が不安であるということでありまして、最も憶病な資本ですから、なかなか海外に出ないと思うのですが、やはりこれは国家がある程度の保証をしなければ出ないと思うのです。今度の国会で輸出保険法の改正によって、海外に対する投資に対しまして保険料をとって保険をする、こういうことになったわけでありまして、これは結局海外投資をする場合に、政治情勢その他によって損害があった場合には国が補償をするという制度は今度新しくできたわけでありますが、あの制度を見ましてもどうも保険料が少し高過ぎる。それからまた国家が補償をする損害の範囲が少い、こういうようなことで、業界からも輸出投資保険につきましては、これをもっと是正する必要があるという声がだいぶ多いのであります。それからまた海外投資の場合におきまして最も大事なことは、いわゆる二重課税の問題であります。日本において課税し、現地においても課税するということで、二重課税の問題は相当大きな問題であるのでありますが、一体政府は海外投資保険をもっと実情に合うように改正する考えがあるかどうか。それからまた二重課税を排除する問題についてどういう考えを持っておるか、これを一つ伺っておきたい。
○佐々木説明員 輸出保険制度を改正いたしまして、投資保険制度を新設することを御審議願っておるわけでありますが、この案について今のところ、その保険する範囲ないしは填補する保険金額の割合が、非常に低いのではないかという御指摘でありますが、その通りであろうと思うのであります。これはただ財政負担とのにらみ合せのところで、さしあたり調節のつくというところで率をきめたためでございまして、海外における危険率というものが漸次減少することが判明いたすに従って、填補率も上げてしかるべきものと考えております。今後も国外の事情あるいは国内の事情等をよく検討いたしまして、先ほどから北澤委員がお話しになっておりますような十分な制度に、順次近づけて参りたいと思う次第でございますが、今のところ財政負担が幾らまで及ぶか、かなりわかりにくいファクターがありまして、場合によってはかなり大きな金額になるかもしれぬというような感じがあるものでございますから、非常に控え目な数字にいたした次第でございます。 なおあとの方にお聞きになりました二重課税問題につきましては、これは私専門でもありませんので、確信のあるお答えを申し上げかねますけれども、外交交渉によりまして、逐次その問題を解決していく方針になっておると了承しておる次第であります。
○湯川政府委員 お話のように、二重課税防止の協定を作るということは必要であると思って、いろいろ考究中でございますが、東南アジア諸国との関係におきましては、相互的な利益がどうもないというので、先方の国々があまり乗り気にならない。そこで私どもとしては今後もいろいろ研究しなければならないわけでありますが、実情はそういうわけでなかなか進んでおらないという状況でございます。
○北澤委員 そういう状態であるとすれば、なかなか日本の民間資本は危険な海外に出ていけないと私は思うのであります。日本の民間資本が安心をして海外に出ていくためには、あるいは投資保険の問題なり、あるいは二重課税の問題なり、こういう問題について、もっと国家があたたかい手を伸ばしてやらなければ、憶病な日本の民間資本は、なかなか海外に出ていかないと思うのであります。そういうわけでありますので、日本の貿易増進の見地から、どうしても日本の海外投資をふやさなければならぬ、こういう国策であるならば、私はそういう海外投資保険、あるいは二重課税、こういう問題につきまして、もっと日本の政府が思い切った方途をとらないと、なかなか日本の民間資本は出ていかない、こういうふうに思うのであります。日本が貿易増進の見地から考えております海外投資でありますから、結局半官半民の機関を通じて、東南アジアあるいは中近東、中南米あたりに日本の資本を出すということ以外にないと思うのであります。 そこで最後に伺いたいのは、前のアメリカの商工会議所の会頭で、今の海外開発諮問委員会の委員長のエリック・ジョンストン氏が最近日本に来まして、いわゆるジョンストン構想というものを発表しております。その案によると、大体資本金十億ドルくらいの半官半民会社を作る、アメリカからその半分の五億ドルを出させて、あとの五億ドルを、コロンボ・プラン関係国、あるいは日本なんかもそれに入って、半官半民の資本金十億ドルの大きな会社を作って、そしてこの会社に二十年から五十年にわたる長期の投資を安い利息でさせる、こういう案をジョンストン氏が発表されて、それに対して日本の政府当局もこれを大いに歓迎する、こういうようなことになったわけであります。最近またダレス長官あるいはロバートソン国務次官補が日本に来られまして、政府当局にもこういうことについて話があったと思うのでありますが、こういうような特に東南アジアを目標とした新しい投資機関についてのアメリカ側の考え方、日本の考え方、これにつきまして、もしここでお聞きすることができますならば伺いたい。
○湯川政府委員 先般来日されたエリック・ジョンストン氏の構想というのは、大へんおもしろい構想であると存じますが、ただこれは別に米国政府とあらかじめ打ち合せた上で出された構想ではないようでございます。もっともジョンストン氏の占めているインフルエンシャルな地位にかんがみて、あれは非常に重要な発表とは思いますけれども、米国政府と話し合いの上でなされたものではないようでございます。その構想自体は私どもとしては非常におもしろい構想だと考えております。いろいろな大臣の方がダレス長官に本件についてどういう話をされたかについてはまだ伺っておりません。
○北澤委員 一萬田大蔵大臣もこれに非常に熱心であって、そうして大蔵大臣はこの問題について直接ジョンストンに会ったり、またロバートソンに会って、東南アジアに対する投資の機関の設置についてもいろいろ話があった。今の政府のお話によりますと、これはまだジョンストンだけの考えであるということのようであります。もちろんアメリカの国会方面の状況から申しますと、この案はそう簡単には実現困難だと思うのであります。私は日本の貿易増進という見地から、また日本がフィリピンなり、インドネシアに対して賠償を払う、その場合にやはりそれと並行してそういう資金がなければ日本の賠償は死んでしまうのです。日本の賠償を生かすということから考えても、そういう意味の資金がどんどん入って、そういうことと一緒になって、東南アジアのそういう開発に貢献できるというようになると、非常にいいと私は思うのでありますが、ぜひ一つこういうふうな構想によって、従来のように二国間で、たとえばアメリカとインドとか、アメリカとビルマとか、そういう二国間の投資でなくて、そういう国際的な投資機関を作っていけば、いわゆるひもつきでない投資になるわけであります。そういう点から考えましても、東南アジアの民族感情から考えましても、直接アメリカから借りるのではなくて、そういうふうな国際機関から金が借りられるということになればいいのじゃないかと思います。こういう点については、一つ政府側におきましても十分考えられて、促進してもらいたいと私は思うのであります。 結論として申し上げたいのでありますが、繰り返して申し上げるように、結局日本の経済自立五カ年計画というものの達成を考えまする場合におきましては、どうしても貿易の増進というものが根本になってくると思うのです。貿易増進を考える場合におきましては、日本は海外投資をして、それによって日本の新しいマーケットを作るということが、どうしても必要になってくると思います。そういう点から申しますと、従来の世界銀行あるいは今議題になっております国際金融公社、もちろんこれもいいのでありますが、さらにその上にもっと強力な、もっと資金をたくさん持った機関ができて、そうして東南アジアなり、あるいは中近東、中南米方面の経済開発に貢献されることが、結局日本における大きな意味の輸出増進という見地から必要であろうと思うのであります。一つ政府の方におかれましても、この貿易増進のための海外投資ということにつきまして、根本的にお考えを願って、またそういう点から申しまして、日本の資金の不足を補うためにも、外資の導入ということにつきましても、消極的な考えでなく、日本の貿易増進という大局的な見地から一つ考えてもらいたい、こういうふうに私は考えるのであります。 他の委員からも御質問があるようでありますから、私は以上をもって質問を終ります。
○前尾委員長 大橋忠一君。
○大橋(忠)委員 私はきのうここにおられる高岡君とカンボジア問題を協議したのでありますが、そのときに浮んだ考えとしては、結局一つの移民を送るにしても、それを世話するコーポレーションみたいなものを作らなくてはならない。それをジョイント・ストック・カンパニーにするか、あるいはカンボジアのカンパニーにするかは別として、そういうものを作って、いろいろな事業をそこへ持っていく、あるいは開拓をするいろいろな世話をするということでなくてはならぬ。高岡君はそういう場合に、国際金融公社の金を借りたらどうかというようなことを言われたのでありますが、一体国際金融公社はどういうものが借り得る資格があるのか。また借り得る金額というものには一体制限があるのか、さらにその保証は国家保証でなくともいいと言われたのでありますが、どういうような保証でもって貸すのでありますか、一つお伺いしたい。
○湯川政府委員 実は金融公社はまだ発足しておりませんので、具体的にどういう企業が投資の対象になるかということは明らかでないのであります。現在のところ、ばく然と抽象的に協定にきめてありますことは、生産的民間企業ということになっております。さしあたり投資の重点は、工業関係の企業に置かれるものと見込まれておりますが、農業、金融業、商業その他の企業にも融資できるようにはなっております。また保証につきましては、世界銀行の場合と異なって、政府保証は必要でないということになっております。ただカンボジアの場合でございますが、実はカンボジアはIFCの加盟国ではないので、直接投資先にはなり得ないのでございます。金額の制限については別にきまったものはございません。
○大橋(忠)委員 そうすると日本法人でそういう会社を作り、その会社で金融公社から金を借りて、そうしてカンボジアで事業をやるというようなことならば借り得るのですか。
○下田政府委員 条約の第一条に「公社は、加盟国特に低開発地域における生産的」云々と書いてありまして、加盟国における企業の成長を助長するということでありますが、カンボジアはただいま経済局長も申しましたように、世界銀行の加盟国ではございません。この金融公社の加盛国は、世界銀行の加盟国が同時に加盟国になるわけでありますから、将来カンボジアが世界銀行に加入いたしまして、それによって金融公社への加盟資格を得ました場合には、お話の問題が生ずるわけであります。ただいまのところ、カンボジアは自己がみずから投資を受けられないのみならず、ほかの国が投資を受けて事業をカンボジアで行うということもできない次第でございます。
○大橋(忠)委員 それならば今度の金融公社は、日本がたとえばインドネシアあるいはフィリピンで日本の会社を作って事業を行うという場合には借りることはできるのですか。これはインドネシアやフィリピンがもし世界銀行の加盟国なら借りることができる、加盟国でない場合には借りることができない。一体東南アジア方面でどこが加盟国であり、どこが加盟してないのですか、その点一つお聞かせ願いたい。
○湯川政府委員 東南アジア諸国の中で、すでに加盟の意思を表明している国の名前を申し上げますと、ビルマ、セイロン、インド、パキスタン、フィリピン、タイ、こういった国々はすでに新しい金融公社に加盟の意思を表示しております。インドネシアについてはまだ意思表示がございません。これは未定でございます。
○大橋(忠)委員 そうすると、今のところは東南アジアを開発するためにこれを利用するという範囲が、非常に限られたものになるのですが、日本人がたとえば低開発地域を開発するために必要な事業を行う場合においては、かりにその土地が加盟国じゃなくとも、もしそこが低開発地域であるならば、日本人がその金を借り得るようなふうに交渉をし直すわけにはいかぬでしょうか。その見通しはどうですか。
○湯川政府委員 これはいろいろ論議されて、こういった形の協定にきまっておりますので、今新たにそういう交渉をして協定を変えるということは、非常に困難と思います。
○大橋(忠)委員 たとえばカンボジアでそういうコーポレーションを作って、それから大きなジャングルを開拓をして、そうして集団的にそれを開発して、計画的にジュートなり綿なりを栽培するというような事業、あるいは砂糖工場を向うで作るとかあるいはジュートの工場を作るとか、私の考えでは、なるたけ日本が外国から輸入しつつあるような品物を向うで作って、その品物を向うから日本へ持ってきて、それのエクスチェンジとして、日本からいろいろな日用品を持っていくというふうなことを、私はきのうも言ったのであります。そういう実はきわめておもしろい問題が眼前にあるのです。そういうような場合も今後日本では非常に起るだろう、これが東南アジア発展の一番いい方式であり、だからこのカンボジアは小さいけれども、ここに全力をあげなければならぬときのうも言ったのでありますが、そういう具体的の場合において、これが間に合わぬということになりますと、私はその利用価値が非常に少いと思う。そこでそういう具体的の場合をあまり考えずにそういう条約を作ったのじゃないか。だからそういうような現実の必要を説いて、どうせアメリカでも日本を通して東南アジアの方に大いに出たいのです。元来アメリカの強大なる資本をもって、直接アメリカが東南アジアへ行くと、すぐ経済侵略というおそれが出てきて、なかなかちゅうちょしてやらない。だから日本のようなものを通してやることが、アメリカとしても一番懸念のない方法なのです。そして日本がやろうといたしますと、今申しましたような方法が一番いいのでありますから、それが今言った世界銀行に参加しない国は、これを借りることができないということになると、東南アジアの人々自身が直接措りるよりしようがないということになる。そうするとそういう大きな金を借りてなかなか運営がうまくできないからしようがない。しかし日本人がもし主になってその仕事をやり、土人と協力してやれば成功する、そうすればその土地にも日本にもいいし、またその金を利用させるアメリカにもいいという結果になる。そうすると日本を通してそういう仕事をやって東南アジア開発に協力するという点から言うと、私は今申しましたように、日本人が東南アジアで仕事をする場合においても借り得るようにしてもらわぬと、その利用価値が非常に少いのじゃないか、こう思うのですが、もう一ぺん現実の、たとえばカンボジアならカンボジアという具体的問題に関連して説明をして、そこをちょっと直すという交渉をすべきだと僕は思うのですが、どんなものでしょうか。
○湯川政府委員 この公社の協定案というものは、元は世界銀行で案を作ったものでございますが、これは各加盟国が応分の金を出し合って公社を作って、そうしてお互いの間で低開発地域の開発のために金を支出する、こういった構想からできております。そこでこれのメンバーとなり得るものは、さっき条約局長からお話がありましたように、世界銀行のメンバーでなければならぬ、それでこれが現在五十六カ国ございますが、そのうちの四十九カ国がすでに加盟の意思表示をしておるわけでございます。そこでただいまのお話も大へんおもしろい構想であると存じますが、結局そのためには、将来こういった協定の趣旨を変えるということにみなが同意するか、あるいはカンボジアが世界銀行の協定にも加盟してこれに入ってくるか、どちらかの道が残されているわけでございます。
○大橋(忠)委員 それではカンボジアがもし協定に入れば、今言った利用はできるわけですね。これは加入するにはやはり相当の出資をしなければならぬわけです。その点が困難なわけですね。入れば日本人が借りてカンボジアで仕事をするという場合にも適用ができるのですか。
○湯川政府委員 これの加盟国になりますれば、そこの地域における生産的民間企業に融資を受けることができます。
○大橋(忠)委員 それがほかの国のものでも……。
○湯川政府委員 そこの国の利益になるような生産的民間企業であればいいわけでございます。
○大橋(忠)委員 その主体が日本人でもいいのですね。
○湯川政府委員 主体は日本人でもいいのです。
○大橋(忠)委員 その点をもう少し研究してもらいたいと思うのです。そうしないとプラクティカル・ユースが非常に少い。
○下田政府委員 補足的に御説明申し上げますが、大橋委員の仰せになること、まことにごもっともなのでありますが、東南アジアでは旧仏印三国だけが例外でございます。それ以外のフィリピンでございますとかタイ、インドネシア、もっともインドネシアはまだ加入の意思表示はしておりませんが、インドにいたしましても、仏印三国を除いた国は、みな世界銀行の加盟国であると同時に、この公社の加盟国になりつつあるわけでありますが、なぜカンボジア初め仏印三国が入っていないかと申しますと、これはフランスからの独立がおくれたからでございます。つまりまだ独立してない前に世界銀行というものができてしまいましたので、当初から入りそこなったのでありまして、この公社が発足いたしまして、だんだんこういう企てが低開発地域の開発に役立つと認めましたならば、当然カンボジア等も入ってくるだろうと思います。その例外的な事情がございますために、カンボジアが入っていないわけであります。
○大橋(忠)委員 向うは今移民を希望しておるのですが、移民を送るためには、どうしてもまず事業というものができ上らぬことには、移民が送れないのであります。そうしてしかも日本の貿易もこれが基礎になり、海外投資の——海外企業の進出もこれに含まれているわけです。一つカンボジア問題なんかについても、経済局でも移住局なんかとともに、日本経済にも裨益し、カンボジアの経済にも裨益するというような、今私が申しましたようなコーポレーション・アイデア、つまりカンボジア開発の機関になるような機関、これがうまくいくとすべての東南アジアに対する発展のモデルになる、それを一つシリアスに研究していただきたい、こう私は思うのです。どうかお願いいたします。
○山本(利)委員 一点だけ関連して。ただいま大橋委員の御質問によって大体わかりましたが、少し疑問がありますので、お伺いいたしますが、この第一条の目的のところで、「公社は加盟国特に低開発地域における」云々ということがあるのですが、日本の場合だったら、日本は加盟国であるけれども、低開発地域でないと認められる場合があるのかどうか。その金を日本が借りようとする場合に、日本は大丈夫だというなら、日本はこの条約においては低開発地域になっておるのかどうか、そこの点どうもはっきりしなかったから……。さらにもう一つ敷衍すれば、カンボジアであるとか、その他ビルマでもよろしい、そういう加盟国が金を借りるのは、その国が借りるのであると私は思う。日本が借りるのではない。だからもしも日本が低開発地域ではないという判定を下された場合には、日本はせっかく投資しながら、この利用というものが非常に制限される。その点一つ承わりたい。
○湯川政府委員 低開発地域がどことどこかというはっきりした定義は、この協定ではさまっておりません。従って、今後の運用で相対的に日本が大体どっちの方に入るかというふうに自然になっていくわけでございます。しかしこの協定では、低開発地域と認定されなければ絶対に融資を受けられないかというと、必ずしもそうではない。加盟国ならば融資を受けられる。しかし特に低開発地域と目されるような地域の経済開発に重点を注ごう、こういうふうになっております。従って日本の場合でも、適当な条件を備えておれば、融資を受けられると考えております。
○山本(利)委員 これは条約を結ぶ場合に、そういうようなあいまいなことでは私はいかぬと思う。それは後日において紛争の起るもとだと思う。それでは政府委員は、今の日本は低開発地域だと思うておられるのですか、そうでないと思うておられるか、ここのところをはっきりしておかなければ、大てい借りられるだろうと思ったときに、それを裁定する理事会か理事国か何か知らぬけれども、そういうものにおいて、いや日本は低開発地じゃない。こういうことになった場合には、日本というものは何らこれを利用ができないことになるから、その点をただ日本の政府はこう思うのだというのでなしに、そこのところをはっきりしておかぬといかぬ。もう一つは、これは少しゆがめた解釈の仕方かもしれぬけれども、原文を読んでみても、加盟国で、しかもそのうちの低開発地域における生産的民間企業を助長するというなら、日本国は加盟国であり、日本のうちの北海道は低開発地域であるから、日本の北海道におけるその生産事業を開発するという場合に、金を借りようというなら許すという解釈にこれを持っていってもいいのかどうか。そこのところをはっきりしておかないと、私は条約ではおかしいと思う。御説明を承わりたい。
○湯川政府委員 低開発地域をどことどこというかということは、はっきりした定義はこれにはございません。一般的に考えて、これは相対的な問題でありますから、日本は低開発地域かどうかということになれば、普通は低開発地域に入らないのじゃないかと思います。しかし、この公社によって融資を受けるのは、低開発地域がどちらかといえば重点になるわけでありますけれども、しかしそうでなく、加盟国である場合は融資を受け得る機会を持っているわけでございます。先ほどの、ある国のある地方が低開発地域というふうに見られるかどうかということにつきましては、これはやはり国単位で、そこの国が低開発地域ということできまると考えております。
○山本(利)委員 それではあなたは今のようなことで条約を結んでいいと思われますか。私は条約を結ぶのに、そういうことに投資したりするのにそういうあいまいな、自然に先できまるというようなことで条約を結ぶべきじゃない。わが国も当然これによって利益を受けるのだということがはっきりしなければ、私はこの条約というものは成立し得ないと思う。批准はおそらく私はむずかしいと思うのですよ。今のお話ではまことにはっきりしないので、余ったら、日本は普通には低開発地域とは思われぬけれども、加盟国だから融資も得けることができるであろうというふうな、低開発地域の国へどんどん金を出してみて、まだ余りがあった場合には、日本も使わしてもらえる可能性があるという程度の解釈しか成り立たぬと思う。そこらの先ほど大橋委員の言われたことは、非常に大切である。だから日本がこの融資を受けて、南方なら南方、東南アジアにおける開発に必ず役に立つのであるとか、あるいは日本の北海道なりその他でもいいのですが、未開発地域の産業開発のために役立つのであるというはっきりした見通しがない場合に、私はこういう条約を結ぶことは、非常にうかつだと考える。その点についてもう少しはっきりしていただきたい。
○湯川政府委員 日本がこの金融公社に加盟することによってどういう利益があるかという点については、先ほど北澤委員の御質問にお答えしましたように、まず第一に国際的な経済活動のための投資活動に協力参加することができる。それから第二に、低開発地域、東南アジアのような低開発地域に投資せられた企業に対して、生産財や技術の輸出ということができる。第三に、協調融資に参加することによって確実な海外投資の機会が得られる。こういった点が大きな利益であると考えます。しかし日本も加盟国でありますから、国内で適当な条件を備えた生産的民間企業に対しては、融資を受ける機会もあり得る。それも利益の一つではないかと存じます。
○山本(利)委員 少ししつこいようですけれども、大事なことですから、これは検討しておかなければならぬと思うのです。これは高開発の国が金を出し合って世界の低開発のところを助けて開発してやろう、自分たちも相当な財力があるから、低いところを助けてやろうという意味で、金を貸すなら別問題です。しかしその場合においては、利潤があればその投資に対する利潤の配分を私は受け得ると思うのです。しかし日本が先ほど言ったように、生産財であるとか、いろいろなものを送り出すことができるということは、私はおかしいと思う。それはこのコーポレーションそのものが今度は投資するのであるから、日本の生産財がいくとは限らぬ。先ほど大橋委員の言われたように、日本がそれを借りてそうしてカンボジアならカンボジアにおけるところの企業にそれを使うことができるということがはっきりすれば、日本の生産財が向うへいく、あるいは技術がいくことができるけれども、単なる金持連中が投資して、一つのコーポレーションを作って、それがこの未開発の地域に向って投資するというのであれば、それは日本単独の利益ということはとうていあり得ない。だから投資を受けて、その投資によって、その受けた国がどこから生産財を輸入しようと、技術を導入しようと、それは別個の問題であって、日本には何ら関係しない。こういう場合に、アメリカならアメリカというものは、非常にたくさんの株を持ち、日本なんか言うに足らぬほどの、比較にならぬほどのわずかな投資株だという場合においては、日本などは大した問題にはなり得ないと私は思う。この点については、ただ上手に答弁するというのでなしに、国のためですから、ここのところは私はよほどはっきりして、これこれの理由で日本のためになる——ただ日本もこれに加盟して幾分なりとも出したという一つの品位を高めるといいますか、あるいは国際的な顔がよくなるというためにでも、これだけは非常に有意義なことであるというならば、それも一つの理由ですけれども、普通に考えれば、日本の借り得るところの金額だけは、同時に日本の生産財及び技術輸出のためにもこれは役立つことができるというならば、この条約を結ぶことに対して非常に国民は賛意を表する。今のところ、どうも私はあなたの御答弁があいまいだと思うから、もしわからないならさらに御研究になって、この次でもよろしいから、これこれであるということを御説明願いたいし、今のところはっきりしておるならそれを御答弁願いたい。追及して困らせようという意味の質問ではありません。条約というものは非常に大切なことであるから、あいまいなことをしておって、しまいにしまったということがあってはわれわれは申しわけがない、こういう意味から聞いておるのです。
○湯川政府委員 結局日本としましては、長期的に見まして、貿易の拡大ということに大いに力をいたさなければならないわけでございます。それにはやはりどうしても、東南アジアとか中南米、中近東とかいった低開発地域の産業開発を助長して、そういうところの民度を高めて、日本との貿易を伸ばすということが、一番大事なことであります。そこでそういうところの開発を助長するという意味で、これに日本が加盟するということは、非常に意義があるのでございます。またそういうところでいろいろな企業を興そうと思っても、資金が十分でない。そこでこういう金融公社から融資を受ける。そうして、そこに企業が起れば、そこでまたいろいろな技術や生産財も要るであろうと思いますから、それを全部日本で独占するというわけにはいかないでしょうけれども、しかしそういった企業がこういう低開発地に起きれば、日本から生産財や技術を輸出するチャンスもそれだけふえるだろう、こういう意味で、先ほど申し上げたのであります。
○山本(利)委員 ただいまの御答弁では、経済的に言えば、間接に日本のためになるという程度のことでありますから、きょうはこの程度に解釈しておいて……。
○下田政府委員 その点は先ほど湯川局長が申しました、何の利益があるか、三つの利益がある。その第二番目の利益が、私は一番大事だと思います。つまり、「加盟国特に低開発地域における生産的民間企業」というのは、加盟国自体の企業でなくてもいいわけであります。従いまして日本にとって一番大事なのは、東南アジア地域で日本人の企業家が事業をなさる場合に、融資を受けられる。その点が私は一番大きな利益だと思います。その点を山本委員はお聞きになったのだろうと思います。それが日本にとりまして一番大きな利益であります。なお第一条のあとの方の小さい二というところに、「投資の機会、国内及び外国の民同資本並びに経験のある経営者を結び合わせるように努力すること。」とありますが、この投資の機会は東南アジアにどこでもころがっております。ないのは資本であり、技術者を含んだ経営者であります。そうしますと、日本は自分の国は狭いですけれども、機会は東南アジアにたくさんあります。自分の国は貧乏ですけれども、金は公社が出してくれる。そうなりますと、技術者を含む経営者、これが日本の一番の有利な点であります。その日本の経験ある経営者なり技術者なりが、資本と技資の機会と結びつけて、東南アジアで活躍ができるというのですから、これはまことに日本のためにできたような公社だと思うのであります。
○石坂委員 ただいま山本委員と外務当局との間に質疑応答が繰り返されましたが、ただいま条約局長の説明されたのは、第一条の第一項第二号だと思いますが、第三条業務の第一項の点が、山本委員の質疑に答える条文ではないかと思うのです。その点についての御意見はどうですか。「加盟国の領域内の生産的民間企業に対し資金を投下することができる。」という点について……。
○下田政府委員 仰せの通り、第三条の第一項で、加盟国の領域内の生産的民間企業に対し資金を投下することができる。そこで加盟国の領域内の生産的民間企業は当該国人の企業であるということは断わっていないわけであります。それは結局各国の国内法にまかされておるわけであります。でございますから、フィリピンなりが門戸閉鎖主義をとりまして、こういう金を貸してもらえるなら、何も日本人にやってもらわなくてもおれたちがやるといって、国内法で企業に対する外国人の参加を制限するような国内立法をとるとしますと、結局せっかくここでは門戸閉鎖もないにかかかわらず、そういう門戸閉鎖主義の国が出て参りますと、先ほど申し上げました利益が少くなることは事実でございます。しかしながら東南アジア諸国にはそういう閉鎖主義をとることはまだないと思うのです。と申しますのは、技術者もおりませんし、経験のある企業家もいないのでございますから、むしろ門戸をあけて、ひもつきの資本投下は困るけれども、こういう国際的機関を通じて、ひもがつかない企業があるなら、門戸を広げて、そうしてそういう技術者なり企業家の技術や経験を利用して事業を興す、そういうことになると思います。従いましてただいまの第三条第一項の民間企業というのは、国内法いかんによってそれが他国に広げられるかどうかということがきまるわけでございますが、協定自体といたしましては、ちっとも当該国の企業家に限るということは言っていないのでございます。
○石坂委員 第三条の第一項は、要するに第一項によって、日本が加盟すると、日本の領域内の生産的民間企業、こういうことではいけないのですか。そうすると山本さんの質疑は、おのずから疑点が除去されるのじゃないですか。
○湯川政府委員 先ほどからお話しておりますように、日本も加盟国でありますから、日本に絶対にチャンスがないというわけではございません。ただこの公社の投資先の暗点は、低開発地の産業開発を行うことが暗点である。しかし日本を別に排除するものではございません。 —————————————
○前尾委員長 ちょっとここで伊東隆治君から奄美大島の米軍基地問題について、緊急質問の申し出がありますので、これを許します。
○伊東(隆)委員 奄美大島におきまする米軍基地につきまして、調達庁にちょっとお伺いいたします。政府はたびたび五大飛行場以外に基地はもうやらない、広げないというような声明を発しておりますが、その方針はなお続いておるのでしょうか。
○丸山政府委員 飛行場に関しましてはその通りでございます。
○伊東(隆)委員 そういたしますと、奄美大島の沖永良部島の飛行場は、一これはどういうような基地を建設しようという計画があるのでありますか。
○丸山政府委員 奄美大島の沖永良部島の事案は、いわゆる空軍の基地となる飛行場の問題ではないと存じます。実は沖永良部島には島のまん中にある大山という山にすでに通信施設がございまして、その通信施設におる牢人に物資、食糧等を補給するために、連絡用の軽飛行機を使用したいと思うが、この連絡用の軽飛行機の発着場を島に求められるかどうか、その可能性を調べたいので立ち入りを許してもらいたい、こういう事案でございます。
○伊東(隆)委員 そういたしますと、沖永良部島の飛行基地計画は、軍事墓地ではないと言われるのでありますか。
○丸山政府委員 軍事基地という意味を広く、駐留米軍の使っておるところはすべて軍事基地である、こういう観念のもとにおいてはその通りかと思いますが、最初のお尋ねの五大飛行場との関連におきまして——私ども飛行場は五大飛行場の拡充問題だけであると申し上げておりますのは、空軍の防衛のために一般の戦闘機あるいは爆撃機というようなものの発声のために、そこに滑走路なりそれに付随するいろいろな施設をする、こういうものを飛行場基地として考えておるのでありまして、先ほど申しましたように沖永良部島の事案は、通信施設の者に物資の補給、あるいは病人等ができまして緊急の際にそれを運ぶ、こういうことのための連絡用に連絡機を使いたいのである。それを船あるいはヘリコプター等で今やっておるのでありますが、十分の連絡がつかない、あるいは緊急の場合に間に合わない事情がある。さような意味合いから軽飛行機を連絡用にそこで使いたいのであるが、それが発着する場所が求められるかどうか、こういう事案であります。
○伊東(隆)委員 そういたしますと、政府がたびたび声明いたしました五大飛行場以外の飛行基地を作らないという意味は、そういう大きな飛行場ではないのであって、小さな飛行場はこれからもどしどし各地に作ろう、こういう意向のようにもうかがえるのでありますが、そうでございましょうか。
○丸山政府委員 そういうような連絡用の飛行機の発着場でも、これからどしどしやるつもりかというお尋ねでございますが、そういうわけではございませんで、このような事例は今の事案の沖永良部島、こういう離島でございます。そのような特殊な場所で飛行機によらざれば連絡がとれない、かような限られたるものばかりでございます。
○伊東(隆)委員 沖永良部島は御承知の通り、非常に小さな島でございまして、人口三万をわずかにこした程度の小さな島であります。そこに約六、七万坪の耕地をとられますと、島民はいろいろ、感情は別として、とにかくその日の食事にほんとうに困る重大な問題に直面いたしておるのであります。そこで立ち入り調査をしたいということがあったそうでありますが、アメリカ側と特調とのこの問題に関しまする経過を伺いたい。
○丸山政府委員 この問題が起きましたときから現在までの経過をかいつまんで申しますと二十九年八月にただいまのような意味合いの立ち入り調査を許可していただきたい、こういう要求がございまして、同年十月にその島の知名と申したと思いますが町長に照会を出しまして、その承諾の御返事を得ましたので、二十九年十一月の合同委員会に立ち入り調査よろしいという返事をいたしております。ところが現実に立ち入りの実施の期間がまだ未定でございまして、その後直ちには調査も実行せず、実は昨年の十二月になりましてあの御承諾を得た調査をこれからやりたいが承知してほしいということでございました。これに関しましてちょうど昨年は今の五大飛行場等で相当全国的に騒ぎも大きくなり、砂川事件等もあったときでございますので、あるいはそういうものであろうかという誤解と申しますか、何があったのではないかと思いますが、立ち入り調査はやめてほしい、こういう問題になったわけでございます。 なおその調査計画を私ども承知している範囲では、知名町の田皆という西北二キロくらいの砂浜が利用できないものであるかどうか、その砂浜をできるだけ利用して、民有地、農耕地等にはかからぬようにしたいものである、こういう計画のものであります。
○伊東(隆)委員 アメリカ側の初めの特調への連絡は大山ふもとだということであり、次には田皆耕作地の中央であるということをいい、三転してようやく海上地帯になって砂地を主とする地域だ、こういうふうになったように私記憶しておるのでありますが、これは初めの計画がだんだんそう三嘱していったのでありますか。
○丸山政府委員 初めは別にどこここという具体的なものがございませんで、立ち入り調査したいという趣旨だけの話でございますが、漸次突き進みました結果が、現在のところその砂浜を目標にいたしたいのである、かようになったわけであります。
○伊東(隆)委員 私は沖永良部島をくまなく歩いて知っているのでありますが、六万町歩、またそれ以上の地域と申しますと、そういう砂浜だけでそれだけの地域はないのでありまして、どうしても田皆の耕作地の半分程度には及ぶわけであります。そういうわけでありまして、実は知名町長が立ち入り承諾をいたしたというのは、きっと大山のふもとのごく限られた狭い地域のことだったと見ておったのが、だんだん開いてみると、そういう広範な地域だというので、島民がびっくりして今盛んに反対運動をしておるというふうな実情であるのでありますが、砂浜から耕作地にはみ出るその耕作地面積というものを、調達庁はおはかりになったのでしょうか。
○丸山政府委員 実はその区域が何町歩要るのか、それから耕作地帯にどのくらいかかるのか、この広さあるいは敷地等は、まだ現実に策定されておらないのでありまして、ただいま申し上げました調査をした上において初めてどこがほしいのである、どこのうちのどの部分がこうである、こういう第二段の折衝の話し合いになるわけであります。
○伊東(隆)委員 そういたしますと、まだその地域等につきましてもそう具体的な計画はないように思いますが、先ほどもちょっと申し上げた通り小さな島でありまして、その中でそういう広い地域の軽飛行場を作られますと、島民はその日から生活に困るというので、真剣に今反対いたしておるのでありますから、特別調達庁といたしましては、米軍側からそういう調査の依頼がありましても、島民感情または島民の実情というものをよく調査されて、その実情をよく理解させていただきたい。奄美大島五つの高々は御承知の通り、満八年の同米軍の管轄下にあり、米軍の胃袋の中にあったと同様な生活をいたしておりまして、少しも顧みられず、実に塗炭の苦しみをいたしておった地域であります。そういう地域で、しかもまた小さな沖永良部島において飛行場を作られた日には、これは何としても承知できない重大な問題であるのでありますから、特別調達庁といたしましては、十分この事情を米軍側に連絡願いたいのであります。そういう事情でありますので、一つこれは強硬にまた懇切にアメリカ側に理解してもらうように、またこの計画は今後とも進めていただかぬようにしていただきたいと思うのであります。特別調達庁の御意向を承わりたい。
○丸山政府委員 先生のお説の通り小さい島で、しかも農耕地も乏しいところである、これに支障のあるような計画であれば、とうてい調達庁といたしましても、けっこうだと言うわけにはいかないのであります。もちろんその辺のところは十分に心得まして、調査の結果白浜の砂浜のところのみで、しかもこの程度の小区域で済むというようなことになりまして、地元の方々の御了承を得たときに、初めてそれに日本側も承諾ということになるのであります。実は先ほども申し上げましたように、最初御同意を得て、立ち入り調査の件だけは承認の通知を先方にいたしておるのでございますけれども、しかし現在のような島の方々その他の御心配あるいは誤解、いろいろな点があると存じますので、この立ち入り調査そのものに関しましても、十分慎重にいたしまして、なお地元の方の了解を得た上において、初めて立ち入り調査そのものもやっていただくように、米側に申し入れるつもりでおります。
○伊東(隆)委員 お話の模様によりますと、まだこの計画は持続されておるのであって、また適当な機会には島民の了解を得て、飛行場なり軍事基地を作りたいという御意向のように伺いますが、さようでしょうか。
○丸山政府委員 作る作らない、作らせる作らせないの問題は、第二段の問題としてこれから考えていく問題でございまして、何も必ずその要求通りどうしても入れなければならないというふうには毛頭考えておりません。
○伊東(隆)委員 実は、私のことを申しても何ですが、昨年私ヨーロッパ各地を回りまして、主として軍事基地の問題について各国の事情を調査して参ったわけでありますが、その土地の完全なる納得、合意がなければ、米国側または英国側においても作っていないのであります。いろいろの感情は別としまして、この沖永良部島の問題は、死活問題です。ほんとうの離島でありまして、どこにも行き場のない、耕す土地がもうない、そこに飛行場を今後作る計画を持続されるということになりますと、非常に島民は将来が暗たんといたすのであります。この島には、先ほどお盾の通りレーダーの設備があって、数行の米軍が駐屯しておる。これらの米軍の食糧とか衣料の関係で怪飛行場をほしいのだという御説明でありますが、沖縄とはもうほんとうに指呼の間にある鳥であります。話によりますと、これははっきりいたしませんが、この島に、白浜という、築港に値する天然の良港がある。そこに築港してレーダー部隊の補給を円滑にするという計画もあるようでありますが、この白浜築港の問題についてはどういうふうに連絡があるのでしょうか、お伺いいたしたい。
○丸山政府委員 地元の方から白浜築港のお話を伺いましたが、軍側から調達庁の方にはまだその話が通じておりませんので、その点は調達庁から軍側の方へ目下問い合せをしておるところでありますので、今のところ申し上げるデータを持っておりません。
○伊東(隆)委員 この白浜築港の問題は非常に進んでおりまして、奄美大島復興特別予算と合算して、横づけできる築港をしようという計画が進んでおりましたのに、沖永良部島の軽飛行場建設反対の風が見えまするや、この白浜築港をすっかりやめてしまって、米軍の方においては、そういう計画は初めからなかったのだなどと言っているように伺っております。いかにも報復手段としてそれなら港も作ってやらぬ、飛行場を作らせなければ何も作ってやらぬ、こういう態度に米軍側が出ておるように伺いまして、島民はこの点に関しても釈然としていないのであります。そこで、それだけのレーダー部隊がおるのでありますから、行く行くはまた一つ砂浜だけに飛行場を作りたいから調査させてくれということを、米軍側から言ってくるにきまっている。調達庁としては、そういう場合の腹を今きめておいていただかないと、この問題はまためんどうになります。だから、この点は一つ丸山次長が責任を持ってお答えできればけっこうですが、また後日適当な機会にでも、沖永良部島の実情に則して、ああいう小さな鳥に飛行場を作ることは非常に困難であるから、白浜築港でもってレーダー部隊を補給する、そうすると島民も非常にありがたがるし、助かる、と同庁に米軍側もそれで十分目的を達するのじゃなかろうか。今でもグライダーその他が急を要する場合には、沖縄島から今日やっておる実情でございますから、一つこの築港の方を特調としては積極的に進めていただいて、そうして飛行基地の問題は、これからそういうことでは問題を起さぬように願いたいと思うのであります。島民といたしましては、またこの軍事基地の問題、そういう築港を米軍が来てやるということ自体に対するまた島民感情もあるようなことでありまして、この種の問題は御承知の通り非常にデリケートな問題でもあるので、この点に関する特調の意向を伺いたい。
○丸山政府委員 実を申し上げますと、遠い島のことでございますので、役所としても実情を十分に承知しておるだけの調査ができておらないのでございます。しかし今の連絡用の離着地の問題、それから最近地元からの話で伺いました築港の問題、これらあわせまして実は特認も島に参りまして十分な実情の調査等をいたし、軍側と折衝いたしまして、最も島の方々の納得いくところで話を進めていきたい、かように考えております。
○伊東(隆)委員 では現在におきましてはアメリカ側の立ち入り調査は、特調において考え直してもらいたいということを申し入れておるわけでありますか。
○丸山政府委員 一時立ち入りを延期するように一応申し入れてございます。向う側は一たん承認を得たからこれはよろしいではないかということでございますが、その後の情勢あるいは築港の問題等もからんでおることと存じますが、なお十分に地元の方の了解ができておらぬから立ち入りはしないように申し入れてございます。
○大橋(忠)委員 私は反米論者じゃありません。日米関係の親善ということがわが自由民主党の根本原則である、私はこれに大賛成でありますが、どうも吉田内閣時代から今の内閣にわたって、日本の外務当局のアメリカに対する態度が非常に軟弱である、こういう軟弱な外交をやって、向うのおっしゃるままそのままのみ込んでしまって、その結果がどうであるかということを考えてみると、これまことに日本の民族感情を激発して、アメリカから次第に離反してしまって、結果において非常に悪いことになる。ことに今アメリカの日本に対する政策に最も大きな発言権を持っておるのはアメリカの軍部なのです。ところがこの軍人というやつがそれどこに飛行基地、どこにレーダーと要求しますが、これは彼らは必要の最大限度を必ず要求するにきまっておる。軍事的必要と称して、必要の最大限度だ。そうして彼らは民族感情とかそういうようなことを無視して、軍事的必要の最大限度を要求する。ところがそういうようなものにへこたれるものだから日本の対米感情が悪くなる。たとえば五大飛行基地のごときものも向うの言う通りに延ばした。私はこの五つもの飛行基地が何がゆえにああ長いランウェイを作る必要があるかわからない。これまた軍部の必要の最大限度の要求であろう、その最大限度の要求にそのまま御無理ごもっともでお聞きになるものだから、非常にこれが反米宣伝の林料になる。そこで私はこういうアメリカ側の軍部の要求に対して、わが日本政府としては強硬に一つ専門家の意見も聞いたり、あらゆる方法でレジストする、抵抗することこそ、これこそほんとうの日米親善の基礎ができるのである。従って、もうすでにこの五大飛行場の点は仕方がないかもしれぬが、またまたこういう土地の狭い、まことに一寸の土地もほしい日本に、必要の最大限度の要求に聴従してどんどんこんなものを作られたら、もう日本国民はアメリカからどんどん離れてきます。従って日本とアメリカとの親善が必要である、それをお認めになるならば、私はこういうアメリカ側の軍部の要求に対しては、こちらも最大限度の抵抗をして、撤回させるようにしてもらいたい。これが私の日米親善の見地からしてのお願いであります。
○伊東(隆)委員 ただいま大橋委員からも非常に強大なる御援助の発言がありまして、私も大いに意を強うする次第でありますが、この問題はただいまの趣旨によりまして、一つ米軍側に対しましては撤回を要求していただきたい。そして白浜の築港の問題につきましても、これは何も歓迎する必要はない。これは行政協定に従ってそこにレーダー部隊がおるのですから、これはわれわれは協力するにやぶさかではありませんが、そういうようなことでやはり島民感情または国民感情というものを十分考えてやってもらいたい。むしろ第一線の外交問題にタッチしておられる特調においては、一つただいまの大橋委員の趣旨を十分いれていただいて、撤回していただきたいと思います。ぜひ一つそういうふうにお願いいたします。
○前尾委員長 それでは先ほどの国際金融公社加盟に関する件の質疑を続行いたします。松本七郎君。
○松本(七)委員 国際金融公社の協定は非常に重要な内容を含んでおりますので、私どもたくさん質問することがあると思いますが、委員長にこの点特に御了解をお願いしておきたいと思いますが、先ほどすでに北澤委員それから大橋委員から、われわれ立場の違う者にとっても、非常に興味深い質疑応答が繰り返されたわけです。従いまして私も木百はこの条文を読みまして、一応疑問に思えるような点を一通り御質問いたしますが、いずれ他の委員の質疑応答によって、また新たな疑問を生じてくるわけですから、一通りの質問はいたしますけれども、それ以上の質問はまた先にあらためてしたいと思いますので、この点特に委員長に御了解を得たいと思います。従来も私そういうやり方をしてきたわけですよ。今日のようなこの選挙法をめぐった情勢にあるときに、何か質問を特に延ばすように思われることははなはだ迷惑で、重要な問題であるために、いつもやっていることを特に十分にやりたいというだけのことでありますから、この点を一つお含みおき願いたいと思います。北澤さんの御質問なりあるいは御意見、もう少し私はああいう意見を十分に拝聴さしていただいてさらに質問をしたいと思うのですが、いずれ後ほどまた伺う機会もあろうと思いますので、一応順を追って、多少重複する点があると思いますが、明らかにしておいていただきたいと思います。 まず第一点は、第一条の規定で加盟国政府による償還の保証なしで投資する、こういう規定があるわけですが、これだと一体この公社は事故の危険をどうやって防止するかという問題が第一に考えられると思うのです。この公社の規定によりますと、大体において世界銀行の貸付の方はきわめて条件が厳格であるのに反して、この公社の場合はすこぶる寛大であるように思います。先ほど北澤委員の御質問に対してのお答えによっても、世界銀行と公社との関係はお互いに補完し合うのだ、こういう局長の答弁でございますが、一体公社の危険に対しては世界銀行が保証する建前になっておるのかどうか、この点を第一にお伺いいたします。
○湯川政府委員 金融公社が融資をする場合は、民間との協調融資に限られております。そこで民間資本でも全然利益を上げ得ないというようなものでは、民間の協調融資は得られないと思います。相当民間の協調融資が得られてさらにまだ足りないというときに、金融公社が協調融資を行う、また金融公社が融資を行う場合には、第一条の二にありますように経営上の懸念があるようなときには、経験のある経営者を結びつけるというようなことも考えております。そういった手を尽して融資をする、従って政府保証を必要としない、こういう構想でできておるようでございます。ただ世界銀行が、それではこの金融公社の融資がうまくいかない場合に銀行として保証するかというと、そういう保証は別に行うことになっておりません。
○松本(七)委員 今の世界銀行が保証できないという点はわかったのですが、その次は世界銀行の今までの実情から考えると、その実権というものは、ほとんどアメリカが独占したような格好になってきておる、その点は間違いないと思うのです。今度できるこの公社もやはり同じような傾向が出てくるのではないかというのが、私どもの心配の第二点なのです。というのは、世界銀行の役員がそっくりそのままこの国際金融公社の役員であるというところに、何か世界銀行と国際金融公社との不可分性があるような感じがいたすのでありますが、その点を政府はどのように考えておられるか伺いたい。
○湯川政府委員 世界銀行は別にアメリカの機関ではありませんし、国際的な機関として運営されていると考えております。従ってこの金融公社も同じように運営されるものと信じております。
○松本(七)委員 世界銀行の役員が公社の役員を兼ねておるというところに、すべての点で世界銀行との不可分性があるのではないか、世界銀行がアメリカの独占になっておるかどうかという評価は別問題として、役員に同じ人がなるということになりますと、世界銀行と同じような運営の仕方が、この公社にもなされるのではないか、その点はどういうふうな見通しを持っておられるかということを聞いておるのです。
○湯川政府委員 世界銀行の役員が公社の役員を兼務するということにはなっておりますが、この二つの機関は一種の姉妹機関ではありますが、しかし全然別個の法人でありまして、運営も独立の見地からなされるわけでございます。
○下田政府委員 御指摘の点につきましては、この協定自体に規定がございまして、案文の第十二ページをごらん下さいますと「(c)公社の総裁、役員及び職員は、その職務の執行に当って、公社に対してのみ責任を負い、その他の当局に対しては責任を負わないものとする。」という規定と、もう一つ「公社の各加盟国は、この責任の国際的性格を尊重し、これらの者の職務の執行に影響を及ぼすすべての企図を慎まなければならない。」国連自体及び国連傘下の各専門機関の協定にも同じような規定がございますが、要するにこの公社の国際的性格ということを非常に重視いたしまして、役員自体が公社に対してのみ責任を負って、自分の国の政府等に責任を負わない、自国政府との関係を断ち切って、一方加盟国に対しましては、その自国人たる役員に対して影響力を及ぼしてはいかぬという規定があるのでございます。その点は従来の世界銀行の運営状態を見ましても、アメリカ人の役員がアメリカの利潤をはかるというようなことは厳に慎しんでおりますので、国際的の公平な見地から処理されるのではないかと考えております。
○松本(七)委員 この公社の運営については相当いろいろ疑義がありますけれども、きょうは全体的にいろいろな問題点を拾って政府の考え方だけを一通り伺っておきたいと思いますから先に進みますが、先ほど山本さんが指摘されたこの規定によると、低開発地域の経済開発に公社の主たる目的があるようになっている。しかもその低開発地域というものについての定義は、これがはっきりしないということでははなはだおかしいと思う。この公社の主たる目的が低開発地域にありながら、その低開発地域とは何ぞやということが、はっきりしておらないということではどうしても納付できない。それで日本がこれに入るか入らないかということも、どういう条件なら日本が融資を受ける対象になり得るかというようなこともまた別問題として出てきますけれども、きょうは一応この低開発地域の定義いかんということをもう一度詳しくお聞きしたいと思います。
○湯川政府委員 低開発地域と申しますのは、結局相対的な問題でございまして、ここにどこどこをもって低開発地域とするという定義はございません。相対的に判断されるわけであります。
○松本(七)委員 どこの国とどこの国が低開発地域だと規定しなくても、低開発地域と規定する以上は、何を基準にしてそれを定めるかという基準くらいなければ、これは判断のしょうがないのじゃないですか。その基準は何かということを聞いているのです。
○湯川政府委員 低開発地域の定義につきましては、いろいろな議論がございます。しかしきまった定義として採択されたものはございません。ほかの、たとえばガットのような条約につきましても、低開発地域という文句はございますけれども、どういう条件ならば低開発地域か——一般に開発がおくれている地域という以外には、きまった基準というものはございません。
○松本(七)委員 そうすると、そのつど低開発地域をきめていくわけでしょう。それから低開発地域でなくとも融資を受けられる場合の条件などをきめていくのでしょうが、それはこの公社のどの機関できめるのですか。
○湯川政府委員 公社の理事会できめます。
○松本(七)委員 それからこの第一条の二項、三項の規定ですが、「投資の機会、国内及び外国の民間資本並びに経験のある経営者を結び合わせるように努力すること。」それから第三項に「加盟国における生産的投資への国内及び外国の民間資本の流入を促進し、」云々、こうあるのです。これはさっき局長の御答弁だったと思いますが、結局北澤さんの御質問に対して、これは民間資本の誘い水にこの公社の融資を使うのだ、それが主たる役割なのだ、こういう御説明があったのですが、この趣旨そのものに私どもは非常に問題があると思います。それというのも、結局強大国の資本というものは、何とかして後進地その他に流れよう流れようとしている。たとえばドル一つ見ても、大きな資本主義国から外国へ輸出されたところの額というものは、第一次大戦から今日まで非常に急激に上昇しておる。これはアメリカ・ドル一つとってみても、たとえば対外投資というものは一九一四年が三十五億ドルです。それが一昨年の額を見ますと四百二十二億ドルに上っておる。そのうち二百六十六億ドル、約半額以上というものが民間投資なのです。民間資本というものは機会あらば外国に出ようという傾向が非常に強いのであります。アメリカの今日の場合は特にそういう傾向が強くなりつつあるわけですが、この公社がその誘い水の役を果すということになると、結局これは金融資本の輸出による弱小国の経済的支配というものが、この公社によって早められ、強められるということが当然考えられるのです。先ほど大橋委員でしたか、表向きアメリカの資本ということで来ると、帝国主義的だというので警戒されるから、一つ日本が中に立ってやれるように何か作ったらどうか、こういう御意見、私は別な意味で非常に興味を持って聞いておって、こういう御意見はもう少し実は聞きたいと思ったのですが、やはりそういうふうな考え方にこの公社は立っておるのです。ですから世界銀行の場合を見ても、条文上から見ればきわめてりっぱなことが書いてありますけれども、実際やったことは、あの条文に書いてある期待を裏切っておる面がたくさんあると私は思うのです。ですからこの公社がこういう運営をされる予定であるということを、私どもは相当詳しく聞かせてもらう必要があると思います。これはいずれまたゆっくり拝聴する機会を得たいと思いますけれども、概略どういうふうな運営がされる予定であるということくらいは、もし今日説明していただけるならば、概略説明しておいていただきたいと思います。
○湯川政府委員 低開発地域が資本に非常に欠乏しておることは事実でありまして、民間資本の流入ということは非常に希望しているのでありますが、しかし民間資本は性質上相当慎重なのが通常でありますから、ただほっておいてもそれだけでは十分にいかない、そういった点でこの国際金融公社が、そういう民間資本と協調融資して低開発地域の経済開発を助長していこう、こういうところにこの協定の趣旨があるわけでございます。
○松本(七)委員 この問題はどうせあとでまた繰り返さなければならぬと思います。 次は、第三条に公社の投資は原則として民間企業であることが規定してあるわけですが、ただしその企業にさらにその他の公けの利権が存在していることは、その企業への公社の投資を必ずしも妨げるものではない、こういうふうに規定してありますが、低開発地域と考えられるような、いわゆる後進国、東南アジア諸国では、やはり外国資本の影響というものを相当警戒しておるわけです。警戒しておるために、企業をだんだん国有あるいはそれに類似の形態に切りかえていく傾向が強くなっておるのでございます。今後一そうそういう傾向は強くなるだろうと思う。そういう場合に、公社が融資をするときに、何か国有化の程度とかそういうことを条件として、この程度の国の資本が入っておるものならば融資の対象にしてもよかろうとか、完全な国有企業は対象にはならないとか、そういう何らかめどがあるのでございましょうか。
○佐々木説明員 第三条第一項の一行目に士かれてありますことは、公社の協定が作られましたとき原案にあったものでございまして、そのあとにつけられてあります部分は、日本側の修正案によって書かれたものと了解しております。日本政府側で公社の協定の草案が参りましたときに、東南アジアにおきましては政府が大企業を興す場合が多いからして、そのような場合にも公社の融資ができるようにしてもらいたいということを申し入れました。それに対する答えといたしましては、完全な政府企業に融資することはできないけれども、政府が株を持っておるからというような理由に基いて、金を貸してはいけないというようなことにはしないということで妥協して参りました。その条文がこれであろうと了解しております。従いまして政府の持株が若干あるからといって貸さないということではないというふうに理解しております。
○松本(七)委員 その政府の持株の。パーセンテージを何%まではいいとか規定するのですか。
○佐々木説明員 現在のところそのような規定はございません。公社が設立されまして、理事会がその運営について方針をきめますときに、決定されるものと了解いたしております。
○松本(七)委員 それから、たとえば日本の場合外資法というものがある、そういうものとの関係はどうなっておりますか。無制限に入ってくると、そこの国の外資法と矛盾するというような場合があり得ると思いますが。
○湯川政府委員 その点は第三条第三項の二に「公社は、加盟国がその領域内のある企業への融資に反対するときは、その企業に融資してはならない。」という規定がありまして、当該国政府が反対である場合には、それにあえて融資するということはございません。
○松本(七)委員 そうすると為替制限との問題はどうなるのですか。たとえば元利を公社に支払う場合に、その国の為替制限があって元利の支払いを阻害するというような事態があり得ると思うのですが、国内的に何か特例でも設けるのでしょうか。
○下田政府委員 ただいまの御側間は、第三条の第五項に「一般的に適用される外国為替の制限、規制及び管理からこの協定の規定のみを理由にして免除されることはない。」、つまり投資を行いました国の外国為替等の制限につきましては、公社は別に特権的地位に立たす必要はないという趣旨の規定がございます。
○松本(七)委員 そうすると、特権は持たないというのは、為替制限に服するというわけですか。
○下田政府委員 さようでございます。
○松本(七)委員 そうすると、為替制限があるために元利が思うように払えないという場合も出てくるわけですか。
○下田政府委員 その通りでございます。つまり低開発地域におきましては大体為替の立場も強くないので、その為替制限等につきまして特権的地位を要求されると、それがいわゆるひもとなりまして、せっかくの低開発地域も投資を歓迎しないということになるおそれがございます。ので、その点は自己の特権を主張することがきわめて少いのが、またこの公社の特色でございます。
○松本(七)委員 次は第三条の二項(a)に、公社は収益に参加する権利を持っているという規定がありますが、この権利というのは具体的にどういうことを言うのでしょうか。たとえば経営に参加する権利であるとかいうふうなことを意味するのでしょうか。
○湯川政府委員 この公社はみずから直接経営に参加することはございません。ただ配当に準ずるものを受ける権利がございます。
○松本(七)委員 それから「株式資本への投資の形式をとってはならない。」そうすると実際にはどういう形で融資されることになりますか。担保なんかの条件はどうなのでしょうか。
○佐々木説明員 一般には社債を引き受けるとか貸付金をやるとかいうことを想定しておるようであります。
○松本(七)委員 そうすると社債ということになっても、やはり企業に対する発言権というものは、相当強いものが出てくると思います。経営に参加しないといっても、それは明確に経営参加という形では出てこなくても、社債ということによる経営に対する相当の発言権というものは認められる結果になると思うのですが、そう解していいでしょうか。
○佐々木説明員 日々の遂行します業務について、ないしはそのような業務をきめます基本の方針について発言するような、そういうことは民族感情等を刺激します点からも避けなければならぬということは、先ほどから御説明があった通りでありますが、片方公社の債権というものもまた確保されなければならない、公社は金を貸してそれが取れなくてもいいという態度であってはならぬのだと思います。従いましてそこの調整のところはかなり微妙でございますけれども、営業を行いますについて発言をするようなことなく、公社の貸し付けました債権が回収されなくて、加盟国にとって損害になることがないという発言をするというようなところになるのじゃないかと思います。
○松本(七)委員 だから権利としては当然、社債を設定した以上は、その経営にも相当な発言力はあるものと解していいと思うのです。発言の内容その他は運営上の問題としていろいろあるでしょうが、権利としては認められておると解することが正しいと思いますがどうでしょう。
○佐々木説明員 この協定が作られました議論のうちには、たとえば会社の営業を停止して解散するかどうかをきめるような場合においては、発言権が当然認められなければならぬという議論もあったようでございまして、御指摘のように全然発言権がないのではないだろうとおっしゃいますことはその通りであると思います。しかし民族感情を刺激するような、学業方法について一々介入するということは、避けるという方針を立てているようでございます。
○松本(七)委員 これは第三条の第四項に「公社が、公社の利益の保護のため、必要と認める措置を執り、及び必要と認める権利を行使することを妨げるものではない。」こういう規定がわざわざここにあるところを見ると、この権利というもの、権利の行使というものがどういうものかということがやはり問題になるのです。どうしてもこれは公社が企業の経営に介入してくる、あるいは指導権を握るというようなことがここに感ぜられてくるのですが、この規定をわざわざここに設けた趣旨はどういうのでしょうか。
○下田政府委員 先ほど低開発地域の感情を非常に尊重いたしました結果として、非常に自己の特権を要求することの薄いのがこの公社の特徴であると申し上げましたが、その反面やはり民同質本家の金を預かっておる公社の立場としまして、自己の利益を保護する場合を節四項で明確にいたしたのがこの趣旨でございます。すなわち「投資に対する債務不履行が現に生じ、又は生ずるおそれのある場合、その投資が行われた企業の支払不能が現に生じ、又は生ずるおそれのある場合」つまり個人の金が返ってこないとか、あるいは無に帰するという危険がある場合には、この公社は自己の利益を保護していいのだ、ほんとうに資本の死活の問題の生ずる場合に、利益保護の必要な措置をとり、必要な権利を行使することができると掲げましたのは、反面において非常に自己の特権を主張すること、つまりいわゆるひもつきといわれるようなことを全然避けたから、特に資本自体の死活の問題に関する事態が起ったときは、利益の保護をしなければいかぬ、そういう規定を置いたのがこの趣旨でございます。
○松本(七)委員 資本自体の死活に関する事態になったというけれども、そのなったときはもうおそいのです。そういうことにならないように、これを守っていく処置をあらかじめとっておかなければならぬということに当然なると思うのです。その場合にやはり結局は運営の問題になるのだろうと思いますが、この権利の行使ということが拡大解釈されて、予防措置というようなところまで解釈されることがあり得るのではないか、そういう点を私は心配するわけです。その点をはっきりそういうことはないのだと、今局長の言われるようなことに限るのだという規定がどこかにあるでしょうか。
○下田政府委員 第四項の利益保護の規定があるのは、実はこれはむしろ例外でございまして、なくても実はいい規定をわざわざ掲げたのは、反面において公社は経営に参加してはいかぬとか、自分で株を持ってはいかぬとかという公社の発言権と申しますか、制肘を可能ならしめる点を排除しておるから、こういう例外的の規定をわざわざ入れたのであります。従いましてその企業が一体何を作ろうかとか、あるいはどこを開拓しようかとか、そういう企業自体の営業政策に関することについては公社は品を出さない、ただ債務不履行が現に生じ、または生ずるおそれがある場合に限って、利益保護の措置をとり、または権利を行使することがいいという規定をわざわざ入れたのは、むしろきわめて例外的な現象であると思います。
○松本(七)委員 最後にもう一つお聞きしておきますが、第九項の政治活動の禁止、これは政治活動の禁止をわざわざここへうたう必要はないと思うのですが、貸付に際してそういう政治的考慮がされるおそれがあるから、こういうふうなことをうたわなければならなかったのじゃないかというふうに、かえって逆に、むしろ当然なことであるにかかわらずこういうことをここにうたったということは、やはり何らか貸付については政治的考慮がなされるからこそ、こういう政治活動の禁止をここにうたったというふうに疑わざるを得ないのですが、どういう趣旨でしょうか。
○下田政府委員 第九項の規定の目的は二つあるように考えるのでございますが、加盟国の政治問題に干渉してはならないという規定、これは投資を受ける加盟国側の利益から規定したものでございます。つまりいわゆるひもつき等をおそれる低開発地域の心理をおもんばかりまして、この金を融資してもらっても、加盟国の政治問題には干渉しないのだということを規定しまして安心感を与える一方、逆に低開発地域はときに国内政治情勢等によって金がひん曲げられて使われるおそれがあります。そこで加盟国の政治的性格によって影響されてはならない。さらに経済上の考慮に対して公平に比較衡量を加えなければならない。純経済的な見地から公平にものを考えるということを規定いたしまして、後進国の特殊な政治事情等によって、外国の資本が損失をこうむるようなことがないようにしたというのが、後段の規定でございます。両方の利益を考慮いたしましてこの政治活動の規定が置かれておるものと思います。
○前尾委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時四十五分散会