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24回国会衆議院1956/03/03

外務委員会 第15号

発言数
147
登壇者
13
会派数
3
開催日
1956/03/03

会議録

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 これより会議を開きます。  国際情勢等に関する件について緊急質疑を許します。穗積七郎君。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 私は委員長のお許しを得まして、アメリカの南太平洋地域におきます原水爆実験の問題について、緊急の質問をいたしたいと思います。第一、政府はこの通告をいつ、どういう形式でお受けになりましたか。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 一月十二日に米国の原子力委員会から、この春を期して原爆の実験をするという公表がございまして、政府におきましてはそのことを重大視いたしまして、その直後に米国側に対して、前広にその危険区域並びに実験の時期を通告するようにということと、さらに危険予防については万全の処置を講ずるように、さらにその実験によって生ずべき損害については、十分なる補償を行うべきことについて、米国政府に申し入れをいたした次第であります。今般その回答といたしまして、米国側からワシントンにおきまして、わが在米大使館に対して四月の二十日から始まりまして、大体一昨年のビキニにおいて原爆実験が行われましたとほぼ大きさの同じ地域にわたって、その実験を行うという旨の回答がございました。その回答におきまして、また米国政府としては危険予防、危険防止については万全の処置を講ずる、そういうことを言って参っております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 今の御報告は、はなはだ不十分でございます。第一、国会の決議以後の禁止の申し入れに対する回答、それから今の在米大使館を通じてお話があったというが、それは幾日にあったのか、それから期間は新聞の報ずる通り八月の末まででございますか、それをもう少し正確に最初に報告しておいて下さい。われわれが新聞をもって知った不実を通じて話を進めますと、あとでお互いに錯誤があってはいけませんから、報告を正確にしておいて下さい。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 国会の禁止決議につきましては、二月の中旬に……(穗積委員「幾日ですか」と呼ぶ)それはここにちょっとそれぞれ何月何日ということについて資料を持ち合せておりませんので、申し上げられませんが、米国、英国それからソ連に対して、さらにまた国連に対しまして、衆参両議院の決議を伝達いたし、同時にこの国民的な要望の達成について、相手側の真剣なる考慮を要請するという趣旨の申し入れをいたしました。その申し入れに対しましては、先方で——これはアメリカについてでありますが、先方の当局は慎重に検討すると言っておりますので、目下検討中であると存じますが、出会の決議を伝達いたし止したわが方の申し入れに対しましては、八のところ回答はございません。(穗積委員四月二十日からやるというのが回答でしょう、と呼ぶ)それは衆議院の決議は国際協定、そういう原爆の実験の禁止を趣旨とする国際決議を要請する、そういう決議であったと了解いたしております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それは違います。それは違いますが、それより先に何月幾日に——四月二十日からいつまで、地域はどこどこで、どういう方法で何回やるということをちゃんと言ってきたか、その通告の内容を聞いているのです。きのう新聞発表のありましたものを……。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 今回の実験につきましては、昨日アメリカの原子力委員会の公表にありました通り、その実験の区域は先ほど申しましたように、前回の区域と大体同じ位置になるのでありますが、東経百五十八度、北緯十八度三十分、東経百七十二度、北緯十八度三十分、東経百七十二度、北緯十一度三十分、東経百六十六度十六分、北緯十一度三十分、東経百六十六度十六分、北緯十度十五分、東経百五十八度、北緯十度十五分、ただいま申し上げました六つの地点によって囲まれました大体矩形型の地域、これが実験水域となる、さらに実験の期間につきましては、危険区域と指定するその始期、すなわち始まりの期日は四月二十日、その終期については大体八月末、こう発表されております。(穗積委員「何回やるの」と呼ぶ)その期間の間に実験が何回行われるということについては、何ら示されておりません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 その途中で危険区域の解除をやるのですか、継続してやるのですか。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 先方の回答の文面を見ますと、八月末日以前にも解除される地域もあるやに読まれますけれども……(穗積委員「途中です」と呼ぶ)途中で解除になるかどうかということについては示されておりません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 これは向うから日本政府に対する正式な通告がありましたか。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 日本政府に対しましては、約十日ほど前に在米大使館を通じまして、今回原子力委員会から公表されましたと大体同趣旨の申し入れがなされております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それに対してどういう対策をおとりになりましたか。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 ただいま申し上げましたように、実験区域及び実験期間の終期につきまして多少明確を欠く点がありますので、重ねてその点を明確にしてもらいたいということを申し入れるように、在米大使館に訓令いたしております。さらに米国側の回答は損害に対する補償の問題について触れておりませんので、その点について先方の回答を督促いたすように訓令いたしました。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 日本の政府は一体どこの国の政府でございましょうか。これは国民すなわち国会を通ずる国民の基礎の上に立っている政府でなければならない。国会において全会一致によって、今度の原水爆の実験に対する反対決議が行われております。これは国民のすべてが反対しているということを意味しているわけですが、それを代表する政府がこういう申し入れがあったのに、いわばこちらからその決議を伝達して、それに対して善処してもらいたいということを申し入れたのに対して、それに対しては、何らのこうでなければならぬという理由を示すことなしに、一方的にこういう通告をして、それに対して政府は、やる終期とか補償の問題を明らかにしてもらいたいなどという、そういう条件の問題ではなくして、やること自体に対して反対の意思表示をすべきであるにもかかわらず、またその努力をあらゆる方法を通じてなすべきにかかわらず、これを許容するごとく、終期はいつでございますか、それから損害補償のこまかい規定がありませんからそれを明らかにしてもらいたい。これは明らかに国会を無視し、日本の国民の要望を無視するものであって、一体そういう政府はどこの国のだれの政府であるかと聞きたくなる。どういうふうにお考えになりますか、基本的態度について伺いたいのでございます。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 先ほど申しましたように、米国政府の当局では、衆参両議院の決議伝達の際に、これにつき慎重なる考慮を加えると申しておりますので、この趣旨は達成せられるように、先方でも真剣に考えておると考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 冗談を言ってはいけませんよ。この国会の趣旨というのは、いつからいつまでおやりになりますかとか、あるいはまた損害が起きたときには補償をどうしますとか、あるいはまた危険予防のための措置はどうしますかというようなことを、聞いたり要望したりしたのではございません。実験そのものをわれわれは反対をした決議をしておるのでごさいますから、それに対して一体どういう態度をとったかというのだ。国会の決議を無視しておるじゃありませんか、政府の態度は。国会の決議を無視し、国民の要望を無視して、一体だれのために政治をやっておられるのか。皮肉な言い分でございますが、そういうことで、だれのためのだれの政府であるかと聞きたい。根本が違いますよ。国会の決議はそんな条件闘争ではありません。やること自信が反対だということを示しておるのでありますから。しかもこれは野党だけではない。与党のここにおられる福田君が本会議に提案をされ、しかも熱心にも、けなげにもこの問題に対してはその後この委員会において、その後どういう措置をとったかといって督促質問をされておる。十分それは考慮いたしますと言って何を考慮するのですか。われわれが願っておるのはやめてもらいたいということを言っておる。それに対して考慮して、何らかの返事があると言う。どういう返事があるのですか。ちょっと局長のお考え違いじゃないかと思うのですが、もう一ぺん冷静に物の順序を判断されて、ぜひ政府の基本的な態度を国会並びに国民の要望にこたえて明らかにしてもらいたい。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 私どもといたしましては、国民の要望を表示し、国民のその要望に基いてできております国会の決議をどこまでも尊重いたしまして、御要望の国際協定が締結せられますように、この上とも適切な処置を講じたいと考えております。ただ先ほどもちょっと申し上げましたように国会の御要望は、原子力実験の禁止を目途とする国際協定の締結にあると解釈いたしております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 ちょっとそれは違いますよ。私は正確にわかり切ったことだと思って、きょうはあのときの決議文を持って参りませんでしたが、衆議院と参議院と両方あなたはごらんになっていますか。実験禁止そのものを要望しておるのですよ。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 参議院の決議もよく承知いたしております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それはどうなっておりますか。もう一ぺんそこでちょっと見てもらいたい。実験禁止になっておりますよ。国際的な取りきめができるまでは自由だなんという外務省の解釈と同じような決議はしておりません。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 この原水爆の実験禁止につきましては、やはり関係国問のある程度の了解ができないと不可能であろうと考えております。外務省といたしましては、そういう国際的な合意といいますか、話し合いの成立をどこまでも目的とすべきであると考えております。

森島守人日本社会党

○森島委員 関連質問。今御答弁がありましたが、私はこの前も政務次官に対して、衆議院と参議院の決議の趣旨は違っている。衆議院の方は、今局長がおっしゃったように、国際的取りきめの成立を要望したような文句を使っておった。しかし参議院ははっきり国際的取りきめができる前においても禁止自体を目標とした決議をやっている。それであるから、私は外務省としては参議院、衆議院いずれの要望を伝達したかということもお聞きし、それに対する各国政府の反響をも、個々にわたってお知らせ願いたいということを要望したのです。この点について、二つ分けて、明確に御答弁願いたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 その点につきましては先般もお答え申し上げましたが、確かに仰せのごとく衆議院の決議と参議院の決議は違っております。衆議院の方は政府に伝達すべしという御決議でありますので、ごく形式的に申しますれば、政府は伝達いたしましたと申しても、あるいは済むかもしれない問題であります。しかし参議院の方はそうではなくて、具体的の措置を要望しておられるわけであります。禁止の実現に努力すべしという禁止の措置を要望しておられるのでありまして、政府はもちろん参議院の要望の御趣旨に沿って、その目的貫徹のためにその努力の措置を続けているわけでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 その御答弁は、はなはだしくおかしいですよ。それは参議院の方は、具体的に実験そのもりをやめてくれということになっている。たとい衆議院のような多少はやわらかい表現であっても、眼前にまた太平洋においてアメリカが実験をやるという事態に備えて、実は時宜に適してあの決議を重ねてしているわけです。国際管理の問題については一昨年すでにやっております。しかるにもかかわらず重ねてやったということは、——この実験を取りやめてもらいたいという趣旨があるわけです。そこで伝達という言葉がたとい使ってあったにしても、参議院の方はこの措置をとることを政府に対して要求している。やめることに努力するような措置をとることを要求しているのです。その二つの決議文を見て伝達すればいいんだというような解釈では、私は政府の政治的な信念を疑いたくなると思います。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 私どもはごく形式的に伝達すれば事済むんだという解釈は全然とっておりません。その反対に衆議院の御決議を形式的に解釈すればそういうことになるかもしれないけれども、参議院の決議の趣旨もあるのでございますから、両方の目的が達成されるための措置をとっているわけであります。それでまた参議院の決議は措置を要望しておられますが、その措置は日本一国で実力をもって禁止を実行しろという趣旨とは、これはもう常識的に考えられないのであります。日本一国でやるなら、ビキニに海外派兵をして、ビキニの実験場を爆破するよりほか方法がないのであります。まさかそれをやれという御趣旨とは考えられないのであります。(発言する者あり)まず実験を禁止するためには、実験禁止を可能ならしむるための実定国際法を作らなければなりません。その実定国際法が実現する前に、日本独自の意思でもって実際に一方的にその意思を実行するのには、ビキニの実験場を破砕する以外にない。これは社会党の御反対なさる海外派兵を行わなければできないわけであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それは今現実に相手が不法に——これはあとで国際法上の合法性について、お尋ねいたしますが、われわれの解釈では、不法に、しかも不当な区域と期間にわたって、こんな危険きわまることをやるかやらぬかということを実力をもって阻止する考えは、われわれもないし、そういうことは考えておらぬ。しかしそれをどういう方法でやるかということについては、まず第一に一番危険の多い日本が反対の意思表示を曲げてはいけない、始まっても、これは最後まで曲げてはいけない。それをもう曲げて、受諾するように条件を示せ、危険が起きることを予想して、危険に対する補償を要求する、こういうような態度は根本的に間違っていますよ。これを私は言っているのです。国際法上の今法性の問題について、あるいはとめる方法の問題については、これからあとの話であって、私は基本的な態度を言っているのですよ。その先に問題を展開してごまかしてはいけない。基本的な態度は賛成ですか、反対ですかと聞いているのです。日本政府は、国民を代表する政府ならば、当然あくまで反対の態度をとるべきです。国会へもう一ぺん出してみなさい。条件さえ満足ならば、やらしてもよろしいという決議は出てきません。それともそういうことを政府提案で出すつもりですか。それを具体的に聞きたいのです。賛成か、反対かと聞いているのです。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 問題は、原爆実験をやることを不可能ならしめるということが、われわれの最大目標でございます。遺憾ながらそれは、国際法上いまだ可能になっておりません。(「国際法上可能でなくてもとめることができますよ、世論で……。」と呼ぶ者あり)それを実現することにつきましては、私どもは穂積先生と全く同感であります。ただ問題がどこまで進んでおるかということを見きわめずして、猪突猛進できないのでございます。実定国際法をすみやかに成立せしめるためには、日本は世界で唯一の原爆の被害を受けておる国でありますから、まっ先に立ってその声をあげて、国際連合あるいは国際赤十字等、あらゆる手段を通じ、あらゆる機会をとらえて、その実現に努力するというのが、繰り返し政府側から述べておる政府の態度であります。しかしそれだからといって、今直ちにアメリカがやろうとする実験を、日本一国でいかにしてこれを禁止し得るでありましょうか。それは絶対不可能でございます。(「絶対なものですか」と呼ぶ者あり)これは絶対不可能なことであります。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 私、一問だけ関連して伺いますが、国会の決議は、今回アメリカ側が通告して参ったところの実験を中止させるというために、政府が有効適切な措置をとることを要求しているものなんです。従って実験を力をもって不可能ならしめるということを、国民は要求いたしておりません。これはやはり政府がアメリカとの話し合いにおいて、これは日本にきわめて重大な影響のある問題であるから、アメリカは日本の国民の要望をいれて取りやめてもらいたいということについて、これを取りやめが実脱するまで、終始その態度を貫かなければならないということで、これはただいま穂積君が申し上げたのもその点なのです。そこで具体的に伺いますが、今回われわれの切なる要望にもかかわらず、アメリカ側はこれに対して、日本国民の要望が政府を通じて伝達されたにかかわらず、何らの回答がなかったばかりでなくて、その要望を踏みにじるということが、今回の通報になって現われたものだ、そう日本の国民は解釈せざるを得ないのです。従ってこの通報を受けたときに、今欧米局長のお話では、在米大使館を通じて、終期の問題、それから損害補償の問題について、重ねて向うの返事を督促したというのでありますが、その前提としては、この前からの切なる日本国民の要望をお伝えしておるにもかかわらず、その要望が聞き入れられないという形で、この実験の通報をされたことはきわめて遺憾である。(「それは賛成だ」と呼ぶ者あり)その意味において、この段階においても、なお日本政府の立場としては、国民の切なる要望に基いて、これを中止してもらいたいという考え方には変りはないのだという前提をもって、アメリカ側に接しておるかどうか、この点について具体的なお答えを願いたい。これは伝達しただけでは政府の責任は解除されない。僕はその意味において、下田条約局長の答弁は形式的な解釈で、伝達すればそれでいいのだというようなふうにとれたからやかましく申し上げたのでありますが、具体的に今その前提をもって、今回の通報を受けたときにも、アメリカ側に重ねて日本国民の要望、国会の決議の趣旨というものを政府側が伝達しているかどうか、その点についてのお答えを願いたい。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 先ほども申し上げました通り、外務省当局といたしましては、国民の要望に基きます国会の決議の趣旨が達成せられますことを念願いたしているのであります。アメリカ側もそのことについて慎重に検討をしているということでありますが、しかし情勢の推移を見まして、その点について適切なる処置を講じたいと考えます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そんな答弁でわれわれは満足できませんよ。第一、さっきから話をしているように、こちらはあくまでも基本的に、生じた被害に対して補償をどうするとかいう問題じゃなくて、やめてもらいたいというのが基本的態度なのです。それに対して、やめる方法は国際法の禁止の規定がなければできないというような下田条約局長のお答えでございますが、それは全く属吏の考え方であって、これをやめさせるためには、国際法の規定以外の政治的な交渉なり努力、世論によってこれを解決する方法は幾らでもございます。国防法で、ここに禁止の規定があるから、これによって要求しろということを言っているのじゃなくて、交渉を重ね、さらに国際的な世論を起して、それによってアメリカの自粛、反省を求めて中止に至らしめろ、(「ソ連もやめさせろ」と呼ぶ者あり)こういうことを言っているのであって、そのためには、基本的な態度そのものが問題である。しかもこのの場合におきましてはソ連の話も出ますが、アメリカの場合は、特に日本はその被害を幾たびもこうむっている。今度はさらに長期にわたって行われるわけでありますから、これはもう生活、生命安全に対しても直接深刻なる影響があることですから、その当事者である日本が、幾つかの国々の一つとして考えるのじゃなくて、最大の被害者であり、最大の発言の権利を持っているものとして、あくまでこれを阻止するという信念を、基本方針を変えてはいけない。そういう信念を持っているか持っておらぬかということを、第一に聞いているのです。もしそうであるならば、そういうことは変るはずがない。あなた方が日本人であり日本の政府であるならば、そういうことを変えるはずがないと思うが、変えないならば、今千葉局長が言われたように、われわれの要望を踏みにじって、礼儀的にも欠け、道理にも欠けているようなこの無義道な通告に対して、何らの答弁も求めず、反対の意思表示もしないで、終期はいつでございますか、それから損害補償に対するこまかい規定はどうでございますかということは、これは明らかにやること自身はもう納得して、条件だけを求めているのですよ。やること自身については反対ではないという解釈をすることは、これははなはだしくわれわれに対して信義を裏切るものといわなければならない。そういうふうにお考えにならぬかどうかということを聞いているのですから、問題をよそへそらさずに、もっとはっきりした信念のある態度をもってお答え願いたい。その信念に基いて今後一体どういう方法をおとりになるつもりであるか。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 先ほど条約局長から御説明しましたように、まだこの問題についての国際協定はございませんし、また現在の国際情勢の実況を見ますと、これはなかなか困難な問題であると考えます。しかし米国側におきましても、日本からの申し入れ、すなわち国会の決議につきましては、この原爆の被害を受け、なまなましい経験を持っているのは日本人だけである。その日本の国会から、そういう決議が行われ、それが伝達されたということについては、深い関心を寄せているわけであります。(穗積委員「それはこの前の報告ですよ。それに対して十百前に返事があったというのですが、それは全く礼儀にも反するし、無義道な、一方的な返事であったから、それに対してどういう方針をとるかということを聞いているのですよ。研究中だと言われるが、返事がきているのでしょう。」と呼ぶ)私どもは、アメリカ側の検討の結果、ソ連、英国それから国連におけ  る検討の結果、いずれ御要望実験禁止の国際協定ができるものと信じております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 問題は日本政府の態度であり、国際協定ができてからじゃない、できるまでの、眼前のこの四月からの実験をどうするかという問題なのです。そういう恒久的な対策とは別です。それは並行してやったらよろしい。国際的な取りきめを作るように努力する、これは恒久対策として当然考えるべきことであるが、今われわれが問題にしているのは、この眼前の四月から始められるこの実験に対して一体どういう方針をとるかということなのです。これに対しては国際協定を待っておることはできぬから、従ってアメリカに対して強く反対の意思表示をして交渉をするということ、しかも四月でございますから、まだ期間があります。もう一つは国際的にアッピールをして、日本のみならず他国の同調も得て、アメリカの反省を求める方法というものがまだ残されておるのです。その国際協定を作るということじゃなくて、眼前の南太平洋におけるアメリカの実験をどうするかということなのです。そのことを論じておるのですから、それに対する態度と方策を示してもらいたいというのです。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 先ほど申し上げましたように、国会の決議はどこまでも私どもといたしまして尊重いたしまして慎重に検討いたしまして有効適切なる処置がございましたら、それをとりたいと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それでは第一、十日前に在米大使館を通じて通告があったということに対してあなた方が終期はいつでございますか、損害補償のこまかい考えはどうでございますかと聞いたことは、今の趣旨に最も反するものでありますから、これを撤回されて、そうして日本政府のみならず、国民の最後の一人までが今度の実験についてはやめてもらいたいという要望を持っておるから、そのことについての考慮を促す、そしてそのための話し合いを求むべきだというのか当然な方法だと思いますが、それに対して政府はどういうお考えを持っておられますか。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 二つの問題は━━━━━と私は考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 ━━━━━━とは何ですか。そんな国会を侮辱したような返事はやめて下さいよ。何が━━━━のですか。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 国会の原爆実験禁止についての国際協定を結ばんとするその要望達成と……(「そうじゃない、今度の実験をとめろということですよ。」「今度の実験をとめろという要求が出ておるのだ。」と呼ぶ者あり)今度の実験をとめろという御要望、直接そういう御要望があったというふうには私は承知いたしておりません。   〔「冗談言っちゃいかぬよ」と呼ぶ者あり〕

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 冗談じゃない、委員長、こんなことでは審議するわけにはいきません。どうお考えになりますか。国会側の意見を伝えてもらいたい。

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 委員長は意見を申し上げるわけにはいきません。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 国会の御決議の趣旨から申しますと、今度の実験も含む原爆実験全体の問題をついておられると私は思います。(「そうだ、その通り。」「千葉局長が二つは————と言ったのは取り消せ。」と呼ぶ者あり)ごもっともでございます。しかし、欧米局長の言われますようにここに二つの問題があります。先ほど申しましたようにすみやかに原爆実験を不可能ならしめるような国際法の立法の問題と、それから日本の最も利害関係の深い地域において実験をやられるという現実の事態に対処する問題とございます。本年初頭アメリカの発表に対しまして日本政府はいち早く申し入れを行なっておるわけであります。その申し入れに対しまして——その申し入れば先般も御説明申し上げましたように三点からなっておるのでありまして、第一は、前文で原爆実験の禁止に対する日本国民の悲願を述べまして、その上でもしやるような場合には、事前に十分予告期間を置いて知らせてもらいたいということ、それから被害の発生しないように万全の措置をとってもらいたいということ、万一不幸にして被害が発生したときには十分な補償を払えという三点を申したのであります。それに対して二月二十一日のアメリカの日本側に対する回答によりますと、今の三点の二つの点は、大体満足な回答があるわけであります。つまり該地域に船が行くには大体一ヵ月くらいかかるそうですが、その二倍の二ヵ月以上期間を置いて予告して参ったわけであります。地域も具体的に指示して参りました。それから第二の点につきましては、あらゆる可能な予防措置をとるということも保証いたしております。従いまして残る補償の問題につきましては、今度の回答には、日本政府の申し入れの他の点については、追って回答する旨が述べられておるわけであります。具体的な返事はないわけですが、実際問題としてはワシントンで補償についての話し合いも現に行われておるわけであります。これも遠からず何か目安がつくと思うのであります。従いましてもうすでにアメリカが、日本の政府の申し入れにもかかわらずやるときめた以上は、これはもう日本側の要望が十分に徹底しておるのであります。さらに徹底させるということは、むろんやってもいいでしょうけれども、すでに決定をし、そういう発表をしたという段階に、そういうケースだけ禁止させようということは、先ほどから申しますようにむずかしい問題であろうと思っております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 今の下田条約局長の話でさらにまた新しい問題が出てきた。そういうことを一体なぜ国会並びに国民に発表しないのか。新聞社から発表があって初めて不承々々これを発表しておる。その責任を私は問題にしたいのだが、これはあとにしてさっきの千葉局長がお答えになりました——私はあなたの善意を疑ったり、憎むわけではありませんが、あれが政府側の答弁とするならば━━━━ということははなはだ失言でございますから、国会の決議を持っておられるかどうか知らないが、そういうふうに国会の決議並びに国民の要望を理解されておるならば、これはあなたの善意の錯誤によるものと私は理解いたしたいが、そういうことは取り消してもらいたい。まず第一にそれから要求いたします。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 御指摘の通り、先ほどの私の発言は適当でございません。私の言わんとしたことは、先ほど申し上げましたように、実験についての情報を求めるということは、私といたしましては国会の決議の趣旨達成に別に支障にならないと与えておるということを申し上げた次第であります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 いやいや、私の言うのはもっと率直にやりなさいと言うのです。あなたが、この間の国会の決議は今度のアメリカの南太平洋における実験と━━━━━━━ということを言われたから、それは誤まりだから取り消しなさいと言ったのです。取り消しなさいよ、率直に……。取り消してもう一ぺん説明を仕直しなさい。古田さんも取り消しをしておるのだから平気で取り消しなさい。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 私が、━━━━━━と申しましたことは誤まりであります。取り消しをいたします。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 ちょっと関連して。今の下田条約局長の話で問題になる点が一つあるのだが、アメリカ側がそのような通告をしてきた、それに対して先ほどから社会党の方で言っておるのは、日本の最高機関の国家で議決しておる態度は、実験をやめてもらいたい、こういうことを言っておるのであるから、日本の外務省は最高機関である国会によって議決されたこの方針に基いて、この通告に対してもやめてもらいたいということを、再度日本の外務省としてはアメリカに対して要求すべきではないか、この点を言っているわけです。アメリカの態度がどうであろうと、日本の態度というものは日本の最高機関の議決に基いて決定されていることであるから、この点をやりなさいということを言っている。日本の重光外務大臣が一月二十日に事前の通報その他について通告をしたということは、これは外務省としてやったということであって、日本の国会で議決したということとその重要性を比べるならば、国会の議決に基いた行動というものがまず第一に行われることが、現在の憲法に基いて最も重要なことである。そうでなければならない。外務大臣のやっていることよりも国会の議決が重要なのだから、その点についての要求をしろと言っているわけなのだ。それについての御返事が今までにないのだが、これをおやりになる意思があるのかどうか。再度実験を禁止してもらいたいという要求をやるのかどうか。この点をはっきり伺いたいというわけです。この点だけを関連して伺っておきます。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 国会の議決を尊重いたしまして、有効適切な措置を講じたいと思います。

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 穂積君、相当時間も越えておりますし、他に質問者もまだありますから……。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 時間々々と言ったって、こんな深刻な国民的な重要な問題を論議しないで……。

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 いつまでも穂積君だけ……。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 政府の答弁が悪いからこういうことになっているのだ、長くかかるのです。  これを禁止せしめるために、一体どういう措置をおとりになるのですか。きょうは外務省としてお答えができなければ、もう一ぺん次官なり大臣なりと相談した上で、あらためてまとめて、これを禁止せしめるための対策を国会を通じて国民にお答えいたしますなら、お答えいたしますでもよろしい。現在、すべてでなくても、その一部としてこういう方法も考えてやりたいという局長のお答えがあったら、政府を代表してそれを答えてもらいたい。具体的にもっとお答えをいただきたいのです。これは深刻な問題ですよ。あなた方はアメリカ側から見ているから、平気でいるけれども、国民の悩みというものは、この問題に対しては、深刻ですからね。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 この問題は、すなわち政府としてどういう措置をするかという問題は、慎重検討を要する問題でありまして、ただいま申し上げる用意はございません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それではこういうことを要望して、この問題をおきます。きょうは大臣も次官もお休みですから、この委員会における空気とあなたの答弁を正確に一つ報告されて、この問題は深刻ですから、急速、手落ちのない総合的な禁止のための対策をお考えになって、次の機会には早く一つ報告してもらいたい。われわれは定例日を水曜、土曜ときめておりますが、こういう緊急な問題ですから、いつ開いてもけっこうですから、すぐ一つ通報してもらいたいと思うのです。そのことをお約束していただけると思うが、それに対して御答弁をいただいておきたいと思います。政府の方針がまとまり次第でよろしい。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 私といたしましては、先ほど申しました有効適切な処置がありましたならば、それをなるべく早く皆さんにもお諮りして、とりたいと考えます。これは先ほど申しましたように、非常に慎重を要する問題であります。(穗積委員「慎重ではあるが、早きを要する問題です」と呼ぶ)いつやれるか、ここでお約束はいたしかねます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 次に、それでは条約局長になると思うが、伺います。私はこの前も問題にしたのですが、特に今度のように範囲が広くて、四月から八月末までというような長期にわたって、公海をこういうふうな危険なことに使用するということは、これは公海自由の原則に反する、国際法に反する行為だとわれわれは明らかに認定しなければならぬが、政府の御解釈はどうでございますか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 穂積先生と同様に、かかる長期間にわたって広い区域を航行できなくするような措置は、国際法違反であるという説はすでにございますけれども、しかし私どもの考えでは、これは国際法上この説が定説として確立しているとは言えないというようにも思っております。この前の米国の実験の場合に、国連の信託統治理事会で問題になっておったことがあります。これはソ連でございましたか、どこの国でございましたかが、信託統治地域であるビキニでこういう実験をするのはけしからぬという見地から、信託統治理事会にこの問題を提起いたしました。そのときの信託統治理事会の決定が、現実の国際法を解釈する一つの参考となると存ぜられるのでありますが、信託統治理事会は、これを国際法上違法なりという判定をいたさなかったのであります。どういう判定をいたしましたかと申しますと、あそこには原住民が住んでおる、またその他の人間も来るわけであるから、実験をする場合には、細心の注意をもって、これらの者に被害の及ばないような予防措置を講じなくてはいけないという決定を信託統治理事会がいたしました。大体国連の信託統治理事会のこういう決定が、現実の国際法のレベルに合致しているの、ではないかというように考えております。

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 穂積君、あなただけが質問者じゃありません。あとの質問者がいるから……。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 重要な問題だから……。  条約局長に申し上げますが、信託統治の第十三条ですか、あれによってすべきでないのであって、公海自由の原則によって、われわれはこの問題を処理すべき段階に来ておると思う。信託統治の島並びに公海を封鎖して、ある時期にそれ以外の第三国が入ってくることを禁止するというような十三条の——十三条だったと記憶しておりますが、その規定とは違います。  今度は公海自由の原則に対するあなたのお考えを伺っておきたいが、公海はある一国が独占的に勝手に使えるというわけではなくて、すべての国が自由に使えるということなのです。すべての国が自由に使えることを侵害しないというのが、公海自由の原則の建前だとわれわれは考える。公海自由の原則を李承晩ラインについても要求している日本としては、公海自由の原則に対する基本的な解釈は、私はそうであるべきだと思うが、念のために伺っておきます。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 米国の今回の行動は、公海に独占的に立ち入り禁止区域を設定するという趣旨ではございません。あくまでもウォーニングでございます。この区域に入られると、危ないことが起りますよというウォーニングでございます。でございますから、他の国はこれを認めなくとも一向かまわないのであります。ただ危ないから入らないだけのことでございまして、それは仰せの通り、公海自由の原則というものは……。(穗積委員「そんな余分なことを言わないで、公海自由の原則に対するお答えを言いなさい」と呼ぶ)公海自由の原則は、公海を各国が自由に利用し得るということであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 公海自由の原則は、すべての国が自由かつ安全に航海することができるということなのである。それが原則だとすれば、アメリカ一国が独占をして、長期にわたって、しかも他国のすべての国が自由かつ安全にこれを使用することができない地帯を設定するということは、これは公海自由の原則を侵害するものであると解釈するのは当然でありましょう。それはおかしいですよ。それを聞いておる。しかも念のために申し上げておきますが、国際法学会においてあなた方の言うようなことにやや近いのは横田喜三郎氏、あの横田喜三郎氏ですら、今度はああいう長期にわたって独占的に使うということは、公海自由の原則に反するという意見を持ち出してきている。あなた方の味方は一人もいない、どうですか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 先ほど申し上げたことを繰り返すようでございますが、立ち入り禁止というような意味で独占的の使用区域を設定するのでございましたら、これは公海自由の原則に反することは明白でございます。しかし、実験当事者たる米国はそうは考えていないのであります。

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 福田篤泰君。

福田篤泰自由民主党

○福田(篤)委員 まず水産庁長官と楠本部長にお伺いします。この前のビキニの実験で日本は非常な実害を受けたのであります。これは苦い、悲しい経験があるのですが、今度かりに四月の二十日から八月の末日まで、すなわち四カ月以上にわたって、あの広い大事な漁区が閉鎖されるという場合に、どれぐらい日本の漁民が困るか、水産界が困るか、その影響の見通し、それから六十万に及ぶ日本の天水生活者、これに今後こういう影響があるか、この二つだけまず伺っておきます。

塩見友之助水産庁長官

○塩見政府委員 私の方で具体的な内容をしりましたのは昨日の新聞でございます。漁業においてどのぐらいの損害が起るであろうという詳細な算定は今やっておりますけれども、まだ数字的に固まったものはございません。マグロの方のどの程度という概算は今出ておりません。期間が少し長過ぎるので、被害がどの程度になるかということは、前の例で申し上げるわけにはいかないと思います。漁期の関係から言うと、あとの方が相当影響が強いのです。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本説明員 マグロの汚染その他魚類の汚染あるいは海水、雨、空気等の汚染につきましては、一昨年私どもがかなり正確に調査をいたしておりますので、今回はおおむね見当がつくものと存じます。そこで、私どもといたしましては、一応南方海域におきまして徹底的に空気の汚染あるいは魚類その他生物の汚染をまず調査いたしまして、その結果、万が一にも内地の生活、特に魚類等に汚染の危険があるということがわかった場合には、一昨年の例にならいまして、それぞれ検査を実施して安全を期したいと思っております。しかしながら、一昨年の経験等から、あるいはその後の調査研究から判断いたしますと、おそらく魚類を検査するまでの必要はなかろう、かように考えております。これはいずれ南方において十分なる調査研究をした結果に待たなければなりませんが、今生での経験から判断いたしますれば、その必要はあるまいと考えております。

福田篤泰自由民主党

○福田(篤)委員 今の御答弁で、正確な数字は別として、日本の水産界並びに天水生活者に非常に甚大な影響があることは明瞭なのです。そうしますと、この重大な影響を受ける、しかも前に悲しい実績を持っている日本側として、ことに外務省の当局者として、こういうふうに実害がはっきりしているにかかわらず、先ほども問題が出ましたが、第三の補償についてアメリカはきわめてあいまいなる回答をしている。今のところはっきり言えない、それで国民が満足するかどうかまずお考え願いたいと思います。後ほど申し上げたいと思いますが、この間の衆議院の決議の精神も——なるほど条約局長の法理論で言えば、国際協定ができなければいかぬ。ソ連も実験しておりますからアメリカに一方的にやめろということば無理かもしれない。しかしながら、この決議のねらいというか精神は、あくまで実験をやめてもらいたいということだ。皆さんがやはりビキニの被害者の気持になって、やまざればやまずという気魄をもって当らなければ、この問題は解決しないと思います。従って、ぜひお願いしたいことば、今現実の問題を取り上げておりますが、このような甚大な被害を与える四カ月以上の期間について、外務省側としてその回答をそのまま黙っておるかどうかという問題、まずこれをお伺いします。すなわち、四カ月以上の長期間ばく然と禁止されて、そのままそうでありますかと言っているのかどうか。あるいは期間の短縮——日本の水産界その他たくさんの資料があるので、それは無理だ、どうかこの期間は短縮してくれとか、あるいは実験の期限を明示してくれとか、日本の被害を最小限に防止すると初めから言っているのですから、期限についてこちらから何らか申し入れをする意思があるかどうかまずお伺いいたします。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 この実験が四カ月の長きにわたる予定であるということは、ごく最近といいますか、昨日の原子力委員会の公表によって初めて明らかになったのであります。その点につきまして、私どももさっそく、これは少し長いではないか、かかる長い期間では日本の漁民に対する損害も大であると考えまして、ただいま検討中でございます。

福田篤泰自由民主党

○福田(篤)委員 検討中というのは、何カ月くらいに縮めよとか、あるいは何か具体的なデータをそろえるというのですか。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 これは四カ月は少し長過ぎるではないかというだけのことをただいま考えております。これは、実際を申せばできるだけ短かくしてもらうのがよい。しかしまた、どれくらいの期間にすることが妥当であるかというような点もありますので、関係の機関と十分相談をして対策を講じたいと思っております。

福田篤泰自由民主党

○福田(篤)委員 今水産庁長官もここにおられますが、実はこれは一日も急ぐ問題なのです。従って、長いからというばく然たるものでなくして、もう何月から何月の間は日本の漁期で非常に因る、この間は避けてくれ、あるいはその資料を一日も早く整えられて、アメリカ側に対して期間の短縮、少くとも期間の明示等について直ちに申し入れをされるようお願いしたいと思います。これについて政府のお考えはどうですか。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 すみやかに協議をいたしまして処置いたしたいと思います。

福田篤泰自由民主党

○福田(篤)委員 補償の問題ですが、あの海域を見て日本人は誰も満足しないと思います。実害を与えることは前からはつきるわかっております。今後も引当被害があることははっきりしております。間接被害その他で吹っかけられては困るという心配もあるかもしれませんが、原則として迷惑をかけた者に対して気持よくお払いするというのは当然の礼儀であると思います。アメリカに至急申し入れをして、損害補償について明確な責任をとってもらいたい。その範囲とか額については専門家同士でいろいろ検討する余地があろうと思いますが、原則論としてまず責任をとるということをはっきり政府は要求すべきと思います。それについてどうお考えになりますか。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 損害補償の点につきましては、先方の回答を督促するように訓令いたしております。

福田篤泰自由民主党

○福田(篤)委員 出しましたか。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 出しました。

福田篤泰自由民主党

○福田(篤)委員 この問題について——これは当委員会におきましてもまた本会議でも問題になっておりますが、やはり国際取りきめと申しますか、下田条約局長が言われた通り、残念ながらそれができなければ、今直ちにアメリカの禁止はむずかしい客観情勢であるので、そこでお願いしたいのですが、国連側に対して重要な項目として日本側が被害者として十分世界の世論に訴える必要があると思います。おそらく外務省は直ちにとったと思いますが、どういう措置をとったか、それをお伺いしたいと思います。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 昨日の原子力委員会から発表になりましたことについて、何か処置をとったかどうかというお話でありますか。——何も処置しておりません。

福田篤泰自由民主党

○福田(篤)委員 残念ながらまことに処置がおそいと思います。今御答弁のように損害補償について在米日本大使に訓令を出したと言うが、同時にニューヨークにはわが方の代表者がいますから、この問題は日本国民にとって重要な問題であるから、国連において十分注意を喚起するように当然私は訓令を出すべきであるとと思いますが、これはまだやらないとすれば至急やっていただきたいと思います。この点についてお考えを承わりたいと思います。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 ただいまの問題は少し検討いたしたいと思います。   〔「検討の余地ない問題じゃないか、当然のことじゃないか」と呼ぶ者あり〕

福田篤泰自由民主党

○福田(篤)委員 決議案の本文は私はここに持っておりますが、なるほど確かに国際取りきめを早く結んで中止をしてもらいたいというのが衆議院の文言であります。参議院は一歩進んで取りきめができるまでは実験をやめてくれというのです。御承知の通りに取りきめができるまで実験を中止しようということは、各国の専門家の間で相当言われている議論であります。そこで重大な国民の決意が米ソ英に伝えられた直後に、こういう通告があったことによって受ける日本国民の衝撃は、これはイデオロギーを越えて大きなショックであろうと私は思います。先ほど来野党側の諸君も言われておりますが、私は全然同感でありまして、非常にいい機会でありますから、直ちに米ソ英に対しまして注意を喚起してすみやかな回答を督促する、同時にまたできれば参議院側の要望についても再確認をしまして、国際取りきめの締結に努力する、ないしはできなければ、とりあえずそれまで中止できるような方法はないかということを、三国政府に同時に強く申し入れる必要があると思いますが、これについてどういうお考えをお持ちでありますか。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 先ほども衆参両院の決議の趣旨を寒現するための有効適切な処置について慎重に検討した上で実施したい、そういうふうに申し上げておりますように、ただいま福田委員から御指摘の点も、今の衆参両院の決議を実施するために、政府の何らか処置を要求されておることであると思うのでありますが、今申しましたように慎重に検討を要すると思いますので、そういうふうにいたしたいと思います。

福田篤泰自由民主党

○福田(篤)委員 慎重はけっこうですが、これは議を尽した問題で私は議論の余地はないと思います。(「その通り」)これは一つ迅速に何回でもいい、何百回でもいい、われわれの目標を達成するために、執拗にしかも迅速に措置をとる必要があると思います。  最後にお伺いしたいことは、かつてチャーチルがアイゼンハワー大統領に会いましたときに、どうもあのビキニ、いわゆるマーシャル群島地域の実験は、日本側にずいぶん被害が多過ぎるようだ、場所を変えたらどうかということを申し入れております。この点について日本政府は、重光外務大臣の御答弁でもはっきりしておりますが、場所変更についてもたしか昨年再度米国側に申し入れてあると思います。私は今回の問題について見通しはなかなかむずかしいとは思いますが、むずかしいということと日本の努力とは別問題です。場所の変更について再び日本側が要求するつもりがあるかどうか、これをお伺いいたします。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 ただいまの福田委員の御意見についても、十分検討いたしたいと思います。

福田篤泰自由民主党

○福田(篤)委員 検討ではなくて、私がお伺いしたいのは、大臣はおられませんけれども、場所変更の要請は日本政府が一ぺん申し入れておるのです。外国のチャーチルもこの提案を一ぺん出したはずです。従って私は当然この機会を逸さず、われわれが今言っている通り、場所だけは変えてもらいたい、被害を最小限度にするという約束通りにしてもらいたいと申し入れるべきだと思うのです。むずかしいとか困難は予想されますけれども、それとは問題は違うと思うので、検討ではなくて政府側の意思を一つお聞きしたい。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 御意見十分尊重したしまして、場所の移転等についても米国側に申し入れるかどうか考えてみたいと思います。

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 岡田君。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 それではだいぶ皆さんから質問があったので別の点からお伺いいたします。重要な点があるので、重複する場合があるかもしれませんがお伺いいたします。  先ほどからの御答弁をだんだん伺っていると、二月二十一日にアメリカ政府から日本の在米大使館を通じて通告があった、機能の夕刊においても田中情文局長は約一週間前にこういう通告があったというようなことを発言しておりますし、この通告というのは、重光外務大臣が一月二十日に三点について、事前の通報その他についてアメリカ当局に対して問い合わせたことに対する回答であったのかどうなのか、そういう通報であったのかどうなのか。  それからもう一点は、情文局長の発表その他きょうまでの答弁等を見ると、その十日前にあったものと、きのうアメリカの原子力委員会、AECで発表したものの内容はほぼ同じである、こういうことを言っているのだが、ほぼという限りにおいて違う点があるのではないか。どういう点が一体違うように通告がされておったのか。まず第一に私は日本の政府に対して寄せられたと言われる十日前の通告の内容を全文この機会に御発表願いたいと思うのです。と申しますのは、AECの昨日発表いたしましたことは、ことさらに日本の政府にのみ発表したというものではなくて、これは先ほど下田条約局長が言ったように、一般のウォーニングであります。公示の程度で発表したというだけなのでありますから、ここに問題になってくる重要な点は、十日前に日本に通告を受けた内容は一体どのようなものであるか、ほぼ同じ内容であるというならば、ほぼという限りにおいて違う点もあるはずだが、一体どの点が違うのであるか、その全文を明らかにしていただきたいと思います。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 岡田委員にお答えいたします。第一点の、米国側から一週間ほど前に通告があったが、回答であるかないかという点でありますが、その十日ほど前にございました米国側からの申し入れば、一月下旬に当方からいたしました申し入れに対する回答でございます。  ほぼ内容が同じであるという点につきましては、昨日の原子力委員会の公表は単に実験区域と実験の期間について申し入れておるだけでございますが、その前に参りました米国側の回答は、その区域については同じことを申しております。その期間につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、いつ終るかということにつきましては明示しておりませんでしたのが、昨日の原子力委員会のと違う点であります。さらに米国側の回答は、危険予防処置についてはあらゆる可能なる処置を講ずるというアメリカの意図を示しております。さらに損害の問題につきましてはいずれ回答する、そういうことが述べてあります。これらの点が昨日の公表とただいま申しました回答と相違する点であります。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 昨日の田中情文局長の答弁によると、一週間前の通告よって十分日本側としては満たされたという旨の発表を行なっておりますが、どういう点が満たされたのでありますか、その点は情文局長から伺いたいと思います。

田中三男外務事務官(情報文化局長)

○田中(三)政府委員 昨日私が新聞記者会見の際に質問に対して答えましたときは、実はまだこの原子力委員会の正式発表の公電が入っておらなかったのであります。ただ外電でその大要が伝えられておったのであります。そういう意味でほぼ内容は同じようなものと思われるという趣旨のことを記者会見で申したのであります。  それから、満たされたというふうなことは、そういう日本側が前にアメリカ側に要望した点について、事前の、なるべく早く日本側に通報するということを申し入れてれるはずだが、一週間ばかり前に言ってきたのは、そういう事前に通報するという点において満足しておるかどうかというふうな趣旨の質問だったと思うのでありますが、それに対して私は、一般の公表以前に日本側に通告があったのであるから、まず満足した処置である、こういう趣旨を申し上げたので、内容について私は触れた覚えはないのであります。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 そこで今の御答弁を伺っていると、一つ問題が起ってくるわけですが、あなたの今の御答弁によると、アメリカのAECが発表する以前において記者団会見が行われて、その記者団会見において、大体同じ内容のものを一週間前に通告を受けている、こういうことになると、逆にいえば大体AECの発表というものを事前に知っておって、いつ発表されるかということもわかっておるからこそ、そのような意味でこのような記者団会見をやって、大体内容は同じであって、きょう発表するであろう、このようにあなたは記者団会見を行なったものであると考えざるを得ないのだが、その点はいかがでございますか。

田中三男外務事務官(情報文化局長)

○田中(三)政府委員 そういう趣旨じゃないのでございます。実は私の方の内外共同記者会見は月、水、金、三回行なっておるわけでございますが、きのうはちょうどその当日でありましたので、そのいつもやっております定時会見の際に、たまたまこの問題が起ったのでありますが、前にアメリカ側からは、近くこれを公表するから、それまで日本側では単独に発表しないようにという申し入れがあったので、ほぼ一週間前後に公表のあるものということは予期されておったわけであります。そこで事前に通報があった、内報があったということを、きのう明らかにいたしたわけであります。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 そこでお伺いいたしますが、二月の二十一日もそういう通報があったのに、これほど重大な問題で国会の議決までしているのにもかかわらず、これに対してなぜ発表しなかったかという点を伺いたいのでありますが、これはおそらく私の想像通りに、アメリカのAECからの、これについては発表してもらっては因るという申し入れに基いて発表しなかったのだろうと思う。それほどアメリカの言うなりになっているのだろうと思う。国民が反対しているにもかかわらず、国会が明らかに議決しているにもかかわらず、このような通告を受けてなぜ発表しなかったか。しかも発表しないばかりじゃなく、その二十一日の通告を受けた後、直ちにこの回答に対してどのような措置をとったか、この点について、欧米局長でもけっこうでありますが、伺っておきたいと思います。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 昨日の発表の約一週問前に、先ほど申し上げましたように米国側の回答がありました。そのときに、約一週間の後に公表するからということでありましたので、公表を待って国民に知らせる、それで十分であると考えまして、そういう処置をいたしたのであります。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 私ばかり時間をとっていてはいけませんけれども、これは重大な問題を一つ伺いたいと思いますが、先ほどからだんだん明らかになってきたことは、重光外務大臣の向うに対する申し入れに対する回答である。この同等に対して、先ほどから伺っていると、日本外務省としては、その回答が、たとえば補償の問題とか範囲の問題について不十分であるからといって再度照会をしている、申し入れをしている、こういういきさつを現在までとっている。そこで先ほどから、与党の福田君を初め野党のわれわれにしても全部が、そのような通告ではいけない、最高機関である国会の議決によって実験を禁止しろという要求を出しているのであるから、これに対してすみやかに実験を禁止してもらいたいという要求を出すべきである、このように先ほどから要求をしているわけです。ところがこれに対してあなたからは慎重に検討をいたしますという意味での御答弁しかない。なぜ慎重に検討しますという必要があるのか私は伺いたい。なぜならば、日本の方では実験を禁止してくれということを、最高の決議機関において決定している。これが国の方針です。その国の方針を向うに通達しておるのに対して、重光外務大臣の行なった申し入れ並びにその後のあなた方のやられた鮮度というのは、これは国の最高機関の決定ではなくて、外務省の行政措置として行われていることなのです。この外務省の行政措置によって、最高機関である国会で議決したことを、あなたの方は慎重に考慮するという程度でこれをやらないということならば、これは日本の外務省の行政が国政をじゅうりんすることにになる。なぜあなたは慎重にということを言われるのですか。私の伺いたいのは、国会の決定をまず第一に考えるのが、日本の外務省の任務でなければならない。それをやらないのならば、あなた方は憲法に違反している。行政の措置と国政とをすりかえている、そういうことでアメリカに従属するという結果になる。そういう点では、慎重に考慮しますという御答弁では私は満足はできません。あなた方はこの国会の決定を再度向うに通告しなければならない義務があるのです。外務省の官吏としての義務がある。その義務をなぜおやりにならないかというのが、与党、野党含んでのみなあなたに対する話なのです。その点はあなたの慎重にというお話だけでは私は納得がいきませんので、これはやる義務があるだけに、やるということをはっきりおっしゃっていただきたいと思う。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 先ほど来再々申し上げておるのでありますが、私どもはどこまでも国会の決議を尊重する考えでおります。ただ、国会の御決議を尊重するだけに、私どものとります処置がほんとうに有効であるか、適切であるかということは、やはり慎重検討を要することであると思いますので、その意味で私はこの問題について十分検討した上で処置をすることにいたしたいということを申し上げたのであります。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 それはそうじゃありませんでしょう。どうですか。国会の議決で実験を禁止しろという通告も向うへ行っておるわけです。それからそれ以前にあなたの方では事前に知らしてくれ、その他の三件に対する重光外務大臣の通告が行っていろわけです。この点はあなたは先ほど━━━━━━━━━━━━━━━━━と言ったのだけれども、あとで取り消しをして、これは不可分のものである、別なものではありませんという答弁をされた、それは当然だと思う。とするならば、この二つのことをアメリカに申し入れておって、アメリカから返事が来たのは何だ、外務省に関する返事だけ来ておる、こっちの返事は来てない。こっちの返事が来てないとするならば、これに対する回答もこれによってかえられたと解釈せざるを得ないじゃないか。そうすると、この同じものに対して日本政府がとるべき態度というものは、この行政措置に対する回答ではなくて、国会の議決したものに対する回答を促すのがあなた方としては当りまえだと私は思う。これは行政官吏として当然なすべき義務だと思う。これに反するならば国家公務員法違反ですよ、憲法違反です。この義務をなぜおやりにならないかということを与党も野党も言っているのです。これは慎重に検討すべき問題ではない、これは直ちにやらなければならない問題だ、なぜやるとおっしゃらないのですか、慎重に検討するということはやらないということも含んで慎重に検討するという意味であると解釈することになると思うが、あなたはやらないという意味も含めて慎重に検討するという意味ですか、その点もっとはっきり答弁していただきたい。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 やらないかどうかということにつきましても、政府当局といたしましてば十分検討する必要があると考えております。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 やらないということになればあなたは国会の議決をじゅうりんするということになりますよ。行政官庁にいるところの行政権を行う者が、国会の議決である国政というものをあなたはじゅうりんすることになりますよ。やらないということについて検討するというのならば、あなたはそういうことになるのですが、それでもよろしいですか。やるということについて慎重に検討するというのならばまだわかるけれども、やらないということについて検討するとおっしゃるならば、これは重大な問題だと思う。この点についてもう一度念を押しておきたいと思います。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 国会の意思を体しまして政府のやりますことは有効なことでないといけないと思います。また適切なことでないといけないと思うのであります。その点につきまして私としてはもう少し検討いたしたいと考えております。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 それは有効ではないという意味ですか。有効でないという場合もあり得るというわけですか。国会の議決は有効でないということをおっしゃるのですか。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 国会の議決が有効でないということは私は全然考えません。ただ政府がとります処置が真に有効でなければならないということを申し上げておるわけです。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 それでは私その問題ばかりこだわっているといけないから次に進みますが、(「院議無視になりますよ、重大な政治問題になりますよ、やらないということは。」と呼ぶ者あり)やらないという場合だったらあなたは院議無視ですよ。方法というのはやるということに立っての方法ならばそれは認められるでしょう。やらないということについてやるとするならば、これは明らかに院議無視ですよ。(「そんなことはないよ」と呼ぶ者あり)院議無視じゃないか。もう一回御答弁願います。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 有効適切なる処置がございましたらぜひやりたいと思います。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 それから先ほど下田さんの言った答弁の中で私は重大な点を聞いておったのだが、アメリカがこれをやるのだから、これをやめさせるためには海外派兵をやる以外に道はないということを言われましたが、日本が海外派兵をやる以外には方法はないというのは、たとえば海外派兵という意味でしょう。それはそれでよろしい。それでは伺いますが、アメリカがあそこで実験をやり得るという法的根拠を明らかにしていただきたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 前の方でございますが、海外派兵をやらなければならないという私の意思で申したのではなくて、参議院の決議がそんなとっぴなことを意図しておられるものではないだろうという解釈の途中において申し上げたわけです。  それからあとの方の質問でございますが。ビキニ環礁はアメリカの信託統治地域になっておるわけであります。信託統治地域は領土と同じように実験をやろうとたとえば主権の作用でできる地域でございます。その米国の管理下にある地域でやるということを阻止することはできないのでありますから、問題はなるほど米国の管理内の地域であるかもしれないけれども、その実験の余波が広大なる海域に及ぶという点、そこで公海自由の原則に反するかどうかという問題になるわけであります。しかし同種の事例は前にも申し上げましたように、海岸砲台の公海に向っての射撃、あるいは戦時において中立国に対してまでも影響を及ぼすところのいわゆる危険区域、デーンジャー・エリアと申しておる類似の問題が非常にあるわけでございます。ただ今度のような広大な海域に及んでデーンジャー・エリアを設けたことは、結局科学の力が偉大な進歩をして、現実の国際法の伝統的な公海自由の原則が、実はそのままでずっと永続していいのかどうかという、国際法にとって非常に困難なる問題を投げかけられておるという事態であると思います。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 そこで伺いますが、国際信託統治の地域であるということは私も知っている、とするならば国際信託統治加減の主権は一体どこにある。これは国連憲章によってもきめられているが、施政権者であるアメリカが主権者であるのか、その地域にいる住民が主権者であるのか、あるいは国連憲章に基く国際連合が主権者であるのか、この点をまず明らかにしていただきたいのが第一点。  第二の点は、もしあなたの今言われたように施政権者が現実にこれを施政しているとするならば、この地域内において施政権者は何をやってもいいということになるのか、あなたの解釈はどうなのか。ということは私はそうではないと思う。それに対する施政の原則というものは国連憲章の七十六条に明確に規定されている。(「日本は入っておらぬよ」と呼ぶ者あり)入ってない入っているの問題じゃない。この七十六条の(ろ)においてもあるいは(は)においても、その地域の人民に対して自由に行動し、基本的な人権が守られるためのいろいろな施政が行われなければならないといっている。ところがこの前の実験を想像するならば、今度の実験の場合においても、あそこにいる住民というものは非常な被害の危険にさらされる。この前は二百人の者が死の灰をかぶっているのです。こういう点からいうと、施政権者が何をしてもいいという御解釈であなたはそのように実験が認められるという国際法上の論拠をお立てになるのか、その国際法上の論拠がおありになるならば具体的にお示しを願いたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 信託統治地域の主権の所在につきましては、いろいろ説がございます。前の国際連盟のもとにおきます委任統治地域の主権はどうか、これは要するに今世紀になりましてから領土を奪うということは悪いことであるという思想に基きまして、領土を奪ったのではないというフィクションを作るために、委任統治あるいは信託統治ができたという説がございます。まあそれはどうでもいいことでございまして、実際に国際法上主権者が行い得るようなことをなす権利は施政権者にあることは明らかでございます。形式的な主権の所存はあるいは国連にあるのだという説もあるし、あるいは住民になければならないという説もございますが、現実の問題としては、施政権者があたかも主権者と同じような権利を持つということは争われない事実であろうと思います。  第二の点は、しからば施政権者は信託統治地域において何をやってもいいのであるかという点、これは御指摘のように国連憲章に施政権者が従わなければならない準則がございます。またその準則の中には住民の福祉向上その他住民の利益を非常に重んずる点のあることは事実でございます。そこで、先ほど申しましたように、あそこで原爆実験をやるというようなことは住民の福祉に反するではないかという見地から、信託統治理事会に問題が提起されまして、結局その点は、施政権者がもし世界の平和と安全のために実験をやる必要があると認めるなら、これは施政権者の判断にまかせることであるという見解に国連は立ったのでございます。そこで国連は、もし実験をやるならば、住民その他に被害の及ばないよう万全の措置を講ずべきであるという決定をいたしたわけでございます。結局現在の国際機関の最も有力な国連の決定というものが、大体現実国際法に合致した見解を示しておるのではないかというように私どもも考えております。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 しかしこの点はあなた現実の問題としてお考えいただけばおわかりのように、国連の現在の運営というものが、アメリカの意のままになる投票機械によって相当方向づけられていることは、あなたは御承知の通りです。しかも現実に、これは定説がないにしても、その主権者であると考えられているそこの住民にそのような被害があり、その住民はこのような実験を反対されている、この事実に立ってこの現実の問題を考えてみた場合において、施政権者のやっていることこのこと自体は、いわゆるアメリカのやっていることこのこと自体は、国連信託統治の精神から見ると、これは私は反していることになると思う。そういう点から見ても、このような実験を行うことは妥当でないと私は考えるのだが、この点は日本の政府としていかようにお考えになるか、この点が第一点です。  それから第二の点は、先ほどあなたが言われたように、今度の危険区域の公示というのは、単なるウオーニングであって、いわゆる立ち入り禁止の告示ではないということ、その通りだと思う。それはできるわけがない。そうすると、この場合逆に、これは単に危険区域でございますぞといってみても、法的な効力はない。たとえばもしこれを承認しない国があったとして、その中に入ってきた場合において、その国との関係はどのような関係になるかということは、たとえば具体的な例を申し上げましょう、これは信託統治の地域だけではなくて、広げて公海上の問題として具体的にいえば一番はっきりすると思う。公海においてこの辺は危険でありますという線を引いた、しかしこれは公海であるから、アメリカの考えとしては危険であるというが、ほかの国においては、これについてお前の方は危険であると通知をしても、われわれは公海自由の原則に基いて自由に航海するぞ、そういった場合にこれを押え得る方法は法的にはないと思う。とするならば、これに基いて衝突が起った場合にどのようにこれを調整するのであるか。  それからもう一つは、そのような区域を作った場合に、アメリカとしては危ないといって立ち入りさせないように努力するであろうと思う。立ち入っていいということは言わないだろうと思うのです。そうした場合に、立ち入りをさせないようにするためには、法的な論拠がないとするならば、どのような論拠に立って立ち入らないようにさせるのか、この点についても法律上の御解釈を伺っておきたいと思います。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 危険区域は、先ほど申し上げましたように、あくまで危険なことがあり得るぞというウオーニングでございますから、アメリカはその区域内に入ることに立ち入る法律上の何らの権利を持っておりません。従いまして、それにもかかわらず入ってこようとするものを、実力を加えて入るなという措置をとる権利もございません。結局ほかの国が入らないのは、ただ事実上危ないと思って入らないだけでありまして、もし何か科学的に船の上に塗料を塗るとか、あるいはおおいをするとかいうことで一向危なくなければ、どんどん入ってかまわないのであります。まだそういう有効な予防措置がないと思うからこそ、事実上入らないだけでありまして、アメリカ側のウオーニングも事実上の問題であって、決して権利でなくて、またそれを危ないと思って入らないのも、アメリカ側に権利があるからというので、その権利を認めて入らないのではなくて、あくまで事実問題として入らないということであります。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 もう一点だけ。水産庁関係それから厚生省の方が見えておりますが、先ほどの厚生省の御意見を伺うと、ちょっとわかったようなわからないような答弁なのですけれども、われわれとしては、これを実験することはあくまで反対なのです。しかしもしここで実験をされたならばという福田君の質問に対して、これに対する答弁としては、今度の実験の結果としては、去年のこの前の経験から見て、危険が多くはないのではないかと思うから、魚体の検査というものも、この前ほどに神経質になってさほど慎重にやる必要もあまりないのではないか、こういうような御意見のようにも受け取れるような答弁であったように私は感じました。しかももう一つ、昨日のある新聞の夕刊によると、水産庁長官が来ておられるけれども、水産庁側としても、今度は相当長期にわたって実験をするのであるから、その被害はきわめて甚大であるが、危険もあまりないというようなことを厚生省が言っているから、今度は魚を水揚げした場合において、一々魚体検査をやらないようにしてもらった力がいいのではないか、魚体検査をしない方がいいのではないかというようなことを、ある新聞を通じて水産庁側の見解として発表している。それではあなたは一体どういう論拠に立って危険はないというようにお考えになって、そうしてまたそういう検査もやらないで魚をどんどん入れたらいいというようなことを、あなたの関係のものとして言っているのか。私はこれはきわめて重大だと思う。これは四カ月も実験をするとして、単にこの禁止区域の中にだけ魚がいるわけではない。そこにいた魚が今度太平洋岸やあるいは日本海の方にもどんどん入ってきて、その魚をわれわれが食わなければならないかもしれない。こういうような危険なときに当って、検査をする必要がないというようなことを言われる論拠は一体どこにあるのか。私はむしろもっともっと徹底的に検査をすべきだと考えるのだが、水産庁はこのような見解を発表したことがあるのかどうか。読売新聞にはっきり書いています。こういう見解をほんとうにあなた方真剣にお考えになっているのか。それならばそれとして具体的な論拠をあげていただきたいし、間違いなら間違いとしてこれに対して御訂正を願いたい。大体今度の実験について水産庁としては賛成なのか反対なのか、この点もあわせて伺っておきたいと思います。

塩見友之助水産庁長官

○塩見政府委員 被害が少いということは申したことはございません。一昨年の検討とそれから実際の例から見まして、魚体の方を——魚肉でございます、マグロの肉の方に危険があるかどうかというふうな点については、私の方としましては、一昨年の経験から考えまして、検査というものを初めからやるというふうな前提に立ってこれを与える必要はないだろう。それは大体実験方法等にもよりますけれども、私が今まで——就任して三カ月ですけれども、検討しております技術者の意見によりますれば、大体サンゴ礁の灰が海水の中に落ちまして、それがまず植物性プランクトンにそのうちの非常に微量の部分が吸収されるわけです。その微量に吸収された植物性プランクトンを動物性プランクトンがまた何%かを吸収する、それを小魚がまた摂取する、それを大きな魚、マグロが食うというような形で、数段階にわたりましてパーセントが非常な程度で落ちていくというふうなところから、大体魚肉の問題を考えなければならぬ。そういうふうに何段階かにわたって落ちましたものが、どれだけ魚肉の中に残るかということでございまするけれども、その幽門垂であるとか肝臓であるとか集積点につきましては、ある程度そこへ濃厚に集積する危険性はあります。しかし肉の方にはその危険性は少い。集積が非常に少いわけです。ですからそういう一昨年の経験等から考えますと、実験をやるからといって、こちらの方もガイガー・カウンターを持って一昨年のようなやり方をやる必要はないであろう。これは決定的には厚生省の方において決定されるべき問題ではあるけれど、という註釈は加えております。決定は厚生省でやるべき問題であるけれども、水産庁としては、われわれが検討した範囲内においては、一昨年のいろいろの研究の結果から見て、当初からガイガー・カウンターでやるというふうなことをきめる必要はないと思っております。  それからもう一つ、この問題に対する水産庁の態度という御質問でございますが、水産庁といたしましては、原水爆の実験禁止に関しましては、漁業者の方の禁止に対する要望はもとより強いのでございます。もちろん国会の方でも両院において御決議をなすっているわけですから、実験をやめてくれというふうな考え方を放棄はしておりません。外務省にもそういうような前提で、米国との交渉を続けてもらうように申し入れはやっております。今まで原爆実験はよろしい、ただ条件としてこうこうこういうふうなことをやってもらいたい、というふうな打ち合せは、外務省とはいたしておりません。そういう態度で臨んでおります。しかしながら水産庁といたしましても、あらゆる努力にもかかわらず、アメリカ側が一方的にやるという決定をやってしまって、事実やる可能性が非常に大きい、抑止できないというふうな現実の事実が判断されるような事態になりますれば、それを前提として、漁業者にかかってくるところの被害をできるだけ少くするという措置は、一方において並行いたしまして極力とらなければならぬと考えております。それにつきましては実験の方法、区域という点が明瞭になりませんと具体的な措置はとれない。それについてはもちろん実験禁止ということに対する態度は変えておりませんが、一方事実上そういうふうなことが行われるとなれば、漁業者の被害を最小限に食いとめるために、できるだけのことをやらなければならぬ、こういうふうな態度でございます。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本説明員 私が先ほど申し上げましたのは、あらかじめ国内のマグロその他の国民生活に結びつく面での、汚染、危険、そういうようなものを予期して手当するということではなくて、まず南方水域におきまして十分調査研究をいたしまして、その結果、かりにも国内のマグロあるいはその他海水、雨等に影響がある、危険性があると判断される場合には、いつ何どきでもそれぞれ対策を講ぜられる態勢を整えておく、こういうことを申し上げたわけであります。従ってこの前は何分にも世界で初めての問題でもありましたので、われわれは南方水域の現状を調査する、あるいは実態を科学的に調査する前に、危険をおもんぱかってやったことでございまして、今回はもっと合理的にその辺を解決していきたい、こういうようなわけであります。その場合に従来の経験から、あるいは調査研究の実績からいたしますれば、国内で、おそらく名港でこの前実施をいたしましたようなマグロの検査、あるいは雨水の汚染に伴います水道その他の危険というようなものはないのではないか。かような想像をしておるということをつけ加えて申し上げたにすぎないわけであります。

森島守人日本社会党

○森島委員 岡田君の質問に関連して、私一言だけ下田条約局長にお伺いいたしたい。  私本日の論議を通じて見ますと、与党野党を問わず、きわめてこの問題を重大視していることはもちろんです。一昨年問題が起きまして、それ以来の政府の態度を見ますと、岡崎外務大臣の時代には、平和のために実験に協力する——この態度から見れば現政府の態度は大分進歩しています。しかしその一年有余の間に、政府としてはこの問題のために何らか具体的な措置をおとりになったことがありますか、その点を伺いたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 原水爆の兵器としての使用禁止と、それの禁止が成立するまでの実験の禁止につきましては、私は世界中で日本ほど——政府のみならず国民をあげて熱心にやっておる国はないと思います。それはもう私どもから一々御説明するまでもなく、今までも折に触れて御説明申し上げておりますが、それはもうあらゆる機会を通じてあらゆる手段によってやっておることは申し上げられると存じます。

森島守人日本社会党

○森島委員 責任のがれな御答弁で、私は満足しないのであります。政府としては何もやっておらぬと思います。現に今欧米局長のごときも、現在目前に迫っておる問題に対しても、有効適切なる措置をとるのだ、考えるのだ、これも慎重考慮するのだというふうなことで、政府の態度は全般を通じてきわめて消極的で、言葉をかえて言えば、やらないのだ、アメリカには交渉しないのだ、こう受け取らざるを得ないのであります。私はこれ以上追及しませんが、ただ一言、下田君の答弁の中で私はきわめて不愉快なことは、社会党が反対しておる海外派兵をしなければこれはやめられないのだ——あとの御答弁では、そういうばかなことを参議院が考えておるわけはないというふうに説明をせられた。この点は私は速記録を見まして将来問題にしなければいかぬと思っております。これが政府全体の底を流れておる立場だろうと思う。  それから次に、時間がありませんので簡単に申します。国際法上の公海の自由の原則に関して、意見の分かれていることは事実でしょう。下田君は、下田君の説に反対の意見があるにかかわらず、外務省の意見と申しますか、条約局長の意見と申しますか、これのみを主張しておられる。もし国際法上の原則について意見が違った場合には、何らかこれに対してとり得る措置があると思うのです。このとり得る措置を一年も二年も放任したところに、外務省の責任に対する懈怠があると私は断定する。その点はいかにお考えになりますか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 第一点につきましては、先ほど岡田先生と欧米局長の憲法問答をはたで伺っておりまして、私は国会に対する政府の責任と申しますのは、国会に対し直接責任を負いますのは国務大臣たる閣僚でございまして、われわれ一属僚がこういう重大な問題について、どうするということを直ちに申し上げられないという点は御了承を願いたいのでありまして、これはやはり責任のある大臣につぶさに御議論を報告しまして、その上で御決定を願うべきものだ、そういう意味で検討するということを言われたのだろうと思います。  第二の点につきましては、先ほど申し上げたことはよけいなことだったと思いますけれども、参議院の決議は、衆議院の決議と違いまして、単に禁止を政府に伝達せよということではなしに、禁止の措置ということを言っておられます。それは何も日本が一方的に実力でやめさせるという措置を意味するのではないようにわれわれは解しております。もしそうでないとすると、われわれがやろうとするのであったら結局実力でやらなければならぬ。そうすると、そういうことはだれも考えておられないという解釈の過程において私は申し上げたにすぎないわけであります。  第三の国際法上の点につきましては、これはもう一昨年の原爆の実験のときてから、日本の一流の国際法律者に何度もお集まりを願いまして、法律論としてはつぶさに検討いたしております。従いまして、私どもの申しますのは、私の個人的見解ではなくて、そういう国際法学者のいろいろな説を参酌した上で、一定の基準を立てて申し上げておるわけであります。

森島守人日本社会党

○森島委員 日本の国際法学者の意見を集められるのはけっこうでしょう。しかし外国の権威ある国際法学者の意見をもあわせて御検討になったかどうか、その点について伺いたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 もちろん外国の国際法の本、その他の論文、入手し得るものはあらゆるものに目を通した上でのことであります。

森島守人日本社会党

○森島委員 それでは私はここに、ごく最近受け取った非常に重要な電報がある。日本の政府はきわめて不熱心である。しかし原水爆の犠牲を受けていないインドの政府が適切有効なる措置をとらんとしている。これは数時間前にきましたニューヨーク二日発のロイター電報です。「インド政府は二日米国が今春太平洋国連信託統治地域で水爆実験を実施した場合は国連司法裁判所にその可否を裁定してもらうよう提訴する意向であると国連当局に通知したが、右に関し、メノン・インド国連代表は次のように語った。インドの提案は信託統治国が国連信託統治領を自国の目的のためだけに使用し得る資格があるかどうかを決定してもらおうとするものである。われわれは国際司法裁判所が信託統治地域を信託統治国が信託統治協定によって破壊する権利を付与されているかどうかきめてほしい。われわれの考えでは信託統治領における統治権は主権を意味していない。従って統治領の破壊ないし、その住民を危険に陥れるようなことを行う権利は統治国にはない。」もっと長いのですが、私は読み上げません。おそらくあしたの新聞には出るでしょう。しかしインドすら国際司法裁判所に提訴して、この問題を明らかにするという立場をとっておる。しかるに日本の外務省としてはできるだけ有効適切な措置をとり得る余地があるにかかわらず、なぜ政府としてはこれをおとりにならなかったか。国連に提訴し、それから世界の世論に対してこの問題を大きく訴えてこそ、初めて私は国会における決議も実現に至る可能性ができるものと確信いたしておるのでありますが、私は、政府はこの点についてきわめて不熱心だということを認めざるを得ないと思うのですが、御見解を伺いたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 インドのメノン氏が、本件を国際司法裁判所に提訴するということをまだ公式には私ども伺っておりませんが、私どもといたしまして、最大の目標は原爆が使用できないように立法することが先だと思います。そういう実定法が確実にできる前にうかつに早く提訴して、現実に国際法上それを、禁止し得ないというような裁判所の決定がありましたら、それは逆効果になると思います。ですから、ただ自分は世界に率先して訴えたというような名前を出すのが目的ならともかく、早く実験を禁止しようとすれば、しっかり国際法が固まる以前に、うっかり提訴して逆の判決を受けたら元も子もなくするわけでございますから、必ずしも早まった提訴が適切だとは考えておりません。

森島守人日本社会党

○森島委員 きわめて詭弁に類した答弁で私は満足しません。世界の世論は必ず日本の主張の正当なることを裏書きすることを私は確信している。しかも結果が悪くなった場合、それに対処する道もあります。しかしやるだけの措置をとっていない。ついでに申し上げますが、これは問題は別ですが、日韓会談にしてもそうだ、これをアメリカに協力を求める。国連に訴える。それから司法裁判所に訴えるということを中川アジア局長は口をきわめて言っておる。それに対して慎重に考慮すると言っておる。しかし今日まで一つもそういう措置をとっていない。外務省は全部の問題に対して慎重に考慮するとか、有効適切な方法をとるとかいう抽象的な言葉で国会をごまかしておるだけなのです。  ついでに私もう一つ申し上げます。二十一日に通達をアメリカから受け取ったが、発表は一週間後にするということで、それだから発表しなかったということは、国民の福利を無視した非常識な措置であると思う。アメリカは一週間後に発表すると言ったかもしれない。しかし日本政府が、これは日本国民に最も重要なる関係を有する問題であるという判定に立ったならば、即日発表すべきものだ。  私はもう一つついでに言う。外務省はこの前の国会からも資料の提出がきわめて悪い。紙一枚出さぬ。条約一条を翻訳して出したりしている。この前の国会におきましても、すべての問題を審議するには、あらかじめ必要な資料を出せということを何回となく要求した。しかし今日に至るまでその態度は変っていない。個人の名前をあげては済まぬけれども、この前の土曜日にも、私は法眼参事官に対して、南千島の問題に関する日米間の資料を要求した。重光さんも、土曜日に出しましょうと言われて、きょうお出しになるという約束であった。それじゃいかぬから刻も早く出せと言ったにかかわらず、今日までその御提出がない。これは要するに外務省の立場を弱くするようなものは、なるべくおそく出そうという態度にほかならぬ。私はこれを早く出していただきたい。何か大臣の出席まで待ってほしいということもありましたが、その後の答弁によると何かクレリカル・ミステークがあったと言われる。私はその回答が十ページにわたるか二十ページにわたるか知らぬ。それもお問いしたが、私はそんな長いものじゃないと思う。率直にお出しになるか。外務省全体のやり方がこういうことなら、私は法案の審議は十分にできない。外務省として十分反省せられることを求め、私ほこれで終ろうと思いますが、二十一日に回答が来ているのになぜ発表しなかったか、これだけ一つ御答弁を願います。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 先ほども申し上げましたように、二十一日に米国側の回答がございましたが、約一週間後に発表するからということでありましたので、一週間の後まで打つといたしても十分であると考えまして、そういう措置をとったのであります。

森島守人日本社会党

○森島委員 米国側の通牒には、一週間後に回答を出すからそれまで発表を見合せてくれというふうにあったのですか、ないのですか。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 米国側の回答にはそういうことはございませんでしたが、回答を手渡しを受けましたときに、そういう希望が先方から表明されたのであります。

森島守人日本社会党

○森島委員 私はその取扱い方は間違っておると思う。こっちから即刻発表するということを申し入れても、向うではこれはいけませんという回答はしないはずだ。これほど重大な問題を外務省当局として国民に対して一週間も握りつぶしておくということは怠慢であると思う。その点に対する御見解を伺いたい。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 私といたしましては、実験の開始が四月二十日でございますので、十分時間的な余裕があると思い、一週間の程度なら待って差しつかえないと判断したわけであります。

森島守人日本社会党

○森島委員 四月二十日に実験があるということで、時間的に余裕があったとお考えになり、しかもこれを許容するような態度を外務省がとっておる。そういたしますと、私は国民に対しては一日も早く知らすというのが日本国民に対する親切心だと思うのであります。義務があるとか権利があるとかいうことは別としまして、国民に対して親切にそのことを知らしておく、これは重大な問題です。この問題を四月だから大した影響はないのだというふうな御見解では、私は欧米局長として、果してその責任が果たせるかいなか、あなたの資格に対しても疑問を持たざるを得ない。この点もう一同はっきり御答弁を願いたい。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 ただいまの点は、先ほど申し上げた通りであります。私のとりました処置が適当であったかなかったか反省したしたいと存じます。

森島守人日本社会党

○森島委員 適正でないか反省するなんて、適当でないから反付するのだ。水産庁においても、先ほどきのうの新聞で見て初めて知ったとはっきり言っておられるのであります。水産業者にこれほど大きい影響がある問題であるにもかかわらず、事務的の連絡すらないということで、果して外務省の責任が果されておるかいなか、この点についてもあわせて御答弁を願いたい。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 その点は、外務省の責任であります。

森島守人日本社会党

○森島委員 責任を回避したかどうか聞いている。私は怠慢の責任があったものと断定する。その点を、聞いている。ついでに水産庁といたしましては、これは一週間も握りつぶされた、外務省から通報を受けておらぬという点については、水産庁としてはいかにお考えになるか、あわせて御答弁を願いたい。

塩見友之助水産庁長官

○塩見政府委員 私の方としては、来ておれば早く知らしてもらえば、いろいろ業者に対する事前の措置や何か準備ができたと思います。今後そういうことのないように申し入れはいたすつもりであります。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 もう一、二問で終ります。それで先ほど田中さんに私は伺っておいたのだけれども、あなたは事前に通報のあることについては満足した、このように言いましたね。しかもそれをアメリカの言う通りになって、発表していないわけだ。とすれば、アメリカの言うなりなって、これほどの重大な問題を事前にあなただけが、あるいは外務省だけが知っているということが、非常に満足であった、こういうことになるわけだと思うのです。そういう意味でございますね。

田中三男外務事務官(情報文化局長)

○田中(三)政府委員 発表につきましては、省内で検討いたしなした結果、アメリカ側が公表したときに、内報があったことを知らせるという打ち合せをいたしておりましたので、それで昨日内報があったことを発表したわけであります。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 先ほど情報文化局長が事前に通告があったことについて満足したというような意味のことを言われましたことは、とにかく四月二十日に今度実験が始まるということであります。それに先だちまして、五十日の余裕を持って発表してくれましたことは、一月に外務省から在米大使館を通じまして、実験をやるならば、その実験の範囲、時期について前広に知らしてもらいたいというその申し入れに答えてくれたものとして、そのことについて満足であるという意味を言われたのだと思います。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 この点は私はまだまだやらなければなりません。ということは、憲法論議の点から考えても、先ほどから私が申し上げておるように、外務省として三点にわたって問い合せた。その一部に対して回答があったことについて満足であるということを言ったのであるとしても、それでもなおかつ問題があるわけです。先ほど申し上げたように、国会の議決等に関連をして問題が出てくるわけです。しかしきょうはあまりおそくなりますから、これは申しません。  ただ最後にもう一点だけ重要な問題を申し上げておきますが、先ほどの水産庁長官の、あるいは厚生省の答弁等を聞くと、今年は必ずしもガイガー試験管で初めに調べる必要はないように考えているというような意味の答弁があったように私には聞えました。これは国民にとっては非常に重大です。今度は実験をやるから、マグロは科学的な試験をした上でないと食べられるものではない、こういう非常な恐怖感を伴うものであろうと思う。それをあなたはほんとうに大丈夫だというなら、あなた方召し上ったらいいでしょう。私らは絶対食べません。日本の八千万人の国民にも、そういうマグロは食べてはいけないとどんどん宣伝をします。そういう心配がないなら、まず水産庁と厚生省が最初にどんどん食べて下さい。国民には絶対に食べさせないようにします。なぜならば、今までの研究のどの研究を見ても、人体の中に爆発によるストロンチウムが入った場合には、害があにということになっているのだから、害がないということは絶対に断定できない。  それから第三点は、きのうもだいぶ問題になっている点ですが、きょうは文部省が来ていないらしいけれども、重大な問題ですから、ぜひ一点だけ伺っておきます。たしか一昨日のユネスコの分科会において、インドが原子力の平和利用についての文化交流について分科会の決議をしようと提案をいたしました。これに対してソビエト側から、原子力の平和利用のみならず、原爆禁止についても、ユネスコというものは文化的な平和の問題を中心に取り上げるのであるから、あわせてこれをまとめようではないかという提案が行われて、分科会では小委員会を作りました。その小委員会のメンバーは日本とアメリカとソビエトとインドであります。この四ヵ国の代表によって小委員会に付託され、一つの原案が決定されました。この原案が決定される経過については、日本、アメリカ、ソ連、インド、四ヵ国ともすべて異議なくその原案が決定されたわけであります。ところがこの小委員会の原案をもって分科会に提案されたときに、なぜか突如として日本とアメリカがこれに対して、提案国の一人であるにもかかわらず、分科会においては反対の投票をやりました。そしてその反対の投票の理由としては、原子爆弾の禁止をユネルコの会議において扱うことは不適当であるという理由であります。このようなことを私聞いたときに、日本の国会で議決したところの原爆実験禁止の態度に対して、ユネスコの国内委員それ自身が反する行動をとっている。しかもユネスコというのは、日本の政府からも予算を出しております。そしてまたユネスコの委員に対しては、政府が任命するということにもなっております。このようになって参りますと、この一週間前の通報があったために、いよいよ分科会で審議をする場合に、それに対しては賛成をしてもらっては困る、反対してもらいたいというような日本の政府からの何らかの内面指導によって、反対させたのではないかという懸念が非常にわれわれには持たれるのでありります。このような連絡、通報その他を文部省か外務省でやったのではないかと思うのだが、私が今申し上げた事実があったのかどうか。お調べになったことがあるのかどうか、そしてそのような通報をおやりになったことがあるのかどうか、最後にこの点だけ伺って私は終りにいたしておきたいと思います。

河崎一郎外務事務官(国際協力局長)

○河崎政府委員 お答えいたします。国内委員会の会議は、これは文部省の直轄でございますが、今主管局長が来ておりませんから、私から渉外事項に関してお答えいたします。  ただいま岡田委員の御指摘のようなことが一昨日のユネスコ国内委員会代表者会議の自然科学分科会で起ったのでございますが、ただ決議案の推移につきまして多少事実に反する点もございますから、私の報告を受けましたところ、それから私が見て参りました会議の議事録のレジュメ、それに基きまして御説明申し上げます。  インド案が自然科学分科会で出ました。その内容はただいま岡田委員の御説明の通りでございますが、その後ソ連から原水爆禁止に関する決議案が出まして、結局それについてアメリカ側から反対が出たのでございますが、自然科学分科会に出ておりました日本の代表からは、この問題は自然科学分科会で討議することは不適当であると思うという発言をいたしたのでございます。ところがこの原水爆禁止というような問題は、できるだけ国際機関を通じてそういう、雰囲気を醸成することがきわめて必要でございまして、実はこの国内委員会のユネスコ会議が開かれます前にも、この問題についてはあらかじめ外務省に相談があったのでございます。と申しますのはユネスコ活動に関する法律によりまして、「国内委員会は、文部省の機関とする。」とありますが、「国内委員会は、その対外事務を処理するに当り、その事務が国の対外施策に関連する場合には、外務大臣と緊密に連絡して行うものとする。」という法文がございまして、外務省としましては原水爆の禁止の問題は、できるだけこういう機関を通じて関係各国の注意を喚起することが必要であると思いまして、実はこの国内委員会会議に出ました代表に対しましては、総括的に原水爆禁止の問題について関係国の間に国際的措置を作るように要望するという方針を授けてあるのでございます。その結末、本日の総会——きょうは最終日でございまして、けさほど総会がございましたが、そこであらためてソ連の代表から原水爆禁止の決議案が出たのでございます。たまたまその総会の議長は日本国内委員会の会長、前田氏でございまして、同時に日本の首席代表でございましたが、このソ連の決議案が出まするや、日本の前田会長はまっ先に、この決議案は適当であるということを申したのでございます。それにもかかわらずアメリカその他の国は、これはアウト・オブ・オーダーだという異論を唱えたのでございますが、日本の代表の議長は、これはイン・オーダーだということで強硬に突っぱったのでございます。それを見ましてもわれわれとしましては、今度の会議で原水爆禁止をできるだけ推進したいという方針で行動いたしておったのでございまして、一昨日の自然科学分科会におきまする日本代表の発言は、ただああいう小さな分科会で政治的な問題を討議することは、手続問題として不適当であるということを申しただけでございます。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 大体わかりましたが、もう一度念のために伺っておきたい。本日の総会でソ連が原水爆使用禁止の提案をした、それに対して日本は議長前田さんが必然それを取り上げるべきだという提案をして、その採決はどうなりました。採決の場合に日本のとった行動はどうなりましたか、その点を伺いたい。

河崎一郎外務事務官(国際協力局長)

○河崎政府委員 実はその決議案が出ましたことは私この委員会に入ってくる数分前に知りまして、そのときまだ討議は進行中でございました。まだその結果は聞いておりません。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 採決に入ったことは事実ですか。

河崎一郎外務事務官(国際協力局長)

○河崎政府委員 私がこの委員会に入って参ります数分前には、まだ採決は行われておらなかったのでございます。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 それではやむを得ません。

帆足計日本社会党

○帆足委員 ただいまの同僚諸賢の質問でほとんど尽きておりますが、しかしもう昼の時間でありますけれども、これは国民全体の健康に関する問題でありますから、一食ぐらい飛ばしてもそれは大した問題にもならぬ小さな問題です。今のユネスコの問題につきまして、連絡委員の御答弁で多少は安心いたしましたが、分科会において手紙問題だというのですけれども、政府は先般衆参両院において原水爆実験禁止の国会の最高の決議が行われているわけですから、あらゆる機会をとらえて啓蒙宣伝のために活用すべきである。従いまして分科会においてはインドもその手続上取り上げることに賛成したのですから、日本代表としては多少ぐらい手続問題に問題があっても、 原爆を投下されて最初の悲惨を味わった国土で行われることでありますから、そのときに相当の発言をしてインドと同じ立場をとるか、または単なる手続上のことであるから、これは手続の方法を変えて一刻も早くそのために時間をさくべきであるということを明らかにするべきであるのに、日本の新聞及び各国の新聞には、インドとソ連だけが賛成して、日本はこれの上程に反対したというふうに新聞に伝えられたことは、非常に悪い影響を及ぼしておって、現に昨日インドの代表も、日本の国会はわずか十日ぐらい前にこのことを決議しておきながら、ユネスコ代表はこれに対してどうも態度が煮え切らないと、こう発言し、また昨日国会議員さんが出席し、この外務委員長さんが出席したソ連ユネスコ代表と国会議員との懇談会の席でも、どうも日本の国会で決定されたことが、平和の機関であるユネスコ委員によって真剣に取り上げられない傾向のあることはまことに遺憾である、あしたの総会はどうなるだろうか、こいねがわくは日本の国民の意思を知るために、日本国会の決議を三公のために見せてくれないかというような発言があったくらいですから、私は単にこれは手続問題だけではなくて、ユネスコ委員に怠慢があったと思うのですけれども、特に情報局長に伺いたいのですが、ユネスコというものは一体どういうことをする機関とお考えになっておりますか、まずそれを伺いたいと思うのです。

田中三男外務事務官(情報文化局長)

○田中(三)政府委員 ユネスコの主管は国際協力局になっておりますので、河崎局長から答弁していただきます。

河崎一郎外務事務官(国際協力局長)

○河崎政府委員 ただいまのお話の通り、あらゆる機会をとらえて特にこの原水爆禁止の問題を推准することは、非常に必要でございまして、そういう方針でございますからこそ、代表団に対しましては米ソを含む関係国に対し、原水爆実験禁止に関する国際的措置のすみやかな実現を希望するように発言しろという方針を授けてあったわけであります。ただ一昨日の自然科学小委員会というのは、元来そういう原水爆のような大きな問題を討議するには不適当な委員会でございまして、自然科学に関する学者の派遣だとか研究所の設置とか、そういうような小さな問題を取り扱う分科会でございますから、われわれとしましてはむしろこういう重要な政治的な問題は、総会で取り上げた方がいいと考えておるのであります。もちろん分科会でそういう案を支持するかしないか、あるいは総会へ持ち出されたときにこれを支持するかというようなことは、これは代表団の権限、自由裁量にまかされておるわけでございます。私としましては、自然科学分科会でこの問題を取り上げることは不適当だと発言した日本の代表団の行動は、適切であったと考えておるのであります。  ユネスコという機関についての御質問でございますが、今回東京で行われておりますあのユネスコの会議については、巷間において誤解があるようでございますから、幸い今御質問がございましたので御説明いたします。今度の東京で開かれております会議はユネスコ自体の会議ではございません。ユネスコ加盟国の大部分の国ではそれぞれ国内委員会というものが設置されておりまして、これがユネスコ事業に協力しておるわけでございます。この各国にあります国内委員会同士の会議でございまして、特に今回は、日本のユネスコ国内委員会がアジアその他の諸国の国内委員会の代表者を招賛して、親睦的な会議をやっておるのであります。ユネスコとしましてはただこの会議の後援をしておるにすぎないのでありまして、ユネスコ自体の会議では決してございません。従いまして今度の会議は政府間の会議でもございませんし、日本政府が主催して招請した会議でもないのでございまして、もっぱら文部省の機関であります日本国内委員会が、関係各国にあります国内委員会の代表を集めて、お互いにユネスコの事業に協力しておるのだから、親睦増進のために顔合せをしようという種類の会議でございます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 先年私がユネスコ国内委員会委員でありましたころ、日本ユネスコ国内委員会の会議で原水爆の問題が論議になりましたときに、原水爆の及ぼす恐怖的影響について、その体験を受けた国として、その体験をあまねく世界に知らせることが、やはり平和の重要な要因になろうという議論が出ましたときに、横田喜三郎君初めそうそうたる諸君が、どうも原子力の影響をおそれ過ぎる傾向があるから、そういうことを世界に知らす必要はないという発言をしました。これに対して民自党の杉原荒太さんだったと思いますが、そんなことはないじゃないか、ただいまの点については帆足君と自分は党派は違うけれども全く意見は同じで、これを超党派的に、原水爆の人体に与える悪影響ということについてはおそるべきものであるということを、十分な資料をもって世界に知らせる必要があると言って表決をとりましたときに、杉原さんや私の表決はごく少数で否決になりました。一体お医者さんの団体ならば病人をなおすのが役割ですし、建築家の団体でしたらよい建築を作るのが目的でありましょう。しかるにユネスコと称する機関が平和に対して十分なる熱感を喪失し、今日の課題である原水爆の人類に与える恐怖に対して、深刻にして十分なる認識を持っていないとするならば、私はこれはゆゆしい問題であろうと思います。こういうこともありましたので、政府としては国会の決議の意味を体して、あらゆる方法をもって国会の決議の趣旨を全世界に示して、その世論の助けをかりて目的貫徹に努めねばならぬときですから、こういう重要な問題がユネスコに——それが民間会議であろうとかかりましたときには、十分な連絡をもって国民の総意をこれに反映させるようにやはり御注意を願いたいと思います。国会の決議がとかく軽視されがちである。政府の立場とすれば、アメリカの圧力もありまして、実際問題としていろいろ御苦労もありましょうけれども、そのためにこそ国会というものがあるのですから、一週間前に水爆実験の通告を内示されましたときにでも、両院の強力なる決議があるからそれを無視するわけにいかぬから、これは一つ両院にさっそく伝達して、審議を経てまた回答するからぐらいの発言があってしかるべきである。大体政府委員諸公は原水爆についての知識を持っておられるのか、一体どういう書物を読んでおられるのか、一ぺんそれも調査しなければ——教養の水準をまず調べてからでなければ、これは人食い人種と話をしても仕方がないということにもなるわけですから、実はそのことでも御相談したいと思っておるわけです。今日国防ということが言われ、安全保障ということが言われますけれども、矢のように流れている早い歴史の時代に私ども生を受けておりますから、つい過去の観念で今日のことを考えるような錯覚にお互いが陥りやすいわけであります。従いましてただ敵地を先制攻撃すればいいとか、爆撃すればいいとかいうような危険な言葉を、それがはね返ってくるゆえんのものも考えずにするということにもなりがちでありますから、私が外務当局の諸君に望むことは、今日は小銃、機関銃の時代でもなくバズーカ砲の時代でもなく、原爆、水爆の時代と電気誘導弾の時代であるということに思いをいたされまして、外交官の任務としては書斎に電気誘導弾と原爆、水爆の書物の五冊ぐらいはいつも置いておく、読まなくてもいいですから毎日ページをめくって反省しながら政務をおとりになるというぐらいの心がけとか、誠意があってしかるべきではあるまいか。重光さんはからだが弱くてああいう状況で、お年もお年で教育勅語の時代に住んだ方でありますから、この人を教育する輔弼の責任は容易なことではないと思いますけれども、若い皆さんがよく重光さんにも説きあかして、今日の時代が人類の夜明け前でどういう時代であるかということを重光さんにもよく教えて、政治をしてもらわないと国民は全く迷惑すると思うのです。いろいろ言いたいこともありますが、ユネスコ事務局長等もきょうは来ておりませんので、また出席を求めました上で質問を続行することにいたします。

前尾繁三郎自由民主党

○前尾委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。     午後二時八分散会

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