外務委員会 第4号
- 発言数
- 170 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1956/02/11
会議録
○前尾委員長 これより会議を開きます。 右外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案及び国際金融公社への加盟について承認を求めるの件を一括議題といたします。 政府側より提案理由の説明を求めます。森下外務政務次官。 —————————————
○森下政府委員 提案の理由を説明いたします。 在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案の提案理由及び内容を説明いたします。 まず提案理由を説明いたします。 外務省といたしましては、昭和三十一年度における在外公館の新設及び昇格につきまして、次のような計画を立てているのであります。 第一に、新設するものとしては、法律上のみならず実際上新設するものとして、次の四館を考えております。一、在パラグァイ日本国公使館、二在ギリシャ日本国公使館、三、在ウィニベッダ日本国領事館、四、在メルボルン日本国領事館。 次に、新段ではありますが、法律上の設置にとどめるもの、すなわち隣接国にすでに駐在する大公使に兼任公使として勤務せしめ現地には事実上公館を維持しないものとして次の五館を考えております。一、在ハイティ日本国公使館、二、在エクアドル日本国公使館、三、在サウディ・アラビア日本国公使館、四、在ジョルダン日本国公使館、五、在スーダン日本国公使館。 節二に、昇格せしめるものとしては、次の二領事館でありますが、これらは、いずれも総領事館に昇格せしめたいと考えております。一、在シアトル日本国領事館、二、在ベレーン日本国領事館。 以下これら各公館につき御説明いたします。 まず第一にパラグァイに公使館を新設したい理由といたしましては、移住振興のためでありまして、同国には、戦前七百名、戦後は七百八十名移住しており、引き続き移住の道が開けておりまして、同国政府もわが在外公館開設を希望している現況であります。 第二に、ギリシャに公使館を新設したい理由としましては、貿易促進のためでありまして、同国とは昨年三月に年間片道二百五十万ドルの貿易支払協定が締結せられており、わが国に対する造船発注も五十九隻八十万トンに達している現況でありまして、同国も我が方在外公館の開設を要望しております。 第三に、カナダのウィニペッグに領事館を新設したい理由でありますが、ウイニペッグは、世界における最も重要な穀物地帯の中心地にありまして、カナダ小麦の集散地であり、わが国の対カナダ輸入の大半を占めるカナダ小麦及び大麦の買付中心地となっており、最近付近における石油、天然ガスの大規模な開発ははなはだ盛んでありまして、わが国から開発資材として工業製品の輸出希望が大いにあるわけであります。従いまして、ここに領事館を開設し、日加貿易の増進に寄与させたいと考えております。 第四に、オーストリアのメルボルンに領事館を新設したい理由でありますが、同地は、豪州西南部の通商基地でありまして、わが国の対豪輸入の大宗物資たる大災、小麦及び羊毛の買付中心地となっており、これがため、同地方からキャンベラのわが大使館に対する通商上の問い合せがきわめて多いので、ここにわが領事館を開設して、メルボルン在住のかの国実業家と直接接触を保たしめ、もって日豪通商の増進に寄与させたいと考える次第であります。なお、本年の秋には、当地で第十六回オリンピックも開催される予定であります。 次に、法律上の設置にとどまる在ハイティ公使館外四個の公使館についてでありますが、これら諸国については、今後彼我間の貿易促進等経済的進出のため、及び国連関係、国際会議等においてこれら諸国の支持を獲得するためにも至急外父関係を樹立し、もって将来における万般の経済ないし政治上の外交施策の基盤を作っておくことが肝要であると考えられるのであります。しかし、予算との関係もあり、この際とりあえず近隣駐在大公使をして兼轄せしめる方針のもとに、外交関係を開くこととしたのであります。 最後に、総領市館に昇格せしめる在シアトル及び在ベレーンの各領事館についてでありますが、シアトルは、米国北西部のうち対日貿易、対日関心が最も大でありまして、その対日地位たるや、ロスアンゼルスやサンフランシスコに比肩する地位にあり、後二者に総領事館があるのにかんがみ、現地居留民のみならず米側官民もその総領事館昇格につき、熾烈な要望を出している次第でありまして、これにこたえるため、総領事館に昇格せしめたいのであります。また、ベレーンは、アマゾン移民受け入れ及び移住民の指導上の重要性が著増し、移住者関係事務が増大して参りました関係上、現領事館の陣容を立て直して格式の高い総領事館とし有能なる人材を配したいからであります。 以上が各館別の説明でありますが、これらの計画を実現するためには、法律上の措置として、昭和二十七年法律第八十五号在外公館の名称及び位置を定める法律及び昭和二十七年法律第九十三号在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する必要がありますので、今般右二法律の一部改正をうたった本法律案を今次の第二十四回国会に提出する次第であります。以上が提案理由の説明であります。 次に本法律案の内容につき説明いたします。 本法律案の第一条におきまして、昭和二十七年法律第八十五号在外公館の名称及び位置を定める法律の一部の改正を行い、もってすでに説明いたしました各公館の名称及び位置を定めんとするものであります。また、第二条におきまして、昭和二十七年法律第九十三号在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部改正を行い、前述の各館に勤務する外務公務員の在勤俸の額を定めんとするものであります。また、附則におきまして、本法律は、新年度初の昭和三十一年四月一日から施行するよう措置しようとするものであります。 以上をもちまして、本法律案の提案理由及び内容説明を終ります。 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御採択あられんことをお願いいたします。 次にただいま議題となりました国際金融公社への加盟について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 国際金融公社は、国際連合の要請に基き来年四月に国際復興開発銀行すなわち世界銀行が作成した国際金融公社協定によって設立され、世界銀行とは姉妹関係に立って世界銀行の活動を補完する役目を持ったいわば国際的な投資会社でありまして、加盟国特に低開発地域の生産的民間企業に対して民間投資家と協調して融資を行うことによってその企業の成長を助長し、もって経済開発の促進に寄与することを目的といたしております。 わが国が公社に加盟するためには、協定に署名し、協定の義務を受諾する旨を示した受諾文書を寄託した上で、二百七十六万九千ドルの出資を行うことが必要であります。この出資金については、本年度本補正予算に計上して、本国会に提出の予定であり、また、出資を行い、かつ、日本銀行を寄託所に指定するための法律案も、同じく本国会に提出し、御審議を仰ぐ予定であります。なお、現在までに加盟の手続を了した国は、米英を初めとして九カ国で、その出資額合計は、約五千六百万ドルに達しておりますが、公社が発足するためには、三十以上の政府で七千五百万ドル以上の出資額を持ったものが公社に加盟することが必要であります。 わが国は、公社に加盟することにより、経済開発のための国際的投資の分野に参加協力することになり、他面、公社が投資を行いますと、これと協調する形でわが国の民間資本の海外進出も促進され、また、それに関連してわが国産品及び技術の輸出の伸張も期待され、さらには、わが国の生産的民間企業についてもしかるべき条件を備えた場合には公社から融資を仰ぐこともできることとなるわけであります。 よって、政府は、国際金融公社への加盟について御承認をお願いいたす次第であります。 右の事情を了承せられ、御審議の上本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。
○前尾委員長 これにて提案理由の説明は終りました。 両案に対する質疑は次会に譲ることといたします。 —————————————
○前尾委員長 国際情勢等に関する件について質疑を許します。池田正之輔君。
○池田(正)委員 実は私この委員会ははなはだ不勉強で、たまたま参りまして質問を許していただきましたが、野党の諸君の御同情によりまして簡単に質問をさせていただきます。 まず私からお尋ねいたしたいことは、昨年以来のロンドンにおける日ソ交渉は、回を重ねること二十回、ここで明瞭になって参りましたことは、つまり領土の問題、この日ソ交渉の何と申しましてもポイントであり山となる領土の問題に関しまして、ソビエト側から公式に歯舞、色丹だけは返してもよろしいということを明確にして参りました。ところでけさのロンドン電報によりますと、ソビエト側はこれを返還するという言葉を使わないで、特に譲渡といい言葉を使っておる。このことは、われわれ日本人として、軽く聞き流すわけには参りません。これについて一体外務当局は、譲渡という言葉を使っておるソ連の意図が那辺にあるとお考えになるか、そしてこれでいいのか、このことについて一言お尋ねいたしたいと思います。
○森下政府委員 歯舞、色丹をそういうふうに考えてはおりません。歯舞、色丹は、元来これは歴史的にもそういう何ものもないのでございます。これは北海道の一部とも考えておるのでございますから、断じてさようなことはございません。
○池田(正)委員 政府はつまり譲渡という言葉では承服できない、あくまでも日本の領土であるから、返還を要求するという建前を堅持するというふうに了解いたしてよろしいのでありますね。
○森下政府委員 さようでございます。その通りでございます。
○池田(正)委員 それならば私も了承いたします。 そこで問題は、わが日本国といたしまして、ソビエトに要求しているのは歯舞、色丹だけではなしに、南千島というものをはっきり要求しておるはずであります。しかるにソビエト側は歯舞、色丹だけ、そして南千島のいわゆる択捉、国後については、何らこれに言及しておらぬ。これに対して政府は、歯舞、色丹だけでがまんしようとするのか、南千島をも返還するのでなければがまんはできない、あくまでもこれを強硬に主張しようとするのか。私はこの際これをはっきりさせておきたい。それは何となれば、国内のいろいろの説を見ますと、いろいろな政治的な意図や、いろいろな角度から、この際は領土問題はあとにして単に国交の調整だけでよろしいのだというような説さえなされておる。従って、これに対して国民は非常に迷っておる。これを明確にするためにも、これはここで今最終的な段階に当って、歯舞、色丹だけは返してもよろしいということを正式にソビエトから回答があった以上は、これに対して日本政府としては、この際——松本君は懸命に、これだけではいかぬということを言っておるようでありますけれども、政府としてこれに対してそれで満足するのか、これでは満足できないのか、この点の政府の決意を明確にしてほしいと思います。
○森下政府委員 お答え申し上げます。これは松本全権の主張を全面的に、かつ強力に支持するものでありますことを、ここにかたく言明いたします。 それと同時に国後、択捉につきまして、一つここでよく御説明を申しておきます。
○池田(正)委員 ちょっと待ってください。つまり今政務次官の言われるのは、南千島も当然あくまでも要求する、こういう建前に立つということなんでしょう。
○森下政府委員 さようであります。
○池田(正)委員 そこでこの南千島をわが国があくまでも要求する、政府があくまでもこれを堅持していくということについては私も同感なんです。このことについては、当然わが党にいたしましても、党のいわゆる緊急政策として天下に公表してあるところであります。同時にまた政府もこれを強く要求しておるはずなんです。しかるに一体何の根拠に立って、南千島というものをわれわれは強く主張するかということについて、残念ながら一般の国民は実は御存じない。実は驚いたことには、この院内におきまして、社会党の方々は賢明だから御存じであるかもしれませんけれども、わが党の諸君も外務委員会に御出席のこれらの方々はいずれも御存じですけれども、それらに関係のないような方々は御存じない。言論界の方々も、きょうおいでのような外交専門におあずかりになっておるような方々は御存じかもしれませんけれども、他の方々に開いてみますと、いかなる理由に基いて、日本は南千島を要求するかということについて、これを明確に知っておる人に、私は今日まで不幸にして一人も出くわしておらぬ。(岡田委員「根拠がないからだよ」と呼ぶ)賢明な岡田君でさえも、ただいまかようなヤジを飛ばすほど、いかにこのことが国民の間に不明確になっておるか、なぜ一体それを明確にしないか。これは私の考えるところによりますと、当然南千島というものは歴史的に日本のものである。その根拠はどこにあるかといえば、すなわち幕末、徳川末期に千島北辺が危うく、常に騒がしかった。これを何とかしなければならぬというので、詳しくは申し上げませんが、いわゆる安政元年に下田港において調印された俗にいう下田条約の第二条においてそこで初めて当時のロシヤと日本との国境というものは明確になった。このことを残念ながら世間の一般の方々は御存じない。あの下田条約の第二条によって見ますと、これは得撫から北側がソ連の領土であって、択捉から南が全部日本の値土であるということをここに明確にした。(発言する者あり)これは諸君もはっきりしたらいい。社会党の諸君もそういうふうに知らないからヤジを飛ばす。その次の条約は明治八年の樺太・千島交換条約において明確にしておる。このことは国民が御存じない方が多いのです。これは現実です。理屈でありません。こういう歴史的な事実の上に立って、従ってロシヤと日本との国境というものは得撫島と択捉島との中間であることは明確になっておる。(「ロンドンに行ってやれ」と呼ぶ者あり)このことを外務当局はなせ一体国民に知らせない。この歴史的な事実によって——外務大臣、総理大臣の演説においても、そういう抽象的な演説によって国民に知らす努力をしていない。何というばかな……。怠慢もはなはだしいじゃないですか。そこに日本の外務省の弱体性がある。日本の外務省の役人諸君が私は無能だとは申しません。しかしながら日本の外務省の弱体は何であるか、国内情勢を知らぬからだ。君らが不勉強のためなんだ。外務省というものは何もわが党の外務省ではない、日本の外務省だ。それだからわれわれはこれを言うのだ。ここに日本の外交の弱体性がある、本質的なものがある。日本の国民はこういう問題についてどういう知識を持って、どういう感覚を持って、どういう考え方を持っておるかということに対する思いやりが諸君の中にない。これは日本の外交の最も弱体の本質的なものです。なぜこれをやらないか。外務当局はこの歴史的な事実を明確にして、国民に知らせる義務を諸君は持っておるはずだ。何という怠慢だ。外務政務次官、この点を明確にしてもらいたい。
○森下政府委員 サンフランシスコ条約は千島の範囲を決して決定してはおりませんし、これを放棄したようなことはないのでありまして(「その通り」)その点を……(「二条C項を見ろよ」と呼ぶ者あり)南千島は入っておりません。 [「入ってないということを反証しろ、具体的に言えよ」と呼ぶ者あり〕
○前尾委員長 静粛に願います。
○森下政府委員 一応それでは今の南千島の問題のそういう誤解を解くために、ここにはっきりと一つ声明をいたします。 この南千島、すなわち国後、択捉の両島は常に日本の領土であったもので、この点についてかつていささかも疑念を差しはさまれたことがなく、返還は当然であること。御承知のように国後、択捉両島の日本領土であることは、一八五五年、安政元年下田条約において、ただいまお述べになったように調印された日本国とロシヤ国通好条約によって露国からも確認されており、自来両島に対しましては何ら領土的変更が加えられることなく終戦時に至っております。一八七五年、明治八年の樺太・千島交換条約においても、両島は交換の対象たる千島として取り扱われなかったのであります。 サンフランシスコ平和条約はソ連が参加しているものではないが、右平和条約にいう千島列島の中にも両島は含まれていないというのが政府の見解であります。同会議において吉田全権は択捉、国後両島につき特に言及を行い、千島列島及び南樺太の地域は、日本が侵略によって略取したものだとするソ連全権の主張に反論を加えた後、日本開国の当時、千島南部の二島すなわち択捉、国後両島が日本領であることについては、帝政ロシヤも何ら異議を差しはさまなかったと特に指摘しておるのであります。また連合国はこの今次戦争について領土の不拡大方針を掲げていたこと、また太平洋憲章、カイロ宣言、ヤルタ協定、ポツダム宣言はすべて過去において日本が暴力により略取した領土を返還せしめるという趣旨であり、日本国民は連合国が自国の領土的拡大を求めているものでないことを信じて疑わない。日本の固有の領土たる南千島をソ連が自国領土であると主張することは、日本国民一人として納得し得ないところであります。 この南千品は日本人の生業に欠くべからざる島であることも、これを伝えなければなりません。国後、択捉両島は北海道に接近しており、沿岸漁業の獲得高から申しましても、戦前千島列島の年十万トンに対し、この国後、択捉両島のみで年十五万トンに達していた事実等でも明らかな通り、両島は日本国民の日々の平和な生活を続けてきておったものであります。 ここにこれをかたく声明をいたす次第でございます。
○池田(正)委員 最後に、ただいまの御答弁でやや明確になってきましたが、実はそれだけでは私あまり感心しないのであります。ということは、つまり樺太・千島交換条約の際における条文の内容等についても、もう少し詳細に説明すべきだと私は思う。それはたとえば第三款に、この条約の中にはっきり書いてある。これは日本全権は榎本武揚、ソビエトの全権はアレキサンドル・ゴルチャコフ、この両全権によって調印された。この内容を見ますと、クーリール列島上に存する両者の権利を互いに相交換する、こういうことを書いてある。そういったことから、もう少し詳細にいくべきで、ここに第二款には千島列島のことを、第一占守島から第二阿頼度島というふうに、第十八得撫島とも計十八島の権利、こういうふうに明確に書いてある。こういうことをもっと詳細に国民にわかるように、外務当局はこれを知らす必要がある。そういうことを諸君はやってない。それから今の千島という概念、これはどこからきておるか。なるほど明治以後の行政区画として、今の歯舞、色丹だけは北海道という行政区域に便宜上入れた。南千島のこの二島は、便宜上千島という行政区画に入れたというところに社会党の諸君などは錯覚を起している。そういうところに誤解の根源があったように思う。従って南千島と北千島と同じじゃないかという概念を国民が抱いておる。日本の国民にそういう考えを抱かしめておいて、そうしてソビエトに向ってそれをよこせ、返還せよ、これは無理なんだ。そういう感覚で諸君が外交をやったんでは外交が成功するはずがない。いやしくもわが党は、南千島を断じて要求する、一歩も譲らぬということを天下に声明しておる。それに従って政府もそれを声明しておるはずでありますから、あくまでもこれを堅持して、どこまでも一歩も下らぬという態度をもって今後臨まれんことを私は切に希望いたしまして、私の質問を打ち切りたいと思います。
○穗積委員 関連して一問だけ。実は日ソ交渉における領土問題については、私は重光外務大臣に今まで二回にわたってお尋ねいたしております。しかしそのたびごとに時間が制限されておりまして、いまだ質問の継続中の状態にあるわけでございます。本日も外務大臣が出席されたならば、ぜひその点をお尋ねしたいと思っておったのですか、こまかいことについては、外務大臣が次会に出席される約束ですから、そのときにいたしまして、きょうは一問だけ政務次官にお尋ねしたい。 第一にお尋ねしたいのは、いろいろな順序がありますが、われわれの考えでは、終局的には南樺太、千島全体にわたって領土権の要求をすべきであるというふうに考えております。ところが政府は、ソビエトとの交渉において、南千島だけで最終的に打ち切られるつもりであるかどうか。それが一問。それから第二には、もし北千島その他についても、領土権をいろいろな順序を踏んで交渉されるつもりであるならば、なぜ一体北千島と南樺太をサンフランシスコ条約で放棄されたか、その理由を明らかにしてもらいたい。この二点を一括してお尋ねします。
○森下政府委員 ただいま申されましたそのほかの島は、国際的な機関を通して解決したいと思います。
○下田政府委員 桑港条約におきまして、日本は千島、樺太に関します一切の権利、権原等を放棄するということをいっております。それはまだ連合国側の間におきまして、その最終的帰属についての意見の一致を見ないので、とりあえず日本だけは権利を放棄するということを宣言させるという、何と申しますか、中途半端な領土問題の解決をせざるを得なかったというのが、桑港会議当時の情勢であったのであります。(「桑港条約なんてやめたらいいじゃないか。なぜやったんだ。なぜ放棄すべからざるものを放棄したんですか」と呼ぶ者あり)。ポツダム宣言におきまして、われらの決定するというところに日本は従って、領土問題の処理を向うの決定に一任したわけでございます。でございますから、桑港会議におきましてもう文句を言えない立場に、日本は降伏の際からあったわけであります。ところがその決定なるものが、最終的の決定に到達しなかったのであります。日本の手から一応とるということだけの決定しかできなくて——通例の平和条約におきましては、領土の処分については、何々国のために譲渡するなり、放棄するなり、そういうことを書くことが普通でありますが、桑港会議のときにはそこまでできなかった。連合国側の意見が一致しなかったのであります。そこで半分しかきまらなかった。 〔「一致するはずがない」と呼び、 その他発言する者あり〕
○前尾委員長 静粛に願います。
○下田政府委員 一致するはずはないのであります。ですから今日になりまして、なぜ桑港条約を受諾したのかということを提起されましても、これは終戦の経緯にかんがみまして無理なことであります。 それからもう一つ、先ほどの件に関連して言えますことは、クーリールといいまして、クーリールなるものの範囲も、これも連合国間で何ら意見の一致を見ていないのであります。従いましてその意見の一致を見ていないクーリールなるものの範囲について、固有の日本の領土たる国後、択捉はクーリールに含まないと言うことは、日本の自由なりということになっているのであります。であるとするならば、今日日本が、最終的の領土処分を行いました平和条約がない以上は、日本の利益に従ったところを最大限まで主張するということは、これは当然のなすべき処置であると私は考えます。
○穗積委員 ただいまの外務省当局の御説明ははなはだしくあいまいであって、そんなことで領土問題が国際的に解決できるなんと思ったら、大間違いだとわれわれは思う。だからわれわれは、あくまでやはり終局的には千島列島全体と南樺太について領土権を主張すべきだと思う。それには正当なる国際条約における論理をもって当るべきであって、因縁情実をつけて、そういうことで交渉すべきではないとわれわれは思う。従ってただいまの答弁ははなはだわれわれは納得することができない。ということは、日本の利益のためにという、そのような論理では国際的に通用いたしません。ですからその答弁についてははなはだしく不満でありますが、きょうは開進質問でございますし、責任者であります重光大臣もおられませんから、この問題についての質問は留保いたしまして、私はきょうは打ち切ります。
○前尾委員長 並木芳雄君。
○並木委員 私も領土問題のことについて質問いたしたいと思っておりましたが、幸いに池田委員から発言がありましたから、その点は省略したいと思いますが、ただ一点だけ、手続の問題になりますが、ただいま問題になりました千島、南樺太の処理をする場合に、あらためて国際間の相談にまかせたいという政府の方針でありますが、その場合の国際間ということは、具体的にはどことどこの国を予定しておられるか、それを伺っておきたいと思います。要するに、平和条約であのような取りきめができておりますから、平和条約に参加した国々全部との間で、事実上は平和条約の条項を変更していくような話し合いを進めていくのか、それとも別個の新しい国際的なグループに頼むのか、どういうことを予定しているか聞いておきたいと思います。
○森下政府委員 これからやることであって、今それは予定してありません。 「そんなことで交渉ができるか」 と呼び、その他発言するあり」
○前尾委員長 静粛に願います。——並木君、領土問題はきょうは留保して……。
○並木委員 委員長のお話もありましたから、次に私は、これは緊急な問題ですが、あるいは下田条約局長に質問した方がいいかと思いますが、実はきょうの外電によりますと、ソ連が日本のサケの漁業に対しての問題を取り上げております。日本が北洋においてサケの乱獲をやるという口実のもとに、漁業条約を将来結ぶまでは漁業を停止する、そのような何か発表をしておるのですけれども、これは容易ならぬことだと私は思うのです。実際そのようなことが国際法上行われていいものかどうか、私はこういう理由をもって、国際法上漁業条約を結ぶまでは漁業を全然停止するというようなことは絶対に言えないと思うのですけれども、この点について政府の見解を明らかにしておいていただきたいと思います。
○下田政府委員 海洋漁業につきましては、日本は現行国際法の基礎の上に立ちましてもう原則を確立しておるわけであります。大体三大原則と申し上げることができると思うのでありますが、第一には、公海における漁業を関係国のうちのある一国のみが一方的に規制するということはいかぬということであります。必ず関係国が相談して、その合意のもとに規制を行うべきだというのが第一原則であります。第二の原則は、その規制は科学的根拠に基いて行われければならないということであります。調査の結果これは確かに魚類が減少しつつあるという証拠が立証された場合にのみ規制せらるべきであるというのが第二の原則であります。第三の原則は、このいかなる規制も関係国に平等に適用されなければならないということであります。ある一国のみにきびしく、自国には寛大にというような不公平な規制の適用ということはいけないというのが日本の根本的の原則であります。 この三大原則は北太平洋の漁業会議におきましても日本が強く主張したことであり、またこの原則を認めないがゆえにアラフラ海におきまして濠州との間に国際司法裁判所の事件を起し、また李承晩ラインの問題につきしましても、この原則に立って日本は強い主張をなしておるわけであります。ソ連に対しましても全く同じであります。ソ連が一方的に規制しようというようなことには日本は服することができません。またソ連が調査の結果科学的に立証した根拠なくして、ただ規制しようというようなことがあるとするならば、これも日本は服することはできません。第三に、ソ連自国民のみに寛大に適用し、日本国民にのみ厳正なる適用をしようというようなことは、これも服することができません。でございますから、御指摘の外電がいかなるものであるか、まだ公式の情報を入手しておりませんが、私どもはソ連といえども先ほど申しました三大原則に反するようなむちゃな規制を強行しようという意図はないものと、その善意を疑わないのであります。と申しますことはただいまワシントンでやっております、ソ連が参加しているオットセイ会議におきますソ連の代表の出方を見ましても、非常にリーズナブルである。科学的な根拠に基いて、また関係国の立場をそれぞれ考慮して、そうしてオットセイ漁業の規制をしようという態度になっておりますので、平和条約ができましたあと日ソ間の漁業条約を交渉する際に、ソ連がそうむちゃな態度に出てくるということは私は予期いたしておりません。日本の三大原則は、現行国際法のもとに立って十分堂々と主張し得ることでありまして、わが方の要望を必ず聞いてくれるもの——ただここで注意しなければなりませんのは、戦前の日ソ漁業条約に規定しておりましたような、ソ連の領土に入ってソ連の領土上に工場を設けるとか、あるいはソ連から三マイル以内あるいは至近の距離において川の出口に網を張って出てくるサケをみなとるというようなことは、日本側はすべきではないと思うのであります。あくまでも国際法の原則にかなった、そうして日ソ双方に公平に適用されるリーズナブルな漁業協定を平和条約ができたあと交渉しなければならないと思っております。大体あなたのただいま御指摘の外電が正確なものであるかどうかという点を私ども確認する手段が今まではないのでありますが、しかし先ほど申しました日本側の公正な態度によりまして、漁業条約を円満に交渉して妥結に到達するものと期待いたしておるわけであります。
○前尾委員長 並木君、それはあと回しにして、船田長官が帰ってしまわれるから長官に対する質問をしてもらいたい。それは長官が帰られたあとでやっていただきたい。
○並木委員 それではあと一点でやめておきます。 今の点は政府の態度が非常にはっきりいたしました。しかしソ連としておそらくそういうことはないと思うというのは善意な考え方であります。火のないところに煙は立たないと思うのですが、もしこういうことが事実であったとしたら政府はどのように抗議を申し込むか、あるいはソ連として現在行われておる日ソ交渉を有利に導くために持ち出したのかもしれません。そうだとするならば、松本全権を通じてこの抗議を申し込むか、あるいは別個に外務省からどういうような方法で抗議を申し込むか、その点を明らかにしてもらいたい。
○法眼政府委員 この点につきましては、情報その他を確かめまして、事実をはっきり認定した上で慎重な措置をとりたいと思っております。
○並木委員 それでは外務政務次官にこの問題だけを質問いたします。この前私が中共貿易の輸出禁止緩和の点で重光さんに大いに努力するように質問しておいたのですが、昨今ようやく日本の政府が中共貿易禁輸緩和についてココムにおいて交渉しておるというふうに伝えられておるのです。ただ政府の口からはっきり私ども聞いておりませんので、この点をどういうふうに交渉を進めておるか、その見通しなどについて明らかにしていただきたい。 それからもう一つは、原水爆禁止の決議を国会の両院でいたしましたが、これに対する関係各国べの申し入れは当然政府としてやらなければならない義務がありますけれども、その申し入ればすでにきのうきよう行なったかどうか、まだ行なっていないとすればいつどういうような内容をもって行うか、その二点だけを質問して私は今日は打ち切っておきます。
○森下政府委員 それは政府として行なっておりますから、そのこまかいことは経済局長をして答弁いたさせます。
○湯川政府委員 一つの御質問でありますココムで対中共貿易統制緩和をどう交渉しておるかという御質問に対しましては、ココムにおける日本代表部としましては絶えずこの点については努力しております。たとえば自由諸国全体の利益から考えられるということで、禁輸品の特認といったようなことも相当に活用していっておりますし、またいらいろな制限品目の定義というものの解釈をきめる際に、戦略性が乏しいといったものについては除外する、こういった努力は絶えずやっております。それとともにリストの大きな改訂ということは非常に大きな政策になりますので、ときどき開かれますいわゆるコンサルタティヴの会議、諮問委員会で方外を決定するわけでありますが、それにつきましては、その事前に主要国ともある程度意見を一致させた方がいいと思いまして、昨年度ワシントンにおける百米会談以来、CGの特に有力メンバーであるアメリカといろいろ話し合いをして日本の要望を伝えております。最近アメリカ大統領とイーデン英国首相との会談で、その共同声明によりますと、両国は中共における貿易統制が継続されるべきこと並びにこれが制限のワクについては、今後情勢の変化に応じ、自由世界の利益に最も役立つよう定期的検討を加えることに意見の一致を見た、こういうことがございますが、この定期的検討というのは、当然自由諸国関係問の会議、具体的に言えば、ココムあるいはCG、そういったところで行われるわけであります。その際にはわれわれの要望も妥当な考慮を加えられるものと期待しております。
○並木委員 原水爆の問題について……。
○森下政府委員 お答え申し上げます。この原水爆実験禁止の決議は、アメリカには在米大使を通じてアメリカの政府へこれを伝え、それからイギリスにはイギリスの西大使をしてこれを伝え、ソ連の方へは西大使が伝えるように本日電報を発しました。(「イギリスにいる人がソビエトにどうして伝えるのか」と呼ぶ者あり)イギリスのソ連大使から伝えてもらうことにしました。(「どういう申し入れをしたかということだ、院議無視だぞ、そういうことは「「院議の通り申し入れをやっている」と呼び、その他発言する者あり)院議の通りの申し入れであります。そういう決議のあったことを伝えようということを伝達いたしました。 〔「そういうことではいけないのだ よ」と呼び、その他発言する者あり〕
○前尾委員長 静粛に願います。
○並木委員 こういう決議のあったということを伝達するのじゃ、ただあれでしょう。この間の決議はもっと強いものなんです。重光外務大臣が、やめてもらいたいということは言えないのだということを国会で答弁しておるにもかかわらず、われわれは与党であってもなおかつああいう決議を提案したんです。実験を禁止してくれということなんですから、禁止はできないという外務大臣の答弁以前のものなんです。以前に戻って政府はもう一ペんそのことを……。
○森下政府委員 これを禁止してくれということはたびたび伝えております。
○前尾委員長 松本七郎君。
○並木委員 委員長、答弁を明らかにしてもらいたい。われわれも決議に参加しておるのですから、その決議に基いて政府としてはどういう内容の申し入れをするのか、あるいはしたのかということを私は聞いておる。それは明らかにできると思います。 〔「質問に対して明確にすべきであ る」と呼び、その他発言する者あ り〕
○前尾委員長 いやそうでなしに、あとで時間が幾らでもあるから、防衛庁長官の質問をできるだけ早くやってもらいたいんだ。だからその問題はあとで幾らでも取り上げればいいんです。
○森下政府委員 決議を伝達せよという決議であったのだから、それを伝達したのであります。 〔違います、もう一ぺん決議を読 んでみなさい、森下君も議員じゃ ないか、そんなでたらめがある か」と呼ぶ者あり〕
○並木委員 委員長、あとでやります。
○松本(七)委員 今の政務次官の答弁、は、重大な答弁ですよ。
○前尾委員長 これはきょうもう一ぺんやるから、防衛庁長官の質問を先にやってもらいたい。
○松本(七)委員 それはわかっておりますけれども、委員長にも聞いてもらいたい。国会でこういう重要な決議をして、それを実行する責任を政府は負っている。それをただ国会でこういう決議をしましたといって伝達するようなことでけ、政府の責任を果せませんよ。委員長も一緒になって政府のネジを巻くくらいのことはやってもらわなければならぬ。これは重大な問題ですから、あとでやりますけれども、さっきの並木さんの漁業問題に関連して、ちょっと御質問したい。 それはさっき並太さんの御質問の中で、何かソビエトの閣僚会議でもって禁止をきめたという話がありましたが、私の知る限りでは、禁止をきめたわけではないので、日本の漁業者が乱獲をやっている。従って何か適当な機関において処置をしたらどうかということを、閣僚会議で勧告をしているらしい。私はそれがほんとうだろうと思いますけれども、私が聞きたいのは、乱獲の事実なんです。これは実は日ソ交渉に関連して私は今までいろいろなことを聞かされておった。それは、日本の水産界では、一部には日ソ交渉が早く妥結して、漁業協定ができることを希望している向きもある、ところが中にはむしろこの漁業協定ができないで、日ソ交渉が長引いて、特に本年は漁獲期が過ぎるまで日ソ交渉が成立しないことを内心希望して、今のうちに乱獲して、とれるだけとれというような気持で、すでに船までふやして乱獲をやっておるということを私は聞いておった。そういうことをやっていると、日ソ交渉が妥結すればいいが、妥結しない場合に、下手をすると、ソビエトが今度は李承晩ラインのようなものを一方的にやってくることになって、またこれはソビエトと日本の間によけいな紛争を起さなければならぬことになるので、憂慮にたえないと思ってかねがね心配しておった。そこへきょうの外電でソビエトの閣僚会議でああいう勧告をやっているところを見ると、やはりこれはある程度日本の乱獲が実際行われているのではなかろうかということを心配する。この点どういうことでし参ようか。
○法眼政府委員 現在日本の漁業が乱獲しているということは承知いたしておりません。日本の根本的態度は、先ほど条約局長が説明いたしました通り、公正なものでありまして、さような観点から、ただいまの情報を詳しく事実を突きとめまして——あるいはロンドンにおきまして松本全権にマリクが何か言っているかもしれませんが、そういう点も含めて確かめまして、先ほど申し上げましたように、慎重に検討したいと思っております。現在の漁業は決して乱獲しているとは思いません。
○前尾委員長 岡田春夫君。
○岡田委員 船田さんにお伺いしたいのですが、その前にちょっと一点だけ。先ほどからだいぶ重大な問題が出ているので、原水爆禁止の国会の議決の問題に関連してあとで御質問があるようですから、これは私はこの場合に参おいては遠慮いたします。 日ソ交渉の領土問題について、先ほど森下政務次官と下田条約局長から御答弁があったのですが、私は先ほどのお話を伺っておって、これは国際法上の通念から見て、どうしても納得のできない点を条約局長も言っておられるが非常に不思議に思うのです。それはどういう点かというと、池田君から先ほど古い帝政ロシヤ時代における条約の問題が出された。これに基いてこれが生きているではないか。従って南千島の諸島は日本に所属すべきものである、こういうように解釈をすべきであるし、これについて日本の外務省がなぜ主張しないか、こういう点についての主張があった。これに対して先ほど森下政務次官は何か書いたものを読まれたわけでありますが、読まれているところを聞いていると、サンフランシスコ条約の第二条の(C)項に書いてある千島列島の中には、南千島が入っておらないのだ、こういうような解釈の規定を一貫して、外務省としてはとって主張しているのであるというように私は受け取った。そこで国際法の通念ということを申し上げたのだが、国際法の通念からいうと、戦争宣言が発布された場合においては、相手の国において従来取りきめられておったところの条約というものは、どのようになるかということについて、国際法上の通念の規定がある。一つの解釈をもってするならば、これは当然今まできめられておった条約というものは、全部破棄されるのであるという解釈が一つの解釈であります。(「冗談言うなと呼ぶ者あり)二つの解釈があるんだよ。一つの解釈はこれだと思う。第二の解釈は、その条約というものは戦争の済むまで一時効力を停止する、こういう形になるのだという通説がある。大体この二つであると私は解釈しておるのであるが、そうすると第二の解釈の説をとってみても、既存の条約というものは一時停止されておると理解しなければならない。そうして戦争が終結後においてこの問題をどうするかということが、平和条約によってきめられると理解しなければならないと思う。とするならば、日本のその当時の政府である吉田政府が、日本は戦争が終結したという立場に立って、その間においていろいろな事情があろうとも、サンフランシスコにおいて平和条約を結んだ。この平和条約において千島列島についての取扱いというものが、日本の国の立場として規定されているわけだ。そこで私の申し上げたいのは、もしこの平和条約において、従来の条約についての取扱いが規定されているものとするならば、この千島列島の領土の地域というものはどこどこであるということの解釈の規定が行われなければならないと思う。クーリールに南千島が入っているか入っていないかという問題を規定するのは、もし吉田政府の立場が日本の立場に立つものであるとするならば、平和条約のときに明らかに何らかの解釈規定が行われていなければならないと私は思う。とするならば南千島の二つの島が入っておらないということが、サンフランシスコ条約のときに吉田政府のもとにおいて、アメリカその他の国と何らかの交渉の行われた事実があるのかどうか。正式の議事録なりその他においてこのような規定が残されているかどうか、こういう点が一番この交渉の問題としては重安な問題になってくる。私はこの点についてまず伺いたいのだが、そういう交渉の経過があるかどうか、議事録にそういうものが残っているかどうか、こういう点をまず伺いたいし、残っておらないとするならば、日本がいかに主観的にそれを主張したとしても、日本の権利、権原を放棄したという、この平和条約の第二条(C)項によっては、千島列島のどの島をも返せということを日本の国から主張するという立場がないことだけは明らかであるし、主観的に日本の国民の感情をもって、ただ要求しますといったところで、これは国際法上通らないということを、先ほどから社会党の諸君も言っているわけだ。ただ感情的に何を返せ、かにを返せといっても、それは国際通念上通らないものは通らないのだ。そんなものはばかにされるだけですよ。ばかにされるようなことをやるような日本の外務省なら、おやめになった方がよかろうというのがわれわれの意思なんです。そういう点について、国際法の立場をはっきり守っていかなければならない。条約局長として、あるいは政務次官でもけっこうです、この点はどのようにお考えになるか、この点だけをまず領土問遜については伺っておきたいと思うのです。
○下田政府委員 岡田先生の法律論、私どもその大部分につきましては同感なんでございます。千島・樺太交換条約の効力も、日ソ平和条約でそういう政治的条約の運命を決する条項が入ると思います。現に交渉中の何にもそういう条項がございます。それでそれらの効力は、最終的には日ソ平和条約で規定されることになると思います。それまでの間、それじゃどういう意味を持つかということが私根本問題だと思うわけであります。その意味のいかんによっては仰せの通り日本はもう主張できないのかもしれません。しかし私どもの見解によれば十分主張できると信じておるわけであります。 第一は桑港条約の当事国の問題であります。これはソ連は桑港条約の当事国ではないという点から、桑港条約にいかに規定しておりましても、それが直ちに日ソ間には妥当しないという大前提がございます。それはそれといたしまして、もう一つ大きな点は、桑港条約の今の第二条の(C)の点でございますが、いろいろ桑港条約の主たる起草者たる米国政府その他に聞きまして、クーリールに限ってソ連に引き渡すという言葉を使っております。それが出ましたのはヤルタにおけるチャーチル、ルーズヴェルト、スターリンの三巨頭会談から起ったわけであります。三巨頭が一体ソ連にクーリールを引き渡すという場合において、どういう範囲の島のことであるかを三巨頭が認識しておったのであるかどうかという質問に対しましては、いや、実は三巨頭はそんなことはちっとも知らなかったという話でございます。クーリールに日舞、色丹が含まれるのであるか、あるいはクーリールに南千島が入るのであるかどうか。大体日本語の千島とクーリールという言葉とはちっとも一致するとは感じていないのでございます。偶然訳語にクーリールのことを千島と訳した条約もございますけれども、しかしこれは千島という言葉は、日本人が勝手に昔から使っていた言葉でございまして、クーリールという言葉もロシヤ人その他が勝手に使っておった言葉でありまして、クーリールと千島が一致するという見解は一つもないのであります。そこで一八七五年の条約あるいは五五年の条約を、それでは今日いかなる角度から取り上げるべきかというと、これは日ソ交渉において双方の主張を根拠づけるところの資料としての価値であると思うのであります。そうしますと、三巨頭の間にクーリールの範囲について、実に何も御存じないできめてしまったというのが実情なんであります。ですから、北海道の一部であった国後、歯舞、色丹等もクーリールの一部であると主張することができるかもしれません。しかし、そんなことはちっとも知らないで勝手に行われた。かつて日本の固有の領土であって、一度も外国の支配下になかった国後、択捉、それも取り上げることを主張しておったのかどうか、そんな明確な主張はちっともなかったということであります。そうでありといたしますと、歴史上直接の関係国たる日本とソ連が当事国となっております条約上の定義というものが、最も権威をもって現われてくるわけであります。日ソが直接の両当事国であって、先ほど申されましたように一八五五年条約では日ソ両国の境は択捉と得撫の間にするということになっておるのであります。さらに七五年の条約ではこれは千島・樺太交換条約、ロシヤ皇帝が日本に千島を譲渡するというときに、譲渡するというからには、自分のものであるから譲渡できるわけであります。ロシヤ側ではこの得撫以北の十八島を自分のものであると認めたからこそ、これを日本にやる、しかしそのかわり樺太はおれの方にやる。今日領土問題に直接の関連を持つ日ソ両国の過去の歴史上における条約上のデフィニションがそうであるとすれば、しかもそのデフィニション以外に三巨頭初め何ら明確な考えを持っていなかったとしますならば、この最もオーセンティックな条約上の規定を資料として今日の交渉上に取り上げるということは、私は、これは十分できることであり、またしなければならないことだと信じておるわけであります。
○岡田委員 今の問題にはその説明それ自体に非常に論理的な矛盾がある。なぜ論理的に矛盾があるかというと……。(「ないさ、ないさ」と呼ぶ者あり)ないかあるか言わなければわからない。 〔発言する者あり〕
○前尾委員長 静粛に願います。
○岡田委員 なぜあるかというと、あなた自身が言っておられることは、三首脳の話も出ているけれども、もしその三首脳の話が出ているとするならば、その面に関してはポツダム宣言に——今私の言おうとしていることは、この戦争が終結したということはポツダム宣言に基いて政争が終結したのである。だとするならば領土の問題、千島の問題に関してはソ同盟だけと交渉して解決のできる問題ではないはずだ。こういう立場をもし外務省がおとりになるとするならば、ソビエトだけに千島の所属の問題を交渉するのではなくて、ポツダム宣言に参加しておる連合諸国との交渉というものが行われなければならないと思う。だとするならば、サンフランシスコの平和条約のときにこの点についての何らかのそれを取りきめ得る機会があったわけなんですが、その機会を放棄しておいて、今ソビエトに対してのみこれを交渉するということ自体、外務省の立場として論理的な矛盾があると私は思う。こういう点からいっても、あなたの御説明だけでは私は承服ができないのです。この点についてはあとで重光さんが来たときに、もっとゆっくりいたします。 それからもう一つは、先ほど私の伺った点についても、その私の質問に対する論拠としては下田さんは言われたけれども、なぜ議事録にこれを載せなかったかという点については、お忘れになったのかどうか知らないが、私は御答弁がなかったように記憶をいたしておりますが、こういう点について私今ここでいろいろ聞いていると、船田さんの問題がおそくなるので、議事録にあるのかないのか、この一点だけを一つ伺っておきたいと思います。
○下田政府委員 その点は実はお答え申し上げるのを忘れたのでございますが、桑港条約の会議の当時、吉田全権は歯舞、色丹にも、国後、択捉にも触れておられます。しかしその吉田全権の主張というものは連合国側にその際取り上げられてはいなかったのであります。ということは拒否されたということではなくて、ポツダム宣言にいうところのちれらの決定なるそのデシジョンができなかったということであります。デシジョンはできなかったが、日本側の主張、言い分は吉田全権が言っておられ、これは桑港会議のオフィシャル・ミニッツにちゃんと記載されております。
○岡田委員 それでは吉田全権は、南千島すなわち択捉、国後は返してくれ、こういうことを正式に議事録に載るような形で述べている、こういうように今の御答弁を理解してよろしいのですか。それならば、今後この問題は重大ですから、その資料を提出していただきたいと思います。
○下田政府委員 その資料はアメリカでも市販にされておりまして入手し得るものでございますから、その部分をタイプいたしまして御提出いたしたいと思います。
○岡田委員 今度は船田さんに伺いますが、船田さんはお忙しいようですから、問題点だけ取り上げて参りますから、一つ簡明率直にお話をいただきたいと思います。 まず第一点は、この間の予算委員会、日にちは二月七日ですが、このときに総括質問として川上貫一君が質問に立って、重光外務大臣が答弁をいたしておりますが、これは軍事基地の問題です。日本の軍事基地というものは安保条約に基いてアメリカの使用する軍事基地ではないか、アメリカの軍事基地ではないのかということを川上君が質問したのに対して、重光外務大臣は、日本にある軍基地は日本の軍事基地でありますということを答えております。防衛庁長官として、たとえば立川にある、今砂川で問題になっているあの軍事基地は、日本だけの軍事基地であるのか、アメリカの軍事基地であるのか、この点は一体どのようにお考えになっているか、この点から伺っていきたいと思います。
○船田国務大臣 アメリカ軍が立川等の軍事基地を使っておることは、御承知の通り日米安保条約及び行政協定によってやっておるのでありまして、アメリカ軍の基地として使っておるものと考えております。
○岡田委員 今の御答弁を伺っておると、電光外務大臣の答弁と明らかに食い違っておるわけです。防衛庁長官は、安保条約に基いたアメリカ駐留軍の軍事基地である、こういうようにはっきりと答弁をされたのですが、それでは電光外務大臣の言っておる日本の軍事基地でありますということは、誤まりであると解釈してもよろしいですかどうですか。同じ閣内において二人の大臣が違った答弁をしていることになるのだが、それでもよろしいのですかどうですか。
○船田国務大臣 私の申し上げておるのは、先ほど御指摘になりました立川の基地等は、日米安保条約及び行政協定の規定によって、アメリカ駐留軍が使っておのであります。しかし日米安保条約の精神は、申すまでもなく共同防衛という責任を持っておるのでありますから、外務大臣の御答弁になられたことと、私は矛盾しておらないと思います。
○岡田委員 それでは伺いますが、共同防衛の観点に立って使っているのであるから、そうすると日本の軍事基地でもあるのだ、そういうように解釈してもかまわない、こういうように今あなたは御答弁になったおけですか。
○船田国務大臣 日本を防衛するための基地でございます。
○岡田委員 私の言っているのは、速記録を読んでもけっこうですが、重光外務大臣は日本の基地であると言っているのであるから、これはあなたが防衛するための基地であると言っておるのとは違うのであります。基地自体はだれのものであるかということをこれは言っておる。あなたが言っておるのは、日本の防衛のための基地である、こう言っておるだけであるので、そこにすりかえがあるわけですが、その点はどうですか。
○船田国務大臣 日本の防衛をするための基地であることは間違いありません。
○岡田委員 私はそんなこと間違いないことはわかってますよ。重光外務大臣が日本の基地であると言っている点は、あんたそれはそれでいいのかということを聞いておるのです。(「重光に聞いたらいい」と呼ぶ者あり)防衛上の問題だから防衛庁長官に聞いているんだよ。解釈が違えばあと重光外務大臣に聞くよ。 〔発言する者あり〕
○前尾委員長 静粛に願います。
○岡田委員 その点はどのようにお考えになるかということを伺っておるのです。
○船田国務大臣 同じことを繰り返すようでありますが、日本を防衛するための基地であります。
○岡田委員 それでは話を変えましょう。B57は原爆用の、原爆を搭載する飛行機であるとわれわれは解釈しますが、この点はどのようにお考えになりますか。
○船田国務大臣 私はさようには考えておりません。日本を防衛するためにアメリカ軍が持ってきておる飛行機でありまして、それを直ちに原爆を搭載する飛行機であるというふうには私は考えておりません。
○岡田委員 それではただいまの御答弁は、原爆を積まないものである、このように解釈してもいいという御答弁でありますか。
○船田国務大臣 原爆を持ち込むか持ち込まぬかという問題は、ただいまの問題とは別個のことでございまして、B57が必ず原爆を持ってくるものだというふうには私は考えておりません。
○岡田委員 別な問題であるというのはどういう問題か知りませんが、それは原爆を積まないのだということになるのですか、それでは積まないということを断定されますか。
○船田国務大臣 日本に原爆を持ってくる場合には、あらかじめ日本の了解なしには持って参りませんから、B57が日本に入ってきたから、それで原爆を積むというふうには私は考えておりません。
○岡田委員 原爆を積むことはできると私は思いますが、この点はいかがですか。
○船田国務大臣 原爆を積むことが可能であるとは考えられると思います。
○岡田委員 F86という飛行機が日本で作られております。ところがきょうの新聞によると、あなたの防衛庁の関係である上村とかいう航空幕僚長が、F86は原爆を十数個積むことができると言っておるのです。そうすると、日本の国内では原爆を積む飛行機を作りつつある、原爆戦争の準備をひそかにあなたの指揮のもとにおいて進めているのであると解釈しても間違いありませんか。
○船田国務大臣 ただいまお示しのようなことは絶対にございません。
○岡田委員 札幌において上村という航空幕僚長が、F86には原爆を十数個積むことができると発表しているじゃありませんか、あなたはそれを知らないのですか。
○船田国務大臣 私はさようなことを確認いたしており、ません。
○岡田委員 あなたはきょうの新聞を読まなかったのですか、新聞に出ているじゃありませんか。確認しているかどうかは知らないけれども、新聞で見たならば、あなたの部下においてこういうことを発表しているとするならば、お調べにならなかったのですか。もしあなたが御任じにならないと言うならば、上村航空幕僚長という人に来ていただこうじゃありませんか。はっきり言っていると書いてあるじゃありませんか、新聞がうそを書いたのですか。あなたは新聞をごらんになっていないのですか、きょうの読売新聞に出ております。この点はどうですか。
○船田国務大臣 新聞の記事については、私は責任を負いません。
○岡田委員 やはりあなたは自由党の出身だけあって、吉田さんと同じことをおっしゃる。古田さんと同じことをおっしゃるんだが、まだ吉田さんのように傲慢さはないようだから、大したことはないです。この点については、上村幕僚長に十分お調べになって、正式に御答弁を願いたいと思います。ないならない、あるならあるとはっきり次の機会において御答弁を願いたいということを要求いたしておきます。 そこでその次ですが、今月の十五日から十八日まで四日間にわたって、バンコック付近でSEATO加盟関係国が中心になって、陸海空軍の合同演習が行われるということが伝えられております。しかもこれについては、タイ国政府からSEATOの加盟国並びにアジア諸国に対して、この合同演習に参加するように招請状が出されたと伝えられております。日本の政府に対してもこの問題について何らかの招請状があったように伝えられておりますが、どういうような招請があったのか、この点を伺いたいと思います。
○船田国務大臣 さような通告は受けておりません。
○岡田委員 それではそういうような合同演習が行われるというようなことについて、何らかの正式な連絡がありましたか、どうですか。
○船田国務大臣 聞いておりません。
○岡田委員 そういう事実をあなたは新聞か何かで、何らかの方法ででも御存じありませんですか、どうですか。
○船田国務大臣 確認いたしておりません。
○岡田委員 確認してないにしても、あなたは全然御存じないのですか。
○船田国務大臣 存じておりません。
○岡田委員 全然知らないとおっしゃるのでは、あなた近ごろ新聞を見ないのですか。さっきも上村幕僚長のを知らないというのですが、SEATOのやつもずいぶん新聞に出ているのだが、あなたは近ごろ新聞を見ないことにしているのですか、全然知らぬのですか。あなたは防衛庁長官でしょう。防衛上問題で、日本の国内に、この前問題になったように、タイ国やフィリピンやその他のSEATO関係国の兵隊を、アメリカの軍事基地か何か知らないが、ともかく連れてきて訓練しているでしょう。そういうようなことにまでなっているのに、そういう関係に日本が従属国として置かれているのに、合同演習の問題について新聞であれほど麗々しく書いているのに、あなた御存じないのですか、それで防衛庁長官としての任務が果されますか、そういうことは知りませんで通りますか。
○船田国務大臣 SEATOの合同演習のことについては、私としては何らの通告を受けておりません。
○岡田委員 それではもしそういう事実があったらどうしますか、日本の政府としてこれをどうしますか。その場合には、合同演習に参加するのはオブザーバーとして出るかあるいは兵隊を出すか、どちらでもいいからやってもらいたいという招請状なんです。オブザーバーでもお出しになるというお考えがあるのじゃないですか。
○船田国務大臣 ただいまのところは、私といたしましてはさようなことを考えておりません。
○岡田委員 ところが防衛庁の中のめる課長は、そういう招請があったならば、海上幕僚長を派遣するようになるかもしれないと言っている。あなたの部下はこう言っている。あなた自身は下部のそういう課長に対して、そういうことを言わしておいてもいいのですか。そういうふうに派遣するかもしれないと言っているのですけれども、あなた自身はそれを知らないと言っている。全然知らないなら何とも解釈のしょうがないかもしれぬけれども、そういう点について下の課長はそう言っているのだが、あなたの場合どうですか。
○船田国務大臣 派遣するしないの最終決定は防衛庁長官がいたします。
○岡田委員 それでは最終的な決定権を持つあなたとして、たとえばそのような招請があった場合には、絶対にこれは出さない、これは兵隊のみならずオブザーバーとしても出さないと解釈してもよろしいかどうか。
○船田国務大臣 ただいまのところ私はさようには考えておりません。
○岡田委員 それでは今後そういう通達があった場合でも、あなたの場合にはオブザーバーとしてもお出しになる考えはない、このように考えてもよろしいのですどうですか。
○船田国務大臣 ただいまのところさような考えは持っておりません。
○岡田委員 重光外務大臣は去年の八月にアメリカへ参りました。そしてアメリカでダレスと共同声明を発表しました。その共同声明の中において、西太平洋地域における共同の防衛をはかるために云々ということで合意に達した、こう言っております。そしてまたこの間の本会議の重光外務大臣の外交政策の演説においても、日本とアメリカとは共同の防衛の立場に立ってアジアの安全を守る云々というようなことを言っています。そして今度のバンコックにおいて行われるこの合同演習というものは、SEATOの本部において発表する限りにおいて、アジアの防衛のために演習をやるのだというようなことが出されております。そうすると、従来鳩山内閣がとって参りましたアメリカに対して共同で防衛するということ、あるいはわれわれの考え方からいうならば、この防衛の仕方はアメリカ従属しつつ防衛させられるのだと私は考えているのだが、そういう考え方からいって、今度の問題に対してオブザーバーとしても出さないというような考え方は、アメリカからいずれあなたがしかられることになるのじゃありませんか、どうなんですか。
○船田国務大臣 日本が独立をいたしましても、今日の国際情勢に対処いたしまして、日本の独力をもって日本の安全を守る国土の防衛ということはできかねます。従って日米安保条約の規定によりまして、そして共同防衛の責任を持ってもらっておる、こういう実情になっておるわけであります。
○岡田委員 この間の予算委員会でやはりあなたが防衛六カ年計画に関連して答弁をされておりますが、防衛六カ年計画が完成するならば、アメリカの駐留軍は全部撤退するのではないかという質問に対して六カ年計画はできてもアメリカの駐留軍は撤退するとは限らない、このような答弁があったように私は記憶いたしておりますが、今の御答弁を伺っておりますと、日本の自衛力は現在のところ弱いからアメリカに防衛の援助を頼んでいる。あなたの言葉の通りにするならば、防衛力をどんどんと増加していって、六カ年計画を達成してもなおかつアメリカは婦らないのだとするならば、日本の防衛力の増強というものは何年計画でおやりにたるという考えでいるわけですか。六カ年計画以降にそういうアメリカ軍を完全に撤退させるというような計画を持っておられるのか、あるいはまた逆に言うと、アメリカの駐留軍には永久におってもらいたいからそういうような答弁をされるのであるか、その点について伺って参りたいと思います。
○船田国務大臣 先般予算委員会で御質問のありましたときに、私の答弁いたしましたことは、われわれ防衛の責任者といたしましては、一応長期防衛計画として六カ年計画というものを持っておる。これができ上りますれば外国駐留軍の撤退の基礎にはなる。しかしアメリカ駐留軍がそのときに必ず撤退するかどうかということは、日米の両国間の協定によって合意が成立した場合におきまして撤退するのでありまして防衛の六カ年計画が完成した暁に必ずしも撤退するものでない、それと見合って必ず撤退するかどうかということは、この場合においてはまだそこまではいっておらないということを申し上げたわけであります。
○岡田委員 この間の防衛分担金の共同声明を見ると、この問題についてはあとで重光外務大臣にいろいろ伺いますが、これは防衛庁長官にも関連があるから伺っておきたいのですけれども、防衛分担金を毎年逓減していく、そしてゼロになるまで減らす、そのゼロになるまで減らす方式を作っているわけです。そこで伺いたいのは、防衛分担金がゼロになったときには当然アメリカの駐留軍は全部撤退するときであると私は考えるのだが、その点はいかがでありますか。
○船田国務大臣 これも先ほど申し上げましたことと関連いたしますが、さような場合におきまして必ずしも撤退するとは限らぬと私は考えております。
○岡田委員 それはどういう意味ですか。安保条約並びに行政協定には、日本との共同防衛を行うためにアメリカの駐留軍が日本に置かれている。たしか行政協定の二十五条だったと思うが、それに基いて日本に駐留しているアメリカ軍の軍費をまかなうために日本が防衛分担金を払うのだ、こういうことを言っている。逆に言うならば、防衛分担金がセロになったときには日本に駐留している軍隊がないときであるとわれわれは考えざるを得ないのだが、あなたの御解釈をもってするならば、セロになってもアメリカの軍隊が日本にいるのだ、好き勝手にいるらしいのだ、いやアメリカの本心はもっといたいのでしょう。永久にいたいでしょう。日本を永久に従属国として支配したいのでしょう。そういう考え方をあなたは認めるという意味でお話になっているのかどうかということを言っているのです。
○船田国務大臣 私はアメリカの従属国に日本がなっておるというふうには考えておりません。日米安保条約の規定によりましても、日本の防衛のために日本とアメリカとが協力して共同の責任を持っておる、こういうことでありまして、ただいまお示しのような、わが方の防衛力が漸増して参りますれば、アメリカ駐留軍の撤退の基礎はできてくる、かように考えておりまして、私どもといたしましては、アメリカ駐留軍が撤退することができるように、日本の防衛体制を日本の国力、国情に沿うて整えていきたい、かように考えておるわけであります。
○岡田委員 前段の点についてお答えがないのです。すなわちアメリカの駐留軍が日本に駐留している間の経費を共同で分担する、従ってこれは二十五条並びにそれに基いての交換公文か議定書だったと思うのだが、それに基いて当然それに伴う経費を支払うことになる、それに伴う経費がゼロになっているのにアメリカの駐留軍が依然としている、そういうことがあるのだということは一体どういう根拠からお話になるのです。その根拠をお示しいただきたい。
○船田国務大臣 行政協定の規定から考えましても、ただいま私の答弁いたしましたことは矛盾しておらぬと存じます。
○岡田委員 どうしてですか。矛盾しておらぬというならどうして矛盾しておらぬということを言わなければ、矛盾しておらぬというなら私だってそれは違うと言って、あなたと同じですよ。理由をはっき言って下さい。
○下田政府委員 行政協定の解釈問題になりますので……。
○岡田委員 防衛庁の問題だから外務省から聞くわけにいかない。
○下田政府委員 行政協定の解決問題といたしまして、解釈だけの点を申し上げまして、あと防衛庁長官からお答えになると思います。 なるほど行政協定の二十五条には分担金は毎年定期的に再検討してきめることになっております。そこで本年度の会談においていわゆる一般方式なるものができました。そして数年後には仰せの通り分担金というものはゼロになるということになります。しかしこれは実はアメリカの譲歩を物語るものでありまして、行政協定によりますと米軍による物資、役務の調達のために必要な金を日本が供給するということであります。ですから米軍がいなくなれば物資、役務の調達ということも起らないのでありますから、そのための金も要らなくなるということは、言えるのですが、しかしその逆は真なりではないのでありまして、分担金がなくなれば米軍がいなくなるということはロジックとして起って参りません。つまり米軍がいて物資、役務の調達が必要でありながら、なおかつ米軍はその金を要りませんという譲歩を今度はいたしたわけなのであります。その譲歩が何年に来るかということは、日本側の防衛関係費の増額いかんによると思います。 〔「譲歩じゃない、実際に分担金が 減っている、負担すべきものが 減っているじゃないか、何が譲歩 だ。」と呼ぶ者あり〕
○前尾委員長 静粛に願います。
○岡田委員 それは論理的な言葉をもつてすれば下田さんの言う通りになるでしよう。しかし現実にはそうではない。共同声明の問題は重光さんが来てから私やろうと思っておったのだが、ちょっと触れますけれども、日本の防衛のために均等に分担する云々ということがあるが、現実にはあれは均等じやない。なぜならば、この点を防衛庁長官にもう一つ伺いますが、防衛分担金についてはアメリカから詳細なる支出の内容についての報告が今まで行われているかどうか、この点を伺っておきたい。
○船田国務大臣 ただいまの御質問のことは、大蔵省の所管になっておりますが、私は詳細承知しておりません。
○岡田委員 しかし防衛庁長官は防備問題は関連があるのだから、そういう点は御存じなければ困るのです。それ、は大蔵省の方で、おれは知らないとおっしやるなら私は言いますが、防衛分担金の支出内容については報告がないのです。詳細な内容について報告がなくて日本に駐留軍の軍隊が何ぼいるかということをあなたは詳細おわかりにならない。数字は知っているけれども、きのうの予算委員会でどうですか、軍艦の名前をお言いなさいと言ったら、あなたは言えなかったじゃないか、秘密だから言わないのではなくて言えないのでしょう。内容についてわかっておらない。とするならば、アメリカの駐留軍が日本になんぼいるのかわからないでしょう。百人か、一千人か、一万人いるかわからないでしょう。均等であるなどということを共同声明で言っているけれども、実際は日本にアメリカの駐留軍がなんぼいるかわからない。それに従って日本では出すだけのものは出しているけれども、アメリカからは人数が少くなったから、日本で出した分の残りを出すのだから必ずしも均等であるとは言えない。私は大体わかっている。不均等です。かつて行政協定がきめられたときにおったアメリカの駐留軍と現在のとを比較して、その当時出された防衛分担金と現在の防衛分担金の支出とを比較して、それによって計算をするならば、当然アメリカの支出は非常に少くなっているはずだ。(「百億切れるんだ」と呼ぶ者あり)今百億を切れると言っておられる通りに、日本の方が百億を切らしてしか出す必要がないにもかかわらず三百億の支出をしている。とするならば、差引二百億というものはアメリカが出さなくていいことになる。こういう点で不均等じゃありませんか。しかも防衛庁長官ともあろう者が、アメリカの軍隊の内容については全然おわかりにならない。防衛分担金の内容についても、大蔵省の所管であるなどと言っておわかりにならない。それで共同の防衛でございます、と先ほどから言っている。共同の防衛じゃないですよ。アメリカのため日本の防衛に協力させられているのですよ。それでもあなたは共同の防衛だとおっしゃるのですか。その点についていかにお考えになりますか。
○船田国務大臣 日本とアメリカとは日米安保条約の規定によりまして共同の防衛の責任を待ち、共同の防衛をやっておるのであります。私はさように考えております。
○岡田委員 レコードに吹き込んだように同じようなことを何度繰り返しても同じですよ。そういう精神的な、共同でやりますなんというのではなくして、今言った具体的な内容に基いて、こうであるから共同で防衛しているのだ、こうであるから共同に均等に分担し合っているのだ、こういう論拠について具体的に御答弁を願いたいのです。
○千葉政府委員 ただいまの岡田議員の御質問の二点を明らかにしたいと思います。 防衛分担金の関係で、何か防衛費を均分に負担するかのごときお話がございましたけれども、共同声明をよくごらんいただけばおわかりになると思いますが、今後の防衛庁予算と施設費の増加額について、その増加分を均等負担するということを申しておるだけでありまして、防衛費の全体について日米間の負担が均等であるとかないとかいうことは共同声明の中で触れておりません。 第二は、分担金の米軍に交付しました交付金の経理につきましては、これは私も詳しくは存じませんので大蔵省の者にお確かめ願いたいと思いますけれども、毎月米軍側から大蔵省に報告が提出されておるように承知しております。
○岡田委員 少し角度を変えて伺いますが、最近盛んに台湾海峡の問題について緊張が伝えられております。去年も春先にはだいぶこういう危険の問題が伝えられており、事実戦闘状態もあったわけですが、それに関連して去年は海外派兵の問題が表面には出なかったがいろいろと伝えられました。台湾の海峡でこのような危機の事態が、もしかが一去年のような戦闘の状態あるいは拡大されたような状態になった場合に、アメリカから日本の自衛隊を派遣しろということを強要されて海外派兵をしなければならないような、そういう危険があるような感じがするのだが、こういう場合についてはどのように対処されるのか、台湾海峡のこの危険の状態についてどのように判断をされておるか、この点について伺いたいと思います。
○船田国務大臣 台湾海峡の問題につきましては、むしろ外務省当局から詳細に御説明を願った方がいいと思いますが、海外派兵のことは全然考えておりません。
○岡田委員 いろいろまだ伺いたいのですがこれは外交関係に関連いたして参りますので防衛庁に関係する分はいずれまたあとで伺いたいと思います。 共同声明の内容について私、伺いたいと思いましたけれども、外務大臣が出ておられないのでこれはあとでやりたいと思います。
○前尾委員長 菊池義郎君。
○菊池委員 外務当局にちょつと伺いたいと思います。松木全権の最近の交渉のしぶりはわれわれの満足するところでございますが、日ソ交渉に当りまして日本が国際連合に加盟することをソ連が支持するということを条文の中にわれわれ、入れてもらいたいのでありますが、外務当局はそのようなことについてどうお考えになっておりま すか。
○法眼政府委員 再開後の交渉におきましてはまだ話がそこまで進んでおりませんけれども、御承知のように日本が国連に加入する場合においては、ソ連がこれをあらゆる場合に支持するということを条文の中に入れることを日本が強く要求しているわけでございます。
○菊池委員 政務次官でも、アジア局長でもどなたでもけっこうですが、フィリピンの賠償案の民間の借款二億五千万ドルはどういう会社がこれを貸し出すのでありますか、もし差しつかえなければ、その会社の名前を知らせていただきたいと思うのであります。
○中川(融)政府委員 フィリピン賠償で先方から提案しております案のうちに、二億五千万ドルを民間の借款で出してもらいたいというような意味のことがあるわけであります。これは民間の純然たる経済ベースに立った借款であるということがはっきりしておるのでありますが、具体的内容についてはまだ全然話はしておりません。従って何ら予定したものはないのでありましてどの会社がどう出るというようなことはまだ話がきまっておりません。また民間借款というものは現在でも日比間に経済提携と申しますか借款が行われておるのでありまして、大体そういう形のものになることははっきりいたしております。 その形の一例を申し上げますと、現在日本はフィリピンから相当鉄鉱石を買っておりますが、この鉄鉱石をフィリピンで開発するために機械その他の設備が要る、その機械設備等に必要な資金を日本の鉄鉱輸入業者が集まりましてフィリピンの鉱山会社に貸す、その貸金を結局何年かに返すわけであります。その返す方法としては日本で輸入する鉄鉱石の価格からその分だけ引きまして、一般市価よりは安く鉄鉱石を輸入する、その方法によって何年間かにこれを回収するという方法をとっております。大体こういう方法が今後の日比間の経済提携の一つの典型的な例になるだろうと考えております。
○菊池委員 民間の借款を政府が保証せず、また条文にもそれを書き入れないというようなことで、先方が承知する見通しが大体ついておりますかどうですか。
○中川(融)政府委員 現在まだ交渉中でありますので、はっきりしたことを申し上げるわけにいかないのでありますが、この民間借款という構想が、政府の保証というような観念を伴っていないということははっきりしておるのであります。
○菊池委員 政府の考えているような額でもって、フィリピンとの賠償が進んだといたしまして、インドネシアであるとかビルマであるとか、そういう国々がさらにこれにならって——インドネシアのごときはフィリピンと同額でなければならぬということをしきりに言っておる、日本からそれだけ取るうというかたい決意を持っているということでありますが、それについての所信をちょっと伺いたいと思います。
○中川(融)政府委員 インドネシア側との賠償の話は相当長くしておるのでありますが、まだ具体的な形にまとまるまでに至っておりません。その一つの理由といたしましては、インドネシア側における政情等も、まだ選挙後の新しい政府ができていないというようなこともあり、また日比間の賠償というものがまだ懸案になっておるというようなことから、インドねシアとの話がまだ具体的にはなかなか進まないのでありますが、インドネシア側がフィリピンと同じ額を要求しておるというような事実は今のとこるないのであります。これはいろいろの推測としてそういう説もありますが、まだはっきりそういう話を聞いておるわけはないのであります。インドネシアとの賠償は、もちろんほかの賠償国の賠償と関係がないと言えませんが、おのずからこれは別個の問題として交渉され、また解決される問題であります。政府としては公正妥当な額、方式によってインドネシアとの賠償を解決したいと思っております。なおビルマとの賠償はすでに一昨年解決をしておるのであります。日・ビルマ条約の中で、ほかの求償国全部との賠償へ全部片づいた際には、ビルマ側の平等の原則という要求についてもう一ぺん日本が再検討するという規定があることは事実でありますが、いずれにせよこれは将来の問題であり、また必ずほかの国がふえればそれだけふやすという趣旨の規定ではないのでありましてそのときの状況に応じまして、これまた公正妥当な処置をしたい、かように考えております。
○菊池委員 それからこれは宇佐美長官に伺います。長官に畑違いのようなところへお越し願ってまことに申しわけございませんが、最近皇太子殿下の結婚がしきりと世間に喧伝せられて、ことしか来年、こういうふうに世間では考えておる。ところが世界各国の皇太子、皇子の結婚年齢を調べてみますと、野蛮国になるに従って年令が若い、それから文明国になるに従ってみな年が多いのでございます。二十二、三ぐらいで結婚するということになりますと、またそういううわさが喧伝せられるだけでも、いかにも日本国が野蛮国のような印象を世界に与えて、まことにわれわれは苦しいのであります。それで、なるべくは皇太子の結婚は延ばして、国民と艱難苦労を共にするという意味において、日本の若者が二十七、八才、三十才、あるいは四十才——四十才は若者じゃございませんが、(笑声)結婚年令がおそければおそいように、それに準じて皇太子の結婚年令もなるべく引き延ばしてもらいたい。何しろ今回の敗戦の最高の責任者は日本の陛下である。その家に生まれた皇子でありますから、陛下も十二分に御配慮を願いまして、結婚年令はなるべく国民の結婚年令に準ずるという、しかも世界の皇子の結婚年令に従うというくらいに考えていただきたいと思うのでございます。英国の前の皇太子のごときは四十才で初めて結婚した。現在のエリザベス女王、これは婦人でいらっしゃいますから早く結婚されたでありましょうが、その御主人のエジンバラ公も二十六才、それからどこを見ましても、最低二十六才あるいは二十七、八才、三十才、三十七才、あるいは四十才というようなところが文明国には多いのです。いつごろ御結婚なさるお見通しでございますか。それをちょっと伺いたいと思います。
○宇佐美政府委員 数年前から皇太子殿下の御結婚につきまして、報道機関がいろいろ報道いたしておりますけれども、当局といたしましてはまだ何ら具体的な問題はございません。今後の問題でございます。年令の問題について御意見がございましたが、普通の常識から考えて措置していっていいじやないか。年令の問題以外の問題もあろうかと思いますので、常識的に進めるのが一番よろしいと考えます。
○菊池委員 皇太子殿下は就職の心配がないとかなんとかいうことがありますが、日本には七百万の失業者がございます。ことに皇太子殿下はまだ御修養中でございますから、三年や五年くらい引き延ばしたからといって少しも差しつかえないと私は考えておるのであります。それで、できることでありますならば、宮内庁長官といたしましては、陛下の側近にはべつて、そしていかなることでも陛下に進言し得る自由な立場に置かれておるのでありますから、その自由な立場を百パーセントに活用せられて、十分に陛下に直言せられて、何才までは結婚しないのだというようなことを今から公表せられて、ああいったような新聞記事の出ないような——ことしにも来年にも結婚するような印象を国民に与えないようにしていただきたいのがわれわれ議員の要望でございますけれども、これに対して御意見を伺いたい。
○宇佐美政府委員 ただいま申し上げました通りに、御結婚の問題は具体的に何ら進んだことはございませんにもかかわりませず、いろいろな報道その他が騒ぎ立てますことでいろいろ迷惑の起っておる事実もございま心して、われわれとしてもはなはだ困っておることでございます。ただ年齢のお話が重ねてございましたが、将来の問題でございますので、参考としてよく同っておきたいと思います。
○菊池委員 今では二年とか三年とか四年とか数年後でなければ結婚はしないというようなことを陛下からでもちょっと漏らされれば、新聞はああいうことを書き立てないのです。そうでないと、今にも結婚するかのように必ず考えるのです。就職の心配がないということは、われわれ国民にとりましてははなはだおもしろくないと考えておるのであります。そういうことを進言せられるくらいの勇気も信念もないようでは、長官としてわれわれさっぱり頼もしいと思われないのでありますが、もう一ぺん長官の御信念を承わりたいと思います。
○宇佐美政府委員 むろんわれわれの間におきましても結婚というものは縁のものでございまして、そういつまでどうということをきめてかかれるわけにもいかない点があろうと思います。この点を御推察いただきたいと思います。ただ皇太子殿下の御立場では、御結婚前であろうと御結婚後でございましょうと、国民のためにお働きになることについて一向差異があろうとは考えておりません。
○菊池委員 それから近ごろ、敗戦後にどうも皇族に対するおもしろくない取りざたが、ちょいちょいわれわれの耳に入ります。それから皇族から臣籍に降下された方々のことについても、ずいぶんいろいろなことが報道されて、まことにおもしろくないのでありますが、こういう点につきましても、どうか長官は輔弼に自由な立場におられる以上、十二分に陛下に進言していただきたい、これを希望いたしまして私の質問を終ります。
○前尾委員長 穗積七郎君。
○穗積委員 きょうは時間もありませんから、一点緊急な質問を政務次官にお尋ねしたいが、今北鮮に、日本の赤十字社の代表として葛西氏が平壌へ行っておられるのです。そこで向うにおります日本人の引揚げ問題を今交渉しているわけですが、そのときに予想せられますことは、日本におります朝鮮人、大村収容所その他在留民ですが、これらの諸君のそれぞれ希望する本国への帰国問題が出ることは当然予想されておったわけですが、そのときに外務省当局は葛西団長に対して、在日朝鮮人の帰国問題については話し合いをしてはいけないという指示をお与えになりましたかどうか、それを第一に伺っておきたい。その指示の形式は、あるいは公式な指示であっても、あるいは外務省の内意を伝えるような指示であっても、両方含んでおるわけですが、そのいずれかをお与えになったかどうか、第一にお尋ねいたします。
○森下政府委員 この問題は御承知のように、韓国ときわめて微妙な関係がありますので、韓国の問題を片づけないで、向うでその問題を取り上げてはやらないようにということを申してやってあります。
○穗積委員 ちょっとあいまいでございますが、そうすると、そういう在日朝鮮人の帰国問題は、話してはいけないということをおっしゃったわけですか。
○中川(融)政府委員 日赤の代表団が北鮮へ参ります前に、われわれ政府当局の意向を聞きたいということで来られたわけであります。つまり百赤代表としては、向うへ行ってどんな話をしても、もしそれが婦って来て政府の関係で実施できないような事態になると、これはかえって責任上困ることになるから、政府のとり得る限度は一体どういうところかというような御相談があったのでありまして、その際、ただいま政務次官の御説明になられましたように、もし日本におる朝鮮人の人々を北鮮へ帰すという問題が取り上げられるということになると、これは対韓国との関係で、今実施は困難であるという事情をお話したのであります。その結果日赤の方針として、今度の平壌会議では、日本にある朝鮮人の帰国問題あるいはこれの待遇問題といいますか、そういう問題については話すことはできないということを、これは日赤の代表団が向うに行く前に、出発する前に向うと十分打ち合せて、向うはそういうことは議題とするつもりはない、もつぱら在北鮮日本人の帰国問題だけを議題とするのだということを、はっきり電報でいってきておるのでありまして、その了解に基いて出発したのが一経緯であります。
○穗積委員 それではちょっと順序によってお尋ねしますが、北鮮におります日本人を帰国せしめることについて——これは政府間の話ではございません、両国の赤十字社間の話でございますが、そのときに、日本の赤十字社の責任において、または日本赤十字社が万国赤十字社に要請をしてその責任において、いずれを問わず、日本政府とは限りません、赤十字社間の話し合いでございますが、日本の赤十字社といたしましては、向うの赤十字社のあっせんによって、向うにおる日本人を帰国をさしてもらいたいという要請があったときに、それはそれで協力いたしましょうという態度を向うが示した。そうして続いて、それとは条件は別問題として、日本にいる朝鮮人の帰国問題について、日本の赤十字社がその実現に協力してもらいたいということをいわれたときに、そのことを話すことは当然ではございませんでしょうか。そういうことに対して外務省が一一指図をされる、または因るということを言われるべき理由は実はないと思うのであって、たとえば日本におる朝鮮人の帰国を日本政府の責任においてやってもらいたいという要請が、向うの赤十字社または政府からあったときには、日本政府としては、全部日本の責任で、日本の国費をもって送り返すということまではできがたいということを言われるのはけっこうでしょう、そこまで約束されては困る、責任は持てないということを言われるのはけつこうだと思うが、日本赤十字社の責任において、その帰国を実現するように努力を要請されたときに、それまでも——そういう問題に触れることをお差しとめになったのでございましょうかどうか。
○中川(融)政府委員 今平壌でやっております交渉は、御指摘の通り両赤十字社間の交渉であります。日本政府当局は、日本の赤十字社から、日本政府の方針なり、日本政府が許し得る限度と、今とり得る措置の限度を聞かれましたので、限度はこう考えておるということを話したのでありまして、その日本政府の意向を参考として、赤十字社はその方針をきめたと了解しております。もちろんわが赤十字社が平壌におきまして、向うの赤十字社との間に在日朝鮮人の問題を付議することは自由であります。討議されました結果、何らかの、たとえばこういうことをする、ああいうことをやるというようなことをきめて帰られました場合に、それが政府の方針と食い違っておれば、実施できないという結果になるのはやむを得ないところであります。日赤自体の行動を政府が制肘する、あるいはこれを拘束する、あるいは指揮をするというような考えはないのでございます。
○穗積委員 実は昨夜平壌を発しました電報が、けさただいまわれわれの手元へ入手いたしました。それは必要があれば名前を申し上げますが、今度葛西団長とともに引き揚げ問題について交渉に行った団員の一人から電報が来たわけです。ですからこれは無責任な電報ではなく、また新聞報道ではございません。それによりますと、十日の正午の両赤十字社代表間の話し合いの会議において、葛西団長から、われわれのここで議すべきことは日本人の引き揚げ問題に限定されてきた。そこで在日朝鮮人の問題は実はこの会議で話すことができないということを言われた。それに対して向うからは、私の方も在鮮の日本人の帰国に協力する以上は、あなたの方も一つ在日朝鮮人帰国問題について、人道上の立場からぜひとも協力してもらいたいという話し合い、申し入れが実はあったのですが、それに対して日本側の赤十字社代表は、政府からそういうことを話すことを承認されてこなかったから議題とすることを拒否したということで、実はこの話し合いが人道上の立場でわれわれはこれを促進することを希望しておったわけですが、それが頓挫したままで、実は決裂まではいきませんが、壁にぶつかっておるという報告がただいま手に入ったわけです。そうしますと葛西団長は、赤十字社としてはそういう話はしてもいいのだが、日本政府がそういうことを話してはいけない、話すことを了承するわけにはいかぬと言われたからという、つまり責任を日本政府に転嫁しておるわけです。これはちょっと違った発言になりますれ。今葛西団長が言うのは、おそらくは立つ前に、今局長が言われましたような、事前に政府の意向を、政府のでき得ることを聞いたわけであって、政府に実はこう言っておるが、われわれとしてはできるだけこういうふうに努力したい。ですから当然相互関係でございますから、両国の欲する帰国問題を促進するような話し合いをすべきことは理の当然だと思うが、局長のお考え、または外務政務次官のお考えをこの際伺っておきたいと思うのです。
○中川(融)政府委員 私はその団員の方から来た電報というものをまだ承知しておりませんが、葛西団長がもしそういうことを言われたとしたら、それはまん中を少し省略して言われたので、そういうことになったのだと思います。要するに、政府がそういうことを許さないとかいう意味ではないのでありまして、政府の意向、政府の方針を参考とした日本赤十字社の訓令がそういう訓令になっていたのでありまして、日本赤十字社の現在の態度も、私の承知しているところでは、最初の訓令を変えていないと聞いております。従って葛西団長は、日本赤十字本社から訓令を受けてやっておるのでありまして、その訓令に従わなければならないから、そういう申し入れには応ぜられないということを言ったのであろうと思います。なお北鮮側の主張が公正妥当ではないかという御意見でございましたが、そのこと自体を今取り上げてみれば、これは相互主義ということでもっとものようでありますが、先ほど申しましたような本件の経緯から申しますと、先方は日本人をぜひ帰したい、その条件を相談したいということで話が始まつたのでありまして、日本におる朝鮮人の帰国問題、待遇問題等は初めから話が出ていないのでありまして、別の問題としてそういう要望を言ってきたことはありますが、本件はあくまでも日本人の引き揚げ問題に限るという了解で、その点は葛西団長の出発前に十分に打ち合せ、確かめた上で出ておるのでありまして、今この段階になって、代表団が向うへ行って、この問題を急に提起されて、しかも一種の条件のように出されるという事態そのものは、事の経過から見ると、私ども、外から見ております者にとっても意外な感を抱くのであります。
○穗積委員 実はこの問題については、政務次官並びに局長も非常に人道的な立場で理解と協力を惜しまないという態度をとっていただいたことについては、われわれ両国の友好関係を促進するという立場、また問題を解決するという立場から非常に感謝いたしております。ところで今の問題でございますが、私は、立ちます前の日本赤十字社と北鮮赤十字社との間の議題の打ち合せの経過は存じません。存じませんが、私の申したのは、日本人を帰すための条件として、在日朝鮮人を帰すということを条件として要求している、すなわち在日朝鮮人を帰さなければ日本人は帰さないということを言っているわけでは必ずしもございません。そういうふうな意味におとりになると、これは誤解でございますから、はっきり申し上げておきますが、そういうことはこの電報には何も書いてございません。おそらくは別個の問題として提案された。なるほど議題としては在鮮日本人の帰国問題を討議しようということで行かれてもけっこうです。そうしていろいろ話している間に、在日朝鮮人の帰国を一つ促進をしてもらいたいということに対して、これはわれわれとしてはぜひやるべきだと考える。この会議並びに議題の事前の打ち合せの経過を私は言っておるのではありませんよ。もっと大きな立場で、在日朝鮮人六十万ないし七十万の問題というのは、これは御承知の通り、いろいろな意味を持っておるのでございます。そこでわれわれとしては、人道問題としても、わが国の利益からいきましても、帰ってもらうようにできるだけの努力をすることは理の当然だというふうに思いますし、のみならず、今局長のお言葉の中に、韓国との関係ということがありましたが、これは政府の外交上の問題でございまして、赤十字礼はそういうことにとらわるべきものではないと私は思います。だからこそ赤十字がやる。かりに政府がおやりになっても、こういう問題は思想、外交の問題等を超越いたしました人道上の立場で取扱うべきものでございますが、ややともすると、今局長の言葉の中に出たように、外交的ないろいろ梅雑な関係が生じ、誤解を招くおそれもあるから、誤解をまず避けるためには、純人道的な立場に立って各国の赤十字社間で話し合いをすることが妥当であるという了解のもとに、日中関係にいたしましても、日鮮関係の問題にいたしましても、そういうことから実は始まっておるわけです。ですからそういう立場に立って、日本の利益からいきましても、人道的な立場からいっても、当然在日朝鮮人の帰国問題は、早く促進すべきだというふうに考えるわれわれの立場から見ますならば、そういう問題は事前の打ち合せの議題の中には必ずしもなかったが、または条件として言い出しておるわけではないが、そういうことが出て、それを日本赤十字礼の諸君が話すことは決して不当ではないし、また外務省はそれをとめる[どの意思を持つべきではないと思いますが、そういうふうに理解して間違いはございませんね。念のためにちょっと伺っておきます。
○中川(融)政府委員 外務省といたしましては、日赤からいるいろ意見を求められれば、その意見は申します。しかし日赤自体の意思決定を拘束するとか、あるいはこれに対して制肘を加えるという考えは持っておりません。
○穗積委員 日赤から意見を求められれば、それに対して意見を言うということですが、それはあくまで、局長が最初に答弁なすったように、政府にこの問題の実行を求められれば、この範囲のことしかできないということを言うべきであって、日赤としてはこうすべきだ、ああすべきだと言うべきではなく、こうだと思うという参考意見でも、命令でもない内意程度のものでもよろしゅうございます、そういう意味でも、日赤の意思決定に対して参考になる、政府のでき得る限りの具体的な事情を御説明になればよいのであって、日赤の意思決定に対してこれに何らかの影響を与えるような意思表示はすべきではない。これを促進するためならよろしゅうございますが、むしろこの問題の促進をチェックするような影響を与えるような意思表示をすべきではないとわれわれは考えますが、そういうふうに理解してよるしゅうございますね。
○中川(融)政府委員 お説の通りであります。しかし日赤からもしもほんとうに非公式に、日赤としてはどうやろうか、今迷っているのだが、一体あなたの個人的な意見はどうかということを聞かれろような場合には、それまで拒否するわけにはいかないのでありまして、いるいろ言うことはありますが、それは全く非公式な個人的な見解でありまして、何ら政府を代表して言うような趣旨のものではございません。政府を代表して言う場合は、政府のなし得る限度というものを参考に言うだけのことでございます。
○穗積委員 よくわかりました。最後に政務次官に政府を代表して一つお答えをいただきたい。今の局長のお話は、私の理解に対して、その通りでよいと思う、ただし私個人としてはまたは非公式には参考意見を言うことはあろうと思うが、政府としては政府のなし得に限界において言うだけのことであって、それ以上のことは言わないつもりだということでございますが、そのただいまの局長の、政府の態度に対する御答弁はその通りと理解してよろしゅうございますね。間違いございませんか。
○森下政府委員 その通りでございます。
○岡田委員 ちょっと今の点関連してもう一つ伺っておきたいのですが、大体日赤並びに向うの赤十字社とお互いにこの交渉をさせるということは人道問題として扱うのだ、こういう観点に立って話が出ていたのだと思う。そうすると人道問題の点でやるとするならは、その中に外交上の問題をかりそめにも関連させて話をさせてはいけないと思います。従って人道問題ならば、向うの方は日本の人を帰してくれるというならば人道問題として在日朝鮮人を帰すという話になってくるのが当然のことだと思う。そういう問題について話をさせることについて個人的に外務省に話があるとするならば、人道問題に関してその機関になっているとこるの日本赤十字社に対しては、人道問題としてはどんどんおやりなさい、こういうことを言ってやるのがほんとうであって、李承晩の関係がどうのこうのということを個人的にお話しになるとするならば、これは本来赤十字社が持っている人道問題に対する仕事に対して、外交問題としてこれを関連させて押えつけるという結果になると私は思うのであります。外交問題は外務省で外交問題としておやりになったらよるしいと思うのであります。人道問題の見地に立ってやるならば、相互にそれぞれの国にいるとこるの相手の国の人々を帰し合うのが当然であると思うし、その話し合いをするのが当然であろと思う。李承晩がそれに対して阻害するというのは、これは李承晩が悪い。李承晩が人道問題と外交問題を一緒にこんがらがらせて、そうしてそういうようなじゃまをしようとしている点が悪いのであるから、こういう点をはっきり区別して、外務省としては処理をされることが私は望ましいと思う。そういう点が、何か先ほどから局長の話を伺っていると関連があるがごとく、なきがごとく、個人的にはいろいろ言うが、表面的にはどうも言えないとか、あるいはまた李承晩の問題もあるから云々というような話では、これは私はいけないと思う。こういう点をもう一度はっきりお話をしてもらいたいと思うのであります。
○中川(融)政府委員 日本赤十字社のすることが、全く純粋に人道的見地に立ってすべきであって、これに政治的な、あるいは外交的な見地を考慮に入れるべきしでないという点は、私全然同感であります。また日本赤十字社でも、その精神にのっとって今まで行動していることを私よく知っております。問題はしかし人道的な見地に立ってやるのでありましても、結果が実現するということをやはり日本赤十字社としては考えなければならないのでありまして、もしも人道的な主義を固執する余り、結局実現できない、たとえば北鮮の日本人も帰せないということになっては困るということで、赤十字社としてもいろいろ苦慮しておるところであります。この問題は政治上の問題とからますという意味ではなく、純粋に人道的な問題をいかに効果的に実現するかという方法論の問題として、日赤は苦慮しておるところであります。なおこれは日本としては、北鮮にいる日本人をできるだけ早く帰してもらいたいというのが第一の関心事になるわけでありますが、北鮮からいえば日本にいる北鮮系の朝鮮人を帰してもらいたい、または処遇を改善してもらいたい、これがまた向うの関心事となること、これも了解できるのであります。日赤自体もこの問題については非常に考えております。しかし同時に、この問題も何とか現実に実施できるような方法にしたいというのが日赤の考えでありまして、そういう両方の考慮から見まして、日赤を代介する格好になりますが、日赤の今の方針としては、今回の会議で日赤と北鮮の赤十字両者のみの会談においては、日本人の帰国問題だけを取り上げるのが適当であるという判断から、こういう訓令が出ておるものと私は了解しております。しかし日赤は他の人道上の問題を考えていないのではないのでありまして、この点も十分考慮しておると私は考えております。
○岡田委員 もし日赤が、どういうような訓令を出しておるか私は知りませんけれども、在朝日本人の問題だけをやるのだということで交渉しておるとするならば、日本の赤十字社としては人道問題について非常に片へんぱな考え方を持つておる。人道問題というのは国家を離れて、そういう人間の問題をお互いに解決していくというような総合的な立場に立たなければ、私は解決できないと思う。ところが結果的に見てそういうことが困難であるから、もっと具体的に言うと李承晩がおるから困難である、だからこういう問題については話をしないのだということになれば、これは人道問題から言うと、ほんとうに真剣に人道問題の立場に立ってやっているかどうかということはむしろ疑わしいと思う。それは中国と国民政府の場合を考えてみても、中国にいる日本人が帰ってきた、それと同時に日本にいる華僑の諸君が帰った、こういう立場に立って初めてあの中国の引き揚げ問題というものが解決してきただけに、朝鮮の問題も当然相充依存の関係、相互主義の関係に立って人道問題は解決されなければならないと思うのですが、そういう朝鮮にいる日本人の問題だけに限るというようなことをもし日赤が言ったとするならば、そのとぎこそ外務省は日赤に対して、これは人道上の問題だからそういう片へんぱなことはいけないよ、お互いに相互主義の立場に立ってやるべきではないか、これは政治問題ではない、外交問題ではない、こういう問題についてこそ、そういうような片へんばな態度をやっちゃいけないと、内々で個人的に注意を与えるのが、むしろ外務省の態度ではないかと私は思うのだが、そういう点についてはどのようにお考えになっているのか。むしろそれは結果的に見て李承晩がうるさいからそれはやらぬ方がいいだろう、日本人の問題だけやったらいいだろうというようなことでお話になったのではないかとさえ私は思うのだが、そういうような態度をおとりになつたとするならばむしろさかさまだと思うのですが、こういう点についていま一言だけ伺っておきたいと思います。
○中川(融)政府委員 日赤といたしましても、決して日本人のことだけ考えて、ここにいる朝鮮人のことを考えていないのではないのでありまして、ここにいる朝鮮人のことについても、非常に一生懸命考えておることを私知っております。しかし、ここにいる朝鮮人の人たちを帰国せしめるという問題については、日赤と北鮮赤十字だけで話をしても片がつかないということも日赤はよく知っております。これはどうしても韓国というものが問に介在しておりますので、韓国の赤十字をも中に入れて話をしなければ、この問題仕解決しないという実情にあると判断しておるようであります。従ってこの問題は一段高い見地からさらに総合的に検討すべきであり、またそれを推進すべきであるという考え方に基いて、日赤としてはその方面の努力を別途しておるというように私は聞いております。決して日赤が人道上片へんぱなことをしているというようなことではないのであります。一方北鮮にいる日本人の帰国問題は、今の状態から見て北鮮赤十年社と日本赤十字との話がつけば、これを実施し得る見通しはついておりますから、その方をこの際片づけで、もう一つの問題はさらにもっと高い見地から別の方法で推進しようというのが、ただいまの日赤の考えであるというふうに考えております。
○前尾委員長 森島守人君。
○森島委員 ちょっと一点だけお伺いいたしますが、韓国の関係を外務省当局としては非常に重要視されておるような印象を私は受けたのです。事実問題として、韓国が介在しなければ日本におる朝鮮人を北鮮に帰すという問題はどういう点で実行ができないのか、この点に対する見解を承わりたいと思います。
○中川(融)政府委員 現実の問題といたしまして、ここにいる数十万の朝鮮人のうちで、たとえば五万、六万の人が北鮮に帰りたいということを希望するということを想定いたしますと、この人たちは現在でも日本から出国は自由でありますが、しかし費用がないから帰れないということで、結局船を仕立てて帰るという問題になるわけであります。船を仕立てて帰るということになりますと、結局季ラインを通過しなければ帰れぬということになる。そうすると、国側は北鮮に人が一人でもふえるということは自分の敵の戦力を増強するということで、これは日本にも抗議をしておる事実があるのであります。まずこの船をそこで抑えてしまう、人は取ってしまうということになりましょうが、そういうような事態が予想いれるのでありまして、こういう事態が起ってくるもとでは、いかに北鮮と日本とだけで赤十字同士が話しても、韓国が何らかの意味でこれに協力してくれなくては実現ができないという見通しに立って、やはり一段高いと申しますか、総合的な対策を講ずべきだという日赤の判断が生まれてきておると承知しております。
○森島委員 今のは送還の方法の問題ですが、これは何か別個にお考えになって、外務省が積極的にあっせんをされて、赤十字社をして送還させるという方法はとり得ないものですか、何か別個の方法がありませんかどうですか、お見通しをお開きしたい。
○中川(融)政府委員 これは日赤が今いろいろ考えております方法といたしまして、少し回りくどいようでありますが、日本も北鮮も韓国もおのおのの赤十字がみな参加した一つの総合的な話合いをやって、それによって本問題を片づけたいというのが日赤の考え方でありまして外務省もそういう方法によりまして、みなが満足するような解決策ができるということを非常に期待しておるわけでございます。こういうことになれば日本の朝鮮人問題というものも相当緩和いたします。相互にとっていい結果になると考えております。
○森島委員 今のようなお話なら、事実三つの間で話をす、そうすれば、今平壌で話し合いをしている日赤の代表が、特に外務省の意向に左右されて、日本の朝鮮人を北鮮に帰すという問題を討議し得ないという理由はないと私は思いますので、もし意見を求められなくても、外務省からも進んでこの問題を今度の会議に取り上げるようお進めになるという措置はお考えになりませんか。
○中川(融)政府委員 繰り返して申し上げるようですが、日赤の判断に上りますと、今の平壌会談で北鮮赤十字と日赤の間だけでこの在日朝鮮人の問題を取り上げることは、結局全面的な話し合いと申しますか、話をつける上にかえって支障ありという判断に立っておるのでありまして、この問題はむしろ国際赤十字等の主唱によって片づけるべきだというような判断に立っておるようであります。われわれもこの日赤の判断をいわば尊重しておるところであります。
○森島委員 いや私はあなたの御説明に相当の矛盾があるように思われて——一々はつきませんが、外務省がもっと積極的にこの問題を実行し得るよう方法を積極的に考えて、この問題を根本的に解決するという方向にお進めにならなければならぬと私は思う。外務省の憂慮しておられるのはただ李承晩の関係だけであって、今の現状からいたしますれば、今アジア局長から御指摘になった三者の赤十字で相談するという案も、私は言うべくして実行は非常に困難だと思いますから、何らか別個の方法を積極的にお講じになることを希望いたしまして質問をやめます。
○前尾委員長 ほかに御質疑はありませんか。——それでは次会は公報をもってお知らせいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時四分散会