P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
24回国会衆議院1956/11/09

科学技術振興対策特別委員会 第27号

発言数
28
登壇者
7
会派数
2
開催日
1956/11/09

会議録

有田喜一自由民主党

○有田委員長 これより会議を開きます。  本日の議事に入る前に、去る七月十三日から只見用電源開発等の実情を調査いたしました派遣委員より、報告を聴取いたしたいと思います。岡本隆一君。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 去る七月十四日、十五日にわたり、議長の承認を得て、只見川水域及び田子倉発電所建設現場を視察いたしましたので、派遣委員を代表し、御報告申し上げます。  只見川は、尾瀬の湿原より河口新潟に至る全長約二百六十キロ、その流域面積八千四百方キロに及び、重畳たる山岳地帯を水源とし、流域はうっそうたる密林におおわれ、丈余の積雪を見る有数の多雪地帯でありまして、流量の豊富、流出の均衡相まって、絶好の水利条件を備え、加えて天与の地形、地質は、経済的にも技術的にも電源開発の宝庫として、天下にその比を見ないといわれております。  さらに利用落差千四百メートル、その包蔵電力量は全国未開発電力量の一側に達するといわれ、上流部には大貯水池の建設に好適の地点が多く、良質大量の電力を供給し得るに加えて、豊富な森林地下資源に恵まれ、中、下流部は緩流であって、河岸は段丘をなし、階段状の堰堤式発電所設置に寸余のむだもなく、未開の穀倉地帯とあわせて、国土総合開発の見地からも貴重なる重要河川であります。  只見川電源開発計画は、戦後の電力資源衰退の現況と産業復興への要望が相関連して、昭和二十一年夏、日本発送電株式会社がその調査と計画に着手し、自来七年にわたり幾多の変遷と紆余曲折を経て、数種に上る計画が検討され、ようやく昭和二十八年七月末、大要次のような基本方針が決定されたのであります。  全体開発計画は、只見川本流沿いの開発を根幹とし、尾瀬原、奥只見、田子倉及び内川に有効貯水量合計十三億七千万立方メートルの大貯水池を作り、本流沿いに新設発電所十一カ地点、増設発電所十カ地点を開発、百六十三万二千キロワットの増加出力を得るとともに、信濃川流域に対し、奥只見貯水池より年間約七千三百万立方メートルの水を直径二・四メートル、亘長六キロのトンネルと一万一千キロワットの分水発年所を通じて黒又川に分水し、さらに黒又川に貯水量合計約四千万立方メートルの二貯水池を設け、権湖川水量の確保をはかるとともに、黒又川上流より魚野川に至る同、新設発電所五カ所、増設発電所一カ所を設置して、合計十二万一千キロワットの増加発電を行わんとするものであります。なお、河水の有効利用の見地より、垂水期においては黒又川の余剰水量年間約三千万立方メートルを揚水して奥只見貯水池に導入、本流筋における各発電所の出力増強に資せんとするものであります。  以上の計画で、只見川、黒又川系全体において総計百七十五万三千二百キロワットの電源開発を行い、年間約四十七億キロワット時の増加電力量を得んとするものであります。  第一次着工地点として、電源開発株式会社において開発を行う地点は、奥只見、田子倉及び黒又川第一の三カ所でありまして、このうち只見川電源開発の主体をなす田子倉発電所の建設現場を視察いたしたのでありますが、この発電所は、福島県南会津郡只見村大字田子倉地内において只見川を扼し、堤頂長四百七十七メートル、堤高百四十五メートルの直線重力式コンクリートダムを構築し、その貯水をダム直下に設ける発電所に導入して、最大使用水量毎秒三百九十立方メートル、有効落差百十八メートルによる最大出力三十八万キロワットの発電を行い、再び只見川に放流するものであります。その経済的効果は、最大発心力三十八万キロワット、年間発生電力量五億八千万キロワット時の良質電力を供給するとともに、下流の既設及び増新設の発電所(本名、上田、柳津、片門、山郷、上野尻、揚川)の増加出力量は二億五千万キロワット時となり、加えて貯水の湯水期使用は、その価値を倍加するのであります。  さらに大貯水池の活用は、洪水時流量の貯溜等による河川流量の調整を計画的に実施し、その被害を減少し、湛水池の利用による豊富な林産資源の開発をも促推し得るものであります。  以上、只見川電源開発計画及び田子倉発電所建設計画の概要を申し述べたのでありますが、本計画は国土総合開発の一環として、またわが国経済発展の基礎である電力需用にこたえるためにもきわめて重要でありまして、その規模の大きさにおいても他に類を見ないところであります。  さらに本計画の実施に当りましては、佐久間ダム建設の貴重なる経験を生かし、科学技術の粋を集めて、綿密周到なる計画のもとに進められているのでありますが、われわれ調在団といたしましては、今さらながら科学技術振興の重大性と、その万全の対策とを痛感するとともに、本計画の一日も早き達成を祈ってやまない次第であります。以上簡単でありますが、報告を終ります。

有田喜一自由民主党

○有田委員長 以上をもって派遣委員の報告を終ります。     —————————————

有田喜一自由民主党

○有田委員長 科学技術振興に関し、今日は昭和三十二年度科学技術関係予算等について調査を進めたいと思うのでありますが、この際参考人決定についてお諮りいたしたいと思います。すなわち、本日の議事に関して、日本原子力研究所副理事長駒形作次君、原子燃料公社理事長高橋幸三郎君、この両君を参考人と決定し、御意見を聴取いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

有田喜一自由民主党

○有田委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。  それでは、これより原子力関係その他科学技術庁所管の予算について説明を求めたいのでありますが、それに先だちまして、参考人から、日本原子力研究所並びに燃料公社の現状及びこれが推進の上でいろいろ問題があると思いますが、そういうことを中心といたしまして、御説明を願いたいと思います。  それでは、駒形副理事長からお願いいたします。駒形参考人。

駒形作次日本原子力研究所副理事長

○駒形参考人 日本原子力研究所の近況を御説明申し上げたいと思います。  日本原子力研究所は、この六月十五日発足いたしたのでございまして、財団法人原子力研究所の仕手の跡を引き継ぎまして、仕事を進行させておる次第でございます。  本年度の予算といたしましては、政府の十九億五千万円と民間からの出資一億四千八百万円、合計いたしまして約三十二億という仕事量を持っている次第でございます。そのうち、最初政府から二億五千万円の出資をしていただいたのでございますが、現在この出資の問題につきまして、政府の出資をもう少しくふやす——十九億五千万円のうち七億がいわゆる三十一年度の現金予算でございまして、残りが負担行為になっておる次第でございます。その七億の中から二億五千万円の出資金を出しておるのでございますが、さらに一億ないし二億五千万円くらいを出資という形にし、あとは補助金ということにいたしたいということで、今、関係御当局の方と折衝をいたしておる次第でございます。大体そのくらいのところで出資金ということはまとまるだろうと考えておるのでございますが、そういたしますと、全体といたしまして、資本金としては七億ないし七億五千万円ということになる次第であります。その予算によりまして、現在の日本原子力研究所の人口は、今のところ年度一ぱいで二百名という線で予算が組まれておりますので、現在員といたしましては、大体百八十名くらいになっておる次第でございます。しかし、あとで申し上げますように、事業のワクが急激に広がって参ります関係で、人の面におきまして、非常に不足を私ども感じておるのでございますので、来年度三十二年度の予算といたしましては、年度の当初四百人、年度の末におきまして六百人、年間を平均いたしまして五百人という人になっておるのでございます。今のところ、少くともこれだけは来年度の当初において人員を整備いたすように、予算の裏打ちをぜひお願いいたしたい、このような考えでもって、いろいろと御当局にお願いを申し上げておる次第でございます。  私どものところは、日本原子力研究所法によりましてその性格が明瞭に定められ、その業務の存知といたしましても、明確にされておるのでございます。これらのことをこまかく申し上げる時間もないかと思いますが、大きな事柄を取り上げて申し上げますと、実験原子炉を作るという仕事でございます。これは、一番初めの炉はウォーター・ボイラー型の五十キロワットというのを選定いたしまして、アメリカから輸入をいたしました。これはノース・アメリカン・エーヴィエーションという会社から輸入することにいたしまして、すでにこの契約は本年二月末にいたしておるのであります。その品物は、すでに数日前にアメリカの許可が出まして、最初の積荷をいたしておるはずであります。これの到着は、十二月初めでございます。そして、なお三つに分れて参りますので、最後のは、来年一月末に来ることになっておるのでございます。これは四月ごろまでのうちに組み立てを完成いたしまして、実際これを働かせますのは、五月末ないし六月初めというふうに予定をいたしておる次第でございます。第二の実験原子炉は、CP5型というのでございまして、これはいろいろと検討をいたしましたが、結局のところ、一万キロのCP5型の炉ということになりまして、アメリカのアメリカン・マシン・アンド・ファンドリーという会社に発注することになりまして、すでに契約を終了いたしておる次第でございます。この炉は、炉の値段といたしましては、全体で約百五十万ドルでございますが、この百五十万ドルのうち、そのうちの部品は三菱関係の会社において作るということになりまして、責任はAMFが待つ。百五十万ドルのうち百万ドルがAMFに払う分でありまして、五十万ドル分に相当するものが、邦貨をもつて、AMFを通して三菱グループに払われる、こういう仕組みになっておる次第でございます。これの完成時期は、昭和三十三年度ということにいたしておるのでございます。  第三番目の実験炉といたしましては、われわれの手で設計をする、いわゆる国産炉というものにいたしておりまして、これは天然ウラン・重水を使いました一万キロワットの実験原子炉を計画いたしております。その用いる材料は、極力国歴材料を使うようにいたしたいと考えておるのでございますが、国内で入手できない分につきましては、海外から輸入をいたすのもやむを得ないであろうというふうに考えておる次第でございます。しかしながら、私どもは国内のこの技術を一応確立するという趣旨におきまして、ぜひこれを今申し上げました線に沿ってやっていきたい。それで、現在、この仕事につきましては、国産第一号炉仕様書の制定ということで、日本の主要な各メーカー並びにその炉ができましたときこれを使用いたします使用者の学識経験者等をもちまして、まず仕様書を共同綱足するための委員会というものを発足いたすことにいたしております。これは来週中ぐらいに第一回の会合が行われるように、すでに委員の人選を終了いたしておる次第でございます。国の中である技術の最高を集めて、国産原子炉の設計仕様書をまず制定いたしまして、その仕様雷に基いて共同設計ということをやって参りたい、このように考えておるのでありまして、大体国産第一号炉仕様の検討の委員会は二月一ぱいくらいの予定をもって終了させまして、直ちにこれを共同設計のための会合に切りかえる予定にいたしておる次第でございます。  なお私どもの研究所の中におきましては、この三つの実験炉のほかに、いわゆる試験用動力炉のための研究の調査をいたす班を設けまして、いろいろと今後わが国において設置されるであろう試験用動力炉の問題の検討をいたしておる次第でございます。この点につきましては、いろいろと原子力委員会等におかれまして、その方針を御決定になる次第でございますが、われわれのところは、技術の面よりいたしまして、それの研究をいたしておるというのが現状でございます。大きな施設といたしましては、そのほかに、二百万エレクトロン・ボルトのファン・デ・グラーフという装置を、これまた米国から輸入いたすことにいたしまして、すでにこれは契約も済み、納入期は来年一月ということに相なっておるのでございます。これは原子核物理関係の基本的な研究をいたしますために、どうしても持っていなければならぬ施設でございまして、これが一月末には研究所の中に据え付かるということに相なっておるのでございます。  その次の大きな施設として現在計画をいたしておりますものは、アイソトープの利用関係といたしまして、強力な照射施設の用意をいたすことにいたしておりまして、この強力なものといたしましては、大体コバルトの六〇を用いました一万キューリーの非常に強力な照射施設を考えておるのでございますが、これは本三十一年度の予算の中に若干それの部分の費用がございまして、今はそれの計画を進めておる次第でございます。このアイソトープ関係の施設として、もう一つはリニアアクセラレーターと申します。これまた照射関係の施設としては欠くことのできない、そしてこれまた一方において基礎実験をいたしますためにも欠くことのできない装置、これの金も今年度その部分品若干ございますので、目下これが契約の手続を進めておる次第でございます。大きな施設としてはそういったものでございますが、これらを入れます建物並びに研究者の宿舎、そういった生成の関係、これを今申し上げましたような時間に間に合うように、極力茨城県東海村の敷地内において建設をいたしておる次第でございます。  その点につきましては、ここに現在の状況の写真を持って参りましたが、ウォーター・ボイラーを入れる建屋につきましては、すでにこのように鉄管が組み立てられまして、これに十一月末までにコンクリート打ちが始まるようになります。ファン・デ・グラーフの方の建屋につきましても、ここに大体鉄筋がかなり立てられておる状況でございます。それから研究室、本館、ここには全貌が出ておりますが、御承知のように、東海村の、一帯松林になっておるのでございますが、松林を切り開きまして、そこに写真でごらんになりますように、相当工事が進捗いたしておる次第でございます。ここに全体の建屋の関係を図面にいたしたものがありまして、赤く色がついておりますものが三十一年度分の建屋でございます。そうしてこの計画は三十二年度までの分をここ気一いてございまして、CP5の建屋、それから照射室の建屋上でがここに書いてあるのでありまして、三十二年度以降、すなわち国産の一号炉以下のことはまだこの中に入っておらぬのであります。三十二年度におきましてこれだけの建設をぜひ続いてやらせていただきたい、こういうふうに考えておるのでございます。建設の計画は、三十一年度分大体十低くらいでありまして、三十二年度は建設関係といたしまして大体三十億を予定いたしておるのであります。建設関係から見ますと、最初申しました現金といわゆる債務負担行為、三十二年になりましてから払う分というふうなことになっておるのでありますが、私どもの実際仕事をいたします上におきましては、この債務負担行為の割合をやはりなるべく多くしていただきたい、このように実は考えておるのでありまして、この点につきましては、三十二年度、来年度の分は、債務負担行為は、どうしても三十三年度に出ていく分だけ、ごくわずかというふうに実はお願いを申し上げている次第でございまして、来年度は、そういうことで、ぜひ債務負担行為のワクを縮めるような工合にしていただきたいというふうに考えておる次第でございます。そして、この建設関係で、もう一つは、今年度は金の関係で、水を取る、そしてその使った水を捨てる、取水、排水の分といたしましては、非常に圧縮されたような形になっておるのでございます。来年度なりましたら、極力早く取水、排水の施設をやって参らなければいけない、このように考えておる次第でございます。  所員の宿舎の問題、これも今年事業の進捗に合せまして、大体来年四月におきまして、研究部の大部分を東海村の方に移すという計画で進めておりますので、それに合せてやるようなことでやっておりまして、そのうちアパート式のものは、住宅公団にお願いをいたしまして建てていただくように取りはからっておる次第でございます。ウォーター・ボイラー、CP5その他、契約に伴いまして向うに訓練のために人を出す、そのほか研究者を海外に出す、こういうことで、現在間もなく発足するのを加えまして、十二名くらい海外に人を出すようにいたしておるのであります。来年度におきまして、この向うに人を出す幅をもう少しく持つような工合にいたしたいと考えて、それに相当しまして予算のお願いを申し上げている次第であります。  人体近況といたしまして、はなはだ大ざっぱでございますけれども、目ぼしいところを申し上げますと、以上の通りでございます。

有田喜一自由民主党

○有田委員長 それでは、就いて高橋参考人にお願いいたします。高橋さん、正力国務大臣が間もなく見えると思いますので、簡潔にお願いしたいと思います。

高橋幸三郎原子燃料公社理事長

○高橋参考人 私は、原子燃料公社の理事長の高橋であります。公社は今年の八月十日に正式に発足いたしまして、ただいままでようやく三カ月を経過したわけであります。皆さんの非常な御声援によりまして、先般も大臣初め各位の御協力によりまして、倉吉に出張所ができ、いよいよ本格的な探鉱に入っております。今日までのところは、小鴨の新しい露頭が非常に期待されるように思いまして、喜んでおるわけであります。また人形峠にウラン鉱の特殊な沈澱鉱床として日本に非常に珍しいものがあることが発見されて、それに主力を注いで探鉱しました。結果、最初に考えたより以上に範囲が非常に広くなってきまして、鉱量もかなり見込めるということになって、ただいまのところ、鳥取県側に主として力を注いでおりましたが、県境に沿うて岡山県側にも相当広く伸びておるということがわかって参りまして、今その方面の探鉱を主として、井戸掘りでもって、割合に地表が浅いものですから、坑道が非常に伸びつつあるような状態であります。何分にも今年は準備時代でありますので、予算その他についてもかなり無理でありますが、大蔵当局その他にもいろいろ相談して、許された予算の範囲で極力効果をあげるような方法を今やっておりますが、来年度は、先ほど駒形副理事長の御説明にもありましたような、三十四年度の国産第一号炉にわれわれの国産のウラン金属をぜひ一つ間に合せたいという構想に基いて、三十二年度の予算もそれに適応するような準備を立てて、今立案をして、政府の方にお願いしておるわけであります。  現在の精錬関係のことをちょっと御説明申しますが、公社がスタートいたしましてからわずか三カ月もたっておりません関係で、公社としてはいろいろな研究がまだ直接の試験段階に入っておりません。しかし、幸い東京工業試験所、あるいは電気試験所、あるいは大宮の三菱研究所の方に従来からお願いしておるいろいろの研究を総合しまして、それに基いて今案が立てられておりますので、その案に基いた三十二年度の予算、その後の生産の計画を一応御説明申し上げたいと思いますが、明年度は、精錬の方に重点を砕きまして、人形峠の方を対象にした湿式精練をやりたいと思っております。国内鉱石が十分間に合わないことも予想されますので、同時に、これは今後の交渉の結果によることと思いますけれども、一応は外国鉱石も予想して、三十二年度のうちに幾らか金属ウランを出したい、こういうふうな構想を持っております。三十二年度は、大体精錬の設備が一部完成するのが約十月ごろという予想になっておりますので、それ以後の間に、約一トンばかりの金属が出るような仕組みになっております。さらに三十三年度にその事業を継続しまして、日産約三十トンの処理鉱量の設備を作りまして、三十三年度の十一月までには、その設備が完成しますと、さらにまた選鉱の方面で——今せっかく大宮の研究所で研究に取りかかる段取りになっておりますので、それができますと、設備を約三倍に増強することができますので、そういう予定の計画によって、三十三年度の三月までには、約六トンの金属ウランを作りたい。そうして、三十四年度の国産第一号炉の必要な推量約六トン何がしというふうに大体予想しますけれども、いろいろ加工の歩どまりその他の備蓄の点も考えまして、三十四年度までには約十トンぐらいの金属ウランを国産の精練方式で出したいという計画のもとに、三十二年度の予算は組まれる方針になっております。詳しいいろいろのこまかな点もこれから検討しなければならないのでありますが、第一号炉の国産金属を使うということにわれわれの重点を置いて、一つこれから皆さんの御援助によって実現したい、こう思って、現在やっております。  なお探鉱方面では、小鴨、人形峠は来年度は重点的にやりますが、さらにあの方面でいわゆる花崗岩地帯の中心部に当る奥津あるいは宇部方面にも相当有望な徴候が認められるので、そういう点にも、われわれの今の計画に並行して、その方面の探査もまた進めたいという案を持ってやっておる次第であります。大体そんなところであります。

有田喜一自由民主党

○有田委員長 以上をもって日本原子力研究所及び原子燃料公社よりの説明は終了いたしました。  正力国務大臣が閣議中でまだお見えになりませんので、それまで、両参考人に対する質疑を行いたいと思います。質疑の通告がありますので、これを許します。赤澤正道君。

赤澤正道自由民主党

○赤澤委員 主として高橋参考人にお伺いいたします。この間、鳥取県の方の現地に参りましたが、まだあの地帯にどのくらいの鉱石が埋蔵されているという見当がつくというあれはないと思います。ただいま三十四年までに十トンの金属ウランを作って、間に合せるというような御計画のようですが、そこまでの精練過程の間に、いろいろな問題がまだあり得ると思うのです。精練所は東海村に置かれますが、それからまた選鉱、粗精練は、あるいは現地でなされるとか、いろいろお考えがあると思うのです。ところが、そういう構想を具体的にどの程度にお考えになっておるか、まだ存じませんけれども、その間には、また国内の輸送力の問題などがありましょう。山陰線自体が輸送が相当過剰になっておって、現在駅頭滞貨などのことが非常に言われているわけであります。こういったような面についての御配慮が十分あると思いますが、あわせて将来のことについて伺いたいと思います。

高橋幸三郎原子燃料公社理事長

○高橋参考人 ただいまの御質問はまことに適切な御質問で、われわれとしまししても非常にその点を考えておますが、現在のところ、精練所の位置としては、一応現在の原子力研究所に隣接した米軍の爆撃演習地の一部を使いたいというあれで申請しております。一応ここを予定して、先ほど申しました計画を立案したわけでございますが、先ほど申しました通り、国産鉱が間に合うか合わぬかは、これからの探鉱の結果が非常に大きな影響を及ぼしますが、一応は外国の鉱石も予想しておるわけでございます。同時に、国産の鉱石を処理する場合には、御承知の通り、人形峠、小鴨は低品位であるために、大量の鉱石を東海村にひんぱんに輸送することは、輸送の上に困難が伴いますのは御承知の通りでございますので、できれば選鉱と粗精錬は山元に置きたい。しかしその設備はまだ今のところ考えておりません。ということは、今、人形峠の鉱石は非常に特殊なものでございまして、これに対するどういう方法が一番いいかという研究は、まだこれからスタートする段階でございますので、正確な設計が今実はできかねておるわけでございます。しかし、東海村に設けた精練所は、外国の鉱石を主体にして考えて、比較的性質のはっきりしたものをわれわれは予想しておるわけでございまして、それでこの設備ができましても、また山元の精練ができましても、山元の方は選鉱が主体になると思いますので、選鉱したものを東海村の方に送るというふうにして、量を圧縮しまして、そうして東海村の設備は生かしていく、こういうふうな構想を実は考えておるわけであります。ですから、将来は両方できる場合が予想されますが、それは両方が並行してうまく活発に動き出せば、それだけウランの量がよけい産出できるということに予想しております。ただいまのところは、外国の鉱石が入るか入らないかということが非常に大きな問題になると思います。それから、いろいろ海外情勢もだんだ変って参りましたから、その点はこれからの交渉の段階になるだろうと思います。

赤澤正道自由民主党

○赤澤委員 もちろん海外からも来るでしょうし、それから国内からも、今の鳥取、岡山両県だけでなくして、全国至るところに点々と発見されておる。この長期計画をちょっと見ましたところ、鉱選及び粗精練は、主として民間企業にまかしてやらす、それから粗製トリウム塩、粗製ウラン塩から金属を生産する工程を、この原子力燃料公社で直接集中的におやりになるということは、これは東海村であろうと思うのです。そこで、選鉱及び粗精錬を民間にやらすということは、いろいろな問題を含んでいるだろうと思うのです。これをスムーズにやるのは、なかなか大へんだろうと思うのですけれども、民間にやらすということについて、どういう御構想を持っておられるか、ちょっと教えていただきたい。

高橋幸三郎原子燃料公社理事長

○高橋参考人 つまり、選鉱、粗精練ということは、粗鉱を直接取扱う手段でございますが、量が相当膨大な量になりますので、これを輸送するということは、運賃その他の面で非常に困難が予想されます。これは、どうしても現地でやらなければならぬ、現地でやるということは、やはり採鉱を民間の手でやるという建前からいえば、現地でやはり選鉱、精錬も民間の手でやらなければ、一貫した仕事にならぬだろうと思います。そういう意味から、採鉱を民間の仕事として、選鉱、精錬もそれに付随せしむる。それからそういうふうな選鉱、精錬を経たものは、非常に昼が圧縮されますから、そこでその圧縮された量ならば、東海村なりどこにでも持っていくということは、そう大した困難ではなかろう、こういう構想で、実はそういう案を立てた次第であります。

有田喜一自由民主党

○有田委員長 前田正男君。

前田正男自由民主党

○前田(正)委員 私は、まっ先に公社の機構についてお伺いをしたいと思うのでありますが、大体現在の公社というのは、さっきも御説明がありましたけれども、どうも私らが立法したときの精神と少し違って、予算の関係でごく一部しかやっておらないような状況になっておるらしいのであります。一体、現在の公社というものは、すでに理事は全部充足されて、今どういうふうな部門を持っておられるのか、また現在どういうふうな部門をもってどういう業務を主としてやっていこうとせられておるのか、そのことの明確な御説明を聞いてから、質問をいたしたいと思います。

高橋幸三郎原子燃料公社理事長

○高橋参考人 ただいま理事は、五名の定員に対し、三名おります。それは、地質、探鉱を相当する理事一名、それから精錬を担当する理事一名、それから総務、事務を担当する者の三名であります。当初の仕事としては、現在やっておるような探鉱が主でございまして、さらに引き続き精錬を今度実際に計画を立てて始めるということから、まず当初は、当面した仕事の処理のために三名の理事を選任したわけであります。これからは、先ほども説明を申し上げた通りに、山の探鉱がどんどん遊んで参りまして、また鉱量もある程度予想がつくようになりましたので、この採鉱計画を立てるのには、どうしてもさらに採鉱専門の理事を一名来年度は加えなければいかぬ、こう考えております。さらに、事務方面でもいろいろ労働問題も起りましょうし、生関係その他のいろいろな予算関係で、だんだん仕事の発展につれまして、事務方面の拠出も一名、現在の一名を二名にふやす、それで技術担当理事三名、事務関係二名、大体こういうふうにして来年度は進みたい、こう考えております。

前田正男自由民主党

○前田(正)委員 部の方は、どういうふうな組織になっておりますか。

高橋幸三郎原子燃料公社理事長

○高橋参考人 探鉱関係は、いわゆる概査という方は、探鉱では今地質調査所でそれをやるようになっております。地質調査の方は、第一課、第二課と分れております。それから、さらに化学探鉱を主として、やっておりまして、物探関係では——物探と申しますのは物理探鉱のことでありまして、探鉱方面は物理探鉱と化学探鉱というふうな方面の仕事に分れておりますが、探鉱計画課と精査課とそれから試験検定課、大体こういうふうに課が分れておりまして、その課の内容は、いろいろその仕事の性質で、ボーリングあるいはトレンチというふうなこまかな実際の仕事についての係がございます。それから、先ほど申しました開発準備室というのは、将来は採鉱部に発展する前提になっておりますが、今のところは室ということでやっております。それから精練準備室も、先ほど申しました通り、合計画の段階にありますので、これが将来いよいよ仕事にとりかかる場合には、その実施面で、また仕事を分担していくということになります。総務の方は、現在総務課と経理課と調達課、こう三つに分れております。現在の仕事は、こういう組織のもとに、人員もまだ予定の百名に達しておりませんけれども、最近ようやく補充も進みまして、約七十名ばかりの補充はできておりますが、年度内には予定の百名にしまして、仕事の方に差しつかえないようにいたしたいと思います。

前田正男自由民主党

○前田(正)委員 その現状と将来の計画についての、理事と組織の資料を一ついただきたいと思います。あとで刷りものにして、配付をお願いしたいと思います。ただし、先ほど理事の御説明をしておるところを聞いておりましたところ、この理事というのは、この公社の中の業務の重要部門を担当されるわけでありますけれども、今のお話を聞いておりますと、もちろん探鉱、精練というような仕事はこの公社として大きな仕事でありますから、ぜひやってもらわなければならぬのでありますが、もう一つこの公社についてわれわれが立法するときに、法律に明記し、また立法の趣旨にも説明いたしておりますことは、わが国は特に原子爆弾等の影響を受けまして、放射能の障害に対しまして非常に国民が鋭敏な感覚を持っておりますので、特にこれを公社というものにいたしまして、その燃料の関係のすべての再生処理、それから廃棄物の再生処理といういわゆる化学処理の関係は、公社の任務においては非常に大きく、特に将来日本の外地に発電所ができるということになりました場合には、全国に支社を設けまして、この公社は専売公社よりももっと大きな公社になると私は立法のときにも話をしたのでありますが、全国にそういうふうなものを設けまして、この関係の仕事をやっていかなければならぬ、しかもアイソトープも相当利用されると思いますので、その方の監督的な仕事もやっていかなければならぬというので、公的な性格を持ってもらうことにしたのであります。こういう部門は、探鉱、精練と同じような大きな部門でありますから、当然それを担当される理事がいなければ、私はこの公社は法律に書いた通りの業務希遂行できないと思うのであります。その点について、先ほどは事務の方の理事を二人設けられるというお話でありますけれども、私は事務に二人設けられるよりも、とにかくこの化学処理の問題を公社の大きな眼目として取り上げる必要があると思うのですが、理事長はどう考えておられますか。

高橋幸三郎原子燃料公社理事長

○高橋参考人 その点は、大へんごもっともな御意見でございます。浅田の処理という問題は、原子炉については非常に重大な問題でありますが、現段階におきましては、その方面の日本の権威者と申しますか、化学方面の学者の方が今大体研究所の方におられるので、いろいろこの原子炉を運営する面からいいましても、残灰の処理は、最初は研究所の方がいろいろの研究施設についての検討が適当じゃないだろうか、こういうふうな研究所との話し合いの上に、一応残灰の処理の研究段階は原子力研究所の方でおやりになって、そうして、研究方法が確立して、実際の炉が運営するような段階になったときに、公社がその跡を引き継いでやる、こういうふうな現在の見通しになっておりますので、決して残灰の方は公社が今直接やってないから、それをなおざりにしているというわけじゃございませんで、研究所の方がその面について相当力を入れてやっております。それで、私の方からも、将来の連絡を密接にするために、適当な人をそちらの方に派遣して、共同でいろいろの研究を進めていきたいと考えております。  なお、理事の分担につきましては、そういうふうな面で、化学処理の専任の理事が必要とあれば、さらにまたその段階において皆さんの御承認を願って、増員するなりあるいは適当に職務の分担を分けていきたい、こう思って、今のところはまだ実際の仕事に入る段階になっておらぬので、その程度の仕事を進めていきたいと思っております。

前田正男自由民主党

○前田(正)委員 大臣が来られたから、ほかの問題についての質問に入りますけれども、この問題だけは、今のお話では少し認識を誤まっておられるように思うのです。なるほど研究は、あるいは脱衣の段階では研究所で研究をされなければならぬと思いますけれども、私たちが今度海外に出張さしていただいたときにも見て参りましたアイダホフォールズにおける国立原子か実験場の燃料の処理の設備というものは、われわれの想像以上の大規模な科学構造であります。いわゆるこれは科学研究でなくて、科学工業であると私は思うのであります。従いまして、科学工業という方面の仕事は、日本原子力研究所がやる仕事ではないと私は思います。研究所というものは、科学研究をおやりになる。公社との間で共同研究をおやりになるのはけっこうでありますが、科学工業というのはだれがやるかというと、当然公社の性格から見て、やらなければならぬと思うのです。しかも科学工業にはどういうふうな設備を持って、どういうふうな科学処理の順序でやっていかなければならぬか、あるいはまた将来の燃料の処理あるいは廃棄物その他の処理というような問題は重要な問題でありまして、現在からすでにスタートしておられても実はおそいのではないか。アメリカにおいてそういうりっぱな設備があるだけでなしに、インドのようなところでも科学処理のようなことは自分でやろうとしている。またノルウェーのようなところにおいても科学処理の研究所を持っておる。そういうようなことを日本原子力研究所へお願いするのはけっこうでありますが、これは科学工業によってやっていかなければ私はできないと思いますから、その方面はぜひ一つ公社においておやり願いたいということは、われわれの立法の精神に書いてあるところでありますから、その点は一つ誤まりないようにお願いしたいと思います。私はもう少し公社の問題については突っ込んでいろいろお話を向いたいと思うのでありますが、総括的に申しまして、予算の少いせいもありまして、われわれが立法いたしましたときとだいぶ考え方が異なったと申しますか、その一部しか行われてない関係で、日本としては立ちおくれたような感じを受けるのであります。その点については、大臣からもう少しお話を伺ってから質問申し上げたいと思います。

有田喜一自由民主党

○有田委員長 それでは、正力国務大臣が出席されましたので、昭和三十二年度の科学技術関係予算について、正力大臣より説明を聴取いたしたいと存じます。正力国務大臣。

正力松太郎自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○正力国務大臣 閣議に出ておりまして、出席がおくれましたことをおわび申し上げます。  それでは、私から一言申し上げます。皆さんも御存じの通り、世界は今や原子力とオートメーションによって代表される新しい技術革命の時代に入っているといってもあえて言い過ぎでないと存ずるのであります。この際、先進諸国に比して、著しい立ちおくれを示しておるわが国としては、官民一致協力して、科学技術の振興と科学技術教育の強化に渾心の努力をいたさねば、今後永久に国運の隆盛を望み得ないものと考えられる次第であります。  ちなみに先進諸国の科学技術振興に対する努力を見ますと、たとえば一九五四年における官民の研究投資総額において、アメリカは一兆四千四十億円、うち政府関係七千六百八十億円、ソ連は八千五百五十億円、全額政府関係、英国は三千三十億円、うち政府関係二千六百三十億円の巨額を示すのに対し、わが国はわずかに四百七億円、うち政府関係わずかに百三十億円にすぎないのであります。このことは国力の相違に基くのはもちろんのことでありますが、わが国が今後科学技術の振興をはかり、輸出の振興、雇用の拡大、生活水準の向上等を通じて、経済の発展を期すためには、絶大なる努力が要請されているものといわなければならぬと存ずるのであります。  御承知の通り、科学技術庁は、官民の輿望をになって、去る五月十九日発足し、自来庁員一同、鋭意施策の充実に努め、今般三十二年度予算概算要求案を取りまとめた次第であります。何分にも三十一年度予算は、本庁の設置が本ぎまりになる前に、その編成を終了しておった経緯もあり、従って、本庁関係三十一年度予算は、過渡的暫定的にとどまらざるを得なかった点の多々存するものと考えられ、この点三十二年度予算の要求については、全く新たな観点から編成されるべきものと考えられる次第であります。  以下、本庁関係を中心として、三十二年度科学技術振興関係概算要求中、重要事項について、述べることといたします。  一、先ず試験研究の推進については、現下わが国にとって、喫緊の重要研究が、各分野にわたって、均衡的に推進されることが何よりも必要であります。このため、官民一致協力してその実をあげるべきでありますが、特にこの際、国立試験研究機関の占める重要性にかんがみ、その機器設備の充実、近代化及び研究員の待遇改善等について、万全の措置を講ずる必要があると考える次第であります。この点に関しましては、本庁としては、本庁設置法上の権限に捲き、関係各省庁の意見を徴し、所要経費の見積り方針の調整を行い、大蔵省当局と折衝すべく、目下科学技術審議会予算部会を中心として、せっかくその調整案を作成中であります。  また、本庁付属の航空技術研究所及び金属材料技術研究所につきましては、それぞれ当該研究所の長期建設計画に基き、所要の備設の経費を要求しており、また、現在の最新の技術部門の一である電子工学については、その重要性にかんがみ、本庁に電子技術課を新設し、関係各行庁の事務の調整と、その推進に万全を期する方針であります。  二、次に、新技術の開発の促進についてでありますが、とかく優秀な研究成果であっても、新技術に伴う危険性のため、民間の企業がこれを企業化しないものが多々あるのでありまして、この際、財政支出によって最低企業規模における企業化を行い、新技術の企業への採用を促進することが必要と存じます。このため、今回、新技術開発公団を設置する方針であり、このための所要経費十億円を要求しております。  三、次に、科学技術情報活動の強化についてであります。試験研究の推進のためはもちろんのこと、広く科学技術水準の向上のためには、何よりも内外の最新の科学技術情報の収集、整理を行い、これをすみやかに関係方面に提供する業務が強化されねばならぬと存ずるのでありまして、この点、先進諸国は、大部分が国家的機関によりこの業務を運営している実情にあり、この点、わが国としましては、格段の努力をいたす必要を痛感しておるのであります。このため、今回科学技術情報センターの設置に関する経費三億五千万円を上要求しております。  また、海外における最新の情報を迅速に収集し、上記の科学技術情報センターの業務の万全にも資するため、科学技術アタッシェの増強に関する経費を、要求しております。  四、原子力平和利用関係につきましては、御存じの通り、日本原子力研究所は六月十五日、原子燃料公社は八月十日、それぞれ発足を見まして、着々その業務の整備に努めておる次第でありますが、三十二年度は、国際的にも国連の国際原子力機構の設置、アジア原子力センターの発足等、画期的な時代を迎えるとともに、国内的には、来年四月末、わが国初めてのウォーター・ボイラー型の実験炉を導入、引き続いて六月末その木運転開始が予定されておる状況にあり、その他、燃料関係、技術者の養成訓練、関連技術の育成、アイソトープの利用の促進、障害防止措置の強化等に所要の経費約百二十二億を要求しております。一見非常に膨大な要求のように見えますが、先進諸国における例から見ても、最小限度のものであり、今後の情勢に照らし、むしろなお少額にすぎるのではないかとすら考えられる次第であります。  五、なお、その他わが国における唯一の民間の総合研究所である科学研究所の研究機能の強化をはかるため、政府出資の増額を行う方針であり、また研究成果の普及、及び技術水準の向上に資するため、先進諸国の実情にも徴し、技術士法を制定し、技術士業務の適正化と、今後の拡充を期するための経費を要求しております。  六、また一国の科学技術の振興の根源は、かかって科学技術教育のいかんにあるといっても過言でないと深く確信するものでありまして、この点、画期的な科学技術教育の強化普及に関し、文部省とも密接な連絡のもとに、所要の経費の要求を文部省よりいたしておる次第であります。  七、最後に、本庁設置の際の国会における付帯決議に伴う措置について、一言申し述べたいと思います。両院の付帯決議におきましては、中央地方を通じての試験研究機関、特許行政機構等の実態を調査し、今後の科学技術行政の強化を期すべきこととなっておりますが、このため、本庁としては、六月十八日、庁内に試験研究等促進方策調査会を設け、審議官、調査官を中心として、機動的に運営することとし、三十一年度は、主として国立試験研究機関の四十一カ所及び特許行政について、三十二年度は、引き続き公立及び民間の試験研究機関について、その実態を調査する方針であり、その結果、今後における科学技術庁の整備強化に関する方策を策定することとなっております。  以上、簡単に本庁関係を中心として、三十二年度の科学技術振興関係の予算概算要求の大綱について述べたのでありますが、本庁関係の三十二年度要求に際しましては、極力その圧縮をはかり、総額において約百八十八億円を要求しておるのであります。冒頭に述べました諸外国の実情に比し、きわめて僅少のものと言わざるを得ないのでありますが、現下の健全財政の堅持の建前から、この程度にとどめた次第であります。現在のわが国における科学技術振興の緊急性にかんがみ、何とぞ十分なる御検討をいただき、御協力を賜わらんことをお願いいたす次第であります。

有田喜一自由民主党

○有田委員長 これにて大臣の説明は終了いたしました。  質疑をお許しいたします。前田正男君。

前田正男自由民主党

○前田(正)委員 ただいま大臣から所見のお話を伺いまして、まことにごもっともなことが並べてあると思うのでありますが、特にこの際大臣に御質問申し上げたいと思うのは、科学技術庁が発足されまして、新しい予算の要求をされる、その方針でございます。科学技術庁設立に当りまして、特に原子力を含めましての今後の科学技術関係、これの画期的な振興拡大をはかるということで、この法案が成立したと思うのでありますけれども、それに伴いますところの長官の御所見として、いろいろの施策が現われております。この画期的なことを、長官は確信を持って推進されるかどうか。というのは、実は科学技術庁を作るときに、われわれは、科学技術庁を推進するについては、もちろん予算の裏づけがなければできませんので、科学技術庁は全面総合調整官庁であると同時に、予算の調整権を持つということを強力に主張しておったのでありますけれども、閣議の方で、大蔵大臣からいろいろな御意見があったという大臣の御説明によりまして、それを予算見積りの方針の調整ということに変更いたしました。しかしながら、大蔵大臣は、科学技術庁において調整したもの、もちろんそれは科学技術審議会に大蔵省の人が出席して、審議会できまるわけでありますから、大蔵省の了解を待てきめられていると思いますけれども、科学技術庁で調整したものは十分尊重するということで、この字句の変更をしてくれということにわれわれは聞いておりました。それでわれわれも了承したのであります。従って、今、長官が述べられたようなことは、科学技術審議会にかけておられ、大蔵省も審議会に出席しているわけですから、了承していると思いますけれども、閣議におきまして、責任を持って、これだけの意見を、大蔵大臣とともに科学技術庁長官である正力国務大臣は、推進されるという確信を持っておられるかどうかという、その熱意をお聞きしたいと思います。

正力松太郎自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○正力国務大臣 先ほど申し上げました通り、日本の経済自立をはかるについては、どうしても科学技術の振興にまたなければならぬという確信を持っております。従って、実は国の重要政策の一つとして、科学技術の振興、科学技術の強化ということを閣議に提案したいと思っている次第であります。そういう考えでありますから、このくらいの予算は、外国の例からみますると、先ほど申したように、非常に少いのであります。ただ日本の実情から見ると、だいぶ大きいものでありますから、私どもも努力をいたしますが、どうぞ一つ委員の方にも、ほかの予算からすると大きいけれども、日本の経済拡充のためにはこれが必要であるという御賛同を得まして、御協力を賜わらんことを切にお願いする次第であります。

前田正男自由民主党

○前田(正)委員 今の長官の御熱意に対しては、われわれもできるだけ協力いたしますけれども、きょうは実は大蔵省の政務次官ないしは主計局長等の責任者においでを願って、大蔵省の意見も聞こうと思ったのでありますが、来られませんので、また次の機会に大蔵省の意見をただしますけれども、実はこの法案を作るときに、大蔵省から正式に、国会におきまして、科学技術庁の調整しましたものに対しては、これを尊重するという答弁を得ているのであります。しかし、先ほど申しました通り、閣議においても、大臣は大蔵大臣との間にそういう了解のもとに閣議で変更して、予算方針の調整ということに類したということは、大臣よく御存じの通りでありますから、どうかそういう熱意に基いて、閣議の決定、あるいは国会における大蔵省の答弁等を参考にされまして、これが予算の獲得の実現にさらに御尽力賜わりますようにお願いしておきまして、私の質問を終ります。

有田喜一自由民主党

○有田委員長 他に御質疑はありませんか。——なければ、本日はこれにて散会いたします。     午後零時十分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗