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24回国会衆議院1956/10/10

海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第20号

発言数
19
登壇者
7
会派数
2
開催日
1956/10/10

会議録

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長代理 ただいまより、委員会を開会いたします。  本日は、委員長がやむを得ない所用のために欠席いたしますので、私が委員長の職務を代行いたします。  引き揚げ促進に関しまして、木村委員より発言を求められておりまするので、これを許します。木村文男君。

木村文男自由民主党

○木村(文)委員 今回の日ソ交渉の再開に当りまして、鳩山総理大臣が、重大なる決意を固めて、みずから訪ソせられ、その交渉の任に当るべく、すでに出立いたしたことは、皆様御承知の通りであります。私どもは、当委員会におきまして、長い間、国民の世論、留守家族の切なる要求にこたえるベく、この引き揚げの問題を重大なる人道上の問題といたしまして取り上げ、そうして、ソ連側に対しまして、即時帰還を熱烈に要求して参ったのでございますが、十有幾年の間、今なお帰らざる同胞がおることは、ほんとうに遺憾千万でございます。  そこで、今回の日ソ交渉の再開は、おそらく最後の交渉であると思いまするし、ぜひともこれを成功せしめなければならないのであります。私どもは、ここにおきまして、この人道上の重大なる問題であります引き揚げの問題につきまして、わが鳩山全権初め、全全権団に、重大なる決意の上に立って、この問題についての交渉をしていただくために、この際、私は、全権団あてに当委員会が次の決議をいたしまして、留守家族の要求にこたえ、また日本民族全部の国民的な感情の上に、今盛り上っておりますこの問題に対して、最も良果をおさめるべく、ここに決議をいたしまして、これを全権団あてに打電いたしたいと考えるのであります。  次に私の考えておりまするその案文を朗読いたします。    ソ連抑留者帰還促進に関する決議   政府は日ソ交渉妥結に当り、ソ連関係未帰還者問題を全面的に解決、もつて「未帰還者留守家族等援護法」第二十九条に定められた法的義務を果すと共に、全国民の付託に応えるべき責任を有する。その際、マリク名簿外未帰還者の問題については、イタリー、西独の前轍にかんがみ、悔を千歳に残さざるよう特に留意し、左記の各項を実現すべきである。  一、あくまで未帰還者問題は人道的立場から解決するとの基本態度を堅持すること。  二、マリク名簿登載者のみならず生存抑留者はすべて調印後ただちに送還されること。  三、さきに政府よりソ連側に提供した一一、一七七名等生死の判明せざる未帰還者については迅速円滑な調査と爾後の送還を行い得るよう日ソ合同委員会を設置して日本国の権利とソ連邦の義務を明らかにすること。  四、ソ連領内に拉致されたる後に於て死亡した同胞については、氏名、年令、死亡場所及び死因等の通報と右に関する遺骨遺品の引渡しについて確約せしめること。  五、以上の各項は、交換公文の形式において日ソ両国間に約定を取りかわすこと。  右決議する。 以上でございますが、この案文については、もし決議になりました暁には、委員長において、全権団あてに直ちに電報をもって送っていただきまするように、お取り計らいを特にお願いいたしまして、皆様の御賛成を得るよう御提案をお願い申し上げます。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長代理 ただいま木村文男君より提案がありましたソ連抑留者帰還促進に関する件につき、これを委員会の決議として、訪ソ中の鳩山、河野両全権に送付いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長代理 御異議なきものと認めて、さように決します。なお、本決議案の送付伝達等の手続は、委員長に御一任を願います。  この際、外務政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。

森下國雄自由民主党外務政務次官

○森下説明員 ただいまの決議案の御趣旨はごもっともでございます。よく決議案の趣旨を体して、委員長と打ち合せをいたしまして、万全の処置を講じたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 ちょうど今引き揚げの問題が出ましたので、それに関連いたしまして、この間、この委員会で問題になりました中共からの一時蹄国者の問題について、ちょっと質問をしたいと思います。  この前の委員会で、山下政務次官が非常にいろいろお骨折り下さいまして、せっかく里帰りをされた方々ですから、不愉快な思いをしないで日本に滞在し、そうして向うへ帰られるようにしたいと、大へんその御努力のほど、御熱意のほどをお話し下さいましたが、その後状態がどんなふうになっているかをお尋ねしたいと思います。

山下春江自由民主党厚生政務次官

○山下(春)説明員 あの一時帰国の問題は、御承知のように、北京における日本の三団体と紅十字会との協定に基いて行われることになったのでございます。そこで、政府が直接これに関与いたした仕事でございませんので、政府が積極的にこの問題を処置する当面の責任が、ややぼけております。従いまして、私どもは、この三団体がこの跡始末を積極的にやっていただくことを非常に希望いたしておりますけれども、なかなかそうは参りません。一時帰国者の方々が三カ月の期間をもらって帰りました日にちが今月の二十八日で切れるのであります。そこで、この間私が希望的に申し上げておきました日にちが延びましても、なおあとに一時帰国を希望される方もおられましょうし、現に帰国を希望され、すでに釈放になった方々が相当の数おられることを私どもは感知いたしておりますので、それらの方に一時帰国をさしてあげること、帰国希望の方をそちらへお連れすること等の業務もございますので、どうしても興安丸をもう一度出しまして、その興安丸によって、今帰っておられる方々をお送りしたいと考えております。これらの問題に対しまして、政府がやることというよりも、この問題を長く御処理を願った当委員会におかれまして、相当な御決意を願いまして、政府をしかるべく鞭撻をしていただきませんと、日にちが延びるということに対しましては一この問題の処理がきまれば、日赤は中国紅十字会に対して、日にちの延びる理由を訴えて、許可をとることができると思いますけれども、態度がきまりませんで、約束に基いて、帰りたい者は切符を買って帰れというようなことになりますと、私どものはなはだ望まない結果が出ますことは、非常に遺憾なことだと、私個人の考えとしては、さように考えております。しかし、政府としては、それだからといって、この問題の最後の責任をとらないということはあり得ないことだと思いますから、どうしてもとりたいという決意は持っております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 前に変らない御決意のほどを伺いまして、私どもは安心をいたしましたけれども、しかし、なかなか困難な状態にあるということも了承するわけでございます。しかし、それかといって、このままに放置できない重大な問題でございますから、せっかくの御親切の御意思通りに何とか運んでいただきたいということを、私どもは重ねて要望いたしますが、それだけでは、まだいろいろなお立場上、不十分なこともあると思いますので、この委員会としても、決議をするなり何なりの方法が考えられなければならないと思います。そこで、この問題は、この委員会の間か、あるいはあとにでも理事会で諮っていただきまして、強力によい結果を生むようにしていただきたいと思いますから、委員長、その点をお計らい願いたいと思います。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長代理 ただいま戸叶委員よりの御意見につきましては、後刻理事会で諮りまして、善処することにいたします。

中山マサ自由民主党

○中山(マ)委員 ほかの問題ですが、外務政務次官がいらっしゃいますから、伺いたいと思います。今日こういう決議がなされまして、非常に喜んでいる次第でございますが、さて、わが国の条約方式も、継続審議というようなものが、領土に関しては結ばれるようにという希望を持っておいでになっていらっしゃるのでございますが、西ドイツのアデナウアー方式によって結ばれましたことにつきまして、ドイツの方のいわゆるソ連在留の抑留者の数が、本国の人たちの考えていることと、帰ってきた人たちとの間では、非常に差があるように、いろいろな報道によって聞いておりますが、どれほどの差があるかということを、外務省は御承知でございましょうか。もしおわかりになっていらっしゃいますのでありましたら……。

山下重明外務事務官(欧米局第六課長)

○山下(重)説明員 ドイツの場合におきましては、モクスワで約束しました人数は、大体九千何百名という数字で、その大体約束した員数の者は、その半年後ぐらいまでの間に引き揚げてきたようです。ただ、そのほかに、ドイツ側としては、十万近くの者がドイツ系の者としてソ連に残っておる、このドイツ系の人を帰してくれという問題があって、ソ連側では、この中にはたくさんのソ連国籍を持っているソ連人があるんだということで、話し合いがついてないので、その後もいろいろ交渉をやっているようであります。

中山マサ自由民主党

○中山(マ)委員 そういうお話しを専門家の方から伺いますと、われわれの場合も、向うの申されます数字と私どもの方とでは、ほとんど一割くらいにしか向うのおっしゃる数字がならないということになりますと、アデナウアー方式によって結ばれたる条約の跡始末が、そういうように西独側の希望通りにいかないという点を考えさせられるのでございます。この際、私どもといたしましては、われわれもまたそういう悩みに直面するのじゃなかろうかということを、非常に私はおそれるものでございます。ああいうどさくさの間でございますから、引き揚げてきた人たちの話を聞きますると、結局向うの御婦人方と結婚をするように非常に勧められたという人たちもございまして、あるいは帰られないかもしれないというので、現地妻を迎えていらして、ほんとは帰りたいという人もあるんじゃなかろうか、ちょうどドイツと同じ立場に立たされるように。外務省としては、この問題は今度で打ち切ってしまうという御決心か、それとも領土の問題と同じように、これもまた、私どもあるいは家族が得心ができるまで、継続的に審議されるような方式をもって、外務省の人が今度の一行についていらしたかどうかを聞かしていただきたいと思います。

山下重明外務事務官(欧米局第六課長)

○山下(重)説明員 御承知のように、何分にも今度の交渉は、そう長期間にわたって交渉を続けるということができないので、どの程度の成果が得られますか、私どもはっきりお答えできないのでありますが、外務省といたしましては、幸い国交が回復して、向うに大使館でもできるようになりますれば、何分にも今後は常時いろいろ関係があるので、今までのソ連において、帰る手だてがなくて、実際には向うへ残っておるというような状態であるような人が、大使館に連絡をとって、何とか帰る意思を表明することができるような事情になりますから、大使館ができても、今後引き続いて完全に引き揚げ問題を解決していきたいと、われわれは考えているわけでございます。

中山マサ自由民主党

○中山(マ)委員 事務当局としては、そういうお答えでございまするが、政務次官としては、政治的にどうお考えになるかでございますね。今度でもう終りだと言われてしまいますれば、西ドイツのように、結局何と申しましょうか、あぶはちとらずと申しましょうか、あとの人は、もう向うの国籍の人だと言われてしまったら、どうにもならないような羽目になると思います。残っておる人たちの家族とどういうふうな連絡をとっても、結局はあの南方でございましたか、かつて引き揚げの局長のお話では、これはいわゆる旅費のいらない移民という意味で、その家族とさえ折り合いがついたら、もう帰ってこないでも、現地で籍をもらうようにするという方法もできるという話も、南方については聞いたことがあると私は記憶いたしておりまするが、そういう方途でも外務省はおとりになるおつもりか、また引揚援護局の政務次官は、そういう方式でもお考えになっておるか、どうお考えになっておるか、両政務次官に政治的にお尋ねしておきたいと思います。

森下國雄自由民主党外務政務次官

○森下説明員 御承知のように、このたびの全権は、きわめて短時日の間に決定しようという抱負と方法を考えて参っておりますけれども、この問題はやはりきわめて重大な問題で、ただいまの仰せの通り、これはその話を進めて参りまして、ここで戦争終結をする。大使館の大使もお互いに置くというふうになって参りますれば、ただいまのような問題は、やはり私はいろいろな形において残ると思うのでございます。そういう問題は、やはりこの一週間や十日の問題で片づきはしないのじゃないかという不安はありますが、しかしながら、引き続いてこの問題は、両国が互いに戦争終結を宣言して、平時の状態に戻そうとするその気持でございまするから、その場合は、なお引き続いて、幾らでもあとから進められると思うのでございます。この短時日の間に全部が決定するということは、あるいはむずかしい、かように考えております。

山下春江自由民主党厚生政務次官

○山下(春)説明員 外務省の御意見は今承わりましたが、抑留者問題ということを考えますときに、日本側が考えております抑留者とは、マリク名簿のすでにお帰りなった方を除く一千九十二名、すなわち在監者でございます。それと消息不明——生死不明というのか、消息不明でございます。この方が一万一千百七十七名、その一万一千百七十七名の中には、厚生省が生存確実と資料を把握しておる者が三百八十五名、これが日本のいう、いわゆる抑留者の実数でございます。そこで、現在の姿はどういうふうになっておるかと申しますと、ソ連側が抑留者と申しておるのは、今申し上げましたマリク名簿の一千九十二名を抑留者と申しておるようでございます。そこで、その一万一千百七十七に対しては、ソ連では、このことはよくわからないと言うでございましょうが、現実には、その一万一千百七十七が二つに分れております。すでに死亡した者、生存して帰国を希望しておる者、そういうふうに分れておると思います。あるいは残留を希望しておる。この一万一千百七十七名の中を現実的に分けると、すでに釈放になって帰国を希望する者、残留を希望する者、死亡した者、こういうふうに分れておるわけであります。そのほか、全くわからない死亡の者、現実の姿はそう三つに分れておると思います。ソ連側では、どう申しておるかと申しますと、あくまでも、抑留者とは千九十二名のマリク名簿の残りの人をさしておるようであります。今回の会議は非常に短時日と仰せられまするから、私どもはそういうことに逢着いたさないために、第二回松本、マリク会談の節、いわゆるロンドン会議の節、最もこの問題に十年苦労をいたしました引揚援護局長田邊さんを特に派遣いたしまして、この問題を明快に相手方の頭に入れてもらって、そして次に開かるべき会議までに、ソ連の態度を明確にしてもらうための作業をしてもらうために行ってもらったのであります。従来この引き揚げ問題というものが、お互いの間に、もやもやいたしておりまして、どうも納得の線になかったようであります。ソ連は、常に一万一千百七十七という数字を見せられると、何か日本が言いがかりをつけておるように考えておったようであります。しかし今度田邊さんが行きまして、その間の事情が非常に明快になりました。向うでもよくわかった。責任をもって調査するという明確な回答をもらって帰ってきております。そこで、今回の会議が短時日であろうことは初めからわかっておりましたが、短時日間にも、あれから非常に長い時間を与えてありましたので、調査ができておるものと、私どもはお察しをいたさざるを得ない状況でございます。従いまして、今回は最終のいわゆる事務処理でございましたので、私ども厚生省のこの問題の責任者といたしましては、課長級でもけっこうでございますが、どうしてもこの問題の最も明確な事務処理のできる人を一人お連れ願うことが好ましかったのでございますが、私、政治力不足のために、これを加えることができませんでしたが、法眼参事官にも、よくこの間の事情をこまかく申し伝えて、お立ちを願っております。ずっと一連の長い時間がかかっておりますので、成果をお上げいただくことと確信をいたしております。

木村文男自由民主党

○木村(文)委員 関連。私、実は五日の当委員会において、一番心配したのはこの問題でありましたために、ここに最も重点を置いて、外務当局にも、また厚生当局に対しても、質問をいたしたわけでございます。きょうまた重ねて私が決議案を提出いたしましたのも、ここにその理由とするところがあるわけです。しかるに、先ほどから、外務省の山下課長並びにわれわれの同僚であり、ほんとうに信頼している森下政務次官からの発言によりますと、私は遺憾の意を表したい。なぜかといいますと、厚生省が実に苦労をして、その熱意を示して、あの田邊局長を派遣するまでに苦労せられて、そうして言質までとってきたにもかかわらず、山下課長のごときは、さっき言うには、なかなか見通しはつかないとか、あるいは非常に心もとないような発言を聞き、さらにそれを裏づけていただきますために、重ねて同僚の中山委員から、政務次官に対する政治的な立場に対しての御発言を求めたわけでございます。その結果として、私は非常に案じられた。私はこの際重ねてお尋ねいたしたいのでございますが、今、山下政務次官がおっしゃいましたマリク名簿の一千九十二名の問題は一応了承するといたしましても、一万一千百七十七名の消息不明者に対する責任は、あくまでも日本政府としては調査を要求するとともに、すでに要求しておりましたものに対する回答を求める最終段階であるこの日ソ交渉に当って、外務省は、今のような弱腰であってはならないと思う。でありますから、きょうの決議にも盛られてある通りでありますし、どうか一つこの際、外務省においては、全権団に対して、強力に、この解決のために私たちの決議を打電するだけでなしに、委員会でこういうような質問があったということをつけ加えて、何らかの方法で伝えていただくようにお願い申し上げるとともに、私はその決意を伺っておきたいのであります。

森下國雄自由民主党外務政務次官

○森下説明員 ただいま私が申し上げましたことは、決してちゅうちょ逡巡しているというような態度で申し上げたのではございません。御承知のように、短時日の間にもしもそういう場合があった場合にはというような、一つの問題をかりに申しただけでありまして、鳩山全権が、御承知のように悲壮な、一死もって交渉に当っているのでございまして、今回の問題こそ慎重に慎重を重ねて、松本全権を先行させまして、よくその間の事情もやらしているのであります。御承知のように、こちらは不条理なる問題もたくさんあるのでありまして、われわれの言うべきことはずいぶんにあります。そういう点をもって、まず日本としては一騎当千の士を選んで、私どもとしては送ったつもりであります。こういう点で、ただいまの決議を送ることにつきましても、当委員会の決議を単に取り次ぐというようなことではなく、委員会におきましてこうした決議があった、なお、われわれ政府は、全権に対しましてもさらに付言いたしまして、あくまでも検討願って、貫徹をしていただきたいということをつけ加えてやることは、当然と考えているものでございます。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長代理 他に御質疑がなければ、本日はこれにて散会いたします。次会は、公報をもってお知らせをいたします。    午後二時十八分散会

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