外務委員会 第20号
- 発言数
- 71 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1956/03/14
会議録
○前尾委員長 これより会議を開きます。 日本国とカンボディアとの間の友好条約の批准について承認を求めるの件を議題といたします。質疑を許します。
○穗積委員 議事進行。きょうは理事会で国際情勢を先にやる約束になっているのです。
○前尾委員長 そうじゃないです。前後のことは相談になっておらぬ。
○穗積委員 それは違う。
○前尾委員長 両方やることになっているのです。戸叶里子君。
○戸叶委員 日本国とカンボディアとの間の友好条約が結ばれるということは、まことに喜ばしいことでございますが、移民の問題などで先ごろからの委員会でいろいろ政府の答弁を伺っておりますと、まだまだ納得のいかない面がたくさんございます。その一点といたしまして、たとえば日本に割り当てられた移民のうちの約二割が婦人であることを許され、他は大体において独身の男の人がほしい、将来できれば向うに定着してほしいというような希望でございまして、できるならば日本の独身の人が向うへ行って、向うの婦人と結婚してほしいというふうなことが含まれておるようでございますが、この点に関しまして重光外務大臣はどういうふうにお考えになるかを承わりたいと存じます。
○重光国務大臣 カンボディアとの間に友好条約ができまして、日本から移民をも歓迎するということになっております。これはお話の通り大へんけっこうなことだと思います。しかしながらその移民を送るのには、ああいう何と申しますか、いわば未知のところに移民を送るということについては、これはいろいろ検討を要する点がたくさんございます。特に先方の意向を十分確かめて、そうしてその意向に合致するようにもしなければならぬと思います。しかし先方の意向のみを考慮するわけには参りません。こちらも、つまり意思の合致炉なければならぬと思います。そこで目下先方のいろいろの要望に対して、こちらもなるたけそういういろいろなむずかしい条件のない方を希望するのでありますから、目下相談中であります。そういう相談が済んで意思の合致があることが必要でございますから、その手続を今進めておるわけでございます。さような状態でございます。
○戸叶委員 今相談中であるということは、この前も伺っていることなんですけれども、ただ私伺いたいことは、大体二割程度は婦人でいいけれども、あとは独身の男子を望むという、こういう条件についてはどうお考えになるかということです。
○重光国務大臣 これは向うの移民を募集する場合に、大体論といたしましては行く人の自由意思にまかして差しつかえない問題だ、こう考えておりますが、私自身がどう考えるかというと、やはりそういうような条件はない方が大へん都合がいい、こう考えておる次第でご、ざいます。
○戸叶委員 そうすると重光外務大臣は、大体移民のうちの二割が女性であってもいい、他は独身であってほしいという条件は、こちらの話し合いであまり望ましくない、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
○重光国務大臣 よろしゅうございます。
○戸叶委員 それで移住局長よろしいでしょうか。
○矢口政府委員 差しつかえありません。
○戸叶委員 それでは、私ごとしの移民計画として大体二千人くらいを送られるということを伺っておりますけれども、その人たちの内訳といいますか、それはどういうふう血御計画でありましょうか。
○矢口政府委員 一応二千人と責めたわけでございまして、それがどうなりますかは今のところはっきりしておりません。ただいま大臣から御答弁申し上げました通り、各人の希望によるわけでありまして、どうしても二割ないし八割というワクがございますれば、そのワクにはまるような人間が集まってくると思います。またそれが変えられれば、それに応じて変った人が集まってくる、こう思います。
○戸叶委員 今の移住局長の御答弁ですと、先ほどの御答弁より少し違っているように思うのです。大体そういうふうにワクをきめて募集すれば、そういうワクにはまった人が来るということになると思うのです。そうすると募集の条件として大体独身の人を多くするというふうな形で募集をなさるのでしょうか。
○矢口政府委員 先ほど大臣からお話申し上げました通り、今そのワクの問題はまだはっきりきまっていないのでございます。これはいずれきまりましょうが、きまりましたときにそのきまったのに応じまして募集するより仕方がないと思うのでございます。
○戸叶委員 私大臣によくお願いしておきたいととは、移民ということは大へんけっこうなことですけれども、どうかその移民をはさいます、移住させる場合に、そういう方々の身になってこれを考えていただきたいと思うのです。たとえばカンボディアの方の教育レベルというようなものも先ごろこの委員会で私聞きましたところが、日本と比べものにならないほど非常に低い。そういうような場合に、日本の独身の男の方が行って、そうして結婚する場合もあるでしょうけれども、独身の人が行って結婚をすることを望むというような条件でお受けになりますと、あとから必ずいろいろな問題が起きてくると思いますので、こういう点をよくお考えになって、そういったあとに問題を残すような条件というものは、決してのまないようにしていただきない、これをくれぐれも要望する次第でございます。 私がなぜこのことを申し上げるかと申しますと、ここにサンパウロの方からの手紙が社会党に来ているのであります。それはどういうのかと申しますと、「小生は本年五月南米ブラジルに二十九年度最後の移民として、広島県呉市上山田町出身の本田正典という者ですが、外務省及び広島県渉外課が、大うそを言って私たち二夫婦弟二人子供三人計九人を、サンパウロ州リンス市外六キロの呼び寄せ人広島県出身のパトロン竹内豊次さんのコーヒー園に新移民として送り下されたのですが、日本での条件とは全部大うそ、まことに暑い、日本の七月ごろの暑さです。朝は六時より夜は六時半までまことにひどいところです。冬は暗いうちから仕事です。労働条件は日本で聞いた話とは違っていて、私たち一生懸命六人が働いても食っていくことができませんでした。外務省、広島県はまことに不都合なことです。」云々と、こういうふうに書いてございまして、そうして一緒に行った人たちは皆生活ができないので、「ほかに就職いたしました。そのときに一人につき二コント、日本金八千円の費用をサントス港からリンス市までの費用として払って出ています。こんなことは外務省の移民局は知っているのでしょうか。外務省及び広島県は調査もしないで、私たち移民を苦しめている。」云々と書いてございます。そうしてそのあと外務大臣や県知事にこのことをぜひ国会を通して訴えてもらいたいというようなことが書いてございます。それからまたもう一つは、ぜひこういう事情を国会の開会中なり何なりに帰国して、そうして移民の実情というものをお話ししたいから、帰るための費用を何とか貸してもらえないか、自分たちはまるで日本政府からの棄民として送られたのだといってみんなでこぼしているということが書いてあります。そして「日本より来た視察の人、おもに官吏は私たちと話をすることはありません。本年九月外務省の移民局より来た役人は家を見て帰ったのです。園主が話をさせません。手紙も、読んで資本家に都合の悪い手紙は焼却いたします。私たちの内地向けの手紙も着いていません。まことに不都合なことです。」というような手紙が来ております。こういうふうになって参りますと、ただ個人の問題でなくして、移民全体の問題にもなりますし、ひいては国と国との問題というようなことにもなりますので、こういう点をよくお考えいただきたいと思いますが、これに対しての大臣のお考えを承わりたいことと、この手紙に対してどういうふうな処置をおとりになるか、二点伺っておきたい。
○重光国務大臣 私はさような情報が個人的にもお手元に達したというそのことは非常に残念に思います。むろんそういうことにについては十分調査をして、これは矯正的手段をとらなければならぬと考えます。御承知の通りにどうしても移民政策は遂行して、たくさんの人を海外に出さなければならぬという大きな見地は、だれも異存がないことで、そうやらなければならぬと思います。しかしそれをやっておるうちに、行く移民地がずいぶん広漠たるところもございましょうし、そこで各個人にとって非常に困難な状態がかもし出されるということも私はあるだろうと思います。それでそういうような不満がそこに寄せられるということはあり得ることと思いますから、それについては十分に調査をして、善処をしなければならぬ、こう思います。それに御協力を願えれば、一そうありがとうございます。 そこでさらにカンボディアの問題になりますが、新たに今度は参るのでございます。しかも近いところで、そうして全然新たなところに参るのでございますから、一そうそういうことを注意しなければならぬことになります。そこで受け入れ地の考え方と送り出す方面との考え方がよく一致しなければならぬ、話し合いをしなければならぬということも、これは御了承を得ることであると思います。その条件のうちに、特に女性の移民を排斥とはいきませんけれども、非常に女性を少くするというような考え方は、私はこれを受けたくないのであります。全体としてそういうことはよほど話し合いをしてみる必要があると思います。しかしそれと移民を出すということとどういう工合に調節するかということは、そういう見地に立って話し合の結果を見るよりほかにしょうがないと思います。こちらの見解がすべて向うに受け入れられると今予定するわけには参りません。これは話し合いをしてみなければなりません。しかしながらできるだけそういうことのないように進めていく。そのことのみではございません。移住地の状況等について、将来手違い、遺憾のないように十分一つ尽さなければならぬ、こういうふうに考えて、慎重にやっておるわけでございますが、そのためにかえって時間を要するような状況で、この点は大いに努力していかなければならぬ、こう考えるわけであります。
○戸叶委員 今私が読み上げました手紙の人の帰国のことを考えてあげるような御意思はございませんか。
○重光国務大臣 これは一つよく調べてやりましょう。
○戸叶委員 私カンボディアとの移民関係の質疑はけっこうですが、国際情勢をあとからお伺いさせていただきます。
○前尾委員長 和田博雄君。
○和田委員 カンボディアの移民の点について若干質問したいのですが、その前に今戸叶君が読んだ手紙ですが、これは、今起ったことのように思われますが、実はそうじゃないという感じがするのは、この前政府から海外移住会社の案を出された。それがこの前の国会ですが、通りました。そのときにも今の人とは違った人から私のところに手紙を書いてよこしました。その中でやはり政府として一番真剣に考えてもらいたいと思うことは、その手紙にもありましたが、それは役人が向うに出張をするのです。出張をして直接移民の諸君と十分胸襟を開いて話し合うということをちっともやらない。施設を見たり、そこの高官に会ったりして帰ってくるのが大部分なのです。この行き方は間違いであって、政府として速急に改めるべきだと思うのです。やはり政府が責任を持って移民を送っている以上は、自分の政策がどういうふうにいっているかということを、とことんまで監視する義務があると思うのです。そういう意味からいえば、移民の諸君にやはり会っていただいて、そうしてよく実情を聞いて直すところは直していくという親切は態度をぜひとってもらいたいと思う。ことにブラジルが今例に出ましたが、ブラジル移民は昔のように大きな農場を日本から行った移民が買って、独立した自営農民になるという機会はもはや少くなっているように承知しているのです。結局今の手紙にありましたように、どこかの農場労働者として雇われていって、労働者としての移民生活をやっていく農業労働者を送り出しているという格好になっているのが趨勢ではないかと思うのです。それだけにほんとうに自営の農業移民として成功していくという機会がかなり少くなってきている。これが今の情勢のように思うのです。国によって多少は違うかもしれないが、ブラジルや南米ではそうだと思っているのですが、そういう点について大臣としてはどういうふうに考えておられるのか、今こちらでは移民々々と騒がれているけれども、実際の移民の趨勢というものは、今私が言ったような格好になっていると思いますが、いかがでしょう。
○重光国務大臣 移民の取扱い並びに査察と申しますか、こちらから行った政府の派遣員がとらなければならぬ感度、私は全然同感でございます。そういう工合にしてやらなければほんとうに行く人も大へんだと考えております。そういう御趣旨のようなことで一つ努力することにいたします。 それから移民の今の傾向はどうかという点については、移住局長からお答えをさせることにいたします。
○矢口政府委員 お答え申し上げます。中南米におきます移民の種類は御承知の通り二つございまして、ただいま御指摘の通りの労務者になる者と独立する者と二つございます。戦争前の例は労務者になる者が三分の二くらいでございましたが、戦後は半分々々というような大体の比率でございます。去年はただアマゾンで異変がございまして、これは説明すると長くなりますから省きますが、御指摘のような労務者関係の者の比率が少し多くなっております。と申しますのは、労務者関係は今戸叶委員の御指摘のような例もあるかもしれませんが、大体におきまして初めから無資本で、月給をもらいまして向うの言葉を習い、風俗習慣も習いまして、独立するものでございますから、安全なのであります。そういう関係でありますが、どちらがいいとも悪いとも言い切れない、場所によって違うのが今の実情でございます。
○和田委員 そこで今度のカンボディアの移民なのですが、今度の場合は主として農業移民を考えられているのですか。
○矢口政府委員 私からお答えいたします。当初は向うはいわゆる農業移住者を希望しておりましたけれども、会談の途中から農業に限らず水産業、林業、牧畜その他大中小企業何でもけっこうだ、こういうことに相なっております。
○和田委員 いや、私の聞いておるのは、政府として何を主にするか、農業移民を主にするのかどうかということです。
○矢口政府委員 これは近く専門家の調査団が出るはずでございまして、それに応じて最後の決定をいたしたいと思っております。調査団と申しますのは、農業関係の者と水産関係の者、畜産関係の者、商工業関係の者、それから医者を含めまして大体四月の上旬に調査団を出す方針でありまして、その報告に基いて最後の方針をきめることになっております。
○和田委員 しかし今度のカンボディアとの間の移民は、カンボディアが平和五原則の立場に立って今度の協定を結ぼうとしておるわけですし、こちらの方としても最初の委員会のときだったかどうか、あなたはアシミリエーションというものを非常に重要視されて、この移民を考えるのだということを言われておるのですが、総数も大体二千人ということに、きまっているわけですね。そういうふうになってきたときに一体どれを主にしてやるのか、今言ったような同化作用といったようなもので一番目的を達するのかというようなこと、あるいは現地の産業の実情、それから今度あなたが見てこられた現地の実情といったようなものでも、調査をこれから大いにやってもっと緻密なものにすることは必要でしょうけれども、やはり大体の方針というものはきまっていなければおかしと思うのです。そういう点何か具体的にきまったものがあればやはり考えを述べておいていただいた方がいいと思うのです。
○矢口政府委員 まず現段階までの、関係者が集まりましての一応の結論は、農業生産から始まりまして、これに製造販売に至るまでの一貫作業を日本側で引き受けたらいいじゃないか。たとえばジュートといいまして米を入れる袋がありますが、インドから円にしまして二億六千万円ばかり輸入しております。これが全然カンボディア側でできませんので、またこれは日本側のブラジルにおける最も得意とする仕事でありますので、これを作りまして、農業から始まってそれから製造過程に入り、製造から流通過程に入る、この一貫したものをやるのが向うにも喜ばれるし、日本の移住者のためにもなるのじゃないか、たとえばの話でありますが、そういう工合に考えております。
○和田委員 しかし農業移民として行く場合には、何かその農業が、たとえばジュートを生産するのを主にするのか、あるいはトウモロコシを作るのを主にするのか、また米を作るのか、いろいろ種類があろうと思うのです。農業移民としてやる場合に、一体どういうような形で農業移民をやろうとしておるのか。やはり経営の形態まで考えてやっていかなければならないのであって、ただ生産から製造、加工、販売をやるといったって、金融の問題とかいろいろあろうと思うのですが、その場合経営の形態自身がはっきりしなければどうにもならぬと思うのです。ただ独身の者がほしいというようなお話だけでは、そこがうまく結びつかぬような気がするのですが、その点は具体的にどういうように考えられておるのですか。
○矢口政府委員 お答え申し上げます。当初カンボディア側は同化というところに重点を置きました関係上、分散してもらいたい——農業の話を今申し上げているのでありますが、各地に分散してもらいたいという要望がございましたが、会談の途中わが方の要望をいれまして、集団的に入ることに異議がないということになったのであります。でありますから二百人とか三百人とか数は知りませんけれども、相当数の人間が一カ所に集まりまして、集団的に一つの企業体を作ってやり得るのじゃないか、こういう工合に考えております。そのためには相当の資本金を必要とするわけでございますけれども……。
○和田委員 土地はどうなんです。買うのですか。
○矢口政府委員 これはちょっと御説明申し上げました通り、土地は一人につきまして五町歩から十町歩くらいをもらうのであります。官有地でありますが、半分だけ耕しますと所有権が日本側に移る、こういうことになります。
○和田委員 これはカンボディアのように非常な後進地を開発していく仕事になるのですが、そういう場合に農業の方から始めるとしても、今あなたのおっしゃるようにかなり資本が要ると思うのです。その資本の手当がどうも今まで聞くところによると、かなり貧弱のように見えるのですが、そういうようなもので実際行ってやっていけるだけの自信を持って考えておられるのか、それともそういう資本の点についてはもっと何とか処置をして、今言ったように五町歩から十町歩くらいの——これは私は土地を見ませんから、ただ面積が日本と比べて広いからといって、それが非常にいいことになるかどうか断定はできませんけれども、少くとも今考えられているのを見ると、ある程度の標準よりもちょっと下くらいの面積のような気もするのです。土地の生産力から何からいろいろ考えてみると、あるいは標準的なものかもしれぬですけれども……。そういう点はどういうように資本の構成を考えておられるのか、何か具体的な案でもあればお示し願いたいと思います。
○矢口政府委員 本件移住政策が実行できますかどうかは一に資本金といいますか、あるいは国家財政負担の程度によると思います。日本の農民の生活水準に比べまして、向うは相当に生活水準が低うございますので、少くとも日本の農業者の生活水準と同じあるいはそれより高くしませんことには実行できません。そうしますと国家が相当の財政負担をしなければなりせん。また今の企業関係のことをいたしますと、民間企業家が相当進出しませんことには企業は成り立ちませんので、今や問題の大きな点は、国家がどれだけ資本金を負担するか、経費を負担するかというところに大きくかかっておるように判断いたしております。
○和田委員 それについて資金はどのくらいの見通しなのですか。
○矢口政府委員 これは実ははっきりした積算の基礎がございませんから、はっきり申し上げかねるのですが、ただ御参考までに申し上げられますことは、北海道の開発につきましては御承知の通り子供もならしまして二十万円余になっております。これは外国でありますから、井戸を作ったり、病院とか学校の問題がありますので、それの二倍になると計算いたしますと、一人どうしても四、五十万円になるのではないか、これはきわめてラフな言い方ではありますが、それくらいに考えております。
○和田委員 そのくらいの金額でやれだろうと思っておられる考え方は、私は非常に甘いのではないかと思うのです。たとえば北海道で一人ならして二十万円だといっても、事実営農資金やその他のものを出していっても、初めはどうしたって生産物が売れるわけではないのです。自分のところで食うのがやっとなのです。営農資金など農家経済ではとかく消費の方へ回わってしまう、家計の方に回わるおそれがある。ことにカンボディアなどに行った場合、最初のうちはその程度ならば食うのがかつかつだと思う。ほんとうに資本を投下して経営そのものの基礎ができていくということは、はるかに遠いものになってくるのではないかと思うのです。 それからもう一つは、今最初の説明に出ましたが、集団的にやってもいいということになってきますと、日本でいえばそこに一つの村ができるわけです。村ができれば医者も要れば、学校の先生も要るし、共同社会に必要な最小限度の人が要るし、また社会施設が要るということになるので、そういう集団的な移民をやっていくということは、同時に最初に政府が考えておる同化ということを重要視していくということと、現段階ではかなり矛盾した面が相当出てくるのじゃないか、そういうところを政府としては一体どういうように考えてその矛盾をなくしていくのか。ちょうど満州で分村の計画をやって——実は客観的な情勢ももちろん違いますけれども、同化という関係についてはかなり疑問があったわけであります。問題がたくさん起ったわけです。カンボディアの場合でも、集団的にやっていくという——もちろんその集団の大きさにもよりますけれども、同化ということを重要視していく行き方と、集団移民というものとの間にやはりかなりな隔たりがそこに出てくる。そうすればただ移民の形態ということではなくして、同化ということのためには、もっとほかのことを政府としては同時に考えていかなければならぬのじゃないかというようにわれわれは思うのだが、どういうお考えなのでしょう。これはいかがでしょう。
○矢口政府委員 私からお答え申し上げます。 最初の点は、ブラジルの場合でもそうでございますが、移民するには最小限度二十万円を持参しませんと移民できないことになっております。外国においてはそれが一つの見せ金でありまして、それを持たない者は入国を禁止する。やはり一年間の生活費を自分が持っていける程度の者が、自然選ばれることに相なるのじゃないかと考えております。 それから第二の点、集団的の問題であります。これは仰せの通りでありまして、向うでは集団では同化しないのじゃないかということを会議の最中でも盛んに言っておりましたけれども、わが方といたしましては、それではいい者が行かないというので、それではまずしばらくの間日本側の言うことを聞こうじゃないか、その間にまた方法もあろうじゃないかというのが両者の話し合いでありまして、当分の間、何年か知りませんけれども、とにかく集団的に入りまして、同化できればそれでよし、同化の方向に沿わない場合はまた別途方法を考えようじゃないかというのが両者の会談でございました。 それからほかのことと申しますと、できる限りカンボディア語を教えましたり、なるたけ向うの風俗習慣をのみ込ませるように種々方法は講ずるつもりでおります。
○和田委員 まだこれから調査に行ってやるということですから、突き詰めた意見を聞くわけにはいかないのですが、あそこは一つ湖がありまして相当漁業が盛んなように思うのですけれども、漁業的な移民というものは一体できる可能性があるのですか。
○矢口政府委員 各種の企業と申しました中に水産業が入っておりまして、あそこはちょうど琵琶湖の四倍あるとかいわれておりますが、重要なる生活のかてになっておりますので、大いにやってもらいたい。それから南の方の海岸にはエビが非常に生息しておるからぜひとってもらいたい。またあそこは小乗仏教の国でありまして、魚をとることはあまり好きなことではないので、それを日本人にやってもらいたいという相当強い希望を表明しております。
○和田委員 向うの漁民というものは自分で舟か網か何か持ってやっているほんとうの漁民であって、そういう大きな企業化したものは何もないのでございましょう。
○矢口政府委員 ございません。
○和田委員 そうすると、日本から行くものもそういう形のもので行くのですか。大いにとってもらいたいといっても、とる場合に……。
○矢口政府委員 時間の関係もございますので、簡単に御説明したのでそういうことになるのでありますが、実はあそこは、カン詰業をやってもらいたいというわけなのでございます。それからもう一つは、あそこら辺に行かれた方は御存じの通り、魚を干物にしたり塩ずけにいたしたのが東南アジア一帯の食料品になっておりますので、これをやってもらいたい、近代的な魚撈をやってもらいたいということでございます。あそこでやっておるのは、魚とりにしてもカンボディア籍を持った安南人が多いのでございまして、日本人が来れば能率ももっと上るだろうというのが向うのねらいのようであります。
○和田委員 それから工業移民ですが、工業の方も入っていくということがあるのですか。おそらくこれは食料品工業みたいなものになるのではないかと思うのです。そういう点は何か具体的なものがあるのですか。
○矢口政府委員 これは食料品に限らず何もございませんので、石けんにしたところで、陶磁器にしても、皮の広めしにしても、製紙にしてもあるいは自転車の修理工にしても、何でもけっこうだというのであります。また飲料水にしても、ビールにしてもみな外国から来ているという状態でありまして、いかなる工業でも歓迎するというわけでございます。
○和田委員 まだ聞きたいのですが、大臣をあまり引きとめるのも気の毒だと思いますし、時間もないのですからこれで終ろうと思います。 今度のカンボディアとの協定ですが、将来の問題としては文化の問題また技術の問題、広範にわたっていろいろ両国の友好関係を作っていくということになると思うのですが、さしあたっては移民だけが一応の問題になると思うのです。そして実は移民ということが同時に両国の技術交流はり、あるいは文化の交流なりの一つの大きな手段だと思うのです。そういう点から考えて、カンボディアに送る移民につきましては、従来のようにただ形だけ整えて行けばいいというのではなくて、ほんとうに行った者が地について、そこの住民から排斥を食うようなことなく、喜ばれるような形のものであってもらいたいということを私どもは非常に希望しておるのです。従って大臣とされても、この移民をただ単に農業の移民であるとか、工業の移民であるとかいったような従来の移民という考え方をとらずに、もっと大きな視野からこの問題を考えていただく、具体的には実際をよく調べてくるということだけでなしに、送る方の態勢触りあるいは受け入れの態勢なりにはほんとうに万全を期して、従来の海外移民は、とかく形の上だけは整っていて、行ってみるが実際はあまり効果が上っていないので帰ってくる者が多い。日本の開拓の場合でもそれがあったわけで、そういう点、予算はりその他の点についても問題はやはり一にかかって資本と、送り出す形、受け入れの形にあると思うのでありまして、そういう点についても大臣として強い決意を持ってやっていただきたい。大臣に対してはその希望だけを述べまして、事務的な質問はあとへ留保して、順序はちょっと逆になりましたが、私は一応これで打ち切ります。
○前尾委員長 穗積七郎君。
○穗積委員 委員長に申し上げますが、与党の諸君はここへ出てこられて大半眠っておる。こんな委員会はかってありませんから、委員会の権威のために委員長から注意してもらいたい。(「謹聴しているんだ」「沈思黙考しているんだ」と呼ぶ者あり) 大臣にちょっとお尋ねいたします。実はきょうの委員会は国際情勢一般について質問することになっておりまして、余裕があったならば条約法案の審議をしようという申し合せになっておったわけですが、今委員長のお取り計らいで法案の審議が先になったわけです。法案につきましても私、大臣に対する質問がありますが、また国際情勢についてはなおさらでございますが、その両方の質問に先だちまして、緊急に大臣にちょっとお尋ねいたしておきたいことがあるわけです。日比賠償の取扱いについて、内容についてはまた別に伺いますが、あなたも御承知の通り、与党、野党の間でこの問題は国民経済に対する影響が大きいし、のみならず、そのほかの被賠償国との関連もあって重要な問題であるから、日本側の意思を最終的に決定する場合、というのは、調印するときのことではないのですよ。調印前という意味ではなくて、日本側の最終的の意見をきめる前には必ず中間報告をして、野党の意見も十分聞いた上で方針を立てたいという申し合せになっております。ところがもうすでにわれわれ外から見ておりますと、きのうか、きようでございますか、鳩山さんの特使のような格好で藤山さんがかの地へお立ちになるというような段階にきておるわけであります。そこで私がお尋ねいたしたいのは、こういう与野党問における政治道義の上に立った申し合せのことをあなた御存じであったかどうか。これは事実でございますから、もし御存じでなかったならば、そのことを確認していただいて、そうしてそれに対するお答えをいただきたい。 それから第二には、そういうことでありますから、従って調印前であるならば、決定前に中間報告をして、野党の意見も聞いて云々というようなことの弁解がましい形式論にとらわれることなしに、日本側の意思が、決定の最終の段階にわれわれの見るところでは来ていると思うのです。これによって非常に金を余分に、初めの話し合いよりは倍額の金が取られる。しかも、そのことが同時に日比間の貿易を圧迫する。貿易は御承知の通り、年々入超でございます。それがさらに輸出が圧迫されて入超状態になるということは甚大な影響を及ぼすというので、与党の中で一部に反対があって、貿易拡大を条件としてというようなことが最終的な条件である。それをおそらく向うの意向を打診するために、財界代表としての藤山特使をやられたと思うのです。そういうことであるなら、その他の問題については、もうほとんど政府としては最終的な意思決定の段階にて来おるわけでございますから、従ってわれわれはもうすでにおそきに失するくらいに考えております。この与野党問の道義的な申し合せに従って反省いたしますならば、もうすでに時期がおそいとすらわれわれは考えておりますが、担当の重光外務大臣はそれとの勘案において、いつこの中間報告をなさろうとするお考えであるか、問題が緊急であり、重大でございますから、最初にこのことを伺っておきたいと思います。
○重光国務大臣 お答え申し上げます。日比賠償に関係する御質問でございました。今申された日比賠償の交渉をどうするかということを、前もつて与野党の間に相談をするというが、そういう約束があったということを私は存じませんが、いつごろの話ですか。
○穗積委員 幹事長、書記長問で話し合っているのです。
○重光国務大臣 私はそういうことを、相談をしてやるということは存じておりませんことをお答え申し上げます。(穗積委員「それば事実ですから、もう一ぺん確かめられて……」と呼ぶ)それは、私はそれだけのお答えでいいと思います。(穗積委員「それでは委員部の諸君、岸さんを呼んで下さい」と呼ぶ)しかしそれに対して私の考え方を申し上げます。先ほど中間報告をするかしないかという御質問がありましたから私の考え方を申し上げます。そういうお約束が与野党間にあったということは存じません。存じませんが、私はかような外交問題については、できるだけ超党派的に取り扱いたいということで、一般の考え方は常に表示しておるのであります。表示しておるのでございますから、この問題についてもでき得るだけ私は、その内容についても委員会等において御説明をしてきたつもりでございます。しかしながらこれは交渉事でありますから、交渉の中途においてどういう交渉をしておるかという内容申し上げるということは、これは国家的利益に沿わないことと思ってそれは申し上げませんでした。しかし大体の輪郭はこういうことに……(穗積委員「ほかのケースでもしておるじゃありませんか」と呼ぶ)だからそれを説明しておると私は申し上げておるので、これは説明しております。日比時値についても、この委員会でなかったかしれませんけれども、質問にもありましたし、大体はこうなっておるのだということを説明しております。それから大体のわが方の考え方はこういうふうになっておるのだということも説明しております。しかしこちらの考え歩こうであるから、それを全部公表しろというのは、私は、交渉事で、こちらの考えを全部公表するわけには参りません。不利益にならない範囲内においてこれをやらなければなりません。今日においてこちらの考え方が大体きまっておる。そうしてそれば申し上げられる範囲は申し上げておりますが、それがどう最終的に向うとの交渉において決定するかということは、この道中においては、はっきりその道中を申し上げることはできないのでございます。しかし交渉がだんだん進んで参ります。進んで参りまして、向うの意向もわかり、意思の合致も相当できたというような時期に、この交渉の経過がどういうことになっておるかということを申し上げることは、私はできる時期がくると思います。最終のところまでいかないでも、それはなるべくそういう時期がきましたらば、早く委員会なり、何なりによって私はそのことを申し上げたい、こう実は思っておるのでございます。これが私の考え方でございまして、たとい与野党の間に相談をするといっても、そういう考え方を逸脱してはいき得ないと考えるのでございます。私の考え方は不利益にならない範囲内で、公表し得る時期においてなるべくすみやかに申し上げたい、こういう考え方を持っております。
○前尾委員長 穗積君、緊急質問だからそのつもりでやって下さい。
○穗積委員 私はすみのすみまでみんな発表しろということまで話し合ったというのではありません。この幹事長、書記長間の話し合いは、先ほど申し上げたように、この問題は重要であるから適当な時期、すなわち日本側の意思を最終的にきめる前には、少くとも形式として一応予定されたのは、本会議において中間報告をして、そうして野党の意見、また国民の意見も聞いてやっていくように、こういうことは必ずやるからという申し合せになっておるわけでございます。そこで今おっしゃったように、公開の席上において、交渉の過程においては発表のできることとできないものとの多少の境のあることは予想のつくことでございます。そういうことであるならば、今おっしゃったように、両方の話が大体きまってからでは報告されても意味がない。だから意思を決定する前に、こういう問題について重要な段階にきたがどうかということで、なお政府の方針はこうであるということをもし発表することが悪い場合においては、秘密会にして発表していただいてもけっこうでございます。その方法は幾らでもありますが、そういうことで、私の聞いているのは、時期は一体いつになさるつもりであるのか、場合によりましたならば、今までの段階において差しつかえのない範囲内において、まず本日この席上において発表していただいてもけっこうでございますし、時間がないならば次の機会でもよろしいが、次の機会というならば、いつを御予定になっておられるか、時期的に見てこれは必ずしも一回でなくてもいい、二回、三回とやっていただいてけっこうです。 次に、緊急質問ですから関連して質問しておきますが、向うで、藤山さんをよこすということに対して、必要がないということをネリ代表がもうすでにマニラで、あの人が立つ前にそういう意見を発表しておる。そういうことに対してあなたは一体どういう御感想を持っておられるのか、これについても関連いたしまして質問いたしておきたいと思いますから、以上二問について大臣の明確な御方針をお示しいただきたいと思います。
○重光国務大臣 私は先ほど申し上げたことを繰り返さなければなりません。この問題について私は御報告申し上げたいことは、他の委員会でございましたか、予算委員会でございましたか相当はっきりと申し上げてきております。それをまた本委員会において繰り返して御説明申し上げることは私の少しもいとわないところでございます。それから今後の経過について中間報告をする時期については、おまかせを願わなければならぬと思います。こちらの意思がこうであると言って明らかになることがいい問題もあるし、悪い問題もあると思いますから、その点を一つ十分判断をして、私はでき得るだけ御意向に沿いたいという気持を十分表示したいと思います。それだけのことをおくみ取りを願いたいと思います。 それから藤山氏云々ということはどういうところでお聞きになったのか知りませんけれども、私どもの情報ではそういうふうではありません。かえってこれが賠償問題の促進にもなり、将来日比経済関係の民間の方面の提携ともなるのでございますから、むしろそれを喜んで歓迎しておるということがわれわれの情報でございます。新聞情報としてはフィリピンではいろいろあったようでございますけれども、そういうことが私どもの真相だと承知をいたしております。
○戸叶委員 私、きょうは重光外務大臣から国際情勢を質問する中で、日比賠償のことを伺いたいと思っておりました。それは先ほど大臣がこの委員会でもときどき報告したかのような御返事でございましたけれども、私どもは系統立って報告らしいものはいまだ聞いておりません。そこできょうははっきり伺いたいと思ったのでけれども、時間がないようでございますのでこの次の機会に伺いたいと思いますが、ただ一点伺いたいことは、藤山氏が持っていかれますところの鳩山書簡なるものの中には貿易拡大のことが主として書かれておったのか、それともさきのマグサイサイ大統領から申込まれた賠償を、大体日本が承諾したという意味のことを書いた親青であったか、あるいは両方書かれたものであったか、この点だけ伺いたいと思います。
○重光国務大臣 日比賠償に関連した問題でございますが、そのことは双方の合意するときに発表いたします。なるべくすみやかに発表いたしますから、そのときに御承知を願いたいと思います。
○戸叶委員 今の私の質問に対するお答えをいただきたい。それでは藤山氏の持っていかれる親書の内容については、今はどういうことであったかはお述べになることができないというふうに了承してよろしゅうございますか。
○重光国務大臣 今申した通りでございます。これは先方との往復の関係がありますから、先方と相談いたしまして発表いたしたい、こう考えております。その時期はなるべくすみやかにやりたい。それで御承知を願います。
○田中(織)委員 関連して。今の戸叶君の質問に対する大臣の答弁、私は納得がいかない。それはなぜかと申しますと、藤山特使も本日午後出発されたようでありますが、特使が携行する鳩山回答なるものの写しがすでにマニラの在外事務所長代理のト部君を通じてフィリピン側に渡った、それに対してマグサイサイ大統領はきわめて好感を表明しておるというマニラ電が今朝の新聞にすでに発表されておるのであります。私はそういう意味でこの問題は戸叶君の質問いたしましたように、昨年マグサイサイ大統領から日比賠償について鳩山首相あてに参りました書簡に対する正式の回答であるか、あるいはいわゆる伝えられる二億五千万ドルの民間借款に関連した貿易振興に則する問題についての鳩山総理の書簡であるかということは、これは私はきわめて重大な関係を持ってくると思うのです。その意味でマニラ電の報ずるところによりますれば、すでに日比賠償の基本的な問題というものは、一応日本側の回答にも匹敵するべき重大な内容を持っておるように、その内容が個条書きにあげられて、先方ですでにそれを漏らしておるのです。従って日本国民の代表である国会において、この書簡の内容にわたっての問題はともかくとして、性質がどういうものであるかということを、外務大臣がお答えできないということはあり得ないのです。しかもこの問題については、前々回の本委員会で与党の福田篤泰君から、十二日に同時発表する云々で外務大臣、あなたに質問がされているのです。それに対しては十二日には日比賠償交渉はそういう重要な段階に到達するものではないということを、あなたはこの委員会において福田篤泰君の質問に対してお答えになっておるのです。もちろん藤山特使を派遣するとか、今度の回答という問題については外務大臣は積極的ではなかった、賛成はしなかったというようなことが日本の新聞にも報道されているときだけに、もし主管としての外務大臣が知らない間に、いわゆる鳩山首相の書簡というようなもの、賠償の基本的な問題に触れたものが出されるということになれば、それこそ私は日本政府の外交方針の二元化をもたらすものであって、きわめて重大だと思うのです。その意味であなたはこうした誤解を一掃する意味においても、ただいま戸叶君が質問をいたしました藤山特使が携行した鳩山書簡、いわゆる鳩山回答というものが、日比賠償の基本的な問題に触れたものであるかどうか、具体的に言えばマグサイサイ大統領の昨年末の書簡に対する回答なのか、藤山特使が新たなる任務を帯びて参ることに対する紹介的なものであるか、この点を明確にしていただきたいと思います。
○重光国務大臣 私は明快にお答えしておるつもりでございます。今お話によりますと文書の内容じゃない、文書を持っていったかどうかということを言ったらどうか、また十二日に発表はできないとこの前言ったじゃないか、それはどうか、間違いであったかとかいうお話のようでございましたが、十二日はもうとっくに過ぎております。その間にまだ発表はないのでございます。フィリピン側も正式には文書がどうであるとかいう内容は何も発表はいたしておりません。ただ私が他の委員会でございましたか、説明をしたことは、フィリピン側から正式の提案があった、とれに対して内交渉をずっと進めてきた、その内交渉の趣旨はその提案の的確は意味について十分これを明らかにしなければはらぬので、ずっと内交渉をいたして参った、こういうことを御説明をしてきたのでございます。そしてその内交渉も大体済んだ、その提案の内容もすっかりわかってきた。わかってきたから、日本政府はその提案を一括してワクにして一つ正式の交渉をしよう。正式交渉をしてそして、取りきめをしようというところまできておるのである、こういうことを申し上げたのでございます。そこで、どういう手紙を往復したかというその内容をフィリピン側は発表をいたしておりません。新聞にはいろいろ推測が出ておりますけれども、この内容は、自分らが受け取る手紙である以上は、それを自分らの方も同時に発表させてもらわなければいかぬということを、先方も要求しておるのでありますから、その発表は将来発表する。いつ発表するかというと、できるだけそういうものは早く発表してもらいたいというのが、私の意思であるということは先ほど申し上げた通りでございます。さようでございますから、その内容を今発表するということは差し控えたいのでございます。さようにして正式の取りきめは交渉によって進んでいくという段取りになっておることを——この委員会でありませんでしたかもしれません。他の委員会において一両度説明をいたしたのでございます。さような状況であります。
○前尾委員長 外務大臣は、だいぶ前から参議院の出席要求が参っておりますので、事務当局に対する質問を継続していただきます。 〔「定足数に足りないじゃないか」と呼ぶ者あり〕
○前尾委員長 ただいまちょっと用便に行っておりますから……。(笑声)
○穗積委員 それでは日本・カンボディアとの友好条約についての大臣に対する質日は保留いたしまして、事務当局に対して二、三お尋ねをいたしたいと思います。矢口局長にお尋ねいたしますが、昨年のこの委員会で熱心に審議がされて、特にわれわれ野党もこの移民の問題については、従来政府の所管が多元的になっておったから外務省に一本にまとめるようにというわれわれの異常な努力によって、そういうものができ上ったわけでございます。そしてその原則とともに移住会社なるものができたわけですが、その詳しい報告を聞いておりませんので、移住会社は発足以来どういう実情にあり、どういうことを今まで実績としてして参りましたか。後にそれとの関連がありますから、前もって伺っておきたいと思います。
○矢口政府委員 お答え申し上げます。移住会社法案が通りましたのは七月の十二、三日ごろでございましたか、それに基きまして七月の二十五日ごろだと思いますが総会を関連しまして、それでいよいよ発足いたしたのであります。それから移住会社法案に基きまして、役員すなわち社長も入れまして重役と称する者が四名、監査役が二名、それに社員ができまして、一応の発足を見たのが八月の二十四、五日ごろだったと思います。はっきりした日にちは後ほど申し上げます。それで当面の仕事は会社の整備と、それから調査というところに重点が入りまして、どういう工合にして仕事をしていくか。何しろ日本には全然経験のない事業でございましたので、相当困難したのでありますが、十月の半ばごろに調査隊を送りまして、それは外務省側と移住会社側の両方四名からなる調査隊を送りまして、早い者ば一月の初めに、おそい者は来たる二十日に帰ってきまして、全部一応調査は終えたことになりました。 それで一方アメリカの三銀行から金を堅実に借りる話し合いは引き続きやっておったのでありますが、日本政府といたしましては金利を支払う関係もあるのでございますから、いわゆる融通を受けました金の使途がはっきりするときまで、現実に借りる時期を延ばしたいというので今日まで延びて参りました。それに並行して借款交渉が進みまして、これも大体大詰めに参り、この二十日までにはいよいよ借款が成立するはずであります。特にその中で借款の条件というものを申し上げますと、金利は四分五厘であります。これにつきましては、わが方に相当の異存がありまして樽爼折衝をやったのでありますが、アメリカ側といたしましては、この話が起りました約一年半前の情勢と、今日の金融情勢との間に大きな開きがあるという理由によって、どうしても向うは承知せず、一方日本側におきましては累次の先例を調べてみますと、必ずしもこれは無理じやないという結論に達しましたので、大蔵省、外務省、会社側の意見が一致いたしまして、大体四分五厘の比率をのむことに内定いたしております。この二十日でございましたか、十九日でございましたか、いよいよ第一回三百万ドルの貸借契約を結ぶわけでございます。それで今申し上げました通り、一方この調査隊は現地の実情をよく把握して参りましたので、いよいよ貸し出す段取りになるのでありますが、これに先だちまして現地機関を設けるという必要もあるのであります。もっと具体的に申し上げますと、社会側の代表である専務が着きますのは、この二十日でありますので、その実地報告に基いてきめるのでありますが、大体の方針といたしましては、リオデジャネイロに支部を置き、それからサンパウロと、アマゾンのベレン、この三カ所にとりあえず支店を置きまして、リオが一番大きくなるわけでありますが、その出張所的なものをサンパウロとベレンに置きまして、そこで現地の施設を整備するはずでございます。それで本年度に借りました三百万ドルは、大体農業関係を主といたしまして、それに工業関係で大体貸し出す方針で一応の成案ができておるようであります。来年度借ります五百万ドルにつきましては、その借りるときに至りまして現実に借りる必要が起ったときに借り出す、といいますのは利子の関係がございますものですから……。そういうわけでございまして、ようやくこの月末にいろいろな仕事が整備するという態勢に立ち至りました。
○穗積委員 議事進行についてちょっと申し上げますが、われわれ野党議員は非常に熱心に協力しておるのに、与党の諸君が定足数を欠いてしまってほとんど帰られてしまった、それで今委員長が言われたように用便に立たれたと思っておりましたから、さっきから予定される時間を余裕を置いて待っておりましたが、見えませんので、本日はこれをもって散会されんことを提案いたします。
○前尾委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時五十三分散会