外務委員会 第5号
- 発言数
- 130 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1956/02/14
会議録
○前尾委員長 これより会議を開きます。 本日は北鮮への帰国希望者に関する問題等につきまして、参考人から意見を聴取することといたします。本日御出席下さいましたのは李珍珪君、金正煥君、李起床君、高木武三郎君及び木内利三郎君の五名であります。 議事に入るに当りまして、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。本日は当委員会のために御出席下さいましてまことにありがとうございます。本日の議事の順序について申し上げますと、まず参考人各位からおのおのの御意見を開陳していただきまして、そのあとに委員から質疑がある予定であります。なお御意見の開陳は、お一人約十分程度にとどめていただきたいと思います。念のために申し上げますが、衆議院規則の定めるところによりまして、発言は委員長の許可を受けることになっておりますので、御了承願います。また発言の内容は、意見を聞こうとする案件の範囲を越えないようにしていただきたいと思います。なお参考人は、委員に対しましては質疑をすることができないことになっておりますので、その点も御了承願いたいと思います。 それでは参考人の御意見を聴取することにいたします。まず最初に、李起床君から、御意見を伺いたいと思います。
○李(起)参考人 李起床であります。在日朝鮮人帰国問題を本外務委員会においてお取り上げ、御審議下さるようになりましたことにつきまして、委員長初め諸先生に対しまして、感謝と敬意をささげるものであります。在日朝鮮人について、諸問題がたくさんあるのでありますが、特に本日は帰国問題を中心にいたしまして、申し上げろとのことでありますので、帰国問題について、申し上げたいと思うのであります。帰国問題は、すでに日本政府に対しましてしばしば要請いたしたのでありますが、本問題は人道上の問題といたしまして、超党派的に諸先生のお力添いをぜひお願いいたしたいと思うのであります。 次は、参考人といたしまして、申し上げる順序を申し上げたいと思うのであります。在日朝鮮人の生活問題と帰国問題、遺骨問題について、私が申し上げたいと思うのであります。次に在日朝鮮人子弟の教育と祖国進学問題については、李珍珪君が申し上げることになっておるのであります。次に大村収容所問題については、金正煥君が申し上げることになっておるのであります。その点を御了承願いたいと思います。 在日朝鮮人の生活問題と帰国問題について申し上げます。在日朝鮮人の置かれている境遇については、現在在日朝鮮人の全般的な生活は、極度の貧窮と飢餓状態にさらされておるのであります。日々の生活費を求めて街頭に初律する者の数は急速にふえ、生活難による自殺行為も随時起っておるの。あります。 在日朝鮮人六十万のうちで、その八割以上の者が働く職場もなく、失業状態の中でその日その日の生活のかてを求めて、不安と絶望に満ちたどん底の生活にあえいでいるのであります。朝鮮人商工業者も、負債と経営難のために、相次いで没落、破産の状態に陥っておるのであります。同胞に対する職場保障の能力はなく、また日本人商工業者も朝鮮人をその職場から締め出しており、失業者は一層ふえていくのであります。一部の同胞は生きるためにやむなく、不正常的とは思いつつ、あるいは買い出しやどぶろくを始めたが、それによって弾圧の口実となり、在日朝鮮人の八割に上る人々の生活問題は、文字通り生死の問題としてその解決を迫られているのであります。 このように生活の方途を失った人々は、やむを得ず生活保護法の適用を要請しておるので、あります。それも朝鮮人は外国人であるとかその他の理由で、その保護の打ち切り削減を行なっておるのであります。その事例といたしましては、現在何万人の朝鮮人が生活保護法を申請しておるのでありますが、多数の中に何人かの人々の不適正な生活保護費の受給者がまじっておるからといって、生活保護を受けているすべての朝鮮人が全部不正な受給者であるかのように、新聞やラジオでは報道し、故意に在日朝鮮人に対する日本国民の悪感情をあおるがごとき憂うべき事態を作り出しているのであります。昨年だけでも京都、大阪、三重、岡山等の地方では、調査の口実のもとに警察官を動員いたしまして、弾圧を加えておる状態であります。一方的に生活保護質の削減、停止を通告し、保護法の虚偽の申請という理由で、刑事事件になっておるような状態も現在起きておるのであります。 以上は朝鮮人についてのほんの概括にすぎませんが、在日朝鮮人の境遇の真相はもっともっときびしく、かつ深刻であるのであります。これらの人々はもとより独立した朝鮮国民として、外国の生活補助を受けることをいさぎよしとするものではないのであります。一日も早く祖国朝鮮民主主義人民共和国に帰国したいとひたすら念願しておるのであります。これら在日朝鮮人は、これまでも共和国への帰国の実現方法を日本政府に対して申請してきておるのであります。しかし日本政府はこれに対しましては、具体的な措置を取り上げておらないのであります。 次に帰国問題についてでありますが、一般帰国希望者は一九五五年十二月現在におきまして、一千百人おるのであります。これは東京を中心といたしまして、大村収容所に収容されておる人の中で共和国に帰国を希望しておるのが、現在七十一名おるのであります。それから留守家族が現在百二十人おるのであります。なお高等学校を出まして、上の学校に行かれなくて、共和国の方にきたいという進学希望者が百三十三名おるのであります。このほかにも帰国希望者は引き続いてふえてきておるのであります。かなりな数に達するものと考えるのであります。なお生活困窮者等以外の比較的生活の自立しておる者も、祖国との往来のできる日を一日千秋の思いで待っておるのであります。 帰国希望者のうち、特に大村収容所に長期にわたって収容されておる帰国希望者や、残留家族、及び四月の新学期を前にして祖国へ進学を希望する学生、青年等の帰国問題は、最も緊急かつすみやかな解決が要望されるのであります。 以上のような在日朝鮮人の生活問題や、教育、帰国問題を解決するために、朝鮮民主主義共和国外務省は数回にわたって声明を出しており、在日朝鮮人の諸問題解決及び朝、日両国の利益と親善を促進するため、共和国代表の日本人国方を要請しておるのであります。われわれは祖国代表が一日も早く日本に来られまして、友好親善のうちに帰国その他在日朝鮮人の諸問題が解決できるように切に望むものであります。 次は遺骨問題であります。浮島丸事件の遺骨問題でありますが、太平洋戦争の終結とともに青森県・北海道にいた朝鮮人軍属、徴用労務者、等三千七百四十五名は、今度出港する浮島丸に乗船しなければ帰国の道は断絶するというので、一九四五年八月二十二日、青森県・大湊港で乗船いたしまして出港したが、舞鶴沖で船内に装置されたダイナマイトの爆発で沈没し、乗船者の大部分が死亡しておるのであります。しかしこの事件の発生後十一年を経過しておる今日においても、遺骨者名簿にはたった五百二十四名しか記録されておらないのであります。厚生省はその後の対策について何ら考究するところがないのであります。その他の遺骨問題についてはそれだけではなく、徴用、軍属で日本国内各地の炭鉱、鉱山その他の工事事業において犠牲になった朝鮮人の遺骨は三十万といわれておるのであります。花岡鉱山でも数千の朝鮮人が犠牲になっておるといわれておるのであります。また国外の南洋諸島、千島列島にも莫大な遺骨が散在しておるのであります。国元の朝鮮の親兄弟はかかる事実を知らずに、一日千秋の思いで待ち続けているのであります。その遺骨を可及的、すみやかに探し出して本国へ送還することは、人道上からいたしましても大きな問題であり、将来におけるところの日朝両国民の友好親善においても大きな助けになるのではないかと思われるのであります。 以上申し上げまして御参考に供したいと思うのであります。
○前尾委員長 次に李珍珪君。
○李(珍)参考人 在日朝鮮人子弟の祖国進学についてお話し申し上げたいと思います。 今在日朝鮮青年学生たちの、祖国朝鮮民主主義人民共和国への進学の問題は切実な問題となっております。と申しますのは一九五五年十二月二十九日、朝鮮民主主義人民共和国南目外相は対日声明の中で、在日朝鮮人教育問題に特別の関心を寄せ、不足する教科書並びに教員を補充し、教育費並びに進学資金を送ること、在日朝鮮人学生の祖国進学を保障することを明らかにしました。また去る一月十六日発表された朝鮮民主主義人民共和国内閣決定第七号は、在日朝鮮青年学生が祖国に進学を希望してくるときはこれを勧迎し、その希望する各学校に入学させ、被服、くつ、学用品を無償支給し、生活安定一の一時金として二万円を支給し、大学一生には毎月千五百円、高等面専門学生には毎月千円を支給することをきめています。朝鮮民主主面人民共和国のこのような手厚い配慮は、在日朝鮮青年学生並びに学父兄、一般同胞の間に大きな感銘と反響を巻き起しました。このような感銘と反響は、特にわれわれが自主的に運営している朝鮮人小、中、高等、師範専門学校において強く現われことしの三月高等学校並びに師範専門学校を事業する多くの学生たちと、すでに卒業した学生たちの間から多くの祖国進学希望者が出ており、また多くの日本高等学校卒業者、日本大学在学中の大学生、一般青年の間でも祖国進学を希望する者がますますふえております。われわれが自主的に運営している高等学校並びに師も専門学校についてだけでも、祖国進学希望者はすでに百三十三名に上っています。その内訳は東京朝鮮高等学校卒業生総数五百八十二名、そのうちことしの三月卒業する学生百六十五名、祖国の進学を希望している学生が九十名、兵庫の朝鮮高等学校卒業生総数四十二名、ことしの卒業生そのうち二十二名、祖国進学希望者六名、大阪朝鮮高等学校卒業生の総数五十四名、ことしの卒業者二十九名、そのうち祖国進学を希望する者十名、中部朝鮮高等学校昨年度の卒業生十八名そのうち祖国進学希望者二名、朝鮮師範耳門学校卒業者総数二百六名、そのうちことし九十八名卒業、祖国進学希望者二十五名、以上合せましてこれまで一九五〇年度から五五年度にかけての九百二名の卒業生総数のうち百三十三名が現在祖国進学を希望しているのであります。 このような現象は、在日朝鮮青年学生だちが日本において勉学、就職など、青年学生として基本的な権利が保障されていない現状と照らし合せて深く考慮されなければならないと思うのであります。日本の多くの大学は朝鮮人学生のためには狭き門となっており、山口県においては高等学校においてすら朝鮮人学生を入学させないのが不文律となっているのであります。日本文部省は、朝鮮人高等学校は各種学校であるから、その卒業生に日本の各大学受験資格を与えることはできないと書明しているのであります。また現に日本の各大学に在学している二千余名の学生たちも、その多くが祖国の父兄との連絡もつかず、学資難と生活難のため、多くの学生たちが中途退学か長期欠席の状態に置かれており、日本の奨学機関からは一切締め出されているのであります。やっと卒業したにしましても就職先は見つからず、理工科を出た大学生がパチンコの裏回りか日雇い労働に出ておる現状であります。 われわれは在日朝鮮人青年学生に加えられているこのような過酷な条件がすみやかに取り払われ彼らが日本においても、又祖国朝鮮民主主義人民共和国へ帰っても、幸福に勉学し、暮せるよう日本国会並びに日本政面府に次のような条項の実現を強く要望するものであります。 一、在日朝鮮青年学生のうち祖国朝鮮民主主義人民共和国へ進学を希望する者の進学が実現するように日本政府は人道的、歴史的な立場から援助していただくこと。 二、共和国政府から送ってくる在日朝鮮人子弟の教育費並びに貧困学生に対する奨学資金をわれわれが受け入れられるよう日本政府は措置を応じていただきたいこと。 三、在日朝鮮人高等学校を卒業する学生のうち日本各大学へ進学を希望する者の受験資格を認められること。 四、昨年八月祖国朝鮮民主主義人民共和国を訪問した在日同胞代表祖国訪問団一行、林光徹、李興烈、鄭然昌、朴烱南の四人がすみやかに再入国して、現職に戻り、教育事業に従事することができるよう付入国を許可していただくこと。 この四人はいずれもが教育関係者でありまして、林光徹は現に東京の朝鮮中高等学校の校長であり、李興烈は在日朝鮮人教育会の副会長であります。鄭然は関西の自然科学者協会の会員であり、朴烱南は朝鮮学生同盟の副委員長であったのであります。この四人がすみやかに帰ることによって、私たちは教育事業によりそうの発展をもたらすものと確信して、特に要望する次であります。
○前尾委員長 次は金正煥君にお願いします。
○金参考人 この機会を与えていただきましたことを、厚く感謝いたします。大村収容所の問題について申し述べたいと思います。 大村収容所の問題は日本と朝鮮人民民主主義共和国との関係の一つの縮図となっておりますが、きようは大体帰国問題に関して申し上げたいと思います。 今大村収容研における朝鮮人の収容状況は大体千六百余名になっております。これは異動がたびたびありますので、現在千六百余名になっておりますが、この中には一九四五年九月二日以前日本に居住権を持っていた者が四百名余り入っております。そうしてこの収容所の中で生まれた者が三十九名、そしてこの中で死亡した者が十七名、女が三名と男が十四名であります。十五才以下の子供が二百八十四名おります。そして入院患者が二十三名、大体十五才以下の子供は全然教育声受けることができない状況に置かれております。そして入院患者の中には精神病患者が十四名ほどおりますが、これは長期拘留によって影響されておるものと思っております。一日一人当りの食事代は大体七十円となっております。そうして今朝鮮民主主義人民共和国へ帰りたいと希望しておる者が七十一名、こういう状況です。 この中においては非常にいろいろな問題か起つておりますが、大体張東根撲没事件というのが、当面重要な問題として提起されております。これは一九五五年十一月十八日、被害者張東根、三十二才、共和国帰国希望者と、加害者李万徳いわゆる李承晩派の手先、こういうふうになっております。この間にささいなことで口論が起って、あらかじめ共謀していた李万徳を初め卞相哲等十数人が集団で張東根をなぐる、けるの暴行を加えて瀕死の重傷を負わせて、ついにその張東根が大村市立病院に入院されましたが、十一月二十日午前七時三十分死亡したのであります。そして翌二十一日解剖した結果によれば、死んだ原因は腸の破裂によるもの、であることが判明しております。 なお加害者李万徳・卞相哲は、現在長崎地方検察庁において起訴中であります。しかしこのような事態の発生は決して偶然なできごとではありません。前から幾多の危険性があったのでありまして、将来における不祥時の発生を十分に予測し得るまでになっていましたが、しかし当局はそれを予防することができないで、結果においてこういう悲惨な事件が起きたのであります。ここに参考資料として持つてきたのでありますが、これによりますとこういうことが書いてある。これは請願書の形になっておりますが、一つ参考のために読ませていただきたいと思います。これは自由法群団の青柳先生と上田先生に出そうと思って書かれたものが、実際は差しとめられてこれを出すことができずに中に今まで置いたのを最近になって入手したものであります。こういうように書かれております。 世界の平和と日本の独立と自由と民主主義のために、日夜御奮闘なさっておられる諸先生方に対し、私達朝鮮民主主義人民共和国帰国希望者一同は、大村収各所の鉄窓の中から謹んで敬意と感謝をお送りします。 この大村収容所に収容されている我々朝鮮民主主義人民共和国の公民は、拷問と投獄・虐殺の待つ生地獄・南朝鮮への強制送還を決死的に反対し、自分自身の祖国へ帰国さしてくれることを一貫して要求して参りました。しかし今日まで朝鮮公民のこの正当な要求は、米・韓をはじめとする反動勢力によって乱暴に踏みにじられ、国際法で公認された外国人の法的地位に対する諸原則と慣例に違反し、彼らの意志に反してその生命を李承晩の死の手に引き渡してきました。このために数多くの朝鮮公民達は、南朝鮮の李徒党の屠殺場で野獣的拷問と投獄・虐殺を受けてきました。現在も尚このような中世紀的な状態は続いております。幸い極東の緊張状態を緩和し、団際間の友好親善を希う平和愛好日本人民の強力な意志を反映して、わが祖国・朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化と交易と文化交流の促進の動きがたかまり、又在朝鮮日本人を帰国させる問題が具体的に推進されてきました。このことと関連して大村収容所の我々朝鮮民主主義人民共和国帰国希望者五十余名も、今迄にない明るい見通しをもつようになりました。しかしながら収容所当局は同封の内田局長宛要請書において見られる通り、帰国問題を終始後味にし、「帰国問題はまだ確定していない」「上部の指示があれば南朝鮮へ強制送還を執行する」と言明し、我々は自己の上にいつのびるとも知れない恐ろしい魔の手に戦々競々としています。そして収容所内においては、李徒党が潜入さした特務達のますます激化していく脅迫とあらゆる策動によって、共和国帰国希望者一同の人権は重大な危機に直面しています。しかも各棟に分散・孤立されているため我々は二重・三重の苦しみに陥っています。すべてこのような我々の厳しい現実と無権利状態と精神的・肉体的苦痛から一日も早く逃れるために、我々は去る十一月二十八日に内田局長宛・同封の要請書を血署で提出しました。又我々の首領金日成元帥宛へは血書でもってこの実情をのべ、在日朝鮮同胞へも同じく血署で我々の逢着している状態を訴えました。これはひたすらに我々の上に掩いかぶさろうとしている死の運命から免れて愛する自己の祖国へ帰ることを熱望する我々の血の訴へでありました。処が収容所当局はこの問題すらも発送を禁止するに至りました。当局のいう発送禁止の理由は次への如きものであります。即ち現在五つの棟に分散されている我我共和国帰国希望者がどのようにして血書を集めたかということを問題にしています。我々は当局の許可による面会を通じて係官同席のもとで血書を授受しました。当局はこれを面会理由事項に記載されていない反則だとし、反則して集めた血署は発送できないというのであります。そればかりかこの反則を理由に五十余名の帰国希望者全体を面会禁止・書籍回覧禁止処分にしました百歩譲って反則を犯したとしてもそれは数人にすぎず、その他の人達までがなぜにこのような処分を受けねばならないでしょうか。あまつさえ血署には全然関係のない人が我々と同室だという理由で同じく面会が禁止されています。これは明らかに我々朝鮮民主正義人民共和国帰国希望者に対する政治的弾圧であり、一方的かつ差別的抑圧と断定せざるを得ないのであります。と同時にわれわれの血の要求を押えることによって帰国問題を引き延ばし、あわよくば南朝鮮への強制送還を容易にせんとするように思われます。 大体こういうようなものでありますが、実際この状況は前から続いておりまして、非常にその中においては暗黒なこういう一面があったわけなのです。だからこれを分離してくれ、一緒に固めてくれという願いを何回も出しておりましたが、そういうことが実現されないうちに、こういう悲惨な事件が起きたわけなのあります。そして収容所内には久しく前から李承晩政府の特務の人たちが潜入していて、収容所中の同胞の間にたえず対立と紛争を引き起しており、これまでも共和国への帰国希望者は種々の迫害とリンチが加えられています。彼らは民主主義の法治国である日本の収容所内で、集団的な組織による、力による無法きわまる支配を行なってきています。朝鮮民主主義人民共和国への帰国希望君たちは、みずからの身辺の安全を守るために、これまでも引き続いて収容所当局の適正な措置とあわせて分離してもらうよう、数回にわたって所長及び管理局当局に要請しましたが、拒否されてきました。そしてこのたびの張東根撲殺事件のような不祥事件が起きて、初めて当局はことしの一月九日共和国へ帰りたいという者を別棟に分離しております。 この分離されておる中においてもおもしろい現象が一つありますが、全然北に帰りたくない者を一人この中へ入れておきまして、これは南に帰りたい者であって、そして南へ帰るべき遺骨も持っておる者を北へ帰りたい者の中に一人入れておいて、そしてたえず中で摩擦が起きるようにさせておる。こういう問題が一つ提起されております。 大体こういう状況でありますから、われわれもできるだけのことを尽してこれらの人たちを救援したい、こういうのでいろいろやってきました。そして昨年、在日本朝鮮人総連合会中央常任委員会では、越冬救援月間として在日同胞に対し大村収合所内の同胞救援を訴え、一月末までに現在大村収容所に送り届けられた救援物資は、現金で約五万七千円、衣類で二千四百三十五点になっています。これを朝鮮総連代表として長崎県議長金容辰君が、大村収容所長と交渉して配布することにしたのでありますが、この大村収容所内の全同胞は、非常に感激してこれを歓迎しておったのであります。しかしこの韓国の特務分子たちがその配給を意識的に拒否させようとして、配給希望者を脅迫し暴行を加えて、そしてまた事件を引き起したのであります。 それは十二月三十一日のことでありますが、その中に共和国へ帰りたいと、いう者の代表が――許吉松君が代今となっておりますが、この許吉松君に対して物資を配給するものの希望者名簿を出してくれと要求し、それが拒否されたので、十二月三十一日午後八時ごろには、彼ら二十七名が許吉松君及びそのほか八名に対してひどい暴行を集団的に加えたのであります。そうして当局はこの事態にあわてて、三十七名を隔離するようにいたし、そうして今隔離中であると聞いております。この事件に対しても、またその結果において非常に重要な問題が提起されております。それはこれらの問題を和解させるという条件が、つまり分離さすという条件のもとで これは提訴したのでありますが、提訴を取り下げるように西川警備官が働きかけて、そうして約定みたようなものを結んでこの提訴を取り下げましたのですが、その後になって向う側で言うておるのは、提訴を取り下げる約束をして取り下げたにもかかわらず、今検察の方でその問題に関して調べておる。これは許吉松が裏切ったものであるというので、許吉松を殺してしまわねばならないとう空気がずっと中に起きておる、こういう事実であります。全然約定に従って、許吉松君が検察に頼んだわけでもなく検察は独自の立場でこれを今取調べ中であろうしいのですが、ただそういう空気がどこから助長され、どういるものがそういうものを編み出すのか知らないけれども、不信と憎しみを助長さして、許吉松君及び北へ帰りたいという君たち全部に対して、やっぱりこれを圧迫し脅迫し、そうしてしまいには命までも奪わねばならないこういう空気を醸成しつつあるということであります。もちろんこういう条件のもとにおいては、この収容者たちの自由な意思表示というものは全然ありないのでありまして、今七十一名が朝鮮民主主義人民共和国へ帰りたいというとの意思表示は、ほんとうに自分の命をかけておるものであります。そうしてこの許吉松君あたりはもり三年四年の長期の拘留でありまして、数回にわたるリンチと迫害、こういう中でも歯を食いしばって、断固として自分の国へ帰りたいという意思表示をはっきりしております。 問題は今ほんとうにそういう雰囲気では自由に自分の国籍あるいは帰国地を選択する自由が全然ないということが大きい問題であると思います。そうしてできるだけこの人たちを早く帰国させたい、そうしてでき得ればこのたびでも、われわれの願いとすれば、日本の皆さんを迎えに行く船にでも乗せて、こういう人たちの生命を安全にし、そうして自分の帰りたいところへ送り届けたい、こういうのがわれわれの願いでございます。
○前尾委員長 次に高木武三郎君。
○高木参考人 在日朝鮮人をその希望によって祖国へお帰しするということは、私ども非常に賛成であります。赤十字といたしまして、あらゆる努力を払いまして、そのことが達成され、またその協力できます片棒をにないたい、かように考えております。ただその具体的な問に至りましては、非常な困難な問題が横たわっておるのでございまして、そのことにつきまして私どもは非常な苦心と、今研究を進めておるような段階でございます。
○前尾委員長 木内利三郎君。
○木内参考人 日本赤十字社では、ただいま高木参考人の申しました通り、北鮮へ帰国を希望される方の希望をどういうふうにして実現させるか、いろいろ研究を続けております。結局国際赤十字の線を動かしていくと申しますか、この線に乗ってやることが、あらゆる方面に女体なく、かつ安全に帰国希望の方をお帰しするというためには、最もよい方法ではないかというので、研究を続けておるわけでございます。 それから、現在日本赤十字の代表団か平壌に参りまして、北鮮赤十字会の代衣の方々と日本人の帰国についてお面をしているわけでございますが、これは代表団が出かけますまでにいろいろいきさつがございまして、今回の代表団は日本人の帰国の具体的な取りきめをするという権限――というと言葉が少しむずかしくなりますが、そういうお話し合いをするために京城へ参っているようなわけでございます。現在では、先方から、日本におられる北鮮へ帰国希望の方々の問題もこの際討議をしたいというお申し出がありまして、これを公開の、公式の席上で話をするかあるいは私的に話し合いをするか、そういう形式のようなことで、なお話が延びておるようでございます。が、赤十字といたしましては、もちろん人道的なこの大きな問題を、実現可能な方法で進めるために苦心をしているわけでございまして必ず近く先方との話し合いがつきまして十分先方の御意見も聞いて帰ってくるものと、われわれ本社の方では考えておるようなわけでございます。
○前尾委員長 これにて参考人各位の御意見の開陳を終りました。 参考人並びに政府当局に対して質疑を行うことにいたします。政府側の出席者は、ただいまのところ外務省アジア第五課長針谷正之君、法務省民事局第五課長長谷川信蔵君でありますが、森下政務次官も間もなく来られると思います。それでは質疑を許します。穗積七郎君。
○穗積委員 外務省の方が参議院の外務委員会の定例日にぶつかって、大臣初め次官も局長も御不在ですから、政府特に外務省に対する画は後に保留しておきたいと思います。なお他の同僚委員からいろいろ御質問があろうと思います。きょう在日朝鮮人を代表されて陳情なさった問題が三つあるわけでございますが、その第一点は帰国問題、それと関連して遺骨送還、進学問題、大村収容所における処置の問題でございます。私はすべてにわたって参考人並びに政府に質問をいたしたいと思いますが、他の同僚委員の御質問の御予定もあろうと思いますので、最初にまず帰国問題について質問をいたしまして、他の同僚委員の質問が済んだ後に残った問題がありましたら重ねて質問をいたしたいと思いますので、委員長におかれても、そのことをあらかじめ御了承おきを願いたいと思います。 政府がおられませんから最初に日赤の代表者にお尋ねいたします。質問に入ります前にお尋ねいたしますが、本日の委員会に出席していただきますのにつきましては、この引き揚げ問題について、日赤の意見をまとめて、日赤の代表として発言をしていただける用意を持って来ていただきたいということを前もって私は委員部からお願いしておきましたが、さような立場でお見えいただいておることと当然思いますが、念のためにそれを確かめておきます。 もう一つは、日赤が今日複雑な、東西両陣営に分れた世界の中に立って、政治的または思想的な理由によって、人道問題がややもするとネグレクトされる現状にかんがみまして、政府とは別に、すなわち政治、思想にとらわれることなしに、純人道的な立場に立って、政府がなし得ないことを解決していくという精神と方針をもって、中国における日本人の引き揚げ問題またはかの国の遺骨送還の問題、このたびの北鮮からの在鮮日本人の引き揚げ問題並びに在日朝鮮人引き揚げ問題等々というような問題を論議すべき立場にあるということは言うまでもないことでございます。日本赤十字社のみに限らず、万国の赤十字社が、そういう純人道的な立場に立って、政治または思想に制約されたり拘束されることのないという精神を当外お持主になってこの題に臨んでおられろと、確信いたしますが、その基本的な態度について、最初にちょっとお尋ねして確認しておきたいと思います。
○高木参考人 お答えいたします。第一の問題につきましては、赤十字の社長その他と相談をいたしまして、赤十字としてお答えできる立場で参りました。 第二の問題につきましては、御指摘の通りであります。しかし日本赤十字社は、日本の国の中にありまして、国の方針と非常に相反するような場合には、赤十字が幾ら考えてもできないという限度があります。ただしだからといって、政府の言うその通りに赤十字は動こうというような考えはございません。あくまでも赤十字精神に基いて事を処理するという考え方でおりますことは、御指摘の通りでございます。
○穗積委員 先ほど木内さんからお話がありましたが、平壌において日本赤十字社代衣しかも副社長の葛西さんと井上外事部長が責任者となって行き、在鮮日本人引き揚げ問題について話し合いをしておられる。ところがその日本人の引き揚げをするために、日本にいる朝鮮人の引き揚げを促進することを条件とはいたしておりません。そのことは明確にしておきたいと思いますが、われわれの聞き及んでいるところでは、北鮮の赤十字社の代表の諸君が、日本にいる朝鮮人の引き揚げ問題を促進するためにここで討議をしてもらいたいという要請は、そのことをしなければ朝鮮にいる日本人はお帰ししませんというような条件付の提案ではないと私は記憶いたしております。その通りたと思う。それにもかかわらず、在鮮日本人の引き揚げ問題に対しては積極的に協力いたしましょうという態度をもって話を進めている最中に、日本にいる朝鮮人の引き揚げ問題を促進するように努力してもらいたいという提案があったと遂に、そういう話し合いをすることはできないと言ってお断わりになったのです。それに対して同行されました団員のうちのある人から十一日に電報が入りまして、十日の正午から開かれた本会議の劈頭で葛西団長が、在日朝鮮人引き揚げ問題を議題とすることはできないとお断わりになった理由の中に、政府の了解を得ていない、または政府からそういう権限を与えられていないというようなことを理由にされてお断わりになったような印象の持てる電報が来たわけですが、先ほど木内さんのおっしゃった、今度は朝鮮人引き揚げ問題を議題とする権限がないと言ったその権限とは、一体どこから与えられた権限をおっしゃるのか、それをまず第一に明らかにしていただきたいと思います。外務省からそういうことを議題とされては困るという制肘を受けられた事実があるかどうか、それを最初にお尋ねいたしたい。
○高木参考人 お答えします。ただいまの問題は、途中の言葉が省略されているかと思います炉、ざっくばらんに申し上げますと、私どもの代表団が出ますと遂に外務省に出向きました。それはこれから平壌に会談に行くんだが、どういうことを相談してきたら、政府としてどのくらいのことができるかということのだめ押しに行ったわけです。そうしたところが、日本人の帰国というものについてはぜひやってきてくれ、それから北鮮に布目朝鮮人を帰すということは、あなた方がそういうことをやっていらっしゃっても、政府としては現在のところ帰す方法がないから、こういうことをお話しになったわけです。そこで赤十字といたしましては、外務省のその見解を一応もとにしまして、北鮮へ行って何を相談してくるかということをきめたわけなんです。そのきめたときに、いやしくも赤十字が行くのであるから人道問題の話が出て、それをノーコメントで、やるわけにはいかない。しかし赤十字といたしましては北鮮の人を北鮮へ帰し、てあげるということが必須の条件であって、それには一体どうしたら帰されるかということなんです。問題は北鮮と日本がここで議題に供して話をすれば、それで即その送還かできるというふうに赤十字としては考えていないのでございます。この点は非常に残念でございますけれども、北鮮と日本の赤十字とが二人で相談さえすればお帰しができるということは、もう絶対に私どもは帰されない、こういうふうな考え方なんでございます。しかし帰されないから帰さないでおくのでなくて、何とか、してこれを帰したいということが、今赤十字の考えておるところの考え方でございます。むしろこれは正式な議題にこれを入れないで、私的な会談で十分討議をして、そうして持って帰りたい、こういう考え方でございます。もっとこれをざっくばらんに申しますと、ほんとうに北鮮に帰りたい人を北鮮にお帰し申し上げますためには、私どもは少くとも三つのもの、三人の人がほんとうに一つ腹にならなけ陥ればスムーズな送還の方法はできない。それには事前に二人のものが正式会談に取り上げてしまって、既定事実を作って、お前もこれに参加せよというようなやり方ではとてもうまくいかないという考え方が赤十字の考え方でございます。この考え方が間違っているるかどうかは別といたしまして、私どもはそういうふうに信じておるのでございます。従いましてそのあれを正式の会談で持ち上げるということにつきましてはあくまで反対する、こういう立場でございます。
○穗積委員 ただいまのお話で、実は政府からこういう問題を議題とされては困るという制肘を受けた事実はないという御答弁でございました。これは先週の土曜日に電報が入りますとともに、たまたま当委員会開催中でございましたから、緊急にそのことを政府当局に質問いたしましたところが、政府は帰国問題についてはここまではできるが、ここからはできないという実情を話しただけである。赤十字の意思は赤十字がきめるべきである。そしてその赤十字社は時の政府または国際的な政治、思想にとらわれることなしに、人道的な立場で話をすることが妥当であると考えるがどうかということに対しては、外務次官は外務省を代表さ、れまして、それを私は念を押したのであるが、その通りだと思うという御答弁でございましたから、今北鮮へ行っておるあなたの方の代表団が向うで朝鮮人帰国問題を議題とするかしないかは、他から制肘されるのではなくて、赤十字社独自の判断においてこれはしないという立場をとっておられることは明瞭になりました。そうでありますならば、先ほど私が念を押しましたように、赤十字社としてはあくまで時の政治または思想に拘泥せずに、純人道的な立場に立って、そしていわば義を見てせざるは勇なきなりといいますか、そのときの人道的な立場に立ってこれは救うべきである、促進すべきものであると考えるならは、当然赤十字社の立場において話をしなければならない。それに韓国の関係を考慮したり、それからアメリカの関係を考慮したりあるいは台湾の関係を考慮してやるということは、それは政府のすべきことであって、赤十字社はそういうことにとらわれることなしに発言をしても、いずれの赤十字社からも文句を言われず、国際赤十字社の本社からもこれはむしろ文句を言われるどころか、激励されるべき性質のものであると私は考えるのであるが、それをあなたは認識の違いだと言われればそれまででございますが、ここでちょっと念を押しておきたいことは、これは一九五四年の一月七日付で、日本赤十字社本社から朝鮮赤十字社あてに電報を打っておられる。それは全部は読みませんが、要点は、貴国におる残留日本人の帰国問題をできるだけ早く促進するように援助してもらいたい、そうして貴国でそういうことができるならば、その便船を利用して、日本における貴国人で、あなたの国へ帰りたいと希望する者を帰すことに本社は援助をしたいということで、これは法律的にははっきり条件とするという意味じゃございませんが、当然の立場として、あるいはまたギヴアンドテークの当然の立場、人道上の赤十字社本来の立場から見て当然と解釈されて、実はそういうふうにすでに電報を過去において打っておられるわけです。すなわち日本赤十字社は韓国に相談してとも何とも言っていない。そんな必要はない。そして貴国とわが国との間のお互いの帰国問題を討議する場合においては、当然赤十字社としてはあなたの国の国民があなたの国へお帰りになりたいというのを援助する用意があるということをこちらから意思表示されておる。それに続いて翌年の十二月三十一日に朝鮮赤十字社の中央委員長であります李さんから日本赤十字社の島津社長に電報が来ておりまして、それによると、貴国におる朝鮮人の帰国問題を処理することを念願をし、それを解決する方法の一つとして本社の代表が日本に行ってそういう玉をしたい、今度日本の赤十字社が言ったと同じようなケースでございますが、そういう提案をされて、そして言っておられるわけですから、このことは突如として、または向うが政治的な計画性をもってこういうことを出したのではなくて、すでに二年前にこちらからも提案をし、昨年は向うからもそういう要請があった後でございます。ですから政府と政府の関係はこの場合除外いたしましょう。日赤と朝鮮の赤十字社の間におけるやりとりの経過から見ましても、当然このことは議題となって、何もそう形式的に――または政府間の交渉ではございませんから、話をすべき性質のことでございますし、当然なことではないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。 そして先ほど言われたように公式であろうと非交式であろうと、むしろ私は公式の方がいいと思うのです。おっしゃるところは、うまでもなく、外務省も言い、あなた方も心配しておられるのは韓国との関係だと思うのです。そのときに公開で、日本政府としてはこういう国際関係があるからこれ以上のことができない、それは今まで国会において明瞭になっておりますことは、念のために申し上げておきますが、南北朝鮮いずれを問わず、本人が帰国を希望する国に向って帰国を許す用意があるということは、これはもう鳩山内閣は国会を通じて国民に言明をいたしております。そしてその場合には、形式としては自費出国の形をとってもらいたい、それで日本の政、府が船を出し、日本の政府が金を出して送還する援助をするということは、これは実は今の国際関係や予算の上から、研究はしてみるけれども非常に困難であって、約束はできない、こういうのが今まで明らかになった政府の態度でございます。そういうことでございますから、これはもう公開だろうと非公開だろうと、万国に聞えるこの国会の公開された委員会においてすでに政府は言明しておるのですから、あなたの方の代表が北鮮の代表者と公開の席上でそういうことをお話しになったって何ら差しつかえございません。政府もかくかくの理由によってこれ以上のことは協力できないと言っておる。そこで、具体的にわれわれとしては、基本精神としては人道的な立場に立ち、さらにまたお国におる日本人を帰してもらうということであるならば、日本の赤十字社としては当然朝鮮人の帰国問題には協力する、あっせんををすべきことは重々考えております、その方法については、まず第一に日本政府にその協力を求むべきだが、日本政府はここまではいけるが、ここから以上はいけないといっておる、それでは一体どうしたらいいかということを率直にこちらから占われて、そうして向うの希望も聞き、向うの意見も聞き、しからば韓国赤十字社と話し、またはさっき木内さんのおっしゃったように万国赤十字社とも話をして、一つやろうじゃないかという話をされることが、むしろ私は赤十字社らしい問題の取り上げ方だろうと思うのです。にもかかわらず、いまだにそういうことを言っておられるのは、聞くところによると、井上外事部長は、これは外務省出身の方だと伺っておるが、またお立ちになる前に、アジア局長等々とお会いになったときに、そのときの政府のあれが、赤十字社としては聞くべからざるものを聞き、聞いてはならないものまでその影響を受けて、それに固執して日本人引き揚げ問題すら膠着せしめるような状態に追い込んできておる。これは私は客観的に見ましてわれわれこの帰国問題を取り上げるについては、われわれは議員でございますが、党派を超越して人道的な立場で論じております。そういう立場から見ますならば、これは明らかにまずいと思うのです。ですから急速にここで外務省とも話をし、それについてはわれわれもあっせんをいたします。すでに次官並びに当委員長は自民党の出身ですし、また理事の山本委員のごときはこの問題について最も理解ある人道的な立場をとって、超党派でやっていただいておる。島津さんは国におられるわけですから、島津さんと外務省とよく一ぺんお話しになって本来の姿に立ち返って、この喜平壌しおける会談においてできることはできる、できないことはできないここから以上は、協力はしますが責任は持てないということをはっきりして、そしてフェアに話をされることが、韓国に対しても善であり、日本の引き揚げ問題を促進し、日本赤十字社の本来の面目を発揮する立場から見てもいいと思いますから、そういうふうにお進めになる用意はございませんかどうか、この際私は希望を付しまして、赤十字社の態度を伺いたいのです。
○高木参考人 ただいまのお話、非常によくわかりますし、そういう行き方の方がよりいいか悪いかということにつきましてはいろいろ考え方があると思いますが、私ども赤十字社のとります態度といたしましては、少くとも今日までのところでございますが、要するにどういうふうにしたら最も具体的に、すみやかに、スムーズにそのことが行われるかということを念願といたしておるわけでございます。従いまして、今穗積先生のおっしゃったように、これを正式議題に取り上げて、これまではできる、これまではできないのだということを明確にして、本会議でそれを議論することが今後の動き方に非常に便利であるのか。あるいは私どもの考えていますのは、本会議にかけないで、フリートーキングで話してみて、そして本会議へかけられるものだけを持ち上げていって会議にかけ、他のことはお互いに腹の中の話として持ち帰ってやるという方が、今後動きいいのではないかという考え方を持っておるわけなんです。と申しますのは、これは釈迦に説法のような話でございますけれども、いやしくも正式な会談でそれを持ち上げて、これは否定するあれは否定するとおろしてきで話をするということは、会議の運営としても非常におもしろくないというような見方も、私どもはしておるのでございます。結局穗積先生のおっしゃることも、私どもの考えておりますことも、どうしたら帰りたい人をお帰しできるかということに帰着するわけでございます。それで、ただいま私どもの申し上げることはこれで終りなんですが、先生から特にこうやったらどうかというような御意見をお示し願いましたので、私どもも謙虚に振り返りまして、よく相談をいたしてみたいとは思います。
○穗積委員 くどいようですがもう一つそのごとについて念を押しておきたいのです。というのは、共は井上さん並びに葛西さんは、この問題は内容のいかんにか、かわらずどうしても本会議の議題にすることはできないと言って、頭ごなしに絶対反対の立場をとって拒否されている、平壌において。ところが、あなたのおっしゃることは非常に妥当性があると思うのです。予備討議をしてみて本会議へかけた方が有利だという判断に立ったならば、正当だという判断に立ったものを整理して、本会議にかけてもよいという弾力性のある態度をとられることは、さすがにあなたのお考えは明敏だと思うのです。ですから、この問題に関する限りは、いかなる内容を持ち、いかなる提案があっても、絶対に本会議にかけないという態度をおやめになって、物を処理するために、お互いの利益のために予備討議をしてみましょう、予備討議をして、かけた方がよいということであるなればかけましょう、かけない方がよいということであるならば、お互いの判断に立ってかけないことにいたしましょうその上のことにしようではないかという、すなわち絶対かけないという態度を変えて、そうして予備討議をして、整理をした上で議題として本会議に移すべきものは移す、そうでないものはあとの研究に残すというふうな処置、あなたのお考えは非常に妥当だと思う。そういうことでここにおられる委員長初め他の同僚委員の方も賛成だろうと思うし、後に外務政務次官に来ていただく約束ですから、その点もう一ぺん重ねて念を押しますが、おそらくそういうことであったならば、そこに非常に妥当性が見出されると思うから、お帰りになったならば、ぜひ島津社長とも緊急に御相談をしていただいて、そういう線で促進していただくことを要望しておきますが、そういうことを相談していただける御用意がありましょうかどうか。結論はここで伺いません。議論は伺いませんが、相談をしてみるということだけははっきりしておいていただきたいと思いますが、いかがなものでございましょうか。
○高木参考人 いろいろデリケートな問題があることだと思います。たとえば新聞の報道を主として穗積先生はごらんになっていらっしゃると思いますが、その報道の中にもそういうものがまじってきておりますが、一方で外事部長会談というものを進めておるわけであります。片方で正式会談が行われており、一方で井上会談ということが行われておりますが、その井上会談というものは、要するにフリートーキーングでもってどこまでこれを持っていこうというような方向をとっております。だから、私の申し上げたことは架空なことでなくて、会談の形式はそういうふうな形に盛り上ってくるという私どもは楽観的な見方をしているのであります。従いまして、今のことは私が率爾としてここで申し上げるのではなくて、平壌会談というものはそういうような形でまとまってくるだろうというような観測を私どもはいたしております。今表面切って出ておりますところは、非常に荒々しく粗野な形で出ております。しかし会談の進むに従いましてそういうような形に持っていくであろうし、いくと思います。それから、穗積先生が御指摘になりました、井上さんが出るとき、もうそんなものは一切触れないで来るのだというような考えで出ていった、そうおっしゃらないが、言外にそういう意味があったのですが、決してそういうことはございません。もう私ども赤十字社の代表として出ました限り、決してそういうことに触れてこない。ただどうして表へそれを出さないかという問題だけでありまして、その問題は必ず触れてくる、また私は、朝鮮の代表はその問題に触れさせないで帰さないだろうという見方もしております。ですからその問題は、私的会談においては相当の成果を上げて持ってくるものであると考えております。なお、大人が三人行っておるので、ただ表面的に新聞に出ておるようなことばかりでは帰ってこないと考えております。お答えがちょっとはずれたようでございますが、そういうわけでありますから……。 さらに島津社長にも私どもの考えておりますことをだめを押して、御期待に沿うような形に持っていきたいと思っております。ただし、これは電報を打つか打たないかということでなくて、もう少し成り行きを見て……。おそらく穗積先生のただいま御注意いただきましたように行くと信じているわけであります。
○穗積委員 ただいまの御答弁、大体了解いたしました。これは国会の委員会で言葉をやりとりするだけでは解決しない問題ですから、われわれも党派を超越いたしまして、与党の委員長並びに委員の各位とも協力し、外務省ともよく話し合って、そして日赤の方々の善処を要望したいと思います。ただしかし、ちょっと御注意申し上げておきたいことは、われわれは表面だけで言っているのではございままん。先日、すなわち二月十日の井上外事部長の向うとの会談、それからさらに同じ十日の日の本会議における向う側の柳さん等の発言等を見まして、日本側がどういうわけでそれを議題とすることを拒否しているかということが全く相手に了解されていない。日本赤本社は人道主義を理解していないではないか、赤十社たることの本来の面目を知っているのかというような、そういう言葉をもって指摘されておるのであって、これは私は日本国民として、日本赤十字社の面目のためにはなはだ遺憾にたえません。そのときの速記録はわれわれの手元に入っておりますが、これは間違いないと思う。そういうことですから、ぜひ一つ御研究いただきたい。 続いて次にお尋ねいたしたいのは、この両国の国民の帰国を促進せしめるための方法としては、一つは両国の政府が両赤十字社間で話し合ったことについて努力することはもとよりであります。このことについては後に私は外務省当局にお尋ねいたしたいと思うが、そのほかにはさっきお話がありましたように、韓国の赤十字社を交えて、三者会談でもって促進する道が一つ、それから国際赤十字社へ幸いにも加盟する結果になりましたから、それを通じて一つ促進するということでございますが、今まで日本赤十字社はこの問題について一体どういうことをおやりになったか、またはどういうことをやろうとしておられるか、それをできますならばこの際少し具体的に説明していただきたいと思うのです。われわれも多少考えがありますが、赤十字社側のお仕事でございますから赤十字社の自主性を尊重いたしまして、赤十字社の御計画、また今までおやりになったことについて理解を持ってわれわれも協力いたしたいと思いますから、そういう意味でお答をいただきたいと思うのです。
○高木参考人 まだどこまでそれを手ふ打つているかというようなことはありませんが、構想といたしましては、今の穗積先生がおっしゃった二つのやり方につきまして相当研究を進めておりますと申しますのは、私が先ほど申し上げましたように、北鮮へ参りまして、北鮮でどういうお考えをしておられますかということも、十分私どもの方と話し合いまして、その結果持ち帰ったものにつきましては、どういう手を打つのがいいかということをやっていきたい。考え方といたしましては今までお話がありました二つの方法しか残されていない、こういうふうに考えております。
○穗積委員 それではこれからの研究と実行にまかしてもりいたいということですから、それ以上この席では追及いたしません。そこで具体的に考えてみて、きょうは日本におる朝鮮人の帰国問題が主でございますから、それで具体的な問題について二点御意見を伺いたい。 実はさっきも言いましたように、日本政府は帰国希望者については南、北を問わず、本人の希望する側へお帰しいたしますという感度をとつておる。ところがその帰国の形式は自費出国ということでございますから、事実上泳いで帰るわけにいかぬから船の問題と費用の問題が出てくるわけですね。そうなりますと、客観的にながめてみまして、国際赤十字社のまたは費用のことも協力してくれれば一番けっこうだ。これは本筋としてやってみていいことだが、相当時間がかかるし、必ずしも安易にいかないと思う。そうしますと、第二の方法としては三国船を使うということ、それからもう一つは日本の国の船を使うということですが、日本の船を使うということについては、これは絶対にいかぬという態度を政府はとつておりませんが、政府の説明を聞きますと、無理解なる韓国が途中これを拿捕するかもしれないという危険がある、そのことは結局親切があだになるから、相当考慮しなければならぬのじゃないかということで非常に慎重な態度をとっておられる、これもよくわかります。そうなりますと、日本船によって帰国せしめる場合は、ごく少数の者を便船に乗せて特別支度でなく自由に帰ってもらう。そのときに乗船許可を与える。これが一つ。しかしこれでは数においても時間においても十分な進捗をいたしませんから、そうなりますと第三国船を利用するということになります。現実の問題としてはソビエト、それから中共並びにイギリスの船等が具体的に考えられるが、その中で一番可能性の多いのがイギリスの船ではないかと思う。これに対して赤十字社はこの問題の当事者としてあっせんをしてみる、交渉してみるということを進めてみていただいてはどうか。つまり船については大体今申しました三つのルートが考えられるわけですが、それに対してどういうお考えを持っておれれるか、これが一つ。第二は費用のことですが、これは今までここで陳情があったように、在日朝鮮人の八〇%以上までが失業状態の諸君であって、実は生活保護費すらもらわなければいかぬような諸君ですから、自費出国ということでは帰国の費出が実はないわけです。そうなりますと事実上帰れない。そうなると日本政府が実は人道的な問題だということで、ある許す予算の範囲の中から、帰日を促進するために、何かお金を出すということを研究してみることも必要でしょう。これも一つ。しかし現在の予算面をわれわれがながめてみましても、これはゆとりがございませんから、なかなか思うようにいくまいと思う。そうなると今度は他の方法を考えなければなりませんが、赤十字社がそういう何といいますか救援のための、自分の手持ちの資金、または他の民主団体――あるいは平和団体なりあるいは主催団体、婦人団体等のこういうことに理解のある諸君の援助を受けて、日本赤十字社を通じてそういう諸君の帰国に何がしかの資金的な援助をする、あるいはまた万国赤十社の協力を求めて、国際的な資金カンパなり、これは万国赤十字社を通じてでありますが、そういう方法、あるいはまた赤十字社関係の管轄下にある資産の一部を処理するような方法で、そういう帰国の資金的な援助をする方法、こういうことが当面の問題としては考えられますが、それらについて今まで何か御研究になっておられるか、私は多少糸口の意味で二、三の具体的なルートを示して、そしてあなたの御意見を伺うわけですが、赤十字社としての、帰国の船と資金の問題についてのお考えを、できますならばこの際一つ、今までの御研究の結果でもよいし、これからの御感想でもけっこうですが、聞かしていただくと、関係者に非常に益するところが多かろうと思うのです。以上二点、船の問題と資金の問題をお尋ねいたしまして、先ほど言いましたように他の委員の御質問もありますから、ひとまず私はこれで打ち切ってまた後にいたしたいと思いますが、それを二つこの際聞かしておいていただきたい。
○高木参考人 大へん具体的なお話を承わりまして、虚をつかれたような形なんですが、ただパターブィールドの問題は、この送還でなく他の問題にいろいろ利用します関係上、若干は利用しますのすが、これはもうごく少人数の人を、臨時に送り帰すことができる限度のものでありまして、もし在日朝鮮人を送るというような、業務とし事てこれを行う場合においては、私どもこれを大きく当てにすることはできない、こういう考え方を持っております。従いまして別な送還船というものを別途に考えなければ、これは具体的にはだれか母親が危篤だから一人送り帰すとか五人送り帰すというようなこと以外には利用できないと思います。もっともこれは約束でございますから、もっと適船を研究しなければなりませんが、今の見通しではそのように考えております。従って船の問題としましては国際委員会の赤十字船というものの配船を希望するというようなことでなければ、他に大きな計画はできない、こういうふうに考えております。なおまたバターフィールドの問題についてはもっと考究いたしたいと思います。 それから費用の問題でございますが、これは日本赤十字社の今日の現状といたしましては、いろいろお示しになったような方法によりましても、とても財政的負担をする能力がありません。従って国の予算なり、他の大きな財源ができなければ、赤十字が赤十字の能力においてこれを負担するということはできかねる状態でございます。
○穗積委員 ちょっとお尋ねしておきたいが、もし他から寄付があったり、それから赤十字社に、どういう予算か知らぬが余裕があるつまり金の都合がつけば、赤十字社として帰国の諸君に資金的な援助をしても差しつかえないというお考えでありましょうね。あれば――ないからできないのだということでございましょうね。その点を明らかにしておいていただきたい。 それからもう一つ、ちょっと帰国問題について質問するのを忘れたのでずが第三点としてお尋ねしたいのは、日本政府がもし入国を許せば、朝鮮の赤十字社の代表が、朝鮮人帰国問題について、日本赤十字社と東京において話し合いをしたいという提案があったときに、外務省が入国を許可すれば、赤十字社はこれをお迎えしてお話し合いをする用意はございましょうね。その二点、それだけで打ち切ります。
○高木参考人 もちろん今のお金の問題でございますから、お金に余裕がありさえすれば、といったような、そういう話ならば、これは申し上げるまでもなく、そういうことはできますのですが、今日の見通しとか今日の財政計画におきましては、そういうことはないということを一応申し上げておきます。もちろんそういうような余分の金とかあるいは指定寄付があるというようなことであれば、そういうことをやろうとしておるのですから、そのために金を使うことはもちろんでございます。 ただいまの第二のお話も、これはもちろん現在私どもの代表が北鮮赤十字へ招かれて行っておるのでございます。北鮮の赤十字社炉こちらへ来られるということになりますれば、国の方針として、それが入国のお許しさえあれば、私どもの同僚なんですから、私どもの仲間の一人を迎えることでありますから、決してやぶさかでありません。これを歓迎いたしたいと思います。
○前尾委員長 山本利壽君。
○山本(利)委員 この在日朝鮮人の問題は、人道的に見ましても、またわが国の社会問題として考えてみましても、非常に重要でございますから、これの解決については、かねがね頭を悩めましておる人でございますが、今日はいろいろ関係の深い方々の御出席をいただきまして、報告なり御意見を聞かせていただいたことをありがたく御礼申し上げます。 そこでまず朝鮮人の方にお伺いいたしますが、今回のさしむきの問題は、帰国の問題でありますけれども、在日朝鮮人が六十万からあるという御報告が先ほどあった。そのうちで帰国を希望する者は千人余りであります。そうすると問題の大きいのは、残っておる人たちの進学の問題であり、あるいは生活の問題、その方がより大きいと考えるのであります。またこれらの問題をとかく困難にしておる重大な問題は、私は感情の問題が一つの要因をなしておると思う。終戦後における在日朝鮮人のいろいろの態度というものが、日本人多数の感情を痛めたということも私は事実であると思う。朝鮮人の方から言えば、戦時中に日本人であるといって使っておきながら、その後日本においての生活が擁護されないということに対する不満も十分あると考える。いろいろ本日の参考人諸君の御説明をいただいても、私はまだ多分に感情的な問題が取り上げられておると考えるのでありますけれども、このことについては、われわれはこの問題を解決しようとする場合に、双方――私ども国会議員の者も、また韓国あるいは朝鮮の代表者の方々も、すべての者が冷静に考えて、妥当なところへ落ちつけていかなければならぬと思うのであります。 そこでいろいろの問題をお尋ねいたしますが、本日御出席の朝鮮人御三名の方は、いずれも在日本朝鮮人総連合会中央本部ということになっておりますが、これは南北朝鮮の在日朝鮮人全部を代表するところの団体であるかどうか、ただ北鮮系のみを代表する団体であるのかどうか。私どもは朝鮮人の帰国及び日本における生活の問題については、北といわず南といわず、すべての人に対して妥当に考えていかなければならぬと考えますから、あなた方のお立場を最初にお尋ねいたしたいのでございます。
○李(起)参考人 ただいまの山本先生のお尋ねにお答えいたします。終戦後におけるところのいろいろ感情問題が事実上あったのであります。というのは、要するに両方にあったのではないかと、かように考えるのであります。一つは従来における帝国主義において、ことに被圧迫的民族として非常に押えられた感情が一ぺんに解放された喜びと、帰国によるところの、自国の独立を見出して希望にあふれるこの雰囲気が、片方は敗戦という非常にみじめな気持になっておったので、何となく非常に行き過ぎのように見えた点があったのじゃないかと思うのであります。こういう問題に対しましては、現在に至ってわれわれが両国の親善と友好を顧みましたときに、われわれ存日朝鮮人もあの当時は三百万近くおったのでありますが、ほとんど帰国いたしまして、そうしてまず第一に、あの当時朝鮮人連盟というものがあったのでありますが、朝鮮人連盟がほとんど帰国を優先的にさして、そうして自国の独立のために邁進すべく方針を立ててやっておったのであります。現在に至っては六十万しかないのでありますが、そういう点についてはわれわれも自己批判しているような状態であります。 それから第二点の帰国の問題について、要するにあと残る数が非常に多い、こういう問題について非常に心配されておるような面があるのでありますが、最近厚生省の発表によりますと、十三万近くの人が生活保護を受けておる、こういうような事実がいわれておるのであります。これにつきましては、われわれ将来においては朝鮮民主主義人民共和国に、生活困窮者に対しましてはできるだけ帰して、日本においては生活の安着できる者のみおらるるような状態になるのじゃないか、ということになると思うのであります。というのは、共和国の方でも、南日声明が十二月二十九日に発表されましたように、生活の困窮者に対しましては、いつでも引き取るだけの用意がある。現在その数字は約千五、六百人くらいな程度に出ておりますが、事実上に、おいてはもつとたくさん希望者がおるのであります。しかしながら数字的におきましては、現存の状態から見ると、なかなか帰る面が、非常に差し迫ってこの問題が解決できないのじゃないかというような懸念から、これがほんとうに帰れる状態になり得れば、もっと希望者が多くなるのじやないか、こういうように考えるのであります。 それから、焦点の、在日本朝鮮人総連合会は北の方か南の方かという問題でありますが、大体存日本朝鮮人六十万の中に、外国人登録法に基いて登録が施行された内容について見ますと、韓国の登録をされておる者が一五%となっておるのであります。それからあとの方は全部朝鮮民主主義人民共和国、八五%が公民とされておるのであります。-われわれといたしましては、李承晩政権は、李ラインとか、いろいろの形から見まして、朝鮮の国内的な問題から見ましても、これは非常に行き過ぎた政権であり、われわれ三千万の人民に対しては幸福を営む政策ではないということから、朝鮮民主主義人民兵和国のみが必ず将来において統一政権ができるのだという確信のもとに、現在におけるところの八五%が朝鮮民主主義人民共和国の支持者であるということになるのであります。それから朝鮮民主主義人民共和国が生まれる当時にも、北のみに選挙が行われたのでなくして、南の方でも七五%の支持者があったということを、この際において明言いたしたい、かように考えておりまする。
○山本(利)委員 時間の関係上要点だけお願いいたしますが、では南の方を代表する在日朝鮮人の団体がございますか、ございませんか、あればどういう名称で……。
○李(起)参考人 それは李政権を支持しておる団体で在日本韓国居留民団というのか事実上あるわけなんです。
○山本(利)委員 そうすると、そのもう一つの団体、これはまたお呼びして聞いてみなければわかりませんけれども、あなたの方では八五%は北朝鮮政府を支持するものと考えると言っておられますけれども、あるいはまた南の今の団体で聞くと、その逆になるかもわかりませんから、その点は調査しなければなりませんが、事実上の問題として、国内にそういう二つの団体があるとすれば、これは今度の帰国者を扱う問題等に関し、あるいは進学の問題等に関しては特にそうでありますが、協力するような話合いを今までになさっておられるかどうか、話し合いがあったとすれば、その結果はどういうことになっておるか、その点を伺いたい。
○李(起)参考人 御承知のように大村収容所の内容から見ましても、一千六百人くらいあそこに入っておるのでありますが、一千二百人ほどが全部南から密入国した人なんであります。それだけに、南は生活が非常に困っておる。こういうような事実からいたしまして、現在の李承晩政権から見ますれば、こちらから南の方に帰りたいという意思を持っている人は一人もおらないのであります。その点ははっきりしておるのであります。現在われわれがあちらに帰国を希望するのは、要するに朝鮮民主主義人民共和国に帰りたいという希望者のみを一応扱っておるのであります。それから、韓国の居留民団の人さえも南に帰りたくないという事実からいたしましても、南へ帰る問題については韓国居留民団の人とも話し合いはしておらないのであります。
○山本(利)委員 それでは北の問題についてお伺いいたしますが、北朝鮮の政府は、日本における学生に対する援助とか、あるいは向うへ帰って進学したいという者に対する援助というものは非常に強力にする意思がある。そこで今度北鮮へ帰りたい者の数も、あなたの御報告によればわずか千百名でありますから、私の個人的な考えからいうと大したことじやないと思う。いよいよ帰すことになれば、その際にそれではこの者を向うでは引き取る用意がある、帰ってきたらその生活も擁護する用意があるというからには――日本の政府そのものが全額を持ってそれを送り帰す余裕が今ない。私はその費用をとっても帰すべきであるということを国会においてしばしば主張はしておりますけれども、国家の実情としてはその余裕がない。そうしたら北鮮政府は、わずか千百名ほどのものであるから、これに対して、これを引き取る費用を持つ、場合によっては、もし千百名じゃその費用ができないとすれば、そのうちの同名かを帰還せしめるところの費用は北鮮政府においても援助するという意思があるかどうかを確かめられたことがあるか、あるとすればその結果について伺いたい。
○李(起)参考人 われわれといたしましては、山本先生がよく御承知のように、希望によって日本に来たのでなくて、むしろ戦時中においては、徴用等いろいろの形で来ておると思うのであります。それから中国の一例をあげましても、要するに、日本政府の責任において帰国させておるのであります。それからわれわれの方といたしましては、当然これは日本政府の負担によって帰国されるべきものであるという確信に基いて、日本政府に対し交渉しておるのであります。ですから共和国の方に対しましては、共和国の方で布用を負担せいというような問題の問い合せは全然行なっておらないのであります。 そこでこういう諸問題のために共和国の方でも声明がありますように、共和国の方で、ぜひ在日朝鮮人の諸問題のためにお請いたしたいので、代表を日本に入国させたいという要皇があるのでありますから、そういう問題はやはりその人たちを通じてお話を伺うようにせないと、われわれの方といたしましては、そういう基本的立場から考えまして方針を出してやっておるのでありますから、要するに直接和国の代表者がこちらへ来て、あるいは日赤とかその他の方とお話するのは別ですけれども、それ以上のことは自分たちといたしましては考えておらないのであります。
○山本(利)委員 これは戦時中に日本人であった、しかも今のお言葉でいえば、自分の意思ではなくして来た者である。だから帰すのは日本政府の責任である。これは一つの政治的議論であります。だからもしもそれを日本が国家的な立場からなし得ないといえば、それでは帰ることはできない現状にある。だけれどもわれわれは人道的な立場から、帰りたい人は帰してあげたい、その方法をあくまで考えなければならぬ。政府と政府とは、とかく政治論によって終始しがちである。いろいろ国家の立場から、再論がむずかしくなるのを、何とかして人道的な立場からわれわれはこの千百名の人を帰してあげたいと思うのであるから、私ども委員会の者としても、あるいはことにあなた方の団体としても、何らかまずその人たちを帰すことを考えなければならぬと思うからこそ、私はこのことを言うのである。だから日本政府としては、在日朝鮮人が、自由に自分の費用をもって帰るなら帰ってよろしいというところまで今来ておるのである。もとはそうではなかった。これは韓国、李承晩の立場からいえば、北鮮に向って日本におる朝鮮人が帰っていくならば、人的資源を供給することによって、北鮮の復興を早く助けるからこれは利敵行為であるという立場をとっておるのである。にもかかわらず私どもはこれを人道問題として扱って、何とか帰りたい者は帰そうということに、ついには外務当局もこれに同意をして、自費で帰るのはよろしい、日本政府が金を出して帰す場合には、李承晩政府に向って利敵行為を日本がしたというその責任を追及されて論議がむずかしくなるが、自費で帰る者はあえてかまわないというところまでわれわれは持ってきておるのです。だからこの一段階においては、何とか帰す方法を具体的に考えなければなりません。 そこであなた方は北鮮の政府ではありません。在日朝鮮人の代表であるから、純粋に人道的な立場から帰してやろうという際には、費用の問題でもあるので、あなたも北鮮政府に対して団体として要請されることが便利であると私は思う。先ほど穗積委員の質問に対して日赤当局からも御答弁がございましたが、この問題を解決するのには日赤のお骨折りをいただくことが最もよいこと、である。国際的に考えても、あらゆる点からこれは最もスムーズに行い得ることであると思って、私はその労を多としておるのでございます。先ほど穗積委員からもお話がありましたが、日赤としても何とかここで費用の一部をお考え下さることが事柄をよくする。われわれの方にはそういう予算はない、もちろん予算はないでありまし上うから、私がちょっと考えるところでは、あの赤い羽根、白い羽根その他の運動でも相当の気か集まるのであります。これは今日本人の大部分は日本におる朝鮮の人々が北といわず、南といわず帰るということならは、双手をあげて賛成すると私は思う。このことは社会的な共鳴を得るという一つの確信を私は持っておる。だからすべての団体あるいは一般市民に呼びかけて、日本におる朝鮮人を帰すところの費用を醵出してもらいたいという呼びかけをした場合においては、私は相当の金が集まるのではないかというふうに思うのであります。その場合にその音頭を日赤の名前においてとっていただいて、場合によってはわれわれが超党派的に街頭に出てもよろしい。私は金を集めるという場合には、相当可能性があると思う。こういう段階に至ると、日本政府としてもそれなればというところへ持っていくことができるようにわれわれは考えるのでありますが、ここで今お尋ねすることは、朝鮮の李さんに、北朝鮮政府に向ってもある程度の用を、将来はまだふえるかもしれぬけれども、さしむきの問題は千百名の問題であるから、これを帰すときの費用の全額または部分でも持っていただくような話をされることが私はよいと思うが、どう考えるかということ。 第二段には、日赤の代表の方に、今私の言ったような方法はとり得る可能性があるかという点についての御答弁をいただきたいと思う。
○李(起)参考人 今のお問いにお答えいたしますが、御承知のように朝鮮民主主義人民共和国も決して裕福ではないのであります。三年間のあの戦争で痛めつけられて、訪朝議員団の報告にもあります通り、建設の過札になっておりますが、われわれの現在日本におる状態よりはむしろ非常に困難な状態であります。そこで自分の国のそういうような状態をまのあたり考え浮べながら、現在においてわれわれといたしまして要求するということは、事実としてでき得ないと思うのであります。先ほど穗積先生から日赤の仕上にお問いがありましたように、こういう諸問題を円満に解決するために、平壌会談で現在在朝日本人の帰国問題が取り上げられておるのであります。そこで在日朝鮮人問題が本議題に取り上げられれば、あるいは向うの方でこういう問題について、具体的こあるいは船を出すかあるい旅費をどうするとかいう問題をも一応話し合いができるのじゃないか、かように考えるのであります。ですから在日朝鮮人帰国問題については、平壌会談において本議題になることによって、在日朝鮮人問題も明るい活路が開かれるのじゃないか、かように考えておるのであります。
○高木参考人 山本先生の御質月のことは先ほど穗積先生にお答えしたのと同じことでございまして、結局ただいま即答し得る限りにおきましては、赤十字社といたしましてはそういう財政的な負担をする余裕は持っておりません。ただしそういうことが具体化しまして、それをやらなければならぬということに差し迫ったときに予算裏づけをどうするかということは、別途どの方法でやるかということを考究いたすことでありまして、私どもとしてもその仕事をやろうという熱意を持っておるのでありますから、従いましてそれに付随する経済的の負担をどう処理するかということも当然研究しなければならぬのでありますが、今日それならば白い羽根の募金の中からそれを負担で送るかどうかという御質問を承わりましても、今年の財政計画としてはそういうものを含んでおりませんので、ここでそれをその方に振り向けるということを御返事申し上げかねます。
○山本(利)委員 私は先ほどの李さんの御答弁はまことに遺憾に感じますが、ここで議論をするわけではありません。あなたが向うへ要請されたとて、向うの方では出し得るか出し得ぬかは、これは向うの政府の問題である。向うは復興途上にあるの、でその費用はないであろうから、自分の国の政府にはそういう金を出せということをわれわれは言い得ないということは遺憾である。敗戦国で賠償の問題に苦しんでおる日本でさえも何とかしょうという際に、在日朝鮮人の団体としてはできないであろうけれども、故国の政府に向ってわれわれは強力にお願いしてみますというその意気がなければ、この朝鮮人の帰還問題というむのは促進をしないものと私は考える。 第二段に、日赤の代表の方に私は白い羽根の中からその金を出してはどうかと言ったの、ではない。ああいうよりなやり方でも金が集まることがある。だから今日本におる朝鮮人を帰すということは日本人の多数の者が望んで曲ることであるから、赤い羽根、白い羽根でなくても、はっきり朝鮮人を帰す費用だ、船を一ぱい仕立てるためにこれだけの金が映るから御協力願いたいという重切を起せばあるいは集まるかもしれぬ。政府が税金を増してとったら船一ぱいくらい仕立てて帰すだけのことはできるかもしれぬけれども、それは政治的な立場で各国に対するいろいろな関係があるからなかなか出し得ないことである。だから私が今提唱しょうということは、在日朝鮮人の中でもたくさんの方が生活に困っておる。そのことは私も知っておるけれども、中にはどういう方法、でもうけたか知らぬが、相当裕福な方がある。だからこの団体がその裕福な人からも金を出してもらうように、故国の政府に向っても、祖国北鮮というからには要請し、そこで次に赤十字社に中心になっていただいてわれわれが街頭に立ってでも、またわが国民も協力する、その段階において政府も乏しい中から出してこれに協力するということにおいて、初めてこの千百名余りの者が帰り得る段階になるということを私は考えるのである。すべての者がただ理屈だけにとらわれて、自分の責任を回避するというような態度をとる場合においては、この問題は永久に解決することはないと私は考える。 もう一つの問題について日赤の方にお伺いいたしますけれども、もしも日赤の名前において船が仕立てられた場合に、その船に乗せまして北鮮から日本人を連れて帰る、あるいは日本におる朝鮮人を乗せて北鮮に行く場合において、これは今外務省がおそれておるように、途中において李承晩政権の船によって拿捕されることがあるかないかということをちょっとお尋ねいたします。
○金参考人 ちょっと言い足らない面もあったかと思いますが、山本先生は誤解されておるのじゃないかと思います。もちろんわれわれも祖国に対してはつぶさに報告しており達すし、去年われわれの代表が三名向うへ行っております。そうしてよくわれわれの事情はわかっておる。それは事実帰る旅費もない。実際いろいろ日本政府のお世話になり、生活保護を受けておる事実もつぶさに報告をされております。そして訪朝議員団も向うへお行きにほり、その結果が南日声明と触り、在外のわれわれに対する政府声明が初めてなされたのであります。だからもちろん政府においては具体的にいろいろ血面を考えておるだろうと思います。今さらわれわれはここ、でその内容全部を申し上げませんが、実際困っておる事情をわが政府には何回も報告しております。問題はすべからく段階があるものと思われます。われわれが幾ら帰りたいといったところで帰れるものでもないし、またわれわれの祖同から幾ら引き取りたいといったところで、今の段階ではまだ引き取る段階にほっておりません。今はどういう段階か。まず政府間でやれないものを人道的な立場から赤十字同士が話し合う段階にあると思います。だから今持たれておる平壌会談、これは実際帰国を希望しない者をも含めて、われわれ、在日六十万が命をかけておる会談です。この会談は今夜で日本と朝鮮の切られておった関係が、まず赤十字同士であっても初めて会う機会です。そうして両方の開顕が具体的にいろいろ話されるのじゃないか、そこにおいてもちろんわれわれもただ政治的考えから当然日本政府が負担すべきであるとか、こういうつまり差し迫った現実を離れたことはやつでおりません。その点どうぞ先生にあしからず御了承をいただきたいと思います。
○高木参考人 赤十字船で帰せば安全かどうかという点は、これはきわめてむずかしい問題でございますが、私どもは今日このまま船を出して仕立てて帰ることには非常に危険を感じております。従来赤十字船が動くといいますけれども、赤十字船が動くというのは、赤十字のマークをつけた船が動けば、安全だということではなくて、赤十字船を動かす場合には関係諸国にその安導券をとりまして、こういう船がこういうふうに動くのだという了解をとってから動いておるのであります。従いまして今すぐその船を動かすということについては私どもは危険を感じておる。しかし客観情勢の分析はむしろ外務省の方がよく御存じあるかもしれませんが私どもはそう感じております。
○山本(利)委員 それでは日赤のお方にもう一つお尋ねいたしますが、この問題の困難は韓国側との問題にあると思いますので、われわれの方では北鮮に対して人を帰すと同時に、南鮮に対しても帰りたい者は帰したいのであります。だからこの問題について韓国へ帰りたい者に対しては、われわれは北鮮と同様に十分な考慮を払うというのでちるから、それを韓国が受け取らないというのは別個の回顧であります。それねれば北朝鮮に帰りたい者を帰さないというのは人道的に困った問題である。だから、私は北鮮の方へ御苦労さっておるのと同じように、韓国の方へ向っても、おそらく韓国にも赤十字があると思いますからその方へ向って日本の赤十字社からいろいろ在日朝鮮人の生活の問題――これは先ほど北鮮系の代表者からのお記がありまして、八五%は北鮮系だと言われたけれども、私は色をはっきりすれば危険だと思ってどちらにもしない中立系の人も多いだろうと思う。だからこの点どちらに属する者も保護しねければなりませんから一つ韓国の赤十字社とも日本の赤十字社の方はいろいろ関連をつけていただきまして、この問題を一日も早く円満に解決するようにお骨折りを願いたいと思いますが、韓国の赤十字社と日本の赤十字社との関係が現在のところどういうような工合であるか、将来今のような御努力が願えるかどうか、この点についての御答弁を承わりたい。
○高木参考人 今日、韓国赤十字社と日本十字社とは、同じように、赤十字社の一員として友好関係を続けております。従いましてそういうような相次をするということは不可能な状態にはございません。しかしさしずめそういう会談を今持とうというような計画までは進んでおりませんが、先ほどから関連の問題でお答え申し上げましたように、もしこの北鮮の人をお帰しするのに、北鮮と日本だけでまとまりがっかほいというようなことが起れば、当然そういうような問題にまで進展してくるであろう、またそれが行き方の一つである、こんなふうに考えております。
○山本(利)委員 それではまだ他に御質問の方も多数ございますし、私の時間が参ったようでありますから、政府当局に対するところの質問その他はまたあとに譲りまして、一応私の質問は終ります。
○前尾委員長 岡田君。
○岡田委員 いろいろ伺う前に、大蔵省と文部省来ておりますか。
○前尾委員長 今呼んでおります。
○岡田委員 私がやっているうちに来てもらうようにして下さい。 実はたくさんお伺いをしたいことがあるのですが、先ほどから穗積、山本両委員からいろいろ御質問をいたしました点にも関連をして、その前提として日赤の方にちょっとお伺いをしたいと思うのですけれども、これはあらためて言うまでもないことですが、赤十字社というものは人道主義の立場に立って人道的に問題を解決していく。これが国際的に世界的に共通した問題である。そういう意味において日赤あるいは赤十字社というものの存在理由があるのだと私は思う。 そこで先ほど穗積君の御質問に対してあなたがお答えになった点に関して、ちょっと私ののみ込めない点があるのです。国の方針と著しく違った場合には、この国の方針に従わなければならないということを、ただしという言葉であとでお話しになったように私は記憶いたしております。この点をもう少し私はお伺いをしたいわけです。と申しますことは、そういう人道主義の立場に立ってやっておる場合に、現実の問題として今の日本の政府の方針と違っておるとするならば、これは日本政府の方針が人道主義的ではない、そういうことを立証するのであって、そういう人道主義的でないことの場合には日赤は人道主義的でない国の方針に従う、こういうようにもあなたのお話を伺っていると解釈ができるわけです。そういう意味であなたはお話しになったのかドうか。もしそういう意味でお話しになっておるとすると、これはむわめて重大な問題なので、むしろこの機会会にはっきりそういう意味じゃない、あるいはどうだという点を明らかにされることが、むしろ日赤のためにもよいのじゃないか、こういうように私考えますので、まず第一番にその点を伺いたいと思います。
○高木参考人 ただいま私の申し上げましたことの言い回しが非常にまずくて、あるいはそういう言い方をしたかもしれませんが、私の申し上げましたことは、赤十字といたしましては、あくまで人道精神に立脚して事を行うのであります。しかし赤十字に許される限度がございますので、その許される限度以上のことは赤十字でできませんということを申し上げたつもりでございます。
○岡田委員 そうだろうと思うのですが、具体的に人道主義の問題は、国の方針がどのようであろうと、人道主義を曲げるようなことをどの国がやろうとしても、そういう場合においても赤十字社だけは人道主義の立場に立ってやってもらわなければ赤十字社の存在意識というものはないと思うのです。もっと別な面で申し上げますと、二つの国が交戦中である。交戦中においても捕虜の交換とかその他の問題において赤十字社がやり得るということは、赤十字社が人道主義の上に立っているから交戦問題とは一応別個にして話をし得るのだ。そういう意味で私は存在理由があるのだと思う。とするならば、国の方針がどのようであれ、事人声上の問題に関する限りにおいては、赤十字社は人道主義の立場に立って、解決しなければならないこと 勇敢にされるのが任務ではありませんか。その点はいかがでしょうか。
○高木参考人 御史的の通りだと思います。
○岡田委員 とするならば、今のこの問題について、帰国問露について、その話をするに当ってなぜ正々堂々と朝鮮赤十字社とお話しにならないのですか。先ほどから場の質問を伺っていると、李承晩政権の方に今まで赤十字社としてお話しになったことはございますか。ないとするならば、先ほどあなたの構想としては、二つの国だけでは話し合いはっかないと思う、これは絶対につきません、絶対まで入れてお話しになりました。そうしたら三つの国でつかないならば三つの国が寄り合っでという意味のことも言われました。とするならば赤十字社がすみやかに、しかも先ほど言われたのは、ちょっと忘れましたが、すみやかにそして順調にとかいうような表現で言われましたが、順調にという方法でおやりになるためには、三つの間の話し合いがなければできないという、そういう方法を持っているとあなたはお話しになっているにもかかわらず、三つの国のもう一つ、李承晩の方の話し合いをお進めになっているのかどうか、この点をおやりになっておらぬで、こういう方法以外に道はないとお話しになっている。とすれば二つの話の方も正式にはやれない。人道主義の立場に立っているけれども、方法としてまずいからやれない。三つの国との交渉はまだそういう方向に持っていくための努力もしていないとするならば、赤十字社は実際に帰国の問題を解決するおつもりであるのかどうか。その点をもう一度伺いたくなるのであります。
○高木参考人 先ほど平たびたび申し上げておりますように、赤十字社としましては、この帰国の問題と十分取っ組んでこれを実現せしめていきたいという考えに毛頭間違いはありません。その取扱いの問題でございますが、方法はそういうふうにしぼられてきたら、なぜ早く渡りをつけるべきところに渡りをつけぬかというようなおしかりだと思いますが、これは現在代表が北鮮に行っているわけでございまして、従ってまだ会議も進行中でございますので、私どもはその片っぽで会談をやっておるのに片っぽで渡りをどうつけようというようなことでなくて、その持ち帰ったものを材料といたしまして、そういうふうに展開するのが最も妥当であればそういうふうにしていきたいこういうふうに考えておるのでございます。
○岡田委員 もう一つ念のために伺っておきますが、こちらの人が共和国に帰りたいというわけですけれども、この問題を何もアメリカ――まあアメリカは別として李承晩に気がねしなくたっていいじゃありませんか。あなたは人道主義の立場で問題を解決していこうというお考えならば、何もこの人は北鮮に帰りたいのだが李承晩さんどういたしましょうかと相談する必要はないと私は思う。それはお門違いじゃないがこう私は思う。帰りたい国に相談してそれじゃ帰しましょう、こういうように話をするのが当りまえなんで、ほかの国に相談する必要は絶対にないと私は思う。それにもかかわらず日赤がほかの国と相談しなければまとまらないと言っいる、その気持が私にはわからない。そしてそれが一体人道主義なんですかと伺いたいのです。そういうことになりましょう。常識から考えてもそうですよ。そういう点をなぜ正方堂々とお話しにならないか。事前出に予備交渉をしなければ話はつかないなということはありませんよ。これはもうお互いに相互異存の関係で、相互主義の立場に立つならば、おそらく日赤の方だってそんなことはお考えになっておらないと思うが日本人だけは帰せ、日本にいる朝鮮人はおれは知らないよということはまさかできないだろうと思う。私は日赤はそういうことを考えているとは思いません。もしそういうことを考えている何かの機関が日本にあるとするならば日本の恥さらしですよ。向うに世話になっている人を帰すときはとっとと日本へ帰せ、日本にいる者はお前は知らないぞ、勝手にしゃがれというなら日本の恥さらしですよ。私はそういうことではならないと思うのだが、赤十字社としては、それならば向うへ帰りたいという人のためになぜ正式に、席上でもなんでもいいじゃありませんか。どんどんそれをやるというようにはっきり言っていただくことが、日本のためにもそれから赤十字社本来の使命であるところの人道主、我の立場に立っても、これがやるべき方法ではないかと私は思うのだが、この点はいかがでございましょうか。
○高木参考人 その前にちょっとお断わりしておきますが、たとえば話がだんだん進展いたしまして、韓国とも話をしなければまずいだろうという結果になるだろうということを申し上げたのでありまして、必ずしも韓国、李承晩に話をしなくちゃならぬというふうに断延して申し上げたわけではございません。その点一つ御了承願いたいと思います。 それからただいまのお話は私どもたびたび繰り返して申し上げますように、どうしたならば安全に順調にそのことが行われるかという見解に立っておりますからそういう問題か起るのでございまして、ただ議題としてそのことを正々堂々と取り上げた方が人道主義であって、そのことが実現できるという見通しが確実でございますならば私どもそれが一番いいし思います。ただ私どもの見ますところでは、どうも北鮮その問題を正々堂々と取り上げるだけでは実現が可能でない、こういうふうに出えておるのであります。
○岡田委員 それは政派的考慮ですか。順調に行くかどうかというようなことを李承晩の方を半ば見ながらお話しになっているとするならば、それは政治的考慮という以外に道はありませんですな。人道主義的な立場ということよりも、多分に政治的な考慮をもってそういうお話にお所しになっているとするならば、日赤が政治的考慮でなるというお考えでそういうようにお話になっているわけなのでございましょうか。
○高木参考人 どうも私どもはそういうことを政治的とお考え下さっても、私ども政治的とかいう問題を離れまして、どうしたなればはんとうに実現できるかと――この間在日朝鮮人の方がおいでになりまして、私はたびたびお伺いしておりますけれども、その方々にもどうしたなればこれがほんとうに安全に実現する自信が持てるでしょうかという相談も持ちかけておるのでございます。だからどうしたらほんとうにうまく進められるかという見地に立っておるのでありまして、そういうことを私どもは政治的考慮とは――政治という概念の持ち方にもよるのでございましょうが、私どもは李承晩に遠慮したとか、韓国に遠慮したとかいうことでなくて、実際に具体的にどうしたらやれるかということ存考えてこういうやり方をやって出るわけでございます。
○岡田委員 せっかくの参考人ですから、質疑応答に責めるということは私も遠慮さしていただきます。御見解だけ伺えばけっこうでございます。続いてもう少し他の点を伺いたいのですが、文部省の局長お見えですか。
○前尾委員長 大学学術局長が見えております。
○岡田委員 お急ぎだそうですから先にやりましょう。先ほどあなたはおられなかったのですけれども、朝鮮人の帰国問題に関連をして参考人の方からいろいろ詳細なお話を承わりました。その中でこの文言にもありますが、「在日朝鮮人高等学校卒業生中日本各大学へ進学を希望するもの受験資格を認められること。」こういうことが書いてあるわけです。これによって判断しますと、受験の資格がまいことになっているように判断をいたします。どこかあなたも今ちょっとお聞きのように、朝鮮の人は向うへ帰って向うの大へ入りたいという希望を持っておられる人が非常にたくさんおるわけです。ところがそれにもかかわらず朝鮮の人はまだ向うに帰れないわけです。帰れないとして、しかも日本の国内におって適令期になって今年卒業する者がいるのに、あるいは去年卒業した者がいるのに、日本の国では学校に入れない。向うに帰って入りたいんだけれども向うにも帰してもらえない、こういう場合一体どうしたらいいのす。勉強したいと考えている子供たちにこれは教育上の建前として文部省としてはどういうようにお考えにほっておりますか、この点を伺いたいと思います。
○稲田政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、私ども文部省におります者も常日ごろ書面なり、あるいはまたお目にかかって、在日朝鮮人の方方から、ただいまお話がありましたような点についての御要望を伺っております。いろいろ法規定について研究もいたしておるのでございますが、御承知のように今日大学の人学資格を認めますのは学校教育法第五十六条に基きまする諸規定によって、判断するほかははいのあります。今日高等学校程度の在日朝鮮人の学校というのは制度上各種学校ということになっております。御存知のように、国内には各種の各種学校がございます。各種学校に対します大学入学資格の扱いというものは、やはり法律で一様に考えなければいかぬ。ある各種学校を指定し、ある各種学校を指定しないというわけに参らないのであります。しからば、ただいまの御質疑のように、一体どうしたらいいのかという問題でありますが、それは数年前、これらの学校が各種学校になりました当時に起った問題でございます。当時の当局から聞きますると、当時朝鮮人の方々は公立学校で勉強することになりますと、日本の諸規定がかぶつてきて、朝鮮人独特の特殊な教育ができない。従って自分たちは、朝鮮人独特の特殊な教育をしたいからと言って、各種学校になられたのであります。そのときに、公立学校でいれば、日本国内の学校として、大学入学資格その他各種の国内日本人と同等の特典がある。各種学校で行かれる場合には、それらの特典を失うが、いいかということは、当時の当局とよく話をしたそうであります。その上において、この道を選ばれたわけでございますから、当事者としては十分お考えの上で選ばれたことだと考えられるわけであります。
○岡田委員 事務的な手続としてはそうかもしれません。しかし現実の問題として、その当時においては、朝鮮人の方は向うへ帰って大学へ入る考えでおったかもしれません。しかし事実問題としては、今聞きのように、向うへ帰れない。帰れないで、今学校を出てしまうわけです。朝鮮の人は日本人じゃありません。外国の人が帰れないという特別な事情が起って、日本の学校へ何とか入れてくれほいか、こういうことになっているわけです。しかも先ほどからお聞きのように、帰りたいというのに、日本政府の事情によって、帰さないでいるのです。金日成首相の方は、いつでも連れてきて下さいと言っている。それなのに帰れないのです。日本政府は帰さないのです。帰さないでおいて、学校にも入れないという。一体日本政府はそれでいいのですか、どうですか。 もう一つ、日赤の高木さん、これは一体人道主義から見て、どういうことになりますか、御見解を率直にお伺いいたします。私も子供を持っている。あなたも子供さんをお持ちになっていろでしょう。あなたの子供さんが外国に行って、これと同じ状態だったらどう航りますか。私はさっきから参考人の方にも少しきつ過ぎるようなことを言うようだが、自分の身になって考えてみだら、一体どうだと私は言うのです。日本人の問題じゃないからかまわないのだというような政府のやり方は、私は反対です。向うの国では、日本人を帰してやろうと言っているではありませんか。せめて日赤だけでも人道主義の立場に立ってこの問題をやってもらいたいと思います。お二人から一つ……。
○稲田政府委員 確かにごもっともな点でありまして、われわれも、なればこそいろいろな角度から、この問題を今日まで考えて参ったのでございます。現実の問題に即して考えろというお話ありますが、私どもも現実の問題に即して考えますれば今日朝鮮人学校で行なっております教育の内容は、わが国の高等学校において行います教育内容とは異ねるのであります。こういう違った教育を受けております者を、内地の教育を受けた者と同等に今日の法制上扱いますことほ、これはいかにもできにくいことであります。非常に困った、お気の毒な問題ということは重々考えておりますけれども、今私どもが許されました方法といたしましては、何とも取り計らいます知恵が出ないことを遺憾といたします。
○高木参考人 どうもむずかしいお話を質問されて困るのですけれども、私はそれは子を持つ親として、人情あるいは人道という立場からは、ごもっともなことで、私ども共鳴いたしますが、国にはやはり制度がございましてその制度の上で文部省がおやりにならぬという説も、そういう定めを破れば別ですが、破らない限り、そういう基準に立ってやらざるを得ないだろうと思います。根本といたしまして、子を持つ親といたしまして、御同情申し上げることはもちろんであります。
○岡田委員 私は文部省の局長の話は賛成しかねます。国のそれぞれの教育の制度は違うのです。それだから教育が違うからそれは入れられないというのなら、留学生は絶対められないということになる。国の違う教育をしてきても、留学生をどんどん日本がアメリカヘもやっているじゃありませんか。あるいは東南アジアの諸国から日本にも来ているじゃありませんか。そういう人は認めておいて、本で勉強しておって、教育の方針」遣うかもしれないけれども、日本で入学できねい、これを入れないというのは、筋が通らないと思います。留学生などは認めないというあなた方の方針であるならば、これは別ですが、その点が一つ。 もう一つは、実際に帰ればいのですよ。さっきから申し上げておるように、ほんとうに帰れないのだから、その間だけでも何とか考えあげたらどうですか。単に制度の問題だから仕方がない。先ほど日赤の方が言われたのは、私はあの意見に実は反対です。というのは、本質はいいけれども、制度が認めないのだから、制度に従うのだということになると、悪い制度があって、正しいものはだめだということになるわけでしょう。だからそういうことでは私は御意見は承われない。むしろ今こういうような措置として、便宜的にせよ帰るまでの間何とか方法を講ずるという政治的な今度は日赤さんでなく政府に聞くのですが政治的な考慮の余地があるのかほいのか、この点を伺いたい。
○稲田政府委員 留学生との比較のお話でございますが外国人留学生はただいま朝鮮人の方が要求せられるものと非常に違う取扱いでございます。これは正規の学生として入学せしめるのではなくて、それぞれの教育機関において定員の余裕があり、教授力あるいは設備の余裕ある場合に限って、当該大学が特別の計らいをもって聴講生その他の扱いと同様な扱いにおいて講義を聞かせる、こういう計らいでございます。ただいまの要求は、喧々と各高等学校類似の各種学校を入学資格ありと指定してくれという御要求であって、留学生並みの扱いにしてくれという御要求ではないと解釈いたしております。政治的に計らえという点でございますが、事務的に今日許されました法規の運用その他で考えましたところ、まことに遺憾ながら、いい結論が出ておりませんことを御了承いただきたいと思います。
○岡田委員 あまりこだわっておると進まないから、先に進みます。大蔵省の政府委員がお見えだそうですから、ちょっと伺いますが、朝鮮の方から日本に対して、子供の教育のために教育費、奨学資金を送ってくる、送りたいのだが日本の国では受け取ってくれない。入れないというわけです。こういう事実は一体あるのですかないのですか。もしあるとするならば、どういう理由でこういうことになっておるのですか。中華人民共和国からは金は今どんどん送ってきております。共産主義国だから入れないということであるならば、それは筋は通らない。中国から入れ、朝鮮だけ入れないという、何か特別待遇をしなければならない閣議の決定事項、秘密事項でもあるのですか、どうですか。
○佐々木説明員 私どもそういう御要求は今不幸にして聞いておりません。
○岡田委員 もしそういう事実があった場合どうしますか。
○佐々木説明員 私思いますのに、送金の方法がちょっとわからないという感じがいたします。申しますのは、台湾の万であれば、オープン勘定というものがございます。北鮮との間にはそれがない。それでは別な方法であるがドルを使うことはドルの振りかえというのはアメリカで行われますから、そこでひっかかる。そうするとあとはポンドが使えるか。これはちょっとイギリスのやり方がわからない。日本の銀行の送金いたします場口の受け送金も、こっちから送ります場合でも、大体銀行間の取りきめというのができているのです。銀行間のアレンジメントがあるのです。そこが続いておりますと、そこまではずっと送れるわけです。そういうものは、今の日本の銀行の方から見ると、ないということになる。従って出てこないのだろうと私は思っておるわけです。
○岡田委員 中華人民共和国から日本の国に送金は今できますね。あれはどういう方法法でやっているのですか。
○佐々木説明員 御存じでありますように両国政府間の支払協定がございます。その協定に基いて送金できるのであります。
○岡田委員 政府間の協定なんというのは、今、日本と中華人民共和国にありますか。
○佐々木説明員 失礼いたしました。間違えました。私台湾と間違えまして、恐縮でございます。中国銀行というのがロンドンに支店を持っております。そのロンドンの支店と日本のロンドンにあります支店と取引がございますので、そのルートを通じてポンドで送金してくるものと、了解いたします。
○岡田委員 ちょっと朝鮮人の参考人の方に伺いますが、朝鮮の銀行はロンドンに支店がありますかどうですか。この点おわかりならば伺いたいのです。
○李(起)参考人 ロンドンに支店はありません。
○岡田委員 それでは中国の場合はロンドンに支店がある。朝鮮の場合には支店がない……。
○佐々木説明員 私それは確信しておりませんが……。
○岡田委員 支店がないとすれば、たとえばロンドンに支店がなければ金は入れられないのですか、その点伺いたいのです。
○佐々木説明員 銀行のテクニックで、はなはだ恐縮でありますが、本筋で言えば、ロンドンで振りかえが行われなければできません。ただしそれが、支店がなければできないかと、支店に非常に車点を置いて御質問になつているのだとしますと、それは日本の銀行と取引のあるロンドンにある銀行の勘定を使いまして、北鮮の銀行と取引のある銀行の勘定を使いまして、振りかえる手はあるように思いますが、それは今どうもそういう取りきめがきめられていないように思います。
○岡田委員 そういう勘定は中国は持っているわけですな。たとえば中国の勘定に朝鮮が入れるとしますよ。そして中国のようなそういう形、朝鮮から送金をしてきた場合には入れられましょうか。
○佐々木説明員 私はそれは中国への送金ということ、ないしは中国からの送金ということ処理されているのかもしれないと思うのです。
○岡田委員 それにしても送金はできますね。
○佐々木説明員 事実上は行われているかもしれません。
○岡田議員 そういう方法があるということは一つわかりました。それからもう一つは、中国の場合には銀行間、口座が開かれる、しかしロンドンにそういう口座を持たなければそういうアカウントをきめるということはできないということになりますか。たとえば朝鮮の銀行がパリにあったとする。ハリにあって、パリのイギリスの銀行と話し合いをつけて、そういう形でも、今度は朝鮮独自のものとして受け入れることはできるのじゃありませんか。
○佐々木説明員 日本とフランスの支払い関係というものは、日仏オープン勘定でございます。これは日本とフランスとの間に行われた取引だけをやる、こういうことになっておりまして、そこはむずかしいかと思います。
○岡田委員 そうするとポンド決済でいく以外に道がないということに当然なるわけですが、そうすると朝鮮の何らかの銀行の店がロンドンにあって、そうしてイギリスの銀行とのそういう協定ができるならば、それは当然やり得るわけですね。
○佐々木説明員 コルレス契約がきますならば、方法としてはあり得るのではないかと思いなすが、向こう側の事情がわかりませんので、つまびらかにいたしません。
○岡田委員 だいぶこの問題も明らかになってきましたが、文部省の局長もお聞きの通りに、お金も送ってもらえないのです。お金も送りたくても送ってもらえない、学校に入りたくてもあなた方は入れてやらない、朝鮮に帰りたくても日本の政府は帰さない、こういう状態なんです。これで一体日本の政府が今度は森下さんにちょっと伺いたいのですが、こういう状態に外国人をしておいて、朝鮮におる日本人だけ帰せ、帰せと言って交渉して、それで外交でございますなんでそんな虫のいい外交が通りますか。これはお互い同士向うから世話になって帰ってくる者、帰るならばこっちから向うに帰してやるということを考える。今帰れないならばこういうことについて努力をする、これが政府の態度でなければならぬ。ところが現状は遺憾はがらそうじゃないのです。今お聞きの通りの状態なんです。政務次官として外交政策を担当するあなたとして一体これでいいかどうか、この点一つ率直な御意見をお述べ願いたいのです。一体どうしたらいいのですか。われわれ日本人だから直接そういう問題がないから今平気でいいかもしれない。しかしもしあなたがその立場におったならば、私がその立場であったら一体どうしたらいいのですか。しかもこれは日本人ではない、外国の人ですよ。この人をこういう状態にしておいていいのかどうか。私がなぜこういうことを聞くかというと、朝鮮に交渉に行った日本の代表団に対して、外務省としては在日朝鮮人の問題を取りげてはいかぬというサゼスチョンをしておる。こういうことをなぜするのだ。この点を伺いたいのですよ。これに関連してくるから。
○森下政府委員 私といたしましてはでき得べくこれを何とかしてやはり内地におる朝鮮人も帰さなければならない、この気持はあなたの気持と同じであります。ですから私は先般来どうしてこれを帰そうか、どうしてやるかということの糸口を見出すために、引き続き努力をしておるつもりであります。なお今後も続けて参っておる次第でございます。ただ技術的にあるいは韓国との関係があって、たとえばいろいろと迎えに行く船でこちらの人を送ってやることは何でもないことではあるけれども、現状の姿においては満足にその人々を送り届けられるやいなやということについて、多大の疑問を持っておることは御承知と思うのであります。どういうふうにして、どういう方法をもってやったらいいかということを、実はあなたとも数日来このことに対して私的懇談を重ねておる次第でございます。
○岡田委員 どうも森下さんのお話を伺っても李承晩に遠慮しておるわけですね。日本は李承晩の従属国ではありません。それは一つはっきり――アメリカの従属国であると私は思っておるけれども、あなたはそうでないと言うかもしれないが、それこそアメリカの力でももりて帰すことを、李承晩にそんなむちやくちゃをさせないように話したらどうですか。ダレスだって来るというのですから。しかし私はアメリカさんのお世話にねって帰すなんて、そういうだらしのないことは、日本政府としてはよしてもらいたいと言いたい。日本でおやりなさい、日本でやれることではねいですか。中国と日本との場合だって現在国交回復はなってない。それなのに人道上の問題で中国から日本人を帰し、こっちから華僑の人が帰っておるではないですか。日赤さんの話もさっきから伺っておるが日中問題のそれぞれの帰国問題については、日赤さんは非常に努力されておる。私はその点に敬意を表します。しかし今度の朝鮮の問題については、どうも何だか奥歯に物のはさまったような状態で、少くとも日中間の交渉のときと比べて、差別待遇をやっておるように感ぜられてしょうがない。これは一体どういうわけだ。時間が解決するなどということでは私は御答弁にならないと思う。そういう熱意の問題だと思う。李承晩に遠慮なんかしないで先ほどからもうここにいなくなったけれども、あなたの与党の大橋忠さんでさえ、一番この中で左だといわれておる岡田に対して、お前の言う通りだと言っておるではないですか。今や一般通念なんです。通念をやらないように、今や日本政府はアナクロニズムをやりつつあるような状態なんだ。こういう点について、もっとはっきりした決意をこの機会にお述べ願いたいと思うのです。それから文部省の局長さんけっこうです。ほかの方に入ります。大蔵省もけっこうです。
○森下政府委員 たびたび申し上げる通り、最大の熱意を傾けてこの問題の一日も早く解決せんことを望んで今やっておる次でございます。決して何も李承晩に遠慮するとかそういう問題ではありません。犠牲なくして最後の方法をとり得る道は、どれがいいかということに対して努力をいたしている次第であります。
○岡田委員 法務省の政府委員のは見えておりますか。-先ほど参考人のお話をお聞きになっただろうと思いますが、実は大村収容所の中で重大な問題が起っているようであります。この問題についてお伺いしたいのですが、こういう殺人事件があったのかどうか、そういう点をお調べになっておるかどうか、そうしてそれについてはいかなる措置をおとりなっているか、あまり私一人でやっていると長くなるから、まとめてお伺いします。
○長谷川説明員 私係が違いますので…。
○岡田委員 それでは外務省に伺いましょう、外国人の取扱いの問題だから。外務省としてこういう事実を御存じですか。お調べになったか、いかなる方法をおとりになっているか、この点を伺いたいと思います。
○中川(融)政府委員 御質問の大村収容所におきまして、収容されておる人の中で不祥と申しますか収容所の内部でけんかが起きまして死んだ人が出たということを、外務省も法務省から聞いておりまして、たしか昨年の十一月ごろであったかと思いますが、内部におきまして、原因はわれわれの聞いたところでは、どうもあいつは日ごろ気に食わぬやつだというようねことからのいざこざのようでありますが、一人の被収容者がもう一人の収容所のに対しまして何か昼行を与えたということであります。与えられた方が怒りまして、今度は与えた方が自分のところへ帰ってきたときに、大ぜいの仲間と一緒になりましてこれを袋だたきにして、そして結局死亡したという事件が起ったということを聞いておるのであります。これはしかし計画的な殺人というようなものではなくて、やはり突発的な事故ではないかというふうに考えております。
○岡田委員 これは日本の東京の銀座の町で道路の上で行われた事件じゃない。大村収容所という日本の政府が作っているその収容所の中で、しかもこれは収容所ですからいろいろな形で自由が拘束されております。自由を拘束されている限りにおいて、拘束しているものはその拘束されているものに対して責任を負わなければならない。とするならば、この問題の起った責任はもちろん加害者は責任があるでしょう、しかしそれと同時に収容所に責任があるのですかないのですか。
○中川(融)政府委員 この事件に関する政府側の責任の問題は、私案はここでお答えするだけの地位にありませんので、この方は法務大臣からお聞き取り願いたいと思うのでありますが、収容所自体は非常に中を自由にいたしておりまして、その結果こういう事件もまた起るのでありますが、そういう事件を起さないようにすることが必要だと思われますので、その点については法務省が十分今後は気をつけるだろうということを私は確信いたしております。
○岡田委員 これはいずれまた法務大臣や法務省関係の方にもう少し詳しく伺いたいと思います。そこで一つだけ伺っておきたいのは、刑期の済んだ者がいまだにこの収容所に拘束されているようねんだが、そういう事実はありますかどうですか。
○中川(融)政府委員 大村収容所に収容されております約千六百名くらいの方の中で二種類あるのでありまして、密入国者が約千二百名、それ以外の約三百七、八十名の方は要するに犯罪者でありまして、罪を犯して日本の裁判によりまして刑を課せられて刑を終った人たちが、悪質の外国人ということで強制退去になりまして、強制退去を待って大村に収容されておるのであります。
○岡田委員 そうすると、その強制退去を待っている間、その人の身体、生命は保障されていなければならないわけですね。それが保障されていない事実がここに起っているわけです。そうするとこれはあなたの御判断でけっこうですが、これは日本政府の側に責任は全然ないと言えますかどうですか。私はあるのだと思いますが、どうですか。それじゃ刑期の終ったものはどんどん出したらいいじゃありませんか。保障のされ伝いような所へ入れておいて殺されるくらいなら、出した方がいいですよ。その点はどうですか。
○中川(融)政府委員 その問題は法務大臣から答弁していただきたいと思います。
○岡田委員 最後に、くれぐれも日赤の方にお願いしたい。先ほどからいろいろ事実をお聞きの通りに、まさに人道的でないことがたくさんこのように日本の国内で朝鮮の人には起っておる。それなのに、李承晩に遠慮して、李承晩の方と相談しなければ解決ができないのじゃないか、そうしてまた、李承晩の国とも相談をしなければ朝鮮の問題は解決しないというような考え方では、この問題は解決できないと思う。少くとも、先ほどからあなたは再三言明をしておられますが、向うで平壌の会談において堂々と一つ日本にいる朝鮮の人の問題を解決するように、同時に一緒に話し合いのできるようにそこで実際に具体的にどういう解決が出るかそれはやってみなければまだわかりませんが、そういうことは内々の中でやるのじゃなくて、表立ってやってもらうように、日赤の社長さんとしての訓令を出していただきたいと思う。何もそういう点を李承晩に遠慮する必要はありません。内々でやっているからといったって、あなたは李承晩の方で知らないと思っているかもしれませんが、もうとっくに知っておりますよ。知られているくらいのことなら、内々でやらないで表でやったらいい、に堂々とおやりになったらいいと思うのですよ。そういう点、一つ参考人としてぜひそういうふうにおやり願いたいという希望をつけ加えて、その見解だけ伺って私は終りにしたいと思います。
○高木参考人 ただいまの御希望でございますが、この御希望に対しましては、私はまた繰り返して申し上げる必要はありませんけれども、私どもは、在日朝鮮人の引き揚げをいかに具体内に順調、有効にやろうかという立場から、これを正式会談に取り上げないという方針は今日も変っておりません。しかし、今日皆さんからお聞きしました御意見は、私ども社へ持ち帰りまして、こういう御意見が熱烈にあったということを披露し、また社長とも相談をいたしまして、われわれのやり方について反省するものとか、あるいは態度を変えなくちやならぬものがあるかないかということを、私ども一つ検討させていただくことにいたしたい、こういうふうに思います。
○前尾委員長 帆足委員。
○帆足委員 時間が移りましたので、ごく簡単に一言二言お尋ねしたいと思います。長い間の暗い戦争のあとで、そうして戦争のばかばかしさを全人類が知って、国際連合とか赤十字とかいうものが特にこの原水爆の時代になって新しい脚光を浴びるような時代がきたと思うのです。それで赤十字の皆さんには二つの世界の両方から非常な期待がかけられつつありますので、私どもの質問もとかく理想主義的というか、過大な任務を皆様に要求するということは、むしろ赤十字としては光栄というふうに御了解下されば一段と仕合せと思います。私は、そういう点非常に赤十字の仕事は必要であることを、二つの世界を旅行して痛感いたしました。それで、赤十字の独自性ということについて御承知のように赤十字でたびたび決議がございまして、赤十字が当該国の政権にあまりかかずらって、その政市にかうずらって自己の主張を勇敢に述べたり相談することをなるならば、苦しい人たちの友としての任務の遂行に、支障を来たすであろうことを警告するという決議が行われたこと、そういう事情も御承知のことと思いますが、私ども今まで赤十字というと、むしろ人道を唱えながら戦争に協力する機関のように思っているし、日本の青年たちは、戦争には関心がなかったのです。それで赤十の国際的ないろいろな取りきめとか、赤十字の定款とか、赤十字と政府の関係とかいうようなことを、あままりよく知らないのです。ですからこの機会にそういう資料を一まとめいただきたいと思います。ぜひそのことをお願いいたします。 それからこの問題について、柳という向うの赤十字の代表の放送を私先日聞きましたが、非常に情理かね備わって、遠慮がちに発言をされておるところなどは、北朝鮮の赤十字はなかなか素質がいいと私は感じました。日本赤十字も大変素質がいいのですが(笑声)それをお聞きになりましたかどうか、ちょっとお尋ねしたいのです。もしお聞きになっていなければ、ぜひそれを読んでいただきたと思います。
○高木参考人 なまではお聞きしませんでしたが、新華社の原稿を拝見しております。
○帆足委員 あの原稿をお読み下されば、もう先ほどの穗積さん、岡田さんの御垣間で尽きていると思いますけれども、むろん柄の背後には政治問題がありますから、森下次官も理解の深い方ですし、外務省当局の方もそれぞれ教養の高い方々でありますので、話し合いで触るべく敏速に解決をしていただきたいことを、私は強く希望を申し上げます。 第二には、実は北鮮に自分の両親の墓がありまして、末弟の墓もあるのです。先日北鮮に参りました私の個人としての気持は、この墓参りをしたいと思いまして、墓地に行きましたところが、見渡す限り墓石は爆撃にさらさられて、鬼哭啾々として涙にむせんで参ったわけでございます。私平壌中学会の同窓会幹事の一人でございますので、帰りましてそれを報告いたしましたら、奥さんたちは、うちの赤ちゃんの墓もあるわ、また中には御主人の墓もあるというので、みな涙にむせんでこの報告を聞かれたような事でありまして、墓地の整理を早くせねば、朝鮮の平壌の町がどんどん広がりまして、今区画整理の段階に入って郊外に都市計画が延び始めて、ちょうど墓地のところがやがてアパート街になってくるわけです。それでこの整理を私急ぐと思いまして、宮腰君にも言っておきましたし葛西さんにもお耳に入れておきましたが、赤十字の方で一つ、向うへ御連絡の手紙ほどをお出しにならなければならぬでしさうから至急この実情を、平壌楽浪会、平壌中学会、平壌高等女学校の同窓会等々ありますがその連絡はお世話してけっこうですから、実情を聞いていただいて、墓地の問題を日程に上せていただきたいと思います。同じことが日本にもあります。朝鮮の諸君の骨がたくさん倉庫の中に入っております。終戦後十年たちまして、倉庫ではちょっとかた苦しいことだと思いますので、これも何か礼儀を失しないようなことをするのが世界全体が水爆時代で、戦争を避けたいということ、で明るくなって参る傾向にありますから、こういうことも誠実に相互に取り上げていただきたいと思いますが、赤十字のお考えを承わっておきたい。
○高木参考人 ただいまの墓地の問題は、若干の資料はこもらからも持っていっておりますけれども、これもまたおしかりをこうむるかもしれませんが、正式の会談に持ち出す用意を持っていったのかどうかということにつきましては、まだその会の運び方によって、これが正式の会談に出るか出ないかということについては疑問を持っておりますが、ともかく、そういう材料声持っていっておりますかりら、そういうお話をするだろうと思いますが、なお今日お話のございました面を、向うへ通報するようにいたしたいと思います。
○帆足委員 どうも日本人の旧来の習慣としまして、強い者に対しては憶病で、特にお上の政府に対してはお下といえばいいですがそれをお上というのですが(笑声)私はお下というくらいの気概がほしいと思うのです。そのお下に対して弱くてそして弱い者に対しては必要以上に強い。私どもでもそういう傾向があって、恥かしいことだと思いますが、やはり赤十字は赤十字の見識に従ってその点私は島津さんはほんとうに偉いと思っているのです。ああいう環境であの程度やれたというのは、九十点じゃなかろうかと思っておりますが(笑声)ほんとうに偉いと思うのです。さすが殿様で育ちがいいと思います。あまりびくびくされないのです。ですからその殿様のところにいらっしやる皆さんも、あまりびくびくなさらずに、やはり男には度胸というものが必要ですから、これはいいと思えば、天は人の上に人を作らずという精神で赤十字はおやりになることが、今日の赤十字の任務上非常に重要な気がいたします。従いまして、そういうことは遠慮することなしに取り上げていただいて、あとの措置はまた御相談に上りますから、平壌同窓会とも一つ御連絡を願いたいと思います。 それから最後に、今の学資とか救済資金を北朝鮮から送りたいといっているのですがこれはポンド為替で送る方法があると思います。しかしこれはごくわずかの金額でありますが、あと救済物資を送るということになるでしょう。そうなると国際赤十字が中に入らなければならぬと思いますからそのことも一応御研究を願います。私の考えとしては、南北両鮮は、政治的にはやはり平等に取り扱うべきです。これは地理学の問題で、政治学として取り扱うべきではないでしょう。地理学的には三十八度線を境として二つの朝鮮があるのですから、南北鮮両方の赤十字を日本に平等に招待して、来たくなければそれは来なくてもいいのですが、平等に招待して、三者で会談なさったらどうか。私はこう思っておりますが、今お尋ねした二つのことについて御注意を喚起し、御所見のほどがあれば承わっておきまして、これで質問を終りますが、こういうことは、絶えず政務次官並びに赤十字当局とが懇談いたしまして、筋道は議会で明らかにし、こまかなことは懇談して、超党派的に、国民の利益と人道を中心としてきめるというふうにしていただければ幸いと存じております。
○高木参考人 ただいまのお話につきましては十分尊重いたします。そのことついて私別に申し上げることはありままんが、要するに私どもといたしましては、この朝鮮との会談というものを有効に展開いたしたいそうして、その会談の有効と同時に、具体的に在日朝鮮の人々を、皆さんのお知恵も拝借して送り帰したい、こういうことを考えている根本原則には間違いないのであります。先ほど岡田先生からも何か非常に不熱心だというおしかりを受けたのでありますが、私どもは今日の会談が決して不熱心だとは思っておりません。中国とは非常に熱心だったがというような御比較もございましたが、中国との会談は四十日間もかかったわけでありまして、その間にはいろいろな紆余曲折もあったのでありますが、結果はああいうふうになったのでございます。そういう意味で、私どもは会談というものに非常に不熱心であるとか、あるいは在日朝鮮人を送り帰すことに赤十字が不熱心であるというようなことではなく、一生懸命やっておりますことを御報告申し上げておきたい、こういうふうに思います。
○穗積委員 政府に対する質問が残ったのですが時間がおそくなりましたから、外務省政務次官に二点、それから法務省の政府委員の方においでいただいているはずでありますから、そちらに一点お尋ねいたして私の質問を終りたいと思います。 政務次官にお尋ねしたい第一点は、あなたは御不在でございましたが、実はあなたもこの帰国問題については、大いに理解と協力をしようという態勢で進んでいただいておるのでわれわれも超党派的に人道的な立場から大いに敬意を表して協力をいたしたいという心組みでおるわけでございます。ところが御承知のように、ただいま日赤代表の諸君が、北鮮へ行って向うの赤十字社代表と話をしておる間に、日本におる朝鮮人帰国問題を議題とするということについて、向うから要請があったのに対して、日本代表がこれを拒否したために、両国民の帰国問題の話し合いが少し停滞しておるような状態でございます。それに対して先週の土曜日に外務省の御意見を伺って、あなたから明快な答弁をしていただいて政府としてはできることはできる、できないことはできないと限界は大体知らしておいたが、会議に臨む日赤の意思決定に対して、こちらからとやかく言う所存はありません。日赤の方針は日赤できめるべきだ、こういう答えであったわけです。そこできよう日赤を代表する高木さんからお聞きいたしましたら、実はあなたが御不在でしたから申し上げるのですが、こういうことだったのです。というのは在日朝鮮人の引き揚げ問題を公開の正式議題とするかしないかは、この問題を促進するために有益であるか、多少それが害になるかという判断で実はすぐ正式議題にすろことについてはちゅうちょしておるのだ、しかし本会議とは別に井上外事部長が向うの外事部長、名目は何か知りませんが、それに当る人と実は予備討議をしておるのだ。そこで話し合った結果、これは本会議の正式議題にした方がいいか悪いかということを話し合ってみて、そこで正式議題にして差しつかえないというような判断に立つたならば、これは正式議題にする。それで正式議題にしても思うようにいかない、または障害があるような問題は、相互の判断の上に立って、これは研究課題として残しておくというような取扱いをしたらどうかということに対して、大体それはけっこうなことだ、だから朝鮮人帰国問題に対しては理由のいかんを問わず、正式議題にはしないのだというかたくなな態度をとるつもりはないのだ、またそういう態度をとるべきではないということで、さっきからの質問でもお聞きになった通り、私もさっきから申し上げたら、それではそれを持ち返って一ぺん日赤の島津社長を中心にして検討してみようというお答えで、実は今話が切れておるのです。 そこで今度は外務省の態度ですが外務省は正式な態度としてはもとより日赤の意思決定に何か指図をするとか、制肘を加えるべき性質のことでもございませんし、またわれわれ国民代表の議会の者も日赤の人道的な立場に立っての判断について、一々とやかく制肘を加えるとか牽制するというような性質のものではございませんが、お互いに日本人として両国の相互主義に立って、帰国問題を解決しようという立場から、外務省と国民代表としての議会のわれわれ有志の者と、それから日赤の島津社長を中心とする幹部の方の間で、一つこの問題に対しての情報を交換し、そしてお互いに判断を参考のために話し合う必要が私はあると思うのだが、そういうことを当然していただけると思うが、この際政務次官のお考えを伺っておきたい、これが一点です。 それから第二は、実はあなたも御承知だと思いますが、一九五四年に日本の日赤から向うの赤十字社に出した電報によりますと、そちらにおる日本人の帰国問題について援助をしてもらいたい。そして同時にこちらにおる朝鮮人の帰国問題についても、われわれは援助を惜しまないという電報が行っております。続いて昨年の暮れに、実は向うの赤十字社からこちらの赤十字社に対しまして、朝鮮人帰国問題について話し合いをするために代表を送りたいと思うから、入国について協力してもらいたいという趣旨の電報が来ております。そこで日赤のこの問題に対する意向をいろいろ先ほどから伺いますとやはり人道的な立場で両国間で話すべきだが韓国の人も韓国へ帰りたいという人も実は日本のもにはおるわけですから、そこで当然国と日本赤十字社と北鮮赤十字と三者で話し合うことも非常にいいことではないかと考えておるという御趣旨でした。日本におる朝鮮人の中には韓国へ帰りたいという方もおるでしょう。それから北鮮に帰りたいという方もおるでしょう。それもまことにごもっともなことですから、日本の赤十字社としてはそれに対して平等な態度で臨むべきが当然だと思いますから、そこで日本の赤十字社が適当な機会を見計らって、相互主義に立って韓国の赤十字社並びに北鮮の赤十字社を東京へ招いて日本におる朝鮮人の両国へ帰りたい人の問題を共同に一つ討議しようじゃないかという提案がほされた場合には、外務省はこれに対して入国を当然許すべきだと私は思いますが、こういう話がきましたときには、外務省はこれらの両国の赤十字社代表の入国をお許しになる御用意かあるかどうか、これが第二点でございます。これが外務次官に対するお尋ねでございますから、理解あるお答えを賜わりたい。
○森下政府委員 今の穗積委員のお話はごもっともなお話でございまして、そういうことのできるように努力をいたします。
○穗積委員 ありがとうございました。それでは委員会における公式なおザねはこの度にいたしまして、ただいま理解ある御答弁をいただまましたから、今までの政務次官並びに与党の議員の方からのこの問題に対する良心と友情を信じまして、あとを一つ進めていただくようにお瀬いいたしたいと思います。 続いて大へんおそくなって恐縮でありますが、法務省の政府委員にお尋ねいたします。戦時中日本にありました朝鮮人団体に属する資産、これが終戦後一体どういうふうな状態になっておりますのか、今後の対韓並びに対朝鮮民主人民共和国の問題を解決するために参考になることだと思いますので、でき得る限り具体的に、詳細にこの際お答えがいただきたいと思います。
○長谷川説明員 お答えいたします。大体終戦当時解散を命ぜられた朝鮮関係の法人が約四つあるのでございます。この四団体が解散を命ぜられたその経過は、もっぱら司令部の覚書に従ったものでございます。まず団体等規正令今の破壊活動防止法の前身でございますが、団体等規正令によって当時特別審査局、ここがその後処理しておりました。当時ポ政がありまして、団体等規正令もポ政でありますがこれによって具体的に告示をいたしました。そうしてしばらく司令部がその財産を管理して参っておったのであります。その後さらに他の覚書が出まして昭和二十三年の八月十九日に、政令、これもポ政でありますが、二百三十八号で解散団体の管理及び処分等に関する政令というのが制定されまして、これに基いて法務大臣、当時の法務総裁、これがこの財産の管理及び処分を早急にやれということで、それから具体的に接収といいますか、全財産が日本政府にそのときに帰属したわけであります。それまでは司令部が握りておたわけであります。その政令によって日本にその全財が帰属した。そしてこれを具体的に接収する段階に立ち至ったわけであります。そして接収事務を御存じのようにやってそれらの財産を処分して参ったわけであります。大体朝鮮人団体肉係の財産を申し上げますと、数はあるいは私の考え違いがあるかも存じませんが国庫帰属の財産は、土地が約一万四百坪、それから建物がおおむね一万九百坪それから動産の処分額及び現金が二千六百九十九万であります。
○穗積委員 それはいつの評価ですか。
○長谷川説明員 二十三年でございます。ちょっと話が前後いたしますが、財産は売却処分に付したわけでありましてほぼ処分は終っておりますが、全財産の処分はまだ終っておらぬのであります。その処分済みのものが大体今申し上げたところであります。これはそれぞれその当時に処分しておりますからその当時の処分額の合計でありまして、財産は一般会計に入っております。当時は一応特別会計でありましてわれわれの万で管理しておったわけでありますが、その後一般会計に振りかえられました。現在は全部一般会計に入っておるわけであります。ですから今動産及び現金と申しましたのは、その当時逐次処分して参りましたその処分額の総額であります。
○穗積委員 そうしますと、それは全部日本政府に帰属してしまって残余の動産、不動産その他現金、借券等は全然ございませんか。
○長谷川説明員 まだ少々残っております。もとより現金は今申し上げましたようにみんな一般会計に振り込まれましたからございません。それから土地及び建物は処分いたしまして、それもみな国庫に一般会計として振り込んでおります。それで今残っているのは、土地が約二千七百坪くらい、それから建物が五百八十坪くらいございます。こういった状態でございます。
○穗積委員 これは所有権はどこになっておりますか。
○長谷川説明員 先ほども申しましたように解散団体の財産の管理及び処分等の政令によりまして、もう全部国庫に帰属したわけであります。それをわれわれの方で逐次処分して参ったわけであります。
○穗積委員 わかりました。
○岡田委員 関連して。国庫に入って処分してしまったということになると、ポ政令に基いてその後いろいろな法律上の手続で日本政府の国有財産にほったわけですね。そこで一つわからないので伺っておきたいのだが、朝鮮の人はこれは外国人でしょう。ポ政令が有効であるかどうか、私は私としての意見があるけれども、それは一応別として、外国人の財産をポ政令によって没収した、そのポ政令ねるものは現在はもうないわけです。簡単た話が、マッカーサーと共謀で外国人から金を取り上げで日本政府がとってしまった、それと同じことになりますね。どうですか。
○長谷川説明員 これは当時占領下にありましたから釈迦に説法でありまして、従って政府としては司令部の覚書には忠実に従わ欺ければならぬ立場にあったわけであります。よってその覚書を実施するためにポ政令を定めてこれに従って処理したわけであります。 なお実質的に申し上げますと、相当財産を接収した、そうして日本政府に帰属したということになりますが、この接収に費した予算は、これは日本人の持っておる財産も相当接収されておりますので、予算の区分は明確にはわかりませんけれども、少くも接収した財産以上の予算を使って曲るわけであります。御承知のようにいろいろのトラブルもございました。そういったような関係で実際問題から申しますと、日本政府としてはあまりプラスにならぬ、むしろマイナスになっておるというような実情であります。これはさように司令部の覚書に従って実施したという格好になっております。
○岡田委員 もう答弁し広くてもいいが、今のあなたの答弁では承服できない。しかしこれはむしろ政治的な問題ですからあとで大臣に伺いますが、例をとっていいますと、ある人がどろぼうした、どろぼうするときに電車に乗っていって経費がかかった、とったものが十円だった、しかし電車費が十五円だから五円損だ、これと同じ話ですよ。
○長谷川説明員 そういう意味でなくて、司令部の指令には絶対に従わざるを得なかったのだという趣旨であります。
○穗積委員 針谷課長にちょっとお尋ねしますが、この林産問題については韓国並びに朝鮮民主主我人民共和国の両方の政府、または在日朝鮮人の団体または個人から、これに対する何か異議の申し立てとかあるいは要請が今までの政府に参っておりましょうか。
○針谷説明員 外務省にはそういうものは来ておりません。
○穗積委員 法務省はどうですか。
○長谷川説明員 これは当時われわれのものを接収してけしからぬというようなことから、いろいろの運動が展開されまして、その後とにかく接収したものをできるならば在日朝鮮人の福利厚生とか、あるいは教育のために使ったらどうかという意見が政府部内にございました。そういったいろいろの動きが民事局を中心といたしましてあったわけであります。ところがさて具体的になりますと、いろいろの観点からなかなか名案が浮ばないというな状態を続けて参って、当時相当努力を続けたわけでございますが、そういった状態を続けて参りましたうちに、先ほど申しましたように、全財産が一般会計に入ってしまいましたので、われわれの方としてもどうにも手がつかぬというような状態で今日に至ったわけであります。
○前尾委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。 参考人の皆さんには長い時間有益な御意見を開陳していただき、さらにまた詳細にわたって質疑応答していただきましたことを委員長から厚くお礼を申し上げます。 次会は明十五日午前十時より開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時四十二分散会