科学技術振興対策特別委員会 第25号
- 発言数
- 64 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1956/05/30
会議録
○有田委員長 これより会議を開きます。 この際、閉会中審査に関する件について、お諮りいたします。来たる六月三日で本会期も終了と相なりますので、本特別委員会といたしましては、閉会中もなお科学技術振興対策に関し継続して審査いたしたい旨議長に申し出たいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○有田委員長 御異議がなければ、さよう決します。 なお、閉会中審査が院議をもって付託され、閉会中審査を行います場合に、定足数の関係で委員会が閉会中できないことのないよう、閉会中審査小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○有田委員長 御異議がなければ、さよう決します。 なお小委員は、理事七名に私を加えて八名、小委員長には私がなることといたし、小委員の異動につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○有田委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○有田委員長 次に、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。閉会中審査案件が付託されましたならば、科学技術振興の立場より、只見川の電源開発等の実情を視察いたしたいと存じます。その旨議長に申し出いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○有田委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。 なお、日時は、大体七月十三日ごろといたしたいと存じますが、その期間、人数等に関しましては、委員長に御一任願います。 ―――――――――――――
○有田委員長 本委員会は、去る四月十一日より六回にわたり、原子力の問題、南極地域観測等に関する問題、生産性向上に関する問題、物性物理学に関する問題及び研究所に関する問題について、それぞれ参考人より意見を聴取いたし、その調査を進めて参りましたが、本日は、去る十九日科学技術庁も発足いたしましたので、この際、正方科学技術庁長官、斎藤科学技術庁政務次官より、その所見を伺いたいと存じます。 まず、正力科学技術庁長官より、就任のあいさつをお願いいたします。
○正力国務大臣 このたび私は科学技術庁長官を拝命いたしまして、皆さんの御厄介になることとなりました。何分とも一つよろしくお願いいたします。 なお、この機会に、科学技術庁の次官、局長の紹介をいたしますから、これまたよろしくお願いいたします。
○斎藤(憲)政府委員 斎藤憲三であります。今回科学技術庁政務次官を拝命いたしました。浅学非才でございますが、何とぞよろしくお引き回しを願います。
○篠原説明員 私、次長を拝命いたしました篠原登でございます。まことに微力の者でございますので、今後とも御指導、御鞭撻をお願いいたします。
○河田説明員 私、河田党と申します。従来、農林省の農業改良局の研究部長をやっておりましたが、このたび科学審議官を命ぜられました。よろしくお願いいたします。
○松井説明員 私はこのたび科学技術庁の科学審議官を拝命いたしました松井達夫でございます。今まで建設省の首都建設委員会の事務局におりました。どうぞよろしくお願いいたします。
○原田説明員 私このたび官房長を拝命いたしました原田でございます。今まで通産省の特許庁におきまして、審判長を勤めて参った者でございます。何とぞよろしくお引き回しのほどをお願いいたします。
○鈴江説明員 私このたび企画調整局長を拝命いたしました鈴江康平でございます。私、従来、科学技術行政協議会いわゆるスタックの事務局長をやっておりまして、この委員会の皆様から多大の御鞭撻を願っておった次第でございますが、今後とも一そうの御鞭撻をお願いしたいと思います。この席をかりまして、お願い申し上げます。
○佐々木説明員 私、佐々木義武でございます。原子力局長を拝命いたしました。今までも一月以来、総理府の原子力局長をやって参ったのでありますが、大へんむずかしい仕事でありまして、なかなか私ごとき者でこの重任にたえ得るかどうか危惧しておりますけれども、皆さんのお力添えで、今後とも大過なくできますようにお願いいたします。
○藤村説明員 私はこのたび資源局長を拝命いたしました藤村でございます。今まで総理府の付属機関でございました資源調査会の事務局長をいたしておりました。今後ますます資源の総合利用に関するいろいろの仕事をやらせていただくことになりました。よろしくお願いいたします。
○三輪説明員 私は今回調査普及局長を拝命いたしました三輪大作でございます。今までは工業技術院の標準部長をやっておりました。どうぞよろしくお願いいたします。
○有田委員長 それでは、正力国務大臣より、科学技術振興に関する御抱負、御所見を拝聴いたしたいと思います。
○正力国務大臣 今回科学技術庁が発足いたしました機会に、今後のわが国おける科学技術振興の方途について、所信の一端を申し述べてみたいと存じます。もちろん、御承知の通り、科学技術庁も発足早々でございますので、以下述べますことも、今後の予定とあるいは心づもりの域を脱しない点の多々ありますことは、あらかじめ御了承願いたいと存じます。 個々の対策を述べます前に、今後科学技術の振興をはかって参りますに当っての全般的な考え方について述べてみたいと存じます。御承知の通り、現今の世界は原子力の問題にしろ、オートメーションの問題にしろ、従来の考え方では処理しがたい科学技術が矢つぎばやに、しかも急速に進展している現状であり、この点から新たなる産業革命の時代に突入しているといえるかと存じます。かかる現状のもとにおいては、国家の進歩発展は、一にかかって科学技術の振興のいかんにあるといってもあえて過言ではないと思います。わが国の場合におきましても、今後ますます輸出を振興し、すみやかに自立経済を達成し、生活水準を向上するためには、科学技術の振興をはかることが最も重要なことであると確信いたすものであります。 以上のような、新事態に対して、科学技術の振興をはかるためには、国民全体がおのずから従来とは異なった決意を持つべきことを痛感する次第でありまして、この点、政府といわず民間といわず、国全体が従来にも数倍した協力体制をとって、有機的な連係のもとに、研究の推進、技術の向上をはかっていかねばならぬと思うのでありますが、また同時に、かかる技術の革命期においては、世界の主要国の例に見られる通り、政府の演ずるべき役割の増大を痛感する次第ございます。特に原子力、エレクトロニクス等の最も近代的な分野については、特段の努力をいたし、万遺憾なきを期したいと存じます。 以下個々の対策の今後の大よその方向について、簡単に述べさせていただきます。まず、戦時戦後を通じて、欧米諸国に対して著しい立ちおくれを来たした、わが日の科学技術をすみやかに振興せしめるためには、優秀技術を培養し、これを各企業に浸透せしめ、全体の技術水準を高めるとともに、新技術の実施化をはかることが必要であります。このため今後財政面、資金面、税制面等において必要な措置を講じて、その振興を増進したいと考えます。 他方、外国の優秀な技術の導入がさしあたりのところどうしても必要でありますが、この場合もでき得る限り、国内の研究部門、生産部門を萎縮せしめることのないよう、慎重なる配慮のもとにもちろんのこと、今後は積極的に技術の輸出をはかりたい所存であります。 次に研究の推進対策としては、研究を実施するために必要な諸能力、すなわち研究資金、研究設備、研究員の質と量、その他研究の環境等の増大改善をはかることが必要であると思います。また研究の実施に当っては、各研究機関の特色を生かしつつ、相互の連係を密にして、能率の向上をはかる必要があると思います。これがためには、各研究機関の精密な実態調査を、官公立研究機関、民間研究機関等の順に早急に実施する所存でございます。 また、わが国の科学技術活動を全面的に刷新向上せしめるためには、科学技術者の教育問題についても、根本的な再検討を加える必要があると思われる次第一でありまして、この点に関しては、関係行政機関と協力して、検討していきたいと考えております。 次に、中小企業における技術振興の問題でありますが、わが国経済における中小企業の独自性、特に輸出振興上の中小企業の重要性にかんがみ、以上に述べた諸対策はもちろんのこと、特にこれら中小企業及び地方産業と関連の深い各都道府県の研究機関に対する助成の強化、助成化、技術士制度の強化等による指導面の推進等について、関係行政機関とも連絡の上、万遺憾のないよう努める方針であります。 次に、科学技術に関する情報活動については、技術アタッシェの増強及び情報センターともいうべきものの設立等により、今後その強化を考えております。 以上の諸施策は、それぞれ長期の見通しと相互の密接な関連のもとに遂行されねばならないものであり、この点からこれらのすべてを包摂する総合計画の樹立が必要であると思うのでありますが、この際肝要なことは、計画がわが国の資源の現状と遊離しない合理的なものでなければならぬ点であります。この点、わが国の資源に関する精密な調査が従来にも増して要望される次第であります。また、この総合計画は経済政策または長期経済計画と密接な関連のもとに策定される必要があると思うのであります。 以上において、科学技術振興対策の大よその方向を述べた次第であります。 今後これ等諸施策の具体的立案及び実施に当っては、科学技術庁の付属機関である科学技術審議会、航空技術審議会、資源調査会及び発明奨励審議会を初め、広く民間の意見を十分に反映するこことし、また関係各行政機関との緊密な協力を得て、広く世論の上に立って、これらの諸施策を強力に推進していく所存でございますが、施策そのものの内容につきましては、何分にも、科学技術庁の発足後、なお日浅く、不十分な点も多いことをおわびいたしますとともに、今後ともより一そうの御叱正、御鞭撻をお願いいたす次第であります。
○有田委員長 ただいま見えたのが、今回科学技術庁の審議官に就任されました黒川さんでございます。
○黒川説明員 おくれて参りましたが、私、黒川真武でございます。工業技術院の部長をしてございますが、このたび科学技術庁の審議官に就任いたしました。ごあいさつ申し上げます。よろしくお願いいたします。
○有田委員長 それでは、質疑の通告がありますから、順次これを許します。前田正男君。
○前田(正)委員 本日は新しく科学技術庁が出発いたしまして、初めての大臣以下御出席になりましてのごあいさつを承わりまして、私たち非常に感激にたえないところでございます。御承知の通り、科学技術庁の発足につきましては、ここ数年にわたりまして超党派的にこれを推進して参ったものでございまして、その超党派的な努力の結果、ようやく今回科学技術庁が発足したのでございまして、われわれも今後この科学技術庁が日本の再建の国策といたしまして、科学技術振興対策を大きく出していくことにまた超党派的に協力していきたい、こう考えておるのでございます。ただいま長官から承わりました所信につきまして、ここで簡単に数点御質問を申し上げたいと思うのございます。 まず第一点でございますけれども、私たちが科学技術庁が発足いたしますについて一番念願といたしたところは、従来の技術院等の例もありまして、単なる総合企画官庁でありましては、全然その科学技術の振興方策というものは期待できない。私たちがねらいました第一点は、何と申しましても、科学技術振興方策というものがわが国の国策にならなければいけない、――わが国の国策を決定するのは閣議であります。また国会であります。従いまして、閣議に発言権を持ち、しかもまた国会に連絡のできるところの大臣を長とし、政務次官を持つところの官庁でなければならぬということを強く推進してきたのであります。これは技術院の弊を脱するために、その必要があると思って唱えてきたのでありまして、今日そのような結果で出発いたしたのでありますから、この点については、一つ担当に当りましたところの長官と政務次官は、大いに決意を新たにしていただいて、私たちの期待に沿うていただきたいと思うのであります。 もう一つの点は、御承知の通り、総合企画調整をいたしましても、予算の調整権を打たないと、この仕事は実施ができない。こういう点で、これも今までの官庁には、経済安定本部時代に、公共事業費につきまして一応認証制があったということがあるのでありますけれども、こういう科学技術全般にわたりましての予算の調整権を打った官庁というものは、これまた日本におきましては初めてでございます。大蔵省の持っておりますところの予算権に対しまして、初めてこういうふうな調整権を持った官庁ができたのでございまして、私たちはこの官庁が将来その得ましたところの調整権を有効に発揮して、わが国の再建に役に立つか立たないかということは、今後の日本の行政の土におきます大きな将来の道を作るものであると考えておるのでございます。この二点につきまして、われわれは最も大きな期待を持っておるのでございますが、とにかく先ほどの所信の点につきまして、大臣から一応のお話はございましたけれども、私はこの二点は決してそうたやすいものではないと考えておるのでございます。科学技術庁設置法案が提案されましたときにも、大蔵省の政府委員も出席のもとにおいて、特に私は科学技術振興政策について、科学技術庁の調整したものについては、大蔵省がこれを尊重するかということを質問いたしまして、十分尊重するという答弁がありましたけれども、今度、科学技術庁が発足いたしまして、来年度の予算を編成し、あるいは今年取りました科学技術の予算を実施に移していくについては、いろいろ具体的な問題に当面すると思うのでございます。これに対する大臣の決意を一つお伺いいたしたい。われわれがかねてから期待いたしておるように、閣議におきまして、あるいはまた国会との連絡において、あるいはまた大蔵省との面において、科学技術政策というものを国策の第一線に押し出して、強力に推進していこう、こういう大臣の力強い決意をまず最初にお伺いしたいと思うのでございます。
○正力国務大臣 ただいま前田委員からお尋ねがありました点、まことにごもっともなことでありまして、私も前田委員の御意見の通りでなくちゃならないと思います。しかし、これはなかなかむずかしいことでありまして、先ほどの御注意のごとく、科学技術の基本政策を立てる、各省の予算に対して統一をはかる、この二つがうまくいけば、日本の生産力の発展、生活水準の飛躍は間違いはない。その方針はごもっともで、やらなくちゃならないと思いますけれども、これについても、どうしても委員会の皆さんの心からの後援がなければならない、なかなか大臣だけがんばってもいきませんから、これは一つ皆さんの御後援のもとにやりたいと思います。お話しの通りに、日本の生活水準を上げるについては、科学技術による以外に方法はない、そしてそれをやらなくてはならないと思っております。また各行に研究所があったり、予算があったりして、むずかしいですから、私も大いにがんばりますから、皆さん方の御支援も大いにお願いしておきたいと思います。
○前田(正)委員 非常に力強い決意のほどを伺いましたが、先ほど申しました通り、とにかく閣議において、また国会に連絡してこの問題を十分果していくためには、どうしても大臣と政務次官との一段の御奮闘をお願いいたしまして、技術院におきますところの失敗がないように、あとで、ああであった、こうであったというような批判が起らないように、せっかく技術庁ができましたので、効果が上りますようにお願いいたします。またわれわれも、できるだけ御協力をいたしたいと思うのであります。 次に、具体的な問題について、一つお聞かせ願いたいと思います。この委員会におきまして、附帯決議をつけましたと同様に、また閣議においても決定をいたされておる問題は、この科学技術庁の発足に当りまして、未解決として残りました研究所の整理統合の問題であります。過日、この問題につきまして、この委員会で審議したときに御質問申しましたところが、これは科学技術庁として、閣議でもきめられたことであるし、できるだけ三十二年度からこれを実施するために、発足と同時にさっそくに、この問題については科学技術庁の幹部を動員いたしまして対策を立てる、それがために、何か特別の制度の研究室みたようなものを内規として設けられるというような御答弁があったと思うのですが、それはいかがになっておりますか、一つ御説明願いたいと思います。
○斎藤(憲)政府委員 科学技術庁設置法案の御審議に際しまして、ただいま御指摘がございました通り、科学技術庁の今後の充実発展のために国内にある研究所、実験所をどう処置していくかという御質問があったのでございます。これに対して、政府といたしましては、科学技術庁が出発いたしますれば、早急に庁内に制度調査室というものを設けて、大臣のもとに、次長を首班として、適当に審議官、調査官を配して、この日本の研究所、実験所のあり方をどうするかということを審議決定していくということを御答弁申し上げてあるのであります。その線に沿うて私たちは、発足以来、連日、課長以上の者が午前九時から集まりまして、いろいろ論議を重ねて参ったのでございますが、大体庁内における諸制度のあり方がはっきりいたして参りましたのがようやく昨日のことでござまいして、これから今御指摘のように制度調査室を設けまして、早急に今後のあり方に対して検討を加えていきたい、さように考えておる次第でございます。
○前田(正)委員 それから法律の関係のことでありますけれども、科学技術庁には、顧問、参与を置くことができるとなっておりますが、これが有名無実のものであっては、せっかくわれわれが審議いたし、成立いたしました法律が、役に立たないことになります、特にこの科学技術庁につきましては、当然各方面からの権威ある意見というものを取り入れなければならぬと思います。従いまして、少くとも顧問は、早急に任命される必要があると思うのでありますが、これは現在いかがになっておられるか、ちょっとお聞きいたします。
○斎藤(憲)政府委員 この顧問は、法案審議中、委員の皆さん方の御意向といたしましては、なるべく少数にして、代表的な人物を顧問として任命する方がいいという御意見もあったように記憶いたしておるのであります。従いまして、顧問の人選につきましては、目下大臣が中心となりまして、鋭意その人選に努めておるのでございますが、この顧問は、科学技術庁のあり方そのものが、長年の間の国会の希望によって生まれたものでもあり、かつ超党派的な線を今後も固く持続しつつ、日本の科学技術の振興発展に重大な責任を持っていく人物でなければなりませんので、なるべくすみやかにその人選を終って、できるならば、来週中にでも顧問の任命をいたしたい、さような点まで今進んでおるのでございますから、この点御了承願いたいと思います。
○前田(正)委員 まだ発足して間がないことでありますから、あまり具体的な問、題に突っ込んだことは次の機会にまたお願いしたいと思います。ただ、この中で、特にこの際、これは大臣にぜひお願いしたいと思うことがあります。来年度の予算の編成方針を近く調整していかなければならぬわけでありますが、その中のこまかい既存の問題等については、制度調査室その他でいろいろ整理されてから、大臣の方で御決定になることと思います。この既存の問題の研究費、補助費のほかに、私がこの際特に大臣にお願いしておきたいと思いますことは、科学技術庁ができましたのに伴って、当然、従来研究がもっと促進されなければならないのに、促進しないでおる研究が相当あるわけであります。まず既存の問題についてお話いたしますならば、たとえば通産者の試験場、研究所等の中においては、われわれも非常に注目しております、また世界でも大きな問題になっております太陽熱の利用の問題であるとか、あるいはまた海水の利用の問題であるとか、おのおの相当の成果を得べき、まず第一段階にはみんな達しておると私は思うのです。ところが、残念ながら、わが国の科学技術の予算が十分でないために、それから先に進んでいないような、そういう特別の研究のものが、各研究所に相当あります。今私は通産省だけの例を申し上げましたが、その他農林省におきましても、あるいはまた厚生省その他各方面においても、そういう問題があるのであります。また運輸省におきましては原子力船の問題等、いろいろと問題を持っておるわけであります。こういう特別な研究の問題につきましては、既存の研究費の整理、調整とか研究の問題と別にいたしまして、こういう今まで研究してきて、すでにある程度芽ができておるものについては、この際特別に研究費を来年度予算に大いに出す、これは超党派的に、また各官庁も十分に協力して、その研究を伸ばしていくというふうなことを一つお願いいたしたい。これは来年度予算でもけっこうでありますが、本年度の補正予算等もありますならば、こういうふうな明僚になっておるようなものについては、一つ特別に、研究興を多額に取るように御努力を願いたいと思うのでありますが、大臣どういうふうに考えておられますか。
○正力国務大臣 ただいまのお尋ねの点、まことにごもっともであります。これは、私ども、実はかねがね信じておることでありまして、欧米に比較して、日本の研究が劣っておるのは、研究費が少いためであります。要するに、科学技術者の技術的頭脳においては決して負けておらぬけれども、研究費が少いために、すべての点がおくれてきておるのであります。従って、今度科学技術庁ができた機会に、ぜひ一つ研究費をふやしたい。これについては私も大いにやりますが、やはりどうしても委員の皆さんの御援助を受けなければなりませんので、皆さんと一体となって研究費を大いに増大したい、こう思っておりますから、よろしくお願いいたします。
○前田(正)委員 それからやはり研究の問題につきましては、ある程度今まで基礎のできましたものとか、芽ができたもののほかに、新設あるいはまた新設を予定されておるようなものに、御承知の通り金属であると放射線医学であるとか、あるいはまた物性物理だとか、科学研究所だとか、あるいはまた航空研究所も新設に近いような現状ではないかと思いますが、こういうふうな相当大きな、総合的なものを作らなければならぬというような情勢になっておるのであります。しかしどの例をとりましても、一つが何十億あるいはそれ以上というような、非常に多額のものを要するものでありまして、最近、これはもうすでに相当力強く出発しております原子力研究所の例を見ても、何十億あるいは何百億にわたるのではないかと思うのであります。こういうふうに、今後の大きな研究機関というものは、わが国の貧弱な財政でやっていきますと、これはどうしても十分にこなし切れないというような状態でありますので、当然何個所も作るわけにはいきません。たとえば少い個所にいたしましても、果して十分な設備ができるかどうかということも、われわれ疑問に思っておるのであります。従いまして、当然これは学者の中にも多少異論があると思いますけれども、大学の研究される方も、官吏の研究する人も、あるいはまた民間の方も、これは一緒になって一つ研究しなければ、仕方ないのではないかとわれわれは思うのであります。その一つのやり方は、大体今度の日本原子力研究所がその傾向であると思うのでありますけれども、とりあえず科学技術庁の付属の国立研究機関として一応名前を連ねておるもの、あるいはまたそれに放射線医学等が、来年度から科学技術庁の付属機関として新設されるというふうな予定になっております。この調子でいきますと、とてもなかなかわれわれは日本の貧弱な財政ではやりにくいと思うのです。この問題については、大臣が一つ御中心になりまして、どういうようにしてこういう大規模な総合研究的なものをやっていったらいいかということについて、一つお考えを願いたいと思うのであります。私は、大体日本原子力研究所が一つの行き力だと思うのでありますが、ああいうふうな線で、今後金属とか化学、物性物理、放射線医学とか、その他考えられるような、あるいはまた航空研究所もその中に入れたらいいかと思いますが、そういうような総合的な、大規模の研究所を、この際日本としては設けなければならぬ、こう思うのであります。これについて、大臣はどういうようにお考えになっておられますか。
○正力国務大臣 御質問の点はまことにごもっともでありますが、実は今度でも、金属の研究所についてわずか一億ながら取っております。それから航空研究所についても、六億ぐらい取ってないのでありまして、こういうことではとてもいけませんので、今度は、それも先ほど申し上げました通りに、科学技術庁ができた機会に、一つ皆さんの御協力によって、予算をうんと取って、ほんとに科学技術の振興をはかりたいと思っておりますから、よろしくお願いいたします。
○前田(正)委員 次に、先ほどの所信の中にも述べておられましたが、科学技術情報所式のものを作りたいというような御意見でございました。私たちは、科学技術庁を作るという法案を国会で審議しておりましたときに、実は初めから科学技術情報機関を整備しようということをやかましく唱えておりました。一時のわれわれの案には、すでに科学技術庁を作ると同時に、付属機関の中に、科学技術情報所を作ろうというような意見もあったのでありましたけれども、御承知の通り、文部省の中に大学の栄福情報所というものができております。また図書館関係は、国会図書館の方で科学技術の図書館を整備するということになりましたので、この際一挙に作るというのはどうかと思いましたので、そういう既存のものは所管そのままでもけっこうでありますが、そういうものと併置して、科学技術情報所というものを作って、日本の科学技術の現状はどういうものであるかということを国民によく知らしていただくとともに、一般の科学技術者の人たち、学会、官民の人みんなが、そういう情報、資料等を利用できるような組織を作らなければならぬと思うのであります。この問題につきましては、今後非常に大きな問題を持っておると思いますので、この所信にありますけれども、一つぜひこれが実現できますように、大臣の御奮闘、御協力をお願いしたいと思うのであります。その問題は、御返事は別といたしまして、この所信の中にも一端触れておられましたけれども、科学技術の問題が、行政各面に十分に現われていない。先ほどありましたように、技術導入の問題でありますとか、あるいは特許の問題であるとか、あるいは外国機械の購入の問題等は、わが国の国家的な、科学技術を振興していこうという立場ではなしに、そのときの外貨事情だとか、あるいはそのときの生産状況だとかでやっておるのが非常に多いのでありまして、この点が問題点でございます。科学技術庁ができました以上は、どうしても行政の各部門にわたって、科学技術的な観点を反映してもらいたいというのが、科学技術庁の大きな使命であろうと思います。この点については、閣議においても、あるいはまた内閣にあるいろいろの審議会においても、科学技術庁長官及び科学技術庁の官吏の人たちが、ぜひ一つこれを強力に推進してもらいたい、これは行政の各部門にわたって、科学技術的な観点からの発言をこの際やっていただかなければならぬと思うのであります。その点について、大臣の御所信をあらためてお伺いたいたします。
○正力国務大臣 先ほど、科学技術情報を早くとるようにというような話もありましたが、これは原子力の力ではすでにその機関を置くことにしております。今度さらに御注意もありましたので、科学技術全体の情報をとるようにいたしたいと思います。大体、日本の役所は、今まで情報をとることに非常に不熱心でありました。これが日本の科学技術がおくれた一つの原因ではないか、こう思ったくらいであります。今幸いに御注意もありますので、ぜひ情報を収集し、それの一大刷新をはかりたいと思っております。 それから行政方面についての科学技術の浸透でありまするが、これはすでにいつかも申し上げた通りに、日本は今まで文科万能でありました。従って、技術者は下であったのでありますが、今度の科学技術庁は、技術者が八割を占めておりますほど、たくさん集めておるわけでありますから、これを機会に、科学行政方面に、科学技術を十分浸透するようにしたいと思っております。先ほど申し上げました通りに、どうしても日本が進歩発達するには、科学の力による以外に方法がないのであります。今までは法科万能、今度は科学万能とまではいきませんが、科学を中心に考えなければならぬ。この時代に、この科学技術庁ができたということを私どもは非常に喜んでおりますので、努めてその御趣旨に沿うようにいたす次第であります。
○前田(正)委員 それでは、科学技術庁の方に対する質問はその程度にいたしまして、大蔵省の方に質問したいと思うのであります。 先ほど正力大臣に質問したときに申し上げたのでありますけれども、この科学技術庁ができた問題の一つといたしまして、科学技術政策というものを国策として大きく打ち出すと同時に、科学技術関係の予算の調整をするということであります。これについては、この法案を審議いたしましたときにも、山手大蔵政務次官から、科学技術庁で調整いたしましたものは、大蔵省で十分尊重するという御答弁があったのであります。幸いにきょうは担当の主計局次長が出ておられますので、科学技術庁も発足いたしまして、いよいよ来年度予算も編成しなければならぬし、今年度予算についても相当の調整を要する問題があると思いますが、こういう科学技術庁の調整いたしましたものについては、大蔵省としては、さきの大蔵省政務次官の御答弁の通りに、十分尊重されるお考えでありますかどうか、担当の主計局次長から御説明願いたいと思うのであります。
○宮川政府委員 大蔵省といたしましては、各省各庁の予算に対しましては、できるだけこれを尊重するという建前で臨んでおるわけであります。特に前田委員の仰せられましたように、科学技術庁の今度の新発足にかんがみまして、いろいろな職分がございますが、その中で予算の見積りの方針の調整に関する事項というものは、科学技術庁が健全な発達を遂げ、科学技術の振興をはかる上におきまして、非常に重要な職分だと考えておる次第でございます。従いまして、科学技術庁の作られました見積りの方針の調整の結果に対しましては、大蔵省といたしましても、これをできるだけ尊重して参りたいと考えております。
○前田(正)委員 まことにけっこうな御答弁であります。ただし、これは私の質問の方にも抜けておりましたけれども、大蔵省を抜きにしてやるわけではありませんで、科学技術審議会に大蔵省の方が出ていただきまして、科学技術審議会でその方針をある程度審議されてから、科学技術庁がきめるわけでありますから、大蔵省の意見も十分聞いて、方針をきめたものは大蔵省は尊重する、こういうふうに一つやっていただきたいと思うのであります。 それから、今、正力大臣からも御答弁を願ったのでありますけれども、科学技術庁ができまして期待しておることは、科学技術関係の予算を、非常に大きく伸ばしたいということでございました。もちろん日本の国の財政事情からしまして、これが十分に期待通りにいくということはなかなか困難でありますけれども、特に私たちが考えておりますことは、既存の研究体制につきまして、整備をするということであります。これは当然不十分な点、ダブっているような点は、整備をしなければならぬと思いますけれども、しかし整備をするということは、減らすという意味ではなしに、伸ばしていく、合理的なものにして、効果ある方法で伸ばしていこうということでございます。特に今申し上げた中に、せっかくいい研究の芽が出ておっても、金がないためにできない。しかしそれがどれだけの効果があるかということは、一研究所がやっておりますので、実は大きく取り上げていない。たとえば海水の利用とか、さっき申し上げた太陽熱の利用とかいうようなことも、いいことであるのはわかっておりながら、大きく出ていないのであります。幸い科学技術審議会あたりで、各省の方がみな出られるわけでありますから、これは日本の科学技術政策として一つ伸ばそうじゃないか、こういうことになったときには、これに対してはぜひ思い切った予算をつけてやっていただきたい。そういうふうに、この科学技術の今後のやり方につきましては、整備をするというけれども、これは伸ばしていこうという意味で整備をする。それから特別な研究機関の新設ということについては、できるだけ各省で話し合って、科学技術の方針として、科学技術庁で決定されたものについては極力一つ――原子力については大蔵省で相当協力していただいて、予算をつけていただきましたが、そういうふうに思い切った予算を、原子力も含めて、各方面につけてやっていただくということについて、私の方から希望申し上げたいと思うのであります。できましたら、一つ所信をお開かせ願いたい。
○宮川政府委員 大蔵省の職員は、科学技術方面につきましては、どちらかといえば、しろうとでございます。しろうとでございますが、各省各庁の担当官とよく討議いたしまして、できるだけ適正に予算を編成するように心がけておった次第でございまして、ただいま前田委員の仰せられたように、今回科学技術庁が発足いたしまして、各省各庁の間をよく連絡調整されまして、どの科学技術を重点的にやるかということにつきまして御意見がまとまった上におきましては、大蔵省といたしましても、できるだけこれを尊重いたしまして、その方向で、単に縮小するだけでなく、拡充発展的に参るように心がけたいと思います。今年度予算の編成に当りましても、皆様からは、あるいは少いと仰せられるかもしれませんが、できるだけ科学技術に関しまして予算を計上した次第でございます。今後もその方針で参りたいと存じます。
○有田委員長 志村茂治君。
○志村委員 科学技術庁の発足に当りまして、大臣に御意見を伺いたいのでありますが、ただいまの大臣の所信の表明の中にもありました通りに、世界は確かに第二次産業革命期に入っておると思うのであります。この際、一本の科学技術政策について、根本的にどういう方針を確立するかということは、最も重要な問題だと思っております。特に日本の国民生活は、世界の水準よりも相当低いところにある。その大きな原因は、過去何十年の間、日本に資本主義ができ上ってから後におきましても、科学技術の水準の点において、世界列国からおくれておったということが決定的な原因であると考えておるのであります。しかしながら、平時におきまして、この水準のおくれを取り戻すことは容易なことではない。何十年の間われわれはあらゆる努力を傾けて参ったのでありますが、ついに世界の最高水準まで技術的に達することができなかったというこの事実から見まして、第二次産業革命のこのときをとらえて、われわれが世界水準まで躍進することが最も重要ではないか、平時にできないことも、革命期にはできるのだ、こういうことも考えられるのであります。従って、原子力の開発においても、一九六〇年が世界のいわゆる先進国の原子力発電の時期である、これを一つの目標といたしまして、われわれはそのときには、世界の原子力発電の一隅だけでも占拠しようというような考え方でやってきたのであります。これは日本の今までの科学技術のおくれをこの際取り戻す最有力の手段であるというふうに考えておるのでありまして、この際、日本は積極的にかつ強力な政策を立てなければならない、こう考えておるのであります。これにつきまして、大臣の御説明もありました。しかしその内容を見ますと、「外国の優秀な技術の導入がさしあたりのところどうしても必要でありますが、この場合もでき得る限り、国内の研究部門、生産部門を萎縮せしめることのないよう、慎重なる配慮のもとに行うはもちろんのこと、今後は積極的に技術の輸出をはかりたい所存であります。」こう言われまして、全体から受ける感じは、何か消極的な感じを受けておるのであります。外川の技術導入はいい、しかしそれがために日本の産業が萎縮してはならないのであります。これを萎縮しないような措置を講じようということだけであって、それ以上さらに前進するということは、見受けられないのであります。これはまことに遺憾なことでありまして、できることならば、この際一大飛躍の構想を明らかにしてもらいたいと思うのであります。その例の一つとして申し上げますならば、たとえば原子力開発につきましても、その根本的な計画方針というものは、いまだ立っておらないような状態であります。こういうものを至急に立てる、あるいはそれについて強力な方針を立てるということについて、ぜひ私はこの際お聞きいたしたいのでありますが、この点について重ねてお尋ねいたします。
○正力国務大臣 ただいまお尋ねの点、まことに私も同感いたします。実は、先ほどの私の趣旨には、遠慮がちなところがあって、私の本心の足らぬところがあると思います。第一には、先ほども申し上げました通り、日本は科学を尊重する念が非常に少いのです。従って、研究陣が少い。もっと研究所を作らなければならない。これは目下の急務だと私は思っております。また技術者の養成であります。これは、文部省の所管のことでありますけれども、学校教育、つまり技術者の養成ということが少いのです。もっと日本は技術者をたくさん作らなければならぬ。つまり専門学校とか、これは文部省のことですから私が言うことではありませんけれども、私の希望としては、技術者をもっとふやさなければならぬ。だから研究費もよけいなければならぬ。技術者をふやすということが、私はほんとうに急務ではないかと思っております。何をやるにしても、技術の知識がなくちゃいけない。国民全体に技術の必要を認めさせる意味からも、技術者をふやさなければいかぬ。それについては、学校もふやさなければならぬ。これは所管事項は文部省であると思いますが、原子力についても、今度ヒントン卿が来たので、考えさせられるところが多々あります。今までの原子力の五カ年計画とかいうようなものは、根本的な改革を加えなくちゃならぬと思っております。御承知の通り、原子力について世界で一番進んでおるイギリスの実際にやった人の話を聞いても、非常に日本はおくれておりました。なるほど、われわれはイギリスから十年おくれておる。イギリスは、終戦後すぐ原子力平和利用にかかったが、われわれはようやく合同委員の方を初め、二、三の方から騒ぎ出されたような状態でありますから、おくれのも無理はありませんが、しかし、それは先進国のいいところを取って、日本も一つ原子力発電についても根本的に考えなくちゃならない。今までの考え方じゃ、私は間違っておりはしなかったかとまで思っております。この点は、何しろ私はそういうことにはしろうとでありまして、今話を聞いただけのことでありますから、この点をよく原子力委員の方と相談しまして、もっと飛躍的に考えなくちゃならぬ、こう思っております。
○志村委員 日本が飛躍的な科学技術の発展をはかるということにつきましては、個々の政策としてはいろいろあると思います。ただいまお話のように、技術者の養成、これについても、私は意見を持っております。今までの原子力の開発につきましては、物理学者の領域を離れなかったのでありますが、先ほどのイギリスのヒントン卿の話を聞きましても、すでにエンジニアリングの段階に入っておるということから、日本の原子力を担当される方には、物理学者と同時に、エンジニアを入れなければならぬと考えております。いずれにいたしましても、日本の科学技術を飛躍的に発展させるための一番大きな土台となるものは、国民全体の協力でなければならない、私はこう考えております。大臣のただいまの所信の中にも、「政府といわず民間といわず、国全体が従来にも数倍した協力体制をとって、有機的な連係のもとに、研究の推進、技術の向上をはかっていかねばならぬと思うのでありますが、」とあります。これは、私もしごく同感であります。問題は、こういう抽象的な理論よりも、さらに突っ込んだ具体的な問題が実現されなければならないと思っております。そのために、われわれは常に超党派の態度をとって参ったのであります。ということは、国民全体が協力するのであるから、政党もまた超党派的にこれをやらなければならないというふうにも考えて参ったのであります。そうして、その具体的な結晶として、私たちは原子力基本法を作り、この方針に従って進むという考えをとって参ったのでありますが、この基本法が果して履行されておるかどうかについて、いろいろ問題が起きて参りました。今まで行われたことにつきましても、その一つの例を申し上げてみますならば、原子力研究所の敷地の問題、これにつきましても、いろいろ疑問があります。われわれどうしてもまだ理解することができないところがあるのであります。原子力委員会が、政府の声明といいますか、政府の意思に対して、きぜんたる態度をとり得なかったということについては、私たちはこれから先の超党派的な態度について、大きな亀裂が生ずるのではないか、具体的に申し上げますならば、政府は、武山の土地は原子力研究所の敷地として最もよろしいのであるが、しかし国防のためであるから、これを一応考え画せと言われたときに、簡単にこれを撤回されてしまった、なぜ中立の立場で、きぜんとした態度で自分たちの従来の主張が正しいということを通されなかったかということであります。まず超党派であり、国民全体の協力を求めるという場合には、今後の政策におきましては、一応科学技術の中枢機関できめたことにつきましては、きぜんたる態度をどこまでもとってもらいたいということを希望するものであります。大臣の所信をお伺いしたいと思います。
○正力国務大臣 ただいまのお尋ねのありました通りに、私は、原子力はもちろんのこと、科学技術については、どうしても超党派でいくべきものである、そして国民の世論の後援のもとにいくべきことはもちろんでありまして、常にそれは考えております。従って、今まですべてその方針で進んできたと信じております。たまたま武山の問題についての御質問がありましたが、これについての私の所信を述べます。これは、どうも私は世間に誤解があると思うのです。何か学者が、武山が最適地だと育ったのが、非常に強く響いております。私は、武山については初めから疑問を持ちました。なぜなれば、武山では動力はやれない。あそこでは実験炉だけしかできない。こういうことではいかぬという考えを私は初めから持ちました。これは正直な話です。私も、前から分離してやるのはよくない、第一、不経済である、不便であるという考えをほんとうに持っております。それと、もう一つ、学者が研究に便利だというのは、最適地というのは、ただ武山は分離して使えるというだけなんです。そのほかの点については、東海村から見ると、地質が悪いです。それから、排泄物に対して、非常に不便です。その点は東海村はいいのです。土地が広大で、水が豊富です。学者が最適地だと言ったがごとくに伝わっておるのは、いろいろ疑問があったのです。今申す通りに、地質を調べてごらんなさい。武山と東海村とは比較にならぬのです。また水利の便利な点、おそらくは東海村のように水利の便利なところはありません。詳しく申し上げますならば、あそこには湖水があります。そうして天然の水がわき出ております。そのほかに、川が二本もあります。御承知のごとく、原子力には多量の水が絶対必要であります。その水が、武山ではそれほど十分ではない。水道の水を使わなくちゃならぬ。塩水でも使わなくちゃならぬのです。ですから、その点から考えても、だれが考えても、東海村よりないのでありまして、それでなかったら、政府だって何もいかぬと言ったわけではない。考慮すると言っている。原子力委員会は、その問題があったから、すぐきめたわけです。それで原子力委員会でも何かすぐきめたとなってくると、政府の圧迫によってという誤解があるから、もう少し延ばしたらどうかという意見があっただけです。だれも東海村に意見はないのです。私は初めからこういう意見があったのです。これは自分の私見ですけれども、あれを平和に利用しなくちゃならぬと言うておいて、あの軍部の設備のすぐわきへ持っていくということは、よけいなことじゃないか、これは私は初めからそう思いました。初めから、何だ、場所もあろうに軍港のわきにきめるということは――だから、私は初めから引っ込み思案だったのです。それからもう一つ、アメリカはなかなか離すまいという見当がありまして、私は初めから引っ込み思案でありました。これは私の私見ですが、ほんとうにそう思っておりました。だから、これはあまり武山が世間から買いかぶられて伝えられて、それがために超党派にひびが入ったかのごとく伝えられたのははなはだ遺憾に思いますから、どうぞこの点を一つ御考慮願いたいと思います。
○志村委員 しかし、この武山に原子力研究所を設置するということは、正力大臣が委員長をなされておる原子力委員会で決定をされたのではないですか。初めからそういうふうな御意見であったならば――それが決定されたことは別といたしまして、あの武山は国防上必要な土地であるということになっております。そういたしますと、原子力の方は、基本法におきまして、徹底的に平和利用である、こういうことをいわれております。国防が何となしに原子力委員会の平和利用に優先するような感じを国民に与えたことは、これは避けられないと思っております。国防優先上必要であるから、原子力平和利用という点で、この土地は遠慮しようと言われて遠慮をされたという形をとったなれば、これは取り越し苦労かもしれませんが、もしも戦争が始まって、軍事的利用であるから、平和利用でなく原子兵器の生産をしろといわれたら、それにも従わなければならなくなるんじゃないかという心配を国民に与えておるのであります。国防優先というのは、それは自民党の人たちはどう考えておられるかわかりませんが、われわれとしては、国防というのは、違った、武器によらない、力によらないところの平和ということを考えておるのでありまして、この間におきまして、社会党と自民党の間に、これはあくまでも超党派でやっていけといわれても、なかなかやり得ない条件がそこに出てきておるのではないか、この点を私は心配するのであります。
○正力国務大臣 先ほど申し上げました通り、あの問題で世間の誤解を受けたことは、遺憾に思います。まして、また超党派の問題にまで誤解があったということは、残念に思います。それは私も認めます。しかし実際はこういう事情ですということを申し上げた次第であります。ほんとうにあの場所は、学者の便利ということが唯一の理由だったんです。私も、これは内輪話ですけれども、それだけ学者が熱心に言うのなら、それでもいいのではないかというふうに私も言ったわけです。これは委員長として従う、ただそういう自分の気持をありのままに申し上げた次第です。従って、最適地という言葉も世間にはこれは少し強く行き過ぎた、こう思っております。いずれにしても、武山に初めしたのを変えたために、超党派の線に誤解を受けたという点は遺憾に思います。ただ、申し上げます通りに、あの場所については、動力炉ができぬということは、皆学者の意見は一致しておるのです。実験炉より置けない。だから、それをやるということについては、ほんとうに疑問だったんです。私も今度ヒントンの話を聞いてみて、ますます武山にしなかったのはよかったなあという感じを強く受けたわけであります。
○田中(武)委員 関連して、一言お伺いいたします。大臣がただいまのような御答弁をなさるならば、われわれは聞かなくちゃならぬ、こういうことになるわけです。いつだったか忘れましたが、議事録を見ていただいてけっこうだと思います。大臣は、本委員会において、私は原子力委員長であります、あくまでも、その上に立って研究所の敷地を考えていくのだ、武山は最適地であると明確に御答弁になっております。ところが、ただいまのお話ですと、初めから疑問を持っておった、こういうことで、すぐに大臣の考え方が豹変するというようなことならば、私はこの重要な科学技術振興の今後の問題について、大きな疑惑を持たざるを得ないのであります。その点につきまして、大臣はどのように考えておられますか。 それから、引き続きまたお伺いいたします。そういうようなことがあったら、先ほど来、志村委員が心配しておられるように、科学技術の問題については、超党派的にやっていかねばならない、こういうことについても、大きな疑惑を持っておる、こう言われておりますことも、同感であります。また、大臣はこの科学技術振興の問題について、今後どのように超党派的に、かつ平和的にやっていこうという御所見を持っておられるのか、はっきりと伺っておきたい。こういうことを申し上げてははなはだ失礼ではありますが、大臣の過去の経歴から見まして、大臣の先ほどのごあいさつの中にも、従来の考え方では処理しがたい云々ということであるので、従来の考え方では処理できないということを自覚しておられるならば、はっきりと、ここらで、大臣の考え方に立っていただかなければならない、このように思うのであります。何と言われようと、武山が東海に変ったということ、それが防衛庁との間にいろいろないきさつがあったこと等々から考えましたならば、大臣の考え方全般、腹の底には、軍手優先ということがまだひそんでおるということをわれわれは考えざるを得ないのであります。従って、大臣は、今後どのような強い決心によって、この科学技術の問題を平和的にかつ政治的に利用しないような方向に持っていこうと考えておられるか、明確に、次にまた変るような答弁でない答弁を要求いたします。
○正力国務大臣 先ほど私がしっかりした信念を持たなかったということで、はなはだたよりなく申し上げた次第ですが、それは私は武山の問題については、豹変したんじゃございません。初めから終始、私は武山については問題だと言ったのでありまして、その点よく誤解のないようにしていただきたい。私は軍が言うたから変更したというのではありません。私はどこどこまでも、原子力の平和利用です。この点は少しもぐらつきません。私が言うたことは、今まで一つも豹変したことはありません。少しぐらついたことはぐらついたということだけでありまして、自分の信念が変ったということはありません。そのぐらついたのは、軍事優先のためにぐらついたわけじゃありません。私が先ほど申し上げましたあの動力炉と区別するのはよくないというその考えがあったことと、それから学者の研究に便利だから、それも一策だなということで迷うたのでありまして、迷うたが、しかし武山でなしに東海にきめたことはよかったと、今でも信じておるのであります。私は、自分が確固としてきめたことについては、動きません。その点はどうぞ御安心を願いたいのであります。
○田中(武)委員 もうそんなことで私食い下りたくはないのですが、大臣がそのように言われるなら、言わざるを得ないのです。それでは、先日の議事録を一ぺん調べて下さい。私は原子力委員長であります、そのことを前提として武山は最適地と考えておる、こう言われておるのです。そのときはそうであったが、その後条件がついてきた、だから平和利用のために東海がいいのだ、こういうことで言われたというならいいですが、しかし、私は一たん言ったことは変らない、こう断言せられると、議事録を調べて対決せざるを得ないのです。
○正力国務大臣 それは、先ほど申し上げた通りに、私は初めからぐらついておったということですが、ぐらついたが、委員会の多数がそうならそれでよろしいというので、委員会の意見に従っていくのは、私は当然です。政府の注意もあったが、それは一面原子力委員会に相談をしたのです。政府もいかぬと言ったのじゃないですよ。それで、委員会の方で、もともとそういう議論があったのですぐ東海村に決定したわけです。この点一つ誤解のないように、卒直に申し上げておきます。私の話に、自分は一つも矛盾はないと信じております。 それから、なお私申し上げておきますのは、いずれにしても、われわれは基本法の精神はどこまでも尊重していきます。そうして原子力は、どこどこまでも、平和利用一道であります。そして、これについては、あの原子力の三原則は、どこどこまでも守っていきます。また守らなくちゃなりません。ただ先ほど申し上げた通りに、武山問題についていろいろの誤解があったり、私の足らぬところがあって、超党派に持たれたことは遺憾に思います。
○田中(武)委員 誤解があったのかどうかは知りませんが、あの当時、大臣は鳥取の参議院の補欠選挙に応援に行かれた。その留守中に、武山が東海に変った。こういうような、私は芝居を打たれたのではないかというような疑問すら持っております。大臣がそんなに言われるなら、議事録を見なければならないということになるのですが、先日の議事録をお取り消しになりますか。
○正力国務大臣 私は芝居も何も打ちません。来てみて、ああいう話を聞いただけなんです。
○田中(武)委員 もう済んだようなことで、こんなに大臣とけんけんがくがくやりたくないのですが、少し大臣、前に言われたことを頭に置きながら、答弁されたらいかがでしょうか。議事録に残っておるのですよ。それを、ぐらついていないと言われるなら、なお追及せざるを得ません。どうなんでしょう。
○正力国務大臣 私はそう思うたということを、ありのままに言うているわけです。一つも私の話には矛盾もない。また何もこの席で言葉は変りません。
○有田委員長 どうですか、田中君……。
○田中(武)委員 いや、そう言われると言わざるを得ない。
○有田委員長 大ていわかっているじゃないですか。
○田中(武)委員 それではもう一言だけ……。 関連質問でもあるし、その点についてはおきましょう。議事録を見ていただいて、もう一度大臣にその当時のことを思い浮べていただきたい。しかし、最後に私、希望を申し上げておきたいのは、先ほどもちょっと触れましたが、新しい考え方でやっていただかなくちゃならない。これがあくまで政治的に利用せられたり、一党一派のため利用せられないというように、一つかたくここで大臣から約束していただきまして、私の関連質問を終ります。
○正力国務大臣 先ほど申し上げました通りに、原子力基本法を尊重していかなくちゃならず、またいきます。この点をここでかたく約束いたします。
○志村委員 今の原子力研究所の敷地の問題につきましては、いろいろ表面には出ております。たとえば国防優先の線であるとか、あるいは武山よりも東海村の方が地理的条件がいいとか、いろいろなことがありますが、これは一つの口実にすぎないのじゃないかと私は考えております。その裏に、いろいろあったことも私は知っております。しかしそれはもう過ぎた問題でありますから、今後におきまして、科学技術は、科学的に最も正しいということを、あらゆる政治的な圧力、あるいは政治的な問題化された場合におきましても、どこまでも技術的に、正しいことはあくまでも貫き通すという一つのきぜんたる態度を、私はとっていただきたいということであります。それだけはぜひお願いいたしたいと思うのであります。 さらに引き続きまして、やはり原子力の基本法で関連する問題であります。これはたびたび論議されたことでありますが、動力協定の問題であります。これにつきましては、私がいろいろ憂慮いたしております点は、日本が外国との間にいろいろな協定を結ぶことによって、日本の科学技術の開発が他国に従属しなければならない羽目に陥ることは、今後の日本の経済自立の上からいっても、絶対に避けなければならない、こういうふうに考えておるのであります。いわゆる外国からの技術の導入をするということは、これはもちろんやらなければなりません。しかし、この問題につきましても、日本では先ほど資料の収集等を、大いに力を入れてやると言っておりますが、これが周知されておらぬ点もあると思います。アメリカが、理論的にはおくれておりながら、それが技術においては最高水準に達したということの一つの大きな原因は、PBリポートなどで、これを一般に周知せしめたという点にあると思いますから、つけ加えて、これはお願いする点であります。それにしても、日本の科学技術の自主的な開発ということは、どこまでも貫いてかかなければ、私が最初に申し上げました日本の科学技術発展の積極政策というものは、出てこないと考えております。あくまでも外国のあとを追うという形に引き戻されることは、最も憂慮すべき点であると思うのでありますから、今後の開発におきましても、まず自主ということを最初にきめていただきたい。そうしてその自主を貫くために入り用な技術は、そのワク内で、できれば外国の隷属下に置かれないような、あるいはあくまでも、外国に一歩退いた形でなければ日本の科学技術の開発はできないというような立場に置かれないような政策を、はっきりここで立てていただきたい。つきましては、動力協定というものは、何か消えたようであり、まだあとがもやもやしておるようであり、特に原子力産業会議等におきますと、外国からどんどん物を持ってくるのだ、社長の立場にも立ってみろという考え方が非常に強いのであります。経験を積まない日本の学者先生たちが作ったものよりも、すでに十分な経験を積んだ、そうして信用の置ける外国のそういうものを入れることによって、日本の業者の利益を守るという主張が出ておるのであります。これは業者として当然なことで、私はこれを否定いたしません。しかしそうあったのでは、日本の科学技術の独立はできない、自主独立ということはできないのでありますから、その間に立って、政府がどのような方策をとるか。ただ抽象的に自主といえば簡単でありますがその具体的方針はいろいろあると思うのでありまして、その一つの現われとして動力協定なんというものは、これについてはまだ消えておりません。これをどういうふうに大臣はお取り扱いになるか、この点を承わりたいと思います。
○正力国務大臣 私は、たびたび申し上げた通りに、自主的研究は研究でやる、外国のいいところはいいところでとる、両立させてやりたいと思っております。何もかもこちらの自主々々でやっては、なかなか研究はおくれますから、やはり一面において、外国のいいところはとるということで進んでいきたい、こう思っております。
○有田委員長 ちょっとお諮りしますが、実は大臣は十二時半にヒントン卿を見送られることになっておるのです。それでもあと十分しかないのですが、質疑の通告者が、まだ岡君、堂森君、田中君、小笠君となるわけですが、どうでしょうか、もう一問だけ続けてもらって、出て行かれて、こちらへお帰りになるのを待って、また続けてやりますか、十分間ののちに一人一問ずつやっていきますか。――では志村君、もう一問だけ続けて下さい。
○志村委員 それでは動力協定をどういうふうに考えておられるかということであります。ひものない協定というものは、私はあり得ないと考えておるのでありますが、それにしましても、最近大臣がイギリスにだいぶ目をつけられたということは、私は進歩だと考えております。そうして、あの際、私がヒントン卿に聞きましたところが、ゼネレーターについては、イギリスはほんとうの民間のメーカーにまかしておるのだ、これを商業ベースで取引していただきたいということまではっきり言っておるのであります。そのように、イギリスについては、アメリカよりもかなり寛大な点があると思う。これはアメリカとイギリスの原子力法の違い方に基くものだと思うので、これは避け得られないと思うのでありますが、米英ももちろん大事だと思います。しかしソ連との間においても、ソ連は非常に大きな発達をいたしておりますが、もし将来国交が回復されて、ソ連の技術が日本に導入されることが右利だと考えた場合には、そういうこともおやりになりますか。それを伺いたい。
○正力国務大臣 私は、言うまでもなく、日本国家本位であります。国家に有利なことをやります。
○有田委員長 次会は、明日午前十時より開会いたすことにいたしたいと思います。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時十分散会