運輸委員会 第8号
- 発言数
- 47 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1956/02/18
会議録
○松山委員長 ただいまより運輸委員会を開会いたします。 昨日に引き続きまして陸運に関しまして調査を進めます。中居委員。
○中居委員 私は国有鉄道の経営に関しまして、運輸大臣並びに国鉄総裁に二、三の点をお伺いいたしたいと思います。この国有鉄道の経営につきましては、ここ数年来随時随所におきまして、あらゆる角度からの論議、検討がなされて参っておることは御承知の通りであります。しかしこの論議が今日ほどその頂点に達したときはないと私は考えております。かつまた関係者の深い考慮の対象になったことも、今日がまた最大であろうと思うのであります。従いまして今回国鉄予算の編成とこれが審議を契機といたしまして、国有鉄道の経営についてのいろいろな問題に対する政府並びに国鉄の今後の所信、方針ということを明らかにすることは、今日の時期が最も適当であり、また今日をおいてまたとないと考えているのであります。かかる観点に立ちまして予算委員会におきましても、あるいはまた当運輸委員会におきましても、先般来いろいろな質疑がなされて参ったことは、御両人御承知の通りでございます。しかし遺憾ながら今日までの論議の経過におきましては、少くとも国有鉄道の将来のあり方に対するところの明確な所信というものは、責任あるところの運輸大臣から私ども聞くことができなかったのであります。今日までのごとくこの問題を一時的な安易な考えによりまして、問題の処理方向というものを後日に繰り延べるということはもはや許されない情勢であり、かつまた決して賢明なる処置ではないと考えておるのであります。ところかたまたま昨日の衆議院の予算委員会におきまして、この国鉄経営の問題の一つの山であるところの運賃問題につきまして、運輸大臣は、昭和三十一年度においては国鉄運賃の値上げを行わない、こういう言明をなさったということが、報道機関を通じまして私どもに伝えられておるのであります。これはまことに重要な所信の表明であると考えるのでありますが、この点についてまず運輸大臣から、昨日の予算委員会におけるところの審議とあなたの答弁と、報道機関を通じてわれわれに伝えられましたこの運賃問題に対するところの経過を、もう一ぺん当該委員会であるこの席上において表明せられることを望みたいのであります。
○吉野国務大臣 新聞紙上の記事は、たくさんの新聞でございますから私も一々見ておりませんが、昨日の予算委員会の質問応答は速記録で明らかだろうと思います。今手元に速記録はございませんが、私の承知しているところは、運賃の値上げということについてどう考えるかというお尋ねがございまして、それでいろいろのことは別として、三十一年度の予算にはそれは考えてない、そこで三十一年の四月一日から三十二年の三月三十一日までの間において上げるか上げないかというお話でございましたから、これは予算の問題でございますので、予算年度は言うまでもなく、お話の通りに四月一日から翌年の三月三十一日まででございますから、その間に私はいろいろなことを考慮いたしましたけれども、運賃の値上げは考慮しない、こういう答弁をいたしたわけであります。
○中居委員 私も予算委員会の席にはへりまして、わが党の柳田議員と吉野運輸大臣の間の質疑応答をつぶさに拝聴いたしたのであります。ただいまの運輸大臣の答弁の内容というものは、確かに、柳田氏の当初の質問に対してはさような答弁がなされておりました。しかし柳田氏が重ねて、運輸大臣の答弁は、昭和三十一年の四月一日から昭和三十二年の三月三十一日までの一年間に、運輸当局は国鉄運賃の値上げを行わないというのと同じ意味であるか、こう聞いたところが、あなたは・その通りであるという答弁をなさっております。いかにも当初は三十一年度の新年度予算の編成に当っては、運賃値上げは考慮していないのだ、そういうことを全然予想しないで編成した予算であるという答弁のようでございました。しかしその答弁は、この一年間に運賃を実質的に上げないということと同じ意味であるかどうか、こう重ねてついたのに対しまして、それと同じである、その通りである、こういろ答弁をなさっております。私もゆうべもラジオの録音でその通り拝聴いたしました。しかし今のあなたのお話を聞いておりますと、そうは言いながらも、なおかつそれはあくまでも予算編成上だけの問題であって、実際的に運賃を値上げするかしないかということとは別個の問題である、こういうふうにも聞き取れたのでありますが、この点重ねてお尋ねしたいと思います。
○吉野国務大臣 予算を離れて運賃を上げたり下げたりするということはできないと思います。問題は予算の問題でございますから、三十一年度の予算というものに関する限りはいろいろなことを考慮いたしましたけれども、運賃の値上げはいたしません、こういうことを申し上げたのであります。
○中居委員 そういう答弁ですと、今日まで行われて参りました大臣の答弁と一歩も違っていない。一歩も今日までの答弁のワクを離れていない、こう思うわけでありましてこれはさらに質疑を繰り返しましても、同じところの堂々めぐりであろうと私は思うのであります。 そこで私がお伺い申し上げたいことは、現在の運輸大臣の気持といたしまして、現在の運賃ベースで値上げを考慮しないで編成した昭和三十一年度の二千七百何億円かの数字に上る予算をもって、昭和三十一年度の国鉄の運営をやっていく覚悟であるかどうかということを私は伺いたいと思います。
○吉野国務大臣 これはその通り覚悟いたしております。
○中居委員 そうすると大体現在の心境としては、昭和三十一年度においては運賃の値上げは考慮いたしていないと、こういうふうに受け取ってよろしいと思います。 そこで私が大臣にお伺い申し上げたいことは、今日まで論議せられて参りました国鉄経営についての問題の一つの山であるところの国鉄財政の再建でありますが、大臣のしばしば述べておられますところの意見によりますと、今日の国鉄の運賃ベースでは、どうしても国鉄財政の再建あるいは健全な財政ということは期し得られない、従って何とかしなければならない、あるいは運賃値上げの方法もあるであろうし、いろいろな方法を考慮いたしまして、何とかしなければならな。きわめて抽象的な表現ではございましたが、何とかしなければならない、こういうことを表明しておられました。そうしてまたあなたが本年度の当初にこれらの問題を検討せしむるべく任命いたしました経営調査会の答申の中にも、はっきりとこれらの点の解決策を指摘しておるのであります。また当委員会におきましても、運輸当局はこの答申書をできるだけ尊重して善処したい、こういうことを答弁して、おります。私は先日当委員会において述べられました運輸当局の、答申書の内容を尊重して国鉄財政の再建というものをはかりたい、こういう答弁を聞きまして、あるいは年度内においてさような処置を運輸当局は講ずるのではあるまいか、次善の策としてそのような措置をとるのではあるまいか、やむを得ない措置であると私どもは考えておったのでありますが、この点はいかがですか。
○吉野国務大臣 私の気持は少しも変りないのです。ただいま御指摘になりました通り、経営調査会の答申にも、若干の値上げはする方が至当であるというふうに書いてありますけれども、あれは条件があります。つまり物価というものを上げないようにいろいろなことを考慮しながら、それでやむを得ない程度のものはやる、こういうふうに書いてあります。私も率直に、この委員会でございましたか、どこの委員会でございましたか、国鉄というものがいわゆる安全の見地から言うても、戦争の間の損害というものを十分に回復し、取りかえもやり、電化もやる、いろいろなことをやるには、現在の予算でたくさんだとは決して考えておりません。だから、経営調査会の答申にあったように、運賃というようなものも若干上げられるものならば上げて、国鉄の経営というものを消費者大衆の輿望に沿うようにしたい、私もこういう心持であります。しかしながら、この委員会では申し上げなかったと思いますけれども、運賃問題というものは、ただ採算経済だけの問題ではございませんので、世間には、理屈上はどうあろうとも、運賃値上げをするのはごめんだというサイコロジカルな意見というものが相当ございまするどこの国でも、ああいう公共的企業というものの料金なりあるいは値段を上げるときには、そういう問題というものはございますので、行政をする者としてこれは十分に考えなければなりませんから、それらのことを考えた結果、今のあの予算で十分なものだ、国鉄のこれからのあり方として、あれでもって何もかも国民大衆の輿望に沿うようなものだとは、私は決して考えておりませんけれども、三十一年度の予算を編むときには、そういういろいろな情勢を考えまして、やむを得ず三十一年度に関する限りは運賃の値上げというものは考慮しなかった、こういう趣旨でございます。
○中居委員 御答弁がわかったような、わからないような趣旨でございますので、重ねてお伺いいたしますが、三十一年度の予算の編成に当っては運賃の値上げは考慮していない、これはわかりました。しかし先ほど私が申し上げましたように、今日の国鉄の経営というものは、ただ単にそういうような感情問題だけで処理できないような財政にあるということも、大臣はまた御承知のようでございます。そしてその言葉の中には、何とかして年度内において措置を講じたい、こういう表明をなさっております。一方においては、年度内においては値上げを考慮していない、また一方においては、そういうことは言っていないのだ、何とかしなければならないと思っておる、こういうふうにも聞き取れるのでありますが、この点を重ねてお伺いいたします。私のお伺いしたいことは、値上げをせざるを得ないような状態にあるのだ、値上げはしたいけれども、三十一年度はしないのだ、こういうことですか。
○吉野国務大臣 その通りでございます。
○中居委員 先ほどもちょっと触れたのでありますが、当委員会におきまして運輸省に対して出されました鉄道経営調査会の答申を十分尊重して、これをできる限り実行していきたい、こういうことを答弁なさっております。この答申案は大臣もお読みになって御承知と思いますが、大きく分けまして二つの山がございます。一つは国鉄の経営の形態をどうするかという問題と、もう一つはこの国鉄の財政をどう立て直すか、この二つに大別できると思うのでございます。そして後者の国鉄の財政をどう立て直すかということの具体的な条項といたしまして、第三次評価ベースによるところの減価償却費は、今日の償却費に比較するとまだ百五十億増加しなければならない、こう書いてございます。さらに今日までの償却不足による金額を、大体年間百二十五億程度見なければならないだろう、さらに国鉄の六カ年計画による改良費に充当する金額として、百億円の自己資金を調達しなければならない、国鉄からはもっとぜいたくな要求が出ておるが、国民的な見地に立ってこの程度の運賃のアップはやむを得ないのじゃないか、これによって国鉄の一つの課題であるところの財政再建をはかりなさい、こういうことを経営調査会からあなたに対して答申なさっております。この問題については、今のあなたの御答弁によりますと、この財政再建の答申は三十一年度に限っては無視する、こういうことでございますね。
○吉野国務大臣 結果においてそういうことになります。何分にも予算の編成が大蔵省へ出ましてから後に、ことしの一月になって初めてその答申を私は手にいたしたのであります。それでありますから、それだけのこと一をやりますにはやはり時期がかかりますので、それだけのものを今一ぺんにどうのこうのするということは、技術的にできかねるのであります。
○中居委員 この運賃問題についての論議は、大体結論が出たようでございますし、これについての質問はまた後ほど私からもまた同僚委員からもあると思いますので、私はもう一つの答申の山でありますところの経営形態についての大臣の所信を承わりたいと思います。 この答申の一つの山である国鉄の経営形態については、こう答申しております。現在国民の一部には国鉄を国営に返すべし、あるいはまた純然たる民営に移行せしむるべし、この二つの主張がある、しかしながらいろいろな観点から検討を加えた結果、現在の公共企業体の形態はこれを存続してさらに高度の公共性を確保しつつ、能率的な運営をはかるために、広い意味での自主性を国有鉄道に付与したい、こういうふうに結論づけております。私は国有鉄道の経営形態を論議するに当りまして、ここに現われております民営であるとか、国営であるとか、こういうような単純な素朴な言葉の表現によって論断を下すということは、非常に困難なことであろうと思うのであります。しかしながら今日の公共性と企業性を持っておるコーポレーションの形態をこの形のままに置いて、しかも高度の自主性を付与するという方向に進むということは、少くとも国営か民営かというこの二つの中で、民営の方向にハンドルを切ったものではないか、こういうふうに考えるのであります。この点についての大臣の所信を承わりたい。
○吉野国務大臣 ただいま仰せになりました経営調査会の答申でも、理論的にいえば言葉が少し不正確なんです。つまり今の国鉄の形は国有国営なんです。ですから、それを国営に返せという論があるという意味は、多分昔の鉄道省のような工合に、いわゆる官僚組織と申しますか、政府組織の方に返したらいいか、あるいは民間組織の方に返したらいいかという問題だろうと思います。この問題につきましては私はそうでなく、今のいわゆる。パブリック・コーポレーションという形でいく。世界各国そういう答案が最近出ているものだと思います。ですから、それを今さら官僚組織に返すとか、あるいは民営に返すとかいうことは私は考えておりません。ただ、今お話しになりました要点の、現在の形がこのままでいいかどうか、これは今お話の通り公社でございまして、公社ということは一つの商業的企業でございますから、商業的企業を自主独立の採算に合うようにする、しかしながらこれは公共性を持っておる、普通の民間会社とは違う、こういういわば営利主義と公共主義との間に二つの矛盾した面を持っておるのが公社、パブリックコーポレーションというものの本質でございまして、そこでどこの国でも、御承知の通りにその公社のあり方についてはまだ発達の道程にありますので、いろいろな企業についていろいろな形があるわけであります。従って私も現在の国鉄の将来のあり方としては大いに検討しなければならぬ、こうは考えております。従ってただその検討の方向が、民営の方に向くとかあるいは何とかに向くとかいうふうに、概念的にこれを割り切ることは、ただいまの段階においては非常に困難ではないか、こう私は考えております。
○中居委員 御答弁の通りだと私も考えております。しかし少くとも答申の内容に盛られておるところの国鉄に対する大きな自主性の付与ということと、それからまた当委員会においてもしばしば国鉄当局からも主張があったのでありますが、さようなことを国鉄当局が希望しておる、こういうことは国有国営という一つの変態である公共企業体というこの制度を、少くとも民営的な方向に持っていこうとする意向が強いのではないか、こういうことを私は感じておるのであります。この点を私は大臣にお伺いしておるのであります。
○吉野国務大臣 ごもっともな御心配だと思います。すなわち今の自主採算の点から端的に申せば、たとえば予算のようなものでも、イギリスの例のごとく、予算を国会にかけない、そうして企業体自身が勝手に盛るのだ、こういう形もあるわけであります。しかしながらこれは公共性が非常に強いから、そういう意味においての純経済的な方向にこれを持っていくことはできまいと思うのです。それですからいわゆる自主独立の経済的の基礎において経営するという方向に持っていくにつきましても、公社の本質からそこにおのずから一定の限度がある、こう思います。普通の民間会社の商社と同じように考えることはできない、こういうことだけは申し上げて私ははばからないと思います。
○中居委員 そういうことを承知の上で、なおかつ民営という方向にハンドルを切ろうとしておる意見のあることは、現在の公共企業体としての性格なり、あるいはこれに基く運営なりというものが、現在のままでは非常に窮屈である、不便である、こういう実際上の理由から私は出ておると思うのであります。従いまして今日の公共企業体というものをどうすべきか、国鉄の性格というものをどうすべきかということは、非常に重要な問題であり、しかもまた今後大いに検討して参らなければならない問題であろうと思うのであります。今日の国鉄の性格によるところの経営というものが困難である、そしてこの経営調査会というものは、民営の方向にハンドルを切ることを答申しております。これはさっき大臣も言われましたようにとるべき処置ではない、本末転倒の意見であると私も考えております。かといって大臣はまたこれを右の方向、旧来のような経営、鉄道省当時のああいう形式に返すことも、これまた官僚的運営になって好ましくない、こういう意見を申し述べられているのであります。それも確かにその通りでしょう。そうすると今日の国鉄の経営形態というものは、右にも左にもすべきではない、依然として矛盾を包蔵したまま進んでいかなければならない、こういう結果にもあなたの意見によると相なると思うのであります。私は昔のように国が直接その経営の責任の衝に立つということが、必ずしもあなたが考えておられるような官僚式な運営になるという断定はできないと思います。少くとも明治の欽定憲法のもとにおけるところの支配階級としての立場にあった官吏が運営いたしました鉄道というものと、国民の主権というものが明記せられておる民主主義の今日、公僕として官庁が存在しておる今日、国が直接その運営の衝に当るということは、決して過去の、いわゆる官僚経営というものの復元ではないと私は考えるのであります。もしも今日の官僚、今日の役所というものに昔のような弊風がありといたしましたならば、それはその面で検討していかなければならない問題であります。 またもう一つ私がお伺いいたしたいことは、そういう弊風を指摘せられまして、鉄道省あるいは運輸省から国鉄というものが切り離されまして、民間の経営体というものを幾らか加味いたしました公社になりました。しかし公社になって数カ年たちました今日、果して国有鉄道に対しまして、公社になったから違う、経営方式が非常によくなった。少くとも他の官庁と比しまして、公社にしたために国有鉄道の性格はこう変った、国民に対する態度がこう改善された、こういう批評をあなたはお聞きになったことが、ございますか。
○吉野国務大臣 そこまでのお尋ねになりますと、これは意見の相違になると思いますが、何分にもよく御存じの通りに、まだこれはパブリック・コーポレーションになりましてから六カ年しかたっておらぬのでありまして、いわゆるこの公社というものの制度は——これははなはだ講釈じみてなんでございますけれども、とにかくこれからの二十世紀の後半についての一つの企業形態として、各国でこれは今進化の道程にあるのですから、そのあり方がどうなるかこうなるかということについては、私も非常に興味を持って研究をしております。(「大臣が興味を持ってとは何だ」と呼ぶ者あり)それは道楽半分の興味という意味では、ございません。職責上インテレストを持って、関心を持って、翻訳が悪かったんです。関心を持って研究しておりますので、いずれ研究の成果が出ましたならば、また成案を得て御審議を願いたいと存じております。
○中居委員 私はそういうゆうちょうなことは今日の段階では許されないと思います。少くとも今日の国鉄の苦悶の原因は、公共企業体という二重性格に起因していると私は思うのであります。従ってこれを解明しない限り、今日の国鉄のいろいろの問題の解決はむずかしい。まず第一番にこれを明快率直に大臣が解決すべきであると思います。日本国有鉄道という公社は、あなたの御存じのように、公共性と企業性とを持っておる二重性格であります。しかしこの公共性と企業性というものが、いつの間にか歴代政府の手によりまして、企業性という面だけ大きく取り上げられて参っておるのであります。企業性という面だけを国有鉄道に押しつけておるのであります。この企業性、独立採算性というものを押しつけられて、国鉄がにつちもさっちもいかなくなって、そうして運賃の値上げを要請せざるを得ない立場に追い込まれてくると、政府は豹変いたしまして、今度は公共性という一面だけをたてにしましてこれを阻止しょうとしておるのであります。この公共性と企業性を持っておる二重性格の国鉄が、その性格を解決することが国有鉄道の問題を解決するかぎである。私は決してイデオロギー的に国営がいいとか、あるいは民営がいいとかということを申しておるのではないのであります。少くとも政府が昔のような形で国有鉄道の経営というものに直接責任を持っておるといたしましたならば、今日の運賃ベースによるところの国鉄の財政に対しまして、傍観はできないと私は思います。ところが企業性というものをなまじっか持って、独立採算性ということを国鉄に押しつけることによって、政府の当然負担すべき責任である財政というものに対しまして、ほおかむりをして逃げておる。これが歴代内閣の運輸行政の偽わらない姿ではないか。この歴代内閣の卑怯なやり方が、今日の国鉄の苦悶を作っておる原因であります。従ってこの国鉄の経営の形態を論議しておる私の論議のゆえんというものは、これを解決しない限り、今日のような政策的な、党略的な考え方によって国鉄問題というものを考えては、この根本的な解決ははかり得ない、こう考えておりますから、私はこの国鉄の性格、公共企業体の性格についての、政府の、あるいは担当大臣としての見解をはっきり、研究題目ではございません、今日率直に明示すべき時期ではないか、こう考えてお伺いしておるのであります。
○吉野国務大臣 根本の問題についての御意見でございますが、先ほど申しました通り、私は中居さんとその点については所見を異にしておるわけであります。私はやはり近代の産業の発達、企業経営の形というものは、昔のように企業性と申しますか、あるいは営利性といった方がはっきりするかもしれませんが、営利性と公共性というものはみんな違っているというふうには考えていないのです。昔はそうでありました。けれども今日は、株式会社といえども営利本位にはやっていけないのであって、みな国民に必要なるものとサービスを作る公共性というものを持って参りました。営利性とその公共性というものは紙一重になってきておるのです。ただそこの限界についての新しい制度が今生まれんとして生まれない、生みの悩みになっているということは、これは世界の経済現象を研究するとき、そういうことを申し上げても私は決して独断でないと思うのです。そういう見地に立って、私はこのパブリック・コーポレーションというものでよろしい、しかもただいま御指摘になりました企業性あるいは営利性と申しますか、それと公共性というものを調節するその具体的の方法、テクニックというものは必ず生まれるのだ、こういう確信のもとに私は今研究をしておる、こういうことでございます。
○井岡委員 関連して。ただいまのお話ですと、いわゆる概念的な問題としては了承できるのです。しかし具体的に今同僚議員の中居さんがお話しになったように、今日国鉄は財政的に非常に苦しんでおられる。たとえば本年度の予算においても、大臣は最初本年の予算には組んでおらない、こういうことでございましたが、最近の御答弁は、本年はやらない、こういうように変ってきております。しかしながら昨年度に比較して百五十二億の増収を見込んでおる。しかしこのことについて国鉄当局に自信があるのかと申しますと、これは異常な努力をしなければいかぬ、こういうわけです。異常な努力の具体的なものはどんなものかというと、これは全くペーパー・プランにしかすぎない。さらにまた二百四十億といういわゆる公募債を見積っておる。しかしながら本年度は御承知の通り、政府一般会計においてたくさんな公債をやっているわけです。従って完全にこれが消化できるのかと申しますと、この点についても自信がない。ただ単につじつまを合わしておるだけだと、きのう国鉄当局の責任者からの答弁なのです。こういうような状態の中で、しかも今日の日鉄法というものは総裁には何の権限もない。十条をごらんになったらその通りでしょう。大臣にも責任がない。そうして事故が起った場合は、国鉄の総裁の首を切ったり、職員を処分するだけが今日の運輸行政なのです。こういうような状態の中で、今の大臣の言われているようなことでは、これは国民は承知しない。同時に異常な努力をさすべき職員としても立ち上らない。ですから、本年度は値上げをしないのだと言われるのであれば、四十四万の職員をふるい立たされるだけの大臣の所信というものがないと、これはやらないです。そうして事故が起る、国民の財産は失われていく、生命は失われていく、だれが責任を持つのです。大臣、御答弁いただきたい。
○吉野国務大臣 私も三十一年度の予算は、決して理想的なものとは考えていないのです。お話の通り非常に努力しなければ、これは運営はなかなかむずかしいということは私も認めているわけです。ただそれではこのままにしてほうっていいかということは、それは私は考えていない。ただいろいろな情勢がございますので、今直ちに、この三十一年度予算を組むときに、運賃の値上げということは考えなかったということだけを申し上げております。あとこれをどうするかということは、これは将来の問題です。
○下平委員 関連して。きのう実は大臣がお見えにならないときに、いろいろ国鉄の三十一年度予算案の問題について質問をしたのですが、多少大臣の答弁ときのうの答弁が食い違っておるような気がいたしますので、少しこまかい点にわたって御質問をいたしたいと思います。 国鉄問題がこれほど大きく問題として取り上げられたのは、今一年間に人間にして三十数億人、貨物にして一億数千万トンという輸送力を持っていて、国鉄というものはもう国民の問題、たと思うのです。そこで御承知のようにいろいろの破綻が出てきて、洞爺丸の事件で千数百名の命を失い、あるいは紫雲丸その他国鉄の事故がたくさん出てきた。国鉄の輸送そのものをもっと改善しなければいかぬということは、単に私どもとか経営の担当者とかいうようなことでなくて、国民的な要求になってきているわけなんです。そこでこの問題は、大へん重要だと私思います。きのう私は二、三の問題について質問をしたところが、経営調査会というところから答申案が出ているので、その答申案を尊重して三十一年度予算が組まれたと、こういうふうに御答弁をいただきましたが、きょう大臣の御答弁を聞いていると、経営調査会の答申案はもう予算を組んだ後に出てきたので、それはどうにもならなかった、こう言っておりますが、その点食い違いの点をまず第一点お伺いしたいと思います。
○吉野国務大臣 私は経営調査会の答申は一月になってから受けたわけでありますから、私の言ったことには間違いはないわけであります。ただもし何、か政府委員が申したということがあれば、それはまた政府委員がどういう意味で申しましたかよく調べました上で、誤りがあればこれは正しておきたいと思います。
○下平委員 食い違いなんかどっちでもいいです。実は食い違いがあろうとなかろうと、現実に起きてきている国民的な要求の前に、担当の国鉄はもちろん、監督の立場にある運輸大臣として、この国民要請にこたえるために十分な努力をしなければならぬと思うのです。そこで経営調査会等も設けて、約七ヵ月間の討論の結果の結論も出ております。そこで私は、今度の三十一年度の予算案の中に、この国民的な批判にこたえるような予算の仕組まれ方がなされなければうそだと思うのです。そうしなければ、経営担当者あるいは担当大臣としての責任を果していないことになると思うのです。そこでこの国鉄問題を論ずるに当って一番問題になるのは、何といっても国鉄に現在金がないということなんです。そこで今国鉄の問題を改善しようとすれば、幾つかの道があると思います。国鉄の経営を合理化して、その中でこの要請にこたえていく道が一つあると思うのです。もう一つは国家が相当な投資をして、これにこたえていくという方法もあると思う。あるいはもう一つの道としては、運賃値上げによってこの財源をまかなっていく方法があると思うのです。このいずれかの道がこの際三十一年度予算の中に盛り込まれてこなければ、やはりこの要請にこたえることはできないと思うのです。そこで大臣は、運賃値上げをしないと言う。国家の投資、国の援助というようなことも行われていない。そうすると一体これらの要請に当面こたえる方法として、どういう方法によって一体こたえていくか、こういうことについてお伺いいたしたいと思います。
○吉野国務大臣 大へんごもっともなお尋ねでございます。それですから、今その方向に向っていろいろなことを考えている−わけであって、ただ予算を組む段階にまだ結論が出ていない。こういうことにすぎないわけであります。それで第一に、予算を離れて、予算に関係なしに国鉄側としてやり得ることは今やっているわけであります。すなわちいかにして収入をこの上増すか、あるいはいかにして経費をこの上節約するか、着々その方面のことはやっているわけです。それからいま一つ、運賃の値上げについては先ほど申したことで御了承願いたいと思いますが、国の一般の費用、国庫の負担でやったらいいか、こういうことも考えられるわけであります。しかし私が申すまでもなく、ああいう膨大な独立企業であって、工事費に何百億も使うというときに、その支出したものを運賃収入という形でこれを引き揚げなければ、これはインフレの要因になるということは、これは経済理論の通説なんです。それも今、低物価をとっている政府として、この交通機関というものの改善なりあるいは改良のために、国民の血税によった国庫から負担するということも、どうもこれは踏み切りがしにくい、こういう問題があるので、それですから残るところは運賃の値上げというところに帰するわけですね。それは先ほど申しましたようなわけで、三十一年度においては考慮しない。だからその意味において不徹底じゃないか、なぜもう少しやらぬのかという御批判であれば、これは私は甘んじてその御批評は受けなければならぬと思う。
○下平委員 今語るに落ちるといいますか、結局運賃値上げをしなければならぬというような片りんが見えてきたわけなんですが、昭和三十一年度の国鉄の予算を見れば、非常に私はずさんなものだと思います。単に国鉄に対する世間の批判その他というものを、数字のつじつまを合せてごまかしていこうという予算なんだと思うのです。一つの例を申し上げますが、今大臣がおっしゃっている方法としては、とりあえず国鉄の増収によってまかなっていこう、こういう考え方だろうと思うのです。ところがこの予算に盛られた増収というものは、昨年に比べて百五十二億、こういう膨大な増収の案が載っているわけであります。きのう私は国鉄当局の責任者に、一体国鉄当局の経営責任者として、現在の経済情勢やあるいは過去の実績、今日の施設の状態、輸送力の実態等を考えてみて、一体昭和三十一年度にどのくらい増収ができるという目安で、大蔵省に要求したか、こう聞いたら、八十億円の増収ということで私どもは要求をいたしておりますと、こう言っておりました。昨年の実績を見ますると、まだ、下半期は推定であろうと思いまするが、国家予算に比べて約四十三億円の増収になる、そうであります。そうすると経済状況がどのように変動するか、これは未知数でありますけれども、必ずしも経済状況が低下していくとは考えられない。しかしことしの実績の倍、八十億といえば相当思い切った増収予想だと私は思います。国鉄当局が八十億の増収の予想を出したに対して、大蔵当局は、事もあろうに倍に近い百五十二億の増収ということで予算を決定した。一体どういう根拠があるのか、大臣は監督のお立場におられますけれども、実際国鉄を経営しておられる経理局長なり、あるいは国鉄の総裁なり副総裁という人は、その道の大家で、十分な経験を持っておられる。その人たちが、経験やいろいろな情勢に基いて出したぎりぎり一ぱいの増収見込み額というものは八十億なんです。それに対してどういう一体理由で百五十二億、あまりにも私は水増しが多過ぎはしないかと思うのです。国鉄当局のこういった要請に対して、どういう理由で百五十二億円というような増収見込みが立ったか。この点について監督の立場にある大臣から、その見込みを立てた状況を、つぶさに御説明をいただきたいと思うのです。
○吉野国務大臣 数字のことでございますから、政府委員から答弁させます。
○權田政府委員 お答え申し上げます。旅客関係におきましては、御承知の通りに本年の下半期におきまして増勢に転じております。この割合を勘案しつつ昭和三十年度の推定実績を出しまして、その推定実績から特殊事情のものを引きまして、これを基礎にいたしまして、最近の情勢を勘案した輸送量をはじきまして、その数から計算をいたしたのでございます。貨物関係につきましても、すでに御承知の通りに最近三ヵ月の割合がきわめて好調に転じております。これを昭和三十年度の推定実績を計算いたしまして、駐留軍収入と特殊のものを除きまして、この基礎実績に対して最近の状況及び石炭の増産、青函航路の復元等によります分を加えまして計算をいたしております。以上でございます。
○石井説明員 昨日私が御説明申し上げましたことを御引用になりましてのお話がございましたが、ちょっと補足さしていただきたいと思います。私が八十億の増収というのは、当初大蔵省に対する予算要求の際は幾らであったかというお尋ねに対して、約八十億と申し上げたのでございます。その際に−御説明申し上げましたように、当初の予算編成をやりました時期と、予算の決定いたしました時期とのズレがございまして、その間における経済情勢の好転その他等を考えますると、ただいまのような計数も、私どもとして必ずしも不可能ではないという観点でお引受けをいたしたということを申し上げたのでございまして、その前に井岡先生が、私どもが単につじつまを合せるだけだというようなことを申し上げたようにお話がございましたが、公社債の消化にいたしましても、収入の見積りにいたしましても、異常な努力は要するということは申し上げましたが、単につじつまを合せただけだということを申し上げたことはないということを、ここに申し上げておきます。
○中居委員 ただいま論議されております問題が、国鉄財政の問題でございますから、この点について私はさらに質問を進めたいと思います。申すまでもなく国鉄の財政の問題を検討するに当りましては、まず第一番にわれわれが考慮しなければならぬことは、部内の努力によりまして、あるいは経費の節減、運賃増収等の努力によりまして、収入の増加をはかるということが第一でございます。この点につきましては、ただいまも同僚の下平あるいは井岡両委員からあまりにも過大に見積りがせられている、こういう指摘もあったのでございますが、まずこれは百歩譲歩するといたしまして、国鉄の努力に私どもは期待をいたしたいのでございます。しかしなおかつそれでも昭和三十一年度の国鉄の財政というものはどうにもならない、こういう段階でございます。従ってあらゆる角度から検討を加え、経営調査会においてもこの点を指摘いたしまして、運賃の、先ほど私が申し上げたようなアップという勧告もいたしております。この問題が大事でありましょう。さらに公共企業体といたしましての、国家が国鉄に対する繰入金ということも考慮しなければならないと思うのであります。この三者がそれぞれ均衡を保って、いろいろな国鉄に対するところの寄与をすることによって、この財政の再建ということが私は初めて可能になると思うのであります。先ほど大臣は、国家財政から国鉄に対して繰り入れするということは、これは企業体である国鉄にそういうことをなすことはおかしい、インフレの要因にもなる、こういうことを申しておられます。しかし私は必ずしもそうは考えないのであります。今日の政治の常識といたしまして、交通機関、こういうものに対するところの国家の持つ責任というものは、非常に大きいと思うのであります。従いまして国有鉄道に対しましてどこの国におきましても、相当な国家投資というものを行なっておる現状であります。私は大臣の、国家財政ら繰り入れることが原則的にいけないものであるという理論には、にわかに賛成しかねるのでございますが、この点について重ねて伺います。
○吉野国務大臣 ちょっと私の言葉が足りないため誤解を生じたと思いますが、私のインフレ的であるというのは、国家から繰り入れるとか繰り入れないという意味ではなくて、たとい国鉄自身の金を出しても、ああいう工事日費に何百億というものを出して、そうしてそれを運賃について収入をはからないとインフレ的になる、こういうことを申し上げたのであってこれは国の方とは関係のない、ただ経済理論の一般を申し上げたわけであります。 それから後段の、国の方から出したらいいではないか、これも私は国有国営というものの形でございますから、絶対に国民の税金を出してはいかぬというほどまでには考えておりません。ただ今の公社の建前というものが、自主採算というものの建前でできておるものですから、おのずからその間にもいわゆる一定の限界があるわけであって、無制限にこの国有国営の形の、しかも独立の公社の経営の欠損というものを国民の税で埋めてもいいという御見解には、私はにわかに賛成いたしかねる。
○中居委員 私は決してさようなことを申しておるのでも、お聞きしておるのでもございません。先ほども申し上げましたように、部内の努力と国家の責任と、そうしてさらにまたやむを得ざる処置としての運賃ベースのアップ、こういう三者が一様にそれぞれ均衡と限度を保ってなされることによって、初めて国鉄の財政が再建できる、こういうことを私は申し上げておるのでありましておそらくこの意見には大臣も不賛成ではないと思います。ただ私どもが、運輸省あるいは運輸大臣が考えて、少くとも過去において考えられ、そうして言明せられておりました運賃ベースのアップということについて、にわかに賛成できない、こういう態度を社会党がとって参りましたのは、今日の政府が、先ほど申し上げました三つの要件のうち、政府としての責任を果していない、まずそれをやるべきである。まずそれを政府が行なって、そうしてやむを得ざる第三の処置としての運賃ベースのアップということを考慮して、率直にその苦衷と国鉄財政再建に対するところの所信というものを披瀝いたしましたならば、おそらくこのような紛糾も私はないと思います。現に私は昨日の国会が終了いたしましてから、予算委員会であなたと質疑応答をなされました柳田君とお会いいたしました。現に柳田君自身も、現在の国鉄の運賃ベースが他の物価の指数に比較して、あまりにもひどい低位にある、こういうことを認識しております。ただこのような現実にあるにもかかわらず、政府があまりにも党略にとらわれてあまりにも政治的なかけ引きの発言にだけ終始して、率直な意見を述べていないというところに、私どもの不満があり、かつまた柳田君自身の不満もあったのであります。私どもが申し上げたいことはこのことでございます。さらに私どもが運賃値上げについて論議する前に、まず政府に対してその責任をとってほしい、こう申し上げるゆえんは、政府として当然なすべき国家投資です。原則的にはもちろん赤字のすべてを国家が責任を持て、こういうことは私ども申し上げておりません。国鉄と申しましても、公社性があるとは申しましても、企業性もございます。従いましてそういうむちゃなことは申し上げません。しかし今日の国鉄と政府との関係におきましても、当然政府がなすべき処置を政府はとっていない。一例を申し上げますならば、国の要請で、運輸省の要請で国鉄に命令しておりますところの新線建設の資金の問題が一つでございます。これは国鉄の希望で、国鉄の意思でやっているのではないのであります。しかも利子まで取っております。この新線建設の資金に金を貸して五カ年計画の四百五十億の融資に対しまして二百五十億の利子まで取っております。あるいはまた通行税の問題がしかりであります。通行税を二十数億円国鉄から巻き上げております。あるいはまた伝えられるような国鉄に対するところの固定資産税の問題があります。まず第一番先にこういう問題を、私は必ずしも投資しろとは申しませんが、こういう問題を解決して、政府がなすべきところの責任を果して、そして第三の問題であるところの運賃ベースのアップの問題ということもかね合せて率直な一国鉄財政再建に対する所信を表明してごらんなさい。だれが一体反対するものがありますか。私が申し上げたいのはこの点であります。伝えられますように、国鉄の部内の意見といたしまして、あるいは運輸省の意見といたしまして、運賃の決定という問題を国会の審議からはずそうというような意見が伝えられておるのであります。これも今日のような政治的な、あるいは党略的な立場に立って、この企業体というものが審議せられる限り、運賃というものが論議せられる限り、切り離さざるを得ない、こういう追い詰められた方々の意見は私はわかります。私はその問題については別個の意見を持っております。賛成できない意見を持っております。しかしそのような立場に追い込まれておるのでありまして、私が申し上げたいことは、まず政府が果すべき責任を国鉄に対して果してもらいたい、こういうことを申し上げたいのであります。財政に理由づけまして云々するかもしれませんが、現に今日の政府は民間の地方鉄道に対しましては、莫大な補助金を出しております。莫大な助成金を出しております。あるいはまた外航船舶の建造に対しては、本年度も三十一億円の助成をしております。利子の補給をしておる。しかも民間会社に対してはその上に、損失した場合には三十五億円も補償するのだという予算外契約までしております。こういうような財政がありながら、政府はなすべき手を国鉄に対して打ってないではありませんか。まずこれを政府は国鉄に対して行うべきである。そして今日の窮状を国民に、あるいは国会に訴えてごらんなさい。だれが一体反対するものがありますか。この点についての大臣の所信を伺いたいと思います。
○吉野国務大臣 まことに、ごもっともな御意見でございます。私もそういうふうにせっかく努力したい、こう思っております。ただ国の財政の現状や何かにつきまして、今おっしゃるような点を今この際実現することができないこいうことは、私も実は遺憾に存じております。
○中居委員 この題問についてはこの程度といたしまして、答申書に戻りまして、時間もありませんから、ごく簡単に二、三お伺いして私の質問を終りたいと思います。 答申書にはこういうことが書いてございます。現在の国鉄の形態というものは、企業体として政府の国鉄に対する監督ということは、有効な、しかも必要最小限度の範囲にとどめるべきである、こう書いてありますが、この意見についてはいかがですか。
○吉野国務大臣 私も大体同感でございます。
○中居委員 ただいまの大臣の答弁を論駁しますと、先ほどの民営か国営かというような素朴な意見に戻るので、私はこれは避けたいと思いますが、ただ私の考えからただいまの大臣の答弁を判断いたしますと、今日まで運輸省が行なって参りました国鉄に対する監督というものは、鉄道監督局という小さな機構を通じまして、膨大な国有鉄道の監督をやって参りましたが、実際的効果がなかった、こういう過去の実績にとらわれてのみ判断された答弁ではないかと思いますが、いかがですか。
○吉野国務大臣 役所の監督局が全然効果がないとは私は考えておりません。またそういうことを申し上げてもおりません。ただ十分かどうかということであれば、御承知の通りああいう膨大な企業体の運営でございますから、外におって役所の役人が内部の運営を監督しようと思っても、なかなか日の届かない点のあることはやむを得ないと思います。
○中居委員 そうすると、大体答申書に基いて、国鉄に高度の自主性を付与するという方向へ経営形態というものを今後考えていかれると私は推測するのでありますが、そうしますと国有鉄道の存在というものが、先ほど来私が指摘しておりますように政府からも遊離いたしまして、さらにまた国会からも遊離いたしまして、一つの国鉄政府というものがここにでき上ってしまう、結果的にはそういうことを私は予想せざるを得ないのであります。今日の国有鉄道に対するところの国民の意見なり批判なりというものは非常に素朴でございましてそれは長い間つちかわれて参りました。私はこういう言葉はきらいですが、国鉄一家というものに対する批判が非常に強かったのであります。国鉄の経営形態というものを私どもが論議し、考慮するに当りましては、この問題を看過できないと思うのであります。今大臣が考えておられまするように、政府の国鉄に対する監督権あるいは命令権と申しますか、そういうものをさらに希薄にいたしまして伝えられるような国会の国鉄に対する発言あるいは論議というものは、非常に権限を少くされまして運輸大臣を通じてのみ監督するというように、政府からも遊離し、国会からも遊離して、ここに別個の国有鉄道政府的なものができ上るということは、今日の国鉄一家に対する批判というものをますます大にするものではないか、そういう結果にならざるを得ないのではないか。経営形態を論議するに当りまして私どもはこの国民の国鉄一家というものに対するきずなというものを解きほぐすということをもあわせて検討していかなければならないのでありますが、それと逆行するような、そういうものを強固にせしめるような形態に運輸省が自主性を与えるということについては、私は非常に不満であります。また危険な考えではないか、こういうことを考えておるのであります。従って私は先ほども申し上げましたように、少くとも前のように国が直接責任を持って国鉄の運営をはかるというような方向にハンドルを切るべきではないか、こういうふうに思いますが、この点について重ねて大臣の所信を承わりたいと思います。
○吉野国務大臣 お尋ねのような結果になっては困るのでして、私も国鉄の自主性というものは、なるべくこれを広げたいが、それも広げっぱなしという趣旨ではない。それと同時に一方国家の監督の規定も強化する、こういう考えでおります。
○中居委員 それは答弁だけの問題でありまして、実際問題としては矛盾しております。この答申書にも書いてございますように、運輸省と国鉄との関係を希薄にする、運輸省の国鉄に対する監督権というものは必要最小限度にとどめる、こういうふうに勧告しておるのでありまして、あなたもそのようなことを希望する、こう申しておられます。そういうことであれば、どうして政府の国鉄に対する監督権の強化ということができますか、私は矛盾しておる答弁であると思うのであります。
○吉野国務大臣 事業を自主的に運営するという面においては、不必要な監督、不必要な干渉はしない、こういうことだけであって、しかも国有国営の形としての公社に対する監督権というものは、国家が十分持っていなければならないので、この二つの点は決して矛盾するものではない、こう考えております。
○中居委員 国鉄総裁がお帰りになって非常に残念でございますが、石井経理局長で答弁でさましたら御答弁願いたいと思います。今の大臣の答弁にも関連しておると思いますが、国有鉄道の今日の予算の編成とそれから審議の形式というものは、一般の会計と同一であって、支出権の付与というような形式になっておる。これではいけない、こういうことを非常に簡単にこの答申書に書いてございます。この答申書に基いて、支出権の付与という一般会計的なものではいけない、国鉄に関する限り純計的な予算の支出収入だけを国会の承認を得るように改めたい、こういう意見があると私は聞いておるのでありますが、いかがですか。
○石井説明員 純計予算につきましては、昨年内閣に設置せられました臨時公共企業体合理化審議会の審議事項としても問題となっておりまして、これに対しても企業予算としてはかくあるべきたというふうな大体の御結論が出ておるように拝聴いたしております。ただ純計予算と申しますのは、いわゆる国会の議決の効果は差額にあるというだけであって、ただ帳じりだけをお見せしてどうこうということではなしに、もちろん事業全体、事業計画というものは十分御審議願う、ただ法律上の効果が支出権、いわゆる企業会計であれば収入というものは増加することもある、従ってその増加に応じて支出も行われるという建前から見ますと、これは一般の官庁会計の予算と性格を異にするものではないか、そういう意味でそれに支出権をもって縛るということは、企業会計の建前としてはおかしいのじゃないかということは、前から会計制度その他の研究におきましてもそういう結論が出ておりますし、また各国の例もそういうふうでございます。従って私どもはただ帳じりだけをお見せして、ほかのものは隠しておいて自分勝手にやるのだというような意味の純計予算を言っているのではない。企業会計といたしましては、予算というものも確定し、それに伴って支出権という権能がなければ出せないということはおかしいのじゃなかろうか、こういう意味の主張をいたしておるわけでございます。
○中居委員 私の持ち時間が大体参りましたから、以上で質問を終ることにいたしますが、重ねて運輸大臣に申し上げたいことは、先ほど私が申し上げましたように、国鉄の今日論議されておりまする経営形態とか、財政の再建の問題であるとか、こういう点につきましては、私は政党とかあるいは党略というものから超然としまして対処してもらいたい。さらに私がもう一つ希望申し上げたいことは、国鉄当局に対しては、与えられた予算においてベストを尽して、これが増収をはかるべきであるということ、さらに政府に対して要望申し上げたいことは、当然政府として負担すべきところの支出というものはこれは負担をして、そしてまずこの両者によって、国鉄の財政の再建というものを検討してみてさらにどうにもならないという結論が出たら、率直な気持をもって国鉄の現状というものをわれわれに吐露してもらいたい、国民に訴えてもらいたい、こういうことを私は要望申し上げまして私の質問を今日は終りたいと思います。
○松山委員長 本日はこれをもって散会いたします。 午後零時十三分散会