予算委員会 第8号
- 発言数
- 12 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1955/12/16
会議録
○委員長(西郷吉之助君) これより委員会を開会いたします。 本は昭和三十年度特別会計予算補正特第二号に対する討論に入ります。討論は、理事会の申し合せによりまして、一人十五分以内で御発言をお願いいたします。 討論の通告がございますので、順次発言を許します。松沢兼人君。
○松澤兼人君 私は日本社会党を代表いたしまして、議題となっております昭和三十年度特別会計予算補正特第二号に反対し、その理由を述べるとともに、われわれ日本社会党の持っております昭和三十年度予算補正方針を明らかにいたしたいと思います。 地方団体における財政窮乏は年を追うに従ってはなはだしくなり、本年は特にその解決を根本的になさなければならないときであったのであります。国会においてはこのため、いくたびか決議がなされ、政府の善処を要請したのでありますが、本年当初においては何らの措置がなされず、いたずらに地方団体の職員の首切りと経費の節約の基礎の上に地方財政計画が打ち立てられ、その破綻はついに年度中途にして補正せざるを得ない状態になったのであります。政府は国の財政の均衡とか、健全化とかを口にしますが、それは勤労者と中小企業、地方団体にしわ寄せする方法によって糊塗しているのでありまして、国全体を通じた均衡でもなく、健全化でもないところに、一つの根本的な欠陥があります。さらに政府特に大蔵当局は、地方団体の首長、議会の放漫政策が地方財政の窮乏の原因であると考え、逆に地方団体の自粛を促しているのであります。もとより自粛反省は地方に限らず中央においても同様であり、機構の改革や、制度の改善に待つべきところも多々あることはもちろんであります。しかし地方において機構の簡素化、部課の縮小をしようとしても、国の所管官庁がこれに異議を申し入れて、実行を不可能ならしめるという話は珍らしいことではないのでありまして、地方経費の増大の責任は果して地方のみか、あるいは国にあるのか、むしろ政府自身の反省を促す声は漸次強くなっているのであります。 技術的に見れば、地方財政計画が策定されてから四年でありますが、昭和二十五年の決算を基礎として、毎年歳出入の増減を積み重ねて、いわゆる積み重ね方式を採用しているため、過去の計算漏れや不足なところがいつまでも累積し、根本的な計画改正が行われないため、年を経るに従って地方財政需要と地方財政収入とが、数字の上だけでマッチしているのみでありまして、実際は地方財政の実情から遠く遊離してきたことになっているのであります。さらにいけないことは、この自治庁の策定する地方財政計画が大蔵省において、大蔵当局の利己的仏立場から過小に査定され、当然必要な経費すらも一般財政収支に計上されず、地方債をもってまかなわれている現状であります。国家財政においては厳に避けられている公債政策を地方に押しつけているために、地方における地方債の累積は実におびただしいものであります。その結果、二十五年以来、昭和三十年度まで累積された起債総額は実に四千五百八十三億に達し、元利償還は本年度五百十一億という膨大な数字となっているのであります。また大蔵省の要求により、歳出の圧縮削除が国以上に実行を強制されて、不可能な節約までも強いているということが、この年度中途における補正を必要ならしめた重大な原因であると考えるのであります。 さらに政治的にこれを考えてみるならば、年々累増していく再軍備の経費が、地方財政を圧迫してきた事実は明白でありまして、これを数字的に見ても、再軍備の増強とともに、地方財政の窮乏が比例して深刻化してきたことも、また明瞭にうかがわれるのであります。極端な言い方をするならば、再軍備か、地方財政の確立か、二者択一とも言えるのであります。地方財政の破綻は民主的な地方行政を破滅に導き、これが契機となって、一方には憲法改正、再軍備とからんで、中央の地方への介入となり、ついには知事自選、道州制、官僚支配の復活と反動コースを進むべく強制されるのでありまして、今にして、この危機を民主的に打開し、自主的に地方行財政の再建をはからなければならない重大な時期であると信ずるのであります。 本年度地方財政計画は、策定当初においてすでに歳入歳出の間に相当額の赤字が生ずることを予想されていたのでありまして、自治庁の諮問機関である地方財政審議会ではその額を五百四億と推計し、不交付団体をも含めますならば六百九十八億に達すると見られていたのであります。地方制度調査会では、給与費約二百七十億を別にして、さしあたり本年度中に修正を要する金額を二百億と計算したのであります。当初よりかかる計算漏れ、計算不足、歳出見積り過小、節約の強行等の方針をとって策定されたために今回の補正措置をとらざるを得なくなったのであります。あやまちを改める意味では、もちろん改め意い上りはよいわけでありまして、そのこと自体に反対するわけではありませんが、これに反対しなければならないのはまことに残念であります。これは、この案に賛成されている与党の諸君においてもその気持の上から言えば同様でありまして、あるいは、なきにまさるという程度であって、われわれの反対する根本的な立場は、次のごときものであることを申し上げたいのであります。 反対の第一点は、この予算補正が地方制度調査会の答申を尊重したことによるのでありますが、地方制度調査会の答申は、先に申しましたように、給与費を別にして、さしあたり二百億の財源的措置を講ずべきことを決定し、その措置は本年度限りとしてこれに相当する願を交付税の引き上げまたは一部たばこ消費税の税率引き上げによるべきものとしているのであります。しかるに今回の政府の措置は百八十八億に限り、しかもこの予算補正にあります交付税特別会計が百六十億を借り入れて、交付税の配分様式に従って交付するごとにとどまり、二十八億は政府の公共事業の打ち切りによる地方負担軽減という、まことに財源措置ならざる措置によってまかなっているのであります。これでは地方団体をあずかる知事、市町村長、議会等は満足することはできません。年度の途中であるということが税率引き上げをやらない大蔵当局の意見のようでありますが、年度の途中でも引き上げをやった例もあり、地方財政の再建をなさんとする熱意があるならばやれないことはないのでありまして、われわれはそれをもって単なる逃げ口上にすぎないと申すのであります。 第二の点は、地方制度調査会の答申は、交付税の税率引き上げまたは一部たばこ消費税の税率引き上げによると言っているのでありますが、これは意味のあることでありまして、われわれは、二百億の財源措置という場合、いわゆる二百億の赤字とは見るべきでなく、結果においては赤字となるべき地方財政需要の見積り不足及び地方財政収入の過大見積り、または措置不足と見るのでありまして、財政計画上の計算間違いであって、これは交付団体も不交付団体も一様にその影響を受けるべきものなのでありましで、これを百六十億だけの財源措置によって解決すべきではなく、不交付団体にも今回の政府の計算間違いの補正をなすべきものでありまして、当然たばこ消費税の税率引き上げ的措置を講ずべきものであります。 第三点は二十八億の問題であります。二十八億は財源措置の一部であるかのごとき政府の説明でありますが、これは全く詭弁にすぎません。衆議院本会議におけるわが党の門司亮君の質問に対し、太田国務大臣は「公共事業費が繰り延べられると、本年度の地方財政計画上はそれに見合います地方負担額が不用となります。かかる措置によります不用額は正確な意味の財源措置とは言えないかもしれませんが、財源措置と同じ効果のある財政措置と考えているのでございます。」と、まことに財政学の大家にしては苦しい、また珍しい詭弁を申されているのであります。この筆法をもってすれば、かりに二十八億分を大蔵当局が地方の経費節約をもってまかなえと言えば、との節約による二十八億も、正確な意味の財源措置ではないが、財源措置と同じ効果がある財政措置と考えられるのであります。われわれの常識をもってしては理解できない、また財政学者らしからぬ官僚的詭弁と申すべきであります。 第四点は公共事業の繰り延べであります。政府はこの予算補正の実質的措置として、公共事業の一部不用額を九十七億とし、その国庫補助負担分を五十三億、地方負担分を四十四億と計算し、交付団体分三十五億、うち七億は地方債のワクを市町村分につき減少せしめ、新たに財源措置をすることとしたため実質的には地方負担減二十八億と計算し、臨時地方財政特別交付金を百六十億と計算したのであります。この公共事業の一部不用額ということは、政府の一方的見解でありまして、公共事業が年度当初計上されたにはそれぞれ深い理由があってのことであり、年度の中途において不用額とすることは全く理由のないことであり、いわゆる数字のつじつまを合せる技術的説明にしかすぎないのであります。この点は与党の諸君のうちにも強い異論があり、そのために衆議院においても、一日、本会議を棒に振って議論したという事態が生じ、画一的には措置しないということで納得したということであります。公共事業の打ち切りであるのか繰り延べであるのか、また繰り延べであるとするならば、三十一年度には必ずこれが計上されるものか、至ってあいまいであると見られるのであります。実際には不用額が生じなかった場合には、さらに別途の財源措置が必要となり、かかるその日暮しの措置にはわれわれは絶対に賛成することができないのであります。 われわれはこの補正に対し別個の組みかえ要求案を持っております。それは次のようなものでありますが、便宜ここでは朗読を省略いたしますが、委員長におかれまして後刻委員会にお諮りの上、御挿入下さらんことを望みます。 この案は、衆議院予算委員会においても、本会議においても、社会党が説明し、自民党より質疑、討論が行われ、相当審議を尽したのでありますが、不幸否決されたのであります。われわれはこの組みかえ要求の動議にお毒ましてはっ承りとわれわれの態度を表明し、政府の持っておりますところの考え方に同調できない点を明らかにしているのであります。この中に含まれております意見がわれわれの今回の補正特第二号に対するポイントであるととを申し上げたいのであります。 結論として申し上げますが、政府は六団体及び各方面の意見によってこの補正予算を提案いたしましたが、その内容が、地方制度調査会の答申の羊頭を掲げてかえって狗肉を提案した結果となり、地方財政の前途はなお多難と言わなければなりません。一切の根本的な対策は三十一年度に譲ることになっているのでありますが、果して現在の政府の手により抜本塞源的な対策が講じられるか、多大の疑問を感ぜざるを得ないのであります。自治庁の努力を要望するとともに、さらに大蔵当局がこの財政の実情を率直に認めて、上に述べたような従来の態度を一擲して、真の再建に協力を与えなければならないのであります。最後に、直接本案とは関係がありませんが、地方公務員の〇・二五増額分はまだ完全な財源措置が講ぜられていない、実情でありまして、かかる状態では、果して国家公務員並みに〇・二五増額分が支給されるかどうかも疑わしいのであります。政府は経費の節約によって自主的に財源措置を講ずることを期待し、短期融資の必要な団体に対してはこれを融通すると言っているのでありますが、この三十年度の暫定措置において過度の節約の緩和をしたほどでありますので、さらに節約によって増額所要額を捻出なし得る余裕がないのみでなく、短期融資によって期末手当の増額支給をするという不健全な方法をもとり得ないと思われるので、この際、政府としては当然本年度中にその財源措置を講ずべきものであります。この点につきましては、衆参両院において付帯決議が癒されているのでありますから、その趣旨を確実に実行されんここを強く要望いたしまして、反対討論を終ります。(拍手)
○委員長(西郷吉之助君) お諮りいたしますがただいまの松沢君の討論中、朗読を省略されました衆議院における組みかえ要求の動議を会議録に掲載されたいという御希望がありましたが、さよう取り計らうことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(西郷吉之助君) ではさよう取り計います。三浦一義男君。
○三浦義男君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま上程せられております政府提案の昭和三十年度特別会計予算補正特第二号に対し、賛成の意を表するものであります。以下その理由を簡単に述べさしていただきます。 今回の予算補正は窮迫せる現下地方財政に対する当面の処置としてとられたものでありまして、国及び地方の財政の健全性を堅持する方針をもって案出せられたものであります。さて、補てんの金額は地方制度調査会の答申二百億円を基礎といたし、地方にも緊縮を要求する建前と、さらに地方に対する交付税三%に相当する額を考慮に入れまして百八十八億円といたしたのでありまして、この百八十八億円捻出の財源は、一般行政費の節約、賠償費及び公共事業費はどの年度内不用額百六十億円と、それに伴います地方負担軽減二十八億円をもって充てているのでありますが、緊急を要する関係上、前に述べました百六十億円につきましては、一般会計の予算補正を行うまでの当面の予算処置といたしまして、交付税及び譲与税配付金特別会計において借り入れを行いまして、これを臨時地方財政特別交付金として地方公共団体に交付するものであります。もとよりこれをもって地方財政の根本的解決ができるものではないこと、また地方公共団体の完全なる満足を得るということはできないととは明らかと存じますが、年度もすでに半ばを過ぎております現在、国の財政の健全性をくずさぬ限り、これが最大限度であると思うのであります。よって地方財政の根本的解決は、二十九年度までの赤字は地方財政再建促進特別措置法によってたな上げするとともに、来年度すなわち三十一年度においては、給与費の検討、中央、地方の行財政制度、国と地方の事務分担区別その他広範囲にわたって検討を加えまして、合理的、自主的財源を付与する建前をもちまして予算編成をなすべく、党及び政府はあげて努力をいたしているのであります。かくのごとく健全財政の基礎の上に立って現予算規模を堅持し、その上、来年度予算の財源の温存を考えながら、最大限度にまで地方財政の窮乏の補てんを考えました本補正予算案に敬意を表しまして、私の賛成討論を終りたいと存じます。
○委員長(西郷吉之助君) 木村禧八郎君。
○木村禧八郎君 ただいま上程されました三十年度特別会計予算補正特第二号に対しまして反対するものであります。反対の理由は四つであります。 第一は、第三次鳩山内閣はこの補正予算を提出する資格がたいということであります。今回の補正予算は特別会計の借入金に関する補正にすぎませんが、この補正は百六十億円の三十年度一般会計予算補正が前提条件となっているのであります。かような予算補正は絶対行わないと、鳩山首相は六月の十日及び十一日の予算委員会で言明したのであります。すなわち六月十日にはこの委員会におきまして、私が「もし補正の問題が出てきたときには、約束に反するから、内閣をやめるなり、あるいは解散をするなり、とにかくはっきりした政治的責任をとって善処するか」と質問いたしましたのに対しまして、鳩山首相は、「補正については全然考えておりません。もしそういうような場合が出てきたときには、木村君の言う通りに善処したい」と、とう答えておられるのであります。また六月十一日での予算末委員会におきましては、特に鳩山首相みずから発言を求められまして、天災以外には補正は絶対組まないと断言されたのであります。ところで鳩山内閣が一応総辞職をいたしまして、第三次鳩山内閣を組閣されましたが、これは鳩山首相の答弁によりますれば、政権の移動ではなく、第二次鳩山内閣の延長である、強化であるというのでありますから、今回の補正について何ら政治的責任をとったことにはなっておらないのであります。解散してできました新しい内閣のもとでなくては、予算補正は出せないはずであります。にもかかわらず、何らの政治的責任をとらずに、補正予算を出して参りましたことは、国会を、ひいては国民を侮辱するものである。政治的無節操を遺憾なく発揮したものであると、私は断ぜざるを得ないのであります。(拍手)これが私の反対理由の第一であります。 第二、今回の補正の対象であります交付税及び譲与税配付金特別会計の可六十億円の借入金につきましては、年度内はかるべき時期において、一般会計予算の補正を行い、その財源をもって同特別会計へ繰り入れを行う、こういうことになっておりますが、その百六十億円の一般会計の補正措置の内容が明かに示されておらないのであります。すなわち公共事業費の繰り延べ節約、あるいは賠償の節約、一般経費の節約等によって財源を捻出するとのことでありますが、その内要がわからないでは、責任をもってこの借入金措置に対し賛否の態度を明かにするととはできないのであります。一般会計からの繰り入れの財源措置が不明確のまま、この借入金措置を認めることは無責任とならざるを得ないのであります。不明確のまま賛成した場合、あとにはって一般会計の財源措置がそうでなかった、われわれの予想した通りでなかったということになったときに、われわれはどうしてこの責任をとることができるでありましょうか。一般会計の繰り入れに対する補正の内容をここで明確にしないで、そうしてこの借入金措置に対して賛成せよ、あるいは反対せよという態度を明確にしろといっても、それは無理のことである。この予算の提出の仕方はきわめて私は無責任極まるものだと思います。 第三の反対理由は、財政法二十九条二項の精神に違反している点であると思うのであります。財政法第二十九条第二項には、「内閣は、——予算の成立後に生じた事由に基いて、既に成立した予算に変更を加える必要があるときは、その修正を国会に提出することができる。」と規定してあります。この第二十九条第二項は、全く新しい規定でありまして、従来予算成立後に生じた事情に応じて、内閣限りで自由に、成立した予算の範囲で、予算組みかえを実行したことはしばしばありまして、これを実行予算と称したことはもう周知の通りであります、その内閣限りでの措置する実行予算の思想は、予算に対する国会の議決は、その支出の限度を国会が承認するものであって、その金額を支出する義務を内閣に命じたものでないという見解に基いていると思います。ところが憲法八十三条は財政を処理する権限を国会の議決におくことを明らかにいたしたのでありますから、当然予算の実行に関しましても、触るべく国会の議決を中心とするように考えなくてははらないのであります。従って成立した予算を実行上変更するような場合には、もう一度国会に諮り、予算自体を変更してから実行するのが民主的であるはずであります。もしそういう手続をとらないとするならば、国会における予算の増額修正権を認められているのでありますから、従来通りの内閣限りで実行予算を編成し、国会で増額修正して内閣をして実行せしめようとした政策を、内閣限りで実行しなくてもよいという結果になって、きわめて不都合となるのであります。そこで、成立した予算を実行上変更するような場合には、実行予算を作って国会の議決を求めてから、すなわち予算自体を変更してから実行すべきであるというのが、この財政法第二十九条第二項の規定なのであります。従って前回の一割天引き節約の場合もそうでありましたが、今回も一般会計予算の補正に対する国会の承認を経ないで繰り延べ節約などを行い、そのあとで事後承諾的に補正の承認を求めるようなことは、そうしてこの借り入れ措置はそういうことになっておりますが、二十九条二項の精神に反するものであると私は認めざるを得ないのであります。これが反対理由の第三であります。 第一四の反対理由の根拠については、今回の地方財政の赤字の発生の原因であります。とれについては、政府が重大な責任を持っていると思うのであります。一般会計はねるほど均衡健全財政と政府は言っておりますが、地方財政は赤字で破綻しておる。しかしながら、いかなる重要なる政策、義務教育、あるいは生活保護対策、あるいは結核対策、失業対策、住宅対策どれ一つを見ましても、政府が一般会計に計上した予算だけではできないのでありまして、必ず地方の相当の負担を伴わなければ、その政策自体が実行できないという建前になっております。従って一般会計が健全であっても、地方財政が破綻しているというととは、国の財政全体が破綻している、国の経済全体が破綻しているということを意味するのでありまして、これについては、これまで政府がとって来ました中央の再軍備の経費のシワを地方に寄せるということ、このことは、朝鮮戦争の始まりました昭和二十五年から初めて地方財政の赤字が現われ出していること、そうして再軍備費を捻出するために配付税制度を平衡交付金制度に変え、そうして中央から地方に交付する金の額を政府は減らしたのであります。従来三三%であったのを大体二〇%程度に削減した、こういうところに地方財政の赤字が生じた一つの大きな原因があるのであります。 第二の原因は、政府は地方財政の負担を顧みず公共事業費を猛烈にふやしたことであります。昭和二十四年に五百五億の公共事業費は、二十五年に八百五十六億、二十六年九百四十八億、二十七年に一千四百八十四億、二十八年に千七百五十二億、地方の負担を顧みず政府が猛烈に公共事業費をふやし、それで地方の長は仕事を多くしょうと思いまして、そうして政府に公共事業費の獲得の運動をやっておる。地方の負担を顧みず猛烈に獲得運動をやって、それが赤字の大きな原因にはった。これはやはり、政府が地方負担を顧みず公共事業費をむちゃくちゃに、無計画的にふやしたというところに原因がある。その他、地方自治になりまして、地方の長の公選制度になって、いわゆる民主化が赤字の原因であるという説がありますが、これは全く誤まりであって、地方の長が単独事業として仕事を行える範囲はきわめて少いのでりまして、それが今日の赤字の原因と見ることは、これは間違いであると思うのであります。単独事業比率というものは一割程度、きわめてわずかなものであって、これを地方財政の赤字の原因と見ることは誤まりであると思うのであります。従って、これは政府がとの地方財政の赤字補てんについてどうしても大部分の責任を持たなければならぬことは明らかで、あります。当面の今回の措置としては、まず第一に、はっきりと交付税率の引き上げを行いまして、それと同時に一般会計予算補正を提出いたしまして、そうして本年度の地方財政の赤字に対処すべきであると思います。 第二には、少くとも鳩山内閣が公約違反をおかしました生活保護対策、結核対策、公営住宅対策に対しまして、不急不要の防衛費の繰り延べ、あるいは節減をもって、その公約違反をおかした諸政策の財源の増額にこれを充てるべきである。少くともこの臨時国会においてはそれだけの措置を講ずるのが、これが私は良識のある政策であると思うのであります。それについては全然何もはされておらないのであります。これが反対理由の第四であります。 以上の四つの理由によりまして、私は本予算補正案に対しまして反対するものであります。(拍手)
○委員長(西郷吉之助君) 館哲二君。
○館哲二君 私は緑風会を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和三十年度の特別会計の予算補正につきまして賛成の意を表すものであります。本年度におきましても、地方財政の窮乏が叫ばれまして、地方が非常に不安な状態にあったわけです。一日も早くこれに対して適当な措置をせられるべきことを望んだのでありますが、おそしといえども今日この提案を見たことであり、また内容的にもいささか不足の点があることが考えらるるのでありますけれども、今日、一応の措置ができたものとして、本案に賛成をいたします。 この機械に政府に対して反省を求め、また努力を望みたい点は申し上げておきたいのであります。ちょうど三十年度の予算を二十二国会で審議せられました際に、鳩山総理並びに一万田大蔵大臣は、予算補正は行わないということを明瞭に言われたのにもかかわりませず、ことに予算補正をみるということにつきましては、私どもは遺憾の意を表するものであります。が、しかし、その原因を考えてみますと、当時においてすでにその補正がなされるべき原因が内包せられておったと思うものであります。最初政府の内部においてきめられました地方財政計画というものは百四十一億円の赤字をもっておるということであったにもかかわりませず、それが直ちに棒引きされまして、つじつまの合った地方財政計画が提出せられたのであります。すなわち、国の予算というものの収支を合わすために、地方財政計画の上にしわ寄せをせられたというところに無理があったと考えるのであります。その点から考えまして、地方財政計画そのものに対します信頼性といいますか、ただ国の財政の関係で地方財政計画を筆の先でどうでもできるという措置がはなはだおもしろくないと思うのであります。すなおな気持で地方自治体の育成をはかっていくという上からいいまして、私は地方財政計画を親切に立てて、そして、これに権威を持たしめていくということが必要であると思います。今日の地方財政計画というものは、二十五年度の決算の上に積み重ねられてきておるものでありますが、しかし、その間の今日に至りますいきさつを考えますと、国家財政の関係からしまして積算すべきものを適当に積算していない。あるいはまた無理な節約をその上にしいておるというようなことが今日までしばしば行われて来ておるのであります。従いまして、地方財政計画そのものについては、いつでも御都合主義というようなことが見え、従いまして、地方自治体の方からいいますと、いつでもこれを修正するといいますか、不当なりとして要求をする声が起ってくるのであります。どうかこの際来年度の予算を立てられます上から、ぜひとも地方財政計画についての十分なる検討を加えられまして、地方財政計画そのものの無理を排除して、信憑性のあるものにしていただきたいと思うのであります。ただ、しかし、このことはなかなか困難な仕事でありまして、非常な努力を要すると思います。 申し上げるまでもなく、今日の地方財政の窮乏というものは、私は戦後において非常に地方の制度が複雑になり、多岐になり、従いまして、地方行政規模というものが非常に急速に膨張してきた。しかもそれに対する財政的な裏づけが十分でなかったという、その結果の累積が今日の地方財政の赤字になってきたのであると考えますが、ただ、このためには、やはり地方行政規模に応じた地方財政規模をもっていくことが必要であります。でありますから、私は税制改革その他によって、地方に財源を与えるように政府として努めてもらわなければならぬと考えます。が、しかし、反面これにもおのずから限度があります。無限にこの手当はでき得るものじゃないのであります。としますれば、やはり地方行政制度そのものについて十分な検討を加えて、これを縮小するということを考えなければ、これに改革を加えるということを考えていかなければならぬと思うのであります。今日、地方財政が非常に行き詰ったということについて、どうも責任のなすり合いが行われております。地方は、中央が自治体の育成に親切さを欠いているのだというように言います。また、中央では、地方の責任の持ち方が足らないのだというように言われておって、お互いになすり合いをしておるというような状況であっては、今日のこの問題は解決できない。私は、中央、地方とも、ともどもにこの際本気になって考えるべき時期だと思います。地方自治体は、自治体であるがゆえにみずから責任をもって自分の立っていく方途を考えることが必要である。ですから、私どもは、各府県、市町村が十二分な反省を加えるべきであることを切に願うのでありますが、しかしながら、何といいましても、これにも限度があります。いろいろな制度というものは、法律できめられてきております。しかし、財政の面からいいますと、財政的中央集権化されておるのであります。地方は何ともできないのであります。でありますから、私はこの際どうしても、中央、地方を通じて、本気になってこの際建て直しを考えてもらわなければならんと切に願うのであります。先日来の各委員会、また本委員会における討議によりまして、政府は三十一年度において地方行財政制度の根本的な対策を立てて、将来に赤字を出さないようにするということを言明せられておるのであります。私はぜひこれを断行していただきたい。国があげて望んでおるところであると思うのであります。しかしながらこのことは、繰り返して申し上げますように、決して容易なことではないのであります。日本が独立いたしましてから、地方制度の改革をやるべしということで、地方制度調査会を設けられて熱心に討議せられておる。しかもこの地方制度調査会が第一次に答申をいたしましたものでさえも、今日なお実現せられておらない。ですから、このことは決して容易にはなし得ないことであると思うのであります。ただしかし今日において多数党の上に組織せられました内閣ができておるのであります。私は鳩山内閣を信頼しまして、ぜひともこの三十一年度において地方行財政制度の抜本的な対策を樹立していただきたい。それにつきましては、私どもの会派といたしましてもそれを御援助申し上げるについてもやぶさかでないことを申し上げておいて、本案に賛成いたすのであります。(拍手)
○委員長(西郷吉之助君) 以上をもちまして討論は終局いたしました。 よって直ちに昭和三十年度特別会計予算補正(特第2号)について採決を行います。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○委員長(西郷吉之助君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。(拍手) なお本会議における口頭報告の内容及び報告書の作成案等につきましは委員長に御一任願います。次に賛成者の方は順次御署名を願います。 多数意見者署名 池田宇右衛門 堀 末治 三浦 義男 安井 謙 豊田 雅孝 館 哲二 青木 一男 秋山俊一郎 石坂 豐一 井上 清一 伊能 芳雄 高橋進太郎 小滝 彬 木内 四郎 木村 守江 佐野 廣 西岡 ハル 武藤 常介 吉田 萬次 堀木 鎌三 片柳 眞吉 小林 政夫 喬木 正夫 高橋 道男 田村 文吉 中山 幅藏 八木 幸吉
○委員長(西郷吉之助君) それではこれにて散会いたします。 午前十一時四十二分散会 ————・————